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更新日:
2008年6月28日
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◎脂肪細胞(1996年5月10日、朝日新聞)
食べ過ぎによる余分なカロリーを脂肪として貯め込む白色脂肪細胞と、エネルギーを放出して体温調節などをする褐色脂肪細胞がある。白色脂肪細胞は体内のいたるところにあるが、褐色脂肪細胞は肩胛骨の間、脇の下、大動脈、腎臓の周辺などにある。
肥満に関係するのは白色脂肪細胞。細胞自体が肥大したり、数を増やしたりして脂肪を貯め、それが過剰になった状態が肥満である。全身の脂肪細胞は通常、200〜300億個だが、太った人は1000億個以上になる細胞もある。
日本肥満学会は、標準体重「身長(m)の2乗×22」kgを20%上回ると「肥満」と診断。さらに高血圧や糖尿病など肥満に伴う合併症があるか、将来確実に合併症が出るとみられる人を「肥満症」としている。
◎肥満を呼ぶ遺伝子(1996年5月10日、朝日新聞)
同じものを同じ量食べても太る人と太らない人がいる。この差を生む原因の1つが「β3アドレナリン受容体」というタンパク質を作る遺伝子であることが最近、分かってきた。この遺伝子に異常がある人は、食事療法によってやせようとしてもやせにくい。
β3アドレナリン受容体とは、脂肪を貯め込む脂肪細胞の表面にあるタンパク質。この受容体にノルアドレナリンというホルモンが結合すると脂肪の分解や体温調整によるエネルギー消費が進むことや、ネズミの実験ではこの受容体を壊すと肥満になることが分かってきた。
この研究に関連して1995年夏、アメリカの研究グループがアリゾナ州などに住むピマインディアンを調べた結果を発表した。ピマインディアンは肥満と糖尿病の人の割合が高いが、約半数の人はこの受容体を作る遺伝子の一ヶ所が突然変異しているのが分かった。変異している人は肥満傾向が強いうえ、糖尿病の発病年齢も低く、遺伝子異常と肥満の関係が強いようだ、との内容であった。
フランスやフィンランドの研究グループの調査では、この遺伝子の以上がある白人は10%程度と低かった。日本人の場合は、東大医学部第三内科の門脇孝助手らが健康な191人を調べ、約20%の人に以上があった。また、京都府立大医大第一内科の吉田俊秀講師らの調査で、肥満治療を行っている人の約40%にこの以上が認められた。また、肥満の中でも糖尿病の危険が高い内臓脂肪型肥満の人が多いことも分かった。
安静時に換算した1日のエネルギー消費量は、異常があった人は異常がない人に比べて平均200キロカロリー程度少なかった。
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