中国関連のニュース
2012年

このページは、私が気になった中国に関するニュースを個人的にまとめたものです。

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 2012年5月3日





◎中国児童“ごみ箱死”に衝撃、背景に貧困や民族問題(2012年12月31日、産経新聞)
 中国貴州省で、ごみ箱の中で暖を取っていた少数民族の少年5人が一酸化炭素中毒死する事件が起きた。少数民族の貧困問題の深刻さを浮き彫りにした。発覚は11月16日。同省畢節市の幹線道路脇にあった鉄製の大型のごみ箱で、5人が死んでいるのを近くの住民が発見。ふたを閉めて中で火をたいていたという。
 5人の家は畢節市中心部から北東約35キロの貧しい村にあった。「死んだ経緯は教えてくれず、遺骨も返してくれない」。長男(12)と次男(11)を亡くした母親の陶安飛さん(36)は当局への怒りをぶちまけた。泥造りの家には裸電球一つで、床も壁も土がむき出し。陶さん夫婦は子供の世話を親や学校に任せ、広東省深●(=土へんに川)市でごみ処理の仕事をしていた。トウモロコシを栽培しているが「豊作でも年収千元(約1万3800円)」。当局は「1人当たり5万元の見舞金」を支払う一方、陶夫婦らを一時拘束した上、携帯を没収。事件の封じ込めに全力を挙げた。

◎ネット利用者に「実名制」、中国全人代が可決(2012年12月28日、読売新聞)
 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の常務委員会は28日、インターネット上での個人情報管理を強化する決定(法律に相当)を可決した。ネット利用者に身元情報の提出などを求める内容で、「事実上の実名制」との批判が出ている。
 ネット事業者は、契約時やサービス提供時に、利用者に対して正確な身元情報の提出を要求しなければならないとされた。さらに、利用者が発信する情報の管理を強化し、法規に違反する情報はすぐに発信を停止・削除したうえ当局に報告する義務が事業者に課された。違反した場合、罰金やサイト閉鎖、営業許可取り消しなどの対象となる。
 この決定について、ネット上では、「中国のネットの言論統制は世界の先端を行くのに、さらに実名制にするのか」などの批判が相次いでいる。

◎“巨大市場”中国を欧米へ明け渡すのか、日本中小企業の今後(2012年12月28日、産経新聞)
 最近、気になってならないのが、日本の中小企業が今後、中国とどう関わっていくかという問題だ。
 最近の中国視察で改めて確認したのは、現地の中国企業は日系企業の力を求めているが、日本人はそのニーズを知らずにいる。しかも、日中関係が揺れる中、多くの日本人は、中国が日本を敵視していると強く思い込んでいるように思える。
 先日、中国のある工業団地で行われた式典で、多くの日本企業を招待したものの、集まりは悪かったと聞いた。そして中国側は式典のテーマを「日系自動車部品工業団地」から「国際自動車部品工業団地」に変更を余儀なくされたという。
 こうした事態を引き起こしたのは、言うまでもなく、日中関係の先鋭化を招いた尖閣問題がある。
 実際、この問題を背景として日中間の経済交流は大きく様変わりし、世界的な不況と板ばさみになった中国は、史上最大の赤字を記録した。日本もまた経済の悪化を招き、企業はさまざまな負担を背負う結果になったのではないだろうか。
 この結果、日本は知恵や技術を世界に発信していくべきであるにもかかわらず、企業は大きな圧力を受けるという悲劇を生んだ。日本を支えている町工場が政治に左右される経済交流の環境変化を懸念して、日本を離れられないでいるのだ。本来、良好な経済環境を整えていくのが政治の役割であるはずだが、何とも皮肉な話である。
 2012年、世界は大きく変わった。アメリカではオバマ大統領が再選され、中国では習近平指導部が発足した。そして日本の衆院選では安倍政権が誕生した。取り巻く環境が刻々と変化する中、日本国民の生活、安全をいかに守っていくかが、安倍新政権が今後、担うべき責務となるだろう。
 冒頭で紹介した中国の工業団地における式典のテーマが改称されたというエピソードは、小さな小さな出来事かもしれない。しかし、硬直化した日中関係が長期化し、日本が中国市場を失うようなことになれば、日本の将来に与えるダメージは大きいだろう。
 日本が揺らぐ足元にばかり目を奪われ、中国に見切りを付けて東南アジアなどに向かうということは、中国という巨大市場を欧米に明け渡すことを意味するからだ。

◎中国版GPS運用開始、尖閣などで軍事利用も?(2012年12月28日、読売新聞)
 中国政府は27日、独自開発を進めてきた中国版GPS(全地球測位システム)「北斗」について、アジア・太平洋全域での正式運用を開始したと発表した。
 今年就役した中国初の空母「遼寧」への位置情報の提供など、尖閣諸島海域を含む東シナ海や南シナ海などでの軍事利用を進める意図があるとみられる。「海洋強国」を目指す中国の遠洋作戦能力が一層強化されることになり、日本など近隣諸国には懸念材料となりそうだ。
 27日に記者会見した「北斗」開発部門の報道官によると、北斗システムの測位精度は水平方向10メートル、垂直方向15メートルで、「米国のGPSの性能に匹敵する」という。軍事に加え漁業、気象、交通など幅広い分野での活用を目指すとしている。

◎中国版GPS運用始まる、空母や尖閣監視船も利用か(2012年12月28日、朝日新聞)
 中国政府は27日、独自開発した中国版全地球測位システム(GPS)の「北斗」が、アジア太平洋地域で運用を始めたと発表した。尖閣諸島周辺にも展開する海洋監視船や、9月に就役した空母「遼寧」などでも活用するとみられる。
 測位の誤差は10メートル以内で、受信端末を取りつけた国内10万台のトラックなどに向けてナビゲーションのサービスを始めた。中国衛星測位システム管理弁公室の報道官は「国防にも役立つ」と説明した。
 中国は有事に備え、米国のGPSに依存しない独自システムの構築にこだわり、1993年から開発を続けてきた。2020年ごろには地球全体を網羅する計画だ。

◎中国「立場変わらず」、過去の人民日報も「尖閣」表記(2012年12月28日、朝日新聞)
 尖閣諸島が琉球に含まれるとした中国政府の文書について、在日中国大使館の楊宇報道官は27日の定例会見で「この目で見たことはないが、文書があったとしても中国の立場は変わらない」と語った。中国外務省の華春瑩副報道局長も会見で「釣魚島(尖閣諸島の中国名)の主権について十分な歴史的、法的な根拠を持っている」と主張。「古来、中国固有の領土だ」と改めて繰り返した。
 一方、政府の文書とは別に中国共産党の機関紙・人民日報は1953年1月、琉球諸島が「尖閣諸島」を含む島々からなるとする記事を載せていた。58年に中国で発行された地図でも尖閣は沖縄に属する島として扱われた。

◎中国、「尖閣は琉球の一部」と認識、50年の外交文書で(2012年12月28日、朝日新聞)
 沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐり中国政府が1950年、「尖閣諸島」という日本名を明記した上で、琉球(沖縄)に含まれるとの認識を示す外交文書を作成していたことが27日分かった。時事通信が文書原文のコピーを入手した。
 中国共産党・政府が当時、尖閣諸島を中国の領土と主張せず、「琉球の一部」と認識していたことを示す中国政府の文書が発見されたのは初めて。
 尖閣諸島を「台湾の一部」と一貫して主張してきたとする中国政府の立場と矛盾することになる。日本政府の尖閣国有化で緊張が高まる日中間の対立に一石を投じるのは確実だ。
 この外交文書は「対日和約(対日講和条約)における領土部分の問題と主張に関する要綱草案」(領土草案、計10ページ)。中華人民共和国成立の翌年に当たる50年5月15日に作成され、北京の中国外務省●案館(●は木へんに當、外交史料館)に収蔵されている。
 領土草案の「琉球の返還問題」の項目には、戦前から日本側の文書で尖閣諸島とほぼ同義に使われてきた「尖頭諸嶼(しょしょ)」という日本名が登場。「琉球は北中南の三つに分かれ、中部は沖縄諸島、南部は宮古諸島と八重山諸島(尖頭諸嶼)」と説明し、尖閣諸島を琉球の一部として論じている。中国が尖閣諸島を呼ぶ際に古くから用いてきたとする「釣魚島」の名称は一切使われていなかった。
 続いて「琉球の境界画定問題」の項目で「尖閣諸島」という言葉を明記し、「尖閣諸島を台湾に組み込むべきかどうか検討の必要がある」と記している。これは中国政府が、尖閣は「台湾の一部」という主張をまだ展開せず、少なくとも50年の段階で琉球の一部と考えていた証拠と言える。
 東京大学大学院の松田康博教授(東アジア国際政治)は「当時の中華人民共和国政府が『尖閣諸島は琉球の一部である』と当然のように認識していたことを証明している。『釣魚島』が台湾の一部であるという中華人民共和国の長年の主張の論理は完全に崩れた」と解説している。
 中国政府は当時、第2次世界大戦後の対日講和条約に関する国際会議参加を検討しており、中国外務省は50年5月、対日問題での立場・主張を議論する内部討論会を開催した。領土草案はそのたたき台として提示されたとみられる。
 中国政府が初めて尖閣諸島の領有権を公式に主張したのは71年12月。それ以降、中国政府は尖閣諸島が「古来より台湾の付属島しょ」であり、日本の敗戦を受けて中国に返還すべき領土に含まれるとの主張を繰り返している。
 領土草案の文書は現在非公開扱い。中国側の主張と矛盾しているためとの見方が強い。

◎三井造船、中国でバイオマス事業、合弁会社設立(2012年12月27日、化学工業日報)
 三井造船は、中国でバイオマス事業に乗り出す。レストラン厨房の食品残渣、生ごみ類を回収し、バイオガス発酵・発電システムを手掛ける合弁会社を現地企業と設立した。中国では都市部を中心に食品残渣、生ごみ類が大量に発生しているが、現状は大半が埋め立て処分。今後は年間数千億円規模のバイオマスプラント市場が立ち上がる見通しであるため、同社は日本国内の豊富な建設実績を前面に各地域のニーズに合った最適なソリューション展開を図る。

◎中国で新生児ら子ども89人救出、誘拐グループ摘発(2012年12月27日、朝日新聞)
 中国公安省は、売買目的で子どもたちを誘拐していた九つの犯罪グループを摘発、容疑者355人を逮捕し、新生児ら89人を救出したと発表した。犯罪グループは誘拐や売買、移送などで役割を分担し、暴利を得ていたという。
 国営新華社通信系のサイト「新華網」によると、公安省などは18~24日、福建省、雲南省、安徽省など9省で集中取り締まりを実施。7回転売され、最終的に約6万3千元(約85万円)で売られた生後1カ月の赤ちゃんも見つかった。助けられた子どもたちは、DNA鑑定などを経て両親のもとに返される見通しだ。
 また、中国中央テレビは25日、四川省でへその緒がついたままの新生児が助け出される様子を放映した。
 公安省関係者は中国メディアに対し、事件の背景として「買い手の需要が大きいため」との見方を示している。

◎中国の暴走は止まらない、山田吉彦、東海大教授(2012年12月27日、産経新聞)
 北京の空港に降り立つとすぐに息苦しくなった。どんよりと低く立ち込めた雲と地表の間に、石炭を燃やしたときにでるスモッグが蔓延していた。中国の人々は、こんな空気を吸わされても不満を言わないのだろうか。
 中国が尖閣諸島周辺へ侵入し、反日デモ、暴動が起きた後は、北京の街を歩く日本人が減った。日本人相手の飲食店や観光業者は悲鳴を上げている。日本からの投資も減少し、合弁企業も行き詰まった。対日関係の悪化が中国経済に与える影響を懸念する声も出始めている。
 あるビジネスマンは、「日本との仕事が止まった。中国政府が騒ぐまでは、中国人は誰も尖閣諸島(釣魚台)のことなど知らなかったのに」とぼやいた。
 また、軍関係者のひとりは「南シナ海は力で解決できるが、東シナ海は力では動かない。けんかをするには互いに大国すぎるのだ」と日本との対立を自重する必要を口にした。
 中国当局は、東シナ海戦略において、得意の戦略「三戦」を用いた。三戦とは、世論戦、心理戦、法律戦のことだ。まず法律戦は、領海法、海島保護法により尖閣諸島を国家管理地にする国内法を整備、国際的には、国連大陸棚限界委員会に日中中間線を越え沖縄トラフまでを中国の大陸棚として認めるように求めた。
 心理戦では、反日運動が功を奏し、日本の経済人は中国経済から日本が排除されることにおびえている。
 そして、世論戦だ。中国中央電視台を通じて、中国の主張を世界中に伝えるとともに中国漁船団の映像で東シナ海が中国の海であることを示した。国内では、日本の尖閣諸島国有化に対する抗議運動を大々的に展開した。しかし、今回は世論戦に失敗したようだ。世界中に中国の暴力行為が伝えられ、中国への信頼が失墜した。さらに、国内では反政府運動に足をすくわれ、東シナ海侵攻は後戻りができない。国際社会からの孤立は避けたいが、国内の分裂は回避しなければならない。矛盾を抱えたままの中国の暴走は止まらない。隣国を選べないわが国は、国境海域の管理に手を緩めることが許されないのだ。

◎中国で新生児ら子ども89人救出、誘拐グループ摘発(2012年12月27日、朝日新聞)
 中国公安省は、売買目的で子どもたちを誘拐していた九つの犯罪グループを摘発、容疑者355人を逮捕し、新生児ら89人を救出したと発表した。犯罪グループは誘拐や売買、移送などで役割を分担し、暴利を得ていたという。
 国営新華社通信系のサイト「新華網」によると、公安省などは18~24日、福建省、雲南省、安徽省など9省で集中取り締まりを実施。7回転売され、最終的に約6万3千元(約85万円)で売られた生後1カ月の赤ちゃんも見つかった。助けられた子どもたちは、DNA鑑定などを経て両親のもとに返される見通しだ。
 また、中国中央テレビは25日、四川省でへその緒がついたままの新生児が助け出される様子を放映した。
 公安省関係者は中国メディアに対し、事件の背景として「買い手の需要が大きいため」との見方を示している。

◎中国新幹線、「はやて」ベースに独自開発主張、習近平指導部で初の大型プロジェクト(2012年12月26日、産経新聞)
 中国の北京市から広東省広州市まで営業距離2298キロの大陸縦断コースを、直通列車が最短7時間59分で結ぶ高速鉄道の専用線(中国版新幹線)が26日、全線開通した。東京と博多を結ぶ東海道・山陽新幹線の約2倍の営業距離となり、中国鉄道省では「世界最長の高速鉄道」と喧伝している。この区間は在来線では、およそ21時間かかっていた。
 11月に発足した中国共産党の習近平新指導部にとっては初めての国家的プロジェクトで、国威発揚のチャンスとなる。昨年7月に40人が死亡した浙江省温州での高速鉄道列車追突事故で完全失墜した中国の鉄道イメージを挽回する狙いがある。鉄道省では「営業最高時速を設計時の350キロから300キロに抑えた」(鉄道省)などと運行安全性への配慮も強調している。
 高速鉄道列車は東北新幹線の「はやて」の導入技術をベースに、中国が独自開発したと主張する「CRH380A」などを投入している。鉄道省では、この路線での長距離運行の実績などもPRし、「中国製の高速鉄道」として車両や路線システムなどで本格的な輸出攻勢を始める方針だ。ただ、中国国内では温州の追突事故の徹底的な原因究明の進まぬまま、高速鉄道網の拡大を優先させているとして、批判もくすぶる。
 同日の全線開通で北京と鄭州(河南省)や武漢(湖北省)など5省の省都が一気に高速鉄道専用線で結ばれる。鄭州などの駅周辺では、住宅や商業需要を当て込み、鉄道省に連なる利権をもつ業者らが急ピッチで周辺開発を進めている。
 中国の高速鉄道の列車は一部が、同じ線路幅(標準軌)の在来線にも混在して運行され、この場合は「動車」など呼ばれる。高速鉄道列車以外は運行せず、時速300キロ以上の走行が可能な軌道は「専用線」として区別している。今月1日には黒竜江省ハルビンから遼寧省大連まで約950キロを、約3時間半で東北3省を縦断する高速鉄道専用線が開業した。この区間は70年以上も前に、当時の南満州鉄道(満鉄)特急「あじあ号」が世界最先端だった流線形の蒸気機関車「パシナ」などに牽引されて、約12時間半で結んでいた。

◎世界最長、中国縦断の高速鉄道、一番列車が出発(2012年12月26日、読売新聞)
 北京と広東省広州を結び中国を縦断する高速鉄道(約2298キロ・メートル)が開通し、広州行き一番列車が26日午前9時(日本時間同日午前10時)、北京を出発した。中国鉄道省によると高速鉄道としては世界最長。
 北京―鄭州間の完成で、全線開通した。始発駅の北京西駅では記念式典が行われ、一番列車が、ほぼ満席で出発した。最高時速は約300キロ・メートル。所要時間は従来の20時間半から約8時間へ大幅に短縮された。

◎児童誘拐で355人拘束、中国、89人救出(2012年12月25日、産経新聞)
 24日の新華社電によると、中国公安省は、児童を売買目的に誘拐していた九つのグループを摘発して355人を拘束、児童89人を救出した。
 摘発は四川や福建など9省で行われた。複数のグループは売買や移動などの役割を分担していた。
 公安省の責任者は「児童の買い手が多い」と指摘し、同様の犯罪を根絶やしにするのは難しいとの見方を示した。

◎中国の自殺事情、世界の“常識”通りに変化(2012年12月25日、産経新聞)
 年の瀬に自殺の話なんて、と思わぬでもないが、中国における自殺事情について書く。「自殺は男がするもの」というのが、世界の「常識」である。ほとんどの国では女性よりも男性の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)がかなり高い。中国の自殺は従来、その「常識」に反していたが、改革・開放の進展とともに中国の自殺事情も変化し、今や世界の「常識」通りになっているようだ。
 中国の自殺の特徴として、これまで、都市よりも農村の自殺率がはるかに高く、男性よりも女性の自殺率が高く、特に農村の若い女性の自殺率がきわめて高い、という事実が指摘されてきた。中国全体での年間自殺者は約28万人で、その多くは農村の女性であるといわれた。私も学生にそう教えてきた。
 多くの若い農村女性がなぜ自殺に走ったのか。彼女たちは男性からの、そして年長者からの、さまざまな圧力を受け、耐え切れずに自殺を選んだと説明された。最も虐げられた者、それが農村の女性であり、しかも農薬が身近にあったことが多数の自殺者をもたらしたのである。
 ところが、たとえば北京・清華大学の景軍教授らの研究によると、中国の自殺に関するそうした特徴はすでに過去のものとなってしまった。確かに、今日においても、農村の自殺率は都市のそれよりも高いが、すでに女性より男性の自殺率が高くなっており、農村女性の自殺率も農村男性の自殺率とほぼ同じか、やや低い状態にまで変化しているという。
 そもそも全体としての自殺率が大幅に低下しており、自殺率の高かった1990年前後に比べれば、その3分の1程度でしかない。自殺者も全体として年間10万人に満たない。何よりも農村女性の自殺率が低下しており、ピーク時と比較すると、4分の1でしかないというのである。
 農村における女性の地位の向上、そして農村を離れて都市に出稼ぎに出るという機会と自由を得たことが、自殺事情を変化させた大きな要因のようだ。家に縛られ、伝統的な男尊女卑の価値観のなかで生きざるを得なかった農村の女性たちに、出稼ぎが「解放」をもたらしたといえよう。
 日本の自殺者は1998年に急増し、それまでの2万人台前半から一挙に3万人を超えた。悲しいことに、以来、昨年まで14年連続で3万人台である(警察庁調べ)。かつて中国の農村女性の自殺率は30.0を超え、日本の自殺率をはるかに上回っていたが、今では逆転したのである。

◎「全能神」摘発、中国本格化、終末論流布、組織力を警戒(2012年12月25日、朝日新聞)
「世界が終わる」とのデマをあおったとして、中国当局が、宗教集団「全能神」の取り締まり強化に躍起になっている。当局によると、宗教集団は中国共産党を「赤い竜」と呼び、「決戦」を呼びかけているという。体制を揺るがしかねない宗教による組織力を前に、メディアを使った大々的な宣伝戦が展開されている。

・児童襲撃事件と結びつけ
 河南省信陽市光山県の小学校に刃物を持った男(36)が現れ、児童らを襲ったのは14日朝だった。小学生23人が負傷。中国メディアは「終末論に刺激を受けた暴徒が事件を起こした」(人民日報)と大々的に報道し、全能神の教えに影響された男による凶行だと伝えている。
 23日に同県の病院を訪れると、入院中の6歳の少年の後頭部には、5センチほどの切り傷が残っていた。「怖くなかった」と屈託なく笑っていた少年は、教室での男の言葉を思い出すと真顔になった。「こう言ったんだ。『みんな死んでしまえ』って」
 小学校の目の前に住む向家英さん(84)も襲われ、顔面に傷を負って入院していた。左目があけられない。「震えが止まらなかった」と当時を振り返った。
 男は事件当日、突然向さんの家に押し入り、「火をおこせ」とどなった。薪がないと答えると、いきなり向さんの腰を蹴り上げ、テーブルにあった刃渡り2.5センチの中華包丁で切りつけたという。
 男が包丁をつかんだまま向かった先が、小学校だった。門の近くで児童を襲い、さらに校舎の1~3階で刃物を振り回した。
 男の家は、小学校から車で10分ほど離れた場所にあった。取材に応じた父親(66)は「息子は(全能神を)信じていない。家族も信じていない。この村の誰も信じていない」とまくし立てた。
 父親によると、男は病気で、この2年ほどは仕事をせず家にいた。両親と娘2人と暮らしており、妻は出稼ぎに出ていた。男が全能神について語るのは聞いたことがないという。
 中国紙の集計によると、青海省、貴州省をはじめ全国16の省で、全能神との関係があるとして拘束された人は計約1300人に上っているという。
 中国人民公安大学の武伯欣教授によると、全能神は黒竜江省ハルビン市近郊の物理教師だった趙維山氏(61)が創設した。趙氏は世界に災難が訪れると予言。1995年、河南省の女性を「キリストの生まれ変わり」とし、布教を本格化させた。
 信者には社会的、経済的に弱い立場にある農村部の女性が目立つという。貧富の格差や官僚の腐敗、医療制度の不備などをめぐり、共産党政権を批判。95年ごろに、中国政府から「邪教」と認定された。趙氏が90年代末に米国に逃れた後も信者は増えていた。
 武教授によると、今月7日、米国から中国全土の信者に「街頭に出て、終末日の到来を宣伝せよ」との指令が出たという。「公安当局はこれを宣戦布告と受け取った」と武教授は話す。
 暗号を使った「指令」は、中国を九つの教区に分けたピラミッド型の組織を通して素早く浸透。多くの信者が街頭でビラを配った。制止を求める警察に反発し、警察の建物を取り囲む騒ぎも起きたという。
 党関係者は「中国に邪教とされる集団は少なくない。政府が神経をとがらすのは現代的な組織を持つかどうかだ」。当局は、全能神が示した組織力に衝撃を受け、メディアを巻き込んだ弾圧に踏み切った模様だ。

◎親中派マネーに縛られる台湾メディア(2012年12月24日、産経新聞)
 香港のメディアグループ、壱伝媒(ネクスト・メディア)が先月28日、台湾で展開してきたメディア事業の売却契約を結び、台湾社会に波紋が広がっている。事業は台湾の企業家らが共同出資で引き継ぐことになったが、親中派で知られる台湾のメディア王もこれに一部を出資するためだ。言論機関に対する中国の影響力強化の不安に対し、台湾の識者や学生らが警戒や反発を露わにしている。

・ケーブルテレビで失敗
 売却対象となったのは、台湾の大衆紙「蘋果(ひんか)日報」(アップル・デイリー)とフリーペーパー「爽報」、週刊誌「壱週刊」、ケーブルテレビの「壱電視」。
 壱伝媒は香港で成功したのち、2001年以降、壱週刊、蘋果日報などを順次台湾に進出させた。民主、自由を軸にした中国への批判的な視点や、社会的に関心の高い事件や政界、芸能界の醜聞報道などに力を入れて人気を博し、蘋果日報は発行部数43万と、台湾紙第2位に成長していた。
 しかし、09年に設立した壱電視は、業界参入に手間取るなどで多額の資金を浪費。本格的な事業展開に乗り出せないまま、12年3月期の赤字は11億香港ドル(約120億円)を超え、経営全体を圧迫。台湾でのメディア事業を総額約175億台湾元(約500億円)で売却することになった。
 共同出資で引き継ぐのは台湾の化学最大手の台湾塑膠工業(台湾プラスチック)集団(王文淵総裁)▽メディア大手、旺旺中時媒体集団の蔡衍明会長の長男、蔡紹中氏(旺旺中時媒体集団社長)▽大手金融グループ、中国信託金融控股(チャイナトラスト)創業者、辜濂松会長(6日に死去)の長男、辜仲諒氏(中信慈善基金会理事長)▽葬祭会社最大手、龍巌人本の李世聡会長▽損害保険大手、台湾産物保険公司の李泰宏会長。
 蘋果日報、爽報、壱週刊の活字メディアは、台湾塑膠工業集団が34%、蔡紹中氏が32%、辜仲諒氏が20%、李世聡会長が14%の株式を取得。また壱電視については、王文淵総裁の家族が34%、李泰宏会長が32%、辜仲諒氏が20%、李世聡会長が14%を取得する。
 当初は辜仲諒氏が一括出資に動いていたが、台湾当局の金融産業分離の方針で、辜氏の持ち株比は20%を上限とされた。

・しのびよる中国の影
 この売却契約で台湾社会が懸念したのは、活字メディアの第2株主となった蔡紹中氏。後ろ盾の蔡衍明会長は、2007年以降、台湾のメディアの買収に乗り出し、09年までに保守系有力紙「中国時報」や経済紙「工商時報」など活字メディアをはじめ、中国電視、中天電視などテレビ局を傘下におさめた人物。もとは台湾北東部・宜蘭県の食品会社の経営者だったが、日本の米菓会社との技術提携を機に、米菓の製造・販売で「台湾一の富豪」と呼ばれるまでに大成功した旺旺集団の創業者だ。
 90年代に中国市場で成功し、その後は拠点を上海に置くなど中国要人との関係も深い。沖縄県・尖閣諸島の日本政府の国有化では、台湾も尖閣諸島への主権を主張しているが、懸案の日台漁業協議の準備が進む中、9月25日に宜蘭県の漁民らが抗議漁船団を組んで尖閣の日本領海に侵入した。その際、燃料費補助を断った県政府に代わり、500万台湾元(約1450万円)を寄付した。
 蔡会長は日ごろから「中国と台湾の統一を見たい」と発言するなど、物議をかもしているだけに、傘下メディアの中国寄りの視点も目立つようになり、「私物化」批判の中でベテラン記者や編集者の退職も相次いでいる。

・広がる反発の中で
 蔡会長は、別にケーブルテレビ大手、中嘉網路の買収にも乗り出しており、壱電視の業界参入では妨害工作を展開したとも目されている。このためメディアの一極支配や報道の自由の後退に対する懸念は台湾社会に広がり、旺旺中時媒体集団傘下の中国時報などの不買運動にまで発展していた。
 今回の売却契約の締結では「中国が台湾メディアを支配し、台湾世論を操作する憂慮が現実になった」との批判が識者を中心に展開され、抗議の学生が治安当局と衝突する場面も。
 売却契約は2カ月以内をめどに公正取引委員会と通信伝播委員会、経済部(経産省に相当)投資審議委員会で審査されるが、蘋果日報の記者らは「今から流れが変わるとは思えない」と悲観的だ。

◎中国がネット管理強化へ、情報提供側の「身分管理」厳格に、実名性導入も示唆(2012年12月24日、産経新聞)
 国営新華社通信によると、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は24日、インターネットに情報提供するサイト運営者の「身分管理」を厳格化する新たな規定の草案審議を始めた。運営側の管理を強化し、個人的な裁量でユーザー個々のプライバシー情報の外部漏洩を防ぐ狙いとみられる。
 また、具体的な規定は示されていないが、草案では「中国公民(国民)の個人身分を識別し、電子メールのプライバシーへの干渉を国家が保護する」などの内容が盛り込まれている。
 海外のプロバイダーが電子メールの内容を自動的に読み取って広告に生かすなどの機能を制限するとみられ、5億人を超えた中国のネットユーザーに、「実名制」を取り入れることも示唆した。
 さらに、サイバーテロ防止を理由に、当局による検閲や遮断を含めた強い関与を法的に認める見通しだ。来年3月開催の全人代などで立法化するとみられる。
 中国ではすでに、当局批判や反体制勢力などのサイトの遮断や検閲を行っているが、暗号化技術を使って国外サーバーに接続するVPNと呼ばれるサービスについても、新たに厳格な制限の対象に加えたとの情報があり、“ネット鎖国”の様相も見せ始めている。

◎中国:「世界最長の高速鉄道」、北京-広州2298キロ、26日に全線開通(2012年12月24日、毎日新聞)
 中国政府は22日、26日に全線開通する北京−広東省広州間の高速鉄道(全長2298キロ)試乗会を開き、内外メディアに「世界最長の高速鉄道」とアピールした。
 中国の高速鉄道では11年7月、40人が死亡する事故が発生。安全性の軽視に批判が高まり、政府は新規建設を抑制していたが、最近は再び建設拡大路線に転じている。
 「中国の高速鉄道は世界の先端を走っている」。中国鉄道省の周黎(しゅうれい)科学技術局長は、試乗会で胸を張った。北京−広州間の最高時速は300キロ。最短7時間59分で走り、従来の鉄道より約12時間半短縮することになるという。

◎中国機が尖閣諸島に接近、航空自衛隊が緊急発進(2012年12月22日、朝日新聞)
 防衛省は22日、中国国家海洋局のプロペラ機が同日正午ごろ、尖閣諸島の北方約100キロの空域まで接近したと発表した。日本が設定する「防空識別圏」に入っており、沖縄県の那覇基地から航空自衛隊の戦闘機を緊急発進(スクランブル)させて対応した。
 尖閣諸島周辺では、13日に中国国家海洋局のプロペラ機が魚釣島の南約15キロの日本の領空を初めて侵犯した。防衛省によると、今回、スクランブルの対象となった中国機も同型の輸送機という。領空侵犯を許した反省から、自衛隊は早期警戒機などを使って南西空域の警戒を強めていた。今回は自衛隊のレーダーで中国機を捕捉したという。

◎世界最長の高速鉄道、試運転を公開、中国、安全性を強調(2012年12月22日、朝日新聞)
 「世界最長」をうたう北京―広州間の高速鉄道の全線開業を4日後に控え、試運転の様子が22日、報道陣に公開された。昨夏の浙江省温州で起きた高速鉄道事故で失墜した中国の鉄道技術のイメージを挽回しようと、同乗した鉄道省の技術担当幹部は安全性を強調し、車両などの輸出にも前向きな姿勢を示した。
 この日は、新たに開業する区間、北京―河南省鄭州間(693キロ)に試乗した。車両は、東北新幹線「はやて」の技術をベースに開発され、北京―上海間などでも使われている。
 鉄道省は当初、「まず安全性を信頼してもらいたい」(同省幹部)と設計より50キロ遅い最高時速約300キロで運転する方針で、この日の最高は311キロ。輸出について「いくつかの国に中国の設備は適している」(同)と意欲的で、インドやタイの高速鉄道計画に関心を示した。
 ただ、北京西駅を予定より1分ほど早く出発した列車は、二つ目の高碑店東駅で、約30分間にわたって臨時停車した。同省幹部は「前の列車が調整のため停止した影響を受けた。問題はない」と説明した。
 全線(2298キロ)開業に伴い、北京―広州間はこれまでより12時間半短い約8時間で結ばれる。

◎台湾アイドル大やけどの撮影所でまた死傷火災、中国映画業界の病巣(2012年12月22日、産経新聞)
 中国・上海の映画撮影所で今月15日、撮影中に火災があり、スタッフ4人が死傷した。この撮影所では2010年10月にも台湾の人気アイドルグループの一人が全身に大やけどを負う爆発事故があり、華人社会に大きな衝撃を与えた。再び繰り返された事故に、急成長する中国映画・ドラマ市場の課題を指摘する声も出ている。
 江蘇省南京の夕刊紙、楊子晩報(電子版、18日)によると、火災があったのは、上海の映画撮影所「車●(=土へんに敦)影視基地」。15日午後4時ごろ、施設内の「洞窟」でスパイ映画を撮影中に火災が発生し、スタッフ1人が死亡、3人がやけどを負った。詳しい状況は分かっていないが、やけどの3人は程度が軽く、すでに退院したという。たばこの火の不始末が原因とみられる。「爆発事故」と伝える報道もある。この日はほかに2本の撮影が行われていた。
 この撮影所は、0.8平方キロの敷地に15億元(約200億円)を投じて1930年代の上海の街並みを再現。98年10月の竣工以来、映画30本以上、ドラマ数百本の舞台になっているという。2007年にベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した「色、戒(邦題ラスト、コーション)」などが撮影され、施設自体が観光地にもなっている。
 この撮影所では10年10月にもドラマ撮影中に爆発事故が発生。台湾出身の人気アイドルグループ「S・H・e」のSelinaさんら主演の2人が全身に大やけどを負った。Selinaさんは皮膚の移植手術を経て11年1月に退院したが、丸刈りに近い髪形の痛々しい姿で記者会見を行い、事故の衝撃をさらに広げた。その後、順調に回復し、同年10月の30歳の誕生日に台湾人男性と結婚。披露宴には馬英九総統が「証人」として出席し祝意を示した。同じ事故で大けがをした中国人若手歌手は2年間治療を続け、近く復帰予定という。
 10年の事故は、爆破シーンの撮影で、予定よりも早く爆発したことが原因とされ、CGを用いず実際に火薬を爆発させる撮影技術の低さや、資金不足から安全管理を軽視する傾向が問題視された。
 今回の火災を受け、楊子晩報の記事は、映画・ドラマ市場の急速な拡大を受けて撮影競争が加速する一方、コストの増加から安全面が軽視されていると指摘する。中国国営新華社通信(電子版、18日)によると、国家広播電影電視総局は同日、中国の映画市場の概況を発表。今年11月までの11カ月間で、映画製作数は686本、興行収入は143億5000万元(約1900億円)となり、前年同期比約29%の伸びを記録したという。
 雑誌「青年記者」(10年5月)は04~09年の興行収入の平均成長率は2.5%で、「中国の映画産業は黄金チャンス期を迎えた」とする一方、1作品あたりの興行収入が米国映画の3分の1以下で競争力は低いと指摘している。相次いだ事故は、こうした過当競争が生み出した負の側面といえそうだ。

◎中国政府、太陽電池産業への支援強化(2012年12月21日、化学工業日報)
 中国政府は、国内太陽電池産業への支援を強化する。商務部によると現在、複数の関係省庁との間で太陽電池産業の健全な発展を支援する政策を模索中で、商務部としても関連政策の取りまとめを進めている。中国の太陽電池産業は世界最大の生産能力を擁する一方、製品の大半を輸出に向けてきた。債務危機により最重要市場の欧州での需要が大きく落ち込むなか、多くのメーカーが赤字に転じ、大手でも経営危機がささやかれる状況となっている。中国政府は、これまで中国国内での太陽電池導入拡大といった支援策を導入しており今後、さらに政策面での下支えを強める構え。

◎中国、強大国化か没落か “羨望”と“蔑視”繰り返す日中関係(2012年12月21日、産経新聞)
 2000年の日中交流の歴史においては、互いに羨望と蔑視を繰り返してきた。弱者は強者を羨望し、強者は弱者を蔑視する。アヘン戦争までの中国は世界の中心といっても過言ではなく、圧倒的な力のもとで日本を蔑視していた。
 だが近代になると、脱亜、入欧、入米に向かった日本が優越感をもって中国を蔑視し始めたといえるだろう。これも悲しい事実だろう。
 この30年間、中国は日本のおかげもあって急速に経済力を伸ばし、日本と肩を並べるようになった。しかし、今後はある2つの事態が起こり得るだろう。
 1つは、中国経済の強大化によって再び日本が蔑視の対象となってしまう「脅威論」。2つ目は、中国が没落の道をたどる「崩壊論」だ。
 二極化したこの論調は、政治家の中でも政府情報に頼り切る理論派たちに多い。が、情報化時代の今、外交も独自のホットラインを使い、極秘裏に展開した昔とは違う。
 いまやインターネットによって、地球上の情報を縦横無尽に交換できる。こうなると重要性が増すのは、政治や外交から民間同士の情報共有に移ってきているのではないか。民間が主導権を握る時代の幕開けである。
 2012年は新しい時代が始まる年といわれてきた。日中はお互いに「大人の関係」になって、差のない世界になると。
 日中関係を振り返れば、友好関係を結ぶにあたっての功労者は、時の総理、田中角栄氏と外務大臣だった大平正芳氏という認識が一般的かもしれないが、関西の中小企業の経営者たちも実際の現場を支えてきたという話は、これまでも述べてきた。
 彼らは長い歳月を費やし、中国に深く食い込み、水面下ではあるものの、日中間の懸け橋となって力を尽くしてきた。
 そんな時代がまた訪れることを願うばかりだが、望ましいのは、民をもって互いの喜びを求める「Win Win(互恵)」の関係だ。蔑視や羨望ではなく、互いに尊敬し合えるような間柄のことである。
 まず「互恵」。そして「互敬」へ。政治の世界では難しいかもしれない。長い日中関係の歴史の中で初めてのことかもしれない。だが、日中の民間人が努力をすれば、それが実現できると信じたい。いや、それができなければ、また蔑視と羨望の関係を繰り返すことになってしまうのではないか。

◎中国、人類滅亡唱える宗教組織信者800人拘束(2012年12月21日、読売新聞)
 中国紙・南方都市報(電子版)など複数の中国メディアは20日、「12月21日に世界が滅亡する」との終末論を唱えている宗教組織「全能神」の関係者800人以上を中国当局が拘束するなどした、と伝えた。
 社会の安定を最重視する中国当局は、この組織が人類滅亡の日だとしている21日を前に取り締まりを強化している模様だ。
 全能神はキリスト教系宗教組織で、古代マヤ文明の暦に基づき、「2012年12月21日に世界が滅びる」との終末論を説く。破滅を免れるためには、「大きな赤い竜」と呼ぶ共産党を打倒し、全能神が統治する国家を樹立しなければならないと主張している。中国政府は全能神を「邪教」と認定している。
 報道によれば、青海省で信者400人以上が拘束されたほか、貴州省では357人が取り調べを受け、浙江省でも組織幹部ら58人が拘束された。福建省や内モンゴル自治区でも摘発が相次いでいる。

◎中国で小学校襲撃、当局幹部は会見せずゲーム(2012年12月20日、読売新聞)
 中国国営新華社通信によると、河南省光山県の小学校で刃物を持った男が侵入して児童23人を切りつける事件が発生したが、地元当局者が事件後も情報を適切に公開せず、パソコンのゲームに興じるなどしていたことが判明し、インターネット上で不満が広がっている。
 事件は14日朝に発生。容疑者の男(36)は民家に侵入して包丁を奪い、老人に切りつけた後、近くの小学校に侵入して、清掃中だった児童らの顔や頭に次々と切りつけた。
 光山県は当初、15日に記者会見を開く予定だったが、突然中止した。事件について新華社が小学校のある村の幹部に取材すると「事情はわからない」との回答。県教育局幹部は「責任者は出かけた」と答えると、記者の眼前でゲーム遊びを続けたという。

◎台湾:海外からの訪問者、中国人急増で700万人に(2012年12月20日、毎日新聞)
 台湾の馬英九政権は19日、今年の海外からの台湾訪問者数が18日午後に700万人を突破し、新記録を更新したと発表した。08年7月に中国人の台湾観光が解禁されて以来、中国からの訪問者数が増え続けていることが大きな要因。
 訪問者数は、中国人観光客が解禁されるまで300万人前後にとどまっていたが、09年は440万人、10年は557万人、昨年は609万人と増加していた。
 今年1〜11月の国・地域別では中国人が最多の236万人(前年同期比47%増)。日本人の台湾訪問者数は09年まで1位だったが、10年から中国人に抜かれ、今年1〜11月も131万人(同13%増)と中国人に次いで2番目だった。

◎中国の教団「全能神」への取り締まり強まる(2012年12月20日、朝日新聞)
 「世界が終わる」とのデマをあおっているとして、中国当局が宗教集団「全能神」への取り締まりを強めている。19日までに500人を超す教団関係者の身柄を拘束した。共産党を「赤い竜」と呼び、「絶滅」させる決戦を呼びかけているといい、警戒している。
 国営新華社通信などによると、13日に摘発を始めた青海省で身柄の拘束が400人に達したほか、福建、広東、四川、湖北、江蘇などで計100人を超えた。
 教団は「今月21日に世界が終わる」とふれ回っているといい、メディアも相次いで特集を組んで打ち消しを図っている。新華社は、河南省の農村で刃物を持った男が小学校に乱入し23人の児童に切りつけた14日の事件について長文の記事を配信した。男が「死ぬ前に、生きた証しを残したかった」と供述したとし、全能神の終末思想に洗脳されていたと伝えた。
 政府公認の中国キリスト教協会によると、全能神は約20年前に中部・河南省から広がった。キリストの生まれ変わりの女性が降臨したとし、信者に財産の寄付を強要したり、脱退者に暴行したりする事件が報告されているという。国家宗教事務局は「邪教」としている。共産党は締め付けを徹底する姿勢だ。

◎中国の2大国営石油、化学メーカー業績伸び悩み(2012年12月19日、化学工業日報)
 需要が盛り上がりを欠くなか、中国の2大国営石油・化学メーカーの2012年業績が伸び悩んでいる。上半期(1〜6月)業績でそろって減益となった中国石化(SINOPEC)、中国石油(ペトロチャイナ)とも第3四半期末時点では基調が変わらず、中国石油では減少幅が拡大した。いずれも世界経済の低迷や中国国内における石油、石油化学製品需要の落ち込みが背景としている。中国石化では、9月までの累計でエチレン、合成樹脂をはじめとした主要製品生産量がいずれも前年を割り込んでいる。生産額で30%を超える伸びを示した11年から一転して中国の石油・化学工業全体が伸びを欠いている12年の状況を反映したかたちだ。

◎有害微小物質で8600人死亡、中国4都市で調査(2012年12月19日、朝日新聞)
 北京大学と環境保護団体グリーンピースの調査によると、大気汚染をもたらす有害な微小粒子状物質(PM2.5)が原因で今年、中国4都市で約8600人が死亡した。19日付の国営英字紙チャイナ・デーリーが伝えた。
 PM2.5による経済的損失は、北京、上海、広州、西安の4都市で10億ドル(約842億円)に上るとし、研究結果は世界保健機関(WHO)の指針まで水準を下げるよう求めている。そうすれば、8割以上の死亡を防ぐことができるとしている。
 PM2.5は直径2.5マイクロメートル以下の有害微小物質で、肺がんや循環器疾患などを引き起こす。
 中国政府は主要都市に対し、PM2.5の測定値を公表するよう求めていた。

◎中国:「世界最後の日」信じる人々、混乱拡大(2012年12月18日、毎日新聞)
 「12月21日は古代マヤ人が予言していた世界最後の日」。中国各地でこうした「予言」を信じる人々が「暗闇が続く」とろうそくを大量に買い込んだり、「最後の日から逃れるため」の船のチケットが売り出されている。河南省光山県では、予言を信じて錯乱した36歳の男が14日、近くの小学校に侵入し、児童23人に刃物で切りつけた。児童はいずれも重軽傷で、内外に波紋を広げている。
 中国各紙によると、男は「人類が滅亡する」などとする「世界末日」の「予言」を信じていたという。地元では「12月21日から9日間、空が暗くなり、その後続けて72日の大災難が起きる。神を信じれば救われる」などとする出所不明のショートメールが流されていた。
 中国当局は最近、「世界末日」や「共産党との決戦」を唱える「全能神」と呼ばれる宗教集団を「邪教」として取り締まりを強め、これまでに関係者400人余りを拘束した。

◎「世界滅亡の日」を流布、中国当局が93人拘束(2012年12月18日、ロイター)
 中国当局は、今月21日に世界が終末を迎えるといううわさを流布したとして、7つの省で93人を拘束した。新華社が17日伝えた。
 拘束された93人の中には、当局から取り締まりを受けている「全能神」と呼ばれる団体のメンバーも含まれ、世界滅亡の日を唱えるパンフレットを配布するなどしていたという。
 新華社が青海省の省都西寧の治安当局の談話として伝えたところによると、こうしたカルトメンバーたちは古代マヤ文明の暦が今月21日に「人類滅亡」を迎えるとする説に基づき、太陽が輝きを失うなどと主張していたという。

◎習近平政権、深刻な格差と汚職、「既得権益集団」へのメスを(2012年12月18日、産経新聞)
 憲法前文に「中国は共産党が領導(指導)する国家」と書かれているように、中国では政治権力から超越した共産党に13億人の国民は統治されている。
 このような政治体制にあって、中国共産党第18回党大会を経て習近平が総書記となり、習を頂点とする集団指導体制が始動した。そこで国内は安定するのか、高度経済成長の影で取り残されてきた所得格差の拡大、環境破壊、官僚の汚職腐敗などの負の遺産の解決が出来るのか、が注目されている。そして中国の中心的課題は先送りされてきた政治改革である。
 向こう5年間をにらんだ新戦略は、党大会の政治報告で「中国の特色を持つ社会主義建設」を目標とし、2020年までに10年の国内総生産(GDP)を2倍にすることがうたわれた。また喫緊の課題である所得配分の改革や都市と農村のバランスなども重視されていた。政治改革も「西側政治制度のモデルをそのまま引き継がない」としながらも、民意の吸収と法治の全面的な推進を掲げていた。
 しかし第5世代を迎えた執行部が集団指導の度合いを強める中、思い切った政治改革が進められるのか、難題は多い。
 さらに政治改革が求められる背景には、貧富の格差拡大や拝金主義による社会規範の弛緩と司法への不信など社会の安定を蝕む喫緊の課題がある。党大会の政治報告でも汚職腐敗に対して「対策を誤れば党は致命傷を負い党・国家は滅亡する」との危機感が示された。
 しかし現実には一部の富裕層はますます肥えており、所得格差だけでなく資産格差、権利格差などに拡大している。解決のためには既得権益層への思い切った改革のメスが必要になるが、この点でも既得権益集団を代表する新指導部が、自らの身を切る改革ができるか、期待は薄い。
 先の反日デモでも毛沢東の肖像が出てきたように、政治改革と社会浄化を求めるマグマは止めようがない。さらに中国では経済成長に伴って中間層が生まれ、政治意識と改革を求める欲求は膨んでいる。
 これら国民の求める改革は究極的には政治改革・民主化になるが、それに対策が追いつくのか、中国の安定度合いは習指導部の改革の方向とスピードにかかっている。

◎終末論の「邪教」、中国警察で一斉にひざまずく(2012年12月18日、読売新聞)
 中国河南省南陽市で16日、中国当局が「邪教」と認定している宗教組織「全能神」の信者300人以上が、公安当局に拘束された地元組織幹部の釈放を求めて警察署前で一斉にひざまずく騒ぎがあった。
 公安関係者が17日、本紙に明らかにした。同市の別の地区では、共産党委員会前で信者が同様の行為に及んだとの情報もある。
 関係者らによると、河南省は同組織の活動が最も活発な地域の一つで、同市では最近、公安当局が全能神の摘発作戦を実施、複数の地元幹部を拘束したという。全能神は、古代マヤ文明の暦に基づき、「今月21日に世界が滅びる」との終末論を展開。「大きな赤い竜」と呼ぶ共産党を打倒し、全能神が統治する国家の樹立を主張している。

◎中国、「全能神」教団幹部ら一斉摘発、共産党絶滅訴え(2012年12月16日、朝日新聞)
 中国西部・青海省の当局が、キリスト教から分派した「全能神」と呼ばれる宗教集団の摘発に乗り出し、幹部37人の身柄を拘束した。中国メディアが16日、伝えた。中国が共産党という「赤い竜」に支配されているとして、共産党の「絶滅」に向けた決戦を呼びかけていたという。
 国営新華社や人民日報などのニュースサイトによると、青海省の公安庁が13日夜、一斉検挙に踏みきった。拘束された中には、同省西寧市内にいた7人の主要幹部も含まれる。
 政府公認の中国キリスト教協会や報道によると、全能神は1990年代に中部の河南省から広まった。キリストが生まれ変わった「閃電(稲妻)」という女性が光臨、人類に審判を下すと布教。「共産党を絶滅させ、全能神が治める国家を打ち立てよ」と呼びかけた。
 信徒数は不明だが、沿岸部から内陸部の広い地域に組織を拡大。信徒に財産の寄付を強要したり、脱退者に暴行を加えたりする事件が続発し、国家宗教事務局が「邪教」として取り締まりを強めていたという。
 中国では古代マヤ文明の暦から今月21日に世界が終末を迎えるとのうわさが広がっているが、当局は同集団が関与した疑いもあるとみている。

◎チベット族自殺多発で取り締まり強化、習近平氏への失望広がる(2012年12月16日、産経新聞)
 中国のチベット族居住地で最近、共産党の宗教弾圧に抗議し焼身自殺を図るチベット族の若者が急増する中、中国当局は自殺教唆容疑でチベット仏教の僧侶らを逮捕するなど、取り締まりの強化に乗り出した。習近平総書記による少数民族政策の改善を期待していたチベット族支援者の間で落胆の声が広がっている。
 国営新華社通信などによると、四川省と甘粛省で8日、20代のチベット族男性各1人と、青海省で9日夜、チベット族の10代の女子中学生が焼身自殺した。11月に28人が自殺を図ったが、12月はそれを上回るペースだという。
 民族問題研究家の阿部治平氏によると、チベット族の自殺の原因は、(1)当局の露骨な宗教介入への抗議(2)民族差別を受ける若者たちの進路の悩み-などが挙げられるという。
 しかし、共産党政権は自らの「少数民族と宗教政策に問題はない」(外務省報道官)と強調し、原因はチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の指示を受けた僧侶らがあおった結果だと主張してきた。
 四川省の警察当局は9日、同省アバ・チベット族チャン族自治州のチベット僧(40)と、おい(31)を自殺教唆容疑で逮捕したと発表。チベット族の自殺で同容疑の逮捕者が出るのは異例だ。「今後、自殺者が出る度に僧侶が逮捕される可能性もある」と関係者の間で懸念の声が上がっている。
 チベット族の支援者によると、11月中旬に発足した習近平指導部に対し、民族の融和を期待する向きもあった。習氏はチベット騒乱を弾圧した前任者の胡錦濤前総書記(国家主席)と異なり、チベット族の間に嫌悪感がない。
 むしろ、父親の習仲勲氏には地方指導者だった1950年代、青海省でチベット族に融和的な政策をとった実績があることから、習氏とダライ・ラマ側との対話再開を楽観する支援者さえいた。
 しかし、今回の僧侶らの逮捕により、胡錦濤時代の宗教弾圧を継承したことが判明した。チベット族の間で失望が広がりつつある。

◎中国、大陸棚拡張案を国連に申請、沖縄トラフまで(2012年12月15日、朝日新聞)
 中国は14日、東シナ海の中国沿岸から沖縄トラフまでを自国の大陸棚であると主張する大陸棚拡張案を国連の大陸棚限界委員会に申請した。日中が対立を深める尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む東シナ海一帯での権益拡大を図る動きだ。
 中国外務省が明らかにした。中国沿岸から沖縄トラフに至る東シナ海の大陸棚は、地形や地質的にみて中国大陸の自然な延長だと主張した。中国の大陸棚と認定されれば、中国は沿岸から200カイリの排他的経済水域(EEZ)を超え、海底資源の探査・開発などを独占的に行えるようになる。
 同委員会は中国の申請を来年7月以降に検討する見込みだが、他国の大陸棚と重なり合う場合などには当事国同士の協議が必要。同委員会が実際に検討に入るかどうかは不透明だ。
 9月に日本政府が尖閣諸島を国有化した後、中国政府は尖閣諸島に独自の領海基線を設けて国連に海図を提出した。今回、国連海洋法条約に基づく大陸棚拡張申請を行うことで、周辺海域の権益を守る姿勢を改めて国内外にアピールする狙いもある。

◎隊員と昼食、戦車に試乗も、習総書記が軍を視察(2012年12月14日、読売新聞)
 中国中央テレビによると、習近平(シージンピン)総書記は8~10日、広州軍区(司令部=広東省広州)に所属する部隊を視察した。
 習氏は、南シナ海を管轄する海軍南海艦隊のミサイル駆逐艦「海口」に乗船し、南シナ海での航行に同行。艦内の食堂で一般隊員と昼食を取りながら意見交換するなど、新しい指導者像を演出した。陸軍部隊の視察では、戦車に試乗したり、実弾演習を視察したりした。
 11月に総書記就任と同時に、軍トップの共産党中央軍事委員会主席に就任した習氏は、軍を統括した経験が少ないため、軍内で自身の権威を高めることが最優先課題。習氏は広州軍区視察の際、「強大な軍隊」建設への努力を表明したうえで、「党の指揮に従うことが強兵の心だ」と述べ、自身をトップとする党への忠誠を求めた。

◎中国、揺さぶり強める?尖閣で初の領空侵犯(2012年12月14日、読売新聞)
 藤村官房長官は13日、中国国家海洋局の航空機1機が同日、沖縄県・尖閣諸島の魚釣島近くの日本領空を侵犯し、航空自衛隊が戦闘機を緊急発進(スクランブル)させたと発表した。
 首相官邸で記者団に語った。中国機の領空侵犯は初めてで、政府は「極めて遺憾だ」と中国に抗議した。
 領空侵犯は、尖閣諸島の領有権を主張する中国が日本政府への揺さぶりを強める狙いがあるとみられる。
 防衛省によると、外国機の領空侵犯は統計を取り始めた1958年以降、これまでに34回あった。中国機の領空侵犯が確認されたのは初めてという。
 野田首相は13日、神奈川県相模原市の街頭演説で、領空侵犯について、「これからも緊張感を持って警戒監視にあたると同時に、中国政府に対しては厳しく抗議している」と強調した。外務省の河相周夫(ちかお)次官は同日、中国の韓志強臨時代理大使を同省に呼び、厳重抗議した。
 藤村氏らによると、海上保安庁の巡視船が同日午前11時6分頃、中国のプロペラ機(Y―12)1機の領空侵犯を確認し、直ちに領空外に出るように通告した。航空自衛隊は別の任務で飛行中だったF15戦闘機2機を向かわせ、空自那覇基地(那覇市)からもF15戦闘機6機と早期警戒機(E2C)1機を緊急発進させたが、到着した時には、中国機は領空外に出ていた。防衛省によると、自衛隊のレーダーでは領空侵犯を捕捉できなかった。低空飛行のため、捕捉できなかったとの見方がある。

◎中国の特許出願件数、米を抜き初の世界1位(2012年12月13日、読売新聞)
 世界知的所有権機関(WIPO)が11日発表した2011年の世界の特許出願状況に関する報告によると、中国の特許事務所が受け付けた特許の出願件数は52万6000件で、米国での50万3000件を抜いて初めて世界1位となった。
 11年の世界の特許出願総数は214万件で、中国はその4分の1を占めた。日本での出願件数は34万2000件で、中国、米国に次いで3位。4位は韓国の17万8000件だった。

◎中国での特許出願、世界最多に、2011年、米を抜く(2012年12月12日、朝日新聞)
 各国の特許当局が2011年に受け取った特許出願数で、中国が初めて世界1位になった。世界知的所有権機関(WIPO)が11日、報告書を発表した。
 「世界知的所有権指標2012年版」によると、中国での出願数は52万6412件で、これまで1位だった米国の50万3582件を抜いた。
 世界全体では計約214万件の出願があり、前年の約198万件から7.8%増えた。中国は前年比で34.6%の増。2位の米国は2.7%増えた。日本は3位で、34万2610件と0.6%減った。4位韓国は5.2%増の17万8924件。5位は欧州連合(EU)で5.4%減の14万2793件だった。6位ドイツ5万9444件、7位インド4万2291件、8位ロシア4万1414件、9位カナダ3万5111件、10位オーストラリア2万5526件。

◎中国共産党は「男の政党」、2人の女性が政治局員に選ばれた理由は(2012年12月11日、産経新聞)
 中国共産党の新しい指導部人事に関して、私がもう一つ注目したのは、政治局員に女性が2人も選出されたことである。これは1969年以来の出来事である。
 党の最高指導部を構成する政治局常務委員(通常7人前後)の下に位置する政治局員は、通常二十数人で、今回は2.5人が選ばれた。8300万を超える一般党員、そして13億余の国民からみれば、雲の上の人である。
 共産党が政権を握った1949年以降、政治局員はほとんどが男性で、この六十数年間に政治局員にまでのぼった女性は6人しかいない。ただ、文化大革命中の1969年4月、第9回党大会直後の中央委員会総会において、今回同様、女性2人が政治局員に選ばれている。江青と葉群で、2人は独裁的最高権力者である毛沢東とその後継者である林彪の妻だった。
 当時、事前の候補者名簿作成段階で、毛沢東と林彪はそれぞれ、自分の妻を政治局員に昇格させることに反対した。そのため、容易にはまとまらなかったが、毛沢東から名簿作りを任されていた周恩来は、毛沢東と林彪の反対にもかかわらず、江青と葉群の昇格を強く主張した。毛沢東も林彪も最終的には周恩来の主張を受け入れた。周恩来は毛沢東や林彪の「本心」を見抜いていたのである。その周恩来の妻も、夫の死後、政治局員になっている。
 江青と葉群が同時に政治局員だった期間は、1971年9月までの約2年半と短かった。葉群が林彪事件で、夫や息子らとともに亡くなったからである。
 今回、2人の女性が政治局員に選ばれた理由や背景は明らかでないが、中国共産党の歴史においては、きわめて異例なことなのである。
 もっとも、2人に増えたといっても、その割合は1割にも満たず、全党員に占める女性党員の割合である23%にも及ばない。党に限らず、政府や議会など政治の場において、男性が女性を数と比率で圧倒しており、地位が上にいくほど、その傾向が強くなっている。
 スイスの「世界経済フォーラム」は毎年、議員・閣僚の男女比などをもとに、「ジェンダー・ギャップ指数」の世界ランキングを発表している。男女差が小さいほどランクが上になる。中国は今年、69位で、日本は101位だった。両国ともなお男女差が大きいということである。中国や日本で、女性が党総書記や首相といった政治の最高ポストに就く日がやってくるのだろうか。

◎双子姉妹と愛人関係、公安局長解任、中国新疆、ネットで暴露 (2012年12月10日、産経新聞)
 9日の新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区西北部の都市の公安局長が双子の姉妹と愛人関係を持っているとインターネット上で暴露され、その後解任された。地元の共産党当局が事実関係を調べている。
 解任された公安局長は斉放氏。ネット上に斉氏が姉妹に公安関係の仕事をあっせんしたことや、姉妹の部屋の家賃を公安局の経費で支払っていたことなども暴露された。当局は暴露された情報の一部が事実だと確認したという。

◎中国:工業生産10.1%増、11月(2012年12月10日、毎日新聞)
 中国国家統計局が9日発表した11月の工業生産は、前年同月比10.1%増と、3カ月連続で伸びが拡大し、8カ月ぶりに2ケタの伸びを回復した。中国政府による公共投資や金融緩和などの景気刺激策の効果が出始めてきたとみられる。中国景気の減速は世界経済の先行き懸念要因となってきただけに、今後も生産などの回復傾向が続くかどうか注目される。

・8カ月ぶり2ケタ回復
 1〜11月の固定資産投資は20.7%増となった。夏以降、中国政府が地方のインフラ投資を相次いで認可。1〜10月はマイナスだった鉄道関連の投資が0.9%増とプラスに転じるなど、公共投資の増勢が顕著になっている。
 また、消費動向を示す11月の社会消費品小売総額は14.9%増と4カ月連続で前月を上回った。家具や宝飾品などが伸びており、北京市などで導入された家具の購入補助策などが需要を押し上げているとみられる。金融緩和を受けて不動産市場も回復基調にあり、1〜11月の不動産開発投資は前年同期比16.7%増と、1〜10月に比べて伸び率を1.3ポイント拡大した。

・消費者物価も上昇2%台に
 一方、同日発表された11月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、食品価格の上昇を主因に2.0%と3カ月ぶりに2%台となった。景気減速を背景に鈍化していたCPI上昇率は前月(1.7%)に底を打ち、再び上昇に転じたとの見方が広まっている。大きな比重を占める食品の上昇率は、3.0%と前月(1.8%)から拡大。特に野菜は、天候不順の影響などで11.3%上昇と跳ね上がった。
 今後はインフレ圧力を抑えながら、生産面を中心とした回復をどう軌道に乗せていくかが課題となる。来年の経済政策を話し合う中央経済工作会議が月内に開かれる予定で、新たに発足した中国共産党の習近平指導部が安定成長実現にどんな政策を打ち出すかが注目される。

◎中国の遺伝子組み換えコメ実験、食べさせた児童の親に補償金(2012年12月9日、産経新聞)
 8日付の中国英字紙チャイナ・デーリーによると、中国湖南省衡南県当局は7日、同県の小学校で2008年に行われた遺伝子組み換えコメを食べさせる実験に参加した児童2.5人の親に対し、一律8万元(約100万円)の補償金を支払った。
 中国疾病予防コントロールセンターなどは6日、規定の手続きを経ずに実験をしたとして、同センターの研究者ら関係者3人を解職処分にしたと発表していた。コメを食べた女児の親はチャイナ・デーリーに対し、事前に遺伝子組み換えコメを使った実験とは知らされていなかったと指摘した。
 同センターによると、実験は米タフツ大と中国側との共同実験。タフツ大の研究者が関係機関に届け出ずに中国に持ち込んだ遺伝子組み換えコメを児童に食べさせた。子どものビタミンA欠乏を防ぐ目的の実験だったという。

◎陳情者の口ふさぐ“ヤミ監獄”(2012年12月9日、産経新聞)
 北京市朝陽区の裁判所で11月末に下された判決をきっかけに、中国の「黒監獄(ヤミ監獄)」に再びスポットライトが当てられている。1年6月~数カ月の懲役刑を言い渡されたのは、地方から上京してきた陳情者を違法に監禁していた10人の陳情阻止要員たち。陳情阻止要員に違法拘禁罪が適用され、実刑が言い渡されたのは初めてというが、根本的な“病巣”は野放しのままだ。

・阻止要員を雇用
 中国紙、北京青年報などによると、今年4月下旬、河南省長葛市から北京の中央機関に陳情に来た市民12人が男たちに連れ去られ、北京市内の集合住宅の一室に監禁された。5月、通報を受けた北京市公安局に救出された陳情者の証言によると、男たちの胸には長葛市北京事務所のバッジが付いていた。
 中国で大きな社会問題となっている官僚の腐敗は、中央官庁以上に地方政府で顕在化している。各地方政府は北京での陳情活動を阻止するため、阻止要員を雇用し、陳情者らを北京の“ヤミ監獄”で監禁し、地元に送り返す違法行為が後を絶たないという。
 北京紙、新京報が、昨年、“ヤミ監獄”に監禁された数人の陳情者の体験談を事細かに報じている。
 江蘇省塩城市から陳情にやってきた58際の男性は陳情事務所から出てきたところ、頭をそり上げ、身体に入れ墨を彫った男達に「暴れると痛い目に遭うぞ!」と脅され、ミニバンに押し込められ、連れ去れた。

・人道を無視した扱い
 河南省周口市出身の60代の男性はホテルで、地元政府職員から「滞在ホテルを変えてやる」と言われた。職員が一緒にミニバンに乗り込んだため信用したが、その職員は途中で車を降り、男性はそのまま監禁されたという。
 監禁中の扱いも人道を無視している。“ヤミ監獄”に到着するや否や、持ち物を探られ、携帯電話や身分証明書などを没収された。抵抗すると殴打された。小銭だけは所持が許された。居住区内の売店で、タオルなどの日用品を市価の2倍の値段で売りつけるためだ。病人が出た際には、男たちが代わりに薬を買ってきたが、本来の価格の3倍を支払うよう要求してきた。
 食事も粗末だ。ある日の昼食は小さなお椀によそった米飯に数キレのキュウリだけ。おかわりを求めようものなら、拳が飛んでくる。母親とともに監禁された2歳と3歳の女児は当然、空腹を我慢できない。子供らに先にすべてを与えた母親がおかわりを求めると、足蹴にされた。母親は半日、起き上がることもできなかった。食事中、大きな声を出すだけでも、見張りがやってきて暴力を振るったという。
 男女を分けて監禁されていた部屋は約30平方メートル。監禁者が多いときは、身体を傾けて眠らなければならなかった。時計も通信設備もなく時間の概念を失ってしまうと、監禁者は述懐している。

・処罰は実行犯のみ
 警察は、ある警備会社が“ヤミ監獄”を運営していたと明かしている。中国メディアの報道によれば、地方政府がその雇い主であることは明白だ。しかし、警察は雇い主の身分については口を閉ざしている。
 今回の判決を「画期的」と称賛する声も上がっているが、処罰されたのは、いわゆる“実行犯”だけだ。取り締まるべきは、陳情阻止要員を使って、自らの腐敗が明るみに出ることを阻止しようとしている地方政府の幹部たちだ。幹部の腐敗に司法のメスが入らない限り、北京から“ヤミ監獄”が完全になくなることはない。
 中国共産党総書記の座に就いた習近平国家副主席(59)は、腐敗撲滅を“公約”に掲げている。中国政府はことある毎に、「法治国家」を標榜している。しかし、“ヤミ監獄”が横行している現状を見ても、法が正しく運用されているとは思えない。それが中国の現実だ。

◎習近平派が胡錦濤派追い落としか、中国、反腐敗名目で権力闘争(2012年12月8日、産経新聞)
 国営新華社通信などの中国メディアは今月に入ってから連日、汚職官僚摘発のニュースを大きく伝え、習近平・新指導部を「腐敗と真剣に戦っている」と持ち上げている。しかし、摘発された幹部の大半は胡錦濤国家主席が率いる共産主義青年団派につながっている人物で、反腐敗の名を借りた新たな党内の主導権争いではないかとの見方も浮上している。
 中国メディアによると、11月14日の党大会閉幕から今月8日までの約3週間で、当局は少なくとも14人の局長級以上の高官を取り調べた。地域的に調べが集中しているのは広東省で4人の高官が対象になっている。しかし、腐敗問題に詳しい中国人記者によれば、香港に隣接する広東省は中国でも最も権力に対する世論の監督が厳しいところで、内陸部と比べて腐敗現象は少ないはずという。
 一連の摘発の目的は同省トップの汪洋氏のイメージダウンを狙った可能性もある。汪氏は胡派の若手ホープで、来春に副首相への就任がささやかれている。
 また、今回摘発された最高位の幹部は李春城・四川省党委副書記だ。李氏の元上司、劉奇葆・前四川省党委書記は胡主席の腹心として知られる。劉氏は先月に政治局員に選ばれ、党中央宣伝部長に転出したばかり。調べられている李氏の汚職事件は劉氏の四川省在任中に発生しており、直接巻き込まれなくても、監督責任が問われる恐れもある。劉氏の政治生命に一定の影響が出そうだ。このほか、山西省、安徽省、河北省でも高官が調査を受けているが、いずれも共青団派の有力政治家がトップを務めている地域だ。
 さらに、米国の中国語サイト「明鏡新聞網」によれば、胡主席の側近中の側近だった令計画・党統一戦線工作部長の妻と義弟も最近、拘束され、令氏の実弟は拘束を逃れるため、出国したという。不正蓄財疑惑が持たれており、令氏本人の関与は不明だという。令氏は胡政権の官房長官にあたる中央弁公庁主任を5年間務めた実力者だが9月に更迭された。
 一連の腐敗摘発を主導しているのは、習氏と同じく太子党(元高級幹部子弟)に属している王岐山・中央規律検査委員会書記だ。摘発された高官の派閥があまりにも偏っているため、「5年後の党大会で、最高指導部入りする可能性のある胡派の次世代指導者の周辺にターゲットを絞り、調査したのではないか」(共産党関係者)と指摘する声も上がっている。

◎習総書記、深圳市で鄧小平像に献花(2012年12月8日、産経新聞)
 香港ケーブルテレビによると、中国共産党の習近平総書記は8日、広東省深圳市で、改革・開放路線を提唱した鄧小平氏の像に献花した。11月の総書記就任後、初の地方視察先で鄧小平氏の像に献花したのには、今後も同路線を推進していく姿勢を強く示す狙いがあるとみられる。
 深圳市は1980年に経済特区に指定され、同路線の先進的な都市として発展した。
 同テレビによると、習氏は8日、鄧小平氏が改革・開放路線を提唱後、貧しい漁村から急速に発展を遂げた住宅地区を視察した。鄧小平氏も84年にこの地区を視察、発展ぶりを見て同路線推進の手応えを感じたとされる。

◎習総書記が地方視察、改革・開放堅持をアピール(2012年12月8日、読売新聞)
 中国共産党の習近平(シージンピン)総書記は7日、深センなど広東省各地の視察を開始した。関係者が本紙に明らかにした。
 11月の総書記就任後、習氏の地方視察は初めて。改革・開放政策による発展を象徴する都市である深センを選んだことで、胡錦濤(フージンタオ)前総書記が進めた路線の堅持をアピールする狙いがあるとみられる。深センは、1992年に当時の最高指導者、トウ小平氏が、改革・開放加速のため視察した場所の一つ。
 ただ、関係者によると、習氏は7日午前に市内の党関連施設で行った演説で、「性急さを排し、着実に、穏当に改革を進める」と述べた。改革・開放に慎重な勢力にも配慮した発言とみられる。
 市内では厳重な警戒が敷かれる中、習氏は、香港などの企業誘致を図る目的で造成中の経済開発区や、大手インターネット企業なども視察した模様だ。8日には、トウ氏や胡氏も訪れた村を訪問するとの情報もある。

◎党幹部の愛人暴露で迫害、中国警察、家族も軟禁(2012年12月7日、産経新聞)
 中国重慶市北碚区トップの区共産党委員会書記、雷政富氏が愛人と関係を持っている場面を撮影した映像を提供した当局者が警察に行方を追われ、家族は自宅で軟禁状態に置かれていることが分かった。映像提供を受けてインターネット上に流した記者と名のる男性が7日までにネットで明らかにした。
 雷氏は愛人を仲介したとされる建設業者との汚職もうわさされている。男性は「警察が追及すべきなのは腐敗官僚で、提供者でない」と批判、自身も脅迫電話などによる嫌がらせを受けていると主張した。
 中国メディアによると、映像は11月20日「区党委書記と愛人のあられもない姿」との書き込みと共にネットで暴露された。市党当局は世論に押される形で調査、雷氏本人と確認した上で23日に解職を決めた。
 男性によると、提供者は28日から警察に追われ、現在は連絡が取れなくなり、家族がいる自宅は警察約10人が取り囲んで監視しているという。

◎PTA、中国で国内品と輸入品との価格差広がる(2012年12月6日、化学工業日報)
 中国の高純度テレフタル酸(PTA)取引において、国内品と輸入品の価格差が広がっている。8月下旬に一時、1トン当たり10ドル弱まで狭まった価格差だが、10月に入ってからは一貫して輸入品の割高感が強まっており、足元の値差は100ドルを越えた。中国では新興メーカー同士が安値競争に陥っている一方、非中国のPTAメーカーは採算面を考慮して大幅減産の動きに乗り出しているため、輸入品市場が引き締まりつつある。本来ならば値差が大きく開けば反動が起こるはずだが、足元は中国のPTAメーカーの一部がチキンレースの様相をみせており、ますます値差が広がっている状況だ。

◎暴動予備軍と習政権の行方(2012年12月6日、読売新聞)
 習近平政権が発足して数週間、この政権の不吉な未来を予兆するような暗いニュースばかりが中国から伝わってきている。
 たとえば11月27日、中国株の指標となる上海総合指数は久しぶりに2000ポイント台から落ちて約4年ぶりの低水準を記録した。
 新しい政権が誕生した直後に株の「ご祝儀相場」が見られることがあるが、中国の場合、むしろ新政権への「失望相場」となっている。
 同じ日に中国証券報が伝えたところによると、米JPモルガン・チェースが発表した11月の中国市場信頼感指数(JSI)は49.2で、10月の61.2から大幅に低下した。誕生早々の習政権はすでにバブル崩壊中の経済低迷に悩まされている。
 新政権を取り巻く社会情勢はさらに深刻だ。政権発足後わずか10日間で、大規模な暴動事件の発生が3件もあった。
 まず11月17日、習総書記自身がトップを務めた福建省寧徳市で、地元警察の汚職を疑う市民ら約1万人が暴動を起こし警察を襲った。
 20日には、浙江省温州市郊外の農村で、変電所建設に反対する地元住民1000人以上が警官隊300人と衝突し、200人が負傷した。
 その翌日の21日には、四川省広安市隣水県で、地元公安当局に抗議する住民1万人余りの暴動が起きた。公安当局の車が数台破壊され、20人の市民が負傷した。
 政権発足直後の暴動多発は、本欄指摘の通り新指導部人事に対する人々の絶望の表れでもあろうが、暴動に至るまでの経緯やその原因をみれば、背後にあるのはやはり、今の体制と社会全体に対する国民の強い反発と不満であると思う。
 例えば広安市隣水県で起きた暴動の場合、オートバイを運転していた住民が警察に殴られたことが事件の発端である。寧徳市の暴動の場合、1件の交通事故の発生が地元警察の汚職疑惑をもたらした。
 普通の国ではおよそ「暴動」と結びつけることのできない、警察による暴力沙汰や汚職疑惑が中国では1万人参加の暴動発生の原因となりうるのだ。
 言ってみれば、今の中国人は何らかの切実な理由があって「やむを得ず」暴動を起こしたというよりも、むしろ暴動をやりたくてうずうずしており、ちょっとした口実でもあればすぐそれに飛びついて一暴れするのである。
 中国のどこの町でも、このような危険極まりない暴動予備軍が常に万人単位で存在しているのであろう。
 この文章の冒頭でも取り上げているように、今後中国経済の低迷はさらに続き、失業の拡大や貧困層の生活難などの問題がより深刻化すれば、暴動予備軍の裾野はさらに広がっていく。
 習近平政権は今後、一体どうやってそういう人々を手なずけて民衆の爆発を防ごうとするのだろうか。
 おそらく彼らに残される最後の有効手段は、対外的な強硬政策を推し進めることによって国民の目を外に向かわせることであろう。
 実際、習政権はその発足後数週間、海軍の「虎の子」の新空母で初の着艦試験を成功させたり、東シナ海と南シナ海でそれぞれ軍事演習を実行したり、フィリピンなどと領有権を争う南シナ海周辺を自国領と紹介する軍監修の地図を発売したりして、まさに軍中心の挑発的な行動を頻繁に展開し始めている。
 内政面で追い詰められているこの政権は樹立早々、すでに危険な方向へと走っているようである。

◎「中国、覇権主義取らぬ」、習総書記、座談会を公開(2012年12月6日、朝日新聞)
 中国共産党の習近平(シーチンピン)総書記は5日、外国人専門家との座談会を開き、新体制の外交の基本路線について、「中国は覇権主義は取らない」と語った。習氏が総書記就任後に外国人と会見するのは初めて。座談会は外国メディアにも公開する異例の形で行われた。習氏自らが肉声で国際社会にメッセージを発した形だ。
 座談会は北京の人民大会堂で開かれ、中国在住の欧米、アフリカなど16カ国の科学者や企業家ら20人が招かれた。日本人としては中国の証券会社社長が参加し、一部メディアが代表取材した。
 習総書記は各国との関係について、「中国は一貫して平和的発展の道を歩み、他国に挑んで脅威となり、拡張路線を目指すことはない」と胡錦濤(フーチンタオ)政権の外交路線を引き継ぐことを強調。南シナ海などで周辺諸国と争いを抱え、中国脅威論が高まっていることを念頭に置いた発言とみられる。
 日本との関係については触れなかった。その一方で、中国が30年余り進めてきた改革開放路線やグローバル経済の大切さについて時間を割き、「対外開放という基本国策は動揺することなく堅持する」と強調。各国との経済協力を進め、ウインウインの関係になることを求めた。
 中国の最高指導者が、外国人専門家やメディアを招いて外交政策などの方針を説明するのはこれまでほとんどなかった試みだ。先月15日に発足した習指導部にとって、新たな手法を通じて国際社会の支持を集める狙いもあったとみられる。

・内外に「新しさ」強調
 胡錦濤(フーチンタオ)前総書記から中国共産党トップの座を譲り受けて3週間、習近平(シーチンピン)総書記は、国内外に向けたメッセージを矢継ぎ早に打ち出している。これまでの指導部にはなかったスタイルは市民の好評も得ているが、内外に抱える課題は山積だ。
 「国際社会は運命共同体だ。我々は同じ舟に乗り、共通の課題に一緒に立ち向かう関係にある」
 5日、北京の人民大会堂に法律や農業、金融、環境など様々な分野の外国人専門家20人を招いた座談会で、習総書記はこう話した。時間は約1時間で、発言を求められた専門家は4人だけ。本当の狙いが、中国外務省が指名して招き入れた各国の代表メディアに、習指導部のメッセージを伝えることに置かれているのは明らかだった。
 習総書記が強調したのは、「中国は覇権を求めない」という胡政権が繰り返してきた外交の基本路線だった。
 尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海で周辺国との対立が深まり、中国に対する「脅威論」は強まっている。日本や欧米に習総書記を「対外的なタカ派」と警戒する声がある中、自身の言葉で「平和発展路線」をアピールする狙いがあったとみられる。
 習総書記は就任以来、国内向けにも矢継ぎ早の宣伝工作を展開している。
 その一つが「党の気風を変えよう」キャンペーンだ。党指導部の政治局は4日の会議で「8カ条の決まり」を全会一致で決めた。幹部の視察などでの随行者を減らしたり、出迎えの大衆動員を禁止したりした。
 式典などでおきまりの赤いカーペットを使わないようにも指示を出した。指導者が移動する際の交通規制も原則禁止した。これらは、中国版ツイッターの「微博」で約35万人が注目するほどの話題になった。
 習総書記の盛んなアピールの背景には、政権の移行期に権力基盤を早く固めたいとの思いが透ける。対外的には中国の台頭を懸念する国際社会の圧力と向き合い、国内的には「既得権益集団」とさえ言われるようになった党への不信と不満を抱えているからだ。
 大衆路線やナショナリズムの強調を含めた積極的なアピール攻勢について、政府に批判的な歴史学者は「党内外の求心力を高める狙いだろうが、言葉に踊らされる国民は多数派ではない」と厳しい見方だ。
 習近平総書記の5日の外国人専門家との座談会での発言要旨は以下の通り。
 私たちの(今後の発展目標に向けた)取り組みは、世界の人たちの支持を得てこそ実現できる。これまでの改革・開放政策で得た成果は、外国人専門家たちの力なしには成し遂げられなかった。我々はこれからも対外開放という基本的な国策を動揺することなく堅持する。門戸を閉じることはない。
 中国はすでに世間の注目を集める発展を遂げた。しかし、同時にまだ発展途上国であり、解決しなければならない問題がたくさんある。おごることなく、各国の優秀な文明の成果を学び、各国の長所を取り入れ、(中国の)短所を補いたい。
 各国とともにウインウインの関係を築き、運命共同体として、世界経済の複雑な情勢と地球規模の問題に対応していく。
 中国は、平和的発展の道を歩む。決して私利私欲ではない。自分が勝って相手が敗れるような発展モデルでもない。他国に挑んで脅威となることは決してなく、覇権主義を唱えたり、拡大を求めたりすることも決してない。
 中国が発展することは、世界の平和発展に有利となる。協力し合うことで共に勝者となれる。

◎中国の元女子アナ、市議の性的関係強要を暴露、取材で知り合って繰り返し(2012年12月5日、産経新聞)
 4日付の中国各紙によると、黒竜江省双城市にあるテレビ局の元アナウンサーの女性(42)がインターネット上で、同市人民代表大会代表(市議会議員)だった孫徳江氏(54)から長期にわたり性的関係を強要されたと暴露した。同大会常務委員会は孫氏の代表資格停止を決定した。
 女性は王徳春さん。11月中旬に短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」上で自身の身分を明かし、1990年代に取材を通じて知り合った孫氏から繰り返し性的関係を強要されたと告白した。
 その後、市当局は規律違反があったとして孫氏の捜査に着手した。
 習近平新指導部は共産党幹部や官僚による腐敗撲滅に取り組む姿勢を繰り返し強調。当局者の不正がネットなどを通じて暴露され、摘発されるケースが相次いでいる。

◎北朝鮮を名指し、中国がミサイル発射自制求める(2012年12月5日、読売新聞)
 人工衛星打ち上げと称する北朝鮮の弾道ミサイル発射計画について、中国外務省の洪磊(ホンレイ)副報道局長は4日の定例記者会見で、北朝鮮を名指しし、「朝鮮半島の平和と安定という大局に立ち、慎重な行動を望む」と強く自制を求めた。
 「中国は北朝鮮と何度も意見交換した」とも述べ、中国が発射自制に向けて北朝鮮との協議に乗り出したことを明らかにした。
 1日の発射計画発表後、中国が中朝協議の実施を公表したのは初めて。国際社会に対し、中国が事態打開に努力している姿勢を示す狙いがあるとみられる。

◎「中国漁船がケーブル切断」ベトナム政府が抗議(2012年12月5日、読売新聞)
 ベトナムの国営石油会社ペトロベトナムは3日、同社の資源探査船が越沖の南シナ海を航行中、中国漁船に調査用のケーブルを切断されたと明らかにした。
 越外務省は同日、在越中国大使館を通じて抗議した。探査船のケーブル切断問題は昨年5月も発生し、ハノイでの反中デモにつながった。
 同社ホームページなどによると、南シナ海を航行中だった探査船は11月30日早朝、中部クアンチ省の東約100キロの沖合で中国漁船に遭遇。探査船が、漁船に退去するよう警告すると、漁船2隻が探査船の背後に回り、ケーブルを切断したという。ケーブルはすぐに修復され、12月1日に調査は再開された。同社幹部は、ベトナムの排他的経済水域で中国漁船の違法操業が横行していると指摘した。

◎米、中国核関連企業に罰金、パキスタンに不正輸出(2012年12月4日、産経新聞)
 米司法省は3日、米国製の原発関連資材をパキスタンに不正輸出した中国の政府系企業が有罪を認め、200万ドル(約1億6千万円)の罰金を米側に支払うことで合意したことを明らかにした。
 ロイター通信などによると、摘発されたのは中国核工業華興建設。2006~07年、高温に耐えられる米国製のコーティング材を、出荷先を隠してパキスタンへ建設中の原発向けに輸出。パキスタン向けの原子力関連製品の米輸出規制に違反した罪に問われた。
 罰金のうち半額の100万ドルは、5年間の執行猶予付き。ただ刑事罰とは別に、米商務省と100万ドルの制裁金支払いと輸出関連法順守のための監査を受けることで合意したという。

◎対照際立つ中国の新指導者、「中華民族主義」掲げる習近平氏、経済改革」決意示す李克強氏(2012年12月2日、産経新聞)
 中国共産党の新指導部が発足して2週間余り。トップの習近平総書記と序列2位で次期首相に内定している李克強副首相の言動の違いが際立っている。習総書記が「中華民族の偉大な復興」という江沢民政権時代のスローガンを連呼して民族主義を鼓吹する一方、李副首相は「改革の深化こそが(発展をもたらす)最大のボーナス」と改革断行の決意を表明している。
 太子党(高級幹部子弟)の習総書記は「中華民族」の偉大さを掲げることで大衆の不満解消を狙うのに対し、共産主義青年団(共青団)グループの胡錦濤前総書記(国家主席)が果たせなかった課題に共青団出身の李副首相が真摯に取り組もうとしているようにもみえる。表向きは役割を分担しているかのようだが、すでに双方の路線の違いがにじみ出た格好でもある。
 習総書記は11月29日、6人の政治局常務委員らを伴い北京市の国家博物館を訪問。中国近現代史の展覧会を参観後、テレビカメラを前に「アヘン戦争から170年余りの奮闘は、中華民族の偉大な復興への明るい未来を示している」などと国民に語りかけた。
 約10分の演説で「中華民族」や「(中華民族の)偉大な復興」という言葉を合わせて20回近く連呼。「歴史上、今ほどこの目標に近づいているときはない」と自画自賛した。習氏は11月15日の内外会見でもこうした言葉を繰り返していた。
 現代中国では毛沢東時代から、欧米列強の侵略にあえいだ過去を国民に想起させ、政権安定につなげる手法がよく用いられている。
 江沢民元総書記は激しい反日教育・宣伝を展開して不満を外にそらす一方、「中華民族の偉大な復興を果たす」との目標を掲げて、天安門事件後の共産党政権の危機を乗り越えることに“成功”した。
 このひそみにならい習氏は日本による沖縄県・尖閣諸島の国有化後、パネッタ米国防長官らに激しい対日非難を展開。中華民族主義の鼓吹を通じて、貧富の格差や幹部の腐敗に対する国民の不満をしのごうとしているようにもみえる。
 対照的に胡前総書記直系の李副首相は11月21日の会議で、「経済の発展方式の転換を加速するために、確固として揺るぎなく改革を進める」と宣言。
 「市場経済の本質は法治経済であり、法治徹底のための改革を進める」と政治改革にも踏み込む意向や、「(太子党ら)既得権益層の利益」に切り込む考えも示した。

◎メンツ潰された中国、習総書記の対北政策の試金石に(2012年12月2日、産経新聞)
 中国国営新華社通信は1日、北朝鮮がミサイル発射を予告したことを速報した。北のミサイル開発に強い懸念を抱いてきた中国としては“メンツ”を潰された格好だ。今後の出方によって、中国共産党総書記となった習近平国家副主席の対北政策を占うことができそうだ。
 中国外務省の洪磊報道官は11月27日、「朝鮮半島の平和と安定の維持は関係国の共同責任だ」と述べ、北に自制を求めた。30日には新指導部の始動後、党政治局員級として初めて訪朝した全国人民代表大会(全人代=国会)の李建国常務委員会副委員長が、金正恩第1書記と会談した。その翌日の発射予告は、中国の思いのままにはならないとの意思表示のようにみえる。
 今年4月の発射実験の際、中国は国連安全保障理事会の対北朝鮮非難の議長声明に賛成し、中朝関係は悪化。北は経済協力について中国側と協議し、関係改善の道を模索していた。
 習氏は一昨年、朝鮮戦争への中国義勇軍参戦60周年に合わせ、「中国国民は両国国民と軍隊が血で固めた偉大な友好を忘れたことがない」と述べた。それまでの数年間、北との関係を「血の友誼(ゆうぎ)」と表現することを避けていた中国の立場とは異なる発言だった。
 北を擁護し続ければ国際社会で共に孤立し、軍備拡張を進める中国自身にも矛先が向きかねない。中国国民もインターネット上で、北に対する嫌悪感を隠さない。国内外の世論を読みながら、習氏がどのような判断を下すか注目される。

◎大連―ハルビンが3時間半、中国東北部で高速鉄道開通(2012年12月1日、朝日新聞)
 中国東北部を南北に貫く高速鉄道が1日、営業運行を始めた。遼寧省大連市と黒竜江省ハルビン市の921キロを最速約3時間半で結び、最高時速は300キロ。当初は昨年10月に開通予定だったが、温州の鉄道事故や鉄道省幹部の汚職事件などでずれこんでいた。
 鉄道省などによると、同区間は2007年8月に工事が始まった。冬季の気温が零下40度にまで下がる寒冷地を走るため、12~3月は最高時速を200キロに抑える。今年10月から試運転を繰り返し、線路の安全や運転士の技術をチェックしていたという。
 大連―ハルビン間はこれまで最も速い電車で約9時間20分、飛行機で約1時間半かかっていた。同区間の冬季料金は最も安い2等席が285元(約3700円)。
 中国では今年10月末までに、7735キロの高速鉄道網が完成。全国の鉄道旅客輸送量の約4分の1を占めており、さらに1万キロの整備を進めている。新たに高速鉄道が通る遼寧、吉林、黒竜江の東北3省は、沿海部に比べて立ち遅れた経済の振興に効果があると期待している。

◎中国の人気女性アイドルが顔面の整形手術中に死亡、当局が調査へ(2012年11月30日、産経新聞)
 中国で人気女性アイドルが美容整形の手術中に死亡する事故があり、衛生当局も調査に乗り出した。
 新華社電などによると、死亡したのは中国のオーディション番組「超級女声(スーパーガール)」への出演経験もある王貝さん(24)。11月15日に湖省省武漢の美容外科で顔面の手術を受けていたところ突然ショック状態に陥り、その後、別の病院で死亡が確認された。
 中国衛生省が30日までに湖北省衛生庁に対し、事実関係を調べて調査結果を公表するよう指示したが、この美容外科は営業許可証に改竄の跡があり、執刀医に手術をする資格があったかどうか分からないなど、不審な点も浮上している。
 中国では年間300万人が美容整形手術を受けているとされる、一方、執刀する医師の数は不足ぎみ。王貝さんの死を受け、中国では美容整形の危険性を懸念する声も高まっている。

◎中国、北極権益に虎視眈々 豊富なエネルギーや鉱物資源、スウェーデン研究所が分析(2012年11月27日、産経新聞)
 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は27日、北極圏のエネルギーや鉱物資源をめぐり、中国があえて控えめな姿勢を取って虎視眈々と権益の獲得を狙っていると分析した報告書を発表した。
 報告書は「中国の北極での野心」とのタイトルで、中国が北極圏に接するスウェーデンなどと外交関係を強めているほか、中国企業がアイスランドなどで開発事業に乗り出していることを指摘。氷の減少で本格的な活用が見込まれる北極圏航路へのアクセス確保も求めており、中国の海運会社がリース契約を結んでいる北朝鮮・羅先の港が北極圏航海の拠点になるとの観測も紹介した。一方で各国との対立を避けるため、北極圏の豊富なエネルギーや鉱物資源を狙った強硬な言動は控え「地球温暖化で北極の氷が解ければ中国も多大な影響を受ける」と地球環境問題の側面からの主張を前面に出していると分析している。

◎胡錦濤氏の「最後の功績」、トウ小平氏以来の悪弊打破した“完全引退”(2012年11月27日、産経新聞)
 中国共産党の新しい指導部人事に関して、私が注目したことのひとつは、胡錦濤がその理由や背景はともあれ、トウ小平以来の前例を打破して「完全引退」したことである。
 トウ小平は指導者の終身制という悪弊を、身をもって打破した。毛沢東も周恩来も亡くなるまで党主席や首相の座にあったが、トウ小平は自らの意思で、高齢を理由に党や政府の指導的ポストから退いた。
 だが、1987年秋の党大会でトウ小平がひら党員になったとき、党最高ポストの総書記に就任した趙紫陽は、党大会直後の党中央委員会総会で、今後も重大なことがらについてはトウ小平に報告し、教えを乞うことを提案し、総会の承認を得た。
 趙紫陽はこの「秘密決定」の存在を、天安門事件(1989年6月)で失脚する直前、訪中したゴルバチョフとの会談で暴露した。保守派長老の薄一波(今春失脚した元重慶市トップの薄煕来の父)がトウ小平の意を受けて、そうした提案をするよう趙紫陽に求め、趙紫陽はそれに応じたのだった。
 トウ小平はしかも、ひら党員になった後も約2年間、軍のトップの座にあった。中国の政治において、軍を掌握していることの重要性を十分に認識していたからである。
 トウ小平からその後継者である江沢民への権力委譲が完了したのは1994年秋のことで、トウ小平に最終的な判断を仰ぐという「秘密決定」もこのときようやく失効した。江沢民にとって幸いだったのは、トウ小平ら長老が次々に亡くなったことである。
 江沢民は2002年秋の党大会でひら党員になったが、トウ小平にならって、その後2年間は軍の最高ポストを胡錦濤に譲らなかった。さらに、これまた前例にそって、重大なことがらについては江沢民に報告し、教えを乞うという「秘密決定」が、党中央政治局においてなされたという。
 だが今回、胡錦濤が総書記からひら党員になったとき、トウ小平や江沢民とは異なり、「秘密決定」も行われず、軍の最高ポストに居座ることもなかった。
 胡錦濤の「完全引退」は、ひら党員が軍のトップに座るという悪しき慣例と、ひら党員に総書記にも勝る大きな権限を与えるという、公にはできない決定を撤廃するものであり、中国共産党の指導制度の近代化につながるものである。そしてこれを機に、党や政府の指導的ポスト同様、軍の指導的ポストについても、多選を禁止する明確な規定を設けるべきだろう。

◎台湾も「中国領」、中国新旅券の地図に関係国など抗議(2012年11月26日、朝日新聞)
 中国の最新版の旅券(パスポート)に、南シナ海や台湾などを「自国領」とするデザインが盛り込まれ、関係する国や地域から一斉に抗議の声が上がっている。
 旅券は5月に発行された。査証を張るページに印刷した中国地図に、南シナ海の大部分を自国の管轄圏と主張する境界線(通称「牛の舌」)を書き込んだほか、台湾の景勝地を自国のものとして描いている。
 フィリピンやベトナム政府が22日までに抗議したのに続き、台湾で対中政策を担当する大陸委員会も23日、「事実に反し、争いを挑発する行為だ」との非難声明を出した。
 中国と領土問題を抱えるインドも激怒。在北京のインド大使館は、中国人のパスポートにインド側の主張する国境線を描いた地図入りの査証(ビザ)を張り始めた。
 中国は、自国の主張に沿った地図の整備を進めており、新旅券にも反映された形だ。日本と対立が深まる尖閣諸島は、国有化が決まる前に旅券が発行されたせいか、描かれていない。

◎中国:四川省広安市隣水県で暴動、20人の市民が負傷(2012年11月24日、毎日新聞)
 香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」は24日、中国四川省広安市隣水県で21日、地元公安当局に抗議する住民1万人余りの暴動が起きたと伝えた。公安当局の車が破壊され、20人の市民が負傷した。
 センターによると、21日正午ごろ、オートバイを運転していた住民1人を公安当局者が殴り、これに抗議する市民らが警官隊と衝突した。広安市は最高指導者だったトウ小平(しょうへい)の出身地として知られる。
 共産党大会の閉幕後、中国各地では暴動が相次いでいる。習近平(しゅう・きんぺい)総書記の元勤務地である福建省寧徳市で17日、地元警察の汚職を疑う市民ら約1万人による暴動が発生。20日も浙江省温州で変電所建設に反対する地元住民1000人以上が警官隊2000人と衝突し、200人が負傷した。

◎どうしてこうなった、完成間近の道路の真ん中にアパートが、中国(2012年11月24日、産経新聞)
 中国東部浙江省温嶺市近郊の村で間もなく完成する4車線道路の中央に1軒のアパートが残り、話題となっている。22日、ロイター通信が伝えた。
 アパートの所有者と居住者が、「提示された補償額が十分ではない」と立ち退きを拒否。所有者家族は「アパートの1階に店を開きたい」と強気の構えを崩していない。この道路は温嶺市の主要駅につながっており、完成すれば1日に数千台の車両が通行することになるという。

◎中国の旅券に南シナ海地図、フィリピン・ベトナムが抗議(2012年11月23日、朝日新聞)
 フィリピン、ベトナム両政府は22日、両国などと領有権をめぐり対立している南シナ海の地図を中国が自国のパスポートに印刷していることが分かったとして、中国側に抗議したことを明らかにした。地図には中国が主張する領海線が書き示されているという。
 フィリピン政府は「受け入れがたい主権の侵害」として、マニラの中国大使館に抗議文を送付。ベトナム政府も同様に中国側に抗議し、地図の削除を求めたという。

◎「薄煕来氏量刑」で綱引き、最高裁院長に胡氏の腹心就任か(2012年11月23日、産経新聞)
 薄煕来氏を失脚に追い込んだ胡錦濤国家主席は、共産党総書記から引退する前に、「薄氏を厳罰に処する」との約束を習近平、江沢民両派から取り付けたとみられる。しかし初公判の時期や量刑については、各派の政治闘争が続く中、取引材料になり得ると複数の党関係者は証言している。
 一部の香港紙は、党大会開催前の10月中旬に湖南省長沙市で薄氏の初公判が開かれると報じたものの、そうはならなかった。薄氏は取り調べに非協力的で、ハンガーストライキを展開しているとの情報もある。
 薄氏の量刑をめぐっては「死刑」から「執行猶予付きの懲役刑」まで今なおさまざまな噂が流れている。
 薄氏の処理に関する習総書記の態度は不透明だ。習氏は総書記就任翌日の16日、政治局会議で「腐敗に厳しく対処する」と述べる一方、「毛沢東思想を捨ててはならない」と強調した。ある党幹部は「真意がわからない」と首をかしげる。
 胡主席の腹心で湖南省党委書記の周強氏が、最高人民法院(最高裁)の院長に就任することが複数の共産党筋によって確認されている。薄氏を厳罰に処するために胡主席が送り込んだとの指摘もある。

◎「反薄煕来派」地方で台頭、重要ポストに抜擢、復権阻止狙う(2012年11月23日、産経新聞)
 習近平総書記をトップとする中国共産党の新指導部は、23日までに主要な地方指導者などの人事を発表、今春に失脚した薄煕来・元重慶市党委員会書記のかつての“政敵”らが相次いで重要ポストに抜擢された。一連の人事は胡錦濤前総書記(国家主席)が退任前に決めたとみられ、薄氏の政治的復権を完全に阻止する狙いがある。習総書記、胡前総書記、江沢民元総書記各派の政治闘争はなおも続いている。
 最も注目された人事は、孫春蘭氏が天津市党委書記に就任したことだった。北京、上海、天津、重慶の4直轄市で初めて女性のトップとなった孫氏は、薄氏と犬猿の仲だったためだ。
 2001年、遼寧省長に転出する薄氏の後任として大連市党委書記に就いた孫氏は、転出後も大連市の人事に口を出し続けた薄氏に反発、2人は激しく対立した。党関係者によれば、紡績工場で勤務した経験のある孫氏を「紡績女工のくせに調子に乗るな」と薄氏が面罵したこともあったという。孫氏はその後、福建省党委書記などを歴任、今回政治局員にも選出された。
 また、四川省党委書記に就任した王東明氏も遼寧省時代の薄氏の同僚だ。しかし薄氏に嫌われ、中央機構編成委員会弁公室主任という閑職に飛ばされた経験を持つ。政治的に再起不能ともいわれたが、今回、中南部の最大省、四川省のトップに返り咲いたことは党幹部の間で話題となった。
 さらに、薄氏が04年から07年まで商務相を務めたときの部下、于広洲元商務次官も、中央委員に抜擢された。商務相への就任が取り沙汰されている。于氏も薄氏との不仲が知られた人物だ。
 これらの人事は胡錦濤派が主導したとされる。薄氏を最も嫌う幹部たちを重要ポストにすえることで、党内で薄氏の復活を求める動きがあっても、彼らが率先してその芽をつぶすことを期待した人事だと共産党筋は指摘する。
 薄氏の身柄はすでに司法機関に送られた。だが、党内で薄氏の厳罰を強く主張しているのは胡氏周辺だけで、習近平総書記の態度は曖昧という。江沢民派など薄氏を支持する勢力も依然として党内で力を持つ。
 国民の一部では、毛沢東の政治手法をまねて、汚職官僚を厳罰に処し「格差是正」を強調してきた薄氏の人気が高い。9月の反日デモの際には、毛沢東の写真を掲げて「薄氏を人民に返せ」と叫ぶデモ隊も見られた。
 民間の薄氏人気と党内の薄氏を支持する勢力が一緒になれば、薄氏が厳罰を免れ、かつての鄧小平のように復権を果たす可能性も否定できない。胡派が最も恐れるのもこうした事態だ。

◎隠居する、私のこと忘れて、中国の温家宝首相(2012年11月23日、読売新聞)
 来年春に引退する中国の温家宝(ウェンジアバオ)首相は20日からのバンコク訪問中、地元華僑らの前であいさつし、「数か月後には引退し、隠居する。人々は私のことを忘れてほしい」と語った。中国メディアが22日、報じた。
 温氏は「経済の発展や強大な科学技術力だけでは世界からの尊敬は勝ち取れない」と発言。「民主的な法制度の建設推進」「公正な社会の実現」「国民の自由と権利の確保」などの課題を挙げ、「多くのことがやり残された」とも述べた。
 米紙ニューヨーク・タイムズが報じた家族の巨額蓄財疑惑に対する説明責任を果たしていないとの批判もある温氏は、春秋戦国時代の楚の詩人、屈原の「真理の追求のためなら何度死んでも悔いはない」「自分の潔白のためなら、たとえ死んでも誠実であり正直でいる」との句を引用した。楚王への再三の意見が受け入れられず、失意の中で自殺した「愛国の詩人」の詩を借り、間接的に自身の潔白を訴えたとみられる。

◎習近平政権「冷めた餃子」、暗い未来に同情(2012年11月22日、産経新聞)
 今月15日に選出された中国共産党政治局常務委員の顔ぶれを見ていると、何だか習近平政権の暗い未来に同情したくなる思いである。7人の常務委員の大半は、大した実績も国民的人望もなく、未来へのビジョンも開拓の精神もいっさい持たない守旧型の党官僚ばかりだからだ。
 昔、米メディアが日本の総理大臣のことを「冷めたピザ」と揶揄したことがあるが、それにならって、多少の失礼は承知の上で中国の政治局常務委員の面々を「冷めた餃子」と評したい。この最高指導部の布陣では、中国国民に「希望」を与えるようなことはまず無理であろう。
 さらにたちの悪いことに7人の政治局常務委員の中の5人までは、江沢民(前国家主席)派か江沢民派に近い人間である。表向きは「習近平政権」となっているが、内実はむしろ、老害の江沢民一派が牛耳る「江沢民傀儡政権」であるといえよう。
 これでは、がんじがらめとなっている習近平氏や李克強氏などの新世代指導者が思い切った仕事をできるはずもない。習近平政権はその誕生した時点から、すでに「死に体」の様相を呈しているのである。
 江沢民一派が全力を挙げて権力闘争を勝ち抜き、新しい最高指導部の掌握に躍起になったのには、それなりの理由がある。
 本欄で指摘してきた通りに今年の春頃から、共産党党内では胡錦濤国家主席が率いる共青団派の若手ホープの汪洋・広東省党書記が先頭に立ち「政治改革」を盛んに唱え、改革推進の機運が高まってきている。
 汪氏たちの目指す政治改革は政治権力が市場経済に介入して作り上げた腐敗の利権構造にメスを入れ、それを打破することによって国民の政権に対する不満を解消することである。
 だが、これまで二十数年間、全国で腐敗の利権構造を作り上げ、甘い汁を吸ってきたのはまさに江沢民一派とその関係者だから、彼らは汪氏たちがやろうとする政治改革を許せない。
 その結果、今夏の段階で一度は固まった、改革派の汪氏と改革派に近い中央組織部長だった李源潮氏の政治局常務委員会入り人事が江氏ら長老たちによって潰され、「政治改革」への流れは見事に封じ込められたのである。
 すべては江沢民一派の思惑通りの展開となっているが、残された大問題はむしろ、政治改革を断行することによって難局打開の突破口を作る機会を失った習政権がこれから、一体どうやって民衆の不満を解消して政権の維持を図っていくのか、である。
 15日の党総書記就任の直後に行われた「就任演説」で習氏自身は、これといった政策ビジョンを示すことができなかったが、その代わりに、彼は頻繁に「民族」という言葉を持ち出して「民族の偉大なる復興」を熱心に唱えた。
 つまり習氏は、「江沢民傀儡政権」のトップよろしく、10年前の江沢民時代の政治路線を継承し、ナショナリズムを高らかに掲げてそれを政権維持の柱にしようと考えているのだ。
 今後、「冷めた餃子」の習政権の下で貧富の格差の拡大などの問題がよりいっそう深刻化し国内の混乱がさらに拡大してくると、対外的危機を作り出し国民の不満を外に向けさせるのが彼らに残された「最善」の選択肢となろう。
 その時に、尖閣と日本は彼らにとっての格好の標的となりかねない。したがって日本としては、今後5年内における習政権の動きを注意深く観察しながら「その暴走」を大いに警戒すべきであろう。

◎万里の長城、中国人観光客遭難、北京、2人死亡(2012年11月22日、朝日新聞)
 20日付の北京日報によると、北京市延慶県の九眼楼風景区にある「万里の長城」付近で、中国人観光客7人が18日夜、遭難した。約6時間後に救出されたが、うち60歳の男性と49歳の女性の計2人が死亡した。現場付近は標高約1100メートル。零下2~3度で雪が降っていたという。今月3日に日本人が遭難した現場からは約80キロ離れている。

◎「秩序乱した」、首相に陳情の女性拘束、中国(2012年11月22日、産経新聞)
 中国雲南省と貴州省の境界付近で9月に発生、80人以上が死亡した地震で、見舞いのために被災地を訪れた温家宝首相に土地収用問題の解決を訴えた女性(29)が、公共の秩序を乱したとして地元の公安当局に拘束されていたことが分かった。22日付の中国紙、新京報が伝えた。
 いち早く被災地入りした温首相は直訴を聞き入れると応じていたが、拘束が発覚したことで「パフォーマンスにすぎなかった」と失望する声も出ており、波紋が広がりそうだ。
 同紙によると、9月8日に雲南省昭通市を訪れた温首相に対し、女性や住民らが土地収用の賠償金などへの不満を直訴。温首相は「必ずあなたたちが満足する回答をする」と約束したという。

◎中国、新疆で子ども誘拐続発、11年4月から2千人救出(2012年11月22日、朝日新聞)
 中国新疆ウイグル自治区で、子どもが誘拐され、都会で盗みなどの犯罪を強要される事件が後を絶たない。公安省は20日、昨年4月以降の集中取り締まりで、同自治区出身の2274人の未成年者を救出し、容疑者2749人を逮捕したと発表した。
 公安省などによると、容疑者らは同自治区の子どもを北京や上海、西安などの都市に送り込み、ショッピングセンターや駅といった人が多く集まる場所で、窃盗などの違法行為をさせていた疑いがある。その際、暴力で虐待したり、脅迫したりもしていたという。
 2011年に誘拐されて救出された同自治区の未成年者は1332人だった。例年3千人前後が救出されているが、幼いころ誘拐されたため、救出された後に自宅の住所が言えない子もいるという。

◎謎多き最高指導者、実績もなく選ばれた男(2012年11月20日、産経新聞)
 北京市中心部の高級中華料理店の個室。中国共産党の習近平総書記(59)が誕生してから2日後の17日の夜、40代の党中堅幹部3人が杯を重ねていた。この日の宴席の“主菜”は、発表されたばかりの党中央人事だった。
 テーブルに並ぶ上海ガニやアワビの蒸し焼きを頬張りながら話す声が、次第に大きくなっていった。「陳希が中央委員になったことが、一番のサプライズだったね」。一人がそう言うと、皆がうなずいた。
 今回、党の指導機関と位置づけられる中央委員会のメンバーに当選したのは205人。政府の閣僚、各省の書記、省長らと一緒に名簿に名を連ねた陳希氏(59)は、科学技術省の外郭団体である科学技術協会の副主席にすぎないのだ。
 この“大出世”について、ある幹部が「新総書記の意向が反映された人事だろう」「10年前に博士号をくれたお礼じゃないのか」と言って、笑いを誘った。
 習氏は福建省長だった2002年に、名門、清華大学の法学博士号を取得している。省長として多忙な日々を過ごす習氏が、千キロ以上離れた北京の大学で授業を受けられるはずもなく、香港メディアなどが「学生時代、化学を学んだ習氏がわずか3年余りで法律の論文を書き上げるのは不自然だ」と疑問の声を上げた。
 中国の指導者の間では、地位を利用して高学歴を手に入れるケースも多い。陳希氏は当時、大学の最高責任者である清華大党委員会書記を務めていた。
 習氏の学歴詐称疑惑に関する情報は今、インターネット上で遮断されている。
 学歴だけではない。習氏ほど、さまざまなコンプレックスを抱いてきた中国指導者も珍しいだろう。
 習氏の知人によれば、習氏は若い頃から「習仲勲の息子」と紹介されることを最も嫌がっていた。
 習仲勲氏(1913~2002年)は副首相まで務めた政治家だ。文化大革命時代は、失脚した父親のせいで地方への下放も味わった習氏だったが、父親が復権した後は「習仲勲の息子」というだけで出世していったのも事実。やはり習氏にとって父親は頭の上がらない偉大な存在だった。
 そして、再婚相手の彭麗媛夫人(50)。人民解放軍所属の国民的人気歌手だ。1990年代以降、習氏は地方指導者としてそれなりの地位を得たものの、「彭麗媛の旦那」と呼ばれることが多かったという。
 「習氏は“他人の関係者”として生きてきた。自分を取り戻したのは国家副主席になった54歳からだ」
 習氏の知人はこう指摘する。しかし習氏がポスト胡錦濤の国家副主席に選ばれたのは、温厚で敵を作らない性格、さらには父親が元党幹部という“赤い子孫”であることが、江沢民元総書記ら長老に都合がよかったためだ。自分で自分を取り戻したわけではない。
 政治家としての実績も目立ったものがない。習氏が地方指導者として約17年過ごした福建省は、広東省に経済発展で水をあけられた。その後、指揮を執った浙江省と上海市でも業績と呼べるものは残していない。行く先々で、大きな汚職事件さえ起きている。
 15日に行われた習氏ら党最高指導部7人の記者会見。「隣に並ぶ6人の男たちは実績も能力も習近平を上回っている。ちゃんとかじ取りができるのか-」
 老幹部が漏らした言葉は、習氏を知る誰もが抱く懸念でもある。

◎自粛が解けた一族ビジネス(2012年11月19日、産経新聞)
 北京市の西郊に、清朝末期の教会跡地がある。昨年夏からマンションの建設工事が進められていたが、今春、騒がしかったそのつち音が突然やんだ。市当局から「安全基準に問題あり」と横やりが入ったのだ。
 この開発業者の社長は、中国共産党の習近平総書記の中学時代の同級生だった。毛沢東時代の閣僚を父親に持つ、「太子党」(高級幹部の子弟)でもある。
 社長が憤慨し市当局に掛け合ったところ、ある幹部が声を潜めて打ち明けた。
 「この土地を、(党最高指導部の)政治局常務委員会メンバーの子弟という『大物太子党』がほしいと言っているんだ」
 困った社長は習氏の周辺を通じ、「大物太子党」と食事する機会を設けた。社長の素性を知った「大物太子党」は宴席で、手打ちに同意した。「あなたが太子党で、しかも習さんの同級生とは知らなかった-」。工事が再開されたのはそのすぐ後だ。
 習総書記を代表格とする太子党は、胡錦濤前総書記(国家主席)を中心とする共産主義青年団(共青団)グループとは大きく異なる。組織というより、政財界における巨大な人間関係のネットワークのようなもので、構成メンバーさえはっきりしないのだ。
 そんな太子党に共通する関心事があるとすれば、それは、自分たちの既得権益をいかに維持、拡大するかということになるだろう。
 当然、太子党同士でトラブルが起きることもある。その場合、太子党ネットワークの人脈を使って解決するのが一般的だ。関係者によれば、温厚な人柄で顔が広い習氏は太子党の当事者双方から信頼され、地方時代から仲介役の依頼が多かったという。その積み重ねが習氏の党内基盤を固めることにもつながっていく。
 党内にコネをもつ太子党の周りには、怪しげなカネもまた集まりやすい。
 習氏が福建省長を務めていた2000年ごろ、省内の貿易会社「遠華集団」による総額500億元(約6500億円)の密輸が発覚、高官ら300人以上が逮捕された。「建国後最大の密輸・汚職事件」と呼ばれたものの、習氏にはついに捜査の手が伸びなかった。
 当時、「父親(習仲勲・元副首相)の元部下たちが守ったのだ」とささやかれたが、党中央入りを目指していた習氏自身、経歴に傷がつかないよう先手を打っていた。こうした贈収賄事件を警戒し、地元の実業界と距離を置いていたのだ。
 多くの太子党と同様、習氏の親族もネットワークを活用し、富を築いてきた。2人の姉は夫らとともにそれぞれ不動産と通信業で財を成し、弟も環境関連ビジネスを展開している。
 しかし07年秋、習氏が政治局常務委員に抜擢(ばってき)され、ポスト胡錦濤の最有力候補に躍り出たとき、母親の斉心氏が北京の自宅に子や孫たちを集めて、こうクギを刺したのだという。
 「今は近平にとって一番重要な時期だ。家族の力を合わせて支えていく。経済問題で足を引っ張るようなことがあれば縁を切る!」
 その後、姉弟たちはビジネスを控え、複数の会社の役員名簿から習氏の家族の名前が消えた。それでも、米メディアは7月、習氏の親族の資産を3億7600万ドル(約305億円)規模だと報じた。習氏のイメージダウンを狙った政敵によるリークとみられている。
 習近平総書記が誕生したことで、母親の命じた“自粛期間”は過ぎた。今後、姉弟の子供たちも次々と成人になる。権益を拡大しようとする太子党のDNAが増殖していく中で、習氏は再び先手を打てるのだろうか。

◎中国、腐敗で66万人処分、「腐れば虫わく」と習氏(2012年11月19日、産経新聞)
 中国国営通信新華社は19日、第18回中国共産党大会が14日採択した党中央規律検査委員会の活動報告の全文を伝えた。活動報告によると、2007年11月から今年6月までの約5年間に汚職や職権乱用など腐敗問題で処分された党員は66万8429人に上り、腐敗の深刻さを浮き彫りにした。
 19日付の党機関紙、人民日報によると、習近平総書記は17日、党中央政治局の集団学習会を開き「物が腐れば虫がわく」と指摘。「腐敗問題が深刻になれば、最終的に党や国が滅ぶ」と述べ、腐敗問題の解決に全力を挙げる考えを強調した。
 規律検査委の活動報告によると、5年間で立件した贈収賄事件は8万1391件、賄賂は総額222億300万元(約2900億円)に及んだ。5年間で摘発した公的機関の裏金は総額315億8600万元に達した。

◎中国のごみ箱内で男児5人が死亡、暖取りCO中毒か、ネット上では当局批判も(2012年11月19日、産経新聞)
 19日付の中国各紙によると、中国貴州省畢節市で16日、大型のごみ箱の中で男児5人が死亡しているのが見つかった。地元当局の調べで、5人はいずれも一酸化炭素(CO)中毒と判明。ごみ箱の内に木炭を燃やした跡があることから、地元当局は、暖を取っていて死亡した可能性が高いとみている。
 貴州省は中国で最も貧しい省の一つ。5人の詳しい身元は不明だが、経済的な理由から両親に捨てられるなどした子供とみられる。現場付近に地元政府の事務所があり、ネット上では男児らを救えなかった当局への批判の声も上がっている。

◎習近平氏の元勤務地で暴動1万人、警官隊と衝突(2012年11月19日、読売新聞)
 中国福建省寧徳市福安で17日夜、公安当局に不満を持つ多数の住民が、交通事故をきっかけに警察車両を破壊するなど暴徒化した。
 香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターによれば暴動に加わった住民は約1万人で、警官隊との衝突で少なくとも20人が負傷し、100人以上が拘束されたという。
 同市は、15日に就任した習近平(シージンピン)・共産党総書記が1988~90年に党委員会書記を務め、腐敗摘発に力を入れたとされる場所。党宣伝部門は中国版ツイッター「微博」から関連の書き込みを削除するなど情報統制に躍起となっている。
 福安公安当局は、無免許の運転手が起こした交通事故をきっかけに、「少数が警察車両を破壊した」としている。しかし同センターは、公安当局が約5万元(約63万円)でナンバープレートを不正に売っており、住民は事故を起こした車が不正プレートを付けていたと疑い暴徒化したと伝えた。

◎共産党の恐ろしさを知る男(2012年11月17日、産経新聞)
 中国共産党の習近平新総書記(59)が15日の就任演説で繰り返し口にした言葉、それは共産党の偉大性についてだった。
 「共産党は創設以降、人民を結集し、貧しく立ち遅れた中国を、繁栄した富強国家に変えた」
 「世界がうらやむ成果を共産党が挙げたことを誇りに思う」
 党のトップだから、党の偉大さを強調するのは当然かもしれない。だが、習家をよく知る人は、こう明かすのだ。
 「習近平ほど、共産党の恐ろしさを骨の髄まで知っている人間はいない-」
 きっかけは、副首相まで務めた父親の習仲勲氏(1913~2002年)が1960年代に党内の権力闘争に敗れ、投獄されたことだった。
 文化大革命当時、多くの知識青年たちは農村に下放され、肉体労働に従事させられた。習氏も69年1月、陝西省の寒村、延川県梁家河に送られている。
 下放青年の数は1700万人にのぼったが、そのほとんどは18歳以上。15歳だった習氏が下放されたのは異例中の異例といえた。父親の失脚が関係していたことは想像に難くない。
 梁家河村は、40年代の国共内戦時、共産党が本拠地を置いた陝西省延安から北東へ約70キロ離れた山あいにある。習氏は、15歳から22歳までの約7年間をそこで過ごした。
 習氏は、村民が「暗くてボロボロだった」と述懐する窯洞(ヤオトン)=山を掘って作る横穴式住居=で寝起きし、農民と同じように重労働に明け暮れた。
 当時を知る50代の村民によると、習氏は「農作業のない雨の日など、よく窯洞に若者を集めて三国志の故事を聞かせてくれた」。そのうち、「温厚な人柄で、人の話をよく聞く」と評判になり、特に老人と子供に好かれたという。
 農村生活に順応していった習氏だったが、18歳になって共産党への入党資格を得たとき、党の執拗さを思い知らされる出来事が起きた。反革命分子に指定されていた父親が原因で、延川県の党委員会が、習氏の入党申請書を10回以上も拒否したのだ。ひどく落ち込んだ習氏は窯洞にこもる日々が続いたという。
 しかし、村の若手党員と党の下部組織、共産主義青年団員たちが県に直訴。そのとき、新任の県党委員会書記が「父親の事件は子供と関係ない」と決断して入党を認めていなかったら、習近平総書記が誕生することはなかっただろう。
 89年の天安門事件の際、仲勲氏は民主化運動に同情的な立場をとったため、最高実力者の鄧小平の不評を買い、失脚こそ免れたが党中央から実質追放された。
 90年代末、党最高指導部の政治局常務委員会メンバーだった喬石氏が見舞いに訪れたとき、仲勲氏は突然泣き崩れ、「私は反革命ではない」「逮捕しないでくれ」などと叫んだ。立ち会っていた習近平氏ら家族を慌てさせたという。
 子供の成長期に父親としての責任を果たせなかった仲勲氏の晩年の最大の願いは、息子を自分以上の政治家に育てることだった。
 習氏が官僚として順調に出世を重ねたのは、父親の人脈や影響力によるところが大きい。そして習氏に共産党の恐ろしさを刻み込んだのも、父の姿だった。

◎胡氏と決別「薄煕来の亡霊が現れた」(2012年11月16日、産経新聞)
 中国内外のメディア関係者約500人が、北京市中心部の人民大会堂1階の記者会見場を埋め尽くしていた。予定時間を約1時間過ぎた正午ごろ、閉会したばかりの共産党中央委員会総会で選出された7人の政治局常務委員が、党内の序列順に連なって登場した。
 先頭を歩くのは、13億人超の国民を率いる最高指導者のポストに上りつめた習近平総書記だ。濃紺のスーツに赤のネクタイ姿。笑みをたたえながら会場の中央に立ち、指導部メンバーを1人ずつ紹介し始めた。
 共産党の政治局常務委員の任期は5年だが、全員がそろって国内外メディアと会見に臨むのは選出直後のこの1回しかない。会見といっても、総書記が一方的に話をするだけで、質問は受け付けない。
 前総書記の胡錦濤国家主席と同様、習氏もそれほど演説はうまくない。ただ、約5分間の決意表明は、胡主席ら過去の指導者の就任スピーチとは明らかに違っていた。
 「私たちの民族は偉大な民族だ」。こう切り出した習氏は、貧しく弱い中国が共産党政権の正しい指導によって富強かつ繁栄国家になったと強調。近年、“死語”になりつつある毛沢東時代の流行語「為人民服務(人民に奉仕する)」を2度繰り返した。
 そして、次に習氏の口から発せられたのは「共同富裕の道を歩み続ける」という言葉だった。「先に豊かになれる地域と人々から豊かになろう」という●(=登におおざと)小平氏が唱える「先富論」に否定的なニュアンスをもつ「共同富裕」は実は、今春、失脚した薄煕来・前重慶市党委書記が最も好んで使っていた政治スローガンだった。
 習氏は薄氏と同じく太子党(高級幹部子弟)グループに属している。ただ、2人は少年時代からのライバルで、個人的な関係は決して良くないと複数の関係者が証言しているが、支持基盤と人脈の多くは重なっている。経歴も似ているため政治的スタンスも近い。
 その一方で、習氏は結局、胡政権の政策理念である「科学的発展観」や「和諧(調和)社会」には触れなかった。政権を引き継いだ直後の指導者が、いきなり前任者を無視するような演説をすることは珍しい。
 この日のスピーチは、「胡錦濤政権への決別宣言」にも聞こえる。北京の改革派知識人はこう感想を漏らした。
 「習近平氏の保守派としての本性が、ついに見えてきた。薄煕来の亡霊が現れた-」。
 4歳違いの習近平氏と薄煕来氏は、これまでほとんど同じような人生を歩んできた。共産革命を戦った軍指導者を父親に持ち、新中国の政府高官の家庭で育った。
 “共同富裕”とは、2人の父親が共産革命に参加したときに実現しようとした理想である。「父親が命を懸けて作った共産党政権を守らなければならない」。2人に共通する思いだ。
 2人の裕福な生活は長く続かなかった。少年時代にいずれの父親も権力闘争に敗れて失脚し、習氏は15歳から約7年間、農村部に下放され、薄氏は投獄された経験を持つ。その後、父親の名誉が回復されたため、2人は社会に出てから官僚として出世を果たすことができた。文化大革命という共産党独裁政権の被害を受けたものの、今では最大の既得権益者となっている。
 失脚した薄氏には2千万元(約2億4千万円)の汚職疑惑が明らかになりつつあるが、習氏の親族による巨額な不正蓄財も欧米メディアに報じられている。薄氏は子息を米ハーバード大学に留学させており、その授業料は薄氏の収入を超えたものだと指摘された。習氏の一人娘も現在同じ大学に留学している。
 薄氏が更迭される直前、温家宝首相は「文革の歴史的悲劇を繰り返してはならない」と薄氏の保守的政治路線に警鐘を鳴らした。結局、薄氏は党籍を剥奪され政治的に抹殺された。
 にもかかわらず、温首相の懸念をも無視するように保守色を前面に打ち出す就任演説を行ったのが、他ならぬ文革の悲劇を味わった習氏だったのは皮肉というほかない。
 新体制のもと政治改革の進展を期待する国内外の民主活動家らは発足早々、“薄煕来の亡霊”に遭遇し失望を禁じ得なかっただろう。
 15日に中国の最高指導者である共産党総書記に就任した習近平氏については謎が多い。彼の性格や家族、政治的スタンス、内政・外交政策などを報告する。

◎胡錦濤氏、軍人事で主導権、完全引退の見返り(2012年11月14日、産経新聞)
 中国人民解放軍の章沁生副総参謀長は14日、北京の人民大会堂で香港の記者団に対し、胡錦濤国家主席(共産党総書記)が中央軍事委員会主席を退任すると述べた。胡氏は既定方針通り、すべての党要職を習近平国家副主席に譲り、完全引退することが確認された。胡氏はその見返りとして軍人事を自身の側近で固めることに成功したが、今後、軍内における派閥間の権力闘争は激しさを増しそうだ。
 中国の名目上の最高指導者は共産党総書記だが、実際には約230万人の軍のトップに立つ中央軍事委主席が最高実力者だ。
 党内規定では総書記の任期は5年と定められているものの、中央軍事委主席の任期に関する規定はない。これまでにも、●(=登におおざと)小平氏と江沢民前国家主席が、党と政府の役職をすべて引退した後、しばらく中央軍事委主席のポストにとどまり、政権への影響力を発揮し続けた経緯がある。
 複数の共産党筋によれば、胡氏も当初、前例にならおうと、留任に向けて党内で根回しするなど昨年末から準備していた。しかし今春の権力闘争で、江前主席に近い薄煕来前重慶市党委書記を失脚させた胡派の手法が「強引だった」との批判が強まり、警戒感を強めた党・軍内の反胡派勢力が「留任反対」に動いた。
 決定的だったのは、7月ごろ、態度を保留していた習近平氏も「留任反対」を明確にしたこと。これ以上留任にこだわれば、党内の対立が表面化しかねないと判断した胡氏は、8月初めに開かれた現・元最高幹部らによる非公式会合、北戴河会議で、全面引退する意向を明らかにしたという。
 その代わり、胡氏は院政を敷くため軍人事の主導権を握った。中央軍事委副主席を自身の側近で固め、作戦や情報を担当する総参謀長と、人事を担当する総政治部主任といった重要ポストをも腹心で押さえた。同時に、重要ポストに就くと報じられていた習近平氏の親友、劉源・総後勤部政治委員(劉少奇元国家主席の子息)ら数人の太子党(高級幹部の子弟)を軍中枢から外すことに成功した。
 15日の党中央委員会第1回総会で、習氏が中央軍事委主席に選出されても、主要幹部は胡氏の影響下にあり、軍掌握には時間を要しそうだ。胡派と習派が痛み分けとなった今回の人事だが、軍内における主導権争いの火種を残したといえる。

◎不正輸出の関与否定、中国外務省(2012年11月14日、産経新聞)
 韓国の釜山港で、中国船のシリア向け貨物から北朝鮮製とみられるミサイル関連物資が見つかった問題で、中国外務省の洪磊報道官は14日の定例記者会見で「中国は大規模な殺傷能力のある武器の拡散には断固として反対だ」と強調、政府の関与を否定した。
 同問題をめぐっては、北朝鮮が国連安全保障理事会の制裁決議に違反してミサイル関連物資を不正輸出したとみられている。中国企業が関与していたことから北朝鮮の友好国、中国の姿勢を問題視する見方も出ている。
 洪氏は国際社会の懸念を念頭に「国連の関連決議に違反する行為は全て法に基づいて対応する」と訴えた。

◎胡総書記、温首相ら交代へ、中国共産党大会閉幕(2012年11月14日、読売新聞)
 北京で8日から開かれていた中国共産党第18回大会は14日、今後5年間の中国指導部を構成する中央委員、中央委員候補、中央規律検査委員会委員を新たに選出し、閉幕した。
 閉幕式では、経済成長至上主義を修正して調和のとれた持続可能な発展を目指す胡錦濤(フージンタオ)総書記の戦略思想「科学的発展観」を、毛沢東ら歴代指導者の思想と同列の指導思想に格上げすることを盛り込んだ党規約の改正案が採択され、胡氏が8日に行った党中央委員会報告(政治報告)も承認された。
 新華社通信によると、党最高指導部の政治局常務委員の9人のうち、総書記のポストを引き継ぐ習近平(シージンピン)国家副主席と李克強(リークォーチャン)筆頭副首相は新中央委員に選出された。胡氏や温家宝(ウェンジアバオ)首相ら7人は選出されなかった。国家主席や首相など政府の主要ポストは、来年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で交代する。
 習氏は、15日に開かれる新中央委員による第18期中央委員会第1回総会(1中総会)で総書記に選出され、2017年の第19回大会までの5年間を指導する党政治局常務委員の新たな陣容が確定する。同通信によると、王岐山(ワンチーシャン)副首相が中央委員、中央規律検査委員にも選ばれた。王氏は同規律検査委書記の政治局常務委員になることがほぼ確定した。

◎胡錦濤氏、総書記を退任、中国共産党大会が閉幕(2012年11月14日、朝日新聞)
 中国共産党の第18回党大会は14日、今後5年間の指導部となる新しい中央委員や中央委員候補計376人を選出し、閉幕した。胡錦濤(フーチンタオ)総書記が退任。最高指導部である政治局常務委員9人のうち、習近平(シーチンピン)国家副主席と李克強(リーコーチアン)副首相の2人をのぞく、胡氏や温家宝(ウェンチアパオ)首相ら7人が引退した。
 党大会はまた、胡氏が提唱した政治理論「科学的発展観」を毛沢東やトウ小平(トウは登におおざと)らの歴代指導者の思想と並ぶ「指導思想」に格上げする党規約の改正案を採択した。胡氏の功績を党として公式に認め、引退後も歴史に名を刻む指導者だと権威付けるものだ。
 15日に開かれる新たな中央委員らによる第18期第1回全体会議で、習氏が総書記に選出され、10年間続いた胡体制に代わって、習体制が発足する見通し。新たな最高指導部には、李副首相のほか、党員の腐敗を取り締まる中央規律検査委員に新たに選ばれた王岐山(ワンチーシャン)副首相らの就任が確実視されている。

◎中国の鴻海系工場で暴動か、子会社は報道を否定(2012年11月12日、朝日新聞)
 米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の受託製造で知られる台湾系メーカー富士康(フォックスコン)の中国・広東省深圳市にある工場で9日から10日にかけ、数千人の従業員が暴動を起こしたと、米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)や香港紙が伝えた。
 富士康は、経営再建に取り組むシャープが提携した鴻海精密工業の子会社。同社は12日、暴動を否定し、「警察と従業員に衝突があったが、200人が気勢を上げただけ」と発表した。
 報道によると、地元警察が9日夜、宿舎内で賭け事をしていた疑いで工場の従業員を拘束。抗議する従業員仲間が工場の敷地内で暴れてガラス窓を割ったり、設備の一部に火をつけたりした。治安部隊が出動し、10日未明に収束したという。

◎レアアース、中国以外から半分確保へ、来年半ば以降(2012年11月12日、朝日新聞)
 枝野幸男経済産業相は12日の衆院予算委員会で、これまで全体の8、9割を中国からの輸入に頼っていたレアアースについて「来年半ば以降、5割程度は中国以外から確保できる」との見通しを明らかにした。2010年秋の尖閣諸島沖の漁船衝突事件後、中国がレアアースの日本向け輸出を一時停止したのを受けて、政府は調達先の多様化に乗り出した。民間企業とともに豪州やカザフスタン、インドなどで資源開発を進めた結果、日本の年間需要2万~3万トンの半分は中国以外から調達できる見通しがついたという。

◎試練の中国経済、競争力低下、すさむ工場街、行き詰まる成長路線(2012年11月11日、産経新聞)
 中国を世界第2の経済大国に押し上げた成長路線が行き詰まりを見せている。輸出で栄えた工場街は企業の撤退や倒産が相次ぐ。第18回中国共産党大会を経て発足する習近平指導部は中国が1978年に改革・開放路線にかじを切って以来最大の試練に直面する。
 「街に活気が戻ることはもうないだろう」と広東省の企業幹部。世界有数の売り場面積を誇った地元のショッピングモールは、入居する店がほとんどなく廃虚同然。広東省は「世界の工場」と言われ、衣類から液晶テレビまであらゆる製品を生産。だが今、工場街を歩くと、至る所で放置された工場跡が目に入る。
 中国では年20~30%のペースで進む人件費の上昇に伴い、ここ数年で靴や衣類の輸出価格が2~3倍に。東南アジア製より高価になり受注を奪われている。反日デモを受けて日本企業が中国以外の地域に活路を求める動きも強まり、邦銀筋は「ベトナムの支店に、日本企業から投資に関する問い合わせが殺到している」。

◎相次ぐ焼身自殺、異例のチベット大規模デモ(2012年11月11日、読売新聞)
 米政府系放送局ラジオ自由アジア(RFA=電子版)によると、中国青海省黄南チベット族自治州同仁県で8、9日、中国政府のチベット政策に抗議するデモが2日間連続で行われた。
 9日のデモ参加者は数千人に達した。中国では8日に中国共産党大会が開幕しており、各地で警備が強化される大会開会中の大規模デモは極めて異例だ。
 RFAによると、8日に同仁県のチベット族学生数百人がデモを行ったのに続き、9日は午前5時ごろから正午ごろまで、学生や僧侶ら数千人が「民族言語の自由を」「ダライ・ラマをチベットに返せ」などと叫びながら市街を行進した。参加者が1万人に達したとの情報もある。多数の警察や政府関係者が監視にあたったが、デモ隊との衝突などはなかった模様だ。

◎ノロウイルス検出されず、ドイツの食中毒で中国が反論、国内汚染調査求める(2012年11月12日、産経新聞)
 新華社電によると、ドイツで中国から輸入された冷凍イチゴを食べた児童や生徒が食中毒を起こした問題で、中国の国家品質監督検査検疫総局は11日、輸出した山東省の食品輸出企業の在庫品を検査した結果、原因とされたノロウイルスは検出されなかったと明らかにした。
 発症者は1万1千人を超え、ドイツで最大規模の食中毒となり、冷凍前のイチゴの加熱処理が不十分で、ノロウイルスが死滅しなかった疑いがあると指摘された。これに対し、同総局は「生産、加工、貯蔵、輸送などの段階で食品安全衛生基準を満たし、検査に合格した後、輸出が許可された」と指摘。さらに、この企業が他国に輸出した冷凍イチゴについてはいずれも問題が起きていないとし、輸出前にノロウイルスに汚染されていたことを示す科学的証拠はなかったと反論した。その上で、ドイツ側に対し、同国内で汚染された可能性を調べるよう求めた。

◎陳情者摘発に「報奨金」、ボランティア140万人投入(2012年11月10日、産経新聞)
 中国共産党大会が開会中の北京で、治安当局が約140万人ものボランティア部隊を使って“不審者”や地方からの陳情者の摘発に全力を挙げている。9日昼には天安門広場で、党大会会場の人民大会堂から出てくる代表らに向け横断幕を掲げようとした高齢の女性が拘束される一幕もあった。
 地元の役人や司法の不正を中央政府に直訴しようと多数の陳情者が北京に押し掛けるため、当局は党大会や全国人民代表大会(全人代=国会)のたびに大規模な治安部隊を投入して抑え込んでいる。
 報奨金は「100元(約1200円)、500元、千元」。通報や拘束など“活躍”の度合いに応じて額を決めているようだ。
 党大会前から各地の地方政府は上京した陳情者を地元に連れ戻す「特別部隊」を派遣している。

◎死亡説流れた江沢民氏、歩いて登場、共産党大会(2012年11月9日、読売新聞)
 北京で8日に開幕した中国共産党第18回大会で、江沢民(ジアンズォーミン)前総書記(86)、李鵬(リーポン)元首相(84)が、議長団の一員として姿を見せた。
 江氏は一時死亡説も流れ、昨年10月の辛亥革命100周年記念大会に出席した際には、係員の介助を受けて登壇していた。しかし、この日の党大会では、係員の手を借りずに自身の足で歩き、胡錦濤(フージンタオ)総書記の隣の席に着いた。ひな壇上の中央委員らと握手を交わし、正面の党大会代表席へ手を振るなど健在を印象づけた。
 江氏は、9月に北京での観劇が伝えられるなど、党大会前から活発な活動ぶりをアピールしていた。胡総書記から習近平(シージンピン)国家副主席への指導部交代にあたり、5年前の前回大会と同様、新旧の国家指導者が顔をそろえることで、党内の団結を強調する狙いとみられる。

◎住友ベークライト、中国で液状エポキシ生産(2012年11月8日、化学工業日報)
 住友ベークライトは、液状エポキシ樹脂の海外生産に乗り出す。フェノール樹脂を生産している中国・南通(江蘇省)の拠点に新工場を建設。2014年度をめどに生産を開始する。自動車のイグニッションコイルの絶縁注型材として、まず日系の電装メーカー・自動車メーカーを対象に顧客を開拓する。南通では用途開発や製品開発の強化に向け13年中に研究所を整備する計画など、高機能プラスチックの事業拠点としてさらなる充実を図る。

◎「伝説の島」めぐり中韓紛争、尖閣が寝た子起こす?(2012年11月6日、産経新聞)
 韓国で「伝説の島」とされてきた東シナ海の暗礁が中韓紛争の火種になりつつある。海中に没し、厳密には島ではないため、双方が「領土」とはみなさず、これまで大きな波風は立たずにきた。それが尖閣問題の余波で中国がにわかに管轄権を強調し始め、韓国世論が中国の「海洋覇権」に警戒感をあらわにしている。韓国にとって日中対立が中韓の寝た子を起こす事態に見舞われている。

・「竹島争い冷めぬ中、中国に強硬姿勢」
 焦点となっているのは、韓国最南端の島から149キロ、中国最東端の島から247キロにある「離於(イオ)島」(中国名・蘇岩礁)だ。
 中韓の排他的経済水域(EEZ)が重なる海域にあたる。中韓は1996年以来、16回にわたってEEZの画定交渉をしてきたが、交渉はまとまらず、この暗礁がいずれのEEZ内にあるか未画定のままだ。
 そんな中、9月24日の中国メディアの報道が韓国に強い警戒感を呼び起こすことになった。
 中国国家海洋局が、尖閣諸島やフィリピン、ベトナムと領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島、西沙(同パラセル)諸島などを遠隔操作で監視する無人機の導入を計画。そのデモンストレーションのもようを報じたものだが、同局の担当者が監視対象に「蘇岩礁も含む」と説明したためだ。
 計画の主眼はあくまで尖閣や南シナ海にあるとみられるが、「蘇岩礁」発言に韓国メディアが一斉に反発。「中国が尖閣問題で日本の実効支配を揺るがした成果をもとに離於島周辺でも領有権の主張を強める」(韓国紙、朝鮮日報)とみなしたのだ。
 世論のあおりを受け、李明博大統領も同日、「韓国政府は最近、独島(竹島の韓国名)や離於島に対する警備をいっそう強化している」と発言。韓国大統領が竹島と同列に扱う存在に浮上した。
 これに対し、中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙「環球時報」は「日本と独島をめぐる争いが冷めやらぬ中、中国のEEZ内の蘇岩礁への警備を強め、中国への強硬姿勢を訴える声が出ている」と竹島問題と関連付けて韓国世論の硬化を警戒する報道を行った。

・「見たら帰れない」「永遠の理想郷」
 離於島は韓国で長い間、波浪島とも呼ぶ、伝説の島して扱われてきた。
 海面下4~6メートルに没し、韓国南部、済州島の漁民の間で「荒波のときだけ姿を現し、見たものは帰れない」といったおどろおどろしい言い伝えの一方、「海で行方不明になった漁師が暮らす神秘の島」や「永遠の理想郷」とも伝えられた。
 1951年に韓国海軍などがこの暗礁を探索し、「大韓民国領土 離於島」との銅板碑を設置。韓国は米国などに対し、竹島と並んで波浪島の領有権を主張しながら、その場所さえあやふやだったが、いわば強引に伝説の島と、この暗礁を結び付け、同一だとした。
 この暗礁に対して最初に行動をとったのは韓国側だった。中韓のEEZが重なる海域にあるが、その中間線から見て韓国の島により近いとして、2003年、一方的に暗礁上にやぐら式の海洋科学基地を建設した。
 貿易立国を標榜する韓国にとって海上輸送量の9割が離於島南方を通るという海上の要所である上、周辺一帯に膨大な原油と最大72億トンの天然ガスが眠ると推定されたことが背景にあった。
 韓国の基地建設に中国は「一方的な行為に対してはいかなる法的効果もない」と抗議したが、表立った紛争には発展しなかった。互いに管轄権を主張しながら「島ではなく、海中の岩礁であり、領土とみなさない」と領有権は主張せず、領土紛争の存在も否定する奇妙な状況が続いた。
 中国側も「EEZの画定交渉の中で話し合うべきもの」との態度で、紛争化しない「静かな外交」(有力紙、中央日報)を維持した。

・「尖閣の火の粉が降りかかる」
 それが一転、昨年ごろから中国が強硬姿勢を取り始める。
 昨年6~7月、離於島周辺で沈没船の引き揚げ作業をしていた韓国船に対して中国の官公船が「中国の管轄水域だ」と警告。昨年12月に中国が大型海洋監視船の東シナ海投入を決めたことや今年3月、国家海洋局長が、監視船や航空機による定期パトロールに「蘇岩礁周辺が含まれる」と発言したことが韓国メディアに大きく取り上げられた。
 中国が尖閣をにらみ、東シナ海の監視を強化した余波に離於島が巻き込まれた形だ。
 9月2.5日に就役した中国初の空母「遼寧」についても韓国では「離於島周辺海域も行動半径に含まれる」ともっぱら離於島と関連付けて警戒を呼んでいる。
 本来、他人同士の“けんか”に過ぎなかった尖閣問題も「火の粉は離於島にも降りかかる」とわがこととして報じられるようになった。
 中央日報は「東アジア全体が軍拡競争の泥沼に陥る危険が高まっている」と尖閣問題が日中の軍拡競争を呼び、韓国もそれに巻き込まれるという過剰反応といえなくもない論理を展開。「中国と対等でなくとも、軽視されないほどの海軍力を備える必要がある」と警鐘を鳴らす。
 朝鮮日報は「朝鮮半島を挟んで日中が繰り広げる対立は韓国の命運に直結している。日中は過去にも朝鮮半島を舞台に覇権を争った国だ」と強調する。
 さらには「日本が尖閣で中国にされたのと同じことをする可能性もある」として、日本が「尖閣の敵を竹島で討つ」ことを危惧したこじつけともいえる日本警戒論も唱えている。

◎温首相親族の巨額蓄財報道、共産党が調査開始か(2012年11月6日、読売新聞)
 5日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、中国の温家宝(ウェンジアバオ)首相の母親らが巨額の蓄財をしたとする米紙ニューヨーク・タイムズの報道内容に関し、中国共産党が温首相の要請を受け調査を始めたと報じた。複数の関係筋の話として伝えた。
 サウスチャイナ紙によると温首相は、最高指導グループである党政治局常務委員会に書簡で調査を要請、これを常務委が了承した。結果を公表するかは明らかでない。米紙の報道後、温首相の改革姿勢に不満を持つ左派(保守派)の長老らが温首相に詳細な説明を求めていたという。

◎職権乱用や収賄、薄煕来氏の党籍剥奪処分を承認(2012年11月5日、読売新聞)
 新華社通信によると、中国共産党7中総会は4日、職権乱用や収賄が指摘されている薄煕来(ボーシーライ)・前重慶市党委書記(63)の党籍を剥奪する党政治局会議の処分を承認した。
 薄氏については検察当局が刑事事件としての捜査を開始している。
 同通信は薄氏の処分について、「党は10年来、規律違反や違法行為があれば、それが誰が行ったかにかかわらず徹底して調査してきた」と論評し、党が幹部に対しても、不正があれば厳正に対処しているとの認識を強調した。

◎空軍初の中央軍事委副主席、中国軍現代化示す(2012年11月5日、読売新聞)
 新華社通信によると、7中総会は4日、党中央軍事委員会副主席に、済南軍区司令官の范長竜上将(65)と空軍司令官の許其亮上将(62)を補充することを決定した。
 許上将は空軍出身者として初の中央軍事委副主席となった。空海軍を重視し、現代化を目指す中国軍の方針を示すものとみられる。
 中央軍事委副主席は、3ポストのうち二つを制服組が占めてきた。党大会を経て新体制が発足する前に、軍トップの人事が公表されるのは異例だ。
 7中総会はまた、武装警察トップの王建平司令員(58)と、陳情を受け付ける機関である国家信訪局の王学軍局長(59)を中央委員会委員に補充することも決めた。党指導部の治安維持重視の姿勢が変わらないことを示すものだ。

◎中国軍事委副主席に范、許氏、胡氏、院政へ軍掌握狙う(2012年11月4日、朝日新聞)
 中国共産党の第17期中央委員会第7回全体会議(7中全会)は4日、党中央軍事委員会の副主席に范長竜・済南軍区司令官(65)と許其亮・空軍司令官(62)をあてる人事を決め、閉幕した。また、党の憲法に当たる党規約の改正案を8日に開幕する党大会に提出することを決めた。
 中央軍事委は、軍の統括権を持つ事実上の最高権力機関。軍関係者によると、許氏ら2人は、中央軍事委の主席を兼ねる胡錦濤(フーチンタオ)国家主席(69)が「軍事技術に詳しく指揮能力が高い」と評価しているとされる。
 今回の党大会で総書記を退く胡氏は、中央軍事委主席の座にはとどまり、「院政」の態勢を敷く構え。このタイミングで自らに関係の近い許氏らを副主席に引き上げることで、軍への権力掌握をより確かなものにしようとの狙いがあるとみられる。

◎中国共産党7中総会閉幕、軍事委副主席選出、薄氏らの党籍剥奪処分確認(2012年11月4日、産経新聞)
 中国共産党の第17期中央委員会第7回総会(7中総会)が4日、4日間の討議を経て閉幕した。8日からの次期党大会で胡錦濤総書記(国家主席)が発表する政治報告の原案や党規約の改正案などを承認したほか、中国軍の最高機関、中央軍事委員会で制服組のトップ2人が務める副主席を選出した。汚職などを理由に解任された薄煕来前重慶市党委書記と劉志軍前鉄道相の党籍剥奪処分も確認した。
 7中総会閉幕後に発表された声明によれば、習近平国家副主席が政治報告案と党規約改正案を説明。具体的な内容は明らかにされていないが、胡総書記が提唱する政治理念「科学的発展観」を党の指導理念に格上げすることなどが盛り込まれているとみられる。
 また、会議は、2007年以降の最近5年間の胡指導部の成果を「人民生活は明らかに豊かになり、国防と軍建設分野で新しい局面を開いた」などと総括し、高く評価した。
 新たに党中央軍事委員会副主席に選出されたのは范長竜・済南軍区司令官と許其亮前空軍司令官の2人。制服組トップである軍事委副主席の選出は党大会後の第1回中央委員会総会(1中総会)で行うのが一般的だったが、党大会を前に行ったのは異例。
 政権交代期に軍内部の混乱を避ける狙いがあるとみられる。派閥の色分けでは、許氏は胡氏に近いとされているのに対し、軍中枢部での勤務経験がほとんどない范氏は無派閥とみられている。
 また、18回党大会の日程を8日から開くことが正式に決定された。党大会は共産党の最高決定機関。会議は1週間程度で、次期中央委員約200人が選出される。閉幕翌日に開かれる1中総会で、次期指導部である政治局常務委員会のメンバーが選出される。習近平氏が次期最高指導者である総書記に選出されるのは確実視されており、15日ごろに習近平指導部が発足する。

◎「井戸掘った人を忘れぬ」ではない、中国は「2人で井戸をのぞけぬ」怖い国(2012年11月4日、産経新聞)
 「中国の影響は(日本人)個々の人格、その魂には決して及ばなかった」国際連盟事務次長まで経験した第一級の国際人・新渡戸稲造(1862~1933年)が遺した言葉である。中国外務省が10月22日に行った記者会見に、日本人との「人格」「魂」の違いを見た。憤るより、むしろ悲しかった。

・新渡戸稲造の慧眼
 沖縄県沖公海上で炎上中だった大型貨物船から中国人乗組員64人全員を救出した海上保安庁に、最後まで感謝の言葉が無かったのだ。あまつさえ、この日夕には、中国海軍のミサイル駆逐艦など3隻が沖縄本島沖を、沖縄方面に向け威嚇航行している。
 もっとも、さしたる驚きはない。沖縄県石垣市の尖閣諸島に対する日本の領有意志を挫くべく官製暴動を企て、中国の近代化を手伝ったパナソニックの中国工場を破壊する国。中国は「井戸を掘った人を忘れない」国ではない。「一人で廟に入るな、二人で井戸をのぞくな」という諺の方が中国文化の正体を真に言い当てている。一人で廟に入ると、悪い坊主に殺されて金品を奪われる。二人で井戸をのぞくと、もう一人に突き落とされる-という意味。怖い。
 9月の国連演説で、中国の楊潔チ外相(62)は「日本は釣魚島(尖閣諸島魚釣島の中国名)を盗み取った」と、自らの品性を卑しめる発言を行ったが、中国の側こそが、国家ぐるみで「悪い坊主」と化している。中国南海研究院の呉士存院長は8月、米ニューヨーク・タイムズ紙上でこう放言した。
 「中国は南中国(シナ)海全域の支配を望んでいるわけではなく、わずか80%の支配を求めているだけである」
 「80%の支配」も有り得ぬ話だが、「80%の支配」を「求めているだけ」と「だけ」で片付ける傲岸ぶり。後の20%を、フィリピンやベトナムなどそのほかの“夷狄”で分け合え、と言っているように聞こえる。「野蛮な異民族」「未開の民」を指す「夷狄」。東南アジア各国と領有権問題を有する南沙・西沙・中沙各諸島を管轄する三沙市(市庁舎ウッディー島/中国名・永興島)をこしらえ、南シナ海の紛争海域を担任する三沙警備区を設置した件につき、米国務省が8月に懸念表明した際もそうだった。中国外務省はこう反論した。

・一貫性もない中国の主張
 「南沙と周辺海域に、議論の余地無き主権を有するし、十分な歴史的証拠も有している」しかし、中国には「議論の余地無き主権」も「十分な歴史的証拠」も無い。まず、中国はモンゴル支配下の13世紀末、中国船がスカボロー礁(フィリピンや台湾、中国が領有権を宣言)を訪れた“実績”を領有権の論拠として挙げる。だが、遥か前からフィリピン人、マレーシア人、インドネシア人、ベトナム系が往来している。
 中国はまた、1898年12月のパリ条約で、スペインが米国に主権委譲した範囲にスカボロー礁が入っていなかった点を主張する。だが、米西戦争(98年4~8月)に勝った米国は条約において、カネでスペインからフィリピンの主権を買い、直後比独立まで否定した。条約は、フィリピンの対西独立宣言から半年後に交わされているが、フィリピン人の意志は反映されていない。
 さらに中国は、中華民国水陸地図審査委員会が1935年にスカボロー礁を自国の版図に入れたことを強調。従って、フィリピンが解決策として訴える国連海洋法条約(94年発効)の規制を受けない、とする。歴史が法に勝るという理屈だ。
 ところが中国は96年、歴史を主権の根拠として認めない海洋法条約を批准した。条約に基づき「沿岸から370キロをEEZ=排他的経済水域」と主張。「国際法と平等の原則に基づき」個々の国々と協議すると、高らかに謳っている。

・歴史と法をつまみ食い
 中国は「版図拡大」の道具として、長い歴史と法律をつまみ食いし、都合良く解釈している。米国務省が8月、2002年の中国・ASEAN行動宣言(DOC)を尊重し、緊張緩和に向け法的拘束力を有した行動規範の実現を求めた際は、こう開き直った。
 「一部国家はDOCを順守していない。挑発的方法で度々、DOCの理念を踏みにじった。関係国にDOCの厳格な順守を要求する」
 「一部国家による石油開発区設定や島嶼・海域を確保するための違法な国内法整備に何故、目をつぶるのか。一部国家の海軍戦闘艦艇による中国漁船威嚇を何故、議論せぬのか」
 「一部国家」「関係国」という主語を「中国」に、「中国漁船」を「東南アジアの漁船」にそれぞれ置き換えると、現状が正確に把握できる。新渡戸の言葉は、斯くも歪んだ中国の国柄を語り切っている。曰く-
 「彼らの精神構造には、自分の責任を免れるために、他人や世間をなじるという習性があり、自分に関係のない原因や他者に責任をおしつけてしまう」実際、中国外務省は、官製暴動における日系企業の甚大な被害の「責任は日本が負うべき」、日本を畏怖させるべく行った東シナ海での中国海軍・国家海洋局による合同訓練には「中日対立エスカレートの責任は全て日本側にある」、日中国交40年記念式典中止にも「全ての責任は日本側にある」と述べた。
 その親しさ故に、民主党の「責任転嫁」体質はまさか、中国譲りであるまい。前原誠司国家戦略担当相(50)と岡田克也副総理(59)は、東京都による尖閣諸島国有化の動きが中国を怒らせたと、石原慎太郎知事(80)を指弾した。知事が指導力を発揮し、慌てて地主と交渉を始めた見苦しさは最早忘れている。新渡戸はこうも記した。
 「中国の影響は、何世紀にもわたって及んだにもかかわらず、浸透しはしなかった」女性宮家創設や南京大虐殺捏造への沈黙、公人の靖國神社不参拝…。日本文化を極限まで薄めんと欲す「中国の影響」を受けた政治勢力「浸透」は予見できなかったようだ。

◎中国、太陽電池で欧州と紛争激化 不当廉売で調査合戦(2012年11月1日、産経新聞)
 中国商務省は1日、太陽電池の原料に使われる欧州連合(EU)製の多結晶シリコンについて、反ダンピング(不当廉売)調査を始めたと発表した。世界経済低迷で太陽電池の需要が鈍化する中、中国と欧州の太陽電池をめぐる貿易紛争が激化している。
 中国の調査開始は欧州委員会が9月、中国製太陽電池の反ダンピング調査を始めたことへの対抗策とみられる。
 中国は世界最大の太陽電池生産国で、欧州は有力な供給先だが、欧州では安価な中国製品の流入への反発が強く、紛争に発展した。
 中国商務省は多結晶シリコンを生産する中国企業が欧州側の不当廉売による損害を訴えていると指摘。ドイツ政府や欧州投資銀行(EIB)の欧州企業への支援策と、中国企業が主張する損害の因果関係を調べるとしている。

◎アクリル酸・SAP 曲がり角の中国市場(上)(2012年10月30日、化学工業日報)
・過剰懸念高まるアクリル酸、需要を上回る新増設計画
 中国でアクリル酸・同エステルの供給能力が過剰局面を迎えている。2ケタ成長を続ける需要を背景に新増設が活発となり、2012年はこれまでに合計約50万トンが加わった。一方、需要は「業界内の今年の成長率見通しはバラつきがあるものの10%から20%程度」(市場関係者)で、12年は120万トン程度と予測されている。生産能力は11年末段階でこの水準に達しており、さらに計画通りに増強が進めば大幅な過剰となりそう。
 近年、中国のアクリル酸需要は年率10%を超える成長が続いてきた。高吸水性樹脂(SAP)をはじめとして水処理剤、塗料、接着剤、繊維などの用途分野がいずれも拡大基調にあることが背景にある。
 この成長需要を取り込むため、中国企業だけでなく外資系企業も加わった新増設計画が各地で浮上している。とくに中国資本では10年から11年前半にかけての高騰も投資を後押ししたといわれる。この時期、需給バランスのタイト化でアクリル酸ブチルの中国国内価格は1トン当たり2万元を突破した。

・来年以降も相次ぐ
 今年に入って江蘇裕廊が泰興市(江蘇省)で年産能力16万トンのアクリル酸設備を立ち上げた。春には三木集団の同8万トン設備も稼働を開始した。さらに、すでに完成していた中国海洋石油(CNOOC)・恵州の同16万トン設備が8月下旬、商業運転に入っている。江蘇裕廊は第2期として同16万トン設備を年内に立ち上げる予定。
 13年以降に稼働が見込まれる計画としては台湾の粘着材・包装材料メーカーの炎州集団が南通で4月に8万トンのアクリル酸と同規模のアクリル酸ブチルの建設に着手した。また、ポリウレタン大手の煙台万華がプロパン脱水素によるC3誘導品拡大戦略にアクリル酸を据えている。合計30万トンの生産能力を形成する構え。山東開泰もアクリル酸8万トン新設計画を進めている。

・実需盛り上がらず
 市況は世界的な景気低迷の影響から実需が盛り上がりを欠いている状況下、11年後半以降は下げ基調を継いできた。一時は1トン当たり1万2000元を割り込んだものの、7月に入って原油やプロピレン、アルコール類の価格上昇を材料にようやく底を打った。
 その後、各社の生産調整に加えて国慶節前後に中国主要メーカーで相次ぎプラントトラブルが発生。国慶節前に需要家が在庫水準を落としていたため、「ディーラーを中心として一気に買いが進んだ」(市場関係者)。一部メーカーでは数回にわたり価格引き上げを実施しており、足元ではアクリル酸が1トン当たり1万6000ー1万6500元、アクリル酸ブチルで同1万8000元前後が取引の主流。実需が盛り上がりを欠く状況は続いており、どの程度騰勢が続くかは不透明だ。

◎アクリル酸・SAP 曲がり角の中国市場(下)(2012年10月31日、化学工業日報)
・2極化の様相強まるSAP 紙おむつ用、先行組に強み
 生産能力の拡大が進む中国の高吸水性樹脂(SAP)市場は、2極化の様相が強まってきた。大手のうちサンダイヤポリマーは2011年に南通市(江蘇省)の製造拠点で第3期増設を終え年産14万トン体制としたほか、日本触媒も14年稼働を目指し張家港(同)拠点の能力を現状比倍増の同6万トンとする計画。この2社に代表される既存メーカーが紙おむつ大手向けをほぼ押さえており、「新規参入した中国勢では売り先確保に苦慮している」(市場関係者)といわれる。このため一時盛り上がったSAP投資機運には、落ち着きが出ているようだ。
 現在の中国のSAP生産能力はサンダイヤポリマーが年産14万トン、日本触媒3万トン、台湾プラスチックグループ(FPG)4万トン、アクリル酸大手の江蘇裕廊の関係会社・宜興丹森科技有限公司が10万トン。これら主要メーカーのほか、小規模メーカーで合計30万トン強あるとみられる。
 今後は日本触媒の増強計画のほか、BASFが南京(江蘇省)で14年初めの稼働開始を目指し同6万トンを新設中。宜興丹森も15年までに同20万トンへの引き上げを狙う。FPGも寧波の増設を視野に入れているもよう。
 新規参入では大手アクリル酸メーカーの一角・浙江衛星が5月、嘉興市(同)で年産3万トン設備建設に着手した。同社はこれに先立ち平湖市(同)でプロパン脱水素(PDH)によるプロピレン年産45万トン設備の新設を推進中の現地化学企業を買収している。
 上海華誼集団の傘下企業でアクリル酸年産21万トン能力を有する上海華誼アクリル酸有限公司でも、2万トン規模のSAPの本格生産を志向しているといわれる。ただ、同社が立地する上海浦東新区・高橋地区は高橋石化の移転計画が浮上しており、同社も安徽省などを候補に将来的に移転する見通し。このため現在の立地での大型投資は難しそう。
 外資を軸とした既存大手と、新規参入組の中国勢がいずれも生産能力の増強を模索または推進しているものの、大手紙おむつメーカー向けはほぼ前者が押さえている。
 中国の紙おむつ市場ではユニ・チャーム、P&G、スウェーデンの製紙大手SCAが買収し6月から同社グループとなった全日美、中国企業・恒安集団などが大手グループ。「これらで大半のシェアを確保している」(市場関係者)状況。

・品質重視で淘汰も
 加えて「1人っ子政策下で生まれた世代が親となりつつあり、この世代は品質に対する関心が非常に高い」(同)といわれる。紙おむつでも品質が重視されていく結果、「対応できないメーカーは淘汰されていく」(同)という見方も出ている。紙おむつ生産が大手に集約される流れは、新規SAPメーカーにとっては厳しい。既存メーカーにとって中国での総生産能力拡大は、すぐには直接的脅威にならないとはいえ、市況の下振れ圧力の懸念があるようだ。

◎中国の工場反対デモ、終息、計画一部撤回発表で(2012年10月30日、読売新聞)
 中国浙江省寧波市で石油化学工場の建設に反対する大規模デモは、地元当局が計画の一部撤回を発表したことから、29日、終息した。
 だが、市庁舎前では同日、住民ら50人が今度は工場建設の計画全体の中止を要求して抗議行動を継続し、このうちの2人が当局に連行された。当局は外国メディアの取材を禁じる通知を現場で伝えるなど、緊張状態は続いている。
 「こんなに大規模な政治闘争は寧波では文化大革命以来のことだ。当局は住民の『力』を恐れた」
 連日の大規模デモに参加した男性は力を込めた。デモでは運動を指揮する中心人物は存在せず、住民は「それぞれが連絡を取り合って自発的に行動した」と強調した。

◎中国の過労死、毎年60万人、「日本以上」と指摘(2012年10月29日、産経新聞)
 中国中央人民放送(電子版)は29日、中国で毎年60万人が過労死しており、既に「日本以上の過労死大国になった」と伝えた。北京大の専門家は「過労防止のため、管理体制の整備が必要」と指摘した。
 日本の厚生労働省のまとめによると、脳血管疾患や虚血性心疾患など過労死と呼ばれるケースでの労災補償の請求件数は2011年度に302件あった。
 報道では、ショッピングサイトの管理者ら20代の4人が突然死したケースを紹介。共通点として、毎日未明まで働き、週末もほとんど休みがないなど「働き過ぎ」があると指摘した。サラリーマンら約千人を対象にしたアンケートでは、3分の2が体調不良を訴えたという。
 専門家は対策として(1)自分を追い詰めない(2)雇用者側による適正な労働時間設定(3)仕事中の体操導入-を挙げた。

◎温首相側、蓄財報道に反論、中国、米紙巻き込み情報戦?(2012年10月28日、朝日新聞)
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)はこのほど、中国の温家宝(ウェンチアパオ)首相の親族が少なくとも27億ドル(約2160億円)に上る巨額の蓄財をしていたと伝えた。一方、温氏側の依頼を受けた弁護士が27日、「虚偽報道だ」と批判する声明を発表。共産党大会を間近に控え、背景に党内の権力闘争を見る声も出ている。
 温首相の親族の疑惑は、2.5日付の同紙(電子版)が伝えた。不透明な投資や蓄財は、いずれも友人や投資会社の名前で行われたという。

◎工場拡張反対デモ受け事業を暫定停止、中国、寧波市(2012年10月28日、産経新聞)
 中国浙江省寧波市で28日、化学工場の拡張工事に反対する住民デモがあり、3千人以上が市政府庁舎前に集まり、工場の拡張が健康被害や環境汚染を招くとして計画中止や市長の辞任を要求した。寧波市政府は同日夜、工場拡張事業を暫定的に停止すると発表。抗議デモの収束を図っていたが、住民らは納得せずデモを続けた。
 デモは22日からほぼ連日行われており、28日は最大規模となった。最高指導部が交代する共産党大会の開幕を11月8日に控え、社会の不安定ぶりをあらためて露呈した。
 住民らは28日午前、インターネット上での呼び掛けに応じて市中心部の商業地区に集合し、「寧波を守れ」「市長は辞めろ」などと叫びながら大通りをデモ行進した。

◎温家宝首相一族の蓄財疑惑否定、「委任」の中国弁護士、香港紙(2012年10月28日、産経新聞)
 中国の温家宝首相の一族が多額の資産を蓄財しているとの米紙報道に対し、温氏の家族から委任されたとする北京の弁護士ら2人が連名で「報じられたような“隠された資産”は存在しない」と蓄財疑惑を否定する声明を出した。28日付の香港紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えた。
 米紙ニューヨーク・タイムズは、温氏の出世に合わせて同氏一族が、27億ドル(約2150億円)を超える資産を保有するようになったと報道。
 声明は、温氏の家族の中にはビジネス界と関わりを持つ者もいるが、違法な経済活動をしたことはないと説明。教師だった温氏の母親が1億2千万ドル相当の株式を保有していると報じられた点ついては「規定された給与や年金以外に、いかなる収入や財産も得たことはない」と否定した。

◎「秘密財産ない」親族巨額蓄財報道に温氏側反論(2012年10月28日、読売新聞)
 中国の温家宝(ウェンジアバオ)首相の母親らが巨額の蓄財をしたとの米ニューヨーク・タイムズ紙の報道に関し、首相の親族の弁護士が報道内容を否定する声明を発表した。
 中国の指導者側が個別の報道に反論を行うのは極めて異例だ。
 声明は27日付。温首相の親族の委託を受けたとする弁護士2人の連名で、〈1〉報じられた「秘密財産」は存在しない〈2〉首相の母親は、規定に沿って受領した給与や退職金以外のいかなる収入や財産もない〈3〉首相は親族の経営活動には関わっておらず、温首相の政策立案・執行への影響も一切ない――などの内容。報道内容を精査の上、法的措置を取る可能性に言及している。

◎市長やめろ、寧波デモ、計画一部撤回発表信じず(2012年10月28日、読売新聞)
 石油化学工場建設への大規模な反対デモが続いていた寧波で、市当局は28日夜、計画の一部撤回を発表した。
 ただ、抗議デモは28日、5000人規模に拡大し、参加者は市長の辞職も要求するなど当局への不信感を募らせており、緊迫した状態が続いている。
 市当局の発表は、住民の反対が特に強かった、毒性の高いパラキシレン(PX)の生産設備の建設を撤回するというもの。だが、デモ隊は「ウソに決まっている」と市当局の発表を信じず、市庁舎前の包囲を継続した。
 デモ隊は、市長が住民に直接説明を行うことに加え、警察が拘束したデモ参加者数十人の釈放を要求し、対決姿勢を一段と強めている。
 28日には、市庁舎周辺の道路で学生や住民がデモ行進し、「市長は辞職しろ」などと叫んで気勢を上げていた。

◎中国:化学工場の建設計画に抗議、浙江省で大規模デモ(2012年10月28日、毎日新聞)
 中国浙江省寧波(ねいは)市で、化学工場の建設計画に反対する住民による抗議活動が続いている。11月8日に開幕する共産党大会を前に、当局は多数の警察官を投入して抑え込みを図っているが、27日も1000人規模のデモが発生して多数が警察に身柄を拘束されるなど、抗議活動は拡大の一途をたどっている。
 香港メディアなどによると、工場は、化学繊維の原料で毒性が高いとされるパラキシレンの生産施設で、市内から十数キロ離れた鎮海(ちんかい)区に建設する計画。10月初旬から住民らが健康被害の恐れがあるとして建設計画の撤回を要求。道路を封鎖するなど数百人規模のデモが断続的に発生し、22日には数千人規模に膨らんだ。
 鎮海区政府は24日、新たな環境対策を盛り込んだ改善策を発表し、事態収拾を図ったが、住民側は受け入れを拒否している。26日に派出所が襲撃され警察官が負傷したほか、27日にはデモ隊の一部が警察車両に投石し、警察が催涙弾を発射。午後には1000人規模に拡大し、警察が排除に乗り出した。
 抗議活動の呼びかけは28日もインターネット上などで続いており、中国版ツイッター「微博」では建設予定地の「鎮海」などの言葉が検索できなくなっている。
 遼寧省大連市では昨年夏、有害物質の流出の恐れがあるとして、住民がパラキシレン工場の閉鎖を求めて大規模なデモを起こし、工場が当局の判断によって閉鎖に追い込まれている。

◎中国化学工場:抗議の住民「声上げないと見殺しにされる」(2012年10月28日、毎日新聞)
 化学工場の建設に反対する住民の抗議活動が続く浙江省寧波市で28日、市政府が化学工場事業計画の撤回に追い込まれた。抗議活動が1週間連続で発生する異例の事態となり、同日には約5000人規模に膨れ上がるなど市政府として抗しきれなくなったためだ。共産党大会開幕を11月8日に控える中、経済発展の「ひずみ」は次期指導部にも重い課題となりそうだ。
 寧波市庁舎前では約2000人が集結し、「PX(パラキシレン)事業は寧波から出て行け」などと書いた横断幕を掲げて抗議。沿道の市民も加わり約3000人が市内中心部をデモ行進した。警察が横断幕を奪い取ると、デモ隊は「返せ」などと警察を罵倒し、デモの続行を容認させた。少なくとも2人が拘束された。
 市庁舎前の抗議活動に参加した女性(24)は「中国メディアはこの問題をほとんど報じない。デモに参加するのは怖いが、自分たちが生きていくためには声を上げないと政府に見殺しにされる」と話した。
 中国メディアによると、26日閉幕した全国人民代表大会(全人代)常務委員会では、環境汚染への抗議や暴動が96年以降、年平均29%のペースで増加していることが判明。司法で解決するのは1%以下という。
 工場建設が地方都市でも進む中、環境問題や健康被害、政府の情報開示への住民意識の高まりが抗議デモの背景にある。
 当局は中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」で「鎮海」や「PX」などの言葉を検索できなくし、計画同意書に署名した住民に現金を払うなど反対派切り崩しに躍起になったが、抗議活動を抑えきれなかった。
 中国では▽昨年8月に遼寧(りょうねい)省でPX工場が停止・移転▽今年7月に四川(しせん)省で金属工場の建設が中止▽同7月に江蘇(こうそ)省で排水管建設計画が撤回−−など住民の反対で工場建設などを断念するケースが相次いでいる。

◎工場拡張反対デモ、最大規模の3千人に、市長辞任も要求、中国・寧波市(2012年10月28日、産経新聞)
 中国浙江省寧波市で28日、化学工場の拡張工事に反対する住民デモがあり、3千人以上が市政府庁舎前に集まり、抗議活動を行った。参加者らは工場の拡張が健康被害や環境汚染を招くとして計画を推進する市政府の責任を追及、計画中止や市長の辞任も求めた。
 デモは22日からほぼ連日行われており、28日は最大規模となった。最高指導部が交代する共産党大会の開幕を11月8日に控え、社会の不安定ぶりをあらためて露呈した。
 住民らは28日午前、インターネット上での呼び掛けに応じて市中心部の商業地区に集合し、「寧波を守れ」「市長は辞めろ」などと叫びながら大通りをデモ行進した。市政府庁舎前に到着すると計画中止を訴える横断幕を掲げ、警官隊とにらみ合いになった。時折小競り合いも起き、怒号とともに多数のペットボトルが警官隊に投げ付けられた。

◎中国の即席麺大手「日系」のデマで不買運動、根深い反日感情(2012年10月28日、産経新聞)
 台湾系企業の中国即席麺大手「康師傅」(本社天津市)が「日系企業だ」とのデマが中国で広がり、販売が悪化している。日本製品への不買運動が中国企業に波及し、反日感情の根深さがあらためて示された形。ただ、康師傅のライバル企業は売り上げを伸ばしており、日本の発明品である即席麺そのものをボイコットする動きはないようだ。
 中国紙によると、日本政府の尖閣諸島国有化に反発するデモが過激化した9月中旬に「康師傅は日本企業から85%の出資を受ける日系企業だ」とのデマがインターネット上で流れた。康師傅には「サッポロ一番」で知られる日本のサンヨー食品(東京)も出資するが、筆頭株主は台湾の頂新国際集団だ。
 康師傅は公式ウェブサイトでデマを「卑劣な行為」と非難。康師傅は中国即席麺市場でシェア1位。

◎中国で6日連続の工場反対デモ、警官隊と衝突も(2012年10月27日、読売新聞)
 中国浙江省寧波市鎮海区で27日、石油化学工場の建設に反対する住民が中心部の道路を封鎖して6日間、連続となる抗議デモを行い、一部住民が警官隊と衝突した。
 指導部が大幅に交代する共産党大会の開幕を11月8日に控え、地元当局は約2000人の警官隊を動員し、抗議デモの拡大阻止に躍起となっている。
 デモは22日に始まり、27日は同区で約1000人が参加し、4か所で道路を封鎖したほか、約20キロ・メートル離れた同市中心部の繁華街でも約1000人が参加した。いずれも女性が「子供の生命と健康を守れ」などと訴えて中国版ツイッター「微博」などで連絡を取り合い主導したものだ。2歳の長男を抱いて参加した女性(26)は「経済が大事なのは分かるが、我々の生活の安全も守るべきだ」と話した。

◎中国当局、薄氏の本格捜査開始「強制措置決定」(2012年10月27日、読売新聞)
 26日の中国国営新華社通信は、前重慶市トップで失脚した薄煕来(ボーシーライ)前重慶市共産党委書記(前政治局員)(63)について、中国の検察当局が「法に基づいて立件し、強制措置を取ることを決定した」と伝え、刑事事件としての捜査を正式に始めたことを明らかにした。
 薄氏については、全国人民代表大会(全人代=国会)が26日、全人代代表資格の取り消しを決定、薄氏は不逮捕特権を失っていた。胡錦濤(フージンタオ)政権は、11月8日に開幕する共産党大会を控え、薄氏に対する刑事処分も急ぐ考えとみられる。
 罪名などは明らかにされていないが、党政治局が9月28日、薄氏の党籍を剥奪した党規律違反処分では、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏の殺人事件に関する「職権乱用」のほか、遼寧省大連市長や商務相、重慶市党委書記時代を通じ、「直接、または家族を通して巨額の賄賂を受けた」ことが問われている。

◎温家宝首相の親族が27億ドル蓄財、米紙報道(2012年10月27日、読売新聞)
 26日付米紙ニューヨーク・タイムズは北京電で、中国の温家宝(ウェンジアバオ)首相(70)の母親や妻、弟、長男ら親族が計約27億ドル(約2150億円)相当を蓄財したと伝えた。
 親族は国有会社の支援などを受けて投資を拡大してきたという。
 株式保有に関する公開資料などに基づき、同紙が調査報道した。それによると、温首相の親族は、友人や勤務先の同僚などの第三者を介した複雑な投資手法で、金融、貴金属、観光開発、通信などの企業の株式を保有。この中には08年北京五輪のスタジアム「鳥の巣」建設関連企業も含まれる。
 母親は、温首相の出身地、天津に登録された投資会社の名義で、金融会社の株式1億2000万ドル(約95億円)相当を保有。この投資会社は、温首相の妻の親友で天津出身の女性企業家が創設したという。

◎薄氏の刑事責任、本格追及へ、全人代資格抹消(2012年10月26日、読売新聞)
 中国国営新華社通信によると、全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は26日、職権乱用や巨額収賄などを問われ党籍を剥奪され、公職から追放された薄煕来(ボーシーライ)・前重慶市党委書記の全人代代表資格を取り消すと発表した。
 これにより、薄氏は全人代代表が持つ不逮捕特権も失う。薄氏に対する刑事責任追及が近く、本格化する見通しだ。

◎薄氏の刑事責任、本格追及へ、全人代資格抹消(2012年10月26日、読売新聞)
 中国国営新華社通信によると、全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は26日、職権乱用や巨額収賄などを問われ党籍を剥奪され、公職から追放された薄煕来(ボーシーライ)・前重慶市党委書記の全人代代表資格を取り消すと発表した。
 これにより、薄氏は全人代代表が持つ不逮捕特権も失う。薄氏に対する刑事責任追及が近く、本格化する見通しだ。

◎薄熙来氏の全人代資格取り消し、刑事責任追及が本格化(2012年10月26日、朝日新聞)
 職権乱用や収賄などを理由に中国共産党の党籍を剥奪され、公職追放された前重慶市党委員会書記の薄熙来(ポーシーライ)氏について、中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)常務委員会は26日、薄氏の代表資格(議員に相当)を取り消したと、国営新華社通信が伝えた。これで不逮捕特権が無くなり、刑事責任追及が本格化する。

◎“腐敗官僚”になりたい! 中国、7割が副収入に魅力(2012年10月23日、産経新聞)
 中国共産党機関紙、人民日報系の雑誌「人民論壇」がこのほど実施した官僚に関する意識調査で、回答者の70%近くが「党や政府機関の公務員になりたい」との回答を選択した。官僚になる魅力として70%以上が、給与以外の所得を指す「グレーな収入」が多いことを挙げた。
 約55%が「官僚の力は法律よりも勝る」と指摘。共産党は来月の党大会を控え、官僚腐敗への綱紀粛正を図る姿勢をアピールしているが、国民の間では官僚の権力や社会的地位に憧れを抱く意識が依然として強いことが浮き彫りになった。
 調査は10~15日にインターネットやアンケートを通じて実施。2823件の有効回答を得た。
 公務員になりたいとの回答者は、広東省など東部よりも陝西省や四川省など中西部の方が多く、開発が遅れている内陸ほど役人になることへの執着心が強いことが明らかになった。

◎造船合併異例の再延期、中国の承認遅れで(2012年10月22日、読売新聞)
 鉄鋼大手JFEホールディングスと重機大手IHIは22日、11月1日に予定していた造船子会社同士の合併を再延期する方針を決めた。
 中国政府の独占禁止法上の承認手続きの遅れが原因としている。合併予定は当初10月1日だったため、異例の2度目の延期となる。日本政府関係者は「最近の日中関係の悪化と手続きの遅れは無関係」としているが、日中間の政治情勢が影響している可能性もある。
 両社は当初、22日午後に開く取締役会で、合併を正式に決める予定だったが、中国政府から同日午前までに認可の通知を受けておらず、12月1日に合併を延期する。
 問題となっているのはJFE子会社のユニバーサル造船と、IHI子会社のアイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(IHIMU)で設立する新会社「ジャパン マリンユナイテッド」(JMU)。中国の独占禁止法では、外国企業でもグループ全体で中国国内の売上高合計が260億円を超える場合、合併審査の対象としている。このため、日本企業同士の合併でも中国の認可が必要で、JFEとIHIは8月上旬、中国政府に造船子会社の合併を申請していた。

◎中国の反日デモで2人逮捕、日本料理店破壊の疑いで(2012年10月24日、朝日新聞)
 中国広東省の広州市で9月にあった反日デモで、日本の総領事館が入る高級ホテル内を破壊した容疑者2人を地元当局が逮捕したと、同市越秀区の検察当局が24日明らかにした。
 検察によると、無職の男(18)と自営業の男(38)の2人の容疑者は、ほかのデモ参加者と共にホテル内の日本料理店に押し入り、ガラス窓やテーブルなどを壊した。被害額は約7万元(約87万円)。検察は、2人が刺激を求めて公共の場を乱し、器物を壊して社会に悪影響を及ぼしたとしている。

◎造船合併異例の再延期、中国の承認遅れで(2012年10月22日、読売新聞)
 鉄鋼大手JFEホールディングスと重機大手IHIは22日、11月1日に予定していた造船子会社同士の合併を再延期する方針を決めた。
 中国政府の独占禁止法上の承認手続きの遅れが原因としている。合併予定は当初10月1日だったため、異例の2度目の延期となる。日本政府関係者は「最近の日中関係の悪化と手続きの遅れは無関係」としているが、日中間の政治情勢が影響している可能性もある。
 両社は当初、22日午後に開く取締役会で、合併を正式に決める予定だったが、中国政府から同日午前までに認可の通知を受けておらず、12月1日に合併を延期する。
 問題となっているのはJFE子会社のユニバーサル造船と、IHI子会社のアイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド(IHIMU)で設立する新会社「ジャパン マリンユナイテッド」(JMU)。中国の独占禁止法では、外国企業でもグループ全体で中国国内の売上高合計が260億円を超える場合、合併審査の対象としている。このため、日本企業同士の合併でも中国の認可が必要で、JFEとIHIは8月上旬、中国政府に造船子会社の合併を申請していた。

◎貿易紛争で中国の敗訴確定、米鋼板への報復関税(2012年10月19日、読売新聞)
 米国製の一部の鋼板に対する中国の報復関税が貿易ルール違反であるとして米国が訴えていた貿易紛争で、世界貿易機関(WTO)の最終審にあたる上級委員会は18日、米国の主張を認める判断を下し、中国の敗訴が確定した。
 対象となったのは、変圧器や発電機に使われる米国製の電磁鋼板。中国は、不当に安売りするダンピングが行われているとして反ダンピング関税と相殺関税を課したもので、米国は2010年9月に提訴した。1審にあたる紛争処理小委員会(パネル)は今年6月、ダンピングの十分な証拠が示されていないとしてルール違反を認定。中国は上訴したが、上級委はパネルの判断を支持した。
 米国は、中国によるレアアース輸出制限を巡っても日本などとともにWTOに提訴している。米中間では他にも、自動車、太陽光発電パネルなど多くの分野で貿易紛争が起きている。

◎中国:韓国に損賠求めず、対立回避か、抵抗の漁船員死亡(2012年10月18日、毎日新聞)
 韓国の排他的経済水域(EEZ)で16日、中国漁船の船員が韓国海洋警察のゴム弾に当たり死亡した事件で、中国外務省の洪磊(こう・らい)副報道局長は17日の定例会見で「韓国側に厳正な申し入れをし、公正な調査と処罰を求めている」と話した。しかし損害賠償などを求める姿勢は示さず、日本に加えて韓国との対立が深刻化するのを回避しようと抑制的に対応している。
 中国の駐韓大使が同日、韓国の外交通商省を訪れ抗議する予定だったのを取りやめるなど自制的な姿勢がうかがえる。また、一昨年12月に中国漁船が韓国の警備艇に体当たりして転覆し、漁船乗組員1人が死亡、1人が行方不明になった際、中国政府は韓国側に損害賠償を求めたが、今回は当時のような反応を示していない。
 中国のメディアは事件について大々的には報じていない。一方、中国のインターネット上では「韓国製品もボイコットせよ」といった書き込みが見られる。
 韓国の海洋警察庁によると、中国漁船は集団で韓国のEEZ内で違法操業し、拿捕(だほ)の際には、鉄パイプやのこぎりなどで抵抗したとされる。「中国側の違法操業が原因」との指摘に対し、洪副報道局長は「漁民の教育と管理を強化している。韓国側は暴力的な法執行を停止し、中国漁民の安全と合法的な権益を保障するように望む」と述べた。
 韓国の木浦(モッポ)海洋警察署は同日、記者会見で遺憾の意を表すとともに「正当な法執行の過程で発生した事故だ」と強調した。
 韓国の海洋警察は、昨年12月に拿捕作戦中の海洋警察官が中国漁船船長に刺されて死傷した事件を受け、銃器などの使用制限を緩和した。昨年は中国漁船534隻を拿捕し、今年も6月までに289隻に上っている。

◎中国成長率が7.4%に減速、7~9月期、日中関係悪化が要因に急浮上、3年ぶり低水準(2012年10月18日、産経新聞)
 中国国家統計局が18日発表した2012年第3四半期(7~9月)の国内総生産(GDP)成長率(速報値)は物価変動の影響を除いた実質で前年同期比7.4%増と、3年ぶりの低水準になった。2期連続で8%を割り込んだ。成長減速は1年9カ月連続。リーマン・ショックの影響を受けた09年以来、高度成長で世界経済回復を牽引してきた第2の経済大国の成長低迷を懸念する声も広がりそうだ。
 債務危機が続く欧州向けの輸出低迷に加え、9月まで4カ月連続で日中貿易がマイナスとなるなど、対日関係の悪化も経済成長に影を落とす要因となった。政府の住宅市場引き締め策や新車販売台数の伸び悩みなど内需の低迷も響いた。
 1~9月までの成長率で前年同期比7.7%と、政府の年間目標の7.5%は上回ったが、通年でも13年ぶりに8%を割り込む可能性が高い。高度経済成長時代の終焉も見えてきた。
 一方、昨年までマクロ経済政策の懸念材料だった消費者物価指数(CPI)上昇率が、9月に前年同月比1.9%と8月の2.0%を下回るなどインフレ懸念が遠のいている。中国当局が追加金融緩和や財政出動で景気テコ入れに乗り出す余地も広がった。成長減速は雇用問題など中国国内の社会不安に結びつく恐れもあり、最高指導部の交代人事を決める来月8日からの共産党大会を控え、中国当局がどう景気対策に乗り出すか注目を集めている。

◎増長する中国、「恐れおののき、服従せよ!」清代の世界観復活(2012年10月18日、産経新聞)
 1793年、清の乾隆帝はジョージ3世にあてた手紙で、英国からの貿易と国交樹立の申し出を断り、こう述べた。「神聖な帝国にはあらゆる物が満ちあふれ、足りないものはない。珍しかったり細工がきいたりしたものには何の価値もないし、英国の物品など一切役に立たない」
 当時最高の栄華を極めていた清の皇帝として乾隆帝は続ける。「英国の王よ、私の意に沿って、今後も一層の忠勤を尽くすがいい。わが帝国への永遠の服従をもって、英国の平和と繁栄を確かなものにせよ」
 乾隆帝は当時の清の儀礼にのっとった命令とともに、封じた手紙を英国の使節、ジョージ・マカートニーに手渡した。「恐れおののき、服従せよ!」と。
 今日、中国国営新華社通信の配信や指導者らの発言、東シナ海や南シナ海の争いについての要求を発表する文書のなかで、明らかに清代の中国の世界観が復活している。
 中国に対する米国の反応で、米国の嫌中感がわかる。ピュー・リサーチ・センターの最近の調査では、米国人の大半が中国をパートナーや敵ではなく、競争相手とみなし、3分の2以上の米国人は中国は信頼できないと考えているのだ。
 新華社はアジア情勢について、「米国の政治家は非生産的な干渉をやめるべきだ」との見出しで中国の立場を宣言する。この記事は米国が「二股の封じ込め政策をとっている」と非難し、その政策では「安定的で建設的な中米関係は築けない」としている。
 新華社は別の記事では、尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる争いについて「米国は表裏のある行動をやめるべきだ」との見出しを掲げた。米国はこの問題について中立を維持しているが、新華社は「米国はこの海域の安定を乱す駆け引きをやめないでいる」としている。
 クリントン国務長官とパネッタ国防長官がそれぞれ中国を訪問する前、新華社は「米国はアジア回帰政策、特に中国の重大な利益や核心的な利益に関する問題についての真意を、しっかり説明せねばならない」と伝えた。さらに「米国はアジアにトラブルメーカーではなくピースメーカーとして戻ってくることを示すために具体的な措置を取る必要がある」とし、「これこそがクリントン氏とパネッタ氏の北京訪問の成果として期待するものだ」と強調した。
 楊潔●外相は国連総会で、日本が尖閣諸島を「盗んだ」と非難し、日本は「間違いを正さねばならない」と発言。尖閣諸島が中国の領土であるという「議論の余地のない法的な証拠」があるとして、日本は「中国の主権を侵した」と批判した。
 中国の楽玉成外務次官補は、日本が間違った行いを続ければ、中国との関係は「タイタニック号のように沈むだろう」と警告している。
 中国はスカボロー礁(中国名・黄岩島)をめぐるフィリピンとの争いについて、「中国が最初に黄岩島を発見し、命名した」とする法的な文書を発行している。この文書ではフィリピンの領海は1898年の条約で規定されており、島は「明らかに領海の外にある」とされる。
 一方、ピューの調査は、民主党員よりも共和党員の方が中国の拡大に関心があることを示している。調査は、共和党員の6割が国際政治における中国の拡大が米国に大きな脅威を与えると信じているとしている。同様に考える民主党員は48%だ。
 また民主党員よりもはるかに多くの共和党員が、米国の対中貿易赤字や雇用の中国への流出、米国債の多くが中国に保有されていることを深刻な問題だとみている。共和党員は経済や貿易問題での対中強硬姿勢を好み、民主党員は対中関係強化を最優先事項に置く傾向がある。
 ピューの調査は、台湾が中国からの独立を宣言しないのに中国が台湾に武力行使した場合、米国の中国専門家の大部分が米軍による台湾防衛を支持すると指摘している。しかし台湾が一方的に独立を宣言して中国から攻撃を受けた場合、専門家の過半数が台湾防衛のための米軍による武力行使に反対するという。

◎中国、景気減速傾向に歯止めかからず、輸出不振(2012年10月18日、読売新聞)
 中国国家統計局が18日発表した2012年7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前年同期比7.4%増だった。
 伸び率は4~6月期の7.6%より0.2ポイント低下し、7四半期連続で前期を下回った。欧州の財政・金融危機の長期化で、輸出が引き続き伸び悩んでいるためだ。中国の景気減速が改めて確認され、世界経済の先行きは一段と不透明感を増してきた。
 1~9月期のGDP伸び率は7.7%となり、政府が目標とする年7.5%成長は達成できそうだ。ただ、10月以降の景気急回復は難しいとみられており、12年通年の伸び率は、1999年以来、13年ぶりに8%割れとなる公算が大きい。
 輸出は1~9月で前年同期比7.4%増えたが、1~6月の9.2%増から減速し、11年通年(前年比20.3%増)の水準には遠く及ばない。1~9月は欧州向けが5.6%減で足を引っ張っている。
 個人消費の動向を示す「社会消費品小売総額」は1~9月、14.1%増と底堅く推移している。ただ、金額が大きい自動車の伸びが鈍い。
 景気のけん引役を果たしてきた輸出が振るわず、内需がそれをカバーできていないことで、景気減速傾向に歯止めがかからない。世界銀行は今月8日、中国の12年の成長率見通しを7.7%と発表し、前回予測(5月時点)から0.5ポイント下方修正した。

◎反日デモで半身不随の中国人男性、訴え取り下げ(2012年10月18日、読売新聞)
 中国紙「東方早報」は17日、陝西省西安市で9月15日に起きた反日デモで日本車に乗っていたところを襲撃され、半身不随となった中国人男性が、同市公安局を相手に求めた損害賠償の訴えを取り下げたと報じた。
 男性はデモが暴徒化したことについて「当局は有効な抑止策を講じなかった」と主張し、総額約50万元(約620万円)の損害賠償を求めていた。公安局との協議を通じ、取り下げに同意したという。双方による合意の内容は明らかにされていない。

◎日本車破壊容疑の5人を逮捕、9月の広州、反日デモ(2012年10月18日、朝日新聞)
 中国広東省の広州市で先月16日にあった反日デモの際に日本車を破壊した疑いで、これまでに5人が逮捕されたと、同市天河区の検察当局が16日明らかにした。破壊された日本車はイタリアの広州総領事館の車だった。
 検察当局の資料によると、5人は警察の制止を振り切って車を蹴ったり看板でたたき壊すなどし、群衆を興奮させたとされる。また、裏返しになった車の上で大きな中国国旗を振って叫び、現場を混乱させたという。
 車の損害は約9万元(約112万円)。検察はこの逮捕によって「愛国感情の合法的な表現を導く」としている。

◎船員死亡で韓国に「強い不満」、中国、関係者の処罰要求(2012年10月18日、朝日新聞)
 韓国・全羅南道沖の黄海で16日、不法操業中の中国漁船員が韓国海洋警察庁職員のゴム弾を受けて死亡した事件をめぐり、中国側は「強い不満」を表明したうえで、韓国側に原因の調査と関係者の処罰、再発防止の保証を求めた。
 韓国政府は事件発生からすぐに在韓中国大使館に経緯を説明したが、新華社通信は16日夜に「大使館が抗議と強い不満を示した」との記事を配信。中国外務省の洪磊・副報道局長も17日の定例記者会見で「暴力による法の執行をやめ、中国漁民の安全と合法的な権利を保障するよう求める」と述べた。
 ただ、2010年に不法操業の中国漁船が韓国の警備艦に体当たりし、転覆して死者が出た事件では中国側が韓国に損害賠償を求めたが、今回はそうした動きはない。尖閣諸島をめぐり日本と対立するなか、韓国との必要以上の摩擦を避けるために対応を抑制している可能性もある。

◎ベネズエラ:中国マネーで米国に対抗(2012年10月17日、毎日新聞)
 「チーノ、チーノ(中国人、中国人)!」歓声が上がった。中南米最大の産油国ベネズエラ北部、アンソアテギ州プエルトラクルス。中国とベネズエラの合弁石油会社シノベンサの石油施設に、両国の旗が並ぶ。叫びの主は合弁相手・国営ベネズエラ石油(PDVSA)の従業員ら。日本の記者を「友好国」中国からの来訪者と取り違えたのだ。
 中南米有数の強硬反米左派ベネズエラ。7日の選挙で4選を決めたウゴ・チャベス大統領(58)は、反米社会主義政策を賄うため中国マネー確保に走る。
 世界最大の確認埋蔵量を誇る原油を担保に中国政府から得た資金は600億ドル(約4兆7250億円)。国内総生産の約2割だ。チャベス氏はこの金を貧困層向け無料住宅の建設などに注ぎ込み権力基盤を固める。「中国との関係が切れれば、農業、住宅建設、軍事技術まですべて止まる」とテレビで語ったほど、両国関係は深化した。
 昨年12月には33カ国が参加して創設された「中南米カリブ海諸国共同体」の議長に就任。中南米を「裏庭」と見なす米国に対抗する構えを見せる。
 中国との同一歩調は中東問題でも目立つ。欧米が支援する反体制派と内戦中のシリアのアサド政権には戦車に使えるディーゼル油を供給。チャベス氏は9日、当選後初めての記者会見で「内戦は外圧で作られた」と断言。アサド政権に理解を示す中国に寄り添った。
 オイルマネーをてこに米国との対決姿勢を深め、国内外で「ばらまき」政策を続けるベネズエラ。その危うい現状を報告する。

・対中関係強化に懸念も
 今月7日の選挙でウゴ・チャベス大統領(58)が勝利し、来年1月から4期目、20年の長期政権となるベネズエラ。反米左翼の「21世紀の社会主義」政策が当面維持され、資金源として重視する中国との接近も続く見込みだ。しかし、前のめりの対中関係強化には批判もあり、内政・外交の原動力である原油生産も頭打ちで、政策を貫徹できるか懸念も強まっている。
 ベネズエラの輸出収入の95%は石油で、年900億ドル(約7兆1000億円)に及ぶ。チャベス氏はこの資金や原油を中南米・カリブ地域を中心にばらまいてきた。対外経済援助は05〜11年で40カ国以上、総額約820億ドル(約6兆4700億円)に上る。
 民間コンサルタントのアナベラ・アバディ研究員は「欧州連合(EU)のような地域共同体を作り、米国に代わるリーダーになりたいのだ」と指摘する。
 米国を「野蛮な資本主義」と激しく批判するチャベス大統領だが、実はベネズエラの最大の貿易相手国は米国。石油の3割を輸出する。ただ、チャベス氏の大統領就任時99年の日量150万バレルは、今年7月には日量93万バレルにまで落ちた。一方、中国向け輸出は増加の一途をたどる。現在日量64万バレルで、13年に70万バレル、15年には100万バレルに増え、対米輸出を超える見通しだ。
 ただ、中国との急接近には懸念の声も上がる。チャベス大統領は9月21日、南部ボリバル州の世界最大級の金鉱山ラスクリスティナスを中国と共同開発すると発表した。11年にカナダの採掘会社との契約を打ち切り国有化した鉱山だ。
 ラウル・ユセフ元州議員は「カナダから奪い、借金している中国にくれてやったようなもの。他国との取引の自由は制限されている」と批判。鉱山は7万人の生活を支えるが、「中国人労働者が来て失業が増える」と懸念する。肝心の石油生産量も、新規油田開発への投資不足で、02年の日量290万バレルから2割近く減少している。
 国営石油会社PDVSAは、事実上、チャベス大統領の集票・所得分配組織に変貌。従業員数は過去10年で4倍以上になり、国庫に納める金額も8年で3倍以上に増えた。効率的な企業体とは言えない存在になっている。
 今後の開発の中心となるオリノコ川流域の油は、瓶を振っても揺れないほど重い超重質油で、製油する前に改質が必要。開発にはより大規模な投資が必要となる。中国・人民日報の現地特派員、張衛中記者は「中国はチャベスに対し、提供する金を社会事業よりも石油開発に使え、と働きかけるだろう」と見ている。

・21世紀の社会主義
 ベネズエラのチャベス大統領が05年に提唱した政治スローガン。教育や医療制度の整備など社会事業拡充によって、貧困、飢餓といった問題の解決や社会正義の実現を目指す。大統領が99年の就任時から推進してきた「ボリバル革命」の一環で、米国などが推し進める新自由主義的な経済政策に反対し、寡頭勢力が独占してきた石油の富を、一般市民が取り戻すことを目的とする。

◎社会不満の解決能力失い“反日”頼み、中国共産党体制そのものが投資リスクに(2012年10月17日、産経新聞)
 中国の反日暴力デモはひとまず下火になったが、対中戦略を見直す日本企業経営者は多いだろう。その際、基本的な認識として持つべきは、中国共産党が投資リスクそのものに転化してしまった点である。共産党の首脳陣が誰であろうともはや日本企業の味方ではありえない。
 日本企業の対中進出は1970年代末に本格的に始まった。大手メーカー、商社、金融、流通業など主要企業、日本経団連など財界のトップたちはひんぱんに北京の共産党中央の幹部や首脳と会合を持ち、信頼関係の構築に努めてきた。部品、材料加工下請けなど中小企業経営者たちも広東省や江蘇省など各地方の党幹部と接触して合弁相手や立地先を選定してきた。
 現地法人には董事長と呼ばれる経営首脳とは別に、この法人の共産党委員会書記のポストを用意して報酬を払う。この書記が「工会」と呼ばれる労働組合を相手に低賃金をのませ、労務上のトラブルを水面下で処理する。共産党組織は党総書記(現在は胡錦濤氏)を頂点にした中央政治局常務委員(9人)が最高意思決定機関であり、各委員につながる人脈が全国に配置されている。このピラミッド型システムが各地での日本企業の投資をサポートする中で、日本企業は電機も自動車も大手から末端下請けにいたるまで安心して対中投資、生産、販売に励んできた。
 ところが、数年前からこのシステムはほころびが目立ってきた。農村部出身の労働者が待遇改善や賃上げを要求し、労働争議が頻発するようになったのだ。工会は影響力を失った。背景には貧富の格差の拡大があり、不信感がこれ以上広がらないよう、党中央や地方の党幹部も労働者大衆の不満を押さえつけられない。権力者がそうなら民衆はつけあがるのが中国社会の常である。労働者側の要求はエスカレートしトラブルが慢性化する。
 そこに起きたのが沖縄県尖閣諸島の国有化である。党中央は「愛国無罪」の旗を振った。すると各地の共産党幹部が競うように「日の丸」への攻撃を始め、「井戸を掘った」松下の工場を含め、日系の工場や店舗への放火や略奪を放置した。対中投資リスクを軽減してきたはずの党システムは真逆の破壊装置に変化してしまった。
 格差拡大や鬱積する社会的な不満の解決能力を喪失した党中央が安易な反日ナショナリズム活用に走る。自身の政治的基盤が脆弱な党官僚は保身のために反日で足並みをそろえる。良識派は沈黙の日々だ。さりとて、日本企業はただちに撤退するわけにいかない。莫大な清算費用を突きつけられ、公正な裁判も受けられない。
 日本政府は企業任せにせずに、今回の破壊や休業に伴う賠償請求や日本人の生命・財産の安全確保を北京に対し厳しく迫るべきだ。このまま何も行動を起こさないなら、政府の資格はない。

◎中国人100人逮捕、少年射殺、金の不法採掘で(2012年10月17日、読売新聞)
 中国各紙(15日付)によると、西アフリカ・ガーナの司法当局は10、11の両日、国内の金の採掘現場で集中取り締まりを実施し、不法採掘の疑いで中国人労働者約100人を逮捕し、逃走しようとした黒竜江省出身の少年(16)1人を射殺した。
 報道によると、国際的な金の価格上昇に伴い、金の埋蔵量が豊富なガーナで、就業や居留の許可を得ていない中国人による不法採掘が頻発。当局は今年に入って取り締まりを強化し、5月、8月にもそれぞれ約30人を逮捕した。採掘が農地の占領や水質汚染などを引き起こし、地元住民の不満が高まっているという。
 中国外務省はガーナ側に対し、少年が射殺されたことに抗議し、事実関係の徹底的な調査を求めた。

◎不法操業の中国漁船員死亡、韓国「正当な制圧」(2012年10月17日、読売新聞)
 韓国南西沖の黄海で不法操業していた中国漁船員が、韓国海洋警察官の撃ったゴム弾で死亡した事件で、海洋警察は17日、「正当な制圧過程で起きた事故だ」と、正当性を主張した。
 海洋警察によると、高速ボートの海洋警察官らが16日午後、不法操業中の漁船に接近し、鉄パイプなどで抵抗した船員らに計5発のゴム弾を発砲。1発がノコギリを振り回していた船員(44)の左胸に命中、この船員が死亡した。
 海洋警察は「激しい抵抗で警察官の生命に危険が生じたため、マニュアル通り非殺傷用のゴム弾を発砲した」としている。
 韓国政府は、船員死亡について、中国側に遺憾の意を表明し、外交摩擦に発展することは避けたい立場。これに対し、中国外務省報道官は17日、「韓国が暴力的な法執行を停止し、類似事件の再発防止を求める」と抗議した。

◎日本車破壊の5人逮捕、中国広州、9月の反日デモ(2012年10月16日、産経新聞)
 中国広東省広州市の検察当局は16日、9月に同市で行われた反日デモで日本車を破壊したとして、男5人を逮捕したことを明らかにした。中国紙、羊城晩報(電子版)が伝えた。
 同紙によると、5人は日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化に反発し、9月16日に同市中心部で行われたデモで暴徒化。治安要員らの制止を無視し、石を投げ付けたり蹴ったりして路上に止めてあった日本車を破壊、治安要員らに軽傷を負わせた上、現場を混乱させたとしている。
 破壊された日本車は、在広州イタリア総領事館のものだった。

◎不法操業の中国漁船に韓国側がゴム弾、船員死亡(2012年10月16日、読売新聞)
 韓国南西部・紅島(ホンド)北西約90キロ・メートルの黄海で16日午後、不法操業をしていた中国漁船の船員(44)が、韓国の海洋警察官が撃ったゴム弾に当たり、死亡した。
 海洋警察によると、現場は韓国の排他的経済水域(EEZ)内。韓国側の警備艦が中国漁船2隻を拿捕する際、船員らがノコギリや刃物などを振り回して激しく抵抗したため海洋警察官がゴム弾を発射し、船員の1人の胸に当たったという。船員はヘリコプターで病院に運ばれたが、死亡が確認された。韓国外交通商省は16日、在韓中国大使館に事件を通報し、船員の死に遺憾の意を表明した。大使館は経緯の徹底調査を求めた。
 黄海では、不法操業の中国漁船と韓国海洋警察との衝突が多発しており、2010年12月には取り締まりを逃れようとした中国漁船が警備艦に衝突して沈没し、漁船の船長が死亡した。11年12月には、海洋警察官2人が中国漁船の船長に刃物で刺され1人が死亡、1人が重傷を負った。

◎中国国防費、不透明さ改善せず、公表と推計の差急拡大、過去10年で(2012年10月16日、産経新聞)
 急増が指摘されている中国の国防費について、中国政府の公表値と、この分野で定評のあるストックホルム国際平和研究所(スウェーデン)の推計値の差が、2000年の約120億ドルから11年には約520億ドルと4倍超に急拡大したことが分かった。中国国防費の不透明さが一向に改善しない実態があらためて浮き彫りになった。
 米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書で判明した。報告書によると、中国の00年国防費の公表値は約220億ドルだったが、国際平和研究所は約340億ドルと推計。11年は中国が約900億ドルと公表したのに対し、同研究所は約1420億ドルと分析した。一方、報告書は、アジアの国防支出額上位である日本や中国、韓国、インド、台湾の11年国防費合計が公表値ベースで約2240億ドルと00年の約2倍に急拡大した一方、中国の占める割合は20%から40%に膨らんだと指摘した。

◎上海の料理店で邦人数人、殴るける暴行受け軽傷(2012年10月16日、読売新聞)
 中国・上海中心部の日本料理店で11日夜、日系企業の現地法人に勤務する日本人と中国人の社員数人が食事をしていたところ、中国人4~5人に言いがかりをつけられ、暴行を受けて負傷していたことが15日、明らかになった。
 日本人数人が軽傷を負ったほか、中国人社員1人は刃物で手を切られた。
 上海の日本総領事館などによると、事件があったのは外国人も多く訪れる観光名所・外灘(バンド)付近の日本料理店。中国人容疑者側は店内で日本語を話しているのを聞きつけて反発したとみられ、ビール瓶を投げつけ、一方的に殴るけるなどの暴行を加えた。
 総領事館の通報を受けて地元警察は15日までに中国人容疑者数人の身柄を拘束した。関係者によると、暴行を受けた日本人と中国人の被害者のうち入院治療が必要な負傷者は出ていないという。上海の在留邦人数は約5万6000人と中国で最大。中国では日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、反日感情が強まっている。上海では9月中旬にも日本人が中国人に暴行を受ける事例が報告されていた。

◎トヨタ、中国最大の工場停止へ、1週間、尖閣影響で(2012年10月16日、朝日新聞)
 トヨタ自動車は中国で最大の天津工場で22日から1週間、生産を停止する方針を固めた。尖閣問題で販売が落ち込んで以降、日系自動車メーカーは中国での生産台数を減らしているが、実質的に工場の生産を止めるのは初めてとみられる。
 トヨタは天津で22日からの1週間、生産を実質的にやめる計画を部品メーカーなど主要取引先に示した。天津工場は中国の建国記念日である国慶節の連休明けから、土日に加えて一部平日も休みとして減産している。22日からの週は基本的に生産を止めて生産台数を調整する。ただ、一部車種を生産する検討もしている。

◎中国国家安全省の幹部搭乗、書き込んだ男を拘留(2012年10月13日、読売新聞)
 中国・重慶市トップだった薄煕来(ボーシーライ)氏失脚の契機となった元腹心による四川省成都市の米総領事館駆け込み事件に関し、同市国家安全局は12日、市内のホテル勤務の男を、国家の安全に関わる秘密情報を漏えいしたとして7日間の行政拘留処分とした。
 男は、事件処理に当たる国家安全省担当者の航空機利用情報をネット上に書き込んだ。中国国営中央テレビが13日伝えた。
 2月に起きた駆け込み事件では、国家安全省の担当者が薄氏の腹心だった王立軍・前重慶市公安局長(収賄罪などで懲役15年の判決)を成都から北京に連行した。
 同テレビによると、男は知り合いの航空会社の男性職員から情報を聞き、ネットに書き込んだ。この職員も警告処分を受けた。

◎「発給は全面的に無期限停止」日本人団員へのビザ拒否、中国当局、台湾楽団の11月公演 (2012年10月12日、産経新聞)
 台湾の代表的オーケストラ「フィルハーモニア台湾」が11月初めに予定している中国公演で、96人の楽団員のうち日本人3人が、中国当局から必要な査証(ビザ)の発給を拒否されていることが11日、分かった。同オーケストラ責任者が明らかにした。沖縄県・尖閣諸島をめぐる争いが理由とみられるという。
 公演は11月2日から6日まで上海、無錫(江蘇省)、北京で行う予定で、中国当局に対し9月初めから許可申請などの手続きを開始。当初は順調だったが、今月8日に「日本に関することでの労働ビザ発給は全面的に無期限停止している」との北京市文化局からの通知を受け取った。
 3人は、フルートの宮崎千佳さん、チューバの宮西純さん、ホルンの国田朋宏さん。オーケストラ側はビザ発給を求め、中国側と交渉している。

◎日本人団員だけダメ、台湾オーケストラ中国公演(2012年10月12日、読売新聞)
 11日付の台湾大手紙、聯合報は、台湾を代表するオーケストラ「国家交響楽団」(NSO)が中国で11月に予定している公演で、90人余りの団員のうち3人の日本人だけが中国当局からビザの発給を拒否されていると伝えた。
 尖閣諸島の領有権を巡る対立が理由とみられる。公演は、上海、無錫(江蘇省)、北京で予定されている。

◎中国、日本人団員だけ入国拒否、台湾の交響楽団(2012年10月12日、朝日新聞)
 台湾の「国家交響楽団」が予定する中国公演で、同楽団の3人の日本人団員だけが中国当局から受け入れを拒まれていることが明らかになった。
 公演は11月2日の上海から始まり、無錫(江蘇省)、北京を回る。9日夜には東京でも予定している。9月初めに手続きを始めたが、尖閣諸島問題が起き、北京市文化局から「日本関係は団体、個人を問わず(公演などの受け入れを)許可しないことになった」と連絡があった。日本人楽団員は公演活動に必要な就労用の査証発給を受けられず、中国に入れないという。
 演奏曲目はチャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」、ドボルザークの交響曲「新世界から」などを予定。3人の日本人楽団員はフルート、ホルン、テューバを担当している。楽団は中国公演に代役を用意し、3人は東京へ直接向かわせることにしている。

◎「幹部が高級時計」に圧力、福建、雲南省が記事差し止め(2012年10月12日、朝日新聞)
 高級腕時計を好む中国福建省の幹部について書いた雲南省の地元紙「都市時報」の記事が、両省の圧力で差し止められ、印刷済みの新聞数十万部が破棄された。「こんな怒りと恥辱は初めてだ」と、同紙の編集長が9日、中国版ツイッター「微博」で暴露した。
 福建省交通庁の庁長がスイス製腕時計ラドー(市価約62万円)や、高級ブランド、エルメスのベルト(市価約16万円)を身につけていることを紹介した記事。同紙を知る関係者によると、9日午前3時ごろ、雲南省の共産党委員会や省政府のメディア担当部門など7カ所から、同紙を発行する企業の役員に電話があった。福建省党委員会と政府が記事撤回を求めており、要求を受け入れよとの内容だったという。
 同紙は公称39万部。朝刊はすでに印刷済みだったため、記事を広告に差し替えて新たに印刷し直し、午前6時から配達を始めたという。一連の騒動は国営新華社通信(電子版)も伝えるなどし、かえって全国に知れ渡る結果となった。

◎中国という「張り子の虎」(2012年10月11日、産経新聞)
 9月10日に日本政府が尖閣諸島の国有化を決めて以来、中国側は2週間以上にわたって、日本に対する未曽有の激しい「反撃攻勢」に打って出た。
 「主権と領土問題は半歩たりとも譲らない」という温家宝首相の超強硬発言を号砲にして始まった対日攻勢は、一時には気炎万丈にして疾風怒濤の勢いであった。政府が一度に十数隻の監視船を尖閣海域に派遣して日本の領海に侵入させ、「1千隻の漁船が尖閣を目指して出発」との重大ニュースも流れた。
 日中共催のイベントや商業活動などはことごとく取り消され、商務省の高官は日本に対する「経済制裁」の発動を示唆した。その一方、国内では史上最大規模の反日デモが動員されて中国全土を席巻し、一部の現役軍人が「尖閣開戦」を公言するようになった。
 梁光烈国防相も9月18日、「(日本に対して)行動を起こす権利を留保する」と言って赤裸々な軍事恫喝を行った。
 胡錦濤指導部が主導したこの一連の対日攻勢の主な目的は当然、日本側に圧力をかけ、尖閣国有化からの撤退を強いることにあったはずだ。だが蓋を開けてみたら、それらはすべて、目的を達成できないまま中途半端に終わってしまったのではないか。
 政府の動員で起きたデモが拡大して政府批判の動きに転じていくと、慌てて急ブレーキをかけて沈静化させたのは当の中国政府である。憂慮されていた「1千隻の中国漁船の領海侵入」は結局杞憂に終わってしまい、中国の漁船は一隻たりとも日本の領海に入ってこなかった。商務省高官の示唆した「経済制裁」も発動できず、日本に対する「制裁」はせいぜい、輸出品の通関検査を「厳しくする」程度の嫌がらせである。
 もちろん、中国軍の「尖閣開戦」は最初からただの脅しにすぎなかったので、梁国防相が言った「行動を起こす権利」は今でも、単に「留保」されているだけである。
 そして9月26日、「尖閣で妥協しない」と宣言し、それこそ「半歩も譲らない」との姿勢を明確に示したのは、むしろ日本の野田佳彦首相なのである。
 それに対して、中国政府はテンションを上げて言葉上の激しい批判を展開したものの、さらなる「対抗措置」をとることはいっさいなかった。野田首相発言の翌日、今度は、党内序列4位の人民政治協商会議全国委員会の賈慶林主席が日本側の代表団との会談に応じて出て、「日中関係を大事にする」うんぬんを語り始めた。
 考えてみれば、まさにこの「妥協しない」という野田首相の発言をもって、中国側の発動した史上最大の対日攻勢はまったくの徒労に終わってしまった。虚勢を張る以外に何もできないという中国の「張り子の虎体質」がそれで、白日の下にさらされた。
 日本側が毅然とした姿勢を貫くことさえできれば、中国は結局、日本を制するための決め手を何も持っていないのだ。一連の日中間攻防の経緯からは、中国は脅威ではあるが恐れるに足らずとのこと、そして現在は機能している日米同盟が実に重要で大きな効力を発揮していることなどを、われわれは十分に学んで認識しておくべきであろう。
 今後、中国政府は監視船による日本の領海侵入を常態化させて圧力をかけながら、日本側を「領土問題」に関する協議の席に引っ張りだそうとする戦術に転じていくだろうが、前回指摘したように日本政府はその「罠」に引っかかって「領土協議」に応じるようなことはあってはならない。

◎米国への参入を図る中国巨大企業 “スパイ疑惑”より恐ろしい“不当な貿易障壁”への報復(2012年10月11日、産経新聞)
 急激な成長を遂げた強力な中国の通信企業は、米下院特別委員会が指摘する安全保障上の問題が真実であろうとなかろうと、米国市場にとって脅威的存在だ。
 米国議会と、中国のネットワーク大手である華為技術(Huawei:ファーウェイ)との間の応酬(日本語版記事)においては、同社の製品が米国内の通信に、中国のスパイが不法にアクセスするためのバックドアを提供するかどうかということが大きな問題になっている。しかし、大統領選挙を控える現在、政治家たちにとってはさらに恐ろしいものがありそうだ。米国市場を勝ち取ることを切望する中国企業という怪物だ。
 華為技術は、1987年に香港の電話機器を輸入する小さな企業として設立されたが、2011年には売り上げ320億ドルの巨大通信ネットワーク企業にまで成長した。同社の成功は、研究開発に対する巨額の投資、新興市場を追及する企業戦略、常に競合他社よりも安く販売できる能力によるものだ。
 華為技術の「Android」搭載スマートフォンは、米国以外の市場ですでに大きなシェアを獲得しているが、米国でも最近、低価格のスマートフォンメーカーとして急激にシェアを増やしている。
 調査会社ガートナーのアナリストで、通信機器メーカーを担当するキャシー・ハックラーによると、華為技術は、最近になって成長のペースが遅くなったことを認識しているという。アフリカと南米、アジア太平洋地域で大きな成功をおさめた後、華為技術はさらに拡大する余地を見つける必要がある。そうした同社にとって米国市場には明らかに魅力があり、ハックラー氏によると同社には参入できるだけの強みがあるという。
「財務状況もよいし、製品も作れる。研究開発の能力も高い。強力な競合者となるだろう」とハックラー氏は述べる。
 活況が続く米国のモバイルインフラ市場は、現在仏アルカテル・ルーセントとスウェーデンのエリクソンの2社が支配している。華為技術がそこに入り込むためには、低価格だけではなくシニアレヴェルの従業員やサービスが必要になってくるとハックラー氏は指摘する。
 華為技術にはその意思があるように見えるし、米国の通信分野を中国製品で溢れさせる方法もすぐに見つけるだろう。これは、(米下院特別委員会の主張が真実であるかどうかにかかわらず、)この秋の大統領選の候補者にとって政治的に思わしくない見通しだ。(華為技術側は、米国の政治家たちは保護主義を推進させるために今回の調査報告を行ったと主張している。)
 それでも、今回の件に関わる政治家たちが、サイバーセキュリティーの名のもとに不当な貿易障壁を築こうとしていると見ることは、米国経済における最も単純な真実のひとつを見ないことでもある。それは、中国製の電子機器はかなり以前から、米国中を埋め尽くしているということだ。米国議会が実際に中国に続く門を閉じようとした場合、全国の有権者の手から「iPhone」をもぎ取らなければならなくなるだろう。アップル票を失うことは、まさに政治的自殺行為だ。

◎昭和電工、中国でのUHP生産、14年見通し(2012年10月10日、化学工業日報)
 昭和電工は、2014年をめどに中国でウルトラハイパワー(UHP)と呼ばれる大口径の人造黒鉛電極の生産を開始する。年内に出資手続きを終える四川省の中鋼集団四川炭素有限公司(四川炭素)の設備を活用。15年以降に形成が見込まれる大口径電極市場向けに供給体制を整える。すでに現地で調達できる原料を用いた実証試験も開始しており、スムーズな立ち上げにつなげる。

◎中国産冷凍イチゴが原因、ドイツの食中毒、1万人超被害、ノロウイルス死滅せず(2012年10月10日、産経新聞)
 ドイツ東部で児童や生徒が下痢や嘔吐の症状を訴えた問題で、ロベルト・コッホ研究所は9日、給食で出された冷凍イチゴからノロウイルスを検出し、原因と断定したと発表した。発症者は1万1千人を超え、ドイツで最大規模の食中毒となった。イチゴは中国から輸入されたという。
 冷凍前のイチゴの加熱処理が不十分で、ノロウイルスが死滅しなかった疑いがある。DPA通信によると、給食の納入業者は被害者に計55万ユーロ(約5500万円)相当の商品券を送る予定。

◎中国共産党、汚職など66万人、4年半の処分数(2012年10月10日、読売新聞)
 新華社通信によると、中国共産党規律検査委員会のトップを務める賀国強(フォーグオチャン)党政治局常務委員は、北京で汚職対策の会議を開き、2007年11月から今年6月までに汚職や職務怠慢などの党規違反などで66万人以上の党員を処分し、このうち2万4000人以上が刑事処分のため司法機関に移送されたことを明らかにした。
 党中央組織部によると、党員数は10年末時点で約8027万人。
 賀氏は、英国人実業家殺人事件での職権乱用などで党籍を剥奪された薄煕来(ボーシーライ)前重慶市党委書記や、鉄道建設プロジェクトでの汚職容疑を問われている劉志軍・前鉄道相について、「重大な規律違反、違法事件を厳しく取り締まった」と強調。11月8日に開かれる第18回共産党大会を前に、市民からの不満が強い汚職に対する胡錦濤(フージンタオ)政権の取り締まりの成果をアピールした。

◎阪和化工機、かく拌機、海外生産拡大、中国で倍増(2012年10月9日、化学工業日報)
 工業用かく拌機メーカーの阪和化工機(大阪市東淀川区、町井秀年社長)は、海外生産の大幅強化に乗り出す。現在、海外生産は中国・上海に今春完成した新工場から供給する月50台だけだが、来春新設予定のベトナム拠点と合わせて倍増設を実施。海外生産の規模を早期に同200台に引き上げる。町井社長は「倍増設は3年内に実施したい。(売上高の)海外比率を現在の5%程度から30%にアップさせたい」としている。

◎中国の「阿倍仲麻呂」記念碑、ペンキで無残に(2012年10月9日、読売新聞)
 中国陝西省西安市にある遣唐使・阿倍仲麻呂の記念碑が、何者かに黒色や赤色のペンキをかけられて汚されていたことが8日、わかった。
 中国版ツイッター「微博」の書き込みなどによると、5日夜から6日朝にかけて汚されたとみられる。「取り除け」を意味する「拆」などの字も書かれていた。日本政府の尖閣諸島国有化後、西安では大規模な抗議デモが先月15日に発生しており、反日感情を抱く人物による犯行の可能性が高い。
 阿倍仲麻呂は、奈良時代に遣唐使として唐に渡り、日本に帰国できずに客死。記念碑は、高さ約6メートルの石碑で、1979年に奈良市との友好都市提携5周年を記念して、当時の西安市革命委員会が建てた。阿倍仲麻呂が詠み、古今和歌集に収められた「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」の漢訳なども刻まれている。

◎反日デモで中国人男性死亡、結婚式前の悲劇(2012年10月8日、読売新聞)
 7日付の中国紙・南方都市報は、広東省深圳市で9月16日に起きた反日デモの現場で頭を打って入院中だった中国人男性(27)が2日に死亡したとの記事を掲載した。
 日本政府の尖閣諸島国有化に抗議する反日デモで死者が出たとの情報はこれまでインターネット上などでは見られたが、中国主要メディアの報道は初めて。
 男性は、死亡した2日に結婚式を挙げる予定だった。南方都市報は比較的自由な論調で知られ、男性の悲劇を強調する形でデモ現場の混乱ぶりを伝える意図だった可能性がある。

◎反日デモで頭打った男性死亡、中国、広東、入院先で(2012年10月7日、朝日新聞)
 中国広東省の深圳市で9月16日にあった反日デモの現場で頭を打ち、意識不明となっていた地元の男性(27)が2日、入院先で死亡したと地元紙・南方都市報が7日伝えた。尖閣諸島の日本国有化を巡るデモにからみ、死者が出たと詳細に報じられたのは初めて。
 男性は湖北省出身で市内の電子機器メーカーに勤める技術者。デモの当日は同僚約10人と、日系のショッピングセンターや市共産党委員会の庁舎などが並ぶ通りにいた。群衆となって車道中央の柵を乗り越えようとしたところ、倒れた柵に足を挟まれ、混乱状態の中で頭を打ったらしい。
 死亡した2日は故郷の婚約者との結婚式の予定日だったという。

◎「薄煕来の愛人を捜せ」、多くの女性が餌食に(2012年10月8日、産経新聞)
 9月28日に開かれた中国共産党政治局会議で、今春に失脚した薄煕来・前重慶市党委書記の党籍剥奪と、司法機関への身柄送致が決まった。国営新華社通信はこの処分にあわせて同日、薄氏の罪状を紹介する記事を配信したが、この中に汚職や職権乱用のほか、「多数の女性との間で不適切な関係を持った」との記述があったことから、インターネットで大きな関心が集まった。多くの女優、アナウンサー、重慶市関係者の名前が挙げられ、「薄氏の愛人を捜そう」と大騒ぎとなった。
 米国を拠点とする反体制系中国語サイト「博迅ネット」は情報筋の話として、薄氏と不適切な関係にある女性は計28人おり、なかには全国的な知名度がある女優3人、薄氏の部下だった重慶市幹部6人が含まれていると伝えている。本来ならば、ネット規制されている中国国内からは「博迅ネット」の記事を見られないが、薄氏が失脚したためか、この記事は国内で転載されてもほとんど削除されず、瞬く間に各サイトに広がった。
 最も関心が集まったのは有名女優3人の正体だ。まず疑われたのは、香港紙などに薄氏との親密な関係を報じられたことがある、ハリウッドでも活躍している著名な女優、チャン・ツィイー(章子怡)氏。
 チャン氏が薄氏の愛人との噂は5月にもインターネットで一時流れたが、チャン氏が否定した経緯があった。今回、新華社の記事が「多くの女性」を言及したことを受けて、「火のないところに煙は立たぬ、チャンが含まれているに違いない」といった内容の書き込みが各サイトに殺到した。
 重慶出身、または重慶テレビによく出演する女優の名前も複数挙げられた。「売れたのは薄氏に面倒を見てもらったに違いない」などと推測している。また、地元テレビのアナウンサーや、薄氏を取材したことのある女性記者の名前と写真もインターネットにアップされ、「この人は美人だから、薄が手を付けないはずがない」などと何の根拠もなく決め付けている。
 さらに、薄氏の愛人に重慶市幹部6人もいることについて、重慶市の女性職員の写真が手当たり次第アップされ、「この人はどう思う」「年を取りすぎているから違う」などと勝手に議論を展開している。
 そもそも、多くの女性と関係を持つことは、中国の法律に違反していない。中国当局が今回、あえてこの事実を公表したことは、薄氏が再起できないようにイメージ低下をはかる思惑があったとみられるが、ネット上での心ない書き込みで多くの女性の人権が侵害される結果を招いた。
 北京大学法学部教授の賀衛方氏ら複数の改革派知識人はブログなどで、巻き込まれた関係のない女性たちの名誉回復のために、薄氏の愛人リストの公開を当局に求めている。「薄氏から金品などを受け取ったとすれば、愛人たちも汚職犯罪に絡んでいる可能性がある」「薄氏は権力者であるため、国民は彼の犯罪について知る権利がある」などの理由を挙げている。

◎iPhone5の中国工場で争議、下請け2カ所(2012年10月7日、朝日新聞)
 米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)5」やその部品を製造している中国の下請け工場2カ所で5日、従業員らによる抗議活動が相次いで起きたと、香港メディアなどが伝えた。
 香港紙・明報によると、広東省東莞市で5日、台湾系メーカー・富港電子の工場に対して、解雇後に自殺した男性工員(32)の家族ら20人が賠償金を要求し、賛同した従業員たち数千人が工場前での抗議活動に参加した。男性工員は休暇を1日しか認められなかったが、3日休んだ後に出勤。無断欠勤を理由に解雇された後、工場の5階から飛び降り自殺したという。
 また、中国のポータルサイト・新浪網は6日、米国の労働者支援団体チャイナ・レーバー・ウオッチの話として、河南省鄭州市でも5日、台湾系メーカー富士康(フォックスコン)の製造工場で、約4千人の従業員がストライキを実施したと伝えた。

◎集団食中毒、原因は冷凍イチゴ? ドイツ、政府機関発表(2012年10月6日、朝日新聞)
 ドイツ東部のベルリンやザクセン州などで起きた生徒・児童の集団食中毒で、ドイツ消費者保護・食品安全庁は5日、給食に使われた冷凍イチゴが原因である可能性が非常に高いと発表した。ノロウイルスが原因と疑われているが、まだ完全に解明されていない。
 同庁やロベルト・コッホ研究所によると、患者への聞き取りや食材の供給ルートの調査から、給食でデザートに出されたイチゴの砂糖煮の可能性が高い。冷凍イチゴの加熱が不十分で、菌が死滅しなかったと見られる。ドイツメディアによると、イチゴは中国から輸入されたという。
 9月25日から28日ごろにかけて計5州の学校や幼稚園などで約1万1200人が下痢などの症状を訴え、ドイツで過去最大の集団食中毒とされる。死者は出ていない。

◎中国、ステルス機材調達にも困窮? 軍事用カーボンファイバー密輸計画、米が阻止(2012年10月2日、産経新聞)
 「新しいステルス戦闘機の材料となる大量のカーボンファイバー」を米国から中国に密輸するという計画を、米国のおとり捜査官チームが阻止した。
 新しいステルス戦闘機を建造する材料とされる大量のカーボンファイバーを中国に密輸するという計画を、米国当局が阻止した。
 9月26日(米国時間)、航空宇宙グレードのカーボンファイバーを米国から中国へ不法に輸出しようとしたとして、中国人のMing Suan Zhang(40歳)が、ニューヨーク州東部地区の連邦裁判所に告訴された。法廷で今週明らかにされた刑事告訴状および宣誓供述書(PDFファイル)によって判明した。
 「New York Times」紙の記事によると、Zhang容疑者はスポーツ機器の製造者で、無実を主張している。しかし連邦検察は、Zhang容疑者は軍事グレードのカーボンファイバー400万ドル相当を違法に輸出する計画の首謀者だったと主張している。さらにZhang容疑者は、米国側のおとり捜査員に対し、カーボンファイバーは10月5日に実施される中国の新しいジェット戦闘機のテスト飛行のために必要な素材だと語ったという。有罪になった場合、Zhang容疑者は20年禁固されることになる。
 航空宇宙グレードのカーボンファイバーは、単なるプラスティックではない。原子力発電所でも使われる特殊な--そして高価な--高分子化合物であり、ステルス戦闘機「F-22 ラプター」など軍用機の胴体の建造にも用いられる。Zhang容疑者が入手しようとしたと検察が主張するカーボンファイバーM60JBの場合、400万ドルで約2トン分になる。
 告発状によると、計画は2012年4月25日に始まった。この日、Zhang容疑者の共犯者2名(告訴されておらず、告訴状では「John Doe」および「Jane Doe」[どちらも仮名]とされている)が台湾から、「航空宇宙産業や軍事の商品」を扱う米国企業の関係者に連絡をとった。しかし、この企業は実は移民関税執行局の調査機関である国土安全保障調査部(HSI)によるフロント企業だった。
 この4月の電話会議で、バイヤー2人はおとり捜査員に対し、複数トンのカーボンファイバーを、輸出承認の取得を回避するために第3国を通す形で米国から中国に輸出したいと語った。彼らはこの際、カーボンファイバーの入手は軍事に関係するので問題があると述べたとされる。第3国を通したいという提案が拒否されたとき、バイヤーたちはカーボンファイバーを別のものに見せかけて通関をごまかせないかと尋ねたという。
 John DoeとJane Doeは5月8日、秘密捜査員から提示された口座に1,000ドルを入金。7月には米国を訪れ、そこでM60JBのサンプルを渡された。
 7月中旬に電話で話をした際に、Zhang容疑者とJohn Doeは日本からのカーボンファイバー入手が難しいと述べ、また、米国で新しい売り主を見つけたことにDoeが言及していた。別の秘密捜査員がZhang容疑者に連絡をとり、9月に渡米させる算段をつけ、Zhang容疑者が渡米した時点で逮捕した。
 米国の国防当局は、「J-20」や最近発覚した「J-21」など、中国の最新ステルス戦闘機を懸念している。しかし、中国が最新の戦闘機に必要な高性能の電子機器はおろか、ジェット戦闘機の「胴体」を作るための高分子化合物の入手にさえ苦労しているのだとすれば、そこまで心配する必要はないのかもしれない。

◎中国の30、40代、都市で生活謳歌、子供時代に親が必死に教育(2012年10月2日、産経新聞)
 日本では幸せな世代が70代の親の世代だとすれば、中国では幸せな世代は現在の30、40代といえます。
 中国では親世代は戦争の影響で貧しい生活を余儀なくされた世代。戦後になっても、政治闘争が次々と起こり、いつ闘争に巻き込まれるか、戦々恐々として人々の気持ちも暗いものだったはず。文化大革命で「下放」(地方に送り出して労働などに従事させる政策)された方も多く、本当に苦労の多い世代。
 また当時は大学が閉鎖されていたため、教育の機会もなかった時代。したがって、今でも企業では50歳以上の優秀な人材が不足しています。
 それに比べて現在の30代、40代は親が必死に教育をしたかいもあって、きちんとした教育を受けているケースが多い。一部のエリートは高学歴で欧米の一流大学での留学経験もあり、最新の経営を勉強しているので、若くして会社のトップについてしまう方が多い。
 また、改革開放が進んで規制が減り、商売をする環境が整ったため、自分の力で事業を立ち上げて、豊かになるケースも多い。
 30、40代は高収入で都会の大きな家で暮らし、豊かな消費生活を謳歌(おうか)する。こんな姿が中国の大都市では当たり前の光景。したがって、中国ではこの世代の方が田舎に住む親に仕送りをするというのは、普通に見られる姿です。
 ここまでは日本とちょうど逆のパターンですが、20代の若者が大変そうなのは日本も中国も変わらない気がします。
 日本と同じで中国でも大学卒業後の就職難が深刻ですし、結婚するためには新居を購入しなればならず、結婚もなかなか大変そうです。また中国でも高齢化社会を迎えることが予想されますので、若者が感じるプレッシャーは増えそうです。

◎フィリピン、ベトナムも領土言及、中国の南シナ海での行動批判(2012年10月2日、産経新聞)
 フィリピンのデルロサリオ外相は1日、国連総会一般討論で、海洋をめぐる紛争を「威嚇や武力行使によらず平和的手段で解決する義務」を強調した。ベトナムのファム・クアン・ビン外務次官も主権や領土の争いを「平和的に解決」する義務があると訴えた。
 いずれも明示はしなかったが、中国と領有権をめぐる争いがある南シナ海での中国の活動を批判する内容となった。
 デルロサリオ外相は「わが国は領海の安全と国家領土の保全に対する最も深刻な挑戦に直面している」と強調した。
 南シナ海については中国がほぼ全域の領有権を主張する一方、南沙(英語名スプラトリー)諸島や西沙(同パラセル)諸島をめぐりベトナム、フィリピンなども領有権を争っている。

◎天津で観光バス炎上、ドイツ人ら6人死亡(2012年10月1日、朝日新聞)
 中国国営新華社通信によると1日午前8時半ごろ、天津市の高速道路で、観光バスが炎上し、6人が死亡、14人がけがを負った。死亡したうち5人はドイツ人観光客だった。
 前を走る貨物トラックに追突したことが原因と見られる。バスは北京の中国青年旅行社が運行し、北京から上海へ向かう途中だった。
 1日は中国の建国記念の日「国慶節」で、大型連休中。有料道路の無料化が重なり、鉄道、飛行機を含めて、延べ7億4千万人が移動すると予想されている。

◎米キャボット、特殊カー黒、中国で初生産 年5万トン(2012年10月1日、化学工業日報)
 米キャボットは、中国で初めて高性能自動車タイヤ向け特殊カーボンブラックの生産に乗り出す。これにともない河北省に建設する新工場の1系列を特殊カーボンブラック専用とし、完成後は年5万トン能力分を同カーボンブラック生産に充てる。並行して従来品の新設備も建設、生産能力を同9万トンとする計画で、新工場では計14万トン体制で2013年秋からの本格稼働を目指す。これにより、現地市場ニーズの高度化に対応するとともに、中国で第3の生産拠点を構築。グローバル展開にさらなる弾みをつける。

◎不祥事続発のぜいたく公務員に「質素令」、中国、指導部交代控え綱紀粛正(2012年10月1日、産経新聞)
 中国政府は1日付で、公務員に対して「質素な職務姿勢」を義務づける規則を制定し、公金で宴会を開いたり高級車を購入したりすることや、高価な贈り物を受け取ることなどを禁じた。公務員の汚職や贅沢に対する国民の批判が高まる中、10年ぶりに指導部が代わる共産党大会の開幕(11月8日)を控え、綱紀粛正を図ったとみられる。

・フェラーリ暴走事故
 中国では以前から政府高官や公務員による汚職が問題視されてきたが、今年は、受領した賄賂が2600万元(約3億2000万円)に上るともされる共産党の重慶市トップの座にあった薄煕来氏(63)と妻のスキャンダルが指導部交代にも影を落とす事態になり、高級幹部の華やかな生活が国民の厳しい目にさらされている。
 3月には、党中央委員である令計劃(れいけいかく)氏(55)の息子、令古氏(23)が北京の環状道路で高級スポーツカー、フェラーリを運転中にコントロールを失ってスピン。車は大破し、令古氏は死亡、同乗の女性2人も重傷を負った。また、3人は裸の状態で、車内でいかがわしい行為中に事故を起こしていたことが9月にわかった。事故の内容もさることながら、国民からは、なぜ2000万円以上もするフェラーリを令氏が購入できたのか、強い疑念の声が上がった。批判を恐れた党指導部は、父親の令計劃氏を、胡錦濤(こきんとう)総書記(国家主席)(69)の秘書的な役割を担う要職の中央弁公庁主任から党統一戦線工作部長に降格させた。
 7月には中国政府は、中国料理の高級食材としてスープなどに使用されるフカヒレを夕食会など公務接待の場で提供しないように幹部らに指示した。しかし、贅沢を戒めるために「フカヒレ禁止令」を決めたものの、導入する時期を「3年以内」としたため、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」では、「農民なら一生かかっても食べられないフカヒレを、公務員らはまだ3年も宴会で食べ続ける」といった反発が相次いだ。

・高級品に説明求める
 今回の「質素令」は、フカヒレ禁止令に続く綱紀粛正策の第2弾で、中国メディアは「高級品を保有している公務員は、それを手に入れた方法について納得できる説明を求められることになる。高級品とは、月給5000元(約6万2000円)程度の公務員には買えない高価な物品を指す」と伝えている。ロイター通信によると、現在、中国の警察は汚職を摘発するため、証拠となる「高級品」を見分ける方法について研究しているという。
 急激な経済成長のひずみともいえる貧富の格差拡大や官僚腐敗などへの国民の不満の深刻さは、中国各地で発生している暴動、抗議行動の激増ぶりからもうかがえる。
 中国政府の内部調査では、暴動を含めた抗議活動が昨年1年間に約18万件も起きている。約18万件の内訳は不明だが、ほとんどが政府と党に反発したもので、単純計算すると1日当たり約500件発生している。政府は08年に「06年に9万件超の抗議行動が発生」と公表しており、5年間で抗議活動は倍増したことになる。こうした事情から、中国政府は国内の治安維持などに充てる本年度の「公共安全」予算として、前年度実績比11.5%増の約7017億元(約8兆7000億円)を計上。国防費を上回る額を投じて力による封じ込めを図っているのが実態だ。

◎抗議の男性をローラー車で当局が殺害か、中国湖南省(2012年9月30日、産経新聞)
 米政府系放送局のラジオ自由アジアは30日までに、中国湖南省長沙市岳麓区の工事現場で、立ち退きをめぐって抗議を続けていた男性が地元当局者の指示でローラー車にひき殺されたと伝えた。ローラー車の下敷きになった男性とみられる写真がインターネット上に投稿され、衝撃が広がっている。
 同放送局によると、16日、男性は工事を管轄する地区の幹部と口論になり、ローラー車の前に横たわって「殺してみろ」と叫んだ。ローラー車は幹部の命令で男性の体の上を通過、圧死させたという。男性の死に抗議する住民と地元の公安関係者ら数百人が衝突したとの情報もある。
 長沙市は「幹部がひき殺すよう指示した事実はなく、事件性はない」とする調査結果を公表。短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」上には「真相はやぶの中」「中国では権力と金が法律なのだ」などと当局に対する批判的な書き込みが相次いでいる。

◎薄氏夫妻、収賄額は合わせて3億円超か、香港紙報道(2012年9月30日、産経新聞)
 30日付の香港紙、明報は、巨額の賄賂を受け取ったなどとして、中国共産党の党籍を剥奪された重慶市前トップの薄煕来氏と妻の谷開来受刑者が受け取った賄賂の合計は約2600万元(約3億2千万円)に上ると報じた。谷受刑者は英国人ビジネスマン殺害事件で執行猶予2年付きの死刑判決が確定している。
 同紙はこれまでに薄氏が2千万元を超える賄賂を受け取ったと報道。だが、29日に党が当局者に通知した内容によると、受け取った賄賂の額は薄氏が約600万元、谷受刑者が約2千万元だという。谷受刑者が受け取った賄賂が薄氏に渡ったかどうかなどの説明はなかったとしている。
 一方、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は党側が当局者らに対し、薄氏は谷受刑者の「強欲さ」が原因で失脚したと説明していると報道。受け取った賄賂は全て谷受刑者が手に入れたとされているという。

◎賄賂額2億4千万円超か、中国、薄氏受領と香港紙(2012年9月29日、産経新聞)
 29日付の香港紙、明報は、巨額の賄賂を受け取るなど重大な規律違反があったとして中国共産党の党籍を剥奪された重慶市前トップの薄煕来氏について、受領した賄賂は2千万元(約2億4800万円)を超えると報じた。無期懲役となる可能性もあるとの見方も紹介した。
 同紙によると、28日に党から政府関係者らに対し薄氏の事件が伝えられた際に収賄額などの説明があったという。
 同紙は中国の学者の話として、薄氏は収賄罪などに問われ、最も重い量刑で無期懲役となる可能性があるが、党中央政治局員だったために慣例からすると死刑は免れるとしている。
 一方、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、別の政治学者や弁護士らの見方として、賄賂が巨額であり、ほかに職権の乱用などもあったと指摘されていることから、死刑の可能性もあるとしている。

◎胡派、報復恐れ薄氏“抹殺” 習氏の外交強硬策と取り引きか、党籍剥奪決定(2012年9月29日、産経新聞)
 28日に北京で開かれた中国共産党中央政治局会議で、薄煕来・前重慶市党委書記の党籍剥奪、司法機関送致が決定した。調整が難航していた第18回党大会の開催日も11月8日からと決めた。次期最高指導部である政治局常務委員や軍事委員会のメンバーも同会議で決定したとみられる。党大会を前に党内で展開された激しい派閥抗争が一段落したといえる。薄氏の厳しい処分が決定されるまで、党内の各勢力間でギリギリの調整が行われたとみられる。
 薄氏と胡錦濤国家主席派との対立は数年前から香港メディアなどに伝えられてきた。しかし、薄氏は江沢民前国家主席から深い信頼を得ており、次期党総書記に内定している習近平国家副主席と同じ太子党(元高級幹部子弟で構成)に所属し、党内で大きな影響力を持っていた。
 薄氏の腹心の王立軍・重慶市副市長が米総領事館に駆け込み、妻の谷開来氏が英国人実業家を殺害したことが2月以降、明らかになったことで、江氏らは薄氏を失脚させることに渋々同意したが、刑事責任を問うことには反対したとされる。
 これまでに失脚した他の共産党高官と比べて、薄氏が特別な扱いを受けていたのは明らかだった。2006年に上海市党委書記を解任された陳良宇氏の場合などは、中国メディアはすぐにその経済問題や女性スキャンダルを大きく報じイメージ低下を狙った。しかし、薄氏は失脚から約半年間、本人の不祥事について一切報じられなかった。江氏に近い党中央宣伝部が厳しい報道規制を敷いたことが原因とみられる。
 1989年6月の天安門事件で失脚した趙紫陽元党総書記と同じように、薄氏の党籍は残すべきだとの意見が一時党内で強くなったとの情報も流れた。しかし、薄氏の党籍を残せば政治的に復活する可能性もあり、報復を恐れる胡錦濤派は焦りを募らせたという。
 最近、尖閣諸島や南シナ海の問題で習副主席による積極的な発言が注目され、習派が外交問題で主導権を握っていることを印象づけた。党内の取引で、胡派が政策面で習氏の主張に譲歩するかわりに、薄氏を厳しく処分することへの同意を取り付けた可能性もある。
 5年に1度開かれる共産党大会の日程は8月に発表されるのが通例だが、今回9月末にずれ込んだのは、党内の調整が難航したことを物語っている。

◎薄熙来氏、重慶市人代代表も解任、党籍剥奪など受け(2012年9月29日、朝日新聞)
 中国重慶市共産党委員会の機関紙、重慶日報は29日、市人民代表大会(市人代=市議会に相当)常務委員会が28日、薄熙来(ポーシーライ)・前同市党委書記の市人代代表(議員に相当)の職務を解くことを決めたと伝えた。党政治局が28日、薄氏の党籍剥奪や公職追放を決めたのを受けた措置で、薄氏は全国人民代表大会(全人代)代表も解任され、不逮捕特権を失う。

◎薄煕来氏の収賄額2000万元以上、香港紙(2012年9月29日、読売新聞)
 29日付の香港紙・明報は、司法機関への移送が決まった前重慶市トップ、薄煕来氏の収賄額が、2000万元(約2億5000万円)以上に達すると報じた。
 政権内部で薄氏に関する問題の詳細が28日に報告された際、収賄額も示されたという。
 同紙は、薄氏の審理開始が来年になるとの見通しを示した上で、中国の学者の話として、党政治局員経験者への死刑は回避するとの慣例から、薄氏への刑の上限が無期懲役になるとも伝えた。

◎中国最高検の法医学者、英実業家死因に疑問呈す(2012年9月29日、読売新聞)
 薄煕来・前重慶市共産党委書記の妻らが英国人実業家を殺害した事件で、29日付の香港紙・明報などは、中国最高人民検察院(最高検に相当)所属の法医学者が、裁判で明らかにされた実業家の死因などに疑問を呈していると報じた。
 この法医学者は中国法医学会幹部も務める王雪梅氏。同紙などによると、王氏は自身のブログで21日と26日の2回、公判が認定した「青酸化合物による毒殺」との英国人実業家の死因について、青酸化合物中毒の特徴的症状が公判記録に記載されていないことなどを根拠に、「事実と科学的根拠に極めて乏しい」などと批判した。王氏の文章はすでに削除されている。

◎薄氏、全人代代表の資格停止、不逮捕特権無効に(2012年9月29日、読売新聞)
 中国共産党の薄煕来前重慶市党委書記について、重慶市人民代表大会常務委は29日、全国人民代表大会(全人代)代表の資格を停止すると公告した。
 資格停止により、全人代代表に与えられている任期中の不逮捕特権も効力が失われる。党政治局は28日、薄氏を司法機関に移送する処分を決め、薄氏は近く逮捕され本格的な取り調べを受けた後、起訴される見通しだ。

◎中国、薄氏の刑事責任追及へ、党大会は11月8日から(2012年9月29日、朝日新聞)
 中国共産党は28日、政治局会議を開き、重慶市副市長の米総領事館駆け込み事件などの責任を問われて同市トップを解任された薄熙来(ポーシーライ)氏(63)の党籍剥奪(はくだつ)を正式に決め、発表した。すべての公職からも追放し、収賄容疑などで刑事責任を追及するという。また、第18回党大会を11月8日から北京で開くことも決めた。
 党大会を経て、習近平(シーチンピン)・国家副主席(59)が胡錦濤(フーチンタオ)・国家主席(69)に代わって、党総書記に就き、新たな党最高指導部が発足する見通しだ。薄氏を巡って、その後ろ盾だった江沢民・前総書記(86)ら保守派勢力が厳しい処分に反対していたが、胡氏が党大会を前にこれを押し切った形だ。
 また、党大会の日程発表は、党最高指導部である政治局常務委員のメンバー構成がほぼ固まったことを意味する。今回の党大会の開催時期は、この30年間で、第16回(2002年11月8日~)と並んで最も遅く、日程発表も通常より約1カ月ずれ込んだ。

◎薄熙来氏、重慶市人代代表も解任、党籍剥奪など受け(2012年9月29日、朝日新聞)
 中国重慶市共産党委員会の機関紙、重慶日報は29日、市人民代表大会(市人代=市議会に相当)常務委員会が28日、薄熙来(ポーシーライ)・前同市党委書記の市人代代表(議員に相当)の職務を解くことを決めたと伝えた。党政治局が28日、薄氏の党籍剥奪や公職追放を決めたのを受けた措置で、薄氏は全国人民代表大会(全人代)代表も解任され、不逮捕特権を失う。

◎薄煕来氏の党籍剥奪、懲役刑の可能性、政治生命完全に終焉、中国共産党(2012年9月28日、産経新聞)
 中国国営新華社通信によれば、中国共産党中央政治局は28日、前重慶市党委書記、薄煕来(はく・きらい)氏の党籍を剥奪し、身柄を司法機関に送ることを決定した。薄氏は職権乱用などの罪を問われ、懲役刑の判決を受ける可能性が高い。政治的に復活する可能性はこの決定で完全に消えた。
 次世代共産党指導者の一人とも目されていた薄氏は、今年3月に胡錦濤国家主席派との権力闘争に敗れ失脚し、4月に政治局員と党中央委員の資格停止の処分を受けた。薄氏の処遇に対し党内で激しく対立したといわれる。
 共産党筋によれば、胡主席派は薄氏を司法機関に送り厳しく処罰すべきだと主張したのに対し、江沢民前国家主席ら保守派は党内の規則だけの処分にとどめるべきだと主張。習近平国家副主席も「薄氏への捜査が拡大し、自身の周辺者に及ぶこと」を警戒、穏便に処理するよう主張したという。
 8月に安徽省合肥市で開かれた薄氏の妻、谷開来氏による英国人実業家殺害事件の裁判では、薄氏本人の事件への関与がまったく言及されなかったため、薄氏の刑事責任が追及されないのではないかとの見方も浮上したが、最終的に胡主席派の意向が反映されて、薄氏への厳しい処分が決定した。
 新華社通信によれば、28日に開かれた党中央政治局会議では、党中央規律検査委員会の審査報告を審議した。同報告は、刑事責任追及を決めた薄氏について、職権を乱用して他人に便宜を図り、直接または家族を通じて巨額の賄賂を受け取ったほか、多くの女性と不適切な関係を持ったと指摘したという。

◎中国、薄煕来氏の刑事訴追決定、党籍、公職剥奪(2012年9月28日、読売新聞)
 新華社通信によると、中国共産党は28日、政治局会議を開き、党中央規律検査委員会の調査を受けていた薄煕来(ボーシーライ)前重慶市党委書記(63)について、党籍を剥奪して公職から追放するとともに、司法機関に移送する処分を決めた。
 英国人実業家殺人事件に関する「職権乱用」のほか、「巨額の収賄」などに問われており、厳しい刑事処分が下される見通しだ。胡錦濤(フージンタオ)政権は第18回党大会を前に、事件の幕引きを図った。
 これまでの調べによると、薄氏の妻、谷開来(グーカイライ)服役囚(53)(猶予付き死刑確定)は、知人の英国人実業家と金銭を巡って対立。2011年11月13日、この実業家を重慶市内のホテルで毒殺し、部下の王立軍・元同市公安局長(懲役15年判決)が証拠隠滅を図った。
 28日、政治局会議に提出された報告は、薄氏が同事件に関し、「職権を乱用し、大きな誤りを犯した重大な責任がある」と指摘した。証拠隠滅などの関与が問われたものとみられる。報告はまた、薄氏が遼寧省大連市長や商務相、重慶市党委書記時代を通じ、「直接、または家族を通して巨額の賄賂を受けた」と認定した。

◎中国共産党、薄熙来氏の党籍はく奪を決定(2012年9月28日、朝日新聞)
 中国共産党政治局は28日、薄熙来(ポーシーライ)・前重慶市党委書記の党籍をはく奪、公職から解任し、司法処分する決定を下した。妻の谷開来氏による殺人事件や腹心の王立軍・元同市副市長の米国総領事館駆け込み事件などの責任を問われた。

◎薄氏最終処分、秒読み、重慶元副市長、王氏、懲役15年判決、早期幕引き、指導部思惑(2012年9月28日、産経新聞)
 中国国営新華社通信によると、重慶市トップを解任された薄煕来氏の元側近で、殺人事件の隠蔽を図った罪などで起訴された同市元副市長・元公安局長の王立軍被告(52)に対する判決公判が24日、四川省成都市中級人民法院(地裁)で開かれ、同法院は懲役15年と1年間の政治権利剥奪を言い渡した。王被告は上訴しない方針で、刑が確定する見通し。薄氏失脚のきっかけを作った王被告の決着がついたことで、薄氏の最終処分を下す準備が整った。
 判決文などによると、王被告は公安局長当時、英国人ビジネスマンを殺害したとして猶予付き死刑判決を受けた薄氏の妻、谷開来受刑者が刑事責任が問われないよう隠蔽工作を施した。今年2月に米総領事館に駆け込み、政治亡命を求めて国家を裏切った罪や、盗聴などの違法捜査、巨額収賄も裁かれ、すべてで有罪とされた。
 当初は死刑や無期懲役などの厳罰が下されるとの見方もあった。しかし、王被告は逮捕後、谷受刑者の事件への関与を裏付ける証拠などを当局に提出。谷受刑者の立件につながったことから情状が酌量され、懲役15年に減刑された。薄氏を支持する中国共産党内の声に配慮した可能性もある。
 王被告に対する初公判は今月17、18日に行われ、即日結審。約1週間後に判決が下された。スピード審理の背景には、党大会前に薄氏をめぐる問題に幕を引きたい胡錦濤指導部の思惑が見え隠れする。
 新華社通信によると、今年1月、谷氏の犯行を「当時の重慶市党委員会の主要責任者」に報告した王被告は、「主要責任者」に殴打された。「主要責任者」は薄氏を指しているとみるのが自然で、薄氏が事件を認識していながら、妻の犯罪を隠蔽、党への報告義務を怠ったと判断されても不思議ではない。
 指導部は近く、薄氏の党内の最終処分を決めるとみられる。審理の中で薄氏の事件への関与が示唆されたとはいえ、「実名」は出ていない。薄氏に対する処分の軽重は、党内の勢力争いをうかがう材料にもなる。

・米総領事館駆け込み事件
 中国重慶市トップの薄煕来共産党委員会書記の側近の副市長として、暴力団一掃に取り組んだ王立軍被告が2月6日、四川省成都の米総領事館に駆け込んだ事件。この数日前、王被告が兼任していた公安局長の解任が発表されていた。王被告は総領事館で亡命を求めたとされるが、翌7日に中国当局の説得に応じて総領事館を離れ、自ら当局の取り調べを受けた。薄氏について当局は3月15日に解任を発表、4月10日には重大な規律違反があったとして党中央政治局員と中央委員の職務を停止するとともに、英国人男性殺害容疑で妻を司法機関に送致したと公表した。

◎貧富の格差拡大、官僚腐敗、中国各地の抗議活動18万件、昨年1年間、5年で倍増(2012年9月24日、産経新聞)
 貧富の格差拡大や官僚腐敗などへの不満から中国各地で発生している暴動を含めた抗議活動が昨年1年間に約18万件に上ったことが中国政府の内部調査で分かった。関係筋が24日、明らかにした。国営通信、新華社系の中国誌が2008年に「06年に9万件超」と報じて以降、発生件数は明らかにされておらず、5年間で抗議活動が倍増、社会の不安定化が進んでいることが裏付けられた。
 日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化に抗議した反日デモが容易に全国に拡大、暴徒化したのにもこうした背景がある。
 単純計算すると1日当たり約500件起きていたことになり、胡錦濤指導部による社会的弱者や国民生活の質向上に配慮した「バランスの取れた経済成長」策が十分に効果を上げていないことが浮き彫りになった。

◎薄煕来氏の元腹心、王立軍被告に懲役15年判決(2012年9月24日、読売新聞)
 中国重慶市トップを解任された薄煕来(ボーシーライ)氏の元腹心で、国外逃亡など四つの罪に問われた元重慶市公安局長の王立軍被告(52)の判決公判が24日午前、四川省成都市の中級人民法院(地裁)で開かれた。
 王被告は四つの罪すべてで有罪とされ、懲役15年を言い渡された。同法院によると、王被告は法廷で上訴しない意向を表明した。
 王被告は、2月に成都の米国総領事館へ駆け込む事件を起こし、薄氏はこの事件をきっかけに失脚した。18日の初公判から6日後の判決というスピード審理となり、共産党指導部は、10月下旬にも開かれる党大会の前に薄氏の処分方針を確定させるためにも幕引きを急いだものとみられる。

◎薄氏元側近、王立軍被告に懲役15年、薄氏の最終処分も間近か(2012年9月24日、産経新聞)
 中国国営新華社通信によると、重慶市トップを解任された薄煕来氏の元側近で、職権乱用や収賄などの罪で起訴された同市元副市長・元公安局長の王立軍被告(52)の判決公判が24日、四川省成都市中級人民法院(地裁)で開かれ、王被告に懲役15年の実刑判決が言い渡された。
 今年2月に米総領事館駆け込み事件を起こした王被告は、英国人ビジネスマンを殺害したとして猶予付き死刑判決を受けた薄氏の妻、谷開来氏が刑事責任が問われないよう隠蔽工作を施した。公務中の職場離脱や亡命画策、違法捜査や巨額収賄も裁かれた。
 王被告は17、18日の初公判で起訴内容を認めていた。駆け込み事件が薄氏の失脚や一連の事件の解明につながったことで、情状が酌量され、死刑や無期懲役を免れたとみられる。
 スピード審理の背景には、党大会前に薄氏問題に幕を引きたい胡錦濤指導部の思惑がある。同通信によると、今年1月、谷氏の犯行を「当時の重慶市共産党委員会の主要責任者」に報告した王被告は「主要責任者」に殴打されたという。「主要責任者」は薄氏を指しているとみられる。
 指導部は近く、薄氏の党内の最終処分を決めると見られる。審理の中で薄氏の事件への関与が示唆されたことが、判断にどう影響するかが注目される

◎薄氏の元側近に懲役15年判決、中国、逃亡などの罪(2012年9月24日、朝日新聞)
 中国成都市の米総領事館に駆け込み、国を裏切り逃亡した罪など、四つの罪に問われた重慶市の王立軍・元副市長(52)に対し、成都市中級人民法院(地裁に相当)が24日、懲役15年の判決を言い渡したと、国営新華社通信が伝えた。王氏はこの日の公判で、上訴しないと述べた。
 重慶市の公安局長でもあった王元副市長は、薄熙来(ポーシーライ)・前同市書記(63)の側近だったが、薄氏の妻による英国人殺害事件を巡って薄氏と対立し、米総領事館に逃げ込んだ。
 この殺害事件を隠した罪と収賄、職権乱用の罪にも問われ、死刑や無期懲役の可能性もあったが、薄氏に殺害事件を報告していたと証言するなど、捜査に協力的だったことから、刑が軽減されたとみられる。

◎中国人の「象牙愛好」がアフリカ内戦を激化させている(2012年9月23日、産経新聞)
 アフリカゾウの密猟と象牙の密輸がワースト記録を更新している。中国で所得が伸び、「需要」を押し上げているためだ。価格が高騰して密輸のうまみを高め、アフリカでは武装勢力による密猟が激化した。象牙の人気がアフリカゾウを殺し、内戦に油を注ぐという悪循環を招いている。

・組織的な犯行
 「5年間で半分に減った。この調子が10年も続けば、絶滅に向かうことは確実です」
 米ニューヨークに本部を置く自然保護団体WCSスタッフとして、アフリカ中部コンゴ共和国に滞在する西原智昭さん(50)の危機感は強い。
 同国北部2万平方キロの範囲でモニタリング調査したところ、2006年から11年に、アフリカゾウの一種でジャングルに住むマルミミゾウが1万頭から5000頭に半減していた。
 「ほとんどは密猟でしょう。由々しき事態です」
 調査地は今年、世界自然遺産に登録されるほどの貴重な自然が残っているエリアだ。森林伐採の道路が延び、アフリカ奥地にも密猟が忍び寄っているという。
 2月、カメルーン北部の自然保護区に惨状が現出した。頭の前部分が切り落とされたゾウの死体が、累々と横たわったのだ。牙が抜き取られ、あとは腐るがままに放置された。
 数週間にわたる密猟で200から300頭が殺され、現地調査した世界自然保護基金(WWF)の専門家は「大きいゾウも小さいゾウも関係なくシステマチックにやられた」と、怒りを抑えきれない。
 大規模密猟の首謀者は、スーダンの武装組織ジャンジャウィードだと疑われている。30万人以上が虐殺され「世界最悪の人道危機」と言われるダルフール紛争の当事者だ。近隣のチャドや中央アフリカでも組織的密猟を行ってきたとされる。

・泥沼化した内戦の“犠牲者”
 生きるため貧しい地元民が密猟に手を染める。そんな密猟はまだ牧歌的だ。「象牙2本売れば労働者の3カ月分に給料になる」(西原さん)という密猟はいま、武装組織の重要な資金源になっている。
 自動小銃カラシニコフ(AK47)やマシンガンを装備したトラックで、何百キロも遠征する。政情が不安定な中部アフリカには、子供の誘拐で悪名高いウガンダの反政府武装勢力「神の抵抗軍(LRA)」など、密猟が疑われる勢力がいくつもある。象牙の需要は泥沼化した内戦の、さらなる混迷を促しているのだ。
 象牙は1989年、希少動植物の保護を目的とするワシントン条約で国際取引が禁止された。地下に潜った象牙取引は近年、相当な勢いで伸びているとみられる。米紙ニューヨーク・タイムズは、昨年は記録を更新する38.8トン(ゾウ4000頭以上)の象牙が世界で押収されたと伝えた。
 ワシントン条約締約国会議で出された報告書によると、過去3年間の0・8トン以上の大規模押収で、行く先が判明した54%は中国向け。2位タイの12%を大きく上回る。アフリカゾウの密猟も昨年は、過去10年で最悪としている。
 「組織犯罪集団が圧倒的な役割を果たしていることが示唆される」と報告書は指摘する。アフリカから積み出された象牙の多くはマレーシアやベトナムなど第三国を経由し、巧妙に中国に持ち込まれるという。

・逮捕者の9割は中国人
 「あなたも象牙を探しに来たのか」
 西原氏はアフリカで、石油プロジェクト関係の中国人に言われたことがある。
 仕事などでアフリカに入る中国人による、違法な持ち帰りが増えている。ケニアの野生生物管理官は英BBCに「象牙密輸で空港で逮捕される90%は中国人だ」と話した。
 古くから象牙を珍重してきた中国だが、近年の人気ぶりは異常だ。需要が急増して価格も急騰している。
 米ウォール・ストリートジャーナルは環境保護団体調べとして昨年、中国での売買価格を報じた。2008年には1キロ157ドル(約1万2千円)だったが、11年には最高7000ドル(約56万円)に跳ね上がった。「アフリカに入る中国人労働者の、象牙への誘惑が強まっている」という。
 8月、元NBAバスケットボールのスター選手、姚明氏がケニアを訪れた。
 「象牙を欲しいと思うひとがいなければ、密猟の必要もないのです」
 中国国営テレビで視聴者に呼びかけた姚明氏は、密猟撲滅キャンペーンの広告塔だ。中国への批判の高まりを受け、政府も啓発に本腰を入れ始めた。ドキュメンタリーを制作し、中国人の象牙愛好がもたらす悲劇を伝える。

・原因は意識の低さ?
 国際取引が全面禁止された後の2008年、中国は南アフリカやナミビアなどアフリカ南部4カ国から例外的に一度限りの合法輸入が認められた。ゾウの管理が行き届いたこれらの国では、自然死した個体の象牙を輸出したいとの要望があるためだ。
 中国国内では合法的に流通する象牙に混入する形で密輸象牙の「洗浄」が行われていると、ワシントン条約の報告書は厳しく指摘する。証明書添付が徹底しないなど抜け穴が多く、消費者の意識の低さも不正の温床だ。
 英紙ガーディアンは野生動物監視団体スタッフの嘆息を伝えた。「乳歯のように牙が生え代わると思っている人もいるのです」
 かつて印鑑用などに大量の象牙を合法輸入していた日本も、アフリカゾウとは縁が深い。2009年のワシントン条約報告書では「中国とは対照的に押収事例にほとんど関与していない」と称賛されたが、2007年には大阪南港で約3トン押収された事件が発覚するなど、密輸と無関係とはいえない。
 日本は象牙の国際取引の禁止後、1999年と2008年の2度にわたり一回限りの合法輸入が認められた唯一の国だ。象牙消費国として特異な立場にあり、それだけアフリカゾウの保護や国際ルールの順守に対する責任も重い。
 大阪の伝統芸能、文楽に欠かせない三味線のバチには象牙が使われている。アフリカゾウが置かれた現実は、大阪の人にも無関係ではない。

◎「反日、常識通じない」邦人消えた日本料理店街(2012年9月23日、読売新聞)
 反日デモが暴徒化し、多くの被害が出た江蘇省蘇州では22日、暴動の発生から1週間が過ぎ、日系スーパーや一部の日本料理店が営業を再開した。
 市街地は平静を取り戻しつつあるが、反日デモの再発を懸念する声も出ている。
 「日本人を襲撃しようと狙う中国人が出没しているようだ。日本料理店が集中する場所に行かないように指示を出した」
 日系企業500社以上が集まる蘇州高新区で22日、日本人駐在員が打ち明けた。立ち入りを禁じる現場となっているのは、飲食店など計50店余が並ぶ蘇州高新区の「商業街」。15日の暴動以降、日本人の姿は消えた。
 目立つのは、入り口周辺にベニヤ板を張り巡らせて補修中の店舗。ほとんどが中国国旗や毛沢東の肖像を掲げ、今後も断続的に予測される反日抗議の標的となるのを避けようとしている。
 商業街では若者ら1万人が襲撃に参加したとみられる。日本料理店の日本人経営者は暴徒が店内に乱入したのを見て、即座にトイレに身を隠して難を逃れた。
 蘇州の地元当局者によると、襲撃を受けた日系百貨店では、被害総額が800万元(約1億円)に達する見込み。日系工場の3か所でも製造機器が壊されるなどの被害が出ており、操業の再開に遅れも出ている。
 柳条湖事件(1931年)の発生日にあたる18日には、一部の日系工場で反日デモに便乗し、待遇改善を強硬に求めるストライキも発生。従業員が反日スローガンを叫び、これまで順調だったという労使関係に影響も出ている。
 「蘇州は、進出した日系企業が地元経済を支え、対日感情は比較的良好だった」(日中関係筋)。だが、日系メーカーの駐在員は「これまでの常識は通じず、どこであっても中国では反日感情が暴発する危険がある」と警戒を強めている。

◎日本車、車上荒らしの標的に、中国、便乗商法も(2012年9月23日、朝日新聞)
 中国で尖閣諸島をめぐる反日デモをきっかけに、日本車への「嫌がらせ」が続いている。
 トヨタ自動車、日産自動車、ホンダが工場を持つ広東省の江門市では、18日までの5日間で、日本車など78台を対象にした「車上荒らし」が起きた。7人の若者がデモ隊の仕業にみせかけて車を壊し、金銭などを盗んだ。南方都市報が21日、地元警察による容疑者の拘束を受けて、伝えた。
 また、中国の10月上旬の連休中は通行料を無料にする高速道路が多いなか、「日本車は徴収」という垂れ幕を掲げた料金所の写真がネットに出回っている。対象の一つ、西安市の道路サービス事務所は朝日新聞の取材に「日本車も同じ扱い」と回答。「合成写真」と指摘する声があり、「デマ」の流布で圧力をかけようとした可能性がある。

◎日本車に乗った中国人、デモ隊襲撃で半身不随に(2012年9月21日、朝日新聞)
 中国の陝西省西安市で15日にあった反日デモのさなか、日本車を運転していた中国人の男性、李建利さん(51)が暴徒化した群衆に殴られ、半身不随になっていたことが分かった。中国紙・北京青年報が21日、伝えた。
 李さんは長男の結婚を控えて家族と買い物に行った帰り、十数人に囲まれ、石やこん棒、鎖で車を壊された。車を降り、「日本車を買ったのは間違いだった。もう買わない」と訴えた。だが、暴徒の興奮はやまず、鈍器で頭を殴られ意識不明の重体に陥った。
 事件の3日後、意識は戻ったが、右半身は動かないままで、言葉も十分に話せない状態だという。
 北京青年報は中国共産主義青年団北京市委員会の機関紙。事件は発生直後から中国のネット上で話題になり、デモ隊の暴徒化を批判する意見が相次いでいた。

◎日本へのさらなる対抗措置を示唆、温家宝首相(2012年9月21日、読売新聞)
 中国紙「東方早報」(電子版)によると、ベルギー訪問中の中国の温家宝(ウェンジアバオ)首相は20日、ブリュッセルで華人・華僑を前に演説した際、日本政府による尖閣諸島の国有化について言及し、「国家主権、領土保全に関わる重大な問題では、確固たる意思を保ち、いささかも譲ることはない」と主張した。
 その上で、「我々は強力な措置を講じなければならない」と強調、さらなる対抗措置を示唆した。
 温首相は10日にも「半歩たりとも絶対に譲らない」と述べており、圧力を強めて日本の譲歩を引き出す狙いとみられる。
 温首相は「最近、日本当局が演出した釣魚島(尖閣諸島の中国名)の茶番で、全世界は釣魚島が中国の神聖で固有な領土とわかったはずだ」と指摘。「一つの民族にとって、尊厳、自主、独立より重要なものはない」とも述べた。

◎一部日系企業、営業再開も、反日デモの中国(2012年9月21日、読売新聞)
 中国の反日デモに沈静化の兆しが見えてきたことを受けて、一部の日系企業に工場の操業や店舗の営業の再開の動きが出てきた。
 しかし、デモが収束したわけではなく、イオンが従業員の家族を一時帰国させるなど、進出企業は引き続き厳しい対応を強いられている。
 大手自動車メーカーのうち、日産自動車とマツダ、三菱自動車は19日以降、相次いで工場の操業を再開した。電機メーカーも、ソニーが19日から全工場で通常の生産体制に戻った。三菱電機や日立製作所の工場なども通常通り操業している。
 小売りでは、セブン&アイ・ホールディングスが20日から全店舗で通常営業を始めた。
 一方で、業務を引き続き休止している企業も多い。
 トヨタ自動車とホンダは20日も一部工場で操業を停止した。トヨタは「従業員の安全を確保するため」と説明する。
 イオンは中国の35店舗のうち、暴動に遭った「ジャスコ黄島店」など山東省の2店は20日も休業した。イオンは同日から、中国に在住する数十人の従業員の家族について、「安全面への配慮」(広報)から、日本に一時帰国させている。
 広東省深セン市では20日も複数の日系工場で、反日デモに参加しようとする動きや、反日を口実にした待遇改善を要求する動きがあった。
 ブラザー工業の工場従業員によると、一部の従業員がデモを実施しようとしたため、警察の指示で、従業員が集団で敷地外に出ることを禁じられた。工場内外に配置された警官隊は「デモを行えば拘束し、刑務所に送る」と警告しているという。キヤノンは20日に再開した広東省中山市の工場で、従業員が生産ラインにつかなかったため、同日、再び臨時休業とした。
 業務への悪影響も出始めている。ヤマハ発動機は9月に入り、中国の公的機関から受注していた船用エンジン数百機をキャンセルされた。中国各地の港では、対日貿易で一部の通関業務に遅れが見られるという。
 営業を再開した企業からも、「反日デモが完全に収まったわけではない。今後も注意深く見守る」と懸念の声が上がっている。

◎中国警察、ユニクロに「デモ来るぞ、すぐ紙貼れ」(2012年9月21日、読売新聞)
 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は20日、反日デモが行われた14日から15日にかけて、上海の地元警察が「尖閣諸島が中国固有の領土であることを支持する」との内容の紙をユニクロ店舗に貼るよう指示していたことを明らかにした。
 これを受けて中国人店長が独断で約40分間、紙を貼り出したという。
 同社によると14日夜、上海郊外のショッピングモール「開元地中海広場」のユニクロを含む日系数店舗が地元警察に呼び出され、翌日からの大規模デモに備えた安全確保策として、「支持釣魚島是中国固有領土」と書いた貼り紙を掲示するよう指示されたという。
 ユニクロの店長は当初、政治・外交問題に関与しないとの社の方針に従って、指示を無視していたが、15日正午ごろになって、デモの参加人数が1000人以上に膨れあがり、地元警官から改めて「もっと大規模なデモが来る。直ちに貼るように」と強い口調で言われたため、デモ隊が通り過ぎるまでの間、ショーウインドーに貼り出したという。

◎日本製品の税関検査強化、中国、天津、経済制裁の動きか(2012年9月21日、朝日新聞)
 中国の税関が日本製品の通関手続きで、検査を強化し始めた。北京から近い天津港の税関が19日夜、日本企業に対して「日本国を原産とする製品について、検査率を上げる」と通告してきた。中国に進出する日本企業の部品などの調達に遅れが出るおそれがある。
 尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化に反対する中国が政府として「経済制裁」に踏み込んだ動き、とみられる。2010年の尖閣諸島沖の漁船衝突事件の時にも同様の措置が広がった経緯があり、日本の対応次第では、他の港やレアアース(希土類)などの禁輸にも波及する可能性がある。
 税関では通常、すべてを検査せず、一部を抜き出して調べる。検査対象となる物品の数が増えれば、輸出入の流れが滞ることになる。

◎薄氏の妻に猶予付き死刑判決、英国人殺害、控訴せぬ意向(2012年8月20日、朝日新聞)
 中国の薄熙来(ポー・シーライ)・前重慶市共産党委員会書記(63)の妻、谷開来(クー・カイライ)被告(53)が英国人実業家を毒殺した罪に問われた裁判の判決公判が20日、安徽省合肥の中級人民法院(地裁)で開かれ、谷被告に2年の執行猶予付きの死刑判決が言い渡された。同法院によると、谷被告は控訴しない意向を表明したといい、この判決で刑が確定する見通しだ。
 9日の初公判から10日余りでのスピード判決。中国指導部は政治的な混乱を避けるため、早期に事件の幕引きを図ろうとしているとみられる。薄氏が殺害にかかわる隠蔽(いんぺい)工作に関与したかどうかなどについては裁判では触れられなかった。
 中国で執行猶予付きの死刑は、猶予期間中、勾留され、態度が模範的だった場合などに無期懲役や有期刑に減刑される。谷被告と毒薬を準備するなどした薄家の使用人、張暁軍被告(32)は懲役9年の判決が言い渡された。

◎中国:体制批判の勢いそぐ、反日デモ沈静化(2012年9月20日、毎日新聞)
 尖閣諸島国有化に反対する中国は、反日デモを容認する形で日本への対抗策を取ってきたが、19日になると、公安当局が暴徒化したデモ参加者の拘束を発表し、沈静化に向けた姿勢を強め始めた。「ガス抜き」をするため容認したデモが、収拾の付かない体制批判へと発展するのを防ぐためとみられる。一方で尖閣周辺での漁船操業を繰り返し国内向けに報道して主権を強調しており、領土では手を緩める姿勢は見られない。
 広東省広州市公安当局は19日、16日のデモで日本総領事館が入る大型ホテル内の日本料理店や路上の日本車を破壊したとして失業中の男(18)ら18人を拘束し、処分した。山東省青島市公安当局も19日、日系企業襲撃(15日)を行ったとして6人を拘束した。発表はいずれも19日だった。
 北京市公安当局も19日午前、11日の尖閣国有化以来、初めて携帯を所有する市民に反日デモ自粛を呼びかける一斉メールを送付。大使館最寄りの地下鉄駅が一時閉鎖され、中国版ツイッター大手「新浪微博」でも「反日」のキーワードが検索できなくなった。
 18日は満州事変のきっかけとなった柳条湖事件の発生日で、例年、反日感情が高まる。そのため、当局はこの日までデモを容認し、19日にデモを事実上禁止したとみられる。
 日中関係に詳しい北京大学政府管理学院の白智立副教授は「デモ隊が次々に掲げていた毛沢東の顔写真は『平等な社会』や『抗日戦争の英雄』を意味するものであり、暗に現指導部の内政や外交への批判を示していた。指導部が世代交代する党大会も近づき、こうした声が勢いづくことは容認できないと政府が判断し、18日をピークに収束を図ったのだろう」とみる。
 これに対し、尖閣をめぐっては国営中国中央テレビ(CCTV)は尖閣周辺で操業してきたとする漁船船長の談話などを伝え、国内向けに中国の主権を再三強調している。
 中国の華僑向け通信社「中国新聞社」は、浙江省海洋漁業局の19日午前時点での情報として、尖閣諸島の北部から西部にかけての127カイリ(約235キロ)の海域で、浙江省の700隻余りの漁船が操業していると伝えた。一部の漁船は、久場島から37カイリ(約70キロ)まで接近。また、浙江省が派遣した漁業監視船も漁船保護の巡視を行っているとした。
 中国政府は尖閣の海域は「伝統的な漁場」との立場で、多数の漁船の操業の黙認とパトロールする監視船の常駐化を、日本に圧力を加えられる手段と判断しているようだ。

◎「千円もらって参加」、中国、組織的に動員か、背後に当局の影(2012年9月20日、産経新聞)
 中国各地で発生、日系企業を襲撃するなど一部暴徒化した反日デモでは、多くの参加者が統一スローガンの書かれた横断幕を掲げ、「中国共産党万歳」と叫ぶ場面もしばしば見られた。中国政府は「日本は中国人民の声を直視せよ」(外務省)と主張するが、デモの背後には当局の影が見え隠れする。
 「100元(約1200円)をもらってデモに集まった人もいる」。福建省のデモに参加したという男性が打ち明けた。中国シンクタンク研究者は「全国のデモを支援する出資者がいるのは間違いない」と述べ、大規模デモが組織的に行われている可能性を指摘する。

◎日系工場の中国人従業員にデモ参加呼びかけ、19日に中国深圳で(2012年9月20日、産経新聞)
 多くの日系企業が進出する中国広東省深圳市の工場地帯で19日に反日デモが行われていたことが20日、分かった。日系企業関係者が明らかにした。ある日系企業の工場近くでは、デモ隊が工場内にいる中国人従業員に対し、デモに参加するよう呼び掛けたという。
 デモの規模や、実際に中国人従業員が呼び掛けに応じたかは不明。
 また、別の日系工場では、中国人従業員たちが19日午前、集団で仕事をボイコットした。ボイコットと反日デモとの関連は不明だが、日系企業は、反日デモが労働争議と結び付かないよう神経をとがらせている。

◎筑波大学大学院教授、古田博司、「ウソも通ればめっけ物」の世界(2012年9月20日、産経新聞)
 今回、東アジア諸国の一連の政治行動により、われわれの日本が人さらい(北朝鮮)、島ドロボウ(韓国)、海盗っ人(中国)という由々しき国家群に囲まれていることが、国民にはいよいよ明らかになったことと思われる。

・「対日戦勝」の幻影を求めて
 私は、2005年に『東アジア「反日」トライアングル』(文春新書)を上梓して以来、やがてそのような危機に瀕するであろうと本欄を通じて繰り返し警告してきた。これらの諸国は、自己絶対正義の中華思想のうえに、ナショナリズムが重層的に乗っている。ゆえに、中世では彼らから見て辺境であった日本の繁栄を、中華という視点から眺めて、永遠にこころよく思わない。ナショナリズムが反日という形をとって伝統の地層から噴き上げるのである。
 戦後の独立にも問題があった。日本軍と戦わずして米国に解放してもらった国(韓国)、少しゲリラ戦をしたものの大負けして、ソ連の傀儡にしてもらった国(北朝鮮)、別の連中が日本軍と戦っている間に山で英気を養い、戦後、前に戦っていた人々を追い出して独立した国(中国)である。
 これら諸国は、日本に戦勝したという偽史なしには国民の物語が作れない。これからも、絶えず日本と戦っていると国民にアピールするために、日本の主権を侵し、侵略をし続けることであろうと、かつて私はここに書き記した(09年5月8日付の正論欄「恥ずかしい国に住んでいないか」)。
 韓国の李明博大統領は、島ドロボウした地に降り立ち、その後、こう言った。「日王が韓国を訪問したいのなら韓国の独立運動家たちへ謝罪せよ。痛惜の念などという言葉だけなら来なくてよい」。朝鮮の中華思想は、中国という虎の威を借りる狐の「小中華思想」で小さなものだが、それでも日本を侮辱したいという熱意にあふれていることが分かるだろう。
 ここで謝罪を求める独立運動家というのは、昨年の9月2日にソウル駅前に銅像が建立された、姜宇奎のような人物を指す。19世紀末、李氏朝鮮は大飢饉で、多くの流民が満州や沿海州に流れた。姜は、旧学問の人、漢方の薬材商でクリスチャン。金日成の父親と同じような経歴である。日本のもたらした新学問に乗れず、満州と沿海州を行ったり来たりした。

・「独立運動家」の正体とは
 日韓併合後、ウラジオストク新韓村老人団吉林省支部長になり、日本の要人暗殺を決意、ロシア人から英国製の手榴弾1つを購入して京城に潜入した。斎藤實総督の赴任時、馬車に手榴弾を投げたが暗殺に失敗、巻き込まれた新聞記者、随行員、警官など37人の死傷者を出した。中には総督府政務総監、満鉄理事、米ニューヨーク市長の娘なども含まれていた。1920年、死刑に処せられた。戦後の62年に、建国勲章、大韓民国章が追叙される。くだんの銅像は、募金活動と政府支援金を合わせ、約6000万円をかけて建てられた。韓服の外套姿で、手榴弾を投げようとしているところだ。
 国を捨てた爆弾魔のテロリストを英雄にするほど、この国は英雄に飢えている。「慰安婦」たちに軍の強制を絡め、銅像にして祀り上げるウソも、「ウソも通ればめっけ物」という、彼の国の社会通念による。拉致も尖閣も竹島もしかり。ウソも突き通せばそのようになると信じられている。特定アジア諸国はこの社会通念ゆえ、近代的な信用社会の形成に失敗したと見ることができるだろう。

・中韓と北の「悪」に目つぶるな
 戦後日本では、韓国や中国は日本の侵略のために被害を被った、だから、日本の「悪」に対し、韓国や中国は「正義」だという単純な「善悪二項対立」の構図を左派知識人たちが広めた。日本が「2メートル級の悪」ならば、中国のチベット侵略は「1メートルくらいの悪」なのだ。もっと親切に考えてやろうと、彼らは書いた。「中国が核武装したからといって、日本の対中戦争責任が相殺されるわけではない」(坂本義和「日本外交の思想的転換-日韓提携における米中対決」=『世界』66年1月号)と、後の地球市民の唱道者が言っているのも、今では彼らの企図をよく保存した資料になっている。
 その同じような人々が今また、市民派新聞で同じようなことをつぶやいている。「竹島問題で韓国が国際司法裁判所への共同提訴に応じない理由は、日本の歴史的責任感の欠如にある」「日本には、戦中のアジアへの侵略を忘れたいという社会心理がある。中国けしからん、韓国けしからんと声高に言うことで、不安を紛らわせている」などなどの論調である。
 だが、彼らの構図を借りれば、特定アジア諸国の悪はもはや2メートルを超えたのである。日本人をさらい、日本の島をかすめ、南の海も東の海も人海戦術で埋め尽くそうとする。日本の元首を侮辱し、日本大使公用車の旗を奪い、日本の工場、百貨店を官製デモで手当たり次第に破壊し、略奪する。
 「ウソも通ればめっけ物」という点では、これらの諸国は日本の左派知識人たちと大差ない。

◎大使館被害「中国に賠償請求」、藤村官房長官が明言(2012年9月20日、産経新聞)
 藤村修官房長官は20日午前の記者会見で、中国の反日デモで暴徒から投石などの被害を受けた大使館・総領事館について「(政府として)きちんと損害賠償するよう要求していく」と述べ、中国政府に賠償請求する考えを明言した。
 民間の日系企業の被害に関しては「中国の国内法に基づき、第一義的に中国の国内で解決されるべき問題だ。その際に企業から日本政府に相談があれば支援していく」と述べた。

◎中国当局、携帯メールでデモ禁止、抗議は一段落(2012年9月20日、読売新聞)
 日本政府の尖閣諸島国有化に抗議する反日デモについて、中国当局は19日、首都北京でデモ禁止の方針を打ち出し、デモ封じの方向に明確にかじを切った。
 今後、各地で同様の措置が取られるとみられ、当局は、制止に従わない者に対し、逮捕を含む強い姿勢で臨む見通しだ。ただ、「容認」と「統制」でデモを制御しようとしてきた共産党政権の思惑通りにデモが終息するかは、予断を許さない。
 北京市の公安当局が、市民にデモ禁止を伝えたのは、携帯電話のショートメールだった。多数の市民に対し、政権の意思を即時、一斉に伝える手段として、近年、広く使われている。
 「抗議活動は一段落した。(大使館地区に)もう抗議には来ないように」――当局のショートメールの文面は、明らかな警告だ。
 満州事変の発端となった柳条湖事件(1931年)が起きた18日を過ぎた時点で、中国は通常の平日となった。過去の反日デモなどの際も、週末の抗議行動を容認した後、平日に街頭の警備を強化し、一気にデモを封じ込める手段をとってきた。そのほか、学校や職場に戻った若者らに、教師や上司などから、「理性的な愛国行動」の指導、警告が与えられるケースが多い。
 日本大使館前では19日、大量の武装警察部隊が配備され、デモの動きに目を光らせた。結局、この日はデモは起きなかった。旅券や証明書発行など通常の窓口業務も再開された。

◎薄煕来氏、妻の英国人殺害知りながら報告せず?(2012年9月20日、読売新聞)
 中国国営新華社通信は19日夜、国外逃亡罪などに問われた重慶市元公安局長の王立軍被告(52)に対して18日に行われた公判の審理内容を伝えた。
 報道は、王被告が、上司だった薄煕来(ボーシーライ)・前重慶市共産党委書記に、薄氏の妻、谷開来(グーカイライ)受刑者(執行猶予付き死刑が確定)による英国人実業家殺害事件を報告していたと示唆する内容になっている。薄氏が妻の犯罪を知りながら党に報告していなかった可能性を国営メディアが報じたことで、薄氏の責任が問われることも予想される。

◎妻の犯行、薄氏に報告か、英国人殺害で新華社示唆(2012年9月20日、産経新聞)
 中国国営新華通信は19日、重慶市トップを解任された薄煕来氏の元側近で同市元副市長の王立軍被告が1月、「重慶市共産党委員会の主要な責任者」に対し、薄氏の妻による英国人ビジネスマン殺害事件を報告していたと伝えた。「責任者」は当時、市の共産党委員会書記だった薄氏を指しているとみられる。
 国営メディアが薄氏の事件への関与を示唆するのは初めて。事件を隠蔽した罪などに問われた王被告の公判内容に関する報道の中で指摘した。薄氏が妻による殺害事件を知った上で党などに報告していなかったことになり、刑事責任追及につながる可能性がある。
 王被告は懇意にしていた薄氏の妻、谷開来受刑者から英国人殺害を打ち明けられたが、谷受刑者をかばうため事件を内密に処理しようとした。

◎中国「尖閣周辺へ常時巡航」、高官明言「官民で圧力」(2012年9月20日、朝日新聞)
 尖閣諸島周辺海域に漁業監視船を派遣する中国農業省漁政局の高官は19日、朝日新聞の取材に対し、中国政府が監視船を尖閣周辺にさらに増派して「常時巡航」させる方針を決めたことを明らかにした。中国漁船団とも連携を取り、「官民合わせて日本に圧力をかけていく」という。
 中国政府は反日デモへの抑制方針を鮮明に打ち出す一方、日本に対するより強硬な姿勢を内外に示そうとの構えだ。「常時巡航」が実現すれば、日中関係のさらなる緊迫は避けられない。
 高官は、漁船団の尖閣周辺への到達時期について「実際の状況を見て決める」とし、日本側の対応をみて判断するとの姿勢を示した。そのうえで、「漁船が釣魚島(尖閣諸島)周辺海域に入っても、監視船がしっかりと守る」とした。

◎習近平氏「尖閣国有化は茶番」、日本政府を批判(2012年9月20日、朝日新聞)
 中国の習近平(シーチンピン)・国家副主席は19日、訪中した米国のパネッタ国防長官と会談し、「日本軍国主義は米国を含むアジア太平洋国家に大きな傷を与えた」としたうえで、日本政府の尖閣諸島国有化について「日本の一部政治勢力は(歴史を)反省せず、茶番を演出した」と批判した。次の最高指導者就任が確実視される習氏の尖閣国有化に対する発言が明らかになるのは初めて。新華社通信が伝えた。「米国が言動を慎み、釣魚島を巡る主権争いに介入しないことを望む」と牽制した。

◎北京で米大使の車、反日デモ参加者に囲まれ破損(2012年9月19日、読売新聞)
 中国・北京の米国大使館前で18日午後、ゲーリー・ロック米大使の乗った車が同大使館の敷地内に入ろうとしたところ、反日デモに参加していた約50人に一時取り囲まれる騒ぎがあった。
 大使にけがはなかったが、車の一部が壊れた。米国大使館が19日、明らかにした。
 18日は、米国大使館から約300メートルの日本大使館周辺で、抗議デモが行われていた。車を取り囲んだ動機は不明。中国では、米国が対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条が尖閣諸島に適用されるとの立場を示していることから、日米両国が協力して中国に対抗しているとの見方が広まっている。
 同大使館は中国外務省に懸念を伝え、中国にいる米国民と財産の保護に全力を尽くすよう要請した。

◎対日強硬策、習近平氏が主導、韓国大統領の竹島上陸など機に一変(2012年9月19日、産経新聞)
 日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化を受け、中国で一連の強硬な対抗策を主導しているのは、胡錦濤国家主席ではなく、中国共産党の次期総書記に内定している習近平国家副主席であることが分かった。胡政権による対日協調路線が中国の国益を損なったとして、実質上否定された形。中国政府の今後の対日政策は、習氏主導の下で、強硬路線に全面転換しそうだ。
 複数の共産党筋が18日までに明らかにした。それによれば、元・現指導者らが集まった8月初めの北戴河会議までは、党指導部内では尖閣問題を穏便に処理する考えが主流だった。「尖閣諸島を開発しない」などの条件付きで、日本政府の尖閣国有化についても容認する姿勢を示していた。
 しかし、8月10日の韓国の李明博大統領による竹島上陸や日本世論で強まる中国批判などを受け、状況が一変した。「なぜ、中国だけが日本に弱腰なのか」と党内から批判が上がり、保守派らが主張する「国有化断固反対」の意見が大半を占めるようになったという。
 9月初めには、胡主席を支えてきた腹心の令計画氏が、政権の大番頭役である党中央弁公庁主任のポストを外され、習氏の青年期の親友、栗戦書氏が就任。政策の策定・調整の主導権が習氏グループ側に移った。
 軍内保守派に支持基盤をもつ習氏による、日本の尖閣国有化への対抗措置は胡政権の対日政策とは大きく異なる。胡氏はこれまで、日本製品の不買運動や大規模な反日デモの展開には否定的だったが、習氏はこれを容認し推奨した。
 また、国連に対し東シナ海の大陸棚延伸案を正式に提出することも決定。尖閣周辺海域を中国の排他的経済水域(EEZ)と正式宣言することに道を開き、日本と共同で資源開発する可能性を封印した。これは、2008年の胡主席と福田康夫首相(当時)の合意を実質的に否定する意味を持つ。このほか、中国メディアの反日キャンペーンや、尖閣周辺海域に監視船などを送り込んだことも含め、すべて習氏が栗氏を通じて指示した結果だという。
 習氏が今月約2週間姿を見せなかったのは、一時体調を崩していたことと、党大会準備や尖閣対応で忙しかったためだと証言する党関係者もいる。習氏が対日強硬姿勢をとる背景には、強いリーダーのイメージを作り出し、軍・党内の支持基盤を固める狙いもある。

◎北京市公安当局、デモ参加者に「抗議に来るな」(2012年9月19日、読売新聞)
 日本政府の尖閣諸島国有化に抗議するデモが続いた北京市の公安当局は19日朝、一般市民あてに携帯電話のショートメールを出し、「抗議活動は一段落した」として、デモをやめるよう指示した。
 これまでデモを容認してきた中国政府が、当面の間、首都でのデモを禁止する方針に転じたものとみられる。
 メールは「大使館地帯は正常な交通秩序を回復した。もう抗議には来ないように」とした。
 同市内の日本大使館前では、前日の柳条湖事件記念日に敷かれたデモ行進のための自動車規制が解除された。午前10時(日本時間同11時)現在、大使館前でデモは起きていない。19日にデモの呼びかけがあった他地域でもデモの情報はない。
 日本大使館前の歩道には19日も多数の武装警察部隊が配置された。同大使館は同日、旅券や証明書発行など通常の窓口業務を再開した。日産自動車が広東省広州と河南省鄭州の2工場の操業を開始するなど、日系企業にも正常化の動きが広がっている。

◎薄氏元側近の公判結審、米総領事館に逃げ込んだ罪など(2012年9月19日、朝日新聞)
 中国成都市の米総領事館に駆け込んだ重慶市の公安局長だった王立軍・元同副市長(52)の公判が17、18の両日、成都市中級人民法院(地裁に相当)で開かれ、結審した。判決は、近日中に言い渡される見通し。国営新華社通信が伝えた。
 王氏は薄熙来(ポーシーライ)前重慶市書記(63)の側近だったが、薄氏の妻である谷開来氏が関わった英国人殺人事件を巡って薄氏と対立。米総領事館に逃げ込んだ後、中国当局の取り調べを受けていた。17日は国を裏切り逃亡した罪などについて非公開の秘密裁判で審理し、18日は収賄罪について公開で審理した。
 検察当局は2日間の公判で王氏について、2011年に市公安局長の職責に背いて、谷氏の英国人殺害容疑を隠し、刑事訴追を逃れさせた▽今年2月、職務を離れて米総領事館に逃げ込んだ▽正式な手続きを経ずに「技術捜査措置(盗聴など)」を用いた▽約300万元(約3750万円)を収賄し、便宜を図った、と指摘した。

◎反日デモ、100都市で、中国当局の制圧姿勢も効かず(2012年9月19日、朝日新聞)
 満州事変の契機となった柳条湖事件から81年となった18日、中国の多数の都市で反日デモがあった。中国当局は暴徒化への制圧姿勢を強めたが、柳条湖事件の現場に近い遼寧省瀋陽の日本総領事館では、デモ隊の投石によって窓ガラス10枚以上が割られた。
 中国当局は各地で、これまでを上回る治安部隊を配置した。北京市公安当局は携帯メールで、警察の指示に従うよう求める一斉メールを市民に送信。広州市公安局はデモで破壊行為をした男たちを撮影した写真8枚をネット上で公開し、市民に通報を呼びかけた。
 それでも、中国のネット上の情報や香港メディアによると、反日デモは約100都市に上った。北京、上海、瀋陽、広東省広州などでは数千人から1万人の規模に膨らんだ。各地で治安部隊とデモ隊が衝突。北京の日本大使館でも窓ガラス6枚が割れているのが見つかった。近くに直径1センチ前後の金属球やガラス球、石などがあった。

◎ユニクロ、工場、中国で相次ぎ休業、日本人学校は休校(2012年9月18日、朝日新聞)
 満州事変の発端となった柳条湖事件から81年となった18日。中国国内では反日デモが再び相次ぎ、現地の日系企業や学校では休業や休校が相次いだ。
 カジュアル衣料のユニクロは中国にある145店舗のうち北京市を中心に42店舗を臨時休業。日本人従業員約200人に自宅待機を指示した。三越伊勢丹ホールディングスは成都市と瀋陽市の伊勢丹を休業したが、上海市と天津市の店舗は通常通り営業した。担当者は「現地で情報を集め、地域ごとに判断した」と話す。
 山東省青島市の「ジャスコ黄島店」が15日に襲撃されたイオンは、35店舗のうち30店舗を休業した。現地の公安当局から強く要請されたという。トヨタ自動車や三菱自動車、スズキは18日、中国の一部工場を臨時休業。日産自動車も「生産した車の輸送が難しい」として広東、河南両省にある工場の操業中止を決めた。
 在中国日本大使館によると、中国10都市にある日本人学校は香港を除く全校が18日を休校とした。3200人の小中高生が通う上海日本人学校の教頭は朝日新聞の電話取材に「(満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた)9・18で抗議活動が過激になる恐れがあるため」と説明。19日も休校するという。

◎加速する中国拠点の休業 自動車、電機、流通、業種も拡大(2012年9月18日、産経新聞)
 中国各地で反日デモが続く影響で、トヨタ自動車や日産自動車、イオンなどの日本企業が、現地工場の操業や店舗の営業を取りやめる動きが18日拡大した。
 トヨタは現地工場の一部を18日に臨時休業。系列販売店が放火される被害があったことも踏まえ、現地の社員らの安全に配慮した。日産自動車も出荷が難しくなっているとして湖南省などの組立工場を休業。三菱自動車も湖南省の工場の操業を停止し、駐在員や出張者は自宅やホテルに待機させている。
 ユニクロを展開するファーストリテイリングは、北京市内を中心とする42店舗を一時、もしくは終日閉店する。山東省青島の店舗がデモ乱入で被害を受けたイオンは、中国にある35店舗中30店舗の営業を18日は見送ることを決めた。
 電機関係ではヤマハ発動機、三菱電機、日立製作所などが相次ぎ生産拠点を休業した。

◎米総領事館駆け込み、重慶市元公安局長の初公判(2012年9月18日、読売新聞)
 今年2月、中国四川省成都市で米国総領事館への駆け込み事件を起こし、国外逃亡など四つの罪に問われた重慶市元公安局長の王立軍被告(52)に対する初公判が18日午前、成都市中級人民法院(地裁)で始まった。
 中国共産党は、指導部交代を迎える党大会前に、王被告の元上司で、駆け込み事件がきっかけで失脚した薄煕来(ボーシーライ)・前重慶市党委書記の処分方針を決定するとみられている。公判では、王被告の罪状に関し、薄氏の関与が指摘されるかどうかが焦点となる。
 王被告は、英国人実業家殺害事件で執行猶予付き死刑が確定した薄氏の妻、谷開来受刑者をかばって証拠隠滅に加担したとして、「私情で法をねじ曲げる罪」に問われた。許可なく捜査技術を使用した職権乱用罪にも問われ、党中央幹部に対して行った盗聴行為を指すとみられる。

◎薄氏元側近の王氏、18日に初公判、米総領事館逃げ込み(2012年9月18日、朝日新聞)
 中国・成都市の米総領事館に逃げ込んだ重慶市公安局長だった王立軍・元副市長(52)の初公判が、18日に成都市の中級人民法院(地裁に相当)で開かれると、香港のフェニックステレビが17日伝えた。王氏は国を裏切り逃亡した罪や収賄罪などで起訴されている。
 上司だった薄熙来・前同市書記の関与が明らかになるかどうかが注目されているが、報道陣の多くは傍聴できない見込み。同法院は、18日の公判後に記者会見をするという。

◎薄氏元側近、王立軍元副市長の公判始まる(2012年9月18日、産経新聞)
 中国国営新華社通信などによると、重慶市トップを解任された薄煕来氏の元側近で、職権乱用や収賄などの罪で起訴された王立軍元副市長の初公判が17、18日の両日、四川省成都市中級人民法院(地裁)で開かれた。即日結審し、次回公判で判決が言い渡される見通し。
 今年2月に米総領事館駆け込み事件を起こした王被告は、英国人ビジネスマンを殺害したとして猶予付き死刑判決を受けた薄氏の妻、谷開来氏が刑事責任が問われないよう隠蔽(いんぺい)工作をしたなどとして、今月初めに起訴されていた。公務中の職場離脱や亡命を図ったこと、違法な捜査や巨額の収賄も問われていた。
 17日には非公開で、国を裏切って亡命を図った罪など、国家機密に関わる部分に関する審理が行われた。18日は収賄に対する審理が公開された。王被告は白い半袖シャツにノーネクタイ姿で出廷。検察側は起訴事実を連ねる中で、王被告が市公安局長の地位を利用して、利益を守る見返りに受け取っていた金銭や財物の総計が305万元(約3800万円)に上ったことなどを強調した。
 一連の審理の中で、薄氏の隠蔽工作への関与について言及するかどうかが注目されたが、香港メディアによると、18日は全く触れられなかったという。共産党指導部は近く開かれるとみられる政治局会議で、薄氏の党内での最終処分を決めると予想されており、それに絡む情報の漏洩(ろうえい)に神経をとがらせているようだ。

◎柳条湖事件、尖閣、中国各地で反日デモ(2012年9月18日、読売新聞)
 満州事変の発端となった柳条湖事件(1931年)の発生日にあたる18日、中国各地では早朝から日本政府の尖閣諸島国有化に抗議するデモが起きた。
 尖閣諸島は「戦争で奪われた」と主張し、尖閣問題を歴史問題と位置づけたい中国政府は、この日もデモを容認。「日本が歴史的事実を踏みにじっている」(中国外務省)とアピールする意図を明確にした。
 18日午前10時30分(日本時間午前11時30分)現在、北京や上海、広州、重慶、湖南省、河南省など少なくとも49か所でデモが確認され、数百人規模にふくらんでいる都市もある。
 北京では午前7時30分(日本時間同8時30分)、約50人が「新旧の負債を一気に清算する」と書いた横断幕を掲げ、中国国歌を歌いながら日本大使館前をデモ行進した。周辺の道路は約2キロにわたり交通規制が敷かれ、同大使館前も武装警察が隙間なく固めたが、生卵を大使館に投げ込む者もいた。

◎トヨタ、中国の一部工場で操業停止、反日デモで(2012年9月18日、読売新聞)
 トヨタ自動車は18日、中国国内の一部工場で同日の操業を停止したことを明らかにした。
 反日デモで、15日に山東省青島の販売店1店が放火される被害が出たため、従業員の安全に配慮した。操業を停止した工場名は明らかにしていない。
 トヨタは中国大手の第一汽車、広州汽車と合弁で、長春市や広州市などに工場を持っている。

◎米、中国をWTO提訴、自動車産業へ不当に補助金と主張(2012年9月18日、朝日新聞)
 米通商代表部(USTR)のカーク代表は17日、中国が自国の自動車産業や関連部品産業の輸出に不当な補助金を与えているとして、世界貿易機関(WTO)に紛争処理手続きに入るよう訴えたと発表した。
 発表によると、中国内の「輸出基地」として知られる特定の地域にある自動車メーカーなどに対し、同国が2009~11年に少なくとも10億ドル(約780億円)の補助金を与えたという。現金による輸出奨励や研究開発援助、金利優遇などが含まれ、WTOが禁じる過剰な補助金に当たると主張している。
 USTRは今年7月にも、中国が米国製自動車にかけている関税が不当だとして同様の手続きに入っており、WTOへの提訴内容に項目を加えたことになる。

◎北京で7日連続、厳重警戒(2012年9月17日、産経新聞)
 日本政府による沖縄県・尖閣諸島国有化に抗議する反日デモが17日午前、北京の日本大使館前で始まった。
 北京のデモは11日の国有化以降、7日連続。平日のため、参加者は約100人と15、16両日に比べて激減したが、中国当局は引き続き厳重な警戒態勢をとった。上海の日本総領事館周辺でも警戒が続いている。
 この日のデモは、インターネット上での呼び掛けがほとんどなかったが、上海などほかの大都市でも自発的なデモが起きる可能性がある。

◎暴徒乱入、無言で破壊、放火、工場再起不能(2012年9月17日、読売新聞)
 「まるで強盗団だった」
 山東省青島で15日、日系のスーパーや工場を襲ったデモ隊を目撃した中国人男性は、こう声を震わせた。襲撃されたパナソニックグループなどの工場は、一夜明けた16日、放火ですすけた建物や、壊された機械類が無残な姿をさらしていた。
 複数の目撃者らによると、15日午前11時ごろ、デモ隊は、郊外にあるジャスコ黄島店内で破壊、略奪を開始。1時間後、リーダー格の男が「次は保税区だ」と叫んだ。外資系の工場が集まる保税区には、パナソニックグループの電子部品工場など日系企業が入居している。
 ジャスコを出たデモ隊はまず2キロ先の日系工場を襲撃した後、午後2時頃、さらに2キロ先のパナソニック工場に到着。3、4階建ての建物数棟が立ち並ぶ工場は、スタッフ全員が避難し、無人だった。群衆は最も大きな建物に乱入、1階に火を放ち、機械類も壊した。火は2階に燃え広がった。
 隣の工場労働者は「3万人はいた。これだけの人間が道路を埋め尽くす光景は初めてで、とても抗議運動とは思えなかった」と振り返った。
 日系企業を狙うデモ隊はさらに、約300メートル先の自動車部品工場を襲撃。警官隊が六、七重の隊列を敷いて侵入を食い止めようとしたが、人数ではるかに上回るデモ隊はやすやすと突破。工員ら数百人には目もくれず、無言で破壊、放火に及び、十数分後には別の工場へ向かった。
 自動車部品工場管理職の中国人男性は「うちは再起不能。ほかの工場も含めて、これで数万人の失業者が生まれるが、中国人がやったことだ」とやりきれない表情だった。

◎中国・東北地方でも反日デモ続く、瀋陽では300人(2012年9月17日、朝日新聞)
 遼寧省瀋陽市では16日、前日に引き続いて約300人の反日デモがあり、参加者が尖閣諸島の領有や日本製品の排斥を叫んだ。
 市中心部にある日本総領事館にも参加者の一部が押しかけたが、警官が大量動員されており、目立った混乱はなかったという。
 インターネット上にはこの日、東北地方の長春やハルビンなどで行われたデモの様子などが投稿されている。

◎反日デモ、成都では5千人、尖閣巡る8月デモの2倍(2012年9月17日、朝日新聞)
 四川省成都市の反日デモには約5千人が参加した。8月にあった尖閣諸島を巡る反日デモの約2倍の人数だ。
 参加者の多くは学生や20~30代の若者たちで、近隣の町や上海から来た人も。様々なスローガンを書いた横断幕やプラカードを持参し、消火器などを手にした警官が隊列を囲むなか、市中心部を約3時間、練り歩いた。
 デモでは、日中戦争時代に作られた抗日運動を題材にした中国国歌を何度も歌い、日本製品の排斥や「小日本(日本人の蔑称)をやっつけろ」などの文句を叫び続ける。途中、日本車を指さして「排斥しろ」と叫ぶ場面もあったが、周囲が「理性的に」と呼びかけるなど、目立った暴力行為は見られなかった。

◎日系企業の破壊相次ぐ、平和堂略奪被害10億円超か(2012年9月17日、スポーツニッポン)
 日系企業の工場や店舗が破壊されるなど中国での反日デモが拡大していることを受け、電機メーカーや流通各社は16日、被害があった一部の工場や店舗の休業を相次いで決めた。
 電子部品大手のミツミ電機は山東省青島の工場生産設備が破壊され、放火の被害もあったため稼働を18日まで停止すると発表。パナソニックは青島と江蘇省蘇州、広東省珠海の3工場を18日まで休業させることを決定。珠海では15日に中国人従業員約10人が「日本人は帰れ」といった内容を叫ぶなど反日の抗議行動を起こした。
 青島のジャスコ黄島店は現地法人幹部が店内に入り、被害状況を視察。17日も休業することを決めた。湖南省長沙の百貨店・平和堂は15日に商品のほとんどが略奪され、営業再開まで数カ月かかる見通し。被害額は10億円を超えるとの報道もある。
 一方、日本人への暴行事件が上海で起きるなどして、現地の日本人関係者の間では動揺が拡大。早くも駐在員や家族の一時帰国に踏み切った日系企業も現れ始めた。

◎“中国リスク”を軽減させたアフリカの「唐辛子」(2012年9月16日、産経新聞)
 沖縄・尖閣諸島をめぐる数々の事件にかかわらず、中国の傍若無人ぶりは本当に目に余る。対抗策はないのか。神戸にある中堅商社「小林桂」がヒントになる取り組みを進めている。中国にほぼ一極集中する唐辛子輸入のありようを見直そうと、アフリカ・モロッコで独自に唐辛子を栽培。年内にも輸入を始めるというのだ。中国漁船衝突事件後のレアアース(希少金属)輸出規制が示す通り、資源を人質にとる中国外交は狡猾だ。一民間企業の小さな取り組みとはいえ、中国リスクを避ける考え方がそこにはある。

・アフリカで唐辛子… 本当にできる?
 「あそこで唐辛子を植えられないか」
 きっかけは、2006年夏。同社会長の小林博司が1人での海外出張を終え、帰社後に発したひと言だった。場所は、日本から1万キロ以上も離れたアフリカ・モロッコ。250ヘクタールの畑を取得したのだ。
 スパイスを専門に取り扱う同社は従業員50人ほど。小林は30年以上前にイラン産のピスタチオに目をつけ、日本に輸入して「ヒット商品」にした経験がある。確かな見立てがあっての発言だが、唐辛子である理由もあった。
 国内の唐辛子の輸入量は約1万1千トン。うち9割近くを中国産に依存している。中国からの輸入が止まれば、唐辛子が食卓から消える可能性がある。代替産地をつくり、中国依存に風穴を開けられないか。そんな思いも小林にはあった。
 もっとも、現場は戸惑った。
 現在、唐辛子プロジェクトを担当する営業部課長の常深克典(39)は「新しい事業を検討中で、唐辛子も候補のひとつだった。ただ、やれと言われても、どう進めればいいのか分からなかった」と振り返る。
 まず、唐辛子栽培の経験がない。仮に栽培に成功したとして、中国産の価格に勝てる保証もない。社内では事業の進め方を議論したものの、答えが見つからず、実質棚上げされた。

・辛み成分を安定させろ!
 まったく動いていなかったわけではない。09年には現地の取引先を通じ、契約農家に唐辛子栽培を依頼した。100キロ程度だったが、収穫もできた。
 実は、唐辛子栽培にはアブラトキシンという強い発がん力を持つカビ毒素の発生をいかに抑えるかという懸案がある。アブラトキシンは、アスペルギルスフラバス菌がいなければ発生しないが、モロッコでどうかが分からない。
 そこで翌10年は、安全な唐辛子を栽培できるかをチェックした。その結果、畑の管理さえ怠らなければ菌の発生を抑えることが可能だと分かった。つまり事業化のめどがたった。
 国内でも動きがあった。日本貿易振興機構(ジェトロ)による支援策の活用だ。常深は当時、直接の担当ではなかったが、その支援策活用で唐辛子栽培を軌道に乗せられないかと思い描いていた。小林に直談判し、了承を得た上で、ジェトロの審査の末、支援を受けられることになった。
 代替産地化を目指した唐辛子プロジェクトは動き始めた。が、懸案はまだあった。ひとつは農業経験のなさだ。アジア、アフリカ各地で異なる収穫方法や農薬頒布、価格設定は…。解決しなければいけない課題は山積していた。

・「きっと壁は乗り越えられる…」
 常深はプロジェクトの担当に任命され、10年7月に現地に向かった。
 「どれだけ準備しても不安はなくならなかった。ゼロからのスタートでしたから」
 関西国際空港から飛行機で現地に向かったが、その間ほぼずっと、ミスターチルドレンの「終わりなき旅」を聞いていたという。
 「閉ざされたドアの向こうに新しい何かが待っていて『きっときっと』って僕を動かしている」
 「高ければ高い壁の方が登った時気持ちいいもんな」
 そんなフレーズが自身の立場に似ている気がしたからだ。経由地を経て約22時間、常深は「きっと壁は超えられる」と頭の中で繰り返していた。
 だが、やはり何度も壁にぶつかった。ひとつは言葉の壁。常深も英語はできるが、現地の農家で使われていたのはフランス語とアラビア語。意図が十分に伝わらないこともあった。それ以上の壁は、農業の専門用語の知識が十分ではなかったことだった。
 「分かったと言ってくれても本当に分かっているのか…。農業の常識を知らないから、不安は二重三重になって襲ってきた」
 帰国後、常深は茨城県内の唐辛子農家を訪れた。モロッコでの栽培方法が正しいのかをチェックするためだったが、農場をみて愕然とする。
 雑草が生え放題だったモロッコに比べ、茨城の農場は整然ときれいだった。葉の付き方も、畝の作り方も、土の質も…。何もかもが違った。同じ唐辛子の畑とは思えなかった。
 「唐辛子の茎はある程度生育して高くなると、地面に陽が届かなくなり雑草も生えなくなる。それを知らないから、当時はあまりの違いに焦ってしまった」
 ただ、そういう経験を積み、モロッコでのやり方があることにも気がついた。畝の間隔が日本と違うのは、モロッコの契約農家が、パプリカ栽培の経験を生かした結果。「農家の知恵」があると知った。

・対中国を考える「切り札」に
 2012年の生産面積は10ヘクタールに増えた。8月末から第1次の収穫がスタートし、雨期の始まる11月ごろまで続く。収穫して天日干しし、日本に輸入する。収穫量は20~30トンになる見通しだ。
 5~10年後までに年間生産量を千トンまで見込むが、実は思わぬ効果も生まれているという。
 欧州各国から唐辛子の生産量について問い合わせがあったのだ。唐辛子は欧州でも調理に使われ、中国に依存する態勢を不安視されていた。中国リスクへ切り札だけでなく、欧州への「輸出」も視野に入ってきた。
 常深は「今回と同じスキーム(仕組み)はほかの産物にも活用できるはずだ」と言い、カードゲームにたとえて中国依存脱却のやり方をこう説明した。
 「リスクを軽減するために手札をたくさん用意しておくのは勝負の鉄則でしょ。カードを切るとみせかけながら相手と交渉する手立てにすればいい。そうすることで、日本の力を示すことにもなるはずだ。唐辛子がその一例になればいい」

◎反日デモ、中国50都市に拡大、日系工場焼き打ち(2012年9月16日、朝日新聞)
 日本が尖閣諸島を国有化したことに抗議する中国各地での反日デモは15日、約50都市に広がり、日本企業の工場が焼き打ちに遭い、日系デパートの一部が破壊されるなどした。日本製品を標的にした破壊行為や不買運動も広がっている。
 山東省青島市の開発区内にあるパナソニックの工場にデモ隊が押し入り、放火した。関係者によると、一部が延焼した。同じ開発区にある別の日系工場も同様の被害を受けた。
 イオン黄島店でも、デモ隊がエレベーターやエスカレーターを破壊。関係者によると、専門店も合わせて約2億元(約24億円)分あった在庫の大半が、略奪または破壊されたという。

◎略奪被害の日系スーパー「従業員は全員中国人なのに…」(2012年9月16日、朝日新聞)
 噴き出した反日感情が止まらない。日本が尖閣諸島を国有化してから初めての週末となった15日、中国各地に広がったデモは一部が暴徒化。日系のスーパーや商店、日本車が次々に襲われた。中国で暮らす日本人の間にも、不安や動揺が広がっている。
 山東省青島市のイオン黄島店には15日午前9時半ごろ、反日デモ隊約3千人が集結。治安当局は200人態勢で警備にあたったが、デモ隊の一部が暴徒化し、バリケードを乗り越えて店内に侵入した。
 暴徒化したデモ隊は、鉄パイプや石を使って壁面のガラスを粉々に破壊。その後、店内の冷蔵ケースやエスカレーター、エレベーターなどをたたき壊した。
 青島イオン幹部の折口文明さん(49)によると、同店は総面積5400平方メートルの2階建てショッピングモールで、専門店など90店舗が入居。店内の高級酒や宝石、貴金属類、家電製品などが略奪され、「高価なものは軒並み奪われた」。店内には2億元(約24億円)相当の在庫があったが、残された商品は使い物にならない状態という。

◎反日デモ隊、日系工場を破壊、ジャスコも略奪被害、中国(2012年9月15日、朝日新聞)
 中国の山東省日本総領事館によると、青島市黄島開発区内にあるパナソニックの工場が、反日デモの参加者によって破壊された。焼かれた、との情報もある。また、同じ開発区にある別の日系工場も同様の被害を受けている模様で、同総領事館で確認を急いでいる。
 このデモ隊は、工場地帯に向かう前に、青島市内のジャスコ黄島店に物を投げつけ窓ガラスを割ったり、押し入って商品を略奪したりした。同総領事館は「けが人は確認できていないが、財産的な被害はかなり大きい」とみている。

◎麺かけられ、眼鏡割られ、上海で日本人暴行続発(2012年9月14日、読売新聞)
 中国、上海の日本総領事館は13日、日本政府が沖縄県の尖閣諸島の国有化を決定して以降、上海市内で日本人が中国人から暴行を受けるケースが続発し、少なくとも4人が負傷したと明らかにした。
 同総領事館ではホームページを通じ、在留邦人や日本人旅行者に注意を呼びかけている。
 ホームページなどによると、上海の繁華街を歩いていたところ、「お前は日本人か」と声をかけられ、突然、足を蹴られて打撲傷を負うケースがあった。
 このほか、〈1〉深夜に食事中、中国人に因縁をつけられ暴行を受けた〈2〉タクシーで移動中、バイクの運転手が追いかけてきて「乗客を降ろせ」と言われた〈3〉複数人で歩道を歩いていたところ、中国人から「ジャパニーズ」と言われ、1人が麺をかけられてケガを負い、1人が眼鏡を割られ、持ち去られた――などのケースがあったという。

◎中国の習近平氏、12日ぶり動静報道、写真や映像な(2012年9月14日、朝日新聞)
 中国の習近平(シーチンピン)国家副主席の動静が12日ぶりに中国の公式メディアで伝えられた。13日に死去した元共産党幹部の遺族を「慰問した」と報じられたが、写真や映像はなく、いまだにほかの公務には姿を見せていない。
 同日付の広西チワン族自治区の党機関紙、広西日報が、習氏が胡錦濤(フーチンタオ)国家主席らとともに、6日に死去した自治区元幹部の家族に「様々な形式で哀悼の意を示した」と報じた。1日以降、習氏に関する公式報道が途絶えており、さまざまな臆測が出ていたことから、これを打ち消す狙いがあるとみられる。
 習氏は、21日に同自治区南寧で開かれる中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)博覧会に出席するとの情報もあり、その動向が注目されている。

◎NHKの習氏情報報道を遮断、中国(2012年9月13日、産経新聞)
 NHK国際放送のニュース番組が12日夜、今月1日以降、動静に関する報道が途絶えている習近平国家副主席に関する情報を伝えようとしたところ、テレビ画面が真っ黒になり視聴が不可能になった。
 日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に反対して、北京、上海、広州で行われた反日デモの様子が伝えられた後、中国に絡む関心事として、習氏の名前が出た瞬間、放送が遮断された。
 中国では引退者を含め、国家指導者の死亡情報や健康状況が国家機密とされている。しかし、当局が外国人向けの報道にも過敏な反応を示したことで、習氏の健康状況をめぐる憶測はさらに拡大しそうだ。

◎中国の「沖縄工作」の狙い(2012年9月13日、産経新聞)
 「尖閣問題」で日中関係がぎくしゃくしている中、中国の一部の軍人や学者が突如、「沖縄は実は中国領だ」という奇妙なことを言い出した。
 たとえば解放軍の現役少将で国防大学戦略研究所の金一南所長は7月13日、中国広播網という官製メディアの取材記事において、歴史の経緯や戦略的重要性などの角度から「琉球の所属問題」について延々と論じた。その中で彼は、「琉球はもともと中国の属地。それが日本によって強奪された」と論じた上で、「われわれは今後(対日交渉において)、尖閣の領有権問題にとどまらず、琉球群島全体の帰属問題を持ち出すべきだ」と語った。
 金少将はさらに、「(中国の)学界や研究機関は今後、琉球の帰属問題について大いに議論すべきだ」とも提言した。
 この提言に応じたかのように、今度は『社会観察』という政論誌の8月号が、復旦大学日本研究センター副主任の胡令遠教授と中国対外経済貿易大学国際関係学院の王海浜副教授連名の「琉球問題論文」を掲載した。論文は直ちに人民日報系の環球時報が運営する「環球網」に転載され国内で大きな反響を呼んだ。
 論文はまず、前述の金少将と歩調を合わせて、いわば「歴史の経緯」から「琉球が中国領、日本がそれを不法占領」との珍説を展開した上で、「政府・学界・メディアは緊密に連携し、琉球群島の主権帰属問題に関する研究と宣伝を展開していくべきだ」と提言した。その「宣伝工作」の一環として、「国際社会に中国の主張を伝えること」の重要性を論じた。
 そして最後に論文は締めくくりの部分で「琉球人民の本土意識や帰属感を深く研究し、琉球人民に十分な民族自決権を行使させるべきだ」とも語った。
 以上は、最近になって中国国内で飛び出した「琉球帰属論」の2つの事例だが、日中国交回復以来40年間、中国国内から「琉球が中国領だ」というデタラメな暴論が展開されたのは初めてのことである。
 しかも、本来なら関係性の薄い解放軍の現役軍人と大学の教授がほぼ同じ時期に同じ主張を展開し始めたことの背後には、中国共産党政権の影が感じられる。解放軍将校と大学の教授の両方に影響力を行使し彼らに同じことを言わせることができるのは、当の共産党政権以外にはないはずだ。
 そして政権の意向を受けた彼らは、「琉球が中国領」という論を単なる論として唱えるのではなく、「政府・学界・メディア」の「連携」による「沖縄工作」の展開を具体的に提案した。
 その中で、「琉球人民に十分な民族自決権を行使させよう」という、赤裸々な「沖縄県民離反工作」までが公然と語られているのである。
 つまり中国が欲しがっているのは、決して尖閣諸島だけではないことは明々白々だ。彼らはすでに、日本の沖縄に対する野望をむき出しにしている。おそらく中国からすれば、沖縄を名実ともに「中国の属地」にしてしまえば、中国の海洋制覇戦略の最大の妨げとなっている米軍基地をかの地から追い出すこともできるし、日本本土を完全に中国の軍事力の脅威下に置くこともできよう。
 そうすると、「琉球の中国属地化」の次にやってくるのは、すなわち「日本の中国属国化」なのである。
 われわれはまさにこのような意味合いにおいて中国の考える「沖縄工作」の真意と狙いを理解しておかなければならない。このような国家存亡の危機にどう対処するのかが、まさにわれわれにとっての重要課題となるのである。

◎「日本鬼子は出て行け」、北京の日本大使館前でデモ、国有化以降、3日連続(2012年9月13日、産経新聞)
 日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化に反対する中国人40人以上が13日、北京の日本大使館前で断続的に抗議デモを行った。
 同大使館前の抗議デモは、尖閣が国有化された11日以降、3日連続。参加者は「日本鬼子(日本人の蔑称)は釣魚島から出て行け」と書いた横断幕を掲げ、「日本製品をボイコットせよ」などと叫んだ。
 ただ、大使館周辺には多数の公安関係者や公安車両が配置され、デモの動きを厳しく管理。過激化を警戒している様子がうかがえた。
 インターネット上では今週末に四川省成都や湖南省長沙などでデモが呼び掛けられており、日本の外務省は安全確保に注意するよう求めている。

◎習氏はどこへ? 中国共産党序列8位の賀氏は久しぶりに動静報道(2012年9月12日、産経新聞)
 中国中央テレビは12日午後7時(日本時間同8時)からのニュース番組で、8月29日から動静が伝えられていなかった中国共産党序列8位の賀国強・党中央規律検査委員会書記が中国監察雑誌社などを訪れ、今秋に予定される党大会に向けて反腐敗・清廉教育を強化・改善するよう強調したと伝えた。
 最高指導部内では、次期国家主席に内定している習近平国家副主席の動静に関する報道も今月1日に中央党校の行事出席以来、途絶えている。
 習氏は5日にクリントン米国務長官との会談を突然、キャンセル。水泳中のけがや交通事故、軽度の心筋梗塞など、さまざまな憶測が飛び交っている。

◎中国、PC樹脂の国産化が進展(2012年9月11日、化学工業日報)
 中国のポリカーボネート(PC)樹脂市場で国産化が進展している。年120ー130万トンといわれる内需に対し、これまで国内供給能力は同33万トンに過ぎなかったが、今年に入って三菱化学が同6万トン、三菱ガス化学が同8万トンプラント(写真)を稼働。来年から2015年にかけては、バイエルとサウジ基礎産業公社(SABIC)が合わせて56万トンを新増設する計画で、国内の生産能力は年100万トンを超えることになる。中国市場は堅調な成長が期待されるものの、競争激化は必至。これにより「ハイスペック化」と「ダウンスペック化」の2極化が一段と加速することになりそうだ。

◎中国の憂鬱、一人っ子政策の闇、「強制帰省」と「レンタル恋人」(2012年9月9日、産経新聞)
 急速に高齢化が進む中国で、お年寄りの孤独死が社会問題化している。60歳以上の人口は1億8千万人を超え、日本の総人口をすでに上回った。親と離れて暮らす子供に、定期的な帰省を義務づける法律の制定を検討するなど、中国政府は対策に乗り出しているが、「特効薬」は見つかりそうにない。しかも、一人っ子政策で過度にかわいがられて育った若者ら男女の構成比が崩れ、結婚難に陥り、将来を不安がる親に結婚相手として架空の恋人を紹介する始末…。アジア各国でいち早く少子高齢化が進む日本。中国の現状をどう見る?

・一人っ子政策が生み出した「弊害」
 中国で高齢化が急速に進む背景の一つとして指摘されている一人っ子政策は1979年に導入された。50~70年代までの間に起こったベビーブームで増加の一途をたどる人口を抑制するための政策で、中国政府はこれまでに約4億人の人口を抑制したとしている。
 しかし、この政策のため、人口構成ではベビーブーム世代が膨張する一方、それより若い世代が急激に減少している。一人っ子政策の親世代が60歳を超える今後は、高齢化が一気に進むことになる。
 高齢化の進行とともに、経済や社会状況の変化もあり、子供が独立した後、独居または老夫婦だけで暮らす「空巣」と呼ばれる世帯が急増。高齢者の孤独死なども増えており、特に、上海や北京などの都市部で深刻な問題となっている。
 「親の老後は子がみるのが当然」という考えが根強い中国だが、最近では「子供が顔を見せない」「面倒をみてくれない」などと裁判所に訴えるケースも少なくないという。
 こうした状況を受けて、全国人民代表大会(全人代=国会)の常務委員会は、年老いた親と離れて暮らす子供に定期的に帰省するよう義務づける法律の制定も検討。しかし、子供の世代からは「子供の面倒で精一杯なのに」などとする声も出ている。

・「レンタル恋人」まで登場
 一人っ子政策は高齢化の進行に拍車をかける一方、結婚難の要因ともなっている。中国では男の跡継ぎを欲しがる発想が強く、1人しか認められないから、女の子だと分かると堕胎しているという。その結果、男女の構成比が崩れた。結婚適齢期の女性100とすると、男性は110前後。結婚できない男性が増えるとみられている。
 しかし、親からは「結婚はまだか」と催促される。こうした圧力をかわすため、帰省などに際して「恋人役」を貸し出すインターネット通販サイトまで登場しているという。
 一人っ子政策の影響はまだある。
 北京や西安、広州などの都市部で墓地の価格上昇が急激に進み、住宅価格の上昇率を上回る現象が起こっているのだ。高齢者の増加で墓地の需要が増えると見込んで投機マネーが流れ込んだためだが、価格高騰が続けば、一人っ子政策の世代は墓が購入できない。先祖を弔う文化がなくなることを危惧する声も出ている。

・小皇帝たちの悲惨な行く末
 世界人口が昨年、70億人を突破した際、中国当局は「もし計画出産を実施していなければ、現在の中国の人口は17億人を超え、経済社会の発展は困難になった」として、今後も政策を続けていく方針を明らかにしている。
 だが、一人っ子政策は中国社会に根深い問題を生み続けている。例えば、当局の一人っ子政策担当者が2人目を妊娠した女性を強制的に堕胎させるなどの問題が相次いでいるほか、戸籍がない子供や捨て子の増加、人身売買…。
 また、両親や双方の祖父母にかわいがられて育てられる一人っ子は、「小皇帝」と呼ばれ、弱々しい子供が多くなったとも指摘される。こうした一人っ子同士が結婚、双方の父母の介護などを行うことになるが、子供にかかる負担が増え、家族介護も限界に達するとみられている。
 中国は世界第2位の経済大国だが、国民一人あたりのGDPが5千ドル台。国民全体が豊かさを実感する前に高齢化社会を迎え、年金や医療などの社会保障に国力を注ぐ必要が高まるとみられている。

・大阪が示す? 高齢化社会の「処方箋」
 中国の60歳以上の人口は2011年末現在、約1億8500万人で、総人口約13億4800万人に占める割合は13.7%。65歳以上の割合が20%を超える日本に比べると高齢化率としてはまだまだ低い。
 しかし、高齢者の人口は今後、年平均800万~900万人ずつ増えると予測されている。20年には高齢者人口が2億4800万人、さらに50年には4億3700万人に達し、今後、減少に転じる全人口の30%以上を占めるとする試算もある。
 一方、大阪府は、東京都や愛知県と比較して最も早く人口減少社会に突入すると予測されている。人口は2010年の887万人かから、40年には163万人減少して724万人になると推計されている。
 全国を大きく上回るスピードで高齢化が進み、40年の65歳以上の高齢者人口の割合は全体の38.4%を占めると見込まれている。その対応は日本国内だけでなく、中国などアジア諸国のモデルとなる可能性もある。

◎北京にあるトイレのハエは2匹まで(2012年9月9日、産経新聞)
 「公衆トイレ1カ所につき、ハエは2匹を超えてはいけない」北京市政府が今年5月に策定した「公衆トイレ管理基準」の中に、トイレの衛生状況を改善するため、ハエの数に基準を設けたことがインターネットなどで話題を集めた。
 「間違いなくハエを数えられるのか」「2匹と3匹に区別があるのか」といった議論が起きたのだ。
 同管理基準が適用されるのは北京市内の公園、駅、空港、病院などの公共施設の中のすべてのトイレで、ハエの数のほか、トイレの臭いについて「無臭の0級」から「強烈な悪臭の5級」まで区分し、各トイレ管理者になるべく0級に近づくよう少なくとも30分に1回の清掃を求めている。しかし、同管理基準に違反した場合の罰則については明記されていない。
 北京市当局者は中国メディアの取材に対し「トイレの衛生管理にこうした規定を設けるのは、監督や検査をしやすくするためだ」と語っているが、ネットでは「官僚主義の典型」といった批判が寄せられている。
 実はトイレのハエの数を規定するのは、北京市が初めてではなく、江西省南昌市で昨年8月から、北京市よりやや緩い「公衆トイレのハエは3匹を超えてはいけない」との管理基準を制定し、実施している。
 一連の規定が制定されたのは、中国の不衛生な公衆トイレについて国内外の観光客から苦情が多く寄せられたためだ。北京市では2008年の北京五輪前にも、さまざまな形で公衆トイレの浄化キャンペーンを実施したが、あまり効果がなかった。今回はどうか?
 「ハエ2匹まで」基準が発表されてから3カ月後の8月下旬、北京市の著名なスポーツ施設のトイレでは、10匹以上のハエを確認した-。

◎「温首相をだました」の見方、地元責任者、児童ら校舎倒壊を「落石」と虚偽報告(2012年9月9日、産経新聞)
 中国雲南省昭通市彝良県と貴州省畢節市の境界付近で7日に起きた地震で、現場付近の小学校が倒壊、小学生7人が生き埋めとなり、うち3人が死亡したと雲南省の地元紙「生活新報」が9日までに伝えた。
 温家宝首相の8日の被災地慰問を伝えた地元メディアは温首相が校舎倒壊による死者の有無を尋ねた際、地元責任者が「3人の小学生が死亡したが、路上への落石が原因だった」と説明したと報道。このため、責任者が校舎倒壊による死亡を隠そうと虚偽報告したとの見方が出始めている。
 中国の短文投稿サイト、微博(ウェイボ)では「地元責任者は温首相をだまそうというのか」と厳しく指摘する意見が出たほか、校舎のもろさを問題視する声も上がった。倒壊したのは雲南省の雲落小学校。生徒が校舎内で食事中に地震が起き、1年生7人が生き埋めとなった。

◎薄氏の元側近を起訴、王立軍氏、国を裏切った罪で(2012年9月6日、朝日新聞)
 中国の検察当局はこのほど、重慶市の「打黒(マフィア撲滅)」運動を率い、米国総領事館に逃げ込んだ元市公安局長の王立軍・元副市長(52)を国を裏切り逃亡した罪や収賄罪などで起訴した。公判の過程で、上司だった薄熙来(ポーシーライ)・元同市書記の関与が明らかになるかどうかが焦点だ。
 秋にも開かれる共産党大会で選出される新体制の人事は大詰めを迎えている。このタイミングで薄氏の妻に続いて最側近の刑事訴追の公表に踏み切ったことで、一連の事件捜査を主導してきた胡錦濤(フーチンタオ)国家主席(党総書記)に連なる勢力が求心力を高め、人事交渉を優位に進める狙いもあるとみられる。
 国営新華社通信が5日、配信した。起訴状などによると、王・元副市長は、市公安局長だった2011年、薄氏の妻、谷開来氏に英国人殺害の容疑があるのを隠し、刑事訴追を逃れさせた▽今年2月、勝手に職務を離れ、成都の米国総領事館に逃げ込んだ▽正式な手続きを経ずに「技術捜査措置」を用いた▽巨額の賄賂を受け取り、便宜を図った――罪に問われた。

◎北朝鮮、中国企業批判「致命的な責任ある」(2012年9月5日、産経新聞)
 北朝鮮の外資誘致機関「朝鮮合営投資委員会」の報道官は5日、談話を発表し、同国企業と合弁相手の中国企業との間で契約をめぐりトラブルが生じたことを認め、中国側に「致命的な責任がある」と主張した。朝鮮中央通信が伝えた。
 談話は中国企業がインターネット上で北朝鮮側を非難したことに対する反論。北朝鮮が最大の友好国である中国の企業を非難するのは異例だ。経済立て直しを図る北朝鮮は外資誘致に力を入れており、自国の正当性を訴えることで外国投資家の“北朝鮮離れ”を避ける狙いとみられる。
 同委員会は、金正恩第1書記の叔父、張成沢国防副委員長が運営を実質的に統括しているとされる。

◎上海の地下鉄車内で盗撮? 中国当局が日本人男性拘束(2012年9月5日、朝日新聞)
 中国・上海の地下鉄車内で3日午前8時20分ごろ、中国人女性のスカートの中を盗撮したとする騒ぎがあり、日本人男性が拘束された。上海の日本総領事館によると、日系企業に勤める上海在住の30代の男性で、中国当局が治安管理処罰法違反の疑いで調べている。容疑を認めているかどうかは分かっていないという。
 盗撮騒ぎがあったのは、上海中心部を走る地下鉄2号線の静安寺と南京西路の間。上海紙・東方早報によると、若い中国人女性が突然声を上げ、周囲の乗客とともに駅の警備室に男性を突きだした。女性は「(男性が)携帯電話でスカートの中を撮影していた」と主張しているという。
 男性乗客によると、女性が日本人に対し「携帯電話を見せろ」と要求していたという。この乗客は携帯電話のカメラで男性と女性がもめている様子を撮影しており、女性に胸ぐらをつかまれた白いシャツにスラックス姿の男性の顔が中国のネット上に出回っている。

◎中国・福州市幹部をスパイ容疑で拘束、台湾へ情報流す?(2012年9月4日、産経新聞)
 中国福建省福州市の対台湾政策担当部署の男性幹部が、台湾側に重要情報を漏らしていた疑いがあるとして最近、スパイ容疑で中国の国家安全当局に拘束されたことが4日分かった。中国筋が明らかにした。
 拘束されたのは、同市台湾事務弁公室の幹部。台湾人の知人女性を通じ、中国の台湾政策を担当する国務院(政府)台湾事務弁公室からの通達文書などを台湾側に渡していた疑いが持たれている。
 福州市は台湾の対岸にある福建省の省都。台湾との交流が緊密な都市の一つで、中国による統一工作の拠点として位置付けられている。同幹部は「連絡・交流」担当の責任者として長年、国務院台湾事務弁公室など上部機関との連絡調整や、台湾側の対中政策に関する情報の収集に当たっていた。

◎傍若無人、厚顔な中国、高速鉄道から透ける「お国柄」(2012年9月2日、産経新聞)
 世界各地で進められる高速鉄道の建設をみると、その国民性が垣間見えてくる。オバマ大統領が環境面や経済的効果を期待して整備に積極的な米国は、トップが決めるお国柄が反映。一方、昨年7月に追突事故で死者40人を出した中国は事故を省みることなく、傍若無人にも海外進出に取り組み始めた。トップレベルの技術を誇る日本は…。相変わらず、国内での足の引っ張り合いに追われ、世界に出遅れている。

・他国の忠告無視、鼻息荒い中国
 高速鉄道をめぐる中国の姿勢には、謙虚さを微塵も感じない。
 浙江省温州市で2011年7月23日夜に発生した高速鉄道列車の追突・脱線事故では、車両4両が脱線後に高さ約20メートルの高架から落下。40人が死亡、約200人が負傷した。
 これだけの事故にもかかわらず、当局側は翌日には事故車両をすべて撤去、一部は土に埋めた。半日後には営業運転を再開した。中国政府は同年12月、「列車制御システムの設計不備に加え、落雷後の緊急措置が不適切だった」とする原因調査結果を発表。「人災」を認定し、前鉄道相ら関係者54人を処分し、早期の幕引きをはかった。
 事故は、世界各国からかき集めた技術で建設を急ぎ、基礎からの開発をおろそかにしてきた「寄せ木細工」のツケが原因だった。
 中国の高速鉄道は、日本やドイツなどからの技術供与をベースに05年から建設が始まり、07年4月に開業した。事故直前の10年末の営業距離は8千キロを超え、15年までに1万6千キロまで延伸する計画とされる。
 だが、北京~上海間のように専用の高架軌道で運行する区間もあるが、在来線に高速鉄道車両を走らせる区間は多い。日本は技術供与に当たり、車両だけでなく、コンピューター制御による運行システムを含めた一体採用を働きかけたものの、この忠告を、中国側は無視した。
 しかも、悲惨な事故から約1年しか経っていないのに、中国はその教訓を省みることなく、早くも高速鉄道の輸出を計画し始めた。今年に入り、国有の鉄道車両大手、中国北車がバングラデシュから高速鉄道の車両60両(20編成)を受注したことが判明。中国による高速鉄道の輸出は初めてで、同社公式ホームページによると、バングラデシュから受注したのは、車両のほか列車の制御や運行システムなど関連設備も加えた「核心技術」。同社は独シーメンスや仏アルストームなどから技術導入し、鉄道車両や設備を製造している。輸出車両は同社の大連電牽研究センターで製造するという。
 他国の忠告をまったく聞かず、先を急ぐ中国。世界各地で進む高速鉄道建設計画への参画に鼻息が荒く、今後の動きを注視していく必要がありそうだ。

・トップが決める米国
 08年2月、米ニューヨーク・マンハッタンにあるペンシルベニア駅地下ホーム。銀色の車体に青色ロゴが入った「アセラ・エキスプレス」(アセラ)がワシントンDCに向けて静かに滑り出した。観光客はもちろん、ビジネスマンの姿も目立つ。
 全米旅客鉄道公社(アムトラック)が00年12月に開業させたアセラ。「北東回廊」と呼ばれる、ボストン~ニューヨーク~ワシントンDCの人口密集地を結ぶ米国唯一の高速鉄道だ。
 「街の中心に乗り入れているから便利だ」
 「空港までの道路渋滞もセキュリティーチェックもないし、遅延や欠航も少ない」
 ニューヨークで知り合った学生たちはこう話していた。
 当時の米国は大統領選の真っ最中。初めての黒人、女性の大統領の誕生をめぐって関心が高まっていた。当選したオバマ氏は国内の高速鉄道網整備を公約の一つに掲げ、「速くて安全な旅客鉄道は環境面でも都市計画の上でも大きな利点がある」と強調していた。
 そして当選後の10年度予算教書で高速鉄道網整備に関し、5年間で50億ドルの財政支出を規定。これに合わせ、カリフォルニア州などで整備計画が動き出した。また、北東回廊が高速鉄道サービスの拠点と位置づけ、重点的に予算配分を行った。
 何事もトップダウンで決まっていく米国らしいありようだ。
 アセラは、日本の新幹線やフランスのTGVの技術をベースにした車両を導入したものの、本格的な高速鉄道ではない。専用の線路や駅、施設はなく、在来線を走る。ニューヨーク~ワシントンDC間は古い設備が残っている区間が多く、最高速度215キロでも最速2時間47分かかる。ボストン~ニューヨーク間は一部で通勤列車と同じ線路を走るため徐行区間が多く、最高速度240キロで最速でも3時間23分。飛行機ならいずれも1時間程度だ。
 さらなる高速化は難しいとの指摘もある。
 事実、西海岸のカリフォルニア州でもサンフランシスコやロサンゼルスなど主要都市を結ぶ高速鉄道計画があるが、今年に入り財政難から工費が大幅に削減された。
 4年後の今年11月、大統領選が控える。その影響はあるのだろうか。
 フロリダ州では昨年2月、草の根保守派運動「ティーパーティー」の支持を受けるスコット知事(共和党)が歳出削減のため高速鉄道計画の中止を表明。下院で多数を占める保守的な共和党はそもそも高速鉄道計画には消極的で、大統領選の結果によっては、オバマ氏の描いたストーリーも危うくなる。

・やっぱりガラパゴス、日本
 日本は、昭和39(1964)年、世界で初めての高速鉄道・新幹線を走らせた。安全性や燃費効率など、どの基準をとっても日本の高速鉄道の車両や運行技術は世界のトップレベルといわれる。ただ、世界市場ではどうだったのか。
 今年7月末、日本の鉄道関係者にとってうれしいニュースが飛び込んできた。
 日立製作所が、老朽化した英高速鉄道の更新計画で、車両製造や保守事業を一括受注することで英国運輸省と正式契約した。事業費は45億ポンド(約5500億円)で、大半の事業を日立が担う。日本政府も受注を全面支援し、海外の大型インフラ事業の獲得につながった。
 ほかにも、川崎重工業と東芝も台湾に高速鉄道を納入するなど、シーメンスとアルストム、カナダのボンバルディアの「御三家」が圧倒的シェアを握る世界の鉄道市場に風穴を開けた。
 ただ、日本国内に目を向けると、手放しで喜べない。
 リニア中央新幹線について、JR東海は平成39年に東京-名古屋間を先行して開業することを明らかにした。関西財界からは「大阪までの開通が遅れると関西経済に大きな影響が出る」と、名古屋との同時開業を求める声が上がっている。
 しかしJR東海の山田佳臣社長は7月9日に大阪市で開いた会見で「民間会社の経営を考えると、名古屋まで開業して利益を確保し、(経営体質を身軽にして)大阪に取りかかる『2段階方式』しかありえない」とし、同時開業は困難との見方を改めて示した。JR東海は9兆円にのぼる事業費の全額を自己負担する計画だから、外からとやかく言われたくないのかもしれない。
 一方で、中間駅の実現を目指す奈良県、三重県などの地元自治体は、名古屋~大阪間の概略ルート公表を要望。京都府などライバルの動きを見ながら牽制しあっている。8月6日には滋賀県の嘉田由紀子知事がリニア開通を見越し、平成19年に中止させた東海道新幹線の新駅設置について一転して必要性を説いた。
 こうした足の引っ張りあいは、世界に技術を売るために何もプラスにならない。

◎中国「異例中の異例」、捜査途中で日本に報告(2012年9月1日、朝日新聞)
 丹羽宇一郎駐中国大使の車が襲撃された事件で、中国外務省は日本大使館に捜査状況の説明を行うなど、胡錦濤(フージンタオ)政権による「異例中の異例」(日中関係筋)と言える対応が見られる。
 日中関係筋によると、中国外務省で外交儀典や外国公館の管理を担当する礼賓局は30日夜、中国外務省を訪れた斎藤法雄公使に事件の捜査状況を説明し、容疑者の中国人男女4人を特定した事実を伝えた。同筋は「公安当局が捜査の途中で状況を明かすのは極めて異例だ」と評価した。
 2004年8月に北京でのサッカー日中戦の試合後、日本大使館の公用車の窓ガラスが割られた事件では、日本側は犯人逮捕や補償を中国側に要求し続けたが、捜査情報の提供はほとんどなく、事実上の補償に応じたのも翌05年7月だった。

◎大使公用車襲撃、容疑者は男3人、女1人(2012年8月31日、読売新聞)
 丹羽宇一郎駐中国大使の車が襲撃され日本国旗が奪われた事件で、北京市公安当局が特定した容疑者は、いずれも中国人の男3人、女1人の計4人だったことがわかった。
 公安関係筋が31日、明らかにした。
 4人は、安徽省ナンバーの白色のBMWと北京市ナンバーのアウディに乗り、27日午後4時(日本時間同5時)ごろ、北京市内の環状道路で丹羽大使の乗る車の走行を妨害し、国旗を奪ったなどの容疑が持たれている。
 別の関係筋によると、BMWに乗った容疑者が大使の車に向けてクラクションを鳴らしたり、横から幅寄せしたりする行為を始めたところ、これを見ていたアウディの容疑者も嫌がらせに加わってきたという。BMWに乗っていた容疑者と、アウディに乗っていた容疑者は面識がない模様だ。

◎容疑者の処遇「微妙な問題」、中国、世論考慮し政治判断加える?(2012年8月31日、産経新聞)
 丹羽宇一郎駐中国大使が乗った公用車が襲われ日の丸が奪われた事件で、中国外務省が30日、日本側に容疑者を特定したと通報したことで、事件の早期決着を期待する見方が出ている。ただ、容疑者らの処遇について中国は国内世論への影響も考慮して政治判断を加えるとみられ、全面解決には曲折も予想される。
 玄葉光一郎外相は31日、東京での記者会見で「捜査が迅速に進展することを期待している」と述べた。 北京の日本大使館によると、公安当局は容疑者に関する具体的な情報や犯行の動機を明らかにしていない。
 中国のある日本研究者は、容疑者に適用する罪や量刑を決定するのは「微妙な問題」と指摘。仮に厳しい責任追及を行った場合、政府に対する強い反発を招く懸念も指摘されており、中国は慎重に落としどころを探るとみられる。

◎大使の車襲撃「良いこと」82%、中国ネット(2012年8月31日、読売新聞)
 丹羽宇一郎・駐中国大使の車が襲撃された事件で、中国当局が国内各メディアに対し、事件に関しては当局の発表以外に独自報道はしないよう規制する通達を出していたことが30日わかった。
 中国のメディア関係者によると、通達は27日の襲撃事件発生直後に出された。中国各紙は30日現在、事件の発生や経緯に関してほぼ沈黙を続けている。
 この関係者は、報道規制の狙いについて、〈1〉反日行動が激化しないようにする〈2〉事件自体を封じ込め、容疑者の処分を隠密に進める――の2点を挙げ、「事件の対応を誤れば中国国民の反日感情はさらにこじれ、反日デモが拡大しかねない。当局は事件の報道を減らすことで批判も封じ込めたい思惑だ」と話す。
 だが、インターネット上では、日本メディアによる襲撃事件報道の中国語訳が数多く掲載され、書き込みも殺到している。ポータルサイト「騰訊網」の調査では、回答者約5万3000人のうち、今回の大使車襲撃を「良いこと」とする回答が82%に達するなど、当局の報道規制があっても事件への関心や、犯人への支持も高まっている模様だ。
 日中関係筋は「公安当局がネット世論を気にして(容疑者への)処分があいまいに終わるようなら、中国国内で『愛国無罪』(愛国的行為ならば罪に問われない)の風潮が強まってしまう」と述べ、反日的な行動への支持が広がって同様の事態が繰り返されかねないとの懸念を示している。

◎丹羽大使妨害の男、起訴せず、中国、行政処分の方針(2012年8月31日、朝日新聞)
 丹羽宇一郎・駐中国大使の公用車が27日に襲われた事件で、公用車を強引に停止させて国旗を奪って逃げた男に対し、北京市公安局は起訴などを通じ刑事責任を問うことなく、中国の「治安管理処罰法」を適用する方針を固めた。行政処分に相当し、罰金か行政拘留が科せられる見通しだ。
 中国政府関係者が30日、朝日新聞の取材に明らかにした。男は容疑を認めているという。男が乗っていた白いBMWを運転していた別の男も調べている。
 一方、北京の日本大使館は30日夜、中国外務省から「容疑者をすべて割り出し、捜査を進めている」との通告を受けたことを明らかにした。

◎大使の車妨害「全容疑者を特定」、中国外務省が通知(2012年8月31日、朝日新聞)
 北京の日本大使館は31日未明、中国外務省から30日夜、中国公安当局がすべての容疑者を割り出して、現在、捜査を進めている、との通知を受けたことを明らかにした。

◎日の丸執拗に狙う、何度も進路妨害、BMWの男(2012年8月30日、読売新聞)
 丹羽宇一郎中国大使の車が27日に襲撃され、国旗を奪われた事件で、大使の車が襲われた際の詳細な状況が明らかになった。
 旗を奪った中国人とみられる男は、奪う前にも、渋滞で停車した際に国旗を取ろうとしていたことがわかり、執拗に日本国旗を狙っていた。
 日中関係筋によると、丹羽大使は27日午後、中国の政府機関、国家品質監督検査検疫総局を訪問した後、北京市中心部を環状に走る「四環路(環状4号線)」を北から東に抜けて大使館に戻ろうとした。
 大使の車が同日午後4時(日本時間同5時)頃、四環路の四元橋付近まで来たところ、後方から白色のBMWが接近、クラクションを鳴らしてきた。その後、BMWは大使の車の真横につけて幅寄せしたり、前に出て走行を妨害したりするなど嫌がらせを繰り返した。
 四環路が渋滞したため、大使の車が止まると、BMWの助手席から30歳代くらいの中国人とみられる男が降りてきて大使の車に近づき、国旗を奪おうとした。しかし、車が流れ出したため、大使の車が動き出すと、男はすぐにBMWに戻り、再び大使の車の追跡を開始した。
 同筋によると、途中から、灰色のアウディも大使の車の追跡に加わり、2台は大使の車を追い抜いて速度を落とし、大使の車の前に並んで停車。4車線の右端を走っていた大使の車は回避できなくなり、停止を余儀なくされた。男がBMWの助手席から再び降りてきて、奇声を上げながら国旗を引きちぎったという。BMWが妨害を始めてから約10分間の出来事だった。
 その後、大使の車は四環路を降りて大使館に戻り、2台の車は四環路をそのまま走行して逃走した。
 中国では、各国大使館の車のナンバーには大使館を表す「使」の字と、6桁の数字が割り当てられている。6桁のうち、最初の3桁は各国固有の数字が割り当てられ、日本大使館の場合は「235」。大使の車は最後の3桁が「001」と分かりやすい上、日本国旗も掲げているため、「大使の車は簡単に見分けられる」(大使館筋)のが実情だ。犯人の男たちも丹羽大使が乗っていることを知っていて、犯行に及んだ可能性がある。

◎大使公用車襲撃、車両を特定、偽ナンバー情報も(2012年8月29日、読売新聞)
 日中関係筋が29日語ったところによると、丹羽宇一郎・駐中国大使の公用車が襲われた事件で、北京市公安当局は、襲撃したとみられる2台の高級車を特定し、車の運転者ら事件に関与した疑いのある人物への事情聴取を進めている。
 在北京日本大使館筋によると、大使の車から国旗を奪った男が乗っていた車は、北京ではあまり多くない安徽省ナンバーの白色のBMWで、もう1台は北京市ナンバーの灰色のアウディだったことが判明している。
 北京市内で29日に開かれた日中国交正常化40周年記念シンポジウムで、中国の政府系調査研究機関・社会科学院日本研究所の高洪・副所長は、犯行に関与した車両について、「ナンバープレートは偽物だった」とした上で、「(捜査の)プロセスは想像以上に複雑だ」と述べた。

◎大使の車妨害、容疑者拘束、中国当局、男の取り調べ開始(2012年8月29日、朝日新聞)
 丹羽宇一郎・駐中国大使の公用車が襲われた事件で、北京市公安局は、日本国旗を奪ったとみられる中国人の男を拘束し、事情聴取を始めた。複数の日中関係筋が29日、明らかにした。身元や動機などは明らかになっていないが、沖縄・尖閣諸島に上陸した香港の活動家を逮捕したことに対する日本側への不満が関係している可能性がある。
 ただ、中国のネット上では、尖閣問題をめぐり反日感情が高まっており、この男を「英雄」とみなして摘発に反対する意見が多数を占めている。刑事責任を問うかどうかは、胡錦濤(フー・チンタオ)指導部が最終的な政治判断をするものとみられる。
 27日午後4時(日本時間午後5時)過ぎ、男は乗用車で北京市内の東四環路を走っていた丹羽大使を乗せた公用車に幅寄せするなどして、無理やり停止させ、前方に立てていた日本国旗を奪って逃げた疑いが持たれている。

◎“英雄”の摘発は当局批判に転化? ネット上では85%が「うれしい」(2012年8月28日、産経新聞)
 丹羽宇一郎駐中国大使の乗った公用車が中国人とみられる男に襲われ、日の丸を奪われた事件について、中国外務省は28日までに、国営新華社通信を通じて「真剣な捜査」を進めていることを強調した。沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題に絡んで反日感情が高まる中、“英雄”の摘発は当局批判に転化しかねず、捜査の行方は不透明だ。
 大使館側は、公用車の走行を妨害した2台の車のナンバーを控え、写真も撮影した。これらの情報はすでに北京市公安局に提出しているという。捜査機関が正常に機能していれば、偽造ナンバーでない限り、犯行に使用された車両の特定に時間はかからない。同局が器物損壊容疑などで捜査に着手したとの情報もある。
 しかし、中国のインターネット上で襲撃の是非を問う簡易アンケートでは、回答者の約85%が「嘉悦」(うれしい)を選択。国民の「愛国主義」がさらに高まっている現状では、今秋の共産党大会を控え国内の安定を最優先させる指導部の意向が捜査の進展に影響を及ぼしかねない情勢だ。
 党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報(英語版)は事件について、「襲撃は外交の助けにならない」「子供のような行為」と戒める姿勢をみせているが、一方では、「もし男が中国人だと確認されても、男が精神状態に異常をきたしていたかどうかは不透明」などとも主張。犯人の責任能力の有無を論じており、今後の曖昧な終結を暗示しているようにも映る。

◎中国政府「真剣に調査している」、大使公用車襲撃(2012年8月28日、朝日新聞)
 丹羽宇一郎・駐中国大使の公用車が襲われ、日本国旗が奪われた事件で、中国外務省報道局は27日深夜、「真剣に調査している」とのコメントを出した。事件に対し中国社会には賛否があり、中国当局がどのように事件を処理するかが当面の焦点となる。日本人社会にも警戒感が強まっている。
 コメントは、国営新華社通信を通して発表された。「関係部門が真剣に調査している。中国政府はウィーン条約を履行し、在中国大使館や館員の安全を守ってきた」としている。
 日本大使館は、大使公用車を襲った車2台のナンバーを撮影した写真を北京市公安局に提出済みだ。容疑者の特定は比較的容易とみられ、大使館関係者は「事件の解明に時間はかからないはずだ」と話す。
 ただ、北京で2004年に開かれたサッカー・アジアカップ決勝戦の後、日本公使2人が乗った大使館車両が、中国人サポーターに襲われた事件では、容疑者は割り出されなかった。

◎丹羽大使車襲撃、中国「真剣に調査している」(2012年8月28日、読売新聞)
 丹羽宇一郎中国大使の乗った車が27日、中国人と見られる男に襲撃された事件で、中国国営新華社通信は27日深夜、「関連部門がこの件を真剣に調査している」とする中国外務省報道官室の談話を配信し、捜査開始を明らかにした。
 だが、尖閣諸島問題で中国国内の反日世論が高まる中、中国当局が容疑者摘発など、どこまで毅然とした措置を取れるか不透明な面もある。
 襲撃は27日午後、大使が外出先から大使館に戻る途中に起きた。市内の環状道路上で渋滞で徐行していたところ、ドイツ製高級車2台が後ろから蛇行して接近し、両側から幅寄せなどをした後、2台が大使の車の進路をふさいだため、停車を余儀なくされた。うち1台から現れた30歳代とみられる男が、大使の車の右前方に掲げてあった日本国旗を抜き、奇声を上げて車で立ち去った。

◎北京で丹羽大使の車が襲われ、国旗奪われる(2012年8月27日、読売新聞)
 北京の日本大使館によると、丹羽宇一郎大使の乗った公用車が27日午後4時(日本時間同5時)過ぎ、北京市内の環状道路を走行中、2台の車に前をふさがれて、停車を余儀なくされた。
 妨害した1台の車から中国人とみられる男1人が出てきて、大使の車に掲げてあった日本国旗を外し、持ち去った。丹羽大使を含む乗員4人にけがはなく、国旗を掲げていた棒が損傷したほかは、車体に被害はなかった。
 日本大使館の堀之内秀久次席公使は同日夕、中国外務省に対して強く抗議し、再発防止と事件の刑事捜査を要求した。中国外務省の羅照輝・アジア局長は「事件発生は極めて遺憾だ。再発防止に全力を尽くし、事件について法に基づき厳正に対処したい」と回答したという。日本大使館は北京市公安局に通報し、男の写真や妨害車両のナンバーなどの情報を提出した。
 大使館によると、丹羽大使は中国政府の省庁に出向いて会談を終え、大使館に戻る途中だった。大使の車は渋滞に巻き込まれ、停車と走行を繰り返していたところ、途中から妨害車両に後をつけられていた模様だという。妨害車両2台が約10分間、大使の車に接近するなどの嫌がらせを続けた後、前に割り込んで停止したため、大使の車は走行できなくなった。

◎丹羽・中国大使の車襲われる、けがなし、国旗奪う(2012年8月27日、朝日新聞)
 北京の日本大使館によると、27日午後4時(日本時間午後5時)すぎ、北京市内を走っていた丹羽宇一郎・駐中国大使(73)の乗った公用車が、少なくとも2台の乗用車に停止させられた。うち1台から降りてきた男が、公用車の前に掲げていた日本国旗を奪って逃げた。丹羽大使にけがはなかったが、国旗用のポールが壊れた。
 香港の活動家らが沖縄・尖閣諸島に不法上陸した事件をきっかけに、中国各地では反日デモが広がっている。警察当局が活動家らを逮捕したことなど日本側の対応に不満を持った者の犯行とみられる。
 大使館の堀之内秀久次席公使は同日、中国外務省の羅照輝アジア局長に抗議し、再発防止を求めた。また2台の乗用車のナンバーと現場写真を北京市公安局に提出し、器物損壊容疑で捜査するよう要請した。
 中国側は「極めて遺憾」とし、在留邦人の安全を確保するなどと応じた。
 大使館関係者によると、2台の乗用車が大使の車の前後をはさむように走行し、急停車させた。出てきた男は日本国旗を奪った後、気勢を上げたという。

◎中国反日デモ、収束の兆し、当局の拡大阻止奏功(2012年8月27日、読売新聞)
 中国での26日の反日デモは、広東省東莞など複数の地方都市で起きたが、北京や上海などの大都市では確認されなかった。
 尖閣諸島に不法上陸した香港人活動家らの逮捕に端を発した反日デモは、ひとまず収束に向かうとみられる。
 26日にデモがあった街は地方の中小都市が大半。同省深センで19日に起きた、日本車が壊されるような激しいデモも伝えられていない。当局が、26日のデモを呼びかけるインターネット上の書き込みを削除するなど拡大阻止に躍起となったのが一定の効果を上げた形だ。
 ただ満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から81年にあたる9月18日に、改めて反日デモを行う呼びかけが出ている。中国当局は、尖閣の領有権主張に歴史問題が重なり不測の事態に発展しかねないとして警戒を強めている。

◎中国のサイト「尖閣は日本領土と認めていた」(2012年8月27日、サンスポ)
 中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」上に、共産党が政権を握って以降「中国は“尖閣諸島”を日本領土と認めていた」との書き込みが26日までに掲載された。こうした主張がサイトに載るのは珍しい。
 広東省の企業幹部が24日、「中国政府は釣魚島を自ら捨てていた」との見出しで、尖閣を日本領扱いしていた古い地図とともに掲載。26日時点でも転載されているが、次々と削除されている。
 根拠として、共産党機関紙、人民日報(1953年1月8日付)が「尖閣諸島を含む琉球諸島」と記して尖閣が沖縄県に所属すると認めていることのほか〔1〕中国が58年と60年に出版した世界地図で「尖閣諸島」と表記している〔2〕53年や67年などの国内地図に「釣魚島」の記載がない-ことを挙げた。
 文章は「70年に中国政府が尖閣諸島の主権を宣言した後、71年の国内地図上でようやく釣魚島が中国に戻った」と皮肉った。また、書き込みでは反論の一方で「誰が売国奴なのか一目瞭然だ」と共産党批判とみられる反応も相次いだ。

◎「日本製品ボイコット」中国広東省で尖閣デモ(2012年8月26日、読売新聞)
 中国広東省東莞市で26日、沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する反日デモがあり、警官隊との小競り合いが発生、複数のデモ参加者が警察当局に連行された。
 香港メディアは、少なくとも海南省海口、浙江省諸曁(しょき)、四川省南充で同様のデモが起きたと伝えた。北京の日本大使館によると、日本人が被害に遭ったとの情報はない。
 香港の活動家らが15日に尖閣に上陸して以降、日曜の反日デモは2週連続。各地のデモ参加者は数百~約1000人で、中国当局は反日デモ封じ込めが政権批判に転化することを警戒し、一部のデモを許容している模様だ。
 東莞では若者を中心に約500人が参加し、「釣魚島を返せ」「日本製品ボイコット」などと叫びながら市中心部を行進。市庁舎に向かおうとして警官隊に阻まれると、「売国奴」とののしりながら、ペットボトルを投げつける騒ぎもあった。日本料理店の中には「私たちは香港資本で、皆さん同様愛国です」と貼り紙をした店もあった。
 一方、香港有線テレビによると、海口ではデモ隊が集まった広場周辺への日本車の乗り入れを当局が禁じたという。
 19日には、北京や上海、広東省深センなど中国各地25か所以上で反日デモがあった。

◎中国の高速道で追突炎上、寝台バスの36人死亡(2012年8月26日、読売新聞)
 新華社通信によると、26日午前2時40分(日本時間同3時40分)ごろ、中国陝西省延安市の高速道路で寝台バスがメタノール積載のタンクローリーに追突して炎上し、バスの運転手と乗客計36人が死亡、3人が負傷した。タンクローリーの運転手2人は無傷で、警察から事情を聞かれている。
 同バスは2段ベッドを縦に3列並べた構造で、運転手を含め39人乗り。内モンゴル・フフホトから約1日をかけて陝西省西安に向かう途中だった。同仕様の寝台バスは避難経路が狭いなど安全管理が徹底されておらず、事故が続発している。

◎2週連続で反日デモ、中国、広東省や浙江省など(2012年8月26日、朝日新聞)
 中国の広東省や浙江省などで26日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する反日デモがあった。2週続けて日曜日に反日デモが広がった。中国当局は警戒を強め大きな混乱は防いだものの、今後も緊張が続きそうな情勢だ。
 北京の日本大使館などに、日本人や日系企業の被害情報は入っていない。
 日系メーカーが集まる広東省東莞市では午前10時ごろ、市中心街に約400人が集合。「日本製品をボイコットしろ」などと叫びながら行進。デモは千人規模に膨らんだ。約200人がすし店を取り囲んだが、警察が駆けつけて破壊行為を防いだ。行進を続けようとする参加者と警察官が小競り合いする場面もあった。19日にデモが暴徒化した同省深セン(センは土へんに川)市では繁華街に約30人が集まったが、警察が解散させた。

◎薄熙来氏、党籍剥奪へ、胡主席派、保守派押し切る(2012年8月26日、朝日新聞)
 中国共産党が、重慶市副市長の米総領事館駆け込み事件などの責任を問われ、党政治局員の職務を停止された同市党委員会前書記の薄熙来(ポー・シーライ)氏(63)を党籍剥奪の処分とする方針を固めたことが分かった。党の指導者らが集まって今月上旬に河北省北戴河で開かれた非公式会議で決定した。会議の出席者に接することができる複数の党関係者が明らかにした。
 薄氏をめぐっては、後ろ盾だった江沢民・前国家主席ら党内の保守派勢力が厳しい処分に反対していたが、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席(党総書記)に連なる勢力がこれを押し切った形だ。今秋の第18回党大会で決まる次の最高指導部人事の調整においても、胡氏が強い政治力を維持していることを示す決定といえる。
 胡氏は最高指導部である政治局常務委員会の次の顔ぶれを巡って、委員の数を現在の9人から7人に減らすことを主張しているとされ、党大会で総書記を退いた後も、自身の出身母体である共産主義青年団(共青団)系の政治勢力が政策決定を優位に進めることができる態勢を求めている。薄氏の処分はこうした人事をめぐる駆け引きに大きな影響を与えるとみられる。

◎尖閣は「日本領土」、中国のサイトに珍しい書き込み(2012年8月26日、スポーツニッポン)
 中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」上に、共産党が政権を握って以降「中国は“尖閣諸島”を日本領土と認めていた」との書き込みが26日までに掲載された。こうした主張がサイトに載るのは珍しい。
 広東省の企業幹部が24日、「中国政府は釣魚島を自ら捨てていた」との見出しで、尖閣を日本領扱いしていた古い地図とともに掲載。26日時点でも転載されているが、次々と削除されている。
 根拠として、共産党機関紙、人民日報(1953年1月8日付)が「尖閣諸島を含む琉球諸島」と記して尖閣が沖縄県に所属すると認めていることのほか(1)中国が58年と60年に出版した世界地図で「尖閣諸島」と表記している(2)53年や67年などの国内地図に「釣魚島」の記載がない―ことを挙げた。
 文章は「70年に中国政府が尖閣諸島の主権を宣言した後、71年の国内地図上でようやく釣魚島が中国に戻った」と皮肉った。
 書き込みでは反論の一方で「誰が売国奴なのか一目瞭然だ」と共産党批判とみられる反応も相次いだ。

◎鑑定士が「最高峰」と唸る贋作 “中国製”スーパーコピー腕時計が出現(2012年8月26日、産経新聞)
 「これまで鑑定してきた偽造品の中で最高峰のもの」。高級ブランドの鑑定士も思わず唸ったという。高級腕時計の偽物を販売していたとして、大阪府警が大阪市東淀川区大道南の貴金属販売業、大石貴史被告(38)=公判中=を逮捕した商標法違反事件。大石被告が販売していた偽高級時計の数々は見た目は本物と寸分違わず、外見だけでは真贋鑑定が極めて困難で、業界で「スーパーコピー」と呼ばれる精巧な偽造品だった。中国で仕入れた偽物を「一見さんお断り」の店で販売し、客には「偽物だから質屋には入れないで」と念押ししていた大石被告。その腕には、新品なら200万円はするという本物の高級時計が光っていた。

・まるでショールーム
 ガラスケースに並んでいたのはフランク・ミュラー、オーデマピゲ、ウブロ、パネライといった時計コレクターなら誰もが知っている海外ブランドの高級腕時計ばかり。中には、市場価格が1500万円のリシャール・ミルの時計も並んでいた。
 今年5月、大阪市天王寺区東上町のマンション一室に大阪府警の捜査員が踏み込むと、1LDKの室内のそこだけが、まるで高級ブランド店のショールームのようだったという。しかし、これらの品物はいずれも精巧な贋作だ。
 発端は平成22年12月、大阪市内のブランド買い取り店に、「時計を買い取ってほしい」とアルバイト店員の女(67)が訪れたことだった。持ち込んだのは、フランスのブランド「カルティエ」の腕時計。店側は外見上の使用状態などを確認して40万円の値段をつけ、買い取った。
 その後、店員がチェックなどのため腕時計の文字盤の裏蓋を開くと、内部のねじ巻の仕組みが正規品と異なっていることに気付いた。そこで初めて店側は偽物の可能性に気付き、府警に届け出。府警がブランドの鑑定人に鑑定を依頼した結果は、「偽物」だった。
 その後の捜査で、腕時計を持ち込んだ女は、知人を介して衣類卸販売業の男(46)から腕時計を預かっていたことが判明。この男が大石被告の店で腕時計を購入していたことが分かった。

・鑑定士の目もだます
 府警が大石被告のマンションから押収した偽高級腕時計は70本。「いずれも外見は本物とそっくりだった」(捜査関係者)。府警はそれぞれ、各ブランドの鑑定士に鑑定を依頼したが、鑑定士でさえも、ブランドの刻印や文字盤のデザインなど見た目だけでは判断できず、分解して初めて部品の違いなどで偽物だと判断することができた。
 府警によると、大石被告が販売していた偽物は外見上はまったく本物と違いはなく、内部のねじの形や歯車の位置などに違いがあった。あるブランドの鑑定人は「これまで鑑定してきた偽造品の中で最高峰のもの」と驚愕したという。
 大石被告は22年2月ごろから、このマンションで時計を販売。1本あたりの価格は3万5千円~7万5千円で、逮捕されるまでの約2年間に1千万円の利益を上げていた。「一見さんお断り」で、知人に紹介を受けた固定客ばかりに販売する知る人ぞ知る店だった。また、客には「偽もんやから質屋に入れたりしたらあかんで」と言うほどの念の入れようだった。

・中国で入手か
 府警によると、大石被告は「中国・広州で販売価格の半額で仕入れた」と供述したという。中国への渡航歴は1年間で20数回にのぼり、仕入れた腕時計は腕にはめたり荷物に入れたりして、1回の渡航で4~5個を持ち帰っていた。ほかに「運び屋」を雇い入れるなどもしていたという。
 一方、大石被告は偽腕時計を販売していたマンションのほか、大阪市東成区の鶴橋商店街でも偽物のブランドバックなどを販売する衣料品店を経営。大石被告は19年から鶴橋商店街にあった精巧な偽物を扱っていた別の店で働いており、このときに偽物の仕入れなどのノウハウを学んだとみられる。
 手広く偽物を販売していた大石被告。しかし、自身はスイスの高級ブランドで、新品なら200万円はするというロジェ・デュブイの本物の時計を愛用していた。

・中国には“偽物ショッピングモール”も
 こうした偽ブランド品をめぐっては、捜査当局も偽造品の摘発を積極的に推進。財務省によると、23年の税関による偽造品の摘発件数は前年比2%増の2万3280件。5年連続で2万件を突破した。このうち中国からの偽造品は9割を超えている。専門家によると、中国には「偽物ショッピングモール」ともいうべき施設が至る所に存在しているという。
 ブランド買い取り店などで作る「日本ブランドファッション協会」(大阪市北区)の代表理事、岩本元煕(もとひろ)氏(43)は、真贋鑑定の資料収集などの目的で中国で偽造品に触れる機会が多い。岩本氏によると、北京や深圳といった都市部では、6階建てのビルや駅と直結するモールがまるごと偽物市場になっているケースがあるという。
 こうした店ではブランド品のバッグや腕時計が3千円~5千円程度で販売されており、「販売されたばかりの新作の偽造品が、あっという間に出回っている」と明かす。

・ブランド査定士
 こうした偽物の見極めなどはブランド買い取り店が独自に行っており、業界内で明確な基準などはない状態という。岩本氏は、ブランド品の真贋見極めや価値を適正に査定する人材育成の目的で、「ブランド査定士」の資格制度を昨年から開始。資格取得を目指し、買い取り店の店員らが協会の認定講座を受講している。
 講師を務める協会の三原祐一氏(32)によると、鑑定では質感や縫製などさまざまな見極めポイントがあるが、何よりも重要なのは「本物を知ること」。例えばあるブランドの時計は、年式によってねじの回し方や文字盤のカレンダーの表示が異なっており、これらの知識を知ることも鑑定する上での重要な要素になる。
 本物に交ぜて売ったり、箱だけ本物だったりと、偽物の持ち込みの手口も巧妙化しているが、三原さんは「どんなに精巧であっても偽物は偽物。必ず分かる」と警告している。

◎全長15キロ、開通9か月の橋が突然崩落、中国(2012年8月25日、読売新聞)
 新華社通信によると、黒竜江省ハルビンの「陽明灘大橋」の一部が24日、突然崩落し、走行中の大型トラック4台が巻き込まれて転落、3人が死亡し、5人が負傷した。
 同通信によると、同橋は全長15.42キロで、2011年11月に開通したばかりだった。また、別の中国メディアは、同橋建設の予定工期は3年だったが、半分の18か月で完成したと伝えている。

◎中国山東省で尖閣巡り反日デモ、日本料理店破壊(2012年8月25日、読売新聞)
 中国山東省日照市で25日午前、沖縄県・尖閣諸島の中国領有権を主張する反日デモが行われ、日本料理店が破壊されるなどの被害が出た。
 反日デモは18、19日に中国各地で行われたのに引き続き、2週連続で発生。中国のネット上では、広東省東莞市や海南省海口市などで26日にデモを行うよう呼びかけられている。
 日照市では25日朝からデモ参加者が次々と広場に集まり、午前11時ごろからデモ行進を開始。参加者は「中国の領土は神聖不可侵だ」「領土主権を守れ」などと書かれた横断幕や国旗を手に行進し、日本製品のボイコットを呼びかけた。興奮した一部の参加者は、回転ずし店の窓ガラスを破壊した。新華社通信は25日、英文で400人以上が日照市のデモに参加したと報じたが、地元住民は「1000人は集まった」と話している。

◎中国山東省で反日デモ、一部暴徒化(2012年8月25日、朝日新聞)
 尖閣諸島(中国名・釣魚島)を巡る日中の対立を受け、中国山東省東部の日照市で25日、中国の領有権を訴える反日デモがあった。日本料理店のガラスが割られる場面もあった。26日にも広東省東莞市などでデモが呼びかけられており、当局は警戒している。
 在青島日本総領事館関係者によると、日照市のデモは市中心部で午前10時ごろに始まり、やじ馬も集まって最大700~800人に膨らんだ。ガラスが割られたのは中国人が経営する日本料理店で、日本人にけがはなかった。
 中国では山東省も含め、先週末から各地で大規模な反日デモが起きている。広東省深圳市でデモが暴徒化したことを当局が重く見て、ネット上の呼びかけを削除するなどしていたが、十分に抑え込めていない状況だ。26日も深センに近い東莞市や海南省海口市などでデモが呼びかけられている。

◎広東の企業幹部が「尖閣諸島は日本領土」、中国版ツイッターで発言、人民日報記事など証拠挙げ、賛同広がる(2012年8月25日、産経新聞)
 中国広東省の民間企業幹部が24日、中国版ツイッター「微博」で「1949年から71年まで中国政府は釣魚島(尖閣諸島)を日本の領土と認めていた」と異例の発言をした。日本領有を示す53年1月の中国共産党機関紙、人民日報の記事や、複数の公式地図など根拠を挙げている。微博では中国国内からの感情的な反論に加え、「知識のない大衆が中国共産党に踊らされたことが分かった」などと賛同する見方も広がっている。
 発言をしたのは同省広州の電子サービス企業、広東捷盈電子科技の取締役会副主席との肩書を持つ女性の林凡氏。林氏は微博の運営会社、新浪微博から「実名」の認証を受けており、10万人以上の読者をもつ。
 林氏の資料によると、人民日報は53年1月8日付の紙面に掲載した記事で「琉球群島(沖縄)は台湾の東北に点在し、尖閣諸島や先島諸島、沖縄諸島など7組の島嶼からなる」と表記していた。中国当局が監修した53年、58年、60年、67年に発行した地図の画像も示したが、その多くが「尖閣群島」「魚釣島」などと表記。日中境界線も明らかに日本領土を示している。
 林氏は冷静に証拠を積み重ねた上で「中国政府はこれでも釣魚島はわれわれの領土だといえるのか」と疑問を投げかけた。中国国内からの反応には、「資料をみて(尖閣諸島が)日本領だったことが明白に分かった」「(当局に)タダで使われて反日デモを行う連中には困る」などと、林氏支持の発言が出ている。
 一方、25、26の両日も、尖閣諸島の問題を巡る反日デモが、四川省南充や浙江省諸曁、広東省東莞、海南省海口など、地方都市で呼びかけられており、混乱は今後も続きそうだ。

◎人民日報幹部が飛び降り自殺、書きたいこと自由に書けず? 中国(2012年8月24日、産経新聞)
 24日付の中国紙、新京報などによると、中国共産党機関紙、人民日報の文芸・学芸欄の編集長で作家の徐懐謙氏(44)が22日、北京市内の自宅で飛び降り自殺した。
 徐氏は長年、うつ病を患っていたという。ネット上では「(同氏が人民日報で)書きたいことを自由に書けずに苦しんでいた」との見方が広がっている。
 徐氏は、民主化運動が武力弾圧された天安門事件のあった1989年、北京大を卒業。鉄鋼会社で1年間働いた後、人民日報文芸部に入った。

◎中国で難しいジャガイモ安定調達、カルビー「シェア10%目指す」(2012年8月24日、産経新聞)
・伊藤忠商事(上)メーカー進出支援
 天然ガスや鉄鉱石など資源権益取得の投資が花盛りの大手商社にあって、伊藤忠商事が事業パートナーの仲介や調達・物流支援など、国内事業会社の経営戦略を縁の下で支える伝統的な商社ビジネスで存在感をみせている。少子化による国内市場の縮小をにらみ食品、繊維など内需型産業でアジアの成長取り込みを狙った海外展開が加速。この動きと同社が強みを持つ中国市場の事業ネットワークが共鳴を強めているためだ。大手商社の中で群を抜く対中国投資が非資源事業を新たな成長ステージに押し上げようとしている。

・ジャガイモ安定調達
 「思ったよりも手ごわい仕事だ」。伊藤忠で輸入青果を手がけてきた北栄哲弥農産部長代行は今、国内スナック菓子で約5割のシェアを握るカルビーの黒子として、中国でのジャガイモ調達網の構築に奔走している。
 カルビーは、伊藤忠と中国食品大手の康師傳グループの3社で、上海近郊の杭州市にスナック菓子製造販売の合弁会社を10月に立ち上げる。まずは小麦粉などを主原料とする「かっぱえびせん」などを来年から生産する予定だが、その後、主力の「ポテトチップス」を投入する計画で、ジャガイモの安定調達は合弁事業の成否を左右する。
 中国のジャガイモの年間生産量は日本の約30倍の8000万トンにも上るが、食用やデンプン向けなどに需要はうなぎ上り。そのうえ政府が、食糧安全保障の観点から国内自給を原則とし、生食用の輸入を認めていないため価格は高騰。生産者は小規模農家がほとんどで、契約栽培の集荷網の構築も一筋縄ではいかないという。調達環境は極めて厳しいのが実態で、北栄氏の肩には、スナック菓子で「5年以内にはシェア10%を目指す」(カルビーの松本晃会長)と、13億人の市場の攻略に意気込むカルビーの期待が重くのしかかる。
 もっとも、北栄氏はこの大仕事に前向きだ。ジャガイモは倉庫保管で手を抜けば揚げたときの色が劣化するほどデリケートな商品。安定した調達網と“カルビー品質”を満たす安心・安全の流通保管体制づくりに成功すれば、手にできるのはカルビーの中国事業の収益成長の共有にとどまらない。「量販店の進出も加速し、調達力が上がれば、フライドポテトなど用途も広がる」と北栄氏はにらむ。

・頂新のノウハウ強み
 中国事業のパートナーに選ばれたことが、伊藤忠に新たな食品分野のビジネスチャンスをもたらす形だが、こうした例はカルビーとの協業だけではない。
 カルビーが伊藤忠と組んだ背景には、伊藤忠が約20%出資する中国・台湾の食品流通大手、頂新グループの存在がある。
 カルビーの合弁に参画する康師傳も頂新の傘下企業で、伊藤忠が頂新を通じて中国市場に橋渡しした食品メーカーはアサヒビールやカゴメ、プリマハム、日本製粉、ケンコーマヨネーズなど十数社にも及んでいる。
 頂新は中国全土の物流網に加え、地場の小売業者との関係も深い。
 「地域ごとに異なる中国人の味覚を商品開発に落とし込むノウハウは日本人にはまねできない」と、伊藤忠の食料部門を統括する青木芳久専務は太鼓判を押す。
 中には「Pasco(パスコ)」ブランドで国内2位の敷島パンのように、中国市場から一度は撤退したが、頂新の評判を聞き、再チャレンジする企業もあるほどだ。

・実績重ね有力企業とパイプ構築
 一方、2009年に資本参加した繊維事業を核とする中国の企業グループ、杉杉集団との提携も果実を生んでいる。
 三井不動産を杉杉集団の不動産部門に仲介し、商業モールを建設。同集団の化学部門には、酸化鉄を中心とする素材メーカーの戸田工業を紹介し、リチウムイオン電池材料の合弁事業につなげた。
 頂新、杉杉集団。そして昨年4月に包括提携した政府系大手金融グループの中国中信集団と、伊藤忠が次々に“実力派”の有力中国企業と構築したパイプは、1972年の日中国交回復を機に他社に先んじて貿易再開に乗り出して以来、積み上げてきた実績の結実で、アジアのビジネスチャンスを呼び込む最大の武器となっている。
 中国ビジネスには、尖閣諸島をめぐる領土問題で反日デモが起こるなど政治リスクもある。
 だが、岡藤正広社長は「食料や繊維など生活に密着した事業は消費者から支持されるだけに、政治や法制度の変更に左右されにくい」と指摘。12年3月期末で1577億円と、大手商社でトップの投資残高で築いた中国事業の先行きに自信をみせる。
 12年3月期の連結最終利益に占める中国事業の比率はまだ5%(157億円)と小さいが、この5年でほぼ倍増した。
 国内の内需企業が海外展開の動きを強める中、頂新グループの魏応州董事長(会長)が「兄弟」とまで呼ぶ、伊藤忠の中国ネットワークの価値はこれまで以上に高まる見込みで、収益の貢献度もステップアップしそうだ。

◎中国で橋が崩壊、8人死傷、開通1年足らず、ネットで批判殺到(2012年8月24日、産経新聞)
 中国メディアによると、中国黒竜江省ハルビン市の「陽明灘大橋」が24日朝に崩壊し、大型トラック4台が落下、3人が死亡、5人が負傷した。
 橋は約19億元(約235億円)を投入して建設され、2011年11月に開通したばかり。当局は事故の原因を調べている。
 インターネット上には「安全性の審査はどうなっているんだ」「官僚の腐敗が招いた事故」などと批判が殺到している。

◎カネ、カネ、カネ、結婚で苦労する中国の若者たち (2012年8月22日、産経新聞)
・拓殖大学国際学部教授・藤村幸義
 中国では若い男女2人が愛し合っていても、結婚するのは大変だ。「家を買わないと、うちの娘とは結婚させない」と女性側の母親から大きなプレッシャーがかかることが多い。なんとかその高いハードルを越えても、結婚式にはまた、多額の費用をかけねばならない。
 上海で、泣くに泣けない話を聞いた。ある若者が相手の母親からのプレッシャーに耐えかねて、260万元(約3240万円)で新居を購入した。頭金の88万元はなんとかかき集めて支払ったが、あとはローンの返済地獄が待っている。
 ところが購入した時期が悪かった。購入した直後に不動産が下がり始め、わずか3カ月間で210万元に下落してしまった。それでもローンの返済額が減るわけではない。+
 有名な景勝地、杭州・西湖のほとりにあるレストランで食事をしていたとき、隣の部屋から歓声が聞こえてきた。のぞいてみると、結婚式の最中だった。
 テーブル数を数えてみると、30余り。1つのテーブルに10人が座っているとして計算すれば、招待客は300人を超えている。1テーブルの食事代は飲料を含まないで3800元とか。このほか司会者への報酬などもあるので、合計費用は15万元くらいになる。
 これではなかなか結婚に踏み切れないが、そうした背景の中で昨年、登場してきたのが「裸婚時代」というテレビドラマ。家がない、車がない、預金もない、ダイヤモンドの指輪もない、結婚式も挙げられない。それでもわずか9元で結婚証を手に入れ、新婚生活を始めたカップルの物語である。
 新婚生活は3世代同居。家計のやりくりは苦しく、親とのトラブルも絶えない。やがて子供も生まれるが、男の仕事がうまくいかず、職を失ってしまう。そしてついに離婚に追い込まれるという展開だ。
 今年に入ってからブームになっているのが「AA制生活」というテレビドラマだ。新居を購入してなんとか生活を始めたが、日々の暮らしは苦しい。そこで夫婦がAA制、つまり「割り勘」で生活費を負担していこうということになった。男は96平方メートルの新居のローンを払う。女は電気・ガス代金や食費など、その他の生活費を負担する。
 夫婦間の対立や親との食い違いなどがありながらも、なんとか乗り越えていくというコメディータッチの物語だが、厳しい現実があるだけに笑いだけでは済まされない。

◎中国の野心的な特許件数目標、イノベーションの質低下の危険も(2012年8月22日、朝日新聞)
 欧州連合商工会議所は21日発表した調査リポートで、中国が進める特許取得に向けた野心的な取り組みが、向こう数年で「イノベーション」の質低下につながる危険があると警告した。
 中国は国としての特許件数の目標を設定することで、「世界の工場」から「世界のパイオニア」に転身を図ることを模索している。この目標により、中国は昨年に特許出願件数で米国を上回った。
 欧州連合商工会議所によると、中国は2011年に160万件超の特許出願を行ったが、特許の質として「新しい発明」といった最高位に分類されるものは32%にとどまる。欧州連合商工会議所の調査は、中国の技術革新の潜在力は「目覚ましい」としながらも、実際の案件については「過剰に宣伝されている」と指摘した。
 ディルク・モーネンス事務局長は「(特許出願の)急拡大は、特許の質や種類を犠牲にしており、正しい方向性ではない」と述べた。
 中国は2015年までに年間200万件の特許割り当てを目指しており、この目標を達成するために国営企業や当局、学術関係者に金銭的なインセンティブや実績評価が与えられるため、質の低い特許出願に駆り立てる面もある。
 発明に加えて、中国はデザインや「実用新案」と呼ばれる、既存製品を改良するものの技術的な革新には滅多につながらない発明についても特許を付与している。米国では実用新案の制度はないが、ドイツなどの一部の先進国ではこの制度が導入されている。
 調査によると、ここ数年で出願された中規模もしくは大規模な中国の国営企業による特許のうち、より低い部類に分類されるデザインか実用新案が65%を占める。調査は「創造性は駆り立てたり、『強制』したりすることはできない。ただ育むことだけだ」と指摘した。少なくとも20カ国がイノベーションについて、中国よりも大きな潜在力を持っているとしている。

◎中国の国際入札にインドが徹底抗戦 “アジア覇権”争う2国(2012年8月21日、産経新聞)
 南シナ海(に浮かぶ「スカボロー礁(中国名・黄岩島)」)の領有権をめぐり、中国とフィリピン間の緊張が高まる中、同海域で新たな火種が生まれている。インドが探鉱活動を行っている開発鉱区で、中国が石油開発の国際入札を実施すると発表したのだ。米誌「イエールグローバル」の記事として新華社が伝えた。南シナ海における中印対立は1年以上前、インドがベトナムと南シナ海の石油探鉱の強化・拡大に関する取り決めを結んだことに端を発する。
 昨年10月には、インドの国営石油天然ガス公社(ONGC)の海外部門ONGCビデシュ(OVL)がベトナムの要請を受け、同海域の127、128鉱区で石油・天然ガスの共同探査を開始するが、これに中国が猛反発。翌11月には両鉱区での探鉱には北京の許可が必要だとしてOVLを非難、許可なく探査を行うことは違法行為であると主張した。
 一方、中国の反応を受け、ベトナムは1982年に採択された「国連海洋法条約」を基に、探査を進めている両鉱区の主権を宣言、インドもこれを支持する立場に回った。
 こうした一連の動きに危機感を募らせた中国は今年6月、ついに実力行使に打って出る。中国国有石油大手の中国海洋石油(CNOOC)が南シナ海で128鉱区を含む9つの鉱区の国際入札を実施、直接インドに圧力をかけた。
 もちろん、インドも黙ってはいない。翌7月、プノンペンで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で徹底抗戦の構えを示すと同時に、航行の自由と国際法に基づいた資源獲得の重要性を説き、中国を牽制した。
 南シナ海で存在感を増す中国と、東アジアとの距離を縮めつつあるインド。南シナ海における両国のせめぎあいは、アジアの新興国として台頭した両国の覇権争いにほかならない。
 これまでインドは、南シナ海で激化する領有権争いに対し、傍観者の立場を貫いてきた。しかし、中国が南へと勢力を伸ばしつつある現在、インド政府もこれまでの消極的な対応を改めざるを得なくなっている。
 南シナ海での争いは、単なる利権争いやエネルギーの獲得競争ではない。
 中国がインド洋での存在感を強めれば、インドも南シナ海への関与を強めていくだろう。
 問題は、中国の国力が増大する中、インドが覇権争いに挑めるだけの資源や能力を備えられるかだ。どちらがアジアの覇者となるのか。両国の間で静かなる戦いが始まっている。

◎中国紙「日本車破壊は愛国主義ではない」(2012年8月20日、産経新聞)
 20日付の中国紙「中国青年報」は「日本製自動車の破壊は愛国行為ではない」と強調する記事を掲載し、19日に中国各地で起きた反日デモで一部の参加者が暴徒化したことを批判し、国民に冷静な態度を取るよう呼び掛けた。
 記事は冒頭で、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)に関する日本側の最近の一連の誤った態度が中国人民の感情を傷つけた」とデモの原因は日本側にあると主張。そのうえで、「一部のデモ参加者が、中国人が所有する日本製自動車を壊すなど暴徒化したことは誠に残念だ」と指摘した。「こうした行為は写真を通じて世界中に配信されて、中国のイメージが損なわれれば、喜ぶのは日本の右翼分子だ」と強調した。
 中国青年報は、胡錦濤国家主席の出身母体である共産主義青年団(共青団)の機関紙。共産党内で胡主席が率いるグループの対日姿勢は比較的穏健とされている。このため同記事が、「日中間の国民感情がさらに悪化することを避けたい」とする胡主席周辺者の意向を反映している可能性もある。

◎薄煕来氏の妻、執行猶予付き死刑判決、事実上の無期懲役(2012年8月20日、産経新聞)
 中国の重慶市トップを今年3月に解任された薄煕来氏の妻、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏に対する殺人罪で起訴された谷開来被告(53)の判決公判は20日、安徽省合肥市の中級人民法院(地裁)で行われ、谷被告は執行猶予(2年)付きの死刑判決を言い渡された。共謀罪で起訴された薄家の使用人は懲役9年だった。谷被告の刑は事実上の無期懲役に相当し、予想通りの死刑回避となった。
 中国では計画的殺人の場合は死刑判決が下されることが多いが、「執行猶予付き死刑」は2年後に問題がなければ無期懲役に減刑される。この間、被告は収監されているため減刑は確実な量刑。また共産党要人やその親族の場合、実際には数年後に「病気療養」の名目で刑を終えるケースが多い。判決は、事件の早期幕引きを図った共産党指導部の政治判断によるものとの見方が強い。
 今回の殺人事件は党内の権力闘争などが複雑に絡んでいるとされ、薄家の秘密を知りすぎたヘイウッド氏は口封じのために殺害されたと共産党筋が指摘しているが、判決では単純な刑事事件と認定し、薄氏本人は完全に切り離されて責任を問われなかった。
 中国メディアによれば、谷被告がヘイウッド氏殺害の動機を、海外留学中の長男の薄瓜瓜氏が脅迫されたと供述している。複雑な事件にもかかわらず、法廷での審議は初公判の1回で結審し、証人もほとんど出廷しなかった。このため裁判の不透明さを批判する声が国内外が上がっている。
 今後の薄氏本人の処遇が注目される。消息筋の間で「薄氏無罪説」と「別の経済犯罪で起訴される」との2つの説があるが、共産党指導部はまだ最終決定していない可能性もある。

◎薄氏妻の執行猶予付き死刑判決、筋書き通りで裏取引説も(2012年8月20日、産経新聞)
 薄煕来前重慶市党委書記の妻で殺人罪に問われた谷開来被告に対する執行猶予付き死刑との判決は、事件を担当した裁判官ではなく、北京の共産党指導部が政治的判断として下した可能性が高い。事件の早期決着を図るため、共産党当局は薄家側と事前に「死刑回避の代わり起訴内容を認める」といった裏取引をしていたとの見方も浮上している。
 中国国営中央テレビ(CCTV)で公開された20日の裁判の様子では、谷被告はスーツ姿で被告席に立ち、手錠もかけられていなかった。北京の人権派弁護士は「殺人罪に問われた凶悪犯に手錠もかけないのはあり得ないこと。やはり彼女は特別扱いを受けている」と指摘した。
 今回の裁判で谷被告は罪を全面的に認め、起訴内容について争わず、上訴しない考えも示した。しかし、多くの関係者が絡んだ複雑な事件であるにもかかわらず、裁判所は1回だけの審理で結審し、ヘイウッド氏から脅迫されていたという谷被告の長男の証人調べもなかった。「こんなずさんな裁判はみたことがない」(弁護士)と指摘する声もある。
 谷被告の“協力”によって、今回の裁判は当局の描いた筋書き通り、党内の権力闘争とは無関係の単純な刑事事件となった。
 猶予付きの死刑は中国独特の量刑で、2年後に問題がなければ無期懲役に減刑される。かつて反革命罪などを問われた中国建国の父、毛沢東の妻、江青女史も1981年に執行猶予付きの死刑判決を受けている。
 自身も権力者だった江女史と党実力者の妻の谷被告を単純には比較できないものの、当時、江女史に対する判決は裁判官ではなく、共産党政治局の会議で決められたことが複数の資料によって明らかになっている。
 同会議で多くの幹部は死刑を主張したが、党重鎮の陳雲氏は「党内の権力闘争に死刑を適用したという前例を作ってはいけない」と強く反対し、その意見が採用されたとの記録が残っている。江女史は数年後に病気療養を理由に“出獄”した。谷被告も病気などを理由に刑を短い期間で終える可能性がある。
 今後は薄氏本人の処遇が注目される。北京の消息筋の間では「薄氏無罪説」と「別の経済犯罪で起訴される」との2つの説があるが、共産党指導部はまだ最終決定をしていないもようだ。

◎中国各紙に報道規制?反日デモほとんど伝えず(2012年8月20日、読売新聞)
 中国各地で19日に起きた反日デモを巡り、中国各紙は20日、デモの発生をほとんど伝えず、日本人10人が19日に沖縄県の尖閣諸島・魚釣島に一時上陸したことを中心に報じた。
 19日のデモは25か所以上に拡大し、広東省深センなど一部で暴徒化。胡錦濤(フージンタオ)政権はデモが社会の不安定化につながらないよう、報道規制をかけている模様だ。
 共産党機関紙「人民日報」は20日、日本人の魚釣島上陸の経緯をまとめた短い記事と中国外務省の抗議談話のみを掲載し、19日のデモ発生には触れなかった。中国紙「中国青年報」は、1面に掲載した評論記事でデモについて触れたが、深センなどで暴徒化したことを念頭に「同胞の日本車を破壊したり市民の私有財産に損害を与えたりすることは愚かなことで、社会秩序を壊し、中国のイメージにも影響を与える」と戒めた。

◎英国人殺害、元重慶市トップの妻に猶予つき死刑(2012年8月20日、読売新聞)
 中国重慶市トップを解任された薄煕来(ボーシーライ)氏(63)の妻で、英国人実業家を殺害したとして殺人罪に問われた谷開来(グーカイライ)被告(53)の判決公判が20日午前、安徽省合肥市の中級人民法院(地裁)で行われた。
 同法院によると、被告は、2年間の執行猶予付きの死刑を言い渡された。
 同法院によると、被告は上訴しない意思を表明している。中国では死刑に執行猶予が付くことがあり、服役態度次第で無期懲役などに減刑される。麻薬所持で起訴された日本人などにも言い渡されたことがある。
 谷被告は事実上、極刑を免れたことになる。中国共産党や司法関係者の間では、10月にも開かれる党大会を前に、薄氏を支持してきた左派や民衆の動揺を抑えるため、党指導部が谷被告の量刑判断に介入するとの観測が強まっていた。

◎反日デモ、中国主要紙伝えず、日本への抗議は報道(2012年8月20日、朝日新聞)
 尖閣諸島(中国名・釣魚島)に上陸した香港の活動家らが逮捕されたことなどに反発し19日に中国各地で起きた反日デモについて、中国主要各紙は20日、ほとんど触れなかった。一方で、日本の地方議員らが尖閣諸島に上陸したことは目立つ扱いで報じ、中国外務省が「強烈な抗議」をしたことを強調した。
 若者らに人気のある時事情報紙の「環球時報」は社説の中で、「昨日、多数の都市で反日デモがわき起こった」とわずかに言及。香港の活動家らによる上陸や反日デモなどを通し、「尖閣諸島は日本のものだという西側諸国に向けたウソは完全に打破された」とし、「日本の実効支配が揺らいだ」と主張した。

◎薄氏の妻に猶予付き死刑判決、英国人殺害、控訴せぬ意向(2012年8月20日、朝日新聞)
 中国の薄熙来(ポー・シーライ)・前重慶市共産党委員会書記(63)の妻、谷開来(クー・カイライ)被告(53)が英国人実業家を毒殺した罪に問われた裁判の判決公判が20日、安徽省合肥の中級人民法院(地裁)で開かれ、谷被告に2年の執行猶予付きの死刑判決が言い渡された。同法院によると、谷被告は控訴しない意向を表明したといい、この判決で刑が確定する見通しだ。
 9日の初公判から10日余りでのスピード判決。中国指導部は政治的な混乱を避けるため、早期に事件の幕引きを図ろうとしているとみられる。薄氏が殺害にかかわる隠蔽工作に関与したかどうかなどについては裁判では触れられなかった。
 中国で執行猶予付きの死刑は、猶予期間中、勾留され、態度が模範的だった場合などに無期懲役や有期刑に減刑される。谷被告と毒薬を準備するなどした薄家の使用人、張暁軍被告(32)は懲役9年の判決が言い渡された。

◎中国ポリエチレン市場、変わり始めた需給構造(下)(2012年8月16日、化学工業日報)
・産炭地で続々と石炭化学コスト競争力にも自信
 中国はエチレン生産能力拡大に引き続き力を入れているが、原油輸入依存度が高いのことがネック。右肩上がりで上昇し60%に近づくなか、「オレフィン"12・5"発展計画」では石炭からのオレフィン生産(CTO)やメタノールからのオレフィン生産(MTO)などの石炭化学を重視している。

・原料多様化の一環
 すでに神華集団の2プロジェクト、包頭(内モンゴル自治区)および寧煤集団(寧夏回族自治区)は商業生産に入っている。MTOでは石炭の高度利用計画に付随するプロジェクトのほか、輸入メタノールの利用を計画するプロジェクトも目白押し。中国石化(SINOPEC)も原料多様化の取り組みの一環としてMTO導入を進めている。
 CTOの国家モデルプロジェクトの1つに位置付けられた神華集団・包頭のポリオレフィン生産能力はポリエチレン、ポリプロピレンそれぞれ年30万トン。11年初めに商業生産を開始した。同社グループでは寧煤集団も11年4月にCTO同50万トンが稼働入りしている。寧煤集団のプラントはプロピレンの生産を主力とするMTP。
 さらにCTOでは大唐国際が内モンゴル自治区で同46万トン、中煤陝西楡林能源化工が陝西省で同60万トン、中国石化が貴州省で同60万トンを計画しており、これらは14年までの完成を目指している。
 中国でCTOが活発となった背景には「石炭が豊富な半面、原油、ガスは乏しいという国内資源バランスの下では、伝統的なナフサクラッカーによるポリオレフィン生産だけでは拡大する需要を満たしきれない」(中国CTO企業)という考えがある。同時に石炭企業の付加価値向上志向も指摘される。
 従来の石炭の大口消費先は発電と鉄鋼。ただ、中国の鉄鋼業では品質面から輸入炭が強い。発電向けは石炭価格が政府に管理されており、市中価格を大きく下回る。石炭化学に振り向ければ、こうした流れを回避できるうえに高度加工により付加価値が上がる。

・外資も投資に動く
 石油化学とのコスト優位性についても、中国の研究者やCTOメーカーは自信を深めている。現状では「原油価格1バーレル当たり90ドルの場合、石炭価格(一般的な5000キロカロリー炭)1トン当たり580元、原油が同100ドルの場合は石炭が同690元で競争力を持つ」(中国石油・化学工業連合会)という。足元の石炭価格は同630元前後。ここにきて下げ基調を継いでおり、中国国内では需給軟化もあって石炭の高価格時代は終わったともいわれる。
 生産技術の進化とそれにともなうコスト優位性、豊富な資源量、原料多様化の観点からもCTOプロジェクトは各地で続々と進行中。早くから神華集団との合弁計画を打ち出したダウ・ケミカルや自社技術を有する仏トタルなど外資勢も、中国での投資に動いている。中国のポリオレフィン供給源としてCTOが確固たる存在感を発揮するのはそう先の話ではない。

◎住友ベークライト、フェノール、中国で一貫体制拡充(2012年8月15日、化学工業日報)
 住友ベークライトは、中国でフェノール樹脂から成形材、成形品までの本格的な一貫生産チェーンを構築した。南通住友●木有限公司で今年4月、フェノール樹脂の能力増強が完了、年2万トン体制を構築した。6月には隣接地に成形材の新工場が完成した。同社は蘇州にも成形材工場を有し、上海・外高橋地区には自動車樹脂部品向けのニーズを探る成形品工場を持つ。一貫体制の強みを生かして「中国市場の変化を迅速に捉え、製造から製品展開のスピードアップ」(本多範義董事長)を図る。(●=電の中国略字)

◎中国ポリエチレン市場、変わり始めた需給構造(上)(2012年8月15日、化学工業日報)
・中東品が輸入市場を席巻押し出されるアジア勢
 中国のポリエチレン需要は年間1600万トン規模に成長した。石油化学製品の自給率を高めようとエチレン生産能力を継続的に引き上げているものの、いまだ輸入は700万トンを超える。その輸入市場はアジア品が主流だったが、ここにきて中東品の割合が大きく上昇している。中国国内に目を向けると、産学官挙げて技術革新に取り組む石炭化学が注目される。とくに石炭からのオレフィン生産(CTO)は安定生産はもとより、コスト競争力をつけ始めた。中国ポリエチレン市場の現状をまとめた。

・数量は横ばい推移
 第12次5カ年計画に沿って中国政府が打ち出した「石油化学工業12・5発展計画」および「オレフィン12・5発展計画」では、2015年のエチレン換算需要を3800万トンと予測している。一方、15年末のエチレン国内生産能力は2700万トンとし、10年末の1520万トンから1180万トン引き上げる計画。「需要は年率10%程度の伸びが見込まれる一方、国内生産が同15%増となる。輸入量は横ばいで推移するだろう」(日系商社)というのが大方の見方だ。
 ただし、「輸入分のプレーヤーは変わる」(同)。実際、輸入ポリエチレンの原産地をみると中東品が存在感を大きく高めている。近い将来にシェールガスベースで生産された米国品の拡大も見込まれており、長きにわたって中国に輸出してきたアジア勢にとって状況はますます厳しくなりそうだ。
 圧倒的な競争優位性を持つ中東の石化製品がアジア、とりわけ巨大市場の中国に大挙して流入することによる需給構造の変化は「06ー07年問題」として市場の注目を集めた。その後、中東におけるプロジェクトの遅れにつれ先送りされてきた。結果としては劇的な変化はなかったものの、徐々に、しかし確実に中東品のポジションが高まっている。

・HDPEほぼ半分
 中国の原産地別ポリエチレン輸入量を09年と11年で比較すると、その変化は明らかだ。低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とも09年の全輸入量に占める中東品の割合はいずれも3割に満たなかった。それが11年になるとLDPE、LLDPEは4割前後、HDPEはほぼ半数を占めるまでにいたってた。
 今年上半期(1ー6月)も、この基調は変わっていない。HDPEは前年同期比11.6%増の約184万トンが輸入された。主要原産地ではイランが同55.4%増でトップに躍り出たほか、2位を確保したサウジアラビアが同24.2%増、4位のアラブ首長国連邦(UAE)が同22.8%増と伸長している。原産地上位5カ国のうち前年比でマイナスとなったのは韓国とタイで、両国に共通するのは輸入平均単価が全体のそれを上回っている点だ。
 中国国内生産能力の拡大が続き輸入量の増加が見込めないなかで中東品の存在感が一段と高まる構図は、アジアのサプライヤーに戦略転換を迫っている。「中東勢は包装材料をはじめとした主要用途向けが主軸」(日系商社)といわれる。一方、自動車部材のように品質、安定性などで要求が厳しい用途は、合成樹脂需要に占める割合はまだ大きくない。こうしたなか、他の海外勢は「汎用品でも中国で作れない製品へと切り替える動き」(日系商社)が加速しそうだ。

◎新興国で深刻化する電力不足、エジプト、インド、中国にも警戒感(2012年8月12日、産経新聞)
 新興国を中心とする各国で夏場の電力不足が深刻化し、国民生活に大きな混乱が起きている。エジプトでは9日に大停電が起き、地下鉄がストップするなどのトラブルが続発。7月末にインドで起きた大停電は約6億人に影響した。韓国でも8月6日の気温上昇で、大停電寸前の状態に追い込まれている。背景には経済発展に伴う電力需要増に発電所などのインフラ整備が追いつかないことや、原子力発電所への逆風があり、同様の事情を抱える中国にも警戒感が広がっている。
 AP通信によると、エジプトの首都カイロでは9日朝、広範囲にわたって停電が発生。地下鉄の2路線が1時間以上運転を停止し、乗客が線路上を歩いて移動するなどの混乱が生じた。気温が40度を超えるなか数時間も停電が続いた地域もあり、冷蔵が必要な食料や医薬品が使えなくなるなどの影響も出た。
 エジプトでは今夏、気温上昇とともに停電が頻発している。電力需要の急増や送電網のトラブルが原因とされるが、特定には至っていない。閣僚の一人は地元紙の取材に「高圧線からの盗電が電力不足を悪化させている」とも答えている。
 またインドでも7月30、31の両日、電力需要の増加が原因とみられる大停電が起きた。31日には炭鉱のエレベーターが停止して作業員が一時的に地下に閉じ込められるなど、全28州のうち18州とデリー首都圏などの約6億人に影響が及んだ。インドは過去10年間で発電能力を約40%引き上げているが、それでも急増する電力需要には追いついていない。
 一方、韓国では原発の運転停止が電力供給に影を落としている。蔚珍原発4号機は昨年9月に伝熱管の破損が見つかり、再稼働できない状態が続く。古里原発1号機は3月、全電源喪失事故を隠していたことが発覚し、運転を停止した。
 こうしたなか今月6日には気温上昇を受けたエアコン使用などで電力需要が増え、電力供給の余力が4%を下回った。政府や電力会社が節電を呼びかけて事なきを得たが、全国約160万戸に影響が出た昨年9月の大停電の再来となりかねず、政府は急遽、古里原発1号機の再稼働を決めた。
 各国で相次ぐ電力危機に、慢性的な電力不足が続く中国では警戒感が高まっている。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報のウェブサイトは2日、論説「インドの停電がもたらす中国への教訓」を掲載。国民生活向上のために電力供給を倍増させる必要がある一方、火力発電には石炭や原油の確保という制約があり、東京電力福島第1原発事故後は原発建設も難しくなっているとし、「中国が進む成長への道は狭まっている」と指摘している。

◎「単純な構図」の裏側に何が、薄氏妻の殺人事件公判(2012年8月11日、産経新聞)
 中国の重慶市党委書記を解任された薄煕来氏の妻で、英国人ニール・ヘイウッド氏を殺害したとされる谷開来被告の9日の初公判の詳細が明らかになった。11日付の「京華時報」など中国各紙が一斉に伝えた。法廷で審議された事件は、経済問題を発端とする殺人事件という単純な構図で、共産党内の権力闘争とのからみや薄氏本人の関与は切り離された格好だ。薄氏本人を守ろうとする共産党内の勢力が主導して作られたストーリーの可能性がうかがえる。
 中国各紙によると、谷被告は数年前、大連の不動産業者が主導する土地開発計画に参画するようヘイウッド氏に持ちかけたが、計画が頓挫して関係が悪化。報酬を求める同氏が、英国留学中の谷被告の長男の身の安全について脅迫するようになったという。
 息子が危険にさらされていることを知った谷被告は神経衰弱に陥り、ヘイウッド氏の殺害を決意。薄家の使用人を通じてヘイウッド氏を重慶市のホテルに呼び出し、酒に酔って水を求めた同氏の口に、毒薬を入れて殺害したとされる。重慶市の公安局長だった王立軍・元副市長はその後、谷被告をかばうために殺人事件の隠匿を指示した。
 しかし、共産党内の実力者一家である薄家と組んでビジネスを展開するヘイウッド氏が、1つの事業をめぐって本格的に対立するとは考えにくいほか、谷被告が長男を守る方法は殺害以外にもありえたことなど、明かされた事件の構図には疑問点も残る。
 こうした点をふまえ、共産党筋は「事件の背景には薄氏と胡錦濤国家主席派との権力闘争がある」と説明した上で、「昨年秋、胡主席の主導で党の規律部門が一家の経済問題を調べていることを知った薄氏が、妻と共謀して蓄財のための海外送金を請け負っていたヘイウッド氏の口を封じるために殺害したのが真相だ」と明かす。
 薄氏失脚後、胡派はその経済問題を追及する姿勢をみせたが、薄氏と同じく元高級幹部子弟で構成する太子党出身の習近平国家副主席らは「穏便な処理」を主張し、対立したといわれる。双方が水面下で攻防を重ね、谷被告主導の殺人事件という構図に落ち着いた可能性もありそうだ。
 共産党筋は「薄氏は別の問題で起訴される可能性はあるが、殺人事件とは無関係だと認定されたことで一つの山を越えたといえる」と分析している。

◎王氏のもみ消し関与、検察当局が認定、英国人殺害事件(2012年8月11日、朝日新聞)
 中国の薄熙来(ポー・シーライ)前重慶市書記の妻、谷開来被告が起訴された英国人殺害事件で、検察当局が、市公安局長だった王立軍氏が事件のもみ消しに関与していたと認定していることが分かった。国営新華社通信が10日夜、外国人記者の傍聴が認められなかった谷被告の初公判の詳細を伝える長文の記事を配信した。
 新華社によると、英国人ニール・ヘイウッド氏の遺体が発見された昨年11月15日、王氏は薄家と緊密な関係にあった市公安局副局長ら4人の部下に処理を指示。4人は証拠を隠したり、虚偽の報告を作成したりして、刑事事件として立件しなかった。
 部下の4人は、私情で法をゆがめ刑事訴追を怠った罪で起訴され、10日に裁判が行われた。香港紙などによると、4人は起訴内容を認めたという。

◎動機は被害者の脅迫、薄氏妻、公判で供述(2012年8月11日、産経新聞)
 中国重慶市トップを解任された薄煕来氏の妻、谷開来被告が英国人ビジネスマン、ニール・ヘイウッド氏を毒殺した罪に問われた事件の初公判で、谷被告が、経済的なトラブルが原因で息子が同氏から脅迫を受けていることを知って精神的に参り、犯行に及んだと供述していたことが10日分かった。新華社電が同日伝えた。
 谷被告は「事件によって共産党と国家に大きな損失を与えてしまった」と述べ、起訴内容を認めたという。初公判は9日に安徽省合肥市の中級人民法院(地裁)で開かれ、即日結審した。
 初公判を傍聴したとみられる男性が自身のブログに書き込んだ公判内容によると、ヘイウッド氏は谷被告との間で建設プロジェクトをめぐるトラブルを抱え、英国にいた被告の息子、薄瓜瓜氏を軟禁。被告を脅迫し、プロジェクトで負った損害の賠償を求めたという。

◎三菱化学、中国事業、現地生産比率拡大(2012年8月10日、化学工業日報)
 三菱化学は、中国事業のさらなる深耕を図る。2012年は、中国石油化工(SINOPEC)との合弁によるビスフェノールA(BPA)〜ポリカーボネート(PC)樹脂の新設備立ち上のほか、リチウムイオン電池(LiB)用負極材および電解液、食品用配合製剤など新設計画が相次いで完了。これらの現地生産品に加え、輸入販売品やライセンス事業を含めた市場開拓を加速する。

◎英国人の毒殺認める、薄氏の妻初公判、即日結審(2012年8月10日、朝日新聞)
 中国の薄熙来(ポー・シーライ)前重慶市書記の妻・谷開来被告が英国人実業家を毒殺したとされる事件の初公判が9日、安徽省合肥市の中級人民法院(地裁)で開かれ、谷被告は起訴内容を認めた。裁判はこの日で結審した。事件をめぐる共産党内の対立が深まらないよう、現政権が早期の幕引きを図っているとみられる。
 次回判決公判の日程は後日公表される。

◎日本の粉ミルク、香港政府が販売停止勧告、ヨウ素不足(2012年8月9日、朝日新聞)
 香港政府は8日、日本から輸入している森永乳業と和光堂の粉ミルク2製品について、含まれるヨウ素が不足しているとして、飲用中止を呼びかけるとともに販売停止を勧告した。9日から指定の診療所で、飲用していた乳児の検診を始めた。
 2製品は0~9カ月の乳児用で、日本国内向け商品。香港政府の食品安全センターは、2製品のみでは、世界保健機関(WHO)が推奨するヨウ素摂取量の3分の1にとどまるとしている。日本では食品衛生法上、ヨウ素を添加することは認められていない。
 日本の厚生労働省や消費者庁などによると、海藻などをよく食べる食文化から、日本の乳児は母乳や離乳食を通じて十分なヨウ素をとっており、不足を心配する必要はないという。

◎住友ベークライト、フェノール、中国で一貫体制を拡充(2012年8月9日、化学工業日報)
 住友ベークライトは、中国でフェノール樹脂から成形材、成形品までの本格的な一貫生産チェーンを構築した。南通住友●木有限公司で今年4月、大幅増強となる年産1万5000トン規模のフェノール樹脂プラントが完工。6月には隣接地に同1万トンの成形材の新工場が完成した。同社は蘇州に年間約7000トンの成形材工場を有し、上海・外高橋地区に自動車樹脂部品向けのニーズを探る成形品工場も持つ。一貫体制によって「中国市場の変化を迅速に捉え製造から製品展開のスピードアップ」(南通住友●木の本多範義董事長)を図る。
注 ●=電の中国略字

◎薄氏の妻の公判始まる、英国人実業家殺害事件(2012年8月9日、産経新聞)
 今年3月に失脚した中国共産党の有力者、薄煕来・前重慶市党委書記の妻で、殺人罪で起訴された谷開来被告の初公判が9日午前に安徽省合肥市中級人民法院(地裁)で開かれた。薄氏本人の事件への関与がどこまで認定されるかが最大の焦点。裁判の結果は、秋に発足する習近平体制の政権運営にも影響を与えそうだ。
 国営新華社通信によれば、谷被告は昨年11月、薄家の使用人(同罪で起訴)と共謀して、英国人実業家、ニール・ヘイウッド氏=当時(41)=を殺害した。動機は金銭トラブルとなっているが、事件の詳細を知る複数の共産党筋によれば、薄家の汚職問題を詳しく知るヘイウッド氏は口封じのために殺害され、薄氏本人も関与したという。谷被告側は自身の容疑をほぼ認め、死刑回避のため精神疾患を理由に情状酌量を求めているとの情報もある。
 共産党内で薄氏を守る勢力と薄氏の厳罰を主張する勢力が激しく対立しており、河北省の避暑地で開かれている共産党指導部の非公式会合、北戴河会議でも薄氏本人の処遇は大きな話題となっているという。
 現地からの情報によると、9日までに大勢の外国人記者が合肥市入りしたが、同地裁は「傍聴券はすでになくなった」と取材を拒否する姿勢を示した。ロイター通信などによれば、2人の英国外交官の傍聴は認められたという。公判は2日間とされる。

◎温首相の罷免要求、左派知識人らがネットに公開(2012年8月9日、読売新聞)
 中国共産党や政府の元幹部や学者ら1644人が7月、温家宝(ウェンジアバオ)首相は「社会主義経済の基礎を転覆させる」などとして、党中央委員会に連名で首相罷免を求める文書をネット上に公開していたことが7日、分かった。
 中国で首相の罷免が公開の場で要求されるのは異例で、署名者の一人は「文書はすでに党中央委などへ送付した」と語った。署名者の多くは市場経済化を進める現路線に批判的な左派に属するとみられ、今秋の党大会を控え、新指導部体制に関する議論に、圧力をかける狙いだったとみられる。
 文書は、温首相が民間、外資企業の発展を後押ししてきた結果、極端な貧富の格差などを招いたと指摘している。
 署名者には、元国家統計局長や北京大教授らの名がある。

◎薄氏の関与、言及なし、薄氏妻の初公判、太子党側が主導権か(2012年8月9日、産経新聞)
 中国重慶市のトップを解任された薄煕来・前同市党委書記の妻で、英国人実業家に対する殺人罪で起訴された谷開来被告の初公判が9日、安徽省合肥市の裁判所で開かれたが、検察側の起訴状には薄氏本人が殺人事件に関与したことをうかがわせる記述はなかった。一方で犯罪事実を隠蔽したとして同市の警察官4人が新たに起訴されており、今後、「谷被告が主導した刑事事件」として審理が進められそうだ。
 一党独裁の中国では、今回のように政局に絡む重大事件は、共産党指導部が政治判断するのが一般的で、党内では薄氏を守る勢力が事件処理の主導権を取った可能性がある。
 9日の初公判は、英国人外交官や地元の人民代表大会代表(議員)らが傍聴した。国営新華社通信は公判終了後、起訴状の内容などを詳しく伝えた。「秘密裁判」の批判をかわす狙いがあるとみられる。
 同通信によれば、薄氏一家と親交のあった英国人実業家のニール・ヘイウッド氏は昨年11月13日、薄家との経済トラブルのため、重慶市内のホテル内で毒殺された。谷被告が事件を主導し、薄家の使用人の張暁軍被告(同罪で起訴)が関わったという。
 警察官4人が犯罪を隠蔽したとして起訴されたが、薄氏本人はこの罪にも問われず、完全に事件から切り離された形だ。
 薄氏は今年4月に「重大な党紀違反をした」として政治局員などの資格を停止されたが、どのような党紀に違反したのかについて明らかにされていない。
 今後、汚職など別の事件で起訴される可能性は否定できないものの、最大のスキャンダルである英国人殺人事件と無関係とされれば、薄氏への最終処分は「党籍剥奪」など党紀だけにとどまる見通しだ。
 さらに裁判所が薄氏を「シロ」と認定すれば、今後本人の政治への復活はなくとも、薄氏もその有力メンバーである元高級幹部子弟で構成する太子党関係者らへの追及もなくなる可能性が高い。
 太子党を率いる習近平国家副主席の関係者はこの展開に早くも勢いづいているとされ、薄氏の責任追及を強く主張していた胡錦濤国家主席の周辺者は守勢に追い込まれそうだ。しかし、胡派は薄氏の経済問題を調べる専門チームを設置して膨大な資料を集めており、これらの資料を“武器”に反撃すると予測されている。

◎前重慶市トップ妻の公判、焦点は死刑回避か否か(2012年8月9日、読売新聞)
 中国重慶市トップを解任された薄煕来(ボーシーライ)氏の妻で、昨年11月に英国人実業家を殺害したとして殺人の罪に問われた谷開来(グーカイライ)被告の初公判が9日午前、安徽省合肥市の中級人民法院(地裁)で始まった。
 中国共産党内には薄氏を擁護する勢力が今も根強く、政治判断により谷被告の死刑が回避されるかどうかが焦点となる。
 新華社通信によると、谷被告は、経済上の利害衝突が生じた英国人実業家ニール・ヘイウッド氏が、息子の薄瓜瓜氏の安全を脅かすと考え、使用人(同罪で起訴)と共謀、ヘイウッド氏を毒殺したとされる。香港メディアは、谷被告が起訴事実をほぼ認めていると伝えた。
 党関係者や司法関係者の間では、起訴段階で谷被告の動機面が強調されたことから、死刑を免れるとの見方が広がっている。最終的な量刑には、党指導部の判断が影響するとみられる。
 一方、谷被告の起訴は「冤罪(えんざい)」だとして、ネット上で抗議活動を呼びかける声が広がっており、法院周辺では、制服、私服の警察官200人以上が厳重な警備を敷いた。

◎薄煕来氏の妻、起訴事実認める、英国人毒殺(2012年8月9日、読売新聞)
 中国重慶市トップを解任された薄煕来氏(63)の妻で、英国人実業家を殺害したとして殺人罪に問われた谷開来被告(53)の初公判が9日、安徽省合肥市の中級人民法院(地裁)で行われた。
 法院によると、谷被告は起訴事実に対して異議を示すことなく認め、即日結審した。判決は、後日言い渡される。
 公判後、同法院の唐義幹・副院長が読み上げた発表文によると、谷被告は、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏と商売上のトラブルとなり、谷被告の息子、薄瓜瓜氏に危害が及ぶと考え、ヘイウッド氏殺害を決意。昨年11月13日、重慶市内のホテルで使用人(同罪で起訴)と共謀し、酒に酔ったヘイウッド氏の口の中に毒薬を流し込み、殺害した。

◎元重慶市トップの妻、英国人殺害容疑で初公判(2012年8月8日、読売新聞)
 中国重慶市トップを解任された薄煕来(ボーシーライ)氏の妻で、昨年11月に英国人実業家を殺害したとして殺人罪で起訴された谷開来(グーカイライ)被告の初公判が9日、安徽省合肥市中級人民法院(地裁)で開かれる。
 中国共産党内では薄氏を擁護する勢力も根強く、判決に胡錦濤(フージンタオ)政権の政治的判断が影響するとの見方も広がっている。
 新華社通信が伝えた起訴内容によると、谷被告とその息子は、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏との間に経済上の利害が衝突。谷被告は、ヘイウッド氏が息子の安全を脅かすと考え、使用人(同罪で起訴)と共謀して毒を盛り、殺害したとされる。
 重慶市から離れた安徽省合肥で裁判が行われるのは、薄氏や谷被告の影響力の及ぶ場所を避け、公正な審理を行うのが目的とみられる。同法院は6日、本紙の取材申請に「傍聴席はすでに満席となった」と回答。英国メディアによると、英国外交官の傍聴は認められたとされるが、外国報道機関の傍聴は許されない見通しだ。

◎元重慶市トップの妻、英国人殺害容疑で初公判(2012年8月8日、読売新聞)
 中国重慶市トップを解任された薄煕来(ボーシーライ)氏の妻で、昨年11月に英国人実業家を殺害したとして殺人罪で起訴された谷開来(グーカイライ)被告の初公判が9日、安徽省合肥市中級人民法院(地裁)で開かれる。
 中国共産党内では薄氏を擁護する勢力も根強く、判決に胡錦濤(フージンタオ)政権の政治的判断が影響するとの見方も広がっている。
 新華社通信が伝えた起訴内容によると、谷被告とその息子は、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏との間に経済上の利害が衝突。谷被告は、ヘイウッド氏が息子の安全を脅かすと考え、使用人(同罪で起訴)と共謀して毒を盛り、殺害したとされる。
 重慶市から離れた安徽省合肥で裁判が行われるのは、薄氏や谷被告の影響力の及ぶ場所を避け、公正な審理を行うのが目的とみられる。同法院は6日、本紙の取材申請に「傍聴席はすでに満席となった」と回答。英国メディアによると、英国外交官の傍聴は認められたとされるが、外国報道機関の傍聴は許されない見通しだ。

◎SAP、中国で新増設、需要は15%増(2012年8月10日、化学工業日報)
 中国で高吸水性樹脂(SAP)生産能力が増大している。既存メーカーのうち、サンダイヤポリマーが2011年秋に南通市(江蘇省)の製造拠点で第3期プラントを立ち上げ年産14万トン体制としたほか、日本触媒も12年初め、張家港(同)で倍増設する方針を打ち出した。BASFも南京(同)で年初稼働を目指し同6万トンを新設中。中国勢では宜興丹森科技有限公司が同10万トン体制を構築しており、15年までに同20万トンへの引き上げを狙う。さらに大手アクリル酸メーカーでもある浙江衛星が新設計画を進め、台湾プラスチックグループ(FPG)は寧波で増設を視野に入れているといわれており、「とくに中国勢の動向が市場全体の鍵を握る」(市場関係者)ことになりそうだ。

◎金メダル「こだわらない」、中国選手が次々発言(2012年8月8日、読売新聞)
 北京五輪で初の金メダル数世界一となり、ロンドンでも米国と激しく金獲得を争う中国の代表選手から、「メダルは重要でない」との趣旨の発言が相次ぎ、注目を集めている。
 メダル一辺倒の国策スポーツ政策からの脱却を求める声が、国内で高まっていることが背景にあるとみられる。
 「ようやく分かったのは、メダルを取ることだけが真の勝者ではないということ」
 競泳女子100メートルバタフライ銀メダルの陸エイ選手(23)は記者会見でこう語った。陸選手は、競技場で自分らしさを表現することが重要だと強調。合宿生活をした豪州の選手が皆リラックスしていたのに対し、「中国では練習し、練習を続けるために休み、また練習。趣味や自分の時間を持つこともない」と心情を吐露した。
 射撃女子エアライフル銅メダルの喩丹選手(24)は帰国後、中国メディアに「金銀銅、入賞、それ以外の選手、そこにまったく差はない」と述べた。同種目では同僚の易思玲選手が優勝し、ロンドン五輪全体の金メダル第1号として脚光を浴びたが、喩選手は存在しなかったかのような扱いを受けた。北京で金メダル2個の女子体操・何可欣選手(20)も試合前、「目標を金メダルだけに置いていない。競技を楽しみたい」と抱負を語っていた。
 国家丸抱えで選手を育成する中国ではメダル至上主義が貫かれてきた。中国のスポーツ政策を統括する国家体育総局幹部は、メダル争いと優れた成績を通じ、「愛国の情熱を示し、(今秋の)共産党大会を順調に迎える」ことが主要任務の一つだと強調。本命視されながら銀メダルに終わった重量挙げ男子56キロ級の呉景彪選手は競技後、肩を丸めて国民に謝罪。連覇を狙いながら、メダルも逃した体操女子団体総合の選手たちは「申し訳ない」と記者の前で涙を流した。
 こうした中で飛び出した「メダルにこだわらない」などの発言は、北京五輪で金メダル数「世界一」を実現して以降の、中国国内のスポーツ観の変化が背景にある。当局も、国策育成選手を五輪で勝たせて威信を示すより、「スポーツの発展を促すことが、金メダル獲得よりも重要」(中国共産党機関紙・人民日報)との視点を打ち出すケースも出てきた。加えて、国際社会での存在感を一層高める中国にとり、金メダル量産による国家の威信誇示が、かつてほど重要ではないという「大国の余裕」もあるようだ。
 一方、欧米メディアなどは、メダルを逸した中国選手が謝罪し泣くのを「なぜだ」と報道。一連の姿勢には中国の「異質イメージ」払拭の思惑もありそうだ。

◎商才に長けた温州商人の故郷、製造業の60%が操業停止、欧州危機の影(2012年8月7日、読売新聞)
 製造業から輸出入、サービス業まで同郷の人脈を海外に広げ、地方発信型の国際ビジネス拠点ともてはやされた中国浙江省の温州がピンチに陥っている。欧州債務危機が輸出を直撃し、金融機関や民間金融の不良債権がみるみる膨れ、製造業の60%までが操業停止に陥った。資金ショートの連鎖で立ち行かなくなった経営者の“夜逃げ”も相次いだ。商才にたけた温州商人にいったい何が起きたのか。
 「今度こそは自己資金をつぎ込んででも乗り切らないと」。父親から引き継いだ電子機器工場を経営する20歳代の周氏は、額の汗をぬぐいながら町工場が連なる雑居ビルを案内してくれた。操業停止で“シャッター街”が広がっていた。
 浙江省当局が先月まとめた調査では、約4千社ある温州の民間製造業の60%が操業を停止しており、すでに倒産したか、倒産寸前の状態に追い込まれている。周氏の工場は欧州危機が表面化した昨年、欧米中心だった輸出先を東南アジアやアフリカに切り替えて、幸運にも操業停止を免れた。
 倒産状態にあるのは靴やアパレル、玩具や電子機器など軽工業が大半。小規模な工場で出稼ぎ農民(農民工)を安い労賃で雇ってメーカーから生産委託を受ける。フランスやイタリアに7万~8万人ずつ、米国に5万人いるという温州出身者の人脈を生かし、世界中に取引先を拡大してきた。
 操業資金も人脈頼み。金融機関に頼るよりは、温州商人どうしの口約束で融通をするなど、いわば地下金融の利用率が全体の90%を占めるという。だが、輸出低迷で資金がショートして紛争が続発。温州当局が把握している分だけで、外貨建ての不良貸付残高は6月末に181億元(約2230億円)と昨年末の2倍以上に膨れあがっていた。
 三方を山に囲まれ、豊かな農地の少なかった温州の人々は、数百年も前から海にこぎ出して貿易に精を出したという。華僑の故郷のひとつともいえ、欧米や東南アジアに渡った温州出身者らが、1980年代の改革開放後、製造業や貿易業を続々と興して故郷に錦を飾った。
 温州商人を自負する周氏は、「温州は民間へのシフトを急ぐ中国経済の先行指標であり縮図だ。何があっても生き残るという強靱な温州精神が支えだ」と目を光らせた。ただ、右肩上がりしか想定していなかった人脈中心の産業構造の前提がひとたび崩れると、地域経済が一気に危機に陥るという温州の脆弱性は、中国全体の経済がはらむリスクも暗示しているといえそうだ。
 温家宝首相は3月、温州救済策として「金融総合改革試験区」設置を認め、金融透明化と利便性向上をめざしたが、目に見える効果はまだ上がっていない。

◎中国鉄道汚職、女性経営者に仲介料295億円(2012年8月7日、読売新聞)
 今年5月に職権乱用や収賄などの規律違反で共産党の党籍を剥奪された劉志軍・前鉄道相の汚職事件を巡り、中国の経済紙「毎日経済新聞」は7日、山西省の設備会社の女性経営者、丁羽心氏が1800億元(約2兆2140億円)の鉄道建設プロジェクトの仲介料として24億元(約295億円)を受け取っていたと報じた。
 劉氏が丁氏に便宜を図り、劉氏も丁氏からリベートを受け取っていたとみられる。
 8月3日に鉄道省内部に対して報告された劉氏の事件の調査結果として伝えた。劉氏は30億元(約370億円)のプロジェクトを丁氏が落札できるように便宜をはかったという。
 中国紙「京華時報」によると、劉氏に対する党中央規律検査委員会の調査は基本的に終了し、事件は司法機関に引き継がれたが、劉氏の収賄額はまだ確定できていないという。

◎北京当局、豪雨犠牲者を独自報道した中国紙回収、香港紙が報道(2012年8月7日、産経新聞)
 7日付の香港紙、明報は、北京市を7月下旬に襲った豪雨の犠牲者について独自取材を行った中国紙、経済観察報が北京市当局の調査を受け、記事を掲載した新聞を回収させられたと報じた。
 当局が問題視したとみられるのは4日発行の紙面に掲載された記事で、北京市房山区の川で水門を開けた際に流された3人について報じた。うち2人は行方不明で1人は遺体で見つかったが、市が発表した死者79人の中に名前はないという。
 豪雨の死者数をめぐっては、当局が実際より少なく発表しているのではないかとの疑念が噴出。そのため、当局は犠牲者に関する報道に神経をとがらせている。
 当局は紙面回収の理由について、山東省で登記されている観察報が北京で新聞を発行するのは「違法」だとした。だが、明報は、これは表向きの理由で、犠牲者についての記事が当局を怒らせたとみられると伝えた。

◎薄氏妻「起訴内容認める」、英国人毒殺事件で香港紙(2012年8月7日、産経新聞)
 7日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国重慶市トップを解任された薄煕来氏の妻で、英国人ビジネスマンを毒殺したとして殺人罪で起訴された谷開来被告が、起訴内容を全面的に認めていると報じた。立件に直接関わった検察関係者の話として伝えた。
 また谷被告は、立件されていないものの、取り沙汰されている収賄や海外への違法送金など「経済犯罪」についても認めているという。
 同紙は、経済犯罪での立件が見送られたのは、中国指導部が事件の複雑化を嫌い、早期決着を望んでいるためだとの見方を紹介。薄氏についても、起訴はされずに党内の処分にとどまるとの見通しを伝えている。

◎中国で偽狂犬病ワクチン、生理食塩水を瓶詰(2012年8月7日、読売新聞)
 新華社通信などによると、中国江蘇省徐州市の公安当局は6日までに、偽の狂犬病ワクチンを製造・販売していた容疑者17人を逮捕し、1万9000個以上の偽ワクチンを押収した。
 容疑者らは、ワクチンの説明書や包装材を入手した上、生理食塩水をガラス瓶に入れ、ワクチンと偽り販売していた。正規品は1箱(5個入り)320元(約3900円)だが、偽物は1.5元(約18円)で製造できたという。
 また、先月25日来、偽薬品撲滅キャンペーンを展開中の中国公安省は5日までに、全国で2億500万個の偽薬品を押収、1900人以上を逮捕したという。偽薬品には高血圧や糖尿病、がんなどの治療に用いるものが多く、製造過程で低血糖などの副作用を持つ「グリベンクラミド」や鎮静剤を混入させていたという。

◎偽の狂犬病ワクチン製造、中国、1万9千個押収(2012年8月6日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国江蘇省徐州市の公安当局は6日、偽の狂犬病ワクチンの製造や販売に関与したとされる容疑者17人を拘束、販売価格計600万元(約7400万円)相当の偽ワクチン1万9千個余りを押収したことを明らかにした。
 生理食塩水を入れた小瓶を「狂犬病ワクチン」と書かれた箱に詰め、安徽省や上海などで販売していた。正規のワクチンの価格は一箱320元(約4千円)程度だが、偽ワクチンの製造コストは1.5元だったという。
 中国では偽薬や質の悪い薬の製造・販売が発覚するケースが頻発し、社会問題となっている。

◎中国当局、メダル至上主義修正?…北京超え困難(2012年8月5日、読売新聞)
 中国メディアはロンドン五輪の特集や特番を連日組んで大々的に報道し、金メダルの数への関心も高い。
 中国紙「北京日報」は連日、金メダリストの顔写真や獲得したメダル数を1面で報じている。ただ、2008年の北京五輪では51個の金メダルを獲得し、多くの市民が熱狂的に応援したが、「4年前がピークで、ロンドン五輪への関心は落ちている」(江蘇省の地方紙)。中国のネットでも「選手はメダルを手にしても普通の人生を手にできない」などと、メダル至上主義への批判や反省が広がっている。
 一方、北京五輪で獲得した金メダル数をロンドン五輪で超えるのは難しく、米国に抜かれるとの見方も強まっている。中国の知識人は「国を挙げて取り組んでいるはずなのに金メダルが減少すれば、市民の不満につながりかねない。安定を求める当局はメダル至上主義を修正しようとしている」との見方を示した。

◎メダルより国民生活だ!(2012年8月5日、産経新聞)
 ロンドン五輪で中国人選手のメダルラッシュが続いている。しかし、4年前の北京五輪で中国が初めて国別メダルランキングで1位を獲得した時の大興奮ぶりと比べて、今大会の中国国内の反応はいささか冷静。インターネットには「金メダルをとったのはマイナースポーツばかりで自慢にならない」「金メダルの数よりも国民生活の改善を優先すべきだ」といった不満と反省が寄せられている。
 五輪開幕直後の7月28日、女子エアライフルの易思玲選手が、中国にとって1号となる金メダルを獲得した。中国メディアはこのニュースを大きく取り上げたが、ネットユーザーの反応は「エアライフルを触ったことがないから、すごいかどうか分からない」などと冷ややかだった。
 また、易思玲選手が帰国した際、ほかの選手とは別扱いで、空港のVIP通路で地元指導者の出迎えを受けたことに、「金メダリストを持ちあげすぎた。ほかのチームメンバーと一緒に行動させるべきだ」といった批判が集まった。
 これ以外でも、女子重量挙げ(58キロ級)の李雪英選手の金メダル獲得直後、父親の李相民さんが目に涙を浮かべながら、「もう2年も娘に会っていない」と語ったシーンも話題となった。これには「金メダルのためにそこまで犠牲を払う必要があるのか」「中国の選手はメダルの奴隷になっている」などの意見が噴出した。
 中国は金メダル獲得のために、国が莫大な予算を投じて選手を育成し、そのスケジュールを厳しく管理している。それは「挙国体制」と呼ばれ、金メダル量産につながっているが、今大会では、このやり方を疑問視し「スポーツをもっと楽しむべきだ」とする意見が多い。
 金メダルを取れなかった選手への同情が多いことも今大会の特徴だ。期待されていた男子重量挙げ(56キロ級)の呉景彪選手が惜しくも銀メダルとなったとき、「祖国に申し訳ない」と号泣したが、ネットでは「祖国と関係ない。気にする必要はない」と励ます声がほとんどだった。
 今大会の最初の種目である女子エアライフルをめぐっても、国内メディアの関心が金メダルをとった易思玲選手に集中し、同種目で銅メダルを獲得した喩丹選手を全く取り上げなかったことに「不公平だ。もっと紹介してほしい」などの不満が出ている。
 こうした声の背景にあるのは、中国勢が活躍するのは、重量挙げ、卓球といったマイナー種目がほとんどで、世界的人気があるサッカー、バスケットボール、陸上などで、あまりメダルを期待できないことへの国民の不満の存在もある。
 「金メダルの数を集めるだけでは自慢にならない。人気スポーツで勝たなければ、スポーツ大国と言えない」との意見もある。
 一方、「4年前の北京五輪で金メダルの数が世界一となったとき、中国が強国にとなったと思ったが、私たちの生活は良くならなかった。今思えば、莫大なスポーツ予算を国民生活に投じるべきだった」との反省も出ている。

◎臓器売買で137人拘束、中国、大規模組織摘発(2012年8月4日、産経新聞)
 4日の新華社電によると、中国公安省は同日までに、北京市や河北省、安徽省など18の省・市にまたがる闇の臓器売買グループを摘発し、医師18人を含む137人を拘束したと発表した。
 28のブローカー組織が連絡を取り合い、犯罪ネットワークを形成。インターネットで臓器提供者(ドナー)を募集するとともに移植が必要な患者を探し、提携する病院で生体移植手術を行っていた。

◎中国人気キャスター、無気力試合失格処分を批判、ネット上で罵声「頭おかしい」(2012年8月3日、産経新聞)
 ロンドン五輪のバドミントン女子ダブルスで、金メダルが有力視されていた中国の王暁理、于洋組が無気力試合を理由に失格処分を下されたことについて、「憤怒」を表した中国中央テレビの人気キャスター、白岩松氏が、インターネット上で罵声を浴びている。
 世界バドミントン連盟(BWF)による処分発表以降、国営新華社通信をはじめとする中国メディアはこぞって、「中国チームは目覚めるべきだ」などと道徳的見地を強調。無気力試合を非難して“優等生”を演じている。
 これに対し、白氏は「今、多くの人が道徳論を振りかざし、選手の身体に打ち付けている。荒唐無稽な規則が大きな問題を引き起こしながら、選手が責任を負うというのは不合理だ」などと主張。中国チームに処分撤回を求めて提訴するよう促した。
 いまだに金メダル至上主義から抜け切れない中国だが、同時に国家のイメージが傷つくことに敏感になっている。ネット上には「白岩松は本当に頭がおかしい。スポーツを語る資格がない」「五輪精神とはなんぞや? メダルを獲得することか?」と、官製メディアに同調する意見が寄せられている。
 しかし、白氏の発言は一方で、中国国民の“本音”も引き出している。「白岩松こそ本当の中国人だ。ちょうちん持ちをしている欧米の下僕連中とは違う」などと、愛国主義を刺激された国民が白氏擁護に回っている。

◎5分のビデオ制作に2億円超、中国鉄道省に醜聞(2012年8月3日、読売新聞)
 中国鉄道省が、著名映画監督チャン・イーモウ(張芸謀)氏を起用した5分間の宣伝ビデオに1850万元(約2億3000万円)の予算を組んでいたことが判明、物議を醸している。
 同省幹部が制作費を流用した疑いも浮上し、40人の死者を出した昨夏の高速鉄道事故で批判を受けた同省は、新たな醜聞に揺れている。
 問題の宣伝ビデオは2009~10年に制作された。子役が車内で積み木をし、振動の小ささを強調するなど高速鉄道の「魅力」をアピールする内容だ。
 だが、会計検査院が今年6月末に巨額の制作予算を公表して以来、中国メディアから「スター監督を起用したとはいえ、予算に見合った内容ではない」との指摘があがっていた。
 新華社通信は7月31日、制作を担当した同省女性幹部とその夫が「重大な規律違反」で関係機関から調査されていると伝えた。当局が夫妻の自宅を捜索したところ、1000万元(約1億2000万円)の現金が発見されたとの報道もある。同省関係者は読売新聞の取材に「省内ではずさんな契約、汚職が横行している。さらに上層部の摘発に発展する可能性がある」と指摘した。

◎トクヤマ、微多孔質フィルム、中国天津に第2ライン(2012年8月2日、化学工業日報)
 トクヤマは、中国における微多孔質フィルム事業のさらなる拡大を図る。上海に続く第2の製造販売拠点「天津徳山塑料有限公司」(天津市西青開発区)が第1ライン・年産1億2000万平方メートルを年内にも稼働させ、上海の既存2ラインとの合計能力を同3億6000万平方メートルに引き上げる。これに続き、2013年あるいは14年の稼働開始をメドに、天津で第2ラインを建設する計画。同フィルムは、紙おむつ向けバックシート用を中心に今後も年率10%増以上の高い需要成長が見込まれることから、タイムリーな供給力の拡大を通じ需要家ニーズに応えていく。

◎中国に抗議するプラカードも中国製、フィリピン(2012年7月29日、産経新聞)
 南シナ海の領有権を中国と争うフィリピンでは、ルソン島沖のスカボロー礁(中国名・黄岩島)に、中国船が居座っていることへの抗議デモが、マニラ首都圏の中国大使館前などで繰り広げられた。
 ネット上にも「地図を見れば、スカボロー礁が誰のものかは小学生でもわかる」など、中国を非難する書き込みがあふれている。
 フィリピン政府の「弱腰」を批判する書き込みもあり、ブラックジョークも。「中国に抗議するプラカードも中国製」は、その一つだ。
 抗議デモで市民は、「中国はフィリピンの領海に侵入するな!」「スカボロー礁だけではない。中国は世界をわがものにしようとしている」と、怒りに満ちたスローガンが書かれたプラカードを掲げ、シュプレヒコールをあげた。
 そのプラカードの素材にしても、「中国製」というわけだ。
 他の東南アジア諸国と同様、フィリピンも貿易と投資の多くを中国に依存し、街には中国製品があふれている。
 冒頭のブラックジョークは、南シナ海の領有権問題で中国に怒り心頭のフィリピンが、経済を中国に依存する状況から脱却できず、「弱腰」の背景となっていることへのいらだちを、皮肉ったものだ。
 「弱腰」の一つとされているのが、スカボロー礁にフィリピンの艦船がいないこと。政府は台風の襲来を理由に、艦船を周辺海域から引き揚げたままだ。
 中国艦船はというと居座り続け、中国は南沙(英語名・スプラトリー)諸島に、新たなに30隻の漁船団を送り込みもした。
 「米国が頼り」というアキノ大統領の発言を、ブラックジョークと受け止める国民もいる。

◎中国警官、朝日支局長に暴行、カメラ没収(2012年7月29日、読売新聞)
江蘇省南通市の沿海部で28日、王子製紙の排水処理計画に反対するデモを取材していた朝日新聞上海支局長の奥寺淳記者(41)が警察官に暴行を受け、カメラと記者証を没収された。
 奥寺記者は、警官がデモ参加者を暴行する様子を撮影中、警官15~20人に囲まれ、蹴られるなどしたという。大きなけがはなかったが、後頭部や腕などに痛みが残った。
 渡辺勉・朝日新聞国際報道部長の話「正当な取材活動に対して加えられた極めて悪質な妨害であり、看過できません。中国政府に抗議し、謝罪と、カメラと記者証の返還を求めています」

◎中国の1万人デモ、ほぼ収束、排水処理撤回で(2012年7月29日、読売新聞)
 製紙大手の王子製紙が南通市の開発区に建設している製紙工場の排水処理計画に関し、同市沿海部で28日に起きた1万人規模の反対デモは、地元当局が昼前に排水処理計画の撤回を宣言し、同日中にほぼ収束した。
 計画は、工場排水を中国の環境基準に沿って浄化処理した後、工場を誘致した南通市が建設するパイプラインで約100キロ・メートル離れた海に排出するというもので、既に着工していた。
 デモは午前6時ごろから始まり、一部は暴徒化して地元当局の庁舎を占拠。群衆は海水汚染による漁業や健康への影響を理由に、計画中止を訴えた。
 地元当局は約5時間後、排水計画撤回を表明し、群衆に解散を求めた。だが多くの参加者が居残ったため、午後に武装警官らを大量投入し、デモ参加者らを強制排除した。警官との衝突で負傷し、救急車で運ばれる参加者も出た。

◎中国民主化デモ、参加の男女が収容所送りに(2012年7月28日、読売新聞)
 香港で7月1日に行われた、「中国の民主化」などを求める大規模デモに参加した中国人活動家の男女2人が、中国本土に戻った後、労働教育1年2か月の処分を受けて収容所に送られたことがわかった。
 28日付の香港紙・蘋果日報などが報じた。
 2人は江西省寧都県の宋寧生氏と曽九子さん。デモ参加後、陳情のため訪れた北京で拘束され、「香港でのデモ参加」などを理由に労働教育処分となった。公安当局は香港のデモを「反中デモ」と認定したという。
 香港での毎年7月1日のデモには最近、民主化や人権擁護を求める中国本土からの参加者も増えている。

◎中国で王子製紙工場排水計画にデモ、一部暴徒化(2012年7月28日、読売新聞)
 製紙大手の王子製紙が江蘇省南通市の開発区に建設中の製紙工場の排水処理計画を巡り28日、放水先に予定されている同市沿海部で大規模なデモが起きた。
 1万人以上の住民らが早朝から地元当局の庁舎を囲み、一部が敷地内に入って庁舎を占拠、計画の中止を訴えている。
 汚水は、中国の環境基準に沿って浄化処理した後、工場を誘致した南通市が建設するパイプラインで約100キロ・メートル離れた海に排出する計画。デモ参加者らは「古里の環境を守れ」「王子の汚水を阻止しろ」などと訴え、当局敷地内の車を破壊するなどしている。

◎中国デモ、数十人負傷、地元政府、数千人の治安部隊投入(2012年7月29日、朝日新聞)
 中国江蘇省南通市啓東で1万人を超す住民が参加したデモは28日、地元政府が数千人の治安部隊を投入し、夕方までに制圧した。デモ隊と警官隊の衝突で双方合わせて少なくとも数十人が負傷した。警察はデモ参加者の摘発に乗り出し、多数が警察施設に連行されている。
 デモは、南通市にある日本の製紙大手・王子製紙の工場の排水用として、海沿いの啓東までパイプラインを引く市当局の計画に対し、海へ排出される水が環境汚染を引き起こす恐れがあるとして始まった。次第に腐敗や格差に不満を抱く市民による政府批判に変わり、啓東の政府庁舎や警察が襲撃される暴動に発展した。
 王子製紙によると、28日はデモに備え、工場の操業を停止した。直接、工場へのデモはなかったという。明日以降の操業については「デモの様子を見て検討する。影響については調査中で分かり次第、公表したい」(広報)としている。

◎中国デモ、朝日新聞記者に警官暴行、カメラ、記者証奪う(2012年7月28日、朝日新聞)
 中国江蘇省南通市啓東でデモの取材をしていた朝日新聞上海支局長の奥寺淳記者(41)が28日、警官らに押し倒され、頭などを蹴られる暴行を受けた。撮影ずみデータが入ったデジタルカメラ、外国人記者証も奪われた。
 暴行を受けたのは同日午後0時半ごろ、啓東の市公安局前の路上。デモに参加した市民を警官が集団で暴行している様子を撮影していた奥寺記者は、突然カメラを奪われ、取り囲んだ15~20人の警官に地面に押し倒された。自分は記者だと名乗ったが、約20秒間にわたり蹴られ、体の上に飛び乗られた。暴行がおさまった後で見せた記者証も取り上げられた。後頭部や腕、腰などに痛みが残った。
 朝日新聞は中国政府に対し抗議し、カメラと記者証の即時返還を求めた上で再発防止を申し入れた。上海の日本総領事館は同日、地元政府に対し、(1)暴行が事実なら厳重に抗議する(2)奪われたカメラなどの原状回復を求める、などとする申し入れをした。

◎中国で1万人デモ、政府庁舎に乱入、王子製紙の計画発端(2012年7月28日、朝日新聞)
 中国江蘇省南通市にある日本の製紙大手・王子製紙の工場から出る排水が、環境汚染を引き起こす恐れがあるとして、住民1万人以上が28日、抗議デモを行った。住民は地元政府庁舎に乱入して施設や車両を破壊。政府批判を叫びながら警察に投石するなど、大規模な暴動になった。
 デモを起こしたのは、上海に隣接した黄海沿いの南通市啓東の住民。南通市政府が約100キロ内陸にある工業団地に王子製紙などを誘致する際、海に面した啓東まで排水パイプラインでつなぎ、放水できるようにすると約束していた。これに対し、住民の間で、排水には発がん性物質が含まれ、漁場の海が汚染されて健康被害が出るなどとうわさが広がっていた。
 デモ隊は地元政府への抗議に加え、「王子(製品)をボイコットしろ」などと主張。一部が政府庁舎内に入り、暴徒化すると、地元政府は「排水事業を中止する」と宣言。夕方までに警官隊がデモ隊を追い出したが、その際、もみ合いとなり、少なくとも数十人が負傷した。

◎王子製紙の排水計画に抗議デモ、中国で数千人集結(2012年7月28日、産経新聞)
 王子製紙が中国江蘇省の南通市に置いている工場の排水計画をめぐり、環境汚染や健康被害の懸念があると主張する地元住民らが28日、排水管の建設中止などを求める抗議デモを始めた。数千人が参加しており、一部は地元政府庁舎に乱入するなど騒ぎが広がっている。
 問題となっているのは長江(揚子江)下流に位置する南通市中心部の王子製紙の工場から、さらに海岸に近い約100キロ離れた啓東地区に排水するためのパイプ施設。南通市が建設計画を打ち出したが住民らは強く反発。中国語版ツイッター「微博」やネットで、28日から30日まで3日間デモを行うと宣言していた。
 啓東の当局は26日、建設中断を発表、27日にはデモに参加しないよう、住民側にさまざまな圧力をかけてきた。しかしデモ参加者らは、「建設の中断ではなく取り消しを求める」と態度を硬化させた。また、「微博」などでは、今回のデモを沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる中国の不満に重ね合わせ、「反日デモ」とみなしてネット上で批判をエスカレートさせる発言も増え始めた。

◎北京豪雨の死者数、急に倍増77人、批判受け?(2012年7月28日、読売新聞)
 北京で21日、過去61年で最大の降水量を記録した豪雨による被害で、北京市当局は26日夜、当初37人と発表していた死者の数を77人に大幅修正した。
 インターネット上では「死者数はもっと多いはずだ」などの声がわき上がり、当局は災害処理の不手際への批判が市政府や共産党批判に発展しないよう、躍起になっている。
 7月3日に市のトップに就任したばかりの郭金竜・北京市共産党委書記は27日、市内で被害が最も大きかった房山区で黙とうをささげた。郭書記は「我々は深く反省し、我々の活動を絶えず改善しなければならない」と述べ、市民の信頼回復に努める姿勢を示した。
 市防災当局は、死者数の把握に手間取った理由について、「豪雨が鉄砲水や土石流を引き起こして捜索活動が難航した」などと弁明した。

◎中国豪雨被害、政府の「情報隠し」批判高まる(2012年7月28日、朝日新聞)
 中国・北京の先週末の豪雨で、北京市政府は26日、死者が77人に上ったと発表した。中国中央テレビが伝えた。被害を巡って、市政府の情報開示が遅いといった批判が高まっている。
 21日から22日にかけ、北京では、南西部の房山区だけで8200軒の家屋が倒壊し、50の橋が壊れた。市政府は22日に死者数を37人と発表したが、一部中国メディアはそれ以降も少なくとも10人の遺体が見つかったと報道していた。
 ネット上では「民衆が受け入れられないのは被害の現実でなく、ペテンだ」といった市政府の対応を批判する書き込みや、犠牲者の「追悼デモ」の呼びかけも出ている。

◎前重慶市トップの妻を殺人罪で起訴、英国人殺害(2012年7月28日、読売新聞)
 中国・重慶市トップの職を今年3月に解任された薄煕来(ボーシーライ)・前同市共産党委書記の妻の谷開来(グーカイライ)容疑者が2011年11月に起きた英国人実業家の殺害に関与していた事件で、中国検察当局は26日までに、谷容疑者と使用人を故意殺人罪で起訴した。
 国営新華社通信が26日伝えた。
 同通信によると、谷容疑者とその息子は英国人実業家ニール・ヘイウッド氏との間で経済上の利益を巡って衝突し、谷容疑者はヘイウッド氏が息子の安全を脅かすと考え、使用人と共にヘイウッド氏に毒を盛って殺害したことが捜査で明らかになったとしている。
 薄氏は今年4月、妻の事件関与が公表された際、「重大な党規違反」を理由に党政治局員などの職務を解かれた経緯がある。今回の発表は薄氏の関与に踏み込んでいないが、胡錦濤(フージンタオ)政権は、秋の第18回共産党大会が近づく中、谷容疑者の起訴を発表し、事件処理の進展を強調することで、事件に関する臆測が飛び交うのを防ぎ、党内の団結や安定を図る狙いと見られる。

◎日系製紙工場の排水管建設中断、「環境汚染」と住民反発で中国当局(2012年7月27日、産経新聞)
 中国江蘇省南通市啓東の当局は26日、同市内にある日系の製紙工場による廃水で環境汚染の恐れがあると住民が反発している問題で、排水管の建設を中断したと発表した。28日に計画されている抗議デモには参加しないよう呼び掛けた。
 当局はホームページで幹部の声明を公開し「市民の意見を重視し、さらなる(環境)評価をしており、建設は中断した」と説明した。
 排水管は南通市中心部にある王子製紙の工場廃水を100キロ余り離れた啓東まで運び、海に流すために南通市が建設中。啓東の住民らは「廃水には発がん性物質が含まれている」などとして抗議デモを計画している。
 王子製紙の工場は既に一部稼働しており、現在は廃水を近くの長江に流している。同社は「廃水は中国の環境基準にのっとって適切に処理している」(広報担当者)と説明している。

◎北京の大雨被害めぐり、中国紙に報道規制(2012年7月27日、読売新聞)
 今月下旬に北京を襲った大雨をめぐり、中国紙「南方週末」が記事の差し替えを共産党宣伝部門に命じられたことがわかった。
 秋に党大会を控え、中国当局は「社会の安定」を最優先し言論統制を強めている。インターネット上では排水システムの不備など北京市当局を批判する書き込みが相次いでおり、同紙の報道で当局批判が強まることを警戒した措置とみられる。
 同紙関係者が本紙に明らかにしたところによると、問題とされたのは、死者のうち20人以上の遺族を取材し、26日付で掲載予定だった記事。増水した水で車に閉じこめられて溺死するまでの家族との電話でのやり取りなど、それぞれの亡くなった時の状況や人となりを紹介したものという。

◎薄氏関与なお不透明、英国人殺害で妻ら起訴、政権中枢、一定のピリオドか(2012年7月27日、産経新聞)
 中国国営新華社通信などによると、中国安徽省合肥市の検察当局は26日までに、薄煕来前重慶市共産党委員会書記(63)の妻、谷開来容疑者(53)らを故意殺人罪で起訴した。
 同通信などによると、谷被告らは、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏との間に金銭トラブルが生じ、ヘイウッド氏を毒殺したと認定した。薄氏自身の事件への関与が取り沙汰されていたが、この時期に谷被告の起訴を公表したことは、薄氏自身の殺人事件への関与については、曖昧なままにするという胡錦濤政権の意思がにじんでいる。
 胡錦濤政権は薄氏の問題に関し、特別の調査班を設置するなど徹底的に追及する構えをみせた。薄氏の「後ろ盾」とされた周永康党中央政法委書記の扱いも焦点になったが、追及を広げた場合、今秋の共産党大会の大幅延期という異例の事態に追い込まれる可能性がある。
 谷被告の起訴を公表した背景には、そうした事態を回避しようとする政権中枢の意図がうかがえる。
 中国では間もなく、河北省の避暑地・北戴河で政治局常務委員や長老らが集まり、指導者人事などについて意見交換する会議が開かれる。胡錦濤政権は、谷被告の起訴で、薄氏の問題を「孤立した事件」として、一定のピリオドを打つ心づもりとみられている。

◎前重慶市トップの妻を殺人罪で起訴、英国人殺害(2012年7月27日、読売新聞)
 中国・重慶市トップの職を今年3月に解任された薄煕来(ボーシーライ)・前同市共産党委書記の妻の谷開来(グーカイライ)容疑者が2011年11月に起きた英国人実業家の殺害に関与していた事件で、中国検察当局は26日までに、谷容疑者と使用人を故意殺人罪で起訴した。
 国営新華社通信が26日伝えた。
 同通信によると、谷容疑者とその息子は英国人実業家ニール・ヘイウッド氏との間で経済上の利益を巡って衝突し、谷容疑者はヘイウッド氏が息子の安全を脅かすと考え、使用人と共にヘイウッド氏に毒を盛って殺害したことが捜査で明らかになったとしている。
 薄氏は今年4月、妻の事件関与が公表された際、「重大な党規違反」を理由に党政治局員などの職務を解かれた経緯がある。今回の発表は薄氏の関与に踏み込んでいないが、胡錦濤(フージンタオ)政権は、秋の第18回共産党大会が近づく中、谷容疑者の起訴を発表し、事件処理の進展を強調することで、事件に関する臆測が飛び交うのを防ぎ、党内の団結や安定を図る狙いと見られる。

◎薄氏の妻、殺人罪で起訴、当局「息子を案じ英国人毒殺」(2012年7月26日、朝日新聞)
 中国国営新華社通信は26日、検察当局が重慶市の書記だった薄熙来(ポー・シーライ)氏の妻、谷開来容疑者と使用人の男を、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏を毒殺した故意殺人罪で起訴した、と伝えた。
 検察当局の調べでは、谷容疑者と息子の薄瓜瓜氏が、金銭を巡るトラブルでヘイウッド氏と対立。谷容疑者は息子の身の安全が脅かされていると感じ、使用人の張暁軍容疑者と共謀し、ヘイウッド氏を毒殺したという。
 起訴の日時は不明だが、安徽省合肥市の検察当局が起訴し、同市の裁判所で審理が行われるという。

◎薄氏の妻ら2人起訴、英国人殺害の罪、中国の検察当局(2012年7月26日、産経新聞)
 26日の新華社電によると、中国安徽省合肥市の検察当局は同日までに、重慶市トップを解任された薄煕来氏の妻、谷開来(53)と薄家の使用人、張暁軍の両容疑者を、英国人ビジネスマン、ニール・ヘイウッド氏=当時(41)=を殺害したとして故意殺人の罪で起訴した。
 谷被告は張被告と共謀し、ヘイウッド氏を毒殺したとしている。同氏が谷被告の息子に危害を加える恐れがあると認識したことが動機という。

◎中国の王子製紙工場建設で反対運動、デモも(2012年7月26日、読売新聞)
 製紙大手の王子製紙が、中国・江蘇省南通市の開発区に建設中の製紙工場の排水処理計画に対し、沿岸部の住民の反対運動が活発化、28日にはデモが計画されている。
 汚水は、同国の環境基準に従って浄化し、工場を誘致した南通市が建設するパイプラインで黄海に排水する計画だという。地元住民は「海が汚染され、魚が取れなくなる」と反発。デモ呼びかけ人の一人は本紙の電話取材に「地元当局に圧力をかけ、建設を止めたい」と語った。
 ネット上では「日本の会社が中国人を毒殺しようとしている」、「汚染事業を中国に押しつけようとしている」といった、反日的な過激な書き込みも出ている。
 中国では今月初め、住民の反対運動で、四川省什●で金属工場建設計画が撤回されるなど、環境問題への関心が高まっている。(●=「方」の右におおざと)

◎巴工業、中国ビジネスを拡充(2012年7月25日、化学工業日報)
 巴工業は、化学品事業展開の一環として、中国マーケット開拓を加速する。深圳地区で手掛けるコンパウンドビジネスでは、華南地区で高まるスーパーエンプラ需要に対応して製造拠点を拡充、近く本格稼働に入る。次いで第2の中国展開として、商社部門の拡充に乗り出す。今月に入って江蘇省昆山市に駐在員事務所を開設したほか、年内をめどに現地法人の設立を決めた。先行して機械事業は上海地区に営業、製造の2拠点を進出しているが、化学品部門のテコ入れで中国事業拡大を加速していく。「香港販社との連携に加えて人民元取引を積極化、中国商社ビジネスを4年後には年間4600万ドル以上へと引き上げる」(化学品本部長の白石均常務)と成長戦略を推し進める。

◎中国の酢酸、輸出失速、自国石炭活用も競争力示せず(2012年7月25日、化学工業日報)
 中国の酢酸輸出が失速している。日本向けは前年比3倍にまで拡大した11年とは対照的に、2012年1〜5月の実績は前年同期比2割にまで縮小。日本向けを含む輸出量全体も半減している。11年はアジア市況の高騰が追い風となったが、足元では昨年のピーク時に比べ2〜3割低い水準で推移しているためだ。再び攻勢に出られるかは市況次第といえ、自前の石炭を由来とするメタノールを原料としながらも、国際競争力の向上にはつながっていない実態が浮き彫りになった。

◎「停滞日本、躍進中国」を象徴、中国、企業番付でも日本抜き2位に(2012年7月24日、産経新聞)
 2012年「フォーチュン500社」(「世界500強」)がこのほど発表された。中国は各地方が、これに名を連ねるグローバル企業の誘致を競い合っている。それと同時に、中央政府は多くの中国企業がフォーチュン500社に入ることを戦略目標としている。実際、ランキング入りする中国企業は年々増加の一途をたどっており、まさに、このことが、世界経済における中国の台頭を如実に示している。
 2001年のフォーチュン500社に登場した中国企業は12社であった。11年後の2012年にはその数は73社に達し、中国は日本を抜いて米国に次ぐ第2位となった。
 国内総生産(GDP)の順位と同じで、「停滞する日本、躍進する中国」を象徴している。中国はさらに、トップを行く米国を激しく追っている。
 トップ10をみても、中国は3社をキープしているのに対し、日本はトヨタ自動車1社がかろうじて入っているだけである。中国の3社は中国石化集団(SINOPEC)と中国石油天然ガス公司、そして国家電網である。
 ランキングの基準は売上高。従来、ランキング入りしていた中国企業は銀行、エネルギー、電力、通信などだったが、ランキング入りする企業が増加するのに伴い、製造業が加わった。2005年にまず鉄鋼(宝山製鉄)が、次いで自動車(第一汽車・上海汽車・東風汽車)、電子(華為)が登場した。つまり、ランキング企業数が増加したのみならず、製造業企業が台頭しており、このことからも、中国の産業構造の高度化、さらには、産業の競争力の強化がうかがえる。
 500社以内に入った中国の73社はほとんどが国有企業だが、江蘇省沙鋼(346位)および華為(351位)は民営企業であり、特に、華為は唯一の深センの製造企業である。
 中国トップの中国石化集団の売り上げは3720億ドル(約29兆円)であり、世界のトップ企業と遜色ないが、中国企業は上位3社を除くと、売り上げは1000億ドル以下であり、世界との差はまだ大きい。
 中国の自動車メーカーとしてトップの上海汽車の場合、130位で売り上げは672億ドル。合弁パートナーである米国GMの売り上げは1500億ドルで、上海汽車の2.2倍。トヨタは2354億ドルで、3.5倍である。上海汽車が世界のトップ企業となるのはまだ先のこととなろう。

◎「フカヒレまだ食べてる」、中国公務員3年以内禁止、ネットで猛反発(2012年7月23日、産経新聞)
 中国政府が今月初め、公務接待の宴席に「フカヒレ」を出さないよう関係部門に指示する方針を決めたものの、禁止令の導入時期を「3年以内」としたため、波紋が広がっている。中国版ツイッター「微博」では、「農民なら一生かかっても食べられないフカヒレを、公務員や国有企業の幹部らはまだ3年も宴会で食べ続けるつもりか」「(中華で同じ高級食材の)アワビやツバメの巣ならいいのか」などと強い反発を招いている。
 フカヒレを遠ざけることで、政府関係者や国有企業などの間で日夜で繰り広げられる「官官接待」費を節約し、さらに、フカヒレが取れるサメ類の保護につなげるなどと説明された。
 公務での高額宴会、使途が不透明な公費出張、公用車という「三公経費」に住民の批判が高まっていることが背景にある。10月1日付で公費節約を命じる「機関事務管理条例」を施行する予定だが、フカヒレなど高級食材については具体的に条例で言及されていない。

◎北京で豪雨、37人死亡、被害額1230億円(2012年7月23日、読売新聞)
 北京で21日午後から22日未明にかけ、過去61年間で最大となる豪雨が降り、新華社通信などによると、23日朝までに少なくとも37人が死亡、7人が行方不明となり、被害額も100億元(約1230億円)に達した。
 北京市の21日の平均降水量は170ミリ・メートル。最も多かった所では460ミリ・メートルに達し、鉄砲水も発生した。豪雨による被災者は190万人、被害面積は1万6000平方キロ・メートルとなり、道路や橋、水利施設などが冠水などの被害を受けた。
 北京空港も21日に525便が欠航となり、22日もダイヤが乱れるなど、交通にも大きな影響が出た。

◎中国豪雨の死者95人に拡大 行方不明も45人(2012年7月23日、産経新聞)
 新華社電によると、中国民政省は23日、各地で20日から降り続いた豪雨による死者は95人となり、45人が行方不明になったと発表した。北京市では37人が死亡、隣接する河北省では17人が死亡した。
 四川省や新疆ウイグル自治区など17省・自治区・直轄市で計623万人が被災し、多くの家屋が倒壊するなどの被害が出た。河北省では複数の観光地に通じる道路が不通となり、旅行客約1万人が一時孤立したという

◎中国高速鉄道事故:発生1年、記憶消し去ろうとする政府(2012年7月23日、毎日新聞)
40人が死亡した中国浙江省温州市の高速鉄道事故は23日で発生から丸1年。車両が一時埋められた現場は雑草に覆われ、事故直後に遺族らが献花した高架下には泥の山ができていた。慰霊碑も献花台もなく、監視カメラが周囲を威圧する様子は、政府に批判的な動きを封じ込め、事故の記憶を消し去ろうとする当局の姿勢をうかがわせた。
 事故直後に政府に批判的な詩が書かれていた高架の柱には、ペンキで塗り消した跡だけが残る。その下に花束を入れたかごが泥の山に交じって転がっており、多数の命がここで失われたことをかすかに伝えている。近所の男性によると、「現場を訪れる人の姿を見かけることはまずない」というが、最近になって複数の監視カメラが設置された。発生から1年に合わせた遺族の活動やメディアの取材を当局が警戒しているようだ。
 事故車両は温州南駅に近い操車場に置かれたままだった。追突された側の車両は黄色っぽく汚れ、連結部分が激しく損傷している。フェンス越しに望遠レンズで撮影すると、門の近くに設置されたテントの中にいた私服警官に制止された。
 市中心部に近い貨物駅構内でも、緑色のシートがかぶせられた別の事故車両の周囲で警察官が警戒していた。近くの運送会社の作業員は「(車両は)事故直後からずっと同じ状態。数日前から警察官が配置されたことが変わったことぐらい」と話した。
 中国政府は昨年12月、列車制御システムの設計ミスが事故の原因と発表し、54人の処分を決めた。だが、放置された車両からは原因究明に際して検証を徹底した形跡は見えず、幕引きを急いだ印象はぬぐえない。事故1年を前に急に事故車両への警備を強化した背景には、こうした視点でのメディアの取材を規制している可能性もありそうだ。
 温州市では事故1年に合わせた追悼行事の予定もなく、地元メディアもこの問題を報じていない。地元紙記者は「事故1年に関する記事を出すなと当局に言われたようだ。上司からは何も言うなと指示されている」と声を潜めた。また、関係者によると、ある中国紙が事故車両の乗客に取材し、事故から1年となるのを前に紙面化しようとしたが、察知した当局から圧力がかかり、掲載できなかったという。
 一方、中国政府が再び高速鉄道の建設を加速させる方針を示すなか、事故直後に噴出した安全性に対する国民の懸念が薄らぎつつあるのも事実だ。22日夜、日本の新幹線技術が導入されたCRH2型「和諧号」の先頭車両に乗車して事故現場を通過した。同様の事故が起きればまず助からない座席位置だが、車内はほぼ満席の状態だ。不動産関連の仕事で温州に出張で来たという瀋亮さん(37)は「列車の移動は楽だし、怖がっていたらどんな乗り物にも乗れない。事故に遭ったら運が悪かったと思うしかない」と苦笑いした。

◎中国、車両放置、追悼式せず、高速鉄道事故1年(2012年7月23日、読売新聞)
 中国浙江省の温州市で40人が死亡した高速鉄道事故から23日で1年。
 「人命軽視」「証拠隠滅」と批判された鉄道省の改革は進まず、遺族らは「事故の教訓は生かされるのか」と不安の声を上げている。
 現場からは事故の痕跡が一掃され、追悼式典も行われないなど、当局は事故の「風化」を図っているようにみえる。
 車両が高架から落下し、無残な姿をさらした事故現場。事故直後から、追悼碑建設を求める声がインターネットで高まったが、作られたのは自動車教習所の練習コースだった。事故車両は詳細に検証された跡もなく、市内の操車場などに放置されている。
 ネットでの追悼の記載はすぐに削除され、地元メディアでも事故をふり返る特集はほとんど行われていない。事故への関心は薄れ、一時落ち込んだ高速鉄道の客足も元に戻った。22日も高速鉄道の温州南駅は利用客でごった返しており、「事故から1年だなんて気づかなかった」という人がほとんどだった。
 指導部が交代する今秋の共産党大会を控え、政府は何よりも安定を重視している。世論を揺るがせた高速鉄道事故には、今さら触れられたくないのが本音だ。

◎中国軍、中朝国境の警戒強化、北の兵士逃亡防ぐ(2012年7月22日、読売新聞)
 香港の人権団体「中国人権民主化運動ニュースセンター」は21日、中国軍が17日から、北朝鮮軍兵士や航空機の越境逃亡を防ぐため、中朝国境地帯の警戒態勢を強化したと伝えた。
 同センターは、「北朝鮮の李英鎬(リヨンホ)・前軍総参謀長(69)の解任が平和的に行われなかったとの情報を中国が得ていることを裏付ける動きだ」としている。
 同センターによると、中国空軍は早期警戒機4機を中朝国境地帯に増派し、北朝鮮軍の動向を24時間態勢で監視するとともに、吉林省の四平空軍基地では17日以降、北朝鮮軍機の領空侵犯に備えた緊急演習を8回にわたって実施したという。
 李氏は15日付で朝鮮労働党の全役職を解任され、18日には軍総参謀長職を解かれたことも判明。韓国政府は、李氏解任の際に軍内部で死者を出す衝突が発生したとの情報を入手しており、現在、分析中だ。

◎艾氏側の異議申し立て棄却、脱税疑惑で中国裁判所(2012年7月20日、産経新聞)
 中国の著名芸術家で人権活動家の艾未未氏が経営に関わる会社の脱税疑惑に絡み、罰金などの支払いを命じた当局の命令に艾氏側が異議を申し立てた訴訟で、北京市朝陽区の裁判所は20日、異議申し立てを棄却する判決を言い渡した。関係者が明らかにした。
 北京市の税務当局は昨年11月、未払いの税金や罰金など計約1522万元(約1億8900万円)を支払うよう同社に命令したが、艾氏側は「脱税の証拠も提示されておらず、理由が不明確」などとして異議を申し立てていた。
 関係者によると、中国当局は20日、判決言い渡しに艾氏が立ち会うことを禁止。言い渡しには同社代表の艾氏の妻と弁護士が出廷した。
 また裁判所前には多数の警察官が出動、支持者らが裁判所に近づくことを禁じた。

◎中国、アフリカに1兆6千億円の借款供与へ(2012年7月20日、朝日新聞)
 中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は19日、2015年までの3年間で、アフリカ諸国に対し、金利など貸し出し条件を優遇した借款を200億ドル(約1兆6千億円)供与する方針を表明した。道路や港などのインフラ整備や農業、製造業、中小企業を重点的に支援するという。
 北京で開幕した「中国・アフリカ協力フォーラム」閣僚級会合で演説した。
 中国は経済力をテコにアフリカとの関係を深めている。金属類や石油といった資源の確保や中国製品の販売を強化し、環境、通商、安全保障などの国際交渉で途上国代表としての発言力を強める狙いだ。
 中国政府は1万8千人に奨学金を出し、1500人余りの医療関係者を派遣、白内障患者を無料で治療する活動を続ける。胡主席はこの日、「援助を引き続き拡大する」と明言した。

◎中国、アフリカ大進出、建設現場に商店街に(2012年7月20日、朝日新聞)
 アフリカでは、建設現場に中国人があふれ、スラム街で中国商人が中国製品を売っている。その数は100万人を超すとされる。中国の大進出を後押しする「中国・アフリカ協力フォーラム」が19日、3年ぶりに開幕するのを前に「赤く染まる大陸」の現場を歩いた。

・受注決まれば一気に動員
 近年、約8%の急速な経済成長を続けるルワンダ。1990年代の内戦や民族虐殺を経て、経済改革によってビジネス環境が飛躍的に改善された。首都キガリは高層ビルの建設ラッシュに沸く。
 国会議事堂の前の広大な建設現場には、中国の赤い国旗がなびいていた。会議場やオフィスなど3億ドル(約240億円)が投じられるルワンダ最大のプロジェクトだ。建設現場には中国人技術者の姿があった。
 政府職員は「周りに見える建物は全部、中国企業が建てた。受注が決まれば数百人の中国人が来てあっという間に造ってしまう」と語った。

◎中国、アフリカに大盤振る舞い、1兆5千億円の拠出表明、狙いは資源獲得(2012年7月19日、産経新聞)
 中国のアフリカ諸国に対する支援や経済協力などについて協議するアフリカ協力フォーラム閣僚級会議が19日、北京の人民大会堂で始まった。胡錦濤国家主席は開幕式で、アフリカの経済発展のため今後3年間で200億ドル(約1兆5700億円)を拠出すると表明した。会議は20日まで。
 中国は資源獲得を主目的にアフリカとの関係緊密化を図っている。「内政不干渉の原則」の下、支援策で関係強化に勢いを付ける狙いがある。
 胡主席は「新たな戦略的パートナーシップの構築」を目指す方針を表明。拠出金はインフラ建設や農業、製造業に投じられる。そのほか、農業技術の向上や医療衛生面でも支援を強化するとした。また、アフリカ連合(AU)の平和維持活動に資金提供する準備があることも示した。
 一方、中国の急激な影響力拡大に対し、アフリカ側では「新植民地主義」と警戒感も強い。

◎四川省暴動事件、一党独裁のほころび露呈(2012年7月19日、産経新聞)
 今月初め、中国四川省の什●(シュウホウ)市で市民による暴動事件が起きた。政府当局が誘致してきた金属工場の建設をめぐり、住民たちが「健康被害が出る恐れがある」として反対運動を起こしたのがことの始まりである。運動が盛り上がっていく中で、参加者の一部が暴徒化し什●市共産党委員会と市政府の庁舎への破壊行為にまで及んだ。
 だが事件の結末はむしろ意外なものであった。政府当局は一応、公安警察を現場に派遣して警戒に当たらせたが、警察部隊は本格的な実力行使に踏み切らなかった。そして、共産党什●市委員会の李成金書記は、くだんの金属工場建設の中止を発表した。
 今の中国では、当局が力ずくで民衆の反乱を押さえ込むようなことはそう簡単にできなくなっている。そのことは共産党政権そのものの弱体化を意味しているが、上述の什●事件からは、党の支配体制に生じている大きな矛盾の一つを見取ることもできる。
 民衆の暴動で当局の庁舎が破壊された中で、実は市政府のそれよりもむしろ共産党委員会の庁舎の方が破壊行為の主な対象となっていたことが国内の報道で分かった。民衆の抗議行動とその憤りの矛先は明らかに、政府よりも党の方へ向かっていたのである。
 おそらく当の党委員会にとって、それは甚だ「心外」だったのであろう。中国の政治システムにおいては、各地方の党委員会は確かに権力の中枢ではあるが、工場建設などの具体的な「経済工作」はむしろ政府の管轄範囲であって、党のあずかり知るところではない。本来なら、金属工場建設の一件で党委員会までが暴動の対象にならなくても良かった。
 だが結果的にはやはり、民衆は容赦なく党委員会の庁舎に乱入して憤りの打ち壊しを断行した。要するに民衆からすれば、党が権力の中枢としてすべてを支配している以上、それは当然、この地方に起きたすべての問題に対して責任を負わなければならないものだ。だから、何か起きる度に追及の矛先と憤りのやり場を党の方へ持っていくのはむしろ自然の成り行きである。
 もちろんこのような感覚は一地方に限らず、中国国民全体に行き渡っているはずだ。一党独裁体制を敷いてあらゆる支配権を手に入れている共産党は結局、この国で起きたすべての出来事に対して何らかの責任を負い、民衆の不満や憤懣(ふんまん)を一身に背負う立場にあるのである。
 それこそは、独裁政権が独裁であるが故に抱える根本的矛盾の一つだが、これまで、党の支配体制が盤石で民衆の不満と反乱を簡単に押さえ込むことができたときには、党は矛盾を抱えながらも何とかして体制を維持できた。しかし什●事件からも分かるように、力ずくで民衆を統制できるような時代が過去のものとなっていくと、共産党政権の立場はますます苦しくなってくるのであろう。
 とにかく今後、民衆の不満が高まってくるのにしたがって、常に追及と攻撃のターゲットにされていながらもそれを簡単に押さえ込むこともできない各地の党委員会と共産党政権全体は窮地に陥っていく。
 最近、党の政治権力の及ぼす範囲への制限を着眼点とする「政治改革」の機運が政権内で高まってきているが、それは、「すべてを支配しているが故にすべてに責任を負わなければならない」というジレンマから党を救い出すための動きの一つであろう。だが、大きな時代的変化の中では、小細工的な改革よりも一党独裁体制の放棄こそが党自身が窮地から脱出できる唯一の道となるのではないか。

◎軍から経済優先へ? 金正恩氏「元帥」、中国、軍強硬派の排除歓迎(2012年7月19日、産経新聞)
 朝鮮の朝鮮人民軍の実力者、李英浩氏が党の全役職を解任され、金正恩第1書記が共和国元帥の称号を得るなど一連の人事を、北朝鮮の最大の支援国である中国は高い関心を持って見守っている。北京の共産党筋は「政権中枢から軍の強硬派が排除され、正恩氏の求心力が高まることは中国にとって良い展開だ」と指摘した。中国は今後、経済支援などを増やし北朝鮮への影響力を強めていく可能性がある。
 朝鮮戦争を共に戦った中国と北朝鮮の関係は「血で固めた友誼(ゆうぎ)」といわれているが、水面下でいろいろな対立がある。特に近年、北朝鮮は中国の再三の忠告を無視して、核実験やミサイル発射を繰り返し、中国が主導する6カ国協議から「永遠に脱退する」と発表するなど、何度も中国に“恥”をかかせた経緯がある。
 背景には金正日総書記とその周辺の軍強硬派の中国への根強い不信感がある。金総書記は中国が1992年に韓国と国交を樹立したことを「裏切り行為」ととらえ、死ぬまでそれを恨んでいたといわれている。
 また、中国が北朝鮮に「改革開放」を再三促したことにも強い不満を持っていたとされる。金総書記は「改革開放」は自身の支配体制の弱体化につながると考えていたからだ。
 金総書記亡きいま、核実験やミサイル発射を主導した強硬派の李氏が解任されたことは、中国にとって理想的な展開といえる。北朝鮮内で中国がコントロールしにくい強硬派の影響力が弱まり、金第1書記の叔父で後見役とされ、親中的とも目される張成沢(チャン・ソンテク)国防副委員長らの主導権がさらに強まったとみられる。
 中国はこれを機に、北朝鮮への経済支援を強化する可能性が高い。北朝鮮政権を完全に影響下に置けば、中国にとって国際社会と交渉する絶好のカードを手に入れたことになる。
 中国は今後、金正恩政権の安定を図ると同時に、軍優先の政治から経済建設を中心とする路線への転換を促していく可能性がある。
 共産党の高級幹部養成機関、中央党学校の朝鮮問題専門家、張●(=王へんに連)瑰教授は中国メディアに対し「(北)朝鮮政治の今後の大きな方向として、経済建設に資金と人材を投入し、国民の生活に指導者はもっと高い関心を払うだろう」と楽観的な見方を示した。

◎住友ゴム、中国タイヤ事業、中計目標2年前倒し(2012年7月18日、化学工業日報)
 住友ゴム工業は、中国タイヤ事業の規模拡大を加速する。世界最大市場における主要タイヤメーカーとしてのプレゼンス構築を目的に、当初計画を2年前倒しして2015年に年間2000万本体制を構築する。16日には事業拡大のための新生産拠点「住友像●(湖南)有限公司」(●は月へんに交)の開業式を現地で開催。式典で池田育嗣社長は「ここでは第1期として(13年末に)年産500万本を計画しており、第2期完了後(15年末)には1000万本に拡大する」方針を明らかにした。

◎高砂香料、上海工場に新設備、中国内陸部で市場調査も(2012年7月18日、化学工業日報)
 高砂香料工業は、中国事業を強化する。経済成長にともない香料需要が伸びている中国において、嗜好性を把握するための市場調査に力を注ぐ。北京や上海、広州などの沿岸部に加えて、内陸部でも充実させる方針。上海市の浦東新区の工場では新設備や機器の導入でフレグランスとフレーバーを合わせ年産4500トン体制を構築した。今後、中国売上高で2ケタ成長を目指す。

◎中国の成長率ついに8%割れ、処方箋は? 社会不安の深刻化も(2012年7月18日、産経新聞)
 中国の経済成長率がついに8%を割り込んだ。8%を割り込むと失業者が増え、社会不安が深刻化しかねない。このため政府はこれまで、なんとか8%の大台を維持しようと必死になってきた。2008年秋のリーマン・ショック時には、4兆元(現レートで約50兆円)の大規模財政支出や超金融緩和策などで8%の大台を確保できた。しかし無理がたたって経済がバブル化し、いまや不良債権の処理など後遺症に悩まされている。今回の欧州経済危機では、もはや打つ手はほとんど残されていなかったといえよう。
 中国国家統計局は先週末、12年4~6月期の国内総生産(GDP)が実質で前年同期に比べ7.6%増にとどまったと発表した。世界経済全体からみればなお高水準である。また今年の成長目標である7.5%もわずかながら上回っている。しかし8%を下回るのはリーマン・ショック直後以来、ほぼ3年ぶりなだけに、中国政府もショックを隠せない。
 中国政府は欧州経済危機が深刻化したこの5月に、一連の景気テコ入れ策を発表した。その中心となったのは、またしても高速鉄道や高速道路などのインフラ建設の推進だった。インフラ建設は即効性があるからだ。
 しかし高速鉄道の建設は、過去数年間にわたる建設ラッシュや昨年7月の大規模事故が影響して、いまや積極的に推進できるような状況にはない。鉄道省の負債残高はなお2兆元もあり、利子の支払いに苦しんでいる。
 リーマン・ショック後のテコ入れの時には、地方政府が前面に立ってインフラ建設を進めていったが、いまやここも身動きがとれない。地方政府傘下の「地方融資平台」(第三セクターに類似)が借りまくった資金の残高は10兆元に達しており、そのかなりの部分が不良債権になりかかっている。
 今回のテコ入れ策では、2カ所の高炉建設にも認可を与えた。しかし鉄鋼はこのところ内外需要の激減によって、在庫が一気に膨らみ、各メーカーの採算も急速に悪化している。
 インフラ建設中心のテコ入れ策はリーマン・ショックの時には効果を発揮した。しかし今回は、状況が全く異なっており、バブルをより悪化させるだけの結果しか得られない。
 まずはバブルの後遺症の処理をすることから始めた方がよい。そしてインフラ建設中心に比べれば、即効性はないが、消費中心のより着実な政策を前面に打ち出していく必要がある。

◎中国、発明特許の登録件数が100万件に(2012年7月17日、朝日新聞)
 国家知識産権局の田力普局長は16日、中国の100万件目となる発明特許の証書を発行した。100万件目となった特許の名称は「トウモロコシ葉の仮想モデルの制御面要素区分法」。
 今年6月末の時点で、同局が受理した発明特許出願件数は累計311万4千件。発明特許登録件数は累計100万件に上った。うち、国内の発明特許は51万8千件。1985年に初の発明特許が登録されて以来、中国はわずか27年間で発明特許登録数100万件という目標を達成し、世界最短で同目標を達成した国となった。人民日報が報じた。
 専門家によると、近年の中国発明特許登録は以下のような特徴を見せている。
 (1)発明特許の年間登録件数が急速に増加している。2001年以降の年間登録件数の年平均増加率は26.8%に達した。2011年度は前年比27.4%増の計17万2千件が登録され、年間登録件数は2011年と比べ約11倍となっている。
 (2)国内出願者の発明特許登録が占める割合が絶えず高まりつつある。中国の発明特許年間登録件数のうち、国内出願者が占める割合は2001年には3分の1以下だったが、2009年には初めて半数を上回り、2011年には3分の2に近づいた。国内の登録件数が国外を下回るという状況は完全に逆転した。
 (3)国内で職務発明登録の割合が徐々に高まりつつある。国内の発明特許登録のうち、職務発明が占める割合は2000年の50%から2011年には84.8%に高まった。これは主に、国内企業による発明特許登録件数が大幅に増加したことによるもの。企業の発明特許年間登録件数は2000年の1千件から2011年には5万8千件に増え、58倍となった。

◎中国、新聞大量発行も読まれず処分、購読押し付けに批判「環境破壊」(2012年7月17日、産経新聞)
 中国共産党や政府機関が大量に発行する新聞がほとんど読まれないまま処分され、環境破壊につながっているとのコラムニストによる指摘が注目を集めている。下部組織や大学に定期購読を押し付けるのはやめて、購読するかどうかを自由に判断させるべきだとの呼び掛けに賛同者が相次いでいる。
 中国のコラムニストの男性は16日、短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」上に、廃品回収業者の話として「人民日報などの党機関紙がひもでくくられたままほどかれもせずに大量に回収されている」と書き込み、紙の原料となる樹木が浪費されていると嘆いた。
 世界的な新聞大国、中国の2010年の新聞発行部数は年間452億1千万部。そのうち、党や政府機関発行の新聞は227紙、69億5千万部。男性の書き込みはインターネット上で転載され、「体制内部の関係者ですら読まない」など指摘に同調するコメントが寄せられている。

◎中国GDP3年ぶり低水準、欧州金融危機波及(2012年7月13日、読売新聞)
 中国国家統計局が13日発表した2012年4~6月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前年同期に比べ7.6%増だった。
 前期(1~3月期)の8.1%増から落ち込み、09年1~3月期(6.6%増)以来、13四半期(3年3か月)ぶりの低さとなった。欧州の財政・金融危機の中国経済への波及が明確になった形で、世界経済の減速懸念が一段と強まりそうだ。
 中国の経済成長率が前期を下回るのは6四半期連続だ。12年上半期(1~6月)の実質成長率は、前年同期比7.8%だった。
 落ち込みの要因は、公共工事や不動産開発、企業の設備投資などを指す「固定資産投資」(都市部)の伸びの鈍化だ。1~6月は前年同期に比べ20.4%増えたものの、11年通年(前年比23.8%増)を下回った。

◎中国でも新型iPad発売へ、商標権訴訟和解で区切り?(2012年7月12日、朝日新聞)
 米アップルは20日から、タブレット端末「新型iPad」を中国でも売り出す。iPadの商標権をめぐり、中国企業と争っていた訴訟が6月末に和解に達し、人気商品を巨大市場に投入できる環境が整った、と判断したとみられる。
 訴訟では、iPadの商標権を以前から持っていると主張する中国企業と、2009年に中国企業から買い取ったと主張するアップルが対立。中国企業側は、09年の取引に本土分は含まれていないと反論し、2年にわたって係争が続いていた。
 このあおりか、アップルは新型iPadを今年3月から日本や米国、香港などで発売したが、中国本土での販売は見送っていた。
 アップルにとって中国は巨大市場であるうえ、生産を委託する数多くの工場を抱える重要な拠点。クック・最高経営責任者が3月に中国を訪問。政府要人とも会見し、解決策を探っていた。和解にあたってアップルは、中国企業に6千万ドル(約48億円)を支払った。

◎中国、ずさんな高層ビル建設相次ぐ、旅客機の視界遮断「取り壊せ」(2012年7月12日、読売新聞)
 中国で2008年に起きた四川大地震の被災地の一つ、四川省綿陽市で建設中の高層ビルが、地方政府を巻き込んだ騒動を引き起こしている。地方都市まで広がる建設ラッシュの無計画性を示す一方、中国の現状は不況を招くとされる“ジンクス”にも符合している。

・不況ジンクスも
 中国メディアによると、問題となっているのは、同市の空港から約2.4キロ離れた地域に建設中の32階建ての商業ビル。4月下旬、離着陸する旅客機の視界を遮ることが判明し、空港は以後、午後6時以降の離着陸を中止している。
 離着陸料の減少で、空港側の損失はすでに1200万元(約1億5千万円)に上る。地方政府は開発業者に上部10階分を取り壊すよう要請したが、業者側は約2年前に市が許可したと反発。都市計画のずさんさが浮き彫りになっている。
 この業者は全土で約50棟の高層ビルを建設、15年までに計120棟まで拡大する計画だ。別の建設大手は湖南省長沙市に地上838メートルの超高層ビルを計画、完成すればアラブ首長国連邦(UAE)のドバイのブルジュ・ハリファを10メートル抜き、世界一の高さとなる。
 高層ビルの建設ラッシュは経済発展の象徴ともいえるが、英国の金融グループ、バークレイズ・キャピタルが今年初め、気になる報告を出している。
 米ニューヨークのエンパイアステートビルの建設が始まった1929年、世界恐慌が発生した。米中枢同時テロで崩壊した世界貿易センターの建設期は、70年代のオイルショックと重なる。ブルジュ・ハリファ建設中の09年に不動産バブルが崩壊した「ドバイ・ショック」は記憶に新しい。
 報告はこれらの事例を挙げ、超高層ビル建設が盛んになると金融危機が訪れると分析。全世界で建設中の超高層ビル124棟の約53%を中国が占める現状を踏まえ、「超高層ビル建設と景気後退の不健全な相関関係は、中国をとらえる可能性が高い」とした。
 13日に発表される第2四半期(4~6月期)の実質国内総生産(GDP)成長率は、3年ぶりに8%を割りこむ見通しだ。計画性を欠く高層ビル建設を続ける中国に、景気後退の影が忍び寄っている。

◎魔法か、中国に世界最高220階建てビル「半年で建設」(2012年7月7日、産経新聞)
 ロンドンの観光名所である時計塔「ビッグ・ベン」が在位60年を迎えたエリザベス女王の功績にちなみ、「エリザベス・タワー」に改称される。「世界的な知られる名称だけど変えていいの?」とびっくりしたが、中国で世界で最も高い838メートルの超高層ビルが計画されているという報道にはもっと驚いた。2012年末までに完成させる。つまり完成までの期間は半年ほどだ。工期が2カ月という報道もある。そんな短期間で本当に大丈夫なの? 

・9日間で4階、15日で30階、今の世界一は6年かけたが
 世界一高い超高層ビルといえば、アラブ首長国連邦のドバイにあるブルジュ・ハリファ。高さ828メートル。現代のピラミッドとも称され、オフィスや高級マンションが入っている。
 それを10メートル抜く超高層ビルの建設が中国湖南省長沙で計画されている。計画しているのは中国の建設大手「遠大集団」。地上220階建てで、名称は「空中城市」。建設費は40億元(約520億円)だ。オフィスや商業施設が入り、年末までに完成させる。わずか半年ほどで超高層ビルができる計算だ。中国紙、東方早報が伝えた。
 実は遠大集団は、短期間の工法での“実績”がある。15日間で30階建てのホテルや9日間で4階建てビルを完成させているのだ。15日間でビルが建つ様子の動画はインターネットで約500万回も再生されているという。
 なぜできるのか。通常、建設現場で行う工事の大半を工場で行い、現場では組み立てるだけ。「モジュール工法」と呼ばれる手法を採用しているためだ。イメージ的にはプレハブを組み立てる要領だ。
 パイプとワイヤを組み込んだ広く、厚い床板を工場であらかじめ製造。それを現場に運び、現場ではそれを組み立て、つなぎあわせる-という仕組み。工場での工程が9割を占めるといい、ロイター通信の取材に対し、現場で働く男性作業員は「すべての作業員は(現場で)ボルトをしっかり固定するという作業が必要なだけだ」と答えている。
 ちなみにブルジュ・ハリファが完成までに要した歳月は約6年。その差は歴然としている。

・プラモ感覚「環境に優しく、コスト削減効果も」
 プラモデルでも組み立てるかのようだが、それにも理由がある。
 ロイター通信が、遠大集団の取り組みを伝えている。創業者の張越氏(52)はインタビューで、2008年の四川大地震が契機になったと指摘。8万7千人以上が犠牲になった地震では、小学校やビルが次々と倒壊したが、その現実をみた張越氏は、より安全で環境にやさしく、災害に強い建物をつくりたいと考えたという。「人間のための安全性と、安心して暮らせる保証。それらは、すべての建物にあるべきものだ」などと述べている。
 遠大集団は1988年に、張越氏が3千ドルを元手に創業。エアコン製造のメーカーで、世界の空港などに採用され、収益が約50億円と飛躍した。とくに張越氏の独創的な事業展開が有名で、アップルの創業者、スティーブ・ジョブズを重ね合わせる人もいるという。
 例えば、環境に配慮した事業展開。前述の男性作業員は「(建設現場には)溶接はない。だから、ちりやほこりも出なし、水も使わない。これは伝統的な建物や従来式の鉄筋コンクリートの建築物ではない」と話す。ロイター通信の記事では、その結果、1平方メートルで約4千元(635ドル)削減効果があり、従来の建築方法より約3割安く建てられるとしている。
 もっとも、これらの取り組みには「危うさ」を感じる。4階建てはまだしも、220階建てで安全なのか。専門家から「常識を超えている」と指摘されているが、建築の素人の「常識」でも想像ができない。ましてやビルには立ち入りたくない…。

・無謀か、英断か
 さて、スケールはグッと小さくなるが、大阪市阿倍野区に建設中の高層ビル「あべのハルカス」は高さが西日本一だ。何より期待されているのは、まちづくりで大阪が活性化されるかどうかという点だ。どんな高いビルやマンションをつくっても、街に対する「波及効果」がなければいけない。
 それは中東の例にも現われている。ブルジュ・ハリファは完成後に世界的な経済危機が直撃。900戸のマンションのうち800戸以上が空き室だとされ、幽霊塔と揶揄(やゆ)されるほど。世界的な注目は浴びたが、成功とも言い難い。
 好景気に沸いた中国でも過剰なほどマンションや高層ビル建築が続く。張越氏も超高層ビルを建築する理由について「土地不足は重大な問題。都市や地球を救うためには空に手を広げるしかない」と指摘する。
 果たして、即席ビルは単なる無謀なのか、それとも未来の街を形づくる英断なのだろうか。

◎QPJ、アジアで事業強化、中国でMCナイロンの生産開始(2012年7月10日、化学工業日報)
 クオドラントポリペンコジャパン(本社・東京都中央区、尾石茂也社長、QPJ)は、アジア市場で事業運営体制を強化する。中国・上海でエンプラ切削素材の供給体制を確立、近く本格生産を開始する。また販売面では、中国で営業要員を増員するほか、新たにタイに販売員を配置する。クオドラントグループのアジア中核会社として、供給および販売体制の整備・拡大を急ぐことで、同市場でのプレゼンスを高めていく。

◎物価下げでも賃金高騰、「中国は共産国家」工場脱出トレンドに(2012年7月6日、産経新聞)
 「物価上昇と比較しても最低賃金が上がりすぎている」。北京市内に事務局を置く中国日本商会が先月、日系企業が中国で直面している問題点や中国政府への要望などをまとめた白書「中国経済と日本企業」の中で、賃金高騰傾向に強い懸念を表明した。
 中国政府は今年、消費者物価指数(CPI)上昇率を年間で4%以下にする目標を掲げ、不動産売買の規制など物価抑制策を進めている。「通年では3%を切って2%台まで下がる可能性がある」との見方が関係者の間に広がっている。
 だが中央直轄市や省、自治区の省レベル行政区で定める今年の法定最低賃金の上昇額や、賃上げの目安となるガイドラインの上昇率は軒並み2桁の賃金アップ。天津市や新疆ウイグル自治区は賃上げ率が16%と最も高かった。最も低い北京市で11.5%、上海市も12%などと過熱ぎみだ。
 かつて「世界の工場」である中国に生産拠点を移した外資企業は、13億という人口に裏打ちされた豊富で安価な労働力「チープレーバー」に最大の魅力を感じていたはずだ。だが数千人、数万人を雇用する労働集約産業の場合、最低賃金の2桁上昇は、勤続年数の長い従業員や中間管理職も含むトータルな人件費アップで考えると、「年間利益も吹き飛ばしそうな厳しいコスト負担」(日系電子部品メーカー幹部)となって経営にのしかかってくる。
 高度経済成長期の日本で賃上げの根拠とされた物価上昇。中国でもCPIが6%を超えたタイミングでは根拠になったが、物価の下降局面では都合良く無視され、企業業績や景気動向に一切関係なく、政府方針で一方的に賃上げが決まる構図がある。「ここが共産主義国家であることを改めて思い知らされた」とため息をつく関係者も少なくない。
 もっとも、日系企業も中国の賃金高騰に手をこまぬいているだけではない。「賃金上昇はいつかは来ると考えてきた。2つの対応策がある」と話すのは電子機器メーカーの上海法人社長。まず販売価格の安い製品はベトナムやインドネシア、フィリピンの工場に相次ぎ生産ラインを移す。中国からの工場脱出は、すでにトレンドにもなりつつある。
 賃金上昇の流れが続けば中国の消費者の可処分所得も中期的に引き上げられることになる。事実、ここ数年の購買力は確実に存在感を増してきた。「中国の巨大な消費市場のニーズにマッチし、利幅も大きい製品を中国で生産する戦略はむしろこれからが本番だ」と社長は自信をみせた。人件費高騰という問題をむしろ逆手に取ってビジネス拡大に結びつけるしたたかさがある。所得倍増、4倍増が目前に迫る中国でのビジネスで「購買力」こそが最大の関心事になってきた。
 「世界の工場」から「世界の市場」への変容が指摘される中国。その潮目が透けてみえる。

◎売買目的の児童誘拐グループ800人拘束、中国公安当局、児童181人救出 (2012年7月6日、産経新聞)
 6日の新華社電によると、中国の公安当局は2日、売買目的の児童誘拐グループの一斉摘発に乗りだし、容疑者802人を拘束、被害に遭った児童181人を救出した。容疑者の中には児童100人以上を売ったとして重要指名手配されていた容疑者1人も含まれるという。
 一斉摘発には河北省や山東省などの計15の公安当局に所属する警察官ら1万人以上が関わり、2つの児童誘拐グループを壊滅に追い込んだ。
 中国では、売買目的の児童誘拐が社会問題化しており、公安当局が取り締まりを強化している。

◎ドーピング怖く肉が食べられない、中国選手団が食品汚染懸念(2012年7月5日、産経新聞)
 ロンドン五輪に出場する中国選手団に、中国社会に蔓延する「食品汚染」の影響が降りかかっている。ドーピング(禁止薬物使用)検査で陽性反応が出ることを懸念する選手団が肉を食べることを自粛。“ベジタリアン化”によって、実力を発揮できない可能性が指摘されている。
 このほど、浙江省寧波市で行われたバレーボール女子ワールドグランプリで、中国は1勝4敗の5位に終わった。最後の米国戦、中国は第1、2セットでいいプレーを見せながらも後半息切れ。最終セットでは数人の選手が足のけいれんを訴える事態に陥った。
 兪覚敏監督は「選手は3週間も肉を食べていなかった。本拠地以外の中国国内で試合をするときは(禁止薬物の)クレンブテロールが怖くて肉を食べない。それが持久力に影響した」と釈明した。中国メディアによると専門家も「激しい練習や試合をするには牛や羊、豚の赤身に含まれる動物性タンパク質を十分に摂取しなければならない」と影響を認めた。
 「クレンブテロール」とはもともと、ぜんそく治療薬として開発された物質だ。筋肉増強効果があり、国際オリンピック委員会(IOC)をはじめ、多くの競技団体が禁止薬物に指定している。近年では、自転車ロードレースのツール・ド・フランスで、陽性反応が出たスペインの選手、コンタドールが優勝を剥奪され、2年間の資格停止処分を受けた。「食べた肉に含まれていた」と弁明したが、認められなかった。
 一方、赤身肉が好まれる中国では、クレンブテロールは「痩肉精」と呼ばれ、特に赤身肉の“偽装”に広く使われている。出荷の10~20日前にブタに投与すると赤身が激増するという。
 人間が過剰摂取した場合、動悸やめまい、手の震えなどが出る。約10年前には広東省で数百人規模の中毒事件が続発したこともある。このため、当局が使用を規制しているが、赤身が増すと売値が脂身肉の4倍近くになるため、飼育業者は利益を優先させている。
 最終調整の間、選手には国家体育総局の指定農場で飼育した安全な豚肉が提供されるというが、ずさんな食品管理を元凶とする“肉不足”が障害となり、中国が金メダル数1位の座から転落するかもしれない。

◎中国、2か月連続利下げ、経済の減速感増す(2012年7月5日、読売新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は5日、政策金利である法定貸出金利と預金金利を6日から引き下げると発表した。
 6月8日に約3年半ぶりの利下げに踏み切ったのに続き、今年2回目となる。
 主な輸出先である欧州の財政・金融危機を背景に中国経済は減速感が増しており、利下げにより景気の腰折れを防ぐ。
 1年物の場合、貸出金利は0.31%引き下げて6%、預金金利は0.25%引き下げて3%になる。5月の消費者物価指数(CPI)は3%と高止まりしており、一般消費者の不満を緩和するため、預金金利の下げ幅を小さくしたとみられる。
 また、人民銀は、各金融機関が貸出金利を法定金利の0.7倍まで自由に設定できるとし、これまでの0.8倍からさらに金利設定の自由度を高めた。特に資金繰りに苦しむ中小企業に配慮した。」

◎ウイグル暴動3年、武装警官増員で抗議抑え込み(2012年7月5日、読売新聞)
 中国新疆ウイグル自治区ウルムチの大規模暴動から5日で3年。
 地元当局は同日、暴動の現場となった観光地の国際大バザールや人民広場などで自動小銃を持つ武装警官を増員し、抗議行動の発生を抑え込んだ。
 ウイグル族の居住区でも警察車両が不審者を警戒して頻繁に巡回。道路の検問では、ウイグル族運転手を重点的に取り調べていた。

◎経済全面衰退の兆候(2012年7月5日、産経新聞)
 去る6月、中国の国内外から伝わった経済ニュースの多くは、この国の経済衰退を如実に示している。
 まずは6月21日、英系金融機関のHSBCが中国の6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表したが、それは前月比0.3ポイント低い48.1だった。景気の良しあしの分かれ目となる同指数が50を下回るのは8カ月連続で、指数としては昨年11月以来の低い水準となったという。
 そして29日、今度は国家統計局の発表によって、今年1月から5月までの全国一定規模以上の工業企業の利益が前年比2.4%減と連続4カ月のマイナス成長となったことが判明したのである。
 産業の景況悪化は別の情報によっても裏付けられる。電力消費量の大幅な低減である。国家統計局が発表した今年4月の全国の発電量は前年比0.7%増だが、それは1月の9.7%増から大幅に落ちた。英字紙ヘラルド・トリビューン紙は6月25日付の紙面で、基幹産業が集中する有数の工業ベルト地帯である江蘇省と山東省の電力消費量が前年比10%以上も激減したと報じている。
 筆頭副首相の李克強氏はかつて、中国の経済動向を見るのに電力消費量の変化が最重要な指標であると語っているから、彼の見方からすれば中国経済が衰退していることは確実である。
 経済衰退の兆候は別の方面でも表れている。シンガポールの聯合早報が、中国本土からの観光客がシンガポールや香港でブランド品や高級住宅、美術品などを買いあさるといった高級品の消費ブームが下火となったと報じたのは5月31日のことだ。
 6月23日のマカオ政府の発表によると、5月に中国本土からマカオを訪れた人は前年同月比4.2%減で、約3年ぶりに前年同月を下回ったという。経済の衰退に伴って、「金持ちの中国人観光客」というのは徐々に過去のものとなりつつある。
 これまで中国経済は主に、対外輸出の拡大と国内固定資産投資の拡大という「2台の馬車」で高度成長を引っ張ってきたが、この成長戦略が今や限界にぶつかっていることが経済衰退の主因であろう。
 例年25%以上の驚異的な伸び率で拡大してきた対外輸出の場合、今年1月から5月までの伸び率が8.7%増に止まり、過去のような急成長はもはや望めない。
 一方の固定資産投資の拡大に関して言えば、6月28日、経済参考報という経済紙が「資金不足ゆえに複数の国家的事業としての鉄道建設プロジェクトが中止・延期されたまま」と報じている。「ハコモノ造り」で成長を維持していくという戦略自体がすでに限界を迎えていることがよく分かる。
 こうした中で、中国経済の全面衰退は明確な趨勢となってきている。6月25日、中国の各メディアが伝えたある政府高官の発言は実に興味深い。全国の国有企業を監督する立場にある国有資産管理局の副主任にあたるこの人物は最近、国有大企業の経営者たちに向かってこう語ったという。
 曰く、連続30年以上の高度成長を続けてきたわが国の経済は今、長期的な「緊縮期」に入ろうとしている。国有大企業は今後、「3年から5年間の厳冬期」に備えなければならない、という。
 おそらく国有企業だけでなく、中国経済全体がこれから「厳冬期」を迎えることになるだろう。ただしそれは果たして「3年から5年」の短期間で終わるものであるかどうか、それこそ問題なのである。

◎中国での「iPad」商標権訴訟、6000万ドルで解決(2012年7月4日、産経新聞)
 アップルは、中国での「iPad」の商標権を持つ台湾のProview Electronics(唯冠科技)社に、6,000万ドルを支払って商標権を確保することに同意した。これにより、ついに中国でiPadが発売される可能性が出てきた。
 中国の裁判所の判決によると、アップルは台湾のパソコンメーカーProview Electronics(唯冠科技)社に対し、中国における「iPad」の商標権を確保するために6,000万ドルを支払うことに同意したという。
 これにより、第3世代のiPadの販売が中国で開始される可能性が出てきた。iPadは、当局からの販売認可を受けているにもかかわらず、中国ではまだ発売されていない。
 Proview Electronics社は、2006年にiPadの商標権をアップルに55,000ドルで売却することに同意した。Proview Electronics社はこの商標を2000年に台湾で、そして2001年には中国でも登録していたが、アップルがiPadの商標権を確保したのは台湾においてだけで、それも英国を本拠とするIpapplication Development社という会社を通してのことだった。
 中国では、iPadの商標は現在もProview Electronics社の関連子会社であるProview Technology社が所有しており、同社の複数の製品で使用されている。現在、経営難に陥っており、破産に直面しているProview Electronics社が、この件についてアップルに対する訴訟を最初に始めたのは2010年のことだ。
 Proview Electronics社は今年2月、アップルに対して商標侵害の補償を求めた(日本語版記事)。同社は中国においてiPadの販売を禁止することを要求し、さらに最高16億ドルの補償金と謝罪を求めた。
 6,000万ドルという支払いは、アップルにとってはわずかなものだが、残念ながらこの金額によってProview Electronics社がその金銭的ブラックホールから抜け出すことにはならない。同社の負債額は1億8,000万ドルだとされている。

◎中国の四川大地震被災地で住民ら暴動、復興案件に不信感、鎮圧で催涙ガス(2012年7月3日、産経新聞)
 中国で2008年5月に起きた大地震の被災地、四川省什●(=方ヘンにおおざと)市で1日から、環境破壊を懸念する住民ら数千人が金属工場の建設に反対して抗議活動を行っており、3日も鎮圧部隊とのにらみ合いが続いている。同市当局が2日、建設中止を決めたが抗議活動は収まらず、警官隊が催涙ガスを発射し、住民十数人が負傷した。工場建設は震災復興の重点プロジェクトだったが、震災以後、住民に募っていた当局側への不信感が爆発した。中国版ツイッターでの呼びかけに応じ住民らが市当局の庁舎前に集結し、一部は庁舎内のガラスを割ったり公用車を破壊したりするなど暴徒化している。

◎自治区元副主席に無期懲役、中国、1億円超の収賄(2012年7月2日、産経新聞)
 中国国営新華社通信によると、北京市第1中級人民法院(地裁)は2日、収賄罪に問われた内モンゴル自治区の劉卓志元副主席に無期懲役と政治的権利終身剥奪などの判決を言い渡した。
 判決によると、劉元副主席は2002年から10年まで、職権を利用して一部企業に便宜を図った見返りに817万元(約1億円)以上の賄賂を受け取った。

◎「空気を読む」中国人には期待しない、通訳をうまく使う決め手とは(2012年7月2日、産経新聞)
 これまで通訳を使いこなすテクニックについて連載してきた。今回はその「まとめ」である。通訳が訳しやすいように話すには、どうしたらいいか。結論は「自分の考えをしっかり主張する」ことに尽きる。しかし、しっかり主張するためには「主張すべき考えをしっかり持つ」ことが重要だ。
 中国人は自分の考えをはっきり主張する。大きな声で話す。時には眉間にしわを寄せ、まるでけんかをしているかのように話す。他人の意見に耳を傾けず、機関銃のように一方的に自分の主張をしゃべりまくる中国人もいる。
 こうした様子にはいつも圧倒されるが、「イエス」は「イエス」、「ノー」は「ノー」と明確に主張するのが中国流だ。
 一方、日本では「主張する」ことよりも相手の立場や気持ちを考えて「譲り合う」ことを尊重する。互いに譲り合い、どこかで折り合いをつけながら、落としどころを探す。そのために議論をする。
 日本語に「空気を読む」という言葉がある。相手が口に出さなくても、相手の言いたいことや期待していることを察する。相手にもこちらの考えを悟ってもらうことを期待する。物事をはっきり言うより、雰囲気を感じ取って察してもらうことが重要なのだ。日本人同士なら、言葉にしなくても互いに理解できる価値観などがあり、多少曖昧な言い方をしても話が通じる。
 しかし、これを中国人に期待すべきではない。まして、通訳を介してコミュニケーションを図る場合、微妙なニュアンスをうまく伝えるのは、とても難しい。仮に通訳が巧みにそういうニュアンスを出しても、それが中国人にはっきり伝わるかどうか。日本側の真意が中国側に伝わらないことも多いだろう。中国側の誤解を招かないためにも、「イエス」は「イエス」、「ノー」は「ノー」と明確に伝えるべきである。
 時には主張と主張がぶつかり合って激論を戦わせることになったとしても、議論を尽くすことで結果的には結論(妥協点)を見つけ出しやすくなる。
 通訳を使うときは、通訳が訳しやすい表現をする、短く区切って話す、結論から先に告げる、曖昧な表現は避ける、主語を明確にする、カタカナ英語に注意するなど、これまで取り上げてきた注意点を意識しながら話すことを心がけていただきたい。次回からは「中国人との交渉術」について連載で取り上げていきたいと思う。ご期待を。

◎中国「世界最大の流通センター」、消費失速に官製メディア“テコ入れ”も(2012年7月2日、産経新聞)
 「世界最大の雑貨流通センター」とも呼ばれる日用品雑貨卸売市場のある浙江省義烏市について、新華社が現地ルポを伝えている。中国市場でも消費に失速感が鮮明になる中、官製メディアがテコ入れに乗り出したようだ。
 流暢な中国語で雑談をしながら注文書にサインをするインド商人のニックさん。以前は貿易会社の駐在員として広州に住んでいたが、義烏に移って9年になる。「義烏に来たのは、(義烏の方が)市場規模が大きく品ぞろえも豊富だから」という。
 ニックさんのように義烏に駐在するインド商人は1000人を超える。統計によると、2012年1~5月、ビザと居留許可証を所有するインド人は1178人、入国者は延べ1万3311人。イランや韓国を抜いて1位に躍り出た。
 豊富な種類で大量に買い付けができる義烏の日用品雑貨卸売市場は、1日平均21万人のバイヤーでにぎわう。
 義烏市工商局の最新統計によると、12年5月現在、義烏には、外国商社の事務所が2996社、外資系企業が381社、外資との提携企業が710社あり、義烏に常駐する外国人は2万人を超えるという。
 世界中からやってきたビジネスマンたちは、この町の生活に溶け込んでいる。市場の近くの義駕山社区や市内東部の鶏鳴山社区には、中東諸国の人たちが居住、東洲花園小区は韓国人が多く暮らしている。
 外国人居住区のそばには、本国の味を提供する飲食店が軒を連ねる。中東の人々でにぎわう「中東街」は、外国人ビジネスマンが集う最大の社交場だ。本場のインド料理や韓国料理の店も散在。商人たちの快適な暮らしを支えている。
 ビジネス環境も快適さを増している。国際貿易サービスセンターは、毎日1000人を超えるさまざまな国のバイヤーに、情報を提供する。
 義烏市渉外サービスセンターの陳林端主任によれば、今年初めに市政府が設立した渉外サービスカウンターは、市の公安局、人材社保局、商務局など7部門98項目の渉外サービスを提供しているという。
 「あちこち行かなくても、1カ所で何でもできる。サービスが充実してきた」。あるインド商人は満足そうにこう話す。
 しかし、義烏にはリスクも存在する。長い間行われてきた掛け売りは、法律による契約保障が不十分だ。本国の不安定な政局や国際経済の動向といった要因の影響で、外国人が支払いを済ませないまま出国することもある。
 こういった問題に対処するため、市公安局経済案件偵察大隊は10年から、市場と共同で「義烏経済案件警報ネットワーク」を設立。同大隊の●衛東中隊長は「取引の過程で問題が発生した場合や、代金が正常に支払われない場合、ネットワークに書き込みをすれば、すぐに警察が介入。逃亡や詐欺の危険がある商社に対して警告にもなる」という。これまでに28件の特大契約の詐欺事件を解決し、8000万元(約10億円)超の損失を回収している。
 ●=龍の下に共

◎ベトナムで反中デモ、南シナ海資源開発に反発(2012年7月2日、読売新聞)
 ベトナムの首都ハノイで1日、南シナ海の領有権を争う中国に抗議する市民のデモがあった。
 ハノイでの反中デモは昨年8月以来。
 中国の国有企業・中国海洋石油(CNOOC)が6月23日、ベトナムが排他的経済水域と主張する海域で、外国企業の資源開発参加を募る入札計画を発表したことなどに反発したもので、約100人が参加した。
 デモ隊は、中国大使館を目指して行進したが、数百メートル手前で警官隊に阻まれ、解散した。参加者の女性は「中国に対する怒りを表明することは、国民の義務だ」と語った。
 越国会は6月21日、南シナ海の領有権を定めた海洋法を可決。中国はその直後に石油開発計画を発表し、越政府が「入札は違法だ」と反発していた。

◎香港の中国返還15年、民主化訴え40万人デモ(2012年7月2日、読売新聞)
 香港が中国に返還されて15年を迎えた1日、香港島で胡錦濤(フージンタオ)国家主席らが出席し、記念式典が行われた。
 香港トップの行政長官就任式も行われ、親中派の実業家、梁振英氏が就任した。一方、民主派団体は同日午後、中国の民主化や香港への直接選挙早期導入などを訴えるデモを行い、主催者発表で約40万人が参加した。

◎返還15年の香港でデモ、人権状況改善など求め(2012年7月1日、読売新聞)
 1日に中国返還15周年を迎える香港で30日、中国の人権状況改善などを求める民主派主催のデモが行われ、立法会議員や市民約1000人が参加した。
 デモ隊は、15周年記念式典に合わせて香港入りした胡錦濤(フージンタオ)・中国国家主席が滞在するホテル近くで気勢を上げ、一部がバリケードを突破しようとして警官隊との小競り合いになり、警官隊が催涙スプレーを使用した。
 香港では毎年、返還記念日に民主派がデモを行っている。今年は湖南省で6月に起きた民主活動家・李旺陽氏の変死事案を受け、中国当局の関与を主張する民主派などが胡氏訪問に合わせ、疑惑解明を求めた。
 デモを主催した民主派の代表は「一人の人間の死の原因が明らかにされない社会は異常だ。胡氏には徹底究明を求める」と語った。

◎違法建築問題で揺れる香港政界(2012年6月30日、産経新聞)
 7月1日の香港返還15年を前に、香港政界が揺れている。香港政府トップの行政長官に就任予定の梁振英氏(57)に、自宅の違法建築疑惑が噴出したためだ。3月の行政長官選では、梁氏の対抗馬だった唐英年氏(59)が同じく自宅の違法建築疑惑で失速し、梁氏の勝利につながったとされる。民主派からは、梁氏の自発的な就任辞退や選挙の無効を求める動きが出ている。

・シロアリが原因?
 梁氏の違法建築疑惑は、地元有力紙、明報が6月20日に報じたスクープ記事で発覚した。香港の夜景を見下ろせることで有名なビクトリアピークの高級住宅地にある梁氏の自宅に、1999年の購入時にはなかったサンルーム(約10平方メートル)が届け出無しに増築されており、建築物条例などに違反しているというのだ。同紙によると、自宅は建屋の総面積が370平方メートルで、約900平方メートルの庭と約90平方メートルのプール付き。購入価格は6600万香港ドル(約6億6000万円)の「極めてまれな豪邸」だという。
 梁氏は翌21日、サンルームは「もともとあった『花棚』がシロアリの害を受けた」ため、金属とガラスの構造物で改造しただけで、「届け出が必要だとは知らなかった」と釈明した。
 だが、英BBC放送(中国語版)などによると、香港の建築当局が22日に調査に入ったところ、サンルームに加え、地下倉庫など計6カ所約55平方メートル分の違法建築が見つかった。梁氏は「いずれも購入前からあったものだ」と釈明した上で「不注意」を謝罪し、25日に違法部分の取り壊しを開始した。
 これに対し、立法会(議会)の民主派議員らは「建築測量士出身の梁氏が違法建築に気付かないはずがない」と反論。明報がさらに、航空写真を分析した結果、購入時に「花棚」はなかったと明らかにしたことで、梁氏の釈明は「民衆を騙す発言で、行政長官の資格がない」との強い批判を招いており、一部には就任辞退を求める声も出始めた。
選挙戦の“争点”にも
 そもそも香港政界で「違法建築」が注目されたのは、今年3月の行政長官選だ。事前に親中派候補が一本化されていた前回までと異なり、唐氏と梁氏の2人が立候補する異例の選挙となった。
 当初は香港政府ナンバー2の政務長官だった唐氏が最有力とされていたが、届け出直前の2月上旬になり、妻名義の自宅に約200平方メートルの地下室を違法に建築していた疑惑を裏付ける報道が出た。疑惑自体は前年から報じられていたが、ジムや映画鑑賞室などを備えた「地下宮殿」の存在が発覚した上、記者会見で「妻の意向だった」などと責任を妻に押しつけたこともあり、世論調査での支持率は急落。中国の温家宝首相も3月14日、「多くの香港人が支持する行政長官」が選出されることへの希望を表明した。行政長官選は間接選挙のため、中国の意向が強く働くとされる。梁氏は同25日の投票で勝利を収めた。
 一方、梁氏は昨年5月、一部メディアを自宅に招待し、違法建築がないことを強調していた。民主派の議員らは、梁氏が選挙中、自宅の違法建築を知りながら隠していたとすれば、「選挙違反に当たる」と主張。選挙結果の見直しや再選挙を求める法的措置も検討している。
 英BBC放送は6月27日、汚職取締を担当する廉政公署が捜査を開始したとする民主派の発言を伝えている。梁氏が7月1日に行政長官に就任した後も、混乱は続きそうだ。

◎国連が北朝鮮制裁報告書を公開、中国の武器輸出関与指摘(2012年6月30日、朝日新聞)
 国連は29日、安全保障理事会の北朝鮮制裁決議の履行状況をまとめた専門家パネル(委員団)の年次報告書を公表した。公表は2年ぶり。北朝鮮の武器違法輸出などに中国が関与していることを指摘している。中国は公表に消極姿勢を見せていたが、国際社会の批判の高まりを受けて、容認に転じたとみられる。
 公表後、中国の国連代表部の外交官は朝日新聞の取材に「報告書は根拠が弱く、報道に依拠しすぎている。中国が満足できるものではない」と述べた。
 報告書は5月に完成し、安保理の全15理事国には配布済みだった。ただし、一般公表には全理事国の同意が必要で、安保理関係者によると、中国が慎重姿勢だったため、この日まで延期されていたという。

◎重慶の王前副市長、全人代代表の資格停止、新華社報道(2012年6月30日、朝日新聞)
 中国国営の新華社通信は30日、国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会が、重慶市の王立軍・前副市長の全人代代表の資格を停止したと伝えた。王氏は、薄熙来(ポー・シーライ)氏をめぐる一連の問題が表面化するきっかけとなった人物。不逮捕特権がある代表を外れたことで、王氏の逮捕や起訴に道が開かれた形だ。
 王氏は重慶市トップだった薄前書記の腹心だったが、薄氏の妻の関与が疑われている英国人殺害事件を巡って薄氏と対立。2月に四川省成都市の米国総領事館に駆け込み、中国の国家安全省に拘束されて党当局の取り調べを受けている。

◎米総領事館駆け込みの王立軍氏の腹心を解任、重慶市(2012年6月30日、朝日新聞)
 中国重慶市は28日、王鵬飛・市公安局渝北区分局長を免職とする処分を発表した。王氏は2月に米国総領事館に駆け込んだ王立軍・元副市長の腹心。王立軍氏を巡る事件の調査が進み、関係者の処分が始まった可能性がある。
 重慶市関係者によると、王鵬飛氏は市公安局長だった王立軍氏に引き抜かれる形で2010年に遼寧省盤錦市公安局から重慶に赴任。王立軍氏が市トップの薄熙来(ポー・シーライ)書記と対立し、四川省成都市の米国総領事館に駆け込んだ際、車両を提供するなどした疑いで取り調べを受けていたという。
 薄氏の妻の関与が疑われている英国人殺人事件の捜査を指揮したとの情報がある市公安局刑事警察総隊長も免職された。

◎中国深センでも労働者暴動 警察と2千人衝突(2012年6月29日、産経新聞)
 中国広東省深●(=土へんに川)市竜崗区で28日、江西省出身の住民らを治安当局者が殴ったことをきっかけに、同郷の出稼ぎ労働者ら約2千人と警官隊が衝突、10人が負傷した。香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターが29日、伝えた。
 同センターによると、28日午後、マージャンをしていた江西省出身住民4人を治安当局者が職務質問した際に殴り、不満を抱いた同郷の労働者らが集結。警官隊が派遣されたが、労働者らは警察車両を破壊するなどしたという。
 広東省では最近、中山市沙渓鎮でも、四川省出身の出稼ぎ労働者らによる騒乱が起きている。

◎英国人殺害容疑の薄氏妻の金銭保管か、カンボジア逮捕の仏建築家(2012年6月28日、産経新聞)
 中国重慶市トップを解任された薄煕来氏と親交が深く、カンボジアで逮捕されたフランス人建築家、パトリック・ドビレ氏について、カンボジアのキュー・カナリット情報相は27日、「薄氏の妻のために金銭を保管する立場にあった」と述べた。ロイター通信が28日までに伝えた。
 薄氏の妻、谷開来容疑者は、英国人ビジネスマン、ニール・ヘイウッド氏を殺害した容疑がもたれている。海外の中国語ニュースサイトなどはこれまでに、谷容疑者が多額の資産を海外に持ち出したと報道。ヘイウッド氏は資産の海外移転計画を暴露すると脅迫したため、谷容疑者に殺害されたとも伝えられている。
 ロイターによると、情報相は、ドビレ氏から事情を聴くため、中国が裁判官を派遣する可能性があるとも述べた。

◎老いた親を大事に!「帰省」義務化を議論、高齢化対策で中国(2012年6月27日、産経新聞)
 中国で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は27日までに、年老いた親と離れて暮らす子供に定期的に帰省するよう義務付ける「高齢者権益保障法」改正案の議論を始めた。
 中国で高齢化が急速に進む中、老人の孤独死などの問題を解消するのが狙いだが、本来自発的であるべき親孝行を法律で規定することに否定的な見方も出ている。
 27日付の中国各紙によると、改正案では「高齢化への対応は国の長期的な戦略課題」と明記。高齢者を無視したり冷たく接したりすることを禁止し、高齢の親と別居する子供らに対し、定期的に訪問することなどを求めている。
 中国の2011年末の60歳以上の高齢者人口は1億8499万人で、総人口に占める割合は13.7%。15年末までに2億2100万人に達すると見込まれている。

◎モノまね文化から脱却、「中国版ハリウッド構想」始動(2012年6月27日、産経新聞)
 江蘇省無錫で独自の映画産業を育成する国家プロジェクト「中国版ハリウッド構想」が始動した。製鉄所跡地に100億人民元(約1250億円)をかけて撮影や編集、特殊技術のスタジオを建設。一般にも開放する映画村「無錫国家デジタル映画産業園」として来月オープンする。映画の世界でも主流になったデジタル映像技術を集積し、創造性を高めてモノまね文化から脱却するのが狙いだ。
 「全世界で1年間に封切られる映画の70%はデジタル映像技術を多用する時代になった」。建設工事が進む映画村で産業園の金衛副総経理(副社長)は「デジタル映画産業」にこだわった理由をこう説明した。
 俳優の演技や原作、撮影技術などが重要な実写版の映画では、日米欧の水準になかなか及ばない中国。だが、CG(コンピューターグラフィックス)など、最新の映像技術では「勝負できる」(金氏)という読みがある。
 中国国家ラジオ映画テレビ総局と江蘇省政府がまとめた計画では、6平方キロの敷地に内外から約900社を誘致。3年後には撮影から編集、完成まで3万人が働く映画村に育成する。
 北京大など4大学と映像技術の人材育成拠点も設けた。一般向けに10カ所の映画館も併設するなど、総合的な映画村として「中国版ハリウッドをめざす」(金氏)と意気込んでいる。
 中国紙、法制日報によると、昨年の中国における映画の入場券収入は20億7千万ドル(約1646億円)で米国の102億ドル、日本の23億6千万ドルに次いで世界3位の規模。巨大な国内市場とデジタル技術をテコに実力をつけ、「メードインチャイナ」で海外市場を席巻する作戦。ただ、独創性をどう確保するかは「これからの課題」(同)だ。
 中国共産党は昨年10月の第17期中央委員会第6回総会(6中総会)で、「文化体制改革の深化と社会主義文化の発展と繁栄に関する決定」を採択。中華文化の影響力を拡大する「文化強国」の方針を決めた。デジタル映画産業もその一翼を担うことになりそうだ。

◎企業機密の設計図面を中国企業に流出? 産業スパイの可能性も、川崎市の大手機械メーカー元課長ら逮捕(2012年6月20日、産経新聞)
 プレス機械の図面データを中国企業に流出させたとして、神奈川県警は20日、不正競争防止法違反容疑で、川崎市中原区にある国内大手のプレス機械メーカー元課長、古谷政一(48)=川崎市高津区末長=と、会社役員の井上文明(57)=同県横須賀市武=の両容疑者を逮捕した。県警によると、古谷容疑者は容疑を認め、井上容疑者は「データを持ち出していないし、開示していない」と否認している。
 県警の調べによると、古谷容疑者は平成21年11月、会社貸与のパソコンで同社サーバーにアクセスし、企業機密の図面データ258個をハードディスクに複製し、不正に取得。古谷容疑者はCD-ROMに記録した図面データを井上容疑者に渡し、井上容疑者が競合関係にある中国の大手プレス機企業に郵送するなどして機密を漏洩した疑いが持たれている。
 県警によると、データは自動車用エンジン部品などを作るプレス機の設計図面だった。井上容疑者は中国企業から約500万円、古谷容疑者は井上容疑者から約124万円の報酬を受け取ったとみられ、県警は産業スパイの可能性もあるとみて調べる方針。

◎中国・広州でアフリカ人がデモ、不審死が引き金、不法滞在急増、資源外交の“副作用”(2012年6月24日、産経新聞)
 中国広東省広州市で先週、警察署で取調中のナイジェリア人男性が突然死したことをきっかけに、アフリカ人住民による抗議行動が起きた。中国に不法滞在するアフリカ人は年々、増加し、中国社会との軋轢も隠せない。アフリカ諸国において中国政府が展開する資源外交の“副作用”が顕在化している。
 中国国営新華社通信などによると、18日午後、ナイジェリア人男性が電動自転車タクシーの料金をめぐって、中国人運転手と殴り合いになった。駆け付けた警官が警察署に連行し、取り調べていたところ、男性が突然、昏睡状態に陥り、死亡したという。
 この情報は瞬時にアフリカ人社会に広がった。19日午後、大勢のアフリカ人が、英語と中国語で「遺体を引き渡せ」と書かれたプラカードなどを手に警察署を包囲。抗議行動は約2時間続いた。新華社は参加者を「100人以上」と報じたが、インターネット上に流された写真では、数百人規模に膨れあがっていた。
 広州市当局の統計では、現在、正式に住民登録しているアフリカ人は約2万人とされている。実際には在留期限が過ぎた後も居座っているアフリカ人が多く、その数は10倍の約20万人とも言われている。
 経済発展を支える資源の確保を進める中国は、アフリカ諸国と友好関係を構築。多くの留学生などを受け入れてきた。安価な中国製衣料品などの売買でもうけようと、卒業後も中国に残ったり、滞在期間30日の査証(ビザ)で入国後、居座る例が後を絶たない。
 2003年以降、広州のアフリカ人は前年比30~40%増の勢いで増えている。特に工場が集中する広州は“人気”が高い。市内にはアフリカ人店主の小店舗がひしめく市場ができている。それに伴い、傷害や婦女暴行、麻薬密売などが増加しているといい、アフリカ人を「チョコレート」と蔑視し、混血児の増加を苦々しく思っている中国人も少なくない。
 今秋の共産党大会に向けて、当局はビザの厳格化や不法滞在の摘発を強化する方針を打ち出している。民族問題を扇動する外国勢力の流入を防ぐ狙いがうかがえるが、不法滞在のアフリカ人もひとごとではない。“賄賂”が通用しなくなり強制送還が増えれば、新たな衝突が起こりかねない。中国外務省も男性の死について「法に従った厳格な調査」を約束するなど状況を注視している。

◎薄氏の妻、殺人容疑認める、「不正送金の口封じ」(2012年6月22日、朝日新聞)
 中国重慶市の共産党委員会書記だった薄熙来(ポー・シーライ)氏(62)の妻で、英国人男性を殺害した疑いで拘束された谷開来(クー・カイライ)容疑者(53)が、党当局の調べに対し、殺人容疑を認める供述をしていることがわかった。谷容疑者は当時、海外への不正送金疑惑で当局の調査を受けており、送金にかかわった英国人を口封じのために殺した、と説明しているという。
 胡錦濤(フー・チンタオ)党総書記の秘書室にあたる党中央弁公庁がこのほど、捜査の中間報告書をまとめ、幹部らに通達。これを読んだ複数の党関係者によると、当局は自供を受け、谷容疑者を起訴する方針を固めた。同時に、薄氏が谷容疑者の行為を把握していたかどうかなどについても調べを始めたという。
 党関係者によると、谷容疑者は中国北部の政府関連施設に拘留され、調べを受けている。英国人実業家ニール・ヘイウッド氏(当時41)の殺害について、「精神的に追いつめられて犯行に及んだ」と供述し、具体的な殺害の状況についても説明しているという。

◎中国人従業員に挨拶もしない日本人幹部たち、隠れた「チャイナリスク」とは(2012年6月18日、産経新聞)
 対中進出した日系企業が訴えるトラブルは、ヒト、モノ、カネのあらゆる面にわたる。そんな「チャイナリスク」の中でも急増中なのが「盗難リスク」という。被害に遭って通報はしても、失敗例として社外に公表することなど、なかなかできない。そこで、いくつか実例をご紹介しよう。
 中国で20年近く警備や防犯業務を手がけている上海セコムの山口忠広最高顧問は「警備員リスク」を指摘する。ある日系企業の工場内から盗まれた重さ数百キロの金属素材は、堂々と正門からトラックで持ち出されていた。警備員が窃盗犯を手引きしたのは明白だが、こうしたケース以外にも、工場内の鍵を複製して窃盗犯に売る、企業秘密の書類を深夜にコピーして売りさばくなど警備員が犯罪に手を染めるケースが多い。
 「性善説」で考える日本人は、純朴そうな地方農村出身の警備員がまさか、自ら犯罪に走るとは想定していないらしい。
 警備員に限らず、中国での企業被害の多くは「内部犯行」にあるという。「営業職の採用面接をすると、以前の勤務先では企業秘密に属する顧客リストをそっくり“手土産”として持参する応募者が少なくない」と山口氏はいう。わずかな賃金アップであっても転職を決断することに何のためらいもない。
 手土産持参の社員を雇用すればいずれ、その内部犯行の被害に遭うのは自分たちだ。高度な技術やノウハウの詰まった設計図を持ち出した退職者が、別に会社を作って同じ製品を売り出すといった事例も枚挙にいとまがない。「外部から侵入した形跡のない内部犯行の被害の場合、中国の警察はなかなか取り合ってくれず、盗難保険も対象外」(山口氏)なのも困る。
 盗難も金銭で解決できる範囲なら損害もまだ限定的だが、取引先、顧客のリスト、個人情報や企業秘密を記録したパソコンが盗まれると、企業存続の問題にかかわる。最悪の場合、撤退要因にもなりうる。
 内部犯行に限らず、天井裏に仕切りがないオフィスが大半というビルの構造も問題だ。同じフロアの別のオフィスから天井裏づたいに別の企業に深夜、侵入する「下がりグモ」と呼ばれる手口が横行しているのだ。天井裏からパソコンや高価な製品の詰まった段ボールを引っ張り上げて盗むという。
 とはいえ、上海の経営コンサルティング会社、拓知管理諮詢では「日本人幹部が工場の現場などで中国人従業員に対し、どれだけ日常的に親身に接しているか。それによって内部犯行のほとんどは防止できる」とみている。日中間の人の心に開きができるほど隙もできる。
 工場の警備員や作業員に見向きもせず、あいさつもしない日本人幹部が実は、内部犯行を誘発する遠因を作っている。対中ビジネスの“落とし穴”は中国側だけにあるのではないようだ。

◎中国の宇宙船打ち上げ、国威発揚の好機に(2012年6月16日、産経新聞)
 中国北西部にある酒泉衛星発射センターから打ち上げられた宇宙船「神舟9号」は、地球を周回している無人実験機「天宮1号」と初の有人ドッキング実験を行う予定だ。中国が独自に進める宇宙ステーションの建設計画に弾みを付け、国威発揚につなげる狙いだ。
 中国メディアによれば、ドッキング実験は宇宙飛行士3人で行った後、2人が一時、「天宮1号」に移って複数の科学実験を行うという。
 中国政府の「宇宙ステーション建設プロジェクト」には3つのステップがあり、第1のステップである「有人宇宙船の打ち上げ」は2003年にクリア。今回の「有人ドッキング実験」は第2ステップで、20年に予定される「宇宙ステーションの建設完成」が最終目的だ。
 “宇宙大国”の米国は最近、予算不足などを理由に月の有人探査計画やスペースシャトルの開発を中止するなど、開発の速度を緩めてきた。後れを取っていた中国は最近、潤沢な資金を投じ猛烈な追い上げを見せ、その差を縮めている。
 中国にとって宇宙開発プロジェクトには国威発揚という政治的意味もある。打ち上げた宇宙船の名前はすべて「神舟」で、「何でもできる神様の舟」の意味があるほか、「神の国である麗しい中華」を意味する「神州」とも同じ発音だ。
 中国では今秋の共産党大会で、最高指導部の世代交代が行われる予定。この時期に有人宇宙船を打ち上げてドッキング実験を行うことで、10年間続いた胡錦濤指導部の“偉大なる業績”をアピールする狙いがありそうだ。中国国営中央テレビ(CCTV)などは16日正午ごろから打ち上げ準備の様子を生中継、インターネットの各ニュースサイトも宇宙船の“宣伝”一色となった。
 中国の宇宙開発は中国人民解放軍が実質的に主導しており、今回搭乗する宇宙飛行士3人はいずれも佐官級幹部だ。他方、宇宙で行う実験に関する中国の情報開示が不十分との指摘もあり、宇宙の軍事利用をめぐる欧米の対中警戒はさらに高まりそうだ。

◎中国敗訴、 米鉄鋼製品への報復関税はWTOルール違反(2012年6月16日、読売新聞)
 米国製の特殊鉄鋼製品に中国が報復関税を課したことに米国が反発していた問題で、世界貿易機関(WTO)紛争処理小委員会は15日、中国がWTOルールに違反するとする米側の主張を認める判断を下した。
 中国は2010年に、中国に輸入された米国製特殊鉄鋼製品がダンピング(不当廉売)され、中国企業に損害を与えたとして、相殺関税を導入。これに対し、米側は証拠が不十分だとしてWTOに訴えていた。
 米通商代表部(USTR)のカーク代表は、「重要な勝利だ。中国はWTOの約束事を守らねばならない」との声明を発表した。
 紛争処理小委はWTOの第一審に相当する紛争処理機関だが、中国は「精査が必要」として上訴する可能性を示唆している。

◎贈収賄と横領で2万人有罪、中国(2012年6月15日、産経新聞)
 中国最高人民法院(最高裁)は、全国の裁判所で昨年1年間に、贈収賄や横領で有罪判決を受けた公務員らが前年比約1%減の約2万4千人、職権乱用で有罪判決を受けた公務員は同約12%増の約4800人だったと発表した。中国の通信社、中国新聞社が15日、伝えた。
 同法院によると、殺人や誘拐などの凶悪事件と、詐欺などの経済事件では計約36万8500人に有罪判決が下された。

◎「なぜいじめる」「報道機関が濡れ衣」、電話取材に弁明(2012年6月15日、産経新聞)
 外国人登録法違反容疑などで書類送検された在日中国大使館の李春光・元1等書記官(45)は14日、産経新聞の電話取材に応じ、スパイ疑惑を強く否定した上で、「日中関係のために一生懸命尽くした私が、なぜこんなにいじめられなければならないのか」と訴えた。
 李元書記官は「自分は学者であり、軍に所属したことはない」とし、中国人民解放軍の情報部門出身であるとの情報を否定。日本の政財界の要人との接触については、「日中関係を促進するため、外交官としての仕事をしただけ。スパイ活動は一切していない」と語った。
 また、農林水産省が進めていた対中輸出事業に関与したことについて、「若いときに留学して福島県にお世話になった。恩返しの思いで、(東日本大震災の)被災地の農作物を中国に売ろうといろいろ頑張った。なぜこれがスパイ行為なのか」と不満を漏らした。
 外国人登録証明書を不正更新したとの容疑をめぐっては、「外交官になる前に持っていた証明書の期限が切れそうだったので、運転免許証の更新と同じ感覚で役所に行き、新しいものに変えた。違法とは知らなかった」とし、発行した日本の行政機関にも責任があるとの見方を示した。更新したことを知った大使館の上司に叱られ、あわてて入国管理局に行って取り消しの手続きをしたという。
 自らの個人名義の銀行口座に現金が振り込まれていた点については、「友人の会社から、立て替えていた金などが返ってきた」と話し、企業から報酬をもらっていたことを否定した。
 元書記官は出頭要請を拒否して5月に帰国、北京にある中国社会科学院日本研究所の研究職に戻ったという。「日本に害を及ぼすことは何もしていない。ぜひ、みなさんに理解してもらいたい」と訴えた。
 また、「日中交流の仕事をしてきたので、同じことをやっていきたい」とし、「日本の報道機関は私にスパイのぬれぎぬを着せた。疑惑が晴れたら、謝罪はいらないから日本に招待してほしい」と語った。

◎「残酷だ」妊娠7カ月を強制堕胎、中国、一人っ子政策担当者3人を停職(2012年6月15日、産経新聞)
 新華社電によると、中国陝西省安康市政府は15日までに、一人っ子政策に基づく計画出産を担当する3人が、2人目の子を妊娠していた女性を強制的に堕胎させたとして、停職処分にすることを決めた。女性は妊娠7カ月だった。中国の法律では6カ月以上の妊婦の中絶は禁止。市当局は女性と家族に謝罪したという。
 新華社電によると、当局者は今月2日、女性を病院で堕胎させた。病院のベッドで女性の横に胎児の遺体が横たわっている写真がインターネット上で出回り「残酷だ」などと批判が高まっていた。
 中国メディアによると、当局は女性の家族に対して「4万元(約50万円)を支払えば強制的な堕胎をやめる」との趣旨を提示。家族が貧しさから「とても支払えない」と答えると、女性は病院に連れて行かれたという。

◎中国サッカー協会元副主席ら実刑、八百長事件で収賄(2012年6月13日、スポーツニッポン)
 中国プロサッカーの八百長事件をめぐり、遼寧省丹東市と鉄嶺市の中級人民法院(地裁に相当)は13日、サッカークラブから賄賂を受け取って審判選定などの便宜を図り、特定のクラブをリーグ優勝させたなどとして、中国サッカー協会の元副主席ら2人にそれぞれ収賄罪で懲役10年6カ月の実刑判決を出した。
 事件ではこの日を含め官僚やサッカークラブの経営者、選手、審判ら約60人に有罪判決が出ている。新華社電などによると、2人は2008年までの約10年間で計約256万元(1元は約13円)や高級腕時計、ネックレスを受け取ったという。

◎中国、北朝鮮にミサイル発射台車両輸出、安保理決議違反、日米韓把握も発表せず(2012年6月13日、産経新聞)
 北朝鮮の4月の閲兵式(軍事パレード)で公開された新型弾道ミサイルを搭載した発射台車両は、中国国防省系列の企業が昨年8月に北朝鮮に輸出したものであることが13日、分かった。日本政府は昨年10月に把握。米国、韓国とも情報を共有したが、公表していなかった。北朝鮮に対する発射台車両の輸出は、弾道ミサイル関連物資の輸出を禁じた国連安全保障理事会決議に違反する。
 外務省幹部は13日午前、日本政府が情報を把握し、米韓両国に伝えた事実を認めた上で、「ただちに安保理決議違反とはいえないと判断した。トラックを輸出しても北朝鮮が改造した可能性もある」と語った。
 中国が輸出したのは国有企業「中国航天科工集団」の子会社「湖北三江航天万山特殊車両」が開発した特殊車両「WS51200」4両。4月15日に行われた北朝鮮の軍事パレードの4日後には、パネッタ米国防長官が下院軍事委員会の公聴会で「中国の協力があったと確信している」と証言。中国政府は「大量破壊兵器とその運搬手段の拡散に断固として反対している」と否定していた。
 弾道ミサイル物資の対北輸出は2009年の国連安保理決議1874号に違反しており、国連安保理の北朝鮮制裁委員会専門家パネルも調査を始めている。
 玄葉光一郎外相は同日午前の参院予算委員会で「この件はインテリジェンスに関する話だから事実かどうかは申し上げられない」と述べるにとどめた。

◎北朝鮮、ミサイル製造材料も購入、中国の企業から(2012年6月13日、産経新聞)
 英紙デーリー・テレグラフ(電子版)は13日までに、北朝鮮企業が昨年5月、ミサイル製造に使われる物質バナジウム2トンを中国の企業から購入したと伝えた。
 北朝鮮周辺の国の情報機関がまとめた機密書類から得た情報という。機密書類には、昨年8月に別の北朝鮮企業が弾道ミサイルの発射台車両を中国側から購入したとの情報もあるといい、こうした物資の多くは中国・大連から輸送されたという。

◎中国、ミサイル用特殊車両を北朝鮮に輸出(2012年6月13日、読売新聞)
 中国が昨年8月、長距離弾道ミサイルの運搬・発射に転用できる特殊車両を北朝鮮に輸出していたことが分かった。
 複数の日本政府関係者が13日、明らかにした。北朝鮮が今年4月の軍事パレードで公開した「新型ミサイル」を搭載していた車両とみられる。
 政府は、北朝鮮への大量破壊兵器関連物資の輸出を禁じた国連安全保障理事会決議に違反する可能性があるとみている。
 政府関係者によると、輸出に利用されたのはカンボジア船籍の貨物船。中国南部を出港し、北朝鮮の南浦(ナムポ)で車両を下ろしていた。海上保安庁が昨年10月、大阪港に入港したこの貨物船を立ち入り検査した際、輸出の目録を見つけた。政府は米政府に情報を提供し、米政府が中国政府に事実関係を確認した。中国政府は「木材を運搬するための車両だ」として、軍用車両ではなく民生品と説明したという。

◎中国、北朝鮮に軍用車両、昨年8月、安保理決議に違反(2012年6月13日、朝日新聞)
 中国が昨年8月、弾道ミサイルの運搬・発射用の大型特殊車両4両を北朝鮮に輸出していたことがわかった。日本政府が昨年10月、車両を運んだ貨物船で輸出目録を発見し、入手した。車両は今年4月、北朝鮮の軍事パレードで新型の弾道ミサイルを搭載して登場した。この輸出は、北朝鮮への大量破壊兵器関連物資の輸出などを禁じた国連安全保障理事会制裁決議に違反する。決議に反する対北支援を一貫して否定してきた中国の主張が崩れた。
 複数の日本政府関係者が朝日新聞の取材に明らかにした。
 日本と情報を共有した米国と韓国の計3カ国は、北朝鮮が3回目の核実験に踏み切る可能性があるなか、北朝鮮に強い影響力を持つ中国との関係を良好に保つ必要性があると判断。米国の主導で一連の経緯を公表せず、結果的に制裁決議の空文化を招いた。

◎中国で世界最高層ビル計画、湖南省に838メートル、工期わずか7カ月で、大丈夫?(2012年6月12日、産経新聞)
 中国の建設大手、遠大集団(北京市)が、世界で最も高い838メートルの超高層ビル「空中城市」を湖南省長沙に建設する計画を進めている。中国紙、東方早報によると、構造体をモジュール化して組み上げる工法で近く本格着工し、7カ月という猛スピードで年末までに完成させる予定という。
 地上220階建ての空中城市は、計画通りに完成すれば、現在、世界一の高さのアラブ首長国連邦(UAE)ドバイのビル「ブルジュ・ハリファ」(地上828メートル)を10メートル抜くことになる。建設費は40億元(約520億円)。オフィスや住宅、商業施設として活用する。完成時には3万人以上の収用が可能だ。
 中国本土で最も高いビルは、森ビルが建設した「上海環球金融中心」(101階建て、492メートル)。遠大集団はその隣接地に128階建て、632メートルのビル「上海センター」も建設している。
 同社は湖南省岳陽市で昨年、30階建てホテルを15日間で完工させた実績もあるとしているが、業界関係者は、「高層建築は地上400メートルを超えると(それ以下の高さの建物とは)別世界の高度な工法と経験が要求される」と話している。
 欧州債務危機の影響で景気減速局面にある中国。実現すれば世界一の高さとなる超高層ビルのスピード建設を、高度成長回復に向けた象徴的なプロジェクトにする狙いもありそうだ。

◎中国、輸出入とも2桁増、貿易黒字1.5兆円、急減速から3カ月ぶり回復(2012年6月10日、産経新聞)
 中国税関総署が10日発表した5月の貿易統計によると、輸出が前年同月比15.3%増の1811億4千万ドル(約14兆4千億円)、輸入が12.7%増の1624億4千万ドルと、いずれも2月以来、3カ月ぶりに2桁増を回復した。
 昨年2割超の伸びを示した中国の輸出入は、欧州債務危機に伴う世界的な需要低迷を背景に今年に入り急減速したが、新興国との貿易拡大などで受注に回復の兆しが出てきた可能性がある。
 ただ、1~5月の累計では輸出が8.7%増、輸入が6.7%増にとどまった。有力な輸出先の欧州は危機再燃の恐れが指摘されており、今後も予断を許さない状況だ。
 5月の貿易黒字は187億ドル(約1兆5千億円)と前月より拡大し、2カ月連続で100億ドルを上回った。

◎中国のネットで珍しい米国支持(2012年6月10日、産経新聞)
 最近、中国当局と北京の米国大使館が対立したことがインターネットで注目されている。米大使館は北京在住の米国人への情報提供として毎日、人体に有害とされる空気中の「PM2.5」と呼ばれる微細な粒子を独自に測定し、北京の大気汚染情報として公表しているが、中国政府は「国際法違反だ」として中止を求め、激しい応酬となった。これまでに米国を批判することが多い中国のインターネットではこの件について、米国を支持する意見が圧倒的多かった。
 中国環境保護省の呉暁青次官は5日に開かれた記者会見で、米大使館が毎日行っている大気汚染度の観測と公表は「外交関係に関するウィーン条約違反だ」として、直ちに中止を求めた。
 その理由として(1)大気汚染度の情報発表は中国の権利に当たり、外国の勝手な公表は内政干渉にあたる(2)米大使館発表の数値評価は中国より厳しい米国の基準が適用されている(3)一つの都市の空気指数を観測するのに複数のポイントが必要で、米大使館周辺だけの数字では不十分-などを挙げた。
 中国当局がいらだちを募らせたのは、米大使館の公表数値が中国当局の数値と食い違っているからだ。多くの北京市民は米国側の数字を信用し、中国当局を「嘘つき」と決めつけている。北京市などが設置した観測スポットのほとんどは公園内など空気の良いところだが、米国大使館は市中心部の大通りに面しているため、館内から観測された数字は中国側より悪い場合が多い。
 また、数値がほぼ同じでも、中国の評価基準では「良好」だが、米国の基準では「極めて危険」と分かれるところもある。さらに、中国側発表数値は市民の実感と大きく違う場合もあり、「数値をねつ造しているのでは」との疑惑は以前からあった。このため、北京市環境保護局には「米大使館の数値となぜこんなに違うのか」といった問い合わせや抗議が絶えないという。
 中国側の批判を受け、米国務省のトナー副報道官は直ちに反論した。5日に行われた記者会見で、大気汚染の数値発表は中国が主張する国際条約違反や内政干渉には当たらないとし、「中止する計画はない」と明言した。そのうえで、トナー氏は米国にある在ワシントン中国大使館が米国の大気汚染状況のデータを発表しても「反対する理由は何もない」と述べた。
 中国のインターネットでは、このトナー氏の反論に対し「大国としての自信が伝わってきた」「環境保護省の嘘つきと徹底的に戦え」などと拍手喝采の声が多く寄せられた。
 これまで、米国による台湾への武器輸出問題やチベット問題などで米中が対立するとき、米国を批判する意見であふれる中国のインターネット。だが、「米国の発表数値を信用するしかない」「空気だけではなく、水や食品の安全指数も公表してほしい」などと米国を支持がほとんどだった。また、「米大使館を批判する前に、なぜ自分が信用されないのか反省すべきところはあるだろう」といった中国政府に注文をつける意見も多かった。
 米大使館は観測数値の公表を続ける方針だが、中国が対抗措置として「(米大使館を)郊外の林の中に強制移転しないか心配だ」といった書き込みも寄せられた。

◎外国人のチベット入り当面禁止、中国、焼身自殺が影響か(2012年6月9日、朝日新聞)
 中国政府が5月末から、チベット自治区への外国人の入境を当面、事実上禁止したことが8日わかった。同自治区の旅行当局が明らかにした。5月27日に同自治区ラサでチベット族2人が焼身自殺を図り、政府が警戒を強めていることが関係しているとみられる。
 同自治区は、外国人が訪れる際は政府の許可が必要な地域。旅行当局によると、同自治区共産党委から通達が届き、外国人の入境審査を厳格にするよう求められた。入境手続きの再開時期は未定という。

◎万里の長城、実は2万キロ超、再測量で長さ2.4倍に(2012年6月8日、朝日新聞)
 6日付の中国各紙によると、中国国家文物局は、世界最大の建造物といわれる万里の長城の総延長が、これまでの2.4倍に当たる2万1196.18キロに上ることがわかったと発表した。
 万里の長城は、現存する部分の多くが明代(1368~1644年)に造られた。同局は2009年、明代の長城の長さを8851.8キロだと発表していた。今回、秦や漢などの時代のものも含めて科学的に測量したところ、全長が一気に伸びたという。
 長城は北京市、天津市、黒竜江省、河南省、新疆ウイグル自治区など15地域に及び、このうち北京市は約600キロを占めたという。

◎工場で1000人暴動、多数負傷、中国成都(2012年6月7日、産経新聞)
 7日付の香港紙、明報によると、中国四川省成都にある台湾系の富士康集団(フォックスコン)の工場宿舎で4日夜、従業員約千人が暴動を起こして100人以上の警官隊と衝突、多数が負傷し数十人が拘束された。
 窃盗事件を調べていた宿舎の警備員と従業員のもめ事が騒動に発展。従業員らは給与や宿舎の管理体制への不満から、管理人を殴ったり宿舎の上層階からごみ箱などを投げ捨てたりしたという。
 フォックスコンは、電子機器受託製造サービス(EMS)で世界最大手の台湾企業、鴻海精密工業の中国生産会社。鴻海精密工業はシャープと資本業務提携を結んでいる。

◎昭和電工、中国で先端技術投入の新BM構築(2012年6月6日、化学工業日報)
 昭和電工は中国市場で、最先端の自社技術を持ち込むビジネスモデルにより、新たな成長戦略を推進する。人造黒鉛電極事業では、株式の67%を取得することで合意した四川省の中鋼集団四川炭素有限公司(四川炭素)に高性能かつ大口径の電極生産技術を導入。レアアース事業でも、次世代磁石用原料の生産体制構築をにらんだ新たなビジネスモデルを構築する。さらに半導体用の高純度ガス、アルミ加工品、リチウム2次電池(LiB)材料などでも、先端技術を駆使した現地生産拠点の拡充や新設を検討していく。

◎中国企業の米映画館チェーン買収に大きな反響「昔の日本を思い出す」(2012年6月6日、産経新聞)
 米国2位の映画館チェーン、AMCが中国の同業者、大連万達に26億ドル(約2080億円)で買収されることになった。中国で映画観賞といえば、海賊版DVDが当たり前だった。高度経済成長で映画館に行く人が増え、現在は1日8スクリーンが増える映画館の建設ラッシュ。興業収入は北米、日本に次ぐ世界3位となった。きょうのテーマは「海賊版DVDを楽しんだ人たち」とした。

・中国での映画鑑賞「今昔」
 米公共ラジオ(NPR)の上海駐在記者は1997年から5年間、北京に駐在。昨年、中国暮らしを再開したという。一家そろって映画好きらしく、自ら体験した中国での映画観賞の「今昔」を次のようにリポートしている。
 最初の駐在のときは、多くの映画館は建物が古く、音響設備は劣悪で、料金はばか高かった。映画館の暗闇の中に自分一人のような感じで、気がめいった。中国映画保護のため、人気でも上映されない外国作品があった。路上で販売される海賊版DVDは、マレーシアの映画館でビデオ撮影されたもの。客がポップコーンをむしゃむしゃ食べる音が入っていた。韓国や東南アジアに出かけると映画館に行った。「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」はシンガポールで乗り継ぎ待ちの間に見た。
 先日、上海のダウンタウンの映画館で、家族で「アベンジャーズ」の3DをIMAXスクリーンで見た。チケット窓口の前にチョコレートのハーシーがあり、子供たちは喜んだ。料金はなお米国より高い。だが、金曜午後5時20分からの上映は9割方、席が埋まっていた。こんなふうになるなんて15年前には考えられなかった。

・「第2の映画大国」視野
 米国映画協会(MPAA)の劇場統計によると、2011年、中国の映画興業収入は前年比35%増の20億ドル(約1600億円)に達した。この統計は「国内」扱いの北米(米国・カナダ)と「国際」に分かれており、中国は「国際」で日本(23億ドル=約1840億円)に次ぐ2位。以下、フランス、英国、インドの順だった。北米は前年比4%減の102億ドル(約8160億円)。12年には中国が日本を抜く可能性が高い。
 映画市場は11年、「国際」の各市場(欧州中東アフリカ、アジア太平洋、中南米)で成長したが、中国の“巨大化”が際立った。NPRによると、中国では現在、1日8つのペースでスクリーンが増えている。中国全体でのスクリーン数は米国の4分の1強の1万。成長の余地はいくらでもあるという。
かつては日本企業も
 万達は中国各地で大型の商業施設やホテルなどの観光・娯楽事業を展開。映画館チェーンはその一部門で、中国で86館730スクリーンを運営している。AMCは米国とカナダで、346館5034スクリーン。5月下旬、万達によるAMCの買収合意が発表された。万達の狙いとして、シネコン展開のノウハウを獲得する、米国での不動産事業展開の足がかりを得る、などが指摘された。文化産業やサービス業の国際競争力を向上させたい中国政府の思惑も絡んでいるとみる向きもある。
 中国企業の外国企業の買収はこれまで、聯想(レノボ)グループによる米IBMのパソコン事業買収など、製造業が中心。エンターテインメント産業での目立った買収は、AMCが初めてといってよく、米国内での反響は大きかった。ロサンゼルス・タイムズ紙は「1980、90年代、日本企業がハリウッドの映画製作会社やニューヨークの建物、カリフォルニアのゴルフ場を次々と買収した。当時を想起した人は少なくないはずだ」と書いた。

◎中国のカリスマハッカーに懲役刑、日本政府機関も攻撃か、「南京大虐殺」否定発言に反発(2012年6月5日、産経新聞)
 中国でハッカーのカリスマ的存在の男が、コンピューターへの不正侵入用の違法ソフトを提供した罪に問われた裁判で、北京市第1中級人民法院(地裁)は5日までに、男に懲役5年、罰金60万元(約740万円)の判決を言い渡した。
 中国夕刊紙、法制晩報によると、男は王献冰被告(37)。日本の右翼団体が「南京大虐殺」を否定する発言をしたことに反発し、2000年に「孤独な剣客」を名乗り、日本の政府機関をハッカー攻撃する専門のサイトを立ち上げた。
 中国のハッカーを大量に動員し、日本の中央省庁のサイトにハッカー攻撃を仕掛けたとされる。王被告はその後、米国へのハッカー攻撃にも関わり、ネット上で不動の人気を得たという。07年からインターネット安全対策ウェブサイト「黒基網」の運営に携わり、有料会員を増やすため違法ソフトの提供を開始。10年10月に共犯者と共に逮捕された。

◎中国で中古車市場急拡大、日系企業も事業強化(2012年6月3日、読売新聞)
 中国の中古車市場が急拡大している。経済発展が進む沿岸部を中心に、買い替え需要が高まっているためだ。
 日本の自動車メーカーも中古車事業を強化し、シェア(市場占有率)確保とブランド価値の維持を目指している。

・急成長
 ホンダの中国合弁会社「東風ホンダ」は5月23日、自社の車を下取りし、徹底的に整備して販売する認定中古車事業に参入した。新ブランド「心誉」のロゴを掲げた販売店で、下取りした車を150か所以上点検し、1年間か年間走行距離2万キロまで無料修理保証をつける。
 東風ホンダの水野泰秀社長は「中古車市場が伸びているこの時期に参入できて良かった」と話す。
 2011年の中国の中古車市場は433万台と、新車市場の4分の1程度だが、前年比12・5%増と急速な伸びを見せている。このため、日本メーカーは、05年のトヨタ自動車を先頭に、相次いで中国の認定中古車事業に乗り出している。日産自動車系の「東風日産乗用車」は昨年、ホンダと同様に中古車サービスの新しいロゴを作った。
 市場拡大の背景には、先行普及した沿岸部で2、3台目を買う客が増えていることがある。東風日産によると、車を前に買ったことがあるという客は、地方都市では1割程度だが、北京市では4割程度に達するという。そうした客が、「経済性を重視して中古車に目を向けるようになった」(広州の日産系販売店の彭一波社長)。
 中国では、車の買い替えサイクルが約4年と日本の半分程度とされている。新車販売が09、10年に急増したことを考えると、中古車市場が「14年前後に成長のピークを迎える」(デロイトトーマツコンサルティングの周磊氏)可能性がある。

◎2歳男児が鳥インフルで重体、広東省で感染か(2012年6月3日、読売新聞)
 香港衛生当局は1日深夜、中国広東省から入境した2歳の男児が鳥インフルエンザウイルス(H5型)に感染していることが確認されたと発表した。
 その後の検査でウイルスは強毒性のH5N1型と判明。男児は重体という。
 衛生当局などによると、男児は香港生まれで同省広州市在住。5月23日に発熱や鼻水といった症状を訴え、同26日に家族とともに香港入りして病院を受診していた。感染経路は不明だが、男児は5月中旬、広州市内の家禽市場を訪れていた。

◎香港で男児が鳥インフル、中国広東省で感染か(2012年6月2日、産経新聞)
 香港政府は2日までに、中国広東省から香港の病院を受診に訪れた2歳の男児について、鳥インフルエンザウイルスに感染していることが確認されたと発表した。容体は安定しているという。ウイルスは「H5型」としており、詳細は調査中。
 香港政府によると、男児は5月23日に広東省で発熱や鼻水などの症状が出た後、26日に香港の病院を訪れていた。広東省で男児と同居する両親や祖母に症状はないという。

◎中国がレーダー施設建設か、南沙、各国の実効支配定着、インフラ整備急ピッチ(2012年6月2日、産経新聞)
 中国、フィリピン、ベトナムなど6カ国・地域が領有権を主張する南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で、中国がレーダー施設とみられる建物を完成させるなど軍事関連の施設を増強している。2日までにフィリピンが実効支配するパグアサ島の当局者らが明らかにした。
 南沙諸島の100以上ある島、岩礁のうち約50を各国・地域が実効支配、近年は学校、宿泊施設、港などインフラ整備が急速に進んでいる。
 パグアサ島カラヤン町のビトオノン町長らによると、中国は5年ほど前までに、同島の南西約20キロのスービ礁に、屋根がドーム型になったレーダー施設とみられる建物と灯台を造った。島の漁民が近づくと、水面に警告射撃を受けたこともあった。中国が1995年に実効支配したミスチーフ礁にも4~5階の建物があるという。

◎日機装、人工透析装置、中国シェア4割を獲得へ(2012年5月30日、化学工業日報)
 日機装は、透析事業のグローバル展開を加速する。今期中にも中国合弁会社が生産した人工透析装置を現地で販売開始する。同国では生活水準の向上によって糖尿病患者が増加、糖尿病性腎症から慢性腎不全に移行するケースも多く、透析患者が急激に増えている。同社では将来的に、中国の人工透析装置市場で40%のシェア獲得を目指すとともに、世界最大の透析市場に拡大することが確実な中国をいち早く押さえ、グローバル競争を有利に進めていく考えだ。

◎三井化学、SINOPECと合弁設立、中国EPT計画(2012年5月30日、化学工業日報)
 三井化学は29日、中国石油化工(SINOPEC)との合弁によるエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPT)の中国計画について、折半出資による事業主体(製造・販売会社)「上海中石化三井弾性体有限公司」(SSME)を28日に設立したと発表した。

◎中国ピリピリ? NHKの放送中断、天安門事件「後悔すべき惨劇」と総括の元北京市長回顧録放送で(2012年5月30日、産経新聞)
 中国で29日夜、1989年の天安門事件当時の北京市長だった陳希同氏の回顧録の中身を伝えていたNHK海外放送のニュース番組が一時中断された。
 回顧録は6月1日に香港で出版される予定。陳氏は回顧録の中で、民主化運動が武力弾圧された同事件を「後悔すべき悲劇」と総括している。
 中国当局は事件から23年となる6月4日を控え、事件関連の海外メディアの報道にも神経質になっているとみられる。

◎イハラケミカル、中国事業展開を加速、上海群力を関連会社化(2012年5月29日、化学工業日報)
 イハラケミカル工業は、中国事業のさらなる拡大を図る。農薬中間体などを手掛ける提携先の上海群力化工有限公司と28日、都内で合弁契約を調印。上海群力化工への出資比率を引き上げ、イハラケミカルの関連会社化するとともに、上海群力化工は上海で上場可能な体制が整う。6月13日に行われる取締役会で正式承認する予定。これによりイハラケミカルでは、従来の中核である農薬中間体に加え、新規農薬原体の現地生産も視野に入れるほか、開発・販売も含めた中国での一貫体制構築を目指し、中国展開に一層の弾みをつける。

◎中国書記官、日本国内でスパイ活動か、身分隠し口座開設、警視庁の出頭要請拒否し帰国(2012年5月29日、産経新聞)
 在日中国大使館の1等書記官(45)が、外国人登録証明書を不正に使って銀行口座を開設するなどし、ウィーン条約で禁じられた商業活動をした疑いが強まり、警視庁公安部が外務省を通じて今月中旬、中国大使館に書記官の出頭を要請していたことが捜査関係者への取材でわかった。中国大使館は拒否し、書記官は一時帰国した。
 条約では罰則は科せないが、公安部は、国内法の公正証書原本不実記載や外国人登録法違反(虚偽申告)容疑などで書類送検を視野に捜査しているもようだ。書記官は中国人民解放軍総参謀部の情報部門「第2部」出身とみられ、外交官となる前から何度も入国して政財界要人とも交流していたことなどから、公安部は、日本国内で諜報活動をしていたとみている。
 捜査関係者によると、書記官は平成20年初め、外交官として赴任する前に取得した外国人登録証を使い、外交官の身分を隠して銀行口座を開設。同年4月には東大研究員などと偽り、虚偽の住所などを記した申請書を東京都の葛飾区役所に提出、外国人登録証を更新した疑いが持たれている。
 口座には、都内の健康食品販売会社から「顧問料」として、毎月10万円前後程度が振り込まれていたという。この会社は当時、中国への進出を目指しており、書記官は、香港に設立された関連会社の役員として、報酬を受け取ったとみられる形跡があるという。
 ウィーン条約では、外交官が赴任先で個人的な利益を目的にした職業活動や商業活動を禁じており、事実ならば、日本側は中国側に通告し、帰国させることができる。公安部は顧問料などの収入が工作活動に使われた可能性もあるとみている。また、外国人登録法など日本の国内法に違反する疑いもあるため、引き続き外務省を通じ、出頭要請手続きを進めるとみられる。

・外交関係に関するウィーン条約
 外交使節団の特権や免除などについて定めた条約。外交官は円滑な任務の遂行を確保するため、派遣国の刑法に違反したとしても逮捕されることはない。代わりに受け入れ国は、「好ましくない人物」(ペルソナ・ノン・グラータ)として、本国へ帰国させることができる。1961(昭和36)年に採択され、日本は3年後に批准。中国は1975年に加盟している。

◎チベット族、相次ぐ焼身自殺、中国政府が情報統制強化(2012年5月29日、朝日新聞)
 中国チベット自治区ラサで27日午後、チベット族の2人が焼身自殺を図った。中国のチベット族居住区で中国共産党の統治に抗議し焼身自殺を図った人は、2009年から今回で37人となった。ラサの治安当局は今回の事件後、携帯電話やインターネットを制限するなど警戒レベルを上げた。
 国営の新華社通信によると、2人が焼身自殺を図ったのはラサ中心部の観光客も多いジョカン寺そばの通り。チベット仏教の僧侶らが巡礼に訪れる有名な寺で、08年には寺の前の広場で起きた大規模な騒乱で多数の死傷者が出た。2人は四川省と甘粛省から来たチベット族で、1人は死亡、もう1人の容体は安定しているという。
 米政府系放送局ラジオ・フリー・アジアなどによると、2人が体に火を放った後、すぐに治安部隊が駆けつけて2人を運び去り、何も起こらなかったように痕跡を消した。現場には武装警察が出動しているという。

◎中国、前鉄道相を党籍剥奪処分、巨額収賄などで(2012年5月29日、読売新聞)
 中国中央テレビによると、中国共産党政治局は28日までに、2011年2月に解任された劉志軍・前鉄道相(59)の職権乱用や収賄などの規律違反を特定し、党籍を剥奪する処分を決定した。
 収賄については近く身柄を司法機関に移して立件する方針。
 胡錦濤(フージンタオ)政権は、今年秋の共産党大会を控え、党幹部の腐敗に断固とした姿勢で臨み、党内引き締めを図る狙いだ。
 発表によると、劉氏は職権を乱用して、高速鉄道に関わる設備会社の女性経営者、丁羽心氏が巨額な違法利益を収められるように便宜を図ったほか、巨額の賄賂や高価な物品を受け取るなどし、重大な経済的損失や、社会に極めて悪質な影響を及ぼしたという。

◎中国共産党、前鉄道相の党籍剥奪、事故の責任含む処分か(2012年5月29日、朝日新聞)
 中国共産党は28日、巨額の収賄行為を行い、鉄道部門の腐敗を招いたなどとして、劉志軍・前鉄道相(59)の党籍を剥奪し、司法手続きに移すと発表した。昨年7月に浙江省温州で起きた高速鉄道事故の責任を含む処分と見られる。
 中国の高速鉄道建設を率いてきた劉氏は、安全性を無視した高速化や無理な路線拡張を推し進めたとして、温州の高速鉄道事故を巡る政府の事故調査報告でも責任が指摘されていた。昨年2月に「重大な規律違反があった」として鉄道相を解任されていた。

◎ロケットの残骸、民家を直撃、中国、高圧線切断で停電(2012年5月29日、朝日新聞)
 中国湖南省綏寧県で27日未明、通信放送衛星を搭載して打ち上げられたロケット「長征3号」の残骸が落下し、民家を直撃した。けが人はなかった。中国メディアによると、同県の別の場所では約30キロの残骸が高圧電線を切断し、辺り一帯が停電したという。
 ロケットは同県から1千キロ余り離れた四川省南西部から打ち上げられ、衛星は順調に軌道に乗った。地元当局は住民に自宅から出ないよう言っていたという。

◎中国、11人殺害で男逮捕、死刑減刑で出所後に犯行(2012年5月28日、産経新聞)
 27日の新華社電によると、中国雲南省昆明市郊外で青少年らが相次ぎ行方不明になった事件で、警察当局は同日までに、男性11人を殺害したとして殺人容疑で拘束中の地元の男(56)を逮捕した。動機は明らかになっていない。
 男は1979年に殺人罪で執行猶予2年付きの死刑判決を受けたが、減刑されて97年に出所。2008年以降、歩行者を襲って殺害、遺体を解体したり、焼いたりしていたとされる。

◎天安門事件の犠牲者の父自殺、名誉回復叶わず「絶望」(2012年5月28日、朝日新聞)
 中国の民主化を求めた1989年6月の天安門事件で、次男を失った軋偉林さん(73)が自殺していたことが28日、分かった。遺書には、鎮圧部隊の発砲で死亡した息子の名誉回復を23年訴えながら、政府に無視され続けた父親の絶望感が記されていた。
 事件で子を失った遺族らでつくるグループ「天安門の母」が明らかにした。遺族は年老い、メンバーのうち29人が他界したが、自殺は初めてという。
 軋氏は24日、北京市内の自宅を出てから行方不明になり、25日、近くの地下駐車場で首をつっているのが見つかった。遺書には「(事件から)20年余りが過ぎたが、息子の無念をはらせぬままだ。死んで(政府と)闘う」とあったが、公安当局に押収されたという。

◎神華集団、石炭化学事業拡大加速(2012年5月28日、化学工業日報)
 神華寧夏煤業集団は、石炭化学の事業基盤をさらに強化する。今春、メタノールからのオレフィン生産(MTO)プロジェクトの建設に入っており、2014年の完成・稼働開始を目指す。同社は、すでに石炭からのオレフィン生産(CTO)設備を稼働させており「MTO設備の稼働により、ポリプロピレン(PP)生産能力は年100万トンに引き上がる」(同社)としている。11年秋には年産6万トンのポリアセタール(POM)生産設備が稼働入りしたほか、石炭の間接液化や石炭からの天然ガス生産、CTO第2期なども計画中。20年までに石炭化学製品の総生産額を1000億元に拡大させる考え。

◎天安門事件遺族が自殺、中国当局への抗議か(2012年5月28日、産経新聞)
 中国当局が学生らの民主化運動を武力弾圧した1989年の「天安門事件」で息子を亡くした男性、軋偉林さん(73)が25日に自殺したことが分かった。事件で子どもを亡くした親の会「天安門の母」が27日、ネット上で発表した。
 軋さんは以前「死をもって抗議することを決意した」と記した紙を持ち、自殺をほのめかしたことがあるという。武力弾圧を正当化し、事件の再評価をしない中国政府に対する抗議の自殺の可能性がある。
 同会は「父子の死はともに中国政府がもたらした悲劇だ」と指摘し「中国当局の冷酷で反人道的な行為を強く非難する」と訴えている。

◎天安門事件23年でデモ、香港で2千人参加(2012年5月27日、産経新聞)
 中国の民主化運動が武力弾圧された1989年の天安門事件から6月4日で23年となるのを前に、香港で27日、民主派団体が恒例のデモを行った。約2100人(主催者発表)が「事件を忘れてはいけない」などと訴えて市街地を練り歩いた。
 デモは香港市民愛国民主運動支援連合会が毎年開催しており、参加者は中国政府に対し、当時の民主化運動を正当に評価するよう要求。「民衆の手に政治を返せ」などと書かれたプラカードを掲げ、繁華街から香港政府庁舎までの数キロを約2時間かけて行進した。
 若い世代に、いかに事件を伝えていくかも課題とされる中、デモに参加した中学3年の男子生徒(14)は「香港の学校でも事件について詳しく教えてくれないので、自分で新聞を読んで勉強した。民主化こそ正しく、一党独裁を永遠に続けることは不可能だと中国政府に訴えたい」と話した。

◎中国製人肉入りカプセルが「万能薬」? 韓国に大量密輸(2012年5月27日、産経新聞)
 韓国税関当局は今月、中国から「人肉入りカプセル」が大量に密輸されている実態を公表し、摘発を強化する方針を打ち出した。人肉カプセルとは、死産した胎児や乳児の遺体を粉末にして詰めたもの。滋養強壮のほか、がんなど万病に効くとしてヤミ取引されてきた。実際には、多種の細菌が検出され、健康に極めて有害との指摘も。一方で需要がある限り、摘発を強めても販売価格がつり上がるだけだとの声も上がる。

・医薬品と中身のすげ替えも「韓国当局が放置」
 韓国関税庁は今月6日、昨年8月から今年3月までに「人肉カプセル」1万7451錠を摘発したと発表した。内訳は、中国人旅行者らが携行品として持ち込もうとして空港などで摘発されたケースが29件(1万1430錠)で、国際郵便で送られたケースが6件(6021錠)にのぼった。
 密輸元は、中国朝鮮族が多く暮らす吉林省延吉など中国東北部が大半だった。
 一般医薬品の瓶の中身だけをすげ替え、もともとの薬品の説明書を添付したもののほか、人肉カプセル特有の生臭い臭いをごまかすため、漢方薬を混ぜるなど偽装されたものが多く見られた。
 関税庁は、中国からの旅行者の携行品や郵便物のうち、成分表示のない薬品・粉末は全て開封検査するほか、表示があるものも中身を確認する方針を打ち出した。
 それでも「摘発されたものは氷山の一角で、はるかに上回る量が韓国内に出回っているだろう。水際で全て摘発するのは無理だ」との見方が大勢だ。
 そもそも関税庁が昨年8月から密輸の把握に乗り出したのも、韓国の月刊誌が昨年8月に「人肉カプセル」の実態を暴露し、中韓両国で大々的に報道されたからだ。
 このため、韓国メディアの批判の矛先は「税関に任せきりで対策を講じてこなかった」と医薬品などを管轄する食品医薬品安全庁(食薬庁)など保健当局に向かった。
 保険当局側でも言い分はある。人肉カプセルは本来、食品でも医薬品でもないため、取り締まる法令自体ないというのだ。
 有力紙、朝鮮日報は「食薬庁が正式に見解を表明すれば、韓国人が人肉カプセルを摂取してきたと国際的に認めることになり、国のイメージ失墜も懸念される」との同庁関係者の声を報じた。

・故意に死なせた? がんに効く?
 人肉カプセルはどのように作られるのか。
 人肉カプセルの製造現場に潜入取材した韓国の追跡報道番組などによるとこうだ。
 同番組が取材した吉林省の産婦人科医院の薬剤師は、“原材料”となる胎児の死体をポリ袋に入れ、自宅に保管。それを切り刻んで乾燥させて粉々にすると、黄褐色の粉末になる。これがカプセルの中身となる。
 胎児1体から約1000カプセルが作られるという。原形をとどめた胎児もあったことから、番組は「生きている状態で死なせた可能性もある」との産婦人科専門医の見方も伝えた。
 なぜこのようなカプセルが国境を越え、韓国にまで流通するようになったのか。
 中国や韓国での胎児の神秘性に対する迷信が背景にあるとされる。生命の始まりである胎児には、特別な成分があり、摂取することで精気を吸収して健康になるというのだ。
 当初は中国人労働者が滋養強壮剤として韓国に持ち込んだものが、「万病に効く」として、「わらにもすがる思い」の末期がん患者や重病患者の間に需要が生まれ、ソウルの薬剤市場などでヤミ取引されるようになったという。
 韓国メディアは「関節の弾力に優れているとネコを煮て食べた風習や、精力がつくと太った雄イヌやオットセイの性器を食べるのと同じ迷信だ」と切り捨てる。また、「小麦粉を薬と思って飲んで効能を感じる『偽薬効果』と同じだ」との専門家の解説を伝えている。

・1錠3000円超に高騰 責任はどっちの国に?
 へその緒に含まれる「臍帯血」が医療に活用されていることは広く知られるが、人肉カプセルが臨床試験を経て科学的に効果が立証された臍帯血とは全く別物。むしろ韓国メディアや専門家らは、「人体に有害でさえある」と警告している。
 人肉カプセルの成分は、人体を形作るタンパク質や無機質に過ぎない。ほとんど衛生管理のない中国の一般住宅や町工場で製造されており、腐敗した胎児の死体が使われることもあるという。
 保健当局が人肉カプセルを分析したところ、17種類の細菌が検出され、うち8種はほとんどの抗生物質が効かない「スーパー耐性菌」だった。重病者が摂取すると、病原菌が血液を通じて全身に広がり、中毒症状を起こす敗血症につながる恐れが指摘されている。
 朝鮮日報は、「税関が取り締まりを強めても需要がなくならない限り、今後も密輸は続く」と指摘する。その上で「摘発を強化すればむしろ販売価格が上がりかねない」との薬剤販売業者の声とともに、昨年1錠8000ウォン(約540円)だった売値が、最近は4万~5万ウォン(約2700~3400円)に高騰している現状を伝えている。
 韓国関税庁の発表を受け、人肉カプセル騒動は、中韓を超え英国紙も報道した。韓国有力紙、中央日報は、報道を受けた英国民の反応をこう紹介した。
 《記事を見た英国市民は驚きを隠せずにいる。オンライン記事には、500件を超えるコメントが続き、「中国人が問題なのか、韓国人が問題なのか」と論争まで広がっている…》
 少なくとも言えるのは、中国、韓国両国が犯人捜しでなく、協力して悪習を根絶するときにきているということだ。

◎「公衆トイレ、ハエは2匹まで」、北京市が管理基準(2012年5月24日、朝日新聞)
 公衆トイレ内のハエは2匹まで――。汚さと悪臭で市民の不興を買っている公衆トイレの衛生状態を改善しようと、北京市がこんな一風変わった管理基準をつくった。
 対象となるのは、北京市内の観光地や駅、空港、公園、病院などのトイレ。中国紙によると市の担当者は、ハエの数は「目で見える範囲」で確認すると説明したという。
 基準にはほかにも、「ゴミは30分以内に片づける」「トイレットペーパーを備え、せっけんを適宜補充する」など、細かい内容が並ぶ。悪臭の強さにも区分を設けている。
 ハエは2匹までという基準について、中国のネット上では「どうやって数えるのか」「こんなバカな政策がどこにある」といった反応が相次いでいる。

◎北朝鮮の武装船、中国漁船3隻拿捕、29人拘束(2012年5月17日、読売新聞)
 16日付中国各紙によると、黄海で操業していた中国漁船3隻が8日、北朝鮮当局とみられる武装船に拿捕され、乗組員29人が拘束された。
 拿捕されたのは、遼寧省大連を拠点とする底引き網漁船団4隻のうち3隻で、中国の領海内で操業していたという。北朝鮮船の所属部門は不明。乗組員29人は拘束されたままで、中朝間で事態解決へ向けた協議に入っているとみられる。
 一方、漁船団の関係者と名乗る男性が15日、ネットの掲示板に同様の情報を伝えた上で、「北朝鮮側が1隻あたり40万元(約500万円)の保釈金を要求してきた」と書き込んでいた。この男性は16日、本紙の電話取材に応じ、「地元の海事当局に解決を求めているが、『北朝鮮側と協議中』と回答するだけで、今のところ進展はない」と語った。

◎中国の南シナ海禁漁、ベトナムも「無効」、抗議の意表明(2012年5月17日、朝日新聞)
 南シナ海の大半の海域を16日から禁漁にした中国に対し、フィリピンに続いてベトナムも中国に抗議の意を表明した。ベトナム外務省のルオン・タン・ギ報道官は15日、ベトナムが領有権を主張するパラセル(西沙)諸島やスプラトリー(南沙)諸島が中国の禁漁海域に含まれることについて不快感を示し、「中国の一方的な決定に抗議し、中国の措置は無効と考えている」と述べた。

◎中国が追加金融緩和、預金準備率0.5%下げ、景気下支え(2012年5月12日、産経新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は12日、金融機関から預金の一定割合を強制的に預かる預金準備率を18日から0.5%引き下げると発表した。金融緩和措置である準備率引き下げは2月24日以来で、昨年12月に金融政策を緩和方向に転換してからは3回目。追加緩和で中国は、減速する自国経済を下支えする姿勢を鮮明にした。
 準備率を下げると融資余力が増し、金融緩和効果が生じる。中国の大手金融機関の準備率は20.5%から20.0%に引き下げられ、約4千億元(5兆円)相当の緩和効果が見込まれる。
 欧州債務危機が収まらない中で、主力の欧州向け輸出の先行きは不透明感が強い。中国の住宅市場低迷などを背景に内需も勢いを欠き、追加緩和を含む景気刺激策への期待が高まっていた。

◎中国、フィリピン製品の検疫強化、背後に領有権争い?(2012年5月10日、朝日新聞)
 中国税関総署が10日発表した4月の貿易統計によると、輸出は前年同月比4.9%増の1632億5千万ドル(約13兆円)、輸入は同0.3%増の1448億3千万ドルだった。中国を含む経済の低迷を映して、伸び率は3月の輸出8.9%増、輸入5.3%増から鈍化した。
 1~4月の輸出は6.9%増、輸入は5.1%増で、中国政府が通年の目標とする10%程度を下回っている。
 一方、中国国家品質監督検査検疫総局は10日までに各地の検疫局に対して、フィリピンから輸入されている果物から害虫が頻繁に検出されているとして、検査を増やすなど検疫強化を求める通達を出した。南シナ海のスカボロー礁(黄岩島)の領有権をめぐって対立するフィリピンへの「嫌がらせ」との見方が広がっている。

◎人民日報脅かす「微博女王」(2012年5月10日、産経新聞)
 中国人は今、「微博(ウェイボー)」と呼ばれる中国版ツイッターをよく使っている。インターネット大手・新浪が運営する微博サービスの登録利用者数は3億人を超え、発信件数は1日1億件に達しているという。
 言論の自由がひどく制限されているこの国の国民にとって、140字のコメントが書ける微博は、自分たちの意見を発信する大変便利な手段となっている。
 微博利用者の中で特に有名なのは女優の姚晨さんである。彼女へのフォロワー数は一時、1919万人に達したことがあり、姚さんは複数のメディアから、「微博女王」の愛称を贈られている。
 姚さんの微博は一女優としての世界を超えて、さまざまな社会問題に広く言及しているのが特徴である。たとえば昨年7月の高速鉄道追突事件では、政府の弁護に回った専門家の見解に対し、彼女は微博を使って真っ先に反論したことがあるし、政治的腐敗の象徴として取りざたされている官僚の「公費飲食」問題を取り上げて痛烈な批判を浴びせたこともある。「美人女優ながら社会派微博発信者」という姚さん独特のキャラクターは、その絶大な人気の源なのである。
 この姚さんは今、国内の既成メディアの代表格である人民日報から注目の的となっている。去る4月26日、人民日報社の張研農社長は上海復旦大学の学生たちとの懇談で、ネットなどの新興メディアが急速に普及していることに対し、人民日報が大変な危機感を覚えているとの話をしたが、その中で彼が自分たちの恐れる新興メディアの具体例として挙げたのがまさに姚晨さんのことであった。
 「人民日報の購読部数は約280万部なのに姚晨さんの微博のフォロワー数は1919万人もいる。人民日報の購読部数の7倍に近い数字だ。わが人民日報はたった1人の女の子に負けているのではないか」と張社長が、やや自虐気味の口調で嘆いているところが、翌日には多くの新聞紙の紙面を飾るネタとなり、「人民日報は微博女王のことで危機感を覚えた」との話題が全国で大きな反響を呼んだのである。
 姚晨さんという1人の女優の発信する微博が人民日報の購読者数をはるかに超えて多くの国民の支持を得ていることは中国社会の激変を象徴するような注目の出来事であろう。
 これまで、政治権力は情報の発信権を独占することによって言論の統制を行って体制の維持を図ってきたが、今や、ネットの普及によって独占状態が完全に打破されただけでなく、情報発信の主導権は徐々に、人民日報のような官製メディアの手から姚晨さんのような普通の人々の手に移りつつある。姚さんのような人が「反体制」の立場に立たなくても、情報発信の主導権が彼女たちによって握られるようなこと自体が、体制にとっての深刻な危機なのである。
 それが故に、共産党政権は最近、微博に対する取り締まりの強化に躍起になっている。昨年12月、当局が「微博上のわいせつ情報や低俗情報への取り締まり」と称して206のアカウントを一斉に閉鎖したのも、今年4月、例の薄煕来氏失脚事件との関連において当局が「デマを流した」として新浪微博の一部機能の停止を命じたのも、すべては統制強化の一環であろう。
 しかし体制がいくら必死になったとしても、数億人の微博利用者を統制下におくようなことは物理的にもまず不可能だし、国民の多くが人民日報よりも姚晨微博を愛読している事実を変えることもできないだろう。時代の流れは確実に、独裁体制弱体の方向へと向かっているようである。

◎中国 南シナ海で深海掘削開始、資源確保と領有権強化狙う(2012年5月9日、産経新聞)
 中国国営新華社通信などによると、国有石油大手、中国海洋石油(CNOOC)は9日、南シナ海の深海で石油や天然ガスの掘削探査を開始した。同社の王宜林会長は「わが国の海洋強国戦略を推進し、領海主権を守るために新たな貢献をするものだ」と意義を強調。資源エネルギーを確保するとともに、南シナ海の領有権を強固にする“国家事業”として深海探査を進める方針を明らかにした。
 一方、中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)で両国の艦船がにらみ合いを続けるなか、中国の傅瑩外務次官は7日、フィリピンのアレックス・チュア駐北京臨時代理大使を呼び出し、「中国は、事態を悪化させるフィリピン側の行為に対応するためのすべての準備を整えている」と伝えた。
 9日に始まった深海探査に直接関係するものではないが、同日付の中国系香港紙・文匯報は、傅次官の通告は、フィリピンに対する「最後通告」だとの見方を示した。スカボロー礁周辺では約1カ月にわたり、中国漁船の操業をめぐってフィリピンと中国の艦船が対峙している。
 今回、新型の深海用掘削リグ「海洋石油981」(長さ・高さ約110メートル)が掘削探査を始めたのは、香港の南東320キロで水深約1500メートルに位置する海底油田。
 南シナ海の石油埋蔵量は230億~300億トン、天然ガスは16兆立方メートルと推定されている。これは中国の石油・天然ガス埋蔵量全体の3分の1にあたる。
 南シナ海に眠る石油・天然ガスの約70%は、水深300メートル以上の深海地帯に分布しているとみられている。同社は、独自に開発した水深3千メートル地点での掘削が可能な装置を導入。掘削開始の様子は、中国中央テレビが実況中継するほどの仰々しさだった。
 共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報は9日、中国の東南アジア問題専門家の話として、「南シナ海での海底資源探査や漁船団派遣は、中国の領有権を強固にするための効果的な方策だ」と述べ、フィリピンとの領有権問題が過熱するスカボロー礁の名前を挙げてその周辺開発を主張した。
 傅次官の7日の通告については、同専門家は「中国はおそらく経済制裁といった強硬措置を取る。武力行使はないだろう」と分析した。外務省の洪磊報道官も9日の定例記者会見で、「外交交渉を通じて解決するという立場に変化はない」と述べたが、今回の掘削開始とともに傅次官の通告がフィリピン側を刺激することは間違いない。

◎中国、左右サイトを次々閉鎖、党内分裂を警戒(2012年5月9日、読売新聞)
 毛沢東時代を回顧する「紅歌(革命歌)」を奨励するなどの左派的手法を取り入れた薄煕来(ボーシーライ)前重慶市党委書記の失脚で、中国の胡錦濤(フージンタオ)政権は、左右のイデオロギー対立が党内分裂につながることを警戒し、関連サイトの閉鎖に乗り出している。
 盲目の人権活動家、陳光誠氏を支持する勢力は、ネットでの言論活動を活発化させており、言論統制は一層強化されている。

・薄氏事件余波
 ネットでは薄氏を批判する温家宝(ウェンジアバオ)首相の辞任説も流布。党高級幹部子女グループ「太子党」の薄氏支持派が、胡・温コンビに反撃を仕掛けているとの見方が強く、胡氏は7日以降、各地の党幹部を北京に集め、安定団結に向けた話し合いを続けている模様だ。
 中国では、改革・開放政策を批判し、計画経済を支持する保守思想は左派、市場主義による改革を主張し、西側の民主主義に近い立場は右派と大別される。
 胡氏は3月、薄氏の市党委書記解任後、「党の団結」をアピールする宣伝工作を強化。薄氏を礼賛していた「烏有之郷」や「毛沢東旗幟ネット」など左派の代表的サイトを封鎖する一方、右派の「中国選挙・統治ネット」や「共識ネット」、自由主義的な論調で知られる「天則経済研究所」のサイトも閉鎖、または一時閉鎖した。
 多数のフォロワー(読者)を持つ右派著名人の微博(中国版ツイッター)も相次ぎ封鎖され、中国メディア記者は「左派劣勢で右派が活気づき、逆に左右の亀裂を深めることを警戒したため」と分析する。陳氏の写真を掲載しただけで閉じられた人気微博もある。
 当局が神経質になるのも、胡政権が貧富格差の拡大や腐敗を放置しているとの批判は根強く、「等しく貧しかった」毛沢東時代への回顧を求める左派が、既得権益からはじかれた低所得者層などから支持を受けているためだ。「薄氏1人の失脚で左派の思想が退潮するとは言えない」(党関係者)のも事実だ。

◎中国から「人肉カプセル」、韓国当局が摘発(2012年5月8日、朝日新聞)
 韓国関税庁は6日、中国東北部から死産した胎児の体を粉末にして作った「人肉カプセル」が韓国に大量に持ち込まれている、と公表した。
 関税庁によると、昨年8月以降、中国東北部の延吉や吉林などから届く国際郵便や飛行機などで訪韓する旅行者の携帯品から、医薬品を装った計1.7万錠の中身が不審なカプセル入り粉末を摘発。分析した結果、粉末には人体のDNAが含まれ、髪の毛やつめを裁断したとみられるものも含まれていたという。
 担当官によれば、中国東北部の発送元をたどって調べた結果、胎児の体をガスレンジで乾燥させるなどして粉末にする製造現場も確認したという。一方、韓国内では主に重労働につく在韓中国人が「滋養強壮剤」として服用しているほか、末期がん患者が購入している事例もあった。
 カプセルからは有害なスーパーバクテリアも検出されたとし、関税庁は旅行者の携帯品や国際郵便の通関手続きを強化する方針だ。

◎ネットで薄氏支援を呼び掛け、中国、集会は行われず(2012年5月3日、産経新聞)
 失脚した中国重慶市の前トップ薄煕来氏を支援するため、北京の天安門広場に3日に集合するよう呼び掛ける文書がネット上で出回ったが、集会は行われなかった。当局が抑え込んだとみられる。
 呼び掛けたのは北京市経済管理幹部学院の女性教員。女性は保守派の主張を掲げているとみられ、文書の中で保守派の代表格である薄氏を「真の共産党人の象徴」と強調。その上で3日午前9時に天安門広場に集合し、公安省に行って党による薄氏の違法拘束を告発しようと訴えていた。

◎中国でNHKニュースまた中断、陳氏めぐる報道時(2012年5月3日、産経新聞)
 中国で3日夕、当局による自宅軟禁から脱出した人権活動家、陳光誠氏に関する情報を伝えていたNHK海外放送の定時ニュース番組が一時中断された。
 陳氏が出国の希望などを訴えた直後、画面が真っ黒になった。2日も陳氏が米大使館を離れて北京市内の病院に入ったとNHKニュースが伝えた際、番組が一時中断しており、中国当局が引き続き陳氏に関する報道に神経をとがらせていることを示している。

◎「デマ流し物笑いの種」、海外メディアを強く批判、「薄煕来氏事件」報道で中国国営通信(2012年5月2日、産経新聞)
 中国国営通信新華社は1日、重慶市トップを解任された薄煕来氏をめぐる事件に関する論評記事(英文)を配信、一部海外メディアの報道姿勢について「根拠のないデマを流しており、一部のデマは中国で物笑いの種になっている」と強く批判した。
 論評では共産党中央規律検査委員会が党員を処分するのは「政治闘争や路線闘争ではない」と強調。薄氏事件と党内闘争を結び付けて報じる海外メディアが多いことに中国当局がいら立ちを募らせていることが批判の背景にありそうだ。
 同記事は方浜興・北京郵電大学長が党中央規律検査委員会に拘束されたとする一部報道を「デマ」の例として挙げ、方氏が短文投稿サイト上で否定、一部の海外メディアに謝罪を求めているとした。
 一部海外メディアについて「事実による根拠がなく、報道の職業姿勢を大切にしない」と指摘した。

◎中国河南省で千人デモか、当局の家取り壊しが発端(2012年5月2日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターが2日伝えたところによると、中国河南省鹿邑県で1日、住宅を強制的に取り壊しに来た当局者らと住人の男性が争いとなり、男性は殴られ死亡した。この事件に抗議して同日、住民約千人がデモを行った。
 同センターによると、約百人の当局者が1日午前、70歳ぐらいの男性の新築した住宅を強制的に取り壊した。当局との争いで男性の家族3人も負傷した。
 事件を聞いた住民約千人は、男性の遺体を掲げて地元政府の庁舎までデモ行進。2日早朝には公安当局者が男性の遺体を持ち去ったため、同日午前も多くの住民が抗議活動を行ったという。

◎NHK海外放送が突然中断、中国人権活動家の話題で(2012年5月1日、産経新聞)
 中国で1日昼、NHK海外放送の番組が一時中断された。中国当局による自宅軟禁から脱出した盲目の人権活動家、陳光誠氏の話題に触れた瞬間、画面が数分間真っ黒になった。
 陳氏が米当局に保護されていることに関連し、オバマ米大統領が中国に対して人権状況の改善を求めたことを伝えた内容とみられる。
 3日から北京で米中戦略・経済対話が開かれるが、中国側が陳氏の扱いに極めて神経質になっている様子がうかがえる。
 今年に入り、重慶市トップを解任された薄煕来氏をめぐり、少なくとも2度、NHKのニュース番組の放送が中断されている。

◎中国などを「優先監視国」に指定、米報告書、「パクリ」に懸念表明(2012年5月1日、産経新聞)
 米通商代表部(USTR)は30日、知的財産権の侵害国などを特定する「包括通商法スペシャル301条」に基づく2012年版の報告書を発表し、知財保護の観点からとくに問題の多い「優先監視国」に中国など13カ国を指定した。日本は監視リストから引き続き外れた。
 報告書は中国に対する記述が圧倒的に多く、特に商標権の侵害について「深刻な懸念」を表明した。そのなかで、多くの海外企業が中国に不安を抱いており、中国市場での知財保護は、「米国の通商政策にとって優先事項」と強調した。米側は3日から北京で始まる米中戦略・経済対話でも、知的財産権の問題を取り上げ、中国側に改善を促す方針だ。
 ただ、報告書では、制裁を念頭に交渉を進める「優先交渉国」に該当した国はなかった。

◎中国漁船取り締まりで韓国係員負傷、不法操業船長ら逮捕(2012年5月1日、朝日新聞)
 韓国農林水産食品省によると、30日午前2時半ごろ、韓国南西部・木浦の沖で不法操業をしていた中国漁船を同省の漁業指導船が取り締まろうとしたところ、漁船員らが抵抗し、指導船の係員4人が負傷した。木浦海洋警察署は船長を含む9人を現行犯逮捕した。韓国政府は中国当局に抗議する方針だ。
 同省によると、係員が漁船の調査をしている最中に漁船員らが刃物などを振り回し、係員の頭や足などにけがを負わせたという。
 中国漁船の不法操業をめぐっては、昨年12月に韓国・仁川沖で韓国海洋警察庁職員が漁船の船長に殺害される事件が起き、ソウルの中国大使館前で抗議集会が開かれるなど韓国内で中国への批判が噴出。これに中国の世論が反発して両国関係が悪化し、両政府が事態の収拾に追われた。
 両政府は4月中旬、不法操業への対策会議を開いて取り締まりや処罰の強化などを申し合わせたが、中国漁船による不法操業は後を絶たず、再び外交問題に発展する可能性がある。

◎薄氏息子、米名門大揺るがす、習氏の娘も留学中(2012年4月30日、読売新聞)
 中国重慶市の薄煕来(ボーシーライ)前市党委書記が失脚し、妻の谷開来(グーカイライ)容疑者も殺人容疑で拘束された事件で、米ハーバード大大学院に留学中の薄氏の息子、瓜瓜(グアグア)氏(24)に注目が集まっている。
 同大を訪れると、中国を揺るがすスキャンダルが、遠く離れた米国屈指の名門校の雰囲気をも一変させていた。
 「授業にはあまり出席しないけれど、来れば積極的に発言する人。指導力に関する授業で、中国政治を熱く語っていた記憶がある」
 同級生の女子学生(25)は、瓜瓜氏の印象をこう語る。「中国の有力者の息子だとは聞いていた。この大学院には有力者やら富豪やらの子女が多いから、特段、何も思わなかった」
 同氏が行政学を学ぶハーバード大ケネディ行政大学院は「世界の指導者を育成する」がモットー。学費などで年間約7万ドル(約560万円)は必要だ。瓜瓜氏のほかにも中国共産党高級幹部の子女が複数、留学中とされる。
 同大の学部には、今秋の党大会で最高指導者に就く予定の習近平(シージンピン)国家副主席の娘も学ぶ。米中摩擦の陰で中国の高級幹部子弟は米国のエリート教育を目指す。
 瓜瓜氏のマンションは、大学院から徒歩十数分、歴史的な家並みのボストン郊外ケンブリッジで、ひときわ目立つ7階建てのモダンな建物だった。部屋は約90平方メートルある2LDKで家賃は月額3000ドル(24万円)以上。米紙は、瓜瓜氏が今月中旬、マンションから去ったと報じており、その後、行方は分かっていない。

◎中国反体制派サイトに攻撃、薄氏事件報道を妨害か、運営側が抗議声明(2012年4月29日、産経新聞)
 米国を拠点にする中国語ニュースサイト「博訊」など、中国の反体制派が運営する五つのサイトは29日までに、近ごろ何者かに組織的なサイバー攻撃を受けサイトへのアクセスを妨害されているとして、共同で抗議声明を出した。
 5サイトは、中国重慶市のトップを解任された薄煕来氏をめぐる事件の内幕などを積極的に報道。声明は、攻撃元は不明としているが、報道を望まない中国当局の関与を疑う見方が出ている。
 博訊上に発表された28日付の声明によると、博訊や「新世紀新聞網」などは、たびたびサーバーを攻撃されるなどして、一時閲覧できない状態に陥ったりした。

◎「人生狂った」薄氏長男の李望知氏(2012年4月29日、産経新聞)
 中国重慶市トップを解任された薄煕来氏の長男、李望知氏は28日までに、薄氏の一連の問題で「自分の人生はむちゃくちゃになった」と述べた。米ブルームバーグの電話取材に26日、答えた。薄氏とはこの5年会っておらず、父の威光を借りて利益を得たことはないなどと話した。
 ブルームバーグや香港紙によると、中国国内にいる李氏は34歳で、母親は同氏が幼少時に薄氏と離婚した。留学先の米国でぜいたくに暮らしていると報じられている薄瓜瓜氏と李氏は異母兄弟。
 李氏は、米国留学などを経て投資業を行っていたが、今年2月からは仕事をしていないと説明。薄氏が市長を務めた大連市で投資したこともあるが、うまくいかなかったという。最後に薄氏と会ったのは、2007年に行われた祖父、薄一波氏の葬儀だとした。

◎危機察知、証拠隠滅工作か、薄氏、全人代欠席し重慶に(2012年4月29日、産経新聞)
 失脚した前中国重慶市トップの薄煕来氏が北京で3月に開かれた全国人民代表大会(全人代=国会)を一時欠席したのは、知人の自家用機で重慶に戻ったためで、危機を察知して自身や家族に関する疑惑の証拠隠滅を図った疑いがあることが27日分かった。中国筋が明らかにした。
 薄氏は欠席理由について、北京での記者会見で「少しせきが出て、体調が良くなかった」と説明。しかし、妻の谷開来容疑者が関わったとされる英国人殺害事件の隠蔽容疑とともに、全人代の無断欠席も重大な規律違反に問われ、失脚につながったという。
 薄氏が欠席したのは3月8日午前の全人代全体会議。同日午後には北京に戻って重慶市代表団の会議に出席し、翌9日の記者会見では自身の辞任説について「作り話」などと強く否定していた。香港メディアによると、薄氏が使ったのは、中国当局に拘束された遼寧省大連市の大手企業、大連実徳集団会長徐明氏の自家用機。

◎薄氏親族110億円蓄財か、中国当局、資産調査も(2012年4月29日、産経新聞)
 中国重慶市のトップを解任された薄煕来氏に関し、米ブルームバーグは26日、薄氏の親族が少なくとも計1億3600万ドル(約110億円)の資産を蓄財していたと報じた。また、25日に香港の中国系企業の副会長職を辞任した薄氏の兄は昨年までの2年間で、同社関連の株売却により4320万香港ドル(約4億5千万円)の現金を得たという。
 香港メディアによると、中国当局の調査団が、薄氏一家が香港に保有する資産を調べるため香港入りしている。同氏の兄も当局による調査対象になっているとみられる。
 これまでに香港誌は、薄氏が登用した市幹部らから見返りとして2年間で計10億元(約129億円)の賄賂を受け取っていたと伝えている。

◎薄氏兄が企業幹部職辞任、中国が香港の資産調査か(2012年4月29日、産経新聞)
 26日付の香港各紙によると、失脚した中国重慶市の前トップ、薄煕来氏の兄が25日、務めていた香港の中国系企業の副会長職を辞任した。薄氏をめぐる報道で会社に悪影響が及ぶことを懸念したという。
 薄氏をめぐっては、中国当局の調査団が、同氏一家が香港に保有する資産を調査するため香港入りしているとされる。米国に留学中の薄氏の息子、薄瓜瓜氏も、遊び回っていると報道されるなど、薄氏失脚をめぐる一連の問題で、家族にも影響が広がっている。
 香港紙によると、この企業は環境事業を展開する「中国光大国際」。薄氏の兄、薄煕永氏が「李学明」の名前で副会長を務めていた。李氏が薄煕来氏と関係があると報じられた24日、同社の株価は10%下落したという。

◎薄氏息子、米名門大揺るがす、習氏の娘も留学中(2012年4月28日、読売新聞)
  中国重慶市の薄煕来(ボーシーライ)前市党委書記が失脚し、妻の谷開来(グーカイライ)容疑者も殺人容疑で拘束された事件で、米ハーバード大大学院に留学中の薄氏の息子、瓜瓜(グアグア)氏(24)に注目が集まっている。
 同大を訪れると、中国を揺るがすスキャンダルが、遠く離れた米国屈指の名門校の雰囲気をも一変させていた。
 「授業にはあまり出席しないけれど、来れば積極的に発言する人。指導力に関する授業で、中国政治を熱く語っていた記憶がある」
 同級生の女子学生(25)は、瓜瓜氏の印象をこう語る。「中国の有力者の息子だとは聞いていた。この大学院には有力者やら富豪やらの子女が多いから、特段、何も思わなかった」
 同氏が行政学を学ぶハーバード大ケネディ行政大学院は「世界の指導者を育成する」がモットー。学費などで年間約7万ドル(約560万円)は必要だ。瓜瓜氏のほかにも中国共産党高級幹部の子女が複数、留学中とされる。
 同大の学部には、今秋の党大会で最高指導者に就く予定の習近平(シージンピン)国家副主席の娘も学ぶ。米中摩擦の陰で中国の高級幹部子弟は米国のエリート教育を目指す。
 瓜瓜氏のマンションは、大学院から徒歩十数分、歴史的な家並みのボストン郊外ケンブリッジで、ひときわ目立つ7階建てのモダンな建物だった。部屋は約90平方メートルある2LDKで家賃は月額3000ドル(24万円)以上。米紙は、瓜瓜氏が今月中旬、マンションから去ったと報じており、その後、行方は分かっていない。

◎iPad訴訟、ずる賢い中国企業、商いの極意(2012年4月28日、産経新聞)
 多機能端末「iPad(アイパッド)」の商標権をめぐり、米・アップル社と中国企業とのトラブルが続いている。アップルが商標権の確認を求め中国の裁判所に提訴しているが、今月24日には、中国の商工当局幹部が中国企業の商標登録を合法とする見解を示したという。日本と中国は昨年の貿易総額が過去最高を記録するなど商売上の付き合いは深まっている。一方でトラブルも少なくない。中国企業との付き合いの中で見えてくるものとは…。

・商習慣の違い?「中国本土の分は別だ」
 中国メディアによると、中国でiPadの商標権登録をしていたと主張しているのは広東省のIT(情報技術)企業、唯冠科技公司だ。事の発端は、台湾にある唯冠のグループ会社が2000年に世界各地でiPadの商標権を獲得したことにある。
 商標権の登録については、米国では「先に使っていた人」が権利を手にできるが、中国のほか、日本などでは「先に申請した人」が優先される。
 この商習慣の違いから、アップルは世界各地でiPadの商標権を買い取らざるを得なくなり、英国に会社を設立し、唯冠科技のグループ会社から商標権を買い取った。アップルは中国本土における商標権も買い取ったつもりだったが、実は中国本土で商標権を所有していたのは、このグループ会社ではなく、唯冠科技そのものだった。
 つまり、訴訟に発展したのは「中国本土での商標権を買い取った」と主張するアップルと、法律上いまだ商標権を有すると訴える唯冠科技側との対立が背景にあった。

・iPadの商標権で債権回収か
 唯冠科技側は賠償金1200億円を求め提訴し、1審に当る深●(=土へんに川)市中級法院はアップル側が敗訴。現在、2審にあたる広東省広州市高級人民法院で審理が行われている。
 現地からの報道によると、中国商工当局の幹部は4月24日、唯冠科技の商標権登録について「中国の商標法に基づけば合法だ」と指摘。地方都市の当局もアップルによるiPad販売が商標権侵害に当るかどうかを調査を行っているという。
 ただ、事態を複雑にさせているのは、唯冠科技が倒産寸前だということだ。未返済の負債は470億円以上、8つの銀行からの負債も1億8千万ドルもあるとされる。つまり、アップルの商標権をめぐる訴訟は、債権者にとって「債権回収」の意味合いもあると指摘されている。

・契約書の“細工”
 商標権だけでなく、中国における商売上のトラブルは多い。
 例えば、企業が海外進出する際などの保険を取り扱う関係者によると、日中の企業同士でこんなことがあった。契約上のトラブルが起こったものの、両者の話がどうもかみ合わない。債権者の日本企業側が契約書をよくみると、債務者欄にある中国企業名が、当該の企業名でなく、その企業の孫会社名だった…。だから契約事項を細部で確認しようとしても話が通じなかったのだ。
 あるいは「◯◯集団」と企業グループ名が書いてあるだけで、それが本社なのか、子会社やグループ企業なのかが分からないこと少なくないという。
 ケースは異なるものの、iPadの唯冠科技と台湾のグループ会社の例がどこか重なる気がしないか。

・悪意=優秀という論理
 商品代金を支払ってもらえない「支払い遅延」の問題もある。
 前述の関係者は、中国では、品物を先に渡して後で代金を受け取る「掛け売り」が主流になりつつあり、延滞日数が短くなりつつあると説明する。しかし、支払期日を守らないケースが少なくなく、しかも手形、小切手に不渡りの制度がない。
 「当然、支払い遅延はいいことではない。ただ、中国企業側の視点からみれば、自社のキャッシュフローを良化させるための担当者の最善の努力ともいえる」
 この関係者の指摘に従えば、確かに、交渉相手との関係を悪化させず、自社の支払いを可能な限り遅らせられれば、使える資金がより多く手元に残る。悪意さえ感じるようなやり方だが、そこには中国側のしたたかな論理があるともいえる。
 契約書に孫会社名が記載されているのは、何かあればスパッと孫会社を切るためと考えれば「ビジネスライクな考え方」に違いない。中国企業に交渉術、戦略の巧みさがあるのは確かだ。

・対中国、「飽きない力」を磨こう
 日本貿易振興機構(JETRO)が公表しているデータなどによると、昨年の日中貿易は総額約3450億ドルで前年比約14%増え、過去最高を記録した。大阪からの進出企業も増えている。前述の関係者は言う。
 「中国企業に限らず、世界の企業を相手にするとき、相手のロジック(論理)を学び、対策を練るのは当然のことだ。そうでないと世界では闘えない」
 相手を徹底して学び、研究・分析し、その良さを取り込んだ上で、自らの新たな技術とする-。この流れで、日本の自動車産業が世界トップクラスに成長した例が有名だが、これは昔から日本が得意とし、世界と渡り合ってきた「日本の力」でもある。大事なのは「えたいが知れない」と相手をただ恐れるのではなく、徹底的に分析し対処することだ。
 中国企業が狡猾だろうが、ビジネスライクだろうが、それに負けず、対処する力を日本側は持っている。中国企業との付き合いは、次代に必ず生きてくる。

◎薄氏130億円収賄か、兄聴取、不正蓄財解明へ(2012年4月27日、読売新聞)
 中国共産党政治局員の停職処分を受けた薄煕来(ボーシーライ)前重慶市党委書記(62)が、確定分だけで10億元(約130億円)を収賄していた疑いのあることが26日、党関係者の証言で明らかになった。
 総額は数十億元にのぼり、海外に不正送金されていたとみられる。党中央規律検査委員会は、薄氏の実兄で、香港にある環境設備会社「中国光大国際」の薄煕永・前副社長を聴取するなど、薄ファミリー資金の実態解明に向け、本格調査に乗り出した。
 党幹部に内部報告された調査結果によると、薄氏への10億元のわいろは、2007年12月に重慶市書記に就任して以来、市幹部から登用の見返りとして受けたもので、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏(41)の毒殺事件で拘束された薄氏の妻、谷開来(グーカイライ)容疑者(52)が仲介。毒殺事件で毒物を用意したとされる夏沢良・重慶市南岸区党委書記(50)が、抜てきの謝礼として贈った約3000万元(約3億9000万円)も含まれる。このほか、企業からの資金提供も含めると数十億元に達するという。

◎薄氏130億円収賄か、兄聴取、不正蓄財解明へ(2012年4月27日、読売新聞)
 中国共産党政治局員の停職処分を受けた薄煕来(ボーシーライ)前重慶市党委書記(62)が、確定分だけで10億元(約130億円)を収賄していた疑いのあることが26日、党関係者の証言で明らかになった。
 総額は数十億元にのぼり、海外に不正送金されていたとみられる。党中央規律検査委員会は、薄氏の実兄で、香港にある環境設備会社「中国光大国際」の薄煕永・前副社長を聴取するなど、薄ファミリー資金の実態解明に向け、本格調査に乗り出した。
 党幹部に内部報告された調査結果によると、薄氏への10億元のわいろは、2007年12月に重慶市書記に就任して以来、市幹部から登用の見返りとして受けたもので、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏(41)の毒殺事件で拘束された薄氏の妻、谷開来(グーカイライ)容疑者(52)が仲介。毒殺事件で毒物を用意したとされる夏沢良・重慶市南岸区党委書記(50)が、抜てきの謝礼として贈った約3000万元(約3億9000万円)も含まれる。このほか、企業からの資金提供も含めると数十億元に達するという。

◎チベット族数千人がデモ、弾圧に抗議、四川省(2012年4月27日、産経新聞)
 米国の海外向け放送、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は27日までに、中国四川省カンゼ・チベット族自治州徳格県で25日、チベット族住民数千人が、地元当局による僧侶への弾圧などに抗議するデモを実施したと伝えた。
 当局の治安部隊が22~24日に同県のチベット仏教寺院を取り締まり、多数の僧侶に暴行を加え、数人を逮捕。デモでは弾圧停止や警察の寺院からの撤退を求めたという。
 米政府系放送局のラジオ自由アジアによると、同自治州の理塘県では約2カ月前から、当局者がチベット族住民に対し、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の帰還に反対することなどを誓わせる文書に署名を要求。住民らが拒絶すると、警察官らが暴行を加えたという。

◎英外相、殺された実業家のスパイ説否定、薄氏妻関与事件(2012年4月27日、朝日新聞)
 中国重慶市のトップだった薄熙来(ポー・シーライ)氏の妻、谷開来(クー・カイライ)容疑者が英国人実業家ニール・ヘイウッド氏(当時41)を殺したとされる事件で、ヘイグ英外相は26日、英下院委員会への書簡で、ヘイウッド氏は「英政府の職員ではなかった」と述べ、一部で報道されている「スパイ説」を否定した。英BBCが伝えた。
 ヘイウッド氏は中国在住歴が長く、英対外情報部(MI6)元職員が創設した情報会社にも助言していた。このため、英米ではスパイ説も報じられていた。
 ヘイグ氏は、ヘイウッド氏の北京の英国大使館とのかかわりは、コンサルタントとして会合に参加するなど限られたものだったと指摘。「この種の推測については、肯定も否定もしないのが従来の政府方針だ」とし、報道の過熱をうけ、異例の書簡を出したことを強調した。

◎不動産バブルの末期症状、大幅な値下げ必至(2012年4月26日、産経新聞)
 4月に入ってから、中国の不動産市場の動向に関するいくつか重要な情報が上がってきた。
 1つは、中国指数研究院が2日に発表した不動産価格の下落に関する最新情報である。それによると、今年3月の中国100都市の不動産平均価格は先月比で0.3%程度下落し、2011年9月以来連続7カ月も下落しているという。
 100都市の不動産平均価格が先月比でわずか0.3%しか落ちていないのはむしろ意外であるが、今後の行方を占う上では、価格が「連続7カ月下落してきている」という事実の方が重みがあるであろう。
 不動産市場の下落傾向に関する別の統計数字も出ている。中国国家統計局が18日に発表した3月の新築住宅価格は、主要70都市のうち38都市で前年同月の水準を下回ったのである。前年割れした都市は2月より11都市増え、全体の5割超に達しており、価格の下落基調がいっそう強まっているとみられる。
 価格の下落よりもさらに深刻なのは不動産市場そのものの冷え込みである。価格が連続して落ちているのに不動産は依然、売れないのだ。たとえば首都北京の場合、北京市房地産業(不動産業)協会が9日に発表したところによると、今年第1四半期の北京市内の「新築商品房(新規分譲物件)」の成約件数は前年同期比で14.2%も減少し、07年以来の最低水準になったという。
 もちろん北京だけでなく、「売れない」のは全国の不動産市場の共通した傾向であり、結果的には在庫ばかりが増えてくることになる。最近、人民日報の掲載記事に出た1つの数字は実に驚くべきものである。同紙が13日付記事で披露したところによると、現在、全国の開発業者が抱えている不動産物件の在庫は時価総額にしてはなんと、5兆元(約64兆円)程度に達しているという。
 11年の中国のGDP(国内総生産)は約47兆元であるから、5兆元というのは中国の現在のGDP規模の1割以上に相当するものだ。「不動産在庫がGDPの1割以上」とは、まさに不動産バブルの末期症状ともいうべき深刻な状況であるが、それほどの在庫を消化するのには大幅な値下げ以外に方法がないのは自明のことであろう。
 上述の人民日報記事も12年における不動産市場の「降価潮」(値下げラッシュ)発生の可能性に言及しているように、実は今、年内の不動産価格の大幅な下落はもはや避けられないというのが国内の専門家たちの共通した認識となりつつある。
 国内の専門家だけでなく、かつてのアメリカバブル崩壊を予言した米ニューヨーク大学のN・ルービニ教授も最近、すでに下落中の中国の不動産価格は今後さらにひどく落ちていくだろうと予測している。
 現に、すさまじいほどの価格下落に襲われた都市もある。北京青年報が2日付で報じたところによれば、北京の衛星都市として有名な通州市では、不動産の平均価格が昨年夏の最盛期の1平方メートル当たり3万元(約39万円)から現在は1万3千元に下落したという。まさに雪崩式の暴落である。
 衛星都市の価格暴落はいずれ中心都市に波及してくるから、北京の不動産市場も実に危ない。そして3月には、上海と広州の不動産価格が前月比でそれぞれ10%程度下落したとの情報もある。「降価潮」が全国の大都会に押し寄せてくるのは時間の問題であろう。
 本欄がかねて予言している中国の不動産バブルの崩壊は、ただ今進行している最中なのである。

◎薄氏息子、フェラーリ乗り回す華麗な留学生活?(2012年4月26日、読売新聞)
 薄煕来前重慶市党委書記と妻の谷開来容疑者を巡る事件で、夫妻の息子で米ハーバード大大学院に留学中の薄瓜瓜氏が24日、学内紙「クリムゾン」(電子版)に「私の家族を巡る出来事を深く懸念している」などとする声明を発表した。
 新華社通信は今月10日、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏殺害容疑を巡る薄氏の処分と谷容疑者の拘束を報じた際、母子とヘイウッド氏が「良好な関係だった」と指摘したうえで、「その後、経済的な利益をめぐり問題が発生し、対立が激化した」と伝えていた。だが、瓜瓜氏は声明で「進行中の捜査について何もコメントはない」として、ヘイウッド氏との関係などには言及しなかった。
 瓜瓜氏を巡っては、米紙ニューヨーク・タイムズなどが、12歳の時から年間数百万円学費がかかる英国の名門校に学び、高級車フェラーリを運転していたなどと報道。中国の特権階級子弟の「華麗な留学生活」として注目を集めた。同氏は声明で、学費や生活費は「奨学金と、法律家として成功した母の貯金」でまかなわれ、「フェラーリを運転したことはない」などと反論。報道は「うわさと臆測だ」と主張した。瓜瓜氏は事件発覚後、所在不明。

◎薄氏息子に情報機関接触・英政府沈黙?報道合戦(2012年4月26日、読売新聞)
 薄煕来(ボーシーライ)前重慶市共産党委書記(62)と妻の谷開来(グーカイライ)容疑者(52)が関与した疑いのある英国人実業家殺人事件について、英米メディアが連日、大々的な報道合戦を展開している。
 両国とも対中関係の不透明さを指摘する論調が目立ち、情報機関の関与を指摘する声も出ている。
 薄夫妻と親しい英国人実業家ニール・ヘイウッド氏(41)が昨年11月15日、重慶市内のホテルで変死した事件が英米で報じられたのは3月末。同月15日、薄氏が同市党委書記を解任されたのを受けたもので、成都の米総領事館に駆け込んだ王立軍・前重慶市公安局長が漏らした情報などがソースだと思われる。
 以来、「実業家はスパイだったのか」「友人らスパイ容疑に懸念」などと、ヘイウッド氏の身分に関する報道が相次いだ。
 同氏はウィンストン・チャーチルら著名人を輩出した名門私立ハロー校の出身で、英政財界内に幅広い人脈を持つ。1990年代、薄氏夫妻と親交を深めて以来、英企業の中国進出の仲介などをしてきたが、英対外情報部(MI6)の元部員が設立した戦略情報会社に情報提供していたことを英米紙が「暴露」。
 英オックスフォード大に在学していた薄氏の息子、瓜瓜(グアグア)氏(24)に情報機関が接触を試みようとしていたとの報道もある。
 英政府はヘイウッド氏が「政府によって雇用されていたことはない」とするが、中国在住の英紙記者の中には、「英政府は何か隠しているのではないか」と疑う者もいる。
 また、王氏が米総領事館に駆け込むまで、英政府が中国側に事件の調査を要請しなかったことも発覚。英紙ザ・タイムズが「英国の沈黙が中国の力を雄弁に表す」などと中国への弱腰外交に対する批判を強めている。

◎薄氏、胡総書記らを盗聴か、関与の大学長拘束(2012年4月26日、読売新聞)
 重大な規律違反があったとして中国共産党政治局員の停職処分を受けた薄煕来(ボーシーライ)前重慶市党委書記(62)が、胡錦濤(フージンタオ)総書記ら党指導部の電話を盗聴していた疑いが浮上、党中央規律検査委員会は26日までに、関与していた方浜興・北京郵電大学校長(51)を拘束した。
 信頼できる中国政府関係者が明らかにした。
 薄氏は、米総領事館に駆け込んだ王立軍・前同市公安局長と共謀し昨年8月までの間、外国製の最新鋭盗聴器を使い、党や政府の幹部が居住する中南海の電話を盗聴していた疑いが持たれている。中国のインターネット検閲システムの第一人者である方氏は、この複雑な盗聴システムの構築に協力した疑いで拘束された。薄氏は、今秋予定の第18回党大会で最高指導部の政治局常務委員入りを実現するため、自らに有利な情報を得ようとしたとみられる。

◎周氏、胡総書記に忠誠表明、重慶事件でけじめ(2012年4月25日、読売新聞)
 中国共産党機関紙の人民日報は24日、党中央規律検査委員会から調査を受けた治安担当トップの周永康(ジョウヨンカン)党中央政法委書記(党政治局常務委員、党内序列9位)が、胡錦濤(フージンタオ)総書記への忠誠を表明した演説を掲載した。
 指導部が交代する今秋予定の第18回党大会に向け、胡氏が影響力拡大に成功したことを物語るものだ。
 演説は3月26日、全国の政法委書記を集めた研修会でのもの。公表された演説によると、周氏は「政法委書記は先頭に立ち、厳格に法と手続きに従って職務を行わなければならない」と発言。胡氏の名を4回も引用し、「胡錦濤同志を総書記とする党中央を中心に固く団結し、大きな成果をもって第18回党大会を成功させよう」と述べた。
 当時、周氏は王立軍前重慶市公安局長が成都の米総領事館に駆け込んだ事件で、親しい薄煕来(ボーシーライ)前重慶市党委書記に機密情報を漏らすなどの行動が問題視されていた。周氏が規律検査委の調査に「逃れられない責任がある」と認めたことから、「事態に決着をつけるため」(党幹部)演説の全文が公表された。

◎薄煕来氏失脚で米留学中の息子「とても心配」(2012年4月25日、産経新聞)
 失脚した中国重慶市の前トップ薄煕来氏の息子の薄瓜瓜氏が25日までに、留学先である米ハーバード大の学生新聞のウェブサイトを通じ「私の家族の周りで起きている出来事をとても心配している」とのコメントを出した。薄氏の失脚後、瓜瓜氏が正式にコメントしたのは初めて。
 ただ瓜瓜氏は「進行中の調査についてのコメントはない」とし、規律違反に問われた薄煕来氏に対する中国共産党中央規律検査委員会の調査や、英国人ビジネスマンの殺害に関与した疑いが持たれている母、谷開来容疑者への捜査には言及しなかった。

◎薄煕来氏失脚があらわにしたもの(2012年4月24日、産経新聞)
 中国の薄煕来(はく・きらい)前重慶市党委書記の完全失脚が発表された10日以降、薄氏の不正蓄財や殺害された英国人男性と妻との不倫疑惑、米国留学中の息子の豪遊など、事件を薄一家だけの「特異な事例」と強調するかのような報道が相次いだ。だが、一連の醜聞報道が落ち着きをみせるのと同時に、事件の構造的な要因や中国の政治全体に与える影響を分析する報道が出始めている。
 17日付の国際紙インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは「中国の指導者にとってリスクとなる薄氏の醜聞」と題する記事を掲載。薄氏の汚職や不正蓄財が明らかになったことで、官僚の腐敗が横行し「上から腐ってくる社会」という印象を国民の間でさらに強めたと指摘し、「中国共産党は(統治の)正統性を大幅に失った」とする中国政治の専門家の言葉を紹介している。
 記事は、内部告発サイト「ウィキリークス」が昨年暴露した駐中米国大使館の公電を紹介。薄氏も昇格間近とみられていた党最高指導部、政治局常務委員会(9人)のメンバーである、周永康氏は石油産業と、賈慶林氏は不動産産業とそれぞれ緊密な関係にあることや、温家宝首相の妻が宝石商の間では重要な人物とされていることを改めて指摘している。その上で、事件は「イデオロギー闘争でも薄氏の個性や野望の問題でもない。中国共産党の正統性をめぐる問題だ」とする専門家の分析を引用している。
 一方、米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)は16日、米国で活動する中国政治研究者ミンシン・ペイ(裴敏欣)氏の寄稿を掲載した。同氏は、薄氏が急速に出世してきた経緯から「共産党が指導者を選ぶ方法に重大な欠陥がある」と指摘。現在の制度では、有能で公正な人物ではなく、能力はないが強力な後援者を持ち、罪悪感を持たない人物が指導者に選ばれるとした。また、事件を「天安門事件以来、最も深刻な党指導者の分裂」と評価。江沢民体制から胡錦濤体制への権力移譲が平穏に行われたにもかかわらず、今回の事件で、秘密主義的で陰謀が横行する中国の政治の本質が変わっていないことが明らかになったと批判した。
 同氏は、北京がこれらの問題を適切に解決しない場合、「30年間の近代化とグローバル化で完全に変容した社会にとって、一党独裁が適切かという根本的な課題が浮上するだけだ」として、共産党一党独裁体制の限界を指摘している。

◎香港で薄熙来氏の資産調査か、北京から調査団と報道(2012年4月23日、産経新聞)
 中国重慶市のトップを解任された薄熙来氏をめぐって、23日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは関係筋の話として、北京から調査団が香港入りし、薄氏一家が香港に保有するとされる「膨大な資産」について調べていると報じた。調査団が中国共産党や政府のどの部門に所属しているかは不明。
 中国の司法機関は、英国人ビジネスマン、ニール・ヘイウッド氏の殺害に関与したとして薄氏の妻、谷開来容疑者を取り調べている。中国語ニュースサイト「博訊」は、谷容疑者が80億元(約1030億円)の資産を海外に持ち出したと報道。谷容疑者は、ヘイウッド氏から資産の海外移転計画を暴露すると脅迫されたため、同氏を毒殺したとも伝えられている。
 また同紙は、薄氏の兄や谷容疑者の姉が香港で企業幹部を務めたり、複数の会社を運営したりしているとしたが、薄氏一家の資産との関連は不明。

◎台湾海峡に浮かぶ平潭島、「実験区」めぐり中台が応酬(2012年4月22日、産経新聞)
 台湾海峡に浮かぶ中国福建省の平(へい)潭(たん)島は、台湾北西部の新竹まで約125キロと台湾本島に最も近い中国側の島だ。福建省は2月、同島を台湾と連携して開発する「平潭総合実験区」計画を発表し、台湾の官民に一石を投じた。行政組織幹部も台湾から高額報酬で採用する方針で、台湾では希望者が続出。3月には蘇樹林・福建省長が新竹を訪れ、説明会も開かれた。一方、台湾当局は香港・マカオ同様の「一国二制度の実験区」とみて警戒感を強めている。(中国・平潭島 吉村剛史、写真も)
 台中-平潭島を週3回往復する中台共同運営の高速フェリー「海峡号」が就航したのは昨年11月30日。4月上旬、台中港から乗船し、海峡の荒波に約2時間半揺られ、約140キロ北西の平潭島を訪れた。
 伝統的な住居の前でてんびん棒をかつぐ物売り。そのすぐ横を、土砂満載のダンプカーがクラクションを鳴らして走り過ぎる。
 無数のショベルカーとブルドーザーが郊外の丘陵を削り、海浜を埋め立て、映画のセットのような中心部のホテルや商業エリアも砂煙をあげて普請中。島中が工事現場という印象だ。
 南西の金井湾沿岸の埋め立て地には「両岸合作」(中台協力)、「共同建設」と大書された看板などが並び、ターゲットが台湾であることを明確に示している。
 見渡す限りの更地だが、福州などから来たという現場作業員らは「2年前までここは海だった。3年後には深●(=土へんに川)のように高層ビルが並ぶさ」と言い放つ。
 一方、地元の運送業の男性(48)は「台湾の投資に期待している。今は月3千~4千人民元(4万~5万円)の暮らしだが、いずれは倍増してほしい」と胸算用を明かした。
 中国との関係改善を進める馬英九総統が再選した台湾総統選から1カ月後の2月14日、蘇省長ら福建省幹部が北京で、同省の掲げる開発計画「平潭総合実験区総体発展規画」に従い、平潭島を対台湾特区とする構想を発表した。
 中台共同で計画、開発、経営、管理、受益する「5つの共同」を掲げ、同時に島の一部区域では台湾の自主管理も認めるという。
 人材募集では、まず台湾から20人の幹部を採用し、行政組織である平潭総合実験区管理委員会の副主任委員をはじめ、経済発展局など各局の副局長職にすえると説明。5年以内に台湾の人材を約千人募り、年収は20万~60万人民元(260万円~770万円)を基本に、最高1千万台湾元(約2700万円)という。税制面や住宅取得でも優遇されるとの特典も掲げた。
 また実験区内では人民元、台湾元ともに使用可能。車のナンバーや医師免許のほか、新聞発行、テレビ放映も台湾同様に認める、としている。
 破格の条件を台湾メディアは大きく報じ、実験区管理委はその後、3月上旬までに台湾から200人の問い合わせと35人の幹部応募があった、と明かした。
 色めきたつ台湾社会に困惑しているのが台湾当局だ。対中政策を担当する行政院大陸委員会の頼幸媛主任委員(閣僚に相当)らは、「台湾住民が、大陸(中国)の軍や行政府などで就業することは法で禁じられており、罰則の対象」と警告した。
 3月16日の立法院(国会)では、陳冲行政院長(首相)が、実験区の都市基盤整備の遅れや、投資環境の不備などを指摘。福建と台湾による「共同」では、「地方と地方の提携と受け取られる」ことを危惧し、中国主導の「一国二制度」への警戒感を示した。
 同21日には馬総統も与党・中国国民党(国民党)の中央常務委員会で、問題に言及。投資は、中台間の自由貿易協定(FTA)に相当する「ECFA(経済協力枠組み協定)の規範の中で行うべきだ」とし、福建省側と、台湾社会の双方にクギを刺している。
 この反応に、中国国務院台湾事務弁公室の王毅主任は、「あくまで経済案件であり、『一国二制度』などの政治的意図はない」と強調してみせた。
 一方、北京を訪れた台湾の呉伯雄・国民党名誉主席は同22日、中国の胡錦濤国家主席と会談し、「一つの中国」の中に「台湾地区」と「大陸地区」が共存する「一国二地区」という考えを、初めて直接伝えた。
 「一つの中国」を軸に対中関係を改善してきた馬政権は、従来同様、台湾側において「その中国とは中華民国のこと」としており、事実、「中華民国憲法」の修正条文には「自由地区」(台湾)「大陸地区」(中国)の規定がある。
 ただ、この時期にあえて呉名誉主席が胡主席に「一国二地区」を示したのは、中台の敵対状態に正式に終止符を打つ「平和協定」への下地づくり、との見方が浮上する一方、「『平潭』という変化球で『一国二制度』を問う中国への、台湾側の返球」(台湾紙記者)ともみられている。
 「台湾のシリコンバレー」と呼ばれる新竹市は3月25日、訪台した福建省の蘇省長を市内のホテルに迎え、「座談会」と称して実験区の説明会を主催した。
 財界人ら約300人が出席する中、蘇省長は福建省を「有数の新興市場」とアピール。台湾側が実験区で警戒する「5つの共同」に関し、「両岸共同のふるさと」と表現をやわらげ、「台湾の望まないことはしない」と配慮をにじませた。
 これを受け許明財・新竹市長は、「海峡号の新竹への就航を実現させ、両岸の玄関にしたい」とラブコール。当局の心配をよそに、自治体や企業が寄せる視線の熱さをうかがわせた。
 中台間の直接投資を促す投資保護協定が6月に締結される見通しで、“平潭島の実験”が今後の中台関係にどんな影響を与えるのか注目されている。

・平潭(へいたん)島
 中国福建省福州市に属し、126の島嶼(とうしょ)からなる福建省最大の島。面積約325平方キロ、人口40万人。2010年11月、大陸と島を結ぶ全長約5キロの平潭海峡大橋が開通し、福州市中心まで車で約2時間で結ばれた。実験区計画が中国の国務院で認可されたのは、台湾との高速フェリー就航直前の昨年11月18日。概要については10年5月、当時の黄小晶・福建省長が台湾で「両岸協力は福建と台湾が試験的に先行する」と、台湾の自主管理や税制優遇などを公表した。

◎重慶事件の捜査官拷問死か、薄氏指示で拘束と香港誌(2012年4月22日、産経新聞)
 中国重慶市前トップの薄煕来氏の妻、谷開来容疑者が英国人ビジネスマンを殺害したとされる事件で、香港誌「亜洲週刊」は21日までに、事件を調べていた地元警察の捜査官5人が、薄氏の指示で拘束された後に拷問を受け、うち3人が死亡したと伝えた。
 同誌最新号によると、この5人は、2月に米総領事館駆け込み事件を起こした王立軍元副市長の腹心。王氏が部下の死により身の危険を感じたため、四川省成都の米総領事館に逃げ込んだとしている。
 昨年11月に英国人ビジネスマン、ニール・ヘイウッド氏が重慶市のホテルで死亡しているのが見つかると公安局長も兼ねていた王氏は5人を使って捜査を開始。その後、捜査線上に谷容疑者が浮上し、王氏が今年1月、そのことを薄氏に伝えたところ、激怒したという。

◎薄夫妻、4800億円海外送金、不正蓄財か、当局調査(2012年4月21日、朝日新聞)
・別の2人の不審死も関与か
 中国・重慶市の英国人男性殺害事件などを巡って、失脚した同市共産党委員会前書記の薄熙来(ポー・シーライ)氏(62)と妻の谷開来(クー・カイライ)容疑者(殺人容疑で拘束)が、不正に得たとみられる60億ドル(約4800億円)を海外送金していたことが、党当局の調べでわかった。夫妻周辺では殺された英国人のほかにも2人の不審死が確認され、党当局が谷容疑者の関与について調べを始めたという。
 胡錦濤(フー・チンタオ)・党総書記の秘書室にあたる党中央弁公庁が3月と4月中旬の計2度出した事件に関する内部通知を見た複数の党関係者が明らかにした。

◎権力闘争の犠牲に? 薄煕来・前重慶市党委書記失脚、英国人実業家の謎(2012年4月20日、産経新聞)
 中国共産党内の権力闘争に敗れて失脚した薄煕来・前重慶市党委書記にからみ、薄氏の妻が殺害に関与したとされる英国人実業家の不審死について、さまざまな情報が錯綜している。一家の不正蓄財を知る人物として胡錦濤指導部が薄氏打倒の突破口にしようとしたとの見方が浮上、「権力闘争に巻き込まれた犠牲者」と指摘する党関係者もいる。謎めいた男性の死の真相に迫る。
 この英国人男性は北京などで投資顧問会社を経営し、昨年11月に重慶市のホテルで遺体で発見されたニール・ヘイウッド氏=当時(41)。薄氏の妻、谷開来容疑者が殺人容疑で司法機関に送致された。
 ヘイウッド氏を知る北京のビジネス関係者などによれば、英ロンドンの裕福な家庭に生まれた同氏は大学卒業後、英国議会職員などを経て1990年代初めに北京に留学した。当時、大連市長として外国からの投資を積極的に呼び込んでいた薄氏に対し「英国の企業を紹介する」との手紙を送ったことが薄家との付き合いの始まりだったという。
 英メディアは、ヘイウッド氏とMI6(英情報局秘密情報部)との関係を指摘するが、共産党筋は「プロのスパイではなく、薄氏との関係が親密になったことで、英国の情報機関が接近してきた」と明かす。
 ヘイウッド氏は、谷容疑者から子息の瓜瓜氏の教育問題で相談を受けていたことから関係が急接近したという。英国で広い人脈を持つヘイウッド氏は、中学生だった瓜瓜氏の英ハーロー校への入学を斡旋した。ヘイウッド氏の母校でもあるハーロー校はチャーチル元首相ら多くの有名人が卒業した名門校で、入学が難しいとされる。
 また、薄家は口利きなどで80億元(約1040億円)もの資産を不正に蓄財したとされ、ヘイウッド氏はその一部を海外に移す仕事に関わっていたという。
 一方、ヘイウッド氏の殺害事件を捜査しようとしたのが薄氏の元側近の王立軍氏だ。薄氏から重慶市公安局長を解任された王氏が米総領事館に駆け込んだことが、薄氏失脚に至る一連の事件の引き金となった。
 欧米メディアは、ヘイウッド氏殺害のきっかけとして、谷容疑者とビジネス方針や利益分配をめぐり対立したことを挙げるが、あまりに不可解だ。ある共産党筋は、共産党中央規律委員会が昨年夏以降、ヘイウッド氏と複数回接触したことを証言。詳細は不明だが、政治路線で対立する薄氏打倒を目指した胡錦濤指導部がヘイウッド氏を突破口に薄氏の腐敗問題にメスを入れようとした可能性がある。
 薄家は内情を知りすぎたヘイウッド氏を口封じしようとしたのか。

◎朝日インテック、中国事業、5年内に売上2倍超(2012年4月20日、化学工業日報)
 朝日インテックは中国事業を拡大する。3月に同社初の北京販売子会社を設立したのに続き、来年度には上海、その後は広州に駐在事務所を開設する。中国での拠点を整備することで現地販売代理店とともに医療機関へのきめ細やかなサービスを展開していく。今年に入って主力製品2品が中国当局から承認を取得しており、今後本格的な販売を開始する。同社の宮田昌彦社長は、現在の中国事業の売上高8億円を「来期10億円、5年内には20億円まで拡大させる方針」と語った。

◎「天安門以来、共産党最大の危機」英国人殺害(2012年4月19日、読売新聞)
 薄煕来前重慶市共産党委書記が関与した英国人実業家殺人事件は、権力のチェック機能を欠いた一党独裁の横暴を余すところなくあぶり出した。
 文化大革命を思わせる法治不在の政治がまかり通った「独立王国」・重慶で起きた前代未聞の不祥事は、党に重い課題を突き付けている。
 ある共産党関係者は今回の事件について「(1989年の)天安門事件以来、党にとって最大の危機」と評している。
 胡錦濤総書記は人民解放軍や関係部門に治安維持の徹底を厳命するとともに、党の正当性をアピールする世論対策を強化している。
 事件を公表した10日以後、党中央機関紙「人民日報」は連日、「事実を重視」「法治の尊重」「腐敗撲滅への決意」などと、党の決定をたたえる評論を発表。胡氏の意向を受けた劉雲山党中央宣伝部長が自ら、主要地方紙に人民日報評論の転載を求める異例の宣伝工作を展開している。
 人民日報は16日、温家宝首相が中央委員会理論誌「求是」に発表した文章の一部を掲載。「人民による告発、社会世論、メディア報道が関心を持つ問題には、すぐに反応し、真剣に事実を確認し、法に基づいて処理する」と、真相解明への強い決意を表明した。

◎資産移転暴露と脅迫か、薄煕来氏の妻、英国人殺害の動機(2012年4月17日、産経新聞)
 ロイター通信は17日までに、重慶市前トップの薄煕来氏の妻、谷開来容疑者が英国人ビジネスマン、ニール・ヘイウッド氏を殺害したとされる事件で、ヘイウッド氏に資産の海外移転計画を暴露すると脅迫されたことが殺害の動機だったと伝えた。中国当局の捜査状況を知る筋の話としている。
 ロイターによると、谷容疑者が昨年、ヘイウッド氏に資産の海外移転を依頼した際、ヘイウッド氏が多額の手数料を要求したため、谷容疑者が激怒。その後、ヘイウッド氏が資産移転計画を暴露すると谷容疑者を脅したという。ヘイウッド氏は毒殺されたとみられる。
 中国国営通信の新華社はこれまで、谷容疑者は「経済的な問題」でヘイウッド氏と仲たがいしたとの捜査結果を伝えている。

◎中国当局の立ち入り検査中、工場に放火、有害薬用カプセル製造の証拠隠滅図る(2012年4月17日、産経新聞)
 中国で安全基準値を超えるクロムを含んだ薬用のゼラチンカプセルが流通していた問題で、河北省衡水市のゼラチン製造業者の幹部が工場内の備品などに放火し、証拠隠滅を図っていたことが分かった。17日付の中国紙、新京報が伝えた。
 中国国営中央テレビは15日、同社を含む河北省や浙江省などの工場で出た廃棄物を原料にした工業用ゼラチンが、薬用カプセルの原料として使用され、各地で販売されていると報道。公安当局が同日、同社の工場を立ち入り検査していたところ、幹部がパソコンや書類などに火を放ったという。当局は幹部を拘束した。こうしたカプセルは幅広く流通している恐れがあり、中国当局が調べを進めている。

◎資産移転暴露と脅迫か、薄煕来氏の妻、英国人殺害の動機(2012年4月17日、産経新聞)
 ロイター通信は17日までに、重慶市前トップの薄煕来氏の妻、谷開来容疑者が英国人ビジネスマン、ニール・ヘイウッド氏を殺害したとされる事件で、ヘイウッド氏に資産の海外移転計画を暴露すると脅迫されたことが殺害の動機だったと伝えた。中国当局の捜査状況を知る筋の話としている。
 ロイターによると、谷容疑者が昨年、ヘイウッド氏に資産の海外移転を依頼した際、ヘイウッド氏が多額の手数料を要求したため、谷容疑者が激怒。その後、ヘイウッド氏が資産移転計画を暴露すると谷容疑者を脅したという。ヘイウッド氏は毒殺されたとみられる。
 中国国営通信の新華社はこれまで、谷容疑者は「経済的な問題」でヘイウッド氏と仲たがいしたとの捜査結果を伝えている。

◎中国家電、「日本」を収益源、ハイアールはAQUA“逆輸入”も(2012年4月14日、フジサンケイビジネスアイ)
 中国の家電メーカーが攻勢を強めている。ハイアール(海爾集団)が日本の三洋電機から買収した洗濯乾燥機の高級ブランド「AQUA(アクア)」を、今後1、2年のうちに本拠地の中国国内に“逆輸入”して展開する方向で検討に入ったことが13日、分かった。また、昨年に日本のテレビ市場に参入したハイセンス(海信集団)も、今年の日本でのテレビの販売台数を前年比2倍に高める方針を表明した。韓国勢と並んで世界の家電市場で台頭が著しい中国勢が猛威をふるっている。
 ハイアールが中国での展開を検討している「アクア」ブランドはかつて三洋電機が展開していた。洗濯機にオゾンで除菌・消臭する「エアウォッシュ」機能を搭載し、ヒット商品となった。ハイアールは今年1月から日本国内で展開する高級機種にアクアブランドを冠して販売しているが、今後は中国でも「日本生まれ」という品質・技術力の高さをアピールして、拡大する富裕層の取り込みを狙う。
 同社は日本国内でも需要の掘り起こしを加速。2012年度の日本事業の売上高は、アクアブランドで350億円、廉価機種が中心のハイアールブランドで150億円を目指すとしており、15年度には11年度比で約7倍の800億円に引き上げる。
 英調査会社ユーロモニターによると、11年の白物家電の世界シェアでハイアールは7.8%と3年連続首位。日本での成長を足がかりに、高級機種の世界展開を図る考えだ。
 一方、ハイセンスの林瀾副総裁は13日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、12年の日本国内での薄型テレビの販売台数を前年比2倍の7万台に引き上げる方針を明らかにした。
 同社は昨年3月から日本でテレビ販売を始めたが、出足は思わしくない。このため、低価格戦略を前面に押し出して市場開拓を進める作戦だ。
 具体的には「まず当社の製品を知ってもらう」(林氏)ことを優先。展開する商品を19~32型の比較的小さなサイズに絞り、19型の実売価格は日本メーカー製より安価な1万5000円程度に抑える。一方で40型以上の上位機種や今年中に米国などで発売予定の裸眼3D(3次元)テレビの投入は見送る。
 林氏は、テレビ販売額が5年前の250倍に当たる5億ドル(約400億円)まで伸長した北米市場を引き合いに、「日本はメーカー間の競争が激しく、消費者も国内ブランドを好む厳しい市場だが、今後は重要な市場になる」と強調した。ハイセンスは中国国内のテレビ販売台数で8年連続首位。11年の薄型テレビ出荷額シェアでも日韓メーカーに次ぐ世界7位(米ディスプレイサーチ調べ)につけている。

◎中国、人民元、変動幅1%に、改革進展アピール(2012年4月14日、読売新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は14日、1日上下0.5%ずつに規制されている人民元の変動幅を16日以降、上下1%ずつに拡大すると発表した。
 人民元改革を進め、外国為替相場の柔軟性を高めるのが狙いだ。変動幅の拡大は、2007年5月以来、約5年ぶりだ。
 温家宝(ウェンジアバオ)首相は3月14日、全国人民代表大会閉幕後の記者会見で、人民元の為替相場について「特に上下双方向に比較的大きな幅で動くよう改革を続ける」と述べ、変動幅拡大を示唆していた。
 上海の外国為替市場で一日のうちに変動できる値幅は、現在は人民銀行が毎朝示す値を基準に、ドルでは上下0.5%ずつに規制されている。変動幅を上下1%ずつに拡大し、人民元改革の進展をアピールする。
 人民銀は声明で、「為替市場が成熟し、市場関係者の価格決定や、リスク管理の能力が向上している」と説明した。中国が人民元相場の変動幅を拡大するのは、米国からの人民元切り上げ圧力をかわす狙いもあるとみられる。ただ、変動幅拡大によって下落方向に元が動く可能性もある。

◎瀕死、ひき逃げでも見捨てる、中国がモラルなき国家になる理由(2012年4月14日、産経新聞)
 中国では信じられないような事件が本当に次々とよく起こる。瀕死(ひんし)の女子高生がホームレスの遺体と判断され、溝に捨てられた。ひき逃げされた女児を誰も助けないという事件も起きた。スクールバスをめぐる、とんでもない過積載の事故が頻発した。これらの事案は隣国・日本にどんな教訓を与えているのだろう。

・「いつものことだ。気にするな」
 幹線道路のど真ん中で、男性2人が激しく口論していた。真っ赤な顔で、いまにもつかみかかりそうになって。脇を何台もの車が普通のスピードで通り過ぎていく。車内にも声が聞こえそうだ。ただ、2人は周囲は全く見えていない。怒りでわれを忘れていた。
 かと思うと、車両が通行しようがお構いなしに斜め横断していく自転車もいた。事故に遭う心配や怖さがないのかと思うほど、この人たちも周囲を全然見ていない。
 いずれも約10年前、中国内陸部の雲南省昆明を取材で訪れたときに見た光景だ。驚いて、取材の案内役の運転手に尋ねた。返ってきた答えにさらに驚いた。
 「いつものことだ。気にするな」
 確かに、運転手は斜め横断の自転車が突然出てこようが、平然と運転を続けていた。
 その日の晩に別の取材を終え、歩いて宿泊先まで帰っていると、事故らしき場面に遭った。道路に倒れ、うなっている男性。近くには車輪が曲がった自転車があり、数人が囲んでいた。斜め横断の自転車がすぐに思い浮かんだ。
 ルールやモラルへの意識はなく、仮にあっても、各自が都合のいいように解釈する…。典型的な中国人の印象と見事に重なった。

・ホームレスなら捨てていい?!
 あれから約10年を経たいま、中国でのルール、モラル無視のニュースが相次いでいる。
 安徽省内で今年3月、帰宅途中に暴漢に襲われ、瀕死の女子高生が警察官に凍死したホームレスと判断され、生きたまま隣村に捨てられた。女子生徒は血だらけで、半裸状態。一命こそとりとめたものの、屋外に2晩も放置され、重傷を負ったという。
 ホームレスの死体であれば当局の人間は遺棄できるのだろうか? どう考えても遺棄した理由が分からない。
 見捨てられた事案はこれだけではない。
 中国は交通死亡事故件数が10年連続で世界1位とされる。昨年10月に広東省で起きた事故は悲惨きわまりないものだった。
 道路を横断しようとしていた女児(2)が車にひかれたのに、通りかかった計18人が誰も助けようとしなかった。女児はワゴン車にはねられ、さらに別の車に両脚をひかれた。治療のかいなく、その後死亡した。
 加害者の運転手はメディアに対し「死亡なら2万元を支払うだけでいい」と答えたとされる。別の省では、男児を一度ひいた後、今度は殺すためにもう一度ひいたという事案もあったという。

・本当に捨てられているのは…
 スクールバスをめぐる事故も、とにかくひどい。定員を超える子供を乗せたり、無理な運行をしたり…。幼い子供が次々と犠牲になっている。
 甘粛省で昨年11月に発生した事故では、9人乗りのワゴン車を改造し、座席を取り外して幼稚園児64人を詰め込んだ。しかも運転手は制限速度をオーバーし逆走。トラックと衝突し、21人が死亡した。
 その後もスクールバスをめぐる事故は続出。事態を重く見た温家宝首相が「スクールバス安全条例」の制定を指示。いったい何を話し合うシンポジウムなのだろうかという気もするが、2月にはスクールバスのシンポジウムと展示会を初めて開催。展示会では衝突防止システムや映像監視システムなどを搭載したバスが登場した。
 ただ、スクールバスに限らず、安全運転は車社会の常識だ。中国では、自動車の普及に対し、チャイルドシートの普及率はわずか1%しかないといい、そのデータが示すとおり交通規範や安全といった感覚は極めて薄い。
 本当に捨てられているのは、人として当たり前のモラルやルールなのだ。

・中国人の2つの顔
 ある外交官に、こんな話を聞いたことがある。
 「中国、韓国はともに乱暴で、ごまかしが多く、文句ばかり言う国に見える。でも、実は徹底して学ぶ国でもある。それと日中韓のうち、自分たちが足りないと一番感じているのは中国人だ」
 この外交官が指摘するように文化、教養が高く、自己研鑽(けんさん)に努める中国人は少なくない。一方で、ルールやモラルが全くない中国人も実に多い。両極端の中国人がいる理由のひとつは、格差社会の進行だ。
 10年前に訪れた昆明も、ひき逃げ事故が起きた甘粛省も決して裕福な地域ではない。安徽省で被害にあった女子高生の両親は出稼ぎをしていたという。格差社会が急速に進む中国には、農村部から出稼ぎで都市部にくる「農民工」と呼ばれる人が数百万単位でいる。巨大な格差社会・中国では、暮らしに精いっぱいで、自分のことしか考えられない人が増えているのだ。つまり、格差社会の行く末はモラルやルールが失われた薄情な社会…。
 大阪はいわゆる貧困率は比較的高い部類に入るとされ、日本全体の貧困率は約16%と上昇傾向にある。中国で起きている「危うさ」は、決してひとごとではない。

◎薄氏、妻の関与隠した疑いで取り調べ、英国人殺害事件(2012年4月12日、朝日新聞)
 中国重慶市副市長の米総領事館駆け込み事件を受け、同市の書記職を解任され、共産党中央の政治局員の職務も停止された薄熙来(ポー・シーライ)氏(62)が、妻らによる英国人実業家の殺人事件を知りながら隠していた疑いで取り調べられていることがわかった。党関係者が明らかにした。犯人隠避や捜査妨害などの容疑がかけられているという。
 薄氏の関与が明らかになれば、党の最高指導機関の一つである政治局の元メンバーが殺人に関係した刑事事件を起こした異例の事態となる。ただ、調べをしたうえで、こうした事実が明らかになっても、事件として立件するかどうかは、胡錦濤(フー・チンタオ)指導部の政治的な判断次第になるとみられる。
 党関係者によると、薄氏は河北省にある避暑地、北戴河の政府関連施設で、党中央規律検査委員会の調べを受けているという。英国人ニール・ヘイウッド氏(当時41)の殺害事件をめぐっては、妻の谷開来容疑者らが殺人容疑で司法機関に送られたことが10日に明らかになっている。

◎中国重慶で大規模デモ、治安部隊出動、負傷者も(2012年4月11日、産経新聞)
 中国重慶市●江区で10日、住民ら数千人が医療保障政策などへの不満を訴えるデモを実施した。千人規模の治安部隊が出動し、一部の住民が負傷した。香港メディアなどが11日伝えた。同区当局者も同日、共同通信に対し「詳細は分からないが、(デモは)あった」と話した。
 中国共産党は10日、規律違反で薄煕来前重慶市党委員会書記への本格調査着手を発表したばかり。デモと薄氏の一連の問題とは関係ないとみられるが、中国当局は動揺が広がるのを抑える目的で、インターネット上からデモの情報を削除するなどの対応を取っている。
 香港メディアなどによると、●江区は昨年、●江県と万盛区が合併して発足。旧万盛区の住民らが10日午後、合併後に医療関連手当などが減ったとしてデモ行進を開始。治安部隊が催涙弾を発射し、デモ参加者らを排除したという。(共同)
 ●=基の土が糸

◎生ゴミ、屍肉、下水から食用油、中国の食を脅かす「闇リサイクル」(2012年4月8日、産経新聞)
 中国公安当局は3日、食肉処理場で廃棄された内臓などから抽出した油を食用に販売したとして1000人以上を拘束したと発表した。下水や生ゴミから取り出した「下水油」は中国全土に流通、健康への害も指摘され、社会問題化。中国メディアは今回のケースをその「新型だ」と伝えている。屎尿(しにょう)から採取した油まであるとされるが、「リサイクルだ」との主張も。中国4000年の食を揺るがす「下水油」はなぜここまではびこったのか。

・腐った肉が食品原料に、売上高1億円超
 「我慢できないほどの悪臭を出し続ける建物がある」
 中国国営新華社や通信社の中国新聞社、各地方紙の電子版によると、今回の摘発は昨年10月、中国浙江省金華市の農村に住む農民からの通報がきっかけだった。
 公安当局は、食肉処理場から安値で引き取った動物の肉や皮、内臓から油を抽出し流通させていた業者を突き止め、一斉摘発に踏み切った。
 押収された「下水油」は3200トン余り。摘発した際、原料の肉や内臓は古くなり、腐臭を放っていたという。
 製品としての「下水油」は、同省や安徽、江蘇両省のほか、上海、重慶両市の油脂業者を通じて食品加工会社に販売され、最終的には調味料など食品原料に使われていた。グループの売上高は昨年1~11月だけで1000万元(約1億3000万円)を超えたという。

・屎尿だけから採取も、屋台や加工品で中国全土に
 「下水油」は、中国で下水溝や排水溝にたまった油成分を含む浮遊物から抽出した油を販売する商売が生まれたことからこの名が付いた。
 その後、飲食店から出た生ゴミから抽出する手口が広がったが、この場合もひっくるめて違法リサイクル油を中国語で「地溝(下水)油」と呼ぶ。
 屎尿だめに浮く油を抽出するケースもあるとされ、中国新聞社によると、昨年4月には、重慶市で屎尿だめから下水油の原料を収集していた男が拘束された。
 食肉処理場から原料を調達する今回のケースは、下水油の中でも「進化型」とみなされ、原料から販売まで組織化した手口に発見、摘発の難しさが指摘された。
 中国の食品問題に詳しいジャーナリスト、周勍氏の著書によると、下水油の多くが朝食として広く愛されている中国式揚げパン「油条」(ヨウティアオ)などの屋台に流れているとされ、油条を口にしなくなった中国人までいるという。
 その他は、食用油として今回摘発されたケースのように食品加工会社に回され、加工品としていつのまにか口にすることになる。
 濁りや粘つき、酸っぱさ、苦みに正規の食用油との違いがあるとされるが、ほとんどが加工された後のため、判別が難しい。その結果、懸念されるのが健康被害だ。
 周氏の著書や中国メディアによると、食べると消化管の粘膜などが破壊され、発癌性も指摘されている。

・「誰もが口に」、市場規模は200億円超、記者殺人まで?
 中国新聞社などによると、下水油販売をめぐって昨年下半期で9万人以上が摘発され、下水油約6万トンが押収された。中国政府は事態を深刻に受け止めており、司法当局は今年2月、下水油に関わる犯罪に対し「最高刑は死刑も辞さない」との通知を出した。
 一向に収まる気配のない下水油の蔓延。中国の専門家は、中国の食用油の年間消費量2250万トン(2009年)から国内生産と輸入量を差し引いた量が400万~500万トンにのぼると試算。少なくとも200万~300万トンの下水油が食用油として全国に流通し、15~20億元(約200億~260億円)の市場規模を持つとみられている。
 「中国人なら誰しも口にしたことがある」との見方もあるほどで、深セン市では昨年11月、政府機関の食堂で使われていたことが発覚した。
 「下水油」をめぐって笑えない現象まで起きた。
 中国河南省洛陽市のテレビ局記者が殺害される事件が昨年9月起きた。この記者が事件直前、インターネットに「下水油」に関する投稿をしていたことから「下水油業者を取材していて報復された」との憶測がネットを通じて瞬く間に広がった。
 結局、事件は強盗殺人だったと判明したが、中国の一般の人々から、そのほど下水油をめぐる闇のネットワークが底深いとみられているのだ。

・食のひずみが生んだ闇ルート、飲食店、売り手、買い手が「ウィンウィン」
 当局が取り締まりに躍起になっているのになぜ、下水油の蔓延はとどまらないのか-。
 最も流通している下水油が生ゴミから抽出したものであることから、原料供給源である飲食店側の問題が最大の原因に挙げられている。
 周氏は大連市の過去の例に触れ、「多くのレストランでは、こうした油さらい(下水油)業者を歓迎している。彼らに引き取ってもらえば、ゴミ出しをしないですむし、下水道が詰まるトラブルもなくなるからだ」と記している。
 泥の中からカネになるタネを見つけ出すことから周氏は「砂金掘り」とも表現している。
 急速な経済発展に伴い、13億人の胃袋を満たす外食産業も急激に発達した。その陰で後回し、もしくはなおざりにされてきたのが生ゴミ処理だった。その隙間に目を付け、当局が問題を深刻に受け止める前に流通ルートまで構築していったのが「下水油」業者たちだった。
 飲食店にとって生ゴミがカネになるメリットがある。下水油業者にとってはタダ同然で買い取った生ゴミを少し加工するだけで売り物になる。屋台や食品加工業者は正規品に比べ極端に安い値段で“食用油”を手に入れることができる。
 倫理さえ無視すれば、3者にとって「ウィンウィンの関係」になる。バカをみるのは消費者だけという構図だ。

・「ゴミから宝」、バイオ企業認定業者まで、現代中国の縮図
 廃棄物処理の未整備が下水油を生んだことを認識した行政当局によって、生ゴミ回収が無料化された地域も出始めた。しかし、飲食店側から「買い取る業者がいるのになんでタダで渡さなきゃいけないの」と反発され、うまく機能していないともいう。
 「ゴミから宝を生み出す、これぞリサイクルだ」と豪語する識者までいる。
 中国語で「向銭走」=カネに向かって邁進(まいしん)する=という現代中国の風潮の縮図が「下水油」問題に現れているといって過言ではない。
 「コネがなければこんな仕事はできない」と背後に有力者がいることをほのめかす業者もいる。摘発された業者の中には、品質安全を保証する国家認証や、行政当局から「バイオ企業」の認定を受けていた会社まであった。
 下水油が一掃され、食の安全を取り戻したときこそ、中国が本当に発展したといえるのではないだろうか。

◎「私は悪いことをした…」、北の将軍様の酒を口にした男はそうつぶやいた(2012年3月25日、産経新聞)
 北朝鮮の金日成主席の生誕100年に当たる4月15日が近づいている。その前後にあわせ、「衛星」と称した長距離弾道ミサイルの発射が計画されているほか、新指導者、金正恩氏の体制を固めるための動きも活発だ。そんな中、「故金正日総書記の喪中に飲酒した」としてに軍高官が公開処刑されたとの報道があった。平壌を取材で訪れた17年前は、金日成主席の死後1年も経(た)っていなかった。当時、金正日総書記も「血の粛清」を繰り返し、体制強化に努めたとされる。そういえば、取材中に「将軍様の酒」を勧められた。禁断の酒の味は…。

・「将軍様の酒」
 平壌滞在中に宿泊していた高麗ホテルは、外国人向けの最高級ホテルだ。電力事情の悪さを感じさせない明るさで、日本のホテルと比べても遜色はない。
 ならば、ほかのホテルはどうなのだろうか。平壌市内の中心部を流れる大同江に近い大同江ホテルに行ってみることにした。
 大同江ホテルは、外国人旅行者が利用するというよりは、在日の商工関係者が利用するホテルだという。中に入ると、電力事情が悪いため、ロビーなどは薄暗い。高麗ホテルとは比べられないほど暗い。蛍光灯を消したときに点灯する「なつめ球」の明るさで、ぼんやりと見える程度だ。
 薄暗い廊下の先にカラオケラウンジがあったので入ってみた。中には男性2人の客以外は誰もいない。最初は別々に飲んでいたが、そのうちに話すようになった。1人は西日本出身の男性で、もう1人は北朝鮮の案内人だという。しばらくして男性がこう声をかけてきた。
 「そういえば、部屋に北朝鮮政府からもらった酒があるから飲むか」

・「私は悪いことをした」
 その酒は商売などで北朝鮮政府に貢献した人に贈られるものだといい、金粉の入った焼酎らしい。
 案内人がその酒を持ってきてくれたのだが、ほとんど残っておらず、グラスに1杯分ぐらいだった。男性が酒をグラスに注ぐと、金粉がゆらゆらと舞った。
 一口ずつ、みんなで回し飲みした。最後に一口分あるかないかのところで、案内人に「あんたも飲めば」と勧めてみた。
 「いらない。そんな大それたことはできない」
 案内人はそう拒否した。政府からもらった酒といえば、金正日総書記から贈られたのも同然で、彼らにとっては禁断の酒だ。尻込みするのは当然だろう。こちらは多少の酔いもあり、半分おもしろがりながら、さらに勧めた。
 「大丈夫。誰にも言わないから」
 案内人は意を決したようにグラスを手にした。そして何かをささやいて酒に口をつけた。何を言ったのか一緒に行った記者に聞いたところ、案内人はこうつぶやいたのだそうだ。
 「私はわるいことをした」
 案内人は「首領さまの酒を飲んだ」と家族に自慢するのだろうか。それとも「誰かに知れたら大変なことになる」と、一生胸に仕舞い込んでおくのだろうか。

・迷惑な外国人
 別の夜、何人かの記者と地下鉄に乗りに行くことにした。平壌滞在中、公式に地下鉄に乗るスケジュールはあったのだが、偽りのない「生の様子」を見ておきたかったのだ。
 当時の平壌の地下鉄は2路線あり、それぞれ9駅あった。
 「復興」「栄光」「勝利」「楽園」
 朝鮮人民にはなじみのある言葉が駅名になっている。もちろん案内人がいないため、地下鉄の駅ではひと悶着があった。駅の窓口ではコインがなければ切符を売れないというのだ。外国人が使用できるのは専用の紙幣のみで、コインに両替ができない。4~6人いたので、まとめて紙幣で払うと交渉したものの、駅員は「ダメ」。何度かのやり取りの後、半ば強引にお金を受け取らせて乗ることにした。
 改札を抜け、100メートルぐらいはある、長いエスカレーターの先にホームがあった。構内には金日成主席が行進しているようなタイル画が壁に描かれている。「労働新聞」が張り出してあり、誰もが読めるようになっていた。
 轟音とともに駅に到着した地下鉄の車内には、意外にも大勢の客が乗っていた。ストールを巻いた女性や、茶色っぽい制服と帽子を被った軍人のような男性。車内にはつり革はなく、つり広告もない。乗客らは突然乗り込んできた外国人に迷惑そうな視線を送ってくる。
地下鉄に酔っぱらいも
 おかまいなしに車内で何枚か写真を撮っていると、次の駅に到着した。ドアが開くと、乗客らは一斉に降りてしまった。変に外国人にかかわり、公安当局に通報でもされるなどして、面倒に巻き込まれたくないといったところだろう。車内ががらんとしたところで、席に座った。すると、向かいの席にいる記者の隣に2人組の男性が座った。
 サングラス風に色のついたメガネをかけた男性がその記者に話しかけている。
 「公安関係者か。くそっ、誰か通報したな。やっかいなことにならなければいいが」
 そう思っていると、男性は指折りしながら何かを数えている。とにかく「公安」ではなさそうだ。その様子をビデオで撮影していると、もう一人の男性が気付いた。メガネの男性のコートのすそを引っ張って合図し、2人は次の駅で降りていった。
 さっきの男性らは何だったのか、絡まれた記者に聞いた。
 「酔っ払いですよ。平壌の地下鉄には駅がいくつあってなどと自慢話してたんです」という。
 何かと規制の厳しい北朝鮮で酔っ払いに出会ったことにほっとし、思わず笑ってしまった。

◎人民元の変動幅1.0%に拡大、中国、管理やや緩める(2012年4月14日、朝日新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は14日、1日につき上下「0.5%」に制限している人民元の米ドルに対する変動幅を「1.0%」に拡大する、と発表した。16日から実施する。取引の基準値は、人民銀が毎朝、設定している。
 変動幅の拡大は、2007年5月以来。人民元の対ドル相場は、米金融危機を受けたドルへの固定を、約2年ぶりに解除した10年6月以来、約8%値上がりしている。

◎薄氏、妻の関与隠した疑いで取り調べ、英国人殺害事件(2012年4月12日、朝日新聞)
 中国重慶市副市長の米総領事館駆け込み事件を受け、同市の書記職を解任され、共産党中央の政治局員の職務も停止された薄熙来(ポー・シーライ)氏(62)が、妻らによる英国人実業家の殺人事件を知りながら隠していた疑いで取り調べられていることがわかった。党関係者が明らかにした。犯人隠避や捜査妨害などの容疑がかけられているという。
 薄氏の関与が明らかになれば、党の最高指導機関の一つである政治局の元メンバーが殺人に関係した刑事事件を起こした異例の事態となる。ただ、調べをしたうえで、こうした事実が明らかになっても、事件として立件するかどうかは、胡錦濤(フー・チンタオ)指導部の政治的な判断次第になるとみられる。
 党関係者によると、薄氏は河北省にある避暑地、北戴河の政府関連施設で、党中央規律検査委員会の調べを受けているという。英国人ニール・ヘイウッド氏(当時41)の殺害事件をめぐっては、妻の谷開来容疑者らが殺人容疑で司法機関に送られたことが10日に明らかになっている。

◎英国人殺害、薄氏が指示か、妻の巨額資産移転口封じか、妻は4人の殺害に関与?(2012年4月12日、産経新聞)
 中国重慶市で昨年起きた英国人男性殺害事件は、同市の薄煕来前共産党委員会書記が使用人に実行を指示したものだったと、中国語ニュースサイト「博訊」(本部米国)が関係筋の話として12日までに伝えた。信ぴょう性は不明。
 殺人容疑で送検された薄氏の妻、谷開来氏は80億元(約1025億円)の資産を海外に持ち出しており、男性はこれを知ったために殺害された可能性があるとしている。重慶市南岸区の党委員会書記が殺害のため毒物を用意したという。
 博訊はまた、薄氏は市長を務めたことがある遼寧省大連と重慶で計6人の殺害事件に関与し、谷氏も4人の殺害への関与が疑われているとしているが、詳細は不明。
 薄氏は重大な規律違反があったとして、事実上全ての党職務を解かれたが、規律違反の具体的内容は分かっていない。

◎重慶市前トップ・薄熙来氏の党役職解任、失脚決定的に(2012年4月11日、朝日新聞)
 中国の国営新華社通信は10日、共産党中央が前重慶市党委員会書記の薄熙来(ポー・シーライ)氏(62)の党政治局員と中央委員の職を解任した、と伝えた。重大な党規違反があったという。薄氏は今秋の党大会での最高指導部入りが有力視されていたが、その失脚が決定的になった。
 薄氏は側近の王立軍・重慶市副市長が2月に四川省成都の米総領事館に駆け込む事件を起こしたのを受け、3月15日に重慶市トップの党委書記の職を解任されていた。
 薄氏は2007年に直轄市である重慶市に着任し、暴力団一掃や汚職撲滅、貧富の格差是正などの政策で市民の人気を得たが、大衆動員を多用する保守的な政治手法に胡錦濤(フー・チンタオ)・温家宝(ウェン・チアパオ)指導部から反発が出て、次期最高指導部人事をめぐる権力闘争に敗れた形だ。薄氏の失脚を受け、今後、次期最高指導部を巡る中国政治の勢力構図に変化が生じる可能性がある。

◎薄氏支持サイト相次ぎ閉鎖、中国当局、反発抑える狙いか(2012年4月9日、朝日新聞)
 中国重慶市の書記を3月に解任された薄熙来(ポー・シーライ)氏を支持していた左派(保守派)サイトの「烏有之郷(ユートピア)」や「毛沢東旗幟ネット」が6日、相次いで閉鎖された。
 サイトは、貧富の格差や腐敗の原因を行きすぎた改革開放に求め、薄氏の政治路線を支持していた。「烏有之郷」などは薄氏の解任直後に開けなくなったが、数日後に復活していた。
 「烏有之郷」の「公告」によると、国務院新聞弁公室、同市公安局などが「悪意をもって国家指導者を攻撃し、(次期最高指導部の顔触れが固まる第18回)党大会についてのデタラメな文章を掲載した」として、サイトの責任者に1カ月の閉鎖を通告したという。
 中国では共産党内の権力闘争を巡るクーデター計画のデマまで出回った。左派論壇への締めつけは、薄氏解任への反発を抑え込み、社会の動揺を防ぐ狙いとみられる。

◎生ゴミ、屍肉、下水から食用油、中国の食を脅かす「闇リサイクル」(2012年4月8日、産経新聞)
 中国公安当局は3日、食肉処理場で廃棄された内臓などから抽出した油を食用に販売したとして1000人以上を拘束したと発表した。下水や生ゴミから取り出した「下水油」は中国全土に流通、健康への害も指摘され、社会問題化。中国メディアは今回のケースをその「新型だ」と伝えている。屎尿(しにょう)から採取した油まであるとされるが、「リサイクルだ」との主張も。中国4000年の食を揺るがす「下水油」はなぜここまではびこったのか。

・腐った肉が食品原料に、売上高1億円超
 「我慢できないほどの悪臭を出し続ける建物がある」
 中国国営新華社や通信社の中国新聞社、各地方紙の電子版によると、今回の摘発は昨年10月、中国浙江省金華市の農村に住む農民からの通報がきっかけだった。
 公安当局は、食肉処理場から安値で引き取った動物の肉や皮、内臓から油を抽出し流通させていた業者を突き止め、一斉摘発に踏み切った。
 押収された「下水油」は3200トン余り。摘発した際、原料の肉や内臓は古くなり、腐臭を放っていたという。
 製品としての「下水油」は、同省や安徽、江蘇両省のほか、上海、重慶両市の油脂業者を通じて食品加工会社に販売され、最終的には調味料など食品原料に使われていた。グループの売上高は昨年1~11月だけで1000万元(約1億3000万円)を超えたという。

・屎尿だけから採取も、屋台や加工品で中国全土に
 「下水油」は、中国で下水溝や排水溝にたまった油成分を含む浮遊物から抽出した油を販売する商売が生まれたことからこの名が付いた。
 その後、飲食店から出た生ゴミから抽出する手口が広がったが、この場合もひっくるめて違法リサイクル油を中国語で「地溝(下水)油」と呼ぶ。
 屎尿だめに浮く油を抽出するケースもあるとされ、中国新聞社によると、昨年4月には、重慶市で屎尿だめから下水油の原料を収集していた男が拘束された。
 食肉処理場から原料を調達する今回のケースは、下水油の中でも「進化型」とみなされ、原料から販売まで組織化した手口に発見、摘発の難しさが指摘された。
 中国の食品問題に詳しいジャーナリスト、周勍氏の著書によると、下水油の多くが朝食として広く愛されている中国式揚げパン「油条」(ヨウティアオ)などの屋台に流れているとされ、油条を口にしなくなった中国人までいるという。
 その他は、食用油として今回摘発されたケースのように食品加工会社に回され、加工品としていつのまにか口にすることになる。
 濁りや粘つき、酸っぱさ、苦みに正規の食用油との違いがあるとされるが、ほとんどが加工された後のため、判別が難しい。その結果、懸念されるのが健康被害だ。
 周氏の著書や中国メディアによると、食べると消化管の粘膜などが破壊され、発癌(がん)性も指摘されている。

・「誰もが口に」、市場規模は200億円超、記者殺人まで?
 中国新聞社などによると、下水油販売をめぐって昨年下半期で9万人以上が摘発され、下水油約6万トンが押収された。中国政府は事態を深刻に受け止めており、司法当局は今年2月、下水油に関わる犯罪に対し「最高刑は死刑も辞さない」との通知を出した。
 一向に収まる気配のない下水油の蔓延(まんえん)。中国の専門家は、中国の食用油の年間消費量2250万トン(2009年)から国内生産と輸入量を差し引いた量が400万~500万トンにのぼると試算。少なくとも200万~300万トンの下水油が食用油として全国に流通し、15~20億元(約200億~260億円)の市場規模を持つとみられている。
 「中国人なら誰しも口にしたことがある」との見方もあるほどで、深セン市では昨年11月、政府機関の食堂で使われていたことが発覚した。
 「下水油」をめぐって笑えない現象まで起きた。
 中国河南省洛陽市のテレビ局記者が殺害される事件が昨年9月起きた。この記者が事件直前、インターネットに「下水油」に関する投稿をしていたことから「下水油業者を取材していて報復された」との憶測がネットを通じて瞬く間に広がった。
 結局、事件は強盗殺人だったと判明したが、中国の一般の人々から、そのほど下水油をめぐる闇のネットワークが底深いとみられているのだ。

・食のひずみが生んだ闇ルート、飲食店、売り手、買い手が「ウィンウィン」
 当局が取り締まりに躍起になっているのになぜ、下水油の蔓延(まんえん)はとどまらないのか-。
 最も流通している下水油が生ゴミから抽出したものであることから、原料供給源である飲食店側の問題が最大の原因に挙げられている。
 周氏は大連市の過去の例に触れ、「多くのレストランでは、こうした油さらい(下水油)業者を歓迎している。彼らに引き取ってもらえば、ゴミ出しをしないですむし、下水道が詰まるトラブルもなくなるからだ」と記している。
 泥の中からカネになるタネを見つけ出すことから周氏は「砂金掘り」とも表現している。
 急速な経済発展に伴い、13億人の胃袋を満たす外食産業も急激に発達した。その陰で後回し、もしくはなおざりにされてきたのが生ゴミ処理だった。その隙間に目を付け、当局が問題を深刻に受け止める前に流通ルートまで構築していったのが「下水油」業者たちだった。
 飲食店にとって生ゴミがカネになるメリットがある。下水油業者にとってはタダ同然で買い取った生ゴミを少し加工するだけで売り物になる。屋台や食品加工業者は正規品に比べ極端に安い値段で“食用油”を手に入れることができる。
 倫理さえ無視すれば、3者にとって「ウィンウィンの関係」になる。バカをみるのは消費者だけという構図だ。

・「ゴミから宝」、バイオ企業認定業者まで、現代中国の縮図
 廃棄物処理の未整備が下水油を生んだことを認識した行政当局によって、生ゴミ回収が無料化された地域も出始めた。しかし、飲食店側から「買い取る業者がいるのになんでタダで渡さなきゃいけないの」と反発され、うまく機能していないともいう。
 「ゴミから宝を生み出す、これぞリサイクルだ」と豪語する識者までいる。
 中国語で「向銭走」=カネに向かって邁進(まいしん)する=という現代中国の風潮の縮図が「下水油」問題に現れているといって過言ではない。
 「コネがなければこんな仕事はできない」と背後に有力者がいることをほのめかす業者もいる。摘発された業者の中には、品質安全を保証する国家認証や、行政当局から「バイオ企業」の認定を受けていた会社まであった。
 下水油が一掃され、食の安全を取り戻したときこそ、中国が本当に発展したといえるのではないだろうか。

◎薄氏支持の左派サイト閉鎖、中国、言論統制の動き加速(2012年4月6日、産経新聞)
 中国重慶市トップの共産党委員会書記を解任された薄煕来氏を支持してきた保守派(左派)の複数のサイトが閉鎖されたことが6日分かった。薄氏の解任以降、中国政府はインターネットの監視を強化するなど言論統制の動きを強めている。
 保守派の代表的サイト「烏有之郷(ユートピア)」は、中国当局から「憲法に違反し、悪意を持って国の指導者を攻撃し、(秋の)第18回党大会に関するでたらめな議論を掲載した」との批判を受け、6日から1カ月間サイトを閉鎖するよう命じられたと、サイト上で明らかにした。
 党関係者によると、中国指導部は薄氏の解任後、世論操作を目的に、新聞やネットへの管理を強化するよう内部通知を出した。
 「ユートピア」のほか複数の保守派サイトが見られなくなっている。

◎「食用廃油」で100人拘束、中国、3千トン超押収(2012年4月3日、産経新聞)
 中国公安省は3日、浙江省で廃棄された油脂が大量に再加工され、食用油などとして各地で販売されていたとして、製造、販売に関わった容疑者計100人以上を拘束、廃油3200トン余りを押収したと発表した。中国メディアによると、原料になったのは食肉処理場で廃棄された豚や牛の内臓や皮だったという。
 中国では廃油などを再利用した有害な食用油が流通し社会問題化しており、司法当局は2月、廃油再利用に関わる犯罪の最高刑を死刑にするとの通知を出している。
 公安省の発表などによると、浙江省金華市で昨年10月、地元住民から異臭がするとの通報があり、警察が捜査に着手。加工された廃棄油脂は上海、重慶両市や、安徽、江蘇両省などの業者を通じて食品加工会社に販売され、売上高は昨年1月から11月までだけで1千万元(約1億3千万円)を超えていたという。

◎電気化学工業、中国で工業用接着剤「ハードロック」量産(2012年4月3日、化学工業日報)
 電気化学工業は、中国で工業用接着剤「ハードロック」を量産する。ライセンス供与によるもので、このほど広東省広州市の現地企業と契約を交わした。4月から生産を開始する。需要増大が見込める中国で量産することによってコスト競争力を高めて、ボリュームゾーンを開拓する。エレベーターや自動車関連を中心に供給し、2015年に年400トン、年商8億円の規模に育成する。

◎中国:ネットの「有害情報」取り締まり、1065人逮捕(2012年4月1日、毎日新聞)
 中国国営新華社通信によると、北京市の警察当局は3月31日、インターネット上の「有害情報」を取り締まるキャンペーンを2月中旬から展開し、1065人を逮捕したと発表した。違法情報の氾濫を強調することで、秋の共産党大会を控えて当局が進めるネット規制を正当化する狙いもありそうだ。
 キャンペーンは「春風行動」と銘打ち、銃器や麻薬、臓器の売買、偽造証書の取引などに関する約20万8000件の情報を削除。3117のウェブサイトに警告を出し、70の運営会社にサイト閉鎖などの行政処分を下した。
 警察当局の報道官は「キャンペーンは市民の苦情に応えたもので、実施後はネット上での関連犯罪が半減した」と強調している。

◎日・印企業にサイバー攻撃、疑惑の中国企業が否定(2012年4月1日、産経新聞)
 ウイルス対策ソフト大手「トレンドマイクロ」(本社・東京)は31日までに、日本やインドの企業などへ中国からとみられるサイバー攻撃があり、軍事情報などが狙われたとの報告書を発表した。
 31日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、攻撃者と疑われる男性が勤める中国のインターネット会社「テンセント」がトレンドマイクロの発表直後、自社の従業員による関与を否定する声明を出した。
 同紙がこの男性を特定し取材したところ、男性は「何も言うことはない」と関与を否定した。トレンドマイクロは攻撃者の名前を明らかにしていない。
 報告書によると、攻撃者は少なくとも昨年6月以降、日本、インドの企業やチベット活動家のコンピューターに90回の攻撃を仕掛け、軍事、航空、船舶、エネルギー、工学技術、チベット活動家に関する情報の収集を試みた。

◎「北京でクーデター?」デマ流した6人拘束(2012年3月31日、読売新聞)
 新華社通信によると、北京市公安局は3月30日までに、ネットの簡易ブログなどで「北京に軍用車両が入り、事件が起きている」などとデマを流した6人を拘束した。
 薄煕来(ボーシーライ)重慶市共産党委書記が15日に解任された後の20日ごろ、ネット上で「軍の車両や武装警察が中南海(共産党中央委員会と国務院の所在地)を取り囲んでいる」などのうわさが流れ、「薄氏の解任に反発した(共産党序列9位の)周永康(ジョウヨンカン)党政治局常務委員がクーデターを起こそうとして拘束された」などと臆測が飛び交った。実際には北京市中心部でこうした動きはなく、周氏もその後、公の会議の場に姿を見せている。
 公安当局者は「ネットを利用してデマを流す行為は、社会秩序を乱し、社会の安定に影響を与える」と述べており、薄氏解任で波紋が広がらないよう、取り締まりに乗り出した形だ。北京市などのネット管理部門も、簡易ブログの運営会社を処罰した。

◎重慶元トップ妻と親交の英男性不審死、米紙報道(2012年3月27日、朝日新聞)
 英政府が中国政府に対し、中国重慶市で昨年11月に起きた英国人男性の不審死について調査を求めていると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が26日報じた。男性は解任された薄熙来・前同市党委員会書記の家族と親交があったという。
 同紙によると、薄氏の右腕で市公安局長だった王立軍・前副市長が、男性の死因は毒殺で、薄氏の妻で弁護士の谷開来氏とビジネス上の関係があったと薄氏に指摘していたという。関連性は不明だが、その後、王氏は政治亡命を求めて成都市の米総領事館に駆け込んだ。王氏は現在、北京で取り調べ中とみられる。
 英男性はビジネスマンで、ホテルで遺体で発見。地元当局は急性アルコール中毒とし、検視せずに火葬したが、友人の証言から男性は酒を飲まないことが分かり、死因に疑義が生じた。

◎解任の重慶トップに近い英国人、ホテルで不審死(2012年3月27日、読売新聞)
 27日付英各紙によると、中国の重慶市共産党委書記を解任された薄煕来(ボーシーライ)氏に近い英国人実業家が昨年11月、重慶市内のホテルの部屋で不審死していたことがわかった。
 英政府は、中国側に死因などを再調査するよう外交ルートを通じて正式に要請したという。
 死亡したのはニール・ヘイウッド氏(41)。中国在住歴が長く、英国製高級車販売のコンサルタントをしていたとされるが実態は不明だ。
 ヘイウッド氏の夫人が遼寧省大連出身の関係もあり、薄氏が大連市長だった1990年代から家族ぐるみの親交があったという。ヘイウッド氏は、特に薄氏の夫人と仕事上の関係があり、夫人の経済活動の「汚れ役」を引き受けていたとの見方も出ている。
 ヘイウッド氏の死は、重慶の警察当局によって「アルコールの過剰摂取による中毒死」とみなされ、司法解剖されずに火葬された。

◎シャープ、中国にカラー複合機の新工場(2012年3月26日、産経新聞)
 シャープは26日、中国・常熟でデジタルカラー複合機用の第2工場を4月から稼働すると発表した。中国での需要増などを見込んだもので、投資額は約25億円。今後、中国で複合機を含めた事務機器事業の売り上げを400億円にまで引き上げる。
 第2工場の生産能力は年産25万台で、中国から世界各地へも出荷する。第1工場と合わせると複合機全体で計65万台を生産できる。同社はモノクロ機で中国市場において約20%とトップシェアを維持しており、今後、カラー機の商品強化で中国市場でさらなる売り上げ拡大を狙う。
 さらに第1工場では今後、タッチパネル式の業務用大型液晶ディスプレー「ビッグパッド」の生産に着手。菅野信行中国本部長は同社の中国の事務機器販売で複合機・複写機が9割を占めていることについて、「ビッグパッドなど複合機以外の事務機器の売上比率を3割まで引き上げたい」との方針を示した。

◎クレヨンしんちゃん:著作権侵害、中国で賠償命令の判決(2012年3月25日、産経新聞)
 24日付の中国紙、東方早報によると、上海の中級人民法院(地裁)は23日、双葉社が所有する人気漫画「クレヨンしんちゃん」の著作権を侵害したとして、中国企業に30万元(約390万円)の賠償金を支払うよう命じた。
 中国企業は、勝手にクレヨンしんちゃんの関連商品を販売していたという。双葉社が賠償を求めて提訴していた。

◎解任の重慶前副市長、習副主席らを盗聴か、香港誌報道(2012年3月24日、朝日新聞)
 中国・重慶市の薄熙来(ポー・シーライ)元市党委書記の解任にいたった一連の問題で、薄氏の右腕だった王立軍前副市長(解任)が習近平(シー・チンピン)国家副主席ら中央指導者たちを盗聴していたと、香港誌「亜洲週刊」が報じた。この盗聴が最高指導部を最も怒らせたとしている。
 同誌によると、盗聴は市公安局長を兼ねていた王前副市長が主導。公安局の幹部を専従とし、重慶を視察した習副主席や呉邦国(ウー・パンクオ)全国人民代表大会常務委員長、賀国強(ホー・クオチアン)党中央規律検査委員会書記、李源潮・党中央組織部長ら指導部の私的な会話などを盗聴し、情報は薄氏にも報告していたという。指導者層の警護にあたる党中央警衛局からも個人的な秘密や行動の内容を入手していたという。

◎酸化チタン、中国11年生産量181万トン(2012年3月23日、化学工業日報)
 中国の酸化チタン生産が拡大している。2011年生産量は前年比22.9%増の約181万1900トンとなった。アタナーゼ型が同50.7%増の132万3600トンと伸長する一方、ルチル型は同24.1%減の42万3700トンとなり、アナターゼ型が全体に占める割合は7割を超えている。生産集約も進んでおり上位3社、四川龍蠎、山東東佳、河南佰利聯の合計能力は43万1000トンで、全体の23.8%に相当する。昨年は旺盛な需要を背景に「一流ブランドは一時1トン当たり3万2000元近くまで高騰」(中国塗料工業協会)するなど塗料メーカーのコストを押し上げた。「現在も200万トン程度の新増設が進行中」(同)で、15年には中国の酸化チタン総生産能力は500万トンに達する見込み。

◎中国、1千人超の死刑執行で最多、北は「公開処刑が増」、人権団体(2011年3月28日、産経新聞)
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(ロンドン)は28日、2010年の世界の死刑に関する報告書で、中国で千人以上の死刑が執行されたと公表した。具体的な死刑執行数は、同じく千人以上とされた昨年に続いて明記しなかった。
 北朝鮮の10年の死刑執行数は少なくとも60人で世界で3番目に多かった。昨年の報告書では09年の死刑執行数の記載はなかったが、今年の報告書は「前年に比べて公開処刑の報告数が増えた」と指摘した。
 報告書によると、中国を除く22カ国で少なくとも計527人の死刑が執行された。死刑を執行した国の数は過去最少だった09年の19カ国から4カ国増えた。
 中国に次いで死刑執行が多かったのはイラン(少なくとも252人)で、北朝鮮、イエメン(同53人)などの順。米国は46人、日本は2人だった。

◎解任の重慶前副市長、習副主席らを盗聴か、香港誌報道(2012年3月24日、朝日新聞)
 中国・重慶市の薄熙来(ポー・シーライ)元市党委書記の解任にいたった一連の問題で、薄氏の右腕だった王立軍前副市長(解任)が習近平(シー・チンピン)国家副主席ら中央指導者たちを盗聴していたと、香港誌「亜洲週刊」が報じた。この盗聴が最高指導部を最も怒らせたとしている。
 同誌によると、盗聴は市公安局長を兼ねていた王前副市長が主導。公安局の幹部を専従とし、重慶を視察した習副主席や呉邦国(ウー・パンクオ)全国人民代表大会常務委員長、賀国強(ホー・クオチアン)党中央規律検査委員会書記、李源潮・党中央組織部長ら指導部の私的な会話などを盗聴し、情報は薄氏にも報告していたという。指導者層の警護にあたる党中央警衛局からも個人的な秘密や行動の内容を入手していたという。

◎中国、検閲や盗聴強める、重慶事件受け引き締め指示(2012年3月23日、朝日新聞)
 中国共産党が、指導部への忠誠を求める6項目の内部通知を党内各部門に出したことが分かった。重慶市副市長の米総領事館駆け込み事件で同市書記の薄熙来(ポー・シーライ)氏を解任したことを受け、党内で広がる動揺や反発を抑え込むための異例の指示。検閲や盗聴などの監視活動を強めることも盛り込まれている。
 通知は、薄氏が解任された15日付で、胡錦濤(フー・チンタオ)総書記直属の秘書室に相当する党中央弁公庁から、政府や軍、大学などの党組織に出された。薄氏は党のトップ25人から成る政治局のメンバーを兼ねる高官であり、その突然の書記解任には一部の幹部の間で反発の動きがある。この広がりを抑え込み、政権の不安定化を避けようとの狙いだ。胡指導部が事態を極めて深刻に受け止めていることの表れともいえる。
 通知は、今回の事件を「新中国始まって以来の複雑かつ深刻な事件」と位置づけた。そのうえで、薄氏の解任について「安定した改革と発展を進め、党と政府の尊厳を守るのに有益」と正当性を強調。「個人が党の力を超える独断専行をしない」とし、薄氏が指導部の路線と一線を画した独自の政治運動を重慶で展開したことを暗に非難した。

◎溝に捨てられた女子高生、凍傷で手足切断の恐れ(2012年3月23日、読売新聞)
 中国安徽省で暴漢に襲われた高校3年の少女が警官らに救助されず生きたまま隣村に捨てられた事件で、警官らが少女の生存を確認しながら「知的障害者のようだ」として故意に遺棄していたことが分かった。
 地元検察当局が新華社通信に明らかにした。
 報道によると、少女が襲われた翌日の12日夕、村民の通報を受けた地元派出所の警官ら3人が現場に急行。少女に声をかけたところ、返事はなかったが、手足はわずかに動かしたという。
 警官は現場から、派出所長に「下半身裸で年齢は30~40歳ぐらい。知的障害者のようだ」と報告。その後、派出所に戻り、所長に「今はまだ生きている」と話したという。これに対し所長は「地元政府当局に救助を頼め」と指示した。
 そこで警官ら3人は地元政府当局者と共に現場に戻り、村民らに手伝わせ用意した霊きゅう車に少女を運び込ませた。霊きゅう車の運転手が「病院に連れて行こう」と言ったにもかかわらず、警官と当局者で相談後、警官は現場を離れ、当局者が霊きゅう車に乗り込み、少女を隣村で道路脇の溝に捨てさせたという。
 少女は半裸のまま気温が0度近くなる屋外で2夜を過ごした。一命を取り留めたが、頭蓋骨を粉砕骨折しており、意識は戻っていない。手足には重度の凍傷を負っており、切断しなければならない恐れもあるという。少女の両親は出稼ぎ中で、祖母や弟と近くの村で暮らしていたという。成績優秀で、大学入試の模擬試験の帰り道に被害に遭った。

◎中国、塗料生産1000万トン乗せ、11年16%増(2012年3月22日、化学工業日報)
 中国の2011年の塗料生産量が1000万トンを突破した。中国塗料工業協会によると、前年比16.4%増の1079万5000トンと、史上最高だった10年実績を上回った。上半期は前年同期比20.6%増の483万4000トンと20%を超える伸びを示した一方、7?11月の需要期は「コスト上昇、人民元相場の上昇、金融引き締め、自動車産業、不動産業など用途分野の失速といった要因から活気を欠く結果となった」(孫蓮英会長)。12年は「第11次5カ年計画期間のような高成長の再現は難しいものの、生産量は12%前後、生産額は20%前後」(同)拡大する見通しを示した。

◎中国:倒れていた女子高生、遺体として溝に捨てられる(2012年3月22日、毎日新聞)
 中国安徽省亳州で、暴漢に襲われ倒れていた女子高生(18)が警察官に「凍死したホームレス」と判断され、その後生きているのに遺体として溝に捨てられる事件が起きた。女子高生は命は助かったが、インターネット上では「こんな人たちに公務を任せて、国家に希望などあるのか」などと警察の失態に批判が殺到している。
 地元紙によると、女子高生は11日夜、自宅から約3キロ離れたバス停から徒歩で帰宅途中に何者かに襲われた。12日夕、通りかかった村人が、衣服が乱れ、顔面から血を流して溝に倒れている女子高生を見つけて警察に通報した。
 しかし、駆けつけた警察官は生死を十分確認せず、女子高生の顔が汚れていたことなどからホームレスが凍死したと判断。救急車も呼ばずに地元政府の民政局に連絡し、民政局の担当者は火葬場に運ぶ手配をした。集まった村民が「まだ息をしている」と訴えても聞き入れられなかったという。
 民政局の手配を受けた遺体運搬車の運転手は、実際には火葬場に運ばずに、約10キロ離れた別の村の田んぼの溝に女子高生を遺棄。13日午前になって村人が発見し、警察と救急に連絡した。その後の調べで、女子高生の頭部に鈍器で殴られた痕があることが分かり、警察は刑事事件として捜査を始めた。女子高生は気温0度近い屋外に2晩も放置されたが、一命は取り留めた。
 捜査当局は死亡と判断した警察官と民政局の役人ら計4人を拘束した。中国では戸籍のないホームレスも多く、行き倒れた人が公的部門にぞんざいに扱われるケースもある。中国のブログには「警察も民政局も救助に全力を尽くさなかった。これは(ホームレスと判断されれば簡単に見捨てられるという)制度上の問題でもあり、解決されない限り、同じことはまた起きる」といった指摘が相次いでいる。

◎生きたまま捨てられた女子高生、火葬場搬送途中(2012年3月22日、読売新聞)
 中国安徽省で、暴漢に襲われて倒れていた高校3年の女子生徒が警察官に凍死体と判断され、生きたまま隣村に捨てられる事件があった。
 生徒は野外に2晩放置された末に救助され一命を取り留めたが、当局側の劣悪な対応に批判が高まっている。
 地元紙などによると、生徒は11日夕、学校から帰宅途中に暴漢に鈍器で後頭部を殴られたとみられる。12日夕、自宅から数キロ・メートル離れた水のない用水路に血だらけで倒れているところを村民が発見し、通報した。
 だが、凍死したホームレスと判断した警察は捜査を行わず、地元政府当局に連絡。当局者も確認せず、火葬場の車に搬送を指示し、運転手は約10キロ・メートル離れた隣村の溝に捨てたという。生徒は13日朝、村民に発見され病院に運ばれた。
 生徒を死者と判断した警官と役人ら4人は既に拘束され、責任を追及されるが、国内の報道機関やインターネットでは「当局の人命軽視」「ホームレスの遺体なら捨てるのか」との批判が噴出している。

◎中国警察、息のある女子高生を「凍死」、業者が田に遺棄(2012年3月21日、朝日新聞)
 中国東部の安徽省亳州で、暴漢に襲われて倒れていた女子高生を、警察が死んだ浮浪者と判断。生きたまま田んぼに捨てられる事件が起きた。中国では昨秋、ひき逃げされた女児が見捨てられたまま死亡する事件が起きており、再び大きな衝撃が走っている。
 女子高生が襲われたのは今月11日夜。地元メディアによると、学校で大学受験の模擬試験を受けた後、帰宅途中だった。12日夕、衣服が乱れ、血を流して溝に倒れている女子高生を村民が発見し、110番通報。女子高生は生きていたが、現場に来た警官は凍死した浮浪者と判断し、救急車も呼ばず、地元政府に「遺体運搬車で運ぶように」と連絡した。現場では「まだ息があるんじゃないか」という村民もいたという。
 その後、地元政府が手配した運搬車の運転手は女子高生を、10キロ弱離れた別の村の田んぼに捨てた。13日午前10時ごろ、村民が女子高生を見つけて救急車を呼んだ。村の警察の調べで後頭部を鈍器で殴られたことや、身元が判明。女子高生は倒れてから、気温が0度近くまで下がる屋外に計2日間も放置され、危険な状態が続いていたが、峠は越えたという。

◎“対岸の火事”ではない中国大気汚染(2012年3月22日、産経新聞)
 “世界で最も大気汚染が深刻な国”となった中国。これまで日本は巨額の環境ODAを中国に援助してきたはずだが、環境対策はズサンの一言。「工場やボイラーの煙突に、日本が技術援助をした脱硫装置を設置していても、コスト削減などを理由に稼働率が低い」とかで、二酸化硫黄が垂れ流し状態に…。マイカー激増も、大気汚染に追い打ちをかける。
 オゾン、霧・スモッグ汚染を特徴とする複合型汚染により、中国の大都市や工場の集積地で、近年「数十メートル先がかすんで見えない」状況は日常茶飯だし、健康被害も続々と報告されている。昨年11月、北京市衛生局が「同市の肺がん発症率は過去10年で6割近く増加、がん患者の5人に1人が肺がん」と公にし、中国科学院大気物理研究所の関係者もテレビで「北京などで、発がん性のあるPAHs(多環芳香族炭化水素)の数値が先進国の十数倍から二十数倍」と警鐘を鳴らしている。
 日本にとっても“対岸の火事”ではない。偏西風に乗って黄砂が飛散する春先の「空気」はとりわけ要注意だ。しかも、その範囲は九州をはじめ中国・四国・近畿にかけた西日本のみならず、中部地方から関東甲信越の一部までと広い。また、雨は酸性雨となって大地に降り注ぐ。
 この見えない“殺し屋(専門用語では硫酸塩エアロゾル)”を大量に吸い込むことで体調を崩している人たちも増えていると聞く。医者や学者らの発言&危惧をまとめると「免疫力の低下」「毒物が肺胞に溶け出し、あるいは血液の流れで心臓を含む内臓を傷める」「同一部位が繰り返し炎症を起こすことでがん化する」「後頭神経痛を起こしたり、嘔吐するほどの激しい頭痛やめまい、鬱やアレルギー症状が出る」「呼吸器系の症状が悪化する」「花粉症の症状悪化と慢性化」など。
 野田佳彦首相は昨年12月、日中共同の環境ファンド設立の覚書にサインをした。人の命なんぞ“鳥の羽根よりも軽い”中国とまた何を共同で? 新たな利権構造を作っただけでしょ。それよりも、誰がわれわれの命を守ってくれるのか?

◎解任の重慶市トップ、夫人に不正な経済取引疑惑(2012年3月21日、読売新聞)
 中国の重慶市共産党委書記を解任された薄煕来(ボーシーライ)氏の夫人が不正な経済取引に関与していた疑惑が浮上、党中央規律検査委員会が調査を進めていることが20日、分かった。
 複数の党関係者が明らかにした。指導部が交代する今秋の第18回党大会を前に、胡錦濤(フージンタオ)総書記は薄氏への刑事責任追及を通じ、影響力の温存を図る意向だ。
 関係者によると、薄氏側近の王立軍・前同市公安局長が米総領事館に駆け込んだ事件について、党中央は上級幹部に対し、「重慶で薄氏夫人に関する経済問題が発覚、王氏が薄氏に対応を相談し、薄氏の逆鱗に触れた。薄氏は中央政府の了解を得ず、ルール違反の手続きで公安局長である王氏を更迭した」とする調査結果を報告している。夫人の不正の事実や薄氏自身の関与が認められれば、薄氏は規律違反で処分され、刑事責任も問われることになる。

◎危ない!中国人が好きな日本「精品」、虎視眈々と狙う消費大国(2012年3月21日、産経新聞)
 「日本精品」?「日本製品」の変換ミスではない。今、中国で日本精品という言葉が広がりつつあるという。この言葉を考案したのは中国百貨商業協会の楚修斎会長である。
 中国百貨商業協会とは中国全土1万2000社のデパートやスーパーを率いる中国最大の商業組合。その会長が自ら高品質商品という意味で「精品」という言葉を考え、日本製品に与えた。「精品」は一般的な中国語ではないという。しかし中国人なら誰でもその字面を見て品質の高い製品のことだと理解できるそうだ。
 確かな技術力、洗練されたデザイン、信頼性と付加価値の高いニッポンブランドの商品を日本精品と呼ぶことにしたわけだ。楚会長は今年8月、上海で中国全土の大手百貨店の仕入れ担当者と日本のメーカー営業担当者の商談会「日本精品展」を企画している。
 「日本でもそうであるように、中国でも日本が好きな人も嫌いな人もいます」と、楚会長は言う。とはいえ、大半の中国人がメード・イン・ジャパン製品を高品質の代名詞として認識しているのも事実だそうだ。
 特筆すべきは、この日本精品展、日本側が企画し中国側に売り込んだのではなく、中国側が企画・主催するという点だ。では、日本人は中国百貨商業協会や中国の消費者が日本製品に対して抱くこの認識をどうとらえるべきなのか?
 「いろいろ難問は吹っかけてくるが、結局は中国人は優秀な日本製品を買い続けるだろう」などと甘い考えでは、危ない。
 若い読者には信じられないだろうが、50年前にはメード・イン・ジャパンのレッテルは世界では「安かろう、悪かろう」の代名詞だったのだ。勤勉な日本人と日本企業の努力もあって、今ではメード・イン・ジャパンといえばどこの国でも高性能、高品質の代名詞になった。
 しかしわれわれが努力の継続を惜しめば、中国製品やインド製品にたちまち追いつかれるのは自明の理である。
 日本のメーカーは「今、日本製品好きの中国人が増えているようだから、自社製品を売り込む大チャンス到来」などと単純に認識すべきではない。むしろ、中国消費者の期待以上の製品を提供して彼らに応えよう、というくらいの気概を持つべきだと思う。
 中国は経済成長率の目標を8%台から7.5%に下げ、「国の富より民の富」のスローガンの下に内需拡大を目指すという。日本としては「世界の工場」から「世界の市場」、つまり消費大国に脱皮しようとしている隣国のこの機会を逃す手はない。
 過去にばかりとらわれずに、未来を向いて、したたかに、この「中国特需」を日本経済復活の起爆剤として利用するくらいの戦略を構築しないならば、わが国の未来は非常にまずいことになる。

◎薄煕来氏の強制調査開始か、中国、失脚確実との見方、ネット情報飛び交う(2012年3月20日、産経新聞)
 中国重慶市トップの共産党委員会書記を解任され、その後の去就が注目されている薄煕来氏について、党中央規律検査委員会が規律違反で強制調査を始めたとの情報が20日までにインターネット上で流れ、薄氏の失脚が確実になったとの見方が浮上している。
 情報は主に香港や中国メディアの関係者らが発信。中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」上には、党内部で17日、薄氏に対する調査開始が伝達されたとの情報が書き込まれた。
 このほか薄氏や、同氏の妻の規律違反を調べるため、既に関係者30人以上が調査対象となり、北京市周辺で当局に拘束されたとの説も出回った。
 その一方で薄氏と立場の近い左派(保守派)の学者が薄氏の親族の話として「(薄氏の)家は平穏だ」と微博に書き込むなど、調査開始を否定する見方も出ている。

◎兵器輸入トップ5、アジア独占、中国は輸出6位(2012年3月20日、読売新聞)
 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は19日、2007~11年の国際兵器取引に関する調査報告書を発表した。
 それによると、取引額ベースでの兵器輸入の上位5か国は、インドを筆頭に韓国、パキスタン、中国、シンガポールと、すべてアジアの国々が占めた。
 02~06年に輸入トップだった中国は、国内の兵器生産能力を向上させ、輸入は減少。一方で輸出は、対パキスタンを中心に過去10年間で2倍近くに伸び、米国やロシア、ドイツなどに続き、世界第6位の武器輸出国となった。
 インドの兵器輸入量は世界全体の10%を占めた。うち80%はロシア製で、イスラエル製も4%あった。
 また、反体制派への武力弾圧が続くシリアでは、輸入した兵器類の78%がロシア製だった。シリアが輸入したロシア製兵器は過去10年で約7倍に増加。この中には、新型の移動式対艦ミサイル「バスチオン」などが含まれているという。

◎薄煕来氏失脚、崩れる権力バランス、勢い増す胡主席派(2012年3月20日、産経新聞)
 中国共産党の次期最高指導部、政治局常務委員会入りが有力視されていた薄煕来・前重慶市党委書記の失脚は党内の権力バランスを大きく崩す。共産主義青年団(共青団)出身者を中心とした胡錦濤国家主席のグループが大きく勢力を伸ばす一方、江沢民前国家主席のグループや習近平国家副主席ら「太子党」グループが政局の主導権を失いつつある。秋の党大会まで半年余、ポストをめぐる抗争が激化する見通しだ。
 共産党筋によれば、ポスト胡錦濤体制では、習氏を党総書記兼国家主席、李克強氏を首相に起用する既定方針に変わりはないが、この2人の力関係が微妙に変化するという。胡派の躍進で李氏の影響力が強くなり、同じ太子党の薄氏を失った習氏の影響力が低下し、厳しい政権運営を強いられるとの見方だ。
 薄氏は失脚しなければ、国家安全、警察、司法担当の中央政法委員会書記として最高指導部入りの可能性が高いといわれてきた。このポストは政敵の動向調査や逮捕権の行使ができるため、各派閥が最も欲しいとされるポストだった。薄氏の代わりに、江沢民派は公安相の孟建柱氏を推しているが、力不足で実現する可能性は低いとされる。現在のところ、胡主席の懐刀といわれる広東省トップの汪洋氏がこのポストに就く可能性が高いといわれている。
 また、金融・貿易担当の副首相で太子党の王岐山氏は、李氏の後任として筆頭副首相に就任する可能性が高いといわれてきたが、重慶事件のあおりを受け、閑職の全国人民代表大会常務委員長(国会議長に相当)に回される可能性もささやかれるようになった。
 今年の全人代期間中、王氏は「刑法を修正したい」などと担当外のことを言及していたことが注目された。実権のある筆頭副首相は、重慶事件で胡派に協力した張徳江副首相が就任する可能性が高くなったという。
 さらに、胡派の若手で、令計画氏と胡春華氏が最高指導部入りの可能性が出てきた。実現すれば習氏の次の世代を胡派で押さえたことになる。

◎解任・重慶前トップ拘束、妻の収賄など、完全失脚(2012年3月20日、産経新聞)
 中国共産党中央に重慶市トップの党委員会書記の職を解任されていた薄煕来氏(62)が19日までに、党中央規律検査委員会に身柄拘束され、妻の汚職問題などで取り調べを受けていることが分かった。複数の共産党筋が明らかにした。次世代指導者の一人と目され、今秋の党大会で最高指導部入りが有力だった薄氏は、胡錦濤総書記(国家主席)派と政治路線で対立、権力闘争に敗北し、完全に失脚した。今後、刑事責任を問われる可能性も出てきた。
 共産党筋によれば、薄氏は全国人民代表大会(全人代=国会に相当)に出席した後、北京で党中央規律検査委員会の幹部に、実質上の身柄拘束となる「双規」を通告された。「双規」とは「規定の時間・場所で、疑いのある問題に関して説明を求める」という党内部の規則に基づく措置だ。
 共産党筋によると、薄氏が説明を求められているのは、収賄や職務怠慢など4項目という。まず、弁護士事務所を開業している薄夫人にからむ汚職の疑い。また、薄氏の部下で今年2月、米総領事館に駆け込み、拘束・解任された重慶市前副市長、王立軍氏(52)の監督責任も問われているという。薄氏の身柄が近く北京以外の地方都市に移され、本格的な取り調べに入るとの情報もある。
 胡錦濤時代以降、「双規」の手続きを取られた党高官の大半が起訴され、懲役刑以上の判決を受けているが、元文化省次官、于幼軍氏のように刑事責任を問われなかったケースもある。
 薄一波元副首相を父に持つ薄氏は、次期総書記とされる習近平副主席と同様、元高級幹部子弟で構成する「太子党」の中心人物。胡総書記率いる共産主義青年団(共青団)派と対立する保守派とされてきた。
 米総領事館駆け込み事件 重慶市トップの薄煕来党委書記の側近として暴力団一掃運動を仕切った王立軍副市長が2月2日、兼務していた公安局長を解任され、6日に四川省成都の米総領事館を秘密裏に訪問。7日に総領事館を離れた後、国家安全省幹部らに北京に連行され、取り調べを受けているとされる。
 王氏に関しては昨年末から、経済問題で党中央規律検査委員会の調査対象になっているとの噂が流れていた。身の危険を感じた王氏が米国に保護を求め、政治亡命を申請したともいわれている。

◎暴力団一掃運動を反省、薄氏路線の否定進む(2012年3月19日、産経新聞)
 中国重慶市の司法・治安部門の責任者である劉光磊・政法委員会書記は19日までに、犯罪捜査などを担当する関係部局に対し「事実に反する(捜査の)やり方は断固としてやめなければならない」と強調した。市のトップ、共産党委員会書記を解任された薄煕来氏が推進した強引な暴力団一掃運動を反省し、捜査手法の見直しを宣言した形だ。
 19日付の地元紙、重慶日報が伝えた。
 薄氏は、暴力団対策のほか、革命歌を歌う運動など左派(保守派)色の強い取り組みを展開。薄氏の解任後、重慶市では幹部らを中心にこうした政治手法を見直す“反省会”が連日開かれており、薄氏路線を否定する動きが加速している。

◎歌や踊り自粛の看板、中国共産党、薄氏の“左派運動”否定か(2012年3月19日、産経新聞)
 中国共産党が重慶市トップ、薄煕来党委員会書記の解任を発表した後、同市政府前の広場に大きな音をたてて歌ったり踊ったりしないよう呼び掛ける看板が設置された。薄氏は革命歌を歌う運動など左派(保守派)色の強い取り組みを展開していただけに、市民からは「薄氏の手法を否定したものではないか」などの臆測を呼んでいる。
 近隣住民によると、薄氏の指導でこの広場でも革命歌が歌われた。看板は広場などを管理する当局名で出され、15日午前に解任が発表された後、午後には設置されたという。看板は「(歌や踊りの)音が大きすぎ、周辺住民から、生活に深刻な影響を受けているとの訴えが何度も寄せられている」とし、広場では秩序立って行動するよう呼び掛けている。
 解任後、重慶市は党中央の方針を学ぶ会議を連日開催し、薄氏の影響力の消滅を図っている。

◎1千億円支払い遅延、中国高速鉄道(2012年3月19日、産経新聞)
 中国会計検査署は19日、北京~上海間の高速鉄道建設事業で、82億5100万元(約1千億円)の人件費や資材調達費の支払い遅延が見つかったと発表した。沿線住民らの立ち退き料をめぐり、地方政府や公共団体が資金を流用するなど計4億9100万元の不適切な会計も見つかった。
 落札していない業者からの資材購入や偽造領収書の利用など契約上の問題も多く、会計検査署は「財務管理が徹底されていなかった」と指摘。鉄道省や建設企業は改善措置を取ったという。支払い遅延は施工業者の資金繰り悪化などが原因としている。

◎「奇怪的」と言われる公務員給与、中国公務員法(2012年3月18日、産経新聞)
 中国の一般市民の間で“奇怪的”と揶揄(やゆ)されているのが、「中華人民共和国公務員法」で算出規定が定められた公務員の給与、そして退職者の年金である。
 同法第75条にはこううたわれている。「公務員の給与水準は国民経済の発展に歩調を合わせ、社会の進歩に添う。国家は給与調査を実行し、相応な企業社員の給与水準と定期的に比較し、その結果を公務員給与水準の根拠とする」-。
 公務員の給与額は“国家機密”ともいわれているが、時折、現職公務員がインターネット上で明細を公表している。ある公務員は基本給750元(約1万円)、その他手当が1350元(約1万8千円)と告白。別の北京市在住の公務員に至っては、「基本給は900元(約1万2千円)余りだが、手当を足した最終的な手取りは7千元(約9万2千円)を超える」と明かしている。
 なるほど、基本給に関しては市井のレベルに準じている。また、同法第74条は「公務員給与は基本給、各種手当、奨励金を含む」としており、手当支給自体は違法ではない。しかし、その総額たるや、一般水準との比較がなされているとは誰も信じていない。
 さらに批判の矛先を向けられているのが、一般企業退職者の2~3倍とされる退職公務員に対する年金だ。当局は「高齢者の年金・保険改革の停滞が原因」としているが、インターネット上では「自らを欺き、庶民を愚弄している」との声が上がっている。
 公務員優遇策は汚職防止が目的だと開き直る“お役所”に対し、ある市民は「憲法や共産党規約がうたう公平の原則は庶民をだます空文なのか。政府が法原則に従っていないのに、人民に法の順守を求めるのか」と、厳しい言葉をぶつけている。

◎重慶市トップ解任、胡錦濤政権のデジタル式世論コントロール(2012年3月18日、産経新聞)
 中国の次世代指導者の1人と目された薄煕来・重慶市トップが15日に解任された。胡錦濤国家主席が率いる共産主義青年団(共青団)出身者グループと政治路線などで対立したことが原因といわれる。インターネットでは「重慶は裸の王様だった」などと薄氏を批判する書き込みがあふれる一方、「権力闘争の新たな犠牲者」といった薄氏に寄せられた同情論はほとんど削除された。胡錦濤指導部が今回の解任劇を正当化するため、選択的に世論をコントロールしていることがうかがえる。
 毛沢東とトウ小平の時代に大きな存在感を示した薄一波元副首相を父に持つ薄氏は、次期最高指導者に内定している習近平国家副主席と同じく、元高級幹部子弟で構成する太子党グループに属する。薄氏はこれまで遼寧省長、商務相などの要職を歴任した。商務相時代は対欧米貿易交渉の主役としてテレビニュースに登場することが多く、国民の間で高い知名度を持つ。2007年に重慶市党委書記になってからは、黒社会(マフィア)一掃キャンペーンや革命歌斉唱運動などを展開し、毛沢東時代さながらの政治運動を重点に置く左派路線を歩み、異質の地方トップとして話題を集めた。
 薄氏のやりかたは、貧富格差の拡大や党官僚の腐敗に不満を持つ貧困層や保守派の支持を取り付けたが、企業界、知識人、改革派の反発を受けている。経済発展と社会安定を重要視する胡錦濤指導部の不満も招いた。温家宝首相はこれまで記者会見などで何度も「私たちは文化大革命の再来を警戒しなければならない」と述べ、薄氏を暗に批判した。
 2月6日に起きた薄氏の元腹心、王立軍重慶副市長による米総領事館へのかけ込み事件をきっかけに始まった今回の薄氏の解任劇は、胡主席の共青団派が主導したといわれた。かけ込み事件の直後から、インターネットで薄氏の失脚をにおわす書き込みがあふれ、事件の核心に迫る重要書類の写真が次々とネットで出回るようになった。胡錦濤派がネットを駆使して、世論を薄氏に不利な方向へ誘導したことが手に取るように見える。
 かけ込み事件の直後、ネットでは「不厚」と「モンゴル人」を主語とする文書が多く見られた。「不厚」とは「厚くない」のことで、つまり「薄い」を意味する「薄」。モンゴル人とは「モンゴル族」の王立軍氏のこと。当時、この2人はまだ失脚していなかったため、隠語で表現しているが、内部事情精通の人物が2人の経済や職権乱用問題を痛烈に批判している内容だった。
 また、薄氏と王氏の仲違いを象徴する軍系病院が出した王氏の診断書の写真も出回った。診断書には「精神不安定、自殺する傾向がある」と書かれていた。何の病気も持たない王氏はこの診断書を見て「薄氏に殺されるかもしれない」と思い、米総領事館に駆け込んだとされる。このほか、王氏が米総領事館を出て、飛行機で国家安全部の捜査員に北京へ連行された際の航空券の写真もネットで見られた。王氏と捜査員たちの身分証明書の番号がはっきりと読める。
 中国は情報管理が非常に厳しい。国家機密といえるこれらの情報や書類の写真は、いずれも関係者があえて流したとみられる。薄氏と王氏が悪事を働き、すでに犯罪者となったイメージをネットユーザーに植え付けようとする狙いがあったとみられる。
 薄氏が解任された15日から、薄氏を支持する左派系サイトの、烏有の郷や、毛沢東旗幟ネット、紅色中国などは相次いで閲覧不可となった。同時に、中国国内から普段アクセスできない香港などの複数の自由派サイトが一時見られるようになった。胡主席を支持し、薄氏を批判する文書が掲載されていることが原因とみられる。

◎重慶市「党に絶対忠誠」確認、薄書記解任受け引き締め(2012年3月18日、朝日新聞)
 中国重慶市トップの薄熙来(ポー・シーライ)・共産党委員会書記の解任を受け、市政府が16日会議を開き、「党中央に絶対的な忠誠を示し、思想や行動も一致させる」と表明した。後任の張徳江(チャン・トーチアン)副首相を中心に団結することも強調した。17日付の重慶日報が伝えた。
 会議は、薄氏の側近だった黄奇帆・市長が開いたが、新体制として胡錦濤(フー・チンタオ)指導部に従う方針を強調した内容だ。米国総領事館に駆け込んで解任された王立軍・前副市長に対する当局の捜査を支持する考えを示したうえで、「党中央の期待を裏切らない」と確認した。

◎重慶市トップ解任、支持サイト相次ぎ閉鎖、異例の保守派言論規制(2012年3月16日、産経新聞)
 中国の次世代指導者の一人と目されていた薄熙来・重慶市共産党委員会書記の解任が、波紋を広げている。薄氏支持を打ち出してきた保守系サイトが相次いで閉鎖され、薄氏を支持する意見も掲示板から削除されている。民主化や人権問題などをめぐる改革派の意見ではなく、共産党一党独裁を支持する保守派の言論が規制されるのは珍しい。
 薄氏が解任された15日以降、閲覧できなくなったのは「烏有之郷」「毛沢東旗幟ネット」「紅色中国」など、複数の左派思想を宣伝するサイト。いずれも、薄氏が重慶市で行ってきた革命歌斉唱運動などを高く評価し、「薄首相待望論」「重慶の経験を全国に広げよう」といった薄氏を熱烈に支持する文章を発表してきた。
 左派の総本山ともいわれる「烏有之郷」は同日午前から、「サーバーメンテナンスのため、しばらく訪問できなくなった」との声明を出している。著名な左派評論家の司馬南氏が、自身のミニブログで発表した最新のコメントも、当局によって削除された。
 党官僚の腐敗や貧富格差の拡大などに対する不満から、毛沢東時代を懐かしむ声は多い。特に貧困層の間では、薄氏の人気は低くない。当局の言論統制を支持する立場を取ってきた保守系サイトの規制は、薄氏支持者の意見がインターネットを通じて影響力を広げることに対する、胡錦濤政権の警戒心の高さを物語っている。

◎重慶トップ解任、政治改革は待ったなしだ(2012年3月16日、産経新聞)
 中国重慶市トップの薄煕来・市党委書記兼党中央政治局委員が15日、党委書記を解かれた。
 同市で薄氏がこの数年進めてきた「暴力団撲滅と毛沢東賛歌」運動の重大な弊害が表面化し、最側近が成都市の米総領事館に保護を求めて駆け込んだ大失態の責任を取らされたようだ。
 温家宝首相は14日、全国人民代表大会(全人代=国会)閉幕後の恒例の記者会見で、重慶市の責任を厳しく問うと同時に政治体制改革の重要性を強調した。胡錦濤国家主席、温首相らで構成する現政権は今こそ、長年先送りしてきた政治改革を断行すべきである。
 温首相は会見で、改革が成功しなければ「これまでの(改革・開放政策の)成果を失い、文化大革命のような歴史の悲劇を繰り返しかねない」とまで述べた。
 温首相が文革再発の懸念にまで言及したのは、薄前書記が重慶市で進めた運動が、文革を彷彿(ほうふつ)させるものだったからだ。
 運動開始から80日間で「約3万3千件の刑事案件を摘発し、9500人を逮捕した」(重慶市)というが、そんな短期で十分な捜査は不可能だ。多くの民営企業家が無実の罪で極刑に処され、資産を没収されたという。
 薄氏の指導下の重慶市で起きてきた権力の乱用や腐敗などは、今の中国をあまねく覆う深刻な問題だとみるべきだろう。中央政府による真相究明を注視したい。
 中国はいまだに、一党独裁体制で言論の自由は制限され、法治が徹底せず、人治と権力乱用が横行している。全ては体制の崩壊を恐れるあまり政治改革を棚上げしてきたためである。だが、重慶の事態をみると、それこそが中国大混乱の引き金ともなりかねない。
 解任劇の背景には、今秋の党大会での指導者交代をにらんだ、胡主席ら共産主義青年団派と江沢民前主席ら上海閥・太子党(高級幹部子弟)との権力闘争もある。
 薄氏は、太子党の有力者で、今秋、最高指導部の政治局常務委員会入りが有力視されていたが、その芽はほぼ消えた。同じ太子党で、権力を継承することが内定している習近平副主席の指導力にも微妙な影響を及ぼしそうだ。
 権力移行期に入った中国は、指導部の求心力低下も予想される。日本は、尖閣諸島周辺などでの中国軍の動静に、より大きな注意を払う必要がある。

◎中国共産党、重慶市トップ解任、繰り返される権力闘争の構図(2012年3月16日、産経新聞)
 中国重慶市トップの薄煕来党委書記が電撃的に解任され、政治生命さえ危うい状況に追い込まれた。周辺の不祥事から“標的”を射抜くのは、党大会が近付く度に、過去に何度も繰り返されてきた党内権力闘争の手法だ。
 1997年の第15回党大会を前にした95年、公金横領の疑いで取り調べを受けていた北京市副市長が自殺した。これをきっかけに公費流用など組織ぐるみの汚職が表面化。当時、同市トップだった陳希同党委書記が党籍を剥奪された。仕掛けたのは、陳氏と“政敵”の関係にあった江沢民総書記だったとされている。
 2007年の前回党大会を前にした06年には、逆に江氏を中心とする「上海閥」が攻撃を受けた。社会保障基金をめぐる汚職事件で解任された上海市の陳良宇党委書記は、経済政策などをめぐって胡錦濤総書記と対立していたとされる。この時、陳氏に手が伸びる足がかりとなったのは、秘書の規律違反だった。
 元腹心の米総領事館駆け込み事件を発端とする薄氏解任も同じ構図だ。胡氏率いる共産主義青年団派が、秋の党大会での指導部交代以降も一定の利権を維持するために、次期最高指導者に内定している習近平国家副主席の基盤である太子党の有力者を狙った可能性は否定できない。
 最高指導部の政治局常務委員は9人。ぽっかり空いた薄氏の枠をめぐり、どこから新たな矢が放たれるか分からない。

◎薄氏解任、胡主席攻勢、権力均衡崩れる(2012年3月15日、産経新聞)
 中国共産党の次世代指導層の一人と目される薄煕来・重慶市党委書記が15日解任され、これまで均衡がとれていた共産党内部の権力バランスが大きく崩れた。薄氏と対立する胡錦濤国家主席が率いる共産主義青年団(共青団)出身者グループが政局の主導権を握ったことを意味し、秋の党大会後に発足する習近平指導部の権力基盤に、大きな打撃を与えそうだ。
 国営新華社通信が15日に伝えた党幹部人事では、薄氏は解任されただけで、次のポストについて触れていない。このような形の発表は、薄氏は失脚しなくても閑職に追いやられる可能性が高く、政治生命はほぼ終了したと見てよい。
 薄氏は次期最高指導者の党総書記に内定している習近平国家副主席と同じく、元高級幹部子弟で構成する太子党グループに属する。2人は派閥内の競合相手であり、関係は良好といえないが、薄氏が次期指導部から脱落したことは、習氏の派閥の党内における影響力の弱体化につながる。また、薄氏が汚職などの罪で刑事責任を問われるような展開になれば、太子党全体のイメージが低下する。
 今年2月に起きた薄氏の元腹心の王立軍副市長の米総領事館駆け込み事件をきっかけに始まった薄氏解任劇は、共青団派が主導したといわれる。共産党筋は「太子党の大物を倒したことで、胡錦濤派の影響力が俄然(がぜん)、強化された」と指摘する。
 薄氏は、胡主席の側近の汪洋広東省党委書記と深い確執があったとされる。汪氏は前任の重慶市党委書記だったが、言論の自由などに寛容的で、経済の活性化や新産業育成に熱心な改革派として知られた。
 一方、薄氏は腐敗撲滅運動や愛国主義教育を積極的に推進し、市民に革命歌を斉唱させるなど毛沢東時代さながらの保守路線を歩む。薄氏は2007年に重慶市党委書記に就任後、汪氏の業績をほぼ全否定し、汪氏が重用していた市幹部を「腐敗分子」等の名目で次々と免職し、投獄した。
 薄氏のやり方は江沢民前国家主席ら一部長老の支持を取り付けたが、共青団グループの猛反発を受けた。
 薄氏が重慶市党委書記に就任後の約5年間、胡主席は一度も重慶を視察しなかった。
 今回、薄氏の後任に江沢民派の張徳江副首相を据えたことは、標的は薄氏に限定し、全面抗争は避けたい胡錦濤指導部の思惑がうかがえる。

◎重慶市トップの薄煕来氏を解任、腹心の米領事館駆け込み事件の責任?(2012年3月15日、産経新聞)
 中国国営新華社通信によると、共産党中央は15日、次世代指導者の一人と目されてきた重慶市の薄煕来市党委員会書記(62)の職を解き、後任に張徳江副首相(65)を指名した。現時点では、薄氏は党中央政治局員の地位に留まっているもようだが、今後、閑職に追いやられる可能性もある。
 2007年に重慶市トップに就いた薄氏は、遼寧省長時代の部下だっだ王立軍氏を呼びよせて公安局長に据え、反黒社会(マフィア)キャンペーンを展開させて脚光を浴びた。今年2月、その側近中の側近が、四川省成都市の米国総領事館に駆け込み、拘束される事件が発生。王氏は、職権乱用などの疑いで取り調べを受けているとされる。
 薄一波元副首相を父に持つ薄氏は、胡錦濤国家主席率いる派閥(共青団派)と政策的に対立する保守派として知られてきた。香港紙によると、胡主席は内部会合で王氏を「国家と共産党に対する裏切り者」と評した。温家宝首相も14日の記者会見で「真剣に事件の教訓をくみ取らなければならない」と述べ、薄氏らに反省を促していた。
 腹心が起こした事件の責任を取らされた形だが、今秋開かれる党大会における薄氏の最高指導部入りは、さらに厳しくなったとみられる。今後の処遇次第では、薄氏と同じ元高級幹部子弟で構成する太子党グループの習近平副主席の権力基盤へも影響を及ぼす可能性がある。

◎重慶市トップを解任、後任に副首相、副市長問題の責任か(2012年3月15日、朝日新聞)
 中国共産党は15日、重慶市トップの薄熙来(ポー・シーライ)・市共産党委員会書記(62)を解任する、と発表した。理由は明らかになっていないが、同市の王立軍・副市長(52)が四川省成都の米国総領事館に駆け込んで取り調べを受けた事件の監督責任を問われたとみられる。
 後任は張徳江(チャン・トーチアン)・副首相(65)が兼任する。故薄一波・元副首相を父に持つ薄氏は党政治局員で、秋に世代交代する予定の最高指導部入りが有力と見られていた。今後、どのような処遇をされるかが注目される。
 薄氏は2007年、商務相から重慶市書記に就任。08年、かつての側近だった王氏を重慶市公安局党委副書記に引き抜き、マフィア一掃運動「打黒」を主導した。しかし王氏は先月6日、米総領事館に逃げ込んだ後、党の調査部門に身柄を引き渡されて取り調べを受けている。党は15日、王氏も解任し、後任に青海省の何挺・副市長を充てることを発表した。

◎中国:「クレヨンしんちゃん」商標取り消し(2012年3月14日、毎日新聞)
 13日付の中国夕刊紙、法制晩報によると、中国企業が中国で商標登録していた日本の人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の中国語名とそのデザインについて、3年間使用されなかったとして中国当局が登録を取り消していたことが分かった。
 商標は広東省広州市の会社が1996年に申請し、翌年に登録。その後、商標は譲渡が繰り返され、最終的には2010年、江蘇省の服飾会社に譲渡された。
 その間、著作権を主張する関係者が商標の取り消しを審査委員会に申請し、同委員会は10年、取り消しを決定。江蘇省の会社が不服を申し立てて裁判所に提訴したが、退けられた。

◎中国のレアアース輸出制限、日米欧がWTOに提訴、60日以内に協議(2012年3月13日、産経新聞)
 政府は13日、中国政府が不当にレアアース(希土類)の輸出を規制しているとして、米国、欧州連合(EU)とともに、世界貿易機関(WTO)に提訴した。中国側が60日以内に日米欧との協議を経て問題を解決しなければ、紛争処理小委員会での審議に進む可能性がある。
 政府はハイテク機器の部品に不可欠なレアアースについて、最大輸出国の中国の不当な輸出の制限がWTO協定違反に当たるとみなし、産業に悪影響を与えるとの懸念を主張する。
 中国のレアアース輸出規制をめぐっては、米政府が「行き過ぎた規制が国際市場を混乱させている」として、2011年8月に輸出規制撤廃を求める文書をWTOに提出している。
 米政府はその後、日本や欧州とともに、中国側に対応の改善を促してきたが、中国側の努力が不十分とみなし、今回の提訴に踏み切った。
 中国は工業用品の原材料に使われるレアメタル(希少金属)も輸出を規制しており、WTOは米国やEUの提訴を受け、今年1月に中国の違反を認定したばかり。レアメタルに続き、レアアースの紛争処理手続きが注目されていた。
 これに対し、中国外務省の劉為民報道官は13日の定例会見で、「中国の政策はWTOの規則に符合している」と表明。その上で、「レアアースは希少かつ再生不可能な資源であり、その開発が環境に影響を及ぼす」として、採掘や輸出の規制を正当化した。

◎中国高速鉄道、雨で線路が沈下、5月の開業控え(2012年3月13日、朝日新聞)
 中国湖北省の高速鉄道で、今年5月の開業に向け試験走行が始まっていた線路の盛り土が沈下するなどし、約12キロにわたって再工事を始めた。地元テレビや国営新華社通信は12日、大雨後の9日に盛り土が崩れたと報じた。
 建設会社は、工事について「検査結果を受けた通常の整頓作業だ」としつつ、「地質調査が不足していた。地盤に打つ杭が足りなかった」と弁明した。
 この路線は武漢市と宜昌市を結び、全長291キロ。昨年の安全検査に合格し、今月から貨物列車が、5月からは時速200キロ以上で走る高速列車が開業する予定だった。
 この路線をめぐっては、本来は砕石を使うべき線路に土が使われている区間があるなど、安全性を疑う報道もあった。

◎原因は雨? 高速鉄道で地盤崩壊、中国、5月開業予定(2012年3月12日、産経新聞)
 12日の新華社電などによると、今年5月に開業予定の中国湖北省の高速鉄道で9日、約300メートルにわたり地盤が崩れ、施工業者が復旧作業に乗り出した。
 地元当局は強い雨が原因の可能性が高いとしているが、インターネット上では手抜き工事が原因ではないかとの見方も出ている。
 現場は同省武漢と宜昌の間の291キロを結ぶ「漢宜高速鉄道」の潜江市の部分。既に試験走行を実施したことがあるという。

◎中国の公務員、職務違反で4万人超摘発、裁判所や検察も(2012年3月12日、朝日新聞)
 中国で2011年に汚職などの職務違反で摘発された公務員が4万4506人に上った。そのうち、中央省庁での課長級以上に相当する中央・地方の公務員が2524人。幹部の規律の乱れは依然、深刻だ。
 北京で開幕中の全国人民代表大会で11日に示された最高人民検察院(最高検)の活動報告で明らかになった。摘発件数は前年比で1%減ったが、人数は1%増。裁判所や検察などの司法職員も2395人に上った。摘発を受け没収された財産は総額で77.9億元(約1013億円)に上った。

◎F35情報、中国?のハッカー攻撃で盗まれる(2012年3月12日、読売新聞)
 航空自衛隊が2016年度からの導入を決めた最新鋭の戦闘機F35に関する情報が、同機の開発に参加する英軍事大手BAEシステムズのコンピューター網からハッカー攻撃で盗み取られたことがわかった。
 英情報筋の話として、サンデー・タイムズ紙が11日、伝えた。同紙は、攻撃したのは中国の情報機関とみられると伝えている。
 盗まれたのは機体のデザインや性能、電子システムに関する情報の一部とみられる。ロンドンで昨年末に開かれたサイバー安全保障関係者による会合の席上、BAEシステムズ社側が攻撃の事実を確認したという。F35の関連情報を狙ったハッカー攻撃が英国だけでなく、米国内でも行われたとする情報関係者の報告内容も伝えている。

◎重慶市転任説をかわす、中国湖南省トップ(2012年3月10日、産経新聞)
 中国湖南省トップの周強共産党委員会書記は10日、北京で記者会見し、「湖南省の仕事をするのが私の職責だ。市民生活の改善にさらに取り組む」と述べ、周氏が重慶市党委書記に転任するとのうわさをめぐる記者の質問をかわした。
 重慶市トップの薄煕来党委書記が側近の米総領事館駆け込み問題をきっかけに去就が注目される中、周氏は全国人民代表大会(全人代)後に重慶市党委書記を引き継ぐとのうわさがある。
 周氏は胡錦濤国家主席と同じ共産主義青年団の出身で、若手のホープとして注目されている。

◎産業スパイ?中国人逮捕、設計図1万件を不正取得(2012年3月9日、産経新聞)
 工作機械大手のヤマザキマザック(愛知県大口町)の製品に関する情報を不正に取得したとして、愛知県警が不正競争防止法違反の疑いで、同社従業員で中国籍の唐博(とう・はく)容疑者(31)を逮捕し、取得情報が1万件超に上ることが28日、県警への取材で分かった。
 県警によると、唐容疑者は大量破壊兵器の部品を作ることも可能な工作機械の設計図などをコピーしており、自宅から押収されたハードディスクを「初期化した」と供述。周囲には「退職後は国内の同業他社に転職する」と伝えていた。県警は転職先に機密情報を持ち込もうとした産業スパイの疑いもあるとみて、情報流出の有無を詳しく調べる。
 逮捕容疑は3月9日、不正な利益を得る目的で、貸与されたパソコンで同社のサーバーにアクセスし、企業秘密となっていた工作機械の図面情報を自分のハードディスクなどに複製し、不正取得したとしている。
 同社によると、唐容疑者は平成18年4月に入社し、工作機械の営業を担当。今月になって「退職して4月には中国に帰国したい」と申し出たため、不審に思った同社が調査、不正取得が発覚した。

◎辞職願は「作り話」、重慶市トップの薄煕来氏(2012年3月9日、産経新聞)
 中国重慶市の王立軍副市長の米総領事館への駆け込み事件で、去就が注目されている同市トップの薄煕来共産党委員会書記(党政治局員)は9日、事件後初めて内外メディアの取材に応じ、一部で政治局員の辞職願を出したと報じられたことについて「作り話」と否定した。駆け込み事件については「予想もしなかった」と述べた。
 さらに、重慶市の施政方針は「胡錦濤総書記(国家主席)の指導の下」で行っていると述べ、党中央と一致していると強調した。

◎「誤った人を使った」、腹心の米国総領事館駆け込み、中国次世代指導者候補、薄煕来氏が任命責任認める(2012年3月9日、産経新聞)
 中国共産党の次世代指導者の一人と目されている、重慶市の薄煕来党委書記は9日、開会中の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の重慶市分科会会場でメディアの取材に応じた。かつて腹心だった重慶市の王立軍副市長が汚職などで取り調べを受けていることについて、薄氏は「痛恨なできことであり、誤った人を使ってしまった。反省しなければならない」と述べ、自らの任命責任を認めた。
 王氏は2月初め、四川省成都市にある米国総領事館に駆け込んだことなどを理由に、当局に身柄を拘束された。収賄や職権乱用など複数の疑惑が持たれている。王氏は薄氏が遼寧省長を務めていたときの部下で、側近中の側近といわれている。今年1月まで重慶市公安局長として、薄氏の業績となった反黒社会(マフィア)キャンペーンを展開し注目された。
 王氏の駆け込み事件を受け、今秋開かれる第18回党大会での薄氏の最高指導部入りが危ぶまれるとの見方が強まった。これについて薄氏は「自分と18回党大会を関連づけたことは一度もない」と語り、権力への意欲がないことを強調した。
 王氏への調査は、胡錦濤国家主席率いる派閥(共青団派)が主導し、政策的に対立する保守派の薄氏を失脚させることが狙いだといわれている。8日の全体会議を薄氏が欠席したことで「失脚した」「拘束された」といった情報が一時流れ、騒然となったが、薄氏は9日、「体調を崩したため」と理由を説明した。

◎重慶市書記、部下をばっさり、会見で副市長事件語る(2012年3月9日、朝日新聞)
 中国重慶市の王立軍副市長の米国総領事館駆け込み事件で注目が集まる同市の薄熙来書記が9日、北京で開幕中の全国人民代表大会で1時間余りにわたり記者の質問に答えた。海外を含め約150社のメディアが参加。事件後、薄氏が公に事件を語るのは初めてだ。
 「我々は彼に英雄の称号を与えたことなどない」
 薄氏は自身の業績であるマフィア撲滅運動を支えた部下を「王立軍」と何度も呼び捨てに。「監督不行き届きだった。重慶で起きた問題はすべて私に責任があるが、どの地方でも個別の問題や突発的な事件は起こるものだ」とかつての「功臣」を批判した。
 いつもと変わらぬ雄弁さを見せながらも、途中で「急な電話が入った」と中座し、新たに持ち込んだメモを見て記者の質問に答えた。共産党の意向に忠実に従おうと発言に神経を使っている様子が見て取れた。

◎中国毒ギョーザ公判、開廷の見通し立たず(2012年3月8日、読売新聞)
 中国河北省高級人民法院(高裁に相当)の高勇院長は7日、全国人民代表大会(国会)の分科会が開かれている北京市内のホテルで読売新聞の取材に応じ、2008年に千葉県と兵庫県の3家族10人が被害に遭った中国製冷凍ギョーザ中毒事件で逮捕、起訴された呂月庭被告(37)の公判はまだ開廷の見通しが立っていないことを明らかにした。
 呂被告は10年3月に逮捕され、同年8月に危険物質投入罪で起訴された。高院長は「この事件はすでに解決した」と述べたが、起訴から1年半以上たっても開廷しない理由は明らかにしなかった。関係筋によると、日本側の捜査資料の翻訳作業などに時間がかかっているという。

◎中国の脅威、衛星破壊やサイバー攻撃、英戦略研(2012年3月8日、読売新聞)
 英国際戦略研究所(IISS)は7日、世界171か国・地域の軍事力を分析した「ミリタリー・バランス2012年版」を公表。
 中国の台頭や米国の将来的役割への疑問、北朝鮮への不安などから、アジア地域で、各国が互いの戦略を理解しないまま軍拡競争を起こしていると警告した。
 中国については、過去10年で軍事費が2.5倍に達し、経済成長のペースを上回ったと指摘。ステルス性の高い次世代戦闘機J20や、整備が進む初の空母「ワリャーグ」に注目が集まるものの、真の懸念材料は衛星破壊兵器や巡航ミサイル、サイバー攻撃能力などとした。
 また、「2050年までに米国の対等なライバルになるという中国の目標は達成可能だ」と分析した。

◎中国、思想工作強化、礼賛する模範兵、雷鋒とは(2012年3月6日、読売新聞)
 北京で5日に開幕した全国人民代表大会(全人代=国会)の政府活動報告で、温家宝(ウェンジアバオ)首相は貧富の格差や腐敗を解消する改革の徹底を呼びかける一方、政府主導による思想工作の強化を打ち出した。
 その具体例として、かつての「模範兵士」の雷鋒(1940~62年)をたたえる大規模な道徳キャンペーンが展開されている。
 温首相は同報告で「社会主義の中核的価値体系づくりを一層進める」と強調、「公衆道徳や職業モラル、家庭の美徳、個人の品性を高める教育を強化する」と訴えた。社会の安定を優先させる胡錦濤(フージンタオ)政権にとって、経済の構造改革や所得分配政策と同時に、共産党への求心力を高める思想教育は大きな柱だ。
 教育工作の中核となっているのが「雷鋒精神」の称揚だ。中国メディアは全人代関連ニュースとして、雷鋒を連日報道。5日は49年前、毛沢東の指示を受けた人民日報が「雷鋒同志に学ぼう」とする記事を掲載し、キャンペーンが始まった日だが、同紙は「永遠の雷鋒精神」と題する劉雲山(リウユンシャン)共産党中央宣伝部長(政治局員)の談話を掲載した。昨年10月の第17期党中央委員会第6回総会(6中総会)では、「雷鋒に学ぶ運動を深く展開する」と決定されている。
 今月2日には、慈善活動や献血で知られる遼寧省鞍山の男性労働者(53)に、党が初めて「現代の雷鋒」の称号を与えた。

◎中国共産党の敵は国内に、国防上回る公安予算(2012年3月5日、読売新聞)
 5日の全人代開幕に合わせて中国財務省が公表した2012年の中央政府と地方政府の予算案によると、全国で治安対策として警察などに投じられる「公共安全」の予算が前年比11.5%増となる7017億元(約9兆1221億円)となり、国防予算(6702億元)を2年連続で上回った。
 胡錦濤政権は、急速な経済発展の陰で拡大する社会矛盾が社会の不安定化につながらないように、警察力の拡充を急いでいる。公共安全費は10年に実績ベースで国防費を初めて超え、11年から予算ベースでも上回り、「共産党の敵は国外ではなく国内にいる」とも指摘されている。民主化運動や少数民族の独立運動、テロ事件も依然として続く中、圧倒的な警察力を投入して封じ込める方針をとっているためだ。
 共産党政権は今秋の党大会で政権交代を控えており、政権移行期に起こりやすい社会の不安定化を防ぐため、公共安全の分野に大量の予算を投入している格好だ。

◎明和産業、中国事業 今期200億円ビジネスに(2012年3月5日、化学工業日報)
 明和産業は、中国ビジネスを拡充する。戦略分野と位置付ける中国市場で、これまで構築してきた物流販売システムを強みに、潤滑油を拡販するほか、化学品など新規商材を付加して商流拡大を急ぐ。また、排水処理といった環境関連やLiB材料などエネルギ関連商材の育成にも取り組む。こうした中国国内での顧客開拓の推進で、11年12月期の実績を前期比23%アップし、140億円規模から200億円体制へと引き上げる。今年中には「駐在員事務所を無錫など5カ所を開設するほか、ストックポイントも3カ所を拡充していく」(明和産業(上海)の渥美直人総経理)として、物流販売システムを拡充していく。

◎中国、汚職の取り締まり強化へ、温首相が表明(2012年3月5日、朝日新聞)
 中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で、社会管理を強めていくことや公務員による汚職の取り締まり強化を表明した。腐敗や貧富の格差に対する市民の不満は極めて高まっており、放置すれば政権が揺るぎかねない、という危機感の表れだ。
 「指導幹部が工事の入札や土地使用権などの経済活動に介入することを断固禁ずる」。温首相は、農民に十分な補償金を支払わなかったり、法的手続きをとらなかったりしたうえ、開発業者からリベートを受け取る政府幹部らの取り締まりを強めるよう指示した。
 一方で、不満を持った市民を抑え込む政策も表明。2012年の予算案では治安維持を主目的とした公共安全費を、前年比11.5%増の7017億元(約9兆円)とした。暴動やデモなどの突発事件に対する危機管理の仕組みもつくることを明らかにした。

◎中国でNHKニュース中断、重慶副市長の問題放送中(2012年3月3日、産経新聞)
 中国で2日夜、NHK海外放送のニュース番組が一時中断された。重慶市トップの薄煕来共産党委員会書記の側近だった王立軍副市長の問題を伝えていたが、薄氏の映像が出た瞬間、画面が真っ黒になった。
 王副市長が四川省成都の米総領事館に駆け込んだ騒ぎ以来、次期最高指導部入りが有力視されていた薄氏は辞職説が出るなどさまざまな臆測を呼んでいる。当局は全国人民代表大会(全人代)の開幕を5日に控え、指導部人事にかかわる情報に敏感になっているようだ。

◎「鹿児島」商標登録問題:商標認めず、中国、県の異議申し立て受理(2012年2月28日、毎日新聞)
 「鹿児島」の名称が中国で商標登録申請されていた問題で、県は27日、中国商標局に対する県の異議申し立てが認められたことを明らかにした。同局は「『鹿児島』は公に広く認識された外国地名で、商標として使用できない」として、商標登録を許可しなかった。
 福寿浩・県観光交流局長が、同日始まった3月県議会一般質問で、下鶴隆央議員(無所属)に対し答弁した。
 県の申し立てが受理されなかった場合、中国で「鹿児島ショップ」を開設したり、「鹿児島茶」を販売する場合、商標権を買い取ったり、使用料を払わなければならない事態も生じたという。
 県によると、「鹿児島」は04年9月、広東省在住の個人が商標登録申請。08年1月、中国の官報に公示され発覚したため、同3月、県が商標局に異議申し立てをした。昨年11月、商標局が県の申し立てを受理する裁定を下し、男性の申請は無効となった。
 県によると、「かごしま」「さつま」「薩摩」の文言や、県章などのロゴマークについては、中国で県が商標登録済み(一部は審査中)で、第三者に利用される恐れはないという。

◎オキツモ、耐熱塗料、中国に第2工場(2012年2月27日、化学工業日報)
 耐熱塗料最大手のオキツモ(三重県名張市、山中重治社長)は、海外で事業拡大を図る。3月に中国江蘇省常熟市の新工場建設に着手。投資額は約5億円で、2013年1月の稼働を目指す。生産能力は年3600トンで、従業員は40~50人規模。中国向けにオートバイ用のマフラーなどの耐熱塗料を供給するほか、光触媒塗料の製造販売も行う見通し。2008年に設立したインドの駐在事務所の現地法人化も急ぎ、海外事業の拡大をテコに2015年に売上高100億円(前期は約64億円)を目指す。

◎クレヨンしんちゃん」「九谷焼」まで商標登録(2012年2月27日、読売新聞)
 知的財産権を巡る中国特有の法制度や慣例も、商標権をめぐるトラブルが頻発する背景にある。
 知的財産権の登録事務を手がける大手事務所(北京市)によると、米国は商標を実際に使ったかどうかを重視する「先使用主義」を採用しているのに対し、中国や日本は先に登録したかどうかを重視する「先願主義」に基づいている。日本では国外ですでに広く知られている商標を国内で自社のものとして登録することはできないが、中国では可能だ。
 また、中国では誰でも商標登録ができる。「転売目的や企業に商標を買い取らせるブローカーもいる」(経済産業省幹部)ほどで、商標権を巡る混乱を招いている。
 経産省の調査では、日本企業が持つ商標などが、中国で不当に登録された件数は203件(09年度)で、増加傾向にある。「クレヨンしんちゃん」の商標は、訴訟の末に中国企業が使うことが認められた。「九谷焼」「美濃焼」などのブランドや、俳優の金城武さんなど人名も登録されている。
 こうした現状に対し、日立製作所は中国の現地法人に、知的財産担当者を6人配置し、監視を強化している。専門家は「早めに商標登録して自衛することが大切だ」と強調する。
 国外からの批判を受け、中国政府は現在、商標法の改正作業を進めているが、どこまで現状が改善するかは不透明だ。

◎中国で「iPad」ダメ、アップル、商標に泣く(2012年2月26日、読売新聞)
 多機能情報端末「iPad(アイパッド)」の商標権を巡り、米アップルと中国企業が激しく争っている。
 「世界の市場」として注目される中国では商標権を巡るトラブルが多発しており、グローバル企業による中国進出の大きな壁となっている。

・2000年に「iPad」
 「並べてはいるけど、見てもらうだけ。販売はしていません」。中国南部、広東省恵州市の地方裁判所で今月17日、アイパッドの販売差し止め命令が下った。売れ筋商品を失った家電量販店の男性店員は言葉少なだ。
 訴訟の原告は、中国でアイパッドの商標権を持っていると主張する広東省深セン市の情報技術(IT)機器メーカー「唯冠科技」だ。唯冠によると、同社は2000年に画面をさわって操作するパソコン「iPad」を欧州で発売。同時に台湾のグループ会社がアイパッドの商標権を取得した。
 その後、唯冠はアップル側に商標権を売却したが、唯冠は「売却したのは海外での商標権。中国分は今も自社が持っている」と主張している。

・iPhoneも?
 アップルは深セン市の地方裁判所に「アイパッドの商標権は自社のもの」と認めるよう訴訟を起こしたが、昨年12月に敗訴した。
 アップルは広東省の上級裁判所に上訴したが、唯冠は1審での勝訴を受けて、中国各地でアップルによるアイパッドの販売差し止めを求める訴訟を起こすとともに、中国の税関当局にアイパッドの輸入を止めるよう申請した。
 上海でも22日、アップルの販売会社を相手取り、アイパッドの販売停止を求める裁判が始まった。上海市浦東新区人民法院(地裁)は23日、訴訟手続きを停止すると発表した。29日から審理が始まる広東省の上訴審による判断を待つためだ。
 上訴審で唯冠側が勝訴すれば、上海を含めた中国各地の裁判所がアップル製のアイパッドの販売差し止めを命じる可能性がある。
 中国メディアによると、アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」を巡っても浙江省の照明販売商が10年8月に照明器具や加湿器などに「アイフォーン」の商標権を使うための登録を申請している。
 中国でもアップル製品の人気は高い。アイパッドを愛用する北京市の40代の女性はアップルと中国企業の間で広がる商標権を巡る争いについて、「機能の革新性が魅力。名前にはこだわらない」と冷ややかだ。

◎iPadは中国企業の商標?中国で販売停止も(2012年2月26日、読売新聞)
 中国のIT企業が、米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」は自社の商標権を侵害しているとして、中国各地の商工当局に販売の停止を申し立てた。
 このため、中国の一部の店舗からiPadが姿を消している。
 この企業は、広東省深セン市の「唯冠科技」。17日に北京市内で記者会見を開いた創業者の楊栄山氏によると、2000年に画面を触って操作するパソコン「iPad」を発売し、台湾のグループ会社が商標権を世界各地で取得した。その後、アップルの意向を受けたとみられる英国の会社に商標権を売却したが、唯冠は中国分は売却対象に含んでいないと主張している。
 アップルは深セン市の地方裁判所に商標権の認定を求めたが、昨年12月、敗訴した。現在、上訴している。
 唯冠は1審の勝訴を受け、各地方の商工当局に権利侵害の調査と販売の差し止めを要請し、税関当局には輸出入停止を申請した。このため、大手インターネット通販サイトや河北省や山東省などの業者はiPadの販売を見合わせている。

◎iPad商標権主張の中国IT企業、米でも提訴(2012年2月25日、読売新聞)
 米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」の中国での商標権を主張しているIT関連機器メーカー「唯冠科技」が台湾のグループ会社と共同で、米アップルを相手取り米カリフォルニア州で損害賠償を求め、提訴した。
 ロイター通信が24日、報じた。
 提訴は17日付で、アップルが商標権買い取りのために設立した企業が、2009年に台湾にある唯冠のグループ企業からアイパッドの商標権を買い取る契約を交わした際、買い取り交渉をしやすくするために、アップルの企業名や買い取りの目的を明らかにしなかったことが詐欺的な行為にあたると主張している。

◎中国IT企業:米国でもアップル提訴、iPad商標で(2012年2月25日、毎日新聞)
 中国各地で米アップルの多機能端末iPad(アイパッド)の販売差し止め訴訟を起こしている中国IT企業が、米カリフォルニア州の裁判所にアップルを提訴していたことが23日、明らかになった。
 欧米メディアによると、中国企業の「唯冠科技」側は、アップルが2009年にアイパッドの商標権を唯冠側から買い取る際に詐欺行為があったとして、損害賠償や名称使用の差し止めを求めている。
 唯冠側は、アップルが別会社を使って商標権を購入した上、正しい目的を説明しなかったと主張している。

◎ジョーダンさん:「無断で名前商標登録」と中国企業を訴え(2012年2月25日、毎日新聞)
 23日の中国メディアによると、米プロバスケットボールNBAの元スター選手、マイケル・ジョーダンさんが、自分の名前を勝手に商標登録されたとして、福建省のスポーツ服メーカー「喬丹体育」を中国の裁判所に訴えた。
 「喬丹」は「ジョーダン」の中国語表記で、この会社はジョーダンさんの子ども2人の名前も商標登録したという。喬丹体育は「一般的な外国人の姓で、ジョーダンさんとのかかわりはない」と説明している。
 ジョーダンさんは「深い失望を感じる。これはお金の問題ではない」と話している。

◎マイケル・ジョーダン氏、商標権問題で中国企業を提訴(2012年2月25日、朝日新聞)
 米国のプロバスケットボールNBAで「神様」と呼ばれた往年の名選手マイケル・ジョーダン氏が、自分の名前の中国語表記「喬丹(チアオタン)」を無断で商標登録されたとして、中国のスポーツ用品メーカーを中国の裁判所に提訴していたことが分かった。新京報など中国メディアが24日、伝えた。
 この中国企業は「喬丹体育」(福建省)。2000年の創業時から社名に喬丹を用いてきた。同社によると03年ごろ商標権も得た。
 21日に提訴したジョーダン氏は「私の名前を無断で登録したうえ、子供の名前まで登録しようとしている。非常に失望した」と話し、精神的に受けた損失に対して1千万元(約1億3千万円)以上の賠償を求めているという。賠償金を得られた場合、中国のバスケの発展に使うことを望んでいる、とも伝えられる。

◎「どぶ油」製造、販売に死刑適用も、中国当局が発表(2012年2月25日、朝日新聞)
 中国の最高人民法院(最高裁)、公安省などは24日、ゴミや廃油を原料とする「地溝油(どぶ油)」を製造、販売する犯罪に対し、最高で死刑を適用するとの通知を発表した。市民の間で深まる食への不信に、政府が威信をかけて取り組む姿勢を示すものだ。
 通知は地溝油の生産、販売だけでなく、地溝油の疑いのある油を販売した犯罪にも、厳しい刑を科すよう定めた。悪質性や生産販売の規模などから「国家と人民の利益に重大な損失を与えた」と判断した場合は、死刑を適用する。
 「地溝油」は、ラードなどの油分を含む生ゴミや廃油を集め、雑多な成分を取り除いた上で「食用油」として流通する有害な油を指す。各地で被害やうわさが絶えず、「政府への信頼にも影響する」(国務院食品安全委員会)として昨年、公安省が全国的に摘発を強化。8月以降、135件、800人を検挙した。

◎韓国OCI、中国と合同で二酸化ケイ素を生産(2011年2月24日、Metal Research Bureau)
 韓国のOCI(旧東洋製鉄化学)の白禹錫会長が18日に河北省唐山を訪問し、地元の国営企業と提携の調印を取り交わしたという。この調印は総投資額が5040万米ドルで、共同にて高科学技術領域や国防工業に不可欠な原料である二酸化ケイ素に投資される。
唐山市の陳国鷹市長は、白禹錫会長をはじめとする韓国企業代表団を歓迎し、唐山市政府が全面的に今回のプロジェクトを支援することを約束したという。今後も唐山市は韓国、日本などと石油化学工業、ガス化学工業などの領域で提携していく意向があることを表明している。
 白禹錫会長は世界の多くの国々でプロジェクトの商談をしたが、今回が最も有意義な対談であり、条件や投資環境からしてもとても良かったと明かしている。この中韓提携では、韓国側が80%の株式、中国側が20%の株式を保有し、二酸化ケイ素の年産は6000トン、2億元分と計画されている。
韓国OCIは、四塩化ケイ素処理と高品質二酸化ケイ素(シリカ)を製造できる数少ない企業の1つである。二酸化ケイ素は、用途も多様でシリコーンゴム、接着剤、塗料、用紙、化粧品、医薬品、食品などの幅広い領域に使用され中国は大部分を輸入に頼っているという。

◎中国:日本人の自転車盗難、ネットで5万人が“大捜索”(2012年2月23日、毎日新聞)
 自転車でボランティア活動をしながら世界一周の旅を続ける日本人男性が、中国湖北省武漢市で自転車を盗まれた。ところが、約5万人の市民がインターネットで「自転車を捜せ」と呼びかけ、3日後にそのままの状態で見つかった。中国では一度盗まれたものが持ち主に戻るのは奇跡に近く、男性は「武漢の人々やメディアに感謝したい」と話している。
 長野県出身の看護師、河原啓一郎さん(27)。昨年10月に日本を出発。中国から中央アジア、アフリカなどを数年かけて回る途中だった。3日に武漢に到着し、献血を呼びかけるボランティアをしていた。
 自転車は20万円以上。17日午後、武漢市内の駐輪場近くに止めていたが、同日夜に戻ると盗まれていたという。警察に届け出たところ、地元テレビが報道。中国版ツイッター「微博」で「世界旅行中の人の自転車が中国でなくなるとは。中国人のメンツにかかわる」などと書き込みが相次ぎ、警察が当面の自転車を提供するなど反響が広がった。
 河原さんは会員制交流サイト「フェイスブック」で「武漢中が僕のために、僕の自転車のために動いてくれている」と感激を表現。自転車は盗品市場に売りさばかれており、約1000元(約1万2000円)で買った市民が、微博を見て河原さんのものと気づき、20日に届け出た。
 広州紙、羊城晩報は「人々の意識の中には、外国人はいつも文明的に進んでいて、中国人はかなり立ち遅れているという感覚がある」と指摘。市民の間で動きが広がった背景には、国際化が進む中で自国の倫理観の低下を恥じる中国人の心境があるようだ。

◎重慶の暴排、中央闘争を誘発、習氏が収拾に動く(2012年2月23日、読売新聞)
 中国重慶市の前公安局長が米国総領事館と接触した事件は、共産党内序列8位の賀国強(フォーグオチャン)・党中央規律検査委員会書記と、薄煕来(ボーシーライ)・同市党委書記との政治闘争が引き金だったことが22日、複数の党関係者の証言で明らかになった。
 今秋の第18回党大会で胡錦濤(フージンタオ)氏に代わって党総書記に就任する習近平(シージンピン)国家副主席が特別作業チームを派遣し、事態収拾に乗り出している。
 賀氏は、中国の最高指導グループである党政治局常務委員9人の一人で、薄氏は党大会で常務委入りが有望視される政治局員。薄氏は薄一波・元副首相(故人)の次男で、党高級幹部子女グループの「太子党」に属し、同じ太子党の習氏と関係が深い。
 薄氏は2007年12月、貿易担当の商務相から同市書記に就任。09年6月以降、遼寧省勤務時の部下だった王立軍氏を公安局長(副市長)に起用して暴力団排除運動に乗り出した。重慶市公安局によると、2年間で500以上の組織と5700人以上の関係者を摘発。同市司法局長や公安副局長も汚職で起訴した。
 政治局常務委員入りに向けた実績作りとの見方も出た。習氏は10年12月に重慶入りし、薄氏の取り組みを高く評価している。
 だが、党関係者によると、摘発対象を広げる中で、1999年から02年まで同市党委書記を務めた賀氏ら歴代市幹部の人脈も調査対象となった。反発した賀氏は、党員の不正を調べる規律検査委の組織を動員し、王氏が以前所属していた遼寧省鉄嶺市公安局の幹部6人を摘発、王氏自身の不正行為も追及した。薄氏に対する強烈なけん制だった。

◎フェイスブック、商標権は万全? 中国で60超申請済み(2012年2月23日、朝日新聞)
 世界最大の交流サイト(SNS)米フェイスブックは中国当局に対し、60以上の商標権を申請し、一部は登録を終えていることがわかった。同社は中国市場に本格的には参入していないが、誰かに横取りされないように自衛したものとみられる。
 「FACEBOOK」「F」「F8」「飛思簿(フェイスープー)」「飛書博(フェイシューポー)」「菲絲博克(フェイスーポーコー)」「面書」――。
 中国国家工商総局のホームページには、ローマ字だけでなく、中国語の読みや漢字の意味で「フェイスブック」にあたる言葉がずらりと並ぶ。最初の申請は2006年。対象分野もネットや電子雑誌、ゲームだけでなく、服装まで及ぶ。
 フェイスブックの対応は中国における「知財防衛策」(日本貿易振興機構知的財産課)。実際に使わないのに有名ブランドの商標を登録し、企業が中国市場に参入しようとしたところで高値で売ってもうけようとする動きが横行しているからだ。同課の秋葉隆充さんは「60もの登録は資金力がないとできないが、日本企業も自社の商標権はきちんと押さえておく必要がある」と話す。
 米アップルの商標をめぐっては、すでに争いが起きている。ある中国企業は中国大陸内で「iPad」をアップルに使わせない権利を主張。別の企業も照明器具に「iPhone」を使う権利を訴える。一部の都市では「iPad」の販売停止を求める判決も出ている。

◎DIC、中国にグラビアインキ新工場、年内完成めざす(2012年2月22日、化学工業日報)
 DICは、中国にパッケージ用グラビアインキの新工場を建設する。食品や飲料をはじめとした包装材の印刷向けグラビアインキを中心に生産する計画で、2012年内の着工・完成を目指す。今後、需要動向などを見極めながら生産規模や立地場所など詳細を詰め、早期に計画を具体化する方針。中国では経済成長による消費拡大にともないパッケージ関連需要の伸長が続いており、現地における生産体制拡充が必要と判断した。主力である印刷インキの事業基盤強化を図るとともに、グローバル展開に一層の拍車をかける。

◎アップルに試練、iPhone商標権を主張する企業が出現 (2012年2月21日、スポーツニッポン)
 中国で米電子機器大手アップルの多機能端末iPad(アイパッド)に続き、スマートフォン(多機能携帯電話)iPhone(アイフォーン)の商標権を主張する企業が現れた。世界の企業にとって有力市場の中国だが、アップルが直面する試練は進出リスクを浮き彫りにしている。米中関係の火種にもなりそうだ。
 新華社電によると、アイフォーンの商標権を主張しているのは浙江省義烏市にあるランプや懐中電灯の販売企業。アップルが中国でアイフォーンを商標登録していなかったため、2010年に商品名として登録を申請したという。
 中国の商標法では「有名ブランド」は登録していなくても保護の対象とされており、アップルは申請撤回を要求。中国企業側は「10年時点でアイフォーンは有名ブランドとは言えなかった」と反論している。中国当局は17日、商標権所有を裏付ける補強証拠の提出を中国企業側に求めた。
 中国の専門家は「アップルのブランド保護戦略に欠陥があった」と指摘。中国企業側に商標登録が認められれば、アップルは巨額の賠償金支払いや商品名変更などの対応を迫られる恐れもある。
 アイパッドの商標権についても訴訟や当局の調査が本格化する中、各地でアイパッドを店頭から撤去する動きが広がっている。

◎iPhone:中国企業が商標権主張、iPadに続き(2012年2月21日、毎日新聞)
 中国で米電子機器大手アップルの多機能端末iPad(アイパッド)に続き、スマートフォン(多機能携帯電話)iPhone(アイフォーン)の商標権を主張する企業が現れた。
 世界の企業にとって有力市場の中国だが、アップルが直面する試練は進出リスクを浮き彫りにしている。米中関係の火種にもなりそうだ。
 新華社電によると、アイフォーンの商標権を主張しているのは浙江省義烏市にあるランプや懐中電灯の販売企業。アップルが中国でアイフォーンを商標登録していなかったため、2010年に商品名として登録を申請したという。

◎商標権でトラブル多発、中国の権利主張に警戒、日本も翻弄(2012年2月21日、産経新聞)
 中国ではこれまで商標権侵害などのトラブルが多発、日本や米国などから知的財産権保護の意識の低さを批判されてきた。今回は中国企業が世界企業アップルを権利侵害で訴えており、関係者の間では、中国企業が一転して過度の権利主張に傾くのではないかと警戒感が高まっている。
 中国では香川県の特産品である讃岐うどんを表す「讃岐烏冬」の商標登録が出願されたほか、佐賀県の磁器「有田焼」が既に商標登録されていたことが明るみに出るなど、日本各地の自治体や企業も翻弄されてきた。
 アップルなど世界の企業にとって中国は世界最大市場の一つ。北京の日系企業幹部は「何が起きるか分からないが、リスクが大きいからといって撤退するわけにもいかない」と話し、「中国で商品を売り出す時は商標権を十分に調べている」と自衛手段の重要性を強調している。

◎iPhone商標権も主張、米アップル、中国で試練、米中関係の火種に(2012年2月21日、産経新聞)
 中国で米電子機器大手アップルの多機能端末iPad(アイパッド)に続き、スマートフォン(多機能携帯電話)iPhone(アイフォーン)の商標権を主張する企業が現れた。世界の企業にとって有力市場の中国だが、アップルが直面する試練は進出リスクを浮き彫りにしている。米中関係の火種にもなりそうだ。
 新華社電によると、アイフォーンの商標権を主張しているのは浙江省義烏市にあるランプや懐中電灯の販売企業。アップルが中国でアイフォーンを商標登録していなかったため、2010年に商品名として登録を申請したという。
 中国の商標法では「有名ブランド」は登録していなくても保護の対象とされており、アップルは申請撤回を要求。中国企業側は「10年時点でアイフォーンは有名ブランドとは言えなかった」と反論している。中国当局は17日、商標権所有を裏付ける補強証拠の提出を中国企業側に求めた。

◎「iPad」に販売停止命令、広東省恵州地裁、地元企業の商標権認定(2012年2月20日、産経新聞)
 中国広東省深●(=土へんに川)のIT(情報技術)企業が、米アップルのタブレット型多機能端末「iPad(アイパッド)」の商標権を主張し、中国国内での販売差し止めを求めていた裁判で、同省恵州の中級人民法院(地裁)が20日までに市内の販売店に対し、販売停止を命じたことが分かった。
 中国紙の南方週末(電子版)が伝えた。それによると、商標権を主張する「唯冠科技」はこれまでに複数の裁判所で同様の訴訟を起こしているが、販売停止命令が出されるのは初めて。
 同地裁は、唯冠による中国国内でのiPadの商標権を認定し、アップルによる販売は商標権侵害に当たると判断した。今後、別の地区でも販売停止が命じられる可能性がある。北京など各地の販売店で、すでに店頭からiPadを撤去する動きも広がっている。

◎iPadの輸出入禁止申請、商標権主張の中国企業(2012年2月15日、産経新聞)
 米電子機器大手アップルの多機能端末iPad(アイパッド)の商標権を中国企業が所有していると主張している問題で、この企業は中国の税関当局に対しiPadの輸出入を禁止するよう申請した。15日付の中国紙、北京晨報などが伝えた。
 中国はiPadなどアップル製品の一大生産拠点で有力市場。輸出入が禁止されれば、アップルには大きな痛手となる。当局は米中関係をにらみながら慎重に判断するとみられる。
 iPadの商標権をめぐっては、北京市や江蘇省など中国各地の当局が中国企業の要請でアップルを調査。iPadを押収し、電器店などがIPadの撤去を始めた地域もある。
 輸出入の禁止を申請したのは広東省深●(=土へんに川)市のIT系企業「唯冠科技(深●(=土へんに川))」。同社は上海などの裁判所に国内でのiPadの販売差し止めも求めている。

◎「iPad商標権侵害」Appleに賠償命令の可能性も、中国裁判所(2012年2月8日、産経新聞)
 中国の裁判所の裁定によっては、Apple社は3,800万ドルから16億ドルを支払わなくてはならなくなる可能性がある。背景を解説。
 米Apple社は『IPad』の商標権をめぐる訴訟に巻き込まれており、この係争は、最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏と同社にとって不利な形勢になりつつある。中国の裁判所がApple社に有利な判決を下さなかった場合、同社は3,800万ドルから16億ドルを支払わなくてはならなくなる可能性がある。
 台湾のProview Electronics(唯冠科技)社は2006年、iPadの商標権をApple社に55,000ドルで売却する契約に同意した(iPadの商標権は、2000年に台湾で、2001年には中国で登録されている)。だがApple社は、iPadの商標権を台湾から譲り受けただけで、中国からは獲得していない。中国においてIPadという商標は、Proview Electronics社の関連子会社である中国のProview Technology社が所有しており、同社の複数の製品で使用されてきた。
 Apple社は、2006年に台湾Proview社から商標権を譲り受けた際に、取引に関心を集めないために、英国を本拠とするIP Application Development社という会社を通しており、Proview社はApple社との関連を知らなかった。
 中国のProview Technology社は、2010年10月にApple社を提訴する姿勢を見せ始め、ついに2011年には商標権侵害訴訟を提起した。Apple社もiPad商標権の保有を主張し、Proview Technology社を相手に訴訟を起こしたが、これはApple社側が敗訴した。Apple社は上訴しているが、中国北京市西城区工商局によると、この件は「現在調査中」だという。だが、Apple社の訴えが認められる見通しは少ない。
 Proview Technology社は現在、Apple社のタブレット製品の販売差し止めを求めて、中国広東省の深川市および恵州市で訴訟を起こしたところだ。
 中国はApple社にとって重要な市場であり、悪影響も懸念されるが、967億ドルの現金を保有する同社にとっては、Proview Technology社が求める「3,800万ドルから16億ドル」はたいした問題ではないかもしれない。

◎中国人民銀行、預金準備率0.5%引き下げへ(2012年2月19日、読売新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は18日、追加の金融緩和策として預金準備率(市中銀行が預金総額のうち中央銀行へ義務的に預け入れる額の比率)を24日から0.5%引き下げると発表した。
 準備率引き下げは、昨年12月以来、約2か月半ぶり。引き下げの分だけ市中に出回る資金量が増え、中国景気の下支えを強める意味合いがある。
 今回の引き下げで、大手銀行に適用される準備率は20.5%となる。中国は昨年12月に約3年ぶりに預金準備率を引き下げ、金融政策を緩和方向へ転換させた。
 中国の昨年10~12月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年同期比8.9%増で、4四半期連続で成長率が鈍った。今年に入っても、欧州の財政・金融危機の影響で欧州向け輸出が減るなど、中国経済の先行きは不透明感が強くなっている。

◎中国、党大会前に権力争い、重慶で胡錦濤派が勝利?(2012年2月19日、産経新聞)
 中国中南部の重慶市の公安局トップに胡錦濤総書記(国家主席)直系の共産主義青年団(共青団)出身者が就任したことが注目されている。重慶市は、胡錦濤派と競合する元高級幹部子弟で構成する太子党グループの強い影響下にあり、重慶市の重要ポストを胡派が獲得したことは、同派が水面下の勢力争いで大きくリードしたことを意味する。今回の人事は、秋の党大会後に発足する太子党の習近平政権の求心力に影響を与える可能性がある。
 中国各紙によると、重慶市江津区の関海祥党委書記(42)が17日までに、同市の公安局党委書記に任命された。前任者は6日に米国の総領事館を訪問し亡命を求めたとみられる王立軍重慶市副市長だ。現在、王氏は当局に拘束され、北京で取り調べを受けている。
 王氏は、同市を牛耳る太子党の中心的人物、薄煕来党委書記の腹心。経済問題で党中央規律検査委員会の調査を受け、訴追される危機感をもったことが米総領事館に駆け込んだ原因とみられるが、王氏を追い詰めたのは、その後ろ盾だった薄氏を追い落とそうとする共青団関係者との見方もある。
 薄氏は2007年に重慶に赴任してから、胡政権が主張する「調和のとれた社会の実現」と一線を画し、文化大革命を連想させる毛沢東を賛美するキャンペーンを展開した。その保守色の強い政治手法に胡主席は不快感を抱いていたとされる。
 今回の王氏の事件は薄氏の政治基盤に大きなダメージを与えたようだ。事件後、地元メディアでも薄氏に関する報道は一時期消え、党中央がコントロールしているとみられる。
 新しく同市公安局のトップとなった関氏は、2年ほど前まで北京の共青団中央に勤務し、共青団で人事を担当する組織部副部長などの要職を歴任した同派の若手ホープとされる。この人事は今後、薄氏が解任された場合、胡錦濤派が重慶市を握る布石とみられ、薄氏の後任には元共青団第1書記の周強湖南省党委書記らの名前が挙がっている。
 共産党筋は、秋の党大会での薄氏の最高指導部入りは「厳しい情勢となった」と指摘。「薄氏が失脚しなくても、影響力をほとんど失うだろう。習近平氏は政権発足の前に、重要な盟友を失ったといえる。胡錦濤派の影響力は今回の事件で強化された」(同筋)と分析している。

◎重慶の公安トップ交代、背景に権力闘争、香港紙(2012年2月19日、読売新聞)
 中国重慶市の公安トップ交代をめぐり、香港メディアは、胡錦濤総書記側による薄煕来同市党委書記潰しが狙いだと伝えている。
 中国共産党内では元々、胡氏の政治基盤である共産主義青年団(共青団)と、有力幹部の子女グループ「太子党」との権力争いが取りざたされていた。香港メディアによると、保守派の重鎮だった薄一波・元副首相の息子で「太子党」に属する薄氏に対し、胡氏は冷淡だったとされる。薄氏が市党委書記に就任した2007年末以降、胡氏は重慶を視察していないという。
 英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、今回の重慶市公安局長人事について「共青団派の勝利」と報じた。
 香港メディアは、今回の問題を、前回党大会目前に失脚した06年の陳良宇・元上海市党委書記の汚職事件になぞらえ、中央主導の調査で今後、薄氏が失脚する可能性もあると指摘している。

◎重慶市公安局トップ、後任に胡主席派、副市長失脚事件(2012年2月19日、朝日新聞)
 中国・重慶市の王立軍副市長の「失脚」事件にからみ、王氏が兼任していた同市公安局トップの後任に、同市江津区の共産党書記だった関海祥氏(42)が就任した。18日付の地元紙・重慶日報が関氏の肩書を市公安局の党書記として紹介した。関氏は近く公安局長にも就任するとみられる。
 関氏は「団派」と呼ばれる胡錦濤(フー・チンタオ)・国家主席の出身母体である共産主義青年団(共青団)の出身。これに対し、王副市長は高官子弟「太子党」の代表格である重慶市トップの薄熙来書記の右腕とされていた。
 香港紙は「団派の薄氏に対する勝利だ」(サウスチャイナ・モーニングポスト)と論じるなど、今回の人事を共青団勢力の薄氏への圧力とする見方を報じている。

◎重慶、前公安局長事件、後任に胡氏系で収拾図る(2012年2月18日、読売新聞)
 中国重慶市の王立軍・前公安局長(現副市長)が米国総領事館と接触し、関連当局の調査を受けている事件で、華僑向け通信社「中国新聞社」(電子版)は17日、市公安局トップの共産党委員会書記に、胡錦濤(フージンタオ)総書記の政治基盤である共産主義青年団(共青団)出身の関海祥氏(42)の就任を伝えた。
 今年秋の共産党大会を控え、党中央は同事件が大きな政治闘争に発展することを警戒しており、共青団系の人材を投入して事態の収拾を図る狙いだ。
 報道によると、重慶市江津区党委書記だった関氏は、事件発生後に区党委書記のポストを外れ、17日に開かれたテレビ電話会議に市公安局党委書記の肩書で出席した。王前公安局長も同局党委書記を兼ねており、関氏も近く同局長に就任するとみられる。
 関氏は1994~2009年まで共青団に所属。李克強(リークォーチャン)筆頭副首相が共青団で勤務していた際、秘書を務めるなど、いわゆる共青団派の中心にも近いとされる。今回の事件を重視する胡政権は、胡氏の影響力が強い共青団系の人材を渦中の公安局のトップに投入、混乱の回避に直接乗り出したものとみられている。

◎八百長事件で元審判員に懲役5年6月、賄賂1千万円(2012年2月16日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国遼寧省丹東市の中級人民法院(地裁)は16日、プロサッカーの八百長事件に絡み収賄罪に問われた元審判員、陸俊被告に懲役5年6月を言い渡した。他の元審判員ら3人も懲役7年~3年6月の判決を受けた。
 陸被告は2002年の日韓ワールドカップ(W杯)で主審を務め、中国サッカー界で審判の「第一人者」といわれた人物。判決によると、同被告は1999~03年、複数の試合で一方のチームに有利な審判をした見返りに、計81万元(約1千万円)相当の賄賂を受け取った。
 中国ではサッカーの闇賭博が横行していたが、中国当局が09年から摘発に乗り出し、中国サッカー協会の元幹部らを含む多くの逮捕者が出た。

◎中国レアアース調達、予断許さず(2012年2月15日、化学工業日報)
 中国政府がレアアース(希土類)生産における環境対策を一段と強化している。商務部が公表した2012年上半期の輸出許可(EL)枠は2万4904トン。通年では前年並みの3万トン程度となる見込み。ただ、今回は軽希土、中重希土に分け許可枠を設定したほか、環境保護部の環境審査を経た後に有効となる枠として、全体の過半を超える1万4358トンが含まれる。昨年の輸出実績は「3万トン強の枠に対し2万トン前後しか消化していない」(業界関係者)ともいわれる。ソース多様化などレアアース対策になお時間を要するなか、ユーザーの間では中国で加工度を高める動きが強まってきた。

◎武田薬品、中国で20年に1000億円(2012年2月14日、化学工業日報)
 武田薬品工業は1兆円超を投じた昨秋のスイス製薬ナイコメッド買収を受け、中国事業の売り上げ目標を引き上げる。2015年目標は当初計画に比べて約1.7倍の500億円に、20年目標は同1・3倍の1000億円に拡大する。事業基盤拡充を機に、営業増員や新薬開発への投資を一段と活発化させ、拡大スピードを速める。主力製品の特許切れで稼ぎ頭の米欧は成長鈍化が今後予想され、市場拡大が続く中国を牽引役に据える。

◎衛星など年20回打ち上げ、「宇宙強国」へ中国(2012年2月14日、産経新聞)
 中国の宇宙開発やミサイル開発を担う国営企業「中国宇宙科学技術集団」は今後4~5年の間、ロケットや人工衛星を平均して毎年20回打ち上げる方針を示した。夕刊紙、北京晩報が14日までに伝えた。
 中国は2020年ごろをめどに、有人宇宙ステーションの建設や、米国の「GPS」に対抗して開発中の独自の衛星利用測位システム「コンパス」の完成を計画。宇宙開発で正念場を迎えており、今後数年で開発をさらに加速する。
 宇宙開発に詳しい専門家は「(ロケットなどの)打ち上げを集中させることは、わが国が宇宙強国となる上で不可欠」と語った。

◎中国の「自治の村」烏坎、初の村議選、投票率8割超(2012年2月13日、朝日新聞)
 40年にわたり居座った村の共産党書記を昨年追放し、自治組織を立ち上げた中国・広東省の烏坎(ウーカン)村で11日、初の村民代表会議(村議会)選挙があり、有権者の8割を超す6500人近くが投票、候補者150人の中から109人の代表が決まった。中国各地で起きている地元幹部に対する農民の抗議運動に影響を与える可能性のある動きだ。
 午前9時、小学校の校庭で投票開始が宣言され中国国歌が流れると、村民たちが真新しい投票箱に次々と票を投じた。
 省や市当局は、投票を監視する人員を会場に張り付かせたが、見守るだけにとどまった。

◎米総領事館と接触の重慶副市長、北京に連行?(2012年2月12日、読売新聞)
 中国重慶市の前公安局長だった王立軍・副市長が四川省成都の米総領事館と接触した問題で、香港紙・明報などは11日、国家安全省幹部が王氏を成都から北京に連行したと伝えた。
 重慶市当局は米総領事館に王氏の引き渡しを要請したが、王氏が同行を拒んだ。このため、米政府の連絡を受けた中央政府が成都に国家安全省の幹部を派遣し、8日に王氏を連行した。
 王氏は、自身のいとこが不正容疑をかけられたことを巡って、重慶市トップの薄煕来(ボー・シーライ)・市党委書記との関係が悪化していたという。

◎重慶副市長、拘束か、米国亡命断られたとの情報(2012年2月9日、読売新聞)
 重慶市政府は8日、王立軍・副市長が「過重な仕事や精神の過度な緊張で体調を崩し、現在、休暇を取って治療を受けている」と簡易ブログを通じて異例の発表をした。
 王氏は7日頃、四川省成都市にある米国総領事館を訪れて亡命申請を出したが、米国側に断られ、総領事館から出てきたところを国家安全当局に拘束されたとの情報もある。総領事館の周囲は7日深夜から8日午前にかけて、公安当局が厳重な警備を敷いた。王氏は、2009年に重慶市公安局長に就任。重慶市トップの薄(ボー)煕来(シーライ)市党委書記の黒社会撲滅運動を支えた。11年5月には副市長に就任した。

◎亡命説の重慶副市長、米総領事館を訪問、目的は不明(2012年2月9日、朝日新聞)
 米国務省のヌーランド報道官は8日の会見で、亡命説などが出て波紋を呼んでいる中国重慶市の王立軍・副市長が、6日に四川省成都市にある米総領事館を訪問したことを認めた。訪問の目的などについては回答を避けた。
 報道官は、王氏から「副市長としての立場」で面会の要請を受け、領事館員が応対したと説明した。王氏はその後、警察に連行されたとの情報が出ているが、報道官は「(王氏が)自分の判断で(領事館を)歩いて出た」と強調した。
 王氏は、中国の次の最高指導部の候補に名の挙がる薄熙来・重慶市党委書記の右腕と称された人物。今月2日に兼務していた公安局長職を解かれ、8日には「休暇治療」に入ったと市政府側が発表し、中国国内で様々な臆測を呼んでいる。

◎台湾UPC、遼寧省、盤錦市で大型投資(2012年2月8日、化学工業日報)
 台湾聯成化学科技股有限公司(台湾UPCグループ)は、総額6億米ドル(約460億円)を投じ遼寧省・盤錦市の遼濱沿海経済区内にイソフタル酸無水物、塩化ビニル樹脂(PVC)向け可塑剤、不飽和ポリエステル樹脂などの化学品製造コンプレックスを建設する。このほど同市との間で投資について調印、7月からプラントの建設に入る。第1期分として年産14万トンのPVC向け可塑剤をはじめ、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルポリオールなど10万トン以上の設備の建設を計画しているとみられる。第2期計画ではフェノール、アセトン、イソブチレン誘導体の大型設備を建設する方向で調整している。盤錦市では大連化学が大型投資を推進しており、今回の計画で台湾の化学企業の集積が一段と進むことになる。

◎中国、石化2ケタ成長持続(2012年2月6日、化学工業日報)
 中国の化学品市場は2015年まで高成長を続ける。工業情報化部が先週末公表した産業振興計画「石油・化学工業12・5発展計画」は、国内経済の比較的高い成長の持続や工業化および都市化の加速を背景に、石油・石化製品には依然として大きな潜在需要があると指摘。15年にはエチレン換算の需要量は3800万トンに達すると見込んでいる。またプロピレンの需要は2800万トンと予測。長江デルタ、珠江デルタ、環渤海湾地域の3大石化地帯の集積度を高め、3〜4の2000万トン級石油精製基地、3つの200万トン級エチレンセンターの形成を目指している。総生産額については、年平均伸び率が13%前後で、15年に14兆元前後を目指す。

◎北京の日本大使館移転、許可下りず半年ずれ込み(2012年2月2日、読売新聞)
 外務省は1日の自民党外交部会で、北京の日本大使館が計画していた新庁舎への移転が、中国政府の許可が下りないため、当初予定より約半年もずれ込んだことを明らかにした。
 外務省によると、新庁舎は昨年7月に完成したが、中国政府は「建物の延べ床面積が当初の申請よりも超過している」として建物の使用を認めなかった。その後、中国側は、東京都内の大使公邸と新潟県内の総領事館の建設計画への協力を文書で示すことを要請。外務省が今年1月19日、「国際法に従い、国内法令の範囲内で協力する」との「口上書」を中国外務省に提出したところ、2日後の21日に同省から移転の許可が出たという。
 自民党外交部会で小野寺五典部会長は「一連の流れを見ればバーター(取引)としか思えない」と指摘したが、外務省は「特別な計らいを約束したことではない」と否定した。

◎ビルのガラス張り、上海で一部禁止、事故多発で(2012年2月1日、読売新聞)
 高層ビルが林立する上海で1日、住宅や病院、学校、丁字路の正面などの2階建て以上の建築物について、ガラス張りにすることを禁止する条例が施行された。
 上海では昨年、ガラスの外壁が崩れて「ガラスの雨」が降る事故が相次ぎ、安全面への懸念が高まっていた。
 上海紙「東方早報」などによると、上海には繁華街を中心に3655棟のガラス張りのビルがある。これらは1985年から出現し、一部は老朽化が進んでいる。当局の調査では、35棟に「深刻なリスク」が、440棟に「リスク」があると診断された。
 昨年5月には、一日に3棟のガラス壁が崩壊。同8月にも高層ビルの46階のガラス壁が一部崩落し、死傷者はなかったが、車両などに被害が出た。

◎中国船奪還された事実を隠蔽、韓国海洋警察(2012年1月31日、産経新聞)
 韓国紙、朝鮮日報は31日、韓国海洋警察が、昨年11月に同国南部の領海上で拿捕した不法操業中の中国漁船を集まってきた僚船に奪還され、その過程で海洋警察隊員5人が暴行され重軽傷を負ったものの、事実を隠蔽していたことが分かったと報じた。
 事件は11月19日、海洋警察が中国漁船1隻を拿捕したところ、仲間の中国船26隻が集まり、船員数十人が拿捕された船に乗り移って手おのや鉄パイプで海洋警察隊員を攻撃。隊員らは腕を骨折するなどして拿捕した船を放棄し警備艇に逃げた。
 海洋警察はその後、応援を投入し漁船3隻を拿捕したが、「1隻を拿捕し、仲間の中国船団が威嚇行動をしたためさらに2隻を拿捕した。隊員5人は船の床に倒れ打撲傷などを負った」と発表していた。

◎化繊生産、中国集中 世界の66%(2012年1月27日、化学工業日報)
 化学繊維生産の中国一極集中がさらに加速している。2011年の中国の化繊生産は、国内需要の好調で前年比14%増の3220万トンと初めて3000万トンを突破。世界生産に占める割合は前年の63%から66%に上昇した。中国のほか日本と西欧が前年実績比で微増だったが、その他の主要国・地域は軒並み減少しており、中国独り勝ちの状態が続いている。

◎変質する「世界の工場」、賃金4年で倍、争議も頻発(2012年1月27日、産経新聞)
 日米欧や韓国、台湾、シンガポールなど、あらゆる先進国や地域から製造業を呼び込む「世界の工場」としての中国。その変質が目立ち始めた。「安価で豊富な労働力」という大前提が崩れているからだ。
 数字をみれば、変化は如実にあらわれている。人的資源社会保障省がまとめた昨年1~9月の21省市の法定最低賃金の伸び率は平均21.7%だった。
 労働者の権利を守る一方、所得水準を引き上げることで内需拡大や社会安定に結びつけたい、との中国政府の姿勢は、悪いことではない。しかし経営側からみれば、企業業績や景気動向に関係なく一方的な賃上げをのまされることは「中国からの撤退理由になる」(日系電子部品メーカー幹部)。年率20%の賃上げが4年続けば、単純計算で賃金は2倍に。企業側が支払う人件費負担の総額はそれ以上に膨らむ。
 だが、そんな悲鳴はなかなか届かない。上海市の韓正市長は16日の記者会見で、現在は月額1280元(約1万5400円)の最低賃金を4月1日から、少なくとも昨年実績より14.3%以上引き上げる方針を明らかにした。
 輸出型の外資系製造業が数多く集まる広東省深セン市では、2月1日から13.6%増の月額1500元となる。広東省の最低賃金に関しては、欧州債務危機の影響で欧州向け輸出が下降線をたどって業績悪化が続く業種から、最低賃金アップを一時的に見合わせるよう当局に要望する声も強く、駆け引きが続いている。

・物価高で農民工急減
 問題は賃金高騰だけではない。さらに深刻なのは、13億4千万人を超える巨大な人口を抱えるこの国でも沿岸部で「労働力不足現象」が起き始めたことだ。
 昨年末段階で約2億5千万人に上った農村から都市への出稼ぎ労働者「農民工」が製造現場の担い手だ。だが、広東省東莞市の金属加工工場では「今年は春節(旧正月)連休で帰省する農民工の半数近くが戻ってこないだろう」とみている。
 昨年通年の中国の消費者物価指数(CPI)上昇率は5・4%とやや落ち着いたものの、都市部では、食品に限れば11・8%も高騰。「20%の賃上げがあっても農民工は生活の豊かさを実感できない。農村部との交通の不便さや費用を考えると、出稼ぎのメリットは薄らいだ」と工場の経営者は渋い表情で話す。

・いまや「世界の市場」
 待遇改善を求める労働者のストやデモも頻発している。
 香港からの報道によると、広西チワン族自治区南寧市の日系音響機器メーカーの工場で今月16日、約8千人の労働者が春節前のボーナス支給の取りやめに抗議してストに突入。一部の労働者が工場の外に出てデモを行った。警官隊が出動してデモ隊は解散し、ストも収拾した。
 ボーナスを受け取った上で帰省し、連休明けには戻らないつもりの労働者を、工場側が連休前に牽制した。そんな構図が想像されるが、背景には、厳しい経営環境にもかかわらず、待遇改善だけを要求してくる労働者側との認識のズレもあったに違いない。
 製造業の現場ではいかにロボット化が進んだとしても、人海戦術をなくすことはできない。輸出型製造業が製品の価格競争力を求める場合、今後の賃上げや労働力不足を考えれば、中国はもはや最適な進出先とはいえない。その場合、「渡り鳥のようにベトナムやバングラデシュなど安価で豊富な労働力が残る次なる進出先を探すべきだ」(大手商社幹部)との見方もある。
 日本の産業界は、今後中国が「世界の工場」から「世界の市場」に変貌を遂げるのを見越して、中国で生産し、中国で販売する経営戦略に重心をシフトすべき時期を迎えることになる。

◎四川省でチベット族との衝突激化か、住民2人死亡の情報(2012年1月26日、朝日新聞)
 中国四川省でチベット族住民と中国政府の衝突が激しさを増している模様だ。外部との接触が厳しく制限されており、詳細は不明だが、チベット自治区などと接する山間地で大規模デモが連日起き、現地当局は発砲で死者が出たことを認めた。住民の反発は広がる一方で、さらに緊張が高まる可能性がある。
 衝突があったのは同省西部のセルタル県。同県のホテルなどの電話は25日つながらない状態が続いた。県政府職員は朝日新聞の電話取材に対し、デモや衝突の状況について「答えられない」と電話を切った。
 中国国営新華社通信は25日、現地警察当局者の話として、警察官が住民1人を射殺、13人を逮捕したと報じた。火炎瓶などを持った住民が警察署を襲い、住民側の発砲で14人の警察官がけがをしたため、銃の使用を迫られたとしている。
 米政府系の放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、少なくとも住民2人が死亡したとの情報や「外出禁止令が出た」との住民の声を伝えている。
 セルタル県から約100キロ離れたダンゴ県でも23日、住民と当局の衝突で死者が出た。青海省境に近いアバ県でもチベット族の僧侶や住民らがデモをしたとの情報がある。

◎中国:春節に大気汚染悪化、花火や爆竹が原因か(2012年1月24日、毎日新聞)
 中国で大気汚染への関心が高まる中、北京市環境保護局が「PM2.5」と呼ばれる微小粒子状物質の研究用観測データの公表を始めたところ、春節(旧正月)を迎えた23日未明に深刻な汚染を示す数値を記録した。中国メディアは春節(旧正月)を祝う花火や爆竹が原因と伝えている。
 観測データによると、22日午後6時に大気1立方メートル当たりの濃度が20マイクログラムだったのが、23日午前1時に80倍近い1593マイクログラムとなった。20日付の北京紙「新京報」は社説で、06年の春節にPM2.5濃度が「車の排ガスを吸い込む状態に近い」という800マイクログラムを記録した大学の調査結果を紹介し、花火や爆竹の自粛を呼びかけていた。
 中国は従来、より大きな粒子の「PM10」の観測結果のみを公表しており、PM2.5の環境基準を定めていないが、北京紙「京華時報」は「200マイクログラムを超えれば将来の指標に照らして重度の汚染」との専門家の見方を伝えた。
 PM2.5は直径2.5マイクロメートル以下の物質で、肺の奥まで入り込むため循環器系疾患との関連性が指摘されている。北京市環境保護局はPM10の観測結果に基づいて大気汚染の改善をアピールしてきたが、北京の米国大使館が独自の観測で公表したPM2.5濃度の高さに市民の関心が高まり、21日から市中心部1カ所の観測データの公表に踏み切った。

◎中国、終わらぬ烏坎事件、党幹部の腐敗、怒り収まらず(2012年1月23日、産経新聞)
 中国南部・広東省の烏坎(うかん)村で、村民たちが共産党幹部の腐敗・汚職に怒りの声を上げ、昨年9月から12月にかけて激しい抗議活動を繰り広げた。国内外で注目されたこの事件が沈静化してから1カ月が過ぎたが、地元政府が約束したことはまだ何も実現されていない。村民の間で不信感が高まり、新たな対立の火種がくすぶっている。
 「父の命を売ることなんてできないわよ…」
 今月14日午後、烏坎村中心部にある3階建ての住宅で、小学校教師の薛健婉(せつけんえん)さん(22)はうなだれたまま、声を落として言った。部屋の真ん中に、薛さんの父親で、烏坎村の自治組織「臨時理事会」の副理事長だった薛錦波(きんは)さんの遺影が飾られていた。
 薛錦波さんは昨年12月11日、汕尾(さんび)市内の拘置所で死亡した。42歳だった。死亡するまでの約30時間、ずっと尋問を受けていた。遺体は額からつま先まで傷だらけで、背中は腫れあがっていたという。しかし警察当局は拷問を認めず、「心臓病が死因」と発表した。死後1カ月以上たっても遺体は家族のもとに返ってきていない。
 「父に心臓病があるなんて一度も聞いたことないわ」という薛さんによれば、警察当局は家族に「心臓病で死亡した」と認めれば、遺体を直ちに返し補償金も支払う用意があると通告してきたという。
 「心臓病による死亡を認めれば、補償金を支払うというのはおかしい」。薛さんは「父は殺された」と主張して、警察に対し真相究明と謝罪、関係者の処罰を求めている。しかし、解決の糸口は全く見えない。
 「外国のメディアは私たち村民が勝利したと報じているけれど、勝ってなんかいないわ」。薛さんはやはり小声で怒りをぶつけた。
 人口約1万3千人の烏坎村の抗議活動は、昨年9月に起きた。村の幹部たちが村内の土地を次々と不動産開発業者らに売却し、私腹を肥やしていたことが発覚したのがきっかけだった。
 村民たちは上部行政機関の汕尾市に真相解明を求めたが、市側は村の幹部をかばい続けた。約3千人もの村民が9月21日にデモを行い、警官隊と衝突、数人の村民代表が拘束された。村民たちは自治組織「臨時理事会」を立ち上げたが、直後に市当局から非合法組織に指定され、代表者の薛錦波さんら5人が逮捕された。
 それでも村民たちはひるまず、抗議デモを継続。同時にインターネットを通じて国内外に支援を要請すると、ネット上で大きな話題となり、欧米のメディアも取材のため同村に続々入った。警察は記者を阻止しようと、村を包囲し全ての道路を遮断。地元政府は「海外の敵対勢力が介入した」として、弾圧の姿勢を一層強めた。
 だが、先月11日の薛錦波さんの死去により、流れが変わる。世論の大きな圧力を受けて広東省が動いた。拘束した村民を釈放し、土地売却問題に関し省政府の作業チームを派遣して調査を開始するなど、村民に歩み寄りの姿勢を見せたのだ。
 村民の要求が受け入れられるか関心が集まる中、広東省の作業チームは今月15日、すでに汚職容疑で更迭されていた村のトップ、共産党支部書記の後任として、村の抗議活動をまとめていた林祖鑾(りん・そらん)さん(65)を任命した。これまでの中国で、抗議活動などのリーダーを務めた人物が党書記に起用されるケースは極めて異例だった。
 日本を含む海外のメディアを通じて、烏坎村の「成功」「勝利」を伝える報道があふれた。
 1月中旬に訪れた烏坎村は、表面上は平静を取り戻していた。
 村の中心通りを歩くと、立派な建物が両側に立ち並んでいる。他の農村と比べて豊かな暮らしを村民たちが享受しているのは確かなようだ。今回の抗議活動は生活苦からというよりも、党の腐敗・汚職を許せずに立ち上がったとの事情がうかがえる。
 また、烏坎村は香港に近く、普通の民家でもアンテナを設置さえすれば香港のテレビ番組を受信できる。その影響で村民たちは人権や民主主義についての意識も高いとされる。
 今回の事件に関し当局が報道とネット規制を強めても、村民たちは香港のテレビを通じて、自分たちを支持してくれる人々が国内外にいることを知った。そしてそれが3カ月もの間、当局の圧力に屈することなく闘い続けることができた理由の一つだったといえる。
 現在、村の中心通りには「共産党を擁護する」との横断幕が掲げられる一方、電信柱などに「見知らぬ人に気を付けろ」「個人で署名に応じるな」といった内容の貼り紙も多い。村民の結束を維持したい自治組織によるものとみられる。
 省政府の作業チームが村に入ってからすでに3週間以上たったが、土地売却問題も、薛錦波さんの死亡問題についても進展がないことに、いらだちを覚える村民は少なくない。
 あるリーダーの自宅を訪ねたとき、家の前に村の若者2人が立っていた。記者証、パスポートの提示を求めたうえ、身体検査まで強要した。「村民を分裂させようとする政府のスパイがいるので仕方がない」。彼らはこう説明した。
 リーダーの一人は「勝手に売却された土地を取り戻すことこそ、私たちの目的なのに、何も解決していない」と主張し、きっぱりと言った。
 「政府が単なる時間稼ぎをしようというのなら、私たちは次の行動を考えなければならない」
 烏坎事件は終わっていない。

◎31億人の帰省ラッシュ、中国の旧正月前に(2012年1月22日、朝日新聞)
 春節(旧正月)を祝う中華圏の国や地域で、大みそかの22日を控えて帰郷ラッシュがピークを迎えている。中国鉄道省は旧正月前後の40日間の旅客を延べ31億5800万人と見込む。昨夏に死者40人の事故が起きた高速鉄道も、主要路線の普通席は22日までほぼ満席だ。
 高速鉄道の北京―上海間、武漢―広州間は、ビジネスクラスを除いて22日の午前中までの1週間の切符がほぼ売り切れ。臨時列車を出して対応している。
 一般列車が走る広東省の広州駅でも22日までの切符は完売した。広州市のスポーツ用のボールをつくる工場で働く男性(22)は、電話を1日かけ続けて故郷の武漢行き普通列車の切符を買った。土産を詰め込んだカバンを抱え、「姉の子どもたちにおもちゃを持って行くんだ」と話した。

◎北京の人口、2千万人突破、2011年末時(2012年1月20日、東京新聞)
 中国の北京市統計局は19日、北京市の2011年末の人口が前年末より56万7千人増えて2018万6千人となり、2千万人を突破したと発表した。
 市外からの出稼ぎ労働者やその家族らは37万5千人増えて742万2千人と、総人口のおよそ37%を占めている。

◎31億人が40日間に移動、春節帰省ラッシュ(2012年1月20日、読売新聞)
 23日の春節(旧正月)を前に、故郷に帰る人々の帰省ラッシュ「春運」がピークを迎えている。
 中国メディアによると、春節をはさんだ40日間に、昨年を9.1%上回るのべ31.5億人が移動するといい、過去最高の規模となる見通し。
 北京駅では出稼ぎ労働者や学生らが大きな荷物を持って改札口に押し寄せる姿が見られた。今年の春節に合わせて、切符の全面的なネット販売が開始されたが、アクセスが集中し、購入できないトラブルが相次いでいるという。

◎中国民主活動家に懲役10年、1カ月で3人目の長期判決(2012年1月20日、朝日新聞)
 中国湖北省武漢市の中級人民法院(地裁に相当)は18日、同市の民主活動家の李鉄氏(52)に対し、国家政権転覆扇動罪で懲役10年の実刑判決を言い渡した。李氏の家族が19日、香港メディアに明らかにした。民主活動家への長期刑判決は、ここ1カ月で3人目。
 李氏は「人にとって尊厳が最も重要だ」と題する文章などをインターネット上などに発表し、2010年9月に拘束された。英BBC放送などによると、同法院は判決で、これらの文章が民主主義の名を借りて政権転覆をもくろんでいるとした。
 中国では昨年12月、四川省の活動家に懲役9年、貴州省の活動家に懲役10年の実刑判決が言い渡されている。

◎中国、ツイッター規制強化の方針(2012年1月19日、読売新聞)
 中国国務院(中央政府)新聞弁公室の王晨・主任(閣僚級)は18日、記者会見し、中国で利用者が急拡大する中国版ツイッター「微博」について「ネット情報の安全や社会の安定に新たな挑戦となっている」との認識を示し、今後も実名登録制を全国で拡大するなど、規制を強化する方針を示した。
 王主任は、中国のネットを管理する国家インターネット情報弁公室の主任も務めている。王主任は微博の利用者が3億3000万人にまで拡大し、微博での1日の書き込みが1億5000万件に上ることを明らかにし、「微博は確かに民意を反映できるが、マイナスの世論や有害な情報も簡単に流すことができてしまう」と指摘した。

◎日本ミクロコーティング、中国で受託加工(2012年1月18日、化学工業日報)
 日本ミクロコーティングは、ローカルフィット戦略強化の一環として、このほど中国でフィルムスリットの受託加工を開始した。これまでハードディスクドライブ(HDD)や半導体関連事業で蓄積してきたフィルム加工技術を活用、需要家からの要望が高いフィルムスリットなどを請け負う。光学系フィルムの加工にも対応可能なことから、今後アプリケーションの拡大を推進していく方針だ。

◎韓国で皿立てから放射線、中国輸入鋼材に汚染(2012年1月17日、産経新聞)
 聯合ニュースなどによると、韓国政府機関の原子力安全委員会は16日、韓国内の大手スーパーで販売されていた皿立てから最近、放射線が検出され、線量は表面で毎時5.1~23.09マイクロシーベルトだったと明らかにした。
 皿立ては中国から輸入されたステンレス鋼材で作られ、同鋼材に放射性物質のコバルト60が混じっていたことが確認された。
 同委員会は、皿立てから30センチ程度離れた場合の線量は0.89マイクロシーベルトで、健康に問題ない水準と説明。皿立ては先月中旬から売り場に置かれていたが、今月12日に販売を中止、販売済みの製品の回収作業も進めている。
 韓国政府は、同じ時期に中国から輸入されたステンレス鋼材の使用先について調べている。

◎共産党委員会の腐敗に怒り、村長、庁舎に放火、中国河北省(2012年1月16日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターが16日伝えたところによると、中国河北省北部の承徳県北台村で15日、村の共産党委員会の腐敗に憤る村長が、村の上級機関に当たる郷政府に放火、幹部2人に重いやけどを負わせた。
 村長は村の共産党委で汚職などが横行しているのは郷政府がかばっているためとみて、抗議のため郷政府を訪問。職員と言い合いになった後、庁舎にガソリンをまいて放火し庁舎は全焼、村長もやけどを負ったという。

◎中国首相がネパール訪問、7億5千万ドルの援助供与約束(2012年1月15日、朝日新聞)
 中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は14日、ネパールを訪問し、バタライ首相らと会談した。地元メディアによると、中国は総額約7億5千万ドル(約580億円)の援助供与を約束した。中国首相の訪問は11年ぶり。中国は歴史的にインドの影響下にあったネパールで近年存在感を増している。
 援助は財政支援、警察能力の強化、水力発電所建設など多岐に及ぶ。温首相は当初、先月に3日間の日程で訪問する予定だったが直前に中止に。チベット難民による抗議活動や警備態勢への懸念があったとみられている。今回の訪問は公式には事前発表されず、約4時間の滞在となった。

◎中国湖北省で豚に口蹄疫、71頭を処分(2012年1月10日、産経新聞)
 新華社電によると、中国農業省は9日、湖北省巴東県で豚の口蹄疫感染が確認され、71頭を処分したと明らかにした。
 昨年12月に24頭に症状が出て、1月8日に口蹄疫と確認された。同省は感染拡大を抑えたとしている。

◎中国、個人資産の“目減り”進む、低空飛行の株、「夜逃げ」に庶民苦慮(2012年1月10日、産経新聞)
 2011年、過去最高となった物価水準や強まるインフレ圧力により、個人資産の“目減り感”が強まった中国。低空飛行を続ける株式市場や規制が強まる不動産市場、「夜逃げ」問題を抱える民間借貸(非正規高利貸)を前に、庶民は資産の運用先に苦慮している。
 新華社によると、上海総合指数は11年12月8日、序盤2302ポイント台まで下落し、09年4月以来の安値を記録。12月11日までの年間累計下げ幅も15%を超えた。さらに、滬深300指数、上海総合指数、深セン成分指数の下げ幅が約2年ぶりに20%を上回り、世界25主要株価指数のワースト3にランキング。投機家が指摘する通り、「資産価値を維持、拡大したいなら、今は株式市場に投資すべき時期ではない」ようだ。
 中国社会科学院経済研究所の上級研究員、徐逢賢氏も「仮想経済である株は、もともと確実な投資対象ではなく、政府が必要な措置を講じない限り、いつまでも不安定な状態が続く」と話す。

・人気は不動産投資
 本来、株式市場が安定かつ正常に作用していれば、個人資産を維持、拡大するための投資先として庶民の選択肢が増えていたはずだが、株式市場が極めて不安定な現在、一般庶民がそこから利益を得ることは難しい。
 このため、「庶民は依然、株やファンド、信託などの投資に消極的で、その成長も緩慢だ」(中国社会科学院金融研究所研究員、尹中立氏)。
 これに対し、投資先として依然高い人気を誇るのが不動産だ。あるポータルサイトの調査によると、貯蓄やファンド、金や特別引き出し権、株、私営保険を投資対象としている回答者はそれぞれ20%以下なのに対し、不動産に投資している回答者は40%以上に達している。
 その理由は「金融商品は変化が激しく規則性もないため、プロでなければ怖くて手が出せない上、投資先は限られており、不動産が最も安全だと考えがち」(経済研究所の徐氏)であるためだ。
 しかし、国内の大都市や中規模都市では、少なくとも不動産の60%前後がバブル状態にある上、政府による規制強化で、価格はすでに下落に転じている。
 このため徐氏は「不動産価格が大幅に下落すれば、バブルが弾け、投資者は手痛い損失を被るだろう」と警鐘を鳴らす。

・民間借貸にリスク
 一方、不動産同様投資先として人気が高い民間借貸も、深刻な問題を抱えている。
 清科研究センターの研究員、劉碧薇氏によると「マネーサプライが逼迫(ひっぱく)する中、民間企業の資金需要が拡大、民間借貸の金利が上昇したため、一部ホットマネーが不動産や鉱物資源から、民間借貸に流れている」という。
 今年上半期に行われた銀行調査によると、例えば浙江省の温州市では、世帯や個人の80%、企業の59.7%が民間借貸に関与しており、市場規模は1100億元(約1兆3400億円)に達する。
 しかし、11年の第3四半期には民間企業経営者の「夜逃げ」事件が多発。民間借貸は破綻寸前となり、そのリスクの大きさが浮き彫りとなった。
 業界関係者は、民間借貸に資本が流入する背景には、(1)不合理な融資構造(2)中小企業が融資を受けられない体制(3)不動産業界のあがき(4)鉱業界の暴利追求-といった問題があるとしながらも、「民間借貸は違法性が高く、政府が早急に監視・管理体制を構築しなければ、投資者に多大な損失をもたらすだけでなく、社会の安定をも揺るがしかねない」と警鐘を鳴らす。

・資金の流れは分散
 そんな中で11年、最も形勢有利だったのが、金融機関の資産運用商品だ。
 金融研究所の尹氏は「一般庶民は依然預金を主な投資手段としているものの、現在資金の流れは分散傾向にあり、各市中銀行が売り出している資産運用商品も規模が大幅に拡大、預金への資金の流れが減少している」と指摘する。
 尹氏によると、(1)投資先の選択肢が少ない(2)利率に関わるシステムが整備されていない(3)インフレが深刻化(4)昨年7、8月に利率が逆ざや状態となった-ことで、庶民が銀行への預金に消極的になったのに加え、銀行の融資が規制される中、依然庶民の投資需要が高いことや、銀行が生き残りに必死なことが、金融機関の資産運用商品を増加させたという。
 とはいえ、この資産運用商品も問題が多い。こうした商品の流通により、政府のマクロ経済政策の効力が弱まるだけでなく、資産運用商品そのものも不備が多いからだ。
 このように、既存の投資先に問題が発生したことで浮き彫りになったのが、投資先の少なさや資産運用範囲の狭さだろう。個人資産をどこに投じるのか。それが、庶民の共通の課題だ。
 そして専門家も指摘するとおり、この問題を解決して民間の資金を有効かつ安全に流動させるには、「関連制度の整備が不可欠」だろう。
 政府が(1)社会保障体系を完備し、消費や資産運用への不安を解消する(2)投資行為を体系化して投資先の選択肢を増やす(3)民間借貸のリスク管理や規範化を進め、金融機関の資金運用商品を整備、監督を強化する-といった措置を講じられるかが抜本的な解決への鍵となってくる。

◎米人気歌手スピアーズさんの訴え棄却、中国、名前の商標めぐり(2012年1月10日、産経新聞)
 米人気歌手ブリトニー・スピアーズさんが、中国の時計などに無断で自分の名前が使われているとして、国家工商行政管理総局に商標登録取り消しを求めた訴訟で、北京市第1中級人民法院(地裁)は6日までに、スピアーズさん側の訴えを退ける判決を言い渡した。中国紙、京華時報が伝えた。
 同紙によると、中国広東省深センの企業は2001年8月、「ブリトニー」を商標登録申請、04年1月に時計などの商品に限り使用が認められた。
 スピアーズさんは世界的に有名な自分の名前を無断で登録し、不当な利益を得ていると主張、登録を取り消すよう求めた。
 判決は「商標登録申請時に、スピアーズさんが中国で幅広く知られていたことを示す証拠が不十分」などとして訴えを認めなかった。

◎中国の輸出、3年連続世界一へ、輸入も過去最高(2012年1月10日、読売新聞)
 中国税関当局は10日、2011年の輸出額が前年比20.3%増の1兆8986億ドル(約145兆9000億円)、輸入額が同24.9%増の1兆7434億ドルだったと発表した。
 輸出の3年連続世界一がほぼ確実になった。
 輸出入ともに過去最高を2年連続で更新した。輸入の伸び率が輸出を上回っており、「世界の市場」としての存在感が一段と高まった。貿易黒字は1551億ドルで前年に比べて14.5%減少した。日本からの輸入は、東日本大震災の影響で10.1%の伸びにとどまり、国・地域別で前年の首位から2位に後退した。
 12月単月では、輸出が前年同月比13.4%増の1747億ドルだった。伸び率が前月に比べて4か月連続で縮小し、減速感が増している。欧州連合(EU)向けは、7..2%増と11月(5%増)より上向いたが、低迷している。

◎チベット族住民、また焼身自殺、中国政府に抗議(2012年1月9日、朝日新聞)
 中国四川省のアバ・チベット族チャン族自治州で6日、チベット族住民2人が焼身自殺を図る事件があり、1人が死亡した。昨春から相次ぐ中国政府による統治への抗議と見られる。中国当局はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世への批判を強めており、今後も緊張が続きそうだ。
 在英のチベット人支援組織「フリー・チベット・キャンペーン」によると、6日午後、同自治州アバ県の重要寺院キルティ僧院近くの路上で男性が、ほぼ同じ時刻にもう1人が焼身自殺を図った。国営新華社通信は8日、地元当局者の話として、同僧院の元僧侶2人が共謀して自殺を図ったと伝えた。
 同自治州や隣接するチベット自治区では昨年、チベット仏教の僧侶や尼僧、元僧侶ら12人が中国政府への抗議で焼身自殺を図った。ダライ・ラマ14世は、「自殺による抗議は中国政府のさらに強硬な対応を招く」といさめる姿勢を示しているが、中国側は「ダライ一味がそそのかしている」(新華社)として、対立が強まっている。

◎フィリピン、「中国船が領海侵犯」と抗議(2012年1月9日、朝日新聞)
 フィリピン外務省は8日、同国が領有権を主張する南シナ海の砂州付近に先月、中国の軍艦などが侵入したとして、中国に抗議したことを明らかにした。デルロサリオ比外相は「(領有権問題の平和的解決を申し合わせた)南シナ海行動宣言に反することは明らかだ」と中国を非難した。
 同省によると、12月11、12両日、中国海軍の軍艦1隻と中国船2隻が、比のパラワン島から約230キロにあり比が領有権を主張するサビナ砂州の近海に現れた。抗議は今月5日、マニラの中国大使館に対して行ったという。
 南シナ海では、領有権をめぐってフィリピンやベトナムなどと中国が対立。昨年前半、比近海で中国の艦船が比船舶を妨害したり、航空機が侵入したりしたとされる事件が相次ぎ、ASEAN(東南アジア諸国連合)会議でも主要な議題となっている。比は中国との関係改善を模索する一方で、米国に中古の艦船や戦闘機の提供を打診、防衛力向上を急いでいる。

◎中国共産党、1年で14万人を処分、汚職など規律違反で(2012年1月9日、朝日新聞)
 中国共産党の中央規律検査委員会はこのほど、汚職などの規律違反で処分された党員が昨年14万人に上ったと発表した。前年と同規模だが、食品安全や教育、医療、社会保障分野での違反が増えた。全国の規律検査部門に134万件の通報があったという。
 国営新華社通信などが伝えた。処分の対象には、浙江省・温州で起きた高速鉄道事故の責任を問われた劉志軍・元鉄道相も含まれ、すでに党の調査を経て検察当局の捜査が始まっているとした。広東紙南方都市報によると、食品の安全に絡む事件では約3900人が処分を受けた。

◎中国「農民工」呼称見直し、2億5千万人の出稼ぎ「差別的だ」、社会不満の高まりで(2012年1月7日、産経新聞)
 中国で農村から都市への出稼ぎ労働者をさす「農民工」との呼称が「差別的だ」と批判され、見直す動きが出始めている。国営新華社通信によると、農村の多い河南省のトップ、盧展工党委書記が昨年12月20日、「なぜ農民だけが特定のレッテルを貼られるのか」と呼称を問題視したことがきっかけとなった。
 これに呼応するかのように、元日に湖南省で働く出稼ぎ労働者を見舞った温家宝首相は「産業労働者の主力軍だ」と持ち上げた。沿岸の広東省の汪洋党委書記も3日、「農民工」の呼称撤廃の検討を表明した。
 約2億5千万人の出稼ぎ労働者は都市部の経済を下支えしている。だが、農村と都市の住民を分ける戸籍制度があり、出稼ぎ先では医療など社会保障が受けられず、「農民工」は差別的な待遇を象徴する呼称にもなっていた。出稼ぎ労働者は都市部でストやデモの中心になるなど、社会への不満を急速に高めている。
 新たな呼称として「新市民」「新型契約労働者」などが提案されているが、ネット上では、「呼称変更だけでは何も変わらない。不平等な待遇や差別問題を先に解決せよ」などとする書き込みが相次いでいる。

◎中国航空業界「環境税」支払い拒絶、EU域内の空港で、提訴と報復も検討(2012年1月7日、産経新聞)
 欧州連合(EU)が域内の空港を利用する全ての航空会社に今月1日から課した「環境税」の支払いを、中国が拒否していることが7日までに分かった。中国の航空業界ではEUの措置を国際法違反として提訴を検討しているほか、中国政府にはEUへの何らかの報復措置を取るよう求めている。
 ロイター通信などによると、中国国際航空など主要4社が加盟する中国航空運輸協会(CATA)は、EUが航空業界にも適用先を広げた「温室効果ガス排出量取引制度(EU-ETS)」に対し、「義務付けられた排出権の購入には応じない」と環境税負担を明確に拒否した。中国英字紙チャイナ・デーリーは、EUの今回の措置を「国際法違反であり経済戦争につながる」と指摘している。
 CATAでは、環境税による中国のコスト増は今年8億元(約98億円)と試算している。環境税をめぐっては先月、EUの最高裁にあたる欧州司法裁判所が米航空会社の訴えを退けており、中国が提訴しても決定が覆る可能性は小さい。
 ETSに従わない航空会社は罰金を科され、それも拒絶すればEU域内27カ国での離着陸を拒否されるという。中国政府が今後、EUにどのような姿勢を見せるか、財政危機でEU側から中国に支援を求めている中だけに、注目される。

◎中国:企業の採用基準は星座と血液型!?(2012年1月7日、毎日新聞)
 中国で特定の星座や血液型を採用条件とする企業の行動が問題視されている。星座などによる性格や運勢判断を信じる中国人は多く、就職難の中、民間企業の採用基準を管理する仕組みがない現状も浮かび上がっている。
 「(採用は)てんびん座を優先」。週刊誌「新民週刊」最新号によると、湖北省武漢市の民間企業が昨年、求職者の星座を採用基準にしていたことが発覚。この企業の責任者は「てんびん座は仕事に真面目で友好的」と話した。
 中国でこうしたケースが明るみに出るのは初めてではなく、2010年にも物流企業が採用の際に星座や血液型を参考にしていたことが報じられた。

◎「てんびん座優先」、星座や血液型基準に人材採用、中国、企業に批判も(2012年1月7日、産経新聞)
 中国で特定の星座や血液型を採用条件とする企業の行動が問題視されている。星座などによる性格や運勢判断を信じる中国人は多く、就職難の中、民間企業の採用基準を管理する仕組みがない現状も浮かび上がっている。
 「(採用は)てんびん座を優先」。週刊誌「新民周刊」最新号によると、湖北省武漢市の民間企業が昨年、求職者の星座を採用基準にしていたことが発覚。この企業の責任者は「てんびん座は仕事にまじめで友好的」と話した。
 中国でこうしたケースが明るみに出るのは初めてではなく、2010年にも物流企業が採用の際に星座や血液型を参考にしていたことが報じられた。ある人事担当者は面接時に血液型を参考にしていると認めた。
 運勢占いなどの信仰が根強い中国では、人材登用の際に意見を聞くため占星術師を雇う企業もあるという。星座だけでなく、求職者のえとを条件にする企業も出てきているという。

◎ダライ・ラマ暗殺狙う、「中国のスパイ侵入」とインド紙報道(2012年1月7日、産経新聞)
 7日付のインド紙タイムズ・オブ・インディアによると、中国チベット自治区からのスパイが、インドに亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世(76)の暗殺を企てているとの情報があり、警察当局は警備強化に乗り出した。
 西部ムンバイの警察は、中国国籍の「タシ・プンツォク」と名乗る中国の情報機関所属とみられる人物が、インド北部ダラムサラにあるチベット亡命政府に関する情報収集とダライ・ラマ殺害のため、インドへ侵入するとの情報を入手。
 ダライ・ラマは説法などを目的にインド各地を訪問することが多い。ムンバイ警察は国内の亡命チベット人の関連組織に情報を伝えた。スパイは計6人いるとされる。
 ムンバイ警察は「ダライ・ラマがムンバイのスラムで人々と交流することもある」などとし、将来のムンバイ訪問に備え、関係機関に対策強化を指示した。

◎中国、北発表前に死去把握?特殊部隊に待機命令(2012年1月2日、読売新聞)
 北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記が死去したとされる12月17日の夜、中朝国境にある中国遼寧省丹東市で市公安局が理由を示さないまま、特殊部隊を含む職員に待機を命じる異例の指示を出していたことがわかった。
 地元消息筋が読売新聞に明らかにした。北朝鮮が総書記の死去を19日に発表する前に中国が死去を把握し、脱北者の増加などを警戒した可能性がある。
 同筋によると、18日には、遼寧省の公安当局トップの同省公安庁長が秘密裏に、丹東から対岸の北朝鮮・新義州(シンウィジュ)に渡ったという。省レベルの公安幹部の往来は異例といい、同筋は「国境の治安対策について北朝鮮側と協議する必要が生じたためではないか」と話している。




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