洞性徐脈

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更新日:
 2008年6月28日






◎洞性徐脈:どうせいじょみゃく

 心臓は規則正しく、“トクン、トクン”と脈打っていますが、心臓においてこのリズムを最初に作り出す司令塔は「洞結節」と呼ばれる所です。
 心臓は、心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋でできています。右心房は、大静脈とつながっていて、体のあちこちから送られてきた酸素の薄い血が集まってくるところです。この大静脈と右心房の境目辺りに「洞結節」があります。健康な心臓の場合、ここで心臓のリズムが作られ、電気信号が心房から心室へと、心臓全体に伝わって行き収縮をはじめます。
 安静時には50〜80程度のリズムとなるのが普通ですが、それ以下の状態を洞性徐脈と呼びます。洞性徐脈は、病名と言うよりも、徐脈を区分する心電図上の所見といった扱いです。「徐脈」とは、「ゆっくりの脈」です。すなわち、「洞性徐脈」とは、「リズムを作っている部位自体は正常だけど、リズムが少し、ゆっくりしている」という所見になります。したがって、健康診断の結果、「洞性徐脈」と診察されても、通常は、治療の必要はありません。
 この数値が30程度など、明らかに病的な状態と考えられれば洞不全(症候群)と呼ばれる病名で扱います。

 心臓にポンプ活動を起こすように指令している刺激伝導系というシステムがあります。刺激伝導系とは、発電所から一定の時間間隔で発生した電気を心臓全体に伝える電線のようなものです。右心房にある洞房結節が発電所です。洞房結節で発生した電気信号は心房の筋肉を伝わって中継所である房室結節へ伝わります。この時、心房の筋肉が収縮し、血液が心房から心室へ送られます。信号は房室結節から次にヒス束へ伝わり、右脚、左脚にわかれたあと、さらにプルキンエ線維へと細かく枝分かれし、心室全体へ伝わります。こうして心室の筋肉が収縮し、血液は心室から、全身へと送り出されるのです。
 洞房結節から一定の間隔で信号が発生する発生頻度が脈の速さであり、この刺激伝導系のどこかに障害が生じると脈がみだれます。この脈のみだれを「不整脈」といいます。

 洞房結節から電気信号が発生し、心臓が1分間に60〜100回の規則的なポンプ活動を行っている状態を「正常洞調律」といいます。正常洞調律の範囲をこえて脈が速くなるものを「頻脈性不整脈」、遅くなるものを「徐脈性不整脈」といい、不整脈はこのどちらかに分けられます。

・頻脈性不整脈
 1. 規則的だが脈が速くなる「洞性頻脈」
 2. 洞房結節以外の場所から速い頻度で電気信号がくりかえし発生する「上室性・心室性頻拍」、「心房細動、心室細動」、「心房粗動、心室粗動」
 3. 速いタイミングで洞房結節以外の場所から一瞬電気信号が発生する「上室性・心室性期外収縮」

・徐脈性不整脈
 1. 規則的だが脈が遅くなる「洞性徐脈」
 2. 洞房結節が一時的に電気信号を発信しなくなる「洞停止」
 3. 電気信号の発生は正常でも、それが心房に伝わらない「洞房ブロック」
 4. 電気信号が心房は興奮させるが心室まで伝わらない「房室ブロック」

 不整脈の原因は、先天的なものや加齢に伴うもの、生活習慣によるもの、全身の病気、心臓の病気などさまざまで、健康な人でもときどき起こる生理的なものもあります。多くは治療の必要はありませんが、なかには失神や突然死につながるものもあります。

・洞性徐脈
 徐脈性不整脈のうち、「洞性徐脈」は一時的であったり、無害なものが多く、治療の必要はありません。



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