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2001年~2004年

このページは、私が気になった中国に関するニュースを個人的にまとめたものです。

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◎広東省で暴動、けが人多数、治安要員の横暴に労働者ら怒り(2004年12月26日、産経新聞)
 26日付中国系香港紙、文匯報によると、中国広東省東莞の大朗村で25日、「民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者らが、警察車両を焼くなどの暴動が発生、多数のけが人が出た。同紙は住民の話として、すぐ殴るなど治安要員の日ごろの横暴ぶりに民工側の怒りが爆発したと伝えた。
 同紙によると、約5万人の民工が現場に集まり、周辺の道路は25日夜、約3キロにわたりガラス片や石などが散乱、警官数百人のほか装甲車などが多数配備されたという。
 治安要員は当局の委任を受け警察業務の一部を担当する民間人。
 暴動は23日、学生がバイクの窃盗犯と間違えられて治安要員に殴られ、病院で死亡したのがきっかけ。補償を求める遺族ら数十人と治安要員らが衝突、暴動に発展したらしい。

◎出稼ぎ労働者5万人が警察と衝突、中国・広東省(2004年12月26日、朝日新聞)
 広東省東莞市で25日、地元自警団にあたる治安員に拘束された男性が亡くなったのをきっかけに、出稼ぎ労働者と警察の衝突が起きた。一時約5万人の労働者が道路を占拠し、警察車両4台を焼いたという。香港の中国系紙文匯報が26日伝えた。
 同紙によると、23日に起きたバイク事故をきっかけに、湖南省出身の男性と地元の運転手が口論となり、村の治安員が男性を連行。男性は連行時に強く殴打され、病院に移送されたが、同日夜に死亡した。25日に家族や同郷の出稼ぎ労働者らが治安員の事務所に抗議に押しかけ、もみ合いとなり、治安員十数人が負傷した。治安員側が警察に助けを求め、警官数百人が出動したが、話を聞いて労働者らが集まり、一時は約5万人が道路を約3キロにわたって占拠、投石を繰り返した。
 台湾の中央通信社によると、深夜に警察側が30台以上の特殊車両や武装警察隊を投入して現場を制圧、群衆は解散したという。

◎人民元:05年早々に切り上げるとの観測強まる(2004年12月26日、毎日新聞)
 中国が通貨・人民元を05年早々に切り上げるとの観測が、外国為替市場で強まっている。中国政府や中国人民銀行(中央銀行)は「人民元レートの安定を維持する」と否定するが、早期切り上げ観測を背景に、海外先物市場での人民元相場は実勢レートより6%ほど高く、「元旦切り上げ説」も浮上している。上海市などでは、国民が外貨預金などで保有する米ドルを人民元に交換する動きが目立っているという。
 中国政府は94年1月1日に、対ドルで割高に設定されていた人民元の「公定レート」(1ドル=5.8元)を、当時の「市場レート」(1ドル=8.7元)に合わせたことがある。この“実績”も「正月に切り上げという観測を強めている」(米系銀行)ようだ。
 中国は人民元相場を米ドルに対して事実上固定する「ドル・ペッグ(連動)制」を採用している。99年以降は、中国人民銀行が外為市場での日々の為替介入を通じ、1ドル=約8.28元に相場水準を維持している。
 切り上げ観測が強まっているのは、対中貿易赤字が急増している米国が、人民元切り上げを通じて貿易不均衡の是正を求めるといった「外圧」に加え、中国自身も景気過熱に伴うインフレを抑えるために、切り上げを必要としていると見られているからだ。
 現在のような大規模なドル買い・人民元売り介入を続けていると、市場に放出された人民元が必要以上に増え、インフレ圧力を高めてしまう。中国人民銀は10月に、景気過熱抑制のため9年ぶりの利上げを行ったが、現在の為替介入は、この政策と矛盾していることにもなる。
 さらに、中国は世界貿易機関(WTO)加盟に伴う義務として、06年12月までに金融市場の対外開放を進めなければならず、為替相場の柔軟化も課題だ。
 そうした背景から、市場では「中国は05、06年に5%ずつ人民元相場を切り上げ、07年以降に為替管理を大幅に緩和するのではないか」(大和総研の亀岡裕次シニア・エコノミスト)という見方も出ている。また、切り上げ観測を反映し、人民元の先物取引を扱っている「NDF(ノンデリバラブル・フォワード)」での人民元先物相場(1年物)は24日時点で、1ドル=約7.78元台と、11カ月ぶりの元高・ドル安水準を記録した。
 人民元が切り上げられれば、円・ドル相場やアジア通貨相場全体への影響も避けられないだけに、日本の通貨当局も注視している。

◎中国の携帯電話の密輸1000万台に・中国紙報道(2004年12月23日、日本経済新聞)
 携帯電話の利用者数が世界一の中国で携帯端末の密輸が激増し、年間1000万台近くに達するとの見方が出ていると、中国紙「21世紀経済報道」が23日、報じた。正規輸入品に比べ、密輸品は3割以上も値段が安く、国内に密輸品の流通市場が形成されていることなどが横行の背景。外国メーカーの中には流通品の9割が密輸品というケースもあり、当局も取り締まりに躍起だ。
 ある韓国メーカーの場合、2001年時点で中国国内で流通している自社の携帯電話端末600万台のうち、正規輸入品はたったの40万台だった。香港から広東省への密輸ルートなどがあり、同省深セン市の税関で11月に実施した取り締まりでは、約一週間で密輸端末約3800台、584万元(約7400万円)相当が摘発、押収された。
 中国情報産業省の統計では、中国の携帯電話の利用者は先月末で3億2900万人。新華社電によると、携帯利用者は昨年末と比べ、ことし11月時点で約6000万人増加した。1月から11月までに携帯電話で送信されたメールは、約1959億通に達するなど「携帯大国」の地位を不動にしている。

◎違法くじ席巻、市民失踪・産業にも影響、中国・浙江省(2004年12月23日、朝日新聞)
 中国沿海部の浙江省の地方都市を、「六合彩」と呼ばれる違法な宝くじが席巻し、多くの市民の生活を一変させている。当局は取り締まりを強めるが、一度甘い汁を吸った市民の欲望を抑えるのは難しそうだ。
 広州紙「21世紀経済報道」などの報道では、同省台州市仙居県では02年ごろから倍率の高い違法な宝くじが出回り始めた。1枚最低5元(1元は約13円)からで、当選したら40倍の賞金がつくとされ、のめり込む者が続出。今年6月には銀行から優良顧客として表彰された男性が妻と小学生の子供を残して失踪(しっそう)した。高利貸などから借金した40万元余りを宝くじにつぎ込み、借金取りから逃げたとみられる。
 県の基幹産業である工芸品を製造するある工場では、週3回の当選番号の発表日に多数の工員が出勤せず、操業に大きな影響が出ている。別の工場のオーナーは宝くじに運転資金をつぎ込み、工場を手放した。
 中国人民銀行(中央銀行)仙居支行の調べでは、10月の県内の金融機関の預金残高は総額で前月比1億元以上も減少。同月末までに、同県の昨年の財政収入に匹敵する2億元以上が宝くじに流れたとみられる。
 地元当局は12月中旬までに賭博罪で計270件を立件し、800人余りを処罰した。預金残高の大幅な減少にも歯止めがかかった。ただ宝くじが消えたわけではなく、一層地下に潜り、発覚が難しくなったようだ。

◎中国:原油輸入量、1億トン突破、自動車急増背景に(2004年12月22日、毎日新聞)
 中国税関総署は21日、04年1月から11月の中国の原油輸入量を前年同期比35.2%増の1億1062万トンと発表した。中国が96年に原油の純輸入国になってから1億トンを突破したのは初めて。輸入量で日本の約半分になる。石油消費量では米国に次ぐ2位の消費大国になるのも確実になった。中国政府は国内での省エネ対策とともに海外での資源確保を一段と迫られることになる。
 中国の原油生産量は近年、ほぼ横ばいで推移していることから、通年の輸入依存度は40%に達する見通しだ。国際エネルギー機関(IEA)統計によると、中国は02年の輸入量で米国、日本、韓国、ドイツなどに次ぐ世界8位だったが、今年は米国、日本に次ぐ3位に浮上する可能性がある。
 一方、03年の石油消費量は大手石油会社のBP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)統計で米国が9億1430万トン。中国は2億7520万トンで日本の2億4870万トンを抜いた。中国の輸入、消費量は中国政府の予測を大幅に上回るペースで伸びており、国際価格にも影響を与えそうだ。
 需要を押し上げた原因は自動車の急増だ。中国紙報道によると、中国国内で製造された自動車の1~11月の販売台数は前年同期16.8%増の458万台。米国、日本に次ぐ世界3位の市場規模になった。経済成長を反映して石油化学製品の需要も増えた。
 中国政府はエネルギー需給のひっ迫を受けて、11月下旬に「省エネルギー中長期特定項目計画」を発表した。中国国有石油各社は中東・アフリカなどで政府援助をテコにした油田の自主開発や企業買収による資源確保に力を入れている。
 中国の一人当たりのエネルギー消費量は日本の1割程度で、経済成長に伴って需要が大幅に増加するのは避けられそうにない。IEAは10月に発表した「世界のエネルギー展望2004」で、中国の原油輸入が2030年ごろ、現在の米国並み(約5億トン)になると予測している。

◇急成長、省エネ実現の壁に
 アジアを中心にしたエネルギー需要の急速な伸びは、現在の原油価格上昇の構造的要因になっている。特にアジア地域の石油の輸入依存度は高まっており、2030年には8割を超えると予測されている。中でも中国はダントツの勢いだ。
 中国政府は深刻なエネルギー不足を緩和するため、「省エネルギー中長期特定項目計画」を徹底させる方針だ。計画は「交差点の信号を白熱灯から発光ダイオード(LED)に替えると消費電力を約90%節約できる」「自動車の代替燃料開発で石油3800万トンを節約する」などと効果を強調する。
 しかし、モータリゼーションなど産業・社会の変化が始まったばかりの中国社会で過度な省エネを同時に推進することは「成長の活力」をそぐという消極論も国内に根強く、省エネ社会をスムーズに実現するのは容易ではない。
 中国は需要増の大半を海外での資源獲得に頼っている。「中国版メジャー」と呼ばれる3大国有石油会社は90年代初めから、サウジアラビア、ブラジル、スーダン、アンゴラなど世界50カ所以上で油田権益を獲得。米国や日本などと摩擦を生むようになっている。
 中国の石油消費が今後も拡大を続ければ、供給面での不安と相まって原油高が続くのは必至で、日本もエネルギー安定供給のためアジア全体でエネルギー政策に取り組む必要があるとの認識を強めている。
 このため、経済産業省は今年10月、「アジア・エネルギー・パートナーシップ・タスクフォース」を設置。石油備蓄制度の強化や省エネ・環境対策にアジア全体で取り組む体制を整えていく構えだ。【須佐美玲子、浦松丈二】

◇中国の国別原油輸入量(04年1~10月)
  国 名 輸入量(万トン) 比率
 サウジアラビア 1336 13.42%
 オマーン 1309 13.15%
 アンゴラ 1219 12.24%
 イラン 1114 11.19%
 ロシア 925 9.29%
 ベトナム 472 4.74%
 スーダン 470 4.72%
 その他 3111 31.25%
     合計 9956 100%
 (新華社CHINA OGPから)

◎取り締まりに恨み?30人が交通局襲撃、中国ハルビン市(2004年12月21日、産経新聞)
 中国黒竜江省ハルビン市で18日午後、刀や鉄棒などを手にした男ら約30人が、同市交通局の違反取り締まり中隊の事務所を襲撃、隊員10人に切り付けたりして8人にけがを負わせ、車で逃げ去った。20日付の中国紙、揚子晩報が伝えた。
 襲撃された中隊は、無許可のバスや貨物トラックを取り締まる部門。その担当地域内で長距離バスを運行する民間業者が男らのリーダーとみられることから、取り締まりをめぐる恨みが襲撃の動機の可能性もある。
 黒竜江省では今年、付暁光・副省長ら幹部5人が解任されるなど、多数の幹部が関与した腐敗事件が表面化した。中国では官僚腐敗や横暴な地方行政への不満を募らせた住民が地元当局と衝突する事件が各地で相次いでいる。(共同)

◎マカオ:「1国2制度」成功アピール、5周年記念式典(2004年12月20日、毎日新聞)
 ポルトガルから中国に返還されて5周年を迎えたマカオで20日午前、胡錦濤国家主席らが出席して記念式典が行われた。返還前からの課題だった治安が安定し、観光客数やカジノ収入も順調に伸びていることから、胡氏らは「1国2制度」の成功をアピールした。式典は、8月に圧倒的な支持を得て再選された何厚カ行政長官の就任式を兼ねており、2期目(任期5年)がこの日からスタートした。
 式典では、何長官が胡氏の前で就任の宣誓をした後にあいさつし、「この5年間、マカオはアジア通貨危機の後遺症や失業率の悪化、新型肺炎(SARS)禍を克服してきた。今後は発展の加速や社会の多元化で種々の矛盾も複雑化するだろうが、高度な自治の下で偉大な事業を継承させていきたい」と語った。
 続いて演説した胡氏は、「マカオの発展は、トウ小平氏が提唱した『1国2制度』の正確さを証明した。社会は安定し、経済は順調に伸びている」と語り、資本主義と社会主義の併存を認めた「1国2制度」の成功を強調。その上で(1)統治能力の向上(2)経済の発展(3)人材の育成(4)安定の維持--を求めた。特に、安定の維持については、「愛国愛澳(国を愛し、マカオを愛する)」の下での団結を促し、急激な民主化進展には否定的な見解を示した。

◎覚せい剤密輸の邦人、猶予付き死刑判決、上海人民法院(2004年12月15日、読売新聞)
 在上海の日中関係筋が14日、明らかにしたところによると、上海市第1中級人民法院(地裁に相当)は今月3日、同市内の空港から日本へ覚せい剤約1.56キロを持ち出そうとして中国司法当局に拘束され、麻薬密輸罪に問われた20代の邦人男性に対し、死刑(執行猶予2年)の判決を言い渡した。男性は控訴した。
 中国国内で、薬物密輸に関与した邦人に対し死刑判決が下されたのは、60歳代の男性に対する今年2月の瀋陽市(遼寧省)中級人民法院の判決(執行猶予なし。控訴中)に次いで2件目。中国国内法では、死刑にも執行猶予が認められており、該当期間中、故意の犯罪を犯さなければ無期懲役に減刑される。

◎邦人に猶予付き死刑判決、上海、覚せい剤密輸事件で(2004年12月15日、産経新聞)
 覚せい剤約1.56キロを中国上海市の空港から日本へ持ち出そうとしたとして麻薬密輸罪に問われた日本人男性に、同市の第一中級人民法院(裁判所)が今月3日、執行猶予2年付きの死刑判決を言い渡した。上海の日本総領事館が15日、明らかにした。男性は控訴した。
 総領事館によると、同人民法院は判決の際「猶予期間中は拘束し、この間に故意の犯罪を行わなければ、無期懲役に減刑する」と告げたという。男性は昨年11月に拘束された。
 中国では昨年以降、覚せい剤密輸容疑で日本人が逮捕される事件が各地で相次ぎ、17人が拘束された。このうちの1人、福島県出身の男性(61)にも今年2月、遼寧省瀋陽市の中級人民法院で執行猶予なしの死刑判決が言い渡され、現在、控訴中。
 中国では、死刑にも執行猶予が認められており、2001年7月には瀋陽市の中級人民法院で、殺人罪に問われた日本人が、執行猶予付きの死刑判決を受けた例がある。この日本人は無期懲役に減刑された。
 中国の弁護士によると、外国人の場合は、減刑後、さらに数年、服役し、国外退去になるケースが多いという。

◎覚せい剤密輸の邦人に執行猶予付き死刑判決、上海(2004年12月15日、朝日新聞)
 中国・上海市の第1中級人民法院(地裁)が今月3日、覚せい剤約1.5キロを上海から日本に運び出そうとして麻薬密輸罪で起訴された日本人男性に対し、執行猶予2年がついた死刑判決を言い渡していたことが分かった。上海の日本総領事館などが14日明らかにした。男性は同市高級人民法院(高裁)に控訴した。
 中国では近年、覚せい剤密輸などに絡んで日本人が起訴され、無期懲役や死刑などの重刑を受けるケースが急増している。死刑判決が言い渡されたのは今回で3人目。
 同領事館によると、男性は昨年11月7日、上海市内の浦東空港で、飛行機で日本国内に覚せい剤を運ぼうとしたところを地元当局に拘束された。麻薬密輸罪で逮捕・起訴され、今年3月に初公判があった。中国の刑法では、執行猶予期間中に犯罪を起こさなかった場合、死刑判決を受けていても無期懲役に減刑されることが多いという。

◎覚せい剤密輸:日本人男性初公判、起訴事実認める、中国(2004年11月30日、毎日新聞)
 中国で覚せい剤を密売していたとして、麻薬密輸罪で起訴された名古屋市出身の武田輝夫被告(61)らの初公判が30日、遼寧省の大連市中級人民法院(地裁)で開かれた。武田被告は日中混成強盗団のリーダーとして愛知など5県警に国際手配されているほか、昨年から中国で日本人が覚せい剤所持などで相次いで逮捕された事件の中心人物だった可能性があり、極刑が言い渡される可能性が指摘されている。
 覚せい剤を武田被告から購入して別の日本人に密輸させたとして、今年7月に北京で拘束された大阪市出身の西富裕被告(38)の初公判も同時に行われた。次回公判で判決が言い渡される。公判は日本人記者らに公開された。
 起訴状によると、武田被告は昨年6月以降、西被告を含む5人の日本人らに覚せい剤計5キロを売っていた。この中には、遼寧省瀋陽市で覚せい剤1.25キロを運び出そうとして逮捕され、今年2月に死刑判決を受けた福島県出身の森勝男被告(61)も入っている。
 武田被告は公判で、起訴事実を認めたうえ「重大なことをしてしまい、死刑になっても構わない」と発言した。また被告人質問の中で、覚せい剤の密売は日本の密売組織からの要求などで行ったことを明らかにした。西被告は起訴事実を否認した。
 武田被告は02年7月以降、約30人の強盗団を率い、愛知や大分など9都県で17件の強盗傷害事件などに関与したとされ、被害総額は6億円に上るとみられている。02年11月に名古屋空港から中国に出国。今年6月、中国広東省深セン市のホテルで中国人2人と覚せい剤3.1キロを所持しているところを拘束され、大連に身柄を移された。
 中国や香港では昨年3月以降、日本人17人が覚せい剤所持などで身柄を拘束された。中国の刑法は、覚せい剤50グラム以上の所持に懲役15年か無期懲役、死刑を規定。以前は10キロ以上の所持に対して死刑判決が出ていたが、中国当局が取り締まりの強化に乗り出すなか、「運び屋」とされる森被告にも死刑が言い渡された。
 森被告の控訴審や大連で起訴された他の日本人の公判は進展しておらず、武田被告の公判の行方を見極めている模様だ。一方、日本での強盗傷害事件に関する日中間の捜査協力については、「福岡市の一家4人殺害事件のような特殊なケースと異なり、今回は中国側も応じるのは難しい」(外交筋)との見方が強い。

◎日本人「黒幕」極刑も、日中強盗団、覚醒剤密輸(2004年11月30日、産経新聞)
・ホームレス狙い運び屋に
 中国国内で五キロの覚醒(かくせい)剤を仲間に運ばせたなどとして、麻薬密輸・販売罪で起訴された日中混成強盗団のリーダー、武田輝夫被告(61)=名古屋市出身=ら日本人二人に対する初公判が三十日、遼寧省大連市中級人民法院(地裁)で始まった。
 中国(香港含む)では昨年から今年にかけ十七人の日本人が覚醒剤を日本に密輸しようとして逮捕され、上海の裁判所で今月二十四日に「運び屋役」として覚醒剤約一キロを所持していた六十歳代と五十歳代の男性に無期懲役と懲役十二年の判決が出されている。
 こうした多くの事案で武田被告が「黒幕」とされており、死刑判決など極めて重い量刑が予想される。
 武田被告は今年六月、広東省のホテルで覚醒剤三.一キロを所持していたとして中国公安当局に逮捕された。
 起訴状などによると中国人の仲介人から約五キロの覚醒剤を購入。日本人ら数人を「運び屋」として使っていた。罪状認否では「死刑になってもかまわない」などと起訴事実を認め、覚醒剤の密輸に手を出した理由として「自分の仕事がうまくいかなかった。また日本から『アイス』(覚醒剤の意味)を欲しがっているという情報があった」などとした。
 武田被告は日本人と中国人約三十人のメンバーを率い日本全国で強盗事件などを起こした日中混成強盗団のリーダー。九都県の資産家宅を狙い全国各地で三十件の強盗傷害事件を起こしたが「日本の警察には捕まりませんよ」と豪語、中国に逃亡していた。
 中国から日本への覚醒剤密輸事件では、昨年七月に大連空港で六十歳代の男性(覚醒剤約一.二四キロ、その後死亡)が逮捕されたほか、四十歳代の男性(同約一.五二キロ)が逮捕され公判中。
 二月には遼寧省瀋陽市で六十歳代の男性=福島県=に日本人として初めて執行猶予のつかない死刑判決(一審)が出ており控訴審で公判中。
 昨年から今年にかけ香港を含め十七人(うち死亡一人、刑期満了で帰国一人)の日本人が覚醒剤を密輸しようとして逮捕され拘束されている。多くは失業者やホームレスなどが金に困って誘われるケースが多い。
 中国では覚醒剤などの製造、密輸、販売では麻薬の種類によっても異なるが五十グラムから死刑になる可能性もある。

・日中混成強盗団
 2000年ごろから全国各地で目立ち始めた。主に日本人が運転手役、資産家宅の情報提供をし、中国人が実行役。宅配業者などを装うなどして押し入り粘着テープで縛り上げ、ナイフやスタンガンで現金や株券、日本刀などを脅し取る手口。武田被告は強盗団のリーダーとして愛知県警など5県警から国際刑事警察機構(ICPO)を通じ国際手配されていた。

【覚醒剤関連で中国で拘束された邦人一覧】
 (1)2004年2月に遼寧省瀋陽市で死刑判決(1審)控訴中、60歳代男性。瀋陽空港で覚醒剤約1.2キロ。日本人として初めて執行猶予の付かない死刑判決
 (2)2004年6月、2審で懲役15年確定、50歳代男性、大連空港で覚醒剤約1キロ
 (3)2004年7月(香港)1審で懲役25年、控訴中。40歳代女性、香港の空港で覚醒剤約5キロ
 (4)2004年7月(香港)1審で懲役14年8月、控訴保留中。30歳代男性、香港の空港で覚醒剤約2.5キロ
 (5)2004年1月(香港)1審で懲役20年、20歳代男性、香港の空港で覚醒剤約7キロ
 (6)2003年7月に広州で3人逮捕、いずれも40歳代男性、計5キロの覚醒剤所持
 (7)2003年7月に大連で40歳代男性、大連の空港で覚醒剤約1.5キロ。公判中
 (8)2004年11月24日、1審で60歳代男性に無期懲役、50歳代男性に懲役12年、上海の空港で2人合わせ覚醒剤約1キロ
 (9)2003年11月、20歳代男性、上海の空港で覚醒剤約1.5キロ、公判中
 (10)6カ月服役し帰国
 (11)2004年6月に密輸事件とのかかわり容疑で福州の空港で逮捕。保釈金支払い保釈中
 (12)2004年6月に逮捕、武田被告と30歳代男性、30日に初公判

◎覚せい剤密輸認める、「黒幕」邦人、中国で初公判(2004年11月30日、産経新聞)
 中国大連市の中級人民法院(裁判所)で30日、覚せい剤を日本人の運び屋に渡し、日本に密輸させたなどとして起訴された無職、武田輝夫被告(61)=名古屋市出身=ら日本人2人の初公判が開かれ、武田被告は「自分がやったことは重大であり、死刑になっても構わない」と起訴事実を認めた。
 中国では昨年から、覚せい剤密輸容疑で日本人が逮捕される事件が各地で相次ぎ、17人が拘束された。同被告は密輸組織の中心人物とみられている。今年2月には福島県出身の男性が死刑判決を受けており、武田被告も今後の公判で極刑を言い渡される可能性が高い。
 武田被告は、資産家宅を狙った強盗容疑などで愛知など5県警から国際指名手配されている「日中強盗団」のリーダー。強盗団による事件は2002年から東京、福井、兵庫、福岡など9都県で17件発生した。
 公判は、同被告から入手した覚せい剤を日本人に密輸させたとして起訴された無職の男(38)=大阪市=の審理も併合された。
 関係者や中国紙の報道によると、武田被告は02年末に中国に入国。大連などで「アイス」と呼ばれる覚せい剤を集め日本に密輸。今年6月、広東省深●(●=土へんに川)市で覚せい剤約3キロを所持していて拘束された。運び屋の日本人らは、日本の暴力団関係者に高額の報酬で密輸を持ち掛けられたという。(共同)

◎覚せい剤所持で起訴の日本人2人、中国で初公判(2004年11月30日、朝日新聞)
 覚せい剤3.1キロを所持し、他人を使って日本に密輸しようとしたなどとして中国で逮捕され、起訴された名古屋市出身の武田輝夫被告(61)ら2邦人に対する初公判が30日午前、遼寧省の大連市中級人民法院(地裁に相当)で始まった。罪状認否で武田被告は起訴事実をほぼ認めた。
 武田被告は愛知県や福岡県などで起きた連続強盗事件で、強盗致傷や窃盗の容疑で5県警から指名手配されていたが、今年6月に中国・深センのホテルで中国人2人と共に逮捕された。
 法廷で朗読された起訴状によると、武田被告は中国人から5キロの覚せい剤を購入し、日本人ら4人に運ばせたとされる。もう一人の被告は大阪市出身の西富裕被告(38)で、武田被告に覚せい剤1キロを電話で要求したとされる。西被告は起訴事実を否認している。
 武田被告は犯行の動機について「中国での仕事がうまくいかなかったことに加え、日本の密売組織からの要求があった」と述べた。さらに「自分のやったことは重大で、死刑になってもかまわない」と述べた。
 この日の公判では、検察側の起訴状朗読に続いて、被告人尋問が行われた。その後、検察側が主張を述べ、事実上の求刑を行う。公判は日本人記者団にも公開された。
 今年2月には遼寧省の瀋陽市中級人民法院で麻薬密輸罪に問われた福島県出身の森勝男被告に死刑判決が言い渡された。同被告は控訴中だが、日本の捜査当局は森被告が武田被告のグループから覚せい剤を受け取った疑いがあると見ている。森被告は覚せい剤1.25キロを日本に運び出そうとしていた。
 中国の刑法では麻薬犯罪に対する規定が厳しく、今後、武田被告に対しても厳しい判決が下される可能性が強い。
 日本の捜査当局によると、武田被告は02年11月に名古屋空港から中国へ出国したことが確認されている。中国では覚せい剤の組織的な密輸に関与し、覚せい剤の「中国ルート」の中心人物と見られている。

◎中国内陸部の炭鉱でガス爆発、170人不明(2004年11月28日、日本経済新聞)
 中国内陸部の陝西省銅川市の国有炭鉱で28日午前7時(日本時間同8時)ごろ、ガス爆発が発生した。新華社電によると坑内にいた293人の作業員のうち123人が午後1時までに脱出し、170人が閉じ込められている。
 中国はエネルギー需要の7割を石炭で賄っており、高度成長にともない増産圧力は高まる一方。それにともない悲惨な事故が相次いでおり、10月に河南省の炭鉱で発生したガス爆発では120人以上が死亡した。国家安全生産監督管理局によると今年1~9月の炭鉱事故による死者は前年同期比630人(13.17%)減った。生産量は前年同期比20%程度伸びているだけに、同局は「全国の炭鉱の安全状況は相対的に安定しており、好転するすう勢にある」としている。炭鉱事故による死者は1999年までは毎年1万人を超えていたが、2000年以降は7000人以下という。炭鉱以外にも、今月20日に河北省の鉄鉱石採掘場で起きた火災事故では65人が死亡した。

◎炭鉱爆発、166人不明、中国陝西省(2004年11月28日、産経新聞)
 新華社電によると、中国陝西省銅川の陳家山炭鉱で28日朝、ガス爆発があり、166人が坑内に閉じ込められた。現場では当時、293人が働いており、127人は脱出したが、うち41人が重軽傷を負った。
 中央テレビによると、胡錦涛国家主席らが救助に全力を挙げるよう関係当局に指示した。
 中国ではエネルギー需要の高まりを受けて石炭増産が進められているが、炭鉱事故も多発。10月20日には河南省新密市で坑内に148人が閉じ込められ、これまでに120人以上の死亡が確認される事故が起きた。(共同)

◎中国、抗日戦争記念館を全面改装、愛国教育強化か(2004年11月21日、産経新聞)
 21日付の中国各紙によると、北京市郊外の盧溝橋にある中国人民抗日戦争記念館が、全面改装のため12月中旬から一時閉館する。来年7月に再開する。来年は中国にとって「抗日戦争勝利60周年」に当たり、展示の増強で愛国教育を強化するのが目的とみられる。
 記念館は、1937年7月の盧溝橋事件で始まった日中戦争に関する総合的な博物館で、87年に開館。これまでに小中学生を中心に1200万人が訪れたとされる。
 各紙によると、97年に改装して以来無休で開館しており、展示内容が古くなったことなどから全面改装に踏み切った。改装費用は5000万元(約6億3000万円)前後に上るという。(共同)


◎中国で旅客機墜落、乗員53人全員死亡、地上の1人も(2004年11月21日、読売新聞)
 新華社電などによると、21日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、中国・内モンゴル自治区包頭市で、上海行きの中国東方航空5210便小型ジェット旅客機(CRJ200型)が離陸直後に、空港近くの公園に墜落した。
 乗客乗員53人全員の死亡が確認されたほか、公園の職員1人が巻き込まれて死亡した。搭乗者名簿に日本人とみられる名前はないという。
 目撃者は、飛行機は離陸直後に「ビルの6階にも満たない高さで揺れ始め墜落、爆発した」と話しており、政府調査委が原因を調べている。
 中国国内では、2002年5月に遼寧省大連沖で中国北方航空機が墜落し、日本人を含む112人が死亡した事故が起きている。CRJ200型ジェット機は、ボンバルディア社(カナダ)の設計で、中国国内のローカル路線に多数、投入されている。

◎旅客機墜落、乗員53人全員死亡、地上の1人も、中国・内モンゴル(2004年11月21日、産経新聞)

 中国北部の内モンゴル自治区包頭市で21日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、乗客乗員計53人が乗った中国東方航空の小型旅客機が空港を離陸直後に市内の公園の湖に墜落、炎上した。新華社電によると、同日夕までに乗客乗員全員の遺体を収容、地上にいた公園職員1人も巻き添えになり、計54人が死亡した。同機は上海に向かっていた。
 北京の日本大使館によると、日本人は乗っていなかった。乗客にはインドネシア人とみられる外国人1人が含まれ、上海の上場企業経営者が乗っていたとの情報もある。
 事故原因は調査中で、フライトレコーダー(飛行記録装置)の回収に全力を挙げている。事故機はカナダ・ボンバルディア社製の50人乗り小型ジェット旅客機CRJ200。
 当日の現場の気温は零度以下。中国中央テレビのニュースは、凍結した湖面に焼け焦げた機体の一部が浮いている現場の様子を放映した。
 中国では2002年5月、中国北方航空機が大連沖に墜落し、日本人を含む112人が死亡した。

◎中国で53人乗り旅客機が墜落、全員死亡か(2004年11月21日、読売新聞)
 新華社電(電子版)などによると、21日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、中国内モンゴル自治区包頭市で、乗客47人、乗員6人の計53人を乗せた包頭発上海行き中国東方航空5210便小型旅客機(CRJ200型)が離陸直後、空港近くに墜落した。
 搭乗していた全員が死亡した模様だ。
 現地からの報道によると、同機は、空港から数キロの距離にある南海公園の湖付近に墜落し、炎上した。公園そばの建物も、墜落した機体に直撃され、倒壊しているという。
 現地の消防当局幹部によると、墜落現場に消防車30数台と消防隊員100人以上を急派し、救助作業に当たっているが、生存者は見つかっていないという。

◎約50人乗り旅客機墜落、中国・内モンゴル(2004年11月21日、産経新聞)
 新華社電によると、中国北部の内モンゴル自治区包頭市で21日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、小型旅客機が包頭空港を離陸直後に市内の湖に墜落、炎上した。乗客乗員50人余りが乗っていたもよう。安否は不明だが、新華社電は生存の可能性は低いとしている。
 旅客機は上海行きで、中国東方航空機とみられる。
 北京の日本大使館によると、日本人が乗っていたとの情報はない。
 中国では、2002年5月、中国北方航空機が大連沖に墜落し、日本人を含む112人が死亡した。

◎人民元レートを改革、米中首脳会談で胡主席表明(2004年11月21日、読売新聞)
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するためチリを訪問中のブッシュ米大統領は20日午前(日本時間同日夜)、中国の胡錦濤国家主席とサンティアゴ市内のホテルで約1時間会談し、北朝鮮の核問題について、対話を通じ、平和解決を目指す方針で一致した。
 また、人民元の相場切り上げ問題についても協議した。
 両首脳の顔合わせは、ブッシュ大統領の再選以来初めて。
 ブッシュ大統領は会談後、「(2期目となる今後4年間も)朝鮮半島と太平洋地域の平和のため緊密に協力していきたい」と発言。胡主席も、「米中ともに、(北朝鮮の核問題を)対話を通し、平和的解決を目指すことへの期待感を表明した」と述べた。
 中国筋によると、6か国協議について、ブッシュ大統領は「協議のプロセスを継続する用意がある」と表明したのに対し、胡主席は「(協議には)忍耐と柔軟性が必要だ」と応じた。人民元の切り上げ問題については、胡主席が「人民元レート改革を進める」と述べ、ブッシュ大統領は賛意を示した。

◎鉄鉱採掘場で大火災、作業員60人が不明、中国河北省(2004年11月21日、読売新聞)
 新華社電によると、中国河北省沙河市の鉄鉱採掘場で、20日午前、大規模な火災が発生し、作業員70人以上が閉じこめられた。
 同日夜までに、15人が救出されたが、少なくとも60人が依然として行方不明になっている。

◎ドルの人民元交換、中国で加速化、切り上げ懸念で(2004年11月18日、産経新聞)
 18日付の香港英字紙エイシャン・ウォールストリート・ジャーナルは、中国人民元が切り上げられると、米ドルで保有している資産に損失が出る恐れがあるとして、中国国内で市民が大挙して米ドルを人民元に交換している、と報じた。
 同紙によると、中国では、少し前までは米ドルで資産を保有していた人々がドル離れを起こし、多くの人が人民元を、より安全な通貨と評価。上海市内の銀行では昼休みにドルを人民元に交換するための長い列ができる。列に並んだ人々は「ドルはもう(持つ)意味がない」「ドル預金ではなく、ユーロや円にしておけばよかった」などと話している。(共同)

◎中国、一次で敗退、クウェートに1及ばず(2004年11月18日、産経新聞)
・7-0大勝も総得点差で涙
 2006年W杯アジア一次予選で17日、前回の日韓大会に初出場した4組の中国は7-0で香港に大勝したが、マレーシアを6-1で圧倒したクウェートに次ぐ2位となり、最終予選進出を逃した。中国とクウェートは当該対戦成績が同じで、勝ち点、得失点差でも並んだが、総得点でクウェートが中国を上回った。
 一方、7組の韓国は2-0でモルディブを下し一次予選を突破した。これで最終予選進出は日本と韓国、クウェートのほか北朝鮮、ウズベキスタン、バーレーン、サウジアラビアの7カ国となった。既に一次予選突破を決めていた2組のウズベキスタンは6-1で台湾に快勝した。

≪ファンから批判殺到≫
 アジアの強豪中国のW杯連続出場の夢は、一次予選でついえた。広州で行われた香港戦。7-0で圧勝しながら、マレーシアに6-1で勝ったクウェートに総得点で1点及ばなかった。圧勝しながらの敗退。結果は際どかったが、ファンの声は厳しくネット上にはサッカー協会批判が殺到した。
 最終戦までクウェートに勝ち点で並び、得失点で2差をつけられていた中国は、大差の勝利が絶対条件だった。開始早々から全員攻撃に近い猛攻を仕掛け、前半は3-0とリード。同時進行のクウェート-マレーシアは前半1-1で、得失点差で中国が逆転、約2万人の観衆を熱狂させた。
 さらに後半開始早々、中国は連続ゴール。「6-0で勝利」を予言していたオランダ人のアリ・ハーン監督の笑顔が再三アップでテレビに映し出された。過去数年、香港に3点差以上で勝ったことはなく、「奇跡」が起こるかに見えた。
 ところが後半3分に5点目を挙げた後、約40分間はPK失敗などが続きゴールできなかった。終了間際に2点を加え7点としたものの結局、この拙攻が響いた。プロリーグの放棄試合や暴力事件など不祥事続きで、加速するファン離れを食い止めるべく、サッカー界は一次予選突破に起死回生を図ったが、及ばなかった。
 広州からの報道では、観衆は香港戦の大勝がぬか喜びに終わったと知ると、虚脱状態に陥り、混乱に備えて待機した5000人の警備陣も出番がなかったという。(伊藤正)

◎予選逆転突破へ「同胞に圧力」?AFCが中国、香港に警告(2004年10月16日、産経新聞)
 サッカーW杯アジア一次予選の4組最終戦で11月17日に対戦する中国と香港に対しアジア・サッカー連盟(AFC)のベラパン事務局長は15日、「FIFAとAFCは不正がないよう、しっかり検証する」と警告した。
 4組は中国が13日のクウェート戦に0-1で敗れ、クウェートに得失点差2をつけられ2位に後退。最終予選進出を懸ける11月17日の香港戦は、クウェート(対マレーシア)との得失点差の争いだが、状況は不利。
 このためAFP=時事によると、中国では香港に試合を捨てるよう圧力をかけるべきだとの論調も登場、地元スポーツ紙は「サッカー協会会長がやるべきことは香港の同胞に『血は水よりも濃い』と催眠術をかけること」などと論評していた。

◎中国でまた騒乱、1人死亡、住民ら有料道路料金所に放火(2004年11月15日、産経新聞)
 15日付香港紙、太陽報などによると、中国広東省東部の掲陽市で10日、有料道路の料金所職員と地元住民の口論をきっかけに住民らが料金所に放火するなどの騒乱が起きた。武装警官ら数百人が出動して鎮圧したが、住民1人が死亡、多数のけが人が出た。
 同紙によると、バイクの通行料2元(約25円)を徴収すべきではないとする住民と料金所職員が口論となり、住民側の一部が料金所に放火。
 住民側は消防車の進入を阻止したが、その際、消防車にひかれて老人1人が死亡した。現場には2、3万人が集まったという。
 地元当局は11日、放火犯に16日までに出頭するよう呼び掛け、かくまった者は厳罰に処すると住民側に通告した。(共同)

◎「1つの中国」認めた場合のみ対話と中国側、台湾総統に圧力(2004年11月15日、産経新聞)
 15日付の中国各紙によると、中国の対台湾交流窓口機関の海峡両岸関係協会当局者は、台湾の陳水扁総統が「独立」活動を放棄し、「一つの中国」原則を認めた場合にのみ対話に応じるとの考えを表明した。
 中国は1992年10月の香港での中台会談で「『一つの中国』原則の堅持で両者が合意した」としている。台湾の立法委員(国会議員)選挙を12月11日に控え、陳総統の民主進歩党を中心とする台湾与党連合に圧力をかける狙いがあるとみられる。
 香港会談について台湾側は「『一つの中国』の解釈は(中台)各自に委ねるとの共通認識を得ただけ」と反論してきたが、陳総統は今月13日、「(中台会談の)共通認識を認めることは中国に対する投降を意味する」と会談の合意自体を否定、中国を刺激する発言をした。
 海峡両岸関係協会当局者は「香港での中台会談で、双方が『一つの中国』の堅持を共通認識としたことは歴史的事実だ」と強調。陳総統がこれを認めないのは「対話を望む中台同胞と国際社会の期待に背くことだ」と非難した。
 ロイター通信によると、国務院(政府)台湾事務弁公室の王在希副主任は「台湾当局が挑発を続けており、武力衝突の圧力が高まっている」と警告した。(共同)

◎中国の原油輸入昨年超える、海外資源の確保が急務(2004年11月14日、産経新聞)
 13日付の中国各紙によると、中国の1~10月の原油輸入が9959万トンと、すでに昨年の年間輸入量(9112万トン)を上回っていることが中国の税関統計で明らかになった。
 各紙によると、国際エネルギー機関(IEA)は年間の原油輸入は1億2000万トンに達すると予測。中国の石油業界関係者からは、ことしの原油輸入依存度が昨年の36%から一段と上昇、45%に達するとの予測も出ており、中国は海外での資源確保を一段と迫られることになりそうだ。
 原油以外の石油製品の輸入も上半期だけで1985万トンに達し、年間では4000万トンに達する見通し。各紙は、2年連続で米国に次ぎ世界2位の石油消費国になるのは確実としている。
 1~10月の中国の貿易収支は109億7000万ドルの黒字だったが、エネルギーを中心にした高水準の輸入が続くと、年間では昨年の貿易黒字(225億ドル)を下回る可能性もある。(共同)

◎中国、各メディア独自の報道を禁止、各地の衝突、ストで(2004年11月14日、産経新聞)
 14日付香港紙、明報によると、中国共産党中央宣伝部は、同国各地で相次いでいる地元当局と住民の衝突や抗議活動、ストライキなどが拡大することを警戒し、各メディアが独自に報じることを禁止する通知を出した。
 同紙によると、通知は各地のメディア管理部門に向けて出され、四川省や河南省、重慶などで起きた最近の事件を「悪性衝突事件」と位置付け、勝手に報道することを禁止。事件を伝える場合は国営通信社、新華社の原稿を用いることとし、違反した場合は厳しく処分するという。(共同)

◎官房長官「領海侵犯の潜水艦は中国籍、速やかに抗議」(2004年11月12日、日本経済新聞)
 細田博之官房長官は12日午後の記者会見で、10日朝に沖縄県先島群島周辺の日本領海を侵犯した潜水艦について「我が国周辺海域から離れて航行していった方向や、原子力潜水艦と考えられることをはじめ、諸情報を総合的に勘案した結果、中国海軍に属するものと判断している」と発表した。「今後、速やかに外交ルートを通じ、中国に対して抗議する予定。町村信孝外相からできれば17時に在京の中国大使館に抗議を行う」と述べた。
 10日午前8時45分に大野功統防衛庁長官が発令した海上警備行動に関しては「本日午後1時ごろまでに防空識別圏を越え、東シナ海の公海上まで追尾した結果、潜水艦が我が国周辺海域から離れていった方向がおおむね北北西であると把握できたこと、当該潜水艦が当面、再度我が国領海に戻ってくる恐れはないと判断したことから3時50分に終結命令を発した」ことも明らかにした。

◎侵犯の潜水艦、中国の原潜と特定、海上警備行動は解除(2004年11月12日、朝日新聞)
 中国の原潜とみられる潜水艦が沖縄県・先島諸島周辺の日本領海を侵犯した事件で、細田官房長官は12日午後4時の記者会見で、潜水艦が中国方向の北北西に向かったこと、原子力潜水艦と見られることなどから、「中国海軍に属するものと判断した」と発表した。町村外相が中国大使館公使を呼び、抗議した。
 また大野防衛庁長官は午後3時50分、潜水艦が日本の領空外に設けた防空線である「防空識別圏」の外に出たこと、再度戻ってくることはないと見られること、などから海上警備行動の終結命令を出した。

◎北京五輪控え、中国でスポーツ用品商戦が熱気(2004年11月7日、読売新聞)
 2008年に開催される北京五輪に向け、日本のスポーツ用品メーカーが中国市場へ取り組みを本格化させている。
 最大手のミズノが大型直営店の展開に乗り出したほか、アシックスや、スポーツウエア大手のデサントなども積極的な店舗戦略を進めている。米ナイキ、独アディダスなど中国市場で先行する欧米有名ブランドも店舗網を拡大中だ。背景には、北京五輪をひかえた建設ブームなど中国の景気過熱があり、スポーツ用品の商戦も熱気を帯びている。(遼寧省瀋陽で、東一真)

◆激突
 ミズノは8月末に、遼寧省瀋陽市の繁華街に、直営スポーツ用品店では中国最大級となる総面積2000平方メートルの大規模店をオープンした。ミズノ直営店の真正面には、アディダスなどの製品を売る地元スポーツ用品店があり、すぐ隣は中国最大のスポーツ用品メーカー「李寧(りねい)」の専門店だ。東に50メートル歩けば、ナイキの専門店も店を構え、中国屈指のスポーツ都市の瀋陽では、世界的なスポーツ用品メーカーの激突が始まっている。
 中国のスポーツ用ウエアとシューズ市場は、中国に700店を展開するナイキが3割近いシェア(市場占有率)で、李寧とアディダスを加えた3社が他を圧倒している。これに対し、ミズノは今後、瀋陽と同規模の大型直営店を北京、上海に開店する。百貨店などに入居する小規模店も400程度から、北京五輪の2008年までに計1400に拡大し、中国で売上高160億円、シェア10%を目指す。

◆市場開拓
 デサントは9月に上海で、日本のプロ・ゴルファーを講師としたゴルフ学校をオープンした。「マンシング」ブランドのゴルフウエアなどを作る同社は、ゴルフをもっと普及させて、ウエアの需要を高めたい考えだ。
 広い中国全土に、ゴルフ場はまだ200か所弱、ゴルフ人口は推定で約40万人にすぎない。うち30万人は中国に駐在する外国人と見られ、ゴルフを楽しむ中国人は10万人程度とごくわずかだ。ゴルフ学校の開設は、ゴルフ人口を増やし、市場を自ら掘り起こす試みだ。
 デサントは一方で、「マンシング」ブランドの販売店を年内に50店舗と昨年の2倍に拡大する。ブランド別の多店舗展開を進め、売上高の目標は2004年度に10億円、2005年度20億円、2006年度30億円と急成長を見込む。

◆活況いつまで
 アシックスも運動シューズを中心に、現在の100店舗から2008年には300店舗に拡大する計画だ。2008年の売り上げは現在の5倍の50億円を目指す。
 中国紙の報道によると、李寧も現在の約300店舗を、今後2年以内に1000店舗に増やす計画だ。
 中国でスポーツ関連メーカーが店舗展開を加速させているのは、北京五輪を控えてスポーツに対する関心が高まると見られているためだ。五輪に向けた建設ブームなどで、消費者の購買力も強まり、大きな商機が来ると見込んでいる。業界では「中国のスポーツ関連市場は、北京五輪後に一時的な後退があっても、長期的には右肩上がり」(北野周三・ミズノ取締役)との強気の見方が支配的だ。
 とはいえ、中国のスポーツ商戦について、「バブル現象」との見方もある。
 中国は10月29日に9年ぶりに法定貸出金利を引き上げ、金融引き締めによる「バブル抑制」に動いた。過熱景気の中で進むスポーツ市場の活況が続くかどうかは、中国の経済運営と景気の行方に大きく左右されそうだ。

◎中国河南省、回族と漢族が衝突、148人死亡説も(2004年11月1日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】香港のテレビ報道によると、中国河南省鄭州市郊外の中牟県で1日までに、イスラム教を信仰する少数民族・回族と漢族の住民同士が衝突、多数が死亡したとの情報が出ている。
 米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、この衝突で148人が死亡したと伝えた。両民族の衝突は10月29日、回族のタクシー運転手が漢族の6歳少女をはね死亡させたことをきっかけに起きたという。
 公安当局などが、付近の回族の加勢を食い止めようとしているが、すでに河南省各地の回族が車で現場に駆け付け、約1万人に達している模様だ。応援の武装警察部隊も県内に入れない状況が続いているという。
 一方、香港紙によると、中国四川省漢源県で、10月末、水力発電所建設工事のために地元当局が収用した土地の補償をめぐり、農民ら数万人規模の抗議行動が発生、重慶市でも同月中旬、市民数万人が地元政府庁舎を包囲する騒乱が起きるなど、不穏な動きが相次いでいる。

◎農民数万人デモ、1人死亡、中国、土地補償に不満(2004年11月1日、産経新聞)
 一日付香港紙、東方日報などによると、中国四川省漢源県で10月27日、地元政府が収用した土地の補償に不満を持った農民ら数万人が抗議行動を起こし、鎮圧に当たった多数の警官と衝突して農民の男性1人が死亡した。
 反発した農民側は男性の遺体を掲げて翌28日「汚職役人打倒」「(地元政府は)温家宝首相の言う通りにしろ」などと叫んでデモ行進。一時は政府や学校、商店が閉鎖されたという。
 同紙によると、現地は31日にも各所に武装警官が配置され、当局は「首謀者」を徹底捜査するとの通知を出した。
 中国では先月、重慶市で市民数万人が地元政府庁舎を取り囲む騒乱が発生。安徽省でも年金に不満を持つ数千人が道路を封鎖するなど、行政に対する抗議活動が続出している。(共同)

◎中国南部で大規模干害、過去50年で最悪(2004年10月29日、日本経済新聞)
 【北京29日共同】中国の国家水害・干害対策本部によると、華南地区など中国南部で9月以降の降水量が例年を大幅に下回り、湖南、広東の両省と広西チワン族自治区ではこの約50年で最悪の干害に見舞われている。国営通信、新華社が29日までに伝えた。
 工業や農業への影響にとどまらず、一部地域では飲用水さえ欠乏するほど深刻化している。両省と同自治区では9月から今月24日までの降雨量がわずか約77ミリ。10月以降に限ると、さらに広い地域で10ミリ以下の少雨となっている。広西チワン族自治区では約140万人が飲用水の確保が困難になっている。国家気象センターによると、干害に見舞われている地区一帯は今後1週間も晴天が続く見通しで、被害がさらに拡大する可能性がある。

◎中国が9年ぶり利上げ、景気沈静化狙う(2004年10月29日、読売新聞)
 【北京=東一真】中国政府・中国人民銀行(中央銀行)は28日、主要政策金利の一つで、金融機関から企業などに貸し出す際の「法定貸出金利」を29日から、期間1年もので0.27%引き上げて、年5.58%にすると発表した。
 これに伴って、銀行に預け入れる際の「法定預金金利」も0.27%引き上げ、1年もので2.25%とする。インフレ懸念を払拭(ふっしょく)し、過熱気味の景気をソフトランディング(軟着陸)させるには利上げに踏み切らざるを得ないと判断した。
 中国は、1996年5月以降、97年のアジア通貨危機に伴う景気後退への対応も含め連続8回、法定貸出金利を引き下げており、利上げは1995年7月以来、9年ぶりとなる。法定貸出金利の1.7倍までに制限してきた商業銀行の貸出金利の上限も撤廃する。
 人民銀行は昨年9月に金融機関の預金準備率を引き上げて以降、銀行の窓口指導を強化して鉄鋼、セメント、アルミなど設備投資が活発な業種への融資を控えさせたほか、各地の開発区(工業団地)の整理に乗り出すなど強権的ともいえる行政手段で景気過熱の沈静化を図ってきた。
 今年4月以降、投資の伸びが鈍化して、中国政府は「コントロールの効果が表れた」としていた。ただ、7月に再び固定資産投資が上昇に転じ、消費者物価指数の上昇率も年初以来、上がり続け、9月には5.2%になった。このため、抜本的な金融引き締め措置が必要と判断して、利上げに踏み切ったとみられる。

◎北京市郊外に世界最大のモールが開業、総投資額500億円(2004年10月24日、産経新聞)
 北京市西部海淀区の住宅地に24日、敷地面積が東京ドームの約15個分の68万平方メートルという世界最大のショッピングモール「金源時代購物中心(ゴールデン・リソース・ショッピングモール)」が開店した。
 北京市でショッピングセンターを経営する企業と広東省深セン(セン=土へんに川)市の百貨店が共同で設立した会社が運営。総投資額は38億元(約500億円)という。中核になる超大型ショッピングセンターには高級ブランドなどのテナントが多数入り、日本のファッションを集めたコーナーもある。
 敷地内にはこのほか、100以上のレストラン、映画館やスポーツジム、主要メーカーのディーラーがそろった自動車販売センターなどがあり、1日10万人以上の来客を見込んでいる。(共同)

◎中国製靴下に輸入制限、米商務省(2004年10月24日、産経新聞)
 米商務省は22日、中国製靴下の輸入が急増し国内市場が打撃を受けているとして、緊急輸入制限(セーフガード)の発動を決めた。最近の輸入量に対して伸び率を6~7.5%増に抑える。
 米政府は事態の改善策について直ちに中国政府と協議に入る方針。90日以内に両国間で合意できない場合は、制限措置をさらに1年間延長する予定だ。今回の輸入制限発動は、大統領選を目前に国内繊維業界の支持固めを狙ったものと受け止められている。
 商務省によると中国からの靴下輸入は2003年に9000万ドル超に上り、前年の3倍以上になった。(共同)

◎東シナ海ガス田開発、中国、日本側で計画、政府抗議へ、外交問題化も(2004年10月18日、産経新聞)
 日本政府の抗議を無視する形で進めている、中国政府の東シナ海のガス田開発で、日本政府が主張している日本側水域で中国が新たな鉱区開発を計画していることが十七日、日本政府が入手した情報で明らかになった。中国は日本側水域近くでガス田開発を進めているが、日本側水域でのガス田開発の動きが判明したのは初めて。今回の情報が事実なら、中国が日本側水域内で主権を行使することになりかねず、重大な外交問題に発展するのは必至だ。
 東シナ海では、資源開発などの権利が認められる排他的経済水域(EEZ)をめぐり、日本は日中両国の海岸線から等距離地点を結んだ「中間線」を境界線としているが、中国は大陸棚が続く「沖縄トラフ」までをEEZとしている。
 中国は、日本がEEZと主張する日中中間線から約四キロ中国側に春暁鉱区を設定。来年中ごろの操業を目指してパイプライン敷設工事などを進めているが、日本政府は春暁鉱区のガス鉱脈が海底地下で日本側水域までつながっており、日本側の資源も吸い上げられると抗議している。
 今回、政府が入手した中国側の海洋資源開発計画によると、日中中間線を越え、日本側の海域に複数の鉱区を新たに設定していることが判明した。
 すでに開発権利を中国企業に与えているとの情報もあり、日本の権益が大きく侵害される懸念が高まっている。
 これまで中国側は日本政府の抗議に日中の共同開発計画を逆提案するなどして応じてきているが、日本側は「内容があいまいで、さらに日本側の海洋資源を侵食される恐れがある」(政府関係者)として応じない姿勢を保ってきた。
 しかし、十七日のフジテレビ「報道2001」に出演した中川昭一経済産業相は、「EEZ無視は友好的ではない」と強い不快感を示す一方、「事実関係を確認するため、実務者協議はむしろ早くやるべきだ」と強調。中国政府が東シナ海のガス田開発問題で打診してきた日中実務者レベル協議について、月内にも開催する方向で日中間で調整し、この場で、中国側が応じていない現場海域の地下資源データ提出を改めて求めたうえで、中国に開発地点について事実関係をただし、事実なら強く抗議する考えだ。
 排他的経済水域の境界画定は、日中間で棚上げ状態となっているが、今回の鉱区開発をきっかけに、再燃する可能性もある。

≪東シナ海海底資源開発≫
 日本が、資源開発などの権利が認められる排他的経済水域(EEZ)と主張する東シナ海の日中中間線付近の海底に石油や天然ガスの埋蔵があるとされ、中国は2003年8月、国際石油資本(メジャー)と共同で中間線付近の中国側水域で「春暁鉱区」など5カ所で開発に着手した。
 日本政府は、EEZの境界線が画定していないなど国連海洋法を根拠に付近海底の資源開発を許可してこなかったが、中国側の動きを受けて7月、中間線より日本側で海底資源探査に乗り出した。こうした日中対立のなか、メジャーは9月、東シナ海の事業から撤退を表明している。

◎上海ガニ、指輪でニセモノ対策、業者名と電話番号明記(2004年10月17日、朝日新聞)


 秋の名物としてシーズンを迎えた上海ガニに指輪をつけたものが登場した。最高級品の産地として知られる中国・江蘇省の陽澄湖産。偽物が大量に出回っているため、業者が本物を証明するために考案した。
 上海市内のあるレストランでは9月下旬から、直径約1センチ大のプラスチック製の白い丸い指輪をはめたカニを陽澄湖産として提供している。
 指輪の外側には業者名と電話番号、内側にはID番号が打ち込まれている。電話番号をダイヤルして証明番号を伝えれば本物か偽物かを確認できる。同店での値段は1杯約80元(約1000円)と例年並みだ。
 考案した蘇州市陽澄湖上海ガニ業協会によると、数年前から大量の偽物に悩まされ、これまでは甲羅にレーザー処理したシールを張った方法などを採用したが、効果はいまひとつだった。
 指輪の材質は、カニと一緒に調理しても問題ないものだという。特許も出願しており、同協会は「指輪は一度外すと付け直せない仕掛けになっており、指輪の偽物を作るのも相当難しいはずだ」と自信を見せる。
 指輪つきは同協会会員約40社に限られ、シーズン中の出荷は計600万~700万杯にのぼるとみられる。日本へも輸出されているという。

◎海運業界「冬の時代」脱出、中国成長で荷動き活発に(2004年10月17日、読売新聞)
 空前の好況に沸く海運各社が、過去最大規模の船舶の調達に乗り出している。中国経済の高成長で、素材や資源、工業製品などの荷動きが世界規模で活発になり、今後も増加が見込まれるためだ。
 運賃の上昇と、それに支えられた好業績も背景にある。現時点の計画では日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社で約630隻、総額は約3兆円近い規模になる。
 1980年代半ば以降の急激な円高で大規模リストラを迫られ、「冬の時代」が長かった海運業界だが、強気の投資で「わが世の春」を謳歌(おうか)している形だ。

・投資
 各社の投資計画では、日本郵船が2003~2007年度に1兆円を予定する。現在の船舶は616隻だが、2007年度までに210隻程度を新たに確保する。業界で最大の630隻を持つ商船三井も、2004~2009年度に1兆1600億円を投じ、243隻を調達する。川崎汽船も2004~2008年度に7300億円かけ、181隻を調達する。
 海運会社とは別の船主が保有し、海運会社が借りて使う「用船」も含まれているが、調達規模はいずれも過去最高水準という。コンテナ船、自動車輸送船、石油タンカーなど幅広い種類の船を建造する予定で、各社は「投資をさらに上積みする可能性もある」(商船三井)としている。

・背景
 中国経済の成長が最大の要因だ。中国向けでは鉄鉱石、原油などが伸び、中国発では建材や家電製品、日用品、電子部品などの輸送が増えている。日本郵船の調べによると、2003年の全世界の海上の荷動き量は、原油が18億2400万トンと前年比4%増え、鉄鉱石や穀物などバラ積み荷の総量も21億7100万トンと7%増になった。
 その結果、運賃も急騰し、石油タンカーの運賃指標は今年10月に2000年4月の2倍以上となった。こうした好況が、2004年3月期連結決算で大手3社がそろって過去最高の経常利益を出すなどの好業績につながり、新たな投資を生む好循環になっている。
 また、過去のリストラの徹底も海運の好調を支えている。海運会社は「代金決済の8割がドル建て」(商船三井)で、85年のプラザ合意後の急激な円高が業績に深刻な影響を与え、日本人船員を外国人に切り替えるなど、長期間、リストラに取り組んできた。このため「リストラを先取りし、バブル期にも続けてきた成果が今、出ている」(日本郵船)という面もある。

・展望
 中国を中心とした荷動きは、今後も増加が見込まれる。ロシアや南米など新興国の輸出入も増えると予想されている。日本郵船は、世界全体の2007年の海上輸送量について、原油で2003年と比べ14%、バラ積み荷でも18%増えると推計している。「中国で製品を作って消費地に運ぶなど国の間の水平分業の動きが広がっており、海上輸送の需要は当面、伸びる」(一柳創・大和総研アナリスト)との見方が強い。
 ただ、現在の運賃相場については「過去に経験のない水準で、このまま続くとは考えにくい」(民間アナリスト)とも見られている。各社が競って船舶調達を行えば、供給過剰に陥って、運賃が下落する懸念もある。中国経済が急失速すれば、需給のバランスが崩れる可能性も指摘される。
 さらに、「1ドル=1円の円高で16億円の利益が減る」(商船三井)という為替変動リスクも不安要因で、「春」が永遠に続く保証はないのが現実だ。

◎中国の外貨準備、5000億ドル、ドル買い介入で増加か(2004年10月17日、産経新聞)
 中国中央テレビによると、中国人民銀行(中央銀行)は15日、9月末の中国の外貨準備高が5145億ドルとなり、初めて5000億ドルを突破したと発表した。
 中国は通貨、元を米ドルに連動させるため元売りドル買い介入を続けており、外貨準備高が急増している。昨年末時点では4032億ドルだった。日本の外貨準備は9月末で8309億ドル(財務省調べ)。
 また、9月末の金融機関の貸出残高は前年同月比13.6%増だったが、伸び率は前年同月より大幅に縮小。通貨供給量も13.9%増と「年初に計画した合理的水準に戻った」という。
 中国人民銀行は最近の金融情勢について「国のマクロコントロールの方向に従って発展している」としている。(共同)

◎中国サッカー「存亡の危機」? 判定めぐり迷走 W杯出場ピンチ(2004年10月17日、産経新聞)
・協会解体論まで
 【北京=伊藤正】中国サッカー界が揺れている。国内プロ一部の「プレミアリーグ」で判定をめぐって試合放棄事件が発生、サッカー協会がその対応にもたつく間に、二〇〇六年ワールドカップ(W杯)一次予選での敗退がほぼ決定的になったためだ。ファンの怒りが爆発、中国サッカーは「存亡の危機」と有力メディアも伝えだした。
 試合放棄があったのは今月二日、北京現代と瀋陽金徳戦。1-1で迎えた後半29分、北京現代ゴール前でのクロスプレーを主審がPKと判定、不服の北京現代イレブンはピッチを離れ、十一年前のプロリーグ発足以来初の放棄試合を宣告された。
 「誤審」と確信する北京現代の抗議に対し、翌三日の審判委員会はビデオチェックの結果として誤審を否定した。サッカーに誤審は付き物だが、主審の判定は覆らないのは常識であり審判委の判断は当然だった。
 中国サッカー協会は当初、主審への処分を拒否、北京現代に厳罰を科す方針だったが、すぐ迷走を始める。プロリーグ創設以来の有力チームの北京現代がリーグ離脱も辞さない構えに出たからだ。北京現代の強硬姿勢の背景には、サッカー界の現状への強い不信がある。
 北京現代指導部は、過去繰り返されてきた八百長試合、審判の買収事件から闇賭博の放置などを中国サッカー弱体化とファンのサッカー離れの要因とし、今回の「誤審」事件もその延長線上にあると主張した。最大民間ネット「新浪網」のアンケートで75%が北京現代を支持したこともサッカー協会を動揺させた。
 規定では試合放棄に対する処分は三日以内に下すことになっているが、サッカー協会が決定を出したのは後半戦開始二日前の十四日。北京現代に瀋陽戦の0-3での敗北と三十万元(約四百万円)の罰金を科すと同時に、主審の後半戦出場停止という実質的に「誤審」を認める処分だった。
 北京現代は処分は不当としながら十六日の後半戦第一戦には出場した。各クラブが大赤字を出す一方で、放映権料などで利益を独占する中国サッカー協会が北京現代の離脱を恐れ、審判の権威を損なう妥協に応じたことを北京現代側が「評価」した結果だった。
 そうした中、北京時間十四日未明のW杯アジア一次予選第四組で中国はクウェートとのアウエー戦に敗退、勝ち点で並ばれ、得失点で2点差をつけられた。最終戦の相手(中国は3位の香港、クウェートは香港よりはるかに実力が劣る最下位のマレーシア)から中国のW杯出場はほぼ絶望的になった。
 メディアは、ホームでは勝ったクウェート戦の敗北の原因をオランダ人のアリ・ハーン監督の戦術ミスに帰した。新浪網のアンケートでも九割以上が監督の戦術ミスと答え、実績のないハーン氏を採用したサッカー協会の責任を追及する大合唱が起こった。
 共産党機関紙「人民日報」さえハーン監督批判に加わり、中国サッカーは「またも危急の時を迎えた」と評した。ファンの間でもサッカー協会解体論も強まっている。
 八月のアジア杯日中決戦後、反日騒動に発展したように、ファンのフラストレーションは極限に達しつつある。三年前の審判買収事件では、責任をほおかぶりしたサッカー協会幹部も今回は逃れられそうもない。

◎文化財密輸:日本人男性が無期懲役、01年に、上海紙報道(2004年10月16日、毎日新聞)
 国外持ち出し禁止の骨董(こっとう)品を中国遼寧省の大連空港から日本に持ち出そうとしたとして、日本人男性が文化財密輸罪で起訴され、01年に無期懲役の判決を受けていたことが、15日付の上海紙、東方早報の報道で分かった。
 瀋陽総領事館大連出張駐在官事務所によると、この男性(62)は今も服役中で「持ち出し禁止とは思わなかった」と話している。中国で骨董品を買い、税関申告せずに持ち帰る日本の旅行者は多いとされるが、摘発され、実刑判決を受けるのは異例だ。
 同事務所によると、男性は骨董品市場で陶器片などを10~30元(約130~390円)で約190点買ったが、持ち出し禁止品が含まれていた。量が多いため、日本で転売するため密輸しようとしたと認定され、01年12月に地元裁判所で無期懲役、02年2月の2審でも控訴棄却となった。(上海・共同)

◎集団買春:日本人20人摘発、駐在員ら2人起訴、上海(2004年10月15日、毎日新聞)
 中国上海の日本総領事館が15日明らかにしたところによると、5月末に上海を訪れた団体観光客ら日本人約20人が集団買春で摘発される事件があり、現在も拘束されている2人が今週起訴された。
 関係者によると、2人は日系企業の上海駐在員らで、集団買春を仲介した罪を問われた。団体は上海市内のナイトクラブで気に入ったホステスを宿泊先のホテルに呼び買春。起訴された2人はクラブを紹介するなど仲介をした。
 外国人の買春事件で拘束が長期に及び、起訴されるのは異例。罰金を払えば釈放されることが多いが、2人は集団買春を仲介したため、罪状が重いと判断されたようだ。
 昨年9月、広東省珠海市で起きた日本人観光客約380人の集団買春では、中国各紙が批判し、反日感情が高まって外交問題に発展したが、今回は中国紙は一切報じていない。
 関係者によると、添乗員が紹介したクラブを団体が拒否し、別のクラブに行ったため、怒った添乗員が警察に宿泊先などを通報したらしい。(上海共同)

◎松下、中国に世界最大級の家電生産基地建設へ(2004年10月15日、日本経済新聞)
 【上海=湯浅健司】松下電器産業は中国の浙江省に世界最大規模の家電生産基地を建設する。洗濯機や掃除機、エアコン関連など生活に身近な白物家電の工場を集約・拡充し、中国国内向けを中心とした一大供給拠点とする。既存工場も生かすため、投資額は300億円前後の見通し。中国家電最大手に匹敵する生産規模と価格競争力を確保し、2006年度には日本企業初となる中国売上高1兆円の目標達成を確実なものとする。日本の電機大手の中国戦略は現地最大手を目指した新たな段階に入る。
 松下は浙江省の省都、杭州市の経済開発区にある炊飯器や掃除機などの既存工場に隣接して、約30万平方メートルの敷地を確保。「松下杭州工業園」と呼ぶ巨大な工場群を建設する。

◎松下電器、中国の秀才囲い込み、大連理工大に専用コース(2004年10月13日、朝日新聞)
 松下電器産業は、中国での生産拡大に対応するため、優秀な中国人学生を囲い込み、ソフトウエア技術者に育成する戦略をとる。まず大連市の大連理工大学の協力を得て「松下グループ専用コース」を開設。松下グループが同大の学生を選抜し、日本語修得を含めた1年間の実務教育を実施。講師も同グループから送り込む。学生に松下への就職義務はないものの、コース履修者の半数程度は採用できると予想している。中国では企業の人材獲得競争が激化しているが、教育まで手がける「超青田買い」は異例の手法だ。
 コースは18日に開講する。7月の説明会に参加した学生約800人から、筆記試験と面接で第1期生40人を選んだ。対象は3年生で年間400時間の特別講義を実施、日本語に加え、ソフト開発に必要な技術などを松下グループの技術者数十人が分担して教える。学生の負担はゼロで、コース運営の資金は松下が全額提供する。
 中国の大学は9月から学期が始まるため、1期生がコースを終えると4年生で、ちょうど就職活動を始めるころになる。大連理工大は難関校の一つとされ、一線の技術者の供給源となることに期待を寄せる。
 関係者によると、中国の大学では外資系企業がスポンサーになる寄付講座などの例はあるが、全面的に企業が運営する例は極めて珍しい。松下は来年以降、ほかの大学にもコースを設置することも検討している。
 松下は現在、中国にグループ企業が60社あり、約6万人が働いている。03年度に約5800億円だった中国での生産規模を05年度には1兆円に引き上げる方針だ。ただ、事業拡大のカギを握る経営幹部や技術者といった現地の人材は、企業間で奪い合いの状況という。
 これまでも松下は北京と大連に「リクルートセンター」を設置し、グループ各社が一括採用を実施してきた。大連には今年1月、ソフトウエア開発拠点としてパナソニックソフトウェア開発(大連)有限公司を設立したばかりで、まず大連で学生の囲い込み戦略を手がけることにした。

◎中国の実質成長率、9.4%成長に、04年予測(2004年10月11日、日本経済新聞)
 【北京11日共同】11日付の中国各紙によると、中国社会科学院の経済分析チームは、ことしの中国の国内総生産(GDP)実質成長率が9.4%程度で2003年の9.1%をやや上回るとの予測を発表した。上半期の成長率は9.7%だったが、政府の引き締め政策の効果で通年ではさらに減速するとみている。
 05年については、大きな災害などがなければ8%以上の成長は可能としている。
 ことしの固定資産投資の伸びは24%と依然高い見通し。引き締め効果で05年には15%程度まで減速すると予測したが、GDPに占める固定資産投資の比率は50%を超える見通しで、比率を抑える対策が必要だと指摘した。
 ことしの輸出入の伸びは30%程度の勢いを維持するが、05年には20%程度に減速、貿易黒字も縮小に向かうとしている。

◎中国人民銀総裁、「元」の変動幅拡大を示唆(2004年10月3日、読売新聞)
 【北京=東一真】先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席した中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は2日、ワシントンで、米ドルに事実上固定している人民元の為替相場について「アジア通貨危機の特殊な状況下で形成されたもので、永久的なものではない」と述べ、今後、人民元相場の変動幅拡大など、為替を柔軟化する方針を示唆した。
 中国国営新華社通信のインタビューに答えた。
 ただ、周総裁は、今後の為替改革について、「中国のマクロ経済状況、周辺国・地域の金融情勢などを考慮しなければならない」とも述べ、人民元相場の柔軟化にはなお時間がかかるとの見方を示した。

◎中国であふれる家電ゴミ、テレビ年間1千万台にも(2004年9月30日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】世界最大の家電消費大国・中国で、電子ゴミの山が膨れあがっている。昨年中国で廃棄されたテレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、パソコン(主要5製品)は計約2800万台で、増加ペースは「一般ゴミの3倍」(中国紙)。中国政府は9月中旬、「生産者責任」などをうたった家電ゴミの「回収処理管理条例案」を初公表し、先進国にならった関連法制整備を始めた。
 中国国家発展改革委員会によると、5製品の昨年の生産量は計1億8200万台で、全国の普及台数は現在約9億台。多くが購入から10―15年の買い替え期を迎え、今後の廃棄量は、毎年テレビ1000万台、洗濯機600万台、冷蔵庫400万台などと見込まれる。500万台のパソコン、3000万機の携帯電話も更新期だ。
 急速な経済成長が続く中国では、都市部の大量消費に対応する基盤整備が間に合わない状態。経済発展に必用な資源や資材の枯渇も顕著で、再利用可能資源を有効活用する「循環型経済」の確立が国家の重要課題になっている。資源ゴミの処理施設、リサイクル網の整備は緊急課題だ。
 一方、欧米や日本など海外から中国に持ち込まれる電子ゴミも後を絶たない。「中国経済時報」紙によると、世界の電子ゴミ年間5億トンのうち、約7割が中国に運び込まれているという。政府は電子ゴミ輸入を禁止しているが、各地の「密輸基地」では、手作業で貴重金属を抽出するなどの違法処理が横行、環境汚染や人体被害が続出している。
 北京の環境専門家は「廃棄家電から、金になる枯渇資材を入手しようとする業者が幾重にも介在し、必要な部分だけを『取り捨て』しているのが現状。リサイクルルートを構築しても、機能するには時間がかかる」と困難を予想している。

◎中国が炭の全面輸出禁止、焼き鳥店への影響は深刻?(2004年9月28日、読売新聞)
 林野庁は28日、中国が森林保護を理由に、10月から木炭の輸出を全面禁止すると発表した。輸出禁止の期間は不明で、再開の可能性は低いとしている。
 中国産の木炭は、日本国内の消費量の約3分の1を占め、特にうなぎ店や焼き鳥店などで使われる白炭のシェア(市場占有率)は約8割を占める。
 林野庁は、おがくずを原料にした代替品の利用や、国内産の増産を関係業界に呼びかけている。
 林野庁によると、中国は8月26日付で木炭の輸出禁止を公告した。2003年の日本国内の木炭消費量は約18万トンで、うち中国からの輸入品は約6万3000トンをだった。
 備長炭などで代表される白炭は、均一で安定した火力を得られるため、料理店での需要が高い。
 業界では、約3~6か月程度の在庫があり、その後は代替品の「オガ炭」や他国からの輸入品への切り替える動きが広がりそうだ。しかし、中国産の白炭は、国内産(1キロ約600円程度)の約半額のため人気で、切り替えが順調に進むかは不透明だ。

◎焼き鳥、蒲焼きに影響か?中国が木炭輸出を全面禁止へ(2004年9月28日、朝日新聞)
 中国政府が10月から、木炭の輸出を全面的に停止する方針であることが28日、明らかになった。森林の保護など環境対策が理由という。日本でウナギのかば焼きや焼き鳥などに使う木炭の多くを中国産に依存しており、飲食業界などへの影響は大きそうだ。
 中国では、国土に占める森林の割合(被覆率)は16.55%(02年)と日本の約4分の1。国家林業局は森林開発を制限し、被覆率を2050年に26%まで引き上げる国家目標を打ち出している。
 木炭は木材を大量に使用するため、商務部は昨年8月、断面直径4センチ、長さ10センチ以上の木炭の輸出を禁止していた。今回は、その措置をさらに拡大することになる。
 林野庁によれば、03年の中国産木炭の輸入量は6万2000トンで、輸入量全体の半数以上を占める。特にウバメガシが主な原料で安定した火力が長時間にわたって得られる白炭は、高級品が「備長炭」として飲食店に珍重されるが、4万4000トンの国内消費量のうち中国産が3万6000トンだ。
 中国からの輸入が止まった場合、「減った供給量を早急に補うことは難しい」(林野庁特用林産対策室)という。
 ただ、4カ月分の消費量程度の中国産木炭の在庫があるため、林野庁は「在庫を使い切る前に、国産の生産量を増やしたり、マレーシアなどからの輸入量を増やすなどの対策を実施する」という。
 また業者によっては、のこぎりくずを加工して生産し、白炭に似た性質を持たせた「オガ炭」への切り替えで代替を図るところも出てきそうだ。

◎遺棄化学兵器を回収、中国・黒竜江省(2004年9月23日、朝日新聞)
 中国・黒竜江省寧安市の製鉄所で発見された旧日本軍の遺棄化学兵器の発掘・回収が今月上旬から始まり、22日、作業が報道陣に公開された。化学兵器禁止条約に基づき、日本の責任で行う発掘・回収作業は00年9月から始まり、今回が6度目となる。
 製鉄所にはくしゃみ剤やマスタードガスなどが入った約700発の砲弾などが埋められていると推定されている。日本側からは約40人、中国側からは約160人が参加。作業は6日から28日までで、期間中、周辺の住民は避難を余儀なくされている。
 自衛隊員が土中の砲弾などを手やスコップで掘り起こす。それを自衛隊OBらが、化学兵器かどうかの鑑定を行う。緊張を強いられる上に防護服での作業のため、大量の汗をかく厳しい作業だ。中国の若い軍人は「暑い」とつぶやいていた。
 21日までに111個の砲弾類が発掘された。26個が化学弾と判定され、保管のために仮梱包(こんぽう)された。化学弾かどうか不明の弾はエックス線鑑定に回され、通常弾は中国側が処分する。

◎中国、対日割りばし輸出に批判、環境破壊ないと業界反論(2004年9月22日、毎日新聞)
 中国紙、国際商報はこのほど、中国から日本に輸出される大量の割りばしをめぐり、中国国内で「森林資源を破壊している」との批判が高まっており、業界側は「環境破壊には当たらない」と懸命に反論していると報じた。
 同紙によると、中国は2003年に世界30カ国以上に割りばしを輸出し、1億2000万ドル(約132億円)以上を稼いだ。輸出の65%は日本向けだという。
 森林資源減少を防ぐため、中国政府は01年に全国的な伐採量の上限を設定。だが、同紙によると、業界団体幹部は、割りばしに使われる木材は年150万トン程度で、03年の木材商品生産量の約3%に過ぎないと説明。また、原料はカバなど繁殖力が強く用途の少ない樹木が中心だとして、環境への影響は小さいと強調した。
 中国の生産業界は、日本で中国製割りばしから漂白剤が検出されたことなどで輸入検査が強化されたことにも危機感を強めているようだ。業界団体幹部は、日本の輸入業者団体と交流を強化し、粗悪品防止に向け、製品規格制定や安全性向上を進めていると強調した。(共同)

◎江沢民氏、軍事委主席を辞任・胡錦濤氏が3権掌握(2004年9月19日、日本経済新聞)
 【北京=宮沢徹】中国共産党が16日から開いていた第16期中央委員会第4回全体会議(4中全会)は19日に閉幕し、党中央軍事委員会の江沢民主席(78)が辞任、後任に胡錦濤国家主席(党総書記、61)を選出した。これで2002年に総書記に就任した胡氏が党、政府、軍の3権を掌握。名実ともに胡錦濤体制へ移行する。
 党軍事委主席の交代は、トウ小平氏から江氏へポストを譲った1989年以来、15年ぶり。江氏は来春の全国人民代表大会(全人代)で国家中央軍事委主席からも退く見通しで、完全引退となる。
 江氏は上海市長などを歴任、1989年の天安門事件直後に党総書記に抜てきされ、その後、党軍事委主席、国家主席も兼務した。2002年に総書記、2003年に国家主席の座を胡氏に譲って以降も党軍事委主席にとどまり胡氏に強い影響力を及ぼしてきた。台湾問題などが緊迫する中、軍に依然として強い基盤を持つ江氏が引退後も一定の発言力を維持するとの指摘もある

◎江沢民氏が完全引退、胡錦涛氏、3権掌握(2004年9月19日、産経新聞)
 北京で16日から開かれていた中国共産党の第16期中央委員会第4回総会(4中総会)は19日、江沢民党中央軍事委主席(78)の退任と胡錦涛総書記(61)の同主席就任を承認して閉幕した。
 江氏が来春の全国人民代表大会(全人代)で国家中央軍事委主席から退くのは確実で、完全引退となる。これで2002年の第16回党大会で総書記に就任した胡氏が党、政府、軍の3権を掌握。権力の引き継ぎが完了し、温家宝首相との「胡・温体制」が独り立ちする。
 しかし、江氏は軍に絶大な影響力を保持しており、引退後も故鄧小平氏に倣って一定の影響力を発揮しそうだ。(共同)

◎中国・長江上流で「2百年に一度の洪水」、172人死亡(2004年9月9日、朝日新聞)
 中国西部を流れる長江(揚子江)上流域の重慶市と四川省で、大雨による洪水の被害が広がっており、華僑向け通信社の中国新聞社などによると、8日午後2時までに計172人が死亡し、緊急避難などの被災者が計800万人を超えた。重慶では4日から集中豪雨が続き、地元メディアは「200年に1度の大洪水」と報道。中央政府も救援物資を送るなど対応に追われている。
 洪水地域は重慶市北東部の開県から、隣接する四川省東部の達州市にかけての山間部。倒壊家屋は約11万棟、けが人が9000人近くにのぼるという。家や橋が流され、開県では水や電力の供給が止まり、交通や電話も遮断されるなど一時「陸の孤島」となった。
 重慶での農作物などへの被害は推定約20億元(約260億円)。今月中、さらに広範囲に大雨が降るとみられている。中国気象局によると、6月から8月にかけて全国で気象災害による死者数は計745人。全人口の約8%の1.1億人が被災した。全国30余りの省や市で900回に及ぶ雷雨や強風、竜巻などの災害が発生。8月中旬は沿海部の浙江省に台風が上陸し、168人が死亡した。

◎被告の量刑、コンピューター任せ、山東省で「電脳量刑」(2004年9月8日、朝日新聞)
 中国沿海部の山東省の地方裁判所が、コンピューターで被告の量刑を確定する「電脳量刑」を全国で初めて導入し、議論を呼んでいる。裁判所側は「公平性が保証された」と胸を張るが、「個別の事情を軽視し、逆に公平さを失う」と、コンピューター任せにすることに反発する声もある。
 電脳量刑を採用した裁判所は、山東省シ博市シ川区の同区人民法院(裁判所)。地元メディアの報道では、同裁判所は01~03年に結審した1300件余りの刑事事件を盗みや汚職、強盗など犯罪別に11種類に分類。法律上の量刑や実際の判決などを統計的に処理し、量刑のモデルになるソフトを開発した。裁判官がコンピューター上で被告の犯罪状況や情状酌量などのデータを加えると、適切な量刑が決められるという。
 今年3月に導入され、量刑を決めるための所要時間は、簡単な傷害事件の場合、わずか3分という。同裁判所で今年上半期に電脳量刑を使った判決は190件余り。裁判官の裁量に任される量刑は中国では公正さに疑いが出るケースもあるが、電脳量刑については量刑を不服とした控訴はゼロだという。
 電脳量刑の是非を巡っては、中国中央テレビ(CCTV)も特集番組を放送するなど議論が白熱。地元紙は「犯罪は千差万別で、電脳量刑は見た目は派手だが、限界がある」など厳しい声を伝えている。

◎中国、アニメ・ゲーム産業振興へ計画作り(2004年9月4日、日本経済新聞)
 【北京=飯野克彦】中国政府はアニメ・ゲーム産業の振興計画作りに着手した。国産アニメ・ゲームを3~5年以内に国内市場の主流に育て、10年以内に国際市場でのシェア確保を目指す。中国では外国産のアニメ・ゲームが市場を席巻しており、教育的な観点からも国産の振興を求める声が強まっている。
 3日の中国共産党機関紙「人民日報」によると、文化省は最近、専門的な研究グループを設置した。同グループが中心になって、振興計画や関連政策・法律などの制定を加速する。
 振興計画の草案にはアニメ・ゲーム産業の拠点となる重点地区の建設や、有力企業の育成、人材の訓練・育成などを盛り込んでいる。文化省はすでに7月、上海を「国家アニメ・ゲーム産業振興基地」と位置づけており、上海が中核的な拠点の一つとなる。

◎中国の石油輸入、マラッカ有事に備えミャンマー経由も2004年9月3日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】高度経済成長を続ける中国が石油確保に躍起だ。特に頭が痛いのは、中東地域などからの石油輸送ルートとなっているマラッカ海峡がテロや大事故などで航行不能になる事態。「マラッカ・リスク」回避のため、ミャンマーと中国雲南省を結ぶ中国のパイプライン建設が現実味を帯び始めている。
 「エネルギー安全保障戦略の一つは、インド洋からミャンマー経由で雲南省に入る南西ルートの開拓だ」
 中国紙「北京晨報」によると、7月30日、エネルギー戦略の会議で、共産党中央政策研究室の李連仲・経済局長は、こんな構想を明らかにした。
 中国のエネルギー情勢は厳しい。2003年は石油輸入が9000万トンを突破し、今年は1億2000万トンを超える見通しだ。李局長によると、2020年の中国の石油消費量は少なくとも5億トンに達し、輸入依存度は60%に上る。政府は中東依存度を低下させるため、中央アジアのカザフスタンからのパイプライン敷設に今月着工するほか、アフリカや中南米など石油輸入源の多角化を模索しているが、輸入石油の5分の4はマラッカ海峡を通過する。
 李局長は「マラッカ海峡を支配する者はいつでも中国の石油の安全を脅かすことができる」と危機感をあらわにした。同海峡介入に熱心な米国を念頭に置いた発言で、石油調達の動脈が米国の影響下に置かれたくないとの本音をのぞかせた。
 雲南省昆明とミャンマー西部の港湾都市シットウェを結ぶパイプラインは、全長1700キロで、建設費用は総額20億米ドル程度と見られる。7月中旬、訪中したミャンマーのキン・ニュン首相と中国指導部との会談では、「パイプライン建設は議論していない」(北京のミャンマー大使館)という。ただ、「双方はパイプライン問題に触れた」(中国紙・二十一世紀経済報道)との報道もあり、検討段階に入ったとの見方が強い。
 マラッカ海峡回避策としては、タイが掲げるマレー半島横断パイプライン構想もあるが、半島の両側で石油を積み下ろしする手間とコストがかかるだけに、ミャンマー・ルートの方が実現可能性が高いという。
 ただ、昆明から、石油需要が逼迫(ひっぱく)している東部沿海地方まで輸送する新たなパイプラインが必要になるのは難点。ミャンマー・ルートの決定はタイなど周辺国家の理解を求める必要もあり、実現までにはまだ曲折がありそうだ。

◆マラッカ海峡
 南シナ海とアンダマン海を結ぶマレー半島とスマトラ島との間の水路(全長約800キロ)。年間5万隻の船舶が行き交い、世界貿易量の4分の1強、石油輸送量の約半分が通過する。テロ攻撃や事故発生などによる危険にさらされている。

◎中国のエチレン生産、2010年に日本抜き世界2位に(2004年年9月1日、日本経済新聞)
 【上海=川瀬憲司】米欧の石油化学品大手が相次ぎ中国で化学製品の基礎原料であるエチレンの生産を始める。化学品世界最大手の米ダウ・ケミカルが中国最大規模の工場新設を決め、独BASFなどの設備も来年半ばに稼働する。2010年の中国のエチレン生産能力は日本を抜き米国に次ぐ世界第2位となる。自動車、家電、素材分野で中国生産を加速させている日本企業にとって原材料の安定確保につながる半面、汎用樹脂では世界的な価格競争激化も予想される。
 ダウのジェームズ・マッキルベニー・大中華地区社長は「10年までにエチレン生産を始める」ことを明らかにした。生産能力は年100万トンで中国では最大規模。周辺のインフラ整備などを含めた総投資額は約30億ドル(約3300億円)に達する見通し。進出候補を上海周辺や広東周辺、華北など中国沿岸部の約5カ所に絞っった。中国で外資がエチレン生産する場合、出資上限は50%。合弁先の選定など「04年中に詳細を決めたい」という。

◎日本6社連合など3社に分割発注、中国・在来線高速化(2004年8月29日、朝日新聞)
 中国鉄道省は29日までに、国内在来線を現在の2倍の時速200キロに高速化するプロジェクトの入札の結果、川崎重工業など日本6社連合と連携した中国企業を含め、応札したフランス系、カナダ系の3社すべての落札を決めた。国営新華社通信が報じた。
 今回のプロジェクトは、同じく入札が予定され、日本が新幹線採用を売り込む北京~上海間の高速鉄道計画に先立つ事業。日本連合はJR東日本の東北新幹線「はやて」の改良車両で応札しており、新幹線が中国を走行すれば、その技術をアピールできることになる。3社がどこを分担するかは明らかではない。ただ、高速化プロジェクトの対象となる北京~瀋陽(遼寧省)など5路線(約2000キロ)を走る計200編成を3社が分割して受注する可能性が高い。
 新華社電によると、今回の入札は「先進技術を導入し、共同で設計・生産を行い、中国ブランドを構築する原則」に基づいて実施。応札額や車両製造技術のほか、中国側への技術協力なども考慮して最終決定したもようだ。
 ただ、実績面などから、日本連合と仏重電大手アルストムが有力とみられていた。日本単独落札の場合には「反日感情」が高まることも予想され、「3社落札」に落ち着いた可能性もある。(時事)

◎日系など3社とも落札、中国の在来線高速化事業(2004年8月29日、産経新聞)
 29日の新華社電によると、中国鉄道省が来年予定している国内在来線の高速化プロジェクトに向け、7月下旬に実施した新型車両の競争入札で、川崎重工業を含む日本企業6社と提携した中国の鉄道メーカーをはじめ、応札した3社がいずれも同日までに落札した。
 3社は、日本企業と提携している車両製造大手「南車四方機車車両」(山東省)、フランスの鉄道車両・重電大手アルストムと組んだ「長春軌道客車」(吉林省)、カナダの航空機・鉄道車両総合メーカー、ボンバルディア系の「青島四方ボンバルディアパワー鉄路運輸設備」(山東省)。
 同プロジェクトは時速200キロでの車両運行を計画しており、入札は合計200編成(1600両)が対象。日本はJR東日本の東北新幹線「はやて」を改良した車両で対応する予定で、中国国内を日本の新幹線型車両が走ることになる。(共同)

◎中国、東シナ海ガス田でパイプライン着工(2004年8月27日、読売新聞) 【北京=佐伯聡士】中国南京市の夕刊紙「揚子晩報」(電子版)は26日、日中間の懸案になっている、東シナ海の日中中間線近くで中国が進める天然ガス田「春暁」の開発が実質段階に入り、ガス田と陸地を結ぶ470キロの海底パイプラインの敷設工事が始まったと伝えた。
 同紙によると、春暁は4つのガス田からなり、総面積は2万2000平方キロ。来年5月に第1期工事が完成し、稼働できる見通しで、浙江省と上海に、年間25億立方メートルの天然ガスを供給する計画だ。

◎中国の電話利用者6億人突破(2004年8月24日、産経新聞)
 新華社電によると、中国の固定電話と携帯電話の利用者数が合計で初めて6億人を突破したことが23日、情報産業省の統計で判明した。
 急増する携帯電話の利用者数が7月末時点で3億1000万人に達し、固定電話も2億9900万人にまで増えた。携帯電話で送受信するショートメールの送信数は1月~7月までで1178億件に達し、前年同期比68.7%増となった。(共同)

◎中国初の「ヌーディストビーチ」、猛抗議で白紙に(2004年8月24日、朝日新聞)
 中国初とみられる「ヌーディストビーチ」が浙江省臨安に誕生しかけたが、案の定、反対の声があがり、見送られた。
 地元紙によると、論議の舞台は狼牙灘という海岸。その地域の環境や景観を維持する管理事務所の職員が、全裸で泳ぐ女子学生を目撃、「注意するにも近づけず、困惑した」。その話を聞いた同事務所では、禁止するのではなく、大胆に発想を転換して、厳格に管理するヌーディストビーチを作ることにした。男女を分け、お互いに見えない専用区域を設け、看板も用意した。
 だが、地元から「風紀が乱れる」「裸を利用した商売だ」と激しい反対が出て、開設は見送られた。知識人から「裸で泳ぐことは別に異常ではない」と擁護する意見も出て、議論が続いている。

◎人材育成で無償資金協力、中国に9億6800万円(2004年8月24日、産経新聞)
 政府は24日、中国に対し、遼寧省大連市に人材育成センターを建設するための建設費や機材調達費の一部として、9億6800万円を限度とする無償資金協力を行うと発表した。
 資金を供与するのは、大連市当局と中国政府が建設を計画している「日中友好大連人材育成センター」。実用的な日本語能力と、情報技術(IT)や工学、経営などの専門知識を兼ね備えた人材育成を目的としている。
 大連市には約2150社の日系企業が進出。これらの企業にとって、経営への参加が可能性な優秀な人材の確保につながると期待されている。

◎対中貿易収支、初の黒字、電子、自動車部品の輸出で(2004年8月24日、産経新聞)
 日本貿易振興機構(ジェトロ)は24日、2004年上半期(1~6月)の日中貿易調査をまとめ、香港経由の取引を含めた対中貿易収支(輸入ベース)は11億3541万ドルの黒字になったと発表した。半期ベースながら、統計のある1993年以来、黒字となったのは初めて。
 輸出は中国への日系企業の進出で半導体、液晶などの電子部品や自動車部品が好調だった。中国の経済成長に支えられ、鉄鋼、プラスチックといった原料や建設機械も増加した。前年同期は8億9614万ドルの赤字だった。
 日本にとって中国は衣料や食品の輸入先という従来の関係が変わり、製品や部品を輸出する巨大市場になりつつある実態があらためて浮き彫りになった。
 輸入は衣料品や食品に加え、現地に進出した日系企業で生産した事務機器や携帯電話が増えたが、輸出の伸びには及ばなかった。「通年でも黒字を維持する」(ジェトロ)とみている。
 上半期の貿易総額(輸入ベース)は前年同期比29.3%増の885億6122万ドルで、93年以来、上半期としては最高となった。

◎NEC、中国向け携帯拡大・06年度500万台目指す(2004年8月22日、日本経済新聞)
 携帯電話機国内最大手のNECは2006年度、中国向けの携帯電話出荷台数を今年度計画比2.5倍の500万台超に拡大する。インターネット接続機種など高性能機の拡大が見込める中国を携帯電話の海外主力市場とし、フィンランドのノキアなど首位グループを追撃する。拡販に向け、中国内のEMS(電子機器の受託製造サービス)会社に年間1000万台弱の委託生産枠を確保する。
 NECは04年度の中国向け携帯出荷を前年度の倍の200万台、05年度には300万台に増やす計画。携帯電話需要が急増する中国では来年以降に第三世代サービスも始まり、カメラ付きやネット接続など国内市場で培った技術が生きると判断した。投入機種も前年度の10機種から20~30機種に広げる。

◎東論西談:反日ブーイング騒ぎ(2004年8月15日、毎日新聞)
 終戦記念日の8月15日は、中国では抗日戦争勝利記念日と呼ばれる。8年に及んだ日中戦争の勝利を祝う日ということになっている。しかしこの国で、戦争の英雄をたたえる姿を見ることはまれだ。目に付くのは、戦争で亡くなった家族をしのび、記念碑に花輪をささげる人たちの姿ばかりである。
 実際のところ、中国が日本軍を戦闘で追い払ったわけではない。日本軍の方が対米戦争で大敗し、自分から崩壊していったのである。だから中国の人が戦争で想起するのは南京虐殺であり、戦勝記念日には「抗日戦争の歴史を思い出し、国家が味わった恥辱を忘れず、中華を振興させよう」と誓い合う。
 ところが、大方の日本人が戦争の相手として記憶しているのは米国である。米軍機による空襲や広島と長崎への原爆投下もあって、自分たちも「被害者」だという意識が強い。
 しかしそうした考えに立った振る舞いは、中国人には不快感を与えるようだ。日本人が加害者意識を欠いた行動をとると、中国の人は過去の日中戦争という悲劇を軽視されたり、ひょっとすると無視されているのではないかと反発する。
 中国が日本に対し、過去の侵略を謝罪せよと繰り返し迫るのも、そうした事情があるのだろう。日本人が加害者であるという意識を持ち続けてくれなければ、戦争で死んでいった人たちが浮かばれないと考えるのである。
 こうした構図は変わらなく続き、59年という時が過ぎた。そして、サッカーのアジア・カップのあの反日ブーイング騒ぎが起きた。
 中国の若者は、重慶、済南、そして北京で、日本の国歌吹奏をブーイングで妨害したり、日本人にゴミや石を投げつけた。中国人は歴史上の被害者で日本人に抗議する権利があるから、少々のことは許されると考えたのかもしれない。
 ところが、日本を含めた世界のメディアは、そうやって暴れる中国の若者を批判的に報じた。反日感情をどうこう言う以前に、あまりのマナーのひどさ、品の悪さにあきれかえった。そして中国の人たちはこの瞬間、日本人に対する「加害者」に転じてしまった。
 実は中国のメディアは、この騒ぎの具体的な内容も、世界の反応も伝えていない。それでいて「中国で反日感情が生じたのは、小泉純一郎首相が靖国神社を参拝したからだ」と主張し、責任は日本にあると指摘している。
 ただ一方で「(中国側にも)反省に値する点がたくさんある」「過激な反日感情は民族の利益に合致しない」といった、新しい論調も出るようになってきた。こういった指摘が、これからどういう議論に発展していくのかはわからない。しかし、過去の歴史の文脈を超えるような発想を生み出す可能性も秘めているように思われる。
 日本では、先の戦争の歴史と今回のブーイング騒動をからめて考えるような動きは出ているのだろうか。【北京・上村幸治】

◎中国で重刑受ける日本人急増、初の死刑執行の可能性も(2004年8月15日、朝日新聞)
 日本人が中国や香港から覚せい剤を日本に持ち出そうとして逮捕され、無期懲役や死刑などの重刑を受けるケースが急増している。海外では前例がない日本人への死刑執行も懸念されている。失業者らお金に困った人が暴力団などに少額の報酬で「運び屋」を引き受けさせられ、摘発された例が目立ち、外務省はホームページなどで注意を呼びかけている。
 外務省によると、摘発が急増した03年から今夏までの間に、広州、大連、瀋陽、上海など中国各地や香港で計16人が逮捕され、裁判にかけられている。今年2月には瀋陽で逮捕された60代の男性に地裁で死刑判決が下った。7月にも香港で昨年7月に逮捕された男女それぞれに、懲役もしくは禁固14年8カ月と25年の判決が出た。
 中国の刑事裁判は二審制。控訴をした場合でも、判決は高裁で確定する。
 海外で極刑の判決を受けた日本人としては、フィリピンで大麻所持で死刑判決を受け、03年に禁固40年に減刑された男性がいる。だが、中国では死刑確定後の即時執行が一般的で、減刑嘆願も効果はさほどない。中国の刑法では、50グラム以上の薬物所持や販売の最高刑は死刑。外国人が死刑になる例もしばしばある。
 中国での日本人の薬物がらみの摘発は毎年1~2人程度だったが、03年から急増した。薬物汚染が深刻化し、中国政府が取り締まりを強化していることが背景にあると見られる。北朝鮮の工作船による海上ルートでの日本国内への持ち込みに対して、日本当局の監視が強まり、中国経由で日本に持ち込むルートが開拓されつつある、との見方もある。
 摘発されたケースの大半は、現地で渡された覚せい剤を持ち出そうとして空港で発覚している。外務省によると、日本国内で暴力団が失業者、ホームレスらに数十万円程度の報酬で中国に受け取りに行かせており、「中身も知らず、中国では薬物関係の刑罰が非常に重いことにも無知な人が多い」(同省海外邦人安全課)という。
 外務省はホームページで中身の分からない物品の運搬の依頼は断るよう呼びかけている。ただ、司法は主権にかかわるため、日本政府が中国政府に減刑を求めることは基本的にはしない。家族による減刑嘆願書を現地の司法当局に渡す手伝いをするぐらいだという。

◎上海の猛暑対策、人工降雨が郊外の一部で成功(2004年8月11日、日本経済新聞)
 【上海11日共同】猛暑で電力不足が深刻になっている中国上海市で、気温を下げるための「人工降雨」作戦が10、11日の2日連続試みられ、11日、市郊外の一部地域で成功した。
 上海テレビなどによると、浦東新区や南匯区、閔行区で降雨量が最大14.2ミリに達し、気温が31度から4.2度下がった。市当局は空軍から軍用輸送機を借用し、ヨウ化銀を入れた「降雨誘発弾」を雲に向け発射。10日は、一部地域で小雨が降っただけで失敗していた。ヨウ化銀は、雲の中の細かい水滴が凝集し雨になるのを促す。報道によると、一回当たり約470万元(6300万円)の経費が掛かる。隣の江蘇省で7月下旬に実施した際は、気温が3~10度下がった。

◎電力不足の上海、猛暑対策の人工降雨失敗(2004年8月11日、日本経済新聞)
 【上海11日共同】猛暑で電力不足が深刻となっている中国上海市で10日、気温を下げるため「人工降雨」作戦が試みられたが、降雨量はごくわずかで失敗に終わった。
 11日付の上海各紙によると、市当局が空軍から軍用輸送機を借用。10日正午すぎから約一時間半、郊外の上空を飛行し、ヨウ化銀を入れた「降雨誘発弾」200発を雲に向けて発射した。2時間後に一部地域で小雨が降ったが、降雨量は0.1ミリにも達しなかった。ヨウ化銀は雲の中の細かい水滴を凝集、雨になって落ちるのを促す。報道によると、一回当たり約470万元(6300万円)の経費が掛かる。隣の江蘇省で7月下旬に実施した際は人工降雨に成功し、気温が3~10度下がった。上海市気象局は「設備のテストとしては成果があった」としており、8月末までに再び実施する計画だ。

◎ネットで政府転覆を扇動、反体制活動家の控訴棄却、中国(2004年8月11日、産経新聞)
 新華社電によると、中国湖北省の高級人民法院(高裁)は11日、インターネット上で「政権転覆」などを扇動した罪に問われ、一審で懲役3年、執行猶予4年の判決を受けた同省武漢市出身の反体制活動家、杜導斌被告(40)の控訴を棄却した。
 一審判決などによると、杜被告は同省孝感市内で医療保険事務などを担当していたが、2002年から03年にかけネット上で国家政権や社会主義体制の転覆をあおる主張を発表したとして昨年11月に逮捕。今年6月に孝感市の地裁で有罪判決を受けた。
 中国政府は国内でのインターネットの発達とともに、ネット上の政治的な言論に対する取り締まりも強めており、外国の人権団体などから批判が相次いでいる。(共同)

◎猛暑対策の人工降雨失敗、電力不足の上海で(2004年8月11日、産経新聞)
 猛暑で電力不足が深刻となっている中国上海市で10日、気温を下げるため「人工降雨」作戦が試みられたが、降雨量はごくわずかで失敗に終わった。
 11日付の上海各紙によると、市当局が空軍から軍用輸送機を借用。10日正午すぎから約1時間半、郊外の上空を飛行し、ヨウ化銀を入れた「降雨誘発弾」200発を雲に向けて発射した。2時間後に一部地域で小雨が降ったが、降雨量は0.1ミリにも達しなかった。
 ヨウ化銀は雲の中の細かい水滴を凝集、雨になって落ちるのを促す。報道によると、1回当たり約470万元(6300万円)の経費が掛かる。隣の江蘇省で7月下旬に実施した際は人工降雨に成功し、気温が3~10度下がった。
 上海市気象局は「設備のテストとしては成果があった」としており、8月末までに再び実施する計画だ。(共同)

◎JFE、中国に高炉建設計画、日系企業に製品供給(2004年8月11日、朝日新聞)
 鉄鋼大手のJFEスチールが、中国・広東省に製鉄の中核設備である高炉の建設を計画していることが11日、明らかになった。中国企業との合弁事業になる見通し。鉄鉱石などの原材料から高品質の鋼板を製造するまでの一貫生産体制を築き、現地に進出している日系自動車メーカーなどに製品を供給する。日本の鉄鋼メーカーが海外に高炉を建設するのは戦後初めて。
 合弁相手となるのは中国の国有中堅鉄鋼メーカー、広州鋼鉄企業集団(広州市)。総事業費は1000億円超にのぼる。稼働は08年ごろとみられる。
 広州鋼鉄は生産効率を上げるため、粗鋼から高級鋼板までを一貫して生産する計画を進めている。JFEはこれに協力する形で、技術、資金の両面で高炉建設を主導する方向だ。両社は昨年12月、日本などから輸入した冷延鋼板に、めっき処理を施す合弁会社を設立するなどすでに提携関係にある。
 表面処理した薄型の高級鋼板は日本の鉄鋼メーカーが得意とする分野で、海外に進出している自動車メーカーからの引き合いが強い。広州市には、ホンダと日産自動車の現地企業や乗用車の合弁工場がある。06年からはトヨタ自動車も同市で乗用車の合弁生産を始める予定で、日系企業の需要だけでもかなりの増加が見込まれる。このため今後、中国で同様の大型投資が広がる可能性がある。

◎中国雲南省でM5.6の地震、3人死亡、200人以上けが(2004年8月11日、産経新聞)
 中国国家地震局によると、10日午後6時26分(日本時間同7時26分)ごろ、中国雲南省北東部の昭通市魯甸県でマグニチュード(M)5.6の地震があった。同局のこれまでのまとめで3人が死亡、200人以上がけがをした。
 北京の日本大使館には日本人の被害に関する情報は入っていない。
 震源の深さは不明。現場は省都の昆明市から北東に約255キロ離れた山間部の農村地帯。
 国家地震局によると、同県で2人、隣接する昭通市昭陽県で1人の住民がそれぞれ死亡。現場からの通信が途絶えているため詳しい被害状況は把握できず、死傷者は増える可能性がある。新華社電によると、多くの家屋が崩壊するような状況ではないという。
 魯甸県では昨年11月にも2回、M5.1と5.0の地震が起き、計4人が死亡、120人余りがけがをしている。今回の震源も昨年の2回とほぼ同じ地点で、現場では余震が続いている。(共同)

◎荏原、中国を環境装置の輸出拠点に(2004年8月10日、日本経済新聞)
 荏原は中国で環境装置事業を強化する。北京に新設した統括会社に既存の現地法人3社を統合。水処理やごみ処理、大気汚染防止装置などを総合的に展開する。設計要員なども増やし、中国での売り上げを2003年度の35億円から10年度は約3倍の100億円に増やす。設計や調達の工夫でコスト競争力を磨き、東南アジアや欧米への輸出拠点に育てる。
 中国では受注業務などを担当する北京、水処理装置を手がける上海、ごみ処理装置を扱う青島の子会社3社が役割を分担しながら環境装置を展開してきた。これを統括会社が統合。全拠点で水処理、ごみ処理、大気汚染防止など環境装置全般を手がけられる体制にする。ボイラーや発電所で使う排ガスの脱硫装置も新たに取り扱う。設計や営業など現地での人員は現状の約75人から2010年までに125人に増やす。現地での設計体制を強化するとともに、日本からも指導員などを派遣する。中国拠点を「ローコストエンジニアリングセンター」と位置づけ、コスト競争力を武器に、東南アジアや欧米で受注した環境装置の設計や部品輸出などを手がける。

◎中国サッカーファンの反日行動、NYタイムズ紙も詳報(2004年8月10日、日本経済新聞)
 【ワシントン=吉田透】9日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、中国で開かれたサッカーのアジアカップで中国人の観客が示した反日的行動を詳しく報じた。7日の決勝で中国代表が日本代表に敗れた後、中国の若者らが日の丸を焼いている写真なども掲載した。
 北京発の記事は第三面のトップで大きく扱われた。「日本への憤怒の強まり、サッカー敗戦で垣間見える」との見出しの記事では、決勝戦だけでなくアジアカップのすべての日本戦で、中国人観客が日本代表に激しいブーイングを浴びせたり、試合前の君が代斉唱時に起立しなかったりしたことなども伝えた。
 中国の若い世代の反日意識の強まりは日本との政治・経済面でのつながりを強化したいと考える中国政府の思惑を妨げかねないとするコロラド大のグリーズ教授の見解も載せた。決勝戦で、日本の勝ち越し点となった二点目については中田浩二選手のハンドだった可能性があると指摘。スタジアムの巨大画面に得点場面がリプレーされなかったのは、当局者が観客の反応を恐れたためではないかと推測している。

◎中国の「民族感情」批判、アジア杯サッカーで台湾紙(2004年8月9日、産経新聞)
 8日付の台湾紙、中国時報は、サッカーのアジア・カップ決勝で中国が日本に敗れたことに腹を立てた中国のサポーターが「日の丸」を焼くなどして騒いだことについて「(反日の)民族感情を好き放題発散させていると、(2008年の)北京五輪のイメージを損なうことになる」と批判した。
 同紙は「試合に勝ち負けはつきもので『民族の恨み』のように見なすなら、北京五輪の際、(中国と戦争をしたことがある)日本やベトナムなどの選手は気をもむことになる」と「民族主義の高揚」に警鐘を鳴らした。(共同)

◎「反日」制御できぬ中国当局、アジア杯・群衆の騒乱(2004年8月9日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】サッカー・アジアカップ決勝が終わった7日夜、中国人群衆が北京の会場周辺で繰り広げた反日騒ぎについて、中国当局は、ほとんど沈黙している。今回の騒動は、共産党政権が、民衆の反日感情を制御できなくなりつつある事実をはっきり示した。2008年北京五輪の成否、さらに、民衆感情のコントロールという独裁の根幹にかかわる問題だ。
 試合後、群衆が「小日本(日本に対するべっ称)をたたきのめせ!」と叫びながら、日の丸を焼き、駐北京日本公使が乗った車のガラスを割り、日本代表の宿舎を取り囲んだ。
 8日以降、中国主要メディアはそろって、「大会の円満な閉幕」を伝えた。混乱については、北京の1紙が「一部が過剰な行動を取り、約10人が警察に拘束された」と報じただけだ。君が代演奏への大ブーイングなどの非礼な行為にも一切触れていない。
 公使の車が襲われたことについて、日本大使館は中国外務省に抗議。外務省からの反応はないものの、8日、市公安当局から「警備上の不備があった」として電話で謝罪があった。
 しかし、実態としては、警備上の問題ではない。当局は多数の警官を会場、天安門広場、繁華街などに配置、北京市民に「これだけ厳重な警備は、1989年の天安門事件当時以来だ」と言わせるほどの厳戒態勢を取っていたのだ。
 2001年に南シナ海上空で米中両軍機が接触、中国人パイロットが死亡した際には、当局は米国大使館周辺などで厳戒態勢をとって反米デモを防いだ。
 ものものしい警備は、事実上の警告だった。それは、簡単に無視された。
 サッカーのサポーターが多い世代は、90年代の江沢民政権時代からの徹底的な愛国教育を受けている。多くは「反日は正義、親日は売国」という屈折した民族主義的感情を持つ。
 言論統制下にあって、こうした感情は、当局の監視が届きにくいインターネットを通じて、広く共有されている。市場経済と言う名の経済的自由が国民に浸透する中で、共産主義の権威も地に落ちている。すでに8700万人にも達したネットユーザーたちは、「反日」の声をあげながら、政府の「軟弱さ」をののしる。
 「『民族の正義』の前では、共産党も売国奴扱いされる」(中国筋)時代に入ったのだ。実際に力で「反日」を封じ込めようとすれば、政権と民衆が衝突しかねない状況にある。
 共産党自身が国民の反日感情をあおってきたため、「一番自由にものが言えるのが、反日」(中国マスコミ関係者)という事情もある。共産党政権にとって、反日は最も対処の難しい問題になっている。

◎試合後「反日」行動、未熟さ露呈(2004年8月8日、産経新聞)
 【北京=伊藤正】七日のサッカー・アジア杯「日中決戦」は、六万の中国人ファンの大声援と日本チームへのブーイングを跳ね返し、日本が制した。威信をかけた中国当局の万全の警備とメディアを通じた呼びかけが効いた形で、試合中には大きな混乱はなかったが、試合後、会場の工人体育場周辺では、中国人サポーター数千人が「反日」を叫んで警備陣と衝突、八日未明まで騒ぎが続いた。今大会で露骨に表れた反日感情が、今後さらに拡大、尾を引くことが懸念される。
 中国政府は、一次リーグから準決勝までの五試合で、日本の選手やサポーターに向けられた威圧的な行動や「君が代」吹奏へのブーイングなどが決勝戦で再現することを強く警戒していた。そのいずれも、国際試合のホスト国としてあってはならないことだからだ。
 とりわけ中国当局が懸念していたのは、2008年北京五輪を控えていることと無縁ではない。アジア杯開会式で、中国人サポーターが中国サッカー協会幹部に浴びせたブーイングをアジアサッカー連盟事務総長が誤解、五輪開催に疑問を提起したことも、当局を神経質にしていた。
 当局にすれば「日中決戦」は最悪のシナリオだったかもしれない。当局の命令のままに国民は動かず、国民の声に当局が耳を傾けるよう指導部から指示されている時代なのだ。
 中国外務省は従来、一部の反日グループの「日の丸」焼却などの行動にも、日本側にも原因があるなどと甘い態度を取ってきたが、今回のサポーターの行為についても、遺憾とする一方で、一部日本のメディアの報道を批判した。
 スポーツ交流に大警備陣を配備する異常事態の中で、試合自体は大きな混乱なく終わったものの、中国の敗戦に収まらないサポーターらは、不満の矛先を日本に向けた。その背景には、何事にも政治を絡め、日本批判をする中国当局の姿勢もあるのではないか。アジア杯に表れた問題は、日中関係だけでなく、中国人の資質にも疑問を投げかけた。

◎高句麗めぐり中韓“外交紛争”、過熱化に懸念も(2004年8月7日、産経新聞)
 朝鮮半島北部から中国にかけて存在した古代国家、高句麗をめぐる中韓両国の“外交紛争”が過熱している。中国が古代中国の地方政権だったと位置付けようとしているとみる韓国側は、中国政府に抗議、韓国メディアの批判も高まる一方だ。
 直接のきっかけは韓国史を紹介した中国外務省のホームページ。高句麗、新羅、百済が対峙(たいじ)した三国時代の説明から高句麗の記述が今年4月、突然削除されたことだった。
 中国では最近、高句麗を古代中国の地方民族政権だったとする動きがあり、韓国では南北統一後などの領土紛争に備えた「歴史歪曲(わいきょく)」との不満がくすぶっていた。このため韓国紙だけでなく、韓国政府も修正を求め、5日には外交通商省高官が抗議のため訪中する騒ぎに発展した。
 これに対し、中国は5日、ホームページから高句麗史だけではなく大韓民国樹立以前の歴史記述を全面削除。抗議への配慮を見せたとみられるが、韓国では逆に「攻撃的対応」(韓国紙)と取られ、火に油を注ぐ形となった。
 与党ウリ党の千正培院内代表は6日「国会に対策機構をつくる」と言明、北朝鮮との共同対応を求める声が出るなど騒ぎは収まる気配がない。
 ただ北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議での中国の重要性や急拡大する対中貿易などを考慮すれば、これ以上の摩擦を避けたいのが韓国政府の本音だ。(共同)

◎さよなら、悪名高き北京の公衆トイレ(2004年8月6日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】2008年の五輪を控え、都市再開発が進む北京で、不衛生さで悪名の高い公衆便所の撤去が進んでいる。個室や仕切りが無い「ニーハオ・トイレ」は、北京の伝統的な町並みと共に姿を消すことになりそうだ。
 北京の公衆便所は、1990年代末から施設の改善が行われてきたが、汚いため、急用でも使用をためらう外国人旅行客は少なくない。壁や仕切りがないため隣の人と顔を合わせてあいさつしてしまうことから、「ニーハオ・トイレ」と俗称され、衝撃的な「トイレ体験」は、今でも中国旅行者の土産話の筆頭格だ。
 市内の公衆便所は現在約7700あり、このうち3分の1が家にトイレのない北京の伝統的な平屋街にある。市は地域の再開発に合わせ、五輪開催の2008年までに2800の公衆便所を取り壊す予定だ。
 一方、町中のトイレ不足は深刻で、市は「徒歩で8分以内にたどりつける」ことを目標に施設充実に力を入れる。年内に計400の公衆便所を新設・改修する予定で、市民が集まる繁華街や公園などには、絵画や生け花を飾ったり、虫の姿をかたどるなど趣向を凝らしたトイレも誕生している。

◎中国組織がサイバー攻撃、日台の官庁など標的・香港紙(2004年8月6日、日本経済新聞)
 【香港6日共同】6日付中国系香港紙、文匯報は、中国のハッカー集団がこのほど国内外の人員約1900人を組織、靖国神社や官庁など日本と台湾の約200のウェブサイトに対し大規模なサイバー攻撃を始めたと報じた。
 同紙によると、攻撃は「中国ハッカー81反撃戦」として1日から一週間続ける計画。メンバーは中国大陸のほか香港や台湾などにもおり、攻撃の「戦績」を分析するなど、グループごとに役割を分担している。日本の首相官邸や外務省、防衛庁など八政府機関のサーバーコンピューターには1日以降、大量のデータが送られ、一時的にホームページへのアクセスが困難になった。細田博之官房長官は5日の記者会見で、攻撃元は不明だが、「特別な影響は出ていない」と説明していた。尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する民間団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」のサイトが7月末、「釣魚島は日本のものだ」などと書き込まれる被害を受けたことへの「反撃」に出た可能性がある。

◎サイバー攻撃:中国ハッカー集団、日本と台湾を標的(2004年8月6日、毎日新聞)
 6日付中国系香港紙、文匯報は、中国のハッカー集団がこのほど約1900人を組織、靖国神社や官庁など日本と台湾の約200のウェブサイトに対し大規模なサイバー攻撃を始めたと報じた。
 同紙によると、攻撃は「中国ハッカー八一反撃戦」として1日から1週間続ける計画。メンバーは中国大陸のほか香港や台湾などにもおり、攻撃の「戦績」を分析するなど、グループごとに役割を分担している。
 日本の首相官邸や外務省、防衛庁など8政府機関のサーバーコンピューターには1日以降、大量のデータが送られ、一時的にホームページへのアクセスが困難になった。細田博之官房長官は5日の記者会見で、攻撃元は不明だが、「特別な影響は出ていない」と説明していた。
 尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する民間団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」のサイトが7月末、「釣魚島は日本のものだ」などと書き込まれる被害を受けたことへの「反撃」に出た可能性がある。
 メンバーの1人は同紙に「台湾のサイトは基本的にまひさせることができるが、日本のサイトは比較的強く、官邸サイトなどは攻撃後、数秒で回復してしまう」と述べたという。(香港・共同)

◎中国ハッカー集団、日台のサイト攻撃か、香港紙報道(2004年8月6日、産経新聞)
 6日付中国系香港紙、文匯報は、中国のハッカー集団がこのほど約1900人を組織、靖国神社や官庁など日本と台湾の約200のウェブサイトに対し大規模なサイバー攻撃を始めたと報じた。
 同紙によると、攻撃は「中国ハッカー八一反撃戦」として1日から1週間続ける計画。メンバーは中国大陸のほか香港や台湾などにもおり、攻撃の「戦績」を分析するなど、グループごとに役割を分担している。
 日本の首相官邸や外務省、防衛庁など8政府機関のサーバーコンピューターには1日以降、大量のデータが送られ、一時的にホームページへのアクセスが困難になった。細田博之官房長官は5日の記者会見で、攻撃元は不明だが、「特別な影響は出ていない」と説明していた。
 尖閣諸島の中国領有権を主張する民間団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」のサイトが7月末、「尖閣諸島は日本のものだ」などと書き込まれたことへの「反撃」に出た可能性がある。
 メンバーの1人は同紙に「台湾のサイトは基本的にまひさせることができるが、日本のサイトは比較的強く、官邸サイトなどは攻撃後、数秒で回復してしまう」と述べたという。(共同)

◎ホスト国のもてなしどこへ行った、サッカー・アジア杯(2004年8月5日、産経新聞)
 スタジアムで国歌が聞こえない-。日本代表の海外遠征には何度も同行したが、厳粛な時間をここまでかき乱された経験は初めてだ。熱狂的サポーターを抱える韓国、イングランドでさえ国歌演奏の間は静寂が支配する。世界共通のマナーが中国には存在しなかった。(北京 榊輝朗)
 オマーン、タイ、イラン、ヨルダン。重慶での4試合に、ホスト国の心は感じられなかった。日本の対戦国が好機を迎えると大歓声を上げる。関心はサッカーではなく、日本の敗戦としか思えない。尖閣諸島の領有権を主張する横断幕が掲げられ、公安職員が撤去する一幕も何度かあった。
 ホスト国としての資格を疑わせる前兆は、7月17日の開会式からあった。スタジアムでの運営面の落ち度などを批判するブーイングが絶えず、一向に静まらない客席に閉口したアジアサッカー連盟(AFC)のピーター・ベラパン事務局長が「マナーがひどい。五輪が開催できるのか」と批判すると、ファンだけでなく北京市や大会関係者からも発言撤回を求める声が沸き起こりベラパン氏は謝罪している。こんなホスト国は前代未聞だろう。当局まで一緒になったことでファンの中のタガが外れたようだ。
 北京五輪を控え、政府もこれではまずいと思ったようだ。中国共産党の青年向け機関紙が行き過ぎた行動を批判、引き締めにかかり、済南では多少は鎮まった。だが、中国との決戦を控え、地元ファンはホスト国として振る舞うだろうか。
 4日付の中国共産党機関紙、人民日報は、日本代表について「日本もいいチーム」といった国民の声を紹介、中国各紙も日本の実力を「『二軍』で勝って決勝へ」(京華時報)などと評価する記事を掲載するなど、日本への配慮を見せた。だが同じメディアが2日、ジーコ監督にサッカーとは無関係の「領土問題」を質問し、場違いな取材で不興を買っている。
 サッカーは見る者を興奮させる。試合中のブーイングや大歓声は世界共通だが、2年前のW杯の日本でも今年開催された欧州選手権の開催地ポルトガルでも、他の国のサポーターへの温かいもてなしがあり、いずれも各国メディアに評価された。応援するサポーターに物を投げつけるファンのいる国が、同じ評価を得られるとは思えない。
 中国のスポーツ紙記者は、「大きな大会の開催に慣れていないことも要因だ」と弁明した。だが、ホスト国の心構えは、難しいことではない。
 「歴史的な問題はスポーツとは関係ない」「国歌が聞こえなくて歌えないのは不満だ」-。日本代表のジーコ監督や選手たちの要望に耳を傾け、配慮すれば、いい。
 決勝戦で、それができるか。五輪開催国のホスピタリティーを測るリトマス試験紙になる。

◎中国・上海電気集団、池貝を買収へ・技術開発力を取得(2004年8月4日、日本経済新聞)
 中国を代表する大手機械メーカーの上海電気集団総公司は工作機械の池貝(茨城県玉造町)を買収する方針を決めた。75%の株式を取得し、傘下に収める。中国企業にとって日本の製造業の優れた技術力や開発力は大きな魅力。豊富な資金力を生かした日本企業の買収が加速しそうだ。
 上海電気集団の関係者によると、池貝がまず今秋にも総額3000万円の第三者割当増資を実施し、資本金を4000万円とする。上海電気はその全額を引き受け筆頭株主になる。上海電気は池貝の事業拡大のため、段階的に数億円規模まで出資金を増やしていくという。

◎中国の毒ガス事故、旧日本軍兵器と判明、政府が遺憾の意(2004年8月3日、朝日新聞)
 中国の吉林省敦化市で7月下旬に発生した毒ガス事故について、外務省は3日、現地に派遣した調査団による調査の結果、旧日本軍が遺棄した化学兵器による事故だったことを明らかにした。高島肇久外務報道官名で、「極めて遺憾であり、被害者の方々に心からお見舞いを申し上げる」との談話を発表した。政府は今後、処理のための作業チームを現地に派遣する予定だ。
 外務省によると、事故は7月23日に発生。砲弾を発見した子供2人が、砲弾から流れ出た液体に触れて手足がただれたという。

◎旧日本軍の毒ガス問題で全国9カ所の地下水を追加調査(2004年8月3日、朝日新聞)
 旧日本軍がつくった毒ガスが各地に埋まっているとされる問題で、環境省は3日、今秋から全国9カ所で地下水調査をすると発表した。茨城県神栖町、神奈川県平塚市などに続く追加調査となる。
 同省が全国調査の結果を公表した昨年11月では、毒ガスの埋まっている場所が特定できなかったり、過去に毒ガスが発見されたが今も存在するかどうかが分からなかったりする地点が37カ所あった。このうち9カ所で、その後の情報などから場所が特定されたため、井戸などから水を採取して成分を分析することにした。同省では「毒ガスによる被害が出る可能性が高まったわけではない」としている。
 調査する場所は次の通り。
 北海道留萌市、水戸市、群馬県榛東村、千葉市、東京都新宿区、神奈川県横須賀市、新潟県五泉市、静岡県浜名湖周辺(細江町、三ケ日町、浜松市)、広島県大久野島(竹原市)

◎警官600人が村を封鎖、発砲で負傷か、中国(2004年8月3日、産経新聞)
 2日付香港紙、蘋果日報などは、中国河南省鄭州郊外の師家河村で先月末、地元農民による村幹部への抗議デモを防ぐため警官600人が村を封鎖、反発して人垣をつくった住民数千人にゴム弾や催涙弾を発砲したと報じた。頭に弾が当たるなどした4人が危険な状態という。
 同紙によると、農民から接収した土地代の不払いなど、村幹部の不正に住民の不満が日ごろから高まっており、デモ激化を恐れた村当局が7月31日未明に警官を派遣。住民数人を身柄拘束しようとしたところ、反発した住民数千人と対峙(たいじ)する形となり発砲したという。(共同)

◎広州新空港:5日に開業、香港などと競争激化へ(2004年8月2日、毎日新聞)
 北京、上海と並ぶ中国の3大空港として広東省広州に約4年がかりで建設していた新白雲国際空港が完成し、2日、省幹部らが出席して開港式典が行われた。5日に正式運用が始まる。
 輸送能力増強や乗り継ぎ簡便化を図り、拠点(ハブ)空港として設計された中国初の空港。これまでの建設費約200億元(約2800億円)は中国では過去最大で、旅客ロビーなども国内最大規模という。
 米国との間で民間航空の定期便増便を盛り込んだ新航空協定に7月に調印するなど中国の規制緩和が本格化する中、新空港はアジアのハブ空港としても存在感を増しそうで、香港など隣接空港との競争激化は必至だ。
 新空港の敷地面積は約15平方キロで現空港の約4倍。2010年までに旅客取り扱い能力を現空港の約3割増の年2500万人に、貨物取り扱い能力を約7割増の年100万トンに引き上げる計画。
 高成長が続く広州など華南地区の需要増を見越し、滑走路を開業時の2本から最大5本に増やすなどの設備拡張計画もある。新空港開業に伴い、現空港は廃止する。
 一方、貨物取扱量世界一の香港国際空港は、輸出貨物の大半が華南地区向けのため将来の地位低下への懸念を強めており、9月からの着陸費値引きを発表するなど影響回避に懸命となっている。(広州・共同)

◎17年ぶりに1元新紙幣を発行、偽造防止技術こらす(2004年7月31日、FujiSankei Business i.)
 中国の1元(約13円)紙幣が、1987年から17年ぶりに生まれ変わり、新札の発行が30日に開始された。
 表のデザインは、旧紙幣では少数民族の女性だったが、新紙幣では毛沢東主席の肖像に変わった。また、裏には浙江(せつこう)省・杭州(こうしゆう)にある名勝、西湖(せいこ)の風景が描かれている。
 中国各地で偽造紙幣が横行しているが、新1元札は紙の質を高めたほか、蘭の花の透かしや、精密な肖像画、2色刷りの通し番号など偽造防止技術の粋をこらした。印刷技術の向上で、毛主席の肖像は凹凸がはっきりし、手触りもよいという。サイズは横130ミリ、横63ミリで、旧紙幣に比べて横が10ミリ短くなった。
 100元、50元、20元、10元、5元の紙幣は1999年10月に切り替わり、表の肖像はすべて毛主席が採用されている。新1元紙幣の登場で中国のお札は毛主席の顔で統一された。



◎香港:2階建て路面電車、開業100周年(2004年7月30日、毎日新聞)
 【香港・成沢健一】香港市民の足として親しまれている2階建て路面電車(トラム)が30日、開業100周年を迎えた。雑然とした下町から高層ビルが並ぶオフィス街と変化に富む香港島北部の約30キロを東西に走り、レトロな雰囲気を漂わせながら1日平均24万人を運んでいる。
 トラムは、1904年7月30日に英国製の1階建て車両26両で開業した。輸送力を増強するため、12年に2階建て車両を導入した。
 トラムを運行させる民間会社「香港電車公司」は現在、163両を保有しており、最も古い車両は49年に製造された。00年から新型車両も導入したが、この車両も含めてエアコンは設置されていない。
 80年代に並行する路線で地下鉄が開業し、利用者は一時減少した。しかし、地下鉄の半額以下の一律2香港ドル(約28円)という安さと約200メートルごとに駅がある便利さで、共存を図ることに成功している。

◎中国の貧困層は8500万人、貧富の格差が一段と拡大(2004年7月30日、産経新聞)
 中国国務院(政府)の専門家グループなどの29日までの調べで、年収637元(約8500円)以下の「極貧層」が昨年、80万人増加し2900万人となり、極貧層に転落する危険が高い「貧困層」も5600万人いることが分かった。
 計8500万人が1年を1万円前後で生活していることになり、急速な経済発展を続ける中国で貧富の格差が一段と拡大している実態が明らかになった。
 同グループによると、政府が「温飽」(何とか食べていける暮らし)とする極貧層が増加に転じたのは1978年に始まった「改革開放」後、初めてという。80~90年代は年間600万人が極貧から脱していたが、2001、02年は200万人未満に低下。昨年は逆に河南、安徽、陝西、黒竜江の4省で計約200万人が貧困に転落した。
 一方、米証券会社の調べでは、中国で100万ドル(約1億1000万円)以上の資産を有する富裕層は23万6000人。1000億円の資産家もいるとされる。
 貧困層に対する国、民間、国際機構からの援助金は毎年計300億元に上っており「平等分配すれば年収1000元を超す」(中国紙)として官僚の資金流用などを批判する声が上がる一方、農村問題の専門家は「貧困地区の発展には時間と金がかかる」としている。(共同)

◎中国の高速鉄道入札、独社脱落で日仏の一騎打ちへ(2004年7月29日、読売新聞)
 【北京=東一真】川崎重工業、三菱商事、日立製作所など日本の6社連合が新幹線車両の受注を目指している中国の在来線高速化事業について、中国政府は28日、200編成(1編成=8両)の高速車両の入札を実施した。
 1000億円規模の巨大入札で、日本連合のほか、フランスの高速車両TGVを製造するアルストム社など計3グループが応札した。入札参加が確実視されていた独シーメンス社は提携する中国企業を探すことができずに脱落し、事実上、日仏の一騎打ちとなる。
 落札結果は早ければ今月中に明らかになる見通しだ。
 今回の入札は、海外企業と中国企業が共同で応札するルールとなっている。
 日本連合6社は、中国の大手鉄道車両メーカー「南車四方機車車両」(本社・山東省青島市)と組んで、JR東日本の新幹線車両「はやて」をベースにした車両で応札した。

◎中国の鉄道時速200キロ化事業、新幹線車両に可能性(2004年7月29日、朝日新聞)
 中国鉄道省は28日、国内在来線の旅客列車高速化で使う車両の入札を実施した。川崎重工業、日立製作所など日本企業6社は、提携先の「南車四方機車車両」(山東省青島)を通じて応札しており、今後鉄道省による決定を待つ。日本側は、東北新幹線の「はやて」をもとにした最新型を南車四方に技術供与して現地生産させる意向で、日本の新幹線車両の大陸進出が現実味を帯びている。
 今回の鉄道高速化は、北京―瀋陽(遼寧省)など五つの主要幹線の計2000キロで、来年から最高時速200キロによる走行を目指している。足りない技術を外国企業から導入して国内企業に生産させるのが中国政府の方針だ。独シーメンスと提携した「長春軌道客車」(吉林省長春)も応札した模様で、事実上日独の争いだが、規模が大きいため双方に配分する可能性がある。
 「はやて」型は技術上は時速350キロ走行も可能。日本企業側は、今回の高速化事業と別に計画されている北京―上海間高速鉄道での受注も視野に入れている。

◎覚せい剤:日本人の女に禁固25年判決、香港高裁・麻薬持ち出しで(2004年7月28日、毎日新聞)
 【香港・成沢健一】香港の高等法院(高裁)は27日、覚せい剤4.8キロを香港から持ち出そうとしたとして、日本人の女(44)に麻薬密売罪で禁固25年の実刑判決を言い渡した。中国本土や香港では昨年3月から、覚せい剤を大量に持ち出そうとした日本人が逮捕されるケースが相次いでおり、このうち1人が遼寧省瀋陽の裁判所で死刑判決を受けている。
 判決などによると、この女は昨年7月、香港国際空港から日本に向かおうとしていたところ、二つの買い物袋にそれぞれ2.4キロの覚せい剤を所持しているのを捜査当局に発見された。一緒にいた日本人の男(35)も起訴されており、今月30日に判決が出る。

◎覚せい剤密輸図った邦人女性、香港で25年の実刑判決(2004年7月28日、読売新聞)
 【香港=関泰晴】香港の高等法院は27日、覚せい剤を日本に運ぼうとして薬物密売などの罪で逮捕・起訴されていた日本人女性(44)に対して、25年の実刑判決を言い渡した。懲役刑か禁固刑かは、刑確定後、言い渡される。
 判決などによると、女性は香港国際空港で昨年7月に手荷物の中に「アイス」と呼ばれる中国製の覚せい剤約5キロを所持していたところを見つかり、一緒にいた日本人男性(35)とともに警察当局に逮捕されていた。
 押収された覚せい剤は、香港の市場に出回れば170万香港ドル(約2400万円)で取引されるとみられ、日本での末端価格は2億3000万円に達する。香港の警察当局は、中国―香港を経由して、日本に向かう覚せい剤の密輸ルートの捜査を進めていたという。

◎日本人の女に25年の実刑判決、覚せい剤密輸で香港(2004年7月28日、産経新聞)
 香港の高等裁判所は27日、覚せい剤密輸の罪に問われた日本人の女(44)に25年の実刑判決を言い渡した。懲役刑か禁固刑かは刑の確定後に裁判所が決める。
 判決によると、女は日本人の男(35)とともに昨年7月、香港国際空港から「アイス」と呼ばれる覚せい剤約5キロを日本へ密輸しようとした。
 2人は観光名目で3泊4日の日程で香港を訪れていた。男も起訴されており、30日に判決が言い渡される。2人の氏名や職業は明らかになっていない。
 当局が押収した覚せい剤の取引価格は170万香港ドル(約2400万円)で、日本では約9倍の価格になるという。(共同)

◎覚醒剤所持の日本人女性に25年の有罪判決、香港(2004年7月28日、朝日新聞)
 28日付の香港各紙によると、香港の高等法院(裁判所)は27日、日本人の元旅行会社員、甲斐豊洋子(かい・とよこ)被告(44)に覚せい剤所持・運搬の罪で懲役25年の実刑判決を言い渡した。
 甲斐被告は昨年7月5日、香港から日本へ帰る際、香港国際空港で、「アイス」と呼ばれる覚せい剤4・8キロを菓子の袋に入れて持ち出そうとしたところをもう1人の日本人男性とともに警察に逮捕された。
 公判で甲斐被告は「荷物の中に覚せい剤が入っていたことを知らなかった」などと釈明したが、裁判官は「観光やショッピングにも行った形跡がなく、往復に別々の航空会社を使うなど、計画性は明らか」と退けるとともに、「この事件を通じて、香港政府が薬物犯罪にきわめて厳格であることを香港と日本の社会に知ってもらいたい」と述べた。

◎また大規模な赤ちゃん売買、中国・内モンゴル(2004年7月28日、産経新聞)
 新華社電(電子版)によると、中国の内モンゴル自治区フフホト市で27日までに、赤ちゃん76人を売買した犯罪組織が摘発され、医師ら病院関係者を含む計102人が警察に拘束された。
 報道によると、赤ちゃんは生後2時間から5日。主犯グループが病院当局者を通じて男児を7000~8000元(約9万3000~約10万6000円)、女児を1000~2000元で買い、河南省などで男児を1万~1万3000元、女児を4000元で売っていた。農村からの出稼ぎ者が困って売ることを希望するケースが増えているという。
 広西チワン族自治区では23日に赤ちゃん118人を売買したとして主犯格6人に死刑判決が言い渡されている。(共同)

◎わいせつHP700件閉鎖、中国(2004年7月28日、産経新聞)
 27日の新華社電によると、中国公安省が今月16日から実施したインターネットのわいせつホームページ(HP)取り締まりで、25日までの10日間に全国で700件近いHPを閉鎖、関係者計224人を拘束した。
 中国は6月末時点のネット利用者が前年より28%増え8700万人に上り、利用者数で米国に次ぐ「ネット大国」となったが、わいせつHPも急増。同省担当者は「有害情報がはんらんする勢いを食い止めることができた」と取り締まりの成果を誇っている。(共同)

◎炭鉱内でガス、16人死亡、中国・湖南省(2004年7月27日、産経新聞)
 新華社電によると、中国湖南省漣源市の炭鉱で26日、ガス噴出事故が発生、同日夜までに坑内にいた作業員16人の死亡が確認された。炭鉱は無許可操業で監督当局から操業停止を命じられていた。
 中国では炭鉱事故が相次いでおり、今年上半期は2644人が死亡している。(共同)

◎旧日本軍の毒ガス使用に関する史料公開、日本防衛庁(2004年7月27日、人民日報ニュース)
 日本メディアの報道によると、日本の防衛庁が26日、第2次大戦中の旧日本軍の活動を記した歴史資料を公開した。旧日本軍が中国の山西省で殺傷力の高い毒ガス、イペリットガス(マスタードガス)を使用した詳細な内容が記載されている。
 今回公開された歴史資料は「冬季山西粛正作戦戦闘詳報」。記載内容によると、1942年2月6日、中国山西省で「三光政策(殺し尽くす、奪い尽くす、焼き尽くす、の意)」を展開していた第1軍の弘前・歩兵第36師師団長が、重要施設を発見した場所でイペリットガスを使用するよう命令した。命令を受けた歩兵第224連隊長は直ちに毒ガス戦特殊兵を含む3隊を派遣し、同月20日と21日、当時の中国共産党八路軍の本拠地10カ所で「黄剤(きいざい)」と呼ばれるイペリットガスを使用した。作戦の実行地点と毒ガスの使用量についても詳細に記載されていた。
 旧日本軍が中国侵略戦争で化学兵器を使用したことを記す資料は、1983年に米国国立公文書館で発見されている。資料の中では「黄剤」の使用は「撒毒」と表記され、冬季山西粛正作戦に関する記載もみられるが、部隊番号や指揮官など詳細が書かれた戦争史料が公開されるのは今回が初めて。

◎中国で赤ん坊売買組織摘発、6人死刑・5人無期(2004年7月26日、読売新聞)
 【北京=藤野彰】中国広西チワン族自治区で他省にまたがる大掛かりな赤ん坊売買ネットワークが摘発され、23日、犯罪にかかわった被告51人に死刑、無期懲役を含む有罪判決が下された。
 被告の中には産婦人科の医師、看護師11人も含まれており、赤ん坊が産院から直接、買い取り人に売り渡され、さらに仲買人を通じて全国各地に転売されていく実態が明らかになった。
 25日付の中国紙「北京晨報」が掲載した新華社のルポによると、主犯格の被告のうち6人が死刑、5人が無期懲役の判決を受けた。このネットワークを通じて売買された赤ん坊は計118人。犯罪に関与した医師、看護師は、女の赤ん坊を産んだ女性が「育てたくない」と言った場合、赤ん坊1人につき100~200元(1元=約13円)で買い取り人に売り渡していた。赤ん坊は仲買人を経て最終的に2000~3000元で売られたという。
 赤ん坊は睡眠薬を飲まされた上、布で手足を縛られ、袋に入れられて安徽省などに搬送。輸送に使われた長距離バスから1度に28人の赤ん坊が見つかったことがあったが、全員が女児で、1人はすでに死亡しており、生まれてまだ数日の赤ん坊もいたという。
 中国の農村部では男尊女卑の伝統的観念がまだ根強く残っており、女児を中心に人身売買する犯罪の土壌となっている。

◎赤ちゃん118人を売買、中国、主犯格6人に死刑(2004年7月26日、産経新聞)
 中国広西チワン族自治区玉林市の中級人民法院(裁判所)は25日までに、赤ちゃん118人を売買した犯罪グループの主犯格6人に死刑(うち4人は執行猶予2年)、45人に無期懲役から懲役1年6月の判決をそれぞれ言い渡した。
 判決によると、犯罪グループは2001年から同市一帯で赤ちゃんを誘拐したり、医療関係者から買ったりして、河南省や安徽省などで売買していた。移動の際に泣きださないように睡眠薬を飲ませ死亡させたケースもあった。
 関与した医療関係者は赤ちゃん1人につき100~200元(約1300~2600円)を受け取っていたという。中国紙によると、売買された118人の赤ちゃんの多くが女の子だった。
 昨年3月に同自治区で赤ちゃん28人の売買事件が発覚したことをきっかけに警察当局が捜査を開始した。
 中国は1980年代から産児制限策「一人っ子政策」を実施。農村で働き手として男の子が重宝される傾向があり、政府は人身売買の増加に懸念を強めている。
 中国では、近年、男児数が女児を大幅に上回るようになっている。(共同)

◎赤ちゃん118人売買で死刑、中国で6人、5人は無期(2004年7月26日、朝日新聞)
 25日付の北京紙「晨報」によると、中国南部・広西チワン族自治区玉林市の裁判所で23日、赤ん坊計118人を売買していた医療関係者ら52人に対する判決公判があり、6人に死刑(4人は執行猶予2年)、5人に無期懲役が言い渡された。
 ほかの被告にも1人を除いて、1年6カ月以上の有罪が言い渡された。昨年3月、大型バスの中から旅行用バッグに詰め込まれた女の赤ん坊28人(1人死亡)が見つかったことから密売組織が明るみに出た。赤ん坊は玉林市の病院などから現地の住民らに売られ、さらに安徽省などに運ばれていた。
 被告52人のうち11人が医師や看護師。ある病院は、母親が育てたくないという女の赤ん坊を100元(1元は約13円)から200元で売り渡していた。安徽省などで買い手は2千~3千元を払っていたという。
 中国の農村部には、働き手として男児を好む伝統が残っており、こうした売買に影響していると見られる。
 一方、ラヂオプレスが24日の中国中央テレビの報道として伝えたところによると、内モンゴル自治区の公安局はこのほど、赤ん坊売買の容疑で102人を逮捕した。生まれて間もない76人を北京などで売っていたという。

◎中国、台湾海峡の制空権確保想定した演習実施へ(2004年7月23日、産経新聞)
 23日付中国系香港紙、文匯報は、中国福建省南東部の東山島に展開していた中国人民解放軍が近く、台湾海峡の制空権確保を想定した陸、海、空軍合同の軍事演習を始めると報じた。中央軍事委員会の幹部も福建入りするという。
 演習については上海紙、外灘画報が、今月中旬に始まったと伝えているが、正確な情報は確認されていない。
 文匯報によると、1996年に始まった福建省での恒例の演習で、台湾海峡の制空権確保を想定するのは初めて。合同演習に先立ち地元の福建軍区が現場周辺で22日、地元予備役らと補給訓練などを実施、1万人以上が参加したという。(共同)

◎新型肺炎隠しの告発者を拘束、洗脳も?香港紙報道(2004年7月23日、読売新聞)
 【香港=関泰晴】22日付の香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」は、消息筋の話として、昨年、中国当局による新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)患者隠しを告発した元軍医・蒋彦永氏が、先月初旬から今月中旬まで当局に拘束され、思想改造を行う「洗脳工作」を受けたと報じた。
 蒋氏は、患者隠し告発のほか、今年3月には、1989年の天安門事件の再評価を求める意見書を公開。事件15周年の6月4日を前に行方不明となり、その後、当局に拘束されていたことが判明した。同紙によると、蒋氏は今月中旬に解放されるまで、毎日9時間にわたって、「思想改造」を受けた。

◎日本のEES内で中国船の調査急増、抗議の効果なし(2004年7月22日、読売新聞)
 日本の排他的経済水域(EEZ)内での中国の海洋調査活動が今月に入って急増している。海上自衛隊は21日、今月10回目の違反行為を確認した。現在、東シナ海と沖ノ鳥島周辺で3隻の中国船が並行して海洋調査を繰り広げている。
 いずれも、日本政府への事前通報はなく、政府は両国政府が合意した事前通報制度や国連海洋法条約に違反しているとして、中国への抗議を繰り返しているが、効果は上がっていない。
 海上自衛隊第1航空群(鹿屋基地)所属のP3C哨戒機は21日午後2時15分ごろ、沖縄県の尖閣諸島・魚釣島の西方約37キロの日本のEEZ内で、中国海軍のヤンライ級測量艦「東測226」が海洋調査と見られる活動を行っているのを発見した。
 日中両政府が合意している「事前通報」のない調査で、外務省は同日、外交ルートを通じて中国政府に抗議した。細田官房長官も記者会見で「大変遺憾なこと。国際的に当然、常識的な線がある。強い抗議をしていかなければならないと思っている」と述べた。
 日中両国は、東シナ海の相手国EEZ内で海洋調査を行う場合、2か月前までに調査主体や内容を事前に相手国に通報することを合意している。東シナ海以外のEEZは日中双方が加盟している国連海洋法条約の適用対象で、6か月前までに調査国(中国)が沿岸国(日本)に申請し、同意を得ることになっている。
 今年初めからこれまでに海自は計26回の調査活動を確認している。しかし、中国はそのいずれも事前通報制度や同条約に定める通報をしなかった。違反調査の件数は昨年1年間の8件と比べてはるかに多く、近年で最も多い1999年(33件)を上回るペースとなっている。
 日本政府は抗議を繰り返しているものの、「中国からはほとんど無視されているに近い状態だ」(政府関係者)という。
 中国船の活動が活発なのは、東シナ海での日中のEEZの境界を定めた中間線に近い南西諸島の尖閣諸島付近と、沖ノ鳥島の西方から南方へ至る広い海域だ。東シナ海では「東測226」が先月25日ごろから調査に入った。沖ノ鳥島方面では国家海洋局所属の「向陽紅9号」が今月12日から、海軍測量艦「南調411」が今月6日から、それぞれ活動しているのが確認されている。
 中国側の狙いについて防衛庁は「資源獲得と軍事の2つの目的がある」(幹部)としている。また、専門家からは、「尖閣諸島の領有を主張する中国が東シナ海を自国のEEZと見なし、資源確保の主導権を握ろうとしている」との見方が出ている。

◎中国、海洋資源開発を加速、周辺国との摩擦不可避(2004年7月18日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】「海洋強国」建設を国家戦略の一つに掲げる中国が、海洋資源獲得に向けた動きを加速している。石油・天然ガスなどの資源増産が、最優先の国家目標である経済成長を続けていく上で欠かせないためだ。
 東シナ海の日中中間線近くで中国が進める天然ガス田開発は、日中間の新たな懸案になった。中国の動きが、今後も周辺国との摩擦を生むことは、避けられない見通しだ。
 東シナ海での日中間摩擦がすでに表面化していた6月下旬、温家宝首相は関係機関に対し、海洋資源などの探査・開発をいっそう強化するよう指示した。
 共産党機関紙・人民日報が発行する国際問題専門紙「環球時報」によると、昨年時点で、計25の海上油田・ガス田で開発が進んでおり、石油年産量は2000万トン以上に達しているという。温首相の指示は、この動きをさらに加速させる国家意思の表明といえる。
 そのための準備も、かなり整った模様だ。
 中国はこれまで、尖閣諸島周辺の東シナ海や、ベトナム沖の南シナ海など、近隣国を刺激する海域も含む近海で、資源の本格的開発の前提となる綿密な海洋調査活動を進めてきた。
 科学技術省系の月刊誌「中国科技財富」によると、中国が「管轄海域」で行った全面的な海洋地質調査により、今年初めまでに351億トン~404億トンに上る石油・天然ガスがある可能性が判明したという。
 中国のエネルギー事情は、高度成長が続くにつれ、厳しさを増している。2003年は石油輸入が9000万トンを突破し、今年は1億2000万トンを超える見通しだ。中国地質科学院の予測では、石油輸入量は2020年に約5億トンに達し、輸入依存度は約70%となる。エネルギー安全保障上の理由で、自給率低下をなるべく抑えたい中国にとって、陸上の石油開発が頭打ちの現状では、海洋での石油・天然ガス増産が急務だ。
 エネルギー安全保障は、資源輸送でも極めて重視されている。「環球時報」は14日、現在90%に上る外国タンカーへの依存度を、5年以内に70%程度にする見通しだと伝えた。
 海洋資源開発の事実上の“後ろ盾”となる海軍は、遠洋作戦能力の向上を目指している。熊光楷・副総参謀長は今年、「当面、空母をもつ計画はない」と語ったとされる。外交筋の間では、「将来的には、空母戦闘群の創設が中国の視野に入っていることは間違いない」との観測も出ている。

◎中国GDP:第2四半期の成長率は9.6%、高水準を維持(2004年7月16日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国国家統計局は16日、04年第2四半期(4~6月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比9.6%になったと発表した。投資の減速により、第1四半期(1~3月)の9.8%を下回ったが、昨年7~9月期から4四半期連続で9%台の高い伸び率が続いている。上半期の実質成長率は9.7%。
 過剰投資による景気の過熱感は強く、中国政府は昨年来、一連の引き締め策を継続している。統計局は「経済運営の中で不安定、不健全な要素は、第1段階において抑制された。全体的に見て経済運営は良好で、国民経済の穏やかで比較的ペースの速い成長を引き続き保持できる条件は整った」と、今後の経済運営に自信を示した。しかし、中国政府の成長率目標である年平均7%を大幅に上回っており、“ソフトランディング(軟着陸)“に向けて慎重な経済運営が求められそうだ。
 国内需要は、政府と企業を合わせた上半期の固定資産投資が28.6%増と、第1四半期の43.0%に比べ第2四半期になって減速していることを示した。上半期の消費財小売総額は12.8%増で、個人消費は好調を持続している。工業生産は11.9%増だった。
 上半期の貿易は、輸出が35.7%増の2581億ドル、輸入は42.6%増の2649億ドル、貿易収支は68億ドルの赤字だった。ただ、1~4月の4カ月連続赤字から、5、6月は2カ月連続で単月では黒字に転じた。過剰投資業種だった鉄鋼などへの投資抑制策が影響したとみられる。
 消費者物価は3.6%上昇し、インフレへの懸念は依然として高まっている。

◎台湾にらんで中国軍が演習へ、部隊集結、緊迫増す(2004年7月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国軍が台湾の陳水扁政権をにらんで陸海空3軍の合同軍事演習を実施する福建省の東山島では、部隊の移動が地元住民に目撃されるなど準備が最終段階に入っている模様だ。
 中国紙「チャイナ・デーリー」も軍事筋の話として、「演習実施は今月後半で、最終的な日程は天候次第」と報じており、緊迫感が強まっている。
 東山島にある元豊ホテルの女性従業員(21)は本紙の電話取材に対し、「12日午前、東部の第2職業中学校で軍隊が駐屯しているのを目撃した」と興奮した様子で語った。また、秀東ホテルの20歳代の女性従業員は「通行証がない一般庶民は演習を直接見ることができない。ここ数日は、部隊が移動するのを見た」という。
 電力関係の会社に勤める男性(23)も「海岸沿いに大規模な部隊が展開している」と証言した。地元住民の話を総合すると、演習は東山島の市街地から約8キロ離れた東部湾岸一帯で行われるものと見られる。
 15日付の中国紙「中国青年報」は、今回の演習期間は1週間で、参加人数は1万8000人以上に上ると伝えた。同紙によると、1996年以来続けてきた同演習の主要目的は、〈1〉部隊の合同作戦能力向上と訓練成果の検証〈2〉中国軍に台湾問題を武力解決する能力と自信があることを「台湾独立」勢力に示す〈3〉台湾問題の解決が中国の内政で、外国勢力が決して介入してはいけないことを世界に知らせる、の3点にあるという。
 今回は、台湾海峡の制空権獲得が最大目的で、空軍が主要な役割を果たすほか、陸軍ミサイル旅団や第2砲兵(戦略ミサイル部隊)なども参加するという。
 具体的な演習内容は、上陸作戦や封鎖、対地攻撃、パラシュート降下、空母や巡航ミサイルに対する反撃など幅広い項目にわたっている。

◎日本人ボス中国で逮捕、「日本警察には捕まらぬ」豪語の日中強盗団(2004年7月16日、産経新聞)
・国際手配、中麻薬密輸容疑など
 【北京=野口東秀】中国・大連市の日本総領事館は十五日、広東省深セン市で、覚醒(かくせい)剤三・一キロを所持していた日本人男性(六一)が麻薬密輸容疑などで逮捕されたことを明らかにした。男性は三十人の日本人、中国人を配下に、平成十四年に日本の一都六県の資産家宅を狙い約十億円の緊縛強盗を起こした「日中混成強盗団」のリーダーとして国際指名手配中の武田輝夫容疑者とみられる。
 中国紙「南方都市報」などによると、男は六月十八日、深セン市内のホテルの部屋で配下とみられる中国人三人とともに逮捕された。昨年七月に遼寧省大連市などで連続麻薬密輸事件が発生。大連空港などから覚醒剤を日本に密輸しようとして逮捕された日本人運び屋に対する捜査過程で男の関与が浮上し、十カ月間にわたる内偵捜査の末に逮捕した。
 男の中国での逃亡生活は「中国人連続強盗団」(講談社)で描かれており、「日本の警察には捕まりませんよ」「日本で強盗は約三十件約十億円」と話していたという。
 外交筋によると、男は日本での犯行後、犯罪人引き渡し条約が結ばれていない中国へ逃亡、すでに昨年三月時点で覚醒剤の密輸に関与していた。
 男は旅券を所持しておらず、中国側は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて最終的な身元確認を急いでいる。
 武田容疑者が率いた日中混成強盗団による事件は平成十四年から東京、愛知、滋賀、和歌山、福岡、大分、福井などで計十数件発生。全国で計十人以上が逮捕されている。日中混成強盗団は、日本の暴力団関係者が、資産家の情報を中国人側に流していたことが特徴の一つ。中国人が実行犯役として事件ごとに離合集散し、粘着テープで被害者を縛る手口が多い。

◎中国の麻薬常用者105万人、対日密輸など顕著に(2004年7月15日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】中国公安省の楊鳳瑞・薬物対策局長は14日、記者会見し、昨年、中国の麻薬常用者が約105万人に達したほか、国内での覚せい剤製造・販売の増加で「日本など海外への密輸も顕著になっている」と指摘した。
 同省によると、中国で昨年摘発された違法薬物事件は約9万4000件。約6万3700人を拘束し、ヘロイン約9.5トン、覚せい剤約5.8トン、合成麻薬のMDMA(通称エクスタシー)約41万錠を押収した。
 中国では近年、ディスコなどを中心に若者の合成麻薬使用が広がっており、麻薬常用者約105万人のうち35歳以下が約72%に上る。都市部の失業者層、農村部の貧困層などでも使用が拡大しており、麻薬汚染の実態は統計を大きく上回るものとみられる。また、中国のHIVウイルス感染者約84万人のうち半数の55.3%が麻薬注射による感染とされ、社会安定の一大脅威となっている。
 一方、遼寧省瀋陽市で今年2月、60歳代の日本人男性が麻薬密輸罪で執行猶予の付かない死刑判決を受けるなど、対日密輸が次々明らかになっている。
 楊局長は、密輸の総量は不明としながらも、「日本は巨大な市場だ」と指摘。「容疑者が国籍によって優遇されることはあり得ない」と強調し、麻薬に関与すれば外国人でも国内法に基づき厳罰に処す姿勢を示した。

◎中国の空爆想定し軍事演習、台湾で25年ぶり発着訓練へ(2004年7月14日、産経新聞)
 中国が今月、台湾の制空権確保を想定した大規模演習を計画しているのを受け、台湾国防部(国防省)は14日までに、中国の空爆を想定した演習を21日に行うことを決めた。
 演習では、中国の攻撃で空軍基地が破壊された場合を想定して高速道路を滑走路代わりに戦闘機を発着させる訓練が1978年10月以来、25年ぶりに行われるなど、軍事圧力を強めている中国人民解放軍に対抗する姿勢をみせている。
 国防部は2006年以降、中国が限定的な軍事行動を起こす可能性があると分析しており、台湾海峡を挟んで双方が今後、軍事色を前面に出した対抗姿勢を強める恐れがある。
 中国は台湾の制空権確保を念頭に今月、人民解放軍の陸海空三軍合同の大規模軍事演習を計画。具体的な日程は不明だが、福建省南東部の東山島での演習を予定している。同島は台湾・澎湖諸島に近く、地形的にも台湾西岸と似て上陸作戦訓練に適しているとされる。
 米国防総省は5月末、中国の台湾向けミサイルが昨年より50基増え、500基になったとの報告書を発表、中国の軍事的脅威を強調した。
 一方、台湾は今後15年間で米国製最新鋭地対空誘導弾パトリオット(PAC3)発射装置6台、ディーゼル潜水艦8隻、P3C対潜哨戒機12機を購入する予定で、計6108億台湾元(約2兆円)の特別予算を組む方針を決めた。
 蔡明憲・国防副部長(副大臣)は、陳水扁総統の「独立志向」を警戒する中国が06年以降、軍事威嚇行動に踏み切る恐れがあるとする一方、米国が台湾に巡航ミサイルなど攻撃用武器を供与する可能性もあると指摘した。(共同)

・中国3軍合同演習
 中国人民解放軍の陸、海、空軍合同の大規模軍事演習で、毎年実施される。今回は7月中に福建省南東部の東山島での演習を予定。同島は台湾・澎湖諸島に近く、台湾西岸と似た地形で上陸作戦に適しているといわれ、中国軍は1996年から8回の大規模演習を行った。今回は台湾の制空権確保という「積極的な攻撃」を想定した内容とされる。(共同)

◎10年後に20%が嫁不足、中国の男女人口差深刻(2004年7月12日、産経新聞)
 新華社電によると、中国国家人口計画出産委員会の張維慶主任は12日までに、中国の9歳未満の男児人口は女児より1277万人も多いとの最近の統計を明らかにし、このままでは10年後に適齢期男性の20%が嫁を見つけられない事態になると警告した。
 中国全体の男女比率は、2000年の人口調査で女性100に対して男性119.92。近年は子供の男女比のアンバランスが目立っているという。
 原因について張主任は(1)農村の主要労働力は男(2)伝統的に男が両親の面倒を見ると考えられている(3)男女の社会的地位の不平等-の3点を挙げ、さらに男女の産み分け技術の向上も影響を与えていると分析した。
 張主任は、この傾向が続けば深刻な結婚問題だけでなく、人身売買などの犯罪を引き起こす恐れもあるとして早急な対策の必要性を強調。同委員会が女児を育てる家庭の支援策を検討中であることを明らかにした。
 現在は広東省や雲南省の一部地区で試験的に、女児のいる家庭に補助金を支給する制度を始めたという。(共同)

◎中国、鄭和にあやかり「海洋大国」の威信をアピール(2004年7月12日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】中国が明時代の武将・鄭和(1371~1434年ごろ)の大航海開始600年を記念した博覧会開催を予定するなど一大キャンペーンに乗り出している。
 「海洋大国」としての威信をアピールし、中国の将来を左右する海洋権益に対する国民の関心を引きつける狙いがありそうだ。
 鄭和は1405年7月、永楽帝の命で初の航海に出発し、1433年まで7回の航海で東南アジアからインド、アフリカ東海岸に到達。南海貿易の活発化をもたらした。英国の学者が「コロンブスより早く米大陸に到達した」との学説を唱えるなど、中国の海洋進出の象徴と言える存在だ。
 来年は大航海開始から600年に当たり、中国は外務省など15の国家機関が記念活動準備委を結成。来年、北京で鄭和の記念大会や展覧会、上海で国際海洋博覧会を開く。記念貨幣や記念切手発行も計画しており、歴史上の人物としては、突出した“てこ入れ”ぶりだ。
 中国は近年、最優先の国家目標である「持続的な発展」を維持するため、新たな海洋開発を戦略に掲げている。特にエネルギー確保の観点から、海洋資源開発は焦眉の課題だ。尖閣諸島や沖ノ鳥島周辺での中国船の違法な調査活動や、東シナ海における天然ガス田開発もこうした流れの中にある。
 中国政府は記念事業のスローガンとして「熱愛祖国」を第一に掲げており、「海洋=国益」とのイメージを国民に醸成する意図も込められていそうだ。

◎中国製品に偽JISマーク、取り締まり要請も効果なし(2004年7月9日、読売新聞)
 【北京=東一真】日本工業規格(JIS)マークや、資源有効利用促進法に基づく分別回収のための「プラ・マーク」などを勝手に付けた商品が中国で出回り、日本政府が対応に頭を痛めている。
 中国内で販売される商品に表示している限りは、法には触れず、取り締まりが難しいためだ。特に品質保証の印であるJISマークなどは「不当表示が広がったら権威が落ちる」(経済産業省筋)懸念があり、政府は中国に対応を要請した。
 ニセのJISマークが最初に見つかったのは今年3月。日本製品の模倣品であるブレーキ・オイルのパッケージに表示があった。JISマークは日本の工業標準化法に基づく品質保証の表示で、品質管理などで一定の基準を満たす工場を日本政府が認定し、製品にJISマークの表示を許可している。海外工場についても認定しているが、発見されたブレーキ・オイルの製造工場は認定を受けていなかった。
 日本国内では、不当にJISマークを付けた事業者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処すことができる。また、不当表示の製品が日本に輸入された場合には、税関で差し押さえることができる。
 ところが、中国国内で不当表示しても、日本の法律を適用できない。JISマークは、企業のロゴ・マークと異なり「商標」ではないため、知的財産権の侵害にもあたらない。盲点を突かれた形の経産省は、5月に中国商務省に取り締まりを要請したが、現在まで、具体的な対応策は示されていない。
 一方、中国で製造販売されている菓子の容器に、日本政府が資源有効利用促進法に基づいて定めた「プラ・マーク」や、「紙マーク」を付けた商品も出回っている。これらのマークは、日本で分別回収する際、包装・容器の素材を示すために表示を義務づけているが、中国国内ではまったく意味がないマークだ。
 中国では、人気の高い日本製品に見せかけるために、「サクサクした繊維を豊富に含有」などの日本語をパッケージに表示する商品が増えており、プラ・マークなどの表示も、日本製品に見せかけたり、かっこよく見せたりするための手法と見られる。
 こちらはJISマークと違って品質保証を意味しないため、経産省は特に中国政府に対応を要望していない。ただ、中国国内でまったく意味をなさないマークを放置すれば、中国の消費者を混乱させる恐れがあるほか、模倣品や海賊版を大量に生み出す「ニセモノ文化」の風土を助長することにもなりかねない。中国政府自らの対応が問われそうだ。

◎バイアグラ特許、中国で取り消し・米ファイザー反発(2004年7月8日、日本経済新聞)
 【ニューヨーク=篠原洋一】米ファイザーは7日、中国政府が同社の主力製品であるぼっ起不全(ED)治療薬「バイアグラ」の特許を取り消したことを明らかにした。特許が期限切れ前に取り消されるのは極めて異例。中国政府は取り消しの理由などを近く正式に公表する見通し。同社は納得できないとして決定見直しを訴えていく方針だ。
 同社はバイアグラの中国での特許を2001年に取得した。すでに多数の偽造品が出回っているとされ、特許取り消しで正規の後発医薬品が相次ぎ発売されるのは確実。今回の取り消し決定は米医薬大手の中国戦略にも影響を与えそうだ。

◎中国政府がバイアグラの特許取り消し、米欧は報復も(2004年7月8日、産経新聞)
 8日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(アジア版)によると、中国政府は7日、米医薬品大手ファイザーに与えていた性的不能治療薬「バイアグラ」の成分特許を取り消す決定を下した。
 同社は抗議する構えで、北京在住の外交官は同紙に対し、米国と欧州連合(EU)が中国への報復措置を検討する可能性もあると述べた。
 中国では外国医薬品の偽造品が出回っており、バイアグラのケースは、医薬品の知的所有権保護についての中国政府の姿勢を見極める試金石とみられていた。
 中国政府は2001年、ファイザーに対し、バイアグラの有効成分「クエン酸シルデナフィル」の特許を認可したが、中国の医薬品会社連合は特許の無効化を申し立てていた。
 中国のバイアグラ市場は年商約10億元(約130億円)に達するとみられ急拡大中。特許取り消しにより、中国製の“正規後発医薬品”が出回ることになりそうだ。(共同)

◎盧溝橋事件記念日、中国、抗議デモ禁止(2004年7月8日、産経新聞)
 【北京=福島香織】今年で67回目を迎える盧溝橋事件記念日の7日、中国の民間組織「愛国者同盟」などが北京市郊外の盧溝橋で予定していた反日集会が公安当局の指示により土壇場でキャンセルになった。一部メンバーは独自で抗議デモなどを行ったが規模は小さく、メディアの報道も控えめ。東シナ海の天然ガス開発をめぐり日中の対立が先鋭化する中、中国当局は国民の反日感情を刺激しないよう配慮しているようだ。
 盧溝橋事件は1937年7月7日に発生、日中戦争の発端となった。集会は3月に沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)に上陸した活動家らが所属していたことでも知られる愛国者同盟のサイトで呼びかけられ、7日午前9時に盧溝橋で行われる予定だったが6日、同盟のサイト上で突然、集会の取り消しが通知された。
 同盟側は、(集会に参加する)車列が交通渋滞で時間通り北京に到着しない▽参加人数が多く集会許可の申請が必要だが、人数などが不確定なので集会許可が申請できない▽7日当日、国家が活動を行うため、集会の場所がない-などと説明したが、関係筋によると実際には公安当局から「待った」をかけられたようだ。
 メンバーのうち数十人が集会取り消しに納得せずデモなどを決行したが、同盟のスポークスマンは「同盟としては関知していない」と責任を回避した。盧溝橋では前日から公安車両が集会を取り締まるべく待機。7日午後も厳重な警備が続いており、デモはすぐ解散したもよう。
 中国では東シナ海の天然ガス開発をめぐる日本側の調査の影響で、国民の反日感情の高まりが懸念されており、当局は盧溝橋事件記念日をきっかけに反日運動が拡大することを恐れたようだ。
 外交筋によるとメディアにも反日キャンペーンを控えるよう通知が出ている。

◎中国で1000万人感染の恐れ・国連が世界エイズ報告(2004年7月6日、日本経済新聞)
 【ジュネーブ6日共同】国連合同エイズ計画(UNAIDS)は6日、2年に一度の世界エイズ報告を発表、エイズの感染拡大には歯止めがかかっておらず、特に人口の多い中国とインドで今後エイズウイルス(HIV)感染者が急増する恐れがあり、適切な措置をとらなければ中国のHIV感染者数は2010年には1000万人に達する可能性があると警告した。
 報告はバンコクで11日から16日まで国際エイズ会議が開催されるのに先立って発表された。
 報告によると、03年末時点での世界のHIV感染者数(推計)は約3780万人。昨年はこれまでで最も新規感染者が多く、世界中で480万人が新たに感染したと推計している。また、昨年1年間にエイズで290万人が死亡したと推計、初めてエイズ患者が死亡した1981年からの死者の累計は2000万人を超えたとしている。
 地域別では、約2500万人のHIV感染者がいる南部アフリカの状況が依然として最も深刻だが、潜在的な脅威として中国とインドを挙げた。

◎中国で1000万人感染の恐れ、国連が世界エイズ報告(2004年7月6日、産経新聞)
 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は6日、2年に一度の世界エイズ報告を発表、エイズの感染拡大には歯止めがかかっておらず、特に人口の多い中国とインドで今後エイズウイルス(HIV)感染者が急増する恐れがあり、適切な措置をとらなければ中国のHIV感染者数は2010年には1000万人に達する可能性があると警告した。
 報告はバンコクで11日から16日まで国際エイズ会議が開催されるのに先立って発表された。
 報告によると、03年末時点での世界のHIV感染者数(推計)は約3780万人。昨年はこれまでで最も新規感染者が多く、世界中で480万人が新たに感染したと推計している。また、昨年1年間にエイズで290万人が死亡したと推計、初めてエイズ患者が死亡した1981年からの死者の累計は2000万人を超えたとしている。
 地域別では、約2500万人のHIV感染者がいる南部アフリカの状況が依然として最も深刻だが、潜在的な脅威として中国とインドを挙げた。(共同)

◎中国、台湾対岸で大演習へ、制空権狙い、3年ぶりの規模(2004年7月5日、朝日新聞)
 中国人民解放軍が7月、台湾海峡の制空権獲得を想定した大規模な軍事演習を行うことがわかった。北京の軍事筋が確認した。最近、中国は台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)政権の自立化路線に一層、神経をとがらせており、外交・経済面に加えて、軍事的な圧力も強める方針のようだ。演習は陸海空各軍を動員する3年ぶりの規模とされ、陳政権への牽制(けんせい)姿勢を日米など周辺国にも明示する狙いがある。
 演習の予定については3日付の中国青年報も、中国外務省が認めたと報じた。場所は、台湾海峡に面した福建省南部の東山島。海岸の地形が台湾の西海岸に似ているとされ、96年以来、台湾上陸を想定した演習が計8回行われた、という。中でも01年の演習が最大で、4カ月にわたり約10万人を動員した。今回の演習規模について同紙は「01年の演習以来」としている。
 同紙によると、過去の演習では台湾が独立を宣言したと仮定。澎湖諸島に上陸し、米海軍の介入に対して戦う、とのシナリオだった。だが、今回の主眼は「独立の予防」から、「台湾海峡の制空権を奪い取る積極性と攻撃性を備えたもの」に変わる、とする軍事専門家の指摘を紹介した。
 演習には最新兵器が投入される見通し。200以上の目標を同時にとらえられるフェーズド・アレイ・レーダーを搭載した中国版「イージス艦」もすでに1隻が就航したとみられ、演習に加わる可能性がある。軍事筋によると、目標を捕捉し自動的に応戦できる日米のイージス艦と違い、使用武器は乗員が判断するなどハイテク面の遅れはあるが、計4隻を保有する計画という。
 実際の戦力では、F16戦闘機など米国製最新兵器を備える台湾軍から中国軍が制空権を奪うのは簡単ではないとみられているが、積極攻撃を狙う大規模演習は十分に圧力になると読んでいる。
 こうした動きは、中国政府が陳政権へのいら立ちを募らせていることの表れだ。中国は3月の台湾総統選前後は演習を控えたが、それは軍事的刺激が逆に台湾世論を自立化に追いやり、陳氏の再選戦略を利することを懸念したためだった。
 しかし、陳氏は結局、再選。5月の就任演説では、現行の中華民国憲法を本格的に見直し、08年に新憲法を出す方針を明示した。中国の国威発揚の歴史的イベントになる同年の北京五輪にぶつけるかのような動きに中国の憤りは深い。
 軍事面だけでなく、外交面でも中国は締め付け強化を図っている。米国に対しては、高性能レーダーや潜水艦などの台湾向け武器売却に強く反発してきた。次期駐日大使に知日派の王毅(ワン・イー)外務次官が内定したのも、日本とのパイプの太い王氏に、台湾問題で日本を引き付けておく役割が期待されている面もある。
 また、大陸に投資する台湾企業のうち陳政権を支持する企業は「容認しない」(国務院台湾事務弁公室)と警告を発するなど、大陸への依存が強まる経済界と陳政権との分断も狙っている。
 経済成長を最優先する中国政府にとって、台湾海峡の波乱は望ましくはない。演習の予定を事前にメディアで報じさせたのも、「周辺国に必要以上の懸念を抱かせないため」と軍事筋は言う。それでも、この演習には、陳政権の自立化路線がエスカレートすれば、決して見過ごさない姿勢を内外に示す意図が込められているのは間違いない。

◎中国の携帯電話加入数、3億を突破(2004年7月2日、朝日新聞)
 中国情報産業省の統計によると、中国の携帯電話加入総数は今年5月末時点で3億55万9000件と、3億の大台に乗った。2億件は02年11月に達しており、それからわずか1年半で1億件増えた。
 今年1年で6000万件程度の増加が見込まれ、来年のうちに都市部のほぼ全体に普及するとみられている。今後、所得の低い内陸の農村部へと、市場が順調に拡大するかどうかは、楽観できないとする見方もある。

◎麻薬犯罪で16人死刑、中国(2004年6月27日、産経新聞)
 中国政府は26日の「国際麻薬乱用撲滅デー」を前に全国で取り締まりキャンペーンを強化、24、25の両日、麻薬密輸や売買などの罪で少なくとも16人の死刑を執行した。
 中国では経済発展の一方で、麻薬が社会問題化。政府は新聞やテレビで「麻薬阻止」を訴える特集を組むなど危機感を強めており「1罰100戒」を狙ったとみられる。
 新華社電によると、広東、海南、雲南など5つの省で開かれた市民参加の「集会」で死刑が言い渡され、直後に執行された。
 近年の麻薬犯罪は大規模化、国際化しており、ヘロイン2トンと大麻3トンを国外から中国に運び込んだケースや、日本に覚せい剤1.1トンを密輸しようとした事件もあった。
 公安省によると、昨年末で麻薬常習者は約74万人。昨年は日本人が麻薬密輸容疑で拘束される事件も続発、現在拘束中の日本人は、死刑判決を受けた者を含め10人以上に上っている。(共同)

◎中国・チチハルの毒ガス砲弾処理、16日から日中共同で(2004年6月15日、朝日新聞)
 中国・黒竜江省チチハル市の郊外で5月下旬、旧日本軍が遺棄した毒ガス砲弾など52発が見つかった問題で、内閣府遺棄化学兵器処理担当室は14日、16日から約10日間の予定で日中共同で発掘・回収作業を行うと発表した。
 同室担当者の説明では、現場はチチハル市南部の昂昂渓区頭站村の民家の敷地内。約100メートル離れた場所に小学校がある。5月末に日本外務省の調査団が訪れて10発を鑑定し、旧日本軍のびらん剤(マスタードガス)などと確認した。作業には、内閣府に出向している自衛官や同OBなど日本側が二十数人、中国側は130人前後が参加する。
 一方、同時期にチチハル市の別の建設現場で掘り出されたドラム缶の周囲にいた8人が体に異常を訴えた問題で、ドラム缶は旧日本軍のびらん剤の容器だとわかった。だが、古い穴が開いて中身はなく、中国側は「8人の体の異常との因果関係ははっきりしない」と日本側に説明したという。8人はいったん病院に運ばれたが退院している。

◎夏の猛暑、人工降雨で冷やせ、電力不足緩和で上海市計画(2004年6月13日、朝日新聞)
 夏は連日猛暑が続く中国・上海市は、エアコン使用などによる電力不足を緩和するため、人工的に雨を降らせて気温を下げる計画を立てている。商業や工業施設が集中する同市では、電力不足が社会問題化している。水不足対策などの人工降雨は例があるが、電力不足解消を目的にしたのは初めてという。今月中にも試験的に実施する予定だ。
 市当局によると、飛行機から冷却剤などを雲の中に散布することで温度を大きく下げ、水滴や氷の量を増やして人工的に雨を降らせる方法などが検討されている。天候条件に左右されるうえコストも高いが、電力を買うコストに比べれば採算が合うという。
 同市は夏場の電力消費量の約半分をエアコン使用が占める。ある地区では昨夏、突然大雨が降った時の電力需要が150万キロワット減少したといい、雨による気温低下でエアコン使用を抑える効果があるとみている。
 上海市経済委員会によると、今夏の最大電力需要は1670万キロワットにのぼり、これに対し供給は240万キロワット程度不足するとみられていた。

◎中国の携帯電話、3億突破確実に、1年で6千万増見込む(2004年6月7日、朝日新聞)
 中国情報産業省の統計によると、今年4月末時点で中国の携帯電話加入総数は2億9575万件に達した。3億件突破は確実だ。昨年末以来、新規加入が2705万件あり、今年1年間では6000万件増えると見込まれている。
 携帯電話は経済が発展している沿海地域のほか、内陸でも普及しつつあり、四川省で1300万件、河南省でも1200万件を超えている。ただ、いずれも都市部が中心で、農村部での普及は進んでいない。
 一方、固定電話の加入数もすでに携帯電話に追い抜かれたものの、この4カ月で2214万件増え2億8544万件に達した。

◎靴工場で労働者1000人以上が暴動、中国広東省(2004年6月7日、産経新聞)
 6日付の台湾夕刊紙、聯合晩報によると、中国広東省東莞にある台湾資本の靴工場で5月、残業時間を削減され収入が減ったことに反発する労働者1000人以上が暴動を起こし、主犯格の女性労働者4人が逮捕され、いずれも懲役15年の実刑判決を受けた。
 労働者は車に火を付けたり、コンピューターを破壊したほか、台湾人幹部に負傷させた。500人以上の武装警察官が鎮圧に当たった。
 中国当局は最近、労働環境改善に向け、週当たり労働時間が48時間を超えてはいけないとの管理規定を施行。この工場は規定を守った結果、労働者の暴動を招いたという。工場側が給与をカットしたためとの見方もある。
 広東省深●(●=土へんに川)でも先月、残業減らしに不満を持った別の工場の労働者6000人以上が街頭抗議デモを行ったという。(共同)

◎ホンダ、類似商標で中国企業再提訴(2004年6月5日、産経新聞)
 4日付中国英字紙、チャイナ・デーリーによると、ホンダが中国の大手オートバイメーカー、重慶力帆実業集団(重慶市)を相手に商標権侵害で1700万元(約2億2000万円)を超す損害賠償などを求めた訴訟の審理が3日、上海市第二中級人民法院(地裁)で開かれた。
 同紙が伝えた訴え内容によると、重慶力帆はホンダのオートバイ「SCR」にデザインがそっくりな「SOR」マークを自社の製品に付けて販売。ホンダは2001年に気付き、翌年から重慶力帆側に警告の文書を送っていたという。
 重慶力帆は商標権侵害を否定し、ホンダ側と争う構え。ホンダは以前にも、重慶力帆が商標「HONDA」によく似た「HONGDA」のマークを付けて自社製品を販売しているとして提訴した。(共同)

◎新日石、中国に新工場、携帯向け液晶フィルム生産倍増へ(2004年6月6日、朝日新聞)
 新日本石油は、携帯電話などの液晶画面に使われる光学フィルムの生産能力を2倍に増強する。中国・蘇州に建設中の新工場で8月から試験生産を始め、来年2月に本格生産に移行する計画。同社の製品はカラー液晶向けのシェアが高い。今後は海外でもカラー画面の携帯電話が標準になると見込み、有力な収益源に育てたい考えだ。
 フィルムは樹脂製で、液晶画面のガラス偏光板の間に数枚、層状に張られている。光の振動を整え、画面の映りをくっきりさせ、斜めからでも見やすくする効果がある。新日石は、分子構造の複雑な石油化学製品の製造技術をもとに、95年に商品化した。
 メーカーは世界で15社ほどあるが、同社の製品は、携帯電話用カラー液晶の5割強に採用されているという。03年度の売上高は前年の2倍近い約35億円。画面のカラー化と大型化が追い風だ。
 年産120万平方メートルの能力を持つ辰野工場(長野県辰野町)はフル稼働で、「需要の伸びに生産が追いつかない状態」(担当幹部)。増産のため、蘇州に約50億円かけて辰野と同じ規模の新工場を建設している。蘇州周辺にはセイコーエプソンやフィリップスなど液晶メーカーの拠点が集中しており、注文に迅速に対応できる利点がある。
 IT調査会社の予測では、携帯向け光学フィルムの需要は08年に現在の1.3倍になると見込まれる。新日石は06年までに採用率を7割まで引き上げる目標を掲げる。

◎中国でも就職は大変、大学生が急増、競争激化(2004年6月1日、産経新聞)
 速いスピードで経済発展を続ける中国で、7月の卒業を前に大学生が就職難に見舞われている。進学率の上昇により大学生数が急激に増えたことに加え、市場経済の発展に見合った雇用の仕組みが立ち遅れていることが背景にある。高い希望を持つ学生と、厳しく選別する採用側の認識の違いも、競争激化に拍車を掛けているようだ。
 就職シーズン終盤を迎えた5月、北京市で開かれた有料の就職説明会場は学生ら数千人で埋まった。
 卒業間近の杜愛紅さん(24)は「説明会はもう4回目。英語を生かせる仕事をしたいが、なかなか条件が合わない」とため息をついた。北京大学院生の侯鐸さん(24)は7カ月の就職活動を経て、ようやく国有企業に就職を決めた。「『仕事の経験』を問われるなど、企業の要求が厳しかった」と振り返る。
 今年の大卒者は約280万人。昨年卒業しながら未就職の約50万人を加えた約330万人が就職戦線に参加した。
 教育省は今年9月の就職率の目標を70%と設定。鄭斯林・労働社会保障相は「目標達成は可能」との見通しを示しているものの、残りの30%の大半は“就職浪人”だ。
 中国では従来、国が大学生の就職をあっせんする「分配」が主流だったが、市場経済化の進展に伴い1990年前半に自由に仕事を選べる制度に変更された。当初は高成長期の開始と重なったこともあり、大卒者は高収入を約束された「特権階級」だったという。
 しかし、教育市場の開発と人材育成を狙って99年に大学生数を拡大する制度が導入されたことで状況は一変。今年の大卒者数は99年と比べて75%増に膨れ上がり、就職活動も激烈になった。
 各大学や自治体は合同説明会を開いたり、ホームページで企業を紹介したり、側面支援に力を入れる。
 だが、学生の希望と雇用する側の思惑には食い違いがある。学生側が(1)北京、上海、広州など大都市部の職場(2)高給料、好待遇-を求めるのに対し、雇用側からは「即戦力として期待できない」「一人っ子で甘やかされ自信過剰」などの辛口評価も聞かれる。
 中国紙によると、就職問題の専門家は「分配に安住していた影響がまだ尾を引いている。学生側と雇用側が接触する機会をもっと増やすなど、経済発展に見合った人材市場のシステム化が急務だ」と指摘した。(共同)

◎中国、ロシアから電力輸入・工場向けに安定調達(2004年5月27日、日本経済新聞)
 【北京=宮沢徹】中国がロシアから電力の輸入を始めた。2013年までの契約で極東地域の発電所から年10億~20億キロワット時の電力を買い取る。中国は電力不足が深刻で、国内の発電所整備だけでは需要拡大に追いつかないと判断した。ロシアからは原油、天然ガスの輸入も拡大する計画。中国はエネルギー消費の約1割を輸入に頼っているが、今後はロシア依存が急速に強まる見通しだ。
 ロシア極東のアムール州にある二つの水力発電所から国境をまたいで、黒竜江省の黒河市まで送電。黒竜江省に立地するシリコン加工や素材など電力多消費型の工場で活用する。今回の輸入量は中国全体の消費量の0.1%にすぎないが、電力不足により工場が停止に追い込まれる事態を回避できる。受け入れ窓口になる黒河市経済合作区管理委員会企業局の李樹平局長は「ロシアの電力料金は中国より安く、地域産業の競争力強化にもつながる」と説明しており、今後、輸入量を拡大したり黒竜江省以外の地域の工場で活用したりすることも検討する。

◎チチハルで再び遺棄化学兵器見つかる、新華社報道(2004年5月26日、朝日新聞)
 中国黒竜江省チチハル市で、旧日本軍の化学兵器の入ったドラム缶1個が見つかったと新華社が25日伝えた。
 報道によると、ドラム缶は24日、住宅建設現場で発見された。液体はなくなっていたが周辺に刺激臭が流れた。缶に触れた8人に大きな異常は見られないが、検査を続けている。軍の専門家は旧日本軍が遺棄したもので毒ガスが入っていたと鑑定した。
 北京の日本大使館は中国側から正式な通知を受けていないという。チチハル市では昨年8月、旧日本軍の遺棄化学兵器の毒ガスが漏れ、1人が死亡、43人が負傷した。

◎サカタINX、7月から中国でインク製造販売(2004年5月23日、日本経済新聞)
 サカタインクスは7月から、中国で段ボールや包装フィルム向けインクの生産を始める。上海に工場を建設、フル稼働時には年間3600トンを生産する。日本の製造業の進出や現地メーカーの成長で、増加する印刷需要を取り込む。本格稼働する3年後には年間8億円の売り上げを見込む。
 新工場には、顔料と樹脂などを混ぜ合わせてインキを作る設備と、金属やプラスチック缶などの容器に詰める装置を設置した。総投資額は8億円。原料は中国国内のほか日本からも調達する。日系企業だけでなく中国国内や中国へ進出している外資の印刷会社に販売する。

◎炭鉱事故で21人死亡、中国・山西省(2004年5月20日、産経新聞)
 新華社電によると、中国山西省呂梁地区の炭鉱で18日起きたガス爆発事故で、救助隊は19日までに21人の遺体を確認した。1人が救出され、12人が行方不明となっている。
 同省当局者によると、坑内は一酸化炭素の濃度が高いため、救助活動は慎重に進められているという。
 中国では炭鉱事故が多発、昨年は計約6700人が死亡している。(共同)

◎入管法違反事件:中国人が最多、不法就労目立つ(2004年5月18日、毎日新聞)
 法務省入国管理局は17日、03年の入管法違反事件の概要をまとめた。不法入国や不法残留で退去強制手続きをとった外国人は4万5910人(前年比3975人増加)。国籍別では、中国が1万2382人で最も多く、韓国を抜き初めてトップになった。
 退去強制手続きをとった外国人のうち、3万4325人が不法就労で、全体の約75%を占めた。就労期間が「3年を超える」者が全体の48%で、就労期間の長期化が目立つ。就労場所は、東京都を中心に関東の1都6県に全体の約72%が集中していた。

◎中国で偽ミルク、栄養不良で乳児12人死亡(2004年5月17日、産経新聞)
 中国安徽省阜陽市などで、栄養成分が国の基準を大幅に下回る「偽粉ミルク」が発売され、16日までにミルクを飲んだ乳児229人が栄養不良となり、うち12人が死亡した。同日の新華社電(電子版)によると、中国国務院(政府)は、製造にかかわった業者ら31人を逮捕したことを明らかにした。
 国務院の調べでは、偽ミルクはデンプンや砂糖などにミルクの香りを加えるなどして製造されていた。タンパク質や脂肪、ビタミンが極端に少なく、飲んだ乳児らは発育不良や免疫低下の症状を示したという。
 阜陽市では55種類の不合格ミルクが発見され、社名や製造場所を偽った業者が多数かかわっていたという。
 偽ミルクによる被害は昨年3月ごろ、阜陽市の農村部などで頭部が肥大し発育が遅れた乳児が報告されて発覚。その後、黒竜江省や福建省、湖北省などで同様の症状を示す乳児が見つかっている。(共同)

◎中国、日本からの廃プラ輸入緊急停止(2004年5月14日、日本経済新聞)
 【北京=飯野克彦】中国で品質管理などを主管する国家品質監督検査検疫総局は13日までに、日本からの廃棄プラスチックの輸入手続きを緊急停止した。日本からの廃プラ輸入で違法行為があったためとしている。期間は不明。
 同総局が8日付で出した「公告」によると、日本側が廃プラをばら積み船に積み込む際に、危険性のある大量の貨物を隠して違法に輸出。一部を転売して深刻な環境汚染を引きおこしたという。日本側の荷主などの名前は明らかにしていない。公告はこれを「欺まん的な手段による重大事件」などと位置づけ、日本からの廃プラ輸入に必要な検査手続きなどを一時停止する、と表明した。
 経済の高度成長にともなって中国は鉄スクラップや古紙など再生資源の輸入が急拡大しているが、一方で再生資源の名目で廃棄物の輸入も増えているとされる。中国政府は危険な廃棄物の輸入を禁止するなど環境保護の規制を強化しているが、日本を含む先進国などで処理されなかった廃棄物の違法な流入があとを絶たない。

◎中国・青海省でM5.9の地震(2004年5月11日、産経新聞)
 新華社電によると、中国内陸部の青海省デリンハ市で11日午前7時27分(日本時間同8時27分)、マグニチュード(M)5.9の地震があった。震源地は同市中心部から西方60キロの地点で、負傷者など被害の程度は不明。
 同市周辺では2月と3月、さらに今月4日にもM5以上の地震が起きている。(共同)

◎中国、違法製鉄所で処分・鉄鋼余剰解消へ強硬姿勢(2004年5月9日、日本経済新聞)
 中国政府は違法な大型製鉄所の建設を認めた地方政府の幹部や融資した銀行の支店長らを一斉に処分した。政府は供給過剰が懸念される鉄鋼の工場新設を制限しているが、地方が独断で着工を認める例が後を絶たない。厳しい措置により景気過熱を回避するための強い姿勢を示した形だ。
 処罰されたのは江蘇省常州市の共産党委員会書記や同省発展改革委員会副主任、中国銀行常州支店長ら8人。解雇や党による厳重注意処分となった。
 問題となったのは民営企業、江蘇鉄本鋼鉄が常州市で計画した製鉄所プロジェクト。銀行融資などで集めた約100億元(約1300億円)を投じて年産840万トンという巨大工場をつくる構想で、昨年3月から工事が始まった。
 同プロジェクトは環境影響調査が十分でなかったうえ、土地使用などの手続きが完了しないまま、地元政府が工事の開始を認めた。(上海=湯浅健司)

◎中国:覚せい剤密輸の日本人に無期懲役の判決(2004年5月8日、毎日新聞)
 【北京・上村幸治】中国・遼寧省の大連市中級人民法院(地裁)が、覚せい剤約1キロを日本に持ち出そうとして逮捕された日本人会社経営者(50)に対し、4月28日に無期懲役の判決を言い渡していたことが分かった。北京の司法関係筋が7日に明らかにした。会社経営者は控訴するかどうかを検討しているという。
 会社経営者は昨年10月、依頼を受けて大連から日本に覚せい剤を運ぶ途中、大連空港で捜査当局に逮捕された。
 昨年、中国の瀋陽、上海、広州など6カ所の空港で日本人13人が覚せい剤を持ち出そうとして、それぞれ逮捕されている。このうち、瀋陽空港で逮捕された60歳の無職男性は、覚せい剤約1.25キロを持ち出そうとして、今年2月に瀋陽市中級人民法院で執行猶予のつかない死刑判決を言い渡され、控訴している。
 今回の会社経営者は、同じような量の覚せい剤を運ぼうとしながら、無期懲役という判決を受ける形になった。死刑判決を受けた60歳男性は、誰から覚せい剤を受け取ったかすら知らなかったが、会社経営者はそういった点を公判で説明できた模様で、司法関係筋は「情状酌量の余地があると判断されたのではないか」と指摘している。
 一連の事件では、60歳代と40歳代の無職男性が昨年7月に大連空港で同容疑で逮捕されながら、まだ判決が出ていない。

◎覚せい剤密輸の日本人男性に無期懲役の判決、中国・大連(2004年5月8日、朝日新聞)
 日本人男性が覚せい剤約1キロを中国・大連から日本へ運び出そうとしたとして麻薬密輸罪に問われ、中国遼寧省の大連市中級人民法院(裁判所)から無期懲役の判決を受けていたことが7日、わかった。
 瀋陽の日本総領事館などによると、男性は東京都内に住む50代の会社経営者。昨年10月1日、大連空港で覚せい剤997.8グラムを所持しているのが見つかった。男性は商用で大連を訪れた際、中国人男性からかばんを日本に運んでほしいと頼まれ、その中に覚せい剤が入っていた、と話しているという。4月28日に判決が出され、現在、控訴を検討中。
 中国では2月、遼寧省瀋陽市中級人民法院で、覚せい剤1.25キロを運び出そうとしたとして、別の邦人男性が死刑判決を受けている。

◎中国進出企業に大手4行が“争奪戦”、支店増設や機能強化、支援ビジネスに注力(2004年5月7日、産経新聞)
 中国市場へ進出する日本企業をサポートしようと大手四銀行の競争が激化している。各行とも国際金融センターに成長しつつある上海に機能を集中。資金決済や債権回収、金融派生商品(デリバティブ)業務などを拡充している。バブル崩壊後、大手銀行は海外撤退が相次いだが、中国は別格。「日本と地続きのつもり」(首脳)という力の入れようだ。(渡辺浩生)
 四大銀行の中国での営業網は現在、七都市に合計十八支店。駐在員事務所を合わせると三十一拠点に上る。だが、各行とも国内大手メーカーの工場移転の動きに合わせ、それぞれ支店の増設を申請中だ。メーカーの進出とともに部品などの下請け企業も追随し、銀行にとっては取引先拡大の好機となるからだ。
 例えば、トヨタ自動車が工場建設に乗り出すなど自動車産業集積地で「中国のデトロイト」と呼ばれる広州市では、現在支店を持つのは三井住友銀だけだが、東京三菱銀が支店出店を申請中。同様にみずほコーポレート銀は無錫に、UFJ銀は蘇州へ出店を申請している。
 また進出企業の半数以上を飲み込む最大の成長地域である上海には、「ニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融センターになる」(斎藤宏みずほコーポレート銀頭取)と、調査や市場部門の人材、機能の集約を進めている。
 中国の世界貿易機関(WTO)加盟後、外資系の銀行業務は、個人向けを含む人民元業務が全面解禁される二〇〇六年に向け段階的な開放が続く。「顧客は進出先の店舗の有無やサービスの中身でメーンバンクを乗り換える」(中国担当者)だけに、各行とも支援ビジネスに知恵を絞る。
 顧客から確実な資金決済を求められていることから、三井住友銀は中国人民銀行(中央銀行)が構築する国内電子決済システムに参加し、決済情報をリアルタイムで提供できるよう注力。みずほは日本企業にとって悩みの種の地元取引先からの資金回収を円滑にするため、二月に、中国企業と人民元取引が可能な免許を取得、日本企業が現地企業に対して持つ売掛金を買い取り、転売する債権回収業務に乗り出した。
 商習慣や法律、規制の違いから生じるさまざまなトラブル解決や相談も重要な仕事だ。UFJ銀は、上海に進出した会計、法律事務所や人材派遣、物流などの現地法人と提携、顧客企業から本業以外の現地業務の外部委託を一括して引き受ける総合相談サービスに近く乗り出す。
 今年三月には四大銀行が上海支店でのデリバティブ業務の免許を一斉に申請。認可されれば、人民元・外貨建ての為替先物など高度な金融サービスの提供も可能になるという。

◎炭鉱でガス爆発、35人死亡、中国(2004年5月1日、産経新聞)
 1日の新華社電などによると、中国山西省臨汾市の炭鉱で30日、ガス爆発事故が発生、35人が死亡、1人が行方不明となった。
 炭鉱当局者によると、事故発生時、現場では49人が作業中で、13人は自力で脱出した。
 臨汾市が行方不明者の救出に全力を挙げるとともに、詳しい事故原因を調べている。(共同)

◎中国の短距離弾道ミサイル500基以上、米高官が証言(2004年4月23日、朝日新聞)
 ローレス米国防次官補代理(東アジア・太平洋担当)は22日、米議会上院外交委員会の小委員会で証言し、中国が沿岸部に配備している短距離弾道ミサイルが現段階で500~550基に達し、いずれも台湾に向けられているとの見方を明らかにした。中国軍はアフガニスタンやイラクにおける米軍の作戦から、無人偵察機の利用や地上の特殊部隊と連携した空爆などの効果を「学習しているようだ」とも述べ、警戒感を示した。
 ローレス次官補代理は、中国の国防費は公表されている数字の2~3倍の「500億~700億ドル」との見方を改めて示し、中国軍は短距離弾道ミサイルを質、量ともに増強していると指摘。空軍も従来の防衛型から、攻撃型の能力を強化しているとの見解を示した。
 また、91年の湾岸戦争以来、コソボでの軍事作戦やアフガン、イラクでの対テロ戦における米軍の作戦を観察し、近代戦にはスピードが欠かせないとの認識も深めつつあると指摘した。

◎中国、知的財産権の保護で行動計画、米中高官協議(2004年4月22日、読売新聞)
 【ワシントン=広瀬英治】アメリカと中国の経済閣僚などによる初のハイレベル通商協議が21日、ワシントンで開かれた。中国側は、米国が強く対応を求めていた知的財産権の保護問題について、国内の取り締まり強化などを盛り込んだ行動計画を提示した。
 中国が6月に予定していたパソコンなどに関する独自の無線暗号化規格について、採用の義務付けを延期すると表明し、米側に歩み寄った。
 サービス分野でも、外資系企業に対する輸出入などの貿易権を、予定より半年早めて7月から付与することを明らかにした。また、両国は、米国が中国を「市場経済国」と認定するかどうかを検討する作業部会を設置することで合意した。
 米国の対中貿易赤字の拡大を背景に、米中間の通商摩擦の激化が懸念されていたが、中国が対米通商関係の改善に努める姿勢が目立った。
 知的財産権に関する行動計画は、2004年末までに、模造品の製造など知的財産権の侵害に対する罰則を強化するとして、国内の監視体制や税関の強化などに取り組むことを強調した。
 この日の協議は、2003年12月の米中首脳会談での合意に基づき、従来の両国間の商業・貿易委員会(JCCT)を格上げする形で行われた。米国はドン・エバンズ商務長官、ロバート・ゼーリック米通商代表部(USTR)代表、アン・ベネマン農務長官ら、中国は呉儀副首相、薄煕来商務相らが出席した。

◎日本人経営者に罰金、「女体盛り」で中国衛生当局(2004年4月21日、産経新聞)
 20日付香港紙、星島日報によると、中国雲南省昆明市で裸の女性にすしなどを乗せて食べる「女体盛り」を提供した日本懐石料理店に対し、地元衛生当局はこのほど2000人民元(約2万6000円)の罰金を科した。地元メディアの報道として伝えた。
 当局は店のサービスが「婦女権益保障法」などに違反すると判断。社会道徳にもとり女性差別につながるなどとして、今後同種のサービスを提供しないよう命じたという。
 同店の経営者は日本人で、今月2日「美女人体盛宴」として女子大生2人の体にすしなどを乗せて客に提供したが、直後に市民の反発を受け、当局に中止を命じられた。(共同)

◎化学工場爆発:死者行方不明者9人に、中国・重慶(2004年4月17日、朝日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国・重慶市内の化学工場で16日に起きた爆発・塩素ガス漏れ事故で、中国国営新華社通信によると、同日夜までに、工場の社長や従業員計9人が死亡したか、行方不明であることが分かった。避難していた工場周辺に住む約15万人のうち、工場付近の住民約3万人がテントで夜を明かし、約12万人が帰宅した。
 関係者の話によると、15日午後7時ごろに工場の配管に穴が見つかったため緊急処置をしていたところ、16日午前2時ごろ1回目の爆発が起きた。同日昼ごろから周辺住民の避難が始まったが、同日午後6時ごろに2度目の爆発が起きたという。

◎中国・重慶の化学工場で塩素ガス漏れ、死亡・不明9人(2004年4月17日、朝日新聞)
 中国国営新華社通信は17日、中国西南部の重慶市江北区にある重慶天原化学工業工場で15日夜、塩素ガスの流出事故が起き、これまでに死者・行方不明者が9人にのぼったと伝えた。有毒ガスの流出で被害が拡大する恐れもあり、同市当局は、現場から半径1キロ以内の住民計約15万人に対して避難を呼びかけた。
 同通信によると、15日午後7時(日本時間同8時)ごろ、工場からガスが漏れ始め、さらに翌16日未明と夕方に2回にわたって爆発が起きた。同工場内にある7カ所の塩素タンクからガスが漏れており、周囲約300メートル内の地域では、鼻をつくような強いにおいが漂っているという。

◎中国の電力供給制限、3省除き全土に、工業活況で需要増(2004年4月11日、朝日新聞)
 中国の電力部門などによると、今年1~3月に電力供給制限を実施した地域は、新疆ウイグル自治区、海南省、東北地区3省を除く全国に及んだ。今年の電力不足は3千万キロワットに達するとみられていて、日本の関西電力の発電能力にほぼ相当する。電力不足は今年がピークで、来年以降は新たな発電所の増強でいくぶん緩和される見通し。
 1~3月の電力消費量は約4800億キロワット時で、前年同期に比べ16.4%も増えた。工業生産の伸びが主な原因で、中でも鉄鋼、アルミなど電力多消費型産業の活況が影響している。上海周辺など沿海地域では需要急増による電力不足が発生しているほか、内陸部では水不足により発電量が前年より6~8割も落ち込む水力発電所が続出した。各地域とも工場の休日を振り替え、電力消費のピークを抑える措置をとるなどの対応策をとっている。

◎東芝がパソコン生産を中国に集約、年300万台体制に(2004年4月9日、日本経済新聞)
 東芝は来春をめどに日本、中国、フィリピンに分散しているノート型パソコンの生産を中国に集約する。中国・杭州工場の生産能力を年300万台に倍増し、大幅なコストダウンを進める。米デルなどパソコン大手は一斉にコストの安い中国生産を強化、東芝も思い切った集約で競争力向上と収益改善を狙う。中国はパソコンをはじめ主要な情報機器で最大生産国になっており、中国を軸に生産体制を組み直す動きが広がりそうだ。
 東芝の2003年度のパソコン出荷台数は約450万台、売上高は6900億円を見込む。この全量がノート型で、世界3位のシェア(12.4%)を握る。ただコスト改善の遅れで、パソコン事業は前期265億円の営業赤字になる見通し。生産集約で抜本的なコスト削減を進め、黒字体質を確立、主力事業として維持する。

◎中国の日本料理店で「女体盛り」、衛生庁が停止命令(2004年4月7日、読売新聞)
 【北京=藤野彰】中国紙「北京青年報」の6日までの報道によると、中国雲南省昆明市で、懐石料理を看板に掲げる日本料理店が、女子大生を雇い、素肌にすしや刺し身を直接盛りつける「女体盛り」サービスを始めたところ、地元衛生当局が「女体は容器ではなく、食品衛生上問題がある」としてサービスの停止を命じる事件があった。
 この料理店はさる2日、「身長1メートル70以上で、色が白く、スタイルのいい」女子大生2人を雇い、初の「美女人体盛宴(女体盛り)」を披露。開始前、2人には30分以上シャワーを浴びさせ、さらに氷室で体温を下げるなどの準備をさせたという。店の責任者は「実際の状況を考慮して全裸にはしなかった」としている。
 しかし、女性が人前で裸体をさらすことがタブー視されている中国では「女体盛り」は前代未聞の珍事とあって、メディアの取材に地元市民らは「女性をべっ視している」などと反発。問題を聞きつけた雲南省衛生庁が立ち入り調査に乗り出し、5日、同店に「女体盛り」の停止を命じた。衛生庁では今後、罰金などを含めた処罰を検討するという。

◎昨年の死刑執行、中国がトップ、アムネスティ報告書(2004年4月7日、産経新聞)
 世界の28カ国で昨年、分かっているだけで1146人が死刑を執行され、国別では中国がトップ、イラン、米国がこれに続くことが6日、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルがまとめた報告書で分かった。
 報告書によると、中国では昨年、726人に死刑が執行された。イランは108人、米国は65人で、ベトナムの64人、サウジアラビアの50人と続いた。
 日本については、少なくとも1人に対して死刑が執行されたとしている。
 アムネスティは、中国が薬物注入による死刑を執行する「移動処刑車」を18台導入し、即決裁判で処刑を強行していると非難した。
 また「テロとの戦い」に名を借りた少数派や反政府勢力に対する弾圧が中国やモロッコで顕著になり、モロッコでは反テロ法に基づく死刑言い渡しが16件あったと指摘している。(共同)

◎中国、貿易額で世界第4位・03年世界貿易統計(2004年4月6日、日本経済新聞)
 【ジュネーブ=清水真人】2003年の中国の貿易額が日本にほぼ匹敵する規模になった。世界貿易機関(WTO)が5日発表した貿易統計によると、モノの輸出入額は世界第4位、輸入額だけを見ると米独に次ぐ同3位に浮上した。安価な労働力による工業生産の急増や内需拡大をテコに「貿易大国」入りを果たした格好だが、同国は市場開放など通商交渉の焦点にもなっている。一方、世界全体の貿易はモノの輸出額が前年比で16%増え、1995年以来の高い伸びを記録した。
 中国のモノの輸入額は前年比40%増の4128億ドルで、フランス、英国、日本などを抜き初めて上位3位入りした。同輸出額(ドル換算)は同35%増の4384億ドル。貿易総額は3位の日本に肉薄する8512億ドルとなった。中国の貿易が拡大した最大の要因は世界の有力メーカーの工場進出だ。直接投資額は2002年に世界一の米国向けとほぼ並び、エアコンやカラーテレビ、DVD(デジタル多用途ディスク)プレーヤーなどの生産量で世界一になった。日本や東南アジアからの電子部品の対中輸出が急増し、完成品は日本や米国市場に輸出されている。

◎ゲームで徹夜、線路で熟睡、2中学生死亡、中国・重慶(2004年4月2日、産経新聞)
 1日の新華社電によると、中国内陸部の重慶市で3月31日、インターネットゲームで遊び疲れて鉄道のレール上で寝ていた中学1年生の男子2人が列車にひかれ死亡した。一緒にレール上で休んでいた別の男子1人は列車に気付き助かった。
 3人はインターネットカフェで2、3日間徹夜してコンピューターゲームをした後にレール上で休息。そのまま寝込んでしまったらしい。
 3人の通う中学がある農村には、1年ほど前にネットカフェが開業。登校せずに入り浸る生徒が相次ぐなど問題になっていたという。(共同)

◎対中貿易、単月で10年ぶり黒字、中国の内需の強さ反映(2004年3月25日、朝日新聞)
 2月の対中国貿易収支が、約10年ぶりに黒字に転じた。財務省が25日発表した貿易統計(速報)によると、日本から中国への輸出は5902億円、中国からの輸入は5765億円で、差し引き137億円の貿易黒字となった。最後に黒字だった94年3月は、大型船舶の輸出があって一時的に黒字化したが、赤字基調は87年半ばから続いており、実質的には約17年ぶりの黒字転換だ。
 日本向けの安価な製品輸出が急増して、一時は脅威論が強まった中国だが、最近は「世界の工場」として部品や素材を中心に日本からの輸入が膨らんでいる。
 高成長が続く中国の内需は強く、日本からの輸出は02年1月から連続で前年同月比プラスとなり、ほぼ2けた増の高い伸び。08年の北京オリンピック開催に向けた道路や橋などのインフラ投資で、日本からは鉄鋼や建設用機械の輸出の増加が目立つ。半導体部品や液晶なども好調だ。
 一方、輸入も02年4月から増加が続くが、伸び率は輸出より低い水準にとどまっている。
 対中貿易で赤字傾向が定着する前の87年2月の貿易黒字は172億円と今年2月とほぼ同じ水準。しかし、輸出額は904億円と6分の1ほどで、急増してきた輸出が今後さらに伸び続けた場合、貿易黒字は一段と増加する可能性がある。
 国際金融情報センターの石井久哉アジア第1部長は、「世界貿易機関(WTO)加盟による市場開放の浸透などで中国は今年、輸入が急増し経常赤字となる可能性もある。日本の対中貿易も黒字傾向が続きそうだ」という。

◎中国フィルム大手の楽凱、2003年度純利益36%減(2004年3月16日、日本経済新聞)
 【上海=川瀬憲司】中国の大手写真フィルムメーカー、楽凱膠片(ラッキー、河北省保定市)が16日発表した2003年度決算によると、純利益は前の年度に比べ36%減の8000万元だった。密輸の横行で販売価格が下落したうえ、デジタルカメラに押されて、カラーフィルムの需要が落ち込んだためという。
 楽凱の売上高は同5%減の5億6400万元、営業利益は同34%減の9500万元だった。
 同社は同日、米イーストマン・コダックの出資手続きが完了したと発表した。コダックは発行済み株式の13%を保有する第2位株主となった。両社は昨年10月、コダックが株式取得の見返りに、現金約1億ドルと生産設備・技術を供与することで合意している。

◎中国人1100人の不法入国仲介、架空証明書使い手数料稼ぐ(2004年3月14日、産経新聞)
 東京都内で日本語学校を実質経営する会社社長、吉田勝則被告(56)=偽造有印公文書行使罪などで公判中=が、架空の「就学」や「技能」の証明書を発行して数年間で少なくとも中国人約1100人の不法入国を仲介したことが14日、埼玉県警などの調べで分かった。
 県警は、中国国内にあっせん組織があるとみて、実態解明のため、警察庁を通じて中国当局に捜査協力を要請。吉田被告が手数料数億円を稼いでいたとみている。
 調べでは、吉田被告は昨年11月、知人の中国人男性の在留資格延長手続きで、東京入国管理局に偽造書類を提出したとして逮捕された。
 県警はその際、法人を含め中国人関係者計約8000件の名簿や偽造書類作成用の印鑑約800本を押収。就労目的なのに日本語学校への入学許可証を発行したり、調理技術の証明書を偽造して料理店のコックとして雇わせたりして、吉田被告が中国人を継続的に受け入れていたことが判明した。
 これまでに不法入国させたのは「就学」資格で約800人、「技能」資格で約300人に上り、在留資格の更新手続きも代行していたという。

◎中国人1100人の不法入国仲介・日本語学校経営者(2004年3月14日、日本経済新聞)
 東京都内で日本語学校を実質経営する会社社長吉田勝則被告(56)=偽造有印公文書行使罪などで公判中=が、架空の「就学」や「技能」の証明書を発行して数年間で少なくとも中国人約1100人の不法入国を仲介したことが14日、埼玉県警などの調べで分かった。
 県警は、中国国内にあっせん組織があるとみて、実態解明のため、警察庁を通じて中国当局に捜査協力を要請。吉田被告が手数料数億円を稼いでいたとみている。
 調べでは、吉田被告は昨年11月、知人の中国人男性の在留資格延長手続きで、東京入国管理局に偽造書類を提出したとして逮捕された。
 県警はその際、法人を含め中国人関係者計約8000件の名簿や偽造書類作成用の印鑑約800本を押収。就労目的なのに日本語学校への入学許可証を発行したり、調理技術の証明書を偽造して料理店のコックとして雇わせたりして、吉田被告が中国人を継続的に受け入れていたことが判明した。〔共同〕

◎中国、台湾近くへ軍配備か・香港紙報じる(2004年3月14日、日本経済新聞)
 【香港14日共同】14日付の香港紙、星島日報は北京の消息筋などの話として、中国人民解放軍が20日投開票の台湾総統選をにらみ、台湾に近い福建省に兵士や武器の大量配備を始めたと報じた。
 同紙によると、江沢民中央軍事委員会主席が11日の会議で関係部署に対し、総統選に絡む有事に備えて出動態勢を整えるよう命令。福建省には重装備を運ぶトラックなどが続々と入り、兵士は休暇を取り消し部隊内で待機するよう命じられたという。

◎中国、物権法や破産法を年内に制定(2004年3月10日、日本経済新聞)
 【北京=飯野克彦】中国の全人代の呉邦国常務委員長は10日、「物権法」「企業破産法」「緊急事態法」などを年内に制定する方針を示した。物権法の制定は、憲法改正で私有財産の保護規定が強化されるのを踏まえた措置。企業破産法は既に存在するが、1980年代に施行した試験的な法律で不備が目立ってきたため、より本格的な法律を制定する。
 対外貿易法や公司(会社)法、証券法などの経済関係の法律も一部改正し、世界貿易機関(WTO)加盟と市場経済化の進展に対応した法体系の整備を進める。緊急事態法の制定は、憲法改正で「戒厳令布告」が「緊急事態突入宣言」に改められるのを踏まえる。社会的、政治的な騒乱だけでなく、昨年の新型肺炎(SARS)のような感染症の大流行や大規模な自然災害、経済危機などへの対処も想定する見通し。

◎中国:死刑など182件、初の統計発表(2004年3月10日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国の肖揚・最高人民法院院長(最高裁長官)は10日、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)に活動報告を行い、2003年に前年比16.3%増の300件の死刑許可・刑事再審案件を審査し、182件の原判決を維持したことを明らかにした。大部分に死刑が執行されたとみられる。中国が死刑執行に関する統計を発表するのは初めて。死刑執行の透明性を求める国際世論に配慮した模様だ。
 一方、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部・ロンドン)は、02年に少なくとも31カ国で1526人に死刑が執行され、うち中国では3分の2の1060人が執行されたと指摘している。今回の中国側統計は、この数字を大きく下回るが、それでも全体の1割程度になる。
 中国(香港を含む)では昨年1年間に9件13人の日本人が麻薬を中国から日本に密輸しようとした容疑で拘束された。瀋陽市中級人民法院(地裁)は今年2月3日、うち1人に初めて執行猶予がつかない死刑判決を言い渡し、現在、被告が控訴している。
 報告によると、最高人民法院は昨年1年間で、高級人民法院(高裁)から送られた300件のうち、94件の判決を変え、24件を下級裁判所に差し戻した。中国の刑事訴訟法は「死刑は最高人民法院の許可を受ける」と定めており、被告が控訴しない場合も許可が必要になる仕組みだ。
 肖院長は死刑判決の罪状について「麻薬、密輸、金融詐欺、汚職、賄賂など」と指摘。さらに「罪状が極めて重く、社会に極めて大きな危害を与えた犯罪分子には、断固として法律に基づき死刑許可を出した」と説明している。

◎リコーが中国市場に本格参入、カラー複写機など売り込み(2004年3月10日、朝日新聞)
 事務用機器大手のリコーは9日、主力製品の複写機などの分野で中国市場に本格参入し、5年後の08年度までに中国での年間売上高を03年度見込みの5倍となる1000億円を目指す、と発表した。これにより、08年度の連結売上高の目標値を03年度見込み比46%増の2兆6000億円に設定。中国市場の開拓を足がかりに成長戦略を描く方針だ。
 リコーは昨年、中国の拠点を整理・統合し、事業全般を統括するための新会社を上海に設置。今後、販売会社を約50社まで倍増させて販売網を整備する計画だ。企業の情報化が進んでいることから、カラー複写機などの需要が高まると見て、積極的に売り込む。03年度の中国での売り上げ見込みは約200億円にとどまるが、桜井正光社長は「新興市場での地位を確立したい」という。
 業界では、大手各社が中国進出を急いでいる。キヤノンはアジア地区のマーケティング機能を香港から北京に移し、着実に市場拡大を図る。富士ゼロックスは複写機の生産拠点を05年内に全面的に上海に移転する。コニカミノルタは、中国の現地企業と軽印刷事業で提携し、高速複写機の販売を強化する。

◎SARS暴露の中国軍医師、天安門事件の再評価求め書簡(2004年3月9日、朝日新聞)
 信報など8日付の香港紙は、89年の天安門事件当時に北京の軍病院で外科主任だった蒋彦永医師が、同事件を「反革命動乱」とみなす中国当局の評価を改めて「学生愛国運動と呼ぶべきだ」と主張する書簡を、温家宝(ウェン・チアパオ)首相と呉邦国(ウー・パンクオ)全国人民代表大会常務委員長らにあてて提出した、と報じた。蒋医師は今も軍に所属し、新型肺炎SARSが流行した昨春、米週刊誌に北京市当局が多数の感染者を隠していると暴露した。
 書簡で蒋医師は、天安門事件当時の学生たちは政治腐敗に抗議する正義の要求を掲げており、市民の支持も得ていた、との見方を示した。武力鎮圧は「少数の腐敗した指導者層が戦車や機関銃で弾圧を加え、数百人の青年が死亡、数千人が負傷した」と指摘している。
 そのうえで「党の誤りは自ら解決すべきで、解決は早く、徹底的であるほどよい。事件の再評価は民心にかなっており、社会を乱すことはない」と記した。
 このほか蒋医師は、98年に事件当時の軍の実力者楊尚昆元国家主席と会った際、楊氏が「事件はわが共産党が犯した歴史上最悪の誤りだ。将来(事件への評価を)正さなくてはならないだろう」と述べたことを明らかにした。

◎中国船の違法調査急増、潜水艦航路開拓?(2004年3月9日、読売新聞)
 中国の海洋調査船が日本の排他的経済水域(EEZ)内の太平洋上で違法な調査活動を行うケースが今年に入って急増し、8日現在、すでに11件にのぼることが防衛庁の調べでわかった。
 中国船による日本EEZ内での違法な海洋調査活動は、昨年1年間で8件だった。最近で最も多かった1999年も1年間で33件で、今年はこれを上回るペースとなっている。しかも、調査が海底資源探査と無関係の海域で続いているため、防衛庁では、中国が潜水艦の航路を開拓している可能性もあると見て警戒を強めている。
 海上自衛隊第4航空群(神奈川・厚木基地)所属の哨戒機P3Cが、小笠原諸島・西之島の西約270キロの海域で中国国家教育部所属の海洋調査船「東方紅2号」(排水量3235トン)を今年初めて発見したのは2月17日で、同船は海中に音波を発信していた。2月29日、3月2、3、4日にも、沖ノ鳥島北方の日本EEZ内で同様の調査を行っていた。
 外務省が今月2~4日にかけて3度、在京中国大使館や北京の外交ルートを通じて中国政府に調査活動の中止を求め、「東方紅2号」は西方へ移動した。しかし、7日に再び南大東島の東約310キロの海域で海中に音波を発信しているところを海自機が確認した。
 また、1月2日から19日にかけては、中国国家海洋局所属の調査船「向陽紅14号」と「向陽紅9号」が、石垣島南東海域や沖ノ鳥島北方海域で計5度、違法な調査活動を行っていた。
 EEZ内では、沿岸国が資源開発や海洋調査について主権的権利を持ち、他国が海洋調査を行うには、6か月前までに沿岸国に申請し、承認を得ることが国連海洋法条約に定められている。中国は今回の調査について日本側に申請をしておらず、調査活動そのものが条約違反となる。
 同海域は水深5000メートル前後で、一帯を航行する他船舶の動きをとらえやすい戦術的要衝と見られている。このため、「台湾有事に備える中国にとっては、潜水艦を展開し、米軍や海自の艦船の動きをとらえるのに適した海域」(防衛庁関係者)で、収集したデータは軍事的な利用価値も高いと見られている。
 竹内行夫外務次官は8日の記者会見で、中国の海洋調査船による違法な調査活動について、「より厳格に取り組む必要がある」と述べた。

◆排他的経済水域(EEZ)
 1994年に発効した国連海洋法条約は、領海に接続する海域で、領海の幅を定める直線基線から200カイリ(約370キロ・メートル)以内の水域を沿岸国のEEZと定めた。96年に日本が制定した「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」にも同じ規定がある。中国も同年、条約を批准した。
 EEZ内では、〈1〉海中、海底、その下にある天然資源の探査、開発、管理〈2〉人工島や構築物の設置〈3〉海洋の科学的調査〈4〉環境保護――などについて沿岸国が主権的権利を有する。一方、沿岸国でなくても、船舶による航行、海底電線・パイプラインの敷設などの自由は、すべての締約国に認められている。

◎東工大、中国の清華大と大学院教育で提携(2004年3月8日、日本経済新聞)
 東京工業大学は8日、中国の清華大学と大学院教育で提携、両大学の修士号を同時に取得できるよう制度をつくったと発表した。日本の大学が海外の大学とこうした取り決めをするのは初めて。日本企業の中国進出が拡大するなか、両国の大学で学んだ人材が一段と求められると判断した。
 東工大は提携に合わせ、ナノテクノロジー(超微細技術)とバイオテクノロジーの二コースを、清華大の要望を受けて新設。両コースは定員各10人程度。「どちらの大学の修士号も正規に取得した場合と同じ扱いになる」(東工大の下河辺明副学長)という。清華大は中国でトップ級の大学で、政府の要人を多く輩出している名門大学。
 受講するには東工大の大学院とコースの両方の試験に合格することが必要。最初の1年間は清華大で受講、次の1年間は東工大で受講し研究論文を提出。その後、再び清華大で半年受講して論文が認められると、両大学の修士号を取得できる。

◎中国憲法改正案:「私有財産の不可侵」を明記、14日に採択(2004年3月8日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国の第10期全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は8日の会議に「私有財産の不可侵」を明記するなど14項目の憲法改正案を提案した。中国の憲法改正(82年施行)は99年以来5年ぶり4回目。最終日の14日に採択される。中国は冷戦後、社会主義制度下で市場経済化を加速させてきたが、私有財産保護の憲法明記で経済面では西側資本主義諸国に準じた法制度を整えることになる。
 改正案は、現行憲法が規定する「国家は公民の合法的財産の所有権を保護する」を「公民の合法的な私有財産は侵されない」に改める。趣旨説明に立った王兆国・全人代副委員長は「わが国の改革・開放以来、個人財産が増加し、法律による保護要求が切迫している」と述べた。
 中国憲法は前回改正で、改革・開放政策で活性化した民間経済を「公有制経済の補完」から「社会主義市場経済の重要な要素」に格上げした。この際も全人代代表(議員)らから私有財産権保護を求める声が上がったが条件が整わず、改正を見送っていた。
 今回改正は中国の経済発展をけん引する民営企業家らの要請に応えたものであり「神聖不可侵」と定めている公有財産に近い地位を、私有財産にも与える内容になる。土地や私有財産の徴集・収用に対する国家補償も合わせて定められており、補償関連法の策定など私有財産の具体的な保護規定につながる見込みだ。
 また改正案は序文(前文)に、江沢民前国家主席が提唱した「『三つの代表』重要思想」を明記し、毛沢東思想、トウ小平理論と並ぶ国家指導指針と位置付けた。さらに「人権の尊重と保障」「社会保障制度の構築」も条文に入れ、弱者への配慮を示した。こうした人権規定が中国の政治改革につながるかどうか注目される。
 今回の憲法改正案は一昨年秋の第16回中国共産党大会で決まった方針に基づき、昨年3月から呉邦国・全人代常務委員長をトップとする憲法改正指導グループが草案を検討。昨年12月に党提案として全人代常務委員会に草案が示された。改正案は3分の2以上の代表の賛成で可決される。
 中国憲法の改正案骨子は次の通り。(中国総局)
・国家指導指針として江沢民前国家主席の「三つの代表」重要思想を追加(序文)
・土地の徴集・収用に対する補償を追加(10条)
・「(国家は)非公有制経済の発展を励まし、支持する」と追加(11条)
・合法的な私有財産の不可侵と徴集・収用への補償を明記(13条)
・「経済発展レベルにふさわしい社会保障制度の確立」を追加(14条)
・「国家は人権を尊重し、保障する」を追加(33条)
・国家主席の職権である「戒厳令の発布」を「緊急事態突入の宣言」に改変(80条)
・国家主席の職権に「国事行為」を追加(81条)

◎中国国防費、13%の伸び、初めて2千億元突破の見通し(2004年3月6日、朝日新聞)
 中国の04年国防費の伸び率が、兵器のハイテク化などを反映し、2年ぶりに前年比10%台に上ることが明らかになった。総額も2100.2億元(1元=13円)と、初めて2000億元台を突破する見通しだ。
 全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で金人慶財政相が6日に提出する04年予算案は、通常発表する国防費の総額を示していないが、前年支出(実績)に比べ218.3億元、11.6%増えたと記述。これをもとに総額を計算し、前年の当初予算と比べると、伸び率は13.3%となる。
 中国の国防費は89年から02年まで続けて10%以上の伸びを維持し、03年は9.6%だった。国防費の総額は、02年を除いて、予算案の中で明記していた。軍事支出の総額すら明示しない不透明な態度は他国の警戒感を呼びそうだ。
 国防費増加の理由として、予算案では「ハイテク条件下での防衛作戦能力の向上」と「軍関係者の給料の調整と退職金支出によるもの」と言及。人民解放軍は05年までに現在の約230万人から20万人削減する計画で、退職者の増加も影響しているとみられる。
 ただ、装備費への配分も強まっていることは確かだ。江沢民中央軍事委主席は軍の人員削減について「限られた戦略資源を集中させ、軍の情報化の加速に役立つ」と述べ、軍事情報の伝達手段の電子化を進めるための措置だと説明。解放軍高官も、削減対象は主に陸軍(約160万人)だと明らかにしている。
 この方針のもと、海軍は最新レーダー搭載の駆逐艦整備、空軍はロシアから最新鋭戦闘機の購入などを進める。日米のミサイル防衛(MD)構想に対しては「戦略バランスが崩れ、新たな軍備競争を起こす懸念もある」(曹剛川国防相)との見解を示すと同時に、対抗策としてミサイルの多弾頭化の研究・開発にも力を入れている。

◎違法薬物事件、中国で昨年6万3千人摘発(2004年3月1日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】中国公安省の羅鋒次官は1日、記者会見し、中国で昨年、麻薬などの違法薬物事件が9万4000件に達し、6万3700人を摘発、ヘロイン約9.5トン、覚せい剤約5.8トン、合成麻薬のMDMA(通称・エクスタシー)約41万錠を押収したと明らかにした。
 羅次官によると、昨年の全国統計による麻薬使用者は105万人で、このうち35歳以下は約72%。中国メディアによると、近年、若者の合成麻薬使用や、都市部の失業者層と農村部での使用者増が顕著になっており、実際数は統計の数倍に上るとみられる。

◎佐川急便、中国で輸出入権を獲得(2004年2月28日、日本経済新聞)
 佐川急便は中国で、輸出入に伴う決済を代行できる「輸出入権」を取得した。同権を持つ中国企業に決済を委託する必要がなくなるため、顧客企業のコスト削減や輸送期間の短縮につながる。佐川は日中間の一貫輸送事業や国内の物流事業を強化する計画で、今後は決済代行を加えた総合サービスを顧客に提供できる。
 輸出入権を取得したのは佐川が中国保利集団(北京市)と折半出資で設立した保利佐川物流(広東省深セン市)で、3月から決済代行を始める。保利佐川が支店開設を計画している北京、天津、上海、広州(広東省)、大連(遼寧省)、青島(山東省)の六都市でも、7月をめどに決済を含む一括受託サービスを始める計画。
 中国政府は輸出入権を持つ貿易公司などに貿易に伴う決済を限定している。一部の大手メーカーを除きほとんどの進出企業は輸出入権を持っておらず、地方ごとにある貿易公司に輸出入額の3%程度の手数料を支払って決済を委託せざるを得なかった。

◎麻薬密輸事件:死刑判決被告の減刑嘆願書、中国に提出されず(2004年2月21日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】麻薬密輸事件で中国遼寧省の瀋陽市中級人民法院(地裁)から死刑判決を受けた福島県相馬市の無職、森勝男被告(61)=控訴中=の減刑嘆願書が中国側に提出されていないことが20日、分かった。森被告は今月10日、面会に訪れた瀋陽の日本総領事館担当者に嘆願書を書く意思を示したが、その後、担当者が同被告に面会していないため放置された形になっており、邦人保護業務のあり方が問われそうだ。
 同総領事館によると、担当の副領事が10日に森被告に面会した際、減刑嘆願書について説明した。森被告は、その場で嘆願書を書く意思を示したが、面会が約1時間と限られていたため書く時間がなかったという。副領事は毎日新聞の電話取材に、次回面会についても中国側に申請していないことを認め「次は3月上旬に面会に行くつもりだ」と語っている。
 中国の司法関係者によると、日本政府が水面下で減刑を働きかける際、本人の嘆願書が中国当局に届いていることが重要になる。中国は2審制で、森被告は遼寧省高級人民法院(高裁)の控訴審で死刑が確定、執行される可能性がある。中国の控訴審は、地裁判決から1カ月前後の短い期間に書面審理だけで刑が確定することもあり、早急な減刑嘆願が必要とされる。家族の嘆願書も有効だが、中国側に届いていない。
 10日の面会は、今月3日に森被告が死刑判決の言い渡しを受けて以降、初めてだった。同総領事館によると、副領事は面会で、森被告と控訴するかどうかを中心に話し合ったというが、14日の控訴手続き締め切りの直前だった。
 総領事館によると、被告が昨年7月30日に刑事拘束(逮捕に相当)された後、8月13日、9月5日、同29日、12月2日の4回面会していた。死刑言い渡しが予想される判決公判前、約2カ月にわたって面会に行っていなかったことも、問題になりそうだ。

◆外務省邦人保護課の話
 控訴プロセスについて現地の裁判所や弁護士から情報を収集しつつ、嘆願書提出のタイミングを計っている。われわれの業務怠慢ということではない。

◎中国、北朝鮮向け核処理液押収、昨夏、米の情報受け摘発(2004年2月21日、朝日新聞)
 中国政府が昨年夏、米政府からの情報をもとに、北朝鮮による核関連物質の輸入を阻止していたことがわかった。中国政府は、米政府が提唱した大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)への参加を見合わせているが、朝鮮半島の非核化に向けて水面下で連携している形だ。北朝鮮の最大の同盟国である中国が米国と組んで核の封じ込めに動いたことは、北朝鮮が核開発を進める上で大きな重圧になっているとみられる。
 この物質は、使用済み核燃料棒から兵器級プルトニウムを抽出する際に溶媒として使われるリン酸トリブチル(TBP)という液体。北朝鮮による核関連物質の調達の事実の一端が表面化したのも異例のことだ。
 米中関係にかかわる複数の米政府当局者によると、米中央情報局(CIA)は昨年夏、北朝鮮が大量のTBPを輸入しようとしているとの情報を入手。TBPを積んだコンテナを運ぶとみられる平壌行きの列車を調べ、外交ルートを通じて中国政府に通報、輸送を阻止するよう働きかけた。
 中国の捜査当局は、遼寧省の中朝国境の都市・丹東の駅でこの列車を止め、捜索した。米当局が指定したその列車からはTBPが見つからなかったが、同駅での捜査を続けたところ、後日、別の平壌行き列車のコンテナ内からTBPを発見、押収したという。
 この約半年前の02年12月、CIAは同様に、約20トンのTBPが中国から北朝鮮に輸入されるとの情報を事前に入手したが、米政府内で検討した結果、「中国の協力が得られる可能性は低いとの結論に達した」(米当局者)ため、通報は見送られていた。
 その後、北朝鮮は寧辺の核施設から国際原子力機関(IAEA)の査察官を追放し、使用済み核燃料棒を運び出すなど行動がエスカレート。危機感を募らせた米政府は再びTBP輸入の動きをつかんだ昨年夏、中国政府に知らせて行動を促す決定に転じた。
 中国政府はTBPの同国内での製造や輸出入を規制しているが、このコンテナは義務づけられている届け出がされていなかったという。コンテナを手配した業者や、TBPがどこから運ばれていたのかなどは明らかにされていない。
 核の拡散阻止をめぐる米中間の協力について、ボルトン米国務次官は16日、訪問先の北京で「PSIは組織ではなく、行動だ」と表明。中国の正式参加は必ずしも求めずに「情報交換などで連携を強化」「中国はPSIの参加国と同じ目的を共有している」などと評価する発言をしていた。
 中国政府は昨年2月にも、東北部から北朝鮮に燃料を供給するパイプラインを一時停止した。中国側は「技術的な理由」と説明したが、米政府などは、核問題で北朝鮮に自制を促す中国の圧力だったとみている。そのうえ核関連物質の輸入も妨げられたことで、北朝鮮は中国側の警告をくみ取り、その後の第1回6者協議の開催に応じた可能性もある。

・リン酸トリブチル
 無色無臭の液体。ウランやプルトニウムをよく溶かす性質を持つ。使用済み核燃料の再処理法のうち、欧米や日本で採用されているピューレックス法では、ウランとプルトニウムを他の核分裂生成物から分離する工程と、最後にウラン、プルトニウムをそれぞれ精製する工程で溶媒として使われる。使い切りではなく、何度も再利用される。
 原子力関係者によると、再処理に必要なリン酸トリブチルの量は工場の性能や工程によって異なるが、1日に数キロのプルトニウムを抽出できる規模の工場の場合、10トン前後は必要。プルトニウムは一般に、約8キロで原爆1個がつくれる。

・拡散防止構想(PSI)
 核兵器やミサイルなどの大量破壊兵器が他国やテロ組織に売買されるのを阻止するため、米と各国の間で取り決めを交わし、国際法上は難しい飛行機や船舶などの臨検も可能にする構想。昨年5月末にブッシュ米大統領がポーランドで演説し、世界に提案した。主に北朝鮮やイランの核・ミサイル輸出を念頭に置いている。現在、日・豪や欧州を中心に16カ国が参加し、不審船の臨検を想定した洋上演習などを行っている。

◎たばこの不始末が原因、中国・吉林省のビル火災(2004年2月19日、産経新聞)
 18日の新華社電によると、死者53人を出した中国吉林省吉林市の商業ビル火災は、ビル内の倉庫所有者の男性(35)のたばこの不始末が原因と分かった。地元警察はこの男性を拘束し、さらに詳しい事情を調べている。
 中国政府が現地に派遣した専門家は調査の結果、ビル2階の商店街の一角にある倉庫で、この男性が投げ捨てたたばこの火が可燃物に引火し、燃え広がったと断定した。
 ビルの1、2階は商店街で、100を超すテナントが入っていた。
 火災は15日、4階建て商業ビル「中百商厦」で発生、死者53人のほか負傷者68人を出す惨事となった。(共同)

◎中国の核技術、パキスタン経由でリビアに(2004年2月18日、産経新聞)
 米政府当局者は17日、パキスタンからリビアへの核拡散に関連し、中国の1970年代の核開発技術が、パキスタンを通じてリビアに流出していたことを明らかにした。
 リビアで見つかった核兵器の設計図など関係資料が中国から提供されていたと報じた米紙の報道を確認した。米国は核開発の完全放棄を表明したリビアから遠心分離機の機材や関連資料を大量に搬出、米国内で分析を進めている。
 当局者はまた、大量破壊兵器の拡散問題で今週訪中したボルトン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)に対し、中国側が「拡散防止構想(PSI)の目的と原則を共有する」と表明したと言及。中国はPSIに未加盟国ながら、北朝鮮などへの拡散防止策として進める同構想に協力していく姿勢を確認したことを指摘した。(共同)

◎中国へ約100億円不正送金、警視庁、中国人を逮捕(2004年2月18日、産経新聞)
 中国へ不正送金する「地下銀行」を営んだとして、警視庁捜査3課は17日、銀行法違反(無免許営業)の疑いで、東京都豊島区、中国籍の日本語学校生、翁志飛容疑者(31)を逮捕した。調べに対し、「これまで約100億円を不正送金した」と供述しているという。
 調べでは、翁容疑者は昨年2月中旬-12月下旬、日本にいる中国人7人の依頼を受け、中国の家族らの銀行口座へ計1280万円を振り込み、手数料として約3万6500円を受け取った疑い。同課は平成11年10月から、計約37億円を不正送金していたことを確認している。
 平成14年12月に東京港から密入国し銀座の路上で逮捕された中国人52人の中に窃盗グループのメンバーがおり、見張り役だった女が翁容疑者の口座あてを含む大量の振込用紙を所持していたことから捜査していた。
 依頼人は飲食店従業員らで、大半は不法滞在者。捜査3課では依頼人宅への家宅捜索で盗難パソコン計4台を押収していることから、不正送金の中に盗品売買による収益が含まれている可能性が高いとみている。

◎無免許銀行業務で中国に100億円送金、中国人を逮捕(2004年2月18日、朝日新聞)
 無免許の銀行業務で中国に送金したとして、警視庁は17日、中国人の元専門学校生翁志飛容疑者(31)=東京都豊島区駒込6丁目=を銀行法違反(無免許営業)の疑いで逮捕した。「95年ごろからこれまでに約100億円送金した」と話しているという。
 捜査3課と万世橋署の調べでは、翁容疑者の直接の逮捕容疑は、銀行法上の免許を持っていないのに03年2月~12月、日本に住む中国人7人に頼まれ、指定された中国の受取人に12回計1280万円を送金し、手数料として3万6500円を受け取った疑い。
 あらかじめ中国の銀行口座に資金を置いておき、日本在住の客から依頼があるとその口座から中国の受取人に金を送り、後に送金金額と手数料を日本の自分の口座に振り込ませていた。振込先などとして国内に107口座、中国に14口座を開設していた。手数料は送金額の1%で、親しい人からは受け取っていなかったという。
 正規の手続きでは銀行に身分証明書を提示し、送金目的を明らかにする必要があるため、不法滞在者らが翁容疑者に依頼していた。押収した手帳などから、昨年6月~今年1月に2558件計約12億8527万円を送ったことが確認された。

◎中国、核ミサイル開発でサウジ・パキスタン支援か(2004年2月16日、日本経済新聞)
 【ワシントン15日共同】ロイター通信は15日、複数の米政府当局者の話として、中国が大量破壊兵器拡散防止を確約したにもかかわらず、依然、サウジアラビアの弾道ミサイルとパキスタンの核・弾道ミサイルの開発支援を続けている恐れがあると報じた。
 ロイター通信によると、同当局者は今週、北京を訪問するボルトン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)と中国側との協議では、大量破壊兵器の「拡散防止構想」(PSI)への参加を要請するだけでなく、中国のサウジ、パキスタン支援も焦点になると語った。
 同当局者は、短期的にはイランと北朝鮮の大量破壊兵器拡散が大きな脅威だが、サウジがミサイル分野で中国の協力を得ていることへの懸念を示した。
 専門家らは、仮にサウジでイスラム過激派政権が誕生したり、サウジがイランの核兵器への脅威を感じたような場合、弾道ミサイル所有が厄介な問題となる恐れがあると指摘している。

◎日本人男性に中国で死刑判決、覚せい剤密輸容疑(2004年2月14日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国遼寧省の瀋陽市中級人民法院(地裁)は今月上旬、覚せい剤1.25キロを中国から日本に持ち出そうとして麻薬密輸罪で起訴された60歳代の日本人男性に対し執行猶予の付かない死刑判決を言い渡した。
 日中関係筋が14日、明らかにした。男性は同省高級人民法院(高裁)に控訴した。
 外務省邦人保護課によると、日本人が中国で執行猶予の付かない死刑判決を受けたのは初めて。刑が確定して執行されれば、海外で日本人が刑法犯として死刑に処される初のケースとなる。
 同筋によると、この男性は昨年7月、同省の大連空港から覚せい剤を所持して出国しようとしたところを拘束され、逮捕、起訴された。男性は公判で起訴事実を認めている。瀋陽の日本総領事館は中国側の通報を受けて、昨年7月以来、計5回にわたって領事館員を面会させ、事情を聴くとともに対応を話し合ってきた。弁護は中国人の国選弁護士に依頼している。男性の健康状態は良好だという。同筋は「刑の確定までに4~5か月はかかる」との見通しを示している。
 中国の刑法では、死刑判決にも執行猶予が付くことがあり、2年間の執行猶予中に故意に犯罪を犯さなかった場合は、無期懲役に減刑される。麻薬の製造、運搬、販売、密輸にかかわった罪は麻薬の種類によっても異なるが、ヘロインなどは最低50グラムから死刑になる可能性があるという。

◆暴力団や密売組織との接点薄い
 外務省邦人保護課によると、中国から覚せい剤を持ち出そうとして逮捕された日本人は、1999~2002年の4年間に2人しかいなかったが、昨年は上海、瀋陽、大連、広州など6空港で計14人に上った。そのほとんどが、暴力団や覚せい剤の密売組織との接点がなく、見知らぬ人物に数十万円程度の報酬で中国行きを頼まれたホームレスなどだった。
 このうち、昨年11月7日、上海空港の手荷物検査場で、約1.5キロの覚せい剤を隠し持っていたとして逮捕された20歳代の男性も、東京・新宿で暮らすホームレスで、公園で見知らぬ男に20万円で頼まれ、偽造パスポートや渡航費を渡されていた。

◎麻薬密輸で邦人に死刑判決、中国、ほかに11人拘束(2004年2月14日、産経新聞)
 中国遼寧省瀋陽市の同市中級人民法院(地裁)が2月3日に日本人男性の被告(61)に対し、覚せい剤1・25キロを日本に運ぼうとしたとして麻薬密輸罪で死刑判決を言い渡していたことが14日、分かった。関係者が明らかにした。
  日本人が中国で、執行猶予の付かない死刑判決を受けるのは初めて。男性は控訴しており、2カ月以内に二審が開かれる見通し。中国は二審制で、二審判決が出れば比較的早く執行される。死刑が実際に執行されると、日本人が海外で刑法犯として極刑に処される初のケースとなる。
 男性は昨年7月、遼寧省内の空港で覚せい剤を持ち出そうとして拘束された。
 中国では昨年、日本人が麻薬密輸容疑で拘束される事件が急増。現在、拘束中の日本人はこの男性を含め、大連、上海、広州、香港などで計12人に上る。背後に日本人を運び屋として利用する麻薬密輸ネットワークがあるとみられている。
 中国刑法では、麻薬の製造、販売、密輸は重罪で、量が1キロ以上の場合、無期懲役か死刑が一般的。他の日本人11人も1キロ以上の麻薬密輸容疑で拘束されており、同様に死刑判決が言い渡される可能性がある。
 北京の日本大使館幹部は「個別の事案についてはプライバシーの問題があり、答えられないが、家族からの(減刑などの)嘆願は法院に伝え、適宜、領事面会を行っている」と話している。
 中国では2001年9月、800グラムの麻薬を製造、所持して死刑判決を受けた韓国人男性に死刑が執行された。
 関係者によると、タイやフィリピンなどで過去に麻薬不法所持で日本人に死刑判決が出た例はあるが、実際に執行されたケースはないという。(共同)

◎覚せい剤密輸の罪で邦人男性に死刑、中国・瀋陽で判決(2004年2月14日、朝日新聞)
 中国・遼寧省瀋陽市の瀋陽市中級人民法院(地裁)が今月3日、覚せい剤1.25キロを中国から日本に運び出そうとして麻薬密輸罪で起訴された60歳代の日本人男性に対し、死刑判決を言い渡していたことがわかった。男性は同省高級人民法院(高裁)に控訴した。日本人が中国で、執行猶予のつかない死刑判決を受けるのは初めて。
 中国では麻薬密輸に絡んで日本人が逮捕されるケースが昨年以来急増しており、今後も厳しい判決が続く可能性もある。死刑が実際に執行されれば、日本人が海外で刑法犯として極刑に処される初のケースとなる。
 関係者によると、男性は昨年7月、遼寧省の大連空港から覚せい剤を身につけ飛行機に乗ろうとしたところを拘束され、逮捕・起訴された。地裁の公判で男性は、中身は麻薬だと知ったうえで持ち出そうとした事実を認めたという。
 瀋陽の日本総領事館は昨年7月以来、計5回にわたって男性と面会。男性は中国人の国選弁護人に弁護を依頼した。
 中国の刑法では、麻薬の製造、運搬、販売にかかわった場合、覚せい剤なら50グラムから死刑になる可能性があるなど、麻薬に関する規定が厳しい。一昨年、覚せい剤800グラムを中国から密輸しようとした韓国人男性は高裁で死刑判決が確定し、執行されたという。
 今回、男性に死刑判決が言い渡されたのは、日本人が旅行者を装って運搬する例が急増していることが背景にあるとみられる。関係者によると、昨年は中国(香港を含む)で13人が拘束された。それ以前には99年と01年の2人だけだった。
 うち01年に拘束された日本人男性は、覚せい剤1.8キロを韓国に持ち出そうとしたとして拘束・起訴され、02年に北京の地裁で無期懲役の判決を受けた。
 日本人が海外で死刑判決を受けた場合、外交ルートでは司法の独立の観点から減刑などの申し入れは行わないが、家族の減刑嘆願書などは相手国に伝える場合もある。

◎空から鳥1万羽が落ちて死ぬ、中国で、中毒死の可能性(2004年2月6日、朝日新聞)
 中国・江蘇省泰州市内で3日、飛んでいた大量の渡り鳥が空から落ちてきて死ぬ事態が起きた。5日付の上海紙の東方早報が伝えた。原因や鳥の種類は不明だが、地元当局は落下現場付近を立ち入り禁止とするとともに、死骸(しがい)の標本を調査機関に送って死因を調べている。
 報道によると、ある目撃者は3日午後1時ごろ、同市内を車で走っていたところ、空から突然何かが落ちてきたことに気づき、路上を見ると鳥が死んでいた。その後も鳥は次々に雨のように落ち、路上や農地は死骸で埋まった。数は1万羽以上にのぼるという。
 別の目撃者によると、鳥の形や大きさはスズメに似ているが、首と翼は黄色で、尾がスズメより少し長い。一群の渡り鳥は1日ごろから現場付近の上空を旋回していたという。現地の衛生当局者らが駆けつけ、死んだ鳥を集めて土中に埋めるなどの処理をした。死因は判明していないが、住民たちの多くは鳥インフルエンザによる感染死ではなく、中毒死の可能性が高いとみている。農業省によると、5日夜現在、江蘇省内では鳥インフルエンザの感染の確認も疑い例も報告されていない。
 江蘇省農林庁の専門家は「渡り鳥は集団生活しており、食べ物や水などに毒が混じったり、汚染されたりしていた場合、大量の鳥が死ぬケースは起こる」と話している。

◎中国、日本産などの化学品に反ダンピング課税を決定(2004年2月1日、日本経済新聞)
 【北京1日共同】中国商務省は1日、日本と韓国、米国、台湾から輸入される化学原料フェノールがダンピング(不当廉売)で国内業界に損害を与えているとの認定を正式決定し、同日から4カ国・地域製品の輸入時に144~3%の反ダンピング税を課すと発表した。課税期間は5年。
 フェノールは電子機器や接着剤などの原材料に使われ、日本の対中輸出量は2002年で4万4900トン。中国での電子機器などの生産拡大に伴い、今後も需要の増加が見込まれている。同省は02年8月から調査を始め、昨年6月にダンピングを認定する仮決定を出していた。

◎高級車の事故契機に・中国、特権階級への不満爆発(2004年1月16日、産経新聞)
 中国黒竜江省ハルビン市の女性(44)が、ドイツの高級車BMWを運転して農民ら13人を死傷させた人身事故が、貧富の格差と政治腐敗でくすぶる国民の不満に火を付け、新年早々、中国メディアを巻き込んだ騒動に発展している。
 単純な交通事故として執行猶予付きの軽い判決を受けたことで騒ぎは拡大。「女性は省政府幹部の親族」「殺人事件だ」などと、特権階級への激しい攻撃がインターネット上を飛び交い、中国政府も事故の再調査に乗り出さざるを得なくなった。
 事故は昨年10月、ハルビン市内で発生。農業用トラクターが急ハンドルを切って、停車中のBMWに接触したのが発端だった。
 怒った女性は、車から飛び出して農民を罵倒(ばとう)し、カバンで殴り付けた。興奮収まらぬまま車に戻り急発進、農民の妻をひいて死亡させ、群衆12人も巻き添えとなり負傷した。
 女性が車に乗る直前「ひき殺してやる」と言ったという目撃証言があり、被害者の農民も刑事事件としての捜査を要請。しかし地元の警察当局は詳しく調べもせずに人身事故として処理し、女性には昨年12月20日に懲役2年、執行猶予3年の判決が言い渡された。
 これ以降、インターネットの複数の掲示板に「女性は省政府幹部の息子の嫁」などと事件処理を批判する書き込みが続いた。さらに「新京報」「南方周末」など比較的自由な言論で知られる中国紙が追撃、不透明さを連日のように指摘した。
 夫もベンツで事故直後に現場に駆け付けたが、2人とも即死状態の被害者には目もくれなかったという。女性が乗り回していたBMWは80万元(約1030万円)もするというが、夫婦の身分は今も隠されたまま。被害者には9万9000元(約130万円)の和解金を渡したという。
 政府権力とつながる大金持ちと発展から取り残される農民。中国社会の縮図を分かりやすく映し出したストーリーに国民は強く反応した。インターネットを使った攻撃を政府は統制できず、その世論を背景とした自由な報道も、もはや規制できる状況にない。
 地元政府は再調査を約束すると同時に中国共産党中央規律検査委員会に事件の概要を報告したが、党中央はまだ具体的な対策を提示していない。(共同)

◎中国・チチハルで工場からガス流出、130人搬送(2004年1月16日、朝日新聞)
 中国国営通信・新華社によると、黒竜江省チチハル市郊外で15日夜、塩素ガスが流出する事故があり、130人余が病院に運ばれた。うち6人は呼吸に苦しむなど症状が重いが、生命の危険はないという。同市では昨年8月、旧日本軍の遺棄化学兵器によって住民1人が死亡、40人以上が負傷する事故があったが、チチハル市政府当局者は16日、朝日新聞に対し、今回の事故は遺棄化学兵器とは無関係だと語った。
 また、中国外務省の遺棄化学兵器担当室も同日、北京の日本大使館に、事故は製薬工場で発生したものだと伝えた。

◎トップは清華大学、中国大学ランキング[社労](2004年1月15日、NNA)
 中国紙「21世紀経済報道」最新号(1月15日発売)は、中国管理科学研究院科学学研究所がまとめた中国国内の大学ランキングを掲載した。トップは清華大学(北京)。北京、浙江、復旦の各大学が続いた。日本以上に学歴社会が進んでいるといわれる中国で、今回発表された大学の序列はその正否を巡って論議を呼びそうだ。


 調査は同研究所の武書連、呂嘉、郭石林の3氏がまとめた。同紙によると、武氏は中国の大学ランキング研究の権威で、同分野での論文発表、引用とも国内トップクラスの学者だとしている。
 ランキングでは、全国の大学を「人材育成」と「科学研究」の2つの指標で分類。人材育成では、大学院生、大学生の育成状況を、科学研究では社会科学、自然科学の研究分野を、数値化して総合ランキングを決定している。
 総合評価では、いわゆる有名大学が名を連ねているが、同研究所は各学科別のランキングも発表。医学部では、中国協和医科大学(北京)がトップとなっているほか、管理学部でも西安交通大学も北京大学や清華大学を抜いて首位にランクされており、大学の特徴を示すものとして注目されている。
 また、2000年から2002年までに英国の科学誌「ネイチャー」と米国の科学誌「サイエンス」に掲載された論文を出身大学別でみると、北京大学の9本が最多。清華大学も6本と健闘したが、米国のハーバード大学(431本)、英国のケンブリッジ大学(179本)、東京大学(132本)には遠く及ばず、国際レベルでの認識度は、中国の大学のレベルはまだまだ低いようだ。
 今回の掲載について、21世紀経済報道は「読者の需要を満足させ、大学ランキング(研究)の発展を促すため」と明記。「ランキング自体は本紙の観点を代表しておらず、読者の討論を歓迎する」として、ランキング発表を契機として、国民的論議が行われることを希望するとの立場を説明している。

◎233人死亡のガス噴出事故、原因は作業員のミス、中国(2004年1月3日、朝日新聞)
 中国重慶市北東部の開県で昨年12月23日に起きた住民ら200人余りが死亡した天然ガス噴出事故で、中央政府の調査チームは、事故原因はガス田の作業員らの過失によるものと断定し、管理者の業務上過失責任を追及する。国営新華社通信が2日報じた。
 調べでは、作業員らはガス噴出量の見積もりが甘かったほか、大量の硫黄を含むガス田の探鉱技術についても未熟だった。さらにガス噴出の兆候も発見できなかった。噴出後も、規定にあったガス放出管に点火して毒性を薄める作業を怠ったため、有毒ガスが拡散し、死傷者を増やしたとしている。
 事故では睡眠中や避難中の住民ら233人がガス中毒で死亡した。

◎中毒症状1万人超える、ガス噴出事故、中国(2003年12月28日、産経新聞)
 中国重慶市開県の有毒ガス噴出事故で、中毒症状などのため同県内の医療機関で治療を受けた住民は27日までに累計で1万175人に上り、うち77人が重体となっている。新華社が28日伝えた。これまでの死者数は198人。
 有毒ガスが噴出した天然ガス田での密封作業が27日成功したのを受け、避難していた6万4000人に上る被災者は28日朝から、安全が確認された地区で徐々に自宅に戻り始めた。噴出現場に近い地区では家屋の消毒が続いているという。(共同)

◎中国ガス田事故:中毒者1万人超える(2003年12月28日、毎日新聞)
 中国重慶市開県の有毒ガス噴出事故で、中毒症状などのため同県内の医療機関で治療を受けた住民は27日までに累計で1万175人に上り、うち77人が重体となっている。新華社が28日伝えた。これまでの死者数は198人。
 有毒ガスが噴出した天然ガス田での密封作業が27日成功したのを受け、避難していた6万4000人に上る被災者は28日朝から、安全が確認された地区で徐々に自宅に戻り始めた。噴出現場に近い地区では家屋の消毒が続いているという。(北京・共同)

◎重慶ガス事故の死者が234人に(2003年12月27日、朝日新聞)
 中国の人民日報(電子版)などによると、重慶市開県の天然ガス噴出事故による死者数は29日までに234人になった。治療を受けた住民は27日までに計1万175人に上った。
 死者の多くは、現場近くから逃げる途中に息絶えた人たちとみられる。

◎中国の天然ガス噴出、84時間ぶり封鎖、死者198人に(2003年12月27日、朝日新聞)
 中国重慶市北東部の開県で起きた天然ガス田のガス噴出事故で、国営新華社通信は27日、ガスの噴出を完全に止める作業が同日午前9時(日本時間同10時)に始まり、封鎖に成功したと伝えた。23日夜以来、84時間ぶりに噴出が止まった。地元警察当局や民兵組織などによる救助隊約1500人が27日未明まで現場の半径5キロ以内で進めていた、被害者の捜索といった大規模な救助活動は、ほぼ収束した。事故による死者は同日昼までに198人になった。
 ガス田の主要パイプは事故発生翌日の24日に封鎖され、なおもガスが噴出している部分については、有毒ガスの拡散を防ぐために火が付けられていた。噴出を完全に止める作業は、当初26日に予定されたが、現場の状況などから延期されていた。中国メディアはこの作業が今回の事故処理の一つの区切りとなると位置づけて伝えている。
 26日までに緊急避難した住民は4万人以上に上り、学校などの施設で夜を過ごしている。一方、中毒症状を訴えて病院で手当てを受けた住民は9185人に上っている。

◎死者の多くは子どもや高齢者、中国・重慶ガス噴出(2003年12月26日、朝日新聞)
 中国・重慶市郊外で190人以上が死亡した天然ガス田ガス噴出事故で、国営新華社通信(電子版)は26日、入院治療を受けた住民らが660人に達し、うち17人が危篤を含む重症と伝えた。治療を受けた人は9185人に上った。また、死者の多くは近くの村に住む子どもや高齢者だった。
 新華社などによると、硫化水素など有毒ガスを吸って死亡した191人のうち、身元が確認されたのは182人。このうちガス田の作業員は2人だけで、ほとんどは地元住民だった。犠牲者は子どもと高齢者の割合が高く、10歳以下が39人、60歳以上が46人だった。
 ガス田の半径5キロ以内は一般人の立ち入りが禁止された。防毒マスクで防御した武装警察官約800人や軍部隊70人も投入され、救助活動が続いている。

◎中国ガス田事故:死亡者の大多数は、逃げ遅れた付近住民(2003年12月26日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】26日の新華社電によると、中国重慶市開県で23日夜に発生した天然ガス田事故で、噴出した有毒ガスによる死者の大多数が逃げ送れた周辺住民だった。また、現場の県当局が事故連絡を受けたのは発生から約2時間以上後だった。中国政府は、事故発生直後の初動態勢など被害拡大の原因究明を迫られそうだ。
 この事故による死者数は25日夜までに、子供39人を含む191人に達した。うち身元が確認された182人は、2人の作業員を除き、全員が周辺住民だった。26日までに、中毒症状で手当てを受けた人は9185人、計660人が入院し、17人が重体。また、緊急避難した周辺住民は4万2247人に達した。今後も増加する可能性がある。
 事故発生は23日午後9時15分だったが、県当局は同日午後11時半にガス田側から市を経由して連絡を受けた。
 関係者からは、事故発生時に予想される危険度合いを周辺住民に速報する効果的な警報システムがなかったことや、掘削などに関する周辺住民への事前説明制度が整っていないことも住民被害が拡大した要因になったと指摘されている。
 この事故では、胡錦涛国家主席と温家宝首相ら指導部が、発生2日後の25日に「全力で捜索、救出せよ」と地方当局に指示。26日から1500人規模の捜索チームが動員された。現指導部は弱者救済など「親民路線」を打ち出しており、多数の住民被害をもたらした事故を深刻に受け止めている模様だ。
 中国国家安全生産監督管理局によると、中国では今年1~10月、炭鉱などで採掘中に7197人(前年同期比1.9%増)が事故死した。先進国では30年以上前の高い事故率だといわれ、安全よりも生産を優先させる企業体質が国内でも問題になっていた。
 中国政府が今月発表した「中国の鉱物資源政策」は、採掘を実施する企業に対して「情報ネットワークを確立し、災害防止・減少案を作成し、突発災害の発生を避けるための最大限の努力をする」と定めていた。
 中国では過去2回、類似のガス噴出事故が起きている。98年3月には四川省の天然ガス田から有毒ガスが漏れ出し、近くの炭鉱内に流入。炭鉱作業員11人が死亡した。92年9月には河北省で油田掘削中に硫化水素を含むガスが噴出、付近住民6人が死亡した。

◎ガス噴出事故:中国重慶で死者191人、さらに増える可能性(2003年12月26日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】25日の新華社電によると、中国重慶市開県の天然ガス田で23日午後10時(日本時間同11時)ごろ、ガス噴出による事故が発生し、この事故による死者は25日までに191人に上った。大半は有毒ガスによる中毒死とみられる。死者数はさらに増える可能性があり、中国国内の炭鉱などでの事故としては過去最大規模に発展しそうだ。胡錦濤国家主席と温家宝首相らは救助を指示、中国政府の対策チームが25日夜、現場に入った。
 事故当時、硫化水素の混じった天然ガスが地上から約30メートルの高さまで噴出し、約10キロ離れた地点でもガス臭がしたという。24日午後3時(同4時)ごろ、ガス噴出口に点火してガス漏れを止めた。4万人規模の付近住民が緊急避難している。
 事故が起きたのは国有企業「中国天然ガス集団」が所有する大型天然ガス田で、四川石油管理局が掘削を請け負っていた。ガス井の深さは約4000メートル。1日100万立方メートルの天然ガスを産出していた。24日時点で65人が病院に運ばれており、死者の多くは作業員や付近住民とみられる。
 開県は重慶市の北東約340キロに位置し、人口は約150万人。天然ガスの確認埋蔵量が1100億立方メートル、ほかにも石炭などの鉱物資源が豊富な地域として知られている。
 中国では小規模炭鉱を中心にガス漏れ事故などでここ数年は年間5000人前後が死亡している。天然ガス田の大規模事故は珍しい。

◎ガス噴出事故:現場は依然有毒の危険、中国政府、生存者を捜索(2003年12月26日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】26日の新華社電やロイター通信によると、中国重慶市開県で23日夜に発生した天然ガス田事故の被害はすでに確認された死者191人のほか、291人が入院、うち4人が重体。3000人以上が目などに痛みを訴えている。現場付近には依然として硫化水素などを含む有毒ガスの危険があり、中国政府対策チームは軍や警察など約1500人を動員し、生存者を捜索している。
 現場は重慶市中心部から北東へ約337キロ。対策本部は事故が起きたガス田から約1キロ離れた高橋鎮政府会議室に設けられた。ガス噴出口には有毒ガスを無毒化するため火がつけられ、激しく炎が上がっている。一方、付近には燃え残った有毒ガスが残留しる可能性があり、引火しないように電源が切られ、鎮内は停電している。固定電話も使用できない。
 事故は地表から深さ208メートル付近をドリルで掘削中に発生し、有毒ガスが地上30メートルまで噴出、現場の高橋鎮など周辺4鎮28村に広がったという。危険を知った半径5キロ以内の住民約4万1000人がトラックの荷台などに乗って緊急避難したが、一部が逃げ遅れた。対策チームの捜索隊は警察犬やガス濃度の計測機を持ち、民家を一軒一軒回って生存者を捜索しているが。現場周辺は家畜の死骸が散らばるゴーストタウンと化しているという。
 患者が運ばれた開県の「人民病院」は4階建て建物の病室が患者であふれ、一部は廊下に横たわって治療を待っている。内科医師によると、138人を収容したが、残りは周辺の診療所などに運ばれた。また、避難した住民は特設の避難所15カ所で食料や衣類が配給されている。

◎住民ら3000人が中毒、中国・重慶のガス噴出事故(2003年12月26日、産経新聞)
 中国重慶市開県の天然ガス田で起きたガス噴出事故は、付近の住民ら約3000人が目やのどの痛みなどの中毒症状を訴える深刻な事態となっている。新華社が26日伝えた。
 死者数は25日夜時点の191人から増えていないが、このほかに290人がガス田から噴き出した硫化水素を吸って入院、うち4人が重体とされ、さらに死者が増える恐れがある。
 救助隊が身元を確認した死者182人は、2人の作業員を除いて全員が付近の住民だったことが判明。噴出したガスが猛烈な勢いで広がり逃げ遅れたとみられ、10歳以下の子供が39人、60歳以上の人が46人に上った。
 現地では救助隊が捜索活動を続け、捜索範囲も拡大。開県では既に4万1000人の住民を安全な場所に移すなど、犠牲者の捜索と住民の避難を進めている。
 25日に現場を取材した新華社記者によると、ガス田周辺は今も場所によって硫化水素が残留、危険な状態だという。
 救助隊の話によると、23日夜の事故発生直後に8人の犠牲者を確認。その後、ガス田の周囲数キロを調べたところ、さらに183人の死者を発見したという。(共同)

・硫化水素
 腐った卵のようなにおいがする無色の有毒ガス。硫黄と水素の化合物で目や皮膚を刺激する。天然では火山ガスや鉱泉中に含まれ、高濃度を吸引した場合、数呼吸で失神、こん倒などを起こし低酸素状態や肺水腫(はいすいしゅ)で死亡することもある。吸引量が少なくても頭痛、吐き気などの症状を起こす。(共同)

◎中国・重慶で天然ガス噴出事故、191人死亡(2003年12月25日、朝日新聞)
 国営新華社通信は25日、中国西南部の重慶市郊外の天然ガス田で23日夜、ガス噴出事故が起こり、作業員や付近の住民191人が死亡したと伝えた。事故発生当初は、毒性の強い硫化水素などが含まれたガスが高さ約30メートルまで噴き上がり、周囲の住民ら多数に中毒症状がみられるという。市当局は救援部隊や専門家を派遣しているが、25日夜現在も噴出は続いており、現場の周囲5キロの数万人規模の住民を緊急避難させている。
 中央政府も事態を重くみて、胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席らは華建敏・国務委員を現場に派遣し、救援活動を指揮するように命じた。
 現場は、重慶市中心部から北東に約330キロ離れた開県高橋鎮にある中国石油西南油気田分公司川東北ガス鉱田で、埋蔵量が500億~600億トンにのぼる大型の天然ガス田。多数の住民や作業員らが病院に運ばれているが、ほとんどが中毒症状を見せており、今後も死者数が増える可能性があるという。市当局などは事故発生の翌日、ガスの噴出をくい止める応急処置をとり、26日午前から本格的な処置を実施する予定だ。
 同県は50余りの県の下の行政単位にあたる郷鎮からなり、人口は約150万人。中国中央テレビの報道によると、ガスは現場付近の複数の集落に拡散。ある集落ではトラックの荷台に多数の住民が乗り込み、避難している姿が見られたという。当局は大気中のガスを燃焼させるため、故意に点火する処置をとっており、集落内は停電させているため真っ暗だという。
 同鉱田の副鉱長の説明によると、事故が起きたガス田は深さ4000メートル、幅700メートルで、1日の生産量は100万立方メートル。事故直前の作業には問題がなかったという。掘削ドリルが深さ208メートルに達したときにガスが噴出。ただ、ガスは掘削した部分からではなく、その周囲のすき間から噴き出たという。
 中国紙によると、ここ数年、全国で炭鉱事故が相次ぎ、年間約7000人が死亡しており、国家安全生産監督管理局が鉱山などの安全管理を呼びかけていた。

◎天然ガス田で事故、191人死亡、中国・重慶郊外(2003年12月25日、産経新聞)
 新華社電によると、中国重慶市開県の天然ガス田でガス噴出事故が23日夜に発生、現場の作業員ら191人が死亡したことが25日夜までに確認された。噴出した天然ガスに有毒の硫化水素が混じっていたためで、さらに犠牲者が増える可能性もある。
 中国の鉱山・ガス田に絡む事故の中でも過去最大級の規模とみられ、事態を重視した中国政府は胡錦涛国家主席らの指示で華建敏国務委員を現場に派遣、救助活動の陣頭指揮に当たらせている。
 噴出したガスは猛烈な勢いで高さ30メートルに上り、24日午後まで噴出が続いた。中国紙の報道によると、付近の住民約10万人が緊急避難。現場から約30キロ離れた開県の市街地も上空が真っ黒になり、噴出口に点火しガスを燃焼させてようやくガス漏れを止めた。
 事故発生直後の24日は73人が中毒となり、うち8人が死亡、65人が治療中と伝えられていた。噴出が収まり現場の調査が可能となって多数の死者が確認されたとみられる。
 事故が起きたガス田は、埋蔵量500億-600億トンに上る大型天然ガス田内にあり、中国石油天然ガス集団の四川石油管理局が掘削してきた。ガス田は深さ4000メートルで、1日100万立方メートルの天然ガスを生産し、これまでは正常に稼働してきたという。
 事故原因は調査中だが、現場の責任者によると、ガスを掘るドリルパイプの側面からガスが噴出し、大きな事故につながった。中国では炭鉱事故が相次ぎ、年間6000-7000人が死亡しており、国家安全生産監督管理局が安全管理の強化を呼び掛けていた。
 天然ガスはメタンを主成分とする可燃性のガスで、通常は燃焼しても有害物質の発生が少ないため、他の化石燃料に代わるクリーンなエネルギーとして中国も生産に力を入れていた。(共同)

・硫化水素
 腐った卵のようなにおいがする無色の有毒ガス。硫黄と水素の化合物で目や皮膚を刺激する。天然では火山ガスや鉱泉中に含まれ、高濃度を吸引した場合、数呼吸で失神、こん倒などを起こし低酸素状態や肺水腫(はいすいしゅ)で死亡することもある。吸引量が少なくても頭痛、吐き気などの症状を起こす。(共同)

◎今冬も全国で電力不足、日系企業にも影響(2003年12月2日、NNA)
 1日付北京青年報によると、中国で冬期期間中も電力不足が続くことが確実となることが分かった。改革・開放後、過去最悪ともいわれた今年夏に続いて電力制限が行われることになり、日本企業など外資企業にも今後、影響が出るのは必至。新たなチャイナリスクとして、電力不足問題が定着したともいえそうだ。
 電力不足問題が深刻なのは山西、広東、四川、浙江、湖南、広西などの各省・自治区や上海市。湖南省長沙市内では、11月30日から重点企業49社以外の企業・住宅で「4社(世帯)に1社を停電とする」原則で、電力の供給を制限。市の電力部門は毎週、停電の公告を通達するようになった。
山西、広東の両省でも1日から節電措置を導入。必要以上の電力を消費した場合、料金が加算されたり、地区別での電力量の割当を実施し、電力消費の抑制を行っている状態だ。
記録的な猛暑で過去最悪の電力不足となった上海市でも今冬は200万キロワットの電力不足になることが確実視されており、連日、貨車2,600両の石炭が火力発電所に運び込まれているという。

・干ばつ、石炭不足も原因
 今夏の電力不足では、企業の需要に発電所建設が追いつかなかったことを指摘するものが多かったが、今冬は近年の干ばつ・少雨被害も加わり、問題はより深刻となっているようだ。
湖南省では十数年ぶりの干ばつ被害に見舞われ、省内の発電量の半分を担う水力発電に影響が出ている。広西チワン族自治区沿海部でも、降雨量が例年の10~80%減となり、やはり水力発電に深刻な影響を与えている。さらに、政府の方針で、効率性の悪い炭坑が閉山されたことにより、石炭の供給量が減り、広東、貴州、四川の各省では発電量が低下しているという。
電力当局によると、今年の電力需要の伸びは過去25年間で最高の14~15%に達する見込み。需要増に対し干ばつ、石炭不足が電力不足問題を深刻させていることは間違いない。

・上海では電力料金値上げも
 上海の日本総領事館によると、今冬の電力不足に対し、上海市当局は今夏同様、市内の企業に工場の操業を休日に振り替えるよう要請する予定だという。ただ、電力需要がピーク時とオフピーク時との料金格差をつけることはせず、契約容量に対して基本料金を値上げすることを検討しており、同市に進出している日系企業にとってコスト高になるのは必至。同館では「中国は国を上げて積極的に企業誘致を行っている一方で、(電力不足対策などの)政策が著しく不透明。進出企業が困っている状態が続くのは大きな問題だ」として、今後も関係当局に善処するよう働きかけを強めていく方針だ。
高い経済成長を維持し、「世界の工場」といわれる中国だが、電力不足という問題がその屋台骨を脅かす可能性も出てきていることは間違いない。

◎破たん国有企業に500万人、中国、失業率「7%」(2003年11月20日、産経新聞)
 中国で経営破たん状態にありながら閉鎖できずにいる国有の企業や鉱山が2500社余りあり、従業員は計510万人近くに上ることが国有資産監督管理委員会の調査で分かった。同委員会の李栄融主任が19、20の両日、北京で開かれたフォーラムで公表した。
 9月末の都市部の失業者数は793万人、失業率4.2%と過去最高水準にあり、こうした潜在失業者を加味すると失業率は3ポイント近く押し上げられ、約7%になる計算だ。
 破たん企業の金融債務は2400億元(約3兆1000億円)余りで、李主任は融資元の銀行経営に対する悪影響に加え、政府の財政資金不足、社会保障体制の未整備のため「直ちに市場から退出させるのは難しい」と指摘。市場経済推進に向けた改革の重荷になっていることを認めた。
 経営改善の見込みがない国有企業や資源が枯渇した国有鉱山を政府が計画的に倒産させる「政策的閉鎖」は「社会主義市場経済」の推進が本格化した1994年から昨年までに3080件、再就職などの対策を取った従業員は約530万人に上った。
 ほぼ同数に近い破たん企業や鉱山が、閉鎖できずに残っていることになり、監督委は競争力のない企業の「市場退出」制度の整備を加速し、今後5年間で閉鎖する方針。(共同)

◎上海の人口、1,700万人に(2003年11月19日、日本経済新聞)
 【上海支局】上海市政府のまとめによると、同市の人口は今年末には1,700万人前後に達する見通しだ。今年1年間の出生数は8万6,000人前後。このうち戸籍を持つ人の出生数は6万3,000人だった。市政府は1980年代に起きた「ベビーブーム」の影響で2006年から出生数の増加が顕著になり、2009年には16万5,600人が新たに生まれると予測している。

◎買春容疑で日本人3人を国際手配(2003年12月17日、産経新聞)
 中国の新華社は17日、広東省珠海市で9月に起きた日本人旅行客の集団買春騒動で、中国当局が売春女性を依頼した日本企業の幹部3人を組織買春の容疑で国際手配したと報じた。

◎中国人2人に終身刑、買春騒動(2003年12月17日、産経新聞)
 中国の広東省珠海市で起きた日本人旅行客の集団買春騒動で、同市の裁判所は17日、組織売春の罪に問われた中国人2人に終身刑、残る12人に2~15年の禁固刑を言い渡した。
 被告はホステスの手配師や買春騒動があったホテルの幹部ら。

◎買春費用380万円、日本企業側が一括払い、上海紙報道(2003年11月19日、朝日新聞)
 中国広東省珠海市のホテルに宿泊した日本人団体客が今年9月、「中国人女性を相手に買春行為をした」とされる問題で、19日付の上海紙、青年報は、日本企業の担当者が女性185人の買春費用として約29万元(約380万円)を一括して支払っていたと報じた。警察・検察当局から得た情報としている。また、買春をあっせんした中国人女性ら14人の被告について、珠海市中級人民法院(地裁)で近く、初公判が開かれる見通しという。
 報道によると、日本企業の社員3人は8月、事前に現地を訪れ、仲介役の中国人男性らにコンパニオンの派遣を要求。社員側が到着した9月16日のパーティーには約300人の女性を参加させた。会社側はその場で買春費用などについて説明し、パーティー終了後に185人が買春行為をしていたという。
 会社側は翌日未明、買春や派遣費用などとして計29万元余りを仲介役に支払ったとしている。記事には、日本企業や中国側と交渉していた日本人社員の実名も書かれている。

◎中国集団買春:「日本側がホテルに手配、380万円払う」(2003年11月190日、毎日新聞)
 【北京・上村幸治】今年9月に中国広東省珠海市で起きた日本人団体客による集団買春疑惑で、中国紙「新京報」は18日、日本の企業の担当者が珠海のホテルに売春婦を用意するよう依頼し、買春費用など約29万元(約380万円)をまとめて支払っていたと報じた。珠海市司法機関から得た情報として伝えた。名指しされた日本企業は会社ぐるみの関与を否定していた。
 同紙の報道によると、同社の日本人担当者3人(実名)がホテルに、売春のできるホステスを500人から600人用意してほしいと依頼。3人は中国側と、ホステスをホテルに連れ帰る手順や経費の支払い方法も話し合った。
 9月16日夜に開かれた宴会には日本人客285人が参加、ホテル側は300人のホステスを用意した。この場で日本側の司会者が「1回800元(約1万円)、1晩1200元です」などと説明した。この夜は185人の女性が売春し、日本側が買春費用20万元余とテーブルチャージ名目の費用9万元をまとめて支払ったという。
 この事件はまもなく現地で裁判が開かれ、中国側で売春をあっせん、逮捕された関係者が出廷する。今回の記事で伝えられた内容も説明される見通しだ。

◎わいせつ寸劇:留学生側が反省文を提出、自主帰国へ(2003年11月1日、毎日新聞)
 【西安(中国・陝西省)浦松丈二】中国・西北大学の日本人留学生らによる「わいせつ寸劇」をきっかけに広がった当地のデモ騒ぎで1日、日中双方は留学生側が「中国の文化・風習を理解していなかった」との反省文を同日中に大学側に提出して自主帰国することで合意した。デモを組織している学生側幹部は留学生に対して公開謝罪を強く要請しており、反省文提出でデモ騒ぎは近く終息に向かう可能性が高まった。
 関係者によると、事態収拾をめぐる大学側と留学生側の協議は31日夜から1日午前6時(日本時間同7時)ごろまで続けられた。寸劇を演じた留学生3人と日本人教師1人の処分について、大学側は31日に退学・解雇処分を公表したが、デモ収拾のため、留学生らの公開謝罪などを要求した。
 これに対し、留学生側は寸劇に悪意はなかったが、中国の文化・風習を理解していなかったとの反省文に4人連名で証明・提出することを受け入れた。
 また、反省文提出の模様を地元テレビ局などが撮影。放映することも受け入れたという。
 関係者によると、デモを中心的に組織しているのは同大の「文芸の夕べ」を企画・運営した中国共産主義青年団の幹部ら。この催しは大学だけではなく、企業スポンサーも多数協賛する伝統的な行事で、留学生の寸劇は「著しく下品」だと強い反発を招いたという。
 体面を傷つけられた幹部らは、西北大学だけではなく各地で1000人規模のデモを繰り広げ、謝罪を要求していた。
 反省文の提出と自主帰国による決着方針は、デモ幹部側にも伝えられている模様で、反省文提出と4人の自主帰国を待ち、反日デモも終結する見通しだ。

◎3留学生除籍、日本人教師を解職、寸劇事件で西北大学(2003年11月1日、朝日新聞)
 中国・西安市の西北大学の文化祭で、日本人留学生らが行った下品な寸劇に中国人学生が謝罪を求めて抗議デモをした問題で、同大学は規律、規則に違反したとして、3人の留学生を除籍、日本人教師1人を解職処分にした。現地入りしている日本大使館員が31日に確認した。大使館員らは1日未明、寸劇に参加した4人も含む日本人留学生らと面会。同日午前中も引き続き、当時の詳しい事情を聴いている。
 大使館によると、3人の留学生と教師はいずれも男性。国営通信・新華社が前日報じた卑猥(ひわい)な寸劇を行ったことを大筋で認めたうえで、「大変なことをしてしまった。迷惑をかけ、反省している」と意気消沈した様子で語ったという。4人は反省文を提出し、日本に帰国する方向で大学当局と話し合いを進めている。
 ただ、寸劇の際に「これが中国人だ」という札をかけていたのかどうかなど、中国人学生の憤激を招いた理由をめぐる詳しい状況はまだ明らかになっていない。
 中国外務省側の説明では、寸劇が行われた翌30日、「パフォーマンスに強い不満を感じた」中国人学生が学内に壁新聞を張り出し、日本人学生に謝罪を要求した。その後、西北大学以外の学生も加わってデモ行進が行われるなど、事態がエスカレートしていったという。
 日本大使館の調べでは、学生宿舎に乱入した中国人学生に殴られてけがをした男女の日本人留学生は、寸劇には参加していなかったという。日本人留学生約40人を含む同大学の外国人留学生約80人は、中国当局によって市内のホテルに移され、そこにとどまっている。

◎日本人留学生が殴られ軽傷、中国・西安の寸劇反発問題(2003年11月1日、朝日新聞)
 中国・西安市の西北大学での文化祭で、日本人留学生の寸劇に中国人学生が反発している問題で、同大学の日本人留学生の男女2人が中国人学生に殴られ、軽傷を負ったことが分かった。北京の日本大使館が31日、職員を現地に派遣して確認した。約40人の日本人学生を含む同大学の外国人留学生らは31日未明、中国当局により市内のホテルに移され、安全が確保されているという。
 中国外務省の羅田広(ルオ・ティエンクワン)領事局長は同日午前、日本大使館の高橋邦夫公使を同省に呼び、日本人留学生の卑猥(ひわい)な出し物に中国人学生が謝罪を要求した経緯を説明。日中双方の学生の衝突を避ける措置をとったことを伝えた。
 そのうえで「留学生のパフォーマンスは日本の公の場所でも許されておらず、まして中国ではなおさら許されない。日本人が中国で学習や旅行をする間、中国の法律、風習、習慣を順守するよう希望する」と述べた。
 これに対し高橋公使は「日本人留学生が負傷したり、複数の留学生の部屋が荒らされたりした。理由がどうであれ、このような事態に強い遺憾の意を表明する」と伝えた。
 日本大使館によると、留学生らはホテル内にとどまるよう大学当局から指示されている。ホテルでは中国人の出入りも制限されているという。
 北京のインターネットニュース「千竜網」は同日、西北大学が3人の日本人留学生を除籍処分にしたと報じた。これについて大学の広報担当者は朝日新聞の取材に「教育省からの連絡を待っており、今は確認できない」としている。
 香港紙「文匯報」は、日本人留学生らが問題の寸劇をした際、「ほら、これが中国人だ」と書いた札を掲げていた、と報じたが、実際にそうした事実があったかどうか、日本大使館員らが調べている。ただ、こうした報道をもとに、ネット上では「中国人を侮辱している」などと反発する書き込みが続いている。
 中国国営通信・新華社によると、29日夜にあった同大学外国語学院の文化祭で、日本人留学生3人と同教師の計4人が、胸に赤いブラジャー、下腹部に紙コップを付けて踊り、ブラジャーから紙くずを出し観客席にまいた。中国人学生や教師が怒って中止させ、翌30日には同大以外も含む千人以上の中国人学生が留学生寮前に集まり、謝罪を要求した。

◎わいせつ寸劇:演じた日本人留学生らに数百人が抗議、中国(2003年10月31日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】31日の新華社電によると、中国陝西省西安市の西北大学の文化祭で、日本人留学生3人と日本人教師1人がわいせつな寸劇を演じ、これに反発した中国人学生数百人が30日、留学生らに謝罪を要求してデモ行進した。北京の日本大使館によると、この際、中国人学生らが留学生宿舎に入り込み、日本人留学生の女性1人がけがをしたという情報がある。約50人の日本人留学生は安全な場所に避難したという。同大使館は31日朝、現地に職員3人を派遣した。
 中国では今年9月に広東省珠海市で、日本人旅行客の集団買春が報道されたばかり。日本人留学生らのわいせつ劇が、中国人学生の反日感情に火をつけたようだ。
 同省教育庁報道官によると、留学生らは29日夜、同大外語学院の文化祭に出場し、胸に赤いブラジャー、腰に紙製の性器のようなものを付けて踊った。ブラジャーから白い紙くずを取り出して観衆にまき出したところ、中国人教師や学生から制止されたという。
 31日付の香港紙「りんご日報」などによると、留学生らは踊りながら「これがおまえたち中国人のイメージだ」などと叫んだという。また中国人学生らの抗議行動では「日本の畜生を追い出せ」「日本人を打倒せよ」などと書いた反日スローガンが掲げられた。

◎邦人留学生らの寸劇に抗議デモ、中国の大学文化祭(2003年10月31日、朝日新聞)
 中国陜西省西安市の西北大学の中国人学生数百人が、日本人留学生らが文化祭で演じた下品な寸劇に反発し、謝罪を求めて市内をデモ行進した。中国国営通信新華社が31日伝えた。中国側の学生の代表は同省の関係部門に対し、留学生による公開謝罪を求める請願書を提出した。
 新華社によると、29日夜、西北大学外語学院であった文化祭に出演した日本人留学生3人と日本人教師の計4人が、胸に赤いブラジャー、下腹部に紙コップを付けて踊り、ブラジャーの中から取り出した紙くずを観客席に向かってまいたという。
 その場にいた中国人の教師や学生が踊りの下品さに怒りだし、すぐに中止させた。翌30日昼には、1000人以上の同大の学生が留学生寮の前に集まり、謝罪を要求。さらに数百人の学生は夕方6時半すぎ、学校を出て、同市中心部の新城広場まで抗議のデモ行進を行った。
 香港紙の文匯報によると、寸劇をした留学生らは「ほら、これが中国人だ」と書かれた札を掲げていたという。
 中国では今年9月、広東省珠海市で、日本人団体客による集団買春騒ぎが起き、インターネットの掲示板に「中国人を辱めた」とする非難が掲載されるなど、対日感情が悪化している。

◎中国、マイカー増で交通事故死10万人以上に(2003年10月29日、日本経済新聞)
 【香港29日共同】29日付の中国系紙、香港商報によると、中国でのマイカーブームなどで交通事故が増え、昨年は死者が10万人以上と日本の13倍に達し、同紙は「大型旅客機一機が毎日墜落するのと同じ状況になっている」と報じた。
 2002年に中国で起きた交通事故は77万3000件で、死者は10万9000人、負傷者は56万2000人。1日平均約300人が交通事故で死亡している計算となり、直接的な経済損失は推定33億2000万元(約500億円)に上る。日本で昨年、交通事故発生から24時間以内の死者は8326人だった。中国の死亡事故の原因で多いのはスピード違反のほか、違法車線走行、無理な突っ込み、違法な追い越し、酒飲み運転など。事故予防の当局者は交通ルールを守る意識が薄いことが大きな問題と指摘、今後3―5年間は交通事故が増え続けると予測しているという。

◎ネズミ駆除剤の混入容疑で妻を拘束 中国・10人中毒死(2003年10月25日、朝日新聞)
 中国中西部の湖北省利川市で、葬式に出席していた住民33人が昼食中に中毒症状を起こし、このうち10人が死亡した事件で、地元公安当局は24日、ネズミ駆除剤を食事に混ぜて殺害した疑いで、死亡した男性の妻の身柄を拘束した。国営新華社通信などが伝えた。
 報道によると、夫婦は財産分与などをめぐり、子どもの家族も巻き込んで対立していた。妻は犯行を認めているものの、「まさか死ぬとは思っていなかった」と話しているという。

◎葬儀後の食事にネズミ駆除剤?10人死亡、中国・湖北省(2003年10月23日、産経新聞)
 22日付の上海紙、新民晩報によると、中国湖北省南西部の利川市で21日、10人が中毒症状を起こし死亡、22人が重体となった。劇薬のネズミ駆除剤による中毒症状に似ているという。
 一緒に食事をした3人が行方不明になっており、毒物混入事件に発展する可能性もありそうだ。中国では昨年10月に江蘇省南京市で、同じ駆除剤を混入した食物を食べた42人が死亡する事件が起きた。
 同紙によると、被害者は同市近くの村民ら。葬式の後に食事をしている際に相次いでけいれんを起こし倒れた。(共同)

◎葬式の昼食にネズミ駆除剤混入か、中国で10人中毒死(2003年10月23日、朝日新聞)
 中国の湖北省利川市で、葬式に出席していた住民33人が昼食中に突然けいれんを起こす中毒症状を起こし、このうち10人が死亡した。国営新華社通信(電子版)などが22日伝えた。ネズミ駆除剤による中毒症状と似ているといい、公安当局は、何者かが毒物を混入した疑いが強いとみて捜査を始めた。
 報道によると、21日正午ごろ、葬式に集まった30人余りの住民が昼食をとり始めたところ、同村の共産党書記の男性がけいれんを起こして倒れ、間もなく死亡。ほかの9人も病院に運ばれる途中に死亡した。
 中国では昨年10月、南京市内でネズミ駆除剤が混ぜられた朝食を食べた42人が死亡するなど、混入事件が相次いでいる。多くが怨恨(えんこん)による犯行とされている。

◎中国買春疑惑の企業、2億円所得隠し、大阪国税局追徴(2003年10月21日、朝日新聞)
 中国広東省珠海市のホテルで9月、集団で買春行為をしたと中国紙などに報じられた関西の企業が、大阪国税局の税務調査を受け、4年間で約2億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。同社は、重加算税を含め約7500万円を追徴課税され、全額納付している。
 関係者によると、同社は、売り上げを簿外の口座に隠すなどの方法で所得を圧縮。02年11月期までの4年間の約2億円が仮装・隠蔽(いんぺい)にあたるとして重加算税の対象になった。隠した所得は、社員の遊興費などに充てていたとみられる。
 この企業をめぐっては、中国や香港の各紙が9月、「日本人団体客が中国人女性相手に買春行為をした」と報道。中国政府が「強い憤り」を表明したのを受け、外務省が同社から事実関係を聴いた。
 同社によると、9月16~18日の3日間、社員288人が慰安旅行として珠海市を訪れ、多数のコンパニオンが出席した宴会を開いたという。同社は「報道されたような買春目的ではない」と否定している。

<同社総務部の話>
 会社と税務当局との認識のズレがあったが、話はすべてついている。中身についてコメントする気はない。

◎旧日本軍毒ガス事故、日本3億円支払いを中国側に提示(2003年10月17日、朝日新聞)
 中国黒竜江省チチハル市で旧日本軍の遺棄化学兵器の毒ガスが漏れ出して住民らが死傷した事故で、外務省が中国政府に3億円の支払いを提示したことが16日、わかった。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて20日に予定されている小泉首相と中国の胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席による首脳会談前の決着をめざし、中国側と最終調整している。
 支払いの名目は補償や見舞金とせず、協力費などとする方向だ。
 チチハルでの事故をめぐって日本政府は、当初1億円の支払いを打診したが、中国側は10億円の支払いを求め、協議は難航していた。また中国側は「見舞いの提供が緊急の問題」(李肇星(リー・チャオシン)外相)として、被害者の救済を求めてきた。日本は「中国は日中共同宣言で戦争賠償の請求を放棄している」との立場から補償などの名目での支払いは拒んできたが、「中国側が受け取った後に被害者に支払うことは問題ない」(外務省幹部)としている。
 事故は8月4日に発生し、1人が死亡、40人余が被害を受けた。日本政府は遺棄化学兵器の処理チームや医療チームを派遣してきたが、李外相が今月3日、「日本の対応が遅く、中国国民や被害者の強烈な不満を招いている」と発言するなど、中国側は対応の遅れに強い不満を示している。

◎中国、外国人の宿泊制限を撤廃、民宿滞在も可能に(2003年10月1日、産経新聞)
 北京市公安局は1日、外国人の宿泊先制限を正式に撤廃した。中国政府はこれまで50年余り、外国人に対し指定したホテルや宿舎への宿泊を義務付けていたが、北京市内では外国人が宿泊先を自由に選べるようになった。
 新華社電によると、軍事管制地区や未開放地区を除けば外国人は北京市内のどこでも宿泊でき、市街地の横町「胡同(フートン)」の民宿に滞在することも可能という。
 制限撤廃は北京市が独自に決めたもので、日本の旅行会社によると中国全国でも初めての試みとみられる。
 公安局の決定によると、これまでは設備が整った一定規模のホテルや大学の寮を指定宿泊先と定めていたが、1日からは旅館業の経営資格を持つホテルや企業ならどこでも外国人の受け入れができるようになった。
 新華社電はこれまでの宿泊制限について「外国人の安全と社会安定の維持に重要な役割を果たしてきたが、既に時代遅れになった」と撤廃の理由を伝えた。
 また、北京市公安局の張越副局長は制限撤廃について「世界貿易機関(WTO)の基本原則である内国民待遇の実現である」と指摘した。(共同)

◎売春組織主犯格の身柄拘束と中国紙報道、日本人集団買春(2003年9月30日、朝日新聞)
 中国広東省珠海市内のホテルに宿泊した日本人団体客が「中国人女性を相手に買春行為をした」と中国紙などが報じた問題で、日本人側に女性をあっせんしたとされる売春組織のリーダー格が、中部の湖南省で警察当局に身柄を拘束された模様だ。同省の地元紙・瀟湘晨報が30日伝えた。
 報道によると、広東省や地元の警察当局は9月28日、湖南省懐化市会同県内で潜伏していた売春組織の主犯格を拘束した。当局は「事件は複雑なため、詳細はまだ公表できない」としている。また、別の報道によると、珠海市の警察当局も、日本人との売春にかかわった疑いがあるとして50人以上の女性を拘束しているという。
 一方、駐広州日本総領事館は29日、広東省政府や省公安庁に職員を派遣し、事実関係の調査を始めた。

◎中国買春ツアー報道、大阪の建設会社が事実関係を否定(2003年9月29日、読売新聞)
 中国広東省珠海市内のホテルで日本人団体客が集団で買春行為をしたと現地紙で報じられた問題で、社員旅行でこのホテルを使った大阪府内の建築会社は29日、「集団買春はしていない。買春ツアーをしたかのように報道され、困惑している」と事実関係を否定した。
 同社によると、旅行には男性社員288人が参加し、16日から2泊3日の日程で珠海市を訪問、ホテル「珠海国際会議センター大酒店」に宿泊したが、報道されたような事実はあり得ないとしている。

◎「日本人団体が集団買春」と中国紙報道(2003年9月29日、朝日新聞)
 マカオに隣接する中国広東省珠海市の高級ホテル、国際会議センターホテルが28日までに、「日本人団体客による買春行為」にかかわった疑いで、当局から営業停止を命じられた。中国や香港の各紙が報じた。
 中国外務省の孔泉(コン・チュアン)報道局長は28日、この問題について調査中としながらも「外国人が中国に来たら、中国の法律を守らなければならない」と不快感を表明した。
 最初に報じたのは、26日付の中国紙中国青年報。16日深夜にホテルに到着した中国人の宿泊客が「約300人の日本人男性団体客が若い中国人女性を連れ、エレベーターの中で女性の体に公然と触れるなどしていた。ホールには日本企業の創立記念日の行事案内の看板があった」などと話した目撃談を報じた。この中国人が団体客の1人に中国人通訳を通じて聞いたところ、「女遊びに来た」と答えた、としている。
 翌日の中国、香港各紙は同じ中国人の話をもとに、「300人の日本人団体客が500人の中国女性を集め、ホテルの大会議場で接待させたあと、女性を部屋に連れ帰り、買春した」と断定的に報じた。
 香港の現地紙で、国際会議センターホテルで女性を呼んで宴会を開いたとして社名が報じられた会社の一つである西日本の企業の関係者によると、年1回の社員旅行で、9月中旬に社員200人余りが同ホテルに泊まったという。ただ、同ホテルが改装中だったため、宴会を開いたのは別のホテル。その際、社員とほぼ同数の女性コンパニオンがいたが、買春などの事実はなかったという。
 宿泊先のホテルの地下には女性がいるマッサージ店があったというが、「そうした店を利用した社員がいたかどうかは分からない」と話している。

◎集団買春:日本人団体客約380人 広東省のホテル営業停止(2003年9月28日、毎日新聞)
 【香港・成沢健一】中国広東省の夕刊紙「羊城晩報」(電子版)などによると、中国広東省の公安当局は27日、日本人の団体旅行客による集団買春が行われたとして同省珠海市の高級ホテルに営業停止を命じるとともに、組織売春にかかわったとみられる関係者の身柄を拘束した。
 営業停止となったのは、同市を代表する「国際会議センターホテル」。現地からの報道によると、今月中旬に男性ばかりの日本人団体客約380人がホテル内で宴会を開いた。この際、約500人の女性を呼んで買春行為をし、女性に1人当たり1200元(約1万7000円)程度を支払ったという。
 中国国内の報道には事実関係が食い違うものもある。しかし、満州事変72周年の今月18日と時期が重なったこともあり、中国や香港各紙が大きく報道。ネット上でも反日感情を露骨に表す書き込みが目立ち、広東省当局も強い態度でこの問題に対処することを決めた模様だ。

◎給食のケーキにネズミ駆除剤、400人以上入院、中国(2003年9月28日、産経新聞)
 27日の中国紙、重慶晨報(電子版)などによると、中国湖南省岳陽市郊外の小学校で23日、給食を食べた児童が嘔吐(おうと)などの食中毒症状を起こし、児童473人のうち402人が入院した。重症は22人に上り、うち5人が重体という。
 同省疾病予防対策センターで調べた結果、吐いた物などから強力なネズミ駆除剤「毒鼠強」の成分が検出され、地元公安局は人為的に給食のケーキに混入されたと判断、捜査を始めた。
 毒鼠強は中国で劇薬として製造販売が禁止されているが、各地で混入事件が相次いでいる。昨年9月には江蘇省南京市郊外で毒鼠強が混入した食品を食べた中高生ら42人が死亡する事件が発生。混入した男が死刑になった。(共同)

◎旧日本軍遺棄兵器:国に賠償命令、原告請求ほぼ認め、東京地裁(2003年9月29日、毎日新聞)
 旧日本軍が中国に遺棄した毒ガスや砲弾で、戦後に被害を受けたとして、中国人13人が日本政府に約2億円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は29日、原告側の請求をほぼ認め、国に約1億9000万円の支払いを命じた。片山良広裁判長は「可能な限り情報を集めて中国側に提供し、被害発生を防ぐよう依頼する義務があった」と指摘したうえで、「日中の国交が回復した72年以降、その義務を果たさなかったのは違法」と国の不作為責任を認めた。
 海外の遺棄兵器による被害で、被害者側の請求が認められたのは初めて。
 中国の被害者は2000人以上(中国側発表)いるとされ、今年8月にも毒ガス弾で43人の死傷者が出たことから、日中間の外交問題に発展しており、判決は重大な影響を与えるとみられる。
 判決は被害について、「終戦前後に日本軍が遺棄した兵器によるもの」と因果関係を認めた。遺棄行為の違法性も認めたうえで、「旧軍関係者から事情聴取を行なったり、残された軍関係の資料を調査すれば、遺棄兵器が現場付近にあることは予見できた」と認定した。
 そのうえで、「中国には主権が及ばないから、日本が直接回収を行うのは不可能だが、情報を中国に伝えれば、安全に処理されていた可能性がある」と結論づけた。
 遺棄兵器被害を巡っては今年5月、東京地裁が「主権が及ばない中国で、国が被害を回避することはできなかった」として、原告敗訴の判決を言い渡しており、同じ地裁で司法判断が分かれた。
 日本は95年、遺棄国による兵器処理を義務付けた化学兵器禁止条約を批准し、中国での処理の準備を進めているが、同条約は被害の賠償責任には触れておらず、判決が注目されていた。
 原告は74年と82年に黒竜江省で発生した計2回の毒ガス事故や、95年、同省で起きた砲弾爆発事故で死亡した3人の遺族6人と直接の被害者の計13人。工事中に発見した毒ガス缶のふたを開け、液体に触れたり、気化したガスを吸い込んで死亡したり、腕が動かなくなるなどの後遺症が残った。
 旧日本軍が中国に遺棄した化学兵器数について、日本側は70万発、中国側は200万発とする調査結果を発表している。【小林直】

◎旧日本軍遺棄の毒ガス弾訴訟で、国に賠償命令(2003年9月29日、朝日新聞)
 旧日本軍が日中戦争終了前後に中国本土に遺棄した毒ガスや砲弾がその後数十年を経て漏れ出したり、爆発したりして死傷した中国人とその遺族計13人が日本政府に計約2億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。片山良広裁判長は、「政府は72年に中国との国交を回復した後も、遺棄兵器をどこに隠したかの情報を中国側に伝えるなどの対応をしないまま放置を続けており、その行為にわずかの正当性も認められない」と述べて計約1億9千万円の支払いを命じた。
 旧日本軍の遺棄兵器をめぐっては、今年8月に黒竜江省チチハル市の建設現場で見つかったイペリット(マスタードガス)入り缶から流出した液体に触れるなどして、1人が死亡し40人以上が負傷する事故が発生したばかり。この事故で日本政府は1億円を支払う意向を示したが、中国側はこれを受け取っておらず、見舞金との趣旨ではなく、補償そのものを求める世論が強まっている。
 訴えていたのは、同省の李臣さん(58)ら。
 判決によると、裁判で問題になったのは三つの事故で、(1)74年10月、同省佳木斯市の川で浚せつ中、船が引き揚げた砲弾から毒ガスが漏れだし、作業員3人が被害(2)82年7月、同省牡丹江市で下水道工事中に毒ガス缶が見つかり、4人の作業員が被害(3)95年8月、同省双城市の道路工事現場から発見された砲弾の信管を抜く作業中に破裂。農作業中の2人が死亡し、1人が重傷を負った。
 判決はまず、いずれの被害者も旧日本軍の遺棄兵器で死傷したと認定した。旧日本軍による遺棄行為について「単に物を置き去りにするという行為にとどまらず、生命や身体に危険な状態を積極的に作り出す作為的行為だ」と指摘した。そのうえで「日本政府には危険な状態を解消し、事故を回避するための義務がある」とし、72年の日中共同声明により、その義務を履行することが可能になったのに、それを果たさず各事故が発生したと認定した。
 さらに、74年の事件については民法の規定で20年の時効(除斥期間)が成立しているものの、「国がその適用を受けて損害賠償義務を免れることは著しく正義に反する」として適用を認めなかった。
 日本政府側は、事故を予見することはできなかったとして争っていた。
 今年5月、東京地裁の別の裁判部は同種訴訟の判決で、毒ガスの遺棄を違法と認定しつつも、「主権の及ばない中国で兵器を回収することは困難だ」として日本政府に撤去義務はなかったと判断し、原告の請求を棄却したが、原告側は東京高裁に控訴している。
 中国に遺棄された兵器は推計で70万発とされる。化学兵器禁止条約に基づいて07年の期限までに処理する必要があるものの、作業は遅れており外交問題となっている。今回の判決により、まだ地中や水中に残されている毒ガスなどによる被害が再発しないよう早急な撤去を求める声が強まりそうだ。

【旧日本軍の毒ガス・砲弾遺棄をめぐる主な動き】
1945年ごろ 旧日本軍が毒ガス弾など約70万発を中国各地に遺棄(日本政府の調査による)
 74年10月 黒竜江省佳木斯市で浚せつ船が毒ガス弾を巻き上げ、原告の李臣さんら作業員が被害
 82年7月 同省牡丹江市で発見された毒ガス缶で被害
 91年   日本政府が現地調査に乗り出す
 95年8月 同省双城市で砲弾が爆発し、3人死傷
 97年   化学兵器禁止条約が発効
 99年   遺棄兵器除去の協力に関する覚書を日中政府が交わす
   8月 同省チチハル市の建設現場で毒ガス缶が見つかり、1人死亡、40人以上が負傷
   9月 同市の事故で日本政府は1億円を支払う方針決める

◎伸びる上海、沈む地盤、高層ビル林立が拍車(2003年9月29日、朝日新聞)
 高層ビルが林立する上海の金融街で、毎年1.5センチ程度のペースで地盤沈下が進んでいることが分かった。上海の週刊紙外灘画報の最新号が伝えた。専門家は、90年代から進んだ高層ビルの建築ラッシュが沈下に拍車をかけ、安全に支障がでる恐れもあると指摘。市当局も、高層ビル建築の規制に乗り出す方針だ。
 上海市内には、昨年末の時点で18階以上の高層ビルが約2800棟もある。上海交通大学の朱栄林教授によると、上海は長江の下流域に位置することからもともと地盤が軟らかく、20年代以降、1メートル以上も沈下している。しかし、90年代以降は沈下の理由の7割が地下水のくみ上げ、3割が高層ビル建築によるものとされ、特に地上88階建ての世界第3位の高さのビルなど高層ビルが集中する「陸家嘴」地区では、年に12~15ミリ沈んでいるという。
 一般的には地盤は平均して沈むため、建物本体への影響はそれほど大きくない。ただ、高さも形もばらばらの高層ビルが集まると不均衡な沈み方をする可能性がある。
 上海市地質学会の専門家も「地盤沈下の速度が速すぎたり、偏った沈み方をしたりすれば、高層ビルの安全に支障をきたす恐れもある」と指摘する。
 市議会にあたる上海市人民代表大会は10月に常務委員会を開き、都市計画条例の修正案を審議。高層ビルの建築に規制を設ける方針だという。

◎中国で深刻な電力供給不足、経済成長の足かせにも(2003年9月27日、読売新聞)
 中国の電力不足問題が深刻になってきた。電力の供給不足は早くとも2005年まで改善の見通しが立っておらず、今後高い経済成長を維持していく上での足かせにもなりかねない。(北京:東 一真)
 今月4日、上海呉●第2発電所(出力120万キロ・ワット)で突然ブレーカーが落ち、送電が止まる事故が発生した。今夏の猛暑で急伸した電力需要に対応するため、無理な運転を続けたのが原因と見られる。浙江省などから電力を振り向けてしのいだが、米加で起きたような大停電を懸念する声さえ出ている。(●は「徑」のギョウニンベンをサンズイに)
 中国経済時報によると、浙江省温州市では2、3日に1日の割合で昼間に停電が起こり、10月までこの状態が続く見通しという。
 この夏は、上海市や浙江省、江蘇省など長江デルタ地域を中心に停電や電力の供給不足が深刻化、操業が制約された工場も相次いだ。上海市内にある日系の音響関連メーカーの工場は、今月半ばまで平日の稼働を減らし、土日操業で代替。上海市政府から電力不足を理由に振り替え操業を求められたからだ。
 別の日系化学メーカーも、「2度も突然停電になった。24時間稼働が必要なプラントが止まり、大騒ぎだった」と振り返る。
 中国の今年1~6月の電力消費は、前年比15・4%増の8616億キロ・ワット時に達した。同期の国内総生産(GDP)の伸び率は8.2%のため、電力消費は経済成長の2倍近い勢いで伸びている。
 需要が急増した原因は、アルミニウム精錬など電気を使う産業が国内で急成長したことだ。また、生活水準の向上に伴ってエアコンが普及したことも大きい。都市部の普及率は約50%に達しており、2000年に比べて12%増だ。
 中国政府はこうした需要の急拡大を予想できず、第10次5か年計画(2001~2005年)では、発電所建設計画のベースとなる電力需要見通しで、電力消費の伸びをGDPよりも低く見積もっていた。計画策定当時は、電力消費の伸びがGDPの伸びを下回っていたため、読み誤ったと見られる。
 あわてた政府は今夏、浙江省に建設していた原子力発電所を予定より3か月早く稼働させた。大規模プロジェクトの三峡ダムにある2基の水力発電機が7月に出来上がったが、同ダムの別の2基についても予定を前倒しして年内稼働にこぎつけたい考えだ。
 ただ、1820万キロ・ワットの三峡ダムの発電を含め、現在建設計画がある発電所の総発電規模は8840万キロ・ワットしかない。このうち、2005年までに完成予定のものは5500万キロ・ワットにとどまる。
 一方、最新の需要見通しによると、2005年までに7500万キロ・ワット以上の新規電源開発が必要になるため、同年では差し引き2000万キロ・ワットが不足する勘定だ。日本の九州電力の発電総量が1900万キロ・ワットであることを考えると、深刻な事態だ。
 第11次5か年計画(2006―2010年)を策定中の政府は、発電能力を大幅に強化する方針だ。しかし、「世界の製造工場」の発展は当面続く見通しで、産業用の電力需要の一段の伸びは必至。民生用でも、値崩れが続くエアコンの一般家庭への普及がさらに進むことなどを考えると、再び計画を上回る電力需要が生じる可能性もある。
 2002年の総発電量のうち、火力発電は81.7%、水力が16.6%で原子力は1.6%と、中国は火力発電に大きく依存している。今後も電力供給の多くを火力に負うと見られるが、CO2排出が多いことから環境面での制約も予想され、構造的な電力不足体質から抜け出すのは容易ではない。
 ジェトロ北京事務所海外電力調査室の諸岡秀行室長は、「電力不足は経済成長の非常に大きな制約要因になる可能性がある。日本企業も、中国政府が実際にどんな対策を取っていくかを注意深く見守る必要がある」と話している。

◎給食にネズミ駆除剤、400人以上入院、中国の小学校(2003年9月27日、朝日新聞)
 中国湖南省岳陽の小学校で給食を食べた児童や教師ら450人が吐き気や頭痛を訴え、27日までに400人以上が入院、4人が重体、22人が重症という。地元紙などが伝えた。
 23日朝の学校給食が終わって、児童らが異常を訴え始め、地元の病院へ次々と収容された。省疾病対策センターが入院者の血液や嘔吐(おうと)物を調べたところ、ネズミ駆除剤「毒鼠強」が検出されたという。衛生局などの調べでは、毒物は給食のケーキから検出された。地元の警察は「人為的に混入された可能性が強い」として捜査を始めた。
 この駆除剤は昨年9月に南京郊外の軽食店で起きた毒物混入事件にも使われ、当局発表では児童・生徒ら38人が死亡。製造、販売とも禁じられた。

◎普通パスポートを持つ日本国民の査証なし中国への短期訪問に関して(2003年8月25日、中華人民共和国駐日本大使館HP)
1. 2003年9月1日より、普通パスポートを持つ商用、観光、親族訪問、トランジットの目的で入境する日本籍の者は、入境日から15日以内の場合ノービザ。その時、必ず外国人に開放する飛行場、港から入境し、イミグレーションで有効のパスポートを提出しなければならない。
2. 2003年9月1日より、普通パスポートを持ち、15日を越えて滞在する者、或いは留学、就業、定居、取材者、及び外交、公務パスポートの者は今まで通り、現在の法律と規定に基づいて、中国大使館総領事館でビザを申請する。
3. 日本の航空会社の乗務員は今までどおり中日間の協議に基づいて行われる。
4. 15日以内の滞在のつもりで入境した日本人がもし15日を越えるような場合は、現地の公安局の入境管理部門でビザの申請をする。停留期間を超過した者は、公安機関とイミグレーションで規定に基づく処罰が与えられることになるので注意すること。

◎中国、私有財産保護を憲法で明確化(2003年8月12日、日本経済新聞)
 中国共産党は11日の政治局会議で、第16期中央委員会第三回全体会議(三中全会)を10月に開くことを決めた。新華社電は主要議題となる憲法改正について「広範な人民の根本的な利益の維持、発展のため法律的な保障を提供する」としており、私有財産の保護を憲法で明確化する見通しだ。
 中国の経済成長のけん引役である私有企業の財産保護は、憲法で保障されているものの、国有財産の「不可侵」規定に比べて拘束力が弱い。このため、国家による接収などを恐れる私営企業家や個人が資産を海外に持ち出すなどの動きもある。

◎中国・河北省で爆破事件、新疆独立派の犯行か(2003年2月6日、朝日新聞)
 5日付の香港紙明報は、消息筋の話として、中国河北省滄州市で1月末、少数民族ウイグル人の東トルキスタン(新疆(シン・チャン))独立派の犯行とみられる爆発事件があり、警察官1人が死亡、負傷者が多数出たと伝えた。すでに複数の容疑者が逮捕された模様だ。滄州は首都北京から南約150km。
 また台湾・中央通信社の4日のアンカラ電によると、新疆ウイグル自治区の主要都市で中国当局が独立派の大規模摘発に乗り出した。トルコ居住のウイグル独立運動関係者の話では、ウイグル人の若者350人以上が拘束されたという。

◎厳寒の中国、電力不足が深刻、工業化の沿海部中心に(2003年2月1日、朝日新聞)
 厳しい寒さが続く中国で、電力供給不足が広域にわたって起きている。31日付の中国の英字紙チャイナ・デーリーによると、2002年12月以来、沿海部だけでなく、四川省、河南省といった内陸でも停電が深刻化している。
 上海市、浙江省など沿海都市部では企業立地の伸びに加え、例年にも増して厳しい寒さが電力需要を急増させた。産業用電力を確保するため、一般住民向けを一時的に止めて急場をしのいでいる。
 国内エネルギー源の3分の2を占める石炭は、前年より増産しているが需給は逼迫(ひっぱく)。また河川の水位低下で水力発電所の能力が落ち、水力への依存度が高い四川省では12月から、10%もの供給不足が生じている。1月は省内で1日当たり延べ880回の停電があったという。
 寒さが緩むとともに改善する見込みだが、冷房用需要が増す夏に再び不足が生じるとみられている。長期計画で電力需要の伸びを低く見積もり、発電所建設が遅れたのが原因という指摘もある。

◎新疆の男性を国家転覆扇動罪で起訴、ネット言論締めつけ(2003年1月16日、朝日新聞)
米国の人権団体「中国人権」は15日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市在住の文筆家陶海東氏(45)がネット上で発表した文章を理由に国家転覆扇動罪で逮捕、起訴されたと発表した。
 陶氏はこれまで中国の民主化の提案や体制批判の文章をネット上に発表。2002年7月9日、党や国家指導者を侮辱したなどとして自宅で現行犯逮捕されたという。
 中国人権によると、2002年11月以来、「ステンレスのネズミ」というペンネームで当局を風刺する文章を発表していた北京師範大学生劉荻氏や、ウェブサイト「民主と自由」を主宰していた李毅斌氏など逮捕が相次ぎ、ウェブ上の言論への締めつけが強まっている。

◎ナンバー3万元、遠い上海マイカー時代(2003年1月13日、NNA)
上海での自家用車ナンバープレート取得費用が昨年、ついに3万元を超えた。上海大衆、上海通用(GM)と大手自動車メーカーが拠点を構え、自動車産業を重点産業の柱に据えている上海だが、マイカー市場では北京や広州、成都の後塵を排しているその背景には、ナンバープレート政策がある。
 上海ではマイカーの総量コントロール策として、ナンバープレートの発行数を制限し、競売方式を採用している。11月は3,200枚を発行、最低落札価格は3万800元、平均は3万1,721元と過去最高額に達した。12月は発行枚数の増加と様子見の心理から、入札者が発行枚数に達せず、図らずも最低価格100元となったが、平均価格は2万7,800元と高水準を保った。3万元台の乗用車があることを考えるとその突出ぶりがよく分かる。
 競売が始まったのは1992年。当時は台数規制というよりは、好きな番号を競り落とすもので、マイカーとはいえ会社の認可が必要だった。その後当局は車両数のコントロールを目的とした競売制度の整備を進め、1994年に「上海市私人自備車、両輪摩托車上牌額度競購弁法」を公布、1994年7月から毎月1回の競売が開始された。会社の認可は必要ないが、入札開始価格が決められており、1998年までの最高落札価格は16万8,000元に達した。
1998年には、上海製のサンタナは2万元から、その他の地域生産の車両は10万元からと開始価格に差をつけた地方保護主義を全面に出した競売となった。こうした上海のやり方は当然、他都市の反感を買い、湖北は、基金の名目でサンタナ購入者に7万元の支払いを義務付け、吉林や天津などでも同様の規定が相次いで出された。その後、保護主義を撤廃し、2000年からは開始価格を設定しない競売が始まった。
 こうした制限の中でも、昨年は各メーカーの相次ぐ新車発表と値下げに加え、しばらくはナンバー開放はないとの見方から、市場は刺激され、今年は発行枚数の増発にもかかわらず、最低落札価格は右肩上がりの上昇、上海富裕層のおう盛な購買力が浮き彫りとなった。
 だが、全体的にみると2001年のマイカー市場(国家統計局発表)では、トップの北京(62万台)に対し、上海は8万7,000台で6位にとどまった。都市部住民の収入では全国一の上海(1万2,883元)だが、7位の重慶(6,721元)との差はわずか5,000台。潜在市場規模を考慮すると、ナンバー規制の効果はかなり大きいことが分かる。中央政府は第10次5カ年計画(2001~2005年)には「マイカー所有奨励」を盛り込み、各地方自治体はナンバー政策を緩和している。ナンバー取得費用は北京で144元、南京で124元。一方、上海は今年発表した交通白書に、ナンバープレートの発行制限による総量規制を継続することを明記した。
 上海と他都市の政策のすき間に目をつけた販売店は、他地域のナンバープレートでも上海で支障なく走行できることから、「異地上牌」つまり杭州や蘇州など、周辺都市でのナンバー取得サービスを始めた。
 奇瑞汽車のある特約代理店は、上海のナンバー代行のほか、浙江省のナンバー取得代行も手掛ける。例えば販売価格が10万2,900元の場合、約1万元の上乗せで、浙江ナンバーを取得、毎年1度の取得地での車検も代行するという。吉利汽車のディーラーは販売価格に1,000元プラスで江蘇省太倉市のナンバーを代行する。他都市のナンバーについて、いつ、何らかの制限が科せられるか分からないという不安定要素があるが、経済の中心地として他地域車両の通行制限は現実的ではない。
 加速する道路や駐車場インフラ整備も、車両増加数には追いついていない格好で、慢性的な交通渋滞に悩まされている上海。車両価格が下がってもその下げ幅を、ナンバー取得価格の上昇が軽く上回る現状では、値下げによるマイカー増は期待できないだろう。上海のモータリゼーションはまだ遠いようようだ。

◎電力不足の危機、今夏に広範囲で発生も(2003年1月10日、NNA)
2003年夏から2004年にかけて、広範な地域で電力不足が深刻化する可能性が出てきた。専門家によると、電力消費が発電量の増強計画を上回る勢いで増加している。2004年はさらに供給状況が厳しくなるとも指摘されている。
中国新聞社電が国内の業界紙を引用して伝えたところによると、電力部計画司の司長を勤めた経験があり、現在は国家能源投資公司の副総経理である呉敬儒氏は、全国12ブロックの電力供給ネットワークのうち、余剰電力があるのは東北と海南のみと分析。かつて豊富だった四川地区の電力も、今年は他地域への供給ができなくなると指摘している。呉氏は電力の不足について、「1998~2001年当時の政策ミスが原因」とみている。
当時の判断では、全国規模で見れば電力は余剰しており、消費量の伸びも3~4%にとどまるとされ、大きな発電施設建設計画が進められなかった。第10次5カ年計画期間(2001~2005年)の後半3年間で増強される発電能力は6,000万キロワットだが、2002年1年だけで消費量は3,000万キロワット増えているという。
このため、呉氏は、有効な措置を採らなければ、今夏には広範囲で電力不足となると分析している。特に華東や四川、広東、さらに中央主導の大型発電プロジェクトがない華中ブロックの河南省で、電力不足は深刻になるとみている。
一方で当局側は9日付人民日報で、「今年は局部的に電力が不足するかもしれないが、総体的に見れば受給バランスは安定しており、消費者への影響は少ない」と反論している。
今冬に一部地区で起きている電力不足については、
1. 気温の低い日が続き、石炭やガスによる暖房施設がない長江以南地域で需要が急増した
2. 年末で商工業用の電力需要が増えた
3. 水不足で水力発電の効率が下がった
4. 石炭価格の上昇により、火力発電施設の発電量が落ちている
とし、政策的なミスではなく外部要因によるものとの見方をしている。

◎WTO加盟から1年~金融を振り返る(2002年12月11日、NNA)
世界貿易機関(WTO)加盟で一気に開放が加速した銀行・保険・証券業界。1年目の今年は、外資の様子見もありシェアなどに大きな変化はなかったものの、もともと地場系の基盤がぜい弱な分野だけに、外資系の存在感は確実に強まっている。同時に地場系も外資のやり方などを見て経営方法を変えつつあるようだ。
WTO加盟に伴い、中国は外銀に対し中国公民・企業向けの外貨業務を認可。人民元業務は加盟前からの上海、深センに加え、加盟時に天津と大連で、今月からは広州、珠海、青島、南京、武漢での取り扱いを正式に認可した。だが1年たった現在、地場系銀と外銀とでシェアなどに大きな変動は起きていない。
外銀が最も多い上海では、1~9月の預金の伸びが国有商業銀で18%だったのに対し、外銀は25%に達しており、外銀人気がうかがえた。一方で貸付の伸びは国有商業銀10%に対し、外銀は1%以下にとどまった。外銀の資産総量の伸びは6ポイントダウン。市場開放の影響は最小限にとどまったといえる。
ただし外資系の存在感は確実に強まっている。南京エリクソンが巨額資金の借入先を地場系からシティバンクに切り替えたことは、「市場開放が進めば、企業は取引行をサービス・信用度ともに上の外銀に変える」ことを予感させる象徴的な事件と受け止められ、地場系は危機感を強めた。外銀が小額預金に対し手数料を徴収したことも地場系を刺激。手数料の徴収を検討し始めるなど、サービス意識とともにコスト意識も変わりつつある。
HSBCなど3行が上海銀行の株式18%を取得、カナダのノバ・スコシア銀など2行が西安市商業銀行への出資を決めるなど、中小銀行への経営参画を通した進出も静かに起きている。迎え撃つ地場系は、外資の進出が本格化する前に不良債権比率を引き下げたり、自己資本率を引き上げ、経営体力を高めることが課題となっている。
保険業界では、WTO加盟時に4社が認可されていたが、その後も日系を含め計6社が認可されており、1年間で10社と比較的早いペースでの進出となった。
地域的には上海と広州に加え、北京と天津での業務が解禁された。北京では米大手金融・保険グループ、AIG傘下のAIAの支店が6月に開業、同市初の外資100%による保険会社となった。天津ではカナダ最大手のサンライフが合弁の生命保険会社を設立。英大手のスタンダードライフも合弁生保を設立することを決めた。
地場系の保険会社が海外大手の出資を受け入れるケースも相次いだ。中堅損害保険の華泰保険は米保険大手・エースグループの3社に株式の22.13%を売却。中国平安保険はHSBCに株式の10%を譲った。外資を取り込んで資金を充実させると同時に、ノウハウや技術を導入し、競争力を高めるのが狙いのようだ。
政策面では、自動車保険の保険料率が来年から自由化されることが決まるなど、計画経済色の強い政策は姿を消しつつある。
銀行・保険に比べると対外開放の遅かった証券業界だが、外資が中国の証券会社やファンド管理会社に出資する際の規定について定めた規則が7月に施行されるなど、法整備が進んだ。合弁証券会社は3月に国内2番目となる中銀国際証券が発足。内藤証券が上海B株取り扱いの域外代理商資格を認可され、野村証券上海事務所が証券取引所の特別会員になるなど業務の対外開放が加速した。合弁のファンド管理会社は4社が認可された。
今月からはQFII制度の導入で資本市場を限定開放、海外の機関投資家によるA株取引が可能となるなど、市場も海外との結び付きを強めている。

◎オムロン、中国現法に能力主義-“わかりやすさ”で人材確保(2002年12月5日、日刊工業新聞)
オムロンは中国で四半期ごとに社員の能力評価を行い、賃金に反映させる「クウォータリーマネジメントシステム」の導入を拡大する。現地子会社に2001年に導入以来、これまで中国全体で6法人の運用を始めている。同システムが現地社員のモチベーションや定着率の向上に結びついていることから、残る13法人にも今後順次導入していく。能力を考慮した成果主義に基づく査定制度は、わかりやすい賃金制度として中国人に受け入れられており、優秀な人材獲得にもつなげたい考え。
 中国は“世界の工場”として急速に製造インフラが整備されている。そこで、豊富な人材と労働力を生かすため、オムロンは能力評価を公平に行う「クウォータリーマネジメントシステム」の導入拡大が最適と判断した。

◎来年の携帯市場、大幅な供給過剰へ(2002年12月3日、NNA)
来年は携帯端末市場が大幅な供給過剰となる見通しだ。メーカー各社の生産計画を総合すると、供給量は1億7,000万台。一方の需要は5,000万~7,000万台にとどまると予測されており、価格競争の激化、メーカーの淘汰(とうた)が加速しそうな気配だ。
家電量販大手の蘇寧電器は1日、南京市にメーカー14社を集め、来年度向けの携帯電話機の買い付けを行った。当日はモトローラやノキア、シーメンス、TCL、康佳、科健、波導など12社が参加。蘇寧電器の160万台、20億元分の購買会は、さながら携帯市場の縮図、来年の動向を反映する場となった。
蘇寧電器の購買成約リストを見ると、70%が1,500元以下の機種。中でも1,300元前後が全体の55%を占めている。一方でGPRS、カラー液晶やデジタルカメラ搭載機種の購買にも力を入れており、価格が2,200元以上の機種は20万台が契約されている。
メーカー別では、モトローラが全体の4分の1に当たる5億元分の受注を獲得。海外ブランドの強さを見せつける結果となった。
購買会に集まった各社は、いちように来年の供給過剰について懸念を示している。 康佳通信科技の曽ユウ(火へんに日に立)副総経理は「携帯生産は利益率が他製品より高い。新規参入が増えるのは当然の結果」とし、「価格競争は避けられない現象」と語っている。かつてカラーテレビの価格競争を経験した熊猫電子集団のトウ偉明副総裁は「来年は盲目的な生産拡張はしない。価格競争にも参入しない」としている。
12月2日付広州日報によると、国産ブランドの携帯端末は、昨年下半期からTCLや波導を中心に価格下落が目立ってきている。国産ブランド各社は「海外ブランドが価格競争に参入すれば、国産は非常に厳しくなる」と警戒を強めている。

◎映画も真っ青!飲茶老舗で富豪殺人(2002年12月2日、朝日新聞)
 老舗の飲茶店で友人と語らう富豪に、突然近づく殺し屋。富豪は短銃の一撃で血の海に倒れる:ギャング映画ばりの事件が30日朝、香港の飲茶の名店として知られる陸羽茶室で起きた。
 殺されたのは貿易・不動産業経営者の林漢烈氏(54)。地元紙によると、林氏は、友人3人と来店、飲茶を楽しんでいた。犯人の男は4つ離れた席で1人で食事をしていたが、席を立ち、カウンターでトイレの場所を尋ね、トイレに行ったあと、林氏に近づき右腕で林氏の頭を羽交い締めにし、左手に持った短銃で左のこめかみを撃って、逃走したという。
 男は短銃をトイレに隠していたとみられ、地元紙は「映画『ゴッドファーザー』か『男たちの挽歌』並みの手口」と伝えた。香港人の使う広東語ではなく、大陸で使われる普通話でトイレの場所を尋ねたことから、警察は「何者かに雇われた大陸出身のプロの殺し屋ではないか」とみている。
 林氏はオフィスビルなど不動産転売ビジネスで成功。葉巻好きで、「葉巻の林」と呼ばれていた。最近、ゴルフ場をめぐりビジネスパートナーと紛争になっているほか、商売上のトラブルもいくつか抱えていたという。
 陸羽茶室は香港の中心部、中環(セントラル)にある33年開店の老舗。香港の富豪たちのほか、キッシンジャー米元国務長官やパッテン前香港総督ら内外の名士が常連客という。

◎毒物混入した疑いで容疑者逮捕 南京の集団食中毒(2002年9月17日、朝日新聞)
 中国・南京で起きた集団中毒事件で、香港紙文匯報は17日、軽食店経営者のいとこの陳正平容疑者が毒物を食品に混入した疑いで逮捕された、と伝えた。
 同紙によると、陳容疑者は以前、同店で働いていたが、経営者と不仲になり、近所に別の軽食店を開いた。しかし前の店ほど繁盛せず、恨みを抱いていたらしい。事件のあった14日朝、軽食店経営者は顔なじみの陳容疑者に小麦粉をこねるのを手伝うよう依頼。この時、井戸に殺鼠剤(さっそざい)を入れたほか、小麦粉にも混ぜたという。
 事件後、陳容疑者は列車で逃げようとしたが、寝台車内で鉄道警察官に逮捕され、南京の警察に引き渡されたという。

◎ネズミ駆除剤の成分検出か?南京食中毒事件で中国当局(2002年9月16日、朝日新聞)
中国江蘇省南京市で14日起きた食中毒事件で、市の衛生局、公安局は中毒被害者の食べた物からネズミ駆除剤の成分を検出した模様だ。中国衛生省系の健康報(インターネット版)が16日付で報じた。「毒鼠強」という駆除剤で毒性が強く、今のところ即効性のある解毒剤はないという。
 同日付英字紙チャイナ・デーリーは、「事件は何者かによって故意に毒物が混入されて起きたとみられ、引き続き捜査中だ」とする江蘇省当局者の発言を伝えた。
 同紙によると、200人以上とされる中毒被害者の総数はさらに膨らむ可能性もあるが、同当局者は「死者は100人を下回る」と断言しているという。

◎死者100人以上か 南京中毒事件で香港のTV報道(2002年9月16日、朝日新聞)
 中国・南京郊外で起きた集団中毒事件で、香港の有線テレビは16日、現地警察関係者の話として死者が100人以上に達していると伝えた。
 香港各紙は、何者かが毒物を軽食店の工場の井戸に入れたとの見方を強めている。大衆紙太陽報は、毒物の残るガラス瓶が井戸のそばで見つかったと伝えた。文匯報は病院の話として、毒物が禁止されている殺鼠剤(さっそざい)テトラミンと特定されたと報じた。
 香港・有線テレビは地元で箝口令(かんこうれい)が敷かれている模様を伝え、地元村長が「中央の宣伝部と公安部の許可がない限り、国営新華社でも報道できないことになっている」と住民を怒鳴りつける場面を放送した。
 軽食店主は身柄を拘束され、聴取を受けている模様だ。東方日報は店員1人が事件後行方不明で、事件との関係が疑われている、と伝えた。
 明報によると、収容された中毒者の容体は落ち着いているが、専門家によると、テトラミンには中枢神経を傷つける作用があり、記憶障害などの後遺症の心配もある、としている。

◎中国、昨年の犯罪容疑者17.6%増84万人(2002年3月11日、日本経済新聞)
 中国の最高人民検察院は11日の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、2001年に摘発した犯罪容疑者が84万1845人と前年に比べ17.6%増えたことを明らかにした。そのうち汚職の立件数は3万6447件で4万195人にのぼった。100万元(約1600万円)以上の「特大」贈収賄事件は1319件に達した。
 最高人民検察院、最高人民法院は今年の活動目標で世界貿易機関(WTO)加盟への対応への強化を課題として挙げ、最高人民検察院の韓杼浜検察長(検事総長)は活動報告で「法執行の際の透明度と信頼度を上げ、知的財産権に関する犯罪やマネーロンダリング(資金洗浄)に厳しく対処する」との方針を示した。
 最高人民検察院の活動報告によると、2001年は(1)「黒社会(暴力団)」による犯罪(2)爆発物を使った殺人・強盗などの暴力犯罪(3)窃盗――を重点取り締まり対象とし、「厳打(犯罪撲滅キャンペーン)」を展開。この3分野で摘発した犯罪容疑者は45万4587人にのぼった。

◎中国首相、7%成長めざす・全人代で表明へ(2002年3月2日、日本経済新聞)
 中国の朱鎔基首相は5日に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、今年も7%程度の経済成長率を目指すことを明らかにする。昨年12月の世界貿易機関(WTO)への加盟を踏まえ「経済開放のレベルを全面的に引き上げる」との方針も打ち出す。ただ、中国が高度経済成長を続けられるかどうかは米国経済の動向に左右されそうだ。
 全人代は15日までの11日間の予定。中国は2001年に政府目標の7%を上回る7.3%成長を達成したものの、10~12月期の国内総生産(GDP)は実質で6.6%の伸びにとどまった。対米輸出額の前年比伸び率も2000年の24.2%から2001年は4.2%へと急減速している。中国が今年も7%成長に全力を挙げるのは、国内の「安定」を最優先課題に掲げているからだ。WTO加盟のあおりもあって、13億の人口の約7割を占める農村部や国有企業などで失業率がさらに上がる可能性があるため、雇用創出に向けた高成長が欠かせない。

◎違法炭坑でガス爆発、4人死亡(2002年2月3日、人民網日本語版)
湖南省婁底市管轄下にある漣源市安坪鎮の違法炭坑で、2日午前3時ごろガス爆発事故が起こり、現在までに少なくとも4人の死亡が確認されている。
爆発事故を起こした炭坑は「復興炭坑」と呼ばれており、事故発生前、現地政府から閉坑命令を出されていた。現地政府の関係部門は2日午前、炭坑の電源を強制遮断した。ところが、炭坑を経営する個人事業者はこのところの石炭価格の上昇に目がくらみ、政府の閉坑命令を無視して勝手に電源を開いて採掘を始め、爆発事故を起こした。

◎中国のインターネット人口、昨年は106万人増加(2002年1月7日、人民網日本語版)
インターネットの接続料の値下げやブロードバンドの導入などにより、中国のインターネット人口は昨年1年間で106万人増加し、合計1591万人に達した。
統計によると、ユーザーの月平均接続料は150~200元となり、許容できるレベルに収まった。
中国電信の固定資産投資の拡大により、昨年1~11月の固定資産投資額は前年同期比54%増の1979億元を突破。とりわけ広帯域幅問題の解決に巨額の資金を投入したこともあり、全国のブロードバンドの普及を促した。

◎ダライ・ラマ問題について談話を発表 外交部(2001年11月30日、人民網日本語版)
外交部の章啓月報道官は29日の記者会見で、ポルトガル大統領が28日ダライ・ラマと会見したことについて談話を発表した。章報道官の談話は次の通り。
中国は同問題について、すでに何度もポルトガル側に厳正な申し入れを行ってきた。しかしポルトガル側は、ダライ・ラマの訪問だけでなく大統領や政府高官との会見まで許可した。中国はこれに対し強い不満と断固たる反対を表明する。
ダライ・ラマは単なる宗教指導者ではなく、宗教の名を借り、長期にわたって国外で祖国の分裂や民族団結の破壊の活動を行っている政治亡命者だ。われわれは訪問場所や訪問の肩書きに関係なく、祖国の分裂と民族の団結を破壊するダライ・ラマの政治活動に反対する。また、いかなる国や地域であれ、名義や形式に関係なく政府当局者がダライ・ラマに訪問を招請し、会見することにも反対する。われわれはポルトガルが2国間関係の大局を考慮し、中国側の同問題に対する厳正な姿勢を重視して、同様の事件の再発を防止するとともに、両国の友好協力関係の健全かつ安定した発展を確保していくよう希望する。

◎米国による台湾への潜水艦売却を非難(2001年11月21日、人民網日本語版)
外交部の章啓月報道官は20日、米国企業による台湾向け新型ディーゼル潜水艦売却について双方が合意に達したことについて、中国政府はこれに強く反対するとの見解を示し、次のように述べた。
中国は、米国による台湾への武器、特に潜水艦の売却に反対しており、この問題については何度も米国側と交渉を行なってきた。中国政府は米国政府に対して、台湾向け武器売却の危険性を正確に認識すると同時に、中米間の3つの共同コミュニケ、特に「8・17コミュニケ」の関連規定を厳守し、台湾への潜水艦や武器売却を中止し、中米関係が損失を被ることがないように求める。

◎三徳、中国産のニッケル水素電池材料を高品質化(2001年7月24日、化学工業日報)
 三徳は、包頭三徳電子材料有限公司(三徳と仏ローディアの合弁事業)のニッケル水素電池材料の品質を大幅に引き上げ、年内に国内品や米国で生産している製品と同水準に高品質化する計画。これまでは中国国内企業向け品質での出荷が行われており、国際水準のニッケル水素電池原料の品質としては不十分だった。品質の改善によって、日米中の3拠点で同一品質による原料供給体制が確立される。ニッケル水素電池原料でグローバル展開を行っているのは同社だけであり、原料希土類金属からの一貫生産の強みを生かした供給ネットワークが大幅に強化される。

◎電線盗んだ農民4人に異例の死刑判決(2001年7月24日、朝日新聞)
 北京市第2中級人民法院は20日、電線などを盗んでいた農民21人に対する公開裁判を行い、全員に有罪判決を下した。4人を死刑、2人を執行猶予2年付きの死刑とし、8人を無期懲役にした。
 新華社電によると、21人は99年から00年にかけて、北京や河北省などで37回にわたり、ケーブル計5万6千メートル分を盗み、4期の高圧電線鉄塔を倒した。計221万間(日本円で約3300万円)相当の損失を国家に与えたという。
 中国でも電線の窃盗での死刑判決は極めて異例。新華社電は「電線を盗んで売ることで死刑になるとは、農民たちは夢にも思わなかっただろう」と伝えた。

◎石原産業、中国から酸化チタンを大量受注(2001年7月19日、化学工業日報)
 石原産業は、中国からの酸化チタンの大口受注で契約した。2001年第1四半期出荷分でルチル型酸化チタンの5000トンまとめての発注で、1トン当たり50ドルの値上げで決着したアジア市場向け新価格が適用される。ここ数年の間、中国の酸化チタン需要は好調に増加しており、1999年の輸入量は約11万トン、2000年も13万-14万トンが輸入されたとみられている。

◎中国で塩ビ樹脂生産計画-台湾FPCグループ(2001年7月19日、化学工業日報)
 台湾プラスチックス(FPC)グループが3億ドルを投じて中国本土に石油化学プラントを建設する計画が浮上している。建設するのは塩化ビニル樹脂(PVC)プラントで、実現すれば同グループにとって中国で初のPVC生産拠点になる。台湾政府は5000万ドルを超える対中投資を原則禁じているが、中国への進出ブームが高まるなかで産業界からの規制緩和圧力も増している。FPCグループは中国での投資プロジェクトを管理する事務所も上海に開設する予定で、今後、中国での投資を積極化する。

◎三洋電機、中国でのニッケル水素電池パック加工の生産能力を増強(2001年7月16日、日刊工業新聞)
 三洋電機は中国・天津市にあるニッケル水素電池生産工場での同電池パック加工の生産能力を大幅に増強する。8月中に月間60万個から同160万個に引き上げる。携帯電話向けを中心にした現地需要の増大に対応するのが狙い。三洋は天津では6月にパック加工する前のニッケル水素電池本体(素電池)の生産をスタートしており、これで素電池からパック加工までの一貫生産体制も整えた。
 三洋電機が生産増強するニッケル水素電池生産工場は「天津藍天三洋電源有限公司」。携帯電話用電池は基本的に、携帯電話端末メーカー向けのOEM(相手先ブランド)製品であり、端末ごとの仕様に合わせてパック加工して納入する。
◎台湾の大王電子、中国工場拡大・半導体増産(2001年7月6日、日本経済新聞)
 台湾の半導体メーカー、大王電子は約4億ドルを投じて中国に半導体工場を新設する。直径8インチ(200ミリ)のシリコンウエハー換算で年間2万枚の生産能力を持つ工場を2003年初めに稼働させる計画だ。新工場は大王電子の中国関連会社、南科集積電子が広東省珠海市に設ける。昨年末に稼働した同社の直径6インチ(150ミリ)ウエハー工場に隣接する8800平方メートルの敷地を珠海市政府から無償で譲り受ける。
 各種デジタル機器向けの半導体製品を中国の家電メーカーなどに供給する予定。ウエハーに電子回路を描く線幅が0.20マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルという微細加工技術を持つ中古の製造装置を「米国や日本のメーカーから購入することで投資額を低く抑える」(南科集積電子の呉緯国董事長)という。米政府は0.25マイクロメートル以下の製造装置の対中輸出を認めていないが、呉董事長は「中国の世界貿易機関(WTO)加盟を受け規制は緩和される」と期待している。

◎WTO中国加盟、11月承認で基本合意(2001年7月4日、日本経済新聞)
 世界貿易機関(WTO)加盟国は3日、11月の閣僚会議で中国の加盟を承認することで基本合意した。年内にも申請以来15年ぶりに加盟が実現する。社会主義市場経済の独自路線を歩む中国が多角的通商ルールの枠組みに参加、国際社会とのかかわりを飛躍的に深めていく歴史的な転換点を迎える。
 既に加盟条件交渉を実質的に終えている台湾も中国と並び、時間差を置かずに加盟承認を受ける見通しだ。既に加盟国・地域が140を超えているWTOは中台の加盟により、世界経済システムの中で一段と重みを増す。今後はロシア、サウジアラビア、ベトナムなどの加盟交渉を急ぐとともに、難航している多角的通商交渉(新ラウンド)の早期立ち上げを目指す。先月28日から大詰めの調整を続けているWTOの中国加盟に関する多国間作業部会は3日の会合で(1)中国の加盟条件などを盛り込んだ部会報告書や加盟議定書などを9月半ばまでに完成させ、部会の作業を終える(2)11月9-13日に中東のカタールで開く閣僚会議でこれらの合意文書を採択し、加盟を承認する――との日程で一致した。

◎欧州の素材企業、対中投資拡大(2001年6月27日、日本経済新聞)
 欧州の素材メーカーが中国向け投資を加速している。独化学大手バイエルが31億ドル(約3700億円)を投じて化学工場をつくるほか、独鉄鋼大手ティッセン・クルップも上海の製造拠点の生産能力を2倍に増やす。自動車や電機メーカーの進出で、中国が「世界の製造拠点」となり、今後素材需要が急増するとの判断がある。素材関連で欧州各社は対中進出に慎重な日米各社に先行しており、中国での競争力を一段と高めることになる。
 バイエルは2008年までに、中国にプラスチックの中間過程であるポリマーの生産拠点をつくる。同社は2010年までにアジア太平洋地域向けに60億ドルの大型投資をし、このうち中国での生産体制を構築するために全体の半分強を投じる。同社は今春、中国担当の取締役も置き、中国市場の調査から生産・販売戦略の策定に乗り出した。

◎中国、日本製品に特別関税・セーフガードに報復(2001年6月19日、日本経済新聞)
 中国の対外貿易経済協力省は18日深夜、国営の新華社通信を通じて日本製の自動車、携帯・自動車搭載電話、空調機の輸入に対し特別関税を課すことを決定したと発表した。日本が、輸入の急増しているネギなど農産物3品目に対し緊急輸入制限措置(セーフガード)を暫定発動したことに対する報復措置とみられる。日中貿易摩擦は、輸入制限措置を応酬し合う貿易戦争の様相を呈してきた。
 新華社電によると、同省の高燕スポークスマンは特別関税を課す理由について、「日本側は中国の強い反対と申し入れにもかかわらず、中国のいくつかの輸出品目に対して一連の不公正な貿易制限措置と差別待遇を講じ、中国の産業と企業、生産者の利益を著しく害するとともに、二国間の貿易関係の正常な発展にも重大な影響を与えた」と指摘した。税率や課税開始の時期は明らかにしていない。

◎台湾企業、長江三角州に注目(2001年6月12日、人民網日本語版)
台湾からの資金や人材が長江三角州に集まり始めている。業界関係者は、今後の台湾企業による投資は珠江三角州や福建省南部から長江三角州へと広がりをみせると分析している。
長江三角州には江蘇、上海、浙江の3省・直轄市の長江と杭州湾付近の15都市が含まれる。国内では経済が最も発達した地域の一つで、投資環境も整備されている。
台湾でこのほど発表された投資に関するデータによると、1~4月の台湾企業による大陸部への投資額は9.98%増の8億800万ドル。その52.27%が江蘇省への投資だ。
浙江省の関係部門の統計データからも、台湾企業の投資が同省の資金誘致における重要な成長ポイントとなっていることが明らかになっている。同省では今年第1四半期に、台湾からの投資で新設された企業は105社に上っている。うち投資額が1000万ドル以上の企業は8社、契約ベースでの投資額は2億6500万ドルで、それぞれ133%増と145%増となっている。
台湾企業はこれまで低コストな人件費や地価を重視し、多くの資源を消費する産業に投資を行っていたが、現在ではハイテク分野への投資が増え、両岸が各自の強みを発揮して補完し合い、国際市場での競争力を高めることを望むようになっている。
今年1~4月までの台湾企業による大陸部への投資のうち、46%がエレクトロニクス製品製造業へのものであった。台湾企業がこの2年間で、浙江省の寧波や杭州などに新たに投資した半導体企業やPCメーカーは20社あまりで、ほとんどの企業で投資額は1000万ドル以上となっている。
世界の半導体産業で大きな実力を持つ台湾の半導体メーカーも祖国大陸部への投資をはじめている。上海の張江テクノロジーパーク内に16億ドルを投資して設立されたチップ工場は、台湾の半導体メーカーによる大陸部への投資の先がけとなった。
情報によると、江蘇省では台湾からの投資で、(1)労働密集型の伝統産業から資金・技術密集型に転換(2)分散していた加工貿易プロジェクトからハイテクプロジェクトに転換(3)小額のプロジェクトから大規模な産業型プロジェクトに転換、という3つの転換の傾向が見られている。

◎キヤノン、中国最大級の複写機工場(2001年6月4日、日本経済新聞)
 キヤノンはキヤノンアプテックスなど子会社2社と共同で、中国江蘇省の蘇州に中国最大級の複写機工場を建設、来年7月稼働を目指す。第1期工事の総投資額は100億円強。中級クラス以下の複写機の生産を日本から中国に移管し、世界市場向け輸出拠点にする。中国の国内販売権を取得して現地でも販売する。中国ではリコー、富士ゼロックスが生産・販売を始めており、中国を舞台にした大手3社間の競争が激化しそうだ。
 キヤノンが今年9月に全額出資で設立する中国の現地法人が23万平方メートルの敷地を取得、1期工事で延べ床面積7万1000平方メートルの工場を建設する。アプテックス、コピアも全額出資の現法を設立し、この現法が工場を賃借する。キヤノンが毎分30枚程度の複写速度の中級機、コピアが毎分20枚以下の普及機種、アプテックスが給排紙装置など部品を生産する。
 中国工場は2004年時点で3500人前後の従業員を雇用し、月産約2万台で年間2000億円を売り上げ、キヤノングループの複写機販売額の3割を中国で生産する。

◎中国進出外資、全額出資が主流に(2001年4月16日、日刊工業新聞)
 外国企業が中国へ進出する際、中国企業との合弁ではなく、全額出資の会社を設立する傾向が強まってきた。国家工商行政管理局によると、2000年に外国企業が新規登録した全額出資会社は1万1470社に達し、前年比48.6%増となった。意思決定などの面で経営の自由度が高い全額出資企業が主流になっている。
 2000年の外資企業の新規登録社数は全形態で前年比32.1%増の2万727社となった。うち製造業が1万4901社で全体の72%を占めた。出資形態別にみると、最も多かったのが全額出資企業の1万1470社。中国企業との合弁は18%増の7622社、利益の分配比率などをあらかじめ契約で決めておく合作企業は9%増の1630社にとどまった。中国政府は金融や流通などの分野を中心に、外国企業による全額出資に対し厳しい規制をかけてきた。製造業でもハイテク業種では中国企業に技術移転を促すため合弁形態を奨励し、国内販売で優遇するなどの政策を適用してきた。

◎中国で炭鉱爆発54人死傷(2001年4月9日、日本経済新聞)
 8日付の中国夕刊紙、北京晩報によると、中国陜西省銅川市の炭鉱で6日夜、ガス爆発が起き、38人が死亡、16人が負傷した。
 同省の程安東省長らが現地入りし、救助活動を進めている。事故原因などの詳細は伝えられていない。中国では、安全管理のずさんな小規模な炭鉱などで爆発事故が頻発しており、政府は安全管理の徹底を呼び掛けていた。

◎キヤノン、中国・大連でプリンター生産(2001年4月6日、日本経済新聞)
 キヤノンは、今秋に中国・大連(遼寧省)の製造子会社でレーザービームプリンター(LBP)の生産を始める。月間4万台を生産し、全量を日本や欧米に輸出する。LBPは主に企業のオフィスで使うプリンターで、キヤノンは世界市場の約6割を占める最大手。キヤノンは世界のLBPの需要が今後、年1割前後伸びると見て、既にLBPを生産している中国・珠海に続いて大連でも生産する。
大連の製造子会社はLBP用のトナー(インク粉)やトナー容器を製造している。新たに20億円を投入して、LBP製造用の治工具など生産設備をそろえるほか、年内に200人前後を新規に雇用する。レーザー照射装置や光学部品など基幹部品は日本から持ち込む。生産品目は15万円前後の中級機。2年後をメドに当初の月間4万台の生産を8万台に倍増する。LBPの世界市場は年間1200万台前後。キヤノンは自社ブランド販売のほか、米ヒューレット・パッカードに大量にOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。

◎中国、45%の富が1%の人口に集中(2001年3月13日、日本経済新聞)
 二つの「40%以上」に注目集まる。中国国営の新華社は12日、北京で開かれている全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で所得分配の不平等を示す二つの数値が委員らの注目を集めていると報じた。一つは中国の富の45%が全人口の1%に集中しているという数値。新華社は、国際的にはこの数値が60%を超えると社会動乱を引き起こす危険な状態になるとし、45%という水準は「貧富の差の拡大は警戒ラインを超えている」と指摘した。
 もう一つは昨年の個人所得税収全体に占めるサラリーマン層の比率が43%になったという統計。課税が難しい個人事業者などの比率が低すぎ、サラリーマン層を中心に税への不公平感が強まっているとしながら、いびつな所得分配は「民衆の心を蝕み、百害あって一利なし」としている。(北京=藤賀三雄)

◎腐敗対策に人民代表「ノー」、中国全人代(2001年3月6日、朝日新聞)
 15日閉幕した中国全国人民代表大会(国会)で、検察と裁判所に対する人民代表たちの強い不満が示され、中国が抱える腐敗問題の深刻さを浮かび上がらせた。当局の自浄能力に「ノー」を突きつけたもので、党はより厳しく腐敗問題に取り組まざるをえない。党高級幹部の関係者たちの腐敗関与もささやかれるなか、党は難しい立場に追い込まれた。
 この日は2789人の人民代表が出席。10時5ヵ年計画案には、97.7%が賛成、反対・棄権は合わせてわずか2.3%だった。だが、「この1年間の任務に努力し、経済発展に貢献した」とする最高人民検察院(最高検)の活動報告に対しては、584人が反対に回り、332人が棄権した。合わせて32.8%になる。同様に1年間努力したとする最高人民法院(最高裁)活動報告でも、30.0%が反対・棄権に回った。
 もともと人民代表には党や中央、地方政府の幹部ら「内輪」が多いだけに、深刻な数字といえる。
 各紙によると、全人代期間中、人民代表たちは党の腐敗対策に様々な注文をつけた。河南省代表は「この数年、社会の誘惑はますます増え、道徳水準は下がった。一部の幹部は、外見は共産党員だが中身は変質している」。人民解放軍代表は「(党が説いているように)徳で国を治めるなら、まず、官吏に徳がなければならない」などと訴えた。
 全人代常務委員会は監督機能を高めるために、「監督法」の近い時期の制定をめざしており、成思危・副委員長は14日、河北代表団に「監督のない権力は腐敗する。権力のない監督は形式に流れる」として、監督法の必要性を訴えた。李鵬常務委員長も、閉幕演説で、全人代が監督機能を発揮しなければならないこと、地方の全人代との連携などを訴えた。

◎大日本インキ、アジアの生産再編-中国に新工場(2001年2月27日、日刊工業新聞)
 大日本インキ化学工業はアジア・太平洋地域における印刷インキ事業の生産再編に乗りだす。99年末に子会社化した英コーツ社の同地域での拠点と品目調整を進め、約1万トン程度の増産余力を確保するほか、中国・深センに新聞インキ工場を新設する。生産体制の増強と、品目の最適化を推進することで、アジア・太平洋地域(日本を除く)で現在のシェア23%を5年後に35%に引き上げ、独走態勢を目指す。
 大日本インキはアジア・太平洋地域の生産設備を持つ自社9拠点と、英コーツ社13拠点との間で生産最適化を進める。

◎川重、米KBRと組み中国で肥料プラント受注(2001年2月26日、日本経済新聞)
 川崎重工業は米エンジニアリング大手のケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)と共同で、中国海洋石油総公司(北京市)から肥料プラントを受注した。同国海南省で計画中のプラントで、受注金額は約170億円。肥料プラントとしては世界最大級となる。食糧需給のひっ迫が予想される中国や中東諸国では化学肥料の需要が増える見通しで、両社は今後も協力してプラントの受注獲得を目指す。
 受注したのは、海南省東方市の工業地区で計画中のプラント。沖合のトンキン湾で産出される天然ガスを原料に、化学肥料である尿素を1日に2700トン生産できるプラントの建設を請け負う。川重が資材調達や工事監理、KBRが基本設計を担当し、2003年末に引き渡す。川重とKBRはナイジェリアやイランで肥料プラントを手がけた実績があり、今回が四件目の共同受注となる。両社は食糧の増産ニーズを背景にプラント需要が伸びると見ており、当面は年間1件ペースでの受注を狙う。



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