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2011年

このページは、私が気になった中国に関するニュースを個人的にまとめたものです。

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◎中国高速鉄道事故、幕引き報告書へ高まる批判(2011年12月31日、読売新聞)
 中国の共産党政権は、今年7月に中国浙江省温州で40人が死亡した高速鉄道事故の調査報告書を公表し、事故の詳細な状況を公開することで、当時噴出した「人命軽視」「証拠隠滅」などの批判を封じ込め、事故の幕引きを図る狙いだ。
 だが、事故発生前に解任された前鉄道相に責任を求める姿勢は早くも批判を呼んでいる。
 28日に公表された報告書は国家安全生産監督管理総局や工業情報化省などのメンバーによる政府の事故調査チームがまとめた。
 報告書によると、7月23日の事故発生の約1時間前、現場付近では340回以上の落雷が発生し、信号設備の電気回路の一部が焼け切れ、管轄区間内に電車がいる場合でも、電車がいないと誤表示する故障が起きた。
 追突された列車は同8時14分に前の駅を出発後、線路の電気回路の故障から運転を手動に切り替え、時速16キロの徐行運転を開始。追突した列車は同24分に前の駅を出発し、次の駅の担当者から前方に列車がいると注意喚起の電話を受けたが、途中で電話が切れ、追突直前に急ブレーキをかけたが、時速99キロで追突した。

◎人質事件で容疑者7人を射殺 中国・ウイグル自治区(2011年12月30日、朝日新聞)
 新華社通信の英語版は、中国新疆ウイグル自治区ホータン地区の皮山県で28日午後11時ごろ、2人が人質に取られる事件があり、警察が容疑者のうち7人を射殺し、負傷した4人を逮捕したと伝えた。人質2人は無事という。
 新華社は「テロ集団」の犯行と伝えており、人質を救出する際に警官1人が死亡したとしている。容疑者らがなぜ人質を取ったのか詳細は伝えられていない。皮山県は人口の大半をウイグル族が占めている。
 ホータンでは7月、十数人のグループが警察署を襲撃し、周囲の人を人質に取り火を放つ事件が発生。警察が容疑者14人を射殺し、武装警官や人質ら4人が死亡する事件が起きていた。

◎事故処分「軽すぎる」、中国、ネットで批判集中(2011年12月30日、産経新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、中国政府が28日、既に死亡した企業幹部に責任を負わせるなどした処分を決めたことに対し、中国のインターネット上では29日、「あれだけの死者が出て一人も刑事責任を問われていない」などと批判が集中した。
 政府が決めた処分対象者は、高速鉄道建設を推進した劉志軍前鉄道相や請負企業の関係者ら54人。このうち「重要な指導責任」があるとされた人物の中には、事故後に死亡した企業の元社長も含まれていた。
 これについてネットでは「既に失脚した人や死亡した人にまで責任を負わせようとしている。ばかげた処分だ」などと批判的な意見が相次いだ。
 短文投稿サイト「微博」上には「政府が作成した事故調査報告を信用するか」というアンケートも登場。29日深夜の時点で「信じる」に投票した回答者はおらず、回答者の75%が「信じない」に投票していた。

◎ネットで批判集中、中国鉄道事故処分「ばかげている」「甘い」(2011年12月30日、スポーツニッポン)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、中国政府が28日、既に死亡した企業幹部に責任を負わせるなどした処分を決めたことに対し、中国のインターネット上では29日、「あれだけの死者が出て一人も刑事責任を問われていない」などと批判が集中した。
 政府が決めた処分対象者は、高速鉄道建設を推進した劉志軍前鉄道相や請負企業の関係者ら54人。このうち「重要な指導責任」があるとされた人物の中には、事故後に死亡した企業の元社長も含まれていた。
 これについてネットでは「既に失脚した人や死亡した人にまで責任を負わせようとしている。ばかげた処分だ」などと批判的な意見が相次いだ。
 短文投稿サイト「微博」上には「政府が作成した事故調査報告を信用するか」というアンケートも登場。29日深夜の時点で「信じる」に投票した回答者はおらず、回答者の75%が「信じない」に投票していた。
 微博上では「40人が死亡した事故への処分とは思えない甘さだ」「まだ政府を信頼する人がいるだろうか」という意見が大半を占めた。
 政府は処分決定で事故の幕引きを図ろうとしたとみられるが、政府に対する国民の不信感は逆に高まっている。

◎事故車両埋める行為が常態化、中国高速鉄道事故で報告書(2011年12月29日、朝日新聞)
 中国で200人以上が死傷した高速鉄道の事故車両を現場に掘った穴に埋めた問題で、中国国務院の事故調査チームが28日に公表した報告書は、「これまでの事故現場処理の方法に従って行った」と指摘した。重要な証拠である車両を埋める行為が常態化していたことを示すものだ。
 報告書によると、事故から約10時間後の7月24日午前5時半ごろ、上海鉄路局の責任者が重要証拠は取り終えたと判断し、列車の先頭車両や部品を穴の中に投棄させた。同日午前に視察に訪れた張徳江(チャン・トーチアン)副首相が「埋めてはいけない。現場保存するように」と命じたため、最終的には土はかぶせなかったとしている。
 記者は穴を掘る場面から一部始終を目撃したが、実際には高架から落ちてひっくり返った先頭車両は、上下を元に戻した後も運転席に入って検証する姿は見られないまま、パワーショベルで粉砕され、穴に投棄された。張副首相は破片を調査するよう指示したというが、事故から1カ月後も先頭車両の残骸は泥まみれのまま別の場所に放置されていた。

◎中国政府、鉄道の安全第一を要求、事故調査結果受け(2011年12月29日、朝日新聞)
 中国政府は、200人以上が死傷した高速鉄道事故の調査結果が28日に出たことを受け、安全を最優先することを鉄道省に求めた。毛沢東時代に非現実的な生産目標をたてて多数の餓死者を出した「大躍進」を思わせる開発ぶりに、批判が集まっている。
 「高速鉄道の運転を、10日間でマスターした」。国営中国中央テレビがそんな内容の放送をしたのは、昨年12月。先生役のドイツ人専門家は運転出来るレベルになるには最低2~3カ月かかるとしていたが、運転士が超短期間で学び終えたと英雄視する政治宣伝の番組だった。
 主役は、高速鉄道の免許取得第1号の李東暁さん。在来線の運転士を約20年務めた後に高速鉄道の運転士に転向。英語交じりで670ページある教科書を10日間で学び終え、天津から北京まで運転したという。番組は「ほかの国が40年かけた高速鉄道の発展を、わが国は5年で達成し、世界のリーダーになった」と結んだ。

◎中国鉄道事故、安全軽視の「人災」認定、54人処分へ(2011年12月29日、朝日新聞)
 中国浙江省温州で7月に200人以上が死傷した高速鉄道事故で、国務院の事故調査チームは28日、調査結果を公表した。鉄道省と関係の深い企業が開発した重大な欠陥のある列車制御システムを、現場テストもしないで採用するなど、安全を軽視した「人災」が重なったことが原因だったと認定した。劉志軍・前鉄道相を含む54人が免職や降格などの処分を受ける。
 調査チームは9月中旬に事故原因を公表するとしていたが、約3カ月遅れで同日、温家宝(ウェン・チアパオ)首相に調査結果が報告された。それによると、高速鉄道に使われた同システムは国有企業の「通信信号集団」が設計した。しかし、開発チームは正式に組織されず、担当者は口頭で開発を指示されただけで管理もいい加減だった。
 また一部の設備は故障した場合の試験もせず、システムの現場テストもしないで導入を決めており、「重大な設計の欠陥と安全上のリスクがあった」と指摘。鉄道省は工期を短縮して早く開通させるため、技術の確立していないシステムを導入するなどの違法行為を繰り返したとしている。

◎中国、前鉄道相ら50人余り処分、7月の高速鉄道事故(2011年12月28日、産経新聞)
 中国国務院(政府)は28日、浙江省温州市で起きた高速鉄道追突事故の原因調査報告書を、7月23日の事故発生から5カ月以上も経てようやく公表した。報告書では信号系統など列車の制御設備に重大な設計上の欠陥があり、落雷後の緊急措置も不適切だったと事故原因を断定した。指導責任を追及するとして、今年2月に汚職で更迭された劉志軍前鉄道相ら54人を処分した。
 温家宝首相が主宰した28日の常務会議に、政府の事故調査チームが報告書を提出して承認を得た。明らかな「人災」だったことが改めて裏付けられた。事故路線をめぐっては、設備の入札作業や技術審査などで違法行為があったという。
 劉前鉄道相と、路線建設の陣頭指揮を執った鉄道省の張曙光元運輸局長は、汚職問題と一括して処分される。事故車両を地中に埋めるなど隠蔽(いんぺい)工作ともとれる処理を行ったことに、報告書では、「鉄道省などの措置は不適切で情報公開も遅く、社会の関心への対応も不十分だ」と批判した。
 ただ、現職の盛光祖鉄道相は始末書のみで、事故責任は前任者らに限定した形だ。鉄道省全体や共産党指導部などに責任問題が波及するのを避けたようだ。

◎中国、レアアースの管理強化、来年の輸出枠は現状維持(2011年12月28日、朝日新聞)
 中国商務省は27日、レアアース(希土類)の2012年の輸出枠について、今年並みの3万トン強を維持すると発表した。ただ、ハイブリッド車(HV)のモーターなどに使われ、中国以外の国で探しにくい「ジスプロシウム」など中重希土類を初めて分けて管理したり、環境への規制を強めたりする。安定して手に入れたい日本企業が、中国へ生産を移す可能性がある。
 中国は世界のレアアースの9割を生産している。12年は輸出枠のうち8割にあたる約2万5千トンを上半期の枠とした。このうち、ガラスの研磨剤に使われる「セリウム」など軽希土類が2万1700トン、残りは中重希土類だ。
 軽希土類は中国が輸出規制を強めたため、米国やオーストラリアなどでも生産の準備が進められ、価格も下がってきた。中重希土類は今のところ、中国に頼らざるをえない。

◎中国版GPS、試験運用、米に対抗、来年にも実用化(2011年12月27日、産経新聞)
 中国は27日、独自の衛星利用測位システム「コンパス」の試験運用を開始した。コンパスは米国の「GPS」に対抗して開発が進められており、2020年ごろにシステムを完成させ、世界各地での運用を目指している。
 試験運用では、中国とその周辺地域で位置情報の提供や、交通誘導などを実施する。巡航ミサイルの命中精度の向上など軍事利用も視野に入れているとみられる。
 中国はこれまでにコンパス用の人工衛星「北斗」を10基打ち上げた。27日、記者会見した中国衛星誘導システム管理室主任の冉承其報道官によると、来年に北斗をさらに6基打ち上げ、同年10月までにアジア太平洋地区での実用化を目指す。
 現在、位置情報の精度は誤差25メートル程度だが、来年実用化する頃には10メートル程度まで高まるという。

◎中国版GPS、試験運用開始、独自に開発、軍事利用も(2011年12月27日、朝日新聞)
 中国の衛星測位システム「コンパス」の試験運用が27日始まった。米国の全地球測位システム(GPS)に対抗して独自に開発したもので、これまでに測位衛星「北斗」を10機打ち上げた。2020年ごろには計35機体制で全世界のカバーを目指す。
 有事の際に軍事作戦が妨害されないよう米国に依存しない独自の測位システムにこだわっており、93年から開発を進めてきた。建造を進めている空母群の運用や弾道ミサイルの誘導に使う狙いがあるとみられる。
 中国衛星測位システム管理弁公室の報道官によると、試験運用では中国とその周辺地域でのカーナビゲーションシステムなどに位置情報を提供する。災害時の救援活動にも役立てる。
 来年にはさらに北斗を6機打ち上げ、10月までにアジア太平洋全域に範囲を広げて実用化する。位置情報の精度の誤差も現在の25メートル程度から10メートル程度まで高めるという。報道官は「世界中でサービスを提供し、国際協力を進めたい」とした。

◎中国高速鉄道、事故後初の新規路線「見切り発車」、広州-深セン間開業、原因調査報告書も出ぬまま(2011年12月26日、産経新聞)
 中国広東省の広州-深●(=土へんに川)間147キロを結ぶ高速鉄道の専用線が26日、開業した。今年7月に浙江省温州で40人が死亡した追突事故以来、高速鉄道の新規路線開業は初めて。当初は、9月に予定されていた同事故の原因調査報告が延期されたままでの見切り発車となった。
 広州-深●(=土へんに川)間の高速鉄道は深●(=土へんに川)で開かれたユニバーシアードに合わせ、今年8月に最高営業時速380キロで開通予定だった。しかし7月の事故の影響で開業が延期され、最高営業速度も300キロに抑えられた。広州-深●(=土へんに川)間を35分前後で結ぶ。1日36往復の予定。
 この路線は2014年にも香港まで延伸される計画だが、7月の事故を受けて香港側では安全性を疑問視する声が高まっている。
 一方で、中国鉄道省がまとめた今年の鉄道建設投資額は4690億元(約5兆8千億円)と、前年実績の7091億元に比べ33・9%ものマイナスとなった。7千億元程度としていた年初計画も大幅に下回った。7月の事故を受け、安全対策強化や計画見直しで、路線建設工事の中断や遅れなどが各地で相次いでいる。

◎高速鉄道の新路線が開通へ、中国(2011年12月26日、読売新聞)
 中国広東省の広州と深センを結ぶ高速鉄道が26日、開通する。
 浙江省温州で7月に起きた鉄道事故以降、新規の高速鉄道開通は初めてとなる。
 開通する区間は102キロ・メートルで所要時間は35分。2015年には香港まで延伸の予定だ。
 同区間は8月に開通する予定だった。開通が延期されたのは、7月の事故後、安全を優先するよう求める声が高まったことに配慮したためとみられる。最高時速も設計上は350キロ・メートルだが、300キロ・メートルに減速された。

◎中国で新たに高速鉄道開業、事故調査より開通優先?(2011年12月26日、朝日新聞)
 中国広東省の広州と深セン(センは土へんに川)を結ぶ広深高速鉄道が26日、開業した。中国当局は、7月に浙江省温州で起きた高速鉄道事故の調査報告をまだ出しておらず、新規路線の開通を優先させた形となった。
 102キロの路線には6年間で約167億元(約2千億円)が投じられ、当初8月に開業予定だった。温州事故で延期されていたが、鉄道当局は22日に突然、開業を宣言した。
 広州南駅の始発に乗った衣類販売業の女性(28)は「飛行機でもバスでも事故は起こる。利便の追求は止められない」。乗客から安全性に疑問を投げかける声はあまり聞かれない。
 鉄道省元幹部は「(開通は)温州の事故は特殊な状況下で起きた例外的な事故という政府判断の表れ」とした上で、「原因を速やかに公表しないのは、鉄道省の体質に問題が残っている証拠だ」と指摘した。

◎中国の広深高速鉄道、開通へ、温州事故後、初の新規路線(2011年12月24日、朝日新聞)
 中国・温州で7月に起きた高速鉄道事故で開通を見合わせていた広東省の広深高速鉄道が26日、営業を始める。事故の後、初の高速鉄道の開通となる。中国政府による事故調査の結果はまだ公表されておらず、世論の反発も予想される。
 広深高速鉄道を管理、運営する広州鉄路集団公司(広鉄集団)が22日夜、ホームページ上で明らかにした。多くの住民が帰省する春節にあわせたダイヤ「春運」が1月8日に始まるのに間に合わせる形だ。深セン(センは土へんに川)北―広州南の102キロで、当面は時速300キロまでの速度で営業する。
 当初は、8月の「深センユニバーシアード」に合わせた開通を予定していたが、温州事故への対応で鉄道省への批判が高まり、見送られていた。

◎中国、自主選出の自治組織「合法」、建国以来初(2011年12月23日、読売新聞)
 香港紙の明報は22日、中国広東省の烏坎(うかん)村で土地収用に反発する村民が自主的に行った選挙による代表で作られた自治組織が合法と認められた、と伝えた。
 中国国内で当局の指導によらない自治組織が承認されるのは、1949年の建国以来初めてだという。
 村民は、9月に選出したこの自治組織を中心に抗議活動を続けていた。村の上位にある陸豊市政府は自治組織は非合法だとしていたが、21日に現地を訪れた広東省党委員会の幹部が、土地収用問題の解決まで2、3か月の間存続を認めると組織側に伝えた。
 中国では地方政府の腐敗に反発する住民運動や衝突が頻発している。有力省である広東省の党委員会による決定は影響力が大きく、自治組織結成の動きが各地に広がる可能性もある。

◎中国国有企業、ポルトガル電力会社を傘下に(2011年12月23日、朝日新聞)
 中国の国有企業・中国長江三峡集団は23日、ポルトガル政府から電力会社EDPの株式の21%を26億9千万ユーロ(約2700億円)で取得すると発表した。財政危機に陥ったポルトガル政府が進める財政健全化策の一環。中国企業には危機で値下がりした欧州企業を買う動きが加速している。筆頭株主となる三峡集団は三峡ダムの建設や発電を手がける。EDPはポルトガル最大級の企業で、米国や欧州、ブラジルなどで事業を展開している。入札にはドイツ、ブラジル、インド、日本の企業も参加していたという。

◎中国・広東省で5万人デモ、発電所計画止める(2011年12月21日、読売新聞)
 21日の香港紙、明報などによると、中国広東省スワトー市で20日、住民約5万人が発電所の建設計画に反対するデモ行進を行い、警官隊と衝突した。
 住民2人が死亡したとの情報もある。地元政府は20日、建設計画の一時停止を発表した。
 デモ隊は、発電所の排水が漁業に悪影響を与えると主張し、幹線道路を封鎖したり、役場を一時占拠したりした。デモ隊は、計画停止発表後、解散した。

◎中国ネット規制強化か、一部で検索できない「金正日」「金正恩」(2011年12月20日、スポーツニッポン)
 中国のインターネット検索最大手、百度の掲示板で20日、「金正日」「金正恩」が検索できなくなっており、北朝鮮の金正日総書記死去を受けて中国当局が規制を強化したのではないかとの見方が出ている。
 短文投稿サイト「微博」などでは書き込みも検索も可能だが、中国メディア関係者は「規制を強化しているとすれば、中朝関係にとって重要な時期に、北朝鮮批判が相次ぐことを警戒したためではないか」と指摘している。

◎韓国の海洋警察官殺害、中国は「状況を確認中」(2011年12月13日、読売新聞)
 中国外務省の劉為民・報道局参事官は12日の定例記者会見で、中国漁船船長が韓国の海洋警察官を殺害した事件について、「関連の報道に注目しており、状況を確認中だ」と詳しい説明を避けた上で、「韓国と密接に協力し、適切に処理したい」と述べた。
 また、劉参事官は、「中国の担当部門も漁民教育や漁船管理を強化する相応の措置を何度も取り、違法行為の発生を抑えてきた」と中国側の対応を説明したが、遺憾の意は示さず、「(中国漁民への)人道的な待遇を希望する」と、韓国側に注文をつけた。

◎不法操業の中国人船長、韓国海洋警察官を刺殺(2011年12月13日、読売新聞)
 韓国海洋警察庁によると、12日午前7時ごろ、韓国北西部・小青島南西85キロの排他的経済水域(EEZ)内で、不法操業の中国漁船を取り締まり中の海洋警察官2人が中国漁船の船長にガラス片で刺され、1人が死亡した。
 同庁によると、海洋警察官らが漁船に乗り込んで制圧後、操舵室にいた船長が、突然2人に襲いかかったという。
 同庁は中国漁船を拿捕し、船長ら船員9人とともに仁川港に移送している。

◎中国漁船が狂暴化、排他的経済水域、韓国職員を刺殺(2011年12月13日、朝日新聞)
 韓国・仁川沖で12日朝、不法操業の中国漁船を取り締まっていた韓国海洋警察庁の男性職員(41)が船員に刺され、死亡した。中国漁船の狂暴化は著しく、手を焼く韓国側は、日本とも情報交換を進めている。
 同庁によれば、漁船は66トンで9人乗り。仁川沖にある小青島の南西87キロの韓国の排他的経済水域(EEZ)で不法操業していた。中国漁船員による抵抗で韓国側に死者が出たのは2008年9月以降、2人目。韓国外交通商省は在韓中国大使を同省に呼んで抗議し、再発防止を求めた。
 中国近海の乱獲で漁業資源が枯渇したことに伴い、00年代に入り、中国漁船が韓国西部と南部の海域に頻繁に出没。韓国に近いため燃料費が少なくて済む山東省や遼寧省の船を中心に数十隻から100隻の船団で、韓国のEEZでの不法操業を繰り返している。年々、中国漁船が出没する海域が拡大。韓国側が仕掛けた漁網を切るなどの被害も出始めたという。

◎中国政府、謝罪せず、韓国報道が一斉に反発「漁民でなく海賊だ」(2011年12月13日、産経新聞)
 黄海で韓国海洋警察の隊員(41)が不法操業の中国漁船の乗組員に殺害された事件で、13日付の韓国各紙は、中国外務省が12日の定例記者会見で謝罪しなかったことに一斉に反発した。
 朝鮮日報は「韓国の隊員を殺しておきながら、中国はひと言の謝罪もない」と批判。中央日報などは、亡くなった隊員らが中国船の船長(42)を取り押さえようとした時に、別の中国漁船が捜査を妨害するため高速で追突。衝撃で隊員がバランスを失ったところを船長が割れたガラスで脇腹を突き刺したと伝えた。同紙は、船長らは「漁民でなく海賊だった」との見出しで報じ、東亜日報は「泥棒に入った家の主人を殺した強盗殺人犯と違いはない」と社説で非難した。
 「殺された韓国の海洋主権」と大見出しを打ったソウル新聞は「政府はこれ以上、海で(韓国の)公権力が嘲笑される事態を容認してはならない」と求めた。

◎流血の海、中国漁船の凶悪化浮き彫り(2011年12月13日、産経新聞)
 黄海の韓国の排他的経済水域(EEZ)で12日午前7時ごろ、違法操業中の中国漁船を取り締まっていた韓国海洋警察庁の特殊部隊員2人が中国船員にガラス片で切り付けられ、41歳の男性隊員が出血多量で死亡、33歳の男性隊員が負傷した。海洋警察は漁船を拿捕(だほ)して乗組員9人を拘束。韓国外交通商省の朴錫煥(パクソクファン)第1次官は駐韓中国大使を庁舎に呼び、抗議した。韓国EEZではこれまでも中国漁船員が取り締まり中の係官を襲う事件が頻発。最近は中国漁船の組織化、武装化が進んでおり、東シナ海でのEEZに関して中国と主張が対立している日本にとっても看過できない事態だ。

・まるで被害者答弁
 韓国の聯合(れんごう)ニュースによると、海洋警察の警備艇はこの日早朝、黄海の大青島の南西85キロ沖で違法操業中の中国漁船を発見。うち1隻に特殊部隊員16人が警備艇のボートから乗り移り、船員らを拘束し始めた。その際、船長とみられる男がガラス窓を割り、ガラス片を振り回した。死傷した2人は防刃チョッキを着ていたが、保護されていない部分を切り付けられたという。
 抗議を受けた駐韓中国大使は遺憾の意を表明したが、北京で記者会見した中国外務省の劉為民報道局参事官は「われわれは韓国が中国漁民の合法的権益を十分に保障し、人道主義に基づき対応するよう希望する」などと逆に被害者であるかのように答弁。その上で、「中国側としては主管部門が中国漁民への教育や出漁する漁船の管理を強化し、越境捕獲や違法操業を制止するなどの措置を何度も講じてきた」と語り、中国としても努力してきたことを強調した。
 事件を受け韓国海洋警察庁は12日、銃器使用条件を緩和すると表明。これまで隊員に危害が加えられた場合に限っていた実弾発砲を、今後は違法操業船に接近する段階から積極的に行うと警告した。

・おのなどで武装
 黄海の韓国EEZはワタリガニやイシモチの良好な漁場で、これまでも中国漁船の違法操業が多かった。2001年に漁業協定が結ばれ、今年は1700隻に限り操業が許可されている。しかし、実際に周辺海域で活動する中国漁船は1万隻を超えるとみられ、最近は船団を組み、組織的に違法操業する例が目立っている。船員は鉄パイプやつるはし、おのなどで武装し、取り締まりに当たる韓国係官の負傷者はこの5年間で30人以上に上る。昨年12月には中国漁船が海洋警察の警備艇に体当たりし、中国側の2人が死亡・不明となったほか、韓国側の4人が負傷する事件が発生。この時は、最大の貿易相手国である中国との外交関係を配慮した韓国当局が中国船員を不起訴としたため、韓国内では政府の対中弱腰外交に批判が集中した。

・拿捕件数、昨年上回る
 その後も中国漁船の違法操業や暴力行為は続き、今年に入って韓国当局は12日までに、違法操業を理由に中国船を中心とした外国漁船472隻を拿捕。昨年1年間の330隻を既に43%上回っている。
 一部の漁船には中国海軍の兵士が漁民に姿を変えて乗り込んでいるとの情報もあり、中国国内で軍強硬派の発言力が勢いづいている事情を背景に、偶発的事件から日中、中韓の軍事的衝突にエスカレートする危険性を指摘する声すら専門家の間では上がっている。

◎海洋警察官が中国漁船乗組員に腹刺され死亡、取締り中にガラス片で(2011年12月12日、産経新聞)
 韓国の聯合ニュースによると12日午前7時ごろ、同国西方の韓国領海内の黄海で違法操業の中国漁船を取り締まっていた海洋警察官2人が中国側乗組員にガラス片で襲撃され、1人が死亡、1人が負傷した。海洋警察は漁船を拿捕、乗組員9人を拘束した。
 報道によると、海洋警察は同日午前5時半ごろ、黄海上で中国漁船1隻が違法操業しているのを確認。警備艦で巡視していた特別取締隊員が高速ゴムボート2隻に分乗して漁船に乗り込み、船内を順次制圧した。
 だが、操舵室にいた船長とみられる男が突然激しく抵抗。窓ガラスを割って破片を振り回し、隊員に襲いかかったという。
 取締時、死亡した隊員は防刃チョッキを着用していたが中国船の男は保護されていない部分を狙って刺したとみられ、ガラス片の先端は内臓に到達。病院へ運ばれたが、死亡した。
 黄海の韓国領海では近年、中国漁船の違法操業が多発。昨年12月には海洋警察の船に体当たりした漁船が沈没する事件があったが、韓国当局は船員を不起訴とするなどし、韓国内では政府の対中弱腰外交に批判が集中した。

◎中国漁船取締り中、韓国海保の2隊員死傷、腹切りつけ(2011年12月12日、朝日新聞)
 韓国海洋警察庁によると、朝鮮半島西側の黄海沖で12日、不法操業中の中国漁船を拿捕(だほ)しようとした同庁の職員2人が、中国漁船員にガラス片で脇腹などを切りつけられた。2人のうち1人は死亡した。同庁は漁船員9人を拘束し、取り調べる予定だ。
 韓国近海では、中国漁船による不法操業が大きな問題になっている。中国漁船は、取り締まりを避けるため、漁船同士を連結して航行。鉄パイプなどで武装している。昨年12月には、群山市沖で中国漁船が韓国警備艦に体当たりして転覆、中国漁船員1人が死亡し、1人が行方不明になる事件も起きた。同庁によると、今年3月までの10年間で職員35人が負傷した。
 韓国側は今年3月、不法操業する漁船を取り締まる装備や法令などの強化策を発表。3月3日には初めて中国漁船員に実弾を発砲する事態も起きていた。

◎中国の日立系工場でスト続く、警察隊と衝突、負傷者か(2011年12月11日、朝日新聞)
 日立製作所の米子会社が中国広東省深セン市で運営するハードディスク部品工場で、身売りをめぐってストライキが続いている。給与算定基準となる勤続年数がゼロになるとのうわさが広がったためで、10日には従業員と警察隊が衝突し、けが人が出た模様だ。
 ストが起きているのは、日立グローバルストレージテクノロジーズ(本社・米国)の中国法人「深セン海量ストレージプロダクツカンパニー」。4日夜から約4500人の従業員のうち、数百人が構内に座り込むなどして操業が止まった。
 複数の香港紙によると、10日朝、座り込んでいた従業員を排除しようとした警察隊との間で衝突が起き、けが人が出たという。
 日立は3月に「海量」を業界最大手のウエスタン・デジタルに売却すると発表。会社側は勤続年数に関するうわさを否定したが、従業員らは「何も説明がない」などと抗議し、賃上げや残業の短縮なども要求している。広東省では10月以降、日系を含む工場でのストライキが目立っている。

◎団地ベランダが突然崩落、女性転落死、中国、上海(2011年12月6日、朝日新聞)
 5日正午ごろ、中国上海で団地6階のベランダが突然崩落し、洗濯をしていた住人の女性(68)が転落死した。ベランダに十分な支えがなかったとみられ、団地住民は「ベランダが落ちるなんて聞いたことない。欠陥建築だ」と怒っている。
 現場は上海市長寧区の団地(6階建て)。男性住民によると、突然、ゴーンという地震のような地響きがし、外を見ると6階ベランダの床が90度下に向かって折れ曲がり、手すりや壁が地面に落ちていた。上海紙・東方早報によると、転落した女性は洗濯物のタオルを手にしたまま花壇に倒れていた。
 現場を見ると、壁と接合されていたコンクリートがはがれ落ち、支えとなる鉄の棒などは見あたらない。床の重みに耐えきれなかったとみられる。団地は築23年。同じタイプの1階下の部屋は約43平方メートル(実際の使用面積)だが、139万元(約1700万円)で売れたばかりだった。
 上海では2009年、建設中の13階建てマンションが突然根元から倒れる事故も起きており、建築構造や材料の質などが大きな問題となっている。

◎上海で「援助交際」摘発、原因は日本の「腐敗文化」?(2011年12月3日、産経新聞)
 中国の上海で11月上旬、売春をしていた中高生少女ら20人が一斉に摘発されたことが報じられた。地元検察官は「日本、台湾などの腐敗文化の影響を受けた『援助交際』だ」と指摘。波紋は中国各地に広がり、メディアには「日本による文化侵略」などと日本に責任を転嫁する論調が飛び出した。だが、事件の背景には、急速な経済発展で中国社会に生じた深刻なひずみがありそうだ。

・大規模摘発
 中国国営新華社通信(電子版)が11月6日、上海の地元紙、新民晩報が報じた「特大事件」のスクープを転載したところによると、上海の地元検察当局が「最近」、未成年者の売春と売春斡旋事件で20人を起訴した。客7人以外は少女とみられ、うち2人は14歳。少女らは中学や高校、専門学校など9校の生徒だった。
 売春は2009年末から始まり、幼なじみの3人がネットや電話で男性客を探し、相互に客を紹介する形で徐々に“参加者”を広げていった。紹介料は客1人当たり300元(約3600円)前後。ある少女は2010年初め、同級生の少女から連絡を受けてホテルに向かい、男性客から1400元(約1万7千円)を受け取り、紹介料として同級生に15%を支払った。
 検察官は新民晩報の取材に対し「少女らの家庭は貧しくない。享楽や小遣いのために積極的に売春し罪悪感もない。固定客が“サークル”を形成しており、日本の『援助交際』に似ている」と主張。さらに家庭や学校での道徳教育の欠如とともに「一部少女は日本や台湾などの腐敗文化の深刻な影響を受けていた」と述べ、原因の一端を日本文化に結びつけた。

・広がる波紋
 中国の売春は従来、農村地帯の貧しい女性が収入のために身を売るという図式が一般的だったようで、中高生が小遣いのために性交渉をしていた今回の事案はさまざまな反応を呼んだ。
 中国共産党の機関紙、人民日報(電子版)は11月9日、台湾での援助交際は、日本の影響だとする記事を掲載。原田真人監督が「コギャル」を題材にした1997年の映画「バウンス KO GALS」が上映されて以降、台湾でも援助交際が「蔓延」、少女売春の増加と低年齢化が問題になっていると指摘した。事例として、9歳の児童がネットゲーム用のカードほしさに16歳の少年とわいせつ行為に及んだ例を挙げた。
 11月7日には、重慶の地元紙、重慶日報(電子版)が「上海の中学生売春事件から見る日本文化の侵入」と題するジャーナリストの論評を掲載。援助交際を「海を越えてきた黄色の癌」「日本文化の中国侵略」と表現した上で、日中戦争以来、「日本人は中国を滅ぼす野心を捨てていない」などと日本を非難した。

・本当の原因は?
 こうしたセンセーショナルな報道に加え、問題の背景に向き合おうとする試みもある。華僑向け通信社「中国新聞社」の週刊誌「中国新聞週刊」は11月18日発売号で、トップ記事で特集を展開した。
 同誌は、上海で摘発された少女のうち5人が、父母の離婚など家庭環境に問題があると指摘。専門学校生の少女は、両親が国有企業の職員で収入も安定していたが、自身の将来は「希望が持てない」と悲観していたとした。
 一方、2007年に援助交際を仲介するネット上に「17歳から7年間の売春で240万元(約3000万円)を稼いだ娘がいる」と羨む自称中学生の投稿があったとも紹介。11月24日の人民日報(日本語電子版)は、2010年の都市部住民の可処分所得を年1万9千元(約22万8千円)としており、援助交際が貧富の格差を超える手段と認識されている実態を示唆した。
 また、同誌は、中国青年政治学院が行った研究結果も取り上げた。大学生へのアンケートで、72%が援助交際と売春は別のものだと認識しており、「人々が援助交際を容認する態度を反映している」と指摘。その上で、「援助交際は物欲の激しい経済発展地区で発生する」もので、「消費概念や経済状況、愛情や友情、性的観念(の乱れ)が直接の原因だ」と結論付けた。
 11月9日付の人民日報の記事は、最近の中国社会の拝金主義的な傾向を、ある女性の言葉を引用して嘆いている。「BMWの中で泣く方が、自転車に乗って笑うより良い。金持ちの愛人になる方が、貧乏人の正妻になるより良い」

◎「大根あげます」に1万人殺到、イモや野菜も略奪、中国(2011年12月2日、朝日新聞)
 大根を300トン、無料で差し上げます――。中国河南省鄭州の農民がこんな呼びかけをしたところ、1万人以上が殺到し、畑が荒らされる事態に。ホウレン草やサツマイモなども、無断で持ち去られてしまった。
 農民の韓紅剛さん(37)の約4ヘクタールの畑に、今年約300トンの大根が育った。ところが生産過剰による価格暴落で、出荷しても採算が取れないと判明。腐らせるよりはましと、地元メディアに「無料で市民に食べてもらいたい」と連絡した。
 これが報じられた11月25日から、韓さん宅の電話が鳴り響き、人々が畑に殺到。大根は翌日昼には無くなった。すると今度は「だまされた」「ガソリン代を損した」などと詰め寄られる事態に。数日の間に約1万人が押し寄せ、近くの畑からホウレン草、サツマイモ、唐辛子などを勝手に掘り起こして持ち帰った。

◎中国鉄道部、対応マニュアル改正、「30分以上の遅延で説明と謝罪」(2011年12月2日、朝日新聞)
 中国鉄道部はこのほど、「列車が遅延する場合は乗客に直ちに知らせる」「30分以上の遅れが出た場合は原因の説明と謝罪を行う」とする新たな対応マニュアルを発表した。中国紙、新京紙が伝えた。
 新マニュアルには、発券業務や列車運行、料金体系などに関する情報を適時、正確に公表することも明記されている。

・サービス基準が向上
 新マニュアルは安全確保について▽乗車券の購入や列車の待ち合い、駅構内への出入りの安全を確保する▽駅構内に入る際のセキュリティーチェックを通常5分以内で行う--と明記。
 乗車券の販売については▽多種多様な購入ルートや支払方法を提供し、透明性のある公平な販売を行う▽十分な数の販売窓口を用意し、乗車券の購入待ち人数を20人以内に抑える--としている。
 窓口の対応については▽窓口の担当業務や営業時間などを明記し、料金の受領や払い戻しの際には声に出して金額を確認する▽払い戻しの際には領収書を発行する--と規定。
 駅構内の環境については▽待合室やトイレなど構内を清潔に保つほか、飲用水の無料で提供する▽待合室の温度は、冬は18-20度、夏は26-28度に保つ--としている。

・遅延時の対応が改善
 北京と上海を結ぶ高速鉄道は今年6月末の開通以来、故障による遅延が相次ぎ、乗客から不満が噴出。故障当時、鉄道職員から原因や遅延後の対応に関する説明はなく、職員の対応の不備が浮き彫りとなった。新マニュアルの発表後は、遅延時の対応が確かに改善しているようだ。先月29日、上海発北京行き高速列車G16号が故障で遅れが生じた際、職員は状況を説明し、急いでいる乗客には乗り換えを促すなどして対応した。

◎中国スクールバス、また定員オーバー事故、10人けが(2011年12月1日、朝日新聞)
 中国河南省濮陽県で29日午後3時半ごろ、幼稚園児を乗せたスクールバスがトラックと衝突し、4人が重傷、6人が軽いけがをした。地元政府によると、スクールバスは9人乗りのワゴン車だったが、園児15人と教師、運転手の計17人が乗っていた。
 地元政府系メディアによると、事故当時は雪が降っており、バスは幼稚園から自宅に園児を送り届ける途中だった。園児の親は「送迎のワゴン車はいつも子供を詰め込んでいて、安全ではないと思っていた」と語った。また別の親は「いつも十数人が乗っていたので、座れずに立っていた」とも話した。
 中国では甘粛省で9人乗りのワゴン車に64人を詰め込み、21人が死亡した事故が起きたばかり。中国国務院は事態を重視して子供の安全を最優先するよう求めているが、その後もスクールバスが定員オーバーのまま運行され続けている実態が浮き彫りとなった。

◎中国人が関与?世界48社にサイバー攻撃(2011年11月29日、読売新聞)
 今年7月から9月にかけて、中国人が関与した可能性のあるサイバー攻撃が世界各国で行われ、化学系企業など少なくとも48社のコンピューターが標的とされていたことが情報セキュリティー会社「シマンテック」(米カリフォルニア州)の調査で明らかになった。
 被害企業には日本にある1社も含まれていた。
 同社が公表した調査結果によると、攻撃を受けたのは、化学分野の研究や開発を行う29社と、防衛産業などに携わる19社。各社のシステムから設計書や製造工程などの機密情報を盗み出すことを目的とした経済スパイだったとみられる。
 標的とされた企業名は公表されていないが、欧米やアジア、南米と被害は世界中に広がり、感染した端末の約3割は米国内にあった。

◎中国政府も手を焼く微博、規制「差し迫った要求」(2011年11月29日、読売新聞)
 中国政府でネット管理を担当する国家インターネット情報弁公室の王晨・主任(閣僚級)は、28日付の共産党機関紙「人民日報」に寄稿し、急速に利用者が拡大している中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の管理強化は、共産党と政府が政権運営能力を強化していく上での「差し迫った要求」と指摘し、規制強化を進める方針を明確にした。
 王主任は「50あまりの運営企業の微博サイトに毎日2億件以上が書き込まれ、多彩で豊富な情報が提供されている」と微博の利点を認める一方、情報の捏造(ねつぞう)やデマの流布などのマイナス面もあると指摘し、「情報発信の管理を強化し、違法な有害情報に伝達ルートを与えてはならない」と強調。その上で、「党中央の強力な指導の下、微博の世論誘導に努め、社会の調和、安定を促進しなければならない」と述べ、微博を通じた政権批判などを封じ込めていく姿勢を示した。

◎アイスランド、中国富豪の土地購入「NO」(2011年11月27日、産経新聞)
 中国の不動産企業がアイスランドで広大な土地を買い上げようとした問題で、アイスランド政府は25日、法的要件を満たしていないなどとして、購入を許可しないことを決めた。計画をめぐっては中国の政治・軍事的意図を指摘する声が出ていた。(SANKEI EXPRESS)

・面積は東京23区の半分
 問題の土地はアイスランド北東部グリムスタジールの荒野。アイスランドの国土の0.3%に当たる約300平方キロ。東京23区の半分近い広さだ。
 中国の富豪、黄(こう)怒(ど)波(は)会長(55)率いる「中坤(ちゅうこん)集団」が1000万ドル(約7億7000万円)で購入し、さらに2億ドル(約155億円)を投じてリゾート開発を進めるとする計画を発表。所有者も売却に同意していた。黄氏はブルームバーグに対して「金融危機がなければ所有者は手放さなかっただろう。今後5年間でデンマークやフィンランド、スウェーデンなどでもリゾート施設を建設したい」と怪気炎を上げていた。

・「背後に中国政府」の声
 だがアイスランドのオグムンドゥル・ヨーナスソン内相は「外国企業によるこれだけ広い土地の取得は前例がなく、土地売買に関する法律の趣旨に反する」として不許可を決めた。
 黄氏はホテルやゴルフ場などにすると説明していたが、この土地は荒れ地で、冬は氷点下30度以下になる地域にあり、意図をいぶかる声が出ていた。
 黄氏は旧建設省など中国政府での勤務経験があり、「バックに中国政府がいるのではないか」との推測がある。
 地球温暖化が進めば北極海回りでアジアと欧州を結ぶ航路が開けるとされており、空母建造を進める中国が大西洋での戦略的な足掛かりや北極圏の資源を狙っているのではないかというわけだ。

・連立政権内で対立
 ただ、2008年に経済危機に陥り、傷が癒えていないアイスランドにとって、巨額の投資話が「渡りに船」だったことは事実。国内には土地購入不許可に異論が噴出している。
 フランス通信(AFP)によると、ヨハンナ・シグルザルドッティル首相は「内相の決定に失望した」とした上で「法律を非常に狭く解釈している」と批判した。しかし、この問題の権限は内相にあり、ヨーナスソン内相は「これが最終決定で、覆すことはできない」ときっぱり話す。
 シグルザルドッティル首相は社会民主同盟、ヨーナスソン内相は左翼環境運動という政党に属している。
 中国国営通信、新華社は26日、「アイスランドへの投資が頓挫、黄氏、公平な国際投資環境主張」と題した記事を配信。「連立政権内の争いが購入不許可の原因だ」とする黄氏のコメントを伝えた。まだ第2幕がありそうだ。

◎中国人投資家の土地買収拒否、アイスランド当局(2011年11月27日、朝日新聞)
 アイスランド内務省は25日、中国人投資家による約300平方キロメートルの土地の買収提案を認めないと発表した。買収計画をめぐっては、北極圏の権益を狙う中国当局の意向が背景にあるとの見方が出ていた。
 ロイター通信などによると、アイスランド内務省は土地取得にあたって同国内に拠点を置くよう求めた法令に抵触すると判断した。経済危機からの回復途上にある同国のグリムソン大統領は「投資を歓迎する」としていたが、内務省は「法令に例外は設けられない」と退けた。
 中国人投資家はリゾート開発として、国土の0.3%に当たる北東部の広大な農地を880万ドル(約6億8千万円)で買収する計画だった。

◎特別警察数千人増員、中国新疆ウイグル自治区で引き締め強化(2011年11月25日、産経新聞)
 中国新疆ウイグル自治区の共産党委員会は25日までに、治安維持に向け、区都ウルムチ市の特別警察を数千人増員することを決めた。中国メディアが伝えた。
 同自治区では7月、無差別襲撃事件が相次いで発生。背景には漢族と少数民族ウイグル族の対立が指摘されており、管理体制を強化し、引き締めをさらに強めるとみられる。
 ウルムチ市は増員された特別警察を交通部門や各派出所に配置するとしている。

◎花王、中国化粧品大手と業務提携(2011年11月25日、読売新聞)
 花王は25日、中国の化粧品大手「上海家化連合」と販売で業務提携すると発表した。
 上海家化の中国沿岸の都市部と内陸部の販売網を活用して2013年から、衣料用洗剤のアタックと赤ちゃん用おむつのメリーズ、生理用品のロリエの3ブランドを中心に販売する。中国では経済発展に伴い、日本メーカーの高品質な日用品や化粧品の人気が高い。

◎事故原因「人為的な問題」に変更か、信号設備の欠陥は否定(2011年11月21日、産経新聞)
 21日付の中国紙、京華時報によると、中国浙江省で7月に起きた高速鉄道事故で、政府事故調査の専門家チームの担当者は、信号設備の重大な欠陥が事故の主要原因とする従来の見方を否定し、設備の管理が適切でなかったことなど人為的な問題が事故を招いたとの見解を明らかにした。
 担当者は具体的にどのような管理の問題があったのかなど詳細な説明をしていないが、当初の事故原因に関する説明を覆す形で、中国当局の事故検証に対する信用性に疑問を抱かせそうだ。
 同紙の取材に応じた担当者は専門家チームの副チーム長。担当者は「これまでずっと事故は技術の問題(が原因)だとされてきたが、今では組織管理の問題(が原因)になっている」と明言した。

◎失脚の趙紫陽元総書記たたえる寄稿、中国、広東の新聞に(2011年11月21日、朝日新聞)
 中国広東省の新聞「南方都市報」が、天安門事件で失脚した趙紫陽・元共産党総書記の功績をたたえる広東省の元トップの発言を掲載した。趙氏の評価は今も極めて敏感な問題で、国内メディアがその名に言及すること自体が異例だけに、波紋を呼んでいる。
 記事では、1980年代に広東省の改革を進めた任仲夷・元省党委書記(故人)の元秘書の潘東生氏が、任氏が生前に述べた言葉、「今日の広東があるのはトウ小平氏(トウは登におおざと)に負うところが大きく、(胡)耀邦や(趙)紫陽の功績も欠かせない」を紹介した。
 趙氏は総書記だった1989年、天安門事件につながる学生運動の訴えに理解を示し、「動乱を支持した」として解任された。

◎政権批判の中国芸術家に寄付続々、1億円超に(2011年11月15日、読売新聞)
 中国の共産党政権を批判し、税務当局が1522万元(約1億9025万円)の追徴課税や罰金などを命じた著名芸術家艾未未(がいみみ)氏を支援する寄付金が続々と同氏に届いている。
 関係者によると、14日までに総額869万元(約1億862万円)に達した。
 艾氏は4月に脱税容疑で拘束され、6月に保釈。税務当局は今月1日に15日以内に追徴課税分などを支払うように命じた。その後、艾氏を支援する動きがインターネットで広がり、艾氏の会社の口座に寄付金が送金されるようになった。北京郊外の艾氏の事務所には、紙幣を丸めて敷地内に投げ入れる人もいるという。
 艾氏は、2008年の北京五輪のメーン会場「鳥の巣」の共同設計に関わった。

◎上海市「お見合い博覧会」に1万2千人、親も5千人参加(2011年11月12日、朝日新聞)
 上海郊外で12日、「上海市結婚恋愛博覧会」が開かれ、35歳以下の約1万2千人の独身男女が集団でお見合いをした。中国では結婚相手に求める条件が高くなり、なかなか結婚しない男女が増えていることが社会問題化。こうした事態を受けて、上海市が初めて企画した。
 男女がお互いに自己紹介するイベントでは、参加者があまりに多いため、1人に対する質問時間は3分前後。それでも「仕事は?」「趣味は?」と矢継ぎ早に尋ね、気に入った男性の連絡先を積極的に聞き出す女性も目立った。
 子供の結婚相手を心配する親も、約5千人がかけつけた。相手に求めるものは子供より高く、特に女性の親は「結婚する時、家は用意できるのか」などと厳しい質問を浴びせていた。

◎広西初の高速鉄道、鉄道輸送能力を大幅に増強(2011年11月7日、朝日新聞)
 中国鉄建十四局集団五公司の鉄道レール敷設用機械が6日午後、広西チワン族自治区欽州市皇馬工業区に1本目のレールを敷設した。これにより、広西チワン族自治区初の高速鉄道(南寧~欽州の鉄道拡張プロジェクト)がレール敷設段階に入った。中国南西部で最も利便性の高い、海を跨ぐ鉄道の開通が待たれる。
 広西沿海鉄道は北部湾地区に位置し、内陸と北部湾地区(欽州、北海、防城港の3大港を含む)を結ぶ主要鉄道となる。南寧~欽州区間は全長が98.79キロメートルで、投資総額が97億6000万元(約1170億円)にのぼる。
 広西沿海鉄道の拡張プロジェクトが竣工すると、南寧、欽州、北海、防城港の4市の間で、「1時間都市経済圏」が形成される。同時に、鉄道の年間輸送能力も2500万トンから2億1500万トン超まで増強され、北部湾経済区の鉄道輸送圧力が大幅に緩和される。これにより中国南西部で、利便性の高い海を跨ぐ鉄道が開通されることとなる。

◎オレ様は中国だゾ!「裏付けのない正当性を繰り返す」国柄(2011年11月6日、産経新聞)
 気が荒くて喧嘩早いだけでなく、図体が大きく腕力が強い。しかも、自らは文化程度が高いと鼻高々なのだが、実体は野卑で傲岸無礼。他人名義の無住の家屋を次々に窃取、接収し、既得権をタテに居座る。
 一方の当方は、高い知能を持ちながら、家訓によって喧嘩は御法度。もっとも、優しい、謙虚というより臆病で口喧嘩も不得手。強者にへつらうばかり。
 人間付き合いでも、こんながご近所関係だったら悲惨この上ない。警察、裁判沙汰にするか、引っ越すしか手立てなどない。
 ただし「嫌な奴」が隣の大国だったら、国連や国際司法裁判所に提訴しても、自国が世界の中心であり、国際法それ自体だと信じて疑わないから、国際機関の決議・勧告を無視することなど気にも留めない。まして、独立国家は引っ越すわけにもいかぬ。

・裏付けのない正当性
 ところで、上海東部の浦東国際空港に着陸予定だったカタール航空機が8月、豪雨で着陸出来ず1時間余り旋回。燃料が減ったため50キロ離れた紅橋国際空港への緊急着陸を求めた。残りの燃料は5分間分で緊急サインを発信した。にもかかわらず、同じ空域を飛行中の中国・吉祥航空機が、管制塔の待機指示を4度も拒絶し「順番は譲らない」「こちらは4分の量しかない」と我を通した。結果的に、カタール機が折れ、吉祥機の次に着陸した。その際、両機は衝突の危機に直面した、という。ところが、着陸後の調査で、吉祥機には1時間分の燃料が残っていた。虚偽申告だったのだ。驚くべきことに実話である。
 日本と中国の国柄の最大の違いは、日本が「意味のない反省を繰り返す」のに対して、中国は「裏付けのない正当性を繰り返す」点にある。
 中国が3月末、2年ぶりに発表した国防白書は典型だった。東・南シナ海の海洋権益保護を主要軍事目標・任務と位置付け、海軍の能力や装備をさらに拡大・強化する決意を鮮明にした。その上で「中国の国防政策は本質的に防御的」などと主張。さらに、その国防政策は「中国発展の道筋/根本任務/対外政策/歴史・文化・伝統」により決定付けられる、とする。

・日本の防衛白書には難癖
 「発展の道筋」とは「中国は平和発展の道を歩み、対内的に社会主義の『和諧社会』を、対外的には平和共栄の『和諧世界』の実現を目指す」こと。「和諧」とは調和を意味する。
 「根本任務」とは「改革開放を推進し、社会主義の現代化を進める」こと。
 「対外政策」とは「独立自主の平和外交政策」のこと。
 「歴史・文化・伝統」には「和を以って貴しとする理念/戦略上は攻撃を受けてから反撃する/いかに発展しても永遠に覇を称えず、軍事的拡張をしない」と力説している。
 一方、アジア太平洋情勢には「領土と海洋権益をめぐる争いが高まっている」と人ごとのように分析した。東・南シナ海で、領海や排他的経済水域=EEZに違法侵入し、緊張を高めているのは中国なのにだ。 
 ここまで自己を正当化されると、不快を通り越して笑える。しかし、笑ってばかりもいられない。自国の国防白書には限度なく甘い中国だが、日本の防衛白書には異常なほど難癖をつけ、挑みかかって来る。
 防衛白書は中国情勢につき「貿易不均衡や人権問題などをめぐる他国との摩擦、周辺諸国との利害対立をめぐる高圧的とも指摘される対応など、今後の方向性について不安を抱かせる面も」と表現した。例年より強い表現だとの指摘もあるがそれでも尚、不必要な遠慮が過ぎる。だのに、中国外務省の馬朝旭・報道官は声高に反論した。

・「待っていた時」をつかむ
 「無責任な論評だ。強い不満を表明する/中国は平和発展路線を堅持している/いかななる国に対しても脅威にならない」
 揚げ句は「日本が真摯に自国の国防政策を反省することを希望する」ときた。そもそも「平和路線」か「脅威」かは、自国が判断することではなく、他国がどう感ずるかだ。シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(6月)では、30カ国から参加した閣僚を含む政府関係者や専門家から講演者の米国防長官に、あふれんばかりの質問が出た。それを聴けば、中国を明らかに「脅威」と感じている実体が完全に納得できる。いわく-
 「中国軍による米軍への接近拒否は、台湾侵攻時に最も懸念されるが、対処できるのか」
 「中国によるサイバー攻撃に対抗できるのか」
 各国の中華帝国への不信や反発は、今や「恐怖」と呼んでも差し支えない域まで高まっている。どこまでも上から目線。かつての最高実力者トウ小平(1904~97年)が主唱した、頭を下げる低姿勢外交「韜光養晦」は一体、何だったのか。その答えは、李鵬元首相(83)の言葉に凝縮されている。
 「屈辱に耐え、実力を隠し、時を待つ」
 「待っていた時」をつかみ始めた中国だが、白書を出した際、爪を隠して白々しくもこうコメントした。
 「白書を通して国際社会の信頼と協力を高めたい」
 無理です。

◎「中ロがサイバー空間スパイ」、米、公文書で名指し批判(2011年11月6日、朝日新聞)
 米国家情報長官室は3日、サイバー空間での米国に対するスパイ活動の報告書を公表した。中国、ロシアの両政府が「米経済や技術の機密情報を今後も積極的に集め続けると判断している」と言及。公式文書での名指し批判は異例で、両政府の反発も呼びそうだ。
 報告書は、サイバー攻撃について「伝統的なスパイの手法よりすでに大きな脅威となっている」と指摘。中国を発信源とした米国のネットワークへの「猛攻撃」が企業や専門家から報告されているとし、「中国の関係者による経済スパイ活動は、世界で最も活発で執拗だ」と批判した。2010会計年度(09年10月~10年9月)に米経済スパイ法で裁かれた7事件のうち、6件が中国絡みだったという。
 また、ロシアについては「情報機関が米国の経済や技術の情報を狙って広範に情報収集活動をしている」と当局の関与に言及した。

◎百人超がブルセラ症感染、中国、検疫担当者(2011年11月5日、産経新聞)
 5日付の中国紙、北京青年報などによると、中国の内モンゴル自治区ウランチャブ市当局者はこのほど、市内の検疫担当者100人以上が人獣共通感染症のブルセラ症に感染したことを明らかにした。同市では3月、ヒツジの大規模な検疫を実施したことから、検疫業務で感染した可能性が指摘されている。
 これまでの報道では、検疫時にヒツジから採血しており、4月になって腰痛や目まいなどの症状を訴える検疫担当者が相次ぎ、感染が判明。市当局者は採血が原因とは断定できないとし、既に80~90人が快方に向かっていると強調した。

◎中国:レアアース加工品、増産計画、15年までに3倍(2011年11月3日、毎日新聞)
 中国のレアアース(希土類)採掘の約9割を占める内モンゴル自治区パオトウの国家レアアースハイテク産業開発区は2日、2015年までに工業用磁石や電池などレアアース加工品の生産額を10年の約3倍の300億元(約3680億円)に増やす計画を明らかにした。レアアースだけでなく、加工品でも国際シェアを拡大する狙いがあるとみられる。
 中国は環境破壊や価格下落を防ぐため、レアアースの採掘を抑制中で、今回も年間の採掘枠は増やさない方針。レアアースの輸出枠が増えない限り「日本企業にはメリットはほとんどない」(日本の業界関係者)といえる。各国は、中国以外の調達先確保など対策を進めており、今回の計画は、中国側のけん制という見方もある。

◎新神戸電機、自動車用鉛蓄電池、中国で生産能力倍増(2011年10月31日、化学工業日報)
 新神戸電機は、中国で自動車用鉛蓄電池の増産に乗り出す。今年、中国ローカル資本の自動車メーカーから初の受注を獲得するなど一層の需要増を見据えるなか、早ければ2013年度中に東莞工場(広東省)の年産能力を現状比2倍の400万個に引き上げる。さらに、産業用蓄電ビジネスも強化する。「産業用蓄電システム事業戦略本部」をこのほど開設した。リチウムイオン2次電池(LiB)や新エネルギー用鉛蓄電池など4種のデバイスの複合によって、品質保証体制を含むグローバル展開を加速していく。

◎お金次第で携帯、ペット、合鍵も、中国の刑務所で発覚(2011年10月31日、朝日新聞)
 中国河北省の刑務所で、9月に起きた脱走事件をきっかけにずさんな管理が明らかになった。北京紙・新京報によると、囚人の8割が携帯電話を持ち、外部とビデオチャットする人も。仲介業者を通せばペットも飼えるなど、お金次第でやりたい放題だった。
 問題の刑務所は、深州監獄。9月上旬に出所した元囚人は同紙に、鍵の管理も厳格ではなく、囚人が合鍵を作って牢屋から勝手に出て、よく刑務所内をうろうろしていたと語った。
 また、刑務所内の公衆電話は1分2元(約24円)と携帯電話よりも高く、話す内容も監視されるため、中古の携帯電話が外の10倍の値段で取引されるほどの人気だったという。携帯端末を持っていない人は自分のSIMカードを持ち、他の人の端末を借りて電話していた。携帯の無線通信機能を使い、刑務所内で文書をやりとりすることもあった。

◎中国鉄道建設、90%で工事ストップ、300万人への賃金未払いも(2011年10月30日、産経新聞)
 中国で鉄道建設の中断や遅延が一段と深刻化し、工事路線の90%にあたる1万キロ以上がストップ状態に陥っていることが分かった。7月に浙江省温州市で起きた高速鉄道追突事故の影響で、自転車操業状態にあった鉄道省の資金繰りが急速に悪化しているためだ。
 中国紙、京華時報(電子版)によると、農村からの出稼ぎ労働者(農民工)ら約300万人が雇用契約の打ち切りや給料の未払い問題に直面。抗議活動など社会不安に結びつく懸念も指摘され始めた。
 死者40人を出した7月23日の高速鉄道事故後に安全検査や工期の見直しなどで、建設作業が計画通り進まなくなり、上海-昆明、石家荘-武漢、アモイ-深セン、貴陽-広州、南京-広州など多くの高速鉄道の建設現場で工事が止まっている。
 8月末には、建設路線の約70%で工事がストップしていたが、わずか2カ月でさらに事態が悪化した。銀行からの資金融資や、鉄道債の発行に必要な利払いコスト急増も背景にある。
 鉄道業界関係者は同紙に対し、鉄道省から鉄道建設大手2社への支払いが、1300億元(約1兆5600億円)以上滞っていると証言。このため、建設作業員への賃金も各地で3~6カ月分が未払いになっているという。鉄道建設は原材料や車両など幅広い分野を抱え、約1800万人の生活を支えている。工事中断が長引けば、政府への抗議が激化する可能性もはらむ。
 建設費用は政府予算や運賃収入に加え、国有銀行からの低利融資や鉄道債でまかなってきた。だが、需要予測を無視した長年の過大な建設強行がたたり、今年6月末には鉄道省の負債総額は、5年前の3倍以上の約2兆900億元(約25兆円)にも達していた。

◎中国、鉄道工事の9割が中断、資金不足が深刻化(2011年10月29日、産経新聞)
 29日付の中国紙、京華時報は、中国鉄道省の資金不足が深刻化し、全国で建設中の鉄道路線の90%超に相当する1万キロ以上が工事中断に追い込まれていると伝えた。中国は高速鉄道などを急速に拡大し続けてきたが、鉄道省の負債が6月末で約2兆900億元(約25兆円)に達し、建設作業員への賃金未払いも多発しているという。
 同紙によると、鉄道業界の専門家は、浙江省温州市で7月に発生した高速鉄道追突事故も工事中断の一因になったと指摘。安全確保や工期の適正化などで、工事を再検討せざるを得なくなったためとみられるが、資金面からもあらためて鉄道の拡大路線の見直しを迫られそうだ。
 中国の鉄道関係者は同紙に、建設作業に携わる出稼ぎ農民への賃金が、各地で3~6カ月間の未払いになっているとした。

◎北京の大使館移転できず、日本、中国と新たな対立(2011年10月28日、産経新聞)
 日本政府が北京市内に新たな大使館を建設し、8月に移転を終える計画を立てていたにもかかわらず、中国当局の使用許可が下りないため、今も既存の大使館での業務継続を余儀なくされていることが28日、分かった。複数の日中関係筋が明らかにした。
 これに対し、中国側は東京都港区で進める駐日大使公邸の移転計画などをめぐり、浜田和幸外務政務官らが反対運動を展開していることをとらえ「この問題は日中セットで解決すべきだ」(中国外交筋)と日本側をけん制。日中間の新たな外交問題に浮上してきた。
 日本外務省は「中国側と交渉中でコメントできない」としている。

◎中国浙江省の民工暴動、100人以上拘束か(2011年10月28日、読売新聞)
 税金の取り立てを巡って民工(出稼ぎ労働者)らによる大規模な暴動が起きた中国浙江省湖州では、28日も大量の治安部隊が配備されて緊張状態が続いた。
 100人以上のけが人や拘束者が出たとの情報もある。権利意識が高まる民工の間では「地元当局に搾取されている」と不満が強まっている。
 「我々が地域経済を支えているのに、地元当局はやりたい放題だ」。湖州の縫製工場で働く安徽省出身の民工男性(31)はまくし立てた。26日のデモに参加し、治安部隊が参加者を次々と殴り倒すのを見たという。
 湖州は縫製業が主要産業で、小さな工場が立ち並ぶ。工場や家内工業で働く民工の約8割は安徽省出身。26日は、同省出身の工場主が今年から倍に増額された税金の支払いを拒否し、地元当局と対立。当局側が対話を求めた工場主の代表者らを殴ったとの情報が流れ、1000人規模の暴動に発展した。

◎衛星測位システム北斗、まずは商用車向けにサービス普及(2011年10月25日、朝日新聞)
 交通運輸部と解放軍総装備部は北京で24日、中国の第2世代衛星測位システム「北斗」の応用モデルプロジェクト始動式を行った。式上で明らかになったところによると、北斗システムは今後、交通運輸業界で7項目の応用モデルプロジェクトを実施する計画で、うち、「重点運輸プロセスのモニタリング・管理サービスモデルプロジェクト」は1つ目のモデルプロジェクトとなる。同プロジェクトは、既存の全国重点商用車ネットワーク制御システムを基礎に、北斗システムと道路運輸業界のニーズを組み合わせ、関連のアプリケーションシステム開発と北斗システムに対応する車載式端末(カーナビ)の設置を通じ、交通運輸業界における北斗システムの幅広い応用を促進していく、というもの。
 北斗システムは国家科技重大特別項目の1つである「中国第2世代衛星測位システム重大特別項目」により開発された中国独自の衛星測位システム。その最大の利用者は交通運輸業界となる。交通運輸業界は「点が多い、線が長い、面が広い、移動する」などの特徴を持っており、衛星測位システム応用・普及の重要分野と言える。特に現在は、北斗システムの利用開始初期にあたるため、車の台数が1千万を越える道路運輸業界での普及は、規模の利益の迅速な実現と使用コストの低下に役立ち、北斗システムの普及に向けた基礎固めとなる。
 現在、同システムには800以上のGPSサービス企業がアクセスしており、各省級プラットフォーム間における車両動態データの伝送・交換を実現している。システム上に登録されている車両数は計105万台に達し、うち、「両客一危(1度の運行距離が800キロを超える旅客運送車と高速道路を運行する旅客運送車、危険品運送車)」車は42万台あまり、オンラインの車両は1日平均13万台に達する。中国広播網が24日に伝えた。

◎中国の鉄道、悪質な手抜き工事発覚、責任者は素人(2011年10月24日、朝日新聞)
 中国吉林省白山の一般鉄道の橋建設工事で、橋脚のセメントに大量の石やがれきを混ぜるなど悪質な手抜き工事が発覚し、工事が中断していることがわかった。地元メディアによると、「元料理人」というまったくの素人が工事責任者を務める孫請け業者が受注していたという。
 中国では7月に浙江省温州で死者40人を出す高速鉄道事故が起きたばかり。今回の問題で、鉄道の安全性への不信感がさらに広がりそうだ。
 問題の橋は、昨年着工した靖宇県と撫松県を結ぶ約74キロの区間にあり、総工費は23億元(約280億円)。地元メディアによると、建設会社「中鉄九局グループ」が落札し、区間ごとに下請け業者に発注した。このうち1社が橋の工事の一部を元料理人の孫請け業者に発注した。

◎中国の富裕層53万人を突破、世界4位に、12%増、資産総額2.7兆ドル(2011年10月24日、産経新聞)
 米資産管理大手のメリルリンチ・グローバル・ウェルスマネジメントが13日に発表した「アジア太平洋地域ウェルス・リポート」によると、2010年に100万ドル(約7630万円)以上の純資産を保有する中国の富裕層人口は、前年に比べ12%増え、53万5000人に達した。新華社などが伝えた。
 リポートによると、中国本土の富裕層は10年もアジア太平洋地域で2位、世界で4位となり、資産総額は09年に比べて13.2%増の2兆6600億ドルに膨らんだ。
 同社の中国本土・台湾市場担当ストラジテストの柯瑞●氏は「富裕層の人数増加と資産額増加の推進力は力強いマクロ経済の成長などによるもの」と指摘し、中国市場は規模が大きく、成長が速く、資産管理業者にも大きなチャンスを与えているとした。
 一方、中国本土の富裕層の資産構成は過去2年間変わらず、10年末時点で27%が不動産、42%が株式だった。

 ●=くさかんむりに分の下に木

◎ひき逃げ放置の2歳女児死亡で党幹部はモラル向上指示(2011年10月22日、産経新聞)
 中国広東省仏山市で2歳の女児がひき逃げされ、通行人十数人が無視して通り過ぎた事件で、入院先で治療を受けていた女児が、事故から約1週間経過した21日未明に死亡した。地元メディアが伝えた。
 この事件は13日に発生。女児は狭い路地でライトバンにひかれ、通行人らに無視された上、さらに別のトラックにもひかれた。女児は最終的に女性が助け出したが、事故現場に約7分間放置されていた。
 事件をめぐっては、インターネット上で女児を無視した通行人らを非難するコメントが殺到。中国版ツイッター「新浪微博」 には「中国国民の恥だ」などという書き込みが相次いだ。
 中国新聞社が地元メディアを引用して伝えたところでは、病院による懸命な措置も実らず、女児は21日早くに亡くなったという。女児をひき逃げした運転手2人は既に逮捕されている。
 広州日報によると、この事件を受けて、同省の共産党幹部は「社会全体の道徳水準の向上に向けて、積極的かつ効果的な方策を取るように」と、省当局者の会合で指示を出した。

◎18人が放置の女児死亡、中国に無関心社会の議論起こし(2011年10月22日、朝日新聞)
 中国広東省仏山市でひき逃げされた2歳の女児を18人の通行人が放置した事件で、意識不明の重体だった悦悦(ユエ・ユエ)ちゃんが21日未明死亡した。地元紙広州日報(電子版)などが伝えた。
 悦悦ちゃんは13日夕、ワゴン車にはねられた。通りかかった人がすぐには救助せず、別のトラックにもはねられた。事件の一部始終が防犯カメラに映っており、保身のため他人のトラブルや困難に関わるのを避けようとする風潮の象徴だとして関心を呼んだ。
 南京市では2006年、バス停で転倒して骨を折った女性を病院に運んだ男性が、「押し倒した」として訴えられて一審で約4万5千元(約54万円)の賠償を命じられた。今回の「放置」の背景になったとの見方もある。

◎「見殺しだ!」車にひかれ放置の2歳女児、事故9日目に死亡、処罰検討も、中国仏山(2011年10月21日、産経新聞)
 中国広東省仏山市で車にひかれ、通行人18人に救助されず素通りされた後、瀕死の状態で搬送された女児(2)が事故から9日目の21日未明、搬送先の病院で死亡した。地元紙、南方日報が同日、短文投稿サイト「微博」の公式ページで伝えた。
 「悦悦ちゃん」と呼ばれる女児は、自宅近くの商店街で13日夕方、ワゴン車にひき逃げされた。血を流して苦しんでいるのに通行人に見て見ぬふりをされ、後から来たトラックにも両脚をひかれた。その後病院に運ばれ、意識不明のまま懸命の治療が続いていた。
 現場を捉えた防犯ビデオ映像がインターネット上で出回ったことから、「経済発展の一方で道徳が失われた」などと批判が相次ぎ、広東省政府が緊急対策会議を開いて「見殺し行為」を処罰するかどうか検討するなど、大問題となっている。

◎中国GDP9.1%増、3期連続で減速(2011年10月18日、読売新聞)
 中国国家統計局が18日発表した2011年7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前年同期に比べて9.1%増えた。
 成長率は4~6月期の9.5%より減速しており、成長率が前年同期実績を下回るのは3期連続だ。1~9月期の成長率は前年同期比で9.4%だった。
 一方、前四半期と比べた成長率(季節調整済み)は2.3%で、4~6月期(2.2%)とほぼ同水準だった。
 個人消費の動向を示す「社会消費品小売総額」は1~9月、新車や家電の販売が伸び悩んでいることなどから前年同期比17%増にとどまり、10年通年の18.4%を下回っている。9月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比6.1%増と高止まりしていることも消費の伸びを鈍らせている。

◎北京鉄道局長を解任、厳しい姿勢アピール(2011年10月16日、産経新聞)
 16日付の中国紙、新京報によると、中国の盛光祖鉄道相が13日のテレビ会議で黄桂章北京鉄道局長の解任を発表した。10日に北京市郊外で発生した列車脱線事故に対する監督責任を問われたとみられる。
 この脱線事故で死傷者は出なかった。ただ、浙江省で7月に起きた高速鉄道事故で、鉄道省幹部に対する責任追及の甘さが批判されたことから、厳しい姿勢をアピールする狙いがあるようだ。
 盛氏はテレビ会議で「鉄道事故の責任追及を厳格化していくことは決まっている」と語った。
 鉄道省の規則は、30人以上の死者、100人以上の重傷者、1億元(約12億1千万円)以上の経済的損失のいずれかに該当する「特別重大事故」では、責任者の処分が必要としている。

◎渤海で原油流出、作業船が海底パイプライン破損、中国(2011年10月15日、産経新聞)
 15日の新華社電によると、中国遼寧省沖の渤海の遼東湾にある国有石油大手、中国海洋石油が保有する油田で14日、原油が流出した。
 作業船がいかりを揚げる際、海底のパイプラインを破損し、原油が流出した。同社によると、流出の確認後、生産を中断。海面の油膜を回収し、パイプラインの破損部分を修復したという。
 渤海では6月にも、同社と米石油大手コノコフィリップスが共同開発した国内最大級の海底油田で原油流出事故が起きた。

◎経済大国・中国、文化で立ち遅れと危機感あらわ(2011年10月15日、読売新聞)
 中国共産党の第17期中央委員会第6回総会(6中総会)が15日、北京で始まった。
 4日間、文化体制改革をテーマに討議し、18日、「重大問題に関する決定」を採択して閉幕する。同決定は、国内総生産(GDP)世界2位の経済大国に成長した反面、立ち遅れた精神文明を復興させ、世界市場で劣勢のソフトパワーを強化することで「文化強国」を目指す国家戦略となる。
 党中央機関紙「人民日報」は15日、「文化強国への中国ロード」と題する署名入り論文を掲載。中国の説話を基にした米ディズニーのアニメ映画「ムーラン」が中国で大ヒットしながら、自国の文化企業が一向に振るわない現状を指摘し、「文化面で優勢に立てなければ、国家の文化主権も守ることが出来ない」と危機感を訴えた。

◎人民元建て中国投資、本格スタート、国際化へ?規則公表(2011年10月15日、朝日新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)と商務省は14日、海外や香港から人民元建てで中国内に直接投資する際の規則を公表した。これで、外国人が中国で企業を買ったり、工場を建てたりするときに人民元を使いやすくなり、人民元の国際化が進む可能性がある。
 今までは規則が示されておらず、外国人の人民元建て投資はあまりなかった。
 今後は、海外や香港から中国内に人民元建てで投資するときは省政府に認可申請しなければならない。投資額3億元(約37億円)以上の場合は、各省を通じて中国政府の認可が必要になる。この仕組みは外国人がドルや円建てで中国内に投資するときとほぼ同じだ。

◎中国、欧州向けの輸出減速、ASEAN向けが日本上回る(2011年10月14日、朝日新聞)
 中国税関総署は13日、1~9月の輸出が前年同期比22.7%増の1兆3923億ドル、輸入が26.7%増の1兆2852億ドルだった、と発表した。地域別で輸出の約2割を占める欧州向けが17.4%増と、1~8月と比べて伸び率が5.4ポイント下がった。債務危機の影響とみられる。
 魯培軍副署長は同日の会見で、世界経済の成長減速に伴う先進国における保護主義の台頭、人民元の対ドル相場の上昇や国内中小企業の経営難を指摘。第4四半期を「複雑で厳しい局面」と位置づけた。11年通年の輸出は前年比18%増、輸入は21%増と予測。10年より13ポイント、17ポイントそれぞれ下回る見通しだ。
 中国は先進国中心だった貿易相手の多角化を目指しており、1~9月でみると前年同期より26%伸びた東南アジア諸国連合(ASEAN)が18%の伸びにとどまった日本を追い越し、欧米につぐ3番目の貿易相手となった。全体に占める日米欧の先進国市場の比率は43.7%と、2ポイント下がった。

◎中国中央テレビ、全土に支局開設へ、変革アピールか(2011年10月14日、朝日新聞)
 中国中央テレビ(CCTV)は、早ければ今月末までに、北京市を除く国内全土の直轄市、省、自治区など計29カ所に取材拠点となる支局を立ち上げることを決めた。13日、同テレビ関係者が明らかにした。
 CCTVはこれまで地方に取材網を設けず、各地のテレビ局からニュースと映像の提供を受ける形をとっていた。関係者は「今は悪いニュースが中央に届かない。(支局を開設して)中国の真実を伝えていく」としており、政府のスポークスマン的存在だったCCTVが、報道機関としての変革をアピールする狙いがあるとみられる。29支局には、記者とカメラマンを配置するという。
 CCTVは、7月に起きた浙江省温州での高速鉄道の追突事故で、政府に批判的な報道をしていた。

◎江沢民氏、姿現す、辛亥革命100年記念式典(2011年10月10日、朝日新聞)
 7月に危篤が伝えられた中国の江沢民前国家主席(85)が9日、元気そうな姿を現した。北京の人民大会堂の中国の辛亥革命100年を記念する式典に、手を振りながら自ら歩いて壇上に登場。付き添いの助けを借りながらも、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席の隣に座り、健在を示した。
 江氏は7月1日の中国共産党創立90周年の式典を欠席した際は死亡説も飛び交った。中国国営新華社通信は「全くの流言にすぎない」と否定したが、複数の中国筋や外交筋は危篤に陥ったとしていた。
 江氏は式典で、隣の温家宝(ウェン・チアパオ)首相と言葉を交わし、手元の資料をめくるなどのしぐさを見せた。胡主席の演説が終わると小さく拍手も。座ったままで胡主席と握手をした後、付添人に支えられながらゆっくりと立ち上がり、会場に向かって再び右手を振ってみせた。

◎「共産党が辛亥革命の継承者」、胡主席、記念式典で強調(2011年10月10日、朝日新聞)
 9日、北京で開かれた中国の辛亥革命100年の記念式典で、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は重要演説を行い、中国共産党が革命の「継承者」だとの歴史観を強調。革命を主導した孫文の志を受けた「中華民族の偉大な復興」に向け、中国と台湾の平和統一実現を求めた。
 式典は辛亥革命のきっかけとなった1911年10月10日の武昌蜂起から100年を迎えるのを前に開かれた。共産党指導部は胡氏ら政治局常務委員9人全員が顔をそろえ、辛亥革命を重視する姿勢を示した。革命の歴史を通じ、自らの政権の正統性を主張し、中台統一に向けた中華民族の団結を訴える狙いだ。
 胡主席は演説で「(辛亥革命が)清王朝を覆し、数千年の専制君主制を終わらせた」と革命を高く評価する姿勢を表明。共産党が「(革命の)最も堅固な支持者であり、最も親密な協力者であり、最も忠実な継承者だ」と位置づけた。

◎中国、中小倒産が頻発、危うい「世界の工場」、欧米の低迷直撃、資金不足も深刻(2011年10月10日、産経新聞)
 「世界の工場」と称される中国で、製造業に従事する中小企業の倒産が相次いでいる。欧米の景気低迷を受け、南部で深刻化した企業の危機は他地域にも拡大。資金不足、人民元高、人材難といったさまざまな重荷が企業に重くのしかかっている。

・珠江デルタで1000社
 中小企業の倒産危機が早くから顕在化したのは中国南部。輸出企業が密集する珠江デルタ地域を中心に、金融危機で萎縮した欧米市場の悪影響が大きく出た。当局は企業の倒産ラッシュを否定しているために公式発表のデータはないが、「珠江デルタ地域だけで倒産企業は1000社単位に上る」との報道がある。
 香港紙の香港経済日報(電子版)によると、輸出を主力とするデニム製品工場約2000社がひしめく広東省仏山市では100社超の企業がすでに閉鎖。「玩具の町」として知られる同省東莞市石排鎮では小規模工場の6割が操業停止の状態という。
 政府系シンクタンクである同省広州市社会科学院の劉江華・副院長は、企業倒産危機の要因として、(1)欧米景気低迷による輸出減少(2)人民元高に伴う競争力低下(3)物価や人件費の上昇による生産コスト増(4)銀行の融資抑制による資金不足-を指摘。「珠江デルタ地域が直面している圧力は、2008年に起きた(米国発の)金融危機を上回る」と懸念を示す。
 こうした中小企業の倒産危機は、すでに南部に限られた状況ではない。中国紙の経済参考報(電子版)は、上海など長江デルタ地域や東北地域にも危機が蔓延していると報じた。同紙によると、東北部の吉林省では数十万社の民営の中小企業が倒産の瀬戸際にあるという。
 深刻になりつつあるのが、企業の資金不足だ。インフレ対策に向けた当局の銀行融資抑制により、多くの中小企業が資金繰り難に陥っている。経済参考報が報じた吉林省の例では、省内の中小企業が必要とする資金1000億元(約1兆2070億円)に対し、銀行融資などで調達可能な資金は440億元のみで、560億元が不足しているという。
 銀行融資を得られない中小企業は、民間のノンバンクを頼らざるを得ない。しかし、利益率10%未満が大半の中小企業にとって、高利の民間金融は“もろ刃の剣”になりかねない。
 香港経済日報によると、長江デルタ地域では高利貸の返済不能に陥った企業経営者が失踪する事件が9月末以降、20件以上発生している。最近では浙江省温州市で眼鏡メーカー経営者が借金を苦に自殺した。

・年内に生死の分岐点
 経営環境の先行きは依然と不透明だ。中国物流購入連合会(CFLP)が9月1日に発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)では、新規の輸出受注指数が約2年半ぶりに景気の拡大・縮小の境目の50を割り込み、多くの中小製造企業が手掛ける輸出業の低迷持続を示唆する内容だった。
 業界関係者の間からは「年末に(企業の)生死を分ける“分岐点”が訪れる」(広東中小企業発展促進会の謝泓書記長)との声も聞かれる。「世界の工場」を支えてきた中国の中小企業は、早くも厳しい冬を迎えつつあるようだ。

◎フジタ社員の保釈期間満了、中国当局が事件終結宣言(2011年10月10日、朝日新聞)
 中国国家安全当局は8日、河北省石家荘市の軍事管理区域に侵入したとして拘束された後に保釈された日本の準大手ゼネコン、フジタ社員の高橋定さんについて、1年の保釈期間を終えるのを機に「強制措置の解除を決めた」と明らかにした。
 新華社通信を通じて、当局として事件を正式に終結させる方針を公表した。高橋さんは昨年9月の沖縄県尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の直後、ほかの日本人社員3人とともに拘束。昨年10月9日、5万元(約60万円)の保釈金を支払い帰国した。

◎漢方薬:原料が高値の花に、中国産、4年で1.6倍(2011年10月9日、毎日新聞)
 中国からの漢方薬の原料生薬の輸入価格が、06~10年の4年間で約1.6倍に高騰していることが8日、業界団体「日本漢方生薬製剤協会」による初の調査で分かった。経済成長に伴う生活水準の向上で、中国国内での漢方薬の服用量が急増、中国政府が生薬の元となる薬草の乱獲防止を理由に輸出制限していることが背景にある。
 日本は風邪から肩こり、アレルギー症状まで漢方薬を幅広く利用する漢方大国だが、生薬の8割強は中国からの輸入。薬品業界では「ハイテク機器に欠かせないレアアース(希土類)のように中国が輸出規制を本格化すれば、漢方薬不足や小売価格高騰につながりかねない」と懸念する声も出ている。
 調査は同協会加盟全74社を対象に、使用量が多い30の生薬を中心に実施。その結果、漢方薬の7割に使われるカンゾウ(甘草)が4年で約22%値上がりしたほか、シャクヤク(芍薬)が47%、ケイヒ(桂皮)が29%、それぞれ高くなるなど全生薬の値上がりが確認された。加重平均すると価格が4年で1.64倍になった計算だが、業界関係者は「足元では2倍を超えている」と指摘する。
 中国政府は00年以降、薬草の乱獲による生産地の砂漠化を防ぐため、生薬の輸出に最低価格を導入するなど制限を強化。日本メーカーが08年度に使用した生薬は248品目(2万273トン)だが、うち113品目の調達先は中国に限られており、年々強化される輸出制限が日本メーカーの生薬調達を直撃する形になっている。
 野村総合研究所によると、国内の漢方薬市場は07年で1131億円(医薬品全体の1.8%)。健康意識の高まりを背景に15年には2000億円に拡大する見通しだ。日本メーカーは、今のところ生薬の調達価格上昇分を生産コスト削減でカバーし、漢方薬の値上げを回避しているが、どこまで耐えられるか。業界には「このままでは、供給責任を果たせなくなる会社も出てくる」(メーカー大手)と危惧する声もある。

・漢方薬
 古医書の規定に基づき、有効な成分をもつ生薬を複数組み合わせてつくる。風邪の急性期に使う「葛根湯(かっこんとう)」は、カッコンやカンゾウ、タイソウ、ケイヒなどの生薬が配合されている。また、虚弱体質に効果がある「抑肝散(よくかんさん)」はブクリョウが、胃炎や食欲不振に効く「六君子湯(りっくんしとう)」はハンゲなどがそれぞれ主成分で、カンゾウも配合されている。

◎溶融鉄が漏れ6人死亡、中国の製鉄所(2011年10月9日、産経新聞)
 新華社電によると、中国江蘇省南京市の鉄鋼メーカー、南京鋼鉄の製鉄所で5日、溶鉱炉で溶融した鉄が漏れ、6人が死亡、1人が負傷した。
 現場では作業員13人が溶鉱炉を廃炉にするための準備作業をしていたという。
 中国では炭鉱事故や石油施設の火災など資源関連の事故が各地で相次いでいる。

◎中国・大連の地下駐車場で天井崩落9人死亡、安徽省のビルエレベーター落下で4人死亡(2011年10月9日、産経新聞)
 中国遼寧省大連市で8日、建設中の地下駐車場で天井が崩落し、作業員9人が死亡、4人が負傷した。新華社が伝えた。
 また、安徽省池州市では6日、建設中のビルの18階からエレベーターが落下し、作業員4人が死亡、1人が重傷を負った。

◎学校に行かない子供たち、中国(2011年10月9日、産経新聞)
 中国では、子供の入学試験に泊まり込みで付きそう親の姿が受験シーズンの“風物詩”ともなっている。そんな学歴社会にもかかわらず、最近、北京や上海などの大都市圏を中心に「学校に行かない子供たち」が増えている。
 別に家庭が経済的に困難というわけではない。かえって家庭条件としては恵まれた部類に入る子供たちばかりだ。詰め込み型で個性が埋もれる現在の学校教育に疑問を抱く親の方針によって、公的教育機関には通学せずに、自宅あるいは私塾で学んでいるのだ。
 中でも話題を集めているのが、広東省広州に設立された私塾「六月小学堂」。中国メディアによると、この私塾を設立したのは、小学校の国語教師として10年以上の指導経験を持つ葉万紅さん。葉さんは当初、自分の子供に合った幼稚園を求めて、5度、転居を繰り返した。その徹底ぶりは、子供の教育のため3カ所も住まいを替えたという孟子の母の故事になぞらえ、“現代の孟母”と称された。
 葉さんは「三遷の教え」を実践しても満足せず、昨年退職し、自宅で子供にマンツーマン教育を始めた。1年間、在宅教育を続けた後、友人ができないという“欠陥”に気づいた。同様の方針、悩みを持つ母親たちと話し合った後、一大決心をした。「自分で理想とする小学校をつくる」。今年6月に開校した「六月小学堂」には現在、7~10歳までの計4人が通っている。
 葉さんは「教育は母親が子供にご飯を作ってあげるのと一緒だ。栄養にあふれ、おいしくて、そして温かくなければいけない」と独自の教育論を展開する。「六月小学堂」での授業は、政府の学習要領に従っているものの、美術や音楽などを重視。それぞれの学習速度に応じてカリキュラムを作っているという。
 米国では120万人の子供が在宅教育を受けているとして、私塾を“自由”の象徴のように吹聴する向きがある。しかし、中国の教育関係者は「子供の成長過程において学校の役割は代え難いものがある。学校では競争、協力を体験させられる」と否定的だ。
 私塾礼賛はその実、ちまたにあふれるワガママし放題の“小皇帝”を生んだ親の甘やかしと変わらない。在宅教育や私塾を選択した親たちも、結局は有名大学への進学を望んでいる。だが、温室育ちが勝ち抜けるほど、中国の受験戦争は甘くない。

◎一時重病の江沢民氏、姿現す、辛亥革命記念式に(2011年10月9日、読売新聞)
 中国の江沢民・前共産党総書記(前国家主席)が9日、北京の人民大会堂で開かれた辛亥革命100周年記念式典に参加した。
 江氏は健康悪化のため7月1日の党創設90年記念大会に欠席、香港のテレビが死亡を報じる騒ぎも起きていた。公の場に姿を見せるのは昨年末、上海で京劇を鑑賞したのが報じられて以来。
 周辺関係者によると、江氏は4月、急病で意識不明となり、上海市内の病院に運ばれた。5月下旬、意識が戻ったため医療体制の整った北京の人民解放軍301病院に転院。6月末に容体が悪化したが8月に入り回復に向かっていた。

◎フジタ社員拘束問題、中国が「強制措置解除」(2011年10月9日、読売新聞)
 中国国営新華社通信によると、河北省石家荘市の国家安全当局は8日、昨年9月に同市内の軍事管理区域で違法撮影したとして拘束した、中堅ゼネコン「フジタ」社員の高橋定(さだむ)さんについて「強制措置の解除を決定した」と明らかにした。
 高橋さんは昨年10月上旬に5万元(約60万円)を払って保釈され、日本に帰国している。「法に基づく」決定としており、中国当局は問題の幕引きを図るのが狙いとみられる。
 高橋さんは昨年9月に起きた沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件から間もなく、他の日本人社員3人と共に拘束された。

◎上海地下鉄事故、規則反した運行担当職員ら処分(2011年10月7日、読売新聞)
 中国国営新華社通信によると、上海で9月27日に起きた地下鉄追突事故の調査チームは6日、事故原因について、運行担当の職員らが規則に反し、列車の位置を正確に把握しないまま運行指示を出したと認定、担当者や運営会社の幹部ら12人に対する免職などの処分を発表した。
 調査結果によると、事故のあった区間では事故の約40分前、ケーブル関係の作業中に電気供給が止まり、信号システムが機能しなくなったため、自動制御から手動制御に切り替えた。
 しかし、運行担当の職員らは列車の位置確認を適切に行わずに指令を出し、駅職員も担当区間に列車がいるかどうか正確に把握せずに発車を許可したため、追突したという。

◎運行指令の指示ミス原因、上海地下鉄事故、幹部ら処分(2011年10月7日、朝日新聞)
 280人を超えるけが人を出した中国・上海の地下鉄追突事故の事故調査チームは6日、運行指令センター員と駅員が安全を確認せずに列車に運行を指示したことが直接の原因とし、運営会社の幹部ら12人を処分することを決めた。国営新華社通信が伝えた。
 信号システムの故障が事故につながったとの指摘が出ていたが、原因はシステムではなく、運行管理上の規則違反と判断した形だ。
 調査チームによると、上海の地下鉄10号線で9月27日午後2時ごろ、ケーブル修繕工事のトラブルで停電が発生。自動運行システムが停止し、手動運行に切り替わった。この際、豫園―老西門駅間の停止信号で列車が止まっていたのに、指令センター員と老西門駅員が確認せずに後続列車に運転を指示。後続列車は時速35キロの速度で追突した。

◎三菱樹脂、中国で相次ぎ現地生産拠点確立へ(2011年10月6日、化学工業日報)
 三菱樹脂は、中国における事業拡大を加速する。日本からの輸出拡大に加え、光学フィルム、太陽電池部材、リチウムイオン電池(LiB)用部材など、中国が主戦場になりつつある製品については現地での生産拠点確立を推進する。また、今年4月、上海に設立した販売拠点にコーポレート機能を付与するなど、体制面での強化も図る。これらの施策により、全社に占める中国での売上高比率を現状の約2%から、2015年度には10%近くまで引き上げる計画だ。
 中国で生産拠点の確立を検討、あるいは推進するのは、フラットパネルディスプレイ(FPD)関連の高機能フィルム、LiB用セパレーター、太陽電池用バックシートなど。IT関連や新エネんるぎー関連製品が中心。これらの製品は、需要家の生産拠点が中国に集中しつつある。

◎中国、資金繰り悪化で鉄道建設急ブレーキ、建設中の7割に支障(2011年10月6日、産経新聞)
 拡大路線をひた走ってきた中国の鉄道建設に急ブレーキがかかり始めた。7月に浙江省で起きた高速鉄道事故の影響で、建設費用の調達コストが大幅に増加したためだ。資金繰りが悪化し、建設中の路線の70%近くが中断か遅延の事態に追い込まれている。中国鉄道省は、総額200億元(約2400億円)の鉄道建設債券を12日に発行する計画だが、「焼け石に水」(関係筋)。9月には上海地下鉄事故も発生し、利用者の“鉄道離れ”に追い打ちをかけている。
 中国紙、経済参考報が鉄道専門サイトの調査として伝えたところによると、8月末までに、中国全土の鉄道建設23社が手がけている鉄道建設の路線の8.6%が工事を中断した。さらに26%までが事実上、停止に追い込まれている。
 計画遅延も35%に上り、予定通りに工事が進んでいるのは26%程度だ。同時に、半数の建設会社で給与遅配が生じ、労働者らによる抗議活動も頻発しているという。
 中央官庁ながら整備計画から建設、運営まで一貫して手がける発注元の鉄道省は、元請業者の中国鉄路工程総公司や中国鉄道建設総公司に対し、9月末時点で約600億元の支払い遅延を抱えている。
 鉄道省は、高速鉄道をわずか4年で総延長1万キロ建設するなど、やみくもに路線拡大を進めてきた。その結果、7月23日に浙江省で高速鉄道事故が起きる前の6月末で負債総額は2兆907億元に上り、資産全体に占める割合は58%に達した。同省の税引き後利益は、昨年わずか1500万元だった。
 政府予算のほか、銀行からの借り入れや鉄道建設債券などでまかなっている資金は金利負担が急増し、銀行や市場からの新たな資金調達も困難になっている。
 中国紙の第一財経日報によると、今年に入って鉄道省は償還期間90日~5年の債券を合計1400億元近く発行したが、高速鉄道の事故後の8月8日と18日に発行した2回は年利が5%を超え、前年同期の2倍以上に上昇するなど信用度も低下している。今月12日に総額200億元を発行する予定の同7~20年の債券の年利は、最高で6.53%まで上昇した。
 高速鉄道事故後、中国政府は建設中の路線の安全検査や未着工路線の安全評価も実施しており、1~8月の建設投資額は、前年同期比11%減の3164億元にとどまった。
 鉄道省は今年、6千億元の建設投資を予定していたが“自転車操業”には限界が見え始めた。今後は一段の減速が避けられない見通しで、鉄道省の解体論議も出始めている。

◎中国で偽「iPhone5」出回る、3600円也!(2011年10月5日、産経新聞)
 中国国営通信の新華社は4日までに福建省福州市の地元工商当局が販売店を捜索し、米アップルが販売を予定しているとされるスマートフォン(多機能携帯電話)「IPhone(アイフォーン)5」の偽物61台を押収したと伝えた。偽物は背面にアップルのロゴが入り、300元(約3600円)で販売されていた。摘発された販売業者によると、偽物は「最新の高度模造品」で、広東省深セン市内で生産。外側の材料や操作システムなどアップルの製品をまね、新華社は「類似度90%」としている。

◎中国で売れ筋、2400円からの偽iPhone5(2011年10月5日、産経新聞)
 未発売の米アップルの最新スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)5」とそっくりな機種が、中国のネット販売で飛ぶように売れている。
 偽iPhoneの名称は「HiPhone(ハイフォーン)5」。中国の工場に生産委託される設計図が外部に漏洩したとされるが、ネット販売の機種は数種類あり、価格も200~1200元(約2400~約1万4400円)と幅がある。購入した上海の大学生によると、広東省深セン市から送られてきた。
 通話やメールはできるが、タッチパネルの反応や画質、着信音の音質が極端に悪く、ネット接続もできない。中国では7月、雲南省昆明市でアップル直営店「アップルストア」の偽店舗が摘発されたばかり。

◎中国の圧力?ダライ・ラマ、南ア訪問中止(2011年10月5日、読売新聞)
 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は4日、南アフリカ政府から査証(ビザ)が発給されないため、6日から予定していた南ア訪問を中止するとの声明を発表した。
 南ア政府がビザを発給しない背景には、経済関係を強める中国からの圧力があるとみられる。
 ロイター通信などによると、ダライ・ラマは、7日に80歳となるノーベル平和賞受賞者、デズモンド・ツツ元大主教の招待で南アを訪れ、誕生日を祝う予定だった。しかし、ツツ氏は4日、ケープタウンで記者会見し、「アパルトヘイト(人種隔離政策)時代の政府よりひどい。(現南ア政府が)中国を怒らせるようなことは一切しないと決めているのは明らかだ」と政府を非難した。これに対し、南ア外務省報道官は「訪問中止はダライ・ラマ側の決定だ」としている。

◎中国にハッカー100組織、軍・公安が暗躍か(2011年10月4日、読売新聞)
 9月に発覚した総合機械メーカー三菱重工業のサーバーなどへのサイバー攻撃が、中国からの攻撃だった可能性が浮上し、同国に多数いるハッカーたちの活動に注目が集まっている。
 中国のネット利用者は推定で約5億人で、ハッカー組織関係者によると、国内には約100の組織が存在する。主にハッカーが利用する情報安全技術系サイトは約450あり、登録者数は計約5万人を数えるという。コンピューター技術に精通するハッカーの全てが不正行為を働くわけではないが、その数は増え続ける。
 三菱重工業へのサイバー攻撃では、攻撃者が中国で使われる簡体字を使用した痕跡があったとされ、少なくとも中国語に精通した人物が関与したとみられる。昨年9月と今年7月、警察庁のホームページに大量のデータが送り付けられた攻撃では、ともに発信元の9割が中国だった。
 カナダ・トロント大学の研究チームは昨年、中国からのハッカー行為により、インド国内の多数のコンピューターからチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の代表部の情報や軍事機密が流出したと発表した。背後に中国軍や公安機関の暗躍を指摘する声も多い。
 中国当局は広州軍区でネット専門部隊を創設したことは認めているものの、「ハッカー部隊」であることは否定。「中国はハッカー攻撃の被害国だ」(洪磊(こうらい)・外務省副報道局長)との主張を崩していない。
 昨年、日本の官公庁に対する攻撃ツールを作り、メールなどで仲間に配布したという中国国内に住む20歳代後半のハッカーの男性は、「我々は民間人であり、政府から依頼を受けて動くことはない」と政府との関係を否定したが、「我々がやっているのは、すべて国家に利益をもたらすこと」とも述べた。

◎東レ、中国でファインケミカルの事業基盤を整備(2011年10月3日、化学工業日報)
 東レは、中国で現地企業と連携し、ファインケミカルの事業基盤を整える。パートナー企業数社から医農薬中間体のOEM供給を受けるもので、すでに取り組みを開始している。OEM供給を受けた製品については日本に逆輸入し、医農薬中間体の販売増およびコスト削減につなげる。また今年月には現地企業との合弁により、ジメチルスルホキシド(DMSO)の生産を開始する予定で、主力の繊維、樹脂・フィルムに続き、ファインケミカルでもグローバルオペレーションを一層深化させることで事業競争力を高めていく。

◎中国、建国62周年祝う、5億人が連休中移動へ(2011年10月2日、読売新聞)
 中国は1日、建国62周年の国慶節(建国記念日)を迎えた。
 高速鉄道事故などで政府批判が高まる中、共産党政権は直前の9月29日に中国初の小型宇宙実験室「天宮1号」の打ち上げを成功させ、科学技術力を誇示。清朝が崩壊した辛亥革命100周年も利用し、国威発揚につなげる構えだ。
 新華社電によると、7日までの連休中、旅行などで延べ5億3000万人以上の「大移動」が予想される。9月の上海での地下鉄事故なども受けて、各地の公共交通機関は安全管理を強化している。

◎中国高速鉄道、開業前に不具合把握、追突防ぐ装置(2011年10月2日、朝日新聞)
 中国鉄道省が、北京―上海間の高速鉄道の試運転で車両の深刻な不具合を把握し、開業前の5月末に内部会議で報告していたことが分かった。6月末の開業後も不具合やトラブルが多発しており、抜本的な対策を取らないまま開業に踏み切った可能性が高い。
 中国では7月23日に浙江省温州で高速鉄道の追突事故が発生、40人が死亡した。運行主体は違うが、9月27日に追突事故を起こした上海地下鉄でも事故前にトラブルが多発していたことが分かっており、鉄道業界全体に安全軽視の体質が広がっていたと見られる。
 会議関係者の証言などによると、問題を指摘していたのは、鉄道省装備部の劉剛・副主任。上海で開かれた会議で各地の鉄道局や車両メーカーの幹部らに安全上の問題点や対策について説明する中で、列車の追突を防ぐ自動列車保護装置(ATP)など、安全の根幹にかかわる装置に不具合があったことを報告した。

◎香港のフィリピン人メード、永住権裁判で勝訴(2011年10月2日、朝日新聞)
 香港の家庭で長年働いたのに、永住権が得られないのは差別だとフィリピン人のメードが訴えていた裁判で、香港の高等法院(高裁)は9月30日、外国人のメードの永住権申請を制限する入管条例は「香港基本法(憲法に相当)に違反する」との判決を下した。香港政府は同日、上訴する考えを示した。
 基本法は7年以上定住した外国人に永住権を与えるとしているが、入管条例は雇い主の家に住み込むメードは「通常の定住」には当たらないとして、申請を認めてこなかった。
 判決が確定すれば、永住権を得る東南アジアなどからの外国人メードは約12万人、家族を呼び寄せると50万人を超えるとされる。社会保障費増大などの懸念から、世論の大勢はメードの訴えに批判的だ。関係者がメードの弁護に加わった民主派政党の支持率が下落するなど、11月の区議選にも影響しそうだ。

◎中国高速鉄道事故、12項目の改善措置打ち出す(2011年10月1日、読売新聞)
 中国紙・新京報などは1日、浙江省温州で7月に起きた高速鉄道事故を受けて、中国政府が専門家を組織して行った安全検査が終了し、鉄道省が「現場の安全管理強化」など12項目の改善措置を打ち出したと報じた。
 盛光祖・鉄道相が9月末に同省の内部会議で明らかにしたという。
 同事故では中国政府の安全監督機関が、落雷で故障したとされる信号システムの不備に加え、安全管理上の不手際などを指摘。このため、12項目の措置では「運行担当者の管理改善」や「防災能力の強化」なども挙がり、盛鉄道相は、安全向上に向けて大規模な改善を行う方針を示した。

◎中国、大連のレストランで爆発、1人死亡(2011年10月1日、読売新聞)
 新華社電によると、中国東北部最大の経済都市・遼寧省大連郊外で30日夜(日本時間1日未明)、改修中のレストランで爆発があり、1人が死亡、多数が負傷した。
 現場は住宅街で、数十軒の住宅の窓ガラスが割れた。地元公安当局が爆発原因を調べている。

◎高速鉄道事故の調査結果、公表先送り濃厚、過失範囲の認定作業難航か、中国(2011年9月30日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で7月23日に発生し死者40人を出した高速鉄道追突事故で、政府調査団は「9月中」としていた調査結果公表を30日夕まで行っていない。公表は先送りされる見通しが濃厚だ。
 緊急対応の習熟度の低さを批判された温州南駅の信号管理の担当者らが「適切な対応をしていた」と異例の公開書簡で強く反発したことなどから、過失範囲の認定作業が難航しているもようだ。公表の遅れに世論の批判が高まりそうだ。
 調査団はこれまで、事故発生区間の信号設備に欠陥が見つかり、緊急時の安全管理にも問題があったと指摘していた。
 9月27日には中国最大の経済都市、上海市で日本人5人を含む284人の負傷者を出す地下鉄追突事故も発生し、鉄道技術に対する国民の不信感が一段と高まったため、公表のタイミングを遅らせている可能性もある。

◎関連性を否定、高速鉄道にも納入の信号メーカー(2011年9月30日、産経新聞)
 30日付の中国紙、21世紀経済報道などによると、27日に追突事故が起きた上海市の地下鉄10号線に信号システムを納入している中仏合弁企業のカスコ(CASCO)信号(上海市)は、「当社の製品と今回の事故はなんら関係ない」との声明を出し、追突事故と信号システムの関連性を否定した。追突した車両に信号が送れなくなったのは、設備への電力供給が止まったのが原因と強調した。一方で上海の地下鉄運営会社は28日、担当者による人為ミスを事故原因とする社内調査の結果を発表している。CASCO製の信号システムは、7月に浙江省温州市で起きた高速鉄道追突事故現場の路線でも採用されている。

◎無承認薬:中国サイト61件が広告、警察庁、捜査協力依頼(2011年9月30日、毎日新聞)
 国内で無承認の医薬品を日本語で広告しているウェブサイトが中国に61件あるとして、警察庁は29日、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて中国当局に捜査協力を依頼したと発表した。ICPOの主導で世界81カ国の警察機関が20~27日に一斉に行った無承認薬物の集中取り締まりの一環として実施した。
 中国のサイトで販売されているのは規制量を超えた勃起不全治療の錠剤などで、国際郵便で日本の購入者に届けられているという。法令違反が疑われる日本語の医薬品広告サイトは海外で計128件見つかったが、ほとんどは中国が発信元になっている可能性が高いという。
 また、無承認の医薬品を広告する国内サイトは44件見つかり、薬事法に違反するとしてプロバイダー(接続業者)に削除を依頼した。同庁は「無承認の医薬品は健康被害を招く危険がある」と注意を呼びかけている。
 集中取り締まり期間中に国内では、警視庁や千葉県警などが計21人を薬事法違反容疑などで逮捕・送検した。

◎信号会社「事故と無関係」、上海地下鉄事故(2011年9月29日、朝日新聞)
 280人余りがけがをした中国・上海の地下鉄事故で、信号システムを供給していた「カスコ信号」(上海市)が、「信号システムと事故は無関係だ」とする声明を発表した。予想外の停電と作業員の操作ミスが原因だと強調する内容だ。
 ホームページに掲載した声明は28日付。地下鉄運営会社の調査を引用して、突然の停電が信号や運行システムに影響したと指摘し、地下鉄職員が厳格に規則に従って作業をしなかったことが事故につながったことも取り上げた。停電時に、列車の衝突を回避するシステムが働いたかどうかなどには触れていない。
 カスコ社は、国有の中国鉄路通信信号グループと仏アルストム社の合弁会社。事故後は取材に応じず、ホームページも開けない状態が続いていた。声明は、地下鉄の運営会社が人災の側面もあると認める調査結果を公表した後に、出した。

◎世界の先端企業来て! 中国広東省、500社招き交流会(2011年9月29日、朝日新聞)
 中国広東省政府と中国商務省は29日、米ウォルマートや東芝など国際的に活動する企業500社余りを招いた交流会を開き、ハイテクや環境など先端分野での事業進出を促した。労働集約型が中心の「世界の工場」としての成長に限界も指摘されており、付加価値の高い産業の育成が狙い。
 ハイテク、食品、小売り、製鉄、金融などの幅広い業種から招き、地元企業との接点を設けたほか、工業団地の視察も企画した。広東省トップの汪洋・省共産党委員会書記は「広東が産業構造を変えるというシグナルを世界に送るのが目的だ。優れた企業の経験や技術、理念を学びたい」と強調。そのために「稼いでもらえる環境を保証する」とした。
 「世界の工場」として中国の成長を引っ張ってきた広東省は、人件費の高騰などの課題に直面。中央政府は2011年に始まった第12次5カ年計画に産業構造改革への支援策を盛り込んだ。

◎上海地下鉄追突、信号会社まっ先に「無関係」と(2011年9月29日、読売新聞)
 284人が負傷した上海市の地下鉄追突事故で、故障で事故を誘発したと指摘される信号システムを供給した中仏合弁会社「カスコ・シグナル」が29日、「弊社が提供した信号システムと今回の追突事故は無関係だ」とする声明をホームページ上に発表した。
 声明は、「突然関係設備の電力が失われ、信号が作動しなくなった」とする上海地下鉄運営会社の調査結果を引用。暗に、信号システムには問題がなかったと主張している。
 しかし、上海市は市の関係部局幹部や専門家による調査チームを組織し、原因究明に乗り出したばかり。29日付の中国紙「21世紀経済報道」は運営会社の調査結果について、「信号の電力が失われた原因に触れていない」と指摘し、「正式な結論は当事者ではなく市の調査チームから出てくるものだ」と批判した。

◎上海地下鉄事故は人為ミス、電力失い信号不点滅(2011年9月28日、読売新聞)
 上海地下鉄の運営会社は28日、同市中心部を走る地下鉄10号線で27日に起きた追突事故について、事故当時、関係設備の電力が失われ、信号が点滅しなくなっていたことを同社のホームページで明らかにした。
 同社は「作業要員が運行を手動方式に切り替えたが、管理規定を厳格に執行せず、事故が発生した」として、人為的なミスがあったことを認めた。ただ、電力が止まった原因などの詳細は明らかにしていない。
 事故現場では28日、一部区間が一時運休となり、調査チームが現場検証を行った。事故当時の信号システムの作動状況を中心に調べたとみられ、関係者の事情聴取も進められた模様だ。
 中国紙「環球時報(英語版)」は28日、上海地下鉄の運転士の話として、「ほとんどの運転士は手動運転の訓練を受けておらず、自動運行システムに頼りきっている」と伝えた。運行管理要員の訓練不足が人為的なミスを引き起こした可能性も指摘されている。

◎上海の地下鉄、再び運行停止、関連施設再検査(2011年9月28日、読売新聞)
 上海市で日本人2人を含む271人が負傷した27日の地下鉄事故で、同市などの調査チームは28日、事故の4時間後に運行を再開した地下鉄10号線の一部区間で運行を再度停止し、本格的な事故原因の究明に乗り出した。
 故障した信号システムや、信号操作を手動に切り替えた後の運行管理態勢などを調べるものと見られる。
 10号線の運行は27日夜、「安全が確認された」ことを理由に、時速を45キロ・メートルに制限して再開された。だが、28日には「関連施設に再検査、再評価を行う」ため、再び運行が停止された。利用客からは「(7月の)高速鉄道事故の後、地下鉄も徹底的に調査していれば、こんなことにはならなかったはず」などとする批判の声が相次いでいる。

◎「停電で信号中断」上海地下鉄が原因公表、運行再び開始(2011年9月28日、朝日新聞)
 上海地下鉄の運営会社「申通グループ」は28日夕、10号線で起きた追突事故の原因を公表し、「設備に電気が突然供給されなくなり、信号が中断した」と説明した。その後は職員が手作業で運行を指示していたが、規則に従って厳格に作業をしなかったため事故が起きたとしている。
 停電により信号が使えなくなって事故につながったのは、40人が死亡した浙江省温州の高速鉄道事故と同じだ。高速鉄道事故は落雷が原因としているが、今回の事故では電源が落ちた理由には触れていない。
 日本の大手信号会社によると、日本の場合、電源がなくなるなど異常が起きれば強制的に赤信号となり、すべての列車が止まる仕組みになっている。申通グループの調査結果は、上海地下鉄ではこうした安全運行システムに問題があった可能性や、作業員の訓練や経験が不足していたことも示唆している。
 10号線は事故の4時間後に運転を再開したことに批判が集まったこともあり、28日朝から再び運行を休止。しかし、上海地下鉄は「事故のデータから、設備の安全性が確認できた」として、同日午後8時から運行を再開することを決めた。

◎過去にも重大トラブル、上海地下鉄事故の信号システム(2011年9月28日、朝日新聞)
 上海で追突事故を起こした地下鉄で使っているものと同じ会社の信号システムが原因で、列車が側面衝突するなど重大トラブルが相次いでいたことが、過去の事故調査結果などから分かった。その会社は27日の事故後、取材に応じていない。
 事故が起きた上海地下鉄10号線に信号を納入していたのは、国有の中国鉄路通信信号グループと仏アルストム社の合弁会社「カスコ信号」(上海市)。同社は北京や大連、深セン(センは土へんに川)など少なくとも国内9都市の地下鉄・都市交通に信号を供給している。
 上海地下鉄では2009年、1号線で列車同士が側面衝突。事故調査結果によると、カスコ社の信号システムが誤って列車に速い速度で走るよう指示。このため列車が線路の分岐点までに止まれず、前方の列車の側面に衝突した。今年7月下旬にも10号線で列車に誤った信号を送り、車両が別の目的地に向かって走るトラブルが発生。カスコ社幹部は上海地下鉄に対し、システムを改修し事故を起こさないと約束していた。

◎上海で地下鉄追突、270人けが、信号故障が原因(2011年9月28日、朝日新聞)
 27日午後2時50分ごろ、中国・上海市中心部の地下鉄10号線・老西門駅付近で列車の追突事故が起き、271人が負傷して病院に運ばれた。中国メディアによると、7月に起きた高速鉄道の脱線事故と同様に信号の故障が原因。上海地下鉄は会見で、信号システムの納入業者も同じだったとした。
 地下鉄の関係者らによると、駅周辺で故障が起きて手動の信号で運行を続けていた。事故車は速度を落として運行していたとされるが、前方に別の車両がいるのに止まれなかった。上海市当局は事故原因を調査すると表明した。ただ、10号線は事故から約4時間20分後に運転を再開した。
 事故に遭った女性乗客は朝日新聞の取材に「後ろから追突されたような強い衝撃があり、多くの乗客がひっくり返った」と話した。出血して倒れている人もおり、負傷者は5カ所の病院に運ばれた。
 40人が死亡した浙江省温州の高速鉄道事故でも、信号機故障が原因だった。また、上海の地下鉄では、2年前にも1号線で信号システムの故障による車両の接触事故が起きている。

◎上海地下鉄事故は人為ミス、電力失い信号不点滅(2011年9月28日、読売新聞)
 上海地下鉄の運営会社は28日、同市中心部を走る地下鉄10号線で27日に起きた追突事故について、事故当時、関係設備の電力が失われ、信号が点滅しなくなっていたことを同社のホームページで明らかにした。
 同社は「作業要員が運行を手動方式に切り替えたが、管理規定を厳格に執行せず、事故が発生した」として、人為的なミスがあったことを認めた。ただ、電力が止まった原因などの詳細は明らかにしていない。
 事故現場では28日、一部区間が一時運休となり、調査チームが現場検証を行った。事故当時の信号システムの作動状況を中心に調べたとみられ、関係者の事情聴取も進められた模様だ。
 中国紙「環球時報(英語版)」は28日、上海地下鉄の運転士の話として、「ほとんどの運転士は手動運転の訓練を受けておらず、自動運行システムに頼りきっている」と伝えた。運行管理要員の訓練不足が人為的なミスを引き起こした可能性も指摘されている。

◎上海の地下鉄、再び運行停止、関連施設再検査(2011年9月28日、読売新聞)
 上海市で日本人2人を含む271人が負傷した27日の地下鉄事故で、同市などの調査チームは28日、事故の4時間後に運行を再開した地下鉄10号線の一部区間で運行を再度停止し、本格的な事故原因の究明に乗り出した。
 故障した信号システムや、信号操作を手動に切り替えた後の運行管理態勢などを調べるものと見られる。
 10号線の運行は27日夜、「安全が確認された」ことを理由に、時速を45キロ・メートルに制限して再開された。だが、28日には「関連施設に再検査、再評価を行う」ため、再び運行が停止された。利用客からは「(7月の)高速鉄道事故の後、地下鉄も徹底的に調査していれば、こんなことにはならなかったはず」などとする批判の声が相次いでいる。

◎上海の地下鉄、再び運行停止、関連施設再検査(2011年9月28日、読売新聞)
 上海市で日本人2人を含む271人が負傷した27日の地下鉄事故で、同市などの調査チームは28日、事故の4時間後に運行を再開した地下鉄10号線の一部区間で運行を再度停止し、本格的な事故原因の究明に乗り出した。
 故障した信号システムや、信号操作を手動に切り替えた後の運行管理態勢などを調べるものと見られる。
 10号線の運行は27日夜、「安全が確認された」ことを理由に、時速を45キロ・メートルに制限して再開された。だが、28日には「関連施設に再検査、再評価を行う」ため、再び運行が停止された。利用客からは「(7月の)高速鉄道事故の後、地下鉄も徹底的に調査していれば、こんなことにはならなかったはず」などとする批判の声が相次いでいる。

◎人為ミス認める、負傷者、日本人5人含む284人に(2011年9月28日、産経新聞)
 中国上海市で起きた地下鉄追突事故で、運営会社の申通集団は28日、自動制御系統を解除して手動運行に切り替えた際、担当者が安全管理規定を厳格に守らなかったことが事故を引き起こしたとする社内調査結果を公表した。人為ミスを認める内容で、安全軽視ともいえるずさんな管理体制への批判が一段と強まりそうだ。
 ただ、車両追突を防止する自動列車防護装置(ATP)がなぜ作動しなかったなど、詳細な内容には触れていない。同市が設置した事故調査チームが今後、正式な報告を行う見通し。
 事故が起きた地下鉄10号線は同日、一部区間で始発から運行を取りやめて原因調査が行われてきたが、同日午後8時(日本時間同9時)に運行を再開した。
 一方、同市衛生当局は同日、市内の病院に運ばれた負傷者が前日から13人増えて合計284人に上り、経過観察を含めて95人が入院したと発表した。上海の日本総領事館によると、今回の事故で負傷した日本人は合わせて5人になった。
 上海では、昨年4月の10号線開通で地下鉄の総延長が420キロに達し、ロンドン(2008年末で408キロ)を抜いて世界一となった。ロンドンが1863年から150年近くかけた建設を、上海は1995年から15年であっさりと追い抜くスピード建設だった。
 だが、これに人員育成や運行の管理、安全確保などソフト面が追い付いておらず、そのひずみが追突事故という形で露呈した形だ。

◎事故路線、一転運休に、利用者の騒ぎ警戒、治安要員配置(2011年9月28日、産経新聞)
 中国・上海市で日本人2人を含む約270人が負傷した市営地下鉄の追突事故で、地下鉄当局は28日、事故が起きた豫園-老西門間を含む10号線の大部分で始発から運休させた。
 10号線は事故から約4時間後の27日夜に全線で運行を再開していた。40人が犠牲になった7月の高速鉄道事故で、現場検証よりも運行再開を優先させ激しく批判されたことを考慮し、部分運休に踏み切ったとみられる。地下鉄当局は運休について「調査チームの要求」と説明。「安全第一を基本原則とし、関連施設の再チェックを行う」としている。
 老西門駅は28日朝、10号線への乗り換え口が封鎖され、運休区間を示した紙が掲げられた。利用者が運休への不満で騒ぎを起こすことを警戒してか、入り口ごとに5人前後の治安要員を配置。若い男性会社員は「歩いて出勤しなければ」と困惑した様子だった。

◎高速鉄道事故と酷似、原因調査、人為ミスの有無焦点(2011年9月28日、産経新聞)
 中国最大の経済都市、上海市で日本人2人を含む271人が負傷した27日の地下鉄10号線の追突事故を受け、同市は28日、一部で運行を停止し、専門チームによる原因調査を本格化させた。
 事故当時の信号系統の作動状況や、人為ミスの有無などが調査の焦点になるとみられる。
 先行車両が信号系統のトラブルで停車し、その後に後続車両が追突するという事故の状況は、7月に40人の死者を出した高速鉄道の列車追突事故と酷似している。
 上海で地下鉄を運営する申通地鉄集団の兪光燿総裁は27日夜の記者会見で、事故が起きた10号線では、浙江省温州市の高速鉄道の事故現場の路線と同じメーカーの信号系統を採用していることを明らかにした。
 このメーカーは、中国鉄道省傘下の国有企業、中国鉄路通信信号集団とフランスの重電大手アルストムの合弁会社で上海に本社を置く●斯柯(CASCO)信号。高速鉄道の事故から6日後の7月29日、地下鉄10号線でCASCOの信号システムが故障し、支線を走行すべき車両が本線を走る重大な運行ミスが発生していた。
 兪総裁は「7月の故障を受けCASCOは欠陥を修正し、再び事故は起こさないと約束していた」と述べたが、再発防止策が取られたのかどうか不明で、この点も重要な調査対象になりそうだ。
 高速鉄道や地下鉄網は中国各地で路線が急拡大しているが、今回の事故で運行や安全を管理するソフト面が追い付いていない実態があらためて露呈した。
 ※ ●=上の下にト

◎高速鉄道と同様の信号系統、万博で工事急いだとの指摘も(2011年9月28日、産経新聞)
 上海市の地下鉄追突事故で、同市政府は同日夜、271人が負傷したと発表した。死者や重傷者はいない。上海の日本総領事館は、けが人のうち2人が日本人の男女でいずれも軽傷と発表。病院の医師は共同通信に対し日本人の1人は留学生と語った。
 地下鉄を運行している企業の社長は27日夜の記者会見で、事故のあった地下鉄が死者40人を出した7月23日の浙江省温州市での高速鉄道追突事故発生区間と同様の信号系統を採用していることを明らかにした。
 事故は上海市営地下鉄10号線の豫園-老西門間で発生。地元メディアによると、何らかのトラブルで列車が停車した後、徐行運転を開始したところに、後続の列車が追突したという。10号線は昨年4月に開通。昨年5月1日から10月31日まで国家の威信を懸けて開催した上海万博の開幕に間に合わせるため工事を急いだとの指摘が出ていた。10号線は昼間の時間帯は約5分に1本の割合で運行している。

◎市民の足、恐怖のどん底、「もう政府は信用できない」(2011年9月27日、産経新聞)
 「乗っていた地下鉄が30分ほど停車した。突然、バーンという大音響とともに窓ガラスが割れ、無我夢中で逃げた」。上海市の中心部で27日発生した地下鉄追突事故。市民の足として親しまれている地下鉄の乗客は、一気に恐怖のどん底に突き落とされた。
 金さんと名乗る50歳前後の女性は、追突された列車の最後尾の車両に座っていた。市営地下鉄10号線の老西門駅近くで列車は停車。「トラブルが発生した」との車内放送があった後に、後続列車がぶつかった。車内では悲鳴が飛び交い、心臓に持病がある金さんは「落ち着け」と自分に言い聞かせ何とか脱出したが、どのように逃げたかの記憶は定かではないと搬送先の病院で語った。
 中国で利用者が2億人を超える短文投稿サイト「微博」には「安全を重視すると繰り返してきた直後に事故が起きた。もう政府は信用できない」と、国を批判する書き込みが相次いだ。

◎「世界一」もろさ露呈、高速鉄道事故と酷似(2011年9月27日、産経新聞)
 軌道の総延長「世界最長」を誇る地下鉄で追突事故が発生した。中国の鉄道メーカーは、高速鉄道と同様、地下鉄車両も海外に輸出する計画を着々と進めてきたが、中国の鉄道技術に対する国際的信用のさらなる失墜は必至。一部の中国メディアによると、上海市営地下鉄の制御系統は、追突事故を起こし40人の死者を出した高速鉄道の区間と基本的に同様の技術を採用。信号設備は同一企業が製造したとの情報もある。
 上海テレビは先行車両が何らかのトラブルで停車か徐行していたところに後続車両が追突したと報じた。高速鉄道事故でも先行車両がトラブルで停車後、徐行運転していたにもかかわらず、後続列車に青信号が発信され、追突に至った。中国の地下鉄でも、高速鉄道と同様、追突防止のため1区間に1編成しか入れない閉塞区間の自動制御システムを採用している。今回、このシステムが機能しなかった可能性が高い。

◎中国最大の経済都市が騒然、けが人続々と搬出(2011年9月27日、産経新聞)
 中国最大の経済都市、上海市中心部で27日発生した地下鉄事故。現場近くの駅の出入り口からは担架などでけが人が続々と運び出され、周辺は数十台の救急車のサイレンとやじ馬で騒然となった。
 現場近くの地下鉄10号線の「老西門」駅。事故が起きた列車に乗り合わせ、地上に出てきた女性は、赤ちゃんを抱きながら「ドン、と衝撃があった」と興奮した様子で話した。地下鉄の出入り口からは白髪の老人らが担架で次々に運び出され、救急車で搬送された。
 周辺は警察官が道路を封鎖し、数百人のやじ馬でごった返していた。現場を通り掛かった女性は「また鉄道の事故か。怖い」と話し、7月に起きた浙江省の高速鉄道事故など相次ぐ鉄道事故に不信感をあらわにした。

◎中国の地下鉄で追突事故、上海(2011年9月27日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国上海市の地下鉄で27日午後2時50分(日本時間同3時50分)すぎ、追突事故が発生した。負傷者が出ているもよう。
 消防や警察が負傷者の救助に当たっている。地上部分の道路は封鎖された。
 事故があったのは上海市営地下鉄10号線の豫園-老西門間。事故原因など詳細は不明。10号線は上海市の地下鉄としては比較的新しい路線。

◎上海で地下鉄追突、2邦人含む270人以上負傷(2011年9月27日、読売新聞)
 中国国営新華社通信によると、上海市中心部を走る地下鉄10号線で27日午後2時51分(日本時間同3時51分)、列車の追突事故が発生、270人以上が負傷した。
 在上海日本総領事館によると、日本人の男女各1人が軽傷を負った。浙江省で7月に発生、40人が死亡した高速鉄道追突事故に続く重大事故で、中国鉄道の安全性への不信がさらに強まりそうだ。
 事故は観光地で知られる豫園駅と老西門駅の間で発生。事故発生前の同2時10分、老西門駅から一つ先の駅で信号故障が起き、運行管理を自動から手動に切り替え、周辺区間の車両は減速運行していた。
 追突された列車の乗客が上海のニュースサイトに語ったところでは、豫園駅を出発後、突然停車。故障を告げる車内アナウンスが十数回流れた後、衝撃があり乗客らが倒れ込んだ。

◎「今度は地下鉄か」上海追突事故、現場騒然(2011年9月27日、読売新聞)
 「高速鉄道の次は地下鉄か」「どうしてこんなことが起きるのか」。
 中国・上海市の中心部で起きた地下鉄追突事故の現場周辺には、数百人の市民が集まり、7月の高速鉄道に続いて起きた事故に不安の声をあげた。
 中国メディアによると、双方の列車には合わせて500人以上が乗っていた。
 事故現場に近い老西門駅の周辺にはサイレンが響き渡り、50台以上の救急車が待機。負傷者が担架などで運び出され病院へ運ばれた。
 顔にけがをした男性(30)は、追突された列車の最後尾の車両に乗っていた。「信号故障のため一時停車します」と車内アナウンスがあり、運行再開を待っている間に事故が起きた。追突の衝撃で、車両の一部がめくれ上がるのが見えたという。
 追突した車両に乗っていて腕を負傷した市内の会社員男性(32)は事故後、自力で地上へ脱出。搬送された病院で、「車内で本を読んでいたら、突然急ブレーキがかかり乗客が一斉に倒れた」と、緊張した表情で事故を振り返った。
 右腕にけがをし、病院で手当てを受けた若い日本人女性は「大丈夫です」としっかりした様子で答えた。

◎中国高速鉄道が違法運行、環境評価の手続き経ず(2011年9月27日、産経新聞)
 27日付の中国紙、東方早報は、中国山東省の済南-青島間を走る高速鉄道が、沿線の環境影響評価を経ずに違法な状態で運行していると報じた。環境保護省の運行停止命令にも、鉄道当局が従っていないという。
 環境保護省が4月、この路線の運営会社に対して、環境影響評価が未実施だとして、5月末までに運行を止めるよう命じた。しかし現在も運行は続いており、地元鉄道局の幹部は同紙に「重要な大動脈だ。止めろと言われて止められるだろうか」と話したという。
 同路線は2008年に開通。環境保護省は09年の検査で違法性を指摘し、幹線であることを考慮して猶予期間を設けていた。その後も適切な措置が取られないため、運行停止を命じた。
 路線の一部区間は住宅の近くを通っており、住民は「騒音がひどく、窓も開けられない」と憤っているという。中国では高速鉄道の追突事故をきっかけに、鉄道当局に対する不信感が高まっている。

◎中国:閣僚らの腕時計監視、投稿サイト閉鎖、規制を強化(2011年9月26日、産経新聞)
 中国の閣僚や官僚が着用している高級腕時計のブランドや値段を特定し、短文投稿サイト「微博」上で報告していた男性のアカウントが閉鎖され、書き込みが見られなくなった。中国紙、環球時報(英語版)や英紙フィナンシャル・タイムズが伝えた。
 中国では2億人以上が微博を利用。7月の浙江省の高速鉄道事故など大規模な事故や事件のたびに政府に批判的な内容が多数書き込まれており、当局の圧力で微博の運営会社が規制を強化しているとみられる。
 男性は鉄道事故を伝えるニュース写真で、盛光祖鉄道相が7万元(約84万円)相当とみられる腕時計を使用していると気付いた。その後、インターネット上の写真から100人以上の官僚らの腕時計を調べ、多くがオメガやロレックスなどの高級腕時計を愛用していると指摘した。
 男性が腕時計の監視活動を開始して以降、2000人だったフォロワー(読者)は2万人以上に急増したが、9月中旬ごろ閉鎖された。男性は高級時計を持つこと自体が腐敗ではないと強調しながら「資産公開の義務がない中国の高官が、公式の給料の何倍もするとみられる腕時計を使っている」ことが多くの読者を引き付けたと分析している。

◎北京市が通報報奨金引き上げ、最高360万円、「食の安全」事件(2011年9月25日、産経新聞)
 24日付の中国紙、人民日報などによると、北京市当局はこのほど「食の安全」に関わる事件の通報者に対する報奨金を大幅に引き上げ、最高で30万元(約360万円)としたことを明らかにした。メディアの記者が独自取材で事件を報道する前に通報した場合も、報奨金授与の対象になるという。
 北京市の規則では、これまでも食品の安全に絡む事件の通報者に最高5万元の報奨金が支払われることになっていたが、事件が後を絶たないことから、取り締まり強化のため金額を引き上げた。

◎AKB48のパクリ? 美少女グループがネットで話題(2011年9月23日、産経新聞)
 人気アイドルグループ、SMAPが最近、北京でコンサートを開いたことを受け、日本の芸能文化が中国のインターネットでにわかに注目されている。その中で、最近登場した日本のアイドルグループ、AKB48と酷似している中国の美少女ユニットAK98が話題を集めている。「日本のパクリだ」「中国の恥」といった否定的な意見が掲示板に多く寄せられる一方、「国産アイドルを支持しよう」といった擁護論もある。
 AK98の公式サイトなどによると、同グループは2010年に、浙江省杭州市内の女子大生を中心に結成された。現在は約40人在籍しているが、将来的に98人まで増やしたいとしている。英語のANGEL KISS(天使のキス)の頭文字から名付けられ、現在はAグループとKグループに分かれて活動を展開している。ネットで新曲を発表したり、イベント活動に参加したり、テレビ番組に出演したりしている、韓梅梅や羽翔など一部のメンバーは中国国内で徐々に注目されるようになった。
 しかし、グループの名前がAKB48に似ているだけではなく、活動もそっくりで、イベントに参加する際に日本の女子高生の制服に似た衣装を着ることが多く、メンバーたちが写真を取るときのポーズまでAKB48に酷似していることから、「日本のアイドルグループのコピーではないか」といった指摘が出ている。
 「外国の文化を盗むな」「かわいい女の子なのになぜ猿まねをするのか」と同グループの公式サイトなどに批判が殺到している。AK98という名前についても「なぜ中国らしく漢字の名前にしないのか」「自動小銃のAK47の新製品だと思った」といった意見が寄せられた。「恥ずかしいから早く解散しなさい」「中国から出て行け」といった過激な書き込みも見られた。批判している人の中に、日本AKB48のファンと自称する人が多かった。
 こうした声に対し、AK98のメンバー募集のオーディションを受けている最中だというある女子大生は自身のホームページで「日本のアイドルグループと似ているかもしれないが、私たちはみな夢をつかむために、歌やダンスを必死に練習し一生懸命努力している。あまりいじめないでください」と訴えた。
 これを受け「芸術に国境なし」「AKB48を超えて世界一のグループになってください」「握手会にいきたい」といった擁護論も増えている。現在、支持派と批判派に分かれてインターネットで激しく対立している。

◎中国で女性6人を2年監禁、暴行、見せしめで殺害も、元消防士を逮捕(2011年9月23日、産経新聞)
 ナイトクラブ従業員ら女性6人を地下室に誘い込み、最長2年にわたって監禁、性的暴行を繰り返したほか、うち2人をほかの女性への見せしめなどのため殺害したとして、中国河南省洛陽の元消防士の男が地元警察に逮捕された。中国紙、南方都市報が23日までに伝えた。
 男は李浩容疑者(34)。今月初め、女性のうち23歳の1人を売春させようと外に連れ出したところ、女性が隙を見て逃げ出し通報、発覚した。保護された4人の健康状態に問題はないという。
 地下室は李容疑者が4年前に自宅とは別に購入した家屋に付いていたもので、広さは不明。約2年前にナイトクラブやカラオケバーで働く6人を連れ込み、そのまま監禁した。
 6人のうち、反抗的だった1人をほかの5人への見せしめとして殺害した。

◎米グーグルのSNS、中国で接続不可能な状態(2011年9月22日、読売新聞)
 中国では、インターネット検索サービス最大手の米グーグルが20日から本格的に世界各国で運用を開始したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「グーグル+(プラス)」への接続が不可能な状態となっている。
 中国は、世界最大の交流サイト「フェイスブック」に対しても「西側国家の情報機関に利用され、その特殊な政治的機能は脅威となり得る」(政府系調査研究機関・社会科学院)と警戒して遮断している。このため、当局は「グーグル+」に対しても接続制限を行っているとみられる。

◎人肉カプセル」で中国人摘発、韓国、密輸の4千錠押収(2011年9月22日、産経新聞)
 韓国関税庁は22日までに、死産した赤ん坊や乳幼児の死体からつくられた粉末入りのカプセルを中国から韓国に持ち込んだとして、朝鮮族の中国人を密輸容疑で摘発、カプセル約4千錠を押収した。SBSテレビなどが報じた。
 同テレビによると、カプセルは8月、7回にわたり国際郵便などで韓国に送られた。国立科学捜査研究所による成分分析の結果、人間のDNAと一致した。調べに対し、中国人は「自分で服用していた」などと供述しているが、関税庁は、韓国内で売りさばいていたグループがいるとみて調べている。
 韓国の有力月刊誌「新東亜」8月号が、韓国に流入した「人肉カプセル」がソウルの薬剤市場でひそかに売られていると報道。関税庁などが捜査していた。

◎中国の人気番組1年間中止、「規定の時間超えて放送」(2011年9月21日、産経新聞)
 中国の放送規制当局は、規定の時間を超過して放送を行ったとして、テレビの人気オーディション番組「スーパーガール」の放送を1年間見合わせるよう命じた。中国紙チャイナ・デーリーが19日報じた。
 2007年に設定された規制では、「スーパーガール」の放送時間は最長90分となっている。しかし、人気の高い同番組はしばしば時間を超過して放送されることがあったもよう。
 「スーパーガール」を制作する湖南衛視は、当局の要請に従い、「スーパーガール」の代わりに「倫理や道徳を奨励する」内容の公共サービス番組を放送するという。
 中国伝媒大学のJinYong氏はチャイナ・デーリーに対し、規制当局が「スーパーガール」の放送中止を求めた理由について、番組の出演者が不適切な発言をしたか、出演者の服装に問題があった可能性を指摘。「(番組の)スタイルが一部の年配の視聴者の気分を害した可能性がある」と述べた。

◎原因調査報告の発表に遅れ、地元紙「政府が審査」(2011年9月20日、産経新聞)
 7月23日に中国浙江省温州市で乗客ら40人が死亡した高速鉄道事故の原因調査報告の公表が遅れている。事故原因を調べている国務院直属の調査チームは「9月中旬」の発表を予定していた。だが、「すでに提出された報告書を中国政府が審査中」と中国紙が伝えたため、インターネット上では「原因究明にも政府の審査が必要なのか」との批判が強まっている。
 中国紙、南方都市報は20日までに、事故原因調査に関し「(高速鉄道の)速度と真相の重要性は同じ」とする論評で、調査チーム関係者の情報として「報告書はすでに中国政府に提出されており審査を待っている」と伝えた。ネット上では報告書が政府の審査過程で何らかの「書き換え」が行われる懸念や、公表遅延に結びついている点などへの疑念が渦巻いている。

◎中国、三菱重工サイバー攻撃への関与を否定(2011年9月20日、読売新聞)
 中国外務省の洪磊・副報道局長は20日の定例記者会見で、総合機械メーカー「三菱重工業」(東京都)が中国が関与した可能性のあるサイバー攻撃を受けた問題について、「中国政府は一貫してハッカー攻撃に反対している。中国も国外からのハッカー攻撃を受けている主要な被害国であり、中国がハッカー攻撃を仕掛ける拠点との見解は根拠がない」などと述べ、中国の関与を否定した

◎高速鉄道事故、調査結果まだ? 国内有力紙、社説で批判(2011年9月18日、朝日新聞)
 7月に中国・温州で起きた高速鉄道事故の調査結果を巡り、広東省の有力紙「南方都市報」は17日、「スピードは真相と同じように重要だ」との社説を掲げ、速やかに公表するよう政府に求めた。中国のインターネット上では、対応の遅さに不満や不信の声が出ている。
 7月末に開かれた政府調査チームの会議で、チームの指揮を執る国家安全生産監督管理総局幹部が「9月中旬にも公表する」と発言。一部メディア報道などで、今月15日に公表されるとの見方が強まっていた。
 だが、中国各紙は最近になって、調査チーム関係者らからの「調査報告書は今後、国務院に報告されて承認を待つことになる」といった情報を基に、公表までに一定の時間がかかる可能性を伝えている。このため、ネット上では「真相の公開になぜ国務院のサインがいるのか」との批判もある。

◎高速鉄道事故、調査結果まだ? 国内有力紙、社説で批判(2011年9月17日、朝日新聞)
 7月に中国・温州で起きた高速鉄道事故の調査結果を巡り、広東省の有力紙「南方都市報」は17日、「スピードは真相と同じように重要だ」との社説を掲げ、速やかに公表するよう政府に求めた。中国のインターネット上では、対応の遅さに不満や不信の声が出ている。
 7月末に開かれた政府調査チームの会議で、チームの指揮を執る国家安全生産監督管理総局幹部が「9月中旬にも公表する」と発言。一部メディア報道などで、今月15日に公表されるとの見方が強まっていた。
 だが、中国各紙は最近になって、調査チーム関係者らからの「調査報告書は今後、国務院に報告されて承認を待つことになる」といった情報を基に、公表までに一定の時間がかかる可能性を伝えている。このため、ネット上では「真相の公開になぜ国務院のサインがいるのか」との批判もある。

◎中国鉄道事故、専門家が運行管理の問題示唆(2011年9月17日、読売新聞)
 17日付の中国紙・新京報によると、浙江省温州の高速鉄道事故で、政府の事故調査チームに加わっている専門家は「天災(落雷)は事故を起こした条件の一つにすぎない。すべてを設備に頼って、安全を保証することはできない。人的な要因もある」と指摘し、落雷時の運行管理などで問題があった可能性を示唆した。
 専門家は、事故当日は「7分間で100回以上の落雷」に見舞われ、信号システムの設計時の想定外の事態だったが、信号などの設備に技術的な問題はなかったとする見解を示した。

◎“親不孝”の若者、ネット炎上に当惑し暴露、やらせ番組が放送停止処分に、中国(2011年9月17日、産経新聞)
 中国国家ラジオ・映画・テレビ総局は17日までに、河北省石家荘市のテレビ局が放送した親不孝の若者夫婦を取り上げた番組が「やらせ」だったとして、同テレビ局の一部チャンネルを30日間の放送停止処分にしたと発表した。
 中国メディアによると、番組は6月29日に放送。「許峰」と名乗る男性が出演し、自分は1980年代に生まれ、結婚しているが働かず、父親のわずかな収入を頼って生活していると説明。番組では、夫婦が一日中、家でテレビを見たりパソコンで遊ぶ一方、靴下の購入費を父親に無心していることなどを紹介した。
 番組は大きな反響を呼び、インターネット上では夫婦の親不孝ぶりに激怒する書き込みが殺到。出演した男性がこうした反応に当惑し、中国紙に「許峰は本名ではない。妻も父親も制作会社に雇われた役者だ」などと暴露、やらせが発覚した。

◎米外交委員会、「中国メディアは国営機関」(2011年9月15日、産経新聞)
 米国下院外交委員会の有力メンバーのデーナ・ローラバッカー議員ら共和党議員は、中国主要メディアはみな共産党政権に運営される事実上の国営機関だとして、所属記者の米国入国を大幅に制限する法案を13日に提出した。「中国メディア相互法案」と題され、同議員のほかランディ・フォーブス、テッド・ポー両議員により提出された。
 ローラバッカー議員が記者会見で説明したところでは、米国で活動する中国主要メディアの記者は「中国政府の工作員」だといえるが、米国当局は2010年度にそうした中国人記者計650人に入国査証を発行したという。
 一方、米国側メディアは政府の直接の管理下にはなく、中国側メディアに近いのは米国議会の放送委員会傘下にある「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」と「自由アジア・ラジオ(RFA)」だけで、昨年度にはこの2社の記者2人が中国への入国査証を得た。
 法案は650対2という不均衡のほか、米国内の中国側記者たちが報道や取材の自由を全く制限されないのに対し、中国駐在の米国人記者すべてが当局の監視や圧力、検閲などを受けるという不均衡をも正すことを目的にしている。米国側官営メディアの中国駐在特派員と中国側の米国駐在特派員とが同水準の数に保たれるよう米国当局が査証発行を調整することを骨子としている。法案は中国側国営メディアとして中国中央テレビ、新華社通信、人民日報、中国青年報、光明日報など13機関を明記している。

◎副業で漁師もやる朝鮮人民軍、自給や資金稼ぎも(2011年9月15日、読売新聞)
 能登半島沖で13日、小型木造船に乗った脱北者とみられる男女9人が海上保安庁に保護された問題は、韓国でも関心を集めている。
 韓国メディアは日本の報道を引用し、脱北者の一人は朝鮮人民軍に所属していると報じている。
 韓国在住の脱北者の男性は読売新聞に対し、「軍が食料の自給自足や資金稼ぎのため、漁をする『副業船』を持っている」と話す。
 こうした船ではイカやタコ、貝類などを取るという。北朝鮮は船を使った脱北に警戒し、厳重な沿岸警備体制を敷いているとされるが、男性は「軍人の場合、担当者を言い含めたり、金を渡したりして副業船で沖に出ることができる」と語る。
 船首のハングルについて、別の脱北者は「底引き網漁の動力船の意味」と説明。船体の登録地域を表す文字も含まれているという。

◎殴る蹴る、罵声、中国ジャスミン革命の尋問、拘束者語る(2011年9月15日、朝日新聞)
 中東の民主化革命を受け、中国で「茉莉花(ジャスミン)革命」の呼びかけが盛んだった2月に拘束された弁護士の江天勇氏が、国家安全当局による厳しい尋問の様子を香港紙に語った。「お前は人間ではない」などの言葉を浴び、暴力を受けたとしている。
 香港紙サウスチャイナ・モーニングポストが14日、伝えた。著名な人権活動家の江氏は2月から約60日間拘束され、その間、カーテンを閉め切った部屋で連日、国家安全省による尋問を受けた。
 尋問官から蹴ったり殴ったりされたほか、15時間にわたって身動きせずに座るよう求められたという。4月、マスコミの取材を受けず、民主活動家らの動きを報告することなどを条件に釈放されたが、約束を破れば家族を含め再び拘束すると脅かされたとしている。

◎中国カード時代到来、「一人っ子政策」世代、抵抗薄く、チャイナマネー動かす原動力に(2011年9月14日、産経新聞)
 中国が本格的なクレジットカード時代を迎えている。若年層を中心とした消費形態の変化にともないカードの決済額は急速に増えており、“チャイナマネー”を動かす新たな原動力となりつつある。

・利用への抵抗薄らぐ
 中国ではこれまで、国民の高い貯蓄志向や借金がともなう消費への抵抗感などからクレジットカードの普及が遅れていた。もっとも、「一人っ子政策」の下で育った1980年代生まれが消費者層の主流になるにつれ、カード利用への抵抗は薄らいだ。当局主導のカード決済の環境整備も追い風となり、いまや本格的なカード時代を迎えている。
 中国人民銀行(中央銀行)が今年7月に発表した資料によると、昨年の非現金決済による決済件数は277億400万件と前年比29.4%増加、決済額は同26.5%増の905兆1800億元(約1京916兆円)に達した。
 このうちクレジットカードやデビットカードなど銀行が発行する各種カードによる決済件数は、38.9%増の48億4900万件となり、決済額は52.0%増の10兆4300億元に上った。
 決済額の増大にともない、中国の国内消費におけるカードの存在感は高まっている。不動産、自動車など一部の大口取引を除く、各種銀行カードを利用した消費額が小売り売上高に占める割合は、2006年の17%から10年の35%と過去4年間で約18ポイント拡大した。

・域外へも波及効果
 カード時代の到来は中国の国内消費にとどまらず、域外へも影響を及ぼしている。
 中国の銀行が発行するオンライン決済用の「銀聯カード」の利用が04年から開始された香港では、外貨現金の持出制限で抑えられていた中国本土からの観光客による消費が急速に増加。香港の観光当局によると、貴金属など高額消費が大きく伸び、中国本土観光客によるカード消費は年間2100億香港ドル(約2兆750億円)規模に上る香港観光収入で大きな割合を占める貴重な収入源となっている。
 一方、台湾では09年8月から中国本土観光客による銀聨カードの利用が開始され、地元メディアの報道によると、利用額が10年に通年121億4100万台湾元(約319億3000万円)規模にまで膨らんだという。中国人民銀行の資料によると、各種銀行カードの発行枚数は10年末時点で累計24億1500万枚。1人当たりの平均保有枚数は1.8枚と、クレジットカードのみで約3枚の日本に比べて依然として少なく、今後の発展の余地は残る。本格的なカード時代を迎えた中国、今後の個人消費の動向が注目されている。

◎中国の宗教弾圧「より悪化」、指導者の拘束も、米報告書(2011年9月14日、朝日新聞)
 米国務省は13日、2010年の世界198カ国・地域における「宗教の自由」の状況をまとめた年次報告書を発表した。ポスナー国務次官補は記者会見で「中国政府による宗教の自由の尊重度は全体的に低下し、今年はより悪化した」と警告した。
 報告書は、例年と同様に中国を「特に懸念される国」に指定した。昨年10月には国外の会議に参加しようとした政府非公認の地下教会の多数の指導者が出国を拒まれ、殴打されたり、拘束されたりしたとの報告があると指摘。チベット自治区や新疆ウイグル自治区でも弾圧や厳しい活動制限が続いていると分析した。
 また、ミャンマーでは2007年の大規模デモに絡んで数百人規模の僧侶の拘束が続いているとしたほか、北朝鮮では宗教団体が対外宣伝に利用されているとの報告があると記載した。

◎「裸婚」「奢婚」「素婚」世相映す中国カップル事情(2011年9月13日、産経新聞)
・格差拡大、物質主義、価値観が多様化
 急速な経済発展に伴う社会構造や価値観の変化を背景として、中国で婚姻の形態が変容しつつある。「裸婚(愛情に基づく結婚)」「奢婚(豪華な結婚)」と多様化する婚姻形態には、貧富の格差の拡大や物質主義の蔓延など今の中国の世相が映し出されている。
 「車なし、家なし、指輪なし。披露宴もハネムーンもやらない。ウエディングドレスもなければ、貯金もない。裸婚だ。それでもいいかい?」
 これは中国で今年放映されて人気を博したドラマ「裸婚時代」の中のセリフだ。十分な経済能力がない若いカップルが、愛情だけを頼りに結婚に踏み切るものの、出産や両親との同居、苦しい家計のやり繰りなどさまざまな現実問題に直面、最終的に離婚を選択するというストーリーだ。現在の若い世代にのしかかる生活の圧力を如実に描いた作品として、高視聴率を得た。
 中国語で「丸裸の結婚」を意味する「裸婚」は、2008年にインターネット上で誕生した言葉。結婚に必要とされる一切を省き、婚姻届を提出するだけの簡略化された婚姻形態を指す。
 中国では経済の急成長で貧富の格差が拡大、突出した経済力を持つ富裕層が登場する一方で、経済成長の恩恵に浴せない低所得・貧困層が形成された。こうしたなか、中国では結婚の重要条件とされるマイホームの取得もおぼつかなく、披露宴すら開けないまま「裸婚」を選ぶ若者が増えているという。
 中国メディアが報じたアンケートでは、「状況次第で裸婚を受け入れる」と答えた人が4割に達した。
 社会構造の変化が生み出した新たな婚姻形態は「裸婚」にとどまらず、多様だ。一般市民の年収の数倍に上る大金を費やす「奢婚」がもてはやされる一方、簡単な披露宴だけで済ませる節約タイプの「素婚(簡素な結婚)」や、節約可能な部分を選択的に簡略化する「痩婚(スリムな結婚)」といったスタイルが、都市部のホワイトカラーやインテリ層、個性を追求する若者の間で浸透しつつあるという。
 最近では、不動産バブル抑制に向けた政府による不動産購入規制の強化を受け、規制対象から免れるための偽造離婚が注目された。熾烈な競争社会を勝ち抜き、より良い昇進の機会獲得のためにあえて既婚であることを隠す「隠婚」を選択するカップルも少なくないという。急速な中国社会の変化は、生活の形態や価値観に確実に影響を及ぼしつつあるようだ。

◎三井化学、中国でBPA第2期実現へ、近くFS入り(2011年9月13日、化学工業日報)
 三井化学は中国でビスフェノールA(BPA)能力を増強する。上海拠点の第2期計画として実施するもので、近く企業化調査(FS)に着手する。年産能力は15万トン程度、15年の稼働を想定している。同社は中国でフェノールチェーン事業を展開しており、13年にはフェノール37万5000トン能力が確立する。川下のBPAはひっ迫状況が続いており、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂向け需要の伸びが見込まれることから具体化を急ぐ。

◎「ネットは秩序正しく」中国共産党宣伝部長が警戒感(2011年9月11日、朝日新聞)
 劉雲山・中国共産党中央宣伝部長(党政治局員)は7日、北京の人民大会堂で日韓メディア関係者と会見し、インターネットを通じた情報の広がりを制限する必要を強調した。「(完全な)管理は不可能だ」とも述べ、ネット上で党や政府への批判が高まることへの警戒感をにじませた。
 劉氏は、中国のネット利用者が5億人にのぼるとしたうえで「いまや(ネットは)『マスメディア』になった」と述べた。ネットを通じた情報の広がりで「国際問題と国内問題の境界があいまいになっている」と指摘。中東のジャスミン革命をめぐり、「一国で起きても、実際には世界的な問題になる」と話した。
 さらに、7月の高速鉄道事故について「一見、交通事故だが、悪くすると政治問題化する」と述べ、中国鉄道省への批判がネット上で広がったことへの懸念を示唆。「ネット上で情報が自由に流れることには賛成だが、秩序正しくなければならない」「法による管理が必要だ」などと語った。

◎小川香料、中国拠点倍増、新工場は3年後完成(2011年9月9日、化学工業日報)
 小川香料は、中国でフレーバー・フレグランスの生産体制を大幅に拡充する。中国で2拠点目となる新工場を建設する方針をこのほど固め、上海市内または上海近郊を候補に立地場所を現在検討。生産規模など詳細を詰めたうえ、年内にも最終決定する見通しで、3年後の完成を目指す。さらに既存の中国拠点では、第2期増強としてフレグランス製造棟を年末の完成予定で建設。これに続き、第3期増強にも乗り出す計画で、食品用を中心としたフレーバー製造棟を新たに建設、2013年3月の稼働開始を見込み、総生産能力を従来の2倍に拡大する。これにより成長が続く現地需要に対応し、中国事業のさらなる強化を図る。

◎中国消費者物価6.2%上昇、8月、なお高水準(2011年9月9日、朝日新聞)
 中国国家統計局が9日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べて6.2%上昇した。上昇率は前月より0.3ポイント低く、4カ月ぶりに前月を下回った。1~8月では5.6%で、通年の上昇率は中国政府が目標とする4%を上回り、5%台となる見通しだ。
 欧米の景気減速が懸念されるなか、中国当局による追加利上げの観測は薄まりつつある。ただ、食品の上昇率は下がったが、なお高水準にあり、金融の引き締めを緩める気配はない。
 食品の上昇率は13.4%で、前月の14.8%より下がったことが全体に影響した。豚肉は45.5%、卵は16.3%の上昇だった。

◎母親たちの「婚カツ」エネルギー(2011年9月4日、産経新聞)
 「うちの娘は恋愛経験が乏しいのよ。あなたが前の彼女と別れた理由を教えてちょうだい。心配だわ」
 「はい。前の彼女は僕をクレジットカード代わりにお金をジャブジャブ使わせる困った人でした。もっと性格のいい女性とおつきあいして結婚したくて…」
 結婚適齢期の娘をもつ10人の母親が、花嫁を探す男性1人を取り囲んで、公開の場で質問を浴びせかける上海テレビの人気番組「丈母娘看女婿(娘の母親の婿選び)」のひとコマだ。
 お婿さん候補として、自分の娘との交際を認めていいと最終的にOKした数人の母親が残れば、今度は男性が母親を選ぶ。妻をめとるには母親を見ろ、ということか。どの母親にも認めてもらえなければ、すごすご退場することになる。
 恋愛経験や人生観もさることながら、男性の側は所有している自家用車や不動産、そして年収や仕事の有望性を、いかにさりげなくアピールするかがカギ。母親の側もあからさまには聞かないものの、矢継ぎ早の質問で、男性に果たしてどれだけ財力があるのかを見極めるのがワザという。
 中国の都市部では、「大卒以上の公務員か国有企業の社員以外との結婚はお断り。新婚生活を送る自分のマンションを用意できない男に結婚する資格なんてない」と“言いたい放題”の若い女性が増えている。
 中国の人口比率は全世代を通じて女性100人に対し男性が105.2人。1979年からの一人っ子政策世代ではさらに男女比率が開いており、数の上では女性陣が有利な立場だ。
 だが、そうそう思い通りの出会いなどないのが世の常。一人っ子のかわいい娘の婚期を逃すまい、なんとしても玉の輿のお相手を探したいと、「婚カツ」に乗り出した母親たちのあくなきエネルギーが、人気番組を支えているのだろう。
 一方、上海では番組以外にも「公園」に幅広い出会いのチャンスがある。
 戦前の租界時代は競馬場だった人民公園。今では若い男女の写真とともに学歴や職業、年収などを書いた紙が何百枚も張り出されて、母親同士が情報交換に走り回っている。
 母親の一人に話を聞こうと近づくと、逆に取り囲まれ、「あんたの会社に若い男はいないの?」と質問攻めに。最後には写真と携帯電話番号入りの紙を何枚も手渡された。母親たちのエネルギーや恐るべし。

◎辛亥革命100年、孫文と梅屋庄吉展、香港で開幕(2011年9月4日、朝日新聞)
 中国の辛亥革命を率いた孫文と、支援者だった実業家梅屋庄吉の交流を紹介する展覧会が3日、香港で開幕した。今年は革命100周年にあたり、中国の近代の幕開けを支えた日本人の存在を通して中国や香港の人々の対日歴史観に新たな視点を提供する狙いだ。6日まで。
 開幕式典には香港の要人のほか、辛亥革命100周年記念活動日本側実行委員会委員長の福田康夫元首相、中国からも全国政治協商会議香港マカオ台湾華僑委員会の劉雲林主任らが招かれた。
 孫文と梅屋は1895年、梅屋が香港で営んでいた写真館で知り合った。孫文が語る革命理念に共感した梅屋は、「君は兵を挙げよ、私は財をもって支援す」と盟約を結び、生涯を通じて巨額の資金を提供するなどした。

◎上海港がコンテナ取扱量世界一、一港で日本の総量超(2011年9月1日、朝日新聞)
 上海港が急拡大している。中国経済が好調なことから、コンテナ取扱量はこの6年で倍増。2010年はシンガポールを抜き、貨物取扱量とともに世界一となった。今年上半期も10%以上、伸びており、上海港だけで日本全体のコンテナ取扱量を上回っている。
 貨物増の最大の要因は、05年に洋山深水港が開港したことだ。長江河口に面する既存の上海港は土砂が積もり、大型船が入港できなかった。このため沖合約30キロに浮かぶ複数の島を丸ごと埋め立て、世界最大級の海上深水港を建造。上海市政府が外国メディアなどに同港内部を公開した。
 陸地と港の間には東海大橋(全長32.5キロ)がかかる。車で約30分かけて橋を渡ると総面積8.14平方キロの港の一部が見えてきた。約5.6キロ続く埠頭に60基の大型クレーンが並ぶ。奥に停泊する大型船はあまりに遠くてかすんでいる。

◎なでしこ:中国が嫌がらせ、なでしこ練習でスパイク使用禁止(2011年9月1日、毎日新聞)
 なでしこジャパンが中国から露骨な嫌がらせを受けた。女子サッカーのロンドン五輪アジア最終予選は1日に中国・済南で開幕する。初戦のタイ戦に臨むなでしこジャパンは31日、試合会場の山東スポーツセンターで公式練習を行ったが、中国サッカー協会からスパイクの使用禁止を命じられ、周囲から丸見えのサブグラウンドでの練習を余儀なくされた。完全アウェーの本番モードとなってきたが、主将MF澤穂希(32)は公式会見で、全勝での予選突破を宣言した。
 公式練習はタイ戦の会場である山東スポーツセンターで、現地時間の午後3時から1時間行うことが決まっていた。だが、午後2時30分ごろにチームバスがスタジアムに到着すると、中国協会の関係者からスパイクとボールを使っての練習を禁じられた。日本協会関係者が交渉し、ボールを使用することだけは許可されたが、試合会場のピッチではランニングシューズでしかボールを蹴れないという非常事態。なでしこジャパンは15分間だけスタジアムのピッチで練習し、残りの45分間はサブグラウンドでの練習を余儀なくされた。
 「急に練習できない、スパイクを使えないということだった。1時間(スタジアムで)練習できれば一番良かったけど、みんながそうならいい」
 対戦するタイやその他の国も同様にスパイクの使用を禁じられたため、佐々木監督は努めて冷静に振る舞った。だが、出場6カ国のうち開催国の中国だけは、地の利を生かしてすでにピッチの状態を確認済み。ある日本協会関係者は「“どういうことだ”って感じ。ピッチコンディション(の悪化)でこういう話があってもいいが、きょう(の状態で)できないことはない。いろいろ思うところはある」と怒りをあらわにした。
 アジアサッカー連盟の規約では、開催国である中国協会は、日本、タイ両チームに試合会場での公式練習を許可しなければならないが、スパイクの使用許可については義務付けられていない。ルールの抜け穴を使った巧妙な嫌がらせだが、やられた選手はたまらない。スパイクでボールを蹴ることで、芝の感触や、ボールの転がり具合など確認する情報は多い。丸山が「ランニングシューズで蹴ることはないので変な感じがした」と話せば、鮫島も「スパイクと感覚が違うので試合当日に確認したい」と険しい表情だった。
 非公開練習でセットプレーの確認も行う予定だったが、金網のフェンスに囲まれたサブグラウンドに変更されたことで、現地のファンからは丸見え。日本協会の広報が報道陣や関係者を排除するなどパトロールを続けたが、それにも限界はある。佐々木監督も「(丸見えだから)非公開にする必要はなかったね」と笑うしかなかった。いかにも中国らしい嫌がらせだが、逆に世界王者の闘志に火をつけたことだけは確かだ。

◎非公開なのにセットプレー丸見え、笑うしかない佐々木監督(2011年9月1日、スポーツニッポン)
 なでしこジャパンが中国から嫌がらせを受けた。女子サッカーのロンドン五輪アジア最終予選は1日に中国・済南で開幕する。初戦のタイ戦に臨むなでしこジャパンは31日、試合会場の山東スポーツセンターで公式練習を行ったが、中国サッカー協会からスパイクの使用禁止を命じられ、周囲から丸見えのサブグラウンドでの練習を余儀なくされた。
 なでしこジャパンは非公開練習でセットプレーの確認も行う予定だったが、金網のフェンスに囲まれたサブグラウンドに変更されたことで、現地のファンからは丸見え。日本協会の広報が報道陣や関係者を排除するなどパトロールを続けたが、それにも限界はある。佐々木監督も「(丸見えだから)非公開にする必要はなかったね」と笑うしかなかった。

◎中国が嫌がらせ、なでしこ練習でスパイク使用禁止(2011年9月1日、スポーツニッポン)
 なでしこジャパンが中国から露骨な嫌がらせを受けた。女子サッカーのロンドン五輪アジア最終予選は1日に中国・済南で開幕する。初戦のタイ戦に臨むなでしこジャパンは31日、試合会場の山東スポーツセンターで公式練習を行ったが、中国サッカー協会からスパイクの使用禁止を命じられ、周囲から丸見えのサブグラウンドでの練習を余儀なくされた。完全アウェーの本番モードとなってきたが、主将MF沢穂希(32)は公式会見で、全勝での予選突破を宣言した。
 公式練習はタイ戦の会場である山東スポーツセンターで、現地時間の午後3時から1時間行うことが決まっていた。だが、午後2時30分頃にチームバスがスタジアムに到着すると、中国協会の関係者からスパイクとボールを使っての練習を禁じられた。日本協会関係者が交渉し、ボールを使用することだけは許可されたが、試合会場のピッチではランニングシューズでしかボールを蹴れないという非常事態。なでしこジャパンは15分間だけスタジアムのピッチで練習し、残りの45分間はサブグラウンドでの練習を余儀なくされた。
 「急に練習できない、スパイクを使えないということだった。1時間(スタジアムで)練習できれば一番良かったけど、みんながそうならいい」
 対戦するタイやその他の国も同様にスパイクの使用を禁じられたため、佐々木監督は努めて冷静に振る舞った。だが、出場6カ国のうち開催国の中国だけは、地の利を生かしてすでにピッチの状態を確認済み。いかにも中国らしい嫌がらせだが、逆に世界王者の闘志に火をつけたことだけは確かだ。

◎故障で緊急停止、列車から煙発生か、乗客がパニック状態の情報も(2011年8月31日、産経新聞)
 中国四川省遂寧市近郊で8月31日午後、高速鉄道の列車が緊急停止した。路線を管轄する成都鉄道局は車両の故障が原因と明らかにした。同省のメディアが伝えた。
 列車から煙が発生し、乗客がパニック状態になったとの情報もあるという。故障した列車は走行不能となり、乗客は別の列車に乗り換えた。成都鉄道局が故障の原因を調べている。列車は同省達州から成都に向かっていた。
 浙江省の高速鉄道事故を受けて政府が高速鉄道を減速する方針を示したのに伴い、同路線も最高時速を200キロから160キロに落としていた。
 6月末に開業した北京-上海高速鉄道では車両メーカー、中国北車が開発した列車「CRH380BL」の故障が相次ぎ、同社は修理のため同型の車両を全て回収している。四川省で故障を起こした列車の種類は不明。

◎中国無許可炭鉱で浸水、1週間ぶり19人救助(2011年8月31日、読売新聞)
 新華社電などによると、中国黒竜江省七台河市の炭鉱で23日に浸水事故が発生し、作業員26人が坑内に閉じ込められたが、このうち19人が30日、1週間ぶりに救出された。
 作業員は坑内で岩石から染み出る水を飲むなどして生きのび、奇跡の生還を果たしたという。
 27日には4人が救出され、このうち1人が死亡した。地元の救助隊は依然閉じ込められている3人の救出に当たっている。地元政府は2007年に炭鉱の閉鎖を命じたが、今月16日に無許可で生産が再開されていた。

◎「当局が同僚を違法に拘束」、鉄道職員らが抗議(2011年8月30日、産経新聞)
 中国のニュースサイト「財新ネット」によると、中国浙江省の高速鉄道事故の原因を調査している当局に対して、鉄道職員らが30日までに、「同僚を違法に拘束している」などとして公正な調査を求める文書を発表した。
 文書は26日、現場の信号設備を管理する職員らが発表。「事故当日に出番だった2人の同僚が違法に拘束されたままだ」としている。職員らは文書で、中国国家安全生産監督管理総局の幹部が「事故当日、信号故障に対する処理を担当部門がしなかった」などと中国メディアで指摘したことに対し、「処理はした」「発言は事実と違う」などと反論した。
 財新ネットは鉄道関係者の話として「鉄道局の別の部門などにも責任がある。当局は信号部門に全責任を押し付けようとしているようだ」とする見方を紹介した。

◎中国で偽公務員が局長に昇進、後ろ盾の副市長免職、「公務員」買い取る?(2011年8月30日、産経新聞)
 中国湖南省婁底市の森林公安局長だった男が公務員になりすましていた偽者と分かり、男の昇進の後ろ盾になっていたとして同市の副市長が免職処分となった。新華社などが30日までに伝えた。
 湖南省のメディアによると、男はもともと小さな炭鉱を経営していたが、いつの間にか公務員として勤務。公務員の身分を買い取ったとみられており、わずか5年で森林公安局長に昇進した。
 男は公務員になっていた間、汚職を繰り返し蓄財していたといい、副市長を含め16人の市幹部が男の昇進を後押ししていた。市幹部は男との間で金銭の授受があったとみられ、いずれも免職などの処分を受けた。
 男は高級住宅や高級車を所有するなど羽振りが良いことで有名だったという。局長に昇進後、内部告発をきっかけに偽公務員であることが発覚。男は即刻、“クビ”となり、規律検査当局が経緯を調べていた。

◎ニセ公務員の男、わずか5年で局長に昇進、後ろ盾の副市長免職(2011年8月30日、スポーツニッポン)
 中国湖南省婁底市の森林公安局長だった男が公務員になりすましていた偽者と分かり、男の昇進の後ろ盾になっていたとして同市の副市長が免職処分となった。新華社などが30日までに伝えた。
 湖南省のメディアによると、男はもともと小さな炭鉱を経営していたが、いつの間にか公務員として勤務。公務員の身分を買い取ったとみられており、わずか5年で森林公安局長に昇進した。
 男は公務員になっていた間、汚職を繰り返し蓄財していたといい、副市長を含め16人の市幹部が男の昇進を後押ししていた。市幹部は男との間で金銭の授受があったとみられ、いずれも免職などの処分を受けた。
 男は高級住宅や高級車を所有するなど羽振りが良いことで有名だったという。局長に昇進後、内部告発をきっかけに偽公務員であることが発覚。男は即刻、“クビ”となり、規律検査当局が経緯を調べていた。

◎中国・大連で石油関連施設火災、昨年から4件目(2011年8月29日、読売新聞)
 新華社電などによると、中国遼寧省大連で29日午前、石油関連施設にあるディーゼル油のタンク1基で火災が発生した。
 約3時間後にほぼ消し止められ、死傷者はなかった。地元当局が出火原因を調べている。
 大連では昨年7月以降、パイプラインの爆発など石油関連施設での火災が相次ぎ今回で4件目。住民の間には施設の安全管理が不十分との批判が高まっている。

◎中国の空港、警戒引き上げ 新疆のテロ防ぐ狙いか(2011年8月29日、産経新聞)
 中国各地の空港で28日、中国当局が搭乗客に対する安全検査を厳しくするなど警戒レベルを引き上げたことが分かった。29日付の中国紙や香港紙が伝えた。
 香港各紙は、新疆ウイグル自治区ウルムチで9月1日に開幕する「中国・アジア欧州博覧会」を控え、新疆独立派などによるテロを警戒する措置との見方を示している。
 香港紙によると、安全検査が厳しくなったのは北京、上海、陝西省西安、四川省成都、広東省広州などの各空港。半分近い荷物を検査員が実際に開けて調べているという。
 北京の空港では28日、安全検査の入り口に多くの人が並び、一時混乱した。中国紙、新京報によると、北京の空港は当局の指示で検査を厳しくしていることを認めた上で、搭乗客に対し、早めに空港に来るよう注意を呼び掛けているという。

◎立ち退きで1000人がデモ、中国江蘇省(2011年8月28日、読売新聞)
 27日付香港各紙によると、中国江蘇省無錫市で26日、商業施設からの立ち退きに不満を持つ店主ら約1000人が市内をデモ行進し、警官隊と衝突、多数が負傷した。
 デモの様子を撮影していた少年が警官から暴行を受け、死亡したとの情報もある。
 施設の所有者が改築目的に立ち退きを要求、店主らは「施設で働く約5万人が失業する」として、市政府庁舎までデモ行進して事態改善を直訴しようとした。

◎「世界最速」仏に譲る、中国全土で減速(2011年8月28日、産経新聞)
 中国鉄道当局は28日、浙江省の高速鉄道事故を受け、安全性を高めるため、全土の路線で高速列車の速度を減らすことを柱とするダイヤ改正を行った。
 16日に一部路線で行ったダイヤ改正に続く措置。今回の改正で中国の高速鉄道の最高時速は350キロから300キロに減速。最高320キロのフランスTGVを下回り、世界最速を譲った。
 北京-天津間の高速鉄道が16日に350キロから300キロに減速したのに続き、上海-杭州(浙江省)間の高速鉄道も28日から同様に減速した。
 北京-ハルビン(黒竜江省)間など他路線も最高時速を250キロから200キロにするなど速度を40~50キロ落とした。中国中央テレビによると、全国で498本の列車が減速し、運賃も5%前後値下げされた。
 ただ、浙江省の事故は信号設備など制御システムの欠陥が原因とされており、中国の鉄道専門家は「減速するだけでは安全性は保証できない」と指摘している。

◎チベット僧侶を殺人罪で起訴、抗議の自殺「そそのかす」(2011年8月26日、産経新聞)
 26日の新華社電によると、中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県で3月にチベット族僧侶が焼身自殺した事件で、地元の検察当局は、自殺をそそのかしたなどとして僧侶3人を殺人罪で起訴した。29、30の両日に公判が開かれる。
 アバ県では3月16日、チベット仏教寺院の僧侶の焼身自殺をきっかけに当局への大規模抗議デモが起き、多数の僧侶が警察に拘束された。
 3人とも同じ寺院のチベット族僧侶で、1人は、自殺を図った僧侶をかくまい、救命治療を怠り、死に至らしめたとしている。

◎紙おむつ原料工場、中国に新設へ、最大手の三井化学(2011年8月26日、朝日新聞)
 三井化学は26日、紙おむつ原料の工場を中国・天津市に新設すると発表した。投資額は50億円で、2013年9月に稼働予定。中国では、ユニ・チャームや花王などの紙おむつ大手が市場拡大を見込んで現地生産に乗り出しており、こうした企業への供給をめざす。
 紙おむつ原料の海外拠点は03年から稼働中のタイに続き2カ所目。新工場の生産能力は年1万5千トンで、「不織布」と呼ばれる肌に接する部分の素材をつくる。肌触りの良さや蒸れない性能が求められ、日本国内では三井化学がシェア4割の最大手といわれる。
 三井化学は三重県四日市市の工場にも50億円を投資し、来春までに現在の約1.5倍の年4万9千トンの能力にする。

◎日本軽金属、中国自動車事業を強化(2011年8月26日、化学工業日報)
 日本軽金属は、自動車分野における中国事業の体制強化を推進する。今下期から立ち上げるトレーラー向け架装事業で材料からの一貫体制を構築するため、新たにアルミ形材の新拠点設置の検討を開始した。中国でアルミ形材を展開する子会社・日軽金アクトの第3拠点として設置する計画であり、架装事業の競争力確保を目的に年内にも実現する考え。中国では上海および深センの自動車用サンルーフレール工場がフル操業となるなど好調に推移している。同社では、積極的な取り組みによりさらなる事業拡大を目指す。

◎中国、WTO指摘に上訴へ、レアメタル輸出制限で(2011年8月24日、朝日新聞)
 世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会が中国によるレアメタルなど鉱物資源の輸出制限を協定違反と指摘したことについて、中国商務省の沈丹陽報道官は24日、「上訴する」と述べた。今回は対象になっていないレアアース(希土類)についても欧米が提訴に動く可能性があるなかで、上訴を通じて中国の姿勢を改めて明確にする。
 沈報道官は「中国のやり方や政策はWTOに違反していない」と強調。上級委員会に上訴する方針を明らかにした。
 中国は、資源と環境の保護を理由に、レアメタルやレアアースなど鉱物資源の輸出や生産の数量を管理、制限している。7月に出されたWTOの報告書は、輸出に比べて生産に対する規制が甘く、外国企業に不利な措置とみなした。レアアースを安定的に調達するため、日本企業のなかには産地である中国に工場を新設する動きが出ている。

◎1カ月たっても原因究明「放置」、渦巻く不信感、「現代版大躍進だ」異例の内部批判も(2011年8月23日、産経新聞)
 犠牲者40人を出した中国浙江省温州の高速鉄道事故から23日で1カ月が経過した。事故車両は現場近くの駅構内に放置されたままで、物的証拠による原因究明が進んだ形跡はなく、ネット上では当局のずさんな対応への不信感が渦巻く。安全管理態勢を置き去りにしたまま、総延長がわずか数年で1万キロに達した高速鉄道網の突貫建設ぶりを、農産物などの無謀な増産指令で3千万人以上が餓死した1950年代の「大躍進」政策の悲劇と結びつける異例の内部批判も出始めた。
 遺族の大半が補償金91万5千元(約1100万円)の受け取りで合意したが、「当局に合意を強要された」という無念がくすぶる。さらに「犠牲者が40人で済むはずはない」との疑念も消えない。
 事故車両を地中に埋めた後、掘り起こすなど、ずさんな対応に加え、事故後の不適当な発言で更迭された鉄道省報道官が、処分も受けないままポーランド勤務のポストが与えられたことなどから、同省に対する不信感も増している。
 そうした中で、中国共産党幹部養成校の機関紙が23日までに、「高速鉄道建設の『大躍進』が危険を生んだ」との論評を掲載した。
 毛沢東が発動した大衆運動の「大躍進」では、農地面積当たりの収穫を実際の何倍も申告させ、農民に成果を強要するなど常軌を逸した政策が大量の餓死者を出した。まず建設ありきと線路を敷き続けた高速鉄道網も、人権や安全より国家の経済目標を優先させ、多大な犠牲を強いたという点で、「現代版大躍進」とする見方を強調している。
 共産党政権の“暗部”まで持ち出して批判を展開し始めた背景には、党指導部が捨て身覚悟で、身内の鉄道省をターゲットに責任を追及。政権中枢への突き上げを回避する狙いが見え隠れしている。
 新華社電によると、国務院(政府)直属の調査チームの幹部は22日、「回避や防止が可能で、発生してはならない事故だった」と指摘した。すでに事故直接原因は把握し、責任の認定作業を進めているという。
 同チームは来月、事故調査報告を行うが、責任追及の範囲をどこまで広げるかに注目が集まっている。
 リコール(回収・無償修理)された高速鉄道車両の車軸に亀裂が入っていたとの報道もあり、乗車率が一段と下がるなど、中国人を沸かせてきた“高速鉄道熱”は急速に冷めている。

◎つぶやく声が情報統制すり抜ける、当局追い付けず(2011年8月23日、産経新聞)
 死者40人を出した中国浙江省温州市(せっこうしょうおんしゅうし)の高速鉄道事故から8月23日で1カ月。鉄道省が事故車両の一部を現場に埋めた事実を瞬く間に国民に伝えたのは短文投稿サイト「ツイッター」の中国版「微博(ウェイボ)」だった。直後に巻き起こった「証拠隠滅」などの激しい当局批判。中国人の識者からは「国民に『知る権利』という概念が根付いた。メディアも含め社会が変わる契機になる可能性はある」との見方が出ている。

・「風化させたくない」
 「この国では次から次へと大きなことが起こり、人々は前に起きたことを忘れてしまう。それではいけない」
 短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」を運営する大手ポータルサイト運営会社の男性編集者(29)=北京在住=は言う。男性は浙江省温州市の高速鉄道事故の発生直後、会社から現場に派遣され、今月(8月)8日に温州を離れてからも事故の情報を発信し続けている。
 男性には中国当局の発行する記者証はない。もっぱら自社の微博に個人の身分で書く。事故の遺族や負傷者から聞き取り、中国当局との賠償交渉の様子も細かく伝えた。
 「温家宝首相は遺族や負傷者の善後処理を思いやりを持ってやるように言ったが、鉄道省の人は『(賠償交渉で)温首相の話は意味がない。(賠償額を規定した)国務院令だけが有効だ』と言った」

・追い付けない当局
 今回の事故では中国メディアによる活発な取材活動と公式発表以外の独自報道が目立った。中国紙で記者の経験もある男性は「とにかく鉄道省を批判し、鉄道省を疑えば『英雄』になれるという安易な雰囲気がインターネット上を中心に生まれた」と話す。
 男性の微博の読者は事故前の約3万人から約15万人に。事実を伝える責任の重さを感じている。今の関心事は捜索活動が実際にいつ打ち切られたのか。「会社がどこまでやらせてくれるか分からないが、やれるまでやりたい」と話した。
 当局は、海外からの政治情報流入などを規制するため、本家ツイッターへの接続は遮断する一方、「ツイッター」の中国版である微博は、管理下に置くことで公認している。スマートフォン(高機能携帯電話)の普及もあり、急速に拡大。中国最大のポータルサイト「新浪網」の微博利用者は2億人を突破し、当局の情報統制が追い付かない状況になっている。

◎中国高速鉄道:23日で事故から1カ月、早くも「風化」も(2011年8月23日、毎日新聞)
 中国浙江省温州市で死者40人を出した高速鉄道事故は、23日で1カ月がたつ。事故処理をめぐって国民の強い批判がわき起こったが、事故現場では手向けられた花が枯れ、人通りもなくなるなど風化が激しい。事故の背景には「独立王国」と呼ばれる鉄道省の体質があったが、鉄道省改革や責任追及がどこまで進むのかも未知数だ。ただ、事故が「質」よりも「量」を重視した国家体制からの転換を中国指導部に迫るものになったのは間違いない。
 事故直後は多数の遺族らが訪れた現場の高架下は、枯れた花束が散らばり、死者を弔う紙銭を焼いた跡だけが残る。高架柱には事故後、「私は信じない」などと鉄道省への批判を思わせる中国の反体制的な詩が書かれていたが、ペンキで上から塗り消されていた。近所の雑貨店の店主(43)は「今はもう誰も来ない。もう忘れたんだろうか」と話す。
 事故車両は温州西駅の貨物ターミナルに放置されたまま。シートには雨泥がこびりつき、外した形跡もない。政府の事故調査チームは9月中旬の結果報告に向けて事故原因の解明を進めている。車体の検証も不可欠だが、近所の作業員(32)は「きちんと調査しているところなんて見たこともない」と話した。
 新華社通信によると、40遺族のうち37遺族が基準額約91万元(約1100万円)の賠償案に同意した。8月に入って賠償案に同意し、葬儀も済ませたという遺族は「今は新聞も読まず、事故のことを考えないようにしている。原因とその背景だけはせめて明らかにすべきだ」と話す。
 中国共産党幹部を養成する中央党校の機関紙「学習時報」は、事故1カ月を前に論評を掲載。毛沢東主席の指導で大増産計画を掲げて失敗し、餓死者3000万人以上とされる「大躍進」(1958~60年)になぞらえ、「鉄道建設の大躍進が安全面の危険を生んだ。これは閉鎖的な管理体制と直接関わる」と鉄道省改革を求めた。さらに「高速鉄道の建設や運行に存在する問題は、ほかの業種や市場でも存在する。質より速度を追求し、監督管理が機能を失ったことは、近年来の中国で発生した重大事故に共通する」と、国家全体の体制改革を求めた。
 温家宝首相が主宰した国務院(政府)常務会議は今月10日、高速鉄道の最高速度の引き下げや新規路線の凍結を決めた。中国指導部にとっては今後、事故原因の解明や刑事責任の追及でどこまで国民の期待に応えられるかの正念場になる。

◎中国高速鉄道、車軸にヒビ?(2011年8月23日、読売新聞)
 22日発行の中国の週刊誌「新世紀」は、北京―上海間の高速鉄道で運行していた車両54編成のリコール(回収、無償修理)について、車両メーカーの「中国北車」が理由に挙げていたパンタグラフなどの故障ではなく、車軸にヒビが発見されていたためだったと報じた。
 中国北車はヒビの発見を否定している。
 新世紀によると、7月15日に山東省済南で行われた定例検査で、中国北車製造の「CRH380BL」型の11両目の車軸内部に、長さ7.1ミリ、幅2.4ミリのヒビが発見された。中国鉄道省の基準では、2ミリ以上のキズが生じた場合、部品を廃棄する必要がある。

◎中国:昆明鉄道局の局長を免職、腐敗行為が原因か(2011年8月23日、毎日新聞)
 23日付の中国紙、21世紀経済報道は、中国の昆明鉄道局(雲南省)の聞清良局長が免職になったと伝えた。詳細な理由は不明だが、同紙は、太原鉄道局(山西省)に在任中に腐敗行為があった可能性を指摘している。
 聞氏は昆明鉄道局に赴任する前、太原鉄道局で貨物輸送などを担当。昨年4月、昆明鉄道局長に任命された。中国では今年2月、「重大な規律違反」の疑いで劉志軍氏が鉄道相を解任されて以降、鉄道当局幹部が相次ぎ汚職疑惑で調査を受けている。

◎中国:元建てでの直接投資解禁へ 、貿易決済も全土に拡大(2011年8月23日、毎日新聞)
 中国商務省は23日、外資系企業など海外投資家が中国本土以外で調達した人民元を中国へ直接投資することを解禁する方針を明らかにした。また、中国人民銀行(中央銀行)は同日、元建ての貿易決済の実施地域を中国全土に拡大すると発表した。
 投資と貿易の両面で活用範囲を拡大し、人民元の国際化を進めるのが狙い。人民元の国際市場での存在感が一段と高まりそうだ。
 商務省は同日、対中投資ルールの草案を公表。元建て対中投資は明確な規定がなく、海外企業は貿易決済で人民元を手に入れても事実上、対中投資ができず、運用方法が限られている。解禁によって元建て貿易決済はさらに拡大するとみられている。
 商務省の草案は証券やデリバティブ(金融派生商品)への投資は禁じており、投資目的について中国商務当局の審査を受ける必要がある。商務省は草案について8月末まで一般からの意見を募集する。
 元建て貿易決済は2009年7月、上海など中国の一部都市とアジアの一部地域との貿易について解禁。昨年6月には北京など計20の省・直轄市・自治区に拡大、対象国の制限も撤廃した。元建ての貿易決済額は急増しており、今年末までに英ポンドを抜き、米ドル、ユーロに次いで世界3位になるとの予測もある。

◎知る権利に目覚めた中国、変革兆し、事故から1カ月(2011年8月23日、産経新聞)
 死者40人を出した中国浙江省温州市の高速鉄道事故から23日で1カ月。鉄道省が事故車両の一部を現場に埋めた事実を瞬く間に国民に伝えたのは短文投稿サイト「ツイッター」の中国版「微博(ウェイボ)」だった。直後に巻き起こった「証拠隠滅」などの激しい当局批判。中国人の識者からは「国民に『知る権利』という概念が根付いた。メディアも含め社会が変わる契機になる可能性はある」との見方が出ている。
 国民の怒りに火を付けたのは事故翌日の24日夜に開かれた鉄道省の王勇平報道官(当時)の記者会見。「なぜ埋めたのか。証拠隠滅か」との質問に対し、救出作業の円滑化を図るためと釈明。運行再開を急ぎ早々と捜索作業が打ち切られた後に2歳の女児が救出されたことについては「奇跡だ」。やりとりは直ちに微博で伝えられ「人命軽視」などの批判を呼んだ。
 共産党の一党独裁体制を敷く中国のメディアは当局の統制下に置かれ、記者会見で当局に都合の悪いやりとりがあっても、カットされ国民には伝わらないのが通常。今回は、微博という新たな情報伝達媒体と国民の広範な批判により、当局監視がかつてなく強まった。
 国民が国政情報を自由に入手できる「知る権利」について、ある中国人研究者は「中国では1980年代に政治改革を推進した趙紫陽元総書記が重視したが、学生らによる民主化運動を武力で弾圧した89年の天安門事件で学生を擁護したとされた趙氏が失脚し、語られなくなった」と指摘。今回、中国人記者も発信に加わった微博情報が、知る権利に応える役割を果たしたと分析した。
 鉄道省はメンツをつぶされる形で埋めた車両を掘り出し、王氏を報道官から更迭した。国民の当局批判はひとまず沈静化したが、同研究者は「国民は微博を通じた言論で政府を動かせることを認識した」と語った。

◎北朝鮮軍へ大量の中国製軍用車、金正恩氏から(2011年8月23日、読売新聞)
 韓国紙・朝鮮日報は23日、中国製の軍用トラックや四輪駆動車など3000~4000台が先月、中国から北朝鮮に渡ったと報じた。
 金正日(キムジョンイル)総書記の三男、正恩(ジョンウン)氏から軍に与えられたという。
 消息筋が中朝国境の遼寧省丹東の税関施設で撮影した動画を分析した結果として伝えた。動画には、タンクローリーや大型バスも映っていて、これらの車両のガラスには受取人として、朝鮮労働党の秘密資金を管理する「39号室」傘下企業の名が貼られていた。
 北朝鮮内部の高位消息筋は「1970~80年代に生産された軍車両は老朽化し、兵士の不満が大きかった」とし、正恩氏が「軍部の忠誠の獲得と自身の能力誇示のために中国の支援で入れ替えた」としている。

◎中国鉄道事故、制御設備納入した企業トップ急死(2011年8月23日、読売新聞)
 中国の高速鉄道事故で、事故現場路線の列車制御設備を納入した「中国鉄路通信信号集団」は23日、同社の馬騁(ばてい)会長が22日、広東省深センで心臓病のため急死したと明らかにした。
 中国誌「新世紀」系のニュースサイトによると、同社は政府の事故調査チームの検査を受けていたといい、関係者は「馬氏は過剰なプレッシャーや責任を感じていた」と話している。
 同社の傘下企業が信号設備を設計しており、事故調査チームは「信号機の重大な欠陥が原因」との分析結果を公表していた。馬氏は「中国の高速鉄道で信号技術の第一人者」と言われ、原因究明作業などに影響が出ることも予想される。

◎埋めた先頭車両、泥まみれで放置、中国高速鉄道事故(2011年8月23日、朝日新聞)
 40人が死亡した中国の高速鉄道事故から1カ月、事故後、現場で穴に埋められ、隠蔽との批判を受けて掘り返された先頭車両は、泥まみれのまま露天にさらされていた。運転席部分を洗浄して検証した形跡はなかった。
 運転席部分が放置されていたのは、事故現場から南へ約8キロの温州南駅整備場の空き地。シートをかぶせてあった。同駅関係者によると、「当初はよく調査チームや当局者が見に来ていた」という。だが、埋める際に重機で壊されていたこともあり、「見ても意味がなかったようだ」という。
 別の脱線車両は、温州西駅貨物ヤードの壁際に置かれたままだった。7月下旬に運び込まれた時と同じ状態だ。目撃者によると、約1週間前、深緑色のシートの一部をはがし、外観を確認していた関係者がいたという。しかし、大半の車両はシートをはがした形跡もない。本格的な検証はされていない可能性がある。

◎ウイグルで150人集団食中毒、11人死亡(2011年8月22日、読売新聞)
 新華社電などによると、中国新疆ウイグル自治区ホータンの警察当局は22日、ウイグル族が多く住む郊外の農村で19日、住民150人以上が下痢や嘔吐などの食中毒の症状を訴え、11人が死亡したことを明らかにした。
 当局は、毒性のある不凍液の保管に使ったプラスチック容器に入っていた酢を食べたことが原因とみて調べている。
 ホータンでは7月中旬、警察派出所が襲撃される事件が発生した。インターネットでは食中毒に関する書き込みが削除され、情報統制が敷かれている。

◎中国高速鉄道車両リコール、実は車軸にヒビ?(2011年8月22日、読売新聞)
 22日発行の中国の週刊誌「新世紀」は、北京-上海間の高速鉄道で運行していた車両54編成のリコール(回収、無償修理)について、車両メーカーの「中国北車」が理由に挙げていたパンタグラフなどの故障ではなく、車軸にヒビが発見されていたためだったと報じた。
 中国北車はヒビの発見を否定している。
 新世紀によると、7月15日に山東省済南で行われた定例検査で、中国北車製造の「CRH380BL」型の11両目の車軸内部に、長さ7.1ミリ、幅2.4ミリのヒビが発見された。中国鉄道省の基準では、2ミリ以上のキズが生じた場合、部品を廃棄する必要があり、使い続けると車軸が折れて脱線・転覆の恐れがある。

◎集団食中毒で11人死亡、中国新疆(2011年8月21日、産経新聞)
 21日の新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区ホータン地区で19日に食事を取った150人余りが食中毒症状を訴え、20日までに11人が死亡した。
 地元の住民らが19日に夕食を取った後、次々と嘔吐などの食中毒症状を訴えた。住民らがどこで食事を取ったのかなど詳細は不明。地元当局が原因を調べている。

◎強風で高速列車が一時運休、乗務員は乗客に「信号故障のため」(2011年8月19日、産経新聞)
 中国の上海鉄道局は19日、強風のため北京-上海間の高速鉄道の列車を一時運休したと発表した。ただ中国メディアによると、乗務員は乗客に「信号故障のため」と説明したという。
 上海鉄道局によると、同日午前8時ごろに強風が吹き、安全確保のため列車を停止。同9時に運行を再開したが、9本の列車に遅れが生じた。
 中国のニュースサイト「東方ネット」がインターネット上から引用した乗客の証言によると、上海駅を出発できず足止めとなった列車の乗務員は「前方の信号故障」が理由だと何度も説明した。
 浙江省温州市で起きた高速鉄道追突事故は信号故障が一因とされており、当局は全国的な安全検査を続けている。

◎日系化学大手、中国に相次ぎ統括拠点(2011年8月19日、化学工業日報)
 日系化学関連企業の中国展開が新たな段階を迎えている。一部企業で先行していた統括拠点設置の動きが広がりをみせている。今年に入って三菱ケミカルホールディングス、住友化学などが拠点を構築。昭和電工は今年秋をめどに上海に管理性公司を立ち上げる計画。複数の生産拠点を有し、今後も事業基盤の強化を志向するなか、代表機能の確立やリスクの一元管理、間接部門サービスの提供など管理・統括機能を充実させ、中国におけるグループ力を強化することが狙いだ。

◎13億人の社会的焦燥感、激変と混迷の「乱世」突入への前兆(2011年8月18日、産経新聞)
 1日付の『中国青年報』が興味深いインタビュー記事を掲載した。インタビューの相手は共産党中央党校の呉忠民教授であり、テーマは「中国社会の焦燥感」についてである。その中で記者は、「現在の中国社会では普遍的な焦燥感が蔓延している」と述べ、呉教授の見解を聞いたところ、返ってきた答えはこうである。
 「現在、焦燥感なるものがこの社会ほとんどすべての構成員に広がっている。低層の労働者や農民も、より良い社会環境に恵まれている政府の幹部や民間の経営者も、そして豊かな沿岸地域の住民も貧しい内陸部の住民も、ほとんどすべての中国人がある種の焦燥感に取りつかれ、大きな不安に駆り立てられている。焦燥感がこれほど広がっているのは中国の歴史上でも珍しいケースであり、戦乱の時代以外にはあまり見たことのない深刻な状況である」
 共産党政権の高級幹部を養成する中央党校教授の立場にある者が、中国社会の現状についてこれほど深刻な認識を示していることに筆者は大いに驚いたが、呉教授の指摘した通り、「社会的焦燥感」がかくも広がっていることは中国の長い歴史でも「珍しいケース」であろう。
 そして世界史的に見ても、ある国において、労働者からエリートまでのすべての国民がえたいの知れぬ焦燥感や不安に駆り立てられているような状況はたいてい、革命や動乱がやってくる直前のそれである。
 呉教授がここで、「戦乱の時代以外に見たこともない」との表現を使っていることも実に面白い。要するに今の中国の社会的心理状況は既に、「戦乱の時代」の状況に類似してきているということであろう。
 こうなったことの原因について、呉教授は改革開放以来の中国社会の変化の激しさや国民の生活満足度の低下などを挙げているが、筆者の私の認識からすれば、貧富の格差の拡大や腐敗の蔓延が深刻化して物価も高騰し経済が大変な難局にさしかかっている中、改革開放以来の中国の経済成長路線と社会安定戦略がすでに自らの限界にぶつかって行き詰まりの様相を呈している。
 それこそが「社会的焦燥感の蔓延」を生み出した深層的原因であろう。もちろん、このような社会的現象の広がりはまた、中国社会が今後において激変と混迷の「乱世」に突入していくことの前兆でもある。
 実際、現在の中国における騒乱や暴動の多発はまさに、「乱世」の到来を予感させるものである。今年6月の1カ月間を取ってみても、6月10日から連続3日間、広州市近郊の町の新塘で起きた出稼ぎ労働者の大規模暴動を始め、土地収用問題が引き金となって浙江省台州市で発生した集団的騒乱事件、河南省鄭州市で土地収用の補償をめぐって起きた村民の騒動、湖南省長沙市の市庁前で繰り広げられた土地収用反対の市民の抗議デモ、同じ湖南省の婁底市で電力会社の高圧電線塔計画に反対するために展開された抗議運動など、まさに「焦燥感」によって駆り立てられた民衆の反乱が全国に広がっている様相だ。中国社会全体はあたかも「革命前夜」のような騒然たる雰囲気となっていることがよく分かる。
 そして、7月に起きた高速鉄道事故では、露骨な情報隠蔽を行った政府当局の横暴と人命軽視に対し、民衆の不満と反発が爆発寸前にまで高まった。この一件を見ても、13億国民の「社会的焦燥感」がやがて大きなエネルギーと化して急激な変革を引き起こすに至る日はそう遠くない。そう私は確信している。

◎中国有力誌の社長解任、言論統制へ一罰百戒?(2011年8月18日、読売新聞)
 民主的な論調で知られる中国有力誌「南風窓」の陳中社長が解任されたことが17日、複数の関係者の証言で明らかになった。
 浙江省温州の高速鉄道事故や大連の化学工場への大規模抗議デモをめぐり、メディアやインターネットで政府批判が強まっており、当局が言論統制強化のため一罰百戒を狙った措置とみられている。
 処分は15日付で、直接の理由は、7月末発行の同誌に掲載された3ページにわたる台湾の歴史学者へのインタビュー記事。軍閥時代の再評価を通じて共産党による画一的な歴史観の見直しを迫り、愛国教育が生む狭い民族主義の弊害を指摘した内容で、執筆した記者も停職処分を受けた。
 だが、1本の記事で、社長が責任を問われるのは異例。新指導部を選任する来年の第18回党大会を前に、水面下で政治闘争が活発化しており、今回の処分についても「保守派による巻き返しだ」(中国メディア関係者)との見方が強まっている。

◎中国海洋石油、南シナ海で深海天然ガス田の開発に着手(2011年8月17日、朝日新聞)
 香港紙明報は17日、中国国有石油大手の中国海洋石油が広東省珠海の東南沖約320キロの南シナ海で、国内初の深海天然ガス田の開発に着手したと報じた。
 珠海市の高欄港経済発展区幹部の話として伝えた。詳細は不明だが、中国とベトナム、台湾が領有権を争う西沙諸島の北東約500キロ付近の海域とみられる。
 ガス田は「茘湾3-1号」と名づけられ、中国海洋石油が460億元(約5520億円)を投入。初期的な探査を行い、埋蔵量は東シナ海で開発を進める「春暁」(日本名・白樺〈しらかば〉)を大幅に上回る1500億立方メートルを見込む。

◎減速開始、事故受けダイヤ改正(2011年8月17日、産経新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故を受け、中国鉄道当局は16日、安全確保のため高速列車の営業速度を減速することを柱としたダイヤ改正を行った。
 中国メディアによると、北京-天津間の高速鉄道が最高時速を350キロから300キロに減速するなど全国の3路線が速度を落とした。ほかの路線でも今後、最高時速を250キロから200キロにするなどのダイヤ改正を行う。
 北京-上海間では故障が相次いだ高速列車「CRH380BL」を製造会社が回収し、修理するため本数を減らした。
 中国では7月1日に大幅なダイヤ改正をしたばかりだが、事故を受け、政府が高速鉄道の減速を決定し、ダイヤ改正を行うことを決めた。

◎中国高速鉄道:新ダイヤで運行始まる、「世界最速」返上(2011年8月16日、毎日新聞)
 中国・浙江省温州市の高速鉄道事故を受け、高速鉄道の最高速度を引き下げた新ダイヤによる運行が16日、始まった。最高時速350キロだった区間は300キロに減速し、中国は世界最速の座を320キロで運行する仏TGVや独ICEに譲り渡す。国民の安全面への懸念が高まる中、安全最優先の姿勢を強調する狙いがあるとみられる。
 鉄道省は6月末に開業した北京-上海線など4路線について、7月のダイヤ改正で最高時速を350キロから300キロに引き下げたが、北京-天津線と上海-杭州線では350キロの世界最速を維持していた。
 だが、事故を受けて国務院(政府)常務会議が速度引き下げを決定した。16日の引き下げ実施は北京-天津線。28日から上海-杭州線でも実施される。乗車券の値段も5%前後引き下げられた。
 新ダイヤでは運行本数も減った。北京-上海線の主力車両の最新型「CRH380BL」に故障が続出し、製造元の中国北車が54編成の回収・修理(リコール)を決定。このため、北京-上海線では1日88往復から66往復に大幅減になった。
 新ダイヤは中国のメンツをかけた国家プロジェクトの方針転換になる。ただ、新華社系のサイト「新華網」は「高速鉄道は『暴れ馬』のようなもの。騎手は馬のことを十分に知らないのにすぐに乗ろうとして、振り落とされた。ゆっくり馬を育てて仲良くなれば、再び乗って速く走ることができる」と指摘する大手投資会社の報告を紹介している。

◎中国:鉄道省報道官を解任、失言連発で批判集中(2011年8月16日、毎日新聞)
 「中国の高速鉄道は日本の新幹線より優れている」などと発言した中国鉄道省の王勇平報道官が16日、解任された。新華社が伝えた。王氏は浙江省の高速鉄道事故の記者会見などで失言を連発し、批判を集めてきた。

◎中国:経常黒字、前期の倍超の5.3兆円、4~6月期(2011年8月16日、毎日新聞)
 中国国家外貨管理局が16日発表した国際収支統計(速報値)によると、4~6月期の経常黒字額は696億ドル(約5兆3000億円)と、1~3月期(288億ドル)の2倍以上となった。輸出が3カ月連続で最高を更新し、貿易黒字が685億ドルに上ったことが効いた。財政不安を抱える欧米からの投資の鈍化を受け、資本・金融収支の黒字は670億ドルと、1~3月期の861億ドルよりやや縮小。サービス収支は108億ドルの赤字だった。

◎事故後もなお「トリプルA」格付けに異議あり、中国紙(2011年8月16日、産経新聞)
 中国鉄道省が建設資金調達のために市場で独自発行している債券を、同国の格付け会社「大公国際資信評価」が先月23日に起きた高速鉄道事故後も最高ランクの「トリプルA」と格付けし続けていることに、中国紙が相次いで異議を唱えている。
 この格付け会社は、今月8日に同省が発行した総額200億元(約2400億円)の短期債券を含め“鉄道債”を最上級に格付けしたが、今月3日には米国債の格付けを「Aプラス」から「A」に下げた。中国の国債は米国債より高い「ダブルAプラス」という。
 これに対し中国紙、第一財経日報は、「中国国債や米国債より同省の格付けがなぜ高いか。格付け会社の独立性や公正さの欠如が疑われる」とかみついた。また京華時報は、「高速鉄道事故は同省の資金調達にマイナス影響を与えたのではないか」とする専門家の声を伝え、疑念を示した。
 建設や運行など現業部門を抱える同省は2兆元以上も負債があり、国家予算とは別枠で独自に資金調達している。中国人民銀行(中央銀行)の認可で1994年に北京で設立された同格付け会社は、「同省は大規模な優良資産を保有している」などと、最上級格付けの理由を説明している。

◎最高時速300kmに減速、中国高速鉄道(2011年8月16日、読売新聞)
 中国の高速鉄道は16日、最高時速を約50キロ・メートル引き下げるなどした新ダイヤでの運行を開始した。
 7月23日に浙江省温州で起きた高速鉄道事故を受けた措置で、最高時速350キロ・メートルだった上海―杭州間など2区間は、同300キロ・メートルに減速される。
 6月末に開通した北京―上海間では、列車車両メーカー「中国北車」の「CRH380BL型」で故障が相次ぎ、計54編成の回収が決定したことから、運行本数が1日88往復から66往復に減った。

◎チベット僧が焼身自殺、中国四川省、「自由ない」とビラ(2011年8月16日、朝日新聞)
 中国の新華社通信によると、四川省カンゼ・チベット族自治州で15日、チベット僧(29)が焼身自殺した。チベット亡命政府系のラジオ局「チベットの声」(本部ノルウェー)によると、僧侶は地元政府庁舎前で「チベットに自由はない」と書いたビラをまき、自らに火をつけた。
 当局は地元チベット寺院を封鎖し、この僧侶の遺体を引き渡すように求めており、住民との間で緊張が高まっているという。
 この地域では先月、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の誕生日を祝う活動が当局に禁止され、住民らが抗議。当局は寺院の電気や水道を止めるなど、圧力を強めていた。

◎鉄道省報道官を解任、失言連発に批判集中(2011年8月16日、産経新聞)
 「中国の高速鉄道は日本の新幹線より優れている」などと発言した中国鉄道省の王勇平報道官が16日、解任された。新華社が伝えた。王氏は浙江省の高速鉄道事故の記者会見などで失言を連発し、批判を集めてきた。
 王氏は事故翌日の記者会見で、事故車両を地中に埋めたことについて「救出作業の円滑化を図るため」などと釈明。「(その説明を)あなたたちが信じようが信じまいが、私は信じる」と述べた。
 また、捜索活動の終了宣言後に女児が見つかったとの指摘には「奇跡だ」と述べた。インターネット上で「国民をばかにしている」「無責任だ」と非難が集中し、共産党機関紙、人民日報も失言を「低レベルの誤り」と指摘した。

◎海洋観測衛星を打ち上げ、中国(2011年8月16日、産経新聞)
 中国の通信社、中国新聞社電によると、中国は16日朝、海洋観測衛星「海洋2号」を山西省の太原衛星発射センターから打ち上げ、軌道に乗せることに成功した。
 海洋2号は初めて誤差10センチ以内の精度で軌道に乗せる技術を実現したほか、初めてレーダー通信技術を使って地上と連絡を取る試験を行うという。
 海洋2号は海面の変化などを観測し、エルニーニョ現象や気候変動の研究に重要な意義があるとしている。

◎レアアース利権を譲渡か、北朝鮮、肥料支援の中国に(2011年8月16日、産経新聞)
 16日付の韓国紙、中央日報は、北朝鮮が中国側から肥料20万トンの無償支援などを受ける代わりに、北朝鮮・咸鏡北道茂山にある鉱山のレアアース(希土類)の開発利権を中国側に渡すことで合意したと北京発で報じた。消息筋の話として伝えた。
 同紙によると、合意は、金正日総書記の5月の訪中を契機に実現。北朝鮮は肥料のほか、国際相場の半分程度の価格でトウモロコシ50万トンを確保した。
 レアアースをめぐっては、中国側が茂山から積み出すための道路の整備費用を負担、採掘用設備に関して支援する見返りに、北朝鮮は生産量の50%を中国側に無償で提供。残り50%については国際相場による販売収益を中国側が北朝鮮に支払うことになった。北朝鮮のレアアース埋蔵量は約2千万トンという。

◎中国鉄道省債券AAA、事故後も最高評価(2011年8月16日、読売新聞)
 米国債の信用格付けを「Aプラス」から「A」に格下げした中国政府系の格付け会社「大公国際資信評価」が、高速鉄道事故が起きた後も、鉄道省発行の債券に「トリプルA」と最高の評価を与え続けていることに対し、疑問の声が上がっている。
 15日付の中国紙「経済観察報」は、「鉄道省が政府を乗っ取った。これが安全や腐敗、債務激増などの問題を生んでいる」と酷評した。
 大公国際は15日付の経済紙「第一財経日報」などに対し、トリプルAの理由について「国家の信用があり、発展も見通せる」とした上で、事故後の損失は「影響しない」と強調した。だが、インターネットでは、「公正さに欠ける」との批判が続出している。

◎中国、住民5千人道路封鎖、相次ぐ停電に抗議(2011年8月16日、読売新聞)
 15日付香港紙・東方日報によると、中国四川省成都で14日夜、住民約5000人が相次ぐ停電に抗議し、道路を封鎖した。
 現場は貧困層が多い地域で、住民は当局が差別していると疑っていた。最近は気温が40度近くになり、水道も止まっていたという。

◎大連の大規模デモ、当局が民衆側に歩み寄る(2011年8月16日、読売新聞)
 中国東北部最大の経済都市、大連で14日行われた大規模デモで化学工場が閉鎖に追い込まれたことは、問題の長期化が社会の不安定化につながることに危機感を強める地元当局が民衆側に歩み寄ったものだ。
 異例ともいえる素早い措置には、対応が後手に回った7月の高速鉄道事故を教訓に、腐敗反対など批判の矛先が政権に向かわないよう事態の早期収拾を図る狙いがある。
 「大連を守れ!」「化学工場は出て行け!」。14日朝、大連市当局施設前の広大な「人民広場」を埋めつくした約1万2000人の住民らは口々に叫び、拳を振り上げた。参加者は若者を中心に、親子連れから高齢者まで広範な層に及んだ。

◎中国暴動デモ頻発、都市部にも蔓延、社会不安表面化(2011年8月15日、産経新聞)
 中国遼寧省大連市で14日、同市沿海地域にある化学工場の移転を求める市民約1万2千人が市政府庁舎前に集まって抗議デモを行い、一部は警察隊と衝突した。6月以降、中国各地でデモや暴動が頻発し、社会不安が表面化している。これまでは農村部での強制土地収用などを理由とする官民衝突が多かったが、最近は当局の横暴や市民権利侵害への抗議急増を背景に、都市部にも広がりをみせている。
 国営新華社通信などによると、大連の工場はポリエステル繊維の原材料となるパラキシレンを生産。今月8日、台風が接近した際に工場近くの防波堤が決壊し、有毒物質が流出した恐れがあったため、一部の住民が避難した。
 この騒ぎを受けて、工場による環境破壊に不安を持つ市民らがインターネットで誘いあって抗議デモを決行。14日午前から市政府周辺の幹線道路を通行不能な状態にして警察隊とにらみ合い、一部で衝突も起きた。
 同市トップの唐軍・党委書記は「工場を市外に移転する」とデモ隊に約束したが、これまで同工場の情報をほとんど公開しなかった当局へ不信感を持つ市民らは「日付を明確にしてほしい」と納得せず、同日夕方まで抗議を続けたという。
 中国で1万人を超えるデモは珍しい。地元関係者によると、同工場の移転を求める声は以前から根強くあったが、地元経済を支える重要な事業として市当局は無視し続けたという。
 また、15日付の香港紙、東方日報によると、四川省成都で14日夜、相次ぐ停電に市民約5千人が抗議し、道路をふさいで数キロの渋滞が発生する騒ぎになった。
 このほか、広東省広州市郊外では6月10日、妊娠中の女性露天商への治安要員の暴力に激怒した出稼ぎ労働者ら約1千人が警察車両に放火し、行政施設に火炎瓶や石を投げつける暴動が起きた。7月26日と8月11日には貴州省の安順市と畢節市で、治安要員の暴行に抗議する市民らが警察と衝突、警察隊が催涙弾を発砲し、住民多数が負傷した。
 一連の暴動やデモは、当局に対する市民のうっせきした不満を背景に、ネットや携帯電話のショートメールを通じて参加の呼び掛けが広がる特徴がある。北京の民主化活動家は「党官僚の特権や横暴で都市部の市民の生活は苦しくなっているが、中央政府は有効な対策を打ち出せないでいる。デモや暴動はさらに増えるだろう」と語っている。

◎僧侶自殺で住民と対立、中国チベット族自治州(2011年8月15日、産経新聞)
 亡命チベット人を対象とするラジオ局「チベットの声」(本部・オスロ、電子版)によると、中国四川省カンゼ・チベット族自治州で15日、チベット寺院の僧侶(29)の自殺をきっかけに警官隊と住民が対立している。
 僧侶は15日、中国当局が7月のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の生誕記念行事を禁じたことなどに抗議して焼身自殺。警官隊は寺院を包囲し僧侶の遺体の引き渡しを求めており、住民らとにらみ合っているという。
 新華社電は15日、僧侶の自殺を報じたが、理由には触れなかった。

◎中国・大連の化学工場閉鎖へ、市民1万人超による抗議デモで(2011年8月15日、朝日新聞)
 中国遼寧省の大連市当局は14日、市内の化学工場をめぐり、有害物質流出の危険があるとして市民約1万2000人が移転を求めた抗議運動を受けて、この工場を直ちに停止すると発表した。
 新華社などによると、地方政府ビル前に集まった多くの市民らは、警備のために居並んだ機動隊とにらみ合い、一部で小規模な小競り合いは見られたが、負傷者の報告はないという。
 また、共産党と地元当局は声明を出し、工場を早期に移転させることについても決定したと明かした。
 国営メディアによると、大連市では先週、台風が接近したために工場近くの防波堤が決壊。同工場ではポリエステルの原料になる有害物質パラキシレンが生産されており、付近の住民が避難を余儀なくされた。
 その後、防波堤は修復され、有害物質による汚染も確認されなかったが、流出の可能性はあるとの声が強まり、インターネットで抗議活動が呼び掛けられた。

◎中国、デモで化学工場閉鎖、1万人抗議行動受け(2011年8月15日、読売新聞)
 中国東北部最大の経済都市、大連で14日、市民ら約1万2000人が化学工場の撤去を求める抗議行動を行った。
 当局側は要求を受け入れる形で工場の即時生産停止を発表したが、その後も抗議行動が続いて、治安部隊との衝突も起きた。主要都市で1万人を超える大規模な民衆デモが起きるのは、反日デモ以外では極めて異例だ。
 抗議行動は地元当局施設前の広場で14日午前に始まり、大連市トップの唐軍・共産党委書記が工場の移転を約束して解散を求めた。だが、市民らは抗議を続け、当局側は夕方、工場の即時生産停止と早急な移転を発表した。7月下旬の高速鉄道事故に続いて、当局側が民衆側に歩み寄り、民衆の不満緩和を図った形だ。

◎中国、大連の化学工場、「危険」と住民猛反発(2011年8月13日、読売新聞)
 中国東北部最大の経済都市、大連で、郊外に建設された化学工場に対する住民らの反発が強まり、14日に市中心部でデモが呼びかけられている。
 この工場は、市街地から北東約20キロ・メートルの大連金州新区にある大連福佳大化石油化工有限公司のパラキシレン(PX)プロジェクト。PXはポリエステル繊維などの原料となる化学物質。工場は中国最大級とされ、一昨年、生産を開始した。
 工場は沿岸部にあり、今月8日に熱帯低気圧が接近した際、約50メートルの距離にある防波堤が決壊。荒波で工場から有毒物質が漏れ出す恐れが強まり、付近住民らが避難する騒ぎとなった。
 大連の地元当局は9日、新華社通信などに「防波堤の修復は終わり、有毒物質は漏れなかった」と述べた。また、専門家らによる調査を行い、工場の移転を検討すると表明した。
 しかし、「危険施設がこんなに近くにあったとは」と住民らの反発は収まらず、インターネットなどでデモ呼びかけが広がっている。

◎露天商への暴力に激怒、住民と警官隊衝突、中国(2011年8月12日、読売新聞)
 12日付の香港紙・明報などによると、中国貴州省畢節で11日、治安要員が女性露天商に暴力をふるったことに激怒した住民が警官隊と衝突し、30人以上が負傷した。
 住民は警察車両を横転させ、建物を破壊。見物人を含め約1万人が集まったという。
 中国では、治安要員の横暴ぶりに住民が抗議行動に出るケースが目立っている。広東省広州では6月、治安要員が女性露天商を殴ったことをきっかけに数千人規模の暴動が起きた。

◎人民元基準値、初の1ドル6.3元台に、人民銀が設定(2011年8月12日、朝日新聞)
 中国人民銀行は11日、人民元の取引の目安として毎朝発表している基準値を1ドル=6.3991元と、2005年7月の人民元改革以降の最高値に設定した。6.3元台は初めて。
 中国の消費者物価の上昇率は7月、前年同月比6.5%と約3年ぶりの高水準となった。先進国の金融緩和であふれた資金が、中国が輸入する資源など国際商品価格を押し上げるとの懸念も広がっている。このため、輸入物価を下げる効果を狙って人民元高に誘導しているとの見方もでている。

◎北京-上海の高速鉄道、大幅減便へ、鉄道省が安全を重視(2011年8月12日、朝日新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故を受け、中国鉄道省は安全確保のため、北京-上海間の高速鉄道の運行本数を大幅に減らすなどのダイヤ改定を、16日から段階的に実施することを明らかにした。国営新華社通信が11日伝えた。中国政府は前日に国務院(内閣に相当)常務会議を開き、安全重視の姿勢を打ち出していた。
 北京-上海線では、現在88往復を66往復に減らす。大手車両メーカー「中国北車」が製造した「CRH380BL」で故障が相次いでいるため。
 また、7月のダイヤ改定では最高時速350キロを維持した北京-天津、上海-杭州線でも300キロに減速する。これに伴い、運賃も5%前後値下げする。

◎車両回収・修理対象は54編成、パンタグラフや警報装置に異常(2011年8月12日、産経新聞)
 中国の鉄道車両製造大手、中国北車は12日までに、故障が相次いだために回収、修理する高速鉄道車両が54編成に上ると発表した。12日付の中国紙、東方早報は「中国の鉄道で初めての公開リコール(無料の回収・修理)だ」と指摘した。
 回収対象はドイツの技術をもとに開発された「CRH380BL」で、北京-上海間で運行されている。北車幹部は同紙に「修理にどれぐらい時間がかかるか分からない」と話した。
 報道では、車両の異常を知らせる警報装置の誤報で停車したり、パンタグラフが勝手に下りたりする故障が相次いだ。
 中国鉄道省は11日、回収、修理の影響で、北京-上海間の列車を1日88往復から66往復に減らすと発表している。

◎中国貴州省で数千人が暴動、30人負傷、女性に暴力きっかけ(2011年8月12日、産経新聞)
 中国貴州省畢節市で11日午後、露天商の女性に治安当局者が暴力を振るったことをきっかけに数千人に上るとみられる群衆による暴動が発生、警官隊と衝突し30人以上が負傷した。香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターなどが12日伝えた。
 香港紙、明報は中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」の書き込みを基に、警察車両がひっくり返され、建物が放火されたなどと報道。微博は11日深夜に関連キーワードで検索できなくなったといい、その後の状況は不明。

◎ウイグル自治区で住民100人超拘束か(2011年8月12日、朝日新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動情報センターは11日、中国当局が7月末以降、新疆ウイグル自治区アクス地方の町クチャで、地元住民100人以上を「敵対勢力」として拘束したと伝えた。
 同センターによると、同自治区カシュガル市で市民らが刃物で襲われる事件が続いた7月末以降、同市の北東約600キロにあるクチャで住民が相次いで拘束された。武装警察など2千人規模の治安部隊が巡回するなど、厳しい警戒態勢が敷かれているという。
 当局はカシュガルの事件を宗教過激派グループによるテロと断定しており、ウイグル系住民の一部をそうしたグループと関係する「敵対勢力」として摘発している可能性がある。クチャでは北京五輪期間中の2008年8月、警察施設などが爆破される事件が起きた。

◎高速鉄道の車両、回収・修理へ、中国北車、故障相次ぎ(2011年8月12日、朝日新聞)
 中国の大手車両メーカー「中国北車」は11日、北京-上海間を走る高速鉄道車両「CRH380BL」を回収して修理する、と発表した。6月末の開業以来、故障が相次いでおり、浙江省温州市の高速鉄道事故を受けて中国政府が打ち出した高速鉄道の安全強化策に対応するため。
 対象となるのは54編成。これを受けて、北京-上海線は大幅な減便となる。
 運行前の17編成についてはすでに、同様の理由で出荷を一時、停止している。この車両は、ドイツのシーメンスから購入した技術をもとに、中国北車が独自に開発した、としている。

◎中国鉄道大手が増資中止(2011年8月12日、読売新聞)
 中国の国有企業で鉄道建設大手「中国中鉄」は11日、予定していた第三者割当増資を中止すると発表した。
 中鉄は中止の理由を「政府の(増資)承認に不確実性がある」と説明している。中国政府が、鉄道の新規プロジェクトの審査凍結などを決めたためとみられる。中国メディアによると、中鉄は増資で62億元(約740億円)を調達し、広東省深センの地下鉄建設などの工事に充てる予定だった。浙江省温州の高速鉄道事故の車両を製造した「中国南車」も3日、増資を議決するために5日に開く予定だった臨時株主総会を延期している。

◎防げる事故だった、中国鉄道事故の調査チーム長(2011年8月11日、読売新聞)
 中国中央テレビによると、政府の事故調査チームは11日、温州で会議を開き、駱琳(らくりん)チーム長は「起こるべきではない、完全に回避、防ぐことのできる事故だった」と述べ、人災の側面を指摘した。
 駱氏は「今回の事故はシステムの重大な欠陥が設備の故障を引き起こした問題だ」と述べた。また、「応急処置や安全管理にも問題があった」と述べ、「重大な責任事故」と位置づけた。

◎中国人観光ビザ、「一定の経済力」だけで発給へ(2011年8月11日、読売新聞)
 外務省は10日、中国人を対象とした個人観光ビザの発給要件を9月から緩和すると発表した。
 3年連続の緩和で、これまで定めていた「職業上の地位」を削除し、「一定の経済力を有する」ことだけが要件となる。滞在期間も15日から30日に延長する。外務省などによると、年収がおおむね10万元(約120万円)以上を対象とする見通しだ。ただ、入国後に犯罪を起こすケースも想定されることから、年収だけでなく資産などを総合的に審査するという。

◎鉄道省幹部、調査から外す(2011年8月11日、産経新聞)
 新華社電によると、中国国務院(政府)は10日、浙江省温州市の高速鉄道事故の調査チームを再編し、これまで副チーム長だった鉄道省の彭開宙次官ら同省幹部を外した。
 中国国内では事故の対応などをめぐり鉄道省に対する批判が高まっており、同省幹部が調査チームに含まれていることについて調査の客観性に疑問が出ていた。

◎中国版新幹線車両の出荷見合わせ、北京-上海線(2011年8月10日、産経新聞)
 北京-上海高速鉄道で運行されている中国版新幹線の高速列車「CRH380BL」について、車両メーカーの中国北車は、安全面の改善を理由に出荷を一時的に見合わせていることを明らかにした。9日付の中国紙、21世紀経済報道が伝えた。
 北京-上海線には中国北車と中国南車の2社の高速列車が導入されている。6月末の開業後、38件の車両故障が発生、うち37件が中国北車の車両で、そのほとんどが「CRH380BL」に集中していたという。同車両はドイツのシーメンス社の技術を導入して開発された。

◎中国高速鉄道、50キロ減速化、事故で政府決定(2011年8月10日、読売新聞)
 中国の盛光祖・鉄道相は10日、新華社通信の取材に対し、浙江省温州で起きた高速鉄道事故を受けて最高時速を約50キロ引き下げることを明らかにした。
 同日、温家宝首相が主宰した国務院(政府)常務会議で決定された。
 同通信によると、最高時速は上海―杭州間の現行350キロが300キロに、北京―上海間などの300キロは250キロに、200キロ区間は160キロに減速される。同日の経済紙「21世紀経済報道」によると、減速化は高速鉄道以外の旅客路線にも及び、全旅客路線の6割が影響を受けるという。
 6月30日に開通した北京―上海間は当初、最高時速350キロの運行が計画されていたが、安全性を考慮し300キロに抑制。今回の減速で当初計画から時速100キロ引き下げることになる。

◎中国高速鉄道、広州-深セン間の開業延期(2011年8月10日、読売新聞)
 中国広東省の夕刊紙「羊城晩報」や中国系香港紙「香港文匯報」は10日、今月10~12日の間に予定されていた高速鉄道広州-深セン区間の開業が延期されたと報じた。(センは、土へんに川)
 7月に浙江省温州で起きた高速鉄道事故の影響とみられ、開業は9月にずれ込む可能性もあるという。
 同区間は12日に深センで開幕する第26回ユニバーシアード夏季大会前に開業予定だったが、地元鉄道当局者は9日、開業日がまだ確定していないと表明。関係者の一人は、「開業後に小さな故障などの問題が起きても世論への対処が難しい」と語った。

◎中国高速鉄道、新路線建設を一時凍結、温首相が決定(2011年8月10日、朝日新聞)
 中国浙江省温州市で起きた高速鉄道の追突事故を受け、温家宝(ウェン・チアパオ)首相は10日、副首相らを集めた国務院(内閣に相当)常務会議で、新路線建設の審査と承認の一時凍結を決め、開業時の運行速度を減速する方針も打ち出した。また、鉄道省とは別に政府の検査チームを設け、開業済みや建設中の全線で安全検査を実施することも決めた。
 40人が死亡した事故と対応をめぐる内外の根深い不信と批判に対し、胡錦濤(フー・チンタオ)政権として安全を重視する姿勢を強調したものだ。
 日本の新幹線の約4倍にあたる1万キロ近い路線網を持つ中国の高速鉄道は、2015年には1万6千キロに延長する計画がある。会議では新たな審査・承認の一時凍結とともに、承認したものの未着工の区間についても安全性を調べ直すことを決めた。

◎中国の車両大手、高速鉄道の出荷を一時停止(2011年8月10日、朝日新聞)
 中国の大手車両メーカー「中国北車」は10日、鉄道省の指示で高速鉄道車両の出荷を一時停止したことを明らかにした。同社の公告によると、北京―上海線を走る同社の子会社「長春軌道客車」製の「CRH380B」型車両で、車間を一定の距離に保つ自動列車保護装置(ATP)の誤作動が多いため、出荷予定の車両を検査、改善する。
 中国北車によると、別の子会社が製造している同型車両よりトラブルの発生率が高く、鉄道省に自主的に届け出たという。電子部品の問題ではあるが、初期不良に過ぎず、大事故につながる故障ではないと説明している。
 「CRH380B」はドイツのシーメンスの技術をベースに独自開発したとされる新型車両で、浙江省温州市で事故を起こした車両とは異なる。列車が突然停止するなどの故障が続出しているが、鉄道省は「初期不良」として原因を詳しく説明していない。

◎北京-上海高速鉄道の車両、生産停止、中国紙(2011年8月10日、読売新聞)
 6月末に開業した北京―上海間の高速鉄道線で運行されている車両のメーカー「中国北車」傘下の企業が、安全面の理由で車両の生産・出荷を停止している。
 9日付の中国紙「21世紀経済報道」が伝えた。
 北京-上海線で運行されている車両96本のうち、北車は48本を供給し、残る48本は別の車両製造大手「中国南車」が供給している。
 これまでに同線で発生した38件の故障のうち37件は北車の車両だった。なかでも傘下企業「長春軌道客車」が生産した車両が多かったため、「鉄道省から停止を命令されたのではなく、自主的に」(北車)出荷停止したという。

◎「中国も被害国」政府機関へのハッカー攻撃急増(2011年8月10日、読売新聞)
 新華社通信によると、中国の国家インターネット応急センターは9日、2010年に中国政府機関の4635件のウェブサイトがハッカー攻撃を受けて改ざんされたと発表した。
 政府機関の全サイトの約1割にあたるという。対09年比で67.6%の増加。
 ウイルスなどを使った事件は、米国やインドなど国外から仕掛けられたものが半数近くを占めたという。中国は、米政府・企業に対するハッカー行為への関与が指摘されるが、「中国も被害国」(中国外務省)と主張している。

◎中国鉄道事故なお混乱、ネットに「不明者一覧」実際は(2011年8月10日、朝日新聞)
 40人の死者を出した中国浙江省温州の高速鉄道事故で、インターネット上に「行方不明の29人」とされる名簿が出回っている。死者を少なく公表しているのでは、との疑惑に対して、鉄道当局などは9日までに、新たな死傷者はいないとの調査結果を発表した。
 調査結果によると、リストの29人のうち20人は事故車両に乗っておらず、残る9人は事故の前に下車したか、当局が把握する死者、負傷者リストに名前があったという。中国共産党の機関紙人民日報も9日、「不明情報は正しくない」との調査結果を載せた。
 朝日新聞も不明者リストに基づき、死亡か負傷が確認された5人を除く17人の関係者に連絡を取った。大半はネット上に「尋ね人」を書き込んだ後日、本人と連絡が取れたという。事故当初に連絡が取れなかった理由の多くは、携帯電話の故障や電池切れ。ただ、脱線事故の前日に温州へ向かい、その後理由は分からないが実際に不明になっている母子の情報も紛れ込んでいた。

◎独立運動への参加求めるビラ発見、武装警察が警戒、中国新疆自治区(2011年8月9日、産経新聞)
 米政府系放送局のラジオ自由アジアは9日までに、7月に無差別襲撃事件が相次いだ中国新疆ウイグル自治区でウイグル族の独立運動への参加を呼び掛けるビラが見つかったと報じた。自治区各地で武装警察による警戒態勢が敷かれているという。
 同ラジオが伝えた亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」関係者の話によると、ビラが見つかったのは西部アクス。ウイグル族の文化保護を求め、全ての市民を対象に独立運動への参加を呼びかけた。見つかった時期や枚数などは不明。
 同ラジオはアクス住民や同会議などの話として、武装警察の特殊部隊が5日夜、アクスに投入されたほか、区都ウルムチでも夜に出歩いているウイグル族住民の取り締まりなどが行われていると伝えた。

◎「人肉カプセル」韓国流入報道、中国が調査を指示(2011年8月9日、産経新聞)
 死産した赤ん坊や生後1~2カ月の乳児の人肉からつくられた粉末入りのカプセルが中国から韓国に流入していると報じられた問題で、中国衛生省の報道官は9日の記者会見で、吉林省の衛生当局に調査を指示したことを明らかにした。
 韓国誌が先月、カプセルの材料となる乳児の遺体などは、ブローカーが吉林省の病院から買い取っていたと報じた。報道官は「中国は法令で医療機関が遺体を売買することを禁じている」と説明、「人体の組織や遺体を売る行為は断固として取り締まる」と強調した。
 報道によると、カプセルは大病に効く妙薬として韓国で密売されていた。韓国誌が入手したカプセルを分析すると、遺伝子情報が人間のものと99%一致したという。

◎犠牲者35人の遺族が合意(2011年8月9日、産経新聞)
 新華社電によると、中国浙江省温州市の高速鉄道事故の賠償交渉で、事故で死亡した40人のうち賠償金の受け取りに同意した遺族がさらに増え、8日午後までに35人になった。

◎9月に再びダイヤ改正か、「安全確保のため」と関係者(2011年8月9日、産経新聞)
 9日付の中国紙、新京報は鉄道関係者の話として、中国全土の鉄道で9月1日のダイヤ改正を準備していると伝えた。中国では7月1日に大幅なダイヤ改正をしたばかりで、高速鉄道事故を受けた改正とみられるという。
 関係者はダイヤ改正の目的について「乗客の安全を確保するため」と指摘、主に列車の速度を調整することに伴う改正との見方を示した。
 高速鉄道事故では、追突した北京発の「D301」は7月1日のダイヤ改正で投入されたばかりで、運行に携わっていた担当者が新ダイヤに慣れていなかった可能性を指摘する声も出ている。

◎鉄道省、2400億円の資金調達、建設計画なお強気(2011年8月8日、産経新聞)
 ロイター通信によると、中国鉄道省は8日、総額200億元(約2400億円)に上る人民元建て短期債券を発行した。先月の高速鉄道事故後、同省が資金調達を行うのは初めて。死傷事故を起こしてもなお、同省は鉄道建設や車両購入を続けて、計画通りの拡大路線を維持する構えだ。
 今回の短期債券は償還期間90日。中国開発銀行や中国建設銀行など主に国有金融機関が引き受ける。債券発行による同省の資金調達は今年すでに4回目。8日付の中国紙、第一財経日報によると、中国の格付け機関、大公国際資信評価は、同省の債券に対し「トリプルA」と最上級の格付けを行っている。
 6月30日に開業した北京と上海を結ぶ「京(けい)滬(こ)線」を含め、専用軌道による高速鉄道網は総延長約1万キロ。北京-武漢線なども開通させ、年内に総延長をさらに約3千キロ伸ばす計画がある。今回の調達資金はその建設費用支払いに充てられる見込み。
 一方で、今月1日に公表された財務報告によると、浙江省温州市の高速鉄道事故前の6月末時点の同省の負債総額は2兆907億元(約25兆3千億円)と、初めて2兆元を突破。総資産に対する負債比率は58.5%に上っている。今年上半期の鉄道事業は黒字だが、事故後は利用客離れが広がっており、財務状況の急速な悪化も懸念されている。
 同省は鉄道に関する行政から建設、路線の運営までを統括し、強大な権益構造を守り続けている。旅客需要予測などを踏まえて路線計画を見直す動きもない。負債が膨張を続け、国有金融機関が保有する同省の債券が不良資産化する恐れも指摘される。

◎ネット上で29人の被害者隠蔽と指摘、中国鉄道省、新たな被害者なしと否定(2011年8月8日、産経新聞)
 7日の中国共産党機関紙、人民日報のニュースサイト「人民網」によると、中国鉄道当局は浙江省温州市の高速鉄道事故で、隠蔽された被害者ではないかとしてインターネット上に掲載されていた29人の「行方不明者名簿」を調査した結果、これまで発表した死傷者以外に新たな被害者はいなかったと結論付けた。
 中国で当局がネット上の疑惑に正面から対応するのは珍しい。同事故では40人が死亡、約190人が負傷したとされるが、実際の死傷者はもっと多いのではないかとの疑惑を打ち消す狙いがあるとみられる。
 調査結果によると、不明者名簿29人のうち、20人は事故を起こした列車の乗客名簿にはなく、8人は既に発表された死傷者の中に含まれていた。残りの1人は事故発生前に下車していた。

◎育鵬社教科書採択、中国メディア「焦燥と無策の中の右翼思想の逆流」と批判(2011年8月7日、産経新聞)
 7日付の中国共産党機関紙「人民日報」は、「焦燥と無策の中に生まれた右翼思想の逆流」と題する論文を掲載し、横浜市が市立中学などで使用する歴史と公民の教科書に育鵬社版を選択したことを厳しく批判した。
 日本研究者として知られる清華大学当代国際問題研究院の劉江永副院長による論文で、同社の教科書を日本の右翼団体が作製したと決めつけたうえで、「侵略史を美化するこの右翼教科書は今後、多くの日本青年を毒害するであろう」と論評した。
 また、教科書が採択された背景を「地震、津波に原発事故、政治の混乱と経済の低迷で、日本は未曾有の状況に直面しており、右翼勢力はこの状況を利用して社会に変化をもたらせようとしている」と分析し、「このような右翼思想は、日本民衆の対中感情を悪化させ、中日関係の発展を阻害させる影響を持っており、油断してはいけない」と結論づけている。

◎安全運行の要、どさくさ紛れに交換、信号設備の新たな重大障害発覚で分かったこと(2011年8月7日、産経新聞)
 中国浙江省温州市での高速鉄道追突事故で、事故区間の温州南駅と一つ手前の永嘉(えいか)駅の間にある信号系統に新たな重大障害が見つかり、8月に入り信号設備を交換したことが5日分かった。中国鉄道当局関係者が明かした。
 鉄道当局は、駅間の信号設備を交換する深刻な事態が発生した事実を公表していない。障害の詳細は不明だが、交換したのは、高速鉄道の駅間にあり列車に安全走行情報を送る「信号機器室」の信号設備だったのは確実だ。
 今回判明した信号系統の新障害は、追突した北京発D301の自動列車停止装置が作動しなかった主因の可能性が高いと日本の専門家は指摘しており、事故原因究明の鍵を握っている。
 鉄道当局は温州南駅の信号設備については既に「重大な欠陥」があったと公表している。これが追突された杭州発D3115が緊急停止・徐行した主原因と分かったが、今回、複数の信号設備の障害が明らかになったことで、安全運行の要である制御システム全体が事故当時、「機能不全」に陥っていた可能性も出てきた。
 中国浙江省の高速鉄道事故で、新たな信号系統の重大障害が判明した。信号設備を交換する深刻な事態であるにもかかわらず、鉄道当局は障害の事実を公表しておらず、事故車両の一部を埋め国民の激しい批判を招いた鉄道当局の隠蔽体質が改善されていない現状が浮き彫りになった。
 今回、問題となっている「信号機器室」は、温州南駅と永嘉駅からそれぞれ約2キロの地点の線路脇の軌道敷地内にある小さな建物だ。
 永瀬和彦・金沢工業大客員教授(鉄道システム工学)によると、先行列車との追突防止のため、走行中の列車に上限速度や、先行列車と一定の距離を保つための「残走距離」に関する情報などを発信する役目を担っているという。
 これらの情報は、軌道上に一定の距離を置いて設けた「信号セクション」と呼ばれる区間の端近くに設置した送信器から出されている。コンピューター処理により、各区間ごとに適切な走行指示情報を送ることで、列車運行を制御する仕組みだ。
 永瀬教授は「信号機器室は、通常はオートマチックで運用されており無人」とし、データの入力ミスがあった可能性を指摘している。
 鉄道当局は事故直後、事故車両の破片などを現場付近に埋め、遺族や国民から「証拠隠滅」との非難を受けて再び掘り出す大失態を演じた。
 温家宝(おん・かほう)首相(68)は現場を視察した際、国民の怒りを踏まえ「事故調査の全ての過程を公開し、社会、大衆の監督を受ける」と約束していた。ところが今回、どさくさに紛れて信号整備を密かに交換していたことがばれてしまった。

◎旧満蒙開拓の慰霊碑撤去、中国、建立から10日余り(2011年8月7日、朝日新聞)
 中国黒竜江省方正県にある日本の旧満蒙開拓団員の慰霊碑が、建立からわずか10日余りで県当局によって撤去された模様だ。地元関係者が明らかにした。国内で「侵略者の慰霊碑をなぜ建てるのか」といった厳しい批判にさらされ、ペンキをかけられるなどしていた。
 碑は日中友好を目的に方正県政府が中国外務省などの承認を受け、70万元(約840万円)で7月25日に建立。近くには中国残留日本人孤児の養父母の慰霊碑も建てた。地元関係者によると、8月5日夜から6日早朝の間に開拓団員の慰霊碑だけが撤去された。
 同県政府は6日午前8時ごろ、中国版ツイッターで「多くの人が疑問を持ち石碑も汚されたため、関連部門は石碑を処理することを決めた」と伝えた。

◎中国事故で犠牲者哀悼紙面、上海紙の幹部更迭(2011年8月6日、読売新聞)
 中国の高速鉄道事故に関連して香港紙「蘋果日報」などは6日、上海紙「青年報」の副編集長が更迭されたと伝えた。
 新華社通信の記事だけ掲載するよう求めた共産党中央宣伝部の指示に背き、7月29日の1面で、事故の犠牲者に哀悼の意を示す紙面作りをしたためという。
 高速鉄道事故の報道を巡っては7月末、鉄道省を批判した中国国営中央テレビの報道番組制作者、王青雷氏も停職処分を受けたと伝えられている。

◎中国鉄道事故の負傷者賠償、安すぎると反発も(2011年8月6日、読売新聞)
 中国各紙は6日、中国高速鉄道事故による負傷者の賠償基準が公表されたと報じた。
 賠償額は、事故が起きた浙江省の都市住民の可処分所得や消費支出などを基に、けがや後遺症の程度によって算出されるという。
 賠償金には医療費のほか、交通費や看護費用なども含まれる。後遺症のある人には、障害への賠償金や慰謝料、補助器具代なども支払われる。
 死亡した場合の賠償金は基準額が91万5000元(約1100万円)だが、入院中の負傷者らによると、全身打撲や外傷などで「軽傷」と判断された場合の賠償額は1万数千元(十数万円)。「何週間も仕事ができず、後遺症が出る恐れもあるのに安すぎる」と反発が出ており、賠償交渉は難航も予想される。

◎中国鉄道事故、当局批判したTVプロデューサー停職処分(2011年8月6日、朝日新聞)
 国際ジャーナリスト連盟(IFJ)によると、7月に中国浙江省・温州で起きた高速鉄道事故で、番組で鉄道省を批判した中国国営中央テレビのプロデューサーが停職処分を受けた。今回の事故では国内メディアも当局批判を展開したが、こうした措置は現場の記者らへの大きな圧力となりそうだ。
 処分を受けたのは同局のニュース番組「24時間」を担当する王青雷氏で、事故発生から3日後の26日の放送で、キャスターが「人の安全が確保されていないような速度を我々は求めているのか。人の魂を置き去りにしたスピードアップなどいらない」と述べた。
 王氏は翌日、自身の簡易ブログで「権力に屈しない記者がいれば、国の魂は失われない」と書き込んだ。

◎09年の新疆騒乱、爆破事件の容疑者拘束 タイに潜伏(2011年8月6日、朝日新聞)
 タイ警察当局は6日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチで2009年にあった騒乱の際に、爆破事件を起こしたとされるウイグル族のヌー・ムハンマド容疑者を拘束した。タイのメディアが伝えた。事件後、ミャンマー(ビルマ)経由でタイに逃れ、バンコクに潜伏していたという。
 報道によると、ムハンマド容疑者は爆破事件に関わったとされる約20人の容疑者の1人。警察当局はバンコクの中国大使館に連絡したという。

◎鉄道省改革、来年以降に、トップが消極的と中国紙(2011年8月6日、産経新聞)
 6日発行の中国紙、中国経営報は、高速鉄道事故で露呈したずさんな安全管理や情報公開への消極姿勢から「解体論」が高まっている鉄道省について、盛光祖鉄道相が改革に消極的で、改革が本格的な課題となるのは、共産党指導部が大幅に入れ替わる来年の第18回党大会後になるとの見通しを伝えた。
 盛氏は今年2月、「重大な規律違反」の疑いで更迭された劉志軍氏の後任として鉄道相に就任。当初はトップの交代で鉄道省改革に対する期待もあったが、同紙によると、鉄道省に近い関係者は、盛氏が鉄道相を2年務めて引退することが予想されるため「(責任が重大な)改革推進の原動力に欠ける」と指摘しているという。

◎副編集長更迭と報道、当局の指示に反し処分(2011年8月6日、産経新聞)
 6日付の香港紙、蘋果日報は、中国浙江省の高速鉄道事故で当局の指示に従わない報道をしたとして、上海紙「青年報」の副編集長が更迭されたと、インターネットの書き込み情報を基に伝えた。真偽は不明。
 蘋果日報によると、問題になったのは7月29日付の1面。紙面中央に事故現場を訪れた温家宝首相の写真を配し周りに大きく余白を取ったレイアウトで「犠牲者への哀悼を示した」ことが、新華社の配信記事だけを使うよう求めた当局の指示に反したため処分された、としている。
 蘋果日報は、青年報に取材を試みたが確認できなかったとしている。青年報は電子版で日々の紙面をそのまま公開しており、「問題」の紙面も閲覧できる状態が続いている。

◎情報伝えた中国版ツイッター、官製メディアが相次ぎ攻撃(2011年8月5日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で先月起きた高速鉄道事故で、被害状況や鉄道当局のずさんな対応などさまざまな現場の情報が瞬時に伝わった簡易型ミニブログ「微博」(中国版ツイッター)を“攻撃”する報道を、中国官製メディアが相次ぎ始めている。
 5日付の中国紙、環球時報は「既存メディアは微博を引用すべきでない」との論評を掲げ、地方の新聞やテレビなどがこぞって微博に情報源を求めている報道姿勢を批判した。「微博は必ずしも民意を反映していない」と主張している。
 中国中央テレビも、「微博にはデマを流して大衆を扇動したり金もうけに利用したりする黒幕がいる」と伝え、高速鉄道事故などをめぐって微博上で流された誤った情報を列挙した。
 中国当局は情報管理の一環としてツイッター接続を遮断する一方、管理しやすい国内サービスの微博は認めてきた。だが、開設から3年でユーザーが2億人を超えた微博の膨大な“つぶやき”に情報検閲が追いついていない実態がある。
 微博の情報から社会不安があおられる懸念も持っているとみられ、今後は微博そのものに対する規制が強化される可能性もある。

◎信号設備に新たな重大障害、制御系統全体が機能不全か(2011年8月5日、産経新聞)
 中国浙江省温州市での高速鉄道追突事故で、事故区間の温州南駅と一つ手前の永嘉駅の間にある信号系統に新たな重大障害が見つかり、8月に入り信号設備を交換したことが5日分かった。中国鉄道当局関係者が明らかにした。
 鉄道当局は既に温州南駅の信号設備に「重大な欠陥」があったと公表。これが、追突された杭州発のD3115が緊急停止し徐行した主な原因であることが分かっているが、複数の信号設備の障害が明らかになったことで、安全運行の要である制御システム全体が事故当時、「機能不全」に陥っていた可能性が出てきた。
 今回判明した信号系統の新たな障害は、追突した北京発のD301の自動列車停止装置が作動しなかった主因の可能性が高いと日本の専門家は指摘しており、事故原因究明の鍵を握る。

◎反旗を翻した中国メディア(2011年8月4日、産経新聞)
 7月23日に起きた中国の高速鉄道事故で、内外からの注目を集めたのは中国メディアの熱の入った報道ぶりである。
 事故発生直後から、全国から100社以上の新聞、テレビ、ネットメディアが現場に記者を派遣し、激しい取材合戦を繰り広げたことが本紙でも報じられている。国民の関心の高さを背景に、中国メディアは今まで見たことのない積極的な報道姿勢を取った。
 こうした動きに対して、共産党中央宣伝部は事故発生2日後の同25日、事故について「プラス面のニュースを中心に報道するように」とメディア向けの通達を出したが、大半のメディアはそれを完全に無視した。
 それからの数日間、新聞各紙は事故の悲惨さや当局対応のずさんさについて詳しいリポートを1面に掲載して、「プラスの面」よりも「マイナスの面」ばかりを報じた。たとえば北京の『新京報』、上海の『東方早報』、杭州の『銭江晩報』などは10ページ前後の特別紙面を組んだ。人民日報傘下の『京華時報』まで特集紙面を作って政府の情報隠蔽を批判する評論を掲げた。
 そして、メディアの過熱報道と批判的な論調によって助長されるかのように政府当局の事故対応への国民的不満と反発が爆発寸前まで高まった。
 そのために、温家宝首相は「火消し役」として現地へ赴いて事態の収拾を図った一方、政権側はよりいっそうの厳しい報道統制に乗り出した。党中央宣伝部は同29日に国内全メディアに対し「政府発表以外のニュースを報道してはいけない。論評もしてはいけない」との命令様式の通達を出し、違反した場合の「厳重処罰」もにおわせた。メディアを黙らせるための「必殺の剣」が抜かれた。
 その結果、多くのメディアはやむなく掲載予定の記事を取り下げたり紙面を急遽作り替えたりしたが、大胆な抵抗を試みるメディアもあった。
 北京地元紙の『新京報』は同31日、2005年の日本の福知山線脱線事故に関する1ページの特集を組んで詳しく検証した。それは明らかに、「生存者の捜索は丸3日間続けられた」「運転再開まで55日間かかった」といった日本の対応を引き合いに出して、短時間で生存者捜索を終了し、すぐに運転を再開させた中国鉄道省の対応を間接的に批判したものである。
 『経済観察報』という週刊紙も懸命の反抗を行った。8月1日、共産党宣伝部の「伝達」をわざとあざ笑うかのように、事故の原因究明に関する8ページの特集を組み、「今回の事故はまったくの人災だ」と断じた上で、事故の「真犯人」に対する徹底的な追及を展開した。
 広東省の『南方都市報』に至っては、7月31日の紙面で「他媽的(くそったれ)」という相手を徹底的に侮辱する意味合いの罵倒語を鉄道省に浴びせながら、政権の情報統制に対する憤怒の念をあらわにした。
 このようにして、当局の人命軽視と政権の報道統制に対し、一部の国内メディアはもはや昔のようにただ屈従するのではなく、むしろ果敢に立ち上がって集団的反乱を試みた。その背景には、人権に対する国民の意識の高まりと、市場経済の中で生きていくために民衆の声を代弁しなければならなくなったメディアの立場の変化があろう。
 そこから浮かび上がってきたのは「民衆+メディアVS政権」という見事な対立構図である。この対立構図の成立こそが、今後の中国の激変を予感させる画期的な出来事であろうと感じるのである。

◎「勝手に工期を短縮するな」中国鉄道相(2011年8月4日、読売新聞)
 4日付の中国紙・京華時報などによると、浙江省での高速鉄道事故を受けて、盛光祖・鉄道相は2日、鉄道省の幹部会議を招集し、「鉄道の建設工事を厳格に行い、勝手に工期を短縮してはならない。建設プロジェクトの秩序ある推進を保証しなければならない」と指示した。
 盛氏はまた、「運行担当指令、運転士、車両検査補修員や設備維持員ら、高速鉄道の運行に当たる人員に対する研修を強化する」と強調した。高速鉄道網の性急な整備で安全管理人材の育成が追いつかず、事故の遠因になったという指摘も出ているため、改善姿勢を示して批判をかわす狙いがあるとみられる。
 一方、盛氏は、「大々的な安全検査を展開し、安全確保で有効な措置を取っていると重点的に宣伝しなければならない」と述べ、宣伝工作の強化も命じた。

◎高速鉄道事故報道、中国メディアが異例の抵抗(2011年8月4日、読売新聞)
 中国の高速鉄道事故発生以来、国内メディアが鉄道省の事故処理をめぐって、「証拠隠滅」「人命軽視」などと批判を強め、報道規制にも異例の抵抗を見せている。
 胡錦濤政権は、民主化要求など、共産党の一党独裁を否定する報道に発展しないよう操縦を続けているが、こうした危うい手法をいつまで続けられるかは不透明だ。
 「鉄道省は残れ!」
 7月28日午後、事故現場を初めて訪れた温家宝首相の記者会見が終了すると、中国メディアの記者たちが連呼し、随行の鉄道省幹部らに詰め寄った。前日27日、温州南駅で遺族ら約100人が「真相を公表せよ」と要求するデモを行った際も、外国メディアに交じって中国人記者の姿が目立った。
 メディア監督機関である党中央宣伝部は24日に、各メディアが自由に取材、報道するのを禁じ、国営新華社通信の配信記事を使用するよう通達を出していた。それにもかかわらずだ。
 鉄道という庶民の乗り物の安全は、ほぼ全国民の関心事とあって、新聞、テレビは連日、列車を粉々に砕いて地中に埋めたことを「証拠隠滅」と批判した。復旧優先で救助活動を中止したことも「人道主義に反する」と糾弾。巨大な権限を持つ鉄道省の解体を訴える論評まで登場した。
 若い記者らは現場取材を行い、簡易ブログを通じて、取材した独自の情報を次々と発信。報道に先立つ形で各種情報がインターネット上に出回り、規制の網をかいくぐった。鉄道省を標的にした批判を、不満を募らせる民衆の「ガス抜き」として容認してきた宣伝部も29日には、批判の矛先が政権に向かうことを警戒、「現場から記者を戻せ」と改めて指示した。若手記者は「仕方なく現場を離れるが、電話で遺族への取材を続ける」と反発している。

◎中国鉄道省、6人が関連企業要職を無断で兼ねる(2011年8月4日、読売新聞)
 中国鉄道省が管轄する情報技術センターの幹部6人が、無断で情報関連企業の会長など要職を兼職していたことがわかった。
 中国の経済紙「第一財経日報」が3日に報じた。中国の公務員法の規定では、公務員が兼職する際には関連機関の承認を得なければならず、官民の癒着ぶりが改めて浮き彫りになった。
 6月末に会計検査院が公表した資料から明らかになった。幹部6人のうち、同センタートップの共産党委員会書記は少なくとも17の企業で法定代表人や会長を務めていた。
 鉄道省の情報技術センターは、鉄道の情報システムの設計などを担当する。浙江省温州で7月23日に起きた高速鉄道事故では、信号機や運行管理センターのデータ収集ソフトに「設計上の重大な欠陥」があったことを当局は認めており、「組織の緩みが事故につながった」などの批判も出ている。

◎中国湖南省、在来線機関士数百人がスト、残業増に抗議(2011年8月4日、朝日新聞)
 中国湖南省長沙で2、3の両日、在来線の機関士ら数百人が残業代の支払いなどを求めてストライキをした。高速鉄道だけでなく、鉄道省が進める在来線の高速化で現場の負担感が増している可能性がある。
 米国の放送局ラジオ・フリー・アジアなどによると、2日に同省株洲機関区の機関士ら約300人がストライキに入り、100人以上が長沙駅の構内に座り込んだ。機関士らは規定を大幅に上回る乗務が課せられているのに、残業代や手当の支給がないとして抗議。「10日以上、帰宅できないこともざらだ」と話したという。中国紙毎日経済新聞(電子版)によると、幹部らが「9月までに解決する」と説得。ストは3日深夜に終結したという。
 中国鉄道省は、温州で事故を起こした高速鉄道だけでなく、在来線の高速化も進めてきた。ストの背景には、ダイヤの過密化による現場の負担増があるとみられる。

◎鉄道工期の短縮禁止、これまではずさんな設定(2011年8月4日、産経新聞)
 中国鉄道省はこのほど、高速鉄道をはじめとする全国の鉄道の安全運行を確保するため、建設工期を勝手に短縮することを禁止した。4日付の中国紙、京華時報が報じた。これまで工期の設定がずさんだった可能性があり、盛光祖鉄道相は鉄道当局幹部を集めた会議で、工期を「科学的かつ合理的」に決め、開通前に安全性など全ての問題を解決するよう求めた。
 中国では、2008年4月に本格着工し、5年後の13年に完成予定だった北京-上海間の高速鉄道が、共産党創建90年記念日前日の今年6月30日に開業。しかし、故障などのトラブルが相次ぎ、浙江省で起きた高速鉄道追突事故前から安全面の懸念が指摘されていた。
 京華時報によると、鉄道省は「鉄道建設プロジェクトを工期通り厳格に実施する」として、工事関係者が勝手に工期を短縮することを禁止。

◎運転士も補償金は犠牲者と同一基準(2011年8月3日、産経新聞)
 3日の新華社電によると、中国浙江省温州市で起きた高速鉄道事故で、追突した列車の死亡した運転士の補償金について、地元当局が犠牲者への賠償金と同一基準で支払う方針であることが分かった。当局関係者が明らかにした。
 犠牲者の賠償金91万5000元(約1100万円)と同額になるとみられる。
 運転士の遺族は既に約5万元の保険金を受け取っており、補償金額がどうなるか、インターネット上で話題になっていた。
 地元当局は補償金のほか、仕事のあっせんや生活支援も運転士の遺族に行う考えという。

◎技術寄せ集め、業界も懸念、鉄道の制御系統(2011年8月3日、産経新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、制御系統が日本やドイツなど各国技術の寄せ集めで構築されたためシステムが複雑になり、鉄道業界からも、「完全には使いこなせない」との懸念が出ていたと国営通信新華社系の週刊誌「瞭望東方週刊」(電子版)が3日までに伝えた。
 鉄道省は2日、事故を受けた安全対策会議を開催。担当者が信号の誤発信に気付かなかった「人為ミス」も原因の一つとされるため、盛光祖鉄道相は「新技術の装備が大量に投入されている。技術を扱う人材育成を急ぐべきだ」と強調。
 中国高速鉄道の制御系統は「中国列車運行制御システム」(CTCS)と呼ばれ、中国は「自主開発」を誇示してきたが、中国の鉄道専門家は「高速鉄道の核心部分は全て海外から来ており、消化、吸収するには時間が必要」と指摘している。

◎中国鉄道まだ信号不具合、当局「安全確認完了」(2011年8月3日、読売新聞)
 中国共産党機関紙・人民日報のウェブサイト「人民網」は3日、高速鉄道事故が起きた区間を含む杭州―深センの高速鉄道路線で、設備の保守作業の影響により同日から3日間、一部列車が運休になると報じた。
 事故区間を含む路線は1日からダイヤの混乱が続いており、信号設備の不具合などが原因とみられる。
 運休は1日12本。更に16本が事故現場に近い温州南駅やその近隣駅までの区間を短縮した折り返し運行などとなる。他の列車に遅れが出る可能性もあるという。
 また、地元紙「温州都市報」は3日、消息筋の話として、楽清駅―温州南駅間の35キロ区間で信号設備の検査と補修が行われており、手動信号で運行しているため速度が制限されていると伝えた。
 当局は事故後、温州南駅の信号機と運行管理センターのソフトに「設計上の欠陥」があったと分析。全国で使用している同種機器を点検し、安全確認を完了したと公表していた。

◎中国鉄道死者、「おくりびと」さながら死に化粧(2011年8月3日、読売新聞)
 40人が死亡した中国高速鉄道事故で、犠牲者の遺体を修復し、化粧を施す専門家ら4人が投入されている。
 国営新華社通信(英語版)も2日、納棺師が主役の日本映画「おくりびと」さながらの仕事ぶりを紹介した。当局の事故処理を巡って、国際的にも「人命軽視」などの批判が出ただけに、遺体に敬意を払い、遺族に配慮する姿勢を対外的に示す狙いがあるとみられる。
 専門家らは、事故現場となった浙江省内各地から招請された。写真を見ながら、損傷の激しい遺体が少しでも元の姿に近づけるよう復元作業を行っている。16歳の少年は頭部の修復に丸一日かけ、4歳の男児の顔には、健康そうに見えるよう、ほお紅を加えたという。

◎混乱続く中国高速鉄道、利用客の不信感深まる(2011年8月3日、読売新聞)
 高速鉄道事故(7月23日)のあった中国浙江省温州を通る区間で1日から高速鉄道のダイヤの混乱が続いている。
 2日も少なくとも16本が運休し、60本に最大3時間以上の遅れが出た。切符売り場には遅れの通知がないなど鉄道当局の対応の不備が目立ち、利用客の不信感がさらに深まっている。
 列車の遅れは1日午後1時半過ぎに始まり、2日夜になっても正常化の見通しは立っていない。しかし、事故現場に近い温州南駅では切符売り場で通常通り切符が売られ、多くの利用客が改札口近くで初めて事態を把握。怒って切符の料金払戻窓口に殺到するなど、混乱は拡大している。
 温州南駅に3時間以上遅れて到着した列車の乗客によると、列車は臨時停止を繰り返したが、乗客に対する理由説明などは皆無。駅構内でも、「遅れが出ていることをおわびします」との放送が流れているだけで、「話にならない」と長距離バスや航空機に切り替える客が続出している。

◎中国高速鉄道「ガラガラ」、乗車率水増し?(2011年8月3日、読売新聞)
 中国紙「新京報」は3日、高速鉄道・北京-上海線の開業1か月の平均乗車率が107%に達したとする鉄道省が公表した統計について、「水増しされており、客観的でない」と批判する専門家の見方を伝えた。
 鉄道省は1日、同線の開業1か月の実績を公表し、乗客は延べ526万人、平均乗車率は107%に上ったとした。しかし、乗客の間では「空席が目立つ」「ガラガラだった」と疑問が相次いでいた。
 鉄道省は、平均乗車率とは列車の定員に対する切符購入者数の比率であるとして、「乗車率100%は満席を意味するものではない」と釈明している。同省の計算法は、途中駅で乗り込む乗客も単純に加算していくため、結果的に乗車率は上昇する仕組みとなっている。

◎北京-上海間、航空運賃上昇(2011年8月3日、読売新聞)
 中国の北京―上海間の航空運賃が上昇している。
 浙江省温州での事故などで高速鉄道への不安が高まっていることが背景にある。北京―上海間はエコノミー正規料金が片道1130元(約1万3600円)だが、各社は割引料金を提供。北京の代理店などによると、7月上旬は6割引きのチケットが多かったが、8月上旬は3割程度にとどまっている。

◎新疆の市民襲撃容疑者射殺、ウイグル族の28歳と34歳(2011年8月2日、朝日新聞)
 中国新疆ウイグル自治区のカシュガルで起きた市民襲撃事件で、警察当局は1日、逃亡中の容疑者2人をカシュガル郊外で射殺した。国営の新華社通信が2日、伝えた。
 射殺されたのは28歳と34歳のウイグル族で、先月31日にレストランや路上の市民を襲撃し、6人が死亡、15人がけがをする事件に関与した疑いがもたれていた。地元当局はテロ事件と断定し、逮捕につながる情報に10万元(約120万円)の懸賞金をかけていた。

◎中国高速鉄道ダイヤ大混乱、運休や遅れ相次ぐ(2011年8月2日、読売新聞)
 高速鉄道事故(7月23日)のあった中国浙江省温州を通る区間でダイヤが大混乱しており、1日午後から2日午前にかけて、高速鉄道40本以上に運休や遅延が生じた。
 遅延が始まったのは1日午後1時半過ぎ。高速鉄道の温州南駅を通過する上下線十数本が最大3~4時間遅れた。ダイヤの乱れは2日に入って拡大し、2日正午までに14本の運休が決まった。午前中だけで遅延は17本となり、午後以降も10本以上が遅れる見通しだ。
 乗客によると、上海―福建省アモイを結ぶ列車は1日午後、線路上で2時間以上も停止。乗務員に理由を尋ねると、「前方の信号が出ていない」と答えたという。ダイヤ上では通過するはずの温州南駅に臨時停車する列車もあった。

◎当局に「くそったれ」、中国紙(2011年8月2日、産経新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、広東省の有力紙、南方都市報は7月31日付の紙面で当局を「くそったれ」とののしる記事を掲載した。当局が事故をめぐって報道規制を強める中での同紙の記事に、インターネット上では称賛の声が相次いでいる。
 記事は「このような悲惨な事故と、鉄道省のひどい処理に対しては、次の言葉しか思い付かない-『くそったれ』」と罵倒。続いてネットユーザーら6人の「人命をないがしろにする態度は許せない」などの声を紹介した。
 当局は29日夜、中国各メディアに「プラス面や公式発表を伝えること以外の報道は認められない」と通知。多くの新聞が記事をボツにした。あえてあからさまな当局批判に踏み切った同紙には、ネット上に「素晴らしい」「中国の希望だ」などの声が寄せられている。

◎中国鉄道省、高速鉄道線の平均乗車率過大発表?(2011年8月2日、読売新聞)
 中国の北京―上海間の航空運賃が上昇している。
  浙江省温州での事故や北京-上海線でのトラブルなど高速鉄道の安全性への不安が高まっていることが背景にある。
 北京―上海間はエコノミー正規料金が片道1130元(約1万3600円)だが、航空各社は割引料金を提供している。北京の代理店などによると、高速鉄道が開通直後の7月上旬は6割引きのチケットが多かったが、8月上旬は3割程度。中国メディアによると、航空業界は高速鉄道開業で搭乗率が15%程度下がると予想したが、実際は4%程度にとどまっている。
 鉄道省が1日発表した北京―上海間の高速鉄道線の平均乗車率(開業1か月)は107%。ただ、2日午後の予約状況を同省ホームページで見ると、2等車の中に7割の席が余っている便もあり、発表とのずれを指摘する報道もある。

◎中国新疆のテロ、逃走した容疑者2人を射殺(2011年8月2日、読売新聞)
 新華社通信によると、中国新疆ウイグル自治区カシュガルで7月31日に起きたテロ事件で、地元公安当局は1日、現場から逃走し指名手配されていたウイグル族の容疑者2人を射殺した。
 テロ事件では警官や民間人ら6人が死亡し、現場で5人の容疑者が射殺されている。

◎中国鉄道省、負債25兆円規模に、高速鉄道の投資膨らむ(2011年8月2日、朝日新聞)
 中国鉄道省が抱える負債が6月末時点で2兆907億元(約25兆円)に上り、総資産に占める比率は58.6%に達した。負債は3カ月前と比べて1071億元増え、初めて2兆元を突破。来年には対総資産比が7割を超えるとの試算もあり、財務体質の悪化を懸念する声が強まっている。同省が1日、公表した。
 高速鉄道の建設が加速した2005年以降、鉄道省の投資は急膨張。昨年には8426億元(約10兆円)となり、5年前の6倍になった。財政資金だけでなく、利払いが必要な銀行からの借り入れや債券の発行による資金の調達が増えており、将来的に経営圧迫につながりかねない要素もある。

◎新疆の市民襲撃容疑者射殺、ウイグル族の28歳と34歳(2011年8月2日、朝日新聞)
 中国新疆ウイグル自治区のカシュガルで起きた市民襲撃事件で、警察当局は1日、逃亡中の容疑者2人をカシュガル郊外で射殺した。国営の新華社通信が2日、伝えた。
 射殺されたのは28歳と34歳のウイグル族で、先月31日にレストランや路上の市民を襲撃し、6人が死亡、15人がけがをする事件に関与した疑いがもたれていた。地元当局はテロ事件と断定し、逮捕につながる情報に10万元(約120万円)の懸賞金をかけていた。

◎中国の事故路線、ダイヤ大混乱、「信号つかず」現地報道(2011年8月2日、朝日新聞)
 中国浙江省温州の高速鉄道脱線事故があった同じ路線で1日、多数の列車が停止し、ダイヤが大幅に乱れていたことが2日わかった。中国メディアは、線路上の信号がともらなかったと報じており、事故原因だった信号のトラブルが解決していない可能性もある。
 温州都市報によると、脱線事故の現場から数キロの温州南駅で1日、列車の到着や出発時刻が大幅に遅れているという案内が出た。ダイヤが乱れたのは寧波―温州間の路線で、一部の列車は事故現場がある永嘉―温州南間で停止した。発生は、午後から夜にかけてとみられ、乗客の話として1~2時間、停止したと伝えた。
 上海の新聞晨報など複数のメディアは、事故現場に近い永嘉駅に約2時間停止した列車の乗客の話として、「車掌から『前方の信号がともっていない』と説明があった」と伝えた。別の列車の乗客は「車内では何の説明もなく、謝罪もなかった」などと憤っている人もいたという。同日午後から夜にかけ、少なくとも十数本の高速鉄道に大幅な遅れが出たとみられる。

◎新疆の殺傷事件、ウイグル族分離独立組織関与か(2011年8月1日、読売新聞)
 新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区カシュガルで7月31日に起きた爆発事件で、地元当局者は1日、「犯行グループの指導者たちは新疆に入る前にパキスタンにある『東トルキスタン・イスラム運動』(ETIM)のキャンプで爆弾や小火器の製造方法を学んでいた」と述べ、中国がテロ組織と認定するウイグル族の分離独立組織ETIMが関与するテロ事件だったとの見解を表明した。
 また、国際問題専門紙「環球時報」は1日、同自治区当局者の話として、7月30日にカシュガルで起きた殺傷事件もテロだったと報じた。2件のテロによる死者は1日までに14人に達し、42人が負傷している。

◎中国当局、テロ事件と断定、新疆襲撃の死者14人に(2011年8月1日、朝日新聞)
 中国新疆ウイグル自治区西部カシュガルで起きた市民への連続襲撃事件で、カシュガル市政府は1日、「宗教過激派グループが背後にある」と公表し、テロ事件と断定した。2度の襲撃で、死者は14人に増加、けが人は42人となった。
 国営の新華社通信によると、7月31日夕の事件では、何者かがレストランに押し入り、店主と店員の計2人を殺害して放火。その後、店の外で市民を刃物で切りつけ4人が死亡、警官3人を含む15人がけがをした。警官がその場で容疑者5人を射殺したが、一部は逃走した。
 同市政府は1日に調査結果を公表し、「(背後にある)グループのリーダーは、今回の事件前にパキスタンにある(ウイグル族の独立を主張する)『東トルキスタン・イスラム運動』のキャンプで爆発物や小火器を作る技術を学んだ」と主張。しかし、その根拠は示さなかった。警察は逃げた容疑者の実名を公表し、逮捕につながる情報に10万元(約120万円)の懸賞金を出すと発表した。

◎事故責任者に厳罰を、中国紙社説(2011年8月1日、産経新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故について中国当局が国内メディアに対する報道規制を強化する中、中国紙、中華工商時報は1日「事故責任者を厳罰に処すべきだ」とする社説を掲載した。
 社説は、国内の事故調査では「事故責任者と監督者、調査関係者が(互いの)利益を保護する鎖でつながれている」とし、責任逃れのための虚偽報告が行われているなどと問題点を指摘。
 安全問題は、社会の安定や経済発展を制約する「重要な要素」となっているとし、責任者を法に基づいて厳罰に処すとともに、かばったり、不正な調査を行ったりした関係者も厳しく処分すべきだと強調した。

◎中国高速鉄道事故、広がる波紋(2011年8月1日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で起きた高速鉄道事故は、中国の技術に対する国際的な信頼を失墜させた。海外のメディアは、急成長を優先させた中国政府の姿勢と鉄道当局の官僚主義に鋭い批判のメスを入れている。韓国は今回の事故を教訓に自国の高速鉄道の安全性を問う一方、日本の新幹線技術を導入する台湾は「起こりえない事故」と自信をみせた。

・中央日報(韓国):自国での事故と受け止めよ
 中国高速鉄道事故をきっかけに韓国では、事故やトラブルが相次いでいる韓国高速鉄道(KTX)の安全性を改めて問う論評が目立っており、有力紙の中央日報は7月26日付の社説で「頻発するKTXの事故は地震にたとえれば初期微動」と指摘。国が監査に着手した韓国鉄道公社に対し、「(中国の事故を)自国でのことのように受け止め、警戒心と覚悟をもつ必要がある」と警鐘を鳴らした。
 この社説では一方で「高速列車は国の顔」であるとも言及。韓国が目指す海外市場への売り込みについて「『技術』以上に『安心』を輸出する姿勢でなければ通用しない」と戒めた。
 KTXの安全性については25日付の朝鮮日報も社説で触れ、中国は高速鉄道を「世界最高水準の技術力」と大々的に宣伝してきたにもかかわらず、今回の事故が起きる前から小さな故障が相次いでいたと指摘。「(KTXの)小さな事故の繰り返しを大事故の前兆と受け止めるべきだ」と主張している。
 韓国主要紙は一方で、事故の背景分析や、原因究明よりも早期の復旧や事態収拾を優先させた中国鉄道当局の姿勢に対する批判にも紙面を割いている。
 25日付の中央日報は事故の責任について、「(中国当局の)安全不感症と過敏な実績主義に問題がある」と指摘。事故の背景には、鉄道当局が「政治行事の日程に合わせ、高速鉄道の開通時期を早めた」こともあるという見方を提示した。
 事故現場では、鉄道当局が厳密な生存者確認作業をせずに救助活動の打ち切りを宣言し、その後で女児が助け出されたが、26日付の朝鮮日報は、この救出劇に触れ、「(事態の)性急な幕引きを図り、ひとつの貴い命を失うところだった」と当局の事故処理を批判した。

・旺報(台湾):全力疾走から立ち止まれ
 中国との関係改善を推進する馬英九政権下の台湾では、有力紙、中国時報の系列紙で中国情報に手厚い旺報が7月29日、「中国の高速発展下の苦難」と題する社説で、世界第2位の経済大国となった急成長に伴い生じたゆがみを通じて、事故の背景を分析した。
 社説はまず、中国の土壌は「計画経済時代の官僚体制」のままで、「権力が集中し、規則を軽視し、外部から監査する機能がない」と指摘。十分な監視機能を果たしてこなかった報道機関の責任にも触れ、「中国メディアは権力の宣伝機関で、IT(情報技術)が発展する中、改革を迫られている」と苦言を呈した。
 そのうえで、インターネット上に流れる市民の声を引用しながら「全力疾走から立ち止まれ。人民も、精神も、道徳も、良知も進歩の速度についていけない」と警鐘を鳴らした。同日付の記事は、現場入りして遺族らを見舞った温家宝首相の姿を扱い、追突した「和諧号」をもじって、国民と「和諧(和解)できたのか」と皮肉った。
 一方、台湾は日本の新幹線車両技術を導入して2007年に開業した、台北-左営(高雄)を結ぶ高速鉄道が市民の足として定着していることもあり、技術面にも関心を寄せている。
 25日付の自由時報は、中国が強調する「独自技術」を「日本の新幹線の盗作」とする論争を紹介しつつ、日本の新幹線は開業以来、重大な事故が起きていない点を強調した。
 同日付の聯合報も、台湾の自動列車制御装置の仕組みを説明しながら、「車両は10キロ以内では接近できず、(中国のような事故は)台湾では起こりえない」と指摘し、「運転士は最低でも8カ月の訓練と厳しい心身のチェックを受ける」と台湾新幹線の安全性を強調した。

・ウォールストリート・ジャーナル(米国):安全基準順守に疑義
 中国の高速鉄道事故について、米紙ウォールストリート・ジャーナルは7月27日付の社説で、「中国政府は輝かしいプロジェクトの栄光を追い求めつつも、基本的な安全基準を(鉄道関連会社に)順守させる能力があるのかどうかについて、重大な疑義を生じさせている」と論評した。
 社説は、今回の事故が車両の不備や線路の不具合によって起きたのではなく、「1世紀も前に最初に確立された信号システム」の欠陥によって引き起こされたことに驚きを表明。
 この信号システムの準備が完全に整う前に、中国は運行開始を急いだ-という報道が複数あることを紹介し、「多くの中国人はなぜ、この大惨事が2年前に起きなかったのかと、いぶかっている」と皮肉った。
 社説はまた、中国政府が一時、設備故障を「外国の技術」のせいにしたと指摘。その上で「問題は、複雑なシステムの開発や管理ができない中国の制度そのものにある」と批判した。
 高速鉄道はそもそも、地方の鉄道運営に関して責任を持つ「多様な指令レベルの個々人に依存している」とし、中国に好まれるトップダウンの意思決定は、情報が組織全体に水平に行き渡ることを困難にし、部下が率先して問題の改善に動くことを難しくしていると分析している。
 さらに、政府が鉄道当局幹部3人を更迭したことを「トップダウンの典型的な問題対処法だ」と指摘し、「問題の根は組織の下部にこそあり、根は広がっている」と警告した。
 社説は「中国政府が、優れた技術力の証しとして過大に宣伝していた鉄道システムに対する最初の大打撃にどう対処するのか、今後の数週間、数カ月間の動向は注目に値する」と締めくくった。

◎「以前から事故車両埋めてきた」駅責任者が匿名証言(2011年8月1日、産経新聞)
 1日付の中国紙、経済観察報は、浙江省温州市の高速鉄道事故を受けた主要駅責任者の匿名の証言を掲載、鉄道当局が事故直後に車両を地中に埋め「証拠隠滅」を図ったとの見方に関し、同責任者は「以前からそうしてきた。今回はメディアの関心が高かっただけ」と指摘した。
 同責任者は「鉄道当局は問題が起きるとまず責任逃れを考える」と批判。高速鉄道の信号系統などの緊急対応能力が劣っていることは「組織内部では秘密ではない」とし、「当直は運転士と無線で連絡が取れたはずだ」と人為ミスの可能性に触れた。
 同紙は事故調査の不徹底などを批判する8ページの特集記事を掲載した。

◎「速さは魅力」満席状態も株急落、事業停滞は確実(2011年8月1日、産経新聞)
 中国が「技術水準は世界最高」と誇示した北京-上海の高速鉄道の開業から1カ月が経過した。浙江省の高速鉄道事故を受け、乗車率は一時悪化が伝えられたが、週末の北京南駅は列車を待つ大勢の乗客でごった返した。だが中国高速鉄道史上、最悪の事故に市場の視線は厳しく、「発展の象徴」とされてきた高速鉄道事業は危機を迎えている。

・「今が一番安全」
 「高速鉄道はスピードが大事だ」
 江蘇省蘇州に向かっていた会社員、陳星宇さん(25)に「鉄道は何が最重要か」と尋ねると、こう即答した。別の男性(41)も「やはり速度。経済を発展させ、市民の利便性を高めるべきだ」と力説した。
 事故から1週間たった7月30日。午後3時に北京南駅を出発した上海虹橋駅行きの列車はほぼ満席。乗客は乗るや否や記念撮影したり、トランプに興じたりするなど緊張感はない。
 ただ、開業直後は快適さから人気があった最後尾の1等席は空席だらけ。「切符が高い上に危ない」と、追突を警戒して2等席にしたという人もいたが、乗客からは「事故があった後だから、今が一番安全」と楽観的な声が相次いだ。

・変わらぬ隠蔽体質
 一方で、市場では急速に「鉄道離れ」が進む。事故後初の7月25日の取引では高速鉄道関連株33銘柄が投げ売りされ、1日で計300億元(約3600億円)の時価総額が吹き飛んだ。市場関係者は「ブラックマンデー」と呼び、その後も株安が続いた。
 中国が「技術水準は世界最高」と誇示した北京-上海の高速鉄道の開業から1カ月が経過した。浙江省の高速鉄道事故を受け、乗車率は一時悪化が伝えられたが、週末の北京南駅は列車を待つ大勢の乗客でごった返した。だが中国高速鉄道史上、最悪の事故に市場の視線は厳しく、「発展の象徴」とされてきた高速鉄道事業は危機を迎えている。

・「今が一番安全」
 「高速鉄道はスピードが大事だ」
 江蘇省蘇州に向かっていた会社員、陳星宇さん(25)に「鉄道は何が最重要か」と尋ねると、こう即答した。別の男性(41)も「やはり速度。経済を発展させ、市民の利便性を高めるべきだ」と力説した。
 事故から1週間たった7月30日。午後3時に北京南駅を出発した上海虹橋駅行きの列車はほぼ満席。乗客は乗るや否や記念撮影したり、トランプに興じたりするなど緊張感はない。
 ただ、開業直後は快適さから人気があった最後尾の1等席は空席だらけ。「切符が高い上に危ない」と、追突を警戒して2等席にしたという人もいたが、乗客からは「事故があった後だから、今が一番安全」と楽観的な声が相次いだ。

・変わらぬ隠蔽体質
 一方で、市場では急速に「鉄道離れ」が進む。事故後初の7月25日の取引では高速鉄道関連株33銘柄が投げ売りされ、1日で計300億元(約3600億円)の時価総額が吹き飛んだ。市場関係者は「ブラックマンデー」と呼び、その後も株安が続いた。

◎当局、硬軟両様で世論操作に躍起(2011年8月1日、産経新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、鉄道省を中心とした政府の対応に国民の厳しい批判が広がる中、中国当局が事態の沈静化に向け、世論の流れを変えようと躍起になっている。国営通信の新華社や中央テレビが当局の意向を受けて積極的に事故原因に関する報道を開始する一方、報道規制も強化され、硬軟両様の手段で世論操作が本格化している。
 中国メディア関係者によると、当局のこうした動きは温家宝首相が事故から6日目の7月28日に初めて事故現場を視察し、調査の全過程を公開すると約束したことがきっかけ。「国民の間で『庶民派』として人気のある温首相が頭を下げ、責任ある対応を強調することで、批判沈静化の方向に一気に流れを変えようとしている」(同関係者)というわけだ。

◎中国事故4遺族が葬儀「賠償よりも真相究明を」(2011年8月1日、読売新聞)
 中国浙江省温州で起きた高速鉄道事故の4遺族の葬儀が1日午前、温州の葬儀場で行われた。
 妊娠中の妻(28)を含む親族4人を失い、「賠償よりも事故の真相究明を」と求めてきた楊峰さん一家も葬儀を行い、葬儀場は悲痛な泣き声に包まれた。葬儀には鉄道省関係者も3人参列した。
 楊さんは事故で妻と妻の姉(30)、姉の息子(4)、妻の母(52)を亡くし、事故責任追及の象徴的存在。鉄道省側との賠償交渉は合意に達していないが、「死んだ家族に安息を与えたい」と葬儀に踏み切った。犠牲者40人中、7月31日までに9人の葬儀が行われていた。

◎刃物で市民を襲撃、2日間で10人死亡、中国・新疆(2011年7月31日、朝日新聞)
 中国新疆ウイグル自治区西部のカシュガルで7月30日と31日、相次いで何者かが市民に刃物で襲いかかる事件があり、これまでに計10人が殺害され、30人以上がけがをした。国営新華社通信などが伝えた。ウイグル族が漢族を襲ったとの情報もある。多数の武装警官が出動して犯人を射殺するなど、厳戒態勢が敷かれているという。
 30日午後11時45分ごろ、カシュガルの飲食店街近くで2人組が信号待ちのトラックを襲撃し、運転手を殺害。トラックを奪って人ごみに突進した後、車を降りて刃物で路上の6人を殺害し、28人にけがを負わせた。犯人の1人は現場で民衆ともみ合いになった際に死亡、残る1人は捕らえられた。
 香港の人権団体、中国人権民主化運動情報センターは、被害者の関係者の話として、死亡したのはいずれも漢族と伝えた。犯人はウイグル族だったとの目撃者情報がある。カシュガルは住民の約8割がウイグル族だが、現場周辺は新疆以外から来た漢族の出稼ぎ労働者が多い場所とされる。
 同センターは、7月18日に同自治区ホータンで起きた警察署襲撃事件で射殺された犯人の多くが、カシュガル出身のウイグル族だったことから、報復の可能性もあると伝えた。
 新華社によると31日午後4時半ごろには、カシュガル中心部の歩行者天国で刃物を持った12人が市民を襲撃。警察官1人を含む3人が死亡、けが人も10人近くにのぼるとみられる。警察は犯人4人を射殺し、4人を拘束。残る4人は逃走したという。

◎中国新疆ウイグルで連続テロか、10人死亡(2011年7月31日、読売新聞)
 新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区カシュガルで7月30日深夜、2人組がトラックを乗っ取り、運転手を刃物で殺害後、運転して通行人に突っ込んだ。
 さらに刃物を振り回して通行人に切りつけ、運転手を含めて7人が死亡、28人が負傷した。2人組のうち1人は取り押さえられたが、もう1人は死亡した。
 また、31日夕には同市内で爆発があり、警官を含む3人が死亡、10人以上が負傷した。刃物で襲われた死傷者がいるとの目撃証言もある。容疑者4人が射殺され、4人が拘束、4人が逃走中という。公安当局が背景を調べている。
 同自治区では7月18日、ホータンの警察派出所が襲撃され、人質ら計4人が死亡、容疑者14人が射殺される事件が起きた。中国当局は「組織的なテロ」と批判していた。香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターは、乗っ取りの2人組はウイグル族で、ホータン事件の報復の可能性があるとしている。

◎事故車両埋めた事実ない、中国次官「証拠隠滅」否定(2011年7月31日、産経新聞)
 中国中央テレビは31日、高速鉄道事故に関する鉄道省の陸東福次官とのインタビューを放映し、陸次官は鉄道当局が事故車両を現場の地中に埋め「証拠隠滅」を図ったとの指摘は「事実に合わない」と否定した。
 鉄道省の王勇平報道官は事故翌日の24日の記者会見で救出作業円滑化に向け、沼地の足場を固めるために「(高架から地上に転落した)先頭車両を埋めた」と言明していた。同省が前言を翻したことで、世論の批判が一段と高まるのは必至だ。
 陸次官は、追突で飛び散った先頭車両の破片などを集め、救出作業で土を掘り出したためにできた穴に一時的に入れたことはあるが、車体を埋めたことはないと釈明した。

◎高速鉄道計画に急ブレーキ!?(2011年7月31日、産経新聞)
 浙江(せっこう)省温州(おんしゅう)市で200人以上が死傷した23日夜の追突事故が、国家の威信をかけて進めてきた中国の高速鉄道プロジェクトに急ブレーキをかける可能性が指摘され始めた。巨額な公共投資で中国の経済成長の屋台骨の一つにもなっているが、「過大投資で採算性を無視している」(市場関係者)との懸念から、今回の重大な事故をきっかけに建設計画の見直しを求める声や、監督官庁である鉄道省の抜本改革を求める声が強まっている。

・過大投資で採算性無視
 中国紙、新京報が中国証券大手、広発証券の集計として伝えたところによると、追突事故が起きた杭州(こうしゅう)-温州線のほか6月30日に開業した北京-上海線など、これまでに13本の高速鉄道の専用軌道線が開業、総額5898億元(約7兆1400億円)が公共事業として投じられている。
 さらに北京-武漢線やハルビン-大連線など26本の高速鉄道専用軌道線の建設が進み、総投資額は8491億元(約10兆2700億円)に上る見込み。旅客需要や採算性を十分に考慮しないまま建設を優先させているが、開業後に収益が伸びなければ、膨大な借金だけが残り、債務不履行に陥る懸念がある。この上さらに23路線が計画されている。
 中国は今年末までに総延長1万3000キロの高速鉄道網を開通させる計画で、さらに2015年までに毎年4000キロ前後を延伸していく予定だ。その柱は北京-上海線、北京-香港線、北京-ハルビン線、上海-香港線など「四縦四横」と呼ばれる南北縦断4線、東西横断4線だ。最高営業時速300キロの専用軌道線(中国版新幹線)の車両は北京-上海線のほか武漢-広州線、鄭州(ていしゅう)-西安線、北京-天津線、南京-杭州線でも運行されている。

・「独立王国」の再編構想
 そうした野放図ともいえる急ピッチな路線拡大で、鉄道事業の財務状況悪化への懸念は高まるばかりだ。10年の鉄道省の負債総額は1兆8918億元と、08年の8684億元から2倍超に膨らんだ。金利負担だけでも膨大。収益もほとんどなく、中国政府が08年に金融危機を受けて打ち出した4兆元(約48兆円)の緊急景気対策に“便乗”して、高速鉄道の建設を急いだツケ。しかし、その返済能力は疑わしい。
 これまでも空席が目立っていたが、今回の事故発生で利用客のさらなる減少は避けられない情勢だ。当局が事故の処理と運行再開を急いだのも、安全性への不信感とイメージ低下による利用客離れを恐れてのこと。
 一方で今回の事故報道で当局批判の急先鋒となっている香港紙などは、事故を機に中国の鉄道運営体制を見直すべきだとの論調を強めている。鉄道省はこれまで計画経済時代から体制を維持し、「独立王国」と呼ばれてきたが、交通運輸省との統合や現業部門の分離などの再編構想が浮上する可能性もある。

・改革なくば政府が危機に
 香港紙、明報は、高速鉄道網の拡大が速過ぎたため、鉄道省による安全管理が追い付かない上、巨額の負債を抱え、中国政府にとっては「鉄道省の大幅組織改革と全面整理が唯一の選択肢」と厳しく指摘している。
 香港紙、東方日報も「劉志軍(りゅうしぐん)前鉄道相が、今年2月に汚職問題で失脚した後も独立王国は強固だが、胡錦濤(こきんとう)指導部は今回の事故を理由に多くの鉄道省幹部を更迭するだろう」と伝えた。また、中国人民大学の張鳴教授(政治学)は香港のテレビとのインタビューで「中央(中国政府)が鉄道省を全力で改革する決意をしなければ、政府全体が信用を失う」と警告した。
 香港紙以外にも広東省の南方都市報など一部の本土メディアも、鉄道、交通運輸の両省を統合したり、鉄道省を業界の監督に専念する「鉄道監督管理委員会」に改組したりする可能性に言及。汚職にまみれた巨額な高速鉄道網の建設計画の抜本的な見直しと、その総本山で、利権の渦ともされる鉄道省の組織に大なたを振るう改革を求める声が日増しに強くなっている。

◎遺族「やむなく」署名、中国事故賠償の内幕(2011年7月31日、読売新聞)
 中国浙江省温州の高速鉄道事故で、鉄道省側が犠牲者の遺族に突きつけた賠償金交渉の妥結期限を迎えた31日、遺族の一人が「やむなく」署名した事情を明かした。
 「朝には交渉団が引き揚げて交渉できなくなると迫られ、真夜中に署名した」。事故でめい(32)を亡くした福建省福州の40歳代後半の女性は31日、憤りを隠さなかった。
 賠償交渉は29日朝から、滞在先の温州のホテルで断続的に行われた。交渉相手は鉄道省や地元福州から来た当局者ら計約10人。犠牲者一律91万5000元(約1100万円)の賠償額の算出方法にも納得していないという。
 しかし「今署名しなければ交渉相手がいなくなる」と繰り返し説得され、30日午前1時ごろ、文書に「責任追及の権利は放棄しない」との一文を書き加えた上で署名したという。

◎中国事故「賠償交渉31日まで」妥結迫る鉄道省(2011年7月31日、読売新聞)
 中国高速鉄道事故で、真相究明を求めて当地で抗議を行っている遺族の一部に対し、鉄道省の担当者が31日までに賠償交渉で妥結するよう迫っていることが30日、分かった。
 関係者が明らかにした。早期収拾を目指す当局は遺族を常時監視し、合意書に署名するよう圧力を強めている。
 賠償金の基準額は当初額(50万元)のほぼ倍となる91万5000元(約1100万円)に引き上げられた。新華社通信は30日、事故の死者40人のうち、15人の遺族が賠償金で合意したと報じたが、遺族の中には事故処理に納得せず、提訴を準備している者もいる。関係者によると、鉄道省の担当者は「31日までに合意書に署名してほしい。さもなければ、賠償交渉チームは温州を引き払う」と遺族に通告した。

◎中国事故で追悼集会「ジャスミン革命」に倣って(2011年7月31日、読売新聞)
 香港商業ラジオは30日、温州で起きた高速鉄道事故の犠牲者追悼集会が同日夕、上海の鉄道駅前の広場で開かれたと伝えた。中東などで独裁政権を倒した民衆蜂起「ジャスミン革命」に倣って、約40人がジャスミンの花を手に参加したという。
 北京でも、学生の追悼活動があったが、参加人数は不明。
 事故の真相究明を求めるデモや追悼集会を30日に中国各地で行うことが、インターネットで呼びかけられていた。

◎中国高速鉄道、ほぼ満席、絶えぬ「速さ」求める人たち(2011年7月31日、朝日新聞)
 中国・温州の高速鉄道事故から1週間が経った30日、事故現場を挟む永嘉―温州南間(約20キロ)の高速鉄道の「和諧号」に記者が乗った。原因究明を待たず運行再開したことに批判が出たが、この日の客席はほぼ満席。安全優先を訴える切実な声がある一方で、「高速」を求める人々は絶えない。
 追突したD301号が事故の直前、激しい落雷のために緊急停車した温州郊外の永嘉駅。駅前でアイスキャンディーを売る男性は「事故が起きてから、この駅で下車する人は半減したよ」とため息をついた。
 待合室の乗客は、スーツケースを抱えたビジネスマンから、サンダル姿の軽装のお年寄りまで様々。上海まで1等席が219元(1元は約12円)で、正規運賃だと千元を超える飛行機より大幅に安く、長距離バスと大差ない。

◎10家族が賠償合意、なお上積み求める遺族も、中国事故(2011年7月31日、朝日新聞)
 中国国営新華社通信によると、事故で死亡した犠牲者40人の遺族31家族のうち、10家族が30日までに鉄道省との賠償協議で合意した。ただ、さらなる上積みを求める遺族もおり、政府がもくろむ事件の早い幕引きは容易ではなさそうだ。
 同省は29日、それまで犠牲者1人当たり50万元(約595万円)だった提示額を倍近い91万5千元(1090万円)まで一気に引き上げ、賠償問題の早期解決に乗り出していた。28日には温家宝(ウェン・チアパオ)首相が現地入りして真相究明と誠実な対応を約束している。だが、遺族によると、少なくとも10家族近くが政府の新しい提案を拒否した。
 30日には列車運行センターのデータ収集装置のプログラムソフトに重大な欠陥があったことが判明。温首相の現地入り後、情報の開示が徐々に進み始めたが、逆にこれまでの同省の隠蔽体質を浮き彫りにしている面もある。

◎中国鉄道事故、香港で究明求め200人デモ(2011年7月31日、読売新聞)
 中国浙江省温州で起きた高速鉄道事故で、香港では31日、事故の真相究明を求めるデモが行われた。
 デモは民主派団体が主催し、約200人が参加。香港島中心部の広場で犠牲者に黙とうをささげた後、「当局は真相を隠すな」などと叫びながら繁華街を行進した。
 参加した男性技師(30)は「当局が過ちをすべて認めた上で立て直しを図らない限り、高速鉄道への住民の不信感はなくならない」と話した。

◎中国事故「賠償交渉31日まで」妥結迫る鉄道省(2011年7月30日、読売新聞)
 中国高速鉄道事故で、真相究明を求めて当地で抗議を行っている遺族の一部に対し、鉄道省の担当者が31日までに賠償交渉で妥結するよう迫っていることが30日、分かった。
 関係者が明らかにした。早期収拾を目指す当局は遺族を常時監視し、合意書に署名するよう圧力を強めている。
 賠償金の基準額は当初額(50万元)のほぼ倍となる91万5000元(約1100万円)に引き上げられた。新華社通信は30日、事故の死者40人のうち、15人の遺族が賠償金で合意したと報じたが、遺族の中には事故処理に納得せず、提訴を準備している者もいる。関係者によると、鉄道省の担当者は「31日までに合意書に署名してほしい。さもなければ、賠償交渉チームは温州を引き払う」と遺族に通告した。

◎中国高速鉄道事故:賠償増額、一部の遺族が反発(2011年7月30日、毎日新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故で、中国当局は遺族に対する賠償金の基準額を91万5000元(約1100万円)へと大幅に増額した。背景には、真相究明や責任追及を強く求める遺族に配慮する姿勢を示し、事態の早期沈静化を図ろうとする思惑があるとみられる。遺族の抗議行動は29日はほとんどみられなかったが、一部の遺族は「お金の問題ではない」と反発を強めており事態が収束するかは不透明だ。
 抗議行動に参加していた複数の遺族によると、鉄道省の担当者が28日夜から29日にかけて遺族と個別に交渉し、大幅増額を提示した。ある遺族は「28日に温家宝首相が事故現場を訪れ、遺族に誠意を示すと約束してから担当者の態度が明らかに変わった」と話す。だが、別の遺族は「温首相が強調したのは真相究明と責任者の処罰だった。鉄道省がお金で何でも解決できると考えているのなら、私たちの思いを理解していない」と反発した。
 一方で、事故が起きた最高速度250キロの「動車」は、最高速度300キロの「中国版新幹線」と比べて運賃は割安なものの、貧富の格差が拡大する中国の低所得者にとっては「高根の花」だ。「乗るものが高速鉄道だったら賠償金は高くなるのか」と「特別扱い」を疑問視する声もある。
 事故現場では29日、高架下に花束を供える遺族の姿が見られた。花が供えられているコンクリートの柱には「親族の思いはボロボロになった車体に残ったままだ。私の涙は激しい雨のように止まらない。真夏でも私の心を温めることはできない」とペンで書かれていた。遺族が心情をつづったとみられる。

◎鉄道事故で報道規制強化、政権批判への転化警戒(2011年7月30日、読売新聞)
 温州で高速鉄道事故が発生して1週間となる30日、中国当局は報道規制の強化に乗り出した。
 メディアの独自報道が鉄道省批判にとどまらず、政権批判まで拡大することを警戒した措置だが、インターネットでの反発は収まっていない。
 関係者によると、中国紙・新京報が30日付の紙面を大幅に差し替え、新華社通信の記事だけを掲載することになったほか、事故を詳報してきた中国青年報も事故絡みの記事を一切掲載しなかった。他の有力全国紙も新華社の記事だけを載せ、事故の情報は突如途絶えた。中国中央テレビも30日、事故をほとんど伝えず、東京の地下鉄駅で起きたエレベーター事故などを報じている。

◎中国事故、「追突された車両は徐行」と鉄道省(2011年7月30日、読売新聞)
 30日の新華社電によると、温州で起きた高速鉄道事故で、中国鉄道省の当局者は、追突は先行する列車が徐行中に起きたと明らかにした。
 追突された列車は落雷後に緊急停車したが、その後、徐行運転を開始したという。しかし、後ろの信号機が設計上の欠陥から赤信号とすべきところを青信号と表示したため、進入してきた後続列車に追突されたという。
 当局はこれまで、先行列車が停車中に追突されたと説明していた。

◎中国鉄道省、事故数日前に「衝突や脱線を心配」(2011年7月30日、読売新聞)
 温州で起きた高速鉄道事故で、中国鉄道省の王勇平報道官が事故発生の数日前に高速鉄道の衝突や脱線事故の発生を「最も心配している」と語っていたことが30日、わかった。
 王報道官の友人で教育省の王旭明・元報道官がブログの中で明らかにしたもので、ネットでは「乗客をバカにしている」などと批判が出ている。
 元報道官は王報道官と米国で研修を共にした仲。事故の数日前に王報道官と会った際、「もし衝突や脱線事故が起きたらどう対応すべきなのか」と尋ねたところ、王報道官は自身の不安を打ち明けたという。元報道官は「不幸なことに、我々の共通の懸念は現実となってしまった」と記している。
 王報道官の24日深夜の記者会見をめぐっては、ネットで「態度が傲慢だ」との批判が出ており、元報道官もブログの中で王報道官の態度をいさめている。

◎原因はプログラムソフト「重大欠陥」、青信号誤発信(2011年7月30日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で23日に起きた高速鉄道追突事故について、中国鉄道省の責任者は国営新華社通信の取材に対し「列車運行センターのデータ収集装置のプログラムソフトに設計上の重大な欠陥があり、青信号を誤発信した結果、後続列車の自動停止装置が作動しなかった」と事故原因を説明した。メディアや遺族から最も多くの疑問が寄せられている列車の自動停止装置が働かなかった原因について、鉄道省当局者が初めて言及した。新華社通信が30日、伝えた。
 この発言は、鉄道省が事故直後に主張していた「落雷による停電」などとの天災的な要素をほぼ全面的に撤回し、高速鉄道の運営システムの問題による「人災」だったことを認めたことに等しい。鉄道省は事故直後にこうした原因を把握したとみられるが、発表を控えていた。温家宝首相が28日の記者会見で国民に「真相究明」を約束したことを受け、国務院(政府)からの圧力によって発表せざるを得なくなったものとみられる。「中国の高速鉄道の技術は世界でも最先端」とメディアで宣言してきた鉄道省に対し、世論から一層厳しい批判が浴びせられそうだ。
 同責任者はまた、9月末までに全国のすべての鉄道、駅で約2カ月の安全点検キャンペーンを実施することに言及し、今後の鉄道運営で安全性を最優先することを約束したが、事故後に原因を把握しながらも隠蔽し、説明は二転三転した。事故車両の一部を土に埋め込んだ理由などに多くの謎を残したままで、中国国民の信頼を取り戻すことは難しい。

◎「欠陥指摘」の信号設計企業、平壌の地下鉄建設にも関与(2011年7月30日、産経新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故で、鉄道当局が欠陥を指摘した信号設備を設計した中国企業「北京全路通信信号研究設計院」が北朝鮮・平壌の地下鉄や中東、アフリカなどの鉄道建設に関わっていたことが30日、分かった。
 同社は鉄道の信号や通信などのシステムを設計する企業。海外でもシステム設計を担当したとみられ、国際的な波紋が広がりそうだ。
 中国は政府主導で鉄道ビジネスの海外展開を加速。同社のウェブサイトなどによると、平壌のほかイスラム教最大の聖地、サウジアラビア西部メッカで昨年11月に開業した巡礼者用の鉄道「メッカ・メトロ」や、イランの首都テヘランの地下鉄、パキスタン、タンザニアなどの鉄道事業に参加していた。

◎上海鉄道局前は警官出動し厳戒(2011年7月30日、産経新聞)
 中国高速鉄道事故を受けて当局への抗議集会が呼び掛けられた上海市中心部の上海鉄道局前では30日午前、制服と私服を含め50人以上の警官が出動し、警戒に当たった。集会は行われていないが、哀悼のため花束を持って訪れた男性が長時間、鉄道局の正門前にたたずむ姿が見られた。
 北京市内の鉄道省前でも同日午前、約10台の警察車両と多数の警官が出て警戒を続けたが、抗議行動などの動きは見られなかった。
 インターネット上では、事故の犠牲者に哀悼の意を示し、鉄道当局に抗議するため、事故のあった線区を管理している上海鉄道局前で30日朝に集会を開催しようとの呼び掛けが書き込まれていた。

◎言論統制が本格化、中国紙に紙面差し替え命令(2011年7月30日、読売新聞)
 23日に中国浙江省温州で起きた高速鉄道事故で、30日付の一部中国紙が紙面の大幅差し替えを命じられたことがわかった。
 前日の29日は初七日にあたり、大規模な追悼行事が行われたが、共産党中央宣伝部が世論を刺激して政府批判が高まることを警戒し、本格的な言論統制に乗り出したものとみられる。

◎中国鉄道事故、ソフトに重大欠陥、当局者認める(2011年7月30日、読売新聞)
 30日の新華社電によると、中国鉄道省の当局者は浙江省温州の高速鉄道事故について、運行管理センターのデータ収集ソフトに「設計上の重大な欠陥」があったことを認めた。
 追突された先行列車が搭載していた信号受信ソフトにも不備があり、落雷による信号故障が加わって起きた複合的な人災だったことが明らかになり、「鉄道の安全基盤はまだ薄弱だ」と語った。
 同当局者によると、落雷によって温州南駅の信号設備が故障した後、先行列車はソフトの不備から一時停車後、徐行を開始した。このとき運行管理センターではデータ収集ソフトの欠陥でコントロールシステムが機能せず、後続の列車に対し、進行を許す青信号を誤って表示した。

◎中国「プログラムに重大欠陥」、高速鉄道ATP作動せず(2011年7月30日、朝日新聞)
 中国浙江省温州市での高速鉄道の追突脱線事故で、鉄道省の責任者は29日、列車運行センターのデータ収集装置のプログラムソフト設計に重大な欠陥があり、後ろから来た列車に走行可能の信号を伝えたため、その列車の自動停止システムが働かなかったと語った。
 国営新華社通信(電子版)が30日、伝えた。高速鉄道車両に必ず備わる、車間を一定の距離に保つ自動列車保護装置(ATP)の作動状況について、当局が説明したのは初めて。
 前にいた列車については、落雷による温州南駅の信号設備の故障で、受け取るデータが不安定になったため、停止した後、ゆっくりと走っていた、と説明している。一方で、先行すべき列車がダイヤの乱れで後ろを走っていたため、信号の混乱を招いたとして、未熟な管理を認めた。

◎遺族への賠償、倍額を提示、中国鉄道事故、死者40人に(2011年7月30日、朝日新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故で、中国鉄道省は29日、犠牲者の遺族に、これまでに示した数字の倍近い91万5千元(1元は約12円)の賠償額を示した。遺族の不満の大きい賠償問題を早く決着させ、事件の影響の拡大を避ける狙いがあるとみられる。また国営新華社通信は同日、死者は40人になったと伝えた。
 新華社通信は賠償の増額について、現地事故対策本部の話として、「遺族の意見に真剣に耳を傾け、法的な論拠を検討した」結果だと伝えた。
 ある遺族によると、29日午前、上海鉄路局温州管区幹部が遺族の宿泊先を訪れて条件を提示。浙江省の平均年収(2.7万元)の20年分、慰謝料5万元、子の養育費など30万元を足し上げた数字だとし、「すべての遺族に同じ条件を再提示する」との説明があった。

◎原因はプログラムソフト「重大欠陥」、青信号誤発信(2011年7月30日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で23日に起きた高速鉄道追突事故について、中国鉄道省の責任者は国営新華社通信の取材に対し「列車運行センターのデータ収集装置のプログラムソフトに設計上の重大な欠陥があり、青信号を誤発信した結果、後続列車の自動停止装置が作動しなかった」と事故原因を説明した。メディアや遺族から最も多くの疑問が寄せられている列車の自動停止装置が働かなかった原因について、鉄道省当局者が初めて言及した。新華社通信が30日、伝えた。
 この発言は、鉄道省が事故直後に主張していた「落雷による停電」などとの天災的な要素をほぼ全面的に撤回し、高速鉄道の運営システムの問題による「人災」だったことを認めたことに等しい。鉄道省は事故直後にこうした原因を把握したとみられるが、発表を控えていた。温家宝首相が28日の記者会見で国民に「真相究明」を約束したことを受け、国務院(政府)からの圧力によって発表せざるを得なくなったものとみられる。「中国の高速鉄道の技術は世界でも最先端」とメディアで宣言してきた鉄道省に対し、世論から一層厳しい批判が浴びせられそうだ。
 同責任者はまた、9月末までに全国のすべての鉄道、駅で約2カ月の安全点検キャンペーンを実施することに言及し、今後の鉄道運営で安全性を最優先することを約束したが、事故後に原因を把握しながらも隠蔽し、説明は二転三転した。事故車両の一部を土に埋め込んだ理由などに多くの謎を残したままで、中国国民の信頼を取り戻すことは難しい。

◎怒りのネット世論爆発、当局やメディア突き動かす、2億人突破の中国版ツイッター原動力(2011年7月29日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で40人が死亡した高速鉄道事故ではネットを中心に「人命軽視だ」「真相究明が先」と世論の怒りが爆発した。中国メディアの一部も報道規制を振り切って当局批判に転じた。いったん埋められた車両の一部は「証拠隠滅だ」との批判を受けて26日に掘り出され、温家宝首相は28日に現地入りした。中国の過去の災害や事故とは“異質な空気”が流れ、事故の収束を急ぐ当局に強い怒りが世論となって対峙(たいじ)している。
 「事故現場の処理は急ぎ過ぎではないか」。事故後初めて現場を訪れた温首相の記者会見で、とげのある口調で質問を突きつけたのは中国国営中央テレビ(CCTV)の記者だった。
 「生命反応はない」として現場で解体される寸前だった事故車両から女児が救出された24日、鉄道当局は車両の一部を現場に埋めるという荒っぽい処置に出て、25日に運行再開した。
 事故後、遺族は福建省などから温州に続々と集まり、地元政府が用意した施設に陣取る一方、鉄道駅や市政府前などで激しい抗議活動を繰り返した。その報道をみた人が、ネットや中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」で鉄道当局のずさんな対応を非難。怒りが増幅する構図となった。
 現場やメディア、ネット上など、今回の事故で中国社会に“異質な空気”が流れているのは、2007年に運行が始まったばかりの高速鉄道網の建設で、安全性が置き去りにされたのではないかとの疑念と、建設の旗振り役だった劉志軍前鉄道相が今年2月に汚職で更迭されたことへの怒りがあるからだ。
 中国の高速鉄道網は先月開通した北京-上海線を加え、わずか4年で総延長が1万キロにも達した。安全管理が追いついているのかと懸念が広がる中で、先月には鉄道省元幹部が中国紙に対し、「前鉄道相の指示で安全性よりもスピード世界一をめざす設計だった」などと暴露し、安全運行に疑問を投げかけていた。
 そうした中で、「やっぱり起きたかと思った」(温州の事故現場付近のコンビニ店主)との声に代表されるように、納入業者との癒着など汚職を繰り返した鉄道当局が大惨事を招いたのではないか、との怒りが多くの国民の間で共有される事態になっている。
 24日には中国共産党宣伝部が「『愛』をテーマにした報道ぶりで独自報道せず新華社電を使用せよ」との通達を中国メディアに行っていたことが明らかになったが、この規制をかいくぐる報道も相次いでいる。
 26日付の夕刊紙、北京晩報の場合、車両からの女児救出記事で、命を救った地元の警察分隊長らの美談に仕立てる一方、救出活動を早々と打ち切った鉄道当局への批判をにじませた。
 当の新華社も24日、事故死者数を35人とする鉄道当局に対し、独自取材で8人の遺体がみつかり43人になったと報じる場面もあった。
 常に共産党と政府に従順だった中国メディアの“反乱”ともいえる事態だ。中国人記者自身が憤りを隠せなくなった事態に加え、ユーザーが2億人を超えたとする中国版ツイッター、微博がメディアを突き動かした。25日付の中国青年報などは、「新聞やテレビは速報性において微博に完敗した」との論評を掲げた。ネット検閲を強めている中国当局だが、“つぶやき”が限りなく続く微博への言論チェックまでは追いつかないようだ。
 ネットと微博では、「中国ジャスミン革命」と連携し、事故から1週間となる30日午後2時(日本時間同3時)に「高速鉄道事故の真相究明」を求める集会を各地の鉄道駅で開く呼びかけも行われている。

◎中国高速鉄道事故:賠償金1100万円に増額(2011年7月29日、毎日新聞)
 中国国営新華社通信は29日、中国浙江省温州市で起きた高速鉄道事故の犠牲者の遺族に支払われる賠償金の基準額が、91万5000元(約1100万円)に増額されると伝えた。温家宝首相が28日に現地入りし、面会した遺族の意向に配慮する姿勢を示していた。遺族の不満を懐柔するため、当局がこれまでの50万元(約600万円)の1.8倍となる大幅増額を決めたとみられる。
 中国の列車事故の賠償金は17万2000元(約200万円)が基本的な額とされるが、中国当局は26日に一部の遺族との間で50万元で合意した。
 しかし、この額には早期に合意したことによる「奨励金」が含まれていると報じられ、合意していない遺族などから批判が高まっていた。
 新華社によると、今回の大幅増額について、当局は遺族の意見を聞き、法律を検討した結果、損害賠償の協議で紛糾した時の最高人民法院(中国の最高裁)の法解釈を根拠に、賠償金に葬祭費や慰謝料、生活支援費を加算して91万5000元に増額したという。
 50万元で賠償に同意していた家族にも新基準が適用される。また、負傷者への賠償方法も検討されている。91万5000元は都市住民の平均年収の43.5倍に相当する。
 一方、事故で頭部などを負傷して入院していた男性が28日夜に死亡し、犠牲者の数は40人となった。

◎中国欠陥信号機、設計企業は独占状態で急成長(2011年7月29日、読売新聞)
 中国高速鉄道の事故で「重大な設計上の欠陥」が指摘される信号機を設計した企業は、政府管理下の国有企業「中国鉄路通信信号集団」傘下にある。
 本来は鉄道省の一部門だったが、2000年に分離して企業となった。
 同企業は高速鉄道の信号システム受注でほぼ独占状態にあり、急成長を遂げてきた。中国紙「経済参考報」は「競争は形式だけ。それが製品の管理や評価の欠陥を招いている」との識者の見方を伝えた。劉志軍・前鉄道相の汚職に関連して失脚した張曙光・前運輸局長が事故路線の列車制御システムの研究開発を率いていた、との報道もある。
◎数年前も信号にトラブル、元技術者証言、欠陥放置か(2011年7月29日、産経新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故にからみ、河北省秦皇島と遼寧省瀋陽を結ぶ高速鉄道で数年前、赤信号を送るべきなのに青信号を発信するトラブルがあったことが29日、明らかになった。中国紙、京華時報が退職した鉄道技術者の証言として伝えた。
 温州の鉄道事故についても同様の信号の欠陥が指摘されており、鉄道当局が信号システムの改善を怠った可能性が出てきた。

◎上海で抗議集会呼び掛け、31日には全国各地でも?(2011年7月29日、産経新聞)
 中国高速鉄道事故の犠牲者に哀悼の意を示し、鉄道当局に抗議するため、事故のあった線区を管理している上海鉄道局の前で30日朝に集会を開催しようとの呼び掛けがインターネットのサイトに書き込まれたことが29日分かった。この書き込みは既に消されており、当局が規制に乗り出したとみられる。
 また、今回の事故を機に共産党一党独裁の打倒と民主化を求め「中国ジャスミン革命」集会を31日午後に全国各地で開くよう再び呼び掛ける別の書き込みも現れた。
 香港から発信されたとみられる。中国当局が警戒を強める可能性があるが、大陸では規制でサイトが開けないため、どの程度、メッセージが広がっているかは不明だ。

◎怒りのネット世論爆発、当局やメディア突き動かす、2億人突破の中国版ツイッター原動力(2011年7月29日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で40人が死亡した高速鉄道事故ではネットを中心に「人命軽視だ」「真相究明が先」と世論の怒りが爆発した。中国メディアの一部も報道規制を振り切って当局批判に転じた。いったん埋められた車両の一部は「証拠隠滅だ」との批判を受けて26日に掘り出され、温家宝首相は28日に現地入りした。中国の過去の災害や事故とは“異質な空気”が流れ、事故の収束を急ぐ当局に強い怒りが世論となって対峙(たいじ)している。
 「事故現場の処理は急ぎ過ぎではないか」。事故後初めて現場を訪れた温首相の記者会見で、とげのある口調で質問を突きつけたのは中国国営中央テレビ(CCTV)の記者だった。
 「生命反応はない」として現場で解体される寸前だった事故車両から女児が救出された24日、鉄道当局は車両の一部を現場に埋めるという荒っぽい処置に出て、25日に運行再開した。
 事故後、遺族は福建省などから温州に続々と集まり、地元政府が用意した施設に陣取る一方、鉄道駅や市政府前などで激しい抗議活動を繰り返した。その報道をみた人が、ネットや中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」で鉄道当局のずさんな対応を非難。怒りが増幅する構図となった。
 現場やメディア、ネット上など、今回の事故で中国社会に“異質な空気”が流れているのは、2007年に運行が始まったばかりの高速鉄道網の建設で、安全性が置き去りにされたのではないかとの疑念と、建設の旗振り役だった劉志軍前鉄道相が今年2月に汚職で更迭されたことへの怒りがあるからだ。
 中国の高速鉄道網は先月開通した北京-上海線を加え、わずか4年で総延長が1万キロにも達した。安全管理が追いついているのかと懸念が広がる中で、先月には鉄道省元幹部が中国紙に対し、「前鉄道相の指示で安全性よりもスピード世界一をめざす設計だった」などと暴露し、安全運行に疑問を投げかけていた。
 そうした中で、「やっぱり起きたかと思った」(温州の事故現場付近のコンビニ店主)との声に代表されるように、納入業者との癒着など汚職を繰り返した鉄道当局が大惨事を招いたのではないか、との怒りが多くの国民の間で共有される事態になっている。
 24日には中国共産党宣伝部が「『愛』をテーマにした報道ぶりで独自報道せず新華社電を使用せよ」との通達を中国メディアに行っていたことが明らかになったが、この規制をかいくぐる報道も相次いでいる。
 26日付の夕刊紙、北京晩報の場合、車両からの女児救出記事で、命を救った地元の警察分隊長らの美談に仕立てる一方、救出活動を早々と打ち切った鉄道当局への批判をにじませた。
 当の新華社も24日、事故死者数を35人とする鉄道当局に対し、独自取材で8人の遺体がみつかり43人になったと報じる場面もあった。
 常に共産党と政府に従順だった中国メディアの“反乱”ともいえる事態だ。中国人記者自身が憤りを隠せなくなった事態に加え、ユーザーが2億人を超えたとする中国版ツイッター、微博がメディアを突き動かした。25日付の中国青年報などは、「新聞やテレビは速報性において微博に完敗した」との論評を掲げた。ネット検閲を強めている中国当局だが、“つぶやき”が限りなく続く微博への言論チェックまでは追いつかないようだ。
 ネットと微博では、「中国ジャスミン革命」と連携し、事故から1週間となる30日午後2時(日本時間同3時)に「高速鉄道事故の真相究明」を求める集会を各地の鉄道駅で開く呼びかけも行われている。

◎「先のことは何も分からない」、40人目犠牲者の妻(2011年7月29日、産経新聞)
 「先のことは何も分からない」。中国浙江省温州市の高速鉄道事故で28日に病院で死亡し40人目の犠牲者になった陳偉さんの妻は29日、夫の遺体が安置されている同市内の火葬場でぼうぜんと話した。
 妻は夫の運転免許証と死亡証明書を手にしながら「今後のことについて鉄道省の人が対応すると言われてここに来たが、誰も来ていない」とうろたえていた。「新年には自分には何も買わないが、私には必ず新しい洋服を買ってくれた。病院では(夫の)全身をなでたが、最後まで意識を取り戻すことはなかった」と目頭を押さえた。

◎信号欠陥伏せたまま点検指示、中国鉄道省、事故数時間後(2011年7月29日、朝日新聞)
 中国浙江省温州市で23日夜に発生した高速鉄道事故で、鉄道省は追突の原因とされる信号の欠陥を事故の直後に把握しながら、公表しないまま、数時間後の24日未明に全国の駅に点検を指示していたことがわかった。中国政府の事故調査チームが同市で28日午前に開いた1回目の会議で、鉄道省次官が説明した。
 事故車両を現場に埋めたことと同様に、都合の悪い情報を伏せたまま身内で処理しようとする同省の隠蔽体質が改めて露呈した。
 信号の欠陥についても、上海鉄路局長が同じ会議で報告するまで伏せられていた。現地で28日に記者会見した温家宝(ウェン・チアパオ)首相が事故原因の究明について「全過程を公開する」と語ったのを受け、同日深夜になって会議の場にいた国営新華社通信が、昼間の報道よりも詳しい内容を伝えた。

◎民衆の予想以上の怒りと不信、共産党、強い衝撃(2011年7月29日、読売新聞)
 中国浙江省・温州で23日起こった高速鉄道事故は、慌ただしく地中に埋められた事故車両が再び掘り返されるなど異様な迷走を続け、28日にはついに、温家宝首相が現場で釈明会見を開く事態になった。
 力で民衆を抑え込んできた共産党が、民衆の予想以上の怒りと不信に強い衝撃を受け、じりじりと後退しているかに見える。
 事故現場となった高架下で、68歳の温首相が、最高気温30度を超える炎天下に立っていた。重大事故や災害発生時、現場に急行、慈父的な役割を演じてきた首相は会見で、訪問が事故発生後6日目になったことについて「病気で11日間寝ていた」と弁明した。
 党内序列3位の温首相の健康状態は、中国では国家機密にあたる。首相はそれをあえて口にし、事故原因や事故処理について「社会に多くの疑問を生んだ」と述べた。もはや当局側の過ちを認めるしかない。
 嵐のような非難を生んだ最大の要因は、追突した列車の先頭車両を重機で壊し、地中に埋めた一件だ。インターネットでもビデオ映像が流れたこの行為に世界は驚き、国内では遺族はもとより、民衆も政権の体質をかぎ取り、「証拠隠滅だ」との批判が沸騰した。

◎中国当局、遺族分断図る、賠償巡り対応に差(2011年7月29日、読売新聞)
 23日に起きた高速鉄道事故で、28日の温家宝首相の記者会見は、大地震などの被災者への支援のメッセージとは異なり、民衆に当局の対応の悪さについて釈明するという、共産党の一党独裁政権の首脳としては異例のものだった。
 政府のインターネットサイトによると、温首相は、入院中の負傷者を見舞った後、犠牲者の遺族とも面会し、「みんなが関心のある問題を適切に処理することで、死者を安らかに眠らせ、生きている者に慰めを与える」と語り、民衆への配慮を示した。ただ、関係者によると、面会したのは、当局との賠償交渉に応じたとみられる一部の遺族だけ。
 事故処理をめぐって政府を批判し、抗議行動をしている遺族は「温首相と遺族の面会があることは知らなかった」と話した。当初から招かれていなかった模様で、当局は遺族が連携して抗議行動を起こさないようにするため対応を分け、切り崩しを図っているとみられる。

◎遺族の一部、抗議行動の構え崩さず、中国事故(2011年7月29日、読売新聞)
 中国高速鉄道事故で、真相究明や関係者の処分を求める遺族の一部は29日、抗議行動を続ける構えを崩さず、中国当局が抑え込みに躍起となっている。
 当局は遺族と断続的に交渉を行い、懐柔を図る見通しだ。
 ある遺族は29日、読売新聞に対し、「当局との交渉は続いているが、納得できる回答を得られていない」と明かした。交渉は28日夜、犠牲者の出身地ごとに遺族を集めて行われた。このうち、10人以上の犠牲者が出た福建省福州の遺族との交渉では、同省当局の幹部が「仲介役」として出席し、説明に当たる鉄道省担当者に、遺族の要望などを伝えた。
 関係者によると、交渉は深夜にまで及んだが、原因説明や賠償内容などについて遺族は納得しなかったという。

◎中国鉄道省「信号機の欠陥」事故直後に把握(2011年7月29日、読売新聞)
 中国浙江省温州で23日夜に起きた高速鉄道事故で、政府の事故調査グループが28日公表した「信号機に設計上の重大な欠陥があった」とする分析結果について、鉄道省が事故直後に把握していたことが分かった。
 約4日間伏せられていたことで、情報開示に消極的な当局の姿勢を改めて裏付けた。
 新華社電によると、同グループが28日に開いた会議で、彭開宙・鉄道次官が経緯を報告した。それによると、鉄道省は24日未明から、問題の信号機と同種の設備を設置していた全国計76の駅に対し、運行と機器の状態を常時監視するよう指示。27日未明までに、安全確認措置を完了させたという。
 温家宝首相が27日に主宰した政府の会議は「調査は公開、透明を心がけ、国民に誠意と責任のある説明を行わなければならない」と強調。分析結果は翌28日、温首相が現地視察する直前に発表された。首相が事故現場での記者会見で「処理の全過程を公開する」と発言したのを受けて、新華社通信が同日深夜になって、彭次官の発言を含む28日の会議内容を公表した。

◎信号設備企業にハッカー攻撃(2011年7月29日、産経新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、欠陥を指摘された信号設備を設計した「北京全路通信信号研究設計院有限公司」の公式ウェブサイトが28日午後、ハッカー攻撃を受け一時、閲覧できなくなった。中国紙、毎日経済新聞(電子版)などが伝えた。
 同社が謝罪声明を出した後、サイトが正常に表示されなくなり「犠牲者の遺族に補償を行い、責任者は刑事責任を負うべきだ」とのハッカーからの声明が掲載された。声明は「良心を見せ、命を尊重しなさい」と強調した。

◎事故遺族切り崩しか、中国当局の圧力・懐柔も(2011年7月29日、産経新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故で、当局の対応に不満を抱き、集団で抗議していた遺族が揺れている。メディアを通じて当局批判を繰り返していた遺族が突然「取材は受けない」と宣言したほか、抗議の場に姿を現さなくなった遺族もおり、当局の圧力や懐柔が見え隠れする。今後の展開は不明だが、このまま“切り崩し”が進む可能性もある。
 遺族の最初の抗議活動は、事故から2日後の25日。市政府前で約40人が「復旧を優先し、被害者救援がおろそかだった」と訴えた。だが、抗議活動の中心的存在だった男性はその後、姿を見せなくなった。
 27日には事故現場の南にある温州南駅で、遺族約100人がデモや座り込みを行った。だが、28日の抗議活動の参加者は半分程度の約50人。「面倒に巻き込まれたくない」と口を開かなくなった人もいた。

◎病を押して?温首相の異例の釈明に批判的な書き込み(2011年7月29日、産経新聞)
 災害や事故が起きれば真っ先に現場に駆けつけることで庶民の人気を集めてきた中国の温家宝首相だが、浙江省温州市で起きた高速鉄道事故では発生から6日目の28日になってようやく事故現場に姿を現したことが、中国のインターネットでさまざまな憶測を呼んでいる。
 追突事故が起きた高架の下で記者会見を行った温首相は冒頭、「この11日間は病で伏せっており医師には止められたが、行かねばならないと考えて、事故から6日目にやっと来た」と釈明した。病を押して現場に入ったとして、真摯な姿勢を訴えたかったようだ。
 だが、ネット上では「中国で指導者が自らの病を公にするとは聞いたことがない」「病に伏せっていたはずなのに、24日に温首相は北京で日本の河野洋平(前衆院議長)と、ちゃんと会談している」などマイナスイメージで受け止める書き込みが相次いだ。
 温首相はこれまでもネット上で、災害現場で流す涙や言動などが大げさだとして、「演技派の男優だ」などと陰口をたたかれてきた。ただ、「温首相が政治生命にもかかわる健康問題を持ち出してまで“演技”したとは考えにくい」との見方もある。
 次期指導者を決める5年に1度の中国共産党大会を来年秋に控えていることから、退任が決まっている温首相が「健康問題」を公にしたことで、「党内の対抗勢力である江沢民前国家主席派に、“捨て身”で戦いを挑むのではないか」などと予想する声もある。

◎「温首相の言葉、信じたい」批判続ける遺族(2011年7月28日、産経新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故で、温家宝首相による28日の現地視察は、遺族の注目も集めた。温首相が現場での記者会見で「調査のすべての過程を公開し、社会の監督を受ける」などと語ったのに対し、事故後の対応をめぐって当局批判を続ける遺族は「信じたい」と話した。
 妻の弟を亡くした男性は「私たちが求めているのは明確な事故原因の究明。温首相の言葉が本当になるかどうかは分からないが、今は信じたい」と述べた。娘の夫を亡くした男性も温首相の発言について「その通りになればいいと思う」と言葉少なに語った。
 温首相は会見で「事故は、人の命が何より大事で、政府の役目は命を守ることだと思い起こさせた」とも語った。夫が犠牲になった女性は「そう思ってくれるなら、安心できる」と沈んだ声で話した。

◎政府「鉄道王国」にメスも、利権構造に国民不信(2011年7月28日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で起きた高速鉄道事故で、温家宝首相が28日の記者会見で、鉄道省の腐敗問題を自ら言及するなど不快感を表明した。同省をたたくことで国民の怒りを鎮めようとする狙いもあるとみられる。有力政治家が数多く輩出し、強大な利権構造の中にある「独立王国」が事故を機に、解体される可能性も出てきた。
 救出作業をあまりにも早期に終了させて、車両の一部を地下に埋め込んだことや、事故原因が未発表のまま運転を再開したことなど同省の一連の対応に対し、国民の不信感が高まり、インターネットは、「人命軽視」「隠蔽(いんぺい)体質」といった言葉であふれた。
 共産党中央宣伝部は25日、「プラス面のニュースを中心に報道するように」との通達を出したが、国内の各メディアはこれに抵抗し、「犠牲者への追悼文特集」「外国の事例の紹介」などの形で鉄道省の対応を間接的に批判し続けた。
 事故の6日目にもなって、温首相が現場を訪れて国内外の記者に対し「真相解明と責任追及」を約束すること自体異例なことであり、中央政府の鉄道省への不満表明に等しい。このまま対応を任せ続けたら、国民の批判の矛先は中央政府に向けかねないとの胡錦濤政権の懸念が背景にあるとみられる。

◎「システム欠陥に人為的ミス重なる。習熟せず路線拡大も一因」中国人専門家(2011年7月28日、産経新聞)
 中国高速鉄道事故では、安全運行システムに重大な欠陥があった可能性が高い。
 中国の鉄道システムに詳しい横浜国立大学大学院の王(ワン)鋭(ルイ)研究教員(40)によると、中国の高速鉄道には、信号を受信して自動的に列車を減速・停止させる「自動列車保護装置」(ATP)という安全運行システムが採用されている。
 日本の新幹線に導入されている「自動列車制御装置」(ATC)と基本原理は同じで、停電や故障などで前方の列車が停止すると自動的に後続列車のブレーキがかかる。しかし、ATPは今回は作動しなかった。
 信号や分岐器を集中的に管理・制御する「列車集中制御装置」(CTC)も導入されていたが、王氏は「事故当時は信号設備が故障し、駅員が管理していたのではないか」と指摘。CTCの一元管理も機能していなかったという。
 信号設備のシステムもずさんだった。追突された先行列車は、信号機が故障した場合、特例で赤信号でも時速20キロ以下で走行できる目視運行モードで運転。後続列車は赤信号の手前で停止することになっていた。
 だが、修理中に何らかの理由で「赤」から「青」に切り替わり、追突した可能性が高い。王氏は「よく故障しているATPなどのシステムの欠陥に、修理した現場係員の人為ミスも重なった。習熟が不十分なまま路線を拡大してきたのも事故原因の一つだ」と話す。
 問題となっている信号設備は、6月に開業した北京-上海間をはじめ全土の高速鉄道に採用されており、事態は深刻だ。

◎「鉄道省は残れ」、怒声飛ぶ温首相会見場(2011年7月28日、産経新聞)
 「鉄道省は残れ」「説明しろ」。28日午後、浙江省温州市の高速鉄道事故現場で行われた温家宝首相の記者会見後、中国メディアの記者から首相に同行していた鉄道省関係者に向けて怒声が飛んだ。
 会見を終えた温首相が現場を去ろうとした瞬間だった。事故後に先頭車両を壊して埋めるなど不可解な対応を取った鉄道省に対し、説明責任を果たすよう記者らが大声で要求した。
 怒声は温首相にも聞こえたはずだが、振り返ることなく、会見場を後にした。司会役の国務院(政府)新聞弁公室幹部が慌てたように手を振り、記者に対し、静かにするように求めた。
 中国メディアの記者は「(当事者の)鉄道省の責任者が出てくるのが何よりも大切ではないか」と憤っていた。

◎中国政府、国民の怒り読み誤る、爆発寸前に(2011年7月28日、産経新聞)
 中国高速鉄道事故で温家宝首相が現地を視察するとともに、異例の速さで原因に関する中間報告も行われた。事故対応への批判の高まりを受けた形だが、一連の対応を見ると、中国政府には当初、今回の事故がここまで大きな国民の怒りを招くことはないとの読み誤りがあったのは間違いない。
 国民の間では経済発展に伴う貧富の格差や後手に回る貧困層への対策、官僚の腐敗、さらには食料品価格の高騰などに対する不満が充満している。大々的に技術水準の高さを宣伝してきた高速鉄道の大惨事に対する怒りは爆発寸前だ。
 刑事責任追及の方針明確化など中央政府としては沈静化に向けやっと第一歩を踏み出したが、今回の対応で高まる政府不信が収束する可能性は低い。

◎600万円は高いか安いか、賠償額に格差社会の不満噴出(2011年7月28日、産経新聞)
 中国高速鉄道事故で、当局が遺族に支払う賠償金を犠牲者1人あたり50万元(約600万円)と決めたことに、不満が噴出している。中国の年間平均賃金の約15倍という賠償額に「高すぎる」との反発がある一方で、「安すぎる」との批判もある。所得格差が広がる社会矛盾への怒りを増幅させる副作用も生んだ格好だ。
 一般の鉄道事故で賠償基準は17万2千元と定められているのに対し、今回は事態の早期収拾を図りたい当局側が埋葬費や慰謝料などの名目で額を積み増した。
 しかし、インターネット上では、「犠牲者1人あたり数万元がせいぜいのバス事故よりはるかに高く差別的だ」などと不満が渦巻いている。「高速鉄道の利用者は高所得者層や政府関係者が多いからだ」と勘ぐる声も。事故現場の温州は貿易や投資が盛んで高所得者が多いことで知られる。
 一方、「安すぎる」との主張で引き合いに出されているのが、昨年8月に黒竜江省で起きた航空機事故の賠償額。この事故では所得水準の上昇を考慮し、犠牲者1人当たり96万元の賠償金が支払われた。ネットでは「交通機関の種類によって命の値段が下がるのか」と批判されている。
 今回の事故では、賠償協議で早期に合意した遺族への5万元の奨励金も含むとされ、当局に抗議して合意が遅れるほど賠償額が下がるとの見方もある。中国紙、新京報は「奨励という手段を使った賠償は遺族の傷口に塩を塗り、社会に悪影響を与える」として、異例の批判を行っている。

◎信号設備企業が謝罪声明、会見では説明拒否(2011年7月28日、産経新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、信号設備を担当したと中国メディアが指摘した「北京全路通信信号研究設計院有限公司」は28日までに、ウェブサイト上で、犠牲者らに「心からおわびしたい」と謝罪する声明を出した。しかし、同日午後北京で記者会見した同社幹部は、「原因はまだ調査中だ」として、詳細な説明を拒否した。
 声明では「処罰を受け入れ、責任者を処分する」とした。しかし、幹部は同社に原因があるかどうか明言せず、「政府の最終的な調査結果を待っている」と繰り返した。
 中国メディアによると、同社の信号設備は6月に開業した北京-上海高速鉄道など全土の高速鉄道網に採用されており、波紋が広がりそうだ。
 中国紙、第一財経日報によると、鉄道省はシステムを検査するよう各地の鉄道局に通知した。

◎安全失えば信用失う、温首相、異例の会見で反省(2011年7月28日、読売新聞)
 当地で23日に起きた高速鉄道事故で、事故現場を初めて視察した中国の温家宝首相は28日午後、記者会見し、「(運行速度が)速ければ速いほど良いのではない。安全第一であるべきだ」と述べ、運行速度を最優先してきたことへの反省を示した。
 首相はまた、高速鉄道の輸出計画などへの影響を問われ、「安全を失えば、信用を失う」と語り、海外にも一定の影響が出る可能性を示唆した。
 大地震などの際に首相が現地入りし、記者会見するケースはあるが、鉄道事故などの現場で国内外の記者100人以上を対象に釈明会見を行うのは極めて異例。今回の事故の処理をめぐっては、行方不明者の捜索を早々と打ち切って列車の運行再開を優先し、事故の先頭車両の一部を破壊して埋めたことに、インターネットで「人命軽視」「証拠隠滅」などの批判が噴出している。首相の会見には、高速鉄道に対する国際社会の信頼回復を図り、国民の不満緩和により、事態の早期幕引きを図る狙いがある。

◎中国高速鉄道、信号「赤」に変わらない重大欠陥(2011年7月28日、読売新聞)
 新華社通信によると、中国浙江省温州で起きた高速鉄道事故で、国務院(政府)の事故調査チームは28日、第1回全体会議を開き、「温州南駅の信号機に重大な設計上の欠陥があったため落雷で信号機が故障し、赤信号を表示すべき区間の信号機が誤って青信号を表示した」とする初期分析結果を報告した。
 後続列車が青信号を見て走り続け、追突した可能性を指摘したもの。中国政府として、設計上の人的ミスが追突を引き起こした可能性を認めたものだ。信号機システムは2009年9月に導入されたという。
 これについてインターネット上では、「これが数日間かけて出した調査結果か」「信号機に欠陥があったとして、なぜ衝突防御システムまで故障するのか」など、疑問の声が噴き出している。

◎批判は鉄道省に集中、当局「ガス抜き」狙う?(2011年7月28日、読売新聞)
 中国浙江省温州での高速鉄道事故で、中国各紙が、「独自報道」を禁じる当局の指示に抵抗して、事故処理の不手際や情報公開の不十分さを批判する論評を連日掲載している。
 当局も「ガス抜き」として、一定の批判は容認する考えだが、共産党政権や一党独裁批判に直接つながる報道は断じて許さず、締め付けを強める構えだ。
 「北京青年報」は27日、現場で壊して埋めた車両を掘り返したことについて、「事故原因の細部を知るのに役立つはずのものが破壊されてしまったかもしれない。事故の真相究明は一段と難しくなった」と非難。「21世紀経済報道」も、「中国の鉄道は『独立王国』だった」と批判、日本の国鉄民営化も例に挙げて鉄道省の改革を訴えた。
 だが、関係者は「批判は鉄道省に集中している」と指摘する。実際、遺族の一部が高速鉄道の温州南駅で抗議行動を起こし、真相究明を求めて政府批判を繰り広げているが、中国各紙はこれを黙殺している。

◎温首相、事故現場で異例の会見 「調査すべて公開」(2011年7月28日、朝日新聞
 中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は28日、浙江省温州市の高速鉄道事故の現場で記者会見し、事故原因や対応などで「民衆が疑問を呈している」と認め、「調査のすべてを公開、透明を原則とし、社会の監督のもとで進めなければならない」と述べた。中国の国家指導者が自然災害ではない現場に入り、会見に応じるのは異例。内外で高まる不信に政権内で危機感が高まっている表れといえる。温首相は同日午前に現地入りし、遺族らを慰問した。
 外国メディアを含む200人近い記者が集まった会見で、温首相は「安全を失えば、信頼も失う」とし、「(発展が)早ければいいのではなく、質や効率などを考慮し、何より安全を最優先させる」と強調。急ピッチで進めてきた高速鉄道網の整備を見直す可能性を示唆した。
 「人災なのか」との問いには「調査の結果が出てから」とかわしたが、「歴史の検証に堪えうる結論を出す。腐敗問題があれば、法に基づいて対処し、手加減はしない」と厳しい姿勢をみせた。元鉄道相などの汚職が相次ぐ鉄道省を強く批判し、政府全体への不信の拡大を防ぐ狙いもある。賠償についても「家族の心情にあう形が必要」とし、犠牲者に配慮を示した。

◎追突された運転士「停止を指示された」、中国鉄道事故(2011年7月28日、朝日新聞)
 中国高速鉄道事故で、追突された列車の運転士が乗客に対して、停止は運行指令担当者からの指示との認識を示していたと、中国誌「南都週刊」(電子版)が27日、報じた。
 同誌によると、運転士は「走るべきだったが、止まれと言われた」と語ったという。鉄道省は事故直後から「落雷による設備故障」を理由にしてきたが、運転士の話から、指示系統に乱れが出ていた可能性がある。何らかの理由で列車を自動に停止させる装置が作動していなかっただけでなく、人為的なミスを裏付ける証言として、被害者たちも注目している。
 「無人運転が可能なほど自動化している」(日本の技術者)とされる高速鉄道車両の運行が、自動ではなく、ある時点から運行指令担当者による人為的な指示に切り替わっていたこともうかがえる。

◎中国鉄道事故、温家宝首相現地入り、批判高まりに危機感(2011年7月28日、朝日新聞)
 中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相が28日午前、高速鉄道の脱線事故で200人以上が死傷した浙江省温州入りした。事故原因の公表が遅れるなど事故後の対応に遺族や世論の批判が高まっており、国家指導者が現地入りし、直接遺族に原因究明などを約束するとみられる。
 今回の脱線事故で国家指導者が現地入りしたのは初めて。事故発生から5日後に突然、温首相が現地入りしたことは、中国政府内でも危機感が高まっている表れといえる。
 温州市政府幹部によると、温首相は事故現場を視察し、その後、遺族と対面するという。温首相はこれまで四川大地震などの重大災害や事件の際にも現地入りし、時には遺族の前で涙を流して政府批判が高まるのを抑えてきた。

◎中国高速鉄道、信号「赤」に変わらない重大欠陥(2011年7月28日、読売新聞)
 新華社通信によると、中国浙江省温州で起きた高速鉄道事故で、国務院(政府)の事故調査チームは28日、第1回全体会議を開き、「温州南駅の信号機に重大な設計上の欠陥があったうえ、落雷で信号機が故障し、赤信号を表示すべき区間の信号機が誤って緑の信号を表示した」との初期分析結果を報告した。
 後続の列車が緑の信号を見て走行を続け、追突した可能性を指摘したものだ。
 中国中央テレビによると、温家宝首相は27日、国務院の緊急会議を開き、「調査結果を社会に発表し、国民に誠意と責任のある説明を行わなければならない」と強調した。温首相は28日、現地入りした。負傷者や遺族らを見舞う予定。

◎信号設備に設計上の欠陥、鉄道当局が「人災」認める(2011年7月28日、産経新聞)
 28日の中国国営新華社通信の報道によれば、高速鉄道事故が起きた路線を管轄する上海鉄道局は同日、現場に近い温州南駅の信号設備に設計上の欠陥があり、落雷で故障して「赤」とすべき信号が「青」になっていたことが原因とする現段階での調査状況を明らかにした。一方、中国中央テレビは、追突防止のための警告を運行指令担当が発しなかったことを上海鉄道局が把握していると報じた。
 これまで「落雷」による「天災」を強調していた当局が初めて「人災」を認めたものだ。
 一方で、原因究明の焦点になっている列車制御システムに関し、納入業者の中に、中国の原発にも安全管理システムを納入している北京の企業が含まれていたことが明らかになった。
 中国では原発建設も高速鉄道と並び、急ピッチで整備が行われている。だが、建設スピードに安全管理が追いつかない実態が今回の事故で浮き彫りになっており、原発安全性への懸念も指摘される。
 高速鉄道と原発に安全システムを納入していたのは北京に本社を置く「和利時集団」。同社は米ナスダック上場企業で、開示情報によると浙江省の原発に「原発緊急指揮系統」など複数の安全システムを納入している。今回の事故を起こした双方の高速鉄道の列車にも、同社が開発した「列車自動制御保護システム」が装備されていたという。
 同社は事故後に沈黙を守っている。中国の鉄道関連企業は、当局が原因調査中にもかかわらず、「当社は事故とは無関係」などとする声明を相次ぎ発表するなど、責任逃れとも受け取れる対応に終始している。

◎高すぎる?安すぎる?賠償額に不満噴出「交通機関によって命の値段変わる」(2011年7月28日、産経新聞)
 中国当局が今回の高速鉄道事故で、遺族に支払う賠償金を犠牲者1人当たり50万元(約600万円)と決めたことに、不満が噴出している。この賠償額は中国人の年間平均賃金の約15倍にあたることから「高すぎる」との反発がある一方で、「安すぎる」との批判も出ている。中国社会では所得格差の拡大に不満が渦巻いているだけに、賠償額もさまざまな波紋を投じているようだ。
 中国では、一般の鉄道事故の場合、遺族への賠償基準が17万2千元と定められている。これに対して今回、事態の早期収拾を図りたい当局側が埋葬費や慰謝料などの名目で賠償額を積み増した。
 しかし、インターネット上では「犠牲者1人当たり数万元がせいぜいのバス事故よりはるかに高く差別的だ」などと不満が渦巻いている。「高速鉄道の利用者は高所得者や政府関係者が多いからだ」と勘ぐる声も。事故現場の温州は貿易や投資が盛んで高所得者が多いことで知られる。
 一方、「安すぎる」との主張で引き合いに出されているのが、昨年8月に黒竜江省で起きた航空機事故の賠償額。この事故では所得水準の上昇を考慮し、犠牲者1人当たり96万元と規定を大幅に上回る賠償金が支払われた。ネットでは「乗っていた交通機関の種類によって命の値段が変わるのか」と批判されている。
 50万元には賠償協議で早期に合意することへの奨励金5万元も含まれているとされ、当局に抗議して合意が遅れるほど賠償額が下がるとの情報もある。中国紙、新京報は「奨励という手段を使った賠償は遺族の傷口に塩を塗り、社会に悪影響を与える」として、異例の批判を行っている。
 さらに、「事故の原因究明や政府関係者の処分も不十分なのに、賠償問題だけが先行するのはおかしい」とする声や、「政府は高速鉄道を整備する巨額の予算があるにもかかわらず、人の命はこんなに安いのか。矛盾している」とする怒りも広がっている。

◎なぜ?運行管理を手動制御に変更、中国TV「多くの疑問」(2011年7月28日、産経新聞)
 中国中央テレビは27日、浙江省の高速鉄道事故で、事故当時、現場手前の駅で運行管理が通常のコンピューターによる自動制御から手動制御に変更されていたと報じた。このため、追突した列車が同駅に臨時停車するなど、ダイヤの乱れが事故につながった可能性があるが、同テレビは「どうして悲劇が発生したのか、多くの疑問が残っている」と伝えた。
 駅の運行管理が手動に切り替わった理由は不明だが、事故現場付近の運行管理を担当している上海鉄道局関係者は「落雷で短時間の停電があり、コンピューターが使えなくなった」と証言しているという。
 中央テレビはまた、事故で高架から転落した車両を当局が壊して現場付近に埋めた後、調査のため、あらためて掘り出し搬出したことについて「信じられない。笑い話だ」と批判する中国の専門家の見解を紹介した。

◎原発にも安全管理システム納入、高速鉄道の関連企業(2011年7月28日、産経新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、原因調査の焦点となっている制御系統を扱う企業の中に、米ナスダック市場に上場し、中国の原発に安全管理システムを納入する企業があることが28日、分かった。
 原発に安全システムを納入しているのは「和利時集団」(北京)。同社のウェブサイトによると、浙江省などの原発に「原発緊急指揮系統」など複数のシステムを納めている。鉄道事故を起こした双方の列車には、信号を受信して運行を制御する同社開発の「列車自動制御保護システム」(ATP)が装備されていた。
 同社は1993年に設立後、急成長し、海外進出を狙って2008年、ナスダックに上場。事故後、「原因は鉄道省が発表する」としつつ「事故車両のATPは正常だった」と主張する声明を出したが、株価は急落した。同社は「事故についての取材には応じられない」としている。

◎「取材受けない」と遺族、当局圧力で言論封殺か(2011年7月27日、産経新聞)
 中国高速鉄道事故で、身重の妻や親戚ら5人を事故で失ったことが短文投稿サイト「ツイッター」の中国版「微博」で広がり、中国メディアに当局の対応を批判する発言をしていた楊峰さん(32)が、今後は取材を受けないとの考えを微博を通じて表明したことが27日分かった。
 楊さんは「賠償や圧力で態度を変える自分ではない」と書き込んでいる。ただ、楊さんは救助隊が事故直後にもかかわらず、指導者を迎えるため作業を1時間中断したことなどを告発。多くの同情を集めていただけに、言論封殺のため何らかの圧力や懐柔策を受けた可能性もある。
 楊さんは26日夜、微博に「記者の友人の皆さま、今日は取材を受けなくてごめんなさい。本当にありがとう」とのメッセージを残し、記者の前に姿を現さなくなった。

◎「停車指示された」運転士が説明、人為ミスの可能性高まる(2011年7月27日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で起きた高速鉄道事故で、追突された列車の運転士が事故直後に「列車を走行させるべきだったが、停車を指示された」と乗客に説明していたことが27日分かった。中国誌、南都週刊(電子版)が乗客の証言として伝えた。
 今回、自動列車停止装置が何らかの理由で機能しなかったことは確実視されており、運転士の話から、事故は制御システム不備と人為ミスが重なって起きた可能性が高まってきた。
 国営新華社通信は同日、中国最高人民検察院(最高検)が担当の検察官を現場に派遣したと伝えた。
 追突された列車の運転士や、事故後、更迭された前上海鉄道局長ら幹部も聴取されており、容疑が固まれば重大責任事故罪などで刑事責任を追及する方針。追突した列車の運転士は急ブレーキをかけた状態で死亡しているのが見つかった。

◎「天災ではない」遺族100人、当局へ抗議活動、警官ともみ合いも(2011年7月27日、産経新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故の現場近くにある温州南駅で27日午前、当局の事故後の対応に不満を持つ遺族100人余りが抗議活動をした。遺族は駅の約300メートル手前から遺影を胸に抱くなどして行進。遺族は警察官ともみ合いになり一時、駅構内は大混乱になった。
 駅構内に入り「事故の真相を」「死者の尊厳を取り戻せ」との横断幕を掲げた。娘の夫(36)を失った王健さん(56)は「政府は事故の真相を隠そうとしている」と不満をあらわにした。
 遺族は駅出発ロビーの改札口をふさぐ形で座り込み、「民衆のために正義を」と拳を突き上げ、シュプレヒコールを叫んだ。
 鉄道当局は事故原因を落雷だと説明したが、35歳の夫を亡くした鄭蕾さん(32)が「これは決して天災などではない」と涙ながらに訴えた。

◎妻娘失った遺族の男性「残された家族に危害の恐れ」と取材回避、当局が言動抑圧?(2011年7月27日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で起きた高速鉄道事故で妻と娘を同時に失い、当局を激しく攻撃する言動を香港メディアに繰り返していた男性(32)が当局との賠償協議の後、27日に「私は無力だ。残された家族に危害が加えられる恐れがある」などとして取材を回避した。
 当局は賠償を“アメ”としながら、言動抑圧など“ムチ”も打ち始めた可能性が指摘されている。

◎国民の怒り、当局動かす、投稿で「人災論」沸騰(2011年7月27日、産経新聞)
 中国最高人民検察院(最高検)が担当者の派遣を決定、刑事責任追及の方針を示したのは、海外からの批判に加え、中国指導部が経済発展の象徴として先進性を誇示してきた高速鉄道の重大事故に対する国民の広範な怒りを受けた判断とみられる。
 短文投稿サイト、ツイッターの中国版「微博(ウェイボ)」を通じて、事故は管理のずさんさから起きた「人災」との見方が沸騰。さらに、十分な現場検証もせずに事故車両を撤去し運行再開を急いだことにも激しい批判が相次いでいた。
 事故後、当局が高架橋から転落した車両を現場の地中に埋めたことが発覚し、「証拠隠滅」との見方が瞬く間に広がった。当局が26日、いったん埋めた車両を掘り出し、車両の検証作業を行う方針に転換したのも、世論の批判を受けての決定だったのは明らかだった。

◎不満と怒り一段と、遺族ら抗議活動(2011年7月27日、産経新聞)
 新華社電によると、中国高速鉄道事故で27日、当局は犠牲者1人当たり50万元(約600万円)の賠償金を一律に支払うことを決めた。この賠償額は中国の年間平均賃金の約15倍という異例の高額だが、「事故調査が先」「事故の真相を」と訴える遺族ら約100人は同日、現場に近い温州南駅で激しい抗議活動を行った。早期に事態の収拾を図りたい当局と、不満を強める遺族らのミゾは深まっている。
 新華社によると、事故の死者は39人。通常の鉄道事故賠償規定では遺族に支払われる賠償金は17万2千元だが、さらに埋葬費や慰謝料、早期合意のための奨励金なども加算したという。
 27日までに数人の犠牲者の遺族との間で賠償交渉が成立している。当局は(1)協議に応じて合意しなければ遺体を引き渡さない(2)遺体を荼毘(だび)に付した後でなければ賠償金を渡さない-などの条件を突きつけてきたと、インターネット上で証言する遺族もいる。
 事故で妻と娘を同時に失い、当局を激しく攻撃する言動を香港メディアに繰り返していた男性(32)が、当局との協議の後、27日に「私は無力だ。残された家族に危害が加えられる恐れがある」などとして取材を避けた。当局側は高額賠償を“アメ”にする一方、遺族に対し政府批判の言動をしないよう“ムチ”も打ち始めたとみられる。
 すでに当局は、中国メディアに対し独自取材による事故報道を行わないよう指示している。また、温州市司法局が地元の弁護士会に対し、遺族らから補償問題で依頼を受けてはならないとする緊急通知を行っていたことも明らかになった。
 さらに、事故後に更迭された上海鉄道局長の後任に、安路生氏が任命されたことに反発する声もネットで上がっている。安氏は2008年に山東省で72人が死亡した列車衝突事故で、運行総責任者の総調度長(企画調整官)職を更迭された経緯などがあるからだ。
 事故対応をめぐる当局側からの“ムチ”に、こうした当局人事の不可解さも加わり、遺族らは不満と怒りを日に日に強めている。

◎中国貴州省で住民暴動、障害者死なせた治安組織に反発(2011年7月27日、朝日新聞)
 米国の放送局ラジオ・フリー・アジアによると、中国貴州省安順市で26日、市場で果物を売っていた男性が治安組織の隊員とのトラブルで死亡する事件があり、怒った住民らと警察当局が衝突した。
 同日午後2時ごろ、市場で果物を売っていた男性と「城管」と呼ばれる治安組織との間でいさかいが起こり、隊員が男性に暴行して死亡させたという。
 男性は足に障害があったといい、経緯を見ていた住民らが激高。城管の隊員らの車両を壊すなどしたため、警察隊が駆けつけて催涙弾を発砲、多くの住民がけがをして病院に運ばれたという。

◎国民の怒り、当局動かす、投稿で「人災論」沸騰(2011年7月27日、産経新聞)
 中国最高人民検察院(最高検)が担当者の派遣を決定、刑事責任追及の方針を示したのは、海外からの批判に加え、中国指導部が経済発展の象徴として先進性を誇示してきた高速鉄道の重大事故に対する国民の広範な怒りを受けた判断とみられる。
 短文投稿サイト、ツイッターの中国版「微博(ウェイボ)」を通じて、事故は管理のずさんさから起きた「人災」との見方が沸騰。さらに、十分な現場検証もせずに事故車両を撤去し運行再開を急いだことにも激しい批判が相次いでいた。
 事故後、当局が高架橋から転落した車両を現場の地中に埋めたことが発覚し、「証拠隠滅」との見方が瞬く間に広がった。当局が26日、いったん埋めた車両を掘り出し、車両の検証作業を行う方針に転換したのも、世論の批判を受けての決定だったのは明らかだった。

◎「天災ではない」遺族100人、当局へ抗議活動、警官ともみ合いも(2011年7月27日、産経新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故の現場近くにある温州南駅で27日午前、当局の事故後の対応に不満を持つ遺族100人余りが抗議活動をした。遺族は駅の約300メートル手前から遺影を胸に抱くなどして行進。遺族は警察官ともみ合いになり一時、駅構内は大混乱になった。
 駅構内に入り「事故の真相を」「死者の尊厳を取り戻せ」との横断幕を掲げた。娘の夫(36)を失った王健さん(56)は「政府は事故の真相を隠そうとしている」と不満をあらわにした。
 遺族は駅出発ロビーの改札口をふさぐ形で座り込み、「民衆のために正義を」と拳を突き上げ、シュプレヒコールを叫んだ。
 鉄道当局は事故原因を落雷だと説明したが、35歳の夫を亡くした鄭蕾さん(32)が「これは決して天災などではない」と涙ながらに訴えた。

◎検察、刑事責任追及へ、「人災」との批判受け(2011年7月27日、産経新聞)
 新華社電によると、中国浙江省温州市で起きた高速鉄道事故をめぐって、中国最高人民検察院(最高検)の責任者は27日、担当者を現場に派遣したと述べた。鉄道省報道官は「落雷による停電が原因の列車追突事故」との見解を公表しているが、列車制御系統の不備による「人災」との見方など批判が強まっていることを受け、刑事責任追及も視野に派遣を決めたようだ。
 新華社電はまた、当局がこの事故の死者について1人当たり50万元(約600万円)の賠償金を一律に支払うことを決めたと伝えた。この賠償額は中国の1人あたり国内総生産(GDP)の20倍近く、年間平均賃金の約15倍という異例の高額。反発を強める遺族らの不満を抑え、早期に収束させる狙いがありそうだ。
 新華社電によれば、事故による死者は39人。高額の賠償を決めた理由について当局は「法的根拠と人道主義に基づいて判断した」などと説明している。すでに26日に、地元政府と死者1人の遺族との間で賠償協議が行われ、50万元の賠償金支払いで合意している。

◎中国高速鉄道事故「人災だ」、遺族ら100人、駅で抗議(2011年7月27日、朝日新聞)
 中国浙江省温州の高速鉄道事故の遺族ら約100人が27日午前、高速鉄道専用の温州南駅に向けてデモ行進した。「事故は天災ではない。真相を明らかにせよ」と訴え、駅のホールで座り込んで抗議をした。
 兄を亡くした男性(34)は「政府は高速鉄道を外国に売って商売しようとしている。だから事故原因を天災にしようとしている」と批判。夫を亡くした女性(31)は「雷が落ちただけでこんな重大事故になるのか。絶対に信じない。人災だ」と泣き崩れ、真相究明を訴えた。
 一方、中国最高人民検察院(最高検)の責任者は27日、国務院(政府)が設けた事故調査チームに担当者を派遣したことを明らかにした。国営新華社通信が同日、伝えた。派遣したのは運輸・鉄道部門に加えて汚職の担当者。事故車両を埋めるなど事故後の対応をめぐり批判が高まるなか、胡錦濤(フー・チンタオ)政権が調査の「客観性」に腐心している様子がうかがえる。

◎「立て、奴隷を望まぬ人民よ」中国鉄道事故、怒りの追悼(2011年7月27日、朝日新聞)
 中国浙江省杭州市で26日夜、温州の高速鉄道事故の犠牲者を悼む追悼集会があり、参加者が「立て、奴隷になることを望まぬ人々よ」という歌詞の中国国歌を斉唱したことが分かった。犠牲者の命よりも高速鉄道の運行再開を優先する政府当局への強い憤りを示す動きだ。
 追悼集会の呼びかけ人のひとりが明らかにした。26日にネット上で呼びかけがあり、午後7時ごろから200人以上が集まったという。ろうそくをともして犠牲者をしのび、事故が起きた午後8時34分から3分間、祈りをささげた。誰からともなく国歌を歌い始め、3回、繰り返したという。この後、中心メンバーは私服警官に連行され、集会を企画した人物などについて聞かれたという。
 中国国内では、事故後、政府当局が早々に救助活動を切り上げ、事故車両を埋めた上、原因の究明も済んでいないうちに高速鉄道の運行を再開した政府当局の姿勢に「人命軽視」との批判が高まっている。

◎中国高速鉄道:3年前、事故引責左遷、後任の上海鉄路局長(2011年7月27日、毎日新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、管理責任を問われて更迭された上海鉄路局の竜京局長の後任に、山東省で08年に起きた列車事故に伴い左遷された安路生氏(45)が就任辞令を受けた。中国経済紙「第一財経日報」が26日報じた。山東省の事故では約70人の死者を出しており、インターネット上では「局長を務める資格があるのか」などと疑問や批判の声が出ている。
 報道によると、安氏は上海鉄道大学卒。05年に湖北省武漢鉄路局長、06年に鉄道省で鉄道運行の企画調整を担当する総調度長に就任した。だが在任中の08年4月、山東省で列車の脱線・衝突事故が発生し、72人の死者を出した。失職は免れたものの、列車運行の総責任者としての責任を問われ成都鉄路局長に異動。その後は上海鉄路局長を経て再び鉄道省総調度長に復帰した。09年4月に次官級に昇進している。
 今回の人事について第一財経日報紙は「(上海鉄路局に、慣例としては格上となる)次官級を配置したのは当局が事故を重くみたため」と指摘している。
 だが、インターネット上では「これは奇跡としか言いようがない。こういう体質だから事故が起きた」「『安』全な『路』(みち)に『生』きるとは、確かにいい名前だ」などと皮肉られている。

◎中国高速鉄道:新ダイヤ未習熟か、追突列車、今月改正投入(2011年7月27日、毎日新聞)
 中国浙江省の高速鉄道事故で、追突した側の高速列車が今月1日の大幅ダイヤ改正で北京南-福州間に投入されたばかりだったことが、25日の国営新華社の報道で分かった。ダイヤ改正は北京-上海間の高速鉄道(中国版新幹線)開業に合わせて実施。事故列車の運転士や運行管理の担当者らが新ダイヤに習熟していなかった可能性があり、追突事故の真相究明に向けたカギになりそうだ。
 北京-上海間の中国版新幹線は、今月1日の中国共産党創建90周年記念日に合わせて開業するため、急ピッチで各種作業が進められていた。このため、この区間を管轄する上海鉄路局の業務が急増していたとみられる。
 事故の調査チームは、運転士らが新ダイヤに十分慣れていたかや、人員の配置に問題がなかったかなどを調べている模様だ。
 新華社の取材に対し、鉄道関係者は「ダイヤ改正に伴って新規に投入された列車が、1カ月もたたないうちに事故を起こし、大変嘆かわしい」と話している。
 一方、新華社によると、今回の事故に絡んで、中国最高人民検察院(最高検)の責任者は27日、捜査員を現地に派遣したと述べた。鉄道当局の刑事責任を追及するとみられる。

◎「当社製品は安全上の問題なし」、納入企業が“責任なすりあい”(2011年7月27日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で23日発生した高速鉄道の追突脱線事故をめぐって、列車運行のための装置や信号を供給した国内メーカーが、「当社の製品に安全上の問題はなかった」などとする声明を相次いで発表、いわば“責任のなすりあい”を始めた。
 中国紙、第一財経日報が27日までに伝えた。それによると、事故現場を含む路線区間で信号システムを5億元(約60億円)で受注し納入した中国鉄路通信信号集団は、信号や分岐器を制御する列車集中制御装置(CTC)に関して「事故発生前、CTCセンターに異常信号は届いていない。(自動的に列車を減速・停止させる)自動列車防護装置(ATP)の側に問題があったのではないか」との見解を発表した。
 一方で、ATPを供給した北京和利時集団は「当社のATPは正常に作動しており、いかなる故障も発生していない。当局の事故調査結果発表後、さらに詳しい情報を開示する」との声明を発表した。このほか鉄道信号集中モニターシステムを供給した河南輝煌科技は「現段階で当社製品と事故は関係ないと判断している」とコメントした。
 中国鉄道省の王勇平報道官は「落雷が原因だ」などと、あたかも“天災”だったかのような発言をしているが、装置やシステムの不具合や故障、人為的なミスが原因となった可能性が高く、ネット上では「事故は人災だ」と当局を非難する声が強まっている。

◎早く賠償受け入れれば奨励金、中国列車事故、遺族反発も(2011年7月27日、朝日新聞)
 中国浙江省温州の高速鉄道事故で、鉄道省などは26日、犠牲者の遺族に賠償することを決め、一部が50万元(約625万円)で合意したと公表した。早期に賠償を受け入れた場合の「奨励金」を含んだ額だという。当局は事故直後に埋めた運転席部分の残骸を26日になって掘り起こすなどしたが、遺族が納得する事故原因は公表されておらず、ほかの遺族が奨励金を受け入れるかは不透明だ。
 23日夜の脱線事故で親族が犠牲になった遺族の男性が、火葬場で顔を真っ赤にして声をあららげた。
 「人が死んで、奨励金とは何事だ。商売の話をしているんじゃない」。遺族の一人が50万元の賠償金を受け取ると報じられたが、短期間のうちに政府の賠償案にサインすれば金額が加算されるとの表現だった。
 政府の賠償案に合意した林エン(エンは品の口がそれぞれ火)さんの遺族によると、政府側は「通常の鉄道事故だと賠償は15万元だが、今回は20万元を上乗せする」と説明。さらに列車保険の2万元や埋葬費などを加えた額に奨励金を上乗せして50万元を支給するとも言われた。50万元はカローラなどの乗用車3台分程度。遺族は「政府は時間と人員を節約し、遺族の問題を早期に解決しようとしているのだと思った」と話す。

◎埋めた運転席掘り返し、脱線車両、一転調査 隠滅批判で(2011年7月26日、朝日新聞)
 中国浙江省温州の高速鉄道事故で、中国政府の事故調査チームは、現場に残されていた事故車両を詳しく調べることを決め、26日朝までに搬出を始めた。また、現場近くの穴に投棄した運転席部分の残骸も掘り出した。事故処理を巡る批判を受け、当局が方針を転換した可能性がある。
 当局は23日夜の脱線事故の翌朝、高速で前の列車に激突した「和諧号」CRH2型車両の運転席を現場そばの野菜畑に掘った穴に捨て、重機のアームで破壊。脱線したほかの5両の一部も25日に破壊するなどして、現場に放置していた。
 運転席を埋めたことについて、鉄道省はこれまでに「作業現場の場所を確保するため」と説明。しかし、事故の原因となったとみられる列車の運転席を埋めたことから、インターネット上では「証拠隠滅だ」などと批判が噴出していた。

◎2カ月かけ全国で安全検査、中国鉄道省(2011年7月26日、産経新聞)
 26日付の中国紙、北京晩報などによると、中国鉄道省は浙江省温州市の高速鉄道事故を受け、今後2カ月間にわたり全国で安全検査を行うことを明らかにした。各地の鉄道当局が、列車の運行状況や制御系統などについて点検する。
 今回の事故では、列車の衝突回避に欠かせない制御系統に重大な問題があった可能性が高く、中国国内で鉄道の安全性への批判が高まっている。検査の実施で、中国政府の安全確保に向けた取り組みをアピールする狙いがあるとみられる。
 検査は事故翌日の24日の会議で決まった。

◎居眠り?ATC切る? 中国鉄道事故、人災疑う声(2011年7月26日、朝日新聞)
 なぜ、停車中の列車に後続列車が突っ込んだのか。中国高速鉄道の脱線落下事故で、中国当局は落雷による「天災」を強調しているが、管理や運行のミスによる「人災」を疑う声も高まっている。
 最大の謎は、ATC(自動列車制御装置)がなぜ作動しなかったのか。前方列車との間隔などの異常を察知し、自動的に車両を減速、停止させる仕組みだ。
 中国鉄道省は「落雷が故障を引き起こした」(王勇平報道官)と強調するが、国内外の専門家は「鉄道には避雷装置があり、雷を逃がす仕組みになっている」(香港理工大学の盧覚強教官)と首をひねる。避雷装置が機能しなければ「中国は平原を走る路線が多く、落雷の危険は常にある。システムを改善しないと同様の事故が起こる」(盧教官)という。
 日本では、ATCが故障すれば一帯の列車はすべて止まる。日本政府の高官からは「ATCを切って手動で走っていたのではないか」との見方すら出る。
 当日のダイヤの乱れが注目されている。時刻表だと、追突したD301号が温州南駅に到着するのは追突されたD3115号より15分早い予定で、本来は前を走るはずだったとみられる。遅れを取り戻すため、通常と異なる運行を迫られていた可能性がある。
 乗客の証言で、D301号は減速しないまま突っ込んだ疑いが強まっている。信号が故障していたにしても、異常を察知できなかったのか。香港メディアからは「運転手は居眠りをしていたのではないか」(明報)との声さえ出始めた。

◎高速鉄道また止まる、北京-上海間、電力設備が故障(2011年7月26日、朝日新聞)
 北京と上海を結ぶ高速鉄道の安徽省定遠駅付近で25日午後5時半ごろ、列車に電力を供給する設備が突然故障し、緊急停止した。20本余りの列車に3時間余りの遅れが出た。乗客にけがはない。上海鉄路局によると、現場付近は当時、暴風雨で、電力供給設備の部品の一部が外れ、停電してしまったという。
 中国各紙が26日、伝えた。浙江省温州市での大事故の直後だけに、高速鉄道の安全性を問う声が高まっている。鉄道省は9月末まで特別に安全検査を実施する。
 冷房が切れた車内に閉じこめられた乗客の不満が爆発。上海駅などでは地下鉄の夜間運行やバスやタクシーを手配して対応したという。

◎中国鉄道事故、死者39人に、1日半で再開、不安の声も(2011年7月25日、朝日新聞)
 中国高速鉄道の追突・脱線事故は、不通になっていた浙江省温州南-永嘉区間で25日午前、運転が再開した。事故から1日半、詳細な事故原因がわからない段階での再開に、中には不安の声も聞かれた。
 国営新華社通信によると、死者は39人となった。高架上の壁に車両が衝突した場所は、コンクリートが崩れたまま。高架下には、脱線したうち5両の残骸が放置されている。
 25日午前7時ごろ、事故後初めて、現場を高速鉄道「和諧号」が通過した。地元の男性住民によると、「人が歩くような速度だった」という。午前9時半には国営新華社通信も「ほぼ平常通りに戻った」と回復宣言をした。
 温州南駅から高速鉄道でアモイに行く男性は「脱線事故の原因は落雷。ニュースで見た」。浙江省杭州へ行く女性は「運行再開は政府が安全と判断したということ」。多くは政府発表を信用しているようだった。

◎中国のメーカー「事故原因は車両と無関係」、株価は急落(2011年7月25日、朝日新聞)
 中国浙江省温州市の高速鉄道事故で追突・脱線した双方の車両を製造した「南車集団」の広報担当幹部は25日、朝日新聞の取材に対して「事故の原因は、車体とは何も関係ない」との見方を示した。
 国際的な特許申請のゆくえについても「(対象は)最新世代の車両で、事故とは全く関係ない」と事故の影響を否定した。
 ただ、市場には事故の影響を懸念する見方もある。香港株式市場で中国南車の株価は25日、先週末と比べて10%あまり下がった。
 今回の事故で、追突した列車は、東北新幹線はやての技術を導入したCRH2型。前の列車はカナダとの合弁で生産するCRH1型で、いずれも南車集団の子会社が生産した。
 一方、特許を申請中で、北京―上海間などに投入された「CRH380A」型は各国から購入した技術をベースに独自開発したという。この幹部は「我々は技術に自信がある。事故の(特許申請への)影響は全くない」と話した。

◎脱線車両の運転席、重機で砕いて穴に、中国(2011年7月25日、朝日新聞)
 中国浙江省温州市で23日夜、追突・脱線事故を起こした北京南発・福建省福州行き高速鉄道の運転席は翌朝すぐ、横の野菜畑に掘られた穴に捨てられた。作業員は重機のアームを何度も振り落とし、計器が入った運転席を細かく粉砕した。
 先頭車両の運転席部分の撤去は、高架橋から落下して損傷した車両の中で最も早く始まった。重機数台がアームで車体を転がしながら穴に投棄。運転席の内部を細かく検証する様子は見られなかった。

◎中国高速鉄道が再開、事故から1日半、残骸見下ろし走行(2011年7月25日、朝日新聞)
 23日夜に起きた中国高速鉄道の追突・脱線事故の影響で不通になっていた浙江省温州南―永嘉区間が25日午前9時半(日本時間午前10時半)、運転を再開した。事故から1日半しかたっておらず、当局から詳細な事故原因も発表されないなかで、乗客を乗せて走り出した。
 温州南駅の関係者は「ダイヤの一部は運休しているが、今日の午前9時半に事故後初めて高速鉄道の運行を再開した」と語った。同駅で高速鉄道の切符を買った男性は「脱線事故の原因は落雷、とニュースで見たから乗ろうと思った。後続車がなぜ追突したかは知らないが、中国ではすべて公表されないので仕方ない」と話した。

◎事故車両の運転席、当局が現場の穴に埋める、中国脱線(2011年7月25日、朝日新聞)
 中国浙江省で23日夜に起きた高速鉄道の追突・脱線事故から一夜明けた24日早朝、中国当局は、追突したとみられる車両の運転席部分を、現場に掘った穴に埋めてしまった。事故から約半日後の24日午前4時半過ぎ、現場に入った記者が一部始終を目撃した。
 夜明け前。現場では、落下した1両の車体が、一部は地面に突き刺さり、高架に寄りかかるように立っていた。わきの地面の上では、追突した後続列車とみられる先頭車両が、真っ二つになっていた。切断部分は鉄板や部品がめくれ、後ろ半分は原形をとどめていなかった。
 空が明るくなり始めた午前6時ごろ、7台のショベルカーがすぐ横の野菜畑に穴を掘り始めた。深さ4~5メートル、幅も約20メートルと大きい。午前7時半過ぎ、ショベルカーがアームを振り下ろし、大破した先頭車両を砕き始めた。計器が詰まっている運転席も壊した。そして残骸を、廃棄物のように穴の中に押しやってしまった。

◎中国高速鉄道:事故の独自報道の自粛通知、中国共産党(2011年7月25日、毎日新聞)
 中国のメディア関係者は25日、高速鉄道の列車追突事故について、中国共産党中央宣伝部が独自報道を控えるように国内メディアに通知したことを明らかにした。通知では、国営新華社通信の記事を使うよう求めている。高速鉄道について「安全対策は万全」と宣伝してきた当局の責任を問う声を封じ込める狙いがあるとみられる。
 一方、新華社通信は24日夜、死者35人に加えて新たに8人の遺体が見つかったとする記事(英語版)を配信したが、鉄道省の王勇平報道官がその直後の記者会見で「私が把握している情報は35人だ」と述べ、報道内容を事実上否定した。負傷者も211人と報じられたが、192人と説明した。

◎中国高速鉄道:ブラックボックス回収も事故車両を埋める(2011年7月25日、毎日新聞)
 中国浙江省温州市で23日に起きた高速鉄道の追突事故で、鉄道省の王勇平報道官は事故発生から丸1日が過ぎた24日深夜、現地で初めて記者会見し、追突した列車から運行記録装置(ブラックボックス)を回収したことを明らかにし、「状況が判明すれば直ちに公表する」と明言した。追突した列車の運転士(死亡)と運行管理センターとのやりとりなど、事故の人的要因の有無も大きな焦点になりそうだ。
 一方、事故現場では24日午前、追突して高架橋から落下した先頭車両が重機で粉々に砕かれ、土中に埋められた。計器類などがある運転室も埋められたため、インターネット上では「証拠隠滅ではないのか」との批判が高まっており、事故原因の情報開示がどこまで進むかも焦点に浮上している。
 事故は浙江省杭州発福建省福州南行きのD3115列車が停止し、後続の北京南発福州行きのD301列車が追突。報道官は国営新華社通信などの取材に「落雷による設備故障が原因」と語ったが、会見では「具体的な原因は調査中」と述べるにとどめた。
 一方、25日付の中国紙「新京報」は追突原因について、落雷で衝突回避システムがダウンしたとの見方のほか、先行列車の運転士が停止情報を運行管理センターに送っていなかった▽運行管理センターから追突した列車に適切な停止指示が出ていなかった▽追突した列車の運転士が危険情報の通報システムのスイッチを切っていた--といった人災の可能性を指摘。
 当局はブラックボックスの解析を通じて事故直前の運転士の対応や、事故前の信号機確認の状況、運行管理センターとのやりとりを検証するとみられる。
 一方、追突した先頭車両が土中に埋められたことに対して、王報道官は会見で「地面がぬかるんでおり、機械を現場に入れるための危険回避の措置だ」と反論。ただ、検証作業は24日に行われておらず、当局はむしろ運行再開を急ぐ方針を明らかにした。
 車両の埋設は、「発展の象徴」である高速鉄道のイメージダウンを最小限にとどめたい中国指導部の意向が反映されている可能性もある。
 一方、新華社通信によると、事故が起きた区間(寧波-温州南)で25日午前、運転が再開された。事故からわずか1日半での運転再開は大きな議論を呼びそうだ。

◎鉄道省と新華社が死者数“食い違い” 事故原因より撤去作業優先(2011年7月25日、産経新聞)
 中国浙江省の温州で23日夜に起きた高速鉄道追突事故の死傷者数をめぐり、国営新華社通信の報道と鉄道省の見解が食い違う異例の事態となり“情報の錯綜”が続いている。
 新華社通信は24日午前に死者数35人、うち外国人2人と伝えたが、中国中央テレビは同日夕方に34人に修正した。一方、新華社は同日夜、「新たに8人の遺体がみつかった」と速報。死者数を43人に増やした。
 ところが同日深夜、鉄道省の王勇平報道官が温州で行った記者会見で、「私が把握している死者数は35人という数字だけ」と述べて新華社の報道を否定。死者に外国人2人が含まれているとの新華社の報道内容については「知らなかった」と発言。地元記者が反発する場面もあった。
 負傷者数をめぐっても同報道官は192人と発表。新華社が伝えていた210人以上という数字を否定した。だが2本の列車に合わせて1400人前後が乗っていた中での大惨事であり、浙江衛星テレビは25日未明、「(発表された死傷者以外に)行方不明者が、まだ多数いるもようだ」と、疑念を呈した。
 大破した車両は24日、事故原因の調査も進まぬうちに、重機で切断するなど撤去作業が優先された。現場で陣頭指揮に当たっていた盛光祖鉄道相は記者団に対し「(24日)夕方までに運転を再開させる」と話しており、大破した車両の撤去を急がせた可能性もある。
 一方、王報道官は同日深夜の会見で、事故車両の一部を付近の農地に重機で穴を掘って埋めたことを認めた。救助作業を円滑に進めるためだった、としているが、ずさんな対応を疑問視する声もある。

◎「死傷者が少なすぎる」「鉄道相を更迭せよ」ネット世論が沸騰(2011年7月25日、産経新聞)
 中国浙江省温州で23日に起きた高速鉄道の列車追突事故に対し、中国のインターネット上では安全性より建設のスピードを重視した問題や、汚職がからむ手抜き工事などへの疑惑から「人災だ」と指摘する声が相次いでいる。鉄道省ではこれまで「高速鉄道の安全は全く問題ない」(何華武技術主任)としてきたが、重大事故の発生でネット世論は沸騰し始めた。
 ネット上では「人災を落雷のせいにするな」「現場のひどさに対し発表された死傷者数が少なすぎる」などと鉄道当局を批判する言葉が渦巻いている。「業績を急いだ指導者が最大の事故責任者だ」「鉄道相らを即刻更迭せよ」と当局者の責任を問う声も大きくなってきた。
 24日深夜に温州で記者会見した鉄道省報道官は「落雷による設備故障」が原因と改めて強調したが、ネット上では、「運転士や運行管理センターは何をしていたのか」「設計自体に問題があったのではないか」との疑問も広がっている。
 6月30日に開業した北京-上海間の高速鉄道専用軌道線(中国版新幹線)では連日のように故障や不具合が発生。「中国共産党結成90周年の記念日(今年7月1日)に間に合わせようと開業を急ぎ、走行試験を怠ったのではないか」との疑惑も浮上していたが、鉄道省報道官は「日本の新幹線もよく故障する」などと強弁を繰り返していた。
 ただ、最近は一部路線の手抜き工事も発覚。今年2月には劉志軍前鉄道相が工事をめぐる汚職事件で更迭された。後任の盛光祖鉄道省は安全対策などを理由に、一部路線の最高営業時速を従来の350キロから300キロに引き下げたが、同省元幹部は中国紙に対し「前鉄道相が世界一にこだわって、安全性を犠牲にしていた」と暴露して波紋を広げた。
 中国は日本の新幹線「はやて」をベースに開発した高速鉄道技術の国際特許を米国などで申請。国際特許紛争になる懸念も指摘されている。中国鉄道省は「独自開発で最高速度を大幅に引き上げた」と主張するものの、日本メーカーの関係者は「モーター出力を増やして速度を上げただけで安全上は問題だ」として、重大な事故を引き起こす恐れがあると指摘していた。
 中国では定員オーバーの長距離バスが炎上し、乗客ら41人が死亡する事故が発生したばかり。手抜き工事が原因とされる橋梁の崩落や道路の陥没事故なども相次いだ。国民の間からは貧富の格差だけでなく、交通や生活の安全面でも胡錦濤指導部が掲げてきた「調和の取れた社会」に対する疑念が強まり、ネット上で不満が充満しているようだ。

◎独自報道認めず、当局、責任問う声封じ込め狙う?(2011年7月25日、産経新聞)
 中国のメディア関係者は25日までに、浙江省温州市で起きた高速鉄道の列車追突事故について、中国共産党中央宣伝部が国内メディアに対して独自報道をしないよう求める通知を出したことを明らかにした。鉄道省報道官は24日深夜、死者は43人ではなく35人として国営通信新華社の報道を事実上修正。当局が情報管理や世論の動向に神経をとがらせていることをうかがわせた。
 関係者によると、通知を受け取ったのは事故翌日の24日午前。事故の報道は新華社の配信記事を使用し、独自取材に基づく報道をしないよう要求している。事故に対する当局の責任を問う声を封じ込める狙いがあるとみられる。新華社は24日夜、救助隊が新たに8遺体を発見したと報道。確認されていた死者35人と合わせ計43人となったが、鉄道省報道官は同日深夜の記者会見で、死者は35人と言明、負傷者も211人から192人に修正された。

◎3つのナゾ、広がる、行きつくのは“人災”の疑念(2011年7月25日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で23日に起きた高速鉄道列車の事故は、死傷者が200人を超える惨事となった。いくつかの原因が絡み合った複合事故だった可能性が高い。これまでに浮上している3つの謎を追った。

・落雷説への不信
 鉄道省によると、今回の事故は、先行していた列車が落雷で停止したのが発端とされている。
 中国工程院の高速鉄道専門家は「高速鉄道には避雷装置が装着されているが、(落雷の)確率を下げるだけで、停電を百パーセント回避することはできない」と弁明。日本の新幹線でも落雷で送電が止まり、列車が停止した事例はある。
 しかし、上海と北京を結ぶ高速鉄道では、開業から間もない7月10日にも落雷を原因とするトラブルが発生。その後も送電系統の不具合が相次いだ。中国のインターネット上では「落雷が事故を引き起こすならば、すべての列車が停電する」「設計の問題では?」などと、“落雷説”に対する疑念が広がっている。

・制御装置作動せず
 本来、列車が緊急停止した場合は、衝突防止の自動制御システムが作動し、衝突を回避できるはず。1時間に最大20本の列車が走る過密ダイヤでも、「前後の列車は安全な距離を保つことが保証されている」(鉄道当局者)との触れ込みだった。
 今回の事故で、中国が独自開発したという自慢の「先進的な制御装置」(同)に重大な問題があった可能性が浮上、今後の調査の重要なポイントとなる。
 当局は「落雷」による故障の可能性を示しているが、(1)制御センターが先行する列車の停止を把握していなかった(2)後続の列車への連絡を怠っていた-などの他の要因も重なった可能性も指摘されている。

・追い越された列車
 最大のナゾは、時刻表上は先に温州を通過していなければならないはずの列車が追突した点だ。自動車の追い越し運転や割り込みが目に余る中国とはいえ、鉄路上に“追い越し車線”があるはずもない。
 中国では各地の鉄道管理当局の管轄地域が複雑に入り組んでいる。運行ダイヤに乱れが生じながら、情報が共有されていなかったとすれば、あまりにもずさんだ。“国産”とうたう新幹線の実態は、日本や欧州、カナダから導入した車両や地上設備、運行管理システムの寄せ集めで、系統だった運用の可否が懸念されていた。

・膨らむ“人災”の声
 3つのナゾすべてについて、行きつくのは“人災”を疑う声だ。
 中国では業績を求める指導者の号令で急速に高速鉄道網を拡大。現場の教育が追いついていないとの指摘があった。最高責任者だった劉志軍前鉄道相が収賄の疑いで解任されるなど高速鉄道は汚職の温床でもある。四川大地震で倒壊した校舎と同様、中間搾取によって、安全基準に満たない材料を使うなどの手抜き工事が行われた可能性も捨てきれない。

◎死者43人に負傷者は190人以上、鉄道局長ら幹部3人更迭(2011年7月25日、産経新聞)
 中国浙江省温州市で23日夜に起きた高速鉄道列車の追突脱線事故で、死者が24日夜までに43人に増えた。国営新華社通信が報じた。負傷者は190人以上。鉄道省は同日、上海鉄道局の竜京局長ら幹部3人を更迭した。
 事故原因としては、列車衝突防止システムの作動不良や、運行指令の連絡態勢の問題などが指摘されている。中国が誇る高速鉄道の安全性への信頼を失墜させる事態で、胡錦濤国家主席は張徳江副首相を現場に派遣、鉄道省などに対し事故原因の徹底究明を指示した。
 上海の日本総領事館によると、死者に日本人は含まれていない。新華社によると、鉄道省は24日、事故について「落雷による設備故障が原因だった」との見解を示した。
 この事故は、浙江省杭州から福建省福州に向かっていた「D3115」(乗客約900人)が何らかの理由で急停車したところに、北京発で福州行きの列車「D301」(乗客約500人)が追突。D301の車両4両が約20メートルの高架橋から落下した。
 追突したD301は、6月30日に開業した北京-上海間の高速鉄道(中国版新幹線)を経由、さらに南下する路線を走っていた。D301は日本からの技術供与で中国で製造された「和諧(わかい)号」。時刻表によると、追突したD301がD3115よりも先に現場を通過するダイヤだった。

◎「技術は先進的」「なお自信持っている」鉄道省報道官が強調(2011年7月25日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国浙江省で起きた高速鉄道事故で中国鉄道省の王勇平報道官は24日、現地で記者会見し、犠牲者に「哀悼の意を表する」と述べる一方で、「中国の高速鉄道技術は先進的だ」と強調した。
 報道官は「われわれはなお高速鉄道に自信を持っている」とも発言。大惨事をもたらしながら、技術力を誇示する姿勢に批判が集まりそうだ。

◎鉄道事故に絡めた政権批判、ネットから次々削除(2011年7月25日、読売新聞)
 「高速鉄道の無軌道な大躍進に伴う弊害や鉄道の管理系統の不備が表面化した」
 中国のインターネットでは24日、高速鉄道の計画を急速に進めた鉄道省に非難が殺到。特に、汚職事件で今年2月に解任された劉志軍・前鉄道相に対しては、「今回の事故を招いた張本人だ」と攻撃が集中した。
 胡政権は、功績を誇示するための高速鉄道が、事故をきっかけに体制批判に結び付くことを強く警戒している。実際、事故に絡め政権を批判する意見がネット上から次々に削除された。
 国営メディアは、陣頭指揮に当たる張徳江副首相が病院で負傷者を見舞う様子を伝え、政権の素早い対応を盛んに宣伝している。

◎国威優先、安全性軽視のツケ、中国高速鉄道事故(2011年7月25日、読売新聞)
 中国で起きた高速鉄道事故は、成長至上主義の経済路線同様に、安全性を軽視して拡大する鉄道計画のひずみを露呈した。
 胡錦濤政権は、北京五輪や上海万博のイベント会場などとともに、高速鉄道など大規模インフラ建設を国威発揚のため政治利用してきたが、安全性を十分に重視しなければ、世界第2位の経済大国も実質を伴わない姿になるのは避けられない。

・もうこりごり
 顔が赤黒く腫れ上がり、全身が傷だらけの女性(26)は落下した車両に乗っていた。北京出張の帰り、友人と話していた時、突然大きな衝撃を受け、意識がなくなった。だれかが自分を車両から引っぱり出そうとしていることが何となくわかった。次に気がつくと病院にいた。ベッドに横たわった女性は、腫れ上がった唇で弱々しく、「全身が痛い」と訴えた。
 官製メディアを動員する政権の宣伝の効果もあり、大半の乗客にとっても高速鉄道に乗ることは、「経済大国」を実感する機会だ。だが、多数の死傷者を出す大惨事に遭い、病院に運ばれてくる負傷者や付き添いの家族は不信感を隠さない。
 「なぜ、こんなことになったのか」「高速鉄道は安全で安くて速い。そう思っていたのに」などと、高速鉄道の安全性について口々に疑問を呈し、「もう高速列車はこりごり」と憤まんやるかたない様子で話す負傷者もいた。

◎中国鉄道事故死者35人に、「落雷で設備故障」(2011年7月25日、読売新聞)
 中国東部・浙江省温州で23日夜発生した高速鉄道の衝突、脱線事故で、鉄道省の王勇平報道官は24日深夜、当地で記者会見し、死者が35人、負傷者が192人になったことを明らかにした。
 負傷者のうち132人が入院中だという。上海の日本総領事館によると、死傷者に日本人が含まれているとの情報はない。また、当局は同日、大破した車両を高架から下に落とす方法で撤去作業を行った。原因調査に伴う車体の検証に影響しかねないとの懸念もあり、中国のインターネット上では「現場検証も十分行わずに、証拠隠滅をするのか」などの批判も出ている。
 新華社電などによると、事故は、北京発福建省福州行きの高速鉄道列車D301号(16両編成)が、付近での落雷のため高架上で停車していた浙江省杭州発福州行きの高速鉄道列車D3115号(16両編成)に追突、301号の先頭4車両が脱線し、約25メートル下の地面に落下した。事故を起こした列車の車両は川崎重工業の技術供与で製造された「CRH2」型とカナダのボンバルディア社による「CRH1」型。
 鉄道省は、事故原因について「落雷による設備故障」とのみ公表し、詳細は「調査中」としている。ただ、大手車両メーカー「中国南車」幹部は読売新聞に対し、「いずれの車両も技術的にかなり完成度が高い」として車両故障の可能性を否定。信号システムに問題があって停止命令が後続の列車に伝わらず、追突に至った可能性を指摘した。

◎車両から血まみれの乗客が、中国鉄道事故(2011年7月25日、読売新聞)
 「ドンと大きな音がして突然列車が激しく揺れ、車内が真っ暗になった。手すりやイスにつかまったが、何が何だか分からなかった」。
 落下したD301号の車両に乗っていた福建省の女性(62)は、搬送先の病院でベッドに横たわったまま、恐怖の瞬間を振り返った。
 雷雨の夜、停車中に追突されたD3115号の後ろから2両目に娘(5)と乗っていた女性(37)は、激しい衝撃で前後に体が揺さぶられ頭を強く打った。
 報道では、追突の衝撃で火花が上がったという。
 「いきなり列車が落ちてきたんだ!」――追突を目撃した近所の男性(58)は興奮気味に語った。
 「高架に列車が止まっているからおかしいと思って見ていたら、ガチャン、ガチャンと大きな音がした」と言う。暗闇の畑に、301号の先頭3両が転がり、その上に突き刺さるように高架から1両がずり落ちた。追突された3115号の後部車両は原形をとどめないほどにつぶれていた。
 土砂降りの中、大きな衝突音を聞きつけた住民たちが集まり、泥まみれのまま、落下した車両の割れた窓などから車内に入った。血まみれの乗客が続々と助け出される。動けなくなった40歳前後の男性をおぶって救急車に運び込む住民もいたという。

◎証拠隠滅?中国鉄道事故落下車両を土に埋める(2011年7月25日、読売新聞)
 中国浙江省温州で起きた高速鉄道の衝突、脱線事故で、新華社電は25日、復旧作業が終わり、列車の運行が再開したと伝えた。
 現場では、高架から落下した車両が、地面に掘った穴に埋められ、検証作業を後回しにする当局の姿勢が鮮明になっている。ネット上などでは「証拠隠滅」との批判が一段と強まっている。
 追突して落下した先頭車両の脇では24日早朝、数台のショベルカーが地面に巨大な穴を掘った。穴は幅15メートル、深さ5メートルほどだ。
 作業を目撃した地元住民は読売新聞に対し、「先頭車両は粉々に砕かれ、穴に埋められた」と証言した。同日午後、現場では、穴に土砂がかけられ、残骸の一部だけが露出していた。
 ほかの落下車両の周辺でも穴が掘られ、25日には朝からショベルカーが車体を砕き始めた。

◎事故車両の運転席、当局が現場の穴に埋める、中国脱線(2011年7月25日、毎日新聞)
 中国浙江省で23日夜に起きた高速鉄道の追突・脱線事故から一夜明けた24日早朝、中国当局は、追突したとみられる車両の運転席部分を、現場に掘った穴に埋めてしまった。事故から約半日後の24日午前4時半過ぎ、現場に入った記者が一部始終を目撃した。
 夜明け前。現場では、落下した1両の車体が、一部は地面に突き刺さり、高架に寄りかかるように立っていた。わきの地面の上では、追突した後続列車とみられる先頭車両が、真っ二つになっていた。切断部分は鉄板や部品がめくれ、後ろ半分は原形をとどめていなかった。
 空が明るくなり始めた午前6時ごろ、7台のショベルカーがすぐ横の野菜畑に穴を掘り始めた。深さ4~5メートル、幅も約20メートルと大きい。午前7時半過ぎ、ショベルカーがアームを振り下ろし、大破した先頭車両を砕き始めた。計器が詰まっている運転席も壊した。そして残骸を、廃棄物のように穴の中に押しやってしまった。

◎脱線車両運転席、畑の穴で粉々に、中国、一夜明けすぐ(2011年7月25日、毎日新聞)
 中国浙江省温州市で23日夜、追突・脱線事故を起こした北京南発・福建省福州行き高速鉄道の運転席は翌朝すぐ、横の野菜畑に掘られた穴に捨てられた。作業員は重機のアームを何度も振り落とし、計器が入った運転席を細かく粉砕した。
 先頭車両の運転席部分の撤去は、高架橋から落下して損傷した車両の中で最も早く始まった。重機数台がアームで車体を転がしながら穴に投棄。運転席の内部を細かく検証する様子は見られなかった。

◎「落雷でシステム停止?」、中国脱線事故、関係者が指摘(2011年7月25日、毎日新聞)
 追突事故はなぜ起きたのか。新幹線の運転経験があるJR関係者は「日本では新幹線の追突は考えられない」と言う。
 日本の新幹線では、自動列車制御装置(ATC)で間隔を調整し、列車同士を一定以上に近づかせない。列車が立ち往生すると後続列車はブレーキがかかる。中国でも仕組みは日本とほぼ同じだ。
 別のJR関係者は「落雷でシステムが停止し、先行列車の状態が運転指令や後続列車に伝わらなかった可能性がある」と指摘する。

◎中国の脱線事故、35人死亡、共産党政権に衝撃(2011年7月25日、毎日新聞)
 中国浙江省温州市で23日夜におきた高速鉄道の追突・脱線事故は、高架から転落した4車両の乗客を含む35人が死亡、けが人は192人に達した。中国鉄道省は事故の原因を「落雷による設備故障」と説明するにとどめているが、緊急停止の安全制御システムや信号、連絡体制などに問題があった可能性がある。
 鉄道省の王勇平報道官が24日夜、会見した。事故は午後8時38分(日本時間午後9時38分)に発生。落雷による停電で緊急停車していた浙江省杭州発福建省福州行き高速鉄道D3115号に北京南発・福州行きD301号が追突した。双方の列車とも16両編成で、合計6両が脱線、うち追突した4両が高架橋から落下した。乗客は合計千数百人とみられ、死傷者数もまだ混乱している。外国人2人が亡くなったが、在上海日本総領事館によると、死傷者に日本人はいない。
 国家の威信をかけて建設し、最高速度や営業距離で世界一を誇る高速鉄道で多数の死傷者が出たことは、共産党政権に衝撃を与えている。胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は24日、調査と被害者の慰問のため、張徳江副首相を現地に派遣。上海鉄路局長ら3人の幹部を免職した。

◎中国高速鉄道:中国当局に衝撃、「新幹線」に不安も(2011年7月24日、毎日新聞)
 脱線した高速列車の一部車両は高架橋に引っかかったまま直立し、うち2両が落下して地面に直撃した。中国浙江省で23日起きた事故は、これまで鉄道の安全性を強調してきた中国当局に大きな衝撃を与えた。開業したばかりの高速鉄道・北京-上海間(中国版新幹線)でもトラブルが相次いでおり、不安の声が高まるのは必至だ。
 中国中央テレビ(CC)などによると、事故当時、車内はパニック状態に陥り、乗客の一部は脱線の衝撃で車外に投げ出さTVれた。車両が陸橋にぶら下がる危うい状況の中、駆けつけた救急隊員が乗客の救出活動に追われていた。
 平均時速が50キロ未満だった中国の鉄道は、97年に高速度化に着手。07年には在来線で時速200キロを超す高速列車を本格導入するとともに、並行して「高速鉄道」(中国版新幹線)の建設も主要都市間で進められた。
 今回事故のあった路線は今年6月末に開業した北京-上海間のような「高速鉄道」とは異なり、在来線を利用して高速鉄道と同じ「和諧号」と呼ばれる、時速200キロ以上で走行可能な別タイプの列車を走らせていた。
 いずれも車両は白地に青いラインを基調とし、胡錦濤国家主席が提唱する「和諧(調和)社会」にちなんで「和諧号」と名づけられた。
 ただ、北京-上海間ではトラブルが相次ぎ、工事の過程では鉄筋の強度不足の疑いも浮上。構造に見合った速度設定がなされているのか疑問視する意見も出ていた。10日には山東省で雷雨のため架線が故障、12日にも安徽省で電力供給設備が故障して緊急停止した。
 また、元鉄道省幹部が地元紙に対し、技術的な裏付けのないまま「世界一」にこだわり、最高時速を時速350キロに設定したと証言。開業直前になって300キロに下方修正された経緯もあった。

◎中国高速鉄道:35人死亡、210人けが、制御装置問題か(2011年7月24日、毎日新聞)
 中国浙江省温州市で23日夜、高速鉄道の列車が別の高速列車に追突して双方の車両が脱線、一部車両が高架橋から転落した事故で、中国国営通信の新華社は24日午前、死者は35人、負傷者は210人に上ったと伝えた。死者のうち2人は外国人としているが、上海の日本総領事館が浙江省政府から得た情報によると、死者の中に日本人はいない。
 「中国版新幹線」ともいわれ、中国政府が急速に拡大している高速鉄道で起きた最悪の事故で、中国高速鉄道の安全性への信頼が失墜する事態となった。中国メディアによると、事態を重視した胡錦濤国家主席や温家宝首相ら国家指導者は鉄道省など政府機関に対し、事故原因の徹底究明を指示、張徳江副首相を現地に派遣した。
 日本総領事館が引き続き日本人の負傷者の有無などを調べている。
 中国の高速鉄道は、日本の新幹線と同様の専用軌道のほか、在来線に乗り入れる線区があるが、地元政府当局者によると、事故があったのは専用軌道区間という。高速鉄道の列車が追突する異例の事故により、列車衝突回避に欠かせない制御装置に重大な問題があった可能性も出てきた。
 中国メディアによると、浙江省杭州から福建省福州に向かっていた列車が落雷による停電で停車したところに北京から福州に向かっていた列車が追突、うち1両が地面からほぼ垂直に高架橋にもたれかかるような形で止まった。高架橋から転落したのはこの1両を含め計4両だったことが分かった。
 ただ、インターネット上の書き込みでは、停車の原因を落雷とすることを疑問視する見方も出ている。
 中国中央テレビは24日未明、懸命の救出活動が続く現場の様子などを伝えた。献血の呼び掛けに多数の地元住民が応じているとし、負傷者の治療で病院が血液不足に陥っている実態を伝えた。

◎「もう乗らない」中国の誇り、無残な姿をさらし(2011年7月24日、産経新聞)
 「もう乗らない」。中国浙江省温州市の高速鉄道事故から一夜明けた24日。現場周辺の病院では重傷患者の治療が続き、一命を取り留めた乗客たちは、事故当時の状況を痛々しい表情で語った。現場では中国が誇る高速鉄道車両が無残な姿をさらし、急ピッチで撤去作業が進んだ。
 午前6時すぎ、現場では脱線した車両が地面に突き刺さるように立ったままになっていた。地面に落ちた車両も横倒しになり、窓が割れ、泥まみれだ。
 現場から車で10分ほどの病院には50人余りのけが人が搬送され、ロビーにもベッドを並べて医師らが治療に当たっていた。追突された列車に乗っていた孫銀華さん(36)は「列車が停車中に後ろから大きな衝撃を受け、照明が消えた。娘が飛ばされ、いなくなったので必死に捜した」と疲れ切った表情だった。

◎「人災を天災にするな」「指導者が最大の責任者」国民の不満噴き出す(2011年7月24日、産経新聞)
 「人災を天災のせいにするな」「業績を急いだ指導者が最大の事故責任者だ」。中国・温州市で起きた高速鉄道の列車追突事故を受け、中国のインターネット上では当局を批判する書き込みが相次いでいる。多発する重大事故の背景には、経済優先で安全確保が軽視され続けていることが背景にあり、国民の不満が一気に噴き出したようだ。
 中国政府は北京-上海間を頂点とする高速鉄道網の整備を急ピッチで進め、世界第2の経済大国の象徴として技術力をアピール。しかし、今回の事故でネット上では「高速鉄道をボイコットしろ」「安全第一。これからは鈍行列車に乗る」との書き込みも出ている。
 新華社電によると、鉄道省報道官は「落雷による設備故障」が事故原因と指摘。しかし、「設計自体に問題があったのではないか」との疑問が広がっている。

◎原因は「落雷による設備故障」中国鉄道省、専門家からは疑問も(2011年7月24日、産経新聞)
 新華社電によると、中国鉄道省の王勇平報道官は24日、浙江省温州市で起きた高速鉄道事故について「落雷による設備故障」が原因だったとの見解を示し、鉄道当局が詳しい調査をしていることを明らかにした。
 一方、中国メディアによると、鉄道専門家からは「落雷による停車」が原因との見方に疑問も出ているという。

◎安全面に不安、輸出に影響か、中国高速鉄道事故(2011年7月24日、読売新聞)
 中国浙江省で23日起きた高速鉄道路線での事故は、かねてささやかれていた安全面での不安を現実のものにした。
 事故原因はまだ不明だが、急ピッチで進めている整備計画や海外進出にも影響が出る可能性がある。
 中国の高速鉄道網は、2007年に初めて運行されて以来、10年末で営業距離が8000キロ・メートル超に急激に延びてきた。20年には1万6000キロ・メートル以上に延びる予定だ。
 国内だけでなく、中国鉄道省は海外での高速鉄道建設にも積極的で、すでにトルコで路線建設工事に国有企業が参画している。さらに、川崎重工業から技術供与を受けた国有の車両製造大手「中国南車」が、日本や米国などで車両の台車や先端部分など計21件の特許手続きを進めている。

◎死亡35人、負傷210人以上、中国の新幹線脱線事故(2011年7月24日、朝日新聞)
 中国国営新華社通信によると、浙江省温州付近で23日夜に起きた高速鉄道の脱線事故で、35人が死亡し、210人以上が負傷した。救助隊による乗客の救出作業が続いている。
 事故は、23日午後8時50分(日本時間同9時50分)ごろ発生。雷の影響で停止した高速鉄道の列車に、後続の列車が衝突したとみられている。一部の車両が脱線し、高架橋から川に転落した。

◎「メンツプロジェクト」、脱線で胡指導部に痛手(2011年7月24日、朝日新聞)
 中国共産党・政府内で「面子工程(メンツプロジェクト)」と呼ばれていた高速鉄道が脱線し、多数の死傷者を出す事故を起こした。党創設90周年にあわせて首都・北京と最大の経済都市・上海を結ぶ路線を開通させてから1カ月足らず。国威発揚を狙い、諸外国では「中国独自の技術」を主張して特許申請の動きも見せていた。ネット上では事故発生直後から市民による批判の書き込みがあふれている。胡錦濤(フー・チンタオ)指導部には、大きな痛手となった。
 白地に青色のラインをまとった中国の高速鉄道の車両は、胡主席の政治スローガン「和諧(調和)」を称する。脱線し、転落した車体に記された「和諧」の2文字はゆがんでいた。
 中国政府は高速鉄道について、日欧などから購入した技術を「消化し、独自に開発した」との立場だ。国産化比率も「9割を超えた」と説明。欧米や日本、ロシアなどで、国際的な特許申請の手続きも進めている。中国鉄道省の王勇平報道官は「我々の技術はすでに日本の新幹線をはるかに超えた」と述べるなど、技術に自信を見せていた。
 2005年に始まった高速鉄道の整備事業は、08年の国際金融危機を受けた景気対策としての政策的な後押しもあり加速度的に進んだ。同年に北京―天津間が開業して以降、広州―武漢、鄭州―西安など相次いで開業し、その距離はわずか5年で7500キロを超えた。20年には営業距離を1万6千キロまで延ばすという壮大な計画を描く。
 速度の「世界一」にもこだわった。6月に開業した北京―上海間の高速鉄道では、試験走行で時速486.1キロを記録。鉄道省は「中国の独自技術」と胸を張り、アフリカを中心とする50カ国に事業進出。今後は米国や東南アジア、ロシアなどへの輸出をもくろんでいた。
 しかし、今年に入り猛烈な発展のひずみが続出していた。2月、劉志軍鉄道相が「重大な規律違反」を理由に更迭。中国メディアによると、山西省の業者などから20億元(1元は約12円)のわいろを受け取っていた疑いがあるという。6月には鉄道省の技術開発の中核にいた元幹部が「日独が安全性確保のために留保していた能力を使っているだけで、中国独自の技術などない」と暴露。「世界一」にこだわってきた劉・元鉄道相の手法に身内から厳しい批判が噴き出した。日本の鉄道技術者の間では、日本やフランス、ドイツなど各国の技術が入り交じることで不具合が生じかねない、との指摘は当初からあった。
 北京-上海間の高速鉄道は、電気系統の故障による緊急停止などトラブルが続出。切符の売り上げも低調が続くなど、市場の需要を無視した計画に疑問の声が上がり始めていた。一連の事業の負債も2兆元(約24兆円)まで膨らんでいる。
 汚職疑惑で更迭された劉・元鉄道相は「営業距離は最長、技術は最も完全、能力は最強、速度は最高、建設中の規模も最大」と常々話していた。東南アジアやカザフスタンへの輸出が決まった高速鉄道は、その「優等生」でもあった。今回の事故は、日欧に比べて後発でもあるだけに、中国の海外輸出戦略に大きな打撃を与えそうだ。
 北京-上海高速鉄道では試運転で最高時速486キロを記録。営業でも380キロを目指すと公言していたが、環境やコストの問題を理由に300キロに減速した。その他の路線の多くも350キロから300キロへ減速したため、「安全面への不安があるのではないか」との見方も出ていた。
 事故発生直後から、中国のネット上では「国家の恥」「ドイツや日本にあざ笑われる」といった声もあった。北京―上海間の開業日に乗り込んだ温家宝(ウェン・チアパオ)首相をはじめ、高速鉄道の技術力や安全性を宣伝し、求心力を高めようとしていた党指導部は今後、国内外で厳しい対応を迫られる。

◎脱線、運行システムトラブルか、日本技術は車両のみ(2011年7月24日、朝日新聞)
 中国の高速鉄道事故。何が起きたのか。
 日本の新幹線の技術に詳しいJR関係者によると、中国の高速鉄道で日本の技術が採用されているのは車両だけで、信号などの運行システムは中国独自のものが使われているという。
 この関係者は「パンタグラフの損傷など車両自体の問題でなければ、運行システムの不具合の可能性がある。衝突であったとすれば、車両ではなく運行システム上のトラブルとしか考えられない」と指摘する。
 日本の新幹線の場合、輸送指令室による制御に加え、車両同士が一定の距離以上に近づかないために幾重もの対策が講じられている。「他に考えられるとすれば、レールなど構造物の問題もありうる。中国の高速鉄道は日本やドイツなど多くの国の技術の寄せ集め。何が原因か解明するのは容易ではないだろう」と話す。
 国内外の鉄道に詳しい専門家によると、中国の高速鉄道では一つの路線に異なる方式の信号システムが使われている場所があるという。
 この専門家は「列車同士が衝突や追突をしないため、一定の区間にほかの列車を入れないというのが世界共通の鉄道の安全の原則。今回の事故は、信号や制御システムに何らかのトラブルが起きた可能性がある」と指摘。複数のシステムの制御が適切だったかどうかもポイントとみる。

◎「夢の鉄道」無残な姿、雨で救出難航、中国版新幹線脱線(2011年7月24日、朝日新聞)
 高架から落ちた車両が横倒しになり、無残な姿をさらしていた。中国・浙江省で23日に起きた高速鉄道の衝突、脱線事故。中国の威信をかけた「夢の鉄道」の事故に、市民らも衝撃を隠せない。
 「雷のような大きな音が響いた」。事故当時、現場付近の路上にいた男性は地元の報道機関に事故発生時の様子を語った。「音がして振り返ると列車が衝突していた」。すぐに付近の住民に知らせ、救援を求めたという。
 事故は午後8時半過ぎ、浙江省温州付近で起きた。中国政府系の通信社・中国新聞社が乗客の話として伝えたところによると、先行する列車が減速したところに後続の列車が突っ込んできた。脱線したのは、最後尾の15両目と16両目の車両だという。
 現場は高架だった。中国国営新華社によると、高さは20~30メートル。事故から間もなく撮影されたとみられる写真をみると、少なくとも2両がコンクリート壁をなぎ倒して脱線、落下した模様だ。1両は地上に完全に落ちて横倒しになり、1両は片側が高架部分にひっかかって直立するような形になっている。
 落下した車両には「和諧号」の文字。外壁がめくれ上がり、一部は外形をとどめていない。暗闇を照らすライトのもとで、駆けつけた救急隊が懸命に乗客らの救出にあたっている。脱線した車両からは一部の乗客が自力で逃げ出したが、60~70人が救助を待っているという。
 地元の報道によると温州市内の病院には、腰の骨が折れた50代の女性や、頭部をけがして全身血だらけとなった複数の乗客など、負傷者が次々と救急車で運び込まれているという。
 だが、救援作業は難航している。地元報道によると現場付近は道路が狭く、雨でぬかるんでおり、大型の救援車両が近寄れる状況でないという。

◎中国版新幹線が脱線、2両が橋から転落、浙江省(2011年7月24日、朝日新聞)
 中国国営新華社通信によると、23日午後8時50分(日本時間同9時50分)、浙江省杭州発福建省福州行き高速鉄道D3115号が浙江省温州付近で脱線し、2両が橋から川に落ちた。少なくとも11人が死亡し、89人が病院へ運ばれた。1両の定員は約100人という。
 地元紙の温州日報は、省党委員会組織部長の情報として、死者が少なくとも16人に上ったと伝えた。
 中国が威信をかけて建設し、最高速度も世界一にこだわった高速鉄道の事故で乗客に死者が出たのは初めてとみられ、政権への大きな衝撃だ。
 列車は杭州を午後4時36分に出発していた。インターネット上に掲載された写真によると、少なくとも1両は川に落ちて横倒しになり、車両が分断されたり、つぶれたりしている。橋からぶら下がったままの車両もある。ほぼ満員の車内を写した写真もある。背後に山が迫っており、人家の少ない郊外とみられる。
◎偽「中国Apple」、海外メディアも一斉に報じる、「販売製品は本物」とも(2011年7月23日、産経新聞)
 商品の偽物では飽きたらず、お店の偽物まで建てました-。中国南西部の雲南省(うんなんしょう)昆明(こんめい)市に、米アップルが全世界で展開する直営店「アップルストア」の偽店舗が登場し、世界中の話題をさらっている。

・偽直営店 米ブロガーが発見
 店舗の外観や店内のつくり、店員の服装もそっくり。おまけに店員は、米アップルの最高経営責任者(CEO)、スティーブ・ジョブズ氏(56)の下で働いていると信じて疑わない始末。あまりのそっくりぶりに怒りを通り越して驚嘆の声があがっている。

・店員も信じて疑わず
 発見したのは昆明市に住む女性米国人ブロガー(27)。ブログ名はBirdAbroad。BBC(電子版)によると、20日にこの偽店舗に関する文章と写真を投稿したところ、48時間でブログは50万アクセスを記録。偽店舗の存在があっという間に全世界に知れ渡った。
 ロイター通信などによると、店を訪れた彼女は、ガラスを使った外観をはじめ、店内のらせん階段や木製テーブルの配置ぶり、さらには店員が、アップルのロゴマーク入りの青いTシャツを着用し、胸にはネームタグを下げていたため、本物のアップルストアだと思ったという。
 ところがよく見ると、壁のペンキの塗り方が雑で、らせん階段の出来も悪い。店の入り口も、本物はリンゴのロゴマークだけだが、この店舗はリンゴのロゴマークに「Apple Store」の文字を添えていたため偽店舗だと気付いた。
 さらに、女性は昆明市内でもう2店、偽店舗を発見した。最初に見つけた偽店舗の徒歩圏内にあり、うち1店舗は、看板の表記が「Apple Stoer」と誤表記していた。

・販売製品は本物
 彼女はブログで「これは完全なアップルストアの偽物だ。美しく、そして素晴らしい。これまで見た中で最高の偽物だ」と驚き「自分たちがアップルで働いていると確信している店員たちと会話もした」と明かした。
 米アップルのホームページによると、中国国内のアップルストアは北京2店舗、上海2店舗の計4店舗だが、昆明にはない。また米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)などによると、昆明市にはアップルの正規販売代理店は13あるが、3店舗はいずれも該当しなかった。
 アップル中国の担当者はアップルストアの偽店舗についてコメントを拒否しているが、WSJは、偽店舗が販売していたアップル製品は本物だと報じた。
 中国ではiPhone(アイフォーン)といった人気のアップル製品の供給が需要に追い付いていない。数カ月後に上海と香港に計2店のアップルストアが開業する予定だが、まだ不十分という。
 しかしアップルが自社製品を売ってくれるからと偽店舗を大目に見ている訳ではない。地理的な問題などで中国への対応が遅れているだけだ。
 米の通商関係者はロイター通信に対し「消費者の尊敬を集める米の有名ブランドの知的所有権を犯す中国のこのような行為とは戦わねばならない。それがオバマ政権の最優先課題である」と訴えた。毅然とした態度で臨まないと、今度は商品でもなく店舗でもなく、アップルの偽会社が登場するだろう。

◎中国に偽アップルストア登場、「完全なパクリ」と驚嘆の声(2011年7月22日、産経新聞)
 中国雲南省昆明に米アップル直営店「アップルストア」の偽店舗が現れ、インターネット上で話題になっている。この店で働く店員も本物だと信じている様子だといい、その模倣ぶりに驚きの声が上がっている。
 偽店舗が発覚したのは、同市に住む27歳の米国人ブロガーの投稿がきっかけ。この店はアップルの白いロゴを掲げ、木製のテーブルを配置したり、明るい店員が働くなど、世界各地で見られるアップルストアとそっくりだという。
 しかし、アップルは昆明に直営店を構えておらず、市内13ある認定小売店はアップルストアの呼称を使うことなどは許されていない。
 「Birdabroad」という名前のこのブロガーは、20日付の投稿で「これは完全なアップルストアのパクリだ。美しく、そして素晴らしい。これまで見た中で最高のパクリだ」と驚嘆。ほかにも、「自分たちがアップルで働いていると心から思っている店員たちと会話もしてみた」と記した。
 この偽店舗について、アップルの広報担当者はコメントを拒否し、消費者は同社サイトで直営店の場所を確認できると語った。
 この店がアップルの偽商品を販売しているのかどうかは分かっていない。ブログに掲載された写真によると、店内にはさまざまなアップル商品が展示されているほか、「iPhone4」や「MacBooK Pro」のポスターも貼り出されているという。

◎新疆の警察襲撃「女性の黒いベール禁止引き金」(2011年7月23日、朝日新聞)
 中国の新疆ウイグル自治区ホータンの警察署が襲撃された事件で、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは22日、イスラム教徒の女性が黒いベールなどを着用することを地元政府が禁じたことが、引き金の一つだったと報じた。
 目撃者は同紙に対し、警察を襲撃したのは20~35歳くらいのウイグル族の男たちだったと証言。女性が頭にまとう黒いベールや、頭から足元までを覆う黒い服の着用を禁じられたことに抗議していたという。
 これに対し、地元政府当局者は同紙に、数カ月前からこうした衣装の着用を控えるよう求めていることを認めた。「宗教過激派に影響されやすく、武器も隠しやすいうえ、治安に悪影響を及ぼす」と説明。「美しい顔を見せ、美しい髪をなびかせよう」という標語を使っていたという。治安当局は事件を「平和的なデモではなく組織的なテロ」とする立場を崩していない。

◎中国の高速道でバス炎上、41人死亡、定員大幅超過か(2011年7月23日、朝日新聞)
 中国国営新華社通信によると、22日午前4時ごろ、中国河南省信陽市の高速道路で長距離寝台バスが炎上し、乗客41人が死亡、運転手ら6人がけがをした。定員を大幅に上回る乗客を乗せていたとみられ、地元当局が出火原因と併せて調べている。
 山東省威海から湖南省長沙に向かっていた寝台バスで、車体は原形をとどめないほど激しく炎上。バスの定員は35人で、出火当時は47人が乗っていたという。

◎新疆の警察襲撃「女性の黒いベール禁止引き金」(2011年7月22日、朝日新聞)
 中国の新疆ウイグル自治区ホータンの警察署が襲撃された事件で、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは22日、イスラム教徒の女性が黒いベールなどを着用することを地元政府が禁じたことが、引き金の一つだったと報じた。
 目撃者は同紙に対し、警察を襲撃したのは20~35歳くらいのウイグル族の男たちだったと証言。女性が頭にまとう黒いベールや、頭から足元までを覆う黒い服の着用を禁じられたことに抗議していたという。
 これに対し、地元政府当局者は同紙に、数カ月前からこうした衣装の着用を控えるよう求めていることを認めた。「宗教過激派に影響されやすく、武器も隠しやすいうえ、治安に悪影響を及ぼす」と説明。「美しい顔を見せ、美しい髪をなびかせよう」という標語を使っていたという。治安当局は事件を「平和的なデモではなく組織的なテロ」とする立場を崩していない。

◎伝統衣装の禁止が引き金か、中国新疆の派出所襲撃(2011年7月22日、産経新聞)
 多数の死傷者が出た18日の中国新疆ウイグル自治区ホータン市の派出所襲撃事件は、少数民族ウイグル族の女性の伝統衣装着用を禁じる地元政府の政策への不満が引き金だった可能性があると、22日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えた。
 事件の目撃者が、犯行グループは事件の際に伝統衣装禁止に反対するスローガンを繰り返し叫んでいたと証言。地元政府当局者は同紙に、数カ月前から衣装禁止策を始めていたことを認めた。衣装は黒いベールと黒いゆったりしたワンピース。地元女性の証言では5、6月ごろから着用を禁じられ、商店での販売も停止させられた。
 当局者は「こうした衣装は武器を隠しやすく、治安にとって脅威だ」と禁止理由を説明。自治区の区都ウルムチで2年前に発生した大規模暴動以降に広まったもので、伝統衣装ではないとも述べた。

◎中国に偽アップルストア登場、「完全なパクリ」と驚嘆の声(2011年7月22日、産経新聞)
 中国雲南省昆明に米アップル直営店「アップルストア」の偽店舗が現れ、インターネット上で話題になっている。この店で働く店員も本物だと信じている様子だといい、その模倣ぶりに驚きの声が上がっている。
 偽店舗が発覚したのは、同市に住む27歳の米国人ブロガーの投稿がきっかけ。この店はアップルの白いロゴを掲げ、木製のテーブルを配置したり、明るい店員が働くなど、世界各地で見られるアップルストアとそっくりだという。
 しかし、アップルは昆明に直営店を構えておらず、市内13ある認定小売店はアップルストアの呼称を使うことなどは許されていない。
 「Birdabroad」という名前のこのブロガーは、20日付の投稿で「これは完全なアップルストアのパクリだ。美しく、そして素晴らしい。これまで見た中で最高のパクリだ」と驚嘆。ほかにも、「自分たちがアップルで働いていると心から思っている店員たちと会話もしてみた」と記した。
 この偽店舗について、アップルの広報担当者はコメントを拒否し、消費者は同社サイトで直営店の場所を確認できると語った。
 この店がアップルの偽商品を販売しているのかどうかは分かっていない。ブログに掲載された写真によると、店内にはさまざまなアップル商品が展示されているほか、「iPhone4」や「MacBooK Pro」のポスターも貼り出されているという。

◎中国産の人肉カプセル密売、ソウルの薬剤市場と韓国誌(2011年7月21日、産経新聞)
 韓国の有力月刊誌「新東亜」8月号は、死産した赤ん坊や生後1~2カ月の乳児の人肉からつくられた粉末入りのカプセルが中国から韓国に流入し、ソウルの薬剤市場でひそかに売られていると報じた。
 韓国関税庁が近く検察当局に捜査を要請する予定という。
 同誌によると、今年初めに寄せられた情報を基に、中国現地で韓国に流入しているのと同じカプセルを同誌が入手。関税庁の協力を得て国立科学捜査研究所で成分分析を行った結果、遺伝子情報が人間のものと99%一致した。材料となる乳児の遺体などは、ブローカーが吉林省延辺朝鮮族自治州図們市の病院から買い取っている。
 同誌の取材では、ソウルの薬剤市場に持ち込まれたカプセルは、大病を患った人に効く妙薬として100個当たり70万~80万ウォン(約5万2千~6万円)で密売されているという。

◎中国の物価上昇率は危険水域に突入、「贖罪の山羊」にされた豚を尻目に、エリートたちの間では国外脱出がマイブーム(2011年7月21日、ダイヤモンドオンライン)
 去る7月9日に、中国国家統計局は6月の消費者物価指数(CPI)が昨年同期比で6.4%増というデータを公表した。
 内訳をよく見てみると、中国の食品価格は14.4%増であり、なかでも豚肉の価格は57.1%増という驚異的な数字が弾き出されている。今度のCPIが高くなった原因は、何といっても豚肉の価格上昇に関係があり、その値上がりだけでもCPI上昇率に2%「貢献」したと中国のメディアは報道している。豚は今回のCPI急上昇の「贖罪の山羊」(スケープゴート)となってしまった。(在北京ジャーナリスト 陳言)
 CPI増加率が20%を超えた1994年ごろと比べて、今回の6.4%では市民も政府もそれほど動揺していない。インフレはこれから本格的にやってくると予測する学者がいるが、株式や不動産市場に資金が急速に流れていく傾向も見えてこない。ベトナムのインフレ率が19.8%、ロシアが9.6%、インドが8.7%という状況と比べて、今のところ中国は平静を保っているように見えるが、水面下ではさまざまな動きが起こっている。

・餌、労賃などの4要因で急上昇した豚肉の価格
 「今日はどのぐらい値段を上げたのか?」。最近、市民がスーパーで豚肉を買う前に、店員によく聞くようになった。ほぼ毎週、豚肉の価格が引き上げられてきたからだ。皮肉で聞く人もいるが、その言葉の背後には無力感、虚しさも入り混じっている。
 中国農業大学動物科技学院の王愛国教授は、人民網の取材を受けて、豚肉価格の値上がりについて分析した。「餌のトウモロコシの価格が引き上げられ、また労働者の給料も上がった。それ以外にも2つの要因がある。09年9月から10年6月まで農村での豚の値段が下がり続け、ここ1年で多くの農民が養豚を放棄した。また10年の冬の寒さが厳しく、生まれた子豚の多くが死んでしまい、豚の数をさらに減少させた」と、4つの要因にまとめている。
 豚肉だけでなく、値上げ率から見れば、穀物が12.4%、鶏卵が23.3%、魚などの水産品が13.9%、野菜が7.3%、果物が9.8%、それぞれ上昇していた。豚肉ほど突出していないが、値上がりは食物全般にわたっていた。
 「金持ちは肉を食べ、貧乏人は野菜を食えと言われるが、今は野菜も食えないではないか」と、北京のある定年退職者は言う。働いていれば給料もそれなりに上がるので、CPIの上昇にも何とか対応できるが、老人は将来の生活を心配する。
 だが、仕事があれば安心というわけではない。大卒者の就職率が8割程度のため、とにかく働ければいいと思っている大卒者の収入は、昨年比で下がっている。都市での生活費が上がっているのに、給料は下がり、働いていても満足のできる生活はまったく保障されていない。

・貨幣の増発によってインフレは今後も続く
 2011年のインフレ率を4%以下に抑えるという中国政府の公約は、未だに多くの市民の耳元で響いているはずだが、5月のCPIの5.5%増に続き、6月にはついに6.4%という危険水域を超えた。
 「今年のインフレ圧力は高いだろうが、4%以内に制御することは政府としてできることだ」と、この4月に上海で開催されたボアオ・アジア・フォーラムで、国務院前副総理の曾培炎氏は世界に向けて発言した。政府活動報告に基づいての発言と思われる。
 しかし、その2ヵ月後の6月下旬に訪英した温家宝首相は、それを修正した。『フィナンシャル・タイムズ』紙の取材を受けて、「2011年にインフレ率を4%以下に制御することは困難だが、5%以下に制御することは可能だ」と、温首相は言う。もちろん2011年についての発言だが、直後の7月9日に公表した6.4%はあまりにも高かった。
 目標を4%から5%に引き上げたとはいえ、今年ははたして平均して5%で落ち着くのだろうか。中欧国際工商学院で金融論を教える許小年教授は、ミニブログで中国人民銀行の周小川頭取のインフレ容認論に注目して、「今年から来年まで、インフレ率は低くなることはないだろう」とつぶやく。
 「(リーマンショックの)2008年の貨幣増発率は27%で、GDPも9%増だった。これほど貨幣を増発したのに、インフレ率を6.4%以下に抑えることは本当にできるのか」と、許教授は疑問視する。貨幣を増発すれば、インフレ率もどんどん上がっていくはずだが、27%と6.4%の差は、あまりにもアンバランスで、許教授は納得がいかない。
 「馬を走らせたいが、餌をやらない。馬は痩せていくしかない。この私と同様ではないか」と、太めの人が多い中国の金融論の教授たちと違って、痩せている許教授は皮肉を込めて言う。中国経済がいかに悪性のインフレと戦っていくかは、最重要課題となっている。

・株,
不動産市場は変化なし外国へ移住していくエリート
 「インフレは長く続くと、現金の価値はどんどん目減りし、社会には新たな変化をもたらす」と中山大学銀行研究センターの陸軍教授は言う。
 物価などの上昇率が下半期に少し小さくなっても、値下がりすることはあまりないと多くの人は見ている。
 ただし、株式、不動産市場に資金が突入する傾向は、あまり見られない。今こそ株を買い、さらに不動産を買うべきだと言う人もいる。しかし株を買うには証券会社の本店へ出向き直接手続きをして、現金を持っていくかお金を振り込むことで初めて口座を開設できる。
 「面倒くさくて、金融街にある証券会社の本店に行く時間はない」。銀行の支店で証券会社の勧誘員に勧められても、最終的にその証券会社が用意した車で渋滞のなかをくぐり抜け、数時間かけて10Km先の本店にまで行く人は少ない。
 不動産価格は下がると多くの人が信じるなか、住宅の購入に手を出す人も多くはない。年収の100年分に相当する住宅を、ローンを組むことなく買える人は少ない。「1000年分のローンが組めば、いくらでも住宅を買いたい」というブラック・ユーモアが北京の巷で流行る。今のところは株式や不動産市場に動きは見られない。
 政府官僚、芸能人、会社経営者などの金持ちの間では、外国への移民がひそかにブームとなっている。「こんな時は、北京の住宅などを売って、一家全員アメリカに移民するしかない」と言うのは、ある日系企業で二十数年働いた人物。すでに家族をアメリカに移住させているという。北京の豪邸を売る手続きを7月に何とか済ませた。アメリカの家族の移住先では、近隣の多くの人たちが中国から来ている。国内での仕事を聞けば、たいてい政府役人か経営者だった。
 中国共産党設立90周年を讃える記念映画『建党偉業』は、多くの外国籍を取得した中国人俳優を使っていた。金持ちになってからアメリカの永住資格(グリーンカード)を取る。ハリウッドで稼ぐ力はとてもないが、もう1回中国に戻って金を儲けていく。グリーンカードは、俳優とした成功の証明書のようなものだ。
 豚が贖罪の山羊となっている社会矛盾の中、一部の中国のエリートはすでにこの国から逃げ始めている。

◎中国、韓国情報機関員を拘束か、引き渡し拒否、中国で北朝鮮情報を収集(2011年7月20日、産経新聞)
 韓国のニュース専門局YTNテレビは20日、同国の情報機関である国家情報院の幹部職員2人が中国内で北朝鮮情報の収集活動中に中国公安当局に摘発され、10カ月以上にわたり拘束されて裁判を受けていると報じた。外交筋の話として伝えた。
 同テレビによると、2人は現地で中国人を雇って北朝鮮指導部に関する情報を集めようとしていた。韓国政府が国外追放の形で2人を引き渡すよう求めたが、中国側は拒否したという。
 中国公安当局は昨年9月にも、情報収集活動に当たっていた韓国軍の情報機関所属の将校を1年以上も拘束。将校は韓国に対する犯罪人引き渡しの形で解放された。

◎「ヒカリアン」に酷似、中国の高速鉄道アニメに盗用疑惑(2011年7月20日、朝日新聞)
 中国で今秋にも放送される高速鉄道を主役とするアニメ「高鉄侠」が、新幹線を主役にした日本のアニメ「超特急ヒカリアン」に酷似しているとして、中国で「盗用」を疑う声が広がっている。
 中国が日本やドイツから買った技術をもとに開発した「中国版新幹線」の特許申請を始めたことを疑問視する見方もあるなかで、日本でも批判を集めそうだ。
 「高鉄侠」は擬人化された「高速鉄道」が率いる正義のグループが悪者たちを倒し、乗客を守る物語。中国でも2000年以降に放映されている日本のアニメ「超特急ヒカリアン(中国語名・鉄胆火車侠)」にそっくりだという。

◎今度は日本のアニメ「パクリ」疑惑、「超特急ヒカリアン」登場人物、ストーリーそっくり(2011年7月20日、産経新聞)
 中国で来月、子供向けにテレビ放送が予定されているアニメ「高鉄侠」が、日本のアニメ「超特急ヒカリアン」の登場人物からストーリーまで、内容をそっくり盗用したのではないかとの疑惑が広がっている。
 この中国製アニメは、中国の高速鉄道(中国版新幹線)の車両を模したキャラクターが、悪の列車軍団から乗客の安全を守るというストーリー。インターネットに流された約6分間の予告編「飯団(おにぎりの意味)大戦」と、ヒカリアンの「おにぎり大作戦」を見比べる画像が投稿サイトに登場し、騒ぎが起きた。
 それによると、ヒカリアンで列車の背景に映る富士山が中国製では一般の山に変わっている以外、ほぼ同じ構成と内容で、日本の地形に似た路線図まで出てくる始末。中国ではネットからダウンロードして日本のアニメ画像を楽しむファンの若者が多く、ネット上では「何にから何までそっくりの“神作”というべき驚異のアニメ」などと揶揄する声も上がっている。
 中国版新幹線をめぐっては、日本からの技術供与で中国メーカーが新幹線「はやて」型をベースに製造した車両を「独自開発だ」として、米国などで特許申請手続きを始めている。
 中国鉄道省も「中国の高速鉄道車両は新幹線より優れている。日本に技術提供してもいい」などと強気の主張を繰り返している。
 日中間で今後、特許紛争が起きる可能性もある。

◎杭州・蘇州元副市長の死刑執行、土地開発で巨額収賄(2011年7月20日、朝日新聞)
 死刑判決が下されていた中国浙江省杭州市と江蘇省蘇州市の元副市長に対し、19日、死刑が執行された。2人はいずれも都市開発に伴う土地利用の権力を乱用するなど、中国で特に民衆の不満が高まっている汚職でもあり、当局があえて強い態度を示したとみられる。
 国営の新華社通信などによると、杭州市副市長だった許邁永氏は、職務上の地位を利用し、土地使用権の取得や大規模プロジェクトで業者に便宜を図るなどし、総額1億9800万元(約24億7千万円)の賄賂などを得た。蘇州市副市長だった姜人傑氏も土地がらみで1億800万元(約13億5千万円)を着服した。

◎中国が讃岐うどんの商標登録「認めず」(2011年7月19日、産経新聞)
 香川県の特産品である讃岐うどんを表す「讃岐烏冬」の商標登録が中国で出願され、同県などが異議を申し立てていた問題で、同県は19日、中国商標局が異議を認め商標登録を行わない決定をしたと発表した。
 県によると、決定書は5月25日付。中国商標局から現地の法律事務所が今月13日に受け取った。讃岐うどんが広く知られた香川の特産品名だと認め、中国で商標登録されると「誤認を生じさせやすい」ことから出願を拒絶するとしている。
 「讃岐烏冬」の登録申請は、中国・上海市の個人が2006年2月、飲食店などの商標として出願。県は09年8月、本場さぬきうどん協同組合など3団体と共同で異議申し立てを行っていた。讃岐うどんの商標をめぐっては、台湾でも日本人のうどん店経営者と経営する地元企業の間で争いが起きている。

◎ウイグル自治区で警察署襲撃、4人死亡、襲撃者は射殺(2011年7月18日、朝日新聞)
 中国国営の新華社通信によると、新疆ウイグル自治区南部のホータンで18日正午過ぎ、何者かのグループが警察署を襲撃し、周囲の人々を人質にとり火を放った。駆けつけた武装警官が襲撃者を射殺した。ほかに武装警官や人質ら4人が死亡、1人が重傷を負った。
 18日午後1時半までに事態は収束し、人質のうち6人は救出されたという。背景や襲撃者の民族などは明らかでない。新華社は公安部情報として、国家テロ対策部門の担当者が現地に派遣されたと報じた。
 ホータン地区は、約195万人の人口のうちウイグル族が人口の約96%を占める。新疆では区都ウルムチで09年7月、2千人近くが死傷する暴動が発生し、ウイグル族と漢族との民族感情が悪化。昨年11月も2人が警察の協力員を殺害する事件が起きていた。中国当局は新疆で分離独立運動もくすぶることから、ウイグル族の多い地域では常に警戒を強めていた。

◎警察襲撃、人質ら4人死亡、中国新疆、テロ可能性も(2011年7月18日、産経新聞)
 新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区ホータン市で18日正午ごろ、何者かが警察の派出所を襲撃、人質を取って放火した。武装警察などが駆けつけ襲撃犯数人を射殺したが、制圧の際に人質2人と武装警察官ら計4人が死亡、1人が負傷した。残りの人質6人は救出された。
 中国政府は、テロの可能性もあるとして調査チームを現場に派遣した。

◎格差拡大で相次ぐデモ、暴動、中国、経済発展の裏で弱者の不満頂点(2011年7月17日、産経新聞)
 中国でデモや暴動の発生が後を絶たない。地域間や階層間の格差拡大が生んだ社会的弱者が抱く不満の高まりは、経済成長を急ぐ中国に新たな課題を突きつけている。
 広東省広州市郊外にある増城市新塘鎮は、別名「ジーンズの町」で知られるデニム製品の生産地だ。ジーンズ工場が立ち並ぶこの町で6月初旬、出稼ぎ労働者による大規模な暴動が突如発生し、町全体が緊迫した雰囲気に包まれた。

・治安要員の暴行発端
 発端は露天商を営む四川省出身の出稼ぎ夫婦への治安要員による暴行だった。現地からの報道を総合すると、暴行事件を目撃していた出稼ぎ労働者らが反発、瞬く間に数千人規模の暴動と化したという。政府機関の建物が破壊されるなどの騒乱が数日間続き、武装警察の出動でようやく収束した。
 ただ、最近の中国では、こうした暴動やデモが目新しいニュースではなくなりつつある。
 報道された主だった事件だけでも、5月末に内モンゴル自治区で発生したモンゴル族の反政府デモ、6月初旬の広東省潮州市で起きた賃金未払いに起因する出稼ぎ労働者の暴動、湖北省利川市の地元幹部の不審死が引き金となった住民の当局抗議デモなどがある。沿海部の都市を中心に数珠つなぎ状に発生している状況だ。
 暴動やデモの直接的な起因はそれぞれ異なるものの、背景に社会的弱者の不満や反発が存在するという点で一致する。
 経済成長を優先させた中国当局の政策は、急速な発展と同時に地域間や階層間の格差拡大という社会の“ゆがみ”をもたらした。「富める者はますます富む」という所得分配の偏在が進む中、内陸出身の出稼ぎ労働者など社会的弱者は、劣悪な労働環境や不十分な社会保障、物価高といった数々の重荷にあえぎ、経済発展の恩恵を十分に受けられていないことへの不満を強めている。
 政府系シンクタンクの中国社会科学院は、6月初旬に発表した『社会意識青書』の中で、司法制度に基づく公正な問題解決への不信感などが、「社会的弱者を暴力による反抗へと向かわせている」と指摘した。

・社会管理の新課題
 「合法的な権益が保証されない中で群衆の怨恨が燃え上がり、社会の安定を“爆破”するに足る“時限爆弾”と化す」(香港経済日報、電子版)恐れが、足元の中国で高まっている。
 一連の暴動やデモは「単なる始まりに過ぎない」(香港紙・明報、電子版)。中国共産党機関紙・人民日報(電子版)は評論記事で、「異なる人々の群れがいかに調和・共存し、絶え間ない工業化、都市化の過程で共に手を携えて融合できるかということが、社会管理の新たな課題になっている」と指摘している。

◎広州郊外暴動、さらに5人に懲役判決(2011年7月16日、毎日新聞)
 中国紙、南方都市報(電子版)は16日、中国広東省広州市の郊外、増城で先月中旬に3日続けて発生した出稼ぎ労働者らの暴動で、地元の裁判所が14日、暴動に加わった5人に懲役5年8月~1年6月を言い渡したと伝えた。暴動で有罪判決を受けたのは11人になった。
 同紙が伝えた判決によると、被告のうち4人は往来する車を止めてひっくり返すなどの破壊行為を繰り返した。別の1人は暴動の現場を携帯電話のカメラで撮影してインターネットのサイトに投稿、「妊婦が殴り殺された」とのデマも書き込み、暴動をあおった。
 暴動は出稼ぎの露天商の妊婦に治安要員が暴力を振るったのがきっかけで、約1000人が加わったとされる。

◎偽物続々、中国で好調な蜂蜜に暗い影、合格率47.7%、販売停止処分も(2011年7月16日、産経新聞)
 中国では近年、蜂蜜やプロポリスの効能が世間に認知されたことにより、蜂蜜関連商品が売り上げを伸ばしている。そんな中で一部地域で偽物蜂蜜事件が相次いで発覚しており、消費者と養蜂家の双方に暗い影を落としている。
 中国国営新華社通信などによると、北京で今年2月、「成分不足」という理由から3つの蜂蜜ブランドが同市工商局から販売停止の勧告処分を受けた。
 さらに翌3月には、広西チワン族自治区の工商行政管理局が行った44回にわたる蜂蜜のサンプル検査で、合格率が47.7%だったことが判明。4月には山東省のメディアが、スーパーで販売されていた「水あめ蜂蜜」の存在を報じた。

・糖尿病患者の悪化
 健康被害をもたらす危険がないとはいえ、偽物蜂蜜を知った消費者の心情は穏やかではない。専門家によると、蜂蜜は主に果糖とブドウ糖を成分としており、単糖類であるために、体への吸収が早く胃腸への負担も少ない。このため糖尿病患者も適量での摂取が可能とされているが、偽物はでんぷんなどの多糖類と大量の添加物から製造されているため、病状を悪化させる可能性もあるという。

・養蜂家の悩み深刻
 現在、国内の蜂蜜生産量は年間約20万トン。この好調な売り上げが偽物業者の参入を誘発しているともいえる。業界内では長年にわたり、“公然の秘密”ともいわれてきた“偽物蜂蜜”だが、真面目に取り組む養蜂家の悩みは深刻だ。
 山東省泰安市にある蜂蜜製品メーカーの販売責任者、張興氏は「蜂蜜は、季節ごとに咲く花の種類に合わせ、場所を変えながら採取していく手間と苦労の結晶だ。にもかかわらず、偽物業者は安易な方法で“商品”をつくり、消費者を奪ってしまう」と頭を抱える。
 中国養蜂学会副理事長を兼任する蜂蜜研究所(同省東営市)宋心倣所長は「コストが低く華美な包装で商品を市場に出す偽物業者に対し、コスト高の正規業者は打つ手がなく、偽物に手を染めて生き残ろうとする悪循環も起きている。撤退業者も増えており、養蜂業界は危機的状況に陥っている」と警鐘を鳴らす。
 宋所長はまた政府の関連部門に対し、「事態の深刻さを把握して、問題解決に向けた措置を取ってほしい」と話し、品質の管理・監督機能を確立させることで不法行為を一掃し、蜂蜜市場の浄化を強く求めている。

◎中国“模倣携帯”インドで拡大、低価格を武器にシェア50%(2011年7月16日、産経新聞)
 中国で製造されている低価格帯の携帯電話機が、インド市場で売れ行きを伸ばしている。中国メディア・新快報(電子版)によると、インドの携帯電話機市場における中国メーカーの市場シェアは約50%に達した。このうち大半が中国で「山寨機」と呼ばれる大手メーカーの製品を模倣した低価格帯の携帯電話機だという。

・年間1億台販売
 国際金融報(電子版)によると、広東省深セン市で製造される携帯電話のインド市場における販売台数は年間平均8000万~1億台に達していると報じた。
 「山寨機」が象徴する中国製の模倣携帯電話のインドにおける販売価格は、1台約100~180人民元(約1250~2260円)のものが中心。総人口約12億人のうち低所得層が圧倒的な割合を占めるインドでは、こうした廉価機種の需要は大きい。
 山寨機メーカーが得意とする製品の模倣も、インドで人気を博する要因のひとつ。模倣品はテレビ機能や音響性能の強化などインド特有のニーズにスピーディーな対応できるからだ。
 一方、インドでの山寨機の台頭に大手メーカーは警戒感を高めつつあるようだ。今年4月、「携帯電話機の世界最大手ノキアが、深センに主な生産拠点を置く携帯電話機メーカーの基伍国際を、デザインを模倣して知的財産権を侵害したとしてインドで訴えた」と中国メディアが報じた。
 これに対し、携帯電話機メーカーの業界団体である深セン市移動通信連合会の唐瑞金会長は、国際金融報の記事の中で、「(ノキアの提訴は)深セン製の携帯電話機による市場シェア略奪を、世界大手が脅威に感じている証左だ」と指摘する。
 もっとも、山寨機のインド進出には、やむを得ない事情もある。中国ではまず、知的財産権に関する取り締まりが強化されつつある。消費者意識もブランド品や正規品への嗜好が強まり、山寨機は中国で急速に売れ行きを落としているのだ。

・市場成熟で国内不振
 いわば背水の陣でインド市場に臨む中国の模倣携帯電話機メーカーだが、著名ブランドの模倣品という従来のイメージから“換骨奪胎”して、インドで独自ブランドの確立を目指す動きも出始めているようだ。
 市場の成熟にともない淘汰される末路を再びたどるのか。それとも、「中国製」としての新たなブランドを確立するのか-。インド市場で山寨機の今後が注目される。

◎暴動から2年、“密告社会”にピリピリ(2011年7月15日、産経新聞)
 中国新疆ウイグル自治区のウルムチで2009年7月に発生し、多数の死傷者を出した「ウイグル暴動」から2年余り。暴動発生当時は数万人の武装警察に加え、軍まで投入された市内中心部は平静と活気を取り戻していた。しかし、市内のいたるところに設置された監視カメラは次々にフラッシュを光らせ、2年前にはいなかった監視員の姿があちこちで目につく。住民同士の“密告”も奨励されているといい、笑顔の陰には、ピリピリした緊張感が漂っていた。
 「誰が聞いているか分からない。ここでそんな話はしないでくれ」。ウルムチ市内のバザールで値引き交渉のついでに2年前の暴動についてたずねると、カーペットを売っていたウイグル族住民の商店主(40)はピシャリと話をさえぎって表情を硬くした。
 周囲にはウイグル族以外は見あたらなかったが、別の男性は「ウイグル族同士の密告がごく普通になったからだ」と説明した。ウイグル族と漢民族が民族衝突した2年前の暴動は、当局発表で200人近くの死者が出た。両民族間で広がる一方の経済格差や、ウイグル族に対する差別が発端だ。
 市内には警察の派出所が増え、住民の言動を記録する監視カメラもおよそ4万台設置された。暴動現場のひとつで人権活動家、ラビア・カーディル氏(2005年に米国へ亡命)が1980年代に建てた「ラビアビル」の封鎖は今も続き、監視員が配置されていた。
 ウルムチ市の北部に漢民族、南部にウイグル族という居住エリアの分断もますます進んだ。石油など豊富な地下資源のある新疆ウイグル自治区だが、経済的な恩恵のほとんどは当局と漢民族が享受。ウイグル族には回ってこない。
 一方、民族融和を掲げる自治区政府は就職支援などウイグル族への優遇策を打ち出している。
 なかでも「反体制的な言動を当局に報告したウイグル族住民には優先的に職が与えられている」(漢族のタクシー運転手)という。 市内の監視員の中にはウイグル族の姿も目立っており、ウイグル族同士の「相互不信」を映す光景となっていた。

◎中国鉄道省「日本の新幹線でもたびたびトラブル」、手抜き工事?安全性懸念で釈明(2011年7月15日、産経新聞)
 「中国版新幹線」と呼ばれる北京と上海を結ぶ高速鉄道の列車が13日に江蘇省常州市で停車したトラブルについて、中国鉄道省の王勇平報道官は一部車両が変圧器の故障で出力を失ったと説明した。中国共産党機関紙、人民日報のニュースサイト「人民網」で15日、明らかにした。車両の問題が浮上し、安全性への懸念が強まりそうだ。
 同鉄道は2012年に開業予定だったが、中国共産党創建90周年記念日を前にした6月末に開業を前倒しして建設を急いだ経緯があり、工事で手抜きがあったのではないかとの指摘もある。報道官の説明では一部車両の出力喪失で列車全体の走行能力が低下。最高時速が300キロから160キロまで落ち、緊急停止して車両を交換した。トラブルは10~13日の4日間に3度発生。架線など送電系統の障害もあった。報道官は謝罪の一方で「日本の新幹線でもたびたびトラブルが起きている」と釈明した。

◎“パクリ”新幹線、故障し走行不能に、3回目のトラブル(2011年7月14日、産経新聞)
 6月30日に開業した北京と上海を結ぶ高速鉄道(中国版新幹線)でトラブルが相次いでいる。
 中国のニュースサイト、東方網によると、上海から北京に向かっていた高速鉄道が13日午前、江蘇省常州市で故障し、走行不能となった。乗客は鎮江南駅で別の車両に乗り換え、同日午後5時(日本時間同6時)ごろ、約2時間半遅れで北京南駅に到着した。
 中国版新幹線は、今月10日に架線の故障、12日には電力供給設備の故障で緊急停止しており、今回で3回目のトラブルとなった。
 国営新華社通信によると、中国鉄道省は事態を重視し、故障原因の分析を急いでいる。
 一方、中国の鉄道省当局者は7日に「(中国版新幹線の)技術は日本の新幹線より優れている」との認識を表明。中国版新幹線を世界に売り込むため技術特許を取得する国際手続きを始めているほか、日本の整備新幹線計画への参入にも意欲を見せていた。

◎「二人っ子」条件つきOK、中国、広東省が実験へ(2011年7月13日、朝日新聞)
 中国の一人っ子政策を巡り、国内で最も人口の多い広東省が、両親のどちらかが一人っ子の場合に限り、2人まで子を産める実験区に名乗りを上げた。将来の高齢化などを見越してのことだが、その是非や効果を巡り議論を呼びそうだ。
 広東省計画生育委員会の張楓主任が、広東紙南方日報のインタビューで明らかにした。このほど、中央政府に実験区としての承認を要請したという。
 張主任は省内の女性の平均出生率が1.7と低いレベルを維持していることを挙げて、「規制を緩和しても大きな人口圧力にはならない」と説明。高齢化による労働力の不足や社会保障の負担増に備えるため、1979年以来の一人っ子政策を調整する段階に入っているとの姿勢を示した。

◎中国、家族意識変化、離婚は常識? 毎日5000組も(2011年7月13日、産経新聞)
 中国共産党の機関紙、人民日報などによると、今年の第1四半期(1~3月期)の中国の離婚件数が46万5000組に上り、前年同期比17.1%増となった。これは、1日当たり5000組が離婚する計算となり、離婚率は7年連続の上昇となっている。
 中国民政省がまとめた資料によると、離婚は22~35歳が最も多く、36~50歳は安定傾向だが、50歳を超えると再び増加する。学歴と離婚率は反比例の傾向をみせ、低学歴者ほど離婚率は高くなっている。
 北京市朝陽区にある婚姻登記所の係員によると「1980年以降に生まれた世代による“電撃離婚”が日増しに増えている」。データによると、70年代末期から上昇し始めた離婚率は、この5年で急激に上昇。昨年は全国で約120万組の夫婦が誕生したのに対し、夫婦関係を解消した数は約196万組に達した。特に、北京や上海の大都市の離婚率は3分の1を超えている。
 この原因について、中国婚姻家庭研究会専門委員会の陳副主任は「社会構造や環境の変化が“新離婚時代”をもたらした」と分析。その上で「30年ほど前まで、夫婦は経済活動や子育てを行う“共同体”であり、離婚は悪とする大衆観念も手伝って、結婚生活を確固たるものとしていた。しかし、互いに経済力を持った現在は、一人っ子同士の結婚で家系を継ぐといった意識も希薄。愛人がいても、周囲は干渉しない世の中となってしまった」と嘆く。
 陳副主任はさらに「居住地も仕事も変わる流動的な社会の中で、夫婦間で過ごす時間が短縮し、交友範囲が拡大。異性間の交流が増えて、浮気の機会が増えた」と頭を抱える。
 これに対して中国社会科学院研究員で性問題が専門の李銀河氏は「核家族化が進んだことで、関係の主軸が親子から夫婦へと変化。夫婦間の心の調和や性生活への満足度などへの関心が強まった」と分析している。
 同省がまとめた昨年第4四半期(10~12月期)の全国31の省・自治区・直轄市(香港、マカオ、台湾は対象外)における離婚件数は、1位が四川省で16万9294組。最少は459組のチベット自治区。

◎“パクリ”新幹線もう故障、電気系統故障で1時間半の立ち往生、落雷の影響か(2011年7月11日、産経新聞)
 中国国営新華社通信によれば、北京から上海に向かっていた高速鉄道(中国版新幹線)「京滬(けいこ)線」の列車「G151」が10日午後6時10分(日本時間同7時10分)ごろ、山東省内で電気系統の故障のため停車した。激しい落雷の影響によるとみられる。運転は約1時間半後に再開されたが、午後10時半ごろまで運行遅延が続き、少なくとも11本の後続列車に影響が出た。
 6月30日に開業した京滬線で、営業運転中の故障が報じられたのは初めて。京滬線については、中国鉄道省の元幹部が中国紙に対し、「安全よりも(営業速度など)『世界一』を優先させた設計だった」と暴露し、安全性を疑問視する声も出ていた。
 中国の高速鉄道をめぐっては、過去に日独などが技術供与して開発したシステムであるにもかかわらず、中国鉄道省は「すべて中国が自主研究して生み出した」と主張。中国車両メーカーが米国などでの国際特許の申請手続きを進めている。
 同省の王勇平報道官は7日、新華社の取材に、「他国の知的財産権を侵害した事実はなく、中国人は他人の所有物を自分の物だと強弁することはない。他人の指図で申請の権利を放棄することもあり得ない」などと述べている。
 その上で同報道官は、「中国の多くの技術基準は日本の新幹線をはるかに上回っている」として、日本の新幹線を支援するため「関連技術を提供したい」とまで話した。

◎開業間もない北京上海高速鉄道が雷雨で故障、19本遅れ(2011年7月11日、朝日新聞)
 中国で全面開通したばかりの北京と上海を結ぶ高速鉄道で10日午後6時ごろ、山東省で発生した雷雨によって電力装置の故障が起き、北京発上海行き列車が緊急停車するなど、19本に2時間近い遅れが出た。国営新華社通信が伝えた。
 停電で車内は蒸し風呂のようになり、怒った乗客が乗務員に激しく詰め寄る場面もあった、とも伝えている。北京―上海間は、中国共産党創立90年の前日にあたる6月30日に開業した。インターネット上には、「中国の特色ある面子(メンツ)工程」できちんと試運転をしなかったのではないか、などと批判する意見も出ている。

◎中国:増城の出稼ぎ労働者暴動、書記らを解任(2011年7月8日、毎日新聞)
 8日付の南方都市報によると、広東省広州市郊外の増城市新塘鎮で6月に起きた出稼ぎ労働者による暴動について、増城市共産党委員会・政府は7日、暴動発生の責任を問い、新塘鎮党委の書記と副書記を解任した。露天商の妊婦に暴力を振るい暴動のきっかけを作った治安要員は免職の上、拘留10日間の行政処分も科した。一方、地元検察当局は同日までに、暴動をあおったなどとして11人を起訴した。

◎中国広州暴動で地区トップら免職処分、地元の共産党委(2011年7月8日、朝日新聞)
 中国広東省広州市新塘鎮で先月起きた暴動を巡り、地元の共産党委員会は鎮トップの鎮党委書記と副書記を免職処分、保安隊幹部らを解職処分とする決定を出した。同省党委員会の機関紙広州日報が8日伝えた。
 同紙によると、広州市党委員会が7日開いた治安会議で、蘇志佳・市党委副書記は「教訓をくみ取り、同様事件の再発を防げ」と指示。暴動の原因として、末端の管理・自治組織の整備の遅れや出稼ぎ労働者への関心と手当てが足りなかったことなどを挙げた。
 一方、暴動の際に公務執行妨害容疑などで逮捕された11人がすでに起訴されたという。

◎尖閣めぐるサイバー攻撃、発信元の9割が中国、警察庁がICPO通じて捜査協力要請(2011年7月7日、産経新聞)
 昨年9月の尖閣諸島沖の中国漁船の衝突事件を受け、警察庁などのホームページ(HP)が中国からサイバー攻撃を受けた問題で、警察庁は7日、発信元の9割が中国と判明し、ICPO(国際刑事警察機構)を通じて中国公安部に捜査協力を要請したことを明らかにした。
 警察庁は「中国が経由地になった可能性も否定できない」として、最初の発信元との断定は避けている。ただ、米国などは中国が発信元になったサイバー攻撃に非難を強めており、今回の要請も牽制効果を狙ったものとみられる。
 このサイバー攻撃は、中国最大規模のハッカー組織「中国紅客連盟」が、尖閣諸島の中国領有を主張する民間団体のサイト上で、日本の政府機関への攻撃を呼びかけたことがきっかけ。予告日の9月18日の前後約10日間に、警察庁や防衛省など約10の政府系機関が攻撃を受け、HPが開かなくなるなどの被害が生じた。
 警察庁のHPは16~18日の3回にわたり、複数のパソコンやサーバーから大量のデータを同時に送りつけられる「DDoS攻撃」を受けた。その後、約2万件の発信元を分析し、継続的に高い頻度でアクセスしていた発信元のIPアドレス28件を特定した。
 このうち約9割の25件は中国で、残り3件はアジアと南米だった。期間中のアクセス数は普段の約20倍に及んでおり、1件からの最大アクセス数は2万1336回に上ったという。
 これらの発信者を特定するため、警察庁は今月1日付で、ICPOを通じて中国公安部にIPアドレスなどの情報を伝達し、捜査協力を要請するとともに、再発防止措置を依頼した。
 一方、国内の発信元についても警視庁などが電子計算機損壊等業務妨害容疑で捜査。この結果、セキュリティーが脆弱だった企業・団体のサーバー3件が海外からの経由地として利用されていたことが分かったという。
 中国からのサイバー攻撃をめぐっては、米国の民間機関が、各国機関に対して行われた攻撃のうち単一で最大の発信元は、海南島に拠点を置く中国人民解放軍の部隊と断定。また、内部告発サイトで公開された米国の外交公電に、ネット検索大手のグーグルが昨年受けた攻撃に中国最高指導部の2人が関与したと記載されていることが明らかになっている。

◎中国、0.25%利上げ、インフレ抑制へ今年3回目(2011年7月7日、朝日新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は6日、金融機関の預金と貸し出しの基準金利(期間1年)をそれぞれ0.25%幅引き上げると発表した。7日から実施する。利上げは4月6日以来今年3回目、昨秋からの引き締め局面で5回目。
 物価高による生活苦で暴動が起きる事態になっており、インフレ抑制の姿勢をいっそう鮮明にする。
 基準金利は貸し出しが6.56%、預金が3.50%になる。中国の消費者物価指数の上昇率は5月まで3カ月連続で前年同月比5%を超え、6月は6%を突破する見通し。中国の食卓に重要な豚肉の値段が各地で過去最高を更新する物価上昇の勢いは強く、金融の引き締めでブレーキをかける。

◎レアアース、中国輸出規制で高騰、半年で4倍も、日本に打撃?(2011年7月6日、産経新聞)
 中国政府による輸出規制強化など一連のレアアース(希土類)政策の影響で、レアアース価格がこの半年間で4倍以上に高騰していることが6日、分かった。
 世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は5日、一部のレアメタル(希少金属)について中国の輸出規制をWTO協定違反と認定する中国敗訴の報告書を公表。今回の紛争の対象にレアアースは含まれていないが、欧州連合(EU)は声明でレアアースの自由で公正な取引を求め、輸出規制を続ける中国の姿勢をけん制した。
 日系商社によると、レアアースのうち、ハイテク製品に必要な強力磁石に使われるジスプロシウムの取引の目安価格は6月下旬に1キロ当たり1900ドル(約15万円)を突破。現在、中国側から提示されている取引価格は4千ドル超に跳ね上がっているという。他のレアアースも同様に高騰している。

◎中国の鉱物輸出制限「違反」、WTOが初の判断(2011年7月6日、朝日新聞)
 中国による鉱物資源の輸出制限について、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は5日、WTO協定違反だと訴えていた米国や欧州連合(EU)の主張を認め、違反にはあたらないという中国の主張を退ける報告書を発表した。
 WTOの紛争処理で、輸出制限をめぐる判断が示されるのは初めてとみられる。中国が世界の供給の97%を握る(2008年)レアアース(希土類)の輸出制限問題にも影響しそうだ。
 パネルは、中国がアルミニウムの原料となるボーキサイトなどにかけた輸出税や数量制限が、WTO協定に違反していると認定した。中国は、WTO協定が例外的に制限を認める「資源を枯渇から守り、環境を保護し、国民の健康を守るための措置」に該当すると主張したが、パネルは「中国は国内の採掘を制限したり中長期的に環境を守ったりする措置を同時に実施していない」として退けた。

◎中国で溢れる違法添加物、揺れる食の安全、輸出企業に悪影響、政治問題化の兆し(2011年7月6日、産経新聞)
 食品の安全をめぐる問題が、中国を揺さぶっている。改善への進展が見えない中、輸出企業への悪影響や政治問題に発展する兆しも見え始めた。
 「中国製食品の9割に添加物」「成人1人が摂取する食品添加物は1日当たり80~90種類」-。中国共産党機関紙の人民日報が報じた食品添加物の現状に関する記事は、国営新華社通信を始めとする中国の主要メディアでも紹介され、反響を呼んだ。
 摂取されるさまざまな食品添加物には、法律で使用が禁止・制限されたものも含まれており、国民の健康に深刻な被害をもたらしている。中国国務院(内閣)食品安全委員会のデータによると、食品や飼料に不法に使用された添加物は、これまで明らかになっただけで151種類に上るという。
 添加物は食品の製造・加工や保存に欠かせない物質だ。ただ、中国では営利目的で法律に違反して悪用されるケースが後を立たない。
 大きな社会問題として国内外で注目を集めたのが、2008年の「有害物質メラミン入り粉ミルク」事件だ。その後も、増白剤として石灰を混入した小麦粉、排水溝などから回収した廃棄油を精製した食用油、防腐剤のホルマリンや水銀入りの魚介類、工業用着色料スーダンレッドで着色したオレンジなど、手を替え品を替え“有毒食品”が登場している。
 最近では今年4月に、融剤として工業用に用いられる鉱物硼砂(ほうしゃ)などに豚肉を浸し、外観や味を牛肉そっくりに“変身”させた「偽牛肉」が各地で摘発された。実害も続いており、同月には露店で購入したトリ肉の空揚げを食べた1歳の女児が亜硝酸塩中毒で死亡するという不幸な事故も起こっている。
 被害は消費者だけにとどまらない。香港紙の香港経済日報(電子版)の報道によると、中国製食品の安全性が危ぶまれる中、一部の食品輸出企業は受注獲得のため、コスト高の輸入品への原材料切り替えを余儀なくされている。人民元高による価格競争力の低下や人件費の高騰の上に、原材料輸入にともなうコスト上昇が、こうした輸出企業に重くのしかかる。
 悪化の一途をたどる食品問題に、中国国民の不満は高まっている。今年に入り一時活発化した民衆デモ「中国ジャスミン革命」集会の呼び掛けでも食品問題が取り上げられるなど、政治問題化する兆しも見せ始めた。
 中国政府は今年2月、食品安全にかかわる犯罪の刑罰を強化するなど、改善に向けて重い腰を上げたかにみえる。もっとも、中国における食品問題は、関連法規や検査基準の強化といった取り締まりの環境整備の遅れにとどまらず、企業の倫理観などにもかかわる根が深い問題だけに、解決の道のりは遠い。

◎中国渤海の海上油田で原油流出、琵琶湖の1.25倍(2011年7月6日、朝日新聞)
 中国国家海洋局は5日、山東省沖の渤海にある海上油田「蓬莱19-3」で6月上旬から原油流出事故があったことを公表し、周辺海域約840平方キロに原油による汚染が広がったと明らかにした。
 流出面積は琵琶湖の約1.25倍に相当する。すでに新たな流出の広がりは抑え込まれているというが、半月以上も事故を公表しなかった当局や石油企業側に批判の声が上がっている。
 一部の中国メディアは事故発生を6月下旬に報じたが、沿岸地域の地方政府にも通報などはなかったとされる。

◎北朝鮮産の麻薬・覚醒剤、48億円相当押収、中韓連携で違法薬物取り締まり(2011年7月5日、産経新聞)
 昨年、中国当局が韓国の取り締まり機関と協力して北朝鮮産の麻薬・覚醒剤など違法薬物約6000万ドル(約48億円)相当を押収していたことが分かった。5日付の東亜日報が韓国政府筋の話として伝えた。
 中国による北朝鮮産違法薬物の摘発状況が明らかになるのは初めてという。
 中国では東北3省を中心に北朝鮮産違法薬物の蔓延が深刻化しているといわれ、これまで北朝鮮との関係を重視し、摘発に消極的だった中国も本格的な取り締まりに乗り出さざるを得なくなったとみられる。
 押収された違法薬物は民間で製造できる水準を超えた高品質。このため、北朝鮮が違法薬物を国家的規模で組織的に生産していると推定されるという。

◎「米沢牛」中国で商標登録出願、北京の企業が(2011年7月5日、読売新聞)
 山形県特産のブランド銘柄「米沢牛」や、「米沢」の名称が、中国の企業と個人によって中国当局に商標登録出願されていたことが、日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所の調べで明らかになった。
 同事務所によると、「米沢牛」は昨年9月に北京市の企業「北京金祥科技有限公司」が出願。「米沢」は今年2月に中国の個人が出願した。現在は審査が行われている状況という。
 「米沢牛」は、日本の特許庁が地域名を冠した特産品などに商標権を与える「地域団体商標」(地域ブランド)に認められているが、同じく地域団体商標の「九谷焼」「美濃焼」などの名称や、「松阪」の文字と牛の顔を組み合わせたマークが、中国で商標として登録され、問題になっている。
 特許庁国際課によると、地域団体商標や日本の地名については、厳格に審査するよう中国の商標当局に働きかけているという。
 県経済交流課は、「『米沢牛』の商標申請については承知しており、第一義的には権利者が対応することになる」とする。
 「米沢牛」の権利者の山形おきたま農協は、「国と国の問題なので、日本として解決してほしい」と訴えている。また、米沢市は「調査して対応を考えたい」としている。
 同事務所によると、「米沢牛」が登録された場合、現在は禁止されている中国への牛肉輸出が解禁された際、「米沢牛」の名称で営業できない恐れがあるという。このほか、「米沢牛」として現地で販売された牛肉の品質が悪いとブランドを損ねるなどの影響が懸念される。また、「米沢」が登録された場合には、「米沢」を冠したイベントなどを行う時に権利問題が生ずる可能性があるという。
 一方、同事務所の調べでは、現地企業による「米沢織」の商標申請が拒絶されているが、理由は不明。中国商標法では「公衆によく知られた外国地名は、商標とできない」と定められていることも一因となった可能性があるという。
 「山形」の名称は、県が2006年に商標申請しており、登録が完了している。

◎中国版新幹線、北京-上海開業、祝福一色、日本技術はまったく無視(2011年7月4日、産経新聞)
 中国の北京と上海を結ぶ高速鉄道が6月30日正式開業した。国内メディアは一大事業の完成を自画自賛する一方、韓国や米国は、経済効果や高速鉄道ビジネスをめぐる国際競争の激化に警戒感を隠さない。ただ、日本などから提供された技術を「独自開発」と特許申請した中国の傲慢ぶりに対し、表立って批判する論調は見当たらなかった。

・祝福一色、日本技術は無視(中国)
 中国共産党の機関紙、人民日報の傘下にある環球時報は「『京滬線』高速鉄道の誕生を祝福しよう」との社説を6月30日付の紙面に掲載した。
 社説は「中華民族が誇るべき偉大なプロジェクトだ」と自賛した上で、開業にあたり人民に祝福を呼びかけた理由について「開通前に京滬線に対する世論の『質疑の洗礼』があった」と説明している。
 「洗礼」の具体的な記述はないが、建設工事にからむ汚職や不正行為、運行の安全性に対する疑念、車両技術に関する国際特許紛争への懸念などが噴出し、国民が開通を素直に喜べない雰囲気が広がっていることを指しているとみられる。
 高速鉄道事業を陣頭指揮してきた前鉄道相が2月に汚職で更迭された後、同省元幹部が、安全性を犠牲にして前鉄道相が世界一にこだわった無理な設計だったなどと暴露した。
 しかし、同紙は「京滬線の経営にはリスクが伴うが、いずれの国でも交通インフラはリスクを冒して(先行的に)投資してきた」などとして、建設や運営で採算度外視ともいえるコスト構造への批判にも牽制(けんせい)球を投げた。
 車両は日独メーカーから導入した技術にもかかわらず、中国メーカーは「独自開発」と主張して、米国などで特許申請手続きに入った。しかし社説は「鉄道は欧州で発明されたが、その未来は中国にある。高速鉄道は中国人の学習と創造の完全な結合だ」と、日本の技術供与などなかったかのような主張を繰り返した。
 7月1日付の同紙は、海外で京滬線開業がどう報じられたかを伝える記事でも、欧米メディアの「中国称賛」報道だけを取り上げ、日本メディアが特許紛争など「質疑」を突きつけた報道は完全に無視した。

・中国の技術力に警戒促す(韓国)
 中国の高速鉄道開通について韓国の各メディアは、報道陣が試乗した印象を写真付きで大きく伝え、「旅客機のファーストクラスに乗ったようだ」などと好意的な報道が目立った。一方で、中国の工業技術力が「日本と韓国をすぐそこまで追いかけている」として、中国の産業発展のスピードを危機感をもって受け止める論調もあった。
 中央日報は6月28日付で、「朝食は北京で、昼食は上海でビジネスパートナーと、そして夕食は再び家族と一緒に」と中国版新幹線のスピード感と利便性を強調する記事を掲載した。
 北京-上海間1318キロを最短4時間48分で結ぶ新幹線が「中国東部の沿岸主要都市を一つの経済圏に統合する大動脈となった」とし、中国の経済活性化に与える意味を解説した。
 一方、同日付の東亜日報は、中国政府が多数の外国人記者を招いて開いた試乗会は「異例」だと指摘。その狙いは「中国の技術水準に疑問を呈する記者側のあらゆる質問に対し、同乗した60人あまりの専門技術者が回答、(新幹線の信頼性を)防御することだ」と分析している。
 東亜日報はまた29日付で「中国の高速鉄道開通に(韓国の)政府と政治家は警戒心を持つべきだ」とする社説を掲載。技術水準を過剰に自負してみせる大々的な対外宣伝を「海外の主要高速鉄道の入札で優位を確保するための事前作業だ」と指摘した。さらに、安全性に疑問を呈しながらも「中国の急成長を過小評価すべきではない」と、韓国政府に中国の技術力への警戒を促している。
 ただ、日本から供与された高速運行技術を「独自開発」として特許を申請してはばからない中国の知的財産に関する“非常識”を指摘する見解は、韓国では見られなかった。(ソウル 加藤達也)

・経済効果は欧米にも刺激(米国)
 6月23日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、中国の高速鉄道がもたらす経済効果と欧米への影響に着目した分析記事を、中国での取材も交えて掲載した。
 同紙のキース・ブラッドシャー記者は「高いコストと料金、汚職疑惑などが批判を浴びている」とし、レールの強度など、「建設の質にも疑問が持たれている」と厳しい視線を向ける。
 その一方で、「世界最先端の鉄道が中国にもたらす経済効果や、欧米に対する挑戦的な側面がしばしば見過ごされている」とし、影響力を過小評価すべきでないと主張している。
 米国は半世紀前に当時のアイゼンハワー政権が各州を結ぶ高速道路網を構築し、全国規模での商業の発展を促した。中国の高速鉄道も、多くの人口を抱える広大な国土の経済を統合しようとするものだ。
 路線ごとに10万人の労働力を投じ、2015年までに全長1万6千キロメートルの鉄道網を建設する計画がすでに約半分もできあがったことについて、同記者は「欧米には、『共産党流』の急ピッチの建設は信じられない」と皮肉をこめながらも、驚きを隠さない。
 同紙は「沿線の内陸都市の不動産価格や投資は急上昇しており、企業も参入している」として、中国の生産と輸出の能力の増大につながるとも予測した。
 一方、米国のオバマ政権も530億ドルの巨費を投じる高速鉄道建設計画を打ち出したが、「野党との予算協議で後退を迫られている」状況だ。
 ブラッドシャー記者は、今回の「京滬(けいこ)線」の開通で、鉄道ビジネスをめぐる「西側諸国との競争も激しさを増す」のは必至だと指摘し、「中国の高速鉄道への巨額投資は米国にも刺激となる」との見方を示している。

◎沿線環境は危険、車や橋、落下の可能性も(2011年7月1日、産経新聞)
 中国鉄道省の胡亜東次官は、(正式開業を前に専門チームが行った安全検査の結果を踏まえ)「環境安全面に問題がある」とし、その危険性を指摘した。
 胡次官は、(1)安全保護区内に非合法の建造物・製造所・営業所が多く存在(2)線路から200メートル以内に易燃性、爆発性のある危険物を取り扱う製造工場などがある(3)線路両側1キロ以内に採鉱・採石所がある(4)線路上を通る一部道路や橋で重要制限規制などが未整備なため、車や橋が線路へ落下する危険がある(5)線路を支える地盤で土砂採取や井戸掘りが続いている(6)線路周辺での施工が、鉄道運営会社側との協議もなく行われる場合があり、安全運行に影響を及ぼす危険がある(7)線路両脇の防護壁の破壊や一部設備の窃盗が発生している-といった問題点を挙げた。

◎サイバー攻撃が激化、中国語人権派サイト(2011年6月30日、産経新聞)
 米国を拠点にする中国語ニュースウェブサイト「博訊」が内モンゴル自治区で起きた反政府デモを報道後、何者かによる激しいサイバー攻撃を受けている。同サイト担当者が30日、明らかにした。
 担当者によると、2月に中国の政治改革を求める「中国ジャスミン革命集会」呼び掛けを掲載して以降、断続的にサイバー攻撃を受けているが、ここ数日、再び激化。サイトへアクセスしにくくなり、臨時ブログで情報を発信している。騒ぎの拡大を恐れる中国当局の関与も疑われている。
 30日の博訊は、同自治区の区都フフホトのフフホト大に治安部隊が動員されている様子を撮影した写真などを公表した。

◎拷問、行方不明、中国、弁護士への弾圧深刻化、アムネスティ指摘(2011年6月30日、産経新聞)
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部・ロンドン)は30日、中国で人権派弁護士に対する当局の暴力や身柄拘束などの弾圧が深刻化しているとの報告書を公表した。拷問を受けたり、行方不明になるなどした弁護士ら30人以上の例を挙げ「弁護士がこのように扱われるなら、中国では人権は守られようがない」と批判している。
 報告書は61ページ。中国の弁護士約20万4千人のうち、人権擁護活動に携わるのは数百人程度とした上で「弁護士らは資格停止をちらつかされて脅され、脅しに屈しない弁護士は暴力の標的になる」と指摘している。
 実例として、法治の徹底などを求める公開書簡を胡錦濤国家主席に送って有罪判決を受けた後、昨年4月から行方不明になっている高智晟氏や、環境汚染に苦しむ農民を支援し、2007年に拘束されて拷問を受けた李和平氏らを紹介。当局の嫌がらせで弁護士資格を停止された例も多数挙げている。

◎中国版新幹線、北京-上海開業、共産党90周年で国威発揚、特許紛争も(2011年6月30日、産経新聞)
 中国の北京と上海を最高営業時速300キロ、最短4時間48分で結ぶ高速鉄道(中国版新幹線)が30日、正式開業した。7月1日の中国共産党結党90周年の記念日を控え、国威発揚を狙った。ただ、中国側は日本とドイツから導入した車両技術を「独自開発」と主張し、米国などで特許申請したことが明らかになっており、国際社会から厳しい視線が集まる中での開業となった。
 30日は午後3時(日本時間同4時)に北京南駅、上海虹橋駅から、それぞれほぼ満席となった高速鉄道「和諧号」の1番列車が出発した。北京南駅で行われた開業式典には温家宝首相が出席。中国中央テレビで生中継されたが、海外メディアの取材は認めなかった。
 首都と最大経済都市を結ぶ「京滬(けいこ)線」は全24駅で、全長1318キロは東京-博多間より約200キロ長い。投資総額は約2200億元(約2兆7500億円)。沿線は国内総生産(GDP)の約40%、人口の4分の1を占める。
 日本では、高度経済成長期の幕開けとなった1964年に東京-新大阪間で東海道新幹線が開業しているが、中国でも北京-上海間の新幹線の開業を、2008年北京五輪と10年上海万博に続く重要な国家プロジェクトと位置づけている。
 しかし、「採算性度外視の開業」との批判があるなど、問題も浮上している。上海鉄路局によると、京滬線は1日90本運行される。料金は北京-上海間の2等車の場合、最速列車で555元(約7千円)だが、ライバルの航空業界も北京-上海路線を最高65%値引きする400元(約5千円)で対抗。乗客の奪い合いが始まっており、30日の発車分を除くと高速鉄道の座席予約率は20%前後と振るわないのが実情だ。
 また、中国は1318キロの大動脈を着工からわずか3年の突貫工事で完成させており、その安全性を疑問視する声も根強い。中国鉄道省は安全対策を理由に最高営業時速を350キロから引き下げたが、同省元幹部は、汚職で更迭された劉志軍・前鉄道相が世界一のスピードにこだわって安全性を犠牲に建設させた、と暴露している。
 さらに、1番列車に使われた車両「CRH380」型は日本の新幹線技術をベースに、川崎重工業などからの供与技術で中国メーカーが開発、製造したにもかかわらず、中国側は同車両の21件の技術で米国、ロシア、欧州などで特許申請の予備手続きを進めている。

◎パクリ特許取得阻止に断固対抗、中国版新幹線、試される知財戦略(2011年6月30日、産経新聞)
 川崎重工業などが技術供与した新幹線の「特許」を主張する中国に対し、日本の鉄道関係者は、強い不快感と警戒感を示している。中国と同様に、日本も新幹線をベースとした高速鉄道の輸出を成長戦略の重要な柱と位置付けており、ライバル関係にある。指をくわえて見ているわけにはいかない。供与した技術の転用などが判明すれば、特許無効を求め、断固対処する構えだ。
 川重は、2004年から中国の鉄道高速化プロジェクトに参加し、05年に国有メーカー「中国南車」と車両設計の合弁会社を立ち上げ、技術を供与した。
 関係筋によると、中国側は特許について、「提供されたのは最高時速200キロの車両で、380キロの走行を可能にしたのは中国の技術」と主張。これに対し、日本の関係者は、「契約に基づき、安全性を確保するため、営業速度275キロの条件つきで技術を供与した」と反論する。
 川重は特許申請について「内容を見て対応を検討する」(幹部)と言葉を濁す。新幹線輸出の旗振り役の国土交通省の幹部も「どこまで日本の技術が入っているかわからない。事態を見守るしかない」と話す。だが、関係者の多くは、「転用」とみている。
 川重は米国などで新幹線の製造技術に関わる特許は出願していない。中国に特許を握られると、価格競争では太刀打ちできないだけに、市場参入で不利になりかねない。
 まず対抗手段として取り得る策は、各国の特許庁への働きかけだ。出願された技術について「自社の技術と同じ」と情報提供することで、特許取得を阻止できる。仮にどこかの国で特許が登録された場合、川重側は再び特許登録の無効を求めた審判を申し立てたり、各国の裁判所に特許の登録取り消しを求め提訴することも可能だ。
 特許紛争に詳しいシティユーワ法律事務所の尾崎英男弁護士は「川重の技術に中国がどれだけ独自性や新規性を加味したかがポイント。それが認められなければ特許は登録されない」と話す。知的財産をどう守るのか。日本の国家戦略が試されている。

◎中国新幹線の特許申請に不快感、JR東海社長「日本の汗と涙の結晶」(2011年6月29日、産経新聞)
 JR東海の山田佳臣社長は29日の会見で、中国の政府系鉄道車両メーカーが、日本やドイツの技術を活用した中国版新幹線の技術特許を米国で申請する方針を打ち出していることについて、「新幹線技術は国内のメーカーと旧国鉄(現JR)の技術陣の長い期間にわたる汗と涙の結晶だと思っている」と述べ、不快感を示した。
 中国の鉄道車両メーカー、南車集団は、中国版新幹線の車両「CRH380A」の技術特許を米国で申請する方針で、将来の車両輸出を狙った戦略とみられている。南車集団は独自開発を主張しているが、実際は川崎重工業など日本企業が開発した新幹線「はやて」などの技術供与を受けて改造した。
 山田社長は、技術を供与した川崎重工に対しても「技術立国に恥じない対応をしてもらいたい」と語り、供与技術の範囲などを明確にし、特許侵害には断固対処するよう求めた。

◎喫煙時間は停車の1分、全席禁煙で北京と上海結ぶ(2011年6月29日、産経新聞)
 中国の北京と上海を結ぶ高速鉄道の試乗会が27日開催された。この高速鉄道は、ビジネスクラスの座席にフルリクライニング機能を採用したほか、中国では珍しく全席禁煙となっている。
 中国共産党創建90周年に合わせて開業となる高速鉄道は、最高時速300キロで上海-北京の1318キロを5時間未満で結ぶ。ビジネスクラスは運賃が1750元(約2万1800円)で、制服を着た客室乗務員がサービスする。年間8000万人の利用を見込んでおり、同区間を結ぶ航空便との競争が激化するとみられている。
 高速鉄道網は今後、2015年末までに全長4万5000キロにわたって整備される計画。鉄道省の主任エンジニアは試乗前に北京南駅で「(高速鉄道は)中国と中国人民の誇り。これほど高い水準の高速鉄道を建設するのにたった39カ月しかかからなかった。中国共産党設立90周年に向けた贈り物だ」と述べた。
 機能的には時速300キロ以上での走行も可能だが、安全に配慮し最高時速300キロでの運行となる。
 一方、喫煙に比較的寛容な中国での全席禁煙は、一部利用者にとって厳しいとの声も聞かれる。高速鉄道の安全面のトレーニング担当者は、「列車は南京で1分間停車するが、喫煙する乗客はプラットホームに走り出て、急いでたばこを吸う」と述べた。

◎パクリ新幹線、ガラガラ開業、広がる安全性への疑念、線路、地盤沈下の恐れも(2011年6月29日、産経新聞)
 30日に開業する北京-上海間の中国高速鉄道(中国版新幹線)「京(けい)滬(こ)線」の座席予約が低調だ。24日に発売された30日午後3時(日本時間同4時)に北京と上海をそれぞれ出発する1番列車の切符は10分ほどで売り切れたが、それ以外は空席が目立つという。
 その原因とみられるのが航空便の値下げ。中国紙、新京報が29日伝えたところによると、これまで北京-上海路線が「ドル箱路線」だった国内航空各社は、7月の同路線エコノミークラスの料金を大幅に引き下げ、最高で65%引きの400元(約5千円)のチケットまで登場した。これに対して高速列車の料金は555元(約7千円)。
 さらに、中国鉄道省元幹部が中国紙に対し、汚職で更迭された劉志軍・前鉄道相が、京滬線の安全輸送を犠牲にして世界一のスピード設定にこだわったと述べ、信頼性への疑念が広がっていることも、乗客に二の足を踏ませる一因になっているようだ。その後、同省は安全対策を理由に最高営業時速を当初計画の350キロから300キロに落としている。
 また、手抜き土木工事の結果、線路の地盤が沈下して走行に支障をきたす恐れがある、などと指摘する工事関係者もおり、京滬線は波乱の開業を迎えそうだ。

◎中国:高速鉄道用車両の特許を国際出願(2011年6月29日、毎日新聞)
 中国英字紙「チャイナ・デーリー」は28日、中国鉄道省が高速鉄道用車両に関する技術特許を国際出願したと報じた。同紙は「(出願によって)鉄道車両製造大手『中国南車』の米国市場への参入に道を開くと期待される」と位置づけている。
 同社は日本の川崎重工業の技術をベースに北京-上海間の高速鉄道(中国版新幹線)の主力車両「CRH380A」を製造した。複数国での特許出願が同時にできる特許協力条約(PCT)に基づき、台車や車体の外板などに関する21件の特許を出願。うち8件は予備審査を通過したという。日本、米国、欧州、ロシア、ブラジルの5カ国・地域で取得を目指しているという。ただ、最終的に特許を付与するかは各国が判断する。

◎パクリ新幹線、ガラガラ開業、広がる安全性への疑念、線路、地盤沈下の恐れも(2011年6月29日、産経新聞)
 30日に開業する北京-上海間の中国高速鉄道(中国版新幹線)「京滬(けいこ)線」の座席予約が低調だ。24日に発売された30日午後3時(日本時間同4時)に北京と上海をそれぞれ出発する1番列車の切符は10分ほどで売り切れたが、それ以外は空席が目立つという。
 その原因とみられるのが航空便の値下げ。中国紙、新京報が29日伝えたところによると、これまで北京-上海路線が「ドル箱路線」だった国内航空各社は、7月の同路線エコノミークラスの料金を大幅に引き下げ、最高で65%引きの400元(約5千円)のチケットまで登場した。これに対して高速列車の料金は555元(約7千円)。
 さらに、中国鉄道省元幹部が中国紙に対し、汚職で更迭された劉志軍・前鉄道相が、京滬線の安全輸送を犠牲にして世界一のスピード設定にこだわったと述べ、信頼性への疑念が広がっていることも、乗客に二の足を踏ませる一因になっているようだ。その後、同省は安全対策を理由に最高営業時速を当初計画の350キロから300キロに落としている。
 また、手抜き土木工事の結果、線路の地盤が沈下して走行に支障をきたす恐れがある、などと指摘する工事関係者もおり、京滬線は波乱の開業を迎えそうだ。

◎中国人の台湾個人観光解禁、富裕層による商機拡大期待(2011年6月28日、産経新聞)
 台湾への中国人観光客の個人旅行が解禁され、第1陣が28日午前、台北中心部の松山空港に到着した。
 中台関係改善で2008年7月に台湾への中国人団体旅行が解禁されて以降、台湾への中国人旅行者数は急増。昨年は、約40年間トップだった日本人客数を抜いた。富裕層が多い個人旅行の解禁で、台湾の観光産業は商機拡大に期待している。
 個人旅行解禁は当面、中国の北京、上海、福建省アモイの住民に限られ、1日500人まで許可。不法滞在を防ぐため、20万台湾元(約56万円)以上の預貯金の残高証明などが必要とされる。
 解禁初日の28日は、中国の3都市から200人以上が台湾入り。

◎ウイグル族と漢族住民が衝突か、中国湖南省(2011年6月27日、朝日新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動情報センターは27日、中国湖南省株洲市で25日、ウイグル族露天商と地元の漢族住民の間でトラブルがあり、怒った数十人のウイグル族が刃物を手に市中心部の広場を占領する騒ぎがあったと伝えた。
 トラブルの原因は不明だが、現場ではウイグル族と警察隊のにらみ合いが続き、やじ馬数千人が集まったという。
 中国では2009年、広東省でウイグル族の出稼ぎ労働者が漢族の労働者から暴行を受けた事件を機に大規模騒乱が発生、深刻な民族対立を招いた。事件から2年たつのを控え、各地で警戒が強まっている。

◎「小刻みな上下震動」中国版パクリ新幹線、メディアに公開、北京-上海間、時速300キロ(2011年6月27日、産経新聞)
 中国政府は27日、北京と上海を結ぶ高速鉄道のメディア向け試乗会を開催、高速鉄道に投入される中国版新幹線「和諧号」を内外にアピールした。30日の開業を前に開かれた試乗会で、報道陣は和諧号のうち、ドイツのシーメンス社の技術を導入して製造した車両に乗車。列車は北京南駅を出発後、およそ10分後には時速300キロに達した。不快とは言えないが、小刻みな上下振動を感じる。
 初めて導入されたビジネスクラスは運賃1750元(約2万2千円)と航空券並み。1列3席で、足を伸ばしても前の座席につかないほどゆったりしたスペースを確保した。運賃555元(約7千円)の2等席は1列5席だが、日本の新幹線より座席の幅が狭く、少し窮屈だ。この車両は1月の試験走行で、営業運転する列車としては世界最速の最高時速487.3キロを達成したが、安全面への配慮などから鉄道省は当面、最高時速300キロで営業運転する。

◎中国版新幹線:北京―上海1318キロを4時間48分(2011年6月27日、毎日新聞)
 北京と上海を結ぶ高速鉄道(中国版新幹線)が30日に開業するのに先立ち、中国鉄道省は27日、国内外のメディア向け試乗会を開いた。中国の大動脈を結ぶ1318キロを、これまでの半分の最短4時間48分で走り抜け、その技術力の高さを内外に印象づけた。
 中国共産党創建90周年(7月1日)の前日の開業は国威発揚の狙いがあるとみられる。だが、車両は日独の技術をベースに改良され、特許権をめぐる問題が浮上しているほか、急ピッチの工事による安全面への懸念もぬぐえない。中国の2大都市を結ぶ大動脈での高速鉄道開業は、中国の発展ぶりを内外にアピールするとともに火種も抱えつつの出発となりそうだ。

・発車6分で時速300キロ、胸張る技術者
 北京中心部からバスで約30分、北京南駅には高速鉄道の発着用ホームが何本も並ぶ。そこに、白地に青いラインが特徴の真新しい「和諧号」が待機していた。国内外のメディア向け試乗会に参加した私(隅)は2等席(普通席)に座った。和諧号は27日午前9時、内外メディア関係者ら約400人を乗せ、滑るように動き出した。
 北京-上海間の主力車両のうち、今回の試乗は独シーメンス社の技術を導入して改良された「CRH380B型」だった。日本の新幹線と比べても振動や騒音は少なく、思った以上に快適だ。テーブルに載ったコップの水もほとんど揺れない。
 ビル群をすり抜けると、発車から約6分で最高時速300キロに達した。日本と違ってトンネルやカーブが少なく安定した走りだ。先頭車両の運転室は客席からガラス越しに見ることができ、運転士が画面に映し出された指令や信号を確認しながらレバーを操作。速度計の針はピタリと時速300キロを示していた。
 車窓には見わたす限りの田園地帯が広がる。猛スピードで疾走する超特急の窓の外に、作業の手を休めてこちらをジッと見つめる農民の姿が見えた。
 和諧号には中国鉄道省や鉄道車両製造会社などから約70人も同乗し、内外メディアなどの取材に応じた。「気の遠くなるような試験を繰り返しやっとここまで来た」と語る技術者たちの言葉からは自負心のようなものも垣間見えた。外国メディアなどは「海外の先端技術をまねただけだ」という疑念を持つ。だが、車両を製造した「中国北車集団長春軌道客車」の技術者、梁樹林氏は「私たちは試験段階で487.3キロを達成しても安全だった。中国の鉄道に合うように改善して実現したもので、技術は私たちのものだ」と胸を張った。
 ドル箱路線でもある北京-上海線の目玉は、初めて導入されたビジネスクラスだ。1列3席の余裕のある空間。豪華な革張りシートは柔らかで、ベッドのように平らに倒して寝ることができる。専用テレビモニターや手元を照らすライトも装備され、客室乗務員が乗客に満面の笑みで飲み物や軽食のサービスをする。航空会社の客室乗務員から転職したという乗務員(25)は「手元の指先など細かい部分までかなり厳しい接客訓練を受けたわ」と話した。
 ビジネスクラスだけでなく1等席(日本のグリーン席)と2等席にもパソコンが使えるよう各席に電源が用意されている。また、押しボタンで扉を開閉できる身体障害者用のトイレも併設されるなど日本の最新式の新幹線と変わらぬ内装が施されていた。
 ビジネスクラスの料金は1750元(約2万2000円)。庶民にとっては高根の花だが、上海の繊維会社社長(48)は「遅延やキャンセルもある飛行機と比べれば、確実に運行される高速鉄道は魅力的。経済的に余力のある私たちからすれば2000元だって高くない」と話す。

◎開業日控え“ドタバタ劇”、模倣車両も「完全に国産」主張、日本に逆ギレ(2011年6月26日、産経新聞)
 北京と上海を結ぶ中国の高速鉄道(中国版新幹線)をめぐる“ドタバタ劇”が続いている。7月1日だった正式開業日の予定が突然、前日の6月30日に前倒しされた。関係筋によると、中国共産党創立90周年の記念日(7月1日)に開業報道がかぶらないよう、党が開業日の前倒しを指示したという。
 中国鉄道省は23日、記念式典を30日に行い、7月1日に開業すると発表。しかし24日になって突然、30日午後に開業するとして乗車券の発売を始め、一番列車は約15分で売り切れた。
 2008年4月に着工した同路線は当初、来年の開業予定だったが、共産党90周年に合わせて工事を急がされた経緯があり、開業日まで振り回された格好だ。
 また、この路線を走る車両技術を米国で特許申請する計画が報じられたメーカー、南車集団(北京市)が地元紙の取材に「独自開発だ」と強く反論。同社の主張では、川崎重工業などから導入した技術は、時速200~250キロの「CRH2」型車両どまりで、同300キロで北京-上海線を走る「CRH380A」は完全に国産だと主張した。
 特許申請すれば米国で日本との特許紛争になる可能性があるが、中国のインターネット上では、「中国の国産化率は90%以上」「日本は中国の鉄道輸出を妨害している」などと発言が相次ぎ、模倣を指摘した日本を非難する“逆ギレ”の様相すらみせ始めている。

・用語解説:中国版新幹線の車両技術特許問題
 中国メーカー、南車集団が日本の新幹線「はやて」をベースに開発した高速鉄道車両「CRH380A」型の特許を米国で申請する予定であることが分かり、日本側が非公式に懸念を表明している。日本から中国への新幹線技術供与はあくまで中国国内の利用が条件だったが、車両輸出を狙う中国は「国産技術」と主張。米国での特許申請で主張を裏付ける作戦だ。

◎中国版パクリ新幹線を米国で特許申請へ、「安全性置き去り」7月1日に見切り発車の北京-上海線にも採用(2011年6月24日、産経新聞)
 23日付の中国英字紙チャイナ・デーリーは、中国の鉄道車両メーカー、南車集団が中国版新幹線の車両「CRH380A」の技術特許を米国で申請する方針だと報じた。将来の車両輸出をにらんだ作戦とみられる。南車集団は独自開発を主張しているが、実際は川崎重工業など日本企業が開発した新幹線「はやて」の技術供与を受けて改造した。中国版新幹線には手抜き工事などの指摘もあり、北京-上海線の7月1日開業は“見切り発車”だとの声が高まっている。
 中国鉄道省は23日、北京と上海を最短4時間48分で結ぶ高速鉄道「京(けい)滬(こ)線」を中国共産党の創立90周年記念日の7月1日に正式開業させると発表した。南車集団が特許の申請を予定している「CRH380A」型車両も採用されている。
 同社は、営業運転時の最高時速を引き上げるため車両の車台部分やロングノーズ(先端部)などが、中国の独自技術で作られたなどと主張して特許申請する。
 しかし、中国鉄道省の元幹部、周翊民氏が証言したとして21日付の中国紙、21世紀経済報道が報じたところによると、中国の高速鉄道車両は日本やドイツからの導入技術がほとんど。欧州系メーカーから「技術供与はあくまで中国国内での使用に限定している」として、車両輸出は契約違反と警告されているという。
 川崎重工は「どのような技術が特許申請されるか確認が取れないので、回答を差し控えたい」としているが、欧州も含めた特許紛争に発展する可能性もある。
 一方、周氏はそれ以外にも、中国版新幹線の営業時の最高時速が当初計画の350キロから300キロに引き下げられた問題に関し、汚職で2月に失脚した劉志軍・前鉄道相が「世界一」にこだわり、安全性を無視して最高時速を350キロに設定するよう命じていたと暴露。技術供与元の日独企業から時速300キロ以上の営業運転は設計上も乗客の安全を保証できないと指摘され、前鉄道相の更迭後に方針変更したという。
 周氏は、路線の安全設計や工事が不十分で、地盤沈下による走行支障が起こり得るなど土木工事の問題も告発している。また、香港紙は、高速鉄道の建設に携わった技術者が、工事代金にからむ汚職の結果、手抜き工事が現場で横行したと証言し、「自分は絶対に乗らない」と、不信感をあらわにしていると伝えた。
 京が北京、滬が上海を意味する京滬線は全長1318キロの専用路線で、所要時間は在来線の半分以下に短縮される。2008年4月に着工し、強制的な土地収用が可能な共産党政権下ながら、わずか3年あまりの突貫工事で建設された。国威発揚の期待も高い京滬線は安全性を置き去りにしたまま動き出す懸念がある。

◎創設時50人、中国共産党員8000万人超す(2011年6月24日、読売新聞)
 中国共産党中央組織部は24日、党員数が2010年末時点で8026万9000人に達したと明らかにした。
 1921年の党創設時には約50人だった党員数は、90年間で160万倍に拡大し、「世界最大の党」を誇るようになったが、汚職のほか、高齢化や出稼ぎ労働者(民工)に代表される「流動党員」の増加など様々な問題も抱えている。
 王秦豊・中央組織部副部長によると、女性党員数は1803万人で全体の22.5%を占め、少数民族の党員数は534万人で同6.6%、大卒以上の学歴がある党員数は2978万人で同37.1%となっている。入党申請も増加傾向にあり、昨年は2102万人が申請した。
 一方、離党者数は3万2000人に上った。大部分が汚職などで除名処分となったもので、王副部長は「党の先進性と純潔さを保証する措置だ」と強調した。

◎中国:高速鉄道、米で特許申請検討、日本の技術がベースに(2011年6月23日、毎日新聞)
 23日付の中国英字紙「チャイナ・デーリー」は、中国の鉄道車両製造大手「中国南車」が高速鉄道用車両「CRH380A」の技術特許の米国での申請を検討していると報じた。日本や欧州勢と受注を争う米国の高速鉄道整備計画への参入を有利に進める狙いがあるとみられるが、この車両は川崎重工業など日本の技術をベースに改良されており、特許を巡る紛争に発展する可能性もありそうだ。
 「CRH380A」は北京と上海を結ぶ高速鉄道の主力車両の一つ。同社幹部は、初期段階で日本の技術を導入したことを認めつつ、「時速380キロでもスムーズに走行できるように、台車や車両の先端部、車体の外板を改良し、1億元(約12億4000万円)以上を投入した」と説明した。同社はこうした技術の特許申請を目指している模様で、既存の特許と比較するために米国の弁護士を雇ったという。
 中国の高速鉄道を巡っては、鉄道省の元幹部が中国紙の取材に、独自の技術で最高時速を引き上げたわけではなく、汚職疑惑で2月に解任された劉志軍前鉄道相が安全性より「世界一」となることを優先して設定したと証言していた。後任の盛光祖鉄道相は高速鉄道の最高時速を350キロから300キロに引き下げる方針を表明しており、北京-上海間の高速鉄道にも適用される。

◎「トイレ休憩4時間に1回」、韓国系かばん工場で出稼ぎ女性ら4千人がスト、中国、広州(2011年6月23日、産経新聞)
 23日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国広東省広州市の韓国系かばん工場で20日、従業員4千人以上がストライキを起こした。労働環境の改善などを求めているという。収拾の見通しは不明。
 同紙によると、バーバリーなど有名ブランドのかばん生産を請け負う工場で、従業員は大半が内陸部からの出稼ぎの女性。毎日12時間立ちっぱなしで仕事をさせられているほか、トイレ休憩が4時間に1回しか与えられないなどと訴えている。

◎中国局長、つぶやいて停職、不倫相手との赤裸々やり取り「公開」(2011年6月22日、産経新聞)
 短文投稿サイト「ツイッター」の中国版「微博」に書き込んでも、他人に内容が知られることはないと思い込み、不倫相手との赤裸々なやりとりを誤って公開していた江蘇省常州市の地方衛生局長が21日、停職に追い込まれた。香港紙、明報などが22日伝えた。
 中国では微博利用者が2億人に迫る勢いで急増中。不特定多数に不倫を暴露していたことに気付いた局長は即座にアカウントを削除したが、書き込み内容は中国メディアでも報じられた。
 局長と相手の女性は今年4月から微博を利用。局長は自分の顔写真入りのページを開設し、女性に向け「早く抱き締めたい。待ち切れない」「ホテルに先に行って休んでいて」などと書き込んだ。「どんな買い物をしたの?経費で落としてやるよ」と公私混同を疑わせる内容もあった。
 局長の家族構成は不明。女性の素性も明らかでないが、夫と子供1人がいるという。

◎中国高速鉄道「独自技術でない」、元幹部、中国紙に暴露(2011年6月22日、朝日新聞)
 中国が威信をかけて進める高速鉄道網整備を巡り、中国鉄道省の元幹部が中国紙に対し、「世界一にこだわり、設計上の安全速度を無視しただけで、中国独自の技術によるものではない」との見方を示した。
 証言したのは同省科学技術局長などを務めた周翊民氏。21日付の「21世紀経済報道」が伝えた。
 中国は日本とドイツから導入した技術を元に独自技術で時速380キロの営業速度を実現したとしていたが、実際には安全上の考慮を無視し、日独が試験走行で達成していた速度に近い速度での営業を命じただけだったと証言。「自分の技術でないので問題が起きても解決できない。結果の甚大さは想像もできない」と指摘した。

◎中国、暴動情報密告すれば「報奨金」「都市戸籍」、農民工の団結崩す狙い(2011年6月21日、産経新聞)
 中国広東省の広州市郊外で10日から3日間続いた農村からの出稼ぎ労働者(農民工)らの暴動で、暴動に加わった人物に関する情報を密告した農民工に対し、地元当局が、報奨金に加え、「都市戸籍」を与える異例の対策を21日までに打ち出した。
 中国では内陸部の農村出身で「農村戸籍」を背負う農民工は、出稼ぎ先の都市で十分な社会保障や子供の義務教育すら受けられないケースがあり、戸籍上のあからさまな差別が続いている。このため、農民工にとって都市戸籍は羨望の的になっている。今回の措置は、これを利用したものだ。
 地元当局の通告によると、暴動に関する情報提供など捜査に協力した人に5千~1万元(約6万2千~12万4千円)の報奨金に加え、農民工には希望すれば都市戸籍や「優秀農民工」の“称号”を与えるという。カネや戸籍、称号をエサに農民工の団結を崩す効果も狙ったようだ。
 暴動に加わった者には「自首すれば寛大に処置する」とも呼びかけた。今回の暴動は、四川省出身の露天商の女性に、治安当局者が暴力を振るったことがきっかけだった。

◎中国:暴動相次ぐ、格差拡大など社会的弱者の不満が爆発(2011年6月21日、毎日新聞)
 中国で地方当局の不正や格差の拡大に抗議する大規模なデモや暴動が相次いでいる。広東省広州市郊外の増城市では今月10日から3日連続で暴動が発生し、政府機関の建物が破壊された。出稼ぎ労働者などの社会的弱者が不満を爆発させるケースが目立ち、中国指導部は7月1日の中国共産党創建90周年を前に引き締めを強めている。
 広州市内から車で約1時間。増城市新塘はデニム製品の主要生産地で、零細工場が建ち並ぶ。日系企業の工場もある。働くのは四川省などからの出稼ぎ労働者だ。現場周辺を訪れると、暴動から約1週間が過ぎても、街頭には多数の警官が立ち、当局の街宣車が「多数が集まって国の機関を攻撃するのは違法行為だ」と拡声機で警告を繰り返していた。
 暴動のきっかけは新塘のスーパー前で10日夜、営業していた四川省出身の露天商の妊婦が治安要員から暴行を受けたことだった。中国メディアによると、抗議した目撃者らに別の治安要員が「(出稼ぎ労働者の)お前たちが死んでも(賠償金はわずか)50万元(約620万円)だ」と吐き捨てるように言ったことに出稼ぎ労働者が反発し、数千人が政府機関の建物や警察車両に放火した。
 背景には、当局の横暴に加え、物価高、格差拡大に対する民衆の不満がある。特に出稼ぎ労働者は賃金水準が低い上、都市戸籍を持っていないため、社会保障を十分に受けられない。ジーンズ工場で働く四川省出身の労働者(45)は「物価は上がり続けるのに月収は多くて2000元(約2万5000円)。生活環境は改善されない」と不満をぶちまけた。
 中国では5月ごろから内モンゴル自治区や広東省、湖北省、浙江省などで抗議デモや暴動が続発。広東省潮州市では今月上旬、四川省出身の出稼ぎ労働者への賃金未払いをきっかけに暴動が発生した。上海紙・東方早報は、四川省出身者でつくる「同郷会」が金で若者を雇って暴動を拡大させたと指摘したが、立場の弱い出稼ぎ労働者にとっては、自分たちの利益を代弁する「同郷会」に頼らざるを得ない側面もある。
 当局は暴動やデモを抑え込む姿勢を崩していない。新塘では地元公安当局が捜査協力者に5000~1万元(約6万2000~12万4000円)の報奨金を支払い、暴動に関わった人物のあぶり出しを図る。協力者が出稼ぎ労働者の場合は都市戸籍を与える「見返り」付きだ。
 今年度の国家予算で、暴動鎮圧などに使われる公安費(6244億元)は国防費(6011億元)を上回っている。暴動やデモの広がりを受け、胡錦濤指導部は格差是正に積極的に取り組む姿勢をアピールすると同時に、「社会管理」と称する引き締め策を強化している。

◎蝶理、炭酸バリウム、中国で増強、2工場で年7万トン(2011年6月21日、化学工業日報)
 蝶理は、青島紅星化工集団との共同事業である貴州省の2工場で炭酸バリウムの生産能力を増強する。今夏中の稼働を目指して合計年7万トン増強し、37万トン体制とする。炭酸バリウムは主用途だったブラウン管(CRT)向け需要が急速に縮小、現地メーカーの撤退が相次いだ。このためCRT以外の用途は一転して玉不足となり、原燃料高などに加えて大幅に市況を押し上げる要因となっている。貴州省の2工場もフル稼働しているが、需要に対応し切れていない。

◎高速鉄道効果で山東省の不動産が値上がり(2011年6月21日、朝日新聞)
 世界一長い鉄道「京滬高速鉄道」の開通が間近に迫り、沿線都市の不動産価格が値上がりを見せている。アナリストによれば、高速鉄道は駅周辺都市の経済を大きく刺激し、その経済押し上げ作用は転じて購買力の伸びにもつながるという。またこれにより、沿線都市近郊エリアの不動産価格も徐々に上昇すると見られる。新華網が伝えた。
 山東省済南市にある済南西駅は、京滬高速鉄道の五大始発駅のひとつだ。鉄道はまだ開通していないが、周辺の不動産ではすでに待ちきれずに「高速鉄道ブランド」を打ち出し始めた。市内のある建設中のマンションは、駅からわずか1.5キロメートルの距離にあり、販売開始直後に購入希望者が押し寄せた。2年前、このエリアの価格は1平方メートル4000元前後だったが、今では6400元に達している。
 済南在住で物件探し中の張氏は、「このあたりの部屋は、駅から近くて便利なだけでなく、将来的に大きな値上がりを期待できる」と話す。
 京滬高速鉄道は、北京、天津、上海の三大直轄市と河北、山東、安徽、江蘇の4省を縦断する。山東社会科学院経済研究所の張衛国所長は、「京滬高速鉄道沿線都市は、文化的に見ると中国歴史上の数々の文化が蓄積されている。相対的な経済規模から見ると、これらの都市は、中国経済の中でも最も発達したエリアだ。こうした文化的、経済的、地政学的な優位点が絡み合うことで、沿線都市の不動産は今後大きな利益を生み出すだろう」と語る。
 不動産価格のすでに高い上海や北京などの大都市に比べ、京滬高速鉄道の沿線にある二・三線都市は鉄道開通後の経済効果に大きな期待を寄せている。山東大学不動産研究センターの李哲崗主任は、「これまでの鉄道駅には主に、交通拠点としての機能しかなかったが、京滬高速鉄道の駅には多くの副産物がついてくる。新しい駅の周辺は、総合発展区域として整備が予定されている。オフィス、商業、ホテル、不動産など多くの発展が期待でき、都市に大きな経済効果をもたらすことだろう」と語る。
 しかし一方で、京滬高速鉄道沿線の不動産価格は、長期的には有利だが、短期的な影響は大きくないかもしれないとする専門家もいる。張衛国所長は、「沿線付近が栄えるまでには3年前後が必要で、投資効果はその後にようやく表れるだろう」とする。

◎中国:共産党90周年映画が不評、豪華キャストでも空席(2011年6月20日、毎日新聞)
 中国共産党創建90周年の記念日(7月1日)を前に、中国で公開されたばかりの映画「建党偉業」の内容に不満の声が出ている。国民の愛党精神を高めようとする中国当局の狙いに国民は必ずしも同調していないようだ。
 映画は、近代化の出発点となった辛亥革命(1911年)から党が創建された21年までの10年間に焦点を当て、孫文や袁世凱、毛沢東などの指導者や庶民の姿を描いている。アンディ・ラウやワン・リーホンら中華系スター約100人を連ねる豪華キャストでも話題を呼んだ。中国建国60周年を記念して09年に公開された「建国大業」と同じ韓三平、黄建新の両監督が手がけている。
 中国各地の駅やバス停でポスターが掲げられ、テレビでも再三宣伝されるなど、中国当局は普及に躍起だ。しかし15日の公開直後から空席が目立つ映画館が出る一方、インターネット上では「(俳優が多すぎて)場面の更新が早い」という製作上の不満や「もし(映画に出てくるような)革命精神を学んだなら腐敗した政府にはならなかったはずだ」「現在は(市民の抗議活動を許すほどの)寛容な社会環境は絶対ない」などと現体制への皮肉も書き込まれている。
 一方、中国国営新華社通信は19日、先週インターネット上で最も注目を集めたキーワードが「建党偉業」だったと伝え、市民の関心の高さや優れた内容ぶりを引き続き強調している。

◎児童ら100人以上中毒、中国の工場、塩素ガス流出(2011年6月18日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国貴州省遵義市の地元当局は18日、同市郊外の化学工場で17日に大量の塩素ガスが流出し、近くの小学校の児童ら100人以上が中毒症状を訴えて病院で手当てを受けたことを明らかにした。症状の重い27人が入院して治療を受けている。
 これまでの調査によると、工場は仮操業中で、設備の故障のため塩素ガスが流れ出たとみられるという。当局は工場の操業を中止させ、原因を調べている。住民は工場が公害の原因になっていると、これまで何度も地元政府に訴えていたとの報道もある。

◎万里の長城は「4万里」超、4年の調査で判明(2011年6月17日、読売新聞)
 中国の秦や明など各時代に造られた「万里の長城」を合計した全体の長さが2万1000キロ・メートルを超えていることが、中国の国家文物局の調査でわかった。
 中国共産党機関紙「人民日報」が伝えた。
 世界文化遺産に登録されている明代建造の長城の総延長が8851.8キロ・メートルであることはすでに公表されていた。だが、13日付の人民日報によると、秦や漢などの時代に築かれた長城についても、昨年末までに4年余りをかけて全面的に調べた結果、計1万3000キロ・メートル以上あることが判明した。
 中国の「1里」は現在500メートルで、2万1000キロ・メートルは4万2000里。万里をはるかに上回る長さとなる。

◎中露、ガス供給対立解消せず(2011年6月17日、産経新聞)
 ロシアのプーチン首相と中国の胡錦濤国家主席は16日、モスクワで会談し、ロシアから中国への天然ガス供給計画について協議。ロシア主要メディアによると、首相は「われわれが合意できれば、両国の経済関係発展にさらなる可能性を生みだす」と述べ、最終合意に至っていないことを示唆、供給計画合意による両国関係強化を胡主席に促した。
 ガス供給計画について、両国は胡主席の訪露中の合意を目指していたが、価格をめぐる対立が依然解消していないもようだ。
 両首脳はロシア政府系天然ガス独占企業ガスプロムの本社で会談。会談に同席した同社のミレル社長は「契約が調印されれば、パイプラインの建設を今年半ばに開始できる」とし、2015年末に供給開始が可能との考えを示した。

◎「私は賄賂を贈った」告白サイト続々、中国、庶民のガス抜き、規制せず(2011年6月17日、産経新聞)
 中国のインターネットで今月に入って、市民が自らの贈賄体験を“告白”する異色のサイトが相次いで登場し、注目を集めている。インドで話題の告白サイト「I PAID A BRIBE(私は賄賂を贈った)」をもじった「我賄賂了」など10以上のサイトが林立。赤裸々なストーリーが人気だ。7月1日の中国共産党創建90周年の記念式典を控え、ネットの言論統制を一段と強化している中国政府だが、これらのサイトに規制を加えた形跡はない。賄賂が社会にはびこる中、爆発寸前の庶民のガス抜きを期待しているとみられる。

・裁判官に商品券
 サイトには「税務署員6人に食事をおごり、さらに500元(約6230円)を渡し脱税指南を受けた」「裁判官に商品券を贈って有利な判決を引き出した」「警察官にたばこ1カートンを贈ってトラック積載量オーバーを見逃してもらった」「農村にある自宅の修復工事を円滑に進めるために、村幹部に5000元(約6万2000円)とたばこを贈った」などさまざまな告白がずらり。
 投稿者もサイトの運営者も匿名で、運営者は投稿者に、収賄した当局者を特定できるような情報は掲載しないように呼びかけ、ぎりぎりで一線を越えないよう配慮している。AFP通信によると、監視当局者は、これらのサイトの存在は知っていると述べたが、詳細なコメントは拒否したという。
 4億人以上という世界最多のネットユーザーを抱える中国は、一方で政府内に約10万人のネット監視専門員が配置された、世界に類例がないネット言論統制国家でもある。
 昨年12月以降、中東・北アフリカ諸国で民主化要求デモが燃え盛ると、波及を恐れた中国政府は一段と監視を強め、5月にはネット管理を一元強化するための組織「国家インターネット情報弁公室」を国務院内に設置。天安門事件(1989年6月4日)の「記念日」をはさんでこれまでに少なくともネット関連会社55社のサイトを「非法」として強制閉鎖させた。

・汚職が「文化」
 さらに中国では、7月に共産党創建90周年、来年秋には共産党指導部が10年ぶりに刷新される党大会を控え、情報統制には神経過敏になっている。にもかかわらず、贈賄告白サイトを当局が黙認しているのは、意図があるとみられる。
 共産主義を掲げながら、急速な資本主義的経済発展を遂げた中国では、支配層、既得権益層がモラルと節度を失い、汚職が“文化”とすらいえる状態だ。政府が告白サイトに、一石を投ずる効果を期待しても不思議ではない。
 ネット上では、公務員向けサイト「私は賄賂を受け取りました」を作るべきだとの声も上がっている。

◎中国・広東の暴動で19人逮捕、地元紙で公表(2011年6月17日、産経新聞)
 中国広東省広州市近郊の増城で10日から3日間続いた暴動で、地元公安局は15日、公務執行妨害などの疑いで18~52歳の男性19人を逮捕し、16日付の地元紙、増城日報で公表した。逮捕者全員が地元以外の出身者で、出稼ぎ労働者とみられる。
 暴動は四川省出身の妊婦への治安当局者の暴力が発端だが、逮捕者のうち7人が四川省出身。地元では100人以上が拘束されたとの情報もある。

◎中国で「人間の母乳出す牛」が誕生、3年以内に販売も(2011年6月16日、産経新聞)
 中国の研究チームが、人間の母乳代わりになる可能性を秘めた乳を出す「遺伝子組み換え乳牛」を誕生させた。中国では2008年、メラミン入り粉ミルクを飲んだ乳幼児少なくとも6人が死亡し、約30万人が健康被害を訴えるなど大きな社会問題となっていた。中国農業大学の研究者らは、乳牛の胚のDNAにヒトの遺伝子コードを組み入れる研究を行い、人間の母乳と同等の栄養分を持つ乳を出す牛を2003年に初めて誕生させた。遺伝子組み換え乳牛が出すミルクは人間の母乳よりも味が強く、甘いという。
 北京郊外の試験農場には現在、そうした遺伝子組み換え乳牛が300頭おり、毎週子牛も生まれている。
 このプロジェクトを率いるリー・ニン教授は「われわれの遺伝子組み換え牛乳は、母乳の成分と80%同じ」とし、その中には免疫システムを向上させるとみられる抗体なども含まれていると説明。この研究は、同国のバイオテクノロジー大手企業から支援を受けており、3年以内に手ごろな価格での商品化を目指している。
 ただ、その安全性を危惧し、遺伝子組み換え食品に反対する団体などから批判も起きている。

◎村長暴行され、村民数千人が給油所襲う、中国(2011年6月16日、読売新聞)
 香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターは16日、中国浙江省台州で14日夜から、村民の暴動が発生、武装警察官ら数千人が出動し、16日も厳戒態勢が続いていると伝えた。
 開発区内の給油所が村の土地を収用。村長が土地の補償金引き上げをかけ合おうとしたところ、給油所職員から暴行を受けた。これに怒った村民数千人が給油所を包囲し、設備が壊されたという。中国では土地収用をめぐる住民と当局・企業側の紛争が相次いでおり、きっかけさえあれば大規模な暴動に発展するケースが多い。

◎中国製の偽造品が米軍調達網に流入、上院軍事委、現地調査申請も入国拒否(2011年6月16日、産経新聞)
 米国上院軍事委員会は14日、中国製電子機器部品の偽造品が米軍の調達網に大量に流入し、戦闘機などに設置される状況になったことを明らかにし、中国の偽造品製造工場の現地調査を実施する意向を表明した。だが中国政府は米側調査員の入国を拒んでいるという。
 同軍事委員会の委員長カール・レビン議員(民主党)とジョン・マケイン議員(共和党側筆頭委員)は同日、米議会で会見して、まず米軍が各種兵器類用に調達する電子部品に大手メーカー製品を模倣した偽造品が多くなったと指摘し、そのほぼすべてが中国広東省深セン市内の工場群で製造されていると判断するに至ったことを発表した。
 レビン委員長らによると、米国防総省や議会会計検査局(GAO)の調査で最近、米軍のF15戦闘機の飛行コントロール用コンピューターのマイクロプロセッサーやミサイル防衛関連機器の小型回路が偽造品であることがわかった。
 このままだと偽造品が実際の兵器に装備されてしまう恐れがあるという。
 なおGAOの調査ではこの種の中国製の偽造品は電子分野に限らず航空機や自動車の部品にも多く、国防総省が指定する軍事機材調達網に不正流入する数量が激増しているという。
 レビン委員長は「この種の偽造品は広東省の深センやその他の都市の多数の工場で堂々と製造されており、当委員会としては現地調査を意図して調査員の中国本土への入国ビザを在米中国大使館に申請してきたが、拒まれている」と述べた。
 マケイン議員も「偽造品を厳しく取り締まらないと、米国の軍事力に支障が起きる」と懸念を表明。「中国政府は米側調査員に現地で中国側要員を同行させる条件つきならビザを出すと述べているが、米側として認められない」と語り、この問題が米中関係に悪影響を及ぼしかねない状況となったことを明らかにした。

◎中国鉛中毒の子供「政府が血液検査を拒否」、汚染源工場と癒着?(2011年6月15日、産経新聞)
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは15日、中国で蔓延する鉛中毒に関する報告書を公表した。被害を受けた子供の親から聞き取り調査し「地元政府に血液検査を拒否された」「抗議を理由に逮捕された」などの証言を紹介、汚染源である工場との癒着が指摘される地方政府の対応の問題を批判している。
 中国では鉛精錬工場や電池工場からの廃水などで住民が体に変調を来す例が相次いでいる。中央政府は対策に乗り出しているが、こうした工場は地方都市の経済成長を牽引していることもあり、対策が進んでいない。
 河南省の村では、当局が深刻な鉛中毒が疑われる子供数十人の血液検査を「器具が壊れた」と拒否。雲南省では高い鉛濃度を示していた子供が突然「正常」と診断され、検査結果の開示要求が却下された。

◎「地元当局はウソばかり」怒る民工、広東省暴動(2011年6月15日、読売新聞)
 出稼ぎ労働者(民工)による大規模な暴動が起きた中国広東省・広州近郊の新塘は14日も厳戒態勢が敷かれた。
 街頭に配置された1万人近い治安部隊が民工の動きを監視するが、民工の間には地元当局への不信と不満が渦巻いている。
 「地元当局は記者会見で『問題は解決した』と言ったが、ウソばかりだ」「妊婦に続いて少年が治安要員に殴られ動かなくなるところを見た」
 妊婦が殴打され、暴動の発端となった新塘の工業地区を13日に訪れると、住民が集まりまくし立てた。この地区には四川省を中心に各地から民工が集まり縫製工場や露店などで働く。
 民工らが最も憤っているのは、街頭の秩序維持にあたる治安要員「城管」の振る舞いだ。「保護費」と称し、露天商や商店主らに200元~500元(約2600円~6500円)を要求。拒めば殴られるという。
 「あいつらは金をたかるばかり。当局もやつらを野放しにしている」。ある商店主男性(30)は吐き捨てるように繰り返した。
 工業地区から市中心部に向かう道は、両側にずらりと武装警察が並び夜間は封鎖される。路上には車の形に焦げた跡が14か所残り、辺りは焦げ臭い。11日に暴徒化した民工らが警察車両などに火を付けたという。

◎干ばつの次は大雨、死者100人超、湖北省(2011年6月15日、読売新聞)
 中国湖北省などで大雨が続き、地滑りや洪水が発生。14日の新華社電によると、10日間で100人を超える死者が出たほか、5万5000人以上が避難を余儀なくされている。同省武漢の市街地では広い範囲で道路が冠水した。同省では豪雨の直前まで干ばつに見舞われ、地域経済に深刻な影響が出ていた。

◎中国・広州近郊の大規模暴動、14日も厳戒(2011年6月14日、読売新聞)
 中国広東省・広州近郊の町、新塘で10日から12日まで3夜連続で、治安要員の暴力に激怒した出稼ぎ労働者(民工)らによる大規模な暴動が発生、群衆が地元警察署や警察車両に放火するなどした。
 当局は治安部隊を大量に投入し、暴動を抑え込んでいるが、民衆の不満は収まっておらず、14日も厳戒下で緊張状態が続いている。
 暴動は、10日夜、四川省から来た妊娠中の露天商女性(20)に治安要員が暴力を振るい、近くにいた同省出身の民工らが抗議したことから起きた。香港紙によると、新塘には四川出身者が約10万人おり、暴動は瞬く間に拡大、警察署などへの放火が始まった。
 翌11日には、町中心部に少なくとも数千人が集まり、警察車両など20台以上を燃やしたほか、地元政府施設などに火炎瓶や石を投げつけた。若者たちは「地元政府に搾取されている」と、日頃の不満もぶつけている。

◎可塑剤混入食品、「粉ミルク事件の台湾版」? 国内食品問題の目をそらす中国当局(2011年6月14日、産経新聞)
 台湾で人体に有害とされる可塑剤が食品から検出された事件が、中国にまで波紋を広げている。中台両岸が経済を軸に急接近する中、台湾は来年1月に総統選を控えており、台湾を震源とする食の安全問題が今後、両岸関係に影響を及ぼす可能性も排除できない。

・薬品や化粧品も
 事件が明らかとなったのは、5月下旬。台湾メディアなどによると、台湾で販売されるダイエット食品から、可塑剤「フタル酸エステル」の一種「フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)」が検出された。
 可塑剤は本来、合成樹脂の弾性を高めるためなどに使用される薬品。発がん性の恐れがあるとされるほか、体内に吸収された場合に生殖機能に悪影響を及ぼす可能性も指摘され、食品への添加は禁じられている。
 悪徳業者が目を付けたのは、DEHPのコスト削減効果だ。中国語で「起雲剤」と称される乳化剤の一種を製造する際、本来使用されるパーム油の代わりにDEHPを添加すると「コストが5分の1になる」(台湾紙・聯合報)という。このためDEHP入りの乳化剤は大量に市中に出回り、スポーツ飲料や茶系飲料、果汁、ジャムといった幅広い食品に使用された。
 台湾メディア、鉅亨網によると、混入事件に伴う損失額は、台湾の飲料業界だけで150億台湾ドル(約419億円)。被害は食品にとどまらず、薬品や化粧品にも波及している。

・大陸にも飛び火
 可塑剤騒動は、中国にも飛び火した。中国メディアによると、中国衛生当局が公表した可塑剤汚染の問題があるとされた企業は6月7日時点で279社。関連製品は飲料やジャムなど948品種に上る。これらの製品はすべて輸入を一時停止。中国で現地生産されている台湾の関連製品も、検査結果が出るまで販売停止となった。
 事件を機に、中国の飲料市場では、「統一」や「康師傅」といった台湾の人気ブランドが商店から忽然と姿を消した。「厦門(福建省)や東莞(広東省)などでは(問題の)アロエ果汁約500~600箱が回収」(新京報)となり、「上海では(台湾製)スポーツ飲料約5000本がスーパーから撤去」(騰訊網)された。香港でも台湾系飲料店から客足が途絶えた。
 つい最近まで国内の食品問題を詳報していた中国メディアの矛先は、台湾の可塑剤問題へと向かった。2008年に有毒物質メラミンの混入で騒がれた「中国粉ミルク事件の台湾版」などと称し、報道は過熱している。
 もっとも、ネット上では「最近の可塑剤の過熱報道は(中国国民の)視線をそらし、国内の食品安全に対する糾弾をかわすためとしか思えない」といった一般消費者の書き込みも散見される。“熱心”なメディア報道の裏には、中国当局の“思惑”が見え隠れする。中国側の過剰な対応に台湾の食品メーカーの不満が爆発すれば、経済を軸に改善に動く中台関係に水を差しかねない。

◎中国広東省で暴動、千人以上が警察襲撃か、発端は妊娠中の露天商への暴行?(2011年6月13日、産経新聞)
 中国国営新華社通信は12日、広東省広州市郊外で11日、露天商に対する治安当局者の取り締まりが原因で騒動が起きたが、警察隊により排除されたと報じた。スーパーマーケットの店頭で露店を違法に開いていた女性に治安当局が撤去を命じたことに、周囲にいた労働者らが反発したという。この女性は身柄を拘束された。
 一方、現地からの情報によると、この騒動は千人以上が加わる暴動となり、25人が警察に拘束された。露天商の女性が妊娠中にもかかわらず、治安当局者から殴る蹴るの暴行を受けて助けを求めたため、出稼ぎ農民らが警察署や警察車両を襲撃。暴動化したところに多数の警官が現れて、鎮圧された。
 露天商の女性も夫とともに四川省から出稼ぎに来ていたという。このスーパーの周辺ではこれまでも治安当局者がひそかに、多くの露天商から“場所代”を巻き上げていたが、女性は支払いを拒否したため暴行を受けたとの情報もある。
 中国ではこのところ、内モンゴル自治区シリンホト市や広東省潮州市、湖北省利川市などでも当局に対する大規模な抗議デモや騒乱が発生しているが、遊牧民や出稼ぎ農民ら、社会的弱者が中心になっている。

◎350キロ→300キロ、中国高速鉄道、安全考慮し「減速化」(2011年6月13日、産経新聞)
 最高時速350キロで疾走する高速列車を開発し、高速鉄道で世界のトップに立った中国。その中国が今年、高速鉄道の最高速度引き下げに踏み切り、中国北車長春客車(CNR)など国内の大手鉄道関連企業やABBグループといった鉄道関連設備メーカーでは、“減速化”に向けた調整が始まっている。中国国営新華社通信が伝えた。
 盛光祖鉄道相によると、中国鉄道省は、発展にともなう鉄道需要と人々の移動需要に応えるために、建設計画の策定、運行表の編成、利便性の向上を進め、その上で乗車券も手頃な価格で販売する必要があるという。
 このため、高速鉄道は今後、時速350キロの路線では時速300キロの列車を運行、最高時速300キロの路線では時速300キロと250キロの2種類の高速列車を走らせるという。まもなく開通する北京-上海間の高速鉄道も列車の最高時速は300キロと250キロとなり、乗車料金も2種類が設定される。
 「企業は国の鉄道事業発展の一端を担っており、国の政策や市場の動きに歩調を合わせなければならない。よって当社は政策の転換や市場の変化に迅速に対応していく」と話すのはCNR技術管理部の熊偉部長。発言の裏にはこうした国による政策の見直しがある。
 CNRで高速列車製品の開発を管理する趙明花副技師長によると、同社はすでに「時速160キロから300キロまで対応可能な旅客列車の生産システムを開発した」という。
 ABBグループの合弁企業、大同ABB牽引変圧器でも「時速200~250キロの旅客列車を大規模投入するという鉄道省の方針に見合った関連設備の開発を検討中」(市場販売部の羅建国マネジャー)という。
 最高速度を引き下げれば、安全性が高まり、コストを抑えることもできる。このため、業界関係者も今回の速度引き下げは、交通省が安全性やエネルギー消費、コストパフォーマンスを考慮して敢行したものとみている。
 ただ、国内の車両メーカーはこれまで通り高速列車の開発を続けており、ABBグループも高速鉄道関連設備の開発に変更はないという。鉄道関連企業各社は、最高時速の引き下げという政府の方針に柔軟に対応しながらも、今後の発展を見据えた新技術の開発に余念がないようだ。

◎北京-上海高速鉄道、6月末に開通、党記念日前に国威発揚(2011年6月13日、産経新聞)
 北京と上海を約5時間で結ぶ中国の高速鉄道(全長1318キロ)が、中国共産党創建90年記念日を前にした6月末に開通することが決まった。鉄道省の胡亜東次官が13日、記者会見で発表した。
 中国政府は7月1日の党創建90年記念日に向け、技術力を国内外にアピールし、国威発揚を図る考え。胡次官は会見で高速鉄道の技術は「世界でも一流だ」と強調した。
 導入される「中国版新幹線」の高速列車「和諧号」は昨年12月の試験走行で日本の新幹線の最高時速を追い抜くなど、高速性能を追求してきたが、安全面の懸念が指摘された。北京-上海間に導入する列車の設計上の最高時速は350キロだが、胡次官は、当面は同300キロで運行する方針を示した。

◎携帯のネット利用者、3億人超える、中国(2011年6月13日、読売新聞)
 新華社通信によると、中国で携帯電話端末によるインターネット利用者数が4月までに3億300万人に達した。
 パソコンなどを含む全ネット利用者の66.2%にあたる。携帯電話端末だけを使うネット利用者は今は4300万人だが、関係機関の予測では2013年までにパソコンのネット利用者を超える可能性があるという。
 中国のネット利用者数は5月末時点で4億7000万人。手軽な携帯電話端末でのネット利用は今後も広がり、ブログや簡易投稿サイト・ツイッターなどの利用者も増えるとみられる。

◎中国軍、出会い系サイト利用を禁止、機密保持で(2011年6月13日、読売新聞)
 中国軍は、インターネットで軍事機密が漏れるのを防ぐため、兵士による出会い系サイト利用を禁じた。
 中国紙「新京報」などが伝えた。すでに兵士のブログ開設や結婚相手を探すサイトの利用は禁じられているが、厳格に守られていないといい、今後は違反を厳しく取り締まる方針だ。
 軍は、出会い系サイト利用禁止の理由として「兵士の心身の健康と家庭の幸福に影響を与える」「軍事機密が容易に漏えいし、軍の安全上の利益を脅かす」などを挙げている。同サイトを利用する兵士は、比較的自由な時間がある未婚の幹部や既婚だが単身赴任中の士官クラスに多いという。

◎中国の脅威が問うもの(2011年6月12日、産経新聞)
・生き残りへの“保険金”
 東南アジア諸国の軍事力は基本的に、国内の治安対策に対応する程度のものである。そうした中にあって実は、シンガポールだけは違う。「相手に『攻めない方がいい』と思わせるだけの軍事力を備えている」(東南アジア軍事筋)という。
 おしなべて言えば、シンガポールは、国内総生産(GDP)の5%、国家予算のおよそ4分の1をも国防予算に費やしている。額でいうと約95億ドル(2011年度)。フィリピンの約20億ドルなどを大きく上回っている。国防費のGDP比を、15年までに1・5%に引き上げようとしているインドネシアや、現行で2%程度のマレーシアと比較すると、シンガポールがいかに国防力の強化に力を入れているかがわかる。
 装備を概観してみよう。潜水艦5隻、フリーゲート艦など艦船41隻、F16D戦闘機をはじめ航空機106機、対艦ミサイル・ハープーンに546台の戦車…。東南アジアで最も早く早期警戒機E-2Cを導入するなど、装備の近代化も推進してきた。こうした軍事力は、海洋国家であり、国土が東京23区よりやや大きい程度のシンガポールには十二分だといえる。
 “手厚い”軍事力整備を可能にしているのはまず、14・5%(10年)という高い経済成長率である。カネがなければ国防もままならない。そして、何より「抑止」を政策の柱に掲げるなど、国防意識の高さを指摘できるだろう。国家予算に比しての膨大な国防予算は、1965年以降の独立を守り、「経済国家」として生き残るための“保険金”なのだ。
 シンガポールはまた、米国の「主要な安全保障協力パートナー」として、アジア・太平洋地域における米軍のプレゼンスを支えてもいる。米海軍の艦船はシンガポールの海軍基地などを使用し、中東などにおける「有事」に迅速に対応する態勢の一助となっている。中国の海洋覇権拡大の動きに伴う南シナ海などにおける緊張の高まりを受け、米軍の軍事施設使用が強化される可能性も指摘されている。
 一方、シンガポール空軍のF15SG、F16戦闘機がそれぞれ、米アイダホ、アリゾナ州に常駐し、飛行訓練を行っていることは、あまり知られていない。

・「カネがない」同盟国
 南シナ海での中国の覇権拡大の動きに今、最も「まずい」と頭を抱えているのが、フィリピンであろう。国防予算に多くを割くほどの「カネがない」というフィリピンは、フリーゲート艦は1隻だ。残る64隻は哨戒艦艇などが中心。航空機はといえば4機のみで、戦闘機も欠き、脆弱(ぜいじゃく)だ。
 フィリピンとタイは、東南アジアにあって、米国が「同盟国」と呼称する国である。東西冷戦時代、フィリピンは米軍の重要な中継、補給基地だった。例えば、スービック海軍基地には、ベトナム戦争で米軍が投下した爆弾の多くが貯蔵され、この基地で艦船には補給や修理が施された。
 東西冷戦期の在フィリピン米軍基地の意義は、ソ連が陣取ったベトナムのカムラン湾もにらみつつ、アジア・太平洋地域における米軍のプレゼンスを維持し、ソ連との勢力均衡を図りながら後方支援機能を確保することにあった。
 米国がスービック海軍、さらにクラーク空軍両基地を撤退させた理由としては(1)ソ連の脅威の消滅(2)それに伴う米国の国防予算、基地縮小の動き(3)フィリピン側の基地使用料のつり上げ(4)米軍撤退が主権回復の象徴だととらえるフィリピンの一部世論-などが挙げられる。

・不可欠な米軍の存在
 だが、最も重要な要因は、米国がフィリピンの基地機能を、他国に分散することで代替できると考えたことだった。その一環でシンガポールへ移されたのが、第7艦隊の後方支援機能である。
 東西冷戦時代にフィリピンは、ソ連、中国から攻撃を受ける可能性はない、と考えていた。しかし、スービック海軍基地から米軍が撤退してから、今年で20年。今や南シナ海で中国という脅威が、日増しに増大している。
 米比両国は現在、「訪問米軍に関する地位協定」(VFA)、「相互補給支援協定」(MLSA)を軸に、同盟関係を維持してはいる。フィリピンが、脆弱な自国の軍事力では、単独で防衛することはできないという自明の事実に、気づいたからだ。それでも今後、中国に対抗するためには、より強固な同盟関係が求められよう。シンガポールとフィリピン。その生き方は異なれど、ともにアジア・太平洋地域における米軍のプレゼンスの重要性を物語っている。日本も、その点を改めて肝に銘じるべきだろう。

◎中台が協力、振り込め詐欺グループ600人逮捕(2011年6月11日、読売新聞)
 台湾の中央通信などが11日、伝えたところによると、台湾の警察当局は9日、中国公安省と連携し、中台とカンボジアなど東南アジア4か国で振り込め詐欺グループ598人を一斉逮捕した。
 逮捕されたのは、台湾人410人と中国人181人などからなるグループ。中台と東南アジア4か国にコールセンターを置き、中台で振り込め詐欺を重ねていた。台湾の警察当局は昨年8月から、中国側と連絡を取りながら内偵捜査を進めていたという。2009年4月に締結された中台犯罪捜査協力協定が機能した形だ。

◎中国の長江流域で豪雨、94人死亡、848万人被災情報(2011年6月11日、朝日新聞)
 中国の長江流域を中心とする中部から南部の一帯で今月、集中豪雨による土砂崩れや洪水の被害が相次ぎ、中国の通信社・中国新聞社のホームページによると、11日までに13省で94人が死亡、78人が行方不明となり、848万人が被災している。
 被害が特にひどいのは、湖北、湖南、江西などの各省。この地域では5月まで記録的な干ばつで農業や水産業に大きな被害が出ていたが、6月に入って一転して豪雨に見舞われた。山あいの地盤の緩い地域では山崩れや土石流も発生し、家や道路が流される地域も出ている。中国南部では今後も雨が降ると予想されており、被害が拡大する可能性もある。

◎中国・天津市庁舎近くで爆発、3人けが(2011年6月10日、朝日新聞)
 中国の通信社、中国新聞社によると、10日午前、天津市の市庁舎近くで爆発があった。目撃者によると、少なくとも3人が負傷して病院に搬送された。現場には爆発物の破片が残されており、地元当局は事件の可能性があるとみて調べている。
 市当局者は朝日新聞の取材に対し、「政府を狙った事件ではないと思う」と答えた。江西省撫州市では5月下旬、当局による強制立ち退きに不満を持ったとみられる男が政府機関を連続爆破する事件が起きていた。

◎腕時計や財布に受信機埋め込み、中国でカンニング巧妙化(2011年6月10日、朝日新聞)
 中国で9日まであった夏の全国一斉大学入試で、携帯電話などを使ったカンニングが横行している。教育省によると、カンニング用機器を販売したとして62人が拘束された。高学歴化とともに受験競争が過熱しており、カンニングの手口も巧妙さを増している。
 9日の新華社通信によると、広東省スワトー市の高校生が7日、カメラ付き携帯電話を試験場に持ち込み、国語のテスト問題を撮影。会場外の知人に送信し、解答してもらったという。地元当局は高校生の受験資格を取り消し、捜査に乗り出した。
 ネット上では受信装置を埋め込んだ財布や腕時計などが数千元(1元=約12円)で売られている。武漢市当局は3日、車の中にカンニングの通信機材を積んでいた2人を拘束。昨年の試験では受信装置の販売で数万元の売り上げがあったという。「高性能な機器を売る」として金をだまし取る事件も後を絶たない。

◎中国、エネルギー消費世界一に、10年、米国を抜く(2011年6月10日、朝日新聞)
 中国が2010年、米国を抜いて世界一のエネルギー消費国になった。国際石油資本(メジャー)の英大手BPが8日、世界エネルギー統計(11年版)を発表した。
 世界のエネルギー消費は09年に世界的な景気低迷で落ち込んだが、10年には回復。第1次石油危機が始まった1973年以来の高率となる09年比5.6%の伸びをみせた。だが中国はそれを大きく上回る11.2%を記録。石油換算で24億3220万トン(世界の20.3%)を消費し、22億8570万トン(同19%)だった米国を抜いた。
 世界のエネルギー消費について、国際エネルギー機関(IEA)は昨年11月に発表した世界エネルギー展望で、00年には米国の半分だった中国が、速報値では09年に米国を追い抜いた模様、としていた。

◎「民」が「官」に勝つとき(2011年6月9日、産経新聞)
 前回の本欄は、中国の電力会社が電力料金の引き上げを禁ずる政府の行政干渉に反抗し、「設備点検」と称して減産体制に入ったことを取り上げて論じたが、さる5月30日、この攻防に決着がつけられた。国家発展改革委員会は同日、湖南や重慶など15の省・直轄市で工業用の電力料金を引き上げることを表明した。電力会社の造反に屈服した形の意思決定である。
 それに先立つ24日、製品の値上げを政府によって一旦止められ、おまけに罰金まで科せられた英蘭系日用品大手のユニリーバはとうとう、「わが道を行く」と腹を決めて果敢なる値上げに踏み切った。一部製品の値上げ幅が10%以上となる本格的な値上げだが、今度、当局は一転して、「値上げは企業の権利」と言ってそれを認めた。
 市場の原理をテコにした民間企業の反乱はこうして完全な勝利を収めた。「民」は「官」に勝ったのである。
 実は同じ5月に、「官」に対する「民」の勝利を意味する別の事件も起きた。
 今年2月、吉林省遼源市の環境保護局で局の幹部と一般局員が受領する冬ボーナスに大きな差がついたことに対し「不公平だ」との批判が局内で巻き起こったところ、局長の郭東波氏は全局大会で逆上して、「何が不公平だ。お前らペーペーには公平なんか要るもんか。まったくの恥知らずだ」と、公平を求める局員たちを罵倒した。
 しかし思わぬことに、その時のスピーチが録音されていた。そして5月22日、その発言の内容は録音とともにネットに掲載され全国に流れた。案の定、ネットの世論空間では、「ペーペーには公平は要らぬ」という郭局長の暴言に対する批判の嵐が吹き荒れた。
 すると、2日後の24日、遼源市共産党委員会はこの問題発言の真相に対する調査に入り、さらに2日後の26日、当の郭局長は責任を取って辞職させられた。
 一時前の中国では考えられないような事態だが、民衆の反発の前で、1人の共産党幹部のクビがこうも簡単に飛んでしまった。もちろんそれは、「社会的公平の実現」を標榜する共産党政権の「理念」を逆手にとった批判が功を奏した結果だが、今の中国では、「民意」というものはすでに、政権が無視できない力を持ち始めたようだ。
 一方、「民」の不満が無視されたことの危険性を政権に思い知らせる事件もあった。5月26日、江西省撫州市で地元政府庁舎など3カ所で連続爆破事件が発生し、少なくとも3人が死亡した。
 それは、再開発などのため地元政府に自宅を取り壊されたとして長年にわたり抗議活動を続けていた男の犯行であることが判明した。事件4日後の5月30日、胡錦濤国家主席はさっそく政治局会議を開いて「中国は今、社会的矛盾が突出する時期である」と認めた上で、安定維持のための「社会管理の創造的刷新」を訴えた。1人の男の決死の抗議行動が政権に与えた衝撃の大きさがそれでよく分かったが、その翌日、事件発生地の江西省の省長も更迭された。
 このようにして、2011年5月の1カ月間、企業の「値上げ闘争」からネットの「暴言幹部クビ切り作戦」まで、「民」は実にさまざまな形で「官」に対する堂々たる反乱を試み、そして思わぬ勝利を収めた。
 その一方、市場の原理と民意の力の前で不本意な全面敗退を余儀なくされながら、政権は今、自らの支配体制をどう維持したら良いのかと苦慮している最中のようだ。近未来における中国の激変を予感させる地殻変動は、すでに目の前で起きているのである。

◎中国人153人を拘束、誘拐事件などに関与か(2011年6月9日、産経新聞)
 カンボジア国家警察は9日、身代金目的の国際的な誘拐未遂や人身売買などに関わった疑いで、中国人153人を拘束した。警察筋が明らかにした。
 警察は中国当局の協力も得て2カ月にわたり捜査。この日、大規模な摘発に乗り出し、首都プノンペンで54人、南部シアヌークビル州で38人、南東部スバイリエン州で61人を拘束した。拘束者の中には人身売買の被害者も含まれている可能性があるという。
 同筋によると、拘束された中国人の一部は正規の旅券などを持たずにカンボジアに違法入国していた。

◎中国人の台湾個人旅行解禁へ、6月末(2011年6月9日、読売新聞)
 中国と台湾の交流窓口機関の実務レベル協議が8日、台北で開催され、これまで団体旅行だけが認められていた中国人の台湾観光を、今月末までに個人にも解禁することで合意した。
 旺盛な購買力を持つ中国人観光客は日本同様、景気浮揚のけん引役として台湾でも受け入れへの期待は大きい。人の往来を活発化させ、台湾を経済的に取り込みたい中国側の思惑とも一致した形だ。
 台湾当局筋によると、中国人の個人観光は、当面、北京や上海など大都市住民に限り、1日500人を上限に、滞在期間を15日間とする方向で調整している。

◎モンゴル族ひき殺し、漢族の運転手に死刑判決(2011年6月9日、読売新聞)
 新華社電によると、中国内モンゴル自治区シリンゴルの中級人民法院(地裁)は8日、炭鉱の開発に抗議するモンゴル族の牧畜民をトラックでひき殺したとして殺人罪に問われた漢族の運転手に対し、死刑を言い渡した。
 事件は5月中旬に発生し、その後、モンゴル族の抗議デモが自治区各地で起きる発端となった。これ以上の抗議デモの拡大を抑えようと、中国当局が異例の迅速な処置をアピールし、モンゴル族を懐柔する狙いがあるとみられる。

◎中国の電力不足、一部で化学工業にも影響(2011年6月8日、化学工業日報)
 中国で、局地的に今夏の電力不足が化学品生産への影響を与える懸念が高まってきた。中国電力企業連合会(中電連)によると、1月は全国合計で最大3000万キロワット前後の不足に陥った。2月以降、改善されているものの今後、夏場の消費ピークを控え再び厳しい状況となる見通しで、中電連ではピーク時に華東では1500万キロワット、華北、華中や南部ではそれぞれ500万キロワット程度が不足すると予測している。年初来、電力不足が比較的深刻なのは湖南省、江西省、重慶市、浙江省、貴州省など。原因としては発電量不足や石炭の供給不足など複数の要因が指摘されている。このまま夏を迎えれば、エネルギー多消費型産業の1つに挙げられる化学工業の生産への影響が懸念される。

◎中国で全国統一の大学入試始まる、不正防止にモニターで監視(2011年6月7日、毎日新聞)
 中国で7日、全国統一の大学入試が始まった。中国国営通信の新華社によると、受験者は約933万人に上るという。
 中国では、無線機などを使用したカンニングが大きな問題となっており、当局が取り締まりを強化。重慶の会場では、当局者がテレビモニターを通じてリアルタイムに受験生を監視する中、試験が行われた。

◎IPAD2欲しくて、「腎臓売った」、中国の高1(2011年6月8日、朝日新聞)
 中国安徽省の高校1年生が、米アップル社のタブレット端末「IPAD(アイパッド)2」を買うため、自分の腎臓を売ったとテレビ局が報じ、驚きが広がっている。急に高価な物を持ち帰った息子を母親が不審に思い、腹に手術跡があったため発覚したという。
 深セン(センは土へんに川)衛星テレビによると、男子高校生が腎臓を売ろうと思ったのはIPAD2発売直前の4月下旬。高校生は「どうしても欲しかったがお金がなく、インターネットで腎臓が2万元(約25万円)で売れると知った」。両親に内緒で申し込み、ブローカーに湖南省の病院に連れていかれた。
 そこで左側の腎臓を摘出。3日間入院し、2万2千元を受け取った。家に戻った際に、IPAD2やIPhonE(アイフォーン)を持っていたため、母親が問い詰めた。通報を受けた警察がブローカーに電話したが通じず、手術を受けた病院には臓器摘出の設備もなかった。高校生の体調は思わしくないという。

◎中国の高校生、腎臓売って「IPAD2」(2011年6月7日、産経新聞)
 中国の男子高校生(17)が地元テレビ局に対し、自分の腎臓ひとつを臓器密売人に売却し、その報酬でタブレット型多機能端末「IPAD2」を購入したと告白し、論議を巻き起こしている。
 英BBCなどによると、この男子高校生は広東省南部在住で、インターネットを通じて臓器密売人と連絡を取り、腎臓提供を決意。密売人が用意した病院で摘出手術を受け、報酬として3392ドル(約27万円)を受け取ったという。
 受け取った現金で、高校生はIPAD2やノートパソコンを購入した。
 息子が突然IPADなどを所持しているのを不審に思った母親が、さらに腹部に赤い手術痕が残っているのをみつけ、問いただしたところ、高校生は真相を打ち明けたという。
 驚いた母親は警察に届け出たが、すでに密売人の携帯は切られており、連絡が取れなくなっていた。
 中国は2007年に臓器売買を正式に禁止し、善意による臓器提供の仕組みを立ち上げた。しかし、その後臓器売買が地下に潜り、違法な取引が後を絶たない状況が続いている。

◎カンニング機器で62人拘束、中国、大学入試の不正横行(2011年6月6日、産経新聞)
 中国で7~8日に行われる全国統一の大学入試を前に、カンニングに使う電子機器などを販売したとして、警察当局は全土で62人を拘束した。6日の国営新華社通信などが伝えた。
 中国の大学入試では無線機などを悪用した不正が横行し、機器のハイテク化や受験生の集団不正が問題となっている。
 教育省は警察と協力して取り締まりを強化。福建省アモイ市でカンニング用の機器のほか、「実際の入試問題を含む」と偽った問題用紙を販売していた2人を拘束するなど全国で45件の不正入試に絡む事件を立件した。
 教育省は「今年は特に携帯電話や無線の電子機器、インターネットを利用した不正の取り締まりを強化する」と強調している。

◎天安門事件から22年、北京市内は警戒態勢(2011年6月5日、読売新聞)
 中国で1989年、民主化運動が武力鎮圧された天安門事件から4日で22年を迎えた。
 北京市内では例年以上の警戒態勢が敷かれ、治安当局が市民の動向に目を光らせた。事件の責任を追及する民主活動家、劉暁波氏が昨年のノーベル平和賞を受賞したほか、中東の政変の波に刺激された民主化要求集会の呼びかけも2月以降続いており、胡錦濤政権も神経をとがらせている。
 天安門広場や周辺では4日、警察車両100台以上が停車し、外国人が撮影しようとすると警官が制止していた。
 米人権団体によると、中国では2月以降、人権派弁護士や民主活動家ら数十人が拘束された。天安門事件で子供を亡くした親の会「天安門の母」は5月末の声明で、「現在の中国の人権状況は天安門事件以来、最悪だ」と非難している。

◎「中国の侵略反対」ベトナム200人異例のデモ(2011年6月5日、読売新聞)
 ベトナムの首都ハノイの中国大使館前で5日朝、学生ら約200人が中国への抗議デモを行った。
 南シナ海で先月、資源探査船や漁船が中国監視船に相次ぎ妨害されたことへの抗議で、参加者は「中国の侵略に反対」などと書かれたポスターを掲げ、気勢を上げた。一党独裁のベトナムでのデモは異例で、まもなく警察当局に解散させられた。
 デモは、インターネットなどを通じて呼びかけられた。学生ら多数が参加する動きを見せていたが、当局は大学などを介して「デモ参加者は罰する」と警告していた。

◎Gメールへのハッカー攻撃、FBIが捜査着手(2011年6月3日、読売新聞)
 クリントン米国務長官は2日、電子メールサービス「Gメール」が中国からハッカー攻撃を受けたと米グーグル社が発表した問題で、「事態を重大視している」として強い懸念を表明した上で、米連邦捜査局(FBI)が捜査を進めることを明らかにした。
 国務省で記者団に述べた。
 一方、カーニー大統領報道官は2日の記者会見で、中国の関与など詳細について確認を避けつつも、米政府当局者の公務用メールに不正に侵入されたと信ずるに足る理由はないと強調した。

◎中国、Gメールへのハッカー攻撃関与否定(2011年6月3日、読売新聞)
 中国外務省の洪磊・副報道局長は2日の定例記者会見で、電子メールサービス「Gメール」が中国からハッカー攻撃を受けたと米グーグルが発表したことについて、「中国の責任にすることは受け入れられない」と反発した。
 同副報道局長は「中国政府はインターネットの安全を非常に重視しており、法に基づき管理している。政府がハッカー行為を支持しているとの説はまったくの捏造で、下心があるものだ」と述べ、中国政府の関与を否定した。

◎工場爆発で3人死亡、中国新疆ウイグル自治区(2011年6月2日、産経新聞)
 新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチのアルミニウム製品を製造している工場で1日夜、爆発があり、少なくとも3人が死亡した。
 爆発の詳しい状況は不明で、当局が原因を調べている。

◎中国、未成年68人を救出、新疆で誘拐、犯罪強制(2011年6月2日、産経新聞)
 新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区の警察当局は1日、未成年者を誘拐するなどして強制的に犯罪行為をさせていた計19の犯罪集団を摘発し、68人の未成年者を救出したと発表した。
 未成年者は、新疆で誘拐され、中国各地で犯罪集団の監視の下で犯罪行為を強いられていた。命令に従わないと、殴られたり、食事をもらえないなどの虐待を受けていたという。
 中国では児童誘拐事件が多発し、社会問題になっている。

◎Gメール攻撃:中国当局が反論(2011年6月2日、毎日新聞)
 インターネット検索サービス最大手の米グーグルの「Gメール」が中国からサイバー攻撃を受けたと発表した問題について、中国外務省の洪磊(こう・らい)副報道局長は2日、定例会見で「中国側を責めることは受け入れられない。法に基づいてインターネットを管理しており、むしろ中国はハッカー攻撃の被害者だ」と反論した。

◎米グーグル:中国からサイバー攻撃、米韓政府関係者ら被害(2011年6月2日、毎日新聞)
 インターネット検索サービス最大手の米グーグルは1日、同社の電子メールサービス「Gメール」を利用する数百人が、中国を発信源とするサイバー攻撃を受け、「フィッシング」と似た手口でパスワードを盗まれるなどの被害を受けたと明らかにした。被害者の中には米国や韓国などアジア数カ国の政府関係者も含まれており、被害を受けた政府当局にも報告したという。日本政府関係者が含まれていたかは不明。
 09年末の中国を発信源とするサイバー攻撃を機に起きた米中摩擦が再燃する可能性がある。
 同社の公式ブログなどによると、米国のほか、韓国の政府当局者が主に狙われたという。攻撃対象者には中国の活動家やジャーナリストも含まれている。発信源は中国山東省西部の済南市で、標的にした政府高官らのパスワードを盗み、メール内容の監視や転送先の設定変更を図ったとみられる。
 手口について同社は、不正プログラムを通じて個人情報を収集する「フィッシングのような手口」としているが、詳細は明らかにしていない。過去には、グーグルのニセホームページからパスワードが盗まれたケースがあり、今回も同様の手口の可能性もある。
 同社はすでに被害者に通知して対策を講じており、「Gメールの運用システムの安全性に問題はない」と強調している。
 ロイター通信によると、米連邦捜査局(FBI)報道官は「グーグルと協力して、この件で調査をしている」と述べた。
 09年末に発覚したグーグルなど30社以上の米企業を狙ったサイバー攻撃をめぐっては、米国務省が翌年1月に「組織的攻撃」と非難声明を発表。米中関係が悪化した。AP通信は、この時の攻撃の発信源の一つにも山東省済南市が含まれており、同市内にはコンピューター関連の職業訓練学校があると報じている。

◎中国が南シナ海に建造物新設、フィリピンが抗議(2011年6月1日、朝日新聞)
 フィリピン外務省は1日、中国と領有権の主張が対立している南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が建造物の新設を始めたとして、中国大使館員を5月31日に呼んで抗議したことを明らかにした。
 同省によると、フィリピン・パラワン島中央から西北西125カイリ(約232キロ)のイロキス礁付近で先月、中国の海軍艦艇と海洋調査会社の船が建設資材を下ろし、杭とブイの設置を始めたのが確認された。
 フィリピンは同礁を自国の排他的経済水域(EEZ)内としており、ロサリオ外相は「2002年に中国と東南アジア諸国連合が南シナ海での新たな建設行為をしないと合意したことに反する行為だ」と中国を強く非難した。

◎中国外務省「外国が騒ぐ」、内モンゴルのデモ(2011年6月1日、読売新聞)
 中国外務省の姜瑜(きょうゆ)・副報道局長は31日の定例記者会見で、内モンゴル自治区で抗議デモが起き、厳戒態勢が続いていることについて、「外国の一部の人々が事件を騒ぎ立て、邪悪な目的を果たそうと考えているが、成し遂げることはできない」と述べ、モンゴル族の苦境を訴える欧米人権団体などを批判した。
 姜氏はまた、「(同自治区の)地方政府は環境保護に努力し、必要な措置を取って各民族の基本的利益を守ろうとしている。犯罪者を法律に基づいて処罰するだろう」と語った。地元紙によると、抗議デモの発端となった石炭運搬トラックの死亡ひき逃げ事件で検察当局が容疑者を殺人罪で起訴しており、モンゴル族の懐柔策も打ち出されている。

◎内モンゴル、リーダーなき反抗、ネット・携帯でデモ拡大(2011年6月1日、朝日新聞)
 中国内モンゴル自治区で遊牧民が炭鉱労働者の車にひき殺されたことに反発するモンゴル族住民による抗議のデモは、国外のインターネットサイトや携帯メールを通じて広がった。ネットの普及が可能にした「リーダーなき反抗」に、当局は神経をとがらせている。
 中心都市のフフホト市では5月31日も広場や大学で厳戒態勢が続いた。30日に大規模なデモ予告があった新華広場は31日も武装警察と警察が警戒線を張って封鎖。モンゴル族学生の多い民族学院では引き続き学生の外出を原則禁止、学生が守衛を取り囲んで抗議する場面もあった。
 当局が緊張を緩めないのは、ネットを通じていつデモが再発するか分からない危機感があるからだ。
 遊牧民が石炭を運ぶ車にひき殺されたのは10日の夜。国内メディアは一切報じなかったが、フフホト市内の教育機関に勤務する50代のモンゴル族男性は13日、米国や香港のサイトで知った。本来、中国国内からはアクセスできないが、規制をかいくぐる特別なソフトを通じて、毎日のように閲覧していた。
 4日後の17日には、職場の親しい同僚が「見てみろ」と携帯電話を開くと、事件を知らせるショートメールが入っていた。発信者は不明。翌18日には男性の携帯に「30日にフフホトの新華広場でデモをやろう」との呼びかけが入った。
 男性は「極めてデリケートな政治問題で、モンゴル族同士でもむやみに口に出さなかった。だが、何が起きているのか誰もが知っており、事態の推移を見守っていた」と話す。

◎中国で覚醒剤所持、邦人の男に猶予付き死刑判決(2011年5月31日、読売新聞)
 中国遼寧省大連の中級人民法院(地裁に相当)が5月上旬、麻薬密輸罪に問われた70歳代の日本人の男に対し、死刑判決(執行猶予2年)を言い渡していたことが30日、わかった。
 関係筋が明らかにした。同筋によると、男は2009年7月下旬、大連空港での手荷物検査で覚醒剤約1.5kgが見つかり、拘束された。日本に持ち込もうとしたとみられる。
 中国では死刑に執行猶予が付くことがあり、服役態度が良ければ減刑されることもある。

◎70歳代の邦人に執行猶予付き死刑、中国、麻薬密輸罪で(2011年5月31日、スポーツニッポン)
 日本外交筋が31日明らかにしたところによると、中国遼寧省大連市の中級人民法院(地裁)は5月上旬、麻薬密輸罪に問われた70歳代の日本人の男に対し、執行猶予2年が付いた死刑判決を言い渡した。男は上訴したという。
 男は2009年7月下旬、大連空港の手荷物検査で覚せい剤約1・5キロを所持しているのが見つかり、拘束された。日本に持ち込もうとしたとみられる。
 中国では死刑に執行猶予が付くことがあり、猶予期間中に問題がなければ、無期懲役などに減刑される可能性もある。

◎中国の地方庁舎爆破した男、不正横行への怒り「引き金」(2011年5月30日、産経新聞)
 中国江西省で5月26日、地元政府庁舎など3カ所で連続爆破事件が発生、少なくとも3人が死亡した。死者の1人で自爆したとみられる容疑者の男は、再開発などのため十分な補償もなく地元政府に自宅を取り壊されたとして、長年にわたり抗議活動を続けていた。
 各地で開発が進む中国。強引な立ち退きが住民の反発を招き、土地開発業者と地方政府が癒着しているとの指摘も多い。不正に怒りを募らせた末の今回の犯行に、地元では同情の声も広がっていた。

・立ち退きに10年間抗議
 4階まで窓が割れた政府庁舎。黒く焦げた壁が爆発の大きさを物語る。省都・南昌から高速道路で約2時間の撫州市臨川区の現場では、28日も車の破片などの撤去作業が続いていた。カメラを向けると警戒中の警官が「撮るな」と怒鳴った。
 3カ所に大量の爆発物を仕掛けたとされる銭明奇容疑者(52)の古びたコンクリート造りの家は、政府庁舎から車で約10分の距離にあった。
 「(容疑者は)最近、ずっと暗い顔をしていた」と近所の女性。「10年間も政府に抗議しているのに報われなくて」
 香港紙が伝えた容疑者の知人の話では、再開発に伴う銭容疑者宅の強制撤去は2度にわたる。1995年に続く2度目は2002年に起きた。50万元(約620万円)をかけて建てた家は取り壊され、補償はその半額程度。妻は抵抗した際に暴力を振るわれた。
 抗議を始めた銭容疑者は、地元政府ではらちが明かず、北京の中央政府へも陳情に訪れていたとみられる。妻は数年前に病死し、子どもは既に独立している。
 容疑者はインターネット上の書き込みで、地元政府幹部の立ち退き補償金の横領疑惑にも触れた。犯行の直接の引き金は不明だが「行動で正義を取り戻す」と書き込んでいた。

・地元住民「気持ち分かる」
 銭容疑者が住んでいた町は、もともと水田が広がる農村地帯。だが、住民によると数年前に策定された開発計画に基づき、立ち退きが断続的に行われている。大通り沿いには建設中のビルが目立つ。
 数年前に親戚が立ち退きに遭った男性は「30万元の価値がある家だったのに、20万元しか補償されなかった。犯罪は支持しないが(銭容疑者の)気持ちはよく分かる」と話す。
 地元の運転手は「住民から取り上げた土地の価格は、再開発されたら何十倍にもなる。その差額はどこへ消えるのか。こんな不公正があるのだから(今回のような)事件が起きて当然だ」と憤った。

◎中国が内モンゴルに9800億円、抗議デモで懐柔策か(2011年5月29日、産経新聞)
 中国共産党機関紙、人民日報は29日、内モンゴル自治区の地方政府が、最低生活保障レベルの引き上げなど少数民族への支援策に788億元(約9800億円)以上の資金を今年中に投入すると1面トップで報じた。前年比で54%増だという。
 内モンゴル自治区では、遊牧民の事故死がきっかけで地元政府への抗議デモが発生。在米の人権団体は28日、遊牧民や学生らと治安部隊が衝突し、40人以上が拘束されたと明らかにした。一部地域に「戒厳令」が敷かれたとの情報もある。
 ただ中国メディアは一連の事件を報じておらず、資金投入はデモ拡大を警戒する地方政府による“住民懐柔策”の可能性もあるとみられる。
 地方政府幹部は788億元という資金投入額について「実際に投入する資金はこの数字を必ず超えるはずだ」と強調した。

◎中国内モンゴル、反政府抗議で40人逮捕、戒厳令情報も(2011年5月30日、朝日新聞)
 中国内モンゴル自治区で遊牧民がひき殺された事件を受けて広がったモンゴル族住民による政府への抗議活動に対し、治安当局が抑え込みを強めている。米国の人権団体によると、自治区の区都フフホト市などでもデモを警戒して軍や武装警察が展開。戒厳令が敷かれたとの情報もある。
 米国に拠点を置く南モンゴル人権情報センターによると、今月23日に同自治区東部のシリンゴル地方で始まった政府への抗議活動は、同地域の複数の町に飛び火。シュルン・フ旗(県に相当)では27日に数百人の住民と学生らが武装警察隊と衝突し、40人以上が逮捕された。28日には通遼などでもデモが起きた。

◎フグ食禁止の中国、解禁向け養殖場に視察団(2011年5月30日、読売新聞)
 フグ食解禁を検討している中国政府の食品衛生部門の責任者ら約10人が29日、トラフグの養殖が盛んな長崎県松浦市を訪れ、新松浦漁協のフグ加工場や松浦水産の陸上養殖場を視察した。
 長崎県は養殖トラフグ生産量が全国一で、中でも松浦市は最大の産地。フグ食が原則禁止され、解禁を望む中国の養殖業者と、中国市場への拡大を目指す同市の業者らが連携し、中国政府に働きかけて視察が実現した。
 訪問したのは、食品衛生の許認可や関連法の立案を行う中国衛生部、養殖会社の関係者。「さばいた部位の処理法は」「安全を保証する認可制度は」など、衛生面に関する質問を浴びせていた。
 中国のトラフグ養殖会社の盃雪松会長は「中国市場は巨大で、日本産が流通しても共栄できると思う。(今回の視察など)政府の動きを見ると、解禁は近いのでは」と期待を寄せていた。

◎中国連続爆発、単独犯の見方、爆竹の火薬使用か、香港紙(2011年5月29日、朝日新聞)
 中国江西省撫州市で起きた連続爆発事件を巡り、香港紙明報は29日、死亡した銭明奇容疑者の単独犯行との見方を強める目撃証言を掲載した。使われた火薬は、入手が容易な爆竹の原料と同様のものとの専門家の見方を紹介した。
 地元当局者の話として、事件当日の朝、爆発が起きた検察院と行政センターの双方で銭容疑者の目撃情報があったとし、行政センターの地下駐車場に車を止めた銭容疑者に注意したガードマンの話を紹介した。

◎社会主義への市場経済の反乱(2011年5月26日、産経新聞)
 中国の国家発展改革委員会は6日、家庭用品メーカーのユニリーバ(英蘭系)が「日用品の値上げは避けられない」と言いふらし、値上げ観測をあおったとして、同社に200万元(約2500万円)の罰金を科した。
 それに先立ち中国国内の原材料価格高騰の影響を受け、同社は洗剤、せっけんなどの主要製品を5~15%値上げする方針をいったん固めたが、当局からの「行政指導」を受けて断念した経緯がある。
 中国国内の原材料価格の高騰は明らかな事実だから、生産メーカーとして製品の値上げを考えるのはむしろ当たり前のことだし、企業たるものの当然の権利でもある。しかし中国ではそれは許されない。政府は今、インフレの抑制を急務としているから、この方針に沿って露骨な行政干渉が横行しているのである。
 実はこの数カ月間、人件費や物価が高騰して生産コストが上昇している中で、多くの内外企業がユニリーバと同様、値上げを予定していたが、当局によってことごとく封じ込められた。今の中国で、どこかの企業が値上げを言い出した途端、経営トップが直ちに官庁に呼び出されて「行政指導」を受けるのが日常的な光景となっている。この国の「市場経済」とは、名ばかりのゴマカシなのである。
 が、ここまでくると、当局の理不尽な行政干渉に対して、一部の企業がついに反撃に出たのである。本紙の関連記事でも報じているように、中国の浙江省や湖南省などの一部地域で深刻な電力不足が発生しているが、実はそれはまさに、市場原理を無視した政府の行政干渉に対する電力会社の反抗の結果である。
 その経緯はこうである。発電の原料となる石炭の価格が暴騰して採算が合わなくなった電力企業は電力供給料金の値上げをしようとしたが、政府の行政命令によって止められ、その結果、電力企業が発電すればするほど赤字になるという現象が起きた。そこで多くの電力企業は、「設備の点検・修理」と称して発電機能の一部を停止させて赤字を減らそうとした。
 13日の「中国青年報」が報じたところによると、全国の各地では、半分以上の発電設備を「点検」に回す企業まで出ているという。まさに集団的反抗の広がりである。
 発電企業にしてみれば、このような非常措置に踏み切るのは市場の原理に沿った当然の自己防衛策である。しかしその結果、多くの地域で電力不足という深刻な事態が起きてしまい、中国経済と経済運営の責任者である当局の両方が苦しむことになっている。力ずくで市場原理をねじ伏せようとする政府のやり方は完全に裏目に出たのである。
 そして18日、政府はやむを得ず一部地域の電気料金の引き上げを認める方針を固めた、との新聞報道があった。もしそれが事実ならば、要するに中国の強大な独裁政府は、市場経済からの集団的反乱の前で敗退を余儀なくされた、ということになるのである。中国の現体制の下では、それはまた、「天変地異」を予感させるほどの画期的な出来事ではないか。
 今まで、中国の奇形的な「社会主義市場経済」は根本的な矛盾を内包しながらも何とかこの国の「繁栄」を支えてきたが、ここまでくると、それはいよいよボロを出して綻び始めている。何しろ、「社会主義=独裁的政治体制」に対する「市場経済」の反乱がすでに始まっているからである。今後、政府当局と市場との攻防がさまざまな場面で展開していくとも予想できるが、その「全面対決」の時はいつやってくるのか、まさにこれからの「見どころ」である。

◎中国の妊婦、香港で産みたい!(2011年5月25日、読売新聞)
・「一人っ子」制限なし 本土から流入、9年で5倍
 中国本土から香港を訪れ子どもを産む女性が急増している。「2人目」を望む女性らが「一国二制度」のもと「一人っ子政策」が適用されない点に着目し、香港での出産を選ぶためだ。
 産院は混雑し地元の妊婦の間からは「予約もできない」と不満の声が上がり、香港政府は永住権を持つ妊婦以外の出産の制限を始めた。
 香港では2010年に約8万8500人が誕生し、このうち半数近い4万648人は本土出身者から生まれた。その数は01年の5倍以上だ。女性の多くは経済の急成長に乗り豊かになった広東省や北京、上海などの住民だ。
 妊婦の流入に歯止めをかけようと、香港政府は4月以降、永住権がない妊婦に対し、〈1〉今年末まで公立病院の予約を受け付けない〈2〉香港で認める年間の出産件数に来年から上限を設ける――などの措置を打ち出した。「市民の出産を優先する」(香港食物衛生局の周一嶽局長)のが理由だ。
 香港メディアによると、出産には最低でも約6万香港ドル(約63万円)かかる。だが香港生まれの子どもには永住権と本土より手厚い社会保障が与えられる。「一人っ子政策」もないため、罰金を払わず2人目、3人目を産める。本土の妊婦にとって高額な費用負担を上回る魅力がある。
 一方、香港市民の妊婦らは不安を募らせる。6月に出産予定の会社員、謝翠宝さん(37)は「産院は本土の妊婦ばかり。自分が適切な医療サービスを受けられるのか心配」と話す。多くの市民は今回の制限措置を歓迎し、インターネット上には「政府はようやく重い腰を上げた」などの書き込みが相次いだ。
 ただ、今回の措置に人道上の問題を指摘する声もある。本土出身者のいる家庭を支援する組織「中港家庭権益会」のメンバーらは5月上旬、香港中心部でデモ行進し「我々にも病床を」と叫んだ。同組織の曽冠栄代表(43)は「香港人の夫を持つ本土出身者の出産も排除される恐れがある」と懸念する。
 人権団体「香港人権監察」の羅沃啓・総幹事は「出身地にかかわらず医療サービスを提供するのは国際社会の常識。本土出身者への差別と批判されても仕方がない」と指摘している。

◎中国製旅客機の離着陸禁止、インドネシア3空港で(2011年5月25日、産経新聞)
 インドネシア運輸省は25日、安全確保のため、中国の国産小型旅客機MA60(中国名・新舟60)の離着陸を3空港で禁止したことを明らかにした。
 インドネシアの西パプア州で7日、国営ムルパティ航空の同型機(乗客乗員27人)が海に墜落し全員死亡した事故を受けた措置。3空港はいずれも東ヌサトゥンガラ州内にあり、離着陸が難しい立地のため禁止したとしている。
 MA60は中国の西安飛機工業(陝西省)が開発・製造した。

◎中国のiPAD工場で爆発、2人死亡、16人負傷(2011年5月21日、産経新聞)
 米電子機器大手アップルの多機能端末「iPAD(アイパッド)」を生産する中国四川省成都市の工場で20日午後7時(日本時間同8時)ごろ、爆発があり、2人が死亡、16人が負傷した。中国中央テレビなどが伝えた。原因は不明で、警察当局が周辺を封鎖して調べている。
 現場は昨年秋に稼働を始めたばかりの台湾系大手電子機器メーカー富士康集団(フォックスコン)の工場。約2万人の工員が働いており、爆発は工員の勤務交代時間に発生したという。
 中国メディアによると、同社幹部は昨年12月、成都工場での2011年のiPad生産量を当初計画の2千万台から4千万台に引き上げ、13年には1億台に拡大すると表明していた。

◎中国、レアアースの価格統制、禁輸解除後3倍近くに高騰(2011年5月20日、朝日新聞)
 日本が得意とする自動車や家電製品に欠かせないレアアース(希土類)をめぐり、中国政府が一定の価格以下での輸出を認めない制限措置をとっていることが19日、わかった。輸出価格は日本への事実上の禁輸を解除した昨年12月以降、3倍近くに高騰している。
 複数の業界関係者が明らかにした。経済産業省もこうした状況を把握している。菅政権は、日中韓首脳会談のため21~22日に訪日する中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相との二国間会談で、問題提起する方向で検討に入った。
 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件後の日中関係悪化をきっかけに、昨年9月、中国からのレアアース輸出が滞り始めた。同12月初めに輸出がほぼ正常化したが、関係者によると、直後から中国税関による輸出価格の制限措置が始まったという。
 具体的には、輸出業者がオンラインで税関に輸出申請する際、当局が設定した通関の最低価格を輸出価格が下回ると通関が許可されず、手続きが完了しない。最低価格は日々変わるが、上昇を続けている。

◎東海カーボン、カー黒海外で相次ぎ増強、タイ年23万トン、中国13年に2倍超(2011年5月16日、化学工業日報)
 東海カーボンは、海外のカーボンブラック生産を相次ぎ増強する。まずタイでは、現在進めている年5万トン設備の建設に加え、さらに1系列・同5万トンの増強に乗り出す。進行中の5万トン設備は年末の完成、2012年初めの稼働開始を見込むとともに、さらなる5万トン増強計画は12年前半までに正式決定し、総能力を現在の約80%増となる同23万トンに引き上げる。また、中国・天津では同6万トンの増強を実施し、従来比2倍超の同11万トン体制を構築する計画で、13年9月の完成を目指す。これにより、自動車タイヤ向けを中心としたアジア需要の拡大に対応し、一層の体制強化を図っていく。

◎中国で再び食品スキャンダル、ニワトリに「バリウム」(2011年5月13日、産経新聞)
 中国の重慶市で、体重を重くするために鉱物を食べさせられていたニワトリ1000羽以上が当局に押収された。英字紙チャイナ・デーリーが10日報じた。中国ではこのところ、食品の安全性をめぐる問題が再び相次いでいる。
 同紙によると、重慶市の当局は、ニワトリの消化管から「未知の異物」が見つかったとの消費者からの通報を受けて調査を開始。7日にニワトリ約1000羽を積んだトラック2台を調べたところ、「重晶石」の粉を与えられていたことが分かったという。重晶石は、病院でのレントゲン撮影時などに使われる硫酸バリウムの結晶。
 中国では2008年、メラミン入りの粉ミルクを飲んだ乳幼児少なくとも6人が死亡し、約30万人が健康被害を訴えるなど大きな社会問題となっていた。
 先月には同じく重慶市のアイスクリームメーカーから、有害物質メラミンが混入した粉ミルク26トン以上が押収されていた。

◎一人っ子政策違反だ! 村役人が乳児連れ去り施設から謝礼もらう、中国(2011年5月11日、産経新聞)
 中国湖南省・隆回県の農村で、一人っ子政策を担当する村の職員が2人目の子どもを生んだ家庭に高額な“罰金”を要求、払えない家庭から乳児を強引に連れ去り、児童福祉施設に引き渡していたと中国誌「新世紀」(9日号)が報じた。連れ去られた乳児は少なくとも約20人に上り、孤児と偽り米国の家庭に譲り渡されたケースもあったという。
 報道によると、連れ去りは2002~05年に集中。家族計画の担当者が2人目の子どもがいる家庭を回り「社会扶養費」名目で3千元(約3万7千円)~1万元を要求、払えない場合は「違法乳児」として連れ去っていた。
 担当の幹部は乳児を施設に引き渡す際に1人当たり千元以上の謝礼を受け取っていた。
 外国人へ養子として引き渡す場合、児童福祉施設は3千ドル(約24万円)程度の報酬が得られる。

◎中国、一人っ子政策が招いた1300万人無戸籍(2011年5月11日、読売新聞)
 中国が2010年に行った国勢調査で、戸籍のない人の数が総人口の約1%にあたる約1300万人に上ることが分かった。
 国家統計局の馬建堂局長が4月末、中国メディアに明らかにした。
 無戸籍者の大部分は、国策による産児制限、通称「一人っ子政策」に違反したものという。中国では同政策の規定を上回る数の子供を出産した場合、多額の罰金を支払わなければならないため、無戸籍者が多い。同統計局などは調査実施にあたり、罰金の減額や分割払いを認める規定を示して無戸籍者のいる家庭に協力を促した結果、膨大な数の無戸籍者が判明した。
 今回の国勢調査で、中国の総人口は13億3972万4852人となり、前回調査時(00年)に比べ7390万人増加した。農村からの出稼ぎ労働者(民工)などの流動人口は2億2143万人で、同1億36万人増となった。

◎中国製対空ミサイル、米国に密輸図り禁錮25年(2011年5月11日、読売新聞)
 米カリフォルニア州の連邦地裁は9日、中国製対空ミサイルを米国に密輸しようとしたなどとして、同州在住の中国系米国人の男(49)に対し禁錮25年の判決を言い渡した。
 起訴状などによると、男は2004年秋、反テロ法に基づく米連邦捜査局(FBI)のおとり捜査にひっかかった。中国からミサイルの密輸を図り、闇ルートで仕入れ、米国に持ち込もうとした。ミサイルは携行タイプで、本格的な密輸に先立ち、サンプルとして3セットを約100万ドル(約8000万円)で調達すると申し出たという。
 連邦検察当局によると、男は中国生まれで1994年に米国籍を取得。覚醒剤、コカイン、北朝鮮製の偽米ドル札などを取り扱う大がかりな国際密輸組織が関与しているとみて、FBIが内偵捜査を続けていた。

◎4億円収賄の元市長に猶予付き死刑判決、中国(2011年5月10日、読売新聞)
 新華社電によると、中国河南省の鄭州市中級人民法院(地裁)は9日、収賄罪に問われた広東省深セン市の許宗衡・元市長に対し、執行猶予2年の付いた死刑判決を言い渡した。(深センの「セン」は土ヘンに川)
 判決では、元市長は2001年から09年にかけて、土地計画の変更や人事で便宜を図った見返りとして、関連業者や地元の共産党幹部から複数回にわたり、計約3300万元(約4億1000万円)相当のわいろを受け取った。

◎英のサイトなど中国で閲覧不能、当局が制限か(2011年5月6日、読売新聞)
 香港紙・明報(電子版)は9日、英BBC放送とノルウェーの国営放送NPKのウェブサイトが中国で閲覧できなくなっていると報じた。
 中国の民主活動家、劉暁波氏のノーベル平和賞受賞に関連したビデオ映像が掲載されているため、中国当局が制限したとみられるという。

◎米国に見せつけ?中国が「民主化」抑圧を強化(2011年5月6日、読売新聞)
 中国の胡錦濤政権は北京で4月末に開いた米中人権対話で米側の人権改善要求を拒絶し、その後も、エイズ患者の救済などに取り組む著名な人権派弁護士、李方平氏(37)を拘束するなど、中東情勢を受けた民主化要求への圧力を一段と強めている。
 外交筋によると、同月27、28日の人権対話で米側は、芸術家の艾未未氏ら拘束されている中国の人権活動家や弁護士の名簿を提示し、釈放を要求。中国側は応じず、言い分は平行線のままだった。米側は、昨年、ノーベル平和賞を受賞した民主活動家劉暁波氏の妻、劉霞さんに面会も求めたが、実現しなかった。
 李氏は直後の29日に拘束されたが、「『米国の圧力に屈しない』という強硬姿勢を見せつける意味がある」(外交筋)との見方もある。香港メディアによると、4日、李氏の妻に本人から「釈放された」と連絡が入ったという。

◎中国、鉄道投資2.5兆円削減か、高速鉄道速度引き下げで(2011年5月4日、産経新聞)
 4日付の中国英字紙、チャイナ・デーリーは中国鉄道省が高速鉄道の最高速度を350キロから300キロに引き下げる方針に転換したのに伴い、今年の鉄道建設投資が2千億元(約2兆5千億円)以上削減される可能性があるとの見通しを報じた。
 中国紙、経済観察報などを引用して伝えたところによると、鉄道建設急進派といわれ、汚職容疑で解任された劉志軍前鉄道相は年初に7千億元を投入すると表明していた。
 しかし、2月末に後任として就任した盛光祖鉄道相は4月、高速鉄道の最高速度を引き下げる方針を示し、これに伴いコスト削減が行われるとの見通しが出ていた。
 一方、4日付の第一財経日報は、鉄道省は鉄道建設5カ年計画の見直しを進めているが、今年の大幅な投資削減の可能性は大きくないと否定的な見方を伝えている。

◎中国、高速鉄道計画を大幅見直し、汚職疑惑で予算4割削減、最高時速も50キロ減の300キロ(2011年5月3日、産経新聞)
 中国鉄道省は2007年から急ピッチで進めてきた高速鉄道(新幹線)の整備計画を大幅にペースダウンする方針を固めた。汚職疑惑で2月に更迭された劉志軍前鉄道相が承認した計画を見直し、今年の関連予算を当初の7千億元(約8兆7500億円)から4千億元に約43%削減する。また、営業時の最高時速を現在の350キロから300キロに減速して安全性を優先させる。
 中国紙、経済観察報が2日までに同省当局者の話として伝えたところによると、後任の盛光祖鉄道相(元鉄道次官)が前任者の整備計画の見直しを指示した。現在進んでいる大半の高速鉄道建設が縮小、もしくは中断されるという。
 中国は日本の新幹線技術をベースに、わずか3年で専用路線を全土に8358キロ(10年末)も敷設。前鉄道相はこれを今年末までに1万3千キロに延ばし、15年に2万5千キロにする無謀な計画を進めていた。金融危機で中国政府が08年に打ち出した4兆元の景気対策が背景にある。
 だが、前鉄道相が高速鉄道設備の入札にからみ、業者から約300万元の賄賂を受け取った疑いで党中央規律検査委の調査を受けたほか、組織的な汚職疑惑で多数の関係者も身柄を拘束されており、全土で繰り広げられる鉄建ラッシュに疑惑の目が集まっていた。
 中国の鉄道インフラ建設は土木工事や車両製造のほか、関連施設やサービスを含むと政府投資の5%前後に上っており、今回の高速鉄道計画の大幅な見直しが、中国全体の経済成長の鈍化要因になると指摘する声も出ている。
 一方、専用線の一部で、中国の独自開発をうたう技術誇示を目的に350キロに設定されていた最高時速については、盛鉄道相が輸送安全の観点から順次300キロに減速することを決定。6月開通予定の北京-上海の高速鉄道も最高300キロに抑えられ、4時間あまりで結ぶとされた北京-上海間が5時間前後に延びる。

◎罰金で私腹肥やす監督・管理者、食品安全問題、根絶できない理由(2011年5月1日、産経新聞)
 中国では、「毒入り粉ミルク」に続き、「痩肉精(飼料添加物の塩酸クレンブテロール)」の食品添加や、「染色饅頭(まんとう)」(消費期限切れの饅頭に防腐剤や着色剤を入れた再加工品)といった食の安全を脅かす悪質な事件が頻発している。その実情を新華社電が伝えた。
 権威ある関係部門のデータによると、政府が2010年、農産物などの生産企業3552万社を検査したところ、確認された違法行為は13万件、検挙者248人、業務停止命令などの行政指導を受けた企業は10万社以上にのぼった。

・80%が職員給与に
 このように中国政府が食品の安全強化に力を入れているにもかかわらず、事件が後を絶たないのはなぜか? その原因は地方の監督管理部門に潜んでいる。
 山東省内の品質監督局に勤めるある審査員によれば、取り締まりで徴収した罰金は、一部が省・市に上納され、残りのおよそ80%は地方監督部門の事務経費や職員の給与・賞与となっている。しかも、罰金は違法行為に科す懲罰のはずだが、末端部門の監督・管理者が罰金で私腹を肥やしている実態もあるというのだ。
 例えば、違法企業に科すべき罰金が10万元(約126万円)だとしても、ひとまず1万元だけ徴収する。その場では違反を見逃し、罰金は後に地方へ直接振り込ませる。まさに「養魚執法」。魚を飼いながら肥えるのを待ち、後からゆっくりと罰金を科す仕組みなのだ。
 浙江省のある地方監督管理部門の責任者は「うちは罰金をすでに“確保”しており、数カ月は仕事をしなくても困らないよ」と誇らしげに話す。
 監督管理部門は、地方政府の上層部から圧力を受け、行政指導を見送るケースもある。

・圧力と曖昧な法律
 ある地方品質監督部門の責任者は「政府にとって最大の関心は経済発展だから、地方経済に貢献度の高い企業を厳しく監督しようとしても、すぐに上から呼び出され、圧力をかけられる」と愚痴をこぼす。
 食品安全問題の責任は確かにメーカー側にある。だが、監督管理部門の責任に関する法律は実に曖昧で、「問題が発生するとメーカーばかりが突き上げを受け、監督管理部門の責任は不問という現状は是正しなければならない」と専門家たちは口をそろえる。

◎中国汚染粉ミルク事件で2被告に無期懲役(2011年4月29日、産経新聞)
 29日の新華社電によると、中国山西、河北省の裁判所は、有害物質メラミンが混入した粉ミルクの製造などに関与したとして、4事件の被告計14人に、無期懲役~懲役2年の判決をそれぞれ言い渡した。
 無期懲役を言い渡されたのは李宝生、斉衛鋼の両被告。山西省晋中市中級人民法院(地裁)は、両被告が約173トンのメラミン入り粉ミルクの製造、販売に関わったなどとして、劣悪品生産販売罪を適用した。2人は判決を不服として上訴したが、棄却されたという。

◎中国の人口13億4千万人に、10年で7千万人増(2011年4月29日、朝日新聞)
 中国国家統計局が28日発表した国勢調査にあたる「人口センサス」によると、人口は13億3972万4852人で、前回調査の2000年と比べて7390万人増えた。10年で韓国(約4900万人)と北朝鮮(約2400万人)を合わせた人口分が増えた計算になる。
 60歳以上の人が13.2%で、前回より2.9ポイント上昇。「一人っ子」政策で人口の増加率は下がっている反面、高齢化が進んでいる。
 都市人口は49.7%を占め、前回より13.5ポイント上昇した。また、戸籍と住所が異なる流動人口は、都市内移動を除くと2億2100万人。1億人も増え、経済発展した沿海部へ内陸から移ったという。
 調査は昨年11月、1千万人近くを動員して実施された。

◎中国の人口は13億4千万人、昨年の国勢調査、また増える(2011年4月28日、産経新聞)
 中国国家統計局は28日、昨年実施した国勢調査の結果として、香港、マカオ、台湾を除く総人口が約13億3972万人だったと発表した。2000年の前回調査では約12億6583万人だった。
 中国国外の統計によると、09年の香港、マカオ、台湾を除く総人口は約13億3千万人超。

◎「入学金だけで半年分の給料が要る」中国の川柳に見る格差社会の悲惨な実態(2011年4月28日、産経新聞)
 中国では昔から、「順口溜」という韻文風の風刺文学がある。日本の川柳をいくつかくっつけて出来上がったようなものだ。その内容も川柳と同様、おかしげな社会現象への風刺や惨めな立場にある人々による自嘲などが主である。
 ネットの世界ではこの類いのものが常に流布されているが、それらを読んでみると、笑いを誘われながらも中国の世相がよく分かってくる気がする。
 たとえば近年来、深刻な社会問題となっている貧富の格差の拡大を反映して、「貧乏人」と「金持ち」に関する次のような順口溜が出回っている。
 女房が人と寝るのは貧乏人だが、人の女房と寝るのは金持ちである。
 牛や豚を飼う奴は貧乏人だが、犬や猫をペットにする奴は金持ちである。
 田んぼで稲を植える奴は貧乏人だが、庭で花を育てる奴は金持ちである。
 土を耕す奴は一生の貧乏人だが、土地を売買する奴は子孫まで金持ちである。
 ホンモノを作っていても貧乏人のままだが、ニセモノを作るとたちまち金持ちになる。栄養食品を作って売る奴は、しょせん貧乏人だが、有毒食品でも作って売れば金持ちの仲間入りができる。
 友人から借金する奴は貧乏人だが、国からカネを掠(かす)めた奴は大金持ちである。
 以上の順口溜を読めば、現在の中国で一体どういう人たちが金持ちとなって、逆にどんな人たちが貧困にあえいでいるのかがよく分かる。
 とにかく、働き者や正直者が貧乏人となって、悪い奴ほど金持ちになるというのは、まさしく「社会主義大国」中国社会の実情なのである。
 それでは、この国の貧乏人たちはどのように生きているのか。次のような有名な順口溜がある。
 結婚はしたいけどそれは無理なことだ。マンションも車も持たない俺に誰が嫁に来るというのか。
 結婚して子供を産みたいけど、それはまた無理なことだ。産院で帝王切開でもすれば3カ月分の給料が飛ぶではないか。
 子供は産んではみたが、学校へ行かせるのは無理なことだ。入学金だけで半年分の給料が要るから。
 子供が大きくなってうれしいけど、病気にでもなれば大変なことだ。医療費一つで家がつぶれてしまう。
 病気が治らず死にたいけど、それはさらに大変なことだ。火葬代があれほど高騰してどうやって死ねるのだろうか。
 この順口溜の言わんとするところは明々白々であろう。要するに「経済大国」と称される中国の貧困層にとって、生きるのも死ぬのも容易ではない、ということである。
 「帝王切開で3カ月分の給料が飛ぶ」とか、「入学金だけで半年分の給料が要る」とか、あるいは「医療費だけで家がつぶれてしまう」とかは、決して風刺文学特有の誇張ではない。むしろ今の中国の現実であることがよく知られている。
 今年2月6日に国営通信社の中国新聞社が配信した社会記事でも、「食べていくのに精いっぱい」という低層の人々の生活難の実態が克明にリポートされている。
 そして4月22日に発表された米調査会社ギャラップの「2010年の幸福度調査」によると、自分の生活について「満足している」と感じている中国人は全体の12%でしかなく、逆に「苦しい」と感じている中国人は71%もいることが判明したという。
 この国の民はいつになって、生きることの苦しさから解放されるのであろうか。

◎食品添加物で女児死亡、北京、フライドチキンに(2011年4月26日、産経新聞)
 北京市豊台区で21日、1歳の女児が街頭の屋台のフライドチキンを食べたところ、中毒症状を起こし死亡した。大量の食品添加物、亜硝酸塩が含まれていたことが原因で、警察当局は屋台の経営者を拘束した。中国紙、京華時報などが26日までに報じた。
 女児の父親がフライドチキンを7元(約90円)で購入、女児に食べさせたところ、悪寒や嘔吐などの症状を呈し、病院に運ばれたが、間もなく死亡した。同じフライドチキンを食べた家族も嘔吐したという。
 中国では食品添加物による健康被害が頻発し、社会問題になっている。

◎中国:検索最大手「百度」処罰へ、音楽違法ダウンロード(2011年4月26日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国文化省は25日、音楽の違法ダウンロードサービスを提供しているとして、中国のインターネット検索最大手「百度(バイドゥ)」など14のウェブサイトを処罰する方針を明らかにした。
 同省は3月中旬に54のウェブサイトを処罰。オンラインゲーム運営会社20社についても、不適切な方法でゲームの販売を促進したなどとして処罰する方針という。
 百度などをめぐっては、米通商代表部(USTR)が2月末、知的財産権の侵害につながる「悪名高き市場」として例示した報告書を発表している。

◎中国:チベット僧300人以上を拘束(2011年4月26日、毎日新聞)
 亡命チベット人のニュースサイトや国際支援団体によると、中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県で21日夜、治安部隊がチベット仏教寺院「キルティ僧院」の僧侶300人以上を拘束したほか、僧侶の連行を阻止しようとしたチベット族の住民と部隊が衝突し、住民2人が死亡した。
 支援団体は、死亡したのは60歳代の男性と女性としている。拘束された僧侶はトラック10台に乗せられたが、どこに連行されたかは不明という。
 中国国営新華社通信は23日、地元当局が僧侶に対する法律教育を実施するとの通知を出したと伝えた。当局が僧侶を別の施設に移し思想教育を強化するものとみられる。英語版でのみ配信された記事は「一部の僧侶による反社会的な活動」を理由に挙げており、中国当局が国際社会に向け、僧侶に対する締め付けの正当性を主張する狙いもありそうだ。
 キルティ僧院では3月16日に若い僧侶が焼身自殺をしたことから緊張が高まっていた。08年3月にチベット自治区ラサで起きた大規模暴動から3年になるのに合わせ、中国当局のチベット締め付けに抗議したとみられる。
 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は今月15日に声明を発表。「僧院には約2500人の僧侶が暮らしているが、武装警察部隊に完全に包囲され、食料や物資を運び込むことができない」と指摘していた。これに対し、中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は19日の定例会見で、「僧侶の生活や宗教活動、現地の社会秩序はすべて正常だ」と述べていた。
 同自治州では、08年のチベット自治区での暴動を受け、僧侶や住民らがデモ行進し、治安部隊の発砲で少なくとも15人が死亡したと亡命チベット人組織が指摘している。

◎中国、チベット仏教寺院で僧侶300人拘束か(2011年4月24日、読売新聞)
 米国のチベット人亡命組織によると、中国四川省アバ県のチベット仏教寺院で3月中旬、僧侶の焼身自殺をきっかけに治安部隊が寺院を封鎖し、21日夜になって僧侶300人を拘束した。
 住民2人が当局との衝突で死亡したとの情報もある。
 中国国営新華社通信によると、同県政府は22日、反政府行動を封じ込むため、僧侶に法制教育を課す通知を出した。当局はチベット族居住区への外国人立ち入りを禁じているとみられ、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は15日、中国当局に沈静化を求める声明を発表した。

◎四川省チベット自治州、外国人の立ち入り禁止(2011年4月24日、朝日新聞)
 中国当局とチベット族住民の緊張の高まりで、四川省アバ・チベット族チャン族自治州などへの外国人の立ち入りが禁止されたことが分かった。同自治州にある人気観光スポット九寨溝は禁止区域から除外されている模様だが、地元旅行会社に受け入れ自粛の動きが出ている。一方、同自治州でチベット僧300人が拘束されたとの情報もある。
 禁止区域は、同自治州と同省甘孜チベット族自治州。省内の複数の旅行会社によると、数日前に同省旅遊局が外国人の立ち入り禁止を通告した。「現地で騒乱があったため」との説明だったという。解禁時期は不明で、ある旅行会社の担当者は「メーデーの連休も厳しいと思う」と話した。
 日本の大手旅行会社によると、23日の段階で九寨溝へのツアーは禁止されていない。ただ、四川の業者の多くは「外国人の受け入れはやめている」と話す。
 アバ・チベット族チャン族自治州アバ県では、3月にチベット寺院の青年僧が中国の民族政策に抗議の焼身自殺をした。以来、同じ僧院の僧侶ら2千人余りが軟禁されている模様で、米国の放送局ラジオ・フリー・アジアなどによると、21日夜、武装警察などが僧侶約300人を連行。寺院近くにいたチベット族2人が死亡したとの情報もある。
 九寨溝は、棚田状に湖が連なる幻想的な景観で知られる。中国を代表する観光地のひとつで、日本人を含む外国人観光客も多い。

◎中国で再び食品に有害物質混入、偽装でんぷん販売(2011年4月24日、朝日新聞)
 中国・広東省の当局は、トウモロコシにインクとパラフィンを混ぜた粉を甘藷でんぷんとして偽装販売していた食品工場を家宅捜索した。新華社が22日伝えた。
 中国では2008年に有害物質メラミン入り粉ミルクが大きな社会問題となったが、今月に入って北西部の甘粛省で亜硝酸塩が混入された牛乳を飲んだ子ども3人が死亡するなど、再び食品の安全性をめぐる懸念が浮上している。
 新華社の報道によると、以前は豚舎として使われていた問題の食品工場は2月以降、毎日1トンの有害物質入り偽甘藷でんぷんを製造し、湖南省からの特産品として販売していた。
 この事件で逮捕者がいるか、消費者に健康被害が出ているかについては明らかになっていない。

◎中国で偽装食品相次ぐ、広東、ニセ牛肉、上海、防腐剤入り饅頭(2011年4月24日、産経新聞)
 中国で食品の衛生や安全をめぐる問題が相次ぎ浮上している。中国紙、広州日報(電子版)によると、広東省当局は、豚肉に添加物を混ぜて高級牛肉と偽り、販売していた同省仏山の男の身柄を拘束した。健康被害は伝えられていないが、安価な豚肉に昆虫駆除などに使われるホウ砂を加えることで、食感や味を偽装して高値販売する手口だった。
 同省ではこのほか、トウモロコシにインクとパラフィンを混ぜた粉を、甘藷(かんしょ)でんぷんと偽って販売した業者らも摘発されている。
 また、上海市では今月中旬、使用が禁じられている着色剤や防腐剤を添加した中華蒸しまんを製造販売したとして、食品会社の経営者ら5人の身柄が拘束された。
 今月上旬には、甘粛省で亜硝酸塩が混入した牛乳を飲んだ数十人が中毒症状を起こして乳幼児3人が死亡、36人が病院に運ばれた。
 同省では3年前にも、有害物質メラミンが混入された粉ミルクを飲んだ乳幼児に被害が出た事件があり、乳幼児が腎臓結石で死亡するなど被害が広がって社会問題化した。
 いずれの事件も中国では“氷山の一角”とみられており、中国国務院(政府)は20日、関係部門や地方政府に、許可済み食品添加物以外の化学物質を食品に加えることを厳しく取り締まるよう通達を行った。国務院は今年末までに、食品添加物の安全性に関する新たなガイダンスを策定する。

◎中国の対外援助、45%はアフリカ向け(2011年4月21日、産経新聞)
 中国政府は21日、対外援助の実績をまとめた白書を公表し、地域別では2009年時点でアフリカ向けが45.7%と最大、次いでアジア向けが32.8%となっていることを明らかにした。
 援助の基本方針として相手国の内政への不干渉などを強調したが、スーダンをはじめ人権問題などを抱える国にも積極的に援助しているとの批判には言及しなかった。
 白書によると、中国は建国翌年の1950年に北朝鮮とベトナムに物資を提供したのが最初の対外援助で、56年からはアフリカ向けにも援助を提供。援助資金は2009年末までの累計で2562億9千万元(約3兆2千億円)に上っているという。

◎米議会報告書、中国、軍事高度技術を外国から違法取得(2011年4月21日、産経新聞)
 米国議会諮問機関の「米中経済安保調査委員会」は20日、中国の科学・技術近代化計画についての報告書を公表し、中国が兵器類の性能を高める軍事高度技術を外国から違法に大量取得していることへの警告を発した。
 報告書は中国が軍事、非軍事の両面で科学・技術の飛躍的な発展を目指し、とくに軍事面ではここ10年に「目をみはる進歩」があったと強調。その具体的結果として衛星破壊ミサイル、対艦弾道ミサイル、無人軍用機、次世代ステルス戦闘機「殲20」をあげ、そのいずれもが米軍を標的としていると述べた。
 また、中央軍事委員会と国務院に直結する国防科学技術工業委員会(COSTIND)の権限が近年、大幅に強化され、人民解放軍と防衛産業とを包括し、軍事技術の開発に集中するようになった、としている。その重点はとくに指揮・統制、通信、情報監視、偵察、航空、宇宙、情報技術などにおかれたという。
 報告書は米国当局が中国をこの種の軍事技術を外国からスパイや窃盗、サイバー攻撃という違法手段で取得する世界最大の脅威とみなしている点を明記。この数年間でも「中国の工作員が米側の宇宙飛行技術、ミサイル技術、レーダー、電子戦争技術、軍艦データ、無人飛行機技術、熱イメージ・システム、暗視システムなどを実際に不法に取得し、あるいは取得を試みた」として約10件の検挙例を列記した。この種の軍事関連技術の中国による違法取得は米側に年間数千億ドルの損害を与えているという。
 中国当局はここ数年、米国の政府、軍部、防衛産業から情報を盗むためコンピューター・システムに侵入するサイバー攻撃を実行しているとも指摘。実例として主要企業のノースロップ・グラマン社からの被害報告を紹介している。
 また、中国がCOSTINDの指導下で外国民間企業の軍事汎用技術を組織的に軍事利用しているとし、その一例として「日本の三菱重工、川崎重工、IHI、住友重工、日立造船などが大連などで中国の造船事業に加わり、その代償として中国側に移転する高度の造船技術が中国海軍の艦艇建造に重要な利益をもたらしている」と指摘した。

◎中国、断熱材で有機系に規制、不燃タイプ以外使用禁止の通知(2011年4月19日、化学工業日報)
 中国の断熱材料業界に激震が走っている。中国公安部が3月に告知した民生用建築外断熱材料についての通知によって、不燃タイプ以外の使用禁止が打ち出されたためだ。有機系材料の発泡ポリスチレン(EPS)や押出法発泡ポリスチレン(XPS)、ウレタンフォームなどは、外断熱材料に使用できないことになる。文字通りとればEPSで年間150万トン、有機系全体で200万トン程度の需要が失われ、EPS原料のスチレンモノマー(SM)を中国に輸出する国内メーカーにとっても影響が波及することになる。しかし、一部の省が履行不可能との声を上げているうえ、現地最大手のEPSメーカーが先週からフル稼働になるなど、通知がどの程度遵守されるかは不透明で、むしろ効果は限定的の見方が強い。

◎中国貧困層、3000万人から1億人に、収入基準引き上げへ(2011年4月18日、産経新聞)
 18日付の中国紙、解放日報によると、中国政府は今年後半にも、貧困層と認める住民の年間収入基準を、現在の1人当たり1196元(約1万5500円)以下から同1500元(約1万9500円)以下に約25%引き上げる方針を固めた。同紙は、この措置で現在は約3千万の貧困層が一気に1億人を超えると指摘している。
 中国の貧困層のほとんどは内陸の農村部に暮らす住民で、経済発展が続く沿岸の都市部との格差は広がる一方だ。政府が経済支援する貧困層の裾野を広げることで格差を是正する狙いがある。高所得者層に対する個人所得税の税率アップなどとセットで貧困対策を実施する見込みだ。
 格差拡大に不満を強めている貧困層が、一党独裁体制の終結を求める「中国ジャスミン革命」に結びつかないよう配慮した可能性もある。さらに、世界第2位の経済大国として国連の分担金の引き上げを求める声があるなど、応分の国際責任を問われている中国が、貧困層の数を増やすことで、国内外にいまだ途上国だと印象づけようとする狙いもかいま見える。
 中国が独自に決めた基準で1978年に約2億5千万人を数えた貧困層は、改革開放政策の恩恵や都市部への出稼ぎなどで現金収入を増やし、同年から30年間で10分の1近くにまで減少した。しかし、国際的に絶対的貧困とされる1日あたり収入1米ドル以下を現在のレートで計算すると、中国では年間2385元(約3万1000円)となり、1500元に引き上げてもなお基準に達していない。

◎中国で地下教会の信者ら30人拘束、AFP報道(2011年4月18日、読売新聞)
 フランスのAFP通信によると、北京市内で17日、屋外で礼拝を行おうとしたプロテスタント系の地下教会の信者ら少なくとも30人が警察当局によって拘束された。
 16日には同教会の牧師も拘束されたという。
 インターネット上で民主化要求集会の呼びかけが続く中、中国当局は民主活動家らの動きに神経をとがらせている。キリスト教信者にも集会への参加呼びかけが出ていたことから、当局が封じ込めの標的として取り締まりを強めているとみられる。
 今月10日にも地下教会信者ら約170人が当局に連行されたが、その後、大半が釈放されていた。
 胡錦濤政権は、著名な芸術家で人権活動家としても知られる艾未未(がいみみ)氏を今月初めに拘束するなど体制批判の動きが拡大しないよう躍起になっている。

◎中国、今年4回目の預金準備率引き上げ(2011年4月18日、読売新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は17日、預金準備率(預金総額のうち銀行が中央銀行に預け入れる額の比率)を21日から0.5%引き上げると発表した。
 準備率の引き上げは3月25日以来で、今年4回目になる。
 15日発表された3月の消費者物価指数の上昇率が前年同月比5.4%と4か月ぶりに5%を突破し、中国ではインフレ懸念がさらに高まっており、だぶつく資金の吸収を図る。

◎中国、乗車券に氏名印字へ、“旅客監視”鉄道に批判も、5月から購入・乗車時に身分証提示(2011年4月16日、産経新聞)
 中国が鉄道の乗車券購入時に身分証の提示を求め、乗車券にも氏名を印字する「記名式」の導入を5月に計画していることが分かった。乗車時には乗車券と身分証をつき合わせて確認する。
 乗車券を買い占めて高値で転売する悪質な行為の締め出しが狙いという。だが治安当局が監視する人物から一般客まで、鉄道での移動状況がオンラインで監視できる制度となり、一部には批判の声も出ている。
 盛光祖鉄道相が中国共産党機関紙、人民日報のインタビューで16日までに明らかにした。「記名式」は、在来線に新幹線型の車両を走らせる「動車」と呼ばれる特急の乗車券が対象だが、さらに、新幹線型の車両が専用路線を走る「高速鉄道」や在来線にも拡大される可能性がある。
 昨年の春節(旧正月)前後に広州など37の駅で「記名式」乗車券が試験導入されたことがある。6月1日の乗車券が売り出される5月22日前後に導入見込みだが、制度の周知はこれからで、パスポート提示が必要になるとみられる外国人旅客を含め混乱しそうだ。
 中国では国内線の航空券購入や搭乗、ホテルでの宿泊なども身分証かパスポートの提出とチェックが義務化されており、鉄道も「記名式」になることで“監視の目”が一気に広がる。

◎中国、資産1億2千万円超の長者は96万人、平均39歳、前年比9.7%増(2011年4月13日、産経新聞)
 13日付の中国各紙によると、中国で長者番付を発表している民間調査機関、胡潤研究院は、2010年に資産1千万元(約1億2800万円)以上の富豪は中国本土で約96万人に達し、前年比で9・7%増加したとの報告を発表した。うち約6万人は1億元の資産があるという。
 1千万元以上の富豪は人口1400人に1人いる計算。平均年齢39歳と若く、企業経営者や不動産投資家が目立った。
 地域別では北京市が最も多く約17万人。広東省約16万人、上海市約13万人と続き、この3地域で全国の半数近くを占めている。

◎商売敵恨み毒物混入、中国の乳児死亡事件(2011年4月13日、産経新聞)
 中国甘粛省平涼市で毒物が混入した牛乳を飲んだ乳幼児3人が死亡した事件で、捜査当局は12日、問題の牛乳を生産した牧場経営者と競合関係にある同業の夫婦を危険物質投与の容疑で拘束したと発表した。新華社電が伝えた。
 この夫婦は商売上の競争から同業の牧場経営者に恨みを抱き、報復を計画。5、6日の2度にわたり、牧場の牛乳に食品添加物の亜硝酸塩を大量に混入させた疑い。
 平涼市では7日、2カ所の地元牧場から出荷された牛乳を飲んだ子供らが食中毒のような症状となり、39人が病院に運ばれ、うち乳幼児3人が死亡した。

◎牛乳に有害物質混入で容疑者を拘束、乳幼児3人死亡、中国(2011年4月11日、産経新聞)
 11日付の中国各紙によると、中国甘粛省平涼市で牛乳を飲んだ乳幼児3人が死亡した事件で、警察当局は牛乳に故意に食品添加物の亜硝酸塩を大量に混入させたとして容疑者を拘束した。
 平涼市では7日、2カ所の地元農場から出荷された牛乳を飲んだ子どもらが食中毒のような症状となり、39人が病院に運ばれ、うち乳幼児3人が死亡した。

◎牛乳飲み、食中毒で乳幼児3人死亡、子供ら35人治療、中国、亜硝酸塩混入か(2011年4月8日、産経新聞)
 新華社電によると、中国甘粛省平涼市の衛生当局は8日、同市で7日に食中毒のような症状の訴えがあり、乳幼児3人が死亡、子供ら35人が病院で治療を受けていることを明らかにした。
 症状を訴えた子供らは全員、2カ所の地元農場から出荷された牛乳を飲んでいた。
 地元当局は専門家チームを現地に派遣。牛乳に食品添加物の亜硝酸塩が混入した疑いがあるとみて経緯を調べている。
 患者35人の大半が14歳以下の子供で、重症の1人を除いて症状は安定しているという。

◎「このままでは100店以上閉鎖」、香港の「和食ビジネス」倒産の危機(2011年4月7日、産経新聞)
 東日本大震災に伴う東電福島第1原子力発電所の放射能漏れ事故の影響は世界各国に拡大。インドは5日、日本からのすべての食品について3カ月間の輸入停止を決めた。現在、日本からの食品などの輸入規制は25の国・地域で行われているが、全面停止は初めて。こうしたなか香港の老舗日本料理店が今月に入って、売り上げ不振で閉鎖に追い込まれた。日本食人気を背景に世界各地に広まった日本料理店の多くが、今回の原発事故で、経営危機にさらされている。

・老舗の売り上げ7割減
 「このままでは100店以上の日本料理店が閉鎖されても驚かない」。
 香港飲食業協会の黄家和会長は、地元紙サウスチャイナ・モーニング・ポストにこう述べ、香港当局に対し、日本政府からの協力を取り付け、早急な対応をとるよう訴えた。
 アジアでもとくに日本食人気が高かった香港や台湾、シンガポールなどでは、今回の福島第1原発の放射能漏れ事故に伴い、日本からの食材などが放射能汚染されているのではとの懸念の高まりから、すし店を含む和食レストランが軒並み、売り上げを落としている。
 香港に約600あるとされる日本料理店のうちでも老舗の高級日本料理店「八重菊」は、事故前に比べ、売り上げが70%も減少し、今月1日に閉店した。同店は事故後、放射線測定器を購入し、食材が放射能で汚染されていないことを客に証明するようにしたが、客足は減る一方だった。今後は業態を代えて営業するという。
 同店を経営する地元レストランチェーンのオーナーはAFP通信に「日本料理店の経営は当分厳しい。改善の見通しが立たなければ、損切りをするしかない」と語った。

・「みんなが信頼なくした」
 黄会長によると、協会に加盟する日本料理店はみな5割以上の減収だという。このため、放射能汚染されていないという証明書の発行や、経営環境が改善されるまでの資金繰りのための低利の貸し付けを行うよう、香港当局に働きかけていることを明らかにした。
 香港立法会(議会)の張宇人議員も地元紙に「問題はみんなが日本の食品に対する信頼をなくしたことだ。このままでは和食ビジネスの進展はない」と述べ、とくに経営的に厳しい高級店の閉店を防ぐため、緊急融資を実施すべきだと述べた。
 香港当局は、日本からの輸入食品はサンプル調査でも放射能汚染はされていないとしているが、一般市民の懸念は収まっていない。このため、スーパーなど日本の食料品を扱う店にも影響が広がりそうだ。

・仕入れ先の変更も
 一方、シンガポールを中心にアジアに展開するすしチェーン「栄寿司」は現在、しょうゆなどを含む食材の4分の3を日本から輸入しているが、同社の広報担当者はロイター通信に対し、今後はオーストラリアなど他の地域からの材料の比率を増やす考えを示した。
 別の日本料理店では、食材の仕入れ先を東日本から西日本に代えるなどしているが、仕入れ価格が値上がりしているほか、納豆などは日本国内以上に、手に入らなくなっているという。

◎中国、フィリピン人3人の死刑執行、一度は延期(2011年3月30日、朝日新聞)
 中国で麻薬密輸罪で死刑判決を受けた3人のフィリピン人に対する死刑が30日、執行された。フィリピン政府の働きかけで2月中旬に異例の延期が決まっていたが、一転して執行。領有権問題を抱える南シナ海情勢などでの両国関係の変化が影響したとの見方もある。
 中国司法当局者は30日、フィリピン人の男性(42)と女性(32)に対する薬物注射による死刑が福建省アモイで執行された、と朝日新聞に明らかにした。比政府によると、広東省深セン(センは土へんに川)では女性(38)への執行があった。3人は覚醒剤約4~6キロを密輸しようとしたとの罪で、元々は2月下旬に処刑される予定だった。
 3人の処刑を巡り、比政府はビナイ副大統領が訪中するなどして恩赦を要請。これを受け、中国当局は執行時期を示さずに延期を決めた。両国は、比政府が民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞の授賞式に欠席するなどして良好な関係にあり、中国側が親中姿勢をとる比側に配慮したものとみられていた。
 しかし、両国関係はその後、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島の領有権問題を巡って悪化。比政府の委託を受けた石油会社が、領有権で主張が対立する海域で石油開発を進める動きを示し、3月初めにはフィリピンの石油探査船が中国艦船に海上で牽制れる事件も起きていた。
 中国のネット上には「フィリピン人だけ執行延期で不公平だ」といった書き込みも出ており、中国大使は今月中旬、比メディアに3人の死刑が近く執行されるとの見通しを明らかにしていた。

◎中国の男性が塩6.5トン買いだめ、放射能パニック収まり困惑(2011年3月28日、産経新聞)
 福島第1原子力発電所の事故による放射能汚染を危惧する中国で、放射能汚染を防ぐと思われた食塩を6.5トンも買い占めた男性が今、その塩を持て余して困っている。英字紙チャイナ・デイリーが25日報じた。
 先週、食塩に含まれるヨウ素が放射能汚染を防ぐという情報が広まり、塩の価格が急騰。少なくとも半年は塩の供給が不足するとうわさされた。
 塩の買いだめ騒動が起こる中、湖北省の省都、武漢在住のグオさんは6.5トンもの食塩、260袋を購入し、3台のトラックで自宅まで運んだという。配送料も含め費用は2万7000元(約33万円)かかり、塩はグオさんの住居の半分以上を占めているという。
 しかしその数日後、中国政府は原発から漏れ出た放射性物質が中国国民の健康を害することはないと説明。消費者に塩の買いだめを控えるように呼び掛けた結果、今度は価格が急落した。
 報道によると、塩を購入した際の領収書もなく、グオさんは転売もできず、また政府が塩の流通を厳しく取り締まっているため、他の省にも運ぶこともできず、困り果てているという。

◎中国当局「Gメール」攻撃か、集会封じ込め?(2011年3月23日、読売新聞)
 22日の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、インターネット検索サービス最大手の米グーグルの電子メールサービス「Gメール」が3月初旬から中国で中国当局による攻撃を受け、利用に支障が出ていると報じた。
 同紙は、中国での民主化要求集会呼びかけを封じ込めるための攻撃である可能性を指摘している。
 グーグル側は「中国政府が巧妙に仕組んだ障害。利用者にグーグルが信用できないとの印象を与えようとしている」とコメントしている。

◎中国当局、Gメールを攻撃か、「ジャスミン革命」の呼び掛け妨害狙う(2011年3月22日、産経新聞)
 22日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、米インターネット検索大手グーグルの電子メールサービス「Gメール」が中国当局の攻撃を受け、中国本土での利用に支障が出ていると報じた。
 Gメールの利用を完全に遮断するのではなく、部分的に使えなくするなどしてグーグル側の不具合に見せ掛けているといい、同紙は「Gメールに問題があるように装った中国当局の妨害だ」とのグーグル広報担当者のコメントを伝えた。
 中国では先月以降、中東の政変に触発された「中国ジャスミン革命」集会の呼び掛けが続いており、攻撃が事実であれば集会参加を考えている人々の連絡を絶つ狙いがあるとみられる。
 同紙によると、Gメールへの攻撃は今月初めごろから始まった。グーグルは支障の詳細を明らかにしていないという。

◎放射線汚染のデマで男性を拘束、中国浙江省(2011年3月21日、産経新聞)
 中国の通信社、中国新聞社電(電子版)によると、浙江省杭州市の警察当局は21日までに、福島第1原発の事故で放射性物質による汚染が山東省の沿岸部に及んでいるとのデマをインターネット上で広めたとして、同市内の31歳の男性に対し10日間の行政拘束と罰金500元(約6000円)を科すことを決めた。
 男性はコンピューター関連会社勤務。15日に「汚染は進んでいる。塩と干しコンブを備蓄し、この先1年間は海産物を食べないようにしよう」などとする情報を多数のネット利用者に送ったとされる。
 原発事故のデマでは、上海市の警察当局も最近、2人を摘発している。

◎中国で大量デマ情報、携帯大手が否定メール5万通、BBC偽る(2011年3月16日、産経新聞)
 16日付の中国紙、京華時報などによると、福島第1原発の事故をめぐり、放射能漏れの影響がアジア各国にも拡大しているなどとするデマ情報が中国で15日、携帯電話のショートメールや短文投稿サイト「ツイッター」の中国版「微博」を通じて大量に出回った。
 携帯電話大手の中国移動通信はデマ情報を否定するショートメール5万通を利用者に発信、対応に当たった。出回ったデマのうちの一つは、英BBC放送を情報元と偽った上で、放出された放射性物質は間もなくフィリピンに到達し、中国でも屋内退避が必要と呼び掛けるなどしたという。

◎「保八」から「保四」に、インフレ過熱からの軟着陸カギ、「深い哀悼の意」も温首相が会見で表明(2011年3月14日、産経新聞)
 14日閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代=国会)で、過熱経済からのソフトランディング(軟着陸)と社会安定の維持が最重要政策として浮き彫りになった。昨年までは8%の成長維持による雇用確保を狙った「保八」を堅持してきたが、中東・北アフリカ政変を受け、中国はインフレが社会不安を招くとの懸念を強めた。消費者物価指数(CPI)を通年で4%以内に抑える「保四」に政策の比重を移して、安定成長路線にカジを切った。
 温家宝首相は14日、全人代閉幕後の記者会見で、内陸の農村部などでとくに不満のマグマがたまっている物価高騰や不動産バブル問題で、「住宅価格を含め人民の直接的な利益にかかわる」と指摘した上で、「インフレ抑制を今年の政府マクロ経済政策の第1位に置く」と決意を強調した。
 全人代は経済成長率の目標を年平均7%に引き下げた国民経済の新たな中期計画「第12次5カ年計画」を採択した。昨年までの5カ年計画の目標は同7.5%だった。成長市場主義から内需拡大や環境保護、省エネに力を入れ、持続的な安定成長をめざしている。
 だがインフレや不動産バブルの背後には、輸出保護を狙う人民元安がある。あちらを立てればこちらが立たずという難局にあり、軟着陸できずにバブル崩壊や反政府運動の暴発などの不測の事態も予想され、事態の打開は容易ではない。
 また政治改革の必要性に言及する一方で、「共産党の指導の下で秩序だって進める」と指摘。過去30年の改革開放で、中国経済が発展して世界第2位の経済大国になった自賛し、政変に揺れる中東や北アフリカと中国を比較する論調を「不正確」と断じた。直接選挙の早期実現も否定。「任期はあと2年」とも話した温首相は、政治改革の問題先送りを示唆した格好だ。
 また温首相は同日の記者会見で、「災害で困難の中にある日本の皆さんに深い哀悼の意を示す」と述べて東日本大震災に触れる場面があった。2時間30分を越えた会見で質問が打ち切られた後、温首相は自ら「日本の記者はいますか? 言いたいことがある」と切り出した。「日本が遭遇した史上まれにみる大震災は日本国民の生命や財産に巨大な損失を与えた」と沈痛な面持ちで話し、今後も日本が必要とする支援を継続していくことを約束した。

◎中国全人代に届かぬ弱者の声、路上で暮らす陳情者たち(2011年3月9日、産経新聞)
 年に1度の中国全国人民代表大会(全人代=国会)が開会中の北京市の一角に当局の不正などを訴える陳情者が全国から集まっている。路上や木賃宿で寄り添うように暮らし、経済規模世界2位の輝かしい中国の発展とは無縁。「私の訴えを聞いて」という陳情者の声は全人代にはなかなか届かない。
 全人代の会場、人民大会堂から南に約4キロの崇文区永定門。約200人が陳情書を握って所在なくたむろしている。段ボール箱やシートでつくった“住居”で炊事中の老人たちも多い。
 安徽省から来た女性、呉蘭さん(41)は「私も全人代に参加して当局の不正を訴えたい」と叫ぶ。住宅立ち退きで地元当局にだまされ、補償金をもらえなかったという。
 呉さんを取材していると「こっちの話も聞いて」と陳情者が群がってきた。陳情書を押し付けられ、書類の山ができた。

◎香港で日本産食品の買い占め、地震影響にらみ(2011年3月14日、読売新聞)
 香港商業ラジオなどが14日伝えたところによると、香港で、東日本巨大地震の影響をにらんだ日本産食品の買い占めが起きている。
 日本製乳幼児用品の専門店前では同日早朝から約300人の市民が列を作り、争うように粉ミルクを購入した。
 繁華街の海産物店では13日の日本産アワビの売り上げが通常の8倍に上った。9万香港ドル(約95万円)分をまとめ買いする客もいたという。
 日本製粉ミルク販売店の劉愛国店長(65)は「香港で日本産食品の信頼性は絶大だ。今回の地震では、多くの香港の消費者も動揺している」と話した。

◎中国が「必ずしも違法と言えず」、日本の地名の商標登録で(2011年3月13日、産経新聞)
 中国の国家工商行政管理総局の付双建副局長は13日の記者会見で、日本の地名が中国で商標登録されている問題について「日本と中国の商標制度には違いがある」と述べ、必ずしも違法なものばかりではないとの考えを示した。
 付副局長は、中国の法律では「一般によく知られた地名」でなければ外国の地名でも商標登録できると説明。さらに「別の意味が含まれる地名も登録できる」と述べた。
 その上で「もし知名度のある日本の地名が登録された場合、異議申し立てと(商標)取り消しの手続きで解決できる。発見したらすぐに申し立ててほしい」と日本側に呼び掛けた。

◎世界の富豪:過去最高の1210人、中国は115人に急増(2011年3月10日、毎日新聞)
 米誌フォーブスが9日発表した11年版の世界長者番付によると、世界的な景気回復と新興国の経済成長を背景に、10億ドル(約830億円)以上の資産を所有する「富豪」が前年から約20%増え、1210人と過去最高となった。富豪の総資産も約25%増の約4兆5000億ドル(約372兆円)と過去最高。富豪は、中国が前年の64人から115人に急増したほか、ロシアも101人と数を伸ばした。
 首位は昨年に続きメキシコの実業家カルロス・スリム氏で、資産額は前年比約205億ドル増の約740億ドル。2位は米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏で約560億ドル。3位は米著名投資家のウォーレン・バフェット氏で約500億ドル。日本のトップはソフトバンクの孫正義社長の113位で資産は81億ドル。

◎中国、東シナ海ガス田は「生産段階」、企業幹部が認める(2011年3月9日、朝日新聞)
 日中が共同開発に向けて交渉準備を進めている東シナ海ガス田「白樺(しらかば)」(中国名・春暁)について、中国で同ガス田の開発を担う国有企業、中国海洋石油(CNOOC)幹部は8日、同ガス田で中国側が「生産段階」にあることを明らかにした。一方的な開発再開は日中間の合意に反し、中国政府はこれを認めていないが、同幹部は「すでに石油が出ている」とし、掘削の事実を確認した。
 CNOOC監査機関責任者であり、北京で開会中の全国人民代表大会(国会に相当)の代表である宋恩来・CNOOC南海西部公司党委員会元書記が、朝日新聞などに語った。
 宋氏は「春暁ガス田を我々はすでに開発し、生産をした。現在、すでに石油が出ている」とし、生産・掘削段階にあることを確認。「(日本との)争いの地域内であり、我々は協力することはできる。しかし、このガス田は自分たちの領土内にある。(日本は)今でも頻繁に邪魔をするが、我々は境界線上ですでに開始した。我々は作業を行った」と語った。
 中国の楊潔チー(ヤン・チエチー=チーは竹かんむりに褫のつくり)外相は7日の記者会見で条約交渉の開始に前向きな姿勢を見せていたが、開発側が掘削を認めたことで、今後の日中政府間の協議に影響を与えることは必至だ。
 白樺は、日本側が排他的経済水域(EEZ)の境界とする「日中中間線」付近の海域で中国側が先行開発。日本側の反発を受け、2008年6月に両国政府は日本法人の出資と出資比率に応じた利益分配に合意したが、中国側はその実行に向けて動かず、昨年5月の温家宝(ウェン・チアパオ)首相の来日で、共同開発の条約締結交渉に入ることで合意していた。
 しかし、昨年9月に尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件が起き、中国政府は条約交渉延期の措置を発表。さらに、白樺の施設に中国側が掘削工具とみられる機材を持ち込んだことも確認された。
 中国政府は「中国は春暁ガス田に完全な主権と管轄権がある。中国の活動は完全に合法的なものだ」(姜瑜外務省副報道局長)と主張。機材持ち込みは「修理のため」などと日本側に伝え、掘削の事実を認めなかったが、白樺周辺海面の変色などもあり、日本側には中国が掘削を開始しているとの見方が出ていた。
 一方、宋氏は中国がベトナムやフィリピンなどと領有権問題を抱える南シナ海での油田開発を巡っても、CNOOCが中国政府に過去3年間、「積極的なガス田開発」を進める提議を行ってきたことを明らかにした。中国政府はこれを認めていないが、「我々には技術も資金も不足はない」とし、開発推進の意向を強調した。

◎韓国外交官3人を籠絡? 中国人女性に情報漏洩か(2011年3月8日、産経新聞)
 上海駐在の韓国外交官が現地で中国女性と“不適切な関係”を持ち機密情報を流出させた疑いが持ちあがり、大騒ぎになっている。
 問題になっているのは最近まで上海総領事館に勤務していた3人。中国女性は韓国男性と結婚していながら、一方で同時多発的に韓国外交官と“関係”があったことから「中国当局の情報員ではなかったか」との疑惑が広がっている。
 8日の韓国各紙によると、韓国政府の首相室当局は昨年来、上海総領事館でビザの不正発給や女性関係など問題があった領事3人の調査を進めてきた。その結果、以前から中国当局との人脈を誇示し韓国総領事館と関係の深かった中国人女性(朝鮮族出身で33歳)の存在が判明した。
 彼女と“不適切な関係“があった3人はすでに帰国しうち1人(法務省出身)は退職しているが、3人は在任中にビザ不正発給のほか、総領事館の非常連絡網など領事関連情報や人事資料、さらには韓国政財界の有力者約200人の携帯電話番号など各種情報を彼女に提供していたという。
 外交通商省など韓国の関係当局は「機密情報の流出はなかった」とし、今のところスパイ事件ではなく、個人的な不倫事件の扱いというが、各紙は「政府当局は事件を隠蔽し、問題を意図的に縮小しようとしている」と不満だ。
 報道によると、中国側とのパイプや人脈作りが難しい韓国総領事館の歴代外交官たちは「上海市当局に顔が利く」という彼女にしばしば“お世話”になってきたという。その存在は上海の韓国社会ではよく知られた人物という。
 今回の事件発覚のきっかけは地元、韓国人社会での“外交官不倫情報”というが、別居状態だった彼女の夫(韓国人)の協力もあったようだ。
 マスコミには、彼女と関係を持った韓国外交官が「私の愛は真実であり永遠に変わりません。もし約束を守らなければ罰として6億ウォン(約4400万円)と私の指を1本切って差し上げます」などと書いた彼女あての自筆のメモも紹介されている。

◎中国が韓国国防省へハッカー攻撃か、無人偵察機情報を収集(2011年3月7日、産経新聞)
 7日付の韓国紙、朝鮮日報は、中国が昨年6月、韓国国防省のコンピューターをハッカー攻撃し、米国からの無人偵察機グローバルホーク購入に関する機密情報を収集していたと報じた。国会国防委員会所属の野党議員が政府関係者から受けた報告として伝えた。
 同紙によると、韓国政府は攻撃の事実を中国政府に伝えておらず、今後の対応に苦慮しているという。韓国政府は昨年の予算に購入の着手金として452億ウォン(約31億円)を計上していた。
 また行政安全省が提出した資料では、政府機関のコンピューターに対するハッカー攻撃は昨年1年間で2万1899件に上り、うち8183件が中国からだった。

◎怒鳴り散らす警官、大学も封鎖、中国、デモ阻止へ躍起(2011年3月7日、朝日新聞)
 中国の約40都市で民主化を求める「中国茉莉花(ジャスミン)革命」のデモが呼びかけられた6日、全国人民代表大会期間中の北京をはじめ各地で厳戒態勢が敷かれた。不審と見なした通行人への荷物検査やビデオ撮影、外国人記者の隔離など、当局はあの手この手でデモ阻止に躍起となった。
 「何で店を閉めないんだ。封鎖するぞ」新たにデモの呼びかけがあった北京の繁華街・西単。靴店に入ってきた私服警官が大声で怒鳴り、去っていった。
 名指しで集合場所に指定された飲食店は、デモ予定時刻の午後2時になると「臨時休業」(同店店員)。歩道では、警官たちがビデオカメラを回しながら歩き、通行人を一人一人撮影し始めた。連行された外国人記者もいた。店側は「消防訓練のため午後5時まで休業」と説明したが、訓練が行われた形跡はない。
 もう一つの集合場所に指定された王府井の飲食店周辺では、10メートルごとに警官が立ち、無線機を持ってイヤホンを着けた多数の私服警官が目を光らせた。警官は大学生や外国人、不審と見なした者らに身分証の提示を求め、荷物も検査。警官が一眼レフカメラを持っていた中国人女性を取り囲み、ビデオカメラ2台で彼女を撮影する姿も見られた。
 中国人権民主化運動情報センターによると、西安市政府は5日、各大学に集会防止のため学生の外出を禁じる緊急通知を出した。少なくとも11大学が封鎖されたという。「ジャスミン革命」で、大学生に向けて校内のデモが呼びかけられたためとみられる。
 上海で集合場所となった人民広場周辺も異様な雰囲気に包まれた。映画館は2週連続で封鎖され、入り口付近には数百人の治安関係者が通行人の表情をじっと追っている。
 午後2時すぎ、映画館から道路を挟んで向かい側のバス停。人ごみに紛れてベンチに座っていた日本のテレビ局記者に、警官が「身分証を検査する」と声をかけ、警察署へ連行した。警備が厳戒のため、カメラやメモを取り出して取材している記者はいない。しかし、道を歩いていたり、商業施設の中で電話したりしていただけで、警官が記者を見抜いて同行を求める。
 現場近くには、記者登録の臨時会場が設けられていた。そこから地下通路を通って警察署地下の「談話室」へ。対応や言葉遣いは極めて紳士的だが、朝日新聞を含む日本人記者7人をはじめ、ドイツ人やスペイン人ら少なくとも十数人の報道関係者が、1時間半から3時間にわたって取り調べを受けた。
 その間、現場では毛沢東など政治に関する話を始めた高齢者やビデオを撮ろうとした男性らを警察が阻止。人が集まる場面もあったが、大きな混乱はなかった。
 「中東や北アフリカで起きた混乱は、北京では起こりえない。なぜならば、中国共産党の指導と政府の施策は民意に沿ったものだからだ」。北京市新聞弁公室の王恵主任は6日の記者会見で強調した。
 会見が北京市公安局によって設定されたのは6日午後2時。記者の関心の高い会見をデモ予定時刻に設定することで、呼びかけ現場に行く記者を減らそうとの狙いではないか、との観測も北京の一部の外国人記者の間には流れた。
 中国政府は1回目の呼びかけの後、北京の王府井などでの取材は許可なしでは違法だとし、事実上、報道規制を強化。記者の反発は強く、「公共の場所での取材に何の問題があるのか」「ナンバーのない車にあとをつけられている。違法ではないのか」といった質問が相次いだ。
 中国政府にとって「社会の安定」は最重要課題。全人代で5日に公表された2011年の予算案で、治安維持費は前年実績比13.8%増の6244億元。額も伸び率も国防予算費を上回っている。

◎富豪議員上位70人、個人資産平均は881億円、格差是正論議なるか?(2011年3月6日、産経新聞)
 5日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で議員に当たる2987人の代表のうち、個人資産が大きな上位70人の資産合計額が4931億元(約6兆1650億円)に上ったことが、民間調査機関の調べで分かった。この70人の個人資産は邦貨換算の単純平均で実に1人約881億円。「既得権益だらけの大富豪に貧富の格差是正の論議ができるのか」との批判も広がり始めている。
 この調査は中国の富豪資産を独自に調べている上海在住の英国人、フーゲワーフ氏の経済研究機関、胡潤研究院が明らかにした。
 上位70人の中には、米誌フォーブス(中国版)が昨年、資産80億ドル(約6500億円)で中国トップの富豪とした飲料大手、娃哈哈集団の創業者、宗慶後氏も含まれる。中国共産党が10年ほど前に資本家の入党を認めた結果、全人代の代表にも富豪が増えてきた。
 温家宝首相は5日の政府活動報告で、所得格差など不均衡な問題を抱えていることを率直に認め、「大衆の不満解決を急ぐ」方針を強調したが、今年の重点施策は最低賃金アップなど庶民受けを狙った小粒なアメにとどまった。固定資産税の厳格適用など、不動産所有者ら既得権益への切り込みは先送りされ、富豪に甘い全人代となっている。

◎鉄道省運輸局長も停職処分、中国(2011年3月2日、産経新聞)
 2日付の中国紙、京華時報などは、鉄道省運輸局の張曙光局長が停職処分を受け、関係部門の調査を受けていると報じた。停職や調査の理由は不明だが、先に重大な規律違反で解任された劉志軍・前鉄道相の事件と関係している可能性が高い。
 張局長は技術畑の出身で、高速鉄道の建設を推進。同紙は「中国高速鉄道技術の礎を築いた人」と紹介している。全国人民代表大会(国会)常務委員会は先月末、劉氏の解任を決定。中国メディアは劉氏が高速鉄道建設に絡み賄賂を受け取った容疑があると報じている。

◎中国の活動家逮捕、デモ情報転送、国家転覆扇動の疑い(2011年3月1日、朝日新聞)
 香港の中国人権民主化運動情報センターは28日、広東省の人権活動家、鄭創添氏(34)が国家政権転覆扇動容疑で逮捕されたと伝えた。
 同センターによると、鄭氏は「中国茉莉花(ジャスミン)革命」の2回目の一斉デモ予定日前日の26日、公安当局に連行され、翌日、家族が逮捕容疑が書かれた通知を受け取った。デモ情報をネットで転送したり、「革命」について議論したりしたことが容疑に問われたとみられる。中国ジャスミン革命に絡む逮捕者は判明しているだけで5人目。鄭氏は昨年、広州市内で広東語を守る集会を計画したなどとして一時拘束されていた。

◎鉄道相失脚でみえる熾烈な権力闘争(2011年2月27日、産経新聞)
 旧正月にあたる春節が過ぎた直後の2月中旬、温家宝(おんかほう)内閣の重要閣僚の一人、劉志軍(りゅうしぐん)鉄道相(57)が兼務していた鉄道省党組書記を解任されたニュースが国営新華社通信を通じて発表された。「重大な規律違反容疑」のためだという。江沢民(こうたくみん)前国家主席(84)の側近の1人として知られ、これまでは鉄道省のドンとして数々な権力闘争をくぐり抜け、政界の「不倒翁」(起き上がり小法師)ともいわれた劉氏の突然の失脚は、2012年秋に開かれる党大会を控え、江前主席が率いる上海閥は重要な指導者候補を失い、熾烈なポスト争いの中で力が弱まり一歩後退したことを意味する。

・上海閥の指導者候補
 中国メディアが伝えた劉氏の容疑は、高速鉄道の設備投資や駅周辺のホテル建設などを巡り、山西省の女性企業家から約300万元(約3700万円)の賄賂を受け取ったとされる。共産党中央規律委員会はすでに党規に基づいて劉氏の身柄を実質的に拘束し、容疑が固まり次第鉄道相を解任、司法当局に送られると推測される。一党独裁の中国では、政治家や高官が経済問題で摘発される場合は、警察や検察が捜査する前に党規律委員会がまず身柄を拘束して調査するのが一般的であり、それが公表された時点で、その政治家の政治生命の終わりを意味する場合が多い。
 劉氏は湖北省武漢市出身。鉄道整備工、駅員、駅長などを経験し、省内では鉄道の現場を最も知っている男と言われた。瀋陽鉄道局長を務めていた1994年、当時の韓杼濱鉄道相(79)に見出され省次官に抜擢された。韓氏は江沢民氏が上海市委書記を務めていた時代の上海鉄道局長で、江沢民政権を支えた上海閥の重鎮の一人として知られる。

・高速鉄道建設で手腕
 劉氏は2003年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で49歳の若さで鉄道相に就任。中国筋によると、劉氏の任命はこの大会で国家主席を退任する江沢民氏が最後に指名した4人の閣僚の1人だったという。劉氏は鉄道相の任期中、北京と上海を結ぶ高速鉄道(新幹線)建設や、青海省とチベットを結ぶ青蔵鉄道など前任者たちが手を焼いていた大型プロジェクトを次々と実現させ、その抜群な実行力は胡錦濤(こきんとう)国家主席(68)からも高い評価を得ていたという。しかし一方、当時から「業者から賄賂を受け取っているのではないか」といった疑惑がたびたび指摘された。
 劉氏に最大の危機が訪れたのは06年3月で、実弟の劉志祥元武漢鉄道局副局長が汚職などの容疑で逮捕され、執行猶予付の死刑判決を受けた。劉志軍氏もこの贈収賄事件に関与していると香港紙に報じられ、温家宝首相は劉氏に対し鉄道相辞任を促したが、劉氏は江沢民氏に相談したうえで辞職を拒否。結局、江沢民派との正面衝突を恐れた胡主席は劉氏の留任を認めた。
 08年3月、胡主席の側近の李克強(りこくきょう)副首相(55)が主導する省庁改革で、鉄道省を交通省の鉄道局に縮小する案があったが、劉氏は「鉄道は軍や軍用物資を運ぶ戦略的な意味が大きい」ことなどを理由にメディアを前にして反対意見を表明、他に縮小される予定の省庁も相次いで劉氏に同調したため、省庁改革案は結局骨抜きにされ、改革は失敗に終わった。このことで劉志軍氏と李克強氏の対立が表面化した。
 また、08年6月、江沢民夫妻が湖南省で鉄道事故に巻き込まれた際、江夫妻の無事が判明したにもかかわらず、劉氏は北京の重要会議をキャンセルして事故の数時間後に現場入りしたことが「劉志軍はいまだに江沢民を最高指導者と思っているらしい」などとネットに揶揄されたこともあった。

・全面敗北は回避
 政局に詳しい中国筋によると、今回の劉志軍氏の失脚は胡主席が自ら主導した可能性が高い。汚職問題よりも権力闘争の一環だという。劉氏はすでに共産党中央委員を2期務めており、60歳未満で来年の党大会で政治局員に昇進するのが自然な流れで、副首相候補にもなっている。しかし、劉氏のような協調性が低く、剛腕な人物が政権中枢に入れば、江沢民派の影響力が高まり、胡錦濤派も習近平(しゅうきんぺい)国家副主席(57)が率いる高級幹部子弟で構成する太子党グループも対応しにくいと推測される。「それを避けるためにこの決断につながっただろう」と中国筋は指摘する。
 しかし、江沢民派はこの人事で全面敗北したわけではなかった。劉氏免職が発表されたのとほぼ同じ時期に、約2年前に経済問題などで免職された文化省次官の于幼軍氏(58)が、国家水利プロジェクトである「南水北調」の弁公室副主任(閣僚級)に任命されたことも発表された。于氏も江沢民派の重要人物の1人で、「劉氏免職が江沢民派に与える衝撃を和らげるため、胡派はバランスを取ったのではないか」と指摘する声も出ている。

◎中国、デモ封じ込め、日本人カメラマンら拘束(2011年2月27日、読売新聞)
 中国の胡錦濤政権は27日、中東や北アフリカの民衆抗議行動に倣い、中国各都市で2週連続で呼びかけられた民主化要求集会を、圧倒的な警察力による厳戒態勢で抑え込んだ。
 ただ、ネットでは日曜ごとの行動が呼びかけられており、政権は3月5日開幕する全国人民代表大会(全人代=国会)を控え、警戒強化を続ける構えだ。
 海外あるいは香港発とみられる呼びかけは、前回20日の13都市から27市に拡大した。「我々が欲しいのは、食べ物、仕事、住宅、公平、正義だ。一党独裁の終結、報道の自由を要求する」などとの内容は、政権が絶対に容認できないものだ。
 27日午後、指定場所となった北京の繁華街・王府井(ワンフーチン)では、制服・私服の警官1000人以上が警戒し、一帯を封鎖。散水車4両が道路に水をまいて清掃作業したり、警官が歩行者を立ち止まらせないよう指示したりした。上海の指定場所でも清掃作業が行われ、水をかけられるなどした群衆数千人が警官隊を取り囲む騒ぎも起きた。現場で取材していた日本人カメラマンや、写真撮影した中国人が拘束され、香港メディアなどによると、各地で計約10人が連行された。

◎中国が死刑適用の犯罪を削減、批判かわす狙い?(2011年2月26日、読売新聞)
 中国の全国人民代表大会(国会)常務委員会は25日、死刑が適用可能な犯罪数を経済犯罪を中心に13削減する刑法の改正案を採択した。5月1日から施行する。
 中国での死刑執行数は年間数千件を超えるとされる。死刑適用の犯罪数を減らすことで、欧米などからの人権批判をかわす狙いだ。貴金属や物品の密輸、窃盗、遺跡盗掘などの犯罪から死刑が廃止され、現行法では死刑が68の犯罪に適用されているのが55となる。
 また、改正法では、食品安全に関する犯罪について罰金の上限を撤廃し、国家機関で食品安全を監督、管理する担当者も処罰対象とするなど罰則を強化した。有害物質を食品に混入させる事件などが増加する中、罰則強化で犯罪抑止を図る狙いだ。

◎中国で住民5万人と警官隊が衝突、1人死亡(2011年2月26日、読売新聞)
 26日付香港紙・明報などによると、中国江蘇省連雲港の農村で24日、村で起きた母子3人の死亡事件の捜査に不満を持つ住民約5万人と警官隊が衝突、住民1人が死亡、約20人が負傷した。
 住民は高速道路を封鎖、警察車両2台を壊した。騒動はすでに収まったという。
 今月14日、女性(27)とその娘2人が自宅で死亡。住民は、遺体に外傷があり、3人を殺したのは女性の夫だと主張したが、警察は心中事件と認定した。夫は村の党幹部の親類という。
 24日に警官隊が遺体を火葬するため引き取ろうとしたところ住民と衝突、住民1人が遺体運搬車両にひかれて死亡した。

◎新疆ウイグル地区厳戒、ジャスミン革命デモ呼びかけで(2011年2月26日、朝日新聞)
 中国の民主化などを求める「中国茉莉花(ジャスミン)革命」で、27日にデモの呼びかけがあったウルムチ市中心部では26日、厳戒態勢が敷かれていた。自治区人口の約45%を占めるウイグル族は主にイスラム教を信仰、中国当局は中東の反体制デモによる触発に警戒を強めている。
 デモは13都市で呼びかけがあった20日に続き、27日にはウルムチなどを加えた23都市での開催がインターネット上で呼びかけられている。集合地点に指定された市中心部にある映画館前の広場では、対テロを専門とする特殊警察部隊の隊員が6人一組になって巡回。週末でにぎわう買い物客らの中で、自動小銃と盾をもち、ものものしい雰囲気が漂う。
 30代のウイグル族女性はジャスミン革命の呼びかけのこと自体を知らなかった。「ネット規制は厳しくて敏感な情報は検索できない。これだけ厳しければ少人数でも集まることができない」と声を潜めた。
 新疆ウイグル自治区の人口は2050万人。国境を接するイスラム系の中央アジアや中東諸国とも経済的な結びつきが強い地域だ。1990年代以降、ウイグル族の独立を主張する東トルキスタン・イスラム運動が自治区内で活発化。デモやテロもたびたび起きており、ウルムチでは09年7月に2千人近い死傷者が出る大規模騒乱が発生。「民族問題の火薬庫」と言われる。
 中国政府関係者は、23都市のうちウルムチを最も重視していると明かす。「民族問題に民主化運動が結びついたら取り返しがつかなくなる」と見るためだ。
 20日のデモは各地で不発に終わったが、当局は民主化活動家らの取り締まりを強化。拡大を防ごうと躍起になっているもようだ。
 香港の中国人権民主化運動情報センターによると、20日のデモの集会場所などの情報をネット上で転送したとして、四川省の作家、冉雲飛(ラン・ユンフェイ)氏(45)が24日、10年以上の懲役刑の可能性がある国家政権転覆容疑で拘束された。冉氏は、昨年ノーベル平和賞を受賞した民主化活動家の劉暁波(リウ・シアオポー)氏が共産党による一党独裁の見直しや言論・宗教の自由を求めて起草した「08憲章」にも署名していた。

◎「青淼」の商標認めず、青森県の異議に中国が裁定(2011年2月25日、産経新聞)
 青森県は25日、中国で青森によく似た「青淼」という文字とリンゴの図柄を組み合わせた商標登録が申請されていた問題で、同県の異議申し立てを受け、中国商標局が商標登録を認めない裁定をしたことが判明したと発表した。
 県によると、裁定は昨年12月22日付。中国商標法では、申請者は裁定から15日以内であれば不服申し立てができるが、申し立てはなく、裁定は確定したという。
 中国商標局は裁定の理由として、青森が著名なリンゴの産地であり、「青淼」の商標が青森に類似し、消費者が産地を誤解する恐れがあることを上げている。
 商標は新疆ウイグル自治区の個人が2005年7月に出願。県は「県産リンゴなどが中国に輸出できなくなる恐れがある」として、08年4月に異議を申し立てた。

◎「中国ジャスミン革命」集会呼び掛けネット転載でまた拘束、四川省の作家、懲役10年も(2011年2月25日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは25日、中国で政治改革を求める「中国ジャスミン革命」集会の呼び掛けをインターネット上で転載したとして、中国当局が24日、四川省の作家冉(ぜん)雲飛氏(46)を国家政権転覆容疑で拘束したと伝えた。懲役10年以上の判決を受ける可能性があるという。
 呼び掛けをめぐっては黒竜江省で20日、体制批判演説をした女性が同容疑で拘束されたほか、ネット転載で四川省と江蘇省の男性計2人も国家政権転覆扇動容疑で拘束されたと伝えられており、いずれも重い懲役刑の可能性がある。同センターは「当局による見せしめだ」としている。
 冉氏はノーベル平和賞を昨年受賞した民主活動家の劉暁波氏が起草した、中国共産党の一党独裁体制廃止などを呼び掛ける文書「〇八憲章」に署名した一人という。

◎NEC、中国メーカーと液晶合弁、パソコンに続き子会社株売却(2011年2月25日、産経新聞)
 NECが、中小型液晶パネル事業を中国大手メーカーの天馬微電子グループとの合弁に切り替えることが25日、分かった。NECの100%子会社であるNEC液晶テクノロジー(川崎市)の株式の70%を天馬微電子に売却する。液晶パネル事業は、世界的な競争激化で採算が悪化しており、NECは天馬微電子と組むことで投資負担を軽減する。
 NECは、パソコン事業で中国最大手のレノボ・グループ(聯想集団)と合弁会社を立ち上げることを決めており、中国メーカーの力を借りた事業再編を加速する。
 NECは7月までに株式を譲渡し、社名変更などを行う見通し。株式の譲渡額は明らかにしていない。株式譲渡後は、天馬微電子側が主体となって設備投資などを行い、製品開発などについては両社で協力して進める。NEC液晶テクノロジーの国内生産拠点である秋田工場(秋田市)での生産は継続する見通しで、社員の雇用も維持される。
 天馬微電子は、中国最大手の中小型液晶パネルメーカーで、本社は深セン市にある。NECと提携することで、製品ラインアップを充実化させ、シェア拡大を目指すとみられる。
 液晶パネルは、中国のほか、台湾や韓国メーカーが相次いで生産能力を増強しており、供給過剰で価格が下落し、採算が悪化している。

◎中国、劉鉄道相を更迭、収賄3700万円と報道(2011年2月25日、産経新聞)
 中国の全国人民代表大会(国会)常務委員会は25日、重大な規律違反の疑いを持たれている劉志軍鉄道相を解任し、後任に税関総署の盛光祖署長を充てる人事を正式に決定した。中国メディアは高速鉄道建設に絡み約300万元(約3700万円)の賄賂を受け取った容疑があると報じている。
 劉氏は既に鉄道省の共産党組織書記を解任されており、当局による捜査が本格化する。
 中国経営報などによると、劉氏は武漢-広州や北京-天津の高速鉄道建設をめぐり、設備の入札や購入で、特定の業者に便宜を図る見返りに賄賂を受け取った疑いが持たれている。
 劉氏は一部の国家指導者と親密な関係があったといわれ、捜査の進展が世代交代となる来年の党大会の指導部人事に影響を与える可能性も指摘されている。

◎レアメタル規制で中国「実質敗訴」、米WSJ上報道(2011年2月24日、産経新聞)
 中国がボーキサイトやマンガンなどレアメタル(希少金属)の輸出を規制しているのは世界貿易機関(WTO)協定違反として、米欧などが中国を訴えていた通商紛争で、WTOが中国の実質敗訴の判断を示す中間報告をまとめたと米紙ウォールストリート・ジャーナルが23日までに報じた。
 報道によると中間報告は「規制は法的根拠に欠ける」と、協定違反を認定した。

◎中国のデモ情報サイト、ハッカーから攻撃、当局疑う声も(2011年2月21日、朝日新聞)
 中国の一党独裁終結などを求める「中国ジャスミン革命」のデモ呼びかけについて詳報した米国在住の中国反体制派ニュースサイト「博訊」が20日、何者かのハッカー攻撃を受けて閉鎖に追い込まれた。
 サイト運営者側は「今回の攻撃はジャスミン革命と関係があると信じている」と公表。インターネット上では、中国当局の関与を疑う見方も出ている。
 博訊は19日、同サイトと「革命」の呼びかけ人は無関係としながら、関係者から寄せられた詳細を報じた。現体制に不満を抱く者であろうが共産党員であろうが、「我々中国人は自分たちの未来に責任を持つべきだ」と発信。「公平を求め、司法の独立を守り、政治改革を進め、一党独裁を終結させよう。自由と民主万歳」との呼びかけを伝えた。北京や上海など全国13都市の集合場所も明記した。
 博訊によると、詳細を報じた後の北京時間19日午前9時ごろから同サイトは激しいハッカー攻撃を受け、アクセスが不能に。「これまでで最も激しい攻撃だった」と発表した。
 その後、博訊は臨時のブログを開設し、20日の各集合場所での様子を、写真や動画付きで報じている。
 中国国内では、特殊なソフトなどを使わない限り、博訊の臨時ブログやジャスミン革命を報じた香港の主要メディアのサイトは開けない。20日夜現在、グーグルや、海外の主要ニュースサイトなども接続が難しくなっている。

◎中国のネットが集会呼びかけ、当局、即削除(2011年2月20日、読売新聞)
 中国のインターネット上で、チュニジアの政権崩壊に倣い、政治改革や民生改善を求める集会を開こうとの呼びかけが出ている。
 当局は書き込みを即座に削除し、検索できないようにするなど、警戒を強めている。
 集会が呼びかけられているのは北京、上海、天津などの13都市。20日午後2時から指定の場所に集合し、「政治改革を実施せよ」「一党独裁を終わらせろ」などをスローガンに行動するよう呼びかけており、20日に集会が成功しない場合は、毎週日曜日に引き続き試みるよう求めている。
 AP通信によると、ネット上で集会の呼びかけをした複数の活動家が19日、当局に拘束されたという。

◎美人局の誘惑に負けた台湾軍高官、中国に機密漏洩(2011年2月20日、産経新聞)
 米台の軍事協力関係を揺るがす事態が発覚した台湾国防部の将官による中国側への軍事機密漏えい事件。陸軍司令部で電子情報通信部門を統括する現役の軍高官が中国側にまんまと抱き込まれ、長年、中国のためのスパイ活動を続けてきた背景には、中国側が差し向けたとみられる30代の美女との交際があったことがわかった。また事件の端緒は、疑惑をキャッチした米国連邦捜査局(FBI)が撮影した旅行中の2人の写真だったことも明らかになり、スパイ映画さながらのストーリーに、台湾各紙の報道は過熱。社会的関心は一層たかまりつつある。

・過去50年で最高位
 台湾の検察当局に逮捕されたのは、台湾陸軍司令部の情報システム担当トップである電子情報通信処の処長、羅賢哲陸軍少将(51)。
 台湾国防部が8日夜、羅少将を「中国に軍事機密情報を長期間にわたり漏洩した重大な疑いで1月25日、逮捕した」と発表したことで事件は明るみにでた。
 羅少将は2002年から05年にかけて、タイで駐在武官として勤務し、この間に、中国の情報機関の接触を受けてスパイとなっていた。
 国防部は、中国側に買収された台湾の軍人としては「過去50年間で最高位」とし、受け取った報酬の総額も数十万ドル(数千万円)に達するとみている。
 また、その被害規模の全容は、現段階では明らかになっていないものの「過去最大」(台湾各紙)とみられている。
 台湾の有力紙、中国時報によると、羅少将が漏洩したのは、1999年に、当時のクリントン米政権が台湾への売却を決めたハイテク通信システムに関する機密情報。
 陸海空3軍合同作戦の際にレーダーや戦闘機、ミサイルなどの間の通信を行うシステムで、米軍との連携も可能になるという。
 この指揮通信システム「博勝案」の構築には「10年の歳月と約500億台湾元(約1400億円)の巨費を投じた」とされている。
 国防部では、羅少将が中国側に台湾の軍事情報を漏らしていたのは04年以降で、昨年10月に発覚するまでの6~9年間、単独で中国のためのスパイ活動を行ったとみている。

・背後に“美人スパイ”
 検察当局は、羅少将がスパイ行為をした動機や詳しい経緯など、事件の全容解明を進めているが、長年、少将と不倫関係にあった1人の女性の存在がクローズアップされている。
 台湾各紙によると、羅少将は台東出身で母は本省人、父親は外省人の元軍人で、兄も軍人。タバコは吸わず、酒はたしなむ程度。もちろん既婚者で、夫婦仲は良く、駐在武官としてタイに赴任した際も妻子を帯同していたが、そこで中国から送り込まれたとみられる女性との交際が始まった。
 女性についての詳細は不明な点が多いが、中国時報などによると、洗練された雰囲気を漂わせる当時30歳くらいの美貌の持ち主で、モデルのように背も高く、豪州のパスポートを所持し、貿易業者を装っていた。
 羅少将はこの女性を通じて、駐バンコク中国大使館一等書記官に偽装した人民解放軍総政治部連絡部所属の林義舜少将と知り合い、水面下で林少将と接触を繰り返し、金銭と引き換えに情報を流していた。
 羅少将はタイ駐在の任務を終えた05年以降も、この女性と一緒に米国に旅行するなど、交際を続け、台湾の軍の機密情報を漏らし続けた。通信機器などは利用せず、出国した際に直接、情報を手渡していた。
 羅少将の疑わしい行動を察知した米国のFBIは、少将が密会を続けるこの女性を中国側のスパイと判断して、旅行先の米国で羅少将と女性が会う場面を撮影し、台湾当局に伝え、台湾当局はこの情報をもとに捜査に着手したという。
 古典的な“ハニートラップ”(美人局)に国家の中枢にある現役の軍高官が絡め取られたかっこうで、事実確認を求めた報道陣に対し、台湾国防部の王明我・総政治作戦局長代行は10日、「セックスの誘惑と金銭的誘惑の問題は、私たちが重点捜査する対象」とコメントしている。

・米台で広がる動揺
 台湾ではここ数年、中国へのスパイ容疑で逮捕される軍人が相次いでおり、昨年11月にも、情報担当将校が中国に買収され「二重スパイ」となった事件が発覚したばかり。
 台湾では「これでは、中国と開戦した場合、ひとたまりもない」と、馬英九総統が展開してきた親中国的な両岸政策に対する非難材料とする動きも見られている。
 また今回漏洩した機密については、米軍との関係が密接で、一時は台湾経由で米軍の機密情報も中国に流れた可能性が懸念されただけに、米メディアも強い関心を寄せている。
 11日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は、「馬英九総統の就任以来、中台関係は改善の傾向にあったが、今回のスパイ事件によって、実際には薄氷を踏む危険な状況にある」と評した。
 いずれにせよ、米国が台湾へのハイテク兵器売却に慎重な一因として、かねてこうした事態への懸念が指摘されていただけに、いたずらにセンセーショナリズムに走る台湾メディアの報道に「国の根幹に関わる問題。軽々に過ぎる」と疑問を持つ市民も。
 台湾の識者の一人は米メディアの取材に対し「スパイ事件は羅少将の問題にとどまるものではなく、全体的な解決ができなければ米国からの兵器購入が難しくなる」との見解を示している。

◎中国、衛生材料需要拡大でSAP需給ひっ迫続く(2011年2月18日、化学工業日報)
 中国で高い経済成長や生活習慣の変化にともない、衛生材料需要が拡大基調にあるなか、高吸水性樹脂(SAP)が需給ひっ迫を継いでいる。アクリル酸の供給不足と20%程度といわれる需要の伸びから、中国のSAP市場は昨夏には「売るものがない」(日系商社)状態にまでタイト化が進んだ。中国国内での能力増強計画は、早い案件で今夏稼働開始予定。このため当面は需要家にとって玉確保に厳しい状況が続く。一方、需要の急速な伸びをにらんで、中国のアクリル酸メーカーがSAPに参入しつつある。先行して立ち上げたメーカーでは、すでに第2期を着工しているもよう。「生産技術や製品品質の格差から当面、直接競合はしない」(業界関係者)ものの今後、供給が本格化すれば市況には影響を及ぼしそうだ。

◎上海在留日本人、初の5万人超え、10年で6倍(2011年2月18日、朝日新聞)
 上海に住む日本人の数が、戦後の中国で初めて5万人を突破したことが17日わかった。上海総領事館によると、日系企業の相次ぐ進出で10年前の6倍に急増した。北京の場合、金融危機後に日系企業が家族の帰国をすすめるなど微減傾向だが、「上海はそれ以上に伸びの力が強かった」(泉裕泰・上海総領事)としている。
 統計は昨年10月1日時点での、永住者と3カ月以上の長期滞在者の数。現地で勤務する人や家族、留学生などが多くを占める。それによると、上海は前年より4.5%多い5万430人。上海で改革開放が加速し始めた1994年は約2400人だったが、現在は上海に日系企業が約7600社進出し、日本人は20倍に。和食レストランや病院も整備されるなど生活環境が整ったことも後押ししたとみられる。
 中国で2番目に多い北京は前年より約3%少ない約1万100人。3位広州(約6500人)、4位大連(約6100人)の順だった。香港は約2万1200人で、4年前より22%も減った。
 上海は永住者を除いた長期滞在の日本人の数が、2007年に米ニューヨークを抜いて世界一になった。「出張者や旅行者を含めると常に10万人の日本人が滞在する世界でも屈指の日本人社会になった」(同領事館)という。

◎北京市民の「幸福指数」過去最低、大学の調査で判明、格差拡大が背景(2011年2月17日、産経新聞)
 中国の首都経済貿易大学は4日、「2010年度北京社会経済生活指数」に関するリポートを発表した。その中で、「幸福指数」が生活指数の一つとして取り上げられているが、リポートによると、北京市民の「幸福指数」は前年よりも大幅に低下し、過去最低の数値となったという。経済的格差の拡大がその最大の原因であるとされている。
 おそらく北京のみならず、近年、中国経済が「繁栄」している中で、「自分たちは不幸せだ」と感じる中国国民の数はむしろ増えているであろう。
 その主な理由は間違いなく、年々拡大している貧富の格差であると思う。
 たとえば今年の旧正月中に、金欠が理由でお正月の帰省を渋る「恐帰族」が急増するという社会現象が起きている一方、蘇州市内の某ホテルが「1卓36万元(480万円相当)の超高級年越し料理を売り出した」というニュースが話題を呼んでいる。
 国民の平均所得が日本の10分の1程度の中国で、日本人の年収にも匹敵する「480万円」の年越し料理が実際に販売されていることは、中国における富の集中度がどれほどのものかを十分に示しているとは思うが、一部の大金持ちたちのぜいたくぶりを遠くから眺めている「恐帰族」たちの「不幸感」は並々ならぬものであるとも想像できよう。それがすなわち、今の中国社会の現状である。
 中国社会の経済的格差の激しさを示すいつくかの吃驚仰天の研究報告や統計数字がある。
 たとえば2010年6月、北京大学経済学院の夏業良教授は『財経国家週刊』という経済専門誌に寄稿して、「中国の1%の富裕世帯に全国の富の40.4%が集中しており、中国共産党や政府、国有企業などで働く特権層への富の偏在が顕著になっている」との研究結果を発表して全国民に衝撃を与えた。同じ10年5月、新華社は一部の専門家の分析を引用して、「わが国における貧富の格差の拡大はすでに社会が容認できるギリギリの限界に迫ってきている」と伝えている。この年の年末には、「中国のニューズウィーク」とよばれる『中国新聞週刊』も長文を掲載して、「中国では富が少数の人々に集中しすぎて、貧富の格差の拡大はもはや限界である」との指摘を行っている。
 言ってみれば、「社会主義国家」を自称する今の中国こそが、世界有数の格差社会となっている様相である。このような状況に対して、「貧富」の「貧」の方に属する大半の国民の不満と憤懣が日々増大していることは言うまでもない。最近、中国の上海交通大学が発表した「2010年中国危機管理年度報告」によって、中国では2010年、5日に1度の頻度で大きな騒乱事件や暴動が発生したことが明らかになったが、こうした社会的不安の高まりの背後にはあるのは、やはり貧富の格差の拡大であろう。
 中国では、「寡(すくな)きを患(うれ)えずして均(ひと)しからざるを患う」という孔子の名言がある。要するに社会と国にとってもっとも心配すべきなのは貧困そのものではなく、むしろ配分の偏りがもたらす貧富の格差だ、という意味合いである。格差が開きすぎると、社会的混乱が起きて国が治められなくなるからだ。
 今の中国の格差の深刻さはすでに孔子の憂慮するレベルをはるかに超えているから、社会の安定はいつまでも保てるはずはない。いずれか、中国国民の「幸福指数」が地に落ちていて、逆に「不満指数」や「憤懣指数」が天井に登ったときには、かのエジプトのごとく「世直し」の嵐がこの巨大国で吹き荒れるのであろう。

◎中国に商標異議申し立てへ、「今治タオル」工業組合(2011年2月17日、産経新聞)
 日本有数のタオルの生産地、愛媛県今治市の「今治タオル」に類似した名称やロゴが中国で商標登録申請された問題で、同市と四国タオル工業組合は17日、中国商標局に対し、25日に異議申し立てをすると発表した。
 中国での商標をめぐっては「青森」「鹿児島」や「さぬきうどん」などが現地企業などから登録申請され、日本の自治体などが異議を申し立てる例が相次いでいる。
 市と組合によると、タオルなどで「今治」という名称を使う商標登録申請について申し立てをする方針。理由は「行政府の名前であり、地域ブランドである『今治タオル』の原産地として中国で広く知られた外国地名」としている。
 組合が2009年12月に中国商標局に申請したが、上海市の企業が先に類似商標を申請しており、拒否された。商標は10年11月以降順次公告されており、3カ月以内に異議申し立てをしなければ中国で名称に「今治」を含む商品を販売できなくなる可能性がある。
 ロゴも、5月までに異議申し立てをする方針。審査には3年程度かかり、その間は組合側と中国の企業側のどちらにも権利は発生しない。

◎中国の検索サイト、ペンクラブHPの作品も無断公開(2011年2月15日、朝日新聞)
 日本ペンクラブがネット上に掲載した会員らの作品が、中国のネット検索最大手「百度」(バイドゥ)の日本版サイトで無断公開されていることがわかり、ペンクラブは15日、削除を求めることにした。
 バイドゥが運営する「Baiduライブラリ」で、作家高橋千劔破(ちはや)さんのエッセーなど16作品が公開されていた。作品はいずれも、ペンクラブが著作権者に許諾を得て作品を無料公開するサイト「電子文芸館」に掲載していた。バイドゥは「要請が届き次第、削除したい」としている。Baiduライブラリを使うと、利用者が投稿した電子文書を別の利用者が自由に入手できる。

◎中国の消費者物価指数、4.9%上昇(2011年2月15日、読売新聞)
 中国国家統計局は15日、1月の消費者物価指数(CPI)が前年同月に比べて4.9%上昇したと発表した。
 前年同月を上回るのは、7か月連続になる。北部の干ばつや南部の寒害が農産物の生産に影響を与え、食料品が10.3%上昇したのが主な要因だ。
 中国国内では、食品価格の上昇で5%台の上昇が予想されていた。しかし、1月から統計局が5年に一度の算出方法の見直しを実施し、3分の1を占める食品の構成比率を下げたことが影響したとみられる。

◎中国鉄道相、党要職を解任、汚職の可能性(2011年2月14日、読売新聞)
 新華社通信によると、中国共産党は12日までに、劉志軍・鉄道相(58)に「重大な規律違反があった」として、劉氏の鉄道省党組書記の職務を解いた。
 劉氏は、党中央規律検査委員会の取り調べを受けており、鉄道相の職務も解かれる見通し。同党組書記の後任には、元鉄道次官の盛光祖・税関総署署長が就任した。
 規律違反の詳細は不明。中国で急ピッチで進む高速鉄道の敷設などを巡り、汚職に関わった可能性がある。

◎中国軍幹部の令嬢ら、日本で謎のクラブ勤め、スパイ説も(2011年2月14日、産経新聞)
 中国人民解放軍の幹部らの複数令嬢が、東京の銀座や新宿のクラブに勤めていることが、在日中国人社会でひそかな話題となっているという。金銭的には余裕があるはずだけに、その目的や真意について、「日本の政財官界に特別なコネクションを構築している」から「スパイ説」まで、さまざまな憶測が飛び交っている。
 「数年前から目立ち始めました。軍幹部の娘がホステスというのは普通ではない。女優のような美人もいるとか。私の周囲も『お金持ちが、どうして…』と首をひねっています」
 こう語るのは、日本国内で「月刊中国」を発行する鳴霞編集長。
 関係者によると、銀座のクラブに勤めているのは20代の中国美女。店では素性を隠しているが、父親は中国人民解放軍の地方軍区司令官か副司令官だとされる。同店には、日本の政財官界のトップクラスも訪れるという。
 中国で軍幹部といえば、特権階級。司令官とすれば少将以上で、ある資料では、月俸約2万元(約25万円)。これに衣食住に関する多くの手当てが加算されるため、「相当裕福です。家族も何不自由ない暮らしができる」(鳴霞氏)。ちなみに、中国・上海での平均月収が約4万6000円というから、その厚遇ぶりがよく分かる。
 そんな令嬢たちが、なぜ、日本でクラブ勤めをしているのか?
 元公安調査庁第2部長の菅沼光弘氏は「中国の独特な諜報(スパイ)活動の実態を知る必要がある」といい、こう続ける。
 「007のような優秀なスパイを個々に育てる米国や英国、ロシアなどと違い、中国では普通の人々が、世界中のいろんな所に潜り込んで雑多な情報を集め、それを本国で分析するスタイルをとっている。中国人が留学や就職で出国する場合、国家安全部から『すべての情報を上げろ』『国家に協力しろ』と強い指令を受けることがある。今回の令嬢たちが、同様の指令を受けていても不思議ではない」
 つまり、美人ホステスが、ある日突然、スパイとなる可能性があるのだ。
 そのため、在京の公安関係者は、財界やマスコミ界幹部の知遇を得て、事業展開している中国人ホステス数人について、「監視対象にしている」と明かす。
 こうなると、「美しい薔薇には要注意」という気持ちになるが、前出の菅沼氏は「世界最先端の技術を研究する大学や企業に入り込んだ中国人の方が怖い。最先端技術が奪われれば、日本経済が致命的ダメージを負う可能性がある」という。
 米国では、2009年だけで、米司法当局が捜査に着手した中国絡みのスパイ容疑事件は、なんと400件を超えたという。
 スパイ防止法などの法整備の遅れから、日本は世界中から「スパイ天国」と揶揄されている。中国にGDP(国内総生産)で抜かれた今こそ、自らの足元を見直すべきだろう。

◎中国は事実上の報道規制か、エジプト情勢(2011年2月13日、読売新聞)
 中国外務省の馬朝旭報道局長は12日、エジプトのムバラク大統領辞任について、「エジプトの国家の安定と正常な秩序の早期回復に役立つことを希望する。エジプトは中国の友好国であり、両国関係が引き続き健全で安定的に発展するものと信じている」との談話を発表した。
 一方、国営新華社通信は12日未明、ムバラク氏辞任を速報した。
 国内メディアは新華社の配信記事を使って報道しており、当局は、エジプト情勢に刺激を受けて共産党の独裁体制に対する批判が高まることも懸念し、事実上の報道規制を行っている模様だ。

◎レアアース鉱区、中国が初の国家管理(2011年2月12日、読売新聞)
 中国国土資源省は、南部の江西省にある国内最大級のレアアース(希土類)鉱山を含む地域を、国が管理する鉱区に初めて指定した。
 中国が進めるレアアースの生産・管理強化の一環とみられる。
 指定された鉱区は、約2500平方キロ・メートルの広さで、レアアースの埋蔵量は約76万トンと想定される。今後、政府がこの鉱区の埋蔵量の詳細な調査を行い、採掘を計画的に管理していく。
 中国は世界のレアアース生産の9割超を占めているが、政府は乱開発による資源枯渇や環境破壊への危機感が強い。レアアースの輸出量も減少させる方針で、2011年上半期の輸出枠は前年同期より35%少ない約1.4万トンにした。

◎中国、鉄道相更迭へ、規律違反で調査(2011年2月12日、産経新聞)
 中国国営新華社通信によると、中国共産党中央組織部は12日、劉志軍鉄道相(58)が兼務している鉄道省の党組織書記のポストから解任することを決めたと明らかにした。重大な規律違反の疑いで党規律検査委員会が劉氏を調べており、後任書記には税関総署の盛光祖署長(61)が任命された。鉄道相ポストからも更迭され、盛氏に交代するとみられる。
 劉氏は2003年に鉄道相に就任。以前は江沢民前国家主席派といわれた。具体的な容疑は不明だが、高速鉄道関連の業務をめぐり、汚職行為があったとの指摘も出ていた。盛氏も鉄道省出身で、1999~2000年に鉄道次官を務めた。

◎中国からハッカー攻撃、欧米エネルギー5社に侵入(2011年2月11日、産経新聞)
 中国を拠点にしたハッカーが、欧米のエネルギー大手5社のコンピューターシステムに侵入し、内部資料を盗み出した恐れがあることが明らかになった。米メディアが10日、米インターネット安全対策ソフト大手マカフィーの報告として伝えた。米連邦捜査局(FBI)が捜査している。
 攻撃は中国の日中時間帯に行われ、組織的にエネルギー関連企業に狙いを絞っているという。少なくとも2009年の終わりから続いており、07年から行われていた可能性もある。マカフィーは社名は明らかにしていない。
 ウェブサイトや電子メールを経由して、油田やガス田の運営、入札や資金調達といった情報を盗んだとみられる。マカフィーはこの攻撃を「ナイトドラゴン(夜の竜)」と名付けた。

◎物乞いの子、見覚えない? 投稿写真で誘拐発覚、中国(2011年2月10日、朝日新聞)
 中国の学者がインターネット上で、物乞いの子どもたちの写真の投稿を呼びかけたところ、約2週間で2千を超える写真が集まり、話題になっている。中国では子どもの誘拐や人身売買が深刻な社会問題となっており、投稿写真を通じて行方不明の子どもが見つかるケースも出てきている。
 呼びかけ人は中国社会科学院農村発展研究所の于建●(●は山へんに榮)教授。1月下旬、誘拐された6歳の息子を捜す母親から手紙をもらったことから、簡易ブログで「写真を撮って、物乞いの子どもを救おう」と呼びかけた。
 反響は大きく、ブログ訪問者は10万人を超え、路上で物乞いをする子どもの写真が撮影場所などの記述とともにずらりと並ぶ。中国メディアによると、少なくとも5人の誘拐された子どもがブログを通じて親族に見つけられたという。于氏は集まった写真をデータベース化し、さらなる救出に役立てたいと話しているという。

◎中国官製「土地転がし」でバブル拍車、日本不動産各社も熱視線(2011年2月7日、産経新聞)
 中国国内で、地方政府がわずかな立ち退き料で庶民から手に入れた土地を高値で売りさばき、税収不足を補うという土地政策が不動産バブルをあおっているとの批判が高まっている。中央政府は不動産価格の抑制に躍起なものの、財政を土地の売却代金(譲渡金)に大きく頼る地方政府の土地依存脱却は容易ではなく、不動産バブルは収まりそうにない。

・収入の40%超に
 北京発の共同通信によると、中央政府の不動産高騰対策に対し、地方政府は及び腰という。事実「税収では何とかやっていける程度。発展のためには土地譲渡金が必要だ」と、浙江省の財政当局者は中国メディアに漏らしている。
 中国では地方政府が土地の使用権を開発業者に売却し、譲渡金を受け取る。地方の開発ブームに乗って土地譲渡金は右肩上がりに増加。2010年は全国で、04年に比べて4.5倍の2兆7000億元(約33兆6500億円)に膨張、地方財政収入の40%を超えたとされる。
 湖北省武漢市や福建省アモイ市など多くの都市で土地譲渡金が税収など一般予算収入を上回り、財政の“土地依存”は加速。地価が下がると土地譲渡金が減るため、地方政府は不動産規制に消極的だ。中国紙、新京報は「現制度下で地方政府が土地を売却する衝動を抑えるのは難しい」と指摘する。

・攻勢強める日本企業
 一方で、住宅やオフィスビル、商業施設の需要が旺盛な中国の不動産市場に、日本の大手不動産各社は熱い視線を送る。不動産業といえば、内需型産業の典型だった。しかし、日本国内は人口減を背景に住宅市場が縮小し、08年秋の「リーマンショック」以降は不動産市況も冷え込み、経済成長を背景に急拡大する中国市場を取り込もうと、一気に外向きの姿勢を強めている。
 三井不動産は中国・寧波(浙江省)で伊藤忠商事など、高級ブランド品などを割安で販売する大型アウトレット施設を建設中だ。海外で商業施設を展開するのは初めてで、今春開業の見通し。子会社の三井不動産レジデンシャルは、天津でシンガポール企業などと連携し、マンションなど約2650戸の住宅分譲に参加。東急不動産も昨年末、上海の日本人向け高級賃貸マンション運営に参入した。
 中国の中央政府がバブル抑制に躍起なのにかかわらず、日本企業は「潜在需要を見込める大きな市場なのは間違いない」(三井不動産)と、日本国内の縮む市場を背景に、中国事業を加速させる一方だ。

◎中国発「春節特需」本格化、高額商品が人気(2011年2月6日、読売新聞)
 中国の旧正月にあたる春節の大型連休で訪日する中国人観光客を対象にした「春節商戦」が本格化している。
 小売りや旅行業界は、高い購買力を持つ中国人観光客をターゲットに売り上げを増やそうと躍起だ。
 連日1000人近い中国人でにぎわっている東京・秋葉原の家電量販店「ラオックス本店」は、来店客を中国の伝統的な楽器の二胡(にこ)の演奏で出迎える。高性能のデジタル一眼レフカメラや高級炊飯器など高額商品が人気で、今シーズンの売上高は昨年より1~2割増えそうだ。
 東京・台場の商業施設「ヴィーナスフォート」は、中国語を操る案内員を増員したが、「休憩も取れないほど忙しい」(広報担当者)。三越銀座店(東京・中央区)では3日時点で、中国人による免税申請件数が昨シーズンに並ぶ約40件と出足は好調だ。JTBグループは東京・浅草に「浅草コンシェルジュデスク」を開設し、中国語で買い物情報などを提供している。

◎中国、エジプト情勢にピリピリ、「ムバラク」検索不能に(2011年2月6日、朝日新聞)
 中国当局はエジプトでの反政権デモの動きに対して神経をとがらせた対応を見せている。国内の民主化を求める動きへの影響を懸念しているとみられ、インターネット上の一部で関連情報が制限されている。ただ、獄中の民主活動家、劉暁波(リウ・シアオポー)氏のノーベル平和賞受賞のときのような厳しい言論規制は敷かれていない。
 中国の大手ポータルサイト「新浪」などの中国版ツイッターでは「エジプト」「ムバラク(大統領)」などを中国語で検索すると「関連法規に従い検索結果は表示できない」との文字が出る。「胡錦濤(フー・チンタオ=国家主席)」「天安門事件」などと同様に政治的に敏感な語句として検索不能の措置がとられたとみられる。
 中国各紙も国営新華社通信の配信記事を使う形でのみエジプト情勢を低調に伝えている。反政権デモの写真なども掲載されているが、ムバラク大統領の即時辞任を求めるデモの動きがネットを通じて広まったことなどは、ほとんど触れられていない。
 このため、香港の中国人権民主化運動情報センターや香港紙は、エジプト情勢が中国の民主化を求める動きを刺激することに中国当局が懸念しているとの見方を示す。同センターによると、中国当局は3日の春節(旧正月)を前に、北京などの民主活動家が他の活動家宅への年始のあいさつに行かないようにも警告したという。
 ただ、ネット上で検索サイトでの関連情報の検索自体は可能。カイロのタハリール広場での反政権デモの参加者と大統領支持派との衝突なども写真付きで伝えられており、書き込みの削除も一部にとどまる。NHKやCNNといった海外メディアの関連ニュースの放映が遮断されるような事態も生じていない。
 中国政府はエジプト情勢に対して「エジプトが早急に社会の安定と正常な秩序を取り戻すことを望む」(洪磊・外務省副報道局長)と述べるにとどめている。

◎「毛沢東の狂気」が蘇る時(2011年2月3日、産経新聞)
 最近、中国の国内メディアで、「毛沢東」にまつわるいくつかの興味深い記事が見つかった。
 1つは、人民日報社の自社サイトである「人民網」が1月17日に掲載した記事で、1957年11月に毛沢東がソ連で開かれた社会主義陣営の各国首脳会議に参加したときのエピソードを紹介したものである。記事によると、毛沢東はこの会議で、当時のソ連共産党フルシチョフ第一書記の提唱する「西側との平和的共存論」に猛烈に反発して次のような過激な「核戦争論」をぶち上げたという。
 「われわれは西側諸国と話し合いすることは何もない。武力をもって彼らを打ち破ればよいのだ。核戦争になっても別に構わない。世界に27億人がいる。半分が死んでも後の半分が残る。中国の人口は6億だが半分が消えてもなお3億がいる。われわれは一体何を恐れるのだろうか」と。
 毛沢東のこの「核戦争演説」が終わったとき、在席の各国首脳はいっせいに凍りついて言葉も出なかったという。さすがの共産党指導者たちも、「世界人口の半分が死んでも構わない」という毛沢東の暴論に「圧倒」されて閉口したようである。
 毛沢東という狂気の政治指導者の暴虐さをよく知っている中国の知識人なら、この発言を聞いても別に驚かないのだが、筆者の私が興味深く思ったのはむしろ、人の命を何とも思わない共産党指導者の異常さを露呈し、党のイメージダウンにつながるであろうこの「問題発言」が、他ならぬ共産党機関紙の人民日報社の自社サイトで暴かれたことである。
 ここでも、前回本欄が取り上げた中国メディアの姿勢の変化が見え、中国における「進歩の兆し」として捉えることもできようが、その一方で、まったく正反対の方向性を思わせるような新聞記事もある。
 1月19日、内陸部の大都会である重慶市の地元新聞『重慶日報』は、同じく「毛沢東」に関連する記事を掲載した。最近、重慶市共産党委員会の動員により、市の幹部たちは1930年代に毛沢東が共産党ゲリラ軍を率いて戦った井岡山(せいこうざん)という山岳地帯へ赴き、そこでゲリラ部隊が着用した「紅軍服」に着替え、「毛主席の紅軍兵士」になりきった心構えで、「毛沢東思想の神髄」を学び「共産主義精神の原点に立ち戻った」ということだ。
 1月17日、同じ重慶市地元紙の『華西都市報』は重慶市共産党委員会のもうひとつの「業績」を伝えた。同委員会はこの数年、市の幹部や普通の会社員や学校生徒を含めた「延べ8000万人」の市民を動員し10万回以上の「赤い歌を歌う合唱会」を開き、毛沢東時代の「赤い歌」を集団で歌う活動を行ったという。
 どうやら重慶市の共産党委員会は、幹部から子供まで全市民を巻き込んで「毛沢東に戻ろう」とする政治運動を展開している様子だが、その立役者は、「毛沢東好きの野心家」として全国的に知られている、重慶市共産党委員会書記の薄煕来氏である。
 彼が旗手となって展開している「毛沢東に戻ろう」とする政治運動の背景にはトウ小平以来の市場経済路線がもたらした貧富の格差の拡大などの社会的ゆがみに対する民衆の不満と反感があろう。それを利用して中国の政治・経済・外交路線をふたたび「毛沢東的なもの」に戻そうとする動きは実に憂慮すべきものだ。
 毛沢東時代と比べると軍事力が飛躍的に増大した今の中国が「世界人口の半分が死んでも構わない」という毛沢東流の狂気を取り戻そうとしたら、それこそ、日本を含めた周辺国にとっての「民族滅亡」の脅威となるのではないか。

◎中国・バイドゥに「海賊版削除を」、講談社が声明(2011年2月1日、朝日新聞)
 中国のネット検索最大手「百度」(バイドゥ)の日本版サイトで、自社の漫画や小説などが無断で無料入手できる状態にあるとして、講談社は1日、「断固として削除を求め、改善されない場合は法的措置も検討せざるを得ない」との声明を出した。
 バイドゥは、利用者が投稿した電子文書を、別の利用者が自由に入手できる「Baiduライブラリ」を昨年11月から運営。講談社が刊行する中村光さんの人気漫画「聖☆おにいさん」や、京極夏彦さんの小説などが無断で登録されていた。講談社広報室は「膨大な数の刊行物が無断登録されていて、度を超えている」と話す。他にも鳥山明さんの「ドラゴンボール」が登録されており、刊行する集英社が削除を要請している。
 バイドゥは「要請に従い削除している。利用者に著作権をより丁寧に説明し、自動的に著作権侵害を見つけるシステムを強化したい」と話す。

◎北朝鮮、労働者2千人派遣計画、中国で外貨稼ぎ(2011年1月24日、読売新聞)
 中国と北朝鮮が1月上旬、中国黒竜江省への北朝鮮労働者約2000人の派遣を協議していたことがわかった。
 遼寧省瀋陽に駐在する北朝鮮総領事が、7日に黒竜江省牡丹江市を訪れて市長と会談したもので、牡丹江市によると、中露国境の東寧県に女性労働者約2000人を派遣することを巡って「突っ込んだ協議」が行われた。北朝鮮から中国への労働者派遣はこれまで多くても数百人単位で、今回の派遣が実現すれば過去最大規模になりそうだ。
 東寧県は木材加工産地として知られる。韓国メディアは、労働者の派遣先は集成材工場になると伝えた。中国側では、高くても一般中国人労働者の3分の2程度という北朝鮮の安価な労働力に注目が高く、北朝鮮側も外貨を稼ぐ狙いで労働者派遣を進めている。

◎中国企業、タイに巨大製品市場、地元企業反発(2011年1月23日、読売新聞)
 【バンコク=深沢淳一】中国・雲南省の投資会社がバンコク郊外に15億ドル(約1250億円)を投じ、中国製の雑貨などを取り扱う東南アジア最大規模の巨大商業施設を建設する。
 7万以上の中国業者が入居し、中国から輸入した製品を東南アジア諸国連合(ASEAN)や欧米市場に再輸出する機能も担う計画だが、タイの中小・零細企業は安価な中国製品の流入に懸念を強めている。
 投資会社が18日に発表した計画によると、東京ディズニーランドの約4倍に相当する200万平方メートルの広大な用地をバンコク東部の国際空港近くに確保。小売・卸売市場を3期に分けて建設し、中国・浙江省義烏にある世界最大級の日用品卸売市場の「弟版」として、膨大な量の衣類、貴金属、玩具、雑貨、自動車部品、食料などを取り扱う。第1期(50万平方メートル)は2012年10月の開業を予定している。
 中国とASEANの間では自由貿易協定(FTA)が発効しており、中国企業は雑貨などを低関税でタイに輸出できる。中国は東南アジアの中心に位置するタイに中国製品の保管場所となる巨大拠点を直接構え、ASEAN全体への売り込みを加速させる狙いだ。
 バンコクは浙江省よりも欧米などの買い付け担当者が訪れやすく、欧州などへの再輸出も見込んでいる。
 これに対し、タイの製造業や小売業者は「東南アジア市場が中国製品に席巻されてしまう」(製造業団体の幹部)と反発を強めている。

◎「根も葉もない」中国、北への軍駐留報道を否定(2011年1月17日、読売新聞)
 中国外務省の洪磊・副報道局長は17日、北朝鮮北東部の中露国境に近い羅先(ラソン)市に中国軍が駐留し始めたとする韓国紙の報道について、「全く根も葉もない」と完全否定する談話を発表した。

◎金満中国、資産12億5千万円以上の大富豪5万5千人、英国人調査(2011年1月16日、産経新聞)
 中国で個人資産が1億元(約12億5千万円)を超える大富豪が5万5千人に上り、1千万元以上の富豪も加えると87万5千人に達することが、上海在住の英国人会計士フーゲワーフ氏の運営する民間シンクタンク胡潤研究所の調べで分かった。
 それによると、資産1千万元以上の富豪のうち13%が年間300万元(約3750万円)以上も旅行やゴルフ、車やブランド品の購入など消費に回しているという金満ぶり。年間100万~300万元消費すると回答した富豪も50%おり、合わせて63%が年間100万元以上も使っているという。
 1千万元以上の富豪の平均年齢は前年の調査より1歳若い39歳と、初めて40歳を下回った。日本などへの海外旅行で、百貨店や温泉地などで湯水のようにカネを使う若い中国人が目立ってきたことを裏付けるデータといえる。表向き資産の大半は不動産や株式への投資で得たとしているが、党や政府の幹部による収賄など“灰色収入”も多い。
 同研究所の昨年9月の調査で、中国の富豪トップは飲料メーカー娃哈哈(ワハハ)集団の宗慶後会長とその一族で、総資産800億元(約1兆円)だった。

◎中国軍、北朝鮮に駐留、韓国は有事介入懸念(2011年1月16日、読売新聞)
 韓国紙、朝鮮日報は15日、韓国大統領府関係者の話として、中露国境に近い北朝鮮北東部・羅先(ラソン)市に最近、中国軍が駐留し始めた、と報じた。
 中国軍の北朝鮮駐留は、1994年12月、板門店の軍事休戦委員会から中国軍が撤退して以来だという。
 同紙によると、駐留する中国軍部隊の規模は不明。この関係者は、「中国が投資した羅先の港湾施設などを警備するため、少数の中国軍を駐留させる問題について、中朝間で協議が行われたと聞いている」と説明。「政治・軍事的な理由というよりも、施設警備や中国人保護が目的とみられる」との見方を示した。
 一方、韓国外交通商省高官は、「北朝鮮の急変など有事に際し、中国が自国民保護などを理由に兵力を大量投入し、朝鮮半島問題に介入する可能性がある」との懸念を示した。

◎華やぐ北京、春節前に買い出し大にぎわい(2011年1月14日、読売新聞)
 2月3日の春節(旧正月)を前に、北京市内の市場では縁起物の鮮やかな赤や金の飾り付けなどの販売が始まり、買い出しに訪れる市民でにぎわっている。
 「福」の文字が入ったものや、干支(えと)のウサギにちなんだ飾り付けが売れ筋だ。ランタン(中国ちょうちん)が並ぶ中、旧正月準備で食料品などを買い込む人たちの姿も。「春運」と呼ばれる帰省ラッシュも来週から本格化する。

◎人民元で海外投資認める、中国人民銀行、企業活動後押し(2011年1月14日、朝日新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は13日、中国企業に対して、人民元を使った外国への直接投資を今月から試験的に認める、と発表した。中国企業は人民元をドルなどの外貨に両替しないで外国企業などに出資できるようになる。中国マネーによる海外企業の買収や合弁がさらに増えそうだ。
 中国政府は海外との取引で人民元を使うことを制限しているが、貿易の決済に加えて、資本の取引に対しても規制の緩和を段階的に進める方針。今回の措置で、人民元の「国際化」が一歩進むことになる。
 人民銀の公告によると、北京や上海、広州市など一部の都市の企業や銀行が対象で、人民元を使って海外で事業がしやすくなる。人民銀は「中国企業の海外進出を後押しする」と説明している。
 また、国内にだぶつく人民元が物価を押し上げる要因にもなっており、インフレ抑制のため人民元を海外に押し出す狙いもありそうだ。

◎中露国境の島に大規模な観光施設、ロシア側が520億円投入(2011年1月13日、産経新聞)
 ロシア極東ハバロフスク地方のシポルト知事は12日、2008年に長年の中国との領土問題が解決された中露国境の大ウスリー(中国名・黒瞎子)島のロシア領内に大規模な観光施設を建設する構想を発表した。
 構想では、大ウスリー島のロシア領内に15年までに、娯楽施設や公園、ホテルなどを建設予定で、将来的に中国から少なくとも年間150万人、ロシア国内からも年間約35万~58万人の観光客を呼び込む。構想実現のために、国家予算や民間資金を含めて約190億ルーブル(約520億円)を投じる予定。
 大ウスリー島の中国領内でも観光施設の建設計画があり、既に橋などの建設がロシアに先行して進んでいる。

◎毒入り食品約4百キロ出回る、中国広州(2011年1月13日、産経新聞)
 広東省広州市海珠区政府は11日、区内のスーパーで米などの食品に男が毒物を混入し、約400キロが販売されたと発表した。区政府は購入者に商品の返還を呼び掛けている。中国紙、広州日報(電子版)が12日伝えた。
 今月初め、男が区内のスーパーに電話し、現金を払わなければ毒を入れると脅迫。警察が店内の商品を調べたところ、米、シイタケなどから殺鼠剤が検出された。一部が毒物混入に気づかないまま販売されていた。
 警察は広東省茂名市出身の男(21)を拘束。同紙は健康被害があったかどうかについては触れていない。

◎中国、汚染粉ミルクで96人拘束(2011年1月13日、産経新聞)
 新華社電によると、中国国務院(政府)食品安全委員会は13日、有害物質メラミンが混入した汚染粉ミルクが再び市場に出回っていた問題で、昨年7月から12月末までに、販売や生産に関わったとして96人が拘束されたことを明らかにした。うち2人に無期懲役の判決が言い渡された。
 191人が監督責任を問われ、免職や降格などの処分を受けた。発見された汚染粉ミルクは約2130トンに上ったという。同委員会は、昨年7月に青海省などで汚染粉ミルクの製造が発覚して以降、取り締まりを強化していた。

◎中国で執行猶予付き死刑判決、麻薬密輸の邦人に(2011年1月12日、読売新聞)
 中国遼寧省大連の中級人民法院(地裁に相当)が昨年12月21日、麻薬密輸罪に問われた70歳代の日本人の男に死刑判決(執行猶予2年)を言い渡していたことがわかった。
 日中関係筋が12日、明らかにした。中国では死刑に執行猶予が付くことがあり、服役態度が良ければ、無期懲役などに減刑されることもある。
 男は2009年6月、大連空港での手荷物検査で覚醒剤約1キロが見つかり、拘束された。日本に持ち込もうとしたとみられる。
 中国では昨年4月、麻薬密輸罪に問われた日本人死刑囚計4人に対する死刑が、日中国交正常化後初めて執行されている。昨年11月にも、瀋陽の中級人民法院が麻薬密輸罪に問われた20歳代の日本人の男に、死刑(執行猶予2年)を言い渡した。

◎覚醒剤密輸罪の邦人、中国で執行猶予付き死刑判決(2011年1月12日、朝日新聞)
 中国遼寧省大連の中級人民法院(地裁に相当)が昨年12月下旬、覚醒剤を日本に持ち出そうとしたとして、薬物密輸罪に問われていた70代の日本人の男に対し、執行猶予付きの死刑判決を言い渡していたことが11日、わかった。関係筋が明らかにした。
 昨年4月に中国当局が日本人4人に対し、日中国交正常化後初めて死刑を執行して以降、判明している日本人の死刑判決は2例目。ただし、執行猶予付きの死刑判決は、一定期間、服役態度に問題がなければ無期懲役などに減刑されることもある。
 関係筋によると、2009年6月、大連空港から日本行きの航空便に搭乗しようとした男の手荷物を税関当局が検査したところ、覚醒剤約1キロが見つかった。

◎中国、外貨準備高また世界一、18%増の2兆8千億ドル(2011年1月11日、朝日新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は11日、2010年末時点の外貨準備高は2兆8473億ドル(約236兆円)で、前年末より18.7%増えたと発表した。過去最高を更新し、引き続き世界一だった。
 昨年10~12月の四半期の増加額は1990億ドルで過去最大だった。人民元の対ドル相場の上昇を抑えるため、人民元を売ってドルを買う市場介入を加速させていることが背景にある。自国の通貨を安くして輸出競争力を確保し、貿易黒字を稼いでいるとして、中国の為替政策に対する批判が強まりそうだ。
 昨年末の日本の外貨準備高は1兆961億ドル。約5年前に中国が日本に追いつき、2.6倍の規模に膨らんだ。
 また人民銀によると、10年末の金融機関の貸出残高は前年末比で7兆9500億元増えた。景気の過熱を防ごうと7兆5千億元に抑える計画だったが果たせなかった。為替介入や投機資金の海外からの流入による影響を含め、市場に資金がだぶついている。人民銀は物価や不動産の価格を抑えるため、利上げなど金融の引き締めを続ける方針だ。

◎北京で渋滞対策、ナンバー発行、年24万台まで(2011年1月10日、読売新聞)
 北京市交通当局が渋滞対策として、今年から自動車のナンバープレート発行を年間24万台分に限定する新しい規制を導入した。
 中国国営の新華社通信によると、月間2万台の枠に対する1月分の申請受理件数は21万5425件で、競争率は10倍を超えており、自動車への旺盛な需要が改めて鮮明になった。
 申請はインターネットで受け付け、今月分は8日で締め切られた。26日に行われる抽選に漏れた場合は翌月以降に繰り越しとなる。
 北京市は以前からナンバープレートの末尾の数字によって、月曜日から金曜日までの5日間のうち1日は市中心部を走ることができない通行規制を実施している。
 しかし、自動車の急激な普及により通行規制もほとんど効果がなくなり、渋滞は激しくなるばかりだった。
 ナンバープレートを競売にかける方法を採用している上海市では落札価格が4万元(約50万円)と小型自動車1台分に相当する値段に達することもある。

◎“盗聴しにくい”スカイプ狙い撃ち? 中国、ネット電話規制強化(2011年1月9日、産経新聞)
 中国の工業情報化省が関係部門に対し「違法なインターネット電話事業者」の取り締まりを強化するよう通達していたことが分かった。中国共産党機関紙、人民日報(電子版)などが8日までに報じた。同省の通達では特定の業者や業態を挙げていないが、ルクセンブルクに拠点を置くネット電話大手の「スカイプ」を狙い撃ちした可能性がある。
 通達はIP(インターネット・プロトコル)電話サービスの違法性を調査する方針を示しており、法的措置に向けた証拠を収集している段階という。スカイプはネット利用で国際通話にかかる費用を格安に抑えるサービスで、中国国内でも個人や企業による利用が広がっている。同省の取り締まりは、中国電信や中国移動など国内通信大手の保護が目的とみられている。
 関係筋はスカイプによる通話内容が「盗聴」しにくいことも背景にあるとみており、検閲強化で中国本土から撤退を余儀なくさせた米ネット検索大手グーグルなど、外資系企業に対する措置と同種のネット規制強化の側面もありそうだ。

◎中国「禁煙公約」守れず、政府と業界癒着?(2011年1月9日、読売新聞)
 世界最大のたばこ生産・消費国である「喫煙大国」中国のたばこ対策が効果を上げていない。
 「たばこ規制枠組み条約」に基づき中国が屋内公共施設の全面禁煙を5年以内に実現するとした国際公約の期限を9日に迎えるが、喫煙者は減らず、中国メディアは「公約違反」などと一斉に批判している。
 中国紙によると、喫煙人口は約3億5000万人に上り、受動喫煙人口は3年で2億人増えて7億人以上となった。毎年約120万人がたばこ関連の病気が原因で死亡し、2030年には40歳以上死者数の約25%を占めるまでになるという。
 同条約は中国で2006年1月に発効したが、いまだに禁煙に関する全国的な法律が制定されていないことや、政府とたばこ産業の癒着などで広告規制が不十分なことが公約を実現できなかった主な原因と指摘されている。

◎ルノー産業スパイ、中国に情報流出か(2011年1月7日、読売新聞)
 フランスのメディアが6日伝えたところによると、仏自動車大手ルノー社は、日産自動車と共同開発中の電気自動車に関する技術を社外に漏えいした疑いがあるとして、経営陣1人を含む幹部社員3人を無期限の停職処分とした。
 電気自動車の最新技術をめぐる産業スパイ事件と見られ、ルノー社は法的措置を講じる方向だ。フィガロ紙は、ルノー社および仏当局が中国に流出情報が渡った可能性について調査していると報じた。
 内部告発を受け、同社が約5か月にわたって調査を進めていた。3人のうち1人が電気自動車の電池やモーターの開発にかかわっていたとされ、電池やモーターに関する極秘情報が漏れた可能性がある。
 電気自動車部門で世界的リーダーの地位を目指すルノー・日産両社が電気自動車開発に投じた費用は40億ユーロ(約4400億円)に達するという。ルノー社は今年半ばに、電気自動車2モデルを新たに発売する予定になっている。
 エリック・ベッソン産業担当相は、「経済戦争という表現が今回は当てはまる」と事態の深刻さを強調。産業界に「企業秘密の保護強化を求める」と呼びかけ、ルノー社の株式の約15%を保有する仏政府としても事件への対応に乗り出す方針を表明した。

◎中国高官は酒池肉林を楽しむ(2011年1月6日、産経新聞)
・『水滸伝』を実演する民衆
 中国のネットでは最近、「中国四大古典小説」にちなんだ面白い小話が流されている。中国の国内状況を実によく描き出したものなので、それを取り上げて今年最初の本欄を飾る。
 「中国四大古典小説」とは『紅楼夢』『三国演義』『水滸伝』『西遊記』の4つだが、例の小話はこうである。
 「われら中国人民は今、四大古典小説を実演している。エリートと金持ちは『西遊記』をやり、高級幹部は『紅楼夢』を楽しみ、地方政府は『三国演義』を繰り広げる。庶民たちはやることが何もないから、皆で『水滸伝』を演じてみせる」
 小話に出た「古典小説」ごとに解説すると、こういう内容となるのである。
 まずは『西遊記』。それは孫悟空が唐三蔵の供をして西域へ仏典を求めに行く物語だが、小話がその書名をもじって「エリートと金持ちは『西遊記』をやる」と言うのは実は、中国のエリートや富裕層が群をなして西側の先進諸国へ移住する現象を指している。本欄もかつて記したように、「第三の移民ブーム」と呼ばれる「中国からの大逃亡」はすでに始まっている。
 次は『紅楼夢』である。この小説は「中国の『源氏物語』」とも呼ばれて、清王朝時代の高官一族にまつわる「恋とエロスの世界」を描いたものだが、「高級幹部は『紅楼夢』を楽しむ」とはすなわち、共産党の高官たちは愛人を囲って酒池肉林の生活を送っている実態への風刺である。
 中国では今、高官は愛人の1人や2人囲うのが「当たり前」のこととなっているが、愛人を囲うのに当然カネが必要だから、高官たちは結局汚職に手を染めてしまう。一昨年摘発された大物汚職幹部の広東省政治協商会議の陳紹基主席や深セン市の許宗衡市長はその典型例だが、愛人に収賄を告発されて捕まったり、愛人の恫喝に業を煮やしてそれをあやめたりして身を滅ぼした汚職幹部のケースも続出している。とにかく、高官という高官が禁断の愛欲に溺れて汚職に走るというのは、まさに「世紀末中国」の救い難い現状である。
 次に『三国演義』が出たのは何ごとかといえば、実は今の中国の地方政府と地方の幹部たちは、各自の利権増大のために中央政府の方針や政策に面従腹背して乱開発に走ったり勝手に政令を発したりし、まるで三国時代の地方政権乱立のような状況となっているから、「地方政府は『三国演義』を繰り広げる」と揶揄されるのである。
 このような時勢下で、愛人囲いのぜいたくざんまいや経済的利権とは無縁な一般民衆はどうしているのかというと、小話の出す答えはすなわち、「皆で『水滸伝』を演じてみせる」という。そう、『水滸伝』の中の英雄豪傑が朝廷の暴政に反抗して立ち上がったかのように、中国人民は今、あちこちで騒乱や暴動を起こして反乱を始めている。最近の例を挙げると、昨年11月15日に湖南省●州市で二輪車の再登録を認められなかった民衆ら約2万人が警察と衝突、100人以上が負傷、警察車両7台が破壊された事件や、12月5日に吉林省長春市で、車を運転する警官の男性が女性をはねた上、抗議する女性の娘を殴打したことをきっかけに付近の市民数千人が抗議した事件などがあるが、同12月9日付の香港紙『明報』も、現在の中国は「暴動頻発期」に入ったと伝えている。
 民衆の不満はすでに限界に達していることがそれでよく分かるのだが、そのまま行けば、エリートが海外へ逃げ出して共産党の幹部が『紅楼夢』を楽しんでいる中で、天下はやがて『三国演義』の描く「大乱世」に陥っていくだろうか。

◎中国好景気でマカオのカジノ収入が過去最高(2011年1月4日、読売新聞)
 ロイター通信などは3日、マカオの2010年のカジノ収入が前年比約58%増の約235億ドル(約1兆9100億円)で、過去最高を記録したと伝えた。
 好景気を維持する中国本土からの観光客がカジノで費やす金額が増えたためとみられる。
 マカオは歳入の約7割をカジノに依存しており、06年には、カジノ収入が米ラスベガスを抜いて世界一となった。




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