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A型肝炎 |
B型肝炎 |
C型肝炎 |
D型肝炎 |
E型肝炎 |
原因ウイルス |
HAV |
HBV |
HCV |
HDV (+HBV) |
HEV |
分類 |
ピコルナウイルス科 |
ヘパドナウイルス科 |
フラビウイルス科 |
サテライトウイルス科 |
未分類(孤立) |
主な感染経路 |
経口 |
血液 |
血液 |
血液 |
経口 |
潜伏期間 |
2〜6週 |
1〜6ヶ月位 |
2週間〜6ヶ月位 |
B型肝炎に類似 |
2〜9週間(平均6週間) |
感染の特徴 |
一過性の感染。 |
一般に成人が初めてHBVに感染した場合は一過性の感染。 |
成人が初めてHCVに感染した場合、そのほとんどは、自覚症状がないまま経過し(不顕性感染)、約30%は一過性の感染で治り、約70%はキャリア化することが知られている。 |
かつてデルタ(δ)肝炎と呼ばれていたもの。 |
一過性の感染。キャリア化することはない。 |
キャリア化することはない。 |
急性肝炎を発症する場合と発症しない場合(不顕性感染)とがある。治癒後に終生免疫が成立。 |
HCVキャリアの母親から生まれた児がHCVに感染してキャリア化する率は2〜3%程度に止まる。 |
D型肝炎ウイルス(HDV)は、HBVに感染している人にのみ感染する(HBVをヘルパーウイルスとする)不完全ウイルスである。 |
終生免疫が成立するか否かは不明。 |
治癒後に終生免疫が成立。 |
特にHBc抗原陽性の母親から生まれた児では、感染を予防せずに放置すると高率(80%以上)にキャリア化する。 |
HCVキャリアでは、HBVキャリアに比して慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝癌)を発病する率が高い。 |
わが国にはHDV感染例は少ない。 |
急性肝炎を発症した場合はA型肝炎に類似。 |
急性肝炎発症例では、38℃以上の高熱を伴って発症。発熱後数日を経て、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、右季肋部痛などが現れ、その後褐色尿、黄疸が現れる。 |
乳幼児期に感染した場合にもキャリア化することがある。 |
C型慢性肝疾患患者を除いて、わが国には150万人前後のHCVキャリアが存在することが知られている。 |
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稀に劇症化することあり。妊婦がHEVに感染して発症した場合には、劇症化する率が高いと言われている。 |
成人例では腎不全を伴うことがある。 |
B型肝炎ウイルスキャリア(HBVキャリア)の一部は慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、肝癌)を発症する。 |
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人畜共通感染が疑われている唯一の肝炎ウイルスである。 |
成人が感染した場合、不顕性感染で終わることは少なく、重症化することがある。 |
わが国には慢性肝疾患患者を含めて、100万人から150万人のHBVキャリアがおり、そのほとんどは検査をしなければわからない(自覚症状がない)無症候性のキャリアであることが知られている。 |
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キャリアの有無 |
無 |
有 |
有 |
無 |
無 |
肝がんとの関係 |
無 |
有 |
有 |
無 |
無 |
劇症化 |
あり |
あり |
稀 |
あり |
あり |
診断法 |
血清学的検査:ペア血清によるHA抗体価の上昇、IgM HA抗体の検出 |
血清学的検査: HBs抗原の検出、ペア血清によるHBc抗体価の上昇、HBc抗体価の測定(HBVキャリアとの鑑別)、 IgM HBc抗体の検出 |
血清学的検査: HCV抗体の検出、HCVコア抗原の検出 |
血清学的検査:HDV抗体の検出、肝内のHDV抗原(デルタ抗原)の検出 |
血清学的検査:ペア血清によるHEV抗体価の上昇、IgM HEV抗体の検出 |
核酸増幅検査(NAT): HAV RNAの検出 |
核酸増幅検査: HBV DNAの検出 |
核酸増幅検査: HCV RNAの検出、リバビリン |
核酸増幅検査: HDV RNAの検出 |
核酸増幅検査: HEV RNAの検出 |
治療法 |
急性期の対症療法 |
ラミブジン等にいる抗ウイルス療法、グリチルリチン、ウルソデスオキシコール酸等による抗炎症療法 |
インターフェロン、リバビリン等による抗ウイルス療法、グリチルリチン、ウルソデスオキシコール酸等による抗炎症療法 |
(Bの治療がDの治療) |
急性期の対症療法 |
ワクチン |
HA ワクチン |
HB ワクチン(場合によりHBIGを併用) |
開発困難 |
HB ワクチン(Bの予防がDの予防) |
HEワクチン開発中 |