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2006年

このページは、私が気になった中国に関するニュースを個人的にまとめたものです。

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◎中国:財産権の範囲拡大 「物権法」来年成立見通し(2006年12月30日、毎日新聞)
 土地の国家所有を維持する中国が、個人や企業の財産に対する権利を認める「物権法」が、来年3月5日から開かれる全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で成立する見通しになった。北京で開かれていた全人代常務委員会の第25回会議は29日、同法案を承認し、来年の全人代に提出すると決めた。約10年にわたる論議の末、「私有」の範囲が一歩拡大されることになる。
 中国では90年代後半からマイホームブームが起こったが、個人が購入したマンションなどの財産に対する最終的な帰属先はあいまいだった。購入者は、70年間の土地の使用権を同時に得るものの、現行の関連法では、70年後には土地使用権とマンションの所有権を国に無償で返却しなければならないためだ。
 関係者によると、今回の法案は、国家が個人と集団の「合法的権利」を保護する義務を明記。土地などの公有財産と、不動産などの私有財産の権利は「平等」との考えを打ち出している。
 個人のマイホームの場合、土地の使用権が終了した後も、新たに使用権を支払えば継続的に使用できるようにし、個人の「財産権」が保護される。不動産登記の閲覧も自由化され、居住者が知らないまま悪質な業者が転売するといった事例も防げるようになるという。

◎中国:雑誌編集長を解任、汚職記事に当局者が反発か(2007年1月1日、毎日新聞)
 1日付の香港紙、明報などによると、北京の月刊誌「百姓」の黄良天編集長(50)が12月31日、解任された。同誌は地方で起きている汚職や農民の強制立ち退きなどに多く誌面を割き、当局者らの反発を買っていたとされる。
 黄氏は2004年9月から編集長。農業省管轄の同誌は発行部数約五万部で、06年には江蘇省の強制立ち退きや江西省で起きた学生による大規模デモなどを報道。ホームページが過去2年間に4回にわたって閉鎖されたという。
 黄氏は、解任について中央の規定による幹部の定期異動とだけ説明を受けたという。

◎中国:法人税、外資優遇廃止へ(2006年12月30日、毎日新聞)
 中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会は29日、外資系企業への優遇税制を廃止し、国内・外資を問わず税率を25%に統一する新たな企業所得税(法人税)法案を承認した。来年3月の全人代に諮り、成立する見通しだ。競争力のある外資企業の誘致をテコに経済成長を進めてきた従来の経済政策を転換し、国内企業の競争力強化に軸足を置く狙い。
 激変緩和措置を盛り込み、08年からの実施が有力視されている。外資企業はコスト上昇になり、多くの国内企業は減税となる見通し。黒字化して2年間は所得税を免除、その後3年間は税率を半分にする措置も段階的に廃止されるとみられる。
 企業への税率は現行33%と決められている。しかし、経済開発区では、輸出入を扱う一部企業には15%や24%の軽減税率が適用されている。

◎香港、元旦からレストラン・カラオケなどで禁煙(2006年12月27日、朝日新聞)
 美食の街で食後の一服が御法度に――新年から香港のレストランやカラオケ店、オフィス、公園、バス停など不特定多数の市民が集まる公共スペースで喫煙が禁止される。喫煙による健康被害の軽減をめざす新条例が施行されるためだが、客足に響きかねない業界からは反発の声も。日本から観光やビジネスで訪れる喫煙者は用心が必要だ。
 1月1日から、約1万軒とされるレストラン、50万室のオフィス、1400カ所の公園のほか、カラオケやバス停なども禁煙になる。香港名物の競馬場も、馬券売り場を含め室内は禁煙だ。
 ナイトクラブやサウナ、18歳以下は入店禁止のバーなどの「大人のサービス業」は今回の対象からは外れたが、遅くとも09年7月までには禁煙になる予定だという。
 香港の人口約700万人のうち、喫煙者は約84万人。香港政府は、医療費の増加や生産力の低下など、喫煙を原因とする経済被害が「毎年少なくとも53億香港ドル」(約800億円)に上るという数字をあげ、市民に協力を呼びかけている。
 違反者には最高で5000香港ドル(約7万5000円)の罰金を科す。
 パトロールするのは「控煙督察」と呼ばれる政府職員だが、その数は当面100人足らず。取り締まりの主力は現場を管理する事業主たちだ。しかし、銅鑼湾の食堂店主は「昼休み、オフィスを離れてたばことコーヒーで生き抜きというお客さんが多い。たばこを吸えなければ客足が遠のきそうだ」という。
 98年にはゲームセンターなどの禁煙条例を施行しながら有名無実になった。事業手らの協力が得られず、マフィアの影響力を恐れて、政府の取り締まりも徹底しなかったためだ。今回、香港政府はメンツをかけ説得に全力を挙げる方針だ。

◎「違法行為」で中国・青島市トップを解任、内容明かさず(2006年12月25日、産経新聞)
 24日の中国国営新華社通信によると、中国共産党中央規律検査委員会はこのほど、山東省党委副書記で青島市トップの杜世成・党委書記が重大な党規律に反し、重大な違法行為を犯したとして刑事告発を決定した。杜氏は職務を解任された。党中央は、後任の青島市党委書記に閻啓俊・山東省党委常務委員を任命した。具体的な違反内容は明らかにしていない。
 中国では今年、前上海市党委書記の陳良宇氏や元北京市副市長の劉志華氏らが汚職で解任されており、新華社は今回の処分についても、中央による官僚の党規違反や汚職に対する厳しい姿勢の表れと指摘している。

◎愛人5人・24億円収賄、中国の前海軍軍人に無期判決(2006年12月23日、読売新聞)
 23日付の香港の中国系紙文匯報などによると、中国人民解放軍の軍事法廷は14日、汚職などで解任、起訴された王守業・前海軍副司令官(62)に対し、無期懲役の判決を言い渡した。
 同紙などによると、王被告は軍総後勤部幹部などを務めていた1995年から2001年にかけ、約1億6000万元(約24億円)に上る収賄・公金流用を行ったほか、5人の愛人を持つなどの「道徳的腐敗」の責任を問われた。軍が公表した軍人の汚職案件の中では、汚職額、役職ともに過去最高という。
 今回の事件は、王被告に結婚を迫った愛人の1人が、結婚や500万元(約7500万円)の手切れ金支払いに応じなかった王被告を軍に告発して発覚した。

◎私服でパトカー禁止、中国、私物化横行で規制(2006年12月15日、朝日新聞)
 けたたましくサイレンを響かせて走るパトカーの車内で警察官とその家族が歓談していた――。中国では決して珍しくないパトカーの私物化に歯止めをかけようと、公安省が新たな「パトカー管理規定」を発表した。
 中国各紙によると、私服でパトカーを運転する▽サイレンを乱用する▽パトカーや警察車両の証明書を勝手に貸し出す――など8項目の禁止事項を盛り込んだ。対象には公安・警察部門のほか、検察、裁判所、刑務所の公用車も含まれる。
 こうした規定は違反者が多いことの裏返しといえる。ただ、新規定は「特殊任務」や容疑者の追跡時などは適用外としており、どこまで徹底されるかは不透明だ。

◎中国、ネット音楽を統制、文化侵略阻止狙う(2006年12月13日、産経新聞)
 中国文化省は12日、インターネットを通じた音楽サイトの管理規制方針を初めて発表した。ネット音楽による知的財産権侵害防止のほか、今年打ち出された「文化発展計画綱要」を受けた文化統制強化の一環とみられ、外国音楽による文化侵略阻止やネット音楽の国産化推進といった狙いもうかがえる。
 管理規制では、ネット上の音楽配信サイトなどは2007年3月1日までに、文化省の審査と許可を得なければならないとし、外資の参加を禁止している。また、音楽は「民族精神を体現し時代の特徴を反映する独創的なもの」であることを求めており、規制対象は欧米や日本の「低俗な」ロックやポップス、社会不満や矛盾を揶揄(やゆ)した替え歌などに及ぶ可能性がある。
 新華社通信(電子版)によれば、中国のネット音楽産業は昨年、36億元(1元=約15円)の収益をあげ、伝統的なレコードやCD産業の収益(27億元)を大きく上回っている。当局は、こうした成長産業を国産化することで、経済的利益も期待しているようだ。
 ただ、ネット業界関係者らは「今回の規制はネット音楽創作の才能や意欲をつぶしかねない」と危機感をもっており、当局の音楽統制はむしろ中国独自のネット音楽の成長を阻むものと受け取られている。

◎またも日本車のコピーデザイン!近づいてきた?中国経済の終焉(2006年12月13日、毎日新聞)
 北京モーターショー(11月18~27日)に中国車メーカーの出展した新型車のデザインが問題になっている。中国メーカーのコピー商品は今に始まったことではないが、08年の北京オリンピックを控え、先進国並みのモラルが内外から求められる中で、世界中の自動車メーカーが集まる場で国営企業が堂々とコピーデザインを発表する姿勢に、厳しい声があがっている。

・民族資本の新型車は日本車そっくり
 04年の同ショーではホンダCR-Vのコピー車が目を引いたが、今回のターゲットはトヨタと日産。ピックアップやSUVを販売していた長城汽車が、新たに小型車市場に参入するとして発表した3台が微妙なデザインなのだ。FLORIDはフロントがトヨタのヴィッツ、リアが同じくトヨタのイストにそっくりの1.3Lモデル。GWPERIはどう見ても日産ノートのコピー。COOLBEAR(下記画像)はbB以外の何者でもない。さすがの中国人も見かねたのか、自動車情報サイトでは、同3車種のコピーデザインを批判する記事が見受けられる。
 日本もかつては外車のコピーデザインが多く、あまり強くは言えない立場ではある。しかし、コピーにも限度はあるだろう。いくら似ていてもセリカとシボレーモンザ2+2を間違えて買うことはありえないし、ベンツの真似から始まったレクサスは今や完全にオリジナルのデザインに至っている。最近ではミラジーノがミニのイメージだが、これも本歌取りといったところだ。日本も通ってきた道とはいえ、これほど露骨だと何かしら相容れないものを感じるのだ。
 中国のモータリゼーションにはすさまじい勢いがあり、アメリカのコンサルティング会社ブーズ・アレン&ハミルトン社は、2015年に日本を抜き、中国が世界第2位の自動車市場になると予想している。中国自動車工業協会の集計では、06年の国内販売台数(1~10月)は前年同期比25.7%増の577万台。2010年ごろには1,000万台を超えると予想している。この急成長は、今まで富裕層の贅沢品だった自動車が、都市部を中心に中間層にも普及し始めているためだ。好景気とともに民族資本といわれる中国の自動車メーカーが低価格の自動車を市場に供給しているためである。
 富裕層は海外メーカーのセダンやSUVを好むが、新しい購買層は収入も少なく、民族資本の小型車やミニバンを購入する。価格も安く、奇端汽車の奇端QQはリッターカーながら3万元(約75万円)を切る。
 海外の自動車メーカーにとって、先進国市場が飽和状態の現在、中国市場は非常に魅力的だ。その強みを知っている中国は、商品のコピーはもとより、上海市嘉定区では誘致した外資系企業に立ち退きを要求(補償は未定)するなど、時として専横ぶりを発揮する。しかしリスクがあっても、進出しないわけにはいかないのが現状だ。

・魅力を失う工場としての中国
 中国の市場としての魅力が増すにつれ、皮肉なことに世界の工場としての魅力は急速に薄れているとの見方もある。
 要因はいくつもある。年10%前後ずつ人件費が上昇し、最大の魅力だった安い人件費が確保できなくなっている。さらに環境汚染が激しく、工業用水の確保も難しい。そればかりか、中国政府が環境問題を公式に認めた場合、すべての責任を進出している外資系企業に押し付けられる可能性は極めて高い。マックスファクターの化粧品SK-Ⅱに高濃度のクロムが含有されていたとの政府発表を行い、一部店舗では返品を求める顧客が暴徒化、閉鎖を余儀なくされたのは記憶に新しい。
 農村部と都市部の経済格差、高い失業率が原因の農民の暴動は増加の一途をたどり、不動産投機の高騰はすでにバブル化しているともいわれている。チャイナリスクが市場の魅力を上回り始めているのだ。
 中国商務省の統計では、06年1~9月の日本の対中投資は前年同期比29.55%減少の32億6,669万ドルに留まっている。欧米も同様の傾向にあり、設備投資が一巡したことに加え、高まるチャイナリスクを嫌った企業が、生産拠点をインドや東欧に移し始めたというのが実情のようだ。
 では中国の企業が外資の手助けなく一人立ちできるのか?これは非常に心もとない。昨年のことだが、ドイツで行われた自動車の安全性能評価試験で、20年行われている同試験で初めて中国の四輪駆動車が星ゼロとなった。中国メーカーがエンジンを作る技術もシャーシを作る技術も不十分で、日本企業などからOEM供給を受けているのは公然の秘密だ。技術レベルは非常に心もとないと言えるだろう。
 外資系が中国で作る方から中国に売る方へ重点を移せば、今まで潤沢にあった外貨もおのずと減り始める。近いうちに元の固定レートを支えることができなくなるだろう。元は高騰し、バブルは弾ける。借り物の繁栄は長く続かない。レッドドラゴンは早くも空から落ち始めている。

◎知財権、米「中国の侵害深刻」、著作権ビジネスでは9割(2006年12月13日、産経新聞)
 米通商代表部(USTR)は11日、米議会に提出した中国の世界貿易機関(WTO)加盟5周年の年次審査報告で、中国での模造品製造や著作権侵害など知的財産権(IPR)の侵害が、「米国のあらゆる分野の産業に深刻な経済的被害をもたらし、容認しがたい」と厳しく糾弾した。
 中国はWTO加盟に伴って、IPRをめぐる国際基準に基づいた国内法、諸規制の整備・見直しを進めてはいる。しかし、ソフトウエアから、情報技術、衣料、スポーツ用品に至るまでIPR侵害が広がったままだ。
 ソフトの不正コピーによる被害は2005年で12億7000万ドルと試算。中国の著作権ビジネスの9割前後は侵害にあたるとみている。加えて、米国境で差し押さえたコピー製品の69%、8720万ドル相当は中国から流入したものという。
 報告書は、IPR侵害が横行する要因として、中国の法令順守意識が希薄なことを指摘。違反事案に対する刑事捜査、違反者の起訴などに対する司法当局の腰の重さや、罰金など刑事罰の軽さも問題視し、「侵害者に安全な隠れ家をつくっている」と厳しく批判した。
 さらに、外国製の映画、書籍、ビデオに対する輸入制限も結果的に、これらの製品の模造を助長していると分析。氾濫(はんらん)する医薬品や食品、自動車・航空機部品の模造品は、「米国消費者の健康と安全の直接的脅威」と受け止めている。

◎収監中のジャーナリスト、世界で134人、中国が最多(2006年12月8日、読売新聞)
 ニューヨークに本部を置く民間団体「ジャーナリスト保護委員会」(CPJ)は7日、世界のジャーナリストの収監状況を発表した。
 今年はインターネット媒体の記者や編集者が初めて全体の3分の1を超えた。国別では中国が8年連続で最多となった。
 CPJによると、1日現在、報道内容を理由に収監されているのは24か国の134人で、昨年より9人増えた。最も多いのは新聞や雑誌など活字媒体の67人。これにネットの49人が続いた。テレビ、ラジオは各8人だった。
 国別では中国31人、キューバ24人、エリトリア23人の順。中国は半数以上の19人がネット関連だった。また約4分の3は「反国家」というあいまいな理由で収監されていた。
 CPJのジョエル・サイモン事務局長は「中国政府はネットの統制や検閲が不可能という見方に挑んでいる。その通りになれば、ネットも報道の自由も大きな打撃を受ける」と述べた。

◎中国でニセ軍用車が横行、犯罪組織が「特権」悪用2006年12月6日、読売新聞)
 中国で人民解放軍所属の自動車を装った「ニセ軍用車」が多数出回り、問題化している。
 軍用車は、道路通行料や駐車料などが免除される。警察も、軍用車の交通規則違反には目をつぶりがちだ。この特権に着目した犯罪組織が軍用車を偽造し、密輸などに悪用している。ニセ軍用車の通行料不支払いなどの損失は毎年5億元(約73億円)以上とされ、軍は取り締まりに必死だ。
 中国各紙によると、一般車は通常、青や黒、黄のナンバープレートを使うのに対し、軍用車は白プレートを使うが、犯罪組織が、このプレートを偽造したり、盗んだりしてニセ軍用車を仕立て、麻薬や密輸たばこの運搬などに使う例が増加している。ニセ軍用車で一般車に衝突し、法外な賠償金を脅し取る集団も現れた。
 軍は8月以降、警察とともに取り締まりを強化。27の犯罪集団の230人以上を摘発し、盗まれた軍用車のプレート360枚以上や、偽造プレート1566枚、ニセ軍用車両1258台を押収した。特権を盾にした軍用車の迷惑運転も批判され、軍はとばっちりを受けた形だ。

◎【中国】狙われる日本人:中国ドラッグ最新事情(2006年11月29日、サーチナ・中国情報局)
違法性薬物・ドラッグ編(2)―佐野秀典(MD.ネット代表取締役社長)
 世界の年間麻薬取引額は、世界中の自動車取引を上回る約3000億ドルといわれている。ほぼ原油の取引高に匹敵する金額である。そんな麻薬という「商品」の90%は、タイ、ラオス、ミャンマーの国境にある「ゴールデントライアングル」とトルコ、イラン、アフガニスタン、パキスタンを三日月状に貫いて拡がる「ゴールデンクレセント」の二大拠点で生産されている。
 この二大「ゴールデン」エリアのいずれにも接しているのが、中国という国だ。中国が現在、世界の麻薬取引の一大中継国になっていること、そして国内に夥しい数の薬物常用者を抱えるに至っていることの背景には、そんな地理的条件がある。中国では国を挙げて麻薬、覚せい剤の撲滅キャンペーンが行われており、公安部が05年に摘発したドラッグ関連事件は4万5000件、逮捕者は5万8000人にのぼった。といっても「国家禁毒委員会」によれば、中国の麻薬常用者は116万人という膨大なものであり、しかも年間15-20%のペースで増加しているのである。しかし薬物の専門家たちは、実際には麻薬・覚せい剤乱用者は当局の発表を大幅に上回る500万人前後存在しており、4年後には1000万人レベルに達するとみている。
 そんな現代中国における違法性薬物の代表は、ケシから取れるアヘンを精製したヘロイン(海洛因)で、当局の統計でも乱用薬物の78.3%を占めている。しかしその中国に今、大きな変化が生じている。麻薬とまったく異なる乱用薬物、「覚せい剤」の蔓延である。麻薬と覚せい剤の違いは次回以降で詳述するが、中国におけるこうした薬物乱用実態の変化には、実は日本も深く関わっている。
 日本の違法性薬物に対する取り締まりは世界一だ。島国という地理的条件もあるが、日本の税関や警察の乱用薬物に対する水際での取締りは、先進国でも類を見ない力を持っている。日本が長く「世界一クリーンな国」の座を譲らなかったのは、国民性ではなく、実は警察の力によるところが大きかったのである。それでも韓国や北朝鮮などから日本に密輸されていた覚せい剤はかなりの量に上ると推測されている。ところが近年、政治的な事情もあって、北朝鮮からの密輸取締りは徹底的に強化された。日本国内の覚せい剤の末端価格は品薄のために一時的に高騰したほどだが、北朝鮮では行き場のない覚せい剤が国内に大量に出回り、さらに、本来は麻薬王国であった地続きの中国にも大量に流入していったというわけだ。ヘロインなどの麻薬はダウナー(神経抑制剤)だが、覚醒剤はこれとは全く違うアッパー(神経興奮剤)であり、また取引価格も比較的安いこともあって、覚せい剤は瞬く間に中国で勢力を拡大していったのである。当局の最新リポートによれば、すでに薬物犯罪事件の半数が覚せい剤関連のもので占められているという。
 ところで、日本では薬物乱用といえば大部分が覚せい剤であり、麻薬乱用者の割合は非常に低い。これは世界を見渡しても例外的な傾向だが、それもそのはず、覚せい剤は日本生まれの「商品」なのである。ルーツは戦時中の日本で戦意高揚のために用いられたケミカルドラッグ(化学合成薬物)だ。戦後、米国にこれが伝わり、錠剤の経口摂取による乱用が増加した。日本では戦後から最近まで、覚せい剤は静脈注射による摂取が主で、骨までしゃぶり尽くすことから「しゃぶ」と呼ばれるようになったのである。
 最近問題になっているMDMA(隠語ではエクスタシー、エックス、バツ)も、法的には麻薬に分類されているが、実は覚せい剤と幻覚剤を合成した物質だ。実はこの夏、「先生、幻覚が・・・」と上海から私に電話をかけてきた日本人女性が服んだドラッグもMDMAだった。覚せい剤を生み出した国の若者たちがいま、それが大量に出回っている中国で、その餌食になり始めているのである。

◎中国で移植、肝炎拡大か、韓国人患者は6.5%感染(2006年11月28日、読売新聞)
 中国で肝臓移植を受けた韓国人の6.5%がB型またはC型肝炎ウイルスに感染していたことが、成均館(ソンギュングワン)大学(ソウル)移植外科のイ・ソック教授らの調査で明らかになった。
 中国で臓器提供者のウイルス検査が十分行われず、肝臓や輸血血液などに肝炎ウイルスが混入していた疑いがある。
 日本人で中国で移植を受ける患者は後を絶たないが、移植後のウイルス感染が広がっている可能性が出てきた。日本でも感染の実態調査を迫られそうだ。
 韓国では、中国に渡って臓器移植を受ける患者が急増しており、イ教授らは、中国で肝臓移植を受けた患者を診療している韓国の医療機関を対象に調査した。
 その結果、昨年までの5年間に490人が中国で移植を受け、その後32人がB型、C型肝炎に感染していた。今後、肝硬変や肝臓がんを発病する恐れがある。
 厚生労働省研究班が今年3月にまとめた調査によると、中国で移植を受けた日本人患者は、肝臓が14人、腎臓106人だった。把握できなかった患者も多く、移植後の患者の健康調査も行われなかった。
 しかし、中国で腎臓移植を受けた日本人が肝炎に感染したケースも既に明らかになっており、今回の韓国での調査により、日本でも肝炎ウイルス感染の拡大が懸念される。
 中国へ渡航しての移植が絶えない背景には、日本国内での脳死移植の停滞がある。移植を望んで日本臓器移植ネットワークに登録している患者は現在、肝臓で約130人、腎臓が約1万1700人いるが、脳死移植を受けたのは肝臓34人、腎臓でも56人に過ぎない。

◎ホンダ、中国メーカーに「CR-V」酷似車出展で抗議(2006年11月28日、産経新聞)
 ホンダの中国現地法人、ホンダ中国投資は27日、北京モーターショーに同社のスポーツ用多目的車(SUV)「CR-V」に酷似したSUVを出展した中国メーカーに、その撤去を申し入れたことを明らかにした。実際に市場に投入されれば、法的措置も検討する。ホンダによると、このメーカーは中堅の中順汽車。CR-Vについては、意匠権をめぐって他の中国メーカーとも裁判を続けている。

◎人民元、対米ドルで最高値更新、香港ドルと等価に(2006年11月28日、産経新聞)
 27日の上海外国為替市場の人民元相場はドルに対して一時、1ドル=7.8410元まで上昇し、昨年7月の切り上げ後の最高値を更新した。7.85元の突破は初めてで、1ドル=7.75~85香港ドルの幅で米ドルに連動している香港ドルとほぼ等価になった。
 香港ドルに比べ人民元には多くの規制があり、香港経済に直ちに大きな影響はないとみられるが、香港の銀行などでの顧客向けレートはすでに人民元の方が高い。この傾向が続けば、長期的には香港ドルの地位低下につながる可能性もある。
 この日、人民元の大手金融機関の相対取引は1ドル=7.8436元で終え、終値も最高値となった。前週末の終値は7.8525元だった。
 香港ドルは1997年の返還以降も人民元よりやや高い交換レートを維持してきたが、人民元が切り上げ以降じりじりと値を上げた結果、対米ドル相場で肩を並べるのは時間の問題とみられていた。
 香港の中央銀行に当たる金融管理局は当面、現行の米ドル連動制を維持する考えを示している。

◎中国、核関連輸出規制条例を改正(2006年11月26日、日本経済新聞)
 新華社によると、中国政府は25日までに核関連物資、技術の輸出規制に関する条例を改正した。違反した場合の罰則を強化、最高で取引額の5倍の罰金を科すこととした。条例には「核兵器拡散と核テロ行為の防止」を制定目的として盛り込み、核の平和利用で国際社会と協力していく姿勢を強調した。
 改正条例には、厳格に制限する対象として濃縮ウランや重水生産の設備など「核拡散にとって敏感な物資」を新たに加えた。核関連の物資や技術の輸出に関しても「中国政府の同意を得ずに第三国に譲渡しない」「譲渡を受けた第三国は利用にあたって中国政府の提示する義務に従う」などの規定を加えた。

◎過去最大級ポルノサイト運営者に無期懲役、中国(2006年11月23日、産経新聞)
≪会員60万人集める≫
 新華社電によると、中国山西省太原市の中級人民法院(地裁)は22日、中国で過去最大級のポルノサイトを運営していた男性被告(28)に無期懲役を言い渡した。個人資産10万元(約150万円)の没収も命じた。仲間8人にも最高10年の懲役刑が言い渡された。
 同被告は2004年以降、仲間と米国のサーバーを使って4つの有料ポルノサイトを開設、大量のポルノ写真や映像を掲載し、会員約60万人を集めていた。ドメイン名やIPアドレスを頻繁に変えるなどして摘発を逃れていた。
 被告のグループが得た違法な利益は少なくとも20万元に上り、一部は海外の銀行に送金していたとされる。

◎中国山西省の炭鉱爆発事故、死者81人に(2006年11月17日、産経新聞)
 中国山西省で今月起きた2つの炭鉱事故の死者数が16日までに、計81人に上った。新華社電が同日までに伝えた。新華社電によると、このうち同省原平市の炭鉱で5日に発生した爆発事故では、作業員47人が死亡。同省晋中市で今月上旬発生した爆発事故では、当時坑内で働いていた34人全員が死亡したという。

◎上海バブルにブレーキ?売れぬ億ション、一方根強い投資も(2006年11月17日、産経新聞)
 上海の不動産バブルにブレーキがかかったのかどうかが、いま注目を集めている。胡錦濤政権が経済過熱を背景に上海市トップの陳良宇書記を解任して以来、常に右肩上がりだった不動産価格が、横ばい状態になったと発表されたからだ。だが、中国人民元の切り上げは必至とみて、切り上げ期待の不動産投資は根強いとの見方が投資会社の間などで支持されている。
 上海バブルの象徴といわれた超高級マンション「湯臣一品」。4棟を1棟ごと(約600億円)に販売する計画を香港系不動産会社が断念したというニュースが、上海紙東方早報に掲載されたのは10日のことだ。それによると、2005年に完成後、ニューヨークやロンドンで販売活動を続けたが、結局買い手がつかず2棟を賃貸に切り替え、残る2棟は個別販売に切り替えたという。黄浦江に面した絶景の「億ション」(約600平方メートル、約10億円)は結局、2室が売れただけだ。
 また、上海市房屋(家屋)土地管理局や上海社会科学院らも、胡錦濤政権の経済引き締め路線を意識して「上海の不動産過熱は峠を越し、落ち着いて推移」と強調している。手渡された「上海房地産(不動産)市場報告」最新号(10月号)でも、昨年前半まで年20%前後の高騰を続けた価格が、不自然なほど横ばい状態になっている。
 だが、一方で陳前書記時代に計画された郊外住宅地は完売状態で、不動産バブルが続いているかの様相も見せている。
 例えば、上海市政府がベッドタウン構想として建設した「テムズ・タウン」は総工費750億円。近くの湖から人工の川を引き入れ、中心に英ブリストルの教会を模して配置するなど、英国住宅街をコピーした高級住宅街となっている。
 一戸建て(500平方メートル)で2億円前後もし、安い集合住宅も含め計2000戸もあったが、05年までの予約販売で完売している。購入者の大半は上海中心街の住民だが、今年10月に正式オープン後も入居者はなく、大半が投資目的とみられる。しかもベッドタウン構想はほかにも、イタリアやドイツなどをコピーした住宅街が4カ所もあり、いずれも完売という人気ぶりだ。
 香港や台湾の不動産投資専門家は、中小不動産に投機熱が残っているとし、「人民元に25%ほど切り上げる余裕があるから」と指摘している。
 また、日本の総合銀行系研究所によれば、中国の不動産バブルは中国国有銀行の巨額マネーが流れ込んで起きている。引き締め過ぎればバブル崩壊で一気に銀行の不良債権問題が露呈するため、政府は穏やかなバブル傾向を保つ必要があるとみている。不動産価格の見事な横ばい状態の事情を裏付けているようだ。

◎パキスタンへの原発供与は正当、中国外務省副報道局長(2006年11月16日、産経新聞)
 中国外務省の姜瑜副報道局長は16日の定例記者会見で、核拡散防止条約(NPT)未加盟で核兵器を保有するパキスタンへの中国の原発供与に関し「両国は核エネルギーに関する平和利用協定を締結しており、国際原子力機関(IAEA)の保障措置(査察)協定も結んでいる」と述べ、正当な行為と主張した。
 副報道局長は、パキスタン国内で中国が供与した原発の建設工事が順調に進んでいるとの見方を示した上で「両国が精力的に建設を進め、完成させることを期待している」と語った。

◎上海の邦企業立ち退き問題で総領事館が口上書(2006年11月16日、産経新聞)
 上海市嘉定区の工業区に入居している10社の日本企業などが都市計画を理由に立ち退き要求されている問題で在上海総領事館は15日までに上海市当局に対し「日本企業の問題に重大な関心を持っており、満足のいく解決を求める」との口上書を手渡した。誘致日本企業の投資保護を目的に調印された日中投資保護協定の存在についても確認した。上海市側は企業の意見を十分に尊重したいと述べた。
 口上書によると、「中長期の展望を持って誘致されてきた日本企業が入居後わずか1、2年で立ち退きを求められて困難に直面している。上海の日本企業全般に困惑と当惑が広がっているので、満足のゆく解決に向け努力してほしい」などとしている。また、日中保護協定は1988年に締結されたもので、日本企業が中国の国有化や土地収用案件に巻き込まれる場合、投資保護が約束され、立ち退く場合も相応の補償が受けられることになっている。
 同工業区への入居日本企業はハウスやヤクルトなど47社にのぼるが、工業区が新城(ニュータウン)建設計画を理由に第1期として日本企業10社を含む24社が上海市嘉定区政府から正式に立ち退き通告されている。企業側はいずれも2004年から翌年にかけて入居したばかりで「誘致時に立ち退きを予定していた可能性がある」と不信感を強めており、基本的には撤回を求めるとしている。

◎中国、台湾人ビジネスマン2人をスパイ容疑で逮捕(2006年11月16日、産経新聞)
 中国国務院台湾弁公室の李維一報道官は15日の記者会見で、台湾ビジネスマン2人がこのほどスパイ容疑で逮捕されていることを確認した。台湾メディアによると、2人は中国南部の福建省で軍事機密を収拾し、台湾当局に伝えていた疑いで、9月上旬にそれぞれ湖南省長沙市、広東省広州市で拘束されたという。

◎中国人は化粧ができなくなる? 重金属含有で中国が警告(2006年9月24日、産経新聞)
 香港基準・鑑定センターは25日までに、クリスチャン・ディオール、ランコム、エスティ・ローダー、クリニークの世界4大化粧品ブランドすべての化粧品に、微量のクロム、ネジウムなどの重金属類が含まれていると発表した。
 中国では日本製化粧品のマックスファクターSK-IIにクロムなどが含まれていたとして非難報道が続き、全国で返品騒ぎが発生しているが、ディオール、エスティ・ローダーに含まれているクロム類はSK-IIよりも多いという。
 センターによれば、クリスチャン・ディオールのファンデーション、エスティ・ローダーのファンデーションにはクロムがそれぞれ、キロあたり4.5ミリグラム、3.9ミリグラム含まれ、SK-IIより多かった。この他のブランドのファンデーションにもクロム、ネオジムが含まれていた。

◎P&G上海支社襲われる(2006年9月24日、産経新聞)
 23日付の中国紙・南方都市報によると、中国当局が日本製化粧品「SK-II」ブランドの商品に金属類が含まれていると発表した問題で、上海では怒った群衆がP&G上海支社に押しかけ、玄関口のガラスなどを壊す騒ぎが起きた。P&G広州支社によれば「一部地域で重大な治安事件が発生している」といい、他の地域でも暴力事件が発生しているもようだ。

◎中国製美白クリームに水銀2万倍「短期的には美白効果」(2006年11月16日、産経新聞)
 国営新華社通信によると、中国内陸部の安徽省の検疫当局が行った中国製化粧品の抜き打ち品質検査で、合肥市など4市の市場に出回っている50種の商品のうち7商品が不合格だった。なかには水銀の含有量が国家基準の2万倍という問題商品も複数含まれていた。
 サンプルは上海市、浙江省、広東省、安徽省など9省市の37メーカーの製品。2万倍の水銀入り化粧品は、南京市の工場で製造されたクリームや広州市のメーカーの美白クリームなどだった。
 同省検疫当局は「水銀は短期的には色素を減退する効果があり、多くの不法企業は美白効果を追及するために商品に水銀を入れてる。しかし皮膚から水銀が吸収されれば慢性水銀中毒を引き起こし、骨格や歯、肝腎機能に悪影響を及ぼす」と注意を促している。
 中国ではSK-IIなど日本製輸入化粧品に含まれる微量のクロムが問題視されていたが、中国製化粧品は論外といえそうだ。

◎中国、対北ぜいたく品禁輸に消極的 「正常な貿易に影響」(2006年11月16日、産経新聞)
 中国外務省の姜瑜副報道局長は16日の定例記者会見で、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議が定めたぜいたく品の禁輸条項に関連し「北朝鮮との間の正常な貿易に影響を与えるべきではない」と述べ、同条項を利用した北朝鮮への圧力強化に消極姿勢を示した。
 副局長の発言は、ぜいたく品輸出禁止措置を講じた日本政府の姿勢を牽制する意味も込められているとみられる。
 また、副局長は、決議がぜいたく品の定義を具体的に明記していないと強調。「各国は国情に照らして(禁輸措置の内容を)決めることになる」と述べ、中国自らの判断で対応を決める考えを示した。
 さらに大量破壊兵器の拡散防止に向けて不審船の臨検などを行う拡散防止構想(PSI)への参加可能性については「中国は政治と外交手段を通じて処理すべきだと主張している」と述べ、あらためて慎重姿勢を示した。

◎中国建設銀、北朝鮮への送金業務を再開(2006年11月16日、日本経済新聞)
 中国の大手銀行、中国建設銀行は今週から北朝鮮への送金業務を再開した。10月9日の核実験以降、制裁の一環として停止していた。北朝鮮が核問題を巡る6カ国協議への復帰を表明したため中国政府が制裁の一部緩和に動き出した可能性もある。
 中朝貿易の窓口になっている遼寧省丹東の建設銀支店関係者は「週初めに行内の上層部から送金再開の指示を受けた」と述べた。ただ、送金できるのは企業に限られているという。

◎ヘロイン禍、中国深刻、「黄金の三日月地帯」から流入激増(2006年11月13日、産経新聞)
 「アフガンタバコ」「黄粉」などと呼ばれるヘロインが、大量にアフガニスタンなどから中国に流入している。中国公安当局によると、新疆ウイグル自治区のウルムチ市だけで2000年の7倍、約7トンものヘロインが流通しているという。中国紙「南方都市報」がこのほど報じた。これらヘロインは最終的に北京、上海、広州など都市の「地下市場」に流れ込んでいるという。
 ヘロインは、アフガニスタン、パキスタン、イランの国境地域「黄金の三日月地帯」(ゴールデン・クレセント)から新疆ウイグル自治区に密輸されるという。
 ウルムチ市だけで中毒者は1万人を超えるといわれ、同市の疾病コントロールセンターの担当者によると、人口1900万人の同自治区では今年6月現在で、エイズウイルス(HIV)感染者が1万6000人いるが、うち1万2000人は注射の回し打ちなど、原因はヘロインに関連しているものという。
 「アフガンタバコ」の特徴は、東南アジアのヘロイン生産地「黄金の三角地帯」(ゴールデン・トライアングル)産に比べ、「4倍の吸入効果があり夢心地となる。中毒者にとっては、ゴールデントライアングル産はくず同然」とされる。
 「黄金の三角地帯」では、摘発強化でアヘンの原料となるケシ畑が減りアヘンの生産が急減、国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、アフガニスタンが世界1の供給国と報告している。
 「アフガンタバコ」の販売価格は、1グラム600元(1元約15円)で、1グラムが20パックに分割され、1パック40元から50元の安さで販売されていることも市場拡大の要因だ。
 販売組織は、アフリカ人、パキスタン人を運び屋として雇い、体内に隠すなどの方法で1キロ単位で密輸、成功報酬は4500米ドルという。
 中国国家禁毒委員会は今年6月、ヘロインなどの麻薬や覚せい剤の常用者が昨年末で78万人、ヘロイン常用者の7割が35歳以下と深刻な状況を報告している。中国当局は昨年、薬物事件で5万8000人を摘発、ヘロイン約7トンを押収しているが、当局者は、新疆ウイグル自治区になだれ込むヘロインの量は、摘発分の約10倍と指摘する。

◎中国:孫文の生誕140周年記念式典、胡総書記が演説(2006年11月13日、毎日新聞)
 中国共産党の胡錦濤総書記(国家主席)は12日、辛亥革命の指導者、孫文の生誕140周年記念式典で演説し「中国が統一できてこそ、全国人民は幸福になる。統一できなければ、害を被る」との孫文の言葉を引用し、「祖国の完全な統一は中華民族の根本的利益だ。統一に向けて努力し、すべての中国人の幸福な生活と素晴らしい未来を創造しよう」と呼びかけた。
 胡総書記は昨春、訪中した台湾最大野党・国民党の連戦名誉主席にも「第1次国共合作」(1924年)を推進した孫文の役割を称賛しており、中台双方が「国父」とみなす孫文をキーワードに、台湾野党との連携を模索する考えだ。
 胡総書記は演説で「『台湾独立』を進める分裂勢力とその活動に断固反対する」と述べたが、従来どおり台湾側を刺激する強硬な発言は控え、陳水扁総統ファミリーの金銭スキャンダルで混乱する台湾政局を見守る姿勢を示した。

◎中国の肥満人口6000万人、栄養不良も2400万人(2006年11月12日、産経新聞)
 約2400万人が栄養不良に陥る一方、約6000万人が肥満-。中国国家食物栄養諮問委員会の専門家がこのほど、中国のいびつな栄養事情に関する報告をまとめた。中国メディアが伝えた。
 貧富の格差や、都市部と貧困農村部の地域格差が背景にある。報告は都市部での肥満対策として、行政機関などによる適切な栄養指導を実施する必要があると訴えた。「肥満」の定義は明記していない。
 報告によると、全国の貧困人口は2005年末で約2365万人で、この層の栄養状態は劣悪と指摘。一方で、経済発展に伴い豊かさを享受する都市部では脂肪分を多く含む動物性食物の摂取が急増し、栄養のバランスを崩した結果、治療が必要なほどの肥満や、生活習慣病が子供にまで拡大しているという。
 中国の高血圧と高脂血症の患者は計約1億6000万人、糖尿病患者は約2000万人に上る。

◎中国の10月貿易黒字、単月の過去最高を更新(2006年11月8日、読売新聞)
 10月の中国の貿易黒字が238億ドル(約2兆7900億円)となり、単月の過去最高を更新したことが8日、中国税関当局の発表で明らかになった。
 中国の貿易黒字の拡大により、米国の議会や産業界などからは、為替改革や輸出抑制策を求める声が強まりそうだ。
 発表によると、今年1~10月の中国の貿易黒字の累計は1336億ドルに達している。

◎日系企業10社に移転要請、上海の工業区(2006年11月2日、朝日新聞)
 上海市郊外にある同市嘉定区政府は2日、同区内の工業区に進出している上海ハウス食品など日系企業10社に対し、再開発計画を理由に移転を要請した。工業区内の日系企業は40社以上にのぼり、今後、さらに多くの日系企業が移転を求められる可能性もある。上海の日本総領事館も事態を重視しており、市当局に対し、企業側に納得できる解決策を求めていく方針だ。
 同区政府は2日、関係企業向けの説明会を開いた。出席した日本貿易振興機構(ジェトロ)上海代表処によると、説明会には副区長らが出席し、新たに住宅街などを開発する「嘉定新城」計画について説明した。区側は、対象地域に入った日系企業10社を含む計24社の外資系企業に対し、「移転に協力していただきたい」と要請した。ただ、移転期限などは伝えなかったという。
 移転を迫られた企業に対して、区側は代替地を用意するとしているが、移転費用など具体的な話は出なかったという。

◎模倣品への罰則強化求め、中国に圧力、WTO包囲網で(2006年10月28日、読売新聞)
 日米欧などが、世界貿易機関(WTO)を通じ、中国政府に映像ソフトの海賊版やコピー商品に対する罰則強化などを求めることが28日、明らかになった。
 中国の不十分な取り締まりが模倣品が横行する要因と判断した。
 米国が今週にもWTOに提訴し、日本と欧州連合(EU)などは第三国(オブザーバー)として、米中の二国間協議に参加する。知的財産権侵害の厳罰化を求めるWTO提訴は初めてで、国際的な包囲網で中国への圧力を強める。
 WTOの知的財産権保護協定(TRIPS)は、模倣品製造・販売業者が摘発された場合は、業者に刑事罰を科すよう加盟国に義務づけている。
 しかし、中国では、模倣品業者が刑事訴追される押収額の最低ラインは、販売価格で総額5万元(約75万円)と、規定が甘い。日米欧はTRIPSに反する恐れが強いとし、訴追基準を厳しくするよう求める。
 WTOに提訴後、米国は中国との二国間協議で改善を要求する。
 中国の対応が不十分な場合は、WTOに紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請し、TRIPS違反かどうか判定を求める。違反と認定されれば、中国に改善勧告などが出される可能性がある。
 中国では、音楽や映画の不正コピーのほか、服飾や家電の偽ブランド品が流通し、日本企業の被害額は年間9兆円以上と見られている。

◎海賊版や模倣品で中国をWTO提訴へ・日米欧など(2006年10月28日、日本経済新聞)
 日米欧などの主要国は、中国が違法な海賊版や模倣品の製造・販売に十分な対策を講じていないとして、世界貿易機関(WTO)を通じて知的財産制度の是正を求める方針だ。米国が提訴して日欧がこれに参加する形を取り、中国に対し違反業者への刑事罰を厳しくするように求める。各国の映像産業やブランド品メーカーなどは中国での知的財産権侵害で年々大きな被害を受けており、これ以上放置できないと判断した。知財侵害の摘発強化を求めるWTO提訴は初めて。
 今回の措置は日本、米国、欧州連合(EU)とカナダが連携して検討してきた。来週にも米国がWTOに訴状を出す方向で最終調整している。日本などは第三国として協議に参加、事実上の「共同提訴」となる。

◎中国が110品目に輸出関税、資源流出防止へ(2006年10月28日、読売新聞)
 28日付の中国紙新京報などによると、中国は11月1日から割りばしや石炭、石油、鉄などの輸出品に、暫定的に関税を課すことを決めた。
 対象となる輸出品は計110品目で、約100品目は現在、輸出関税は課されていない。関税率は銅やニッケル、アルミなどが15%、割りばしや木材、鉄鋼製品などが10%、石炭や原油が5%となる。
 中国財務省は、生産時のエネルギー消費や環境汚染が多い製品の輸出抑制や、国内資源の流出防止が目的としている。同時に、省エネ関連の設備や一部のハイテク製品など58品目の輸入関税率を引き下げており、国内の産業構造を省エネ・環境配慮型に転換する狙いもありそうだ。

◎中国、希少金属や石炭などに輸出関税・最大15%(2006年10月28日、日本経済新聞)
 中国政府は11月1日から、希少金属や石炭など110品目に最大15%の輸出関税をかける。同時に、石炭やガソリン、コンピューター部品など58品目について輸入関税を引き下げる。資源・エネルギーの浪費を抑え技術革新を促す狙い。
 財政省が10月27日付で発表した。輸出関税の税率は銅やニッケルなどが15%、割りばしや希少金属などが10%、石炭、原油などが5%。一方、現在は3~5%の石炭の輸入関税はおおむね1%とし、特にコークスは税率をゼロとする。
 石炭については9月15日に輸出の際の増値税(付加価値税)還付制度を撤廃したばかりで、2カ月足らずの間に「輸出奨励品目」から「輸出抑制・輸入奨励品目」に転じることになった。指導部内で石炭資源への危機意識が急浮上したことがうかがえる。

◎中国、北朝鮮口座を凍結、国境付近の主要銀行(2006年10月25日、朝日新聞)
 中朝国境にある中国遼寧省丹東の中国主要銀行の支店の一部で、北朝鮮国籍の個人やその法人が開設した口座の外貨の扱いを事実上凍結する措置がとられていることが24日、複数の銀行関係者の証言で明らかになった。北朝鮮の核実験発表後にドルなどの外貨による振り込みや引き出しの受け付けが停止されたという。国際社会の経済制裁の動きを受けた措置とみられる。中国銀行の北朝鮮向け送金の停止に続く金融面での規制強化は、核実験の再実施阻止に向けて北朝鮮への圧力を強めている表れといえそうだ。
 丹東にある中国大手の中国銀行、中国建設銀行、招商銀行の各支店関係者によると、「口座凍結」の措置がとられたのは北朝鮮の核実験発表後の13日ごろから。ある銀行関係者は「核実験発表を受けた措置だと理解している」と話した。
 ただ、人民元口座や人民元に両替しての振り込みや引き出しは「振り込みはダメだが、引き出しは1日5万元(約75万円)までは可能」(中国銀行関係者)「人民元ならいずれも可能」(招商銀行関係者)などと銀行によって対応が分かれている。規制対象は主にドルなどの外貨のみにとどまっている。
 丹東は中朝貿易の3分の2が集中していると言われ、数百人の北朝鮮貿易関係者が滞在するとされる。中国銀行が北朝鮮向けの送金業務を停止していることもすでに明らかになっており、中朝間の決済業務には支障が生じているという。ただ、現金での直接決済や物々交換といった方法も多用されている。

◎中国に市場開放と政治改革を要求、EUが対中新政策(2006年10月25日、読売新聞)
 欧州連合(EU)の欧州委員会は24日、今後数年間の対中戦略の指針となる政策文書をまとめた。
 文書は「中国指導部は、基本的人権と自由の促進など国内改革を何度も口にしたが、進展は思わしくない」とし、政治改革の推進を要求した。
 通商分野では、中国にさらなる市場開放や公正な貿易ルールの確立を求め、進展がなければ「保護貿易主義的な手段を取る余地がある」と警告した。
 欧州委が2003年9月公表した前回の政策文書は、急成長を遂げる中国市場への高い期待を反映し、中国を「戦略的パートナー」と初めて位置づけたが、今回は、より現実的な対中認識を示した。
 EUの対中貿易赤字が05年で約1060億ユーロ(約15兆3700億円)にまで膨らんで問題化していることや、中国の競争力の高まりに対する欧州での危機感の芽生えが背景にある。
 EUでは、中国の反国家分裂法制定、外国メディアの締め付け強化や人権問題など内政面への懸念も徐々に強まっており、「08年の北京五輪をにらみ、従来のバラ色の対中認識を軌道修正し、中国の現状を直視した上で、EUとしてモノを言う姿勢を明確にした」(外交筋)とみられている。
 文書は、アジアの地域情勢に触れ、中国とロシアやインドとの関係強化を評価しつつ、「日本との関係は改善の余地がある」と指摘した。日本と米国が強く反対するEUの対中武器禁輸措置の解除については、人権状況を理由に認めない立場を再確認したが、EU側が将来の解除に備え、「解除が武器輸出の拡大につながらないことを保障する必要がある」とも明記した。
 さらに、中国の巨大なエネルギー需要から、国内に急ピッチで火力発電所を増設し、欧州に近いアフリカで「資源外交」を展開している点について、環境保護やエネルギー安保の観点から情報交換を進めるべきだとしている。
 文書は、中国内政上の懸念事項として、人権、自由、法の支配を列挙。胡錦濤政権が進める汚職対策や体制改革を支援する用意を表明している。EUと中国は、双方の関係を包括的に定める新たな「パートナーシップ協力合意」の策定を控えており、今回の文書は、この交渉に臨むEU側の基本的立場を示すものだ。

◎中国で販売中止の「SK-2」、韓国当局は「安全」(2006年10月25日、朝日新聞)
 中国で金属成分の検出を理由に販売停止に追い込まれた日本製化粧品「SK(エスケー)-2(ツー)」シリーズについて、韓国食品医薬品安全庁は2日、「検査の結果、微量の金属成分が検出されたが、健康に危害を及ぼす量ではない」と発表した。
 同庁が韓国に輸入されている8製品を検査した結果、7製品からクロムとネオジムが検出されたという。ただし、いずれも非常に微量で、「信頼できる論文など学説に照らした結果、皮膚など人体に影響を与える心配はない」とした。製造管理記録も入手して調べたが、製造過程で配合された事実もなかったとしている。
 韓国では、SK-2は韓国P&Gが日本から輸入して販売している。高級化粧品として人気が高いが、中国での騒動を受け、一部百貨店などで販売中止や消費者が返品を求める動きが出ていた。

◎化粧品「SK-2」の品質騒動、安倍訪中で急転決着(2006年10月24日、読売新聞)
 日本から輸入されたマックスファクター社の「SK-2」シリーズの化粧品が販売中止になった問題で、中国当局は23日、「(使用禁止のクロムなどは)製造過程で微量が混ざることがある。わずかであれば健康への害はないと言える」との声明を出した。
 24日付の中国各紙が報じた。これを受けて、親会社の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)中国法人は同日、「数週間以内に中国での販売を再開する」と発表した。
 日本の残留農薬規制で中国からの農産品輸出が減少したことへの報復との見方があったが、安倍首相訪中による日中関係好転で、一気に幕引きした格好だ。
 今回の問題では、「日本のP&Gは傲慢だ」などとする報道にあおられ、返品騒動が各地に拡大。興奮した市民がP&G上海事務所のガラスドアを破損する騒ぎまで起きた。

◎日本製「SK-II」一転して危険性低い、中国当局(2006年10月24日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国の国家質量監督検査検疫総局は24日までに、日本製造の高級化粧品、マックスファクターSK-II(製造元P&Gジャパン)について、「化粧品製造の技術的な要因で、微量のクロム、ネオジムが含まれているが、危険性は低い」との見解を公表し、同総局の検査結果をもとにした9月14日の「危険」との判定を翻した。
 安倍晋三首相の訪中で日中関係が好転したことで、これまでの日本バッシング姿勢を改めようとの中国当局の意図もうかがえる。
 P&G(中国)では、9月22日から商品の国内販売を一時停止していたが、24日にはできるだけ早く販売を再開すると発表した。

◎中国:濃縮ウラン持ち歩く、男2人を逮捕(2006年10月24日、毎日新聞)
 24日付の香港紙「明報」などは、濃縮ウラン約1キロを持ち歩き、売りさばこうとしていた中国人の男2人が9月、北京市公安当局に逮捕されたと報じた。2人は朝鮮族とみられ、濃縮ウランは04年10月に海外で別の男から手に入れたと供述し、ロシア産と推測されている。
 2人はネパールとの国境地域や新疆ウイグル自治区、中朝国境の遼寧省丹東などを訪れ、購入希望者を求めていたという。押収されたウランの濃度はわかっていない。

◎中国、日本産狙い撃ち? 化粧品・食品検査厳格化(2006年10月1日、朝日新聞)
 日本製の化粧品や食品の品質を問題視する事件が中国で相次ぎ、波紋を広げている。大規模な騒動となった高級化粧品「SK(エス・ケー)-2(ツー)」は、中国市場で販売再開のめどが立たないまま。食品では詳細な情報が中国側から提供されず、日本政府は対応に苦慮する。日本への狙い撃ちとの見方もあるが、消費者の安全意識の高まりなど様々な事情がからんでいるようだ。

・販売めど立たぬ「SK―2」
 上海の高級百貨店では、SK―2の専売コーナーの取り壊しが進む。配合が禁じられているクロムなどの成分が当局の検査で検出され、一時販売停止に追い込まれたからだ。返品・返金を求める消費者が同市のオフィスに殺到し、玄関扉が破壊される事件も起きた。
 美容液が880元(約1万3000円)などSK―2は日本円で1万円前後の商品が多く、中国都市部の月収に相当する超高級品だ。外資系で働く30代の中国女性は「水銀入りの国産化粧品が摘発されるなど、安全性へ関心が高まっている。信用と期待が高い輸入品には反発も激しい」と話す。
 SK-2は米P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)傘下のマックスファクター(神戸市)が生み、現在はP&Gの化粧品ブランドとして日中韓や米英など12カ国・地域で売られている。シンガポール、台湾、香港、EU(欧州連合)の当局や業界団体は安全を宣言したが、中国大陸では騒動が続く。
 問題の成分についてP&Gは「配合はしていない。水や土に微量に含まれるため混入の可能性もあるが、中国当局による検出量はWHO(世界保健機関)が『食べても安全』とする量よりはるかに少ない」と反論。日本政府も中国政府に、化粧品成分の詳しい規制情報の公表を要請した。
 中国では05年、SK―2で皮膚炎を起こしたとする訴訟が起き、ネット上でボイコット対象の日本製品に加えられることもあった。今回も日本製を強調した報道が目立ち、「(日本を狙い撃ちする)政治的な理由がある、と疑念を持たれるのを避けられない」(香港紙、明報23日付社説)とする論評も出始めた。
 こうした批判を意識してか、中国商務省系の新聞、国際商報は最近、ケンタッキーフライドチキンなどでの食品安全を巡るトラブルを挙げて「国際企業と消費者の紛争が増えている」とする記事を掲載。その中で「(外資は)輸出先の法律や基準にあわせるべきだ」として、中国独自基準の正当性を強調している。

・農薬規制に報復の見方
 中国では日本製食品への圧力も強まる。中国政府は6月から強化した安全検査で日本産の冷凍タコやサンマ、魚肉ソーセージなど約30品目から、中国の基準値以上のヒ素などが検出された、と公表。日本政府にも8月下旬に通報があり、管理の厳格化を求めているが、日本側には「報復」との見方が広がっている。
 日本政府が5月末に、国産・輸入を問わず食品の残留農薬に対する規制を強化し、中国の農産物の対日輸出が6月時点で2割近く激減。中国商務省が「公平性に問題がある」と反発した経緯があるからだ。
 検査の厳格化により、日本からの食材調達が遅れた飲食店が一部に出ている、との情報もある。ただ、政権交代で日中関係の改善も期待されるだけに、日本政府は、安全性をめぐる騒動が、新たな摩擦の火種になることを恐れている。
 「何ですかね、この時期に」。中川農林水産相(当時)は9月中旬の記者会見で不快感を示した。日中貿易では、01年に日本が中国産のネギなど3品目に緊急輸入制限措置を暫定発動し、中国が日本製自動車などに報復関税をかけて混乱した過去がある。松岡農水相は29日、「冷静に誠意を持って話せば、道が開ける」と話した。
 厚生労働省は、中国側に事実関係や基準の詳細などを照会中だが、「返答がないので輸出業者や生産地が特定できず、注意を促そうにも難しい」(監視安全課)。農水省も中国側から回答があれば、業者に中国の基準の順守を指導し、事態の沈静化を待つ構えだ。
 中国産の茶、玩具、電気製品などの安全性をめぐり、EUは中国政府間と日常的に対話の機会を設けている。この点で、日中間では「当局間の連携や意思疎通に滞りがある」(中国紙記者)との指摘もある。

◎SK-II、中国政府が「安全宣言」 P&G販売再開へ(2006年10月2日、朝日新聞)
 米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の中国法人は24日、使用禁止物質のクロムが検出されたとして中国全土で販売を停止していた子会社のマックスファクター(神戸市)の化粧品「SK-II」の販売を近く再開すると発表した。中国当局から「含有量は微量で健康被害のリスクは低い」と「安全宣言」が出たためだ。
 中国の国家品質監督検査検疫総局は9月、SK-IIからクロムなどが検出されたと発表。返品を求める利用者が殺到し、同社は「治安上の理由」で売り場を閉鎖していた。同局と中国衛生省は23日、再検査結果を発表し、「クロムは生産過程で添加したのではなく、原材料に含まれるごく微量なもの。消費者の健康を害したとの証明はない」との見解を示した。
 これを受け、P&Gは「当社が主張していた安全性が証明された」との声明を発表。数週間以内に元通り営業を再開する方針を明らかにした。

◎上海汚職事件、市トップ解任から1カ月、拘束者50人超(2006年10月24日、産経新聞)
 中国上海市の社会保険基金をめぐる大型汚職事件で、同市トップの陳良宇・前共産党委員会書記が解任されてから24日で1カ月が経過する。23日付中国系香港紙、大公報(電子版)は政府関係者や企業トップら拘束者がすでに50人を超えたと伝え、事件はさらに拡大する様相をみせている。
 消息筋によると、上海市の国有資産管理委員会の複数の幹部がこのほど拘束されたもようだ。事件の調査は党中央規律検査委員会が100人規模で行っているが、報道によると、すでに地元官僚ら数百人が聴取を受けたという。
 事件は中国初の自動車レース場「上海国際サーキット」にも飛び火している。レース場はF1世界選手権の開催のために建設され、2004年の完成直後に中国で初めて「中国グランプリ」が実施されたが、中国各紙によると建設費を含む投資額は20億元(約300億円)近いとされる。
 消息筋は、この建設をめぐって▽建設申請や周辺地区開発の手続きに関する規定違反▽建設用地取得の際に中央政府の正式認可を取得していなかった-ことなどが調査の対象となっていると指摘、「開発に伴う贈収賄も存在するとみられる」と述べた。
 すでに「上海国際サーキット経営有限公司」の郁知非社長が今月16日ごろから事情聴取を受け、事実上の拘束状態に置かれているほか、複数の企業トップが事情聴取を受けているようだ。
 10月に入り、当局は新たに複数の金融機関にも調査を拡大。上海に本社を置く大手資産運用会社「華安基金管理」の韓方河社長についても調べを進めている。韓氏は上海事件の柱となる社会保険基金の不正融資問題にも連座しているとみられ、当局は陳前書記ら党幹部に対するわいろの有無に注目している。
 上海事件では、すでに国家統計局長を解任された邱暁華氏が関与していたことが明らかになっているが、邱氏は江沢民前国家主席につらなる「上海閥」との癒着が指摘されており、内部情報を漏らしていた可能性があるという。
 胡錦濤指導部は「上海閥」の弱体化に向け、調査をさらに強化する構えで、中国紙、二十一世紀経済報道は「上海事件は新段階に入った」と指摘している。

◎「官の世界は暗闇」、友人にメール、誹謗罪で起訴、中国(2006年10月24日、朝日新聞)
 「官場月黒くして風高し 人権財権を抓(つか)むに絶招あり」(官の世界は真っ暗闇。権力や金をものにする術にだけはたけている)――中国・重慶市彭水県の男性公務員がこんな詩を作って携帯メールで送信したところ、「党と指導者のイメージを傷つけた」として逮捕、起訴された。中国歴代王朝で繰り返されてきた「文字の獄」の現代版だと、批判が起きている。
 20日付の香港紙「明報」などが伝えた。
 逮捕されたのは、同県教育委員会に勤める31歳の男性。8月、仕事の合間の暇つぶしに詩を作りメールで友人らに送ったところ、2週間後、突然、職場に乗り込んできた公安当局に連行された。1カ月後に保釈処分となったがこのほど、「誹謗(ひぼう)罪」で起訴されたという。
 同県幹部は「党と国家指導部のイメージを傷つけ、(反政府的な)不法組織にも影響を与える」と力むが、同県ではトップの党委員会書記が収賄容疑で逮捕されたり、幹部と業者との癒着が疑われたりして住民の不満が高まっていた。男性は「後悔はしていないが、ただただ残念だ」。周囲の人々は政治の話に口をつぐむようになったという。

◎中国:上海汚職事件で初の逮捕者(2006年10月21日、毎日新聞)
 上海市の社会保険基金をめぐる汚職事件で、不正融資を受けていたとされる張栄坤氏の経営する投資会社は20日、張氏が逮捕されたと発表した。中国紙「上海証券報」が21日報じた。同市トップの党委員会書記、陳良宇氏の解任にまで発展した大型汚職事件で、関係者の逮捕が明らかになったのは初めて。
 張氏は02年、同市労働社会保障局長らにわいろを渡し、社会保険基金から32億元(約480億円)の不正融資を受けたとされる。今年7月から、中国共産党中央規律検査委員会などの調査を受けていた。【上海支局】

◎旭硝子、中国新工場を発表(2006年10月12日、日本経済新聞)
 旭硝子は12日、中国広東省仏山市に自動車用ガラスの新工場を建設すると発表した。生産能力は年100万台分。約65億円を投じて2008年初めにも稼働させる。トヨタ自動車など中国南部で生産を拡大する日系メーカーに供給する。中国の自動車用工場は河北省秦皇島市に続き2カ所目で、同国での生産能力は現在の2倍近い年220万台分になる。

◎中国製品値上がり鮮明、9カ月連続輸入価格上昇(2006年10月3日、日本経済新聞)
 中国から輸入する製品価格の上昇傾向が鮮明になってきた。2005年10月に前年同月比プラスに転じて以降、今年6月まで9カ月連続で上昇。原材料の値上がりや中国人民元相場の緩やかな上昇に加え、強みとしてきた低廉な人件費が高騰し始めたことがある。世界経済にデフレ圧力をもたらしているとの指摘も出ていた中国の低価格輸出が転機を迎えつつある。
 中国からの輸入価格は財務省の貿易統計などをもとに食料品、一般機械、電気機械、輸送機械の分野ごとの加重平均で輸入通関時の価格の推移を算出。それによると、6月の輸入価格は前年同月比で4.2%の上昇となった。昨年10月にプラスに転じて以降、前年同月比での上昇率は2―7%台とばらつきがあるものの、上昇基調が定着している。

◎中国人は化粧ができなくなる? 重金属含有で中国が警告(2006年9月25日、産経新聞)
 【北京=福島香織】香港基準・鑑定センターは25日までに、クリスチャン・ディオール、ランコム、エスティ・ローダー、クリニークの世界4大化粧品ブランドすべての化粧品に、微量のクロム、ネジウムなどの重金属類が含まれていると発表した。
 中国では日本製化粧品のマックスファクターSK-IIにクロムなどが含まれていたとして非難報道が続き、全国で返品騒ぎが発生しているが、ディオール、エスティ・ローダーに含まれているクロム類はSK-IIよりも多いという。
 センターによれば、クリスチャン・ディオールのファンデーション、エスティ・ローダーのファンデーションにはクロムがそれぞれ、キロあたり4.5ミリグラム、3.9ミリグラム含まれ、SK-IIより多かった。この他のブランドのファンデーションにもクロム、ネオジムが含まれていた。

◎上海市トップを解任、不正事件に関与・新華社報道(2006年9月25日、日本経済新聞)
 【上海=渡辺園子】新華社電は25日、中国共産党中央政治局が24日に会議を開き、上海市のトップである陳良宇・共産党上海市委員会書記の解任を決めたと報じた。同時に中央政治局委員の職務停止も決めた。新華社電によれば、党中央紀律検査委員会の調査により、上海市社会保障基金の資金不正流用問題への関与や、職務上の権限を利用した親族への不正な利益供与などの疑いがもたれている。韓正・上海市市長が書記代理に任命された。

◎ウルトラマン勝手に増殖? 著作権めぐり中国で裁判(2006年9月24日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】「ウルトラマン」が中国で裁判沙汰になっている。タイの映画製作会社がウルトラマンキャラクターを創り、中国で売り出した。このため北京で23日、「ウルトラマン著作権検討会」が開かれた。円谷プロダクション(東京都)は8月、タイの企業と中国側協力企業などを相手取り「盗作で著作権侵害」と訴えを起こしている。
 ウルトラマンシリーズのキャラクターは50近くある。円谷プロなどによると、タイの会社は「ウルトラマンミレニアム」など3つのキャラクターを創り、グッズを販売。今年5月から中国・杭州で長期イベントを実施し、3つのキャラクターが登場するドラマも完成させ、テレビ放映の準備をしているという。
 1976年、円谷プロは資金援助を受ける見返りに初期作品の海外利用権をタイの映画製作会社の会長(当時)に譲る契約を交わしたとされ、日本の最高裁は2004年、円谷プロの上告を棄却、「日本以外での独占的利用権は会長側にある」との判断を示した。今後、裁判闘争は中国に舞台を移しそうだ。

◎中国、東京海上日動を処分、駐在員の営業を問題視(2006年9月24日、朝日新聞)
 損害保険最大手の東京海上日動火災保険が、中国国内で不法な営業をしたとして中国の保険監督管理委員会(CIRC)から罰金9万元(約130万円)の処分を受けたことがわかった。本来は保険営業ができない北京の駐在員事務所で02~05年の間に顧客を中国の保険会社に紹介したことなどが営業活動にあたると判断された。これを受け、東京海上日動は駐在員を支店に引き揚げるなどの対応をとる方針だ。
 東京海上日動は中国本土では上海に支店を、北京、大連、南京、広州など9カ所に事務所を置く。現地の法律などによると、支店のある上海地域では保険営業ができるが、その他の地域では大企業相手の取引を除いて営業はできない。
 だが、日系企業などから「他地域でも相談に乗ってほしい」といった要望が多いため、駐在員が適正な保険料水準を教えたり、現地の会社を紹介したりしていた。契約の一部は、現地の保険会社から再保険として引き受けることもあったといい、こうした一連の活動が問題視されたようだ。
 ただ、支店を出す際のCIRCの認可が簡単にとれないこともあり、中国に事務所を置く日本の損保各社は同様のサービスをしている場合が多い。東京海上日動の行為が違法とされたことで、各社とも新たな対応を迫られそうだ。

◎「SK―2」販売停止、P&Gの中国事業にも波及(2006年9月24日、日本経済新聞)
 【上海=川瀬憲司】マックスファクター(神戸市)が生産する化粧品「SK―2」が中国で一時販売停止に追い込まれた問題が、親会社の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の中国事業にも波及してきた。上海の事務所のドアが壊される事件が発生したほか、当初は「日本製」と強調していた地元メディアも徐々にP&Gを主語に報道し始めた。
 23日付の複数の上海紙によると、22日午後、P&G中国法人の上海支社の入り口のガラス製のドアが破壊された。中国の品質管理当局から使用禁止物質が含まれるとされた製品の返品を求める数十人の消費者の一部が過激化したとみられる。

◎中国:P&G上海のドア破壊、SK-2問題で抗議過激化(2006年9月23日、毎日新聞)
 日本から輸入したマックスファクターの化粧品「SK-2」シリーズから使用禁止の重金属が検出されたと中国当局が指摘した問題で、消費者ら十数人が22日、同社の親会社プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)上海支社へ抗議に押し掛け、入り口のガラスドアを破壊する事件があった。
 上海紙が運営するニュースサイト「東方ネット」によると、当初、P&Gの責任者を取り囲んで抗議していた消費者らが過激化し、ガラスドアをけるなどして破壊した。負傷者はなかったもよう。P&G中国法人(広東省広州市)の広報担当者は、中国国内の他の地域でも同様の暴力事件が発生したと説明しているという。
 中国各紙は、検出された重金属クロムなどが、アレルギー性皮膚炎を引き起こす可能性があると報じ、「顔が赤く腫れた」といった消費者の訴えを紹介。香港でも微量の重金属が検出され、韓国では一部で販売が中止されたことなどを紹介し、問題が他の国にも広がっていると報じており、消費者の不安心理をあおっている。
 このため、パニックに陥った消費者が上海など各地で返品のため化粧品売り場に殺到するなど、混乱が生じている。

◎化粧品「SK-2」、中国で販売停止、返品で売り場混乱(2006年9月23日、朝日新聞)
 米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の中国法人は22日、グループのマックスファクター(神戸市)製の化粧品「SK-2(「2」はローマ数字)」の販売を、同日から中国全域で一時中止する、と発表した。中国政府から使用禁止物質が含まれているとの指摘を受け、返品を求める利用者が各地の売り場に殺到。同社は「現場の混乱を避ける措置」と説明しており、禁止物質を原材料に使ったことは否定している。
 中国の国家質量監督検験検疫総局は今月半ば、SK-2の9商品から使用禁止物質のクロムなどが検出されたと発表。地方検疫機関や日本政府に日本製化粧品の検査強化を求めた。上海市政府も21日、別の3商品からも同じ使用禁止物質が検出されたとして販売中止を求めていた。
 SK-2は、仏ロレアルや資生堂と並んで中国でも人気の高い高級化粧品ブランド。ほぼ全量を滋賀県野洲市の工場で生産しており、中国では高級百貨店を中心に95店舗で販売している。
 P&Gは「空気や水に微量に存在する成分が検出されたとしても、日本の安全基準は満たしており問題とされない」と反論しているが、中国各地で返品・返金に応じている。ただ、窓口が少ないうえ領収書持参が条件だったため混乱が拡大。上海の地元紙によると警察が収拾する事態にもなった。今のところ販売再開のメドは立っていない。

◎中国:化粧品SK-2から禁止物質を検出、返金の客殺到(2006年9月22日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国広東省の検疫部門が、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)傘下のマックスファクター(神戸市)が製造した高級化粧品「SK-2」シリーズの一部製品から、中国で使用が禁止されている物質が検出されたと発表し、波紋が広がっている。P&Gの中国法人は製品に問題はないと説明しているが、消費者の心情に配慮し、一部製品について販売を停止、返金に応じている。
 SK-2は、中国でも人気が高く、日本から輸入されている。広東省当局は14日、中国で使用が禁止されているネオジムとクロムが検出されたと発表。これが地元メディアで大きく報じられ、上海のデパートには返金を求める客が殺到した。
 P&G広報担当者は、「検出された両物質は、SK-2の原材料として配合されていない」と説明しているが、天然の原料から微量に検出される両物質が製造過程で入る可能性はあるという。

◎米国ホンダ、中国企業を特許侵害で提訴(2006年9月21日、朝日新聞)
 自動車大手ホンダの米販売子会社「米国ホンダ」が、携帯型発電機などに使う小型エンジンの特許が侵害されたとして、中国の発電機メーカー「ウーシー・キポー・パワー」を米国際貿易委員会(ITC)に提訴したことが20日明らかになった。関連製品の米国内での輸入や販売の差し止めを求めている。
 米国ホンダによると、この中国メーカーは、米国ホンダが米国で保有する特許を無断で使って小型エンジンを製造。この小型エンジンを使った携帯型発電機や水ポンプを、米国で輸入・販売した疑いがあるという。
 米国ホンダは今年初めに特許侵害の恐れがあると気づき、中国メーカー側と交渉したがまとまらず、提訴に踏み切ったという。

◎中国、海外旅行者のマナー向上目指し法改正か、香港紙報道(2006年9月18日、産経新聞)
 17日付の中国系香港紙、文匯報は、中国当局が中国人の海外でのマナー向上に向け、海外で「問題」を起こした国民の旅券の再発行を拒否したり、出国できなくするなどの処分を認めるよう「旅券法」の改正を検討していると報じた。
 中国人旅行者のマナーの悪さを批判する報道が欧米などで相次いでおり、2008年北京五輪に向けたイメージアップの一環とみられる。
 新法の詳細は不明だが、文匯報によると、処分の対象になるのは(1)ホテルのロビーで大声で話したり、暑さに耐えられず人前で服を脱ぐ(2)公道でつばやたんを吐く(3)旅行ガイドの言うことを聞かない―などの行為という。

◎香港ディズニーランド開業1年、年間目標達成できず(2006年9月12日、朝日新聞)
 香港ディズニーランド(HKD)が12日、開業1年を迎えた。アジアで2番目のディズニーランドとして注目を集めたが、オープン前後の混乱などで不評を買ったこともあり、年間目標の560万人を達成できなかった。優待チケットの販売など巻き返しに必死だが、試練の2年目となりそうだ。
 4日に記者会見したHKD運営会社のビル・アーネスト最高経営責任者(CEO)は「入場者が560万人に到達するのは今月末以降」とし、初年度目標を達成できなかったことを初めて認めた。これまでの入場者数は明らかにしなかった。
 HKDは開業直前のリハーサル営業で混雑や接客態度の悪さが指摘され、春節(旧正月)には来場者数の見込みを誤って前売り券を買った数百人が入場できないなど混乱が続いた。入場券を期日指定にし譲渡も許さないなど、強気の販売戦略も地元旅行会社の反発を買った。
 HKDは今春以降、香港市民は一定期間、入場券1枚で2日間入園できるようにしたり、季節限定で何度でも入園できるチケットを発売したりして、優待サービスを相次いで打ち出している。香港旅遊業議会の董耀中総幹事は「自身のブランド力を過信したのは確かだが、最近は地元旅行業界の意見に耳を傾け、状況は改善している。家族連れの比率が約4割に増えるなど、一定の効果はある」と話す。
 しかし、日本の大手旅行会社担当者は「物珍しさもあって売り上げは堅調だが、リピーターをつかむところまで行っていない」と厳しい見方だ。
 HKDは誘致に当たり、香港政府から用地造成費や運営会社などへの巨額の出資を受けているにもかかわらず、入場者数や財務状況を公表していない。

◎警察に不満の住民、数千人が抗議・衝突、中国・浙江省(2006年9月10日、朝日新聞)
 8日付の香港紙「明報」などによると、中国浙江省瑞安市で女性教師が自宅アパートから転落死し、死因を「自殺」と断定した警察の捜査に疑念を持った生徒や地元住民らが再捜査を求めて警察隊と衝突する事態に発展した。住民ら十数人が逮捕されたほか、催涙弾が当たるなどしてけが人も出た。
 6日、デモを鎮圧しようと警察が十数人を逮捕。怒った住民数千人が7日、地元政府の建物に集まって抗議した。
 女性は8月18日に死亡した。警察は自殺と断定したが、生徒らが「信じられない」としてインターネット上で捜査への疑問を書き込んでいた。その後、夫からの暴力を示唆する日記が見つかるなどし、関心を集めていたという。

◎中国:村民2000人が鉛中毒、工場の粉塵原因(2006年9月6日、毎日新聞)
 香港紙・明報(電子版)は6日、中国甘粛省徽県水陽郷で、村民約2000人が環境汚染によって鉛中毒となったと報じた。そのうちの約400人が子供だという。地元の製鉄工場から排出される粉塵(ふんじん)が原因とみられ、地元当局は8月22日、同工場に生産停止を命じた。中国では水や空気の汚染が進んでおり、健康被害も多数報告されている。【上海支局】

◎元、最高値更新、1ドル=7.93元台に、上海市場(2006年9月4日、朝日新聞)
 4日の中国・上海外国為替市場の人民元相場は、根強い元買い需要を背景に大幅上伸し、2005年7月の切り上げ後の最高値を更新した。銀行間取引の終値は1ドル=7.9385元と、前週末終値比0.0147元の元高・ドル安。

◎男女人口不均衡で危機感、中国当局「女児大切に」PR(2006年9月4日、読売新聞)
 【北京=末続哲也】3日の中国各紙によると、女児より男児を好んで出産する傾向が強い中国で、男女人口比の不均衡を改善するため、中国当局が女児を大切にするよう訴える全国規模のキャンペーンを始めた。
 中国では2030年以降、20~49歳の男性人口が女性を3000万人上回る事態も予想され、当局は危機感を強めている。
 「一人っ子政策」が続く中国では、農村部を中心に、親の面倒を老後も見てくれる跡取り息子を確保する必要性などから、妊娠時に超音波検査で男児と分かったら出産し、女児の場合は人工中絶する風潮が目立つ。この結果、新生児の女100人に対する男の数は、1970年代の106.32から昨年は118.58に上昇し、不均衡が表面化している。
 今回キャンペーンでは、18日間にわたって男女比の不均衡の問題をPRするという。

◎中国遺棄化学兵器問題、新資料発見か、政府が調査(2006年9月3日、産経新聞)
≪結果次第では事業見直しも≫
 中国遺棄化学兵器問題で、「日本軍が中国に化学兵器を遺棄した」という中国側の主張を覆す可能性のある資料が見つかっています。この問題では、廃棄処理のために政府が負担する費用が数千億円規模に膨らみかねないことや、“遺棄兵器”の実態が不透明という指摘も出ています。政府首脳は詳しく調査、分析するとしています。(『正論』編集部 喜多由浩)
 この問題は、先の大戦で「旧日本軍が中国各地に化学兵器を遺棄した」として、平成2年に中国政府が日本政府に解決を要請してきたことが発端です。9年には、遺棄化学兵器の廃棄義務をうたった化学兵器禁止条約が発効し、日中両国が批准。11年には、日本側が廃棄処理費用を全額負担することなどを盛りこんだ覚書を交わしました。
 これに伴い日本政府が負担する総事業費は今後どれだけ膨らむか、見通しすら明確ではありません。
 中国側は、旧日本軍が遺棄した化学兵器が、吉林省のハルバ嶺などに約200万発残っている、と主張しています。しかし、その主張に疑問を持つ意見は当初から少なくありませんでした。終戦後、日本軍は旧満州(現・中国東北部)ではソ連軍(当時)によって、中国大陸部では主に中国国民党軍によって武装解除され、所持していた武器・弾薬は化学兵器も含めてソ連・中国軍に引き渡していた(遺棄したのではない)とされていたからです。
 しかし、日本政府は「中国、ソ連の同意の下に引き渡されたことを確実に裏付ける証拠、資料があるとは承知していない」などという消極的な理由で、中国側の主張をいわば“丸飲み”してきたのです。
 ところが最近になって中国側の主張を覆す可能性があるさまざまな資料が見つかりました。山形県のシベリア史料館には、中国で日本軍が武装解除の際に引き渡した武器・弾薬を詳細に記した「兵器引継書」が約600冊も残っていました。受け取った中国軍の責任者の署名・捺印(なついん)があり、化学兵器だけを除外した形跡も見られません。
 また、防衛庁の防衛研究所には、日中両政府が「遺棄化学兵器」として廃棄処理対象にしている『あか筒』『みどり筒』を台湾で中国軍に引き渡していたことを記した「引渡兵器目録」がありました。さらには、中国側が遺棄化学兵器が大量に残っていたと主張しているハルバ嶺近くの敦化で、化学兵器(毒ガス兵器)をソ連軍に引き渡したという元日本軍兵士の証言まで出てきたのです。
 安倍晋三官房長官は5月、衆院内閣委員会での答弁で「(シベリア史料館で見つかった資料などについて)政府としてしっかり調査したい」と述べました。政府は、新しい事実を示す資料などが見つかった場合、事業の「基本的な枠組みが変わってくる」としており、対応が注目されます。

◎青蔵鉄道にネパール国境まで延伸する計画、インドは警戒(2006年9月2日、産経新聞)
 【中国総局】世界で最も高い場所を走る中国の青蔵鉄道(通称「チベット鉄道」)をネパール国境まで延伸する計画が進んでいる。中国との経済関係を強化したいネパール側は計画を歓迎しているが、中国と国境を接するインドは「中国の軍事力強化につながる」などとして、強く警戒している。
 中国紙「環球時報」などによると、チベット自治区政府の向巴平措(こうはへいそ)主席は先月末、ラサで、ネパールのオリ副首相と会談し、「青蔵鉄道は、その支線を最終的にはネパールとの国境まで伸ばしていくことになる」との計画を明らかにした。
 チベット鉄道の支線敷設工事は来年から始まり、ラサの約270キロ西に位置する同自治区第2の都市シガツェまで延伸し、3年以内に完成する予定。さらに、シガツェから約400キロ離れたネパールとの国境の町・樟木(ダム)まで、鉄道を敷設する計画だ。
 同主席は「チベット自治区と東南アジア諸国との経済交流を活発化する」と指摘。オリ副首相も「ネパール政府にも同じような願いがあり、中国との国境まで鉄道が敷かれることが望ましい。ネパールは中国とともにその実現のため努力したい」と歓迎の意を表明した。
 しかし、1962年に中国と国境紛争を経験し、アジアの“ライバル”でもあるインドの国防関係者は中国紙の取材に対して、「すでに、シガツェとネパール国境を結ぶ道路が建設中だ。さらに、ネパール国境まで鉄道が延伸されれば、中国の軍事活動ラインが拡大するとともに、軍事物資などの運搬能力を高めることになる」と指摘するとともに、「その結果、南アジアに中国の軍事プレゼンスが直接及ぶことになり、この地域の戦略地図を塗り変える可能性が強まる」と述べて、延伸計画に神経を尖らせている。

◎中国企業番付:国有企業が上位独占、中国石油化工1位維持(2006年9月2日、毎日新聞)
 中国企業連合会などが2日発表した06年版の中国企業大手500社番付は、国有石油大手、中国石油化工が売上高8230億元(約12兆円)で昨年に続き首位を維持、上位は例年通り石油、電力、金融など寡占型国有企業が占めた。2位は中国の送電会社の大半を傘下に収める国家電網、3位は国有の中国石油天然ガスと前年と同じ順位。10位まで国有企業が独占した。
 民間では、パソコン最大手の聯想(レノボ)グループが24位、家電大手の海爾(ハイアール)が25位に入った。
 500社の売上高総額は中国のGDPの約78%に相当。25社が売上高1000億元を超えた。

◎マツタケ、ワサビ、日本の食卓支える中国「シャングリ・ラ」(2006年9月1日、産経新聞)
≪3カ月で年収の50倍 中国・雲南省北部≫
 チベットに隣接する海抜3000メートル級の高原地帯、中国・雲南省北部が日本の味覚を支える大規模な「食材基地」になろうとしている。すでに6年前からマツタケ狩りに従事するチベット族は増える一方だし、ワサビ作りに精を出す農家も規模拡大に熱心だ。豊富な清流と穏やかな気候がうまくマッチしたことが背景にあるのだろう。日本独自の味を世界に求める食材のグローバル化はとどまるところを知らない。(中国雲南省シャングリ・ラ 前田徹)
 日本の秋の味覚、マツタケの集散地は、理想郷を意味する「シャングリ・ラ」という名の街だ。海抜3280メートル。亜熱帯気候の緯度に位置し、さらに周囲を4000メートルから6000メートル級の山に囲まれた盆地のため過ごしやすい高原になっている。
 もともとは「中甸(ちゅうでん)」という中国名だったのを約4年前、観光客目当てに、英国作家ヒルトンの小説「失われた地平線」で描かれた理想郷に改名したのはそうした温和な環境に由来している。この地方が実はマツタケを含むキノコの理想郷でもあることがわかり、日本の商社が買い付けに現れたのをきっかけにマツタケラッシュが始まった。
 キノコ採りのシーズンは5月から10月までのほぼ半年。マツタケの場合、6月から8月がピークで1日5トンの収穫があるが、5月や10月でも1日2トン程度の収穫が見込めるそうだ。シャングリ・ラの中心にあるマツタケ市場はこの間、周辺の山から下りてきたチベット族の農民らであふれかえっている。特に活気がでるのは夜9時以降。奥地で採れる良質のマツタケが市場にたどり着くのに10時間以上かかるからだ。
 このラッシュで貧しい農民は大いに潤っている。マツタケがなければ年収200元(3000円)程度の人が、少なくとも3カ月で2000元(3万円)、多い人は1万元(15万円)も稼ぐ。このマツタケのうまみに気づいた市は2年前に輸出会社を設立、加工品も含めると年間1500トンを扱っている。加工工場も日本の食品会社の指示で万全の安全基準を採用するなど、日本の食料供給システムの一部になりつつあるといってもよい様相を見せている。
 一方、ワサビはシャングリ・ラの南300キロにある麗江(れいこう)が生産地になっている。こちらは張西京さんら地元起業家が6年ほど前に日本のワサビ市場に目をつけ、加工工場を作ったのが始まりだ。当時、雲南省が周辺の貧しい農民にワサビの作付けを指導し、それを買い取って良質なものは生ワサビとして出荷、残りはわさび漬けや練りワサビに加工して日本に輸出している。
 この工場はほぼ100%日本市場向けで、張さんはさらに大きな需要を期待している。

◎干ばつの中国・重慶でダム決壊の恐れ、長江水位は激減(2006年8月27日、朝日新聞)
 記録的な少雨と高温が続いている中国重慶市で、干上がったダムの堤防に亀裂が入り、豪雨などがあれば決壊する恐れが高まっている。長江下流域の水深が大幅に下がるなど、干ばつの影響も拡大している。
 同市水利局のホームページや27日付の香港紙によると、同局の調査では少なくとも大小約300のダムで亀裂が確認された。深さが1メートルを超す亀裂もある。気象予報は来月、同地域で豪雨があるとしており、同局は決壊への警戒を強めている。
 四川省では今年5月から記録的な少雨と高温が続き、重慶市は今月中旬、気温44.5度を記録。780万人の市民が飲用水の不足に悩んでいるほか、農畜産業などへの被害は60億元(900億円)を超えた。
 この干ばつの影響で、江西省九江で長江の水深が昨年より6メートルも下がるなど、長江下流域の水深も夏季としては過去100年で最低水準まで下がっている。

◎重慶で過去最高の44.5度、中国、深刻な猛暑続く(2006年8月16日、朝日新聞)
 中国内陸部では50年来といわれる深刻な干ばつが続いているが、中国でも酷暑の地として知られる重慶市で15日、気温が44.5度に達する記録的な猛暑となった。新華社電が伝えた。同市ではこれまでの最高気温だった1953年の44.1度を更新。5月中旬以降、ほとんど雨が降らず、750万人以上の飲料水が不足する緊急事態になっている。

◎17歳未満、幼女と性行為合法?中国最高裁が新解釈(2006年8月26日、産経新聞)
 【北京=伊藤正】日本に劣らず性の低年齢化が進む中国で、最高人民法院(最高裁)が今年1月、公告した未成年者の刑事事件に関する司法解釈が論議を呼んでいる。14歳未満の女子との性行為を「強姦罪」としている刑法に対し、14歳以上17歳未満の男子に限り、条件付きで犯罪にならないと例外にする新解釈をしたためで、司法の現場が混乱する一方、青少年の性犯罪を助長するなどの批判が出ている。
 最高法院の司法解釈(全20条)は、法的責任を負う14歳以上18未満の未成年者の犯罪構成要件を規定。例えば摘発2回までの窃盗は、犯行を供述、盗品を返却すれば犯罪と見なさないとするなど、「教育を主とし、懲罰を従とする」(前文)寛大さが特徴だ。
 このうち最も議論になったのが、幼女(14歳未満)との性行為に関する規定。「たまの行為で、情状が軽く、重大な結果を引き起こさない」ことを条件に、14~16歳の少年の刑事責任を問わないとしているが、条件規定のあいまいさが混乱を招いた。
 中央テレビの報道によると、今年5月、甘粛省の農村で、16歳未満の中学生3人が、9歳と10歳の女子に5時間にわたって性的暴行を加える事件が発生。警察は容疑者を拘束したが、検察は最高法院の司法解釈により立件できないとし、容疑者を釈放させたという。
 悪質な犯罪を免罪にしたこのケースは、幼女の人権無視と批判を浴びた。北京市石景山区人民法院(区裁)は今月初め、公安、検察当局と協議、17歳未満男子と幼女との性行為は「双方の意思に基づくもので、暴力によらず重大な結果を引き起こさなければ免責する」との共通認識に達した。
 最高法院の解釈より具体的だが、問題は「双方の意思」。中国刑法が、幼女との性行為を、年齢や同意の有無にかかわらず「強姦」と規定しているのは、性知識や判断力を欠く幼女の保護のため。この点は日本の刑法も同じだが、女子の早熟化が著しい現状にそぐわないとの指摘もある。
 例えば北京で2年前、ネットで知り合い恋に落ちた17歳男子と13歳少女が性関係を結び、少女の家人の訴えで少年が強姦罪で懲役1年6月の判決を受けた事件があった。このケースは少年が17歳のため、新解釈の適用外だが、強姦罪が妥当か議論になった。
 中国では青少年犯罪が社会問題化する中で、青少年の保護、育成強化を主眼にした未成年者保護法の改正案が全国人民代表大会(国会)で審議中だ。犯罪歴のある少年が社会から疎外され、犯罪を重ねることが多い現実を踏まえ、非行少年に社会が温かく接し、更生を促そうとの狙いが最高法院の新解釈にも反映している。
 いわば胡錦濤政権の看板である和諧社会路線に沿った法解釈だが、貧富の差拡大など、青少年が犯罪や非行に走る社会環境の下では、青少年犯罪を助長し、特に幼女を性的被害にさらすとの指摘も多く、司法現場の混乱は続きそうだ。

◎中国の亜硫酸ガス排出が世界最悪に(2006年8月20日、朝日新聞)
 中国国家環境保護総局によると、石炭を使う火力発電所などで生じる亜硫酸ガス(二酸化硫黄)の排出量が05年は2549万トンに達し、世界最悪だった。
 国営新華社通信によると、00年比27%増の水準。中国は環境汚染物質の排出を10年までに05年より10%減らす目標を掲げているが、達成は難しそうだ。同総局は排出が減らない原因を「エネルギー消費の約7割を石炭に依存しているため」とし、「10年までに年間2295万トンに抑えたい」という。

◎靖国参拝、「正常な日中関係」へ一歩(2006年8月16日、産経新聞)
 小泉純一郎首相の6年連続、そして8月15日の靖国神社参拝は、「歴史カード」を手に譲歩を迫る中国と、歴史上の負い目からそれに従い続ける日本という、20年来固定化していた日中関係のあり方に「構造改革」をもたらした。平成13年の流行語大賞にも選ばれた「聖域なき構造改革」を掲げて登場した首相は、小泉劇場の幕を閉じるに当たり、最後の改革を成し遂げたといえる。
 首相が5年前の自民党総裁選の公約だった15日の参拝を果たしたことは、本来は国内問題である戦没者の慰霊・追悼のあり方を外国の干渉から、日本人自身の手に取り戻す大きな契機にもなり得るものだ。
 首相の参拝継続によって、「中国は、すでに靖国カードが通用しなくなったことに気付かざるをえなくなった」(アジアの外交官)。今月3日に死去した前上海総領事の杉本信行氏は「中国は首相が15日に行くことを含んで想定しており、15日に行こうが行くまいが、結果は同じだ」と語っていた。5年間、参拝日を変えながら中国の対応を見守ってきた首相は、そうした中国側の事情を読み切り、この日の参拝に踏み切った。
 持続的な経済成長のために日本との協力が不可欠な中国側に、「思うような成果が上げられないのに、靖国問題でこれ以上もめ続けるのには辟易(へきえき)している」(外務省幹部)といった受け止めが広まっている。
 首相が、中国が最も嫌がった15日にあえて参拝することで「次期首相がたとえ春秋の例大祭に参拝しても、中国側は『小泉氏よりましだ』と対応を控えることができる」(政府関係者)のも事実だろう。次期首相への就任が有力視される安倍晋三官房長官への「置き土産」だったのかもしれない。
 「中国は、日本人の心の問題に踏み込んだことをきっと後悔する」
 首相はかつて周囲に、こう漏らしたことがある。その通り、中国による日本の政財界、マスコミも動員した靖国参拝反対キャンペーンは、日本人の贖罪意識を強めるどころか、中国への警戒心や反中感情を高める結果になっている。
 首相の靖国神社参拝は、敗戦国に対して優位に立ち続ける中国と、その言いなりになる日本という不正常な両国関係を、対等で普通の関係へと一歩近づけたのは間違いない。(阿比留瑠比)

◎首相靖国参拝:中国がデモ封じ込める、反日再燃を懸念し(2006年8月15日、毎日新聞)
 【北京・西岡省二】小泉純一郎首相が終戦記念日に靖国参拝したことを受け、中国指導部は国内の反日感情が再燃することを懸念し、大規模デモを封じ込めた模様だ。胡錦濤指導部には靖国参拝を契機にした対日非難の矛先が政権に向けられるのを警戒する一方、日本の次期政権と関係改善を目指す中で不利な要因は排除しておきたいという意図がある。
 日本大使館前で15日午前、抗議行動を主導した反日の民間団体「愛国者同盟ネット」。サイト編集長の盧雲飛さん(31)は、毎日新聞に対し「抗議行動は事前に公安当局の許可を得ており、参加人数や抗議文の内容、スローガンの文言などは事前に届け出を済ませていた」と明かした。中国当局は、参拝に反対する市民に「はけ口」を提供する半面、過度な抗議行動は徹底的に抑え込むスタンスを明確にした。
 中国国内では貧富の差が拡大する一方、官僚の汚職などが相次ぎ、市民には社会への不満がくすぶっている。中国指導部には「反日=反政権」(日中筋)との懸念が強く、昨年4月の反日デモと同様、反日感情が反政権に転換されることを強く恐れている。
 また、反日デモでは在留邦人・企業などに被害が出て、中国のイメージが損なわれた。この教訓も背景にあるようだ。

◎鳥インフルエンザ:農業男性が感染死、死者14人に、中国(2006年8月15日、毎日新聞)
 中国衛生省は14日、新疆ウイグル自治区の農業の男性(62)が鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染し、7月12日に死亡したと発表した。男性は6月19日に発病したが、その1カ月前から外出しておらず、身近な人の中にも感染した鳥との接触はなかった。中国でH5N1型の感染による死者は14人となった。【上海支局】

◎収賄容疑で上海市局長を解任、大型汚職事件に発展か(2006年8月15日、朝日新聞)
 上海市の社会保障基金を巡って、大型の汚職疑惑が浮上している。市人民代表大会常務委員会(議会に相当)は11日、市労働社会保障局の祝均一・局長(55)を解任。同基金から32億元(約450億円)を民営企業側に違法融資したなどの疑いがもたれ、当局が収賄容疑などで調べを進めている模様だ。これに関連し、大手国有企業のトップや副市長らの関与も取りざたされている。
 上海市新聞弁公室は15日、朝日新聞の取材に対し、祝氏の解任のほか、国有の大手電気設備メーカー、上海電気グループの総裁(57)ら複数の幹部が共産党の党規律違反の疑いなどで党規律検査委員会の調べを受けていることを明らかにした。
 香港メディアの報道によると、違法融資された32億元は、上海の民営企業家(32)の手を経由して高速道路事業への投資に流用されたという。香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」は、上海市の副市長(59)も同委員会の調べを受けていると発表したが、上海市新聞弁公室は副市長の聴取について否定した。

◎淋病に梅毒、中国、急増する性感染症を調査へ(2006年8月13日、産経新聞)
 中国衛生省は12日までに、中国の性感染症が1980年代以降急増しているとして感染実態をより正確に把握するため、モニター地区を定めて定点調査を実施するとの通知を出した。同省によると、05年の梅毒の報告例は前年比約35%増の12万6400件、淋病(りんびょう)は18万300件。淋病が中国の感染症の4位、梅毒が5位となっている。中国紙は、性感染症の重点調査対象者として(1)売春婦(2)男性の同性愛者(3)長距離トラックの運転手―を挙げた。

◎台湾に機密漏洩、中国政府官員を死刑に(2006年8月11日、産経新聞)
≪記録ビデオ、幹部の機密保持教育の教材に≫
 【北京=野口東秀】中国政府機関の幹部が台湾の情報機関員に国家機密文書を売り渡していたことが発覚し、今年4月に死刑に処せられていたことが10日分かった。河南省政府関連機関のホームページが明らかにした。中国当局はこの幹部の裁判の模様などを撮影した記録ビデオを制作し、中央・地方の公的機関の幹部を対象にした「機密保持の活動教育」の学習教材として視聴を義務付けるなど、機密漏えいに神経を尖らせている。
 シンガポール紙「聯合早報」(電子版)などは他紙を転電する形で、死刑に処せられた幹部は「●(=ニンベンに冬の二テンがニスイ)達寧」という名前で、全国社会保障基金理事会弁公庁(外事部)主任とし、人物経歴や機密関係文書、陳情書類などを扱っていたと伝えた。
 ●氏は以前、北京の中国国家発展改革委員会に勤務しており、15年間にわたり情報を「台湾特務」に渡し、見返りとして計25万ドル(約2800万円)を手にしたとされ、今年4月に刑を執行。接触していた「台湾特務」も無期懲役の判決を受けたという。

◎中国貿易黒字:3カ月連続で過去最高更新、7月(2006年8月10日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国税関総署が10日発表した7月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字額は146億1300万ドルとなった。6月の145億ドルを上回り、3カ月連続で過去最高を更新した。1~7月の累計黒字額は759億5400万ドル。通年でも昨年の1019億ドルを大幅に上回る勢いで、人民元の大幅切り上げを求める米議会、産業界との摩擦が一段と強まりそうだ。
 7月は輸出入とも大幅に伸びたが、特に輸出は前年同月比22.6%増の803億3700万ドルだった。携帯電話や液晶テレビなどに加えて鋼材の輸出も前年同月比で4割近く伸びたのが主因。米国などからは、航空機や農産物などを中心に輸入拡大の圧力が強まるのは確実だ。

◎中国:高額納税者優遇、子供の入試に得点加算、福建省の市(2006年8月7日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国南部の福建省ショウ州市は、市内で私営企業を経営する高額納税者の子供に対して、高校の一般入試の得点を20点加算する政策を始めた。私営企業の発展と税収を増加させるのが目的。貧富の差が入試の得点に直接影響する不公平な措置に批判が集まる一方で、中低収入の家庭からは「金持ちが特権を持つのは仕方ない」とあきらめの声も出ている。中国紙「南方週末」が3日、報じた。
 同紙によると、300万元(約4300万円)以上を納税した私営・外資企業計106社の経営者の子供が「20点加算」の資格を得た。今年6月の入試で、実際に制度を活用して合格した子供もいた。入試の満点は710点。
 全国各市の指導者にとって、私営企業の発展度合いは、自らの成績の判定基準となる。このため、ショウ州市では今年3月、私営企業を発展させるため、「20点加算」や「有料道路を2年間、無料で通行させる」などの優遇政策を打ち出した。
 中国では、スポーツの成績優秀者や生徒会活動への積極的な参加者、少数民族などに入試で得点を加算する規定がある。だが、高額納税者の子供への得点加算は珍しい。

◎キリスト教地下教会を強制撤去、中国・杭州(2006年8月3日、朝日新聞)
 新華社通信によると、浙江省杭州市で先月29日、当局の許可を受けないで建設されたキリスト教会が強制的に撤去された。中国国営の同通信が非公認の教会について報道することは異例で、都市部で急増しているとされる地下教会への対応を、当局が重視し始めた表れとみられる。
 報道によると、この教会は付近のキリスト教徒らが集会場所として建設した。これに対し、地元当局は「商業施設の建設計画が決まった土地であり、教会建設は違法」として撤去。グループの代表者2人が逮捕された。
 米国の中国語ニュースサイトは、現地の目撃者から得た情報として、キリスト教徒と警官の双方あわせて1万人近くが衝突し、数十人が逮捕され、負傷者も多数出たと伝えた。

◎中国、腐敗事案が約7000件、国家公務員が23%(2006年8月1日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国国務院(政府)監察省の李玉賦次官は31日、昨年8月から今年6月までに商取引をめぐる腐敗事案が6972件に上り、腐敗事案の総額は19億6300万元(約282億円)だったことを明らかにした。
 このうち国家公務員が関与したのは全体の23%に当たる1603件、5億800万元に及び、局長級49人、課長級367人を処分した。胡錦濤指導部による道徳心向上などの政治運動にかかわらず、腐敗現象が改善されていない現状が浮き彫りになった。
 李次官は、政府による商品買い付けのほか、不動産や資源開発、医薬品などの取引で不正が行われるケースが多いと指摘、「取り締まりを強化する」と述べた。

◎中国の石油消費、過去最高に、06年上半期(2006年7月30日、朝日新聞)
 中国の06年上半期の原油と石油製品の消費量は、それぞれ1億6199万トン(前年同期比8.2%増)、9685万トン(同19.2%増)だった。10.9%もの高成長で需要が急増している。一方、生産量はそれぞれ、9166万トン(同2.1%増)、8482万トン(同5.6%増)だった。消費量、生産量とも過去最高。国営新華社通信が伝えた。輸入量はそれぞれ、7033万トン(同17.6%増)、1203万トン(同48.3%増)だった。

◎「食事まずい」などと数千人が3日間暴動、中国の工場(2006年7月29日、産経新聞)
 29日付香港紙、明報によると、中国広東省東莞市にある香港資本の工場(従業員約8000人)で今月23日から3日間、労働条件が劣悪などとして従業員数千人が工場内の食堂などを壊したり、近くの道をふさいだりする騒ぎを起こした。
 従業員1人が頭部を負傷し、警察が十数人の身柄を拘束したという。
 同紙によると、従業員側は残業代の不払いや工場の食事のまずさなどに不満を持ち、騒ぎの後は辞職を求める従業員が相次いでいる。(共同)

◎中国人民解放軍、北朝鮮軍の越境防止対策で兵士増派か(2006年7月27日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】香港の人権団体「中国人権民主化運動ニュースセンター」が26日、消息筋の話として明らかにしたところによると、中国人民解放軍は最近約1週間の間に、対北朝鮮国境の警備強化のため、吉林省琿春市など国境近くの複数の都市に兵士2000人を増派した。
 同センターによると、越境した北朝鮮軍兵士と解放軍兵士が昨年10月、銃撃戦となって解放軍兵士1人が死亡するなど、中朝国境では昨年、両軍兵士間で3件の銃撃戦が発生。
 今回の増派は、そうした越境防止への対策と見られる。

◎遺棄化学兵器:中国黒竜江省で600発発見、緊急回収作業(2006年7月27日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国黒竜江省綏化市で、最近新たに旧日本軍の遺棄化学兵器約600発が見つかり、日中共同の緊急回収作業が26日、始まった。
 中国側が6月末から今月初めにかけて発掘。中国側の要請で日本政府が専門家を派遣、同省ハルビン市の保管庫で分類や封印作業を始めた。
 中国東北地方には日本軍の遺棄化学兵器が大量に残っており、黒竜江省では今月、牡丹江市寧安で日中合同で回収作業が行われた。(共同)

◎中国銀:対北朝鮮、マカオ支店の口座凍結、米当局者が明言(2006年7月26日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】韓国紙・朝鮮日報は25日、中国の国有商業銀行・中国銀行がマカオ支店の北朝鮮口座を凍結したと、韓国政府関係者の証言を引用して報じた。ロイター通信も米政府当局者2人の話として、同支店の北朝鮮関連資産凍結を把握しているとワシントン発で伝えた。中国による凍結の信ぴょう性が高まり、その背景に国際的関心が集まっている。
 凍結情報は韓国野党議員が米政府の元高官から聞いたとして24日、明らかにした。また北朝鮮が中国人民元も偽造しているとの情報も同時に公表した。これに対して韓国政府閣僚は「正確な情報がない」と語っていた。
 だがロイター通信によると米当局者は「凍結された」と明言。凍結は7月5日以前に実施され、北朝鮮のミサイル発射を受けたものではない▽中国銀行は米国市場に参入したがっている--などと指摘し、金融部門の透明性を高める努力の一環だろうと推測した。
 北朝鮮による米ドル偽造などの疑惑を背景に米国は調査の手を世界に広げ、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジアへの制裁で北朝鮮関連口座を凍結させた。北朝鮮はこの解除を6カ国協議復帰の条件としており、大きな痛手になった模様だ。

◎中国、ネット規制巧妙化 “抜け道”ブラウザに対抗(2006年7月23日、朝日新聞)
 【北京=福島香織】中国が国家プロジェクトとして進めているネット規制システム「金盾」をバージョンアップし、パソコン別検閲が可能となるなど、より巧妙化している。
 中国ではこの春から初夏にかけてMSN、hotmailやグーグル、国内大手検索サーチエンジンの新浪、捜狐などが相次いでアクセス障害やサービス停止になっていた。関係者は、これをネットを規制するという政策のために必要なバージョンアップ作業、検閲対象用語の増加のためとしていた。
 しかし、金盾プロジェクトの技術関係者によれば、今回のバージョンアップは単なる検閲対象ワードの増加だけでなく、システム自体が進化したという。これまでは検閲対象用語をもとに、サイトへ一律に接続遮断を行っていたが、今後はパソコンのIPアドレス(ネット上の識別番号)ごとに、アクセス履歴を解析、そのユーザーの政治的傾向を分析した上で接続の可否を判断していくという。
 たとえば娯楽サイトしかアクセスしていないパソコンが、「人権」という用語で検索したり、人権サイトにアクセスしたりしても問題ないが、チベットやウイグル族関連のサイトにアクセスし続けたあとに接続しようとすると、遮断される仕組みになるという。
 これだと、同じサイトでも接続できる人と接続できない人が出て、特定の用語やサイトがアクセス禁止の対象となった印象を与えにくい。遮断された方も接続できないのはネット規制によるものではなく、自分のパソコンやサーバーの調子が悪いためだと納得してしまいがちだ。ユーザーに検閲されていると気づかせないように、巧妙にネット規制を実施するのが狙いだ。
 こういった当局のネット規制の巧妙化の背景には、規制が厳しくなるほど、その対抗システムが発達するという状況がある。たとえば、北京のソフト会社が03年に発表したプロキシ機能を持つ中国製フリーウエアブラウザ「傲游(Maxthon)」は本来、過剰なネット広告のフィルタリング機能が売りだった。
 が、同ブラウザを使えば、当局が行うネット規制が回避できることがわかり、それが人気を呼んだとみられ、「中国国内で約3600万回(全世界では6000万回以上)もダウンロードされ、少なくとも中国のネットユーザーの17%以上が利用している」(傲游広報)という。
 中国インターネット情報センターによれば6月末までに、中国のネット人口は1億2300万人に達し、ネット普及率は9.4%。半年前1500万人だったブロガーは2800万人となり、一大情報発信源となっている。

◎中国:日本と台湾産の樹脂の不当廉売認定、商務省(2006年7月23日、朝日新聞)
 中国商務省は22日、日本と台湾産の合成樹脂材料、ポリブチレンテレフタレート(PBT)について、ダンピング(不当廉売)と正式認定、同日から5年間、日本と台湾産のPBTに6.24~17.31%のダンピング税を課すと発表した。
 PBTは自動車や電子部品に広く使われている。商務省は昨年6月に日台産について調査を開始、今年3月にダンピングの仮決定を下していた。(共同)

◎中国のネット人口、1億2300万人に(2006年7月23日、朝日新聞)
 中国のインターネット人口が6月末時点で、前年同期比19.4%伸びて1億2300万人に達した。このうち、小中高校生は3000万人に上り、高校生では半数がネットを利用している。中国共産党機関紙、人民日報がこのほど、中国インターネット情報センターの調査として伝えた。

◎中国、ニジェールでウラン獲得へ、原発増設が背景、資源外交加速(2006年7月22日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国が世界有数のウラン産出国ニジェールでのウラン開発を本格化する。中国は今年4月、オーストラリアとの間でウラン鉱石の貿易に関する協定に締結。これに加えて、ニジェールでの動きは、中国内で急ピッチに進む原子力発電所建設に対応するもので、中国は今後もウランをめぐる資源外交を加速させるとみられる。
 ニジェールは、カナダ、オーストラリアに次ぐウランの3大産出国で、世界の産出量の9%を占めるとされる。中国紙「東方早報」によると、ニジェールは今月中旬、同国北部のウラン鉱区で、中国の国営企業「中国核工業集団」傘下の関連企業3社に開発権を付与したと発表した。
 すでに、ニジェールのウラン鉱市場にはカナダやフランス、日本、スペインが進出、5月にはカナダが北部の開発権を得るなど、ニジェールのウランを巡って競争が激化している。
 一方、中国はオーストラリアとの協定締結で今後、年間2万トンのウラン鉱石の輸入を計画。北京の外交筋は「カナダともウラン輸入をめぐり交渉中だ」と指摘する。

◎中国の台風被害の「情報隠し」、地方政府を戒る通知(2006年7月22日、朝日新聞)
 今月中旬に中国華南地方を襲った台風の被害状況を巡り、中国民政省が21日、地方政府の虚偽報告を戒める通知を出した。国営テレビが湖南省政府の「情報隠し」を指摘したのがきっかけとみられる。事件事故や災害の対応を巡る中央政府、地方政府、メディアの緊張関係が深まっている。
 22日付の香港紙「明報」によると、民政省は21日、湖南、広東、福建など被災地の地方政府に「虚偽報告は許さない」との緊急通知を出した。
 背景となったのは、中央電視台が20日に放映した湖南省でのルポ。死者数は省政府が発表していた78人より大幅に多いはずだと「情報隠し」の可能性を指摘した。翌日、同省は死者が268人に達したと発表。「実態把握に手間取っただけ」としているが、民政省は緊急通知で地方政府を牽制(けんせい)した形だ。

◎中国:海外からの直接投資は微減、上半期(2006年7月15日、毎日新聞)
 中国商務省が15日までに発表した今年1~6月の海外からの直接投資実行額は284億2800万ドル(約3兆3000億円)で、前年同期比0.47%の微減だった。6月は54億3900万ドルで、前年同月比12.23%減と大きく落ち込んだ。
 中国は投資の先行きを示す契約ベースの金額を公表しなくなっているが、15日付の中国英字紙チャイナ・デーリーは、商務省のシンクタンクの研究員の話として「中国の労働コストの上昇などから、付加価値の低い産業分野では外国企業が投資を削減しつつある」との分析を伝えた。
 国・地域別では首位が香港で、英領バージン諸島、日本、韓国、米国が続いた。(北京・共同)

◎秦時代の墓から欧州系の人骨、学説より1世紀早く交流か(2006年7月2日、朝日新聞)


 中国陝西省西安市郊外にある秦(紀元前221~同206年)の始皇帝陵の近くの約2200年前の墓から出土した人骨が、DNA鑑定の結果、欧州系の特徴を持つ男性のものであることが、同省考古研究所や復旦大学(上海)などの研究グループの調査で分かった。始皇帝陵の建設労働に携わったとみられる。研究者は従来の学説より1世紀ほど早い時期に、すでに中国の中心部と中央アジアや西アジアなどの民族との間で交流があった可能性を指摘している。
 陝西省考古研究所によると、墓は2003年に始皇帝の陵墓の近くで見つかり、121人分の人骨が出土。このうち50人分の人骨について、復旦大学現代人類学研究センターに依頼し、DNA鑑定を実施した。担当した同センターの徐智さんによると、1人分の手と足の遺骨が、遺伝子的に現代の欧州系に多い特徴を持つ15歳以上の男性のものとみられることが判明した。前漢(紀元前202~紀元後8)の時代にシルクロードを通じた東西交流が盛んになる前に、中国と欧州系の民族との間に接触があり、遺伝子的な交流があったことも推測されるという。
 同考古研究所の段清波・研究員によると、多数の人骨が埋葬される形式から、墓は社会的身分の低い者たちが埋葬されたもので、欧州系の男も何らかの理由で中国に来て、始皇帝陵の建設に従事させられた可能性が高いという。段研究員は「始皇帝の中国統一の時期に文化や芸術面でも東西交流があったのではないか」と話している。

◎違法企業、百億円超を国外持ち逃げ、中国福建省(2006年6月27日、産経新聞)
 26日付香港各紙によると、中国福建省泉州市で高利息をうたい市民の金を違法に集めていた地元企業グループ、●(門がまえに虫)林集団の林鳳良総裁が今年4月、客の金10億元(約145億円)以上を持って国外逃亡した。同集団は直後に倒産、少なくとも10万人の市民が被害を受けたとみられる。
 地元の区幹部が収賄容疑で3月に当局の調べを受けたことから、捜査が及ぶのを恐れて逃亡したとみられ、公安当局が行方を追っている。福建省では以前、アモイ市で巨額密輸事件が起きており、主犯とされる頼昌星氏はカナダに逃亡中。林氏も同国に逃げたとの情報がある。(共同)

◎反日デモ:上海日本総領事館と上海市、原状回復で合意(2006年6月20日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】上海で昨年4月16日に起きた反日デモの際、投石などで破損した上海日本総領事館の外壁や窓ガラスなどについて、総領事館と上海市政府との間で、資材をすべて日本から輸入し、原状回復することで合意した。上海の外交筋が19日、明らかにした。北京の日本大使館と大使公邸は昨年末に工事が完了している。交渉が難航していた総領事館も反日デモから1年以上がたち、工事着手に動き出すことになった。
 外交筋によると、同市政府は5月下旬、総領事館の要求通りに原状回復すると通達した。同市政府の見積書では、工賃などは含まず、資材費だけで約4000万円に上る。現在は、総領事館と同市政府が業務を委託した中国企業との間で、工事の打ち合わせを行っている。資材の輸送などで、工事開始は早くても秋以降になる見通し。総領事館の割れた窓ガラスや外壁の傷は現在もそのままになっている。

◎中国で化学工場爆発、有毒物質流出(2006年6月16日、産経新聞)
≪大規模河川汚染の恐れも≫
 新華社電は15日、中国浙江省竜泉市を流れる竜泉渓近くの化学工場で同日、爆発事故が断続的に起き、有毒物質が流出したと報じた。地元当局は大規模な河川汚染に発展する恐れがあると警告した。
 当局によると、爆発が起きたのは、漂白剤などの原材料となる過酸化水素の製造工場。爆発は、同日午前から夜にかけて断続的に起きており、2人が行方不明になった。有毒物質が竜泉渓に流入する恐れが大きく、200キロ以上下流の沿海都市、温州市にかけた地域住民の飲料水に影響を及ぼす可能性があるとしている。
 現地では、多数の消防関係者が有毒物質を含んだ汚水が河川に流れ込まないよう、土砂を積み上げるなどの作業を急いでいる。(共同)

◎中国でまた軍用機墜落、少なくとも住民1人死亡(2006年6月14日、朝日新聞)
 14日付の香港各紙によると、中国福建省福州市で訓練中の人民解放軍機が墜落、現場近くにいた住民が少なくとも1人死亡した。中国では3日に安徽省で最新鋭の警戒管制機とみられる軍機が墜落し、40人が死亡するなど事故が相次いでいる。
 報道によると、12日午前、訓練中だった国産戦闘機「殱(チエン)7」型機が福州市郊外の工場付近に墜落。機体の破片に直撃された守衛が死亡した。パイロットは脱出して無事だった。

◎人民元、2度目の1ドル7元台(2006年6月14日、朝日新聞)
 中国の外国為替市場の人民元相場は14日午後、1ドル=8元を突破し、1ドル=7.9995元をつけた。昨年7月の為替制度改革後、7元台をつけたのは約1カ月ぶりで2度目となる。
 中国人民銀行は毎朝、その日の「基準値」を発表して為替取引を誘導している。14日の基準値は1ドル=8.0051元。この日は取引開始直後から元買いが進み、午後3時半ごろ8元を超えた。銀行間取引が終了する午後5時半を前に反落し、終値は1ドル=8.0005元だった。
 元相場は5月15日、元切り上げ後、初めて1ドル=8元を突破。7.9972元まで元高が進んだが、わずか1日で再び8元台に反落。その後、人民銀が発表する基準値は1ドル=8.01~02元前後で推移。日中の取引においても強い政府介入で元高が進むペースは抑えられていた。一方で、介入に伴うドル買いが、すでに世界一に膨らんだ外貨準備高をさらに膨らませることへの懸念も広がっていた。

◎米財務省:中国4社の資産凍結、イラン向け兵器拡散で(2006年6月14日、毎日新聞)
 【ワシントン木村旬】米財務省は13日、イランの大量破壊兵器(WMD)の拡散に関与したとして、中国企業4社と米企業1社に対し、在米資産の凍結と米国との取引禁止を命じた。WMD拡散防止のため、昨年6月に施行した大統領令に基づく措置。
 財務省によると、5社はWMDの運搬が可能なミサイル開発のため、資金・技術面などでイランの関係団体を支援した。
 同省は「世界中の政府がイランの活動を手助けしないように適切な措置を取ることを求められている」との声明を発表し、金融制裁への同調を促した。

◎「イランにミサイル関連部品」、米が中国企業4社を制裁(2006年6月14日、日本経済新聞)
 【ワシントン=藤井一明】米財務省は13日、イランにミサイル関連の部品を供与したことなどを理由に、中国企業4社と米企業1社に制裁を科すと発表した。商取引の禁止や在米資産の凍結などが柱で、他国にも同様の措置を取るよう求めた。アハマディネジャド・イラン大統領の中国訪問を目前に控え、イランの核開発問題などを巡り欧米と温度差を残す中国に、イランが接近するのを事前にけん制する狙いもあるとみられる。
 制裁は金融機関との取引停止などを通じて大量破壊兵器や、それを運ぶミサイルの拡散にかかわった企業や団体、個人の活動を制限するのが狙い。昨年6月、ブッシュ大統領が署名した大統領令に基づく。これまでに北朝鮮、イラン、スイスなどの企業や政府系機関への制裁を決めているが、中国企業や国内企業への適用は初めて。

◎中国:5月の貿易黒字、過去最高を更新(2006年6月12日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国税関総署が12日発表した5月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字額は前年同月比約44%増の130億400万ドル(約1兆4800億円)で、月間ベースで過去最高を更新した。繊維製品や携帯電話・部品などを中心に輸出が同25.1%の増加となり、同21.7%増だった輸入の増加ペースを上回った。
 今年1~5月の累計貿易黒字額は前年同期比56%増の467億9300万ドルに上った。このままのペースが続けば、05年通年の黒字額1018億ドルを超えるのは確実な情勢だ。
 輸出で増加が目立つのは携帯電話・部品や半導体チップなど。昨年以降の人民元相場上昇で輸出鈍化が懸念されている紡績や衣類製品なども1~5月の累計で2割以上の増加が続いており、影響は軽微にとどまっている。一方、輸入も原油や天然ゴムなどの一次産品を中心に増加した。
 米中貿易摩擦を背景に、5月上旬に一時1ドル=7元台に突入した人民元相場はその後同=8元台で足踏みしており、米国などから再び切り上げ圧力が強まりそうだ。

◎中国:北京市副市長解任、五輪前に首都のイメージダウンも(2006年6月12日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】北京市の劉志華副市長(57)が汚職にかかわったとして解任されたことで、08年夏季五輪を控えた首都のイメージダウンが懸念されている。劉氏は北京の都市計画を担当しただけに、五輪に向けた建設事業が腐敗の温床になった可能性もある。ただ、胡錦濤指導部は首都に潜む「膿(う)み」を出しきることで、国家の威信をかけた五輪に関係する腐敗を許さない決意を示したといえる。
 中国系香港紙「文匯報」によると、関係者からの通報によって共産党中央規律委員会が内偵を進め、解任に至ったという。関与した汚職の具体的内容が今後の審査の重点になると予測している。
 劉氏はインフラ整備、スポーツ、住宅や交通施設の建設などの分野を担当してきた。また、歴史的建造物・景観の保存や整備の責任者だった。
 中国政府は現在、北京五輪を前に400億ドルを投入し、北京の再開発事業に取り組んでおり、国際オリンピック委員会に対し「汚職のない五輪」を約束してきた。
 劉氏も重要な権限を持っていたようで、汚職のまん延が改めて証明されたと言える。
 しかし、腐敗の一掃は胡錦濤指導部の最優先課題の一つであり、おひざ元の北京も例外ではない。とりわけ国際的に注目を集める北京五輪に関係する工事・事業は透明性の高さが要求される。劉氏の解任は、今後への警鐘にもなりそうだ。

◎中国:北京市副市長を汚職で解任(2006年6月12日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】北京市の人民代表大会常務委員会(市議会に相当)は11日、劉志華副市長(57)が汚職にかかわったとして解任した。劉氏は北京の都市計画を担当しただけに、08年の夏季五輪に向けた事業が腐敗の温床になった可能性もある。胡錦濤指導部は首都に潜む「膿(う)み」を出しきることで、国家の威信をかけた五輪に関係する腐敗を許さない決意を示したといえる。
 常務委は「(劉氏の)生活が堕落した。証拠は明白で、極めて重大」と説明している。中国系香港紙「文匯報」によると、関係者からの通報によって共産党中央規律委員会が内偵を進め、解任に至ったという。
 劉氏はインフラ整備、スポーツ、住宅や交通施設の建設などの分野を担当してきた。また、歴史建造物・景観の保存や整備の責任者だった。
 中国政府は現在、北京五輪を前に400億ドルを投入し、北京の再開発事業に取り組んでおり、国際オリンピック委員会に対し「汚職のない五輪」を約束してきた。劉氏も重要な権限を持っていた模様で、劉氏には刑罰を含めた処分が下されるのは間違いない。
 首都・北京のイメージダウンは避けられないが、腐敗の一掃は胡錦濤指導部の最優先課題の一つであり、おひざ元の北京も例外ではない。とりわけ国際的にも注目を集める北京五輪に関係する工事・事業は透明性の高さが要求される。劉氏の解任は今後への警鐘にもなりそうだ。

◎中国人民解放軍用機が墜落、最新鋭機の可能性(2006年6月6日、朝日新聞)
 中国安徽省東部で3日、人民解放軍機の墜落事故があり、軍最高幹部が現場入りしたことなどから、軍が開発した最新鋭機だった可能性が専門家の間でとりざたされている。新華社は事故機は「輸送機」としているが、型式や原因などは依然、不明のままだ。
 新華社によると、事故は浙江省との省境に近い山中で起き、乗員40人全員が死亡した。胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席は原因究明と現場処理のための特別チームの派遣を決定。中央軍事委員会副主席の郭伯雄(クオ・ポーシュン)氏や解放軍幹部が現場入りした。
 3日の新華社電は輸送機事故としたが、香港の親中国紙大公報は5日、墜落したのは「早期警戒管制機」だったと報道。現場周辺を管轄する解放軍南京軍区保有の「KJ2000」型と「運8」型警戒機の性能などを詳しく紹介し、米軍やロシア軍にない新しいレーダー技術を備えた最新鋭機としている。
 香港紙によると、現場一帯は数キロの範囲で立ち入り禁止になっている。事故機は低空飛行で現場上空に入って墜落。墜落直前に空中で爆発したとする目撃証言もある。

◎軍事転用懸念リスト、14社削除を要求、中国、経産相に今年2度(2006年5月30日、産経新聞)
 製品や技術を核兵器開発などに転用される懸念があるとして、政府が輸出を規制している外国企業の一覧表「外国ユーザーリスト」をめぐり、中国が14社の自国企業の掲載を削除するよう求めていることが29日、わかった。ただ、リストは欧米諸国との情報交換を経て作成しており、日本単独で中国を「懸念なし」とみなすことはできない。日本の安全保障政策の根幹にもかかわるだけに、所管する経済産業省は中国の要求に応じない方針だ。
 経産省によると、中国の薄煕来商務相が今年2月、北京で二階俊博経産相と会談した際に要求を伝えた。今月27日に京都迎賓館で行われた会談でも、薄商務相は「ぜひユーザーリストから削除してほしい」と再び強く要請。このときは、両国の担当部局が意見交換を継続することで合意した。
 外国ユーザーリストは貿易管理の新制度「キャッチオール規制」とともに、平成14年に導入された。対共産圏輸出調整委員会(ココム)規制など従来の輸出管理制度は軍事転用の懸念される品目を規制してきたが、キャッチオール規制では懸念される企業をリストに挙げ、輸出する際には経産省の審査を受けることになっている。
 これまでも、イスラエルなどが日本の関係当局に自国企業の削除を求めてきた経緯はあるが、貿易管理の専門家は「閣僚同士の会談で正式議題に持ち込まれたのは初めてではないか」と指摘。そのうえで、「中国に核関連技術が渡ればパキスタンや北朝鮮に流出する可能性が極めて高い」と警告する。
 ただ、日本のリストは米国務省や商務省が作成したリストの情報が反映されたもので、同様のリストを持つイギリス、カナダ、ドイツなどとともに事実上、民主主義先進国による包囲網として機能している。
 2度にわたる中国の要求に対し、経産省幹部は「交渉事項にはあたらない」として受け入れない構えだが、貿易管理にあたっては協力関係も欠かせないことから対話は続けていくとしている。
 中国への輸出をめぐっては今年1月、ヤマハ発動機が大量破壊兵器に転用できる無人ヘリを中国企業などへ不正輸出したとして、経産省が同社を刑事告発している。

≪はっきりと断るべきだ≫
・安全保障に詳しい志方俊之・帝京大教授の話
 「中国の核技術は昔のソ連のコピーに過ぎないが、最近はロシアとの関係が良好でないこともあり、日本の技術が欲しくなってきたのではないか。中国にしてみれば『すでに核兵器を保有しているのだから、北朝鮮などと同列に核不拡散の対象として扱われたくない』という理屈があるのだろう。ただ、中国から他の国へ核技術が流出する恐れが高く、日本は対中輸出を規制する同盟国の枠組みから抜けるわけにはいかない。無理な要求は軽く聞き流し、できないことはできないとはっきり断るべきだ」

・外国ユーザーリスト
 政府が輸出者(個人・企業)に対し、核兵器や大量破壊兵器開発の懸念がある外国企業・団体の情報を提供するため公表しているリスト。最終的に利用する需要者(ユーザー)がリストに含まれている場合、外為法に基づいて経産省に輸出許可申請が必要とされる。今年4月に改訂されたリストには北朝鮮58、イラン42、パキスタン24、中国14、シリア6など計9カ国、185社が掲載されている。

◎黄砂よりも紫煙、中国の喫煙人口は世界の約3分の1(2006年5月29日、読売新聞)
 【北京=末続哲也】中国衛生省は29日、中国の喫煙状況についての報告書を発表し、2002年の中国の喫煙者が推定約3億5000万人に上り、世界の喫煙人口(約11億人)の約3分の1を占めると明らかにした。
 報告書は、喫煙の抑制が「民族の隆盛にもかかわる」と指摘し、公共の場での禁煙を法制化するなど、対策の必要性を訴えた。
 報告書によると、中国で肺がんなど喫煙による疾病で亡くなる人は年間約100万人で、2020年には200万人に倍増する見通しだ。喫煙者の若年化も進んでいる。
 中国は、全世界の約3分の1のたばこを産出する一大生産国でもある。たばこ産業に依存する地域も多く、喫煙の危険性を啓発する活動が滞りがちとの見方もある。

◎ミリタリーバランス:中国軍事費、公表額の1.7倍に(2006年5月25日、毎日新聞)
 【ロンドン山科武司】英国際戦略研究所(IISS)は24日、国際軍事年鑑「ミリタリーバランス06」を公表し、中国の実際の軍事費が公表額の1.7倍に上るとの見方を示した。
 年鑑によると、中国の公式の03年軍事関連予算は1907億元(約230億ドル)だったとされるが、IISSの試算では3284億元に達しているという。当時の為替レートなどを勘案すると396億ドルに相当し、国内総生産(GDP)の2.7%を占めるとされる。米国は3.7%、英国は2.4%だという。
 年鑑は中国が沿岸地域で海軍やミサイル部隊を中心に軍備近代化を進めていると指摘し、「欧米や周辺地域の緊張が強まっている」と分析した。
 また、紛争地で民間軍事会社の役割が拡大している理由について、年鑑は軍事費抑制の経済的側面に加え、紛争長期化で正規軍駐留が困難になる局面が増えたためと分析、「規制する国際法は整備されておらず、活動を制御できない恐れがある」と懸念を示した。イラクでは現在1万5000~3万人の民間軍事会社社員が活動しているという。

◎中国軍のミサイル、台湾対岸に710~790基・米報告書(2006年5月24日、日本経済新聞)
 【ワシントン=丸谷浩史】米国防総省は23日、中国の軍事力に関する年次報告書(2006年版)を公表、「中国の軍事力は台湾海峡だけでなく、資源や領土をめぐる紛争にも適応できる能力になりつつある」と、強い懸念を示した。具体例として台湾対岸の短距離弾道ミサイルが年平均100基のペースで増加、すでに710~790基が配備済みと指摘した。
 報告書は中国の実際の国防予算が公表額の2倍から3倍に達している可能性があると分析。06年は700億~1050億ドルにのぼり、最大の場合、日本の防衛予算(06年度、約4兆8000億円)の2倍以上になると推計した。同時に「(実際の軍事力が)明らかでない状況が続けば、国際社会が中国の軍事力拡大に防御策を講じるようになるのも理解できる」と、中国軍の透明化を促した。
 中国のミサイル能力については、能力増強と性能向上が進んでいると指摘。そのうえで台湾海峡をめぐる情勢は「中国の経済成長、増大する外交的影響力、軍事能力の改善により、中国側に傾いている」と分析した。

◎独シーメンス:鉄道、通信、発電など中国から大量受注(2006年5月22日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国を公式訪問しているドイツのメルケル首相は22日、時速200キロ以上で走る高速鉄道の開発や欧州・アジア間の貨物輸送促進などの経済分野の合意書に調印した。これに合わせて中国を訪れているドイツ大手企業グループのシーメンスが、鉄道、通信、発電、医療機器の各分野で中国側と広範な取引契約を結んだことも明らかになった。新華社などが伝えた。
 シーメンスが中国側と結んだ契約の中には、中国鉄道省が発注する車両納入に伴う技術協力も含まれているが、日本企業と受注を競っている「北京-上海間」などの高速鉄道のどの区間にかかわる契約なのかなど、詳細は明らかになっていない。
 また、同社は中国移動通信や中国ユニコムとの間で、第3世代携帯電話網の運営システムや設備の納入にかかわる合意書にも調印した。

◎中国:炭鉱事故で44人不明、炭鉱側が虚偽報告の可能性(2006年5月20日、毎日新聞)
 中国山西省大同市の炭鉱で18日に出水事故が起き、炭鉱労働者44人の安否が不明になっていることが、地元当局の20日夜までの調査で分かった。新華社が同日伝えた。
 新華社電によると、炭鉱では事故当時、145人が作業中で、このうち101人は自力で逃げ出したが、44人が閉じ込められた。不明者の救出作業が続いている。
 事故を起こした炭鉱の関係者は事故直後、不明者数について「5人」と当局に報告していた。このため、新華社電は、炭鉱側による虚偽報告の可能性を指摘している。(北京・共同)

◎中国のブログ人口、来年1億人に迫る見込み(2006年5月10日、朝日新聞)
 ネット上で個人が日記風に書き込んで簡単に情報発信できるブログの中国での登録者数が急増し、来年には1億人に迫りそうだ。一方で、ネット隆盛のあおりを受けた新聞業界は苦境にあるとの指摘が出ている。
 中国社会科学院や清華大学がまとめた「メディア青書―06年中国メディア産業発展報告」によると、中国でのブログ登録者は、昨年末の1600万人から、今年中に6000万人を突破。来年は9900万人に達すると予測される。同書は、登録者急増により「ブログが大衆化し、ネットの発展が個人化の時代を迎えた」と指摘した。
 一方で、同書は新聞については、広告収入が減少しているとともに、若者の新聞離れが進んでいると分析。特に「人民日報」や「経済日報」などの党や政府の機関紙は「説教というメディアが決してやってはならないことをしている」ため、信頼性と影響力が低下しており、「読者の支持を得られなければ、他メディアに取って代わられる危険に直面する」との厳しい見方を示した。
 日本の総務省によると、日本でのブログ登録者数は、3月末で868万人。

◎割りばし:輸入先・中国が生産制限、弁当業界などに影響(2006年5月9日、毎日新聞)
 使い捨ての代表格として、国内で年間約250億膳(ぜん)が消費される割りばし。その9割を占める輸入先・中国が生産制限を決め、弁当や外食など関連業界に影響が出始めている。安さに飛びつき、国内生産地を切り捨ててきたツケとも言え、業界・消費者双方に農林業生産空洞化の問題を示す一例だ。【小島正美】
 “中国ショック”は2段階で到来した。最初は昨年11月、中国の輸出団体が「原木の高騰」などを理由に、日本割箸(わりばし)輸入協会(大阪市)に50%もの値上げを通告してきた。それでも中国産は1膳約1~2円。国産は同2~20円程度なので、まだ価格面の優位性は動かなかった。
 ところが今年3月、今度は中国政府が「森林保護」を理由に生産を制限し、将来的には輸出も禁止すると決めた。建築には使いづらいシラカバや他の間伐材を主原料にしているが、森林乱伐による洪水や砂漠化などが問題化する中、矛先の一つになった形だ。
 では、日本国内の状況はどうか--。実は20年前まで、割りばし生産量の約半数は国産だった。ところが90年代以降の低価格競争の波の中、安い中国産が急激に増え、気が付けば9割を超えるまでになっていた。
 国内の2大産地は北海道と奈良。高級品主体の奈良は今も命脈を保っているが、中国産と競合した北海道は壊滅状況だ。85年当時、北海道には生産会社が約70社あり、約1900人の従業員がいたが、04年現在で8社約40人にまで激減した。山口晴久・同協会広報室長は「このままだと、いつ割りばしがなくなってもおかしくない状況になってきた」と危機感を抱くが、一度減った生産量は簡単には戻らない。
 外食や安売り店には、既に影響が出ている。100円ショップなどに割りばしを卸すアサカ物産(東京都三鷹市)は、1袋80膳入りを50膳入りに変えてコストアップに対応し始めた。
 全国で約760店の居酒屋などを展開するマルシェ(大阪市)は年間約1500万膳を使ってきたが、2月からフランチャイズを含めた全店でプラスチック箸に切り替えた。さらに、直営の約250店では「MY箸」ポイントカードを作り、はしを持参した客には1回50円のポイントを付け、10ポイントで500円分の飲食をサービスするほか、50円を自然保護団体に寄付する活動を始めた。直営の居酒屋「酔虎伝・新宿三丁目店」(東京都新宿区)の石本千貴店長は「割りばし廃止への苦情はありません」と安堵(あんど)する。
 一方、コンビニ業界は「物流コストの削減などで吸収する」(セブン&アイ・ホールディングス)「しばらくは現状のまま」(ローソン)と、推移を見守っている状況。
 輸出禁止は本当にあるのか、あるとすればいつか。今後は中国政府の動きにかかっているが、山口室長は「弁当や外食なども、いずれ消費者がお金を払って割りばしを買う時代がくるのでは」と予測している。

◎グーグル中国名「谷歌」に反対署名、「ダサい」と悪評(2006年5月3日、朝日新聞)
 インターネット検索エンジン最大手の米グーグルが中国国内で運営するサイトの中国名「谷歌(クーコー)」に対し、利用者から「やぼったい」「がっかりした」と反対の声があがり、名称変更を求めるネット署名の輪が急速に広がっている。2日までに全国から1万2千人を超える署名が寄せられた。
 グーグルが4月12日に北京で発表した。「谷」は「穀」の簡体字で、「谷歌」は「豊作の歌」という意味。中国の伝統文化を強く意識しつつ、検索を通じ様々な情報を収穫している姿をなぞらえたといい、グーグルにとっては初めての外国名となった。「谷歌」のイメージビデオでも、山水画を背景に使い、中国の利用者への浸透を狙っている。
 しかし、名称発表直後から、ネット上では利用者から反対の声が続々あがり、同17日には名称変更を求める署名サイトが立ち上がった。「グーグルは命名に際し、利用者を尊重せず、透明・平等・公開という同社の一貫した文化に反した」として、「谷歌」への反対を呼びかけた。
 賛同して署名した人の多くが、グーグルの「新鮮で個性的なイメージ」に比べて、「谷歌」は「あまりに伝統的でやぼったい」「似合わない」と主張。中には「国歌(クオコー)と発音が似ていて嫌だ」と、グーグルの当局寄りの姿勢を暗に批判したと受け取れる声もある。
 急成長する中国のネット市場への食い込みを図るグーグルは1月、中国進出に際して、中国の法や規制に従って当局が禁止するサイトを検索結果に表示しないと表明。米議会からは、中国の情報規制に手を貸すとして厳しい批判が出ている。

◎「地下工場きりなし」、中国の海賊版市場、実態を追う(2006年5月2日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】「中国は海賊版の根城だ」と米国が強く非難する知的財産権侵害問題。中国政府も取り締まりの姿勢をみせているが、街中には海賊版があふれ、減る気配すらない。海賊版はどこで製造されどう売られているのか。
 「黒社会」(暴力団組織)に所属し、路上で販売している男性に同行し、その実態を追った。28歳になる劉敦球(仮名)は河南省の出身。14歳で家を出た後、盗みやゆすりで日銭を稼いでいた。10代のころは「野宿の毎日だった」と話す。午前、劉は北京市内の「東郊市場」に足を運んだ。ある売り場で顔見知りの販売員が、袋詰めにした千枚の海賊版DVDを段ボール箱から取り出し劉に差し出した。米国や日本、中国の映画がほとんどだ。「表向きは電子製品の販売業。裏で海賊版を売るんだよ」と劉。市内には何カ所も裏市場があり、劉はその裏市場をすべて具体的に話す。
 劉とこの販売員によると、DVDはほとんどが広東、浙江省の「地下工場」で製造される。北京で最近、工場の「ボス」が摘発されたが、影響はないという。
 「地下工場」で海賊版を製造する機械は1台200万元(約2800万円)。工場全体の設備投資には約1000万元(約1億4千万円)かかっているという。
 工場の労働者は周辺の農民たち。最低1週間は工場に閉じ込められ、外出も携帯電話も禁止される。「家族構成も徹底して調べる。密告を防ぐためだ」という。
 劉は、工場から「運び屋」によって市場に届けられた1枚2.1元(約30円)のDVDを2.5元(約35円)で仕入れ、倍の5元(約70円)で販売する。1日70枚程度が、数時間でさばけるという。ほかにも、借金の取り立て代行や航空機のチケット販売などで稼ぎ、月収は5000元(約7万円)ほどだと話した。
 海賊版販売で摘発されたこともあるが、拘留されたことはない。「知り合いが多いから大丈夫だ。5000枚以下の所持・販売で捕まってもすぐに釈放される。警察も闇の流通規模が大きすぎて、つかまえようともしない」。
 米通商代表部(USTR)はこのほど、年次報告書を発表、米製品の海賊版が出回る中国を「容認できないほど深刻だ」と厳しく批判した。
 「4月の胡錦濤(国家主席)の訪米後、確かに流通量は減った。でもいずれ元に戻る。工場から販売までいくらでも人はいる。当分はこの仕事をするつもりだ」。そう話す劉は、下水道のふたを開けると、隠していたDVDの詰まったバッグを取り出した。

◎黄砂、4年ぶりの猛威、中国では死者(2006年5月2日、朝日新聞)
 黄砂が4年ぶりに東アジアで猛威をふるっている。発生源に近い中国では砂嵐で死者が出た。風下の韓国では外出も思うに任せない。日本でも今年は降る範囲が広く、しかも長引く見込み。今年の五月晴れは、ちょっと視界が悪そうだ。


 中国北部では今春すでに13回黄砂が吹き、02年以来の多さとなった。各地で黄砂による被害が伝えられている。内陸部・甘粛省では4月9日、工事現場に向かっていた男性18人が黄砂の嵐で行方不明になり、うち2人が死亡した。黄砂の飛散が多い内モンゴル自治区のフフホトでは、呼吸器の異常を訴えて診察を受ける人が例年より5割も増えたという。
 同16日夜から17日にかけては30万トンもの黄砂が降り注ぎ、「砂漠のよう」(国営新華社通信)になった北京では、「08年の五輪の最中に黄砂が吹いたらどうするのか」と心配する声が出始めた。国家林業局の担当者は「五輪が開かれる8月には例年黄砂は少ない」「植林などの防止策が08年までには成果をあげる」。当局は懸念の打ち消しに必死だ。
 ソウルは今年、延べ11日間も黄砂の来襲に見舞われた。33年間の平均3.6日を大きく上回り、新聞は「黄砂テロ」などと報じた。「子どもやお年寄りが外出できない」と市民にいらだちも募る。


 中でもひどかった4月8日の飛散は「スーパー黄砂」と呼ばれた。「大したことはない」と予報した気象庁に抗議が殺到。李萬基(イ・マンギ)長官が同庁始まって以来の「国民への謝罪」を表明した。
 「テロ対策」として、なぜかブタの三段バラ肉焼き「サムギョプサル」が大流行している。ブタの脂やニンニクが「のどのホコリを退治する」と信じられ、普段は宴会のごちそうなのに、昼から店がごった返す。
 家電メーカーによると、空気清浄機も平時の倍以上売れ、外出も控えるため通信販売の比率が全体の8%から倍増したという。
 全国的に黄砂に注意するよう呼びかける黄砂情報は今年、すでに4回出た。02年の最大の飛来を受け、気象庁が04年から出しているが、昨年までは1回しか出ていない。
 気象研究所の田中泰宙研究官は「中国内陸部が乾燥しているうえ、偏西風の蛇行が日本に黄砂を持ってきやすいコースになっている。5月からは徐々にコースが変わるが、今年は黄砂の飛来が少し長めになるかもしれない」と心配する。
 気象庁によると、今年日本で黄砂が確認された「のべ日数」は、4月30日現在で572日。1カ所で確認されれば1日で、10カ所で観測されれば10日という計算だ。すでに過去3年を大幅に超えた。東京都心で6年ぶり、千葉市で18年ぶりなど東日本でも目立つ。
 今年の大量飛来の原因の一つは、中国内陸部の高温少雨だ。気象庁によると、中国東部や中央アジアでは3月の平均気温が平年に比べて最大で6度も高い異常高温となった。高気圧に覆われ、晴れて降水量も少ない。
 飛来する黄砂の粒子も気になる。名古屋大学大学院環境学研究科の長田和雄助教授らは、富山県の立山連峰で、雪に交じる黄砂の分析を進める。
 通常の数倍、直径0.01ミリ以上の粒子も見つかっている。この大きさだと通常は、中国や韓国で落ちてしまうはずだ。
 さらに、アジアで顕著なのが、黄砂や汚染物質でできるとされる「褐色の雲」だ。気象研究所は中国とともに、この雲の解明を進めようと計画している。三上正男・第二研究室長は「通常の雲と違い、発生の仕組みはわかっていない。褐色雲を含め、黄砂が東アジアの気候にどんな影響を与えるのか、各国が協力して解明していく必要がある」と話している。

◎黄砂被害:中国・北京の晴天日が減少、大気汚染が深刻化(2006年5月1日、毎日新聞)
 新華社電によると、北京市環境保護局は29日、黄砂の影響による大気汚染が深刻化し、今年1月から同日までの北京の晴天日数が昨年の同じ期間と比べて16日少ない60日だったと発表した。
 同局によると、モンゴルと中国内モンゴル自治区の降水量が少ないことが原因で黄砂被害が多発、これまでに7回被害に見舞われて「重度の大気汚染日」は17日を数えた。
 中国は5月1日からメーデーに合わせた1週間の大型連休に入る。北京市気象台は20日、連休中に黄砂被害は発生しないとの予測を発表した。(北京・共同)

◎中国でマネーロンダリング法が8月にも採択(2006年5月1日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国が初の「マネーロンダリング(資金洗浄)対策法」(中国名・反洗銭法)を導入する。官僚や銀行員らが違法に得た公金や資金を海外に持ち逃げるケースが後を絶たず、1978年末の改革・開放路線の推進以来、30年弱で計4000人の官僚らが約500億ドル(約5兆7000億円)を海外に持ち逃げしたとされるだけに、この法案は国家財産を守るとともに、国民から批判をかわす目的があるとみられる。
 法案は開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で審議されており、8月にも採択される見通しとなった。法案では資金洗浄取締り協力機関として、金融機関以外に、不動産、宝石店、会計事務所などを指定した。一定の条件を満たす公務員が口座開設する場合などの身分照会を強化し、資金の往来についての監督を行う。

◎毛沢東のナゾ解明 “遺産”は約20億円(2006年5月1日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】香港紙「大公報」(電子版)などはこのほど、これまで謎とされてきた毛沢東主席の“遺産”について、「原稿料による収入が2001年5月時点で累計1億3121万元」と伝えた。現在のレート(1元=約15円)換算で約19億7000万円に上る計算。妻だった江青氏は5回も原稿料を渡すよう党に迫ったが、「毛主席の著作は全党の知恵の結晶」と拒絶されたという。
 北京で出版された雑誌「党史文苑」などで明らかになったとしており、文化大革命初期の1967年10月、毛主席自身が調べたところ、原稿収入は570万元。毛氏が死去した直後の76年12月、ボディーガードを務め、党副主席にもなった汪東興氏が調べると、原稿料は7580万元に増えており、「党中央中南海第一党小組」の名義で中国人民銀行(中国の中央銀行)に預金されていた。
 毛氏の個人名義の口座は中国銀行中南海支店にあり、通常80万、90万元の預金が蓄えられていたが、毛主席は年間で1万元も使わず、晩年はほとんど手をつけなかったという。

◎中国とイラン、11兆円の石油・天然ガス開発契約へ(2006年5月1日、読売新聞)
 【テヘラン=工藤武人】イランのメヘル通信は29日、中国の劉振堂・駐イラン大使が、イランでの石油と天然ガス開発をめぐる専門家による調査が終了し、両国が総額約1000億ドル(約11兆4000億円)の契約に近く調印する見通しを明らかにしたと伝えた。
 同通信は、イラン石油省の代表団が近く中国を訪問し、正式に調印する予定としている。
 劉大使は、核問題に絡んで米国が対イラン制裁を課そうとしている動きについて、「イランによる中国への石油売却を米国が妨害するなら、米国は同量の石油を中国に売却してくれるのか」と批判。「いかなる国も契約を阻むことはできない」と述べ、イランでのエネルギー開発を推進する意向を強調した。
 イラン核問題への対応をめぐり、中国は、イランへの経済制裁も辞さない構えを見せる米欧とは一線を画し、制裁に一貫して消極的な立場を取っている。

◎ゴルフの元祖は中国の球技?・中国が主張(2006年4月26日、日本経済新聞)
 【北京26日共同】中国ゴルフ協会と故宮博物院などの研究チームは26日、12世紀の北宋時代に中国でゴルフの原型に当たる球技「捶丸」が始まっていたと発表、文献などに基づいて復元した木製クラブやボールを公開した。
 捶丸は中国語で球を打つという意味。ゴルフの原型は14~15世紀にスコットランドで行われていた球技とされるが、異説もある。研究チームは元代の文献に、12世紀前半の北宋時代に捶丸が既に流行していたとの記述があり「捶丸がゴルフの元祖といえる」と主張している。
 元代には貴族の遊びとしてルールもほぼ確定。故宮博物院所蔵の明代の絵画にも皇帝や女性が捶丸を楽しんでいる場面が描かれているが、清朝が国民の体育活動を規制してから衰退したという。
 崔楽泉・中国体育博物館研究員は起伏のある競技場でホールに球を入れる形式や、条件に応じて複数の「クラブ」を使い分けることなど「捶丸」と現代のゴルフは共通点が多いと指摘した。

◎黄砂防止で国際協力の強化を訴え、中国林業局(2006年4月20日、朝日新聞)
 中国国家林業局の劉拓・防砂治砂弁公室主任は20日の記者会見で、今春観測されている大規模な黄砂に関連し、発生防止のため「全世界の共同の努力が必要だ」として国際協力の強化を訴えた。原因としては、国土の砂漠化に加え、天候の影響が大きいとの見方を示した。
 今春、北京ではすでに10回黄砂が吹き、年平均の6回を上回っている。
 同主任は植林などの黄砂防止策について「我が国は発展途上国であり、任務の重さに比べて資金の投入が少ないという矛盾が突出している」と述べ、資金が不足している現状を明らかにした。
 黄砂発生の最大の原因としては国土の砂漠化を挙げた。05年の調査で砂漠が国土の18%に達し、1年間に1280平方キロ増加したという。この春は、中国北部で例年に比べ気温が高いうえ極端な少雨だったため、地表の乾燥が激しく、発生しやすくなったと説明した。

◎中国:1~3月期GDP成長率、前年同期比10.2%(2006年4月16日、読売新聞)
 【北京・大塚卓也】中国の胡錦濤国家主席は16日、台湾国民党の連戦名誉主席との会談の中で、中国の06年第1四半期(1~3月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比10.2%だったことを明らかにした。3月の政府活動報告では06年の成長率の計画値を8.0%に設定したが、これを大幅に上回るペースで、通貨・人民元に対する米国などからの切り上げ圧力が一層強まる可能性がある。
 胡主席は成長率の内訳には言及していないが、前期比で26.6%の大幅増となった輸出や、引き続き好調な固定資産投資などが成長の主因となった模様。昨年7月以降の人民元高は、現段階では成長鈍化の要因にはなっていないとみられる。
 会談で、胡主席は「中国の成長は台湾とのより多くの経済貿易協力にとって好ましい環境を生み出す」と強調。その一方で「我々は過度の経済成長は追求していない。重要なのは経済の効率を高め、省エネや環境保護、国民生活の改善に注意を払うことだ」と述べた。

◎台湾の工作機械、中国が軍事転用(2006年4月12日、産経新聞)
 【台北=長谷川周人】台湾製の超高精度な工作機械が中国で大量に軍事転用され、武装ヘリコプターの攻撃能力を高めるなど、中国軍による兵器近代化に利用されていることが11日分かった。中国が800基を超える短距離弾道ミサイルを台湾に向けて配備するなか、台湾企業の技術がその下支えをするという皮肉な実態が浮き彫りになった。
 台湾の国防当局関係者らによると、中国での軍事転用が確認されたのは、NC(数値制御)旋盤加工と呼ばれる1000分の1ミリ単位の超高精度で金属を加工する台湾製の特種工作機械。昨年の後半段階では、ミサイルの発射装置に使うステンレス部品の加工のため、少なくとも数十台がフル稼働していた。
 部品の形状などから攻撃ヘリに搭載する発射装置とみられるが、中国海軍主力の「直昇9C(Z-9C)」は対潜ヘリで、対戦車、対空ミサイルは搭載していない。
 このため台湾の国防当局では「問題の部品は軽量化が施された多連装式で、陸軍が中国初の本格的な攻撃ヘリとして、台湾上陸作戦も視野に入れて開発した『武直10(WZ10)』に搭載されると考えられる。超高精度加工は精度向上などが目的とみられる」と分析する。

◎日中の税関、支援協定を締結、水際の取り締まり強化(2006年4月2日、朝日新聞)
 日中両国政府は2日、税関当局同士の情報交換手続きを簡素化して、密輸品などの水際での取り締まりを強化する「税関相互支援協定」を締結した。同日発効。違反業者の情報を共有して、不正薬物や鉄砲の密輸の取り締まり、知的財産権の保護などでの協力をしやすくするのが目的という。
 日本は同様の協定を米国や韓国ともすでに結んでいる。中国との交渉は昨年10月の小泉首相の靖国神社参拝によって日中関係が悪化し、締結が遅れてきた経緯がある。

◎中国の国民の85%、生活苦しいと感じる、経済成長の裏、激しい負担増(2006年3月23日、産経新聞)
 【北京=福島香織】急激な経済成長を続ける中国だが、国民の85.3%はいまの生活が10年前より苦しくなったと感じていることが分かった。
 中国青年報などが中国各地の住民7625人を対象に行ったアンケート調査結果をもとに報じた。78.8%が10年前より収入がアップしたとする一方、85.3%が生活の負担が重くなったと答えている。
 中国国家統計局によると、1996年から2005年の10年間で、収入の平均上昇率が消費者物価指数(CPI)の上昇率を上回っており、統計値からみれば生活は楽になっているはず。しかし、中国のCPIが採用する基準が20年前のもので、市民生活を圧迫する3大問題の住宅費、教育費、医療費が含まれていない、あるいは正確に反映されていないことが、このような庶民感覚のギャップを生んでいるようだ。
 例えば、住宅価格は1世帯の年収の3倍から6倍が正常とされるが、中国の都市住民は住宅購入のために平均13.4年分の年収をつぎ込んでいる。上海や杭州、温州など住宅価格が高騰している都市では年収の20倍にも達する。
 さらに、大学の1年間の学費は、20年前は200元(約2800円)だったものが、いまは5000元(約7万円)と25倍にも上る。
 衛生省の統計によると、医療費の総額はこの20年で40倍になり、個人負担も医療費の21.2%から55.5%に膨れ上がっている。中国では健康保険制度が未整備であることが背景にある。最近ではこれに老人介護費の問題が重くのしかかっている。
 今回の調査によって、中国では表面的豊かさとは裏腹に、マクロ統計に現れない負担が庶民の暮らしを強く圧迫しており、中国政府が目標としている「小康社会(ややゆとりある生活)」の実現にはほど遠い実態が浮き彫りになっている。

◎兵器輸入、中国が最大、01~05年に計1.5兆円(2006年3月23日、産経新聞)
 中国の通常兵器輸入総額が2001~05年の合計で133億4300万ドル(約1兆5600億円)と世界最大だったことが23日までに、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)がまとめた最新推計で分かった。中国は年別でも04年、05年と2年連続でトップだった。
 中国は国防費の実態が不透明と批判される中、日本や米国が懸念する急速な軍事力増強が数字で裏付けられ、特に航空戦力強化を重視していることをうかがわせた。01-05年合計は、中国の次がインドで、原油高によるオイルマネーで潤う中東諸国もここ数年で台頭。世界の兵器輸出市場は3年連続で拡大した。(共同)

◎割りばしにも課税、中国、12年ぶり消費税見直し(2006年3月23日、朝日新聞)
 中国政府は4月から、消費税率を12年ぶりに大幅に改定し、大型車やゴルフ用品、プレジャーボート、高級腕時計などのぜいたく品へ新たに課税したり、税率を引き上げたりする。木材の浪費と環境汚染を抑制するため、割りばしなど木製の使い捨てばしにも5%課税する。環境意識の高まりから、各地の人民代表大会(議会)などで、対日輸出も多い割りばしへの批判が強まっていた。
 一握りの富裕層向けのぜいたく品とみなされたゴルフ用品やプレジャーボートは10%、何十万円もする高級時計には20%を新たに課税。一方、シャンプーやスキンケア用品などの普及品は、一部の高級品を除いて課税対象から外す。
 自動車の消費税率は、省エネ推進のための小型車普及を狙い1~1.5リットルの排気量車は2%引き下げて3%とし、4リットル以上なら20%など段階的にした。ただ、税率格差は需要の中心の2リットル車前後で数%と小さく、「調整力には乏しい」(地元紙、新京報)との指摘がある。
 中国は94年、たばこや酒、自動車など「ぜいたく品」11品目に対して消費税を導入した。

◎中国、中南米・アフリカ進出、米安保の脅威(2006年3月9日、産経新聞)
・セミナーで専門家、資源獲得へ軍事援助も
 【ワシントン=古森義久】中国の中南米とアフリカへの資源獲得のための進出が独裁政権を支援し、軍事援助をからめるという形が多いという点で、米国の安全保障への侵害にもなるという懸念が七日、ワシントンの大手研究機関でのセミナーでブッシュ政権に近い専門家たちから表明された。
 ブッシュ政権に近い大手シンクタンクのヘリテージ財団は七日、「アフリカと中南米で拡大する中国の影響力」と題するセミナーを開いた。同財団の中南米専門研究員のスティーブ・ジョンソン氏は中国が石油や希少金属などの資源獲得のため中南米のベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、チリ、ウルグアイ、ボリビアなどに貿易、投資、経済援助という形で進出し、とくにベネズエラからの石油輸入を急増させている現状を報告した。
 同氏はこの中国の動向が一般の国々とは異なる特徴として、(1)単なる企業ではなく国家機構自体が当事者となっている(2)経済交流に軍事援助をからませる場合が多い(3)交流の相手に非民主主義の独裁国家が多い(4)交流の方式では人権尊重などの国際規約を守らない-などという諸点をあげた。
 とくに中国はベネズエラ、ボリビア、ニカラグアなどに戦闘機や空対地ミサイルを供与し始めたという。
 有力民間コンサルタント企業のブーズアレン社の中南米専門家エバン・エリス氏も、中国の中南米進出の主要動機は自然資源の獲得だとして、中国の中南米からの輸入が昨年は千三百七十億ドルと前年比26%の増加となった点を強調した。
 エリス氏はさらに、(1)反米チャベス政権のベネズエラからの石油は中国の石油輸入全体の20%にまで急増した(2)中国は最近、チリに二十億ドルを投入して、銅の独占的な調達の権利を得た(3)中国は同じ反米のモラレス大統領が政権を握るボリビアにも急接近して天然ガス開発などのために三十五億ドルの投資をした(4)キューバには新たにニッケル獲得のために四億ドルを投資した-ことをあげて、中国の中南米での動きには反米政権への協力が目立つと指摘した。
 ヘリテージ財団のアフリカ専門研究員のブレット・シェーファー氏は、アフリカでも中国は中南米と似た進出が目立つとして、スーダンでの地元石油機構の40%の株保有による大規模な石油調達、アンゴラでの二十億ドルの融資提供による石油開発権利の獲得、ナイジェリアでの原油獲得、ザンビアでの銅獲得、リベリアなどでの木材調達などの具体例をあげた。
 同氏はそのうえで中国のアフリカでの接近の相手はほとんどがスーダンやジンバブエのような独裁の無法国家だと述べ、スーダンに対してはとくに兵器供与や軍事教育などの軍事援助が顕著だと報告した。

◎鳥インフルエンザ、中国で10人目の死者(2006年3月8日、日本経済新聞)
 【上海=渡辺園子】浙江省衛生庁は8日、同省安吉県の9歳の少女が毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザのため6日に死亡したことを明らかにした。中国ではこの少女を含めこれまでに15人の感染を確認し、うち10人が死亡している。浙江省での死者は初めて。

◎中国、失地農民4000万人、突然の略奪、揚げ句…犯罪者扱い(2006年3月7日、産経新聞)
 中国では開発に伴う農地収用で土地を失った農民は4000万人に上るといわれ、土地問題を主な原因とする農民の暴動を含む住民の集団抗議行動は、昨年だけで8万7000件に達した。5日に開幕した全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で温家宝首相は社会のひずみを是正、発展から取り残された農民ら弱者を救済する方針を強調した。しかし、実際に土地を奪われた農民には、救いの手はほとんど届かず、不満は高まるばかりだ。(北京 野口東秀) 
 始まりは1997年秋だった。山西省臨汾市の村に住む楊如梅さん(45)の土地に突然、10人ほどの男がトラクターで乗りつけ、農地を徹底的に踏みつぶした。夫婦でやめさせようとしたが、髪をつかまれ殴られた。「村幹部が加わっていた。警察官2人も見ているだけ。私は農地の写真を撮るしかなかった」
 楊さん夫婦の農地は0・3ヘクタール。白菜、トウモロコシなどを栽培。小麦の生産は年350キロ、羊も放牧するなど食糧以外に年間6、7000元(1元約14・5円)の現金収入があり、そこそこの暮らしだった。それが突然、村から土地の明け渡しを要求された。最初に襲われたのはその直後だった。村の幹部に掛け合ったが、十分な補償も得られないため、裁判に訴えた。
 ところが判決を待っていた2003年6月21日。楊さんの家の畑は再び襲われた。8月には鉄パイプを持った男たちが自宅に押しかけ、子供2人も殴られた。しばらくすると、今度は4人の男たちが無断で楊さんの農地を耕していた。やめさせようとしたが、男たちは楊さんを殴り、言い放った。「土地はおまえらのものじゃない」
 03年12月に出た判決は、「村民委員会は13万7000元余を賠償せよ」と楊さんの訴えを認めたが、いまだ1元も支払われていない。
 楊さんは山西省や臨汾市政府などへ「直訴」を始めた。ところが04年8月、自宅に公安当局者が来て拘束された。公安当局者は「あの農地を村に渡していたら罪には問われることはないんだ」と言ったという。
 「地元じゃ解決できない」と思った楊さんは、同年10月末から北京に出た。高架下や駅で野宿し、政府機関を陳情して回った。拘束されては地元に送り返され、05年1月、ついに詐欺容疑で逮捕された。
 親戚(しんせき)を通じ、裁判で認められた13万7000元を放棄し、直訴をやめれば罪は問わないと言われたが、結局詐欺罪で有罪となり、懲役1年、執行猶予1年の判決を受け、控訴した。
 その後、再び北京に出て直訴を再開。貯金も底を突き、借金は3万元以上に膨れあがった。訴えもむなしく11月の2審判決では懲役1年、執行猶予1年、罰金2000元を言い渡された。
 今年の元日、天安門広場の国旗を前に、「冤罪(えんざい)だ!」と大声で叫んだ。3度叫んだとき、駆けつけた警察官に拘束された。「社会秩序を乱した」として10日間拘留された。
 故郷の二男は、山西省太原市の経済管理幹部学院に合格したが、入学金もなく入学できなかった。「土地も奪われ、金ももらえない。犯罪者として罪にも問われた。家があっても帰れない」と嘆いた。

◎中国で9人目のH5N1型感染死、広東省で初確認(2006年3月5日、産経新聞)
 中国広東省トップの張徳江書記は5日、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染死した疑いがあると4日に発表された同省広州市の男性(32)について、感染を確認したと述べた。訪問先の北京で明らかにした。
 広東省で人への感染が確認されるのは初めて。中国での感染者は15人目で、死者は9人目となった。
 男性は2月22日に発熱などの症状が出て、今月2日に死亡した。鶏と接触する機会が多かったという。

◎中国全人代:農民や労働者の暴動に危機感、弱者対策の背景(2006年3月5日、毎日新聞)
 【北京・成沢健一】5日に開幕する中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の政府活動報告で温家宝首相が弱者対策を強調する背景には、相次ぐ農民や労働者の暴動が「政権の安定を脅かす存在となっている」(中国筋)との危機感があるためだ。
 「以人為本」(人を中心とする)をスローガンに掲げる胡錦涛指導部のカラーが鮮明に表れるとともに、「先富」(一部が先に豊かになる)から「共富」(共に豊かになる)へ戦略を転換させる第一歩となる。
 4日に明らかになった活動報告では、過去1年の実績をアピールする一方で、「長期に累積した矛盾がなお根本的に解決しておらず、軽視することができない新たな問題も起きている」と率直に認めている。具体的には、農民収入の伸び悩みや土地収用をめぐるトラブル、環境汚染、相次ぐ重大事故などを挙げた。
 弱者の不満は数字にも表れている。中国公安省によると、農民や労働者による暴動など公共の秩序を乱す「集団的事件」は昨年、前年より約1万3000件多い約8万7000件起きている。
 都市と農村の収入格差は78年の2.57倍から昨年は3.22倍に拡大した。深刻化する役人の腐敗は、格差に対する弱者の不満に拍車をかけている。
 今年の全人代は、本来なら5年に一度、向こう5年間の中期計画を示す場になるが、活動報告は今年の活動指針に重点を置いた。格差や腐敗に対する庶民の不満が「待ったなし」の状態になった現実を反映している。
 活動報告の中では、「三農(農業、農村、農民)問題」解決のために前年より422億元(1元は約15円)多い3397億元を投入するとともに、失業者対策の充実や社会的弱者による訴訟の支援も表明している。
 だが、役人の腐敗については、新味のある対策は示していないうえ、海外から批判が出ているメディア規制を改める姿勢も見せていない。政府に対するチェック機能を議会である全人代がどう果たしていくかも注目されている。
 ▽温家宝首相の政治活動報告の骨子は次の通り。
 一、06年からの5カ年計画期間中の年平均成長率目標を7.5%とし、06年単年は8%前後とする。
 一、社会主義新農村の建設を推進する。
 一、大衆の身近な利益に関する問題を重視し、解決を目指す。
 一、節約型社会の建設を目指す。
 一、台湾人民に期待を寄せる方針は変えない。
 【北京・西岡省二】

◎中国全人代:成長率「7.5%前後」目標に、政府報告(2006年3月5日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国の温家宝首相が5日開幕する全国人民代表大会(全人代=国会)の冒頭行う政府活動報告の全容が4日、判明した。
 今年1年間の経済成長率の目標を「8%前後」に設定し、安定成長を目指す一方、急速な経済成長で生まれた格差是正、とりわけ農村対策に重点を置き、「民衆の切実な利益にかかわる突出した問題」である教育、衛生、安全の向上を掲げる。
 政府活動報告には、06~10年の発展戦略「第11次5カ年計画」案も盛り込まれた。今後5年間の経済成長率の目標を「年平均7.5%」に設定した。過去3年間が平均10%と、第10次5カ年計画(01~05年)の目標値「7%前後」を大きく上回ったためで、より現実的な目標に設定することで地方の過熱経済を防ぐ。
 温首相は全人代の「大胆な改革」として、5カ年計画より政府活動報告に重点を置いた。胡錦涛指導部の1期目任期が残り2年となり、社会矛盾が拡大する中、新5カ年計画の1年目の今年、指導方針を明確にし、目標達成への決意を示す。
 政府活動報告の基調は、バランスを重視し、持続可能な発展を目指す「科学的発展観」による「調和の取れた社会」づくり。これは胡主席の指導指針で、格差是正、とりわけ都市と農村の均衡の取れた発展を急務としている。「三農(農業、農村、農民)問題」解決のため、「社会主義新農村の建設」を全面的に打ち出し、「国家の基礎施設建設の重点を農村に移す」と表明する。
 台湾問題については台湾の陳水扁総統が先月27日、「国家統一綱領」などを事実上廃止すると発表したが、全体としてソフト路線を踏襲した。外交では日本を含め、個別の国名を挙げず、国際協調の推進を表明する。

◎中国国防費、18年連続2けたの伸び、前年比15%増(2006年3月5日、朝日新聞)
 中国の国務院(政府)は全人代に対し、2838億元(約3兆9732億円)にのぼる06年の国防予算案を提出した。前年比約15%の伸び率で、18年連続の2けた増。中国側は経済発展と生活水準の向上にともなう人件費の上昇、原油価格の高騰などを理由にしているが、軍拡路線や国防費の不透明さには「中国脅威論」が根強い米国などから批判を浴びそうだ。
 全人代の姜恩柱報道官が4日の記者会見で公表した。例年通り内訳は明らかにしなかったが、全人代で採択される見通し。姜報道官は国防費は前年実績比14.7%の伸び率だが、国防費が財政支出に占める割合は7.4%と「例年並み」で、米国(17.8%)やフランス(11.4%)より低い水準としている。

◎タン吐きの罰則強化、北京五輪へ、マナー向上策活発化(2006年3月1日、読売新聞)
 【北京=松本浩行】トリノ冬季五輪が終わり、世界の関心が2008年北京五輪に移行しつつある中、北京市では五輪開催に向けた動きが活発化している。
 北京市は1日の記者会見で、所かまわずタンを吐く市民の悪習慣を是正しようと、これらの行為を厳しく取り締まる方針を明らかにした。さらに、各家庭にマナー読本を配布するほか、公共交通機関の割り込み乗車を防ぐための監視員を現在の1500人から今年中に3000~4000人に増員する。
 中国では、3月下旬から国を挙げて「五輪を迎えよう 文明的になろう 新風を作ろう」運動を展開予定。北京市は、この運動に合わせ、五輪開催都市として恥ずかしくないように、一層のマナー向上を図る。
 市当局は、五輪の招致成功以来、市民のマナー向上作戦に取り組んできたが、一向に減らないのが路上でのタン吐き行為。これまでも、最高50元(1元は約15円)の罰金を課す規定はあったが、空文化していたため、今後は監視と罰金徴収を強化する。持ちあわせがなく、罰金を払えない場合には、自分で吐いたタンの後始末を即時にさせる。
 一方、マナー向上以外にも、五輪期間中どこでも観戦が出来るように、今年中に市内各所に1万台のテレビを設置する計画を策定。一部のバスで、乗務員に英語で停留所を案内させる試みが始まるなど、「高レベルで特色ある五輪」実現のための努力が続いている。

◎人民元:連日最高値、米国の為替自由化圧力が背景か(2006年3月1日、毎日新聞)
 中国・上海の外国為替市場で人民元相場の上昇が加速し、05年7月の切り上げ後の対米ドルの最高値を連日のように更新している。1日は中国が一層の為替自由化策を取るとの現地の報道により、元高が進むとの思惑につられて東京市場で円買い・ドル売りの動きが強まる一幕もあった。米国の中国に対する為替自由化圧力も高まる一方で、市場では一層の元高を予測する声が広がっている。
 中国は、05年7月21日に人民元の為替レートを対米ドルで約2%切り上げるとともに、1日に前日比で上下0.3%の範囲内の変動を認めた。
 実際の上昇ペースは鈍く、上昇率は昨年末までは年率換算で約1.1%程度に過ぎなかった。しかし今年に入り、旧正月に当たる春節の休み明けの2月6日から目立って急上昇を始め、3月1日の上海市場の終値は、1ドル=8.0369元の高値を記録。今年に入ってからの上昇率は年率換算で3%を超えている。
 上昇の背景には、巨額の対中赤字を抱える米国が、中国への為替自由化圧力を強めていることがある。米国政府が今春公表の為替報告書で中国を「為替水準を操作している国」と断定、対米貿易への制裁措置を発動する可能性も出ている。
 これに対し中国は、人民元先物や金利スワップなどの金融商品の自由化などに取り組むことで「予想以上に速いペースで改革が進めている」(邦銀為替担当者)との評価を得たい考え。大和総研の亀岡裕次・シニアエコノミストは中国の動きについて「市場介入で安定的なペースで元高を進める一方、対外投資の規制緩和など、元高要因にならない改革をすることで自由化姿勢をアピールしている」と分析する。
 市場では人民元相場が今年1年間で「3~4%上昇」と予想する声が多い。「内陸部の低所得地帯への影響を考慮すると元の急伸は介入で抑えざるを得ない」(アナリスト)という国内事情に配慮しながら、米国の圧力をどうかわすか。「この1年、対中投資の規制緩和など、元高にもなりうる改革に踏み出せるかが勝負になる」(同)との声が出ている。【平地修】

◎村田製作所、中国の生産拠点を集約(2006年2月17日、日本経済新聞)
 【無錫(江蘇省)=川瀬憲司】村田製作所は超小型の電子部品を生産する中国の拠点を集約する。上海に隣接する江蘇省蘇州の工場を閉鎖し、その近隣の同省無錫の工場に統合するとともに、生産能力を大幅に増強する。携帯電話やパソコン向けなどの需要が急拡大しているため、生産集約によって効率化を目指す考えだ。
 同社の村田泰隆社長が16日、無錫市内で明らかにした。閉鎖するのは子会社の蘇州村田電子。各種電気製品の生産で大量に使用する積層セラミックコンデンサーと呼ぶ超小型の電子部品を、テープ状の容器にはめ込んで出荷する工程を担当している。3月末で工場を閉め、関連の設備を無錫村田電子に移す。

◎中国、報道規制を強化、メディア幹部の処分相次ぐ(2006年2月16日、産経新聞)
 中国の胡錦濤指導部が報道規制を強め、国内メディアに対する処分が相次いでいる。貧富の格差拡大や環境汚染など社会矛盾が深刻化する中、「社会の安定」最優先を強調しつつ、共産党の一党支配を揺るがしかねない体制批判を封じ込める方針が鮮明になっている。
 有力紙、中国青年報の付属週刊紙「冰点週刊」は先月、歴史教科書に関する評論が問題視され停刊処分となり、関係筋によると、編集長が16日に更迭された。人気大衆紙「新京報」の編集局長も昨年末、編集方針で批判を受け更迭された。
 中国外務省の秦剛副報道局長は同日の定例会見で、冰点週刊について「歴史の事実に反する文章を掲載し、人民の感情を著しく傷付けた」と指摘、処分は適切との認識を示したが、国内メディアの記者は「江沢民前指導部時代に比べ、明らかに規制が厳しくなった」と指摘する。
 中国消息筋によると、胡指導部は2004年9月の共産党中央委員会総会後、党の宣伝強化を命じる文書「16号文件」を全国に通達。昨年も国内メディアの記者証を全面的に更新し体制への批判記事を書くフリーの記者を締め出したほか、党と国家の機密厳守を求めた規定を定めるなど規制を次々と打ち出した。
 冰点週刊の停刊に対し、1980年代に当時の胡耀邦総書記に仕えた朱厚沢・元党宣伝部長ら改革派の元幹部らが「言論の自由のはく奪」と批判。しかし、胡指導部が「報道機関は党の代弁者」との指導を徹底させる中、元幹部らの発言が影響を与える余地は極めて小さいのが実情だ。
 02年秋に発足した胡指導部は一時、メディア改革に取り組み報道規制を緩和する姿勢を打ち出したが、翌春の新型肺炎(SARS)の大流行をめぐって政府の不手際を批判する報道が吹き出して以降、引き締め策に転じていた。

◎香港ディズニーランドおわび、春節の前売り巡って大混乱(2006年2月13日、朝日新聞)
 「春節の経験を教訓に、考え直します」。香港ディズニーランドがチケットを扱う旅行会社などにこんな通知を出した。初めて迎えた春節(旧正月)で人出を読み損ない、前売りチケットを買った客数百人が入場できない事態を招いたことへのおわびだ。客や旅行社は「中国の文化が全く分かっていない」と怒っており、損害賠償請求も辞さない構えだ。
 混乱が起きたのは今月1、2の両日。春節の連休を利用して中国本土などから来た家族連れで園内が膨れあがり、ディズニー側は「チケット完売」の入場制限をかけた。
 ところが、年明けに発売開始した期日指定なしの前売り券を持った客がその後も殺到。数百人が入場ゲートの前で「入れろ」と怒り出し、さくをよじ登って園内に入ろうとしたり、中にいる知人に向かって子供を投げ入れたりするなど、混乱した。
 ディズニー側が春節の中国人客の動きを読み誤ったのが原因。中国本土では大みそかの1月28日から1週間は休みだった職場が大半だが、香港では正月三が日にあたる31日までが休日。ディズニー側も2月1日以降を平日扱いにして、期日指定のない前売り券も使えるようにしてあった。
 ある旅行社の担当者は「中国人にとって春節は最大の休暇。この連休に混雑しなくていつするというのか」と、読みの甘さに首をかしげる。
 ディズニー側は10日、入場できなかった客のチケットの払い戻しに応じるとの通知を出したが、「せっかくの連休が台無しだ」と収まらない客や旅行社も多く、賠償請求額は総額100万香港ドル(約1500万円)を超えるとみる学者もいる。

◎エイズ予防に中国が本腰、公共施設コンドーム常備義務化(2006年2月13日、朝日新聞)
 中国政府は12日、エイズウイルス(HIV)感染拡大の防止を目指した「エイズ予防治療条例」を公布した。地方政府などのエイズ予防と治療の責任について規定。感染者に対して、権利を保障すると同時に感染防止も義務づけている。3月1日から施行する。
 国営新華社通信によると、条例は、地方政府が農村部の患者と都市部の経済的に苦しい患者に対しては治療薬を無償で提供しなければならないと規定。医療機関が患者のエイズウイルス感染を理由に治療を拒否した場合には、刑事責任を問うとしている。ホテルやレストラン、浴場、理髪店などの公共施設・娯楽施設にはコンドームを備えるか販売所を設けるように義務づけ、違反した施設には最高で5000元(約7万3000円)の罰金が科される。
 また、感染者本人の同意なしに職場などが感染の事実を広めることを禁止する一方で、感染者は他人への感染を防止する義務があるとし、エイズを故意に広げることを厳しく禁じている。
 衛生省などによると、05年末の中国のHIV感染者は約65万人で、薬物常用や性交渉による感染が8割を超える。同省は感染拡大に警戒感を強めており、条例により拡大防止に本格的に取り組む姿勢を示したものとみられる。

◎エイズ:感染拡大の防止目的に条例公布、中国(2006年2月13日、毎日新聞)
 中国国務院(政府)は12日、エイズウイルス(HIV)感染拡大の防止を目的とした法令「エイズ予防治療条例」を、国営通信の新華社を通じて公表した。3月1日から施行する。
 衛生省などによると、中国の感染者は昨年末時点で約65万人。同省の専門家は感染拡大の傾向にあると警告しており、政府として拡大防止に本腰を入れる姿勢を打ち出したものとみられる。
 条例は、全国の行政機関に対して、公共施設などでの啓発活動に全力を挙げるよう指示し、怠った場合は処罰すると明記。医療機関が患者のエイズ感染を理由に治療を拒否した場合には、刑事責任を問うとしている。
 また感染者本人の同意なしに職場などが感染の事実を広めることを禁止、中学校以上の教育課程でエイズ教育をカリキュラムに組み込むことも規定した。(北京・共同)

◎中国、ネット統制強化か、「違法」76サイト閉鎖(2006年2月7日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国国家版権局は六日までに、著作権侵害の疑いでウェブサイトの取り締まりを行った結果、百七十二件を摘発し、七十六サイトを閉鎖させたと発表した。国営新華社通信が伝えたもので、中国がこれほど大規模な違法サイトの摘発を発表したのは初めて。これらサイトが、発禁ソフトの発信源とみられることから、著作権保護の姿勢をアピールすると同時に、ネット情報に対する統制強化をさらに進める狙いがあるようだ。
 今回の取り締まりは、中国の情報統制を管轄する共産党中央宣伝部の主導で公安省、情報産業省、国家版権局など八部門が合同で昨年十月十日から開始し、国内の四百五のサーバー(ネットワークに接続されたホストコンピューター)を捜査した。その結果、著作権侵害にかかわったとして、三十九のサーバーと違法所得三万二千元(一元=十四円)を押収。さらに、百三十七のサイトについて管理者にコンテンツの削除を命令。二十九のサイトの管理者に罰金計七十八万九千元を科し、十八サイトについては刑事事件として警察が立件した。
 中国には作者に無断で小説や論文、映画、音楽などを転載し、これらコンテンツをダウンロードできる海賊版サイトがあふれており、国家版権局は「今回の成果は国内外の著作権人からも高い評価を得ている」と意義を強調した。
 ただ、閉鎖されたサイトの詳細は発表されていないことから、国内で発行禁止となっている書籍や情報など、当局に都合の悪いコンテンツをダウンロードできるサイトの取り締まりが目的ではないかとの見方もある。北京では最近、中国青年報の付属週刊紙「冰点周刊」停刊への批判意見を掲載したサイトやブログに対し、当局から内容の削除を求める指導や呼び出しが相次いでいるといい、あるユーザーは「メールのやりとりまで注意された。取り締まりが異様に厳しくなった」と訴えた。
 〇四年にもポルノサイト摘発の名目で、大規模な反体制サイトの取り締まりが行われた。
 中国では民主主義など西側社会の価値観、体制批判、農民暴動の実態、台湾、チベット、法輪功問題など「社会の安定を損なう」情報は自由に発信できず、こういった情報を掲載した海外サイトへのアクセスもできなくなっている。
 これに対抗し、当局の統制システムをくぐり抜けることができるソフトが、ダウンロードサイトを通じて、多くのネットユーザーに配布されてきた。

◎保管爆薬が爆発、6人死亡、中国山西省(2006年2月5日、産経新聞)
 中国の華僑向け通信社、中国新聞社(電子版)によると、中国山西省蒲県の民家に保管していた約30キロの爆薬が4日夜、突然爆発し、民家にいた男女6人が死亡、1人が負傷した。
 現地は石炭の産地で、爆薬は炭鉱で使用するために保管していた可能性がある。死傷したのはいずれも湖南省からの出稼ぎ農民だった。警察当局が爆発の原因を調べている。(共同)

◎批判記事めぐり、警官に暴行受けた新聞編集幹部が死亡、中国(2006年2月4日、産経新聞)
 4日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国浙江省台州市で昨年10月、批判記事をめぐり警察の暴行を受けて入院していた地元紙、台州晩報の呉湘湖・副編集局長(41)が2日、肝不全などのため死亡した。以前に移植を受けた肝臓が暴行を受けた際、損傷していたという。
 台州晩報は、警察が市民から不当な金を徴収しているとの批判記事を掲載。腹を立てた警察幹部が部下数十人を引き連れ、同紙社屋で呉氏に暴行を加えた。
 警察幹部は事件後、警察や共産党内の役職を解かれたという。

◎中国春節の消費が15%増、約1兆4000億円に(2006年2月2日、日本経済新聞)
 中国最大の祝日である春節(旧正月)前半の食品や服飾品、飲食業などの消費額の総額は前年同期比15%増の約1000億元(1兆4000億円)に達したことが分かった。2日付人民日報が商務省の推定として伝えた。
 それによると、1月29日から2月1日までの4日間で、特に飲食業の売り上げは前年比で25%増。このうち、出稼ぎ者が帰省した農村部の消費の伸びが大きく、農村部での酒、たばこ、服飾品の消費は前年比で2倍以上だった。

◎炭鉱でガス爆発、23人死亡、中国・山西省(2006年2月2日、日本経済新聞)
 2日の新華社電によると、中国山西省晋城市の炭鉱で1日夜、ガス爆発事故が起き、2日までに23人が死亡、53人がガス中毒症状で入院し、うち1人が重体となった。
 山西省幹部らが現場に向かい、事故原因などを調べている。

◎トヨタが中国戦略車・第一汽車と開発合弁(2006年2月2日、日本経済新聞)
 トヨタ自動車は中国最大手の自動車メーカー、第一汽車集団(吉林省)と合弁で中国に研究開発会社を設立する方針を固めた。現地の需要や好みを反映させた「中国専用車」の開発を目指す。開発機能を移管することで速やかに新車を投入し、販売拡大につなげる。日産自動車も上海と広州に開発拠点を設置しており、日本メーカーの中国戦略は生産、販売から開発体制の整備による技術移転へと新段階に入る。
 トヨタは生産提携している第一汽車と折半出資で、年内に研究開発会社を設立する方向。海外開発拠点は欧米、タイなどに続き8番目となる。

◎香港ディズニー、春節効果でやっと客足、3日連続チケット完売(2006年2月2日、産経新聞)
 昨年9月の開園後、客足が伸び悩んでいる香港ディズニーランドは1日、1月30日から3日連続でチケットを完売したと発表した。春節(旧正月)の大型連休で香港を訪れている中国の本土客の利用が増えたためとみられる。
 入場者数は公表されていないが、ディズニー側によると、チケットの完売は昨年12月13日を皮切りに今回の3日を合わせてやっと7日目。
 報道によると、連休のピークに当たる1月30日-2月3日の間に香港を訪れる中国本土客は、旅行ブームなどの影響で前年の春節のころと比べ30%増の70万人に達すると見込まれている。(共同)

◎中国、貪欲に石油獲得、消費日量15年で3倍(2006年2月2日、産経新聞)
 世界はいま、「静かな石油危機」に直面している。原油生産が頭打ちになる中で石油需要が年々増え、それが石油高騰を招いている。この新たなエネルギー問題のカギを握るのが中国だ。
 二〇〇五年の中国の石油消費量は、日量六百六十万バレルにのぼった。一九九〇年に比べて三倍近い量だ。工業化の進展や消費形態の多様化を背景に原油輸入を急速に拡大しており、これが世界の原油需給に大きな影響を与えている。
 中国は海外資源の獲得にも積極的だ。中国海洋石油(CNOOC)は昨年六月、米石油大手ユノカルに買収を仕掛けた。ユノカルは当時、石油メジャー(国際石油資本)の米シェブロンに買収されることで合意していたが、CNOOCはシェブロンを上回る買収価格を提示、巻き返しを狙った。
 原油・天然ガス生産量をみると、CNOOCは四月に経営統合して誕生する国際石油開発帝石ホールディングスとほとんど変わらない。それが日本円で二兆円以上の資金を用意し、買収に名乗りを上げた。この買収劇は米議会の反発で失敗に終わったが、その後、中国石油天然ガス集団(CNPC)はカザフスタンに油田権益を持つカナダの石油会社を買収した。
 さらに中国政府は、今年に入ってインドと油田開発の協力で合意したほか、世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアとも石油や天然ガスなどの協力強化を決めるなど、エネルギーの安定調達に向けた資源外交も展開している。
 これに対し、日本は特殊法人改革の一環で旧石油公団が解体され、国家としてエネルギー戦略を企画・立案する「司令塔」不在の状態が続いている。環境省や経済産業省など組織の縦割りを排し、地球環境問題を含めた総合的な「エネルギー安全保障」を議論すべき時期を迎えている。

◎中国河南省の爆竹爆発事故、死者36人、けが48人に(2006年1月31日、朝日新聞)
 中国中部の河南省林州市で、住民が爆竹に付けた火が近くの倉庫に保管されていた爆竹に引火して爆発した事故で、国営新華社通信は30日夜、死者が36人に上り、48人が重軽傷を負ったと伝えた。
 事故現場の近くでは寺の縁日が開かれており、春節休みとあって付近から多くの住民らが訪れていた。爆発で寺も倒壊したという。

◎爆竹倉庫爆発で16人死亡、春節連休初日の中国(2006年1月30日、産経新聞)
 中国では29日、春節(旧正月)の大型連休が始まり、全国で祝賀行事が行われた。市街地で13年ぶりに爆竹が解禁された北京では、前日から未明まで爆竹の破裂音が響き渡った。新華社電によると、河南省林州市では29日夕、爆竹が爆竹倉庫に引火して爆発、16人が死亡、多数が負傷した。
 中国では春節を爆竹で祝う伝統的な習慣があるが、北京では粗悪品の暴発で負傷者が多発するなどしたため、1994年から市街地では爆竹が禁止されていた。
 しかし「爆竹がないと新年を祝った気がしない」(40代男性)と解禁を求める声がここ数年高まり、北京市当局は世論に押される形で大みそかに当たる28日から来月12日まで解禁。28日夜は消防士4000人が大事故など不測の事態に備えた。
 新年を迎えた29日午前0時前後には、市内全域で花火が上がり、爆竹の破裂音が轟いた。中国紙、新京報によると、一部病院には目をけがした市民数人が運び込まれたという。

◎進む言論弾圧、中国内も疑問視、「冰点」停刊、編集長は徹底抗戦(2006年1月30日、産経新聞)
 中国の有力紙「中国青年報」の付属週刊紙「冰点周刊」(水曜日発行)が停刊になり、波紋を呼んでいる。今月11日付同紙に掲載された中国の歴史教科書批判論文に対し、共産党中央宣伝部が「報道宣伝の規律違反」などとして、同紙に「死罪」を言い渡したが、同紙編集長の李大同氏は、処分は憲法違反と抗議、徹底抗戦の構えだ。党の報道規制が相次ぐ中、報道界や知識人の間で胡錦濤政権への疑問の声が高まっている。(北京 伊藤正)
 問題の論文は「現代化と歴史教科書」と題し、中国近代史研究の第一人者として知られる中山大学(広州市)の袁偉時教授が執筆した。教授は、(毛沢東時代の)反右派闘争、大躍進運動、文化大革命の3大災難を経た後、人びとは1970年代末になって「狼(おおかみ)の乳で育った」ことを知ったが、中学の歴史教科書を読み「今も青少年が狼の乳を飲み続けている」のに驚いたと書き出す。
 教授によると、「狼の乳」とは「誤った思想や文化、観点」を指し、●(●=都の者を登)力群元宣伝部長が79年の学術シンポジウムで使ったという。「狼の乳」の実例として、教授は1860年の英仏軍による円明園(北京郊外の清朝離宮)焼き討ち事件と、1900年の義和団事件に関する教科書の記述を指摘した。
 円明園事件について、教科書は「(59年、清朝と天津条約調印のため英仏公使が上陸しようとした際)天津・大沽砲台の将兵が侵略軍の艦船4隻を撃沈し、上陸を強行した900余人を撃退、数百人を死傷させた。一帯の人民も銃砲弾の雨をくぐって戦士を支援、高度の愛国の熱情を表した」(一部略)と記述。
 袁教授は、この翌年、英仏軍が再侵略、北京を占拠し莫大(ばくだい)な賠償金に加え、円明園焼き討ちを招いたのは、愚昧(ぐまい)な清朝皇帝らの大罪であり「愛国英雄の壮挙ではない」と断じた。
 同様に教科書が、8カ国連合軍の侵略に抵抗した愛国行動としている義和団事件についても、北京を中心に殺人、放火、略奪の限りを尽くした義和団を「非人道的、非文明的集団」とし、その結果、6年分の財政収入に相当する賠償金や列強による領土分割を招いたと述べた。
 袁教授は、日本の歴史教科書を批判しながら、中国の教科書も「西洋人は侵略者であり、中国人には何をやっても理があり、たたえねばならない」との「愛国主義(教育)の要求」に沿い、盲目的民族感情をあおっていると批判した。
 この批判は歴史の解釈権を握る共産党には許容できないものだった。李大同編集長によると、中国青年報編集長は論文を一部削除して掲載に同意したが、今月24日、宣伝部が「冰点」の停刊を命じた。宣伝部は「帝国主義列強の中国侵略を肯定、歴史の事実に反し、新聞宣伝の規律に違反、中国人民の感情を傷つけ社会に悪影響を与えた」と断じたという。
 李大同氏は公開状を発表して処分に反発。その中で、昨年も(1)5月25日付の台湾人記者による台湾の実情報道(2)6月1日付の平型関の戦いに関する記事(3)胡啓立元政治局常務委員による胡耀邦氏の回顧記-などを宣伝部が批判したと明らかにし、宣伝部の報道規制は「国民の権利の侵犯」と非難した。
 中国では近年、報道規制が強まり、最近も北京の新聞「新京報」で、編集長への圧力に抗議するストもあった。共産主義青年団の機関紙の中国青年報でも一昨年、デスクと記者の処分問題で同紙名物記者が公開状で、報道干渉に抗議した。
 報道規制は活字・放送メディアだけでなくネット情報にも及んでいる。当局は、報道は党と人民の「喉舌」、つまり宣伝道具と主張、党や指導部のイメージを損なったり、社会不安を招いたりの記事はご法度だ。
 その論理からすれば、従来の共産党の史観と宣伝に反した袁偉時教授の論文は“党への挑戦”ということになる。ただし教授によると、この論文を3年余り前に発表したときには、問題にされなかったという。客観性が基本の科学的発展観を唱える胡錦濤政権下で言論弾圧が進む現状に、保守派台頭の政治的背景を指摘する声も少なくない。

◎中国:携帯電話利用者は3億9300万人に、05年末(2006年1月30日、毎日新聞)
 30日の新華社電は、中国の携帯電話利用者が2005年末時点で3億9300万人となり、1年間で5860万人増えたと伝えた。06年はさらに4800万人増え、年末には4億4000万人に達する見通しだ。
 情報産業当局者は、携帯電話は中国人の情報収集にとって大きな役割を果たしていると強調した。(北京・共同)

◎春節前の北京、爆竹と花火解禁、過去最大の帰省ラッシュも(2006年1月28日、産経新聞)
 中国最大の祝日である春節(旧正月)前日の28日、北京の市街地では13年ぶりに伝統行事の爆竹と花火が解禁され、にぎやかな破裂音が響くなど街はお祭りムードに包まれた。鉄道各駅や長距離バスのターミナルなどでは過去最大の帰省ラッシュが続いた。
 北京市民は同日未明から広場や道端で次々に爆竹や花火に火を付け、一足早く新年を祝った。中心部の地壇公園では獅子舞も披露された。
 爆竹と花火の13年ぶりの復活は市民の強い要望で決まったが、市当局は27日、使用に当たって「安全管理規定の順守」を求めるメールを市民の携帯電話に送信。事故が増えると予測し、春節休み中の救急、消防態勢を大幅に強化する。
 交通省によると、14日から始まった帰省ラッシュで27日までに約6億8000万人が長距離バスなどを利用。28日の新華社電は、鉄道も春節の帰省としては過去最高の計約4939万人を輸送したと伝えた。
 中国紙によると、春節の休みを利用した海外旅行はここ数年で定着。欧州や日本、韓国などのツアーは1月上旬から予約がいっぱいになるケースが相次ぎ、急速な経済発展に伴い富裕層が年々増加している実情を示した。

◎米の対中貿易赤字、2000億ドル突破・2005年見通し(2006年1月26日、日本経済新聞)
 【ワシントン=吉田透】米通商代表部(USTR)のバティア次席代表は25日、ワシントンでの講演で、2005年の米国の対中貿易赤字が初めて2000億ドル(約23兆円)を超えた見通しだと述べた。次席代表は「これほど巨大な貿易不均衡は経済的にも政治的にも維持不可能だ」と述べ、米中経済摩擦の激化に警鐘を鳴らした。
 05年の対中貿易赤字は米商務省が2月10日に正式に公表する。昨年1―11月の赤字は1853億ドルで、金融市場でも05年対中赤字の2000億ドル超えを予想する声が多い。中国政府が最近発表した05年の対米貿易黒字は約1042億ドルだったが、米中両国の貿易統計では香港経由の取引の扱いが違うことなどから、双方の数字には大きな開きがある。
 バティア次席代表は米中間の貿易不均衡縮小のために、中国が世界の貿易ルールに基づいて公正な経済政策を進めるべきだと強調。中国の人民元制度の改革や中国国有企業への政府補助金の削減、知的財産権侵害への取り締まり強化などを強く求めた。中国側が応じない場合には、WTOへの提訴も辞さない構えも示した。

◎反中国感情広がり、関連本出版相次ぐ/旅行30%減(2006年1月25日、産経新聞)
 首相の靖国神社参拝に対する執拗(しつよう)な抗議や昨年4月の反日暴動などを背景に、日本人の間に中国に対する反感が拡大している。内閣府が発表した世論調査では、中国に「親しみを感じない」とした人は63.4%と過去最高になった。中国の歴史や反日意識を検証する関連本の出版が相次ぎ、中国への旅行者は減少、対中ビジネスへの意欲も落ち込むなど、対中関係を企業や個人レベルで見直す流れが加速している。(木綿洋平)

≪専用コーナー≫
 「マオ・誰も知らなかった毛沢東」「マンガ中国入門・やっかいな隣人の研究」「胡錦濤の反日行動計画」「中国『反日』の虚妄」…。大阪市内の大手書店では、中国コーナーに平積みされた三十三冊のうち半分以上が、反日意識や共産党独裁体制を批判的に書いた、いわゆる“嫌中本”だ。中国経済の躍進をたたえるビジネス書などは劣勢を強いられている。
 これは昨年七月に発売されて大ヒットした「マンガ嫌韓流」以来の傾向だという。同書は日韓の歴史問題で韓国を論破する内容で「嫌韓」という言葉を定着させた。「嫌中」はいわば二匹目のドジョウだが、書店は「他国を大っぴらに批判する本はあまりなかった。『嫌韓流』以降、出版社も出しやすくなったのでは」と分析する。
 “暴君”毛沢東を描いた「マオ」は上下合わせ十三万部以上、「中国入門」は十八万部以上発行されている。

≪反日暴動余波≫
 旅行大手のJTBによると、この年末年始、関西国際空港発のアジア旅行客は前年比40%増と好調だったが、中国への旅行者は30%減った。アジアで人気なのは台湾やバンコク。ヨーロッパ旅行も15%増で、中国旅行客の減少が際立つ。「昨夏(七-九月)の前年比40%減に比べれば改善されたが、反日暴動の影響がまだ残っているとしか思えない」と同社。
 近畿日本ツーリストでも、年末年始の中国への旅行客は前年より30%減ったという。同社の渡航先では台湾が30%増。

≪ビジネス低迷≫
 経済発展を続ける一方、人民元切り上げや不安定な社会情勢など、さまざまなリスクが顕著になってきた中国。日本企業には“反日リスク”もある。ジェトロ(日本貿易振興機構)が中国進出企業を対象に行った調査でも、ビジネスマインドの冷え込みが浮き彫りに。
 一昨年十二月の調査で「既存ビジネスの拡充、新規ビジネスを検討している」と答えた企業は86.5%だったのに対し、反日暴動を経た昨年五月に集計した調査では、同じ回答は54.8%に減った。
 中国進出企業のコンサルタント、平沢健一さんは、中国に進出した企業の統計はあっても、撤退はほとんど公表されないのが現状だと指摘。「中国ビジネスの失敗例を、もっとオープンにすべきだ」と訴える。
 「合弁会社の契約上のトラブルが多い。共産党が動かす国のことを、日本企業はほとんど知らない。契約をしっかりしないと、なけなしの資金を失うことになる」
 そう警告する平沢さんだが、これ以上対中感情が悪化することは懸念している。「日本と中国は切っても切れない関係でビジネスパートナーになれる。壁は高いが今後は変わっていくと期待している」と話した。

【用語解説】外交に関する世論調査
 内閣府が昨年10月6日から16日に全国の成人男女3000人を対象に実施。「中国に親しみを感じる」と回答した人が前年より5.2ポイント下げ32.4%となり、質問を始めた昭和53年以降最低を記録した。「親しみを感じない」とした人は63.4%(前年比5.2%増)と過去最高となった。日中関係を「良好と思わない」と感じている人は71.2%(10.2%増)にのぼった。

◎中国、HIV感染者は約65万人・昨年6万~8万人増(2006年1月25日、日本経済新聞)
 新華社電によると、中国衛生省と世界保健機関(WHO)は25日、中国のエイズウイルス(HIV)感染者は昨年6万~8万人増え、約65万人になったと発表した。
 昨年増加したうち約80%が麻薬や買売春によるものと指摘し、性交渉による感染者が顕著に増加するなど感染拡大の傾向にあると警告した。

◎中国、05年は実質9.9%成長・仏抜き名目GDP世界5位か(2006年1月25日、日本経済新聞)
 中国国家統計局は25日、2005年の国内総生産(GDP)の前年比伸び率が物価変動の影響を除いた実質ベースで9.9%に達したと発表した。1000億ドル(約11兆5000億円)を超える巨額の貿易黒字と投資がけん引し、3年連続で10%前後の高成長となった。今年も雇用確保を優先し、成長率の大幅な鈍化は避ける考えだ。
 名目GDPは18兆2321億元(約259兆円)で、昨年末の為替レート(1ドル=8.07元)で計算すると約2兆2500億ドルと、初めて2兆ドルを超えた。統計局は昨年12月20日に04年のGDPを上方修正し、イタリアを抜いて米日独英仏に続く世界6位になったと発表した。換算為替レートにも左右されるが、05年はフランスを抜いて5位に躍進、英国と肩を並べた可能性もある。
 05年の実質成長率は投資過熱が問題となった04年の10.1%からわずか0.2ポイントの鈍化。四半期ごとでは1~3月が9.9%、4~6月が10.1%、7~9月が9.8%、10~12月が9.9%だった。

◎中国の成長率9.9%、フランス抜き5位に、昨年GDP(2006年1月日、朝日新聞)
 中国国家統計局は25日、中国の05年の国内総生産(GDP)の実質成長率が前年比9.9%になったと発表した。GDP総額は18兆2321億元(約260兆円)。6年間で倍増し、フランスを抜いて米国、日本、ドイツ、英国に次ぐ世界5位になったと見られる。
 10%台の成長で景気過熱さえ心配された03年、04年は下回ったものの、02年から4年連続の9%超という高い成長となった。経済の急膨張に伴う資源不足、環境の悪化、貿易摩擦の多発などの諸問題は、中国政府にますます重い課題となっている。
 成長の主因は、ビルや不動産開発への投資や高い輸出の伸びだ。過熱防止のために、政府が鉄鋼やセメントなど一部産業への融資規制などの抑制策をとったにもかかわらず、政府や企業の固定資産投資は3年連続で25%を超える高い伸びを示した。それに比べると政府が新たな成長エンジンと期待する消費の伸び率は12.9%と緩やかだ。
 消費者物価の上昇率は1.8%で、成長率を考えれば低い。ここ数年続いている過剰投資が原因で生産が需要を大きく上回っているためだ。販売価格の低下が企業収益を悪化させ始めており、経済全体への影響が懸念され始めている。
 輸出は28%増と相変わらず好調だが、輸入は18%増と前年の伸び率のほぼ半分になった。この結果、貿易黒字は過去最高の1019億ドルと前年の3倍に膨らんだ。
 貿易摩擦の拡大を受けて中国政府は内需の拡大に動き始めた。これまで手つかずだった農村の消費力の底上げのために、農民の負担減や農村向け公共投資の増額などの政策を掲げている。

◎中国「売春村」施設を強制閉鎖(2006年1月23日、産経新聞)
・女性従業員数千人が抗議
 中国系香港紙「文匯報」など香港各紙によると、広東省深●(=土へんに川)で十九日、通称「売春村」と呼ばれる区域の一角にある娯楽施設が強制閉鎖されたことに反発、女性従業員ら数千人が抗議活動を行った。現場の市庁舎前は一時騒然となったが、当局は数千人規模の警察部隊を出動させ、約千人を一時拘束した。
 「売春村」は香港からの男性客らが訪れることで知られる一大歓楽街。だが市当局は十八日、無許可営業などを取り締まるため、カラオケ、サウナ、マッサージ店など数百店を強制閉鎖した。
 これに反発した女性スタッフや経営者が十九日、「生きる必要がある」などと叫び、抗議活動を五時間近くにわたり続けた。「文匯報」によると参加した女性スタッフらは二千人だが、土地の強制収用に抗議する農民らも加わり、抗議者は一時五千人ほどに膨れ上がったという。

◎ガス爆発で1800人避難、死者10人に、中国四川省(2006年1月23日、産経新聞)
 新華社電によると、中国四川省仁寿県で20日起きたガスパイプラインの爆発事故は、22日までに死者が10人、負傷者も50人に上り、現場付近の住民約1800人が避難したことが分かった。
 地元当局者は「現場周辺の生活は平常に戻った」としている。爆発したパイプラインは国内の石油最大手、中国石油天然ガスの所有。同社は、パイプラインは1970年代に建造されたが、事故前は通常通りに運転されていたとしている。爆発で付近一帯のガス供給が止まっていたが、22日までに復旧した。

◎中国、昨年の携帯メールが3000億通超す(2006年1月23日、朝日新聞)
 新華社電によると、中国情報産業省は22日、同国で昨年1年間に送信された携帯電話メール数が前年比39.9%増の3046億5000万通に達したと発表した。料金を1通当たり0.1元で計算すると、総額300億元(約4200億円)以上になる。(時事)

◎北京市、一人当たりGDP63万円、3次産業がけん引(2006年1月22日、産経新聞)
 北京市政府は22日、2005年の同市の1人当たり域内総生産(GDP)が5457ドル(約63万円)に達したと発表した。
 中国国家統計局が昨年暮れに全国のGDPを見直したのに伴い、北京市は04年の1人当たりGDPを3割増の4970ドルに上方修正していた。05年はさらに増加、2000年の約2倍になった。
 05年の市全体のGDPは前年比11.1%増の6814億5000万元(約9兆9300億円)。GDPに占める第3次産業の比率は先進国並みの68%に達し、サービス業が成長をけん引していることを示した。特に不動産業は過去5年間に年平均約20%伸び、05年の同市の固定資産投資の54%を占めた。

◎中国人、6000万人が肥満症、欧米並みの社会問題に(2006年1月19日、産経新聞
 中国上海市の第2軍医大学付属長海病院は19日までに、中国人の6000万人が「肥満症」で、うち60万人は手術が必要との見解を明らかにした。中国紙の新京報が同日報じた。
 同病院では過去2年間で肥満治療の手術を40件以上実施しており、専門の外科治療センターも発足。中国社会でも肥満が欧米並みに問題化していることを裏付けた。
 中国人の肥満傾向について、同病院内分泌科の鄒大進主任は「これから30年間で肥満人口は現在の4倍に達する」と述べ、肥満治療の需要は急速に高まるとの見方を示した。
 同紙によると、同病院で実施しているのは、肥満患者の胃の上部を特殊な器具で締め付けることにより食欲を抑え、減量する方法。治療の際には腹部4カ所に1センチ程度の穴を開け、腹腔(ふくくう)鏡を使って器具を取り付ける手術が必要になる。
 外科治療センターの担当医は「胃腸を切開する必要がない。海外でも広く使われている治療法だ」と、急増が見込まれる肥満患者の治療に自信を示した。
 衛生省によると、中国の判定基準で「太り気味」とされる人は、昨年11月時点ですでに2億人を突破。肥満がもたらす場合が多い高血圧症の患者数も1億6000万人に上るとしており、肥満対策が急務となっている。

◎「産経は言論暴力団」 中国誌、名指し批判(2006年1月18日産経新聞)
 中国外務省傘下の半月刊誌「世界知識」(16日発行)は3ページをさいて産経新聞などを名指し批判した。中国メディア上で産経が批判対象となることは珍しくないが、「言論暴力団」「保守御用喉舌(宣伝機関)」と呼ぶなど、ここまで激しい論調は珍しい。今月上旬、日中協議の席で、中国側が日本側に報道規制を求め断られた経緯があるが、当局が日本メディアの中国報道にいかに敏感になっているかがうかがえる。
 記事は中国社会科学院日本研究所の金●(●=「亡」の下に「口」、その下に「月女凡」)・助理研究員の執筆で「日本右翼メディアを解剖する」「日本右翼メディアの言論の“自由”と暴力」といった刺激的な見出しが躍る。
 まず「正論」執筆者らを名指しで列挙、「侵略戦争を否定し、靖国神社参拝を支持し、周辺隣国を誹謗(ひぼう)中傷し、平和憲法改正を訴えるのが“正論者”の最大公約数」と説明。「デタラメの論に立ち、故意に過激な言動で人の興味を引きつけようとする」と批判した。
 一方、朝日新聞については、「広範な大衆を代表する進歩的メディア」と紹介し、戦後の保守勢力台頭に断固反対する民衆と朝日新聞に対し「保守勢力は言論操作の重要性を実感した」と解説。フジサンケイグループを、保守政財界のてこ入れで生まれた「保守勢力の御用喉舌」と位置づけた。
 さらに産経新聞などを「狭隘(きょうあい)な民族主義を吹聴するだけでなく、異論を排斥する言論暴力団」と呼び、「朝日新聞や進歩的論客を長期にわたって悪意に攻撃してきた」と述べた。
 中国は最近、日本の新聞の論調に敏感で、中国外交官が「日本新聞で産経だけが首相の靖国参拝を支持している」と語るなど、当局の産経新聞に対する不満が強まっているようだ。

◎731部隊跡地を整備、抗日関連の観光地へ、中国・ハルビン(2006年1月18日産経新聞)
 中国のニュースサイト「新浪網」によると、黒竜江省ハルビン市は17日までに、「侵華日軍第731部隊罪証陳列館」がある同市の旧関東軍防疫給水部(731部隊)跡地を、4470万元(約6億4000万円)を投じて整備し、抗日戦争関連の観光地にする計画を明らかにした。
 工事は今年中にも開始され、周辺の住宅や中学校を取り壊して(1)731部隊本部の建物復元(2)跡地の門や壁の復元(3)道路や哀悼のための広場整備―などを進める予定。予算のうち2680万元は中央政府からの補助という。
 地元紙は「旧日本軍による犯罪の客観的事実を再現できる」と強調した。

◎中国人の貯蓄:総額200兆円過去最高、目的トップは教育(2006年1月17日、毎日新聞)
 中国各紙は16日、中国人民銀行の調査で05年末の中国人の貯蓄総額が14兆1051億元(約200兆円)と過去最高を記録、05年の1年間で2兆2100億元(約31兆円)増加したと報じた。教育費、老後の蓄え、住宅購入費が「3大貯蓄目的」。中国は国内総生産(GDP)に占める輸出入額(貿易依存度)は約70%に達することから、中国政府は「多消費、少貯蓄」で内需拡大を図り、安定した経済成長を保ちたい考えだが、社会保障制度の進まない中国社会で、庶民の心は安心して消費する方向には進まないようだ。
 中国の貯蓄額は改革・開放以来、96年まで高い推移で伸びていた。その後、00年までは毎年減少傾向にあったが、01年から再び増加し始めた。
 貯蓄目的で最も多いのが、教育費。経済発展の進む江蘇省常州市での調査では、大学合格まで子供1人にあてる教育費は平均約13万1000元(約186万円)で、99年から5万1000元(約72万円)増加した。教育の産業化が進む中、一人っ子への教育費用は今後も増加するとみられる。
 このほかに、医療保険制度や年金制度の不備を補うため貯蓄に回す人が多い。今後5~10年間は、貯蓄はますます増えていくと予想される。

◎金総書記、深センを出発、訪中7日間は過去最長(2006年1月16日、読売新聞)
 【北京=末続哲也】訪中している北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記は15日夜、経済特区がある広東省深セン市の深セン駅を特別列車で出発し、次の目的地へ向かった。行き先は不明だが金総書記は今後、北京に移動して胡錦濤・中国国家主席と首脳会談を行うとの観測が広がっている。
 今回の金総書記の訪中は16日で7日目に入り、過去3回の訪中で最長だった2001年1月の上海・北京訪問の6日間を上回る。
 消息筋によると、金総書記一行は15日、深センの港湾施設やハイテク産業団地などを視察。同日夕には粤劇(えつげき)(広東地方の伝統劇)を鑑賞したと見られる。
 中国系香港紙・文匯報によると、金総書記は14日、同省広州南部の先進的農場を視察した。同省珠海を同日訪れたとの情報もある。

◆特別列車は真っ暗◆
 中国を訪問している北朝鮮の金正日総書記の特別列車が15日夜、広東省深セン市の深セン駅で多数の人々に目撃された。
 複数の証言によると、列車は、機関車を含め約20両編成。先頭付近の車両には明かりがついていたが、残る大半の車両の窓は真っ暗で、外に明かりが漏れない構造になっている模様だ。また、出発の約15分前には、安全確認用と見られる数両編成の列車が先に駅を離れていたことも分かった。
 前回の訪中(2004年)の際の帰路に起きた北朝鮮・竜川駅での爆発事故の教訓もあり、安全確保に万全の対策をとっているものと見られる。

◎中国:出現!ブランド好きの「新富裕層」(2006年1月16日、毎日新聞)
 中国の都市部に住む年収8万~100万元(1元は約14円)の若い新富裕層が、「高消費、高学歴、高感度(流行に敏感)」の「3高」と呼ばれ、その新しいライフスタイルに注目が集まっている。
 市場調査・研究を行う民間機関「新生代市場監測機構」が北京、上海、広東省広州など国内12都市に住む新富裕層(18~45歳)約1万人を対象に調査。過半数が大卒以上で、修士課程以上は12%、留学経験者は7%に上った。
 「3高」はマイホーム、マイカーを所有。車に関しては、年収が25万~40万元になると2台目の車を購入する傾向がある。旅行好きで、年収10万~15万元だと周辺国のアジア地域へ、20万~25万元だと欧米への外国旅行を選択する傾向がある。
 食べ物では、牛乳、パン、バター、チーズなどの乳製品、高脂肪の食品が好み。56%が香水を使用していた。ブランド品が好きで、▽車はBMW▽デジタルカメラはソニー▽ノートパソコンはIBM▽携帯音楽プレーヤーはサムスン▽携帯電話はノキア▽香水はシャネル--が人気だ。
 中国の04年都市住民1人あたりの平均年収は9422元、農民は2936元だった。

◎中国:子ども50人が鉛中毒、北京青年報(2006年1月15日、毎日新聞)
 中国甘粛省天水市の農村で昨年10月、吐き気や食欲不振などの症状を起こした子ども50人が鉛中毒と診断されていたことが分かった。中国紙、北京青年報が14日報じた。
 中国では各地で河川汚染が相次いでいるが、地元の環境当局は、今回の集団中毒も鉛を含んだ工場排水による河川汚染が原因とみて排出源の工場に一時、操業停止を命じたという。(北京・共同)

◎中国:05年、外貨準備が初の8千億ドル、日本には及ばず(2006年1月15日、毎日新聞)
 新華社通信によると、中国人民銀行(中央銀行)は15日、昨年12月末の外貨準備高が前年比34%増の8189億ドル(約94兆円)となり、初めて8000億ドル台に達したと発表した。2089億ドルの増加で、01年からの5年間で4倍近くに急増した。
 中国税関総署は11日、昨年の貿易黒字が1018億ドルで、初めて1000億ドルを突破したと発表したばかり。貿易黒字や外国資本の対中投資などが外貨準備の大幅増の要因になったとみられる。
 昨年12月末現在で、外貨準備高は8469億ドルの日本が世界一だが、今年中に中国が日本を上回る可能性が高い。
 中国と香港を合わせた外貨準備高は、昨年6月末時点ですでに日本を抜いていた。ただ、通貨が異なり、それぞれが別の通貨当局を持つ中国と香港の外貨準備高の合計を「世界一」と位置付ける見方は少なく、中国が単独でいつ日本を超えるかが注目されている。

◎中国人民銀行の外貨準備高、実質世界一に(2006年1月15日、朝日新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は15日、昨年12月末時点の外貨準備高が8189億ドルに達したと発表した。前年同期比34.3%増で、昨年1年間で2089億ドルの大幅増となった。香港の同月末の外貨準備高は1243億ドルで、中国と香港を合わせた額は9432億ドルとなり、日本の同期の8468億9700万ドルを超えて実質世界1になった。
 このままの勢いで中国の外貨準備高が増えれば、今年中に単独で世界1になる可能性が高い。(時事)

◎北京の春節は爆発だ!爆竹遊びが正式“復活”(2006年1月15日、読売新聞)
 北京の春節(旧正月)に爆竹の大音響が戻ってくる。北京市当局が、1994年から禁止していた市中心部での爆竹遊びを認めたのだ。今年の春節は今月29日。首都の年越しは、久々に、にぎやかなものになりそうだ。(北京 松本浩行)
 「復活はうれしいよ。みんなの願いだったからね。子供のころの春節といえば、爆竹や花火で空が真っ赤に染まり、街中がものすごい音に包まれたものさ」
 古い北京の街並み・胡同(フートン)が残り、観光客でにぎわう鼓楼の近く。軽食店を営む松広貴さん(45)はうれしそうに言って、こう続けた。
 「実は去年の年越しの時だって、店の前でこっそりやったんだけどね。今年は堂々と出来る」
 中国では、昔から、めでたい日に爆竹は欠かせないとされてきた。特に、中国人たちが最も大事にしている旧暦大みそか(今年は28日)から春節にかけての年越しの時だ。
 観光客向けの人力車を引く任正賢さん(36)は、さすがに「古きよき北京」の伝統に詳しい。春節の爆竹のいわれについて説明してくれた。
 「伝説では、昔、年という名のどう猛な怪物がいて、除夜に姿を現しては人々を襲っていたけど、住民が竹の中に火を放ち、破裂させて退散させたんだ。それが爆竹の始まりさ」
 一年の厄を払う意味があり、庶民にとって、なくてはならない行事なのだという。
 にもかかわらず、北京市は禁令を出した。理由は、「危険。環境も汚染する」。その後、約300都市が追随した。春節の風情を消す禁令が出た当時、多くの中国人は、直感的に政治のにおいをかぎとっていた。
 「禁令は、危ないからじゃないよ。共産党は大勢が街に出て騒ぐのが怖いのさ」――89年の天安門事件や、ソ連・東欧崩壊の記憶が生々しい時代だったのだ。
 もっとも、根っからの爆竹好きの中国人もしぶとい。違反の罰金は100~500元(1元は約15円)だが、見つかっても注意や没収にとどまることが多いと見るや、隠れて鳴らした。禁止後の年越しの夜も、どこからか聞こえてくる爆竹の音は絶えなかった。
 ちなみに、昨年の春節休暇中にも、違法販売者を含め、北京で961人が摘発され、350件以上の火事、ぼやが発生し、550人以上がけがをしている。禁止期間でこれだから、当局が「危険」と言ったのにも道理はあった。
 「民意を重んじる」を売り文句にする胡錦濤政権は、爆竹解禁を求める民意に応えた。昨年、禁令を撤回する都市が続出、9月、北京市人民代表大会(市議会)も、アンケートで7割近くの市民が解禁を望んでいるのを確かめた上で、春節期間に市中心部でも爆竹をやっていいとの新規定案を可決した。賛成49、反対1、棄権8――これまでの禁令の意味を問いたくなるような大差だった。
 制限は残る。例えば、「治安上の理由」から、天安門広場や、党・政府機関が集中し、指導者が住む中南海周辺では、今後も爆竹を鳴らしてはいけない。政権は、本音では、今も騒ぎを嫌っているようだ。
 ただ、普通の民衆には、そんなことは関係ない。楽しむだけだ。
 「これでようやく春節らしくなる」。鼓楼近くの松さんも、気合が入る。
 春を待つ北京。爆竹は22日から、市内の商店で一斉に売り出される。

◎交通整備に2兆8千億円、北京市、今後5年間で(2006年1月15日、産経新聞)
 15日付の中国紙、新京報によると、北京市はこのほど、今年から5年間で2000億元(約2兆8600億円)を投じ、高速道路や地下鉄などの整備を進める計画を明らかにした。
 北京―天津間の第2高速道路など6本の高速道路を建設、総距離は280キロになるという。また、2008年の北京夏季五輪の開催施設などに通じる地下鉄の整備も進める。
 北京は自家用車の急増に伴い、交通渋滞が激しくなっている。

◎李、王、張で20%超に、中国の三大姓(2006年1月12日、産経新聞)
 中国科学院は11日までに、中国で「三大姓(名字)」と呼ばれる李、王、張を姓とする中国人がそれぞれ人口の7.4%、7.2%、6.8%を占め、合計で21.4%になるとする調査結果を明らかにした。中国各紙が同日報じた。
 中国の人口約13億人のうち、2億9600万人を対象に姓を調査。この調査で示された比率を単純に当てはめると、1位の「李」は全国に約9600万人、2位の「王」は約9400万人、3位の「張」は約8800万人いる計算になる。

◎鳥葬の撮影・報道を条例で禁止、中国チベット自治区(2006年1月12日、産経新聞)
 11日の新華社電によると、中国チベット自治区政府の民政担当者は10日、チベットの伝統的な葬法である鳥葬について、撮影や報道を禁ずる条例をこのほど公布したことを明らかにした。地元の伝統文化を尊重し保護するためとしている。
 鳥葬は、遺体を人里離れた場所の岩の上などに置き、ハゲタカなどの鳥に食べさせる風習で、死者を天に送るためとされている。
 同自治区政府によると、チベットには約1000カ所の鳥葬用石台があり、100人近くの専門の僧侶がいる。条例は、僧侶の地位を尊重することも盛り込み、無関係な人間による撮影や見物だけでなく、鳥葬を行う場所の近くでの採石など開発行為も禁ずるとしている。

◎鳥インフルエンザ公表遅れを釈明、「官僚手続き原因」(2006年1月12日、産経新聞)
 中国の国営通信、新華社は11日夜、同日朝に世界保健機関(WHO)が明らかにした中国での鳥インフルエンザ感染による新たな死者の発生を、中国衛生省の発表として半日遅れで報道した。記事の中で「官僚的な手続きが公表を遅らせた」と釈明した。
 WHOは11日朝、中国南部の広西チワン族自治区の女児と江西省の男性の2人が昨年12月に死亡したことを確認し、中国衛生省から9日に通告があったことも明らかにした。鳥インフルエンザによる中国での死者は計5人。(共同)

◎中国の原油輸入1.3億トン、05年も過去最高、伸びは鈍化(2006年1月11日、産経新聞)
 11日の新華社電によると、中国税関総署の通関統計速報で、2005年の中国の原油輸入が前年比3.3%増の約1億3000万トンに達し、過去最高を更新したことが分かった。伸び率は04年の約35%から大幅に鈍化した。
 1次産品全体の輸入金額は26%増の1477億1000万ドル。鉄鉱石の輸入は32.3%増の2億8000万トンだった。

◎中国の貿易黒字、初の1000億ドル、世界1位も(2006年1月11日、産経新聞)
 2005年の中国の貿易黒字は1018億8000万ドル(約11兆6650億円)に達し、初めて1000億ドルを突破する見通しとなった。04年の約320億ドルの3倍以上の水準。AP通信が11日、中国税関総署の話として報じた。貿易黒字国の日本やドイツの05年の統計は発表されていないが、中国が両国を抜いて世界第1位となる可能性が出てきた。
 鉄鋼や繊維製品の輸出が好調で黒字が積み上がった。中国は昨年7月、人民元相場を約2%切り上げたが、輸出増に歯止めがかかる効果は出ておらず、欧米などとの貿易摩擦が激化、人民元の一段の切り上げを求める声が強まるのは必至だ。
 税関総署は10日、輸出入を合わせた05年の貿易総額を発表し、前年比23.2%増の約1兆4221億2000万ドルと初めて1兆ドルの大台を突破した04年(約1兆1547億ドル)を上回った。
 このうち輸出は28.4%増の約7620億ドルに達した半面、輸入は17.6%増の約6600億ドルにとどまり、黒字膨張につながった。国内の引き締め政策などで原材料輸入の伸びが鈍化した一方、鉄鋼や繊維、石油製品などの輸出が伸びた。
 中国は今年からの新5カ年計画では国内消費主導の成長に転換する方針を打ち出しているが、構造転換は容易ではない。
 中国の2005年の貿易黒字が前年の3倍以上に膨張したのは、過剰投資で国内の生産力が大幅に高まった結果、鉄鋼など国内でさばききれない製品などが大量に輸出に回り始めたためだ。
 中国企業は、品質より低価格を武器に輸出市場でシェアを伸ばす傾向が強く、世界貿易機関(WTO)の繊維製品輸入割当制度が撤廃されたこともあって、05年は衣料品の輸出も急増、米国や欧州連合(EU)などとの摩擦に発展した。
 中国は昨年7月に人民元の小幅な切り上げに踏み切ったが、関係業界の不満を代弁する米議会は再切り上げを強く求めるとともに、中国への報復関税を課すことを辞さない構えだ。
 中国政府は米欧に対しては輸出自主規制や航空機などの購入で理解を求めているが、生産能力ばかりが拡大し、貧富の格差で消費が伸びないことなどによる国内需給のアンバランスがそのまま、黒字拡大に反映しており、構造的な輸出圧力の高まりはことしも収まりそうにない。
 中国のWTO加盟から3年が過ぎた。名実ともに貿易大国になった中国が今後、摩擦を回避しながら経済成長を続けるためには、過小評価されている元を再切り上げするとともに、輸出に偏らない内需主導の成長へ転換することが不可欠だ。

◎昨年の中国の貿易黒字、初めて1000億ドル突破(2006年1月11日、日本経済新聞)
 中国税関総署は11日、2005年の貿易黒字が1018億8000万ドル(約11兆6600億円)になったと発表した。過去最高だった1998年の黒字額の2倍以上、04年の3倍に膨らみ、初めて1000億ドルを突破した。黒字額は世界最大規模とみられる。急激な黒字拡大で欧米との貿易摩擦が激化し、人民元の切り上げ圧力が強まる可能性がある。
 輸出額は前年比28.4%増の7620億ドルで、輸入額は同17.6%増の6601億2000万ドル。好調な世界景気に支えられて輸出が堅調に伸びる一方、輸入は国内の過剰投資の反動による生産過剰でやや鈍り、貿易黒字を過去最大規模に押し上げた。
 これまでの最高は1998年の434億ドル。2004年は321億ドルだった。05年7月には人民元レートを対ドルで2%切り上げたが、その後も黒字は毎月約100億ドルずつ増え続けており、相場の見直しは輸出を抑える効果がなかった。中国の繊維品の輸出を巡る欧米との摩擦も影響は小さかったようだ。

◎北京の街に韓国パワー、ビジネスマン進出(2006年1月6日、産経新聞)
≪不動産投資過熱/北の直営飲食店も≫
 北京では朝鮮半島系の人々が存在感を増している。核となるのは韓国の活発な対中投資を背景に進出する韓国人ビジネスマンらで、北京の郊外には通称「韓国村」というコンドミニアム群も登場。韓国人の日常生活の需要を当て込んで、中韓の言葉に通じた朝鮮系中国人(朝鮮族)が熱心に商売を繰り広げるほか、女性を配した北朝鮮直系の飲食店まで韓国人の居住地域に進出してうけに入っている。(北京 野口東秀、写真も)

≪五輪までは≫
 「2008年の北京五輪までこの勢いは続くでしょうね」。北京市街と国際空港のほぼ中間に位置する望京地区。この郊外の新開地に林立するコンドミニアムの看板は、漢字よりもハングルがめだつ。ここが北京っ子の呼ぶ「韓国村」だ。
 韓国系の不動産会社「北京世一東方不動産」の徐在日さんらによると、「韓国村」に住む韓国人ビジネスマンとその家族は、5年前の1万人弱から現在は約5万人に拡大。北京に住む韓国人の半数強、中国全体でも八分の一が住む。北京五輪までには北京在住の韓国人は20万人を超えると予想されるほどだ。
 「村」と呼ばれるだけあって、韓国人向けのサービスは充実している。韓国語による学校や塾は約40カ所、韓国食品専門スーパーは30店。韓国料理店にいたっては、実に100軒以上という。
 徐さんの驚きは、韓国人の不動産投資熱だ。35%の頭金を払い込んでコンドミニアムの数戸を購入する韓国人もいる。ソウルあたりから赴任してくるビジネスマンに貸して家賃をかせぎ、数年後には売却するという。1戸あたりの価格は120万-150万元(1元=約15円)が多い。「北京五輪までは値上がりが見込める」(在住の韓国人)ためだ。5年ほど前に1平方メートルあたり約5000元だった価格は現在8000元超。同社だけでも賃貸、分譲合わせ月70-100戸もの契約があるという。

≪橋渡し役≫
 中国市場への進出が著しい韓国人を支えているのが朝鮮族の人々だ。言葉や習慣の面で、進出した韓国人と中国社会の橋渡し役をになう。
 「韓国村」に常時出入りする朝鮮族は1-2万人。多くの韓国人家庭には朝鮮族の家政婦が月千数百元で雇われている。
 中級クラスのコンドミニアムを改装したもぐりの民宿も営業している。食事と洗濯付きで1泊100元という低価格が売り。「村」の民宿は100軒前後といい、オーナーはもちろん、朝鮮族だ。
 韓国からの旅行者のほか、韓国に渡航するビザ(査証)手続き中の朝鮮族で繁盛しており、このうちの1軒はザコ寝を含め1日最大15人、年間200-300人が宿泊する。
 脱北者らしい男性も宿泊したことがあったが、同宿の韓国人のパスポートと財布を盗み姿を消した。オーナーは「それ以来、北の人は断っている」と話す。

≪歌う女性≫
 「韓国村」で経営する北朝鮮政府直営の飲食店「平壌カフェバー」。供されるカクテルの名は「平壌の夜」「統一」「われわれはひとつ」といかにも北朝鮮らしい。ウエートレスが、客のそばまで来て中国や韓国の歌をギターを奏でながら聞かせる。
 1杯60元の「平壌の夜」はグラスが2段式でアルコール度の高い酒に火を付け青い炎を暗がりで楽しむ。「主体思想の塔を象徴しているという人が多いですが自由に発想を」と「金日成バッジ」をつけたウエートレスは話していた。
 拉致問題を話し合う日朝協議で会食の場となった「玉流宮」レストランでも、人気は20人ほどの北朝鮮から来た女性従業員だ。カラフルな衣装でステージで踊る。客席まで来て歌うパフォーマンスを見ようと韓国人客らで連日大にぎわいだ。
 こうした北朝鮮系のレストランは、北京市内に十数軒。北朝鮮側が女性らを派遣し、中国側が店舗や資金を出すケースが多い。最近は、客とのおしゃべりでリピーターを増やしたり、個室を増やすなど高級化志向にある。拡大する韓国人を目当てに有力な外貨稼ぎの手段として増える気配だ。

◎中国・地下金融:正規金融機関の3割、融資8000億元(2006年1月4日、毎日新聞)
 中国で、許可を得ずに金融業を行う地下金融の融資規模が、昨年末時点で7405億~8164億元と、正規金融機関による融資規模の約28%に上ることが初の実態調査で明らかになった。新華社通信(電子版)が4日、報じた。
 北京の中央財経大学が調査を実施した。調査結果では、中国政府が景気引き締め策として過剰投資を抑制している炭鉱、石油、鉄鋼、セメントの分野で、資金調達の多くが地下金融からだったことが分かった。引き締め策の影響で昨年以来、地下金融の活動が活発化しているという。
 また、正規金融機関が中小企業や農業への融資に消極的なため、中小企業経営者の3分の1強、農民の約55%が地下金融から融資を受けているのが実態だという。
 正規金融機関による融資規模に対する地下金融の規模は、黒竜江省が53.4%と最も高かった。このほかに30%を超えたのは、遼寧省、福建省、山西省だった。
 中国社会では、地下金融が正規金融機関が果たせない一定の役割を担っている。しかし、犯罪の温床となるなど経済発展を阻害する可能性が高いため、規制強化が必要とされている。

◎人民元、4日からの新取引方式で最高値更新(2006年1月4日、日本経済新聞)
 上海外為市場で4日から始まった銀行間取引で人民元は一時、対ドルで1ドル=8.0670元を付けた。昨年12月30日終値に比べ0.0032元(0.04%)高く、昨年7月21日の切り上げ後の最高値を更新した。ただ、銀行間取引は準備不足の感が否めず、銀行のディーリングルームでは混乱がみられた。
 一方、上海外貨取引センターを介した人民元取引も従来通り行われた。同センターで取引を終えた午後3時半(日本時間同4時半)時点での終値は8.0675元だった。銀行間取引は同5時半(同6時半)まで続いた。
 中国人民銀行(中央銀行)はより柔軟な人民元相場の形成などを目指し、4日から日米欧など先進国市場と同様に銀行間取引を導入。人民銀が許容する1日のドルに対する値幅制限(0.3%)はそのままだが、基準値を前営業日の終値から当日の取引時間直前に特定の銀行から聞き取った加重平均値に変更した。

◎人民元、「初値」は1ドル=8.0702元、銀行間取引がスタート(2006年1月4日、日本経済新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は4日、人民元と外貨のレートを銀行同士で決める新しい取引方式を導入した。これに伴い、人民銀は同日から取引開始直前に取引の基準値を公表。初日、元はドルに対し昨年12月30日の終値と同じ1ドル=8.0702元だった。ただ、その直後には一時、昨年7月21日の切り上げ後初めてとなる8.06元台に突入した。
 初日はシステムの運用面などで取引が一部混乱した。午前9時15分(日本時間同10時15分)に公表されるはずの基準値がすぐに取引参加者に伝わらないといった事態が発生した。
 人民元は従来、上海外貨取引センターを介して取引されていた。4日からは常に売値と買値を提示する義務を負うマーケットメーカー(値付け業者)制度を導入し、従来の方法と併用する。より柔軟で、市場の実勢に近い人民元レートの形成を目指す。

◎中国四川省で感染確認、鳥インフルエンザ(2006年1月4日、産経新聞)
 中国農業省は3日、四川省大竹県で新たに高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)の家禽(かきん)への感染を確認したことを明らかにした。同省で家禽への感染が確認されたのは初めて。
 農業省によると、昨年12月22日、同県の農家で飼われていた家禽1800羽が死んでいるのが見つかり、3日に感染を確認した。四川省の関係当局は感染拡大防止のため、周囲の家禽約1万2900羽を処分したとしている。




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