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2008年

このページは、私が気になった中国に関するニュースを個人的にまとめたものです。

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◎判明後も汚染粉ミルク生産、三鹿集団前会長の初公判(2008年12月31日、産経新聞)
 中国河北省石家荘市中級人民法院(地裁)で31日、有害物質メラミンで汚染された粉ミルクを製造した三鹿集団(石家荘市)の前会長、田文華被告(66)ら経営幹部4人の初公判が開かれた。検察側は三鹿がメラミン検出の判明後も1カ月余りの間、約904トンの汚染された粉ミルクを生産したことを明らかにした。
 中国メディアによると、田被告は三鹿を中国有数の乳業メーカーに育て上げた著名な女性経営者だが、三鹿は事件で経営が悪化し破産宣告を受けた。田被告は劣悪品生産販売罪に問われており、最高で無期懲役になる可能性があるという。

◎中国公安当局が警備強化、失業増の治安悪化など警戒(2008年12月31日、産経新聞)
 31日付の香港紙、明報は、企業倒産や失業者の増加に伴う治安悪化などを警戒し、中国各地の公安当局が12月から警察官らの休暇を返上し、警備強化に乗り出したと伝えた。
 同紙によると、少なくとも北京、上海、広州各市や四川大地震の被災地域の公安当局では12月の休暇を返上。1月末の春節(旧正月)や3月開催予定の第11期全国人民代表大会第2回会議に向け、警戒態勢のレベルを格上げした。
 また2009年は建国60周年、天安門事件20周年の節目にあたり、政治的に敏感な年となることから、北京市では五輪が開催された08年並みの警戒態勢が敷かれる見通しという。

◎「日本軍医の美談」日本語教材から削除、中国側のご都合歴史教育(2008年12月30日、産経新聞)
 日本のNPO法人が編集した日本語教材が中国で今秋出版されたが、原本に史実として収録されていた「旧日本軍医が多くの中国人を助けた」との内容に対し、中国側が「問題がある」として削除していたことが29日までにわかった。中国では愛国主義教育の一環として、日本軍の残虐さを誇張して描写した書籍が大量に出版されており、こうした日本軍のイメージと矛盾しているため中国側が難色を示したとみられている。
 この日本語教材は、北京の大手出版社「外語教学と研究出版社」が9月に出版した「日語読庫」で、日本のNPO法人、日本語多読研究会(本部、東京)が外国人向けに編集した「日本語多読ライブラリー」(アスク出版)を原本にしている。
 日中の両出版社は当初、同じ内容の掲載を前提に話を進めていた。ところが、中国側が突然、変更を求めてきたという。
 この教材にはもともと、「雪女」「走れメロス」など日本のおとぎ話や短編小説、伝記など5つの文章が収録されていたが、中国側が問題視したのは「永井隆、原爆の地長崎に生きて」という文章だった。
 長崎に原爆が投下された後、自分も被爆しながら、多くのけが人を治療した医者、永井隆氏の生涯をつづった文章で、1937年に永井氏は軍医として中国に赴き、日本人だけではなく、病気や負傷をした中国人を多数治療したことも紹介されている。
 そのうち、「1939年には1年間で4000人の中国の人々を助けた」などの部分について、中国の出版社が「記述に問題がある」として日本側に手直しを求めてきた。
 日本側は、執筆の際に参考にした「永井隆全集」など多くの史料を中国側に送り、説得しようとしたが、結局「永井隆」の部分はすべて削除して出版された。
 アスクの担当者は産経新聞の取材に対し、「この教材は外国人向けの読み物であり、日本人の中には永井隆博士のように素晴らしい人物がいることを、ぜひ中国の皆さんに知ってもらいたかった」と述べた。中国側と何度も交渉したこの担当者は「削除は中国側の出版社の現場の意見ではなく、上の方の判断」との印象を受けたという。中国の外語教学と研究出版はこの件について「ノーコメント」としている。
 同教材は2007年10月に韓国で出版され、来春は台湾でも出版される予定だが、いずれも原本のままで、内容については問題視されていない。

◎中国、輸出時の「減税」拡大、輸出下支え狙う(2008年12月30日、朝日新聞)
 中国政府は29日、工業用ロボットなど高水準の技術を使った553品目を対象に、メーカーが輸出時に税金の還付を受ける比率を来月1日から引き上げると発表した。実質的な減税措置で、輸出の下支えが狙い。8月以降で4回目。
 中国の輸出は、金融危機の影響で11月に約7年半ぶりに前年同月比マイナスに転じるなど厳しさを増している。還付率の変更は、工業用ロボットや航空機の慣性航法装置などは13~14%から17%へ、バイクやミシンなどは11~13%から14%へ引き上げる。

◎粉ミルク汚染で30万人に補償金、中国の製造22社(2008年12月28日、日本経済新聞)
 新華社電によると、中国乳製品工業協会は27日、中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石などになった事件で、粉ミルクを製造した22社が、被害を受けた乳幼児30万人近くに補償金を支払うことを明らかにした。
 補償金総額は不明だが、多数の被害を出して破産した三鹿集団は9億200万元(約119億円)を拠出している。22社は乳幼児が後遺症になった場合、医療費を補償するため共同で医療賠償基金も創設した。

◎中国で改正特許法可決、海外直接出願認める、事前審査義務付け(2008年12月28日、日本経済新聞)
 中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会は27日、改正特許法を可決した。知的財産権保護の徹底を狙い、他人の特許を詐称した場合の罰金を増額。国際競争力を高める理由から、中国での特許出願を経ずに海外に直接出願することも認めた。ただ、中国当局による安全保障上の事前審査を義務付けており、不透明さも残る内容となった。
 改正特許法は2009年10月1日に施行される。改正は00年に続き3回目。27日に記者会見した国家知識産権局の尹新天・広報担当官は改正目的について「(自主開発能力を備えた)創新型国家の建設へ向け、自主創新能力を高める」と説明した。
 他人の特許を詐称した場合、現行法では違法所得を没収し、最高で3倍の罰金を科すことができる。新華社電によれば、改正法は最高罰金額を違法所得の4倍に増額。違法所得がない場合の最高罰金額も現行の5万元を20万元に増額する。

◎中国粉ミルク汚染:業者2人を起訴、最高で死刑(2008年12月27日、毎日新聞)
 中国で粉ミルクに化学物質メラミンが混入した事件で、メラミンを製造・販売した業者2人の初公判が26日、河北省石家荘市中級人民法院(地裁)で開かれた。新華社通信によると、検察側は「多くの消費者、特に乳幼児の健康、生命に深刻な損害を与えた」として、最高刑が死刑の公共安全危害罪で起訴したことを明らかにした。
 業者はメラミンが健康被害を引き起こすことを知りながら、原料乳のたんぱく質含有量を多く見せかけるため、昨年10月~今年8月に約775トンを製造、600トン余りを酪農家らに販売したとされる。

◎中国メラミン汚染ミルク事件、破産の製造元が119億円賠償(2008年12月27日、日本経済新聞)
 中国で有毒物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石などになった事件で、多数の被害を出して破産した製造元の三鹿集団(河北省石家荘市)が26日までに、被害者への治療・賠償費として9億200万元(約119億円)を全国乳業協会に支払った。同日付の中国紙、新京報などが報じた。
 一方、メラミン入りの粉を製造、販売した男2人の初公判が26日、同市中級人民法院(地裁)であり、検察側は最高刑を死刑と定めた公共安全危害罪で起訴したことを明らかにした。
 一連の事件は、患者数が約29万4000人に上るなど、中国全土に深刻な被害をもたらした。中国当局は被害者への賠償を急ぐとともに、関与した者には厳罰で臨むことで、事態の収拾を急ぎたい考えだ。

◎メラミン:中国・三鹿集団が破産、回収で多額負債抱える(2008年12月27日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】有害物質メラミンで汚染された粉ミルクを製造していた中国河北省の乳製品大手、三鹿集団が同省の裁判所から破産を宣告されたことが24日分かった。同社の大株主であるニュージーランドの同業最大手フォンテラが発表した。汚染ミルクの回収で多額の負債を抱え、金融機関のつなぎ融資も得られなかった。
 今年9月、同社の汚染粉ミルクを飲んだ複数の乳幼児が腎臓結石で死亡したことが表面化して以降、中国では他のメーカーの乳製品からも次々にメラミンが検出された。中国政府は一連の汚染粉ミルクで乳幼児29万人以上に泌尿器異常などの被害が出たと発表している。
 同社の負債額は明らかではないが、中国の週刊誌「財経」によると、同社は出荷済みの粉ミルク1万トン以上を回収、その賠償金だけで7億元(約95億円)にのぼる。さらに被害者への補償費は、他社製品による被害を含め40億元前後にのぼり、このうち9億元前後が同社の負担になると見込まれている。今後、破産管財人が同社の資産売却を進めるが、賠償資金を捻出(ねんしゅつ)できるかどうかははっきりしていない。

◎中国:ミャンマーのパイプライン経営権を取得(2008年12月27日、毎日新聞)
 ミャンマーを経由して中国の雲南省昆明に石油・天然ガスを運ぶパイプライン計画について、ミャンマー軍事政権が中国に経営権を付与したことが26日明らかになった。ミャンマーが資源産業の経営権を外国に与えるのは初めて。軍事政権の「後ろ盾」となってきた中国は資源の見返りを手に入れた形になった。
 計画は、中国が中東などからタンカーで輸送してきた石油と、ミャンマー沖で産出される天然ガスを2本のパイプラインで中国に輸送する。ミャンマー西部チャウピューから中部マンダレーなどを通り、昆明を結ぶ。
 パイプラインを設置・運営する企業の詳細はこれまで明らかでなかったが、中国商務省によると、中国石油天然ガス集団(CNPC)が過半数の50.9%、ミャンマー国営石油ガス企業(MOGE)が残る49.1%を出資することで合意。中国側が事実上、経営権を握ることになった。
 エネルギーの需要急増が見込まれる中国にとって、安全上の懸念があるマラッカ海峡を迂回(うかい)するミャンマー経由のパイプライン建設は長年の「悲願」(中国紙)だった。近く着工し、2013年の稼働を目指す。
 天然ガスはパイプラインの起点に近いミャンマー沖のベンガル湾で韓国の「大宇グループ」などが開発するシュエ・ガス田から供給する計画で、大宇グループと中国のCNPCなどが24日、30年間の売買契約に調印した。
 中国は07年1月、シュエ・ガス田の主要17鉱区のうち、CNPCが3鉱区計1万平方メートルの探査権をミャンマー側から譲り受けていた。この譲渡契約が結ばれる直前には、国連安全保障理事会でミャンマー民主化要求決議案が提出され、安保理常任理事国の中国が拒否権を行使したことから、事実上の見返りとみられていた。中国が今回、パイプラインの経営権を取得したことで、ミャンマーの資源開発で上流(探査)から中下流(輸送、販売)を押さえることになる。

◎中国:メラミン製造・販売業者2人、最高刑なら死刑も(2008年12月27日、毎日新聞)
 中国で粉ミルクに化学物質メラミンが混入した事件で、メラミンを製造・販売した業者2人の初公判が26日、河北省石家荘市中級人民法院(地裁)で開かれた。新華社通信によると、検察側は「多くの消費者、特に乳幼児の健康、生命に深刻な損害を与えた」として、最高刑が死刑の公共安全危害罪で起訴したことを明らかにした。
 業者はメラミンが健康被害を引き起こすことを知りながら、原料乳のたんぱく質含有量を多く見せかけるため、昨年10月~今年8月に約775トンを製造、600トン余りを酪農家らに販売したとされる。

◎中国:メラミン混入で22社、乳幼児30万人に賠償金(2008年12月27日、毎日新聞)
 新華社通信によると、中国で粉ミルクなどに化学物質メラミンが混入した事件で、中国乳製品工業協会は27日、国内のメーカー22社が健康被害を受けた乳幼児30万人に賠償金を支払うことを明らかにした。
 被害者たちは各地の地裁に集団訴訟を起こそうとしているが、地裁は一律に受理していない。中国政府はメーカー側の自主賠償で早期解決を目指す方針とみられる。
 報道によると、22社はすでに同協会に資金を拠出しており、近く支払いが始まる。また共同で医療賠償基金も設立し、後遺障害が発見された患者には医療費を補償するとしている。賠償総額や基準などは明らかになっていない。

◎中国の腐敗摘発、ネットが後押し、社会の不満解消狙う?(2008年12月27日、日本経済新聞)
 官僚腐敗などが深刻な中国で、インターネットでの市民の告発を端緒に、捜査当局が不正摘発に乗り出すケースが相次いでいる。共産党や中央政府に批判的な意見は従来通り規制しており、「市民参加型」による末端幹部らの立件や処分を、社会の不満解消につなげる狙いがあるとみられる。
 浙江省温州市の党委幹部4人が今月初め、部下19人とともに65万元(約860万円)の公費を使って米国に旅行したとして、厳重警告などの処分を受けた。発覚のきっかけは11月下旬、ネット上に掲載された匿名の書き込み。内部文書も添付されていたことから、市党委などが調査を開始した。

◎中国、不正摘発にネット活用、市民の声拾い不満解消?(2008年12月26日、日本経済新聞)
 官僚腐敗などが深刻な中国で、インターネットでの市民の告発を端緒に、捜査当局が不正摘発に乗り出すケースが相次いでいる。共産党や中央政府に批判的な意見は従来通り規制しており、「市民参加型」による末端幹部らの立件や処分を、社会の不満解消につなげる狙いがあるとみられる。
 浙江省温州市の党委幹部4人が今月初め、部下19人とともに65万元(約860万円)の公費を使って米国に旅行したとして、厳重警告などの処分を受けた。発覚のきっかけは11月下旬、ネット上に掲載された匿名の書き込み。内部文書も添付されていたことから、市党委などが調査を開始した。

◎製造元が119億円賠償へ、中国の汚染粉ミルク(2008年12月26日、産経新聞)
 26日付の中国各紙によると、有害物質メラミンが混入した粉ミルクで健康被害が生じた問題で、最大の被害者を出し、破産した粉ミルク製造元の三鹿集団(河北省石家荘市)は被害者への賠償のため9億200万元(約119億円)を全国乳業協会に支払った。石家荘市当局が25日、明らかにした。
 中国当局は被害者による個別の損害賠償請求訴訟を封じ込めているが、同協会を通じて賠償問題を解決する意向とみられる。
 同紙によると、賠償費用は40億元程度と見積もられ、このうち医療検査費26億元は政府が負担、残りを三鹿などの製造元22社で分担するという。

◎北京大出身者だけで1兆3000億円! 中国人富豪ランク(2008年12月26日、産経新聞)
 26日付の中国紙、京華時報によると、中国の大学同窓会などで組織する中国校友会は25日、過去10年間に国内外で発表された中国人富豪ランキングに入った1500人余りの出身校を調査した結果、北京大学出身者が35人でトップだったことを明らかにした。
 2位は民間企業が多数集まる浙江省の浙江大学で23人、3位は理工系の名門校として知られる北京の清華大学で22人だった。ランキング入りした北京大学出身者の財産は、合計で1000億元(約1兆3000億円)を超えているという。

◎中国粉ミルク汚染:三鹿集団が破産、回収で多額負債(2008年12月25日、毎日新聞)
 有害物質メラミンで汚染された粉ミルクを製造していた中国河北省の乳製品大手、三鹿集団が同省の裁判所から破産を宣告されたことが24日分かった。同社の大株主であるニュージーランドの同業最大手フォンテラが発表した。汚染ミルクの回収で多額の負債を抱えていた。

◎居眠り幹部6人を更迭、中国湖南省衡陽市(2008年12月25日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国湖南省衡陽市共産党委員会は25日、会議中に居眠りした6人の幹部を、社会に悪い影響を与えたとして更迭すると決定した。
 衡陽市軽工総公司の劉梓恒社長兼党委員会書記ら6人は、18日に開かれた衡陽市の改革・開放30周年記念大会に出席、居眠りしている様子が写真付きで新華社など多くのニュースサイトで報じられた。
 インターネット上では「会議に中身がないから居眠りしても仕方がない」と擁護する声もあるが、「厳しく処分すべきだ」との意見が多かった。

◎パンダ:中国から台湾に贈呈、つがいが台北に到着(2008年12月24日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】中国が台湾への贈呈を決めていたつがいのジャイアントパンダが23日、四川省から台北に到着した。台湾にパンダが来るのは初めて。「大陸からのクリスマスプレゼント」と歓迎ムードが広がっているが、中国側の思惑に警戒する声も出ている。受け入れ先の台北市立動物園は来月下旬の春節(旧正月)休暇に合わせ、一般公開を予定している。
 2頭は中国四川省臥竜のパンダ保護研究センターで飼育されていた雄の「団団(トアントアン)」と雌の「円円(ユエンユエン)」で、ともに4歳。2頭の名前を並べると「団円」になり、中国語で「(長く離れた)家族の再会」を意味し、中国側の将来の中台統一の意図も見え隠れする。
 馬英九政権の急速な対中接近に反対する野党・民進党の関係者からは「政治色が強過ぎる」として、改名を求める声も上がる。だが、動物園側は「ペアで一つの名前になり、親しまれる」として改名は予定していない。
 パンダのレンタル料は、希少動物を中台間で交換する方式のためにかからないが、台北市は飼育費用として来年度予算に3800万台湾ドル(約1億円)を計上している。

【ことば】パンダ贈呈
 パンダの贈呈は05年春に台湾の連戦・国民党主席(当時)が中国を訪問し、国共トップ会談が60年ぶりに実現した際に中国側が表明。パンダの移動は希少生物の国際取引を禁じるワシントン条約で規制され、「国際取引」か「国内移動」かの政治的な問題が生じたが、馬英九政権は台湾の希少動物を中国側へ贈り、交換という方法で問題をかわし、受け入れが実現した。

◎粉ミルク汚染の三鹿が破産(2008年12月24日、日本経済新聞)
 粉ミルクへの有害物質メラミン混入事件を起こした中国の乳製品メーカー、三鹿集団(河北省石家荘市)が河北省の裁判所から破産宣告を受けたことが24日、明らかになった。三鹿の筆頭株主でニュージーランドの乳製品メーカー、フォンテラが発表し、中国メディアが一斉に報じた。
 三鹿の粉ミルクを飲んだ多数の乳幼児が腎臓結石などにかかり、数人が亡くなったとされる。中国内外で社会問題となり、同社は経営難に陥っていた。地元政府によると、破産手続きに入っても被害者への賠償を優先するとしている。(中国総局)

◎中国の貧困人口4300万人に(2008年12月23日、産経新聞)
 中国誌「財経」(電子版)によると、中国政府はこのほど貧困層の基準を来年より現行の「年収786元(約1万400円)以下」から「1067元以下(同1万4100円)」に変更することを決めた。これにより貧困人口は、1479万人から約4320万人へと大幅に上方修正される見通しとなった。
 中国政府は貧困の基準を生存確保ぎりぎりの「絶対的貧困層」と、低収入の「相対的貧困層」の二段階に分類。内外から分かりづらいなどと批判が出たため基準を一本化することにしたという。

◎【中国改革・開放30周年】広がる格差、腐敗の矛盾(2008年12月22日、産経新聞)
 1978年12月の中国共産党中央委員会総会(三中総会)で改革・開放に転じて30年。中国は社会主義体制の下で市場経済を導入、年平均9・8%という驚異的な成長を続け、30年前には1億ドル余しかなかった外貨準備高は2兆ドル、米国債の最大の保有国になった。国内総生産(GDP)は30年前の約70倍、年内にドイツを抜き米日に次ぐ世界3位になるのは確実だ。
 歴史的にもまれな急成長を生んだ改革・開放は、「第二の革命」と呼ばれる。それを導いたトウ小平氏は、毛沢東の第一の革命とは対照的に、個人の思想や欲望を解き放ち、外資導入など社会主義のタブーを次々に打破、経済発展を促すのに成功した。
 しかしトウ小平氏が描いた中国の理想像は、毛沢東のそれと通じるものがあった。万民が平等で豊かな大同社会の実現であり、改革・開放はその手段だった。トウ氏が晩年、貧富の格差拡大や腐敗の蔓延(まんえん)を強く嘆いたのもそのためだった。
 中国はこの30年間に大きく変わった。社会も人びとの意識も国際化、国民多数の生活水準は上がり、文化芸術面でも多様になった。しかし貧富の格差は拡大する一方だし、社会的な差別や不公正も深刻なままだ。
 胡錦濤国家主席は18日に行われた改革・開放30周年記念大会で、「偉大な成果」を誇示し、共産党の指導で改革を進める方針を強調した。世界金融危機が中国を直撃する中で、さまざまな問題、矛盾を解決するには一党独裁の社会主義体制の堅持が不可欠との考えだ。
 89年6月の天安門事件で中国は大きく動揺しながら、その後に起こったソ連・東欧の激変に耐え、経済第一主義によって一党体制を維持したが、国民の間では、民主化要求が潜在する半面、毛沢東信仰も根強く、中国の今後の社会経済には不安定要素が多い。
 来年の建国60周年を前に、一部の知識人は「08憲章」なる民主化宣言を発表した。それが直ちに影響力を広げるとは思えないが、中国共産党が「第二の革命」を超え、政治改革という「第三の革命」を起こす圧力は次第に強まっていくだろう。

◎禁輸和牛をベトナム経由で“堪能”、中国富裕層(2008年12月20日、産経新聞)
 ベトナムの冷凍和牛の輸入量が過去3年で20倍増を記録した。同国では伝統的に牛肉の消費はほとんどなく、食肉加工業者によると、和牛は直接輸入を禁じられている中国に闇ルートで搬出され、富裕層の元に届いているという。上海などで空路での和牛の密輸摘発が相次ぐ中、ベトナムを隠れみのにした「おいしい和牛」の密輸ルートが定着しつつある。
 ベトナムの食肉は、豚と鶏の消費だけで全体の約9割を占める。しかし、日本の農水省によると、2005年に13.5トン(9400万円)だった和牛の輸入が07年には80トン(4億9300万円)に増え、今年は10月末までに267トン(17億3100万円)と激増。日本料理店などで需要が急増している様子もなく、関係者によると「業者が中国に搬出している」という。
 中国当局は牛海綿状脳症(BSE)の発生で和牛の輸入を01年に禁止した。しかし、富裕層の間で人気は衰えず、今年5月にはズワイガニと偽って和牛を持ち込もうとした日本の業者が摘発されるなど、密輸が相次いでいる。ベトナムは正規輸入が認可されているが、同国と中国間では陸路、海路とも密輸の摘発が行き届かず、関税を支払わずに和牛が中国側にわたっているとみられる。

◎反中国の取締法に反対デモ、返還9年のマカオ(2008年12月20日、産経新聞)
 中国返還から9年を迎えたマカオで20日、地元労働者や民主派議員ら約1000人(主催者発表)がデモ行進を行い、マカオ政府が準備を進めている反中国活動を取り締まる「国家安全法」の制定に反対を訴えた。
 香港からも同法制定に反対する立法会(議会)の民主派議員らがデモに参加しようとマカオに向かったが、議員8人を含む20人以上がマカオ当局に「公共秩序を守るため」などとして入境を拒否された。
 マカオ政府は10月、マカオ基本法(憲法に相当)に基づき、中国政府転覆や国家分裂などを禁じる国家安全法の草案を発表。2009年中の制定を目指している。(共同)

◎中国の人権派元弁護士に実刑判決、「人権弾圧」と支援者(2008年12月18日、産経新聞)
 北京五輪関連の土地再開発に絡み、公務執行妨害罪で起訴された中国の人権派元弁護士、倪(げい)玉蘭被告(48)の初公判が18日、北京市の裁判所で行われ、裁判は同日中に結審、倪被告は懲役2年の実刑判決を受けた。
 倪被告は自宅の立ち退き問題だけでなく、各地で起きる強制収用に対し立ち退き被害者の権利を守る抗議活動を展開してきた。支援者は「人権弾圧」と批判を強めている。被告は判決を不服として上訴する方針。
 倪被告は4月、自宅を強制的に取り壊そうとした業者に抗議したところ「業者を殴った」として拘束された。その後の警察の調べに対し、拘束への抗議をしたことが「公務執行妨害」とされ、起訴された。自宅は11月に取り壊されたが、補償金は支払われていない。

◎中国広東省、中小企業の生産停止や廃業加速、10月8513社(2008年12月18日、日本経済新聞)
 中国の改革・開放でけん引役を務めてきた南部の広東省で、中小企業の淘汰が加速している。同省で10月、生産停止や廃業に追い込まれた中小企業は合計8513社に達し、単月で1~9月の累計(7148社)を上回った。世界的な景気低迷で輸出頼みの労働集約型企業の環境が厳しさを増している。
 同省によると生産停止・廃業したのは電機・機械部品、紡織、建築材料など低付加価値品を生産する小規模メーカーが中心。省内で登記する企業は約100万3000社で、その大半は中小企業とされる。就業人口7000万超の約65%は中小企業で働いており、失業増大で社会不安が広がる恐れもある。(広州=阿部将樹)

◎中国でタクシースト拡大、当局軟化、他業種に飛び火も(2008年12月18日、朝日新聞)
 中国各地にタクシー運転手によるストライキが広がっている。当局が、ストを認めないこれまでの強硬路線を転換し、運転手の求めに応じて補助金を交付するなど柔軟姿勢を示したため、一気に拡大した。ストに関する報道も事実上解禁され、他の業種にまで飛び火し始めた。
 発端は11月3日からの重慶市のストライキだった。「重慶市の全市でタクシースト」。新華社通信の速報記事は政府内やメディア界に衝撃を与えた。中国当局が04年「社会不安につながる」として記事での使用を禁止した「罷工(スト)」という言葉を使っていたことに加え、労働条件の改善を求めるタクシー運転手が早朝からストに突入し、スト破りのタクシーを別の運転手が襲うなど暴動化して警察車両3台を含む約20台が襲撃されたと、これまでになく詳しく伝えたからだ。
 新華社は翌日から「罷運(輸送をやめる)」という言葉に置き換えたが、「当局がスト権を事実上容認した」(大手紙記者)という観測が広まった。多くの地方紙やインターネット新聞が「罷工」を見出しに使って大々的に報じ始めた。
 中国ではかつては憲法上、スト権が認められていたが、82年に「社会主義体制下、ストで労働問題を解決する必要はない」として削除された。ストが起きた場合、当局は首謀者を割り出して見せしめに逮捕するなど強硬姿勢をとってきた。
 しかし今回、重慶市当局の対応は違った。「我々の政策に何が足りなかったのかについてしっかりと検討したい」。共産党指導部の政治局員である薄熙来・市党委員会書記が運転手の代表者と会談して陳謝した。1台当たり1日50元(約700円)の補助金を出すことも決めた。柔軟姿勢の背景には、暴力行為の広がりとネット世論がストを支持したことがある。
 こうした措置は「成功例」として、メディアや携帯電話のネットワークを通じて全国に広がった。広州市では12月1日、ほとんどのタクシーが姿を消し、駅や繁華街に長い列ができた。2万台と言われるタクシーの約7割の運転手が携帯電話で連絡をとりあい、「サービス中止」と書いた張り紙をフロントガラスに張って営業を停止した。
 ストの背景は労働条件の悪化だ。1日12時間労働でほとんど休日もなく、会社への上納金や燃料費を払うと売り上げの1~2割しか手元に残らない。手取りはよくて月3千元(約4万円)。運転手の男性(45)は「政府からは税金、会社からは費用の支払いを求められる」と不満を訴える。広州市当局は、重慶にならって、運転手の負担を毎月最大800元下げる通達を発表。現地紙がこの対応を手厚く報じ、事態は収束した。
 中国政府関係者によると、報道されていないものを含め、この1カ月余りで約20の省と市でタクシー運転手のストが起きた。タクシー運転手だけにとどまらず、学校教師や工場労働者にも波及し始めた。この関係者は「人民重視は大切だが、際限なく広がると体制や治安を脅かしかねない」と懸念する。

◎警官17人殺害の襲撃犯2人に死刑、中国(2008年12月17日、産経新聞)
 新華社電によると、新疆ウイグル自治区カシュガルの地裁は17日までに、8月の警官隊襲撃事件で殺人罪などに問われたウイグル民族の男2人に死刑判決を言い渡した。
 事件は8月4日朝に発生。2人はジョギング中の武装警察部隊員の隊列にダンプで突っ込み、刃物や手製爆弾で警官17人を殺害、15人を負傷させた。
 北京五輪が行われた8月には新疆で警官が襲われる事件が相次いで発生、中国当局は北京五輪妨害を狙ったウイグル民族独立派によるテロと断定している。

◎強毒性ウイルスと確認、香港の鳥インフル(2008年12月12日、産経新聞)
 香港当局は12日までに、香港の養鶏場で検出された鳥インフルエンザウイルスは毒性の強いH5N1型だったと確認した。当局は養鶏場の外部からウイルスが入ったとみて感染経路を調べている。
 また12日付の香港各紙によると、香港の養鶏業界で中国本土から養鶏用の受精卵が違法に持ち込まれているとの疑惑が持ち上がり、香港当局は感染との関連も含め調査する方針を決めた。
 香港当局は9日、九竜半島の養鶏場で採取した鶏の死骸(しがい)などからH5型のウイルスが検出されたと発表していた。(共同)

◎中国:輸出、初の減、「世界の工場」に不況余波、11月(2008年12月11日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国税関総署が10日発表した11月の貿易統計によると、輸出は前年同月比2・2%減の1149億8700万ドルで、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した01年12月以降、初めて減少に転じた。
 世界的な景気減速による市場縮小の余波が「世界の工場」にも本格的に押し寄せた形だ。輸出企業が集中する沿海部などでの雇用問題が深刻化するのは確実だ。
 輸出の減少は01年6月以来、7年5カ月ぶり。輸入も同17.9%減の748億9700万ドルで、05年2月以来の減少となった。輸入減少は原油価格などが急落した影響と見られる。貿易収支は400億9000万ドルの黒字と、4カ月連続で単月の過去最大を更新、初めて400億ドルを突破した。

◎中国:民間航空機180機解約指示、メーカー減産必(2008年12月11日、毎日新聞)
 中国民用航空局が中国国内の航空会社に対し、09年に引き渡しが予定される航空機の契約取り消しか、納期の先送りを指示する通達を出したことが分かった。中国国営新華社が伝えた。金融危機による旅客減や不採算路線の拡大で苦境に陥っている航空各社の経営悪化に歯止めをかける狙い。中国航空業界を最大顧客にしている米ボーイングや欧州エアバスなど大手航空機メーカーの生産計画に影響が出るのは必至とみられる。
 民航局は同通達で、航空機納入契約の取り消し・延期を「できる限り奨励する」と指示したほか、09年内にリースの満期がくる航空機の契約更新停止、老朽航空機の売却を進めるよう要請した。10年までは貨物を含む新会社の市場参入を認めない方針も示した。
 新華社系ネットサイト「新華網」によると、中国航空各社は04年以降、毎年20%のペースで保有旅客機を拡大。ボーイングとエアバスがほぼ二分する形で市場を独占しており、09年は計180機の納入を予定していた。
 両社の07年の全世界での民間機納入実績はボーイングが441機、エアバスが453機で、中国各社が来年納入予定の180機をすべてキャンセルすれば、両社は2割前後の減産が避けられないことになる。
 中国には中国国際、中国南方、中国東方の国営大手3社を含め24社の航空会社がある。四川大地震などの大規模災害、北京五輪時の入国規制による旅客急減に米国発金融危機が追い打ちをかけ、大手3社は先月までに政府に公的資金による資本注入を申請。すでに中国南方に対する30億元(約405億円)の資金支援が決まっている。

◎不祥事は直接北京へ「私たちの報道に報復できない」、中国地方政府と中央メディア対立(2008年12月9日、産経新聞)
 中国の国営中央テレビ(CCTV)の女性記者が今月初め、山西省太原市の検察庁に収賄容疑で逮捕された事件が中国国内で注目を集めている。同記者が検察庁の不祥事を取材中に起きた事件であり、北京の各紙は「拘束は違法」として女性記者を応援している。最近、不祥事報道をめぐり中央メディアと地方政府が対立することが多くなっており、中国メディアの報道姿勢は確実に変化してきたようだ。
 8日付の北京紙「北京青年報」は1ページ半を使ってこの事件を詳報した。それによると、この記者は李敏といい、4日夜、山西省からやってきた検事ら4人に北京市内の自宅から連行された。その際、取材相手から20万元(約280万円)相当の金品を受け取った容疑を告げられたが、同紙は「取材相手は李氏の恋人でもあり、受け取った金品はわいろに当たらない」と指摘。同時に李氏は現在、同検察庁の職権乱用事件を取材している最中であり、11月、李氏はほかの2人の記者とともに同検察庁幹部から「罰を受けても後悔するなよ」と脅迫されていたことも報じた。
 同様の事件は今年1月にも起きている。全国紙「法制日報」傘下の雑誌「法人」が遼寧省鉄嶺市西豊県の立ち退きに絡む不祥事を伝えると、同県の党委書記の指示を受けた警察官3人が北京の雑誌社を訪れ、名誉棄損容疑で女性編集長を逮捕しようとした。北京の各メディアは「言論弾圧だ」と一斉に反発、この結果、最終的には中央政府も動いて同書記が免職された。
 中国のメディアの予算や人事権などは原則として、各地の共産党宣伝部の管理下にあるが、十数年前から、民間資本の参入などが徐々に認められるようになったため、メディア間の競争が激しくなり、スクープや調査報道の数が増えた。とくに影響力の大きい北京のメディアは、中央政府への批判こそしないが、地方に起きた不祥事を積極的に報道するようになった。
 一方、各地域で絶大な権力を持つ地方政府は、地元の司法やメディアを完全にコントロールしている。そこで弱者は不満があると、中央メディアに直接訴え、それを報道してもらうことが増えた。
 8日付の北京紙「新京報」は、山東省新泰市が地元政府に対する不満を北京へ直訴しようとした多数の陳情者を精神病院に強制的に入院させたことをスクープし、ネットで大きな反響を呼んだ。同紙の関係者は産経新聞の取材に対し「私たちは党中央宣伝部直轄なので、山東省は私たちに報復できない」と話している。中国共産党によるメディア統制は、ほころびつつある。

◎「国辱だ」水着で中国旗にねそべったアイドル、ネットで“炎上”、著名人狩りの実態(2008年12月7日、産経新聞)
 日本で活動する中国出身アイドルの1枚のグラビア写真が、中国でバッシングの標的になっている。水着で中国国旗に寝そべるカットが「国家を侮辱している」というのだ。利用者が2億5000万人を超す中国のネット社会では、これまでも五輪選手や著名人らが非難の的にされ、謝罪に追い込まれたり、個人情報をさらされる被害を受けている。愛国心に名を借りた中国「網民」(ネットユーザー)の“暴走”がとまらない。(桜井紀雄)

・「神聖な国旗をけがした!」網民らが猛反発
 中国で騒動の的になっているのは、杭州出身のアイドル、ローラ・チャン=中国名・陳怡=さん(21)。
 チャンさんは、中国の人気オーディション番組に出場したのをきっかけにスカウトされ、昨年5月に来日。NHKの「テレビで中国語」のレギュラーを務めたほか、多くのバラエティー番組に出演し、今秋にはドラマデビューを果たしたアイドルだ。
 北京五輪もあって、グラビアアイドルとしても引っ張りだこで、各雑誌のグラビアにも登場したが、学習研究社(学研)発行の月刊誌に掲載された1枚の写真が今回、非難の対象となった。
 写真は、紺の競泳用水着を着たチャンさんが日本と中国の国旗を敷いたソファに寝そべって笑顔でポーズを取ったもの。健康的な印象を受けるが、写真がネットで中国に流出し、論議を呼んだ。
 中国の国旗が腰の下敷きになっているため、「国旗を尻に敷いて扇情的写真を撮るとは、国旗をないがしろにしている」とネット上で批判が殺到したのだ。
 ネット上の騒ぎを新聞など中国メディアが紹介し、騒動を知らなかった人の怒りも増長させた。
 《彼女の行為は神聖な国旗をけがした》《中国国旗は無数の革命の先人たちが命に代えて守ってきたものだ》…。中国紙にはこうした「網民」らの声とともに「著しく原則を逸脱している」との専門家の意見も載った。
 これらの記事が大手ニュースサイトに転載され、《われわれの国旗を金もうけに使うのは許せない》とそれに対する新たな書き込みを生む負の拡大再生産が続いている。

・「国旗法違反?」アイドル側は困惑
 騒ぎは法律論争にまで飛び火した。
 中国の法律家の1人は中国紙の取材に、中国の「国旗法」には「商標や広告に使ってはならない」「燃やしたり汚したり破損させ侮辱してはならない」との規定があるとした上で、「中国では刑事責任が問われるが、日本の雑誌となると、彼女の法的責任を追及できないのではないか」との見方を示した。
 ネットでは、《個人の自由じゃないか。彼女を責めるべきではない》との意見も書き込まれたが、それに対して1000件もの反対意見が殺到。膨れあがった怒りの声にかき消された。
 あるサイトには、「恥だ」36.1%▽「国旗をないがしろしている」31.5%▽「こっけいだ」15.6%との網民への調査結果まで掲載された。
 写真はもともと、8月発行の雑誌に掲載されたものだった。それが在日中国人が「中国では知られていないアイドル」として、ネットに写真を転載したのが、本国に伝わり、法律論争まで引き起こす皮肉な結果を招いたようだ。
 この騒ぎにチャンさんの所属事務所では「騒動は承知しているが、出版社の企画に沿って撮影したものであり、ノーコメントとさせていただきたい」としている。
 写真を掲載した学研側は「北京五輪直前ということで、五輪を盛り上げるため、日中の友好をテーマに企画しました。中国出身のチャンさんの持ち前の明るさを前面に押し出したつもりですが…」と戸惑う。
 「発行からこれだけたってからの予期しない事態に残念というほかありません」(学研)。当事者だけではなく、日本人であれば、こんな事態を誰が予想できただろうか。

・旭日旗ファッションの女優も強烈なバッシング
 「愛国心をあおる国旗という話題に、アイドルというネット世代が最も食いつきやすいキーワードがそろい、ここまで広がることになった」
 ネット事情に詳しく中国のネット炎上に関する著書もある中国在住のライター、山谷剛史氏はこう指摘する。
 「この手の話題は、アクセスも増えるため、どこのポータルサイトもこぞって掲載したがる」とサイト運営側の事情にも触れた。
 似たケースは過去にもあった。
 有名女優のヴィッキー・チャオ=中国名・趙薇=さん(32)が日本の旭日旗をイメージするデザインの服を着た写真が2001年、ファッション誌に掲載されたところ、批判が殺到した。チャオさん側は「雑誌の要望に応えただけ」としたが、テレビに映像を流さないといった女優生命の危機に立たされ、結局、「歴史認識の浅さを痛感し、反省する」と謝罪した。
 台湾のアイドル、レイニー・ヤン=中国名・楊丞琳=さん(24)もテレビ番組で03年、日中戦争の期間を問われ、「11年」と回答。司会者から「8年」と正され、「たったの8年」と答えたことから中国で非難が相次いだ。
 「私の前世は日本人」といった日本びいきの発言もあり、CDなどの不買運動に発展。「彼女は南京事件の死者を『たった数十万』と発言した」と歪曲(わいきょく)した話題がネットでくすぶり続け、昨年、北京で涙ながらに謝罪する事態に追い込まれた。
 最近でも映画「紅いコーリャン」や「覇王別姫」で知られる大物女優、鞏俐(コン・リー)さん(42)が夫と同じシンガポール国籍を選択したところ、ネット上で「裏切り者」「売国奴」といったバッシングが巻き起こっている。

・「人肉検索」で執拗な攻撃、個人情報の公開も
 チベット騒乱や聖火リレー妨害、四川大地震、北京五輪…。今年は中国人の愛国心をあおるニュースが続いた。
 五輪では、アテネで金メダルを獲得し、英雄視されていた陸上百十メートル障害の劉翔選手(25)が途中棄権し、ネットで大バッシンされたことは記憶に新しい。
 チベット騒乱をめぐっては、米国の大学で、中国人女子学生がチベット支持派と中国人学生の対立回避を呼び掛けたところ、ネットを通じて中国国内でも「売国奴」と非難が起きた。中国の実家の住所がネットでさらされ、「売国奴を殺せ」と実家の壁に落書きされた。
 「人肉検索」。集団で個人情報をたどり、ネットで公開する行為を中国でこう呼ぶ。
 人肉検索の恐怖は四川地震後にも吹き荒れた。被災地復興のための寄付をしなかったり、寄付が少額だった企業経営者や著名人は情報がネットにさらされ、攻撃の的になった。
 ネットで不適切な書き込みをした女子学生も個人情報を公開され、休学に追い込まるなど、網民による目に見えない“集団リンチ”が拡大し続けている。
 「80後」。中国で1980年以降に生まれ、改革開放期に育った世代をこう称する。教育の影響もあり、ほかの世代に比べても愛国的発言を好む傾向にあるとされる。「この世代とネット世代が重なる」と山谷氏は指摘する。
 ネット利用者が2億5000万人を超し、世界一のネット大国となった中国だが、ネットが普及したのはここ数年のことだ。
 ユーザーが若い世代に集中していることもあり、「日本のユーザーに比べて一体となってあおる傾向が強いうえ、愛国的話題になると、沸点が低い」(山谷氏)。
 「80後」は一人っ子政策で過保護に育ったとされるが、四川地震では、被災地に大挙してボランティアに駆け付け、政府を驚かせた。ネットは地震の惨状を世界に発信し続け、閉ざされた中国のイメージに変化をもたらせた。まさにもろ刃の剣だ。
 巨大化した中国ネットは、一大勢力となった網民らは、どこに向かおうとしているのか。グラビア問題にとどまらず、日本人も無関係ではいられない時代が訪れようとしている。

◎粉ミルク汚染の中国・石家荘市、「食品安全都市」アピール(2008年12月7日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】新華社電によると、有害物質メラミンが混入した粉ミルクを製造した「三鹿集団」がある中国河北省石家荘市で6日、「食品安全都市」を建設し、イメージアップを目指す式典が開かれ、当局者や食品関係者ら約10万人が署名活動に参加した。
 メラミン汚染粉ミルク事件は、国内外で「食の安全」に対する信頼性を一層低下させるきっかけになり、腎結石などの健康被害を受けた乳幼児は全国で29万4000人に上っている。
 同市トップの車俊・共産党委員会書記が「三鹿(粉ミルク)事件は市のイメージを著しく損ねた。事件を教訓に食品安全・安心都市を建設しよう」と訴えた。
 同市には、冷凍ギョーザ中毒事件で問題になった「天洋食品」もあるが、国内でほとんど報じられていないことから、ギョーザに関して新華社電は伝えていない。

◎100人以上の陳情者を拘束、北京、土地強制収用抗議で(2008年12月4日、産経新聞)
 北京市中心部にある中国国営の中央テレビ前で4日、各地で相次ぐ不当な土地強制収用や公安当局者らによる市民への暴行などに抗議するため地方から集まった100人以上の陳情者が拘束され、バスに強制的に乗せられて連行された。
 4日は、中国で法治徹底を図るため制定された「法制宣伝日」。陳情者は中央テレビに対し、法に基づく統治の徹底を地方政府に促すよう求めて集まったが、逆に北京五輪後もデモ行為に対する厳しい規制が続く現状が浮き彫りになった。
 陳情者はこの日早朝から中央テレビ前に集まり始め、周辺には数百人の警官と警察車両数十台が待機して警備。陳情者が来るたびに公安当局が借り上げたバスに力ずくで乗せ、北京市南部の収容施設に連行した。また、公安当局者は外国メディア記者の写真撮影や陳情者への取材を妨害した。

◎中国当局幹部「ギョーザ事件は人為的混入」と強調(2008年12月3日、産経新聞)
 来日中の中国輸出入食品安全局の林偉副局長は3日、中国製ギョーザ中毒事件について「人為的な混入事件であり、一般的な(食品の)安全性の問題ではない」との見方を示した。
 東京都内で開かれた中国産食品の安全性に関するシンポジウムで発言した。「中国は食品について管理監督を強化しており現在、中国で食品安全法が議論されている」とも話し、今後さらに監督体制が強化されるとの見通しを明らかにした。
 同席した中国の前外相李肇星氏も「刑事事件であれば、両国関係部門は犯人を逮捕し、国民に損害を与えないようにしなければならない。食の安全について日中で定期的に交流することが必要だ」と述べた。

◎中国:人民元、上昇ストップ、輸出企業支援へ(2008年12月2日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】05年7月の為替制度改革以降、上昇を続けてきた中国の通貨・人民元の対米ドル相場が3カ月以上足踏みし、元安に振れる局面が目立っている。米国発の金融危機で成長率鈍化が鮮明になった9月下旬以降、中国政府が「積極財政と適度の金融緩和」に政策転換し、為替政策も従来の元高容認方針を撤回。苦境に陥った輸出企業の支援にかじを切った可能性が指摘されている。
 上海市場の人民元相場は1日夕、銀行間取引で1ドル=6.8848元を付けた。中国人民銀行が設定した中間値が同6.8505元と前週末より0.2%強の元安になり、当局が本格的な元安誘導を始めたとの観測が広がった。人民元の1日あたりの変動幅は中間値の上下0.5%以内に制限されているが、1日の下落率は0.49%強で、05年の制度改革以来で最大の下げ幅。
 制度改革以降、ほぼ右肩上がりで上昇した人民元相場は6月中旬に1ドル=6.8元台に突入したが、それ以後は減速し、10、11月は変動率が2カ月連続でマイナスになった。
 金融危機が表面化した9月以降、繊維など労働集約型企業の倒産や操業停止が相次ぎ、社会不安の増大を恐れる中国政府は10月以降、輸出税の還付率引き上げなど相次ぐ救済策を打ち出した。
 中国人民銀の周小川総裁が11月10日に「元切り下げの可能性を排除しない」と発言したことをきっかけに、市場では「為替政策も方向転換が明確だ」(為替ディーラー)との指摘が相次いでいる。

◎中国・家電量販最大手の創業者に株価操作の疑い、「国美ショック」の波紋(2008年12月2日、日本経済新聞)
 中国の家電量販店最大手「国美電器」の創業者である黄光裕氏が過去の株価操作の疑いで公安当局から取り調べを受けたことが11月最終週に明らかになった。このニュースは瞬時に広がり、国民は億万長者ランキング1位に輝いたばかりの時代の寵児の転落に驚きを隠せない。「国美ショック」は何を示唆しているのか?(肖宇生の中国IT最前線)

・立志伝中の大富豪の転落
 全国をカバーする1300カ所の店舗網、1000億元(約1兆5000億円)を超える売上高、パートも含めて30万人近くの従業員――。国美電器はどれをとってもライバルを圧倒する中国家電量販店の最大手だ。
 業績面でも中国屈指で、フォーブス誌のアジア太平洋のベスト上場会社のトップ50、ビジネスウィーク誌のアジアベストパフォーマンスカンパニートップ50などにランクインする。創業してまだ20年しか経っていないのも驚きだが、それを作り上げた黄氏も立志伝中の人物、中国屈指の大富豪として常に注目の的となってきた。
 黄氏はよくあるアメリカ帰りのITエリートではなく、貧しい家庭に生まれ中学校も卒業できなかったが、こつこつと商売を拡大させ頂点まで上り詰めた。中国大富豪ランキングでは、2004年と2005年、そして10月に発表されたばかりの2008年番付でも再びトップに立っている。そのサクセスストーリーは庶民の共感を呼び、2007年に業界3位の永楽電器と同4位の大中電気を相次ぎ買収した豪腕ぶりでスーパースター経営者の名を確かにした。 その黄氏の突然の不正疑惑である。今回の事件はまだ詳細が明らかになっていないが、株価操作以外にも賄賂やマネー・ロンダリングなどの疑いもとりざたされている。真実であれば、関係する金額の巨大さや範囲の広さから大型事件に発展する可能性もある。正に天から地への転落となる。

・鍵を握るベンダーの動き
 黄氏の事件が発覚した後、国美電器は法人としての国美電器とは関係がないことを訴えるのに躍起になっている。11月24日から香港証券取引所での取引が一時停止されている国美電器は28日に公告を出し、今回の取り調べはあくまでも黄氏個人へのものであると公安当局から通達があったことを明らかにした。
 さらに、臨時役員会を開いてCEO代理やCFOを選任し、外部機構の監査を受け入れることも表明した。外国人の社外取締役からなる特別委員会を設立するなどコーポレートガバナンスの透明度を高めるための施策も相次ぎ打ち出して、不穏な空気を収めようと懸命だ。 ただし今の国美電器には、より差し迫った問題がある。それは来年1月下旬の旧正月まで続く年間最大の商戦期間中に十分な商品を確保できるかどうかという問題だ。その鍵を握っているのがベンダーの動向である。
 これまで国美電器に頼ってきたベンダーの大多数は表向きに国美支持を打ち出している。ほとんどのベンダーにとって国美電器は最大の流通チャネルであり、国美電器に莫大な売掛金を抱えているからだ。
 国美電器の経営が混迷を深めれば、ベンダーも無傷ではいられない。しかし、その支持はあくまでも黄氏事件と国美電器に関係がないことが前提だ。今後の捜査で万一でも会社の関わりが判明するような事態になれば、ベンダーも難しい対応を迫られるだろう。
 いずれにしてもベンダーは今、国美電器がシロなのかどうかを固唾を飲んで見守っている。そして、彼らの行動は国美の今後に大きな影響を及ぼすだろう。

・一企業にとどまらない「国美ショック」
 「国美ショック」はそれだけにとどまらない。そもそも国美電器は中国市場における家電製品の流通シェア15%という絶大な存在である。世界同時不況が懸念されるなか、中国の家電産業にはただでさえ逆風が吹いており、最大の流通チャネルである国美電器が何かあれば死活問題だ。家電産業は中国の改革開放の尖兵として経済を牽引してきた存在であり、その影響は経済全体に及びかねない。
 いまのところ国美電器にすぐに取って代わる会社はない。ライバルの蘇寧電器は最近株価も上昇し販売でも積極攻勢に出ているが規模的に大きく劣っている。特に雇用面では、直接雇用30万人、物流やメンテナンスなどを含むと50万人といわれ、ベンダーなどの関連業界まで含めれば短期的な影響は計り知れないだろう。
 輸出不振などで雇用環境が悪化するなか、経済落差の拡大に怒りを向ける庶民層の反発に神経を尖らせている中国政府も気が気ではない。つまり、黄氏事件の国美電器への飛び火はすでに単一企業を超える問題となっている。中国政府も含めて多くの関係者が会社の無事を祈っているに違いない。

・曲がり角迎える中国経済改革の鑑になるか?
 黄氏だけでなく、中国で成功している企業家はこのところ常に議論の的となっている。普段は世間から羨望の眼差しが注がれるが、一旦何か非があると思われれば猛烈なバッシングを受ける。もちろん、企業家が地位に相応しい言動を求められるのは当然だが、国民感情にも複雑な一面がうかがえる。その根底にあるのはやはり経済格差の問題だ。
 中国の改革開放政策が始まって30年近く経った。これまでは2ケタ成長が当たり前だったが、そうした時代はいつまでも続くはずはなく、今後はある程度規律のある成長軌道に向かうだろう。企業家にとっても同じだ。法律も整備されないまま、法意識も薄い改革当初の環境のなかでは「何でもありの経営」で急激に富を蓄積できた企業家も少なくないはず。しかし今後はそれが許されなくなっていくだろう。
 中国市場にはホットマネーが溢れている。中国の企業家は機会が多いゆえだろうが、その魅惑に負けて安易にマネーゲームに手を出す傾向がある。しかし、自分の成功の歴史、そして自社の永続になりうる事業をもう一回見直す必要があるのではないだろうか。
 政府も同じだ。国美電器の行方はまだ分からないが、たとえクロであるとしてもマイナスの影響の大きさばかりを考えて温情処理や隠蔽などをせずに、厳正に処理すべきだろう。短期的に動揺があるかもしれないが、長期的に見ればそれはより秩序ある市場を育てていくのに不可欠なのだ。
 すでに経済大国に成長した中国の政府としてはその度量も必要とされ、その余裕もあるはずだ。いずれにしても、曲がり角を迎えようとしている中国マクロ経済環境において、政府も企業家も今回の事件を鑑(かがみ)にできるかどうかが今後の中国発展の鍵を握っているのは間違いなさそうだ。

◎中国でタクシーのスト続発、「二重三重の搾取」に不満爆発(2008年12月2日、読売新聞)
 中国各地で11月からタクシー運転手のストライキが続発、香港誌などによると、これまでに重慶市、海南省三亜、広東省広州など15地域以上でストが発生する異常事態となった。
 各地の同業者が波状的に動き出し、事実上連帯する「ストの連鎖」が、共産党政権に対する強烈な圧力となっている。震源となった重慶から飛び火した三亜を中心に、その状況を探った。

◆「10%」
 中国では一般的に、地方政府がタクシーの総数を規制、営業権を台数単位で企業に売り渡し、企業がそれを運転手に請け負わせている。関係者によると、運転手の多くは元農民。違法の高利貸から借りた金を元手にし、「二重三重に搾取されている」という。
 会社への支払いや経費などを除いた収入は「売り上げの10%程度」と言われる。しかも、搾取を嫌った無許可の“白タク”がまん延、三亜では「正規車の3倍以上いる」という。
 こうした状況は各地に共通する。運転手は「経済的弱者」と呼ばれ、その不満は全国に充満していた。

◆「大成功」
 11月3日、重慶市で8000台以上がストに入り、市政府は負担軽減を約束。6日には党最高指導層の政治局員である薄煕来・市党委員会書記が運転手代表との対話に応じた。
 「勝報」は、全国の運転手を刺激、三亜ではストを呼びかけるビラがすぐに出回った。作成者は不明。だれも知らず、知っていても話さない。「市当局が逮捕に動いたから」だ。
 9日夜、約300人の運転手が、浜辺の芝生で集会を開いた。「我々の意見を市に伝えよう」という声は、「直訴じゃだめだ」という声にかき消され、スト決行の流れが決まった。
 10日早朝、数百台が一斉ストを開始。「スト破り」の正規タクシーは壊され、すぐに営業をやめた。14日、市交通局幹部3人の辞任、タクシー会社による不正徴収金の返還、白タク摘発の強化などの成果を得て、ストは終息した。だれもが「大成功だった」と口をそろえる。

◆「事実上の組織」
 タクシー問題に詳しい中国政法大の王軍博士は「事実上の『組織』が存在して、初めて集団行動が取れる。携帯電話などの通信機器が、こうした組織の結成を容易にした」と語った。同じ問題に直面するタクシー運転手は「均質化」された集団であり、通信手段があれば簡単に結合するという。
 三亜の30代運転手は「勝因」をこう総括した。「ばらばらだと警察に威圧されておしまい。成功のコツは大勢が一緒に事を起こすこと。農民蜂起と同じだ」
 タクシー運転手の動きを、民衆の互助、自衛組織としての役割を持っていた中国古来の民間秘密結社になぞらえる専門家もいる。三亜の40代運転手は「このストの『指導者』を探したい。お礼をしたいし、次にストをする時、また頼らなくてはいけないから」と話した。

◆政権の恐れ
 共産党関係者は「地方指導者はいま、民衆の集団行動を非常に恐れ、穏便に事を済まそうとしている。武力鎮圧などで事態を悪化させれば、自分が責任を取らされる」と話す。安定を死守したい党中央も、激増する民衆抗議への対応方針を「鎮圧から隔離へ」(中国筋)と転換している。
 政権の慎重姿勢もあり、三亜の「成功」はさらに飛び火していった。タクシーストは、1件ごとに孤立した民衆暴動や集団抗議とは違い、人々が同じスローガンを共有する反日デモに近い。それを防ぐのは困難だ。タクシーストにとどまる保証もない。この秋、四川省や重慶などでは、教師のストも続発している。(三亜で 杉山祐之)

◎中国粉ミルク汚染:乳幼児被害、中国全土で29万人(2008年12月2日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国衛生省は1日、化学物質メラミンに汚染された乳児用粉ミルクで健康被害を受けた乳幼児が中国全土で29万4000人に上ったと発表した。うち死亡した6人は粉ミルク飲用が原因だった可能性があるという。
 同省がメラミン汚染が発覚した9月10日から11月27日までの被害件数をまとめた。大手乳製品メーカー「三鹿集団」など問題の粉ミルクを飲んだ可能性がある2238万人が診察を受け、症状が重く入院した患者は延べ5万1900人で、現在も861人が入院している。多くが泌尿器系に結石があると診断された。

◎メラミン被害の乳幼児29万人余、中国衛生省が発表(2008年12月2日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】2日付の中国各紙によると、中国衛生省は1日、有害物資メラミンに汚染された粉ミルクで腎結石などの健康被害を受けた乳幼児が全国で29万4000人に上ったと発表した。
 9月10日から11月27日までの状況をまとめたもので、入院治療を受けた5万1900人中861人が今も入院中という。
 メラミン混入事件発覚後、死亡した乳幼児は報告されていないが、発覚前に甘粛省などで死亡した計6人については、粉ミルクとの関連性を排除できないという。

◎中国メラミン粉ミルク事件、乳幼児29万人が異常(2008年12月2日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国衛生省は1日、粉ミルクに有害物質メラミンが混入した事件で、中国全土で計29万人余りの乳幼児に腎臓結石など泌尿器系の異常が見つかったと発表した。衛生省はこれまで約5万人の乳幼児が治療を受けたとしていたが、被害の深刻さが裏付けられた。
 11月27日までに計5万1900人が入院し、うち861人が入院中だ。衛生省によると、全国各地から11人の死亡報告があったが、調査の結果、うち6人が汚染粉ミルクとの関連が認められたが、ほかの5人については因果関係がなかったとしている。

◎中国:HIV感染者、26万人を超す(2008年12月1日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国衛生省は30日、9月末現在の中国のエイズウイルス(HIV)感染者の報告数が26万4302人となったと発表した。今年1月以降で約4万4800人増加した。
 感染者のうち発症した患者は7万7753人。死者は3万4864人となった。
 未報告も含めた推定の感染者数は約70万人といわれている。

◎女優コン・リーさんのシンガポール国籍取得、ネット上で非難噴出(2008年11月30日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】映画「紅いコーリャン」などで国際的に知られる中国出身女優、鞏俐(コンリー)さん(42)がシンガポール国籍を取得したことから、中国のインターネット上で「裏切り者」との非難が噴出している。
 北京五輪聖火リレーなどを機に沸騰した過激なネット民族主義の新たな標的になった形だ。
 中国紙などによると、コン・リーさんは、文化人代表として人民政治協商会議(政協)委員を務めたこともあるだけに、ネット利用者から「彼女の根は中国にあり、事業も中国にあるのに、他国の国籍を取得するのは不適切だ」との批判が集中した。
 さらには、「国の恥」などとして、出演映画のボイコットすら呼びかける動きもあるほどだ。
 外国での活動に便利なため、米国籍やカナダ国籍を取得するスターは少なくない。
 だが、共産党機関紙「人民日報」によると、大手ポータルサイトの調査で、「スターの外国国籍取得を理解できる」と答えたのはわずか7%にも満たなかったという。

◎スパイ罪で科学者の死刑執行、中国(2008年11月29日、産経新聞)
 中国当局は28日、台湾に軍事情報を流したとして、スパイ罪で死刑判決を受けた中国人科学者、沃維漢氏の死刑を執行した。オーストリア国籍の娘のチェン・ランさんが明らかにした。
 チェンさんが北京のオーストリア大使館から得た情報によると、死刑は28日朝、銃で執行された。チェンさんは「強いショックを受けている。私たちは父の身に何が起きていたのか知る権利が否定された」と話している。
 沃氏は2005年にスパイ容疑で逮捕された。チェンさんらは、当局から沃氏との面会を認められ、27日朝に逮捕後、初めて面会。チェンさんは同日記者会見を開き、死刑執行の中止を求めていた。

◎中国:エアバス社製旅客機150機の納入延期(2008年11月29日、毎日新聞)
 【パリ福井聡】欧州航空機大手エアバス社(本社・仏南部トゥールーズ)は27日、中国への旅客機計150機の納入が中国側からの通告で延期されたと発表した。
 サルコジ仏大統領が12月6日に予定するチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世との会談を理由に、中国は同1日に仏東部リヨンで温家宝首相が出席予定だった欧州連合(EU)中国サミットの延期を発表していた。納入延期の通告もこれに伴う措置としている。
 サルコジ大統領の昨秋の訪中時、エアバス社は中国の航空各社との間で「A320」110機と「A330」40機の受注契約を結んでいた。中国では今春、パリでの北京五輪聖火リレー妨害を巡り、仏系スーパーへの不買運動も起きた。

◎上海に高さ632メートル、121階建てビル建設へ(2008年11月27日、産経新聞)
 上海市政府は27日、同市の金融街に高さ632メートル、121階建ての超高層ビル「上海タワー」を建設すると発表した。2014年に完成予定で、中国で最も高い建造物になる。
 上海の国有企業3社が出資した会社が開発を手掛け、総投資額は148億元(約2060億円)で、金融機関や高級ホテルが入居する予定。金融危機や上海の不動産市場の低迷で資金調達を懸念する声も出ているが、開発担当者は「ビルが完成するまでに景気も回復する」と強気の構えだ。
 森ビルが建設した高さ492メートルの「上海ワールド・フィナンシャル・センター」や、420メートルの「金茂ビル」の隣に建設。上海の金融街に3つの超高層ビルがそびえることになる。

◎解雇の補償金不満、広東省の工場でデモ、警察と衝突(2008年11月27日、朝日新聞)
 【香港=奥寺淳】中国広東省東莞のおもちゃ工場で25日夕、出稼ぎ労働者が解雇補償金の金額が少なすぎるとしてデモを起こし、警官隊と衝突した。国営新華社通信によると、労働者が警察車両と小型パトカーの計5台をひっくり返し、事務所を襲い、パソコンなどの機器を破壊した。
 デモの原因は、工場が216人の雇用契約を26日に終了しようとしたこと。AFP通信によると、デモは最大約2千人に達し、警察との衝突で6人がけがをしたという。

◎低賃金、タクシー運転手の反乱、中国各地に飛び火(2008年11月26日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国北西部の陝西省周至県で24日早朝、県中心部の雲塔広場に百数十台のタクシーが集まり、運転手たちが待遇改善などを求めてストライキに突入した。25日付の地元紙「西安晩報」などが伝えた。11月になってから、このようなタクシーストは重慶市、海南省など各地で相次いでいる。
 運転手たちは過酷な労働条件を強いられており、高額な管理費を徴収し続ける当局に対する不満が一気に噴出したとみられる。
 今回の一連のストは中南部の重慶市から始まった。3日早朝、市内の約1万6000台のタクシーが一斉に止まり、同市の交通網を完全にまひさせた。運転手たちは「管理費の値下げ」「違法経営の白タクの一掃」「ガソリン料金の値下げ」などを当局に要求したという。
 中国メディアの報道によると、同市のタクシー運転手は毎月約7000元(約10万円)の管理費を納めるほか、ガソリン代として2000~3000元を自己負担しなければならない。休まずに毎日13時間以上働いても、毎月の売り上げ(約1万2000元)の6分の1しか自分の収入にならない状況が長年続いているという。
 最近の景気低迷で収入はさらに減少しており、管理費とガソリン料金を下げようとしない当局に対する怒りが爆発した格好だ。
 中国ではこれまでも北京や長春などで小規模なタクシーストが起きているが、その際、当局は「社会安定を乱す行為」として、リーダーを逮捕するなど高圧的な対策を採ってきた。
 しかし、重慶市政府は今回、ストが大規模でネットなどの世論が運転手たちを支持していることなどを考慮し、柔軟な対応を選択。管理費の値下げに応じ、白タクの取り締まり強化を約束し、運転手側の要求を一部受け入れた形で、事態収拾を図った。
 ところが、重慶市の対応がメディアで報じられると、タクシーストが一気に全国に飛び火した。海南省三亜市と甘粛省永登県で10日、広東省スワトー市で20日にそれぞれ大規模ストが起き、同省広州市や山東省の済南市でもストの動きがあったという。
 中国の法律では、労働者にはストの権利を認めていない。国有企業などには形だけの労働組合はあるものの、共産党の下部組織となっており、当局は、ストが各地に発生する事態に対応するマニュアルをもっていない。
 対応を一歩誤れば、ストはさらに拡大しほかの業種にも及ぶ可能性もあり、社会不満が一気に広がりかねない。

◎中国、1%超す大幅利下げ、国内景気の下支え(2008年11月26日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国人民銀行(中央銀行)は26日、金融機関の預金・貸出金利を27日から引き下げると発表した。1年物で1%を超える大幅な引き下げだ。6年7カ月ぶりに金融緩和に転じた9月以降、利下げは4回目だが、下げ幅は最大となる。金融危機の影響で減速する国内景気を下支えするのが狙いで、金融機関の預金準備率も来月5日から引き下げる。
 金利の引き下げ幅は1年物で1.08%と、過去3回の引き下げ幅(1年物で0.27%)を大幅に上回る。1年物で預金金利が2.52%、貸出金利は5.58%になる。預金準備率は大手国有商業銀行などで1%、中小金融機関で2%引き下げる。

◎警官6人殺害で死刑執行、ネットでは「英雄」視、中国・上海市(2008年11月26日、産経新聞)
 中国のニュースサイト「新華網」によると、中国上海市で7月に警官6人が刺殺された事件で、死刑判決が確定していた楊佳死刑囚に26日、死刑が執行された。
 北京市出身で無職の楊死刑囚は上海市公安局閘北分局が入った建物に押し入り、刃物で警官9人を刺し、6人を死亡させた。
 楊死刑囚は昨年、自転車窃盗の疑いで同分局の警官に拘束され、その後、精神的ダメージを受けたとして賠償を求めたが拒否され、報復のために襲撃したとされる。
 中国では、公安当局の腐敗への不満が高まっており、インターネット上では楊死刑囚を「英雄」扱いする意見も出ていた。

◎中国の大富豪、相場操縦関与で取り調べ(2008年11月24日、産経新聞)
 24日付の中国紙、第一財経日報などは、北京市公安局の専門捜査チームが、中国の家電販売最大手「国美電器」創業者、黄光裕氏(39)を相場操縦などに関与したとして拘束、数日間取り調べを続けていると伝えた。
 経済誌、財経(電子版)によると、黄氏の兄が代表を務める不動産会社の株価が昨年、値幅の上限(ストップ高)を三十数回記録するなど大幅に上昇した。黄氏はこの過程で、同社株の相場操縦に関与した疑い。
 黄氏は中国の代表的な企業経営者として知られ、米経済誌フォーブスの2006年版中国富豪番付で資産総額が首位となり、今年も2位だった。

◎中国有数の富豪拘束、経済事件に関与か(2008年11月22日、産経新聞)
 22日付の香港各紙は、中国有数の富豪で知られる家電販売大手「国美電器」創業者、黄光裕氏(39)が経済事件に関与したとして公安当局に拘束され、取り調べを受けていると伝えた。黄氏は先月、米経済誌フォーブスが発表した「2008年版中国の富豪400人」の番付で、資産総額2位に入っている。
 各紙によると、黄氏は20日午後、北京で公安当局に拘束された。銀行との取引をめぐって違法な行為があったとされるが、容疑の詳細は不明。
 国美電器は1987年に設立。中国国内280以上の都市に1200以上の直営店を構えている。

◎ミカン農家が新聞社に抗議、中国、「ウジ虫」報道で販売不振(2008年11月20日、産経新聞)
 20日付の中国系香港紙、文匯報によると、上海市でミカンを栽培している農民100人以上が19日午前、ミカンからウジ虫が見つかったとの報道で売れ行きが悪くなったとして、同市の共産党機関紙、解放日報に押し掛け、抗議の座り込みを行った。
 解放日報グループの新聞晨報は先月24日、上海市民が庭に植えたミカンからウジ虫が見つかったと報道。
 ミカン農家側はこれにより被害を受けたとして、ロビーなどに座り込み、一部農民はミカンを買い取るよう要求したが、警官に説得され、19日夕方、解散した。
 中国ではこのほど、四川省産のミカンからウジ虫が大量に見つかり、ミカンを敬遠する動きが広がっていた。

◎米国債保有、中国が1位に、約57兆円で日本抜く(2008年11月19日、朝日新聞)
 【ワシントン=星野眞三雄】米財務省が18日発表した9月の国際資本統計によると、中国の米国債保有高は9月末時点で5850億ドル(約56兆7千億円)となり、首位を続けていた日本(5732億ドル)を抜き、世界最大の米国債保有国となった。
 米国発の金融危機が世界的に広がっているが、中国は米国債への投資を続けていることが確認された。米財政赤字が拡大する中、米国債の安定的な引受先となっている。
 国・地域別の米国債保有高で、中国は前月に比べ436億ドル増え、日本は128億ドルの減少。3位は英国で3384億ドルだった。海外全体では2兆8605億ドルで、前月より1106億ドル増えた。
 中国の米国債保有高は、00年9月末時点では621億ドルだった。8年間で10倍弱も増えたことになる。中国は多くを米国債などのドル資産で持つ外貨準備高が06年1月に日本を抜いて世界一となっている。

◎中国で住民2000人が市庁舎襲う、仮設住宅中止に反発か(2008年11月18日、CNN)
 北京(CNN) 中国国営新華社通信は、北部の甘粛省隴南市で18日未明、住民ら約2000人の集団が市庁舎を襲ったと伝えた。
 隴南市は5月の四川大地震後、市庁舎を別の場所に移す計画を進めていたが、移転に反対する住民約30人が17日に集会を開催。その日のうちに数千人の集団に膨れ上がって市庁舎を襲い、車両や建物を破壊した。
 非公認の市民ブログは、集まった人の数を1万人と伝えている。ある書き込みによれば、市庁舎の移転計画のせいで数千家族が住む仮設住宅の建設がストップし、多くが移転を強いられそうだという。集まった人たちが暴徒化したのは、武装した警官が配備され、市当局が対話を拒んだためだと記した書き込みもある。
 隴南市では四川大地震で275人が死亡、6000人が負傷し、住宅100万棟以上に倒壊などの被害が出た。

◎貴州暴動で6人に有罪、中国(2008年11月15日、産経新聞)
 中国の通信社、中国新聞社によると、中国貴州省瓮安県で6月末に起きた大規模暴動で、同県の人民法院(地裁)は14日、社会秩序かく乱や放火の罪などで住民5人に懲役16-5年の実刑判決を言い渡した。別の1人は自首したため、執行猶予付きの懲役2年を言い渡された。
 暴動は女子中学生の死亡事件に対する公安局の処理に不満を持った住民らが数万人規模で公安局の建物を焼き打ちするなどした。
 事件では、当局の対応にも問題があったとして県トップの書記らが免職処分となった。

◎中国、家畜飼料への混入調査(2008年11月11日、産経新聞)
 中国各地で卵から有害物質メラミンが相次いで検出された問題で、中国政府はメラミンが家畜の飼料の原料に混入されていたとみて調査に乗り出した。メラミン入りの飼料は業界内では「公然の秘密」(中国紙、南方日報)とされ、温家宝首相が「1、2年以内に解決」と大号令をかける「食の安全」への信頼が取り戻せるかは不明だ。
 同紙によると、5年前から養殖魚の飼料にメラミンが混入され、乳牛、豚、鶏など広く家畜の飼料にまん延した。タンパク質の含有量を多く見せ掛けるためで、偽の「タンパク質エキス」として出回っている。
 化学業界の製品製造過程などで出る廃棄物のメラミンを使用。被害が卵だけでなく、家畜の肉にも拡大するとの懸念が広がっている。

◎10月の中国貿易黒字が過去最高に(2008年11月11日、ロイター)
 中国税関当局が11日発表した10月の同国の貿易黒字は352億4000万ドルで、過去最高を記録した9月の293億ドルを大幅に上回った。10月の輸出は前年比19.2%増、輸入は同15.6%増。
 市場予想は、貿易黒字が313億ドル、輸出が18.8%増、輸入が19.0%増。
 1─10月の貿易黒字は2159億9000万ドル。

◎中国 都市部でも暴動頻発、失業や社会不安、当局への不満増大(2008年11月10日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国南部の広東省深●(=土へんに川)市では7日、約2000人の民衆が警察庁舎に押しかけて警察車両に火を放つなどの暴動が起きた。最近の景気低迷で失業者が急増したこともあり、腐敗した地方政府や横暴な警察に対する民衆の不満はさらに増大。農村部を中心に起きていた暴動は今年になってから、都市部でも頻発する様相を呈している。社会不安への発展を恐れる当局は、失業対策を手厚くするなどして火消しに躍起となっているが、先行きは不透明な情勢だ。
 国営新華社通信などによると、暴動のきっかけとなったのは交通取り締まり中に起きた死亡事故だった。同市宝安区で7日、無免許でオートバイを運転していた男性(31)が、同市管理委員会が設置した検問所を突破した。男性を止めようとした職員の一人がトランシーバーを投げつけたところ、男性は街路灯に衝突して死亡した。遺族は「警察が人を殺した」として男性の遺体を警察庁舎に運び込み抗議。同日夜になると、やじ馬を含め約2000人の民衆が集まり、庁舎を包囲して投石するなど騒ぎは大きくなった。
 当局は遺族に一時金として20万元(約280万円)を支払うとともに、トランシーバーを投げつけた職員を拘束したことで、事態はようやく沈静化した。
 中国政府の統計によると、中国では昨年、農村部を中心に土地収用問題をめぐる暴動が約9万件発生したが、都市部は比較的に静かだった。しかし、失業者の急増や株価の低迷などの影響が都市部住民の生活を直撃したことで、当局への不満を爆発させる形の暴動や警察襲撃事件が都市部でも起きるようになった。
 上海では7月に、警察の不当捜査への報復で6人の警官が刺し殺される事件が起きた。犯人はその後、死刑判決を受けたが、インターネットでは、彼を「人民の英雄」と称賛する意見が数多く寄せられた。
 広東省の東莞市では10月中旬、工場の閉鎖により失業した労働者1000人以上が未払い給料を求めて、抗議デモを起こし、それが暴動にまで発展した。
 広東省や上海などの都市部周辺には、製造業を中心に約2億人の出稼ぎ労働者が集まっているが、輸出不振と景気低迷で今年上半期だけで、その1割に当たる2000万人が失業した。若年失業者が一気に都市部で増えることを警戒した当局は、「職業紹介所」を各地に新設するとともに、未払い給料や帰郷の交通費を立て替えるなど失業対策を実施しているが、失業者急増のペースに追い付いていないのが実態のようだ。
 深●(=土へんに川)市の暴動を現場で取材した香港の男性記者によると、死者は地方からの出稼ぎ労働者。警察庁舎で暴れた人たちの多くは死者と面識はないが、死者と同じく最近失業した地方からの出稼ぎの若者が多かったという。同記者は「政府に対する不満が鬱積(うつせき)している。理由などはいらない。きっかけさえあればいつでも暴動は起きる状態だ」と話している。

◎オバマ陣営のコンピューターにハッカー侵入、外国政府機関の仕業か(2008年11月7日、産経新聞)
 【ワシントン=有元隆志】米大統領に当選した民主党のオバマ上院議員の選対本部のコンピューターに今年夏、ハッカーが侵入していたことが6日、明らかになった。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は中国からのサイバー攻撃と報じた。共和党候補マケイン上院議員の陣営も、8月にFBIから同様の警告を受けたという。
 米政府当局者は同紙に対して、サイバー攻撃が中国の政府機関によるものか、政府とは関係ないハッカーによるものかは解明されていないと語った。
 米誌ニューズウィークなどによると、ボルテン大統領首席補佐官はオバマ陣営の選対責任者デービッド・プラフ氏に、「あなたたちは大きな問題に直面しており、早急に対処する必要がある」と警告した。陣営の内部資料などが大量に流出したという。
 中国からのサイバー攻撃をめぐっては、昨年6月にゲーツ国防長官の執務室で使用する電子メールシステムがハッカーの侵入で停止状態となった。フィナンシャル・タイムズは国防総省筋などの話として、この侵入を「中国軍によるもの」と報じた。

◎ラサ暴動で55人に有罪判決、中国、拘束は1300人超(2008年11月5日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国チベット自治区幹部は4日、3月に区都ラサで起きたチベット民族住民らによる暴動で、これまでに55人に有罪判決が出たことを明らかにした。自治区を訪問したオーストラリア下院議員との会談で語った。
 自治区幹部によると、暴動に絡み警察当局が1317人を拘束。うち1115人は犯罪が軽微で、反省もしているとして釈放された。判決を受けた55人の具体的な量刑は不明だが、同幹部は「証拠は明らか」と指摘した。
 同幹部は中国政府とチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世側との対話に、「成否はダライ・ラマ本人(の対応)で決まる」と述べ、ダライ・ラマにチベット独立運動に携わらないよう求めた。

◎重慶のタクシーストで暴動、警察車両を襲撃、中国(2008年11月3日、産経新聞)
 中国重慶市で3日、労働条件の悪さや厳しい取り締まりへの不満からタクシー運転手が早朝からストライキに突入した。一部ではスト破りのタクシーを別の運転手が襲うなど暴動となり、警察車両3台を含む約20台が襲撃された。新華社などが伝えた。
 運転手側はタクシーの初乗り運賃が5元(約70円)と安いのに、会社側が売り上げから徴収する毎月の管理費が7000-8000元と多すぎるなどと訴えていた。交通違反に対する罰金が高すぎることも一因と話す関係者もいたという。
 重慶市内には約1万6000台のタクシーがあり、このうち市中心部は9000台。朝のラッシュアワーの時間帯から営業中のタクシーが見つからない状態になったが、午後には一部が地元当局者の保護を受けながら業務に復帰したという。

◎重慶のタクシーがスト(2008年11月3日、産経新聞)
 3日の新華社電は、中国重慶市のタクシー運転手が3日早朝からストライキに入ったと報じた。朝のラッシュアワーの時間帯から営業中のタクシーが見つからない状態という。
 運転手側は「初乗り運賃が5元(約70円)と安い上、1台当たりの月の売り上げから会社が徴収する7000から8000元の管理費が高すぎる」と訴えている。管理費と諸経費を除いた分が運転手側の取り分になる。
 同時に、市交通当局に対しても無許可タクシーの取り締まりが不十分などと指摘している。
 重慶市内のタクシーは1万6000台で、このうち市中心部は9000台。

◎光緒帝の死因はヒ素中毒、清朝末期、専門家調査で「謎」を解明(2008年11月3日、産経新新聞)
 中国の通信社、中国新聞社によると、清朝末期の光緒帝(1871-1908年)の死因がヒ素中毒であることが2日までに、専門家の調査で分かった。この研究成果は、国家清史編さん委員会による「清史」に組み入れられるという。
 専門家チームは2003年に調査を開始し、光緒帝の遺髪や遺骨、衣服などをエックス線などで科学的に調査。衣服の一部や頭髪から致死量を超えるヒ素が検出された。
 光緒帝は幼少期に即位したが、西太后らが実権を握る期間も長く、日清戦争の敗戦にも見舞われた。光緒帝と西太后はほぼ同時期に死去。光緒帝の死因については諸説あり、歴史の謎とされてきた。

◎中国、メラミン使用は「公然の秘密」、中国紙報道(2008年11月1日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製粉ミルクへの混入で問題化した有害物質メラミンが中国産の卵からも検出され、社会に不安が広がっている。
 中国紙「南方日報」(電子版)は30日、動物の飼料へのメラミン混入は業界全体の「公然の秘密」で、5年前に水産物養殖の飼料から始まり、家畜に広がったと伝えた。メラミンが食品業界で幅広く使用されている実態が浮かび上がってきた。
 問題の卵を生産した養鶏場の親会社「大連韓偉集団」(遼寧省大連市)は、養鶏場で使った飼料の原料から、9月22日にメラミンが検出されていたことを認めている。同集団によると、この原料を製造した同省瀋陽の業者はすでに拘束され、工場は閉鎖されたという。業者が、粉ミルク同様、たんぱく質の含有量を多く見せるため、原料にメラミンを添加していたものとみられる。
 その後、山西省と湖北省の企業が生産した卵からもメラミンが検出された。いずれも北京市内では販売されていないが、市内の卸売市場で、卵を買い控えて一時価格が下がったほか、周辺の農村でも卵が売れないなどの影響が出ている。
 南方日報は、広東省の飼料業者の話として、メラミンが水産物養殖業から家畜まで幅広く使用され、その影響は粉ミルクをはるかに超えていると指摘。メラミンは、実際にたんぱく質を含んだ原料の代替品として飼料に添加され、特に中国南部ではスッポンやウナギの養殖に使われている。
 衛生省によると、粉ミルク汚染による腎結石などの健康被害で入院している乳幼児は10月29日現在も、2390人に上っている。

◎中国が今年3回目の利下げ、市場の資金不足解消狙う(2008年10月29日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】中国人民銀行(中央銀行)は29日、今年3回目となる利下げに踏み切った。
 主要政策金利の一つで金融機関から企業などに貸し出す際の「法定貸出金利」を30日から期間1年物で0.27%引き下げ、年6.66%とする。同時に、預金金利も1年物で0.27%引き下げる。中国は今月9日にも利下げをしたばかりだ。世界的な金融危機の影響を抑制するため、1か月半の間に3回という異例の対応となった。
 中国では、サブプライム問題による金融機関の直接の損失は多くないが、市場の一部では資金不足が生じている。

◎中華レストランの「かぼちゃ饅頭」からメラミン検出(2008年10月29日、読売新聞)
 すかいらーくの子会社でバイキング形式の飲食店を全国展開する「ニラックス」(東京都武蔵野市)は29日、中華レストラン「ブッフェグランチャイナ」で販売した中国製「かぼちゃ饅頭」から有害物質メラミンが41ppm検出されたと発表した。
 同社によると、かぼちゃ饅頭は、ファミリーレストラン「サイゼリヤ」でメラミンが検出された冷凍ピザと同様、「ザ・ベスト創食」(大田区)が中国広東省の「金城速凍食品」から輸入した。9月11日から10月1日まで東京都町田市、昭島市、八王子市、千葉県印西市、神戸市、岡山市、広島市、福岡市の8店舗で販売され、すでに6189個が客に提供された。検出量は、体重60キロの人が1日30個食べなければ摂取許容量を超えないため健康への影響はないという。
 ニラックスは、金城速凍食品製の「エッグタルト」からメラミンが検出されたとの報道を受け、今月2日、同社製の2品を販売中止にして自主検査したところ、かぼちゃ饅頭からの検出が判明。原材料の練乳にメラミンが混入していたとみられる。
 ニラックスは在庫をすべて廃棄するが、客への返金は考えていないという。

◎中国製「かぼちゃ饅頭」からメラミン(2008年10月29日、スポーツニッポン)
 外食チェーン「ニラックス」(東京都武蔵野市)は29日、同社が運営するレストラン8店舗で提供した中国製の「かぼちゃ饅頭」から微量のメラミンが検出されたと発表した。客から健康被害の連絡はないという。
 ニラックスによると、かぼちゃ饅頭は9月11日から10月1日まで神戸市や広島市、福岡市などのレストランで計6189個が提供された。原料に練乳を使用しており、同社の自主検査で1ロ当たり41ミリグラムが検出された。同社は「健康への影響がない程度の量」としている。

◎上海の森ビルオープンセレモニー、カレーラスが世界1展望室で熱唱(2008年10月25日、産経新聞)
 上海の新ランドマークとなった「上海環球金融中心(ワールド・ファイナンシャル・センター)」のオープニングセレモニーが25日、元首相の中曽根康弘氏らを招いて行われた。会場の世界1の高さを誇るガラス張り展望ルーム=473メートル=では「世界三大テノール」の一人、ホセ・カレーラスがオープンを祝って熱唱した。
 通称「上海ヒルズ」と名付けられた同ビルは高さ492メートル、地上101階建て。ビルには高級ホテルや日本のメガバンクなどが入居している。

◎狂犬病相次ぎ、犬1万匹捕殺、中国雲南省(2008年10月25日、産経新聞)
 25日付の中国紙、新京報によると、中国雲南省弥勒(みろく)県で狂犬病による死者が相次ぎ、当局がこのほど、県内の犬と猫をすべて捕らえて殺すよう指示を出した。県内では9万匹以上の犬が飼われているが、すでに1万1500匹が殺されたという。
 弥勒県で最初に狂犬病の死者が出たのは今年7月で、これまでに6人が死亡。県内の犬約8万4000匹は免疫の注射を打っており、住民からは「犬がいなければ防犯に困る」と不満も出ているが、県当局者は「ウイルスが(免疫効果のないタイプに)変異する可能性もあり、動物防疫法に基づき一律に捕殺する」と説明している。

◎狂犬病の死者相次ぎ犬・猫1万匹殺す、中国・雲南省(2008年10月25日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国紙、都市時報によると、中国雲南省弥勒県で狂犬病による死者が相次いだため、地元当局が病気が発生した半径5キロ以内にいるすべての犬と猫を殺す指示を出した。すでに約1万1千匹が殺されているが、「ワクチンを打った犬まで殺すのはやり過ぎだ」と住民から不満の声が上がっている。
 弥勒県では今年7月以来、6人が死亡している。県内の約8万4千匹の犬は免疫の注射を打っているが、県当局は「人命がペットより重要なのは当然で、ウイルスがワクチンの効かないタイプに変異する危険性がある」として、動物防疫法に基づき一律に殺すことを決めた。

◎中国、衛星2基打ち上げ(2008年10月25日、産経新聞)
 新華社電によると、中国は25日、山西省の太原衛星発射センターから宇宙空間観測衛星「実践6号」2基を打ち上げた。2006年に打ち上げた同様の衛星2基を引き継ぎ、宇宙空間の環境や放射線などを測定する。
 打ち上げには中国が独自開発したロケット「長征4号B」が使われた。

◎日清食品カップめん、4月以降で防虫剤成分検出26個(2008年10月25日、読売新聞)
 神奈川県藤沢市と横須賀市で、「日清食品」製の「カップヌードル」などから防虫剤成分が検出された問題で、同社は24日、東京・新宿の東京本社で記者会見を開き、両市のケース以外に、今年4月以降、20件計26個のカップヌードルなどから防虫剤成分のパラジクロロベンゼンやナフタレンが検出されていたと発表した。
 同社は「製造時に混入した可能性は低く、保管時ににおいが移った疑いがある」との見解を表明した。
 これに関連し、今月20日、カップヌードルを食べて嘔吐(おうと)した藤沢市の女性宅と、先月27日、食べる直前に異臭を感じた横須賀市の男性宅には、商品から検出された成分を含む芳香剤や防虫剤があることが同県警の調べでわかった。いずれも購入から約1か月間、近くに芳香剤や防虫剤が置かれており、県警幹部は「成分が気化して容器内に染み込んだ可能性が高い」との見方を示した。
 県警幹部によると、容器にも目立った穴は確認されなかった。藤沢市の女性宅には、パラジクロロベンゼンを含む芳香剤が、横須賀市の男性宅には、パラジクロロベンゼンを含む芳香剤とナフタレンを含む防虫剤があったという。
 一方、日清食品によると、両市のケース以外に特に今年7月以降、「薬品のようなにおいがする」という苦情が全国から相次ぎ、このうち日本生活協同組合連合会(東京都渋谷区)が「CO・OPコープヌードルしょうゆ」などのブランドで製造委託した2件4個から最大92ppmのパラジクロロベンゼンが検出された。また18件22個からも、測定できないほど微量のパラジクロロベンゼンやナフタレンが検出された。健康被害は報告されていない。
 同社は防虫剤の近くで保管すると、成分が容器を通って浸透し、内部のめんに付着することが実験で確認されたと説明。特に4月から導入した新容器「ECO(エコ)カップ」は、臭気が浸透しやすいとして容器を改良する方針を明らかにした。日生協も24日、同社に製造委託した5商品の出荷を停止するとともに各地の生協の店頭から撤去した。

◎中国で製造・輸入の「カップ春雨」から微量メラミン(2008年10月25日、読売新聞)
 食品卸業「龍口食品」(東京都文京区)は25日、中国から輸入したカップ春雨「龍口春雨 野菜たまご(55グラム)」のスープのもとから有害物質メラミンが検出されたため、すでに出回っている分について自主回収を始めたと発表した。
 検出したメラミンの量は1キロあたり2.3ミリ・グラム。米食品医薬品局(FDA)の基準では健康に影響がないレベルで、これまでに健康被害の報告はないという。
 同社によると、この商品を製造したのは、中国・福建省の工場。今月1日に輸入した商品を自主検査したところ、メラミンが検出され、24日に出荷を停止した。同時に輸入した商品は保管したままで、流通していないという。メラミンが混入した経緯は不明。
 同じ工場で製造された商品は2007年10月から約110万個が輸入され、うち約100万個が全国のコンビニエンスストアやスーパーなどに出荷された。問い合わせは同社(0120・56・3037)。

◎北京、農民らが政府に抗議デモ、厳戒下、異例の出来事(2008年10月25日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】アジア欧州会議(ASEM)首脳会合が始まった北京市中心部にある公安局の施設前で24日、中央政府に陳情に来た農民ら約60人が、地方政府や裁判所による不正の告発や問題解決を訴えるためのデモをした。厳戒警備下の首都での抗議活動は異例だ。
 政府の開発で土地や家を奪われたり、警察当局の暴行でけがをしたりした人たちで、公安当局に促されて1時間ほどで解散した。

◎警官による暴行死で騒動、中国浙江省(2008年10月24日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは23日、中国浙江省温州市の派出所で、出稼ぎ労働者が拘束中に警官に殴られて死亡したとみられる事件があり、抗議する労働者ら1000人以上が22日、派出所を取り囲む騒ぎがあったと伝えた。
 同センターによると、労働者の中にはれんがで派出所の設備を壊す者もいたといい、100人以上の警官隊が出動した。警官の暴行が原因で住民が死亡したとみられる事件は今月に入り、河南省と黒竜江省でも起きている。

◎拘留中の不審死に怒り、千人が派出所襲う、中国浙江省(2008年10月24日、朝日新聞)
 【南寧(中国広西チワン族自治区)=奥寺淳】香港の中国人権民主運動情報センターによると、中国浙江省温州で22日、派出所に拘留された出稼ぎ労働者が不審死したことに怒った住民約1千人が詰めかけ、警察と衝突した。住民は周辺の道路を埋め尽くして、抗議デモも行った。
 拘留中に亡くなったとされるのは江西省からの出稼ぎ労働者で、遺体に多数の傷跡が残っていたという。このため労働者の友人や親族らが派出所前に集結し、派出所の一部設備を破壊した。同センターによると、派出所は拘留中に人が死亡し、抗議行動があったことは認めたという。

◎中国の結婚披露宴で食中毒が相次ぐ(2008年10月22日、産経新聞)
 [北京、21日、ロイター] 北京郊外の同じレストランで17日と18日に行われた結婚披露宴で、約250人の出席者のうち少なくとも60人が食中毒になり、数日内に病院に搬送された。
 新京報は「結婚披露宴で嘔吐(おうと)や下痢に見舞われたことをほかの人に話さなければならないなんて恥ずかしかった」とのある村人のコメントを伝えた。
 中国では今月に入って、河北省で行われた結婚披露宴でも塩と間違えてさび取り剤が入れられた料理を食べ、約170人の招待客が食中毒となっていた。
 さらにその前日には、中国北西部に位置する甘粛省の結婚披露宴で、ゲスト61人が食中毒に見舞われた。
 中国では近年、食の安全が揺らいでおり、最近では汚染された粉ミルクにより多くの乳幼児に健康被害が出ており、4人の赤ちゃんが死亡したことも報告されている。

◎米、ベビーベッドで2人死亡、中国製など160万台回収(2008年10月21日、朝日新聞)
 ロイター通信によると、米国のベビー用品メーカー、デルタ・エンタープライズは21日までに、中国などで製造されたベビーベッドを使用して乳幼児2人が死亡する事故があったとして、約160万台をリコール(回収・無償修理)すると発表した。インドネシア、台湾製もあった。日本で販売されていたかどうかは不明。
 同社のホームページによると、問題のベッドは95~07年に製造された。ベッドの留め具に不具合があるという。

◎サイゼリヤでもメラミン、中国製生地ピザ4万8600枚に使用(2008年10月21日、読売新聞)
 イタリア料理のファミリーレストラン「サイゼリヤ」(本社・埼玉県吉川市)は20日、関東や東北地方の店舗で調理、販売したピザの生地から、有害物質メラミンが検出されたと発表した。
 生地は中国の業者が製造したもので、冷凍商品として輸入されていた。メラミンは4.3ppmと微量だが、厚生労働省が自主回収の目安にしている2.5ppmを超えていた。ピザはすべて消費されたが、現在までに健康被害は出ていないという。
 同社や厚労省、埼玉県によると、冷凍ピザ生地は広東省沸山市の金城速凍食品有限公司が製造。先月10日にザ・ベスト創食(東京都大田区)が5.7トンを輸入し、サイゼリヤに納入した。
 サイゼリヤはメラミンの混入の有無を自主検査するため、先月29日までに専門機関にピザ生地のサンプルを提供し、メラミンが検出されたとする検査結果は今月16日に届いた。しかし、同社は結果が出る前の今月1~2日に、関東、東北地方の約540店舗でピザを提供し、すでに4万8600枚が消費されていた。同社は3日以降、粉乳を使用しないピザ生地に切り替えていた。
 一方、ザ・ベスト創食では先月中旬、中国国内でメラミン汚染が広がったことを受け、金城速凍食品に商品に使用される粉乳のメラミン検査を依頼。同社からは「検出されなかった」との回答を得ていたという。
 金城速凍食品は、JTBのグループ会社「JTB商事」が今月初め、メラミンが検出されたことで自主回収を発表した菓子「エッグタルト」も製造していた。
 サイゼリヤは全国にチェーン展開するファミリーレストラン。同社のホームページによると、昨年8月現在で761店舗。

◎サイゼリヤのピザ生地からメラミン検出、中国の業者が製造(2008年10月20日、読売新聞)
 イタリア料理のファミリーレストラン「サイゼリヤ」(本社・埼玉県吉川市)は20日、関東や東北地方の店舗で調理、販売したピザの生地から、有害物質メラミンが検出されたと発表した。
 生地は中国の業者が製造したもので、冷凍商品として輸入されていた。メラミンは4.3ppmと微量だが、厚生労働省が自主回収の目安にしている2.5ppmを超えていた。ピザはすべて消費されたが、現在までに健康被害は出ていないという。
 同社や厚労省、埼玉県によると、冷凍ピザ生地は広東省沸山市の金城速凍食品有限公司が製造。先月10日にザ・ベスト創食(東京都大田区)が5.7トンを輸入し、サイゼリヤに納入した。
 サイゼリヤはメラミンの混入の有無を自主検査するため、先月29日までに専門機関にピザ生地のサンプルを提供し、メラミンが検出されたとする検査結果は今月16日に届いた。しかし、同社は結果が出る前の今月1~2日に、関東、東北地方の約540店舗でピザを提供し、すでに4万8600枚が消費されていた。同社は3日以降、粉乳を使用しないピザ生地に切り替えていた。
 一方、ザ・ベスト創食では先月中旬、中国国内でメラミン汚染が広がったことを受け、金城速凍食品に商品に使用される粉乳のメラミン検査を依頼。同社からは「検出されなかった」との回答を得ていたという。
 金城速凍食品は、JTBのグループ会社「JTB商事」が今月初め、メラミンが検出されたことで自主回収を発表した菓子「エッグタルト」も製造していた。
 サイゼリヤは全国にチェーン展開するファミリーレストラン。同社のホームページによると、昨年8月現在で761店舗。

◎サイゼリヤのピザ生地からメラミン検出、中国の業者が製造(2008年10月20日、読売新聞)
 イタリア料理のファミリーレストラン「サイゼリヤ」(本社・埼玉県吉川市)は20日、関東や東北地方の店舗で調理、販売したピザの生地から、有害物質メラミンが検出されたと発表した。
 生地は中国の業者が製造したもので、冷凍商品として輸入されていた。メラミンは4.3ppmと微量だが、厚生労働省が自主回収の目安にしている2.5ppmを超えていた。ピザはすべて消費されたが、現在までに健康被害は出ていないという。
 同社や厚労省、埼玉県によると、冷凍ピザ生地は広東省沸山市の金城速凍食品有限公司が製造。先月10日にザ・ベスト創食(東京都大田区)が5.7トンを輸入し、サイゼリヤに納入した。
 サイゼリヤはメラミンの混入の有無を自主検査するため、先月29日までに専門機関にピザ生地のサンプルを提供し、メラミンが検出されたとする検査結果は今月16日に届いた。しかし、同社は結果が出る前の今月1~2日に、関東、東北地方の約540店舗でピザを提供し、すでに4万8600枚が消費されていた。同社は3日以降、粉乳を使用しないピザ生地に切り替えていた。
 一方、ザ・ベスト創食では先月中旬、中国国内でメラミン汚染が広がったことを受け、金城速凍食品に商品に使用される粉乳のメラミン検査を依頼。同社からは「検出されなかった」との回答を得ていたという。
 金城速凍食品は、JTBのグループ会社「JTB商事」が今月初め、メラミンが検出されたことで自主回収を発表した菓子「エッグタルト」も製造していた。
 サイゼリヤは全国にチェーン展開するファミリーレストラン。同社のホームページによると、昨年8月現在で761店舗。

◎中国:警官6人刺殺の被告、2審も死刑、上海の高裁(2008年10月20日、毎日新聞)
 中国新華社通信によると、上海市高級人民法院(高裁)は20日、市内の警察署で7月、警官6人を刺殺した楊佳被告に対し、死刑とした1審の同市第2中級人民法院(地裁)判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。中国は2審制だが、死刑執行は最高人民法院(最高裁)が審査のうえ許可する。

◎中国:成長率1ケタに減速、危機感浸透、景気対策実施へ(2008年10月20日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国の四半期ベースの経済成長率が1ケタ台に落ち込んだことを受け、中国政府が投資、輸出、国内消費を全面的に底上げする景気対策を実施する方針を鮮明にしている。米国発の金融危機が世界的な景気の下押し圧力となる中、先進国経済を支えてきた中国にも企業の倒産や不動産市場の冷え込みなどの影響が広がり、北京五輪後の景気減速が想定を超えかねないとの危機感が政府・共産党幹部に浸透し始めたためだ。
 米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題は昨年夏から徐々に拡大し始めたが、これまで中国の統計に目立った影響は出ておらず、「米国経済が落ち込んでも新興国は高成長を続ける」との楽観論が濃厚だった。しかし、9月の工業生産の伸び率は前年同月比11.4%と、8月から一気に1ポイント以上低下。「世界の工場」として豊富な資本を海外から集めてきた足場が揺らぎ始めている。
 国家統計局の李暁超報道官は20日の記者会見で、世界的な金融危機について「(中国のような)新興国、発展途上国などへの影響は予想をはるかに超えている」との危機感を表明した。さらに、「税、財政、融資、貿易政策を総動員する」と、減税や財政出動に踏み込む可能性を示唆した。
 政府・共産党内では「成長率が7~8%を下回ると、毎年900万人以上といわれる新規雇用を吸収できず、政権への批判が高まる」との懸念が広がっている。温家宝首相も9月、「比較的早い成長を維持することが中国の世界に対する最大の貢献」と明言しており、市場関係者は「97年のアジア通貨危機以来の規模の景気対策を打つ」との見方を強めている。

◎上海の警官殺傷被告、死刑確定、傍聴席から「人民英雄」の声(2008年10月20日、読売新聞)
 【上海=加藤隆則】不当捜査への報復が招いた上海市の警官殺傷事件について、上海市高級人民法院(高裁)は20日、故意殺人罪に問われた楊佳被告(28)に対する1審の死刑判決を維持し、刑が確定した。
 中国では、警察の無法ぶりに対する庶民の不満が高まっており、傍聴席からは楊被告を「人民の英雄」と称賛する声も聞かれた。
 事件は昨年10月、楊被告が同市内で、警察から無実の自転車窃盗容疑で拘置されたのが発端。7月1日の事件発生後、インターネット上では、楊被告が供述したとされる「(不正な取り調べについて)お前が答えをくれないなら、おれが答えを出す」との言葉が支持を集め、「侠客(きょうかく)」と英雄視する書き込みが多数登場した。
 判決公判では、警察当局が数百人規模の警備で不満市民を排除したが、それでも100人を超える人だかりができた。傍聴席にいた上海市の男性は「被告の名は『人民の英雄』として永遠に残る」と話した。
 判決は、楊被告が警官に反抗的な態度をとり、不当捜査に対する損害賠償請求を拒否されたため、市内の警察署を襲撃、包丁で警官6人を殺害、4人を負傷させたと認定。「(警官から)殴るけるの暴行を受けた」とする同被告の訴えは、「証拠がない」と退けられ、聴取にあたった警官への証人尋問も却下された。
 中国では、一党独裁の下で司法による紛争解決が事実上マヒし、警察があらゆる紛争の場に介入する傾向が支配的だ。警察の権力行使をチェックする機能も働いていない。

◎中国製添加物からメラミン、台湾、回収し輸入禁止に(2008年10月19日、産経新聞)
 台湾の衛生当局は18日、中国から輸入した食品添加物から高濃度の有害物質メラミンを検出したとして、添加物の回収を指示、中国からの輸入禁止措置を取ったことを明らかにした。健康被害の報告は伝えられていない。
 19日付の台湾紙、聯合報などによると、添加物は、庶民的な食べ物である「油条」と呼ばれる揚げパンやビスケットなどに使われる重炭酸アンモニウム。膨張剤として使われる。
 台北の食品業者が今年1月から、河北省石家荘と福建省福州のメーカーから約400トンを輸入。当局は既に約130トンを回収したという。

◎北京市元副市長に死刑判決、五輪開発でわいろ、愛人(2008年10月19日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】北京五輪施設周辺などの土地開発問題に絡み、不動産業者から多額のわいろを受け取ったとして、収賄罪に問われた北京市元副市長の劉志華被告は18日、河北省衡水市中級人民法院(地裁)で、執行猶予2年付き死刑判決(2年後に無期懲役に減刑される可能性のある死刑)を受けた。
 判決によると、劉被告は1999年から2006年まで、副市長の職権を乱用して土地開発や不動産販売の許認可などで業者に便宜を図り、計約700万元(約1億円)のわいろを受け取った。劉被告の愛人で、建設会社経営の王建瑞被告も同罪で起訴された。
 劉被告は、06年6月に別の愛人の告発で「生活の腐敗と堕落」を理由に副市長と北京五輪関連施設建設の最高責任者を解任され、身柄を拘束された。中国当局は北京五輪のイメージ低下を最小限に食い止めるため五輪が終了するまで初公判を開かず、劉被告の汚職事件の詳細を報道することを禁じたといわれている。
 しかし、香港のメディアが、劉被告には十数人もの愛人がおり、劉被告が愛人たちのために150部屋もある北京郊外のホテル式マンションを用意したなどと、その腐敗ぶりを報道して大きな話題となった。最近も、劉被告の元愛人が2人の赤裸々な関係を書いたとされる告発文がネットの掲示板に転載され、「党は彼のようなモラルの低い人間をなぜ登用したのか」などといった共産党政権への厳しい意見が数多く寄せられていた。
 中国では昨年、汚職などで立件された公務員は4万人以上、地方各省トップを含む閣僚級は6人、中央、地方の局長級は167人に上る。土地開発に絡む収賄事件は特に多く、汚職官僚のほとんどは複数の愛人を持つとされる。
 今回、劉被告が受けた死刑判決は、今年4月に同じく収賄罪に問われた上海市の陳良宇元書記が受けた懲役18年の判決と比べてかなり重い。五輪後、胡錦濤政権が「高官の腐敗」と戦う姿勢を改めて内外に示したものとみられる。

◎元北京市副市長に猶予付き死刑判決(2008年10月19日、日本経済新聞)
 【北京=高橋哲史】19日の中国紙、京華時報によると、収賄罪に問われていた北京市元副市長の劉志華被告が18日、河北省衡水市中級人民法院(地裁)で1審判決を受け、執行猶予2年付きの死刑を言い渡された。判決によると、劉被告は副市長在任中に市内の土地開発を巡って業者や知り合いの個人に便宜を図り、見返りとして愛人とともに計約700万元(約1億円)を受け取った。

◎中国民衆くすぶる不満、党・地方幹部の更迭相次ぐ(2008年10月19日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】北京五輪を終えた中国で、中央や地方政府の幹部更迭が相次いでいる。いずれも被害の大きい事件や事故、不正疑惑などの責任を問われた形だ。各地で広がる民衆の不満に火がつけば「共産党一党支配」の正統性が揺らぎかねず、更迭の背後には胡錦濤(フー・チンタオ)指導部の強い意向がうかがえる。
 農村改革をテーマに、12日に終わった共産党の第17期中央委員会第3回全体会議(3中全会)。突然、文化省次官だった于幼軍・中央委員の解任が決まった。深セン(センは土へんに川)市長時代の不正疑惑が取りざたされ、北京の消息筋は「来年3月の全国人民代表大会ですべての肩書が剥奪(はくだつ)されるだろう」と予測する。
 山西省で9月上旬に発生した土石流災害では、同省人民代表大会常務委員会で孟学農省長らの解任が決まった。死者が250人以上に広がり、そもそも鉱山会社の違法採掘を摘発できなかったことが理由とされたが、委員会には胡氏の側近とされる李源潮(リー・ユアンチャオ)・党中央組織部長がわざわざ北京から駆けつけ、「党と政府のイメージを大きく損なった」と発言した。
 有害物質メラミン入り粉ミルク事件でも、発端となった「三鹿集団」本社がある河北省石家荘市の党委書記や市長が解任、閣僚級の幹部も食品検査態勢の不備を指摘されて事実上、更迭された。党関係者は「閣僚のクビを切ってでも態勢を立て直す姿勢を示さなければ、子育て中の両親の怒りは鎮まらない」と語る。
 胡指導部が厳しい姿勢で臨むのは、これ以上、民衆の不満が拡大すれば政権批判につながりかねないと懸念しているためだ。北京外交筋は「中国は五輪成功を掲げて社会問題を力ずくで抑え込んできた。そのタガがはずれた今、ちょっとした事件や事故で抑えていた民衆の不満に火がつくことを最も恐れている」と指摘する。
 今年12月の「改革開放政策」満30年を前に、指導部は「科学的発展観」を党の指導理念として定着させるべく、党や政府の各部門で勉強会を繰り返す政治キャンペーンを始めている。「調和の取れた発展」をうたっているが、経済発展重視の従来の基本路線は変更しない構えだ。
 だが、都市と農村の格差や幹部の腐敗問題など、改革開放路線がもたらした負の側面を指摘する声は絶えない。相次ぐ幹部更迭の背景には「見せしめとして、理念に反する者を抑え込む狙いがあるのかもしれない」(日本大使館幹部)との見方も出ている。

◎メラミン:日本人2歳児が被害、粉ミルクで腎臓結石、中国(2008年10月18日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で化学物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石などになった問題で、中国山東省在住の日本人男児(2)が粉ミルクを飲んで腎臓結石にかかっていたことが分かった。北京の日本大使館当局者が18日明らかにした。中国のメラミン汚染で日本人の健康被害が判明したのは初めて。
 男児は生まれて間もないころから中国の大手乳製品メーカー、「三鹿集団」(河北省石家荘市)の粉ミルクを飲んでいたため、メラミン汚染を報道で知った親が心配して地元医療機関で診察を受けた。診察によると、男児の腎臓には小さな結石が確認され、粉ミルクとの関係が強く疑われている。
 ただ、自覚症状はなく入院の必要はないと判断された。初診から3カ月後に再検査を受けることになっているという。中国国内では粉ミルク汚染で診察を受けた乳幼児が5万人以上に達し、なかでも高濃度のメラミンが検出されている「三鹿」を飲んだ乳児に被害が集中している。
 腎臓結石になった男児の父親は日本生まれ、母親は中国生まれ。

◎中国、取材規制緩和を継続、五輪時限措置を条例化(2008年10月18日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国外務省の劉建超報道局長は17日深夜の臨時記者会見で、中国における外国記者の取材活動に関して新たな条例を発表した。北京五輪の臨時措置だった「取材先の同意があれば当局の許可は不要」とする規制緩和を継続する内容で、劉局長は「改革開放の精神に照らし、臨時規定を長期にわたって有効とする」と説明した。
 07年1月に施行された臨時規定は、外国記者の取材に当局の許可を義務づけていた部分を改め、北京パラリンピック終了後の同日までの時限措置としていた。
 この日施行された新条例は一方で、常駐外国記者証など許可証を持たずに取材した場合は「公安機関が取材の停止を命じることができる」と定め、規定や手続きに従っていない場合は「常駐許可の取り消し」も可能とした。取材規制の緩和継続は中国の対外イメージ改善を狙ったとみられるが、地方での取材妨害や記者拘束は続いており、新条例の徹底が今後の課題となりそうだ。

◎<金融危機>破産より中国への身売りを選択へ、欧米企業(2008年10月18日、livedoor news)
 2008年10月16日、ロイター通信社はコラムで、世界的な金融危機が中国の資源企業に海外進出の絶好のチャンスを与えている、と論じた。資金繰りに苦しむ欧米企業は「破産するくらいなら中国企業に身売りするほうが良い」と考え始めているようだ。
 コラムによると、世界第4位の経済規模を誇る中国は長い間、石油や金属など海外の資源関連企業に対する買収や出資を望んできた。だがその道が険しかったことは、05年に中国の国有石油大手、中国海洋石油が米石油会社ユノカル(Unocal Corporation)をライバルである米石油大手シェブロンテキサコ(ChevronTexaco)より有利な条件で買収提案したにも関わらず、中国脅威論が高まっていた当時の米議会の反発を受け、撤退した例が象徴的といえる。
 世界大手の監査法人であるプライスウォーターハウスクーパーズ(PWC)の駐オーストラリア採掘業チーフのTim GoldsmITh氏は、「多くの鉱業プロジェクトが資金不足で頓挫している。オーストラリアは特に厳しい状況だ」と現状を語る。また、中国能源(エネルギー)網の韓暁平(ハン・シャオピン)副総裁は「以前は自ら門を閉ざしていた欧米企業が、『破産するよりは』と進んで身を預けてくるようになった」と指摘した。(翻訳・編集/NN)

◎<カップル就活>就職難で窮余の策!?失業と失恋防止で、上海市(2008年10月18日、livedoor news)
 2008年10月16日、大学生の就職難が続く中、あの手この手で職探しをする学生の中に、恋人とペアで売り込む“珍種”の就職活動を行うカップルがいることが分かった。履歴書の左右に男子学生と女子学生の個人情報が記載してあるという。新民ネットが伝えた。
 このほど上海市の同済大学で行われた外資系企業の就職説明会に参加した大学4年の学生は、自分は企業から就職の声がかかっているがガールフレンドはまだ就職の当てがなく、「2人の履歴書をセットにして一緒に提出するしかない」と言う。
 これには反対する親もいる。有名大学に通う息子を持つ母親は「息子はペア求職をやめたならば6000元(約9万円)の給料で採用するといわれたが、これを拒絶。いまだに就職が決まっていない。専門学校に通うガールフレンドが息子の足を引っ張っている」と訴える。
 ペア就職を望む学生らは卒業と同時に職と恋人を失う「二重の危機」を回避するため、就職活動を共にし同じ会社に入社しようというのだという。
 一方、企業の就職説明会コーディネーターは、ペア求職に難色を示す企業は少なくないという。理由は、社内での2人の接触時間が多くなり仕事に影響する、2人の関係が密接すぎて部門の情報が漏れる恐れがあるなど。同済大学学生就職課も「職業は自分の特性に合わせて選ぶもので、ガールフレンドと一緒に求職し、進退を共にするものではない」とのコメントを発表した。(翻訳・編集/汪葉月)

◎中国製の乾燥全卵からメラミン検出(2008年10月16日、読売新聞)
 三井物産(東京都千代田区)は16日、中国の業者から輸入した乾燥全卵から、有害物質メラミンが検出されたと発表した。
 日本国内で中国産卵製品からメラミンが検出されたのは初めて。検出されたメラミンは4.6~2.8ppmと微量だが、厚生労働省が自主回収の目安にしている2.5ppmを超えており、同省では中国産鶏卵の輸入業者に自主検査の徹底を指示した。現在までに健康被害は報告されていない。
 三井物産などによると、乾燥全卵を製造したのは、中国・大連の大連韓偉食品有限公司。三井物産は先月1日に約20トンを輸入し、全量を食品大手「キユーピー」の子会社「キユーピータマゴ」(調布市)に販売した。このうち、約400キロが岩手県内の製パン会社に納入された。約50万~60万個の菓子パンが製造され、すべて消費された可能性が高いという。
 三井物産には今月6日、大連韓偉食品から「飼育しているニワトリのエサからメラミンが検出された」と連絡が入り、保管していた乾燥全卵の三つのサンプルを検査したところ、そのすべてからメラミンが検出された。一方、キユーピータマゴが4種類の菓子パンを調べたところ、メラミンは検出されなかった。
 三井物産によると、大連韓偉食品は中国最大級の卵製品メーカー。

◆乾燥全卵=鶏卵の黄身と白身を乾燥させ、粉状にしたもので、パンやめん類、菓子などの風味付け、ペットフードの原料に使用される。鶏卵に比べ長期保存が可能。農水省によると、国内に流通するほとんどが輸入品で、2007年度の輸入量は3368トン。米国からが2303トンで最も多く、中国は3位の265トン。

◎中国産インゲンから農薬、1人体調不良、東京・八王子(2008年10月14日、日本経済新聞)
 厚生労働省は15日、東京都八王子市内のスーパーで販売された中国産冷凍インゲンを食べた同市の女性が体調不良を訴えたと発表した。インゲンからは基準値を最大で約3万4500倍上回る高濃度の有機リン系農薬ジクロルボスが検出されたという。同省は「残留ではなく、混入の疑いが高い」として注意を呼びかけるとともに、自治体を通じて商品の販売中止と回収を指示した。
 八王子市保健所は同日、警視庁八王子署に通報。同署は、何者かが混入した疑いもあるとみて捜査を始めた。
 同省によると、女性は11日に八王子市のイトーヨーカドー南大沢店で購入し、12日夜に調理。味見したところ味に異変を感じ、石油のようなにおいを感じたという。女性は舌のしびれやむかつきを感じ、東京都町田市内の病院を受診。一晩入院したが退院し、回復したという。

◎中国黒竜江省、警官の暴行で大学生死亡(2008年10月13日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは13日、中国黒竜江省ハルビン市の飲食店で11日、男子大学生と警官6人が口論となり、大学生が警官らに殴られ死亡したと伝えた。警官はいずれも当局に拘束された。
 同センターによると、警官らは大学生を飲食店から約80メートル離れた場所まで引きずり、服を脱がせた上で「おれたちが誰だか知らないのか」などと叫びながら暴行を加えたという。
 中国の地元メディアは警官らが絡む乱闘事件があり、男性1人が死亡したと伝えていた。

◎中国黒竜江省、警官の暴行で大学生死亡(2008年10月13日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは13日、中国黒竜江省ハルビン市の飲食店で11日、男子大学生と警官6人が口論となり、大学生が警官らに殴られ死亡したと伝えた。警官はいずれも当局に拘束された。
 同センターによると、警官らは大学生を飲食店から約80メートル離れた場所まで引きずり、服を脱がせた上で「おれたちが誰だか知らないのか」などと叫びながら暴行を加えたという。
 中国の地元メディアは警官らが絡む乱闘事件があり、男性1人が死亡したと伝えていた。

◎貿易黒字が過去最大更新、中国、9月は293億ドル(2008年10月13日、産経新聞)
 中国税関総署は13日、9月の貿易黒字が前年同月比21.9%増の293億ドル(約2兆9500億円)になったと発表した。3カ月連続で前年同月を上回り、前月に続き過去最大を更新した。
 輸出は電気製品などが好調で21.5%増の1364億ドル、輸入は21.3%増の1071億ドルだった。貿易相手別では、金融危機の発端となった米国との貿易が減速したが、欧州連合(EU)や日本とは高水準で推移、インドとの貿易も急増した。

◎メラミン汚染の中国粉ミルク会社など、被害児の両親が提訴(2008年10月10日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】有害物質メラミンに汚染された中国製粉ミルクを飲み、腎結石を患って治療中の広東省の男児(生後11か月)の両親が、粉ミルク製造元の「三鹿集団」(河北省石家荘市)と中国乳業協会を相手取り、治療費など90万元(約1260万円)の支払いを求める訴状を広州市中級人民法院(地裁に相当)に提出したことが、9日分かった。
 男児側の代理人をつとめる弁護士が本紙に明らかにした。
 同法院は8日に訴状を受け取っており、内容を検討の上、受理するかどうか決める。
 弁護士によると、男児は両方の腎臓に結石ができていた。河南省でも同様の訴状が提出されており、今後も提訴に向けた動きが各地で相次ぐ可能性がある。

◎放射性物質「生活困り盗んで転売」、中国の工場保安職員(2008年10月6日、朝日新聞)
 【香港=奥寺淳】6日付の香港紙明報によると、中国広西チワン族自治区貴港で先月、放射性物質「セシウム137」の塊2個がセメント工場から盗まれた。警察が捜査した結果、工場の保安職員が容疑者と判明。「家計が苦しく、盗んで転売した」と話しているという。
 警察に通報されたのは先月24日。セシウムが入った缶がこじ開けられ、中身がなくなっていた。工場の保安職員がどういう物質かよく知らないまま盗み、廃棄物回収業者に104元(約1700円)で転売したという。
 警察が60人態勢で捜した結果、1個は別の廃品店で見つかった。その店主は「もう1個はすでに廃品処理した」と話したが、警察は別の場所にまだセシウムがある可能性があるとして捜査を続けている。

◎中国粉ミルク汚染:メラミン、飼料にも、中国、メーカー3社告発(2008年10月6日、産経新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で粉ミルクが化学物質メラミンに汚染され、乳幼児が腎臓結石になった問題で、中国農業省は5日までに、乳牛などの飼料にも違法にメラミンが混入されていたとして、飼料メーカー3社を公安機関に告発した。牛乳のたんぱく質含有量を多くみせかけるため、メラミン入りの飼料を乳牛に与えていたとみられる。
 同省は今月2日までに牧場や企業など約8万8000社で飼料検査を実施し、151社を行政指導。3社は違法にメラミンを混入した飼料を生産していたとして告発した。

◎北京五輪施設は大人気、でも大気とマナーは逆戻り(2008年10月5日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国の国慶節(10月1日)に伴う大型連休(9月29日から10月5日まで)の間、北京五輪のメーンスタジアム「国家体育場」(愛称・鳥の巣)や競泳会場となった「国家水泳センター」などの五輪施設が一般に開放され、観光客で連日にぎわった。しかし、高額な入場料などに対する国民の不満が高まっているほか、大気汚染や交通渋滞も五輪開催前の劣悪な水準に戻ってしまった。五輪後の北京が“素顔”に戻るまで時間はかからなかったようだ。
 4日正午すぎ。北京中心部から、競技施設などが集まる北京五輪公園に向かう道は、大型バスなどで数キロの渋滞ができていた。
 中国メディアの報道によると、連休期間中、五輪関連施設は観光名所の故宮博物院や万里の長城を上回り、北京で最も人気の高い観光スポットとなった。今月1日には故宮の2倍に当たる24万人が、3日には51万人が訪れた。
 北京五輪は国を挙げての一大イベントだっただけに、当然の現象ともいえそうだが、国民からは不満の声が上がっている。
 施設の入場料が高すぎるのだ。鳥の巣は50元(約800円)、すべての施設を観覧できる総合チケットは100元(約1600円)する。
 2007年の中国の都市住民の平均月収は約1150元(約1万8000円)、農村住民の平均月収が345元(約5500円)という中、この入場料は一般国民にとって高額といえる。
 河北省唐山市から来た会社員の男性(24)は「テレビで感動した場所を自分の目で確かめたかった。一生の思い出になる」と話しながらも、「中学生の弟を連れてきたかったが、値段が高いので断念した」と残念そうな表情をみせた。
 ある中年女性は「五輪成功のために清掃のボランティアに参加するなど、五輪を一生懸命支えたのに、なぜ私たちからお金を取るのか」と憤りが収まらない。
 五輪で熱戦が繰り広げられた主な16施設は、イベント会場やスポーツ普及施設などとして再利用される計画だ。鳥の巣は、投資会社に30年間運営を委託し、北京を拠点とするサッカーチームのホームグラウンドなどに利用される予定。
 また、宿泊施設だった選手村は、高級住宅に改造され、売りに出されている。
 しかし、国が巨額な投資をし、全国民が協力して成功を収めた北京五輪。「一部の業者だけがもうけるのはおかしいではないか」。そんな反発の声も国民から上がっている。
 不満はそれだけではない。五輪を通じて追放されたかにみえた“北京病”が舞い戻ってきたのだ。
 北京の大気汚染指数は、今月2日まで3日連続で「軽度の汚染」とされる基準値を超えて悪化。市内の交通渋滞も五輪開催前の劣悪な状況となっている。
 北京の全市民を巻き込んだ「マナー向上キャンペーン」も最近話題に上らなくなり、行列の割り込みなどは各所で普通にみられるようになってしまった。
 インターネット上でも高額入場料や、復活した大気汚染などへの批判が日増しに増えているのが現状だ。

◎崩れた中国庶民の不動産財テク、利息や元金返済なく相次ぐ暴動(2008年10月2日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国各地で、不動産会社が高利回りをうたい資金を違法に集めたが、利息の支払いや元金の返済ができなくなり、出資した住民が集団で陳情したり、暴動を起こしたりするケースが相次いでいる。北京五輪前の不動産ブームを当て込んだ庶民の安易な金もうけ主義が背景にあるが、五輪後の社会安定を目指す胡錦濤指導部は早期に問題の芽を摘み取りたい考えとみられる。
 「月7%の利息。出資1万元(1元約15円)で月に700元、10万元なら月7000元の収入。仕事をせずに家にいるだけでよかったのに」「利息をあてにマンションを買った。元金だけでも返せ」
 中国紙などによると、湖南省吉首で9月3日から4日夜にかけ、不動産会社が利息の支払いや元金の返還をしないことに出資者の住民が怒り、道路をふさいだり、線路になだれこみ鉄道の運行をストップさせたりした。人権団体などによれば、住民は1万人以上に達し、5000人近い武装警官らと対峙(たいじ)、一部住民は投石したという。
 現地では、不動産会社が2004年ごろから月5~12%という高利で違法な資金集めを行っていたが、数社が元金の返還に行き詰まった。「40社余が資金を集め、世帯の7、8割が参加していた」との声もある。
 出資者は高利回りに目がくらみ、ホテルや娯楽施設の建設など不動産会社の宣伝をうのみにしたようだ。老後の資金や家屋強制撤去の「補償金」を充てたり、銀行から借金をしたり、店舗を売却して出資金を集めたりしたという。
 7月末ごろ、地元政府の幹部らが出資していた元金と利息計7億元を引き出したとの情報も流れ、危機感を感じた出資者が出資金を引き出す事態となり、不動産会社は相次いで元金の返済や利息の支払いを停止したようだ。
 不動産会社は、銀行の貸し渋りなどで不足した開発資金を補うため、高利回りを宣伝し多数から資金を集めたとみられる。銀行の貸し渋りは中央政府が景気過熱を抑制するために金融を引き締めた結果生じた。
 不動産会社はこうして資金を集めたものの、不動産市場の冷え込みなどにより資金繰りを悪化させたとみられる。
 香港の人権団体によると、浙江省麗水でも9月18日に同様の事態で1万人以上の市民が庁舎前などで抗議行動を起こし、当局と衝突、20人が負傷した。不動産5社が約10万人から30億元を集めていたという。
 河南省商丘では「被害総額6億1000万元、被害者7400人規模」の事態となり、7月に補償を求めるデモが起き、予定された北京五輪の聖火リレーが中止された原因になったとみられている。同市では聖火リレーランナーに選ばれていた会社社長が7月初め、5万人から12億元を集めていたとして拘束された。寧夏回族自治区銀川でも同じような問題で9月中旬にデモが起きたようだ。

◎中国で粉ミルク一斉検査、20社31品目からメラミン検出(2008年10月2日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】有害物質メラミンによる乳製品汚染事件で、中国の国家品質監督検査検疫総局は9月30日夜、汚染発覚の発端となった乳児用粉ミルク以外の粉ミルクを一斉検査した結果、国内大手「三鹿集団」(河北省石家荘市)をはじめ20社の製品31品目からメラミンが検出されたと発表した。
 これまで、メラミンは乳児用粉ミルクと牛乳、ヨーグルトで検出されていたが、汚染範囲がさらに拡大したことになる。同総局は20社に対し、31品目の回収を指示した。今のところ、飲用による腎結石発症の報告はないという。
 乳児用以外の粉ミルクは、主に学生や高齢者、妊婦の栄養補助食品として飲用される。今回の調査では、市場占有率が7割を超える計154社について、9月14日以前に製造された265品目を検査。汚染が判明した31品目のうち、約3分の1を三鹿ブランドが占め、メラミン検出量も1キロ・グラム当たり6196ミリ・グラムと最多だった。

◎北京で「ロハス族」急増、五輪契機に環境・健康重視へ(2008年10月1日、産経新聞)
 北京で最近、環境や健康を重視したライフスタイルを追求する「楽活(ロハス)族」が急増している。環境をテーマの一つに掲げた北京五輪の影響もあり、新しい物好きの若者たちには「おしゃれで格好良い生き方」に映るようだ。
 今年1月に創刊された雑誌「LOHAS」の編集者、鍾●(=日へんに句の口が二)芳さん(31)もロハス族。ヨガや水泳に定期的に通い、食生活にも気を使うが「健康のためにストイックになるのではなく、ロハスの中国語訳の通り『楽しく生活』することが一番」と話す。
 約10年前に米国で注目され、日本でも数年前からブームとなっているロハス。鍾さんの雑誌は、環境に優しい生活やストレス軽減法などの記事とともに、おしゃれなスポーツウエアやインテリアの特集が組まれる。中国全土で69万部を発行し、読者は20~40代の高収入の女性がほとんどだ。

◎中国で粉ミルク一斉検査、20社31品目からメラミン検出(2008年10月1日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】有害物質メラミンによる乳製品汚染事件で、中国の国家品質監督検査検疫総局は9月30日夜、汚染発覚の発端となった乳児用粉ミルク以外の粉ミルクを一斉検査した結果、国内大手「三鹿集団」(河北省石家荘市)をはじめ20社の製品31品目からメラミンが検出されたと発表した。
 これまで、メラミンは乳児用粉ミルクと牛乳、ヨーグルトで検出されていたが、汚染範囲がさらに拡大したことになる。同総局は20社に対し、31品目の回収を指示した。今のところ、飲用による腎結石発症の報告はないという。
 乳児用以外の粉ミルクは、主に学生や高齢者、妊婦の栄養補助食品として飲用される。今回の調査では、市場占有率が7割を超える計154社について、9月14日以前に製造された265品目を検査。汚染が判明した31品目のうち、約3分の1を三鹿ブランドが占め、メラミン検出量も1キロ・グラム当たり6196ミリ・グラムと最多だった。

◎中国の粉ミルク、乳児用以外にメラミン、20社31商品(2008年10月1日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】1日付の中国各紙によると、国家品質監督検査検疫総局の検査で、新たに乳児用以外の粉ミルクや調整粉乳で有害物質メラミンが検出された。20企業の31商品にのぼり、いずれも各メーカーや流通段階で大量回収が始まった9月14日以前に生産されたという。
 メラミンの混入はこれまで、乳児用粉ミルクで22社、牛乳で3社の製品から検出されていたが、それ以外の乳製品にも汚染が広がっていたことを中国当局が認めた。
 総局は、全国の粉ミルクメーカー約290社から154社(市場占有率70%以上)を抽出し、9月14日以前に生産され、回収された265商品でメラミンの有無を検査した。乳児用粉ミルク事件の発端となった三鹿集団(河北省石家荘市)とその関連企業に集中しており、含有量が1キログラム当たり6グラム以上に達する商品もあった。ただ、成人の場合は乳児より耐性があり、今のところ腎臓結石などの被害は確認されていないという。

◎メラミン混入、「地下工場」で2007年後半から製造販売(2008年9月30日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】30日の中国各紙によると、粉ミルク、牛乳などに有害物質メラミンが混入された問題で、河北省警察当局は最近、石家荘市で乳牛飼育、牛乳生産にかかわる41業者を捜査し、計222・5キロのメラミンを押収、22人を拘束した。
 当局はまた、メラミン入り「たんぱく粉」を違法に製造し、牛乳生産業者らに売っていた「地下工場」を摘発、容疑者を拘束した。2007年後半から製造販売していたという。

◎メラミン:中国「三鹿集団」の粉ミルク混入で22人拘束(2008年9月29日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】29日の新華社通信によると、中国の大手乳製品メーカー「三鹿集団」(河北省石家荘市)の粉ミルクに化学物質メラミンが混入し、乳幼児が腎臓結石になった問題で、河北省警察当局はメラミンを混入した疑いで、製造工場関係者、牧場経営者ら22人を拘束し、メラミン222.5キロを押収した。警察当局はメラミン混入が組織的に行われた可能性があるとみて、全容解明を急いでいる。
 同省警察当局の調べによると、混入されたメラミンは、製造工場関係者が違法工場で製造。昨年から「プロテイン・パウダー」として牧場などに組織的に売却した。製造自体は罪ではないが、人体に有害であると認識しながら売却したことが違法とされた。

◎【中国毒ギョーザ】公安当局、容疑者数人に絞り込む、犯行は否認(2008年9月29日、産経新聞)
 日中両国で被害者が出た中国製ギョーザ中毒事件を調べている中国の公安当局は、今年6月に中国で起きた事件で、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の従業員について捜査を進め、容疑者を「数人」まで絞り込んだが、いずれも犯行を否認していることが29日、分かった。中国筋が明らかにした。
 毒物混入事件は立証が難しく、容疑者の自供も得られていないことから捜査が難航している可能性がある。
 中国の公安当局は、8月下旬までに従業員9人について「容疑が濃厚」と判断。中国筋は「いま容疑者として残っているのは数人」と述べ、その後さらに絞り込みが進んだことを示唆した。(共同)

◎中国で役人解任の嵐、切り捨てて党中央の権威守る?(2008年9月23日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】粉ミルク汚染など重大な事件・事故を巡り、中国の政府高官、地方幹部が続々解任されている。
 9月中旬以降、4件に絡んで約20人が更迭され、中国メディアはその激しさを「未曽有の嵐」と形容する。北京五輪終了後、社会問題が再び噴き出した中国。胡錦濤政権は、民衆の怒りを集めた役人を切り捨てる“正義の味方”役を演じ始めた。共産党中央の権威を守るためだ。
 粉ミルク事件では、22日に国家品質監督検査検疫総局長(閣僚級)のほか、メーカーのある河北省石家荘市のトップが更迭された。同市の主要幹部は軒並み解任された。
 同日、河南省登封市では、大規模炭鉱事故の責任をとらされ、市長、副市長の免職が決まった。21日には、43人が死亡した深センのナイトクラブ火災で地区指導者が免職となっている。(深センのセンは土ヘンに「川」)
 政権の決意を示したのが、胡氏に近いとされる孟学農・山西省長の辞任。人災要因が強い土石流で250人以上の犠牲者を出した責任をとらされた。
 解任の「嵐」は、民衆の怒りが強く、社会の安定が脅かされた時に吹く。五輪前の7月~8月初めにも、政権は、大規模な官民衝突が起こった貴州省甕安(おうあん)県や雲南省孟連県の指導者らを解任、とりあえず安定を回復している。
 幹部解任は、安定維持、党中央の権威の維持・向上に実際の効果を持つ。
 都市部、農村部を問わず、社会に不満を抱く民衆の多くが、「庶民の苦しみを分かってくれる胡主席や温家宝首相はとても尊敬できる。だが、現場の腐敗役人は最悪だ」と話す。北京に来る直訴者をはじめ、胡氏らが腐敗役人を「懲らしめる」のを待つ人々は、全国に広く存在している。
 官民衝突に詳しい党関係者は、「“皇帝の善政”を待ち望む大衆心理は強い。党中央の権威が維持されていれば、各地の民衆の怒りは孤立したままであり、反政府で一体化することはない」と指摘する。「中央の権威維持」とは、メンツだけの問題ではない。
 政権の思惑を裏付けるように、中国での解任報道には、「中央が粉ミルク事件の責任者を厳しく処分」など、勧善懲悪的な表現が目立つ。解任の嵐もまた、一種の政治宣伝といえる。同時に、そうした手法に頼らなくてはならない党の苦境を示すものともいえる。
 解任の嵐が、党中枢である政治局員以上に及ぶ可能性は小さい。党関係者は「彼らは、党分裂など政治的誤りを犯さない限り切られない」と断言する。

◎中国の汚染粉ミルク被害者が製造元提訴、240万円請求(2008年9月27日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲み、腎結石などを患って入院中の河南省の男児(1)の両親が、粉ミルク製造元の「三鹿集団」(河北省石家荘市)を相手取り、治療費など15万元(約240万円)を求める訴状を地元人民法院に提出したことが、26日分かった。
 男児側の代理人弁護士が読売新聞に明らかにした。同法院は近く正式に受理するかどうか決定する。
 粉ミルク汚染事件で、提訴に向けた具体的な動きが判明したのは初めて。同事件で病院にかかった乳幼児は全国で5万人を超えており、今後、同様の動きが相次ぐ可能性がある。
 弁護士によると、男児は、腎臓や尿道などに結石ができ、腎機能が衰弱していたという。

◎粉ミルク含む中国製食品、EUが禁輸へ(2008年9月26日、朝日新聞)
 【ブリュッセル=井田香奈子】中国の粉ミルクなどに有害物質メラミンが含まれていた問題で、欧州連合(EU)の欧州委員会は25日、粉ミルクを含む子ども向けの中国製食品の輸入を禁止することを加盟国に提案した。早ければ26日から実施する。
 主に想定されているのはクッキー、チョコレートなどの菓子類。欧州委によると、EU域内ではこれまでメラミンを含む中国製食品は確認されていない。

◎中国のIT情報開示制度、日米欧の経済界が懸念表明へ(2008年9月25日、日本経済新聞)
 【成都=馬場燃】中国がIT(情報技術)製品のソフトの設計情報開示を新しく求める制度の導入計画を進めていることを受け、日米欧の経済界が共同で懸念を表明する検討に入った。ソフトの設計情報は通常、知的財産権の保護対象となる機密情報であるほか、外国企業にとって貿易の障壁になりかねないと再考を促す。
 この制度は「ITセキュリティー製品の強制認証」と呼ばれ、中国政府が外国企業にIT製品を制御するソフトウエアの設計図を開示するよう迫る。対象は「基本ソフト(OS)一体型の製品」「ネットワークの監視システム」など13分野にのぼる。情報を開示しない場合は中国で製品を販売できなくなる。

◎メラミン禍:粉ミルクから致死性菌、中国紙(2008年9月23日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国の大手乳製品メーカー「三鹿集団」(河北省石家荘市)の粉ミルクに化学物質メラミンが混入し、乳幼児が腎臓結石などになった問題で、22日付の中国紙・蘭州日報によると、中国甘粛省当局は同社製の粉ミルクから新たに髄膜炎や腸炎を引き起こす恐れがある細菌、エンテロバクター・サカザキが検出されたと公表した。
 世界保健機関(WHO)によると、エンテロバクター・サカザキは感染した乳幼児の20~50%が死亡したとの報告があり、死亡に至らない場合も、神経障害など重い合併症にかかる恐れがある。
 北京市でも昨年7月、同市で販売されている粉ミルク58点とビーフン51点を検査したところ、全体の6%にあたる粉ミルク3点、ビーフン4点からエンテロバクター・サカザキが検出されて問題になっていた。

◎中国汚染粉ミルクの「三鹿集団」返品殺到、石家荘(2008年9月23日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=牧野田亨】中国で起きた粉ミルク汚染事件で、最初に製品の汚染が発覚した国内大手「三鹿集団」(河北省石家荘市)の本社には、返品した商品の代金支払いを求める卸売業者が押しかけるなど混乱が続いている。
 石家荘市は製品の冷凍ギョーザが日中両国で中毒事件を起こした「天洋食品」もある街。市民の間では「また街のイメージが悪くなる」との声が漏れた。
 三鹿集団社屋のロビー周辺には、全国から集まった卸売業者約100人が座り込んでいた。近くの駐車場には、返品された粉ミルクの箱が1000箱以上置かれている。
 「指示に従って返品したのに、三鹿は支払い済みの代金を返さない」。河南省から来たという男性(37)は怒りをあらわにした。会社側との交渉は難航し、人数は日に日に増えているという。
 同社の粉ミルク販売量は国内1位。前身の企業時代を含めると50年以上の歴史があり、住民にも親しまれてきた。返品に来た女性(26)は「私の周りも三鹿の粉ミルクを使っている。それがこんなことになるなんて」と嘆いた。
 三鹿集団から車で20分ほど離れた場所に、天洋食品の工場がある。すでに操業を停止して半年以上過ぎ、三鹿集団周辺とは対照的に、敷地内にほとんど人影はなかった。近くの男性(32)は「ギョーザ騒ぎが終わったら、今度は粉ミルク。一体どうなっているのか」とため息をついた。
 天洋食品のギョーザを巡っては、中国当局は国内犯行との見方を強め、本格的な捜査をしている。公安筋によると、延べ1000人の従業員らから事情聴取したほか、有力情報に30万元(約480万円)の報奨金も出すことを決めた。
 だが、粉ミルク事件発覚後、公安当局は専門チームを作って28人を逮捕・拘束するなど、この事件解決に全力を挙げている。河北省政府当局者は22日、本紙に「粉ミルク事件は世界的な問題。最優先で取り組む課題だ」と語った。日中筋の間では「ギョーザ事件の捜査が後回しにされるのでは」との懸念が広がっている。

◎ミルク汚染で引責、中国の閣僚級・食品検査総局長が辞任(2008年9月22日、読売新聞)
 【北京=竹内誠一郎】中国中央テレビは22日、食品の安全などを監督する国家品質監督検査検疫総局のトップで閣僚級の李長江総局長が辞任したと伝えた。
 共産党中央・政府は、多数の乳幼児に被害を出した粉ミルク汚染事件で、多くのメーカーが有害物質メラミンを混入させていたことに対する監督管理責任を認め、李局長の辞任申し出に同意した。
 事実上の解任で、今回事件を巡って中央省庁の高官が辞任するのは初めて。李氏は、2001年に総局長に就任。在任中は、冷凍ギョーザ中毒事件など中国の「食の安全」に関する不祥事が相次いだ。
 また、党・政府は、製造元の「三鹿集団」がある河北省石家荘市のトップ、呉顕国・同市共産党委員会書記を解任した。中央テレビは「事件を直ちに上部に報告せず、処理に手落ちがあった」と伝えた。同市ではすでに、冀純堂市長が解任されている。解任は、食の安全などに関する大規模事故で政府が定めた責任追及規定を適用したという。

◎「ホワイトラビット」からメラミン検出、シンガポール政府発表(2008年9月22日、読売新聞)
 【シンガポール=伊藤彰浩】中国で発生した有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件に関連し、シンガポールの農業・食品・獣医庁は21日、中国の土産物として日本でも知られる「ホワイトラビット(大白兎)」ブランドのミルクキャンデーからメラミンが検出されたと発表した。
 製品は同ブランドの主力商品「クリーミーキャンデー」で、同庁は購入済みの消費者に食用を避けるよう呼びかけた。
 「ホワイトラビット」は中国・上海の老舗食品企業「冠生園」の有名商標で、このキャンデーは1972年に訪中したニクソン米大統領(当時)に周恩来首相(同)が贈ったことでも知られている。
 シンガポールの輸入代理店は問題の商品が「冠生園」の製品であることを認めているが、中国国内では、この商品からのメラミン検出は報じられておらず、波紋が広がる恐れがある。

◎中国粉ミルク汚染:メーカー、賠償と再発防止誓う、21社が中国政府に提出(2008年9月22日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で化学物質メラミンが混入した粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石などになった問題で、製品からメラミンが検出された「伊利」「蒙牛」「光明」などメーカー21社は20日、被害者への賠償や再発防止策を盛り込んだ「品質安全誓約書」を中国政府に提出した。中国中央テレビは21日、各社の代表が誓約書を読み上げ、頭を下げて謝罪する場面を放映した。
 誓約内容は、統一基準による被害賠償▽汚染製品の生産停止と回収▽原材料と製品の検査厳格化--など。誓約書を受け取った国家品質監督検査検疫総局の蒲長城・副局長は「今後、食品原料以外のものを違法に添加した企業、個人は厳しく処罰する」と表明した。

◎メラミン粉ミルク事件、発覚遅れに当局の「隠ぺい説」も(2008年9月22日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国で乳幼児が有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲み、腎結石になった事件では、最初に製品の汚染が発覚した国内大手「三鹿集団」(河北省石家荘市)の当局への報告が大幅に遅れたほか、行政の対応も後手に回った。
 一部には、8月の北京五輪への悪影響を懸念した「隠ぺい説」などを指摘する声も出ている。公安当局は同社の汚染事件にからみ、原乳の仲買人ら28人を逮捕・拘束。中国紙によると、「混入は2005年4月に始まり、関係者にメラミンを販売するネットワークがあった」と供述しているという。供述通りなら、汚染が3年以上も見逃されていたことになるが、検査当局幹部は13日の記者会見で、「通常の検査では、(混入が)予測できない化学物質の検査は行っていない」と説明した。
 河北省の楊崇勇副省長は中国紙に対し、同社は8月2日に石家荘市に汚染を報告したが、同市は9月9日まで河北省に報告しなかったことを明らかにした。北京五輪は同市が報告を受けた直後の8月8日に開幕、同24日に終了した。

◎中国汚染ミルク、乳児の被害5万人以上、衛生省発表(2008年9月22日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国衛生省は21日、化学物質メラミン入りの粉ミルクが原因で腎臓結石となり、医療機関で治療を受けた乳児が全国で5万4千人を超えたと発表した。事件の発端となった三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクが原因としており、その他の粉ミルクや牛乳では症例が出ていないとしている。
 衛生省によると、外来診療後に健康を回復した乳児は3万9965人、現在も入院中の乳児が1万2892人で、このうち104人は重症という。このほか、1579人は入院後に退院していた。
 また、受診したうち2歳未満の乳児が全体の8割、2歳以上3歳未満が2割弱、3歳以上は1%未満だった。

◎中国汚染ミルク、香港、台湾、シンガポールでも(2008年9月22日、朝日新聞)
 【香港=奥寺淳、シンガポール=杉井昭仁】中国製の牛乳や乳製品が化学物質メラミンに汚染されていた問題は21日、香港や台湾、シンガポールにも相次いで飛び火した。香港では世界最大手の食品メーカー、ネスレ(スイス)の中国製牛乳からメラミンが検出され、政府機関がネスレに製品回収を求めている。被害はさらに拡大する勢いだ。
 香港でメラミンが検出されたのは、中国山東省青島で製造された業務用の「ネスレ・デイリー・ファーム・ピュア・ミルク」(1リットル)。香港政府の食品安全センターによると、メラミンの濃度は1.4ppmで「通常に飲む程度なら健康に影響はないが、子供には飲ませない方がいい」(同センター)としている。
 また、香港の大手スーパー各社は、ネスレの中国産粉ミルクも撤去を始めた。香港紙・蘋果日報が乳製品の調査を検査機関に独自に依頼した結果、黒竜江省製のネスレの粉ミルク(900グラム缶)からメラミンが検出されたと21日付で報じたため。濃度は0.6ppmと微量だったという。
 これに対し、ネスレは「どの製品もメラミンに汚染されていない自信がある。中国の農家とも緊密な関係を築き、牛乳の質の向上を指導している」と発表し、報道の根拠はあいまいだと批判した。
 一方、台湾の衛生当局は21日、粉ミルクなどすべての中国産の乳製品の輸入を全面的に禁止すると発表し、即日実施した。飲料メーカー「金車」がインスタントコーヒーに使っていた中国産原材料から微量のメラミンが検出されたといい、同社も製品の回収を始めた。
 シンガポールの農業・食品・獣医庁も、中国製の「ホワイト・ラビット・クリーミー・キャンディー(大白兔乳糖)」からメラミンを検出。中国製の牛乳と乳製品、中国製牛乳を原材料に含む菓子類の輸入・販売を全面禁止し、地元食品メーカーにも使わないよう命じた。

◎世界最大手のネスレ牛乳からもメラミン検出、香港政府発表(2008年9月21日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】中国での有害物質メラミンによるミルク汚染事件で、香港政府は21日夜、スイスの世界最大手の食品・飲料メーカー「ネスレ」(中国名・雀巣)が中国で製造し、香港でも流通している牛乳からメラミンが検出されたと発表した。
 通常の飲用では健康に重大な影響はない軽度の汚染だが、香港政府はこの牛乳の販売停止と回収を飲食業界に要請するとともに、「小さな子供には飲ませないように」と警告している。
 発表によると、メラミンが検出されたのは、山東省青島にある「青島雀巣有限公司」が製造した牛乳(1リットルパック)。この牛乳を体重7.5キロ・グラムの1歳の子供が1日3.38リットル飲めば、米食品医薬品局(FDA)の安全基準値を上回ることになるという。

◎メラミン乳:「伊利」などメーカー21社、謝罪と誓約書(2008年9月21日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で化学物質メラミンが混入した粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石などになった問題で、製品からメラミンが検出された「伊利」「蒙牛」「光明」などメーカー21社は20日、被害者への賠償や再発防止策を盛り込んだ「品質安全誓約書」を中国政府に提出した。中国中央テレビは21日、各社の代表が誓約書を読み上げ、頭を下げて謝罪する場面を放映した。
 誓約内容は、統一基準による被害賠償▽汚染製品の生産停止と回収▽原材料と製品の検査厳格化--など。誓約書を受け取った国家品質監督検査検疫総局の蒲長城・副局長は「今後、食品原料以外のものを違法に添加した企業、個人は厳しく処罰する」と表明した。

◎中国:群集1万人が警官隊と衝突、浙江省の市庁舎前(2008年9月20日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」は20日、中国浙江省麗水市で18日、1万人を超える群集が不動産投資に絡む抗議のため市庁舎前などに押し掛け、警官隊と衝突し20人が負傷したと発表した。さらに大規模な抗議行動が起こる可能性もあるという。
 同センターによると、麗水市の不動産業者5社は04年から、高利息の不動産投資を募集。約10万人から30億元(約450億円)を集めたが、資金繰りに行き詰まったため今月に入り2社が利息の支払いを停止した。市公安当局が18日に1社の経営者を逮捕し、口座を凍結したところ、出資した市民が会社や市庁舎に群がったという。

◎中国、ヨーグルト製品からもメラミン検出(2008年9月20日、読売新聞)
・被害が拡大、死者5人に
 【北京=牧野田亨】中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎結石になった事件で、中国国家品質監督検査検疫総局は19日、乳製品メーカー大手の「蒙牛」「伊利」「光明」の3社について、牛乳に加え、ヨーグルト製品からもメラミンが検出されていたことを明らかにした。3社は牛乳同様、自主回収を始めた。在北京日本大使館によると、日本にはどちらも輸出されていないという。
 また、江西省のニュースサイト「大江網」は同日、同省で7月に男児1人が腎結石で死亡していたと伝えた。新疆ウイグル自治区でも1人の死亡が確認され、死者数は計5人になった。
 同サイトによると、江西省の死者は生後6か月で、「三鹿集団」(河北省石家荘市)が製造・販売した汚染粉ミルクを飲んでいた。これまでの死者は甘粛省2人、浙江省1人だった。被害が拡大している現状を受け、北京など23省・市の弁護士73人が弁護団を結成、訴訟を視野に被害者からの相談受け付けを始めた。

・胡主席が幹部を批判
 【北京=杉山祐之】中国中央テレビによると、胡錦濤・共産党総書記は19日、北京の中央党校で開かれた会議で演説し、汚染粉ミルク事件など「食の安全」問題が続発していることについて、「一部幹部は危機意識が足りず、管理が緩んでいる」と関係者を厳しく批判した。

・輸入粉ミルク求め香港へ、中国住民急増
 中国での有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件を受け、香港に外国製粉ミルクを買い出しに来る中国本土の住民が急増、香港の一部小売店では輸入粉ミルクの販売制限も始まった。
 香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストなどによると、中国との境界に近い上水地区では、事件発覚後、輸入粉ミルクの買いだめをしようとする中国人客が急増。小売店側は、香港人客への供給確保のため、中国人客に対し、1人あたり2~4缶に販売を制限した。日本製粉ミルクを扱うネットショップも人気の的。中国内から注文が相次ぎ、1週間で売り上げが3倍に跳ね上がった店もあるという。

◎不動産投資で損失、中国・浙江省で1万人が抗議デモ(2008年9月21日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターは20日、浙江省麗水市で18日、不動産開発企業による違法な資金集めで損失を受けた出資者1万人以上が市庁舎前などで抗議デモを行い、警官隊と衝突、20人が負傷したと発表した。
 さらに大規模な抗議デモが起きる可能性があるとして、当局は厳戒態勢に入った。
 麗水市の不動産企業5社が2004年以来、高利回りをうたい文句に約10万人から30億元(約470億円)の資金を集めたが、今年に入り資金繰りが悪化。当局が18日に1社の経営者を拘束、口座を凍結したため、出資者らが市庁舎などに押しかけた。
 同センターによると、中国各地では北京五輪前の不動産ブームを当て込んだ資金集めが行われたが、市況の冷え込みで不動産企業の資金繰りが苦しくなっている。

◎宗教の自由侵害「特に懸念」、中国など8か国指定、米報告書(2008年9月20日、読売新聞)
 【ワシントン=宮崎健雄】米国務省は19日、各国の宗教の自由に関する2008年版の年次報告書を発表し、宗教の自由の侵害が「特に懸念される国」として、中国や北朝鮮など8か国を昨年に続いて指定した。
 報告書は中国について、8月の北京五輪期間中、当局が政府非公認の教会を閉鎖させたり、数人の外国人活動家を「違法な宗教活動をした」などとして拘束、ビザを取り消したりしたと報じられていることを指摘。またこの1年で、チベット自治区や新疆ウイグル自治区の弾圧が強まり、3月のチベット自治区の暴動を機に、中国政府当局者がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世への批判を強めているとした。
 また北朝鮮については、「真の宗教の自由は存在しない」と厳しく批判。金正日総書記や父親の故・金日成主席の個人崇拝が政権イデオロギーの支えであり、国教のようになっていると分析している。
 特に懸念される国には、中朝のほかミャンマー、エリトリア、イラン、サウジアラビア、スーダン、ウズベキスタンが指定された。

◎“魚が色白に”養殖魚の餌からメラミン、中国産が原料(2008年9月20日、スポーツニッポン)
 韓国農林水産食品省は20日までに、全羅北道の飼料会社が販売した養殖魚の餌から、中国で粉ミルクなどへの混入により健康被害が拡大している有機化合物メラミンが検出されたことを明らかにした。餌は粉末状にしたイカの内臓が主原料で、韓国産と中国産を混ぜて作っていた。韓国メディアが一斉に報じた。
 聯合ニュースによると、4~6月に韓国内の16の養殖業者から、同社の餌を与えた魚に色が白くなるなどの異常が見つかったとの報告が寄せられたため、国の施設で餌に含まれる成分を調べたという。
 飼料会社などが問題の餌の自主回収を進めている。

◎工場内の毒物混入「ありえない」、中国のあん製造元(2008年9月20日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】長野市の菓子製造業「丸生本店」で粒あんを味見した従業員が手足のしびれなどを訴えた問題で、あんを製造した中国・青島の「青島冨士嘉食品有限公司」の従業員は20日、本紙の電話取材に対し、「工場内で製品に毒物が入ることはありえない。とても驚いている」と語った。
 また、「私たちが毒物を入れる理由はない。過去約20年間にわたり日本に輸出しているが、問題が起きたことは一度もない」と述べた。
 この従業員によると、あんの製造工程は完全に機械化され、まとめて大量に製造されるため、一袋にだけ問題が出ることは考えにくいという。

◎石油みたい、異臭あんこは中国・青島の工場で製造(2008年9月20日、スポーツニッポン)
 長野市の食品製造販売会社「丸生本店」の従業員2人があんこを味見し、嘔吐や手足のしびれを訴えた問題で、あんこは長野市の納入業者が中国に持つ合弁企業の工場で作られていたことが20日、分かった。
 長野市保健所が19日に行った簡易検査では有機リン系などの物質は検出されなかったが、あんこは石油のようなにおいがしたといい、同保健所と長野県警が成分を詳しく調べている。
 納入業者によると、問題のあんこは3月に中国・青島市の合弁企業の工場で製造された砂糖入りの小倉あん。密封し、一袋5キロ入り4袋を1箱に梱包、船で日本に運ばれた。賞味期限は1年間。
 同社は「問題があったのは7月中旬以降に輸入した約270箱のうちの1袋だけ。製造過程で何かが混入したとは考えにくい」と説明した。
 丸生本店の従業員2人は19日午後3時ごろ、彼岸用のおはぎを作るため、真空パックを開封し、刺激臭がしたため、指ですくって味見した。

◎敵機来襲?上海で防空警報鳴り響く(2008年9月20日、スポーツニッポン)
 中国最大の経済都市、上海市のうち浦東、虹橋の両国際空港周辺を除く地域で20日午前、防空警報の試験が行われ、サイレンが一斉に鳴り響いた。
 同市ではこれまでも地域を限定し、警報を使った防空演習が行われているが、上海紙によると、市内のほぼ全域で警報の試験が行われたのは、1949年の新中国成立以来、初めてという。
 20日は「全民国防教育日」とされ、市当局は、防空警報システムの検査や市民の国防意識向上が目的としている。

◎ヨーグルトもメラミン汚染、中国の粉ミルク死者は5人に(2008年9月20日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎結石になった事件で、中国国家品質監督検査検疫総局は19日、乳製品メーカー大手の「蒙牛」「伊利」「光明」の3社について、牛乳に加え、ヨーグルト製品からもメラミンが検出されていたことを明らかにした。
 3社は牛乳同様、自主回収を始めた。在北京日本大使館によると、日本にはどちらも輸出されていないという。
 また、江西省のニュースサイト「大江網」は同日、同省で7月に男児1人が腎結石で死亡していたと伝えた。新疆ウイグル自治区でも1人の死亡が確認され、死者数は計5人になった。
 同サイトによると、江西省の死者は生後6か月で、「三鹿集団」(河北省石家荘市)が製造・販売した汚染粉ミルクを飲んでいた。被害が拡大している現状を受け、北京、河南など23省・市の弁護士73人が弁護団を結成、訴訟を視野に被害者からの相談受け付けを始めた。

◆輸入粉ミルク求め香港へ
 中国での有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件を受け、香港に外国製粉ミルクを買い出しに来る中国本土の住民が急増、香港の一部小売店では輸入粉ミルクの販売制限も始まった。
 香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストなどによると、中国との境界に近い上水地区では、事件発覚後、輸入粉ミルクの買いだめをしようとする中国人客が急増。小売店側は、香港人客への供給確保のため、中国人客に対し、1人あたり2~4缶に販売を制限した。日本製粉ミルクを扱うネットショップも人気の的。中国内から注文が相次ぎ、1週間で売り上げが3倍に跳ね上がった店もあるという。(香港支局 吉田健一)

◎中国のメラミン乳製品事件、死者は計5人に(2008年9月20日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国江西省のニュースサイト「大江網」の19日の報道によると、同省内で、三鹿集団(河北省石家荘市)製粉ミルクを飲んだ6カ月の乳児が腎臓結石となり死亡していた。化学物質メラミンが乳製品に混入した一連の事件による犠牲者は5人目となった。
 北京の日本大使館は19日、メラミンが混入した牛乳と粉ミルクが日本に輸出されていないことを確認した。日本向け加工品に使われていた可能性を引き続き調べている。

◎汚染乳製品メーカーの「蒙牛」が謝罪(2008年9月19日、日本経済新聞)
 【香港=吉田渉】乳製品への有害物質メラミン混入が発覚した「中国蒙牛乳業」の姚同山・最高財務責任者(CFO)は19日、香港で開いた決算発表記者会見の席で、汚染商品を摂取して健康を害した消費者に謝罪した。原因については「政府と共同で調査中だ」と述べるにとどめた。そのうえで「(大きな問題となっている)粉ミルク事業の比重は低く、業績への影響は大きくない」と強調した。

◎中国:牛乳からもメラミン、汚染粉ミルク、集団訴訟を準備(2008年9月19日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国の大手乳製品メーカー「三鹿集団」(本社・河北省石家荘市)が製造した粉ミルクに有機化合物メラミンが混入し、乳幼児が腎臓結石などにかかった事件で、新疆ウイグル自治区政府は18日、同自治区で乳児1人が死亡したと発表した。これまで甘粛省2人、浙江省1人が死亡しており、死者は計4人となった。
 事件では三鹿集団のほか全国21社の粉ミルクからもメラミンが検出され、中国全土で6200人以上の健康被害が報告されている。中国中央テレビは同日、大手乳業メーカー3社の牛乳からもメラミンが検出されたと報じた。
 中国国民の「食の安全」への不信感が強まる中で18日、今回の事件の被害者や弁護士が、製造業者と政府機関を相手取った集団訴訟を準備していることが分かった。中国で政府と大手企業を相手取った集団訴訟は、極めて異例。既に中国14省市の弁護士31人による被害者弁護団が結成されている。
 中心メンバーの弁護士は毎日新聞の取材に「個人で訴えても勝訴できる可能性が低く、集団訴訟が最良の方法。業者だけでなく、政府機関に違法行為があれば一括して責任を問いたい」と語った。
 中国では近年、環境汚染や強制立ち退きをめぐる行政訴訟が増加しているが、住民側が勝訴することは極めてまれだ。準備段階で、原告側が当局から訴訟を起こさないよう強い圧力を受けることもあるといわれる。一方で、公正な裁判を通じた消費者保護の必要性が指摘されている。

◎中国:汚染粉ミルク、国民に衝撃、わが子が危ない(2008年9月19日、毎日新聞)
 中国の大手乳製品メーカー「三鹿集団」製の粉ミルクに有機化合物メラミンが混入し、多数の乳幼児が腎臓結石などにかかった事件は、「一人っ子」政策で子供を大切にする中国国民に強い衝撃を与えている。政府は対策を急ぐが、一方で地元当局が混入の事実を隠ぺいした疑いが濃厚になりつつある。経済成長で生活が豊かになるなかで、一向に改善されない「食の安全」問題への批判の矛先は、中国政府に向かいつつある。【北京・浦松丈二、上海・鈴木玲子、台北・庄司哲也】

◇「国産飲めぬ」…母が怒り
 「母乳よりも栄養が豊富という宣伝を信じて、高い粉ミルクを購入してきたのに」。北京市内で18日、「三鹿集団」の製品を子どもに飲ませてきたという母親は、事件に怒りをあらわにした。
 事件の影響は中国全土に波及している。上海市内の大手スーパーでは、商品棚からほとんどの国産粉ミルクが撤去され、割高な外資との合弁企業の製品が人気を集める。米国ブランドの粉ミルクを購入した1歳の男児の母親(30)は「国内大手のブランドからメラミンが検出されたと聞いて、本当に驚いた」と不安を隠さない。別の母親は「国産は怖くて、私の周りではだれも飲んでいないわ」と明かした。
 18日付香港紙「文匯報」(電子版)によると、香港では中国以外のメーカーの粉ミルクを買い求める客が殺到し、1人2缶までの制限を設ける店も出ている。香港では、乳製品だけでなく、パンなど牛乳を使用した製品へも、市民の不安が波及している。
 メラミン混入の背景には、経済成長による生活スタイルの変化で、乳製品の消費が毎年20%近い伸び率で急増していることがある。逮捕された搾乳業者は、品薄の牛乳に水を入れて薄め、たんぱく質の含有量検査をパスさせるため、メラミンを混ぜたと供述している。

◇地方政府は1カ月放置
 「乳製品市場の混乱や検査体制の不備、力不足を反映したものであり、責任をもって改善を進めなければならない」。18日付の中国各紙によると、温家宝・中国首相は17日、対策会議を開き、事件についてそう強調した。
 中国政府は、国民の関心の高い「食の安全」を重視し、関連法を制定するなど対策を急いできた。17日の会議では、(1)責任者の厳格な処分(2)被害者の医療無料化の徹底(3)補助金支給による乳製品の増産促進などが決まった。
 しかし、中央の方針と地方政府の実態はかけ離れている。18日付の中国紙・新京報によると、「三鹿集団」が本社を置く河北省石家荘市は、同社からメラミン混入の報告を受けながら、約1カ月間も河北省に報告していなかった。
 また、被害者の相談を受けている弁護士によると、地方では医療無料化の方針が完全には守られておらず、粉ミルクを飲んで体調が悪化した乳幼児も同じように診察料を請求されるケースが相次いでいるという。
 メラミン混入をめぐっては昨年、米国でペットフードを食べた犬や猫が相次いで死亡し、原料の中国製小麦グルテンにメラミンが混入していたことが判明した。ペットフードへのメラミン混入が粉ミルクにまで拡大したことで、政府の思惑とは裏腹に効果的な対策がとれていない実態が、浮き彫りとなった。

◇粉ミルク事件…患者6200人超す
 中国甘粛省蘭州市の医師が今月8日、同じ粉ミルクを使っていた乳児14人が腎臓結石の治療を受けたと公表した。その後、全国で被害が報告され、18日までに患者は6200人を超えた。河北省石家荘市のメーカー、「三鹿集団」が05年4月から粉ミルクにメラミンを混入していたのが原因だったが、中国政府の検査の結果、伊利、蒙牛など大手乳業メーカーを含む21社の粉ミルク製品からもメラミンが検出された。一部は、台湾、バングラデシュ、ミャンマー、イエメン、ニュージーランドにも輸出されていた。18日までに、三鹿集団の元代表や搾乳業者ら計18人が逮捕・拘束されたほか、石家荘市党委員会副書記が免職となった。

◎中国で牛乳からも有害物質メラミン、大手3社が自主回収へ(2008年9月19日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国中央テレビは18日、有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件を受け、中国政府が全乳製品を対象に実施している品質検査で、国内大手メーカーの「蒙牛」「伊利」「光明」の3社が製造、販売する牛乳からもメラミンが検出されたと伝えた。
 粉ミルク以外の乳製品から検出されたのは初めて。
 同テレビは「検出量は微量で健康に大きな影響はない」としているが、中国政府は3社に対し、自主回収を指示した。
 一方、乳幼児が腎結石になった事件では、18日付の中国紙「新京報」が河北省の楊崇勇副省長の話として、同省石家荘市が市内の乳製品メーカー「三鹿集団」から8月2日に粉ミルク汚染の報告を受けながら、今月9日まで省に報告しなかったと伝えた。楊副省長は市の対応について「企業と癒着がなかったかどうか調査中だ」と語った。
 また、楊副省長は中国紙「21世紀経済報道」の取材に対し、牛乳にメラミンを混入してたんぱく質含有量を高める手口が2005年4月から行われていたことを明らかにした。中国外務省の姜瑜・副報道局長は18日の定例記者会見で、国内2社が汚染粉ミルクをミャンマーなど5か国に輸出しており、回収を指示したことを明らかにした。

◎「IT製品、ソースコード開示せよ」、中国が外国企業に要求へ(2008年9月19日、読売新聞)
 中国政府が外国企業に対し、デジタル家電などの中核となる製品情報を中国当局に開示するよう命じる新制度を2009年5月から導入する方針であることが18日わかった。
 対象はICカードやデジタル複写機のほか、薄型テレビなども含まれる可能性がある。開示を拒否すれば、その製品の対中輸出や中国での現地生産、販売が一切禁止される。企業の知的財産が中国企業に流出するおそれがあるほか、デジタル機器の暗号技術が中国側に筒抜けとなる安全保障上の懸念もある。経済産業省や米通商代表部(USTR)などは制度の撤回を強く求める構えで、深刻な通商問題に発展する可能性がある。
 中国は、新制度を「ITセキュリティー製品の強制認証制度」と呼んでいる。具体的には、対象となる製品について、デジタル家電などを制御するソフトウエアの設計図である「ソースコード」の開示を外国企業に強制する。対象製品は、開示されたソースコードに基づく試験と認証機関による検査に合格しないと中国で製品を販売出来ないという、国際的に例のない制度だ。
 新制度の対象としては、ソニーが開発した非接触ICカード技術「フェリカ」や、デジタル複写機、コンピューターサーバーなど、暗号機能が含まれる製品が有力。
 中国政府は、ソースコードの開示を求める狙いについて、ソフトの欠陥を狙ったコンピューターウイルスや、コンピューターへの不正侵入を防ぐためと説明している。
 しかし、開示内容が中国政府を通じて中国企業に漏れる恐れはぬぐえない。そのうえ、日本製デジタル機器の暗号情報も見破られやすくなり、中国の諜報(ちょうほう)活動などに利用される懸念も指摘されている。
 業界団体の試算によると、日本企業の対象製品は、現在の中国国内での売上高で1兆円規模に上る可能性がある。在中の日米欧の経済団体は、連名で中国当局に懸念を表明する方針だ。

◎中国、牛乳も汚染、粉ミルク混入は行政が隠ぺいか(2008年9月19日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営中央テレビは18日、国家品質監督検査検疫総局が大手乳業メーカー「蒙牛」「伊利」「光明」の3社の製品サンプルの約1割から、化学物質メラミンが検出されたことを明らかにした。牛乳へのメラミン混入が判明したのは初めて。国民の不信感は乳製品全体に広がり始めた。
 一方、18日付の中国紙、新京報によると、メラミンが混入された三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクで多数の乳幼児が腎臓結石になった事件で、石家荘市政府が三鹿集団から混入の連絡を受けていたにもかかわらず、1カ月以上にわたって河北省政府に報告していなかったことがわかった。市政府の隠匿が被害拡大を招いた可能性がある。
 河北省の楊崇勇副省長が明らかにした。河北省は石家荘市と三鹿集団との間で何らかの癒着があった可能性があるとみて調査に乗り出した。
 三鹿集団は北京五輪開幕直前の8月2日、石家荘市政府に汚染の事実を伝えていたが、市が省政府に報告したのは9月9日だった。国の規定では、食品安全にかかわる重大事故の場合は2時間以内に省に報告することになっている。
 また、この問題で新疆ウイグル自治区でも18日、新たに1人の死亡が確認され、死者は計4人となった。河北省の警察当局はメラミンを違法に販売していたなどとして新たに14人を逮捕し、逮捕者は合計18人となった。

◎中国:汚染粉ミルク、死者4人に、不安抱え親子で検査(2008年9月18日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で粉ミルクに有機化合物メラミンが混入され、乳幼児が腎臓結石などにかかった事件を受け、中国江蘇省南京市の病院には18日、病気を心配する親子が大挙して検査に訪れた。この日、新疆ウイグル自治区でも乳児1人が死亡し、死者は4人となった。これまでの死者は甘粛省2人、浙江省1人で、被害は全国に拡大している。

◎中国の国鳥選定難航、「タンチョウ=日本の鶴」で具合悪く(2008年9月18日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国政府の国鳥選定作業が難航している。
 最有力候補は古くから長寿や吉祥の象徴とされるタンチョウ(中国名・丹頂鶴)だが、ラテン語の学名が「日本の鶴」を意味し、反対論が起きていることが原因のようだ。
 タンチョウの生息地・黒竜江省チチハル市関係者らによると、国鳥選定作業は国家林業局が「民族意識、自然保護意識の高揚に役立つ」として、中国野生動物保護協会に指示。2004年にネットで調査した結果、タンチョウが全体の約60%を占め1位になった。
 しかし、中国紙「新京報」によると、タンチョウの学名は「Grus japonensis」(日本の鶴、の意味)で、「中国の国鳥としてふさわしくない」との批判が起き、政府がタンチョウに決めるのをためらっているという。
 中国のウエブサイト「天涯網」の調査では、「学名を理由にタンチョウの資格が剥奪されるのは合理的か」との質問に対し、約9000の回答の約7割が「合理的。民族の気概を重視するから」との選択肢を選んだ。国鳥候補としてはスズメが約41%を占め、1位になった。「黙々と働く姿が中国人に似ている」との理由からだが、「あまりに平凡」との反対意見も出ている。トキも人気はあるが、学名が「Nipponia nippon」で「日本」がつくため、状況はタンチョウと同じだ。

◎中国・汚染粉ミルク、乳幼児死亡3人に、被害6千人超す(2008年9月17日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石になった事件で、中国政府は17日、新たに浙江省で死者1人が確認され、死者は計3人となったと発表した。
 また、腎結石になった乳幼児は同日午前8時現在で6244人に上り、このうち、1327人が現在も入院、治療を受けているという。

◎中国:粉ミルク22社製品からメラミン検出(2008年9月17日、毎日新聞)
 中国中央テレビは16日、有機化合物メラミンが粉ミルクに混入されていた事件を受け、国家品質監督検査検疫総局が国内の粉ミルクメーカー109社の製品を緊急調査した結果、22社の製品からメラミンが検出されたと報じた。事件の発端となった河北省石家荘市のメーカー、三鹿集団以外に伊利、蒙牛、雅士利など乳製品大手の製品も含まれ、一部はアジア各国に輸出されていた。
 中国の「食の安全」に再び懸念が強まるのは必至で、当局はメラミンが検出された製品の販売停止と回収を指示した。三鹿の製品は台湾に出荷されていたが、雅士利の製品はバングラデシュやミャンマー、イエメンに輸出されていた。これまで、日本に輸出されたとの報道はない。
 一方、中国の通信社、中国新聞社によると、河北省公安庁は16日、三鹿集団の粉ミルクにメラミンが混入された事件で、容疑者の男2人を新たに逮捕したと発表した。いずれも原料の牛乳にメラミンを混ぜて出荷した疑いで、逮捕者は計4人となった。警察当局は、ほかに22人を拘束して調べている。
 新たに逮捕されたのは石家荘市内の牛乳業者で、牛乳のたんぱく質含有量を増やしたり、牛乳の異臭を取り除くためメラミンを混ぜたという。
 中国新聞社はまた、石家荘市の共産党委員会の決定を受け、三鹿集団の田文華会長が事件の責任を取って社内の党委書記の職務を解任され、会長職も更迭されることになったと伝えた。

◎中国:粉ミルク22社からメラミン検出、一部は輸出(2008年9月17日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で有機化合物メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児が相次いで腎臓結石になった事件で、中国政府は16日、発端となった「三鹿集団」(河北省石家荘市)のほか、国内の粉ミルクメーカー21社の製品からメラミンが検出されたと発表し、製品の回収を命じた。汚染粉ミルクの一部は海外に輸出されていたといい、当局は日本を含め輸出先の確認を急いでいる。
 事件発覚を受け、中国国家品質監督検査検疫総局が全国109社の粉ミルクメーカーの491品目を検査したところ、22社69品目からメラミンが検出された。このうち、広東省のメーカー「雅士利」の製品はバングラデシュ、ミャンマー、イエメンに輸出されていた。また、香港で販売されていた中国製アイスキャンディーからもメラミンが検出された。
 関係者によると、中国の乳製品は半加工品として日本に輸出されるケースもあり、中国製乳製品のすべてを追跡することは極めて困難とみられる。
 一方、河北省公安庁は16日までに、水で薄めた牛乳のたんぱく質含有量を増やすためにメラミンを混入して「三鹿集団」に販売したとして、搾乳業を営む兄弟2人を含む計4人を逮捕した。
 中国衛生省によると、国内でこれまでに粉ミルクを飲んだ乳児2人が死亡、1253人が病院で診察を受けている。

◎死亡3乳児、結石6200人、中国・粉ミルク被害拡大(2008年9月17日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国で生産された乳児用の粉ミルクをめぐり、中国国内22企業の商品から有害物質メラミンが検出された問題で、中国衛生省は17日、粉ミルクが原因で腎臓結石になったとみられる乳児3人が死亡、ほかに6244人がメラミン入り粉ミルクの被害を受けたと公表した。
 9月上旬に三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクからメラミンが検出されたが、同社を含む22社の粉ミルクが汚染されていることが判明して被害者数が広がった。治療を受けた乳児の大半は症状が軽かったが、1327人が現在も入院中で、60人余りは衰弱して重症だという。

◎河北警察当局、容疑者2人を逮捕、三鹿粉ミルク事件(2008年9月16日、朝日新聞)
 河北省公安庁の史貴中・報道官は15日午前、三鹿集団の粉ミルク重大事件発生後、河北省の公安当局は逮捕した容疑者に対し、連日取り調べを行っていることを明らかにした。三鹿公司の原料の牛乳に有害物質のメラミンを混入した疑いのある容疑者19人を刑事拘留し、うち2人が逮捕された。
 史報道官によると、河北警察当局の警察官約800人は12日明け方5時、原料の牛乳にメラミンを混入した疑いのある作業場を捜査し、メラミンと思われる品物を発見。警察当局は関係者78人を喚問のために呼出し、有毒・有害食品を生産・販売した罪で容疑者19人を刑事拘留し、うち2人を逮捕した。
 河北省正定県の人民検察院は14日夜、同県公安局が刑法第144条の規定を犯した罪で、有毒・有害な食品を生産・販売した疑いのある耿兄弟を容疑者として逮捕することを許可した。
 耿容疑者、男、48歳、漢族、河北省正定県南楼郷出身。耿容疑者は04年5月、搾乳所の経営を始め、知人と乳牛飼育団体を設立して、同団体から牛乳を仕入れ、三鹿集団に納品し、関連協議書も結んでいた。耿容疑者が経営する搾乳所は家族経営で、妻と娘も経営に係っていたほか、村の住民2人をパートで雇い、弟が三鹿集団への輸送を担当。乳牛飼育団体では乳牛307頭を飼育していた。
 警察の調べによると、三鹿集団に納品した牛乳が昨年末、検査不合格で返品が相次ぎ、3トン車に積んだ牛乳はすべて処分しなければならず、多大な経済損失を被った。その後、たんぱく質の測定値を高く見せるため、牛乳に化学工業原料のメラミンを混入。耿容疑者は唐県にある化学工業原料店にわざわざ出向き、メラミン20キロを購入、割合を量って三鹿集団向けの牛乳に混ぜていた。この化学工業原料店へは2度ほど顔を出し、メラミンを購入していったという。この兄弟はメラミンを混入した牛乳を毎日約3トン生産・販売していた。

◎三鹿集団の粉ミルク、腎臓結石患者が1253人に(2008年9月16日、朝日新聞)
 衛生部の馬暁偉・副部長は15日、特別記者会見を開き、「三鹿製の粉ミルク」による重大事件発生後、全国各地の衛生部門と医療スタッフが直ちに行動を起こし、患者に対する細かい診断と治療を積極的に進め、これまでに一部の患者が健康を回復したことを報告した。
 統計によると、三鹿製の粉ミルクを飲んだ乳児1万人近くが15日午前8時現在、全国の医療機関で診察を行い、1253人(2人死亡)が腎臓結石と診断。うち913人の症状は軽く、容態は安定しており、一部は通院治療を続けているが、一部は完治したという。現在も340人の患者が入院しており、うち53人は重態だが、その他の患者の容態は安定し、回復に向かっているという。
 馬副部長によると、衛生部は「三鹿」の粉ミルクを飲んで腎臓結石になった患者の治療を全力で展開。早期回復するようサポートし、新たな死者が出ないよう、目下緊急対策に取り組んでいる。今回の緊急対応策として▽検査・診断・治療を続け、治療の規範化を確保▽重症患者は小児科と総合力のある医療施設の整った病院または小児病院で集中治療▽治療の必要に基づき、各地に専門家を派遣――をあげている。

◎中国:0.27%利下げ、6年7カ月ぶり(2008年9月16日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国人民銀行は15日夜、金融機関の貸出基準金利を1年物で0.27%引き下げ7.20%にすると発表した。16日から実施する。米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)による世界的な金融市場の混乱が連鎖し、減速傾向にある中国経済の先行き不安が広がるのを防ぐ狙いとみられる。中国の利下げは02年2月以来、6年7カ月ぶり。
 金融機関の預金の一部を中央銀行に再預金させる比率である預金準備率も25日から引き下げる。下げ幅は大手を除く中小金融機関は1%、四川大地震被災地の金融機関は2%とする。預金基準金利は据え置いた。
 中国の経済成長率は今年第2四半期(4~6月)で10.1%と2ケタ成長を維持しているものの、減速が続いている。日本に次ぎ第2の輸出相手国である米経済減速の影響で外需の落ち込みが始まっており、製造業が集中する沿海部では企業倒産も増加している。
 このため政府は7月、軸足を「景気過熱防止」から「成長の維持と、インフレ防止」に切り替えた。ただ、8月の卸売物価指数は前年同月比10.1%増とインフレ懸念は収まっていない。利下げはコスト高に苦しむ企業救済と同時に、リーマンの経営破綻による国際金融危機が波及し、低迷する上海などの株式市場の底割れを防ぐ意味合いが強い。

◎中国の粉ミルク汚染、21社の製品からメラミン検出(2008年9月16日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国中央テレビによると、中国政府は16日、有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件で、製品の汚染を認めた乳製品メーカー「三鹿集団」(河北省石家荘市)のほか、全国21社の製品からもメラミンが検出されたとして、社名と製品名を公表した。
 粉ミルク汚染が1企業の問題ではなくなったことで、中国製品の「食の安全」に対する不安が一層高まるのは避けられない事態となった。
 事件を受け、中国政府は、全国109社を調査。メラミンが検出されたのは上海、山東省青島、内モンゴルなどの企業で、このうち1社の製品はミャンマー、イエメン、バングラデシュにも輸出されていたが、輸出品の保存サンプルからは検出されなかったとしている。
 また、新華社電によると、河北省公安当局は16日、原料の牛乳にメラミンを混入し、三鹿集団に販売したとして、新たに石家荘市の酪農関係者ら男2人を逮捕したと発表した。事件での逮捕者は4人になった。

◎中国の汚染粉ミルク事件、有害物質混入の兄弟を逮捕(2008年9月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】新華社電によると、中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が相次いで腎結石になった事件で、河北省の公安当局は15日、原料の牛乳にメラミンを混入し、同省石家荘市の粉ミルクのメーカー「三鹿集団」に売ったとして、同市正定県の搾乳業の兄弟2人を14日に逮捕したと発表した。
 また、衛生省によると、粉ミルクを飲んだ乳幼児は1万人近くに上り、報告された患者は1253人になった。うち2人が死亡し、53人が重症という。
 公安当局の調べでは、この兄弟は昨年末、出荷した牛乳が三鹿集団の検査で不合格となり、損をしたことから、その後は蛋白質の含有量を多く見せかけるため、牛乳にメラミンを加えるようになった。1日3トンの牛乳を納めていたという。

◎牛乳メラミン混入の被害1253人、2人死亡、業者逮捕(2008年9月16日、朝日新聞)
 新華社電によると、中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石になった事件で、河北省政府は15日、牛乳にメラミンを混入し乳製品メーカー「三鹿集団」(同省石家荘市)に売ったとして、警察が14日夜、有害食品生産販売の疑いで同市正定県の搾乳業の兄弟2人を正式に逮捕したと発表した。混入した牛乳の量は1日3トンに上っていた。
 中国衛生省のまとめでは、同社の粉ミルクを飲んだ乳児は1万人近くに上り、診察を受けた患者は1253人。このうち甘粛省で5月1日に男児、7月22日に女児が死亡したが、いずれも「当時は原因が分からず、最良の治療時期を逃した」(北京大学第一病院幹部)とされる。重症は53人。
 調べによると、兄弟は昨年末、自分たちの搾乳場から出荷した牛乳が三鹿集団の検査で合格せず損をしたことから、その後は牛乳にメラミンを混ぜ、たんぱく質含有量を高めて検査をパスしていたとされる。

◎天洋食品の9人が容疑濃厚、中国当局、ギョーザ事件で(2008年9月16日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件を捜査している中国の公安当局は、6月に中国内で起きた中毒事件に関し、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)のギョーザ生産ラインで働いていた従業員のうち9人について、殺虫剤混入にかかわった疑いが濃厚と判断していることが16日、分かった。中国筋が明らかにした。
 同筋によると、6月の事件は天洋食品が日本での事件後に回収したギョーザを従業員の親戚(しんせき)や同郷者らに格安で販売。これを食べた4人が中毒になり、ギョーザから有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出された。中国当局は、このギョーザが国内の市場に出回っていないことから「天洋食品内部で殺虫剤が故意に混入された可能性が高い」とみて、問題のギョーザを製造した日に勤務していた従業員を徹底捜査。正規と臨時の従業員を合わせ9人が容疑濃厚として残っているという。

◎中国:違法鉱山の土石流災害で山西省長が引責辞任(2008年9月15日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国山西省襄汾県で今月8日、違法採掘の鉱山のボタ山が崩れて土石流が発生。下流の市場や民家を巻き込み14日までに254人の死亡が確認される事故があった。新華社通信によると同日、同省ナンバー2の孟学農省長が引責辞任した。
 現地からの報道によると、土石流は約20万立方メートルで、土石流がわずか数十秒の間に下流の町をのみ込んだ。約30ヘクタールが埋没。建物は1階部分が完全に埋まり、住民は2階部分を歩きながら行方不明の家族を探し回った。
 国際的な資源高騰を受けて、中国の鉱山では安全基準を無視した違法操業が続けられている。中国政府は違法操業の責任を明確化し再発を防止する立場から、省長の引責辞任という厳しい処分に踏み切ったとみられる。
 孟省長とともに、安全管理を担当する張建民副省長も辞任。後任の省長代理には、土石流の原因調査を指揮した王君国家安全生産監督管理総局長が就任した。

◎中国粉ミルク汚染の死者2人に、患者は1253人(2008年9月15日、産経新聞)
 中国衛生省は15日、有機化合物メラミンに汚染された粉ミルクで乳幼児が腎臓結石などにかかった問題で、患者数が全国で1253人に達したと発表した。
 また、衛生省によると、死者数は1人増えて2人となった。いずれも甘粛省の乳児で、1人は生後5カ月の男の子で5月に死亡、もう1人は8カ月の女の子で7月に亡くなった。患者のうち340人が入院治療中で、うち53人は重症だという。

◎粉ミルク汚染で、中国公安当局が2人逮捕(2008年9月15日、産経新聞)
 中国で有機化合物メラミンに汚染された粉ミルクで乳幼児が腎臓結石などにかかった問題で、河北省公安庁は15日、同省石家荘市のメーカー三鹿集団に汚染した牛乳を出荷していた疑いで、同市内の男2人を逮捕したと発表した。
 同公安庁によると、二容疑者は兄弟で、2004年に牛乳の生産、販売を開始。約300頭の乳牛を飼育し、三鹿集団に粉ミルクの原材料となる牛乳を出荷していた。
 出荷した牛乳が三鹿側から数回にわたり不合格になったため、昨年末からタンパク質の含有量を増やすためメラミンの添加を始めた。メラミン20キロを同市内で購入、メラミンを混ぜた牛乳の出荷量は日量約3トンだった。

◎粉ミルク汚染、牧場経営者や搾乳業者など容疑者を特定(2008年9月15日、朝日新聞)
 「三鹿集団」製粉ミルクによる食品安全上の重大事故について、河北省政府は19日、容疑者19人の身柄を拘束したと発表した。うち18人は牧場、乳牛飼育団体、搾乳所の経営者で、警察当局が現在、全力で捜査を進めている。中国新聞社が伝えた。
 河北省政府は14日、事故原因の調査状況について会見を開いた。河北省公安庁政治処の史貴中主任によると、事故発生後、警察当局は踏み込んだ捜査の結果、流通販売・在庫管理・生産加工の各段階でメラミンが混入された可能性を相次いで排除、原料の牛乳およびその買付段階に捜査の的を絞った。
 三鹿集団の主な原料買付ルートは(1)牧場モデル。100頭以上の乳牛を1カ所で飼育し、まとめて牛乳を納品する(2)乳牛飼育団体。団体経営者が土地を提供、各自が乳牛を飼育し、団体としてまとめて牛乳を納品する(3)搾乳所モデル。農家が各自乳牛を飼育するが、搾乳は搾乳所がまとめて行う(4)以上3 モデルの混合――の4つ。警察当局は、このうち41団体の経営者にメラミンを混入した重大な嫌疑を認め、その所在地、責任者、および従業員の構成と業務規則を確認した上で、12日午前5時から人民警察約800人を動員して取り調べを行った。現場からはメラミンに似た物質が押収された。
 史主任は「関係者78人を法に基づき出頭させ、うち19人を有毒有害食品生産販売罪の容疑で法に基づき拘束した。うち18人は牧場、乳牛飼育団体、搾乳庁の経営者。残る1人は添加剤を不法販売していた業者だ。彼らはタンパク質の測定値を引き上げて不法に利益を図ろうと、原料の牛乳にメラミンを混入したと供述している」と発表した。

◎北京市、公用車の利用を週1日減へ(2008年9月15日、朝日新聞)
 北京市政府は13日、省エネと環境保護のため、ナンバープレートの末尾に基づく公用車の「週1日運転規制」を同日より厳格に施行すると発表した。「新京報」が伝えた。
 各級行政機関・社会団体・政府系非営利性事業機関・国有企業の、特殊公用車以外のすべての公用車について、ナンバープレートの末尾番号別に5組に分け、月曜日から金曜日までの各1日ずつ、運転を規制する。他の団体や個人にも、この規則に照らして車の運転を週1日減らし、公共交通を活用するよう呼びかける。
 公用車運転規制:(ナンバープレートの末尾が)月曜日は1と6、火曜日は2と7、水曜日は3と8、木曜日は4と9、金曜日は5と0。

◎中国、6年7カ月ぶり利下げ、金融緩和に転換(2008年9月15日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国人民銀行(中央銀行)は15日、金融機関の貸出金利を16日から引き下げると発表した。利下げは02年2月以来、6年7カ月ぶり。世界経済の先行き不透明感の高まりなどを受けて金融緩和に転じた。
 引き下げ幅は1年物で0.27%、半年物で0.36%など。金融機関の預金準備率も25日から、大手国有銀行を除き、現行の17.5%から16.5%に引き下げる。

◎薄めた牛乳ごまかすためメラミン混入、中国の兄弟逮捕(2008年9月15日、朝日新聞)
 新華社電によると、中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石になった事件で、河北省政府は15日、牛乳にメラミンを混入し乳製品メーカー「三鹿集団」(同省石家荘市)に売ったとして、警察が14日夜、有害食品生産販売の疑いで同市正定県の搾乳業の兄弟2人を正式に逮捕したと発表した。混入した牛乳の量は1日3トンに上っていた。
 同事件では、乳児の腎臓結石が最初に明らかになった甘粛省で、報告のあった患者数が15日までに102人、このうち死者が2人にそれぞれ増えた。
 調べによると、兄弟は昨年末、自分たちの搾乳場から出荷した牛乳が三鹿集団の検査で合格せず損をしたことから、その後は牛乳にメラミンを混ぜ、たんぱく質含有量を高めて検査をパスしていたとされる。

◎メラミン入り粉ミルクで2人目の死者、中国発表(2008年9月15日、CNN)
北京(CNN) 新華社電によると、有害物質メラミンに汚染された粉ミルクで乳児が腎臓結石を発症している問題で、中国当局は14日、新たに1人の乳児が死亡したことを明らかにした。
汚染粉ミルクによる死者が報告されたのはこれで2例目。
衛生当局によると、腎臓結石などにかかった乳児は1200人を超えていることが分かった。340人は入院治療を受け、このうち53人が重症だという。
当局は全国規模で乳児用粉ミルクの検査を実施しており、16日に結果を発表する予定だ。

◎中国・山西省ナンバー2、土石流被害で引責辞任(2008年9月14日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国中央テレビなどは14日、山西省臨汾市襄汾県で8日に発生した土石流で多数の死者が出た問題で、中国共産党中央と政府が省ナンバー2の孟学農・省長の引責辞任と、安全管理担当の張建民・副省長の免職に同意したと伝えた。
 土石流による死者数は14日までに254人を数え、さらに多数の遺体が土砂の下に埋まっているという。事態を重視した胡錦濤総書記、温家宝首相が原因究明と関係者に対する責任追及の徹底を指示していた。

◎山西省土石流、県トップを停職処分、死者は254人に(2008年9月14日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】14日の新華社通信によると、中国山西省の孟学農省長と張建民副省長が、同省臨汾市襄汾県で8日に発生した土石流災害の責任を問われて解任された。また臨汾市は、県トップの共産党委書記と県長の2人を停職処分にすることを決めた。13日夜までの捜索で、死者は計254人、負傷者数は36人にのぼっているという。
 土石流は8日朝、襄汾県の山間にある民営鉱山会社の近くで発生し、下方の市場や集落などが被災した。山西省当局はこの会社が違法操業で、敷地内にあった選鉱くず貯蔵施設の決壊が土石流につながったとの見方を強めている。
 襄汾県は、身元が特定できた犠牲者には1人当たり20万元(約320万円)の賠償金を支払うことを決めた。

◎乳児の結石被害3万人超、中国粉ミルクに化学物質(2008年9月13日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営新華社通信によると、化学物質メラミンに汚染された三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクを飲んで乳児が腎臓結石になった問題で、中国衛生省は13日、国内で報告のあった患者数が432人に上ることを明らかにし、同社に操業停止を命じたと発表した。被害者は少なくとも3万人を超えるとみられる。
 地元捜査当局は関係者78人の取り調べを始めており、容疑者19人を拘束したと発表した。関係者は調べに対し「利益を上げるため原料の牛乳に水を加え、薄くなったたんぱく質を補おうとメラミンを添加した」と供述したという。
 調べによると、三鹿集団は8月初旬の段階で、自社の検査によりメラミンを検出していたにもかかわらず公表せず、一部の製品だけを回収していた。衛生省などの調査グループは、病気になった乳児の尿からメラミンの成分を検出。「結石は汚染粉ミルクが原因」と結論づけた。
 北米で昨春、ペットフードを食べた犬や猫が大量死した問題でも、原料の中国産小麦グルテンにメラミンが混入したとみられている。

◎乳児の結石被害3万人超、中国粉ミルクに化学物質(2008年9月13日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営新華社通信によると、化学物質メラミンに汚染された三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクを飲んで乳児が腎臓結石になった問題で、中国衛生省は13日、国内で報告のあった患者数が432人に上ることを明らかにし、同社に操業停止を命じたと発表した。被害者は少なくとも3万人を超えるとみられる。
 地元捜査当局は関係者78人の取り調べを始めており、容疑者19人を拘束したと発表した。関係者は調べに対し「利益を上げるため原料の牛乳に水を加え、薄くなったたんぱく質を補おうとメラミンを添加した」と供述したという。
 調べによると、三鹿集団は8月初旬の段階で、自社の検査によりメラミンを検出していたにもかかわらず公表せず、一部の製品だけを回収していた。衛生省などの調査グループは、病気になった乳児の尿からメラミンの成分を検出。「結石は汚染粉ミルクが原因」と結論づけた。
 北米で昨春、ペットフードを食べた犬や猫が大量死した問題でも、原料の中国産小麦グルテンにメラミンが混入したとみられている。

◎三鹿集団が回収場所を設置、問題の粉ミルクを回収へ(2008年9月13日、朝日新聞)
 河北省石家庄の三鹿集団は12日、工場の敷地内に回収場所を設置し、消費者が購入した問題の粉ミルクの回収にあたっている。また、販売店などのルートを通じて市場に出回っている問題の粉ミルクの回収も始めた。

◎メーカーが回収発表の数週間前に汚染把握、中国の粉ミルク問題(2008年9月13日、CNN)
 中国で有機化合物メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児に腎臓結石が多発している問題で、同国衛生省は13日、メーカーの乳製品最大手、三鹿集団が製品回収に踏み切る数週間前、汚染の事実を既に掌握していたことが分かったと報告した。
 一方、地元紙チャイナー・デーリーは、発症例は全国で140件に増えたと報じた。甘粛省では約59人としている。1人が死亡している。国営・新華社通信によると、同省の衛生当局者は1歳以下の幼児16人が腎臓の異常を訴えたとの連絡は7月16日に入っていたと述べた。
 衛生省は、同メーカーが汚染の事実を把握しながら、早期に消費者に通知、回収を実行しなかった理由には触れなかった。同省は12日、全国的な調査の開始を発表、責任者には「厳重な処罰」を科す方針を示した。
 同省によると、三鹿集団は8月の試験でメラミンの混入を確認していた。同社が衛生省などに汚染の事実を連絡した時期は不明だが、8月6日前に生産された製品約700トンの回収の発表は9月11日だった。同社には、ニュージーランドの企業も資本参加しているが、この企業は汚染された粉ミルクは海外に輸出されていないと説明している。
 中国紙によると、三鹿集団の幹部は粉ミルクの品質に対する消費者からの苦情は3月と6月にあったが、原因を解明出来なかったと説明。8月に検査装置が外国から到着し、メラミンの混入を初めて確認したとしている。混入の経緯は不明。
 新華社によると、腎臓結石の症例は7月中旬に発覚。中国の他のメディアは3月とも報じている。ただ、国家品質監督検査検疫総局などは迅速な品質調査に着手していなかった。
 メラミンはプラスチック製品などの原料となる有機化合物で、摂取を続けると腎臓結石の原因となる。窒素を多く含み、食品のタンパク質含有量の測定値を高く見せることができるため、昨年、中国の業者が米国に輸出したペットフードに添加していたことが発覚、批判を浴びた。
 中国では04年、必要な栄養素を含まない偽ミルクが出回り、乳児少なくとも12人が死亡、200人が栄養失調に陥る事件があった。偽ミルクを製造したメーカーは40社に上り、47人が逮捕されている。

◎腎臓結石の乳児432人、中国粉ミルク汚染で19人拘束(2008年9月13日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国で大手メーカーの粉ミルクを飲んだ乳児432人が相次いで腎臓結石となり乳児1人が死亡したことが明らかになった。このメーカーがある河北省の当局者は13日、粉ミルクに化学物質のメラミンを故意に混入させていた疑いで公安当局が19人を拘束したと発表した。一方で、メーカーに今年3月からクレームが届いていたほか、6月には国家品質監督検査検疫総局に消費者から訴えがあったことも判明した。
 このメーカーは「三鹿集団」(石家荘市)。今回の事件では、メーカーが半年間も政府への報告を怠り、政府も今月上旬に国内で報道されるまで調査に着手しておらず、この結果、被害が拡大したといえる。政府が北京五輪で「食の安全」をアピールしていただけに、企業、政府の対応に対する国民の不満と不信が高まるのは避けられない。
 メラミンに汚染された製品は今年3月から8月5日までに製造されたとみられている。石家荘市政府は「酪農家から牛乳を買い取る過程で、不法分子が利益を上げるため、水で薄めた牛乳にメラミンを添加した」とみている。メラミンを添加したのはタンパク質の量を多く見せかけるためとみられる。

◎乳児の結石被害3万人超、中国粉ミルクに化学物質(2008年9月13日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営新華社通信によると、化学物質メラミンに汚染された三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクを飲んで乳児が腎臓結石になった問題で、中国衛生省は13日、国内で報告のあった患者数が432人に上ることを明らかにし、同社に操業停止を命じたと発表した。被害者は少なくとも3万人を超えるとみられる。
 地元捜査当局は関係者78人の取り調べを始めており、容疑者19人を拘束したと発表した。関係者は調べに対し「利益を上げるため原料の牛乳に水を加え、薄くなったたんぱく質を補おうとメラミンを添加した」と供述したという。
 調べによると、三鹿集団は8月初旬の段階で、自社の検査によりメラミンを検出していたにもかかわらず公表せず、一部の製品だけを回収していた。衛生省などの調査グループは、病気になった乳児の尿からメラミンの成分を検出。「結石は汚染粉ミルクが原因」と結論づけた。
 北米で昨春、ペットフードを食べた犬や猫が大量死した問題でも、原料の中国産小麦グルテンにメラミンが混入したとみられている。

◎三鹿集団が回収場所を設置、問題の粉ミルクを回収へ(2008年9月13日、朝日新聞)
 河北省石家庄の三鹿集団は12日、工場の敷地内に回収場所を設置し、消費者が購入した問題の粉ミルクの回収にあたっている。また、販売店などのルートを通じて市場に出回っている問題の粉ミルクの回収も始めた。

◎中国で乳児多数に結石被害、粉ミルクに化学物質混入か(2008年9月12日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国の大手乳製品メーカーが製造した乳児用の粉ミルクに、人体に入ると結石ができる恐れがある化学物質が混入していた疑いが強まり、中国衛生省は12日、被害を受けた乳児の全国調査に乗り出すとともに、各地の衛生局に治療方法を通知した。
 衛生省によると、製造元は「三鹿集団」(本社・河北省石家荘市)。粉ミルクからメラミンと呼ばれる化学物質が検出された。泌尿器系の結石を引き起こす恐れがあるという。衛生省の通知を受け、三鹿集団は今年8月6日以前に製造・出荷した約700トン分の自主回収を始めた。
 数日前から同社製の粉ミルクを飲んだ乳児多数が腎臓結石になった事例が報告されていた。甘粛省では乳児1人が死亡した。

◎中国で乳児多数に結石被害、粉ミルクに化学物質混入か(2008年9月12日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国の大手乳製品メーカーが製造した乳児用の粉ミルクに、人体に入ると結石ができる恐れがある化学物質が混入していた疑いが強まり、中国衛生省は12日、被害を受けた乳児の全国調査に乗り出すとともに、各地の衛生局に治療方法を通知した。
 衛生省によると、製造元は「三鹿集団」(本社・河北省石家荘市)。粉ミルクからメラミンと呼ばれる化学物質が検出された。泌尿器系の結石を引き起こす恐れがあるという。衛生省の通知を受け、三鹿集団は今年8月6日以前に製造・出荷した約700トン分の自主回収を始めた。
 数日前から同社製の粉ミルクを飲んだ乳児多数が腎臓結石になった事例が報告されていた。甘粛省では乳児1人が死亡した。

◎香港ディズニーランド:3周年、拡張計画難航、前途は多難(2008年9月12日、毎日新聞)
 香港ディズニーランドは12日、開園3周年を迎えた。入場者数はやや持ち直したが、人気回復の起爆剤として期待した施設の拡張計画は、香港政府との交渉が難航。上海ディズニーランドが2012年にもオープンすると伝えられ、同じ中国本土客に頼る香港ディズニーの前途は多難だ。
 香港紙によると、入場者数は1年目から目標を40万人下回る520万人、2年目は420万人にまで落ち込んだ。3年目は若干増え、500万人弱と推計されている。
 3年目の入場者増の理由には、中国本土からの集客数が増えたことや、景気の回復が挙げられているが、コストが収入を上回る状況に変わりはなく、依然厳しい経営が続いているという。

◎ギョーザ事件「密告」奨励、中国、有力情報に460万円(2008年9月12日、朝日新聞)
 【石家荘(中国河北省)=峯村健司】中国製冷凍ギョーザの中毒事件をめぐり、中国の捜査当局は、製造元の「天洋食品廠公司」(河北省石家荘市)の退職者を含めた約千人の全従業員に対し、30万元(約460万円)という異例の高額報奨金付きで情報提供を呼びかけていることが分かった。また陣頭指揮を執るため、捜査幹部を現地に派遣。作業にあたった臨時従業員の3親等以内の親族全員を事情聴取するなど、容疑者の絞り込みを本格化させている。
 「ギョーザ事件の一日も早い真相解明と警察当局の捜査に協力するため、積極的に情報提供を求める」
 捜査を担当する石家荘市公安局は7月中旬から、事件解決につながる有力な「密告」を呼びかける通知を配布している。「提供者の秘密と安全は必ず守る」として、専用の電話番号とメールアドレスを設けた。毎日平均数十件が電話とメール、手紙で寄せられているといい、「事件解明の手がかりになる情報も含まれている」(関係者)という。
 通常の報奨金が高くても数万元程度までなのに比べると異例の高額で、同社の一般従業員の月収の数百倍に相当する。地元当局者は「犯人は複数もしくは組織的な可能性があり、背後まですべて解明する必要がある」と強調する。
 中国筋によると、公安省は刑事捜査局の余新民副局長を直接現地に派遣し、捜査指揮に当たらせている。同社の製造工場や倉庫内に設置していた防犯カメラの録画映像や従業員の出勤状況が記されている人事管理簿の分析を進め、問題となったギョーザが製造された昨年6月3日、同10月1日と20日に出入りした複数の臨時工を絞り込んで、不審な人物の特定を急いでいる。
 一方、事件後操業を停止している天洋食品の工場を閉鎖することを検討していることが新たに分かった。複数の天洋食品関係者によると、短期契約を結んでいたすべての臨時従業員を解雇し、一部の正社員だけで事件後の処理や捜査協力に当たっている。
 今年6月中旬、中国でも天洋食品の工場内から横流しされたギョーザを食べた一家4人が中毒を起こしたことで、「再開は絶望的」(同社関係者)となった。

◎ラマダン中に「断食するな」、中国新疆自治区(2008年9月12日、朝日新聞)
・「責任書」署名義務付け
 【上海=西村大輔】9月初めのイスラム教断食月(ラマダン)開始後、イスラム教徒のウイグル族などが多く住む中国新疆ウイグル自治区の各地方当局が、断食の時間に食事をさせるなど、宗教活動への介入を強めている。8月に相次いだ政府機関への襲撃事件が背景にあるとみられるが、信教の自由の侵害として国際的な批判を招きそうだ。
 8月4日にウイグル族の男2人が武装警察を襲撃、16人が死亡する事件があったカシュガル市。同市管内のイェンギサール県政府は飲食店67店に、ラマダン中も通常通り営業することを約束する承諾書に署名させた。
 イスラム教徒が多い地域の飲食店は、断食の時間とされる日の出から日没まで閉店することが多いが、県政府は「社会秩序を乱し、民衆の生活に大きな影響を及ぼす」とし、営業する店には税金の減免措置などをとる。
 政府や共産党のウイグル族職員に対しては、昼間から飲食店を利用し、「宗教的雰囲気を薄めるため積極的な役割を果たす」よう指示した。
 同市ヤルカンドでは、党員や学生に、断食や宗教活動に加わらないことを約束する「責任書」への署名を義務づけ、学生へのマルクス主義、無神論の教育を強化。男性がひげを伸ばしたり、女性が顔をショールで覆ったりしている場合は「各種有効な方法」を用いて阻止するとした。
 同市ポスカム県は学生に、宗教を信じず、断食に加わらないように教育し、学校の食堂は通常通り開くことを決定。キジルス・キルギス自治州ウルグチャト県では警察官らをモスクに派遣。宗教活動が禁じられている党員や政府・国有企業幹部が礼拝に来ていないか調べる。
 同自治区民族事務委員会幹部は「新疆は少数民族地区だが、イスラム教徒以外の住民も多い。これらの措置はラマダンの大衆の社会生活への影響を少なくするために考えられた」と説明している。

・50点未満は立候補できず
 【バンダアチェ(インドネシア・スマトラ島)=矢野英基】インドネシアで例外的にイスラム法が導入されているナングロアチェ州が、来年の州議会議員選挙で立候補を予定するイスラム教徒に聖典コーランの朗読テストを実施し、論議を呼んでいる。
 テストは8日にバンダアチェで開始。12日までに約1300人が受ける。その場で指定された章を5分ほど朗読。専門家が100点満点で評価し、50点未満なら立候補できない。州選管幹部は「簡単な内容だが、中には50点を取れない人もいる」という。
 選管はテスト実施の根拠は州法にあるとするが、同国政府は、州法の一部は無効と指摘。州内に六つある地方政党の立候補予定者にはテストを義務づけられても、全国政党の立候補予定者には義務づけられない、との見解だ。
 全国政党の与党ゴルカル党のある立候補予定者は10日にテストを受けたものの、「テストを受けない権利も認めてほしい」。イスラム系全国政党の国民信託党の国会議員も「中央政府の見解を州政府は受け入れるべきだ。朗読が下手な人もいれば、上手な人もいる」と批判する。
 保守的なイスラム教徒が多いナングロアチェ州では02年以降、飲酒の禁止のほか、女性の肌を隠すスカーフ着用義務などが導入された。

◎中国、偽物の可能性がある粉ミルクで乳児に健康被害(2008年9月11日、ロイター通信)
 乳児が偽物の可能性がある粉ミルクを飲んだ後に腎臓結石を発症するという健康不安が中国で広がっていると、新華社が11日伝えた。
 新華社は中国当局者の話として、中国北西部の甘粛県で腎臓結石によって乳児1人が死亡したと報じたが、この死亡例が粉ミルクと関連しているかどうかは不明。
 健康不安は、2004年に乳児13人が偽の粉ミルクを与えられて死亡した事件を思い出させる。
 新華社が地元メディアを引用して伝えた情報によると、少なくとも7つの省と地域で、乳児が粉ミルク「Sanlu」を飲んだ後に腎臓結石を発症した。健康被害を受けた乳児の数はわかっていない。
 甘粛県の医師の話では、14人いる患者はすべて生後11カ月以下の乳児で、同じブランドの「偽の粉ミルク」によって腎臓結石を発症した可能性があるという。
 新華社はまた、中国当局が調査中とした上で、製造メーカーのSanluグループも製品が「偽物かもしれない」ため、甘粛県に調査団を派遣して独自に調査をすると伝えた。

◎中国各地で粉ミルクで腎臓結石、甘粛省では乳幼児59人(2008年9月11日、産経新聞)
 中国甘粛省で同一商品名の粉ミルクを飲んだ乳児が相次ぎ腎臓結石にかかった問題で、ほかに江蘇、陝西、山東、安徽、湖南各省と寧夏回族自治区でも同様のケースが報告されていたことが分かった。新華社が11日伝えた。
 また、甘粛省衛生庁は11日、同省内で腎臓結石にかかったと報告があった乳幼児が今年59人おり、1人が死亡したことを明らかにした。乳幼児が問題の粉ミルクを飲んでいたかどうかは不明。2006、7年はゼロだった。
 中国当局が問題の粉ミルクと病気の関連を調べているが、メーカー側は同社製品のラベルを張った偽粉ミルクが出回っていた可能性があると話しているという。

◎株価下落で中国当局、ネットでの論評に検閲強化(2008年9月11日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】10日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、中国共産党中央宣伝部が、株価下落に関するインターネット上の論評やリポートなどへの検閲を強化したと報じた。
 中国当局は、株価低迷や経済の先行き不安が、投資家の抗議行動など社会不安を引き起こしかねないとの懸念を強めている模様だ。
 同紙によると、中央宣伝部が金融関連のサイト管理者に対し、株式市場についての論評掲載などを控えるよう口頭で指示。7月には、中国証券監督管理委員会が、株式市場をめぐる否定的な論評を公表しないよう証券会社に求めていたという。
 上海株式市場全体の値動きを示す総合指数は今年に入り、6割近く下落している。

◎中国・甘粛省の粉ミルク健康被害、乳児1人死亡の報道も(2008年9月11日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国甘粛省で6月末以降、乳児14人が相次いで腎結石と診断され、飲用した粉ミルクによる健康被害が指摘されている問題で、新華社通信は11日、同省衛生庁報道官の話として、今年に入って乳児59人が腎結石と診断され、うち1人が死亡していたと伝えた。
 死亡した乳児が同じ粉ミルクを飲んでいたかどうかは不明。
 甘粛を含め江蘇、陝西など少なくとも七つの省・自治区で類似の症例が確認され、国家品質監督検査検疫総局は粉ミルクと腎結石の因果関係の調査を始めた。
 甘粛の14人が飲んでいた粉ミルクは、国内有名ブランド「三鹿」とされる。メーカーの「三鹿集団」は新華社通信に対し、独自調査を始めたことを明らかにする一方、偽商品が出回っている可能性を示した。

◎山西省で土石流被害、26人が死亡(2008年9月9日、朝日新聞)
 山西省臨汾市襄汾県陶寺郷にある塔山鉱区で8日8時ごろ、暴雨に伴う土石流が発生、廃棄された尾鉱(選鉱で有用鉱物を採取した残りの低品位の鉱物)の倉庫が崩れ落ちた。同日午後5時までに26人の死亡が確認された。具体的な被害者数は現在調査中。

◎日中貿易に変調、20年上期、輸出入数量が初めて減少(2008年9月9日、産経新聞)
 日中貿易に“変調”の兆しが広がっている。輸出入の金額では米国を上回る最大の貿易相手国となった中国だが、数量ベースでみると、平成20年上期に輸出入ともに、この10年で初めて減少に転じた。中国からの輸入減少は、安い製品を供給する「世界の工場」としての中国の地位が揺らいできたことが原因だ。日本からの輸出減少は、拡大成長を続けてきた中国経済の減速の表れとみられ、日本企業の中国戦略に大きな影響を及ぼすのは必至だ。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)が、財務省貿易統計を基に品目ごとの金額や価格から貿易量を算出し分かった。
 それによると、平成12年を「100」とした指数で20年上期の中国からの輸入数量は「178.6」となり、19年の「192.9」から14.3ポイント減少。中国への輸出数量は「250.7」と、19年の「283.7」から30ポイントも減った。
 輸出入が数量がマイナスに転じるのは、ジェトロが統計を分析した平成10年以降では初めて。
 ただ、金額でみると、20年上期の日中の輸出入を合わせた貿易総額は前年同期比3%増の約13兆7434億円で、米国の11兆6967億円を上回る日本にとって最大の貿易相手国となっている。
 輸入数量が減少に転じたのは、日本企業にとって中国の位置づけが大きく変化してきたためだ。これまでは中国に製造拠点を移し、現地の安い労働力で生産した「メード・イン・チャイナ」を日本に供給するビジネスモデルの浸透で、輸入が増え続けた。
 しかし、急速な経済成長に伴う賃金アップで労働コストが上昇。さらに、人民元の切り上げで日本への輸出採算も悪化し、「中国は『工場』としての魅力を失いつつある」(ジェトロの中井邦尚氏)。
 ジェトロが19年度に実施した調査では、中国生産拠点の役割について、「中国の国内市場向け」との回答が、「第3国への輸出」を上回り、『工場』から『市場』への変貌(へんぼう)が鮮明になっている。
 カジュアルウエア「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングも、現在約9割をしめる中国での生産比率をバングラディッシュなどにシフトすることで3分の2まで引き下げる方針を打ち出した。柳井正会長兼社長は「突然の関税率変更などカントリーリスクに加え、人件費などコストが上昇している」と話す。
 一方で、中国向け輸出の減少は、かねてから懸念されてきた北京五輪後の景気失速が原因とみられる。
 道路などのインフラ投資や企業の設備投資の一巡を受け、まず工作機械や建設機械などの生産財や鉄鋼、化学などの素材の輸出が落ち込み始めている。
 日本工作機械工業会によると、国内メーカーの対中受注額は今年5月以降、前年割れが続いており、「金型産業向けの需要が冷え込んでいる」(森精機製作所)という。
 輸出入の数量減少傾向は今後さらに本格化する可能性があり、右肩上がりで拡大してきた日中貿易は転機を迎えている。

◎「台湾に情報漏洩」人民解放軍中尉の死刑執行、中国(2008年9月9日、朝日新聞)
 【香港=奥寺淳】香港の中国系紙「大公報」によると、中国人民解放軍の中尉(33)が台湾に軍事情報を流すスパイ行為をしたとして死刑判決を受け、5日に執行されたと報じた。
 南京軍区の軍事法院の判決によると、中尉は06年11月、江蘇省無錫のインターネットカフェで台湾のスパイ組織と連絡を取り、116件の軍事秘密の電子データを送ったという。このうち9件は極秘文書だった。同法院は中国の刑法と軍の規定に基づき、中尉に死刑判決を言い渡した。
 中尉は判決を不服として控訴したが、解放軍の軍事法廷も訴えを却下。最高裁に当たる最高人民法院も死刑判決を支持し、5日に死刑が執行されたという。

◎中国で「南部鐵器」商標登録申請、岩手の業界、反撃へ(2008年9月7日、朝日新聞)
 岩手県を代表する伝統工芸の「南部鉄器」が、旧字を使った「南部鐵器」として中国で商標登録申請されていることが分かった。商標が認められると、輸出販売が難しくなるうえ、ブランド失墜も招きかねない。県南部鉄器協同組合連合会(盛岡市)は8日にも東北経済産業局と協議し、異議申し立てなど対抗策を検討する。
 連合会などによると、申請は昨年9月3日で、申請者は香港の業者とみられる。商標登録されれば、本物の南部鉄器を中国へ輸出した際に、「類似商標」として登録業者の申し出などで輸出の差し止め措置などが講じられる可能性があるという。
 加盟58社と岩手県内最大の水沢鋳物工業協同組合(奥州市)は、「鋳技(てつぎ)」のブランド名でデザイン、色彩も現代風に工夫した南部鉄器の欧米向け輸出を3年前から本格化。一部の業者は中国輸出も手がけている。今年1月には特許庁から地域団体商標の登録が認められたばかりだ。
 組合の後藤安彦事務局長は「岩手ブランドをまねた商標登録は心外だ。異議申し立てをしたり当方から中国で新たに商標登録したり、対抗措置を取りたい」と話す。(加賀元)

◎中国浙江省で1万人が抗議行動、警官隊と衝突(2008年9月5日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国浙江省寧波市で4日に1万人規模の民衆による抗議行動が起き、警官隊と衝突する騒ぎが発生した。5日、香港の中国人権民主化運動情報センターが伝えた。抗議に参加した出稼ぎ労働者約20人が負傷、10人が拘束されたという。湖南省吉首市でも3日から4日にかけて1万人の群衆が抗議行動を起こしており、北京五輪で抑えられていた社会不満が今後、相次ぎ噴き出す可能性がある。
 寧波市での騒動は、衣料品工場で14歳の少年が重傷を負ったことがきっかけ。家族は同工場がある町の治安要員に殴られ建物から落ちたと疑い、友人らとともに工場側に抗議した。この抗議に出稼ぎ労働者も加わり、工場に投石する事態となった。500人以上の特別警察隊が群衆を排除しようとしたため、激しい衝突に発展したという。
 また、国営新華社通信などによると、湖南省吉首市では、高い利息収入を名目に違法に資金を集めていた不動産会社が利息や資金を返還しないことに出資者らが怒り、群衆が駅や道路をふさぐなどして警官隊と衝突した。新華社電は、衝突による死傷者はいないとしているが、香港の人権団体は50人以上が負傷したとしている。

◎ギョーザ事件:中国が捜査方針転換、「国内混入」を追及(2008年8月31日、毎日新聞)
 6月に中国国内でも発生していたことがわかった中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国の捜査当局が従来の方針を転換し、中国国内での毒物混入の可能性を含めた捜査を進めている。胡錦濤国家主席が捜査の加速と真相究明を指示したことを受けたものだ。製造元の天洋食品工場内での混入かどうかが、焦点となっている。日中の外交当局は、捜査当局同士の連携を進めているが、「食の安全」にかかわる問題だけに、日本側の積極的な情報公開も求められている。
 中国公安部は28日、日本に捜査情報を正式に伝達した際、冷凍ギョーザの生産過程を含めて調査していることを伝え、事実上、中国国内での混入の可能性を認めた。中国の中毒事件のギョーザが市場では流通しておらず、被害者が天洋食品関係者の可能性があることも伝えてきており、同社工場内での毒物混入の可能性も示唆した。また、日本の中毒事件と同じくメタミドホスが原因であることも認め、中国公安部は詳細な毒物分析を進めていることも明らかにした。
 中国は、北海道洞爺湖サミットでの日中首脳会談を控えた7月初めに、6月の中毒事件発生を日本側に通報。北京五輪が閉幕し、9月の日中韓首脳会談を控えたタイミングで、再び捜査情報を伝えてきた。日中関係の節目ごとに、中国の協力姿勢をアピールする狙いとみられる。
 今月17日の日中外相会談では、中国が国内での毒物混入の可能性を否定し、連携がうまくいっていなかった両国の捜査当局間で、情報交換を促進することで合意。日中外交当局は、捜査の進展をにらみつつ、捜査結果を公表するタイミングを計っていくとみられる。
 外務省は30日、一部報道を否定する形で、「中国政府が、中国国内で起きた中毒事件について、毒物が中国国内で混入した可能性が高いことを正式に認めた旨、日本政府として、中国政府から情報の提供を受けたことはない」とするコメントを発表。あくまで中国政府の正式な見解を待つ姿勢を示している。【須藤孝】

◎北京五輪終え、中国製ギョーザ中毒事件の捜査本格化 胡主席が徹底捜査指示(2008年8月31日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で、中国公安当局は厳戒態勢を敷いた北京五輪の警備が終わり、ようやく捜査を本格化させた。日中首脳会談などでたびたび取り上げられ「胡錦濤国家主席自身が日本での事件の影響の大きさを感じた」(日中関係筋)ため、徹底捜査を指示したことが背景にある。
 中国側は7月上旬、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)を控え、日本側に中国国内での中毒発生を連絡。日中首脳会談の前に「事件解明への誠意」をみせた。追及の矛先をかわす目的もあったとみられるが、日中関係のさらなる改善に向けた胡主席の意向が働いたことは間違いない。
 ただ、事件発生当初から地元公安当局が内部犯行の可能性も視野に捜査してきたが、決定的な証拠が乏しく、犯人の特定が難しいのが現状。全面解決への道のりには紆余(うよ)曲折がありそうだ。

◎中国「ギョーザ中毒は工場内犯行」、臨時工を集中聴取(2008年8月31日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】千葉・兵庫両県で1月に発覚した中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国公安当局が製造元の「天洋食品廠公司」(中国・河北省)の製造過程で農薬成分が故意に混入された内部犯行の可能性が高いとみて、同社の臨時工を集中的に事情聴取していることがわかった。中国側はこれまで「工場での混入の疑いはない」として、製造過程での混入を指摘する日本側と意見が対立していたが、中国側が捜査姿勢を一転させたことで両国の捜査協力が前進し、真相解明に向けて動き出す可能性が出てきた。
 さらに今回、6月中旬に中国内で起きたギョーザ中毒事件では、天洋食品が冷凍庫に保管していた回収品を同社の関係者が横流しし、それを食べた別の4人の同社関係者が中毒症状を起こしたことが新たに判明した。公安当局がそのギョーザを鑑定した結果、日本で中毒事件を起こした製品と同じ農薬成分「メタミドホス」が検出され、その濃度が極端に高かったことから、いずれも天洋食品の工場内で何者かが故意に混入させた疑いが濃厚と判断した。
 中国筋によると、公安当局は同社から押収した消毒液のほか、薬物の管理記録や生産管理記録を再度捜査。さらに、従業員の出勤状況などが記されている人事管理簿や、工場内に設置されている防犯カメラの映像を分析した。これまでに従業員55人の事情聴取を終え、聴取の範囲を退職した臨時工にまで広げて集中的に捜査している。
 また、中国で発生したギョーザ事件では被害者4人の中に子どもも含まれ、重症患者もいるという。横流しした天洋食品の関係者は調べに対し、「特に安全性に問題はないと思って、冷凍庫から持ち出して複数の知人に安値で販売した」と供述している。ギョーザはいずれも天洋食品の関係者にしか渡しておらず、中毒を起こした4人以外に被害者を確認していないという。
 中国公安省の捜査責任者は28日、日本政府側に対して、中国で起きたギョーザ事件の製品は同国内の市場には流通しておらず、天洋食品の関係者らの間だけに出回っていたと説明していた。
 日本側のこれまでの捜査では、具材からはニラの残留検疫基準の6万倍を超える農薬成分が検出され、包装袋の外側から染み込んだ可能性はなく、日本での流通過程で混入された可能性は極めて低いと判断し、国内での捜査を終了していた。
 ギョーザ事件は、中国製食品への不信感や中国に対する日本の国民感情を悪化させる要因ともなっていた。今後、日中両国の警察当局は証拠や捜査情報の交換を進めていくことになる。

◎ウイグルの警官殺害、公安当局が容疑者6人射殺し3人拘束(2008年8月30日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】30日の新華社電によると、中国西北部の新疆ウイグル自治区の公安当局は29日夜、カシュガル市近郊のシュレ県などで警官ら計5人を殺害して逃亡していた容疑者9人を同県で発見し、このうち6人を射殺、3人を拘束した。
 この際、刃物を持った容疑者の激しい抵抗に遭い、民兵1人と武装警察官1人が負傷したという。
 容疑者は、8月12日にシュレ県の検問所を襲撃して治安要員3人を殺害。27日には同市に近いジャシ県で事件を捜査中の警官ら2人を殺害し、さらに逃走していた。

◎「参加でき幸せ」「格差の方が大切」、北京市民、光と影(2008年8月25日、朝日新聞)
 「声と健康には自信があるからね。中国百年の夢に参加でき、これほどうれしいことはない」
 北京五輪の柔道会場で案内役ボランティアを務めた元オペラ歌手尚慕周さん(85)。若者の模範になろうと外に立ち、誘われても会場には入らなかった。「近頃の若者は甘やかされているから、きついボランティアはいい経験。メダルより、もっと大事なものを学んでくれたはずだ」
 「鳥の巣」の外でサックスや笛を吹き続けた殷妙芳さん(70)は「中国と五輪のために自分にもできることがあって幸せ」と振り返った。
 「五輪歓迎演奏会」と称して期間中、1人で野外演奏をしてきた。音楽を始めたのは60歳を過ぎてから。一度だけ「鳥の巣」に入り、陸上競技を観戦した。「どの国の人も自分の国のために一生懸命頑張っていた。中国も同じ」
 五輪の「成功」を喜べない人たちもいる。
 今年6月、地方に住む姉一家宅が悪質な開発業者に壊されるなどした北京市内の会社員男性(31)は、その窮状を訴えようと、期間中に公安当局が設けた公認デモの申請窓口に通った。
 公安当局が「デモになる前の相談でほとんどの案件が解決した」と説明しているのをテレビで見たからだ。だが、申請は受理されず、担当者は「調べる」といった、その結果の連絡はまだない。
 陳情と申請に追われ、何の競技も見ないまま五輪は終わった。9月6~17日の北京パラリンピック中も公認デモの申請窓口が設けられるはずだ、と望みをつなぐ。
 「デモが1件もないまま終わり、関心を持つ海外メディアが帰ってしまう。政府が本当に声を聞いてくれるのか全く分からない」。男性の不安は消えない。
 9月下旬に司法試験を控える北京市内の男性(25)は「環境や地域格差などの問題の方が大切ではないか」と訴える。期間中は大学構内の自習室から閉め出された。
 01年の誘致決定時は地方の大学1年。卒業後、故郷に戻ると、植物が減り、赤トンボも見なくなった。無造作な開発が悲しかった。でも思いは打ち明けない。「中国で国を批判するには勇気がいる」
 厳しい規制をかいくぐり、ダフ屋行為で1万元(約16万円)稼いだというトラック運転手の男性(33)は「金もうけが一番。いい五輪だったよ」と笑った。「閉会式も関係ないよ。もうけを家に持って帰って、8歳の長男の学費にするんだ」。稼いだ額は給料の3カ月分にのぼった。

◎金メダル選手に560万円、中国(2008年8月25日、産経新聞)
 中国政府系のウェブサイト「中国網」によると、中国国家体育総局の肖山(しょう・ざん)副局長は二十四日、一部地方紙の取材に対し、北京五輪で金メダルを獲得した中国の選手に一人35万元(約560万円)を支給することを明らかにした。前回のアテネ五輪では20万元だった。
 中国は北京五輪で51個の金メダルを獲得、国別で初のトップとなった。
 また同体育総局の劉鵬(りゅう・ほう)局長は二十四日、選手養成など中国政府の対スポーツ投資が毎年8億元に上っていることを明らかにした。

◎北京五輪:中国メディア「成功」と自画自賛、批判伝えず(2008年8月25日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】25日付の中国共産党機関紙「人民日報」は、北京五輪閉会に関して「光栄は偉大なオリンピックに属する」と題した社説を掲載し、「北京五輪は世界の人々の団結と友情を示した」と自画自賛した。チベット問題など五輪に関連した海外からの批判には一切触れていない。
 社説は、北京五輪には過去最多の204カ国・地域から1万人余りの選手が参加し、45億人が観戦したと紹介した上で、中国選手団が「金メダル51個を獲得し、ずばぬけた成績で世界の注目を集めた」と指摘した。
 さらに「改革開放から30年を迎えた中国は五輪を機に対外開放にさらに自信を持ち、中国の近代化にも深遠な影響をもたらす。これは北京の、さらにオリンピックの誉れだ」と意義を高く評価した。
 また、同日付の北京地元紙「北京青年報」は中国の金メダル51個にスター選手の写真をあしらった1面と中面に30ページ以上の特集を組み、大々的に五輪閉会を報じた。同紙社説も「中国人は世界の信任を得た」と手放しでほめちぎった。
 一方、中国国営・新華社通信は25日、五輪成功を称賛する外国メディアの報道を伝える一方、チベット問題や報道、宗教の自由を問題視する内容は全く報じていない。

◎新聞は「成功」、ネットでは批判(2008年8月24日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国共産党中央機関紙の人民日報は24日、1面の総括記事で「8月、北京は世界の舞台であった」と五輪は成功したと報じた。各紙も国内外の声を引用し五輪成功の権威づけに懸命だ。しかし、インターネットには批判も少なくない。統制された公式メディアとは違い、ネット世論を掌握しきれていない中国共産党の報道統制のほころびから、北京五輪の真実の姿がかいま見える。
 人民日報は「北京、五輪の日々」の記事で、「党中央、国務院の指導のもと全力を注いで開催された五輪が国際社会、各国選手、人民を満足させた」と論評した。開幕式、選手村、会場、交通、ボランティアに対する国際オリンピック委員会(IOC)関係者の絶賛ぶりを紹介。市民へのアンケート調査で99%が「なんらかの形で五輪にかかわっている」と答えた結果などを引用し、五輪には市民の積極参加があり、ボランティア意識や列に並ぶという文明的生活習慣など、市民に与えた精神的遺産も大きいと評価した。
 新京報、環球時報、北京青年報はシンクロナイズドスイミングの米国チームが「謝謝、中国!」と書いた横断幕を掲げ入場する写真を1面に掲載した。開会式での「口パク事件」や人権活動家の拘束など五輪に対するマイナス報道はほぼ統制され、陸上男子ハードルの劉翔選手の土壇場での棄権問題については「劉選手擁護」で各紙が足並みをそろえた。
 一方、ネット上では掲示板やブログで、外国サイトから情報を得たネットユーザーの多様な意見があふれた。胡錦濤国家主席も重視しているという人民日報運営の掲示板「強国論壇」では、「そんなに金をかけて五輪をするな。金持ちはそんなに多くないし、素直な人民もそんなに多くない」「金メダルの数からすると中国は強大になった。だが、われわれが必要なのは毎日1人当たり300グラムの米と150グラムの肉だ」「五輪でどれほど浪費したのか。劉翔は国家のものか。五輪の総括が必要だ」「金メダルが増えると劉翔みたいな選手が増えるのか、たえられない」といった厳しい意見も少なくなかった。
 また、体操選手の年齢詐称問題については「農村では年齢を詐称して結婚することはよくあることだ」といった皮肉もあった。
 こういった五輪批判は削除の対照になっているが、現実にはその膨大な書き込みの前に削除しきれていない。このためネットにかいま見える国民の本音こそが、五輪の成功度をはかる裏のバロメーターといえそうだ。

◎ニイハオ!北京:病院にもダフ屋、買えない診察券、午前4時には長蛇の列(2008年8月23日、産経新聞)
 【北京・三木陽介】北京五輪の競技会場には、チケットを不正転売する多くのダフ屋がいるが、中国では、こんなところにもダフ屋が出没する。
 北京市北部の総合病院。午後5時。正門前に新聞紙を敷いて男女5人が座っている。何をしているのか尋ねると、みな「家族が病気なんだ」と言い、それ以外は何を聞いても口を閉ざした。
 診察券のダフ屋だ。翌朝、もう一度行ってみると、1階の八つの診療科窓口には数十メートルの患者の列ができている。「おれが先だ」「助けて」と悲鳴や怒号が飛び交う。前夜の5人組は片隅でニヤニヤ。カモを狙っているのだろう。
 中国では公的医療保険制度が確立しておらず、治療費は各自が負担する。まず10元(約150円)前後の診察券を買い、診察後、診察料と薬代を支払う。診察券の枚数が限られているため、医師が少ない科や人気医師の場合、これを逆手に取り高く売ろうとするダフ屋がいるのだ。コンサートやスポーツのチケットのダフ屋「票販子(ピャオファンズ)」に対し、「号販子(ハオファンズ)」と呼ばれる。
 あるタクシー運転手(46)は頭痛を訴えた妻を病院に連れて行った。受付は午前4時には既に長蛇の列。診察券は買えなかった。そこへ男が近寄ってきて「50元(約750円)でどうだ」と言われた。
 天津市の30代の男性は家族が高熱を出し、北京の有名病院に行った。2晩並んだが診察券は入手できない。疲れ切ったところに、号販子が10倍以上の値段をふっかけてきた。
 警察は北京五輪を機に私服警察官を配置するなど、号販子の取り締まりを強化したが、「五輪期間中だけ」との声も聞こえる。病院側も電話予約制や身分証の提示など独自の対策に乗り出した。
 だが、不信感は根深い。別のタクシー運転手は「いずれ、号販子と手を組んでもうけようとする悪い医者が出てくるよ」と言った。

◎「トイレ守」一家住み込む北京の公衆トイレ、汚名返上へ(2008年8月23日、読売新聞)
 【北京=梅村雅裕】北京市が不衛生で知られる公衆トイレの汚名返上に躍起だ。
 五輪期間中は、利用者が1人出て行くごとにモップを手にした清掃員が掃除。住み込みの「トイレ守」も活躍している。トイレを改築し、利用マナー向上を呼びかけてきた同市では、閉幕が近づいても「最後まで気を抜くな」と清掃員を督励している。
 「監督官の巡回は1日に5~6回。市の環衛局幹部が来たこともある」。繁華街・王府井の公衆トイレ。清掃員の伍自春さん(35)が語る。開幕前は1日1~2回の巡回だった。「五輪開催中は特に汚れに注意するよう言われている」という。
 伍さんが担当するトイレの入り口の脇に3畳ほどの小部屋がある。室内に2段ベッドと冷蔵庫。お昼が近いため、床の上で炊飯器が蒸気を上げていた。
 「子どもは夏休みで遊びに来ているだけ。普段は夫と2人暮らしなの」。妻の張立珍さん(33)は、伍鵬君(7)の頭をなでた。仕事は、トイレ掃除と紙の補充。公衆トイレに住み込みで働いているのだ。
 安徽省で農業をしていた伍さんは、昨年この職を得た。給与は2人で2000元(約3万円)。大卒初任給より1000元少ないものの家賃や光熱費はゼロで、成績次第でボーナスもある。「水を流さない人は減り、利用者のマナーも良くなった。仕事に満足している」。張さんは言う。
 旅行者は使用をためらうほど不衛生だった中国のトイレ。仕切りがなく、他の利用者と顔を合わせることから「ニーハオ・トイレ」とも呼ばれた。
 北京市がトイレ改革に乗り出したのは、五輪開催が決まった2001年から。改築、新築を重ねて、仕切りも当たり前となり、清掃員も大増員した。住み込み式は1700か所。格付けもあり、三つ星や四つ星などの認定証を掲げたトイレもある。
 評判は上がった。ボート女子のオランダ代表で銀メダルに輝いたエスター・ウオルケル選手(33)は「故宮の公衆トイレに行ったら思いの外きれいだった」。エチオピアのマラソンコーチ、ゼラレム・デスタさん(58)も「20年間で10回ほど北京に来たが、随分清潔になったと思う」と満足そうだ。
 もっとも昔ながらの平屋街「胡同」の裏通りには、今もニーハオ・トイレが残る。近くの飲食店従業員の女性(22)は「こんなの時代遅れ」と話す。それでも家庭にトイレがない胡同では公衆トイレは生活の一部。近所の男性(44)は「子どもの時から利用しているし、何も気にならない」と話していた。

◎北京「公認デモ」いまだゼロ、市民日参「用紙くれない」(2008年8月23日、朝日新聞)
 【北京=奥寺淳】北京五輪の開催中に中国が認めた「公認デモ実施地」で窮状を訴えようと、市民がデモ受付窓口に日参している。中国側は「デモをする前に問題はすべて解決した」と胸をはるが、実態は申請用紙すらもらえず、申請者が手続き後に拘束されたとの情報も絶えない。申請窓口の現場を訪ねた。
 21日午後、デモの申請窓口となっている北京市公安局治安管理総隊の窓口には、約20人の市民が集まっていた。
 「地元の市政府にも訴えた。吉林省政府にも、国の相談窓口にも行った。でも何も解決しない。五輪のデモ窓口に来るしかなかった」
 吉林省の男性(49)は、A4判2枚の「デモ嘆願書」を握りしめ、妻と親類の計4人で申請窓口を訪れた。
 嘆願書によると、6月下旬、いきなり重機がやって来て数十年住んだ自宅の取り壊しを始めた。破壊された証拠を守るため、その後もテントを張って住み続けたが、今度は100人以上の男から殴るけるの暴行を受け、現金や携帯電話などすべてが奪われた。義弟は右目を失明した。
 男性は、額に残った長さ約5センチの切り傷を見せながら、「デモをさせて欲しい」と訴えた。しかし公安職員は「関係部局に連絡を取って解決する」と繰り返し答え、1週間後に来るよう言われた。一緒に行った親族の男性は「1週間後は五輪は終わっている。正式な申請用紙が欲しいと言っても、くれない」。22日も結果は同じだった。
 北京市の元軍人(58)も計11人で窓口を2度訪れたが、やはり「申請用紙がもらえないので、手続きできない」。21日に取材した約20人の申請者は、いずれも申請用紙がもらえていなかった。
 北京市公安局は市内3カ所の公園を「公認デモ実施地」に指定している。しかし、デモはまだ1件も実施されていない。当局は、18日までに77件の申請があったが、「(デモ申請者が)関係部署に相談し、問題は解決した」と説明。北京五輪組織委員会の王偉副会長も「話し合いで問題を解決するのは中国の文化。中国はいつも調和を重視している」と会見で強調した。
 しかし、米政府系のラジオ・フリー・アジアによると、申請した湖南省出身者は手続き後に拘束。中国語のインターネットニュース「博訊」も、山東省の申請者が拘束されたと伝えた。
 北京五輪組織委も22日の会見で、北京の70代の男女が「公共の秩序を乱した」として1年間の再教育キャンプ送りになったことを認めた。「調和」との説明にほころびも見えるが、「あくまで個別の案件だ」(王副会長)と意に介していない。

◎中国産の輸入物価が上昇、日本の物価上げ要因に(2008年8月17日、日本経済新聞)
 中国からの輸入品が日本に物価上昇圧力をかけ始めている。中国産の割合が5割を超す輸入品の輸入物価を調べたところ、衣類や玩具、オーディオなどの物価が前年より軒並み上昇。ここへきて上昇基調がはっきりしつつある。中国はこれまで安価な工業製品を供給する「デフレ輸出国」と位置付けられてきたが、上昇が続けば製品の値上げを通じて日本の消費者物価を押し上げる可能性もある。
 日銀がまとめた7月の輸入物価指数によると、ポロシャツや手袋は前年同月に比べて9%上昇。今春あたりから上昇ペースがじりじりと速まっている。パジャマやトレーナーも4%上がっている。輸入衣類では中国産のシェアが8割に上っており、輸入物価の上昇が先行きの値上げ圧力となりそうだ。

◎中国、警官“暴発”に苦慮、銃違法使用、市民殺傷事件多発(2008年8月16日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国公安省は北京五輪が始まった8日付で、銃の使用と管理強化を命じる内部通達を出していたことが16日明らかになった。地方都市で、警官が銃を違法に使用し、市民を殺傷する事件が多発、市民の憎悪を呼ぶ事件がたびたび発生しているためだ。通達は北京五輪の安全警備を念頭に置きつつも、民衆の怒りにより、現体制の存立基盤が揺るぎかねない─との中国指導部の強い懸念が反映されているようだ。

・危機感募らせ内部通達
 北京の警察関係者が産経新聞に提供した「最近、頻発する公安人民警察の銃管理使用規定違反による死傷事件についての通達」(8日付)によると、「一部の地方で発生している公務用の銃による死傷事件が公安(警察)機関の名誉と人民警察のイメージを損なう」として、民衆の暴動に対しておびえて発砲したり、派出所の銃を私的な猟に使い誤って農民を撃ち殺した事件などの具体的な例を挙げている。
 通達は「警察の銃管理が依然、甘く、誤っているケースがあることが明らかになった」と述べたうえで、「これら事件の教訓は深刻だ。警察は五輪開幕に当たり、その安全確保という重大任務に携わっており、拳銃の管理はさらに重要である」と訴えるなど、北京五輪の治安維持に万全の状態で当たるよう指示している。
 また、通達は「法に従い、銃の正確な使用を保証するよう要求する。公務用の銃の管理をしっかりと行い、銃の審査・保管を行う人間の資格や携帯登録制度を厳格化し、その使用状況の報告を誠実に実施しなければならない」と指摘。銃の使用状況に問題があった場合、法に従った厳格な措置を行うとしている。
 北京では五輪の安全確保という重要任務に当たる警察だが、地方では「腐敗権力の象徴」として、民衆から襲撃を受けることもしばしばだ。警察側が武器で対抗し、官民ともに死傷者が出る事件が多発している。
 資料を提供した警察関係者は「警察内部のたがが緩んでいる。人民のための警察の銃が人民を殺傷するなどあってはならないこと」といい、このままでは国民の警察に対する不信感と憎悪が爆発しかねないとの懸念を漏らしている。
《通達が例にあげた喫緊の警察の銃による殺傷事件》

・7月19日午前、雲南省普●(さんずいに耳)市公安局の捜査チームが同市郊●(孟へんに力)連県の鎮や村で“犯罪容疑者5人”を取り調べようとしたところ、事情の分からぬ約500人の村民が「少数の不法分子」に扇動され、なたや鉄棒、すきなどを持って警官を包囲し衝突が発生。警官側は脅威を感じて、制止のためにゴム弾を発砲、被弾した少数民族イ族男性、岩尚軟(50)とその息子(20)が死亡。この騒ぎで41人の警官と19人の村民が負傷し、9両の警察車両が破壊された。
 (この事件は後に新華社で報道され、胡文彬・共産党委員会書記が責任を問われて解任された。ゴム栽培に従事する農民が、ゴムの買い上げ企業の国際相場よりも低い買い上げ価格設定に不満をもった抗議活動からはじまるトラブルとみられている)

・7月24日午前、広東省東莞市公安局沙田分局のパトロール大隊副隊長・丁夕平(44)が、男女関係のトラブルから、軍隊時代の戦友で沙田鎮供電企業のマネジャーを公務用拳銃で銃殺、その妻も銃撃で負傷させたあと、自身も拳銃自殺した。

・7月26日午前、新疆ウイグル自治区タチェン市で、林業派出所指導員と同市副書記、同市政法委員会書記ら6人が郊外の村に狩猟に行った際、規定に違反し、30発の実弾入りライフルを政法委書記に貸し与えていた。政法委書記は猟の帰りに通りかかったスイカ畑で、農民夫婦を獲物と間違え発砲。農民は死亡し、その妻も重傷を負った。

・7月28日午後1時ごろ、広西チワン族自治区田林県公安局が鉱物違法採掘に対して捜査していたところ、100人以上の事情が分からぬ雲南省籍の村民が、採掘主に扇動され警察を包囲。公安局副局長らが携帯していた銃を奪おうとした。このとき、副局長は「人民警察武器使用条例」を無視して、発砲して民衆を制止しようとしたが、逆に銃を奪われて自分の足を撃たれたほか、警官5人が負傷した。

◎英記者拘束、警察かばう中国側に外国メディアの批判噴出(2008年8月16日、朝日新聞)
 【北京=奥寺淳】チベット支援活動家を取材中の英国人記者が北京五輪会場近くで拘束された問題で、北京五輪組織委は14日の定例会見で「(警察に)記者証を見せたらすぐに解放された」と述べ、誤解に基づくものだったとの認識を示した。一方、外国人記者からは「自由に取材できるという約束を中国は守っていない」との批判が噴出、会見は紛糾した。
 一緒にいた同僚によると、英国人記者は警察に拘束される際、「私は英国の記者だ」と中国語と英語で訴え続けたが、そのまま連行されたという。同委の王偉副会長は「警察とのコミュニケーションがうまくいかなかった」と警察をかばったが、会見で米テレビ局記者は「連行される前から彼は記者証を手に持って示していた」と反論した。
 会見では、中国が公約した「五輪期間中の報道の自由」に質問が集中。同委が、五輪村から離れた3カ所の公園を「公認デモ地域」に指定したと発表しながら、まだ1件もデモが認められていないことにも質問が及んだ。
 デモの申請と拒否件数についてこの日の会見で答えると約束していたが、王副会長は「私たちは五輪を成功させるための仕事をしている。公安当局に聞いて欲しい」と述べるにとどまった。
報道の自由や人権問題を何度も聞かれ、王副会長が「我々は討論しているのではない」と声を荒らげる場面もあった。

◎中国:消費者物価指数、6.3%上昇、7月(2008年8月13日、毎日新聞)
 中国国家統計局は12日、7月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比6.3%上昇したと発表した。上昇幅は6月の7.1%から0.8ポイント低下した。
 しかし、前日発表された7月の卸売物価指数の上昇幅は10.0%と、前月の8.8%から一気に2ケタ台に加速、一定期間後にCPIに波及するとみられ、中国政府は引き続き物価抑制を重視する政策を続ける構えだ。

◎東芝、中国生産合弁を完全子会社化(2008年8月13日、日本経済新聞)
 東芝は中国の電機大手、TCL集団(広東省)と合弁で運営していた白物家電の生産会社を完全子会社化した。高機能の冷蔵庫や洗濯機を売れ筋の機種に素早く変更できる運営体制に改めた。主力とする日本向けに加えロシア、中国などで高機能製品の需要が伸びているのに対応する。松下電器産業が専用家電を発売するなど、急成長が期待される新興国での家電事業を強化する動きが激しくなってきた。
 東芝の全額出資子会社で白物家電を手がける東芝ホームアプライアンスが90%、TCLが10%出資していた「東芝家電製造(南海)」(広東省仏山市)の合弁を解消した。東芝側がTCL側の持ち株を約2億円で買い取った。

◎中国:日本人記者ら一時拘束、新疆ウイグル自治区(2008年8月11日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国新疆ウイグル自治区クチャ県で武装集団による警察襲撃事件を取材していた産経新聞中国総局の記者と時事通信社の記者、カメラマンの計3人が10日夜、同県の警察当局に一時拘束された。両社によると、記者らは暴行は受けておらず、約1時間半後に解放された。
 一方、新華社電によると、事件による武装集団の死者が7人から10人に増え、襲撃で死亡した警備員と合わせて死者は11人となった。警察は容疑者2人を拘束、供述から武装集団は15人とみて、残る3人の行方を追っている。死亡した容疑者のうち、8人は警察に射殺され、2人は自爆で死亡したという。

◎中国:新疆で県公安局など襲撃、容疑者含め11人死亡(2008年8月11日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】新華社通信によると、中国新疆ウイグル自治区クチャ県で10日未明、武装集団が手製爆弾を使って県公安局などを襲撃した。爆発は12回起き、警察が応戦した結果、容疑者10人を含む11人が死亡、市民ら5人が負傷した。北京五輪の開幕後、当局を狙った襲撃事件が発生したのは初めて。五輪妨害を狙ったテロの可能性もあり、中国指導部にとって大きな衝撃となりそうだ。
 最初の爆発は10日午前2時(日本時間同3時)ごろ、飲食店近くで起きた。午前2時半ごろには、武装集団が三輪自動車で県公安局の敷地内に突っ込み、手製爆弾を爆発させた。さらに、地元政府庁舎やスーパー、ホテルなども襲撃された。
 一連の爆発で警備員1人が死亡し、警官2人と市民2人、警備員1人が負傷した。武装集団のうち8人が警察に射殺され、2人が自爆で死亡した。警察は容疑者2人を拘束した。

◇記者ら一時拘束
 現地からの情報によると、クチャで取材していた日本人記者3人が10日夜、地元当局に拘束された。時事通信社によるとうち2人は同社の記者とカメラマン、産経新聞社によるともう1人は同社中国総局の記者で、暴行は受けておらず、約1時間半後に解放されたという。

◎中国:国有企業社長らの平均年俸は760万円(2008年8月10日、毎日新聞)
 中国政府の李栄融国有資産監督管理委員会主任は10日の記者会見で、政府が直轄する国有企業の社長や副社長ら首脳の平均報酬が06年で47万8000元(約760万円)だったことを明らかにした。企業利益は全体で7685億元、報酬総額は5億7700万元だった。
 平均報酬額は04年が35万元、05年が43万元で年々大幅に伸びているが、李主任は従業員の平均年収の方が伸び率がやや高いことを強調した。政府直轄の国有企業数は、毎年再編が進み、現在は149社。(共同)

◎中国:新疆で爆発、犯人5人射殺、五輪妨害テロの可能性(2008年8月10日、毎日新聞)
 中国国営の新華社通信によると、新疆ウイグル自治区クチャ県の中心部で10日未明、武装グループが公安施設や企業活動を所管する工商管理所などを襲撃した。警察は現場で容疑者5人を射殺、警察官2人と保安要員1人が負傷した。北京五輪の妨害を狙ったウイグル独立派のテロの可能性が強い。同自治区カシュガルでは8月4日、武装警察部隊が襲撃され警察官16人が殺害される事件が起きており、公安当局はクチャ県中心部を事実上の戒厳状態に置いた。
 国家の威信を懸けた北京五輪開催中の警察襲撃事件は、胡錦濤指導部に大きな打撃。今後、各地で一段と警備が強化されるのは確実だが、閉幕まで安全を確保できるか指導部に大きな試練となる。
 新華社によると、事件が起きたのは午前2時半(日本時間同3時半)ごろ。タクシーに乗ったグループが、手製爆発物を投げ付けて警察車両二台を燃やした。警察は現場を封鎖、人民解放軍も警戒態勢に入った。新華社は当初午前3時すぎから午前4時の間に数回爆発があり2人が死亡したと伝えていた。犯行声明などは出ていない。
 クチャ県のホテル従業員は、県中心部で公安当局による車両通行禁止令が出ており「事実上の戒厳状態になっている」と語った。
 新華社などによると、カシュガル地区の史大剛共産党委員会書記はカシュガルでの襲撃事件をめぐる五日の記者会見で、ウイグル独立派「東トルキスタン独立運動(ETIM)」が今年初め、「北京五輪終了」までテロ攻撃を毎月行うと宣言し、中国国内のテロ勢力に指令を出していた、と明らかにした。
 このほか雲南省昆明で7月21日にバス連続爆破事件が発生。「トルキスタン・イスラム党」を名乗る組織がビデオによる犯行声明を発表し五輪を標的に攻撃を行うとの声明を出している。(共同)

◎中国警察当局が容疑者5人射殺、新疆でまたテロか、周辺厳戒(2008年8月10日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国新疆ウイグル自治区中部のクチャ(庫車)県の中心街で10日未明に起きた爆発事件で3人が負傷、警察当局は容疑者5人を射殺した。中国国営新華社通信が伝えた。8日から始まった北京五輪の妨害を狙ったテロの可能性もある。当初は2人が死亡と伝えられていた。
 爆発は午前3時20分から4時にかけて発生。目撃者によれば、爆発とともに炎の光が見え、同時に散発的な銃声も聞こえたという。現場付近は直後から封鎖され、地元治安関係者によると、現地に駐屯する人民解放軍部隊は厳戒態勢を敷いているという。
 新華社通信は、爆発の標的となったのは、公安施設や企業活動を所管する施設で、警察車両2台が燃えたと伝えている。
 事件があったクチャは天山山脈の南部、自治区の区都ウルムチから西に約740キロにあり、人口は約40万人。イスラム教を信仰するウイグル人を中心に多くの少数民族が居住している。古代のシルクロードの要衝の一つとしても知られ、日本人を含む外国人観光客に人気が高い。
 中国では五輪開幕直前から、すでに複数のテロ事件が起きている。7月下旬に雲南省昆明市で路線バスの連続爆発事件が発生し、新疆の独立派と見られる「トルキスタン・イスラム党(TIP)」を名乗る組織が犯行を認める声明を発表。TIPはその後、北京五輪で新たなテロを示唆するビデオ声明をウエブサイトで出している。
 今月4日には同自治区カシュガルで、早朝の訓練に向かう武装警官が襲撃され、16人が死亡する事件が発生。地元治安当局は新疆独立派によるテロ攻撃と断定している。

◎広東省、五輪盛り上がり遠く、繊維メーカー倒産相次ぐ(2008年8月10日、日本経済新聞)
 北京の南2000キロに位置し、繊維産業が集積する広東省は五輪の祝賀ムードからほど遠い。世界経済の減速や人民元相場の上昇で輸出が低迷し、繊維メーカーの倒産が相次いでいるためだ。工業情報化省の朱宏任局長は北京での記者会見で「今年上半期、繊維産業が受けた打撃はかなり大きい」と述べ、支援策の強化が必要との認識を示した。
 「五輪に向けた運送コストの上昇も経営が悪化した一因だ」。5月に生産をストップした広東省広州市の衣料品工場の責任者はこう話す。五輪開幕を祝う空気はほとんどない。7月には温家宝首相が同省を視察に訪れたが「自分たちには関係ない」と切り捨てる。(北京=高橋哲史)

◎新疆ウイグル自治区で連続爆発、2人死亡、新華社報道(2008年8月10日、朝日新聞)
 【北京=坂尻信義】中国北西部の新疆ウイグル自治区クチャで10日未明、爆発が数回にわたり発生し、少なくとも2人が死亡した。国営新華社通信が英文配信で速報した。犠牲者はさらに増える見通しとしている。また、警察当局が犯人を追跡する過程で、少なくとも容疑者4、5人を死傷したという。
 同通信が目撃者の話や現地の警察当局から得た情報として伝えたところでは、爆発はクチャの中心街で午前3時20分から4時にかけて起きた。爆発音があたりに響き渡った後、閃光(せんこう)があがり、散発的な銃声も聞かれたという。警察当局が現場一帯を封鎖している。地域に駐屯する中国軍も警戒態勢に入り、一部の動員も始まっているという。
 クチャは同自治区のウルムチから直線距離で南西に約400キロ。アクス地区の拠点都市で、人口約40万人とされる。
 北京五輪開催中に少数民族のウイグル族の分離独立派が活動しているとされる同自治区で連続爆発事件が発生したことは、胡錦濤(フー・チンタオ)指導部にとっては衝撃とみられる。同自治区では4日に北西部の国境に近い拠点都市カシュガルで、武装警察隊員がウイグル族の男2人に襲撃され、16人が死亡、16人が負傷している。

◎毒ギョーザ担当?中国食品監督局長が自殺(2008年8月9日、スポーツニッポン)
 中国国家品質監督検査検疫総局の食品生産監督管理局のウ・ケンペイ局長(42)が自殺したと8日付の香港紙、星島日報が伝えた。2日に建物から飛び降りた。自殺前に司法当局が局長と接触していたとの情報もある。
 国家品質監督検査検疫総局は食品や日用品の安全性確保や動植物の検疫などを担当。その中で食品生産監督管理局は国内での食品の安全管理や監督、食中毒事件の調査を担っている。中国国内で6月中旬に起きたとされるギョーザ中毒事件の対応にも同監督管理局がかかわっていたとみられるが自殺との関係は不明。
 同紙によると、北京五輪開催直前の時期にあたるため、中国メディアは当局の意向に従い、局長の自殺についての報道を控えている。5日には総局内で会議が開かれ、李長江総局長が部下に規律の徹底を求めたという。

◎中国、評価に過剰反応、海外メディア「監視されてるようだ」(2008年8月8日、産経新聞)
 北京五輪では、ホスト国の中国が外国メディアの報道に異常なまでに細心の注意を払い、五輪の評価に過剰反応していることが特徴の一つだ。一方、海外メディアの方は取材の不自由さを感じているようだ。
 「プレスセンターの食堂の値段が高いと文句を言ったら、翌日から大幅に値下げされた。こんなことは初めてだ」と驚きの表情で語るのは、英国系大手通信社のベテラン男性記者だ。しかし「五輪があす開幕するというのに、われわれは中国人選手をまだ一人として取材できずにいる」と不満を漏らす。
 米国の女性記者も同様だ。「生活環境面では配慮してくれているが、私たちに中国を褒める記事を書かせようとして必死に(中国当局が)アプローチしてくるのはうっとうしい。私はスポーツ記者だ。中国の改革開放の成果などに興味はない」と言い放つ。
 北京五輪を取材するため訪れる外国人記者は、史上最大規模の2万人以上だとされる。北京市内にはプレスセンターが2カ所設けられ、記者たちのために取材ツアーや映画の上映会など多くのイベントも用意されている。
 「一番驚いたのはプレスセンター内のボランティアスタッフの多さだ。トイレの前にも必ず立っており、どこにいても監視されているようだ」と語るフランスの男性記者もいた。
 外国メディアの報道について、中国のメディアは逐一反論するなど、こちらも神経をとがらせている。たとえば、中国の農民工の人権問題や北京の大気汚染問題などを批判する欧米メディアの報道に対し、中国メディアは細かいデータを引っ張り出し、必死に否定する。
 一方、6日付の国際情報紙「環球時報」は1面トップで「北京を絶賛する声が急増した」と報じた。米紙ワシントン・ポストや英国のBBC放送など複数のメディアが最近、北京五輪を好意的に紹介した報道を取り上げたものだ。
 そうした報道について環球時報の記事は「外国の選手や観光客が大挙して北京に入り、中国の実態を知ったためだ」と分析し、「外国メディアは中国を歪曲(わいきょく)できなくなった」としている。
 しかし、BBC放送の関係者は「われわれは今までと同様の報道をしただけにすぎない」と首をかしげた。(矢板明夫)

◎「騒動起こした」中国ネットで日本メディア批判(2008年8月8日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、事件後に回収された「天洋食品」(河北省)製ギョーザが中国国内で流通し、中毒を起こした問題をめぐり、中国のインターネット上で6日深夜から7日にかけ、日本メディアや中国政府に対する批判が現れた。
 中国主要メディアは事実を報じておらず、数は少ないが、北京五輪開会式を8日に控えた当局は、過激な論調を徹底的に封じ込めるとみられる。
 大半が五輪直前に問題が発覚したことへのいらだちだ。対日食品輸出業者関係のネット論壇には「五輪がまさに開幕するという時に、『小日本』(日本に対する蔑称(べっしょう))がこうした騒動を起こした」と、日本メディア批判が書き込まれた。
 「ニセ物が多い中国の商品。靴下は2日も履けば、穴があく。五輪はこうした事実を隠しきれない」と自己批判的な論調もあった。
 批判の矛先は、中国政府にも向けられた。「6月中旬に国内で中毒事件が発生してから今日まで、情報が統制されてきた。日本メディアで明らかになって(中国政府が)初めて認めた。面目も信用もない」との書き込みがあった。

◎ギョーザ中毒、非公表は中国側の要請、高村外相明かす(2008年8月7日、読売新聞)
 高村外相は7日、読売新聞などのインタビューに応じ、中国製冷凍ギョーザ中毒事件で中国政府から同国内での被害発生の連絡を受けながら事実関係を公表しなかった理由について、「中国政府が通報してきた際、『捜査の途中経過なので公表しないでほしい』と言ってきた」と述べ、中国側の要請があったことを明らかにした。
 外相は、「情報提供者が公表しないでほしいと言っている以上、公表しないのは情報の世界の大原則だ」と強調した。

◎ギョーザ中毒事件、日中捜査協力の強化要請へ、8日に首脳会談(2008年8月7日、日本経済新聞)
 政府は6日、中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国側に捜査協力の強化を働きかける方針を決めた。製造元の天洋食品が回収したギョーザが中国内で流通し、6月中旬に複数の中国人が有機リン系殺虫剤「メタミドホス」の中毒を起こしたことが明らかになったためだ。福田康夫首相は8日に北京で中国の胡錦濤国家主席、温家宝首相とそれぞれ会う予定で、首脳会談を通じて協力強化と早期解決を促す。
 町村信孝官房長官は6日の記者会見で、日中首脳会談で捜査協力の強化を求めるかどうかについて「当然触れる」と述べた。中国外務省は6日、日本経済新聞の書面質問に「中国国内で6月中旬に中毒事件が発生した。公安省が全力で捜査しているところだ」と回答。中国側によると、事件を日本政府に伝えたのは主要国首脳会議(洞爺湖サミット)前の7月初旬という。

◎厳戒態勢は中国全土に、「まるで戦争中」との声も(2008年8月7日、読売新聞)
 8日開幕の北京五輪を前に、厳戒態勢は北京だけでなく、中国全土に及んでいる。
 新疆(しんきょう)ウイグル自治区で起きたテロを受け、警備や規制が一層強化される中、「まるで戦争中みたい」(上海市民)との声も出ている。

・瀋陽:タクシーもテロ警戒
 【瀋陽=末続哲也】上海同様、サッカーが行われる遼寧省瀋陽。市当局が、タクシー運転手に「重要治安情報を提供すれば、最高50万元(約750万円)の報奨金を出す」と通知し、2万台近いタクシーが“パトカー”になった。
 ただ、「テロリストの発見は素人には無理」(35歳のタクシー運転手)との声もあり、市当局は、重要情報を提供した一般市民にも、同様の報奨金を出すと追加発表した。
 路線バスの警備では、860人の私服警官が乗り込む措置を決定。新疆ウイグル自治区で武装警察部隊への襲撃事件が起きた直後の今月5日には、予備役兵1000人を路線バス警備に正式投入した。
 市内では、当局の指導の下、約8万人の市民ボランティアが組織され、街の随所で目を光らせる。選手団のホテルに隣接する住宅地には、「(警備の都合を考えて)外出を極力控えましょう」と呼びかける文書まで張り出された。
 警備が強化の一途をたどるなか、根拠不明のうわさも飛び交う。今月2日には「鉄道を爆破する」と地元警察に電話をかけた男が逮捕された。男は「驚かせたかっただけ」と供述、テロとは無関係と見られるが、こうした事件も当局を刺激する。地元当局者は「五輪警備で問題が起きたら、幹部のクビが飛ぶ」と話した。
 住民側には、戸惑いもある。タクシー運転手の男性(40)は、「タクシーの交通違反取り締まりが強化され、夜間客も激減した」と嘆いた。

・上海:50メートルおきに武装警官
 【上海=加藤隆則】男女サッカーの計12試合が行われる上海市中心部の「上海体育場」と、近接する選手用ホテル「華亭賓館」は7月20日以降、「電流注意」の表示を掲げた金網フェンスで囲まれた。
 体育場は市民が気功やダンスを楽しむ憩いの場だったが、一般の立ち入りが禁止され、武装警察が50メートルおきに立つ厳戒ぶり。警備には人民解放軍の兵士ら1万5000人が投入され、通りかかった女性が「まるで戦争が始まるみたい」と驚きの表情を見せた。
 体育場の敷地内で営業していた大手スーパーや飲食店もすべて閉鎖。華亭賓館は約800室のうち、五輪関係者用の約300室以外は予約を受け付けず、空室のままだという。
 最寄りの地下鉄駅では、所持品すべての検査器通過が義務づけられている。路線バス計1600台には監視カメラが設置され、下水道もカメラによる監視体制が敷かれる。市当局は、テロ情報の提供者に最高で50万元(約750万円)の賞金を出すと呼びかけている。
 上海では5月、通勤ラッシュの路線バスで、乗客の持ち込んだ可燃物が炎上、3人が死亡、12人が負傷した事件が未解決のままだ。7月には、男が刃物を持って警察署を襲撃、警官ら11人を殺傷する事件が発生しており、不安をいっそうあおる結果となっている。

◎中国製ギョーザ中毒、専門紙が日本の報道を引用し伝える(2008年8月7日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国製冷凍ギョーザ中毒事件に絡み、事件後に回収された「天洋食品」(河北省)製のギョーザが中国国内で流通し、中毒事件を起こしたことについて、7日付の中国の国際問題専門紙「環球時報」は、日本の報道を引用する形で事件を伝えた。
 ただ、「日本が再び『毒ギョーザ』をあおっている」との見出しで、中国外務省が事件発生を認める報道官談話を出したことには触れず、日本メディアが“書き飛ばし”ているとの印象を与える。
 記事は日本メディアが6日、相次いで中国での中毒事件発生を伝えたことを紹介。福田首相が「長い時間がかかっているが、できるだけ早く解決しなければならない」と発言したことも引用したうえで、「『毒ギョーザ』は、日本メディアが再び熱心にあおり立てる対象になった」と指摘している。もっとも、記事の扱い自体は地味。今回の事件について、ほかの主要紙は一切報じていない。当局が厳しく情報統制を行っていることをうかがわせる。

◎日本メディア引用し「中国国内でも中毒」報道、ギョーザ事件で中国紙(2008年8月7日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で7日付の中国紙、環球時報は、日本側の報道を引用して製造元の天洋食品(河北省)が国内で回収した冷凍ギョーザを食べた中国人が有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による中毒症状を訴えていたことを伝えた。
 中国外務省は6日、国内での中毒発生を認めたが、中国の主要メディアは報じておらず、当局が報道を規制しているとみられる。環球時報も「日本が再び中国製“毒ギョーザ”をあおる」として、日本側の一方的な情報のような記事になっている。

◎中国、ギョーザ中毒認める、従来の主張から転換(2008年8月7日、読売新聞)
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件に絡み、中国外務省は6日、報道官談話を発表、製造元の「天洋食品」(河北省)が事件後に回収したギョーザが中国国内で流通し、6月中旬、有機リン系殺虫剤メタミドホスによる被害が出ていたことを初めて公式に認めた。
 「中国国内で同社製品にメタミドホスが混入した可能性は極めて低い」とする従来の主張を転換する内容。これを受け警察庁は北京五輪閉幕後にも、中国で中毒を引き起こしたギョーザの鑑定結果など捜査状況の説明を求め、日本の事件との関連性を確認する方針だ。
 【北京=牧野田亨】この日の談話は「中国政府はこれを極めて重視し、公安部門が全力で捜査中」とした。日本の報道を受けた迅速な対応で、事件解決に前向きな姿勢を示す狙いがあるとみられる。回収したギョーザが流出した経緯や被害者の人数、被害状況は明らかにしていない。
 外務省の兒玉和夫外務報道官は6日の記者会見で、在北京日本大使館を通じ、事実関係を中国外務省に確認できたとしたうえで、中国側が〈1〉日本の事件との関連性も含め、引き続き捜査する必要がある〈2〉公安当局が捜査を展開している――と説明したことを明らかにした。町村官房長官も同日夕の記者会見で、8日の北京五輪開会式に合わせて行われる日中首脳会談で、この事件が取り上げられる見通しを示した。
 この事件を巡って、警察庁と中国公安省の公式協議は4月9日以降、中断していた。中国側が先月の北海道洞爺湖サミット前になって、この情報を伝えてきたのは、サミットでの日中首脳会談を意識したものと言える。ただ、「積極的に捜査している様子はうかがえない」(日中関係筋)との指摘もあり、全容の解明につながるかどうかは不透明だ。

◎ギョーザ中毒、ダメージ懸念し、ネットも統制(2008年8月7日、読売新聞)
・五輪の中国 報道は沈黙
 中国河北省石家荘市の「天洋食品」製冷凍ギョーザが、中国国内で健康被害を出していた問題は、国内での殺虫剤混入を否定してきた中国側の主張を覆すものだ。
 日本で中毒被害が発覚してから6か月余り。日本政府内には事件解決への期待もあるが、北京五輪開会式を控えた中国政府は国内報道を封じており、中国内は「沈黙」が支配している。(北京 牧野田亨、政治部 川上修、社会部 中村勇一郎)
 中国では6日夜現在、国内での中毒事件は一切報道されていない。中国外務省が同日出した報道官談話も、問い合わせたメディアに対し、報道官事務室がファクスしているだけだ。
 複数の北京市民に話を聞くと、一様に「本当?」「政府が認めたのか?」と疑いの目を向けた。女性会社員(32)は「また外国メディアが大げさに騒いでいるでしょう」とうんざりした様子だった。
 天洋食品の工場がある石家荘市も状況は同じだ。市内のタクシー運転手は「そんな話、聞いたことがない。どう思うかと聞かれても……」と、言葉に詰まった。工場は当局によって操業停止にされたまま。「今では工場に行く客もいないよ」と打ち明けた。街では、天洋食品のことはもう話題にも上らないという。
 事件発覚時には、インターネット上で、日本を罵倒(ばとう)する過激な言葉が飛び交ったが、今回は、海外の報道を見たうえでの反応は見当たらない。
 こうした“沈黙”の背景には、中国政府の強力な報道、ネット統制がある。国家の威信をかけた北京五輪の開会式を8日に控え、事件が報道されれば、日本批判が起きる可能性があるほか、国内の「食の安全」問題が焦点となり、政府批判につながりかねない。五輪を安定した環境で開催したい中国政府にとっては、何としても避けたい事態だ。
 冷凍ギョーザは中国人家庭にも広く普及し、頻繁に食卓に上る。「日本向けの輸出商品は国内用より安全だ」(北京市の男性)とのイメージもあり、北京の地元紙記者は「その話は初耳。本当なら大変なことだ」と興味を示す。その一方で、「今の中国メディアの仕事は、国民のすべての関心を五輪に向けさせること。五輪にマイナスとなる情報を報道することはありえない」と打ち明けた。
 北京の街は、五輪にちなむオブジェが各所に設置されるなど、すでに五輪一色。6日は五輪選手村で、日本選手団の入村式が行われた。選手たちも、今回の事件は知らないようだった。福田富昭・日本選手団長は記者会見で、「食の安全」について尋ねられ、「選手が生活するのは(中国側も食材の品質に気を使っている)選手村の中。ここの食事は安全。何も心配していない」と話した。
サミット前、日本側へ情報
 「本日、中国外務省に事実関係を確認した。一刻も早い事件解決につながることを期待している」
 外務省の兒玉和夫外務報道官は6日の記者会見で、中国でも日本と同様の中毒事件が発生していた事実を発表した。しかし、外務省には7月初めに、在北京日本大使館を通じ、中国当局から非公式に情報がもたらされていたという。
 中国は自国での被害発生を6月に把握しており、この時期に日本に情報を伝えた理由ははっきりしない。ただ、このころ、日中両国は東シナ海のガス田問題に道筋をつけ、喫緊の懸案はギョーザ中毒事件だけになっていた。7月7日からの北海道洞爺湖サミットの際に行われる日中首脳会談の前に日本側に情報を伝え、事件の解決に向けた中国の姿勢を示すことが、中国には最良のタイミングと映っていたようだ。事件発覚から5か月が経過し、日本での報道が下火になっていたことも、「中国側の背中を押した」(政府筋)と見られている。
 一方、日本政府が情報を表に出さなかったのは、〈1〉中国の事件で、被害者も中国人〈2〉今年2月に警察庁長官が「日本国内での混入可能性は低い」と発言、中国側の反発を招き、捜査協力に支障が出た〈3〉中国の捜査当局内で、中国での混入の可能性を認めるか否かで意見対立が発生し、捜査幹部が更迭されるなど、権力闘争の材料になっているとの未確認情報がある――などの事情を考慮したためだ。
 7月9日の日中首脳会談や、同22日のシンガポールでの日中外相会談でも、事件解決に向けた協力は確認したが、「中国での被害発生は話題にならなかった」(外務省筋)とされる。
 今回、中国政府が正式に国内での被害発生を認めたことで、日本政府内には、「北京五輪閉幕後にも事件は解決するのではないか」(外務省幹部)との期待も出ている。
製造から10か月、解明に壁
 警察庁にも、中国側が外交ルートを通じて自国内でのメタミドホスの混入を示唆したとする情報が7月上旬、外務省から非公式に伝えられた。ただ、中国国内の捜査を指揮する中国公安省からは6日の公式発表まで、何の情報提供もなかったため、同庁はこれまで中国側の動きを静観するしかなかった。「中国の外交当局と公安省の間で、この問題に対する温度差があったのではないか」。警察幹部の一人はそう指摘する。
 千葉県と兵庫県の3家族計10人が中国・天洋食品製のギョーザで中毒になったことが表面化したのは今年1月30日。ギョーザの製造日は昨年10月1日と20日で、現時点でも製造からすでに約10か月経過している。今後、中国国内の捜査が本格化しても、メタミドホス混入の経緯や関与した人物を特定できるかどうかは不明で、警察内部からは「手放しで喜べる段階ではない」との声があがっている。

◎中国外務省、冷凍ギョーザによる中毒の国内被害を認める(2008年8月6日、読売新聞)
・メタミドホス 現地混入強まる
 中国製冷凍ギョーザ(餃子)中毒事件で、製造元の中国河北省石家荘の「天洋食品」が事件後に中国国内で回収したギョーザが流通し、このギョーザを食べた中国人が有機リン系殺虫剤メタミドホスによる中毒症状を起こして、重大な健康被害が出ていたことがわかった。関係筋が5日明らかにした。
 これまで日中双方の警察当局がそれぞれ自国内でのメタミドホスの混入を否定してきたが、中国国内で同様の事件が発生したことにより、中国での混入の可能性が強まった。
 中国から連絡
 日本政府は今後、中国公安省に事実確認を要請するとみられ、日中両国の捜査協力がようやく本格化する可能性が出てきた。
 関係筋によると、中国側は7月初め、北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の直前に、外交ルートを通じて、日本側にこの新事実を通告、中国での混入の可能性を示唆したという。
 事件が起きたのは6月中旬。天洋食品が回収した冷凍ギョーザの一部を食べた中国人が中毒を起こし、重大な健康被害が出たという。被害者の人数や症状などは不明だが、千葉県などの事件と同様、ギョーザに含まれていたメタミドホスが原因と特定された。事件後、日本に輸出される前の商品は天洋食品が回収したことになっており、今回、中毒を引き起こした商品が流通した理由やその経路などはわからない。
 中国側の混入の可能性が強まったことで、中国の捜査当局は事故と故意による混入の両面で改めて捜査を急ぐ必要に迫られそうだ。
 冷凍ギョーザ中毒事件では、千葉、兵庫両県の3家族10人が昨年末から今年1月にかけ、天洋食品製造のギョーザで中毒症状になった。中国側は2月末、「原料、生産工程、輸送過程でメタミドホスが混入された状況は見つかっていない」との見方を表明。これに対し、警察庁は、メタミドホスの成分分析の結果、日本国内にはない不純物が検出されたことなどから、「日本で混入された可能性は極めて低い」との見解を示していた。

【中国製ギョーザ事件の主な経緯】
 1月30日 千葉、兵庫両県で、中国製ギョーザの中毒被害事件が発覚。両県警がメタミドホス検出と公表
 2月5日 千葉、兵庫両県警が共同捜査本部設置。福島県、大阪府でも被害が発覚
  15日 警察がメタミドホスが日本製でないと断定
  25日 警察庁幹部が訪中し、中国公安省と協議
  28日 中国公安省が中国でメタミドホスが混入した可能性は低いと発表
 5月7日 日中首脳会談でギョーザ事件捜査協力強化で合意

◎中国外務省、冷凍ギョーザによる中毒の国内被害を認める(2008年8月6日、読売新聞)
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件に絡み、中国外務省は6日、報道官談話を発表、製造元の「天洋食品」(河北省)が事件後に回収したギョーザが中国国内で流通し、6月中旬、有機リン系殺虫剤メタミドホスによる被害が出ていたことを初めて公式に認めた。
 「中国国内で同社製品にメタミドホスが混入した可能性は極めて低い」とする従来の主張を転換する内容。
 これを受け警察庁は北京五輪閉幕後にも、中国で中毒を引き起こしたギョーザの鑑定結果など捜査状況の説明を求め、日本の事件との関連性を確認する方針だ。
 【北京=牧野田亨】この日の談話は「中国政府はこれを極めて重視し、公安部門が全力で捜査中」とした。日本の報道を受けた迅速な対応で、事件解決に前向きな姿勢を示す狙いがあるとみられる。回収したギョーザが流出した経緯や被害者の人数、被害状況は明らかにしていない。
 外務省の兒玉和夫外務報道官は6日の記者会見で、在北京日本大使館を通じ、事実関係を中国外務省に確認できたとしたうえで、中国側が〈1〉日本の事件との関連性も含め、引き続き捜査する必要がある〈2〉公安当局が捜査を展開している――と説明したことを明らかにした。町村官房長官も同日夕の記者会見で、8日の北京五輪開会式に合わせて行われる日中首脳会談で、この事件が取り上げられる見通しを示した。
 この事件を巡って、警察庁と中国公安省の公式協議は4月9日以降、中断していた。中国側が先月の北海道洞爺湖サミット前になって、この情報を伝えてきたのは、サミットでの日中首脳会談を意識したものと言える。ただ、「積極的に捜査している様子はうかがえない」(日中関係筋)との指摘もあり、全容の解明につながるかどうかは不透明だ。

◎中国:北京に発電車両を移動、五輪期間の電力供給を死守(2008年8月4日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】8日の五輪開幕を控え北京市の電力需要が急増している。五輪開催都市での電力供給を死守するため、中国最大の送電会社である国家電網は、山西、江西、浙江、吉林、寧夏の5省・自治区に配備していた発電車両計28台を北京市に移動、国際的な体面を保とうと懸命だ。
 中国では、石炭価格高騰による発電所の運転停止に加え、四川大地震などの影響で送電設備が倒壊したため電力不足が深刻化している。すでに各地で計画的な停電が始まっている。
 国営新華社通信によると、北京市に新たに配備された発電車両の発電容量は1万850キロワット。以前から北京市にある発電車両22台を合わせた計50台で発電容量は2万6890キロワットになる。いずれも市内で停電が発生した時の緊急電源として活用するという。
 中国紙によると、北京市の今夏の最大電力は、過去最高だった昨年夏の最大電力を23%上回る1460万キロワットに達する見通し。日本の中国電力の発電能力(約1200万キロワット)を大幅に上回る水準が見込まれている。

◎北京五輪:関連グッズが大人気、記念金貨や偽物も(2008年8月4日、毎日新聞)
 【北京・長野宏美、中本泰代】北京五輪関連グッズが大人気だ。中には87万元(約1305万円)の記念金貨3枚セットも。一方、マスコットの偽物を2元(約30円)で売る業者も登場。真夏の北京はグッズ商戦も熱い。
 北京市の繁華街・王府井(ワンフーチン)にある工芸品デパートでは、1階が五輪関連グッズ売り場になっている。午前10時の開店前から行列ができる日もある。
 開幕1週間前の1日は、国家体育場(愛称・鳥の巣)のデザインに「開幕式」の文字が入ったバッジを求めて約200人が並んだ。1個35元(約825円)。限定70個が売り切れ、次の入荷は未定という。中国で「八」の数字は縁起がいいとされ、「開幕まであと8日」と書かれたバッジも品切れになった。
 鳥の巣の純金模型は2万3000元(約34万5000円)。メーン会場が描かれた金貨3枚セットはさらに高額で87万元だが、29個が完売したという。店員の李文超さん(24)は「すべて人気があって何がお勧めとは言えない。全部1番です」と話す。現在は約7割が中国人客で、その半分が北京市民という。
 市内の無職、楊玉時さん(66)は車に飾る五星紅旗やハンカチなどを購入。「五輪のおかげで交通網がすごく便利になった。自分も大会を支えるため買い物をした」と語った。
 五輪グッズの偽物もさっそく登場。観光地の天安門や故宮博物院周辺では、5人組のマスコット「福娃(フーワー)」(幸福な子供たち)の携帯ストラップなど偽造品を手にした売人が盛んに声をかける。
 中年女性がストラップセットを手に「10元(約150円)」と近寄ってきた。「半額で」と答えると商談成立。女性は「警察が来るから早く」とせかし、代金を受け取ると素早く背を向けた。別の中年男性が2元(約30円)で売っていたストラップセットの福娃は緑色の顔で、明らかに偽物と分かる。いずれも商品に福娃の文字や五輪マークはなかった。

◎五輪開会式は「時々雷雨」の予報、ミサイルで雨雲消滅も(2008年8月4日、読売新聞)
 【北京=結城和香子】北京市気象局は3日の記者会見で、現時点で「時々雷雨」との予報が出ている8日の開会式の夜について、必要なら事前に人工雨を降らせる緊急対策を検討すると語った。
 薬剤を積んだ小型ミサイルを撃ち込み、事前に雨を降らせて雨雲を消滅させる手法は、しかし、「まだ実験段階で、不確定要素も多い」(人工降雨担当者)。
 しかも、雲の状態によって手法が異なるという。局地的な雨を降らせることで、北京の天気を改善できる条件がそろえば、開閉会式の夜に向けて実施したいとした。
 一方、長期予報では、8月中に台風が数回発生、うち2~3度沿岸部に上陸する見通し。セーリングが行われる青島、馬術が行われる香港などに、影響が及ぶ可能性がある。

◎ニイハオ!北京:「新幹線」静かに時速345キロ(2008年8月3日、毎日新聞)
 【北京・三木陽介】北京五輪開催を前に1日開通した中国版新幹線「京津城際高速鉄路」に2日乗車した。世界最速の時速350キロ。日本の新幹線開業も東京五輪(1964年)の開幕前だった。中国の威信をかけた超特急の乗り心地は--。
 北京南-天津間の約120キロを約30分で結ぶ。2010年開催の上海万博に合わせ、青島などを経由し上海までの約1300キロに延びる予定だ。名称は「和諧号」。中国共産党が04年に掲げたスローガン「和諧(調和)社会」から命名した。
 北京南駅はサッカー場のような巨大な建物。ほぼ15分おきに出発しているが、人気が高く、午前11時ごろ発券窓口に並び、購入できたのは午後2時5分発の券だった。片道で58元(約870円)。磁気券に慣れていないせいか、券を取り忘れそうになる乗客も。その度に女性職員が「1人1枚持って」と叫ぶ。
 発車前は中国人もこぞって記念撮影。車両は外観も内装も東北新幹線「はやて」に似ている。発車ベルはなく、定刻に静かに動き始めた。徐々に速度が上がる。揺れはほとんど感じない。ドア上部の電光掲示板に速度が表示され、7分後、「のぞみ」の300キロを超えた。さらに2分後、345キロに達した。
 乗客は静かで寝ている人も。35分であっという間に天津に到着した。申健さん(25)は「便利になった」と感慨深げだった。

◎中国:時速350キロ、五輪に合わせ「新幹線」開通(2008年8月3日、毎日新聞)
 【北京・三木陽介】北京五輪開催を前に1日開通した中国版新幹線「京津城際高速鉄路」に2日乗車した。世界最速の時速350キロ。日本の新幹線開業も東京五輪(1964年)の開幕前だった。中国の威信をかけた超特急の乗り心地は--。
 北京南-天津間の約120キロを約30分で結ぶ。2010年開催の上海万博に合わせ、青島などを経由し上海までの約1300キロに延びる予定だ。名称は「和諧号」。中国共産党が04年に掲げたスローガン「和諧(調和)社会」から命名した。
 北京南駅はサッカースタジアムのような巨大な建物。ほぼ15分おきに出発しているが、人気が高く、午前11時ごろ発券窓口に並んだが、購入できたのは午後2時5分発の券だった。片道で58元(約870円)。磁気券に慣れていないせいか、券を取り忘れそうになる乗客も。その度に女性職員が「1人1枚持って」と叫ぶ。
 発車前は中国人もこぞって記念撮影。車両は外観も内装も東北新幹線「はやて」に似ている。発車ベルはなく、定刻に静かに動き始めた。徐々に速度が上がる。揺れはほとんど感じない。ドア上部の電光掲示板に速度が表示され、7分後、「のぞみ」の300キロを超えた。さらに2分後、345キロに達した。
 乗客は静かで寝ている人も。35分であっという間に天津に到着した。申健さん(25)は「便利になった」と感慨深げだった。

◎中国、ネット規制を一部緩和、チベット問題などは制限(2008年8月3日、日本経済新聞)
 北京五輪を取材する報道陣の拠点、メーンプレスセンター(MPC)で一部ウェブサイトへの接続ができなくなっていた問題で、中国当局は2日までにインターネット規制を緩和した。一般の回線での閲覧も可能になったが、チベット問題などに絡むサイトは依然、規制対象のまま。五輪を目前に控えた中国の「開放」と「引き締め」は試行錯誤が続いている。
 アクセスが可能になったサイトは、英BBC放送の中国語版や米政府系放送局「ラジオ自由アジア」などのほか、ヒューマン・ライツ・ウオッチやアムネスティ・インターナショナルなど国際人権団体のホームページ。
 国際オリンピック委員会(IOC)と北京五輪組織委員会(BOCOG)は五輪の開催に当たり、大会を取材するメディアのネット接続を制限しないことで合意していたが、7月8日にMPCがオープンして以降、一部サイトへのネット接続を中国側が遮断していたことが判明。各国メディアから批判の声が上がり、IOCも事態の改善を求めていた。(北京=尾崎実)

◎中国独禁法、IT4社が当局提訴、施行後初(2008年8月3日、日本経済新聞)
 【上海=戸田敬久】中国で独占禁止法が1日に施行されたのを受け、北京のIT(情報技術)関連企業の4社が2日までに行政上の権利を乱用して市場競争を阻害する「行政独占」などを理由に中国当局を提訴した。中国紙、新京報などが報じた。中国独禁法での提訴は初めてとみられる。
 訴えられたのは、政府機関の国家品質監督検査検疫総局。同局の傘下企業の商品認証システムへの強制加入は、独禁法の行政独占に当たるとして、IT企業の北京兆信信息技術など4社が北京市第一中級人民法院(地裁)に提訴した。
 中国独禁法は、企業の価格協定や支配的地位の乱用に加え、行政機関による市場競争の阻害も違法と定めている。行政当局の恣意(しい)的な規制を巡り、今後も民間企業の訴訟が相次ぎそうだ。

◎中国、一般家庭のネット規制緩和、「五輪限定」難しく?(2008年8月3日、朝日新聞)
 【北京=稲垣康介】IOCのロゲ会長は2日、メーンプレスセンター(MPC)などでのインターネットのアクセス規制が緩和され、状況が好転しているとの見解を示した。英BBC中国語版や一部の国際人権団体のサイトが閲覧可能になったなどの成果を挙げ、「これは中国という国にとってかつてない出来事だ」と話した。
 一方で、チベット亡命政府や中国内で非合法な「法輪功」のサイトは依然として見られない。
 北京の一般家庭回線からも一部で、中国当局がアクセスを規制してきた香港や台湾などのニュースサイトに接続できるようになっている。複数の北京市民によると、中国の敏感な問題を多く扱う香港の明報や亜洲週刊、台湾の自由時報、米政府系のラジオ・フリー・アジアなどのサイトが最近閲覧できるようになった。規制緩和を五輪関連施設だけに限ることが難しかったとみられる。

◎中国の金メダル候補 年齢詐称疑惑で分かった仰天実態(2008年8月2日、ゲンダイネット)
 信じられないことが発覚した。中国の女子体操選手の年齢詐称疑惑である。
 米紙ニューヨーク・タイムズによると、北京五輪に出場する女子選手の少なくとも2人は「出場資格の16歳に満たない14歳」の疑いがあるという。名指しされたのは、段違い平行棒の金メダル候補である何可欣と江ギョク玉源の2人だ。
 過去の国内大会の記録や報道では生年月日が何選手「1994年1月1日」、江選手「93年10月1日」と記録されているが、パスポートにはそれぞれ「92年1月1日」「91年11月1日」と記されていたという。両選手が国内大会で使っていた生年月日が正しいとしたら、現在、16歳の条件を満たしていないため出場できなくなる。もちろん、中国体操連盟は過去の報道が誤りであり、パスポートが正しいと主張している。
 中国側の言い分が確かとしても、生年月日が2つある疑問は解けない。
「以前から中国政府も国民も誕生日への関心が薄いのです」
 中国に在住する日本人の大学教授はこう事情を説明する。
「だからパスポート、IDカード、運転免許などの誕生日がすべて違う人もいます。とくに女の子の場合、将来の結婚のために役所への届け出を遅らせることが多い。1、2年サバを読むのは当たり前のこと。生年月日が1つの人は10人に1人でしょう」(前出の大学教授)
 一人っ子政策も影響している。2人目が禁じられているから、役所に届け出ないケースが珍しくなく、結局、本当の生年月日は分からないわけだ。
 こうした事情を知れば、中国人の年齢問題をつついてもナンセンスだと分かるが、世界一流の新聞が今になってカミついたのにはウラがある。女子体操の最強国は米国と中国。昨年の世界選手権では米国が団体優勝し、準優勝が中国だった。今回の米国の揺さぶりで、五輪の結果も見えてしまったようだ。

◎中国、ネット規制を一部緩和、チベット問題など規制続く(2008年8月2日、日本経済新聞)
 北京五輪を取材する報道陣の拠点、メーンプレスセンター(MPC)で一部ウェブサイトへの接続ができなくなっていた問題で、中国当局は2日までにインターネット規制を緩和した。一般の回線での閲覧も可能になったが、チベット問題などに絡むサイトは依然、規制対象のまま。五輪を目前に控えた中国の「開放」と「引き締め」は試行錯誤が続いている。
 アクセスが可能になったサイトは、英BBC放送の中国語版や米政府系放送局「ラジオ自由アジア」などのほか、ヒューマン・ライツ・ウオッチやアムネスティ・インターナショナルなど国際人権団体のホームページ。
 国際オリンピック委員会(IOC)と北京五輪組織委員会(BOCOG)は五輪の開催に当たり、大会を取材するメディアのネット接続を制限しないことで合意していたが、7月8日にMPCがオープンして以降、一部サイトへのネット接続を中国側が遮断していたことが判明。各国メディアから批判の声が上がり、IOCも事態の改善を求めていた。(北京=尾崎実)

◎中国的白タク・ダフ屋あがったり、五輪で取り締まり(2008年8月2日、朝日新聞)
 【北京=延与光貞】五輪開幕を控え、北京市内では「白タク」や「ダフ屋」など違法営業の取り締まりが厳しさを増してきた。「期間中は仕方ない」とあきらめ顔の人もいれば、すき間を縫って商売を続けるつわものもいる。
 地方からの長距離列車の終点になっている北京西駅の駅前。いつもは「どこに行くの」と声をかけてくる白タク(中国語で「黒車」)の運転手たちの姿がない。パトロールの警官らが周辺を頻繁に回っているからだ。
 この道10年という40代の白タク運転手は「パラリンピックが終わるまでは危ない」と7月初めから仕事を休み、家でマージャンをして過ごす。
 違法営業は承知の上だ。昨年から管理が厳しくなったといい、すでに3回拘留された。「もう慣れた。ほかにいい仕事がないから仕方がない。人様から奪ったり、盗んだりしているわけじゃないし」とやめるつもりはない。
 「五輪なんて金持ちのためのもの。生活のために働いているおれたちには、楽しむ余裕なんてない」と厳しい取り締まりに不満を隠さない。
 7月25日からの最後のチケット販売期間中、中国語で「票販子」と呼ばれるダフ屋が連日、当局に拘束された。
 それでも五輪公園の販売所近くの歩道を歩くと、日焼けした男性があたりをうかがいながら声をかけてくる。「チケットかい? 何がほしいの」。卓球の決勝は3千元(約4万5千円)、水泳の決勝は1500元(約2万2500円)という。元の値段を聞いても「この時期に元の値段は関係ない。負けられないよ」と強気だ。
 ほかにどんな種目があるのか聞くと、「何でもあるけど、ここは取り締まりが厳しい。後で電話して」と早口で携帯の番号を告げてきた。その場で長く話すのを避けるそぶりだった。

◎ここまでやるか!中国“メダル獲得大作戦”(2008年8月1日、ゲンダイネット)
 北京五輪で最多金メダル獲得を狙う中国のやり口はメチャクチャだ。女子体操選手のうち、少なくとも2人が出場資格の16歳を満たさない14歳と報じられた。
 中国体操連盟の当局者は2人のパスポートを示して潔白を訴えているというが、いかにもありそうな話だ。「北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠」の著者で国際政治学者の浜田和幸氏はこう言う。
「あの国にとって、数字をイジるのは大したことではない。人口ですらゴマカしています。公式データでは13億人ですが、当局関係者は“16億人は軽く超えている”と平然と口にしているほどです」
 中国の至上命題は五輪のメダル数で米国を抜き、ロシアを寄せ付けず、日本は足元にも及ばせないこと。それだけに勝つための秘策奇策は、まだまだあるはずだ。例えば、“人体実験”。
「ドーピング検査をすり抜ける筋肉増強剤を開発するため、囚人を使った人体実験を繰り返しているという情報があるのです。英国の諜報機関MI6が暴露し、チャールズ皇太子やブラウン首相が開会式出席に難色を示しているのはこのせいだといわれています」(前出の浜田氏)
 さらに、“替え玉”作戦。
「2年ほど前、各国選手を招いて開催されたプレ五輪イベントのマラソン大会はひどかった。中国男子選手の中に双子がいて、沿道に設けられた死角で入れ替わっていたのです。へばっていた選手が猛スピードで駆け出し、ゴボウ抜きで優勝したのだからお笑いです」(スポーツライター)
 他にも、審判団の主任はすべて中国人で固めているし、メダル不発に備え、スポーツ大会併催も計画している。少林寺拳法などの武術を競う国際大会をやる予定で、金メダルは五輪と同格扱いだとか。
 そこまでしますか……。

◎中国:五輪開催前にネット規制、批判高まる(2008年8月1日、毎日新聞)
 【北京・杉尾直哉、小坂大】五輪開催を前に、中国当局がインターネットの閲覧を厳しく規制し、国外からの批判が高まっている。五輪取材の報道関係者約2万2000人が集まるメーン・プレス・センター(MPC)では、国際人権団体や、中国が非合法化して弾圧を続ける「法輪功」などのサイトの閲覧が制限され、世界から集まった記者に、逆に言論統制の実情を印象付ける結果となっている。
 プレスセンターでは、欧米からの記者を中心に「サイトを開こうとしたがつながらない」との声が続出。英BBCテレビなど欧州の有力メディアが繰り返し、「接続不能」と表示されたパソコンの画面を映して「ネット規制が行われている」と報道した。
 国際オリンピック委員会(IOC)は7月31日、中国当局と北京五輪組織委員会(BOCOG)に改善を申し入れ、プレスセンターでは1日朝、「アムネスティ・インターナショナル」「ヒューマンライツ・ウォッチ」などの人権団体のサイトは閲覧できるようになったが、法輪功関連のサイトは依然閲覧不可能だ。
 豪州のABCテレビによると、同国のスミス外相は31日、政府として中国側にネット規制を改善するよう要請。さらにIOCに対しては、この問題で十分な対応策を取っていないと批判した。
 IOCは1日、「中国側とネット規制を認める協定は結んでいない。中国が約束を守ることを信じている」との声明を出した。

◎ニイハオ!北京:ネット監視「仮想警察官」(2008年7月31日、毎日新聞)
 【北京・木戸哲】中国は2億人以上がインターネットを利用するネット大国だ。一方で、特定サイトにはアクセスできず、利用状況も監視されているという。実名で登録しないと閲覧できない北京市郊外のネットカフェを利用してみた。
 店に入るとパスポートの提示を求められた。画面に向かい約30分。若者に人気のサイトを閲覧中に突然、画面左上に男性警官のキャラクター「警警」が現れた。「仮想警察官」と呼ばれているという。女性警官「察察」も姿を見せた。
 仮想警察官をクリックすると、表示されたのは海口市公安局のホームページ。北京から約2000キロも離れた海南省の省都。早々に店を後にした。料金は3元(約45円)だった。
 表現の自由を求める「独立中国ペンクラブ」獄中作家委員会の張裕事務局長(56)=スウェーデン在住=によると、中国では04年に20万カ所あったネットカフェの半分が閉鎖され、利用状況を記録するソフトがインストールされた。06年には仮想警察官が現れるようになる。5万人以上の警官がネットを監視しているともされる。

◎北京の大気汚染、劇的改善は困難か、「良」でも注意が必要(2008年7月31日、産経新聞)
 北京五輪が間近にせまり、中国当局は大気状況改善に向けた対策に躍起だ。7月20日に車両の偶数、奇数ナンバーによる通行規制が始まった後も大幅な改善がみられない状況があり、五輪への影響を懸念する声は収まらない。北京市環境保護局は改善策の効果を示し批判の打ち消しに躍起で、追加対策を実施する方針もあるが、それでも「急速な改善は難しい」との指摘が。従来以上に体調管理が重要な五輪になりそうだ。(金子昌世)
 大気状況について「これ以上悪くなることは防げても、急速な改善は難しいだろう」。こう指摘するのは昨年8月に北京市内各所で大気や気象条件を測定した「気象海洋コンサルタント」社(横浜市)の馬場正彦氏。理由の一つとして「地理的な理由もあって北京は風が弱く、空気の循環がよくない」ことをあげる。
 具体的に汚染状況をみると、馬場氏が観測期間中の昨夏の北京と東京の日射量を比較したところ、北京は東京の3分の1程度。チリなどの浮遊粒子状物質が地上に届く前に光を反射してしまうためだ。ここ数年の浮遊粒子状物質は東京の約5倍にものぼるという。
 北京市環境保護局も、ぜんそくなどの原因になる粒子状物質が環境基準に届いていないと認めている。それでも大気汚染が昨年より大幅に改善され「選手の健康に悪影響を与えないと保証できる。マラソンなども問題ない」と強調するが…。
 「(北京市の)環境保護局が発表する空気の質が『良』でも、もともと(日本より)粒のやや大きいチリを検査対象にしているので、注意してほしい」と馬場氏。「ホテルなど室内も外気を取り入れている以上、室内だから問題はないとはいえない」と指摘する。
 国立スポーツ科学センター(JISS)が五輪代表選手を対象とした検査では、約10%がぜんそくを発症する危険性があることも判明しており、日本オリンピック委員会(JOC)では大気や気象状況への注意を促すとともに、防塵(ぼうじん)マスク500枚を用意。米国や英国も特殊マスクを用意したという。こうした中、豪州オリンピック委員会では、健康への影響を懸念する選手の欠場を容認する姿勢を示している。

◎北京の「偶数奇数ナンバー」交通規制強化へ(2008年7月31日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】大気汚染の状況を改善するため「偶数日は偶数ナンバーの車、奇数日は奇数ナンバーの車のみ通行できる」という交通規制を実施中の中国・環境保護省や北京市が、さらなる規制に乗り出す。新しい規則では、48時間先の大気汚染の程度がひどいとの予報が出た場合は、ナンバーの末尾が当該日の末尾と同じ車も走行が禁止される。
 北京市は20日からナンバープレートによる通行規制を始めた。しかし中国の独自の大気汚染指数でも目標を達成できない日が半数近くあり、当局が「霧」と表現するスモッグ状のもやに包まれる日が続く。市環境保護局の広報担当者はほぼ毎日記者会見に出席し、国外メディアの追及に対して「空気の質は見た目では分からない」「写真で空気が汚いように見えるのは、カメラマンの技術が悪いからだ」と主張してきた。

◎中国のネット規制、海外メディア対象に一部緩和(2008年7月31日、読売新聞)
 【北京=松本浩行】北京五輪の報道拠点となるメーンプレスセンター(MPC)で、中国当局に好ましくないホームページなどへのインターネット接続が規制されている問題で、北京五輪組織委が、「遅くとも開幕(8月8日)までには、規制を緩める」との方針を決めたことが30日、わかった。
 国際オリンピック委員会(IOC)や海外メディアからの批判を受け、中国当局が譲歩を強いられたものとみられる。
 組織委関係者によると、規制が解除されるのは、これまで閲覧出来なかったBBCの中国語ホームページなどの一般情報で、早ければ8月1日から実施される。ただし、中国当局が邪教と呼ぶ気功集団「法輪功」やチベット亡命政府のホームページなどに対する接続規制は継続されるという。また、この措置は、あくまで海外メディアに対する規制緩和にとどまり、一般市民は今後も閲覧することは出来ない見通し。
 中国のインターネット規制は、反政府的な言論を一般市民の目から遮断するのが目的。反政府的なホームページにとどまらず、批判的な声を客観的に報道する海外メディアのホームページでさえも、中国語版では接続出来ないようになっていた。
 30日の記者会見で、五輪組織委新聞宣伝部の孫偉徳副部長は、「外国の記者が、五輪に関する取材をするうえでのネット利用には十分なサービスを提供している。(現状でも)五輪報道をするうえで問題はないはずだ」と話した。

◎ニイハオ!北京:五輪に合わせ「突貫工事」(2008年7月30日、毎日新聞)
 【北京・木戸哲】北京一高い超高層ビルの建設が進んでいる。大気に影響が出る工事が禁じられた20日以降もガラスのはめ込み作業が続き、五輪開幕に間に合わせるかのように外観が完成した。74階建てで高さ約330メートルと伝えられるが、工事現場にいた出稼ぎ労働者の農民工は「75階建てだ」と話す。70階建てと聞く市民もいて“謎”に包まれたビルだ。
 天安門前の大通り・長安街を東へ約5キロ。「国貿」と呼ばれる新たな北京の中心地に建設現場はある。3期工事のメーンタワーとしてオフィスやホテル、ショッピングモールが入る予定。施工会社などに正確な階数や高さを問い合わせたが、回答は得られなかった。
 完工は09年とされるが、地元の建設関係者は「五輪に間に合わせて外装を仕上げるよう、当局から口頭で指示があったようだ」と明かす。99年に建国50周年を祝う式典が北京で開かれた際にも、中身が空っぽのビルの外装を約1カ月で仕上げたという。

◎ご注意!中国外資ホテルで客のネット利用監視、米議員指摘(2008年7月30日、読売新聞)
 【ワシントン=黒瀬悦成】対中強硬派のサム・ブラウンバック米共和党上院議員は29日、記者会見し、中国公安当局が北京五輪を前に、同国で営業する複数の大手外資系ホテルに対し、宿泊客が接続、閲覧したインターネットに関する情報を監視する機器を強制的に設置させていた、と発表した。
 ブラウンバック議員によると、監視機器の設置は複数のホテルへの聞き取り調査で発覚。同議員が入手した公安当局からホテル側への命令文書には、当局の指示に背いた場合、中国での営業許可の取り消しなどの「厳罰」を下す可能性も示唆していたという。
 同議員は、「中国政府は五輪開催期間中は検閲行為を実施しないと確約していたはずだ」と指摘、「我々は激しい怒りを表明するべきだ」と強調した。

◎五輪プレスセンターでもネット規制、中国外務省認める(2008年7月29日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】中国外務省の劉建超報道局長は29日の定例記者会見で、国際オリンピック委員会(IOC)発行の身分証を持つ北京五輪取材記者の拠点となるメーンプレスセンター(MPC)内でのインターネットについて、「みなさんが必要としている正常な情報はアクセス可能だ」と述べ、規制を実施していることを事実上認めた。
 中国は日常的に、外国メディアや人権団体などのサイトへのアクセスを遮断するなどの規制を行っている。しかし五輪関連施設や五輪記者が宿泊するホテルなどでは規制をしないとこれまでは説明し、4月に規制解除を要請したIOC側も「アクセスの自由は保証される」としてきた。
 劉局長は「正常な情報」の具体的内容は明かさなかったが、規制の具体例として気功集団「法輪功」のサイトを挙げ「法輪功は非合法の邪教組織であり、彼らの宣伝は当然禁止される」と話した。

◎施行控えた中国の独禁法、運用指針示されず、巨額制裁金の恐れも(2008年7月26日、産経新聞)
 中国が8月1日に独占禁止法を施行するのを控え、進出企業に不安が広がっている。どのような行為が違反となるかを具体的に示すガイドライン(指針)が策定されておらず、ある日突然、独禁法に抵触したとして巨額な制裁金を課せられる恐れがあるからだ。このため、日本の公正取引委員会は早期の指針策定を中国側に求める方針だが、中国ビジネスをめぐる新たなリスクが浮上した格好だ。(飯塚隆志)
 中国の独禁法は、刑事罰もある日本の独禁法制とは異なり、違法行為に対して巨額の制裁金を課す欧州連合(EU)タイプだ。制裁金額もEUとほぼ同じ「前年度売上高の1~10%」と規定されており、不当な価格カルテルなどが摘発された場合には数百億円単位の制裁金を支払わされることも想定されている。
 しかし、違反に関するガイドラインが策定されていないため、どのような事例が独禁法に抵触するかが明示されていない。中国独禁法では価格カルテルや市場の分割支配など一般的な禁止行為に加え、競争関係にある企業間の独占的協定を禁じている。こうした協定をめぐっては「独禁法の執行機関が認定する」と規定しているだけで、メーカー同士の通常の販売提携などが抵触するかは示されていない。
 また、小売店による値引きを認めない再販価格維持などを禁じた取引先との関係についても、具体的な違反の認定は執行機関に委ねられている。「販売店に提示している希望小売価格が独禁法に抵触する恐れはないのか」(大手メーカー)などと日本企業は懸念を強めている。
 さらにM&A(企業の合併・買収)の規制についても不明確なままだ。中国独禁法の政令案では、届け出基準として「世界売上高が90億人民元(1350億円)以上」などとしているが、どのような場合にM&Aが認可されるかは示されていない。合併によってシェアを高めようとした場合、審査の長期化などでM&Aが一段と困難になるとの見方も広がっている。
 こうした懸念に加え、中国市場では価格カルテルなどの旧弊が色濃く残っており、日本企業がそうした商慣習に染まっているケースも指摘されている。中国進出企業関係者は「中国に進出した日本の大手企業のなかには、堂々と再販価格の維持を求めるところがあり、いつ摘発されてもおかしくない」と警鐘を鳴らしている。

★中国の独占禁止法
 昨年8月末に成立し、今年8月1日に施行される。中国では「反不公正競争法」「価格法」で価格カルテルなどは禁止されていたが、取り締まりの規定が整備されておらず、不正が横行している。このため、独禁法を施行することでカルテルの禁止や行政による入札への不当介入などを禁じたほか、大型合併などの場合にはシェア調査を実施し、合併の認否を審査する。国務院(中央政府)に設置される独占禁止委員会がガイドラインを策定する予定。

◎中国の発電所排煙、子どもに発達障害(2008年7月26日、朝日新聞)
 【成都(中国四川省)=小林哲】中国の石炭火力発電所のそばで生まれた子供は、通常より発達障害を起こすリスクが高まることが統計的に裏付けられた。排煙に含まれる大気汚染物質が原因で、汚染除去装置の不十分な施設を多く抱える中国にとって深刻な問題になりそうだ。米コロンビア大と重慶医科大などの研究チームが米専門誌に論文を発表した。
 研究チームは、重慶市銅梁地区にある石炭火力発電所が04年に運転を止めた前後に、半径2キロ以内に住むたばこを吸わない妊婦から臍帯血(さいたいけつ)を採取。発電所の排煙に含まれ、発がん性や発達毒性などが指摘される多環芳香族炭化水素(PAH)の蓄積量などを比べた。
 さらに、生まれた子供が2歳になった時点で面接式のテストを行い、運動と適応、言語、社会性の4分野について発達度を測定した。
 その結果、発電所が稼働中の02年に生まれた110人中15人で運動分野の発達障害がみられたのに対し、05年に生まれた107人では、障害は5人にとどまった。
 PAHの蓄積量は、発電所が稼働していた02年の方が05年より1.5倍ほど高く、研究チームは、間接喫煙などほかの汚染物質の影響も考慮した統計解析から、「発電所の停止で子供の発達障害が有意に減少した」と結論づけた。
 中国では、発電電源の75%を占めるほど石炭火力への依存度が高い。脱硫装置などの設備がない発電所もいまだに多く、大気汚染の温床になっている。

◎中国、警察権力の乱用禁止、五輪目前、抗議頻発に対処(2008年7月26日、朝日新聞)
 【北京=坂尻信義】中国共産党・政府が、警察権力の乱用を禁じる異例の規定を打ち出した。背景には、警察への抗議行動が各地で頻発していることへの危機感がうかがえる。警察官6人を殺した男を英雄視する声も上がった。北京五輪を目前に控え、当局は警察不信が社会不安を招くことを恐れているようだ。
 25日付の党機関紙・人民日報などによると、党中央規律検査委員会や監察省が「陳情処理の違反に対する規律処分の暫定規定」を公布した。市民からの陳情や投書を適切に処理せず、さらに問題を深刻化させて抗議の暴動を引き起こした場合などは、党や政府の責任者を懲戒免職や降格処分にする、と定めた。
 また、警察官が暴動などを押さえ込む際、武器を乱用した場合にも免職や降級の処分にするとしている。
 異例の規定は、警察の怠慢や権力の乱用が各地で横行していることの裏返しともいえる。最近、貴州省で少女が死亡する事件の処理問題で数万人規模の騒乱が起きたのをはじめ、陝西省や浙江省、広東省などで警察が市民に襲われて放火されるなどの「官民衝突」が頻発している。
 また、上海では今月1日に楊佳容疑者(28)が警察署に押し入り、刃物で警察官6人を殺害、数人を負傷させた。中国や香港のメディアは、北京在住の楊容疑者が昨年10月、観光で訪れた上海でレンタル自転車に乗っていて自転車泥棒と間違えられ、警察官たちに暴力をふるわれて生殖機能に障害を受けたことを恨んでの犯行だった、などと報じている。
 事件後、中国の有力サイトには「楊佳は英雄だ」「警察が暴力を続ければ、第二、第三の楊佳は免れない」といった書き込みが相次いだ。市民の警察に対する信用の低下や反発は、一党支配の足元を揺るがしかねない。

◎ギョーザ中毒事件、日中外相が捜査・協力強化で一致(2008年7月22日、読売新聞)
 【シンガポール=加藤淳】高村外相は22日午前(日本時間22日午後)、シンガポール市内のホテルで中国の楊潔チ(ようけつち)外相と会談し、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件について、協力して解決に取り組む方針を改めて確認した。(「チ」は竹かんむりに「褫」のつくり)
 楊外相は「生命と安全にかかわる大事なことだ。捜査と協力を強化したい。できるだけ早く真相解明したい」と述べた。
 また、北朝鮮による拉致問題に関し、高村外相は「北朝鮮は約束した再調査を実施していない。中国からも働きかけて欲しい」と要請。楊外相は「拉致を含む日朝間の諸問題解決を期待している」と応じた。
 23日の6か国協議の外相会合では、北朝鮮が申告した核計画の検証作業について、実質的合意を目指す考えで一致した。

◎中ロ、40年経て国境画定、大ウスリー島の半分が中国に(2008年7月22日、朝日新聞)
 【北京=坂尻信義】新華社通信によると、中国の楊潔チー(ヤン・チエチー)=チーは竹かんむりに褫のつくり=外相とロシアのラブロフ外相は21日、北京で会談し、中ロの東部国境画定に関する議定書に署名した。大ウスリー島(中国名・黒瞎子島)の半分が中国に引き渡される。かつて武力衝突にも発展した両国間の国境紛争は、40年以上に及ぶ交渉を経て最終決着。約4300キロにわたる国境線がすべて画定された。
 両国は05年、ハバロフスク西方のアムール川(同・黒竜江)とウスリー川の合流点に位置する大ウスリー島の東部をロシア領に、同島西部と隣接するタラバロフ島(同・銀竜島)を中国領にすることで合意。詰めの交渉が続いていた。
 中国と旧ソ連は69年、ウスリー川のダマンスキー島(同・珍宝島)で武力衝突。その後も対立が続いた。署名後、楊外相は「両国の戦略的パートナーシップは、かつてないほど高い水準に達した」と述べた。

◎世界最速の北京~天津間高速鉄道で試乗会、8月1日開業へ(2008年7月22日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】8月1日に開通する北京~天津間の高速鉄道の試乗会が22日、海外メディア向けに行われた。
 最高時速350キロで北京~天津間を30分で結び、所要時間を従来の半分以下に短縮する計画だ。実現すれば仏TGVを抜いて世界最速の営業運転路線となる。総工費は200億元(約3100億円)。
 この路線には、日本の新幹線「はやて」をベースとした「CRH2-300」と、独シーメンスの技術を導入した「CRH3」の2種類の車両が使われる。中国鉄道省は、いずれも「外国の技術を元に、国情にあわせて自主開発した」としている。
 開通予定は北京五輪開幕直前で試運転を開始したのは7月1日と、「高速鉄道としては異例」(業界関係者)の短さ。鉄道省の王勇平・宣伝部長は「安全性には配慮しており問題はない」と強調した。

◎中国雲南省でバス連続爆発、2人死亡、「人為的な破壊事件」と断定(2008年7月21日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】中国国営の新華社などによると、雲南省昆明市で21日午前、2台のバスが相次ぎ爆発し、少なくとも2人が死亡、14人が重軽傷を負った。現地の公安当局は一連の爆発を「人為的な破壊事件」と断定、爆破に至る詳しい経緯などについて捜査している。北京の日本大使館によると、日本人の被害者が出たとの情報はない。
 今月に入り、中国各地では地元政府と住民らの衝突が頻発している。8月に北京五輪を控え、中国当局は国内全域でテロや妨害行為に対する警戒を強化しているが、今回の事件は治安面に不安を残す現状を改めて浮き彫りにした。
 同日午前7時(日本時間同8時)ごろ、昆明市の中心部にあるバス停で、乗客を乗せたバスが停車したところ、突然車体の前部が爆発。約1時間後には西へ3キロほど離れた交差点で別の1台が爆発した。公安当局は省内各所の道路や空港などで厳重警備を敷き、関与者の割り出しに全力を挙げている。

◎中国広西チワン族自治区でも大規模デモ、失業者らが市庁舎に(2008年7月21日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】21日付の香港紙・明報によると、中国広西チワン族自治区欽州市で今月15日、住民1000人以上が市政府庁舎に押しかける大規模デモを行い、少なくとも10人が公安当局に逮捕された。
 失業者や農民らが、解雇後の生活保障や当局による土地強制収用などに不満を強め、抗議行動を起こしたという。
 中国では最近、当局に不満を持つ住民による抗議行動が各地で頻発。6月末には貴州省甕安県で、数万人が地元政府庁舎や警察本部を襲撃したほか、7月中旬には浙江省玉環県で出稼ぎ労働者らが派出所を襲う騒乱が起きている。

◎北京五輪に備えナンバー規制、専用レーンも使用開始(2008年7月21日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】北京市は20日、北京五輪に備えて自動車ナンバーの末尾が奇数か偶数かで通行を制限する交通規制を始めた。また、市内の幹線道路に設けられた五輪関係車両専用レーンの使用も始まった。
 交通規制は五輪に向け大気汚染を改善し渋滞を緩和するためで、一般車両は奇数日は奇数ナンバー、偶数日は偶数ナンバーしか走行できない。市内約329万台のうち、通行量は45%減になる見通し。一連の取り組みで大気汚染物質が63%減るとしている。違反罰金は200元(約3千円)。パラリンピックが閉幕する9月下旬まで続く。

◎中国でバス2台爆発、2人死亡、「人為的」と断定(2008年7月21日、朝日新聞)
 【北京=坂尻信義】中国の国営新華社通信は21日、雲南省昆明市で同日朝、バス2台が相次いで爆発し、計2人が死亡、14人が負傷したと伝えた。いずれも通勤客を乗せて市街地を走行中、1台目は午前7時10分ごろ、2台目は同8時5分ごろに爆発し、それぞれのバスで1人が死亡した。公安当局は「人為的な破壊事件」と断定、犯人の行方を追っている。8月の北京五輪を前に、中国国内での治安問題への懸念が高まる可能性がある。

◎中国公安当局、地下教会代表を北京市外に追い出す、香港英字紙(2008年7月21日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】20日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、中国公安当局が18日、政府非公認のキリスト教地下教会の団体「中国家庭教会連合会」の張明選会長夫妻を滞在先の北京から河北省に強制的に追い出したと報じた。
 北京五輪期間中、張氏と海外要人が情報交換を行うことを阻止する狙いがあるとみられる。
 同紙によると、張氏夫妻は、滞在先の北京市内の宿泊施設から7人前後の私服警官に無理やり車に乗せられ、河北省の宿泊施設に運ばれた。警官は張氏に「五輪期間中は北京に滞在するな」と話したという。張氏は6月中旬にも欧州連合(EU)の欧州議会議員と面会しようとしたところを公安当局に一時拘束された。
 共産党一党独裁体制の中国では、政府が許可した宗教活動しか認められておらず、地下教会は弾圧の対象となっている。

◎北京ピリピリムード、市民生活に影響も(2008年7月21日、読売新聞)
 【北京=小島剛、梅村雅裕、鈴木隆弘】五輪開幕まで20日足らずとなった北京で、ピリピリムードが高まっている。
 鉄道の新路線が開通し、最新鋭のエコバスも登場。世紀の祭典に向けて盛り上がりを見せる一方で、工事の全面禁止や交通規制なども始まり、市民生活にも影響が出ている。工事現場から立ち去る出稼ぎ労働者(民工)や仕事が制限される運転手からは「国家的行事だから仕方ない」とため息も漏れてくる。
 19日に営業が始まったばかりの鉄道「空港線」は市中心部と北京首都国際空港の約28キロを約20分で結ぶ。高架線で街の風景を一望できるため、空港に用事がない人もカメラを片手に観光気分を楽しんでいる。
 空港では20日からターミナルに入るだけでも、爆発物の検査が必要になった。出迎えなどで空港を訪れた人も手荷物を爆発物検知器にかけなければならず、入り口には長蛇の列ができた。
 五輪メーン会場となる国家体育場(愛称・鳥の巣)や国家水泳センター(同・水立方)の周辺を走るハイブリッドバスも運行を開始。1台につき大型リチウム電池10個を積み、電気で動くバスとともに、「緑の五輪」(環境五輪)のシンボル的な存在で、乗客の張梓さん(65)は「音は静かだし快適です」と話していた。
 悪名高い大気汚染への切り札として20日に始まったナンバー規制。昨年8月の五輪プレ大会で実施された時は、大気も環境基準をクリアしたと発表されており、当局は「五輪期間中の大気汚染は改善される」と自信をみせる。
 この日、通行を許可されたのは偶数ナンバーの車。交通量はいつもの日曜日と比べるとめっきり減ったが、1日おきにしか車を運転できない不便さは市民生活にも影響している。
 白タクなどは公共交通機関とは違って規制の対象になるため、運転手の中年の女性は「五輪で仕事が繁盛すると思っていたのに」と嘆き節。一方、清華大学近くで客待ちしていた別の男性運転手は「小学校4年生の娘が成績優秀で五輪の開会式に招待されるんだ。2か月間、収入が減ることぐらい何でもないよ」と喜色満面で話していた。
 土木工事が全面禁止となった市内では、鉄骨がむき出しになった建築中のビルや、がれきが放置されたままの現場が散在している。
 卓球会場となる北京大学の南にある中関村広場。五つ星ホテルの建設現場で作業していた四川省出身の民工の男性は「作業はきょうで終わり。明日から何をするか決まっていない」とあきらめたような表情で笑い、「国家の歴史的な行事だから、仕方ないよ」とつぶやいた。
 中心部・故宮の北では18日朝、古い民家が住民とともに姿を消した。再開発で周辺の家屋が取り壊される中、住民の女性一人だけが立ち退きを拒否していた。10平方メートルちょっとの平屋建てがあった場所は20日には整地され、草花が植えられていた。
 この一角は開会式直前、聖火リレーのコースになる。民家が面していた大通りを市内観光バスがゆっくりと通り過ぎていく。
 近所の住民によると、女性はおとなしく、政府に逆らうような人柄ではなかったという。立ち退きを免れた近くの男性は「移転補償費が30万元ほど(約470万円)では住まいを買えないし、この地への愛着もあっただろう。彼女の気持ちは理解できる」と話した。近くの通路の壁には、女性が張った「犬を探しています」という写真付きのビラが残っていた。

◎中国:北京五輪目前、農民工「締め出し」開始(2008年7月20日、毎日新聞)
 【北京・木戸哲】建設現場で働き、北京の発展を支えてきた地方からの出稼ぎ労働者「農民工」が、五輪を前に続々と街を離れている。2カ月間の工事停止期間が20日に始まり、北京市当局が帰郷を促すような政策を取っているためだ。「事実上の追い出し」「貧困層隠し」との声もあるが、家族と過ごす長い休日を楽しみにしている農民工も多い。「彼らが帰ってこなければ工事が再開できない」。五輪後に向け、企業側は気をもんでいる。
 北京市政府の通告によると、20日~9月20日の2カ月間、大気に影響を及ぼす土木工事や建設工事は停止される。この間に北京五輪・パラリンピックが開催されるからだ。農民工が北京に残るには、「暫住証」という証明書を取得する必要がある。市側が農民工の管理を強化しているため、留守番役に選ばれた農民工以外は暫住証取得は困難だという。
 地元の建設関係者は「事実上、出ていってくれという面もある。治安対策に加え、農民工が出歩くことによるイメージダウンを避けたいという当局の思惑もあるのでは」と話す。
 「残りたいけど、暫住証がもらえないので帰るしかない」。長距離列車が発着する北京西駅で20日、列車を待っていた山西省の男性(40)はあきらめ顔で話した。別の男性は「北京にいても五輪を見るカネはない」。河南省から来た6人の男性たちは「仕事がないなら、あるところに行くだけ」と話し、内モンゴル自治区に向かった。
 一方で、陝西省出身の祁紅続さん(45)は「僕は五輪に向けて建てられたホテルの現場で働いていた」と誇らしげに話す。帰省中も1日10元(約150円)の補償がもらえ、片道の交通費も会社が負担してくれるという。カネを受け取れるのは北京に戻ってきてからだが、「大学入試が終わったばかりの娘と久しぶりにゆっくり話せる」と笑顔を見せた。
 北京市中心部の高層ビル建築現場前では、数人の農民工がしゃがみ込んでいた。2カ月分の給料が未払いのままだという。「帰りたいけど、金をもらうまでここを離れるわけにはいかない」と口々に不満を口にしていた。
 北京師範大の趙※副教授(※は火へんに偉のつくり)によると、農民工の日当の相場は1日60元(約900円)。月収1800~2000元になり、市の最低賃金(1カ月760~780元)を上回る。副教授は「農民工がいなければ北京では工事は再開できない。業者は9月に農民工が戻ってくれるか心配している」と指摘している。

◇農民工
 地方からの出稼ぎ農民。サービス業で働く人たちも含まれる。北京市では数十万人が工事現場で働いているとも言われる。中国では自由に戸籍は移せず、戸籍地を離れているため、社会保障制度の枠外に置かれてきた。給与の不払いが問題化したこともあるが、最近は待遇が改善されているという。

◎【円ドル人民元】「五輪を機に浮上する中国のマネーパワー」(2008年7月20日、産経新聞)
 米CNNテレビは最近、スーダン・ダルフール地方の惨状を伝え、現地の石油利権獲得に向けて投資、さらに武器輸出する中国を厳しく批判し、「北京五輪にも影響する」と報じた。チベット問題に続き、中国の人権抑圧に対する国際批判は止むことがない。
 だが、北京は動じない。指導部がその「マネーパワー」の威力に自信を深めているからだ。例えば、チベット騒乱後、五輪開会式への出席拒否を口にしていたフランスのサルコジ大統領は、国内の強い反対を押し切ってまでなぜ翻意したのか。
 中国共産党のある幹部は得意げに語った。「観光立国フランスには衝撃となる党中央の統一戦線工作の成果だよ」。敵を味方に変えるのが同工作だ。中国は有り余る外貨を海外で使うために海外観光ツアーを奨励している。中国の旅行社は欧州関係のツアーを盛んに組んでいる。ところがもっとも人気のあるはずのフランス向けは希望者が集まらないという理由でツアーを中止、キャンセルが相次いだ。党中央の「暗黙の指示」を受けた旅行社がフランスを狙い撃ちにして「自主規制」したのだ。
 米国も「人権」に構ってはいられない。北朝鮮の核をめぐる6カ国協議での議長国中国の役割に加え、今や中国は米国にとって「最後の貸し手として考えるべき」(7月17日付英フィナンシャル・タイムズ紙)という存在にまでなった。折しも米住宅抵当金融公社経営危機が表面化し、米金融市場を根底から揺るがせている。問題の公社2社が発行したり保証している住宅関連証券化商品の規模は、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)証券の10倍以上ともみられる。米政府は公的資金投入を検討しているが、必要額は住宅バブル崩壊の進行とともに巨額化し、イラク戦費などで膨らんだ赤字財政をさらに圧迫する。すると米国債への信認も揺らぎ、ドルが暴落しかねない。
 中国は世界最大の米国債と米住宅公社を中心に米政府機関債の保有国である。政府機関債は年間1500億ドルのペースで新規購入しており、現時点では5000~6000億ドルを保有しているとみられている。機関債全体の10分の1で、中国が売りに転じると米金融市場は大きく動揺するはずだ。したがって、米国は中国を「安定株主」として是が非でもつなぎ止めておく切実な事情がある。
 中国外国為替管理局は五輪前夜の8月4日から、中国国内の輸出業者の外貨をコンピューターによって全面管理する。「熱銭」と呼ばれる投機資金の流入を抑えるという名目だが、外貨も外国為替管理局が指定した特別な銀行口座に集中させ、監視する。中国に入ってきた熱銭は1兆7500億ドルで、外貨準備と同水準、2007年の中国GDP(国内総生産)の5割を超えると政府系の社会科学院は試算している。この巨額マネーが「五輪後」に逃げ出すのを防ぐと同時に、管理統制下に置いて、そのマネーパワーを最大限、政治戦略の達成手段として駆使するだろう。

◎中国:河北省の警察署内で9日に爆発、10人負傷(2008年7月20日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」は20日、中国河北省広宗県の警察署内で9日に爆弾が爆発し、10人が負傷したと発表した。原因は不明だが、中国では警察当局と住民との衝突事件が相次いでいる。住民が警察への不満から爆弾を仕掛けた可能性もあるという。
 センターによると、地元警察官や病院は爆発があったことを認めたが、原因については語らなかったという。

◎中国:少数民族地域で住民と警察衝突、16人死傷(2008年7月20日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国国営・新華社通信によると、中国雲南省孟連ダイ族ラフ族ワ族自治県で19日、住民約400人と地元警察が衝突した。警察側はゴム弾を発砲して鎮圧し、住民2人が死亡し、1人が負傷した。警察側も13人が負傷した。中国の少数民族地域で大規模な衝突が起きたのは今年3月のチベット暴動以来。
 報道によると、地元のゴム園で働く労働者が衝突に加わっている。ゴム園では最近、激しい労働争議が起きていたとされ、地元当局が詳細を調査中としている。
 同県は中国西南部のミャンマー国境に位置し、人口11万4000人のうち21の少数民族が86%を占める。その多くがチベット語系の言葉を話し、仏教や原始宗教などを信じている。

◎街角:北京、追われる出稼ぎたち(2008年7月20日、毎日新聞)
 「北京はどんどん暮らしにくくなる。もうやってられない」。四川省から北京に出稼ぎに来ている女性から友人にメールが届いた。働いていた飲食店が営業停止になり、職を失ったという。
 地方からの出稼ぎ労働者が次々と北京を追われている。北京五輪を前に街の美観を気にする市当局が、建設工事や深夜営業店への締め付けを強めているからだ。
 北京市公安局によると、同市に登録している出稼ぎ労働者ら一時居住者は約520万人。北京の戸籍を持つ約1200万人の半数近くにのぼる。近年、五輪施設の建設ラッシュの労働力として急増し、北京の経済発展を支えた。一方、外来人口の急増による治安悪化や家賃上昇などマイナス面も指摘される。
 彼女のメールは「昨日も警察が店に来て、『全員家へ帰れ、もう出勤しなくていい』と命じていった」と続く。営業停止になる理由は必要書類の不備などさまざまだが、期間はほぼ一律に五輪・パラリンピック終了までだ。当局は公式には認めないが、出稼ぎ労働者を社会不安要因とみなしているのは間違いなさそうだ。
 従業員らにとって最大の問題は、規制が終わる9月20日までをどう乗り切るか。中国では休業中の従業員に給料を全額支払う会社はまずない。彼女も「家賃の安い所に引っ越そうと何日も物件を探しているが、どこも高くて」と悲鳴を上げる。
 「五輪期間中は列車の切符も不足する」と聞いて北京駅を訪れると、早くも長蛇の列ができていた。五輪開会を前に北京を去る人たちだった。【浦松丈二】

◎北京五輪控え偶数、奇数のナンバー規制始まる(2008年7月20日、産経新聞)
 【北京=川越一】北京五輪の開幕を間近に控えた北京市で20日、一般車両のナンバーの偶数、奇数による交通規制が始まった。ナンバー規制は大気汚染の改善と慢性的な渋滞の緩和に向けた最終手段。テレビや新聞などで徹底的に告知をしたにもかかわらず、“北京侵入”を試みる市外ナンバーの乗用車が追い返される光景もみられた。
 北京市内で登録されている自家用車はすでに300万台を突破している。現在でも1日1000台のペースで増加しており、工場の吐き出す煤煙(ばいえん)と並び深刻な大気汚染の元凶とされてきた。
 工場の移転や一時操業停止を進めてきた北京市は、車両のナンバーの末尾の偶数、奇数で市内の通行を規制し、交通量の削減と排ガス削減をもくろんだ。そのほか、公用車や企業の車も30%以上が使用を停止。排ガス基準を満たしていない車両の通行も禁止した。
 北京市環境保護局は、今回の規制で乗用車の通行量は約45%削減されると予測。汚染物資の排出量も約37%減少するとの試算もある。昨年8月、4日間にわたって行ったテストの際は、主要道路の交通量が約3割減少、大気の状況についても改善がみられたとされている。
 ナンバー規制は午前0時~同3時を除き、終日行われる。違反した場合は100元(約1500円)の罰金が科せられる。規制初日の20日、北京~天津間の高速道路の料金所では自動小銃を手にした武装警察官も出動し、違反車両をチェックした。検査は1台につき約30秒のペースで進められたが、数百メートルの車列ができていた。
 天津市ナンバーと山西省ナンバーの2台が追い返されていたが、検査にあたっていた警察官によると、同日午前10時の時点で、同料金所での違反車は3、4台にとどまっているという。
 警察官は「テレビや新聞で十分に告知したから、全国民が知っているはずだ」と話したが、山西省ナンバーのSUV(スポーツ用多目的車)を運転していた中年男性は「規制は知っていたが、何とかなると思った」。“確信犯”も存在するようだ。

◎雲南省でも暴動、警官隊と400人衝突、2人死亡(2008年7月20日、朝日新聞)
 【上海=西村大輔】中国の新華社通信によると、雲南省孟連で19日朝、住民約400人と警官隊が衝突して住民2人が死亡、警官13人と住民1人が負傷した。警官隊は鎮圧のためにゴム弾を発砲した。
 同通信によると、住民側の一部はゴムを栽培する農民で、地元企業に対して抗議行動を繰り返していた。警官隊が事件の処理のために現場に出動した際に、住民との衝突が起きたらしい。
 孟連は雲南省南部のミャンマー(ビルマ)との国境付近にあり、タイ族やワ族などの少数民族が多い自治県。北京五輪を目前に控え、当局は治安維持に全力を挙げているが、各地で住民暴動が相次いでいる。

◎開業地下鉄いきなり遅れ、駅では汗だく、20日にナンバー規制も(2008年7月19日、産経新聞)
 【北京=川越一】北京五輪に向け、総額223億元(約3500億円)を投じて整備が進められていた空港線と地下鉄など新路線3本が19日午後、開通した。利便性が増した地下鉄は五輪期間中、1日平均約500万人の利用が見込まれている。20日からは車のナンバーの偶数、奇数による交通規制も始まり、大気汚染の改善と渋滞緩和が期待されている。
 同日は空港線と女子マラソンの野口みずき(シスメックス)が“北京の秋葉原”と呼んだ市北西部の電器街「中関村」や、東部のビジネス街を通る地下鉄10号線が開業した。10号線から乗り換えて五輪公園に向かう五輪支線はテロ対策のため、選手や関係者、当日の入場券を持つ観客しか利用できず、北土城駅の駅員によると、開業は五輪開幕の8月8日になるという。
 一方、北京国際空港と北京市内を約20分で結ぶ全長28キロの空港線は、開業初日、緊急停車を繰り返し、10分程度の遅れが出るケースもみられた。ビニールハウス状の空港駅は蒸し暑く、電車を待つ乗客が汗だくになっていた。
 母親と一緒に空港線を利用した北京市の大学生、殷丑楠さん(20)は「時間が短縮できるから25元(約390円)でも許せる。混雑していなかったら、これからも利用したい」と話していた。

◎広東省で数百人暴動、取り調べで男性死亡、警察に抗議(2008年7月19日、朝日新聞)
 【上海=西村大輔】中国広東省博羅で、無許可で客を乗せた電動バイクの運転手が取り調べの際に死亡したのをきっかけとして、17日、住民数百人が警察車両をひっくり返したり、警官を切り付けたりする暴動が起きた。香港紙・東方日報が18日に伝えた。中国では6月下旬以降、貴州、陝西、浙江の各省で公安当局に抗議する暴動が続いている。
 同紙によると、運転手の男性が路上で警官の制止を振り切ったところ拘束され、警官らが通過を許可する代わりに200元(約3千円)を男性に要求した。男性が断ると公安局の施設に連行され、殴られて死亡したという。
 地元公安局は男性の遺族との和解を模索したが、遺族側が拒否。警察の対応に怒った親族や同業者ら数百人が公安局の施設を取り囲み、一部が暴徒化して施設や警察車両を壊し始めた。刃物を持った住民に追いかけられた警官3人が死亡し、多数が負傷したとの情報もある。
 地元の40代の男性は朝日新聞の取材に「2階建ての公安施設の1階はガラスが割られ、室内もめちゃめちゃに壊された。中にいた警官はみんな逃げた」と話した。
 6月28日には、貴州省甕安(おうあん)で16歳の少女が死亡する事件の処理をめぐり数万人の騒乱が起き、地元公安局の庁舎が放火されるなどした。7月5日は陝西省府谷で、ナンバープレートがない車を運転していた男性が警官に追いかけられて川に転落、死亡した事件をめぐり、多数の住民が警察車両に放火するなどした。浙江省玉環では10~13日、一時居住許可証の処理をめぐり警察官と口論になり出稼ぎ労働者が殴られた事件をきっかけに、千人を超える労働者が派出所に投石し、警察車両を破壊した。
 背景には、警察の深刻な腐敗体質や市民への高圧的な姿勢などに対する強い不満がある。いずれも発端は小さな事件だが、住民の反感に火が付いて拡大した形だ。
 当局は武装警察などを動員、多数の住民を拘束するなど厳しく取り締まっている。一方で、甕安では県共産党委員会書記や公安局長らを解任し、府谷では警官6人の職務を停止した。住民側の不満への対応も打ち出さざるをえなくなっている。

◎中国:北京の地下鉄3路線新設、北土城駅で開通式(2008年7月19日、毎日新聞)
 【北京・藤野智成】北京五輪に向けて新しく建設した北京市内の地下鉄3路線が19日午後2時(日本時間同日午後3時)、一斉に開通する。総工費223億元(約3440億円)をかけた大規模プロジェクトで、慢性化している交通渋滞の緩和が期待されている。午前中、北土城駅で開通式が行われた。
 3線は市内北部と東部を走る半環状線の「10号線」、10号線の北土城駅から北上し、メーン会場の国家体育場(愛称・鳥の巣)などの競技場が集まる五輪公園内を走る「オリンピック支線(8号線)」、北京首都国際空港と結ぶ「機場(空港)線」の延長計58キロ。
 オリンピック支線は五輪とパラリンピックの期間中、当日の入場券持参者と選手、関係者らが利用する。

◎北京の地下鉄3路線が開通、五輪支線は一般開放せず(2008年7月19日、産経新聞)
 北京五輪に向け北京市で整備が進められてきた3本の地下鉄の開通式が19日、行われた。北京の地下鉄は計8本となり、五輪期間中は1日平均約500万人が利用するとみられる。
 新路線は北京国際空港から約20分間で市内に到着する空港線、市北西部のハイテク街や東部のビジネス街を通る10号線、10号線から乗り換えて五輪公園に向かう五輪支線。
 テロ対策のため、五輪支線は五輪期間中、選手や関係者、当日チケットを持っている観客しか利用できない。乗客は10号線の乗換駅で改札を出て安全検査を受ける。一般に開放されないことに不満も出ている。全面開放は9月20日から。
 新路線は五輪に向けたインフラ計画の柱として総額223億元(約3500億円)が投じられた。10号線は各駅にエレベーターや車いす用昇降機を設け、バリアフリー化を進めた。(共同)

◎北京の地下鉄新路線、19日午後開通へ、五輪会場と空港結ぶ(2008年7月19日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】北京五輪開幕が迫り、19日午後に開通する北京の地下の新路線が同日、外国メディアに初めて公開された。北京の空の玄関、首都国際空港と五輪会場周辺をつなぐことで、観戦の利便性向上を目指すのが狙いだ。
 この日公開されたのは、新たに開通する3路線のうち、五輪会場に近い北京北部と東部を走る半環状線「10号線」。五輪期間中、6両編成の車両が最短3分半の間隔で運行し、1本当たり最大1400人余りの乗客を五輪会場の近くまで運ぶ。
 五輪を控えた北京の交通整備の目玉だったが、北京市交通委員会は安全検査の強化を理由に、10号線と五輪公園までを結ぶ「五輪支線」の乗り換えをできなくした。地下鉄だけを使った空港からの会場入りが出来なくなったほか、6月末開通という当初計画もずれ込んでいた。

◎海外芸能人“反中国”活動で興行主に罰則(2008年7月19日、スポーツニッポン)
 中国文化省は国家の安全や民族間の団結を妨げる外国や台湾、香港の芸能人のコンサートなどを容認しないとする通達を出した。北京五輪を控えた警戒強化の一環。同省ウェブサイトに18日、掲載された。共同電によると、通達は政府の宗教政策に違反したり民族的な恨みをあおる演出、わいせつな演技なども認めないと強調。違反した場合、興行元に対し2年間にわたって海外アーティストの受け入れを禁止すると警告した。
 中国では3月、アイスランドのビョークが上海公演で「ディクレア・インディペンデンス(独立を宣言せよ)」と題した歌を歌い「チベット!チベット!」と連呼。「チベット独立」を支持したとして当局が非難していた。通達は「中国の主権に危害を加えたことのある団体、個人の興行を認めない」としており、ビョークのほか、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世を支持する欧米スターらも中国での活動を規制されそうだ。

◎人気ない日本米、中国で大量売れ残り(2008年7月17日、スポーツニッポン)
 日中両国政府の合意に基づき日本が中国に輸出したコメのうち、追加輸出分の約3割が売れ残っていることが17日、明らかになった。
 輸出された日本のブランド米の価格が中国産の数10倍もするため、消費者が敬遠したとみられる。富裕層を中心に日本米の需要をつくり出し、年間コメ消費量1億3000万トンとされる巨大市場への進出を目指した日本の輸出戦略は早くも見直しを迫られそうだ。
 中国へ輸出したのは、新潟県産コシヒカリと宮城県産ひとめぼれ。2007年7月に北京と上海で売り出された計24トンは完売。さらに追加輸出した100トンを北京、上海だけでなく、天津や広州など計13都市で今年から販売している。
 しかし関係者によると、追加輸出分は2月の春節(旧正月)後に販売が落ち込み、6月末までに約30トンが売れ残った。日本の農林水産省の担当者は「日本のコメは当初、中国メディアも報道し話題となった。春節前後まで企業などが贈答用として購入したが、一般の家庭にまで浸透しなかった」と分析する。
 中国での販売価格は2キロ当たりコシヒカリは198元(約3000円)、ひとめぼれが188元。安全検査費用や中国の業者に支払う手数料が価格を押し上げ、台湾、米国、シンガポールなどに輸出している日本のコメと比べても高いという。
 農水省は「これまでのようなペースでの輸出を続けるのは難しい」と予測。今後は、販売するコメの種類を増やしたり、中国で販売手数料の引き下げを促したりすることにより、中国の消費者への浸透を目指す考えだ。
 日本のコメ輸出は03年に中国の検疫制度改正に伴い停止されたが、07年4月の温家宝首相の訪日時に両国政府が輸出再開で正式合意した。

◎75万トン除去も繁殖中、セーリング会場の青島でアオサ異常発生(2008年7月15日、産経新聞)
 北京五輪セーリング競技の会場でもある山東省青島市の海域で6月中旬以降、アオサが異常発生し、競技本番で影響が出ないよう市当局は除去に躍起だ。
 同市によると、ピーク時には、青島沿岸の400平方キロの海面がアオサで覆われ、1.5万平方キロの海域に影響が出て、セーリング競技の練習にもおよんだ。この海域には五輪のセーリング競技が行われるエリアも含まれていた。
 アオサは20日で1.5倍に増える繁殖力が旺盛な海藻。それだけに市当局は、五輪競技の運営に支障が生じることを強く懸念し、アオサの除去作戦に乗り出した。
 この約1カ月間、1日当たり約5000人の兵士、市民ボランティア約3000人、企業・政府機関職員を総動員し、計75万トンのアオサを除去。アオサの分布面積は61.66平方キロにまで縮小した。しかし、近隣の沿海200キロにわたりアオサの繁殖はなお続いている。
 青島では北京五輪のセーリング女子470級代表の近藤愛、鎌田奈緒子の両選手を含め、36カ国・地域の405選手・コーチが練習。青島五輪セーリング委員会は連日、選手らに「アオサ予報」を出し、練習への悪影響を防いでいる。
 しかし、なぜ急にこの海域でアオサが異常発生したのかは不明だ。中央政府は事態を重視し「アオサ自然災害応急処置専門委員会」を立ち上げるよう指示。科学技術省、中国科学院、国家海洋局の専門家らが原因解明と根本的な解決策を検討する。(山東省青島市、福島香織)

◎中国浙江省で出稼ぎ農民数百人が暴動、拡大の恐れ(2008年7月15日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターは14日、中国浙江省玉環県で11日から13日にかけ、警察に拘束された仲間の釈放を求める数百~1000人の民工(出稼ぎ農民)による暴動が起きたと伝えた。
 同センターによると、民工の一人が9日、臨時居住許可証の手続きをめぐり、担当者と口論になって殴られたのが発端となった。民工らはこの担当者の逮捕を求めたが、警察は逆に民工らを拘束。怒った民工が派出所に押しかけレンガを投げつけるなどした。
 警察は民工30人を拘束したが、14日時点でも抗議行動は続いており、同センターは、30人の処分次第では再び大規模な暴動に発展する可能性があると指摘した。
 中国では6月にも、公安当局を襲撃する大規模暴動が貴州省で起きたばかり。

◎中国:河南省の企業家を逮捕、違法に出資金187億円集め(2008年7月14日、毎日新聞)
 14日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国河南省の企業家が違法に資金を集めたとして、公安当局に逮捕された。この企業家は来週から河南省で行われる北京五輪の聖火リレーのランナーに選ばれていた。
 同紙や香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、逮捕されたのは「未来農業」社の呉振海会長。会長は同社が扱う産品の生産量などについて虚偽の事実を出資者らに示し、先月までの間に約5万人から約12億元(約187億円)を集めたとされる。
 河南省の劉満倉副省長が会長の有力な支持者で、中国共産党の規律検査部門が劉氏の関与についても調査を始めているという。(共同)

◎中国貴州暴動、100人の身柄拘束(2008年7月14日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】中国貴州省甕安県で起きた3万人規模の暴動で、貴州日報は14日、地元公安当局が355人の関与者を取り調べ、うち容疑者100人の身柄を拘束したと報じた。
 拘束した容疑者のうち39人は暴力組織の構成員だった。公安当局はこうした暴力組織が市民を扇動、脅迫する形で暴動を引き起こしたとみており、組織メンバーを含めた関与者の割り出しに全力を挙げている。

◎中国製レンジで火災11件、昨秋リコール、改修進まず(2008年7月14日、朝日新聞)
 家電販売業「小泉成器」(本社・大阪市)が昨年9月からリコール(部品交換)している中国製電子レンジによって火災が11件起きたことが14日わかった。いずれもけが人はいなかったが、改修対象の2機種(KRD-0105、0106)計8万台に対し、改修率は6月30日時点で4.4%にとどまる。
 経済産業省によると、使用中に扉の開け閉めを繰り返すと、開閉を感知するスイッチが接触不良になり、火花が出て発火する恐れがあるという。先月29日に東京都、今月4日には埼玉県で使用中の製品から火が出る事故があった。同社の問い合わせ先はフリーダイヤル(0120・551・494)。

◎労働者千人が中国浙江省で暴動、拘束に抗議、派出所囲む(2008年7月14日、朝日新聞)
 中国浙江省玉環で12~13日、拘束された仲間の釈放を求める千人以上の出稼ぎ労働者が警察の派出所を取り囲み、投石したりして建物を破壊した。香港の中国人権民主運動情報センターなどが14日、伝えた。
 一時居住許可証の処理を巡り労働者が9日、警官と口論になり殴られたのが発端。憤慨した労働者ら数百人が派出所に集まったが、当局は労働者23人を逮捕したため、抗議はさらに広がった。(上海)

◎「青空」増は人為的? 北京市「汚染ひどいと改善措置」(2008年7月11日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】北京市で「青空の日」が増えたのは当局が操作した結果?――。市環境保護局の杜少中副局長は10日、記者会見で「大気汚染がひどい時は観測点周辺で空気改善の措置を取る。指数が基準を多少上回りそうな時には有効に制御できる」と述べ、人為的に調整していることを認めた。具体的には、粉じん発生を伴う建設現場の工事を一時中断させるなどの措置を指すとみられる。
 北京市は浮遊粒子状物質や二酸化硫黄などの濃度による大気汚染指数を定め、100以下の日を「青空の日」としている。98年は100日だったが、北京五輪を前に大気状況を改善し、昨年は246日に増えたと宣伝していた。
 10日の記者会見では、「100以上のところに一種の空白地帯がある」と指数の分布の偏りを指摘する質問が出た。杜副局長は「観測所の観測範囲は周囲9平方キロと局地的。簡単な対策を取ればデータはよくなる」と話した。

◎北京五輪記念の10元札、市場で100倍以上の高値に(2008年7月10日、読売新聞)
 【北京=田村充】発行が始まった北京五輪の記念紙幣10元札(約150円)が10日、北京市内の切手・紙幣市場に出回り、100倍以上の値を付けた。
 前日は終日、各銀行で徹夜組も含め大行列が見られた。市北部の紙幣市場にはメーン会場・国家体育場(愛称・鳥の巣)が描かれた10元札が登場。10日午後の時点で、北京のサラリーマンの平均月収の3分の1に相当する1000元(約1万5000円)を超える高値も。
 50人以上の知人に交換用の10元と謝礼50元を渡して並ばせ、50枚以上を仕入れたという店主は、「この市場で、在庫はウチが最も多い。品薄になればもっと値上げできる」とニヤリ。

◎中国公安当局、「新疆独立派」ウイグル族5人を射殺(2008年7月10日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】10日の新華社電などによると、中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ市の公安当局は8日、「漢族殺害を目指す『聖戦』の訓練を受けた」ウイグル族5人を射殺した。
 北京五輪を狙ったテロを警戒する共産党政権は、分離独立運動の火種がくすぶる新疆で、力の行使をためらわない徹底的な治安対策を進めている。
 事件の発端は、5月に同市で起こった漢族傷害事件。今月8日、武装した警官15人が、事件の容疑者を含むウイグル族男女15人がいるアパートを包囲した。催涙弾を撃ち込むと、男らが刃物を持って飛び出し、警官1人が負傷。直ちに警官隊が発砲、5人が即死し、2人が負傷した。残りは捕らえられた。
 新華社は容疑者たちの「聖戦」を強調、アパートからは30本以上のナイフが見つかったと伝えている。香港紙によると、全員が新疆独立派だった。
 事件翌日の9日、同市公安局の陳壮為・党委員会書記は、全警官に対し、「北京五輪の安全確保に向けた第2段階の総動員令」を出し、「大事件はもちろん、小さな事件も起こさない」ための緊急行動を取るよう命じた。
 同市当局は今年1~6月、「五輪破壊を狙った」5つの暴力・テロ組織を摘発、「テロ容疑者」82人を拘束した。さらに、分裂主義者、過激分子など66人を逮捕、党が非合法化する気功集団「法輪功」のメンバー25人も捕らえたという。この強力な治安維持活動が、五輪を前にさらに厳しくなる。
 中国外務省の劉建超・報道局長は、10日の定例記者会見で、政権側の対応に関して、「新疆には確実にテロ組織が存在し、テロに打撃を加える中国政府の態度は揺るがないことを強調したい」と述べた。
 ただ、五輪のための治安維持が、民族融和につながっているかどうかは疑問だ。力を前面に出した対応が、ウイグル族の反政府、反漢族感情をさらに刺激している可能性がある。

◎五輪テロ警戒で82人拘束、ウイグル自治区、上半期(2008年7月10日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営新華社通信によると、北京五輪を控えてテロへの警戒を強める新疆ウイグル自治区公安庁が今年上半期(1~6月)、北京五輪のテロを狙って準備をしていたとして五つの「テロ組織」を摘発し、82人のメンバーを拘束。さらに41カ所の「訓練所」を破壊したという。陳壮為・副庁長が9日、明らかにした。
 中国公安省は、中国から分離独立して少数民族ウイグル族の新国家創設をめざす「東トルキスタン・イスラム運動」の動きを警戒しており、陳副庁長は「五輪開幕を目前に控え、安全確保のために取り締まりを一段と強化しなければならない」と述べた。
 一方、中国外務省の劉建超報道局長は10日の定例記者会見で、北京在住の英国人1人を自宅から連行して、国外追放にしたことを明らかにした。チベット独立を求めているインド・ダラムサラの亡命チベット人団体「チベット青年会議」のメンバーで、当局の調べに中国の法律に違反したことを認めているという。

◎中国、車販売に一服感、上半期18%増(2008年7月10日、日本経済新聞)
 【広州=阿部将樹】急成長を続けていた中国の自動車販売に一服感が出てきた。中国汽車工業協会が10日発表した2008年上半期(1~6月)の中国内生産の自動車販売台数(商用車含む)は前年同期比18.5%増の518万2200台だった。同国の中・南部を襲った大雪・大雨の被害、四川大地震などで伸び率は鈍化しており、足元の販売にやや陰りも見え始めている。
 06、07年の上半期は20%を超える伸び率だった。今上半期のスポーツ多目的車(SUV)とミニバンを除く乗用車の販売台数は17.1%増の360万9000台だった。

◎中国の貿易黒字11.8%減、08年上半期、輸出が減速(2008年7月10日、朝日新聞)
 中国税関総署が10日発表した08年上半期(1~6月)の貿易収支(速報)によると、貿易黒字は990億ドルと前年同期と比べて11.8%減少した。米経済の減速や人民元の対ドル相場上昇などの影響で輸出が減速しているうえ、原油などエネルギー資源の高騰で輸入も大幅に伸び、黒字幅が縮小した。
 08年上半期は、輸出が前年同期比21.9%増の6666億ドルと20%を超える伸びを維持したものの、輸入が同30.6%増の5676億ドルと大幅に増加した。
 中国の貿易黒字は04年以降増加が続き、高い経済成長を引っ張ってきた。07年は上半期だけで1千億ドルを超え、年間では過去最高の2622億ドルを記録した。だが、08年は5年ぶりに減少に転じる公算が大きくなっている。

◎高価な割に味は中国米と互角?日本のブランド米が中国市場で大苦戦(2008年7月10日、Diamond on line)
 日本産のコメ、その第2便が昨年12月末と08年1月下旬に中国に輸出された。07年7月に送り込まれた第1便24トン(新潟産コシヒカリ、宮城産ひとめぼれ)が、富裕層を中心に「パーッと売れた」という手ごたえから、上海・天津の港に荷揚げされた第2便(合計100トン)は北京、上海のみならず、中国13の地方都市にばら撒かれた。だが、半年経った今、日本産米の売れ行きが鈍っている。流通ルートと販売価格、その選択は正しかったのか。日本産米の中国展開は早くも黒雲が立ち込めている。

・輸入第1便の「売れた」はぬか喜びだったのか?
 攻めの農業のシンボルでもある日本産のコメ、昨年、その対中輸出が4年ぶりに解禁となった。07年6月末、第1便が日本の港を出発、中国に陸揚げされると、「1袋(2キロ)198元(約2970円)」という目の玉が飛び出るほどの価格をつけて市中に出回った。日本円に換算すれば10キロ1万5000円もするコメだ。コメの味にうるさい日本の主婦が求めても10キロ5000円がせいぜい。ちなみに日本のコメの小売価格、新潟産コシヒカリなら4896円(07年12月、10キロ)、宮城産ひとめぼれなら4100円(同)だ。
 中国のサイトにも「こんな高い米、一体誰が買う?」、「喜んでいるのは日本の農民だけだ」と書き込みが走り、現地在住の日本人主婦も「買えるわけがない」、頼みの外食、すなわち日本料理店もまた「こんなコストのかかるコメ、客に迷惑かけるだけ」・・・・・・と冷ややか。決して「日本米が歓迎されていた」わけではなかった。
 中国で年間消費されるコメは1.3億トン、1人当たり年間およそ100キロを食べる。上海の庶民が選ぶのは1キロ2~3元(1元=約15円)程度のコメ。富裕層が買い求める良質米でも1キロ10元程度だ。が、中国で流通を始めた日本米は1キロ約100元、どう考えたってこれを受け入れることができるのはかなり「特殊」な層だ。
 だが、そんなコメがこともあろうに「パーッ」とはけた。中国のコメ相場の10~50倍に相当するコメを買って行ったのは富裕層といわれ、上海では「初日で500袋も売れたらしい」というウワサが流れた。店舗によっては「かなりの数の予約が一気に入った。けれどもレジに現れたのはどうみても普通のおばさん。富裕層には見えなかった」と率直に語るところもあれば、「売るためにサクラを仕掛けたのでは」という穿った見方も存在した。
 だが、考えてみれば6000袋ぐらいは実は簡単にはける。
  「うちは第1便の時100袋を売り切った」と話すのは上海を拠点に中国全土で10店舗の日本食材スーパーを展開する石橋修さんだ。「売り切ったといっても10袋ずつ10店舗においたわけですから、その程度は難なくさばけるんです。うちの店舗では5キロパックのコメが月何十トンと売れるんですから」と続ける。
 そもそも、中国市場においては24トンなどたいした量ではないのだ。さらに第2便では中国に100トンが輸出され、2キロパック換算で5万袋を販売することになる。これを13の都市で割ると1都市あたり平均3846袋。決して手の届かない目標ではない。
 だが、その日本産米は“魅力あるはずの中国市場”を目の前に行き詰っている。第2便の100トンは、半年を経過した5月末時点でようやく60トンが売れた程度。第1便を「売れた」と見るのは早計だったのか。

・どこでも手に入る日本米は、高いだけの“フツーの米”
 果たしてこの日本産米をどう中国市場でどう流通させるか。
 07年4月、輸出まであと2ヵ月余りという時期、その流通ルートは「輸出は全農、輸入は中国穀物大手商社のCOFCO(中国糧油食品進出口有限公司)が行う」(農水省)というものだった。いよいよ販売という段でこの「2社による販路開拓」から「全農→農協貿易→COFCO→伊藤忠→現地での小売業」という図式に形を変える(そもそも、198元という常識を逸した価格も、富裕層への過度な期待と中間業者が増えたがための設定だとも。初期段階では2キロパック80元で売られる予定だった)。
 そして、第2便が来ると決まるとこの流通ルートがさらに“進化”した。
 「全農→農協貿易→COFCO(1次問屋)→伊藤忠(2次問屋)→現地の問屋(3次問屋)→小売業」となり、2次問屋の下に3次問屋が加わることになったのだ。上海市場の広い範囲で日本米が流通させるにはその意義は大きい。
 だが、意外にも聞こえてきたのは、上海の日系流通小売業者からの嘆きの声だ。結果、「1袋198元」の超高級米が「ただのフツーのコメに成り下がってしまった」というのだ。
 「日本米を売る側にもプライドがあった。言うなれば限定されたところにしか売ってないというオンリーワンのイメージだね。ところが第2便の蓋を開けてみてビックリ、どこの店でもあるじゃないの」
 確かに日本産米はカルフール古北店にも置かれていた。しかも、埋もれるようにひっそりと。周りには日本産の品種をうたい文句にした「中国産米」もある。タイからの輸入米もうず高く積み上げられている。1袋198元の日本産米は気を利かせて「ご贈答用」の紙袋を備え付けるも、角のひしゃげた紙袋はかえって「しょぼい」印象を与えてしまっている。せっかくの日本のブランド米もこれでは消費者には届くまい。
 「どこでも売っているならうちで扱う意味はない」―、第2便の販売開始から半年、小売業者の間では「日本産のコメ」への関心は潮が引くように薄れてしまっている。
 行き詰る日本産米だが、折りしも今年5月、中国向け日本産米の輸出をめぐり恒常的輸出条件が確立した。従来、日本産米は暫定輸出という位置付けで、その取引は全農とCOFCOの間に限られていたが、今後は輸出ルートの多様化が現実のものとなる。
 「競争ができる環境になる」「コメビジネスと関係のない貿易業者でも米を中国に輸出できるようになる」と関係者も関心を寄せるが、いくつかのハードルも。生産者側は中国側の検疫条件をクリアするための追加投資、さらに複雑な手続きが要求され、貿易業者は、1%の関税でのコメ輸出ができるように、「割り当て」を持つ中国の輸入業者と組むことが求められる。いずれも経験がないところでの取り組みとなるので、ビジネススタイルが確立するまでは手探り状態が続くだろう。

・中国東北米と日本米は味の区別がつかない?
 中国特有の流通小売事情という障壁以上に「日本米など中国で売るなんて所詮無理」と思う理由がもう1つある。中国の東北地方で収穫される「東北米」の存在だ。
 中国では2000年を過ぎたあたりから、パサパサした長粒米が姿を消し、日本のコメのような粘り気のあるコメが全国的に普及するようになった。
 筆者は05年に上海の日本人主婦を対象に、利き酒ならぬ「利き米」を行ったことがある。黒龍江省のコメ、新疆ウイグル自治区の米、江蘇省の米と一緒に魚沼産コシヒカリを出したところ、参加いただいた奥様方は大いに混乱した。それだけ中国産米がおいしくなったのだ。
 かつての不毛の地・黒龍江省では耐冷性の品種改良技術の進歩とともに、肥沃な土地柄を生かして「うまいコメ」の生産地として「中国東北米」ブランドを確立させてきた。さらに、93年の日本のコメ不足を引き金に日本の商社が行った開発輸入は、中国東北地方でのコシヒカリ、アキタコマチの生産を可能にした。
 黒龍江省に限らず、パキスタンとの国境に近い新疆ウイグル自治区でもアキタコマチの農場がある。しかも合鴨農法を導入した有機栽培の実験に着手していたのには驚かされた。

・日本米は中国東北米にブランド価値を与えただけか
 輸入日本産米にはこれだけの競合が存在する。中国のサイトの書き込みに「日本のコメの味は東北米と変わらない」とあったが、なるほどその通りなのだ。
 上海の売り場では、“パンダ印の「秋田小町(表記はママ)」”“日本髪印の「秋田錦」(同)”など、黒龍江省や吉林省を産地とした中国東北米が並べられるようになった。かつてなら産地の1つとしてしか受け止められなかった中国東北米が、「日本品種」をうたい文句に40元、50元という高価格帯で軒並みデビューを始めたのだ。いわゆる便乗商法だが、「1袋198元」の日本産米に比べたらはるかに安い。
 そして、ここでも最後に笑うのは中国。「市場に入れてくれた」と日本側に感謝されるばかりか、中国東北産米にまでブランド価値を与えてくれて・・・、と内心ほくそ笑んでいるに違いない。市場での値崩れと相対的な価値の低下で、いずれ消滅してしまう日本産米が不憫でしかたがない。

◎毛沢東に代わり「鳥の巣」、五輪記念紙幣に徹夜組(2008年7月10日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】北京五輪を記念し中国人民銀行が発行した10元(約150円)札が9日から、市中の銀行で交換できるようになった。
 記念紙幣の表には、通常紙幣の毛沢東に代わり「鳥の巣」の愛称がある五輪主会場の国家体育場が描かれている。裏は五輪発祥の地・古代ギリシャの円盤を投げる人の彫刻などのデザイン。発行は600万枚のみで、北京では徹夜組も出た。1人1枚に制限されたが、開店早々に品切れが続出。「200元(約3千元)で買う」とのダフ屋も出た。

◎中国海洋石油:傘下企業がノルウェー社を買収へ(2008年7月8日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国各紙は8日、国営石油大手、中国海洋石油(CNOOC)傘下の中海油田サービスが、ノルウェーの海上石油掘削会社であるアウィルコ・オフショアの全株を買収することで合意したと報じた。原油高が続く中、海外での海底油田探鉱を強化し、原油の安定調達と海外収益の拡大を狙う。
 買収総額は約25億ドル(約2700億円)で、両政府の認可と株主総会の承認が前提になる。
 アウィルコはオーストラリア、ノルウェー、ベトナム、サウジアラビア、地中海の5カ国・地域に海上油井プラットフォームを保有しており、中海油田は同社の買収によって、これまで空白域だった北欧、地中海に探鉱拠点を拡大できる。

◎中国の貧困層、1500万人まで減少(2008年7月8日、産経新聞)
 8日の新華社電(電子版)によると、2007年の中国農村部の貧困層人口は前年より約661万人少ない1487万人となった。中国の貧困層の定義は1人当たり年収683元(約1万円)以下。年収958元以下の低収入層は709万人減の2841万人だった。

◎中国・貴州省当局、大規模暴動で地元県幹部4人を解任(2008年7月5日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】5日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストなどによると、中国貴州省甕安県で少女強姦殺人事件隠ぺい疑惑をきっかけに起きた大規模暴動で、貴州省共産党委員会は4日までに、同県トップの王勤・県党委書記と王海平・県長ら県幹部少なくとも4人を解任した。
 同省党委の石宗源書記は3日に開かれた暴動の検討会の席上、「民衆の利益を侵害する事案が頻繁に起きていた」と県当局を批判しており、幹部への厳しい処分で、暴動の遠因となった当局の汚職や職務怠慢などに対する民衆の不満を和らげる狙いがあるとみられる。

◎貴州省暴動、事態収拾急ぐ中国、300人逮捕・ネット閉鎖(2008年7月5日、読売新聞)
 中国貴州省甕安(おうあん)県で6月28日に発生した大規模暴動は、1日までに武装警官など約3000人が出動し、沈静化した模様だ。
 暴動は、女子中学生に対する強姦(ごうかん)殺人事件を、地元警察が隠ぺいしたとする疑惑を端緒に発生した。中国政府は、北京五輪を約1か月後に控えたこの時期の暴動発生に衝撃を受けており、暴動参加者の摘発を本格化させる一方、省トップが地元政府の失政を事実上認めるなど、事態収拾を急いでいる。
 「暴動は落ち着いたが、町中、警官だらけだ。暴動には5万~6万人が加わったと思う。参加者はどんどん増えた」。甕安県の男性店員は本紙の電話取材に興奮気味に語った。女性住民は「自首を呼びかける宣伝車が走り回っていて怖い」とすぐに電話を切った。
 香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターによると、公安当局は暴動の際のビデオ映像などを基に摘発を本格化しており、これまでに300人以上が逮捕された。
 中国政府は、8月の北京五輪を間近に控え、チベット暴動に続く大規模暴動に衝撃を受けている。特に懸念されるのが、当局者の腐敗や横暴に不満を抱く、他の地方への飛び火だ。政府は、暴動の写真が掲載されたインターネットサイトを相次いで閉鎖。香港メディアによると、暴動に関する中国メディアの独自報道も禁止された。
 一方、国営新華社通信によると、省トップの石宗源・同省共産党委員会書記は「社会の調和と安定が最優先課題」と発言。そのうえで、「住民の移住や強制立ち退きなどの問題にこれまで十分な配慮をしてこなかった」と地元政府を批判し、住民の“懐柔”も図っている。省政府が捜査員を派遣し、再捜査にも着手した。
 だが、住民の不満は依然くすぶり続けている。1日付の香港紙・東方日報などによると、地元政府は30日、死亡した少女の両親に遺体を3日以内に埋葬するよう「最後通告」を出した。遺族や一部住民は「証拠隠滅になる」と強く反発。当局は1日、遺体の再検視を決めた。
 今回の暴動は、6月下旬に水死体で見つかった少女を、公安当局が「自殺」と判断したことが引き金となった。遺族側は性的暴行を受けた後に川に落とされたと主張。「犯人の一人の親が公安幹部のため、本格捜査が行われなかった」とのうわさも加わり、6月28日午後、住民数万人が暴徒化した。
 住民らは、警察本部を占拠して焼き打ちするなどして警官隊と衝突。新華社通信は制圧の際に警官隊が催涙弾を使用したと伝えたが、香港メディアは警官隊の発砲で住民少なくとも1人が死亡したと報じ、食い違っている。
 中国内陸部に位置する貴州省は経済開発が遅れた最貧省の一つ。甕安県は少数民族地区にあり、貧富の格差などへの根強い不満が、「中国で今年最大の暴動」(香港の人権団体)の遠因となった可能性がある。(香港支局 吉田健一)

◎中国:大規模計画停電、五輪供給を優先、石炭高騰で一部発電所停止(2008年7月5日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国の電力各社が、需要最盛期の9月にかけ、大規模な計画停電を実施する。国際的なエネルギー価格の高騰で国内の石炭市況が跳ね上がり、燃料の調達難から一部の火力発電所が運転停止に追い込まれているためだ。中国政府は、五輪開催地の北京、天津などへの供給を優先し、国際的な影響を極力避ける意向だが、日本企業の工場が集まる沿海部では操業短縮を求める動きが出始めており、生産活動への打撃は必至だ。
 中国の電力業界関係者によると、今夏の電力不足規模は最大1800万キロワットで、日本の東北電力1社分に相当する見込み。発電所の新設が相次いだ06、07年は不足量が1300万~1000万キロワットまで緩和されたが、今年は「停電が社会問題化した04~05年に匹敵する深刻な状況」(関係者)になる。
 標準的な国内炭価格は、07年の1トン=480~550元(1元=約15円)から、今年は700元前後に急騰。中国政府が、事故の相次ぐ小規模炭鉱を次々閉鎖してきたことも重なり、内陸の産炭地から遠い広東省などでは同900元前後まで上昇している。
 中国では、電力供給の9割を火力発電が占め、ほぼ全量が石炭火力。政府は電気料金を低価格に統制しているため、発電量が増えるほど電力会社の損失が膨らむ。国営電力5社は、昨年までの黒字から、今年第1四半期(1~3月)には計27億元の赤字に転じた。運転を止めた発電所は5月末段階で計600万キロワット超に達し、その後も沿海部を中心に運転停止が広がっている。
 従来、広東など周辺省に150万キロワットの余剰電力を供給してきた四川省も、5月の大地震で電力設備が倒壊し、逆に省外から電力を調達する必要に迫られたことも響いた。
 停電は一般家庭も対象で、地区ごとに異なる方法で実施される。山東省青島市では6月初旬、市政府が企業ごとに輪番での操業停止などを指示。上海市などでも9月下旬まで輪番操業停止が指示される見通しだ。

◇日本企業、操業調整
 日本企業では、トヨタ自動車やホンダなどが、計画停電の対象となる広東省内に工場を置く。同省広州市内に合弁工場があるホンダによると、計画停電はすでに数年前から定期的に実施されている。停電前には当局から予告があるため、予定日は工場を休業し、別の休日に振り替え操業するなどして生産計画への影響を防いでいるという。ただ今回は、これまで当局からの連絡がなく、規模は不明だが、実施された場合は「生産に影響を与えないよう、振り替え操業で対応したい」(ホンダ広報)と話している。
 日立製作所、松下電器産業、ソニーなど電機大手各社も、これまで何度も計画停電に対応してきた経験があり「生産時期を調整するなどの対応は可能」(大手)との声が強い。ただ「政府から指示を受けたら、従わざるを得ず、大規模なら影響はあるかもしれない」(三菱電機)と懸念している。【宮島寛、宇都宮裕一】

◇中国主要地域の電力供給制限(日本貿易振興機構北京センター調べ)
 山東省:青島、済南市などで電力供給制限を実施
 上海市:9月下旬まで輪番で操業停止を実施予定
 浙江省:9月下旬まで輪番で操業停止を実施予定
 江蘇省:9月下旬まで輪番で操業停止を実施予定
 遼寧省:大連市内の経済開発区の企業に供給制限を通知
 広東省:省内企業に電力供給制限の実施を通知。企業の重要性に応じて4分類し、供給制限量を決定

◎渋滞回避へ 五輪専用レーンの整備始まる(2008年7月5日、産経新聞)
 北京市内の主要道路で4日、五輪関係車両をスムーズに通行させるための専用レーンの整備が始まった。
 市内の環状線では、一車線が専用レーンとなることを示す黄色い線が引かれ、道路上に五輪のロゴが表示された。北京市内の専用レーンは全長200キロに達し、7月20日から2カ月間使用される。(共同)

◎北京の渋滞、大気汚染対策 夫婦に限りナンバープレート変更OK(2008年7月5日、産経新聞)
 北京市当局は、ナンバープレートの偶数と奇数によって一般車両が走行できる日を分ける規制について、夫婦それぞれが所有する車のナンバーがいずれも偶数か奇数の場合、いずれかを変更できると発表した。5日の新華社電(電子版)が伝えた。
 この規制は五輪に向けた渋滞や大気汚染に関する対策の一環で、20日から実施される。
 未処理の交通違反があったり、廃車期限に達していた車両は対象外。ナンバー変更後、速やかに車両保険や税金に関する手続きを行うよう求めている。(共同)

◎暴動の責任「幹部が相次いで免職」中国、五輪目前でピリピリ(2008年7月5日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国・貴州省甕安(おうあん)県で起きた大暴動をめぐり、地元政府幹部が相次いで免職処分となった。この早期対応の背景には、1カ月後に北京五輪を控え、民衆の感情に一応の理解を示すことで各地への飛び火を防ごうという「社会の安定を最優先する胡錦濤指導部の考え」(中国共産党関係者)がある。一方で、公安省(警察庁に相当)は暴動や抗議行動への危機感を示し、五輪終了まで地方からの陳情者をできるだけ減らすよう全国に指示した。しかし、いずれも短期的な処方で、社会矛盾を背景とした民衆の不満を根本的に解消させるには限界がありそうだ。
 暴動をめぐり貴州省政府は4日、同県トップの王勤党委書記とナンバー2の王海平県長を解任した。公安局長ら2人も解任されている。「民衆の利益を侵す状況が起きた」(石宗源・同省党委書記)とする一方、処分を決めた省級会議では、「暴力組織の犯罪を軽んじた幹部や公安当局者がいた」と地元政府と公安当局が厳しく批判されており、解任は“けじめ”であると同時に、各地方政府への“見せしめ”でもある。
 インターネットに地元政府を「黒社会」と非難する書き込みがあふれていることも背景にある。関係筋によると、胡錦濤国家主席は(1)事態拡大の防止(2)適切な処理(3)情報公開-を指示した。指示を受け当局は事態を収束させたが、暴動の原因となった「少女は自殺した」という地元当局の説明に民衆は納得していない。
 「なぜ少女は突然、川に飛び込んだのか」「少女を助けようとした男らがなぜ賠償金を払うのか」「不自然な点が多い」という意見がネットで飛び交っており、当局への不信や不満はより鬱積(うつせき)している。
 一方、中国では退役軍人の再就職や福利に対する不満も強く、五輪前の社会不安のひとつだ。香港の人権団体などによると、黒竜江省、内モンゴル自治区、陝西省などで昨年、騒乱が連携して発生。先月から今月にかけ山東省煙台市でも集団抗議が起きたようだ。
 また、地方政府の腐敗や不正を訴えるため、北京にやって来る直訴者の集団抗議も不安定要素だ。公安省の楊煥寧次官は3日、地方の公安幹部が自ら陳情を受けつけるよう指示したが、「抗議行動を起こされて地方政府がマイナス評価を受けないよう、陳情者を北京に向かわせないだけ」(直訴者の女性)と冷めた見方は少なくない。
 北京では五輪に向け直訴者が住む「直訴村」の解体が進められたが、分散し隠れ住む直訴者の完全統制は不可能。こうした中、当局は摘発を繰り返している。

◎中国:貴州暴動、県トップら解任、異例の早期対応(2008年7月5日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国貴州省甕安(おうあん)県で少女(16)が死亡した事件をめぐって6月28日起きた3万人規模の暴動で、中国共産党は4日、同県トップの王勤党委書記とナンバー2の王海平県長を解任した。直接の責任者である公安局長ら2人も解任した。党幹部が1週間の早さで処分されるのは異例。事件を重視する胡錦濤指導部の強い姿勢を示した。
 同省トップの石宗源省党委書記は暴動について「死因をめぐる論争が導火線だが、背景には鉱物資源開発や住民立ち退きなどで一部幹部が住民の利益を侵し、警察力を乱用したことがある」と地元幹部を批判していた。

◎中国:貴州暴動で県トップら解任、1週間の早期対応(2008年7月5日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国貴州省甕安(おうあん)県で少女(16)が死亡した事件をめぐって6月28日起きた3万人規模の暴動で、中国共産党は4日、同県トップの王勤党委書記とナンバー2の王海平県長を解任した。直接の責任者である公安局長ら2人も解任した。党幹部が1週間の早さで処分されるのは異例。事件を重視する胡錦濤指導部の強い姿勢を示した。
 同省トップの石宗源省党委書記は先だって、暴動について「少女の死因をめぐる論争が直接の導火線だが、背景には鉱物資源開発や住民立ち退きなどで一部幹部が住民の利益を侵し、警察力を乱用したことがある」と地元幹部を批判していた。
 しかし、同省公安庁は遺族らが究明を求める少女の強姦(ごうかん)殺人疑惑を改めて否定し、少女は川に飛び込んで自殺したとの捜査結果を発表。現場にいた同級生3人の親類に県党委書記や公安幹部がいるとの情報も否定した。

◎中国:香港の議員を入境拒否 四川の手抜き工事指摘で(2008年7月5日、毎日新聞)
 4日付の香港紙「明報」(電子版)によると、同僚議員とともに四川大地震の被災地入りをしようとした香港立法会(議会)の民主派、梁国雄議員が、中国本土の訪問に必要な「帰郷証」が発給されず、入境を拒まれた。同紙によると、梁議員は四川大地震で浮上している学校校舎の「手抜き工事」の追及を公言したことから、中国当局から拒絶されたとみられている。
 また、同日付の香港各紙によると、香港紙「りんご日報」の記者が今月1日、五輪関連取材での北京入りを拒まれた。同紙は中国共産党に批判的なメディアとして知られる。【台北支局】

◎当局が埋葬を強要か貴州省で死亡の少女(2008年7月4日、産経新聞)
 3日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国貴州省で起きた暴動の原因となった16歳の少女の死亡事件をめぐり、少女の遺族は「地元当局から、補償金を受け取って(少女の)遺体を埋葬するよう圧力を受けた」と語った。
 同紙によると、少女が自殺したとの警察の捜査結果に納得できずに、遺族が遺体を埋葬しないでいたところ、当局の数十人が遺族のもとを訪れ、葬儀代として30万元(約470万円)を受け取ることに同意するように強要したという。
 遺族は「私は農民なので政府のやり方を受け入れるしかない」と話した。遺族らは3回目の警察の検視結果が出たのを受け、2日に遺体を埋葬したという。(共同)

◎テディベアの中国生産「ノー!」 品質低下許せず(2008年7月4日、産経新聞)
 【ベルリン=黒沢潤】世界で100年以上にもわたって愛され続けてきたぬいぐるみ「テディベア」を生産するドイツのシュタイフ社が、人件費の安い中国での生産を打ち切り、地元ドイツで生産する方針を決めた。中国での生産で品質低下が顕著となっており、老舗としての“誇り”がそれを許せなかったようだ。
 1880年創業のシュタイフ社が作るテディベアは1902年生まれ。愛くるしい表情でコレクションとしての価値も高く、母から子へ、子から孫へと世代を越えて世界中で愛され続けてきた。発売当初、粗悪な模造品が相次いで出回ったことから、左耳には同社の刻印ボタンが取り付けられ、品質を保証するトレードマークにもなっている。
 同社幹部は独メディアに対し、中国での生産の打ち切りについて、「もし(テディベアの)ガラスの目が1ミリでもずれていたら、愛くるしい表情がとたんに間の抜けた表情になってしまう」と指摘。中国での労働者の入れ替わりの激しさについても、「最近はいつも新しい人材の養成に時間を割かねばならない。不良品も続出している」と不満を述べた。長年、我慢を続けてきたが、ついに“堪忍袋の緒”が切れた形だ。
 世界中の玩具メーカーは低コストの魅力から、中国に生産拠点を移しつつある。だが同社は、品質低下だけでなく、中国から3カ月かけてドイツに船便で輸送する際のコストなども無視できないとしている。
 テディベアは第26代米国大統領、セオドア・ルーズベルトの愛称テディにちなむ。1902年、狩猟好きのルーズベルトが子熊の命を助けたというエピソードが新聞に掲載されたのを機に、「テディ」の名前を冠した熊のぬいぐるみが人気を博すようになった。

◎中台直行便が離陸、中国人の台湾観光解禁(2008年7月4日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】中台を直行で結ぶ週末チャーター便が4日朝、台湾の桃園国際空港や中国の北京、上海などから相次いで飛び立った。厳しく制限されてきた中国人観光客の台湾観光もこの日、全面解禁され、数百人の観光客第1陣が台湾を訪れる。台湾の馬英九(マー・インチウ)政権誕生後に始まった中台の雪解けムードを一層、高めると期待されている。
 これまでは春節(旧正月)など大きな祝日以外は飛べなかった中台間直行のチャーター便だが、中国と台湾は6月に週末運航と中国人の台湾観光解禁を合意した。年内に平日運航に拡大される。観光客は1日3千人が上限。滞在は10日以内で、団体旅行に限定されている。

◎中国-台湾に直行チャーター便、金~月に36往復(2008年7月4日、読売新聞)
 【桃園(台湾北部)=石井利尚】中国と台湾を結ぶ直行チャーター便の週末運航が4日、始まった。
 中台間の往来は通常、香港やマカオで乗り継ぐ必要があるが、毎週金曜日から月曜日までの4日間は直行便が運航し、飛行時間が大幅に短縮される。外国人の利用も可能で、中台間の人的往来が今後、さらに活発化しそうだ。
 台北近郊の桃園空港を出発した第一便は同日午前、上海・浦東空港に到着した。
 一方、中国人の台湾観光も4日に解禁され、第1陣753人が広東省広州などから直行便に分乗して台湾入り。これまで中国人の訪台は、学術交流や第三国経由の旅行などに限定されていたが、今後は、1日約3000人を上限に台湾訪問が可能になった。
 台湾と中国双方の航空会社によるチャーター便は、北京~台北や上海~台北などの間を、週4日間に計36往復する。
 中台間では2003年、春節(旧正月)休暇に限定した直行チャーター便が運航、06年に中秋節などの祝祭日にも拡大した。直行便と中国人の台湾観光解禁は、6月の中台対話で合意された。

◎中国:共産党員7415万人に、人口の5.6%(2008年7月3日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国共産党中央組織部は同党創立記念日の1日、党員数が昨年末で7415万3000人になったことを明らかにした。昨年6月時点では7336万3000人で、半年で79万人増えた。中国の昨年末の人口は13億2129万人で、共産党員の割合は5.6%となる。(共同)

◎「貴州騒乱、背後に深い原因」 地元公安局長ら解任へ(2008年7月3日、朝日新聞)
 【上海=西村大輔、香港=奥寺淳】中国・貴州省で16歳の少女が強姦(ごうかん)され死亡したとして数万人の騒乱が起きた事件で、同省トップの石宗源・省共産党委書記は3日、現場となった甕安(おうあん)県の公安局長ら2人を解任する方針を決めた。人民日報のウェブサイト「人民網」が伝えた。
 石書記は省内の会議で「騒乱は少女の死因が導火線だが、背後には深い原因がある」「鉱物資源開発や立ち退きなどで住民の利益を侵し、警察力を好き勝手に利用した」と指摘。県政府と県党委の責任追及も指示した。
 一方、3日付の香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストによると、少女の遺族は「省政府などから毎日、葬式代として3万元(約45万円)を受け取るよう同意してサインしろと強い圧力を受けている」と語った。遺族は「尾行され、携帯電話が盗聴される。こんな怖い思いは初めて」と話した。役人が家に来て、賠償を受け入れるよう深夜まで迫ったという。遺族は「お金でなく正義が欲しい」と話した。
 これに対し貴州都市報は、当局が提示した3万元は、事件への関与が疑われた同級生3人が計9千元、地元政府が2千元、残りが政府が集めた寄付金といい、「政府の考慮に感激している」と遺族が話した、と伝えた。

◎「少女の遺体を再び検視」中国・貴州省の暴動(2008年7月2日、産経新聞)
 中国・貴州省甕安県で起きた大規模暴動で、地元政府は1日、暴動に未成年者が多く関与しており、「不法分子」に扇動された可能性が強いとし、関係部門に青少年教育を強化させることを決めた。当局は、チベット騒乱同様、今回の暴動も「一部の者が真相を知らない群衆を扇動した」と位置づけている。1日の国営新華社通信は、「不法分子が公安局(警察)の3階まで侵入し火を放った」など悪質さを強調した。
 一方、中国の通信社、中国新聞社によれば、同省当局者は1日の会見で、暴動の原因となっ地元の少女の死因確認のため、再度、遺体を検視する構え表明した。

◎資生堂:商標権侵害で中国企業を提訴、化粧品大手初(2008年7月1日、毎日新聞)
 化粧品大手の資生堂は25日、自社商号の無断使用などで商標権を侵害されたとして、中国・上海市にある企業3社とその代表者を相手取り、総額約189万元(約2900万円)の損害賠償と謝罪を求め、現地で提訴したことを明らかにした。国内の化粧品会社は中国で高級化粧品販売を積極的に展開しているが、国内大手が中国で知的財産権の侵害に関する訴訟を起こすのは初めてとみられる。
 資生堂によると、上海晶典化粧品有限公司など3社は「資生堂雅姿」「SHIDOAS」といった資生堂と酷似した商標の化粧水などを資生堂製品の4分の1程度の価格で販売していた。中国国内全体での年間被害額は20億~30億円にのぼるとみられる。
 上海市で06年5月に開かれた化粧品展示会で、3社が「資生堂」を名乗って出展したことから商標権の侵害が発覚。中国政府と連携して年約300件を摘発し、3社に対して侵害行為の中止を求めていたが、侵害行為が止まらないため今年4月に上海市第2中級人民裁判所に提訴した。26日に初公判が開かれる。【森有正】

◎中国:貴州暴動で胡主席、情報公開を指示(2008年7月1日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】中国貴州省甕安(おうあん)県で28日、女子中学生の強姦(ごうかん)殺人事件の捜査への不満をきっかけに発生した数万人規模の暴動について、中国の胡錦濤国家主席は、地元メディアは自発的に報道すべきで、情報を封鎖してはならないと指示した。大規模暴動が民衆の口伝いに広がったことから、情報を積極的に公開し、民衆の不満を和らげる狙いがあるとみられる。
 1日付の香港紙「明報」が消息筋の話として報じた。胡国家主席は「小さな刑事事件が、どうしてこのような大規模な暴動を引き起こしたのか」と述べるとともに、社会の安定を図るよう指示した。
 一方、香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、現地には2000人を超える武装警察や公安関係者が投入され、暴動による逮捕者は300人以上に上っている。同センターは暴動の発端となった強姦殺人事件の被害者の叔父が逮捕されたと指摘している。

◎中国:北京-天津間高速鉄道が試運転、五輪前開通へ(2008年7月1日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国政府が全国で建設を進めている時速300キロ以上の高速鉄道網の先陣を切り、北京-天津間高速鉄道の試運転が始まった。北京五輪開幕前の8月1日に開通する予定。
 新華社通信によると、劉志軍鉄道相が同乗した6月25日の試運転で、最高時速394.3キロを記録。北京南-天津駅間約120キロを25分10秒で結び、所要時間を現行の半分以下に縮めた。鉄道省の技術者は「世界で運行中の軌道鉄道では最速」と語っている。
 車両は独シーメンスから技術を導入し、中国が独自に設計した「CRH3」型。8両編成で営業運転される見通し。海外の専門家の間では、試験運転期間が極めて短期であることや、一部区間の工事がまだ終了していないことから「安全性を軽視している」(在北京外交筋)との指摘も出ている。

◎ニセ札「逆流」対策、台湾大わらわ、人民元解禁(2008年7月1日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾で30日、中国人民元と台湾ドルの両替が全面解禁された。4日から中国人観光客の台湾渡航が解禁されるのに合わせた措置だが、懸念されるのが人民元のニセ札問題。中国で出回るニセ札の多くが台湾製といわれ、台湾の金融・観光業界はニセ札の「逆流」対策に大わらわだ。
 台湾は30日、中国・福建省沿岸の金門、馬祖両島に限っていた人民元の両替を1人2万人民元(約31万円)を上限に全土に拡大、金融機関、ホテル、百貨店など約1300カ所で可能になった。
 台湾の法務部(法務省)調査局によると、台湾は印刷技術が高く、中国では死刑にも処されるニセ札製造が台湾では最高懲役10年と軽い。台湾と中国の犯罪組織は90年代からニセ札を台湾で製造し、中国に運んで協力を深めた。「中国に運ばれていた台湾製のニセ札が今後台湾で使用される事態が心配だ」。調査局の胡興勇科長は話す。
 同局や台湾の中央銀行が主催した識別講習会が大盛況。小規模店舗では小型の紫外線装置などで対応するが、大量の紙幣を扱う銀行やホテルはそうはいかない。ニセ札検査機を製造する宙皇企業(台北市)には大量の契約が舞い込んでいる。台湾銀行は約千人の行員を対象に両替業務の訓練を実施。楊豊彦・同行副総経理は「人民元の特徴を行内の外貨業務の人員に徹底させればニセ札への対応は十分可能」と話している。

◎藻?藻!中国・青島の海岸に大量漂着、五輪前に懸命の除去(2008年7月1日、読売新聞)
 【青島(中国山東省)=加藤隆則】北京五輪が1か月余りに迫る中、セーリング競技会場となる山東省青島の海岸に大量の藻が漂着、漁船400隻に加え人民解放軍や地元のボランティアら数万人が連日、懸命の除去作業に当たっている。
 現地入りしている約30か国以上のチームの練習に支障が出ており、本番への影響が懸念されている。
 地元紙によると、青島近海での藻は5月末に確認され、現在は約400平方キロの範囲に拡大。うちセーリング競技関連水域約50平方キロの3分の1が含まれている。藻は昨年も確認されているが、今回のような規模は過去に例がなく、原因に関しても環境汚染による富栄養化や南方での大量降雨など諸説が出ている。
 現地の五輪当局は「競技水域は15日までにきれいにする」と公言しているが、周辺の海水浴場には抹茶色に染めた綿のような藻が打ち上げられ、ブルドーザーですくい上げる作業が続いている。これまでに回収されたのは10万トン以上。運搬用のトラック運転手は「早朝から日没まで休みなしだが、波がどんどん運んでくるので際限がない」と弱り果てた様子だった。

◎ネズミ駆除剤で集団中毒、中国海南省、12人が入院(2008年6月30日、産経新聞)
 中国海南省海口市のケーキ店で6月28日、従業員らが集まり夕食を取ったところ吐血するなどの中毒症状が出て、12人が入院した。地元当局は「毒鼠強」と呼ばれるネズミ駆除剤が原因の中毒と断定、混入された経緯を調べている。同省の地元紙、海南日報(電子版)などが30日までに伝えた。
 同紙によると、12人のうち4人の症状が重いという。食べたのはアヒルの丸焼き料理など。病院で患者らの嘔吐(おうと)物などを調べたところ、毒鼠強が検出され、特に米の中に多く含まれていた。
 海南経済報(電子版)によると、毒鼠強は中国では1991年に使用禁止になったが、海南省では2000年と03年にも毒鼠強による中毒事件が発生。海口市政府は今回の事件を受け、毒鼠強のヤミ販売取り締まりを強化する方針を打ち出した。

◎女子中学生暴行疑惑で起きた暴動、中国、五輪前に抑え込む構え(2008年6月30日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】貴州省甕安(おうあん)県で28日に発生した数万人規模の暴動をめぐり、中国当局は30日、参加者に自首を呼びかける一方、暴動のきっかけとなった女子中学生(15)に対する強姦殺人疑惑の調査を必ず実施すると宣伝し、事態の沈静化を図ろうとしている。当局は北京五輪を前に他の地域への波及を防止するため力で押さえ込む構えで、人権団体は約300人が拘束されたと伝えた。「暴動は庶民の絶望感の表れ」(北京の知識人)と指摘され、官僚腐敗に対する鬱積(うつせき)した怒りが噴き出したともいえそうだ。
 「金のある者、権力者は何でもできる腐敗社会。中国はまさに“黒”だ」。
 暴動に関するインターネットの書き込みは、大部分が地元当局の司法腐敗を非難、「民衆の怒りを知ったか!」と暴動に賛同する内容が多い。
 当局は暴動を撮影したビデオなどをもとに参加者を拘束しているようだ。関係サイトによると、拘束された中には30人の生徒も含まれているという。当局は武装警察ら2000人を投入し、催涙弾と高圧電流警棒などで鎮圧。米政府系の自由アジア放送は「発砲で4人が死亡」との説が現地で流れていると伝えた。
 消息筋によると、30日、多くの商店が店を閉め、街頭を武装警察が隊列を組んで行進し威圧。群衆に襲撃され炎上した公安庁舎や政府庁舎の周囲は同日午後から二重に封鎖され、一般の人々は近寄れない。
 暴動について同日付の地元紙「貴州日報」は「少数の者が真相を知らない群衆を扇動し政府部門を襲撃した重大事件」と位置づけ、公安局はテレビで暴動参加者に対して自首を繰り返し求めている。一方で現場周辺では当局の広報車が走り、「事件の公正な調査をする」と宣伝している。
 暴動のきっかけは、女子中学生の死亡。家族や同級生は、政府または公安幹部の親族とみられる男ら2人組による暴行殺害と疑い、2人がすぐに釈放されたことに対し、数百人の生徒らが集団で公安当局前で抗議行動を繰り広げたが、逆に武装警官らに殴打され、これに群衆が反応したとの見方が多い。「連続女子暴行事件、鉱山をめぐる汚職などへの不満も背景」との説も流れている。
 胡錦濤指導部は「調和社会」構築を掲げ社会の安定を図ろうとしているが、チベット族の騒乱に続く今回の暴動で、中国社会の不安定さが改めて露呈した形だ。「農地収用問題や官僚腐敗、当局者の横暴、退役軍人の福利問題など社会の底辺にたまった不満のマグマはいつでも噴出する」(北京の法律家)といわれ、今後も大規模な抗議行動や暴動が発生する可能性は否定できない。

◎「幻の華南トラ」でっちあげ写真で賞金詐欺、中国で農民逮捕(2008年6月30日、読売新聞)
 【上海=加藤隆則】中国陝西省林業庁が昨年10月、絶滅の危機に瀕(ひん)している「華南トラ」として公表した写真について、同省は6月29日、写真を捏造(ねつぞう)と認め、撮影者の男性農民を詐欺容疑で逮捕したと発表した。
 写真は、世界的な真がん論争を巻き起こしており、同庁の副庁長ら政府部門の13人も、真偽を確かめず公表したとして免職などの処分を受けた。
 新華社電によると、ニセ写真は同省鎮坪県の周正竜容疑者(52)が、地元の山中にトラの絵を置いて撮影。林業庁は周容疑者に賞金2万元(約30万円)を与え、地元では観光PRに向け、自然保護区指定の申請準備が進められた。
 華南トラは体長約2.5メートルと他種よりも小型で、国際自然保護連合によると、推定個体数は20~30。1983年に湖北省で確認されたのが最後で、林業庁は写真を「歴史的発見」としていた。
 しかし、写真の公表直後から、インターネットなどで「トラの姿勢がみな同じで不自然」と疑問が噴出。論争は、米科学誌「サイエンス」にも紹介された。

◎中国で邦人男性に死刑判決、麻薬密輸罪で(2008年6月30日、読売新聞)
 中国遼寧省の大連市中級人民法院(地裁に相当)は30日、麻薬密輸罪に問われた60歳代の日本人男性、赤野光信被告に対し、執行猶予の付かない死刑判決を言い渡した。
共犯の50歳代の日本人男性、石田育敬被告も同罪で懲役15年の判決を受けた。2人は控訴する方針。2人は2006年9月に大連空港で麻薬2.5キロを日本に密輸しようとして拘束された。
 中国で起きた日本人の麻薬密輸事件で、執行猶予の付かない死刑判決が出たのは4人目。うち3人は死刑が確定したが、「日本への政治的配慮」(外交筋)もあり、刑は執行されていない。(瀋陽支局)

◎中国で日本人被告に死刑判決、麻薬密輸罪で(2008年6月30日、朝日新聞)
 【瀋陽=古谷浩一】中国遼寧省の大連市中級人民法院で30日、麻薬密輸罪に問われた日本人被告に対する一審判決があり、60代の男に執行猶予なしの死刑判決が言い渡された。
 関係者によると、この男は、大阪府から来た赤野光信被告。共犯とされる50代の石田育敬被告に対しても同日、懲役15年の判決が下された。
 2人は06年9月に大連空港から覚せい剤約2.5キロを日本に航空便で運び出そうとして中国当局に拘束された。この日の判決を受け、ともに控訴の意思を示しているという。
 中国で日本人に対して執行猶予なしの死刑判決が出たのは4人目となる。いずれも麻薬密輸などの罪に問われたもので、これまでの3人は死刑判決が二審ですでに確定しているが、最高裁に当たる最高人民法院の判断がまだ出ていないため、執行はされていない。

◎中台直行便、浮気文化に引導? 往来増え台湾男性ら恐々(2008年6月30日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】中国・台湾関係の雪解けで7月4日から週末の中台間直行チャーター便の運航が始まることから、中国駐在の台湾ビジネスマンたちが愛人との関係を終わらせることを迫られている、と話題になっている。往来が不便な今は中国への単身長期滞在・出張が主流だが、今後はそうもいかなくなる。「身辺整理」を急ぐ動きが出ているという。
 台湾紙の聯合報などによると、中国に進出した台湾企業などの長期滞在者は現在、家族を含め100万人。多くが単身赴任の男性だ。往来には香港など第三地経由で片道で丸1日かかり、台湾に戻るのは月に1、2回という生活のビジネスマンが多い。このため、中台間の物価差もあって気軽に愛人をつくる男性が続出。「在大陸包二●(中国大陸で愛人を囲う、●は女へんに乃)」という言葉が流行語にもなった。
 直行便ができれば、台湾人駐在者が多い上海や広州、アモイなどには2時間前後で行けるようになる。妻ら家族が簡単に往来でき、自身も台湾に戻らない「言い訳」がなくなる。男性たちは愛人問題の対処に必死で「手切れ金はいくら払えばいいか」「相手が別れないと言い張ったらどうすればいいか」といった相談が弁護士事務所に寄せられているという。
 台湾の女性団体、晩晴婦女協会の林蒔萓・副総幹事は「台湾の男性たちは今までは寂しさもあったかも知れないが7月4日は心を改めるチャンスです」と話している。

◎台湾ドル:人民元との両替業務、本島でもスタート(2008年6月30日、毎日新聞)
 台湾の台湾ドルと中国の人民元の両替が台湾本島でも解禁され、各金融機関の窓口での両替業務が30日から一斉に始まった。
 台湾当局は、7月4日からの中台直行の週末チャーター便運航▽中国人の台湾観光解禁--を前に、1949年の中台分断後、流入を認めていなかった人民元の両替解禁を6月26日に決定した。1回当たりの両替の上限は2万人民元(約31万円)としている。
 中国からの週末チャーター便が乗り入れる予定の台北市の松山空港内の銀行窓口では、両替に備えて用意した故毛沢東主席の肖像がデザインされた100人民元紙幣を行員が手に取って数えていた。
 台湾での人民元の両替は、中国との間で小3通(通商、通航、通信の直接交流)が実施されている離島の金門、馬祖両島だけで05年から試験的に実施されていた。
 中台交流拡大による台湾の経済浮揚を掲げる馬英九政権の発足後、対中経済規制の緩和が広がっており、台湾当局は中国からの株投資についても一部解禁を決めている。【台北・庄司哲也】

◎中国:貴州で数万人の暴動、当局の発砲で1人死亡(2008年6月30日、毎日新聞)
 29日付の香港紙、明報などによると、中国貴州省甕安(おうあん)県で28日午後、15歳の少女に対する強姦(ごうかん)殺人事件をめぐり、地元公安局の事件処理に不満を持った住民らの抗議が数万人規模の暴動に発展し、鎮圧に当たった当局側の発砲で1人が死亡した。中国国営通信、新華社も29日、暴動が起きた事実を伝えた。
 チベット暴動に続き大規模な混乱が起きたことで、北京五輪開催を8月に控えた中国社会の不安定ぶりが露呈する形となった。胡錦濤指導部はこれらの動きを実力で抑え込む構えとみられる。
 3月にはチベット自治区などで暴動が起きたが、香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは今回の暴動を、今年中国で起きた暴動としては最大規模と指摘した。
 明報や同センターによると、今月下旬に起きた強姦殺人事件で、公安局が逮捕した容疑者数人を釈放したことに対し、徹底捜査を求める親族や少女の同級生が28日、公安局を訪れ抗議。多くの住民が加わり暴動になった。容疑者の中には公安局幹部の親族が含まれていたという。
 暴動では公安局の建物やパトカーが放火された。29日未明まで続き、鎮圧のため1500人以上の武装警察官や警察官を動員。約150人が負傷し、住民200人以上が当局に拘束された。(共同)

◎中国・貴州で数万人暴動、女子中学生強姦殺人の捜査に不満(2008年6月30日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】29日付の香港紙・明報によると、中国貴州省甕安(おうあん)県で28日、女子中学生(15)が殺された強姦(ごうかん)殺人事件の捜査に不満を持った住民数万人が警察本部などを占拠、建物や警察車両に放火するなどの騒ぎとなった。
 警官隊の発砲により1人が死亡したとの情報がある。新華社電は29日、事態は終息したと伝えたが、消息筋によると、暴動は同日もまだ続いているという。
 同紙などによると、公安当局が事件の容疑者として逮捕した男2人を翌日に釈放したことが事件の発端となった。被害者の遺族が公安当局に徹底捜査を求めたが逆に暴行され、親族1人が死亡した。容疑者の1人の親が公安幹部だったため本格捜査が行われなかったとのうわさも流れ、住民の怒りが爆発。28日、午後、警察本部や地元政府庁舎などを襲撃する事態に発展した。

◎四川大地震:核物質処理に特殊部隊投入、中国軍(2008年6月29日、毎日新聞)
 中国人民解放軍は28日までに、四川大地震の被災地に、核・化学物質の処理にあたる特殊部隊員2746人を投入したことを明らかにした。華僑向け通信社、中国新聞社が伝えた。
 特殊部隊は、被災したセメント工場から有害な放射性物質コバルト60を回収。また化学工場からのアンモニア、塩酸漏出事故などの処理に当たり、「被災住民に対する脅威を取り除いた」(軍当局)としている。
 特殊部隊は、核・化学物質処理の特殊技術を習得している人材を全軍から選抜したという。

◎「危険度高いドメイン名は香港・中国」米ソフト会社調査(2008年6月22日、朝日新聞)
 【広州=小林哲】米コンピューター安全ソフト会社マカフィーが、インターネット上の「住所」にあたるドメイン名の危険度ランキングを発表した。ネット検索でウイルスに感染するなどの危険が高いウェブサイトが多い国・地域別のドメインは、1位が香港で2位が中国本土だった。最も安全だったのはフィンランドで日本が続いた。
 アクセス数の多い990万のサイトを調べたところ、265の国・地域別のドメインでは、アドレス末尾に香港のドメイン「.hk」がつくサイトの19.15%に問題があった。2位は末尾に「.cn」のドメインがつく中国本土のサイトで11.76%。ほかに危険度が高かったのは、フィリピン、ルーマニア、ロシアなど。逆に安全だったのはフィンランド、日本で、危険なサイトはそれぞれ0.05%、0.13%だった。
 危険度が高いとされたことについて、香港の現地紙は、登録手続きや審査などが甘く、手数料が安いため、海外の迷惑メール業者などの悪用が目立つなどと分析。ネットの安全管理に対する意識の低さも背景にあると報じた。

◎奇数ナンバーは偶数日の運転ダメ、北京五輪で交通規制(2008年6月20日、産経新聞)
 北京市政府は19日、北京五輪と北京パラリンピックのため、7月20日から3カ月間、市内での自動車の通行規制を行うと発表した。ナンバープレートの奇数と偶数に従い、それぞれ奇数日、偶数日に運転を認める。警察や軍の車両、消防車、救急車、バスのほか、五輪関係車両は例外とするが、公用車も運転を自粛し、期間中は車両数の7割減を目指す。規制に従う自動車オーナーには道路使用費や自動車税が免除されるが、違反者は優遇されないという。(北京、福島香織)

◎手抜き工事批判の女性を拘束、中国(2008年6月18日、産経新聞)
 中国・四川大地震に関連し、倒壊した校舎の手抜き工事を海外のサイト上で批判した大学の元職員が政権転覆扇動の疑いで拘束されたことが分かった。香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターが18日伝えた。
 拘束されたのは四川省綿陽市の西南科技大に勤めていた56歳の女性。女性は地震後にサイト上で、校舎が倒壊したのは手抜き工事が原因だと書いたほか、中国政府は地震が起こるとの予報を一般市民には伝えず軍関係施設にだけ知らせたと批判していた。
 センターは、政治犯が釈放されるケースは少ないことなどから、女性が何らかの刑に処せられる可能性が高いと指摘している。

◎胡指導部の「政治判断」、ガス田共同開発(2008年6月18日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国政府が東シナ海ガス田共同開発問題で日本側と合意した背景には、胡錦濤指導部の「政治判断」がある。中国側には日中中間線の日本側で共同開発する権利を確保したとのメリットもあるが、「日中関係を重視し、重大な決断をした」(共産党関係者)との考えが強い。胡錦濤国家主席と温家宝首相が日中関係が改善基調にあるタイミングの中で最終判断したとみられる。
 中国ではこの判断について、「中国側の譲歩」ととらえる向きが多く、胡主席にとっては政治的リスクに転じる可能性も残されている。
 「胡錦濤指導部はこの問題で保守派を押さえ込む構えだ。当然、軍内の強硬派もだ」。18日、中国政府筋はこう説明した。
 「海洋大国」を目指し海軍の増強を進める中国では、東シナ海問題を含め、海洋権益を守る盾となる軍の意向は強く反映される。2005年にソブレメンヌイ級駆逐艦が白樺(中国名・春暁)ガス田近くを航行したのは軍事的牽制(けんせい)であり、自国の海だとアピールする狙いと受け止められる。
 中国は1970年代に探査を始め、東シナ海を実効支配する過程で、90年代には平湖ガス田の生産を開始、2000年には春暁ガス田の開発に着手しており、「日本側が主張する中間線の中国側で開発してなぜ悪いか」という考えがあった。しかも白樺周辺海域は中国にとっては「表玄関」でもある。
 このため、指導部としては、軍内の対日強硬派だけでなく、国内の反日思考の強い活動家や世論から「弱腰外交」「安易な対日譲歩」と批判される可能性を念頭にした上で判断した。中国外務省が17日の段階で「白樺は中国の主権の範囲内。主権問題と共同開発問題とは無関係」と強調したのも、対日譲歩ではないことを国内向けに訴える必要があったからにほかならない。
 指導部は、日中間での首脳往来が定期化し、しかも四川大地震への日本側の対応により中国側の対日感情が和らいだタイミングをみて判断したとみられる。自衛隊艦艇が来週、中国に寄港し、軍事交流の象徴となることも踏まえているようだ。
 胡主席は軍掌握度を徐々に高めており、米国の台湾への武器売却が足踏み状態となったことも指導部が東シナ海問題で軍を説得できる材料との指摘もある。
 日中外交筋によると、5月の胡主席の訪日で合意した日中共同声明について「もろ手を挙げての賛成ではない」とする勢力が中国国内にあり、指導部がその「戦略的互恵関係」の「具体的成果」として見せるため、四川大地震で日本の救援隊を一番乗りさせたり、今回の東シナ海問題で合意したりする必要があったという。

◎大気汚染の原因? 北京など「焼き畑禁止」(2008年6月14日、産経新聞)
 14日付の中国紙、北京青年報によると、北京五輪へ向けた大気汚染防止策の一環として北京、天津両市と、河北省など周辺四省・自治区で麦刈り取り後の焼き畑やワラ焼却を全面禁止すると北京市環境保護当局者が明らかにした。
 北京では、昨年6月も農作業の焼き畑のため粒子状物質や一酸化炭素濃度が増加するなど大気汚染が起きたという。(共同)

◎中国と台湾、直行チャーター便や旅行解禁で合意(2008年6月13日、CNN.co.jp)
 北京-中国と台湾の交流窓口機関の代表者は13日、中台間の直行チャーター便の運航拡大や、中国からの台湾旅行解禁を柱とする合意文書に署名した。中台間の対話が再開されたのは約9年ぶり。
中国・海峡両岸関係協会の陳雲林会長と台湾・海峡交流基金会の江丙坤理事長が、当地の釣魚台国賓館で会談した。
 双方はまた、査証(ビザ)発給などの手続きを担当する「交流事務所」を相互に常設することでも合意。さらに、年内には陳氏が台湾を訪問することも決まった。
 中台間のチャーター便運航はこれまで、年数回の祝日などに限られ、台湾へ帰省する家族連れが乗客の大半を占めていた。合意を受けて、7月4日にはチャーター便の週末運航が開始されるとともに、初の中国人団体客が台湾を訪れる予定だ。

◎北京五輪で中国を訪れる人は電子スパイに注意(2008年6月12日、産経新聞)
 【ワシントン=USA TODAY(ピーター・アイスラー)】北京五輪まであと2カ月。これから、多くの人が中国を訪れるだろう。その際、政府高官やビジネスマンは特に、電子スパイに用心した方がよさそうだ。
 米連邦議会の諮問機関、米中経済安全保障検討委員会のラリー・ウォーツェル委員長は「中国ではパソコンやPDA(携帯情報端末)などに不正侵入され、情報が盗まれる可能性が高い。中国政府はプロバイダーを支配しており、情報をモニターしたり、バグを植え付けることもできる」と指摘している。
 この件に関して中国大使館に問い合わせをしているが、返事はまだない。ただ、先月、中国外務省の秦剛報道官は、米国に対する中国軍のスパイ行為について「根も葉もないこと」と否定している。
 米国政府は今のところ、中国における電子スパイの危険性について言及していない。元連邦捜査局(FBI)捜査官のマイク・ロジャー下院議員(共和、ミシガン)は「重要な貿易相手国である中国を怒らせたくないのだろう。しかし、中国人がこのチャンスを見逃すはずがない」と注意を呼びかけている。
 自己防衛策としては、中国に持っていくパソコンなどに入っている重要なデータは消去するか、新しいものを持参する。そして、中国から帰ったときは、米国のネットワークに接続する前に、ウイルスやバグの有無をチェックする必要があるだろう。

◎すべての鶏を処分へ、香港政府(2008年6月12日、産経新聞)
 香港政府は11日、香港内の3つの市場で採取した鶏のふんから新たに鳥インフルエンザウイルスが検出されたため、香港内のすべての生きた鶏を処分すると発表した。
 香港では九竜半島にある市場で今月3日に採取した鶏のふんからウイルスを検出。鶏の産地は香港か中国本土とみられるため、本土からの鶏の輸入と香港の業者からの出荷を7日から3週間停止することを決めていた。
 その後、政府がさらに香港内の市場を検査したところ、3市場の鶏のふんからウイルスが見つかった。政府は引き続きウイルスの感染源などについて調査している。

◎地下室の貸し出し禁止、五輪にらみ北京(2008年6月12日、産経新聞)
 北京五輪開催を控えた治安対策の一環として、北京市が市内の建物の地下室貸し出しを禁止したことが分かった。11日付の香港紙、明報が伝えた。
 地下室には、経済的な理由などから地上の部屋を借りられない北京市以外からの出稼ぎ生活者など十数万人が住んでいるとされ、こうした人たちへの管理強化が目的とみられる。
 同紙によると、既に地下室に住んでいる人は6月末までに引っ越しをしなければならない。ただ禁止措置は一時的なもので、五輪終了後には解除される見通しという。

◎5月の中国貿易黒字は202.1億ドル、4月から増加=税関(2008年6月11日、朝日新聞)
 [北京 11日 ロイター] 中国税関総署によると、2008年5月の中国貿易黒字は202億ドルとなり、4月の167億ドルから増加した。2007年5月は224億5000万ドルだった。
 輸出は前年比28.1%増の1205億ドル、輸入は同40.0%増の1003億ドル。
 ロイターがまとめたエコノミストの予想は、貿易黒字が210億ドル、輸出20.0%増、輸入27.4%増だった。
 07年10月以降は、3月を除き、輸入の伸びが輸出の伸びを上回っている。5月までの1年間の貿易黒字は2547億ドルと、4月までの2569億ドルからわずかに減少した。2007年の貿易黒字は2622億ドル。

◎中国の成長と変化が、日本に5年間の物価上昇をもたらす(2008年6月10日、Diamond on line)
 河南省で、高速道路のガソリンスタンドで順番を待っていた車の列で割り込みをしたトラック運転手が、ほかの運転手たちから集団暴行を受けて死亡する事件があった。まるで四川大地震でミネラルウォーターをうばいとっているような姿である。
 また上海市では、平常通りの営業を維持するガソリンスタンドは半分以下に減少した。広州市ではガソリンスタンドの8割の店で石油の輸送が滞り、ガソリン供給ができない状況である。軽油の場合、トラック運転手が長時間ガソリンスタンドに並んでいても、100元分しか売らない店が多く、結局6ヵ所ものスタンドを回って満タンにするような場合が多く、運転手は1日がけで燃料収集にまわらなければならない。
 すべて原油高が原因である。
 中国政府はこれ以上の物価高騰を抑えるため、石油価格の値上げを見合わせてきたが、そのせいで石油会社では逆ザヤが発生し大きな負担となった。大手石油会社は07年には49億円の補助を受けている。
 全体のCPI(消費者物価指数)は8%だが、食品は20%、ものによっては2倍以上の値上がり急激なインフレが続いている。上海市の30代のバイリンガルの会社員は「コンビニエンスストアどころかスーパーで毎日の日用品が高すぎて買えない。家賃も1.5倍に値上がりした。そのため夫は会社の寮に住み、私は実家に戻り、週末しか会わない週末婚である。子供をつくるなんてお金がなくてとんでもない話だ」と悲鳴をあげる。最低限の生活ができないと悲鳴を上げている日本だが、インフレは中国のほうがひどく、悲鳴の大きさは日本より中国のほうが激しいかもしれない。
日本が世界の食糧を独占することはもはや不可能
 とはいえ食料事情でいえば、インフレ率は中国より少ないが、大局的にみて日本は中国よりもっと深刻な事態に陥る。
 いつの間にか日本の食卓は大国・中国に揺さぶりをかけられるようになった。原油高の影響で全国規模の漁業団体が夏にはいっせいに休漁を検討、今度は魚まで消えることが懸念されている。ウナギだけでなく鯉なども中国からの輸入が増えるかもしれない。
 これまでの10年は先進国が経済成長していたが、現在は中国やインドなど10億人以上の大食漢の国の経済が成長している。おのずと食糧需要が増え、世界の食糧が吸い取られることになる。
 豪州の小麦の輸出先は日本から中国に移行している。経済が低迷し金の無くなった日本は、世界の食料を手にいれることが難しくなった。人口が多い国が成長を続ける今後の5年間は、世界的に食糧が不足し、市況(価格)が高騰、自給率の低い日本はその影響をもろに受けることになる。
 今後も5年は食料品の値上がりは続くことが懸念される。小麦は14%、大豆はたった3%の自給率でしかない日本において、打撃は避けられない。日本の人口は世界の1%だが、世界の食糧の20%を吸収していた。中国は世界の人口の10%を占めているが、まだ世界の食糧の2%しか消費していない。経済大国日本は、これまでが恵まれすぎていたのかもしれない。

・アジアで製造する比較優位性が失われた
 食品だけではない。工業製品においても、もはや輸送コストもかかり、人件費も上昇してきた中国で製造する比較優位性が失われつつある。中国に進出した企業が製造拠点を移行し、本格的に活動を始めるにしても数年はかかる。
 人民元切り上げに原油高、労働法により中国の人件費が値上がることで影響を受けるのは、食料品だけでなく衣料品も同じだ。ワイシャツ、スーツ、下着まであらゆる衣服に用いられる素材、ポリエステルや、アクリル、ナイロンなどは、ほとんどが石油から精製され、中国で製造されている。すでに原料と燃料費におけるコスト高は前年比で15%以上も増えている。今のところメーカーは大きな値上げに踏み切っていないが、今後は衣料品の値上げも進むことが懸念される。
 いずれにせよ、もっとも長期的に物価高の影響を受けるのは、自給率が低い食料品に他ならない。日本の農業と比較すれば、株式会社化されている中国の農業制度のほうがましである。これまで日本政府が農業政策をないがしろにしてきたことへの罰が、いま与えられているのかもしれない。

◎機内に不審物か、北京空港、出発に遅れ(2008年6月10日、毎日新聞)
 10日付の中国紙、京華時報は、北京空港に駐機中の韓国釜山行き中国国際航空機内で9日、不審物が見つかったため出発が約7時間遅れたと報じた。
 9日午前、検疫当局と警察の車両が機内から手のひら大の3つの不審物を運び出すのを乗客が目撃した。乗客は別の航空機に搭乗するよう指示された。
 中国国際航空は出発が遅れた原因について「故障」としか説明していないが、検疫当局は機内で不審物を発見し、検査するため運び出したことを認めているという。

◎北京空港でテロ未遂、当局秘密裏に摘発、シンガポール紙(2008年6月4日、読売新聞)
 【シンガポール=伊藤彰浩】3日付のシンガポール華字紙「聯合早報」は、消息筋の話として、北京国際空港で先月、自動車爆弾テロ未遂があり、当局が秘密裏に摘発したと報じた。
 事件は中国国内では報道されていない。
 中国当局は事件について、新疆ウイグル自治区の独立を求める勢力が企てた疑いがあると見ているが、背景は今のところ明らかでないという。中国国内では、今年3月にも同自治区ウルムチ発の国内線旅客機でテロ未遂事件が発覚し、犯人が拘束されている。
 同紙は、北京五輪開幕を控えた厳戒ぶりを伝える中で自動車爆弾テロ未遂を報じた。それによると、中国当局は、約1か月前から外国人の入国規制強化を開始。33か国の国民の香港でのビザ申請を停止したほか、シンガポール国民に対する15日間のビザなし入国措置も取り消したという。

◎出生率1.32に回復06年、婚姻増が原因(2007年6月6日、人民網日本語版)
 女性が生涯に産む子どもの平均数を示す06年の合計特殊出生率が1.32と、過去最低だった05年の1.26を0.06上回り、02年の1.32以来4年ぶりに1.3台に回復したことが6日、厚生労働省のまとめた人口動態統計で明らかになった。雇用の回復で結婚するカップルの数が増え、生まれた子どもの数が05年より増えたことが主な原因。しかし07年に入ってから足元の出生数は伸び悩んでおり「回復は一時的」との見方もある。
 06年の出生数は今年2月に公表された速報値(日本で生まれた外国人などを含む)で112万2278人と前年より3万2041人、2.9%多かった。前年同月との比較では、1月、9月以外はすべての月で上回り、特に11、12月の出生数は前年同期比で5~7%も増えた。
 昨年末公表の最新の人口推計では、5月までの出生増を織り込んで06年の出生率を1.29と見積もっていたが、後半の出生増が予想を上回り、推計より高率となった。
 出生数の回復に大きく寄与しているとみられるのが、結婚の増加。06年の婚姻数は速報値で前年比2.4%増の74万8017組。最近では結婚する女性の4人に1人が妊娠中で、婚姻数は約7カ月後の出生数に強い影響を与えるとされる。
 05年6月以降、男性の雇用者数は増え続けており、厚労省は一貫して「雇用回復で生活が安定して結婚するカップルが増え、出生増につながった」との見方をしている。

◎せき止め湖下流域に99個の放射性物質、30日までに回収へ(2008年5月30日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】29日付の中国紙「法制晩報」は、中国・四川大地震でできた四川省北川チャン族自治県の「唐家山土砂崩れダム」(せき止め湖)で決壊防止に向けて人工排水路を確保する工事が進む中、排水が行われた場合、その影響が及ぶ下流域に、放射性物質が99個あると伝えた。
 同紙によると、放射性物質は12の機関が保有するもの。このうち6割は大型重機がないと回収できないため、四川省当局は29日午前までに重機を調達。30日夜までに全部を回収する方針だ。同紙は放射性物質の種類を明らかにしていない。
 唐家山の土砂崩れダムでは、軍・武装警察が重機で排水路を掘削する作業を急いでいるが、29日午前は、降雨で物資を運ぶヘリが飛行できず、作業が難航。水位も上昇し続けており、時間との戦いになっている。
 同紙によると、四川省内のその他の土砂崩れダム4か所の下流域にも、移動の必要がある危険な化学品が約5000トンあるという。
 一方、29日午前、北川県の救援本部付近の倉庫で、漂白剤に雨がかかって自然発火し、大量の塩素ガスが発生する事故があった。煙は一時10階ほどの高さに噴き上がり、救援要員が避難する騒ぎとなり、数人が軽い中毒を起こしたという。

◎中国当局、米商務長官のPCデータ盗み→システム侵入図る(2008年5月30日、読売新聞)
 【ワシントン=黒瀬悦成】AP通信は29日、中国当局者が昨年12月に北京を訪問したグティエレス米商務長官のノートパソコンのデータをひそかにコピーし、同情報を基に商務省のコンピューターシステムへの侵入を図っていたことが分かった、と報じた。
 複数の関係者が同通信に語ったところでは、中国当局による「データ盗み出し」は、商務長官が中国側との貿易協議に出席した際、パソコンの前を短時間離れたすきに行われたと見られ、商務省のシステムへの侵入は少なくとも3回試みられていたことが確認された。関係者によれば、具体的な被害は出ていないという。
 商務省や国防総省、国務省などの米主要官庁は2006年以降、中国から頻繁にサイバー攻撃を受けているとされ、商務省は職員個人のパソコンから同省のコンピューターネットワークへのアクセスを禁止するなどの対策を講じている。

◎ガス壊疽発症3万5千人、感染症の流行懸念 四川大地震(2008年5月28日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国・四川大地震の被災地で、致死率の高いガス壊疽(えそ)を発症した患者が少なくとも3万5千人に上ることが27日、中国政府当局者の話でわかった。中国政府はこれまで、ガス壊疽患者は58人と公表しているだけだった。衛生環境が悪化し、結核や肝炎なども報告されており、感染症拡大の阻止が急務となっている。
 四川省成都市の病院関係者によると、地震発生1週間後からガス壊疽患者が増え、9歳の子供もいたという。すでに感染者全員を病院に収容、隔離して治療したというが、壊死(えし)を食い止める効果が高い高気圧酸素治療器約100台が地震で壊れ、治療が遅れていた事情もあるという。
 中国衛生省の斉小秋・疾病対策局長は27日の会見で「気温が急激に上昇、被災地の衛生状態は悪化し、被災者の体力も落ちている」として感染症流行への懸念を示した。
 軍は26日、特殊衛生防疫隊員約200人を派遣した。これまでに1万5千人の防疫作業員が消毒にあたり、26日までに被災地の99%の地域の消毒作業を終えたという。中国政府はコレラとA型肝炎、出血熱のワクチンを被災地に緊急配布、約100万人に予防接種をすることを決めた。
 中国政府の27日の発表によると、死者は6万7183人、行方不明者は2万790人となった。被災者は4561万人に上り、避難者も1500万人を超えた。
 中国地震局によると、27日午後4時3分ごろ、四川省青川県を震源とするマグニチュード(M)5.4の余震があった。同4時37分には、その5キロ北東の陝西省寧強県を震源とするM5.7の余震が起きた。青川県だけで42万戸以上が倒壊した。

〈ガス壊疽〉
 細菌が傷口などから体内に入って感染、筋肉など体の一部の組織が死んでしまう(壊死する)感染症。壊死した組織で毒素が作られガスを発生させながら全身に影響が広がる。進行が急速で、切開でうみを出して壊死部分を切除するなど早期治療ができないと死に至る確率が高い。災害や戦争での外傷で起きる例が多い。

◎セメント工場などから7個の放射性物質回収(2008年5月26日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】26日付の北京紙「新京報」は、中国の環境保護省が、四川大地震で甚大な被害が出た四川省北川チャン族自治県にあるセメント工場などから、同日までに7個の放射性物質を回収したと伝えた。
 同紙によると、23日に1個、25日に6個が回収されたという。放射性物質の種類について触れていないが、セメント工場ではセシウムを使用しているとされ、セシウムの可能性がある。
 同省は23日の記者会見で、22日正午までに、危険性のある放射性物資50個を発見したが、15個が建物のがれきの下などに埋まっており、未回収としていた。北川チャン族自治県で回収された7個が15個の一部かどうかは不明だ。

◎「観光地の死者数ごまかし」うわさ広がる、四川大地震(2008年5月26日、朝日新聞)
 「観光地のイメージを落としたくない地元政府が死者数をごまかしている」。中国・四川大地震で被災した成都市の観光地について、こんなうわさが広がっている。真相は不明だが、背景には救援活動の遅れに被災者が不信やいらだちを募らせている現状がある。
 「銀廠溝(ぎんしょうこう)行き」と車体に書かれた軽自動車が3台、避難所になっている成都市彭州の西郊中学校の校庭に並んでいる。地震前には観光客を送迎していた車だ。今は被災者の仮の住まいになっている。
 市の最北部にある銀廠溝は、美しい滝と渓谷で知られる避暑地。成都の不動産会社が80億元(約1200億円)を投じ、米国、韓国の3社と共同でリゾート開発が今年始まったばかりだ。すでにホテルや約90軒の民宿が立ち並んでいたが、地震で渓谷が崩れ建物はほぼすべて倒壊した。
 「これだけ被害が出ているのに、なぜ地元のテレビさえほとんど報じないのか」
 銀廠溝で被災、西郊中に避難してきた陳定華さん(56)は声を荒らげた。「被害が知れわたるとリゾート開発会社に逃げられるから、地元政府が止めているんだろう」。周りの被災者たちがうなずいた。地震後も、彭州の地元政府担当者は「観光名所を再び開発して銀廠溝のブランドを守る」と地元紙に述べ、計画続行を強調している。動植物園や温泉、スキー場などをつくる計画だ。
 地元救援本部によると、銀廠溝を含む竜門山鎮の住民の死者数は422人。だが、銀廠溝への道路の復旧が遅れ、被害の詳細は不明な部分が多い。銀廠溝から西郊中に避難した女性は「私の集落だけで35人死んだ。地元政府の集計は少な過ぎる」と言う。
 こうした見方は各地でささやかれている。銀廠溝から約20キロ南の彭州・通済鎮の女性(31)は「銀廠溝では5千人以上が死に、地元政府が口止めしていると聞いた」。 ネットの掲示板でも「死者は1万人に上る」「中国中央テレビはなぜ報じないのか」とエスカレートしている。
 地元政府関係者は「ネットで書かれているのは知っているが、竜門山鎮の人口は1万人余りだからあり得ない」と否定する。だが、救援に駆けつけた別の県の関係者は「死者は公表数よりもっと多いかも知れない。地元政府は知っているが、報道機関には絶対に話さないだろう」と語る。
 憶測が飛び交う背景には、救援活動の遅れや被災者支援の不足から、地元政府への不信が高まっている事情がある。銀廠溝出身で西郊小学校の避難所にいた男性(40)は「避難所は学校の先生が管理しており、地元政府の人間は見たこともない。物資も足りず、テントも自分でつくった」と憤る。
 彭州に隣接する都江堰では、いい加減な被災統計をつくったとして地元政府幹部が罷免された。地元政府に対する被災者の視線は、一段と厳しくなっている。(成都〈中国四川省〉=琴寄辰男)

◎香港の家賃、急騰、五つ星ホテルも契約更新断られる(2008年5月25日、朝日新聞)
 香港でオフィスや住居の賃料が急騰している。外資の進出ラッシュに加え、過熱の背景には、通貨が米ドルと連動する「ペッグ制」の存在がある。香港は好景気なのに、米国の金融緩和で金利が実質マイナスとなり、だぶついた資金が不動産に流入しているからだ。(香港=奥寺淳)
 香港の金融街・中環(セントラル)に事務所を構える日本のある金融機関に今春、家賃値上げの通知が届いた。3年前、3.3平方メートル当たり約2万8千円で契約した。新たに示された家賃は同7万2千円。2.6倍だった。
 「値下げ交渉はしたが、1円も安くならなかった。相場は3倍でも当たり前だから、ましな方でしょう」。交渉にあたった駐在員は、あきらめた表情で話す。
 五つ星の高級ホテル、ザ・リッツ・カールトンは1月、大家に契約更新を断られ、九竜半島側で再開業する予定の10年まで、香港での拠点を失った。地元の不動産業者は「ホテルに1棟貸しするより、オフィスの方が高い家賃が取れるからだ」と語る。
 ほかにも、米投資銀行大手モルガン・スタンレーや全日空などの外資企業が、より家賃の安い九竜側に移ることを決めている。不動産仲介大手、中原地産の黄良昇・研究部主幹は「この調子だと賃料は今年中に、香港返還の97年を超えそうだ」と予想する。
 「返還バブル」に沸いた97年の反動で、その直後から香港の不動産価格や株価は急落。さらに同年のアジア通貨危機、03年の新型肺炎SARS騒動もあり、経済は低空飛行を続けてきた。
 ところが、04年以降、年率10%を超える中国の高度成長の恩恵を受け、香港の景気は急回復してきた。オフィスの賃料は、07年までの3年間で平均7割上昇。中環の中心部では03年から4倍近くにもなった。住宅の家賃は、昨年末から今年2月末までに6.4%も値上がりしている。
 相場を押し上げているのが外資企業の存在だ。香港政府の統計では、10年前に約2500社だった外資企業は、07年に1.5倍の3890社に増加。法人税が安く、株式の譲渡益や配当が非課税なので、特に銀行や投資銀行などは「中国投資への玄関口」である香港に進出し、事業拡張がいまも続いている。
 そこに金利の低下が加わり、不動産市場への資金流入に拍車をかける。香港ドルは米ドルと連動するペッグ制を採用しており、金利も米国と連動する。米低所得者向け(サブプライム)ローン問題で米国が昨年から利下げを繰り返し、香港の金利も急低下。今や普通預金の利子は年0.01%程度だ。
 一方で、最近の物価上昇率は3%を超え、金利は実質マイナス状況にある。住宅ローン金利も下がり、個人も住宅投資をしやすくなった。低調な株式市場からは資金が流出し、不動産市場になだれ込んでいる。
 みずほ総研の稲垣博史・香港駐在シニアエコノミストは「経済は中国と連動しているのに、通貨が米国に連動するペッグ制の矛盾が出ている。いずれ香港ドルは切り上げざるを得ないだろう」と話す。

◎物資横領に反発、被災民数千人が警官と衝突、四川省(2008年5月23日、産経新聞)
 23日付の香港紙、明報によると、中国・四川大地震で被害を受けた四川省徳陽市羅江県で21日、救援物資の横領を疑う被災民数千人が抗議デモを行い、警官隊と衝突、地元公安局の副局長が負傷したほか、警察車両1台が壊された。12日の地震発生後、被災地で大規模な抗議行動が起きたのは初めてとしている。
 同紙によると、21日、ナンバープレートのない軍用車両が、トラックで運ばれてきたインスタントラーメンや飲料水などを積んで走り去ろうとしたため、救援物資の横領とみて反発した被災民は車両を包囲、地元政府に説明を求めた。
 被災民らはその後「腐敗反対」のスローガンを叫びながらデモ行進し、参加者の一部が副局長の頭などを殴った。警官数十人が駆けつけ副局長を救出、容疑者を拘束しようとして衝突が起き、警察車両1台が壊された。(共同)

◎倒壊学校の「おから工事」実態、一部中国紙誌が報道始める(2008年5月23日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】中国・四川大地震で多発した学校倒壊の一因とされる手抜き工事について、共産党政権の厳しい報道統制の下、一部中国紙誌が現場の実態を断片的に伝え始めた。
 「コンクリートの中に入っているのは、針金だ。鉄筋なんかじゃない!」
 22日の南方週末紙によると、地震発生翌日、中国最強の地震レスキュー隊とされる国家震災緊急救援隊のメンバーが、数百人が生き埋めになった四川省都江堰(とこうえん)市の中学校倒壊現場で怒っていた。「『おから工事』そのものだ!」と隊員は言う。
 施工業者が役人に賄賂を渡し、その分、鉄筋を減らすなどで調整し、おから並みのもろい建築を作る。それが「おから工事」だ。
 「南風窓」誌は、同じ学校で建築に詳しい人が「鉄筋の数が少なすぎるし、細すぎる。直径12ミリであるべき部分が6ミリしかない」と語るのを聞いた。
 これは都江堰だけの問題ではない。同省内では、被害が特に深刻な地域を除いても計約6900棟(14日現在)の校舎が倒壊している。南方都市報(電子版)は、「テレビで校舎の倒壊現場を見ると、鉄筋が非常に細い。明らかに基準をクリアしていない」という北京の建築設計士の見方を紹介した。
 第一財経日報紙は23日、「各地の学校は、上の階が直下の階を次々に押しつぶしながら、積み木のように崩れた」と記した。耐震性が低く、新改築時には使用が認められていない建材が、多くの学校で使われていたという。
 政権は、四川大地震の規模の大きさは強調している。だが、「人災」の側面があった可能性については、ほとんど沈黙したままだ。

◎がれきの下に放射性物質15個、中国当局が会見(2008年5月23日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国の環境保護省当局者は23日、北京で記者会見し、四川大地震の被災地で22日正午までに、危険性のある放射性物質が50個発見され、このうち35個を回収したことを明らかにした。残りの15個については位置を特定できたが、建物のがれきの下に埋まるなどしており、現在回収不能という。当局者は「放射能漏れ事故は起きていない」としたが、放射性物質の種類や扱っていた施設の場所などについて、今回の発表でも一切明らかにしなかった。
 これまで新華社通信は「がれきの下に埋もれた放射性物質32個のうち30個を回収した」と報じていた。
 また、当局者は、工場倒壊により、四川省什(ジュウ)ホウ市でアンモニアが漏れたり、綿竹市の工場でリンが燃焼したりする化学物質漏洩(ろうえい)絡みの事故が4件発生していたことを明らかにした。(ホウは「方」におおざと)
 ただ、「周辺の水質や大気に悪影響はない」としている。什ホウ市では、化学肥料を生産する工場が被災、周辺住民が一時避難していた。
 環境保護省は、今後、環境汚染事故が起きる可能性のある30か所余りを追跡調査し、事故を未然に防ぐよう四川省当局に命じた。省当局が化学企業など1万社以上の企業を徹底調査した結果、省内の76%の企業が操業停止状態に陥っていることがわかったという。
 一方、中国政府は23日、四川大地震の死者が前日より約4600人増えて計5万5740人に、負傷者が29万2481人に達したと発表。行方不明者は2万4960人。

◎被災地域、放射性物質15個未回収、四川大地震(2008年5月23日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】四川大地震の被災状況について中国環境保護省の呉暁青次官が23日、記者会見し、地震のため被災地域にある50個の放射性物質に保管や安全上の問題が発生、うち15個は建物の倒壊などの危険があるため未回収であることを明らかにした。
 15個のうち3個はがれきに埋まって回収不能というが、これらが具体的に何を指すのかは明かさなかった。中国政府は20日時点では未回収は2個としていた。呉次官は「放射能漏れは起きていない」と説明している。
 中国政府の23日の発表によると、地震でこれまでに確認された死者は5万5740人、行方不明者は2万4960人となった。

◎中国:北京で手足口病拡大、3606例確認し1人死亡(2008年5月14日、毎日新聞)
 【北京・西岡省二】北京市衛生局は13日、中国各地で拡大する手足口病について、市内で今年3606例の感染が確認され、うち1人が死亡したと発表した。北京での死者は初めて。中国各紙が14日報じた。
 12日の新華社によると、中国国内の手足口病の死者は今年39人。

◎中国:手足口病患者各地で拡大、34人死亡患者2万人以上(2008年5月11日、毎日新聞)
 【上海・鈴木玲子】中国で手足口病患者が急速に拡大し、新華社通信によると9日現在、34人が死亡、患者は計2万7499人に上った。3月に安徽省で急増した後、北京や上海市、広東省など各地に広がった。政府は、同病を法定伝染病に指定し、専門家対策チームを設立する。

◎手足口病1万2千人に、中国、死者26人(2008年5月6日、産経新聞)
 5日の新華社電は、中国安徽省などで猛威を振るう手足口病の感染者が同日までに、全国で1万1905人に達したと伝えた。死者は26人となり、感染は拡大の勢いを見せている。
 新華社によると、死者の多くは安徽省阜陽市に集中し、22人が死亡した。ただし、感染は全国に広がり、北京では5日までに1482人が、隣接する河北省でも206人が感染。江蘇、湖南、湖北の各省などにも拡大している。
 ロイター通信によると、世界保健機関(WHO)の北京代表は感染がピークを迎えたかどうかは不明としつつも「五輪への影響はないと思う」としている。
 手足口病は3月上旬から安徽省で広がりが確認された。5歳以下の子供の感染が多く、肺水腫を併発するなどして死亡することがある。北京では感染者のうち818人が幼稚園内で感染した。

◎中国:上海で路線バス全焼、3人死亡(2008年5月6日、毎日新聞)
 【上海・鈴木玲子】中国上海市楊浦区で5日午前9時(日本時間同10時)ごろ、路線バスから出火し、全焼した。乗客3人が死亡、少なくとも12人が負傷した。上海の日本総領事館によると、日本人が巻き込まれたとの情報はない。警察当局は「乗客が引火しやすい品物を持ち込んでいた」と発表。詳しい出火原因を調べている。
 乗客や目撃者の証言によると、爆発音は聞こえなかったという。現場近くにいた男性は「乗客がもみ合うようにドアから逃げ出してきた。バスはものすごい勢いで燃えた」と話した。現場はスーパーや飲食店などが建ち並ぶ住宅街。黒煙が立ち上り、周辺道路は一時封鎖された。
 上海ではバス火災が相次いでおり、今年3月に2件、昨年7月にも3件発生している。

◎上海で路線バス炎上・3人死亡、12人負傷(2008年5月5日、日本経済新聞)
 【上海=戸田敬久】上海市公安局は5日、同日午前9時ごろに同市楊浦区で路線バスが炎上、3人が死亡し、12人が負傷したと発表した。原因は調査中。上海の路線バスは今年に入り、少なくとも3件の炎上事故を起こしている。
 地元紙などによると、炎上したのはエアコン付き大型バス。窓の開閉が難しく、炎上時の脱出ルートが乗降口の1カ所に限られたため一部の乗客が逃げ遅れたという。上海の日本総領事館は、「現時点で死傷者に日本人はいないことを確認した」としている。
 中国の路線バスは旧型が多く、整備不良などから炎上事故が頻発。地方都市に限らず、発展が著しい北京や上海など大都市でも発生している。

◎ソフトバンク、中国ネット大手を傘下へ、400億円出資(2008年4月30日、朝日新聞)
 ソフトバンクは、中国のインターネット大手「オーク・パシフィック・インタラクティブ」(OPI、北京市)に40%出資することで合意した。筆頭株主になる。OPIは、学生向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「校内網」を運営している。
 7日に第三者割当増資を引き受けてOPI株約14%を約100億円で取得。さらに約26%分の新株予約権を得た。孫正義ソフトバンク社長が取締役に就任した。最終的には計約400億円を出資する。
 「校内網」の会員数は約2200万人。ソフトバンクは配当利益に加え、顧客基盤の活用を狙う。
 ソフトバンクは、中国の企業間電子商取引のシェア7割、ネットオークションの8割を握るアリババグループにも約30%出資している。

◎上海市元トップ、懲役18年確定・汚職事件で控訴せず(2008年4月22日、日本経済新聞)
 【上海=渡辺園子】新華社電は22日、上海市の大型汚職事件で収賄罪などに問われ1審で懲役18年、財産30万元(約440万円)没収の有罪判決を受けた上海市の元トップ、陳良宇・元市党委書記が控訴期限の21日までに控訴せず、判決が確定したと報じた。
 陳元書記は4月11日に天津市第2中級人民法院(地裁)で収賄罪と職権乱用罪で実刑判決を受けていた。「財経」ネット版によれば2007年7月に逮捕された陳元書記の刑期は25年7月25日までだが、服役態度が良ければ9年間にまで減刑される可能性があるという。
 上海汚職では国有企業や上海市の元幹部など約20人が起訴された。新華社系の「新華網」によれば既に16人が執行猶予付き死刑や無期懲役、懲役1年半~19年の判決を受けた。懲役19年の1審判決を受けた民営企業家、張栄坤被告が控訴したほか、陳元書記の側近だった陳超賢・元長寧区長などの裁判が未開廷だが、陳元書記の判決確定で事件処理は大きな山を越えたことになる。

◎中国からの武器輸入阻止へ、ジンバブエ向け、米政府(2008年4月22日、産経新聞)
 大統領選後の混乱が続くジンバブエに輸出する大量の武器を積んだ中国船に対し、武器が政権による野党弾圧に使われる恐れがあるとして周辺各国に貨物を荷揚げしないよう米政府が働き掛けていることが22日、分かった。AP通信が米政府当局者らの話として伝えた。
 中国船はジンバブエ治安部隊用の迫撃砲など大量の武器を積載。ジンバブエは内陸国のため周辺国の港で荷揚げする必要があるが、南アフリカは18日、荷揚げを拒否。その後、モザンビークでも同様に拒否されたため、現在、中国船はアンゴラかナミビアに向かっているとみられる。
 中国外務省は22日、武器輸出は昨年の契約によるもので、最近のジンバブエの混乱と関連はないとして「政治問題にすべきでない」と反発している。

◎武器輸出の中国船、アンゴラへ(2008年4月21日、産経新聞)
 アフリカ南部ジンバブエ向けの武器を積んだ中国籍コンテナ船「安岳江」が南アフリカで荷揚げを拒否され、21日現在、南ア領海を航行している。
 現地報道によると、積み荷は自動小銃など77トンで、米当局に武器密輸で起訴されたことがある中国軍系の企業がジンバブエ国防省に出荷した。船は14日、南アのダーバン港沖に到着。18日夜、アンゴラに向かった。ジンバブエでは3月29日に大統領選が行われたが、開票されないまま再集計が進められており、ムガベ大統領による野党勢力への弾圧が懸念されている。

◎北京市が大気汚染対策で五輪中、土木作業など停止(2008年4月14日、産経新聞)
 14日付の中国紙、北京晨報によると、北京市はこのほど、8月の北京五輪に向け、大気汚染の原因となる土木工事や化学工場の操業を7月20日から2カ月間停止するなどとした通知を関係部門に出した。
 この期間、建設現場では空気を汚す土木作業などを停止。汚染物質を排出する化学やセメントの工場、採石場などは操業を停止または制限する。(共同)

◎上海市汚職、元トップに懲役18年判決、中国の裁判所(2008年4月11日、朝日新聞)
 【上海=西村大輔】上海市社会保障基金をめぐる汚職事件で、天津市の裁判所は11日、中国共産党の元政治局員で上海市トップだった陳良宇・元市党委員会書記(61)に対し、職権乱用と収賄の罪で懲役18年、個人資産30万元(1元は約15円)没収の判決を言い渡した。
 汚職事件をめぐる政治局員の有罪判決は、98年に懲役16年の判決を受けた陳希同・元北京市党委書記以来、10年ぶり2人目。2期目を始動させたばかりの胡錦濤(フー・チンタオ)政権が、党幹部に広がる深刻な腐敗体質に対し、厳しい姿勢を示した形だ。
 地元報道によると、陳良宇元書記は02年、故・黄菊元副首相の秘書の紹介で上海の実業家、張栄坤被告(34)=懲役19年、控訴中=と知り合い、年金や失業保険などの原資となる社会保障基金から、張被告に対し約10億元を不正に融資することを決めた。張被告は融資を利用して高速道路の経営権を握った。さらに複数の企業家から計約240万元のわいろを受け取り、贈賄側に市の財政支援を行うなど便宜を図った、とされる。
 06年8月に事件が表面化して以降、陳元書記のほか、黄元副首相の秘書、市幹部や大手国有企業幹部ら約20人が続々と解任、逮捕され、中国の政界を揺るがした。胡国家主席が、江沢民前総書記につらなる「上海閥」の影響力をそごうとした政争の側面も指摘された。
 陳元書記自身は一貫して上海で出世。02年10月に市党委書記に就任、政治局員も兼務した。江前総書記や黄元副首相らの後ろ盾により、最高指導部である党政治局常務委入りも取りざたされたが、06年9月に市党委書記を解任、07年7月に党籍も奪われた。

◎人民元、初の1ドル=6元台に突入、上海市場(2008年4月10日、読売新聞)
 【珠海(中国広東省)=寺村暁人】10日の上海外国為替市場の人民元相場は、中国人民銀行(中央銀行)が同日の取引の中心となる対ドル基準値を前日の基準値より0.0105元の元高・ドル安となる1ドル=6.9920元に設定し、6元台に突入した。
 人民元の対ドル・レートが切り上げられ、変動相場制に移行した2005年7月の人民元改革以降、6元台になるのは初めてだ。
 正午(日本時間午後1時)現在、6.9909元で取引されている。
 中国では、消費者物価指数の上昇率が政府の年間目標を大きく上回っており、政府がインフレ抑制のために人民元の上昇スピードを加速させている。人民元の対ドル・レートは、05年7月の切り上げから2年9か月で約16%上昇した。

◎北京五輪目前・中国の独自規格3G携帯、とうとう始動(2008年4月1日、日本経済新聞)
 中国通信キャリア最大手のチャイナモバイルは先週、中国独自の第3世代携帯電話(3G)規格であるTD-SCDMAの試験運用を4月1日に開始すると発表した。中国独自規格への固執や業界再編に向けたキャリアの思惑など様々な要素が絡み、中国の3G解禁のうわさはここ何年もの間浮かんでは消えていた。北京五輪を目前に控え今度こそ商用化、そして普及への道筋をつけることができるだろうか。(中国IT最前線)

・料金はGSMと同等・5割引キャンペーンも
 チャイナモバイルの発表によれば、今回の試験運用はすでにTD-SCDMAのネットワークが構築されている北京、上海、瀋陽、広州、シンセンなど8つの都市で行われる。実施に当たって、その料金体系も決まった。ユーザーへの浸透を早めるため、基本料金も通話料金も、基本的に既存の第2世代(GSM)と同じ水準に据え置いた。
 さらに、試験運用期間中は通話料の5割引キャンペーンも実施する。自社の流通チャネルへの販売奨励金も少額ながら初めて導入した。チャイナモバイルは次のステップについて公言していないが、4月から2回目の端末調達を開始することもすでに決まっているようだ。
 調達の数量は20万~30万台規模という。4月前半に機種の認定が終わり、4~5月にテスト、6月以降に市場に出回るという計算だ。上記8都市のTD-SCDMAネットワークのカバー範囲も既存のGSMの95%に達しているという。
 端末はほとんどがTD-SCDMAとGSMの切り替えを自動的に行うデュアル方式のため、サービスエリア外や信号が弱い場合も無難に対応できそうだ。中国政府は北京五輪における無線通信サービスはTD-SCDMAで実施すると公約しただけに、通信キャリアもラストスパートを切ったといってよさそうだ。

・アキレス腱は端末の供給力
 中国政府とTD-SCDMA陣営は「北京五輪までに」を合言葉に準備を進めてきただけに、今回の五輪を普及のきっかけにしようと狙っている。とはいえ、実現できるかどうかは微妙なところだ。なぜなら、十分な数の端末を提供できるかどうかがいまだ見えないままだからだ。端末の開発はずっと同陣営のアキレス腱だった。徐々に改善されつつあるが、チャイナモバイルから見て頼りない状況に変わりはない。
 現時点で北京五輪までに市場に投入することが明確になっている端末台数は30万台前後に過ぎない。産業に影響を及ぼすには少なくとも100万台級の端末の投入が必要だ。もちろん、チャイナモバイルも大規模な端末の投入でネットワークのテストを行いたいところだが、端末の選択肢はいまだ限られているようだ。成熟度の高い中興通訊(ZTE)やレノボ、サムスン電子の端末でさえネットワーク間の切り替えのスムーズさや高速移動中の安定性などの指標においてはチャイナモバイルの要求を存分に満たしていない。
 端末メーカーの開発の遅れは、チャイナモバイルがこれまでTD-SCDMAにあいまいなスタンスをとってきた影響があるのは言うまでもない。今回キャリアが一歩踏み出したことにより、メーカーの開発も熱を帯びてくるだろう。しかしながら、北京五輪の開催時期である8月まではあとわずかだ。キャリアもメーカーも時間との戦いを強いられることになる。

・成功すれば業界地図を塗り替える可能性も
 これまでの中国の通信業界は、華為技術や中興が設備メーカーとして健闘してきたこともあり、国内と海外の力の差が徐々に縮まってきた。しかし、端末に関しては全く歯が立たないのが現状だ。
 2007年度の中国市場の端末販売ランキングは外資系のノキアやモトローラ、サムスン、ソニー・エリクソンが上位を独占し、この4社で市場シェアの6割以上を占めている。中国系としてはレノボだけが辛うじて4位に食い込んでいるが、その次となるといまだ差が大きい。
 ただ、これはあくまでも2Gにおいての話。もしTD-SCDMAが本格的に普及していけば、設備メーカーはもちろん、端末メーカーの業界地図も塗り替わる可能性を秘めている。
 チャイナモバイルによる端末メーカーの1回目の審査において許可が下りた6社の中では、サムスンとLG電子以外、すべて国内メーカーだ。2回目の審査もまもなく行われるが、もっとも有望なのは華為などの国内メーカーだというのが大勢の見方だ。
 今回の試験運用に投入される6万台の端末は国内メーカー製が85%を占めている。ノキアなど静観していた欧米メーカーは最近こそ積極的な姿勢が見られるようになってきたが、機を逸した感が否めない。TD-SCDMAに参入することになれば欧米メーカーも現地パートナーとの協力が欠かせなくなるだろう。今までと全く逆の構図だ。

・難しい立場のチャイナモバイル
 TD-SCDMA陣営は苦節10年を経てようやく試験運用にこぎ着けたわけだが、今後も予断を許さない。TD-SCDMAが大成するのか、それとも試験運用のままで終わるのかの鍵を握っているのは、ほかでもなく通信キャリアの動きだ。チャイナモバイルもその例外ではない。
 GSMにおいて中国で圧倒的な強さを誇り、名実とも世界ナンバーワンの通信キャリアになったチャイナモバイルだが、去年まではTD-SCDMAにそれほど積極的ではなかった。もちろん、自らの牙城であるGSMとの競合への考慮もあるが、もっとも大きかったのはTD-SCDMAの将来に対する不安だ。ただし国策会社であるチャイナモバイルが、国策の独自規格の推進から逃れられるはずもない。
 推進の中心になってからもそのスタンスは慎重で、もともと昨年末の予定だった試験運用もここまで遅れた。やっと重い腰を上げたわけだがその悩みは尽きないようだ。なぜなら、いくら国策会社といってもチャイナモバイルは上場会社だからだ。
 ナスダックと香港に上場している同社は、世界中の株主に対して下手な投資はできない。今回のTD-SCDMAの試験運用でそれぞれ8つの都市に別の運営会社を作り、上場会社とは完全に別会計にしているのもそのためだ。試験運用を通じてネットワークの安定性を検証し、ユーザーを獲得することが当面の目標だが、それを達成してからも難しい舵取りを強いられるのは間違いない。
 TD-SCDMAを育てながらGSMと平行で運用し、そのままTD-SCDMAの第4世代規格であるTD-DLTEへ傾くのか?それとも天秤をかけて両方を運用するのか?国策と市場の間に挟まれたチャイナテレコムの一挙手一投足を、TD-SCDMA陣営は注意深く見守るしかない。
 チャイナモバイルの試験運用は成功するだろうか?現時点では誰も予測できないが、TD-SCDMAの運命もこの試験運用にかかっていることは確かだ。

◎牛乳で園児75人食中毒、中国広東省(2008年3月29日、産経新聞)
 29日付の中国紙、中国青年報によると、広東省で26日、同省珠海市内の牛乳メーカーが生産した牛乳を飲んだ幼稚園児75人が食中毒症状を訴え病院で手当てを受けるなどした。
 地元衛生当局の調査では、牛乳から黄色ブドウ球菌が検出され、当局はメーカー側に生産停止と製品の回収を指示した。
 メーカーによると、警察当局が加わり原因を調査中で、結果が分かり次第公表するとしている。

◎中国:「五輪バブルない」北京市が分析、不動産白書(2008年3月21日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】北京市社会科学院はこのほど「都市・農村発展報告07~08」と題した白書をまとめた。市民の関心が高い夏の北京オリンピック後の不動産価格の動向を分析しているが、北京五輪は価格高騰の根本的な原因ではなく「五輪バブル」は存在しないと分析。五輪後も不動産価格の緩やかな上昇が続くと結論付けた。
 白書によると、昨年10月に北京で売り出された29カ所のマンションの平均敷地面積は約120平方メートルで、価格は約150万元(約2250万円)。北京市民の平均可処分所得の約75年分にあたる。
 価格高騰は、住民の収入増と北京市民以外による住宅購入など多くの要因が重なっていると説明。特に、市外に住む富裕層が子弟を北京の学校に通わせるために住宅を買うケースが全体の35%に上っていると指摘した。
 一方で、今の価格水準は平均的な勤労者世帯には手の届かない水準であることも指摘。住宅投機の制限などを政策当局に求めた。

◎中国:鉄鋼など42社で操業規制、五輪の環境対策で河北省(2008年3月21日、毎日新聞)
 中国の通信社、中国新聞社電によると、河北省は21日、北京五輪に向けた大気汚染対策として取り組んでいる企業の操業停止、制限について、鉄鋼、電力、化学、セメントなど汚染物質を多く排出する分野の計42企業を対象にすることを決めた。
 河北省は北京を取り囲んでおり、同省の企業による汚染物質排出は北京の大気汚染の一因とされる。北京に隣接する同省保定市などでは建物の建設や取り壊しも中止するという。

◎ラサ暴動で24人逮捕と発表、検察当局、出頭170人(2008年3月20日、産経新聞)
 中国チベット自治区ラサ市の人民検察院(検察庁)は20日、ラサの暴動にかかわったとして24人を逮捕したことを明らかにした。暴動に絡んで逮捕が正式に発表されたのは初めて。
 ルオジュイ容疑者ら24人は、国家安全に危害を与える罪と、暴動の際の破壊行為などに問われている。同検察院の謝彦軍・副検察長は「事件はダライ・ラマ(14世)一味が組織し綿密に計画したものだ」と述べた。
 国営の新華社通信は、19日午後10時(日本時間同11時)までに同暴動に絡み170人が警察に出頭したと伝えた。
 新華社はまた、14日の暴動では市民13人が死亡したほか325人が負傷、422の商店と120の家屋、6の学校などが損傷を受けたと報道。被害は2億元(約28億円)に上るとしている。
 ラサ暴動の発生以来、デモによる人的、物的被害を強調し、デモ隊側の死傷者の有無などは一切伝えていない。

◎「ラサ暴動で24人逮捕」、国家安全危害などの容疑(2008年3月20日、朝日新聞)
 中国チベット自治区ラサで起きた暴動にかかわったとして、ラサ市人民検察院は19日、国家安全危害罪と傷害、強盗、放火など刑法違反の容疑で24人を逮捕した。中国チベット・ニュースネット(人民日報とチベット日報が運営)が20日、伝えた。

◎ダライ・ラマ14世が会見、チベット暴動で国際調査を(2008年3月16日、読売新聞)
 【ダラムサラ(インド北部)=永田和男】インド亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は16日、本拠を置くダラムサラで記者会見し、中国チベット自治区での暴動を中国当局が鎮圧した問題について、原因や死者数を把握するため、国際的な独立調査団が直ちに現地入りすることが望ましいとの見解を示した。
 ダライ・ラマは会見で「意図的かどうかはともかく、(チベットで)文化的虐殺が起きている」と述べ、中国当局の対応を批判。「中国側とチベット人側はともに一歩も引かない構えで、私は今、1959年3月(のチベット動乱時)と同じ気持ちを味わっている」と述べ、6か月間で8万7000人が死亡したとされる、49年前の大動乱に匹敵する事態の再来に強い懸念を示した。
 中国側が、暴動の背後にダライ・ラマ自身がいると非難していることについては、「私がどうやってチベット内部にそんな影響を持てるのか」と強く否定した。
 北京五輪については、「世界最大の人口を持つ文明国である中国には、開催の資格はある」と述べ、中止やボイコットを求める考えはないと表明。その上で「国際社会は中国に対し、この機会に国内の人権状況を見つめ直すよう促すべきだ」と述べた。
 一方、チベット亡命政府幹部は16日、記者団に対し、これまでに確認された暴動での死者は80人で、負傷者も72人に上ると述べた。

◎チベット情勢、中国国内のメディアは沈黙(2008年3月16日、朝日新聞)
 中国チベット自治区ラサで起きた僧侶や市民らの大規模な抗議行動について、ほとんどの国内メディアは沈黙を続けている。中国中央テレビの海外版など一部は、暴動で店舗や警察車両が破壊された場面を部分的に報じているが、中国当局が国外向けに抗議行動の「悪質性」を強調することで、武力鎮圧を正当化する狙いとみられる。
 チベット自治区当局は、記者を含め、外国人や中国人旅行者の新たな入境を禁じている。外国メディアの取材を禁じる目的があるとみられる。
 在京チベット関係者によると、ラサにいる外国人観光客は自治区外へと出されており、その際、ビデオカメラの映像などは消去されたり、没収されたりしているという。
 同自治区共産党委員会は15日、緊急拡大常務委員会を開き、「民衆を総動員して打ち勝たなければならない」と、強硬姿勢で臨む方針を決めた。
 一方、中国チベット自治区に隣接する四川省の成都には16日、同自治区のラサから旅行客らが相次いで到着し、激しい騒乱の様子を証言した。
 旅行者らによると、ラサ市内では14日午後、多数のチベット族が刃物を手に商店を破壊。旅行で訪れていた日本人男性(24)は「バイクに乗って走っていた漢族の男性が5人ほどのチベット族の男女に襲われ、石で殴られるのを見た」。自分も漢族に間違われて殴られそうになり、日本人だと説明すると「中国人(漢族)が憎かったらおまえも一緒に石を投げろ」と言われたという。
 16日夜、成都からチベット自治区に向かう幹線道路には至る所に警察官が配置され、約40台の警察や武装警察の車両がサイレンを鳴らして走り去るのが目撃された。香港から同自治区のシガツェを訪れていた男性(43)は「中国の警察は極めて緊張した様子で、不審者がいないか調べていた」と話した。15、16両日で500人以上のチベット僧や住民が当局に拘束されたとの情報もある。
 北京の日本大使館によると、ラサ市内には54人の日本人がいる。同大使館が中国外務省に確認したところ、日本人を含む外国人に被害は出ていないという。

◎チベット騒乱拡大、四川省で衝突、7人死亡か(2008年3月16日、朝日新聞)
 中国チベット自治区ラサで起きた共産党・政府に対する僧侶や市民の抗議行動は、16日までに鎮圧された。しかし、インドに拠点を置く非政府組織(NGO)チベット人権民主化センターによると、四川省のチベット族居住地域で僧侶ら約1000人が治安部隊と衝突、7人が射殺されるなど、騒ぎは中国各地に飛び火し始めている。
 中国筋によると、ラサには多数の軍や武装警察が配置され、騒ぎは16日までに鎮圧された。現地入りした香港テレビ局TVBによると、市中心部は封鎖され、武装した1万人ほどの兵士が家宅捜索などを行っている。暴動で市内の160カ所が放火され、学校や病院など40カ所が焼けたと新華社通信は伝えた。
 インドにあるチベット亡命政府はラサで死者80人、負傷者72人が確認されたとしている。在京チベット関係者がラサから得た情報では、遺体を積んだ中国当局のトラックが市内から郊外に移動しているという。
 一方、ロイター通信は地元当局者の話として、チベット自治区に隣接する四川省のアバ県で16日に約200人が地元警察署に火炎瓶を投げ、建物が焼失したと伝えた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)などによると、四川省や青海省のチベット族居住地域で警察署が放火されたり、多数の僧侶が逮捕されたりしており、多数の僧侶らが拘束されたという。チベット亡命政府の報道官も四川省で3人、青海省で6人が死亡したとの未確認情報があると語った。

・ダライ・ラマ、中国の武力の使用非難
 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は16日、チベット亡命政府のあるダラムサラで記者会見し、中国当局がチベット自治区で起きた騒乱について「ダライ・ラマ一派の策動」としていることについて「完全に誤りだ」と否定、「武力の使用は時代遅れだ」と中国当局の対応を非難した。
 ダライ・ラマは騒乱の原因について、「何が起こっているのか、あなた方(メディア)や国際機関で調べてほしい」と呼びかけた。そのうえで、「(チベット人に対し)恐れと懐疑心ばかりでは、真の調和や団結は不可能だ」と、中国当局の対応を批判した。
 中国当局が17日中に自首すれば処罰を軽くするとしていることについては「(投降しなかった場合に)何が起こるか、憂慮している。だが、私にはチベット人を止める力はない」と述べた。

◎中国:メタミドホス押収、農薬工場を閉鎖(2008年3月14日、産経新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国・天津市農薬監督管理部門は、市内にある農薬工場8社に対し、生産禁止となっている有機リン系殺虫剤メタミドホスなど高濃度の農薬5種類を生産していたとして、工場閉鎖の処分を下し、生産設備を撤去した。押収した農薬は計約3300キロに上る。新華社通信が13日、地方紙「天津日報」の報道として伝えた。
 天津市内でメタミドホスなどの販売を全面的に禁止するため、政府関連部門が工場や商店などを巡回して農薬を回収。農民の手元に残っている農薬は、購入価格で買い取って、農民の負担を軽減するという。
 中国では今年1月、メタミドホスの生産、販売、所持を厳しく取り締まる通達が出された。しかし、メタミドホスは安価で殺虫効果が高いため、使用したがる農民も多く、販売が続いている農村もある。

◎チベット自治区ラサで大規模暴動、商店に放火、数人死亡か(2008年3月14日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】新華社電によると、中国チベット自治区の区都ラサの中心部で14日、放火が相次ぎ、多数の商店などが焼かれた。
 北京発のAFP通信は、ラサの救急センター当局者の話として、暴動により数人が死亡したと伝えた。民族・宗教問題での根深い対立を抱え、中国政府が反政府行動を厳しく取り締まっている同自治区で大規模な民衆暴動が発生したのは、ラサに戒厳令が敷かれた1989年以来とみられる。在北京日本大使館によると、14日夜現在、日本人に負傷者が出たとの情報はない。
 在北京の米国大使館は14日、ホームページを通じ、ラサに滞在する複数の米国人から、「銃声を聞いた」との情報が寄せられたことを明らかにした。
 新華社電が報じた目撃証言によると、14日午後2時(日本時間同日午後3時)ごろ、放火が始まり、ラサを代表する名刹(めいさつ)であるジョカン(大昭寺)前の広場から多数の人が出ていった。複数の負傷者が出ており、病院に運ばれた人もいる。
 また、商店街の店が焼かれ、車両も放火されているという。

◎ハワイから西は中国、東は米で? 中国軍幹部が提案(2008年3月12日、朝日新聞)
 「空母を開発するから、太平洋のハワイから東部を米国がとり、西部を中国がとるというのはどうか」――。米太平洋軍のキーティング司令官は11日の上院軍事委員会で、中国軍幹部からこんな「提案」があったことを明らかにした。キーティング氏は「冗談とはいえ、中国軍の戦略的考え方を示唆している」と語った。
 米中は軍事交流に取り組んでいるが、キーティング氏は「ビールをちょっと一杯という感じでは全くない」と言及。中国軍幹部に「電話番号を聞いても教えてもらえない」として、日本や韓国との緊密な協力関係にはほど遠いとも語った。
 中台衝突の可能性については「非常に低い」とする一方、「中国は65隻の潜水艦を保有しており、米軍が太平洋に展開する潜水艦の2.5倍近い」と中国の軍事力強化に懸念を表明。また、米中の軍事ホットラインが2カ月以内に開設されるとの見通しも示した。
 一方、キーティング氏は記者団に、日米韓3カ国による防衛対話を日韓両政府に提案していることを明らかにした。上院軍事委には「平和維持活動や人道支援・災害救援の分野で3カ国の協力強化を呼びかけている」とする書面を提出した。
 韓国の李明博(イ・ミョンバク)・新大統領が日米との連携に前向きな姿勢を示していることを受け、米側から提案したとみられる。

◎中国「スパイ」判決、官房長官が「不可解」と不快感(2008年3月11日、読売新聞)
 中国の北京市高級人民法院(高裁)が2006年9月に、日本外務省の国際情報統括官組織を「スパイ組織」と認定した確定判決を出していたことについて、町村官房長官は11日午前の閣議後記者会見で、「事実関係のコメントは控えたい」としながらも、「外務省の国際情報統括官組織は諸外国に関する情報の収集、分析をやっている組織だが、そういう組織は各国にある。そういう諸外国の情報収集、分析をやったならば、スパイ組織であると断定することは誠に不可解なことと言わざるを得ない」と述べ、不快感を示した。
 高村外相は11日、「外務省はいろいろな情報収集活動をしている。情報収集活動の具体的な内容を言うことは、これからの情報収集活動に差し障る場合もあるので、その判決内容を知っているか、いないかも含めて、答えを差し控えたい」と述べた。

◎北京の高級人民法院、判決で日本外交官を「スパイ」断定(2008年3月11日、読売新聞)
 中国の北京市高級人民法院(高裁)が2006年9月の判決で、日本外務省の国際情報統括官組織を「スパイ組織」と認定したうえで、同組織で勤務していた現外務省幹部と、在北京日本大使館書記官を「スパイ」と断定していたことがわかった。
 在東京関係筋が10日明らかにした。中国の裁判は2審制で、2人と接触していた中国人男性(48)に対しては、この判決により、「スパイ罪」で無期懲役が確定した。中国が日本の外務省組織と外交官をスパイと断じたことが表面化するのは極めて異例で、判決は当時の小泉政権下で関係が冷却していた日本への根強い警戒感を映し出している。
 同筋によると、同法院は判決のなかで、「国際情報統括官組織」で05年当時、東アジア地域の情報収集と分析を担当していた現外務省幹部と、在北京日本大使館書記官について、「日本のスパイ要員、スパイ組織の代理人」と断じた。この幹部は北京での大使館勤務経験があり、たびたび中国を訪問していた。また、本紙と別の社の日本人記者2人についても、中国人男性から機密情報の提供を受けていたとして、「スパイ組織の代理人」と決めつけた。
 この中国人男性は、北京で日本人客らを対象にマッサージ業に従事していた。親が共産党の古参幹部で、党重要機関内に知人がおり、中国で反日デモの嵐が吹き荒れていた2005年春、国家安全当局に拘束された。
 同筋によると判決は、中国人男性は外務省幹部と大使館書記官の2人が日本のスパイ要員であると知りながら、「何度もその指示を受け、国家機密を探り出して2人に与えた」としている。また、05年初頭、男性は2人の手配で日本を訪問した際、知人から得た指導者用電話帳などを「スパイ組織及びその代理人」に渡し、30万円を受け取ったと指摘した。
 ただ、判決は具体的な「機密」の内容には一切触れず、男性が「スパイ罪」を犯した動機も明示しないなど、証拠や事実関係の認定が極めて甘いものとなっている。スパイ要員などとされた書記官は判決後も、国外退去などの処分を受けることなく勤務を続けている。
 北京市高級人民法院の確定判決に先立ち、北京市第2中級人民法院(地裁)は06年6月、中国人男性に「スパイ罪」で無期懲役の判決を言い渡した。これに対し、男性側は、「外務省幹部らがスパイとは知りようがない。電話帳は機密にあたらない部分のコピーで、30万円は未払いのマッサージの報酬だ」などと主張し控訴した。
 しかし、高級人民法院は、「事実関係は明確」として、控訴審を書面審理ですませ、06年9月8日、原判決を支持し、男性の控訴を却下した。中国の刑事訴訟法は、国家機密にかかわる案件の裁判は非公開審理にすると定めており、今回の裁判も非公開で行われた。
 読売新聞は「スパイ組織の代理人」と名指しされた本紙記者から事情を聞くなど調査したが、判決が指摘するような事実はなかった。また、外務省にもコメントを求めたが10日夜現在、回答はない。
 読売新聞東京本社広報部の話「判決が本紙記者をスパイ組織の代理人と認定したのは事実無根であり、極めて心外だ」

◎死刑判決の15%が証拠不十分などで差し戻し、中国最高裁(2008年3月11日、読売新聞)
 【北京=加藤隆則】10日の新華社電によると、中国の最高人民法院(最高裁)が昨年1年間に審査した下級審の死刑判決事件で、証拠不十分、量刑不当などの理由で差し戻されたケースは約15%に上った。
 死刑件数は国家機密で具体的な数字は明かされていないが、関連統計の公表は異例。
 冤罪防止のため昨年以降、死刑判決の審査権が高級人民法院(高裁)から最高人民法院に委譲された成果をアピールする狙いがある。その一方で、地方での審理が依然として“恣意(しい)的に”行われていることも物語っている。
 同電はまた、昨年、無期刑に減刑される猶予付きの死刑判決数が、通常の死刑判決数を上回ったと指摘。「死刑を慎重にし、減らす政策が着実に実行されている」としている。だが、「猶予付き」は汚職事件に適用されることが多く、「官」優遇の司法批判につながっているのも事実だ。
 人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル」(本部・ロンドン)によると、2006年、中国での死刑執行数は少なくとも世界全体の約3分の2を占める1010人。情報開示が不十分で、実際は、8000人に上る可能性があるという。

◎韓国企業、中国から“夜逃げ”続出、青島地区だけで206社(2008年3月7日、産経新聞)
・賃金高騰、トラブルも
 韓国商工会議所が会員企業約350社に対し先月実施した調査で、対中進出済み企業のうち、約3割までが中国ビジネスからの撤退を検討、または準備していることが明らかになった。このところ韓国企業が中国での賃金上昇など経営環境の急速な悪化で事業撤退に追いつめられるケースが増えており、中には清算手続きを一切無視して経営者らが“夜逃げ”同然で中国から消え去る事件も多発しているという。(坂本一之)

≪9割が環境悪化懸念≫
 同会議所の調査結果によると、今後の中国市場に関して「企業環境は悪化する」と中国進出ずみの韓国企業の約86%が指摘した。昨年3月に実施した同様の調査では、同じ設問で「悪化する」と回答した企業は約33%にとどまっていた。中国での事業環境の悪化に懸念を示す韓国勢が一気に9割近い水準に達した。
 沿岸都市部では賃金上昇が進み、「(農村部などからの)出稼ぎ労働者を確保するのも2000年ごろとは異なり年々難しくなっている」(日系企業関係者)というありさま。特に中小の日系企業では管理職の人材確保が経営課題に発展。低賃金を武器に外資の投資を集めてきた中国に変化の波が押し寄せている。
 中国政府は今年1月に労働者の権利強化を図った労働契約法を施行。終身雇用への移行を含めて経営側にとって総人件費の上昇は避けられず、同時に労使関係もこれまでよりも複雑になった。

≪ベトナムやラオスに≫
 韓国紙、朝鮮日報などによると、年15%を超える賃金上昇や加工貿易禁止品目の拡大など、中国当局の規制措置で悪化する経営環境に対応できず累積赤字となった企業が生産設備を放棄。法的な清算手続きを無視して突然、帰国してしまう問題も相次ぎ発生した。賃金や労使関係をめぐって経営者が暴力沙汰(さた)に巻き込まれるケースもある。
 韓国輸出入銀行がまとめた調査では、山東省の青島地区に00年から07年までに進出した韓国企業8344社のうち、手続きを踏まずに無断で撤退した「夜逃げ企業」が206社にも達した。夜逃げは03年ごろから目立ち始め、07年は87件にまでその規模が拡大。夜逃げ企業はアクセサリーや縫製、皮革関連の製造業など人件費のコスト上昇を吸収しにくい労働集約産業が多かったという。
 すでに中国では「夜逃げ韓国企業」周辺でトラブルも起きており、中韓経済関係にも悪影響を及ぼしかねない状況だ。
 企業の生き残りをかけてコスト競争力のある中国本土に進出した韓国企業も経営戦略の見直しを迫られており、中国一極集中回避のための「チャイナ・プラスワン」や中国以外をめざす「ポストチャイナ」の投資地としてベトナムやラオスなどに関心が移っている。

◎2300個超の宇宙ごみ、中国の衛星破壊実験で米司令官が指摘(2008年3月5日、産経新聞)
 米戦略軍宇宙統合機能部隊のシェルトン司令官(空軍中将)は4日の上院軍事委員会小委員会の公聴会に提出した書面証言で、中国による昨年1月の人工衛星破壊実験で発生した宇宙ごみが、これまで探知されたものだけで2300個を超えることを明らかにした。
 同実験については、中国が弾道ミサイルで破壊した気象衛星の破片が宇宙空間に飛散、他国の衛星に衝突する危険が指摘されていた。司令官は、探知できない小さな宇宙ごみは「数万個」に上ると指摘、中国の実験を「無責任」と批判している。
 実験に伴う宇宙ごみの数について、民間の専門家は「1~10センチ大のごみ約4万個」などと推測していた。米軍高官が公に確認するのは異例。
 宇宙ごみは数十年間にわたって軌道にとどまると考えられている。司令官は中国の実験で発生した宇宙ごみのうち、軌道を外れて大気圏に再突入したものはこれまで25個だけで、多くが宇宙空間にとどまって他国の衛星の障害になっていると指摘した。
 他方、米軍が今年2月、北太平洋上空で実施した洋上ミサイルによる偵察衛星破壊では「ごみの99%以上が約3カ月以内に大気圏に再突入する」と述べ、問題は少ないと説明した。

◎中国の宇宙軍拡を懸念、米国防総省が「軍事力報告」公表(2008年3月4日、読売新聞)
 【ワシントン=宮崎健雄】米国防総省は3日、2008年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」を米議会に提出、公表した。
 報告書は、中国の宇宙における軍事能力向上の野心や軍の近代化、核ミサイル増強に向けた取り組みに強い懸念を示すとともに、中国による米政府機関へのハッカー攻撃にも言及した。
 報告書は、中国人民解放軍が情報化時代の現代戦争で「敵国の偵察・通信衛星の破壊が必要」と強調している点を指摘。07年1月の衛星破壊実験で顕在化した宇宙の軍事利用に向けて、開発を続けていると警戒感を示した。
 中国のミサイル能力に関しては、射程約7200キロ・メートルの大陸間弾道ミサイル「東風(DF)31」に加え、射程約1万1200キロ・メートルの「東風31A」も配備中と指摘。「晋」級原子力潜水艦に搭載可能な射程約7200キロ・メートルの新型弾道ミサイル「巨浪(JL)2」も09~10年に配備予定とした。
 また、台湾対岸へ配備した短距離弾道ミサイルも、07年11月までに990~1070基に上り、06年10月の900基から大幅に増加したとしている。
 さらに報告書は、中国のスパイ活動の活発化を指摘。07年は国防総省を含む米政府機関のコンピューターへのハッカー攻撃による侵入が相次いだとし、「その多くは中国が発信源とみられる」と言及した。
 一方、07年の外国兵器購入費も前年比5割増の1億5000万ドルとなり、近代化を急いでいるとしている。

◎中国鋼材30トンからコバルト60、伊警察が押収(2008年3月2日、読売新聞)
 【ローマ=松浦一樹】中国からイタリアに昨年輸入されたステンレス鋼材約30トンから、放射性物質コバルト60が検出されたため、伊警察当局が押収、搬入ルートなどについて捜査していることが分かった。ANSA通信が1日、伝えた。
 問題の鋼材は昨年5月、同国北部の商業港ラスペッツィアに陸揚げされたもので、イタリアの鋳物工場が中国の大手製鉄所から輸入した鋼材の一部。
 警察では、鋼材の製造過程でコバルト60が混入した可能性があるとみて、国際刑事警察機構(ICPO)に通報したという。被曝(ひばく)被害などがあったかどうかは不明。
 コバルト60は人工的に造られた放射性物質で、半減期は5.27年。ガンマ線源として用いられ、がん治療など医療用のほか、工業用としても広く使われている。

◎中国でメタミドホス積んだトラックが横転、地元紙報道(2008年3月2日、朝日新聞)
 中国湖北省の高速道路で2月24日早朝、有機リン系農薬成分メタミドホス約5トンを載せたトラックが横転した。積んでいた300個余りの箱の約半数が破れて路上に流出、有毒ガスが発生した。地元紙の武漢晩報が2月26日付で伝えた。
 ガスは強い風で広がり、数キロ先でも鼻を突くにおいが感じられたという。周辺住民や環境などへの被害は出なかったが、高速道路は約7時間にわたって閉鎖された。
 冷凍ギョーザ中毒事件で問題となったメタミドホスは中国で生産、販売、運搬が禁じられているが、同紙はトラックがメタミドホスを運んでいた理由には触れていない。

◎中国から「夜逃げ」も、韓国企業、3割が撤退検討(2008年3月1日、朝日新聞)
 中国に進出している韓国企業の経営環境が人件費急騰などで急速に悪化している。韓国商工会議所が会員企業350社を対象に行った調査によると、約3割が中国からの撤退を検討あるいは準備と回答した。韓国企業が多い山東省では正式な清算手続きを踏まずに「夜逃げ」するケースも増えている。
 2月に行われた同調査によれば、進出企業の約86%が「今後中国の企業環境は悪化する」と回答した。昨年3月の調査で「悪化する」としたのは約33%。過去1年間で悲観的な見方が急速に広がった。
 この背景には中国の労働契約法施行などによる人件費上昇のほか、税制などで外国企業への優遇措置がなくなったことなどが指摘されている。特に対応策が遅れている中小企業の経営悪化が顕著だという。

◎中国で63人が集団食中毒、2人死亡(2008年2月25日、朝日新聞)
 25日付の香港紙によると、中国広東省深セン市で23日、自動車部品や電子部品などをつくる大型工場の従業員63人が近くの食堂で朝食をとった直後にめまいや腹痛、けいれんなどを訴えて病院に運ばれ、2人が死亡した。市当局が食堂の水や食品から亜硝酸塩の成分を検出したという。従業員らは揚げ豆腐、ナスやピーマンなどを使った料理を食べた。食堂は無許可営業で2月上旬の春節(旧正月)前に営業停止処分になったが、勝手に営業を再開していたという。

◎中国:感染症で1万3037人が死亡、07年(2008年2月24日、産経新聞)
 中国衛生省は24日までに、エイズなどの感染症によって昨年1年間に計1万3037人が死亡したと発表した。2003年春に大流行した新型肺炎(SARS)は、発症者もいなかったとしている。
 昨年1年間のエイズ感染者数は、前年比45%増と急増した。鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の感染は、計4人で、うち2人が死亡した。(共同)

◎中国:不動産“値引き”過熱、「1戸買えば1戸進呈」、相次ぐ物件処分、暴落不安も(2008年2月24日、産経新聞)
 【北京・大塚卓也】右肩上がりの価格高騰が続き「バブル」の指摘も増えていた中国の不動産市場に変調の兆しが出てきた。夏の北京五輪を機に市況が反落するといった不安から、不動産業者が、あの手この手のサービスで手持ち物件の処分に動き始めたのだ。全部屋の家具・家電を無料提供したり、1戸買えばもう1戸をタダで付ける業者まで登場。競争過熱による暴落を不安がる声も出ている。

・20年間管理費タダ
 北京市中心部から北に約25キロ。環状鉄道13号線「回竜観」駅から徒歩約15分の新興住宅地区で建設が進む高層マンション「東亜・上北中心」の販売センターには、「20年間の管理費、契約税、補修積立金を進呈」と書いた垂れ幕が並ぶ。女性販売員が「2月いっぱいの限定特販です。同じ特典は二度とないですよ」とパンフレットを差し出した。昨年12月に売り出された15階の物件(約83平方メートル)の元の価格は約92万元(約1380万円)だが、特典を加味した実質価格は79万元(約1185万円)で、15%の値引きに相当するという。
 市中心部への通勤圏にある宣武区広安門の分譲マンション「栄豊2008」でも、特定物件を対象に「買一送一(1戸買えば1戸を進呈)」と名付けたキャンペーンを3月9日まで実施中だ。関係者は「市西南部という場所柄、外国人の借り手がなく、投資に不向きで買い手がつかないのではないか」と話す。
 北京の不動産市況は、昨年10~12月の前年同月比上昇率が平均15%に達した。株式市場に流れていた投資資金が、高値警戒感から再び不動産市場に向かったのが理由と見られ、表面上は騰勢が続いている。

・五輪後、値崩れの声
 しかし、12月末に中国南部の深センで、不動産仲介業者の倒産が相次ぎ報じられ、「ポスト五輪」の値崩れを予測する声も聞かれるようになった。
 北京に拠点を置く香港の不動産開発会社幹部は「富裕層目当ての高額投資物件は、昨年11月以降、3カ月連続で価格の横ばいが続いており、周期的に見てそろそろ価格は下がる」と話している。
 不動産は、高度経済成長で増えている富裕層の主な投資対象だ。長者番付の上位を占めるのは不動産開発業者で、不動産市況の動向は、中国の国内消費と密接に関係している。
 価格が急落すれば、高値転売を見込んでいた開発業者が不良債権を抱え込むことになり、消費が鈍るのは必至だ。
 ただ、米国のサブプライムローン問題を受けて世界の株式市場が混乱する中、中国の不動産が世界の投資資金の逃避先となるといった見方もあり、相場の先行きは見通しにくくなっている。

◆中国の住宅販売で見られる主な“特典”の例◆
 所在地・物件 特典

<北京>
栄豊2008・1戸買うと、もう1戸進呈
富貴園・駐車場を提供

<上海>
名門世家・駐車場の使用権を提供、バルコニーを一つ増設
天安花園・駐車場を提供

<深セン>
俊景豪園・全部屋の家電品提供
東悦名軒・サンルーム増設

◎中国・広東省で集団食中毒、2人死亡、無許可営業の軽食店(2008年2月24日、読売新聞)
 【台北=吉田健一】香港公共ラジオなどによると、日系企業が多く進出している中国広東省深セン市で23日、軽食店で朝食を食べた63人が食中毒と見られる症状を訴えて病院に運ばれ、うち2人が死亡した。(センは土ヘンに「川」)
 報道によると、63人は中国の有名自動車部品メーカー・BYDの中国人従業員で、食後2時間ほどして体の不調を訴えたという。軽食店は無許可営業だった。公安当局が原因を調べている。

◎中国、米に情報公開求める、スパイ衛星破壊(2008年2月21日、朝日新聞)
 中国外務省の劉建超報道局長は21日の定例会見で、米国のスパイ衛星破壊に対し、情報提供など「国際的な義務」を果たすよう求めた。中国は昨年1月、事前の通報なしに衛星破壊実験を行い、国際社会の批判を浴びたが、米国には「国際社会に必要な状況や関連データの提供」を求めた。
 劉報道局長は今回の米国によるスパイ衛星の破壊が「宇宙の安全や他の国家に損害を与えかねない」と指摘した。

◎農民がマンション占拠、激化する“土地闘争”中国(2008年2月18日、毎日新聞)
 【北京=福島香織】中国の首都、北京で土地を都市再開発に奪われた北京市豊台区太平橋村の村民200人以上が、その土地に建設されたマンション2棟を占拠、昨年12月1日から居座り続けている。
 「だって、このマンションは私たちのものだから…」。マンション占拠メンバーのひとりの女性(42)は興奮した口ぶりで言い放った。2月中旬、完工直前のマンション「首科花園」のロビー。壁にペンキで「村居委会(村民居住委員会)」の文字がでかでかと書かれ、10人前後の元村民が怖い顔で座り込んでいた。
 「毎日、退職した老人、女性たちが交代で占拠し続けているんだ」と老人(68)のひとりが言う。電気もスチームも水も切られ、豆炭を燃やして暖をとっている。
 「いつまでいるって? 問題が解決するまでだ」とある男性は徹底抗戦の構えだ。占拠したばかりの12月初め、開発業者が武装警察とともに追い出しにきたが「私たちはすでに最悪のところまで追いつめられている。今さら怖いものなどない」と、追い返した。
 話はややこしい。地元紙・新京報(12月23日付)によると、人口3000人あまりの太平橋村は1993~94年、木材加工・製紙などの集団経営の成功で年間の村内経済生産1億元(1元=約15円)をほこる豊かな村だった。しかし94年、都市緑化・再開発計画の通達により、工場をたたまねばならなくなった。同村は開発業者に土地109ヘクタールを提供、マンションを建設する契約をかわす。
 再開発が完了すれば、村民は大人1人あたり80平方メートルの住宅が分配される約束だった。「マンションが完成すれば、私たちもいい家に住め、車も持つような豊かな生活ができると信じていた」と冒頭の女性。
 ところが2005年までに776世帯2100人はマンションを分配されたが、約500世帯1090人には分配されなかった。この理由として開発業者は、旧家屋の撤去費用などに村に融資した1億2800万元が焦げ付き、村民に提供する予定だった床面積4万平方メートル分を差し押さえた、と説明した。
 この融資については当時の村の指導部だけが承知していたというが、村民には寝耳に水。しかも当時の書記らはすでに村にいない。さらに調べると、村の開発業者に対する負債は全部で4億元にのぼり、村民は「前書記らが開発業者と結託して私腹を肥やしたのではないか」と疑心暗鬼に陥っている。
 「裁判を起こすにしても、私たちに勝てる見込みはない。ならば…」と、12月1日、200人あまりの村民がマンション2棟に突入。開発業者側は「村民の行動は違法」とするが「政府の調停に期待する」と目下強硬手段には出ていない。
 このマンションは5月に受け渡される予定のため、購入者がときどき心配そうに様子を見に来るが「自分たちは契約書があるから法律に守られる。でも村民は戦うしかないからがんばってほしい」と応援する人も少なくない。
 双方が納得できる解決策が探り当てられるのか、いつものように強制排除で幕となるのか。いずれにしろ経済のゆがみの中で庶民の抵抗ぶりは近年、ますます過激になってきているようだ。

◎報道賞は合成写真、中国、華南トラに続き(2008年2月18日、毎日新聞)
 新華社電などによると、中国中央テレビの2006年度「記憶に残る報道写真賞」の第3位に選ばれた青蔵鉄道の列車とチベットカモシカを撮影した写真が、2枚の写真の合成だったことが18日までに分かった。
 中国では、絶滅したとの見方もある野生の華南トラの“スクープ写真”の真偽をめぐり大論争が起き、写真を公表した陝西省林業庁が「重大情報を、いいかげんに発表してしまった」との謝罪文を公表したばかり。
 写真には、チベット自治区と青海省を結ぶ青蔵鉄道の高架下を、数十匹のチベットカモシカが一列になって走る様子が写されている。しかし専門家が「音に敏感なカモシカは、列車が走れば散り散りに逃げ回るはず」と疑問を提起。撮影したカメラマンが、別の時間に同じ場所で撮影した写真を合成したと認めた。
 カメラマンは「報道写真として発表したことはない。もともと芸術的にするため加工した芸術写真だ」と話している。
 チベットカモシカは北京五輪の大会マスコットのモチーフにもなっており、中国政府が保護を重視。この写真は、青蔵鉄道の建設で環境に悪影響が出ていないとアピールする格好の構図で、インターネットなどを通じて広く出回っていた。(共同)

◎中国、報道賞受けた写真「合成だった」(2008年2月18日、日本経済新聞)
 【北京=共同】新華社電などによると、中国中央テレビの2006年度「記憶に残る報道写真賞」の第3位に選ばれた青蔵鉄道の列車とチベットカモシカを撮影した写真が、2枚の写真の合成だったことが18日までに分かった。
 中国では、絶滅したとの見方もある野生の華南トラの“スクープ写真”の真偽をめぐり大論争が起き、写真を公表した陝西省林業庁が「重大情報を、いいかげんに発表してしまった」との謝罪文を公表したばかり。
 写真には、チベット自治区と青海省を結ぶ青蔵鉄道の高架下を、数十匹のチベットカモシカが一列になって走る様子が写されている。しかし専門家が「音に敏感なカモシカは、列車が走れば散り散りに逃げ回るはず」と疑問を提起。撮影したカメラマンが、別の時間に同じ場所で撮影した写真を合成したと認めた。

◎黄砂予報精度かすむ、国家機密と中国がデータ提供拒否(2008年2月16日、読売新聞)
 春になると、中国大陸から飛来する黄砂を日本、中国、韓国、モンゴルの4か国で観測し、環境省のホームページ(HP)で飛来状況を公表したり、予測したりする計画が、当初協力を約束していた中国が「離脱」したため、精度を確保できない見通しになっている。
 中国側が「気象情報は国家機密」として、データの提供を拒否したためで、HPは、肝心の発生源の情報がないまま今月下旬の本格運用を迎える。
 黄砂が飛来することで、中国や韓国では、住民の呼吸器系の健康被害が相次ぎ、日本では、九州を中心に洗濯物が汚れたり、精密機器の工場で不良品の発生率が上がったりするなどの実害が出ている。福岡県保健環境研究所(太宰府市)によると、昨年4月初めに観測した黄砂では、同県内で大気が薄い褐色に変わり、粉じん濃度も一斉に基準値を超えた。
 気象庁では現在、黄砂の飛来状況について、全国85地点で観測した情報を発表しているが、目視確認のため国内に飛来した時点の情報しかなく、正確な飛来量も予測できない。
 このため環境省では昨年春、HP上で「黄砂飛来情報ページ」の試験運用を始め、今年2月下旬から、中国と韓国の各1か所、モンゴルの3か所、それに日本の10か所の観測地点のデータをもとに、地上から上空6キロまでの実際の飛来量や、黄砂の予想分布図を公表する予定だった。
 中でも、中国の観測地点は、日本への飛来ルート上の首都・北京にあるため、日本への飛来量について精度の高い予測を出すには不可欠だったが、試験運用を始める直前の昨年4月、中国側から突然、データ提供をストップすることを通告された。
 気象観測データは国の安全と利益にかかわる機密情報として、あらゆる気象観測データを国外に持ち出すことを禁じた法律「気象局13号令」を施行したことが理由だった。この状況は現在も続いており、今月下旬から始める本格運用でも、中国でどれぐらいの量の黄砂が発生しているのか、発生源のデータがないまま、飛来量を予測することを余儀なくされる。
 さらに中国は、日本の政府開発援助(ODA)の無償資金協力で、新たに7か所に観測機器を設置して黄砂の観測網を充実させる予定だったが、これも昨年5月に中止し、日本が準備した2億5000万円の無償資金協力(2006年度)もキャンセルとなった。
 日中韓3か国は先月、黄砂の共同研究に乗り出したが、このままでは発生源のデータはモンゴルのみになり、今後の研究にも影響を与えそう。
 環境省環境保全対策課は「中国からは『北京オリンピックがあるため、研究目的に提供できることになったとしてもホームページでの公開は難しいだろう』との情報を得ている」と話している。

◎スパイ罪服役11年「中台対立の犠牲」、台湾人元教授(2008年2月15日、朝日新聞)
 中国政府からスパイの罪に問われ、11年間の服役を経て仮釈放された台湾の林正成・元教授(58)がこのほど朝日新聞の取材に応じた。林氏は日本留学時代、中国人技術者の留学生からミサイル情報を入手し、当時の国民党政権に渡したとされるが、林氏は「逮捕は不当」と主張し、獄中の扱いや取り調べが「人権無視のひどいものだった」と話している。
 林氏は85年に筑波大で博士号を取り、92年に台湾の東海大学日本語科で教え始めた。97年、学術会議で訪れた北京で拘束された。容疑は「80年代前半、日本留学時代に知り合った中国のミサイル開発技術者の留学生に対し、帰国後、中国にいる台湾側の人物に弾道ミサイルのデータを渡すよう依頼した」だった。
 林氏は言う。
 「確かに『高』という留学生から数回、中国のミサイル開発事情を聞き、国民党の駐日関係者に情報を渡したが、帰国後に関する依頼はしていない」
 92年と94年に訪中して再会したときもミサイルなどの話題には触れないようにしたという。
 取り調べでは台湾人が10年以上前の日本での行為で逮捕されるのはおかしいと訴えたが、「否認すると『お前は中国人だから関係ない』と殴られ続け、独房に2カ月間、一切の接触も情報もなく閉じこめられたこともあった」。過酷な取り調べが2年近く続いた後、1日だけの裁判で懲役15年が言い渡された。
 北京市の刑務所に一般受刑者とともに入った。面会を制限され、模範囚だったがなかなか減刑されなかった。釈放時には「取り調べや獄中の様子を口外するな」と口止めされた。台湾では教職は失い、体重は逮捕前より10キロ以上落ちた。
 林氏の服役中、台湾側が救出に動いた形跡はない。国民党は李登輝政権の90年代に対中スパイ工作を終結。林氏は忘れられた存在となった。
 林氏は「自分を使い捨てにした国民党と私のような政治犯を不当に拘束する中国の両方が許せない。自分は中台対立の犠牲になった」と話し、損害賠償請求訴訟を起こしたいとしている。

◎米シャトルめぐりスパイ逮捕、中国に機密渡す目的(2008年2月12日、産経新聞)
 米司法省は11日、スペースシャトルなど航空宇宙開発に関連する機密を中国に渡す目的で盗んだスパイ行為の疑いで、米航空機大手ボーイングの元技術者(72)を逮捕したと発表した。
 逮捕されたのはカリフォルニア州在住の中国系米国人で、1973年から防衛・宇宙関連会社に勤務。この会社が96年にボーイングに買収された後は同社で働き、2003ー06年には同社の請負業者として働いていた。
 司法省によると、元技術者はシャトルやC17輸送機、デルタ4ロケットに関する機密を中国に譲り渡すため取得したり、隠すなどしていた疑い。
 これとは別に、司法省は政府の機密書類を中国側に渡したスパイ行為の疑いで、国防総省の職員ら計3人をこの日逮捕した。

◎中国で殺虫剤使った犯罪多発、報復の“凶器”にも(2008年2月9日、毎日新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で、混入薬物として確認された有機リン系殺虫剤「メタミドホス」や「ジクロルボス」は、中国で過去に起きた中毒事件で頻繁に名前が登場、報復などの動機で犯罪の“凶器”に使われたケースも少なくないことが8日までに分かった。
 中国の報道によると、2003年12月、湖南省衡陽市の学校で学生67人が朝食後、中毒症状になった。捜査の結果、食堂の職員が、口論となった食堂責任者への腹いせにメタミドホスをめん類のスープに入れたことが判明した。
 陝西省安康市の農村では6年6月、井戸にメタミドホスが投げ込まれ、井戸水を飲んだ21人が中毒になった。犯人は村の女で「村民にばかにされた」と思い、報復のため犯行に及んだという。
 中国で「敵敵畏」と呼ばれ、殺虫剤として今も農村部に普及しているジクロルボスは7年7月、北京市で起きた殺人事件で使われた。老夫婦らが息子の家庭内暴力に手を焼き、息子の妻と3人で共謀、ジクロルボスを混入した酒を息子に飲ませ、中毒症状で倒れたところを首を絞めて殺害した。
 同年10月には上海市で夫の浮気を疑った妻が心中しようと夕飯にジクロルボスを混入させたが失敗、今年2月に殺人未遂罪で懲役2年の判決を受けている。(共同)

◎服役中の「南方都市報」元幹部、中国が仮釈放(2008年2月9日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】9日付の香港紙「明報」は、2004年に汚職などの罪で懲役8年の判決が確定し服役中だった中国広東省の地元紙「南方都市報」の元幹部、喩華峰氏が仮釈放され、8日に自宅に戻ったと報じた。
 中国当局は、北京五輪を前に国内の人権活動家への締め付けを強める一方、5日には、スパイ罪で服役中だったシンガポール紙ストレーツ・タイムズの香港人記者、程翔氏を刑期半ばで仮釈放するなど、「アメとムチを使い分けて国際的な批判をかわそうとしている」(香港の人権活動家)模様だ。
 報道によると、喩氏は社内のボーナス配分で不正を働いたとして、04年1月、身柄を拘束された。
 南方都市報は、報道規制が強い中国にあって比較的自由な報道姿勢で知られる。喩氏の拘束は、同紙が03年12月、報道規制を破って広州での新型肺炎再発を報じた件などに対する当局の見せしめだとして、国内外で強い批判を招いた。

◎SARSスクープの広州紙、元副編集長も釈放、中国当局(2008年2月9日、朝日新聞)
 9日付の香港各紙によると、中国当局は7日、横領罪などで懲役8年の判決を受け服役していた広州市の「南方都市報」元副編集長の喩華峰氏(40)を釈放した。中国当局は5日にもスパイ罪で服役していたシンガポール紙記者の程翔氏(58)を仮釈放したばかり。
 喩氏は04年1月、同紙の資金を横領したなどとして市検察当局に拘束され、懲役12年(後に8年に減刑)の判決を受けた。市検察当局は当時、喩氏のほか、同紙編集長ら幹部を次々と拘束。直前に同紙が中国当局の発表前に新型肺炎SARSの疑いのある患者の発生をスクープしたことから、内外から「言論弾圧」との批判が相次いでいた。

◎中国で逮捕続々、「人権」主張は国家転覆扇動罪(2008年2月9日、朝日新聞)
 五輪が半年後に迫った中国で、人権の擁護や民主の拡大を求める活動家らへの締めつけが強まっている。特に、「人権」や「民主」を求めただけで「国家政権転覆扇動」の罪に問われて逮捕されるケースが増えている。国際人権団体は、北京五輪の誘致にあたって中国政府が掲げた「人権状況を改善する」との国際的な約束を守るよう求めるが、五輪が近づいて状況はむしろ悪化しているとの見方が強い。
 今月初め、浙江省杭州市の中級人民法院(地裁)は、著名なインターネット作家の呂耿松氏に対し、国家政権転覆扇動罪で懲役4年の実刑判決を言い渡した。
 呂氏は中国の人権弾圧、共産党・政府高官の腐敗などを批判する文章をネット上などで発表してきた。昨年9月に逮捕された。判決が言い渡された法廷では「民主必勝、専制必敗」などと叫んだという。
 米国ニューヨークに本部を置く人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチが北京五輪の開催まで半年を期に発表した声明によると、過去1年に逮捕されるか有罪判決を言い渡された著名な活動家は呂氏で6人目。中国の公安当局が国家政権転覆扇動容疑を名目にした逮捕件数は06年から07年にかけて20%増加したという。そのうえで、同容疑・罪の拡大解釈と乱用が「活動家を黙らせる武器になっている」と批判した。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルやパリに本部を置く「国境なき記者団」なども、中国の人権状況の悪化に懸念を示している。
 目立つのは、北京五輪開催で国際社会の注目が集まることを人権状況の改善につなげようとする取り組みへの弾圧だ。黒竜江省で「五輪より人権を」と署名集めをした楊春林氏も国家政権転覆扇動容疑で逮捕された。
 一般市民への締めつけも強まっているとの見方が一般的だ。
 中国が巨大な市場として脚光を浴びるようになるに従って、主要先進国が人権分野で中国側に厳しい注文をつける場面は少なくなっている。ヒューマン・ライツ・ウオッチのリチャードソン・アジア部長は声明で「国際社会が北京五輪に絡んだ弾圧に沈黙すれば、その弾圧に青信号を出したのと等しい」と警鐘を鳴らしている。

・この1年に「国家政権転覆扇動」で逮捕、有罪判決を受けた著名な活動家

・呂耿松氏
 2月に懲役4年の判決。浙江省在住のインターネット作家。逮捕後、国際ペンクラブなどが早期解放を求めていた。

・胡佳氏
 昨年12月に拘束され、1月に逮捕通知が家族に届いた。北京市在住で妻子も軟禁されている。エイズウイルス感染者の人権擁護に取り組み、北京五輪を期に今年を「中国人権年」とするよう訴えた。

・陳樹慶氏
 昨年8月に懲役4年の判決。作家で民主化を求める非公認政党・中国民主党の準備委員会メンバー。

・楊春林氏
 昨年8月に逮捕。黒竜江省の元工場労働者で「五輪より人権を」と訴え、署名活動にあたっていた。
厳正学氏 昨年4月、懲役3年の判決。芸術家。インターネットで文章も発表。懲役刑の被告などに科される「労働改造制度」に反対する署名活動などに取り組んだ。

・張建紅氏
 昨年3月、懲役6年の判決。ウェブサイトを運営し、「中国政府を中傷した」などと批判された。

◎シンガポール紙記者を釈放、中国(2008年2月5日、毎日新聞)
 台湾のためにスパイ活動をしたとして、2006年8月に北京の裁判所で懲役5年の判決を受けたシンガポール紙ストレーツ・タイムズの程翔記者が、5日までに仮釈放され香港に戻った。同紙関係者が明らかにした。
 同紙シンガポール本社は「程氏が春節(旧正月)を前に家族の元に戻ることを喜んでいる」とする声明を発表した。
 程記者は05年4月、中国で台湾のために情報収集に従事していたとして広東省広州市で拘束された。一方、家族は同記者が1989年の天安門事件で失脚した故・趙紫陽元総書記の回顧録を入手しようとしたため罪に問われたと語っていた。(共同)

◎スパイ罪で服役の香港人記者を仮釈放、中国当局(2008年2月5日、朝日新聞)
 台湾の情報機関に国家機密を提供したとして中国でスパイ罪に問われ、懲役5年の実刑判決を受けたシンガポール紙ストレーツ・タイムズの香港人記者、程翔氏(58)が5日、仮釈放され、2年9カ月ぶりに香港に戻った。中国通のベテラン記者が突然拘束された事件はメディア界に衝撃を与え、内外から懸念の声が集まっていた。
 程氏は同日午後、広東省広州市の刑務所から香港に到着した。報道陣の前には姿を見せなかった。
 仮釈放について、「五輪を控え、香港や国際世論の不満を極力減らしておく狙いだろう」(中国共産党関係者)との見方もある。

◎中国で大雪被害拡大、春節の帰省客580万人足止め(2008年2月4日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】今月7日の春節(旧正月)を前に、50年ぶりの大雪に見舞われた中国では、被災者が1億人を超えるなど各地で大きな被害が出ている。
 1月10日以降、家屋倒壊などで少なくとも60人が死亡、176万人が避難を余儀なくされた。寒波は交通網も直撃、各地で足止めされた帰省客は計580万人に達した。
 被災者の不満が社会不安に結びつくことを懸念する中国政府は、温家宝首相ら指導者が被災地に飛び、胡錦濤政権が掲げる「親民路線」の強調に努めている。
 3日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストなどによると、寒波被害は湖南省や貴州省など中・南部を中心に20の省・市・区で発生。直接の経済損失は538億元(約8610億円)に上った。
 送電線切断などによる停電や断水も各地で起き、広東省清遠市の山間部では、住民数千人が8日間にわたって水も電気もない生活を強いられているという。
 一方、出稼ぎ労働者が多い広東省広州の駅前は連日、十数万人の足止め客であふれかえり、混乱している。

◎中国の歴史的寒波、580万人駅に足止め(2008年2月2日、朝日新聞)
 中国中南部を襲った歴史的な寒波で、中国政府は1日、これまでの被害状況を発表した。先月10日以来、大雪などによる災害で60人が死亡、175万9000人が緊急避難を余儀なくされた。倒壊した家屋は22万3000棟に及んだ。直接の経済損失は537億9000万元(約8000億円)に達している。
 旧正月(2月7日)前の帰省ラッシュのさなかに大雪で鉄道の不通が相次ぎ、足止めされた乗客は580万人余りに上った。広州(広東省)では79万7000人が駅などに留めおかれ、上海でも11万8000人、南昌(江西省)で3万3000人、成都(四川省)で2万2000人が身動きがとれなくなった。大雪で空の便も大幅に乱れ、先月25~30日に3250便が欠航、5550便が遅れたという。
 送電線の切断や鉄塔の倒壊も相次ぎ、湖南、貴州、江西の各省では広い地域で停電が発生。火力発電所への石炭輸送が滞り、中国中南部を中心に19省で電力供給制限を実施しているという。

◎ギョーザ問題発覚後、中国の地元各紙が初の報道(2008年2月1日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=牧野田亨】中国製の冷凍ギョーザによる中毒問題で、ギョーザを製造した「天洋食品」がある河北省石家荘市の地元各紙は1日、新華社電などを引用する形で、今回の問題を初めて報じた。
 ただ、「ギョーザに問題は見つかっていない」との趣旨の記事で、市民の間では「それならきちんと説明してはどうか」と、天洋食品を批判する声も挙がっている。
 地元紙、燕趙都市報の記事は、「日本に輸出された『問題ギョーザ』から問題は見つかっていない」との見出し。1月31日の国家品質監督検査検疫総局の発表を基にしており、「農薬成分は見つかっておらず、製造記録も完全だ」などと、会社側に立った記事となっている。
 問題の発覚後、天洋食品の正門前には連日、日本や香港などの報道陣が集まり、1日朝も約50人が詰めかけた。だが、同社はこれまで一切取材に応じていない。市民らは問題についてまったく知らされておらず、「何があったのか」と、市民50~100人が報道陣を遠巻きにする状況が続いていた。
 新聞記事を読んだ男性(45)は、報道陣が社内に入れない様子を見て、「この記事の通りなら、中に入れて説明すればいい。それができないのは何か後ろめたいことがあるからだろう」と批判。別の男性は「天洋食品は、地方から来た若い女性たちを、月1000元(約1万5000円)で1日10時間以上働かせていた。昨年末には一部従業員が突然解雇され、問題になった」などと打ち明けた。
 また、20代の男性は「友人が天洋食品の敷地内の寮に住んでいるが、命令で外に出られないそうだ。その理由が、この記事でやっとわかった」と話していた。

◎中国人民解放軍、除雪に15万人動員(2008年1月30日、産経新聞)
 中国人民解放軍は30日までに、同国中部や南部で続く大雪への対策として、道路、線路の除雪作業や住民避難誘導などのため、陸海空3軍と武装警察部隊合わせて約15万8000人を出動させた。同日付の軍機関紙、解放軍報などが伝えた。
 同紙によると、大雪で各地の交通網、送電系統が寸断され、住民生活に深刻な影響が出ていることから、軍総参謀部と総政治部が各部隊への出動を指示。予備役兵ら30万人も動員された。
 また公安省報道官によると、各地で連日十数万人の警察官、消防関係者が道路網の復旧にあたっている。動員人数は延べ99万人に達したという。

◎中国大雪、春節前に各地で被害、政府に危機感(2008年1月29日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国の上海市、貴州、湖南、湖北、安徽各省など中・南部で低温・降雪が続き、避難を強いられるなど被災者が14省・自治区で7786万人(28日段階)に達した。各地で停電が発生したほか、春節(旧正月=2月7日)前の帰省客の足となる鉄道ダイヤも大混乱している。民政省の発表では、28日までに大雪による直接経済損失は約221億元(約3315億円)に上るという。
 今回の寒波は50年ぶりとされ、工場の倒壊や部品供給の停滞など各種企業活動にも影響が及んでいるようだ。
 国営新華社通信などによると、2週間で少なくとも24人が家屋倒壊などで死亡したが、このほか29日には貴州省で高速道路の路面凍結によりバスががけから40メートル下に転落し25人が死亡する事故も起きた。
 高速道路の渋滞・閉鎖、航空便の欠航、鉄道の遅れ、長距離バスの運行中止が各地で相次ぎ、31省の省・直轄市、自治区のうち半数以上で寒波に伴い電力不足が深刻化、電力供給が制限されるなどしている。火力発電用の石炭供給に支障が出たためだ。
 鉄道の乱れは農民工(出稼ぎ農民)や学生の帰省に大きな影響を与えており、大混雑している駅が少なくないようだ。中国紙によると、上海駅では長距離列車の乗車券販売が中止された。
 同駅周辺で数万人が待機しているともされ、こうした状況は社会不安の要素にもなるため、温家宝首相は担当閣僚を集め春節を前に電力供給と交通網の復旧、石炭輸送に全力を尽くすよう指示している。広東省の広州地区の各駅ではすでに計50万人が足止めされているという。
 農作物被害も発生、肉・野菜の価格も上昇しており、政府は食糧輸送を確保するとともに、便乗値上げに対する監視を強化。各地方政府は緊急体制を敷き、食品や衣服などを支給している。

◎中国中南部で歴史的寒波、日系自動車3社、工場止まる(2008年1月29日、朝日新聞)
 中国の中南部が歴史的寒波に見舞われ、広東省広州市に進出している日系乗用車メーカー3社の工場が相次いで生産停止に追い込まれた。広東省と他省を結ぶ道路が積雪や凍結でマヒし、部品の到着が遅れているため。通常は暖かい地域を氷雪害が直撃。完成車の輸送や部品メーカーの生産にも影響が出ている。
 同市花都区にある日産の合弁工場(年産能力36万台)は約10日前から、部品供給が厳しくなり、28日から生産が止まっている。湖北省などから調達しているが、陸路がマヒ。空路も各地で空港が閉鎖され、部品調達が難しくなっている。同工場は2月3日から旧正月(春節)休みに入るが、復旧は厳しい、という。同社の湖北省襄樊市の合弁工場も停止している。
 広州市南沙区のトヨタの合弁工場(同20万台)は上海方面からの部品調達が厳しくなり、29日夜、工場を止める。30日は復旧の見込みというが、天候が回復しなければ厳しい状況が続く。天津市にあるトヨタ工場の一部も30日、稼働を止める。
 広州のホンダの合弁会社(同36万台)は29日、同市増城区にある第2工場を止めた。30日は復旧する見通しという。3社とも中国での販売は好調だが、悪天候に邪魔をされた形だ。

◎30年ぶり大雪、24人死亡、中国で7800万人被災(2008年1月28日、産経新聞)
 中国民政省は28日、同国の中西部や南部を中心に大雪の被害が拡大、同日までに24人が死亡し、約7800万人が被災したと発表した。
 30年来の雪害とされ、中央気象台は大雪警報を発令。14の省、直轄市、自治区で被害が出ており、経済損失は約220億元(約3300億円)に上るという。
 新華社電によると、湖南省では26日、送電線の鉄塔が倒れ、送電線などに付いた氷を取り除く作業をしていた作業員3人が死亡。江西省では27日、41人の乗客を乗せたバスがスリップして横転、5人が死亡した。
 貴州省では1600以上の家屋が倒壊し、5人が死亡。停電による被害も深刻で、ある病院では節電のため手術ができない状態だという。
 広東省の広州駅では列車の運休により、27日までに17万人以上が足止めされ、改善されない場合、60万人に増える可能性があるという。
 積雪のため27日、全国で19の空港が閉鎖された。発電用石炭の輸送にも支障が出ており、多くの発電設備が停止しているという。

◎中国で歴史的寒波、7千8百万人被災、帰省の足は大混乱(2008年1月28日、朝日新聞)
 2月7日の旧正月を前に、中国中南部が歴史的な寒波に襲われ、帰省の足が乱れている。北京―広州を結ぶ鉄道は全線がまひ。空路も雪や凍結で混乱している。
 広州駅前は、大きな荷物を抱えた帰省客が周辺の道路まであふれ、28日は20万人前後に達した。鉄道当局は近日中の復旧は無理とみて2月6日まで乗車券販売を止め、出稼ぎ労働者3000万人にできるだけ帰省しないよう呼び掛けている。
 「50年に1度」という氷雪害に見舞われた湖南省も、停電で鉄道が止まったほか、長沙空港が25日から閉鎖され、高速道路も広範囲で通行止めになっている。
 民政省のまとめでは安徽、江西、河南、湖南、湖北、貴州など14省で約7800万人が被災。送電施設が結氷で壊れ、各地で大規模な停電が起きているほか、石炭輸送が止まり、発電に大きな影響が出ている。
(たまたま実情を聞くことができたので、記載しておく。25日に、江蘇省宜興市の会社に連絡したら、停電で会社が休みだとの情報を得ることができた。詳細は、新聞に記載されている通り。現地では25日には分かっていることだが、中国政府として発表したのは28日になってから。この国が発表する情報の内容には疑問が残る。)

◎中国:上海市長「表現の権利保障する」、直後、生活問題訴える市民ら十数人を連行(2008年1月25日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国上海市で24日、人民代表大会(市議会)で韓正市長が「表現(の自由)の権利を適切に保障する」と発表した直後、会場前で生活問題を訴えようとしていた市民ら十数人が公安当局に連行される騒ぎがあった。
 韓市長は大会開幕式で「公開・透明な政府の建設」を推進すると強調。「市民の知る権利、参加する権利、表現する権利、監督権を適切に保障する」と述べていた。上海市では、土地開発に伴う住民立ち退き問題や、リニアモーターカー延長計画に反対する直訴や陳情、抗議活動などが頻繁に行われている。

◎中国GDPは11.4%増、世界3位ドイツに迫る(2008年1月24日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】中国国家統計局が24日発表した2007年の実質国内総生産(GDP)の伸び率は前年比11.4%増となった。
 好調な輸出や内需に支えられ、06年の11.1%からさらに成長が加速し、1994年以来13年ぶりの高い伸び率となった。名目GDP総額は24兆6619億元(約364兆5000億円)で、米国、日本に次いで世界3位のドイツ(06年で約355兆円)に迫った。
 設備投資や公共投資などを合算した「固定資産投資」は同24.8%増となった。政府による再三の金融引き締めや投資抑制策にもかかわらず、依然として高い水準で推移している。
 個人消費の指標となる社会消費品小売総額の伸びは同16.8%増と、06年(前年比13.7%増)から拡大した。11日に発表された貿易黒字は同47.7%増の2621億9700万ドルで、投資と個人消費、貿易黒字がGDP全体を大きく押し上げる役割を果たした。
 一方、消費者物価指数は同4.8%増と、06年(同1.5%増)から急伸し、政府目標の同3%増を大きく上回った。特に、庶民の生活を直撃する食品価格の上昇が大きく、中国政府の最大の課題となっている。

◎北京の人口、1600万人を突破、人口抑制が課題に(2008年1月22日、人民網日本語版)
 国家統計局北京調査チームと北京市統計局が21日に発表したデータによると、北京市の常住人口は2007年末に1633万人に達した。1年間で52万人増えた計算となり、昨年は01年以来で人口増加幅の最も大きい年となった。「中国新聞網」が伝えた。
 北京市ではかつて、市の収容可能人口の推算に基づき、2010年の常住人口を1600万人前後に抑えるという目標を掲げていた。目標人数の算定にあたっては、生態環境の収容能力や資源面での条件、就業可能人口などさまざまな条件が考慮された。しかし市の人口抑制問題が予想以上に複雑で困難を極めたことから、06年の北京市の両会(人民代表大会、政治協商会議)で採択された10年までの発展計画綱要では、人口抑制の目標数値は削除され、「北京の都市総体計画に対する国務院の回答書で提出された人口規模の抑制のための目標と要求に照らして、経済・行政・法律など有効な手段を用いて総合的な調整を行い、人口規模の急成長の段階的な抑制に向けた措置を実施していく」という表現に改められた。
 今回発表された統計によると、1600万人を超える北京の人口のうち、北京戸籍の住人の占める割合は4分の3で、残りの4分の1は市外からやってきた住人だ。人口分布をみると、市の中心部を取り巻く「都市機能開拓区(朝陽区、海淀区、豊台区、石景山区)」への人口移入が明らかに増加し、市の中心部である「首都機能核心区(東城区、西城区、崇文区、宣武区)」の人口増加傾向も依然として高くなっている。

 ※ 北京市が第11次5カ年計画(2006~10年)期間中に立てた都市計画では、市内の18区県を、上記の「首都機能核心区」および「都市機能開拓区」と、「都市発展新区」と「生態育成発展区」の合わせて4区域に分けている。

◎ビール消費量、中国が4年連続1位(2008年1月20日、朝日新聞)
 キリンホールディングスのキリン食生活文化研究所がまとめた世界主要国のビール消費量によると、06年の世界のビールの総消費量は前年比5.8%増の約1億6576万キロリットルで、21年連続して増加した。東京ドームをジョッキに見立てると、05年より7.3杯分多い約134杯分を飲み干したという。
 国別では、経済成長が著しい中国が4年連続で1位。1人当たりの消費量は日本の6割程度だが、人口の多さによって、世界のビール消費量の2割以上を占めた。
 アジアではタイ(18位、前年比15.3%増)、ベトナム(23位、同7.8%増)も消費量を大きく伸ばした。欧州ではポーランドやウクライナが消費量を増やした。
 キリン食生活文化研究所によると、「生活水準が向上するにつれて酒類の低アルコール化が進み、ビール消費量が増える」という。ウオツカが好物のロシアでもビールの消費が増え、世界第3位になった。
 日本の順位は6位で変わらなかった。ただ、1人当たり消費量は、大瓶換算で05年より0.5本減って77.9本(49.3リットル)。05年の36位から38位に順位を下げた。

◎大型犬禁止の北京、盲導犬歩けぬ、五輪期間中は特例でOK(2008年1月18日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】8月に夏季五輪、9月にパラリンピックが行われる北京市で、視覚障害者の女性が初めて盲導犬を導入したところ、大型犬の飼育を禁じる市の規定のため、活動できない状態が続いている。
 中国には現在、視覚障害者が約1200万人いるとされるが、活動中の盲導犬は遼寧省大連市の4頭だけ。
 北京五輪組織委員会は「五輪、パラリンピック期間中は認める」としているが、視覚障害者の間からは、規定改正を求める声が強まっている。

◆自宅付近限定◆
 女性は、1984年に米国で行われたパラリンピックの走り幅跳びで、金メダルを獲得した平亜麗さん(44)。現在はマッサージ店を経営しているが、ほとんど目が見えず、外出には友人らの付き添いが必要だ。
 「人に頼らず、自立した生活がしたい」と決意した平さんは、昨年12月、中国では5頭目となる盲導犬「ラッキー」を大連から借り受け、地元公安当局に飼い犬として登録しようとしたが、拒否された。
 北京市の「養犬管理規定」によると、飼い犬の登録が義務づけられ、無登録の犬は没収される。さらに、市中心部では体高35センチを超す犬の飼育は禁じられ、違反すれば5000元(約7万5000円)の罰金が科されることになっている。
 公安当局は、ラッキーの没収などの措置は控えているが、平さんは市民の通報を恐れ、自宅や店舗内とその周辺でしか一緒に出歩けない状態という。

◆始まりは06年◆
 中国では、視覚障害者の学費免除や起業の際の資金援助など、様々な施策がある。北京市内では、公共施設の段差をなくす工事も急ピッチで進められている。
 その一方、盲導犬の導入は遅れ、中国最初の盲導犬養成基地が大連市に開設されたのは2006年5月。現在、上海など他都市でも養成されているが、関係者は「盲導犬はえさ代など費用がかかるため、導入が遅れた。最近は視覚障害者の中にも盲導犬を飼える生活レベルになった人たちが出始めたが、規則整備などはまだ追いついていない」と説明する。
 大連市を管轄する遼寧省にも、大型犬の飼育を禁じた規定はある。だが、盲導犬養成基地で訓練を受けた犬は、例外扱いになる。北京市の規定にはこの部分がないため、混乱が生じている。
 市では、五輪やパラリンピック期間中は「例外」扱いとしたものの、抜本的な改革について、公安当局は「関連する政策を検討中」とするだけで、内容や時期を明らかにしていない。
 平さんは、「中国で盲導犬への理解を深めるためにも、北京で安心して活動できるようにしてほしい」と話している。

◎中国ネット人口2億1千万人、今年中に米抜き世界一に(2008年1月17日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】中国インターネット情報センターは17日、中国のインターネット人口が2007年末時点で2億1000万人に達したと発表した。
 昨年1年間の増加率は53.3%で1日当たり20万人増加しており、08年中に世界トップの米国(2億1500万人)を抜き、世界一になる見通しだ。
 ただ、07年末のネットの普及率は16.0%で、世界平均の19.1%を下回っている。地域別では、北京が46.6%、上海が45.8%と比較的高かったが、貴州省6.0%、雲南省6%など、大きな格差が見られる。

◎中国がインドの最大の貿易パートナーに(2008年1月17日、日本経済新聞)
 インドにとって最大の貿易パートナーはアメリカだった。しかし昨年、長い間トップの座を保ってきたアメリカを、ついに中国が抜いた。インドの政府関係者によると、2007年の対中国の貿易額は386億ドル。一方の対アメリカ貿易額は346億ドルであった。
 インドと中国間の貿易額は2006年、前年よりも一気に137億ドル増加し、249億ドルとなった。53%以上の増加である。両国首相は、2010年までに両国間の貿易高を400億ドルにする目標を、600億ドルに上方修正した。
 インドがアメリカから購入したボーイング機の代金を払い始めれば、中国の地位が揺らぐだろう、という指摘もある。しかし、インド政府関係者は、「中国がインド最大の貿易パートナーの地位を失うとは考えにくい。シン首相の中国訪問で、両国首脳の間で実りのある話し合いがもたれれば、インドと中国の貿易はいっそう成長していくだろう」と語る。
 また、インドのカマル・ナート商工相は、「中国はタバコの巨大市場だ。中国は世界中からタバコを購入しているが、インドは高品質のタバコを他国より安く提供できるだろう。私は、インドが中国のタバコ市場で大きな地位を占めることを確信している」と語る。
 インドの対中国、対アメリカ貿易の大きな違いは、対アメリカ貿易の場合、インドは黒字だが、対中国の場合、赤字になるということだ。
 対アメリカでは、2006~07年度に70億ドルの黒字を記録した。一方、対中国では、96億ドルの赤字を記録している。

◎新幹線写真を無許可使用、北京空港の広告看板で(2008年1月15日、産経新聞)
 北京国際空港で、日本の新幹線の写真を無断で使用した巨大な広告看板が掲示されていることが15日、分かった。JR側の抗議に対し、北京市の広告会社は無許可使用を認め、撤去も検討している。
 中国では違法コピーや海賊商品の販売など、著作権や商標権の侵害が横行。五輪開催を前に国際化を急ぐ中国政府は、あらためて問題を突きつけられた格好だ。
 広告は、クライアント募集のために広告会社が自社をPRした約10平方メートル大の写真看板。出発ゲート付近に掲示され、背景に東海道・山陽新幹線の車両が大きく写っている。
 JR西日本が調査し問い合わせたところ、広告会社は「昨年11月から掲示を始めた」と説明。インターネット検索で見つけた新幹線の写真を無許可で使用、看板にしたという。
 広告会社はJR西に対し「広告に掲示意図は特にない。こうした広告ができることを表現したかった。この枠で広告を掲示したいという顧客が見つかったら、看板はすぐ切り替える」と釈明したという。
 JR西の担当者は「日本行きの飛行機が多く出発するゲート付近なので、多分に日系企業を意識した広告と思われる。あまりにも堂々と無断使用しているので驚いた」と話している。

◎中韓「キムチ摩擦」が解決、検査強化解除(2008年1月10日、産経新聞)
 中国検疫当局は10日、中国産キムチから寄生虫の卵が見つかったとして韓国が2005年から実施してきた輸入時の検査強化が解除され、両国間のキムチをめぐる貿易摩擦が「円満に解決した」と発表した。
 韓国政府は05年10月、中国産キムチから寄生虫の卵が検出されたと発表し、輸入時に全量を検査対象とする措置を実施。中国政府も韓国産から寄生虫の卵が検出されたと発表して対立し、一時は中韓首脳会談でも議題となった。
 中国側の発表によると、中国当局が国内のキムチ輸出業者に対する衛生管理を強めたことから韓国は昨年8月、検査対象を全量から20%に引き下げることに同意。今年に入り、05年以前と同様の10%にすると通知してきたという。

◎南京に住む父子の鳥インフル、人から人への感染を確認(2008年1月10日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国衛生省報道官は10日の記者会見で、江蘇省南京市の父子が昨年相次いで鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した事案について、「(家庭での)密接な接触によって感染した」と発表、人から人への感染だったと結論付けたことを明らかにした。
 中国で人から人への鳥インフルエンザウイルスの感染が確認されたのは初めて。
 一方、同報道官は、人の間で流行するようなウイルス変異については、「発生していない」と否定した。父子が、病死した家禽(かきん)類と接触した形跡はなく、感染ルートは分かっていない。
 父子は、息子が昨年11月に発症し、死亡した。その後、父親も発症、治療を受けた。

◎中国で初、人から人への感染確認、鳥インフルエンザ(2008年1月10日、朝日新聞)
 中国・南京市の父子が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した問題について、中国衛生省の報道官は10日の定例会見で、死亡した息子から父親への感染を確認したと発表した。中国で人から人への感染が確認されたのは初めて。ウイルスが「新型」に変異すると大流行する恐れがあるが、「遺伝子の変異はない」としている。
 父親は完治しており、父子と接触があった約80人からは異常が見つかっていないという。ただ、死亡した息子への感染ルートはまだ確認できていない。報道官は「冬から春にかけて鳥インフルエンザが多発する恐れがあり、予防対策を徹底していく」と述べた。
 オランダやベトナムなどで鳥インフルエンザの人から人への感染が確認されている。ウイルスが人から人への感染力が高い新型インフルエンザになると、世界的に流行する可能性がある。




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