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2010年

このページは、私が気になった中国に関するニュースを個人的にまとめたものです。

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◎中国の汚職事件、7年間で24万件(2010年12月30日、読売新聞)
 中国国務院(政府)新聞弁公室は29日、国内で横行する汚職や腐敗の摘発状況などをまとめた初の白書を発表し、検察当局が2003~09年に各地で立件した汚職事件は計24万件以上に達したことを明らかにした。
 白書では、05~09年に土地使用権や鉱山採掘権などに絡む贈収賄事件が計6万9200件以上となり、総額は計165億9000万元(約1990億8000万円)に上るとするデータも公表した。
 胡錦濤政権は来年7月の共産党創設90周年に向けて、国民の不満が強い汚職の摘発を強化する姿勢をアピールしている。

◎中国での賄賂、総額2075億円、05~09年(2010年12月30日、朝日新聞)
 中国国務院(政府)は29日、腐敗の摘発などについてまとめた初めての白書「中国の反腐敗と清潔な政治の建設」を発表した。それによると、2005年から09年までの間、土地売却や鉱山開発などの商取引に絡む汚職事件を6万9200件以上摘発。賄賂の総額は約166億元(約2075億円)に達した。
 中国では地方を中心に腐敗が深刻化しており、国民の間で不満が根強い。危機感を抱く共産党は28日の政治局会議で、来年7月の党創立90年へ向けて党員の腐敗取り締まりや綱紀粛正を徹底することを決めている。白書を通じて党や政府の汚職事件への取り組みをアピールする狙いがあるとみられる。
 白書によると、03年から09年までに全国の検察が立件した全汚職事件は24万件を超えた。また、政府の世論調査で「政府の腐敗防止の取り組みに満足している」と答えた人が03年には51.9%だったが、10年には70.6%に上昇したことも記された。

◎花王、中国におむつ工場、50億円投資、12年始動(2010年12月29日、朝日新聞)
 花王は28日、中国安徽省の省都・合肥市に家庭用品の工場を新設し、2012年に始動させると発表した。中国での工場建設は1993年から稼働し、洗剤などを製造している上海工場以来。紙おむつや生理用品などの紙加工製品を生産する。投資額は約50億円。すでに約12万5千平方メートルの用地を確保した。

◎食用キノコ 9割が「蛍光増白剤」で汚染?小学生の調査に当局大慌て(2010年12月25日、スポーツニッポン)
 北京で販売されている食用キノコの9割が漂白剤に汚染されていた―。中国紙が小学生の男子児童(11)による調査結果を報じ、慌てた市当局が「100パーセント近くが安全」と反論する騒ぎがあった。市民の間では「小学生を信じる」との声が圧倒的で、食の安全をめぐる当局への不信感を浮き彫りにしている。
 児童は「食用キノコの一部が漂白剤に汚染されている」という中国紙の報道の真偽を確かめようと、7月にシメジやエノキタケなど16種類のキノコを購入。両親の紹介で大学の研究員らと協力して調べたところ、9割から、食品への添加が禁じられている「蛍光増白剤」が検出された。
 調査結果は11月末、北京紙が大きく報じ、キノコの買い控えが発生。これを受け、北京市の食品安全管理当局が今月初旬、スーパーなどで売られていた132個のキノコを緊急調査し「97.-73%が合格だった」とメディアを通じて公表した。
 しかし、インターネット調査では「児童を信じる」との回答者が約1100人と圧倒的多数を占め「当局を信じる」と答えたのはわずか8人。中国で食の安全をめぐる問題が相次ぐ中、当局への不信感の根強さをうかがわせた。

◎中国:模倣ガンダム?成都の遊園地「オリジナル」と強弁(2010年12月20日、毎日新聞)
 人気アニメ「機動戦士ガンダム」のガンダムにそっくりなロボットの巨大立像が中国四川省成都市の遊園地に登場した。本物と違ってなぜか金色だが、姿形は酷似。著作権侵害の疑いがあり、ガンダムの版権を管理する日本の会社は18日までに調査を始めたが、遊園地は「模倣ではなくオリジナル」と強弁している。
 成都市郊外の遊園地「国色天郷楽園」で、像は高さ15メートルほど。金属枠にナイロン布を張ってつくられ、既にほぼ完成している。夜間は内側からライトアップして像を光らせるようになっており、園によるとクリスマスに向けて半年前から建設を進めていた。
 顔つきや体格、細部もガンダムそっくりで、昨年と今年、東京・お台場や静岡市に登場した高さ18メートルのガンダム像をほうふつとさせる。ガンダムは中国でも一部で高い人気があり、インターネット上で「模倣ではないか」と批判が出ている。
 広報担当者は取材に「ガンダムのまねではなく自分たちでデザインを考えた」と主張しているが、ホームページにはガンダムを指す「高達」と明示されたロボットのイラストも掲載されている。ガンダムの版権を管理する創通(東京)は「事実関係を調査中」としている。
 北京市郊外の遊園地「石景山遊楽園」でも3年前、ミッキーマウスなどに似た着ぐるみが登場、米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーが著作権侵害を訴え出たと報じられた。

◎中国のレアアース輸出、11年も数量枠減、さらに増税(2010年12月20日、朝日新聞)
 【北京=吉岡桂子】中国政府が近く、2011年のレアアースの輸出数量枠を発表する見通しだ。ネオジムなど一部については11年1月から輸出税率を引き上げ、国外への流出を減らそうとしている。日本への荷動きは正常化してきたものの、11年も輸出枠の減少は避けられない見通し。米国など中国外での生産が本格化しそうなのは12年からで、それを待つ11年は、日本企業にとって調達が最も厳しい1年になりそうだ。
 レアアースの輸出枠は08年分は08年1月2日、09年分は前年12月26日、10年分は前年12月31日に中国商務省が正式に発表した。同省は11年について「市場の需給をみながら検討中。できるだけ早く発表する」(姚堅報道官)方針。その量は「(10年よりも)減るが、その幅は大きくない」(陳健同省次官)としている。10年の輸出枠は前年より4割少ない3万トンだったが、実際には9月までに3.2万トンを輸出。そのうち半分が日本向け、19%が米国向けだった。市場関係者の間では、11年の輸出枠は3万トン弱ではないか、とみられている。
 ただ、何度かに分けて発表されることが多く、今年は7月に入って下半期の大幅な削減が判明。日本企業は11年についても全容が判明する時期がいつになるか気をもんでいる。
 中国政府は11年1月1日から一部のレアアースの輸出税を引き上げる。輸出の抑制を狙ってここ数年続いている動きだ。日本の経済産業省などによると、ハイブリッド車の高性能モーターに使うネオジム、塩化ランタンをそれぞれ15%から25%に、レアアース元素を1割以上含む鉄合金を20%から25%に引き上げるなど数品目の課税を強化する。ただ「レアアース全部の品目ではなく、大きな懸念はない」(大畠章宏経済産業相)としている。
 中国政府は環境や資源の保護を理由に、採掘、生産から輸出までの管理を一段と強める方針。レアアースの規制を本格化させた06年に新たな採掘許可証の交付をとりやめ、今年9月からは企業の統合を加速させている。備蓄も近く始める。
 中国はレアアースを用いた製品の生産が自国で増えていることから、資源の枯渇への危機意識を強めている。世界の3割の埋蔵量なのに、安値で輸出することで9割の生産を担っている現状を変えようとしており、「他国の新たな開発を希望する」(姚報道官)という。

◎「自分は負け組」、中国、党・政府幹部の45%が自認(2010年12月6日、産経新聞)
 【北京=川越一】特権階級として一般庶民からの反発が少なくない中国の政府幹部らエリート層の約5割が、自らを「弱勢群体(社会的弱者層)」と受け止めていることが、6日までに明らかになり、中国メディアは「社会の進歩」と揶揄している。
 共産党機関紙、人民日報系の雑誌「人民論壇」がこのほど、党や政府の幹部280人、知識人213人、企業のホワイトカラー325人を対象にアンケートを実施。中でも党・政府幹部の45.1%が「弱勢群体」を自認しているとの調査結果が注目を集めている。
 「弱勢群体」は貧困層や失業者、農民工(出稼ぎ労働者)らの総称。特権を欲しいままにしているとの印象が強い党・政府幹部とは無縁の言葉に見えるが、組織内の地位や職務などの格差が“負け組”意識を生んでいる。
 近年、法制化が進み、インターネットが普及するにつれ、世論の監視が厳しくなっている。問責制度が厳格化され、圧力が増していることも、エリート層の心理に影響を及ぼしている。
 6日付の中国紙、新京報は「時事評論」のコーナーで、「10年前、地方幹部は政府に逆らう“ならず者”を随意に拘束し罰金を科せたが、今、公民権を犯せば、逆に処罰される」と指摘。党・政府幹部の意識の変化を「悪いことではない。特権が弱化し、社会が進歩していることを示している」と分析している。

◎中国で住民千人が病院に抗議、警官隊と衝突(2010年12月6日、読売新聞)
 【香港=槙野健】6日付香港紙・星島日報などによると、中国江蘇省張家港市で5日、市内の病院の患者への対応に抗議する住民約千人が警官隊と衝突、一部住民が負傷した。
 病院は11月28日、風邪と診断した男児(5)に点滴を受けさせたところ容体が急変、まもなく死亡した。この病院では11月19日にも男性患者が点滴を受けた直後に死亡したといい、男児の両親は、地元メディアを通じて病院に説明を求めていた。
 両親が5日に病院で行った追悼式に住民も参加、投石で病院の窓を壊すなどして暴れた。
 病院側は小児科の責任者を一時停職にし、男児が死亡した経緯を調べている。

◎中国で薬物密輸罪、日本人の男に執行猶予つき死刑判決(2010年11月29日、朝日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】中国瀋陽市中級人民法院は29日、薬物密輸罪に問われた日本人の男(29)に対し、執行猶予2年の死刑判決を言い渡した。日中関係筋が明らかにした。
 執行猶予付きの死刑判決は、一定期間、服役態度に問題がなければ無期懲役などに減刑されることもある。
 男は今年2月、瀋陽の国際空港で、成田行きの便に搭乗しようとした際、覚せい剤約1キロを所持していた。
 中国当局は薬物犯罪に神経をとがらせており、今年4月、日本人4人に対して日中国交正常化以来初めて死刑を執行するなど、最近では外国人にも例外なく厳しい姿勢で臨んでいる。

◎レアアース工場、壁に「空母となる」、中国・内モンゴル(2010年11月24日、朝日新聞)
 日本への輸入が滞っている中国のレアアース(希土類)の産地に朝日新聞記者が入った。
北京から空路1時間余。内モンゴル自治区の包頭(パオトウ)市は、江西、広東両省など中国南部と並ぶ有数の産地だ。「レアアースの郷(さと)」とも呼ばれている。
 「レアアース企業の先兵として、レアアースの空母となり、富を築き、国家に報いよう」。市内の鉄鋼メーカー、包頭鋼鉄の横にあるレアアース工場の壁には赤ペンキでこう書かれている。
 工場のわきには、レアアースが混じる廃液をためた池があった。いずれ資源化しようとためてあるようだが、国営新華社通信などによると、これがしみ出し、地下水を汚染しているという。池の水面は近くの村の土地より高く、放射性物質が含まれているとの指摘もある。
 近くに住む任さん(42)は「地下水が汚染されている。金持ちから順番に引っ越していった」と話した。任さんも年末までに政府が用意した住宅に移る予定という。
 包頭市中心部から約170キロ北上し、レアアースが眠る鉱山の町、白雲鄂博に着いた。乾いた土に強い風。風力発電の風車が回る。
 レアアースハイテク技術産業開発区やレアアース公園、レアアース国際ホテル。包頭市は特産物の名を冠する施設で目白押しだった。この鉱山の町も、レアアース大通り、レアアース広場住宅、レアアース鉱区銭湯、と同じ調子だ。
 にぎわいから離れて鉱区を探し、工場への道をたずねた。「レアアースがほしいなら人を紹介するよ。一見(いちげん)さんは無理だよ」。バイクにまたがった厳さんは言った。
 中国政府が手を焼く「密輸」は健在らしい。規制をかければ抜け道を探す。厳さんによれば、二つある近くの工場のうち一つは環境への対応が不十分として今年6月、生産停止を迫られたという。
 中国政府は乱立する採掘業者や加工業者を整理・再編し、国内での管理強化を急いでいる。国内業者が密輸出しては安売りに走り、価格を統制できないできたからだ。
 「中東に石油有り、中国にレアアース有り」。この言葉を残したのはトウ小平(トウは登におおざと)氏。そのトウ氏が始めた改革開放策のもと私営企業が乱立し、レアアース産業の「悪性競争」が続くようになったという。
 「中国の管理が乱れていたころ、ある国は安い値段で大量に買っていった。その国には大量の備蓄がある」。温家宝(ウェン・チアパオ)首相は欧州での演説で、名指しを避けたものの、日本などを念頭にこう述べた。
 足元をみられ、日本や米国などに価格の主導権を握られたまま、輸出を続けた悔しさをにじませたものとみられる。
 レアアース規制の出発点はここにある。携帯電話に電気自動車。中国自身もレアアース部品を使う製品を作り始めた。資源を戦略的に使う動きは増し、尖閣事件に絡む「禁輸」は解けても、昔に戻りそうにない。

◎竹製足場に引火?拘束は無資格溶接工ら8人に、53人死亡の上海ビル火災(2010年11月16日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国上海市の中心部にある28階建て教員向け高層住宅で15日午後に大規模な火災が発生した。上海市当局の16日夕の会見によると、53人の死亡が確認されたほか70人以上が負傷し病院で手当てを受けている。死傷者に日本人は含まれていない。
 出火原因として消防当局は、高層住宅の10階部分で外壁の改修工事に使用した溶接の火花が、付近の竹製の足場などに引火して燃え広がったとの見方を示している。公安当局は無資格の溶接工ら容疑者8人の身柄を拘束したと発表した。
 この住宅は教員向けに1990年代に建設された3棟のうちの1棟で、約150世帯が入居していた。
 上海紙、東方早報(電子版)などによると、約1カ月前に始まった改修工事では、作業員がたばこの吸い殻を投げ捨てるなど防災面で問題があり、住民が管理会社に改善を訴えていたが無視されたという。中国では高層ビルの作業現場でも竹製の足場が多用されており、同紙などは今回も竹が火勢を強める要因になったとの見方を伝えている。
 また上海市には地上60メートル以上の高層ビルが約7千棟あるが、高層階に放水が届く消防車の数が少なく、消火活動の初動の遅れが指摘されている。防災や安全管理のずさんさと相まって複合的な原因が、大惨事を引き起こしたとみられる。

◎上海の高層ビル火災の死者53人に、負傷者は70人以上、関係者4人拘束(2010年11月16日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国上海市の中心部にある28階建ての教員向け高層住宅で15日午後に発生した火災により、16日午前までに53人が死亡した。70人以上が負傷し、病院で手当てを受けている。中国中央テレビによると、地元当局は、違法な溶接工事が出火原因だとして関係者4人を拘束、取り調べている。
 地元の東方早報(電子版)などによると、リフォーム工事は約1カ月前から始まった。一部の住民は当初から、「作業員がたばこの吸い殻を投げ捨てたり、可燃性建築資材が積み上げられたりしており、防災面に問題がある」とビル管理会社に訴えたが、無視され続けたという。
 火災発生から鎮火まで5時間以上もかかり、救出作業が難航したことについては、消防局の設備不足を指摘する声もある。火災発生直後、約70台の消防車が駆け付けたが、水が高層に届かない消防車もあったという。
 瀋陽市消防局の陳軍高級工程師は中国メディアに対し、「今の中国各地の消防局の装備には限界があり、50メートル以上のビルの火災になると対応が難しい。ビル内部に備えてあるはずの消防設備も、いざというときには使いにくいという現実もある」と述べ、中国の消防システムは都市建設の速さに追い付いていないことを指摘した。

◎地上の資材から出火? 上海の高層住宅火災で本格捜査始まる(2010年11月16日、産経新聞)
 中国上海市中心部にある28階建て教員向け高層住宅で42人が死亡した大規模火災で、上海市当局は16日、火元の特定を進めるとともに出火原因や延焼の拡大を阻止できなかった要因などについて本格的な捜査を開始した。
 中国の一部メディアは、高層住宅周辺の地上に置かれた資材から出火、外壁工事などのために組まれた足場伝いに燃え広がったとの目撃情報を報道。一方で初期段階で15階から20階付近が最も激しく燃えていたとの目撃証言もあり、当局は慎重に調べを進めているもようだ。
 孟建柱国務委員兼公安相が、陣頭指揮を執るため上海入りする予定。高層ビルが林立する中国最大の経済都市、上海で発生した大惨事への対応に中央政府も神経をとがらせている。
 高層住宅には150余りの世帯が入居。退職した高齢者も多数住んでいた。

◎上海で高層住宅火災、42人死亡、鎮火に5時間(2010年11月16日、産経新聞)
 中国上海市中心部にある28階建ての教員向け高層住宅で15日午後、火災が発生し、中国メディアによると、42人が死亡した。火の回りが早く消火活動は難航し、住宅の大部分が焼け、鎮火に約5時間かかった。
 上海の日本総領事館によると、死傷者に日本人がいるとの情報は入っていない。
 中国の通信社、中国新聞社などによると、1990年代に建設された住宅で、15階から20階付近が最も激しく燃えた。さらに上下の階でも火勢が強まり、断続的に炎が上がって、住宅全体が煙に包まれた。約70台の消防車が出動し、救出活動にヘリコプターも投入した。
 住宅には退職した高齢の教員も多く住んでいる。現場付近は数百メートル離れた場所から交通が規制され、帰宅ラッシュの時間に重なったため、渋滞が発生。やじ馬も集まり、混乱した。

◎「中国最大規模」レアアース泥棒御用、被害3600万円(2010年11月12日、朝日新聞)
 【北京=林望】中国国営新華社のニュースサイトは10日、中国内モンゴル自治区の警察当局がこのほど、地元企業が保有するレアアース(希土類)300トン余りを盗んだ疑いで容疑者8人を逮捕したと報じた。被害金額は300万元(約3600万円)を超え、レアアース窃盗事件としては「中国最大規模」。近年、レアアースの価格が高騰し、同様の事件が相次いでいるという。
 被害に遭ったのは、「レアアースの都」と言われる包頭市にある「包鋼稀土高科技股●有限公司(●はにんべんに分)」。同自治区のレアアース資源を独占的に管理販売し、戦略的な備蓄の機能も担っているという。
 当局の調べでは、鉄鉱石の精製会社の経営者が「包鋼」社の従業員らと結託し、レアアースを100回以上にわたって盗み出し、同自治区内の別のレアアース製錬会社に売っていた。
 同市内では10月末にも、重機を使ってレアアースを盗んだ5人組が逮捕されるなど窃盗事件が続発。新華社は、政府が効率の悪い生産企業を統廃合したため生産量が落ち、値段が高騰していることが背景にあるとしている。

◎英国、中国のイチャモン受け付けず、ケシの花めぐる“歴史摩擦”(2010年11月11日、産経新聞)
 訪中しているキャメロン英首相ら英政府代表団が、胸に赤いポピー(ケシ)の花を付けていることに、中国側が「その花は不適切。アヘン戦争を思わせる」とクレームを付けた。アヘンの原料となるケシが、清朝が英軍に敗れたアヘン戦争(1840~42年)を連想させるためだ。10日付英各紙が報じた。
 ポピーは第一次世界大戦の戦死兵への敬意を示すため、英国では11日の休戦記念日を中心に身に着けるのが習わし。同じ花をめぐり、異なる記憶が摩擦を生んだ形だが、英側はクレームを受け付けず、公式行事を続けた。
 第一次大戦での英国の戦死者は90万人ともいわれる。英政府当局者は「ポピーの花はわれわれにとって大変重要な意味があり、身に着け続けると(中国側に)伝えた」と話した。

◎人民元基準値、2日連続で最高値更新(2010年11月11日、読売新聞)
 【ソウル=幸内康】中国人民銀行(中央銀行)は11日、人民元相場の基準値を1ドル=6.6242元に設定した。
 前日の基準値に比べて0.31%の元高・ドル安で、2005年7月以来の最高値を2日連続で更新した。
 11日午後に韓国・ソウルで開催される主要20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)を前に、人民元高を容認する姿勢を示し、各国からの圧力をかわすねらいがあるとみられる。

◎アジア大会:広州の地下鉄巡り混乱、一時無料で乗客殺到(2010年11月9日、毎日新聞)
 【広州・芳賀竜也】12日から広州アジア大会が始まる当地で、市内を網羅する地下鉄(1~8号線)を巡り、混乱が相次いだ。広州市は当初、道路の渋滞緩和を目的に、今月1日から平日の地下鉄運賃を無料化。ところが市民が地下鉄に殺到し、終日ラッシュアワー状態になった。このため、市当局は8日から有料へ戻す羽目になった。市民から批判が集まるかと思いきや、現地では市の判断に称賛の声が上がっている。
 人口約1000万の広州は車社会で、大会期間中は交通渋滞が心配されていた。そのため、08年北京五輪と同様、今月1日からナンバーの末尾が奇数か偶数かによる通行規制を実施。その代替措置として、平日の地下鉄と路線バスなど公共交通機関を、12月中旬まで無料化するとした。五輪などで大会関係者に公共交通機関を無料で利用してもらうケースはあるが、市民にまで適用範囲を広げるのは異例。「大盤振る舞いの英断」のはずだった。
 ところが、無料化スタートと同時に乗客が殺到。地元紙によると、6割の電車で車両定員を超え、通勤ラッシュの乗車は30分待ち。ピークの3日には乗客数は784万人を記録し、これまでの“国内記録”とされる上海万博中の754万8000人(10月22日)を上回った。「無料期間」の1~5日で計3877万人が乗車したという。
 翌6日の土曜日に有料になると、乗客は激減。同日、市当局は「安全確保に問題がある」として一転、平日の無料化を撤回した。市民には「交通手当」として1家族150元(約1800円)を支給することも表明した。
その結果、有料に戻した8日は、無料化初日より361万人少ない420万人と乗客が大幅に減った。
 広州の日刊紙、新快報は8日付の解説記事で「市政府は『朝令暮改』と言われるリスクを背負ってまで、庶民たちの意向をくんでくれた。自分のメンツをつぶされることに遠慮しない、素晴らしい決断だ」とたたえている。

◎中国の環境対策が裏目、電力供給制限で自家発電が急増、軽油不足深刻に(2010年11月8日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国各地のガソリンスタンドが深刻な軽油不足に陥っている。ただしガソリンは十分にある。どうしてこんな現象が起きたのか。各地方政府が環境保護に向け電力供給を制限した結果、企業が軽油を燃料とする自家用発電機を使用するようになったためのようだ。
 中国紙、京華時報によると、江蘇省南京市や浙江省杭州市などでは、給油を待つトラックの長蛇の列が数キロにもおよび、1回の給油は100元(約1200円)まで、と制限するスタンドも現れた。
 中国商業連合石油流通委員会のまとめによると、11月6日までに中国南部では、2千以上のガソリンスタンドが軽油の販売を停止した。北京、大連など北部でも深刻な軽油不足に陥り、多くのスタンドは販売制限などの対策を取り始めた。トラックを使えなくなったため、営業中止に追い込まれた運輸会社も少なくないという。
 大手石油企業、中国石油化工の幹部は中国メディアの取材に対し、「各地方政府が工場への電力供給を制限したことにより、企業が軽油を燃料とする自家用発電機を使用するようなったことが原因」と分析している。
 今年は、環境保護対策を含む第11次5カ年計画(2006~10)の最後の年に当たる。電気使用量を中央政府が規定した目標以内に抑えなければ、地方指導者は管理責任を問われることもあることから、年末が近づくにつれ、各地方政府は電力供給量を極端に減らすようになった。
 浙江省温州市では、住民生活と直結しない製造業の工場に対する電力提供を5日に1回、8時間のみに制限したと報道されている。
 各企業は生産を継続するため、相次いで自家用発電機を購入し、それに伴って軽油の需要が急増したわけだ。自家発電の量は統計に表れないことから、いわば使い放題。しかも、自家発電は発電所で電力を生産するよりも効率が悪いといわれる。地方政府が省エネ目標を達成するために、自家発電で環境にさらに重い負担をかけているのが実態だ。

◎中国、反日デモ取り締まり強化通達、政府批判に発展警戒(2010年10月25日、朝日新聞)
 【重慶=峯村健司】中国各地の反日デモをめぐり、中国公安省が四川省成都などで16日に最初のデモが起きた直後、「デモは違法行為であり厳格に取り締まるように」とする内部通達を各地方政府や大学当局に出していたことがわかった。広がる格差や腐敗問題に不満を持つ市民らがデモに参加し、政府批判に変わりかねないとの危機感を抱いたとみられる。
 複数の中国筋が明らかにした。16日のデモについては地元当局が承認しており、国営の新華社通信も報道していた。だが、一部が暴徒化して日系スーパーの店舗や日本メーカー製の車両を破壊するなどしたため、強硬姿勢に転換したとみられる。
 中国筋によると、公安省は16日夜、全国の大学当局に対し、学生らを自由に外出させないように指示をした。デモの参加者の多くが大学生だったため、翌17日の日曜日にデモが起きるのを未然に防ぐ狙いがあったとされる。
 さらに、17日には各地の公安当局に対して、反日デモについて「違法行為だ」と明示し、店や車両の破壊などの違法行為があった場合は粛々と処罰するように定めた内部通達を出した。当局はこれを受けてデモ規制を強化。各地でデモ予告が出ていた23、24日の週末もデモの集合場所とされた広場や日本総領事館前に大量の治安部隊を投入、多くの都市でデモの発生を抑え込んだ。
 中国政府がデモに厳しい姿勢を取り始めた背景には、対日関係に改善の機運が出ていることに加え、深刻化する就職難や物価高騰などに不満を持つ市民が反日デモに乗じて抗議活動をし、反政府運動に発展することへの警戒があったという。一部のデモには、中国政府が「邪教」と断じた気功集団の「法輪功」が関与しているとの情報が公安当局に入り、危機感が強まった。
 ただ、当局はネットの掲示板などにあるデモの呼びかけを削除するなどの予防措置も取っているが、散発的なデモは抑え切れていない。特に地方の中小都市の場合は、武装警察などの治安部隊の人数が十分ではなく、統制できないケースが続いている。このため、中国政府関係者からは「これ以上広がれば社会不安につながりかねない」と警戒の声が出ている。

◎「腐敗反対」「住宅高騰抑制しろ」中国反日デモに政府批判も(2010年10月24日、産経新聞)
 中国の甘粛省蘭州市と陝西省宝鶏市で24日、それぞれ数百~1000人規模の反日デモがあり、若者らが「釣魚島(尖閣諸島)を守れ」「日本製品ボイコット」などと叫んで市内を行進した。両市ともインターネットで事前にデモが呼び掛けられていた。
 宝鶏のデモでは参加者が反日スローガンを叫ぶ一方で「官僚腐敗に反対」「住宅価格高騰を抑制しろ」などと政府批判の横断幕も掲げており、中国で深刻化している収入格差の拡大や汚職への不満が強いことをあらためて裏付けた。
 ネットで24日の反日デモが呼び掛けられていたのは蘭州、宝鶏のほか江蘇省南京市、湖南省長沙市、湖北省武漢市など。中国当局は反日デモが拡大すれば政府批判や社会不安が広がるのは必至とみて、呼び掛けがあった都市や北京の日本大使館、各地の日本総領事館周辺で引き続き警備を強化していた。

◎中国・蘭州で反日デモ、1時間で解散させられる(2010年10月24日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国甘粛省蘭州で24日午前、日本への抗議デモがあった。住民の目撃情報によると、100人以上の若者らが市中心部の東方紅広場から「日本製品ボイコット」などと書いた日の丸を手に行進を始めたが、1時間ほどで治安当局に解散させられた。また、陝西省宝鶏市でも多数の若者が反日デモを行ったという。
 23日には四川省徳陽で反日デモが起きていた。中国当局はデモを封じ込めようと厳戒態勢で臨んでおり、インターネット上で呼びかけがあった江蘇省南京などでは24日夕までデモ発生は伝えられていない。

◎出産の半数が帝王切開、病院が収入増狙いか? 脅される妊婦も、中国上海(2010年10月22日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の上海市では、産婦人科での出産の約54%が帝王切開であることが、保健所の調べで分かった。上海紙、新聞晨報によると、世界保健機関(WHO)が推奨する帝王切開での出産率15%を大きく上回っており、中国全体でも飛び抜けて高い比率だという。
 上海市で極端に帝王切開が多い背景には、出産費用が自然分娩(ぶんべん)に比べて約2倍かかるため、収入増を当て込んだ病院側の「ビジネス姿勢」があるとみられている。中国婦人子供保健協会では、「上海の一部の病院は巧みに妊婦を帝王切開に誘導して、妊婦に決断させている」と指摘する。
 上海市内の産婦人科で出産経験のある女性は「分娩直前になって産婦人科医から『あなたは骨盤が小さいので自然分娩は困難だ。自然分娩だと激しい痛みから逃れられない』と脅された」と、今では不本意な様子。
 多くの産婦人科は慢性的な人不足で、出産日時や産気づいてから赤ちゃんが出てくるまでの時間の読めない自然分娩は、商売上、効率が悪いと考えているフシがあるという。

◎反日デモ、当初は当局承認、ネットで勢い拡大、統制失う(2010年10月22日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国四川省成都など3都市で起きた16日の反日デモについて、地元政府当局が事前に承認していたことがわかった。中国政府関係者が明らかにした。だが、インターネットなどで広がったデモの勢いは当局の想定を超え、承認していない都市にも飛び火するなど統制を失ったという。
 中国では、デモは事前に地元当局に申請して承認を受ける必要があり、3都市では今回、数日前に承認されていたという。成都でのデモは、申請したのは100人前後の大学生らだったという。
 申請を認めた背景には、デモを通じて日本への不満を表明する狙いがあったという。中国政府は尖閣諸島沖の漁船衝突事件で悪化した日中関係の修復に動き始めていたが、前原誠司外相は尖閣諸島の領有権について「1ミリとも譲る気持ちはない」などと発言。16日には日本で中国大使館を包囲しようという反中デモの計画もあり、中国側には「日本側に改善の姿勢が見られない」と映ったという。
 だが、いったん火がついた反日デモはインターネットや携帯電話を通じて拡大。成都では参加者が1万人以上に膨れあがり、店のガラスを割るなどの破壊行為に発展したため、取り締まりに乗り出した。
 また、17日以降に起きた四川省綿陽や湖北省武漢などのデモは、事前に認められていなかったという。この関係者は「想定外だった」といい、中国メディアは一切報じていない。また、別の中国政府関係者も「ここまで広がるとは思わなかった」と明かしている。

◎北京市中心部の地下鉄駅付近で爆発、通行人1人けが(2010年10月21日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の新華社通信によると、北京市中心部の地下鉄環状線の「東直門」駅付近で21日午後3時(日本時間同4時)すぎ、爆発があり、近くを通り掛かった米国人1人が足に軽いけがをした。治安当局が一帯を封鎖し、爆発原因などを調べている。北京の日本大使館によると、日本人が負傷したとの情報はないという。
 爆発を目撃した男性が朝日新聞に語ったところでは、現場は商業ビルが立ち並ぶ繁華街の大通りに面した新聞スタンドの裏の植え込み。爆発で土や草が吹き飛び、歩道を歩いていた男性にぶつかったという。現場から十数メートル離れたビルの中にいた女性は「ドンという激しい爆発音を耳にした。外に出ると白い煙が高く立ちこめていた」と話した。
 夜になっても周囲には警戒線が張られ、警察官らの現場検証が続いた。多数の見物人らが集まっており、一部では混乱も起きている。

◎「レアアースの密輸が横行」、中国で報道(2010年10月12日、朝日新聞)
 【北京=吉岡桂子】中国でレアアース(希土類)の密輸が横行している。厳格な通関検査は「密輸対策」ともとれる記事を中国メディアが相次いで伝えている。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以降、日本への輸出が滞っている問題で、日本は通関手続きの改善を求めている。
 「毎年2万トン以上が密輸されている」。雑誌『瞭望』(10月11日号)が政府や企業関係者の話として報じた。
 9日付中国経営報電子版によると、2009年は正常な輸出枠が5万トンで、密輸は2万トンだったという。レアアースの国際価格が上昇するなかで、中国政府は環境保護などを理由に輸出を制限。輸出枠を減らされた企業が密輸に走っている、と指摘した。
 また、第一財経日報電子版も9月末、「米国への密輸が最も多い」とする企業関係者の話を伝えた。
 尖閣事件後に発生した日本へのレアアースの「禁輸」問題については、「中国が資源を外交のかけひきに使った」として欧米でも批判が出た。相次ぐ「密輸報道」は、国際社会の疑念や日本が問題視する通関の厳格化に対する「反論」ともとれそうだ。

◎中国で食中毒、1人死亡42人入院、許容量数百倍の亜硝酸塩(2010年10月11日、産経新聞)
 新華社電によると、中国四川省の衛生当局は11日、同省カンゼ・チベット族自治州瀘定県のホテルで8日に食中毒が発生、1人が死亡、42人が入院して手当てを受けたことを明らかにした。患者らが食べた朝食から許容量の数百倍の亜硝酸塩が検出され、警察は調理師が食品添加物の亜硝酸塩を塩と間違えたとみて調べている。
 衛生当局によると、ホテルの朝食に出されためん類などの食品から、最高で1キロ当たり11・3グラムの亜硝酸塩が検出された。中国国内では、許容量は1キロ当たり20~50ミリグラム以下などの基準があるという。朝食だったため患者らの食事の量が少なかったが、昼食や夕食だったら被害がさらに拡大したとの指摘も出ている。

◎中国長者番付、トップは資産1兆円、飲料大手創業者(2010年10月4日、朝日新聞)
 【北京=吉岡桂子】中国の民間調査機関「胡潤百富」が発表した2010年の中国の長者番付によると、首位は「飲料大王」と呼ばれる宋慶後・杭州娃哈哈(ワハハ)会長(65)一家で、推定資産は800億元(約1兆円)だった。6年前に1人だけだった100億元(1200億円)を上回る資産家は、200人に膨らんだ。
 宋氏は20年足らずで同社を中国最大級の飲料会社に育てた実質的な創業者。妻や娘とともに同社の株式を大量に保有する。
 数年前に仏食品大手ダノンとワハハの商標権をめぐって対立。09年に合弁を解消するまで、「中国は外資を引き込む政策を改めるべきだ」と、外国企業へ攻撃的な発言を繰り返し、民族意識が旺盛な企業家としても知られる。
 番付の対象とした10億元以上の資産家は1363人で、平均年齢は51歳。不動産や鉱業を営む人が多いという。09年の長者番付首位だった電池・自動車メーカー比亜迪汽車(BYD)の王伝福総裁は今年、今回公表となった5位以内に入らなかった。

◎中国の梅毒患者、10年で4倍に、「予防教育が不足していた」と衛生省(2010年10月2日、産経新聞)
 中国衛生省は21日、梅毒の患者数が10年間で4倍に急増しているとして、エイズとともに感染拡大防止を図る2020年までの10年計画を発表した。
 梅毒の感染例は1999年に約8万件だったが、09年に約32万7千件に達した。衛生省は「感染予防教育が不足していた」とし、青少年らを対象に梅毒予防の啓発活動を展開する。

◎三菱化学、LiB負極材を中国で生産(2010年10月1日、化学工業日報)
 三菱化学は30日、リチウムイオン2次電池(LiB)用負極材を中国で生産すると発表した。10月に現地製造販売会社を設立、約20億円を投資し年産能力4000トンの設備を建設する。2012年3月から営業運転を開始する。新会社の名称は青島雅能都化成(仮称)。山東省青島市平度市に置く。資本金は9230万元(約12億円)で、三菱化学の100%出資。新会社は、三菱化学が出資している球形化黒鉛製造合弁会社である青島菱達化成との隣接地に設立され、原料から製品負極材まで一貫した製造体制が整う。三菱化学の負極材製造設備は坂出事業所にあり、現有3000トンに加え、10年12月と11年5月に完成する2度の増強で7000トンになる。今回の中国設備の完成で、12年3月には1万1000トンに達することになる。15年までに3万5000トンに増強する計画。

◎中国4都市で反日デモ、当局厳戒、破壊行為なし(2010年9月19日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から79年の18日、中国本土では、尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件をめぐって、北京、上海、広東省深セン、遼寧省瀋陽の少なくとも四つの大都市で対日抗議行動があった。(深センの「セン」は土へんに「川」)
 これほど大規模な反日デモは2005年以来。民衆の暴走を恐れる共産党政権は全国で厳戒態勢を敷き、同日夜現在、日本の公館などへの破壊行為は確認されていない。
 北京の日本大使館前には、道路を封鎖して「抗議区域」が設置され、終日、若者らのグループが「日本は釣魚島から出て行け」などと反日スローガンを叫んだ。

◎北京で100人、反日デモ、漁船衝突事件に抗議(2010年9月18日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬、上海=加藤隆則】満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から79年の18日、北京の日本大使館や上海、瀋陽の総領事館前のほか、広東省深セン市内などでも、公安当局による厳戒態勢の中、尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件をめぐる抗議行動が行われた。
 公安車両20台以上が配置された日本大使館近くには、午前9時(日本時間同10時)ごろ、「くたばれ、日本」などと書かれたプラカードをもつ若者3人が到着。その後集まって来た約50人が「(漁船の)船長を返せ」「日本製品ボイコット」などと気勢をあげた。手製の日本国旗を踏みにじる者もいた。続いて約100人がデモ行進を始めた。行進は正午(同午後1時)ごろ、公安当局に解散させられた。

◎中国、デモ拡大警戒、柳条湖事件79周年、ネットも規制(2010年9月18日、朝日新聞)
 満州事変勃発(ぼっぱつ)のきっかけとなった柳条湖事件の79周年にあたる18日、北京の日本大使館や上海などの総領事館の周辺では、尖閣諸島沖で起きた中国の漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件への抗議活動があった。中国当局は周辺を厳重に警備し、デモの拡大を封じる態勢を取っている。
 日本大使館前には同日午前、100人近くが集結。事件で逮捕された中国人船長の早期解放や尖閣諸島に対する中国の領有権、日本製品の不買運動を訴えるシュプレヒコールをあげたあと、警官らに囲まれながら市内でデモ行進を行った。上海総領事館前では、二十数人が「船長を早く帰せ」などと書いた横断幕を掲げ、数人が警察に連行された。広東省深セン(センは土へんに川)では100人余りがデモ行進し、遼寧省瀋陽の総領事館前でも数人が抗議活動をした。
 ただ、中国当局は2005年に起きた大規模な反日デモの再発を阻止するため、日本大使館や各総領事館を前夜から厳重に警戒。18日午前には大使館の周辺道路に100台を超える警備車両を配置し、05年に北京でのデモの出発点となった中関村にも多数の人員と車両が配置された。
 上海の日本総領事館前の道路は朝から通行止めにされ、デモ発生時に道路を封鎖するためのコンテナも数多く運び込まれた。上海万博の日本関連施設の警備も強化した。
 中国当局は、反日デモが統制不能になることを警戒。国内メディアに対し、国営新華社通信の配信以外の報道を規制し、ネット上の主要な反日サイトも検索できないようにされている。

◎中国、ダニ感染症死者33人(2010年9月12日、毎日新聞)
 中国メディアは11日、ダニが原因とみられる感染症のため山東省で11人、江蘇省で4人が死亡したと伝えた。河南省では既に18人の死亡が報告されており、3省だけで死者は計33人となった。
 発熱とともに白血球や血小板の減少を伴うのが特徴で、山東省では08年から報告されているという。具体的な原因は不明で、衛生省が河南省などに専門家を派遣して調べている。

◎ダニに刺され18人死亡、特徴は発熱や血小板減少、中国河南省(2010年9月9日、産経新聞)
 9日付の中国紙、新京報などによると、河南省衛生庁は8日、2007年5月から今月8日にかけ、ダニに刺された557人が発病し、18人が死亡したと発表した。発熱や血小板減少などが特徴で、ダニが何らかの病原を媒介したとみられる。衛生当局が病因を調査している。
 同様の症例は安徽省など各地で報告されているが、北京ではここ十数年、報告されていないという。

◎富士フイルム、中国で化粧品のネット通販開始(2010年9月6日、産経新聞)
 富士フイルムは6日、美白・エイジングケア用化粧品「ASTALIFT(アスタリフト)」シリーズを中国で販売すると発表した。20~30代の富裕層の若者をターゲットに現地通販サイトなどでプロモーション活動を行う。
 中国での輸入・販売は富士フイルムの100%出資子会社の富士フイルム中国が担当。16日から中国最大の通販サイト「淘宝商城(タオバオ・モール)」での販売を始めるほか、自社の通販サイトも立ち上げて販売を拡大する。
 また、香港地域では対面販売の店舗を9月中に開設。年末には第2号店を出し、現地だけでなく、観光客の需要も喚起して世界でアスタリフトブランドの浸透を図る。
 富士フイルムはフィルム事業で培ったナノテクノロジー技術などを生かし、4年前に化粧品事業に参入した。海外での販売は中国が初めてで、今後は肌質が似ているアジアを中心に海外展開を検討している。

◎中国、北極の資源に狙い、開発準備着々と(2010年9月4日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国が北極の開発に向け、着々と準備を進めている。
 中国は北極に眠る資源を将来の成長戦略の要ととらえており、獲得競争に向け足がかりを築く狙いだ。
 新華社通信によると、中国の北極科学調査チームが8月31日、北極圏での約40日にわたる調査を終えた。調査は4回目で、発表によると、アラスカ沖のボーフォート海やベーリング海など130か所あまりで海氷データを収集し生態系を調べた。ただし北極における中国の最大の関心は資源開発であり、並行して資源探査も行った模様だ。
 北極の海底にある原油や天然ガスは世界全体の埋蔵量の4分の1を占めるとされ、金やウランなどの鉱物資源も多い。中国は北極と南極の資源を「21世紀後半から22世紀にかけての経済成長を支える重要資源」(中国筋)と位置づけており、中国海軍の尹卓・少将は中国メディアに「中国が北極海開発の一角を占めるのは当然だ」と明言している。

◎中国で「有田焼」の名称使えないわけは?(2010年8月31日、読売新聞)
 佐賀県は30日、中国で「有田焼」が商標登録され、有田焼の名称が使えない状況になっていることを明らかにした。
 県などは9月30日~10月6日、上海万博にあわせた物産展を現地の百貨店で開催するが、苦肉の策として「日本有田産」「ARITA-CERAMICS(セラミックス)-JAPAN」と表すことにした。
 県流通課によると物産展は、上海梅龍鎮伊勢丹で開催。有田焼のほか、ノリ、ようかん、酒類、飲料などの12企業が出店する。中国では以前に「佐賀」の地名などが登録されていたこともあるため、県は6月、日本の特許庁にあたる中国商標局ホームページを調べた。
 その結果、福建省の住民が、2002年11月に家庭用食器やコップ、陶器などに有田焼の名称を使うことを出願し、04年11月から10年間の期限で商標登録していたという。
 県は、出展する有田焼商社6社と協議し、有田焼という言葉は使わずに産地を表示したり、英語で表記したりすることにした。今後、有田町や業界団体との間で、不服申し立てなどを検討する。県流通課は「中国では当面、知恵を絞ってPRしていくしかない」と困惑している。

◎中国土石流:砂防ダム手抜き工事疑惑など人災批判(2010年8月24日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で1800人近い死者・行方不明者を出した土石流災害は、現場に設けられていた砂防ダムの手抜き工事疑惑など人災批判が出ている。温家宝首相は21、22の両日、再び被災地を訪れ、科学的な計画を立案して復興を進めるよう指示し、人災批判の高まりを警戒している模様だ。
 23日付の中国紙、中国経済時報(電子版)は被災地の現場ルポを掲載。同省地質災害応急センターの黎志恒主任が「砂防ダム7基が土石流を遮った。3基は破壊されたが、一定の効果はあった」と記者に説明したことを紹介し、その上で詳細に反論した。
 同紙記者は、土石流で破壊された砂防ダムは少なくとも説明の2倍の6基あり、壊れたダムを調べると、セメントは外側だけで内側が小石や砂だったことを確認。「手抜き工事だ」と憤る被災者の声を伝えている。
 中国国内メディアが大規模災害で当局批判を大きく報じるのは極めて異例だ。9万人近い死者・行方不明者を出した四川大地震(08年5月)でも、遺族らが小中学校や病院の手抜き工事を指摘したが、中国主要メディアは黙殺した。
 23日付の香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストも被災地を調査した中国科学院の陳寧生教授の分析として、砂防ダムは土石流を防ぐための強度が不足していたと報じた。国内メディアはこの分析を詳しく報じていないが、温首相ら政府首脳には報告されている模様だ。
 被災地を再訪した温首相は被災者の救援活動と危険住宅の撤去など2次災害を防ぐよう指示した上で「さらに複雑で重大な任務は、科学的な計画と合理的な配置の上に立派な郷土を再建することだ」と強調。砂防ダムなどの防災施設が合理的に造られていなかったことを示唆した。

◎中国:死刑適用罪名55種類に削減へ、刑法改正案を審議(2010年8月24日、毎日新聞)
 【北京・成沢健一】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は23日、死刑適用罪名を68種類から13種類削減することなどを盛り込んだ刑法改正案の審議に入った。「死刑執行件数が世界で最も多い」との国際的な批判をかわす狙いがあるとみられるが、削減対象の罪名は現在でも死刑が執行されるケースは極めて少ないとの指摘もあり、影響は限定的なものになりそうだ。
 新華社通信などによると、削減対象となるのは密輸や偽造など経済犯罪が中心で、窃盗、文化財盗掘も対象から外す方針。国民の不満が大きい汚職や麻薬関連の犯罪は死刑適用対象から除外されない。常務委法制工作員会の責任者は「中国の刑罰は運用面で死刑偏重という問題が存在している。一部の経済犯罪は死刑を適用しなくても、社会の安定に悪影響を及ぼすことはない」と話した。
 また、改正案では75歳以上の高齢者に死刑を適用せず、有期懲役の上限を現行の20年から25年に引き上げる。執行猶予付きの死刑判決についても、殺人や強盗などの暴力犯罪は2年後に無期または20年の懲役に減刑した後は、再度の減刑を認めないとしている。中国メディアは、79年に制定された現行刑法で死刑の適用罪名が削減されるのは初めてで、07年から続く死刑制度改革の進展と伝えている。
 改正案では新たに酒酔いや暴走による危険運転、意図的な給与未払い、臓器売買なども刑法犯として処罰対象とすることを盛り込んだ。飲酒運転はこれまで道路交通安全法の取り締まり対象となっていたが、拘留や罰金などの軽い刑しか定められていなかった。具体的な刑罰は明らかにされていないが、罪状によっては懲役刑が科される。
 一方、給与未払いによる労働者と経営者のトラブルは全国で相次いでおり、悪質な給与未払いを刑法犯として扱うことで、労働者の権利を守る狙いがあるとみられる。改正案では、支払い能力がありながら財産移転や逃避などで労働報酬を支払わなかった場合、3年以下の懲役とし、結果が重大な場合は3年以上7年以下の懲役としている。
 臓器売買について改正案は5年以下の懲役とし、罪状が重大な場合は5年以上の懲役と規定している。本人や親族の同意を得ずに臓器を摘出する行為も処罰対象とした。07年に施行した臓器移植条例は臓器売買を禁止しているが、ドナー不足からその後も臓器売買が広がっており、臓器売買仲介に絡み日本人が摘発されたケースもあった。

◎中国移動が2年連続トップ、中国国有企業の利益総額(2010年8月22日、産経新聞)
 21日付の中国紙、新京報によると中国政府の国有資産監督管理委員会は20日、大手国有企業108社の2009年度の経営状況を発表、利益総額は携帯電話最大手の中国移動通信が1484億元(約1兆9千億円)でトップだった。
 中国では携帯電話市場の急速な拡大が続いており、08年度も中国移動が1458億元で首位だった。
 09年度の2~4位は国有石油大手の中国石油天然ガス、中国石油化工、中国海洋石油、5位は石炭最大手の神華集団でいずれも資源・エネルギー関連企業。上位5社で全体の利益総額の56%を占めた。

◎中朝国境の鴨緑江氾濫、4人死亡、6万人避難(2010年8月22日、読売新聞)
 【丹東(中国遼寧省)=比嘉清太】中朝国境地帯で19日から21日にかけて大雨が降り、21日、国境を流れる鴨緑江が氾濫した。新華社電によると、遼寧省丹東では市民約6万4000人が避難し、対岸の北朝鮮・新義州一帯でも農地が冠水。北朝鮮での食料不足に拍車がかかる恐れや、北朝鮮が進めている国境地帯での投資計画に影響が及ぶ可能性がある。
 丹東では住宅230棟が倒壊、土石流で4人が死亡した。地元住民によると鴨緑江沿いの道路が水没し、数十キロにわたり封鎖されたほか、電気や通信が止まった。
 朝鮮通信によると、新義州一帯でも、21日の300ミリを超す雨で、鴨緑江の水があふれ、「住宅と公共建物、農耕地が全面的に浸水した」という。
 鴨緑江に浮かぶ威化島も21日午前、ほぼ水没した。北朝鮮は島で中国の協力を得て投資計画を進めており、ホテルや工業団地をつくる構想とされるが、「計画停滞につながりかねない」(中朝関係筋)との指摘が出ている。

◎中国:北朝鮮「謝罪」で幕引き、不明機墜落(2010年8月20日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国遼寧省撫順県の国籍不明機墜落事故は、国営・新華社通信が19日、北朝鮮軍用機の故障によるもので、北朝鮮が謝罪したと報じ、発生から3日で事実上、幕が引かれた。中国が情報開示に踏み切り、事故処理を急ぐ背景には、朝鮮半島情勢の緊張を高めたくないという思惑がありそうだ。
 事故が起きた17日に平壌を訪れていた中国の武大偉朝鮮半島問題特別代表は20日、訪中した加藤紘一・自民党元幹事長に「訓練中の事故で墜落したとみられる。中国側の巻き添えはなかった」と語った。
 朝鮮半島情勢は、今年3月の韓国哨戒艦沈没事件や対抗措置である米韓合同演習、さらに演習に対する北朝鮮や中国の反発もあり緊張が高まっている。一方、墜落現場は北朝鮮国境から約200キロと近く、事故直後から「偵察」「脱北」などと憶測を招いた。
 中国国防大学の韓旭東教授は20日付の中国紙・環球時報に寄稿し、「墜落事件を騒ぎ立て、北東アジアの軍事情勢をさらに悪化させるべきではない。調査結果を適切に公表することは有益だ」と訴えた。
 中国側が情報開示に踏み切った背景には中国の国内事情もありそうだ。ネット上には墜落機の写真や目撃情報が流れ、国籍不明機の侵入を許した中国軍の防空能力を問題視する意見が相次いだからだ。
 これに対し、韓教授は「北朝鮮機は最新鋭機ではなかった。防空レーダーで判別できるため、作戦命令を出すような緊迫した状況ではなかったと推測できる」と釈明している。
 だが、新華社通信は墜落した北朝鮮機と中国管制当局のやりとりの有無など重要な情報を報じていない。中国のネット上には「北朝鮮要人が乗っていた」などと未確認情報が流れ、なお疑問が残されている。

◎パナソニック:上海のプラズマパネル工場、生産能力5倍に(2010年8月20日、毎日新聞)
 パナソニックは20日、中国・上海のプラズマテレビ向けパネル工場の生産能力(42型換算)を12年度から、現在の約5倍にあたる月産12万台(42型換算)に引き上げると発表した。兵庫県尼崎市のプラズマパネル工場から生産設備の一部を移す。経済成長が続き、薄型テレビの需要増が見込める中国での現地生産体制を強化し、シェア(市場占有率)獲得競争で優位に立つことを目指す。
 パナソニックのプラズマパネル生産拠点は上海と尼崎にあるが、上海工場で需要を賄いきれず、不足分を日本から輸出していた。今回の生産設備移設で輸送コスト削減できるほか、中国での現地生産比率を高めることで円高に伴う為替リスクも軽減できるとしている。中国で今月から発売した3D(三次元)テレビ用パネルも12年度以降、上海で生産する予定。
 尼崎工場は、上海移設分のプラズマパネル生産設備の代わりに太陽電池の生産ラインを置く方向で検討している。

◎中国、50カ国以上で資源獲得、米国防総省の年次報告(2010年8月20日、産経新聞)
 中国が、原油などの天然資源を世界中から幅広く獲得するため、50カ国以上でエネルギープロジェクトに投資したり、開発にかかわっていることが19日までに分かった。米国防総省が、中国の軍事動向に関する年次報告書の中で明らかにした。
 報告書は「エネルギー自給は既に中国にとって選択肢ではない」と指摘し、2015年までに原油の3分の2を輸入するようになると予測。中国がペルシャ湾、中央アジア、アフリカ、北米で原油の獲得を続けるとしている。
 また08年には80%以上がマラッカ海峡を通る海上輸送だったが、カザフスタンやミャンマーなどからの陸上パイプライン建設を行い、リスク分散を積極的に進めることが中国のエネルギー戦略だと分析している。

◎中国のプラズマパネル生産5倍に、パナソニック(2010年8月20日、読売新聞)
 パナソニックが、中国・上海市にあるプラズマテレビ用パネルの生産拠点を一新し、2012年度の生産能力(42型換算)を現在の月2.5万台から約5倍の12万台に引き上げることが19日わかった。
 近く世界最大のテレビ市場となるのが確実とみられる中国で、低コストの生産体制を築き、薄型テレビで世界的な勝ち残りを目指す。
 パナソニックのプラズマパネルの生産拠点は、兵庫県尼崎市と上海市の2か所だが、上海のパネル生産開始は02年と古く、建屋を新設する。
 中国市場向けのプラズマパネルは現在、上海での生産分だけでは足らず、不足分を日本から輸出している。現地生産なら輸送費や関税などがかからず、生産コストは約3割下がる見込みだ。

◎レアアース輸出枠削減、見直しを中国側に要請(2010年8月19日、読売新聞)
 【北京=幸内康】経済産業省の近藤洋介政務官は19日、北京市内で記者会見し、パソコンや携帯電話などの生産に必要なレアアース(希土類)の輸出枠を中国が削減したことに対し、中国商務省に早期改善を求めたことを明らかにした。
 近藤政務官は知的財産権保護官民合同訪中代表団の政府代表として、18日に商務省の崇泉・国際貿易交渉副代表と会談。その際、「世界の産業に大きな影響を及ぼす」と懸念を伝えた。崇副代表は、枠削減の理由を「環境保護の観点から行った」などと説明した。
 今月28日に北京で開かれる日中ハイレベル経済対話で主要議題になる見込みだ。

◎自殺相次ぐ中国の「富士康」が防止訴える集会、各地で6万人参加(2010年8月19日、産経新聞)
 19日付の香港各紙によると、中国・深●(=土へんに川)の工場などで工員の自殺が相次いでいる台湾系電子機器メーカー富士康集団は18日夕、工員計約6万人が参加して自殺防止を訴える集会を中国各地の工場で同時に開いた。
 集会は約2時間。参加者は「命を大切にしよう」などと叫んで行進した。
 また、同社はこの日、現在約45万人の深●(=土へんに川)工場の工員を三十数万人まで減らし、中国の別の地域で1年以内に計40万人を新規採用する計画を明らかにした。中国全土で約90万人の工員を、120万~130万人まで増やすという。
 富士康の深●(=土へんに川)工場では、今年に入ってから5月末までに13件の自殺・自殺未遂が発生。江蘇省昆山の工場でも今月、1人が自殺している。

◎「i PED」「ハイフォーン」、ユルすぎる駅前ビル、コピー品野放し(2010年8月19日、スポーツニッポン)
 世界的人気の米アップルの携帯電話「i PHONE(アイフォーン)4」や情報端末「i Pad(アイパッド)」のコピー商品が、中国南部の経済特区、深センで野放しになっている。本物に比べ圧倒的な低価格が人気で、電気店はどこも活況。知的財産権保護を求める声などどこ吹く風だ。
 経済の改革・開放路線の先駆都市である深センの玄関口、深セン駅。駅前ビルの中の電器店に「i PHONE4G」が並んでいた。i PHONE4そっくり。画面はやや粗いが「機能は本物とほぼ同じ」と店員。1台890元(約1万1000円)で、隣接する香港で売っている本物の約5分の1だ。毎日20台ほど売れるという。
 別の店ではi Padによく似た「i PED」が店頭に。こちらの価格も本物の約4分の1。機能はかなり劣るが、月に100台以上売れるという。店員は「本物は高いからね」と悪びれる様子はない。i PHONEならぬ「ハイフォーン」「タッチフォン」などといった商品も並んでいた。
 深センは、北京や上海などと比べて取り締まりが緩いとみられ、有名メーカーの携帯電話やカメラ、DVDなどのコピー商品が普段から大量に出回っている。今はアップル社製品のヒットに抜け目なく便乗している形だ。

◎米の軍事報告に中国強く反発「客観的事実無視」(2010年8月18日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】米国防総省が16日公表した「中国の軍事力と安全保障の進展に関する年次報告書」について、中国国防省の耿雁生・報道官は18日、「客観的事実を無視し、中国の正常な国防と軍隊の建設を非難するものだ」として断固反対する姿勢を表明した。
 同報道官はその上で、「報告は(米中)両軍関係の改善と発展に不利となる」とし、米国側に対し、関係改善に向け良好な雰囲気と条件を造り出すよう求めた。

◎9600万円収賄の中国・天津幹部に猶予付き死刑判決(2010年8月13日、産経新聞)
 新華社電によると、中国遼寧省瀋陽市の中級人民法院(地裁)は13日、職権を乱用し総額755万元(約9600万円)相当のわいろを受け取ったとして、収賄罪などに問われた天津市浜海新区管理委員会元主任の皮黔生被告に執行猶予付きの死刑判決を言い渡した。
 浜海新区は中国政府が重点的に開発を進めている経済開発区の一つ。皮被告は浜海新区管理委員会主任などを務めていた1995年から2005年にかけ、便宜を図った見返りにわいろを受け取ったほか、国有資産に多額の損害をもたらした。
 中国の執行猶予付き死刑判決は、猶予期間中に問題がなければ、無期懲役などに減刑される。

◎中国土石流、7年前に「特大級」災害を警告(2010年8月13日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で8日に起きた土石流の発生現場が、中国地質環境監測院が2003年にまとめた報告書の中で、「土石流や地滑りなどの地質災害が起きやすい危険地域」に指定されていたことがわかった。
 12日付の中国紙・南方週末が伝えた。地元政府はこの7年間に開発を優先し、対策を講じてこなかったとみられる。
 同院は国土資源省直属で、地質災害を調査、観測する専門機関。報告書では、今回の土石流が発生した同県三眼村と羅家峪村を、甘粛省内で140か所ある地質災害の危険場所の一つにそれぞれ指定。さらに、峰と谷の高度差が1000メートルを超え、多くの住民の生命を危険にさらす「特大級」の災害が起こりかねないと警告し、「関係部門は絶対に警戒を緩めることはできず、早期に危険個所を修復し、土石流発生を予防すべき」としていた。
 しかし、南方週末紙が入手した別の調査報告書は、今回の土石流に関して、「山の開発や道路整備が一定程度、地質災害に影響を与えた」と指摘していた。
 同院のまとめでは、中国全国には地質災害の危険場所が20万か所あり、そのうち1万6000か所が大規模災害になりかねないという。

◎中国、化繊など18業種の旧式設備に廃棄命令(2010年8月12日、化学工業日報)
 【上海支局】中国工業情報化部による国内2000社強への旧式設備閉鎖命令は、製鉄、非鉄、ガラス、カーバイド、化学繊維など18業種と広範囲にわたる従来以上に大掛かりな取り組みとなった。中国では現5カ年計画に入って、とくに設備能力過剰が著しい業種について、小規模設備の閉鎖や大型企業への生産集中といった構造改革を促してきた。今回は「省エネルギーと排出削減、気候変動への対応は特色ある新しい工業化の道筋に必須」(工業情報化部)として従来以上に環境対策を前面に打ち出している。9月までと定めた期限とともに、応じない企業には融資や許認可の面で対抗措置を用意するなど、取り組みを徹底していく構えだ。中国は、現5カ年計画中に国内総生産(GDP)1単位当たりのエネルギー消費量を20%、汚染物質排出量を10%それぞれ削減する目標を掲げ取り組みを進めている。09年には国務院常務会議が20年のGDP1単位当たりのCO2排出量を、05年比40~45%減とする数値目標を決定した。

◎中国で相次ぐ洪水、今春以降のべ2億人被災(2010年8月12日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】新華社通信によると、中国北西部甘粛省で発生した土石流による死者は11日、1117人に達した。
 洪水は南部や東北地方でも相次ぎ、今春以降、被災者はのべ2億人に上っている。災害による社会不安を防ぐため、共産党政権は対策に躍起となっている。
 新華社通信によると、中国南部では4月から6月にかけて14回の豪雨が発生。7月以降も長江流域の湖北、安徽省など広範囲で2週間以上の降雨が続いた。降水量100~200ミリに達した地域は計約28万平方キロ・メートルで、日本の面積の約4分の3に及ぶ。
 東北部の吉林省では、7月下旬から大雨が続き、約40か所のダムで水位が上限を超え、洪水などで85人以上が死亡。山東省では今月8日以降、降水量が302ミリに達した地域もあり、約220万人が被災した。
 中国民政省のまとめでは、今月6日までに洪水による死者は1454人。甘粛省での土石流の死者と合わせると、2500人以上が死亡したことになる。経済損失は約2752億元(約3兆4600億円)と推計され、中国の2009年の国内総生産(GDP)の0.8%に匹敵する。
 蘭州大学大気科学院の王式功・副院長は中国メディアに対し、大雨が続く異常気象の原因として、〈1〉6月以降、赤道付近の太平洋の海水温度が上昇、〈2〉亜熱帯高気圧が不安定化――したことなどを挙げ、「地球温暖化とも関連している」と分析している。
 温家宝首相は、湖北、吉林、甘粛省など、各被災地を視察して迅速な対応をアピール。被災した5省・自治区に対して1億9500万元(約25億円)の災害支援金を支給し、民心安定に努めている。

◎中国土石流の死者1117人に、甘粛省、不明は627人(2010年8月12日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国新華社通信によると、甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で起きた大規模な土石流災害で、現地当局は11日、死者が1117人、行方不明者が627人になったことを明らかにした。政府は全力で救援活動をするよう指示しているが、11日朝には生存者発見の可能性が大きく低下するとされる発生から72時間が過ぎた。行方不明者の多くが遺体として収容されているとみられ、死者数はさらに増える恐れがある。
 11日までに救出された人も1243人に上るが、被災地は大量の土石流が住宅などをのみ込んだ状態で、生存者の捜索は難航している模様だ。
 死者が千人を超えるのは、4月に青海省で起きた大地震で2698人が死亡、270人が行方不明になった事態に続くものだ。同通信によると11日までに治療を受けた負傷者は567人。入院措置がとられた重傷者は64人に上る。事態を重視する中国共産党は10日に最高指導部である政治局常務委員会議を開催し、救援活動の徹底やインフラ設備の復旧を急ぐといった方針を定めていた。
 11日に北京で開かれた水利省などによる記者会見によると、被災者は4万7千人。約2万人の住民が緊急避難生活を強いられており、テント7千張り、寝袋5千個、発電機230台、ろうそく10万本など大量の援助物資が現地に送り込まれている。
 伝染病の発生なども懸念されており、約800人の衛生救援隊が被災地に入り、消毒作業を展開。地元当局は11日の記者会見で、問題の発生は報告されていないとしている。

◎危険物混入罪、男を起訴、ギョーザ中毒で中国当局(2010年8月11日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で、中国河北省の石家荘市人民検察院は10日、製造元の食品会社の元臨時従業員で、3月に拘束された呂月庭容疑者(36)を危険物質混入罪で同市中級人民法院に起訴した。中国公安省が同日、日本政府に連絡した。
 同罪は毒物投棄などで他人に重傷を負わせたり死亡させたりする行為に適用される。中国の刑法によると、罰則は10年以上の有期懲役、無期懲役、または死刑と規定される重罪。公安省は起訴事実の詳細を伝えてきていないが、警察庁は「日本の被害も犯罪事実に含まれていると理解している」としている。
 事件は平成18年12月から19年1月にかけ、石家荘市の「天洋食品」が製造した冷凍ギョーザを食べた千葉と兵庫両県の3家族計10人が中毒になった。商品から有機リン系殺虫剤メタミドホスが検出され、中国でも被害者が出た。
 公安省が3月に呂被告を拘束し4月に逮捕。同省はこれまで警察庁に、同被告の供述や現場の状況から、同被告が18年10~12月に3回にわたり、保存庫で注射器を使い出荷前のギョーザにメタミドホスを混入させたとみていると伝達。
 公安省の説明では、呂被告は5(1993)年から臨時従業員として同社に勤務したが、正社員になりたいなどの希望がかなわず不満を抱いたことが動機になったという。
 身柄拘束直後に警察庁は、中国人が国外で犯した犯罪として「代理処罰」の要請も検討。ただ、中国が日本に配慮し日本の殺人未遂罪と同等かそれ以上の厳罰の危険物質混入罪を適用する姿勢を示し「処罰水準に関する日本の希望は事実上満たされる」(警察庁幹部)として要請を見送った。
 今年4月に公安省幹部が来日、7月には警察庁幹部が訪中するなどして情報交換や協議を重ねてきた。

◎中国土石流、死者337人に、救出作業は難航(2010年8月10日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国北西部の甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で起きた大規模な土石流による死者数は、9日、土砂の下などから新たに200人の遺体が見つかり、337人に達した。
 なお1148人が行方不明だ。現地では、軍兵士らによる行方不明者の救出に向けた活動が続いているが、厚く堆積した泥や道路の冠水に阻まれ、作業は難航している。
 新華社通信などによると、同県には各地から軍や武装警察、消防隊員ら数千人が集結。倒壊した建物などを中心に大規模な捜索、救出活動を展開している。しかし、息絶えて見つかる人がほとんどで、発生から48時間が過ぎ、救出活動は厳しさを増している。現地にはテントや薬品などの救援物資も一部届き始めたが、食料品や水が依然不足し、被災者は厳しい避難生活を強いられている。
 8日に現地入りした温家宝首相は9日午前も被災地を回り、物資輸送が円滑に進むよう道路復旧などを指示した。甘粛省政府が土石流の犠牲者1人につき家族に8000元(約10万円)の支給を決めるなど、少数民族地域の被災者の不満を事前に摘む対策も打ち出された。同県を流れる白竜江にできた土砂崩れダムは、軍が9日、爆破作業などを行った結果、水位が約50センチまで下がり、決壊の危険はひとまず遠のいた。

◎中国:赤ちゃんの胸膨らむ 粉ミルクに女性ホルモン残留?(2010年8月9日、毎日新聞)
 【北京・成沢健一】中国で山東省の大手乳製品メーカーの粉ミルクを飲んだ赤ちゃんに胸が膨らみ始め、女性ホルモンが成人並みの数値を示す事例が相次いで報告されている。乳がよく出るように乳牛に注射したホルモンが粉ミルクに残留していた可能性が指摘されており、被害の拡大が懸念されている。
 9日付の中国紙「第一財経日報」などによると、湖北省武漢市の生後4~15カ月の女児3人に乳房の膨らみと女性ホルモンの異常が確認されたほか、江西、山東、広東の各省でも1人ずつ同様の症状の乳児が見つかった。広東省の事例は生後3カ月の男児だった。
 メーカーは「製品にホルモンは添加していない」との声明を発表したが、武漢市の女児の母親には見舞金を支払う意向を示したと同紙は伝えている。
 中国では08年に乳製品へのメラミン混入で乳幼児約30万人に健康被害が出た。ホルモンについては粉ミルクの品質検査項目に含まれていないという。

◎粉ミルクに女性ホルモン?中国で乳児の胸膨らむ(2010年8月9日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国で、山東省の大手乳製品メーカーの粉ミルクを飲んだ赤ちゃんに、胸が膨らむなどの異常が見られることがわかり、粉ミルクに女性ホルモンが混入していた疑惑が浮かんでいる。
 専門家らは、乳がよく出るように乳牛に注射したホルモンが粉ミルクに残留していた可能性があるとの見方を示しており、乳幼児約30万人に健康被害が出たメラミン混入事件(2008年)以来の汚染ミルク問題に発展するとの懸念も出てきた。
 9日付の中国紙「第一財経日報」などによると、湖北省武漢市在住の生後4~15か月の女児3人の乳房が膨らみ始めた。病院で検査した結果、女性ホルモンが成人並の数値を示した。江西、山東、広東の各省でも、同じような症状の赤ちゃんが見つかったという。
 いずれの赤ちゃんも、同じ山東省のメーカーの粉ミルクを飲んでいたが、メーカー側は7日、「製品にホルモンなどは添加していない」とする声明を発表、関連を否定している。だが、専門家によると、中国の粉ミルクの品質基準の検査項目にはホルモンが含まれておらず、監督体制の死角になっているという。

◎脆弱な岩盤、豪雨で一気に崩壊か、中国の土石流(2010年8月9日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で8日に発生した土石流は、同県の脆弱な地盤の山間部に集中豪雨が突然降り、発生したと見られている。
 開発優先で防災対策が十分にとられず、被害が拡大したとの指摘もある。
 新華社通信によると、国土資源省の専門家らは、付近の地盤はもともと弱く、さらに2008年5月の四川大地震で劣化が進んだと見ており、そこへ7日夜、90ミリ以上の集中豪雨が降り、地盤が一気に崩れたと分析している。昨年末から今年前半に続いた干ばつも、地盤の風化を進ませた可能性があるという。
 舟曲県では四川大地震の際も63か所の山崩れが発生し、15人が死亡するなど土砂災害による被害が目立った。
 一方、鉱山資源の開発や水力発電所、鉄道建設が優先される中、防災対策が遅れている面は否めない。
 同地域は鉄や金、アンチモンなどの鉱物資源が豊富だ。中国紙・光明日報は、新たな金鉱や炭鉱の開発がもろい地盤に影響を与え、土砂災害の危険性を増幅していると指摘した。

◎中国で大規模土石流、127人死亡4万人避難(2010年8月9日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】新華社通信によると、中国北西部の甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で8日午前0時(日本時間同午前1時)ごろ、幅500メートル、長さ5キロ・メートルにわたる大規模な土石流が大雨で発生し、少なくとも127人が死亡、1294人が行方不明となっている。
 住民約4万5000人が避難した。同県を流れる河川・白竜江では、土砂が川をせき止めて「土砂崩れダム」ができ、決壊の恐れが強まっている。
 舟曲県は甘粛省の省都・蘭州から南に約280キロ・メートル離れた山岳地帯に位置し、人口約13万4700人のうち、約33%はチベット族。今年4月の青海省地震もチベット族自治州で発生した。少数民族地域での相次ぐ被災を重視する胡錦濤政権は、温家宝首相が8日に現地入りし、救援作業の指揮を執っている。
 しかし、土砂が厚さ4メートル近くまで堆積したり、中心部の主要道路が冠水したりして重機の投入は遅れており、救援活動は難航している模様だ。
 同県東北部の山間地帯で7日午後11時ごろから40分間以上にわたって激しい雨が降り、各地で小規模な土砂崩れが発生した後、8日午前0時ごろに大規模な土石流が発生。複数の集落をのみこみ、同午前1時ごろには白竜江で土砂がたまり、川をせき止め始めたという。ダムの下流では、川の流れが4分の1の量に減っており、人民解放軍などが爆破準備を進めている。
 現地の天気予報によると、白竜江の上流地域では10~11日に、再び大雨になるという。

◎ダムの放水怠った幹部を免職に、中国吉林省(2010年8月4日、産経新聞)
 4日の新華社電によると、中国吉林省樺甸市はダムの放水を適切に行わず洪水被害を拡大させたとして、同市常山鎮の鎮長ら鎮政府幹部3人を免職にした。
 同市は7月28日に豪雨に見舞われたが、常山鎮にあるダムの放水が遅れたために、ダムが決壊。ダム下流の地域に大きな被害が出た。
 吉林省では7月下旬から大雨が続き、3日までに74人が死亡、71人が行方不明となっている。

◎中国、高速鉄道輸出に積極的、「先輩」日本は複雑(2010年8月4日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国が「高速鉄道」の輸出にアクセルを踏み始めた。政府主導で積極的な売り込みを展開。対象国との経済貿易関係の拡大を狙う。アジア周辺国との関係では、政治的な影響力の増大につなげる戦略的な動きとも受け止められている。
 「中国の鉄道は、海外進出戦略の実施を加速する。関係企業を積極的に組織し、国外の鉄道プロジェクトの輸出市場を開拓。国際的に高速鉄道の技術を分かち合いたい」
 中国鉄道省の何華武総工程師は7月末、北京での記者会見で、政府が主導して鉄道技術を輸出する姿勢を訴えた。
 同省は米国、ロシア、ブラジル、サウジアラビアなどとの鉄道建設協力の調整チームを立ち上げたことを明らかにする。「数十カ国が自国の鉄道プロジェクトへの我が国の参加を希望している」(王志国・鉄道次官)といい、トルコやベネズエラの高速鉄道建設計画に中国企業が関与を始めているとされる。
 政府をあげての後押し姿勢は鮮明で、アルゼンチンのフェルナンデス大統領が7月に訪中し、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と会談した後、両国は100億ドルに上る鉄道関係の合意文書に調印したと伝えられた。
 中国は2000年以降、高速鉄道の建設を重視してきた。日本の新幹線「はやて」を基に製造された車両などが導入されたが、鉄道省は「海外技術に基づく自主開発」との位置づけだ。
 高速鉄道の輸出推進の狙いについて、商務省国際貿易経済協力研究院の梅新育研究員は「『メード・イン・チャイナ』が貿易相手国の国家インフラになることで、中国製品がさらに浸透する。中国ブランドの印象も向上する」などと中国紙に利点を強調する。
 費用面での競争力の強さは無視できない。ベトナム国会は6月、ハノイ―ホーチミン(約1600キロ)の高速鉄道建設計画案を否決した。同案は日本の新幹線方式を採用する見通しだったが、560億ドルといわれる投資額に「負担が大きい」との反対が出たためだ。中国の高速鉄道なら、「費用は新幹線の半分」(中国紙)とされる。
 海外進出を強める背景には、政治的な狙いも指摘される。鉄道省は7月、雲南省から国境を接するミャンマー(ビルマ)やラオスにそれぞれ国際高速鉄道を建設する計画を明らかにした。詳細は不明だが、自由貿易協定(FTA)の実施が始まった東南アジア諸国との輸送能力の拡大を目指すもの。実現すれば、両国における中国の政治的な存在感が一層高まることは間違いない。
 中国の専門家の中には、(1)中国北部からロシアへ(2)中国西部からカザフスタン経由で中央アジア諸国へ(3)中国南部からベトナム経由で東南アジア諸国へ、との三つの国際高速鉄道の建設の必要性を訴える論調も出てきている。

・価格競争力、中国にかなわず
 中国の高速鉄道の一部は日本の新幹線技術をもとに導入された経緯があり、中国にとって日本は先輩格。その中国が積極的な鉄道輸出を進め、日本と競合し始めていることに、日本の鉄道関係者は複雑な心境だ。
 7月に告示されたブラジルの高速鉄道計画。ルラ大統領が2016年のリオデジャネイロ五輪までの開通を目指す国家プロジェクトだ。リオ―サンパウロ間のエコノミークラスの料金を一番安く設定出来る事業者が落札するとの見方が地元で飛び交う。
 日本は価格競争力では中国にかなわない。運行や建設まで受注者が担うなどリスクが高い案件ともいわれ、日本の企業連合は採算を慎重に見極めている。
 ブラジルを含めて、中国は政府首脳によるトップセールスなど国家あげての融資などで受注獲得に貪欲(どんよく)だ。経済協力開発機構(OECD)非加盟で国際ルールの縛りを受けにくいことも営業活動の自由度を高めている。前原誠司国交相も米国やベトナムに直接出向いてトップセールスを重ねているが、国交省幹部は「中国の影は常につきまとう。対抗手段を真剣に考えないといけない」と危機感を募らせている。(澄川卓也、サンパウロ=平山亜理)

・中国の高速鉄道
 2020年までに1万6千キロの高速鉄道網を整備する計画。日本の新幹線網(2千キロ強)の8倍近い。08年8月の北京五輪開催直前には北京―天津(約115キロ)を最高時速350キロで結ぶ高速鉄道の運転を開始。09年12月には武漢―広州(1069キロ)が開業した。12年には北京―上海(1318キロ)が開業予定。日本やドイツなど外国企業が技術移転している。

◎中国、有害物質ドラム缶の回収進む、5年前の失敗教訓(2010年8月2日、毎日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】中国・吉林省吉林市の化学工場で7月下旬、有害な化学物質などが入ったドラム缶が洪水の影響で近くの松花江に大量に流れ出した事故で、地元政府は2日までに、流出した7138本のうち7071本を回収した。黒竜江省では少量の汚染が観測されたとして、依然警戒が続いている。
 これまでの調べでは、豪雨に見舞われた7月27日夜に、同川の支流沿いにあった2企業の倉庫が洪水で押し流され、流出したドラム缶の約半数の3662本に有害な化学物質が入っていた。
 温家宝(ウェン・チアパオ)首相の指示で、吉林省、黒竜江省の当局は軍を含め1万2千人を動員して各地で回収作業を展開。事故発覚後、すぐに記者会見を開き、詳細に状況を説明した。当局は2005年の工場爆発による有毒物質の流出事故では、情報隠しなどで厳しい批判を受けただけに、今回の対応は早かった。
 松花江の下流にあたり、ロシア国境地帯を流れるアムール川には、事故当時の水は今月中旬に到達する。このため、ロシア・ハバロフスク地方当局は警戒を緩めていない。中国側に対し、アムール川流域住民の健康に影響があるかどうかを含めた詳しい説明を求めつつ、24時間態勢で水質検査を続けている。
 吉林省では05年11月に化学工場で爆発事故が起き、大量の有害物質が松花江に流出。当局が1週間以上も事態を公表せず被害を拡大させたほか、ロシア側流域でも基準値をはるかに超える有害物質が検出され、国際問題化した。

◎東南ア、中国から武器調達の動き、中国も影響力強化狙う(2010年8月2日、朝日新聞)
 【シンガポール=塚本和人】東南アジアで中国から武器を調達する動きが広がりつつある。経済成長が続く東南アジアの新興国は国防力の拡充を図っており、経済的な結びつきが先行する中国と、安全保障面でも関係強化に動き出したかたちだ。中国にも戦略的重要性が増す東南アジアを自国の安全保障戦略に組み込む思惑が透けてみえる。
 インドネシアのプルノモ国防相は5月末、同国を訪問した中国人民解放軍幹部と会談。プルノモ氏は朝日新聞の取材に対し、中国から短距離対艦誘導ミサイル「C-802」を購入する考えを明らかにした。同氏によれば、中国以外からもオファーがあったが、インドネシアが製造する軍服や軍靴などの軍用品を中国軍に売り込みたい意向もあって中国との取引を進める方針をとったという。さらに、インドネシア側はこのミサイルを国内で中国側と共同生産することも期待している。
 東南アジアの地域大国インドネシアは、冷戦時代には「反共のとりで」として米国と蜜月関係にあったが、1999年の東ティモール騒乱にインドネシア国軍が関与したとして米国は軍事援助を凍結。その間に兵器の老朽化が進み、中国が急接近した。
 マレーシアも最近、中国製の携行式地対空ミサイル「FN-6」を購入するなど建国以来初の中国からの武器輸入に踏み切った。ザヒド国防相は地元メディアに「急成長している中国の国防技術を評価すべきだ」と述べ、今後は中国が有力な兵器調達先の一つになるとの考えを示した。
 インドネシアとマレーシアは国内に中国系住民(華人)を抱え、中国との関係強化は多数派の非華人住民の反発を呼びかねない。それでも中国に接近する背景には、近年の中国台頭で変化した経済事情がある。両国は金融危機後の景気浮揚を中国との貿易拡大などで乗り切ろうとしており、「中国の成長が東南アジアの成長につながる」(インドネシア外交筋)とするほど関係が強まっている。
 東南アジア諸国は、南シナ海での中国海軍の存在感の高まりや、それぞれ周辺国との二国間の安全保障上の問題を抱え、経済発展に伴って国防力の増強に力を入れ始めた。
 中国からの武器調達には、欧米と比べて安価で、配備・使用にあたっての制約が少ないなどのメリットに加え、取引を通じて中国との包括的な関係を強める狙いもある。南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島の領有権を巡って中国との対立を抱えるマレーシアが中国から武器を調達するのは、対立を前面に出すよりも対中関係を強化・安定させる方が得策、との現実的な考えからだ。
 東南アジアの後発国にも中国の影響力は強まっている。カンボジアは6月に中国から257台の軍用車両の支援を受け、東ティモールも6月に中国製の沿岸警備艇2隻を調達した。軍事政権のミャンマー(ビルマ)とは90年代から軍事的な関係が続く。
 中国にとっては、中東産原油を積んだ船が通るマラッカ海峡と南シナ海は自国エネルギー供給の生命線。周辺沿岸国との関係強化は最優先課題だ。シンガポールのシンクタンク、東南アジア研究所のイアン・ストーリー特別研究員は「中国による東南アジアへの武器売却収益はまだわずか。それでも売却や支援に熱心なのは、軍事的結びつきを通じて影響力を増大させたいという政治的な理由からだろう」と指摘する。
 こうした動きに、米国や南シナ海の領有権をめぐって中国と対立するベトナムなどは警戒を強めている。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のアンドリュー・タン准教授は「米国の懸念は、中国が武器取引を通じて同地域に影響力を強め、米国や日本が維持してきた優越的な役割が脅かされることだ」と分析する。

◎エア・リキード、南京の液晶パネル工場に高純度ガス供給(2010年7月30日、化学工業日報)
 エア・リキードは南京中電熊猫液晶顕示科技術有限公司が建設を進めている第6世代の液晶パネル工場向けに各種高純度キャリアガスを供給する長期契約を結んだ。エア・リキードはこの契約に基づき、日産230トン超の窒素を生産する新設備を建設する。エア・リキードは南京中電熊猫液晶顕示科技術がシャープの亀山工場(三重県亀山市)の第6世代の生産設備を買い取り、液晶パネルを生産する工場に窒素、酸素、水素、アルゴン、ヘリウムの高純度ガスを供給する。窒素を日産230トン以上生産する設備は、2011年7月に稼働を始める予定。南京中電熊猫液晶顕示科技術は南京市と南京中電熊猫信息産業集団有限公司が設立した。建設している新工場は、南京市が液晶関連産業の育成を目指す「南京液晶バレー」と呼ぶ地区に建設されており、投資額は138億元(約15億ドル)。

◎ウイグル族記者に懲役15年、中国当局の暴動対応批判で(2010年7月27日、産経新聞)
 中国新疆ウイグル自治区に住むウイグル族の新聞記者で、昨年7月のウルムチ暴動で当局の対応を批判したとされるジャーナリスト、ガイラット・ニヤズ氏(51)が23日、ウルムチの裁判所で国家安全危害罪により懲役15年の実刑判決を受けたことが27日、分かった。知人が明らかにした。
 米政府系放送局のラジオ自由アジアなどによると、ガイラット氏は暴動後に外国メディアの取材を受け、コメントしたことが罪に問われたという。
 ガイラット氏は昨年10月に拘束された当時、新疆経済報の記者で、ウイグル族のウェブサイト「ウイグルオンライン」の管理も担当していた。
 ウルムチ暴動はウイグル族による抗議が発端となった大暴動で、約200人が死亡した。

◎薬物がらみか、また日本人3人拘束、死刑執行以降8人目(2010年7月25日、朝日新聞)
 【北京=西村大輔、広州=小林哲】中国広東省珠海で17日、薬物がらみの容疑で日本人の男3人が警察当局に拘束された。日中関係筋が24日に明らかにした。今年4月、麻薬密輸罪で有罪となった日本人4人に対し、1972年の日中国交正常化以降初めて死刑が執行されたが、それ以降に薬物がらみで拘束された日本人はこれで8人になる。
 関係筋によると、3人の男は40~60歳代で、珠海市内のホテルで拘束された。具体的な容疑や薬物の量などは明らかになっていないが、空港などで偶然見つかったケースと違い、警察当局が内偵を進めて拘束に踏み切ったとみられている。
 5月には青島の空港で覚せい剤約2.5キロを日本に持ち出そうとした男が麻薬密輸容疑で拘束され、6月には瀋陽で暴力団関係者とみられる日本人の男4人が麻薬所持容疑などで拘束された。中国では麻薬や覚せい剤50グラム以上の密輸や販売などで死刑の可能性があるなど、日本より薬物犯罪に格段と厳しいが、手を染める日本人は後を絶たない。

◎中国洪水被害拡大、死者700人超建設10年の橋も崩壊危機、脆弱な工法再び明るみに(2010年7月24日、産経新聞)
 【北京=川越一】4月以降、中国中南部を中心に大きな被害を出している豪雨による死者が、24日までに700人を突破した。水害対策を担当する水利省の劉寧次官が記者会見し明らかにしたもので、倒壊した家屋も64万戸を超えた。中国メディアによると、建造してわずか10年の橋も崩壊し始めている。災害のたびに浮上する脆弱(ぜいじやく)な工法が、今回も露呈した形だ。
 問題の橋は浙江省常山市にある。約1千万元(約1億3千万円)をかけて建設され、2000年から使用を開始。地元政府から「優れた建造物」として表彰された。同市では過去10年、大規模な洪水は記録されていないにもかかわらず、今年4月、支柱が崩れ始めていることが発覚した。
 劉次官よると、豪雨被害は、中国中南部を中心に27の省・自治区・直轄市に拡大している。今月21日の時点で、死者は701人、行方不明者は347人。被災者は1億1300万人にのぼっている、中国紙国際情報紙、環球時報(英語版)によると、橋に亀裂が見つかって以来、常山市の地域住民の間に不安が広がっているという。
 建設当時、基礎工事に最新技術を用いなかったことで、耐久性が下がったとの指摘がある。設計関係者は同紙に対し、「市政府は当時豊かではなかったので、簡単で工期が短い工法で橋の基礎を作った」と認めている。
 今月下旬に入って、豪雨の被害は東北部にも拡大しており、遼寧省では家屋5200棟が倒壊した。

◎スペイン国債440億円分、中国が購入(2010年7月13日、読売新聞)
 【ロンドン=是枝智】世界最大の外貨準備を持つ中国が先週、スペインの10年物国債を最大4億ユーロ(約440億円)購入したと、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が12日伝えた。
 スペインは財政悪化が懸念されているが、中国がスペイン国債を大量取得したことで、市場に買い安心感が広がりそうだ。
 同紙によると、先週行われたスペインの新発国債(発行額60億ユーロ)の入札で、約3分の2を外国人投資家が購入した。特に、アジア勢は約14%を取得しており、そのほぼ半分を中国の国家外貨管理局が買い取ったとしている。
 スペイン国債(10年物)の流通利回りは、4月中旬までは年3.8%前後だった。しかし、ギリシャ危機の深刻化とともに上昇を続け、6月半ばには4.9%台をつけた。現在は4.5%台で取引されている。

◎中国人の個人観光ビザ、発給ペースが倍増(2010年7月10日、読売新聞)
 日本を訪れる中国人観光客を増やすため、政府が今月1日から要件を緩和した個人観光ビザの中国国内での申請・発給件数が、先月に比べて倍のペースで急増していることが9日、明らかになった。
 約半分は、経済発展の著しい上海の総領事館で発給されている。外務省は「日本は近場の旅行先として人気が高まっており、今後も中国全土で発給が増えるだろう」としている。
 個人観光ビザは、中国にある7か所の日本の在外公館が、旅行会社を通じて申請を受け付け、発給する。土日を除いた8日までの発給数は1679件となった。特に8日は1日だけで過去最多の377件に達し、緩和前の6月の1日平均182件から倍増した。
 ビザの申請件数も、同期間で2068件と、緩和前のほぼ2倍となった。
 地域別では、トップの上海総領事館での発給が855件、北京の日本大使館が739件、広州総領事館が85件だった。

◎メラミン基準値の500倍超、中国で粉ミルク(2010年7月10日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国西北部の甘粛省で、有害物質メラミンが混入した粉ミルクが発見された。
 検査当局などが調べを進めたところ、製造した青海省の工場が河北省の業者から購入した粉ミルクの原料38トンに、基準値の500倍を超えるメラミンが混入していたことが明らかになった。9日付の中国各紙が伝えた。
 2008年、メラミン入り粉ミルクを飲んだ乳幼児ら約30万人に健康被害が出て重大な社会問題になった後、政府は監督を強化してきたが、地方で徹底されていない実態が裏付けられた。
 10日付中国紙によると、青海省の公安当局は工場長ら責任者3人と、原料を工場に供給した男を拘束し、流通ルートなどを詳しく調べている。
 一方、吉林省でも6月下旬、メラミン入り粉ミルクが発見された。過去に、廃棄処分になった粉ミルクが横流しされた可能性も指摘されている。

◎中国政府、グーグルの免許を更新(2010年7月9日、読売新聞)
 【北京=幸内康】インターネット検索最大手の米グーグルは9日、中国政府から中国でのネット事業者としての国内免許の更新を受けたと発表した。
 グーグルの事業者免許は6月末に期限を迎え、グーグルが更新を申請していた。
 グーグルは今年1月、中国本土からの組織的なサイバー攻撃や中国政府による検索結果の自主検閲強要を不満として、中国からの撤退検討を発表した。3月に自主検閲をしない香港版に中国版から自動転送する方式に切り替えたが、中国政府は「道理のないやり方」と激しく批判するなど、両者の対立が続いていた。
 ただ、グーグルは6月、香港版での検索サービスに入るかどうかは利用者が選択する方式に変更している。中国政府は6月末の期限を過ぎても「審査中」として判断を保留してきたが、グーグル側の対応を評価したことに加え、自主検閲に対して批判が強い国際的な世論にも配慮し、更新を決めたとの見方もある。
 グーグルは公式ブログに「中国の利用者に検索サービスと製品を継続して提供することを楽しみにしている」とのコメントを掲載した。

◎「前金制」の病院(2010年7月8日、産経新聞)
 数カ月前の話だが、中国人の友人の母親が自宅で夕食中に倒れ、救急車で北京市内の病院に運ばれ、緊急手術することになった。
 その病院は「前金制」に徹しており、注射や点滴を受ける際、友人はまず医者からもらった伝票を持って会計窓口に走らなければならず、「支払い済み」のハンコがないと医師は絶対に薬を使わなかったという。
 手術は成功し母親は順調に回復しているが、「あの日、現金を持っていなかったら病院は何もしてくれなかっただろう」と話す友人には、病院に不満はあっても感謝の気持ちはない。
 病院側にも言い分はあった。せっかく治療を施した病人が病室から夜逃げし、手術代と薬代を回収できないケースが全国で多発しており、その対策だという。
 中国では医療保険制度が不完全で、農村からの出稼ぎ労働者たちは、ちょっとした手術でも自分の年収を超えてしまうような医療費を支払えないのが実態だ。病院の「前金制」は、経済的に恵まれない人たちから治療を受ける権利を奪う残酷なやり方とも言える。
 以前取材した20歳前後の湖南省出身の農民工から、「小さな病気なら仕事を休んで寝て治すが、大きな病気になったら運命だと思ってあきらめる」と、当然のように言われてショックを受けたことがあった。
 北京五輪や上海万博など世界の注目を集める華やかなイベントが開かれる一方、病気を治すという基本的な人権も保障されていない弱者が多くいる。それが今日の中国だ。

◎シャープ、中国での液晶生産プロ“第8世代”めぐり攻防(2010年7月8日、日刊工業新聞)
 中国政府による第8世代クラスの液晶生産プロジェクトの認可が遅れる中、現地ではシャープの劣勢が伝えられている。すでに中国企業の3プロジェクトに認可が下りており、残り2―3枠を5プロジェクトが争う。シャープは今後どのように巻き返すのか、それとも次善の策を練るのか。2011年には中国が液晶テレビで世界最大市場に躍り出ることは確実なだけに、シャープにとって最重要エリアであることに変わりはない。
 第8世代クラスのプロジェクトで候補となっているのは、シャープのほか韓国のサムスン電子やLGディスプレイ、台湾のフォックスコングループ(富士康科技)など5社。国家発展改革委員会が認可に向けて各プロジェクトを評価しているが、水面下では中国政府と各メーカーの間で激しい条件闘争が展開されている。

◎中国の軍事費は公表の1.5倍 軍幹部が初めて認める(2010年7月8日、産経新聞)
 中国人民解放軍の幹部が昨年秋にまとめた内部報告書で、中国の2010年度の「軍事費」は、公表の「国防費」5321億元(約6兆9千億円)の約1・5倍に上る7880億元と明記していることが分かった。中国筋が8日、明らかにした。また報告書は「軍事費」が10年後にほぼ倍増、20年後には3倍増となると予測している。
 中国の軍事予算については兵器開発費などが含まれておらず、公表額より多いと国外からたびたび指摘されてきたが、中国軍幹部がこれを認めていることが明らかになったのは初めて。軍内には、「国防費」とは異なる「軍事費」の概念があることが裏付けられた。どちらも世界では米国に次いで2位の規模。軍事費には、国防費に算入されない兵器開発費や一部の兵器購入費が含まれているとみられる。

◎地表温度最高で68.3度!猛暑でバスが自然発火(2010年7月7日、スポーツニッポン)
 7日付の中国紙、北京青年報によると、北京市内で6日朝、バス停に停車したバスのエンジン部分が猛暑のため自然発火し、全焼した。乗客乗員は逃げて無事だった。オイル管からしみ出した油が引火したのが原因という。
 中国メディアによると、北京市ではここ数日猛暑が続いており、6日は多くの地区で気温が41度前後に達した。地表温度は最高で68.3度を記録した場所もあるという。
 また、北京市は6日、7月から労働者に対する高温下での屋外作業手当を、月当たり60元(約770円)以上から2倍の120元以上に引き上げると発表した。

◎中国豪雨、被災4000万人超、死者・不明465人(2010年7月3日、産経新聞)
 中国民政省は3日までに、南部で6月中旬から月末にかけ降り続いた豪雨のため貴州、江西、福建など9省と広西チワン族自治区、重慶市で計4400万人余りが被災し、266人が死亡、199人が行方不明になっていると発表した。
 倒壊と損壊を合わせた被災家屋は107万軒に上り、直接の経済損失は645億元(約8350億円)を超えたという。
 被害が大きかった貴州省では6月28日、安順市郊外の山崩れで99人が生き埋めとなった。国営新華社通信によると、2日までに18人の遺体が見つかったが、残り81人は不明のまま。死者・不明者のうち48人が15歳以下の子供、22人が60歳以上だった。

◎兵士のネット利用、休日や自宅でも禁止、中国軍が新規則(2010年7月3日、朝日新聞)
 【香港=小林哲】香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、中国の人民解放軍が6月中旬、兵士によるブログやチャットなどネット利用の制限を強化する規則を新たに導入した。従来は規制がなかった休日や自宅での個人的な使用も禁止する内容とされ、ネットを利用する兵士が増え、軍事情報の漏洩(ろうえい)が後を絶たないためという。
 複数の軍関係者が同紙に証言した。元軍幹部によると、数年前に中国が同国初の空母を建設するという機密情報がネットに流出。複数の軍幹部が、空母建設に関するネット上の討論に参加していたことも発覚し、情報管理が問題になった。これまでも勤務中に海外サイトへのアクセスなどを禁じる規則はあったが、入隊前から個人ブログを持つ若い兵士が増えるなど、新たな規制が課題になっていた。
 新規則は、個人で運営するホームページやブログ、チャットなどを利用した情報発信を勤務外や休日であっても禁止し、個人ブログなどは直ちに消去処分にする。過去にネットに投稿された軍関連の重要な文書や写真なども削除する方針。
 ただ、同紙は、欧米の軍隊はネット利用を条件付きで認めているとして、「ネット世代の若い兵士を規制するのは不可能」「すぐに規則をかいくぐる兵士がでる」といった専門家の見方を紹介した。

◎中国向けビザ要件緩和スタート、観光庁長官が瀋陽でPR(2010年7月1日、朝日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】政府は1日から、中国人向けに個人観光査証(ビザ)を発給する条件を大幅に緩和した。対象を富裕層から中間層まで拡大し、海外旅行ブームの中国から大勢の観光客を呼び込む狙いだ。溝畑宏・観光庁長官は同日午前、中国・瀋陽で会見し、中国メディアに日本の魅力を熱心に売り込んだ。
 溝畑長官は新たな条件でのビザ申請第1号となる40代の女性に記念品を贈呈。「観光は日本の成長戦略の一つで、中国は最重視している国。多くの中国人に日本を訪れてもらいたい」とアピールした。日中合弁の一汽トヨタ自動車販売も、トヨタ車の購入者の中から抽選で1万人を日本旅行に招待するキャンペーンを打ち出した。
 中国人向け個人観光ビザの発給は昨年7月から始まり、年収25万元(約340万円)以上が条件の一つだった。新しい条件は年収6万元(約80万円)以上かクレジットカードのゴールドカードの所有など。この結果、対象世帯も1600万と、約10倍に増えると期待されている。
 申請先も従来の北京、上海、広州のほか、瀋陽、大連、青島、重慶の4公館にも広げる。今年度は中国大陸(香港、マカオ、台湾を除く)から、昨年度より8割多い180万人の団体・個人旅行客をみこむ。
 政府は、2019年に09年実績の4倍近い2500万人の外国人観光客の誘致を目指す。

◎豪雨で山崩れ、107人が生き埋め、中国南西部(2010年6月29日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】新華社電などによると、中国南西部の貴州省関嶺県で28日午後、豪雨により山崩れが発生し、38世帯107人が土砂の中で生き埋めになった。
 前夜から降り始めた雨は約200ミリに達し、周辺の地盤が緩んでいたとみられる。

◎トヨタ広州工場が操業再開(2010年6月28日、産経新聞)
 トヨタ自動車は28日、中国の広州工場が同日から通常操業を再開したことを明らかにした。現地従業員のストライキで生産停止していた系列の大手部品会社デンソーが通常操業に戻り、部品を調達できるようになったため。
 トヨタは広州工場で「カムリ」などを生産。22日から計4日間操業を停止し、計4700台の生産に影響が出た。「生産台数を挽回する方法をこれから検討する」(広報部)としている。

◎押収した違法コピー商品、8割は中国から、米当局発表(2010年6月27日、朝日新聞)
 【ワシントン=勝田敏彦】米税関・国境警備局が2009会計年度(08年10月~09年9月)に押収した2億6070万ドル(約236億円)相当の違法コピー商品などのうち、79%(金額ベース)が中国からだった。米ホワイトハウスがこのほど発表した「知的財産権保護の新戦略」で分かった。
 押収物では靴や家電製品などが多かった。中国では米国製の映画やソフトウエアの違法コピーも多く出回っているとされる。米政府は違法コピー商品を販売するインターネット・ウェブサイトの取り締まりなどを関係各国と協力して強化する方針だ。

◎「朝鮮戦争は北の侵攻」中国紙が異例の報道(2010年6月25日、読売新聞)
 【瀋陽=比嘉清太】中国国営新華社通信系列の国際問題専門紙「国際先駆導報」最新号(24日発売)は、「1950年6月25日、(北)朝鮮軍が38度線を越えて進撃を始めた」と報じた。
 歴史的に、朝鮮戦争を「米韓による侵略戦争」と位置づけてきた経緯がある中国で、政府系メディアが「朝鮮戦争は北朝鮮軍の侵攻で始まった」との立場を伝えるのは異例だ。
 共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」紙(18日付、電子版)も、朝鮮戦争勃発(ぼっぱつ)時の状況について「(ソ連の)スターリンは(北朝鮮の)金日成の(武力統一)計画に同意した」とする研究者の見解を伝えた。
 韓国の海軍哨戒艦沈没事件を念頭に、「中国が全面的に北朝鮮擁護の立場に立っているわけではないとのメッセージでは」(外交筋)との見方も出ている。
 ただ、同戦争に人民志願軍を派遣して北朝鮮とともに戦った中国は、公式には「北朝鮮の侵攻」を認めていない。中国外務省の秦剛副報道局長は24日の記者会見で、この問題での明確な回答を避けた。

◎偽ATMまで出現、パスワード盗む、北京中心部(2010年6月22日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国紙・京華時報は21日、偽の現金自動預け払い機(ATM)が北京市内に設置され、被害があったと報じた。
 携帯電話やブランド品などの偽物にとどまらず、偽ATMも登場したとして、市民もあきれている。
 同紙などによると、中国で盗作を意味する「山寨(さんさい)」版ATMが設置されたのは北京市中心部の街中で、香港の銀行の物を装ったATMは、カードの挿入口、操作ボタンなど本物そっくり。15日にキャッシュカードで現金を引き出そうとした利用者がパスワードを入力すると、「一時サービス停止」と表示され、後日、口座から5000元(約6万6500円)を引き出されたと気づき、警察に通報した。
 警察は20日、容疑者を拘束したが、この容疑者は偽ATMを使ってカード情報や入力したパスワードを盗み取っていたとみられる。

◎トヨタ広州工場が停止、部品会社のストで(2010年6月22日、産経新聞)
 トヨタ自動車は22日、同日朝から中国広東省広州市の完成車組立工場の稼働を停止していることを明らかにした。デンソーの子会社「電装(広州南沙)有限公司」の工場で21日に待遇改善を求めるストライキが発生し、部品の供給が止まったため。広州の工場はトヨタにとって、中国で2番目に大きい製造拠点で、ストが長引けば販売面に影響が出る可能性もある。
 トヨタの広州の工場では、中国での主力車のカムリや小型車のヤリス(日本名ヴィッツ)などを生産している。
 デンソーの部品工場では、トヨタなどの完成車工場に燃料噴射装置を供給。21日にストが始まった影響で、同日午前から稼働が止まっていた。デンソーは賃上げに応じるかは明らかにしていないが、トヨタは「明日以降の操業は、今後の状況をみて判断する」としている。

◎人民元、対ドル基準値0.43%上げ、05年以降最高値(2010年6月22日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国の中央銀行である中国人民銀行は22日午前、人民元対ドル相場の基準値を、前日の基準値より0.43%元高ドル安の1ドル=6.7980元に設定した。人民元相場の弾力化の初日となった前日の銀行間取引の終値1ドル=6.7976元とほぼ同水準。前日の取引で2005年7月の為替制度改革以降の最高値を更新する水準まで元高ドル安を容認したのに続き、取引の目安として毎朝発表する基準値でも、人民元相場の段階的な上昇を認める姿勢を明確にした。
 基準値としては、05年7月の為替制度改革以降の最高値となり、前日の基準値からの上昇率としても改革後で最も高くなった。人民銀は今後、人民元相場の動きを、「基準値の上下0.5%」と定められた1日の取引での許容変動幅の範囲内で市場に委ねたうえで、翌日の基準値設定でも前日の相場上昇を追認していく方針とみられる。
 市場では「今後は、相場をある程度市場の動きに任せ、基準値設定も合わせていくのだろう」(上海の邦銀為替担当者)とみている。銀行間取引では、取引開始直後に一時1ドル=6.7900元まで元高ドル安が進み、前日つけた為替制度改革以降の最高値を更新したが、正午(日本時間午後1時)時点では1ドル=6.8100元前後と、基準値よりも元安ドル高に振れている。
 人民銀が人民元相場の弾力化を高める意向を示す声明を出した後、最初の取引日となった21日は、対ドル相場の基準値を先週末と同じ1ドル=6.8275元に設定。だが、その後の銀行間取引で対ドル相場は大きく元高ドル安が進んだ。ただ、人民銀の意向を反映するとされる基準値が先週末から据え置かれたため、市場では、人民元切り上げに対する人民銀の姿勢をはかりかねた取引参加者から戸惑いの声が出ていた。

◎死者・不明者200人超す、中国南部の豪雨(2010年6月20日、産経新聞)
 中国の通信社、中国新聞社電によると、中国南部で13日から続いている豪雨による死者は20日までに132人となり、行方不明者も86人に上った。
 被災地域は湖南、福建、江西、貴州などの8省と広西チワン族自治区南部で、被災者は1003万人。最も豪雨が激しかった江西省南昌では20日午前8時までの24時間の雨量は329ミリに達したという。

◎中国スト拡大、トヨタ工場が停止、日産関連でも初(2010年6月19日、産経新聞)
 中国での日系自動車部品メーカーでのストライキがさらに拡大している。トヨタ自動車は18日、系列部品メーカーのストの影響で部品が調達できなくなり、天津市にある完成車工場の操業を停止した。
 同市内にあるグループの豊田合成の工場で17日からストが起きた。内外装の樹脂製品を製造しているが、物流部門の従業員約40人が賃上げを要求し、製造部門の一部従業員も加わった。労使協議が行われているが、18日も操業ストップしている。豊田合成では別の部品工場でも15日にストが起きていた。完成車工場の停止は、ホンダに続き、トヨタで2社目。
 また、日本プラスト(静岡県富士宮市)は18日、日産自動車やホンダにハンドルなどを供給している中国広東省中山市の工場で17日から、ストが続いていることを明らかにした。
 現地では一部で生産が停止し、労使間で賃上げ交渉を行っているという。日産関連の部品メーカーでストが確認されたのは初めてだが、完成車工場への影響は今のところ出ていない。
 ホンダ系の自動車部品メーカー、高尾金属工業(滋賀県甲賀市)でも、同社などが出資する湖北省武漢市の部品工場で17日から18日にかけてストが起きた。車体の骨格などを製造し、市内にあるホンダの完成車工場に納入している。

◎中国、人民元の上昇容認へ、対ドル相場固定を解除の意向(2010年6月19日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は19日、「人民元為替レートの弾力性を強める」とする声明を発表した。人民元相場のドルへの固定を解除し、再び人民元を上昇させていく意思を示すものだ。カナダで26日に開かれるG20首脳会議を目前に、為替制度の改革への積極性を示した。
 週明けの21日以降、為替介入によって2008年夏から続けてきた1ドル=6.83元前後での相場固定を解除。対ドル相場の緩やかな上昇を再び容認していくものとみられる。為替制度そのものは変更しないので、人民元の対ドル相場の上昇ペースは今後も人民銀が握る。最大でも毎朝、人民銀が公表する基準値の0.5%に制限される。
 人民銀は声明で「世界経済は着実に回復し、中国経済の回復傾向の基礎もしっかりとしたものになっており、経済運営は平穏に向かっている。人民元為替レートの形成メカニズムの改革をさらに進める必要がある」と強調した。
 中国政府は今回の声明を機に、08年の金融危機で先送りしていた国内の産業構造の転換に本腰を入れる方針とみられる。輸出依存型の経済から徐々に脱却し、産業の高度化を図り、内需主導型への転換を進めていくとみられる。
 中国では人民元相場を固定するために続けてきた「元売りドル買い介入」で、中国国内に人民元がだぶつき、インフレ圧力や不動産バブルが発生。物価上昇を抑えて景気回復を息の長いものにするため、人民元の上昇再開は避けられないものになっていた。
 ただ、ギリシャの財政危機をきっかけとする欧州での財政不安、ユーロ安進行で世界経済の先行きには不透明感が出ていることから、為替制度改革に前向きな姿勢を強調しつつも、人民元の対ドル相場を一度に数%切り上げる方法は避け、人民元相場の上昇ペースについては、世界経済の先行きや輸出の動向を見極めながら決める、との判断に至ったものとみられる。
 中国は05年7月の為替制度改革で、人民元対ドル相場を約2%切り上げ、その後も緩やかな上昇を容認していた。だが、金融危機の深刻化から自国の輸出産業を守るため、08年夏から相場を事実上固定した。自国通貨が安いと、輸出品を割安な価格で他国に売り込める。
 しかし、中国製品を大量に輸入する米国にとっては、人為的な為替の固定は、自国産業の収益を悪化させ、貿易赤字の拡大にもつながる。米議会は「人民元の対ドル相場が不当に安く抑えられているせいで、米国企業の競争力がそがれ、米国内での失業増を招いている」と、中国に対して人民元切り上げを求めていた。今回の声明には、6月下旬にカナダ・トロントで開かれるG20サミットを前に、米国の要求をかわす狙いもあるとみられる。

◎トヨタ天津工場が一時停止、系列でスト、21日にも再開(2010年6月19日、朝日新聞)
 トヨタ自動車は、中国の系列部品メーカーがストライキで操業を停止した影響で、天津市にある車の組み立て工場の操業を18日に停止したことを明らかにした。ただ、部品メーカーのストは19日に終息したため、21日にも生産を再開する見通しだ。
 ストが起きたのはトヨタ系有力部品メーカー、豊田合成の子会社「天津豊田合成」。17日からのストライキで、小型車「カローラ」や高級車「クラウン」向けの内外装の樹脂部品の供給が止まった。
 豊田合成によると、19日午後に賃金の2割アップや諸手当の増額で労使が合意。20日は休日だが、トヨタへの部品供給を急ぐため、稼働し、同日中にもトヨタへの供給を再開する方針だ。
 トヨタの天津工場は、2009年に約38万台を生産したトヨタの中国最大の生産拠点。ストの影響で18日に第1から第3までの3工場すべてが操業を停止。トヨタは「21日から生産を再開したい」(広報)としている。

◎中国原発広がる懸念、放射線物質漏れ、香港など「隠蔽か」(2010年6月16日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の原子力発電所をめぐる安全性の確保や情報公開の在り方に対し、内外で懸念が広がっている。広東省深●(土へんに川)市の原発で5月23日に起きた放射性物質漏れ事故が3週間以上たって香港側で確認され、中国側はその後やっと「外部への影響はない」とする声明を出すなどお粗末な対応に終始しているからだ。「隠蔽(いんぺい)工作ではないか」との批判も起きている。
 中国では現在11基の原発が稼働し、26基が建設中。今回は香港の報道で原発事故が明るみに出たが、中国の内陸部で今後、原発事故があってもどこまで公正に情報が伝わり、的確に対処されるか疑念が残る。
 香港のニュースサイト鳳凰(ほうおう)網などは16日、事故が起きた大亜湾原発(発電能力98万4千キロワット)を管轄する中国広東核電集団が、「燃料棒に微少なひびが入った可能性があるが、放射性物質は外部から完全に隔離され、外部にはいかなる影響もない」と発表したと伝えた。国際原子力機関(IAEA)の原子力事案には当たらず、公表の義務はなかったと突っぱねている。
 同原発から電力供給を受けている香港の中華電力も同様の理由で、「事故隠蔽ではない」と反論した。
 今回の事故は14日に香港メディアが「大亜湾原発で重大な事故が発生した」と報じて問題となり、香港政府保安局が中華電力に確認を求めたところ、15日になって中華電力が事故の事実を確認した。その後、ようやく中国側も“弁解”の声明を出す騒ぎとなった。
 だが、情報公開の不透明さも手伝って、深●市や同原発から数十キロしか離れていない香港で住民らの不安をあおる結果になった。同原発は中華電力など香港資本も25%出資して1994年9月に設立、70%は香港側に売電されている。
 中国では稼働中の11基の原発の発電能力が合計で約900万キロワット。さらに電力需要急増に対応し湖北、江西や河南など、内陸部も含め同約2950万キロワット、26基もの原発が建設中だ。今回の隠蔽疑惑に加え、原発関連の人材不足や、過去には手抜き工事や発注をめぐる巨額贈収賄事件も摘発されている。

◎「我が子のように接せ」、温首相50人と座談会、労働争議ガス抜き図る(2010年6月16日、産経新聞)
 【北京=川越一】中国各地で賃上げを求めるストライキが発生する中、温家宝首相は、北京市内の地下鉄工事現場を慰問し、農民工(出稼ぎ労働者)約50人と座談会を開いた。過酷な労働条件や低賃金に不満をくすぶらせる全国の農民工に向けて生活改善を約束することで、労働争議の飛び火を防ぐ狙いがうかがえる。
 中国国営新華社通信などによると、温首相は16日の端午節を2日後に控えた14日、北京市内の児童福祉施設や市場などを慰問した足で、休日返上で働く農民工との座談会に臨んだ。
 出席したのは建築業や製造業、サービス業に従事する若い世代の農民工。温首相は、農民工を中国の産業の「主力軍」「社会の財産」と持ち上げ、都市にとけ込み、社会から尊重されるべきだと主張した。
 28歳の農民工が「会社が用意する住居や飲食などの生活条件は悪くないが、仕事はきつく、生活は単調だ。だから、きれいな服を着て、ゆったりと暮らす都市の人々がうらやましい」と訴えると、温首相は農民工の生活改善に賛同。企業に余暇の充実を求め、農民工には読書や技術の習得にいそしむよう助言した。
 そのうえで、「政府や社会の各界はわが子に接するように若い農民工に接するべきだ」と述べ、次世代の主要な労働力となる若年層に、特別な配慮を示した。
 中国の人口統計学者の推定では、2050年には中国国民の4人に1人が65歳以上となる見通しで、労働人口の老齢化や労働力不足が懸念されている。
 賃上げを求める労働争議の拡大は、安価な労働力に頼ってきた「世界の工場」の屋台骨を揺るがしかねない。若年労働者の不満に理解の姿勢を示すことで、事態の沈静化を図った形だ。

◎中国、賃上げ要求スト拡大、政権は後押し(2010年6月16日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国の外資工場で賃上げ要求を掲げた労働争議が多発している。
 共産党政権が輸出依存から、内需拡大への経済転換を目指し、労働者の賃上げ要求を黙認していることが背景にある。争議拡大は「世界の工場」と呼ばれた中国の姿を一変する可能性をはらんでいる。
 温家宝首相は14日、北京での視察で民工(出稼ぎ労働者)と面会し、「民工は社会の財産。社会全体で尊重されるべきだ」と述べ、外資工場での賃上げや待遇改善に理解を示した。
 中国ではホンダ部品工場が30%、自殺者が相次いだ台湾系電子工場が60%の賃上げを約束したことが刺激となり、争議は広がる一方。香港の人権団体などによると、広東省や江蘇省などの沿海部を中心に5月以降、20件以上のストが起きた。
 中国は低賃金労働で外資を誘致し、コンピューターや携帯電話の生産を担ってきた。賃金上昇は労働コストを高め、輸出競争力の低下につながりかねない。さらなるインフレを招く可能性もはらんでいる。
 それでも、政権が争議を黙認するのは、消費主導の成長実現には、低賃金に甘んじてきた民工の所得向上が必要とみるためだ。中国紙記者は「外資工場でのストは共産党政権の狙いに合致する」と解説する。
 また、若者の権利意識が強まる中、賃上げで「ガス抜き」を図る狙いもある。1980年代以降に生まれた世代は、2億人を超える民工の6割を占める。親の世代と違って教育水準も高く、権利意識も強い。
 共産党政権は、2008年施行の労働契約法で賃金改定に際して企業に労組との協議を義務化し、労働者に一定の賃上げ要求の権利を認めた。現在、合法化された労組は、共産党指導下の労組全国組織・中華全国総工会(組合員数2億2600万人)だけだが、外資工場では「自主労組」を組織し、集団交渉に臨む動きが目立つ。
 一方、政権は外資工場のストが国営企業に波及することに警戒を強めている。香港メディアによると、河南省の国営繊維工場で今月上旬までに5000人が賃上げなどを求めて2週間ストを続けた際、地元当局は多数の警察官を投入し、強制排除した。参加者の一部はホンダ部品工場のストの写真を掲げ、「彼らには認められたのに、なんで我々はだめなんだ」と訴えたという。
 当局が恐れるのはストの常態化で、賃金や待遇に対する不満が政府批判に発展し、社会不安につながることだ。中国当局者は「当局の思惑を超えるストの拡大は許されない。標的は外資工場に絞られているようだ」と指摘する。

◎中国の検閲問題、グーグル、WTOに提訴の準備(2010年6月12日、朝日新聞)
 【ニューヨーク=山川一基】米インターネット検索最大手グーグルに対する中国の検閲問題で、グーグルが欧米当局と協力して世界貿易機関(WTO)へ提訴する準備を進めていることが11日、明らかになった。検閲自由な貿易を阻害すると主張している。ロイター通信が伝えた。
 グーグルは今年3月、中国政府が検索を制限する検閲をしているとの理由から、中国本土での検索事業を停止。香港に拠点を移している。
 同社幹部はワシントンで開かれた討論会で、検索結果が制限されると、中国に本拠を置く検索サイト「百度(バイドゥ)」などとの競争で不利になるとして、「検閲は貿易障壁に当たると確信している」と主張。米通商代表部や国務省、商務省、欧州当局と提訴に向けた協議をしていることを明らかにした。
 ネット検閲問題が米中間で改めて摩擦を引き起こす可能性が出てきた。ただ、これまでWTOでネット検閲が取り上げられたことはなく、提訴しても問題解決には数年かかる可能性があるという。米国ではクリントン国務長官が、ネット規制は基本的人権を侵害すると発言している。

◎上海、珠海で工場スト、「富士康」が飛び火(2010年6月10日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、中国・上海市と広東省珠海市の外資系電子工場で9日から10日にかけ、工員計数千人がストライキに突入した。
 工員の相次ぐ自殺を受けて大幅昇給した広東省深●(=土へんに川)市の台湾系電子機器メーカー富士康集団と同水準の賃上げを求めており、飛び火した形。
 同センターによると、上海の工場は台湾資本で約5千人が勤務。9日から千人余りがストに突入し、10日は約2千人に増えた。また米国系の珠海の工場では10日から、約3万人のうち千人余りがストを開始した。
 いずれも、連続自殺を受け基本給を2・2倍の2千元(約2万7千円)に引き上げた富士康並みの昇給を求めている。

◎グーグル、中国への圧力要請、米欧各国に(2010年6月10日、産経新聞)
 米インターネット検索大手グーグルは9日、中国が行っているネット検閲が貿易障壁になっているとして米国や欧州連合(EU)加盟国に対して中国に圧力をかけるように要請していることを明らかにした。米メディアが伝えた。
 グーグルの法務責任者がブリュッセルで報道関係者に対し、中国のネット検閲について「人権問題であると同時に貿易障壁だ」と述べた。米国、フランス、ドイツなどが中国への働きかけについて前向きな反応を示したという。
 グーグルは、中国政府から要請された検閲をこれ以上受け入れられないとして、3月に中国本土から撤退し拠点を香港に移した。

◎中国工場スト拡大、台湾系工場で警官隊と衝突(2010年6月8日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の江蘇省昆山市にある台湾系機械部品工場で7日、賃金制度の見直しなどを求めてストを行った従業員ら約2千人と警官隊数百人が衝突し、従業員約50人が負傷した。8日、香港紙などが伝えた。同市には台湾系企業が3千社あまり進出している。当局では近隣工場への波及や同市に隣接する上海市で開催中の上海万博への影響を懸念し、ストが起きた工場の周辺に1千人以上の警官隊を投入して警戒にあたっている。
 従業員の自殺が相次いだ広東省深●(土へんに川)市の台湾系大手電子機器メーカー、富士康で半年間に2倍の賃上げが決まったことなどが影響したとみられる。同時に、中台関係をめぐる政治力の“逆転現象”が起きているとの見方から、台湾系企業の中国人従業員や労組が、低賃金労働を変えさせる機会ととらえている可能性がある。
 ストが起きた台湾系工場は、米国に本社を置く台湾系のKOKが1993年に設立した書元機械。従業員側は手当て支給などを要求、生産ラインはほぼストップ状態にある。
 また、香港からの報道によると、広東省仏山市でホンダの中国国内の完成車工場向けに部品を供給している地場資本のメーカー、豊富汽配の工場で、従業員ら約250人が7日からストに入った。
 さらに、同省恵州市の韓国系電子機器工場でも従業員約2千人が7日からスト。多数の従業員が周辺の道路を封鎖、警官隊とにらみ合っているという。深●市の台湾系電子機器メーカー、美律電子でも6日から7日にかけて数千人のストが発生した。湖北省随州市では紡績工場で大量解雇に対する抗議行動が起きたという。
 中国では年内にも、「同一労働、同一賃金」といった計画経済時代への逆戻りのような賃金体系を経営側に求める「賃金法」が成立するとの見通しもある。
 これを見越して、労組側がストを巻き起こしたとの指摘もあり、「事態がエスカレートすれば、ベトナムなどへの工場移転も検討せざるを得ない」(日系機械メーカー幹部)と懸念する声が出始めている。

◎ストの工員と警官隊が衝突、50人負傷、中国・上海近郊(2010年6月8日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動情報センターによると、中国上海市近郊の江蘇省昆山市にある台湾系機械部品工場で7日、工員約2千人が待遇改善を訴えてストライキに突入、警官隊数百人と衝突し、工員50人以上が負傷した。
 ストは8日も続いており、上海万博への影響を防ぐため警官隊が工場周辺を警戒している。
 中国では、工員の自殺が相次いだ台湾系大手電子機器メーカー富士康集団や大規模ストが起きたホンダの部品工場で大幅賃上げを実施しており、その余波とみられるストが続発している。

◎広東省でスト続発(2010年6月7日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは7日、中国広東省恵州市と深●(=土へんに川)市の電子機器工場でストライキやデモが起きていると伝えた。
 同省では、工員の自殺が相次いだ台湾系大手電子機器メーカー富士康集団や、大規模ストが起きたホンダの部品工場で大幅賃上げを実施しており、その余波とみられる。
 同センターによると、恵州の韓国系電子機器工場では工員2千人余りが7日からストに突入。低賃金や長時間労働の改善を訴えている。また6日には深●(=土へんに川)の工場でも、賃上げを求める多数の工員が周辺の道路を封鎖、警官隊と乱闘になった。

◎「言論の自由は保障」、ネット政策の正当性訴え、中国初のインターネット白書(2010年6月8日、産経新聞)
 中国国務院新聞弁公室は8日、中国のインターネット状況に関する白書を初めて発表した。「法に基づく管理」や「安全確保」を強調する内容で、ネット検閲やサイバー攻撃などに対する国際的な批判をかわす狙いがうかがえる。
 中国は世界最大3億8千万人超のインターネット利用者を抱える。白書では、インターネットを、経済の発展や科学技術の進歩、社会サービスの加速を促すうえで不可欠な存在と位置づけ、今後5年間で、ネット普及率を45%まで引き上げることを目標に掲げた。
 そのうえで、ネット利用者の3分の1を占める未成年者の健全な成長のために、検閲をはじめとする規制が必要だと強調。国民のネット上での「言論の自由」は保障されているとし、ネット政策の正当性を訴えている。

◎1億人がネットで買い物、中国、取引額は48兆円(2010年6月8日、産経新聞)
 中国国務院(政府)が8日発表した初の「中国インターネット状況」白書によると、中国のオンラインショッピングの利用者は既に1億人を超え、2009年の電子商取引額は3兆6千億元(約48兆円)に上った。
 今年に入り、楽天が中国のネット検索大手「百度(バイドゥ)」と仮想商店街事業の合弁会社を設立。日本のネット通販大手、ヤフーも中国のネット販売最大手「淘宝(タオバオ)」と業務提携するなど巨大市場を狙った連携が活発化している。白書は「ネット販売の拡大は速い」としており、今後もさらに市場が膨らむ見込みだ。
 白書によると、中国のネット広告市場の規模は過去5年間に年平均約30%のペースで拡大し、09年は200億元を突破。09年のオンラインゲームの市場規模も前年比39.5%増の258億元に達した。

◎ホンダ中国部品工場で乱闘、スト続行巡り従業員ら数百人(2010年6月1日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国紙、財経新聞(電子版)によると、従業員のストに揺れる広東省仏山市のホンダ系自動車部品メーカー、本田自動車部品製造で5月31日、経営側を支持してスト回避に動いた労働組合員と、スト続行を主張する従業員の合わせて数百人が工場内で乱闘となり、7、8人の従業員が負傷した。
 通常業務に復帰しようとした組合員が、スト続行を主張する従業員をビデオで撮影したところ、従業員側が「労組は労働者の代表ではないのか」「中国人ではなく日本人(経営側)の肩を持つのか」などと抗議して顔に殴りかかって、流血の騒ぎになったという。
 その後、数十人の地元警察が出動して、工場周辺の道路を封鎖したが、同紙によると、警察当局は乱闘や負傷者の確認を避けた。経営側は労組側に対し、スト参加者への責任は一切追及しないと表明していた。
 この部品工場では変速機を生産しているが、5月17日からのストで部品供給が止まり、ホンダの中国の完成車4工場が相次ぎ操業停止に追い込まれていた。部品工場では賃上げなどの条件に同意した労働組合員らが職場に復帰し、31日に生産を一部再開していた。

◎「レナウン、強いデザイン力」提携の中国・山東の邱会長(2010年5月30日、朝日新聞)
 【済寧(中国山東省)=琴寄辰男】経営再建中のアパレル大手のレナウンと資本業務提携を結んだ中国繊維大手、山東如意科技集団の邱亜夫会長が29日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。財務、市場開拓など四つのプロジェクトチームを双方が立ち上げ、すでに3回の会合を重ねていることを明らかにし、レナウンの今後5年間の新経営計画を6月末までに策定する方針を示した。「シンプルライフ」などレナウンブランドを中国市場で展開する具体策などを盛り込む。
 邱氏がメディアの単独取材を受けるのは、提携発表後初めて。
 如意はレナウン株の4割を保有して傘下に置く見通し。邱氏はレナウンとの提携を検討し始めた時期を「昨年11月」とし、約半年で合意に至った理由について、高級衣料品の戦略などで「両社が一致する点や補い合う点が多かったからだ」と強調した。「我々は生地の技術でリードしており、レナウンは強力なデザイン力と流行をとらえる力を持っている」と述べ、繊維メーカーから総合衣料品グループへの飛躍を目指す如意にとって、レナウンの商品企画力が欠かせないとの見方を示した。
 レナウン再建の課題については「多すぎるブランドの整理」と「中国市場の開拓」などを挙げた。レナウンブランドの中国展開に関しては「すでに全国規模の企業集団と接触しており、一度に100店規模で出店することも可能」と話し、強力に後押しする姿勢を強調した。そのうえで「レナウン側が数百人規模の人員削減が必要と言ってきたこともあったが、私は『必要ない』と言った。中国市場開拓には多くの人材が欠かせないからだ」とも語り、さらなる人員削減は不要との考えを示した。
 また、邱氏は「レナウンの大株主は変わり続け、その多くが短期的な利益を求める投資ファンドだった」と指摘。今回の提携は「兄弟のような関係で、両社双方の発展に有利」と述べ、長期的な戦略に基づくものと強調した。
 レナウンの現在の筆頭株主である金融投資会社ネオラインホールディングスとの関係については、邱氏が提携発表後にネオライン側と接触したことを明らかにしたうえで、「全面的に我々を支持していると思う」と話した。

◎中国が北朝鮮向け支援を制限か、「核融合に成功」報道後(2010年5月30日、朝日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】北朝鮮メディアが今月12日に「核融合反応に成功」と報道した直後から、中国当局が北朝鮮向けの支援物資の運搬を一部停止し、経済協力プロジェクトの凍結も検討している模様だと、中朝関係筋が明らかにした。金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中直後に新たな核開発を誇示するような動きを見せた北朝鮮に中国側は強い不快感を抱いているとみられ、独自の制裁措置をとっている可能性がある。
 関係筋によると、中朝国境地帯の各地の貿易拠点で、定期的に北朝鮮に搬出されるコメやトウモロコシなどの穀物や化学肥料、医薬品、工作機械などの支援物資を積んだトラックの流れが、今月中旬から停止、または大幅に減少しているという。
 また、昨年10月の温家宝(ウェン・チアパオ)首相訪朝の際などに合意した経済協力プロジェクトのうち、中朝国境の鴨緑江に新たに建設する橋などを除く多くの計画の凍結が、中国政府内で検討されているという。
 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は12日、核融合反応に成功したとし、目的を「安全な新エネルギーを得るため」と伝えた。だが、核融合反応は高度な技術と巨額の費用が必要で、国内向けのプロパガンダに過ぎないとの見方が根強い。
 また、北朝鮮の関与が指摘されている韓国哨戒艦沈没をめぐり国際社会の風当たりが厳しくなる中、核技術の水準の高さを誇示して米韓を牽制(けんせい)しているとの見方もある。
 だが、今月上旬に金総書記が訪中し、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席との首脳会談で「朝鮮半島の非核化の目標を実現するために努力する」「6者協議を推進するために積極的に努力する」と確認したばかり。その直後の「核融合反応成功」との報道に、朝鮮半島の安定を最も重視する中国側は強い不満を抱いているとされる。
 核実験などをめぐり国際社会から経済制裁を受けている北朝鮮にとって、中国は最大の援助国。中国から供給される大量の食糧や資源などの支援物資は、北朝鮮の生命線とされる。哨戒艦沈没事件を受けて韓国が南北交流・交易の原則中断を決めるなど、韓国の支援・協力も期待できない状況になっており、そのうえ中国の支援が細れば、北朝鮮は一層厳しい経済運営を迫られることになる。

◎日本人駐在員との給与格差「50倍」やり玉、中国ホンダ系工場スト(2010年5月29日、産経新聞)
 中国広東省仏山にあるホンダ系の自動車部品工場で賃上げを求めて従業員らが行っているストライキで28日、中国人従業員らが日本から派遣された駐在員との「50倍」という給与格差問題をやり玉に挙げ、経営側を突き上げていることが分かった。
 江西省の衛星テレビなどが同日伝えたところによると、ストが起きている「本田自動車部品製造」の女性従業員が手取りで月額平均約1千元(約1万3500円)なのに対し、駐在する日本人技術者は同5万元。従業員らは経営側に日本人の給与を公表するよう迫ったという。
 中国では年内にも「同一労働同一賃金」を柱とする「賃金法」の成立が見込まれており、中国人従業員らはこうした法整備をにらみながら労使交渉を進めているものとみられる。
 部品工場のストには1千人以上が参加。経営側は約350元(約4700円)の賃上げを提示したものの、従業員側は拒否した。賃金の倍増となる1800~2000元への引き上げを求めており、交渉は難航しているようだ。
 工場からの部品供給がストップしたため、中国国内に4カ所あるホンダの完成車工場も操業停止に追い込まれる深刻な事態となっている。
 ホンダは28日、中国国内の工場について月内の稼働を断念したことを明らかにした。31日に再交渉し、6月1日から稼働できるかどうか判断する。広東省広州の輸出専用工場に関しては31日、変速機の在庫がある50台だけ生産。関係者は「部品工場の復旧が最優先だが、並行して部品供給を検討中だ」と述べ、日本からの変速機輸送を検討する方針を示した。
 生産停止の影響について「在庫があるため当面、問題はない」としているが、事態が想定以上長引いて生産計画に波及すれば悪影響が出る可能性も否めない。4月の四輪車の生産実績によると、中国でのホンダの生産は前年4月を28・7%上回る5万8814台で、4月としては過去最高だった。それでも、1~4月が前年比4割増という好調な販売状況に追いつかず、ホンダは中国での増産方針を発表したばかりだった。
 現地事情に詳しい関係者は「中国政府が労働者の権益保護に力を入れる一方、経済発展と一人っ子政策の結果、労働者にとって“売り手市場”になっている」と指摘する。
 ホンダに限らず、中国に進出している企業にとって、労使トラブルや労務コストの増大は頭痛のタネとなりそうだ。(上海 河崎真澄、高橋寛次)

◎深せんの工場でまた自殺未遂、25歳男性が手首切る(2010年5月28日、産経新聞)
 28日付の香港紙、明報などによると、工員の飛び降り自殺が相次いでいる中国広東省深●(=土へんに川)市の台湾系大手電子機器メーカー、富士康集団(フォックスコン)工場で27日早朝、25歳の男性工員が手首を切って自殺を図った。病院に運ばれ命に別条はないという。
 この工場で今年に入り、2件の未遂を含む13件目の自殺・自殺未遂で、飛び降り以外では初めて。新華社電によると働き始めてわずか2カ月余りだった。

◎中国携帯メーカーで相次ぐ若者の自殺、軍隊式管理のストレス? 一人っ子世代のひずみ?(2010年5月27日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】27日付の中国紙、東方早報などによると、広東省深●(=土へんに川)の携帯電話機メーカー、富士康(フォックスコン)で26日深夜、従業員男性(23)が建物から転落し、死亡が確認された。転落死した同社の従業員は、今年に入って10人に達し、いずれも自殺と地元警察は断定した。同社は米アップルなど有力企業から製品の生産を受託する典型的な輸出型企業で、中国の成長を支える現場での相次ぐ自殺に、社会矛盾や一人っ子世代の心理的なゆがみを指摘する声が広がっている。
 10人はいずれも20歳前後で、10人目の転落死は、富士康の親会社でEMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、台湾の鴻海精密工業の郭台銘会長が、深●の工場で初めて記者会見した26日の深夜に起きた。
 郭会長は会見で、今年に入って25日までに死亡した9人の遺族に哀悼の意を示す一方で、「40万人以上いる従業員の割合からみて9人の死亡は多くない」「9人はいずれも入社半年以内で、仕事上のストレスが原因だったとはいえない」などと述べた。
 富士康では昨年7月にもアップルから受注した携帯電話機「iPHONE(アイフォーン)」の次世代製品のサンプル紛失の嫌疑をかけられた当時25歳の従業員が飛び降り自殺する事件が起きたほか、死亡者とは別に、従業員2人が転落で重傷を負っている。
 中国や香港のメディアは、富士康が製品や技術の秘密保持を徹底するあまり、軍隊式といわれる厳しい人事管理を敷き、ストレスを受けた若い従業員が死に追いやられたのではないか、と経営姿勢を追及している。27日付の文匯報によると、中国の公安省などはこのほど、同社に対する合同調査を開始した。
 40万人の工場従業員のほとんどは深●以外の地方出身で、中学や高校卒業後に採用され、工場に近接する寮などで暮らしている。地元紙は、「戸籍問題をたてに農村出身者が差別される中国都市部の社会矛盾に直面したのではないか」との専門家の見方を伝えた。
 富士康の従業員は1980年以降に生まれた一人っ子政策世代ばかり。「4人の祖父母と両親に甘やかされて貧困を知らず、努力もしなかった中国の若者は、現実の企業社会のルールに適応できない」といった中国の製造業全体が抱える問題に対する関係者の指摘もある。

◎ホンダ、中国4工場がストで停止、部品供給中断(2010年5月27日、産経新聞)
 ホンダは27日、中国広東省仏山市にある部品工場で、中国人従業員の賃上げを求めるストライキが起き、生産が停止している、と発表した。部品供給が止まった同国内の四つの完成車工場も操業停止に追い込まれた。
 操業が止まった工場では日本向けの生産はしていないため、日本国内への影響はないという。ホンダは争議収拾に向けて労使で「前向きに話し合っている」としているが、生産再開のめどは立っていない。
 ストライキは17日、仏山市の変速機を製造する工場で発生。労使協議を行ったが、賃上げ額で折り合わず、21日夜から操業が止まった。
 変速機の供給先で、主力車「アコード」などを製造している同省広州市の二つの工場が24日に停止、26日には湖北省武漢市の工場と、広州市の輸出車専用工場も操業ができなくなった。

◎レナウン、中国企業の傘下に、数十億円出資受ける方針(2010年5月23日、朝日新聞)
 経営再建中の大手アパレルメーカーのレナウンに対し、中国の繊維大手、山東如意集団(山東省)が出資を検討していることが22日、わかった。出資金額は数十億円とみられ、株式の3分の1超を取得して筆頭株主になり、グループ傘下に入れる方針だ。成長著しい中国企業が豊富な資金力で日本企業を傘下に収める例が増えており、こうした動きが加速しそうだ。
 関係者によると、レナウンが山東如意を引受先として数十億円の第三者割当増資をする予定で、近く発表する。山東如意は現在、レナウン株の約25%を持つネオラインホールディングスを抜いて筆頭株主になる見通し。経営の重要事項の拒否権を持てる3分の1超の株式を握り、事実上傘下に入れるとみられる。
 山東如意は中国内で10位以内に入る大手の総合繊維メーカー。レナウンを傘下に入れることで、大きな売り上げが期待できる日本市場での販売に本格的に乗り出す。また、レナウンが展開している紳士服の「ダーバン」といった高級ブランドなどを取り込む狙いがあるとみられる。
 レナウンは1990年代まで国内最大手のアパレルメーカーだったが、バブル崩壊後の景気低迷や安売り店との競争激化で売り上げが減って業績が悪化した。現在も国内上位だが、業績低迷は続いており、2010年2月期連結決算の売上高は前期比17.3%減の1290億円で、純損益も109億円の赤字だった。
 希望退職の募集や資産売却、経費削減を進めてきたが、経営再建ははかどっていない。このため、各国への輸出や巨大な中国市場で利益をあげ、豊富な資金を持つ中国企業の傘下に入ることで、資金繰りを確かにして抜本的な再建を進めるのが得策と判断したとみられる。
 中国企業が日本企業の株式を取得する例は中国経済の成長にともない、この2、3年増えている。有名企業では、スポーツウエアのフェニックスや家電量販店のラオックス、ゴルフクラブの本間ゴルフなどが中国企業の傘下に入った。

◎中国の大富豪、108億円の罰金・資産没収判決(2010年5月19日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】新華社電によると、北京市第2中級人民法院(地裁)は18日、インサイダー取引や贈賄罪などで起訴された中国の家電販売大手「国美電器」創業者の黄光裕被告(41)に懲役14年と罰金6億元(約81億円)、2億元(約27億円)の財産没収の判決を言い渡した。
 黄被告は中国の富豪番付で3回、トップになったことがある大富豪。司法当局は、格差拡大が深刻化する中で不正に荒稼ぎする「問題富豪」を厳しく罰して見せしめとする狙いがあるようだ。
 判決などによると、黄被告は2007年、自身が大株主の会社の株を他人に買わせて、株価が上がると売り抜けるなどして、約3億元(約41億円)の違法な収益を上げた。

◎中国で大雨被害86人死亡、広東など10省、市で(2010年5月17日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国中南部で今月5日から続く大雨の被害で、広東省や重慶市など10の省レベル行政区で17日までに計86人が死亡、少なくとも16人が行方不明になっている。
 華僑向け通信社、中国新聞社電によると、被害が報告されているのは安徽、福建、江西、湖北、湖南、広東、貴州、四川の8省と広西チワン族自治区、中央直轄の重慶市。各地で洪水が発生して住宅など建物が流されたり、暴風やひょうの被害が出たりしている。
 水害による倒壊家屋は8万戸を超え、被災者は1039万人に上ったとの情報もある。広東、湖南、浙江などで被害が大きいが、なかでも広東省広州市では7日から14日まで1週間に3回の豪雨に見舞われ、降水量は440ミリに達した。
 この降水量は年間平均の4分の1に相当し、1908年に広州市で気象観測が始まって以来の記録となった。広州日報(電子版)によると、広東省全体の被害額はすでに10億元(約135億円)を超えている。
 被災地では合わせて40万ヘクタール以上の農地が水害に遭っており、養豚業も打撃を受けた。農産物や豚肉の価格高騰が懸念されている。

◎「のろわれている」?中国携帯メーカー、20歳前後の7人次々転落死(2010年5月17日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国広東省の携帯電話機メーカー「富士康」で、今年1月から今月14日までに7人もの従業員が高所から転落して死亡し、地元メディアなどが経営側の管理を問題視する動きを強めている。
 今月11日に死亡した6人目まで警察はいずれも自殺を図ったとみていたが、14日に死亡した7人目の男性従業員(21)の転落現場では血が付いた短刀が見つかり、遺体には切り傷があった。
 富士康は受託生産型のメーカーだが、昨年7月には米アップルの「i PHONE(アイフォーン)」次世代機のサンプルを紛失したとして、秘密漏洩(ろうえい)を疑われた男性従業員(25)が飛び降り自殺している。今年に入って死亡した7人はいずれも20歳前後。富士康では高僧を招いて法要を行った。
 一方で地元紙やネット上では「従業員管理に問題があるのではないか」「のろわれている」といった批判や中傷が渦巻いている。死亡した7人以外に、転落して重傷を負った若い従業員も今年に入って2人いる。

◎ギョーザ中毒事件は「司法手続き中」、中国当局(2010年5月14日、産経新聞)
 中国公安省の武和平報道官は14日、中国製ギョーザ中毒事件の現在の捜査状況について「司法手続きの最中だ」と述べた。逮捕された容疑者の起訴の見通しや、日本の捜査幹部の訪中時期については明言しなかった。同日行われた記者会見の後、記者団の質問に答えた。
 また武報道官は記者会見で、中国で学校や幼稚園が襲われる事件が相次いでいることについて、防犯対策の強化のほか、社会の各層で起きているもめ事を洗い出し、解決していく必要性を訴えた。

◎本末転倒、中国が「松阪牛」の商標登録却下(2010年5月13日、読売新聞)
 特許庁の地域団体商標(地域ブランド)に認められている「松阪牛」に似た商標が中国で登録されている問題で、三重県松阪市は12日、対抗策として中国政府に申請していた「松阪牛」「松阪肉」の商標登録が却下されたと発表した。
 既に類似の商標が登録されていることなどが理由で、同市は「納得できない」として中国側に再審を申し立てた。
 同市は2006年5月、地域ブランド名が無断使用されないよう、民間企業の現地法人を通じ、商標登録を申請。しかし、その後、四川省の飲食店が01年9月、牛の顔と「松阪」の文字を組み合わせたマークを商標登録申請し、認められていたことが判明した。
 却下通知は4月28日、中国の審査当局から現地法人に届き、「既に登録されているマークに似ている」と理由を説明。四川省のケースを根拠に、中国での飲食店看板には使えないと伝えてきたという。
 これに対し、市は「松阪牛連絡協議会」の会合で経緯を説明し、再審の申し立てを決めた。同協議会長の山中光茂市長は「松阪牛のような国際ブランドの保護育成に対し、国も積極的に関与するべきだ」と話した。

◎表面化する中国の冤罪、殺人で服役、“被害者”現れ、あっさり釈放(2010年5月11日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国中部の河南省で9日、13年前に起きた殺人事件で殺されたと断定された男性が突然姿を現し、犯人として服役中の男性が釈放される出来事があった。警察当局による自白の強要が生んだ冤罪(えんざい)事件で、中国メディアは一斉に警察と司法当局のずさんさを批判している。
 国営新華社通信などによると、1999年5月、同省柘城県の村の井戸から腐乱した首なし遺体が発見され、地元警察当局は、一年半前に行方不明となった近くに住む男性と断定。失踪直前に男性と殴り合いをしたところを目撃された同村の趙作海さんを、殺人犯として逮捕した。拷問が伴う厳しい取調べを受けた趙さんは罪を認める供述をし、2002年に死刑判決を受けた後、懲役29年に減刑された。
 ところが今年4月末、死亡したとされた男性が突然村に戻ってきた。「けんかで趙さんを傷つけてしまい、報復されるのが怖くなり、村を抜け出し、そのまま10年以上も別の町で出稼ぎをしていた」という。
 河南省高級人民法院(高裁)は9日、趙さんの無罪を宣告して釈放したが、事件後に趙さんと離婚した妻はすでに別の男性と結婚、趙さんには帰る家がないという。
 湖北省では05年、妻を殺害したとして11年間服役した男性が、妻が現れたために釈放された事件があった。河北省では1995年、殺人事件の犯人として処刑された男性が、10年後、真犯人が犯行を自供したため、冤罪であることが判明した事件もある。
 ある中国人学者は冤罪事件について「警察の拷問は以前からあった。ネットの普及や報道規制の弱体化で、こうした事件が表に出てくるようになっただけだ」と話している。

◎中国:貿易黒字、4月は1550億円(2010年5月10日、毎日新聞)
 中国税関総署が10日発表した4月の貿易統計によると、貿易収支は16億8000万ドル(約1550億円)の黒字だった。前年同月に比べ87.0%減ったが、2カ月ぶりの黒字となった。再び黒字となったことで、人民元切り上げのタイミングにも影響を与えそうだ。
 輸出は30.5%増の1199億2000万ドル、輸入は49.7%増の1182億4000万ドルだった。米経済の回復などで輸出が安定的に増加している一方で、輸入増加の勢いが3月よりも鈍ってきたことが黒字化の原因。
 1~4月の累計では、輸出は家電や繊維製品などが伸びて29.2%増の4360億5000万ドル、輸入は原油や鉄鉱石、自動車などが増えて60.1%増の4199億4000万ドルだった。貿易黒字は78.6%減の161億1000万ドルとなった。
 1~4月の欧州連合(EU)との貿易総額は34.6%増加。対米は25.0%増、対日も37.5%増えた。対日貿易赤字は前年同期の約3.5倍に膨らんだ。

◎中国人が肉、卵をバカ食い? 経済発展の影響で消費拡大(2010年5月10日、産経新聞)
 国連食糧農業機関(FAO)は10日、人口増加や中国やインドなど新興国の経済発展による食生活の変化を受け、過去約20年間でアジア地域での肉や卵、牛乳などの畜産物の消費が急拡大しているとの報告書を発表した。
 FAOは、中国やインド、ブラジルなど新興国の国民の生活水準が向上し、先進国並みに食生活が豊かになっていると分析。畜産業が急速に拡大する一方、環境への配慮や食の安全対策などが遅れているとして、将来の需要増を見据え、酪農分野への技術支援や投資の増強が世界的な課題になっていると訴えた。
 報告書によると、東アジアと東南アジアの2005年の肉消費量は1人当たり年間約48.2キロで、1980年の約12.8キロに比べ約3.8倍。特に中国の伸び率が顕著で、肉、牛乳、卵のいずれも約4~10倍に増加した。

◎やっぱり中国人は並ばなかった!割り込み祭り(2010年5月1日、Rocket News24)
 5月1日から華々しく開催されている上海万博。世界中のパビリオンが公開され、特に目立っている中国パビリオンは1時間以上並ぶのは当然の大盛況となっている。今回の上海万博、世界中に中国の素晴らしさを伝えるには、北京オリンピック以上の絶好のチャンスといえるかもしれない。
 しかし中国人観光客たちの行動は「素晴らしい」とはいえない。中国人観光客がルールを守って行列に並ばずに、柵を乗り越えて割り込みしてくるのである。「中国人は列に並ばないし列を作らない」と言われているが、正直なところ、ここまで酷いとは思わなかった。記者は割り込みの瞬間を激写した。
 記者(私)は少なくとも、香港パビリオンとインドパビリオンで割り込みする中国人観光客が、スタッフや他の観光客とトラブルなっていたのを目撃した。他のパビリオンでも割り込みは当たり前。売店でもうしろから札を出して前の人より早く買おうとしてくる始末。
 私だけでなく多数の人たちが並んでいるというのに、どんどん柵を乗り越えて割り込みをしてくる中国人観光客。一人が割り込みをすると、「なんだ割り込みしていいあるね!!」と思ったのか、他の中国人観光客たちもどんどん割り込みをしてくるようになり、そこから悪循環が発生。他の観光客に注意されてもキョトンとしている。どうやら、どうして注意されているのかわからないらしい。
 柵を乗り越えた先が最後尾だというのならば百歩譲って許すとしよう。しかし、乗り越えた先のうしろには、私を含め、多くの人たちが並んでいるのである。教育の問題なのか、文化の問題なのか、人間性の問題なのか……、わからない。
 人気のパビリオンともなれば、1~2時間かけて並んでいる人もいるのだ。割り込みは自分の常識かもしれないが、他人(他国)からすると非常識な行為でしかない。こんな当然の事を言うのもおかしいが、割り込み行為は決してやらないでほしいものである。せっかく素晴らしい中国パビリオンを作っても、中国人一人一人が素晴らしい常識を持たない限り、他国の人々は中国に失望するだけである。
 最後に誤解がないようにフォローしておくが、上海万博の中国人スタッフたちは非常に親切に、観光客に対して中国語と英語で対応してくれる。上海万博でわからないことや困ったことがあれば、安心して相談するといいだろう。

◎農民2千人、警官と衝突、中国、11人けが(2010年5月1日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、中国黒竜江省富錦市の農村で4月29日から今月1日にかけ、土地をめぐるトラブルから農具で武装した農民約2千人と警官ら約3千人が衝突し、双方合わせて11人が負傷。1日昼時点でにらみ合いが続いている。
 同センターによると、1994年に中国との協議で韓国がこの村の農地を借り上げたが、97年に手放した後は富錦市政府の関連企業が所有することになり、農民らが不満を募らせていたという。
 農民らが29日夜、線路をふさいで地元の鉄道が不通になり、警官が出動。くわで殴られた警官が重傷を負い、警察車両5台が損壊したほか、農民10人も負傷した。鉄道は1日昼に復旧したが、農民約200人を警官が包囲しているという。

◎念願の開幕式に江沢民氏の姿なく、憶測呼ぶ(2010年5月1日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の江沢民前国家主席(83)が1日開幕した上海万博の一連の式典に姿を現さず、健康不安説や胡錦濤国家主席との確執の深刻化などさまざまな憶測を呼んでいる。
 江氏は2008年8月の北京五輪の開会式に出席したほか、昨年10月の建国60周年軍事パレードの際には胡主席の横に立ち、健在ぶりをアピールしていた。
 今年になってから公式の場に姿を見せたとの報道はないが、香港各紙は江氏が先月4日に、旧英国租界の建物が残る上海の黄浦江沿いの観光名所、外灘(バンド)を視察したと報じていた。江氏は退任後、上海に居を構えているという。
 上海市トップの共産党委員会書記から党総書記に抜擢(ばってき)されて国家主席に上り詰めた江氏は、在任中から上海への万博誘致に指導的役割を果たした。総書記退任直後の02年12月に上海での万博開催が決定したこともあり、江氏の悲願だった万博の開幕では、公の場に姿を現すとみられていた。
 だが、北京五輪の開幕式を上回る10万発以上の花火を打ち上げて、サルコジ仏大統領など20カ国の国家元首らを迎えた4月30日夜の華やかな開幕式典や、184日間の会期がスタートした1日の開園式などで、江氏登場の報道はなかった。
 上海の外交団の中には「高齢の江氏の健康状態に昨年秋以降、異変があった可能性がある」と指摘する声もある。
 一方、開幕式典は胡氏が「開幕宣言」を行うなど、中央主導の色彩が濃かった。江氏は今でも“上海閥”の実力者とみられているが、06年に上海市幹部が汚職で相次ぎ摘発されるなど打撃を受けていた。開幕式典では、上海市トップの兪正声・党委書記や韓正・上海市長らも目立たず、胡氏が権力の掌握を確実にした可能性もある。

◎中国で相次ぐ児童襲撃、格差への不満はけ口か(2010年4月30日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国南部・広東省の小学校で28日、校内に侵入した男が刃物で児童や教師を襲撃し、計16人を負傷させる事件が発生したのに続き、29日にも東部・江蘇省の幼稚園で園児らが襲われ、計32人が負傷する惨事があった。
 経済発展に伴う所得格差の拡大で、失業者や出稼ぎ労働者らの間で膨らむ不満の矛先が、児童ら弱者に向かっているものとみられる。
 新華社電などによると、広東省の事件の犯人は、別の小学校の男性教諭(33)。教室で児童らを襲った後、校舎屋上で自殺を試みたが警官らに取り押さえられた。4年前から病気で学校を休んでいたという。
 江蘇省では、ナイフを持った47歳の無職の男が幼稚園の教室で園児らに襲いかかり、園児29人を含む32人が負傷した。園児5人は重傷。男は9年前に保険会社を解雇され、マルチ商法に手を染めていたという。3月にも福建省の小学校で、小学生が男に襲われ、13人が死傷する事件があり、死刑が28日に執行されたばかり。

◎毒ギョーザ事件容疑者「梱包の外から注射」、犯行の手口初めて判明、日本側の証拠と合致(2010年4月30日、産経新聞)
 有機リン系の農薬「メタミドホス」による中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、危険物質混入容疑で逮捕された「天洋食品」元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)が中国公安省に「(農薬は)冷凍ギョーザが梱包(こんぽう)された段ボール箱の外から、注射して混入した」と供述していることが29日、日本の警察関係者への取材で分かった。日本側の捜査結果と合致するため、警察庁などでは供述の信憑(しんぴょう)性は極めて高いとみている。犯行の具体的手口が明らかになったのは初めて。
 供述内容は今月21、22の両日開かれた情報交換会議で、中国側から警察庁に伝えられた。
 警察関係者によると、呂容疑者は中国公安省の調べに、「(天洋食品の)工場の冷凍庫に侵入し、袋入りの冷凍ギョーザが梱包された段ボール箱の外から、注射器を横向きにして針を刺して注入した」と供述。注入量については「(3日間にわけて)3回やった。(1回あたり)20ccほどだったと思う」と説明した。
 平成20年1月に兵庫県で中毒を起こしたギョーザと同じ製造月日で、大阪府枚方市のスーパーにいったん配送され、「袋がべたべたする」として回収された未開封ギョーザ6袋については、袋の表面からメタミドホスが検出されている。
 このうち1つの袋だけが、表と裏に注射針の貫通したとみられる直径約1ミリの穴が開いていたことが明らかになっている。6袋は、同じ段ボール箱に入れられて日本に輸出され、店舗に配送されていた。
 有機リン系の農薬「メタミドホス」による中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、危険物質混入容疑で逮捕された「天洋食品」元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)が中国公安省に「(農薬は)冷凍ギョーザが梱包(こんぽう)された段ボール箱の外から、注射して混入した」と供述していることが29日、日本の警察関係者への取材で分かった。日本側の捜査結果と合致するため、警察庁などでは供述の信憑(しんぴょう)性は極めて高いとみている。犯行の具体的手口が明らかになったのは初めて。
 供述内容は今月21、22の両日開かれた情報交換会議で、中国側から警察庁に伝えられた。
 警察関係者によると、呂容疑者は中国公安省の調べに、「(天洋食品の)工場の冷凍庫に侵入し、袋入りの冷凍ギョーザが梱包された段ボール箱の外から、注射器を横向きにして針を刺して注入した」と供述。注入量については「(3日間にわけて)3回やった。(1回あたり)20ccほどだったと思う」と説明した。
 平成20年1月に兵庫県で中毒を起こしたギョーザと同じ製造月日で、大阪府枚方市のスーパーにいったん配送され、「袋がべたべたする」として回収された未開封ギョーザ6袋については、袋の表面からメタミドホスが検出されている。
 このうち1つの袋だけが、表と裏に注射針の貫通したとみられる直径約1ミリの穴が開いていたことが明らかになっている。6袋は、同じ段ボール箱に入れられて日本に輸出され、店舗に配送されていた。

◎毒ギョーザ、容疑者「段ボール箱の外から注射」(2010年4月30日、読売新聞)
 千葉県と兵庫県の3家族10人が被害に遭った中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、逮捕された製造元「天洋食品」(中国河北省)の元臨時従業員・呂月庭容疑者(36)が中国公安省の調べに対し、「冷凍ギョーザを梱包したした段ボール箱の外側から殺虫剤を注射した」と供述していることがわかった。
 同省が今月21、22日、日本の警察庁で開いた情報交換会議で、同庁に伝えた。
 兵庫県の家族が中毒になったギョーザは、製造した当日に段ボール箱に詰められ、出荷までの約1か月間、工場内の冷凍庫で保管されていた。呂容疑者はこの冷凍庫内に入り込み、注射器で段ボール箱の外から、有機リン系殺虫剤メタミドホスを注入したとみられ、日本側の捜査でもギョーザの袋に小さな穴が開いていたことが確認されている。
 日本側は近く、混入経路の詳しい確認などのため、中国に捜査幹部を派遣する。

◎中国で狙われる子供、江蘇省で園児ら31人刺傷、権力者や金持ちへの復讐?(2010年4月29日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国国営新華社通信などによると、中国江蘇省泰州市泰興の幼稚園で29日午前、刃物を持った無職の男(47)が園児らを次々と襲い、32人が負傷し、うち2人が重体という。上海万博開幕を控えた中国では最近、社会に不満をもつ暴徒が学校や幼稚園を襲撃し児童を大量殺傷する事件が相次いで起きている。
 報道によると、男は29日午前9時40分ごろに幼稚園に侵入し、刃物で児童29人、教員ら3人を次々と刺したあと、警備員らに取り押さえられた。園児らはほとんどが4歳児。男は2001年に勤めていた保険会社を解雇され、その後、違法なマルチ商法を行っていたという。
 この事件の前日の28日には、広東省湛江市の小学校で、休職中の同校教師の男(33)が刃物で児童と教師を襲い、19人にけがを負わせた事件が発生した。男は、病気を理由に休職を求めてきた学校側に不満をもっていたという。
 また、3月23日にも福建省の南平市で、診療所を開こうとして失敗した医師の男が自宅近くの小学校の児童を襲い、8人が死亡、5人がけがをした事件が発生。この小学校は裕福な家の子弟が通っていることで知られ、「金持ちと社会に報復したい」というのが男の動機だったと中国メディアは報じている。
 一連の事件に共通していることは、犯行に及んだ男たちはいずれも一定の教育を受けているが、さまざまな理由で社会の競争に敗れ、自分の生きる価値を見失っていたことだ。
 ある中国の社会問題専門家は「社会の急激な変化についていけず、失意した男たちが不公平感の極端なはけ口として、このような凶悪事件を起こしている。権力者や金持ちに対抗する力がないため、子供たち弱者を狙った」と説明する。
 一人っ子政策を実施している中国では、子供を失った親の悲しみがメディアに大きく取り上げられるため、こうした事件が社会に与えるインパクトは強く、「最後に社会の注目を集めたい」といった犯罪者心理も指摘されている。

◎真夜曲盗作なら厳罰、中国駐日大使が示唆(2010年4月28日、朝日新聞)
 上海万博のPRソングがシンガー・ソングライター岡本真夜(36)のヒット曲「そのままの君でいて」の盗作とされた疑惑について、中国駐日大使が盗作なら厳しく対処する方針を示唆した。程永華駐日大使が27日、盗作疑惑に触れ「中国は著作権保護に真剣で、関係部署が調べている。もし(盗作が)はっきりすれば、厳しい姿勢で臨まなければならない」と話した。
 岡本側は事実上、盗作を認めた万博事務局側の依頼で同曲の使用を許可したが、PRソングの作曲者、繆森(ボク・シン)氏側は「下心のある者が(岡本さんの)似ている曲を用いて、大衆の評判を誤った方向に導いた」と否定し続けている。
 繆森氏の声明に対し、岡本の所属レコード会社、日本クラウン側は猛反発。同曲も収録した5月26日発売のベスト盤「MY FAVORITES」プロデューサーの白石元哉氏は「あれは、ちょっと正直ありえない発言ですね。音楽人が著作権を守るのは基本的な考え方。ちゃんと襟を正していただきたい」とした。

◎岡本真夜レコード会社、疑惑の作曲家に「襟正せ」(2010年4月28日、スポーツニッポン)
 上海万博の公式PRソングが岡本真夜(36)の楽曲の盗作と疑われている問題で27日、原曲の発売元の徳間ジャパンなどは「あそこまでそのままカバーされているものはない」とする見解を発表した。
 岡本が現在所属する日本クラウンとの連名によるコメント。「音楽はそもそも少なからずいろんな方に影響を受ける」としながら「あそこまでAメロ、Bメロ、サビとそのままカバーされているものはない」と盗作が濃厚とみられることを指摘。PR曲の作曲家・繆森氏に対し「ちゃんと襟を正していただきたい」と断じている。
 同曲をめぐっては岡本の所属事務所が19日、万博事務局から楽曲使用申請があったと発表していたが、繆氏が盗作を否定する声明を出していた。

◎「まねして悪い?のお国柄」、日本企業の5割超が「中国に知財侵害」(2010年4月21日、産経新聞)
 上海万博のPRソングの盗用騒ぎなど、中国の知的財産権に対する意識が依然として低いことが露呈する中、日本企業の商標を中国企業が無断でまねるなどの知的財産権侵害が相次いでいることが、経済産業省の調査で分かった。回答企業の半数以上が「侵害を受けた」と回答。「SQNY」など社名を一部改変したり、模倣したラベルと商品を別々の工場で製造して組み立てるなど、模倣の手口の巧妙化も指摘されている。(大坪玲央)
 調査は、平成21年12月~22年2月、製造業中心に日本企業262社を対象に実施。回答した138社のうち、19年度は71社、20年度は73社とそれぞれ5割超が「中国に知的財産権を侵害された」と回答した。侵害の内容としては、両年度とも「商標権の侵害」が約8割を占めた。
 中国企業に運動靴のラインを模倣されるなどの被害に遭っているアシックス(神戸市)の知的財産チームは「被害は年々増えている。中国政府に対策を求めたいが、積極的に動いてもらえないため再犯も多い」と当局の姿勢に不満を漏らす。ほぼ同じデザインのブランドのロゴを使われているミズノ(大阪市)も「『まねして何が悪い』という国柄。経済が発展してもこのままでは一流国になれない」と批判する。
 こうした状況を受け、中国での摘発件数も、19年度の2868件から20年度の3153件へと増加。ただ、今回の調査で「処罰されたか不明」と回答した企業が3、4割に上り、再発防止に結びついているかは微妙だ。
 手口の巧妙化も目立つ。摘発されても罪が軽くなるように、そのまま日本の社名をつけずに「SQNY」の電池や「SHARK」のマイクなど、一部改変した社名を表記した商品も出回った。日中は普通の民家やマンションで適法に商売している業者が、夜間にひそかに模倣品を製造したり、模倣した日本企業のラベルと商品の本体部分を別々の工場で製造して後から組み立てて販売するなど、さまざまな“摘発逃れ”も行われているという。
 経済産業省模倣品対策・通商室では「中国は知的財産権侵害の取り締まりが不徹底なことが多い。日本の中小企業は特に被害に遭いやすいので、各種知的財産権の登録をする必要がある」と注意を呼びかけている。

◎容疑者は待遇不満で工場と係争中(2010年4月20日、産経新聞)
 中国製ギョーザ事件でギョーザに殺虫剤を混入したとして逮捕された中国人、呂月庭容疑者(35)は勤め先の製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)の待遇が不満として地元の労働争議仲裁委員会に訴え、係争中だったことが20日までに分かった。中国誌「財経」最新号(12日付)が報じた。
 天洋食品は労働条件が過酷で、労使間で争議が多発していた。
 呂容疑者は1993年から臨時従業員として勤務していたが、工場側が医療や年金の保険費用を払っていないと訴えていた。また争議が理由で解雇された。
 国有企業の天洋食品は、完全週休2日制で社会保障制度が完備した管理職、保障はあるが月30日勤務する正規従業員、何の保障もない臨時従業員との間で待遇格差が大きく、従業員の不満が強かったという。

◎中国の刑事捜査局長が異動、ギョーザ事件の責任者(2010年4月17日、産経新聞)
 中国公安省で中国製ギョーザ中毒事件の捜査指揮に当たってきた杜航偉刑事捜査局長が陝西省西安市公安局の局長に転任したことが17日、分かった。
 公安省は3月16日に中国人容疑者を拘束しており、2年以上にわたる捜査が一段落したことを受けての異動とみられる。
 杜局長は2008年1月に事件が発覚した直後から一貫して捜査を指揮していた。3月末の西安市人民代表大会(議会)で異動が正式に決まった。後任は不明。
 事件では、容疑者の拘束、逮捕を受けて中国の捜査員が日本側との協議のため近く訪日する。

◎「中国は被害者論」崩れ当局に不信、毒ギョーザ(2010年4月11日、読売新聞)
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件は、中国当局が3月、国内での犯罪だったことを自ら認める異例の展開となった。
 「日本が悪者で中国は被害者」という中国世論の基本構図が突如崩れ、市民の間では当局への疑念も生じ始めている。

・毒ギョーザ事件は日本が悪いのではなかったのか
 北京南西300キロの河北省・石家荘市。ギョーザを製造した天洋食品の近所で商店を経営する男性は、元臨時従業員が逮捕されたことを聞いて憤った。
 男性は、「殺虫剤混入が中国で発生した可能性は極めて小さい」という中国警察の発表を信じてきた。「説明はウソだったのか」と今は怒りの矛先を当局に向けている。
 「日本悪玉―中国被害者論」は、歴史問題を強調する中国では、ほとんど自明の理、あるいは物事の前提のように語られる。ギョーザ事件が発覚した2008年当時、中国では、責任の押しつけを伴う激しい対日批判が噴出した。日本の世論も反発、「ギョーザ」は、食の安全という範囲を超え、感情がぶつかりあう日中対決の象徴になった。
 それが、一転して、「中国人の犯行」である。「ずっと日本が悪いと思っていたのに」(飲食店従業員)という驚きに当局不信が交じる。日本の主張に「負けた」ことについて、ある女性は「日本に落ち度はなくても、無用な騒動を広げ、有力企業の天洋食品をつぶした」と話した。
 一方、日中バトルの“主戦場”となったネットでは、「日本人の真剣に調査する本能と専門的な手法は世界でも有名だ」と日本の警察への称賛も出ている。一方で中国の警察は、「証拠を示して反論することもできない」と批判され、面目丸つぶれだ。「食の安全では日本が上だ。日本に学べ」との評価さえ出ている。
 中国紙のある記者は「中国当局は、最初に『日本が悪い』と言って政治問題化してしまった。中国人に特有の面目を保つ方法だったが、非科学的で話にならなかった」と批判している。
 もっとも、事件発覚から2年以上が過ぎ、中国では全体的に「毒ギョーザ」に対する関心は高くはなく、政府批判の声も大きなうねりにはなっていない。世論の反発を恐れる中国当局が事件の風化を待っていた可能性も十分ある。(河北省石家荘で、関泰晴)

◎女性500人との関係日記、妻に突き出され、中国の元課長を摘発、「目標は800人」(2010年4月11日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国安徽省で女性500人以上との関係を記録した日記やビデオ類の存在が発覚した安慶市の元課長(47)が摘発されて大きなスキャンダルになっている。河南省の大河報がこのほど伝えたところによると、日ごろの行動を怪しんだこの元課長の妻が日記など証拠をみつけ、当局に突き出したという。
 元課長は日記に2003年から500人以上の異なる女性との関係を日時やようすなどを書いた上、「600~800人めざす」との目標も掲げていた。買春など違法行為があったとみられるほか、費用捻出方法として、10万元(約130万円)の賄賂を1年で稼ぐ必要がある、といったとんでもない記述もあった。
 元課長は市の開発事業などを担当していた立場を利用し、不動産事業にからんで地元業者に“性的サービス”の提供なども賄賂として要求していたようだ。
 中国では3月にも、広西チワン族自治区で、女性との不倫関係や受け取った賄賂を記録した日記がインターネット上に出回った同自治区政府の元課長(53)が収賄容疑で逮捕されている。いずれもネット上で「腐敗役人の典型だ」などと、激しい批判が渦巻いている。

◎中国、6年ぶりの貿易赤字、景気回復、輸入増える(2010年4月10日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国税関総署が10日発表した3月の貿易統計によると、貿易収支が72億ドル(約6700億円)の赤字となった。単月の赤字は2004年4月以来、約6年ぶり。
 中国国内景気の順調な回復などで、輸入額が前年同月比66%増の1194億ドルと大幅に伸びたことが大きな理由。輸出額は同24.3%増の1121億ドルで、大きな伸びを記録した前月(45.7%増)からは勢いが弱まった。貿易収支の赤字傾向が今後も続くとの見方は少ないが、中国政府幹部からは、3月中から単月の貿易赤字見通しを示す発言が相次いでおり、米国からの人民元切り上げ要求を牽制(けんせい)する材料になっていた。
 一方、中国の輸入額が膨らんだのは国際的な資源価格の上昇が背景にある。

◎ギョーザ事件、急転直下の容疑者逮捕でも依然残るナゾ(2010年4月10日、産経新聞)
 一時は“迷宮入り”もささやかれた中国製冷凍ギョーザ中毒事件が、急転直下の動きを見せた。発生から約2年2カ月が経過した3月下旬、中国の公安当局がギョーザを製造していた食品会社の元臨時従業員の男の身柄を拘束したからだ。中国の公安当局は、日本のマスコミを対象とした異例の記者会見まで開いて「全面解決」を強調。だが、中国側の発表情報にはこれまでの捜査結果とは矛盾する内容も多く含まれる。事件に残された謎と早期の幕引きを図ろうとする中国の思惑は-。(加藤達也)

・不意打ちの“解決”
 「ギョーザ中毒事件で、天洋食品で臨時従業員として働いていた男の身柄を拘束した」
 中国外務省アジア局の担当者から北京の日本大使館にこうした情報がもたらされたのは、3月26日金曜日の午後11時半ごろのことだった。
 中国の公安当局に身柄を拘束(後に逮捕)されたのは、ギョーザ製造元の食品会社「天洋食品」の元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)。
 「身柄拘束」の情報は、中国国営の「新華社」電として瞬く間に日本中を駆け巡ったが、この後、事件をめぐる情報については日本の警察当局による検証もマスコミによる論評もままならず、情報の主導権は終始中国側に握られた。
 中国での勤務経験がある警察OBが言う。
 「引っかかるのは情報の出し方だ。なぜ、新華社報道と同時に、深夜に日本側に知らせてきたのか」
 そこには、中国のある意図が見て取れるという。
 「一報を金曜の深夜に伝えたのは、日本の役所が閉庁になる土日を挟むことでマスコミの国内取材がやりにくくなり、報道される情報量を極小化しようとしたのではないか」というのだ。
 外務省、警察庁など日本側では、日付が変わるころになっても公式の確定情報は発表されておらず、警察庁では担当幹部が情報の収集と確認に追われていた。取材対応した警察庁幹部の1人は「拘束は完全な不意打ち。今年1月まで、公式非公式をあわせて20回以上開いてきた情報交換でもまったく知らされていなかった」と話し、容疑者の氏名、年齢や出身地などごくわずかな情報を繰り返し口にするのがやっとだった。
 日本の警察や外務省が広報発表する前に、「身柄拘束」の一報を配信した中国国営の「新華社」とは、一体どのような組織なのだろうか。
 新華社は日本の内閣にあたる中国の国務院に直属する国家機関で、本来的には日本など自由主義国の報道機関とは異なる。
 発信される情報は「中国の政府や党の公式見解がニュース仕立てにされたもので、中国が各国世論に直接伝えたいメッセージ」(日本の外務省筋)なのだという。
 金曜日の深夜11時半に新華社が伝えてきたビッグニュース。日本の報道機関は色めき立った。しかし、締め切りまでほとんど時間がなかった新聞は結局、ニュースの主要部分について中国側から伝えられる初期情報をほとんどそのまま報道することになった。

・中国発表への疑念
 この事件の情報発信について、中国側の対応は異例ずくめだった。
 「身柄拘束」の一報から2日後の28日には、ギョーザ事件の捜査を担当している中国公安省の杜航偉刑事捜査局長らが、日本のマスコミを対象に異例ともいえる記者会見を開き、詳細な捜査情報を明らかにした。
 中国側発表によると、犯行は呂容疑者が1人で実行。呂容疑者は天洋食品の待遇に不満を訴え、一緒に働いていた妻が産休を取った際にはもらえると思っていたボーナスがもらえず、不満が高まったと動機を供述した。
 呂容疑者がギョーザに混入したとされるメタミドホスは、2007年7月と8月、同食品工場の清掃担当部門から盗み、同じころ、医療機関が廃棄した注射器を、針がついたまま入手。
 同年10月1日、メタミドホスを入れた注射器を持って、ギョーザが保管されている冷凍庫に侵入。注射器でギョーザに注入した-とされる。
 だが、この発表には疑問が残る。
 1つは、ギョーザの“袋の穴”の問題だ。
 兵庫県で被害を出したギョーザの袋とトレー、大阪府で回収されたギョーザの袋にはそれぞれ0・2ミリ~1.5ミリ大の穴が発見されている。
 一方で、千葉県で被害を出した袋は完全に密封されており、穴や傷は発見されていない。
 「手口が違う。犯行手順の違いを意味する可能性があり、本当に単独犯なのか、違和感が大きい」
 日本の捜査関係者は、こう指摘する。
 疑問の2つめは、日本でギョーザから検出された農薬は、メタミドホスだけでなく、有機リン系のジクロルボスも検出されていたが、中国側の説明には、この「第2の農薬」についてまったく触れられていないことだ。
 ジクロルボスが付着したギョーザは、07年6月3日に天洋食品で製造、同月8日に中国・天津港から日本に向けて出荷されている。
 07年11月に福島県喜多方市で販売され、異臭がするとして回収されたギョーザから、事件発覚後に実施した検査で検出された。
 ジクロルボスが付着した製品の製造時期は、メタミドホスの混入時期と約4カ月の開きがある。
 警察庁幹部は「呂容疑者の犯行であるならば、呂容疑者がいつ、どのようにしてジクロルボスを入手し、どのようにしてギョーザに混入したのか、明確にしなければならない」と話す。
 疑問点は、まだある。
 呂容疑者は犯行に用いた注射器を犯行後、「下水道に捨てた」と供述。そして中国捜査当局は今年3月21日、呂容疑者の供述通り発見、押収したという。
 発見時には、注射器は泥に埋まっていた。捜査関係者がこんな指摘をする。
 「捜査の初期に農薬の専門家から話を聞いたが、メタミドホスは、水溶性が高い。下水道の中で長期間、泥まみれになっていたのであれば雨水や雪解け水、泥水で成分が洗い流され、検出されない可能性が高いのではないだろうか」

・なぜ、急展開?
 中国公安省の発表によれば、呂容疑者は当初から一貫して「重要な捜査対象者」とみられていた。
 だが、身柄拘束まで2年以上もの長期を要したのは、決定的な証拠がなかったからだという。
 難航する捜査を急展開させたのは、呂容疑者の妻の話だった。
 呂容疑者は事件後、自宅のテレビでたまたま流れた事件関係のニュースを見て妻に「おれがやった」と漏らした。
 驚いた妻が真剣に問いつめると、呂容疑者はすぐに「冗談だ」と打ち消し、妻もそれ以上、追及しなかった。
 日本の外務省筋によれば、中国側は、かねてから重要参考人とみなしていた呂容疑者をクロとするこの証言の真実性を必死に確認したという。
 そして、本人を追及した結果、注射器という身柄拘束につながる物証の発見につなげたという。
 だが、事件直後に「(メタミドホスの)混入が(中国)国内であった可能性は極めて小さい」と主張していた中国側が、急に方針転換したのはなぜなのか。
 日本の政府関係者が「進展の兆しだったのではないか」と振り返る出来事があった。1月に捜査責任者が異動。その直後、事件は急転直下の展開となった。
 「中国サイドの高いレベルで捜査方針の転換があったのではないか」
 公安省も捜査進展に向け、“大きな力”が働いていたことを会見で配布した資料で認めていた。
 資料にはこうある。
 《中国政府は08年初めの『対日輸出ギョーザ中毒事件』を非常に重視し、中央指導部は真剣な捜査を行うよう指示した》
 中国は民主党政権成立以来、対日重視姿勢を見せている。5月1日に開幕する上海万博を控え、国を挙げてイメージアップに躍起でもある。また、今年11月に横浜で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)での胡錦涛国家主席の来日などもある。
 「中国は、対米牽制(けんせい)の意味からも、日本との蜜月をアピールしたいところだろう。日中の首脳外交が活発化する前に、指導部が対日懸案を一気に解決してしまいたいと考えた結果ではないか」外交筋はこう分析してみせた。

◎中国:大規模ハッキング、ダライ・ラマらの情報盗難(2010年4月7日、毎日新聞)
 【エルサレム花岡洋二】イスラエルの最大紙イディオト・アハロノトが、同国の検閲制度に抗議する記事を相次いで掲載している。同国は原則として「報道の自由」を掲げているが、「国家の安全保障」にかかわる情報は検閲・規制対象。これが結果的に、同国の秘密核開発を支えたとされる。同紙の抗議記事は極めて珍しいもので、注目を集めそうだ。
 欧米メディアなどの報道によると、発端は、有力紙ハーレツが内部文書に基づいて08年11月に報じた、違法な疑いのある軍の活動に関する記事だ。
 ハーレツの報道後、裁判所はイスラエル・メディアと当事者に、関連報道や証言を禁じたという。国内メディアは決定に従ったが、米国に拠点を置く在外ユダヤ人向け通信社が先月29日、ハーレツの報道を受けたイスラエル当局の捜査状況を伝え、米AP通信や英メディアも後追いした。こうした外国報道は、イスラエル国内でもネット上で話題になったため、国民には広く知れ渡っている。
 そうした中、イディオトは今月1日、「(国内治安機関)シャバクが公開を恐れる情報は?」という記事を掲載した。同紙は具体例には触れないまま、自国の検閲制度を「イランのようだ」と批判。英語で「ISRaELi JOURNALiST GaG(イスラエルの 記者 口封じ)」をネットで検索するよう勧めた。
 さらに6日には、米国のジャーナリストがネットに載せた関連記事を翻訳して転載。1ページのほぼ全面を使った記事のうち、規制対象となりそうな部分として約6割を黒い太線で消した。同紙は、毎日新聞の取材に回答しなかったが、検閲制度に抗議する意思を込めたものとみられる。
 AP通信によると、シャバクもコメントしていない。
 イスラエルではすべての報道機関が、国防情報に限り検閲対象。英紙が86年に核開発計画を暴露した際の情報源だった元原子力研究所技師のバヌヌ氏は、国家反逆罪で約18年服役し、釈放後も、外国メディアとの接触を禁じられている。

◎中国:大規模ハッキング、ダライ・ラマらの情報盗難(2010年4月7日、毎日新聞)
 中国のハッカーグループが過去8カ月間、インド治安機関やチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の事務所、国連、在米パキスタン大使館などのコンピューターに侵入し、機密書類や電子メール、個人の金融情報などを盗んでいたと、トロント大(カナダ)などの研究チームが6日、記者会見で明らかにした。
 盗まれたデータには、アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)の移動に関する文書、ダライ・ラマが発信したメール1500通、インドのミサイルシステムに関する研究機関の分析などが含まれていた。
 チームは「中国政府機関とハッカーたちの関係は不明だ。両者を直接結び付ける確たる証拠は見つかっていない」と説明した。
 発表によると、ハッキング行為は中国四川省が起点。侵入したコンピューターから機密指定の外交文書やクレジットカード番号などを盗み出していた。
 添付ファイル付きのメールを送り付け、ファイルを開くとコンピューターが感染、ヤフー、グーグルなどのフリーメールやインターネットの交流サイト「ツイッター」に接続するよう仕向けるなどの方法を使用。チームのメンバーは「普通のウイルスソフトでは防げない」と注意を呼び掛けた。(ニューヨーク共同)

◎中国南西部で深刻な渇水、人も家畜も「飲み水がない」(2010年4月7日、産経新聞)
 中国南西部で昨年秋以降、干魃(かんばつ)被害が深刻化し、人や家畜の飲料水が不足しているほか農作物も大きなダメージを受けているという。当面、降雨が期待できず、被害規模はさらに拡大する見通しといい、中国政府も農業対策の強化に乗り出している。

・シーン1
 被害は雲南省、貴州省、四川省、広西チワン族自治区、重慶市など5地区で拡大中。ロイター通信によれば、これらの地区で少なくとも5000万人が、何らかの被害を受けているという。
 昨年秋以降、事態は悪化していた。中国政府の公式発表によれば、3月30日現在、全国で飲料水が不足している人は約2425万人。2000万頭近い家畜への飲み水も不足している。
 農作物にも影響は及び、7.7万平方キロの田畑で作物不良となった。全く収穫が見込めない耕作地も少なくなく、損失額は少なくとも計190億元(約2500億円)に上ると予想されている。
 華僑向けの通信社「中国新聞社」(電子版)によれば、これらの地域の降水量は例年の半分程度。一部地域では降水量が平年の3割程度で、半年以上も干魃の状態が続く。中国の水利当局者は「南部が雨期を迎える5月下旬まで、状況が大きく改善することはない」との見通しを示しているという。
 温家宝首相は3月下旬、被害が深刻な雲南省曲靖市を訪れ、打撃を受けている麦畑や、干上がったダムなどを視察。新華社通信によれば、水源の状況に応じた作付けの見直しなど、農業対策を強化するよう指示したという。

・シーン2 「100年に1度の大干魃」すべてが枯れた
 干上がった貯水池に走る無数の亀裂は、ますます深く彫り込まれていき、数カ月も降雨のないことを物語っていた。中国西南部の干魃(かんばつ)被害。中国新聞社(電子版)によれば、世界的な金融危機になぞらえて「100年に1度の大干魃」と指摘する声も出ているという。
 被害が大きい地域の一つ、雲南省では、サトウキビやゴム、コーヒー豆の生産に影響が出ている。また、特産品のプーアル茶や生花の生産も打撃を受けた。広西チワン族自治区では、今春の稲作を断念し、トウガラシに転作することを決断した地域もあるらしい。
 渇水で水力発電ダムも貯水量が減って休止状態となり、広東省など沿岸都市への電力供給にも影響が出ている。電力供給を一時的に制限する措置も検討されているという。各地方政府は節水を呼びかけ、飲用水を輸送するなどして緊急事態をしのいでいる状況だ。
 中国気象当局幹部は中国新聞社の取材に、南西部の干魃被害は今後も続くとの見通しを示したという。その上で「干魃救済緊急資金から200万元(約2600万円)を拠出し、人工降雨などの措置を講じる予定であることを明かした」と伝えている。

◎ギョーザ事件、地元当局が報道管制を強化(2010年3月31日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=関泰晴】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、地元当局は、殺虫剤のメタミドホスを混入したとして逮捕された元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)の家族などに対する取材を禁止するなど報道管制を強化している。
 呂容疑者の妻(37)の実家がある石家荘郊外の寒村で30日、住民への取材を試みると、即座に治安担当者と名乗る男が現れ、立ち去るよう求められた。男は「農村の安定を乱し、住民を不安に陥れるようなことはやめてほしい」と説明。地元当局の指示もあり、妻の両親への取材は認めないと、強硬に拒否された。
 地元メディアの関係者は、「当局の指示で独自の取材や報道は禁じられている」と話し、肩をすくめる。石家荘ではニュースを知らない人も多く、飲食店で働く女性(24)は「中国では『毒ギョーザ事件』と言うけれど、容疑者が逮捕されたことは知らなかった」と驚いていた。
 石家荘市内にある工場の周辺住民も、取材に対し、「知らない」「わからない」とだけ答えるようになった。工場内に出入りする関係者も口を閉ざし、事件当時の労使関係の実態など、都合の悪い情報が漏れないように警戒している。
 地元メディアの関係者によると、呂容疑者の逮捕発表後の27日、共産党中央宣伝部の幹部が石家荘に入り、統制強化を陣頭指揮した。河北省政府や公安当局も、呂容疑者の逮捕に絡んで記者会見などを開く予定は「絶対にない」としている。

◎中国:日本人死刑通告、重罪に外国人でも厳格な姿勢示す(2010年3月30日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国遼寧省高級人民法院(高裁)で昨年4月に麻薬密輸罪で死刑判決が確定した赤野光信死刑囚(65)の刑を近く執行すると中国政府が、日本政府に通告した。覚せい剤の広がりに危機感を強める中国当局が、密輸や製造などの重罪については外国人でも厳格に執行する姿勢を示したものだ。
 中国外務省の秦剛副報道局長は30日の定例会見で「麻薬犯罪は国際社会が認める重大犯罪だ。各国とも法に基づき厳しく取り締まっており、赤野光信(死刑囚)の死刑執行について昨日(29日)日本側に通告した」と説明した。
 日本政府当局者によると、赤野死刑囚は06年9月に同省大連の空港から、共犯の石田育敬受刑囚(同罪で懲役15年確定)と約2.5キロの覚せい剤を日本に密輸しようとして拘束された。
 中国では航空機で周辺国に覚せい剤を密輸する事件が相次ぎ、日本人では4人の死刑が確定しているほか、1人が服役中で、判決を受けていない未決拘置中も8人いる。中国刑法では、覚せい剤50グラム以上の密輸で「懲役15年か無期懲役、または死刑」と規定。1キロ以上は原則死刑だ。
 同当局者によると、4月5日にも死刑が執行される可能性がある。日本人の死刑が執行されれば、1972年の日中国交正常化以降初めてであり、日中関係にも微妙な影響を与えそうだ。
 昨年12月には、新疆ウイグル自治区ウルムチで、同罪によって死刑判決が確定していた英国人アクマル・シャイフ死刑囚(53)の刑が執行され、ブラウン英首相が中国の司法手続きに不備があるなどとして「最大限に強い言葉で非難する」と反発していた。
 鳩山由紀夫首相は30日、首相官邸で記者団に対し、中国からの死刑執行通告について「中国当局に関心を表明していた。このようなことになるのは大変残念だ」と懸念を表明した。平野博文官房長官も同日の記者会見で、外交ルートを通じて中国政府に懸念を伝える考えを明らかにした。【横田愛】

◎毒ギョーザ事件、貧富・格差への怒りが背景に(2010年3月30日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=関泰晴】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国公安当局は、ギョーザに殺虫剤を入れた農村出身の容疑者の犯行動機として、臨時従業員に対する食品工場内での差別に不満があったとの供述があることを明らかにした。
 中国国内では、改善しない貧富格差や差別に起因する「やり場のない怒り」が動機となる事件が増えており、事件はその一例だと受け止める市民も多い。
 「会社幹部は地元政府の関係者が多く、コネがあるので何もしなくても給料も上がる。不公平だと思って1年で辞めた」
 事件で逮捕された呂月庭容疑者(36)と同時期に河北省石家荘市内のギョーザ製造元「天洋食品」の工場で働いていたという20歳代の男性は、会社の差別待遇に怒りをぶちまけた。
 公安当局の発表によると、呂容疑者は「給与や待遇に対して不満を持ち、報復して恨みを晴らそうと、ギョーザに毒を入れた」と動機を語っている。
 関係者によると、同社正社員の月給は、2000元(約2万6000円)。しかし、農村出身の出稼ぎ労働者が多く、職員1000人の大半を占める臨時従業員は正社員の半分の1000元(約1万3000円)前後で、有給休暇もない。正社員登用も難しく、「ほとんどが2~3年で辞めていく」のが実態だ。
 「犯罪は許されないが、容疑者の気持ちは分かるような気がする」(元従業員)、「絶望的な気持ちで社会に仕返しを狙ったのではないか」(地元紙記者)との声が現場にはある。
 農村出身者、貧困層など社会的弱者への差別に解決策が見いだせない中国では、「怒り」「恨み」が原因で犯罪が起こる事例が相次いでいる。
 福建省南平市の小学校では3月、「再就職がうまくいかなかった」ことを理由に中年の男が児童9人を刺殺。陝西省では2月、給与の未払いに怒った50歳代の労働者が路上で爆薬を燃やし、通行人3人が負傷。広東省恵州市では昨年6月、大型バスが暴走して通行人ら4人が死亡したが、運転手は待遇への不満が背景にあったと供述した。
 呂容疑者が20歳まで過ごした石家荘郊外の山村では、若者の就職口がなく、出稼ぎ以外に生活の道はない。出稼ぎ経験のある30歳代男性は、「農民は都会に出ても、教養がない、学歴が低いとバカにされる。不公平なことが多い」と話す。
 石家荘にとどまらず、中国の大都市には貧村からの出稼ぎ者が集まる。そうした人々の間に渦巻く怒りを放置すれば、新たな犯行のひきがねになる懸念がある。

◎【毒ギョーザ逮捕】中国メディアは捜査幹部の会見を報道せず(2010年3月30日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で中国公安省の捜査責任者が28日行った記者会見について国営通信、新華社は同日、記事を配信しなかった。このため中国メディアは一切、会見について報じていない。
 記者会見は共同通信など一部日本メディア向けに行われたが、新華社の記者も同席していた。中国内でも事件をめぐり捜査当局や食品安全を担当する検疫当局への批判が出ており、捜査結果内容はさらなる批判を招きかねないため、報道を控えたとみられる。

◎「色情服務」取り締まりは形ばかり、中国広東省、サウナなどの過激サービス(2010年3月30日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国南部の広東省東莞市では風俗業界で「色情服務」と呼ばれる過激なサービスが提供されているが、どうも当局には取り締まる意思がないようだ。
 地元紙によると、市内のサウナなどから違法サービスをにおわす客引きの電子メールが市や省の幹部にまで送りつけられ、衛生局の幹部が取り締まりを指示した。
 担当者があわてて市内のサウナ業者約200人を集めたが、そこで厳命したのは電子メールを使った宣伝の禁止だけ。“違法行為”についての指導は形ばかりだったという。
 東莞市の混乱ぶりに中央の公安省(警察庁に相当)が昨年秋、徹底的な摘発を指示したこともある。
 しかし中国の風俗業界は地元の当局内部に後ろ盾がいるのが普通。このため取り締まりにはさまざまな横やりが入ることから、担当者としても本気で取り締まる気持ちにはなれないようだ。

◎中国雲南省で暴動、13人負傷と香港紙(2010年3月30日、読売新聞)
 【台北=源一秀】香港紙「明報」(電子版)は28日、中国雲南省昆明市で26日夜、数百人規模の暴動が発生し、16人が負傷、40人が逮捕されたと報じた。
 露店の違法営業取り締まりの際に小競り合いが起き、「女性が殴り殺された」とのうわさが発生して騒ぎが拡大した。

◎警察庁困惑「検証しようがない」、毒ギョーザ(2010年3月30日、読売新聞)
 冷凍ギョーザ中毒事件を巡って、28日、日本の一部報道機関に捜査の状況を明らかにした中国公安省。
 その発表では、呂月庭容疑者が事件に使った注射器やメタミドホスを入手したのは、「2007年7、8月」で、同年10月1日、初めて冷凍庫でメタミドホスを注入した後、10月下旬と12月下旬にも同じように注入したとしている。
 ところが、08年2月に、福島県内の店舗で同じ有機リン系殺虫剤ジクロルボスが検出された天洋食品製のギョーザは、前年の07年6月に製造されており、一連の薬物混入を、呂容疑者の「単独犯」とする中国公安省の見解では説明がつかない。これについて警察庁幹部は「一方的に発表内容が伝わって来るだけなので、検証しようがない」と困惑した様子で話した。
 中国側は、さらに2本の注射器について「工場内の通路脇の下水道内に捨てられていた。今月21日に発見した」と発表したが、「事件から2年もたって、いきなり下水道で見つかったと言われても……」と、別の同庁幹部は首をかしげた。
 この日の発表について、同庁には開催することさえ事前に連絡がなく、「またも寝耳に水」(同庁幹部)。同庁は近く中国に幹部を派遣する予定で、「早く現地入りして捜査状況について直接、話を聞く必要がある」としている。

◎回収ギョーザ中毒事件も呂容疑者、公安省幹部(2010年3月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国公安省の杜航偉・刑事偵査局長は、28日の一部日本メディアとの会見で、2008年6月14日に中国河北省承徳で起きた「天洋食品」の回収冷凍ギョーザによる中毒事件も呂月庭・容疑者(36)の犯行であることを明らかにした。
 局長は、呂容疑者が07年12月下旬に毒物を混入させたと断定した、と語った。
 問題のギョーザは、当初、天洋食品が回収・保管していたが、その後、河北省内の約20社に大量に横流しされた。被害に遭ったのは、横流しを受けた「承徳鋼鉄」の関係者4人とされる。

◎「日本の中毒、非常に後悔」、毒物混入容疑者(2010年3月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国公安省の杜航偉・刑事偵査局長が28日、一部日本メディアの取材に応じ、逮捕された製造元「天洋食品」の元臨時従業員、呂月庭・容疑者(36)は事件発覚約4か月前の2007年10月1日から計3回にわたって、工場内で盗んだ有機リン系殺虫剤メタミドホスを注射器でギョーザに注入していたと供述していると明らかにした。
 杜局長は、呂容疑者は「単独犯だ」と述べ共犯がいた可能性を否定した。同容疑者は社内で正規従業員との待遇の差が大きいことに不満を募らせ、特に、妻の出産休暇の際、ボーナスが支払われなかったことに怒って会社への報復を考えたと供述しているという。
 26日に国営新華社通信が容疑者逮捕を報じて以来、公安省幹部が直接取材に応じ、捜査状況を詳細に明かすのは初めて。杜局長は、日本の警察幹部の訪中を「すでに招請している」と明らかにし、日本の捜査当局と緊密に協力していく姿勢を強調した。
 杜局長によると、呂容疑者は07年7月と8月に工場の清掃部門から殺虫剤を盗み、医療機関から廃棄された針付きの注射器数本を入手。同年10月1日と同月下旬、12月下旬の計3回にわたって、ギョーザの冷凍庫に侵入し、注射器でギョーザに注入した後で注射器を工場内の下水道に捨てたと供述している。
 12月下旬の混入について、局長は、08年6月に河北省承徳で起きた天洋食品製冷凍ギョーザ中毒事件の原因と断定した、と述べた。
 呂容疑者は1993年から天洋食品の食堂管理の臨時従業員として勤務していた。杜局長は、呂容疑者が一貫して「重点捜査対象だった」と強調したが、逮捕まで2年以上の時間がかかったことについては「冷凍庫に接触できる者586人を調べなければならず、作業量が膨大だった」と話した。そのうえで、今回捜査が急転した理由については、呂容疑者が事件発覚後に妻や親戚に「自分がやった」と漏らしていたことがわかり、3月16日に身柄を拘束して調べた結果、メタミドホス混入を認めた、と説明した。21日には本人の供述通りに下水道から注射器が発見されたという。
 呂容疑者は、「日本の消費者の中毒を招くとは思ってもいなかった。非常に後悔している」と話しているという。

◎「工場の芝生用メタミドホス盗み注入」、中国公安省会見(2010年3月28日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国公安省は28日、冷凍ギョーザ事件で拘束した呂月庭容疑者(35)が2007年10~12月に計3回にわたって毒物を製品の冷凍ギョーザに混入させたと供述していることを明らかにした。呂容疑者はこれに先立ち、同年夏に有機リン系成分メタミドホスが含まれる農薬を勤め先のギョーザ工場内で盗んでいたという。
 同省幹部がテレビ朝日など一部の日本メディアと会見した。製造元の天洋食品は事件発生直後、「工場ではメタミドホスは使っていない」と否定していたが、その後の公安当局の調べで、工場内の芝生などの農薬として使われているものがあったことが分かった。呂容疑者は混入に使用した注射器数本も同工場の診療所から廃棄済みのものを盗んだという。
 公安当局は、呂容疑者が妻や親族に対して犯行をほのめかす発言をしていたことを知り、今年3月16日に聴取を開始。犯行を認める供述を得て、「危険物質投与」の疑いで拘束した。同21日に供述通りに工場内の下水溝から注射器が見つかった。指紋は検出されなかったが、注射器の形態なども供述通りだった。
 呂容疑者が工場内の冷凍倉庫でギョーザにメタミドホスを混入したのは07年10月1日。発覚しなかったため、同12月下旬までにさらに2回、繰り返した。その後、冷凍ギョーザを食べた千葉・兵庫県の10人が08年1月、中毒症状を訴え、事件が発覚した。
 1993年から天洋食品の臨時工員だった呂容疑者は、待遇や給与で大きな差がある正社員になれず、不満を抱いた。同じく天洋食品勤務の妻が2005年に出産休暇をとった際1年分のボーナスが支給されなかったことも重なり、「工場への報復」を動機に犯行に及んだという。共犯関係はないとしている。
 公安省は2年間で計500人以上を調べた。中でも呂容疑者を「一貫して重要な捜査対象者」(同省幹部)としていたが、決定的な証拠がなかったという。

◎【毒ギョーザ逮捕】メタミドホス、工場で入手(2010年3月28日、産経新聞)
 中国公安省当局者は28日、共同通信など一部日本メディアと会見し、中国製ギョーザ中毒事件で拘束した呂月庭容疑者(36)が2007年夏に、ギョーザに混入した有機リン系殺虫剤「メタミドホス」をギョーザ工場内で盗み、冷凍保存庫で3回にわたって注入したと供述していることを明らかにした。
 工場側は一貫して「メタミドホスは工場内にはない」と否定していたが、工場で呂容疑者が入手していたことが分かったことで、管理体制も問われそうだ。
 同当局者は呂容疑者が「一貫して重要な捜査対象」だったと指摘した。呂容疑者が妻や親せきに「自分がやった」と認めていたことなどから3月16日に聴取を開始し、21日に本人の供述通り、工場内の下水道から注射器を発見。急転直下、事件が解決に向け動きだしたことも明らかにした。
 動機については、ギョーザ工場の臨時従業員だった呂容疑者が正社員との給与格差が大きかったことなどに不満を抱いていたと語った。

◎ギョーザ事件、日中捜査協力「試金石だったが」(2010年3月28日、読売新聞)
 新華社通信が、「対日輸出ギョーザ中毒事件を解決」という見出しで、「天洋食品」の元臨時従業員・呂月庭容疑者(36)逮捕の一報を伝えたのは、日本時間の26日夜11時51分(現地時間10時51分)。
 警察庁は、これを伝える国内ニュースで初めて逮捕の事実を知り、慌てて在北京日本大使館と連絡を取って、中国公安省への情報収集を依頼した。だが、容疑者が「正社員にしてもらえなかった」などと供述しているという以外、詳しい情報提供はなく、中国との捜査協力、中でも情報交換の難しさが浮き彫りになった。
 その懸念は、当初から指摘されていた。今回の事件発覚後、警察庁と中国公安省は、5回にわたって両国で相互に開いた「情報交換会議」では、「有機リン系殺虫剤メタミドホスが中国で混入した可能性が高い」とする警察庁に、中国公安省は「日本で混入した可能性もある」と主張し、怒声が飛び交う場面も。
 呂容疑者の周辺から2本の注射器が発見されたと中国側が説明している点についても、警察庁内には、「発覚から2年以上たって見つかったというのは不自然」「隠していたのではないか」などという声がある。
 「今回の事件は、日中の捜査当局が協力して捜査に臨んだ初のケースで、試金石だった。結果として容疑者は捕まったが、今後の協力のあり方を模索する必要がある」。同庁幹部の一人はそう指摘する。
 警察庁は近く幹部を中国に派遣し、日本の事件についても徹底解明を求める方針だが、日中間には犯罪人引き渡し条約がなく、公共の安全を害することを禁じた中国の「危険物質投入罪」で逮捕された呂容疑者の身柄が引き渡される可能性は低い。日本の捜査員が直接、事情聴取することも困難とみられる。日本にとっては、中国公安省に「代理処罰」などを要請する中で、真相解明につながる情報を得ていくしか手段がない。
 中国への代理処罰は、09年末時点で、福岡一家4人殺害事件(03年6月)など過去に20件、25人に適用され、このうち9人が死刑判決を受けている。さらに日中間では今回の事件後の08年11月、刑事共助条約が発効し、外交ルートを通さずに捜査資料を提供することが可能になった。同庁は要請があれば、ギョーザから検出されたメタミドホスの「質量分析結果」などの捜査資料を提供する方針で、こうしたやり取りを通じ、どこまで中国側から情報を得られるのか注目される。(社会部、中村勇一郎)

◎ギョーザ事件容疑者「発覚の4か月前に混入」(2010年3月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国公安省の杜航偉・刑事偵察局長は28日午前、一部日本メディアと会見し、製造元「天洋食品」の元臨時従業員の呂月庭容疑者(36)が工場の待遇への不満から、事件発覚の約4か月前に殺虫剤の成分であるメタミドホスをギョーザに混入させたことを明らかにした。
 呂容疑者は07年10月、工場内の冷凍庫に忍び込み、注射器でメタミドホスを混入させたという。
 同事件で、公安省幹部が会見するのは2年ぶり。

◎毒ギョーザ、当局が取材規制、住民「全く知らない」(2010年3月28日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=関泰晴】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元「天洋食品」の元臨時従業員が逮捕された中国河北省石家荘市の地元メディアが、当局から、独自取材を禁じられ、国営新華社通信の配信記事だけを使うよう通達を受けていたことがわかった。関係筋が27日、明らかにした。北京でも一部紙が小さく新華社配信記事を掲載しただけで、同様の指示が出ていたとの見方が強い。胡錦濤政権は、中国人が逮捕されたことにより、インターネットで政府批判や反日機運が盛り上がるのを強く警戒しており、全国規模で厳しい情報統制を敷いたとみられる。
 関係筋によると、石家荘市の地元各紙やテレビに通達が出されたのは、容疑者逮捕の新華社報道直後にあたる26日深夜から27日未明。
 同筋は「だれも取材をしていないので、地元では何も分からない。政治的に敏感な問題で、当局が非常に気を使っているようだ」と述べた。
 逮捕された容疑者の出身地とされる井●(せいけい)県。石家荘市中心部から車で約30分の場所にある。(●は脛の月がこざとへん)道路沿いにセメント工場が点在し、山間にある町には県の公共機関や団地が立ち並ぶ。農業以外に主な産業はなく、出稼ぎに出るしかない土地だ。
 通りがかりの40歳代男性は「(事件の)報道も見たことがないし、全く知らない」と関心なさげに語った。

◎単独犯?混入時期も不明、毒ギョーザ事件(2010年3月28日、読売新聞)
 千葉、兵庫両県の3家族10人が被害に遭った中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の「天洋食品」(中国・河北省)の元臨時従業員が逮捕された。
 工場の食堂の管理人だったという男は、いつどのように有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を混入したのか。これまでに浮上した疑問点や、今後の捜査の課題をまとめた。

・どこで
 兵庫県の家族3人が天洋食品のギョーザを食べて中毒になったのは2008年1月5日。このギョーザは前年の10月1日に天洋食品で製造され、その日のうちに袋詰めにされると、段ボール箱に梱包(こんぽう)された状態で約1か月間、工場内に保管、11月2日に輸出されて、4日後に大阪港に到着した。
 一方、千葉県の2家族7人が食べたギョーザの製造は同年10月20日で、23日に工場から出荷され、11月5日に横浜港に着いている。
 二つの事件のギョーザが工場に同時に保管されていたのは10月20日~23日の4日間。食堂の管理人だった呂月庭容疑者(36)は、どのタイミングでメタミドホスの混入が可能だったのか現時点ではわかっていない。
 輸入元の親会社・日本たばこ産業が08年2月に行った説明では、ギョーザの製造過程は「調理」と「包装・梱包・冷凍」に分かれ、指導スタッフも巡回する中、調理の過程での混入は難しいとしていた。
 呂容疑者の周辺からは注射器2本が押収され、メタミドホスも検出された、と中国側は日本に伝えている。兵庫県の家族が食べたギョーザの袋には、直径約1ミリの穴が開いていたことが判明しており、包装後のいずれかの段階で注射器で注入した疑いが濃厚になっている。

・被害の認識
 日本人に被害者が出る可能性があるということを、呂容疑者がどの程度認識していたのかもポイントだ。
 天洋食品は近年、日本向けの加工食品を専門に製造していたとされ、事件発覚後の08年2月2日に開いた記者会見では、07年の日本向けギョーザの年間輸出量が3970トンに上ることを明らかにしている。
 呂容疑者の逮捕容疑は、無期懲役刑や死刑もある「危険物質投入罪」とされる。警察庁は「この罪が日本の殺人未遂罪などに該当するかどうか見極め、中国にどのような処罰を求めるべきか検討したい」としており、近く幹部を中国に派遣し、中国での捜査状況を確認する。

・長期間の可能性
 「長期間、臨時工として勤務しても正社員にしてもらえなかった」。呂容疑者は動機をそう供述していると、中国側が連絡してきているが、単独犯かどうかの説明はないという。
 09年1月には、中国当局が、天洋食品の元従業員数人を事情聴取したことも明らかになっているが、その時の捜査と今回の逮捕がどう関係するのかも不明だ。
 08年2月には、前年の11月に販売された天洋食品製のギョーザから、別の有機リン系殺虫剤ジクロルボスが検出されている。このギョーザが製造されたのは、千葉、兵庫両県の家族が被害に遭ったギョーザより約4か月前で、殺虫剤の混入は長期間続いていた可能性もある。「呂容疑者1人ですべて混入できたのだろうか」。警察庁幹部は首をかしげながら語った。

◎スケープゴート?毒ギョーザ逮捕で当局に不信感(2010年3月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で中国人容疑者が逮捕されたとの報道を受けて、中国のインターネットでは、事件発覚から2年以上経過した後の逮捕に懐疑的な見方を示す書き込みも出ている。
 共産党の一党独裁下での情報統制に対する不満が背景にあるとみられる。
 ネット利用者に人気のある「天涯論壇」などには、「2年もたっているのに犯行に使った注射器が残っているなんて」「日本人に説明し、警察がメンツを保つために、容疑者に人民元をたくさん与えて罪を認めさせた。彼はスケープゴートにされた」など警察当局への不信感を示した書き込みが見られた。
 また、容疑者が「元臨時従業員」とされた点についても、「悪事を働くのはどうしていつも臨時従業員なのか」「日本人だって信じないだろう」などの疑念が目立った。
 一方、容疑者に対して、「私憤をはらすため国家の利益とイメージを顧みなかった」「即刻死刑にすべき」などの過激な声もあった。

◎ギョーザ事件容疑者「学費の工面に苦労」、義父母語る(2010年3月28日、朝日新聞)
 【石家荘(中国河北省)=峯村健司】中国製冷凍ギョーザ事件で拘束された製造元の天洋食品(河北省)の元臨時工員、呂月庭容疑者(35)の義父母が27日、朝日新聞の単独取材に応じた。呂容疑者には小学生と幼稚園の子どもがいたが、「長年働いても給料が増えず、子どもの学費を払うのが困難だった」と述べ、生活苦と会社への恨みが動機だった可能性を示唆した。
 義父母宅は、天洋食品から北に約30キロ離れた畑の一角にある古いれんが造りの農家。呂容疑者はここに戸籍を置きながら、工場近くに住んでいた。義母は「仕事と子育てに忙しくほとんど帰ってこなかった。貧しい農家に住むのが嫌だったのだろう」と話す。
 食堂の責任者として妻とともに1日13時間以上働き続けたが、月給は800元(約1万円)前後。ほとんど昇給がなく、業績が悪いと給与がカットされることもあったという。天洋食品は事件当時約850人の臨時工がいたが、平均勤続年数は2年弱。夫婦で10年以上働き続けた呂容疑者は異例だった。勤務の年数や態度によって臨時工から給料が数倍に増える正社員に昇格できるが、かなわなかった。
 呂容疑者は地元警察当局に対し、動機について「こんなに長期間、一生懸命働いても自分と妻を正社員にしてくれない会社に強い不満があり、絶望的な気持ちになった」と供述した。
 一方、日本の警察庁によると、拘束容疑は有毒物質の混入など、公共の安全に危害を加えたりした際に適用され、死刑もありうる「危険物質投与」の罪。

◎ギョーザ中毒事件で容疑者拘束、「天洋食品」元臨時工、中国、待遇などに不満、2年ぶり解決へ(2010年3月27日、産経新聞)
 中国の警察当局は26日までに、2008年1月に発覚した中国製ギョーザ中毒事件で、ギョーザに毒を入れたとしてギョーザ製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)の元臨時工、呂月庭容疑者(36)=河北省出身=を拘束した。新華社電が伝えた。
 中国政府は27日未明までに外交ルートを通じ「容疑者の男を拘束した」と日本政府に伝達した。
 事件は発生から2年余りを経て解決へ向け大きく前進した。
 公安当局は犯行に使用した注射器などを発見した。呂容疑者は容疑を認めており、給料や待遇などの不満から犯行に及んだという。
 事件は「天洋」製のギョーザを食べた千葉、兵庫両県の3家族計10人が中毒症状を訴え、9人が入院したことで表面化。日中両国は捜査協力で合意したが、双方が自国でのメタミドホス混入の可能性を否定、中国側の捜査はいったん中断、難航していた。
 しかし「天洋」が回収したギョーザを食べた中国人がメタミドホスによる同様の中毒症状を訴える事件が発生し、事態は一変。中国側は天洋工場内で故意に混入された疑いが強いとみて国内捜査を再開し、生産ラインで勤務していた従業員や臨時工員らを中心に徹底追及を進めていた。
 天洋食品の問題のギョーザは、日本たばこ産業(JT)のグループ企業の「ジェイティフーズ」が輸入販売元となり、日本国内で売られた。

◎中国政府「日本を狙った犯行」説を否定、ギョーザ事件(2010年3月27日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国製冷凍ギョーザ事件で製造元の元臨時工員の男性が拘束されたことを受け、中国政府が26日夜、事件は「個人的な鬱憤(うっぷん)を晴らすためにギョーザに毒を混入させた。事件の真相は解明された」と日本側に伝えていたことが分かった。ギョーザ輸出先の日本に特別の恨みを持った犯行ではないとの見方を示したものだ。日本側は、中国での処罰を依頼する意向だ。
 日本の警察庁幹部や中国の新華社通信によると、犯行に使われたとみられる注射器2本が下水道から見つかり、中国の捜査当局に押収されていた。注射器には事件で検出された有機リン系殺虫剤メタミドホスが付着していた。
 拘束された呂月庭容疑者(35)はギョーザの製造元、河北省石家荘市の「天洋食品」で食堂の管理人をしていた。給与や、正社員になれないことに不満があり、ほかの職員との間にトラブルがあったとも供述しているという。
 天洋食品のギョーザの大半は日本向けだったため、事件当初は日本に恨みを持った犯行とする見方があったが、中国側としては「個人的な犯行」と位置づけた。
 呂容疑者は、捜査機関が検察当局の承認を経て行う刑事勾留(こうりゅう)の状態にあり、今後、逮捕、起訴へと進む見通しだ。
 事件発生直後は、中国側が「天洋食品の工場内で毒物が混入された疑いはない」と表明。日中双方が自国での毒物混入の可能性を否定する事態になった。しかし2008年夏、天洋製ギョーザで中毒症状を訴える事件が中国でも起き、中国内での毒物混入の疑いが強まった。中国の捜査当局は工場従業員を中心に調べを進めていた。
 27日付の中国の大衆紙は容疑者拘束を伝える新華社の配信記事を掲載したが、共産党機関紙の人民日報などは掲載せず、抑制的に扱おうとする当局の姿勢がうかがわれる。
 中国外務省の秦剛・副報道局長は27日、「中国警察当局が2年以上にわたり怠らず入念に捜査した結果だ。被害者にとって慰めとなるよう希望する」との談話を発表した。

◎「正社員になれず」毒ギョーザ事件、動機供述(2010年3月27日、読売新聞)
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、警察庁は27日、中国公安省からの情報として、逮捕された製造元「天洋食品」(中国・河北省)の臨時工・呂月庭容疑者(36)の周辺から2本の注射器が押収され、日本で中毒を起こした製品に混入していたのと同じ有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出されたことを発表した。
 中国公安省は、天洋食品の食堂の管理人をしていた呂容疑者が容疑を認めているとした上で、動機について「長期間、臨時工として勤務しても正社員にしてもらえなかった」と供述したと説明しているという。
 事件を巡っては、2008年1月に千葉、兵庫両県での被害が発覚した後、河北省でも、同年6月に同じ中毒被害が発生していたことが判明している。警察庁は、呂容疑者がどちらの事件で逮捕されたのかは「現段階では不明」としているが、外務省によると、中国側は容疑者が日本での中毒事件にかかわったことも伝えてきており、今後、「日本側が希望すれば共同捜査を行う用意がある」とも連絡してきたという。
 警察庁に呂容疑者逮捕の連絡が入ったのは27日午前0時。中国公安省は、「2本の注射器は下水道に捨てられていた」としているが、下水道がどの場所にあったのかなどは明らかにしていないという。呂容疑者の単独犯行かどうかについても、警察庁は「現段階ではわからない」としている。
 日中両国の間では犯罪人引き渡し条約が結ばれていないため、警察庁は呂容疑者が日本側の事件に関与していた場合、代理処罰の要請を検討する方針。また、2本の注射器から検出されたメタミドホスが、千葉、兵庫両県で被害が出たギョーザから検出された成分と一致するかどうか確認するため、捜査幹部の派遣も検討している。

◎毒ギョーザ、北京では低調報道、ネット警戒?(2010年3月27日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で容疑者が逮捕されたことについて、北京各紙は27日、1面に「対日輸出毒ギョーザは人為的な毒物混入によるもの」などと小さな見出しを立てる一方で、記事は中面に掲載した。
 記事の内容は、新華社通信が26日夜に報じたもので、独自取材に基づく記述はなかった。北京紙「新京報」は「中国が対日輸出ギョーザ中毒事件を解決」との見出しを掲げた。
 一方、インターネット上では、突然の容疑者逮捕を受け、「国際関係に悪影響を与えたとして容疑者は死刑になるのか」「中国の食品輸出に貢献するのか、打撃になるのか」などと、疑問を呈したり、懸念したりする書き込みがみられた。低調な報道は、中国当局が、ネット上で政府批判や反日ムードが広がるのを警戒して、報道内容を厳しく統制しているためとみられる。

◎毒ギョーザ、北京では低調報道、ネット警戒?(2010年3月27日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で容疑者が逮捕されたことについて、中国外務省は27日、「事件解決は、中国警察当局による2年余りに及ぶ、たゆまぬ入念な捜査の結果だ。被害者にとって慰めになるよう希望する」との報道官談話を発表した。

◎中国製食品、解けぬ警戒心、ギョーザ事件・容疑者拘束(2010年3月27日、朝日新聞)
 中国製食品がスーパーの店頭から姿を消し、検疫体制も揺るがした冷凍ギョーザ中毒事件の発覚から2年余り。容疑者拘束を受けても、消費者の警戒心が解かれるわけではない。影響を受けたメーカーや輸入業者は風評被害を恐れつつ、捜査の進展を見つめる。
 「捜査が進展したのはいいこと」。天洋食品(河北省)と取引のあった東京都内の輸入業者は、そう話した。
 「中国から安くいい商品が輸入され、日中両国ともにメリットがあったはずなのに、この事件でその関係が阻害されてしまった」と事件を振り返る。ただ、「両国ともに検査が厳しくなり、より安全な商品が入るようになったことはよかった」とも語る。
 別の東京都内の輸入会社では事件後、中国の工場と取引を始める際には毎回、商品サンプルの残留農薬の検査を実施している。事件後、卸し先の小売業者や外食業者から証明書の提出を求められるようになったためという。
 一時は激減した中国製品の取扱量は、中国企業の対応の厳格化や低価格への人気から次第に盛り返し、事件前の6割程度まで戻ったという。
 日本ハム(大阪市中央区)も業務用のソーセージなどを天洋食品から仕入れていた。「一般家庭の冷蔵庫にはないはずだったが、『うちのは大丈夫か』と問い合わせが殺到し、窓口がパンクした」。広報担当者は「原料検査などを強化しているが、わざと異物が入れられたような場合には対応が難しい」と話す。
 別の日本の大手食品メーカーは事件以降、中国の工場からの輸入品の品質管理をチェックする回数を増やした。同社は複数の国から商品を輸入しており、「工場では、まじめに働いている人がほとんど。中国産だから問題が生じたというより、製造現場との信頼関係をしっかり築くしかない」と語る。

・厚労省、水際対策に力
 厚生労働省は27日未明、外務省からの情報提供を受け、今後の対応の検討を始めた。厚労省のある幹部は「毒物を入れた経緯や手口が判明しないと、具体的な再発防止策が決められない。まずは詳細な情報が何よりも必要だ」と話した。
 同省は事件を教訓に、輸入冷凍加工食品の残留農薬調査を始めるとともに、水際対策を強化。食品衛生監視員を2008年から09年にかけて約30人増やすなどの対策を進めてきた。
 08年春からは北京の日本大使館に食品安全を担当する外交官を駐在させ、輸出当局の担当者との情報交換をしたり、同じような異物混入問題が起きた際に備えて情報収集に当たったりしてきた。
 別の幹部は注射器を使った手口について「検疫強化だけでは限界がある。普段からどういう体制で食品をつくっているのかにも注意する必要がある」と製造過程を確認する重要性を指摘する。
 また、事件を契機に08年6月にできた「輸入加工食品の自主管理に関する指針」では、輸入食品業者に対し、異物が紛れ込まないよう管理体制が整った工場で作られたものかどうかなどの確認を製造国でするように求めている。
 それでも異物入りの食品が国内に入り込む余地は残る。被害の拡大を少しでも防ぐために、健康被害につながる情報を素早くつかんで関係先に知らせる「食中毒被害情報管理室」を09年4月に新たに設置した。担当者は「検疫体制や通常の製造体制だけでなく、万が一入り込んだ場合でも、被害を最小限にするための工夫が必要だ」という。

◎ギョーザ事件進展、首相「中国側関係者の努力を評価」(2010年3月27日、朝日新聞)
 鳩山由紀夫首相は27日、中国製冷凍ギョーザ中毒で中国捜査当局が製造元の臨時工員だった男を拘束したことについて、「中国側関係者の努力を評価し、さらなる真相究明を期待する。引き続き中国側との間で意思疎通を密にし、相互に協力していく。本件が早期に解決し、日中関係がさらに発展することを期待する」とのコメントを発表した。
 一方、岡田克也外相は27日、拘束について「中国当局の大変な努力の結果、ここまでこぎ着けていただいた」と述べ、中国側の対応を評価した。三重県四日市市であった民主党選挙区支部大会で語った。岡田氏はまた、「(就任後)日中外相同士でこれまで4回会談してきたが、ギョーザの問題は一つの大きな問題だった」と振り返った。

◎ギョーザ事件、呂月庭容疑者、08年に一時拘束(2010年3月27日、朝日新聞)
 【石家荘(中国河北省)=峯村健司】中国の警察当局は発生当初から、天洋食品が雇っていた約850人の臨時工に焦点を絞って捜査してきた。全従業員に30万元(約400万円)という異例の高額報奨金付きで情報提供を呼びかけ、その結果、頻繁な賃金カットやリストラで、多くの臨時工が労働条件に不満を持っていたことがわかった。
 今回拘束された元臨時工の呂月庭容疑者(35)は2008年末に一度、捜査本部が拘束し、1カ月にわたり取り調べたが、釈放した経緯があった。捜査関係者は「逮捕に至る供述が得られなかった」と明かす。
 臨時工は農村出身の出稼ぎ者が多い。勤務時間は連日十数時間に及ぶが、月給は800元(約1万円)前後。事件直前にはストライキを起こした18人が解雇されていた。親会社からの分離・独立をめぐってもめ事もあった。
 だが、物証がないことが捜査の壁となった。
 捜査本部は同社の製造工場や倉庫内に設置していた防犯カメラの録画映像や出勤状況が記されている管理簿の分析を進め、問題となったギョーザが製造された2007年6月3日、10月1日と20日に出入りした者に重点を置いて事情聴取を進めた。しかし防犯カメラの映像に容疑者の姿はなく、メタミドホスの成分分析からも確定的な証拠は得られなかった。天洋食品をめぐるトラブルの多さも、動機面からの捜査を難しくさせた。
 事件発生から2年が過ぎても捜査態勢を維持。呂容疑者を含めた臨時工へのねばり強い聴取を進め、ようやく自供を得たものとみられる。日中首脳会談のたびに日本側が毎回、事件解決を強く求め、「日本政府や国民が事件をきわめて重く見ていることがよく伝わった」(中国政府関係者)といい、胡錦濤(フー・チンタオ)指導部がメンツをかけ、捜査部門に事件の解決を指示した結果ともいえる。

◎ギョーザ事件、急転拘束、輸入関係先「捜査見守る」(2010年3月27日、朝日新聞)
 農薬成分の混入した中国製冷凍ギョーザが全国の食卓を不安に陥れた事件が発覚して2年余。迷宮入りかと思われていた事件について、中国の新華社が「中国警察当局が容疑者の男を拘束した」と報じた。急転直下、真相は解明されるのか。
 中国・河北省の「天洋食品」の製品に、農薬成分メタミドホスは混入されていた。同社と取引のあった東京都内の輸入会社社長は、突然の容疑者拘束の一報に「どこまで確証があるのか分からないので、しばらくは経緯を見ていたい」と語った。
 この事件で、商品の回収を余儀なくされた。「天洋食品側からの補償も考えられないし、とにかく真相解明が遅すぎると感じる」
 事件は2008年1月に表面化した。中国側は当初、「中国国内で農薬成分の混入はない」としていたが、日本側の捜査で同年2月に、未開封のギョーザからメタミドホスが検出され、工場で混入された疑いが強まった。同年4月には、同社が回収したギョーザが河北省内の約20社に転売され、中国でも新たに被害が出た。
 事件を教訓に、輸入冷凍加工食品の残留農薬調査を開始した日本の厚生労働省は、食品衛生監視員を08年から09年にかけて約30人増やすなどの対策を進めてきた。同省のある幹部は「まだ情報は入っていない。今回の男が本当の犯人で、どうやって毒物を入れたのかが判明すれば、具体的な再発防止策をとれる可能性が出てくる」と話し、今後の捜査の行方に注目している。
 当時の子会社がギョーザを輸入していた日本たばこ産業(JT)の広報担当者は「報道を通じて情報は承知しているが、詳細は知らない。会社としては、捜査の進展を見守りたい」とコメントした。

◎冷凍ギョーザ事件、中国当局、35歳の元臨時工員を拘束(2010年3月27日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国政府は26日夜、2008年1月に起きた中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、日本向け輸出用ギョーザに毒を入れたとして、製造元の臨時工員だった中国人の男を捜査当局が拘束した、と日本政府に通告した。日中間の外交問題に発展した食の安全をめぐる事件は、発生から2年余りで大きく進展した。
 新華社通信などによると、男はギョーザの製造元である河北省石家荘市の「天洋食品」の元臨時工員で同省出身の呂月庭容疑者(35)。取り調べに対して容疑を認めている。捜査当局は多数の目撃証言も得たとしている。
 また日本の警察庁幹部が中国側の説明として語ったところでは、呂容疑者は食堂の管理人をしており、長期間、臨時工をしていても正社員になれないことが不満だったと供述。犯行に使われたとみられる注射器が2本、下水道に捨てられていたのが見つかり、注射器には事件で検出された有機リン系殺虫剤メタミドホスが付いていたという。
 呂容疑者は、捜査機関が検察当局の承認を経て行う刑事勾留(こうりゅう)の措置がとられた状態にあり、今後、逮捕、起訴の手続きがとられる見通しだ。
 事件は08年1月、天洋食品製の冷凍ギョーザを食べた千葉・兵庫両県の10人が中毒症状を訴えたことで発覚。一時は日中双方が自国での毒物混入の可能性を否定する事態になったが、同年夏、天洋食品製ギョーザを食べて中毒症状を訴える事件が中国でも起き、中国内での毒物混入の疑いが強まった。日本側は事件の早期解決を求め、両国間の重要外交課題となった。
 この事件の発覚後も、中国製の粉ミルクやピザ生地、卵などから有害物質メラミンが相次いで検出される問題が起きた。日本側に中国食品に対する強い不信感を植え付けたほか、中国の国内でも食の安全に対する関心が高まった。
 27日付の中国各紙は一様に容疑者拘束を伝える新華社の配信記事を掲載した。

◎下水道から注射器2本、ギョーザ事件容疑者の素性(2010年3月27日、スポーツニッポン)
 中国公安省は26日、2008年1月に発覚した中国製ギョーザ中毒事件で、ギョーザに有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を混入させたとして、ギョーザ製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)の元臨時工、呂月庭(りょ・げつてい)容疑者(36)=河北省出身=を拘束したと発表した。新華社が伝えた。
 日本の警察庁幹部は27日未明、犯行に使われたとみられる注射器2本が下水道から見つかり、メタミドホスが付着していたと中国外務省が在北京日本大使館に伝えてきたことを明らかにした。
 日中間の一大懸案に発展した事件は発覚から2年2カ月ぶりに、解決へ向けて大きく前進した。
 警察庁によると、中国外務省からの連絡では、注射器は下水道に捨てられていたとみられ、供述に基づき見つかったという。
 警察庁や新華社電によると、呂容疑者は出稼ぎのため天洋食品で働いていたとみられ、食堂の管理人だったが「長期間勤務しても自分と妻を正社員にしてもらえなかった」などと供述。ほかの従業員とのトラブルもあったという。

◎ギョーザ中毒事件被害のJT「状況が分らない」(2010年3月27日、スポーツニッポン)
 中国製ギョーザ中毒事件をめぐり、グループ会社の扱っていた冷凍食品が被害を受けた日本たばこ産業(JT)は27日未明、「報道を通じて情報を知ったが、全く状況が分からない。捜査の状況を見守りたい」(IR広報部)と話した。

◎毒ギョーザ事件、元臨時工の中国人の男拘束(2010年3月27日、スポーツニッポン)
 中国の警察当局は26日までに、2008年1月に発覚した中国製ギョーザ中毒事件で、ギョーザに毒を入れたとしてギョーザ製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)の元臨時工、呂月庭(りょ・げつてい)容疑者(36)=河北省出身=を拘束した。公安当局は犯行に使用した注射器などを発見。事件は発生から2年余りを経て解決へ向け大きく前進した。
 新華社電によると、呂容疑者は容疑を認めており、給料や待遇などの不満から犯行に及んだという。中国政府は27日未明までに外交ルートを通じ「容疑者の男を拘束した」と日本政府に伝達した。
 事件は「天洋」製のギョーザを食べた千葉、兵庫両県の3家族計10人が中毒症状を訴え、9人が入院したことで表面化。日中両国は捜査協力で合意したが、毒物の混入場所をめぐり「中国国内」と主張する日本当局と、日本国内を強く示唆した中国当局の対立が表面化。中国側の捜査はいったん中断、難航していた。
 しかし「天洋」が回収したギョーザを食べた中国人がメタミドホスによる同様の中毒症状を訴える事件が発生し、事態は一変。中国側は天洋工場内で故意に混入された疑いが強いとみて国内捜査を再開し、生産ラインで勤務していた従業員や臨時工員らを中心に徹底追及を進めていた。
 日本政府は今後、中国の関係当局から動機や犯行の具体的な状況について詳しく事情を聴く方針だ。近く中国に協力を求めるとみられる。
 メンツを重視する中国が当初の主張を転換し、決着を図ろうとしていることに、外務省幹部は「全面解決のきっかけになることを望んでいる」と歓迎した。
 一方、共同電によると、日中外交筋は「中国当局から逮捕の予兆は感じられなかった。唐突な感じを受ける」と指摘。一連の捜査の在り方が適正だったかどうかなど、真相把握するまでに一定の時間がかかるとの見方を示した。
 天洋食品の問題のギョーザは、日本たばこ産業(JT)のグループ企業の「ジェイティフーズ」が輸入販売元となり、日本国内で売られた。

◎「中国市民、危険にさらす」ドメイン提供停止の米社幹部(2010年3月26日、朝日新聞)
 【ワシントン=尾形聡彦】インターネット上の住所に当たるドメイン名の提供サービス最大手、米ゴーダディーのクリスティーヌ・ジョーンズ上席副社長が24日、朝日新聞のインタビューに応じた。中国のドメイン名「.cn」の新規提供の停止を決めた理由について「中国市民を危険にさらすなら、むしろドメイン名そのものを販売しないほうがいいと判断した」と語った。
 ジョーンズ氏は24日、米議会の特別委員会に出席。中国当局が昨年12月以降、利用者の顔写真や、利用者の署名が入った書類の提出などを求めてきたことを明らかにした。その後のインタビューでジョーンズ氏は「我々の最大の懸案は、利用者の安全性が守られるかどうかだった」と説明。中国当局への情報提供は「中国の市民が、ネット上の匿名性やプライバシーを守る力を完全にそぐことになる」とも述べた。
 中国側が既存の利用者についても同様の情報を出すよう求めてきたため、ゴーダディーは顧客に意向を聞いたという。承諾したのは2割にすぎず、「残り8割は、(中国当局側によって、ドメイン名が)使用中止にされる可能性がある」という。
 米企業の間では、中国本土での検索事業から撤退したグーグルに追随する動きが今後も広がる可能性がある。
 「グーグルの放った一撃が世界に響き渡り、いまや2番目の米企業がそれに続いた」。米議会の特別委員会では議員から、ゴーダディーの表明を称賛する声があがった。
 英テレグラフ紙(電子版)は、デルのマイケル・デル最高経営責任者と会談したインドのシン首相の話として、デルがパソコン部品の調達先を中国からインドに移すことを検討していると伝えた。「より安全な場所に」がその理由で、グーグル、ゴーダディーに続く動きとして報じている。

◎中国で「グーグル離れ」相次ぐ、ネット業者、検索機能排除も(2010年3月25日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国や香港の通信ネットワーク業者の間で、自社のサービスに組み込んだ米グーグルの技術や検索機能を排除する動きが広がっている。
 25日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、中国の通信大手、中国聯通(チャイナユニコム)が、新型の携帯端末に搭載予定だったグーグル製の基本ソフト(OS)「アンドロイド」の利用を見送ると報じた。同社は「われわれは中国の法律を順守する企業と仕事をしたい。グーグルとは当面、かかわりをもたない」としている。
 また、香港からの報道によると、中国本土向けにサービスを提供している香港の有力ポータル(玄関)サイトTOMは、自社サイト内に置いていたグーグルの検索機能を取り除いた。
 TOMは華僑社会で最も成功した人物として知られる香港の李嘉誠氏が率いる長江実業傘下の企業。李氏は中国共産党の指導者層や中国当局と親しい関係にある。香港メディアはTOMが中国に対する政治的配慮からグーグルとの関係を断ったとの見方を伝えた。
 中国や香港で今後、中国当局を敵に回したくない企業などによる「グーグル離れ現象」も懸念される。

◎人民元で初の貿易決済、三菱東京UFJ銀行(2010年3月25日、産経新聞)
 三菱東京UFJ銀行は25日、日本と中国の間の貿易で、初めて人民元建ての決済を成立させたことを明らかにした。同銀が24日、インキ最大手DIC(旧大日本インキ化学工業)の中国現地法人から日本本社への代金支払いを扱った。
 日本国内で人民元が扱えないため、決済と同時に同銀がドルに替え、日本本社の口座に入金した。為替リスクは日本の本社が管理することになり、中国法人は現地で円やドルに替えなくてすむという。
 中国政府は昨年7月、人民元の国際化に向け、人民元による貿易決済を一部で解禁。今後も利用を検討する企業が出てくるとみられ、同銀は「今は試行の段階だが、これからも取引先との間で実施していきたい」としている。

◎中国のドメイン名「.CN」の新規提供停止、米の企業(2010年3月25日、朝日新聞)
 【ワシントン=尾形聡彦】インターネット上の住所に当たるドメイン名の提供サービスで世界最大手の米ゴーダディー(本社・アリゾナ州)が24日、中国のドメイン名である「.cn」の新規提供を停止すると発表した。インターネット検索の米グーグルが、中国本土での検索事業から撤退したのに続く動きで、米企業と中国当局との摩擦が拡大している。
 ゴーダディーのジョーンズ上席副社長が24日、米議会の特別委員会「中国に関する議会・政府委員会」に出席して発表した。
 ジョーンズ副社長によると「.cn」のドメイン名の提供サービスは、中国政府系の管理団体の認可を受けて、2005年から行っている。従来は、ドメイン名を利用してホームページを開設する個人の名前や住所、電話番号や電子メールを当局に提供すればよく、他国での運用と変わりなかった。
 ところが中国側は昨年12月に規制を大幅に強化。新規の利用者に対しては、カラーの顔写真、利用者の署名が入った申請用紙などの提出を求め始めた。さらに今年に入って、既存の中国人利用者についても、同様の情報を提供するよう求めたという。
 ジョーンズ副社長は新規提供をやめる理由について「利用者個人の安全性に懸念が生じているため」と説明。公聴会では議員から「ゴーダディーは、グーグルに続く初めての企業だ」と評価する声が相次いだ。
 ゴーダディーは、4千万以上のドメイン名をサービスする世界最大手。「.cn」については、中国人など約2万7千件の利用があるという。

・ドメイン提供会社
 インターネット上の住所(アドレス)に当たる「.COM」「.JP」といったドメイン名の使用権を、個人や企業に提供する会社のこと。ドメイン名は国際団体「ICANN」が統括。提供会社は、ドメイン名を個別に管理する団体を通じて、個人などへのサービスを行っている。日本でもネットプロバイダー会社などが提供している。

◎中国の検閲、「1企業では対処できぬ」、グーグル幹部(2010年3月25日、朝日新聞)
 【ワシントン=尾形聡彦】米インターネット検索最大手グーグルの幹部が24日、中国本土での検索事業の撤退問題を議題とする米議会の公聴会に出席した。グーグル側は「政府はネットの自由を守るためにもっと努力すべきだ」とし、米政府による外交面での支援を強く訴えた。これに対し、中国側は「グーグルは約束に違反した」と異例の声明を寄せた。
 公聴会を開いたのは、中国の人権問題を監視する米議会の特別委員会「中国に関する議会・政府委員会」。グーグルの米公共政策部門責任者のアラン・デビッドソン氏は、22日に中国版サイトを停止し、香港版に自動転送される仕組みにしたことについて、「困難な決断だった」と説明。「一企業や一業界では、インターネット検閲の問題には対処できない」とし、ネット上の検閲を外交や通商問題として取り扱い、ルールなどを整備すべきだと訴えた。
 さらに、香港版に対して断続的な検閲を受けていることも明らかにした。
 中国政府は、公聴会に対し、「外国企業は中国国内で事業を行う際には、中国の法律や規制に従う必要がある」との声明を送付した。米議会の特別委は10年ほど前に設置されたが、中国側が声明を送ってきたのは初めてという。
 出席した議員からは、グーグルに対し「注目に値する歴史的な行動だ」「他社にとっての素晴らしい模範になった」と称賛する声が相次いだ。

◎中国、18分野の報道禁止、グーグル撤退直前に通達(2010年3月25日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国メディアを管理する共産党中央宣伝部が、人民元の切り上げをめぐる対中批判や食品安全事件など、18分野の報道や独自取材を禁じる通達を報道各社に出していたことがわかった。米インターネット検索最大手のグーグルが中国本土での検索事業の撤退を表明する直前、大衆が不満を募らせる問題の報道を抑え込む異例の通達に踏み切っていた。中国筋が明らかにした。
 通達は劉雲山・共産党中央宣伝部長名で、21日に主要な新聞、テレビ、ラジオ、インターネットニュース各社にファクスで送られた。日曜日にこうした動きがあるのは異例。グーグルが22日に撤退を発表するとの情報を中国当局が事前につかんだため、急きょ通達を出したのだという。
 規制の内容は、2008年の北京五輪の直前に実施された規制を上回る「過去最大規模」(中国メディア幹部)。グーグル問題で米国は中国のネット検閲の中止を求めていたが、こうした敏感な問題で国内の世論を統一し、メディア規制を緩めることはしないという姿勢を明確に示す狙いがあったとみられる。
 劉部長は通達の中で、特に重要な事項として、米国が中国への圧力を強めている人民元の対ドルレート切り上げ問題を挙げた。米議員らによる中国批判の発言などを報じることを禁止。グーグル問題と同様、基本的に新華社通信の記事だけを使うよう定め、評論記事を書く場合は「米国の対応を批判する内容にするように」と強調した。
 このほか対象となった分野は、いずれも庶民が不満を募らせている問題で「報道が過熱すれば当局批判につながりかねない」(党関係者)との危機感がうかがえる。
 大手新聞社関係者は「読者の関心が高い内容がほとんど禁止され、何を報道すればいいのかわからない」と話す。インターネットニュース幹部は「グーグル問題が中国のメディア規制を結果として強めてしまった」とみている。
 中国外務省の秦剛・副報道局長は23日の定例会見で「国家の安全を害する情報を防ぐため、法にのっとったネット管理を緩めることはありえない」と断言している。

◎中国各紙、グーグル問題を抑制的に報道、対米配慮も(2010年3月24日、産経新聞)
 24日付の北京青年報など中国各紙は、米インターネット検索大手グーグルが中国本土での検索サービスから撤退を発表したことについて、新華社電を引用して中国の立場を指摘する一方、「中米関係に結び付けて考えるべきではない」と強調するなど抑制的に報道した。
 中米関係での政治問題化を避けたい中国当局の意向が反映された形。
 京華時報は「グーグル問題は自由の問題とは関係がない」と論評。他紙と同様に新華社電も引用し、政府がグーグルに不満と憤りを表明したと指摘するとともに、政治問題化には断固反対するとの立場を強調した。
 第一財経日報は1面トップだったが、撤退に関する事実関係を報じるにとどまった。

◎中国の出稼ぎ労働者「農民工」は2億3千万人、国家統計局が発表(2010年3月24日、産経新聞)
 新華社電によると、中国国家統計局は23日、2009年の農村から都市部への出稼ぎ労働者「農民工」の総数が前年比1.9%増の2億2978万人だったと明らかにした。平均賃金は、5.7%増の月1417元(約1万9千円)。
 工場が集中する南部広東省の珠江デルタ地帯の農民工は3282万人と、前年比で22.5%減った。金融危機で内陸部に帰郷した農民工が、政府の景気対策で地元で就業するなどしたことが減少の原因とみられる。

◎「グーグル撤退困らない」中国、国産で対抗(2010年3月24日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】米検索大手グーグル社の撤退で議論の渦中にある中国のインターネット業界では、国外の各種ネットサービスの「代替物」として、検閲に協力的な国産サイトの政府による育成が進み、利用が拡大している。
 ネット上では、同社の撤退後も「日常生活での不便は感じない」などとする利用者が増え、当局主導の統制は巧妙に進んでいる。
 「政治に興味はないし、グーグルがなくても問題はない」。北京の大学で学ぶ男子学生(21)は説明した。代わりとなる検索サイトは中国の「百度(バイドゥ)」があり、市場占有率は5割を超える。検索結果の検閲も気にせず、「情報は十分だ」と話す。
 中国では、言論統制の及びにくい米国などの新形態のネットサービスが出るたびに当局が接続遮断などを行いつつ、中国版「代替物」の普及を図って、国内市場で着実に成長させてきた。当局も、約4億人のネット利用者が管理統制された各種の「代替物」サイトに慣れ、不便を感じないように誘導を図っている。
 中でも急成長しているのは、中国で接続が遮断されている動画サイト「ユーチューブ」の代替版である「土豆網」だ。同社のサイトによると、1日平均の新規動画配信数は計4万件を超えるという。
 また、中国の電子商取引では「アリババ」が世界240か国・地域に1000万以上の会員を抱える。ネットオークションの「淘宝網」も会員数は1億4500万と急拡大を遂げた。
 共産党機関紙・人民日報などが運営するサイトは23日、グーグル社の撤退を歓迎する意見が多数を占めた。当局の意向で世論誘導を狙う「やらせ」の書き込みも多いとみられるが、その中で目立つのは「グーグルがなくても、ほかのサイトがあるので困らない」と実害がないことを殊更に強調する意見だった。
 北京の情報産業で働く米国人技術者は「中国当局は、クローンのような国産『代替物』を普及させている。いずれも当局の統制に従順な企業ばかりで、ネット管理も巧妙化している」と指摘する。
 一方、グーグル社に期待していたネット利用者は規制強化を懸念している。民主活動家の男性(37)は「当局は、グーグルが中国を自主退去するように追い込んだ。今後は国内の代替サイトに対しても統制を強めるだろう」と話している。

◎グーグル擁護、掲示板から削除、ネット統制緩めぬ中国(2010年3月24日、朝日新聞)
 米インターネット検索最大手のグーグルが、中国本土での検索事業から撤退することとなった。「ネットの自由」を掲げる米国と、「ネット管理は当然」とする中国。双方の立場が折り合う余地はないようにみえる。

・米の批判に反発、協議決裂
 中国政府の反応は素早かった。グーグルが中国からの撤退を発表して2時間余りが過ぎた23日午前5時過ぎ、国務院新聞弁公室が「グーグルの道理のない非難とやり方に不満と怒りを表明する」との談話を発表。新華社通信が「米国による、企業活動の政治問題化に反対する」という評論記事を配信した。
 中国政府関係者は「前日の22日までにグーグル側の動きはつかんでおり、周到な準備をしていた」と明かす。
 グーグルが今年1月、中国側の要請による自己検閲を続けることはできないなどと表明した当初、中国政府は冷静な対応に努めた。しかし、米国政府が批判を強めると反発。中国当局者とグーグルとの協議は決裂した。
 中国共産党中央宣伝部は23日朝、各メディア幹部に「グーグル側を批判する評論記事を掲載するように」との内部通達を出した。テレビやインターネットのニュースは新華社の記事や国務院新聞弁公室の声明を繰り返し伝えた。
 ネット掲示板上のグーグル擁護の書き込みはほとんど削除され、「中国人の尊厳を傷つけたグーグルは去れ」「グーグルを使わないようにしよう」と非難一色になった。
 グーグルは、中国版サイトにアクセスすると香港版に転送される措置をとった。しかし、中国からのネット利用では香港版でも天安門事件関連の画像などを見られず、香港版サイト自体にもつながりにくくなった。当局が規制を強めた可能性がある。
 中国外務省の秦剛・副報道局長は23日の会見で「中国政府は法にのっとってインターネット管理をしており、この立場がゆらぐことはありえない」と述べ、ネット統制の手を緩めないことを強調した。

・オバマ政権、WTOへの提訴模索
 「検閲の撤廃という約束をどうしたら果たせるのか模索してきたが、難しかった」
 グーグルのデビッド・ドラモンド最高法務責任者は22日、中国撤退を表明した声明で、こう説明した。
 グーグルにとっては今後の成長に水を差しかねない決断だ。世界最大手とはいえ、中国では地元の「バイドゥ(百度)」に検索シェアで大きく離されていた。裏を返せば、中国は成長の伸びしろが大きい市場のはずだった。だからこそグーグルは、検索事業以外では中国にとどまることを強調した。
 グーグルに追随し、中国政府に表だって抵抗しようとした米企業は今のところない。中国市場の魅力を重視しているためとみられる。ただ、中国の強硬姿勢があらわになったことで、企業イメージを曲げずに中国とぶつかる事例が今後出てくる可能性はある。
 米ホワイトハウス国家安全保障会議のチャン副報道官は22日、「我々はインターネットの自由を支持し、検閲に反対する。表現の自由と情報アクセスの自由は国際的に認められた権利だ」と、意義付けを強調した。
 イランなどの強権国家で民主化を促す手段となりうる「ネットの自由」は、オバマ外交の金看板だ。クリントン国務長官は1月の演説で中国を名指しし、「検閲はどんな企業でも、どこからでも、いかなる方法でも受け入れられるべきではない」と述べ、中国に検閲中止を求めた。
 米国内ではグーグル擁護の声が強い。オバマ政権は「ネット検閲は不公正な貿易障壁に当たる可能性がある」として世界貿易機関(WTO)への提訴を検討中。実際に踏み切るかどうかが次の焦点だ。
 一方、1月以降、台湾への武器売却決定や、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世とオバマ大統領との会談で悪化した対中関係の立て直しも急務だ。国務省のクローリー次官補は22日、「グーグルのビジネス上の決定で、我々は当事者ではない」と中国を刺激したくない思いもにじませた。5月に開かれる閣僚級の米中戦略・経済対話や、米中人権対話といった場で軟着陸を探る可能性もある。

◎中国政府、グーグルを批判「撤退は自らの事情」(2010年3月23日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国の国務院(政府)新聞弁公室当局者は23日、米ネット検索最大手グーグルの撤退表明に対し、「グーグルは中国市場に参入した際の書面での承諾に背き、ネット検索での検閲を停止し、サイバー攻撃を巡って中国を責めた」と述べたうえで、「これは完全な誤りだ」と批判した。国営新華社通信が伝えた。
 同当局者は「我々は商業問題の政治化に断固として反対し、不満と憤慨を表明する」とも反発した。同当局者によると、中国政府は1月29日と2月25日の2度にわたってグーグル側と接触し、中国側の考えについて「我慢強く詳細な説明」をしたという。
 同当局者は「グーグルが中国での検索事業から撤退するのは、グーグル自らの事情だ」と突き放した。
 その一方で「(中国政府は)対外開放の方針を堅持する。外国企業が中国のインターネットの発展にかかわることは歓迎する」と述べたが、「外国の企業が中国で活動する場合、中国の法律や規則に従わなくてはならない」ともクギを刺した。

◎グーグル、検索以外は中国残留、成長期待、拠点残す(2010年3月23日、朝日新聞)
 【ニューヨーク=丸石伸一】米グーグルが22日、中国本土で運営してきた中国版の検索サイトを閉鎖した。検索事業に関しては中国からの「撤退」に踏み込み、自由にこだわる強い姿勢を見せた。ただし、その他の事業は中国に残し、巨大市場での成長の芽を温存する。
 グーグルが22日発表した声明では、研究開発や営業の拠点は残して開発や販売活動は今後も続けることを明らかにし、中国市場での事業を維持することも強調した。
 グーグルは北京と上海、広州の3都市に拠点を置き、中国本土で計約600人の従業員を抱える。このうち半数の300人はエンジニアで、技術開発を担当している。技術者の雇用と研究開発拠点の維持を打ち出したのは、中国でのサービス拡大の余地を残す戦略とみられる。
 グーグルは、携帯電話向けの基本ソフト(OS)事業を展開し、端末開発自体にも乗り出したばかり。今回の検索サービスをめぐる問題で、中国での携帯電話機の発売はいったん延期されたが、成長が期待できる市場からの全面撤退を避けることも、グーグルには重要な決断だったとみられる。
 それでも主力事業の検索サービスでは、中国本土での運営をあきらめざるをえなかった。自己検閲の撤廃について中国政府から譲歩を一切引き出せなかったのに加え、グーグルのサイトへの中国国内からのサイバー攻撃が激しくなっていたことも大きな理由だ。
 グーグルは22日の声明でも、同社をはじめ20社以上の米企業がサイバー攻撃の被害を受けていると指摘し、中国政府に改めて改善を求めた。サイバー攻撃によって、グーグルは知的財産権の一部が盗まれたとされており、事業継続が難しい状況にあったとみられる。だが、中国からのサイバー攻撃について中国政府は「絶対にありえない」などと強く反発しており、両者の協議は平行線のままだったようだ。

◎グーグル、中国本土撤退、香港拠点検索サービス(2010年3月23日、読売新聞)
 【ラスベガス=池松洋、北京=幸内康】インターネット検索世界最大手の米グーグルは22日、中国本土でのネット検索事業から撤退し、同日から香港を拠点とする同社サイトで検閲抜きの検索サービスに切り替えたと発表した。
 検索結果の表示を制限する自主的な検閲を求める中国政府との協議が不調に終わり、「ネットの自由」が保障されない状態で検索サービスを継続するのは困難と判断した。
 中国本土でグーグルの中国語検索サイトに接続しようとすると自動的に香港版に転送される。香港版ではグーグルが自主規制した語彙が表示され、ニュースや画像の自主検閲も行わない。グーグルのデビッド・ドラモンド最高法務責任者は中国本土からの検索事業撤退について声明で「中国政府はグーグルが行う自主検閲は法律で定められており、撤廃を求めても交渉の余地はないとの姿勢を崩さなかった」と説明した。

・中国が非難談話
 一方、中国国務院新聞弁公室は23日、「グーグルの道理のない非難とやり方に不満と怒りを表明する」との談話を発表した。
 グーグル側は「中国政府が我々の判断を尊重することを期待する」と理解を求めたが、香港経由の検索サービスを遮断したり、検閲を行ったりするかどうかについて、現時点で中国政府は方針を明らかにしていない。
 グーグルは1月、中国本土からの組織的なサイバー攻撃や中国政府による検索結果の自主検閲強要を不満として、中国からの撤退を検討すると表明していた。
 中国で事業展開する検索サービス企業は、政府の要請で検索結果の表示を自主制限しており、1989年の天安門事件、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世など人権問題に関する情報が基本的に検索できない。グーグルが中国からの撤退検討を表明した1月12日以降は、こうした情報が一時的に検索できるようになったが、23日午前の時点では再び検索できなくなっている。

◎グーグル、中国本土での検索撤退、自己検閲の継続を拒否(2010年3月23日、朝日新聞)
 【ニューヨーク=丸石伸一】米インターネット検索最大手のグーグルは22日、中国本土でのネット検索サービスを同日から停止したと発表した。検索を制限する検閲の撤廃を中国政府が認めないことがはっきりしたため、中国本土では検索事業からの「撤退」を決めたという。
 表現の自由が制限されていることを理由に、中国外の大手企業が中国での事業を閉鎖するのは極めて異例。この問題では米政府も中国政府を批判しており、米中間の摩擦がさらに強まる可能性がある。
 グーグルによると、同社は22日、中国当局が望まない検索結果の表示を自主的に削除する「自己検閲」をかけていた中国版の検索サービスを停止。中国版のサイト「Google.cn」にアクセスしようとすると、香港版の「Google.com.hk」に自動的に転送されるようにした。香港版は、グーグルが香港にあるサーバーを使って運営しているサイトで、中国語の画面が表示され、自己検閲なしに検索できるようにした、としている。
 23日午前、北京から香港版へのアクセスは不安定になっている。また「天安門」を検索すると、1989年の天安門事件に関するサイトも検索結果リストには表示されるが、サイト本体を見ようとしても多くがつながらない。
 今回の措置について、グーグルは22日の声明で「合法的であり、中国の人々が情報にアクセスする機会を増やすものだ」と説明。「中国政府が我々の決定を尊重することを望む」としている。一方で、香港版への中国本土からのアクセスについて「いつでも妨げることができることは十分承知している」とし、中国政府が今後、香港版を中国本土では見られないようにする可能性を示唆した。
 グーグルは今年1月、中国版の検索サイトへのサイバー攻撃が激しくなっていることや、検閲が続いていることを理由に、中国版検索サイトや中国の現地法人を閉鎖する可能性があると発表。人権関連サイトの表示をしないようにするなどの自己検閲を中国側の要請で実施し続けることは、これ以上受け入れられないとして、中国政府の対応の見直しを求めていた。
 だが、グーグルによると、自己検閲の撤廃について、中国政府が「交渉の余地のない法的な要件であることを非常に明確にした」ため、中国本土で検閲なしの検索サービスを提供することを断念せざるをえなくなったという。

◎政府が検閲か、グーグル、検索の多く利用できず(2010年3月23日、スポーツニッポン)
 米ネット検索大手グーグルが中国本土のサイトへのアクセスを自動的に香港のサイトに転送するサービスを開始した23日午前、中国国内で利用者が検索した結果の多くが表示されない不安定な状態となった。グーグルが中国政府の要請を受けた自主的な検閲を停止したため、政府が直接、検閲に乗り出した可能性がある。
 香港のサイトを訪れると、「グーグル検索の中国の新しい家にようこそ」と表示される。しかし、検索すると、政治的に敏感な「(チベット仏教最高指導者の)ダライ・ラマ(14世)」「天安門」などの語句に対しては結果が表示されず、他の言葉でも表示されない場合が多くなっている。

◎中国政府、グーグルに「完全に誤っている」(2010年3月23日、スポーツニッポン)
 中国政府でネットを管理する国務院新聞弁公室当局者は23日発表した談話で、米検索大手グーグルが香港のサイトで検閲のないサービスを提供すると発表したことについて「中国市場進出時の約束に背いて検閲を停止し、ハッカー攻撃で中国を責めるのは、完全に誤っている」と強く反発した。新華社が伝えた。
 当局者は「外国企業が中国で経営を行うには、中国の法律を必ず守る必要がある」とあらためて表明。その上で「商業問題の政治化には断固として反対だ」と強調した。
 当局者によると、1月29日と2月25日の2度にわたり中国政府の担当者とグーグルの責任者が接触。中国側は「誠意を示した」と主張している。
 一方で、中国に進出する外資系企業から事業環境悪化の懸念が出ていることについて「対外開放の方針は堅持する。外国企業が中国のインターネットの発展にかかわることは歓迎する」と述べ、影響を最小限に食い止めたい意向をにじませた。

◎グーグル、香港経由でサービス提供、ただ中国政府は(2010年3月23日、スポーツニッポン)
 米インターネット検索大手グーグルは22日、北京を拠点に展開してきた中国語のネット検索サービスについて、検閲を避けるため香港経由で提供を始めたと発表した。中国本土の検索サイト利用者は自動的に香港のサイトに転送され、検閲のないサービスを利用できるとしている。
 グーグルは1月、検閲の中止を求めて中国政府と協議入りし、認められない場合には中国事業からの撤退を検討すると発表。しかし「進出企業は中国の法に従うべきだ」と検閲を譲らない中国政府との交渉は難航していた。今回のグーグルの決定は両者の妥協点を探る苦肉の策といえる。
 ただ「中国政府がわれわれの決定を尊重するように望む」というグーグルの方針を中国政府が承認するかどうかは不透明だ。中国政府の対応次第では、グーグルが事実上の事業撤退を迫られる可能性もある。

◎被害者親に「責任追及すれば殺す」とメール、中国、ワクチン異常死で(2010年3月22日、産経新聞)
 中国山西省でB型肝炎などのワクチンを接種した子供に異常が現れ、少なくとも4人が死亡したとされる問題で、被害者の親らが「責任追及を続けると殺す」と何者かにメールや電話で脅迫されていたことが22日、分かった。
 同日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、脅されたのは10人以上。脅迫があったのは21日で「騒ぐのをやめろ」と要求し、従えば「10万元(約130万円)を渡す」とする一方、従わなければ「家に放火して皆殺しにする」などと脅した。
 親らは、ワクチンの管理がずさんだったほか、地元保健当局とつながりのある無資格の業者がワクチン販売を手掛けていたと抗議していた。同紙の調べでは、脅迫は安徽省阜陽市で契約された携帯電話が発信元という。

◎「一企業が国家の権威に挑戦するのか」、中国メディアがグーグル批判(2010年3月21日、産経新聞)
 中国共産党機関紙、人民日報のウェブサイト「人民網」や国営通信、新華社の「新華網」は21日までに、中国市場から撤退するかどうかが焦点となっている米インターネット検索大手グーグルについて「一企業が国家の権威に挑戦しても成功するはずがない」などと強く批判する論評を掲載した。
 「グーグルは自ら袋小路に入り込んだ」と題する論評は、中国政府が「撤退の脅し」を受けて「特定の企業(の要求)にゴーサインを出すことはあり得ない」と断言。「脅し」を使ったグーグルは時代錯誤で「中国を見誤った」と批判した。
 また、グーグルは中国市場に残れば大恥をかくし、撤退すれば企業の発展戦略の大失敗になると指摘した。

◎中国、強まるインフレ懸念、2月消費者物価2.7%上昇(2010年3月11日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国国家統計局が11日発表した2月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月と比べて2.7%上昇した。2008年10月(4.0%)以来1年4カ月ぶりの高い伸び。温家宝(ウェン・チアパオ)首相が5日の政府活動報告で今年の年間目標として掲げた「3%前後」に迫っており、インフレ懸念が強まりそうだ。
 CPIの前年同月比での上昇は4カ月連続で、1月(1.5%)より上昇率は拡大した。なかでも庶民生活への影響が大きい食品の価格は前年同月比6.2%上昇した。
 中国人民銀行(中央銀行)は、金融機関から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を今年に入って2回引き上げたが、インフレ懸念はぬぐい切れていない。人民銀が11日発表した2月の貸し出し増加額も7001億元(約9兆3千億円)となり、この2カ月で2兆元以上増えた。
 人民銀の周小川総裁は6日の記者会見で「金融政策は経済指標次第で調整する必要がある」と述べ、今後の利上げに含みを持たせた。
 市場では金融引き締めへの警戒感が強まっており、11日の上海株式市場でも、代表的指数の上海総合株価指数が、CPI発表後に一時的に大きく値を下げる局面があった。

◎中国の食用油、1割が有害、廃油再利用で発がん性(2010年3月21日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国で使用されている食用油の約1割が、厨房などから捨てられた廃油を精製し、再利用した有害な油であることが専門家の調査でわかった。
 「食の安全」などを担当する国家食品薬品監督管理局が全国各地の監督部門に対し、飲食店での有害油の使用禁止を徹底するよう通達を出した。中国紙「中国青年報」などが伝えた。
 調査を行ったのは、武漢工業学院の食品科学の専門家ら。それによると、中国では、毎年、年間食用油消費量約2250万トンの約1割にあたる200~300万トンもの再生油が食卓に上っている計算になる。再生油には、発がん性の高い物質が含まれているという。
 生産コストが1トン当たり300元(約4000円)と安く、業者の利益が大きいことが悪徳ビジネスのはびこる理由で、再生油の80%は経済発展の遅れた農村などで売られているという。
 中国政府は今年2月、李克強・筆頭副首相をトップとする「食品安全委員会」を設立し、「食の安全」対策に力を入れ始めたが、有害物質メラミン入り粉ミルクが再び出回るなど問題は山積したままだ。2月の調査で、期限切れやメラミン含有検査を受けていない問題のある粉ミルクは約2万5000トン発見されている。

◎中国の元最高裁副長官、収賄で無期懲役確定(2010年3月18日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】収賄罪などに問われた中国の元最高人民法院副院長(最高裁副長官)の黄松有被告(52)に対する控訴審判決が17日、河北省高級人民法院(高裁)であり、無期懲役とした一審判決を支持、控訴を棄却した。中国紙、法制晩報が伝えた。
 中国は二審制のため、刑が確定した。黄被告は1949年の建国以来、汚職事件で立件された司法当局者としては最高位の人物。

◎「遺跡の盗掘」10万人規模、今や産業?中国(2010年3月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国の華僑向け通信社「中国新聞社」(電子版)は、中国で遺跡の盗掘にかかわる者が10万人に達し、すでに産業化していると伝えた。
 政府系シンクタンクの社会科学院歴史研究所の専門家が同通信社に明らかにした。先に河南省で「曹操の墓」と基本的に確認された墓も盗掘被害に遭っており、専門家の間で、「盗掘産業」の規模の大きさ、被害実態の深刻さが懸念されている。
 盗掘集団は分業化し、輸送専門の者もいるという。市場流通が速く、盗掘された文物は3日後には香港で売られてしまう。司法関係者が盗掘に関与している場合もあり、山西省の遺跡では、公安当局者が「公務執行」名義で盗掘に参加。逮捕されたが、懲役1年の刑にしかならなかった。公安当局が盗掘集団から文物を押収しても、地元に返却せず、売却されるケースもあるという。
 この専門家は「文物は一度破壊されると永遠に再生できない。地方政府はこの問題を重視すべきだ」と、摘発の徹底を求めている。

◎「一人っ子政策」違反、有名人・富裕層の罰則強化(2010年3月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】「一人っ子政策」を実施している中国で、今月中旬、北京市人口計画生育委員会が会議を開き、同政策に違反した映画監督やスターら有名人と富裕層に対する罰則を強化する方針を決めた。
 中国紙「京華時報」が伝えた。
 現在、同政策に違反した場合は、年収の3~10倍の罰金を徴収する定めで、一般の給与所得者には非常に重い処罰となっている。だが、有名人や富裕層の間では、罰金を払ってでも、2人目、3人目を出産するケースが少なくない。
 財力に物を言わせ、米国など外国籍を取得してから産む抜け穴もあり、現行の罰金規定では抑止力になっていない。
 第2子を産みたくても、罰金を払えなくて産めない庶民からすれば、怨嗟(えんさ)の対象にもなっており、格差社会への不満拡大にもなりかねない。同委員会は、有名人や富裕層に対する罰金を引き上げ、違反行為に歯止めをかける方針だという。
 ただ、今月発表された米誌「フォーブス」の世界長者番付によると、中国本土の富豪の数が米国に次ぐ2位となり、富裕層が膨張している。どの程度の罰金を定めるかを含め、実際に効果を上げるのは難しそうだ。

◎中国軍将官から次々飛び出す大胆発言、軍の存在感アピールか(2010年3月15日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国人民解放軍の将官は最近、メディアに頻繁に登場し、外交・安全保障政策について積極的に発言しており、国内外の注目を集めている。政府の立場より一歩踏み込み、対外強硬姿勢を示すことがほとんどで、愛国主義教育を受けた若者から支持を受けている。これまでは沈黙することが多かった“制服組”が、同じ時期に一斉に政策に口を出すことは異例だ。今年の国防費予算の伸び率が22年ぶりに一けたに抑えられたことを受け、軍備増強の必要性を強調し、軍の存在感をアピールする狙いがあるとみられる。
 2010年の国防費が発表される前日の3日、政府の諮問機関、全国政治協商会議の委員を務める羅援少将は、北京紙、新京報などの取材に応じ「今年の国防費の伸び率は例年と比べ抑えられる」と言明。「台湾、チベットなどの独立問題を抱え、国家分裂の危険に直面している中国には、国防を増強しなければならない理由はいくらでもある」と述べた。
 この発言は、国防費の伸び率が09年の約14%から、今年は7.5%に抑えられたことに対する「軍の不満を表している」と解釈する香港記者もいる。
 これに先立ち、国防大学の朱成虎少将は、2月に発売された週刊誌「瞭望」で、米国による台湾への武器売却問題について「米国に『台湾関係法』などが存在していることが問題の本質だ」と指摘。外交交渉を通じ米国に、中国の国益に損害を与える法律を改めさせるべきだと主張した。
 この発言は、中国外務省の対米政策を「弱腰」と批判するネットユーザーの熱烈な支持を受けた。朱少将は05年夏、「米政府が台湾海峡での武力紛争に介入した場合、(中国は)核攻撃も辞さない」と発言したことで注目された。
 また、海軍情報化専化諮訊委員会主任の尹卓少将は昨年末、「アデン湾(イエメン沖)での護衛任務をスムーズに行うため、中国はインド洋沿岸に補給基地を設ける必要がある」とメディアに語り、世界から注目された。しかし、中国国防省はその後、「海外に海軍基地を建設する計画はない」と釈明した。
 軍将官による一連の発言は、10年の予算を審議する全国人民代表大会(全人代=国会)のみならず、現在策定中である次期5カ年計画の予算案を意識したものだ、という指摘もある。民族主義の観点に立った発言によって世論を味方につけ、予算をより多く獲得する思惑がありそうだ。
 中国のメディア関係者は「軍人から政府の方針と違う発言が飛び出すことは毛沢東、鄧小平時代には考えられなかった。江沢民時代も少なかった。今の胡錦濤政権が軍を押さえられていないことを象徴しているかもしれない」と分析する。

◎中国、高速鉄道9000キロ建設、12年まで、投資額11兆9000億円(2010年3月13日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】中国鉄道省は13日、2012年までに高速鉄道を約9000キロ建設すると発表した。投資額は約9000億元(約11兆9000億円)。総延長は1万3000キロとなり、同省幹部は「日本やドイツを抜いて世界1位の長さとなる」としている。国内の実績をテコに海外輸出を拡大していく方針も強調した。
 全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の開催にあわせて、鉄道省の王志国次官が記者会見した。専用路線を時速250キロ以上で走行する高速鉄道はこれまでに3670キロが開通し、工事中の区間は1万キロ以上だと述べた。
 同省によると、現在開通している高速鉄道に、在来線で200キロ以上で走行している区間を加えた距離は約6550キロ。王次官は「(実質的には)すでに世界1位だ」と自国の高速鉄道を強くアピールした。

◎グーグルへのサイバー攻撃、中国高官「詳細な証拠を」(2010年3月7日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国のインターネット行政を統括する工業情報省の苗●(ミアオ・ウェイ、●は土へんに于)次官は6日、朝日新聞記者らと会見し、サイバー攻撃を理由に中国から撤退の可能性を表明した米ネット検索最大手グーグルに対し、「証拠」の提供が不十分との立場を示した。中国政府がサイバー攻撃に関与しているとの見方については「絶対にありえない。我々も被害者だ」と主張した。
 グーグルは1月に中国撤退の可能性を表明した際、中国からのサイバー攻撃や中国当局による検閲を理由に挙げた。米オバマ政権も中国側を批判し、クリントン国務長官は「徹底した調査」の必要を訴えた。苗次官は、中国当局が調査に着手していない責任は「証拠」を示していないグーグル側にあるとの立場を強調し、検閲を批判する米国にも強硬な姿勢を示した。
 苗次官は、中国政府とグーグルとの協議について「我々は正式な接触や協議をしていない」と述べ、「グーグル事件に特化した調査はしていない」と言い切った。ただし、「さらなる情報が提供されることを歓迎する。詳細な証拠があるなら、厳格にこの事件を処理する」とも語った。
 米紙などは、米当局の調査でサイバー攻撃が中国の学校から行われた、などと報道。クローリー国務次官補もサイバー攻撃は「中国からの疑いが強い」と指摘したが、苗次官は「彼らに証拠があるのか知らない。詳細な証拠を提供してくれるなら、厳格に対応する」と繰り返した。
 また、「グーグルは撤退する権利がある。中国に残るなら当然歓迎するが、出ていくなら法的な手続きをして、利用者に対するアフターケアをきちんとすべきだ」と述べ、グーグルを引き留める考えのない姿勢を強調した。
 グーグルが2007年に中国市場に正式参入した際、中国の法規を順守すると書面で約束したとして「国家の安全を損なう情報は制限するよう求めている」とも訴えた。

◎中国の13紙、共同社説で戸籍制度を批判(2010年3月4日、読売新聞)
 【北京=槙野健】中国の地方紙13紙が現行の戸籍制度を批判する社説を掲載した。
 中国紙が現行制度を非難する共同社説を掲載するのは、まれ。社説は5日からの全国人民代表大会(全人代)の代表らに早急な制度改革を呼びかけている。
 広東省の「南方都市報」などが1日付で掲載した。都市と農村に二分され、農村から都市への人口流入を制限した現在の戸籍制度は、就職や医療、社会保障などをめぐり、都市と農村の住民間で不平等を生んでいる、と批判している。
 4日付香港紙・明報によると、当局は社説を掲載した報道機関の幹部に対し、全人代などの期間中、戸籍問題を取材、報道した場合、厳しく処分すると通知したという。

◎昭和電工、中国で洗浄剤を生産、半導体・液晶パネル生産増見込む(2010年3月4日、日本経済新聞)
 昭和電工は4日、半導体や液晶パネルの製造工程で使われる洗浄剤「高純度シクロヘキサノン」を中国で生産すると発表した。2億円程度を投じ、中国浙江省の合弁子会社で8月から生産を開始する。中国で半導体や液晶パネルの生産量が増える中、需要が増加すると判断した。
 合弁先の現地企業から原料であるシクロヘキサノンを調達し、精製する。昭和電工はこれまで国内で年間500トン程度の高純度シクロヘキサノンを製造し、半導体や液晶パネルのメーカーに向けて販売している。中国での生産能力は年間5000トンで、大幅に増える見通しだ。

◎中国:上海が「禁煙都市」に,2万人が監視、罰金も(2010年3月2日、毎日新聞)
 上海万博を2カ月後に控える中国・上海市は1日、市内のあらゆる公共施設を全面禁煙にする罰則付き条例を施行した。「煙のない万博」を公約する市当局は、市全体を「禁煙都市」にして世界に取り組みをアピールする狙いだ。
 上海各紙によると、市当局は、禁煙場所で喫煙する人がいないかどうか監視し、喫煙者に注意する2万人のボランティアを結成する計画。中国の喫煙人口は約3億人に上り、愛煙家からは反発も予想される。
 条例施行で上海の学校や病院、行政庁舎のほか、ショッピングセンターや映画館、インターネットカフェなども全面禁煙となる。営業面積150平方メートル以上か座席数75席以上の飲食店については分煙を義務化。ホテルには喫煙しない宿泊客向けの客室を設けるよう義務付ける。
 禁煙場所で注意されてもたばこを吸い続けた場合は最高200元(約2600円)の罰金。指定施設が禁煙や分煙の措置を怠った場合は最高3万元の罰金を科す。
 万博運営当局は「煙のない万博」実現への強い姿勢を示すため、たばこ会社「上海煙草」が申し出た2億元の寄付金を拒否したことがある。

◎「日本人詐欺に注意!」、中国・広州の日本総領事館が異例の警告(2010年3月2日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】「日本人詐欺に注意せよ!」中国南部の広東省深センなどで、日本人が日本人をだます詐欺事件が頻発しているとして、広州の日本総領事館が日本人向けに異例の注意喚起を行っている。
 深センで飲食店を経営する日本人が、客として数回来店したことのある日本人の男から「財布をすられて困っている」と頼まれて金を貸した。だがその後、ぱったり来店しなくなり、男の名刺の連絡先に電話したところ、架空の会社だったことが分かり、同総領事館に通報した。この男は同じ店の他の常連客からも借金していたという。
 さらに、「確実にもうかる」と言葉巧みに日本語学校への投資を誘う日本人の存在も報告されている。同総領事館は日本人の良心や油断につけこんだ悪質な詐欺に注意するよう呼びかけている。

◎中国の若者、春節の出費に苦しむ、帰省で贈り物(2010年2月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国の旧正月「春節」シーズンが28日の元宵節(旧暦1月15日の節句)で幕を閉じるが、1980年代生まれの「80後」世代の若者の間で、春節期間中の多額の出費が話題となっている。
 高額の住宅ローンを抱えて生活苦に見舞われた庶民は「房奴」と呼ばれるが、春節の特別出費で疲弊する若者は「祝日の奴隷」という意味から「節奴」と呼ばれ、社会現象となっている。
 中国紙「競報」などによると、伝統を重視する中国社会では、春節には、結婚した若い夫婦がそれぞれの実家に里帰りするケースが少なくない。両親、祖父母への贈り物、お年玉、おいやめいへのお年玉などを合わせると、サラリーマンの1~2か月分の給料に相当し、半月前から準備に追われるという。あるインターネットサイトの調査では、5000元(1元は約13円)~1万元が32%、1万~2万元が16%となった。
 今年の春節前には、就職難で仕事もままならない大卒の若者が出費を恐れ帰省を渋る「恐帰族」まで話題になった。

◎中国でグーグル模倣サイト、「グージエ」本家に酷似ロゴ(2010年2月26日、朝日新聞)
 米検索大手グーグルが、サイバー攻撃などを理由に中国撤退の可能性を表明する中、グーグル中国語版の模倣サイトが登場し、アクセスが絶えない。本家の米グーグルが2月上旬、模倣サイトの運営者に酷似ロゴの使用停止を求めたが、26日現在、使用が続いている。
 模倣サイトは「谷姐(グージエ)」で、米グーグルが中国撤退の可能性を示唆した1月12日の直後にネット上に現れた。本家グーグルの中国語表記は「谷歌」。「歌」は(GE)と発音するが、これは兄を意味する「哥」と同じ発音。模倣サイトは、この兄の部分を「姉」とか「ねえさん」を意味する「姐(JIE)」にしている。ロゴは数種類あるが、基本的なロゴデザインは本家とそっくりだ。
 検索は一応できるが、専門家の見立てでは「グーグルなどの検索結果につながるだけ」。それでも、「谷姐管理人」と名乗る小ゲン(シャオ・シュアン)氏によると、アクセス件数は1日100万件を超えた日もあるという。
 米グーグルは「検索サイトを開設するのは勝手だが、ロゴは当社のトレードマークと酷似しており、無断使用は許せない。2月上旬に使用停止を求める書簡を送った」と怒り心頭だ。これに対して、小ゲン氏は「グーグルへの権利侵害に当たるのかどうかの結論は出ていない。裁判所の判断に従う」としている。(鈴木暁子)

◎東洋アルミ、太陽電池素材を中国で増産、7月に新工場(2010年2月23日、日本経済新聞)
 アルミはく最大手の東洋アルミニウム(大阪市)は太陽電池の電極用素材を中国で増産する。7月に肇慶市に工場を新設。現在は国内で年間約1200トンを生産しているが、2012年度には約5千トンに生産能力を高める。売上高も現在の4倍の約2百億円を見込む。太陽電池の世界的な普及を背景に中国での生産拠点を増強する。
 増産するのはアルミ粉を原料にした素材で、結晶系シリコン太陽電池の裏面電極に塗布する「アルソーラー」。太陽電池の発電効率を高めることができる。中国や台湾の太陽電池部材メーカー向けを中心に販売増を見込んでいる。

◎世襲反対、核放棄、核実験後、中国が北朝鮮に圧力(2010年2月23日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】北朝鮮が昨年5月に核実験を強行した直後、中国共産党が北朝鮮側に対し「改革開放の推進、世襲反対、核放棄」を要請していたことがわかった。複数の共産党関係者が明らかにした。友好関係にある北朝鮮に対し、内政干渉につながる要求をするのは異例で、北朝鮮の核保有や、悪化する経済への中国側の強い危機感を示したものとみられる。
 北朝鮮は昨年6月に金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男ジョンウン氏を極秘訪中させ、北朝鮮の核問題をめぐる6者協議への復帰を示唆し、外資誘致に積極姿勢をみせるなど、態度を軟化させていった。これらの動きのきっかけが、最大の貿易相手国、援助国である中国の圧力だった可能性がある。
 北朝鮮関係者によると、北朝鮮は5月上旬、ジョンウン氏を後継者に指名したことを説明するため、金総書記の義弟、張成沢(チャン・ソンテク)・国防委員を中国に派遣した。核実験後の5月末、事情説明のため再度訪中したが、このとき応じたのは共産党対外連絡部の王家瑞部長だけで、張氏に対し3項目の要請を伝えた。
 北京の外交筋によると、中国側は政府高官や代表団の派遣を取りやめ、企業や大学が受け入れていた北朝鮮の研究者や職員の一部を退去させた。中国メディアには「これ以上危険な火遊びをするな」(人民日報系の環球時報)などと批判的な記事が出てきた。北京の北朝鮮関係者は「これまでにない中国側の強い反発だった」と明かす。
 北朝鮮は、中国の理解を求めるためジョンウン氏を訪中させることを決定。6月10日に張氏を中心とした軍訪問団に同行させた。共産党関係者は「ジョンウン氏自身が訪中することで、世襲に反対する中国側に後継者として認知してもらい、核実験にも理解を求めたかったのだろう」とみる。
 その後、高官の往来が復活する。中国側は戴秉国(タイ・ピンクオ)・国務委員や温家宝(ウェン・チアパオ)首相らが相次いで訪朝して金総書記と会談。戴氏の訪朝の際は、中国から北朝鮮への石油パイプラインを止めて圧力をかけた結果、「6者協議を含む多国間協議を行う用意がある」との言葉を引き出した。
 改革開放政策に対する北朝鮮の姿勢にも、否定的だった従来と比べ変化がみられるようになった。昨年12月、経済特区がある中ロ国境に近い羅先市を視察した金総書記が対外貿易の積極拡大を指示。今年1月20日には外資誘致のため国家開発銀行の設立を発表した。
 中国が要請している金総書記の訪中が実現した場合、核放棄や改革開放政策にどう言及するかが注目される。

◎グーグル攻撃、ソフト開発の中国人特定か、英紙報道(2010年2月23日、朝日新聞)
 【ワシントン=勝田敏彦】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は21日、米インターネット検索最大手グーグルなどが受けたとされる中国からのサイバー攻撃を調べている米国の専門家が、攻撃に使われたソフトウエアを開発した中国人を特定した、と報じた。このソフトを見つけた中国当局の意向で、協力させられていたとしている。
 同紙によると、この人物はコンピューター・セキュリティーのコンサルタントをしている30代の中国人男性。中国政府の常勤職員ではなく、フリーで仕事しているという。米マイクロソフト社の閲覧ソフト「インターネット・エクスプローラー」の弱点をついて攻撃対象のネットワークに侵入できるソフトで、ハッカーが集まるオンラインの「会議室」で披露し、中国当局に見つかったという。
 男性はソフトの使用をためらったというが、中国当局には背けなかったとされる。専門家は同紙の取材に「これほどの技術を持つ人物が、当局の監視から逃れることは不可能だ」と話している。
 同紙は、この男性自身はサイバー攻撃を実行していないとしている。
 グーグルへのサイバー攻撃では、米紙ニューヨーク・タイムズが19日、中国の理工系の名門・上海交通大と山東省の山東藍翔高級技工学校の2校が発信元と報じた。別の人物が、自分の身元を特定されないため両校のネットワークを踏み台にしてサイバー攻撃を仕掛けた可能性があるが、専門家は同紙に「監視が厳しい山東藍翔高級技工学校を攻撃の踏み台に選ぶとは考えにくい」と話している。

◎「中国南部で労働者200万人が不足」、地元紙が報道(2010年2月22日、産経新聞)
 22日付の中国広東省の新聞、南方日報(電子版)は、製造業が多い中国南部で200万人以上の労働者が不足していると伝えた。
 広州市労働市場サービスセンターの主任は、工場が集中する珠江デルタ地帯で大規模な労働者不足が発生していると指摘。特に靴などの製造業、飲食店や物流などのサービス業で深刻で、同省深セン市だけで約90万人が不足しているという。
 労働者不足の背景には、内陸部に帰郷した出稼ぎ労働者が、政府の農村振興策などの恩恵を受けて地元で就業したことなどがあるという。
 金融危機の影響で「農民工(農民の出稼ぎ労働者)」が大量解雇されたが、新華社電によると、中国の景気回復に伴い、深セン市では労働者需要が金融危機前の水準に回復した。

◎北京「芸術区」を暴徒襲撃、日本人含む数人けが(2010年2月22日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国内外の芸術家が活動拠点とする北京郊外の「芸術区」で22日未明、立ち退きを迫る暴徒100人がアトリエ施設などを襲撃し、日本人1人を含む数人が負傷した。
 警察当局が暴徒数人を拘束して調べているが、抗議する芸術家ら30人が22日午後、中心部の長安街で「北京はヤクザの街だ」と政府を非難してデモ行進した。北京でデモ行進が展開されるのは異例で、中国で多発する立ち退き問題の深刻さを象徴している。
 襲撃があったのは22日午前2時ごろ。マスクで顔を隠した暴徒が棒などを持って芸術区のアトリエ施設を襲撃。内部で徹夜の警戒に当たっていた芸術家ら7~8人が袋だたきに遭い、千葉県出身の彫刻家(35)も頭部を殴られて4~5針を縫うケガを負った。
 一方、長安街での抗議デモは500メートルほど行進したところで警察当局に制止され、「市民の権利を守れ」などと書いた横断幕も没収された。
 参加した男性は「開発業者がヤクザを使い、我々を襲撃させた可能性もある。土地使用権を売却して巨額の収入を得る地元政府も結託しており、とても信じられない」と話している。

◎中国発グーグル攻撃、二つの教育機関から、米紙(2010年2月19日、読売新聞)
 【ニューヨーク支局】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は19日、インターネット検索世界大手の米グーグル社などが中国からサイバー攻撃を受けたとされる問題で、中国の二つの教育機関のコンピューターが攻撃元だと報じた。
 同紙が関係者の話として報じたところでは、関与が疑われるのは、工科系大学の名門・上海交通大学と、中国軍の支援を受けて設立され、軍に技術者を輩出する山東省の職業訓練校。職業訓練校では、ウクライナ人教授が担当するコンピューター技術クラスとの関連を疑わせる証拠が得られたという。
 一連のサイバー攻撃は、企業秘密や中国国内の人権活動家の電子メールを入手するために行われ、昨年4月に始まったとみられる。2校の広報担当者は自校が疑われていることについて、「知らない」と言っているという。

◎中国、回収したはずのメラミン混入ミルク、再販売か(2010年2月5日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国で2008年に起きた粉ミルクへの有害物質メラミン混入事件で、回収された製品が廃棄されずに再び販売されている疑いが強まった。5日付の人民日報系の国際情報紙・環球時報(英語版)によると、少なくとも10万トンが再流通しているとみられ、中国政府は全国調査に乗り出した。
 メラミン混入事件では、多数の乳幼児に被害が出て深刻な社会問題となり、昨年6月には食品安全法が施行された。しかし、依然として企業は安全よりも利益を優先させている実態が浮き彫りとなり、食品安全の問題が再燃する可能性が出てきた。
 国家品質監督検査検疫総局が事件後、中国国内の粉ミルク会社109社の製品を緊急調査した結果、大手を含む22社の製品からメラミンを検出。問題製品の販売停止と回収を指示した。
 しかし、広州市乳業管理事務所の王丁綿・副主任が同紙に対して証言したところによると、事件後も少なくとも7社が、回収した約10万トンの製品を再び乳製品や家畜の飼料として低価格で販売していた。地方政府が監督を怠っていたことが原因という。
 上海市で昨年12月末、「上海パンダ乳製品」がメラミンを混入させた粉ミルクを販売していた事件が発覚。中国政府は1月30日、食品安全対策に関する全国会議を開催し、各地の担当部門に徹底した調査を求めた。
 消費者問題に詳しい江蘇省南京市の王金宝弁護士(44)は朝日新聞の取材に対し、「法律が整備されても、地方政府や企業の順法精神が欠けていることが深刻な問題だ」と指摘した。

・粉ミルクへのメラミン混入事件
 2008年9月、河北省石家荘市の三鹿集団(事件後に破産)が製造、販売した粉ミルクに有害物質メラミンが混入していることが発覚。中国全土で被害が拡大し、乳幼児29万6千人に腎臓結石など泌尿器系の異常が見つかり、うち6人が死亡した。生乳にメラミンを入れたとして公共安全危害罪などに問われた酪農業者ら2人に死刑、別の1人に執行猶予つきの死刑判決が言い渡された。

◎有害メラミン粉ミルク販売、中国で3人逮捕(2010年2月5日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】4日付の中国各紙によると、中国陝西省の公安当局は、有害物質メラミン混入の粉ミルクを製造販売していたとして、食品会社の社長ら3人を逮捕した。
 メラミン混入の粉ミルクは2008年に乳幼児6人が腎結石で死亡、30万人に健康被害が出た事件で、衛生当局が回収廃棄を命じていたが、一部業者が転売するなどして現在も出回っている実態が明らかになった。
 報道では、逮捕された社長ら3人は09年9~10月に10トンのメラミン混入の粉ミルクを購入。自社製造の粉ミルクと混ぜて計32.5トンを製造販売した。
 このうちの25トンを購入した福建省の食品会社はアメの原料として使い、製品が売られていた。
 08年の事件後、衛生当局はメラミン混入の粉ミルクや乳製品の回収廃棄を指示。だが、その後も廃棄は徹底されず、上海市や河北省などの5省市の食品会社がアイスキャンディーなどの原料に使用し、製品を販売していたことが判明している。

◎中国がとてつもない「巨大地下ミサイル基地」(2010年2月4日、スポーツニッポン)
 中国人民解放軍の戦略ミサイル部隊「第2砲兵」が、内陸部に地下核ミサイル基地を建設している。総延長5000キロに達する「地下長城」との報道もあり、世界で類のない巨大基地とみられている。
 解放軍系の新聞、中国国防報は昨年11月、建設中の基地について「トンネルが四方八方に延び」「100カ所近い作業地点がある」と報道。工事現場の指揮所には数十台のコンピューターが設置されているという。
 環球時報も同12月に「内部のトンネルは総延長5000キロに上り、地下迷宮には本物、偽物あわせて数百のミサイル発射台がある」との米専門家の推測を伝えた。中国中央テレビも国防に関する特集番組で、巨大な地下空間やレールが敷設されたトンネルを放映した。
 場所は明らかにされていないが、河北、河南、山西の3省にまたがる太行山脈とみられる。既存の地下基地を拡大している可能性もあり、米国を射程内とする大陸間弾道ミサイルなどが大量に保管されているようだ。
 中国は「核の先制不使用」を宣言しており、核攻撃を受けた直後の報復能力を確保することが極めて重要。地下基地建設は敵の攻撃から自国の核ミサイルを守り、反撃することが狙い。潜水艦や車両からの発射に比べ、固定発射台は命中精度が高まることも利点だ。
 西側の軍事専門家は「総延長5000キロは大げさと思うが、世界で最大規模のミサイル地下基地だろう」と指摘している。

・中国の戦略ミサイル部隊
 戦略核ミサイルを扱う部隊で第2砲兵と呼称。兵力は約10万人とされるが、実態は不透明。遼寧省瀋陽、安徽省黄山、河南省洛陽など八つの主要基地があり、主要武器は核弾頭搭載可能の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風5A」(射程1万2000キロ)や中距離弾道ミサイル「東風21」(同1800キロ)など。吉林省通化には、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルがあるといわれる。保有核弾頭は400~450発との推定がある。

◎贈り物にスパイウエア!中国“脅威の戦略?”(2010年2月1日、スポーツニッポン)
 英情報局保安部(MI5)は、中国の非公然の情報担当者がコンピューター情報を盗むスパイウエアを忍ばせたデジタルカメラや電子機器を英国のビジネスマンに贈り、企業秘密を得ているなどとして、警戒を促す文書を作成した。1月31日付サンデー・タイムズ紙が報じた。
 「中国スパイの脅威」と題する文書によると、中国の人民解放軍や公安省の担当者は貿易フェアや見本市などの際、これら「贈り物」などを伴って接近。英国の防衛、エネルギー、通信などの企業がスパイ活動の標的になっているという。
 またMI5は「北京や上海のホテルの部屋は情報収集機器が取り付けられている可能性がある。客の留守中に捜索されたこともある」「中国情報当局は(知られたくない)性的関係などに付け込み(中国側に)協力するよう圧力をかけることで知られている」などと指摘している。
 この文書は昨年、ロンドンの企業のトップらに配布された。こうした文書を英政府機関が作成したことで、英中関係が緊張する可能性もある。

◎中国がウイルス入りデジカメ贈り、機密情報収集(2010年2月1日、読売新聞)
 【ロンドン支局】中国の情報当局者が、パソコンから情報を盗み出す「スパイウエア」が入った電子情報機器を英国企業のビジネスマンに贈って機密情報を得ているなどとして、英国内の諜報機関、国家保安部(MI5)が警戒を促す文書を作成したと、1月31日付の英紙サンデー・タイムズ(電子版)が報じた。
 文書は昨年、ロンドンの企業幹部ら数百人に配布されたという。
 同紙によると、「中国スパイの脅威」と題した文書は14ページ。英国の防衛やエネルギー、製造業関連の企業を狙って、中国の人民解放軍や公安省の当局者が貿易フェアなどで接近し、ウイルス入りのデジタルカメラなどを贈っているとしている。

◎NHKニュース、中国で一時放送中断、映像制限か(2010年2月1日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国で1月31日夜、日中両国の歴史共同研究報告書のニュースを報じていたNHKの海外テレビ放送が途中で一時、中断された。
 中国当局が、報告書に盛り込むことが見送られた1989年の天安門事件などの映像の視聴制限を図ったとみられる。
 報告書について、中国国内では国営ラジオが31日夜に報じたが、中央テレビのニュース番組では触れられなかった。
 NHK広報局は、「天安門事件に関する放送が20秒ほど切れているのは確認している。ニュース映像が一時的に中断されたことは報道の自由を損なうもので遺憾。過去にもチベット問題などで同様のことがあり、機会をとらえて中国側には遺憾の意を伝え、善処を求めてきた。今後も同様の対応を取っていきたい」としている。

◎中国の最低賃金大幅アップ、上海は15%、景気回復背景(2010年2月1日、朝日新聞)
 【上海=奥寺淳】上海市の韓正市長は1月31日の記者会見で、4月から上海の最低賃金を約15%引き上げることを明らかにした。日系企業が多数進出する江蘇省も2月1日からの約13%引き上げを決定。国内の景気回復を背景に、2年ぶりの賃金上昇圧力が各地で鮮明になってきた。
 中国は金融危機の影響で2009年の賃金引き上げを見送っていた。しかし、政府の景気刺激策が功を奏し、09年の国内総生産(GDP)成長率は年8.7%、特に10~12月は10.7%と高い伸び。急激な景気回復とともに、不動産価格が上昇し、労働者の賃金上昇への関心が高まっていた。
 韓市長は「09年に賃金を引き上げなかったことを考慮し、今年は現在の水準より約15%引き上げる」と言明。現在の960元(約1万3千円)が、4月1日から1100元前後になる見通しだ。
 また、江蘇省も2年ぶりの引き上げを決めており、2月1日から蘇州や無錫など中心的な工業地区の最低賃金を850元から960元に調整する。
 「世界の工場」として多くの外資系企業が集まる広東省では、注文の急増などで人手不足が深刻となっており、東莞市トップの市委書記が「引き上げが妥当」と言明。そのほか、北京市や重慶市も年内の引き上げを決めている。

◎フランスの免税品、買い物王者は中国人 ロシア人抜く(2010年2月1日、朝日新聞)
 【パリ=国末憲人】中国人がフランスで買ったブランド品などの免税品の額が昨年、ロシア人を抜いて1位に躍り出た。還付請求代行業者グローバル・リファンド社が発表した。
 中国人の免税品購入額は2009年、前年比47%増の1億5800万ユーロ(約208億円)。その87%はファッション関連に費やされていた。ブランド志向が強いうえ富裕層が急増していたロシアは、金融危機の影響のためか前年から約23%減の1億1100万ユーロ。1位の座を明け渡した。
 かつて圧倒的1位だった日本人は07年にロシア人に、08年は中国人に抜かれ、昨年も3位だった。ただ、円高の影響から約17%伸びて約1億ユーロだった。4位米国人は2%増の6100万ユーロ。
 ロシア人と並ぶブランド好きで知られるウクライナ人は、1人あたり購入額が1481ユーロで、前年に続いて1位。

◎ギョーザ農薬事件2年、首相「中国政府に解明求める」(2010年1月28日、朝日新聞)
 鳩山由紀夫首相は28日、中国製冷凍ギョーザに農薬が混入した事件が未解決であることについて、「まだ中国政府が問題の解決をしていないことは遺憾に思う」と述べ、中国側に捜査の進展を促す考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 事件が発覚して30日で2年を迎える。今後の日本政府の対応について、首相は「引き続き中国政府に真相解明を求めていく。(日中両国で)食品の安全は徹底していかなければならない」と述べた。

◎グーグルへの攻撃、中国否定、米次官補「大統領も憂慮」(2010年1月23日、朝日新聞)
 【ワシントン=村山祐介】米インターネット検索大手グーグルがサイバー攻撃や中国当局の検閲などを理由に中国撤退を検討している問題で、米国務省のクローリー次官補は22日、中国政府がサイバー攻撃の存在自体を全面否定していることを明らかにした。ホワイトハウスのバートン大統領副補佐官は同日、グーグル問題でオバマ大統領が「サイバーセキュリティーの侵害を憂慮している」と語った。
 クローリー氏によると、グーグルが12日に中国撤退の可能性があると発表した後、キャンベル次官補ら同省高官が周文重・駐米中国大使らと少なくとも3回面談し、説明を求めた。中国側はグーグルが主張するサイバー攻撃について「何も起きていない」と事実関係を否定しているという。
 クローリー氏は「全面否定は有益ではない」と批判したが、現時点では公式抗議の手続きはとっていないという。

◎「グーグル問題」米中間で複数回“あーだ、こーだ”(2010年1月20日、スポーツニッポン)
 米インターネット検索大手グーグルが、中国からのサイバー攻撃などを理由に中国撤退を検討している問題で、キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は19日の記者会見で、米国と中国の当局者間で複数回の会談があったとして米中間のやりとりが続いていることを明らかにした。
 今回の問題は米中にとって貿易摩擦や台湾問題などに続く新たな火種として浮上。国務省は今週初めにも中国政府に文書で正式に抗議するとしていたが、国務省高官は19日、文書での抗議は「まだ」と記者団に語った。
 次官補は会見で、米国が問題を深刻に受け止めていることを強調した上で「中国はグーグルの主張を否定しているが、中国は説明する立場にいる」と述べた。自由で開放されたインターネットは「すべての人々に開かれたものであるべきだ」とも訴え、中国のネット検閲や規制を批判した。

◎中国最高裁元副長官に無期懲役、汚職立件で建国後最高位(2010年1月20日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国河北省廊坊市の中級人民法院(地裁)は19日、収賄罪などに問われた元最高人民法院副院長(最高裁副長官)の黄松有被告(52)に無期懲役の判決を言い渡した。新華社通信が伝えた。黄被告は1949年の建国以来、汚職事件で立件された司法当局者としては最高位の人物。
 判決によると、黄被告は2005年から08年の間、判決を有利にする見返りとして、弁護士らから計390万元(約5200万円)を受け取った。さらに、広東省湛江市で中級人民法院長だった97年には、120万元の公金を横領した。

◎中国、外国人記者にハッカー攻撃(2010年1月19日、産経新聞)
 北京の中国外国人記者クラブ(FCCC)によると、同クラブ会員の北京駐在記者が使用している米検索大手、グーグルの電子メールサービス「Gメール」が19日までにハッカーの攻撃を受けた。グーグルが中国からサイバー攻撃を受けたとされる問題に関連しているとみられ、FCCCはメールなどを通じ会員に注意を呼び掛けた。
 ハッカー攻撃を受けたのは外国メディア数社の記者で、AP通信によると同社の記者1人も含まれる。
 FCCCには、40カ国以上の記者や外交関係者ら400人以上が入会している。

◎米、グーグル問題で中国に公式抗議へ、検閲中止を協議(2010年1月16日、朝日新聞)
 【ワシントン=村山祐介】米国務省のクローリー次官補は15日の会見で、米インターネット検索大手グーグルに対するサイバー攻撃や中国当局の検閲について、週明けにも中国政府に公式に抗議する考えを明らかにした。米政府が外交問題との位置づけを鮮明にしたことで、台湾への武器売却や通商摩擦など懸案続きの米中関係の新たな火種になるのは避けられない情勢だ。
 国務省の当局者は14日、在米中国大使館の謝鋒主席公使に懸念を伝達。納得できる説明がなかったことなどから、外交ルートを使った正式な抗議表明に踏み切る。次官補は「懸念を伝えるとともに、何が起きたのかや、中国政府の今後の対応について説明を求める」と語った。
 ギブズ大統領報道官も15日の会見で、「検閲中止へのグーグルの試みを支持する。これはインターネットの自由についての我々の信念の表れだ」と述べ、中国政府に検閲をやめるよう外交レベルで協議していく方針を強調した。
 米議会の関心も強く、下院外交委員会のバーマン委員長も同日、「委員会ではインターネットの自由の問題と理解している」との声明を発表。クリントン国務長官は21日、インターネットの自由をテーマに演説し、米政府の基本姿勢を明らかにする予定だ。

◎中国、不動産バブル色,地価1年で7.8%上昇(2010年1月15日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国国家発展改革委員会が14日発表した全国70都市の不動産価格指数は、昨年12月の全国平均が前年同月より7.8%上昇した。2008年6月以来1年6カ月ぶりの伸び。09年6月に前年同月比プラスに転じた後、価格上昇は加速しており、「不動産バブル」の様相が強まっている。
 都市別では、深セン(センは「土へんに川」)で同18.9%上昇と約2年ぶりの伸びとなったほか、北京で同9.2%、上海で同7.4%、広州で8.7%それぞれ上昇した。景気刺激のための金融緩和などでだぶついた資金が不動産市場に流れ込んでいるためとみられる。
 中国住宅都市農村建設省の斉驥次官は13日の記者会見で「沿海部の大都市では、販売向け不動産の価格が上がり過ぎている」と認めた。中国政府は7日、投機的な住宅購入を抑えるため、2軒目の住宅を買う場合には価格の40%以上を頭金として支払うよう求める方針を通知。中国人民銀行(中央銀行)も12日、金融機関の預金準備率を1年7カ月ぶりに引き上げることを発表するなど、バブル抑制に動いている。

◎中国:グーグル撤退を慰留、同業他社への影響懸念(2010年1月14日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国外務省の姜瑜副報道局長は14日の定例会見で、インターネット検察エンジン最大手の米グーグルが中国政府の検閲廃止を求め、結果次第では中国から撤退すると表明したことについて「国際的なインターネット企業が中国で法に基づき業務を展開することを歓迎する」と強調し、同社を引き留める姿勢を示した。
 同社が中国政府の検閲に協力しない意向を示し、中国国内で行ってきた検索表示の自主制限を一部解除したことへの批判は避けた。グーグルが撤退した場合の中国市場の信用失墜や同業他社への撤退波及を懸念しているとみられる。
 姜副局長はまた、グーグルが中国国内からサイバー攻撃を受けたと非難していることについて「通報を受けた場合には、関係部門が調査すると信じている」と述べ、同社からの通報を待って捜査が実施されるとの認識を示した。
 クリントン米国務長官がサイバー攻撃について「非常に深刻な懸念と疑念を抱く」と中国政府に説明を求めていることにも「米国側に改めて立場を説明する」と言明し、政府間協議に応じる姿勢を示した。
 副局長は一方で「中国は他国と同じように法律に基づき、国際的に通用する方法でネットを管理している」と強調し、内外からの検閲廃止要求には応じない立場を確認した。
 中国政府は昨年7月に新疆ウイグル自治区ウルムチで発生した民族暴動以降、ネット規制を強化している。他地域でも格差拡大から社会不安が高まっており、安定を維持していくためにはネット規制が不可欠と判断している模様だ。
 約3億6000万人と世界最大のインターネット利用人口を抱える中国で、グーグルは3分の1の市場シェアを占める。中国政府はグーグルの影響力を見極めつつ、検閲廃止を求める同社との交渉を慎重に進めていくとみられる。

◎グーグルが自主規制解除、天安門事件など閲覧可能に(2010年1月14日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】中国にインターネットサービスの検閲撤廃を求めたネット検索世界最大手の米グーグルは14日、中国語版サイトで天安門事件などの写真閲覧制限を解除、中国当局との全面対決姿勢を示した。姜瑜・中国外務省副報道局長は同日の定例記者会見で「中国のネットはオープンだ。管理は国際的慣行に合致している」とグーグルの主張に反論。ただ、中国世論のグーグルへの賛否は二分しているもようだ。
 グーグルは中国側の養成で続けてきた自主規制を一方的に解除したとみられる。中国語版サイトで、1989年に北京で起きた天安門事件やチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世などを検索すると、写真などの検索結果が表示されるようになった。だが表示されたサイトそのものの閲覧は依然としてできない。
 北京のグーグル中国本社には14日、支持者らが集まったほか、支援を意味する花も贈られ、警官らが警備を厳重にした。ネット上では「言論の自由を大切にしている」とグーグル支持の声が上がる一方「中国の実情を考えていない」と批判する意見も出ている。

◎グーグル検閲停止、中国で党批判サイトも公開に(2010年1月14日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国外務省の姜瑜・副報道局長は14日の定例記者会見で、インターネット検索世界最大手の米グーグル社が中国当局による検閲受け入れを拒否したことに関し、「中国のネットは開放的だ。国際的なネット企業が中国で法律に基づき、事業を展開することを歓迎する」と述べ、当局の意向に沿って検閲に協力するよう促した。
 姜副局長は、「中国の法律は、いかなる形式のハッカー行為も禁じている。中国政府は、他国と同様に法律に基づいてネットを管理している」と語り、同社が中国国内からサイバー攻撃を受けたと主張していることにも反論した。
 一方、中国国内では14日、グーグルの中国版サイトを通じれば共産党独裁を批判する民主活動家の文章や天安門事件の写真など、これまで見られなかった情報が閲覧できる異例の状態となっている。
 同社が、「言論の自由に反する」として、検索結果の検閲受け入れを停止した結果とみられ、中国当局の対応が注目される。

◎グーグル:中国での自主制限を一部解除、「検閲」に対抗か(2010年1月14日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】インターネット検索エンジン最大手の米グーグルが、中国国内で行ってきた検索表示の自主制限を一部解除していることが14日、分かった。同社は中国国内からサイバー攻撃を受けたことを理由に、中国政府が行ってきた検閲廃止を目指して交渉すると表明している。自主制限の一部解除は検閲やサイバー攻撃への対抗措置とみられ、同社と中国との交渉の行方にも影響を与えそうだ。
 中国語版グーグルでは14日までに、これまでできなかった一部の写真や情報の検索表示が可能になった。グーグルは06年に中国市場に進出する際、中国政府の要請を受け入れ、検索表示の自主制限を続けてきた。
 自主制限を解除した結果、中国当局が民主化を求める学生らを武力鎮圧した天安門事件(89年)で、戦車に1人で立ち向かう男性を撮影した有名な写真や戦車の発砲、虐殺された遺体の模様などが検索表示されるようになった。
 中国国内ではこれらの写真掲載が禁止されている。戦車の写真はグーグルで表示されるようになったが、中国国内の検索エンジン大手、百度(バイドゥ)などでは引き続き表示できない状態だ。
 このほかにも、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の写真を検索すると286万件表示された。中国政府はダライ・ラマ14世を「祖国分裂主義者」とみなし、国内での写真掲載を禁じている。
 こうした「検閲対象」写真は、海外サイトでは大量に出回っているため、中国国内からでも検索方法によっては例外的に表示されることがあった。だが、今回のように大量に表示されることはなかった。
 中国政府がこうした写真を表示させないためには、国内からグーグルへのアクセスを遮断する以外には方法がないとみられる。ただ、グーグルへのアクセスを遮断すると、国内の莫大(ばくだい)な数のユーザーに多大な影響を与えることになる。また、中国が強制措置に乗り出せば、グーグルは中国からの撤退を辞さない構えで、両者の摩擦はエスカレートしそうだ。

◎米ヤフーがグーグルを支持、サイバー攻撃巡り(2010年1月14日、日本経済新聞)
 【シリコンバレー=岡田信行】インターネット検索大手の米ヤフーは13日、同業のグーグルが12日に発表した中国からのサイバー攻撃について、「深く憂慮する」としてライバルのグーグルを支持する考えを明らかにした。ヤフー広報は日本経済新聞の取材に対し、同社のネットワークが攻撃を受けたかどうか、中国事業を今後どう展開するかについては回答を避けた。
 13日の米株式市場でグーグル株は一時、前日終値比3%近く下げた。グーグルが中国撤退の可能性に言及したことから、機会損失を嫌気した投資家の売りを誘った。その後は持ち直し、終値は0.57%安の587.09ドル。一方、中国の検索最大手、百度(バイドゥ)の株式は事業拡大への期待感から一時、15%近く上がった。

◎グーグル、中国で民主化運動などの検索結果を表示、制限解除(2010年1月14日、日本経済新聞)
 米グーグルは14日までに、中国語版サイトで天安門事件など民主化運動に関する検索結果を表示するようにした。同社はこれまで中国当局の要請に応える形で表示を制限していた。検索結果として表示された天安門事件などに関するサイトは依然として当局側が閲覧できない状態にしており、グーグルと中国当局側の緊張が高まっている。
 1989年6月に中国・北京市で発生した天安門事件やチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世などを検索ワードに入力すると、写真などの検索結果が表示されるようになった。
 北京のグーグル中国法人本社には13日から支持者らが集まっているほか、同社には支援を意味する花が送られており、私服警官などが警備を厳重にしている。

◎グーグル「抵抗」中国衝撃、言論統制さらに(2010年1月14日、読売新聞)
 中国の胡錦濤政権は、インターネット検索世界最大手の米グーグル社が12日、中国語サイトの検索結果の検閲受け入れを停止し、中国事業からの撤退の検討を発表したことに衝撃を受けている。
 「巨大市場」を武器に外国の検索企業を検閲に従わせることに自信を深めてきたが、初の「抵抗」の影響が広がれば、政権の言論統制のほころびにつながるだけに、一層締め付けを強める構えだ。
 胡政権はこれまで、共産党による情報独占を突き崩し、「社会の安定」を揺るがしかねない「有害情報」を発信するネットの統制に全力を挙げてきた。だが、世界最高水準の「網絡警察」(サイバー・ポリス)を抱える政権にとっても、チベットやウイグルなどの民族分裂や「台湾独立」、民主化要求など、一党独裁を脅かす恐れのある「有害情報」を根絶するのは容易でない。
 このため、政権は、グーグルや中国の「百度」など、国内外の検索企業に対し、「協力」という名の下に監視と排除の責任を負わせてきた。
 特に、影響力の大きいグーグル社に対しては、再三にわたり揺さぶりをかけてきた。昨年6月の外務省の定例会見でも、グーグルを使ったメールがつながらないとの外国メディアの指摘に対し、秦剛・副報道局長が、グーグルがポルノ情報を流しているとの前提に立ち、「当局の手法は法に基づくもので正当」とはねつけた。
 それでも、今回のような事態が起きたことは、胡政権にとって衝撃だったのは間違いない。今後は、他の検索企業への影響を防ぐため、グーグル社を含む各社と個別の協議を重ねて、検閲への「協力」を改めて迫っていくものとみられる。
 中国筋によると、「胡錦濤総書記自身がネット統制の生ぬるさに強い不満を抱いている」とされ、今年は言論統制の中でもネット統制をさらに強化する方針という。2008年以来、一党独裁を批判する「08憲章」など、大胆な政治改革要求文書がネット上で広がるなどの事態を受けたものだ。
 新華社電によると、今月12日、北京で開かれた党の精神文明建設指導委員会の会議では、イデオロギー担当の李長春・党政治局常務委員が「未成年者の健全な成長促進を目標に、法に基づき、ネットでわいせつな有害情報を広める行為を取り締まり、社会文化環境を浄化しなければならない」と述べ、一層の統制強化を宣言した。

◎グーグル:中国から事業撤退も、政府の検閲に嫌気(2010年1月13日、毎日新聞)
 米インターネット検索大手、グーグルは12日、中国政府の関与が疑われるサイバー攻撃を受けたことを明らかにした。また、検索サービスに対する中国政府の検閲を「これ以上受け入れ続けるつもりはない」と表明、撤退を視野に中国事業を見直す方針を決めたと発表した。
 グーグルは現在、中国政府と検閲を受けずにネット検索サービスを継続できるか協議中。同社は、最終的に中国事務所の閉鎖につながる可能性もあるとの認識を示した。
 同社によると、人権活動家が持つグーグルのEメールアカウントに、外部の第三者が侵入を試みていたことが判明。他の企業や欧州などでも人権活動家を対象に数十のメールアカウントに対する侵害行為があったことが分かったとしている。
 グーグルは利用者に対してアンチウイルスソフトの利用など防護措置を強化するように助言したという。
 グーグルはある程度の検閲が実施されたとしても、サービス提供で利用者が受ける利益の方が大きいと判断し、2006年に中国で本格的な事業を始めた。見直しの背景には、「言論の自由をめぐる世界的な議論」があると強調している。

◎米グーグル、中国からの事業撤退視野、サイバー攻撃など受け(2010年1月13日、日本経済新聞)
 インターネット検索最大手の米グーグルは12日、中国政府に対し、検閲無しでの検索サービスの運営を求めることを明らかにした。交渉が決裂すれば、中国事業から撤退する可能性もある。メール情報を狙ったサイバー攻撃を中国から受けたことも表明。「ウェブ上での発言の自由に対する制限などもあり、中国事業を再検討する」(デビッド・ドラモンド最高法務責任者)ことを決めた。
 グーグルは、昨年12月中旬に中国の人権活動家のメール情報取得を目的とした「非常に複雑な」サイバー攻撃を中国から受けたと説明。ネット、金融、メディア、化学など最低20社の大手企業も攻撃対象だったという。誰が攻撃を仕掛けたかは明らかにしていない。グーグルから流出した情報は「(メールサービス)『Gメール』の2件のアカウントの作成日や表題など」にとどまっている模様で、すでに米当局と協力中という。

◎中国政府「グーグルが撤退するか、分からない」(2010年1月13日、日本経済新聞)
 インターネット検索最大手の米グーグルが中国からの撤退も視野に同国当局に検閲撤廃を要求、クリントン米国務長官は、グーグルが中国から受けたとするサイバー攻撃に強い懸念を示した。一方、中国側では、政府幹部が「グーグルが中国から撤退するかどうかは分からない」とだけ述べた。中国国営の新華社が13日、伝えた。
 中国のインターネット利用者数は2009年7月時点で約3億4000万人。中国共産党が事実上管理するテレビなどに比べ多様な情報を得ることができるため、世論形成への影響を高めている。それだけに「当局が検閲撤廃を認めることはない」(中国ネット企業幹部)との見方が多い。
 中国当局は08年3月のチベット騒乱をきっかけにネットへの規制強化を加速。最終的にはパソコン世界最大手の米ヒューレット・パッカード(HP)などの反発で撤回したものの、09年6月にはパソコンに検閲ソフトの搭載を義務付ける方針も打ち出した。

◎グーグルへのサイバー攻撃「中国から説明ほしい」 米国務長官(2010年1月13日、日本経済新聞)
 【ワシントン=弟子丸幸子、北京=多部田俊輔】クリントン米国務長官は12日、グーグルが中国からサイバー攻撃を受けたと説明している問題について「非常に深刻な懸念と疑念を抱く」とする声明を出した。「中国政府からの説明を期待する」とも言明。米政府がグーグルから経緯説明を受けたことも明らかにし、政府間で対応を協議する必要があるとの立場を強調した。
 そのうえでネット事業を適切に運営できる環境整備の必要性も力説。「現代社会と経済にとって決定的に重要な問題だ」と、サイバー攻撃の取り締まりや検閲の緩和・廃止など事態の改善へ中国政府の取り組みを訴える意向をにじませた。
 米政府は、今回の問題が米産業を代表する大手ネット企業の被害であることに加え、サイバー攻撃を受けたのが中国の人権活動家の情報だったことを深刻視している。今後は貿易摩擦や台湾への武器売却問題に加え、人権問題にも絡むネット事業の扱いを米中関係の懸案の一つと位置づける方向だとみられる。

◎中国政府がサイバー攻撃?グーグルが事業撤退検討(2010年1月13日、スポーツニッポン)
 米インターネット検索大手、グーグルは12日、中国政府の関与が疑われるサイバー攻撃を受けたことを明らかにした。また、検索サービスに対する中国政府の検閲を「これ以上受け入れ続けるつもりはない」と表明、撤退を視野に中国事業を見直す方針を決めたと発表した。
 クリントン米国務長官は、グーグルに対するサイバー攻撃に深刻な懸念を表明、中国側に説明を求める姿勢を示した。
 グーグルは米当局と連携しており、人権問題などをめぐり、米中間の摩擦が強まりそうだ。中国で活動する他の欧米情報技術(IT)企業に影響を及ぼすことも考えられる。同社は現在、中国政府と検閲を受けずにネット検索サービスを継続できるか協議中。最終的に中国事務所の閉鎖など全面撤退につながる可能性もあるとの認識を示した。
 同社によると、人権活動家が持つグーグルのEメールアカウントに、外部の第三者が侵入を試みていたことが判明。他の企業や欧州などでも人権活動家を対象に数十のメールアカウントに対する侵害行為があったことが分かったとしている。
 グーグルは利用者に対してアンチウイルスソフトの利用など防護措置を強化するように助言したという。
 グーグルはある程度の検閲が実施されたとしても、サービス提供で利用者が受ける利益の方が大きいと判断し、2006年に中国で本格的な事業を始めた。見直しの背景には、「言論の自由をめぐる世界的な議論」があると強調している。

◎閉鎖しチャイナ!“ワイセツ物陳列”1万5000サイト(2010年1月13日、スポーツニッポン)
 新華社電によると、中国で出版物やインターネットなどを管理する国家新聞出版総署は12日、昨年1年間で、わいせつ情報が含まれていた1万5000以上のウェブサイトを閉鎖したことを明らかにした。
 中国政府は急速に拡大するインターネットへの統制を強めており、昨年初めからわいせつ画像などの取り締まりを強化してきた。

◎中国検索最大手の百度、サイバー攻撃で4時間機能停止(2010年1月12日、日本経済新聞)
 中国共産党機関紙、人民日報のニュースサイト人民網によると中国検索最大手、百度(バイドゥ)の中国語サイトが12日午前、サイバー攻撃を受け、4時間余りにわたり機能停止となった。
 同社のサイトが接続不能になったのは、午前7時40分(日本時間同8時40分)ごろから正午(午後1時)ごろまでの間。画面には一時、イランの国旗を背景に「このサイトはイランのサイバー軍が乗っ取った」との文章が掲載された。
 同名のグループは昨年12月、ミニブログ大手、米ツイッター(カリフォルニア州サンフランシスコ市)がサイバー攻撃を受けた際にも登場した。実際にイランと関係がある人物が関与したかどうかなどは明らかになっていない。

◎ミサイル迎撃実験、中国が成功、異例の公表(2010年1月12日、読売新聞)
 新華社電によると、中国は11日、弾道ミサイルの迎撃実験に成功した。
 実験に使った迎撃ミサイルは地上発射型のものと見られるが、形式や規模などの詳細は伝えていない。迎撃実験は国内で行われ、新華社電は「所期の目的を達成した」と成果を強調した。
 中国がミサイルの迎撃実験成功を公表するのは異例。米国が台湾向けに、ミサイル防衛用の地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)の製造を発注したことを受けて、米国をけん制する狙いもあるとみられる。
 ただ、中国外務省は「実験は防衛のためのもので、いかなる国に向けたものでもない」と表明している。

◎「世界の工場」中国、09年輸出額でドイツ抜き世界一へ(2010年1月11日、朝日新聞)
 中国の2009年の輸出額は、1兆2017億ドル(約112兆円)だった。中国税関総署が10日発表した。前年より16.0%減り、26年ぶりの前年割れになったが、他国との比較ではドイツを抜き、初めて世界首位に立つことがほぼ確実だ。「世界の工場」としての存在感が一段と高まっている。
 ドイツの09年の輸出額は、1~11月で7346億ユーロ。前年同期より約2割少ない。09年の年間平均レートでドル換算すると約1兆240億ドルで、ドイツが12月だけで約1800億ドルの輸出額を記録しない限り、年間で中国を追い抜けない計算だ。
 中国の輸出額は、01年12月の世界貿易機関(WTO)加盟をきっかけに急増。08年には貿易黒字額でドイツを抜いて首位に立ち、輸出額でもドイツに迫っていた。
 09年は、世界的な景気後退の影響で年間では1983年以来の前年割れ。国・地域別にみると、欧州連合(EU)向けが前年比19.4%減、米国向けが同12.5%減だった。日本向けも同15.7%減と落ち込んだ。
 ただ、12月単月では世界経済の回復傾向を反映して前年同月比で1年2カ月ぶりに増加。08年12月より17.7%多い1307億ドルになり、金融危機前の07年12月の水準も上回った。
 一方、09年年間の輸入額は前年比11.2%減の1兆56億ドル。貿易黒字額は同34.2%減の1961億ドルだった。
 単月の輸入額は11月から前年同月比で増加に転じており、12月は同55.9%増の1123億ドルだった。

◎効果は?つばで3点、ごみで5点、20点で強制退去(2010年1月8日、スポーツニッポン)
 何度もつばを吐けば強制退去。中国広東省広州で公共住宅の住民を対象に、当局がこんな罰則の適用を検討している。
 罰則はポイント制。つばを1回吐くと3点、ごみを散らかすと5点、上層階から物を落とすと7点で計20点になると退去。連続3カ月分の家賃滞納は、いきなり20点だ。
 公共の場でつばを吐く習慣が改まらない中、香港の住宅管理を参考にしたそうだが、広州の生活水準はそれほど高くなく、まねはできないとの批判も。

◎大雪?メンテ? 中国のネット規制一時解除 米紙報道(2010年1月5日、産経新聞)
 米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は北京発で4日、インターネットの規制や検閲が日常的に行われている中国で同日未明、約3時間半にわたりウェブサイトへのアクセス規制が解除されたと報じた。
 多くの利用者が動画投稿サイト「ユーチューブ」や短い文章を掲載する交流サイト「ツイッター」といった、中国政府が禁止するサイトにアクセスできたが、4日朝までには通常通り規制が「復旧」したという。
 原因は不明だが、ネットワークを運営する中国聯通(チャイナユニコム)のメンテナンス作業や、中国北部での大雪が関係しているとの憶測が飛び交っているという。

◎中国ネット検閲、一時ダウン、米紙報道(2010年1月5日、朝日新聞)
 米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は4日、中国で同日未明、厳しいことで知られるインターネット検閲が数時間にわたってダウンする「事件」があったと報じた。この間、ユーザーは動画共有サイト「ユーチューブ」や会員制交流サイト(SNS)「フェースブック」など、禁止サイトへのアクセスが可能となり、つかの間の自由を享受した。
 同紙によると、検閲がダウンしたのは午前0時~3時半ごろとみられる。原因は不明だが、ネットワークを運営する中国聯通(チャイナ・ユニコム)によるメンテナンス作業や、中国北部を襲った大雪が関係しているとうわさされている。(時事)

◎粉ミルク汚染、上海当局は8カ月公表せず(2010年1月5日、スポーツニッポン)
 中国上海市の乳製品企業が有害物質メラミンが混入した粉ミルクを生産、販売していた問題で、上海市の食品安全当局が昨年4月に問題を把握していたのに昨年末まで公表していなかったと5日付の中国紙、21世紀経済報道が伝えた。
 中国では2008年9月、別の企業による粉ミルク事件が発覚。多数の乳幼児が腎臓結石などにかかり、死者も出て社会問題になった。
 同事件の影響で中国では乳製品の買い控えが起き、業界全体の業績が悪化。上海企業の問題が発覚したのは業績が回復してきた時期で、当局が食の安全の問題が再燃するのを懸念して公表を遅らせた可能性がある。
 同紙によると、上海企業の問題は業界内では公表前に知られていたが、業界関係者は「業績が回復してきた時期だったので口外できなかった」と証言しているという。
 上海当局は昨年末、メラミンが混入した粉ミルクなどを生産、販売したとして「上海熊猫乳製品有限公司」の社長ら3人を起訴したと発表。問題の製品はすべて回収されたとしているが、健康被害が出たかどうかは分かっていない。

◎中国で原発建設ラッシュ、安全性を心配する声も(2010年1月4日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国各地で原子力発電所の建設ラッシュが始まっている。中国では現在、稼働中の原発が11基あり、24基が建設中だが、2020年までにさらに100基以上を建設する計画もあるという。近年の急速な経済発展にともなう国内エネルギー需要の急増と、二酸化炭素排出量削減への国際社会からの圧力などが背景にあるが、入札をめぐる贈収賄事件も多発しており、手抜き工事や人材不足などを理由に安全性を懸念する声も出ている。
 昨年12月21日、北京の人民大会堂で、中国の国有企業、広東核電集団とフランス電力公社(EDF)の共同出資による台山原子力発電所(広東省台山)の起工式が行われた。出力175万キロワットの原発2基を14年までに稼働させる予定で、総資本約167億元(約2200億円)は、外国と共同出資による原発プラントとしては最大規模。フランスが持つ最新技術の採用が中国側の最大の狙いだといわれる。
 広東核電集団は1994年に設立され、広東省周辺を中心に事業を展開し、2つの稼働原発のほかに建設中の原発5つを抱え、さらには内陸部の湖北省などで複数の原発を新設する計画があると報じられている。
 中国政府は2007年に策定した原発整備計画で、20年までに発電量4000万キロワットを目指すとしていたが、09年春に7000万キロワットに目標を上方修正した。しかしその後、内陸部における公共投資拡大路線の中で、原発の新設計画が次々と提出され、建設ペースはすでに目標を超えたもようだ。「今後10年は毎年10基の勢いで原発を建設し、(発電量は)1億キロワットに達する可能性も出てきた」(政府関係者)という。
 しかし、原発の安全性を懸念する声は少なくない。建設計画の多くは人口密度の高い地方都市の近郊に予定されており、08年5月に起きた四川省大地震の震源地から約300キロと近い南充市にも原発の整備計画があり、放射能漏れ事故が懸念されている。技術者育成も建設ラッシュに追いつかず、運用や管理の面での人材不足も指摘されている。
 さらに、建設に絡む汚職の拡大も危ぐされる。中国最大の国有原発関連企業、中国核工業集団のトップ、康日新総経理は今年夏、原発建設の入札に絡み、18億元(約230億円)の贈収賄事件に巻き込まれ、逮捕された。
 投資資金が巨大のうえに専門性が高い原発建設は、汚職の温床となり、これまでにもたびたび責任者が摘発されてきた。インターネットの掲示板などでは、これらの汚職事件が、原発の安全に及ぼす影響を心配する声があがっている。

◎中国の新型インフル死者659人、「増え続けるだろう」(2010年1月4日、スポーツニッポン)
 中国衛生省は4日、中国本土での新型インフルエンザによる死者数が2日までの累計で659人になったと発表した。
 同省は「今後しばらくは死者数が増え続けるだろう」と予測、妊婦や慢性疾患の患者など重症化のリスクが高い人に重点を置いて感染拡大防止を図る考えを示した。

◎北京、ソウルで記録的大雪、航空便に欠航や乱れ(2010年1月4日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実、ソウル=尾島島雄】中国、韓国の首都が大雪に見舞われている。中国・北京は3日未明から雪となり、積雪は10~20センチに達した。国営新華社などによると、1月の降雪量としては1951年からの観測史上最大を記録。韓国・ソウルでも4日未明から大雪となった。気象庁によると午後までの降雪量は25.8センチに達し、観測史上最大だった69年1月の25.6センチを41年ぶりに更新した。
 北京の首都国際空港では4日正午までに880便以上が欠航となったほか、周辺の高速道路も閉鎖。市郊外では積雪が37.5センチに達した地域もあった。5日には気温が氷点下18度まで冷え込む「記録的低温」(気象当局幹部)となる可能性があり、市当局が市民に注意喚起している。
 ソウルでも市内バスの運行に支障が出たほか、金浦空港などで航空便の運航に大幅な乱れが生じた。降雪は4日夕までにやんだものの、ソウル中心街の5日の予想最低気温は氷点下10度。記録的な大雪で除雪作業が追いついておらず、路面凍結による交通事故の多発が懸念されている。

◎中国でも高齢化急速!08年末60歳以上は1億6千万人(2010年1月3日、スポーツニッポン)
 3日の新華社電によると、中国の民政省幹部はこのほど、中国の60歳以上の人口は2008年末の時点で1億6千万人に達し、総人口の約12%を占めていることを明らかにした。
 中国では一人っ子政策の影響などで、急速に高齢化が進んでいる。

◎60歳以上は1億6千万人、中国で人口が急速に高齢化(2010年1月3日、産経新聞)
 3日の新華社電によると、中国の民政省幹部はこのほど、中国の60歳以上の人口は2008年末の時点で1億6千万人に達し、総人口の約12%を占めていることを明らかにした。
 中国では一人っ子政策の影響などで、急速に高齢化が進んでいる。

◎「工業の調味料」希少金属レアアース、中国が管理強化(2010年1月2日、朝日新聞)
 中国が、ハイブリッド車(HV)などハイテク技術に欠かせない希少金属、レアアースの輸出、生産の管理を強めている。輸出許可枠を4年で4割減らしたうえ、金融危機による需給悪化で一部の操業を止めた。中国は世界の生産量の9割超を占めるが、国内では戦略的備蓄をするべきだとの声も出ており、日本の産業界も動向を注視している。
 赤土の山肌に白いパイプが張り巡らされていた。中国南部の広東省との境界に近い江西省カン(章の右に各の口が貢)州市は、同じ中国の内モンゴル自治区と並ぶ世界の2大レアアース採掘基地の一つだ。パイプで吸い上げた薬品を山頂部で土中に注入して浸透させ、ふもとの池にレアアースを流し込んでいる。
 「この池の中に、約2トンのレアアースが入っている」。鉱山を管理する男性が、直径約7メートルの池に沈んだ白い乳液状のものをすくい上げた。これを別の施設で乾燥させ、粉状にして出荷するという。
 だがここでは今、操業は中止している。周辺の鉱山も停止中だ。「昨年夏までは1トン7万元(約90万円)したが、いまは4万~5万元に値崩れした。今春以降、政府から生産しないよう指示された」と男性は話す。
 実は、レアアースを最も必要としているのが日本だ。トヨタ自動車の「プリウス」やホンダの「インサイト」などのHVには、モーターの性能を左右する磁石の磁力を高める原料として、ネオジムやジスプロシウムを使う。電気自動車にも不可欠とされる。
 ハードディスク駆動装置(HDD)や医療機器MRIのモーターなどにも使われており「日本が得意とする産業で技術革新が起こり、必要性が増した」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の土居正典・北京事務所長)。
 中国は、小平氏が1992年に「中東には石油があるが、中国にはレアアースがある」と語るなど、早くからレアアースを重視してきた。
 米国などでは採掘コストの安い中国に敗れ、相次ぎ閉山。その結果、今では中国が世界の生産量の約96%(2008年)を占め、日本が輸入する約4万トン(約700億円、07年)も大半を中国に頼る。また合金メーカーも中国に進出して国営企業から調達し、合金加工して日本に輸出している。
 そのレアアースの輸出許可枠を中国は06年に減らし始めた。05年の年5万トンが09年には年3万1310トンに。同機構は「中国が、鉱産物の輸出振興から内需優先に政策転換した結果」とみる。
 さらに中国メディアの一部が8月、政府が策定中の「09~15年レアアース工業発展計画」に輸出禁止が含まれると報道。当局は火消しに走ったが、中国科学院の研究員が「年10億ドル前後を拠出して基金をつくり、戦略的備蓄をするべきだ」と主張するなど資源保護の論調も目立つ。
 レアアースは現在、景気悪化の影響で品不足ではないが「世界的にHVが急増する12年ごろから需要が爆発的に増える」(合金メーカー幹部)。中国は豪州で鉱山の権益確保も進めており、中国以外の調達先を探す日本との争奪戦は激しくなっている。(中国江西省・奥寺淳)
〈レアアース〉
 希少金属(レアメタル)の一種で、希土類とも言われる。合金に混ぜると素材の性能が高まることが多く「工業の調味料」と呼ばれてきた。磁力を強めるネオジム、高温でも磁力が落ちないジスプロシウムなど、17種類ある。このほか、デジタルカメラのレンズの屈折率を向上させたり、プラズマテレビの蛍光体の色を鮮やかにしたりするのにも使われる。




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