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更新日:
 2008年6月28日





◎クールー病:潜伏期間は半世紀、パプアニューギニア(2004年3月31日、毎日新聞)
 パプアニューギニアの高地でかつて、手足が震え痴呆となる不治の病「クールー」で、数千人が死亡した。死者の肉を食べる風習が原因だったが、人肉食がやみ半世紀たった今も、年1〜2人の死者が発生。潜伏期間は最長50年に及ぶことがわかってきた。BSE(牛海綿状脳症)感染牛を食べたのが原因とみられる新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)も「潜伏期間のパターンがクールーと同じなら、今後も犠牲者が出続ける」と研究者はみている。【パース(豪州西部)で山本紀子】
 人肉食の習慣があったのはフォアと呼ばれる民族。死者の魂を慰めるため、葬儀の参列者が肉をバナナの葉に包んで焼き食べた。女性と子供は脳と内臓を食べる役割で、クールーの死者のほとんどは女性だった。
 同病の研究に約40年間携わる豪カーテン工科大のマイケル・アルパース教授によると、統計を取り始めた1957年以降の死者2500人中、80%が成人女性。18%が子供で、成人男性は2%。
 50年代中ごろ、同国を統治していた豪州が人肉食をやめるよう命じ、60年以後、奇習はやんだ。「死者のすべては60年以前生まれ。数も年々減っている。人肉食と病との因果関係は明らかだ」と教授は語る。
 クールーにかかると手足が震え、方向感覚を失って歩けなくなる。話したり物をかむこともできず、意識を失い約1年で死に至る。症状も発症期間も新変異型CJDにそっくりで治療法はない。
 「感染率は高く、ある葬儀に参列した20人のうち15人が死んだ例もある。近親者を続々亡くした人は、死の恐怖におびえていた」と教授は話す。
 クールーの余波はまだ続いている。過去5年間は年1〜2人の死者が発生、昨年は50代後半の男性が亡くなった。
 人から人に感染するクールーの潜伏期間は5〜50年とみられる。一方、牛から人にうつる新変異型CJDの潜伏期間は「10〜100年と推定される」(教授)。動物実験から、異種同士の感染は潜伏期間が倍になるとわかっているためだ。
 BSE感染牛は86年、英国で最初に見つかった。95年には感染牛を食べたのが原因とみられる新変異型CJDの死者が出た。それから約8年、同国の死者数は140人に上る。
 「クールーの潜伏期間を参考にすれば、まだ犠牲者は出るだろう。ピークが数年後にくる可能性もある」と教授は分析する。




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