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更新日:
 2009年1月4日





◎受動喫煙:死亡者数、世界で毎年60万人、WHO(2010年11月27日、毎日新聞)
 他人のたばこの煙を周囲の人が吸い込む受動喫煙による死亡者数は、世界全体で毎年60万人に達するとの推計を、世界保健機関(WHO)の研究チームが27日までに、英医学誌ランセットに発表した。うち16万5000人を5歳未満の子どもが占めるとみている。
 受動喫煙による世界的な死亡者数の推計は初めて。チームはたばこ価格の引き上げや広告の禁止など、国連のたばこ規制枠組み条約に基づく法規制の強化を訴えている。
 チームは192カ国のデータを分析し、15歳未満の子どもの40%、非喫煙女性の35%、非喫煙男性の33%が受動喫煙にさらされていると想定。これが心臓病やぜんそく、呼吸器感染症、肺がんなどを引き起こし、全死亡の1%に当たる60万3000人が04年に亡くなったと推計した。
 特にアフリカや南アジアなどの発展途上国で、子どもの健康に及ぼす影響が大きかった。WHOはこれまで、たばこが原因で死亡する喫煙者は年間510万人と推計しており、受動喫煙を加えると570万人の死亡原因になっているとチームは結論付けた。
 国内では、厚生労働省研究班が今年9月、受動喫煙が原因で肺がんや心臓病で死亡する成人が毎年約6800人に上るとの推計値を発表している。

◎汚れた肺に後退した歯茎、禁煙したくなる衝撃写真(2010年11月11日、スポーツニッポン)
 米食品医薬品局(FDA)は10日、喫煙による健康被害を伝えるため、汚れた肺などの写真を載せた36種類の新たなたばこパッケージ案を発表した。たばこ規制法に基づく施策の一環で、来年6月までに9種類を選定し、2012年秋から国内で販売するたばこに表示を義務付ける方針。
 「喫煙はがんの原因になる」「喫煙はあなたを殺す可能性がある」との警告文を大きく明示。たばこの吸いすぎで汚れた肺や後退した歯茎など、ショッキングな写真がパッケージの前面と後面の上半分に大きく配置されている。受動喫煙によって子どもやたばこを吸わない人に健康被害が及ぶことも警告している。
 FDAは「たばこの悪影響を減らすためにはある程度明確で、身震いするような絵が必要になる」とコメントしている。
 米国では09年、たばこの製造や販売を大幅に規制する権限をFDAに付与する初の包括的なたばこ規制法が成立した。

◎たばこ販売の違法性否定、元喫煙者の賠償請求棄却(2010年1月20日、スポーツニッポン)
 長年の喫煙でがんなどの健康被害が生じたとして、横浜市金沢区の自営業高橋是良さん(67)ら元喫煙者3人(うち1人死亡)が、日本たばこ産業(JT)と国に1人1000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、横浜地裁は20日、請求を棄却した。
 水野邦夫裁判長は判決理由で、JTの責任について「製造・販売を続ければ、不特定多数が病気になり、死亡すると認識していたとまでは言えない」と違法性を否定。国についても「規制権限を行使しなかった違法性はない」と指摘した。
 また喫煙をめぐる社会情勢の変化に触れ「たばこの製造・販売については、国民的な議論を待ち、最終的に国会での審議を経て決定されるべきだ」と付け加えた。
 訴えによると、3人は20〜37年間喫煙し、高橋さんは肺がんを、ほかの2人は肺気腫を患った。
 原告らは、JTは欧米の研究発表などでたばこの有害性や依存性を認識しながら、危険性についてあいまいな表示で販売、国の規制も不十分だったなどと主張。
 JTは、たばこは嗜好品で、喫煙は自由意思によるものだとして請求棄却を求めていた。
 喫煙被害をめぐる同様の訴訟では、2006年1月、最高裁で元喫煙者の請求を棄却する判決が確定した。

◎低タールたばこ、有害度は同じ、吸煙量多く(2009年8月8日、読売新聞)
 低タール、低ニコチンのたばこを吸っている人ほど吸煙量が多く、タールやニコチンが多いたばこを吸っている人と同程度の有害な化学物質にさらされていることが、厚生労働省の研究班(代表者=遠藤治麻布大准教授)の調査でわかった。
 パッケージに表示されているニコチン量が10分の1になっても、摂取量は3分の1程度にしかならず、表示通りには煙害が減らないことも明らかになった。
 調査対象は、1日約19本を吸う20〜65歳の約100人。いつも吸っているたばこの種類に合わせ、〈1〉タール1ミリ・グラム表示(ニコチン量はタール表示の約10分の1)〈2〉同3〜6ミリ・グラム〈3〉同8〜10ミリ・グラム〈4〉同14ミリ・グラム――の4グループに分類し、ニコチン摂取を示す化学物質(コチニン)量、呼気に含まれる一酸化炭素量などを調べた。
 その結果、タール6ミリ以下のグループは、1回で吸い込む平均吸煙量が58・4ミリ・リットルで、それより高いタールのたばこを吸っている人(50ミリ・リットル)よりも多い傾向があった。1日当たりの平均吸煙量では、高タールグループより、約4500ミリ・リットルも多くなっていた。
 コチニン量については、表示されたニコチン量が多いほど増える傾向にはあったが、タール1ミリのグループの唾液1ミリ・リットルに含まれるコチニン量は、タール14ミリのグループの約3分の1に過ぎなかった。一方、たばこの煙に含まれ、動脈硬化などの要因とされる一酸化炭素はタールやニコチン量による差はなく、ほぼ同量を吸引していた。
 調査した国立保健医療科学院の稲葉洋平主任研究官は「表示が低いからといって、必ずしも健康への影響が表示通りには低くならないことを認識してほしい」と話している。

◎たばこが原因で死亡、年間20万人、対策に増税必要?(2008年12月22日、朝日新聞)
 たばこが原因で病気になり、死亡する人は、年間20万人近くにのぼるとみられることが、厚生労働省研究班(主任研究者=祖父江友孝・国立がんセンター部長)の調査でわかった。研究班は「健康対策として、増税を含めたたばこ対策がもっと必要だ」と指摘している。
 国内の四つの疫学調査データを解析した。80〜90年代に40〜79歳の男女約29万7千人に喫煙習慣などを尋ね、約10年間追跡。2万5700人が死亡していた。喫煙率は男性54%、女性8%。
 たばこを吸っていて病気で亡くなるリスクを、吸わない人と比べると、男性では(1)消化性潰瘍(かいよう)(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)7.1倍(2)喉頭(こうとう)がん5.5倍(3)肺がん4.8倍(4)くも膜下出血2.3倍。女性では(1)肺がん3.9倍(2)慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)3.6倍(3)心筋梗塞(こうそく)3倍(4)子宮頸(けい)がん2.3倍などだった。
 また、過去に喫煙歴がある人も含めると、男性のうち27.8%、女性の6.7%が、たばこに関連した病気で死亡していた。
 こうしたデータをもとに、05年の死亡統計にあてはめて計算すると、年間死亡者108万4千人のうち、たばこ関連の死亡者は男性16万3千人、女性3万3千人。05年時点の喫煙率は男性39%、女性11%のため、たばこに関連した病気になり死亡する人は今後、男性で減り、女性で増えると予想される。
 解析の中心となった同センターの片野田耕太・がん対策情報センター研究員は「増税のほか禁煙治療をもっと広めるなど、総合的な対策を進める必要がある」と話している。(田村建二)

◎たばこが原因の死者、今世紀中に10億人、WHO予測(2008年2月8日、読売新聞)
 【ジュネーブ支局】世界保健機関(WHO)は7日、喫煙による健康被害に関する報告書を発表、この中で、喫煙が原因となって死亡する人が21世紀中に累計10億人に達すると予測した。
 報告書によると、肺がんや心臓疾患など喫煙を原因とする病気で、20世紀には約1億人が死亡した。現在は、世界で毎年推計540万人が喫煙のため命を落としているが、喫煙人口は途上国を中心に増加している。規制強化などの措置が取られない限り、死者の数は2030年には、年間約800万人に増加する恐れがあるという。

◎膵臓がんリスク、喫煙男性は1.8倍、厚労省調査(2007年10月5日、読売新聞)
 たばこを吸っていたり、糖尿病と診断されたりした男性は、そうでない男性に比べて、膵臓(すいぞう)がんのリスクが約2倍高くなることが5日、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査でわかった。
 調査は、1990年と93年に、茨城や長野、大阪など9府県に住んでいた40〜60歳代の男女約10万人が対象。喫煙や病歴、運動などについてアンケート調査を実施。その後、2002年まで膵臓がんになるリスクとの関連を調べた。
 その結果、喫煙していた男性は、非喫煙者に比べて、膵臓がんになるリスクが1.8倍高かった。また、過去に糖尿病と診断された男性は、そうでない男性よりも、リスクが2.1倍高かった。女性では、統計的な差がなかったが、男性と同じ傾向が確認された。
 膵臓がんの発症リスクを高めると考えられていた肥満のリスクは確認されなかった。運動による予防効果も認められなかった。

◎「たばこで毎日3000人が死亡」、WHO地域委総会(2007年9月15日、産経新聞)
 世界保健機関(WHO)西太平洋地域委員会(日本など37カ国・地域加盟)の年次総会が韓国・済州島で開かれ、たばこによる健康被害の深刻さを強調、喫煙との「全面戦争」を訴えて、14日閉幕した。
 WHO西太平洋地域事務局によると、総会で尾身茂事務局長は、たばこによる健康被害の低減を目指す「たばこ規制枠組み条約」にアジア太平洋地域の多くの国が加わっていることを評価。一方で「たばこの影響で西太平洋地域で毎日3000人以上が死んでおり、世界のたばこ関連の死者の3分の1を占める」と指摘、子どもや若者の喫煙急増への懸念も示した。

◎たばこで余命3.5年短縮、男性、40歳時点で(2007年7月24日、産経新聞)
 たばこを吸っている男性の40歳時点の平均余命は、吸わない男性より3.5年短い−。厚生労働省研究班(主任研究者・上島弘嗣滋賀医大教授)が24日までに、30歳以上の男女約1万人を対象とした追跡調査を基に、こんな推計をまとめた。
 1日2箱以上吸う男性の余命は、1箱未満よりも0.9年短く、ヘビースモーカーほど短命の傾向がうかがえるという。
 喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは広く知られているが、たばこの影響を余命で示したのは国内初の試みという。
 推計の根拠としたのは、昭和55年に全国300カ所の保健所で健康診断を受けた30歳以上の男女のうち、計9625人(男性4237人、女性5388人)に対する追跡調査。このうち平成11年までに死亡した約2000人の喫煙の有無や、年齢別の死亡率などを基に全調査対象者の平均余命をはじき出した。
 それによると、健診時にたばこを吸っていた男性は2666人(喫煙率・約63%)で、40歳の平均余命は38.6年。残る男性のうち、もともと吸っていなかった777人については42.1年で3.5年長かった。
 以前は吸っていたが健診時に禁煙していた794人の余命は40.4年。
 男性喫煙者のうち1日の本数が「1箱未満」の40歳の平均余命は39.0年、1〜2箱は38.8年、2箱以上は38.1年と、本数が多いほど余命が短くなる傾向がうかがえた。
 女性の喫煙率は約9%で、喫煙者(476人)の40歳の平均余命は43.4年、非喫煙者(4793人)は45.6年と、2.2年の差があった。
 研究班の村上義孝滋賀医大特任講師は「男性の場合、喫煙が平均余命に影響していることは明らかといえる。女性も同様な傾向がみられたが、調査開始時点での喫煙率が低く明言はできない」としている。

◎受動喫煙で年間10万人死亡、5億人以上が被害、中国(2007年5月30日、朝日新聞)
 喫煙人口が世界最多の3億5000万人に上る中国で、受動喫煙による被害が広がり、年間10万人以上が死亡していることが、衛生省の「喫煙抑制報告」で30日までに明らかになった。同省は「受動喫煙の危害が深刻に受け止められていない現実に対し、科学的証拠を列挙した」とし、被害拡大に警鐘を鳴らすとともに、公共の場所などでの禁煙立法の必要性を訴えている。
 同報告によると、受動喫煙の被害者は5億4000万人で、うち15歳以下が1億8000万人。受動喫煙が原因の肺がんや心臓病などによる死者は年間10万人以上と推定されるという。(時事)

◎「95億円は高い!」米たばこ訴訟、連邦最高裁が破棄(2007年2月21日、読売新聞)
 【ニューヨーク=小山守生】米オレゴン州の男性が肺がんで死亡したのは喫煙の害を十分に知らされていなかったためだとして、遺族が米たばこ大手フィリップ・モリスに損害賠償を求めた訴訟で、米連邦最高裁は20日、同社に7950万ドル(約95億8000万円)の懲罰的賠償支払いを命じた昨年2月の同州最高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。
 同社が「賠償金額が過大だ」として連邦最高裁に上告していた。連邦最高裁は「判決は原告以外の喫煙家への被害も考慮しており、不当だ」として、5対4の多数決で破棄を決めた。
 原告によると、男性は1997年に67歳で肺がんで死亡するまで40年以上、「マールボロ」などを吸い続けた。

◎がん:米国の死者、2年連続減少、禁煙や治療向上などが要因(2007年1月22日、毎日新聞)
 【ワシントン共同】米国のがんによる死者数が、04年には前年より約3000人少なく、2年連続で減少したことが全米がん協会の最新の統計で17日分かった。
 同協会は「一時的な減少ではなく、傾向としてはっきり表れた。喫煙者の減少と治療の向上が主な要因だ」としている。日本では、がんによる死者は増加し続けている。
 統計によると、03年は前年より369人、04年は03年より3014人減少した。米国では90年代から多くのがんで死亡率が低下しているが、人口増加や高齢者の増加をも上回って、がん死者数自体がついに減った形だ。
 部位別では、死者数の多い肺、乳房、前立腺、大腸のいずれのがんでも減っているが、特に大腸がんでの減少が著しく、女性の肺がんだけが増えているのが特徴。

◎フィリップ・モリス:集団訴訟に勝訴、「ライト」表示(2006年11月28日、毎日新聞)
 ロイター通信によると、米連邦最高裁判所は27日、「ライト」の表示で喫煙者を欺いたとして、米たばこ大手フィリップ・モリスUSAに101億ドル(約1兆1700億円)の支払いを求めた集団訴訟の訴えを退けた。
 イリノイ州最高裁が2005年12月、訴えを認めた下級審判決を覆したため、原告側が連邦最高裁に上訴していた。(ニューヨーク共同)

◎禁煙:ハワイもほぼ全面的に、愛煙家の日本人客は困惑?(2006年11月1日、毎日新聞)
 主要産業である観光業界への配慮から喫煙に比較的寛容だった米ハワイ州が、バーなどを含め公共の場所をほぼ全面禁煙にすることを10月31日までに決めた。世界的な喫煙規制の潮流とはいえ、ハワイに多い愛煙家の日本人旅行者は困惑気味だ。
 ハワイ州のリングル知事は10月7日、大幅に喫煙規制を強化する州法に署名、施行は11月16日の予定。レストランやバー、ホテルのロビーなど旅行者が多く集まる場所も禁煙となり、違反者には50ドル(約5800円)以下の罰金が科される。ホテルの喫煙室ではたばこを吸えるが、喫煙室の割合は全客室の20%までに制限された。
 飲食店業界などからは顧客が減ることへの懸念の声が出たが、知事署名前の州議会では「非喫煙者の健康を優先すべきだ」として圧倒的多数で法案が可決された。
 一部の旅行者は、ハワイ州観光局などを通じ既に新規制を知っており、ワイキキではレストランで喫煙が可能かどうかを気にする日本人旅行者も。50代の男性は「ハワイとはいえ米国だから仕方ないが、少し(禁煙が)つらくなりそう」と話していた。(ロサンゼルス共同)

◎仏、禁煙支援に150億円、飲食店には猶予1年(2006年10月11日、朝日新聞)
 フランス政府は、公共スペースの全面禁煙化を07年2月から実施する。飲食店は約1年の猶予を与えられ、08年1月からとなる。これを機に、国民が禁煙ガムや薬を買うための費用として年約1億ユーロ(約150億円)を国費から支援する。
 禁煙化は11月に定める政令で実施する。07年2月からは官公庁や学校、病院、商店での喫煙が禁止される。08年から禁煙となるレストランやカフェ、バータバ(飲食店兼業たばこ店)、ホテル、ディスコなどは隔離された喫煙室を置けるが、室内に従業員は立ち入らず、飲食などのサービスは受けられない。
 違反時の罰金は個人が75ユーロ(約1万1000円)、管理者は違反者1人につき150ユーロ(約2万2000円)。「客が減る」と禁煙化に反対してきたバータバ業界は、猶予期間の延長を求める構えだ。
 仏政府は、禁煙ガムや禁煙シールの使用者を現在の60万人から倍増させるため、禁煙グッズの購入費の3分の1(限度額は50ユーロ)を医療保険から補助する。

◎たばこ:一本でダイオキシン摂取基準200倍相当の物質も(2006年8月7日、毎日新聞)
 たばこの煙に含まれる物質が、細胞内でダイオキシンと似た働きをし、1本分の煙が、1日の摂取基準を約200倍上回るダイオキシンに相当することを、山梨大大学院生の河西あゆみさんや、北村正敬教授(分子情報伝達学)らが突き止めた。
 米国のがん専門誌「キャンサーリサーチ」に論文が掲載された。
 ダイオキシン類は、細胞内の「ダイオキシン受容体」と結合し、活性化させて毒性を発揮する。たばこの煙は微量のダイオキシンを含むと分かっていたが、他に約5000種類の化学物質も含むため、総合的にどれだけ同受容体を活性化するかは不明だった。
 研究チームは市販のさまざまなたばこ1本分の主流煙を、溶液に溶かして抽出液を作った。一方で、同受容体が活性化すると特殊なたんぱく質を分泌する細胞を、遺伝子操作で作成。この細胞に抽出液を加え、活性化の程度を調べた。
 タール10ミリグラムを含む平均的なたばこの場合、活性化の程度は、ダイオキシン3万9300ピコグラム(ピコは1兆分の1)が受容体と結びついたのに相当した。体重60キロの人なら、国が定めるダイオキシンの1日耐容摂取量(体重1キロ当たり4ピコグラム)の164倍に当たる。タールの多いたばこでは200倍以上に達した。
 さらに、同受容体の活性化で特殊なたんぱく質を作るマウスを作成。主流煙を直接吸わせる実験や、周囲に流して受動喫煙と同じ状態にする実験をした。いずれもマウスの血中でたんぱく質が増え活性化が確認された。
 北村教授は「受容体は今回、主にダイオキシン以外の物質で活性化したとみられ、大量のダイオキシンを浴びたのと同じ害が出るわけではない。だが、遺伝子操作でこの受容体を常に活性化させたマウスは、がんや免疫異常を起こす。喫煙者も同様の心配がある。喫煙させたマウスでは、活性化が4日続いた」と警告している。【大場あい】

◎喫煙:21世紀の死者数10億人に、がん連合が対策訴え(2006年7月12日、毎日新聞)
 喫煙を減らす強力な対策が導入されなければ、21世紀のたばこによる死者数は世界で約10億人に上り、20世紀の10倍に膨らむ恐れがあるとの推計を、世界各国の対がん協会や学会、病院、研究所などでつくる民間組織「国際対がん連合」などがまとめ、ワシントンで開催中の同連合の会議で10日発表した。
 中国をはじめとする喫煙率が高い発展途上国での人口増が主な原因。発表は、成人のたばこ消費を半減できれば今後50年間に約3億人の「不必要な死亡」を防げるとして、各国政府に早急な取り組みを求めている。
 世界の喫煙人口は現在、男性約10億人、女性約2億5000万人の計約12億5000万人。平均喫煙率は男性の場合、先進国が35%、途上国は50%で途上国が多いが、女性は先進国が22%と途上国の9%を上回っている。
 現在の傾向が変わらないと、05年に年約500万人だった喫煙による死者は20年に年1000万人に倍増、その後も増え続ける。また喫煙人口は今後途上国にさらに偏り、女性の喫煙増加も予想されるという。
 最新の統計では、男性喫煙率の上位3カ国はイエメン(77%)、ジブチ(75%)、中国、カンボジア(いずれも67%)。女性は太平洋のクック諸島(71%)、同ナウル(59%)、ギニア(47%)だった。(共同)

◎たばこ:副煙流の吸入、短時間でも危険、米保健福祉省(2006年6月28日、毎日新聞)
 【ワシントン和田浩明】米保健福祉省は27日、同国の間接喫煙の健康被害に関する報告書を発表した。たばこの副煙流の吸入によって非喫煙者が心臓疾患やがんにかかる危険性は20〜30%高まり、乳幼児突然死症候群(SIDS)や子供の呼吸器疾患などの原因になると指摘。被害リスクをなくすには、禁煙の完全な実施しかないと強調している。報告書をまとめたカルモナ医務総監は「2〜3分の間接喫煙でも心血管や呼吸器に悪影響を与える」と会見で危険性を訴えた。
 同報告書によると、全人口の約4割にあたる約1億2600万人の非喫煙者が間接喫煙を強いられ、3〜11歳の子供では2200万人に及んでいる。一方、非喫煙者のうち間接喫煙をしたと確認できた人の割合は、88〜91年の約88%から01〜02年の約43%に半減。喫煙人口も過去40年間で21%に低下した。
 米環境保護当局の推定では、間接喫煙が原因とされる肺がんの死者は年間3400人、心疾患の死者は2万7000〜6万9600人。18カ月未満の乳幼児では、毎年最大30万人がたばこの煙で気管支炎や肺炎にかかっているという。喫煙が原因とされる死者数は年間44万人で全死亡数の2割になっている。

◎喫煙者:やはり「死亡率高い」北海道の医師分析(2006年6月2日、毎日新聞)
 高血圧、高血糖、高コレステロールより、死につながりやすいのはたばこで、受動喫煙でもアスベストやディーゼル排ガスを上回る被害が出ている−−。北海道・深川市立病院の松崎道幸医師(呼吸器内科)が、6日までの世界禁煙週間に東京都内で開かれている日本呼吸器学会で、こう訴える。国内外の各種調査を分析した結果で「禁煙こそが最も重要な病気予防策だ」という。
 松崎医師は、茨城県などが実施した調査に着目した。40歳から79歳までの健診受診者約9万8000人を、93年から03年まで追跡し、検査値や生活習慣と死因を調べた結果、喫煙者の死亡率は、吸わない人に比べて男性で1.6倍、女性で1.9倍だった。これに対し、高血圧や高血糖患者の死亡率は、正常な人と比べてそれぞれ、1.3倍から1.5倍だった。肥満や高コレステロールでは、死亡率は正常な人と変わらなかった。
 特に「現役世代」ともいえる64歳以下の男性では、喫煙者の死亡率は吸わない人の2.1倍に達した。松崎医師は「男性全体の死亡の24%は禁煙していれば防げたと考えられる。たばこが男性の早死にの最大の原因だ」と指摘する。
 一方、喫煙者と同居し受動喫煙を受ける人の年間死亡率は、受けない人に比べ、1.15から1.34倍に高まるとの調査結果が、ニュージーランドと香港で出ている。松崎医師によると、日本に当てはめると、10万人あたり170人から300人程度が、毎年、受動喫煙の影響で死亡することになるという。
 これに比べ、アスベスト(石綿)にさらされる職場で働いた人では、死亡増は年間10万人あたり約100人、東京都心でディーゼル排ガスを吸って暮らす人は同約6人と推定されるという。
 松崎医師は「血圧や血糖が高いと健診で“要治療”とされるが、もっと死亡率が高い喫煙は放置されている。健診で喫煙の有無を調べて、禁煙を強く勧めるシステムが必要だ」と話している。【高木昭午】

◎禁煙したくてもできない、喫煙者7割「依存症」(2005年11月20日、産経新聞)
 喫煙者の7割が深刻なニコチン依存症に陥る一方、その6割が禁煙願望を持つことが19日、大阪府立健康科学センター(大阪市)の中村正和健康生活推進部長(予防医学)の調査で分かった。
 中村部長は6月、喫煙者を対象に調査を実施、20〜70代の1666人(男性872人、女性794人)の結果を分析した。
 調査では「禁煙や本数減に失敗したことがあるか」「健康問題が起きると分かっていても吸うことがあったか」など10項目の質問を行い、5つ以上「はい」がある人を依存症と診断した。
 調査の結果、男性は67.1%、女性は67.8%、全体では67.4%が依存症と判明。禁煙願望を持つのは、非依存症で36.8%に対し、依存症では62.1%となり、特に女性で70.3%と高い数字になった。
 禁煙を試みた経験では、非依存症の42.2%に対し、依存症の人は70.6%に上り、禁煙したくてもできない依存症の深刻さが浮き彫りになった。
 一方、過去1年間に病院で医師に禁煙を勧められたのは依存症の人で32.3%、非依存症の人で19.8%。具体的な禁煙方法を指導されたのは16.0%、9.4%にとどまった。
 医師による禁煙治療をめぐっては、厚生労働省が平成18年度の診療報酬改定で医療保険の適用対象にする考えを示すなど、「医療行為」との考えが浸透しつつあるが、医療現場での定着までは遠いようだ。
 一方、「値上げでたばこをやめるか」との質問には、全体の31.0%が「やめる」と回答。このうち70.2%は「500円以上ならやめる」と答えた。
 中村部長は「たばこをやめるのは、同じく依存性があるヘロインやアルコールと同じくらい困難。日本は禁煙治療について、一刻も早く欧米並みに真剣に取り組む必要がある」と指摘する。

・ニコチン依存症
 たばこに含まれるニコチンが原因で起こる依存症。禁断症状としては注意散漫や昼間の眠気、手の震え、過剰な食欲増進などがある。自力で禁煙を試みた場合は、3分の2が3日以内に喫煙を再開するという統計もある。

◎駅で喫煙、警告無視し逮捕、栃木県警「厳しく対応」(2005年11月17日、産経新聞)
 警察官の再三にわたる警告を無視し、駅構内の指定場所以外でたばこを吸ったとして、栃木県警鉄道警察隊は鉄道営業法違反(禁煙違反)の現行犯で無職の男(23)を逮捕したことが17日、分かった。県警によると、同容疑での逮捕は全国的にも異例という。
 調べによると、男は12日午後7時15分ごろ、JR宇都宮駅構内の指定された喫煙場所以外でたばこを吸った疑い。
 男は、数人の仲間とホステスとして働く女性を勧誘するため、たばこを吸いながら構内を歩き回った。巡回中の鉄道警察隊員が警告し、男は一度は構内から出たが、再び戻り喫煙。その後も、数回の警告に従わず吸い続けたという。
 男は既に釈放されており、県警は書類送検する方針。
 県警によると、プラットホーム上など指定場所以外の喫煙で任意に取り調べることはあるが、逮捕は異例という。「悪質なマナー違反に厳しく対応した」と話している。(共同)

◎喫煙者の7割がニコチン依存症、うち7割が禁煙失敗(2005年11月7日、朝日新聞)
 たばこを吸う人の7割はニコチン依存症で、このうち7割は禁煙を試みながら失敗している――。大阪府立健康科学センターの調査でこんな結果が出た。今年6月、全国の20〜79歳の喫煙者2600人にアンケートを郵送。回答があったうち、現在も喫煙をしている1666人(男性872人、女性794人)について分析した。
 「禁煙や本数を減らそうと試みてできなかったことがあったか」など10項目の「ニコチン依存症スクリーニングテスト」に答えてもらったところ、67.4%が依存症と判定された。男性は67.1%、女性は67.8%だった。
 このうち、「禁煙したいですか」という質問に「はい」と答えたのは62.1%。また、70.6%が、今までに「試みたことがある」と答えた。いずれも、「依存症ではない」と判定された人の約1.7倍だった。
 また、過去1年間に医療機関を受診したうち、依存症と判定された人の32.3%は、禁煙を勧められていたが、実際に禁煙方法の説明を受けるなどの指導を受けたのは、その16%にとどまった。
 調査をまとめた中村正和・健康生活推進部長は「ニコチン依存を断ち切るのは難しい。禁煙治療を欧米のように医療保険の対象にし、普及を図る必要がある」と話す。

◎喫煙者率は29.2%、前年比0.2%減、JT調べ(2005年10月19日、朝日新聞)
 05年の全国のたばこ喫煙者率は29.2%で、前年より0.2ポイント減った。日本たばこ産業(JT)が18日発表した。喫煙者率は66年の49.4%をピークに減少傾向を続けている。男女別では男性が45.8%(前年比1.1ポイント減)、女性が13.8%(同0.6ポイント増)。
 JTは「喫煙が健康に及ぼす影響を考える風潮の高まりや、路上喫煙の禁止といった規制の強化が影響しているのではないか」とみている。
 調査は今年6月、全国の成年男女1万6000人を対象に実施した。

◎喫煙は病気、積極治療が必要・医学会が初の診療指針(2005年10月18日、日本経済新聞)
 たばこを吸うのは「ニコチン依存症と関連疾患からなる喫煙病」であり、患者(喫煙者)には「積極的禁煙治療を必要とする」――。日本循環器学会など9学会の合同研究班が18日までに、一般医師向けの初の診療指針「禁煙ガイドライン」を作った。
 喫煙がさまざまな病気の原因になることは知られているが、喫煙率は成人男性で47%と先進国の中では高く、研究班長の藤原久義・岐阜大教授(循環器内科)によると「自分の意思で喫煙をやめられるのは5〜10%程度」。このため「たばこを吸わない社会習慣の定着」には、喫煙自体を病気と位置付けた上で、すべての医師が患者の喫煙を把握し治療を勧めることが必要と判断した。
 女性には美容にも悪影響と知らせるなど、患者に応じた治療方針を盛り込んだのが特徴だ。
 指針は、禁煙に効く行動療法として「喫煙者に近づかない」「吸いたい衝動が収まるまで秒数を数える」などを挙げた。〔共同〕

◎喫煙:5歳以上も肌が”老化” ポーラが女性30万人調査(2005年9月14日、毎日新聞)
 たばこを吸う女性は吸わない女性に比べ、5歳以上も肌が”老化”している−−ポーラ化粧品本舗(東京都品川区)が、20〜70代の約30万人の女性の肌状態と喫煙の関係を調べ、こんな結果が出た。喫煙が肌に及ぼす影響をこれほど大規模に調べた例は、世界でも少ない。喫煙は美肌を目指す人にとって、やはり大敵のようだ。
 昨年6月〜今年5月、全国の訪問販売先や店頭などで、同意を得て皮膚表面の角質層を採取。同時に喫煙状況も尋ねた。喫煙者は全体の約23%で、20代が最も多かった。
 同社によると、しみ、くすみなどの原因となる細胞中のメラニン量は加齢とともに増えるが、状態の良い肌は量が少なく、分布も均一。逆に色むらが目立ちくすんで見える肌はメラニン量が多いうえ、細胞によるバラつきも大きいという。
 同社は採取した細胞中のメラニンを染色して300倍に拡大し、含有量を3段階で数値化。この結果を、喫煙者と非喫煙者に分けて年齢別に集計したところ、明確な差異が表れた。年齢別の平均メラニン量は、吸い始めて間もない20歳では大差ないが、以後は全年齢で喫煙者の方が1〜2割程度多く、ほぼ5歳上の非喫煙者のメラニン量に相当。吸わない人より「肌年齢」が5歳老けている状態だった。
 更に、紫外線によく当たる生活をしているか否か、という条件を加えて分析すると「よく当たりたばこも吸う」人と「あまり当たらずたばこも吸わない」人の肌年齢の差は10歳以上に広がった。
 原因について同社は「メラニンの生成や着色を抑えるビタミンCが、喫煙によって破壊されるためと考えられる」と分析。「肌の潤いを示す保水力も喫煙者の方が少なかった。一般に『喫煙は肌に悪い』と言われてきたことを、データで立証できたのではないか。肌の衰えが気になる喫煙者は、まずはたばこを控えた方が良い」と話している。【國保環】

◎喫煙は「ニコチン依存症」という病気、禁煙治療で手引書(2005年3月19日、朝日新聞)
 禁煙を手助けする医師向けに、保健医療系9学会が合同で作成していたガイドラインがほぼまとまり、横浜市で始まった日本循環器学会学術集会で19日、概要が発表された。喫煙を「ニコチン依存症」という病気ととらえ、依存を断ち切るための治療法や、「禁煙に失敗しても患者を責めない」といった指導のこつを示した。
 作成にかかわったのは同学会のほか、日本公衆衛生学会や日本呼吸器学会、日本肺癌(はいがん)学会、日本小児科学会などの禁煙指導の専門家。こうした手引書が学会レベルでできるのは、国内では初めてという。
 総論では、外来診療でできる禁煙治療の手順や、患者の禁煙の意思や実行段階に応じた指導法などを示した。禁煙効果が高いニコチンパッチなどを使う療法が基本とされている。
 各論では、呼吸器や心臓・血管など病気の分類ごとに指導方針をまとめ、カルテに喫煙状況をわかりやすく記載して繰り返し禁煙を指導し、再び喫煙しても患者を責めず、再度禁煙への挑戦を動機付けるといったきめ細かな心得を書いた。
 喫煙率上昇が懸念される子どもへの禁煙治療も重視、小児専門の禁煙外来の受診を勧めるように求めた。
 とりまとめ役の藤原久義・岐阜大教授は「喫煙はニコチン依存という病気で、治療するという視点が必要。私たち医師も含め、国内ではたばこ対策の意識や取り組みが積極的でなかった。今回のガイドラインで、禁煙を盛り上げたい」という。
 ガイドライン案には、世界保健機関(WHO)の主導するたばこ規制枠組み条約が2月に発効したのを受け、国や地方自治体などに対する緊急提言も盛り込まれた。未成年者の喫煙防止教育の充実や、禁煙治療・支援の専門家の養成、たばこ自販機撤廃、公共の場や教育現場での全面禁煙化、たばこ対策専門の行政と民間組織の設置などを求めている。

◎受動喫煙:初の診断基準、健康被害を6段階に分類(2005年3月4日、毎日新聞)
 たばこ問題に取り組む医師らが、受動喫煙による健康被害の診断基準を日本で初めて作成した。非喫煙者の症状が、受動喫煙の影響かどうかを判断する目的。医師らは来年2月までに「日本禁煙学会」も設立予定で、受動喫煙被害者の早期治療や救済、職場環境の改善などを訴えていく。
 たばこが原因になり得る病気は、気管支ぜんそく、中耳炎、肺がん、心筋梗塞(こうそく)、アトピー性皮膚炎など数多い。
 非喫煙者が受動喫煙の被害を職場で訴えようとしても、診断基準がなく因果関係の立証が難しかった。そこで、禁煙を呼びかける「日本禁煙推進医師歯科医師連盟」の医師らが診断基準作りに取り組んだ。
 受動喫煙の健康被害を「受動喫煙症」と新たに定義し、健康被害を6段階に分類した。さらに診断書には必要に応じて「業務中の受動喫煙で発症したと推定。緊急に環境を改善する必要あり」などと健康被害回復につながる意見も書くことにしたという。3月中にも正式決定する。
 診断基準を作成した一人の杏林大の作田学教授(神経内科学)は「これまで受動喫煙被害者の立場は弱かった。被害者を支援したい」と話している。【江口一】

◎「たばこ規制枠組み条約」発効、日本も4月から規制強化(2005年2月27日、朝日新聞)
 喫煙による健康被害の防止を目指す「たばこ規制枠組み条約」が27日発効した。たばこの消費を減らすため、5年以内の広告の原則全面禁止などを締約国の義務に盛り込み、課税強化も促している。批准国の日本でも、4月からの屋外広告禁止や禁煙教育の強化、分煙の徹底などが決まっており、先進国のなかで遅れていた規制が強化されることになる。
 世界保健機関(WHO)が主導する同条約は、国連本部があるニューヨークの27日午前0時(日本時間同午後2時)に発効した。
 たばこは、がんや心疾患、早産など様々な病気や異常につながるとされる。同条約は有害性を明記し、消費削減につながる課税強化、広告・販売促進・スポンサー行為の禁止規定などを盛り込んだ。主要包装面の原則5割以上を健康警告表示にあてること、たばこ自販機を未成年者が使えないようにすることも、締約国に義務づける。
 厚生労働省によると、日本の成人全体の喫煙率は長期的には低下傾向で、02年は24.0%(男43.3%、女10.2%)と5年間で5ポイント近く下がった。だが、高校3年生の喫煙率(00年)が男子36.9%、女子15.8%に上昇するなど、未成年者の喫煙が大きな課題。女性の喫煙率も横ばいだ。
 日本は、たばこ価格が先進国中で最低水準のうえ、飲食店や職場での禁煙が遅れるなど、規制が甘いことが背景にあると指摘される。WHOは課税強化による値上げは、特に若者層の消費減につながるとみている。
 政府は条約発効を受け、財務、厚生労働、文部科学など14省庁が連携し規制を強化する。電車・バスへの広告禁止に続き、4月からは屋外広告も禁止される。7月には「未成年者の喫煙は、健康に対する悪影響やたばこへの依存をより強めます」などの警告表示義務も加わり、未成年者を識別する自動販売機も導入される予定だ。
 規制強化を受け、日本たばこ産業(JT)は、3月末で屋外看板広告を打ち切り、「マイルドセブン・ルノー」などとして92年から参加してきたF1スポンサーからも、06年秋で撤退する。
 需要減少を見込み、従来の25工場を10工場に集約。需要減は、JT製品で最高価格(350円)の新製品「りん」の投入などで、カバーする戦略だ。

◎たばこ:消費削減目指し、「たばこ規制枠組み条約」発効(2005年2月27日、毎日新聞)
 【ジュネーブ大木俊治】たばこの消費削減を目指す「たばこ規制枠組み条約」が27日、発効した。加盟国はたばこの広告やたばこ会社のスポンサー行為を5年以内に原則禁止し、3年以内に包装面の30%以上を健康への警告表示にあてることなどを義務づけられる。
 「世界で年間約500万人がたばこが原因で死亡している」として、たばこ規制を呼びかけてきた世界保健機関(WHO)は、条約発効を「歴史的な第一歩」と評価している。加盟国は来年2月までに最初の締約国会議を開き、条約事務局の設置など、条約の具体的な運用手続きを協議する。
 条約は03年5月のWHO総会で承認され、これまでに127カ国が調印。27日までに日本、英国、カナダ、ドイツ、フランスなど57カ国が批准した。米国、中国、ブラジル、韓国などは調印したが未批准。ロシアは調印していない。
 条約は広告規制や警告表示のほか、たばこへの課税強化▽未成年者からの隔離▽密輸取り締まり−−などについて各国の実情に応じて必要な法整備を求め、非喫煙者をたばこの煙害から守る対策も要請している。
 広告については原則禁止とする一方「憲法上、禁止措置を取る立場にない国」は、一定の規制措置にとどめることも認めている。米国などが憲法の「表現の自由」に反すると主張したためだ。
 有害性が低いと誤解を与えるとして禁止が検討された「マイルド」「ライト」などの呼称も、日本などの抵抗で「禁止対象に含めることができる」という表現にとどまった。規制推進派の非政府組織(NGO)の間では「条約は骨抜き」との不満もある。

◎退社後の喫煙も禁止、米医療保険関連企業、検査拒否で解雇に(2005年2月1日、産経新聞)
 米国の医療保険関連の民間企業が、退社後の社員の喫煙を全面的に禁じる規則を1月から導入し、たばこを吸っていないことを証明する検査を拒否した社員数人を事実上の解雇処分にしたことが1月31日までに分かった。
 勤務時間外も禁煙にして社員の喫煙をゼロにすることで、企業や社会が長期的に負担する医療コストを減らす狙い。会社外での喫煙が解雇につながる例は米国でも珍しく「プライバシー侵害では」との批判もあるが、同社は「ほとんどの社員はこの規則に感謝している」と反論している。
 この企業はミシガン州にあるウェイコ社。同社発表や米メディアの報道を総合すると、同社は2003年秋、社員の喫煙率を今年1月からゼロにする方針を決定。社員約200人の約1割いた喫煙者のうち、同社の援助で12人ほどが禁煙に成功したが、今年初めの検査を拒否した社員4人が退社に追い込まれたという。
 ウェイコ社側は「ほかの会社に保険サービスを提案するわが社にとって社員の禁煙は自然な選択だ」と話している。(共同)

◎自宅での喫煙もクビ、米企業が4人解雇(2005年1月26日、朝日新聞)
 米ミシガン州の中堅企業が、州内で勤める全社員に就業時間以外でも禁煙を徹底させる規則を今月から導入し、喫煙の有無を調べる検査を拒否した社員4人を解雇していたことが25日わかった。社員が健康でいることが将来の医療費抑制を通じて経営上の負担を軽くするとの判断だ。禁煙意識が高い米国でも、自宅での習慣まで処分対象にするのは珍しい。
 規則を設けたのは、自らも健康保険サービスの受託を本業とするワイコ社。03年10月に社員に伝え、州法の違いから強制力を持たせるのが難しいイリノイ州の社員1人(非喫煙者)を除く約200人に適用した。
 その結果、当初いた喫煙者のうち約20人は社内の支援プログラムなどで禁煙に成功。残った喫煙者の1人は自ら退社し、4人が今月初めの検査を拒否して喫煙習慣が残っているとみなされた。
 ゲーリー・クライムズ最高財務責任者(CFO)は朝日新聞の取材に対し、「社内だけ禁煙にして自宅での喫煙は問わないことも検討したが、それでは社員の健康促進にはならない。他社も規則導入に興味を示しつつある」と意義を強調した。同社によると、解雇した4人も含め、規則に反対して提訴するような動きは今のところ出ていないという。

◎たばこ規制条約、来年2月末に発効、WHO発表(2004年12月1日、朝日新聞)
 世界保健機関(WHO)は1日、喫煙による健康被害の防止をめざす「たばこ規制枠組み条約」が来年2月28日に発効する、と発表した。40カ国が批准書を国連に寄託してから90日後に発効する規定。喫煙に関連した死者が世界で年500万人に達する危機的な状況の中、03年5月のWHO総会で承認されてから2年足らずの異例のスピードで発効することになった。たばこ規制の動きが加速しそうだ。
 40番目の批准国はペルーで、30日に寄託した。日本は04年3月に署名、同6月に批准した。公衆衛生分野では初の多国間条約で、たばこの消費を減らすため、広告の原則禁止や重課税化の方針などを盛り込んだ。包装の30%以上を健康警告表示にあてることや、たばこ自販機について未成年者が利用できないようにすることも規定した。
 批准国は発効後、一定期間内に国内法と規則を整備し、消費削減策の実施が義務づけられる。さらに発効後の1年以内に締約国会合が開かれ、条約の「肉付け」が進められる。条約に署名したのは167カ国と欧州連合(EU)。今後も批准国は増える見通しだ。

◎「完全禁煙」きょうから長野県施設、「時代の流れ」「やりすぎ!!」(2004年12月1日、産経新聞)
・論争に火、煙の行方は
 一日から長野県が県庁や県立高校、警察署などの施設について、屋内にとどまらず、敷地内も含んだ「完全禁煙」に踏み切る。宿泊施設や警察の取調室など一部は対象外だが、職員や来訪者は敷地内なら屋外でもたばこを全く吸えなくなる。公共の場での禁煙化が世界的な潮流となる中、ここまで徹底した喫煙排除は、全国初の試みで、「時代の流れ」「やりすぎ」と賛否両論の禁煙論争が渦巻いている。(頼永博朗、村山雅弥)

≪歓迎≫
 長野県の田中康夫知事が県有施設の屋内全面禁煙を宣言したのは昨年九月。平成十四年三月ごろから庁舎内に順次設置した十一カ所の分煙室を閉鎖した。それでも敷地内の屋外や施設屋上に限り、灰皿を設けて細々と喫煙を認めてきたが、準備期間が終了する一日までに、敷地内すべてで灰皿が撤去され、「完全禁煙」となる。
 「健康増進」と県は説明。職員からは「喫煙室から流れるにおいも嫌だったのでありがたい」「他人の煙で健康を損なってはかなわないし、時代の流れ」と歓迎する声が多い。
 喫煙本数の減り具合を所属長が喫煙者に定期的に確かめる「愛援(あいえん)対話」などの禁煙支援も実施。五月時点で約22%だった県職員の喫煙率は、十一月に約19%に下がった。

≪反発≫
 「個人の嗜好(しこう)にまで行政が踏み込むべきではない」。県職員組合は激しく抵抗。十一月二十二日、労使交渉で反発、話し合いは紛糾。県地方公務員労働組合共闘会議の中島武議長は対決姿勢を崩さない。
 「県民の理解を得られていない」。議長名の文書で県議会も反発。県は昨年九月に議会棟内の禁煙を求めたが、控室を禁煙にしたのは全十一会派のうち知事を支持する三会派だけ。反知事的な八会派は分煙で対応する。
 一年余りで閉鎖した分煙室は、空気清浄機や間仕切り壁など約四百七十万円かけて設置した。
 「公費が無駄になった。なぜ分煙でいけないのか」と疑問を抱く職員も。

≪先駆け?≫
 厚生労働省の今年一月の調査では、禁煙・分煙化で庁舎の事務室やロビーでたばこを吸える都道府県はゼロ。四年前、喫煙が自由だったのは事務室などで53%、ロビーなどで11%。
 背景には、健康増進法が昨年五月に施行されたことがある。
 世界に目を移せば、欧州でアイルランド、ノルウェーに続いて英国もオフィスやレストランなどで禁煙に動き出し、四年後までに段階的に全面禁煙する方針。ブータンでは今月中旬から、たばこ販売を全面禁止する。
 禁煙が潮流であることは確かで、嫌煙権は年々強まっている。しかし、徹底した「喫煙」排除は異例ともいえ、長野県の取り組みが先駆けとなるかどうか。行方に注目が集まりそうだ。

◎喫煙で乳がんのリスク4倍に、閉経前の女性調査(2004年11月30日、朝日新聞)
 閉経前の女性は、喫煙によって乳がんになるリスクが、たばこの煙を吸う機会がない女性の3.9倍に高まり、受動喫煙だけでも2.6倍になることが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の調査でわかった。
 岩手、秋田、長野、沖縄の4県で、90年に生活習慣アンケートに答えた40〜59歳(当時)の女性約2万2000人を約10年間追跡調査し、180人が乳がんになった。
 90年時点で閉経していたかどうかで分けて分析し、「受動喫煙」は、喫煙者と10年以上一緒に住んだことがあるか、職場などでほぼ毎日1時間以上たばこの煙を吸う機会がある、と規定した。
 津金部長は「受動喫煙の影響も予想以上に大きい」としている。
 一方、閉経後の女性では、喫煙や受動喫煙の影響ははっきりみられなかった。女性ホルモンが乳がんに関係するため、閉経前後で違いがでたらしい。喫煙の乳がんに対する影響調査は、これまで結果が分かれていたが、今回の大規模な追跡調査で影響が確かめられた。

◎くも膜下出血のリスク、喫煙で約3倍増、厚労省研究班(2004年8月27日、朝日新聞)
 たばこを吸う人は吸わない人に比べ、脳卒中の中でも、血管が破れるくも膜下出血の発症リスクが3倍程度高くなることが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の調査で分かった。脳卒中全体でも喫煙者の方が発症率が高かった。
 90年に生活習慣アンケートに答えた40〜59歳(当時)の男性約2万人、女性約2万2000人について、その後11年間を追跡した。
 期間中、男性は702人、女性は447人が脳卒中を発症。そのうち男性73人、女性106人がくも膜下出血だった。喫煙との関係を調べると、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、男性で3.6倍、女性では2.7倍なりやすかった。1日に吸う本数が19本以下でも20本以上とほぼ同様にリスクが高まっていた。
 また、脳の血管が詰まって発症する脳梗塞(こうそく)などを合わせた脳卒中全体でみると、喫煙による発症リスクは、男性が1.3倍、女性が2倍で、女性の方が影響を受けやすい傾向がみられた。
 研究をまとめた万波俊文・香川大助教授は「吸う本数を減らしても予防にはならない。きっぱりやめることが脳卒中を防ぐには大切だ」と話している。
 たばこの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素などの有害物質は、血管の壁を傷つけて動脈硬化を促進したり血管を狭めたりする。脳内の血管もダメージを受け、脳卒中が引き起こされると考えられるという。

◎職場での受動喫煙、江戸川区に5万円支払い命令(2004年7月12日、日本経済新聞)
 職場での受動喫煙で健康被害を受けたとして、東京都江戸川区の区職員、河村昌弘氏(36)が同区に約31万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であった。土肥章大裁判長は症状と受動喫煙の因果関係は認めなかったが、医師の診断書を示してから部署の異動までの期間について区の安全配慮義務違反を認め、慰謝料5万円の支払いを命じた。原告側によると、受動喫煙による損害賠償を命じた判決は初めて。
 土肥裁判長は「区は受動喫煙の危険性から原告の生命、健康を保護するよう配慮する義務を負っていた」と指摘。
 河村氏が「のどの痛みなどは受動喫煙による急性障害の疑いがある」とする診断書を示した1996年1月から、区が別の部署に異動させた同年4月までの間について、「区は特段の措置を講じずに放置した」として義務違反を認めた。この前後の期間は、同氏の申し入れが一般的な喫煙対策を求める色彩が強かったり、区が一定の分煙対策を取ったことなどから「義務違反とまでは言えない」とした。

◎喫煙の害、ほぼ全臓器に、米政府が報告書(2004年5月30日、産経新聞)
 米政府は31日の世界禁煙デーを前に、喫煙の健康影響に関する報告書を発表。報告の責任者のカルモナ米医務総監は「喫煙の害は、ほぼすべての臓器に及ぶ」と明快に結論付けた。
 報告書は、世界の主要論文の検討を基にまとめられた。肺がん以外にも腎臓がんや白内障など多くの疾患について、喫煙が原因であることが新たに分かってきたと指摘。また「65歳以上で禁煙しても、喫煙に関連した病気で死亡する危険を大幅に減らせる」として、年齢にかかわらず禁煙するよう訴えた。
 報告書によると、喫煙との因果関係が最近判明したのは、腎臓がんと白内障に加え胃がん、膵臓(すいぞう)がん、子宮頸(けい)がん、急性骨髄性白血病、肺炎、腹部大動脈瘤(りゅう)、歯周炎の計9疾患。これまで関連が知られていたものと合わせ、喫煙が計36の疾患や異常の原因になっているとした。
 一方、前立腺がんや勃起(ぼっき)不全などについては「喫煙との関連を指摘する研究があるが、現段階では因果関係があるとまでは言えない」としている。(共同)

◎喫煙の害は全臓器に及ぶ・米政府報告書(2004年5月30日、日本経済新聞)
 【ワシントン30日共同】米政府は31日の世界禁煙デーを前に、喫煙の健康影響に関する報告書を発表。報告の責任者のカルモナ米医務総監は「喫煙の害は、ほぼすべての臓器に及ぶ」と明快に結論付けた。
 報告書は、世界の主要論文の検討を基にまとめられた。肺がん以外にも腎臓がんや白内障など多くの疾患について、喫煙が原因であることが新たに分かってきたと指摘。また「65歳以上で禁煙しても、喫煙に関連した病気で死亡する危険を大幅に減らせる」として、年齢にかかわらず禁煙するよう訴えた。
 報告書によると、喫煙との因果関係が最近判明したのは、腎臓がんと白内障に加え胃がん、膵臓(すいぞう)がん、子宮頚(けい)がん、急性骨髄性白血病、肺炎、腹部大動脈瘤(りゅう)、歯周炎の計9疾患。これまで関連が知られていたものと合わせ、喫煙が計36の疾患や異常の原因になっているとした。

◎たばこ規制条約:118カ国が署名、日本は6月に批准へ(2004年5月30日、毎日新聞)
 【ジュネーブ大木俊治】世界保健機関(WHO)は、昨年の総会で採択された「たばこ規制枠組み条約」について、30日までに加盟192カ国のうち、日本や米国を含む118カ国が署名、16カ国が批准したことを明らかにした。条約は40カ国の批准から90日後に発効する。まだ、発効時期のめどは立っておらず、WHOは31日の「世界禁煙デー」を機に、各国に批准促進を訴える。
 批准したのはノルウェー、ハンガリー、インド、シンガポール、ニュージーランドなど。国内に大手たばこ産業を抱える日米は、交渉過程で条約強化に抵抗し、たばこの害を訴えるNGO(非政府組織)から批判を浴びたが、既に署名した。日本は国会が批准を承認済みで、6月中に閣議で正式に批准する。
 葉タバコの主要生産国では中国、ブラジルが署名したが、経済的にたばこ産業依存度が高いマラウイやジンバブエは未署名。このほか、ロシア、エジプトなどもまだ署名していない。
 WHOは28日、「全世界で6.5秒に1人がたばこに起因する病気で死亡している」と改めて注意喚起する声明を発表。途上国や貧困層で喫煙率が高く、経済発展の阻害要因にもなっていると警告した。
 同条約は▽たばこ広告の禁止・規制▽「マイルド」「ライト」など誤解を与える表現による販売を促進しない▽包装面の30%以上を警告表示にあてる▽未成年者がたばこ自販機にアクセスできない措置の確保、などを定めている。

◎効果狙うなら税上げ、NYの喫煙人口11%減(2004年5月13日、読売新聞)
 【ニューヨーク=勝田誠】昨年から飲食店での喫煙を全面的に禁止したニューヨーク市で、成人喫煙者の数が、2002年から2003年の1年間で11%も減ったことが12日発表の市の調査で明らかになった。市が住民の健康などに配慮して取り組むたばこ締め出し作戦が奏功した形だ。
 調査によると、同期間に、市の喫煙者10万人以上がたばこをやめた。この結果、喫煙者比率は成人人口の21.6%から19.3%へ低下。喫煙者の吸う本数も減り、紙巻きたばこの消費量は13%減少した。
 最大の要因は、たばこ税の大幅引き上げ。市は2002年7月、この税額を1箱8セントから同1.50ドルへ一気に引き上げた。マンハッタン地区での小売価格は、キャメル、マルボロなどの主要銘柄で1箱7〜8ドル(約900円)。また、2003年からニューヨーク州、市が禁煙規制をバーにも適用、喫煙場所が事実上、個人の住居内と屋外だけとなったことも喫煙人口の大幅減につながったようだ。

◎NYの喫煙者11%減、大幅増税と禁煙強化で(2004年5月11日、産経新聞)
 米紙ニューヨーク・タイムズは12日、ニューヨーク市の成人喫煙者が2002年から03年にかけて11%減ったとの同市の調査結果を報じた。
 同紙によると、02年の市のたばこ税大幅引き上げと、禁煙をバーにも適用し、喫煙場所を事実上、個人住居内と屋外に限定した規制強化が喫煙人口の大幅減少につながったと市当局者らは説明している。
 調査結果では、喫煙者の比率はこの間、成人の21.6%から19.3%に下がった。減少傾向はすべての市域、年齢層、人種などに共通している。
 紙巻きたばこの消費量は13%減少、喫煙者が吸う本数も減ったことを示している。市のたばこ税は02年7月、1箱8セントから1.5ドルに引き上げられた。(共同)

◎たばこがなければ、毎年9万人がん患者減、厚労省研究班(2004年4月25日、朝日新聞)
 たばこがなかったら、国内で毎年約48万人発生しているがん患者のうち、約9万人はがんにならずにすむはず。厚生労働省の研究班(班長・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部部長)が23日、喫煙とがんについての調査報告と試算結果を発表した。
 研究班は、90年から約10年間、岩手、秋田、長野、沖縄など8県に住む40〜69歳の男女約9万人を対象に追跡調査した。
 期間中にがんにかかったのは、約5千人。男性で最も多かったのは胃がん(がん患者のうち26.3%)で、次いで肺、結腸、肝臓が続いた。女性では乳がん(同17.7%)、胃、結腸、肺の順に多かった。
 喫煙者のがんの発生率は、これまで吸ったことのない人に比べ、男性で1.6倍、女性では1.5倍。禁煙している人のがん発生率も、男性は非喫煙者に比べ1.4倍で、過去の喫煙の影響が見られた。
 発生率は、1日の喫煙本数が多くなるほど高くなり、本数が少なくても長期間吸っていれば高くなった。
 こうした発生率の差をもとに、日本全体でのがん発生率を計算したところ、男性ではがん全体の29%にあたる約8万人、女性ではがん全体の4%にあたる約8千人がたばこが原因でがんにかかったと推定された。
 津金班長は「たばこが原因で死亡した例では肺がんが代表的だが、胃や結腸、肝臓などさまざまな臓器でがんのリスクを高めていることが裏付けられた。禁煙後、たばこの影響がなくなるのは10〜20年後。早めの禁煙を」と話している。

◎たばこ広告:屋外や電車での広告禁止へ(2004年1月31日、毎日新聞)
 財務省と業界団体の日本たばこ協会は30日、たばこ広告の規制を強化し、屋外広告や電車、バスなどの公共交通機関での広告を禁止する方針を決めた。未成年者の喫煙を防ぐのが狙いで、3月初めまでに財務相指針と業界の自主基準を改正し、4月から適用する。
 規制強化は、昨年5月に世界保健機関(WHO)の総会で採択された「たばこ規制枠組み条約」や各国の規制状況を踏まえ決めた。財務相指針は89年に策定されており、15年ぶりの改正になる。
 新たな規制案で禁止するのは、(1)たばこの販売所、喫煙所を除く公共性の高い場所でのポスターや看板の広告(2)電車、バス、タクシーなど公共交通機関での広告(3)成人だけを対象に絞れる場合を除くテレビ、ラジオ、インターネット広告。喫煙マナーの向上や未成年者の喫煙防止、企業活動の紹介など、たばこの販売促進を目的としない広告は規制しない。
 また、スポーツ紙などを除く日刊紙への広告掲載は、1社につき1紙当たり年間12回までとし、1面、最終面、テレビ番組面、家庭・児童面には載せないことにする。
 広告の長期契約が残っていることに配慮して、交通機関と新聞の広告は9月まで認め、屋外看板と駅構内の広告も、契約解除が極めて困難な場合に限り、来年9月まで、継続を認める。
 世界最高峰の自動車レース「F1」など、未成年者も対象にしたり、放送されるイベントへのたばこ広告を伴う後援は、現行の自主基準で禁止され、経過措置期間の切れる06年11月30日までに姿を消すことになっており、すでに欧州ではF1開催の中止など影響がでている。【塚田健太】

◎たばこ:パッケージに真っ黒な肺の写真など掲載して警告、EU(2003年9月10日、毎日新聞)
 【ブリュッセル福原直樹】欧州連合(EU)は8日、来年10月からタバコの箱に、喫煙で黒くなった肺の写真やデザインなどを掲載し、タバコの害をさらに訴えていく方針を決めた。加盟国もおおむね賛同しており、来年からEU域内で売られるタバコには、喫煙を直ちにやめたくなるような、ショッキングな写真などがつくことになる。
 今月30日から、EU域内で売られるタバコは世界保健機関の「たばこ規制枠組み条約」に従い、箱の表裏面の3〜4割以上を使い、タバコの害を警告する文面が印刷される。文面は「スモーカーは早死に」「喫煙は心筋こうそくの原因」など厳しいものだが、EUは「文章だけでは、消費者に“慣れ”が生じ、タバコを買い続ける」と判断。写真やデザインをのせることにした。
 加盟国は今後、EUが指定した写真などの中からタバコの箱に添付するものを選ぶ。写真などの内容は未定だが「タバコでぼろぼろになった肺の写真などを使う」(EU広報官)という。また写真・デザインの添付は、加盟国の義務ではないが「大部分の国が実施する」(同)ともいう。
 これまでタバコの箱にはカナダ、ブラジルなどが写真・デザインを添付しているが、これだけ多数の国々が参加するのは初めて。EUによるとカナダでは効果が上がっているという。

◎860万人、たばこ関連の慢性病に苦しむ、米で初の統計(2003年9月5日、朝日新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は4日、たばこの健康影響に関する米国初の調査報告を「疾病死亡週報」に掲載した。それによると、国民の約3%にあたる約860万人が、喫煙に関係した慢性疾患に苦しんでいる。
 最近の国民健康栄養調査と国勢調査、行動危険因子調査の3種類の統計をもとに、2000年の時点のデータを推計した。現喫煙者だけでなく、過去に100本以上の喫煙歴のある人も対象。非喫煙者への副流煙の影響は含んでいない。 その結果、喫煙に関係した慢性疾患を抱えた人の総数は約860万人と推定された。内訳は、気管支炎450万人、肺気腫300万人、心臓発作250万人など(重複を含む)。また、年間44万人が肺がんなどで死亡しているとみられる。
 直接の医療費だけで年間750億ドルがかかり、生産性の低下は820億ドルに上る。
 CDCは「正確なデータを得るために、より大規模な調査が必要」と指摘している。

◎灰皿撤去始まる、関東私鉄10社、全駅を完全禁煙(2003年5月1日、朝日新聞)
 他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止を法的に義務づける健康増進法が1日施行される。罰則のない努力義務とはいえ、対象は多数の人が利用する施設すべてとなる。すでに公共施設や駅、高速道路のサービスエリアなどで全面禁煙にする動きも出ている。厚生労働省は30日の都道府県への通知で、必要な措置の対象として、商店や旅館、タクシーなども明示した。
 健康増進法は2002年7月に成立。「多数の者が利用する施設を管理する者」に受動喫煙防止に「必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と求め、対象を学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店、「その他」としていた。
 今回の通知は「その他」はバス、タクシー、航空機、駅、屋外競技場、商店や旅館、金融機関、美術館なども含まれると明示。「全面禁煙は極めて有効」とし、分煙する場合は、有害成分を取り除けない空気清浄機に頼らず、煙が漏れない喫煙場所を設けて外に排気するなど、効果的な対策を提示している。
 タクシーでの運用については具体的に指摘していないが、全面禁煙か喫煙可能なのか、明確な表示を求められることも考えられる。
 分煙徹底には仕切り壁や換気扇など新たな設備投資が必要で、関東地方の私鉄大手など10社は1日からの駅構内全面禁煙を決定している。
 日本道路公団の高速道路のサービスエリアでも、飲食店を含めて建物内は原則禁煙になる。
 また、自治体では4月に兵庫県加西市、佐賀県鹿島市が市管理の施設すべてを全面禁煙にした。5月1日からは佐賀市、大阪府摂津市、三重県桑名市も同様の措置を取る。

◎広げよう分煙、考えよう禁煙(2003年5月1日、朝日新聞)
 成人男性の喫煙率が約5割と先進国の中でも高い日本は、「喫煙大国」とも形容されます。しかし、分煙の徹底を推し進める健康増進法の施行が5月に迫り、7月にはたばこ税の増税が予定されるなど、たばこをめぐる環境が大きく変わろうとしています。たばこを吸う人には煙たいかも知れませんが、やめたい人にはいい機会です。たばこのこと、考えてみましょう。

・全面禁煙へ動き拡大 完全な仕切りで対策も
 喫煙場所が決められていて一応は分煙になっているけど、たばこの煙が周りに漂っていく。「分煙」をうたいながらそうなっていない光景をよく見かけませんか?しかし、こんな状況は許されなくなってきている。
 兵庫県加西市(柏原正之市長)は2003年4月1日から市役所をはじめ、公民館や学校など市の公共施設を全面禁煙にする。廊下の片隅などに設けていた喫煙コーナーも灰皿をなくし、屋内で喫煙できなくする。市役所などにあるたばこの自動販売機も撤去する。
 「市民の健康を第一に考えた」と総務課。完全に分煙をするには間仕切りや換気設備の設置などコストがかかることも一因だった。歯科医でもある市長が、たばこの健康被害に関心が高かったことがきっかけだ。
 佐賀県鹿島市も2003年4月、同様の取り組みをし、市役所、学校、体育館など市の公共施設40ヶ所すべてで屋内を全面禁煙にする。これまで空気清浄機などで分煙していたが、「健康増進法の徹底はまず公共施設から、と考えました」と同市。
 羽田空港。2002年11月、チェックインカウンター前の空気清浄機を使った喫煙コーナー4カ所をなくし、ビルの両端にガラスで完全に区切った分煙室を新設した。
 空気清浄機では有害成分を一部しか取り除くことができないし、煙が漏れるという苦情が絶えなかった。ただし搭乗口前の喫煙コーナーは残されており、「今後の課題です」と同空港。
 「超微量化学物質が計測できるようになって、他人のたばこは『迷惑』でなく『危害』の問題と受け止められるようになった」と加藤尚武・鳥取環境大学長は指摘する。

・不十分施設は「違法」
 たばこを吸う人の周囲で煙(副流煙)を吸い込むのを受動喫煙という。副流煙に含まれる発がん物質は40種類以上。その一つのベンゼン。換気していない6条間でマイルドセブン・スーパーライトを1本吸うと、濃度は環境基準の4倍の濃度になる。
 厚生労働省は2002年6月、分煙効果を判定する基準をまとめた。受動喫煙を防ぐため、喫煙場所から周囲へ煙が漏れないことを確かめる方法として(1)喫煙した時、喫煙場所の境界部で粉じん濃度が上昇しない、(2)喫煙場所に向けて毎秒0.2メートルの風向きがある、と定めている。
 分煙装置に空気清浄機が多用されているが、「有害成分の多くは除去されない」と指摘する。2003年5月に施行される健康増進法では、学校、病院、事務所、百貨店など多くの人が集まる施設では、受動喫煙の防止が定められた。きちんと分煙できていない施設は、「法律違反」の烙印(らくいん)をおされることになる。

◎警告表示 厳しい世界、甘い日本(2003年5月1日、朝日新聞)
 あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう――たばこの警告表示は喫煙の危険性を知り、吸うかどうかを判断する重要な情報だ。日本の今の表示は1989年につくられたものが元になっている。
 米国の消費者団体は1998年に警告表示について調査している。依存性、がん、心臓病、妊娠への害、受動喫煙の害など10項目が盛り込まれているかや、表示場所、警告のサイズなどで評価した。
 その結果、日本は0点だった。ノルウェーと南アフリカが10点満点、米国は6点だった。カナダでは2年前から箱の一番大きな面の半分を割いて写真や図を載せて印象を強くしている。
 警告も「たばこは強い依存性がある」「たばこが心臓発作を起こす」「たばこで性的不能になる」「毎年、小さな市の人口と同じぐらいの人がたばこで死んでいる」などと具体的にした。
 3月にまとまったたばこ規制枠組み条約は最も目立つ箱の表面と裏面の30%以上を健康被害に対する警告表示にあてることを求めた。財務省は専門家の作業班を設けて見直しを進めている。
 日本たばこ(JT)は、英語版のホームページ(http://www.jti.com)では、肺がんなど病気のリスク、依存性があること、軽いたばこの方がより頻繁に吸ってしまう可能性があることなどを詳しく説明している。だが日本語のホームページ(http://www.jti.co.jp)に掲載しておらず、その姿勢が禁煙団体から批判されている。

◎考えよう禁煙の利(2003年5月1日、朝日新聞)
・医師、体験談交え手助け 「愛のキャンペーン」ルポ
「高校1年の時から親に反抗しようと吸い始めて、いつの間にかやめられなくなりました」
「禁煙を勧められると、『害なんか百も承知で吸っている』と怒ってました」
原田久医師の言葉に、禁煙を相談しにきた男性は、「うん、うん」とうなずいていた。
 2003年3月中旬、神奈川県鎌倉市の鎌倉保健福祉事務所。「愛の禁煙キャンペーン」と名付けた禁煙支援を実施している。
 禁煙外来を設ける医療機関が全国に増えつつあるなか、地域の行政組織でも禁煙支援ができるモデルとして全国から注目を集めている。
 原田さん自身も3年前まで吸っていた。禁煙の目標を立てては失敗を重ねた。説教調ではなく淡々と、ときにつっかえながら体験談を話す。喫煙者もいつの間にか引き込まれている。
 「愛の禁煙キャンペーン」は毎週火曜日の午後1時半から。禁煙を希望する人が、事務所を訪れると、医師に診察してもらったうえで、ニコチンパッチが3枚もらえる。
 継続して処方してくれる身近な病院や医院の紹介や、インターネットで禁煙の手助けをする仕組みも教えてくれる。予約も要らず、ふらっと立ち寄れておまけに無料。
 「禁煙は愛なんです」
 原田さんは、ちょっと気恥ずかしい言葉を使う。「禁煙することは喫煙者の体を心配する周りの人への愛情表現なんです」そして、喫煙者を見捨てず、愛情を持って禁煙を手助けしたい、という意味も込めているそうだ。
 禁煙支援は、原田さんを含め医師2人、保健師、看護師、事務担当の職員の計5人が担当している。事務所2階の待合室の片隅に机を並べて、説明用のパソコンを置く。
 その日、最初に訪れたのは会社勤めを退職して間がないという、逗子市の男性(61)と妻(59)。喫煙歴40年の夫の体を心配した妻が新聞のお知らせ欄をみて引っぱってきたという。
 原田さんがパソコンを使って、海外のテレビ番組や様々な統計データなどを待合室の壁に映し、禁煙のメリットを説明。医師が診断、保健師らが禁煙についてのカウンセリングをする。通して1時間余り。
 「けっこう大変ですけど大丈夫、やめられますよ」と励ました原田さんに、男性は「きっかけをつくってもらえてよかった」。
この日はほかに60台の夫婦1組、30台の男性1人が相談に訪れた。

・「苦しさ我慢せず」達成
 キャンペーンを始めた2002年9月からの半年で禁煙を手助けしたのは355人。「卒業生」に話を聞いた。
 鎌倉市内の高校教師の女性(49)は、2002年9月に原田さんのもとを訪れ、禁煙に成功した。喫煙歴は30年近かった。
 授業。「たばこは百害あって一利なし」という説明に、「じゃ、なぜ先生は吸うの」と生徒。「わかっちゃいるけど依存症でやめられないの」と答えてはいたものの気にはなっていた。海外旅行で、海外の厳しいたばこ規制を見たこともあって禁煙に踏み切った。
 「科学的な支援のおかげで、苦しさをがまんせずにやめられました」2003年1月に訪れた鎌倉市のアルバイトの女性(28)も、2ヶ月余り、禁煙が続いている。
 大学生になって一人暮らしを始めた18歳のとき、飲み会で友だちに誘われて吸い始めた。1日1箱。毛穴の汚れなど、美容に悪いことがずっと気がかりだったがやめられなかった。そして結婚。子どもをつくることを考え、禁煙に踏み切った。「夫の応援に支えられました」

◎上手に禁煙――成功のコツは? 中村正和さんに聞く(2003年5月1日、朝日新聞)
・医師に相談、補助薬頼る、失敗恐れず
 厚生労働省の調査では、たばこを吸っている人でも男性の4人に1人、女性の3人に1人は「やめたい」と考えている。でも「やめられない」という人が多い。上手に禁煙するこつは何か――大阪府立健康科学センターの中村正和・健康生活推進部長に聞いた。
 禁煙に失敗しがちな喫煙者は、3つの間違った思いこみを持ってます。
 1つは、自力でやめなければいけないと思っていること。実際は依存症という病気なのに、喫煙を単なる習慣とか、くせだと思っている。病気の時、症状が重ければ医者にかかる。喫煙もそれと同じです。
 2つ目は、意志を強く持てばやめられる、意志の力で禁煙の成否が決まると思っていること。これではがまん大会になってしまう。上手にやめるノウハウを知り、ニコチンガムなどの禁煙補助剤をうまく使えば禁煙に成功する確率は約2倍になるのに、そういうことに気づいていない。
 3つ目は、禁煙は1回で決めるべきだと思っていること。失敗して何回も繰り返すことを恥ずかしいと感じていることです。何回か試みている人は禁煙が崩れる状況も知っています。経験を生かし、対策を考えれば成功の可能性は高まります。
 禁煙は山登りに例えられます。禁煙を達成するための困難さを山の高さと考える。人によって高さは違いますので自分が登る山の高さを知って、その登山に適した方法を選びましょう。
依存度によって禁煙は3段階ぐらいの困難さにわかれます。まずテストで自分の山の高さを評価してみて下さい。
 ただし、これはあくまで目安。過去の自分の経験に照らし合わせ、とてもこの方法では山に登れないと思う人は、テストの結果より山は高いと思った方がいいでしょう。
 禁煙がどのくらいの確率で成功するか、調べるソフトもあります。依存状況や「外でお酒を飲む時」といったように、場面に応じて吸わないでいられる自信があるかを入力すると、これまで千人ぐらいの経験に基づくデータで禁煙成功確率がわかります。
 高い山に登らないといけない人は、自力で登れないこともないけれど、すごく苦労するし、しんどい。楽に登ろうと思ったら、ロープウエーの役割をする禁煙補助薬を使うといい。
 ロープウエーを使うだけでは難しいのなら、経験豊富なシェルパ役の、禁煙外来の医師の助けを借りることも出来ます。
 比較的低い山だから自力で登るという人でも、楽に登るにはノウハウがあります。取り組む前のヒントや、どうしても吸いたくなった時の対処法などを集めた冊子も最近作りました。
 「ロープウエー」役になるものには日本ではガムとパッチの二つがあります。
 ガムは薬局で手軽に手に入るので比較的低い山ならガムでもいい。ヘビースモーカーは、禁煙外来などで医師に診てもらった方がいいでしょう。
 1日30本以上吸うような人は、ガムでは1日10個ぐらいかむ必要があります。普通のガムと違い、正しくかむには1個30分から1時間かける必要があります。
 禁煙補助薬は、イライラする、落ち着かないなどの離脱症状に対して、ニコチンを薬剤の形で体内に補給し、その症状をやわらげて禁煙を助ける医薬品です。ニコチンの害を心配する人もいるようですが、これは、たばこを吸うととり入れる有害物質のうちのたった一つで、たばこに比べて体内に入る量も少ない。
 ニコチン依存症という病気を治すには、自力で取り組む方法から重装備の禁煙外来コースまでいろいろ。時間、費用を考えて、自分として納得できる方法でチャレンジしてみて下さい。

◎職場のたばこルール厳しく 厚労省、7年ぶりに指針改正(2003年4月3日、朝日新聞)
 職場でたばこの煙を吸わされる受動喫煙対策を強化するため、厚生労働省は、事業者が取るべき対策を定めた「職場における喫煙対策のためのガイドライン」を7年ぶりに改正する方針を決めた。喫煙コーナーを設け空気清浄機を置く方法は不十分として「お墨付き」から外し、煙が漏れない喫煙室の設置と屋外への排気を求める。
 喫煙対策ガイドラインは労働安全衛生法に基づく指針の詳細版として、旧労働省が96年に策定。喫煙室や喫煙コーナー設置による分煙を求め、空気清浄機を「有効な対策機器」に挙げてきた。「対策機器」が部屋全体に設置されていれば、事務室や会議室でも喫煙可能としている。
 しかし、空気清浄機は粒子状の成分に有効な機器があるものの、発がん性物質のベンゼンなどガス状の成分は除去できず、限界があると指摘されている。
 改正案は、喫煙コーナーに代わり、非喫煙場所に煙が漏れない喫煙室の設置▽空気清浄機ではなく、煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式、をそれぞれ推奨。煙が漏れないように、非喫煙場所から喫煙室へ向かって一定以上の空気の流れがあるよう求める。やむを得ず空気清浄機を使う場合は、換気に「特段の配慮」が必要とする。
 罰則はないが、ガイドラインに従えない事業者は従業員の健康確保についての姿勢を問われることになる。同省は、受動喫煙防止を定めた健康増進法が5月に施行されるのに合わせ、科学的な分煙効果の検討を踏まえた内容に改正することにした。

◎たばこの害(1996年4月9日、朝日新聞)
 お母さんが吸わなくても、たばこの煙で赤ちゃん100グラムも小さくなると、妊婦・胎児の害を大阪の医師が学会で報告した。
 自分はたばこを吸わなくても、妊娠中にたばこの煙に囲まれていると、生まれる赤ちゃんは煙のない環境で暮らす場合に比べて小さく、平均体重で100グラム以上の差が出ることが、横浜市で開かれている日本産科婦人科学会で報告された。大阪府環境保健部の島本太香子医師が発表した。家族や同僚の煙にさらされると、日に3〜5本吸うのと同じという。こうした「受動喫煙」が妊婦と胎児に及ぼす害の報告はこれまであまりなかった。
 1992年から3年間、奈良県内の産婦人科で順調に出産した妊婦を対象に調べた。妊娠中に「喫煙した」人はごくわずかだったが、家族や職場の同僚のたばこの煙にさらされていた受動喫煙の人は全体の6割、約800人いた。この人たちについて、「換気のない部屋にいて、周囲が10本以上吸っていた」「換気のない部屋で、本数は9本以下」「換気のある部屋にいた」「たまにしか煙にさらされなかった」に分けた。赤ちゃんの平均体重は、「換気のない部屋」の2,900グラム台が最も軽く、「換気のある部屋」で3,078グラム、「たまにしか煙にさらされない」では3,171グラムだった。喫煙しない場合は3,140グラムと平均的で、受動喫煙の妊婦の赤ちゃんほど小さかった。また煙にさらされていた妊婦ほど毛髪中のニコチン濃度が高く、赤ちゃんの体重も軽くなる傾向があった。
 島本医師は「妊娠をきっかけに禁煙しても、環境によっては喫煙しているのと同じ。毛髪中のニコチン濃度を調べ、胎児の発育への影響を知ることもできる」と話している。




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