韓国の気になるニュース
2010年

このページは、私が気になった韓国の気になるニュースを個人的にまとめたものです。

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 2013年2月4日






◎韓国口蹄疫、警戒レベル最高、牛・豚の殺処分48万頭に(2010年12月30日、朝日新聞)
 韓国の農林水産食品省は29日、家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)の感染拡大が止まらない状況を受け、警戒レベルを最高の「深刻」に引き上げた。同省によると、29日午前までに殺処分された豚や牛は48万頭以上で、これは国内全体の約4%にあたるという。処分数はさらに増える見込みだ。
 警戒レベルを引き上げたことにより、これまで担当省庁のみであたっていた対応を政府全体で担うことになり、関係閣僚らでつくる「中央災難安全対策本部」を設置。口蹄疫の未発生地域でも、発生地域と同水準の防疫措置をとることにした。

◎仁川空港-ソウル間最短43分に、直行の鉄道が営業開始(2010年12月29日、朝日新聞)
 韓国の仁川国際空港とソウル市中心部のソウル駅を結ぶ空港鉄道が29日、全区間で営業運転を始めた。所要時間は最短43分で、通常1時間以上かかるバスやタクシーより早い。日本人観光客にとっても移動手段が増え、利便性が増しそうだ。
 仁川空港―ソウル駅は30分間隔で運行されるノンストップの「直通」なら43分、ソウル中心部に近い金浦空港などの途中駅に各駅停車する「一般」で53分。運賃はそれぞれ、1万3300ウォン(約960円)と3700ウォン(約270円)。現時点では一部の航空会社に限られるが、ソウル駅で国際線の搭乗手続きもできる。
 空港鉄道は2007年3月に、仁川空港と金浦空港間でのみ先行開業していた。2年後をメドに韓国の高速鉄道「KTX」が乗り入れる計画で、実現すれば仁川空港からソウル駅までは28分とさらに短縮される見通しという。

◎口蹄疫、韓国で猛威、牛豚45万頭を殺処分、初動批判も(2010年12月29日、朝日新聞)
 韓国で家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)がすごい勢いで広がっている。韓国の農林水産食品省の調べでは、28日午前までに牛や豚45万頭以上が殺処分された。韓国政府は拡散防止のため、関連法の改正を急ぐが、発生数は連日増え続け、沈静化の兆しすら見えていない。
 「法を改正してでも、防疫に関する国民の認識を変えねばならない。私も海外から戻れば、率先して検査を受ける」。韓国大統領府によると、李明博(イ・ミョンバク)大統領は28日、年内最後の閣議でこう述べ、拡散防止への協力を訴えた。
 今回の口蹄疫騒動は、11月下旬に慶尚北道・安東で見つかったのが最初だった。だが、簡易検査で陰性と出たことなどから対策が遅れ、安東から人や車が自由に出入りするうちに、またたくまに広がった。
 韓国国内は先月、大延坪島(テヨンピョンド)が砲撃を受けて以来、ほとんどの報道が北朝鮮関連で染まった。だが、北朝鮮の軍事挑発がその後おさまっていることもあり、トップニュースは猛威を広げる口蹄疫問題に入れ替わった。
 政府によると、28日午前現在、畜産農家から88件の申告を受け、うち60件が口蹄疫と確認された。日本の県にあたる道や、規模の大きい広域市のうち、発生が確認されたか疑いが強い地域は、韓国本土の約半分を占める。
 中部の忠清北道では殺処分された牛から陽性反応が出た。政府は発生地域に入れていないが、韓国メディアは、畜産が盛んな忠清北道にまでついに広がったことで、「初動のまずさが招いた人災だ」などと批判を強める。また、一部地域では当初、埋却作業にあたっていた兵士が吐き気などを訴え、これに兵士の親が抗議して撤収させるなど、ちぐはぐな対応が指摘されている。
 これまで最も被害が大きかったとされる2002年でも殺処分は約16万頭。現段階で45万頭を殺処分した今回は、はるかに悪化した事態だ。
 政府は25日から、2000年以来というワクチン接種に踏み切った。韓国は今年春の口蹄疫発生を比較的早期に抑え、9月に国際獣疫事務局(OIE)から「清浄国」と認定されたばかり。清浄国はワクチン接種をしなければ3カ月間、接種すれば半年間、口蹄疫の発生が確認されない場合に付与されるが、猛威の前に選択肢はなく、「早く清浄国としての名誉回復を」(李大統領)と実施した。
 安東で最初に口蹄疫が発生した詳しい原因は解明されていないが、海外渡航者がウイルスを持ち込んだ疑いが強まっている。このため、韓国政府は、家畜伝染病予防法の改正で流入防止を図る。
 畜産農家自身が家畜病の発生国を訪問する際、出入国時の届け出や検査、消毒を義務化。これを怠れば、1年以下の懲役または500万ウォン(約36万円)以下の罰金を科すほか、外国人労働者の採用を届け出なければ、500万ウォン以下の科料に処すよう、同法の改正を急いでいる。

◎韓国で口蹄疫が拡大、ソウル近郊・京畿道でも(2010年12月15日、朝日新聞)
 韓国農林水産食品省は15日、ソウル近郊の京畿道・楊州市、漣川郡の養豚場2カ所で、家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)の発生が確認されたと発表した。先月末から韓国南東部で広がっていた口蹄疫が北部でも発生したことで、今後のさらなる感染拡大が懸念されている。
 韓国で今年3度目の発生となる今回の口蹄疫は当初、南東部の慶尚北道・安東市の養豚場で発生。同道内で急速に感染が広がり、15日朝までに30件を超えた。韓国政府は感染拡大を防ぐため、発生農場や周辺で飼われていた家畜の処分を進めており、これまでに約15万頭を処分。約16万頭が処分された2002年の発生時に匹敵する規模になっている。

◎韓国国境の「西海5島」、要塞化と住民生活、両立なるか(2010年12月9日、朝日新聞)
 北朝鮮による砲撃にさらされた韓国の大延坪島(テヨンピョンド)など、北朝鮮に近い「西海(黄海)5島」と呼ばれる島々について、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は「要塞(ようさい)化」を進めると表明した。一方で政府は島民らの生活向上も約束したが、住民の間には不安が根強く、島を離れる決意をする人もいる。要塞化と住民生活がどこまで両立できるのかは不透明だ。
 大延坪島、大青島(テチョンド)、白ニョン島(ペンニョンド、ニョンは令へんに羽)など、海の軍事境界線と言われる北方限界線(NLL)に近い5島について、李大統領は7日、「軍事的な要塞化」を漸進的に進めるよう閣僚に指示。同時に、住民が引き続き島に住めるよう、雇用確保などの条件づくりもするよう求めた。
 大統領のスポークスマンは「『住民のため』という側面での要塞化」「軍事施設を堅固にするだけで、住民が平穏で安全に暮らせるわけではないという大統領の判断」などと説明した。
 NLLは、1953年の朝鮮戦争休戦後に国連軍が引いた。北朝鮮は99年にNLLの無効を宣言し、南側に独自の境界線を設定。周辺がワタリガニの好漁場であることもあり、これまでもNLL付近では南北の艦艇の銃撃戦などが起きていた。
 それでも住民たちは、海でとれる魚介類や野菜の栽培などで暮らしていける「豊かな島」にとどまってきた。
 だが、先月23日の大延坪島への砲撃は「今までと次元が異なる」(李大統領)攻撃だった。韓国の陸地に対する直接砲撃は朝鮮戦争の休戦後初めてで、民間人2人を含む4人が犠牲になった。
 これを受け、韓国軍は大延坪島などに多連装ロケットを配備するなど抑止力の強化に躍起だ。今回の「要塞化」発言もその延長上にある。
 一方で政府は、5島から住民たちが出て「無人島化」することも懸念している。専門家らの間に「無人島にさせて紛争水域にすることが、北朝鮮側の狙い」との分析もあるためだ。
 金滉植(キム・ファンシク)首相は6日、大延坪島の住民支援や被害復旧など総額約300億ウォン(約22億円)の対策を発表。「西海5島支援委員会」を設置し、総合発展計画を策定する考えも明らかにした。
 国会でも、避難施設の優先的な設置や定住生活支援金の支給、公共料金の減免などを内容とする西海5島支援特別法案が可決された。
 だが、住民らの不安は消えず、「怖くてもう住めない」と故郷を離れる決心をした人も少なくない。大延坪島から島外に移ることを希望する住民らは7日、管轄する仁川市との間で本土側の2カ所を移住先とすることで合意した。

◎徴兵短縮取りやめ検討へ、南北緊張受け韓国(2010年12月6日、産経新聞)
 韓国・李明博大統領直属の諮問機関「国防先進化推進委員会」は6日、韓国軍が段階的に進める計画だった男子国民の兵役期間短縮をとりやめ、陸軍で従来の24カ月に戻すべきだとの報告書をまとめた。今後、国防計画への反映が検討されるとみられる。
 南北関係の緊張で軍の強化を求める世論に配慮した形だ。同委は最近まで「21カ月」を答申する方針だったが、延坪島砲撃を受け期間をさらに延ばしたもようだ。
 報告書には71項目を課題に挙げた。延坪島を含め、韓国が黄海の南北境界線と主張する北方限界線(NLL)直近の韓国領5島の防衛を担う司令部の創設や、海兵隊規模を倍増させ、有事の急派部隊の性格を強める改編を行うことも求めた。

◎韓国政府が延坪島支援策、22億円を支出(2010年12月6日、産経新聞)
 韓国の金滉植首相は6日、記者会見し、北朝鮮から砲撃を受けた韓国北西部・延坪島の被害復旧や住民への生活支援などのため300億ウォン(約22億円)を即時支出することなどを盛り込んだ、同国政府の対応策を発表した。
 金首相は、砲撃によって住民の大部分が韓国本土に避難していることについて「生活ができる限り早く安定できるよう、迅速で十分な支援をする」と表明。避難中の子どもの教育や、帰島後の生活についても、政府レベルでの対策を講じるとした。
 聯合ニュースによると、300億ウォンのうち生活安定支援に80億ウォン、破壊された住宅や施設の復旧と退避所の補強にそれぞれ100億ウォンを充てる。

◎韓国「兵役期間24か月に」、大統領直属委員会が報告(2010年12月6日、産経新聞)
 韓国の大統領直属機関である国防先進化推進委員会は6日、陸軍の基準で現在24カ月となっている兵役服務期間を2014年までに18カ月に短縮するとした計画を全面的に見直し、24カ月を維持すべきだとの見解をまとめ、李明博大統領に報告した。
 韓国メディアは、今年3月の哨戒艦撃沈事件や延坪島砲撃など、北朝鮮による相次ぐ武力挑発への対応措置と報じている。推進委は最近まで「21カ月」を答申する方針だったという。
 推進委は、北朝鮮の砲撃を受け、延坪島などの守備力強化のため、「西海(黄海)5島司令部」を新設し、海兵隊と専用艦艇、ヘリコプター、戦闘機などの戦力を配置して司令官の指揮で陸海空による作戦遂行を可能にするべきだとも進言した。
 5島の守備力強化策としてはまた、黄海の島(とう)嶼(しょ)部を担当する海兵隊を「迅速対応軍」に改編、有事の際には国内のどこにでも急派できる体制を整える必要があるとした。
 また、砲撃後、政府内で復活が検討されている北朝鮮を仮想敵とする「主敵概念」の明示や、国民の安全保障教育の強化なども提起した。
 この日、青瓦台(大統領府)で開かれた会議では兵役期間を含めた約70項目に及ぶ「国防改革課題」を報告。政府は提起された課題を慎重に検討、選別し、速やかに政策化することになる。

◎「北は日本より悪い」、英紙記者、韓国紙に異例の寄稿(2010年11月30日、産経新聞)
 「北朝鮮は日本帝国主義よりもっと多くの韓国人を殺した」「韓国国民の価値観や人生体験、ライフスタイル、文化は北朝鮮より日本にはるかに近い」-。韓国で最近、韓国人の日本観と北朝鮮観を批判した英国紙記者の韓国紙への寄稿文が話題になっている。
 英紙タイムズ・ソウル特派員、アンドリュー・セーモン記者が北朝鮮による延坪島砲撃に関連し、朝鮮日報(27日付)に寄せた論評だ。韓国人が北朝鮮に“連帯感”を感じる一方で、日本に対していつも否定的な見方をしてきたことを批判している。
 論評は「砲撃事件にもかかわらず、ソウルの日常として日本大使館前では元慰安婦の老女たちによる日本批判の定例デモが静かに行われていた」と指摘した後、「韓国国民が日本より北朝鮮に同質感を感じるのはおかしい」と批判。
 飢餓と強制収容所の“ファシスト国家”である北朝鮮に比べ、日本は「今や世界で最も平和志向の国」であり、「現代の日本は北朝鮮よりむしろ韓国と似ている点が多く、韓国は北朝鮮よりはるかに日本に近い」と強調している。
 そして「北朝鮮は戦前の日本と似ている」とし、過去の日本を批判した上で、「違いといえば、日本帝国主義時代に日本のため死んだ韓民族の数より北朝鮮が殺した韓民族の数がもっと多いということだ」と指摘。北朝鮮による朝鮮戦争や飢餓、テロ、拉致、哨戒艦撃沈、延坪島砲撃での犠牲を例に挙げている。
 内容自体は外国人にとっては常識的なものだが、日本との比較論の形で北朝鮮を批判する論評が韓国メディアに登場するのはきわめて異例だ。
 セーモン記者の北朝鮮批判は激しく、「北朝鮮は共産主義国家ではなくファシスト国家だ。宣伝扇動、純血主義の主体思想、権力層の特権などはナチス指導者たちも敬礼をするほどだ」と、こき下ろしている。

◎「民間人攻撃、反人道的」北朝鮮砲撃で韓国大統領が談話(2010年11月29日、朝日新聞)
 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は29日午前、北朝鮮軍による韓国・大延坪島(テヨンピョンド)砲撃を受けて、北朝鮮を激しく糾弾する国民向けの談話を発表した。李大統領は砲撃について「民間人に対する軍事攻撃は戦時でも禁じられている反人道的犯罪」と強く非難。「北政権の残忍性に怒りを禁じ得ない」と語った。
 さらに「北が自ら軍事的冒険主義と核を放棄することを期待することは難しいとわかった」と指摘。「今後、北の挑発には必ず応分の対価を払わせることになる」と警告した。
 ただ、具体的な政策については大延坪島周辺の守備を強化することや、軍事力の強化に言及するにとどまった。中国が提案した12月上旬の6者協議首席代表による緊急会合についても触れなかった。
 一方、韓国軍によると、朝鮮半島西側の黄海で実施されている米韓合同軍事演習は29日、2日目の訓練に入った。対空防御や潜水艦探知などの訓練を行う。29日午前現在、北朝鮮軍に異常な兆候はないという。
 ラヂオプレスによると、平壌放送は28日、米韓演習を「重大な軍事挑発であり、宣戦布告」とし、「朝鮮半島情勢は爆発寸前」と非難した。

◎李明博大統領は“憤怒”、北朝鮮に「期待するのは難しい」(2010年11月29日、スポーツニッポン)
 韓国の李明博大統領は29日、北朝鮮による韓国・延坪島砲撃に関する国民向け特別談話をテレビを通じ発表。北朝鮮が自ら軍事的な冒険主義や核の放棄を行うのを期待するのは難しいとし、「これ以上の忍耐と寛容はより大きな挑発を誘発するだけだ」と強く非難、武力挑発には必ず「応分の対価」を支払わせると述べた。
 23日の砲撃後、李大統領がテレビを通じて直接、国民に呼び掛けるのは初めて。民間人も攻撃対象とした「戦時にも禁じられる反人道的犯罪」だと強調し、韓国の立場に対する国際社会の支持を訴えるとともに、挑発行為には断固とした対応を取る強い姿勢を国民の前に宣言、団結を促した
 李大統領は、1987年の大韓航空機爆破事件など北朝鮮が過去に行ったテロや武力挑発の実例を挙げた上で、朝鮮戦争休戦後に「韓国領土を直接攻撃したのは初めて」で、「これまでとは次元が違う」と指摘。韓国が対話・協力を通じ人道的支援を行った見返りは「核開発と韓国海軍哨戒艦沈没に続く砲撃」だったと批判した。
 国民の生命と財産を守ることができず「責任を痛感する」とし、砲撃への軍の初期対応などで国民を失望させる不手際があったことを認め謝罪。韓国軍を強化し、延坪島を含む南北境界水域の5島をいかなる挑発からも固守するとした。
 さらに北朝鮮政権の残酷さに憤怒せずにはいられず、世界も北朝鮮の「蛮行を糾弾している」と強調した。
 砲撃について韓国政府は、朝鮮戦争休戦協定や1992年に発効した南北基本合意書に違反し、国連憲章にも抵触するとしている。

◎黄海の南北戦力に「格差」、韓国軍部隊、大幅増強へ(2010年11月26日、産経新聞)
 北朝鮮の砲撃を受けた韓国・延坪島が位置する黄海の南北境界水域で、韓国軍の戦力が北朝鮮軍に大きく劣るとの指摘が26日までに韓国メディアで相次いだ。韓国の李明博政権は、過去にも南北衝突が繰り返され「海の火薬庫」と呼ばれる同海域への大幅な兵力増強を急いでいる。
 韓国メディアによると、北朝鮮は今回砲撃を行ったケモリ基地や茂島基地など、黄海の主要沿岸基地に数万人の兵力を配置。これに対し韓国軍は延坪島周辺を守る延坪部隊が1200人余り、西方の白●島や大青島を管轄する第6旅団が4千人余りと、兵力だけでも数倍の差があるという。
 装備面での差も歴然。北朝鮮は千門余りを、韓国側に向け黄海沿岸に集中配備しているとされる。半面、韓国側で北朝鮮陣地を直接攻撃できるのはK9自走砲と155ミリ牽引(けんいん)砲ぐらいで、延坪島と白●島に計20門ほど配備されているだけだ。

◎北砲撃、爆薬は通常の8倍、殺傷力高い兵器使用(2010年11月26日、読売新聞)
 韓国軍合同参謀本部は25日、北朝鮮軍が韓国・延坪島(ヨンピョンド)を砲撃した際、民間人の居住地域に、通常の砲弾の約8倍の爆薬を使用した多連装砲弾を使用していたことを明らかにした。
 また、26日の韓国紙「中央日報」は同国軍関係者の話として、コンクリート壁を貫通後、2度目の爆発を起こす特殊砲弾が使用されていたと報じた。殺傷力の高い兵器の使用で、韓国軍や民間人の犠牲を意図的に増やそうとした可能性がある。
 特殊砲弾は2回目の爆発時に強烈な衝撃波と熱風を放ち、コンクリートの建物内部を破壊する威力を持つ。122ミリ多連装ロケット砲で発射されたと見られ、同紙によると、軍関係者はこの砲弾で住宅地に「大規模な火炎が発生した」と指摘した。韓国軍は北朝鮮軍が発射した不発弾20発を回収し、分析を進めてきた。

◎ロケットは「大量殺傷用」韓国内で強い非難、北朝鮮砲撃(2010年11月26日、朝日新聞)
 北朝鮮軍が大延坪島(テヨンピョンド)を砲撃した際、多連装ロケットも使ったことで、韓国世論が激高している。多数のロケットが一度に広範囲な地域に着弾、大きな被害を与える兵器だ。韓国国防省は「ソウル首都圏への奇襲的な大量集中射撃も可能」とみており、市民の衝撃は大きい。
 与党ハンナラ党議員が25日、同島から持ち帰ったロケット弾の残骸(ざんがい)を公開。「北への支援が、ロケットになって返って来た」と怒った。26日付の韓国主要朝刊各紙も1面で「大量殺傷用」(朝鮮日報)などと強く非難した。
 軍事筋によれば、多連装ロケットは低い命中精度をカバーし、敵に反撃の余裕を与えない効果がある一方、必要以上の範囲を攻撃する可能性がある。韓国政府も「無差別攻撃」と非難している。
 一方、在韓米軍のシャープ司令官が26日午前、大延坪島を視察した。同島と、隣接する小延坪島の住民、計1700人のうち、残留している民間人は支援の公務員も合わせて100人程度という。

◎流したのは誰?「予備役招集」デマ、14人から聴取 逮捕者も(2010年11月26日、スポーツニッポン)
 北朝鮮による韓国・延坪島砲撃の直後、携帯電話のメールで「予備役招集」とうその情報を流したとして、韓国のソウル中央地検は26日までに、10~20代の大学生や会社員ら14人を事情聴取した。聯合ニュースが報じた。砲撃戦直後は招集のデマが飛び交い、国防省が「事実無根」と火消しに奔走するなど問題化していた。
 地検によると、大学生らは兵務庁などをかたり、「予備役の招集を命ずる。軍服を着用し部隊へ集結せよ」などのメールを知人らに送りつけた。電気通信基本法違反の疑いがあるという。各地で逮捕者も出ている。
 韓国では、多くの男性が約2年間の徴兵義務を終えた後も8年間、社会生活を送りながら定期的に訓練を受ける予備役兵士となり、有事の際に招集される。ソウルでも砲撃戦後、男性会社員らが招集への不安を口にしていた。
 国防省は砲撃戦のあった23日夜、「予備役招集の命令は事実無根。惑わされないように」との声明を発表。3月に韓国の哨戒艦が沈没した際にも同様のデマが流れ、同省が打ち消した。

◎釜山・射撃場火災、2審も実刑の被告が上告(2010年11月25日、読売新聞)
 韓国・釜山で昨年11月、日本人観光客ら16人が死傷した射撃場火災で、業務上過失致死傷の罪に問われた2人のうち、経営者イ・チャンフム被告(64)は、禁固3年の実刑とした1審判決を支持し、控訴を棄却した2審の釜山高裁判決を不服として、韓国最高裁に上告した。

◎釜山の射撃場火災、高裁も禁固3年を支持(2010年11月24日、読売新聞)
 韓国・釜山で昨年11月、日本人観光客ら16人が死傷した射撃場火災で、業務上過失致死傷の罪に問われた経営者のイ・チャンフム被告(64)と支配人チェ・ヒョンギ被告(39)の控訴審判決が24日、釜山高裁であり、金龍彬(キムヨンビン)裁判長は禁固3年とした1審・釜山地裁判決を支持し、検察、被告双方の控訴を棄却した。
 イ被告の弁護人は「被告人と相談のうえ、上告を検討したい」としている。

◎射撃場経営者らに禁固3年、釜山高裁、一審判決支持(2010年11月24日、産経新聞)
 日本人観光客10人を含む15人が死亡した昨年11月の韓国釜山市の室内射撃場火災をめぐり、業務上過失致死傷罪などに問われた韓国人経営者と管理人の控訴審判決で、釜山高裁は24日、2人を禁固3年とした一審釜山地裁判決を支持し、被告側と検察側双方の控訴を棄却した。
 火災原因について、一審判決は射撃直後に飛んだ火花や流れ弾が残留火薬に引火し、一気に燃え広がったとする捜査当局の鑑定結果を認定。高裁判決でも、流れ弾などとの因果関係を認めた。
 火災で重傷を負った長崎県雲仙市の笠原勝さん(38)は、「短い気もするが、しっかり罪を償ってほしい」と話した。

◎「現実とは思えない」、砲撃で無残な姿さらす延坪島(2010年11月24日、産経新聞)
 朝鮮戦争以降初めてとなった陸上への砲撃から一夜が明けた24日の韓国・延坪島は、大破してがれきの山となった民家が無残な姿をさらしていた。島の役場の職員は共同通信の電話取材に「あまりに突然のことで、今もまだ現実とは思えない」とぼうぜんとした。
 職員によると、午前8時ごろ、退避する住民約340人を乗せた船が島を出港。さらに数百人の住民が避難準備をしており、今日中にも大部分の住民が島からいなくなるという。未明には、消防車を載せた貨物船が到着。山火事の消火にあたりすべて鎮火したという。住民はスコップなどを手に砲煙のにおいの残る現場で破壊された住宅の撤去作業に追われた。
 一方、仁川港には現地入りしようとする数十人の報道陣が集まったが、船会社の係員は「きょうは船は出ない」と繰り返すだけ。一般人の出入りには厳しい規制が敷かれた。

◎正恩氏の軍権強化が狙いか、北朝鮮砲撃(2010年11月24日、読売新聞)
 北朝鮮は23日、黄海上にある韓国の延坪島を砲撃し、民間人に被害を及ぼす重大な挑発行為に出た。
 今年9月に朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長に選出され、表舞台に登場し、金正日総書記の後継者に確定した三男、金正恩氏の後継体制作りに関連した動きである可能性もある。軍の公式の肩書を得てデビューして間もない正恩氏の軍内部での掌握力を強化する目的との見方だ。
 韓国外交安保研究院の尹徳敏教授は「韓国海軍哨戒艦沈没事件と同様に、金正恩氏の軍に対する統制力強化のための行為とみられる。軍事挑発で、北朝鮮が願っている対米交渉がさらに困難になる可能性が高いにもかかわらず、行動に及んだ。何よりも、正恩氏の統制力強化が喫緊の課題だったからだろう」と述べ、米朝対話より、軍での権力基盤固めを優先した結果との分析を示した。
 南北間の緊張を再び極度に高めることは、飢餓に苦しむ北朝鮮国民を引き締める効果もある。実績も経験もない正恩氏の抜てきに、国内では不満の声が上がっているともされる。
 北朝鮮軍の現場の一部が、金総書記への「忠誠競争」から暴発した可能性も排除できないが、23日夜の朝鮮人民軍声明は、金総書記が最高司令官を務める軍最高司令部の名によるものだ。金総書記の指示なしに韓国攻撃はできないとの見方が支配的だ。

◎「非道な行為」オバマ大統領が激怒、北朝鮮砲撃(2010年11月24日、読売新聞)
 オバマ米大統領は23日、北朝鮮軍による韓国・延坪(ヨンビョン)島への砲撃について、ABCテレビのインタビューで、「我々は北朝鮮に圧力を加えるため、改めて国際社会を結集させている」と述べ、米韓合同軍事演習の強化など主要関係国との連携を軸に、対抗措置の本格検討に乗り出す考えを表明した。
 大統領は「適切な対応について韓国と密に相談していく」と述べた。同日夜にも李明博(イミョンバク)・韓国大統領と電話会談を行い、首脳レベルで対応策を協議する。
 今回の砲撃については、北朝鮮の「新たな挑発行為」と位置づけ、「重大かつ継続している脅威だ」として関係国に共同対処を訴えた。米国の直接の軍事行動の可能性は否定したが、「韓国は太平洋地域での米国の安全保障の礎石」と強調し、防衛の意思を鮮明にした。中国に対しては「北朝鮮に順守すべき国際的な規則があることを明確に伝えるべきだ」とし、挑発行為を行わないよう北朝鮮に影響力を行使することを求めた。
 バートン大統領副報道官は23日、記者団に対し、オバマ大統領が今回の砲撃に「激怒」し、「非道な行為」とみなしていることを明らかにした。大統領は同日午後、ドニロン大統領補佐官(国家安全保障担当)、クリントン国務長官、ゲーツ国防長官、ライス国連大使らと協議し、韓国への「揺るぎなき支援」を確認した。

◎韓国株価・ウォン急落、北朝鮮砲撃、経済への影響懸念(2010年11月24日、朝日新聞)
 今年7~9月期まで7四半期連続でプラス成長と好調を維持し、株価、通貨ウォンとも最近は上昇傾向が続いてきた韓国経済。その矢先に襲った北朝鮮の砲撃という事態に、政府当局や市場関係者は懸念を強めている。
 23日の韓国の総合株価指数は前日比0.79%下落。砲撃のニュースが最初に報じられたのは午後3時の取引終了直前だったため、影響はほとんどなくて済んだ。だが取引中にニュースが伝わった香港やシンガポールなど他のアジアの株式市場の株価は2%程度下がった。ニューヨーク株式市場も23日は取引開始直後から急落。ダウ工業株平均は一時、前日終値比で160ドルを超える下落となった。
 韓国の通貨ウォンは23日のソウル市場で、前日終値比11.8ウォン安い1ドル=1137.5ウォン。だが韓国メディアなどによると、その後、韓国外の先物相場では同1180ウォン台まで急落した。韓国内の市場関係者も息つく間もなく情報収集に追われ、ソウルの金融機関の外為ディーラーは23日夕、「今後の事態の展開次第だが、ウォン相場は当面、変動幅の大きい不安定な動きにならざるを得ないだろう」と話した。
 韓国政府や証券取引所などは非常時の警戒態勢に入り、24日以降の市場の動きを注視していく方針だ。

◎島に80発着弾、22戸火災、北朝鮮ミグ、現場へ飛来(2010年11月24日、朝日新聞)
 金泰栄(キム・テヨン)国防相は24日午前の国会国防委員会で、米韓連合軍が同日までに、北朝鮮に対する情報監視態勢のレベルを5段階の「3」から「2」へ引き上げたことを明らかにした。砲撃に使われた北朝鮮軍陣地のそばに射程100キロほどの地対艦ミサイル「シルクワーム」を配備した基地もあり、追加挑発に備える必要があると判断した。
 韓国軍によれば、今回の北朝鮮軍の砲撃は約170発に達し、うち約80発が大延坪島に着弾した。砲撃戦直前に、北朝鮮軍のミグ23戦闘機5機が現場空域に飛来したという。韓国軍もF15戦闘機の増援態勢を維持している。
 金国防相は答弁で、砲撃について「(後継者とされる)金正恩(キム・ジョンウン)の指導力を誇示し、後継体制を強化、結束させようとしている」と指摘。「ウラン濃縮公開や砲撃で韓米を挑発し、住民の離脱や不満を防ぎ、局面を転換しようとする強硬策だ」と語った。「戦争ではなく、挑発だ」とも説明した。
 李大統領は24日朝、首席秘書官会議を開いて対応策を協議した。同日中にオバマ米大統領や日本の菅直人首相のほか、独英両首脳とも会談し、協力を要請する方針だ。韓国政府は、北朝鮮の攻撃とされる3月の哨戒艦沈没の際に制裁決議を得られなかった例などを考慮し、国連安全保障理事会で砲撃事件を扱うよう要請するかどうか、慎重に協議している。
 韓国統一省は24日、韓国から開城工業団地への民間人の新たな入境を制限。北朝鮮の水害に対する人道支援も中断したと発表した。一方、在韓国連軍司令部によれば、同軍のシャープ司令官は24日、砲撃を非難し、休戦協定違反の事実を調査する考えを示した。北朝鮮軍に将官級会談の開催を求めたが、反応はないという。
 一方、大延坪島を行政区域に収める仁川市は24日朝、砲撃事件による民間人被害について「軽傷者1人」と改めて発表した。金国防相は国会答弁で、民間人の負傷者を4人と説明した。消防防災庁によれば、同島の住宅22戸が火災に遭った。島民760人が防空壕(ごう)などで過ごした。うち、お年寄りなど約250人が24日中に仁川港に到着する予定だ。

◎北朝鮮の韓国砲撃をめぐる23日の動き(2010年11月23日、朝日新聞)
北朝鮮の韓国砲撃をめぐる動き
 8:20 北朝鮮、韓国軍の現場海域での演習中断を求める通知文を発送
14:34 北朝鮮軍が砲撃開始
14:49 韓国軍が対応射撃
14:50 韓国軍、周辺海域に対して、北朝鮮軍の局地挑発に備えた最高度の防衛準備態勢「珍島犬1」を発令
14:55 北朝鮮軍の砲撃やむ
15:01 韓国軍が2回目の対応射撃
15:10 北朝鮮軍が2回目の砲撃
15:25 韓国軍が3回目の対応射撃
15:41 北朝鮮軍の2回目の砲撃やむ
15:48 韓国軍、挑発中止を求める通知文を発送
16:35 李明博大統領が外交・安全保障関係閣僚会議を開催(~21:50)
16:36 韓国行政安全省が全国家公務員に非常待機令
18:06 韓国大統領府が政府声明を発表
18:40 韓国軍合同参謀本部が記者会見
20:30 金星煥外交通商相が在韓日本大使に状況説明
20:37 李大統領が合同参謀本部を視察

◎「村全体が燃えている」「これは実戦だ」、恐怖語る島民(2010年11月23日、朝日新聞)
 「村全体が燃えている。真っ黒な煙で何も見えない」――。北朝鮮から突然の砲撃を受けた韓国・大延坪島(デヨンピョンド)の島民たちは23日、韓国YTNテレビの取材に当時の生々しい状況を語った。砲撃を受け、黒煙を上げる島の映像も公開された。
 「船に乗り込もうとしたところで砲弾が落ちてくるのを直接見て、逃げた。まだ目の前に真っ赤な火柱が立っている。いまは橋の下に約20人の住民と避難している。道路にはだれ一人としていない」
 島の生まれという40代の男性は、電話口で話した。「子どもが学校にいる。心配だ」「村が廃虚になった。震えている。早く島を出たい」
 砲撃は白昼、何の予兆もなしに始まった。50代の男性は「『これは訓練ではない、実戦だ。すぐに避難しなさい』という放送を聞き、近くの学校に逃げてきた。ここから見えるだけで10軒以上の家が燃えている」と話した。
 「みんな『戦争が起きた』と言い合っている」。被弾した集落に住むイ・ジョンシクさんは、「一発落ちるたび、すごい衝撃だった」。
 住民の一部は港へ殺到。漁船などで本土側へ自力でたどり着いた人たちもいた。ほかの住民は島内に数カ所ある防空壕(ごう)などに避難した。
 ソウル中心部から100キロ以上西の黄海に浮かぶ大延坪島は、住民千数百人の大半が漁業か農業で生計を立て、ふだんは静寂に包まれている。
 付近海域で交戦があるなど、いったん南北が衝突すると緊張が走る「海の火薬庫」のような地域ではあった。だが40代の男性は「これまでとはまったく違う」と語った。

◎SKケミカル、韓国・清州に医薬原体工場が完成(2010年11月11日、化学工業日報)
 SKケミカルが韓国・清州工場内に建設していた医薬原体(API)工場が完成、このほど竣工式を行った。天然物原料を抽出、濃縮、精製、乾燥、包装までの一貫生産工場で、生産量は年50トン。今回の投資で医薬品事業の原料基盤を強固にする。SKケミカルの新API工場は、天然物新薬の関節炎治療剤「ジョインス」およびイチョウの葉由来の血液循環改善剤「ギネクシン」の原料を生産する。同社は竣工式に先立ち、今年6月に試験生産を終え、9月には食品医薬品安全庁の認可を取得している。同工場では今後、現在臨床試験が進められている認知症治療薬、ぜんそく治療薬、胃炎治療薬など天然物新薬の原料供給を視野に入れており、医薬品事業のグローバル展開を加速していく。

◎「味が落ちる」キムチ騒動で輸入の中国白菜暴落(2010年11月4日、読売新聞)
 韓国でキムチの原料となる白菜の品不足に対応し、政府が緊急輸入策を取った中国産白菜が、不人気で買い手が見つからず、価格が暴落する事態に陥っている。
 韓国産白菜の不足は、今夏の猛暑や豪雨によるもの。キムチを漬け込む季節に重なり、9月末には小売価格が平年比約8倍の1万2400ウォン(890円)を記録した。
 買い走りが横行し、国中が「キムチ大乱」(聯合ニュース)の様相を呈したため、政府は先月初め、年末までの緊急措置として、通常は27%に設定された輸入関税を年末までゼロ化して中国から計160トンの輸入を決めた。民間業者による輸入量は先月21日までの3週間だけで計1万100トンと、昨年1年間の約90倍に上った。
 中国産はスーパーで韓国産の5分の1近い安値で販売され、当初は店の前に買い物客が列を作ったが、先月末に韓国産の小売価格が3000ウォン(215円)前後に下がると需要は激減した。「韓国産より味が落ちる」との評判が広がった上、中国産を韓国産として売る産地偽装事件も多発し、「中国産嫌い」が広がった。ソウルの青果市場では中国産約30トンの競りに買い手がつかず、業者は次々と輸入を打ち切る始末。韓国民放テレビSBSは、「中国産はもはや厄介者」と評した。
 ただ、中国産は今後も、民間業者による契約分の計1700トンが年末までに輸入される見通し。聯合ニュースによると、北西部の仁川港付近の10か所以上の倉庫に、売れ残りの中国産が山積みになっている。ソウルの市場関係者は買い手のつかない中国産を前に、「このままでは、廃棄処分の道をたどる可能性もある」と話し、肩を落とした。

◎韓国軍、北朝鮮難民受け入れ計画を準備か、200万人に達する可能性も(2010年10月13日、産経新聞)
 13日付の韓国紙、中央日報は、北朝鮮で体制崩壊などの急変事態が起きた場合に、韓国に押し寄せることが予想される大量の北朝鮮難民の受け入れ計画を韓国軍が準備中だと報じた。韓国国防省が与党ハンナラ党議員に提出した資料で判明したとしている。
 同紙によると、急変事態発生時に陸路や海路を通じた難民は1万5千~2万人と推定されるが、北朝鮮が統制力を失った場合は180万~200万人に達する可能性もある。韓国軍はまず、南北軍事境界線近くに臨時の難民集結地を設け、軍の保護施設を経て最終的に政府の難民収容所に移送する計画だ。

◎EUと韓国、自由貿易協定に調印、日本に影響も(2010年10月7日、朝日新聞)
 欧州連合(EU)のファンロンパイEU首脳会議常任議長と韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が6日、ブリュッセルで会談し、自由貿易協定(FTA)に署名した。工業・農業製品の関税を5年以内にほぼ全廃する内容で、来年7月に発効する。EUがアジア諸国と締結する初のFTAとなり、EU側は両者間の貿易額が倍増する効果をもたらすと試算している。一方、EU市場で韓国と競合する日本への影響は大きいとみられる。
 EUの欧州委員会によると、免除される税額は年間でEU側が16億ユーロ(約1800億円)、韓国側が11億ユーロ(約1200億円)。EUが自動車に10%、テレビに14%課している関税を韓国メーカーが免れるなど、韓国製品のEU市場での競争力は高まる。一方で、韓国は電子機器・医薬品などの分野でEUの安全性基準を受け入れ、新たな試験を課さないことになり、EU側が韓国市場に参入しやすくなる。
 日本企業はEU市場で自動車、家電、電子機器などで韓国と競合している。日本政府はEU側に経済連携協定(EPA)の交渉に入るよう求めているが、EU側は「EU側の利点は少ない」として積極的ではない。

◎三井化学-湖南石化、PP触媒生産で韓国に合弁(2010年10月6日、化学工業日報)
 三井化学と韓国・湖南石油化学は5日、両社折半出資による合弁会社を韓国に設立し、ポリプロピレン(PP)触媒生産プラントを新設すると発表した。プラントは2013年4月に稼働開始し、両社が引き取る。三井化学は、触媒の外販も行っており、触媒事業の強化につなげる。湖南石化は今後のPP事業の拡大のため、PP触媒の安定確保を必要としていた。新会社の名称は湖南三井化学で、所在地は韓国・麗水。資本金は約16億円。三井化学のPP触媒技術を採用して、湖南石化第3工場内に設置するプラントで、三井化学および湖南石化から受託を受けて汎用PP触媒を生産する。11年12月に着工する。生産能力、設備投資額は非公表。

◎韓国、太陽電池関連企業が相次ぎ能力増強へ(2010年10月5日、化学工業日報)
 韓国企業が相次いで太陽電池事業を強化している。ハンファL&Cは2015年までに年産5万トンのエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)シート生産工場を新設するほか、太陽電池メーカーのミリネットソーラーは年末までにモジュールの生産ライン増設工事を行い、現行の3倍となる300メガワットの生産体制を整える。また、新盛ホールディングスも来年前半をめどにモジュール生産能力を約7割引き上げるようだ。韓国では今年、政府が太陽電池関連技術開発に約642億ウォン(約47億円)を投じるなど、官民をあげて同産業の育成に取り組んでおり、先行する欧米や日系メーカーを追撃する体制を整えている。

◎ADEKA、韓国に電材開発拠点を設置(2010年10月1日、化学工業日報)
 ADEKAは電材事業強化の一環として、韓国に先端半導体材料の研究開発拠点を設置、10月から本格稼働を開始する。特定半導体メーカーの先端プロセス向け部材を共同で開発するものだが、将来は液晶パネルやプリント配線板関係部材にまで対象を広げ、総合的な電材開発拠点とする。ADEKAは、プラスチック用添加剤や半導体成膜材料などを製造・販売するADEKAコリアの組織として、半導体材料の研究開発拠点を新設した。所在地は明らかにしていない。設備投資額は約2億円、韓国人を含む数人体制でスタートする。同拠点では、韓国のあるDRAM大手が採用する先端プロセス向けの部材を共同で開発する。数年後に実用化が想定される次世代技術は日本国内で開発を進めているが、その前に量産に入る先端技術を消費地で開発することにした。

◎JSR、韓国にLCD材料向け開発棟を新設(2010年9月22日、日刊工業新聞)
 JSRは21日、韓国での液晶表示装置(LCD)用材料の研究開発強化のため、現地法人に開発棟を新設すると発表した。韓国にLCDパネルメーカーが集積していることに対応し、開発体制を整えて、顧客対応力を強化する。100%出資のJSRマイクロコリア(忠清北道)内に、約6億円を投じて開発棟を新設する。
 従来は既存のラボ施設を使って技術支援していた。しかし、より高度な技術支援が必要になっており、新たにクリーンルームを整えた施設を建設することにした。評価装置・分析機器をそろえて顧客の求める技術支援をスムーズに行えるようにする。
 建屋は鉄骨構造3階建てで、延べ床面積は約4000平方メートル。9月内に着工し、2011年7月に稼働予定。3月に設立した中国法人とも連携する方針だ。

◎JSR、液晶材料の開発強化で韓国に新棟建設(2010年9月22日、化学工業日報)
 JSRは21日、韓国の液晶ディスプレイ材料子会社であるJSRマイクロコリア(忠清北道)に開発棟を新設すると発表した。設備投資は約6億円で、2011年6月の完成予定。韓国だけではなく、中国のユーザー向け研究開発も強化することにしており、成長市場でのシェア拡大を目指す。新設する開発棟は鉄骨3階建て、延べ床面積4000平方メートル。今月に着工する。クリーンルームを備えており、最新の評価・分析装置を導入する予定。韓国ではJSRマイクロコリア内のラボ施設を利用し現地の大手液晶パネルメーカーに技術サービスを行っていた。新たにクリーンルームを有する開発棟を設置することによって、現地で顧客ニーズに対応した製品開発を一貫して進めることが可能になる。

◎韓国「北へ先制攻撃も」国防改革で提言(2010年9月4日、読売新聞)
 韓国の国家安保総括点検会議は3日、李明博(イミョンバク)大統領に国防改革の課題を初めて報告した。
 同会議は、海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没事件を受け、安保体制や軍の危機管理を見直すために発足した。報告は、潜水艦やゲリラ攻撃など北朝鮮のあらゆる挑発に備えるとともに、韓国を挑発する意思を封じる「能動的抑止」が必要と提言した。
 提言はミサイル発射など「明確に戦争に発展すると判断できる兆候」がある場合、北朝鮮の軍施設を韓国が先制攻撃することを視野に入れた内容で、攻撃を受けた後に即時反撃するという現行の対応から一歩踏み込むものだ。

◎子どもの自殺、韓国でも、背景に受験や家庭崩壊(2010年9月2日、読売新聞)
 韓国で、小中高校生の自殺増加が大きな社会問題となっている。
 背景には、地域社会や家庭の崩壊、激しい受験戦争によるストレスがあるとの指摘が出ている。
 8月19日夜、南東部の釜山市内各地で、13~16歳の男女3人が次々に飛び降り自殺して国内に衝撃が走った。2人は親からの叱責と失恋を苦にしたものらしく、もう1人はうつ病の治療を受けていた。4月には、江原道春川市内の高校に通う親友同士の女子生徒2人が相次いで飛び降り自殺した。2人とも成績不振に悩んでいたという。
 教育科学技術省によると、2009年に自殺した小中高生は202人で、08年の137人から5割近く増加した。内訳は高校生が140人、中学生56人、小学生が6人だった。
 原因は、「家庭不和など」が69人(34%)で最も多く、「将来を悲観」の27人(13%)と「成績不振」の23人(11%)が続いた。05年には「家庭不和など」が32人、「成績不振」は10人で、09年にはともに倍増した。
 青少年問題に詳しい京畿大学の崔忠玉(チェチュンオク)教授は、小中高生の自殺急増の背景に、貧富の差の拡大や伝統的な地域社会・家庭の崩壊、若者の就職難などがあると指摘。「子どもや若者の自殺を予防する社会制度作りが喫緊の課題だ」と訴える。
 韓国メディアでは、自殺急増の原因を激しい受験競争や競争社会に求める論調が目立つ。週刊誌「時事ジャーナル」が小中高生1000人を対象に実施した調査では、約半数の479人が「自殺を考えたことがある」と回答。うち248人が、「成績についての悩み」を理由に挙げたといい、同誌は、子どもたちが親の過度の期待による強いストレスを受けていると警鐘を鳴らした。

・韓国の自殺問題
 韓国では1990年代半ば以降、自殺者増加が顕著になり、韓国統計庁によると、08年の人口10万人当たりの自殺者は26.0人。この数字は、日本の25.8人(09年。警察庁調べ)などと共に、世界的にも高い水準にある。

◎芳香族JAC、韓国SKに設備建設を発注(2010年8月30日、化学工業日報)
 シンガポールの芳香族計画「ジュロン・アロマティクス」(JAC)を推進するコンソーシアムがこのほど、設備建設を韓SKエンジニアリング・アンド・コンストラクションに発注したことが明らかになった。JACではシンガポール政府系複合企業セムコープ・インダストリーズとの間で20年間のインフラ・サービス供給契約を締結しており、2013年の完成を目指した取り組みを加速させている。

◎韓国で国際結婚の悪徳仲介業者が跋扈、花嫁のHIV感染情報伝えず(2010年8月28日、産経新聞)
 韓国で、警察が国際結婚仲介業者の一斉取り締まりに乗りだし、7月19日からの1カ月間に外国人62人を含む761人を不法営業などの疑いで検挙した。韓国では国際結婚で結ばれるカップルが近年急増。これに伴い、悪質な仲介業者が多数出現して社会問題になっている。中には外国人花嫁がエイズウイルス(HIV)に感染し、さらに結核を患っていることを隠して結婚を斡旋した業者もいる。背景には、「嫁不足」に悩む韓国農村部の男性と、「豊かさ」を求めて来韓する東南アジア女性の急増がある。(加藤達也)
 韓国警察が一斉取り締まりに乗り出したきっかけは、ある事件だった。
 「ベトナム人花嫁殺害事件」
 韓国警察当局によると、先月8日朝、釜山市に住む韓国人の男(47)が、自宅でベトナム人の妻、タクティ・ファンウンオクさん(20)を殺害した。
 タクティさんは、ベトナム南部カントーの農村出身。今年1月に結婚仲介業者の斡旋で、容疑者の男と知り合い、ホーチミン市で挙式。先月1日、韓国での新婚生活をスタートさせたばかりだった。
 新婚間もない若い外国人花嫁が夫に殺害されるという事件の衝撃は大きかったが、それ以上に問題となったのは、動機だった。
 男は警察の取り調べに、「幽霊が『殺せ』と命じる声が聞こえた」などと供述。韓国メディアは、男が「精神疾患を患っていた」と伝えている。
 事件についてまず、大きく反応したのはベトナムだった。メディアが一斉に大きく報道。ベトナム外務省報道官が「事件に衝撃を受けた」と発言し、韓国側に調査と対応策の検討を求めたことを明らかにするなど、事件は外交問題化する懸念が生じた。
 ベトナム側の反応を受け、韓国側は16日、柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商相が駐韓ベトナム大使と面会して遺憾の意を表明。再発防止を約束し、さらに同月23日に、国際会議で訪越した際にも、ベトナムのズン首相に対して再発防止に努める姿勢を示すなど、対応に追われた。
 韓国では最近、国際結婚が急増。それにつれて、結婚仲介ビジネスの市場規模も拡大し、国際結婚にからむトラブルや犯罪も正比例して増加傾向にある。
 韓国政府の推計では、2003年に約4万4千人だった韓国での外国人配偶者は、今年上半期時点で、13万6千人を超えた。
 このうち、12万人が「妻」で、ベトナムからの「花嫁」は4分の1の約3万2千人に上るという。
 国際結婚はなぜ急増しているのだろうか。その背景をソウル警察の関係者は「韓国では女性の社会進出や経済、社会活動の都市部集中現象が顕著で、農村部での嫁不足が深刻化している」と指摘。
 さらに韓国企業はベトナムなどアジアの経済急進地域での進出戦略に成功しており、こうした地域では「韓国=成功者」のイメージが固定している。
 この結果、ベトナム女性の間では、韓国人男性との結婚が一種のブームとなっているというのだ。
 韓国警察は以前から、国際結婚に絡むトラブルや事件には仲介業者の関与が大きいとの見方を示してきたが、今回は「外交問題」に発展するおそれも出てきたため、「迅速かつ、強力な防止策を講じることになった」(ソウル警察幹部)という。
 そして、一斉摘発の結果、あぶり出されたのは、「悪徳業者の質が、想像以上に悪かったことだ」と、捜査員は強調した。
 国際結婚仲介業は所管の市や道の担当部局に届け出をすることになっているが、無届けで営業していた者が414人。「在韓ベトナム大使館公式委嘱」など、公的機関をかたった誇大広告をしていた者が195人など、多岐にわたる違反や違法行為が行われていた。
 さらに深刻なのは、パートナー候補を紹介する際に、相手の健康状態や資産状況を適切に伝えないケースだった。
 ソウル近郊の京畿道高陽市内の業者は、07年、韓国人男性に対し、HIVに感染し、肺結核を患っている女性を紹介。共同生活をすれば感染する可能性があることを知りながら、黙っていたことが明らかになった。
 また、昨年9月には釜山の業者が、性感染症の梅毒に罹患(りかん)していることを知りながら、女性を斡旋していた。
 韓国警察では、こうした事例について男性が重症化すれば傷害罪などの立件も視野に入れ、今後も監視していくが、ベトナムからの「韓(カラ)行き花嫁」は、今後も増加するとみており、入国・滞在資格審査の厳格化を打ち出した韓国法務省などと連携して、対策にあたる方針だという。

◎日本企業負かしたから、韓国で反日感情高まらず(2010年8月24日、読売新聞)
 日韓併合条約の締結から100年となった22日、韓国の聯合ニュースは、サムスンやLGなど韓国を代表する企業が世界市場で日本企業を追い抜いたと指摘、「過去の対日コンプレックスを乗り越え、世界市場で日本企業を負かしたという朗報が、国民に希望を与えている」と伝えた。
 韓国では、100年を機にした反日感情の高まりは、特段見られず、関心の対象が日韓間の過去の問題より、未来に向き始めているように見える。
 背景には、経済やスポーツが好調なほか、今年11月の主要20か国・地域(G20)首脳会議や、2012年の「核安全サミット」開催国となるなど国際政治における地位も向上、国民の自尊心が満たされていることがある。
 また、菅首相の談話が、韓国で一定の評価を得ていることも、韓国民が併合100年を冷静に受け止めている理由の一つだ。

◎クロマグロ輸入、韓国から急増 漁獲制限、薄れる効果(2010年8月18日、朝日新聞)
 韓国からのクロマグロの輸入が今年に入って急増している。資源の減少が指摘されるクロマグロについて日本は世界に先んじて漁獲制限に乗り出したが、一方で日本の業者が日本近海で漁獲を増やす韓国から輸入している。資源管理を脅かす事態に、水産庁は輸入を控えるよう異例の指導を行う方針だ。
 水産庁によると、韓国からの生鮮・冷蔵クロマグロの輸入量は1~6月で919トン。2009年の年間輸入量917トンを半年間で超えた。韓国からの輸入は06年以降、毎年1千トン前後で推移してきたが、今年は急増している。
 韓国の漁船は主に、東シナ海の日韓両国で管理する暫定水域内で操業する。太平洋のクロマグロの主要漁場のひとつだ。韓国内ではクロマグロを食べる習慣は広がっておらず、漁獲の大半は日本に輸出され、ほとんどが漁場から近い福岡市の卸売市場に入る。韓国産は日本産より1~2割安いという。
 国際機関に韓国が報告した太平洋クロマグロの漁獲量は06年に833トンだったのが、08年は1563トンに増えた。それでも日本の約1万8千トン(08年)の10分の1以下だ。
 高級魚として知られるクロマグロは資源の減少が懸念され、今年3月に国際会議で大西洋産の禁輸が議論された。禁輸は回避されたが、世界の消費量の8割を占める日本は資源管理に向けて5月、太平洋産についても対策を打ち出した。幼魚の漁獲を減らし、漁船数の制限や休漁期間の導入などにより、全体の漁獲能力を現状より伸ばさないことが柱だ。
 水産庁は韓国などにも規制を働きかけているが、日本の漁獲量がはるかに多いため、韓国は自国の規制強化に消極的という。
 日本漁船が漁獲を制限しても、日本近海で巻き網で操業する韓国から輸入を増やしていては、資源管理の効果は薄れる。水産庁は、仲卸業者に輸入元のデータの提出を求め、韓国からの輸入をやめるよう近く指導する方針だが法的な拘束力はなく、効果は未知数だ。

◎フランスは返還拒否、韓国からの“略奪文化財”(2010年8月17日、産経新聞)
 日本から韓国への“文化財返還”があらためて問題になっているが、フランスは韓国への返還をいまなお拒否し続け、交渉は17年間も難航している。
 フランス所有の韓国文化財というのは、李朝末期の1866年、フランス艦隊がソウル近郊の江華島に侵攻し、島にあった王室文庫の「外奎章閣」から奪っていった文書。
 日本から“引き渡し”が予定されているのと同じ王室儀礼に関する「儀(ぎ)軌(き)」で、191種・297巻がフランス国立図書館(BNF)に所蔵されている。
 韓国の返還要求に対し1993年、当時のミッテラン大統領が訪韓の際、うち1巻を「永久貸与」として韓国政府に引き渡した。フランスとしては韓国への高速鉄道売り込みの“手みやげ”だった。
 韓国側はこれをきっかけにすべての返還を期待し交渉を続けたが進展はなかった。最近、韓国政府は「永久貸与」式の“返還”を打診しているが、フランスは応じていないという。
 フランス側は文書の所有権はあくまでフランスにあるとし「返還」には強く反対してきた。「永久貸与」も国内法上、問題があるほか、数多くの他の外国文化財の返還問題にも火が付く恐れがあるため、決めかねているという。
 フランスは韓国からの明らかな“略奪文化財”であっても「返還」には応じていないのが実情だ。
 今回、菅直人首相の「首相談話」は韓国側に「返還」ではなく「お渡ししたい」としている。いわば「無償譲渡」という感じだ。対象は日本政府(宮内庁)保管の「王室儀軌」167巻というが、これが日本側に渡った正確な経緯は日本統治時代(1910~45年)を含め、必ずしも明らかでない。
 日韓間では1965年の国交正常化の際、文化財返還も交渉の対象になり、双方の政府合意で一定のものは返還された。
 しかし韓国側は「まだ日本には数多くの韓国文化財が存在する」とし、略奪とは関係ない売買、収集などによる民間所有のものを含め、返還を求める声が続いている。

◎リチウムイオン電池、韓国企業が一気に台頭(2010年8月15日、朝日新聞)
 携帯電話やパソコンに使うリチウムイオン電池は、日本の電機産業がいま最も世界で輝いている分野といえる。しかし最近、成長著しいエコカー向けで韓国企業の攻勢が目立つ。かつて圧倒的にリードしながら韓国勢に追い抜かれた、半導体や液晶パネルの「二の舞い」になると心配する声も出る。

・自動車向けに力
 7月半ば、米ミシガン州ホランドで、韓国LG化学のリチウムイオン電池工場の起工式があった。2013年までに電気自動車(EV)向けで年6万台分の電池の生産能力を確保する。すでに米ゼネラル・モーターズ(GM)のEV「シボレー・ボルト」への搭載が決まっている。
 起工式にはオバマ米大統領も出席。LG化学は「外国企業の起工式への参席は異例。技術力が認められた」。大統領と握手する具本茂(ク・ボンム)LGグループ会長の写真は、韓国紙の1面を飾った。
 LG化学は90年代末にリチウムイオン電池に参入。昨年から今年にかけて世界の自動車大手などとの契約を続々と発表。部品メーカーを含む計7社を供給先として確保した。「年内にさらに欧州や日本メーカーからの受注を発表できるだろう」。7月下旬にソウルであった業績説明会でLG化学の金磐石(キム・バンソク)副会長はこう語り、10社程度に増えるとの見通しを示した。
 素早い集中投資はもはや韓国企業のお家芸とも言える。
 韓国中部の忠清北道・梧倉。周辺にマンションが林立する広大な工業団地の一角にあるLG化学の工場でも、13年までに1兆ウォン(約730億円)を投じて新ライン建設が進んでいる。欧州などでの工場建設も検討している。
 90年代初めにソニーが初めて製品化に成功したリチウムイオン電池は、長く日本勢の独壇場で、今も日本メーカーが世界の上位にある。
 しかし、ここ数年で韓国や中国勢が急速に台頭。韓国勢は自動車向けで一気に攻勢をかけている。

・政府も全面支援
 韓国勢の主要部材の国産化率は20%に満たない。多くを日本からの輸入に頼るが、完成品をつくる段階での「集中投資による効率生産とコスト競争力が強み」(日本の業界関係者)。かつてみるみるうちに日本勢を追い抜いた半導体や薄型テレビの液晶パネルと同じやり方だ。
 世界シェア3位のサムスンSDIも08年、ドイツの自動車部品大手ボッシュと自動車向け電池の合弁会社を設立した。独BMWなどへの供給が決まり、11年の量産開始をめざして韓国に新工場を建設中だ。自動車向け電池はサムスングループが注力する次代の成長事業で、20年までに5兆4千億ウォン(約4千億円)を投資する計画だ。
 韓国勢では後発のエネルギー大手SKエナジーも7月末、韓国中部に自動車向けリチウムイオン電池の新ライン建設を発表している。
 韓国政府も「韓国産業の成長エンジンになる可能性が高い」(知識経済省関係者)とみて全面支援する。7月にリチウムイオン電池を中心にする二次電池産業で、今後10年間の「競争力強化方案」を発表。電池生産で世界1位、素材の国産化率も75%に高める目標を掲げた。研究開発などに官民で15兆ウォンを投じ、専門家や素材産業の育成などを進めるという。リチウムを確保するため、資源外交にも力を入れている。

・日本勢、効率化で対抗
 自動車向けリチウムイオン電池を今後の収益源として見込む日本勢にとって、韓国企業の台頭は、やはり意識せざるを得ない。
 「競争に勝つには経営のスピードアップが必要だ」。7月29日、三洋電機の完全子会社化を発表したパナソニックの大坪文雄社長は強調した。
 今回のグループ再編の目的は、ずばり自動車向けリチウムイオン電池事業の強化だ。三洋ブランドを失う子会社化を三洋側が受け入れたのも、韓国勢の猛追を肌で感じているからだ。
 リチウムイオン電池で世界首位の三洋は、自動車向けでは独フォルクスワーゲンなど3社と供給契約を結ぶが、いずれも共同開発などの段階で、量産車への搭載はまだ決まっていない。「技術への評価は高い」(幹部)というが、社内に危機感は強い。「一瞬の判断の遅れが致命的。(韓国勢は)親子バラバラで勝てる相手じゃない」と佐野精一郎社長は話す。
 当面の課題はパナソニックと三洋が別に進めてきた電池工場の効率化だ。今年3月から来年にかけ、三つの工場が稼働する。韓国勢に対抗するため、どう連携して無駄を省き、コスト競争力や生産性を高められるか、が問われる。
 日本ではNECが日産自動車と合弁するなど、自動車向けリチウムイオン電池は電機大手を中心に数社が開発を競い、ソニーも参入をうかがう。「長期的に生き残れるのは世界で5社ほど。日本はプレーヤーが多過ぎる」と、電機業界団体幹部は危ぶむ。「リチウムイオン電池も半導体の二の舞いになりかねない」。この幹部の頭にあるのは、投資戦略で韓国、台湾勢に後れをとり、競争力を失った半導体事業の失敗だ。(稲田清英=ソウル、上栗崇、五郎丸健一)

◎韓国:ソウルで「バス恐怖症」広がる、CNG車爆発事故で(2010年8月13日、毎日新聞)
 ソウル市内を走る、圧縮天然ガス(CNG)燃料の市内バスが今月9日夕、走行中に爆発し乗客ら17人が重軽傷を負う事故が起きた。床下のガスタンクが破裂した可能性が高く、市民の中には通勤手段を地下鉄やタクシーに代えるなど「バス恐怖症」が広がっている。
 警察当局者は「バスの床下にあった8本のタンクのうち1本が破裂しており、タンクに欠陥があった可能性が高い」と語った。
 ソウル市はバス会社が所有する市内路線用バスの95.8%にのぼる、計7234台の天然ガス燃料バスを点検した。その結果、ほとんどが強度の低いアルミニウムやステンレス製タンクを使用していることが判明した。
 韓国メディアは、ソウル市関係者の「昨年、バスメーカーに強度の高いタンク導入を勧告したが、値段が高いとの理由で難色を示された」との発言を伝えた。2005~08年にかけ、全土で天然ガス燃料バスの爆発事故が7件あったことも明らかになり、市民の不安は一層高まった。
 12日付の朝鮮日報によると、事故翌日の10日夕方から夜の帰宅時間帯にソウルの地下鉄を利用した乗客数は前週の42万7000人から48万人に急増した。さらに「(床下にタンクがある)バス前方には空席があったが、みんなそこには座らず、後方に立ったまま乗っていた」との市民の不安の声を伝えた。李明博(イミョンバク)大統領は関係部署に「バスの徹底点検」を命じ、国民の不安解消に努めている。

◎韓国:「グーグルコリア」捜索、通信秘密保護法違反容疑で(2010年8月13日、毎日新聞)
 韓国警察庁のサイバーテロ対応センターは10日、インターネット検索大手の米グーグル韓国法人「グーグルコリア」を通信秘密保護法違反容疑で捜索した。聯合ニュースが報じた。
 報道によると、同社は街並みの風景画像をネット上で無料公開する「ストリートビュー」のサービス開始を計画。車両にカメラを載せて映像を撮影しながら、街に設置してある無線LANの機器に付いているシリアルナンバーの情報も集めていたが、同時に個人間の通信情報も蓄積していたという。
 グーグルコリアの幹部は、聯合ニュースの取材に対し「グーグルは韓国を含む世界各国でストリートビューの撮影と関連し意図せずに個人情報が収集されたという事実を知り、撮影を即刻中断した」と説明。個人情報の違法な利用はないと強調した。

◎韓国政府、「お渡し」を意図的に「返還」と翻訳(2010年8月12日、産経新聞)
 12日付の韓国紙、中央日報によると、韓国政府は、日韓併合100年に際した菅直人首相の謝罪談話の一部を、意図的に変え韓国語に翻訳していた。「朝鮮王室儀軌」などの図書を韓国に「お渡し」という表現が、「返還」に修正され、外交通商省も12日、この事実を認め、修正を正当化した。
 外交通商省による翻訳文は10日に韓国メディアに配布された。しかし、韓国各紙は、11日付で掲載した談話の全文や要約では「返還」ではなく、「お渡し」を意味する「引渡」という表現を使っている。
 外交通商省の修正について、中央日報は「使われた用語が気に入らないからといって、他国の首相談話を自らの気分に合わせ変えて翻訳していいのか。むしろ正確な表現を通じ、日本政府がどのような考えをもっているのか国民に知らせるのが道理だ」と批判した。
 菅首相は「お渡し」としたことについて「朝鮮王朝時代からの資料は、請求権など法的なものは完全に解決済みとの立場だ」と説明している。
 一方、外交通商省の報道官は12日の定例記者会見で、翻訳文は「日韓間の合意の下で用意されたものではない」としたうえで、「韓(朝鮮)半島から不法に搬出された文化財が元の場所に戻ってくる場合、『返還』が自然な表現だ」と主張した。

◎旧日本軍の防衛拠点、済州島に120か所(2010年8月11日、読売新聞)
 太平洋戦争末期、旧日本軍がいわゆる本土決戦に備えて、日本統治下の済州島(チェジュド)(韓国)に建設した特攻艇基地などの戦争遺跡が120か所以上も残っていることが、日韓の研究者らの調査で明らかになってきた。
 韓国では歴史・平和教育に活用する取り組みが進み、日本でもアジアを巻き込んだ戦争の実相を示す遺跡として関心が高まっている。
 済州島は香川県ほどの面積で、長崎県・五島列島の西約200キロにある。軍事施設建設は1945年3月から、日本兵7万人余と朝鮮人を動員、急ピッチで進められた。終戦後は多くが放置されてきた。調査は地元の済州大の趙誠倫(チョソンユン)教授と日本の高校教諭塚崎昌之さん(大阪府吹田市)らが2005年から進めた。
 島東部の世界自然遺産の小火山、城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)(182メートル)には特攻艇「震洋」の基地があり、第45震洋隊の約190人が駐屯。海岸沿いのがけで幅・高さ2~4メートルの横穴18本(総延長526メートル)が確認された。資料や規模から50隻の艇を隠したとみられる。
 南西部の松岳山(ソンアクサン)には16本の横穴(同379メートル)があった。配備はされなかったが、人間魚雷「回天」の基地として建設されたらしい。その北の内陸部の釜岳(カマオルム)では要塞(ようさい)用の横穴17本(同1.9キロ)が確認された。
 松岳山の近くのアルトゥル飛行場があった場所には、幅20メートル、高さ4メートル、奥行き10メートルほどの軍用機掩体壕(えんたいごう)(格納庫)19基が残っていた。近くのセッアルオルムには洞窟(どうくつ)陣地が築かれ、高射砲台跡も見つかった。済州歴史文化振興院の李允?(リユンヒョン)研究員によると、島内には約400の小火山があり、その地形を利用して建設された軍事施設は120か所余りにのぼるという。
 これらの一部では、個人が平和博物館を開いたり、住民グループが平和ガイド活動をしたりしており、平和公園整備の構想も進む。ガイド養成講座も開いている趙教授は「記憶を持つ人がいるうちに、植民地支配や戦争の実相を語り継ぐことが必要」と話す。
 日本でもこの1年、沖縄県で写真展やシンポジウム、本土決戦に備えて松代大本営が築かれた長野県で趙教授との交流会が開かれた。同県立松代高校は一昨年から2年間、修学旅行で同島の戦跡をめぐった。
 戦争遺跡に詳しい琉球大の池田榮史(よしふみ)教授(考古学)は「アジアの戦跡を知ることは、われわれが戦争の被害者であるだけでなく、加害者でもあったことを理解する助けになる。戦争について学びを深める良い機会になる」と話している。(玉城夏子)

・本土決戦
 フィリピンの陥落後、大本営は日本本土で決戦を行う方針を固め、1945年1月に「帝国陸海軍作戦計画大綱」を決定。上陸が予想された沖縄や済州島を、本土決戦前に敵戦力の消耗を図る持久戦の地域と位置づけ、防備強化を進めた。

◎韓国グーグル、ストリートビューで無断情報収集か(2010年8月11日、読売新聞)
 聯合ニュースによると、韓国警察庁は10日、米グーグルの韓国法人「グーグル・コリア」(ソウル市)を通信秘密保護法違反の疑いで捜索した。
 インターネット上で街並みの画像を閲覧できるサービス「ストリートビュー」に関連し、通信内容など個人情報を無断で収集した疑いがあるという。
 警察関係者によると、グーグル・コリアは位置情報サービスの機能向上のため、無線LAN網を構築するために街頭に設置された機器の固有番号を収集していたが、その際に無線LANを使って送受信されたメールなども集めていたとされる。
 米グーグルは今年5月、ドイツ当局の要請で社内調査を行った結果として、「ストリートビュー」の情報収集車が無線LANの基地局の位置情報を集めていた際、無線LANを通じて個人情報まで誤って収集していたと発表している。

◎グーグルコリア、韓国が強制捜査、誤って個人情報収集(2010年8月11日、朝日新聞)
 韓国警察庁は10日、個人の通信情報を無断で収集したとして、通信秘密保護法違反の疑いで米ネット検索最大手グーグルの韓国法人「グーグルコリア」を強制捜査し、関連書類などを押収した。警察当局などによると、道路沿いの風景写真をインターネットで提供する「ストリートビュー」用の撮影車が、無線LAN経由で送られた個人情報を誤って集めていたという。韓国政府関係者は「米国など世界各地で起きている問題と同じ事案だ」と語った。

◎韓国:開城工業団地の労働者、5%賃上げで北朝鮮側と合意(2010年8月7日、毎日新聞)
 韓国統一省は6日、開城(ケソン)工業団地で働く北朝鮮労働者の最低賃金を現行より5%引き上げ、約60.9ドル(約5250円)とすることで北朝鮮側と合意したと発表した。今月から実施し、1年間適用される。
 千海成(チョン・ヘソン)報道官によると、開城工団管理委員会と北朝鮮の中央特区開発指導総局が5日に協議し、決めた。07年から4年連続で5%ずつ上昇することになる。開城工業団地では北朝鮮労働者約4万3450人(5月末現在)が働いている。

◎韓国首相が辞意、省庁移転計画めぐり引責(2010年7月30日、読売新聞)
 韓国の鄭雲燦(チョンウンチャン)首相は29日、記者会見で、辞意を表明した。
 中部・忠清南道(チュンチョンナムド)に行政都市を建設して中央省庁を移転する計画を白紙撤回するための修正関連法案が6月に国会で否決されたことへの責任を取るとしている。
 李明博(イミョンバク)大統領は辞意を受け入れる意向で、8月上旬をめどに後任首相を任命する方針。
 省庁移転計画は、盧武鉉(ノムヒョン)前政権が決定したが、李現政権は、昨年9月に就任した鄭首相主導の下、行政の非効率化につながる省庁分散を中止し、企業や大学などの誘致を柱とした「教育科学経済都市」に転換するよう修正。しかし、国会は修正法案を否決、計画は原案通り進められることになった。

◎喫煙タクシー運転手は120万ウォン罰金刑(2010年7月29日、中央日報)
 ソウル市は28日、早ければ8月から車内喫煙をするタクシー運転手は120万ウォンの罰金を科すと明らかにした。
 タクシー内の運転手たちの喫煙に多くの乗客たちが間接喫煙に対して不満を吐露しており、ここに市内タクシー会社は8月中旬から車内喫煙を禁じるよう指示した。
 もしタクシー運転手たちが喫煙をして警察に摘発されたり乗客がこれを知らせたりした場合、タクシー会社と運転手は120万ウォンの罰金を支払う。不履行時はこのタクシー会社の営業が止められる。

◎25~29歳女性の59%が未婚、「シングル比率」が30年間で5倍に(2010年7月29日、東亜日報)
 25~29歳の女性のうち、結婚していない女性の割合がこの30年間で5倍近く増えている。韓国保健社会研究院のピョン・ヨンチャン選任研究委員は28日、「結婚と出生率」という報告書で、25~29歳の女性の未婚率が、1975年の11.8%から05年は59.1%へと増えたと明らかにした。20代後半の女性の5人に3人が結婚していない格好だ。
 同期間、20代前半(20~24歳)の女性の未婚率は、62.5%から93.7%に高まった。また、同30代前半(30~34歳)の女性の未婚率は、2.1%から19%と、30代後半(35~39歳)は、0.7%から7.6%に上昇した。
 平均の初婚年齢は、1981年男性は26.4歳、女性は23.2歳だったが、08年には男性31.4歳、女性28.3歳との調査結果が出た。男性の初婚年齢は5.0歳、女性は5.1歳遅れている。
 結婚についての価値観も大きく変わった。昨年既婚女性3585人と未婚男女3314人を対象に結婚および出生動向調査を分析した結果、「結婚は必ずしなければならない」という意見に既婚者は14.1%、未婚者は20.3%だけが同意した。
 「結婚はしない方がいい」という意見には、既婚者の5%、未婚者の2.6%が同意した。離婚や別居を経験した人は、「結婚はしない方がいい」という意見に24.2%、12.8%が同意した。
 「結婚はした方がいい」という意見には、既婚者の49.7%、未婚者の46.4%が、「してもいいし、しなくてもいい」という設問には、既婚者の31.1%、未婚者の28.3%が賛成した。
 結婚しない理由については、未婚男女の54.9%が「まだ結婚するには早い年齢だ」や、「教育をもっと受けたくて」「自己達成と自己開発のため」など、プライベートな事由を掲げた。所得、結婚費用、雇用不安など、経済的な理由を挙げた未婚男女は31.9%だった。
 ピョン研究委員は、「韓国で女性の未婚率増加と晩婚化は、少子化の直接の原因だ。住居と教育問題に国が積極的に取り組むなど、結婚にやさしい政策を施して初めて、未婚率の増加に歯止めをかけることができる」と述べた。

◎LG化学の2次電池研究員に競争会社への転職禁止判決(2010年7月29日、東亜日報)
 国の10大新成長エンジン産業の一つとされる2次電池製造の先導メーカーであるLG化学の中核研究員らが、最近外資系のライバル会社に転職しようとしたところ、裁判所の仮処分の決定でブレーキがかけられた事実が分かった。
 ソウル中央地裁民事合意50部(崔成俊・部長判事)は、LG化学が同社のバッテリー研究所に勤めていた研究員6人を相手取って出した転職禁止と営業秘密侵害禁止の仮処分の申請で、李某氏ら4人に対し、「退社日から1年~1年6ヵ月間、米A123システムズの子会社エナーランドへ転職できない」という決定を下したと28日、明らかにした。
 この4人を含め、既にA123システムズへ転職した電解液開発担当チーム長のチョ某氏と電池生産工程を管理していた李某氏に対しては、「(LG化学で取得した)営業秘密を使ったり、エナーランドなど第3者に提供したり公開してはならない」と釘を刺した。
 A123システムズは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)出身の研究員が設立した2次電池メーカーで、フォード、GMなど、電気車用のバッテリー供給契約をめぐってLG化学と競争を繰り広げた2次電池業界の「ライバル」。エナーランドはA123システムズが100%株式を保有している子会社だ。

◎修復された光化門、独立記念日に一般公開(2010年7月29日、東亜日報)
 28日午後、仮設のプレハブが撤去された後、姿を現した光化門(クァンファムン)。06年12月原形修復作業を開始した光化門は、第65周年の独立記念日の8月15日に一般に公開される。

◎韓国、ベトナム人花嫁急増で問題続出、両国関係に波紋(2010年7月26日、朝日新聞)
 【ハノイ=牧野愛博】韓国とベトナムの関係が国際結婚問題を巡って揺れている。発端は、8日に韓国・釜山で起きた「ベトナム人花嫁」の殺害事件。ベトナムでは政府やメディアが強い関心を示しており、柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商相が23日にハノイでベトナムのズン首相に再発防止に努力する考えを伝えるなど、韓国政府は対応に追われている。
 韓国警察当局によると、韓国人の男(47)が8日朝、釜山市内の自宅でベトナム人の妻(20)を殺害した。男は精神的に不安定で「妻を殺せという幻聴が聞こえた」と話しているという。2人は今年1月に業者を通じて結婚し、妻は今月1日に韓国に到着したばかりだった。
 ベトナムのメディアは事件を、結婚式当時の2人の写真と一緒に大きく報道。ベトナム外務省報道官は15日、「事件にショックを受けている」と発言し、韓国側に調査と対応策を求めたことを明らかにした。
 ベトナム側が大きな関心を寄せる背景には、韓国で頻発する国際結婚を巡るトラブルがある。韓国では近年、農村部が抱える「嫁不足」の問題から国際結婚が急増。2003年に約4万4千人だった外国人配偶者は、今年5月時点で約13万6千人に急増、このうち外国人妻は約12万人を占める。経済的な事情からベトナム出身者が多く、韓国人と結婚したベトナム人女性は約3万2千人と全体の4分の1を占める。
 ただ、十分な意思疎通のないまま結婚をあっせんする仲介業者も多い。韓国政府機関の移住女性緊急支援センターによると、ベトナム人妻から「韓国人男性が一方的に配偶者を選んだ」「暴力をふるわれた」といった相談が絶えない。昨年の相談件数は1万4千件を超え、3年前の40倍以上に達している。
 問題はベトナムだけにとどまらず、カンボジアでも政府が3月、一時的に韓国人との国際結婚を禁じた。
 韓国政府も今回の事件を深刻に受け止め、李明博(イ・ミョンバク)大統領は19日の首席秘書官会議でこうした国際結婚を「デタラメな結婚」と非難。再発防止策をとるよう指示した。
 法務省が国際結婚のためのビザ取得の厳格化に乗り出したほか、警察庁は仲介業者の集中取り締まりを開始。今回の事件では、外交通商省が16日、遺族あての弔慰金を駐韓ベトナム大使に託した。

◎米大統領の異例の出席、LG化学、イメージ向上に期待感高まる(2010年7月17日、東亜日報)
 バラク・オバマ米大統領が、LG化学が電気自動車用バッテリーの米現地工場の起工式に出席すると、LGは、「オバマ効果」への期待を隠せずにいる。米大統領が異例に、外国企業の起工式に訪れただけに、世界的にLGPR効果を収めることができるだろうと言う声も出ている。
 LG側はまず、LGグループ全体のブランドイメージや親しみが急上昇するだろうと見ている。これまでのLGのイメージは、LG電子を通して構築されたもので、親しみやすくやさしい感じがほとんどだったと言う。しかし、今回のオバマ大統領の訪問をきっかけに、先端技術力を持った企業だと言うイメージが加わるものと見ている。
 LG化学の関係者は、「電気自動車向けバッテリーを作る第2次電池分野は、先端技術力の勝負どころだ」とし、「オバマ大統領の訪問を通じ、『技術のLG』のイメージが広がることになるだろう」と語った。特に、起工式の現場でオバマ大統領と具本茂(ク・ボンム)LGグループ会長が会って、握手する写真の後ろに、LGロゴが登場したことに大変喜んでいる。
 LG化学はまた、「米大統領も認めた企業」という、金では換算できないほどのPR効果も期待している。本格的な競争に突入した電気自動車向けバッテリー市場で、先頭企業として位置づけられることができたと言う。
 LG化学は、米自動車メーカー「ビック3」のうち、ジェネラルモーターズ(GM)やフォードの2社に対し、電気自動車向けバッテリーを供給することになっている上、米大統領まで招いたことで、「世界最高」という名声を固めることができた。
 ハイブリッド車を含め、電気自動車市場の70%ほどを占めている米市場を攻略するにも、大きく役立つものと見られる。LG化学は、今年下半期に米国で電気自動車向けバッテリーの供給会社を3社程、さらに増やせるものと期待している。
 LG化学のこのような成功の背景には、具会長特有の「意地経営」がある。LGグループの主要系列会社の社長らと役員らは01年と06年の2回に渡って、赤字が続いた第2次電磁事業から撤退すべきだと言う意見を出したが、具会長は返って、「今こそスタートだ」と励ましたと言う。
 具会長は、「決して諦めず、研究開発に専念せよ」と指示し、結局、LG化学は07年から収益を上げ始めている。

◎オバマ大統領、LG化学の米工場起工式で祝辞(2010年7月17日、朝鮮日報)
 バラク・オバマ米大統領が15日(現地時間)、LG化学の電気自動車用バッテリー工場の起工式に参加した。米国の現職大統領が、米国企業ではなく外国企業のイベントに参加するのはかなり異例のことだ。
 オバマ大統領はこの日、ミシガン州ホランド市の起工式会場で具本茂(ク・ボンム)LGグループ会長と会い、韓国語で「アンニョンハセヨ(こんにちは)」とあいさつした後、英語で「電気自動車用バッテリー工場の建設をお祝いする」と話した。具会長はこれに対し、「来ていただき感謝する」と答えた。
 オバマ大統領は祝辞で、「これは新工場の建設以上を意味する。この町や州、米国の新たな未来を建設するものだ」と評価した。また、「この工場で数百人が働くことになり、これによって小規模な企業の基盤も確保される。こうした努力が米国経済の発展に寄与するだろう」と語った。
 オバマ大統領は、米国経済は困難に直面しているが、エコカーの量産を通じて未来型の雇用を創出し、外国に対する原油依存度も減らせると強調した。そして、「この工場はミシガン州と米国が進む方向を示す象徴だ」と指摘した。
 この日のイベントにはミシガン州のジェニファー・グランホルム知事、ホランド市のカート・ダイクストラ市長、具本茂LGグループ会長、金磐石(キム・バンソク)LG化学副会長などが出席した。
 金副会長は、「LG化学が他国のライバルをリードし、成長できたのは、それだけの技術力があったからだ。年内に3、4社と追加の供給契約を締結する予定だ」と語った。
 LG化学はホランド市の50万平方メートルの敷地に総額3億300万ドル(約263億円)を投じ、ゼネラルモーターズ(GM)の電気自動車「ボルト」に供給する電気自動車用バッテリー工場を建設する予定だ。工場が完全稼動すれば、2013年までに電気自動車6万台に供給できるバッテリーの生産が可能で、直接的に約500人の新規雇用が見込まれている。

◎オバマ大統領「LG工場は米国のグリーン政策の象徴」(2010年7月17日、朝鮮日報)
 15日、オバマ米大統領が参加する中、LG化学の電気自動車用バッテリー工場の起工式が開かれた米ミシガン州ホランド市。ここは、オランダ移民が主に暮らす人口約3万5000人の小都市だ。オバマ大統領がこの地を訪れたのは、LG化学の工場が自らが推進するエコエネルギー政策とグリーン産業育成政策の象徴になると判断したためだ。

・LG工場は失業率13%のホランド市に活路
 LG化学は総額3億300万ドル(約263億円)を投資し、2013年までに電気自動車6万台に供給できるバッテリー工場を建設する計画だ。この投資額のうち1億5100万ドル(131億円)は連邦政府の補助金、1億2500万ドル(108億円)はミシガン州政府の税金減免特恵でまかなわれる。資金の80%を、米国連邦政府と州政府が援助することになる。
 この日の起工式に出席したある住民は、「以前は5%にすぎなかったホランド市の失業率が、現在13%まで高まった。そのため、雇用の機会をもたらす工場が建設されるのはとても喜ばしいことだ」と話した。食品加工や家具製作と共に、同地域の主要な雇用を提供した自動車部品工場が閉鎖されたため、失業者があふれている状況だ。
 ホランド市と米ミシガン州は、雇用を創出するLG化学を誘致するため必死に取り組んだ。ホランド市のボブ・エリス商工会議所理事は、「LG化学が急きょ、当初予定していた敷地の2倍ほどが追加で必要になったと言うので、すぐに会議を招集し、わずか1日で追加の敷地を確保する決定を下した」と話した。地域市民団体「レイクショア・アドバンテージ」のジェニファー・ラインアート氏は、「この工場は若い世代に未来の職場の姿を見せてくれる」と話した。
 LG化学がバッテリー工場の運営を通じて創出する直接的な雇用は約500件。ミシガン州のジェニファー・グランホルム州知事は、「これを皮切りに、バッテリーや電気自動車産業で6万2000件の雇用が見込まれる」と話した。

・LG工場はオバマ大統領のグリーン産業育成の象徴
 オバマ大統領はLG化学のバッテリー工場を、自身が注力するエコエネルギー政策とグリーン産業育成が具体的に実を結び始めた象徴と見なしている。オバマ大統領は就任直後から燃費改善義務化などエコ規制を一層強化し、電気自動車の生産者や購入者に対して補助金を支給するなど、強力なエコエネルギー政策を推進している。
 特に、LG化学のバッテリー工場は、ゼネラル・モーターズ(GM)が野心的に準備を進めている電気自動車「ボルト」にバッテリーを供給するほか、フォードの電気自動車「フォーカス」にもLG化学のバッテリーが使用される点に注目している。没落した自動車王国「ビッグスリー」が未来の車を前面に打ち出して復活する姿を見せようとしているわけだ。この日、オバマ大統領は演説前に、イベント会場に展示されたGMのボルトとフォードのフォーカスに試乗し、直接ハンドルを握るなど上機嫌な様子だった。オバマ大統領は、「ここで生産されるバッテリーは、今後皆さんが乗る自動車と同じく、“メード・イン・アメリカ”のマークが付けられる」と語り、LG化学のバッテリー工場について、「ここはミシガン州と米国が進む方向を示す象徴だ」と発言した。

◎性犯罪者の薬物治療法可決、韓国、子ども被害対象(2010年6月29日、産経新聞)
 韓国国会は29日の本会議で、子どもを狙った性犯罪者に対し、性衝動を抑える薬物治療を行えるようにする法案を可決した。聯合ニュースが報じた。
 法案では、19歳以上の性犯罪者ならば、常習者だけではなく初犯者にも薬物治療の実施が可能で、被害者が16歳未満の場合に対象となる。心理治療も行えるとしている。
 当初の法案名は「化学的去勢法」とされていたが、国会審議で「去勢」という言葉には抵抗感があると指摘されたため、性犯罪の「予防または治療に関する法」と変更された。
 韓国では、今年2月に南部釜山市で13歳の少女に対する暴行殺害事件が発生し、性犯罪者に対する薬物治療や電子足輪での行動規制の強化を求める声が上がっていた。

◎韓国取材陣が相次ぎ強盗被害、韓国政府が職員派遣、警戒強化、治安の悪さ「想像以上」(2010年6月7日、産経新聞)
 【ソウル=水沼啓子】南アフリカで11日開幕するサッカーワールドカップ(W杯)を取材するため現地入りしていた韓国民放局の取材スタッフが相次いで襲撃されていたことが7日、分かった。いずれも強盗目的で襲われたとみられ、韓国政府はすでに、本国から国民保護を担当する外交通商省領事部の職員を増派。韓国代表が試合を行う都市ごとに臨時領事館を設営する予定だ。
 韓国メディアの報道などによると、3日午後7時45分ごろ、ヨハネスブルク市内の中心商業地区にあるビル1階のトイレで、韓国民放局MBCと契約しているフリーランスの報道ディレクター(38)が3人組に襲われた。
 ディレクターは首を絞められた。失神している間に現金1500ドル(約13万7000円)とパスポートを奪われ、腰などにも軽傷を負った。命に別条はないが、大事を取って治療のため、すでに同国を離れたという。
 ディレクターはドキュメンタリー番組の取材で南ア入り。取材はほぼ終えており、この日は案内役の現地在住韓国人と一緒に現場建物内のファストフード店で食事を注文、1人でトイレに入ったところで被害にあった。
 ヨハネスブルク市内ではまた同日午後、レンタカーを運転して中心街ハウトン交差点にさしかかったSBS教養局のディレクター1人が、信号待ちのため停車したところ、いきなり車のドアを割られる被害に遭った。
 ディレクターが機転を利かせて車を急発進させたため、犯人はそれ以上追跡せず、強盗は未遂に終わったという。
 韓国政府は、自国民が相次いで被害に遭ったことを重視、外交通商省領事部の担当職員を現地に増員し、国民の安全確保にあたるほか、南アフリカ政府や大会本部、治安関係機関との連携を強化したという。
 今回の襲撃に韓国治安関係者は「現地の治安状況は想像以上に悪い。W杯開催期間には外国人を狙った強盗が活発化するとの情報もある。滞在外国人はホテルを一歩出ればお祭りムードでは済まない情勢にあり、旅行者はもちろん、大会関係者のセキュリティーにも万全を期すよう現地当局に要請した」としている。
 W杯南アフリカ大会の取材をめぐり、NHKを含む日本の放送各局は、安全の確保に不安があるとして、女性のアナウンサーやキャスターの派遣を見送っており、報道陣全体の規模も、前回のドイツ大会よりも縮小している。

◎韓国統一地方選で与党惨敗、代表が辞任表明(2010年6月3日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】韓国の統一地方選挙が2日、投開票され、与党ハンナラ党は、7市長と9道知事の主要16首長のうち、計6カ所での勝利にとどまり惨敗した。首都ソウル市は、同党現職の呉世勲(オ・セフン)市長(49)が野党第1党の民主党、韓明淑(ハン・ミョンスク)・元首相(66)に辛勝し、再選を果たした。
 ハンナラ党の鄭夢準(チョン・モンジュン)代表は3日午前、地方選敗北の責任を取って代表職を辞任する考えを表明した。韓国紙大手の東亜日報は同党の敗因について、韓国哨戒艦沈没事件を巡る政府与党の強硬対応への不安感や、先月に一周忌を迎えた故盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領支持勢力の復活などを挙げた。
 今回の選挙は李明博(イ・ミョンバク)政権への中間評価と位置づけられていた。沈没事件に対する強硬対応への国民の負担感が浮き彫りになったほか、中西部への首都機能移転の見直しや国内4大河川の大規模整備など、李政権が重視してきた内政課題も停滞を余儀なくされそうだ。
 中央選挙管理委員会によれば、ハンナラ党はソウル市や京畿道、慶尚北道など6カ所、民主党は仁川市や光州市、全羅北道など7カ所で、それぞれ勝利。保守の自由先進党候補が大田市で、無所属候補が慶尚南道と済州道で、それぞれ当選した。

◎韓SKC、米に太陽電池向けEVAシートの新工場建設(2010年5月28日、化学工業日報)
 韓SKCはこのほど、米ジョージア州でエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)シート工場の建設に着手した。同社は2015年までに太陽電池関連事業で売上高5000億ウォン、EVAシートの世界市場シェア25%の獲得を目指しており、新工場の建設はその一環。完成は来年内の予定で、年産1万2000トンの設備を整える。今後も海外でEVAの生産体制を拡充する方針で、15年までに年産6万トン体制としていく考えだ。SKCは太陽電池関連事業を成長戦略の柱として積極的な投資活動を行っている。昨年、韓国・水原工場でEVAシートの生産を開始したのを皮切りに、今年4月に韓国・忠清北道鎮川の新EVA工場が稼働するなどEVA事業を拡大してきた。

◎韓国大統領、哨戒艦沈没「軍事的挑発」と非難(2010年5月24日、読売新聞)
 【ソウル=竹腰雅彦】韓国の李明博(イミョンバク)大統領は24日午前、海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」が北朝鮮の魚雷攻撃で沈没したとの調査結果を受け、国民向け談話を発表した。
 大統領は、「哨戒艦は北朝鮮の魚雷による奇襲攻撃で沈没した。韓国を攻撃した軍事的挑発だ」と位置づけ、北朝鮮を非難、今後も同様の挑発があれば、「直ちに自衛権を発動する」と述べ、軍事的対抗措置も辞さない立場を表明した。国連安全保障理事会や韓国独自の対北制裁を行う考えも示し、関係閣僚が同日、具体策を発表する。北朝鮮は制裁に対し、「全面戦争で応じる」と警告しており、朝鮮半島情勢の緊張を更に高める行動に出る可能性がある。
 大統領の国民向け談話は、韓国軍・民間合同調査団が20日、科学的調査に基づき沈没原因を「北朝鮮の攻撃」と断定したことを受け、事件に対する韓国政府の評価、対応を内外に明示する意味がある。
 大統領は、「国連憲章と朝鮮戦争の休戦協定、(休戦協定順守を確認した)南北基本合意書に違反する」と非難。事件の責任を認め、韓国と国際社会に謝罪し、責任者を処罰するよう、北朝鮮に強く要求。さらに「新たな挑発行為を容認せず断固対応する」と強調した上で、北朝鮮が韓国の陸空海を侵犯すれば、「自衛権を発動する」と警告した。
 また、北朝鮮は「相応の代価を支払うことになる」と言明。国連安保理への制裁提起、韓国海域の北朝鮮船舶航行禁止、南北貿易・交流の中断などに言及した。
 韓国の外交通商、統一、国防の関係3省は、談話発表に続く異例の合同記者会見を開き、具体策を発表する。金融制裁や武器輸出禁止強化などを目指す安保理での対北制裁新決議のほか、韓国企業約100社が進出する開城(ケソン)工業団地を除く南北貿易の中断、人道支援以外の経済協力事業の全面見直し、前線地帯での対北朝鮮宣伝放送再開などの方針が示されるとみられる。
 対北包囲網をめぐっては、訪中している米国のクリントン国務長官が24日からの「米中戦略・経済対話」で、中国側と対応を協議するなど、国際的な連携強化の動きが始まっている。
 一方、北朝鮮は、20日の調査結果発表後、最高指導機関の国防委員会、対韓国窓口機関の祖国平和統一委員会などが相次ぎ声明を発表し、「南北不可侵合意の破棄」「南北関係の全面禁止」などを警告している。韓国の制裁への反発は必至で、新たな軍事挑発や南北間の陸路通行遮断など、対決姿勢を一段と強めそうだ。

◎「お前らが同じ民族なのか」、韓国主要紙、北朝鮮を批判(2010年5月22日、朝日新聞)
 【ソウル=箱田哲也】哨戒艦沈没事件は北朝鮮の犯行との調査結果が出たことを受け、韓国主要紙は21日付朝刊で一斉に大きく伝えた。大手紙は社説で厳しく北朝鮮を非難するとともに、結論の信憑(しんぴょう)性をめぐって見方が分かれる世論の結束を呼びかけた。
 東亜日報は関連記事を10ページにわたって展開。「金正日集団、お前らが同じ民族なのか」と題した社説では「北が全面挑発を仕掛けてくるなら我々は決然とした姿勢で、金正日集団を終わらせるべく万全の準備をせねばならない」と訴えた。朝鮮日報も「大韓民国、自衛権宣布し、北の挑発にくさびを打ち込め」との社説を掲げた。
 李明博政権に厳しい論調が目立つ京郷新聞やハンギョレの社説は「調査団の結論をいったん尊重せざるを得ない」(京郷)としつつ、「北の悪意を非難するのはたやすいが、正確な意図もわからないまま強硬策に出れば状況は悪化するだけだ」と冷静な対応を主張した。

◎北朝鮮の魚雷、狙いと誤算、黄海銃撃戦報復か(2010年5月21日、読売新聞)
 3月に起きた韓国海軍哨戒艦沈没の原因について、米英などの専門家も参加する韓国軍・民間合同調査団が20日、「北朝鮮の魚雷攻撃」と断定したことを受け、韓国が国連安全保障理事会による制裁強化に向けた動きを強めるなど、北朝鮮の国際的な孤立は一段と深まっている。
 北朝鮮は、なぜ自国にとって不利な状況をあえて作り出すような挙に出たのか。金正日(キムジョンイル)体制の利益につなげる計算と、誤算もあったようだ。
 「魚雷攻撃」は、金正日総書記の指示との見方が支配的だ。戦力の劣勢を補うための軍事的抑止力の誇示、後継候補とされる三男、金ジョンウン氏への権力継承と関連した軍の士気向上などを狙ったとみられる。
 専門家の多くは、「攻撃」理由として、2009年11月、黄海の北方限界線(NLL)近くで起きた南北艦艇銃撃戦で敗北した報復を挙げる。この交戦は、北朝鮮側に複数の死傷者と艦艇の損害を出す韓国の圧勝に終わり、北朝鮮軍は威信回復の反撃機会をうかがっていたとの見方が有力だ。
 銃撃戦の結果は、北朝鮮が在来型の戦力で韓国とは戦えない現実を露呈した。韓国国防研究院の白承周(ペクスンジュ)安保戦略研究センター長は「北朝鮮はハイテク化した韓国艦艇との性能差など、水上戦力の脆弱(ぜいじゃく)さを認識している。このため潜水戦力の強化で、軍事的優位を得ようとの戦略変化があった」と指摘する。
 高麗大学の柳浩烈(ユホヨル)教授も「魚雷の水中爆発で哨戒艦を撃破できる軍事能力があり、海だけでなく、陸でも空でも、変則的な打撃を与えられることを韓国にわからせた」と分析する。

・浅い海域、物証残る
 金総書記にとり、後継構図安定の核心は軍の掌握にある。最高司令官の意思を受け、報復を実行した軍は確固たる地位を築き、士気も格段に高まる。
 武貞秀士・防衛研究所統括研究官も「韓国軍艦を沈没させ、完全な『勝利』を残すことで軍の士気を高めることを狙った」とみる。
 沈没直後の4月、朝鮮人民軍の作戦を統括する金明国(キムミョングク)総参謀部作戦局長の階級が上将から大将に再昇格したことが確認されている。金局長は昨年11月の銃撃戦後、大将から上将に降格されたとされ、魚雷攻撃で復活した可能性がある。
 金総書記は金作戦局長以外にも4月、過去最多の規模となる軍幹部100人の階級昇格(将官級)を発令した。軍幹部の忠誠心を高め、後継体制の「後見役」とする思惑があるのは明らかだ。北朝鮮は昨年11月のデノミネーション(通貨単位の切り下げ)失敗で民心の急激な悪化を招いた。権力世襲を円滑に進めるためにも、軍掌握は生命線だ。哨戒艦沈没と合わせ、大量昇格で「北朝鮮軍の士気は最高の状態」との観測もある。
 北朝鮮は魚雷を船体にぶつけず水中爆発させれば、魚雷の破片などは粉々になって飛び散り、発見されるはずはないと踏んでいた、との見方も強い。物証が出なければ、白を切り通せる。だが、現場海域は比較的浅く、北朝鮮の攻撃を証明するカギとなった魚雷部品は回収された。北朝鮮は相当困惑している可能性がある。
 反対に事実を隠し通せないと覚悟していたとの解釈もある。今年は朝鮮戦争発生60年の節目だけにNLLでの緊張を高め、休戦協定に代わる平和協定締結交渉の必要性を米国に訴える思惑があったとの見方だ。

・北が「全面戦争」警告
 北朝鮮の魚雷攻撃を断定した調査結果に反発をむき出しにする北朝鮮を前にして、朝鮮半島の緊張がエスカレートする懸念も高まっている。
 「沈没原因と加害者を明白にできた」
 韓国軍の広報担当者は20日昼、1時間50分に及んだ調査団の記者会見をこう締めくくった。会見には米英などの専門家が同席。魚雷部品の実物を会見場に持ち込んで公開し、海から部品を回収した漁船の船長を呼んで記者に経緯を語らせるなど、「客観的で公正な調査結果」をアピールした。
 だが、北朝鮮の最高指導機関、国防委員会は即座に、関与を否定し、制裁が実施されれば、「全面戦争を含む強硬措置で応える」などと警告する声明を発表した。会見開始からわずか30分という異例の早さで、調査結果を「強盗的な謀略劇」と断じた。
 韓国にとっては、北朝鮮に在留する韓国企業関係者らの安全が気がかりだ。北朝鮮の開城工業団地などには20日現在、約900人の在留者がいるが、北朝鮮が通行を遮断すれば、人質になりかねない。
 北朝鮮が今月17日、最高人民会議を6月7日に開催すると発表したことも注目されている。南北関係で重大な決定が行われるとの観測もある。今後、韓国が対北制裁の動きを強め、米国がテロ支援国に再指定した場合、北朝鮮がさらに危機を高める行動に出る可能性がある。ミサイル発射や核実験などが考えられる。
 韓国が目指す国連安保理の制裁をめぐっては、慎重姿勢の中国の態度が焦点だが、専門家は「韓国がここまで客観的な証拠を挙げたのは北朝鮮には誤算だが、中国も国際的な立場上、強く反対できない」と話す。
 韓国独自でも、済州海峡の北朝鮮船舶の航行禁止、盧武鉉前政権時代に中断した前線地帯での対北宣伝放送の再開などが議論されている。米韓合同軍事演習強化も検討されている模様だ。(ソウル、竹腰雅彦、前田泰広)

◎北朝鮮、韓国発表を「でっち上げ」と否定、哨戒艦沈没「全面戦争を含む強硬措置で応える」(2010年5月20日、産経新聞)
 北朝鮮の国防委員会は20日、韓国哨戒艦沈没の調査結果について、李明博政権による「謀略」「でっち上げ」と否定、調査団を現場に派遣するとの報道官声明を発表した。朝鮮中央通信が伝えた。
 声明はまた、調査団に「いささかの疑いもない」物証を示すよう韓国側に要求、韓国の報復行為や制裁に対しては「全面戦争を含む強硬措置で応える」と警告、李政権への対決姿勢を鮮明にした。さらに、韓国と歩調を合わせる日米に対しても「物事をわきまえて行動するよう厳重に警告する」とけん制した。
 声明は、李政権が「断固たる対応」を強調していることにも反発。黄海の南北境界水域をはじめ「われわれの主権が及ぶ領海、領空、領土で発生するどのような事件も挑発とみなし、限界のない報復打撃で対応する」とした上で、強硬な対抗措置は韓国側に対する「予測できない鉄ついを下す正義の行動になる」と強調した。

◎北朝鮮声明「制裁なら即時に戦争などで応じる」(2010年5月20日、読売新聞)
 【ソウル=竹腰雅彦】朝鮮中央通信によると、北朝鮮の最高指導機関、国防委員会報道官は20日、声明を発表し、韓国海軍哨戒艦沈没の調査結果について、「政治、軍事目的のねつ造劇だ」と批判。
 北朝鮮に対する制裁が行われた場合、「即時に全面戦争を含む各種の強硬措置で応じる」と警告した。また、「物証を提示すべきだ」と主張し、国防委員会の調査団を韓国に派遣する意向を明らかにした。
 声明は、韓国の李明博(イミョンバク)大統領や金泰栄(キムテヨン)国防相を名指しで非難。黄海を含む北朝鮮の領海、領空、領土で韓国の挑発行為があった場合、「限界のない報復を行う」などとした。

◎命中しなくても撃沈、魚雷の恐るべき破壊力(2010年5月20日、読売新聞)
 魚雷は命中しなくても敵艦に接近すれば船体が発する磁気や音響を感知して爆発し、そのエネルギーによって起こる「バブルジェット」効果によって標的を破壊できる。
 海中で魚雷が爆発すると衝撃波に続いて空洞が発生し、短時間のうちに膨張して収縮する。収縮の後には狭い範囲に水圧が集中し、その結果、海面に向かって猛烈な勢いで上昇する水流(バブルジェット)が起こる。この直撃を受ければ船体は壊滅的な打撃を受ける。

◎北朝鮮「調査団発表はでっち上げ」、韓国に検閲団派遣へ(2010年5月20日、朝日新聞)
 【ソウル=箱田哲也】北朝鮮の最高指導機関である国防委員会の報道官は20日、合同調査団の発表を「でっち上げ」と主張し、検閲団を韓国に派遣するとの声明を出した。朝鮮中央通信が伝えた。
 声明は、韓国が制裁措置に踏み切れば「全面戦争を含む強硬措置」をとるとする一方、検閲団に「物証」を見せるよう求めた。韓国が準備する制裁措置を回避するため緊張を高めつつ、沈没事件を南北対話再開の契機にする狙いとみられる。

◎韓国外相「魚雷で真っ二つ」、20日に哨戒艦沈没報告書(2010年5月20日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】韓国の柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商相は19日の講演で、3月末に起きた韓国哨戒艦の沈没原因が魚雷であると明言した。国際軍民合同調査団は20日の最終報告書に「北朝鮮による攻撃」と明記する方向で調整しており、朝鮮半島の緊張は高まりそうだ。
 柳外相は19日、調査団の結論として「魚雷による強い水中爆発が、韓国の軍艦を真っ二つにして沈めた」と語った。そのうえで「政府は断固たる方法で適切な措置をとる」とした。講演後、北朝鮮による攻撃かどうかを尋ねた記者団に対し、柳外相は「そう思う」と答えた。
 韓国政府は英、米、豪、スウェーデン4カ国も参加する調査団が「北朝鮮の攻撃」を明記すれば、国連安全保障理事会などで北朝鮮への制裁を求める有力な根拠になると期待している。数日後に予定されている李明博(イ・ミョンバク)大統領の対国民談話の発表後、対北朝鮮協力事業の縮小など独自の対抗策も発表する方針だ。
 一方、韓国統一省副報道官は19日、南北関係の悪化に伴い、北朝鮮に滞在している韓国人に、安全に注意するよう要請したことを明らかにした。開城工業団地に進出している企業関係者を除き、自発的な撤収も始まったという。19日朝現在、北朝鮮に残る韓国人は1015人にのぼる。
 朝鮮中央通信によれば、北朝鮮の祖国平和統一委員会は19日夜、李政権を厳しく非難する告発状を発表した。最終調査報告書で「北朝鮮による攻撃」が明記されれば、強く反発する可能性が高い。

◎「韓国艦、北朝鮮製魚雷で沈没」、国際調査団が報告書(2010年5月20日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】韓国軍哨戒艦「天安」(1200トン)が沈没した事件で、国際軍民合同調査団は20日、最終報告書を発表し、「北朝鮮製の魚雷による水中爆発」によるものと断定。「北朝鮮の小型潜水艦・艇による発射以外に説明がつかない」と指摘した。韓国政府は国連安全保障理事会での北朝鮮への制裁を呼びかける方針で、慎重な姿勢を取る中国との本格的な折衝に入る。
 北朝鮮は「でっちあげ」と強く反発しており、南北関係の悪化と朝鮮半島情勢の緊張は避けられない見通しだ。
 1953年の朝鮮戦争休戦後、北朝鮮軍によるとみられる攻撃で韓国軍に46人もの死者・行方不明者が出たのは初めて。87年の北朝鮮工作員による大韓航空機爆破事件で115人の死者が出たのに次ぐ惨事になった。
 李明博(イ・ミョンバク)大統領は20日、ラッド豪首相との電話会談で「北の軍事挑発であることが明確になった。断固たる対応措置を取る」と語り、国際的な協力を要請した。韓国政府は21日午前、国家安全保障会議を開く。
 報告書によると、天安の切断面や当時観測された地震波などを基にシミュレーションを実施。天安の中央やや後部の左舷下、水深6~9メートルの位置で高性能火薬200~300キロ相当の水中爆発があったとする結果が得られた。
 さらに今月15日、事件海域付近から魚雷のスクリューや推進モーター、操縦装置の一部を回収。北朝鮮が海外輸出用に作ったカタログに掲載されている感応型の「CHT-02D」重魚雷(重量1.7トン、弾頭火薬250キロ)の設計図面と合致したという。
 部品にはハングルで「1番」と記されており、韓国が保有する北朝鮮軍の魚雷の表記方法とも一致したため、調査団は「北朝鮮で製造された魚雷と確認された」と断定した。
 また、北朝鮮軍による攻撃だったかについては慎重に検討。現場海域の水深などから小型潜水艦・艇による攻撃と判断。事件前後の4~6日間、黄海にある北朝鮮海軍基地から一部の小型潜水艦・艇と支援母船が出動していた事実も確認し、「魚雷は、北朝鮮の小型潜水艦・艇から発射されたとする以外、説明がつかない」と結論づけた。
 調査団に参加した韓国軍将校は20日の会見で「ヨノ(サケ)級潜水艇とみられる」と説明。「公海近くを迂回(うかい)して侵入、待機した後に攻撃したとみている」と語った。ヨノ級潜水艇の存在が公開されたのは初めて。

◎韓国艦沈没、魚雷スクリュー刻印は北朝鮮の字体(2010年5月19日、読売新聞)
 【ソウル=仲川高志】韓国海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の沈没原因を調べている韓国軍・民間合同調査団は、沈没現場付近の海底で回収した魚雷スクリューの破片に記されていたシリアル番号や刻印が北朝鮮の字体だったことを確認した。韓国政府関係者が19日、本紙の取材に明らかにした。調査団は、北朝鮮の犯行を裏付ける有力証拠とみている。
 政府関係者によると、20日公表する調査報告書では、シリアル番号の字体の特徴や、沈没海域などで回収されたアルミニウム片や火薬が、北朝鮮が使用している可能性のある魚雷と類似している点などを根拠に、哨戒艦が北朝鮮の魚雷攻撃を受けたと結論づけるという。
 19日付の韓国紙・朝鮮日報なども、破片に記された番号が北朝鮮の字体と判明したと報じた。調査団は、韓国軍が2003年頃に回収した北朝鮮の訓練用魚雷と比較分析した結果、今回回収されたスクリューの破片と材質が類似していることも確認した。
 また、韓国側は18日までに、日中露など関係国に調査結果を伝達した。

◎共産圏製の魚雷のスクリュー破片を確保、哨戒艦沈没で韓国報道(2010年5月18日、産経新聞)
 【ソウル=水沼啓子】韓国メディアは18日、韓国海軍哨戒艦沈没の原因を調査している軍民合同調査団が沈没海域で魚雷のスクリューの破片を確保したと一斉に報じた。
 朝鮮日報によると、韓国政府高官は「哨戒艦を攻撃した魚雷のスクリューの一部と推定される破片を発見した」とし、「この破片を分析した結果、中国製、旧ソ連製など旧共産圏製である可能性が高い」と語った。韓国政府は、北朝鮮の魚雷攻撃であることを示す決定的物証を新たに確保したとの認識という。
 東亜日報によると、合同調査団が20日に発表する予定の最終報告書にも、こうした事実が反映されるという。韓国政府高官は「合同調査団はこの破片を決定的な根拠として、最終報告書に『哨戒艦沈没は北朝鮮の仕業』という趣旨の表現を入れることにしたと理解している」と話した。

◎哨戒艦から採取の火薬、北朝鮮の魚雷と成分類似(2010年5月18日、読売新聞)
 【ソウル=仲川高志】聯合ニュースは18日、韓国軍関係者の話として、海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の爆発・沈没原因を調査している軍・民間合同調査団の分析で、船体などから採取した火薬と、韓国軍が過去に回収した北朝鮮の訓練用魚雷の火薬の成分が類似していることがわかった、と報じた。
 聯合電によると、この訓練用魚雷は、韓国軍が2003年ごろ、黄海沿岸で回収したもの。軍関係者は、今回の分析結果について、「北朝鮮の魚雷による攻撃を断定できる決定的な物証」としている。

◎韓国艦沈没の魚雷は中露製、「北の犯行」結論へ(2010年5月17日、読売新聞)
 【ソウル=竹腰雅彦】韓国のKBSテレビは17日、3月に起きた韓国海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の爆発・沈没原因を調査している軍・民間合同調査団が、沈没海域から魚雷のスクリュー部分の破片を回収し、製造国を中国とロシアにほぼ絞り込んだと報じた。
 複数の政府関係者の話として伝えた。
 北朝鮮が保有する魚雷には、中国製とロシア製があるとされる。同テレビは、調査団が「北朝鮮の犯行」と結論づける方針だとしている。
 韓国国防省はこれまでに、調査団が、哨戒艦の船体などから検出した高性能爆薬の火薬成分のほか、沈没海域で発見した複数の金属片の成分分析を進めていることを明らかにしている。

◎「北の魚雷以外あり得ない」、沈没艦の合同調査団が結論、韓国紙報じる(2010年5月17日、産経新聞)
 【ソウル=水沼啓子】17日付の韓国紙、朝鮮日報は、韓国海軍哨戒艦の沈没原因について軍民合同調査団が、北朝鮮の魚雷攻撃以外にあり得ないとの結論を出したと報じた。
 合同調査団は、哨戒艦の船体や切断面などから発見された火薬成分やアルミニウム破片の一部が、北朝鮮の魚雷に使われている旧共産圏の火薬および魚雷の材質と同じタイプである可能性が高く、北朝鮮の潜水艦の動向などほかの状況証拠を総合すると、北朝鮮の仕業以外にはあり得ないという結論を下したという。
 合同調査団に参加している米国の調査団もこの結論に同意しているとされる。米国の調査団は潜水艦の専門家を含む計15人で構成されている。
 朝鮮日報によると、韓国政府筋は16日、「これまでの調査結果からは、北朝鮮製魚雷という確実な物証は確保されなかった」としながらも、「米国調査団はこれまでの調査結果から、北朝鮮の犯行ということが確認されたとみている」と話した。

◎沈没哨戒艦に魚雷用爆薬、韓国、北の関与示唆(2010年5月10日、読売新聞)
 【ソウル=仲川高志】韓国の金泰栄(キムテヨン)国防相は10日、海軍哨戒艦の爆発・沈没について、船体などから採取された火薬の成分が、魚雷などに使用される高性能爆薬RDX(ヘキソーゲン)であることを明らかにするとともに、この爆薬が、「旧ソ連を含む多くの社会主義国でも使用された」と指摘し、北朝鮮の関与を強く示唆した。
 国防省で記者団に語ったもので、韓国政府幹部が、魚雷用の火薬成分が見つかったことを公表するのは初めて。国防相の発言は、「北朝鮮の技術力では高性能爆薬は持てない」との韓国内の一部報道を否定する意図で行われた。
 国防省によると、RDXは哨戒艦の煙突と沈没現場の海底の砂などから検出された。国防相は「機雷より魚雷の可能性が高い」と語った。
 調査団は、20日をめどに、沈没原因について発表する予定だ。

◎北朝鮮による黄元書記暗殺計画の全容(2010年5月9日、産経新聞)
 韓国で最近、北朝鮮からの大物亡命者、黄長●(=火へんに華)元朝鮮労働党書記(86)の暗殺計画が発覚した。黄元書記を暗殺するために脱北者を装って韓国に入国した工作員の男2人が4月下旬、国家保安法違反容疑で逮捕された事件。偽装脱北者による韓国メディアの報道などから、その手口の全容が明らかになった。(ソウル 水沼啓子、写真も)

・ベテラン工作員
 逮捕された男はキム・ミョンホ工作員とドン・ミョングァン工作員で、ともに1974年生まれの36歳。2人は92年、対南工作を担当する人民武力省偵察局(現・偵察総局)の戦闘員に選抜された。92年から97年にかけ偵察局傘下のマ・ドンヒ軍事大学に通い、98年に朝鮮労働党に入党。2人は2004年に偵察総局の工作員に選ばれた。18年に渡り対南工作訓練を受けたベテラン工作員だった。
 2人は、中朝国境地域で現地適応化訓練を受け、昨年11月、金英哲・偵察総局長から「黄長●(=火へんに華)を暗殺せよ」との指示を受けた。金偵察総局長は「黄の首を取れ」と直接命令を下したという。2人は暗闇にまぎれて中朝国境を流れる豆満江を渡り、中国入り。中国では別々に身を隠した。中国内にいる工作員とは暗号で連絡を取り合い、この工作員から脱北ブローカーを紹介されたという。
 2人はほかの脱北者と同じように、15日間かけて列車と徒歩でラオスを経由してタイに移動。タイで韓国行きの意思を表明し、キム工作員は今年1月、ドン工作員は2月に航路で韓国入りを果たした。

・“ニセ脱北者”見破られる
 韓国入りした脱北者は、必ず情報機関の国家情報院などによる合同尋問を受ける。脱北者に偽装した北朝鮮の工作員が紛れ込んでいないかなどを調査するためだ。
 キム工作員は、韓国に浸透するため、すでに死亡している「キム・ミョンサム」という名の北朝鮮の住民になりすまし、その人物が実際に出た学校や関係のあるゆかりの地などの情報を身につけた。
 しかし、国情院がキム工作員が卒業したと言い張る人民学校(小学校)の裏山の地形など細かく問いつめると、しどろもどろになり、工作員であることがばれたという。
 ドン工作員は、黄元書記の親戚(しんせき)で朝鮮人民軍の将校、黄ヨンミョン氏と偽って脱北しようと、黄氏の身元や成長した環境などを徹底的に調査した。
 しかし黄氏が軍事機密を扱う場所に勤務しており、偽装脱北者であることがばれる危険性が高いことから、計画を変更。当初なりすますことを考えていたキム・ミョンヒョクという人物の姓だけを黄姓に替え、黄ミョンヒョクと名乗り、脱北した。
 一緒に韓国に来た脱北者らには「黄長●(=火へんに華)の親類なので北朝鮮では昇級できない」と話していたという。
 取り調べの中で、ドン工作員は「黄元書記に会えば殺害を直ちに遂行できるし、彼の親類と名乗っていれば、いつか脱北者の集まりなどで一度ぐらいは会う機会があると思った」と話しているという。
 ドン工作員が話した故郷の地形などがほかの脱北者たちの話と違っていたことや他の脱北者のようにやせておらず、ガッシリとした体格が妙に目立っていたことも、国情院にニセ脱北者を見破られるきっかけとなった。
 取り調べの中で金正日総書記の名前が出ると、2人は突然、不動の姿勢になり、金総書記に対する忠誠心がなかなか抜けないという。キム工作員のほうは、尋問センターで自殺を試みるなど、現在も精神的に不安定な状態が続いているとされる。

・黄元書記の警護強化
 黄元書記の側近らによると、黄元書記は暗殺計画について、2人の工作員の逮捕翌日になって知らされたという。黄元書記は、側近らに対して、いつもと変わらない声で「私が死ぬことを恐れるような人間か」「心配するな」と話したという。
 この暗殺計画が明らかになった後、黄元書記に対する警護態勢を首相よりも高い最高レベルに格上げして強化。これまで7、8人で警護していたが、警護要員も16人に増員。格闘技と射撃の第一人者らが警護を担当している。
 韓国内には、黄元書記以外に、大韓航空機爆破事件の実行犯で死刑判決を受けた金賢姫元工作員ら脱北者約10人ほどが特別警護対象となっている。

◎北朝鮮の魚雷攻撃と米韓が判断、哨戒艦沈没で韓国紙報道(2010年5月6日、産経新聞)
 【ソウル=水沼啓子】6日付の韓国紙、東亜日報は、沈没した韓国海軍哨戒艦の煙突部分から、魚雷に使われる火薬の成分が検出されたと報じた。また、沈没現場から回収されたアルミニウム片を精密調査した結果、魚雷の破片であることも確認。沈没は、北朝鮮の魚雷攻撃が原因とする判断で米韓が一致したと伝えた。米・韓国軍の専門家らによる合同調査団の関係者の話としている。
 この関係者は、回収されたアルミニウムは韓国内の武器には使用されていないとし、「韓国の魚雷ではない以上、韓国海軍艦艇を攻撃する国は1つしかない」として北朝鮮の仕業であることを示唆した。
 東亜日報によると、合同調査団は遅くとも今月中旬までに最終調査結果を発表する。こうした内容は、調査団に参加する米軍関係者を通じて米政府にも報告されたという。

◎哨戒艦沈没、魚雷攻撃の可能性強まる、韓国紙(2010年5月6日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】韓国紙・東亜日報は6日、韓国海軍哨戒艦の沈没原因を調べている韓国軍・民間合同調査団が、沈没海域から回収したアルミニウム片を魚雷の破片だとする結論を出したと報じた。
 哨戒艦の煙突からは、魚雷に使用される火薬成分も検出されたという。哨戒艦が魚雷攻撃を受けた決定的な証拠になる可能性があり、米韓両国は北朝鮮による攻撃との見方で一致しているという。
 同紙によると、調査団関係者は、アルミニウム片が韓国で使用されている兵器とは違うものだとした上で、「韓国軍の艦艇を攻撃する国は一つしかないのではないか」と述べ、北朝鮮の関与を強く示唆した。
 調査に参加している米軍の専門家も、調査団の結論に同意し、米政府に報告したという。韓国軍高官は、調査団が5月中旬にも最終結論を発表する見通しを示している。
 同紙報道について韓国国防省は6日、「確認されたものはなく、調査が続けられている」としている。ただ、韓国の金泰栄国防相は4日の全軍主要指揮官会議で、哨戒艦が奇襲攻撃を受けたとの認識を示している。

◎諫早湾の10倍超す規模、韓国の巨大干拓、防潮堤完成(2010年4月28日、朝日新聞)
 【ソウル=箱田哲也】韓国西岸、全羅北道群山市などで工事を進めていた「セマングム干拓事業」の防潮堤の完工式が27日、現地で開かれた。防潮堤の全長約33キロは世界最長。防潮堤の総工費は2兆9千億ウォン(約2450億円)。内側に約4万ヘクタールの農地などを造る計画だ。
 九州の諫早湾干拓の10倍以上の規模で、豊かな干潟が消えるとして日韓の環境団体などが反発。地元住民や環境団体が事業計画の取り消しを求めて訴訟を起こしたため、事業は途中で止まったが、2006年に最高裁が原告の訴えを棄却し、着工から19年かけて完成した。
 韓国政府はセマングム開発とは別に、国内4大河川の大規模整備事業を進めている。完工式に出席した李明博(イ・ミョンバク)大統領は「4大河川事業が死にゆく河川を生き返らせるなら、セマングムは韓国初の総合的、計画的なグリーン都市建設事業だ」と述べ、環境を重視する姿勢を強調した。

◎好調な韓国の百貨店、日本が見習う秘密とは?(2010年4月14日、読売新聞)
 日本の主要百貨店4社・グループの2010年2月期連結決算は、売上高が大幅減となり、百貨店の苦境が浮き彫りとなったが、韓国の百貨店の業績が好調だ。
 ロッテと現代、新世界の大手3社の売上高は、今年2月まで12か月連続で前年を超えた。最小限の人員でコストを切り詰め、不振のテナントを頻繁に入れ替えて高い利益率を達成している。今や、高島屋など日本の大手百貨店が見ならう低コスト運営が好調の秘密だ。
 ソウル随一の繁華街、明洞にある「新世界百貨店」では、店員と客が売り場で直接、支払いを済ませる姿が目に留まる。店員が操るのは「ハンディーターミナル」。客をレジまで誘導したり、店員がレジまで足を運んだりする手間を省いた。
 韓国では百貨店自らが商品を仕入れて販売することはほとんどなく、テナントに運営を任せる方式が主流だ。新世界の場合、本店で働く3500人のうち自社の社員はわずか1割以下の300人に過ぎない。
 韓国の百貨店のターゲットは富裕層だ。ロッテ百貨店の食品売り場では、身の厚い明太子に1キロ15万6000ウォン(約1万2000円)の値札が張られていた。すぐ近くの市場の約3倍の値段だ。
 ロッテ百貨店流通産業研究所の白寅秀所長は「広告・宣伝費や販促費は、日本の百貨店の倍」と指摘する。顧客の好みを把握し、思い切った販促費の投入により、高い収益を確保している。(ソウルで、実森出)

◎韓国、2010年は5.2%成長見通し、上方修正(2010年4月14日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】韓国銀行(中央銀行)は12日、2010年の韓国の実質国内総生産(GDP)成長率が、前年比5.2%になるとの見通しを発表した。4.6%とした昨年12月の予想から上方修正。韓銀は「世界経済の回復傾向がよりはっきりし、先進国を中心に貿易も拡大が見込まれる」と説明している。
 10年は輸出好調に加え、09年に9.1%減と大きく落ち込んだ設備投資が13.4%の増加に転じると予想。民間消費は4%増を見込む。09年の成長率は金融危機の余波で0.2%にとどまったが、10年はその反動もあり、韓銀の見込み通りなら06年~07年とほぼ同様の水準となる。

◎韓国仁川市で口蹄疫発生、牛など200頭処分(2010年4月9日、産経新聞)
 韓国農林水産食品省は9日、仁川市で牛の口蹄疫が発生し、発病した牛を含む家畜約200頭を処分したと発表した。
 8日に感染の疑われる牛が見つかり、専門機関が検査していた。韓国ではことし1月にも京畿道抱川市などで牛の口蹄疫が発生し、家畜約6千頭が処分されている。

◎【韓国艦沈没】「報復」韓国ジレンマ、北関与なら世論沸騰、生存者「2回爆発」(2010年4月8日、産経新聞)
 【ソウル=黒田勝弘】黄海の南北境界線付近で起きた韓国海軍の哨戒艦沈没事件(死亡・不明46人)は依然、原因不明だ。だが、北朝鮮との関連が明らかになった場合、軍事的報復を含め北朝鮮にどう対応すべきか、早くも韓国政府および世論を悩ませている。
 原因究明のため韓国軍は真っ二つに割れた船体の引き揚げを急いでいるが、悪天候などもあってまだ見通しは立っていない。
 しかし7日、初めて記者会見した生存乗組員(58人)の証言からも外部爆発説が有力になっている。爆発物の破片や残骸(ざんがい)などの海中捜索も続いており、北朝鮮の機雷や魚雷などと判明した場合、世論の沸騰は必至だ。
 李明博大統領は原因究明について「信頼性のある徹底的な科学的調査」を強調する一方、「結果を基に韓国政府としては断固たる立場を取りうる」と述べている(6日の閣議)。
 与党ハンナラ党の鄭夢準代表は7日、「もし北との関連が判明した場合、われわれとして何をすべきか今から悩んでおかなければならない」としている。
 情報機関の元世勲・国家情報院長は「北と断定するのは難しい」としながらも、「もし北ならあれだけのことは金正日総書記の裁可なしにはできない」という見方を語っている。
 マスコミでも北朝鮮に対する報復攻撃の可能性など対応策をめぐる諸説が語られているが、「北朝鮮の関連」が明らかになったとしても、報復攻撃など軍事行動は難しいというのが大方の意見だ。
 その理由としては、「北の犯行」ということで怒りと興奮が爆発する事件直後ならともかく、一定の時間がたった後では“勢い”を駆っての軍事行動というわけにはいかないからだ。
 また過去、北朝鮮による数多くの国家テロや軍事挑発に対し韓国軍や米軍が報復攻撃した例はない。
 1968年の北の武装ゲリラ部隊による韓国大統領官邸襲撃未遂や米艦「プエブロ号」の拿捕(だほ)、69年の北による米EC121偵察機撃墜、76年の板門店ポプラ事件(米将校2人殺害)、さらには83年ミャンマーでの韓国大統領暗殺未遂、87年の大韓航空機爆破など、いずれも世界を驚かせた事件だった。しかし、一度も報復は行われなかった。
 とくに主要閣僚を含む韓国要人17人が爆死した83年のテロの際は、韓国軍に平壌爆撃など報復攻撃論があり、空軍内部では“血判書”まで回された。しかし大統領以下、政府・軍首脳は自制し報復論を抑えた。
 全面戦への拡大を懸念する米国の説得などもあったためだが、今回、「そうした米韓側の“無策”が北の度重なる軍事的挑発を招いてきた」として、保守派団体の「国民行動本部」などからは、現場に近い北の潜水艦基地に対する報復攻撃を主張する声が出ている。
 生存乗組員の証言では、沈没に先立ち「ドカーン、ドーン」と爆発が2回あり振動で体が浮いたというが、ブリッジで夜間前方監視に当たっていた当番兵によると機雷や魚雷などに見られる水柱は確認できなかったという。

◎韓国艦、船体が二つに割れ沈没(2010年3月28日、産経新聞)
 韓国軍は28日、北朝鮮との南北境界水域で沈没した韓国海軍の哨戒艦(1200トン級)について、艦船や航空機を動員して行方不明者46人の捜索を続けた。韓国国防省によると、哨戒艦は船体が二つに割れて沈没したことが新たに判明、船尾部分の位置が分からず確認中という。
 韓国軍などによると、沈没原因究明に向け、船体の状況確認などのため午前中に海軍の特殊救難隊員が現場海域に潜ったが、急な潮流のため一時作業を中断。午後に再開する予定。
 李明博大統領は同日、哨戒艦沈没後4回目となる安保関係閣僚会議を招集、情勢分析を続けた。
 行方不明者の家族の一部は軍の艦艇で現場海域を訪れ、捜索の様子を見守った。家族は27日から軍の施設で状況説明を受けているが「不十分だ」と不満を募らせ、軍当局者に詰め寄る場面も見られた。

◎ボンと爆発音、20分で6割沈む、韓国哨戒艦(2010年3月28日、読売新聞)
 【ソウル=竹腰雅彦】韓国政府は、黄海で26日起きた韓国海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の沈没原因について、艦内の事故だけでなく、北朝鮮軍の関与などあらゆる可能性を想定し、真相究明を進める方針を示している。
 「ボンという爆発音がして艦内の電気が切れ、甲板に出ると船尾はすでに(沈んで)見えず、乗員に離艦命令を出した。20分で船の6割が海中に沈んだ」
 韓国の国会国防委員会によると、「天安」の艦長らはこう証言しているという。
 韓国軍当局者は、艦内で爆発が起きるとすると、原因となり得るのは、弾薬・火薬類のほか、気化した油だという。専門家からは、弾薬類の場合、今回のような限定的爆発にはとどまらないため、気化した油への引火が原因ではないかとの見方が出ている。
 艦艇の老朽化が原因との指摘もある。「天安」は1989年の就役。韓国紙・中央日報によると、船体は使用20年以上で亀裂が入ることがあり、亀裂で船体に穴があく場合、水圧で爆発のような音が出るという。一方、爆発が起きた海域には暗礁が少ないとされるため、岩礁に衝突した可能性は低いとみられている。
 北朝鮮艦艇による魚雷などの攻撃は、韓国軍のレーダーで捕捉されていないことや爆発規模などから、可能性は少ないとの見方が強まっている。機雷も考えられるが、仮に機雷による爆発でも、北朝鮮が敷設したものと直ちに判断するのは困難との指摘が出ている。
 27日夜現在、北朝鮮軍に特異な動向は確認されていない。北朝鮮メディアも沈没について、27日夜現在、反応を示していない。
 原因究明に不可欠な艦艇の引き揚げには時間がかかる見通しで、韓国政府当局者は27日、「すべての可能性を念頭に」原因を究明する姿勢を強調した。

◎韓国軍艦沈没、46人不明、北朝鮮関与の可能性薄まる(2010年3月27日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】韓国北西部沖の黄海で26日夜に艦尾に穴が開いた韓国海軍の哨戒艦(1200トン)は27日未明、沈没した。韓国軍合同参謀本部によれば、同日午前現在乗組員104人のうち、46人が行方不明になっている。救助された58人のうち、13人が重軽傷を負った。
 現場は、海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)付近の白●島(●は令ヘンに羽)から西南に約2キロ離れた海上。韓国政府によれば、哨戒艦はこの海域で警戒任務中で、艦尾付近で爆発音がした後に穴が開いたという。韓国大統領府当局者は27日午前、北朝鮮が関与した可能性について「まだ予断できるような段階ではない」と語った。
 大統領府によれば、李明博(イ・ミョンバク)大統領は26日夜に続き、27日朝も安全保障関係閣僚会議を招集した。李大統領は「一人でも多く救助できるよう、軍は総力を挙げて欲しい」と指示。「あらゆる可能性を念頭に、迅速かつ徹底的に真相を究明する必要がある」と語った。同会議では、北朝鮮軍の動向に異常がないことも報告された。韓国政府は、日米など6者協議関係国に状況を説明し、情報交換を行う方針。
 同政府関係者によれば、発生時、付近に北朝鮮艦艇の存在は確認されていなかった。この関係者は「海域の水深は20~30メートルと浅く、潜水艇による攻撃は考えにくい。潮流も速く、機雷設置も難しい場所だ」と述べ、北朝鮮による攻撃の可能性は低いとの認識を示した。「詳しい原因を探るためには、船体の引き揚げが必要で、時間がかかりそうだ」とも語った。
 ただ、韓国政府は27日、万一の場合に備えて地方公務員も含む全公務員に非常待機を指示した。
 軍事専門家は、船体に瞬間的に穴が開いたことから、艦尾付近の弾薬庫にあった砲弾か、砲弾の発射に使う装薬が何らかの衝撃で点火して爆発した可能性を指摘している。
 北朝鮮メディアは27日午前現在、今回の事故について何も触れていない。

◎緊迫の海域、何が起こったのか、韓国軍艦、沈没(2010年3月27日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】26日夜に韓国海軍の軍艦の船尾に穴があき、沈没した韓国北西沖の黄海は、北朝鮮との海上の軍事境界線にあたるNLL(北方限界線)が引かれ、常に緊張した状態に置かれた海域だ。特に北朝鮮は昨年11月に銃撃戦を起こしたほか、今年1月には繰り返し砲撃訓練を実施していた。韓国側が警戒を強めていた矢先で、韓国当局は穴があいた原因について慎重に調べる方針だ。
 26日深夜現在、哨戒艦の船尾に開いた穴の原因は特定できていない。ただ、隔壁などで厳重に防護された軍艦が沈没の恐れを起こすほどの損傷を受けたことに、韓国政府は衝撃を受けている。韓国政府関係者は「仮に北が関与しているのなら事態は深刻だ」と語ったが、北朝鮮が直接攻撃をするのは難しいとの見方も示した。
 NLLは朝鮮戦争の休戦後、国連軍司令官が海上に設定した。当時、海軍力に劣り、自国領土寄りに設定されたことに不満を持つ北朝鮮は1999年9月、NLLの無効を宣言。同年と2002年、昨年11月に韓国海軍との間で武力衝突を起こすなど、常に挑発行動を続けていた。
 特に、李明博(イ・ミョンバク)政権になってから北朝鮮は態度を硬化。09年1月に改めてNLLの全面無効を主張した後、5月には同海域での米韓艦船の航行安全を「担保しない」と主張。韓国政府によると、北朝鮮艦艇によるNLL侵犯事件は08年は7件だったが、09年は約20件に急増していた。
 また、朝鮮中央通信によれば、北朝鮮軍総参謀部報道官は25日、北朝鮮有事に関係した米中韓3カ国の動きに触れ、「反共和国体制転覆を狙う者たちは、真の核の味、真の戦争の味を経験することになる」と警告していた。

・北方限界線(NLL)
 朝鮮戦争(1950~53年)の休戦後、陸上の南北軍事境界線にあたるものとして国連軍司令官が海上に設定。黄海では、韓国側の五つの島と北朝鮮側の中間線が基準とされた。99年9月には北朝鮮軍がNLLを無効とし、独自の境界線を宣言した。北朝鮮軍はさらに2000年3月、指定水路を外れた場合は領海侵犯とみなす「5島航行秩序」を打ち出したが、韓国側は拒否。偶発的な武力衝突を避けるため、南北軍事当局は04年の将官級会談で、通信連絡所の設置や警備艇の共用周波数の設定などで合意したが、境界線をめぐる南北の主張は変わっていない。

・黄海上での主な出来事
1999年6月 北朝鮮警備艇4隻と韓国海軍10余隻が延坪島(ヨンピョンド)付近で銃撃戦に。北朝鮮魚雷艇など2隻が沈没、3隻が大破。韓国側は2隻が一部損壊し、7人が負傷
2002年6月 延坪島西方沖で、北朝鮮警備艇が北方限界線を越えて南下、韓国海軍高速艇に砲撃。韓国側の6人が死亡、19人が負傷
2009年11月 北朝鮮警備艇と韓国艦艇が銃撃戦
2010年1月 北朝鮮軍が3日連続でNLL付近の北朝鮮側海域に向けて数発の砲撃を行ったと、韓国側が発表

◎北朝鮮の可能性は?軍事境界線付近で韓国軍哨戒艦沈没(2010年3月27日、スポーツニッポン)
 韓国軍などによると、韓国が黄海上の軍事境界線と位置付ける北方限界線(NLL)に近いペンニョンド付近で26日夜、警備活動中の韓国海軍の哨戒艦(1200トン級、104人乗り組み)が沈み始め、27日未明に完全に沈没した。58人が救助されたが46人が行方不明で、韓国軍が捜索に全力を挙げている。
 船尾のスクリュー部分で大きな爆発音がし、船底部が破壊され穴が開いたため、船尾から沈んだという。
 YTNテレビによると、当時のレーダー画像を解析した結果、現場周辺に北朝鮮の軍艦艇などは見えず、大統領府は北朝鮮による攻撃の可能性は低いとみているが、断定はできない状況だ。
 韓国軍は同日午前にも海難救助隊を現場海域に投入し、水深20~30メートルの海底に沈んでいる哨戒艦の損壊部分を調査。その形状から燃料などが内部で爆発したのか、北朝鮮による魚雷攻撃など外部の衝撃が原因だったのかを特定する方針。
 李明博大統領は26日夜、緊急の安保関係閣僚会議を招集。27日午前にも再び同会議を開き、あらゆる可能性を念頭に置き、徹底的な真相究明を迅速に行うよう指示した。大統領報道官は「現時点では、北が関係しているかどうか、はっきりしない」と表明。韓国軍関係者によると、27日も北朝鮮の軍に特別な動きはみられない。
 韓国メディアによると、韓国海軍の別の艦艇が26日夜、北朝鮮方向の海域を不審船が航行しているとみて警告射撃を行ったが、不審船ではなく鳥の群れだった。ペンニョンドの住民が26日深夜に約15分間、砲撃音を聞いたが、救助作業に伴う照明弾発射音の可能性が高い。
 北朝鮮は1月末、NLL付近の北朝鮮側水域で砲撃を繰り返した。

◎ネット中毒防止に時間制限ソフト導入も、韓国(2010年3月25日、読売新聞)
 【ソウル=前田泰広】世界トップクラスのインターネット普及率を誇る韓国で、過度のネット利用により日常生活に支障をきたす「ネット中毒」が社会問題化している。
 これに対し韓国政府は、「中毒者」に対する相談や治療、1000万人を対象にした予防教育など、中毒防止に力を入れる方針を打ち出した。
 韓国では3月初め、ネットゲームに熱中した夫婦が生後3か月の娘を放置し、餓死させたとして逮捕された。ネットにのめりこんで学校、会社に通学、通勤しない若者も多いとされ、2007年5月には、男子中学生がゲームをやめさせようとした祖母を殺害する悲劇も起きた。
 「最近1か月以内に1度以上インターネットに触れた事がある人」を基準にしたネット利用率は約77%と、2000年に比べて1.72倍に増加している。一方、行政安全省によると、「ネット中毒者」は200万人に達し、社会的な損失は約10兆1000億ウォン(約8300億円)にもなる。
 これを問題視した韓国政府は、7省庁合同の「中毒者」減少策に乗り出した。主な対応は、30万人を対象にしたカウンセリング(今後3年間)、病院治療のほか、ネット利用時間を制限するソフトの導入も検討中だ。
 また、予防策としては、幼稚園児から成人まで幅広い年代層を対象にした、「適度なネット利用」を促す教育実施、幼稚園や小学校への相談員派遣を行う。
 園児には童話や音楽を使いながら、ネットの長所や短所を教えるほか、小学校低学年児童には、ネット利用の時間表を作らせ、利用時間を自分で調整できるように指導する。
 行政安全省は、対策を雇用創出にも役立てる考えで、専門家4000人を育成するほか、大学卒業者など高学歴の若者6000人を短期雇用。子どもへの指導役になってもらう計画という。

◎世界初の“オンライン”電気自動車を実用化(2010年3月21日、産経新聞)
 環境への関心が高まる中、排ガスを出さない電気自動車(EV)が注目されているが、「遅い、重い、長距離を走れない」といったEVのマイナスイメージを根底から覆す「オンライン電気自動車(OLEV)」が韓国で開発された。これまでの電気自動車は、車両に付いたコンセントと外部の電源をつないで充電していたが、新しく開発されたOLEVは磁場を発生する電線上を走りながら、無線で充電するというものだ。実用化されたOLEV第1号車が、レジャー施設「ソウル大公園」で運行を開始した。(ソウル 水沼啓子)
 オンラインといっても、インターネットを使うという意味ではなく、文字通り線上を走るという意味だ。OLEVは、韓国内外から高い評価を得ている国立特殊大学「韓国科学技術院(KAIST)」がこのほど開発し、世界に先駆けて実用化させた。
 OLEVは、道路の下5センチのところに埋設された電線から磁場を発生させ、その磁気を無線で受け、電気に変換して走るというもの。OLEVの車体には、エンジンの代わりに磁場を動力に切り替える装置が備え付けられている。
 大容量のバッテリーを搭載しなくても運行が可能で、製造費と充電時間を大幅に減らすことができるのがメリットだ。エンジン音や排ガスがまったく出ないのが特徴。
 ソウル市がこのほど、ソウル大公園内で運行される循環バスにOLEVを試験的に導入した。2.2キロの循環ルートの中で、停車駅2カ所と中間地点1カ所の計3カ所には、合わせて400メートルにわたって、道路の下に無線電気供給施設が埋設されている。
 とくに問題がなければ、今後はソウル市内を走るバス専用道路でも、OLEVを導入する計画という。
 従来のEVは、通常の充電器を使った場合、フル充電まで数時間、急速充電器でも数十分はかかった。そのためバッテリーへの充電時間短縮がEVの課題だった。OLEVは、こうした問題を解決する画期的な電気自動車といえそうだ。
 環境対策に力を入れている韓国政府は、こうしたOLEVの技術開発を全面的に支援。OLEV開発のために、昨年は250億ウォン(約19億円)の予算を投入。今年も150億ウォン(約11億円)が投じられる。

◎アジアの対米コンテナ輸出、日本が3位に後退、09年、2位韓国(2010年3月13日、日本経済新聞)
 2009年の米国向け海上コンテナ船輸出で、韓国が初めて日本を抜いてアジア地域で中国に次ぐ2位になった。3位の日本は金融危機後の自動車関連輸出の減少幅が大きかった。韓国は家電製品の輸出拡大が寄与した。アジアから欧米への輸出では日本の存在感が年々低下。日本の港湾機能の悪化や製品の輸出競争力に影響を及ぼす可能性がある。
 日本海事センター(東京・千代田)がまとめたアジア18カ国・地域から米国へのコンテナ輸送実績によると、日本が前年比30.7%減の51万5248TEU(TEUは20フィートコンテナ換算)。3年連続で減少した。09年のアジア18カ国・地域全体の減少率(14.8%)より落ち込んだのは自動車部品やタイヤといった主力品目が09年前半に大幅に減ったためだ。

◎ソウルからヨボセヨ:新車はそういうもの(2010年2月27日、産経新聞)
 韓国のタクシーはいつもラジオをつけっぱなしにしている。元は対北関係で非常対策用だったが、緊張がまったく緩んでしまった今は運転手のヒマつぶし用になっている。歌番組などガンガンやられるといい迷惑だが、ニュースが聞けるので便利な時もある。
 先日はニュースで韓国の大手自動車メーカー「現代」のリコール話が流れた際、運転手が「韓国ではいつも隠しているんだよね」というので、車の話になった。当然、トヨタ問題を念頭においた会話だった。
 運転手にいわせると韓国では新車で故障があるとメーカーは「新車はそういうものだ」といってなかなか直してくれない。エンジンルームからちょっと煙が出たとか、エアコンが粉を吹いたとか、ドアの締まりがよくない、妙な音がする、などは故障のうちに入らないというのだ。
 以前、日系のマスコミ支局で韓国産のバンを購入したところ、新車なのに何回か煙が出た。「替えてほしい」といっても「慣れれば問題ない」と応じない。そこで日本のマスコミだといって広報重役に苦情をいったところ、たちまち取り換えてくれた例もある。
 くだんのタクシー運転手によると、韓国ではメーカーが王様で消費者はカモだという。価格も海外では安いのに国内はべらぼうに高いという。
 韓国では依然、米国便乗でトヨタたたきの“快感報道(?)”が続いているが、消費者はトヨタより韓国車の実態に関心があるというのに。(黒田勝弘)

◎韓国憲法裁判所、死刑制度は「合憲」決定(2010年2月27日、読売新聞)
 【ソウル=森千春】韓国憲法裁判所は25日、死刑制度を合憲とする決定を下した。
 9人の裁判官のうち、合憲は5人、違憲は4人と意見が分かれ、合憲派の裁判官の2人も死刑制度の見直しを求める意見を添えており、死刑廃止論の盛り上がりを反映した内容だ。
 決定は、合憲の理由として、死刑には犯罪抑止の効果があり、「極悪犯罪に限定される限り、人間の尊厳と価値を規定した憲法10条に違反しない」とした。違憲とする意見は、仮釈放なしの終身刑制度でも犯罪抑止ができるのに死刑制度を維持することこそ、憲法10条に反すると主張した。
 韓国では、1998年以来死刑は執行されていないが、判決が確定した死刑囚は57人いる。
 今回の決定で死刑制度は当面、存続するが、国会では死刑廃止法案が審議中で、死刑制度の今後は政治的判断に委ねられる。李明博(イミョンバク)大統領は2007年の大統領選挙前に、死刑制度を原則支持する立場を示していた。
 今回の審判は、4人を殺害した容疑で起訴された被告に対する公判を担当する光州高等裁判所が08年、被告側の請願を受け入れ、憲法裁判所に、合憲・違憲の判断を求めたのを受けて、行われた。

◎石油化学は朴贊求、タイヤは朴三求体制へ、錦湖グループが系列分離か(2010年2月9日、東亜日報)
 錦湖(クムホ)アシアナグループの債権団は、持株会社とも言える錦湖石油化学の経営を、朴贊求(パク・チャング)前錦湖グループ・化学部門会長の親子と、故朴定求(パク・ジョング)名誉会長の長男である朴チョルワン・グループ戦略経営本部部長に任せることを決めた。朴三求(パク・サムグ)名誉会長親子は、錦湖タイヤの経営を担当する。
 錦湖グループの主債権銀行である産業銀行は8日、オーナー一家が系列会社の全ての株式や不動産を担保に出し、議決権や処分権の委任同意書を、債権団にゆだねる内容の合意書を提出したことを受け、オーナー一家の経営権を今後3年間(最高5年間)認め、系列会社各社を分離・経営することを明らかにした。オーナー一家の3つの家系が、債権団により管轄企業を分割したことを受け、錦湖グループは、構造調整の結果により、系列会社を巡る分離が行われる可能性が高まっている。

・錦湖グループ、系列分離の手順を踏むのか
 産業銀行の金寧基(キム・ヨンギ)首席副頭取は8日、債権金融機関会議後、記者会見し、「大株主の責任問題と関連し、オーナー一家と最終合意した」とし、「オーナー一家は保有株全体について、議決権や処分権を債権団に委任し、住宅を除く全ての不動産を担保にすることを決めた」と語った。
 錦湖オーナー一家の株式や不動産は、計2500億ウォンくらいといわれている。同日の会議には、錦湖オーナー家から一部の人が参加した。
 両側の合意により、錦湖石油化学や錦湖石油化学に支配されている系列会社の経営権は、朴贊求前会長親子と、創業主の次男の故朴定求会長の息子である朴チョルワン・グループ経営戦略本部部長が、共同で引き受けることになる。
 ただ、錦湖石油化学が支配する系列会社のうち、アシアナ航空は、持分の返納を巡り決着がついていないことを理由に外された。ウリィ銀行などの錦湖産業債権団は昨年末、錦湖産業が錦湖石油化学に譲渡したアシアナの持分=12.7%の返還を求めている。
 朴名誉会長は、錦湖タイヤの経営を担当し、これまでのように錦湖グループ全体を代表する役割を果たす。金首席副頭取は、「アシアナ航空を含め、錦湖産業や残りの系列会社の経営権は、今後、債権団が決めることに従うことを決めた」とし、「朴名誉会長は、錦湖産業などの経営権を決定されるまでは、債権団と協議を行い、経営を指揮することになるだろう」と説明した。
 これにより、朴贊求前会長は錦湖石油化学を、朴三求名誉会長は錦湖タイヤと錦湖産業と残りの系列会社を経営することになり、次第に系列分離の手順を踏むのではないかという見方が出ている。

・新規資金3800億ウォン投入、下請け会社の倒産は避けられる
 錦湖オーナー家は昨年末、経営の責任を取り、保有持分を手放すことを決めたが、朴贊求前会長など一部が、株式処分の委任状の提出を引き伸ばしたため、ワークアウト(企業改善作業)に支障を招いた。
 しかし、錦湖一家が、産業銀行が示した締切期限から1日過ぎて、私財拠出を約束したことを受け、債権団が約束した3800億ウォンの新規資金が、旧正月前に錦湖産業や錦湖タイヤに投入できるようになった。これを受け、下請け会社各社の相次ぐ倒産は避けられる。
 債権団はできるだけ早いうちに、錦湖産業に対し2800億ウォンの新規資金の投入を決めた。錦湖タイヤは9日、債権団の同意の手続きが終わり、労組による構造調整への同意書が提出され次第、1000億ウォンが投入される。
 債権団は、大宇(テウ)建設の財務的投資家(FI)問題と共に、最大のネックとなっていたオーナー家の私財拠出問題に決着がつき、錦湖系列会社を巡る経営正常化作業にも拍車がかかる見込みだ。
 債権団の関係者は、「大宇建設を巡る財務的投資家(FI)の問題も、15社が産業銀行の提案に同意しており、残りの2社だけ残っている」とし、「今週末まで、残りの会社を説得するのに全力を傾けるつもりだ」と語った。

◎韓国・現代自動車の純利益が2倍に、国内販売が大幅増(2010年1月28日、産経新聞)
 韓国の自動車最大手、現代自動車が28日発表した2009年12月期決算によると、純利益は前期と比べ約2倍の2兆9615億ウォン(約2300億円)となった。売上高は1%減の31兆8593億ウォン、営業利益は19.1%増の2兆2350億ウォンだった。
 金融危機を背景にした政府の新車購入促進策で国内の販売台数が20%以上増えたほか、中国やインドで生産した車の販売が好調だったことから現地法人の持ち分利益も増加した。世界の販売台数は310万台を突破し、占有率が初めて5%を超えたという。

◎北朝鮮が航行禁止区域に砲撃、韓国も警告射撃(2010年1月27日、読売新聞)
 【ソウル=竹腰雅彦】韓国国防省などによると、北朝鮮軍は27日午前9時5分ごろ、黄海の白(ペク)リョン島近くの北方限界線(NLL)海域に向け、沿岸部から数発の砲弾を発射した。(リョンは「令」に「羽」)
 韓国軍は、白リョン島の守備部隊が砲撃のあった海域に向け、警告射撃を行った。双方に人命や船舶などの被害は出ていない。
 韓国政府は、海上の南北軍事境界線に当たるNLLに向けた砲撃について、北朝鮮の重大な挑発行為とみており、27日午前、国防相、統一相らが出席する緊急安保対策会議を招集した。
 北朝鮮はNLL南側の海域について、1月25日から3月29日まで航行禁止区域を独自に設定。海岸からの砲弾発射や、ミサイル発射実験の可能性などが指摘されていた。
 北朝鮮が設定した航行禁止区域は、NLLの南側だが、韓国軍関係者によると、北朝鮮が発射した砲弾は、NLLの北側に着弾し、NLLを越えていない。韓国軍の警告射撃は、NLLの南側に行われた。北朝鮮は沿岸部に射程12~27キロの海岸砲を設置しているとされ、韓国軍が分析を進めている。
 北朝鮮は、朝鮮戦争の休戦協定にかわる平和協定の締結交渉を繰り返し求めている。NLL周辺の緊張を高めることで、米国に早期に交渉に応じるよう求める狙いがあるとみられる。
 北朝鮮の海軍司令部報道官は2009年12月21日、黄海の「海上軍事境界線」周辺海域を、軍部隊が平時でも射撃する区域に設定するとした声明を一方的に出している。

◎韓国、0.2%成長確保、失業率は悪化「雇用なき成長」(2010年1月27日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】金融危機の打撃から復調しつつある韓国。2009年の実質国内総生産(GDP)は前年比0.2%増と、低水準だがプラス成長を確保した。ただ雇用情勢の厳しさは続く。政府は今年5%の成長を見込むが、「雇用なき成長の克服」(李明博=イ・ミョンバク=大統領)が焦点に浮上している。
 09年は7~9月に前期比で年率換算13%超の高成長。10~12月は同0.7%増と減速したが、「成長基調は続く」(エコノミスト)との見方が多い。ただ、他の主要国と同様、雇用情勢は悪化したままだ。
 ソウル近郊に住む男性(32)は自動車検査などを手がける会社を昨年末退職した。景気対策の新車買い替え減税は自動車販売を伸ばしたが、検査需要は逆に落ち込み、家族を抱えた先輩の代わりに解雇を受け入れた。
 技術を生かせる再就職先を探すが、収入は大幅に減りそうだ。男性は話す。「政府は『雇用何万人創出』と数ばかり言うが、問題は質ですよ」
 韓国の09年の就業者数は前年より約7万2千人減の約2351万人。行政機関の一時雇用などは増えたが、製造業や建設、小売業などで減り、零細自営業者の廃業も相次いだ。失業率は3.6%と0.4ポイント上昇、15~29歳の青年層は8.1%。求職断念者なども多く、事実上の失業者は数倍との見方もある。製造業の「雇用力」が低くなる一方、サービス業などでの良質の雇用が不足。求人と求職間のミスマッチも深刻だと指摘されている。
 就職戦線も厳しい。大韓商工会議所によると売上高上位500社のうち、今年の採用計画を固めた256社の大卒新人採用予定は、前年実績と比べて5.6%減という。
 政府は今月21日、「国家雇用戦略会議」をスタート。非正社員も含め従業員を増やす中小企業への税制支援などを通じ、10年の就業者数を25万人以上増やすと表明した。

◎北朝鮮核使用の兆候なら、韓国は先制攻撃だ!(2010年1月20日、スポーツニッポン)
 聯合ニュースによると、韓国の金泰栄国防相は20日、ソウル市内で講演し、北朝鮮が韓国に核攻撃を行う兆候がとらえられ、攻撃の意思が明確と判断される場合、核兵器が保管、配備されているとみられる施設などを先制攻撃する必要があると述べた。
 金国防相は、先制攻撃について「合法性の面で多くの論議がある」とした上で、核攻撃を受ける恐れが出た際の韓国軍の対応に関して「(考え方が)変わることはない」と強調した。
 北朝鮮メディアが朝鮮人民軍の陸海空3軍の合同訓練実施を報じたことに関しては、米韓が監視を強化しており、北朝鮮側の挑発があれば、昨年11月に黄海で起きた南北艦艇による銃撃戦と同様、迅速に対応する方針を表明した。
 金国防相は、就任前から国会で先制攻撃に言及したことが何度か報じられ、北朝鮮が反発している。

◎危険な牛肉報道裁判、プロデューサーらに無罪(2010年1月20日、スポーツニッポン)
 ソウル中央地裁は20日、米国産牛肉の輸入解禁を決めた韓国政府を批判する報道番組を制作し、名誉棄損などの罪に問われたMBCテレビのプロデューサーら5人に対し、無罪の判決を言い渡した。聯合ニュースが報じた。
 番組は2008年4月に放送され、米国産牛肉に牛海綿状脳症(BSE)のリスクがあると指摘した。ソウル中央地検は昨年6月、5人が客観的事実の歪曲や誤訳によって視聴者に誤った印象を与え、牛肉輸入を決めた官僚の名誉を傷つけたなどとし、名誉棄損と業務妨害罪で在宅起訴していた。
 同地裁は、報道内容について「虚偽といえない」と判断。専門家への取材を行うなど、批判には根拠があるとし、検察側の主張を退けた。
 韓国では番組をきっかけに不安が広がり、08年6月の李明博政権に対する大規模な抗議運動に発展。報道内容を否定する政府が検察に捜査を要請した。

◎北朝鮮国内の非常事態を想定、韓国初「復興計画」完成(2010年1月15日、朝日新聞)
 【ソウル=牧野愛博】韓国政府は、北朝鮮国内が内戦や天災などで混乱する非常事態を想定した初の対応計画「復興」をまとめた。韓国の安保関係筋が明らかにした。北朝鮮からの難民の収容や混乱収拾策などの対処法について省庁別にマニュアル化した。
 韓国は1970年代、北朝鮮と全面戦争に陥った場合に備えた省庁別対応策「忠武計画」を策定。毎年、更新してきたが、戦争に至らない場合の計画は存在しなかった。
 計画は、内戦や大規模な天災などで中央政府が統治機能を失った場合を想定。多数の難民が出た場合に収容所や食糧、伝染病ワクチンを提供する手順や、北朝鮮の開城工業団地などに携わる韓国人が帰国できなくなった際の対応策などを定めたとされる。
 計画には軍事的な対応は含まれない。米韓両国が完成を急いでいる、北朝鮮の非常事態への軍事対応を定めた共同作戦計画「5029」に連動して実施する。北朝鮮との戦争状態に際しては、既存の米韓共同作戦計画「5027」と「忠武計画」を使用する。
 韓国統一省当局者は14日、事実関係の確認はできないとしたうえで「国家安保に対する責務として、すべての状況に備えている」と語った。
 2008年2月に発足した李明博(イ・ミョンバク)政権は、北朝鮮との融和をめざした盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権の政策を転換し、対応策作りに着手。同年夏に北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康悪化説が表面化し、作業を急いでいた。

◎韓国の格安航空、国際線に続々、進む自由化、市場開拓(2010年1月14日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】韓国の格安航空会社が、相次ぎ国際線に進出し始めた。日本や東南アジア、中国などが当面の照準だ。ビジネスや観光での需要拡大を見込むほか、航空自由化が進む中、他国の航空会社の進出に先駆けて市場を確保する狙いがある。
 韓国ではここ数年、格安航空会社の参入が相次ぎ、現在は4社が国内線に就航。大手より2~3割以上安い運賃が売りだ。高速鉄道網の拡大などで国内線は先細りが確実なだけに、同程度の安い料金で国際線を拡大し、収益源に育てようとしている。
 先行したのは自治体などが出資する「済州航空」。昨年3月にソウル(仁川)から関西、北九州に就航し、4月にはバンコク、11月にはソウル(金浦)―関西線も就航させた。昨年末には大韓航空子会社の「ジンエアー」が仁川―バンコク線に参入。今後も東南アジアや中国、日本の都市への就航を計画する。
 アシアナ航空などが出資する「エア釜山」も3月に釜山―福岡線、4月には釜山―関西線に就航予定だ。
 韓国政府による積極的な航空自由化(オープンスカイ)戦略も背景にある。日本の地方空港とは路線開設が原則自由。中国とも2010年に自由化予定で、韓国企業が多く進出する山東省など一部地域とは先行実施された。東南アジア各国とも自由化を進めている。
 今後、海外の航空会社の参入も進めば競争激化は必至だ。韓国の格安航空関係者は国際線進出を急ぐ理由について、「アジアの格安航空会社の韓国進出が相次ぐ前に、知名度を高めて市場を確保する狙い」と解説する。

◎省庁移転の白紙撤回発表、韓国、野党は反発(2010年1月11日、日本経済新聞)
 【ソウル共同】韓国の鄭雲燦首相は11日、中部の忠清南道に行政都市「世宗市」を建設して中央省庁の多くを移転させる計画を白紙撤回し、代わりに大企業や研究機関の集中立地を図り「教育科学経済都市」をつくると発表した。
 同計画は盧武鉉政権時代に決定。盧前大統領の流れをくむ野党民主党などは計画履行を求め政府と全面対決する方針。忠清道地域の住民の反発も強く、6月の統一地方選に向け最大の争点となり、2012年の総選挙、大統領選にも大きな影響を与えそうだ。
 李明博大統領は、近く特別記者会見などを通じて国民に理解を訴えることを検討中。李大統領は11日の首席秘書官会議で、国家的な観点から計画見直しが必要であり「政治的な問題と区別して考えるべきだ」と強調した。

◎韓国の省庁移転計画を全面白紙化(2010年1月11日、朝日新聞)
 【ソウル=箱田哲也】韓国の鄭雲燦(チョン・ウンチャン)首相は11日、盧武鉉(ノ・ムヒョン)・前政権で決まった中央省庁の移転計画を白紙撤回し、移転予定地となっていた中部の忠清南道「世宗市」を、教育と科学を中心とした経済都市に開発する修正案を発表した。忠清道の住民団体や野党は一斉に反発しており、混乱が予想されている。
 当初案では、ソウル首都圏から13省庁を世宗市に移転して「行政中心複合都市」にすることになっていた。修正案では「教育科学中心経済都市」に改名し、一般企業のほか、大学、研究機関を誘致するとした。すでにサムスンやロッテといった大手企業グループの誘致が内定しているという。
 また、当初案では2030年までの段階的開発としていた計画を、20年までに前倒しし、当初案通り人口50万人を目標とする新都市を造るとした。
 修正案の発表にソウル市は「望ましい決定だ」と歓迎のコメントを出した。しかし、地元住民団体は「修正案は忠清道を葬り去ろうという宣戦布告だ」などと反発。与党ハンナラ党の非主流派で、世宗市計画の修正に反対を表明している朴槿恵(パク・クネ)・元代表は沈黙を守っているとされるが、最大野党の民主党も修正案撤回を要求している。

◎武器の輸出が最大、今年は15億ドル目標(2010年1月6日、KBS World)
 韓国で製造された武器の輸出が去年、11億6000万ドルと、これまで最高となりました。防衛事業庁は5日、去年の武器輸出額が11億6000万ドルとなり、一昨年の輸出額10億3100万ドルに比べて13%増えたと発表しました。
 これは去年の目標額12億ドルには及ばないものの、超音速訓練機のT-50のシンガポールへの輸出や、迅速に移動できる自走砲などの主な輸出契約が去年から今年はじめに延期されたことや、世界的な景気低迷による経済状況などを考慮すると、大きな成果だと防衛事業庁は評価しています。去年は輸出額の増加にともない、武器の輸出先も3年前の2007年の46か国から、去年は104か国に2倍以上増えました。
 また輸出品目もこれまでの弾薬類と主な装備の部品類などから、潜水艦の戦闘システムや装甲車などの先端製品が増えています。防衛事業庁は今年の輸出目標を去年より28%多い15億ドルと見込んでいます。

◎豪雪:ソウル市の除雪体制(2010年1月6日、朝鮮日報)
 ソウル市は毎年11月中旬から3月中旬まで、除雪対策本部を運営する。ソウル市道路企画官室が指揮をとり、各区庁土木課の担当者が動く。ほかの市もほぼ同様だ。
 通常、市や区は状況室だけ運営しているが、雪が降るという予報が出ると、「補強勤務」ということで325人が動員される。積雪量が3センチ前後なら1段階、大雪注意報が出ると2段階、大雪警報なら3段階と勤務体制が強化され、動員数も増える。
 しかし、あらかじめ除雪作業を準備しているわけではなく、雪が降り始めてから人員が動員され、現地に出動するため、「命令」と「執行」の間に時間差がある。現地に到着したときは、既に雪が積もっていたり、雪による渋滞で除雪作業が困難になっているケースが多い。
 除雪作業は、市や区の日雇い労働者らが行っており、軍部隊や民間業者の支援を受けることもある。4日の除雪の際にも首都防衛司令部の5師団が参加し、区の民間業者の社員約550人が動員された。市や区はこのために30億ウォン(約2億4000万円)の予算を使うという。
 除雪作業は3段階に分けられる。積雪量が3センチ未満なら除雪剤をまき、3-10センチなら除雪剤をまくとともに、除雪トラックで雪を道路脇にかき分ける作業を繰り返す。10センチ以上のときは、雪の運搬作業がさらに増える。
 除雪作業で最も効果的な装備は、除雪と塩化カルシウムの散布を同時に行える多目的除雪車だが、市はこうした装備を117台しか保有していない。それ以外はほとんどが、トラックに塩化カルシウム散布機を積んで対応している。ソウル市の除雪装備は計1213台。ソウル市は5日、「ニューヨークやモスクワなど外国の事例を参考にし、除雪対応マニュアルを見直す予定」と語った。

◎【社説】豪雪を通じて目にした国と国民のレベル(2010年1月5日、朝鮮日報)
 4日早朝から降り出した雪の影響で、ソウルをはじめとする首都圏の通勤の足が完全にまひしてしまった。通常なら車でわずか20分、30分の通勤時間が2時間、3時間となり、また城南市盆唐区からソウル・光化門まではバスで5時間もかかったという。ソウル市内では午後までに25.8センチの雪が積もり、1937年の観測開始以来、最高の積雪を記録した。この交通まひは確かに不可抗力という側面もあった。しかしたとえそうだとしても、政府や地方自治体、放送局、市民の誰もがもっと徹底した備えを行っていれば、交通が完全にまひするような事態は避けられたはずだ。
 気象庁が3日に発表したところによると、首都圏では4日だけで2センチから7センチの積雪が予想されていた。しかし実際は、その3倍以上の雪が降った。昨年12月27日にも気象庁は積雪を予想できず、ソウル都心の交通は完全にまひしてしまった。天気予報を完全に的中させるのは難しいかもしれないが、こうして毎回のように誤った予報を行っているようでは、気象庁としてもメンツが丸つぶれだろう。昨日も首都圏での積雪が10センチから15センチに達した午前8時20分ごろになって、気象庁はやっと大雪警報を発令した。これも、発表が少しばかり遅れたといえるものではない。完全な手遅れだ。
 ソウル市は雪が降り出す前の4日午前零時から、主な幹線道路に除雪剤をまくなど最初の非常態勢に入った。しかし、第2段階の対応はすでに渋滞が始まった朝7時になってからで、投入可能なすべての人員が対策に乗り出す第3段階の非常態勢に入ったのは、それからわずか1時間後の午前8時だった。ソウル市がやるべき仕事の中で、交通がまひしないように対策を取ることほど重要なものはないはずだ。つまり、ソウル市はもっと早い段階から、最高レベルの非常態勢で備えをしておくべきだった。民間の重機を除雪作業に動員できるような体制も整えておくべきだろう。
 地下鉄は乗り換えの駅ごとに通勤客が殺到し、機能が完全にまひしただけでなく、時には電車が故障するといった、通常では理解できないような事態が発生した。多くの雪が降った場合には、車やタクシーで通勤していた人たちが地下鉄を利用するのは当たり前のことであり、主要な駅では大きな混雑が起こることが予想できて当然のはずだが、それに対する備えはまったく行われていなかった。

 テレビなどでは朝6時の放送開始と同時に、市内の交通状況を市民に伝えた。MBC放送は光化門に中継車を送り、6時、6時32分、7時、7時21分にそれぞれ道路が凍り付く恐れがあると報じた。しかしもっと早い時間帯から非常態勢に準ずるような編成を思い切って行い、自家用車ではなく公共交通機関を利用するよう市民に呼び掛けていれば、市内の各地で車が乗り捨てられて大渋滞を引き起こすような事態は起きなかったはずだ。米国東部でも先月18日に激しい雪が降り出した際、放送各社はワシントン市長を出演させ、急な事情がない限りは家の外に出ないよう呼び掛けた。
 非常事態の中では市民の誰もが徹底して秩序を守ることも求められる。ところがソウル市内では、どこの十字路でも互いに先を争って車が交差点に進入したため、あらゆる方向に向かう車が完全に入り交じって身動きも取れなくなるという混乱が起こった。災難が起こるとその国のレベル、あるいは国民のレベルが目に見えるようになる。4日に起こった出来事は、大韓民国が先進国となるにはまだ多くの課題が残っていることを明確に示してくれた。

◎豪雪:除雪作業も公共交通対策も「後手後手」(2010年1月5日、朝鮮日報)
 4日の大雪で都市機能がまひしたことについて、ソウル市は「とてつもない大雪だったため仕方なかった」と弁明したが、除雪システムの弱点があちこちで露呈したのは事実だ。
 ソウル市は3日夜11時から除雪対策第1段階非常勤務を指示したが、実際に各区庁が主要道路の除雪作業を行ったのは午前1時から4時までの間とまちまちだった。市は命令を出すだけで、除雪作業の状況を総合的にまとめる機能を備えていなかった。また、除雪作業を行う際の事前に決められた指針もなかった。ある区庁では、雪が降る前に融雪剤の塩化カルシウムを無計画にまいたため、大雪が積もった後にまく分が足りなくなってしまった。
 気象庁は4日午前4時30分、首都圏に大雪注意報を発令したが、ソウル市は午前7時に第2段階の非常勤務に入った。第2段階は雪が5センチ以上降ると予想される場合のものだが、同市が第2段階勤務令を出した時には、すでに積雪量が5.5センチを記録していた。
 地下鉄・バス・タクシーなど公共交通機関の運行時間や台数を増やし、市民の便宜を図る措置も、すでに出勤の足が乱れに乱れた後に取られた。大雪で地下鉄の運行が中止された1号線ソウル駅-清涼里駅間は、車両は韓国鉄道公社(KORAIL)所属で、区間管理責任はソウルメトロにあるため、これをめぐり双方が責任の所在についてもめるという事態になった。
 ソウル市は同日、総人員9956人、除雪設備1200台、塩化カルシウム・塩を合わせ3636トンを投入したが、これといった効果はなかった。同市の除雪対策本部は「雪の予報を受け、前日夜7時から除雪の準備をし、翌午前5時以前に融雪剤を事前にまくなど、最善を尽くしたが、除雪車が通過したそばから雪が積もる状態だったため、どうしようもなかった」と説明した。除雪対策本部の関係者は、「除雪用のウニモグ(ダイムラー社の作業用自動車)や多目的車が1台3-4億ウォン(約2400-3200万円)と高価で、市・区を合わせ117台しかないため、除雪に限界があった」と話している。
 気温が低く、塩化カルシウムも期待したほどの効果を上げられなかった。ソン・ヨンベ除雪対策本部チーム長は「気温が下がると、塩化カルシウムの反応速度が落ち、雪が溶けにくい」と説明する。同日午前のソウル市内の気温はマイナス6度前後だった。だが、延世大学土木環境工学科のチョ・ウォンチョル教授は「不良品でないかどうか、確認する必要がある」と指摘している。

◎ソウルで積雪25.8センチ、観測史上最高(2010年1月5日、朝鮮日報)
 仕事始めの4日、ソウルと中部地方に気象観測史上最悪の「雪爆弾」が降り、激しい交通障害が発生、一部都市機能がまひした。ソウル市や各市・郡は早朝から除雪作業に取り掛かったが、降り続く雪を処理しきれず、道路は統制不可能状態となった。
 気象庁は「4日午前零時から午後3時までのソウルの積雪は25.8センチで、積雪量の観測が始まった1937年以降、最高を記録した」と発表した。これまでの最高記録は1969年1月28日の25.6センチだった。気象庁関係者は「巨大な雪雲が東に移動しながら、江原道と慶尚北道北部地域などでは5日朝にかけて雪がさらに降る見込みだ」と話した。
 この日の大雪で、全国の道路43カ所と高速道路インターチェンジ7カ所が通行止めとなった。ソウルでは漢南大橋をはじめとする主要道路で道路凍結による事故が相次ぎ、上り坂・下り坂を通過できない車のために通勤道路は渋滞した。地下鉄や鉄道にも多くの市民が殺到、一部車両が故障するなどしたため、遅刻が続出した。
 この日の大雪で194本の列車運行に支障が出た。首都圏の電車は45本が遅延し、7本は運転を見合わせた。金浦空港は午後3時まで飛行機の運航を全面的に中断し、利用客に不便を来した。仁川空港は22便が欠航、104便が遅延、3便は引き返す事態となった。
 気象庁は同日午後3時、ソウル・仁川・京畿地域に発令していた大雪警報を解除した。しかし、5日朝の気温がソウルと仁川でマイナス10度、水原でマイナス11度、鉄原でマイナス17度まで下がると予想され、積もった雪が凍った場合、再び交通がまひすると懸念される。

◎豪雪:明暗分けた仁川空港と金浦空港(2010年1月5日、朝鮮日報)
・200人が未明から除雪作業にあたった仁川空港は通常通り
・35人が午前4時20分に始動の金浦空港はまひ
 記録的な大雪に見舞われた4日、仁川国際空港は大量の欠航もなく、ほぼ通常通りに運航されたが、金浦国際空港は同日午後までまひ状態が続いた。その差は、両空港の大雪への対処にあった。
 金浦空港では、運航が同日午後3時まで全面的に中止された。韓国空港公社によると、同日午後4時までに出発予定だった旅客機113便(国際線含む)が欠航になったという。
 仁川空港から出発予定だった国際線は、遅延が相次いだものの、午後3時までに中国を行き来する国際線25便を除き、すべての便が運航された。欠航便が発生したのは、到着地の空港が大雪に見舞われたためだった。仁川空港では大雪への対処が早かった。仁川空港公社は同日午前0時ごろに雪が降り始めると、職員200人を投入し、滑走路の除雪作業にあたった。航空各社も機体の雪を払ったり、翼に凍結防止剤をまいたりして、運航に支障がないよう事前に対策を取った。また、24時間運営空港という特性上、飛行機が離着陸する際の圧力で滑走路が除雪されるという効果もあった。
 一方、同日午前6時30分に最初の便がある金浦空港では、仁川空港よりもはるかに遅れて除雪作業を開始した。同日午前4時20分に作業に取り掛かり、除雪にあたった人数も仁川空港の5分の1程度の35人に過ぎなかった。午前10時30分ごろに滑走路の除雪作業が終わったものの、航空各社は早々に欠航を決め、機体の凍結防止作業を行っていなかった。そのため、午後3時30分になってようやく一部の便の運航が再開されたが、金浦空港の利用客は大変な不便を強いられた。こうした中、今回の除雪作業の遅れや大量の欠航などのトラブルをめぐり、金浦空港と航空各社は互いにその責任を押し付け合っている。

◎豪雪:道路が大渋滞、地下鉄は故障(2010年1月5日、朝鮮日報)
 4日の積雪で史上最悪の交通大乱が起こったソウル市など首都圏一帯では、文字通りの通勤地獄だった。降り続ける雪が道路に積もり、主要な幹線道路はどこも巨大な駐車場と化した。通勤客はバスの停留所や地下鉄に一気に殺到して大混雑となり、地下鉄は一部区間で故障して立ち往生するなど、2010年の仕事始めはソウル市内全域で大規模な遅刻事態となった。

・道路は機能がまひ、最悪の渋滞
 ソウルなど首都圏一帯には午前5時から大量の雪が降り始めた。5時30分になると三清トンネル周辺、仁旺山通り、北岳山通り、厚岩洞周辺、南泰嶺峠、梨水高架道などが相次いで通行止めとなった。午前10時には積雪が20センチ近くなり、内部循環道路入り口や放鶴路など、計15カ所が追加で閉鎖された。
 オリンピック大路、江辺北路、東部幹線道路、北部幹線道路、内部循環路などの主要幹線道路は機能が完全にまひした。午前10時には気温がマイナス6.1度まで下がり、路上には、凍り付いてタイヤが空転する車やドライバーが乗り捨てた車などが増え始めた。
 乙支路や退渓路など都心の主な道路でも除雪作業はほとんど進まず、ドライバーは徐行運転を行った。江南大路やテヘラン路など、江南地区の主要幹線道路も状況はまったく同じだった。南山1号と3号トンネルも車の通行ができなくなった。午後に入ると、積もった雪が解け始めたが、泥だらけになった道路は夜になり凍り始めた。
 京釜高速道路下りの瑞草、良才、水原、烏山、上りの板橋、さらにソウル外郭循環高速道路の山本、坪村など、七つのインターチェンジは閉鎖され、利用できなくなった。この日は平日だったため、京釜高速道路ではバス専用車線規制が行われなかったが、大量の積雪でほとんど影響はなかった。

◎豪雪:金浦空港まひの原因とは(2010年1月5日、朝鮮日報)
 突然の大雪に見舞われた4日、金浦空港は午後3時30分になってやっと一部の運航が可能となり、午後6時になってようやく完全な正常化にこぎつけた。合計250便が欠航し、およそ4万人の乗客に影響が出た。
 しかし本紙の取材によると、空港での除雪作業がもっと効率的に行われ、さらに航空各社も除氷(飛行機に付着した氷を取り除く作業)や防氷(翼などに化学物質をまいて新たに氷が付着しない作業)を迅速に行っていれば、少なくとも午後1時ごろには通常の運航が可能だったことが確認できた。最大で5時間の前倒しが可能だったということだ。つまり、航空会社と空港との連絡不足が金浦空港まひの原因だったのだ。

・金浦空港で何が起こったのか
 3日夜10時の時点で、気象庁は2センチから7センチの積雪が予想されると発表した。そこで、金浦空港を管理する韓国空港公社の除雪対策チームに所属する35人が空港に待機することにした。午前零時を過ぎると雪は本格的に降り始め、4日午前2時にはすでに0.5センチの積雪を記録した。雪が小康状態になると、対策チームは滑走路に25トンの除雪剤をまいた。午前4時になると、雪が再び激しく降り始めたため、空港公社は4時20分から本格的な除雪作業を開始した。最初に雪が降り始めてからすでに4時間がたっていた。作業は除雪車6台、散布機5台を投入して行われたが、激しく降り続ける雪を除去するには、人材面と設備面の双方において力不足だった。午前6時には積雪が2.5センチを記録し、6時45分になると済州行きのアシアナ便をはじめ、続々と欠航を余儀なくされた。
 午後1時。離着陸が可能なほどにまで滑走路の除雪作業が進んだ。空港公社は「午前10時30分には除雪作業が終了し、午後12時30分には(航空機の運航に)まったく問題がなくなった」と発表した。離着陸には滑走路の摩擦係数が最低0.09以上必要だが、午前10時の時点で0.19を記録し、12時30分には0.74にまで改善した。空港公社の関係者は「滑走路の除雪作業は終了したが、航空会社側が除氷と防氷作業を怠り、スケジュールを無条件で取り消した」と主張している。
 しかし、航空会社側の判断は異なっていた。大韓航空とアシアナ航空は、「滑走路の除雪作業は確かに行われていたが、飛行機の離着陸に必要な誘導路などでは除雪作業が行われていなかったため、飛行機を飛ばすことができなかった」と主張する。大韓航空総合統制本部の担当者は、「われわれが空港公社から連絡を受けた内容によると、4日昼12時の時点で滑走路の摩擦係数は0.17以下だった」と語った。大韓航空広報課のイム・ジェボムさんは、「航空会社は摩擦係数が0.2以上でなければ飛行機を飛ばさない。午後1時まで除雪作業は滑走路の中心部ばかりで行われ、誘導路やランプなどでは除雪作業はまったく行われていなかった。そのような状況で飛行機を飛ばすことは危険なため、到底できなかった」と語る。アシアナ航空の担当者も、「滑走路は滑りやすく、誘導路などではまだ除雪が不十分だったため、運航できるような状況ではなかった」と述べた。

・空港と航空会社が責任のなすり付け合い
 しかし国際線であれば、欠航による補償などの複雑な問題が発生するが、国内線は欠航の手続きが簡単なため、航空会社は軽々しく欠航を決めたのではないか、という指摘もある。国土海洋部のユ・インサン空港航行政策官は、「午後12時35分の時点で摩擦係数が0.2を上回ったのだから、除雪作業は迅速に行われたはずだ。国際線は搭乗率と関係なく飛行機を飛ばさなければならないため、航空各社は国際線を中心に運航を決めたようだ」と語った。
 空港側と航空会社側は世論からの批判が強まっても、責任のなすり付け合いをやめようとしない。空港公社側は「航空会社が除氷、防氷を怠ったために欠航となった」と主張しているのに対し、航空会社側は「空港公社による除雪作業が遅れ、それが原因で欠航を決めた。そのため、除氷作業は行わなかった」と反論している。

◎北京、ソウルで記録的大雪、航空便に欠航や乱れ(2010年1月4日、日本経済新聞)
 中国、韓国の首都が大雪に見舞われている。中国・北京は3日未明から雪となり、積雪は10~20センチに達した。国営新華社などによると、1月の降雪量としては1951年からの観測史上最大を記録。韓国・ソウルでも4日未明から大雪となった。気象庁によると午後までの降雪量は25.8センチに達し、観測史上最大だった69年1月の25.6センチを41年ぶりに更新した。
 北京の首都国際空港では4日正午までに880便以上が欠航となったほか、周辺の高速道路も閉鎖。市郊外では積雪が37.5センチに達した地域もあった。5日には気温が氷点下18度まで冷え込む「記録的低温」(気象当局幹部)となる可能性があり、市当局が市民に注意喚起している。
 ソウルでも市内バスの運行に支障が出たほか、金浦空港などで航空便の運航に大幅な乱れが生じた。降雪は4日夕までにやんだものの、ソウル中心街の5日の予想最低気温は氷点下10度。記録的な大雪で除雪作業が追いついておらず、路面凍結による交通事故の多発が懸念されている。

◎ソウルで最高の積雪、交通まひ(2010年1月4日、KBS World)
 仕事始めとなる4日未明から中部地方を中心に観測史上いちばんの大雪となり、ソウルと首都圏では交通がまひしました。
 気象庁によりますと、4日午後2時現在、積雪量はソウルが25.8センチで、観測が始まった1937年以来、これまで最高の積雪を記録した1969年1月28日の25.6センチを0.2センチ上回りました。
 この大雪で全羅南道(チョンラナムド)の羅州(ナジュ)市では走行中の貨物車が滑ってバスと衝突するなどして、2人が死亡し、13人がけがをしました。
 中央災難安全対策本部は4日午前、非常勤務体制に入り、公務員と軍部隊を動員して緊急の除雪作業に当たっています。
 この大雪でソウルの金浦空港の航空機の運航は9年ぶりに国内線・国際線すべてが欠航になったほか、本土と西の海=西海の島々とを結ぶ客船も運航中止になりました。
 またソウルと釜山を結ぶ京釜高速道路など首都圏の4つの高速道路のうち15のインターチェンジとソウル市城北(ソンブク)区三清(サムチョン)トンネルなど30あまりの区間が通行止めになっています。
 このため首都防衛司令部と6つの陸軍部隊は、ソウルの主な幹線道路に兵士5000人と除雪車両80台を投入して、除雪作業を行いました。
 また高速鉄道のKTXと地下鉄の運行にも支障が出て、ダイヤが乱れています。
 このため仕事始めの4日朝、マイカー運転をあきらめた人々も多く、ソウル市内のバスや地下鉄の混雑に拍車がかかりました。
 大統領府・青瓦台も李明博大統領の主宰で行う予定だった新年の始業式を取りやめるなど、会社によって始業式を予定より1-2時間ずつずらしました。
 中部地方が大雪になっているのとは対照的に乾燥注意報が続いていた釜山には3ミリ前後の恵みの雨が降りました。
 気象庁は4日午後3時に、ソウルなど中部地方に出していた大雪警報を解除しましたが、5日朝にかけて、さらに雪が降る恐れがあるとして、雪による被害がないよう注意を呼びかけています。

◎ソウルの積雪量、気象観測史上最高(2010年1月4日、中央日報)
 4日、ソウルに大雪が降り、観測史上最高の積雪量を記録した。
 気象庁によると、この日午後1時30分までにソウルに降った雪は25.7センチで、新積雪(新しく降った雪)観測が始まった1937年以降、最大の降雪記録だった25.6センチ(1969年1月28日)を超えた。
 気象庁の関係者は「今回のソウル地域の雪はおよそ100年ぶりの記録と考えればよい。ソウル・京畿(キョンギ)は午後または晩までにさらに2センチ前後の積雪があり、江原(カンウォン)、慶尚北道(キョンサンブクド)北部などは明日(5日)朝まで雪が降ると予想される」と伝えた。


  


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