タバコの害のお話

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更新日:
 2008年6月28日






◎タバコの害(1999年12月28日)
 タバコの煙の92パーセントが気体で、粒子が8パーセントです。気体の中に含まれる物質に、有害なアセトアルデヒドやアンモニアなどがあります。タバコの煙の中には、一酸化炭素が環境基準の2000倍から7000倍、二酸化硫黄が1000倍、窒素酸化物も2000倍くらいあります。実は、これらがセキやタンの原因になっている場合が多いのです。
 それから「ニコチン」があります。これは猛毒です。タバコに含まれるニコチンは、両切りタイプのタバコ(フィルターなし)で10本が致死量だと言われています。人間の白血球に作用して、炎症を起こしたり、肺を損傷するとされています。しかし、タバコの煙を吸っていること自体は問題ではありません。問題は、先から昇る副流煙を吸う周りの人です。こちらの方が、危険です。
 そんなにも危険なタバコをどうして吸ってしまうのか。もちろんニコチンの麻酔作用というのもありますが、あの有名なフロイトの精神分析的考察によれば、人がタバコを吸う主な理由は、味がいいとか香りがいいからという意識的なものではなく、幼児期母親からの授乳を通じて得られた快感が、タバコを口にくわえることによって無意識のうちに呼び覚まされるから、と言われています。
 タバコを1本吸うのに必要な空間を考えましょう。日本のビル管理法では、空気中の浮遊粉塵濃度は1m2あたり0.15mgまでとなっていますので、タバコ1本につき、24畳が必要になります。

◎喫煙と健康障害(1997年10月10日)
・5月31日は世界禁煙デー
 世界保健機構は1988年から、毎年5月31日(第1回は4月7日)を“世界禁煙デー”と定め、その日を中心に世界的規模の禁煙キャンペーンを実施しています。
 “世界禁煙デー”には、毎年スローガンが決められており、最近3年間のスローガンは次のとおりです。
 1990年:「子どもに無煙環境を」
 1991年:「公共の場所や交通機関は禁煙に」
 1992年:「たばこの煙のない職場?もっと安全にもっと健康に?」
 1992年:「たばこの煙のない職場?もっと安全にもっと健康に?」
 わが国では、世界保健機構のこれら一連の一大キャンペーンと1987年に東京で開かれた「第6回喫煙と健康世界会議」を契機として、「喫煙と健康障害」が社会的にも大きな関心を呼び、その後の禁煙運動に一層拍車がかかることになりました。
 公共施設、病院、列車、飛行機、職場など禁煙ないし分煙するところが次第に多くなってきています。
 他方、国内のたばこ販売本数は史上最高と報じられ、喫煙開始年齢の若年化、未成年者と若い女性喫煙者の増加、たばこのテレビ広告や自動販売機の野放しなど憂慮すべき問題も山積しています。
 厚生省は平成4年から、5月31日の“世界禁煙デー”から始まる1週間を「禁煙週間」と定め、各種の事業を展開しています。
 また、学校においても、中学校では平成5年度から、高等学校では平成6年度から、たばこの健康に及ぼす悪影響について教えることになりました。

・「喫煙は健康に有害である」
 喫煙の健康障害に関する研究は1950年代に始まり、わずか40年ほどしかたっていません。しかし喫煙が喫煙者自身のみならず、その周囲の人たちの健康を害する悪習であることは今日世界の常識となっています。先進諸国では早くから、たばこの包装紙にその有害性を明記していましたが、わが国では昭和47年から”健康のため吸いすぎに注意しましょう”、平成2年からやっと”あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう”と明記しました。
 なぜ喫煙が健康に有害であるのでしょうか。それはたばこの煙の中に、人体に有害な物質が200〜300種類も含まれているからです。その中でもニコチン、タール(やに)、CO(一酸化炭素)は悪の三横綱で人体にきわめて有害です。ニコチンは血管を収縮させ、血液の流れを悪くし、心臓や脳へゆく血流を低下させますし、COは血液によって体の各所に運ばれる酸素の運搬を阻害します。またタールの中には各種の発がん物質が含まれています。
 このような有害物質を含むたばこを毎日毎日吸っていると、やがて「たばこ病」と言われる色々な病気にかかることはちょっと考えればわかることです。

・「たばこ病」とは
 喫煙者にみられる「たばこ病」には、喉頭がん、肺がん、など各種のがん、慢性気管支炎や肺気腫など呼吸器疾患、心筋梗塞など虚血性心疾患、脳卒中など脳血管疾患、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など消化器疾患があります。さらに女性の場合は未熟児産や流早産の原因ともなるので、これらも「たばこ病」と数えることができます。
 もちろん、これらの病気が、たばこだけで起こるわけではありませんが、たばこがその原因の一つとなったり、またそれを悪化させたりいたします。つまり、たばこがこれらの病気の危険因子として重要な役割を果しているということです。
 その中でも、近年がん、虚血性心疾患、老化の危険因子としてたばこが益々注目されてきています。
 ある著名な学者が、「たばこは発がん商品である。がんを起こさせる商品である。喫煙者は発がん商品であるたばこを、わざわざお金を出して買っている。発がん物質を自ら買いもとめ、早く芽を出せ柿の種と一生懸命がんにかかるように努めているようなものだ」と言っています。
 最近の研究によりますと、たばこに含まれている発がん物質が、がん遺伝子、特にP53というがん抑制遺伝子に変異をひき起こし、がんをつくることがわかってきました。
 肺がんによる死亡率は、非喫煙者に比べ喫煙者では約5倍、一日50本以上吸う人では約15倍と言われています。また喫煙開始年齢が15歳以下の場合は、同じ喫煙本数、喫煙年数の人より死亡率が高くなります。
 虚血性心疾患は現在、がんに次いで死亡原因の第2位ですが、この病気の三大危険因子は、たばこ、高血圧、高脂血症であることはみなさまよくご存知のとおりです。
 虚血性心疾患による死亡率は、非喫煙者に比べ喫煙者では約2倍で、喫煙本数が多くなる程死亡率も高くなります。これはたばこに含まれているニコチンとCOの作用によるものです。
 たばこは、ひとたび吸い始めるとその習慣性のため中々止めることができなくなりますが、この習慣性はたばこに含まれるニコチンのせいです。  また、たばこは老化を5年早めるということが実証されています。人間は年をとるほど虚血性心疾患やがんにかかりやすくなりますが、たばこを吸っていると5歳年上の人と同じ危険率で病気にかかるということです。
 禁煙、今からでも遅くない
 以上の説明で、
 “喫煙は百害あって一利なし”
 “喫煙に安全な吸い方や安全な量などはない”
 ことはお分かりいただけたことと思います。しかしながら、先述のとおり、たばこには強い習慣性があり、禁煙したくても止められないという人の多いようです。
 朝起きて、30分たってから吸う人の9割以上が自分の努力で禁煙できるといわれています。禁煙に成功すると、虚血性心疾患の再発と死亡を50%以上防ぐことができるし、胃潰瘍の治癒率も高まるといわれています。禁煙は「たばこ病」の最良の予防法であり治療法です。喫煙者のみなさま、健康はあなた自身のものです。愛する家族のものです。禁煙に挑戦してみてはいかがでしょうか。

◎たばこの害(1996年4月9日、朝日新聞)
 お母さんが吸わなくても、たばこの煙で赤ちゃん100グラムも小さくなると、妊婦・胎児の害を大阪の医師が学会で報告した。
 自分はたばこを吸わなくても、妊娠中にたばこの煙に囲まれていると、生まれる赤ちゃんは煙のない環境で暮らす場合に比べて小さく、平均体重で100グラム以上の差が出ることが、横浜市で開かれている日本産科婦人科学会で報告された。大阪府環境保健部の島本太香子医師が発表した。家族や同僚の煙にさらされると、日に3〜5本吸うのと同じという。こうした「受動喫煙」が妊婦と胎児に及ぼす害の報告はこれまであまりなかった。
 1992年から3年間、奈良県内の産婦人科で順調に出産した妊婦を対象に調べた。妊娠中に「喫煙した」人はごくわずかだったが、家族や職場の同僚のたばこの煙にさらされていた受動喫煙の人は全体の6割、約800人いた。この人たちについて、「換気のない部屋にいて、周囲が10本以上吸っていた」「換気のない部屋で、本数は9本以下」「換気のある部屋にいた」「たまにしか煙にさらされなかった」に分けた。赤ちゃんの平均体重は、「換気のない部屋」の2900グラム台が最も軽く、「換気のある部屋」で3078グラム、「たまにしか煙にさらされない」では3171グラムだった。喫煙しない場合は3140グラムと平均的で、受動喫煙の妊婦の赤ちゃんほど小さかった。また煙にさらされていた妊婦ほど毛髪中のニコチン濃度が高く、赤ちゃんの体重も軽くなる傾向があった。
 島本医師は「妊娠をきっかけに禁煙しても、環境によっては喫煙しているのと同じ。毛髪中のニコチン濃度を調べ、胎児の発育への影響を知ることもできる」と話している。


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