花粉症のお話

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更新日:
 2008年6月28日






◎花粉症について(1997年10月10日)

・花粉症とは
 飛散している特定の花粉が目に入ったり、鼻の粘膜に接触して、目や鼻にいろいろな症状が出る病気のことを花粉症といいます。花粉は、その植物の開花期にのみ飛叡しますから、その時期に一致して発病することが、花粉症の特徴です。

・症状
 花粉を吸いこみますと、発作的にくしゃみを何度となく繰返し、水性の鼻汁が流れ出たり、鼻がつまったりします。目に入ると眼がかゆくなり、涙が出ます。また、アレルギーということが判らない時期には、ほとんどの人が風邪の症状かと思ってしまいます。咽頭痛があったり、咳が出たり体がだるくなったりすることもあります。目も初めのうちは、生フィルムが目をおおった感じで、いくらまばたきしても、物がピンボケに見えたりします。目がかゆくなると、目をこすってしまいますが、強くこすりすぎると、目の結膜にむくみが生じて、目の外まで腫れ上りますからビックリします。一方、鼻のかゆみが強くなると、手のひらで鼻をごりごりしたり、指で鼻翼のところを左右にこするようになります。その仕草を見ただけで、専門の医師は花粉症を疑うほどです。

・原因
 日本では、スギの花粉がNo.1で、人口の10%がスギ花粉症といわれています。そしてまだ増えているといいます。スギの花粉の飛散は、愛媛県では2月の初旬から始まり、4月の下旬に終わります。最近は、空中に飛散する花粉の量を観測して、その増減を医療機関や報遵機関に連絡して患者さんに知らせることができるようになりました。その次に多いのが、カモガヤを代表とするイネ科の花粉です。これは愛媛県では4月下旬から出始め、7月に一時ひそみ、9月下旬までつづきます。3番目の犯人は、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなど、キク科の雑草の花粉です。主に、9月、10月に飛散が観測されます。

・花粉が多い時期
 スギの観測から分ったことは、
(1)暖冬の年は飛散開始が早い、気温が急に上昇した時に飛散開始が始まる
(2)シーズン中に暖かい日、晴れ、あるいは曇りの日、湿度が下がった時、風が強い日が花粉の数が多い
ということです。スギの花粉が多ければ、症状の出た患者の数が多いかといえば、必ずしも飛散の量のみで左右されているのではなくて、大気汚染などの環境因子が関与していると言われています。
 また、スギの花粉の数は減っているのに、症状が変わらない時は、一つの花粉だけではなくて、他の花粉に重複してアレルギーになっていることも考えられます。

・診断方法
 間診で、遺伝の有無や、他のアレルギー疾患(喘息・アトピー性皮膚炎)を尋ねた上で、どの花粉に対してアレルギーがあるかという検査(皮膚反応でみる方法、血液中の特異的IgEを調べる方法、鼻粘膜誘発テスト)によって正確に診断します。

・治療法
 花粉症の治療の最先端は、「予防は治療にまさる」ということです。もっとも大切なことは、花粉に接触しないこと、身を守ることです。スギの木や、林に近づかない、カモガヤやブタクサなど雑草の生えている野原、場所に近づかないこと。山野の遠出を控える。スギ花粉情報で増加を知らされたら、窓はできるだけ閉じ、寝室や居間にエアクリーナーを置いて室内の花粉を除去する。洗濯物を外で乾かしたり、ふとんを日光に干したりすると、沢山の花粉が着いて、夜寝るとき、それらの花粉を吸いこむことになる。外出するときは花粉症眼鏡・マスクを使用し、帰宅時、部屋に入る前に、頭髪や衣服についた花粉をよく除く。目や鼻孔を洗い、うがいをする。近所の雑草が原因のときは開花期の前に除草する、などが要点です。
 体調が悪いと、花粉に接しても発症しやすいので、風邪をひかないようにする、皮膚を乾布まさつや冷水まさつ等で鍛える、タバコ、殺虫剤、芳香剤、花火の煙など、刺戟臭は吸わない、ストレス解消などを心掛けます。

・どんな薬が効くか
 薬物にも、発症を予防する薬と、起った症状を治す薬と二種類あります。前者は、抗アレルギー剤と呼ばれています。内服用と局所用があります。スギ花粉が飛散する1〜2週間前から使用を始めて、シーズン中使用することによって、症状が重くなるのを防ぐ効果を期待します。この薬のみで完全に症状をなくすることはまだ不可能で、症状が強くなったときは後者の治療薬を併用する必要があります。
 後者のもっとも強力な薬はステロイド剤と呼ばれ、内服用と、局所用(鼻用スプレー、点眼薬)があります。これらは、花粉の飛散量のピークのとき、症状の重いときによく用いられます。適量を超えて使い遇きると副作用が現われる可能性がありますので、よく主治医と使い方を相談しておかれるとよいと思います。局所用は、内服に比べて副作用も少なく、しかも高い効果が得られますが、だらだらと長く使うことは慎まなければなりません。症状の重さによってどう使用するか、主治医から指示を得ておいて下さい。くしゃみ鼻みずの軽いものには、抗ヒスタミン剤の内服がよく効きますが、副作用として眠けが出ることがありますので、使用に注意が必要です。
 この他の治療薬として、鼻汁が非常に多いとき、また鼻づまりがひどいときには、それぞれ頓用で使う点鼻薬がありますので、主治医にお尋ね下さい。
 漢方薬では小青竜湯などがよく用いられていますが、根気のよい長期の服用が必要であるといわれています。
 注射による治療法として、特異的滅感作療法(免疫療法)と、非特異的変調療法があります。前者は週に1回ずつ注射を続けるのですが、効果がでるまでに3年はかかるようです。そのかわり、一旦、効果が現われたら長く続くといわれています。後者にも2〜3の方法がありますが、他の治療法で効かないときに試みられます。

・いつ頃治るか
 花粉症は、アレルギー体質(遺伝)に、スギ花粉、大気汚染、かぜや寒さ、遇労やストレスが加わって起る一つの文明病ともいえるものです。根本に体質がある訳ですから、根治できるものではありません。しかし、上にあげた要因を少しでも少なくし、予防に心掛け、薬物をたくみに使うことによって、より快適に、より苦痛少なく生活することは可能です。自然に治っている人も少なくありません。治ったと思える時期は人によって異なりますが、くじけることむく、不安なこと、どうしたらよいかなど医師に相談しながら、その時の最善の治療を積み重ねることが近道です。


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