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 2013年3月7日








◎シチリア特別州が破綻危機か、知事辞任へ、イタリア首相懸念(2012年7月18日、産経新聞)
 イタリア首相府は17日、南部シチリア特別州がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性についてモンティ首相が懸念を示し、ロンバルド知事に対し辞意の確認を求める手紙を送ったと発表した。
 ANSA通信によると、知事は17日、辞任と州議会解散の意向をあらためて示した。7月31日に辞任する方針。
 シチリア州は税制面などで大きな自治権を持つ五つの特別州の一つだが、地元政治家が票集めのために公務員の数を増やしてきたとされ、膨張した人件費が財政を圧迫している。ANSAなどによると、2011年の債務額は50億ユーロ(約4860億円)。
 首相と知事は今月24日に会談する予定。首相府は「支援のためには州の状況を把握しなければならない」とした。

◎「神の手に導かれた」、伊の座礁事故、船長が自己弁護(2012年7月13日、朝日新聞)
 今年1月、イタリア西岸のジリオ島そばで座礁して32人が死亡・行方不明となった大型客船「コスタ・コンコルディア」のスケッティーノ船長の事故後初のインタビューが10日夜、民放局で放映された。船長は謝罪する一方で「犯罪ではなく単なる事故だ」「私も被害者だ」と自己弁護した。
 船は海底の岩に衝突した後、しばらく進んでから島のそばに横倒しになった。ANSA通信などによると、船長は衝突後すぐ避難を命じなかった理由について「水深が浅い海域に向かうことを優先した。『神の手』に導かれた。その場で止まれば沈没し、より多くの犠牲が出た」と述べた。また事故時については「操船を部下に任せていた」とした。愛人とされたモルドバ人女性と夕食を共にしていたことも認めたが、「単なる友人で、ほかの船員もいた」と述べた。
 船長は事故直後、「船に戻れ」と沿岸警備隊長から叱られた。船長は「船を放棄してはいない。救助当局と話す必要があった」と抗弁した。

◎伊首相「2、3年中止も」セリエAの八百長疑惑で批判(2012年5月30日、産経新聞)
 ANSA通信によると、イタリアのモンティ首相は29日、サッカーのイタリア1部リーグ(セリエA)で八百長疑惑が持ち上がっていることについて「2、3年間、サッカーの試合を中止した方が良いかもしれない」と強い調子で批判した。首相にはそのような権限はないため「政府の提案ではない」と断った上で述べた。
 関係者への猛省とサッカー界の浄化を促す発言とみられる。ローマで同日会談したポーランドのトゥスク首相との共同記者会見で語った。
 八百長疑惑では28日、イタリアの捜査当局がセリエAで今季優勝したユベントスのコンテ監督を捜査していることが明らかになった。また当局は八百長疑惑でラツィオ主将のマウリ選手らを逮捕した。

◎ユベントス監督に八百長疑惑、伊当局が捜査(2012年5月28日、産経新聞)
 イタリアの捜査当局は28日、サッカーのイタリア1部リーグ(セリエA)で今季優勝したユベントスのコンテ監督が、八百長にかかわった疑いがあるとして捜査していると明らかにした。以前、シエナを率いた当時に疑惑があるという。
 当局は国内リーグの八百長疑惑でラツィオのマウリ主将らを逮捕。同国代表DFクリシトも捜査対象だという。

◎イタリア南部で爆弾爆発、1人死亡、マフィアの犯行か(2012年5月20日、朝日新聞)
 イタリア南部ブリンディシの専門学校「モルビッロ・ファルコーネ」の前で19日、爆発が起き、ANSA通信などによると、女子学生1人が死亡、少なくとも7人が負傷した。爆発物が学校近くのごみ収集場所に仕掛けられていたとみられる。地元市長はマフィアの犯行の可能性を示唆した。
 この学校には、マフィア摘発に力を注ぎ、1992年に自動車爆弾で暗殺された検事の妻の名がつけられていた。夫妻の暗殺事件が20年前の5月に起きたため、この日ブリンディシではマフィア反対運動のデモ行進などが予定されていたという。

◎あの伊会社のクルーズ船、インド洋で火災、漂流(2012年2月28日、読売新聞)
 ANSA通信などによると、インド洋西部セーシェル諸島近くを航行中のイタリアの大型クルーズ船「コスタ・アレグラ」(乗客636人、乗員413人)で27日、火災が発生、火は間もなく消し止められたが、航行不能となった。
 沈没の危険はなく、乗客乗員は全員無事だが、船は漂流しており、周辺を航行中の船舶などが救助に当たっている。
 船は3万トン近くで、イタリア沖で1月に座礁した大型クルーズ船「コスタ・コンコルディア」(約11万トン)と同じコスタ・クロチエレ社が運航。同社は、乗客のほとんどが欧米人で、日本人はいないとしている。
 コスタ・アレグラの火災は機関室で起き、船内が停電したが、非常用電源で通信機器などの機能は回復したという。同船は25日にマダガスカルを出てセーシェル諸島に向かっていた。

◎伊の大型客船、今度は火災で漂流、座礁船と運航会社一緒(2012年2月28日、朝日新聞)
 イタリア沿岸警備隊は27日、同国の大型客船「コスタ・アレグラ」(約2万9千トン)がインド洋西部のセーシェル近くで火災を起こし、乗員・乗客千人以上を乗せたまま漂流していると発表した。船は1月にイタリア西岸で座礁し、死亡・不明者32人を出した「コスタ・コンコルディア」と同じ会社が運航している。
 AFP通信などが伝えた。火災は機関室の発電機付近で起き、すでに消し止められた。船はマダガスカルからセーシェルに向かっていたという。同警備隊は「船はエンジンが止まっている。連絡は取れている」としている。
 乗客636人、乗員413人にけがなどはなかった。伊メディアによると乗員・乗客のうち212人がイタリア人だという。
 近くの貨物船が救助に向かったほか、セーシェルからも救助船や航空機が向かっているという。

◎イタリアの客船座礁事故、新たに8人の遺体発見(2012年2月23日、読売新聞)
 イタリア中部沖で先月起きた大型クルーズ船「コスタ・コンコルディア号」座礁事故で、船内で22日、新たに8人の遺体が発見された。
 ANSA通信が伝えた。これで死亡が確認されたのは計25人となった。7人が今も行方不明だ。
 一方、捜査当局は同日、同船の運営会社副社長や乗員ら7人に対し、過失致死などの疑いで取り調べを始めた。スケッティーノ船長(自宅軟禁中)や1等航海士に対する取り調べも続いている。

◎伊座礁船長に禁錮2697年? 検察が書面で“求刑”(2012年2月9日、産経新聞)
 有罪なら、なんと約2700年も刑務所にいることに!? イタリアの豪華客船コスタ・コンコルディア号が座礁した事故で、同国の裁判所は7日(日本時間8日)、フランチェスコ・スケッティーノ船長(52)の自宅軟禁を継続する決定を下した。この審理に際して検察側は、船長の罪は約2700年の禁錮刑に相当するとの書面を提出している。)
 座礁事故で逃げ惑う乗客乗員らを尻目に“逃亡”していた船長への検察の目は厳しかった。
 現地からの報道などによると、イタリア中部フィレンツェの裁判所は7日に、故意による殺人などの容疑で自宅軟禁されているスケッティーノ船長の拘置所への収監を求めていた検察側の請求を棄却。同時に、弁護側が求めていた自宅軟禁からの解放請求も棄却した。これにより、当面は自宅軟禁が続くことになる。
 この審理に際し、6日に非公開で3時間以上に及ぶ船長の尋問が裁判所で行われたが、検察側からは驚きの書面が提出された。その内容はというと、船長の刑期は禁錮2697年になるというものだ。
 内訳は、▽故意による殺人罪で15年▽客船を座礁させた罪で10年▽船長が船から避難してしまった際に取り残された乗客300人に対する責任として、1人につき8年で2400年▽34人に及ぶとみられる死者に対する責任として、1人につき8年で272年−となっている。
 もちろん有罪になればという前提があるが、さらに“弱り目にたたり目”なのが、船長の“愛人”として同船に乗っていたモルドバ人女性ドムニカ・チェモルタンさん(25)との関係。
 チェモルタンさんは愛人であることを否定してきたが、イタリア各紙は2日に検察当局の事情聴取に愛人だと認めたと報道。これに追い打ちを掛けるように今週発売の同国のゴシップ週刊誌が、事故の1カ月前にフランスのリビエラの高級シーフードレストランで2人が仲むつまじくカキやカニを食べる写真を、すっぱ抜いた。伊メディアに「ひきょう者」などと罵倒されている船長の立場は悪くなる一方だ。

◎欧州、寒波で260人超死亡、ローマ26年ぶり本格的雪(2012年2月6日、朝日新聞)
 欧州各地が激しい寒波に見舞われている。中・東欧を中心に1月下旬から零下30度を下回る冷え込みが続き、AFP通信によると4日までに、旧ソ連のウクライナの122人を含め、ポーランドの45人など計260人を超す死者が報告された。26年ぶりの本格的な雪だというローマでは非常事態が宣言され、観光地も閉鎖された。
 凍死者の多くはホームレスの人たち。ウクライナでは約1600人が低体温症や凍傷で病院に運ばれ、約2千の緊急シェルターは避難者であふれかえった。チェコやルーマニア、ブルガリア、旧ユーゴスラビア諸国、バルト三国などでもホームレスの凍死が相次いでいる。
 寒波は市民生活も直撃している。ウクライナの首都キエフでは大雪の影響で物流が滞り、品薄で休業するスーパーが続出。旧ユーゴスラビアのセルビアやボスニア・ヘルツェゴビナでは、雪で交通が遮断された村々に救助隊がヘリコプターで食料や医薬品を運んだ。ブルガリアではドナウ川の一部が凍りついた。

◎東欧の寒波死者が約140人に、イタリアなどでも影響(2012年2月3日、朝日新聞)
 東欧を中心とした欧州各国で先週から続く厳しい寒波の被害は拡大し、2日までの死者が少なくとも139人に達した。
 ドイツの気象学者によると、ロシア上空にある高気圧が冷たい空気を南方に送り出していることから、寒波は来週にかけても続くとみられている。
 最も被害が大きいウクライナでは、気温が氷点下25度を下回る中、学校が休校となったほか、寒さの影響で輸送が滞っているため、首都キエフのスーパーマーケットで販売される食品に不足が生じ始めているという。
 1日以降、死者は20人増え、計63人に達した。その多くがホームレスだという。赤十字はベラルーシやウクライナでホームレス向けの臨時避難所を設置し、各国政府もそれぞれに同様の対策に乗り出している。
 寒波の被害は西欧にも及んでおり、イタリアではフィレンツェやシエナで積雪を記録。週末に荒天が予想されるローマでは、市内の学校が3日と4日に休校となった。また、ボローニャ近郊では架線の凍結で電車が立ち往生するなど、影響が広がっている。

◎“愛人”女性が船長擁護?「容疑は見当違い。英雄よ」(2012年1月24日、産経新聞)
 イタリアの豪華客船コスタ・コンコルディアが座礁した事故で、乗船名簿に載っていない不法な乗船客が多数いた可能性のあることが23日、分かった。現地メディアが報じた。事故発生後、フランチェスコ・スケッティーノ船長(52)が女性と食事中だったと伝えられているが、実はその女性も同船長の「個人的な招待客」で乗船名簿に記載がなかったという。この女性は無事だったが、同様に記載のない女性が多数事故に巻き込まれた可能性も出て来た。
 スケッティーノ船長の“愛人”と報じられたバレリーナ、ドミニカ・チョモルタンさんが23日までに、現地メディアの取材に応じ、「船長に対する容疑は全くの見当違いだ」と擁護した。チョモルタンさんによると、「スケッティーノ船長は会社(コスタ・クルーズ)でも最高の船長」と称賛し、「あらゆる手を尽くして乗客の命を救った英雄だ。乗員も皆プロらしく働き乗客を救った」と話している。さらに事故当時、船長と一緒にいたとされる点は「食堂で友人と夕食を取っていた」と“関係”を否定した。

◎料理人もあきれた、船長、事故直後に女性と夕食(2012年1月24日、産経新聞)
 イタリアの豪華客船「コスタ・コンコルディア」が座礁し11人が死亡した事故で、フランチェスコ・スケッティーノ船長(52)が、事故発生直後に船内のレストランに女性同伴で現われ、2人分の夕食を注文していたことが分かった。
 同船の料理人の証言では、事故発生から約1時間後の13日午後10時半ごろ注文。デザートまでテーブルについていた。料理人は「なぜ船長がここにいるのかと思った」とあきれている。

◎「停電が起きただけ」、事故の隠蔽図る、当局との交信で(2012年1月20日、産経新聞)
 イタリア中部沖で豪華客船コスタ・コンコルディアが座礁した事故で、イタリアの衛星テレビ、スカイTG24が19日、事故後のリボルノ港湾監督事務所と船との最初の交信内容を報道、船側は「停電が起きただけ」と繰り返し、当初は事故を隠蔽しようとしていたことがあらためて裏付けられた。
 浸水が始まってから数十分後の13日午後10時12分ごろ、港湾監督事務所側が船に連絡した。乗客の一人が家族に電話で異常を伝え、それが同事務所に伝わったとされる。「何か問題が起きたのか。救援は必要か」と尋ねる係官に、船側は「停電が起き、状況を確認中」と繰り返した。「(乗客に)救命具を着用させているというのは事実か」との質問にも「繰り返す、状況を確認中だ」と述べ、認めなかった。
 船側で電話応対したのがスケッティーノ船長(52)=過失致死容疑などで自宅軟禁=かどうかは不明。

◎女性の乗員「客室に戻って」、浸水始まっているのに、初動の不手際浮き彫り(2012年1月20日、産経新聞)
 イタリア中部沖で豪華客船コスタ・コンコルディアが座礁し11人が死亡した事故で、国営イタリア放送協会は19日、事故直後に乗員が「問題は解決した。客室にお戻りください」と呼び掛けている映像を放映した。船側の初動のまずさが再び浮き彫りになった。
 映像は既に浸水が始まっていた13日午後10時22分ごろに乗客が携帯電話で撮影。救命具を身に着けた乗客らに、女性の乗員が「船長に代わって申し上げます。電気系統のトラブルは解決したので、客室かサロンにお戻りください」と呼び掛けている。避難命令は約30分後に出た。

◎「船に戻れ」、沿岸警備隊の指示を船長は無視、保険金支払い総額は史上最高との見方も(2012年1月18日、産経新聞)
 イタリア中部沖のジリオ島付近で起きた豪華客船コスタ・コンコルディアの座礁事故で、フランチェスコ・スケッティーノ船長(52)=過失致死容疑などで逮捕=は事故直後、地沿岸警備隊の「船に戻れ」との指示に従わなかった。犠牲者はさらに増える可能性があり、事故の保険金の支払総額は史上最高になるとの見方も浮上している。船長への批判は一層強まりそうだ。
 「船に戻り、船内に何人いるか伝えろ!」
 警備隊の指示に対し、船長は「私は救命ボートで救助活動を指揮している」
 13日夜の事故発生後、沿岸警備隊は船長の携帯電話での会話を録音していた。このとき船長は多くの乗客を残し、すでに船を離れていた。
 「船で指揮をとれ! 拒否するのか」「これは命令だ!」
 警備隊の強い指示に、船長は「戻る」と一端は応じたものの、警備隊が死者が出ていることを指摘すると、船長は「何人か‥」と質問。さらに「もう暗くて何も見えないのは分かっているのか」とも弁明していた。
 「家に帰りたいのか!」警備隊は一喝したが、船長は戻らなかった。
 事故後、検察に逮捕された船長は17日、身柄を解放され、在宅のまま取り調べを受けることになった。弁護士によると、船長は多数の乗客を見捨て自ら避難したと疑いについて「数百人を救った」として船長の役目を果たしたと主張しているという。
 一方、今回の事故で保険業界が負担する保険金総額が最大で10億ドル(約770億円)に上る可能性が出てきた。1989年にアラスカ沖で発生した米エクソンモービルの原油タンカー事故の約5億ドルを上回り、海洋事故としては史上最高額となる。
 船舶の保険には乗客乗員の死傷補償や環境への影響を補償する保険と、船体の補償する保険がある。ロイター通信によると、専門家はこの事故で賠償請求が行われた場合、保険金支払総額が10億ドルになる可能性があると指摘。船に残る大量の燃料が流出して海洋汚染が深刻になれば、さらに支払額が膨れ上がるとしている。

◎救命ボート、先に乗員、ずさんな避難対応にあきれ(2012年1月18日、産経新聞)
 イタリア中部沖のジリオ島付近で13日夜に起きた豪華客船コスタ・コンコルディアの座礁事故で被害にあった日本人乗客が17日、成田空港に到着した。同船の地中海ツアーは円高で割安感があり、日本でも人気。幸いにも邦人43人は無事だったが、地元報道などによると死者は11人、不明者は24人に上る。タイタニック沈没事故から今年で100年。なぜ悲劇は繰り返されたのか。
 「見ろ、君のジリオ島だよ」。座礁事故は豪華客船のフランチェスコ・スケッティーノ船長(52)=過失致死容疑で逮捕=の一言で始まった。
 伊紙コリエレ・デラ・セラによると、船長は同島出身の給仕長に“故郷”を見せるため、同島沿岸に急接近。給仕長をデッキに呼び出し、誇らしげに島を示したという。
 給仕長は驚き、「岸に近すぎます」と諭したが、時すでに遅し。船は島から約150メートルまで近づき、船体を岩礁にぶつけた。ツアー開始初日、出港からわずか2時間半後だった。
 同国では島の沖合を通るクルーズ船が汽笛を鳴らし、住民にあいさつをする「インキーノ(お辞儀)」という風習があり、これが裏目に出たとの指摘もある。
下ろす方法知らず
 事故後の対応もずさんだった。船が傾く中、船長らは乗客に先駆け、いち早く船外に脱出。ジリオ島にいるところを沿岸警備隊の関係者に見つかった。ANSA通信によると、船長は下船後に80歳の母親に電話し「マンマ、悲劇が起きた。だけど落ち着いて。僕は乗客を救うため頑張った」などと弁明したという。
 事故が起きた時間帯、船内は夕食中。17日に成田空港に到着した東京都八王子市の男性は「浅瀬だったから助かったが、深いところだったらタイタニック号の事故と同じだ」と疲れた様子で振り返った。
 夫婦で参加した埼玉県所沢市の吉村直敏さん(71)は「救命ボートに乗ろうとしたら『いっぱいで乗れない』と断られた。別のボートには大勢のスタッフが先に乗っていた」とあきれていた。
 乗員の多くはフィリピン人などの外国人でイタリア語を話せず、乗客同様パニック状態に。避難対応した乗員は救命ボートを海に下ろす方法を知らず、たまたま乗客の中にいた元船乗りの男性に教わる一幕もあったという。
 待ちきれない人らは海に飛び込み、この際に水死したとみられている。

・料金は1人18万円
 ツアーは7泊8日の日程で地中海沿岸を一周。ほぼ毎日、主要都市に寄港し、乗客が下船して観光に出られる。日本の旅行代理店によると、同船を運航させるイタリアの会社のツアーは比較的料金が安い。冬場のオフシーズンはさらに料金が下がり、日本からの参加費は航空券代込みで1人18万3000円から。最近では新婚旅行のカップルら若手にも人気で、100人以上が参加するツアーもあったという。
 同船の乗客定員は3780人、乗組員は約1100人で、日本人の世話係も乗船。全長は約290メートルで、縦にすれば、日本最大級の複合ビル「横浜ランドマークタワー」(296メートル)に匹敵する。船内にはプールやカジノ、ディスコなどの娯楽設備を備え、毎晩ミュージカルが上演されるなどイベントも目白押し。「ラスベガスの豪華ホテルが海上を動いているようなもの」(代理店)だった。
 同代理店によると、3月末までに約300件の予約が入っていたが、運航停止により2月分は全てキャンセル。「3月分も再開は難しい」と話している。

・コスタ・コンコルディア
 イタリアのコスタ・クロチエレ社が2006年に就航。11万4500トン。客室総数は1500。同社が保有する15隻の客船でも最大級。総面積2000平方メートルの2つのデッキを備え、「海に浮かぶ宮殿」(同社)と称される。

◎「船を離れた、沈みそうだから」と携帯で伊船長(2012年1月18日、読売新聞)
 イタリア中部ジリオ島沖で大型クルーズ船「コスタ・コンコルディア号」が座礁、浸水した事故は、通常航路を大きく外れて同島に異常接近した際に起き、17日までに11人が死亡、多数が行方不明となっている。
 日本人乗客43人も命からがら難を逃れた。危険な航路を選び、避難誘導よりも自身の脱出を優先させたフランチェスコ・スケッティーノ船長(52)による悪質な「人災」の疑いが濃厚になってきた。

・救助放棄?
 「船を離れた。船が沈みそうだから」。伊メディアによると、同船長は、ほぼ横倒しとなった船を望む島の岩場から、港湾当局者に携帯電話で話していた。事故発生から、わずか約3時間後のことで、船内では乗客多数が救助を待っていた。
 港湾当局の係員が「船に戻ってほしい」「家に帰りたいとでもいうのか」などと迫ると、船長は「大丈夫だ。戻る」と答えていたが、船に戻ることはなかった。
 これに先立ち、船内では衝突時、「ドスン」というごう音が響き、地震のような衝撃が伝わった。レストランの食器が床に落ちて散乱し、停電も起きた。船員は衝撃の直後、機関室に大量の海水が流入した事実を船長に報告していたという。
 ところが、船長は当初、港湾当局と電話で何度も会話しながら、「技術的な問題にすぎない」「停電にすぎない」などと、重大事故の発生を隠そうとするかのような連絡に終始していた。
 乗客らの証言によると、乗員たちも「電気系統のトラブルにすぎない」「船は安全だ」などと繰り返した。船長が乗客らに脱出指示を出したのは事故発生から約1時間後。すでに、船体の傾斜は約20度に達していた。
 初動の遅れは乗客約3200人にパニックをもたらした。救命ボートを下ろす作業が遅れ、待ちきれず海に飛び込む乗客もいた。統率のとれた避難誘導はなく、船体が時間とともに傾く中、一部乗客は船内に取り残され、ヘリコプターで脱出する事態となった。

・事故原因
 地元検察当局は14日、船長を過失致死や、救助作業の途中に船を離れた疑いで拘束し、取り調べを始めた。船長が海外逃亡を考えていた疑いもあるという。
 島に異常接近した理由について伊メディアは、船長が乗員に郷里の島を見せるためだったと伝えている。事故直前、船長室に呼び出された同島出身のウエーター長は「もうすぐ島ですね」と船長らと話したという。
 船長は事故後、「海図にない暗礁があった」と主張したが、この暗礁が海図に記載されていたことも後に確認された。コスタ・クロチエレ社は、船長の「人為的なミス」だと認めている。

・捜索作業
 現在、船内では客室の家具などが通路に散乱し、ダイバーによる捜索を阻んでいる。ただ、船体構造が複雑な分、空気が残る空間に生存者が取り残されている可能性もあるため、懸命の捜索が続けられている。
 船体は現在、約半分が海面下に沈み、水深約35メートルの海底に横たわった形で安定しているようにみえるが、波が荒れるたびに大きく揺れる。すぐ近くには、一気に深くなる場所もあり、天候次第で船が沈む恐れも指摘される。
 船は地中海周遊に出発した直後だったため、燃料約2300トンを積んだままだ。今後、流出すれば、リゾート地として知られる同島一帯が汚染される。
 船の建造には4億5000万ユーロ(約440億円)かかっている。ロイター通信は、損失額が10億ドル(約770億円)に達し、保険会社の負担も海難事故史上最高額となる可能性を伝えた。

・コスタ・コンコルディア号
 イタリア北部ジェノバに本社があるコスタ・クロチエレ社が運航する豪華客船(11万4500トン、全長約290メートル)。約1500の船室、五つのレストラン、四つのプール、13のバーなどを備える。
 13日午後7時頃、乗客約3200人、乗員約1000人を乗せ、地中海周遊のため、伊中部チビタベッキアを出港し、北部サボナに向かった。同9時半頃、中部ジリオ島の約150メートル沖で暗礁に衝突。船体は徐々に傾き始めた。脱出命令が出たのは同10時半頃とされる。船体は14日未明には横倒しになった。

◎マフィア不況知らず、GDPの7%稼ぐ、病院や老人ホーム経営にも乗り出す(2012年1月11日、スポーツニッポン)
 イタリアの商業、サービス部門などの業界団体「コンフェセルチェンティ」は10日、同国でマフィアなど犯罪組織の2010年の総収入が約1400億ユーロ(約14兆円)に上ったとの報告書を発表した。経費を除いた利益は約1000億ユーロで、同国の国内総生産(GDP)の約7%に相当するという。
 報告書は「経済危機の中で株式会社『マフィア』は(イタリアで)唯一、投資力のある企業体だ」と指摘。銀行預金などの流動資産は計約650億ユーロとしている。
 収入の内訳は麻薬取引がトップで約650億ユーロ。高利貸(160億ユーロ)、産業廃棄物などの不法処理(135億ユーロ)が続いた。最近は病院や老人ホーム、障害者施設などの経営にも乗り出しているという。
 同団体は犯罪組織による企業恐喝などに抵抗し、組織の実態を告発する報告書を毎年発表している。イタリアの犯罪組織は、南部シチリア州のマフィアや同カンパニア州のカモッラなどが知られている。

◎イタリア:国会議員の平均総収入160万円超、政権が発表(2012年1月4日、毎日新聞)
 イタリアのモンティ政権は3日、国会議員の平均総収入を発表した。月収は諸手当を含め1万6000ユーロ(約160万円)超で、欧州では常識外れに高い。債務危機に対する緊縮策で年金受給年齢の引き上げや増税などを強いられる国民の間では、政治家への嫌悪が高まっており、政治運営費の削減に取り組む姿勢を打ち出した形だ。
 政府の調査委員会報告によると、議員の平均歳費は月1万1300ユーロ(約113万円)。130万円を超す日本の議員には及ばないが、フランスの約6割、ドイツの約5割も多く、スペインの4倍に当たる。住宅手当約35万円、交通費13万円など諸手当を加えると160万円を超え、総額では仏独より2〜3割多く、スペインの3.4倍となる。
 イタリアの上下院議員数は945人で、人口が36%多いドイツの691人、8%多いフランスの920人より多い。英国は欧州で飛び抜けて多い1437人だが、歳費はイタリアのほぼ半額だ。
 イタリアではこれまでの緊縮策で、9億9300万ユーロに上る下院の年間運営費は据え置かれ、大幅な削減はまだない。
 ローマの国立デモポリス研究所の昨年11月の世論調査(1004人対象)では、国会への信頼度は08年の28%から16%に下落している。政治家への国民の嫌悪を反映して「議員数、報酬を大幅に減らし、任期も最長2期10年まで」と国民投票での法改正を求める政治活動家ベッペ・グリッロ氏への支持が高まっている。
 しかし、制度を変えるのは議員たち自身だ。今回のモンティ政権の発表はそうした議員をけん制する狙いがある。

◎イタリア便り、常識外れの議員年金(2011年12月4日、産経新聞)
 累積する赤字国債の重みに押し潰されたイタリアでは経済学者らテクノクラート(実務家)で構成されるモンティ内閣が発足した。
 これに呼応するように、11月下旬、フィーニ下院議長が「政治費用を削減する手始めとして元議員への年金を廃止しよう」と発言して衝撃を与えた。イタリアの上下国会議員の歳費は、欧州一の高さといわれているが、元議員への年金も常識外れだ。
 1996年に改正された現行法によると、65歳になると、5年間、国会議員を務めた者は毎月2300ユーロ(約24万円)、10年議員は4800ユーロ。15年議員は7000ユーロ強の終身年金をもらうことになっている。
 現在、年金を受け取っている元議員の人数は2238人となり、彼らに毎年支出される年金総額は、2億1300万ユーロ(約221億円)の巨額に上る。
 現行法改正前の年金受給開始年齢と年金額はもっと寛大で、例えば、先月に満60歳を迎えた元ポルノ女優で議員を1期務めたチチョリーナ女史は今後一生、毎月3000ユーロをもらう。
 ドイツの国会議員は5年務めて毎月930ユーロ、英国議員は500ユーロ以下だという。
 長年甘い汁に慣れてきた国会議員が下院議長の提案を容易に受け入れるとは思えない。

◎欧州の国債続落、イタリア7.1%、スペイン6.8%(2011年11月24日、朝日新聞)
 24日の欧州債券市場では国債が売られ、価格下落(金利上昇)が止まらない。財政不安を抱える国ではイタリアの金利が年7.1%台になり、スペインも年6.8%近くに上がって「危険水準」の7%に近づいた。財政が安定しているドイツ国債まで売られた。
 最も多く発行されている10年物国債の流通利回り(満期10年の国債金利)は、イタリアが一時、前日より0.1%幅、スペインが同0.1%幅上がった。ベルギーも同0.2%幅高い年5.7%をつけ、記録が確認できる2008年以降の最高値になった。
 前日、新たに発行する国債の入札が「札割れ」となったドイツ国債は同0.1%幅高い年2.2%前後をつけ、約20日ぶりの高値水準になった。フランス国債は年3.7%だった。

◎格差広がるイタリア、住まい失い空き家を不法占拠(2011年11月17日、産経新聞)
 モンティ首相率いるテクノクラート内閣が発足したイタリア。3年前の金融危機後、失業が拡大し、家賃やローンを払えないため住宅を追い出された家族が空き家を不法占拠するケースが急増している。欧州では今後、資本増強を迫られる銀行が貸しはがしや貸し渋りに走り、景気が一段と冷え込む事態が懸念される。モンティ氏は社会的弱者の痛みを和らげようと富裕層への増税を視野に入れるが、既存政党の抵抗は激しい。
 ローマ中心部の新アッピア通り。閉鎖された映画館兼集合住宅ビルを訪れると階段の入り口が鉄パイプで閉ざされていた。携帯電話で連絡して“入居者”に解錠してもらわないと中には入れない。
 約1年半前から同ビルの空き室14部屋を19世帯が不法占拠して暮らしている。本来の所有者はショッピングセンターを建てるため同ビルの取り壊しを計画しており、“入居者”は警察にいつ強制退去させられるかわからない。行き場所がない彼らは出入り口すべてを鉄格子で封鎖、籠城生活を送っている。
 両親が亡くなり、月1200ユーロの家賃が支払えなくなって不法占拠ビルに引っ越してきたロベルト・カッペロ氏(73)。同じように身寄りのない高齢者2人と共同生活を送る。
 「月600ユーロの年金をもらっているが、食料・光熱費だけで500ユーロ。市に援助を求めても何もしてくれなかった。モンティ首相による財政再建で年金がどうなるかを考えると不安になる」と漏らす。
 定職を失い、不定期の引っ越しを手伝って生計を立てるマルコ・セッド氏(38)は妻と子の3人暮らし。室内には見事な調度品がそろう。「私たちの生活からは想像もできないような高価な家具が引っ越しのたび捨てられている。家に持ち帰り、修理して使っているよ」と格差が拡大している現実を指摘した。
 1990年代から低成長が続く同国では世界金融危機の影響を受け、国内総生産(GDP)の成長率は2009年にマイナス5.1%まで落ち込んだ。07年には6.2%だった失業率も8.3%に上昇している。
 不法占拠を斡旋する市民団体「アクション」のパオロ・アルミロッタ氏(44)は「不法だが、憲法によって基本的人権は保障されている。当局にはオカネも救済する政治的意思もないため、生きるには不法占拠しか道がない」と語る。ローマだけで不法占拠は2千世帯にのぼるという。
 イタリアでは1980年代半ばまで賃貸住宅の家賃には上限が設けられていたが、自由化されて高騰。持ち家率が約8割と高いこともあって、低所得者向けの公共住宅供給は後回しにされてきた。国立統計局(ISTAT)によると、1世帯2人の消費額が月1千ユーロという貧困ラインをはさんで貧富の格差が拡大している。
 モンティ首相が財政再建を進める上でカギとなるのが社会的公平さ。富裕層に対する資産税を強化して財源を確保したいが、ベルルスコーニ前政権の与党「自由国民」は激しく抵抗している。

◎反格差デモ、シカゴで175人逮捕(2011年10月17日、読売新聞)
 ローマ中心部で15日、「格差是正」を求めるデモ隊の一部が暴徒化して警察官と衝突し、70人以上が負傷した。
 インターネットを通じた「一斉行動の日」の呼びかけに呼応したデモは、ポルトガルやスペインなど欧州各国に広がった。米ニューヨークの繁華街でも同日、反格差デモが行われ、AP通信によると、16日未明までに80人以上が逮捕され、警官2人が負傷した。シカゴでは175人が逮捕された。
 ローマのデモは当初、平和的に繰り広げられたが、途中から覆面姿の過激派メンバーが加わり、ハンマーなどで銀行や店舗の窓ガラスを割ったり、車に放火したりして様相が一変。警官隊が暴徒に向け催涙弾などを発射して鎮圧を図り、観光客らでにぎわうローマ中心部は騒然とした雰囲気に包まれた。
 伊メディアによると、デモには労組、若者グループなどが参加し、地方からも貸し切りバスで首都に結集、数万人が参加した。

◎ローマの反格差デモ、負傷者70人に(2011年10月16日、産経新聞)
 ローマで15日に行われた反格差社会デモに紛れ込んだ過激派グループと警官隊との衝突は同日夜までに収束した。地元メディアによると、衝突の負傷者は警官や過激派メンバー、取材中のカメラマンら約70人に上った。
 同グループは「ブラック・ブロック」と呼ばれる無政府主義系の集団で、大規模デモのたびに過激な行動で騒ぎを起こすことで知られる。
 今回も駐車中の車に放火したのを皮切りに、商店の窓を割ったり、投石するなどして警官隊と衝突。けが人の中にはブラック・ブロックの暴走を止めようとした一般のデモ参加者もいた。
 イタリアのベルルスコーニ首相は「無法者のグループによる暴力行為は非難、処罰されなければならない」との声明を出した。

◎ローマのデモ、過激派加わり暴徒化、負傷多数(2011年10月16日、読売新聞)
 米ニューヨーク・ウォール街で続く「格差是正」を求める若者らのデモに呼応した15日のイタリア・ローマの大規模デモは、途中から加わった数百人の過激派メンバーが暴徒化し、70人以上が負傷、うち3人が重傷を負う騒ぎとなった。
 伊メディアなどによると、この日のローマのデモには数万人が参加した。当初は街の中心部で平和的なデモが繰り広げられたが、覆面姿の過激派たちが現れ、ハンマーなどで銀行や店舗の窓ガラスをたたき割ったり、車数台に放火するなどして様相が一変。投石などを続けた過激派に、警官隊が催涙弾などで応じ、観光客らでにぎわうローマ中心部は一気に騒然とした雰囲気に包まれた。
 放火された車両の火災が一部建物に延焼したほか、騒動を受けて駆けつけた警察車両も投石や放火の被害にあった。平和的デモを行っていた市民が、暴力行為を続ける過激派に激しく抗議する場面もあった。

◎イタリア便り、年金長者(2011年10月9日、産経新聞)
 日本でも最近、月額70万円をもらう元東電社員の高額年金が話題になったが、国民年金と厚生年金だけの元サラリーマンらと、企業年金制度のある優良企業の元社員の月額年金の差は倍以上もある。
 年金制度が日本より発達していると考えられているイタリアでも同じで、勤務した職種、掛け金総額と支払い年数によって退職後の年金受給額の差は非常に大きい。イタリアの一般労働者の平均年金受給額は年額1万7190ユーロ(約176万円)で決して高くない。
 だが、最近の管理職組合(日本と違って管理職にも組合が存在する)の発表によると、富裕層と見なされる年収9万ユーロ(約923万円)以上の年金受給者は14万人もいるという。
 イタリアでは年金にも普通の税率で課税されるものの、死ぬまで月額約76万円をもらう年金長者が現時点でさえ、14万人もいるとは驚かざるをえない。
 高額年金受給者は、特別な年金制度を持つ国会議員、司法関係者、イタリア銀行行員などに多いほか、本業および兼業からの複数の年金受給者に多い。例えば最高の部類に属す旧社会党のアマート元首相の年金は月額2万2千ユーロ(約225万円)だ。
 老後の安定した生活を保障する年金に大きな格差がある国は三流国である。

◎乱交断られ激怒? ルームメート殺人事件で米女性に逆転無罪(2011年10月4日、産経新聞)
 イタリア中部ペルージャで2007年、英国人留学生でルームメートだった性=当時(21)=をナイフで刺殺したとして殺人罪に問われ、一審で禁錮26年の判決を受けた米国人女性アマンダ・ノックス被告(24)と元交際相手のイタリア人男性(一審は同25年)に対し、ペルージャの高裁は3日、無罪を言い渡した。
 ノックス被告が大麻吸引の上、乱交に加わるのを拒んだため女性を殺害したとされた事件の異常性に加え、米国での支援活動などにより、判決の行方は欧米メディアの大きな関心を呼んでいた。
 凶器とされたナイフから採取されたDNAが2人のものと一致したとする警察の鑑定結果の信頼性を、弁護側の鑑定人が覆したことが無罪につながった。
 留学生だったノックス被告は07年11月、元交際相手らと女性を乱交に誘ったが断られて激怒、のどをナイフで切って殺害したとして起訴された。

◎イタリア便り、消費税率引き上げ(2011年9月25日、産経新聞)
 9月17日より、イタリア政府は財政赤字削減策で、これまで20%の消費税が掛かっていたカテゴリーに対し、税率を1%引き上げた。一方で、10%および4%の税率のカテゴリーのものは据え置きとした。4%のものとはパン、パスタ、牛乳、食用油、果物や野菜など日常生活に必要な食料品と1軒目の自宅の購入費が含まれる。また、10%のカテゴリーには肉や魚、2軒目の自宅の購入費、電気・ガス料金、飲食店代金、映画館・劇場・競技場入場料などが入る。ちなみに医療費は0%だ。
 今回1%引き上げられた主な項目は、高級食品、各種飲料、ガソリン、衣料品、靴類、化粧品類、電気製品、自動車の購入代金や、電話料金、パーマ・理髪代、弁護士・税理士への謝礼などである。
 生活必需品を据え置きとした今回の消費税率引き上げの家計への影響は、左翼系調査機関の調査で、年92ユーロ(約1万円)の負担増。消費者関係団体は同385ユーロ増と算出し、予測にはかなりの相違がある。
 とはいえ、北欧の福祉国家スウェーデンやデンマークの25%と比べ、イタリアの消費税率は、欧州連合(EU)内では極めて高い数字とはいえない。また、「国を救うための消費税引き上げは、選挙での得票数の減少につながる」と考える有権者も政治家もいない。

◎「地震予知はずした」と、専門家の刑事裁判(2011年9月21日、読売新聞)
 309人が死亡した2009年4月のイタリア中部ラクイラ震災で、前兆とみられる微震が続いたのに、住民への適切な警告を怠ったとして、過失致死罪などに問われた地震予知の専門家ら7人に対する初公判が20日、ラクイラの裁判所で開かれた。
 地震予知のあり方を問う異例の刑事裁判で、公判の是非を巡る議論も沸騰している。
 伊メディアによると、被告は伊政府防災委員会に属した専門家6人と政府担当者1人。被告らは地震発生の6日前、群発地震について「(地殻)エネルギーが継続的に放出されており、好ましい状況だ」との見解を示すなど、不十分な情報しか伝えなかったとされる。

◎政府専用機に売春婦乗せる?伊首相に疑惑浮上(2011年9月18日、スポーツニッポン)
 17日付イタリア各紙は南部バリの検察当局からリークされたとみられる08〜09年のベルルスコーニ首相の電話の盗聴記録を一斉に報道した。この中で首相が売春婦を政府専用機に乗せていたとの疑惑が浮上。野党は一斉に説明と辞任を要求する声を上げた。
 共同電によると、首相に売春婦をあっせんしていたとされるビジネスマンとの08年11月26日の会話で、首相は急きょ公務で政府専用機に乗ってローマから北部ミラノに行かなくてはならないと告げた。ビジネスマンが一緒にいた売春婦とみられる女性らと専用機に同乗できるか尋ねると、首相は「来たいのなら大丈夫だ」と答えた。このビジネスマンは首相を恐喝していた容疑で南部ナポリの検察に今月1日に逮捕された。

◎英国人女子大生殺人、DNA鑑定却下で美人ルームメートに逆転無罪の可能性(2011年9月17日、産経新聞)
 法廷で、惨殺者の罪を負わされた「天使の容貌」の表情が思わず緩んた。それは、長期の拘置所暮らしに終止符を打つことが間近に迫っていることを実感する安堵の笑みでもあった。2007年、イタリアで発生した英国人女子大生殺人事件で、殺人罪に問われた元ルームメートの米国人女子大生、アマンダ・ノックス被告(24)と、その元交際相手でイタリア人のラファエル・ソレシト被告(26)の控訴審が9月上旬に開かれ、裁判長は、検察側が要求した再DNA鑑定を退けた。「乱交ゲームの末の犯行」として、第一審で両被告の有罪の決め手となった唯一とも言える重要証拠の信用性を覆す判断といえ、両被告の逆転無罪の可能性がいよいよ現実味を帯びてきた。
 ドラッグ、セックス、殺人、そしてうら若き女性…。映画やドラマを地でゆくようなミステリアスな事件は、発生直後から現場のイタリア、被害者の地元、英国、ノックス被告の出身国、米国の社会で大きな注目を浴びた。ゴシップ紙は格好のネタに食らいつき、関係者が記した暴露本が相次いで出版され、有名女優が「天使の容貌」とあだ名がついたノックス被告を演じるドキュメンタリー映画も制作された。
 欧米の狂想曲は今も続いており、早くも逆転無罪判決後の事態を想定して、100万ドルのオファーでノックス被告の独占インタビューを放送しようとする米国メディアの獲得合戦もうわさされている。
 複雑な経緯をたどった事件を改めて振り返りたい。
 07年夏、ロンドン郊外に住む大学生、メレディス・ケルヒャーさんが留学でペルージャにやってきた。同じ大学で出会った米シアトル出身のノックス被告と意気投合し、共同で部屋を借り一緒に住み始めた。
 ところがまもなく、悲劇が訪れる。11月、警察官が自宅近くの庭で拾われた携帯電話を届けようと、ケルヒャーさんの部屋を訪れたとき、変わり果てた無残な姿を発見したのだ。ケルヒャーさんは半裸姿のまま、のどをかっ切られて息絶えていた。司法解剖の結果、性的暴行も受けていたことも判明。現場近くには薬物取引で悪名高い駐車場があり、地元警察は当初、薬物中毒者がケルヒャーさんを襲ったとふんだ。
 しばらくして事件は急展開を迎え、大騒動となった。現場検証にも立ち会ったノックス被告とソレシト被告が逮捕されたのである。ケルヒャーさんの下着の一部にソレシト被告のDNAが付着していたことが、警察側の鑑定で判明。さらに、ソレシト被告の自宅から発見されたナイフに、ノックス被告とケルヒャーさんのDNAが付着していたとする鑑定結果も出て、この2つの証拠を逮捕の大きな決め手とした。
 ノックス被告のあいまいな供述も疑惑を深めた。事件当時のアリバイはその都度、内容が変わり、ノックス被告が「殺人者」と名指しした嘘の供述により、一時、無実の男性が拘束されてしまった。結局、両被告は別の場所で一緒に大麻を吸っていたことを認め、弁護側は「大麻で当時のことは記憶がぼやけている」という弁護方針を立てた。
 また、現場の状況から第三者の殺人犯がいたことがわかっており、ノックス被告の顔見知りのコートジボワール人、ルディ・グエデ被告が逮捕された。現場にケルヒャーさんの血液がついた指紋が採取され、グエデ被告は、懲役16年の実刑判決を受けた。グエデ被告が、ノックス被告ら2人に「はめられた」と供述したこともノックス被告らの犯行説を後押しした。
 09年12月、2年間に及んだ審理の末、イタリア・ペルージャ地裁の陪審団はノックス被告に禁固26年、ソレシト被告に同25年の有罪判決を言い渡した。
 しかし、第一審判決は謎を深めただけだった。検察側は3人のうち実行犯を特定できず、手持ちの資料が状況証拠でしかないことを認めた。科学捜査の専門家は検察側があげた数々の証拠を論破。洪水のようにメディアに流れたノックス被告への中傷報道が、陪審団の判断に大きな影響を与えたとも指摘された。
 昨年11月から控訴審が開始。裁判長は、ローマの独立科学捜査機関で再DNA鑑定をするよう命じた。その結果、独立機関は、検察側の鑑定は証拠能力として著しく信頼性を欠いていることを報告。第一審で採用された証拠の大半は国際基準に達しておらず、現場に残された組織片は汚染され劣化していたり、DNA鑑定の量があまりにも少ないなどが理由とされた。
 検察側がこれに反論し、新たな技術を用いて再鑑定を行いたいと裁判長に申し入れたが、9月上旬の公判で、却下された。AP通信はこの決定について「検察側への打撃」とし、明らかな動機や決定的な目撃証言がない中で、「殺人罪の有罪判決を覆すことを目指すノックス被告にとって、前向きな動きだ」と指摘した。
 米ABC放送に対しインタビューに応じた事件の担当検察官は、逆転無罪の可能性について言及し、「私は彼らの有罪を十分に確信しているけれども、今日の(再鑑定却下)決定は、彼らが釈放されるという可能性がさらに増したということを人々に印象づける恐れがある」と話した。
 異国の地での拘置所暮らしから解放される兆しが見えたことに、ノックス被告は安堵感を抱いた。地元紙のインタビューで、「とうとう私のことを信じてくれた。11月末の感謝祭の日まで、実家に帰れることを期待している。第一審の間は、証言台に立つのが怖かった。あの夜に起こったこととはまったく関係ないと私が説明しようと、証言したり泣いたりしたときも、敵対的な雰囲気だった。それが今はまったく変わった」と答えた。
 もし、ノックス被告の嫌疑が晴れ、釈放されたのならイタリアの法律では50万ユーロの補償金が支払われるという。控訴審は今月末にも、結審すると地元メディアは報じている。
 事件の真相を取材してきたジャーナリスト、カンダンス・デンプシー氏はノックス被告のシアトルの地元紙でこう指摘している。
 「イタリアの法律はもし、十分な証拠がなければ裁判所に無罪判決を言い渡すことを定めている。証拠の基準は、合理的な疑いの範囲を超えている。イタリア人は科学に信を置くべきだと指摘したい。別の観点から強硬に主張を続けることは無礼なことだ」
 DNA鑑定の信頼性をめぐる今回の裁判の行方は、各国の科学捜査のあり方にも大きな影響を与えそうだ。

◎イタリアの人口600人の村、“独立”を表明(2011年9月16日、読売新聞)
 イタリア中部の山村が、国の緊縮財政策の一環として小村廃止が浮上したことに反発、「独立」と「独自通貨導入」を目指す方針を表明した。
 国の補助金削減や増税、歳出削減を押しつけられることへの反発もあり、ベルルスコーニ政権の財政再建をめぐる議論に一石を投じている。
 「イタリアから離脱し、公国になる」。ローマの東約70キロ、フィレティーノ村のルーカ・セッラーリ村長(45)は訴える。山手線の内側より2割ほど広い78平方キロに600人弱が住む。
 伊政府は8月中旬、全国の約2000の人口1000人未満の村を統合し、補助金を減らす案を示した。村長は耳を疑い、「小村独自の文化や方言が絶える。認められない」と「独立方針」を表明した。
 リゾート地の村は、冬休み中なら5000人超のスキー客らが定宿を取る観光名所。水や森林資源もあり、「独立しても財源はある」と計算できた。
 村は独立後の君主を探して旧伊王家の子孫に接触。独立後の新通貨「フィオリート(『花盛りの』の意味)」の試作も始めた。

◎イタリア:自国の国債購入を中国に打診、英FT紙報道(2011年9月13日、毎日新聞)
 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は12日、イタリア政府が中国に「大規模な」イタリア国債の購入を打診したと報じた。複数のイタリア当局者の話として伝えた。
 中国の政府系投資ファンド「中国投資」の楼継偉会長が先週、代表団を率いてローマを訪問し、トレモンティ経済・財務相と会談したほか、イタリア当局者らも2週間前に北京を訪れ、中国投資の関係者らと会談。イタリア当局者は、さらに踏み込んだ交渉が近く行われる見通しだと話しているという。

◎イタリア観光業界、1.5兆円税逃れ(2011年8月20日、読売新聞)
 イタリアの観光業界が今年、税務当局に申告しなかった収入は約360億ユーロ(約3兆9600億円)にのぼり、約135億ユーロ(約1兆4900億円)の税金が国庫に入らなくなるとの調査結果を、伊北部ミラノの民間調査研究機関が19日発表した。
 この額は、深刻な財政赤字に悩むイタリア政府が12日に閣議決定した、2012〜13年の赤字削減目標である455億ユーロのほぼ3割に相当する。
 調査結果によると、申告漏れが多いのは、小規模ホテルや民宿、飲食店などの個人事業者。特に、南部や、観光客の多い島部では約35%の業者が税金逃れをしている、という。
 政府は、455億ユーロの赤字を削減するため増税と歳出削減を行う一方、脱税には厳正に対処する方針を示している。

◎イタリアに流入の難民、4万8千人超える(2011年8月16日、読売新聞)
 イタリアのマローニ内相は15日、北アフリカで1月から続く政情不安で、イタリアに流入した難民が7月末までに4万8000人を超えたと発表した。
 チュニジアから2万4769人、リビアから2万3267人が、主に海上から流入した。チュニジア人を中心に1万3667人はすでに本国に帰還しており、イタリア政府は、年末までにさらに1万7000人を帰還させたい意向だ。
 ただ、内戦状態のリビアからは、先週末にも約2000人がイタリア南部ランペドゥーザ島に到着するなど、流入が止まっていない。内相は、リビアから流入するうちの4割近くは正式な難民認定を受け、強制送還の対象にはならないとの見通しを示した。

◎伊首相買春事件の少女が妊娠告白(2011年7月18日、産経新聞)
 イタリアのベルルスコーニ首相の未成年者買春事件で、首相の買春相手だったとされるモロッコ出身のダンサー、カリマ・エル・マフルーグさん(18)が妊娠していることが明らかになった。イタリアの週刊誌「Chi(キ)」とのインタビューでみずから告白した。胎児は男児で、父親は首相ではなくボーイフレンドだという。
 AFP通信によると、マフルーグさんはインタビューに対し、「今年12月に母親になる」と述べた上、ボーイフレンドは「ルカ・リッツォ」との名前であることを明らかにした。「イタリアで出産した後、わたしたちは結婚して、海外に行って暮らす」と述べた。
 マフルーグさんをめぐっては、首相が昨年2月、自宅に招いた際に金を払って性的な関係を持ったとの疑惑が浮上。首相もマフルーグさんも否定しているが、首相は未成年者買春の罪で起訴されている。首相はマフルーグさんが窃盗容疑で逮捕された際に警察官に釈放するよう働きかけたとする権力乱用の罪にも問われている。

◎元経営陣に禁錮20年求刑、2千人以上死亡のアスベスト災害でイタリア検察(2011年7月5日、産経新聞)
 スイスの建材製造会社の子会社がイタリア国内で操業していた工場の労働者や工場近くの住民ら2千人以上が死亡したとされるアスベスト(石綿)災害をめぐり、イタリア北部トリノ地裁で開かれた公判で、検察側は4日、環境破壊と労働安全順守義務違反の罪に問われた元経営陣2人に対し、禁錮20年を求刑した。
 地元メディアが伝えた。被害者団体によると、判決は年内に言い渡される見通し。
 同事件では1950年代から現在に至るまで死者が出ており、刑事裁判になった石綿被害で世界最大級とされる。北部カザーレモンフェラート市など国内4工場の元作業員や住民、その遺族ら5千人以上が検察当局に告訴し、2009年12月から公判が始まった。

◎イタリア便り、「尼僧」は絶滅危惧種?(2011年6月5日、産経新聞)
 世界中で人々の信仰心が薄れているといわれる昨今、神に一生をささげるためカトリック修道女を志願する女性の数が激減しているという。
 特に欧州方面の志願者の減少が目立つ。そう遠くない将来に、往年の名画「尼僧物語」でオードリー・ヘプバーンが主人公役を演じたような白人修道女はいなくなるかもしれない。一方でアフリカやアジア出身の修道女が急増しているのも事実だ。
 修道女には2つのタイプがある。まず、外部社会との接触を完全に断ち切って修道院に籠もり、「祈りと自活のための労働」に一生、従事する女性と、修道院で祈りを中心とする生活をしながら、学校や病院などで外部との接触を保ちながら、教育・看護・慈善活動に従事する女性がいる。
 イタリアには現在約9万人の修道女がいて、このうち約8%の約7千人だけが全国500カ所以上の女子修道院に籠もり、祈りと自活のための仕事に従事している。その半数は平均年齢60歳を超え、女子修道院の中には後継者不足で閉鎖の危機に直面している所も珍しくない。
 あなた、お酒に酔った勢いで、ハムレット気取りで、彼女に「尼寺に入ってしまえ」などと言わない方がいいですよ。両手を広げて迎えてくれる女子修道院がたくさんあるのですから。

◎伊首相、また「お手盛り法」、裁判期間短縮など下院可決(2011年4月14日、朝日新聞)
 イタリア下院は13日夜、裁判期間と時効を短縮させることを柱とする「司法改革法案」を賛成多数で可決した。贈収賄や児童買春事件の裁判を抱えるベルルスコーニ首相にとって、有利に働く与党主導の「お手盛り法」の一つ。
 与党が圧倒的多数の上院も近く可決が濃厚。ただ、ナポリターノ大統領が署名を拒否すれば施行されない。憲法裁判所が違憲判決を出す可能性もある。
 下院で可決した法案は、三審制のイタリアで、それぞれの結審までの期限を設け、それを超すと裁判自体が消滅する仕組みを導入。法廷戦術を駆使して裁判を引き延ばせば、実質的に罪に問われないことになる。時効も一部短縮。経済犯罪も、下級審で結審せずに3年以上経過した場合裁判が消滅するとした。
 テロやマフィアがからむ社会的重罪を除き、原則すべての裁判を対象としている。このため施行以前に始まっている裁判にも適用されて、首相の収賄事件などは対象になるとみられている。アルファーノ司法相は「係争中の0.2%に影響するものに過ぎない」と強調するが、一方で、司法最高評議会は国内の裁判の最大4割が消滅すると予測しており、大赦法の色彩が強いとの見方もある。
 首相はこれまで、自身を訴追の対象外とする「免責法」や、公務を理由に出廷を免除される「特権法」を作り、裁判を引き延ばして時効による無罪を勝ち取ってきた。しかし、いずれの法律も違憲判決を受け、最近の裁判には出廷せざるを得なくなっていた。

◎ベルルスコーニ首相、少女買春事件初公判を欠席(2011年4月7日、朝日新聞)
 イタリアのベルルスコーニ首相(74)が6日、ミラノ地裁であった自身の少女買春事件の初公判に「公務の都合」で欠席した。次回の期日を5月31日とだけ決めて5分で終了。実質的な審理を5月26日に予定される主要国首脳会議(G8)後にすることに成功し、世界中から好奇の目にさらされる事態を免れた。
 これまで贈賄罪などで何度も訴追されてきた首相は「免責法」や「特権法」を成立させ、事件を時効に持ち込むなどして数々の無罪判決を勝ち取ってきた。だが、免責法も特権法も違憲判決を受け、今回は出廷を余儀なくされるとみられていた。
 ところが、初公判前日の5日に与党が多数を握るイタリア下院が、この裁判を地裁ではなく、国会の権限で不起訴にもできる「閣僚裁判所」に付すべきだとの動議を可決。憲法裁判所に判断を求めたため、初公判が「期日などを決める手続きだけの公判」になったとみられる。
 この裁判が本格化してしまうと「大勢のガールフレンドらが証言に立つことで私生活が注目を浴び、一国の首相としては悪夢」(レプブリカ紙)になる。

◎伊下院、ホテル滞在税可決、政権崩壊を再び回避(2011年3月3日、朝日新聞)
 イタリア議会の下院は2日、全土のホテルで滞在税を徴収することなどを盛り込んだ税制改革法案を賛成多数で可決した。同法案は上下院合同委員会で一度否決されたが、政府は税制改革を求める北部同盟の連立離脱を避けるために、必死の多数派工作で可決に持ち込んだ。これでベルルスコーニ首相は、再び政権崩壊を回避した。
 同法案は先月3日、合同委員会で否決されたが、首相は委員会の決定を無視して政令を提出しようとしたため、ナポリターノ大統領が政令への署名を拒絶。そこで首相は多数派工作を行ったうえで改めて採決にかけ、賛成314、反対291で可決された。
 滞在税はホテルに宿泊する観光客から1泊につき最高5ユーロ(570円)を徴収するもので、税額はホテルの格付けによって異なる。また所得税も0.2〜0.3%増税となる。こうした増税分は地方自治体の歳入に組み込まれる。連立与党の一角、北部同盟は連邦制の導入を唱え、その一環として税制改革法案の成立を強く求めていた。

◎「売春婦扱い」“お相手”が激怒、会見に170万円要求(2011年2月18日、産経新聞)
 「世界中の黄金をもらっても、この苦しみは消えない」と憤懣やるかたないのは、モロッコ人のカリマ・エル・マフルーグさん(18)。ベルルスコーニ・イタリア首相の未成年買春の“お相手”とされる女性だ。
 「ルビー」のニックネームで知られるマフルーグさんは16、17の両日、AP通信と電子メールを交換、その中で現在の気持ちを吐露した。
 マフルーグさんは「私は何も悪いことをしていない」と強調。それなのに「イタリアと外国の全メディアに売春婦として扱われた」と不満を述べた。
 APとのテレビ・インタビューについては「ただなら、何もしないわ」と、1万5千ユーロ(約170万円)を要求したという。もっとも、APは非営利団体としてインタビューにお金は支払わないとの立場を取っている。ベルルスコーニ首相は15日、未成年女性を買春した罪などで起訴された。

◎伊首相、買春で起訴、未成年と関係か(2011年2月15日、産経新聞)
 イタリアのメディアによると、ミラノ地裁予審判事は15日、ベルルスコーニ首相(74)を未成年者買春の罪などで起訴したと発表した。初公判は4月6日に開かれる。主要国(G8)メンバーであるイタリアの首脳による買春罪が審理されるという前代未聞の事態となった。
 首相は疑惑を全面的に否定し、無罪を主張。「司法によるクーデター」などと非難しており、辞任などはしない見通し。

◎怒るイタリア女性、買春疑惑首相に100万人が退陣要求(2011年2月14日、朝日新聞)
 ベルルスコーニ首相の少女買春疑惑で揺れるイタリアで13日、「女性の尊厳を守るための集会」が全土で開かれ、スキャンダルや女性蔑視の発言を繰り返してきた首相に対し、女性たちが一斉に辞任を求める声を上げた。主催者によると、全国230カ所で集会が開かれ、100万人以上が参加したという。
 首都ローマでは、中心部のポポロ広場に数万人が集結。「いつ声を上げるのか?」というステージ上からの問いかけに、集まった女性らは一斉に「今!」と応じた。さらに口々に「バスタ!」(もうたくさん)と叫び、首相退陣を求めた。参加した女性は「首相だから何をやってもいいということではない。国の指導者だからこそ、私生活においても自由には限度がある」と話した。
 女性らはインターネットなどを通じた呼びかけに賛同して集まった。その輪は外国で暮らすイタリア人女性たちにも広がり、ロンドンやパリ、ニューヨークなど世界の28都市で抗議集会が開かれた。日本でも東京都千代田区のイタリア文化会館前に約100人が集まり、首相にノーを突きつけた。

◎政変のチュニジアからイタリア南部の島に大量難民(2011年2月13日、産経新聞)
 AP通信によると、北アフリカのチュニジアの政変を逃れた大量の難民がイタリア南部ランペドゥーザ島にボートで押し寄せ、12日までの3日間で計約3千人となった。イタリア政府は「人道的非常事態」を宣言し、欧州連合(EU)欧州委員会に支援を求めた。
 イタリア当局は難民を南部シチリア島などの収容施設に送り、亡命を認めるか強制送還するかを判断する。国連難民高等弁務官事務所によると、チュニジアでベンアリ政権が崩壊した先月半ば以降、漁船などに乗ってイタリアに到着する難民が増加。イタリア政府はテロリストが紛れ込んでいる可能性もあるとして警戒を強めている。

◎買春疑惑のベルルスコーニ首相、逆ギレ?「国を訴える」(2011年2月10日、朝日新聞)
 イタリアのベルルスコーニ首相(74)は9日、17歳(当時)のモロッコ人少女との買春疑惑について「事実無根」とし、検察の捜査で被害を受けたとして国を提訴する考えを明らかにした。フラティニ外相は欧州人権裁判所(仏ストラスブール)に提訴する可能性を示しており、国の最高権力者である首相が国を訴えるという前代未聞の「暴挙」となりそうだ。追い詰められた首相が死に物狂いの反撃に転じているようだ。
 首相は記者会見で、ミラノ地検が起訴手続きと即時裁判の実施をミラノ地裁に求めたことについて問われ、「ムカムカする。茶番で、面汚しだ」などと悪態をついた。そのうえで「検察官がこれまで(私に)してきたことに対して代償を払わせるよう国を訴える」と語った。
 さらに怒りの矛先は裁判官にも向き、「裁判官には責任がない。これを変えなければならない」と述べ、裁判官の判断に責任を負わせる法案の提出を検討する考えを示した。イタリアでは三権分立が厳格に規定され、検察や裁判所といった司法権には首相の影響力が及ばない。ミラノ地裁が近く首相起訴の可否について判断を示す予定で、首相の発言はこうした動きを牽制する狙いがあるとみられる。
 一方、麻薬事件を調べているナポリ地検の盗聴捜査で、首相が自宅で行ったパーティーに頻繁に参加していた女性が首相に送った携帯メールの内容が明らかになった。メールは「会えなくて寂しい。あなたや売春婦たちが死んでしまえばいいのに」といったものや、「パーティーや麻薬に疲れた。あなたのサークルから抜けたい」という内容。事実であれば、パーティーで麻薬が使用されていたことを首相も認識していたことになり、疑惑はさらに拡大する様相を呈している。

◎ベルルスコーニ首相窮地、買春疑惑、狭まる包囲網(2011年1月22日、朝日新聞)
 数々の醜聞にまみれながら、この17年間に3度首相の座に就いたイタリアのベルルスコーニ首相(74)が、今度は少女買春疑惑の渦中にある。「首相の犯罪」は裁かれるのか。今回、司法に加えて、国民、議会、バチカンと反ベルルスコーニ包囲網は狭まり、首相に残された選択肢は少ない。
 ミラノ地検は1月14日、17歳のモロッコ人少女に対する買春容疑で、首相に対する強制捜査の着手を決断。首相本人に出頭を要請すると同時に、議会下院に自宅と顧問会計士事務所の家宅捜索の許諾を求めた。
 首相の大弁護団は、対策を練っている。バチカンのサンピエトロ広場近くにある弁護士事務所には連日遅くまであかりがともり、作戦会議が続く。
 首相はこれまで計106回訴追され、公判回数は2500回を超える。弁護費用は「3億ユーロ(約340億円)かかった」(首相)。犯罪事実は認定されながら、最終的に一度も有罪判決を受けたことがないのは、下院議員でもあるゲディーニ弁護士らの法廷戦術による部分が大きい。イタリアでは公判中も時効が停止しないため、裁判を引き延ばせば、いずれ時効になり無罪となるという寸法だ。
 首相は首相で、在任期間中は自らを訴追の対象外とするお手盛りの「免責法」で防御態勢をしいた。この免責法が2度にわたって違憲とされると、訴追されても公務を理由に出廷が免除される「特権法」を制定。これにも、13日に違憲判決が下った。ミラノ地検が捜査に踏み切ったのはその翌日だった。
 これまでと違うのは、首相の「法の防御網」が破れた機を検察が逃さなかったことと、17歳少女に対する買春という国民も嫌悪する容疑であることだ。
 首相は出頭要請を拒否。下院への影響力を駆使して家宅捜索もはねつける構えだ。地検は、起訴するかどうかを決める予備審問を省略した即時裁判を検討している。
 1994年に初めて首相に就任して以来、3度にわたる首相在任期間は計7年半。戦後のイタリアで最長だ。94年、2001年、09年と主要国首脳会議の議長を3回も務めた首脳はほかにいない。
 スキャンダルにまみれながら、なぜベルルスコーニ首相は倒れないのか。
 揺るがない「固定支持層」の存在が指摘される。庶民から財をなして上りつめた首相は、エリート層には嫌われる一方で、低所得層を中心に熱狂的なファンを持つ。イタリアを代表する左派系言論人のスカルファリ氏(86)は「このほかに首相が誰であろうと関知しない、反エリート、無秩序を望む3割の国民がいる。彼らは政府に干渉されない限り、首相が私生活で何をしようとかまわないと考えている」と分析する。
 結果的にベルルスコーニ首相は、中道左派や首相と距離を置く中道右派などの政治勢力に対する優位を保っているという分析だ。
 もう一つはバチカンの支持。首相は保守的な政策を進め、同時にカトリック系私立学校への補助金を年々増額してきた。バチカン関係者は「それが支持の見返り」と話す。人口の9割をカトリックが占めるイタリアで、バチカンとの良好な関係は強みだ。
 しかし、首相に利してきた環境が変わりつつある。
 議会では、超党派で反ベルルスコーニの協力が活発化している。今回のスキャンダルを千載一遇のチャンスととらえて、文化財相に対する不信任決議案を提出するなど、政権を揺さぶり始めた。
 バチカンも、首相の不道徳さに目をつぶることができなくなってきている。イタリア司教協議会の機関紙アベニーレが18日、編集局長名で「首相の行為は道徳的観点から耐えられない」と異例の論説を1面に掲載。20日にはベルトーネ国務長官(首相に相当)が「政治家などの公人はより高い道徳心、順法精神が求められる」と発言した。これまでベルルスコーニ首相への論評を控えてきたバチカンが、ついに表立って批判を始めた。

・首相の訴追
 ベルルスコーニ首相が最も恐れるのは、首相の座を追われた状態で訴追されること。出廷を拒めなくなるからだ。内閣が崩壊した場合、総選挙までの暫定内閣に対してベルルスコーニ首相がどれだけ影響力を行使できるかが焦点になる。

◎伊首相に口止め料5億5000万円要求か、買春疑惑の18歳女性(2011年1月18日、産経新聞)
 イタリアのベルルスコーニ首相(74)の買春相手との疑いが持たれている女性(18)が、口止めの対価として首相に500万ユーロ(約5億5千万円)を要求したことをうかがわせる会話をしていたことが17日、検察当局の調べで明らかになった。ANSA通信などが伝えた。
 女性が昨年10月ごろ、知人との間で行った会話を検察が盗聴した。女性は「私はシルビオ(首相の名前)に(スキャンダルから)手を引きたいと言った。500万(ユーロ)で」と語った。女性が「口止め料」を得たかどうかは不明。
 女性は17歳だった昨年2〜5月、複数回にわたりミラノ郊外の首相宅に招かれ、首相と関係した疑いが持たれている。イタリアでは18歳未満の女性を買春相手とすることは刑事罰の対象となる。

◎伊首相、「相当数」と買春 ミラノ地検が捜査報告書(2011年1月17日、産経新聞)
 イタリアのベルルスコーニ首相(74)が未成年女性の買春容疑などで捜査を受けている問題で、ミラノ地検は17日、首相がこの女性以外に「相当な数の若い女性」と自宅などで買春行為を行ったとする捜査報告書をまとめた。
 報告書は首相が金銭以外にも、一部の女性にマンションを無償で貸し与えていたことも明らかにした。支持率低下に悩む首相にとって、報告書は大きな政治的打撃となりそうだ。
 報告書は検察当局が首相の事務所捜索の許可を得るため下院に送付した。同国では下院議員である首相の関係先捜索には下院の許可が必要。
 一方、17日付のレプブリカ紙は、昨年4月25日にロシアのプーチン首相を招きミラノ郊外のベルルスコーニ首相宅で開かれたパーティーにも、未成年の女性が出席していたことが分かったと報じた。

◎イタリア首相に未成年買春容疑、地検が出頭要請(2011年1月17日、読売新聞)
 イタリアのANSA通信などによると、ミラノ地検がベルルスコーニ首相(74)に対して、未成年の少女を買春した疑いで捜査を本格化させ、首相に対し今月下旬にも出頭するよう求めている。
 首相は14日に容疑を「事実無根だ」と否定し、15日には「(捜査は)違法だ」と地検を批判、出頭に応じない構えだが、捜査の進展次第で深刻な政治的打撃となりそうだ。
 ベルルスコーニ首相は昨年2〜5月、ナイトクラブのダンサーだったモロッコ人少女(当時17歳)をミラノ郊外の私邸に呼んで買春した疑い。少女が同5月に窃盗容疑で警察に拘束された際、職権を乱用して釈放させた疑いもある。
 地検は昨年12月下旬、捜査に着手。一部関係者について家宅捜索を行い、14日に首相への出頭要請に踏み切った。少女は15日、地元テレビに対し、首相から7000ユーロ(約78万円)を受け取ったと認めた。しかし売春行為は否定し、首相の前では年齢を「24歳」と偽ったと強調した。

◎「純粋なチョコ」の表示はダメ! 欧州司法裁がイタリアに是正命令(2010年11月26日、産経新聞)
 「純粋なチョコレートなど存在しない」。欧州司法裁判所(ルクセンブルク)は25日、イタリアが「純粋なチョコ」との表示を認めていることが食品の成分表示を義務付けたEU法に違反するとして、同国に是正を命じた。
 1999年にEUが食品表示に関する法律を制定して以来、10年以上にわたり争われてきた“チョコ紛争”はEU側が勝利。イタリアは是正しなければ、罰金を科せられる。
 EU法の基準では、チョコは「ココアバター100%」のものと、植物油脂を含むものに分けられ、いずれかの表示が義務付けられている。イタリアでは伝統的にココアバター100%のチョコが「純粋なチョコ」として販売されてきた。
 イタリアはEU法制定後もその基準に従わず、従来の表記を続けていたため、欧州委員会が欧州司法裁に提訴していた。

◎ピサやコロシアムの世界遺産を相次ぎ占拠、学生ら教育予算削減に抗議、イタリア(2010年11月26日、産経新聞)
 イタリア全土で25日、教育予算削減に反対する教員や大学生らのデモ・集会が行われ、首都ローマのコロシアム、中部ピサの斜塔(いずれも世界遺産)がデモ隊に相次いで一時占拠された。政府は削減法案を30日に議会採決する予定だが、激化する抗議行動に採決延期を余儀なくされるとの見通しも出てきた。
 ANSA通信などが伝えた。元盟友のフィーニ下院議長派の政権離脱で崩壊の危機に立つベルルスコーニ内閣にとって、さらなる打撃だ。
 ピサでは学生ら約2千人が「人間の鎖」をつくり斜塔を包囲。観光客らを締め出した上、一部が斜塔に上り予算削減を伴う改革への反対を訴える横断幕を掲げた。コロシアムでも一部を占拠し、発炎筒をたいて気勢を上げた。
 ローマでは24日にも、デモ隊数十人が上院内に突入。玄関にいた警官隊との衝突で双方に計15人のけが人が出たばかり。

◎「純粋なチョコ」表示はEU法に違反(2010年11月26日、サンスポ)
 「純粋なチョコレートなど存在しない」。欧州司法裁判所(ルクセンブルク)は25日、イタリアが「純粋なチョコ」との表示を認めていることが食品の成分表示を義務付けたEU法に違反するとして、同国に是正を命じた。
 1999年にEUが食品表示に関する法律を制定して以来、10年以上にわたり争われてきた“チョコ紛争”はEU側が勝利。イタリアは是正しなければ、罰金を科せられる。
 EU法の基準では、チョコは「ココアバター100%」のものと、植物油脂を含むものに分けられ、いずれかの表示が義務付けられている。イタリアでは伝統的にココアバター100%のチョコが「純粋なチョコ」として販売されてきた。
 イタリアはEU法制定後もその基準に従わず、従来の表記を続けていたため、欧州委員会が欧州司法裁に提訴していた。

◎英国やイタリアの学生デモが暴徒化、学費値上げに反対(2010年11月25日、産経新聞)
 金融危機の後遺症で欧州各国が財政に大なたをふるう中、学費値上げに反対する学生が英国やイタリアで議会に突入を試みるなど暴徒化した。財政危機で欧州連合(EU)などの支援を仰いだアイルランドは民意を問うため来年1月に総選挙を行うが、政権交代は必至の情勢だ。「不満の冬」が欧州に暗い影を落とす。
 キャメロン英政権は財政難を背景に、イングランド地方で大学の学費を年3290ポンド(約43万円)から9千ポンドに値上げする方針で、ウェールズ、北アイルランド両地方もこれに追従する見通しだ。
 英国では学生自身がローンを組んで学費を出すのが普通で、大学卒業時の借金が激増する学生らが「大学に通えなくなる」と反発。今月10日には、抗議行動で約70人が逮捕され、24日も議会などに学生数千人が集結、警察車両や財務省の窓ガラスを破壊した。警官隊との衝突で17人が負傷している。
 オックスフォードやケンブリッジなど少なくとも12大学に抗議活動は拡大。連立を組む自由民主党が学費の段階的無料化を選挙公約に掲げていたことも学生の怒りを増幅させている。
 イタリアからの報道によると同日、教育予算削減に反対する教員、大学生らのデモ隊数十人が「(ジェルミニ教育相は)辞めろ」と連呼、発炎筒や石、卵を投げながら伊上院に突入。学生2人が拘束された。中部フィレンツェでもデモ、集会が行われ、中部ピサでは橋が占拠され、交通機関が一時マヒした。

◎「教育予算を減らすな」英国・イタリアで学生らデモ(2010年11月25日、朝日新聞)
 財政緊縮策へとかじを切った欧州各国で、教育予算の削減に反発する抗議運動が活発化している。英国とイタリアでは24日、学生らが国会近くに集結し、警備当局との小競り合いに発展した。
 ロンドン都心では、大学生ら数千人が学費の値上げ撤回を求めて行進した。警備の警察車両が壊され、警官2人が負傷、約30人が逮捕された。マンチェスターなど他の都市でも数千人が抗議行動を行い、オックスフォード大など多くの大学で一部の施設が占拠された。ローマでも、数千人が市中心部から国会までデモ行進。25日には円形闘技場コロッセオを一時占拠するなど動きは全国に広がった。
 英政府は、イングランドの大学の学費上限を2012年から今の3倍近い年9千ポンド(約120万円)に上げ、大学への教育助成金を約4割削る方針を掲げる。イタリアでは、10年の教育予算430億ユーロ(約4兆8千億円)が、来年は80億ユーロ削減される。政府は12年にさらに50億ユーロの削減を検討している。
 イタリアでは教師不足により授業時間が減少。学校では備品の数が足りず、トイレットペーパーさえ補充できない状況で、学生たちは毎日、自宅から持参しているという。

◎無理でしょ?現地視察の首相が断言「ごみは3日で無くなる」(2010年10月29日、スポーツニッポン)
 イタリア第3の都市南部ナポリの路上などで多量の家庭ごみが放置されている問題で、ベルルスコーニ首相は28日、同市近郊のごみ焼却場を視察、一連の対策を発表した上で「ナポリのごみは3日で無くなる」と断言した。
 ごみ問題の背景には慢性的な処理能力不足があり、簡単には解決できないとの見方が強いが、首相は問題解決に向けた指導力を見せることで、経済不振などから落ち込みの目立つ支持率の回復を狙ったとみられる。
 首相は問題の一つは不十分なごみの分別にあったとして、分別による効率的処理を進める考えを示唆。異臭や健康被害への懸念から住民が拡張に反対し、ごみの搬入を阻止している同市近郊の処理場については、適切な対策を取り異臭などをなくすとして住民の理解を求めた。
 さらに長期的には今後1年半以内に焼却場建設を進めるとも約束した。
 同市のごみの量は一時約2400トンに達し、欧州連合(EU)欧州委員会はイタリア政府の対応が不十分とし、罰金など制裁措置発動の可能性を警告した。

◎また、イタリア首相宅に売春婦招く?未成年者もいた?検察が捜査(2010年10月29日、スポーツニッポン)
 イタリア北部ミラノ郊外にあるベルルスコーニ首相(74)の邸宅で開かれたパーティーに、複数の売春婦が招かれた疑惑が持ち上がり、イタリア検察当局が売春あっせん容疑で捜査を始めた。同国主要メディアが28日伝えた。
 パーティーに参加したモロッコ出身の17歳の女性の証言から発覚。女性は首相とは関係を持たなかったとしているが、女性がその後に窃盗事件で逮捕された際、首相府が釈放を求めたとの情報もあり、女性と首相との関係も取りざたされている。
 パーティーは2月に行われ、首相も出席。首相の友人でタレントマネジャーのモーラ氏とテレビ局幹部のフェーデ氏が売春婦を連れ込んだ疑いが持たれている。
 首相をめぐっては、高級売春婦が昨年、売春目的でローマの首相宅に派遣され、首相と関係を持ったと証言。大きなスキャンダルとなった。

◎あのナポリがゴミの町?住民に健康被害まで(2010年10月25日、読売新聞)
 イタリア南部ナポリ郊外で、ごみ処分場の増設計画に怒った地元住民が約1か月にわたり、処分場周辺を封鎖、ナポリの路上などに約2400トンのごみが放置される事態となっている。
 処分場は昨年、ナポリ中心部から約20キロ離れた郊外に開設された。分別されずに埋め立てられるごみが多いため、悪臭を放ち、住民は嘔吐や皮膚病など健康被害を訴えている。
 近く満杯になる見通しで、政府が2か所目の建設を計画したのに対し、住民数百人は9月下旬から、処分場に通じる道路でごみ運搬車の出入りを阻止し始めた。
 ベルルスコーニ首相は22日、汚染対策費1400万ユーロ(約16億円)の計上を急きょ発表したものの、住民はあくまでも計画の撤回を求めており、警官隊との衝突まで生じている。
 ナポリでは2007〜08年にも処分場が満杯になり、大量のごみが街に散乱する事態が起きた。

◎イタリアもロマ送還、仏に続き(2010年8月22日、産経新聞)
 イタリアのマローニ内相は21日までに、国内に居住する少数民族ロマについて、十分な収入や定住先などの要件を満たしていなければ、欧州連合(EU)市民であっても出身国に送還する政策を進める考えを明らかにした。コリエレ・デラ・セラ紙が伝えた。
 ロマをめぐっては、既にフランスが19日、犯罪対策の一環として送還を開始しており、イタリアもこれに倣った形。人権団体などから、人種差別的政策との批判を呼びそうだ。
 内相は、EU欧州委員会がこうしたロマ送還を禁ずる決定をしているため、9月6日に予定されるEU内相会合で、決定を見直すよう働き掛けると語った。
 イタリアには同国の市民権を持つロマのほか、ルーマニア、ブルガリアなど他のEU諸国の市民権を持つロマが多数、居住している。

◎3千億円違法送金、伊で中国人地下組織摘発(2010年6月29日、読売新聞)
 伊捜査当局は28日、在住中国人らの地下組織を脱税や資金洗浄などの容疑で一斉摘発し、中国人17人を含む計24人を逮捕し、中国系企業など73社を家宅捜索した。
 伊ANSA通信などが伝えた。皮革製品など偽ブランド品の販売や、不法入国させた中国人女性の売春あっせんも行い、過去4年間で約27億ユーロ(約2980億円)を中国に違法送金していた疑いがあるという。
 摘発は伊北部から南部まで計8州で行われ、偽造品など約78万点が押収された。組織の中心は北部ボローニャに拠点を置く中国人送金業者らとみられる。タックスヘイブン(租税回避地)として知られる伊半島中部サンマリノ共和国内の金融関係者が関与した疑いもある。
 イタリアでは近年、中国浙江省温州出身の移民が急増、中部フィレンツェ近郊などに数万人規模で居住し、縫製工場の経営や労働などに携わっているが、多くは不法移民とされる。

◎伊女優、妊婦姿で「人工授精禁止法見直して」(2010年3月25日、読売新聞)
 世界で「セックス・シンボル」としても知られるイタリアの人気女優、モニカ・ベルッチさん(45)が、自国の人工授精を禁止する法律への抗議として、24日発売の米バニティ・フェア誌イタリア語版の表紙に妊婦姿で登場した。
 第2子出産を控えるベルッチさんは表紙の写真で、黒っぽい下着とガウンを身に着け、大きくせり出した腹部を隠さずにポーズ。同誌のインタビューに対しても、「不妊などで悩むイタリアの女性は、国外で人工授精を試みるしか手立てがない」と語り、法律の見直しを求めた。
 人工授精を禁止したイタリアの法律は、同性愛、未婚女性などを念頭に置いたバチカン(ローマ法王庁)の肝いりで、2004年に成立した。ベルッチさんは長女(5)を身ごもっていた同年にも、同法に抗議している。

◎イタリア便り、車はヒマ人のもの(2010年3月7日、産経新聞)
 イタリアも不景気なはずなのに、昨年秋以来、ローマ市内の車の数は明らかに増えている。
 わが家の周囲でも道路の両側は路上駐車の車でビッシリだ。月に1、2回思いだしたように警官がやってきて目に余る二重駐車の車や歩道を勝手に占領している車に反則切符をはり付けるが、このペースで追いつくはずもなく「駐車違反の罰金とは運が悪い人間だけに振り掛かる一種の災難」と思われても仕方がない。
 なにしろ市民の多くがバスやトラムなどの公共交通機関を利用せず、勤めに行くのも買い物に行くのもすべて自分の車で済ませようとするから、道路が混雑するのは当然だ。
 昨年11月のある消費者団体の調査によると、ローマ市民が毎日渋滞によって失う時間は年間260時間、つまり年間11日に上るという計算結果だった。これは、ミラノの10日やナポリの9日と比べても多い。
 東京中心部の区をせいぜい2つか3つ合わせた程度の広さのローマ市内の道路が混雑するのは、路上駐車する多数の車によって道路の幅が半分に狭められていることも一因だ。
 このほか、市外から毎日300台以上も到着する大型観光バスと、週に少なくとも数回は中心部を練り歩くデモ行進も大きな原因になっている。
 要するに、市民が意識を切り替えない限り、ローマの交通渋滞の解消は到底不可能としか言いようがない。(坂本鉄男)

◎やはり再収監します、禁固30年の男保釈に遺族猛反発で(2009年8月23日、スポーツニッポン)
 イタリアで交際中の女性を殺害したとして一審で禁固30年の刑を言い渡され控訴した男が、刑確定までの間の保釈を認められたことに遺族が猛反発。アルファノ法相が調査に乗り出す騒ぎとなり、裁判所は11日までに当初の判断を見直し、男を再収監した。同国主要紙が伝えた。
 男の保釈後、「正義はどこにある」と悲嘆にくれていた被害者の父親は胸をなで下ろしている。
 男は2007年に恋愛関係のもつれから18歳の女性を射殺、起訴されたルイジ・カンピーセ被告(26)。一審判決後に控訴し、裁判所は「逃亡や証拠隠滅の恐れはない」との弁護士の要求を認め、保釈した。
 これに対し、被害者の父親らが有力紙に手記を寄せるなどの抗議運動を展開。世論に動かされる形で法相も調査を開始し、裁判所は「やはり逃亡の恐れがある」として同被告を再収監した。

◎「ぼったくりしません」ローマの観光業界、認証制導入へ(2009年8月8日、朝日新聞)
 ローマ市内のレストランやタクシーなど観光関係の業者で組織する団体「イタリア公共サービス業連盟」は、「ぼったくり」をしないと誓約した業者に対する認証制度を導入することを決めた。認定を受けるとステッカーが発行され、店やタクシーに張って安全性をアピールすることができる。
 イタリアでは、日本人観光客が有名レストランで「ぼったくり」の被害に遭った事件をきっかけに、法外な料金を請求する悪質な業者の存在が社会問題となっている。
 対象はレストランやバール、ホテル経営者、タクシー運転手など観光業に携わる業者。「客に対し誠実に対応し、道徳的な行動をとる。不当な料金は請求しない」という内容の誓約書に署名すると、同連盟からステッカーが発行される仕組み。業界団体が優良業者のお墨付きを与えることで、信頼回復につなげたい考えだ。
 またローマ市も同連盟などと協力し、悪質な業者を追放するための監視団体をつくり、定期的に調査する。さらにイタリア語や英語のできない日本人観光客のために、ぼったくりや犯罪の被害に遭った際に日本語で相談できる専用電話を10月から設ける。フィウミチーノ空港にも日本語で対応するインフォメーションカウンターをつくる。
 イタリアには年間約4300万人(07年)の観光客が訪れるが、日本人観光客の数は97年の約217万人をピークに減り続け、09年は100万人前後まで減ると予想されている。そのため観光立国として、日本から再び観光客を呼び込むための対策が急務になっている。
 ローマ市のマウロ・クトルフォ副市長は7日、朝日新聞の取材に応じ、「安心して旅行を楽しんでもらえるよう観光客を保護することが最も重要だ。そのためには何でもする」と語った。クトルフォ氏は9月に訪日し、ぼったくりの被害に遭った茨城県つくば市の会社社長らに直接会って謝罪するという。

◎イタリア:喫煙者が急増、経済危機でのストレス解消?(2009年6月22日、毎日新聞)
 イタリアで昨年12月から今年4月の4カ月で喫煙者が約180万人増え、人口比で22%から25.4%に急増していたことが、国立高等衛生研究所などの調べでわかった。喫煙規制の影響などから過去4年減り続けたが、初めて上昇に転じた。経済危機が一因になっているとの見方も出ている。
 今年4月段階で、喫煙者は15歳以上の人口約5100万のうち男性が約710万、女性が約590万。4カ月での増加率は男性9%に対し女性は25%と大きい。喫煙を再開した人が多いという。
 社会学者のコデルッピ氏は「経済危機で映画や本の売り上げが伸びたのと同様に、(喫煙による)ストレス解消が一つの要因」とみている。
 一方、民間調査会社フォーンメディアの世論調査によると、イタリア経済について「不安」と答えた人は今年1月の88%から5月には85%に減少。自分の経済状態を不安に思う人も79%が63%に減り、暮らしぶりを楽観する傾向にある。

◎イタリア南部でゴミ問題再燃、路上放置、数千トン(2009年6月2日、産経新聞)
 イタリア南部シチリア州の州都パレルモで、家庭ごみ回収業者の労働者組合が「手袋配布など、ごみ回収時の安全対策が不十分」としてストを開始、数千トンのごみが路上に放置される事態となっている。同国主要紙が2日、報じた。
 同国では2007年末から08年にかけ、ごみ処理施設不足から南部ナポリと周辺地域で数万トンの家庭ごみが路上に放置され問題となった。この際はベルルスコーニ政権が最優先課題として取り組み、ごみは回収されたが、今度はシチリアで問題が再燃した。
 ANSA通信によると、回収業者は既に多額の負債を抱え、手袋や安全靴の配布が不可能になったと主張。労働者への給与不払いの懸念もあり、組合がストに入った。急遽パレルモに派遣された政府代表は今週中に軍隊を動員、ごみを処理すると約束した。

◎イタリア地震、死者207人に、80年以来最大の犠牲者(2009年4月7日、朝日新聞)
 【ラクイラ(イタリア中部)=南島信也】イタリア中部を襲った地震の死者数は7日も増え続け、AP通信によるとベルルスコーニ首相は同日午後、犠牲者は207人に達したと発表した。同首相はこれまでに倒壊建築物の下などから約150人が救出され、残る行方不明者数は15人になったと語った。まだ多数の不明者がいるとの地元報道もある。伊政府は同日、救助隊員1700人の追加派遣を決めた。
 同国の地震による犠牲者数としては、約2700人が死亡した80年のイタリア南部地震以降で最多になった。AFP通信によると、被災者は約7万人。約1万棟の建物が被害を受けた。ベルルスコーニ伊首相は救援・復興のために3千万ユーロ(約41億円)を投入すると発表した。
 国連の国際防災戦略(ISDR、本部・ジュネーブ)は6日声明を出し、古い建物の耐震対策が不十分だったことが被害を広げた、との見解を明らかにした。

◎イタリア非常事態宣言、地震死者92人負傷者1500人(2009年4月6日、朝日新聞)
 イタリア中部で6日起きた強い地震で、イタリアのANSA通信は、救助隊の話として犠牲者が92人に達したと伝えた。建物の下敷きになるなどして少なくとも1500人の負傷者が出ている。ベルルスコーニ首相はモスクワ訪問を取りやめ、非常事態を宣言した。
 ローマの北東95キロ付近の震源に近いラクイラでは、石造りの教会やアパートなど多数が崩壊、数千人が家を失い、避難住民は近隣の町も含めると5万人に達したとの報道もある。電気やガス、水道などはすべて止まっている。
 ラクイラは歴史的建造物が数多くある。地元メディアは、13世紀末の建築で、ローマ法王ケレスティヌス5世が埋葬されているサンタマリア・ディ・コッレマッジョ聖堂が大きな被害を受けたと伝えた。ANSA通信によると、ローマ市内にある3世紀の古代遺跡「カラカラ浴場」も損傷を受けたとみられている。

◎イタリア:逮捕者に占める外国人増、国民に警戒感高まる(2009年3月22日、毎日新聞)
 イタリアでルーマニア人による連続性的暴行事件などを機に、外国人犯罪が問題視されている。国家治安警察隊のローマ県司令官、ビットリオ・トマソネ准将(54)は毎日新聞との会見で、犯罪減少にもかかわらず、外国人嫌悪が高まる実態を語った。
 08年の国内犯罪件数は前年に比べ約2割減った。一方、今年2月までの逮捕者約2000人のうち6割を外国人が占めた。1月はルーマニア人6人が集団暴行容疑で、2月には同国人2人が少女暴行容疑でそれぞれ逮捕され、関連事件への関与の疑いも明らかになっている。このため「(犯罪件数が減っても)市民は外国人のせいで治安が悪化したと思い込んでいる」と言う。
 昨年10月集計の国勢調査によると、人口5590万人のうち外国人は99年の4倍に当たる約440万人。最も多いルーマニア人は62万人とされるが、准将は「不法滞在者も含め実数は120万人」と見る。「一部ルーマニア人によるレイプや、子供の小遣い程度の金を狙う強盗が横行している。件数は減っても、人々は外国人を過剰に警戒し、ルーマニア人を『犯罪者』とみなす意識が強まっている」と言う。
 北部では権限がないのに外国人に「職務質問」する自警団が増えている。准将は「法令順守を徹底させる」と語るが、排除する考えはない。「外国人犯罪の減少には、移民出身国からの犯歴情報などの提供が欠かせない」と説いた。

◎イタリア:「反マフィア」デモに10万人(2009年3月22日、毎日新聞)
 イタリア南部ナポリで21日、「反マフィア」を唱えるデモ行進があり、警察の推計で国内と約30カ国から少なくとも10万人が参加した。ナポリ周辺で暗躍する犯罪組織カモッラの手で80年以降、4000人以上が殺害されており、遺族たちが「(殺された)彼らは私たちと共に歩いている」と叫び続けた。
 ロイター通信によると、主催者は反マフィア活動を続ける市民団体「リベラ」(「自由」の意、代表、ルイジ・チョッティ神父)。カモッラの実態を描いた小説「死都ゴモラ」を06年に刊行し、組織に追われる作家、ロベルト・サビアーノさん(29)も加わった。
 イタリアにはカモッラより規模が大きく、欧州へのコカイン流通をほぼ独占する南部カラブリア州の組織「ンドランゲタ」がある。内務省によると、同組織の年間売り上げは、国内総生産の約2.5%に当たる5兆8000億円相当に上り、不動産、企業買収を活発化させているという。

◎イタリア:HIV知りつつ関係し感染、女性ら「愛のため」(2009年3月20日、毎日新聞)
 イタリアのエイズウイルス(HIV)感染者支援団体「NPS」は18日、同国内で毎年少なくとも約30人から50人の女性が、夫や恋人などパートナーの男性のHIV感染を知りながら避妊具なしに性交渉し自分も感染しているとの調査結果を発表した。同国の通信社ADNクロノスが伝えた。
 女性らは避妊具を使わないのは「愛を分かち合うため」としており、妊娠し子供がHIVに感染するケースもあった。NPSは「社会的な大問題」として対策の必要性を訴えた。
 NPSによると、こうした行為に及ぶのは大半が女性で、男性はパートナーの感染を知ると関係を絶つことが多かった。NPSは支援活動の中で得た情報を基にこうした女性の数をまとめており、実際の数はさらに膨らむ可能性があるという。
 国連合同エイズ計画(UNAIDS)などによると、07年のイタリアのHIV感染者は約15万人で近年、年間約4000人のペースで感染者数が増加している。

◎イタリアの聖ニコラス教会、ロシアに返還(2009年3月2日、読売新聞)
 イタリア南東部バーリで1日、ロシアの皇帝一族により20世紀初めに建てられた聖ニコラス教会(ロシア正教会)が、イタリア政府からロシア側に返還された。
 返還式には、ロシアのメドベージェフ大統領が出席し、イタリアのナポリターノ大統領から、教会所有権を象徴する鍵を受け取った。
 教会の返還は、ロシアのプーチン首相が大統領時の2007年3月に要請し、イタリア政府とカトリック教会(ローマ法王庁)が承諾していた。約1000年前に分裂した正教会とカトリック教会は再統一に向けての協議を継続中。ナポリターノ大統領は返還式で、「この鍵は教会間対話を象徴している」とし、両教会の良好な関係を強調した。
 バーリは、両教会があがめる4世紀の聖人ニコラスの埋葬地で、中世からロシア人巡礼者が多く訪れている。聖ニコラス教会は1917年ごろ建てられたが、ファシスト時代の37年、地元自治体が接収した。
 返還式は当初、昨年12月の予定だったが、ロシア正教会の前総主教アレクシー2世の急逝で、延期されていた。

◎イタリア便り 水道管は漏水するもの?(2009年3月1日、産経新聞)
 経済協力開発機構(OECD)の統計によると、イタリア人の1人当たりの年間水消費量は730立方メートル。米国人の1700立方メートルには及ばないものの、日本人の680立方メートルをしのぐそうだ。
 だが、その水を運ぶ地方自治体経営の水道施設となると問題がある。イタリアの水道管の総延長は29万キロ以上に達するが、浄水場から末端の消費者の蛇口まで運ばれる水の量は52%に過ぎないといわれる。残りの48%は途中で水道管から地下に流失してしまうのだ。
 幸い、イタリアは慢性的な水不足に悩むシチリアなど南部の幾つかの州を除き、中部・北部は水源の湖や河川、あるいは山からの湧水に恵まれているため水不足による断水などは原則的に存在しない。また、水道料金も先進国の中では安い部類に入るらしい。
 蛇口をひねればいくらでも水が出てくると、市民は蛇口から出るのとほぼ同量の水が地下に漏れていることなど気にしない。市民が気にしなければ、地方自治体も敷設されてから平均すると35年以上もたつ老朽水道管の改修など気にしない。結局、水道関係事業費は全公共工事事業費のわずか3%に過ぎないということになる。
 だが、これが2000年前に首都ローマおよび各地の植民地都市に堅牢(けんろう)無比な上下水道を築いていた古代ローマ人の子孫の態度かと考えると、本当に理解に苦しむのだが。(坂本鉄男)

◎イタリア:不況、外国人襲撃相次ぐ、「人種差別」巡り大論争、各地でデモや暴動(2008年10月17日、毎日新聞)
 イタリアで9月以降、アフリカ人や中国人が被害に遭う殺人、傷害事件が連続して発生している。激しやすい加害者による衝動的な暴力という面もあるが、経済悪化も重なり「ラチズモ(人種差別)」という言葉がマスコミで多用され、人種差別に反対するデモが各地で起きている。
 事件はまず9月14日未明、北部ミラノの雑貨店で起きた。イタリア人店主の父子(51歳と31歳)が、店に来たアフリカ系の男性(19)の万引きを疑い、口論の末、鉄パイプで頭部をめった打ちにし殺害した。
 男性は両親が西アフリカ・ブルキナファソから移住したイタリア生まれだった。
 父子は男性を殴る際「汚い黒人泥棒」などと叫んでいたとの目撃証言がある。
 4日後の18日、今度はナポリ北方のカステル・ボルトゥルノで、路上にいたガーナ、トーゴ、リベリア出身の男性7人がバイクで近づいた男たちに銃撃され死亡した。
 地元警察は犯罪組織カモッラによる麻薬密売の縄張り争いと発表したが、地元住民が「アフリカ人差別だ」と怒り、暴動になった。
 今月2日には、ローマ郊外で、中国人男性(37)が10代前半の少年7人に殴られた。
 加害者がイタリア人、被害者が外見の違う外国系という構図から、国内メディアは一斉に「人種差別」と結論づけた。しかし、事件には、商売上のトラブルや縄張り争い、少年の非行という側面もあり、憎悪や恐怖が絡む「人種差別」と結論づけるのはそう簡単ではない。
 それでもイタリアでは「人種」が繰り返し語られ、学生や左翼勢力の手で反差別デモが起きている。こうした反応の激しさは、外国人労働者に対する社会の過敏さ、戸惑いを映し出している。

・今後も悪化必至−−カルロ・モンガルディーニ・ローマ大サピエンツァ校教授(政治科学)の話
 イタリアでは人種絡みの事件の裏で、ファシズムを見直す声が聞かれる。アレマノ・ローマ市長が「ファシズムには良い面もあった」と発言するなど、ムソリーニ政権を再評価する言動が目立つ。
 これは、現状をまともに語れない政治家がファシズムを持ち出し、大衆の関心を引いているだけだ。ファシズムや人種差別についての軽はずみな議論が、国民に将来への不安や脅威をもたらし、差別的な事件を起こさせている。
 「人種差別」は今後、経済悪化でますますひどくなる。中国やインド、東欧などの成長が、イタリア経済を低迷させ、この国のモラルなど文化面を壊し、デカダンス(退廃)の時代に入る。西欧で最も力の弱いイタリアで真っ先に差別的な事件が増長していくだろう。

◎中国製の革靴から六価クロム、伊警察が詐欺グループを摘発(2008年9月27日、読売新聞)
 イタリアの警察当局は26日、ローマ、ミラノ、フィレンツェなどで、中国から輸入した革製品を「イタリア製」と偽って販売していた中国人とイタリア人のグループを詐欺などの疑いで摘発、靴やバッグ類約170万点を押収した。
 押収品の革靴からは有害物質の六価クロムが検出されたという。ANSA通信などが伝えた。
 摘発されたのは、中国人21人とイタリア人7人。押収品の大半が中国からの輸入品だったが、約8万4000点に「イタリア製」などの表示があった。子供用の靴が多かったという。
 靴から検出された六価クロムは、革なめし用と見られるが、皮膚炎の原因になるほか、体内に蓄積されるとがんを誘発することもある。このため、当局は「偽物は買わないように」と警告している。

◎イタリアメダリストの嘆き、免税なく報奨金は半額に(2008年8月16日、産経新聞)
 イタリアオリンピック委員会は、北京五輪の金メダリストに14万ユーロ(約1940万円)、銀に7万5000ユーロ、銅に5万ユーロの報償金を与えることを決めている。これは前回のアテネ五輪よりやや増額されたのだが、税込みなので、実際に受け取るのは半額ほどである。
 イタリアでは、日本のように大企業やスポーツ関連産業が自社の宣伝のためにオリンピック選手を丸抱えして養成する習慣がない。このため、女子選手を含めほとんどのメダリストたちが警察、軍、森林警備隊などに所属している。つまり、普段はたっぷり練習はさせてもらえるものの、給料となると高給というわけにはいかない。
 さて、北京五輪でこれまでメダルを獲得してイタリア人を熱狂させてきた選手たちから次のような要望が出た。
 「私たちは普段はプロのサッカー選手のような経済的な厚遇は受けていない。だから4年に1回、国のために全力を尽くして獲得するメダルの報償金はせめて免税にして頂けないものか」
 まったくもっともな要望で、イタリアオリンピック委員会も「税制は変えられないから、なんらかの補助金を捻出(ねんしゆつ)して、メダリストたちが報償金を全額もらえるようにしたい」としている。こうした要望は、まだメダル獲得の望みがある時点で出さなければ効果がないのかもしれない。(坂本鉄男)

◎イタリア、治安対策で各地に兵士、観光業界「印象悪い」(2008年8月4日、朝日新聞)
 イタリア政府は4日からローマ、ミラノ、ナポリなどの都市部に軍兵士を配置し、一般の治安監視に当たらせる。「治安悪化への市民の不安に応える」との理由だが、シーズンを迎えた観光業界からは「イタリアのイメージが傷つく」と戸惑いの声があがる。警察官を増強しないままの軍展開に、野党は「市民の不安をあおるだけ」と反発している。
 都市部への部隊配置は、犯罪対策強化を掲げて4月の総選挙に圧勝したベルルスコーニ政権が出した一連の治安関連法案の一部。先月、議会で成立した。
 配置されるのは陸海空軍と警察軍「カラビニエリ」の兵士計3千人。うち千人は10都市で路上パトロールにあたり、残りの2千人は16都市で「要注意施設」の警護にあたる。ベルルスコーニ政権は「犯罪増加」の理由の一つに不法移民増加を挙げており、「要注意施設」には各地の不法移民拘束施設が含まれている。
 ANSA通信によると、パトロール部隊は小火器を携行、警護部隊は機関銃などで武装するという。最大野党民主党の影の内閣「内相」のミンニティ氏は「イタリアが制御不能の治安危機に陥っているかのように見える」と批判する。
 最近の世論調査では「治安が悪化した」との声が多数を占めるが、実際に犯罪が急増しているかどうかには疑問の声もある。政府統計局は5月、「窃盗などが増える一方、殺人や麻薬関連犯罪は減っている」と指摘していた。

◎イタリア:ポンペイ、非常事態宣言、荒廃の一途、政府保全へ(2008年7月6日、毎日新聞)
 西暦79年に火山噴火で埋没したイタリア南部の古代都市ポンペイ(世界遺産)が荒廃の一途をたどっている。同国政府は4日、「非常事態」を宣言し、遺跡の保全対策に乗り出すことを決めた。
 コリエレ・デラ・セラ紙によると、ポンペイでは毎年、平均150平方メートルのフレスコ画が壁から脱落するなど遺跡の損傷が進んでいるが、予算不足のため補修作業は滞っている。修復のため1978年に閉鎖されたポンペイ博物館の再開のめども立っていない。維持管理が行き届かず、発掘品の盗難やごみ投棄も多いという。

◎期限切れチーズ再加工し販売、伊検察が欧州46社の捜査着手(2008年7月5日、読売新聞)
 伊ガルバーニ社(本社ミラノ)など欧州のチーズ製造販売46社が、過去2年間に賞味期限切れのチーズ約1万1000トンを新鮮であるかのように見せかけて販売していた疑いが深まり、伊検察当局が強制捜査に乗り出したことがわかった。
 4日付伊レプブリカ紙が報じた。
 当局は、伊北部クレモナなどのチーズ加工4社が、売れ残りのチーズなどを大量に買い集め、化学処理するなどして再加工していたことを突き止めており、46社はいずれも、この4社から再加工品を買い取って、さらに手を加え、自社製品として欧州各国で販売していた。日本など域外への輸出はなかったという。
 加工4社が処理したチーズは1980年の製品が含まれ、カビが生えたり、ネズミのふんが付着したりしていたことがわかっており、当局は関係者3人を詐欺などの疑いで逮捕した。
 イタリアでは今年、モッツァレラチーズからダイオキシンが検出されるなど、食の安全を脅かす事件が相次いでいる。

◎中国製人形から有毒物質、伊の人気キャラクター4000体押収(2008年3月7日、産経新聞)
 イタリア北部ピアチェンツァの税関当局は6日、中国製の玩具の人形の塗料に毒性の高い物質が使われていたとして、約4000体を押収したと発表した。ANSA通信などが伝えた。
 輸入元の玩具メーカーは人形のデータを消費者に公開、回収を急ぐとしている。既に市場に出回った人形にも有毒な塗料が使われている可能性があるためとみられる。
 人形はイタリアで人気のアニメキャラクターで、妖精の女の子をかたどったものなど。税関当局が抜き打ち検査で一部を調べたところ、有毒塗料の人形が見つかった。当局は中国の製造元などは公表していない。
 イタリアに輸入された中国製品をめぐっては、ステンレス鋼材に人体に有害な放射性物質が含まれていたとして、当局が鋼材約30トンを押収、捜査を開始したばかり。

◎中国製人形の塗料から有害物質、4千体押収、イタリア(2008年3月7日、読売新聞)
 【ローマ=松浦一樹】イタリア北部ピアチェンツァの税関当局は6日、中国製の人形に使われた塗料から、人体に有害な物質が検出されたとして、約4000体を押収したと発表した。
 中国から輸入された人形は、イタリアの人気アニメ「ウィンクス」などのキャラクター商品。輸入元は、イタリアの玩具(がんぐ)製造販売大手ジョキ・プレツィオージ社(本社・伊北部コリアーテ)で、すでに市場に出回っている商品については回収を急ぐ、としている。
 同社は、中国広東省で商品を製造、欧州各国で販売している。

◎中国鋼材30トンからコバルト60、伊警察が押収(2008年3月2日、読売新聞)
 中国からイタリアに昨年輸入されたステンレス鋼材約30トンから、放射性物質コバルト60が検出されたため、伊警察当局が押収、搬入ルートなどについて捜査していることが分かった。ANSA通信が1日、伝えた。
 問題の鋼材は昨年5月、同国北部の商業港ラスペッツィアに陸揚げされたもので、イタリアの鋳物工場が中国の大手製鉄所から輸入した鋼材の一部。
 警察では、鋼材の製造過程でコバルト60が混入した可能性があるとみて、国際刑事警察機構(ICPO)に通報したという。被曝(ひばく)被害などがあったかどうかは不明。
 コバルト60は人工的に造られた放射性物質で、半減期は5.27年。ガンマ線源として用いられ、がん治療など医療用のほか、工業用としても広く使われている。

◎7000トンの未回収ごみ移送、ゴミの都・ナポリに首相が「イタリアの恥」(2008年1月15日、産経新聞)
 イタリア南部ナポリでごみ処分場不足から大量のごみが回収されずに放置されている問題で、日刊紙レプブリカによると、全国20州のうち14州が14日までに、政府のごみ受け入れ要請に応じることを決定した。
 しかし、南部サルデーニャやシチリア州では反対住民と警官隊が衝突したほか、分別ゴミだけを受け入れると条件を付ける州もあり、ごみ問題の解決は難航している。
 政府の要請に対し当初、多くの州が難色を示したが、プローディ首相が「これはイタリアの恥だ。(各州は)ナポリを助ける義務がある」と説得。多くの州知事がこれに応じた。
 しかし、サルデーニャ島では住民がごみを積んだ船の接岸を妨害。知事の家の前に大量のごみを置いたり、家に放火しようとする騒ぎとなった。シチリア島でも港から処分場への道路が住民らによって封鎖された。
 ナポリでは住民の意識の低さから大半のごみが分別されていないが、北部ロンバルディア州は、分別されていないごみを焼却した場合、人体に有毒なガスが出るとして、分別ゴミだけの受け入れを主張している。
 こうした間も、回収されないナポリのごみはさらに増え、14日までに約7000トンに達した。多くの小中学校がごみ騒ぎを理由に休校している(共同)

◎ゴミ収集ストップ、街は暴動寸前、イタリア・ナポリ(2008年1月6日、朝日新聞)
 ゴミ行政の混乱が続くイタリア南部ナポリと周辺自治体で年明けからゴミ収集が完全に止まった。稼働していた埋め立て処分場がすべて満杯になったためで、怒った住民らが路上に放置されたゴミ袋の山に次々火を放っている。行政側は古い処分場を再開してしのごうとするが、今度はこれに抗議する周辺住民が市バスに放火する騒ぎに発展。街は暴動寸前の状態だ。
 ナポリを中心とするカンパニア州では新たな埋め立て処分場が造成されては満杯になり、しばしばゴミ収集が止まる。今回は、昨年中に期待された初の焼却施設の供用が大幅に遅れる中、最後に残っていた2カ所の処分場が年越しを挟んで相次いで閉鎖された。
 ナポリではクリスマス前からゴミがほとんど収集されなくなった。路上に積み上がったゴミ袋の山は膨張する一方で、歩行困難な場所も。住民らが抗議の意味を込めてこうしたゴミに火をつけ、消防出動は1日で最大200回に達した。
 一方、政府任命の監督官が数年前に閉鎖された隣接市の埋め立て処分場再開を計画。怒った地元住民らが2日から処分場に続く道路を封鎖した。4日未明には近くの市バスを奪って全焼させ、5日も警察官への投石、小競り合いなどが続いた。

◎イタリア:小銭稼ぎに車の「窓ふき」、フィレンツェが禁止(2007年9月11日、毎日新聞)
 交差点で信号待ちする車のフロントガラスを洗い、小銭を稼ぐ「窓ふき」。イタリアでは貧しい移民の“仕事”として知られるが、同国中部のフィレンツェ市は、強引な窓ふきがドライバーとのトラブルを続発させているとして、全面的に禁じる異例の条例を定めた。
 同市当局者によると、ドライバーの承諾を得ず勝手に窓を洗い、報酬を求めていさかいとなるケースが目に余るため、「治安を損なう」との理由で禁止した。最高で罰金206ユーロ(約3万2000円)、禁固3カ月の罰則も設けた。施行初日の先月28日には15人以上の窓ふき人が拘束された。
 窓ふきをする人の多くはルーマニア移民で、イタリア全国の街角でみかける光景だ。洗い賃は1台当たり30セント(約50円)程度。職のない移民にとって手っ取り早く貴重な収入源だが、押し付けがましい行為は市民の評判が悪い。
 イタリア紙によると、フィレンツェの禁止措置を受け、ミラノやベローナ、バリなど他の都市も同じような条例の導入を検討し始めた。急進的な左派政党や人権団体関係者からは「お金と生活に困る人々を罰するようなもの」と、移民を擁護する声も聞かれるが、大勢は厳しい姿勢だ。
 ローマ市内の交差点で一人窓ふきしていたエジプト人男性(42)は「半年前からやっている。妻と子供3人がおり、他に仕事がないのでしょうがない」と話した。

◎投票率80%の理由(2007年7月19日、産経新聞)
 義務か権利か。選挙の声を聞くと、故郷を思い出す。日本と同じく街宣活動があり、候補者はいきなりフレンドリーになり握手を求めてくる。違うのは、公共放送以外のマスコミ出演やネットでのマニフェスト公表等、活動に制限はないところ。さらに、イタリアでは憲法で投票が義務づけられおり、日本における“国民の権利”との位置づけとは大きく異なる。因(ちな)みにイタリアの総選挙の投票率は確実に80%台をキープしており、そこには“政治の国”ならでは、と簡単には片付けられない理由がある。
 基本的に投票を棄権してはいけないのである。棄権の場合、その正当な理由を役所に届け出なければならない。届け出を怠ったり、理由の正当性が認められなかった場合は、不投票者として氏名が公に告知されかつ、役所発行の個人プロフィルに5年間“不投票”と記載されてしまう。こうなると、公務員採用試験などの際に扱いが不利になるケースもあると聞く。
 半面、選挙通知の裏にこんな文面が印刷されている。『投票の目的で故郷の選挙区へ戻る場合、国鉄料金が70%オフ。国外居住者は国境までの運賃が30%オフ、国内国鉄運賃は無料』。よって選挙は故郷の家族に会うための絶好の機会となり、投票率は高い数字となる。国民の政治への関心も自ずと高まるのである。
 国によっては、投票もネットで行えるほどセキュリティーの精度を高めて国民の利便性を図っていると、もれ聞く。対してわがイタリアは非常にアナログ的ではあるが、何事も楽しい方向に持っていってしまう国民性をふまえ、“アメとムチ”をうまくコントロールできている。どちらもない日本では、余程政策に興味をそそられるか、差し迫った危機がない限り、権利を行使する国民は多くないだろう。(エッセイスト・ジローラモ)

◎南欧熱波、死者30人に、山火事頻発、停電も(2007年6月27日、産経新聞)
 熱波に襲われた欧州南部、イタリアやルーマニアなどでは、26日も死者が続出、ロイター通信によると死者数はこの数日間で少なくとも30人に上った。
 ANSA通信によるとイタリア・シチリア島では同日、4日連続で気温が40度を超え、お年寄り3人が死亡した。同島とサルデーニャ島の計約20カ所で山火事が発生、シチリア島だけで、東京ドーム約210個分に当たる1000ヘクタールの畑が焼失した。
 また、シチリア島の中心都市パレルモでは、エアコンの使用による停電が起き、信号が消えたり、裁判日程が延期になるなど影響が出た。
 この日、ローマでの電力消費は過去最高を記録。イタリア全体でも過去最高に迫った。
 ロイターによるとルーマニア南部でも同日、新たにお年寄り4人が暑さにより死亡した。

◎南欧熱波、10人超死ぬ、シチリア島では46度(2007年6月26日、産経新聞)
 【ローマ=共同】南欧を中心にここ数日、熱波が襲い、25日には各地で気温40度以上を記録した。ロイター通信などによると、暑さのためイタリア、ギリシャなどで計10人以上が死亡した。
 ANSA通信によると、イタリア南部シチリア島のシラクサで46度を記録。同島などで3人が死亡した。
 ロイターによると、ギリシャでは暑さの影響で病人2人が亡くなった。26日は一層の暑さが予想され、ギリシャ政府は電力消費を抑えるため、全公務員に対し26、27の両日は半日で帰宅するよう指示した。
 また、ルーマニアで6人、キプロス、トルコでも各1人の死者が出た。
 シチリア島パレルモ近くにあるフィアットの自動車工場では、ほとんどの労働者が暑さに耐えられず職場を放棄し、生産が止まった。組合幹部はクーラーの設置を要求している。
 イタリアで空調機シェアのトップを占めるダイキン・エアコンディショニング・イタリア社(ローマ)は「この数日、ガス補充の問い合わせなど、顧客からの電話が殺到している。今年の欧州でのクーラー売り上げは、記録的猛暑だった2003年を上回るだろう」と話している。

◎ローマで反ブッシュデモ・イラク政策などに反対(2007年6月10日、日本経済新聞)
 ブッシュ米大統領が訪問中のローマ市内で9日午後から深夜にかけ、米国のイラク政策やグローバル化に反対するデモと集会があり、投石などを始めたデモ隊と警官隊が衝突、双方に負傷者が出た。デモ参加者は警察発表で1万2000人、主催者発表で15万人。デモ隊の6人が拘束された。ANSA通信が伝えた。
 国内各地から集まったデモ隊は夕方、共和国広場を出発し、市の中心部を数時間かけ行進。途中、銀行のガラス窓を割ったり発炎筒をたくなどした。
 一方、穏健派はポポロ広場で反戦集会を開催。プローディ首相の指示を受けて現職閣僚は参加しなかったが、共産党や緑の党の国会議員数人が加わった。
 ローマ中心部は終日、大規模な交通規制が敷かれ、商店やレストランの多くが休業。すべての学校は休校となった。

◎アイスマンの呪い?伊の凍結ミイラ、関係者7人死亡(2006年1月12日、朝日新聞)
 イタリア北部のアルプスで発見された約5300年前の凍結ミイラに関係した7人が次々と死亡し、「アイスマンの呪いではないか」などと伊メディアが報じている。この男性ミイラは伊北部ボルツァーノの考古学博物館で公開されているが、宗教関係者らからは「発見場所へ戻し、手厚く葬った方がいい」との声も出ているという。
 ミイラは91年9月、イタリアとオーストリアの国境にあるアルプスの氷河で見つかった。冷凍されたミイラとしては世界最古という。弓矢に当たって死んだとみられており、「他の狩猟者に撃たれた」「戦死した」などの説がある。保存状態が良く、世界中の学者らの関心を集めた。「エッツィ」と名付けられたが、「アイスマン」と呼ばれることが多い。
 ANSA通信などによると、最初に亡くなったのは、オーストリア人法医学者のライナー・ヘンさん(当時64)。発見した時に素手でミイラを遺体の保存袋へ入れた人物で、93年に交通事故にあった。ヘンさんを現場へ案内した登山家のクート・フリッツさん(同52)も同じころ、雪崩に巻き込まれて亡くなった。同行していた登山仲間で亡くなったのは、フリッツさんだけという。
 3人目は発掘を撮影したオーストリア人のカメラマン(同47)で、04年8月に脳腫瘍(しゅよう)で死亡した。その2カ月後には、最初の発見者の登山家ヘルムート・ジーモンさん(同67)がオーストリア山中で遺体で見つかった。滑落死とみられる。発掘チーム長だったドイツ人男性(同45)は、ジーモンさんの葬儀に参列した数時間後に心臓発作で亡くなったという。
 6人目は昨年4月、多発性硬化症の合併症で亡くなったオーストリア人考古学者(同55)。インスブルック大のアイスマン研究室長だった。同年10月にはオーストラリアの学者トム・ロイさん(同63)が、自宅で遺体で見つかった。遺伝性の血液病が死因とみられるが、アイスマンのDNAに関する本の出版を間近に控えていたため、メディアは「呪い?」などと一斉に書き立てた。
 ミイラがある博物館は、温度や湿度が氷河と同様に保たれ、来館者は小窓からのぞく形で見ることができる。

◎イタリア「ポルノ税」導入へ、財政赤字解消の切り札(2005年12月14日、読売新聞)
 イタリアのベルルスコーニ政権は13日、財政赤字解消の切り札として、来年から「ポルノ税」を導入する方針を決めた。
 ANSA通信などによると、ポルノ映画、ビデオ、雑誌の販売などに25%の税を課す計画で、「ポルノ税」提唱者の与党議員ダニエラ・サンタンケ氏は「約2億2000万ユーロ(約315億円)の増収が見込める」と試算する。増収分は、ベビーシッターへの助成、託児所増設など、イタリア社会で深刻な少子化対策に活用する。
 80年代にチチョリーナさんなどの国際的スターを輩出したイタリアのポルノ産業だが、民間シンクタンクの推計では、昨年の総売り上げは約11億ユーロ(約1580億円)。低成長が続くイタリア経済にあって約10%という飛び抜けた成長率を記録した。
 欧州連合のユーロ参加国は、単年度財政赤字を原則として3%以内におさめねばならない。だが、専門家は、イタリアの来年度財政赤字は抜本策を講じない限り4.2%となると推定している。ポルノ産業に従事する俳優や監督は地元メディアに対し、「もうかっているからと、ポルノだけに重税を課すのは、表現の自由の侵害」などと発言、街頭での抗議行動を呼びかける、としている。

◎イタリアも猛暑、100万人が危険な状況にと政府警告(2005年6月28日、朝日新聞)
 ここ数日猛暑が続くイタリアでは、政府が「お年寄りを中心に100万人が危険にさらされている」と警告を発するとともに、停電、渇水などの対策を強化している。
 27日にはミラノで38度を記録。イタリア北部では75歳の旅行者と、ボール遊びをしていた18歳の青年が死亡した。28日もボローニャ、ローマなどで35度を超える見込み。(時事)

◎熱波の伊で7人死亡、高齢100万人に「生命の危機」(2005年6月28日、読売新聞)
 イタリアのストラーチェ保健相は27日、同国を襲った熱波について記者会見し、「暑さのせいですでに7人が死亡した。独り暮らしの80歳以上のお年寄り100万人の生命が危機にさらされている」として、フリーダイヤル開設などの緊急対策を講じると発表した。
 北部の避暑地ボルツァーノでは23日、最高気温36・3度の猛暑のため85歳の女性が死亡。国内ではここ数日、80歳以上の高齢者を中心に、暑さによる死者が相次いでおり、同保健相は「記録的な熱波で、多数の死者を出した2003年夏の状況を再現してはならない」とも述べた

◎財政赤字で伊への警告回避、EU財務相理事会(2004年7月6日、産経新聞)
 欧州連合(EU)財務相理事会が5日、ブリュッセルで開かれ、イタリアのベルルスコーニ首相が2004年の歳出削減策を表明したため、同理事会は、イタリア国債の格下げにもつながりかねない早期警告の発動を回避した。一方で、同様の財政赤字を抱えるギリシャに対しては警告を発動した。
 イタリアの04年の財政赤字はEUの財政安定成長協定に違反し、国内総生産(GDP)比3%超となる見込み。対策をとらなければ05年はさらに悪化するとして、欧州委員会は同国に早期警告するよう理事会に勧告していた。
 イタリアのトレモンティ経済・財務相が連立政権内の財政健全化をめぐる対立から辞任したため、代理出席したベルルスコーニ首相は、理事会に先立ち開かれたユーロ圏財務相会合で、75億ユーロ(約1兆40億円)規模の歳出削減策を表明、同会合での支持を得た。
 財務相理事会では、ギリシャの04年の財政赤字も対GDP比が2年連続で3%を超える可能性があるため、主要議題の一つとなった。

◎イタリアの大停電、発端はスイスの送電障害(2003年9月29日、朝日新聞)
 イタリアで28日に発生した大規模な停電は、同国に電力を輸出しているスイスで起こった送電障害が発端になった可能性が高いことが明らかになった。
 スイスの発電当局者によると、同日午前3時ごろ、スイスとイタリアを結ぶ高圧送電線に強風にあおられた木が当たり、送電が止まった。ほぼ同時に、フランスとイタリアを結ぶ送電線にも何らかの原因で障害が発生した。スイスとフランスで起こった障害が連鎖しているかどうかは不明だという。
 イタリアでの停電が大規模になったことについて、スイスの発電当局者は、送電障害への対応を誤ったイタリア側に責任があるとしている。イタリアと国境を接するスイス南部でもほぼ同時に停電が発生したが、一時間以内で復旧したという。
 イタリアは慢性的な電力不足が続いており、スイスなどから2割近くを輸入している。

◎イタリア全土で停電(2003年9月28日、日本経済新聞)
 イタリアのサルデーニャ島を除く全土で28日未明、電力供給が停止した。110の列車が止まり、3万人の乗客がとじ込められたほか、各地で信号やエレベーターなどが停止。特に夜通し商店や美術館を開ける市主催のイベントを実施していた首都ローマでは混乱が続いた。
 イタリアでは6月末、猛暑による電力消費の急増で1981年以来、初めて全土で電力供給が停止する騒ぎが起きている。国営RAI放送によると、停電の原因について電力当局は「フランスから引いている送電線の故障が原因」と話している。

 


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