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更新日:
2008年6月28日
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便潜血反応(fecal occult blood test)
消化管で出血すると、便の中に血液が混入します。大量の出血なら便の色が赤くなったり、黒いタ−ル便となり肉眼で確認できますが、少量の出血では、肉眼的には確認できないため、潜血反応検査で微量な赤血球成分(ヘモグロビン)を検査します。
・臨床的意義
日本人の食生活が高脂肪食、低繊維食と欧米化してきたため、大腸癌は男女とも着実に増加しています。大腸癌の診断には、内視鏡検査やX線検査が必要です。その前のスクリ−ニング検査に潜血反応検査がおこなわれています。
・基準値
数回の便潜血反応で出血がなく、陰性(−)なら正常です。健康人の便の中に、ごく微量なヘモグロビンが存在していますが、免疫学的潜血反応では、陰性の結果がでます。化学的潜血反応では、偽陰性、偽陽性が多く出ます。
・測定法
便潜血反応検査には、(1)化学的潜血反応と、(2)免疫学的潜血反応の方法があります。
(1)化学的潜血反応
ヘモグロビンのペルオキシダ−ゼ様活性を利用して、化学的に色素の変化で判定する方法です。偽陽性が見られるため(人間以外の血液、肉や魚など料理に含まれる血液や、ミオグロビン、鉄剤の服用中)、検査前3日間は、肉類を含まない食事制限を行います。ビタミンC(250mg/日)の服用で、偽陰性となります。
(2)免疫学的潜血反応
抗ヒトヘモグロビン抗体を用いて、ヘモグロビンとの抗原・抗体反応(免疫学的に)で判定する方法です。
偽陽性、偽陰性がなく検出感度が高いが、胃や十二指腸などの上部消化管に出血がある場合は、消化液など影響を受けてヘモグロビンが変性し、陰性化してしまうことがある。
・異常値:陽性(+)
大腸癌、大腸ポリ−ブ、潰瘍性大腸炎、クロ−ン病、大腸潰瘍、急性大腸炎、過敏性大腸炎、イレウス、寄生虫感染、細菌性大腸炎(赤痢、カンピロバクタ−、病原性大腸菌など)
原虫感染(赤痢アメ−バなど)、痔疾、腸結核、小腸の悪性腫瘍、慢性肝障害、出血性素因、白血病、月経血の混入
・その他
検体採取・保存における注意点(免疫学的潜血反応に限り述べる。)
・採便法
a) 綿棒やヘラで採便し、濾紙に塗る方法
b) 採便棒(スティック)や採便スプ−ンで溶液や容器に入れる方法
普通は、自分自身で採便を行い、便の異なる5〜6カ所を均等に刺すか、 便表面を広くこすります。濾紙に便を塗る方法では、均一に薄く塗ります。採便棒でとる方法では、適当な量を容器に採取します。
採便のやり方は、トイレットペ−パ−を水洗便所に敷き、その上に排便し、採取します。硬便の場合は、水で湿らすと採便しやすい。(トイレ洗浄剤は低濃度(0.1%程度)で免疫学的潜血反応では、反応性が低下します)
採便後、すみやかに便を採取し検査する。(冷暗所に保存すれば1週間は安定ですが、採便容器中に長時間室温放置すると腸内細菌などの影響で、ヘモグロビンが変性し、偽陰性となります。
採便は、2日連続法が原則(大腸癌があっても陰性、あるいは採取した場所が偶然陰性のことがあるため、2日法での検出率は1日法より1.3倍高く検出できます。)
今後の検査の進め方
1)肛門、直腸指診、2)直腸鏡検査、3)注腸X線検査、4)大腸内視鏡検査、5)生検、6)便細菌・寄生虫・原虫検査、7)腹部超音波検査、8)肝機能検査、9)腫瘍マーカー(CEAなど)などの、検査を行い、陽性の原因を調べます。
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