中性脂肪(Neutral fat)

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更新日:
 2008年6月28日






T−G:中性脂肪(Neutral fat)
 中性脂肪は脂質の1つで、体内でのエネルギーの貯蔵源や臓器や組織の維持の働きを持っています。その多くは、皮下脂肪として蓄えられています。
 中性脂肪は、グリセロールと呼ばれるアルコールに、脂肪酸が1〜3分子とエステル結合したものの総称です。その中で、3分子で結合したものをトリグリセライドと言います。このトリグリセライドが血中の中性脂肪の約90%を占めるため、血中トリグリセライドを測定することで、体内での脂質の代謝状況を把握するのに使用されます。

・臨床的意義
 血中のトリグリセライドには、その産生状態により外因性(食事性)のものと、内因性のものとに分けられます。
 外因性のものは、食物より小腸で吸収されて産生されるものです。一般に、1日に約50〜100gのトリグリセライドが吸収されていると言われています。小腸腸管で吸収されたトリグリセライドは、リンパ管から胸管を通り、血中に運ばれます。この時のトリグリセライドは、主にカイロミクロンと呼ばれるリポ蛋白質に含まれて存在しています。このカイロミクロン中トリグリセライドは、LPL(リポ蛋白リパーゼ)、HTGL(肝性トリグリセライドリパーゼ)と呼ばれる分解酵素によって、脂肪酸とグリセロールに分解されます。この脂肪酸は、直接、エネルギー代謝に使用されたり、エネルギー源として脂肪組織などに、再びトリグリセライドに合成されて貯蔵されます。グリセロールは、トリグリセライドの再合成に使用されます。
 内因性のものは、脂肪組織や肝臓で産生されたものです。生体の重要な代謝である解糖系より放出された脂肪酸と、トリグリセライドの分解物のグリセロールよりトリグリセライドが合成されます。
 トリグリセライドは、他の脂質(コレステロールなど)と組み合わせて、脂質代謝、糖代謝の状態を観察するのに使用されます。糖代謝が過剰な状態の糖尿病の場合、トリグリセライドの合成に必要な脂肪酸の動員が多いため、血中トリグリセライドは高値になります。
 また、合成の場である肝臓の機能を調べるのにも使用されます。肝機能が低下するような肝硬変の場合、トリグリセライド合成能が低下します。
 消化機能が弱い場合も、血中トリグリセライドが低値を示すことがあります。食事の影響を受けやすいため、正確にその値を知るには、採血する12時間前から絶食する必要があります。

・基準値
 30〜150mg/dl

・測定法
 現在、最も使用されている方法は、LPL(リポ蛋白リパーゼ)酵素法です。トリグリセライドをLPLで加水分解して、得られたグリセロールをグリセロールキナーゼなどを用いて最終的に比色法、UV法で測定します。

・異常値
1)高値を示す病気
 a) 家族性(遺伝性のもの)
  家族性高リポ蛋白血症
  α−リポ蛋白欠損症(Tangier病)
 b) 続発性(2次性のもの)
  糖尿病
  肥満
  動脈硬化
  甲状腺機能低下症
  Cushing症候群
  閉塞性黄疸
  脂肪肝
  急性膵炎
  ネフローゼ症候群
2)低値を示す病気
 a) 家族性(遺伝性のもの)
  β−リポ蛋白血症
 b) 続発性(2次性のもの)
  甲状腺機能亢進症
  慢性副腎不全
  消化吸収不全
  肝疾患(肝硬変、重症肝実質障害)

・変動の要因
 a) 食事性因子
  食事の内容によるが、多くの場合高くなる。食後30分ぐらいから上昇し始める。
 b) 年齢
  年齢につれて高くなる。男性は40歳、女性は60歳でピークをむかえ、徐々に低下していく。
 c) 性差
  男性の方が女性よりも1割ほど高い。
 d) 妊娠
  高くなる。
 e) 飲酒
  高くなる。
 f) その他
  ステロイド剤、経口避妊薬で高くなる。


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