韓国の気になるニュース
2008年

このページは、私が気になった韓国の気になるニュースを個人的にまとめたものです。

  メニュー 

海外事情 

中国 

台湾 

韓国 

韓国体験記 

 韓国の地理 

 韓国の料理 

 韓国のニュース 

インド 

シンガポール 

タイ 

リンク 

雑学の宝庫 

更新日:
 2013年2月4日






◎韓国政府サイトにハッカー攻撃、日本風のイメージ画像も(2008年12月29日、読売新聞)
 聯合ニュースによると、韓国政府が運営するインターネットの広報サイトと在米韓国大使館の公式サイトが28日夜、相次いでハッカー攻撃を受けた。
 画面を改ざんする手法を使ったとみられ、中には日本風のイメージ画像も含まれていたという。捜査当局が被害の程度、攻撃経路などを調べている。

◎韓国も指紋採取準備か、入国審査で外国人から(2008年12月28日、産経新聞)
 聯合ニュースによると、韓国法務省当局者は27日、同国政府が空港での入国審査の際に観光客を含む外国人全員から指紋を採取することを義務化するため、出入国管理法の改正を準備中であると明らかにした。
 テロリストの入国防止などが目的とみられ、早ければ2010年から実施するという。
 入国審査時の外国人の指紋採取は、日本や米国が既に行っている。

◎韓国、ニセ洋酒の撲滅作戦、対策工夫、でも死亡事件(2008年12月28日、朝日新聞)
 忘年会真っ盛りの韓国で、政府やメーカーが偽の洋酒対策に追われている。「流通量の1割が偽洋酒」との指摘もあるだけに、フタへの特殊加工など様々な工夫で対抗。それでも今月、偽洋酒を飲まされた酔客が死亡する事件が公になるなど、被害は後を絶たない。
 韓国の洋酒メーカー、ペルノ・リカール・コリアは今月、「トリプル・キーパー」と名付けた防止装置を高級国産ウイスキー「インペリアル」に装着した。フタをひねる音と感触に特徴があるほか、開封すると「正品」という表示が出る仕組みだ。
 同社の試みは01年以来、実に5回目。これまで偽の洋酒を空き瓶に注げないようにするキャップなど、様々な対策を講じてきた。広報担当者は「偽洋酒との戦争」と語る。
 他社も(1)開封すると内部のおもりが分離し、再使用ができなくなるフタ(2)特殊なラベルのシール――などを開発して対応。韓国国税庁も11月から今月末まで、本物かどうかを確認できる電子タグを一部の高級洋酒につける試験事業を続けている。
 国税庁によれば、04年から08年7月までに摘発された偽洋酒は、流通量の0.009%に過ぎない。だが、与党ハンナラ党の安孝大議員は「1兆ウォン規模の洋酒市場全体の10%前後が偽洋酒と推測できる」と主張。今月、こうした懸念を裏付けるような事件が明らかになった。
 ソウルの警察署は12日、偽洋酒で泥酔させた客から金を奪って放置し、急性アルコール中毒で死亡させた飲食店主らを強盗致死罪で逮捕したと発表。安物ウイスキーにウーロン茶を混ぜた原価3千ウォン(約210円)の偽洋酒を25万ウォンで売りつけたという。

◎韓国:与野党対立、国会空転、経済法案など巡り占拠、放水(2008年12月27日、毎日新聞)
 韓国国会で与野党の対立が激化し、空転が続いている。経済危機が叫ばれる中で「一刻も早い法案処理を」と、強行採決も辞さない構えの与党ハンナラ党に、野党が猛反発。26日には最大野党の民主党が、主要委員会室や国会議長室に続き、本会議場を占拠する事態にまで発展した。
 韓国の臨時国会は10日、来月8日までの会期で開会。13日に284兆5000億ウォン(約19兆8000億円)の来年度予算案を通過させた。ハンナラ党は経済再建関連などの法案処理も急ぎたい考えだったが、野党は慎重審議を要求。
 対立が先鋭化したのは、ハンナラ党が18日に韓米自由貿易協定(FTA)批准同意案を外交通商統一委員会に単独で上程したのがきっかけ。上程の際、ハンナラ党議員が委員会室にこもる一方、野党議員が扉の前に駆けつけ、双方で消火器を噴出させたり放水したりと混乱した。
 李明博(イミョンバク)政権の支持率が低迷する中で「時期が遅れるほど法案処理が難しくなる」との見方も出るなか、ハンナラ党は野党が諸法案の審議に応じないなら強行採決で乗り切る姿勢を強めている。
 これに備え、民主党は26日朝、54議員が本会議場を占拠し「大統領は民間独裁への道を歩んでいる」との声明を発表。一方、国会事務局が占拠を不法侵入に当たるとして警察に捜査依頼するなど、混乱は深まるばかりだ。

◎韓国:国会混乱続く、野党が本会議場を占拠(2008年12月27日、毎日新聞)
 韓国国会で与野党の対立が激化し、空転が続いている。経済危機が叫ばれる中で「一刻も早い法案処理を」と、強行採決も辞さない構えの与党ハンナラ党に、野党が猛反発。26日には最大野党の民主党が、主要委員会室や国会議長室に続き、本会議場を占拠する事態にまで発展した。
 韓国の臨時国会は10日、来月8日までの会期で開会。13日に284兆5000億ウォン(約19兆8000億円)の来年度予算案を通過させた。ハンナラ党は経済再建関連などの法案処理も急ぎたい考えだったが、野党は慎重審議を要求。
 対立が先鋭化したのは、ハンナラ党が18日に韓米自由貿易協定(FTA)批准同意案を外交通商統一委員会に単独で上程したのがきっかけ。上程の際、ハンナラ党議員が委員会室にこもる一方、野党議員が扉の前に駆けつけ、双方で消火器を噴出させたり放水したりと混乱した。
 李明博(イミョンバク)政権の支持率が低迷する中で「時期が遅れるほど法案処理が難しくなる」との見方も出るなか、ハンナラ党は野党が諸法案の審議に応じないなら強行採決で乗り切る姿勢を強めている。
 これに備え、民主党は26日朝、54議員が本会議場を占拠し「大統領は民間独裁への道を歩んでいる」との声明を発表。一方、国会事務局が占拠を不法侵入に当たるとして警察に捜査依頼するなど、混乱は深まるばかりだ。

◎韓国メディア労組がスト入り、新聞社などの放送進出反対(2008年12月26日、日本経済新聞)
 韓国の新聞、放送、通信社労組が参加する「全国言論労組」が、現在禁止されている新聞社や大企業による地上波放送局の株式所有を認める法改正の動きに反対しストライキを宣言、傘下労組の一部が26日朝、スト入りした。
 26日はMBCテレビの朝のニュース番組で、組合員のレギュラーのキャスターに代わり非組合員の記者らがニュースを読んだ。
 韓国では市場占有率の合計が8割を占めるとみられる朝鮮日報、中央日報、東亜日報の3大保守系紙が李明博政権に友好的で、テレビは批判的な論調が比較的強い。(ソウル=共同)

◎韓国メディア労組がスト、新聞の放送進出に反対(2008年12月26日、産経新聞)
 韓国の新聞、放送、通信社労組が参加する「全国言論労組」が、現在禁止されている新聞社や大企業による地上波放送局の株式所有を認める法改正の動きに反対してストライキを宣言し、傘下労組の一部が26日朝、スト入りした。
 韓国では、市場占有率の合計が8割を占めるとみられる朝鮮日報、中央日報、東亜日報の3大保守系紙が李明博政権に友好的で、テレビは批判的な論調が比較的強い。言論労組は放送局への資本参加要件を緩和すれば、3大紙や財閥企業がテレビの編成権を掌握し、大手メディアが政権支持一色になると反発している。
 早期の法改正を目指す与党ハンナラ党は「グローバルメディアグループ」を育成するとしている。韓国でも新聞離れが進み、大手紙が放送業界進出に活路を見いだそうとしていることも背景にあるとみられる。

◎実刑確定の元女性工作員、韓国の拘置所で自殺図る(2008年12月25日、読売新聞)
 韓国紙、東亜日報は25日、北朝鮮脱出住民を装って韓国でスパイ活動を続け、懲役5年の実刑判決が確定した元女性工作員、元正花(ウォンジョンファ)受刑者(34)が、収監されている水原拘置所で自殺を図っていた、と報じた。
 命に別条はなく、現在は担当検事が相談に乗るなどして精神安定に努めているという。
 同紙によると、元・受刑者は23日午後、独房内で突然、タオルで自分の首を絞め始めたが、刑務官に見つかって阻止された。
 元・受刑者は、国家保安法違反の罪の共犯として起訴された継父(63)や、愛人だった元軍人(26)の公判に証人として出廷しているほか、娘(7)と何回か面会しているうちに精神的に不安定な状態となり、最近は「いっそ死んだほうがいい」と漏らしていたという。

◎北朝鮮の女スパイ、拘置所で自殺未遂(2008年12月25日、スポーツニッポン)
 韓国紙、東亜日報は25日、北朝鮮脱出住民(脱北者)を装いスパイ活動をしたとして懲役5年の判決が確定した北朝鮮の元女工作員、元正花受刑者(34)が23日、収監先の拘置所で自殺を図ったと報じた。
 独房で突然、タオルで自分の首を絞めようとしたが、拘置所職員に見つかり阻止された。同受刑者は共犯として起訴された継父や、交際していた元軍人の公判に検察側証人として出廷した後、精神状態が極度に不安定になっていたという。

◎韓国でも自動車産業“非常事態”、減産・リストラの嵐(2008年12月24日、産経新聞)
 韓国自動車各社が、国内外の需要低迷を受け、相次ぎ減産やリストラに入った。海外の親会社が投資引き揚げの動きを見せるなど、韓国の輸出産業を牽引(けんいん)してきた自動車産業はかつてない非常事態に直面している。
 最大手の現代自動車は月平均1割程度(約1万7000台)の減産に入り、22日には賃金引き上げ凍結を柱にした「非常経営体制」を宣言。戦闘的な姿勢で知られる同社の労働組合は反発しているが、メディアによれば、労組内でも会社の方針を受け入れるべきだとの声が出ている。
 17日から生産を休止した双竜自動車はさらに深刻だ。今月の給与支払いの見通しが立たない上、株式の5割強を持つ中国の上海汽車が、双竜従業員の福利厚生カットなどを労組が受け入れなければ「韓国から撤退する」と通告。双竜幹部は「(撤退は)わが社の破産を意味する」と述べた。

◎韓国公然の秘密「残飯使い回し」罰則適用へ、業界は反発も(2008年12月22日、読売新聞)
 残飯を使い回して他の客に出すことが半ば「公然の秘密」となっている韓国の飲食店に対し、韓国政府は店舗閉鎖を含む厳しい措置を取る方針を決めた。
 2009年上半期までに食品衛生法施行令を改正する予定で、保健福祉家族省は「誤った食文化、悪習を改革する」と意気込んでいる。
 残飯使い回しの実態は韓国のテレビ各局で08年8~9月に相次いで放映された。公共放送KBSの独自調査では、80%の飲食店が使い回しをしていた。消費者の苦情が同省に寄せられるようになり、新措置導入の検討が始まったという。
 改正案では、初めて使い回しが発覚した店に営業停止1か月、2回目なら同3か月、3回目には店舗閉鎖と段階的に罰則を厳しくする。政府の動きに呼応して、ソウル市内の一部の飲食店では、食べ残しを客の前で専用容器に回収する取り組みも始まった。
 食べ残しが多い理由のひとつが、「パンチャン」と呼ばれるおかずが必要以上に食卓に並ぶことだ。パンチャンはキムチや魚の煮付けなど店によって違うが、客が食事を注文すると何種類かがサービスで提供される。同省によると、量が少ないと「ケチな店」と思われる風潮がある。このため、店がパンチャンを多めに出し、食べ残しを別の客にも使う悪循環が起きているという。
 ソウル市内でも高級飲食店などが集まる江南区は、パンチャンを注文制にして、客が食べたいものを必要な量だけ自分で選ぶ仕組みを導入するよう区内の店に呼びかけている。
 だが、呼びかけに応じたのは「区内5000店舗のうち約10店舗」(区担当者)。同省によると、今回の施行令改正に対しても飲食店の業界団体は、「客が減る」「処分が重すぎる」と反発しているという。
 同省は「残飯はゴミだと考え、残飯を減らす方法を考えてほしい」と、飲食業者に従来の発想を変えるよう要求。消費者に対しても「量が多ければ良いのではなく、きれいな食べ物が良いという認識を持ってほしい」と注文している。
 韓国ではソウル五輪開催決定後の1983年、「衛生的な食べ物」を実現しようとパンチャンを個別に注文する制度を導入した。しかし、パンチャンに料金を払うことに消費者が反発。罰則がなく、飲食店も制度を守らなかったため、制度が形骸(けいがい)化した経緯がある。今回も、飲食店の意識や消費者の関心を喚起できるかが、新措置の成否のカギを握りそうだ。

◎韓国で「食べ残し使い回し」根絶運動、3回違反で店閉鎖(2008年12月20日、朝日新聞)
 韓国保健福祉家族省などは19日、飲食店などによる食べ残し料理の使い回しを根絶する国民運動を始めた。今夏、テレビ番組が再利用問題を報道したのをきっかけに、同省が「消費者を欺き、わが国の食文化に対する認識をおとしめる」と危機感を抱いたためだ。
 食品衛生法を改正し、再利用した飲食店などに対しては「三振制度」を適用。1度目は営業停止1カ月、2度目は同3カ月、3度目は閉鎖となる。内部告発者への報奨金制度も導入し、成果をめざす。
 全国の飲食店などに広報ステッカー400万枚を配るほか、「再利用しない」と誓った食堂は、誓約書を店内に掲示したり消費者団体のホームページに載せたりして、他店との差別化を図るという。
 韓国のテレビ各局は今年8~9月、相次いでこの問題を報道。KBSテレビの報道番組によれば、無作為に選んだ20飲食店などのうち、16カ所で食べ残し料理を再利用。キムチをキムチチゲにしたり、刺し身に添える大根の千切りを洗ってまた客に出したりするケースがあったという。

◎韓国製造業、減産相次ぐ、ポスコは操業開始以来始めて(2008年12月19日、日本経済新聞)
 韓国製造業の減産が相次いでいる。鉄鋼最大手のポスコは18日、1973年に操業を開始して以来、初めて粗鋼の減産に着手したと発表。液晶パネル世界2位のLGディスプレーも24日から12日間、主力工場での生産を中止する。世界景気の減速で需要が急減しており、幅広い業種に減産が広がりそうだ。
 ポスコの減産規模は12月が20万トン、来年1月が37万トン。当初計画比でそれぞれ7.3%、13.5%の減少となる。大口需要家の自動車、電機メーカーの稼働率が低迷し、年末年始の工場の操業を中止する動きが広がっているため、ポスコも減産で在庫を調整する。自動車用鋼板など冷延製品が主な対象になる見通しだ。
 LGディスプレーはソウル郊外の坡州市にある工場の生産を来年1月4日まで中止する。対象はテレビ用の大型パネルを効率的に生産できる「第7世代」ライン。計画比20%の減産となる。慶尚北道にある亀尾工場の生産中止も検討する。

◎韓国:焼失の南大門、再建作業続く、12年末完了予定(2008年12月16日、毎日新聞)
 今年2月に放火で焼失したソウルの南大門(正式名・崇礼門)で、再建に向けた作業が続いている。10日には主要な柱や梁(はり)に使う松の大木の伐採も始まった。韓国文化財庁は、12年末の工事完了を目指している。
 南大門は1398年完成。都の南側の主要な門だったので、そう呼ばれた。韓国の「国宝1号」でソウルのシンボル。現在、南大門の周囲はパネルで覆われ、焼け跡には足場が組まれている。焼失を機に行われた発掘調査で、これまでに李朝後期(19世紀)の石畳や民家跡が見つかった。
 主な柱や梁にするのは、韓国で「金剛松」と呼ばれる松で、江原道や鬱陵島から切り出される。復元の本格着工は10年の予定。総工費は250億ウォン(約16億円)。

◎韓国:基準金利1%下げ、過去最低の年3%に(2008年12月11日、毎日新聞)
 韓国銀行(中央銀行)は11日、定例の金融通貨委員会を開き、基準金利を1%引き下げ、年3%とすることを決め、即日実施した。引き下げ幅は過去最大で、年3%という水準も過去最低。異例の大幅利下げで、景気の浮揚を狙っている。利下げを発表した李成太(イソンテ)総裁は「韓国の成長率は相当期間とても低いものとなるだろう」と述べた。

◎韓国、政策金利1%下げ、最低水準の3.0%に(2008年12月11日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】韓国銀行(中央銀行)は11日の金融通貨委員会で、政策金利を1%幅引き下げて年3.0%にすることを決め、即日実施した。引き下げ幅は10月27日の0.75%幅を上回りこれまでで最大。年3.0%という水準も、04年11月~05年10月の3.25%を下回り、最も低い。
 韓国銀行の利下げは10月以降だけで4度目。合計の下げ幅は2.25%に及ぶ。韓国では不動産市場の低迷など景気が減速し、一部企業の資金繰り悪化も表面化する中、思い切った利下げで景気浮揚をはかる姿勢をはっきりさせた。韓国銀行の李成太総裁は11日の記者会見で、「消費や投資の不振が深刻になり、国内景気は最近2~3カ月で急速に悪化している。今後相当な期間は非常に低い成長率で、雇用も大きく増えないだろう」などと述べた。

◎日本、韓国向け資金融通枠倍増へ、通貨交換協定(2008年12月11日、朝日新聞)
 通貨危機など緊急時に資金を融通する「通貨交換協定」をめぐり、日本が韓国向けの融通枠を現行の2倍以上に拡大する方向になった。中国も韓国向けの増枠に応じる見込みで、金融危機以降、ウォン安に苦しむ韓国を支援する。これを受け、13日に福岡で開く日中韓首脳会談では、アジアの金融安定へ「協調強化」を演出する。 日韓間では、ウォンとの交換で日本が円やドルを韓国に供給する資金枠がすでに130億ドル(約1兆2千億円)あり、これを300億ドル程度に拡大する見込み。枠の拡大自体は11月の日中韓財務相会合ですでに合意していた。同時に議論されていた日中間の枠拡大は見送られる見通し。
 世界的な金融危機の逆風に直面し、韓国が日中の協力を切望していた。ウォンの対ドル相場は今秋以降、外国人投資家の投資引き揚げや金融市場でのドル不足などで急落。11月下旬には1ドル=1500ウォン台と、通貨危機当時だった98年3月以来の安値水準に落ち込んだ。
 この間、通貨当局は外貨準備を取り崩し、ドル売り介入や金融市場へのドル資金の供給に充ててきた。11月末で2005億ドル(約19兆円)となり、07年末と比べて617億ドルの減少。韓国は「通貨危機時をはるかに上回り、十分な水準で問題ない」と訴え続けるが、増加や横ばいの日中両国とは対照的だ=グラフ。
 そこで、韓国が当てにしたのが「他国の財布」。「二重、三重に多様な資金調達先を確保し、市場の過剰な不安解消につなげる」(政府関係者)。10月には米連邦準備制度理事会(FRB)と300億ドルの交換協定を締結。すでに計70億ドルを借り入れ、国内の金融機関に貸し出した。
 韓国は「日中韓の協調はアジアの金融安定を伝えるメッセージとして重要」(政府関係者)として、「韓国支援」との見方に抵抗する。だが、急激なウォン安はやや一服しつつあるが、「ドル不足感は強い」(市場関係者)。日本の財務省関係者は「韓国には(日中からの融通枠拡大は)のどから手が出るほど欲しい『担保』」とみる。
 実のところ、世界2位の外貨準備を持つ日本、同1位の中国にとって、枠拡大の必要性は乏しい。ただ、日中ともに、アジアの混乱が景気低迷に拍車をかける事態を避け、東アジアの金融不安の「火種」は取り除いておきたい。ともに影響力を高めたいとの思惑もある。
 日本は11月の金融サミット(G20)で「地域協力の強化」が打ち出されたことも受け、日中韓の経済・金融協力の強化に前向きだ。日中韓単独での首脳会談という歴史的なタイミングでもあり、「東アジアの金融協力にリーダーシップをとりたい」とする麻生首相の意向が強く働く。
 中国にとって韓国は、香港などを除く国・地域別で最大の投資受け入れ国(07年)。その苦境は、中国の外資導入に影響を与えうる。「責任ある態度に基づき国際金融安定の維持にかかわる」(胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席)と強調しており、韓国への「支援」でもその姿勢が反映された格好だ。(松村愛、ソウル=稲田清英、北京=琴寄辰男)

◎盧武鉉前大統領の兄を逮捕、利益供与受けた疑い(2008年12月4日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】韓国最高検察庁は4日、証券会社「世宗証券」買収を働きかける口利きをした見返りに利益供与を受けたとして、盧武鉉(ノムヒョン)前大統領の兄、盧建平(ノゴンピョン)容疑者(66)をあっせん収財の疑いで逮捕した。
 韓国メディアによると、盧容疑者は2005年6月、世宗証券の大株主だった「世宗キャピタル」代表、洪起玉(ホンギオク)容疑者(58)(贈賄容疑で逮捕)の依頼で、当時の韓国農協中央会長(64)に買収を要請。買収後の06年2月、盧前大統領の高校同級生、鄭化三(チョンファサム)容疑者(61)(あっせん収財容疑で逮捕)らとともに、洪容疑者から謝礼金30億ウォン(約2億円)を受け取った疑い。
 同庁は、30億ウォンの一部が盧容疑者に流れたとみている。

◎韓国前大統領の兄、収賄容疑、6代続け大統領の親類逮捕(2008年12月4日、朝日新聞)
 【ソウル=箱田哲也】韓国最高検は4日、証券会社の売却に絡んで不正な金を受け取った疑いが強まったとして、盧武鉉・前大統領の実兄の盧建平容疑者(66)を、民間人の収賄類似行為を禁じるあっせん収財容疑で逮捕した。建平容疑者は一部容疑を否認しているという。
 韓国メディアの報道などによると建平容疑者は05年6月、盧・前大統領の高校時代の同級生の元ゴルフ場経営者から「農協が世宗証券を買収できるよう助けてほしい」と頼まれ、世宗証券の大株主と韓国農協中央会長を引き合わせ、多額の金品を受け取った疑いがある。
 06年1月に農協による世宗証券の買収が確定。大株主は翌月、元ゴルフ場経営者に30億ウォン(約1億9千万円)を渡したとされ、その金の一部が建平容疑者に渡ったとみられている。
 韓国では8月に現職の李明博(イ・ミョンバク)大統領夫人のいとこが比例代表候補の選定に絡んで金品を受け取ったとして公選法違反で逮捕されたばかり。盧氏の実兄の逮捕により、80年に就任した全斗煥氏以降、6代の大統領全員の親類から逮捕者が出たことになる。韓国大統領には権力が集中しており、大統領の縁故に頼って利権を得ようとする事件が後を絶たない。

◎ヨン様“イッキに10億円”ソン様(2008年12月3日、スポーツニッポン)
 韓国の人気俳優ペ・ヨンジュン(36)が、株式投資で約10億円の損失を出していることが分かった。世界的な金融危機による最近の韓国の株価急落が原因。ヨン様が保有している韓国のメディアコンテンツ会社の株価が約3分の1にまで下落した。
 韓国の聯合ニュースなどによると、ヨン様が持っていたのは、メディアコンテンツ会社「キーイースト」の株式。35%近くの約438万株を保有し、筆頭株主という。保有株の時価総額は、08年1月2日の時点で約229億ウォンだったが、11月末には約77億ウォン(約5億1000万円)と約3分の1にまで急落した。
 韓国では、世界的な金融危機により経済状況にも悪影響が出ている。そのため同国政府は、財政支出拡大や減税を進める考えを表明。しかし、外国人投資家が株式市場から資金を引き揚げる動きを強め、株価の下落が続いている。共同電などによると、韓国ではヨン様をはじめ、芸能人が保有する株の下落で大きな損失を出す例が目立っているという。
 ヨン様は06年4月には、株式投資で107億6000万円の含み益を手にしていたことがあった。投資した韓国のソフトウエア関連会社の株価が急騰し、わずか10日で投資額の10倍以上になったが、今度は、逆の形になっている。
 一方、中央日報などによると、韓国の有名俳優らのドラマ出演料に関する内部資料で、ヨン様が「太王四神記」で1話当たり推定2億5000万ウォン(約1600万円)を受け取り最高額だったという。資料は韓国のテレビドラマプロデューサー協会主催のセミナーで公開。ヨン様が高額となっているのは、所属事務所が制作に参加し、収益を分割する契約のためと指摘している。

≪“ウォン様”安が続く≫
 世界的な金融危機の影響で外国人投資家が韓国株を売り、ドルを確保する動きを強めたため、韓国の総合株価指数は1年前よりも半値にまで下落。急激なウォン安が続いている。韓国銀行は先月末、9月末の対外債務が対外債権を251億ドル(約2兆4000億円)上回り、8年半ぶりに純債務国に転落したと発表。専門家からは「97年のアジア通貨危機の再来」と危ぶむ声も。

◎韓国:最高検が盧前大統領の兄を聴取、組織的不正の公算も(2008年12月2日、毎日新聞)
 【ソウル堀山明子】韓国の最高検察庁は1日、盧武鉉(ノムヒョン)前大統領の兄、盧建平(ノゴンピョン)氏(66)が証券会社の買収に絡んで不正な利益供与を受けた疑いがあるとして聴取した。金銭授受が確認されれば、民間人の収賄類似行為を処罰する「あっせん収財」容疑で逮捕する方針。
 建平氏は05年6月、韓国農協中央会長に対し証券会社「世宗証券」を買収するよう口利きし、見返りとして同証券の大株主だった会社代表(58)から利益供与を受けた疑いがもたれている。建平氏は金銭授受を否定している。
 検察当局は同証券の買収過程でインサイダー取引が行われ、巨額な不正資金が盧前大統領側近への裏金として流れた疑いがあるとみて捜査に着手。先月下旬には、口利きを依頼した会社代表を贈賄容疑で、また会社代表の要請で建平氏に農協との仲介を働きかけたとして、盧前大統領の高校同窓生のゴルフ場元経営者(61)をあっせん収財容疑で逮捕した。関係者の供述から、元経営者が見返りに30億ウォン(約2億円)を受け取り、その一部が建平氏に流れたとの情報を得た模様だ。
 盧前大統領は兄の聴取について「検察の調査を見守りたい」と述べるにとどめている。

◎北朝鮮:韓国人の滞在許可を大幅削減、開城工業団地(2008年12月2日、毎日新聞)
 北朝鮮が1日から実施した南北陸路通行の制限措置で、開城工業団地に滞在を許可される韓国人要員が現在の1500人~1700人から、880人に大幅削減された。北朝鮮は今回の措置を第1段階としており、今後さらに圧力を強める可能性が強い。韓国統一省報道官は「企業の生産活動を阻害するもので残念だ」との声明を発表した。

◎北朝鮮、通行制限を開始、開城進出企業「どうなるのか」(2008年12月2日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英、箱田哲也】北朝鮮は1日、事前通告通り軍事境界線の通行制限を始めた。南北経済交流で唯一残されている開城工業団地にも自由に出入りできなくなり、入居企業の不安も一層強まってきた。強気の姿勢を崩さない北朝鮮だが、もし全面遮断となれば同時に貴重な外貨収入源を失うことになる。
 1日午前7時過ぎ。明るくなり始めたソウル中心部に、「ソウル―開城」の表示を掲げたバスが着いた。数社の従業員数十人がまとまって、職場のある開城に向かうが、表情はさえなかった。
 「今のところ北の労働者の様子に変わりはない。だが、この先どうなるのか何もみえないのが不安で、緊張している」。ある従業員はこう言ってバスに乗り込んだ。
 北朝鮮は立て続けに韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権に対する強硬策を出している。11月12日に「軍事境界線の陸路通行を12月1日から厳格に制限、遮断する」と通告したのに続き、30日午後11時55分には「工業団地の常駐は880人に制限する」と伝えてきた。これまでの約半分の規模だ。
 設備投資を進めてきた企業側は気が気でない。04年末に生産が始まった開城工業団地には、繊維や機械金属などを中心に中小企業88社が進出。賃金の安い北朝鮮の労働者を活用して生産を行っている。今後、開城への進出を予定している企業も少なくないが、政治の波に洗われ動きは止まっている。
 一方で、北朝鮮経済に与える打撃も大きい。工業団地事業を通じ、07年には北朝鮮側に2400万~2600万ドル(約23億~24億円)がわたったと推計される。
 やはり貴重な外貨収入源だった金剛山観光も7月に起きた観光客の射殺事件で中断しており、昨年末から始まった開城の日帰り観光事業も11月28日で止まった。韓国政府関係者は、この二つの観光事業で北朝鮮が年間約5千万ドルを得ていたと推定する。北朝鮮は外貨収入の手段を自ら放棄した形だ。
 今後の北朝鮮の出方について「工業団地の閉鎖につながりかねない軍事境界線の完全な遮断にまでは踏み切れないだろう」との見方がある一方、韓国の金夏中(キム・ハジュン)統一相は11月26日に国会で「全面遮断の可能性も排除できない」と答えた。

◎韓国:南北貨物列車の運行中止、開城観光は29日から(2008年11月28日、産経新聞)
 北朝鮮が韓国に12月1日から開城(ケソン)観光を中断すると通告したのを受け、事業主体である韓国の現代グループ・現代峨山は29日からツアーを中止する。南北を結ぶ貨物列車の定期運行も28日限りで中止された。
 いずれの事業も南北関係の冷却化に伴い、スタートから1年足らずで頓挫する形となった。
 開城日帰りツアーは昨年12月5日に本格的に開始され、約11万人が参加した。一方、金剛山観光は98年11月に開始され、今年7月の韓国人女性客射殺事件で中断するまで約195万人が参加した。

【ことば】南北貨物列車
 昨年12月、韓国と北朝鮮を結ぶ京義線の貨物列車定期運行(16.5キロ区間)が朝鮮戦争(1950~53年)での中断以来、56年ぶりに再開された。運行は、昨年10月の南北首脳会談での合意に基づくが、需要不足や南北関係の冷却化から、空荷が目立っていた。

◎開城観光と列車往来中断へ(2008年11月24日、産経新聞)
 南北将官級軍事会談の北朝鮮代表は24日、開城観光と南北の列車往来などを12月1日から中断、開城工業団地と金剛山観光地区の要員を選別的に撤収させ、往来も厳格に制限すると韓国側に通告した。朝鮮中央通信が伝えた。
 北朝鮮の軍当局は12日に、南北の往来を12月1日から「厳格に制限、遮断する」と通告しており、今回は具体的措置を明らかにしたことになる。2000年6月の第1回南北首脳会談以降、すそ野を拡大してきた南北交流は、首脳会談以前の状態に後退することになりそうだ。
 また、北朝鮮の軍部が軍事境界線の南北往来の厳格な管理に乗り出したことで、同境界線一帯を含む南北の軍事的緊張が高まる懸念もある。

◎北朝鮮、開城観光の全面中断などを韓国に通告(2008年11月24日、読売新聞)
 朝鮮中央通信によると、南北将官級軍事会談の北朝鮮側代表団長は24日、韓国側に対し、開城(ケソン)観光の全面中断と、開城工業団地の韓国当局関連機関と進出企業の常駐者の選別的追放、南北縦断鉄道「京義線」の運行停止を12月1日から実施する、と通告した。
 北朝鮮は11月12日に南北軍事境界線の陸路通行を12月1日から遮断し始めると表明しており、具体的な措置を明らかにしたものだ。
 北朝鮮は、韓国の李明博(イミョンバク)政権が進める対北朝鮮融和政策の見直しに反発している。南北経済交流事業中断の脅しで韓国側を改めて揺さぶり、対北政策の転換を迫る狙いとみられる。
 さらに、韓国統一省によると、北朝鮮当局は24日、開城工業団地で、韓国の進出企業関係者らを集め、工業団地の管理運営を担当する韓国側機関の人員を半分に減らすことなどを伝えた。工業団地内には約1500人の韓国企業関係者らが常駐している。
 北朝鮮は2008年3月下旬にも、開城工業団地に常駐していた韓国政府要員を追放すると発表。韓国側はトラブルを避けるため要員の自主退去に踏み切ったことがある。

◎韓国:金総書記の脳画像、情報機関が入手、月刊誌が報道(2008年11月18日、毎日新聞)
 韓国政府が今年8月中旬、北朝鮮からフランスへ送られた金正日(キム・ジョンイル)総書記のものとみられる脳画像を入手し、「今後5年以上の統治は難しい」と分析していたことが、17日発売の韓国誌「月刊朝鮮」12月号で報じられた。
 同誌に政府当局者が語った話によると、脳卒中で倒れた金総書記の診断を仰ぐため、北朝鮮当局がフランスの医療チームに電子メールで送ったとみられる脳の画像を韓国の情報機関が入手した。
 詳細な分析結果は李明博(イ・ミョンバク)大統領にも報告されたが、その際、大統領は半信半疑のようだったという。この政府当局者は「8月末には左半身にまひがあったが、今は病状がもっと良くなったと推測される」と同誌に語った。

◎アスベスト:韓国でニチアスを提訴、工場の元周辺住民遺族(2008年11月18日、毎日新聞)
 韓国・釜山市の石綿紡績工場近くで暮らし、石綿がんの中皮腫で死亡した元住民2人の遺族が、工場に出資した耐火材メーカー「ニチアス」(本社・東京都港区、旧日本アスベスト)などを相手取り、1人当たり2億ウォン(約1400万円)の損害賠償を求め釜山地裁に提訴していたことが分かった。韓国でアスベスト工場の周辺住民が賠償請求訴訟を起こしたのは初めて。地元の環境団体や元住民らは共同対策委員会を発足させており、住民運動に発展しつつある。
 工場はニチアスの前身、日本アスベストが71年、釜山市役所近くに韓国企業と合弁で設立した「第一アスベスト」(現在の第一E&S)で、92年まで稼働していた。中皮腫で06年に死亡した男性(当時44歳)は80年代の7年間、900メートル離れた場所で暮らしていた。02年に死亡した男性(同62歳)は70年代、工場から2.1キロ地点で4年間暮らしていた。
 遺族は今月13日、日本アスベストと第一E&Sに加え、「工場の改善措置を怠った」として韓国政府にも賠償を求めた。
 訴状によると、遺族はニチアスが石綿の有毒性を隠し合弁会社を設立したと主張している。訴訟を支援する釜山環境運動連合の鄭賢貞(チョンヒョンジョン)幹事は「ニチアスは、日本で石綿粉じん規制が強化され、生産が困難になったため釜山に移転した。現在はインドネシアなど第三世界にも進出しており、訴訟を通じて公害輸出の拡散を防ぎたい」と語った。
 同工場を巡っては、中皮腫で死亡した元女性従業員が第一E&Sを相手に損害賠償請求訴訟を起こし、大邱地裁が昨年12月、1億5800万ウォンの支払いを命じている。その後、元従業員による同社への損害賠償訴訟が相次いでいる。
 今回の住民訴訟について、ニチアス広報担当は「訴状が届いておらず、訴訟の事実を確認していない。合弁会社の存在は社史に載っているが、当時の関係者は退職しており、詳細は把握できていない」と話している。

◎北朝鮮:軍事境界線の陸路遮断、韓国に通知(2008年11月12日、毎日新聞)
 朝鮮中央通信によると、南北将官級軍事会談の北朝鮮側代表は12日、韓国の李明博政権が過去2回の南北首脳会談の合意を軽視し対決政策を続けていると非難、12月1日から南北間の軍事境界線を通じたあらゆる陸路通行を「厳格に制限、遮断する措置が断行される」との通知文を韓国側に送った。
 通知文は、今回の措置が「一次的」と指摘、李政権の今後の対応次第では、南北関係の「全面遮断」もあり得ると強調した。
 北朝鮮は、李政権の北朝鮮政策に反発しているほか、韓国の市民団体が北朝鮮の体制を非難するビラを風船に付けて北朝鮮側に飛ばしていることも問題視し、ビラ散布の中止を繰り返し要求。中止されなければ「重大な措置を講じる」と警告していた。
 今回の通行遮断の予告は、警告を実行に移す第1段階とみられるが、南北関係は北朝鮮軍部の強硬姿勢が主導する、緊張した局面を迎える懸念が高まった。

◎韓国金利、さらに0.25ポイント引き下げ、年4%に(2008年11月7日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】韓国銀行(中央銀行)は7日、金融通貨委員会を開き、政策金利を0.25%幅引き下げ、年4.0%とすることを決め、同日実施した。4.0%は06年2月以来の低水準。
 世界的な金融危機の影響で、10月9日に0.25%幅、同月27日に0.75%幅の利下げをそれぞれ実施したが、株価の下落に歯止めがかからない。景気浮揚を促すため、1カ月の間に3度目の利下げに踏み切った。

◎李大統領夫人のいとこ、公選法違反で実刑判決、韓国(2008年10月29日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】韓国の李明博(イミョンバク)大統領夫人のいとこで、2008年4月の総選挙にからみ公職選挙法違反などの罪に問われた女(74)の判決が29日、ソウル中央地裁であり、同地裁は懲役3年(求刑・懲役5年)の実刑判決を言い渡した。
 判決によると、女は総選挙直前の08年2~3月、与党ハンナラ党候補になれるよう便宜を図ると持ちかけ、ソウル市バス運送組合理事長から約30億ウォン(約2億円)を受け取るなどした。

◎韓国:トップ女優の自殺、ネット規制強化へ、サイバー侮辱罪導入し処罰も、政府(2008年10月27日、毎日新聞)
 韓国女優、崔真実さん(39)の自殺が、韓国社会を揺るがせた。トップ女優が亡くなったというだけではない。自殺の引き金が、インターネットで広まった中傷とされるからだ。「サイバー暴力」も指摘される韓国のネット事情を報告する。【ソウル西脇真一】

◆中傷書き込みやまず
 2日朝、ソウル南部の自宅のシャワールームで、崔さんが首に包帯を巻き付け死んでいるのを家族が発見。警察は自殺と断定した。
 崔さんは88年にデビュー。韓国では「万人の恋人」と呼ばれ、絶大な人気を誇った。元巨人投手、趙成〓(チョソンミン)さんと約4年の結婚生活の後、離婚。2人の幼児を育てながら仕事する姿も共感を呼んだ。離婚後、うつ病を患っていたという話もある。
 自殺の引き金とされるのは「貸金業をしており、9月に自殺した男性タレントに金を貸していた」というネットで広まったうわさだ。崔さんは睡眠を削り、サイトの書き込みをチェックしたという。
 崔さんの死後も「よくやった」といった中傷の書き込みが続いた。
 一方、うわさをネットに流したとして警察の事情聴取を受けた証券会社の女性社員(25)は、実名などの個人情報がネットで流された。この女性は、事情聴取の後に捜査員にスマイルマーク付きの携帯メールを送ったことまで暴露され、退職に追い込まれた。
 韓国では崔さんの他にも昨年、人気女性タレント2人が自殺。ネットで広まった整形手術を巡る中傷に悩んでいたと報じられた。
 事態を重く見た韓国政府は、対策に乗り出した。政府は元々、大規模サイトの運営者に対し、利用者の実名を登録するよう義務付けている。ユーザーは書き込みする場合、まず住民登録番号と氏名の照合を受けたうえで、実名で会員登録することが必要だ。政府は、登録義務を負うサイトの規模を、1日あたり利用者数「20万~30万人以上」から「10万人以上」に引き下げる方針。実名登録が必要なサイトは37から178に増える。
 さらに、政府と与党ハンナラ党は、こうした「サイバー暴力」を規制するため、新法制定を主張。法案は当事者の告訴がなくても捜査や処罰ができる「サイバー侮辱罪」を導入、罰則も刑法の侮辱罪より厳しくする。ただ、これには野党などから「表現の自由を奪う」「言論統制につながる」と、激しい反発が起きている。

◆際立つ普及度の高さ
 崔さんの自殺の背景には、韓国でのインターネットの普及度の高さのほか、書き込みの活発さ、ネット上の中傷の横行がある。
 「朝鮮族は同胞ではない」--。ソウルで20日に起きた無差別殺人事件を伝えるニュースの読者コメントに冷たい言葉が寄せられた。死傷した13人のうち5人は中国から出稼ぎに来た朝鮮族だった。
 韓国ではブログや掲示板、ニュースなどあらゆるサイトに自由に意見を書き込める「デッグル」欄がある。有力紙「朝鮮日報」の場合、「賛成・反対の多い順」など記事の最後にある項目をクリックするだけで、瞬時に書き込みが表示される。
 多様な意見を知る場として評価される半面、「アクプル」と呼ばれる悪意のあるコメントや、うその記述も瞬く間に伝わる。
 経済協力開発機構(OECD)によると、07年末時点の人口100人あたりのブロードバンド(高速インターネット回線)契約者数で、韓国は30.5人と加盟30カ国中7位。17位の日本の約1.4倍にもなる。韓国警察庁によると、ネット上で悪口を書かれるなど「名誉を傷つけられた」との申告があったのは03年に約4900件だったが、07年は約1万2000件に増えた。
 また、デッグルにひどい悪口を書かれたとの申告を受け、法に基づいて設立された民間の「放送通信審議委員会」が審議した件数は、05年に約3000件だったが、07年は約3万5000件と10倍以上に増えた。

◆「うわさ」の影響力大
 一方、ネットでの「うわさ」が好まれる文化的な背景もある。
 韓国人は「議論好き」と言われるが、日本のワイドショーのような芸能ゴシップを取り上げるメディアは少ない。このため、ネットの「うわさ」が影響力を持つとも言われる。ソウル在住の女性は「話題のゴシップを何とかネットで見つけ出し、取引先に届けるのも営業マンの仕事のうちと聞く」と苦笑する。
 また、韓国が自殺大国であることにも注意が必要だ。内閣府の07年版自殺対策白書の国際比較によると、人口10万人当たりの自殺者数を示す「自殺死亡率」は、04年が23.8と日本の24.0と肩を並べる高さだった。

◇「実名」でも抑止力に疑問--園田寿・甲南大法科大学院教授
 日韓のネット事情に詳しい園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法、情報法)に話を聞いた。【聞き手・臺宏士】

--韓国の人気女優のネットでの誹謗(ひぼう)・中傷を苦にした自殺は日本にも大きな衝撃を与えました。

◆日韓のネット社会の大きな違いは、韓国ではアクセス数の多いサイトの書き込みの利用に情報発信者の特定が容易な住民登録番号が必要なことだ。日本ではネット社会は匿名だと言われるが、韓国では実名制に近いと言える。事実上、実名であっても書き込みは収束しないという違いがある。

--日本でも芸能人への中傷はあります。

◆韓国にはワイドショーや週刊誌、夕刊紙のような芸能人の話題を取り上げる媒体が多くないと言われている。急速に普及したネットがこうしたゴシップの受け皿になり、いわばゴシップ文化がネット上に一気に広がった。ゴシップに対する経験が浅いだけに、韓国の芸能人は深刻に受け止め過ぎ、相当な心理的な負担になったのではないか。「有名税」のようには感じなかったのかもしれない。一方、書き込んだ大半のユーザーは、井戸端会議の延長という程度の認識だったのではないか。

--女優は自殺にまで追い込まれました。

◆韓国社会ではしばしば強烈なアピールとして自殺が行われることがある。例えば、今年6月に米国産牛肉の輸入制限解除に抗議する集会に参加していた男性が焼身自殺を図って大やけどをした。女優に抗議の意識があったのかはわからないが、彼女の自殺を強い抗議や怒りだったと受け止めた韓国の人は多かったのではないか。自殺をめぐる国民性の違いも考える必要があると思う。

--韓国政府は、実名登録制の強化やサイバー侮辱罪の創設などネット規制強化に乗り出すようです。

◆今回の問題は、他人を誹謗・中傷する書き込みは匿名でなく、実名でも行う人がいるということを明確にした。実名登録の範囲を広げたとしても実効性は期待できないだろう。また、サイバー侮辱罪を設けても強盗や殺人のような重い刑罰を科すことは難しく、犯罪の抑止効果は低いのではないか。実名登録制やサイバー侮辱罪を日本で導入しても決め手となる解決策にはならないだろう。

◎韓国10万ウォン札、準備作業中断、図案に「独島ない」(2008年10月26日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】韓国の中央銀行、韓国銀行が09年上半期に発行するとしていた新紙幣10万ウォン(約6600円)券が本当に登場するのか、雲行きが怪しくなってきた。紙幣の図案に使う古地図に独島(日本名・竹島)が載っていないため、同行は9月に準備作業を中断。姜万洙企画財政相は23日、年末までに発行の是非を改めて決める考えを表明した。
 古地図は朝鮮王朝時代に作られた「大東輿地図」。独島がなく、「紙幣のデザインとしてふさわしくない」という議論が起きた。韓国銀行は20日の国会答弁で「独島表記などの問題があり、検討中だ」と説明した。
 一方で、野党の民主党は「政府が保守だから、紙幣の肖像に使う日本植民地時代の独立運動家、金九(キム・グ)を嫌っているのではないか」と疑い始めた。国会では同党議員が韓国銀行に対して「一部保守団体の金九選定反対運動の影響を受けたのか」「前政権が発行を決めたから、(政府から)圧力がかかったのか」などの質問を浴びせる事態になっている。

◎サムスン、営業利益半減、半導体市場低迷(2008年10月25日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】韓国のサムスン電子は24日、7~9月期決算を発表した。売上高が19兆2600億ウォン(約1兆3千億円)と四半期の過去最高を更新したが、営業利益は1兆200億ウォンで、前年同期から半減。当期利益も同44%減の1兆2200億ウォンだった。
 サムスン電子側は「世界的な景気沈滞で、半導体メモリーなどの市況回復が不透明だ。携帯電話など主力商品の価格競争も激しい」と説明。10~12月期の決算はさらに悪化し、来年まで厳しい状況が続くとの見通しを示した。

◎南北鉄道9割はカラ、韓国与党議員、予算浪費と批判も(2008年10月24日、産経新聞)
 韓国統一省は23日、与党ハンナラ党の国会議員に提出した資料で、昨年12月に定期運行を開始した北朝鮮と韓国を結ぶ京義線の貨物列車について、約92%が貨物なしで運行していたことを明らかにした。
 貨物がない日は機関車と車掌車の2両だけで走らせており、統一省は「南北を列車が行き来する象徴的な意味から走らせている」としている。
 資料によると、今年8月末までに貨物列車は163回往復。うち貨物があったのは13回だけで、同議員は「予算の浪費だ」と批判した。

◎韓国LG電子、2010年から太陽電池を量産(2008年10月22日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】韓国LG電子は21日、クリーンエネルギーとして需要が急拡大している太陽電池の量産を2010年第1四半期(1~3月)に始める計画を発表した。11年初めまでに年240メガワットの生産体制を整える。2200億ウォン(約170億円)を投じ、韓国南東部、亀尾(クミ)市の工場に生産ラインを2つ新設し、段階的に稼働する。生産設備増強で先行する台湾などのメーカーを追い上げる。

◎北朝鮮の女スパイ、懲役5年の刑確定(2008年10月22日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】脱北者を装いスパイ活動をしていたとして、国家保安法違反の罪に問われ、韓国京畿道の水原(スウォン)地裁で懲役5年の判決を受けた元正花(ウォンジョンファ)被告(34)が控訴期限の22日、同地裁に控訴放棄書を提出した。
 検察側は控訴しないことを決めており、元被告の実刑判決が確定した。
 元被告の弁護士は「裁判所は慎重に量刑を判断した。元被告も多くのマスコミが集まることに心理的負担を感じている」と控訴放棄の理由を説明している。

◎韓国、外貨取引に政府保証、10兆円規模、金融追加安定化策(2008年10月19日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】韓国政府は19日、米国発金融危機の影響で混乱する資本市場の追加安定化策をまとめた。国内銀行の外貨借り入れ取引に総額1000億ドル(約10兆円)の政府保証を付与するほか、市場へのドル供給を300億ドル拡大するのが柱。ドル資金の不足を緩和し、急激なウォン安や国内の実体経済への悪影響波及に歯止めをかける。
 安定化策によると、国内銀行が海外の金融機関から外貨を借り入れる取引への政府保証は、来年6月末までが対象で保証期間は3年。国内銀行が低コストで円滑にドルを調達できるように支援し、信用収縮が国内の中小企業の経営破綻などにつながるのを防ぐ。
 ドル資金の不足が続いている金融市場には、外貨準備を使い、韓国銀行(中央銀行)を通じて300億ドルを追加供給する。政府は既に為替スワップ市場などに150億ドルの投入を決めていたが、ドル確保の動きが収まらずウォン安・ドル高が進行。このためドルの流動性供給を拡大し、金融機関や企業が市場でドルを調達しやすくする。

◎韓国ウォン急落、下げ幅は98年以降で最大(2008年10月16日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】16日のソウル外為市場ではウォン相場が急落し、終値は前日比133.5ウォン(10.8%)安の1ドル=1373ウォンとなった。下げ幅はアジア通貨危機に揺れた1998年以降で最大で、16日のアジア各国の通貨の中で突出した下落となった。前日の米株安を受けて世界的な金融危機の克服に時間かかるとの見方が強まり、金融機関や企業の間でドルを確保しようとする動きが再び強まった。

◎「南北の全面遮断も」、北朝鮮、韓国の「対決」姿勢批判(2008年10月16日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】朝鮮労働党機関紙、労働新聞は16日付の論評で、韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権が「対決」姿勢を続けるなら「北南関係の全面遮断も含めて重大な決断をせざるをえない」と警告した。朝鮮中央通信が伝えた。
 李政権は、様々な経済協力で合意した昨年10月の南北首脳会談合意の見直しなどを主張。北朝鮮は3月末から、繰り返し李政権を批判し、6者協議関連の対話など一部を除いて政府間対話を拒んでいる。北朝鮮が今回の論評に続いて、開城工業団地や開城観光、民間の支援事業などにどう対応するか注目される。

◎韓国政府にハッキング、資料13万件流出、中朝から(2008年10月15日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】04年から今年8月にかけ、韓国政府のコンピューターシステムが不正侵入(ハッキング)を受け、13万件以上の政府資料が流出していたことがわかった。韓国政府関係者が明らかにした。北朝鮮と中国のコンピューターを通じて侵入していたという。
 韓国の情報機関、国家情報院から報告を受けた韓昇洙(ハン・スンス)首相は14日の閣議で「事態は非常に深刻だ」と語り、情報管理の徹底を呼びかけた。

◎脱北者になりすまし活動、韓国で北朝鮮女スパイに懲役5年(2008年10月15日、読売新聞)
 【水原(スウォン)=前田泰広】脱北者になりすましてスパイ活動をしていたとして、国家保安法違反の罪に問われた北朝鮮の女工作員、元正花(ウォンジョンファ)被告(34)の判決が15日、韓国京畿道の水原地裁であった。
 慎(シン)ヨン碩(ソク)裁判長は、1997年に韓国に亡命した黄長(ファンジャン)ヨプ元朝鮮労働党書記の居場所を突き止めようとしたことなど、すべての起訴事実を有罪と認定。「韓国の存立と自由民主主義の基盤を揺るがせた罪は大きい」と述べ、懲役5年(求刑同)の実刑判決を言い渡した。(ヨンは金へんに庸、ヨプは火へんに華)
 一方で慎裁判長は、「北朝鮮でスパイとして育てられ、選択の余地がなかった。関連捜査にも協力し、自由民主主義に転向する意思も示した」とも指摘した。
 係官に両脇を抱えられて入廷した元被告は終始、視線を落として判決理由を聞いていた。

◎韓国サムスンの李健熙前会長、控訴審も猶予刑判決(2008年10月10日、朝日新聞)
 韓国最大財閥サムスンをめぐる不正資金事件で脱税や背任の罪に問われた李健熙前会長に対する控訴審判決が10日、ソウル高裁であり、一審同様に脱税を有罪とし、懲役3年執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約80億円)の判決を支持した。

◎韓国:10年ぶりウォン安 通貨危機の悪夢よぎる、政府、不安解消に懸命(2008年10月10日、毎日新聞)
 【ソウル西脇真一】米国発金融危機の影響で、韓国経済は株と通貨ウォンの急落というダブルパンチに見舞われている。ソウル外国為替市場では9日、当局がウォン買いドル売りの大規模介入したことで5日ぶりにウォンは反発、1ドル=1379.5ウォンと、前日より15.50ウォン上昇したが、依然として約10年ぶりのウォン安水準が続く。国民の間では、97年のアジア通貨危機で陥った国際通貨基金(IMF)管理体制の「悪夢」再来も取りざたされ、政府は不安の解消に躍起だ。
 韓国では、外国人投資家の資金引きあげなどでドルが不足し、ウォン安が続く。韓国ではアジア通貨危機の経験から心理的な不安感が根強く、李明博(イ・ミョンバク)大統領は、8日には「保有する外貨には余裕がある。97年のときのような危機はない」と不安の沈静化に努めた。
 さらに、9日の聯合ニュースによると、李大統領がラジオ演説を毎週行い、政策を直接語りかける案も出ている。

◎韓国でコーヒー離れ、中国の乳製品からメラミン検出で(2008年10月10日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】食後の一服は、コーヒーではなく緑茶――。中国の乳製品から有害物質メラミンが検出された影響で、コーヒーを愛飲していた韓国の会社員らの66%が、緑茶などを飲むようになったと4日付の韓国日報などが報じた。
 中国から輸入されたコーヒー用のミルクは主に、自動販売機や小規模のコーヒー専門店の商品に使われているとされる。
 韓国の調査専門会社「エムブレイン」がソウルや首都圏近郊に住む30~40歳代の500人を対象に調査した。それによると、主にコーヒーを飲んでいた人の66%が緑茶やミネラルウオーターを代わりに飲み、78%が「中国産食品に不信感を持つようになった」と答えたという。

◎韓国TV局アナら抗議の喪服出演、大統領側近の社長就任で(2008年10月10日、読売新聞)
 【ソウル=浅野好春】韓国のニュース専門局「YTN(聯合テレビニュース)」は9日、青瓦台(大統領府)が李明博(イミョンバク)大統領の側近を社長に送り込んだとして労働組合が猛反発、アナウンサーや取材記者らが抗議のため「喪服姿」で番組に出演する事態となった。
 YTNでは7月、昨年の大統領選の際に李明博陣営の放送総括本部長を務めた元MBC放送理事兼報道本部長、具本弘(クボンホン)氏が新社長に就任。労組側はこれに対し、「中央政府の『落下傘人事』。報道の公正さが損なわれる恐れがあり、受け入れられない」と反発。さらに、会社側が6日に労組委員長ら6人の解雇などを発表したことから、アナウンサーらが処分撤回などを求めて喪服出演を開始した。


◎南大門放火事件、実刑10年確定、最高裁、上告を棄却(2008年10月10日、朝日新聞)
 2月に韓国の国宝第1号、南大門(崇礼門)が放火された事件で、韓国の大法院(最高裁)は2日、文化財保護法違反に問われ、1、2審で懲役10年の実刑判決を受けた男の上告を棄却。刑が確定した。南大門は2013年の復元を目指し、作業が始まっている。

◎韓国も利下げ、4年ぶり金融緩和(2008年10月9日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】韓国銀行(中央銀行)は9日、政策金利を0.25%幅引き下げ年5%とすることを決め、同日実施した。8月には物価安定を優先して0.25%幅の利上げを実施したばかりだが、世界的な金融不安の影響で今後、景気減速が進む懸念が高まると判断し、約4年ぶりの金融緩和に踏み切った。欧米などの中央銀行による協調利下げの動きも考慮した。

◎「南北関係は最悪の危機」北朝鮮機関紙、韓国政権を非難(2008年10月4日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は4日の社説で、南北関係について「(00年の初の南北首脳会談以後では)最悪の危機に陥っている」と論じ、李明博(イ・ミョンバク)政権を非難した。朝鮮中央通信が伝えた。
 昨年10月の南北首脳会談で合意した「南北関係発展と平和繁栄のための宣言」から、4日で1周年になったことに関連したもの。宣言には経済協力事業など様々な合意事項が盛り込まれたが、今年2月に保守系の李政権が発足した後は関係が冷え込み、大半は実現のメドがたっていない。

◎脱北者装いスパイ活動、韓国で北朝鮮女工作員に懲役5年求刑(2008年10月2日、読売新聞)
 【水原(スウォン)=前田泰広】脱北者を装ってスパイ活動をしたとして、国家保安法違反の罪に問われた北朝鮮の女工作員、元正花(ウォンジョンファ)被告(34)の論告求刑公判が1日、韓国京畿道の水原地裁であった。検察側は「韓国の安全を脅かす行為で罪は軽くないが、深く反省している」として懲役5年を求刑した。判決は15日。
 元被告は「『将軍様(金正日(キムジョンイル)総書記)は最高だ』と思っていたが、韓国に来て北朝鮮の実情を知り、金正日の政治は間違っているとわかった」と陳述。「自首を考えたが、(北朝鮮で暮らす)家族が粛清されると思い、戸惑っているうちに逮捕された。家族の安全を考えると心苦しい」と声をつまらせた。
 元被告の継父で元被告のスパイ活動を手助けしたなどとして同法違反の罪に問われた金東順(キムドンスン)被告(63)の初公判も1日、同地裁であり、金被告は「ほとんどが事実にそぐわない」と述べ、争う姿勢を示した。

◎北の女スパイ・元正花被告、起訴事実認める、韓国で初公判(2008年9月11日、読売新聞)
 【ソウル=浅野好春】脱北者になりすまして韓国でスパイ活動をしたとして国家保安法違反の罪に問われている女性工作員、元正花(ウォンジョンファ)被告(34)の初公判が10日午前、ソウル南方の水原地裁で開かれた。
 元被告は起訴事実を全面的に認めた。さらに、北朝鮮体制と決別する「転向書」を9日に同地裁に提出したことについて、自らの意思に基づいた行動だと明らかにした。
 起訴状などによると、元被告は1999年から2001年に中国吉林省の延吉、琿春で脱北者や韓国人事業家100人以上の拉致工作に関与したのをはじめ、01年10月に韓国入国後は08年7月まで韓国軍を巡回講演する過程で知り合った陸軍大尉と性的関係をもち、軍の機密情報を入手するなどしていた。

◎サムスン裏金疑惑:特別検事、李前会長に懲役7年求刑(2008年9月11日、朝鮮日報)
 経営権の違法な継承や脱税などの罪に問われているサムスン・グループ前会長の李健煕(イ・ゴンヒ)被告に対する控訴審で、特別検事は一審と同様に懲役7年、罰金3500億ウォン(約340億円)を求刑した。
 控訴審はソウル高裁で10日に結審し、趙俊雄(チョ・ジュンウン)特別検事は「今回の事件は財閥(創業者一族)が子供に経営支配権を委譲するため、会社の株式を安価で譲渡し、会社に損害を与えたものであり、財閥内部の不合理を洗い出す判決を求める」と求刑理由を説明した。
 李被告は一審で脱税など起訴事実の一部のみが有罪となり、懲役3年、執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約106億円)の判決を受けている。
 李被告は被告人最終弁論で「裁判を受けた過程で、全てのことが自分の不注意だったことを悟った。サムスンが世界的な企業として成長できたのも国家、社会、国民の声援のおかげであり、それだけにサムスンに対する期待も大きかったが、その期待と信頼に応えられず国民に申し訳ない」と述べた。
 李被告はまた、「裁判長に一つお願いしたい」と述べた上で、「現在は経済難でサムスンも厳しい。こうした困難な時期にサムスンの役員と従業員が勇気を失わないように配慮してほしい」と懇願した。
 同じく起訴されている李鶴洙(イ・ハクス)前副会長ら7人の現職・元経営陣についても、李被告は「皆自分のせいで裁判を受けている。全ての過ちを私が背負う方向で善処してもらいたい」とも述べた。
 同日の公判で李被告の弁護人は「サムスン・エバーランドの転換社債、サムスンSDSの新株引受権付社債を(李被告の息子の)李在鎔(イ・ジェヨン)専務らに発行したことは、既存株主から新株主への富の移転であり、会社に損害を与えるものではない」として、経営権継承に関して無罪を主張した。控訴審の判決公判は10月1日午後2時に開かれる。

◎脱北女スパイに資金支援容疑、韓国潜入の継父を起訴(2008年9月5日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】脱北者を装った北朝鮮工作員が摘発された事件で、韓国検察当局などの合同捜査本部は4日、元正花(ウォンジョンファ)被告(34)に10億ウオン(約9600万円)相当の支援をしていたとして、元被告の継父、金東順(キムドンスン)容疑者(63)を国家保安法違反の罪で起訴した。
 金容疑者は朝鮮労働党の党員で、ソウル市内の自宅に党員証を隠し持っていたという。
 合同捜査本部の発表によると、金容疑者は2003年12月~06年1月、中国で10億ウオン相当の北朝鮮産タコなどを元被告に渡し、元被告の資金援助をした。脱北者を装って06年12月、カンボジア経由で韓国に潜入。08年4月ごろ、韓国に亡命した黄長(ファンジャン)ヨプ元朝鮮労働党書記の居場所を探し始め、脱北者支援団体に加入して幹部から居場所を聞き出そうとしていた。(ヨプは、火ヘンに「華」)

◎女スパイ、工作資金を「北朝鮮版バイアグラ」で工面(2008年9月2日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】脱北者を装った北朝鮮の女スパイが逮捕・起訴された事件で、元正花(ウォンジョンファ)被告(34)が「北朝鮮版バイアグラ」を売って工作資金の一部にあてていたことが、検察当局などの合同捜査本部の調べでわかった。
 北朝鮮の内情に詳しい関係者によると、この媚薬(びやく)は、主に朝鮮労働党や軍幹部クラスが使う高級品だという。
 調べによると、元被告が販売していたのは「天宮百花」と呼ばれる錠剤で、精力増強の効果があるとされる。元被告は韓国潜伏中に対北朝鮮専門の貿易会社を経営し、中国へ頻繁に渡航。起訴状には2006年に4回、北朝鮮の工作機関・国家安全保衛部の工作員から「天宮百花」などの北朝鮮製薬品を受け取っていたことが明記されている。
 元被告は薬品を韓国内の業者に計2600万ウオン(約262万円)で販売する一方、工作対象の韓国軍少佐に勧めていた。保衛部から韓国の対北朝鮮情報要員の暗殺を命じられ、毒入りの「天宮百花」を渡されたこともあったという。

◎北朝鮮の女スパイ事件、元正花被告は「スパイ一家」育ち?(2008年9月1日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】北朝鮮の女スパイが逮捕・起訴された事件で、元正花(ウォンジョンファ)被告(34)の家族の多くが工作活動に従事する「スパイ一家」であることが、検察当局などの合同捜査本部の調べでわかった。
 検察当局の起訴状などによると、元被告は1974年1月、工作員の男の二女として生まれたが、父は同年、韓国に潜伏する活動の最中、韓国側に射殺された。元被告の母は2年後、別の男と再婚した。元被告の継父にあたるこの男は2006年12月にやはり脱北者を装って韓国に入国、今回の事件で、元被告に資金を提供していたとして逮捕されている。
 継父は人民武力省少佐などの経歴を持っていることから、「大物工作員」との見方も出ている。韓国メディアによると、継父は逮捕前に証拠物を廃棄したほか、供述も拒否しており、取り調べは難航しているという。
 継父と母の間に生まれた義理の妹は、今回の事件で元被告に指令を出していた北朝鮮の工作機関・国家安全保衛部に所属する工作員で、義理の弟は保衛部に運転手として勤務しているという。元被告は、こうした義理のきょうだいと一緒に育てられていた。
 元被告が亜鉛を盗んで逃走を続けていた1997年春ごろには、継父が「うちの家族から反逆者が出るはずがない」と激怒し、義理の妹に元被告を連れ戻すよう指示したこともあったという。

◎韓国の金メダルの価値は?(2008年8月31日、産経新聞)
 北京オリンピックで史上最多の金メダル13個、メダル獲得数では7位と大健闘した韓国。韓国の金メダリストたちの“金”の価値は一体おいくら? 報奨金の額や韓国ならでは特典などを調べてみた。
 メダルに対する韓国の報奨金は、選手が所属する企業や協会によって千差万別。まず韓国オリンピック委員会と文化体育観光省による報奨金は、金メダルが5000万ウォン(約500万円)、銀メダルは2500万ウォン(約250万円)、銅メダルは1500万ウォン(約150万円)だ。
 ちなみに日本オリンピック委員会(JOC)の報奨金は金メダルが300万円、銀メダルが200万円、銅メダルが100万円と、韓国の方がやや高くなっている。
 政府が支給する報奨金以外に、選手のスポンサー企業や所属する協会なども報奨金を出しているが、金額はそれぞれ違う。北京五輪の金メダリストの中で最も“稼いだ”韓国選手は男子競泳自由形400メートルで金メダルを獲得した朴泰桓選手だ。
 韓国では「マリン・ボーイ」と呼ばれ、高校を卒業して間もない18歳の大学生という初々しさやさわやかなイメージで人気も高く、スポンサーも複数。スポンサーの出す報奨金は、韓国最大手の携帯会社「SKテレコム」から1億ウォン、韓国の飲料メーカー「ロッテ七星」から5000万ウォンのほか、英国の水着メーカー「スピード」と韓国水泳連盟からもそれぞれ1億ウォンずつ。金メダル1つで計3億5000万ウォンの報奨金となる。
 さらに、二百メートル自由形で獲得した銀メダルで「SKテレコム」から5000万ウォン、「ロッテ七星」から3000万ウォンの報奨金が支給され、ほかの諸々の激励金なども合わせると、両メダルで獲得した金額は6億ウォンを軽く超えた。
 今後、朴選手が出演するコマーシャルで少なくとも4億-5億ウォンを稼ぐとみられ、2個のメダルで10億ウォン以上を手にすることになる。
 柔道で初めて韓国に金メダルをもたらした柔道60キロ級の崔敏浩選手の場合、所属する韓国馬事会からボーナスが2億ウォンのほか、韓国柔道協会からの報奨金など合わせて4億ウォンに近い金額になる。
 韓国選手では唯一、世界新記録を打ち立てて金メダルを獲得した重量挙げ女子75キロ超級の張美蘭選手の報奨金はほかの選手に比べて少なく、合わせて2億ウォン程度という。素晴らしい成績を残したのに、“怪力女性”の人気は韓国では今ひとつのようだ。
 一方、メダリストの男子の場合は、兵役も事実上免除される。北京五輪でメダルを獲得した男子選手で、まだ兵役を終えていない22人がその対象者となった。彼らは3年間、それぞれの種目の選手またはコーチとして従事すれば、兵役の代わりとみなされる。
 世界中のつわ者たちが集まるオリンピックでメダルを獲得するまでに、並々ならぬトレーニングやさまざまな犠牲が払われていることを考えれば、報奨金は気前よく出して欲しいもの。メダル獲得数で韓国に負けて8位だった日本。報奨金でも韓国に負けていたのだ。(ソウル 水沼啓子、写真も)

◎北朝鮮の女スパイ、奔放な性と機転で軍に浸透、関係を持った韓国男性多数(2008年8月30日、産経新聞)
 【ソウル=水沼啓子】韓国軍内に“色仕掛け”で浸透していた北朝鮮の工作員、元正花被告(34)。合同捜査本部の捜査結果や韓国各紙の報道で明らかになりつつある女スパイの足取りは、奔放な性と機転で彩られ、スパイ映画を地でゆく人生だ。
 元正花被告の一家は工作員一族だった。工作員だった実父は1974年、韓国に潜入する途中で殺害され、元被告は生後数カ月で父親を失ったが、母は工作員と再婚。この義父(63)は今回、元被告とともにスパイ活動容疑で逮捕されている。また、父の違う妹、弟も国家安全保衛部(秘密警察)に所属していることが分かっている。
 元被告は中学で成績はよく、朝鮮労働党の青年組織、社会主義青年同盟にスカウトされて89年、15歳で平壌郊外の特殊部隊で毒針の使用法や射撃訓練など韓国浸透のための工作訓練を受けた。工作員教育で知られる金星政治軍事大学(現在の金正日政治軍事大学)で訓練も受けた。
 しかし、92年に負傷して除隊。その後、96年に亜鉛5トンを盗み中国へ逃亡。6年間転々と逃げ回ったが、保衛部に見つかり、その大胆さや機敏さ、開放的な性の観念などから、「工作員の資質を備えている」と評価されて、99年から中国を舞台に本格的な工作活動を始めた。
 中国では保衛部の指令で韓国人実業家や脱北者の100人を超える拉致に関与したとされる。ホテルに誘い込むなどの手法で、有能な工作員だったらしい。
 2001年10月に中国の朝鮮族に偽装して韓国人実業家の子供を妊娠。ほぼ同時期に国際結婚しようと中国に来ていた別の韓国人男性と婚約。本人は中絶を考えたが、保衛部から「妊婦は疑われにくいので活動に有利」と中絶を止められたとされる。”女の武器”を駆使して関係を持った男性は数多いとみられる。婚約した韓国人男性に「あなたの子供を身ごもった」などと言い、まんまと男性をだまして結婚、妊娠7カ月で韓国への潜入に成功した。この男性とはまもなく離婚、女児を出産して育てていた。
 そして11月、韓国の情報機関、国家情報院に自ら「脱北者」と名乗り出た。まんまと「韓国人」の身分を合法的に取得、今度は軍事機密を盗むため、結婚情報会社に登録して希望する男性に「現役将校」を指定。複数の将校を紹介されて親密な関係になった。
 とくに今回の摘発の原因となった陸軍大尉(26)とは恋愛関係に発展、同大尉には「工作員」の正体を見破られたあとも、脱北者名簿などを提供させるほど抱き込んでいた。
 二重スパイもやった。元被告は02年秋から06年末までに中国に計14回出国、保衛部に活動報告。02年12月に「国家情報院」の情報を把握するよう指示を受けて、韓国情報機関の男性と会うようになり、この男性から毎月500万ウォン(約50万円)の報酬と引き換えに北朝鮮の軍事機密をつかむ対北スパイを持ちかけられた。このことを保衛部に報告すると「そんな資料は渡してもいい」と許可されたという。
 だが、04年に保衛部から「男と一夜を共にして、毒薬を精力剤とだまして飲ませろ」と、毒薬の入った北朝鮮の精力剤「天宮百花」1瓶を与えられた。元被告は「この男性に情を感じていたため毒薬を飲ませられなかった」と供述している。また、保衛部から別の韓国の情報機関の男性の殺害も命じられたが、失敗。
この男性と06年、ソウル市内のホテルで関係を持った後に車で自宅に送られる際、韓国に亡命した黄長●(=火へんに華)元朝鮮労働党書記の住所を聞き出そうとしたが、拒否された。
 元被告は2年前、保衛部から韓国にいる非転向長期囚(思想転向に応じず長期間とらわれている政治犯)の居場所を突き止めるよう指令を受けていた。しかしこれも実行できなかったため、保衛部から「南朝鮮に染まっている。心が緩んでいる」と批判されたあと、北朝鮮当局に自分自身が殺害されるのではないかという恐怖心を抱くようになった。自宅には鍵を4個も付けて生活。精神安定剤を服用するようになっていた。
 それでも最近まで、韓国の軍部隊で50回以上、講演するなど韓国軍に浸透していた。講演では「北朝鮮の核は自衛用」などと主張していたという。
 昨年からは北朝鮮の重要情報を握る日本在住の脱北者、金某氏の所在把握のために日本の仙台に3回入国しており、日本でも日本人男性3人と見合いしており、男性への接近を計画していたとみられる。
 韓国の捜査当局は「脱北者」の元被告が北朝鮮との貿易を行い、中国に頻繁に出入りしていることや、多数の軍将校と交際していることに着目、3年前から元被告の内偵調査を開始していた。今年7月15日、保衛部の指令を受け、韓国軍の将校らの個人データを北朝鮮に流したとの国家保安法違反容疑で逮捕した。元被告は逮捕の2日後から自らのスパイ活動についての自白を始めた。現在、当局の取り調べには比較的素直に応じる一方で、「将軍様に背いた」など涙を流すなど、精神的に不安定な状態だという。

◎女スパイ、韓国軍内で講演50回、北の主張説く(2008年8月30日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】脱北者を装ってスパイ活動をしていたとして逮捕・起訴された元正花(ウォンジョンファ)被告(34)が北朝鮮問題に関する巡回講師として50回以上、韓国軍の講演会の演壇に立ち、「北朝鮮は自衛のために核開発をしている」と兵士らに教え込もうとしていたことが、検察当局などの合同捜査本部の調べでわかった。
 元被告の発言は、核開発を正当化する北朝鮮の主張と同じで、韓国軍に対する工作活動の浸透ぶりに、軍首脳部は衝撃を受けている。
 調べによると、元被告が韓国各地の軍部隊で講演活動をしていたのは、2006年9月~07年5月。北朝鮮の工作機関・国家安全保衛部から講師になるよう指令を受け、韓国内の脱北者支援団体と接触。講師になれるよう支援団体から韓国軍側に推薦してもらっていたという。
 元被告は講演で「北朝鮮の核は自衛のためだ」などと説明。北朝鮮の体制を礼賛する歌などを収録したCDを持ち込み、兵士に聞かせるなどしていた。このCDは北朝鮮当局が製作したものだったという。
 元被告は講演を通じて知り合った韓国軍幹部ら約100人の氏名や写真、軍部隊の所在地などの情報を保衛部に伝えていた。元被告に名刺を渡した幹部らの中には、電子メールが北朝鮮情報当局からとみられるハッカー攻撃を受けたケースもあったという。
 30日付東亜日報によると、北朝鮮スパイとみられる50人以上の容疑者が軍内部に浸透して機密情報を集めている疑いがあるとして、軍当局は100件以上の内偵調査を進めている。

◎北の女スパイ、任務果たせず報復おびえ→自宅玄関カギ4個(2008年8月28日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】韓国で脱北者になりすまし、スパイ活動を行っていたとして、国家保安法違反の罪で起訴された北朝鮮の女工作員、元正花(ウォンジョンファ)被告(34)。
 検察などの合同捜査本部の調べによると、元被告は大胆不敵な素質を見込まれ、北朝鮮の工作機関・国家安全保衛部にスパイとして採用されたものの、最近は本国からの指令を実行できず、ソウル郊外の自宅に4個もカギを付けるなど、北朝鮮に殺されることにおびえる日々を送っていた。合同捜査本部は、元被告の活動実態の全容解明を目指す。
 同本部によると、元被告は1989年から3年間、韓国に派遣される特殊部隊員としてスパイ訓練を受けていたが、訓練中のけがが原因で除隊していた。
 ところが、元被告は98年、保衛部に再びスパイとしてスカウトされる。元被告が除隊後の92年、北朝鮮で亜鉛5トンを盗み出し、北朝鮮と中国を転々として6年間も逃走を続けたことが保衛部の目に留まり、「大胆さと臨機応変な振る舞い、度胸の良さがスパイに向いていると評価された」(合同捜査本部関係者)という。北朝鮮では、亜鉛の窃盗は1キロであっても銃殺となる重罪だという。
 元被告は2001年10月、保衛部に命じられ、脱北者を装い韓国に潜入。1997年に韓国に亡命した黄長(ファンジャン)ヨプ元朝鮮労働党書記の居場所特定や韓国の対北朝鮮情報要員の暗殺など、次々と任務を与えられた。交際していた40歳代の韓国軍少佐を中国に誘い出し、北朝鮮工作員に引き入れることも命じられた。(「ヨプ」は火へんに「華」)
 しかし、元被告はこうした任務を果たすことができず、保衛部から「おまえが実行できないなら、別の工作員にやらせる」などと叱責(しっせき)され、次第に追い詰められていった。自宅マンションの玄関にカギを4個付け、3年前から精神安定剤の服用も欠かせなくなった。元被告は調べに対し、「指令を守れなかった報復で殺害されることを恐れていた」と供述している。
 元被告は今年7月、日本にいる脱北者の居場所を突き止められないまま、渡航先の日本から韓国に戻った後、逮捕された。保衛部からの指令などをすぐに自白し、「逮捕されて良かった」と漏らしたという。
 元被告が暮らしていたのは、ソウルから車で約1時間離れた京畿道軍浦市のマンション。脱北者ら低所得者向けの約30平方メートルの部屋で、窓には二重の鉄格子がはめられており、周囲を警戒しながら生活していた様子がうかがえた。近所の女性(86)は「夜遅くに帰宅することが多かった。廊下で時々、男性と一緒にいるのを見かけたが、あいさつをしたことはなかった」と話していた。

◎色仕掛けで軍情報、「脱北」偽装の女性スパイを検挙(2008年8月27日、産経新聞)
 【ソウル=黒田勝弘】韓国で北朝鮮からの脱北女性が韓国軍将校などと肉体関係を持ち、軍情報を入手して北朝鮮に送っていたスパイ事件が明るみに出て話題になっている。近年、急増している脱北者について「偽装スパイがいる」との話が一部でささやかれていたが、スパイ事件として正式摘発は初めてだ。
 軍、検・警察などの合同捜査本部は27日、北朝鮮スパイとして脱北者を装い中国経由で韓国に渡り、韓国の軍情報や脱北者情報などを北朝鮮に送るなどスパイ活動をしていた北朝鮮出身の女性ウォン・ジョンファ(34)を国家保安法違反で逮捕、起訴したと発表した。彼女に軍情報を提供していた韓国軍将校(26)と彼女と接触のあった韓国在住の北朝鮮工作員(63)も逮捕されているという。
 発表によると彼女は北朝鮮でのスパイ訓練を受けて中国に派遣され、対韓工作員活動にかかわった後、2001年10月脱北者として韓国に渡った。韓国当局による定着教育を経て韓国国籍となり、北朝鮮事情の講演をする一方、北朝鮮物産の輸入商としてしばしば中国を訪問した。
 この間、講演活動などで知り合った複数の軍関係者に接近し、肉体関係を持って親しくなり、軍情報の提供を受けていた。捜査当局は彼女の出入国がひんぱんなことや人間関係に不審を抱き、長期にわたって監視、捜査を続け今年7月、逮捕にこぎつけた。
 韓国内でのスパイ活動の中には、大物亡命者の黄長●(=火へんに華)・元労働党書記や脱北者の動向把握、日本での脱北者情報収集も含まれている。日本では日本人男性との偽装結婚も計画していたという。

◎韓国LG電子、プラズマパネル大型投資中止(2008年5月28日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国LG電子の最高経営責任者(CEO)の南ヨン副会長は27日の記者会見で、世界2位のプラズマパネル事業について「追加の大規模投資はしない」と語り、生産能力増強を伴う投資を中止する方針を表明した。LGグループは世界的に需要の伸びが高い液晶への比重を高める方針で、プラズマ陣営の劣勢がより鮮明になる。
 同社のプラズマ事業(テレビも含む)は同業の松下電器産業、韓国サムスンSDIとの競争に加え、液晶パネルとの競争も激化。2006年10~12月期から5四半期連続で赤字が続いていた。

◎韓国LG電子と台湾企業、パソコン巡る特許紛争で和解(2008年8月27日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国LG電子は26日、パソコン関連技術を巡る台湾パソコン製造大手の広達電脳との特許紛争で和解したと発表した。両社は訴訟を取り下げる。広達はLG電子の技術を認め、特許使用料を支払う交渉を開始する。
 問題となったのは、PCIと呼ばれるパソコンの部品同士をつなぐデータ伝送技術。米インテルを中心に策定された標準規格だが、LG電子がPCI関連の技術の多くの特許を保有しているという。

◎建国60年の韓国、34万人を赦免、現代自動車会長ら(2008年8月13日、読売新聞)
 【ソウル=浅野好春】韓国政府は12日、日本の植民地支配から国権を回復した光復63周年、建国60年を迎える15日付で、政財界人士ら34万1864人を対象に特別赦免、復権などを実施すると発表した。
 財界では横領、背任などの罪で有罪判決を受けた現代自動車グループの鄭夢九(チョンモング)会長、SKグループの崔泰源(チェテウォン)会長、ハンファグループの金升淵(キムスンヨン)会長らが対象。韓国政府は「経済再生のための赦免が必要との財界の要請と、対象者のこれまでの経済発展への功労を考慮した」と、今回は経済重視の赦免となった点を強調した。
 対象者のうち、最も多いのは懲戒処分を受けた前・現職公務員の約32万8000人。李明博(イミョンバク)政権では6月にも、交通違反者らを含め282万人以上に赦免、減刑などを実施しており、今回はそれに次ぐ規模となる。光復60周年の2005年8月15日には、422万人以上に特別赦免を実施している。

◎金剛山事件、韓国側が先手打ち要員全員を撤収へ(2008年8月11日、読売新聞)
 【ソウル=浅野好春】韓国政府は10日、金剛山の韓国人女性射殺事件に絡んで北朝鮮側が「優先追放対象」に挙げた南北離散家族面会所建設担当要員、韓国政府関係者の11人全員を11日までに撤収させると明らかにした。
 追放措置が取られる前に先手を打って撤収することで、北朝鮮とのトラブルを避ける狙いとみられる。
 韓国側は事業再開に備え、最小限の要員は引き続き現地に滞在させる方針だ。
 聯合ニュースによると、韓国政府は、面会所担当要員9人のうち3人を9~10日に退去させた上で、残り6人と韓国観光公社職員2人を11日に撤収させることにした。
 同公社職員は観光施設内の免税店を運営しており、撤収とともに土産物も持ち帰る予定という。

◎北朝鮮、韓国の政策に全面反発、金剛山事件の長期化必至(2008年8月9日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】北朝鮮の金剛山で起きた韓国人女性射殺事件で、北朝鮮は10日から同地区に滞在する韓国人の追放を始める。米韓首脳会談で韓国が同事件を取り上げたことを批判。韓国側の政策に全面的に反発する姿勢を見せており、事件の長期化は避けられない情勢だ。
 北朝鮮は通告文で6日に開かれた米韓首脳会談に触れ、「米国にぶら下がって、真相究明や再発防止をお願いした」と主張。韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権を「北南関係をさらに険悪な状況に導いている」と非難した。
 北朝鮮は3日に同地区の韓国人の追放を宣言。今回の通告は、国際世論を味方につけて解決を目指す韓国の方針に反発し、対応をエスカレートさせた結果と言えそうだ。
 ただ、北朝鮮は3日同様、「不必要な人員」という表現を使った。韓国統一省によれば、8日現在の韓国人は164人。同省報道官は9日、施設管理などを念頭に「最小限の人員は残すことになるのではないか」と語った。
 韓国政府や有識者の間では、北朝鮮が開城工業団地や開城観光などの協力事業は従来通り認めていることから、「北も対応に苦慮している」との見方も出ている。

◎北朝鮮、金剛山の韓国人を10日から追放、李政権を強く非難(2008年8月9日、日本経済新聞)
 【ソウル=山口真典】北朝鮮の軍事実務責任者は9日、金剛山で7月11日に発生した韓国人観光客射殺事件に関連して韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権の対応を強く非難し「金剛山観光地区に滞在する不必要な韓国側人員の追放措置を10日から実施する」という内容の通知文を韓国軍に送った。朝鮮中央通信の報道を朝鮮通信(東京)が伝えた。
 南北協力事業のうち開城工業団地の操業は継続しているが、金剛山観光は追放措置により長期中断が必至。北朝鮮が強硬姿勢を示したことで南北関係は一層の悪化が避けられない見通しだ。
 通知文では「まず南(韓国)当局者全員、残りの人員も段階的に追放する」と指摘。(1)人員や車両の軍事境界線通過を厳しく制限(2)違反行為には強力な軍事的制裁措置を取る――ことも表明した。観光事業主体の現代峨山によると同地区には韓国人164人が滞在しているという。

◎金剛山地区の韓国人、10日から追放、北朝鮮通告(2008年8月9日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】北朝鮮の金剛山で起きた韓国人女性射殺事件で、北朝鮮は9日、「金剛山地区に滞在している不必要な南(韓国)側人員に対する追放措置を10日から実施する」と韓国政府に通告した。朝鮮中央通信が伝えた。
 北朝鮮の通告文によれば、まず、韓国観光公社や金剛山面会所などに勤務する韓国政府関係者全員を追放する。他の韓国人に対する追放措置は、段階的に実施すると説明。そのうえで韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権に対し、「事態の深刻性を直視し、分別をもって身を処すべきだ」と主張した。
 韓国統一省によれば、6日現在、金剛山地区に韓国人227人が滞在している。

◎韓国銀行、0.25%利上げ、年5.25%に(2008年8月7日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】韓国銀行(中央銀行)は7日午前、金融政策を論議する金融通貨委員会を開き、政策金利を0.25%引き上げ、年5.25%とすることを決めた。即日適用した。利上げは2007年8月以来、1年ぶり。年5.25%は01年2月以来の水準となる。
 韓国の消費者物価上昇率は7月に前年同月比5.9%となり、10年ぶりの高水準で推移している。原油や穀物価格の高騰を背景にした物価の上昇傾向が継続する懸念が強いため、金融引き締め姿勢を強めて物価の抑制を狙う。

◎韓国人21人が金剛山から撤収(2008年8月6日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】韓国統一省は6日、北朝鮮の景勝地、金剛山(クムガンサン)から、韓国の観光事業関係者21人が5日に撤収したことを明らかにした。金剛山にはなお約230人の韓国人が滞在しているが、同省報道官は「今後は最小限の施設管理要員だけになるだろう」との見通しを示した。金剛山観光は7月11日の韓国人射殺事件後に中断。北朝鮮軍部は今月3日、事件を巡る韓国政府の対応を非難し、金剛山から「不必要な韓国人を追放する」との談話を発表した。

◎金剛山に不要な韓国人「すべて追放」、北朝鮮軍が表明(2008年8月4日、朝日新聞)
 【ソウル=箱田哲也】北朝鮮の金剛山で起きた韓国人女性の射殺事件で、北朝鮮の朝鮮人民軍金剛山地区報道官は3日、真相究明を求める韓国政府を激しく非難し、「金剛山地区に滞在する不必要な南(韓国)側人員をすべて追放する」と発表した。
 朝鮮中央通信が軍の「特別談話」として伝えた。北朝鮮軍として韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権への対決姿勢を一層鮮明にした動きで、南北交流の象徴とされる金剛山観光の早期再開は絶望的となった。
 北朝鮮軍は発表で、謝罪や関係者の処罰を求める李政権の対応を「故意の反共和国(北朝鮮)的な対決策動」などと非難。今後、「軍事境界線通過の厳しい制限、統制」「観光地と軍事統制区域でのささいな敵対行為に対する強力な軍事的対応」にも乗り出すとしている。
 これに対し、韓国の統一省は「納得しかねる。安全が確保されない状況で金剛山に観光客を送ることはできない」と発表した。金剛山地域に残っている韓国人は事業主体の「現代峨山」関係者ら262人という。
 一方、韓国大統領府幹部は3日、北京五輪開会式に出席する李大統領が8日、北朝鮮ナンバー2の金永南(キム・ヨンナム)・最高人民会議常任委員長と北京で接触する見通しだと明らかにした。6者協議議長国でもある中国の配慮とみられる。李政権発足後、最高位の対話となるだけに韓国側は事態打開に期待するが、南北関係は冷え込んでおり成果は不透明だ。

◎金剛山から韓国人追放、軍事的対応も、北朝鮮が特別談話(2008年8月4日、読売新聞)
 【ソウル=浅野好春】朝鮮中央通信によると、金剛山(クムガンサン)の韓国人女性射殺事件で、北朝鮮の人民軍金剛山地区軍部隊報道官は3日、「金剛山地区に滞在している不必要な南(韓国)側人員をすべて追放する」との特別談話を発表した。
 韓国が事件後に金剛山観光を全面中断、真相究明のための現地調査を求めていることに対抗した措置だ。北朝鮮は李明博(イミョンバク)政権との対決姿勢を一層鮮明にしたといえ、韓国が探り始めている政府間の南北対話再開への道のりは厳しさを増している。
 特別談話は、李大統領を「逆徒」、韓国政府を「傀儡(かいらい)」と指弾した上で、韓国側が「責任を我々に転嫁しようと画策している」と非難。不要な要員の追放のほかに、「今後、観光地と軍事統制区域内で起きる、ささいな敵対行為に対しても強力な軍事的対応措置を取る」と警告、韓国側要員と車両の軍事境界線通過についても、より厳しく制限するとしている。
 北朝鮮が事件への立場を表明したのは、7月11日の事件発生の翌12日に韓国側に謝罪を要求して以来。
 韓国政府は、模擬実験で事件を分析した結果として「女性がゆっくり歩いていた状態で射殺された可能性がある」と発表した。これに対し、談話では「侵入者は度重なる(制止)要求を無視して急に逃げ出し、空砲を撃って停止させようとする我が軍人の努力にかかわらず速度を上げて逃走した」と改めて主張。韓国政府が求めた現地調査についても拒否した。
 金剛山地区には現在、観光を担当する現代峨山(アサン)の関係者47人やゴルフ場関連要員150人をはじめ、計262人が滞在しているが、北朝鮮がだれを追放の対象に想定しているかは「分からない」(韓国政府)という。
 金剛山観光事業は金大中(キムデジュン)政権下の1998年に開始。2038万ドル(約22億円、2007年)の「入山料」をもたらすなど、北朝鮮にとって貴重な外貨収入源となってきた。このため、韓国政府内では、いずれ北朝鮮は非を認め、事業再開に動き出すとの見方もあったが、この日の談話で期待が裏切られた形だ。
 李明博政権は最近、北朝鮮との公式対話再開を積極的に模索する姿勢に転換。今回の事件でも北朝鮮側との当局者間協議を実現させる意向だったが、現時点ではいずれも「空振り」に終わっている。

◎予報外れっぱなし、韓国気象庁に抗議殺到(2008年8月4日、スポーツニッポン)
 韓国で気象庁の天気予報が大きく外れる「誤報」が続き、市民から抗議が殺到、同庁幹部が夏休み返上の「非常態勢」を取り、「海外から優秀な人材を招くべきだ」との声も上がっている。
 朝鮮日報によると、7月11日の予報で「12日の土曜日は西海岸の一部地域を除き雨は降らず、蒸し暑い天気になるだろう」と発表したが、未明から首都圏は大雨となり、市民から「週末の約束が台無しになった」との苦情が相次いだ。
 13日には首都圏で、豪雨に匹敵する雨量が観測された後に「豪雨注意報」を出したところ、メディアから「後出しじゃんけんだ」とあきれられ、「予報官の能力に問題がある」との批判も噴出。7月は週末の予報がほとんど外れた。しびれを切らした李萬儀環境相が外国人予報官の導入を提案。気象庁側も「検討中」と応じざるを得なくなった。
 一方、韓国メディアは、同庁が2004年にスーパーコンピューターを導入後、予報の的中率が悪化したと指摘。また監査院は「06年に性能に問題がある観測機器を大量に購入した結果、07年には予報が外れた率が前年の2倍以上になった」としている。(共同)

◎金剛山事件、射殺された女性はゆっくり歩いていた、韓国が主張(2008年8月2日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】北朝鮮・金剛山の韓国人女性射殺事件で、韓国政府は1日、女性が立ち止まっていたか、ゆっくり歩いている状態で射殺された可能性があると発表した。
 事件を再現した模擬実験の結果を分析した。北朝鮮側は射殺理由として、兵士が追いつけないほどの速さで女性が逃げたためと主張していた。
 韓国政府によると、女性は事件当時、ワンピース姿で、尻付近にまで達するシャツを羽織り、前ボタンを外していたとされる。模擬実験は、こうした服装の人物が立ち止まっていたり、ゆっくり歩いたりした場合と、走った場合に分けて行った。
 女性は尻に被弾しており、銃弾はワンピースとシャツの両方を貫通していたが、走った場合はシャツが舞い上がり、銃弾がシャツを貫通しないことがわかった。
 事件当時、風はほとんど吹いていなかったという。
 また、韓国政府は女性が100メートル以内から銃撃を受けていたと推定した。

◎韓国:米大統領の訪韓に反対、ソウルでろうそく集会とデモ(2008年8月2日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】ブッシュ米大統領の訪韓(5~6日)に反対する「ろうそく集会」とデモ行進が2日夜、ソウル都心で行われた。開始時点の参加者は1000人前後と小規模だったが、警察は深夜にデモが過激化する恐れがあるとみて厳重な警戒態勢をとった。
 集会は5月初め以降、米国産牛肉輸入再開反対と李明博(イミョンバク)政権退陣要求の運動を主導してきた市民団体などによる「国民対策会議」の主催。ブッシュ大統領が韓国入りする5日には、ソウルでの大規模集会をはじめ全国各地で抗議集会が予定されている。

◎牛肉問題報道で訂正命じる、テレビ番組にソウル地裁(2008年7月31日、産経新聞)
 ソウル地裁は31日、米国産牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の危険があると報じ、韓国政府への抗議行動に火を付けたMBCテレビの報道番組「PD手帳」に対し、報道内容の一部訂正を命じる判決を出した。聯合ニュースが伝えた。
 農林水産食品省が報道内容の7カ所で訂正を求めるなどして提訴していた。判決は、番組が(1)映像に登場する米国の「へたり牛」がBSEに感染したか感染の可能性が高い(2)韓国国民がBSEに感染しやすい-とした2点について事実と異なるとし、訂正義務があるとした。
 この番組をめぐっては、政府の捜査依頼を受けた検察当局も牛肉輸入を決めた官僚への名誉棄損容疑で捜査。「政治的意図がある」との検察批判も出ている。

◎北朝鮮に責任者の処罰要求、金剛山事件で韓国首相(2008年7月31日、産経新聞)
 北朝鮮・金剛山での韓国人観光客射殺事件に関連し韓国の韓昇洙首相は31日、韓国人記者団との懇談で「北は納得できる説明をし、責任者を処罰した後、(南北)共同調査に応じ、観光客の安全確保対策を立てるべきだ」と述べた。
 韓国政府高官が同事件で北朝鮮に責任者処罰を求める考えを明言したのは初めて。北朝鮮は「すべての責任は南にある」としており、韓首相の発言でさらに態度を硬化させる可能性がある。
 韓首相は「北は(ふだん)『わが民族同士』と言いながら、ひと言の謝罪もない」と非難。北朝鮮当局から真相究明や再発防止に向けた発表がないのは遺憾だとした上で「時間がかかっても、こうした問題が解決されなければ金剛山観光の再開は困難だ」と語った。

◎韓国ハイニックス半導体の4~6月、最終赤字760億円(2008年7月31日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国ハイニックス半導体が31日発表した4~6月期決算は、最終損益が7110億ウォン(約760億円)の赤字(前年同期は2250億ウォンの黒字)となった。主力製品であるDRAMとNAND型フラッシュメモリーの市況悪化に加え、米工場閉鎖に伴う除却損の計上が響いた。
 売上高は前年同期比横ばいの1兆8640億ウォン、営業損益は1720億ウォンの赤字(同1090億ウォンの黒字)。1~3月期と比べるとDRAMの価格が上昇し、赤字幅は縮小した。

◎韓国人は海外旅行好き? 日本の3.7倍、教育熱が背景(2008年7月31日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】韓国人が海外旅行に費やす支出は国内総生産(GDP)比では日本の約3.7倍。韓国銀行(中央銀行)がこんな日韓の比較調査をまとめた。「GDPの規模に比べ、韓国の海外旅行支出は過多」と分析し、経常収支の黒字減少の一因として指摘している。
 調査によると、韓国の07年の留学を含む海外旅行支出は208億ドル(約2兆2500億円)と、日本の264億ドルの約8割。だがGDP比では2.2%と日本の0.6%を上回る。00年~07年に旅行が2.6倍、留学研修が5.2倍に増えた。経済発展による所得の増加や教育熱・英語学習熱の高さなどが背景にあるとされる。
 同じ00年~07年に、韓国の経常黒字は122億ドルから59億ドルに減った。サービス赤字が28億ドルから205億ドルに増え、うち00年に3億ドルだった旅行収支の赤字は150億ドルに。韓国銀行は「不要不急の旅行自制」に加え、外国人観光客の誘致強化や国内教育機関の魅力向上などを赤字減少策として挙げている。

◎韓国テレビ番組、BSEの危険性を歪曲・誇張か、検察が捜査(2008年7月30日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】米国産牛肉の輸入再開に反対する「ろうそくデモ」の火付け役ともなった韓国の人気報道番組「PD手帳」が、BSE(牛海綿状脳症)の危険性を歪曲(わいきょく)、誇張して放送した疑いが強まり、検察当局が捜査に乗り出している。
 番組は市民の不安をあおり、李明博(イミョンバク)政権の支持率急落や都心の交通マヒなど韓国社会を大混乱に陥れたが、放送したMBCテレビは捜査に協力せず、番組の検証も自己弁護に終始している。
 問題になっているのは、「米国産牛肉、果たしてBSEから安全なのか」と題した4月29日の放送。別の病気の診断を受けていた米国人女性がBSEに感染して死亡したかのように報道。直後の5月2日から市民らが「ろうそくデモ」を始め、6月10日には全国で15万人以上が参加する事態に発展した。
 検察当局の発表によると、PD手帳は、死亡した女性の母親が別の脳疾患を挙げたにもかかわらず、証言場面に「脳検査の結果、女性がBSEに感染した可能性がある」と翻訳した字幕をつけて放送。また、「胃の切除手術の後遺症があった」との発言を放送しないなど、意図的な編集をした疑いも浮上している。
 さらに、食肉処理場で立ち上がれなくなった米国牛の映像を流し、司会者が「BSEに感染した牛」と決めつけたコメントをした。しかし、検察当局によると、栄養失調や伝染病などほかの原因も考えられ、見た目だけではBSEへの感染を断定できないという。
 検察当局は約50分間の放送内容のうち、19か所に歪曲や誇張、意図的編集の疑いがあるとして、MBC側に説明や取材資料の提供を文書で要求した。
 PD手帳は7月15日の放送やホームページで「証言した母親の医学的知識が不足していた」などと釈明。翻訳ミスは認めたものの、歪曲や誇張については強く否定している。
 MBCは左派の盧武鉉(ノムヒョン)前政権寄りで、李明博政権に批判的な報道が多いとされる。今回の捜査は、農林水産食品省の指摘を受けて行われていることから、野党側は「MBCを標的にした捜査だ」と指摘している。
 ただ、30日付の主要紙が「国民をだました罪を謝罪し、責任を取るべきだ」(東亜日報)と批判を展開するなど、国内には番組への反発が広がっている。

◎「世界初」はもういらない、韓国、イ・ミョンバク政権の新IT戦略(2008年7月30日、日本経済新聞)
 韓国知識経済部は2008年7月10日、イ・ミョンバク新政権のIT産業政策である「New-IT戦略」を発表した。その目標は「ITの拡散による産業構造の先進化と社会問題解決」で、3大戦略分野として「全産業と融合するIT産業」「経済社会問題を解決するIT産業」「高度化するIT産業」が選定された。2012年まで韓国IT産業では「融合」がキーワードになる。(IT先進国・韓国の素顔)

・ITの恩恵をすべての産業に
 知識経済部は「新しい時代精神に立脚して3つの戦略分野を導出した。IT産業そのものだけでなく、全産業と経済社会の当面の課題を解決する方向でIT政策を変化させる必要がある」としている。この戦略をとりまとめた知識経済部は2008年の再編により情報通信部と産業資源部が一つになった省庁で、日本で言えば総務省のIT政策部門と経済産業省が一つになったようなところだ(通信と放送に関しては通信放送委員会が別途設立された)。24日には新戦略の具体的な実行計画として「ITイノベーション2012」も発表した。
 新政権は、ノ・ムヒョン大統領時代の「IT839戦略」に対して「政府の関与が大きすぎる」と批判的だった。Wibro(モバイルWiMAX)やDMB(モバイルデジタル放送)といった「世界初」を目指した技術開発は進んだものの企業や市場の需要を反映しておらず、名ばかりの政策も多かったという主張である。それだけに、今回の新戦略で何がどれだけ変わるかが注目を集めていた。
 イ・ミョンバク大統領の在任期間にあたる2008年から2012年まで実施される新しい戦略は、今まで何度も新政権が強調してきたように市場主義、自由競争が基本となる。政府と公共機関は需要がまだ少ない最新分野に投資し、需要を拡大させる役割を担うという。
 知識経済部の資料を見ると、2007年の韓国IT産業の輸出動向は、携帯電話端末、半導体、ディスプレーの3品目だけで全体の約77%を占めている。IT業界は中小企業の占める割合が約99%と高いのに対し、生産に占める割合は約29%、輸出は約13%に過ぎない。しかも携帯電話やディスプレーは海外から部品の多くを輸入しており、IT輸出が増加すればその分だけ輸入や海外へのロイヤルティー支出も増える。
 韓国はサムスン電子、LG電子など一部企業がグローバル化を果たし、インターネットの利用率も高い。しかし、今の産業構造を変えていき、全産業のIT化により経済全体を活性化させていかなければ、「IT強国」とはいえなくなるという危機感は多くの人に共通している。New-IT戦略は何よりも企業と市場の活性化が重要であるとして、大手企業はもちろん、中小企業が希望をもってビジネスに取り組めるような戦略作りに苦心した様子が伺える。

・RFIDやグリーンITに集中投資
 New-IT戦略によると、政府は2012年までの5年間に3兆5000億ウォンを投資する。一方、民間企業の投資額は110兆ウォンを見込み、民間主導で財政支出を抑制する方針だ。
 数値目標では、2012年までに国内生産1兆ウォン以上のIT融合産業分野を10以上創出し、製造業の成長率を2%以上引き上げる。また2012年にはIT産業輸出品目の多様化で輸出金額2000億ドルを達成し、売上高500億ウォン以上の企業を2007年の607社から2012年には1000社に増やす。そのほか、グローバルソフトウエア企業を10社育成し、専門教育を受けた2万人のNew-IT人材を養成することなどが挙げられている。
 「全産業と融合するIT産業」の具体的な計画としては、製品のIT化、プロセスのIT化、サービス業のIT化、組み込みソフトウエア開発を推進する。造船・自動車・機械・繊維・医療機器といった韓国を代表する5つの既存産業でITの融合に取り組み、2012年には融合技術を12分野に拡大させる。
 中でもRFIDには力を入れる方針だ。自動車や繊維(衣類)、流通産業にRFIDやユビキタス・センサー・ネットワーク(USN)を導入したテスト事業を立ち上げるなど、RFID普及だけで2008年に60億ウォンを投資する。既存産業のIT融合を促進するための「産業IT融合センター」も2012年までに10カ所に設立する。
 「経済社会問題を解決するIT産業」では、グリーンIT実現のためIT製品の省エネ効率を2012年までに20%向上するという目標を掲げる。このための関連技術開発に5年間で2000億ウォンを投資し、LED(発光ダイオード)産業の世界シェア3位を目指すという。郵便局や公共機関が率先してLED照明などを導入し、民間の需要も掘り起こせるように500億ウォン規模のLED共同ファンドも組成する。
 さらに高齢化に伴う医療問題解決のためユビキタスヘルスケアにも力を入れる。ユビキタス病院を3カ所程度設けるという計画があるほか、デジタル・レントゲン・ディテクター(Digital X-ray detector)といった先端医療機器開発に5年間で2500億ウォンを投資し、これを支援するためのセンター設立に1071億ウォンを充てる。医療機器のIT融合化では世界シェア5位が目標だ。
 「高度化するIT産業」としては、半導体やディスプレー産業育成、ネットワーク・無線通信、IT部品とソフトウエア産業の育成が含まれる。戦略分野としては電子情報デバイス、情報通信メディア、次世代通信ネットワーク、ロボット、ソフトウエアコンピューティング、知識サービス、USN、産業技術融合、バイオ医療機器が選定された。
 半導体やディスプレー、携帯電話端末などに使われるIT部品やコア技術の国産化のためには2008年だけで3204億ウォンが使われる。内訳は半導体が1081億ウォンでもっとも多く、IT部品802億ウォン、ネットワーク(次世代ネットワーク)540億ウォン、移動通信524億ウォン、ディスプレー320億ウォンとなっている。ディスプレー産業基盤センター協議会の設立、携帯電話端末の産業成長のためのモバイルテストフィールド拡大など、中核的なIT産業の基盤をより確固たるものにする。知能型ホームネットワーク産業発展戦略と知識情報セキュリティー産業発展戦略も2008年末までに立案し、このための予算として81億ウォンを補助する。

・人材育ててベンチャーに投入
 New-IT戦略では企業の需要を反映した人材養成も重要な課題となっている。
 人材養成については、大卒クラスの人材が余剰となる一方、博士クラスの高い教育を受けた高度人材が不足しているという課題がある。このため、「融合・複合」に対応して新市場を切り開くプロジェクトリーダーになりうる人材養成のため、2012年までに2800億ウォンを投資して2万人を養成する。
 韓国では失業率が上昇し求職難となっている。しかし、中小ベンチャー企業からは「我々には有望な人材が回ってこず、依然として求人難」と、長期的な人材養成を要求する声が絶えなかった。そのため、2009年にはまず全国5カ所で企業、大学、研究所が共同参加する「IT融複合人材養成センター」を設立運営する計画だ。
 政府の支援を受けた人材と政府の研究機関の研究員には中小企業やベンチャー企業での勤務を義務付けるという制度も検討されている。生涯のキャリアを管理してもらえる「高級IT人材全生涯キャリアパス管理体制」が導入され、海外に離れていく人材を呼び戻す戦略も立てている。
 さらに、世界で初めてIT教育認証制度「ソウル・アコード」を2009年に始める。技術者教育の分野では国際的な同等性を相互承認するための国際協議体としてワシントン・アコード(Washington Accord)がある。しかしワシントン・アコードではIT分野の教育特性を十分反映できないため、韓国主導でIT教育国際認証の枠組みであるソウル・アコードを推進するということだ。
 法制も変更する。現在はいくつもの法律に分かれている情報通信関連法を一つにまとめ、IT製造業とサービス業が並行発展できる制度的基盤作りとして「情報通信産業振興法(仮称)」を2008年12月には国会に提出する計画だ。
 このほか、New-IT戦略には国内の知的財産権管理を強化して海外企業との特許紛争に対応できるよう専門性を高めること、IT研究開発基金として大手通信企業が売上高の0.1%ほどを政府に拠出していた制度を5年後に廃止し料金競争を高めること、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)と韓国情報通信国際協力振興院(KIICA)に分かれていた韓国企業の海外進出支援組織を一本化し窓口を大韓貿易投資振興公社に絞るといったことも盛り込まれている。

・「世界初」より実質的な支援に転換
 政府関係者らはNew-IT戦略について、IT839戦略をはじめとする過去のIT戦略といかに異なるかをしきりに強調している。ただ、重点事業としている8大課題も、IT839時代に選定された産業資源部の7大戦略技術と情報通信部の14大IT革新技術をまとめて8つにしただけといえないこともない。既存産業とITの融合や部品の国産化も前々から課題とされてきたことだ。
 変化があるとすれば、やはり情報通信部と産業資源部に分かれていたIT産業政策が、2008年からすべて知識経済部の担当となり、省庁間の縄張り争いがなくなりスムーズにことが運ぶようになったという面だろうか。これにより企業も楽になった。
 今までのIT戦略はサービス、ネットワーク、機器といったIT産業そのものの発展に焦点が当てられていた。それに対し、New-IT戦略はIT利活用による社会問題の解決や、産業全般の高度化など範囲が広く、「ITそのものの戦略というより国家発展戦略に近い」と政府は説明している。しかし、いまのところ大きな差は感じられない。ソフトウエアやSIといった業界からは「融合ばかり強調してIT産業自体の成長支援策については触れていない」という批判の声もあがっている。
 ただ、これまでのスローガンであった「世界初で何かをする」という目標は一転して影を潜めた。世界初という記録を求めて政府が旗を振るよりは、企業の意見を優先し、企業が望む人材を養成したり、ファンドや協議会を設立したりすることで間接的に企業を支援する。省庁間の無用なアピール合戦の必要がなくなったため、実質的な成果を追求しやすくなったという側面もあるだろう。こうした政策の転換はこれからの産業発展に影響を与えるはずだ。
 経済大統領として期待されたイ・ミョンバク大統領が就任し、真っ先に政府組織再編が行われた。小さな政府、ビジネスがしやすい最小限の規制が新政権のキャッチフレーズでもある。IT産業に関しても省庁再編により業務の改廃や公務員リストラが噂されたりし、落ち着かない雰囲気が続いていた。
 New-IT戦略の発表で、IT産業全体がようやく今年度の仕事を始められるようになったといわれている。それは結局、韓国はまだ企業が政府の支援に頼りすぎているということの裏返しだろう。新政権の狙い通り、民間主導の経済が実現するにはもう少し時間がかかりそうだ。

◎北朝鮮、金剛山事件を独自調査、処罰も想定か(2008年7月26日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】北朝鮮が、金剛山観光客射殺事件について独自に調査を始めたことが分かった。韓国政府関係者が明らかにした。朝鮮人民軍の内部調査ではなく、政府が実施している模様。当日の状況や銃撃を指示した責任者の有無、命令体系などを調べ、責任者の処罰も想定しているとみられる。北朝鮮による意図的な挑発行為ではない可能性が強まった。
 北朝鮮は12日、観光客の死亡を遺憾とする当局者談話を国外向けに発表しただけ。韓国政府も「北韓(北朝鮮)は事態の深刻性を十分認識している」(関係者)と判断。金剛山と並ぶ南北協力事業の開城観光を継続するなど、事態を拡大させない方針だ。
 北朝鮮は韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権を厳しく批判する一方、民間協力は維持してきた。なかでも金剛山観光事業は、今年だけですでに1073万ドル(約11億5千万円)の収益を北朝鮮にもたらしており、事件による中断が痛手になっているという見方もある。

◎「竹島」韓国ではどう教えているのか(2008年7月23日、産経新聞)
・道徳や国語でも「国土」として学習
 中学社会科の新学習指導要領解説書に竹島(韓国名・独島)の領土問題が盛り込まれたことに対して、韓国では連日のように日本大使館前で反日デモが繰り広げられている。韓国の教育現場では、竹島についてどのように教えているのだろうか。(ソウル 水沼啓子)
 韓国では小学校の道徳や国語の教科書で「国土を愛する心」を教える際の学習資料に、竹島の地図や写真、名前の由来などが載っているほか、中学・高校の「国史(歴史)」や高校の「韓国地理」の教科書で、竹島が歴史的にも国際法上も韓国の「固有の領土」であると記述している。
 中学の国史の教科書では、写真付きで1ページを割き「独島は早くからわが国の領土だった」と明記。歴史的経緯に触れながら、朝鮮王朝時代(1392~1910年)に「(韓国の漁師が)日本の漁師を追い出し、わが国の領土であることを認識させたこともあった」と記している。
 さらに、「独島の強奪」という見出しで「1905年2月、日本は独島に竹島という名前を付け、日本に編入した」と説明。学習資料の中では「新羅時代には(独島は)于山(ウサン)島と呼ばれていた」と述べている。
 高校の国史の教科書では対日関係を中心に竹島を紹介。「独島とその西の鬱陵島は三国時代(4世紀~7世紀半ば)以来、わが領土だったが、日本の漁師がよく侵犯して衝突することもあった」とし、「その後も日本の漁師の侵犯が続いたので、19世紀末に朝鮮政府が積極的な鬱陵島の経営に乗り出し、移住を奨励。鬱陵島に官吏を派遣し、独島まで管轄した」と記述している。
 一方、韓国地理の場合は教科書が数種類あり、出版社によって扱いに違いがある。一部の教科書は竹島の写真とともに「わが国においていちばん東にある島」と紹介しているが、日本との領土問題には触れていない。
 しかし、別の教科書は、「八道総図」という古地図とともにほぼ2ページを使い、「独島がわが国固有の領土であるという事実は朝鮮時代に製作された地図と、当時日本で製作された日本の地図などで明白だ」と説明。ほかの教科書も三国時代までさかのぼって竹島の歴史に触れたうえで、「国際法上、領土問題は『どちらが先にその場所の存在を知ったか』と『どちらが継続的にそこを利用しているか』が重要。よって独島は歴史的にも国際法上もわが領土であるのは明らかだ」と述べている。
 現在、高校1年生が学ぶ歴史の授業は週2時間だが、歴史教育をより強化すべきだという声が高まっており、2011年から3時間にする教育課程改定案も検討されている。また教育現場からは、教科書の内容も分量も不十分であり、竹島をめぐる日本の動向などをもっと盛り込むべきだという指摘も出るなど、竹島に対する韓国の姿勢はますます強硬になりつつあるようだ。

◎17歳女性新兵発砲か、金剛山の観光客射殺(2008年7月21日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】金剛山観光客射殺事件の発生から10日が過ぎた21日、「17歳の北朝鮮女性兵士犯行説」が浮上した。北朝鮮当局者が先週訪朝した韓国民間業者らに証言した。韓国政府は不確かな情報とみるが、南北の政府間対話は中断したままで、事件解決のめどは立っていない。
 北朝鮮では男性は満17歳前後から徴兵されるが、女性は志願制。北朝鮮当局者の証言は、事件の偶発性を強調し、北朝鮮の責任を軽くする狙いもあるとみられる。
 事件に関する北朝鮮の証言も迷走。発生直後、被害者の50代女性が徒歩で20分かけて3.3キロ移動したと説明したが、韓国内で疑問視する声が出ると、「40分で2.4キロ」と修正した。
 だが、これらの説明も、観光事業を手がける現代峨山に説明したもので、韓国政府は確認できないのが現状だ。21日に行われた国会質疑でも、政府の対応がもの足らないとして批判する声が相次いだ。

◎金剛山の観光客射殺、17歳女性新兵発砲か、韓国紙報道(2008年7月21日、朝日新聞)
 北朝鮮・金剛山で韓国人女性観光客が射殺された事件で、21日付の韓国紙・東亜日報は、北朝鮮の17歳の女性新兵が発砲したとの情報を韓国政府が入手し、確認中だと報じた。事件は偶発的に発生したもので、北朝鮮は対応に当惑しているという。

◎金剛山射殺:17歳女性兵士関与か、北朝鮮も当惑と韓国紙(2008年7月21日、毎日新聞)
 21日付の韓国紙、東亜日報は、北朝鮮・金剛山での韓国人観光客射殺事件で、銃撃したのは17歳の女性兵士との情報を韓国政府が入手し確認中だと報じた。韓国の情報当局者の話として伝えた。
 同紙によると、今回の事件は、入隊して間もない女性兵士が見張り役に課せられた規則を硬直的に守った結果による偶発的な事件であり、北朝鮮当局内部も事件処理について非常に当惑しているという。
 同紙はまた、北朝鮮が韓国の民間団体に対し、7~8月に北朝鮮の白頭山観光と、マスゲームと芸術公演「アリラン」の参観に大規模な訪朝団を送るよう打診していると報じた。

◎韓国前大統領、持ち出したハードディスク返還、告発回避で(2008年7月19日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】韓国の盧武鉉(ノムヒョン)前大統領が国政記録を慶尚南道の私邸に持ち出していた問題で、盧前大統領の秘書官らが19日、記録を収めたハードディスクを私邸から持参し、記録の保存管理を担当する国家記録院に引き渡した。
 同院は正式受領せず、一時的に保管する形で受け取った。
 持ち出された記録のすべてが含まれていない可能性や、コピーされた疑いがあるためとみられる。
 青瓦台では「返還と違法事実は別の問題」として、仮に記録返還が確認されても、持ち出しに関与した秘書官を告発するべきだとする意見がある。
 盧前大統領は告発を避ける目的で返還に応じたと明らかにしており、新たな火種に発展する可能性もある。

◎「デモで武力乱用」批判に、韓国警察「こっちもけが」(2008年7月19日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】「警察は過剰な武力を使った」「警官だって負傷している」――。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルと韓国警察当局が18日、米国産牛肉の輸入再開に抗議して韓国で2カ月以上続く「ろうそく集会」を巡り、舌戦を繰り広げた。
 口火を切ったのは、アムネスティのムイコ調査官。2週間余りの調査を終えて、18日に記者会見した。ムイコ氏は「集会はおおむね平和的だった。警察は群衆に対して放水や消火器などを乱用した」などと主張。取り締まった警官についても「睡眠不足や不規則な食事で、苦痛を受ける環境にあった」と指摘した。
 記者会見を知った韓国警察庁は同日午後、「都心の交通をマヒさせ、暴力を働く集会が、どうして平和的なのか」と反論する報道資料を発表した。警官464人が負傷し、警察車両170台が破損した事実を挙げて「深い遺憾」を表明。アムネスティに会見の修正を要求した。

◎韓国前大統領:持ち出し機密書類を返還、一方的と批判も(2008年7月19日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】韓国の盧武鉉(ノムヒョン)前大統領が退任の際、青瓦台(大統領官邸)から機密情報を含む膨大な資料を持ち出し「私有」していた問題で、前大統領側は19日未明、データが保存されたハードディスク14個とバックアップのディスク14個を大統領記録館に届けた。しかし、これは引き渡し方法に関する同館との交渉が決裂した末の一方的な措置で、韓国メディアは「不適切な返還」と批判している。
 国家資料の保有を正当化していた盧前大統領は、李明博(イミョンバク)政権が前大統領の秘書陣の刑事責任を追及する方針を示したのを受け、返還へと態度を転換した。しかし、移送中の事故などに備えて「バックアップの予備」の作成を求める記録館側との対立が解けず決裂。前大統領側は18日夜、韓国南部・金海市の私邸に保管していたハードディスクを3台の乗用車などに積み、約400キロ離れたソウル南方・城南市にある記録館まで約4時間かけて搬送、正式な手続きなしにハードディスクを引き渡した。この車列は警察車両1台が先導したが、機密資料を守る警護態勢が十分でなかったと、前大統領を批判する声が上がっている。

◎サムスン前会長の一審有罪判決、検察側が控訴(2008年7月17日、朝日新聞)
 韓国最大の財閥サムスングループをめぐる不正資金事件で、脱税や背任の罪に問われた李健熙前会長を懲役3年執行猶予5年などとした一審判決に対し、捜査を担当した特別検事チームは17日、判決を不服として控訴した。判決は脱税罪を有罪とする一方、事件の焦点だったグループの経営権世襲にからんだ背任罪は無罪ならびに時効成立としていた。

◎韓国人女性射殺、北朝鮮と韓国企業が状況説明訂正(2008年7月16日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】北朝鮮の金剛山で韓国人女性が射殺された事件で、観光事業を運営する韓国企業、現代峨山(アサン)の尹万俊(ユンマンジュン)社長は16日、ソウル市内で記者会見し、北朝鮮側が当初の説明を変更したことを明らかにした。
 新たな説明では、女性が立ち入り禁止区域に入った距離を1.2キロから800メートル、逃走距離を1キロから500メートルと訂正。11日午前4時50分としていた射撃時刻も同55分から5時の間と変えた。現代峨山自体も、女性がホテルを出た時刻を4時30分ごろから4時18分と訂正した。
 この結果、女性は約40分間に2.4キロを歩いた計算になる。20分間に3.3キロ移動したとする当初の説明に対しては、韓国政府が不自然さを指摘しており、北朝鮮側が、一般的な歩行速度に合うよう数字を操作したとの見方もある。
 北朝鮮側は、兵士1人が1回の警告射撃の後、女性を狙って3発発射し、2発が命中したと尹社長に伝え、「夜明けごろで、どんな人物か見分けられなかった。観光客と分かっていれば射撃しなかった」と釈明した。ただ、目撃者は「銃声がしたのは5時20分ごろ。周囲は明るかった」と証言しており、北朝鮮が射殺を正当化するために、時刻を前倒しした可能性がある。

◎株利益脱税、サムスン前会長に有罪判決、罰金117億円(2008年7月16日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】株式売買で得た利益に対する課税を免れたなどとして、特定犯罪加重処罰法違反などの罪に問われた韓国最大財閥サムスングループ前会長の李健煕(イゴンヒ)被告(66)の判決が16日、ソウル中央地裁であった。
 同地裁は456億ウォン(約48億円)を脱税したと認定し、懲役3年、執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約117億円)を言い渡した。
 事件の発端となった政官界への不正資金提供疑惑については、民間出身の特別検察官が4月、嫌疑なしとする捜査結果を出している。

◎みそかつ:「矢場とん」まねた韓国側、商標を譲渡へ(2008年7月16日、毎日新聞)
 韓国・ソウル市で名古屋名物のみそかつの老舗「矢場とん」(名古屋市中区)をまねた店が営業していた問題で、同社の鈴木孝幸社長は15日、韓国「YABATON」のオーナーが商標を譲渡したい意向を示していることを明らかにした。鈴木社長は同日からソウル市を訪れ、16日に「YABATON」側と面会して商標の譲渡を受ける方針。
 鈴木社長によると、韓国の「YABATON」側から11日、韓国での商標登録を取り下げたいとの連絡を受け、協議した結果、商標譲渡の手続きを取ることになった。「YABATON」のオーナーは商標などを無断で使用したことを認めて謝罪しているといい、矢場とんは韓国の公正取引委員会への申し立ても取り下げる方針。
 矢場とんは問題発覚以降、既に中国と台湾で商標登録を申請した。韓国でも今回、正式に矢場とんが商標登録されることになり、鈴木社長は「調査したうえでニーズがあれば海外にも出店したい。韓国が第一の候補になる」と話した。【米川直己】

◎北朝鮮・金剛山の韓国人観光客射殺:禁止区域、鉄柵途切れ、女性、気づかずに侵入か(2008年7月15日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】北朝鮮・金剛山で韓国の女性観光客が警備兵に射殺された事件で、女性は立ち入り禁止区域であることに気付かないまま同区域に侵入した可能性が高まっている。
 射殺されたソウルの主婦、朴(パク)ワンジャさん(53)は、当初の情報では浜辺の鉄柵を乗り越えるなど立ち入り禁止を無視したのではとの見方もあった。しかし、実際は高さ3.5メートル、長さ70メートルのフェンスは波打ち際の手前約30メートルで途切れ、そこから海までは砂を1~2メートル前後の高さに積み上げただけであることが分かった。さらに「立ち入り禁止」の警告標識はフェンスの海側末端から65メートルも離れた所にあった。このため朴さんは波打ち際を歩いているうちに、誤って侵入してしまった可能性が指摘されている。
 昨年6月にも韓国人牧師が今回と同じ場所で立ち入り禁止ラインを越え、北朝鮮兵士に約20分間拘束されたこともあったという。
 また、北朝鮮は、朴さんが軍の見張り所に近づいた後、停止命令や警告射撃を無視して逃げたと説明しているのに対し、韓国統一省は「納得できない」としている。
 朴さんが宿泊先の金剛山ビーチホテルを出たのは11日午前4時半前後。北朝鮮側は同4時50分に射殺したとしている。同ホテルからフェンス近辺まで約1.1キロ、そこから見張り所まで約1.2キロある。遺体はフェンスから200メートル北側の地点で見つかった。北朝鮮の説明では、朴さんは計約3.3キロを移動した計算になる。しかし、現地は大半が歩きにくい砂浜で、53歳の女性が20分間で移動するのは難しいというのが韓国統一省の見解だ。

◎金剛山射殺:南北双方が謝罪要求、観光再開の見通し立たず(2008年7月14日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】北朝鮮・金剛山の観光客立ち入り禁止区域で韓国人女性客が警備兵に射殺された事件で、韓国青瓦台(大統領官邸)報道官は14日、「この事件が解決されなければ(金剛山観光を)引き続き中断するしかない」と明言した。南北双方が相手方に謝罪と再発防止を要求し合っている現状では事件の真相解明は望めず、観光再開の見通しも全く立たない。
 事件発生後も金剛山地域で観光を続けた旅行者は13日までに韓国側に戻った。事業を運営する韓国企業・現代峨山(アサン)によると、12日に訪朝した社長ら6人のほか、同社の現場職員と協力企業関係者ら1200人余りが同地域に残っている。今のところ撤収計画はないというが中断が長期化すれば撤収は不可避だ。
 一方、やはり現代峨山が運営している北朝鮮・開城への日帰り観光ツアーは継続中。その開城近郊に韓国企業を誘致している工業団地も操業が続いている。観光事業と工業団地はいずれも北朝鮮にとって貴重な外貨収入源であり、中断したくないのが本音だろう。

◎50代女性が20分で3キロ移動? 金剛山射殺の謎(2008年7月14日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】早朝の海水浴場近くで、何が起こったのか――。北朝鮮の金剛山を観光中に、北朝鮮軍兵士に射殺された韓国人女性について、北朝鮮の説明への疑念が韓国で高まっている。女性が20分間で3キロ以上も移動した計算になり、「不自然だ」とする指摘が相次いでいる。
 北朝鮮側の説明では、女性は軍事警戒区域に侵入。途中で北朝鮮兵に発見されたため、制止を振り切って観光区域側に引き返し、警告射撃後も逃走したため銃撃した。女性が銃撃を受けたのは11日午前4時50分ごろとしている。
 女性が外出する姿は、ホテルの防犯カメラに残っていた。時間は、同日午前4時半ごろ。韓国統一省は、警戒区域までの距離と侵入して引き返した距離の計約3.3キロを約20分間で行き来した計算になる、と指摘。「53歳の平均的な女性の健康や(足元が)砂場だったことから、納得するのは難しい」とし、韓国メディアも疑問視している。
 韓国統一省報道官は14日の会見で「事件自体がミステリー。政府レベルの現地調査を経て疑惑を解明すべきだ」と主張。調査団受け入れを改めて要求した。12日にも、銃撃時刻には「肉眼でも人物確認が容易な明るさだった」と、「偶発的」との北側の説明に疑問を投げかけた。
 警戒区域のフェンス近くには北朝鮮の防犯カメラがあったことも分かったが、北朝鮮は調査団の訪朝を拒否しており、韓国側が映像を確認するのは困難とみられる。

◎韓国統一省「正当化できない」、観光客の射殺事件(2008年7月13日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】韓国統一省は13日、北朝鮮の金剛山で韓国人観光客が北朝鮮兵に射殺された事件で「正当化できない」との声明を発表した。真相究明のため韓国側調査団の受け入れを改めて求めた。北朝鮮は12日、事件の責任は「全面的に韓国側にある」と主張し、韓国の調査団受け入れを拒否する見解を発表。韓国統一省の声明は北朝鮮の見解に反論した。

◎金剛山射殺:北が韓国の現地調査要請を拒否、非難合戦(2008年7月13日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】北朝鮮・金剛山の観光客立ち入り禁止区域で11日、韓国人女性客が警備兵に射殺された事件について、李明博(イミョンバク)韓国大統領は12日の関係閣僚会議で「とうてい理解できない」と非難、「迅速な真相究明」を指示した。韓国政府は南北合同の調査のため、当局者を含む調査団の受け入れを北朝鮮に求める接触を始めた。
 しかし北朝鮮の名勝地総合開発指導局は同日夕、朝鮮中央通信を通じて発表した談話で調査団派遣を「許容できない」と拒否した。談話は「責任は全面的に南側にある」と指摘。韓国が金剛山観光の暫定的中断に踏み切ったのは「我々に対する挑戦だ」と断じ、むしろ韓国側が謝罪し、再発防止策を講じるまで「観光客を受け付けない」と強硬姿勢に出た。
 金剛山観光は北朝鮮にとって貴重な外貨収入源だが、韓国政府の要求に屈することは考えにくい。事態収拾は難航必至となった。
 一方、金剛山観光を行う現代峨山(アサン)の尹万俊(ユンマンジュン)社長ら6人が12日、北朝鮮側との折衝のため金剛山入りした。
 尹社長によると、12日朝時点で金剛山地域に滞在する観光客1362人の大半が予定の観光日程をすべて消化したいと希望。12日中に1012人、13日に350人がそれぞれ韓国側に帰れば、完全に観光が中断される。

◎韓国人女性射殺:北朝鮮・金剛山を観光中、警備兵が発砲(2008年7月12日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】韓国統一省によると、北朝鮮の景勝地・金剛山を観光旅行中の韓国人女性、朴(パク)ワンジャさん(53)が11日午前5時(日本時間同)ごろ、観光客の立ち入り禁止区域内で警備兵の発砲を受け、死亡した。韓国政府は遺憾の意を表明し、真相調査の完了まで暫定的に金剛山観光を中断すると発表した。1998年の金剛山観光事業開始以来、観光客が銃撃で死亡したのは初めて。
 北朝鮮は現在、韓国側当局者の南北軍事境界線通過を認めておらず、今回の事件についても政府当局間のルートでの公式通報をしていない。事態の展開によっては南北間の緊張が高まる恐れがある。
 統一省の発表と韓国メディアの報道によると、朴さんは他の3人とともに金剛山観光の団体旅行に参加した。日本海側の長ジョン(チャンジョン)湾に面した海水浴場近くの宿泊先ホテルから11日午前4時半ごろ1人で散歩に出かけ、撃たれた。
 北朝鮮は同9時40分ごろ、観光事業を運営している韓国企業・現代峨山(アサン)に事件を通報。朴さんが北朝鮮軍の警戒区域に侵入し、警備兵の停止命令と警告射撃を無視して逃げようとしたため、銃撃したと説明した。
 朴さんの遺体は現代峨山の社員と韓国人医師が回収した。遺体は海水浴場わきに設置された高さ約2メートルの鉄柵より200メートルほど軍事区域に入った場所にあったという。
 同日午後に韓国・束草の病院に運ばれた朴さんの遺体は、胸部と左尻に貫通銃創があり、背後から撃たれた胸部の傷が致命傷になったとみられる。
 【ことば】金剛山観光
 金剛山は、北朝鮮南東部に広がる景勝地。海岸を含む東西約40キロ、南北約60キロの地域に広がり、最高峰は1639メートル。韓国の「太陽政策」の一環で、韓国企業の現代峨山が観光地として開発し、98年以降、外国人を受け入れるようになった。同社が、2泊3日や日帰りなどのツアーを独占。北朝鮮の雰囲気を味わえると、人気がある。昨年は韓国人を中心に35万4930人が訪れ、うち日本人は380人。日本人はパスポートが必要だが韓国人は不要。「北朝鮮の人々と話す際は、北朝鮮情勢に関する話題は避けなければならない」など禁止事項がある。

◎韓国人女性射殺:北朝鮮・金剛山事件、李政権にまた悪材料(2008年7月12日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】韓国の米国産牛肉輸入再開反対デモが小康状態となり、ようやく一息ついたばかりの李明博(イ・ミョンバク)大統領が11日、北朝鮮・金剛山での韓国人観光客銃殺事件という衝撃に見舞われた。対応を誤ると北朝鮮との関係悪化だけでなく、韓国世論の支持がさらに下がりかねないというピンチだ。
 事件は大統領にとって最悪のタイミングで起きたとも言える。11日は「牛肉」政局が一段落し、4月の総選挙で当選した議員による新国会がようやく機能し始めた直後。施政方針演説に臨んだ李大統領は、北朝鮮に対する強硬方針を軟化させてきた流れをさらに進め、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権下での南北首脳会談の合意も尊重するから話し合おうと北側に呼びかけた。
 ところが午後2時半(日本時間同)ごろ始まった演説が終わるとすぐ、韓国メディアは金剛山で女性観光客が射殺されたとのニュース速報を流し始めた。さらに統一省の発表を通じて、韓国政府は金剛山観光を運営する現代峨山(アサン)から午前11時半ごろに事件の通報を受けていた事実が判明。李大統領は青瓦台(大統領官邸)秘書官から報告を受けていながら、国会演説では一言も言及しなかったという経緯も分かってしまった。
 「国民との意思疎通に問題がある」というのが李大統領の支持率急落の主因だけに、対北柔軟演説にふさわしくない事実だから伏せていたという認識が広まれば、ダメージは小さくない。

◎観光客射殺、北朝鮮「韓国に責任」(2008年7月12日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】北朝鮮の金剛山で韓国人の女性観光客が北朝鮮兵に射殺された事件は12日、韓国と北朝鮮の双方が批判を応酬、冷え込みが目立つ南北関係に新たな影を落とす展開となってきた。関係閣僚会議を緊急招集した韓国政府は北朝鮮の「民間人銃撃」を批判し、北朝鮮は事件の責任が韓国側にあるとして謝罪を要求。韓国の現地調査の要求も拒否し、真相解明の動きは早くも壁にぶつかった形となっている。
 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は12日の関係閣僚会議で「抵抗能力のない民間人への銃撃は到底理解することができない」と強調。「政府はただ1人の国民の生命も大事にして最後まで責任を負うという姿勢で臨む必要がある」と指示した。真相究明へ「北朝鮮は積極的に協調しなければならない」とも主張し、北朝鮮に改めて合同調査への協力を促した。

◎北朝鮮で観光客射殺、韓国メディア一斉反発、政府は緊急協議(2008年7月12日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】北朝鮮の景勝地、金剛山で韓国人の女性観光客が北朝鮮兵士に射殺された事件で、韓国メディアは12日付で、そろって北朝鮮への反発や真相究明に向けた政府の取り組みを求める論調を展開した。韓国青瓦台(大統領府)は同日午前、安保政策の実務者による調整会議を緊急招集し、対応策を協議した。国内世論や北朝鮮の出方を注視しながら、適切な対応策を探る方針だ。
 12日付の韓国紙各紙は事件を1面トップで大きく報じた。政府に真相究明のための徹底調査を求める論脈が目立ち、北朝鮮の対応については、国民から「謝罪すべきだ」「観光客に銃まで使うのは過剰対応だ」との批判が高まっているとも伝えた。
 李明博(イ・ミョンバク)大統領が11日午後に、事件を知りながら北朝鮮に対話再開を呼びかける演説をしたことに関しては「先送りが適切だ」「まず遺憾の意を表明すべきだった」といった指摘も出ている。最大野党の民主党は「問題だ」と批判している。

◎韓国、現地調査受け入れを北朝鮮に要請、観光客射殺事件(2008年7月12日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】北朝鮮の金剛山で韓国人女性が北朝鮮兵に射殺された事件で、韓国政府は12日、北朝鮮に韓国政府の現地調査受け入れを求めた。
 午前8時から午後4時までに計4回、書簡(電話通知文)を送ろうとしたが、北朝鮮側はいずれも受け取りを拒否した。韓国政府は、今後も要請を続ける方針だ。
 北朝鮮に対する要請と前後して、李明博(イミョンバク)大統領は同日、「一点の疑問もないよう真実を国民に公開しなければならない」と述べ、統一相など関係閣僚に真相の徹底究明を指示した。
 観光事業を運営する現代峨山(アサン)の調査団は同日午後、現地入りした。事件の経緯について北朝鮮側から説明を受けるとともに、韓国政府の調査を受け入れるよう求めるという。聯合ニュースは同日、「銃声は2発だった」とする目撃者の大学生の証言を伝えたが、女性の遺体に残された銃傷は2か所で、「警告射撃をした」との北朝鮮の主張と食い違っている。

◎北兵士、金剛山観光の韓国女性を射殺、規制地域に入り込む(2008年7月11日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】韓国統一省によると、北朝鮮の景勝地、金剛山で11日午前5時ごろ、韓国人の女性観光客(53)が、北朝鮮兵士の銃に撃たれて死亡した。
 金剛山地域で観光客が銃撃を受けて死亡したのは、1998年の観光事業開始以来初めて。北朝鮮から韓国政府への正式な連絡はない。韓国政府は、事件の真相が究明されるまで金剛山観光を中断する。
 韓国統一省は11日夕、観光事業を展開する韓国企業、現代峨山(アサン)が北朝鮮から受けた通報内容を記者会見で明らかにした。会見内容や同社によると、この女性は宿泊していたホテルを出て1人で海水浴場周辺を散歩していたが、網状の柵の切れ目から立ち入り禁止地域に入り込んだ。兵士が停止を要求すると、女性は逃げ出して地域内を走り回った。兵士は警告射撃を行ったが、女性が約1キロ逃げたため、銃撃したという。
 韓国の青瓦台(大統領府)報道官は「調査結果を見守る」と述べ、銃撃が南北関係悪化につながることを避けたい考えを示した。

◎韓国前大統領、国政記録を私邸に持ち出す、北の核など機密も(2008年7月10日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】韓国の盧武鉉(ノムヒョン)前大統領が今年2月の退任直前、慶尚南道の私邸に国政記録を持ち出していたことが分かり、現政権が違法行為として前大統領に早期返還を求めている。
 記録には、北朝鮮の核問題や外交、軍事関連資料など機密事項も含まれているとされ、第三者への流出も懸念されている。
 青瓦台(大統領府)の調査によると、記録は前大統領の在任中に作成されたもので、200万件以上とみられている。現政権は、前大統領が、大統領府のコンピューターからハードディスクを取り外し、記録の原本を持ち出したとしており、「明白な不法行為だ」と非難している。盧政権下の2007年4月、「大統領記録物管理に関する法律」が制定され、記録の持ち出しは禁じられている。
 前大統領の秘書官は「前職大統領には在任中の記録閲覧の権利が保障されている」と正当性を主張。持ち出したのはコピーだと反論している。

◎サムスン前会長に懲役7年、罰金370億円求刑(2008年7月10日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】韓国最大財閥サムスングループの経営権継承などをめぐる不正資金事件で、脱税や背任などの罪に問われた李健熙(イ・ゴンヒ)前会長に対し、検察側は10日、懲役7年と罰金3500億ウォン(約370億円)を求刑した。判決は16日に言い渡される。
 李前会長は、借名口座の運用益の税金1128億ウォンを逃れた、などとして今年4月に在宅起訴され、会長職も辞任した。公判では起訴事実を否認している。

◎韓国:前大統領、HDごと持ち出し、国家情報私物化の疑惑(2008年7月10日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】韓国の盧武鉉(ノムヒョン)前大統領が2月の退任の際、青瓦台(大統領官邸)のオンライン業務管理システムに蓄積された国政運営上の膨大な資料をハードディスクごと持ち出し、不法に私有しているという疑惑が浮上、李明博(イミョンバク)政権との確執が激化している。現状では事実関係と合法、違法の判断について双方の主張が対立しているが、国家資料の私有状態は批判を免れない。
 韓国紙によると、このシステムは盧前大統領が自ら考案し、特許も取っている。盧氏は「中毒」との風評もあるコンピューターマニアだ。
 青瓦台当局者が8日に公表した中間調査結果によると、資料の持ち出しは(1)稼働中のものと同じシステムを外注し購入(2)既存システム内の情報の一部を新システムのハードディスクにコピー(3)新旧ディスクを交換し、より情報量の多い旧ハードディスクを搭載した新システムを、盧前大統領が退任後の生活用に慶尚南道金海市に新築した邸宅に運搬--という手順で行われた。
 持ち出された資料は機密情報を含む240万件以上。李政権発足の時点で青瓦台に残されたサーバーには業務マニュアルなど1万6000件足らずの資料しかなく、人事ファイルや北朝鮮核問題関係の文書などは含まれていなかったという。政治的に役立つ資料は手元に温存し、残したくない資料は消去したのではないかという疑惑も指摘されている。
 盧前大統領側は「大統領記録物管理法」に従って825万件の文書を大統領記録館に送ったと説明。前大統領は官邸の資料を複写して持ち出したことは認めているが、ハードディスクの原本には手を出していないと主張している。
 一方、同法上、現職大統領は大統領記録館に入ってしまった前任者の資料を閲覧できない。李大統領のための政権引き継ぎ委員会は盧政権を軽視して青瓦台業務の引き継ぎをろくに受けなかった。後日の記録閲覧が難しいことを知らなかった模様だ。

◎韓国でトンだ模倣、みそカツ「矢場とん」、当局に訴え(2008年7月10日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】名古屋名物みそカツの老舗(しにせ)「矢場とん」(本店・名古屋市)が9日までに、同社をまねたソウル市内のトンカツ屋2店舗について、広告の内容に虚偽があるとして韓国公正取引委員会に改善の勧告を求める申し立てを行った。2店の経営者は異なり、1店は同社のキャラクターを撤去したが、もう1店はそのまま営業を続けるとしている。
 2店はソウル市南部の江南区のビジネス街にある。韓国人経営者(29)が07年初めにトンカツ店「YABATON」1号店を開業した。妹の知人から「日本においしいトンカツ店がある」と聞き、看板やメニュー、名刺などに「矢場とん」の名前や豚のキャラクターを流用した。
 07年8月には100メートルほど離れた場所に2号店をオープン。1号店の経営権は別の経営者(43)に譲った。両店ともに、メニューにみそカツはない。両経営者は矢場とんに行ったこともないという。
 これに対し、矢場とん側は今年2月、韓国特許庁に対して商標登録の無効と使用の差し止めを求めた。5月には同庁から「韓国では、矢場とんは有名ではない」などとして、差し止めには応じられないとする経営者側の回答が届いた。
 このため、矢場とんが韓国の公取委に「みそカツがないなど、虚偽の部分がある」と申し立て。9日には、公取委が2号店経営者に電話で事情を尋ねる騒ぎになった。
 2号店経営者は「うちの客は、矢場とんの名前にひかれて食べに来るわけではない」と反論しつつ、「騒ぎになった以上、名前は変える」。8日には看板からキャラクターを外した。1号店経営者は「名前も含めて経営権を買い取った。我々も被害者だ」と語り、名前の変更などには当面応じない考えを示した。
 矢場とんの鈴木孝幸社長は「商標登録さえ、取り下げてくれれば、刑事告訴はするつもりはない」と語った。

◎米ハンバーガー会社がウソ発表で謝罪、韓国のBSE騒ぎの激しさ背景に?(2008年7月9日、産経新聞)
 【ソウル=黒田勝弘】米国産牛肉反対の反政府デモが続く韓国で、米国系ハンバーガー会社が韓国世論の圧力を回避するため「米国内では生後30カ月以上の牛肉はハンバーグには使っていない」とウソの発表をしていたことが明らかになった。同社はウソを認め謝罪したが、外国系企業にウソをいわせるほど韓国社会の“狂牛病騒ぎ”の激しさがあらためて話題になっている。
 問題の発端は韓国で大規模な反政府デモにまでなっている“狂牛病(BSE=牛海綿状脳症)恐怖”を批判した東亜日報のコラム記事(6月21日)。同紙はこの中で、米国では「バーガーキング社」などハンバーガー・チェーン店は(BSEの危険性があるという)生後30カ月以上の牛肉も使っていると指摘した。
 これに対し韓国内での売り上げ減を懸念した「韓国バーガーキング社」は東亜日報に抗議し「生後30カ月以上は使っていない」との反論記事を掲載させた。
 ところが最近、韓国を担当する「アジア太平洋バーガーキング社」は東亜日報に書簡を送り、「ハンバーグの牛肉には年齢制限はしていない」とし先の反論内容はウソだったとして謝罪した。「本社の倫理規定により真実を明らかにした」という。
 東亜日報(7月4、5日)はこの経緯を詳しく報道しているが、やはり最近の“牛肉デモ”に批判的な朝鮮日報(5日)はこの事件を「ハンバーガー社にウソをつかせてしまった韓国社会」と題し、社説で取り上げている。
 社説は「米国では毎年、生後30カ月以上の牛約700万頭が畜殺され、かなりの量がハンバーガー店で使用されているのは常識だ。それを問題にする人はいない。人口3億人の米国で“人間狂牛病”にかかった人もいない。しかし韓国では全世界どこにもない“狂牛病騒ぎ”が起きている」としている。
 そして韓国社会に「平凡な事実を語ることさえまるで犯罪であるかのような“狂風”」が吹き「正常が通用せずウソが勝つ」ような雰囲気になっているため、ハンバーガー会社もウソを言わざるをえなくなったのだろうと書いている。

◎みそかつ:ソウルで名古屋の老舗を模倣、韓国側に申し立て(2008年7月8日、日本経済新聞)
 韓国・ソウル市で名古屋名物のみそかつの老舗「矢場とん」(名古屋市中区、鈴木孝幸社長)をまねた店が営業しているとして、同社は8日までに、韓国の公正取引委員会に商標使用の差し止めを求める申し立てを行った。
 同社によると、韓国で営業している店は和風トンカツ店の「YABATON」。ソウル市に2店舗あり、看板には創業が矢場とんと同じ「1947年」と書かれ、同社のブタのキャラクターが使用されていた。また矢場とんで販売されているTシャツを従業員が着ていたという。メニューにみそかつはないが、別のカツがあった。ホームページには「日本で研修してきたコック長がいる」などと書かれていたという。
 矢場とんは昨秋、著作権に関する世界知的所有権機関(WIPO)から「矢場とん」が商標登録されるとの連絡を受け、鈴木社長がソウルに出向いて確認。韓国特許庁に異議申し立てを行ったほか、「YABATON」にも直接申し入れたが改善されなかったため、韓国公取委に申し立てることにした。公取委の調査は約2週間で出されるといい、「問題なし」と判断された場合は刑事告訴することも検討している。
 鈴木社長は海外で店名を使用されないようにするため、6月に中国と台湾で商標登録を申請したことを明らかにしたうえで「今後、日本のほかの企業が同様の被害を受ける可能性もある。第2、第3の被害が出ないようにとことん戦っていく」と話している。
 矢場とんは名古屋市内のほか、東京・銀座、三重県桑名市などに6店舗を展開している。【米川直己】

◎ソウルに模倣店、名古屋みそカツ老舗、韓国公取委に申し立て(2008年7月8日、日本経済新聞)
 名古屋名物みそカツの老舗店「矢場とん」(名古屋市)は7日、「韓国で模倣店が無断で開店し、商標申請されている」として、韓国の公正取引委員会に商標使用を差し止めるよう申し立てた。改善がみられない場合などに備え、現地の代理人を通じて刑事告訴の準備も進めている。矢場とんによると、昨年から今年にかけて、ソウル市内で「YABATON」という名前のとんかつ店が2店オープンした。

◎韓国政府「前大統領、資料返して」、盧氏は反論(2008年7月7日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】韓国大統領府の李東官報道官は7日、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が在任当時の政府資料を持ち出したとして、返還を求めていることを明らかにした。李報道官は「明確な法律違反で、許されない。何よりも原本である点が重大な問題だ」と語った。
 これに対し、盧氏側は同日、持ち出したのは写本と説明。「法的にも在任中の記録に対する閲覧権がある」と主張した。今後1年間の閲覧サービス提供が技術的に難しいと現政権側の説明を受けたため写本を持ち出したといい、「閲覧権が保証されれば、いつでも写本を返す」としている。

◎役所エレベーターは4階まで禁止、韓国、原油高騰で対策(2008年7月6日、朝日新聞)
 原油高に悩む韓国政府が6日、官公庁のエネルギー消費を節約する緊急対策を発表した。15日から、官用車はナンバープレートの末尾が奇数か偶数かによって通行を制限。役所のエレベーターは4階までは使用禁止にし、橋や記念碑の景観照明もやめる。
 緊急対策で官公庁のエネルギー消費量を1割節約できるという。ただ、官公庁の消費量は全体の4%足らず。政府は原油高がさらに進めば、民間にも節約を強く促す方針だが、6日記者会見した韓昇洙首相は「原油高で苦労する国民に節約をお願いするのは気が重い」と浮かぬ顔だった。(ソウル=牧野愛博)

◎韓国「ろうそくデモ」に5万人、左派系野党や宗教団体も(2008年7月5日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】米国産牛肉の輸入再開に反対する、ろうそくデモは5日もソウル中心街などで行われた。
 左派系野党や宗教団体も加わり、反政府運動の色彩を強めている。
 ろうそくデモは、デモ隊による警察官襲撃などで批判を受け、この日は「非暴力」を掲げた。警察当局の推計では、ソウルでは約5万人が参加した。
 ソウル市役所近くの広場では、ろうそくデモに反対する集会も開かれ、市民ら約400人が参加。ろうそくデモが長期化すると、韓国経済に悪影響を与えるなどと主張した。

◎韓国:李政権退陣求め、集会とデモに最多の5万人参加(2008年7月5日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】米国産牛肉の輸入再開に踏み切った韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権の退陣を求める「ろうそく集会」とデモ行進が5日もソウル中心部で実施され、6月10日以来最多の5万人以上(警察推定)が集まった。
 抗議集会は輸入再開が官報に告示された6月26日前後、デモ隊の一部が暴徒化したが、その後はカトリック、プロテスタント、仏教など宗教団体が中心となって平和的に実施。5日は統合民主党など左派系の野党や労働組合が再び合流し、一般市民も多数参加した。

◎韓国ウォン下落加速、2年8カ月ぶり安値(2008年7月5日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】韓国の通貨ウォンの下落が加速している。4日のソウル外為市場でウォン相場は1ドル=1050ウォン台を割り込み、2年8カ月ぶりのウォン安・ドル高水準をつけた。原油など原材料価格の高騰による景気後退の懸念が深まり、主に海外勢のウォン売りが強まった。
 ウォン相場の4日終値は1ドル=1050.40ウォンで、ほぼ2カ月で5%下げた。急速なウォン安を受けて株式への売り圧力も強まり、4日の韓国総合株価指数(KOSPI)終値は前日比1.8%安い1577.94。ほぼ4カ月ぶりに1600の大台を割り込んだ。
 ウォン安の進行は原油や穀物など輸入品の物価上昇に一段と拍車をかける。韓国政府は2日、物価高による内需不振で2008年の経済成長率見通しを6%から4.7%に下方修正したばかり。ウォン安の加速は成長率をさらに低下させ、100億ドル(約1兆600億円)と見込む経常赤字を拡大させる可能性もある。

◎麻薬原料を違法輸出の疑い、アフガニスタン人ら逮捕、韓国(2008年7月5日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】麻薬の原料となる無水酢酸をアフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンに供給するために韓国から違法に輸出しようとしたとして、韓国警察庁は4日、麻薬類管理法違反の疑いで密輸グループを摘発し、アフガニスタン人の男(47)ら2人を逮捕した。
 調べによると、2人は7月2日、無水酢酸12トンをエンジンオイルと偽り、イラン経由でアフガニスタンに輸出しようとした疑い。密輸グループは2007年4月~08年3月に無水酢酸50トンを違法に輸出した疑いも、もたれている。
 男はタリバンの海外連絡責任者とみられ、偽造旅券で韓国に入国していたという。韓国警察庁は、タリバンが輸出規制の緩い韓国から原料を密輸して麻薬を密造し、資金源にしようとしていたとみている。

◎韓国、今年の成長率見通し下方修正、6%→4%台後半に(2008年7月2日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】韓国政府は2日、今年の経済成長率見通しを、李明博(イミョンバク)大統領の就任直後に示した「6%」から「4%台後半」に下方修正した。原油・食糧価格の高騰など世界経済の環境悪化を理由にしており、昨年実績(5%)を下回る。
 経済成長重視の路線を打ち出してきたが、当面はまず物価と国民生活の安定を最優先する方針も示した。原油高などの影響で韓国の6月の消費者物価上昇率は前年同月比5.5%。10年ぶりの高水準で、特に食料品や燃料など生活必需品の値上がりが目立ち、国民の不満が高まっている。

◎韓国政府、ろうそくデモ徹底取り締まりへ、過激化に対処(2008年6月30日、読売新聞)
 【ソウル=浅野好春】韓国政府は29日、米国産牛肉輸入再開に反対してソウル中心街などで続く、ろうそくデモに対し、「暴力デモを扇動した者や過激な暴力行為に及んだ者は徹底的に追跡、検挙し、厳格に刑事処分していく」と、取り締まり強化を宣言する国民向け談話を発表した。
 政府談話は「これまで忍耐心をもって公権力の行使を最大限自制してきた」としながら、「ろうそく集会は少数主導の過激・暴力デモに変化した」と指摘。一般市民の安全確保のため、今後は徹底的に取り締まる方針を示した。
 これは、学生、労働組合メンバーなど過激化したデモ隊が28日夜から29日未明にかけて、鉄パイプや金づちを手に警官隊や警察車両に襲いかかり、警官約100人を含む200人以上が重軽傷を負うなど、デモ開始以来最悪の事態に至ったことへの措置だ。
 5月2日始まったデモはすでに2か月近く続いているが、当初目立った中高生や親子連れなどは最近、激減し、その代わり、より戦闘的な学生や労組活動家が加わった。
 過激行動に走るのは国家保安法撤廃、在韓米軍撤退など北朝鮮当局と同じ主張を掲げる親北団体のメンバーらとみられる。

◎牛肉抗議、各地で大規模集会、韓国(2008年6月11日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】米国産牛肉の輸入問題を機に国民の政府批判が強まっている韓国で10日夜、最大規模の抗議集会がソウルなど全国各地で開かれた。市民団体や労組など主催者側は、参加者はソウルだけで約80万人(警察当局の推計では約8万人)、全国80カ所で計約100万人に達したとしている。
 6月10日は、大統領直接選挙実施などの「民主化宣言」を引き出す契機となった87年の国民集会の記念日。夕暮れ後のデモ行進が恒例化しつつあるソウル中心部の大通り周辺は、「李明博(イ・ミョンバク)アウト」と書かれたカードとろうそくを手にした参加者で、これまで以上に埋め尽くされた。

◎韓国の全閣僚16人が辞任の意向、李大統領に伝える(2008年6月10日、読売新聞)
 【ソウル=竹腰雅彦】韓国の韓昇洙(ハンスンス)首相は10日午前、李明博(イミョンバク)大統領に対し、米国産牛肉の輸入再開決定をめぐる国政混乱の責任を取るとして、自身を含む全閣僚計16人の辞任の意向を伝えた。
 これまでに柳佑益(リュウイク)大統領室長や青瓦台(大統領府)首席秘書官全員もこの問題で辞意を表明しており、李大統領は近く、青瓦台と内閣の大幅な人事刷新に着手、事態収拾を図るとみられる。ただ、野党や市民団体など反対派は牛肉問題での対米再交渉をあくまで要求、10日も大規模デモを計画しており、沈静化へ向かうかどうかは不明だ。
 韓国政府筋によると、韓首相は同日午前、青瓦台で李大統領と会談、自身と全閣僚の辞意を伝えた。聯合ニュースなどによると、内閣改造では、李大統領は米国との牛肉交渉にかかわった鄭雲天(チョンウンチョン)農林水産食品相ら4~5人の辞表を受理するとみられている。首席秘書官ら青瓦台高官も半数を交代させる方向で検討している。
 米国産牛肉問題をめぐっては、輸入再開に反発する市民デモが1か月以上にわたり継続し、李大統領の支持率は20%以下に急落。野党の反発で、6月初めに予定された国会が開会できない異例の事態に陥っている。

◎韓国:米牛肉輸入反対集会続く 「強制鎮圧」にも抗議(2008年6月2日、毎日新聞)
 【ソウル堀山明子】韓国政府が米国産牛肉の輸入再開に向けた告示手続きに踏み切ったことを受け、5月31日夜にソウル市中心部で行われた4万人規模(警察当局推計)の輸入反対集会は、6月1日朝まで徹夜で続いた。李明博(イ・ミョンバク)政権は警察官1万人以上を投入して強制的に解散させ、市民100人以上、警察官40人以上が負傷した。
 事態の悪化を受け、与党ハンナラ党からも農林水産食品相の更迭など人事刷新を求める声が上がり、早ければ李政権発足100日目となる3日にも内閣改造で事態収拾を図る可能性が出てきた。
 ソウル市庁前広場には1日夜も約1万人の市民が集まり、米国産牛肉反対に加え、前日の李政権の「強制鎮圧」に抗議した。
 31日夜には、集会後に市内を練り歩いた市民約2万人が青瓦台(大統領官邸)正門まで徒歩10分に迫る交差点に集まった。これを解散させようと警察当局は1日午前0時すぎ、放水車での放水と検挙を開始。午前6時すぎにはテロ対策の特殊部隊数十人も投入し、計228人を検挙した。
 最近、集会のシュプレヒコールが「李明博退陣」「独裁者は出て行け」と、反政府色が濃くなった。青瓦台秘書官はここ数日、集会に私服で参加し、情報収集に乗り出している。ただ、反政府団体が主導する集会と違い、インターネットの掲示板を通じて参加を呼びかけるため、対策を打てないのが実情だ。
 インターネットでは31日夜、警察官が女性デモ隊を足でける場面など、力ずくで検挙する現場が生中継された。このまま状況が悪化すれば、4月末に30%を割った李政権の支持率がさらに下落する可能性が高い。
 ハンナラ党の姜在渉(カン・ジェソプ)代表は2日午前、李大統領と会談し、事態収拾案を話し合う。同党内には「もはや牛肉対策よりも、『民心の分からない金持ち内閣』への国民不信を払しょくするのが急務だ」(党重鎮議員)と、危機感が強まっている。

◎市民ら百人以上を逮捕 韓国、米牛肉抗議で(2008年5月28日、産経新聞)
 韓国警察当局は28日未明、牛海綿状脳症(BSE)を理由にした米国産牛肉輸入制限の解除決定に反対し、ソウル中心部の車道を不法占拠するなどしたとして、抗議集会に参加するなどした市民ら計103人を逮捕、10人の身柄を拘束した。聯合ニュースが伝えた。
 ソウルでは24日以降、集会参加者の一部が無許可のデモ行進などを強行、警官隊と衝突を繰り返しているが、一度に100人以上が逮捕されたのは初めて。
 決定に反対する抗議集会に参加している市民や労組関係者らのうち、一部の行動が激しくなっていることを受け、検察、警察当局が27日に、不法行為について厳重対処する方針を決めたことを受けた措置。制限解除に反対する野党などがさらに反発姿勢を強めそうだ。

◎牛肉デモが一転、反政府集会の様相、韓国・李政権に試練(2008年5月27日、朝日新聞)
 【ソウル=箱田哲也】韓国で続く米国産牛肉の輸入反対の動きが、反政府集会の色合いを帯びてきた。参加者らは大統領府に向かって無許可のデモ行進を始め、26日までの2日間で68人が警察に身柄を拘束された。事態が沈静化する兆しは見えず、発足3カ月を迎えた李明博(イ・ミョンバク)政権は厳しい国政運営を続けている。
 「庶民を抹殺する李明博を弾劾せよ」。大勢の機動隊員らが待機する中、26日もソウル中心部の清渓川広場では、牛海綿状脳症(BSE)問題で導入した米国産牛肉の輸入制限措置の撤廃に反対する集会が開かれた。清渓川は、ほかならぬ李大統領がソウル市長時代に復活させた市民の憩いの場だ。
 集会参加者らの中には、牛肉問題にとどまらず、朝鮮半島を縦断する大運河構想など李政権の他の政策を糾弾する声が目立ってきた。野党関係者も運動に加わっていると指摘される。
 警察当局は違法行為に対して厳格な態度で臨むと繰り返し警告している。だが、集会で大半を占める若者たちは反発。政府は当初、26日にも米国産牛肉の輸入を告示するとみられていたが、28日以降に延期した。
 李大統領は22日、国民への談話として事実上の謝罪会見をした。それでも反対運動が収まらないのは、食の安全に直結する問題であることに加え、政府の拙速ぶりが見透かされているためだ。
 昨年末の大統領選で圧勝したものの、国会でハンナラ党は少数与党。4月9日の総選挙では与党の過半数奪取が最大目標だったため、米牛肉問題が争点化するのを避けた。
 一方で李大統領の初外遊である訪米の日程は4月15日からで固まっており、19日の米韓首脳会談前に「土産」として輸入制限撤廃を決定する必要があった。韓国政府は首脳会談直前の18日に撤廃を発表したが、これがまた「政治的成果を急ぐあまりに食の安全を脅かした」と反発を受けている。

◎性犯罪累犯者に“見えない鎖”韓国で(2008年5月23日、スポーツニッポン)
 韓国国会は22日、性犯罪を繰り返す人間について、仮釈放後や出所後の居場所を電波で把握できるようにする「電子足輪」を最大10年間装着させることを盛り込んだ関連法の改正案を可決、同案は成立した。9月から施行される。衛星利用測位システム(GPS)が利用されるとみられる。
 共同電によると、関連法は子供に対する性犯罪増加を受けて国会で昨年成立。年内施行予定だった。当初、最大5年とされていたが、女子小学生が性的暴行を受け惨殺される事件が起きるなどし、施行前に改正が行われることになった。

◎第2ロッテワールド建設、反対の空軍が方針転換(2008年5月19日、朝鮮日報)
 国防部と空軍が、これまで航空機の離着陸の安全性に問題が生じるとして強硬に反対してきた、ソウル・蚕室の第2ロッテワールドの建設を認める方向に転換したことが分かった。
 これを受け、空軍は京畿道城南市のソウル軍用空港に新しい滑走路を建設したり、偵察機など一部の航空機をほかの基地に移動させるといった案を検討している。
 高さ555メートル(112階建て)の第2ロッテワールドは、これまでソウル軍用空港における航空機の離着陸の安全性に問題が生じるとして、空軍が反対してきたため、建設計画が数回にわたって頓挫していた。ここへ来て空軍が方針を転換し、多角的な検討を行うことになったのは、李明博(イ・ミョンバク)大統領の意向が反映されたからではないかと言われている。
 政府の消息筋は18日、「最近、李大統領がソウル軍用空港の運用方法を改善し、第2ロッテワールドの建設を認める方向で検討するよう求める発言をし、これを受け多角的な検討を行っている。だが、城南のソウル軍用空港を移転することはできないというのが、空軍の一貫した立場だ」と語った。
 空軍が検討している案としては、航空機が第2ロッテワールドに衝突する恐れがない方向に向けた新たな滑走路を建設する案や、これまでの滑走路をそのまま供用しつつ、輸送機や偵察機などはほかの基地に移転させ、ソウル軍用空港はヘリコプター中心の空港にするといった案が含まれているという。
 消息筋によると、いかなる場合であれ数千億ウォン台の費用がかかるとされている中、空軍ではロッテ・グループ側が費用を全額負担することを望んでいるが、これに対しロッテ側は一部のみ負担するという姿勢を崩しておらず、費用の確保が問題だという。また、李大統領による企業寄りの政策のため、安全保障が二の次にされているという批判の声も少なくなく、論議を呼んでいる。

◎サムスン電子の08年設備投資、過去最大の1兆1500億円以上(2008年4月25日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国のサムスン電子は25日、2008年に連結ベースで11兆ウォン(約1兆1500億円)以上の設備投資を実施すると発表した。07年実績の10兆8000億ウォンを上回り、過去最大となる。半導体メモリーと液晶パネルに重点投資し、シェア奪取を目指している日本勢に対抗する。
 設備投資の内訳は、半導体メモリーが7兆ウォン、液晶パネルが3兆7000億ウォン。半導体メモリーは米テキサス州にあるオースティン工場でのNAND型フラッシュメモリーの増産や、韓国内の工場の設備更新などに充てる。液晶パネルはソニーとの合弁会社S-LCD(韓国忠清南道牙山市)の「第八世代」ラインの増設などが盛り込まれる。

◎牛カルビ・参鶏湯より、いま豚肉、韓国(2008年5月15日、朝日新聞)
 【ソウル=箱田哲也、稲田清英】韓国で豚肉人気が上昇している。米国産牛肉の輸入制限撤廃決定で国民に牛海綿状脳症(BSE)への不安が広がる一方、鳥インフルエンザが拡大しているためだ。牛カルビや参鶏湯で有名な韓国だが、豚のサムギョプサル(三枚肉)の注文が相次ぎ、豚肉は値上がりしている。
 韓国銀行がまとめた4月の生産者物価動向によると、前月に比べて牛肉が3.6%、鶏肉が5.6%下がったのに対し、豚肉価格は28%上がった。有力紙、朝鮮日報は、大型スーパーでの豚肉販売量が約40%増えて牛肉を上回ったとし、「5月に豚肉の販売量が牛肉を上回るのは異例」とする専門家の声を紹介した。
 一方、韓国政府は14日、米国産牛肉の輸入制限撤廃に対する反発を受け、15日に予定していた制限撤廃の告示を1週間~10日程度延期する方針を明らかにした。野党は米国との再交渉を求めているが、政府は、制限を撤廃する基本方針は変えていない。

◎韓国の1千万人情報流出で中国当局がハッカー拘束(2008年5月8日、産経新聞)
 韓国の大手競売サイト「オークション」がハッキング被害に遭い、会員1081万人分の個人情報が流出した事件を捜査中の韓国警察当局は7日、捜査協力をしている中国公安当局が、オークションのサーバーに侵入して情報を盗んだなどとして、韓国人1人と中国人1人を拘束していると明らかにした。韓国メディアが伝えた。
 中国公安当局は3月末に他の韓国人1人を含め計3人を拘束し、1人は釈放した。中韓両国の捜査当局は、他に共犯がいるとみているという。

◎韓国北東部でも鳥インフル(2008年5月8日、産経新聞)
 韓国北東部の江原道は8日、同道春川市の農家で死んだ家禽(かきん)から鳥インフルエンザウイルス(H5型)が検出されたと発表した。
 韓国では4月に今年初めて南西部の全羅北道で発生が確認されて以来、鳥インフルエンザの感染拡大が続いており、今月6日にはソウルでも確認。済州島を除く全土に広がっている。

◎韓国・李大統領、早くも支持急落、経済不振・不祥事(2008年5月7日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】「CEO(最高経営責任者)大統領」として経済再生の期待を背に登場した韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が、早くも低支持率に苦しんでいる。売り物の経済政策でつまずき、側近の辞任や米国産牛肉の輸入を巡っても批判が拡大。対北朝鮮政策も空振り気味だ。頼りの与党内にも内紛の火種を抱え、浮揚のきっかけは見つからない。
 韓国の世論調査機関によれば、大統領の支持率は2月の発足当初の70%台から急落。4月末には初めて40%を割り込んだ。原因について韓国政府や与党側は「経済政策で有効な手を打てないのが痛い」と口をそろえる。
 李氏の経済政策の核は「747政策」。07年に4.9%だった経済成長率を年7%、国民所得4万ドル、世界11位の経済規模を7位まで引き上げるとする大胆な内容だ。
 だが、韓国も世界的な景気停滞の波に襲われている。李氏は既に今年の経済成長率を6%台に、任期中の国民所得目標を3万ドルにそれぞれ下方修正。政府内からは「元々、夢のような政策だった」(関係者)と反省の声も出た。
 こうした中、閣僚級の朴美碩・大統領府社会政策首席秘書官(49)が不動産投機疑惑を受けて1日に辞任。与野党から「大統領の人選ミス」を責める声が相次いだ。
 一方、10年続いた太陽政策の修正を掲げた対北朝鮮政策も行き詰まりを見せている。李氏は先月の訪米中、南北連絡事務所の平壌とソウルへの設置を提唱したが、北朝鮮には10日足らずで一蹴(いっしゅう)された。
 韓国政府当局者は2日、提案について「北韓(北朝鮮)が望めばいつでも説明する」と述べたが、統一相経験者の1人は「過去、北に何度も拒否された提案。大統領府の準備不足だ」と批判した。
 李氏も手をこまぬいているわけではない。4月の訪米、訪日を無難にこなし、1日には年内に地方公務員1万人以上を削減する行革案を発表するなど、公約である「小さな政府」の実現に意欲を示す。だが、こうした動きも評価には直結していない。
 一方、与党ハンナラ党も、朴槿恵(パク・クネ)元代表系の国会議員当選者の復党を認めるかどうかで揺れている。元々、同党は4月9日の総選挙の際、朴氏系の議員を次々排除。李大統領に近い人物を大量に公認して政権基盤固めを狙った。
 ところが、公認漏れして離党した朴氏系の候補が次々当選。結局、党内外を合わせ、自派系が総勢69人に膨れあがった朴氏は、7月の党代表選に自らが立候補しないことを条件に、側近らの早期一括復党を迫り続けている。
 党内では李氏側近に「復党は認められない」との声が強い一方「朴氏系議員が造反すれば、過半数を割ってしまう」(党関係者)心配もある。結局、先月30日に開いた最高委員会議も結論を先送りした。煮え切らない状態が続く中、大統領選前から5割前後を維持してきた党支持率も下がり始めている。

◎韓国:鳥インフルエンザで虚偽発表、KBSテレビ(2008年5月3日、毎日新聞)
 韓国KBSテレビは2日、慶尚北道(同国南東部)の鳥インフルエンザ(H5N1型)について、先月末に養鶏場の鶏から「陽性」の結果が出たにもかかわらず、道当局が「陰性」と虚偽の発表を行い、被害を拡大させたと報じた。道関係者はKBSの取材に「混乱が起きるから公務員は神経を使う」などと述べ、隠ぺいの事実を認めた。

◎韓国:慶尚北道が鳥インフル感染を隠ぺい(2008年5月3日、毎日新聞)
 韓国KBSテレビは2日、同国南東部の慶尚北道が先月、大量死した鶏から鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)を検出しながら「陰性」との結果が出たと発表し、感染事実を隠ぺい、その間に被害が拡大したと報じた。
 同道の関係者はKBSの取材に「混乱が起きるから」と理由を話した。
 KBSによると、慶尚北道は4月28日に永川市で鶏の大量死が起きたとの連絡を受け検査したが、結果を偽って発表。今月1日に国立機関の検査で感染力の強いH5N1型ウイルスが検出されたと伝えられた。同日、蔚山市や大邱市でも感染が確認され、2日には釜山でも感染が判明した。

◎鳥インフル:韓国で被害が急拡大、処分も636万羽(2008年5月2日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】韓国南西部で4月初めに確認された強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1型)による被害が1カ月で全国各地に広がった。KBS放送は2日、過去2回あった流行より拡散がはるかに速く、処分された鶏やアヒルも過去最大の635万9000羽に達したと報じた。
 鶏などの大量死は4月2日、南西部の全羅北道金堤市で初めて表面化し、強毒性のウイルスを検出。同道と全羅南道の養鶏場などで次々に感染が確認された後、はるか北方にあたる京畿道平沢市、中部の忠清南道、東部の蔚山市・慶尚北道にまで同ウイルス確認例が広がった。釜山や大邱でも疑わしい例が報告され、検査を急いでいる。
 KBSによると5月1日までの被害確認件数は22件。韓国では03~04年と06~07年のいずれも秋から冬にかけて同種の被害が起きたが、件数はそれぞれ19件(処分530万羽)と7件(同280万羽)だった。今回は春になってから発生し、わずか1カ月で急拡大した点に特徴がある。

◎サムスン電子の08年設備投資、過去最大の1兆1500億円以上(2008年4月26日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国のサムスン電子は25日、2008年に連結ベースで11兆ウォン(約1兆1500億円)以上の設備投資を実施すると発表した。07年実績の10兆8000億ウォンを上回り、過去最大となる。半導体メモリーと液晶パネルに重点投資し、シェア奪取を目指している日本勢に対抗する。
 設備投資の内訳は、半導体メモリーが7兆ウォン、液晶パネルが3兆7000億ウォン。半導体メモリーは米テキサス州にあるオースティン工場でのNAND型フラッシュメモリーの増産や、韓国内の工場の設備更新などに充てる。液晶パネルはソニーとの合弁会社S-LCD(韓国忠清南道牙山市)の「第八世代」ラインの増設などが盛り込まれる。

◎サムスン電子82%増益・1~3月営業、液晶パネルと携帯好調(2008年4月25日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国のサムスン電子が25日発表した1~3月期決算は、営業利益が前年同期比82%増の2兆1500億ウォン(約2260億円)となり、2・四半期ぶりに増益に転じた。主力の半導体メモリーは市況悪化で低迷したが、液晶パネルと携帯電話が好調を持続。ウォン安も収益を押し上げた。
 同社は不正疑惑でトップが在宅起訴され辞任した。ただ足元の業績への影響は軽微で、営業利益はアナリストの事前予想平均を大幅に上回った。売上高は同19%増の17兆1100億ウォン、純利益は同37%増の2兆1900億ウォンだった。
 部門別にみると、最も稼いだのが液晶パネル。営業利益は同1278%増の1兆100億ウォンと過去最高となった。薄型テレビ向けパネルの需要が拡大し、価格下落も小幅にとどまったことが寄与した。通信部門も同53%増の9200億ウォンと好調が続いた。

◎サムスン会長が退陣、秘密資金事件の責任(2008年4月22日、産経新聞)
 韓国の最大財閥サムスン(三星)の李健煕(イ・ゴンヒ)会長(66)は22日、先に特別検察捜査で在宅起訴された巨額の秘密資金疑惑などの責任を取り、会長を辞任し経営の一線から退陣することやグループ首脳陣の全面的交代を発表した。
 李氏は創業者・李秉●(=吉を2つヨコに並べる)(イ・ビョンチョル)氏の息子で1987年以来、2代目会長としてサムスンを半導体や電子などで世界的企業に育てた。グループはその総輸出額や株式時価総額が韓国全体の20%を占めるまでに巨大化したが、一方で世襲後継者として経営の家族支配が目立ち資産譲渡や資金管理などで不透明性が指摘されていた。
 退陣のきっかけとなった資金疑惑事件は顧問弁護士の“内部告発”によるもので、国会任命の特別検察捜査で4兆5000億ウォン(約4500億円)もの秘密口座が摘発され、李会長は背任や脱税、証券取引法違反容疑で起訴された。

◎サムスン会長辞任、不正資金疑惑・背任など起訴で引責(2008年4月22日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】韓国最大財閥のサムスンは22日午前、李健熙(イ・ゴンヒ)会長(66)が辞任すると発表した。長男への経営権世襲に絡む不正疑惑などを巡り、背任や脱税などの罪で自身を含む経営幹部10人が在宅起訴された問題の責任をとる。韓国を代表する企業を舞台とした疑惑は経営トップ退陣にまで発展する事態となった。
 同日午前、ソウル市内で記者会見した李健熙会長は「きょう会長職を退くことにした」と表明。「国民に心配を与えたことを謝罪する。法的、道義的な責任を尽くす」と辞任理由を説明した。
 李健熙会長は中核企業であるサムスン電子の会長ポストを含め、グループのすべての役職を退く。今後グループを対外的に代表する立場は、サムスン生命保険の李洙彬(イ・スビン)会長(69)が担う。

◎サムスングループ会長が辞任表明、脱税などで在宅起訴受け(2008年4月22日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】韓国最大財閥サムスングループの李健煕(イゴンヒ)会長(66)は22日、ソウルで記者会見し、辞任すると発表した。
 民間出身の特別検察官による捜査で、李会長と役員ら9人の計10人が脱税や背任などの罪で在宅起訴されたことを受けたもので、李会長は「法的、道義的責任を取る」と述べた。
 同グループは会長辞任に合わせて、大幅な組織刷新計画を発表した。計画によると、李会長は系列企業のサムスン電子の会長職なども辞任する。一連の犯罪に組織的に関与したと断定されたグループの戦略企画室も解体する。
 李会長は創業者の三男で1987年、グループ会長に就任。サムスン電子を世界的な企業に成長させるなど、カリスマ的存在だった。

◎殺処分作業の兵士感染か、韓国の鳥インフルエンザ(2008年4月21日、産経新聞)
 韓国紙、ソウル新聞は22日付早版で、韓国南西部全羅北道の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の感染確認現場で、家禽(かきん)の殺処分に従事した韓国軍兵士(22)が高熱を出し、ウイルスの感染が疑われていると報じた。
 同紙が入手した防疫当局が作成したとみられる文書によると、兵士は18、19両日に作業に投入され、部隊復帰後の20日から39.8度の熱を出し、ソウル市内の軍病院に収容された。同紙は兵士が所属する部隊の軍医官が、電話取材に対しウイルス感染の疑いがあると認めたと報じた。
 韓国では2003年冬から翌04年春に鳥インフルエンザが家禽類の間で流行した際、家禽を処分した複数の作業員がH5N1型ウイルスに感染したが発病はせず、06年になって感染が確認されたことがある。(共同)

◎鳥インフル、人に感染か・韓国紙報道(2008年4月21日、日本経済新聞)
 【ソウル=島谷英明】韓国紙のソウル新聞は22日付早版で、病原性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)に人間が感染した疑いがあると報じた。感染地域の全羅北道(韓国南西部)で鶏などの処分作業に投入された韓国軍兵士(22)で、作業後から高熱を出して病院で治療を受けているという。韓国では今月3日に鳥インフルエンザの発生が判明。感染地域は首都圏にまで広がっているが、これまで人間の感染は確認されていない。

◎旭硝子、韓国に液晶用ガラス新工場・来春メド、150億円投資(2008年4月19日、日本経済新聞)
 旭硝子は150億円を投じ、2009年春にも韓国に液晶パネル用ガラス基板の第3工場を建設する。近く稼働する第2工場とあわせた現地での生産能力は年間約1500万平方メートルと、現時点の3倍になる。韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領の訪日に合わせて日本企業による投資誘致を進める韓国側と、成長分野である液晶用ガラスで事業拡大を狙う旭硝子の思惑が一致した。
 韓国・亀尾市にある既存工場の隣接地に年産500万平方メートルの生産拠点を新設する。主に「第6世代」(1.5メートル×1.8メートル)以上のガラスを生産して韓国や日本、台湾に出荷する。韓国政府が21日に発表する日本企業による対韓投資案件に盛り込まれる予定だ。

◎サムスン会長を在宅起訴、116億円の脱税、背任も(2008年4月17日、産経新聞)
 韓国最大財閥サムスン・グループの不正資金疑惑を捜査した趙俊雄特別検察官は17日、李健煕会長(66)が約1128億ウォン(約116億円)を脱税したなどとして、同会長と共犯のグループ幹部9人を在宅起訴した。
 趙氏は会見し、巨額脱税でも逮捕しなかったことについて「国家ブランドを高めたサムスン経営陣の拘束は経営の空白を生み国家経済への悪影響も大きい」と釈明した。
 特別検察官は、経営権の継承を目的にグループ持ち株会社の転換社債が李会長の長男、李在鎔サムスン電子専務(39)に不当な安価で譲渡され、既に幹部2人が有罪判決を受けた事件に、李会長も関与したと判断。会長は背任罪でも起訴された。李在鎔氏は起訴されなかった。(共同)

◎韓国:サムスン・グループ会長ら10人を起訴、特別検察官(2008年4月17日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】韓国最大の財閥サムスン・グループの各種疑惑を捜査してきた特別検察官は17日、同グループの李健煕(イゴンヒ)会長ら幹部10人を背任、脱税などの罪で起訴した。巨額の秘密資金を使って政官界にロビー活動したとの疑惑は立証されず、捜査は終結した。
 李会長の起訴事実は(1)グループの経営権を長男に譲る際、転換社債(CB)の低額発行でグループ企業などに少なくとも969億ウォン(約100億円)以上の損害を与えた▽4兆5000億ウォン(約4600億円)の秘密資金を管理し、株式売買の差益にかかる所得税1128億ウォン(約115億円)を納めなかった--など。いずれも副会長以下の幹部らの実行行為を指示または承認したという。
 同グループを巡る疑惑は、検察幹部や国税当局者、政治家らに幅広く秘密資金を提供してきたとされる点が核心だったが、名指しされた当事者やサムスン側は全面否認し、物証も得られなかったという。

◎韓国で鳥インフルエンザ拡大・20カ所で確認(2008年4月16日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国で病原性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)の被害が広がっている。15日までに全羅道(韓国南西部)4市・郡の20カ所で発生、首都圏の京畿道でも発生が疑われている。韓国政府は感染地域で鶏の処分や施設の消毒などの措置を講じる一方、流通している鶏肉や卵の安全性のアピールに必死だ。
 鳥インフルエンザは3日に全羅北道金堤市で発生、12日は隣接する全羅南道霊岩郡でも確認された。14日までに感染地域の鶏やカモなど191万6000羽が処分された。首都圏の京畿道平沢でも14日に感染の疑いのあるウイルスが検出されており、政府は確認を急いでいる。

◎韓国経済、成長鈍化、物価上昇に政権公約早くも赤信号(2008年4月15日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】韓国経済の先行きに不安が高まっている。穀物や原油の価格高騰とウォン安の影響で物価が上昇する一方、世界的な景気不安で李明博(イ・ミョンバク)大統領の公約した成長率の達成は危ぶまれている。経済界での実績をひっさげて当選した大統領は、就任約1カ月半ではや正念場を迎えた。
 「世界経済が厳しいのは事実だが、厳しい、厳しいと一層内需を萎縮(いしゅく)させては問題だ。さらに悪くなる前に対策が必要だ」。李大統領は15日からの米日歴訪を控えた13日の記者会見で、韓国経済の現状に危機感を示した。
 昨年の大統領選では年7%成長を公約にした。下方修正したが、それでも今年、昨年の5%を上回る6%成長を目標に掲げた。規制緩和や減税を通じて企業の投資を引き出し、雇用創出にもつなげるとしてきた。景気減速で、そのシナリオが早くも狂いかねない状況になってきた。
 韓国銀行(中央銀行)の李成太総裁も10日の会見で「国外環境が悪化しており、原油高や原材料高は消費に悪影響を与える。今年の経済成長は相当な鈍化が予想される」と述べた。韓銀は昨年末、今年の成長率を4.7%と予想したが、それも下回る可能性が高まっている。
 国民生活へのもう一つの懸念材料は、物価上昇だ。3月の消費者物価は前年同月比3.9%上昇。昨年12月以降、毎月3.6~3.9%上昇し、韓銀の目標値(上限3.5%)を上回る水準で推移している。3月は小麦粉や白菜が6割、ラーメンが2割、ガソリンや軽油類は1~2割程度、1年前より上がった。
 ソウル市南部のスーパーの食品売り場で品定めしていた女性(50)は「小麦粉や野菜が特に高い。正社員じゃないから給料は上がらず大変。物価や非正規職の問題に力を入れて、まず庶民が暮らしやすい国にしてくれないと」と嘆いた。
 政府は物価抑制のため、小麦粉やガソリンなど52品目を対象に、関税引き下げや公共料金の据え置き、流通経路を見直し競争を促すことなどを打ち出している。だが、資源や食糧の多くを輸入に頼る韓国で、政府が「統制」を強化しても、効果には疑問が残る。また、内需拡大のため、無理に政府支出を追加すると財政悪化につながる。
 韓国では非正規職が賃金労働者の4割に迫り、待遇改善が国民の関心事になっているのに、この問題への具体策は打ち出せないままだ。ソウル市在住の30代女性は「政権が交代しても、いつも何も変わらない。今回も正直期待していない」と語る。
 韓国経済に詳しい深川由起子・早大教授は「公約した成長はすぐには無理。旗は掲げつつも、医療保険の充実など生活安定につながる施策も進める必要がある。大統領当選の原動力の一つは盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権に失望した低所得層の期待。失望させてしまえば、民心が離れるのも早いだろう」と指摘している。

◎鳥インフル感染地域の家禽、外部に不法流通、韓国(2008年4月15日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】今月に入って高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が確認された韓国南西部・全羅北道の金堤市で、搬出禁止措置がとられている防疫区域内にある農場から感染したカモなどが小売業者によって不法に持ち出され、市内や周辺の飲食店などに販売されていたことが14日、分かった。聯合ニュースが伝えた。
 市内の飲食店を対象にカモの簡易検査をした結果、ウイルスの陽性反応を確認。警察などが流通経路を調べたところ、この農場から持ち出されたことが分かった。
 調べによると、業者は同市内で鳥インフルエンザ発生が確認された後の4~6日に農場で600羽を買い取り、飲食店や別の業者に売ったり、自身の養鶏農場の近くで販売したりした、という。
 また全羅南道でも全羅北道内で感染した疑いがある鶏630羽が流通していた可能性があることがわかり、波紋が広がっている。

◎韓国総選挙:保守の中に対抗勢力、与党独走許さぬバランス(2008年4月11日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】与党ハンナラ党が国会過半数をわずかに上回る153議席を得た総選挙結果について、韓国主要メディアは10日、「絶妙の票心」などと評価した。李明博(イミョンバク)大統領に国政推進力を与える一方、「強引な独走は許さない」という警告もした、という意味だ。新たな勢力図は、対北朝鮮政策や「大運河」構想について李政権が難関に直面する事態を予想させる。
 保革の勢力比は、一方的な保守優勢となった。保守3党と保守系無所属の当選者は定数299の3分の2を超えた。団結すれば何でもできる数字だ。
 しかし実際にはハンナラ党さえ一枚岩ではない。10日付文化日報によると李大統領派当選者は109人。同党内外に約60人が分散している朴槿恵(パククンヘ)前党代表派の協力が必須だ。
 李大統領派だけで過半数を確保すれば朴氏派を党から締め出すといった観測も流れていたが、大統領の側近議員が次々落選し、波乱含みの共存が不可避となった。
 また18人が当選した自由先進党の李会昌(イフェチャン)総裁は「実利」重視の李大統領とは次元の異なる原則論者であり、対北朝鮮強硬派だ。李政権にとっては朴氏派も先進党も、最大野党・統合民主党(81人当選)など革新系の90人前後と同様の「けん制勢力」になりうる。こうした構図の中で、あいまいな側面がある李政権の対北朝鮮政策は統合民主党と自由先進党の硬軟両側から攻撃を受ける可能性が高い。

◎韓国・与党ハンナラ党、単独過半数の153議席を獲得(2008年4月10日、読売新聞)
 【ソウル=竹腰雅彦】9日投票の韓国総選挙(定数299)は、10日朝までに開票作業をほぼ終え、保守系与党ハンナラ党が単独過半数の153議席を獲得し、勝利した。
 一方、盧武鉉(ノムヒョン)前政権与党の流れをくむ最大野党・統合民主党は、改選前に比べ55議席減の81議席に大きく後退した。
 李明博(イミョンバク)大統領は10日、「経済再生を支持する世論が、(与党の)過半数をもたらした」と選挙結果を評価した。ただ、当初の圧勝ムードから、過半数をわずかに超える選挙結果に、党内には不満もくすぶっている。一方、統合民主党の孫鶴圭(ソンハクキュ)代表は、「与党の独走阻止に全力を挙げる」と強調した。

◎鳥インフルの感染拡大懸念、韓国南西部(2008年4月9日、産経新聞)
 韓国南西部の全羅道地域で今月、鶏やアヒルの高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の感染が確認され、付近で感染が疑われる事例も相次ぎ、拡大が懸念されている。
 李明博大統領は8日に現地を訪れ、拡大阻止に全力を尽くすよう指示した。
 3日に全羅北道金堤市の養鶏場で、5日には約30キロ離れた同道井邑市のアヒル飼育場で、それぞれ感染が確認された。その後も地域の2カ所で家禽(かきん)の大量死が起きた。
 井邑市の飼育場を出入りしたトラックは全羅南道も含む別の飼育場12カ所を往来。当局は感染発生場所付近とこの12カ所で飼育されたアヒル計約54万羽を処分、全羅北道全域で消毒作業を展開した(共同)

◎韓国南西部で鳥インフルエンザ、1年1カ月ぶり(2008年4月7日、朝日新聞)
 韓国南西部の全羅北道で高病原性鳥インフルエンザが1年1カ月ぶりに発生し、韓国政府などは6日、本格的な拡散防止対策を始めた。これまで韓国では冬季に渡り鳥が原因とみられる事例の発生が確認されていたが、4月に入ってから見つかるのは初めて。
 鳥インフルエンザが見つかったのは全羅北道の金堤市の養鶏場で、3日に高病原性と確認された。また、近くの井邑市のカモ飼育場でも5日、鳥インフルエンザの発生がわかった。検疫当局は、変異ウイルスが人を介して感染した可能性も排除できないとして調べている。(ソウル)

◎済州島虐殺60年で式典(2008年4月3日、産経新聞)
 韓国の済州島で1948年4月3日に起きた武装蜂起を契機に島民数万人が軍や武装勢力に虐殺された「4・3事件」の発生から60年を迎えた3日、同島で遺族ら約1万人が参列し慰霊祭が開かれた。
 日本からも、当時大阪などに逃げた経験を持つ済州島出身の人を含む約140人が慰霊のため島を訪れた。
 12歳の時に事件が起きた東京都大田区の高良順さん(72)は、乳児を背負ったままの女性も含む多数の遺体が通学路脇などに横たわっていた惨状を振り返り「島では長い間『死者は暴動を起こしたアカ』と言われてきたが、罪のない人が犠牲になった虐殺だと後世に伝えられる時代になったと実感している」と話した。母親の親戚(しんせき)が一家皆殺しにされた大阪市生野区の金茂錫さん(79)も「殺されたこと自体を口にも出してもらえなかった気の毒な犠牲者のために祈ってあげたい」と述べた。(共同)

4・3事件
 韓国・済州島で1947年に警察がデモ隊に発砲したのを背景に、左派勢力が朝鮮半島の南北分断体制の固定などに反対し48年4月3日に武装蜂起した。軍などは54年までの鎮圧作戦で住民多数を左派の同調者と見なし虐殺、左派も非協力的な住民を処刑した。長年犠牲者は暴徒扱いされたが2000年に政府が調査を開始。盧武鉉前大統領は03年、事件が公権力の過ちで虐殺だったと認め謝罪、犠牲者の名誉回復を図った。死者は2万5千-3万人と推定される。(共同)

◎サムスン会長長男、不起訴処分に(2008年3月13日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国最大財閥サムスンの不正疑惑を捜査している特別検事チームは13日、李健熙(イ・ゴンヒ)会長の長男の李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子専務を不起訴処分にすると発表した。経営不振企業の保有株式を系列企業に引き取らせ損害を与えた疑いで調べていたが、嫌疑なしと判断した。

◎韓国で相次ぐPCバッテリー爆発とメーカー対応のまずさ(2008年3月11日、日本経済新聞)
 今度は本当にバッテリーが爆発した。しかも2カ月間、3件連続である。(IT先進国・韓国の素顔)
 今年1月、ソウル郊外で大規模な倉庫火災が発生し、負傷者が入院している病院で警察の捜査状況について記者会見が開かれた。その現場で新聞記者のかばんの中にスリープモードの状態で入っていたノートパソコンから突然煙が発生し、かばんが焦げ始めた。
 いつかばんが燃え出すか分からない一触即発の危機。消火器を持った記者らはノートパソコンを隔離するため屋上に持っていったが、非常階段のドアを開けた瞬間、物凄い爆音とともにノートパソコンのバッテリーが爆発した。
 幸いなことに、このノートパソコンを屋上まで持っていった記者は爆発する寸前に投げ出し怪我はなかった。燃えるパソコンに消火器を噴射していると2回目の爆発があり、この一部始終は記者らの携帯電話のカメラに動画で収められた。

・バッテリー爆発も「リコール計画なし」
 事故を起こした機種は2007年に出荷されたLG電子の「XノートZ1シリーズ」で、バッテリーはLG化学のものだった。LG電子サービスセンターの説明によると、ノートパソコンが過熱状態になると爆発を防止するため安全ピンが分離されバッテリーが溶けることがあるとのこと。LG側は「爆発したのは記者が落としたからでありバッテリーそのものが爆発することはない」と主張している。
 LG電子は「韓国電気研究院に調査を依頼した結果、(今回の爆発は)非正常な高熱による事故で製品に欠陥はないことを確認しており、リコール計画は一切ない」と発表した。LG電子は「記者のパソコンは電源を切らず、かばんの中に入れられたままだったので高温になった。危険を感知してバッテリーが本体から分離される音を聞いて爆発したと思い床に投げてしまったため本当に爆発したのだ」としている。
 バッテリーが高温になったときは衝撃を与えてはいけないという。しかしノートパソコンがかばんを焦がすほど過熱し火花が飛び散る状態でも、爆発音がしても、そのままそっとしておけというのだろうか。
 具体的にどういう状態を「非正常な高温」というのか、何が原因で非正常な高温になるのか、それを防止するにはどうしたらいいのかといった告知が全くなかったため、LG電子のノートパソコンユーザーの間では、自分のパソコンもいつ、何の弾みで爆発するかわからないと恐怖が広がっている。

・対応の悪さに批判相次ぐ
 LG電子は事故を起こした機種の販売を中止すると宣言したが、Z1シリーズは既に販売を終了した旧モデルのため、結局何の処置もとらないまま「使用者側の責任」とされ、うやむやになっている。普通なら数カ月はかかるであろう原因調査もたった1カ月で、使用者側の不注意であると結論を出している。
 しかも製品の欠陥ではないので、これ以上調査もしないという。インターネット新聞には事故があったバッテリーを製造したLG化学の役員が「何億分の一で起こりうる事故なのにネット上の動画のせいで話題になってしまった。国家競争力のためにもこれぐらいにしておこうじゃないか」と発言したことが書かれ、批判の火に油を注ぐ結果となった。
 LG電子とLG化学は自社のパソコンユーザーだけでなく全国民を敵に回すことになった。ちょうどそのころ、LG電子で社内いじめにあい濡れ衣を着せられ解雇された元社員が8年間の訴訟の末に勝訴したというニュースが報道され、LG電子は非倫理的な企業であると非難が殺到した。不思議なことにこの直後、LG化学の工場に火災が発生し、バッテリーの生産が中断された。

・メーカーのブランド低下へ
 そして2月、またしてもLG電子の事故機種と同じモデルのノートパソコンに、爆発音とともにバッテリーが焦げる事故が発生した。1月の爆発事故を使用者の不注意によるものと断定して間もないのに、また同じ機種で事故が発生するとはどういうことだと、メーカーの原因究明や対処のゆるさが問題になった。
 さらにその矢先、今度はサムスン電子の2002年製「SENSE P10」ノートパソコンのバッテリーが過熱して溶けてしまった。枕の上にノートパソコンを置いて3時間30分使ったところパソコンの下から煙が発生、あっという間にバッテリーが溶け出し、ベッドのマットレスと床マットまで焦げてしまったという。このパソコンはCPUの冷却ファンの通風口が横ではなく下に向いていたため、枕で通風口がふさがり過熱状態になったものと見られている。
 サムスン電子は「現在はこのような下向き通風口の製品は生産していない」として、LG電子と同様、製品の欠陥ではなく使用者の問題と主張している。これに対してネット上では「ノートパソコンのパンフレットやテレビショッピングでは家族で仲良くベッドの上にノートパソコンを置いて使っているではないか」「ベッドの上に寝転がって楽に使いましょうと宣伝しておいて、いまさら消費者の使い方が間違っていただなんておかしいではないか」と批判する書き込みが後を絶たない。
 SENSE P10のバッテリーは充電式乾電池8個が並列に並んだ構造で、サムスンSDIまたは東芝の製品と推定されているが、サムスン電子は「プラスチックカバーがすべて溶けてしまったためメーカーを確定できずにいる。原因を把握してから対応策を発表する方針」としている。サムスン電子はLG電子の事故の学習効果があったのか、調査結果の発表を急いでもみ消そうとはせず、時間をかけて慎重に原因を究明するという姿勢を見せてはいる。グループの不正資金疑惑で企業ブランドへの信頼が落ちるなか、製品まで問題があったということになれば取り返しのつかない打撃を受けることになる。

・ネット上の批判で変わる対応
 サムスン電子のノートパソコンは2006年、2007年と続けてリチウムイオンバッテリーが溶ける事故が発生している。当時の様子を収めた動画がYouTubeや韓国の動画投稿サイトに登場したが、すぐ削除された。
 サムスンはこの事故について一度も公表したことがなかったが、今回の一連のバッテリー事故の後、ブログやコミュニティーサイトでサムスンの過去の事故が話題になると「2007年の事故については現在調査中。事故があった製品は2002年上半期に出荷されたもので、バッテリーは東芝製だが今は東芝製のバッテリーは使っていない。10万台以上出荷されたモデルで事故はなかった」という言い訳を始めた。
 これもまた、使用者側に非があったとして片付けようとしているようにみえる。2007年の事故を動画で投稿した人は「サムスンにバッテリーが溶けて机まで焦げたと電話したら弁償してくれると言った。あまりにもあっけない対応だったので驚いた。このような事故が再発しないよう処置をとってくれるといいのだが」と書き込んでいる。
 韓国の市民団体である緑色消費者連帯は「2006年にソニーは米デルのノートパソコンに装着されたバッテリーが爆発したことで世界中のソニーバッテリーを自主交換したのに、サムスンとLG電子は使用者側の不注意で発生した単発の事故であると主張した。しかし事故はまた発生した。これはいつでも再発する可能性のある事故ということだ。メーカーは該当製品を今すぐリコールし、安全認証基準を作り安全性検査を行うべきである。大型事故が発生する前に積極的な処置をとるべき」としている。波紋が大きくなると、LG電子はバッテリーを無償点検し、異常があれば交換すると発表した。
 1~2月の事故をきっかけに、ネットではノートパソコンや携帯電話、カーナビなどリチウムイオンバッテリーが溶けた、膨らんだ、発火したなど過去の経験がどんどん書き込まれている。
 韓国消費者保護院にはリチウムイオンバッテリー関連被害として2005年から2008年1月まで38件の届け出がある。携帯電話が28件、カーナビ4件、MP3プレーヤー3件、ノートパソコン2件の順だった。このうちバッテリーが膨らんだのが14件、発火9件、爆発6件、過熱6件、破裂3件だった。
 ノートパソコンは2件とも爆発だった。韓国消費者保護院は「リチウムは発火が爆発を招く不完全な物質なので、リチウム蓄電池も過充電、過電流、温度上昇、外部の衝撃により爆発、発火する可能性がある」としている。

・KBSは番組で実証実験
 韓国では2007年11月、携帯電話のバッテリーが爆発して人が死亡したと大々的に報道されたが、実は殺人事件を隠蔽するための工作だったという誤報騒動があった。その後からバッテリー事故に関しては慎重に扱うようになったため、逆に事故があっても躊躇して記事にしないことすらあったという。
 それが今回は格好の餌食を発見したかのように「ノートパソコンやバッテリーに関する事故が頻繁に起こっていたのではないか」「メーカーは欠陥があるのを知っていながら隠していたのではないか」「日本は電気用品安全法を改正して国の定める安全基準を満たしているのか検査を実施しているのに韓国は何の基準もない」など、メーカーを批判する報道が熱を帯びている。
 公営放送のKBSは、LG電子がノートパソコンのバッテリーの安全に問題がある可能性があるという実験結果を隠してきたと報道した。LG電子はバッテリーにも製品にも欠陥はなかったので「単発性事故」に過ぎないと主張しているが、KBSの実験では電源を切らずパソコンをかばんの中に入れると75度を超える高熱になりガスが発生、90度を超えると発火することがわかったという。
 LG電子はこれに対して公式な答弁をしていない。事故の原因をきちんと究明するとしながらも工場を立ち入り禁止にしてひっそりと実験をしていたことも疑問を広げる結果を招いた。LG電子がデータとして提示したのは韓国電気研究院の実験結果だが、電気研究院も「KBSと同じことを確認している。LG電子にも伝えた。どうして高温になってしまうのかは究明できなかった」とLG電子の見解とは食い違っている。高温の原因がわからないままでは高温にならないようにする方法もわからないままだ。

・安全基準策定に一歩前進
 政府は事故があったバッテリーとノートパソコンを回収して強制調査できるよう「品質経営及び工産品安全管理法」の改正に着手した。現行法では管理品目に指定されていないリチウムイオンバッテリーはメーカーが応じない限り政府が製品を入手して調査できないようにしている。そのためLG電子は工場を立ち入り禁止にして調査結果を明確に発表しないでいられるのだ。
 しかし法律を改正するといっても4月の総選挙の後、新しい国会が動き出してからになるので、まだいつ決まるかはわからない。このままバッテリー事故は忘れ去られ、また事故が発生すれば慌てて調査だ法改正だと騒ぐのではないか心配だ。
 一日でも早く法改正してほしいと願う消費者とは裏腹に、業界は政府の強制調査には反対だ。韓国産バッテリーには欠陥があると政府が認めたような格好になるではないかという理由からだ。
 驚いたのは、韓国は日本に続く世界2位のリチウムイオンバッテリー生産国なのに、政府の安全基準も公認機関の検査もなかったということだ。米国ではノートパソコンや携帯電話のバッテリーが突然爆発する事故が相次いでいるという理由で、今年から正式に許可されていないリチウム蓄電池の飛行機内持ち込みを禁止することにしたそうだ。韓国でもより安全なバッテリーを開発できないものかという議論が続いている。

・グローバル市場をふまえた対応を
 韓国のノートパソコンシェアはサムスン電子が30%前後で1位、LG電子が20%前後で2位となっている。2社合わせて市場シェアの半分を超えているほど人気の高いブランドパワーを持っているわけだ。
 3月は韓国の新学期シーズン。本来ならばもっともノートパソコンが売れる時期なのに販売台数は減っている。しかしパソコンメーカーはバッテリー事故による販売低下ではなく、不景気による低迷とみている。サムスン電子は2008年は韓国内シェア50%、70万台販売を目指している。熱しやすくて冷めやすい韓国だけに、バッテリー事故のことはすぐ忘れて、またサムスン製品にユーザーがどっと戻ってくるのを待っているのかもしれない。
 グローバルな競争力の強化をうたうサムスンとLG電子。もし海外で自社製品による事故が発生してもこのような態度で突っ張れただろうか。
 韓国のことわざに「中で漏れるバガジは外でも漏れる」というのがある。バガジとは水を汲む器のことで、家の中でだらしなくしている人は外でもだらしがないという意味を持つ。グローバル競争力とは、まず自国でしっかり足場を固めない限り育たないものではないだろうか。
 サムスンとLG電子は売り上げに占める輸出の割合が大きい。韓国で発生したバッテリー事故は決して韓国だけの問題ではないはずだ。目の前の利益に執着しないで、危機を逆手に安心して使える製品、信頼できるブランドであることをアピールすれば、自然とグローバル競争力は育つはずなのだが。

◎韓国企業、中国から“夜逃げ”続出、青島地区だけで206社(2008年3月7日、産経新聞)
・賃金高騰、トラブルも
 韓国商工会議所が会員企業約350社に対し先月実施した調査で、対中進出済み企業のうち、約3割までが中国ビジネスからの撤退を検討、または準備していることが明らかになった。このところ韓国企業が中国での賃金上昇など経営環境の急速な悪化で事業撤退に追いつめられるケースが増えており、中には清算手続きを一切無視して経営者らが“夜逃げ”同然で中国から消え去る事件も多発しているという。(坂本一之)

≪9割が環境悪化懸念≫
 同会議所の調査結果によると、今後の中国市場に関して「企業環境は悪化する」と中国進出ずみの韓国企業の約86%が指摘した。昨年3月に実施した同様の調査では、同じ設問で「悪化する」と回答した企業は約33%にとどまっていた。中国での事業環境の悪化に懸念を示す韓国勢が一気に9割近い水準に達した。
 沿岸都市部では賃金上昇が進み、「(農村部などからの)出稼ぎ労働者を確保するのも2000年ごろとは異なり年々難しくなっている」(日系企業関係者)というありさま。特に中小の日系企業では管理職の人材確保が経営課題に発展。低賃金を武器に外資の投資を集めてきた中国に変化の波が押し寄せている。
 中国政府は今年1月に労働者の権利強化を図った労働契約法を施行。終身雇用への移行を含めて経営側にとって総人件費の上昇は避けられず、同時に労使関係もこれまでよりも複雑になった。

≪ベトナムやラオスに≫
 韓国紙、朝鮮日報などによると、年15%を超える賃金上昇や加工貿易禁止品目の拡大など、中国当局の規制措置で悪化する経営環境に対応できず累積赤字となった企業が生産設備を放棄。法的な清算手続きを無視して突然、帰国してしまう問題も相次ぎ発生した。賃金や労使関係をめぐって経営者が暴力沙汰(さた)に巻き込まれるケースもある。
 韓国輸出入銀行がまとめた調査では、山東省の青島地区に00年から07年までに進出した韓国企業8344社のうち、手続きを踏まずに無断で撤退した「夜逃げ企業」が206社にも達した。夜逃げは03年ごろから目立ち始め、07年は87件にまでその規模が拡大。夜逃げ企業はアクセサリーや縫製、皮革関連の製造業など人件費のコスト上昇を吸収しにくい労働集約産業が多かったという。
 すでに中国では「夜逃げ韓国企業」周辺でトラブルも起きており、中韓経済関係にも悪影響を及ぼしかねない状況だ。
 企業の生き残りをかけてコスト競争力のある中国本土に進出した韓国企業も経営戦略の見直しを迫られており、中国一極集中回避のための「チャイナ・プラスワン」や中国以外をめざす「ポストチャイナ」の投資地としてベトナムやラオスなどに関心が移っている。

◎ポリ容器漂着:漂着数4万個に、韓国に対策要請(2008年3月6日、毎日新聞)
 九州北部などで1月以降、大量のポリ容器が漂着している問題で、環境省は5日、漂着数が計3万9941個に上ったと発表した。19道府県に拡大し、漂着数は99年度を超えて過去最多となった。約4割の1万6945個に文字表記があり、うち1万6273個はハングルだった。政府は韓国政府に実態把握や原因究明、漂着ごみを減らす努力などを要請した。【山田大輔】

◎中国から「夜逃げ」も、韓国企業、3割が撤退検討(2008年3月1日、朝日新聞)
 中国に進出している韓国企業の経営環境が人件費急騰などで急速に悪化している。韓国商工会議所が会員企業350社を対象に行った調査によると、約3割が中国からの撤退を検討あるいは準備と回答した。韓国企業が多い山東省では正式な清算手続きを踏まずに「夜逃げ」するケースも増えている。
 2月に行われた同調査によれば、進出企業の約86%が「今後中国の企業環境は悪化する」と回答した。昨年3月の調査で「悪化する」としたのは約33%。過去1年間で悲観的な見方が急速に広がった。
 この背景には中国の労働契約法施行などによる人件費上昇のほか、税制などで外国企業への優遇措置がなくなったことなどが指摘されている。特に対応策が遅れている中小企業の経営悪化が顕著だという。

◎独立運動記念日、韓国大統領「未来志向的な日韓関係を」(2008年3月1日、読売新聞)
 【ソウル=平野真一】韓国の李明博(イミョンバク)大統領は1日、日本による植民地支配への抵抗運動「3・1独立運動」の89周年記念式典で演説し、日韓関係について「互いに実用(実利主義)の姿勢で未来志向的な関係を形成していかなければならない」と述べ、未来志向の日韓新時代を構築する考えを改めて強調した。
 李大統領は、2月25日の大統領就任式に際して訪韓した福田首相との日韓首脳会談で、首脳同士が頻繁に相互訪問する「シャトル外交」の再開で合意するなど、国益や実利を最優先する立場から建設的な日韓関係をめざす考えで一致。2005年の式典で「過去の謝罪と賠償」に取り組むよう求めるなど、日本に厳しい姿勢を取った盧武鉉(ノムヒョン)前大統領とは対照的な姿勢を見せている。
 李大統領は、「歴史の真実から顔を背けてはならないが、いつまでも過去にとらわれ、未来に向かう歩みを遅らせることはできない」と指摘。「偏狭な民族主義でなく、国際社会と交流・共生し、世界とともに呼吸する開かれた民族主義を志向すべきだ」と述べた。
 南北関係については、「排他的な民族主義では解決できない。民族内部の問題であると同時に、国際的な問題とも見なさなければならない」と強調。「世界の中で韓(朝鮮)民族の座標を設定し、より広い視角から解決の方向を探すべきだ」と述べ、北朝鮮に関して、核問題解決や改革・開放への誘導を重視する姿勢を示唆した。
 ただ、演説で対日関係や南北関係に触れた部分はわずかで、全体的には李大統領が公約に掲げる「先進一流国家建設」を強調する内容となった。

◎「大統領様」改め「大統領」、李大統領が改革、韓国(2008年3月1日、朝日新聞)
 韓国大統領府は29日の拡大秘書官会議で、これまで「大統領様」としていた呼称をただ「大統領」とすることを申し合わせた。李明博(イ・ミョンバク)大統領も会議で「合理的な基準でやってほしい。格式張ってはダメだ」と指示した。韓国では公式行事に際して、全斗煥(チョン・ドゥファン)政権までは「閣下」と呼び、盧泰愚(ノ・テウ)政権以降は「大統領様」と呼んでいた。
 李大統領は「実用主義」「働く政権」を掲げ、様々な改革を始めた。これまで「庶民の感覚を忘れてはいけない」として、各部署の報告を大統領府ではなく、現場で行うことを指示。大統領が出席する行事に合わせて新たな施設をつくることも禁じた。

◎サムスン会長長男を聴取、不正資金疑惑(2008年2月28日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国最大財閥サムスンの不正資金疑惑を捜査する特別検事チームは28日午前、李健熙(イ・ゴンヒ)会長の長男である李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子専務を事情聴取した。グループ経営権の継承過程での不正疑惑への関与などについて調べを受けたもようだ。元常務の内部告発をきっかけに始まった捜査は創業者一族に及んだ。
 李専務は午前9時過ぎ、ソウルにある特別検事チームの事務所に出頭。記者団に「誠実に捜査に応じる」と語った。
 サムスンの経営権継承を巡っては、李専務がグループの事実上の持ち株会社であるサムスンエバーランドの転換社債を不当な安値で譲渡を受け、同社の筆頭株主になった疑惑があり、同社社長らが二審まで有罪判決を受けている。

◎漂着ごみ:ポリ容器62個から塩酸、注意呼びかけ、北九州(2008年2月26日、毎日新聞)
 日本海沿岸などに大量のポリ容器が漂着している問題で、北九州市環境局は25日、市内の海岸に漂着した容器に塩酸が含まれていたと発表した。不審なポリ容器を発見した場合、ふたを開けないよう改めて注意を呼びかけている。
 市によると、11~22日に回収されたポリ容器計453個中、62個に強酸性の液体が入っていた。うち7個の内容物を分析した結果、いずれもpH1以下の強酸性で、3~23%の濃度の塩酸が含まれていた。10%以上の塩酸は「劇物」とされているという。微量の鉛やヒ素などの重金属類、防虫剤や化学製品の原料となるベンゼン類など22の化学物質も検出された。漂着容器のうち、287個にハングル表記があった。
 環境省の22日のまとめでは、ポリ容器は1月以降、鹿児島から本州の14府県に計2万2940個漂着している。【木村雄峰】

◎韓国公取委、サムスン電子に課徴金13億円(2008年2月22日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国公正取引委員会は21日、サムスン電子が下請け業者に不公正な取引を強いたとして、是正命令と課徴金115億7600万ウォン(約13億2000万円)の支払いを命じた。また、同委の調査を妨害した役員2人にそれぞれ2000万ウォンの支払いを課した。
 同委によるとサムスン電子は携帯電話のコスト削減目標達成のため、2003年に下請け7社に一律で単価を引き下げさせた。設計変更など自社の都合で不要になった物品を廃棄したうえ、納入業者への支払代金の一部を不当に減らして支給するなどの行為もあった。

◎サムスン側に債務支払い義務・自動車部門巡り判決(2008年1月31日、日本経済新聞)
 【ソウル=鈴木壮太郎】1999年に経営破綻したサムスン自動車(現ルノーサムスン自動車)の債権者だった金融機関14社がサムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長と系列企業28社を相手取り、債務支払いを求めて提訴した問題で、ソウル中央地裁は31日、サムスン側に支払い義務があるとの判決を下した。支払額は利子を除き1兆6000億ウォン(約1800億円)以上になる。

◎李・韓国大統領が就任、10年ぶり保守政権(2008年2月25日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】韓国の第17代大統領就任式が25日午前11時(日本時間同)から、ソウル・汝矣島(ヨイド)の国会議事堂前広場で開かれ、2007年12月の大統領選で当選した保守系政党ハンナラ党の李明博(イミョンバク)氏(66)が就任を宣誓した。保守政権誕生は10年ぶり。
 李大統領は就任演説で、「北朝鮮が核を放棄すれば、南北関係に新しい地平が開かれる」と述べ、北朝鮮に対する経済支援を核問題の進展を条件に進める方針を示した。
 李大統領は演説の中で対北朝鮮政策について、「南北統一は(南北に住む)7000万国民の念願だ」と指摘。「理念ではなく実用を尺度に解決し、統一の基盤を整える」と述べた。
 その具体策として、北朝鮮が核を放棄し、改革・開放路線に転換すれば、国際社会が協力して、北朝鮮住民の1人当たりの年間所得を現状の3倍以上の3000ドル(約32万円)に引き上げるとする「非核・開放・3000」構想を改めて表明。構想の実現が、「同じ民族のための道であり、統一を早める道だ」と強調した。
 さらに、「南北首脳がいつでも会って、胸襟を開いて話し合わねばならない」と言及。金正日(キムジョンイル)総書記に核放棄の決断を促すとともに、南北首脳会談の開催を呼びかけた。
 対米関係については、「未来志向的な同盟関係に発展させる」として、冷却化した関係の修復に意欲を示した。また、「アジア諸国との連帯が重要だ。日本、中国、ロシアと協力関係を強化する」と述べた。
 李大統領は演説の大半を経済など内政問題に割き、規制緩和、投資拡大のほか、住宅価格安定化、教育改革などに取り組むとした。
 李大統領は、韓国が8月に建国60年を迎えることから、これまでに成し遂げた「産業化」と「民主化」を基礎に、今後は経済活性化などの「先進化」を国家目標に掲げ、2008年をその元年と位置づけた。
 また、過去10年間にわたった金大中(キムデジュン)、盧武鉉(ノムヒョン)両政権を間接的に批判し、「理念の時代を超え、実用の時代に進むべきだ」と呼びかけた。
 李大統領は内政、外交、南北関係など国政全般にわたり、現実的観点に立って実利、国益を最重視する「実用主義」を掲げている。
 就任式には、約4万5000人が参加。福田首相やライス米国務長官、唐家セン・中国国務委員ら各国首脳、閣僚らも出席した。(センは王へんに「施」)

◎李明博氏、韓国大統領に就任、経済再生を最重点課題に(2008年2月25日、朝日新聞)
 韓国の新大統領に25日、李明博(イ・ミョンバク)氏(66)が就任した。李氏は同日午前11時(日本時間同)から、ソウルの国会議事堂前広場での就任式で、「今年は建国60周年であり、韓国先進化の元年とする」と宣言し、経済再生を最重点課題に据えた。米韓同盟や日本などアジア諸国との関係を重視する考えを強調。北朝鮮には改めて核の放棄と社会の開放を呼びかけた。
 李氏は25日午後、就任式に出席した福田首相と初の首脳会談に臨む。「日韓新時代の幕開け」をうたい、首脳シャトル外交の復活や経済連携協定(EPA)交渉再開で合意する見通しだ。ライス米国務長官とも会談し、北朝鮮核問題などについて意見交換する。
 就任演説で李氏は、「米国との伝統的友好関係を未来志向の同盟関係に発展させる」「アジア国家との連帯も強化する」と主張。日中ロ3カ国の名前を挙げて「等しく協力関係を強化し、東アジアの平和と共同繁栄を模索する」とも述べ、日米との関係強化を警戒する中ロ両国に配慮をみせた。また、「人類普遍の価値を具体化する」として、国連平和維持活動(PKO)や途上国援助(ODA)への取り組みを強化する考えも示した。
 北朝鮮に対しては「統一は(南北合わせた)7000万国民の念願だ。南北関係をより生産的に発展させなければならない」と強調。核放棄と社会開放を条件に、「北の1人あたり国民所得を10年間で3000ドル(約32万円)に引き上げる」とした公約を改めて紹介した。
 南北首脳会談にいつでも応じる考えを示したが、太陽政策を基礎に南北関係を最重視した盧武鉉(ノ・ムヒョン)・前政権よりも、支援の透明性を重視する姿勢をとる。北朝鮮住民の人権問題や韓国人拉致など、人道問題も積極的に取り上げる考えを繰り返し表明してきた。
 北朝鮮の公式メディアは李氏の大統領就任についてこれまで報じていない。朝鮮中央通信によると、25日付の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は「我が民族同士は、自主統一の基地」と題した論説を掲載した。
 財閥系企業の社長も務め、「CEO(最高経営責任者)大統領を目指す」と訴えて当選した李氏は、中央省庁を18省から15省体制に統廃合するなど「小さな政府」を目指す。就任演説でも「理念の時代を乗り越え、実用の時代に進まなければならない」と語った。また、「経済再生が何よりも急がれる」と語るとともに、「漢江の奇跡を超え、韓(朝鮮)半島の新たな神話に向かって我々全員が一緒に進もう」と呼びかけた。
 就任式には海外からの招待客や一般市民ら約6万人が参加。日本からは福田首相のほか、中曽根康弘、森喜朗両元首相も出席した。

◎やはり野におけレンゲ草? 盧武鉉政権(2008年2月21日、産経新聞)
 何かと話題の多かった盧武鉉政権が5年の任期を終え24日で幕を下ろす。盧武鉉大統領は李明博新大統領の就任式の25日、生まれ故郷の釜山近郊、金海市の田舎に向かう。退任の大統領がソウルを離れ田舎で“隠居”するのは初めてだ。
 最後までニュースメーカーとして面目躍如だが、年齢はまだ61歳。歴代の大統領OBでは最も若い。“一匹おおかみ”的な野心満々の政治家だっただけに「このまま静かに引っ込むとは考えれない」(政界筋)との声もある。韓国政治の記録として盧武鉉政権を簡単に総括しておきたい。(ソウル、黒田勝弘)
 21日付の朝鮮日報が伝える韓国ギャラップの世論調査によると、盧武鉉政権5年について「よくやった」は21%で「ダメだった」が63%となっている。しかも「福祉政策」で「いいことはなかった」が78%という。
 商業高校卒の弁護士上がりで、刻苦勉励、弱者の味方として“庶民大統領”が看板だった盧武鉉大統領にとって、これは相当厳しい数字だ。
 盧武鉉政権の誕生について筆者(黒田)は当初、1960年代後半に社会党と共産党の共同推薦で東京に誕生した“美濃部革新都政”になぞらえた。都市化状況の中で庶民や弱者などの福祉要求拡大という時代的背景が似ていて、しかも同じく左派勢力に支えられた政権だったからだ。
 しかし盧武鉉政権は庶民の最大関心事である住宅、教育、物価、医療、年金、その他…福祉政策ではこれといった印象的な成果はない。逆に社会的に強者・弱者の二極化は進み、労働運動も押さえ込まれてしまった。最後は米韓自由貿易協定(FTA)締結に踏み切るなど、庶民政権のイメージはない。
 福祉は金がかかるし短期には難しい。その欲求不満(?)で力を入れたのが「過去清算」という左派救済政策だった。
 過去の軍事政権時代に政治的にいじめられた左派や親・北朝鮮の活動家たちを、「民主化勢力」として国家的に救済・補償した。各種委員会など多くの新組織を政府内に設け、ポストばらまきで生活も面倒見た。
 李明博次期大統領は過去10年の金大中・盧武鉉政権を「失われた10年」と批判、否定することで当選した。しかし歴史的には両政権とも必要な政権だったのだ。
 全羅道が地域的基盤だった金大中政権は、千年にわたって権力から阻害された全羅道勢力が権力を握ることで「ハン(恨)」を晴らしたように、盧武鉉政権も「左派の政治的恨み(ハン)」を晴らすのに必要だった。もし両政権が生まれず、「ハン」が残り続ければ韓国は政治的、社会的に安定しない。
 しかし親北・左派勢力は盧武鉉政権下で権力を握り、好きなようにやったのだからもう文句はいえない。皮肉にいえば、彼らに権力を味わわせ、その政治的、社会的な指導能力を国民に検証させ失望させたことが、盧武鉉政権の最大功績(?)ということになろうか。
 盧武鉉政権は「経済も数字的には必ずしも悪くない。われわれは不当に低く評価されてきた」と不満が強い。確かにその面はある。
 内外で批判の強かった“反米”だって、当初は「アメリカ何するものぞ」といった盧大統領の過剰気味の反米的発言はあったが、結果的にはイラクには大部隊を派遣し続け、米韓FTAまで結んでいる。反日は変わらなかったが、反米は手直ししているのだ。
 政権の評価が低い原因は2つある。1つは「エリート対非エリート」とか「守旧勢力対革新勢力」「持てる者対持たざる者」…など過剰な階級意識からくる、反対勢力に対するコンプレックスがらみの執拗(しつよう)な非難。もう1つは批判的な新聞との過剰な対立。気に入らない相手は排除するというのは、外国メディアの産経新聞にも及んだ。
 こうした左派的ともいえる排他性に国民は嫌気がさしたのだ。盧武鉉政権は庶民的で脱権威主義をセールスポイントに権力を握りながら、反対派に対する包容・和合・調和ではなく対決中心の「ハン(恨)の政治」に終始した。これが失敗の最大原因である。

◎「李明博氏、嫌疑なし」、韓国特別検察が再捜査結果発表(2008年2月21日、朝日新聞)
 韓国の李明博(イ・ミョンバク)次期大統領の株価操作関与疑惑を再捜査していた特別検察官チームは21日、検察が昨年末に「嫌疑なし」とした結論を追認する再捜査結果を発表した。大統領当選者に対する異例の捜査は終結し、25日に発足する新政権への影響は避けられることになった。
 再捜査していたのは、投資会社「BBK」を経営していたキム・ギョンジュン被告が01年、ベンチャー企業の株価操作などで多数の投資家に被害を与えた事件。李氏は別の会社をキム被告と設立した経緯があり、事件への関与を疑われた。
 特別検察官に任命された鄭鎬瑛・前ソウル高裁長官は21日午前、ソウル市内で記者会見し、「不偏不党の立場で捜査した。この事件はキム被告の単独犯行だ」と説明。そのうえで、李氏について「BBKの経営に関与したことは全くない。事件に関係していない事実が確認できた」などと述べ、李氏を不起訴処分とする考えを示した。
 特別検察官チームは1月から捜査を始め、今月17日にソウル市内で李氏を直接取り調べるなどした。憲法が大統領の刑事訴追を禁じているため、25日の大統領就任式の前に捜査を完結させた。
 政権引き継ぎ委員会の李東官報道官は21日、「すべての疑惑が解消され、新政府が国民の祝福のもとに発足できることになった」とする歓迎のコメントを発表した。
 特別検察官制度の適用は、99年の導入以来、8例目。大統領選直前の昨年12月17日、現政権与党系の大統合民主新党(現・統合民主党)などの賛成多数で成立した。当時、李氏の当選は確実視されており、4月9日の総選挙に向けて李明博政権を揺さぶる目的があるとされていた。

◎ソウル南大門全焼、拘束の男、放火認める(2008年2月12日、朝日新聞)
 韓国のソウル中心部にある名所・南大門(崇礼門)で10日夜発生した火災で、南大門は11日朝までに木造の楼閣部分が全焼し、石の土台部分を残してほぼ崩壊した。同国の通信社・聯合ニュースによると、捜査当局は同日、容疑者の男(70)を拘束、男は放火の事実を認めたという。
 南大門は14世紀末に建設され、国宝1号に指定されている。「ソウルの顔」とも言える代表的な文化財が焼け落ちたことに、旧正月の連休明けの国民は衝撃を受けている。
 火災は10日午後8時50分ごろ発生。消防車数十台が出動したが、建造物の構造などから消火作業は難航した。発生から約5時間後の11日未明には木造部分全体が炎に包まれ、最終的に焼け落ちた。

◎ソウル「南大門」楼閣が全焼・ほぼ崩壊、放火の疑い(2008年2月11日、読売新聞)
 【ソウル=平野真一】10日夜に出火したソウル市中心部の観光名所、南大門(正式名称「崇礼門」)は約5時間後の11日未明、木造2階建て延べ約177平方メートルの楼閣が全焼、石組みの土台を残してほぼ全面的に崩壊した。
 朝鮮王朝時代の1398年に完成し、ソウルに現存する最古の木造建造物として国宝第1号に指定されていた南大門の焼失に、国民は強い衝撃を受けている。
 一方、警察当局は、出火直後に立ち入り禁止となっている楼閣から出てきた不審な人物が目撃されていることから、放火の疑いが強いと見て捜査している。
 火災は楼閣2階の瓦屋根の内側から発生したと推定されている。消防当局はポンプ車、はしご車など32台を出動させて消火に当たり、一時はほぼ鎮火したかに見えたが、屋根に残っていた火が楼閣に燃え広がり、門全体が炎と白煙に包まれた。11日午前1時過ぎ、屋根の一部が崩壊したのに続き、同2時前には楼閣の1、2階部分もほとんどが崩れ落ち、現場を遠巻きにしていた市民から悲鳴が上がった。
 聯合ニュースによれば、消防当局が国宝を管理する文化財庁から、全焼を防ぐために建物の一部を壊す許可を取るのに約45分かかったことも、初期消火が遅れる原因となった。
 2006年春に門の下の通路が一般に開放された後も、楼閣は立ち入り禁止となっていた。ただ、午後8時以降は無人警備システムがあるだけで、無断立ち入りをチェックする体制は取られていなかった。

◎南大門、全焼崩壊、韓国社会に強い衝撃(2008年2月11日、朝日新聞)
 10日夜出火したソウル市の「南大門」(崇礼門)は、木造二層構造の楼閣のうち、一階部分のごく一部を残して全焼、崩壊した。韓国大手朝刊各紙が一面トップで火災を伝えるなど、韓国社会は600年の歴史を持つ国宝第1号の焼失に強い衝撃を受けている。
 消防や警察、韓国メディアなどによれば、出火したのは10日午後9時前。消防車約40台などが出動した。一時は鎮火したかに見えたが、二階内部に残った火種が再び広がり、11日未明には崩落が始まった。朝鮮王朝時代の複雑な木造建築で、放水が内部になかなか届かず、初期消火に失敗。途中から瓦や柱の解体も試みたが、間に合わなかったという。
 また、通信社の聯合ニュースは、文化財庁から「文化財を痛めないように、慎重に消火してほしい」という要請があったため、積極的な鎮火作業に踏み切れなかったとする、消防関係者の発言を紹介した。
 一方、韓国テレビ各社は未明まで、火災の模様を生中継で放送。「我々の自尊心が失われた」「どうして火災を防げなかったのか」などと嘆く現場の市民の声を伝えた。大手紙も「崇礼門が全焼崩壊」(東亜日報)、「国宝1号も守れない韓国」(中央日報)などと大々的に報じた。

◎韓国のサムスン会長自宅を家宅捜索・不正資金疑惑(2008年1月15日、日本経済新聞)
 韓国最大財閥サムスンの不正資金疑惑を捜査する特別検事チームは15日、ソウルにある李健熙(イ・ゴンヒ)会長の自宅を家宅捜索した。捜査の手が経営トップに及んだことで、グループ司令塔の戦略企画室は対応に追われ、経営計画の策定が遅延。グループ中核のサムスン電子の経営にも影響が出始めている。
 聯合ニュースによると、特別検事チームは午前11時から午後3時半まで李会長の自宅を捜索した。サムスン本社の会長執務室や、会長を補佐する戦略企画室、ソウル郊外の電算センターなども同時に捜索した。
 捜査の焦点は借名口座を使った裏金づくりと、検察など各界への不正ロビー、李会長から長男の李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子専務への経営権継承を巡る不正疑惑の三点。この過程での李会長の関与も問題となっている。韓国メディアは会長の事情聴取の可能性が高まったと報じた。

◎サムスン本社、特別検事が捜索・不正資金疑惑で(2008年1月15日、日本経済新聞)
 韓国最大財閥サムスングループの不正資金疑惑を捜査している特別検事チームは15日、ソウルの同グループ本社を家宅捜索した。聯合ニュースによると、李健熙(イ・ゴンヒ)会長の執務室やグループ司令塔である戦略企画室の財務チームの事務室などを中心に資料を押収した。
 同チームはサムスンからわいろを受け取った疑いのある検察に代わり、特別検事に任命された弁護士らで構成されている。

◎中韓「キムチ摩擦」が解決、検査強化解除(2008年1月10日、産経新聞)
 中国検疫当局は10日、中国産キムチから寄生虫の卵が見つかったとして韓国が2005年から実施してきた輸入時の検査強化が解除され、両国間のキムチをめぐる貿易摩擦が「円満に解決した」と発表した。
 韓国政府は05年10月、中国産キムチから寄生虫の卵が検出されたと発表し、輸入時に全量を検査対象とする措置を実施。中国政府も韓国産から寄生虫の卵が検出されたと発表して対立し、一時は中韓首脳会談でも議題となった。
 中国側の発表によると、中国当局が国内のキムチ輸出業者に対する衛生管理を強めたことから韓国は昨年8月、検査対象を全量から20%に引き下げることに同意。今年に入り、05年以前と同様の10%にすると通知してきたという。


  


inserted by FC2 system