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更新日:
 2010年2月10日








◎スリランカ大統領、議会を解散、批判勢力の粛清続く(2010年2月10日、朝日新聞)
 スリランカのラジャパクサ大統領は9日夜、議会を解散した。大統領府当局者が明らかにした。大統領選の野党統一候補だったフォンセカ前政府軍参謀長が8日に逮捕され、批判勢力への粛清が続く中で総選挙に突入することになる。
 現地メディアなどによると、総選挙の日程は4月8日が有力視されている。議会の任期は4月下旬までだったが、ラジャパクサ政権には先月26日にあった大統領選の勝利の勢いに乗り、総選挙を前倒しして与党の勝利を確実にする狙いがあるとみられる。
 大統領選で敗れたフォンセカ氏は選挙に不正があったとして、無効とするよう求める訴訟手続きを進める一方、「野党の顔」として総選挙で再起を図る意向を示していた。同氏は、主義主張がばらばらで「反大統領」以外に共通点がなかった野党をまとめる結集軸だっただけに、逮捕は野党陣営に痛手となる。
 野党側は10日に各地で抗議デモを開くことを決めたものの、陣営関係者や支持者の相次ぐ逮捕で勢いをそがれている。非常事態宣言下で強い治安権限を持つ政権側がさらに力で抑え込む可能性もある。

◎スリランカ、大統領選に落選した前軍参謀長を逮捕(2010年2月10日、朝日新聞)
 スリランカからの情報によると、先月26日に行われた同国の大統領選で現職のラジャパクサ大統領に敗れた野党統一候補のフォンセカ前政府軍参謀長が8日夜、コロンボ市内の事務所で軍警察に逮捕された。政府当局者が明らかにした。参謀長時代に野党と連携して政権転覆を企てた容疑などで、軍法会議にかけるとしている。
 フォンセカ氏はラジャパクサ政権下で、反政府勢力タミル・イーラム解放の虎(LTTE)に対する掃討作戦を指揮。四半世紀に及んだ内戦を昨年5月に終結させた「英雄」として国民の称賛を浴びた。その後、大統領との不仲が表面化し、軍籍を離脱し、再選を目指すラジャパクサ氏に挑んだ。選挙後は、国営メディアによる偏向報道や開票作業に不正があったとして大統領選の無効を訴え、4月に任期満了を迎える議会選に再挑戦する意向を示していた。
 政府側は、選挙結果確定前からフォンセカ氏が滞在するホテルを軍部隊を動員して封鎖した。政府高官が「フォンセカ氏らによる大統領暗殺計画が発覚した」と発言。一方で、政権に批判的だったメディア幹部の逮捕や、同氏に近い軍幹部12人の解任など、反対派の粛清とみられる動きが相次いでいる。

◎スリランカ大統領選、ラジャパクサ氏が再選(2010年1月27日、朝日新聞)
 スリランカ大統領選は27日に開票が終わり、四半世紀に及んだ内戦を終わらせ戦勝ムードに乗るラジャパクサ大統領(64)が、野党統一候補のフォンセカ前政府軍参謀長(59)を破り再選を決めた。選挙管理委員会が発表した。ただ、フォンセカ氏は選管に選挙無効を求める書簡を送付。同氏が滞在するホテルを軍部隊が包囲するなど、不穏な空気が広がっている。
 選管の確定開票結果によると、ラジャパクサ氏が57.88%、フォンセカ氏が40.15%を得票。投票率は74.50%だった。
 ラジャパクサ氏は2005年の初当選以来、少数派タミル人の反政府勢力タミル・イーラム解放の虎(LTTE)への強硬路線を貫き、昨年5月に内戦を軍事解決した実績を誇示。欧米や国連からは民間人の巻き添えなどで批判を浴びたが、内戦終結を歓迎する多数派シンハラ人の支持は根強く、地盤の南部や中部の農村を中心に票を伸ばした。
 一方、フォンセカ氏は前軍参謀長としてシンハラ人の間では知名度があり、大統領への批判が強い都市部で過半数を得た。大統領を敵視する少数派タミル人の政党の支持も獲得したが、タミル人が多い北部で投票日に相次いだ爆弾事件などの影響で有権者の出足が極端に鈍り、タミル人の投票率は2割程度にとどまったとみられる。
 選挙期間中、政府系のテレビや新聞は、最高裁から中立的な報道をするように命じられたにもかかわらず、一方的な大統領礼賛やフォンセカ氏批判を展開した。
 26日の投票日当日も、フォンセカ氏が手続きミスから投票者リストに載っていないことが判明すると、政府系テレビは投票が続いているにもかかわらず「フォンセカ氏は当選しても大統領になれない」と繰り返し報道。選管が「被選挙権はある」と否定する声明を出したが、政府側は「フォンセカ氏を訴追する」と表明するなど攻撃を続けた。
 27日未明には、フォンセカ氏が滞在するコロンボ市内のホテルを大量の軍部隊が包囲。政府軍は「フォンセカ氏支持の脱走兵らがホテルに立てこもったため」と説明し、脱走兵の存在を否定する陣営側とにらみ合っている。
 フォンセカ氏は選挙無効を求める理由について、政府系メディアの偏向報道やタミル人の一部が投票できなかったことなどを指摘した。
 混乱は各地に広がっている模様で、地元メディアによると、この日は中部の各地で両陣営の衝突事件が相次ぎ2人が死亡。警察当局は3都市に外出禁止令を出した。
 再選をうけてラジャパクサ氏は、今年4月に任期満了を迎える議会を早期解散し、総選挙での勝利を確実にしたい考えとみられる。
 だが、今後6年間の任期で最大の焦点となるシンハラ人、タミル人の民族融和は難航が予想される。内戦中にLTTEにより「人間の盾」とされた後、避難民キャンプに収容されたタミル人は今なお約10万人にのぼるほか、すでに帰還した人々の生活支援も不十分なままだ。
 タミル語紙の幹部は「タミル人が大統領の対立候補に票を投じ、大統領がシンハラ人の支持で勝った以上、政権はさらにシンハラ人優先になるだろう。タミル人の困難は今後も続く」と悲観的だ。

◎スリランカ軍トップが辞表、野党に大統領選擁立の動き(2009年11月14日、朝日新聞)
 スリランカからの報道によると、反政府勢力タミル・イーラム解放の虎(LTTE)の壊滅作戦を指揮したフォンセカ政府軍参謀長が、ラジャパクサ大統領に辞表を提出し、14日に受理された。かねて不仲が伝えられており、再選を目指す大統領に対し、野党の間では大統領選の統一候補としてフォンセカ氏を擁立する動きが広がっている。
 フォンセカ氏は05年12月に陸軍参謀長に就任して以来、少数派タミル人の武装組織LTTEに対する強硬策を指揮。今年5月、LTTEの独裁的指導者プラバカラン議長の遺体発見を自ら発表し、約25年続いた内戦に終止符を打った人物として、多数派シンハラ人の間で人気が高い。
 しかし、7月に名誉職的な新設ポストの政府軍参謀長に転出した後、さらにスポーツ省次官に任命されると、就任を拒否。内戦終結を自らの政治的成果として誇示する大統領との関係悪化が表面化していた。
 地元紙によると、フォンセカ氏は12日に辞表を出し、その中で軍がクーデターを計画しているという誤った情報をもとに、大統領から疎まれるようになったと指摘した。
 辞表提出前から、有力野党2党が擁立したい意向を表明。政治活動を禁じられている軍籍を離脱することで、フォンセカ氏の立候補への障害はなくなる。
 大統領は任期を約2年残しているものの、戦勝ムードに乗って選挙を前倒しする意向が伝えられていた。フォンセカ氏が立候補すれば強力なライバルとなる可能性が高い。

◎「核兵器の入手試みた」、スリランカ当局にLTTE元幹部(2009年8月24日、産経新聞)
 スリランカからの報道によると、殺害された反政府武装組織タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)の議長の後継者を名乗り、このほど逮捕されたクマラン・パドマナタン元幹部は23日までに、当局の調べに「スリランカ軍に対して使うため、LTTEは核兵器を入手しようとしていた」と語った。
 同氏は海外でLTTEへの武器調達を担当。国際手配されていたが、マレーシアで逮捕され、今月6日にスリランカへ移送された。核兵器を欧米諸国から入手しようとしたと供述している。
 過去に米国の武器商人から地対空ミサイルを調達した方法など、武器の調達先についても明らかにしているという。

◎LTTE新指導者を拘束、スリランカ(2009年8月7日、産経新聞)
 スリランカ国防省筋は7日、今年5月に殺害された反政府武装組織タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)のプラバカラン議長の後継者を名乗る元LTTE幹部、クマラン・パドマナタン氏が拘束されたことを明らかにした。拘束場所は不明だが、居住が伝えられているタイとの情報もある。
 同氏は名の頭文字を取り、通称「KP」と呼ばれ、海外からLTTEへの武器調達を担当、国際手配もされている。
 LTTEは今年5月、政府軍の掃討作戦で壊滅したが、海外居住の同氏は国内外のタミル人に連帯を訴えていた。

◎LTTEの現指導者、タイで拘束(2009年8月7日、読売新聞)
 スリランカ国防省は7日、事実上崩壊している反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の現指導者で、国際指名手配されていたセルバラサ・パドマナダン容疑者を拘束したと発表した。
 地元報道によると、タイのバンコクで逮捕され、6日にスリランカへ連行された。
 同容疑者はLTTE国際広報委員長として海外で活動し、政府との内戦を率いたプラバカラン議長が5月に殺害された後、在外のまま新指導者に就任していた。
 スリランカ当局は同容疑者を追及し、欧米などのタミル人社会に潜伏しているとされるLTTE残党のネットワーク解明を図るとみられる。

◎海外逃亡幹部、亡命政府呼びかけ、スリランカ武装勢力(2009年6月18日、朝日新聞)
 スリランカ政府軍との戦闘で先月壊滅した同国の反政府武装勢力タミル・イーラム解放の虎(LTTE)の海外逃亡中の幹部が再結集の動きを見せている。今週、世界各地のタミル人社会に向けて声明を出し、亡命政府の樹立を呼びかけた。
 声明を出したのは、LTTEの国際部門トップで、生存している幹部の中で最高位とみられるパトマナタン氏。LTTEの武器密輸を手がけ、国際指名手配されているが、潜伏先は分かっていない。呼びかけにどれだけの支持が集まるかは不透明だ。
 電子メールで配布された音声メッセージの中で同氏は「タミル人の闘いは新たな段階に入った。母国での現実を直視しながら、自由獲得へ前進する時だ」と宣言。「タミル・イーラム暫定政府」の樹立を目指し、作業委員会を立ち上げたことを明らかにした。「民主的な運営」を掲げ、故プラバカラン議長の独裁体制からの決別をにじませている。
 LTTEはすでに軍事的に壊滅したうえ、旧支配地域の住民約30万人は避難民キャンプに収容されたままだ。声明は暫定政府について「国境を越えたもの」と表現。「タミル人の政治代表として国際社会でタミル人の声となる」としており、国外に拠点を置く亡命政府として国際的な認知を目指すものとみられている。

◎LTTE議長、最後は所持金ゼロに、息子が1000万円所持(2009年5月22日、産経新聞)
 スリランカ政府軍のナナヤカラ報道官は21日、反政府武装勢力タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)の最高指導者プラバカラン議長を、同国北部で17、18両日に起きた最後の戦闘で射殺したことなど、議長死亡時の詳細を共同通信に明らかにした。
 報道官によると、政府軍は17日、北部ムライティブ周辺の海岸沿いでLTTEを約400メートル四方の地域に追い込んだ。抵抗を試みるLTTEメンバーらと政府軍の戦闘が続き、護衛と一緒にいた議長は17日夜から18日朝の間に頭部を銃撃されて死亡した。遺体は、ラグーン(潟湖)に浮かぶ小島の草地に横たわっていた。
 議長は衛星電話や「01」と刻まれた身元識別のプレートを所持。LTTEは拘束の危険が迫った兵士を携行した青酸カリで自害させたとされるが、議長自身は持っていなかったという。現金も所持していなかったが、同じく殺害された息子が1200万スリランカルピー(約1000万円)を持っていた。

◎スリランカ、LTTEが敗北宣言「苦い結末に終わった」(2009年5月17日、朝日新聞)
 スリランカ北部で多数の民間人を「人間の盾」にして立てこもる反政府武装勢力タミル・イーラム解放の虎(LTTE)は17日、「戦いは苦い結末に終わった」と敗北を認める声明を出した。これに先立ち、政府軍は「民間人を全員解放した」と発表。LTTEの敗北声明後も包囲を狭めて攻勢を強めており、完全制圧を目指す構えだ。
 敗北声明は、LTTEに近いウェブサイト「タミル・ネット」が同日午後、LTTEの報道担当者のものとして掲載した。「わが人々を殺害するための敵(政府)の言い訳をできなくする最後の選択肢として、武器を置くことを決断した」としている。
 政府軍によると、LTTEとの戦闘は夜を徹して断続的に続いた。同日未明、LTTEは6隻のボートでラグーン(潟湖)に面した政府軍陣地を襲撃し、包囲の突破を試みたが、政府軍の反撃に遭い、約70人が死亡した。
 政府軍は逆に攻勢を強め、同日午前には「民間人全員を解放した」と発表。LTTEに対する包囲を長さ600メートル、幅400メートルの範囲にまで狭めた。LTTEの敗北声明が出された後も、政府軍の報道官は「信用できない。LTTEはまだ数百人は残っており、戦闘は今も継続中だ」と述べ、一気に制圧する構えを崩していない。
 ロイター通信は政府軍筋の話として、LTTEの指導者プラバカラン議長のものとみられる遺体が見つかり、確認を急いでいると報じたが、政府軍当局者は事実関係を否定している。LTTEが、最後には集団自殺を図るという見方も政府軍筋から出ている。
 「盾」になっていた民間人について政府軍は、攻勢を強めた14日から17日の「全員解放宣言」までの間に6万3千人が脱出したとしている。国連は5万〜10万人が取り残されているとしていた。
 政府は報道機関や援助関係者の現場への立ち入りを認めておらず、唯一現場で活動していた赤十字国際委員会(ICRC)も今月9日を最後に現地入りを断念している。政府側の発表以外に、戦火にさらされたとみられる民間人について情報がない状態が続いている。

◎スリランカ内戦、最終局面に、政府軍、完全包囲へ(2009年5月15日、朝日新聞)
 スリランカで約25年に及ぶ政府軍と反政府武装勢力、タミル・イーラム解放の虎(LTTE)の内戦が最終局面を迎えた。北部で多数の民間人を「人間の盾」に立てこもるLTTEに対し、ラジャパクサ大統領は「48時間以内に民間人全員を解放する」と宣言。犠牲の拡大を懸念する欧米諸国や国連は自制を求めているが、政府は一気に軍事解決を図る構えだ。
 国防省によると、LTTEが立てこもっているのは、ムライティブ近くの海とラグーン(潟湖)に挟まれた広さ3平方キロほどの地域。政府軍は海岸線を南北から挟み込むように進み、完全包囲を試みている。
 4月以降、10万人を超えた「人間の盾」からの脱出は一時途絶えていたが、14日になって再び大勢の人々が手作りの浮きにつかまりながら、ラグーンを渡り始めた。15日までに約4千人が逃れ、さらに数千人が脱出を試みている。LTTEは逃げようとする民間人を銃撃しているという。
 一方、AP通信はLTTEが立てこもる地域にある唯一の仮設病院の関係者の話として、激しい砲撃のため医師らが治療の継続を断念したと伝えた。約400人の重傷患者を病棟に残したまま、避難を余儀なくされたという。LTTEに近いウェブサイト「タミル・ネット」は15日、「一帯は煙につつまれ、死者数は数え切れない」と伝えた。
 国連は戦闘地域に取り残されている民間人の数を5万〜10万人と推定。例外的に現地での活動が認められている赤十字国際委員会(ICRC)は声明で、「想像を絶する人道危機を目の当たりにしている」と憂慮を示した。絶え間ない戦闘のため、今月9日を最後に救援物資を運ぶ船が接岸できなくなり、人々は穴を掘って身を隠したまま、飲み水や食料の入手さえ困難になっているという。
 こうした状況を受け、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が11日に重火器の使用禁止などを改めて求める声明を出したほか、オバマ米大統領も13日に声明を発表。LTTEに民間人の解放を求める一方、スリランカ政府にも「何百人もの無実の人の命を奪った無差別砲撃をやめるべきだ」と強い表現で自制を訴えた。
 しかし、AFP通信によると、スリランカのアベイワルデナ情報相は14日、記者団に「国際的な圧力に屈するつもりはない」と宣言。「パキスタンやアフガニスタンで同様の紛争が起きていても誰も停戦を求めたりしないのに、なぜ我々だけを目の敵にするのか」と反発した。

◎政府軍が非戦闘地域へ進入、市民「人質」スリランカ内戦(2009年4月22日、朝日新聞)
 スリランカ政府軍は21日、反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が市民多数を「人間の盾」にして立てこもる「非戦闘地域」への進入を始めた。国防省当局者によると、同地域から約5万人が脱出したが、なお残されている市民の数については不明という。市民を「人質」にしたまま戦闘が本格化することに、国連や人権団体は懸念を強めている。
 国防省によると、LTTEが築いていた防衛線を突破した政府軍は、内陸側から非戦闘地域に入り、同地域を南北に分断して海岸へ達した。一方、LTTEは政府軍が設定した同日正午(日本時間同日午後3時半)の投降期限を過ぎても、応じる気配を見せていない。
 無人偵察機による空撮情報などをもとに政府軍高官は20日夜の時点で「少数の市民しか残っていない」との見方を示していた。しかし、脱出者は21日に入って倍近くに膨れ上がっており、国防省当局者は「実際何人の市民が残っているのか、把握することは不可能だ」と認めた。
 LTTEの戦闘員は、拘束された際に自殺するための薬を常備し、自爆もいとわない「決死隊」として知られる。本拠地キリノッチや軍事拠点ムライティブを含む支配地の大半を失い、戦力を大幅に減らしたLTTEが「人間の盾」を唯一の防御手段にして絶望的な抵抗を続ければ、市民多数を巻き添えにすることは避けられないとみられる。
 政府軍は、脱出を試みる市民の列に向かってLTTEが銃撃したという脱出者の証言や、その場面を写したとする空撮映像を公表した。一方、LTTE寄りのウェブサイト「タミル・ネット」はLTTE当局者の声明文を掲載。「政府軍は市民を盾にして進軍し、地雷処理もやらせている。医薬品不足や飢餓が広がっている」として、政府軍の攻撃を止めるために国際社会の介入を求めている。
 一連の事態について、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は20日声明を出し、市民の脱出を歓迎する一方、非戦闘地域で戦闘が続き、今後さらに大量の犠牲者が出る可能性があることに深い憂慮を表明。救援活動のため、同地域への国連関係者の立ち入りを認めるよう求めた。
 国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチは、政府軍が重火器を使って過剰な攻撃をしていると批判するのと同時に、LTTEは市民を「非戦闘地域」に閉じこめていると非難している。同じくアムネスティ・インターナショナルは、政府から現地での救援活動を拒否されていることを指摘し、「ただちに人道的な中断が実施されるべきだ」と訴えている。
 政府側が軍事解決を急ぐ背景には、25年間続き、一時は解決不可能とさえささやかれた内戦を一気に終わらせる好機を迎えている高揚感に加え、長引く戦闘で戦費がかさめば、すでに危機状態にある財政をさらに圧迫しかねない事情もあるとみられる。

◎スリランカ政府軍、武装勢力LTTEへ総攻撃を警告(2009年4月21日、朝日新聞)
 スリランカ国防省は20日、反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が立てこもる同国北部の約20平方キロの地域から、政府軍の攻撃を防ぐための「人間の盾」にされていた3万人以上の市民が脱出したと発表した。これを受けて政府軍はLTTEに、21日正午(日本時間同日午後3時半)までに投降しなければ総攻撃に乗り出すと通告した。
 ただ、地域内にはまだ多くの市民が残っているとみられており、巻き添えが懸念されている。
 国防省は20日、脱出する市民の映像を公開した。わずかな荷物や幼児を抱えた多くの家族が、列をなしてラグーン(潟湖(せきこ))を徒歩で渡る様子が映し出されている。同省によると、脱出する市民にLTTE戦闘員が自爆攻撃をし、17人が死亡したという。
 一方、LTTE寄りのウェブサイト「タミル・ネット」は同日、政府軍の攻勢で地域内の死者数が千人を超えたと主張。散乱する遺体や、横たえられた負傷者らの写真を掲載した。
 国連は、今回の大量脱出前の段階で「人間の盾」は10万人以上と推定。一方、政府軍高官は20日、国営テレビに対し、地域内には少数の市民しか残っていないとの見方を示した。
 少数派のタミル人らで組織するLTTEは、政府軍と長年にわたり武装闘争を続けてきたが、政府軍は今年に入ってLTTEの拠点を相次いで制圧するなど、攻勢を強めていた。

◎スリランカ政府軍と武装組織が激戦、100人死亡(2009年3月8日、朝日新聞)
 スリランカ国防省の8日の発表によると、同国北部ムライティブ県で6〜7日、政府軍と少数派タミル人の武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」の間で激しい戦闘が起き、LTTEの100人以上が死亡した。
 LTTEが6日、最高幹部クラスに指揮された自爆部隊や海軍組織を含む200人以上を投入して攻撃をしかけたが、政府軍が撃退したという。
 攻勢を続ける政府軍は、LTTEを同県の50平方キロ弱の範囲にまで追い詰めた。LTTEは政府軍の攻撃を食い止める「人間の盾」とするため、多くの住民を支配地域内に強制移動させている模様だ。
 これまでに3万6千人が政府支配地域へ脱出したが、政府の推計では約7万人、国際機関の推計によると約20万人が依然としてLTTE地域に足止めされ、戦闘に巻き込まれる危険に直面。25年以上続く内戦が最終局面を迎えるなかで、政府軍は慎重な対応を強いられている。

◎パキスタンでスリランカ選手団バス銃撃、15人死傷(2009年3月3日、読売新聞)
 パキスタン東部ラホールで3日、クリケットの国際試合に参加していたスリランカ代表チームのバスが、武装集団に銃撃され、地元報道によると、警備の警官ら少なくとも8人が死亡、代表選手やコーチ計7人が重軽傷を負った。
 集団は12人とみられ、警官との銃撃戦の末、全員逃走した。
 犯行声明は出ていないが、パキスタン国内、あるいはインドの過激派によるテロの可能性が指摘されている。
 武装集団は、バスが競技場に到着したところを自動小銃で乱射。手投げ弾も投げられたという。現場からはロケット砲も見つかった。
 南アジアでは、クリケットの熱狂的なファンが多いことで知られる。この日は国別対抗戦の2日目で、当初訪問予定だったインド代表チームは、昨年11月のムンバイ同時テロを受けて出場を辞退。パキスタンと友好が深いスリランカが代わりに訪問していた。

◎パキスタンでスリランカ代表ら16人死傷(2009年3月3日、産経新聞)
 パキスタン中部パンジャブ州の州都ラホールで3日、クリケットの国際試合に訪れていたスリランカ代表チームのバスが武装集団に銃撃され、地元当局者によると、警備に当たっていた警官5人や市民ら計8人が死亡、代表選手やコーチら8人が負傷した。胸や脚に被弾し重傷の選手もいる。
 同州のタシル知事は記者団に「(パキスタンのイスラム過激派が関与した昨年11月の)インド西部ムンバイ同時テロと似ている」と指摘、インド側による報復の可能性を示唆した。パキスタンのイスラム過激派による犯行の可能性もある。
 この日はパキスタン代表との国別対抗戦第2試合が行われる予定だった。バスがスタジアムに到着した際、少なくとも12人の集団が自動小銃を乱射、手りゅう弾を投げた。現場ではロケット砲も発見された。試合は中止された。
 南アジアではクリケットが盛ん。ムンバイテロ後、インド代表が治安問題を理由にパキスタン訪問を取りやめたが、スリランカは2月に来訪。第1試合は引き分けだった。
 スリランカでは反政府武装組織タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)の拠点が政府軍に次々と制圧されているが、AP通信によると、同国当局者はLTTEの関与に否定的な見解を示した。
 パキスタン最高裁が2月下旬、地元有力政治家のシャリフ元首相とパンジャブ州首相の弟について、昨年2月の総選挙などで出馬資格がなかったとする決定を下して以降、同州で支持者による抗議デモが激化、治安悪化の懸念が高まっていた。

◎コロンボ空爆、「解放のトラ」は自暴自棄、スリランカ政府(2009年2月22日、読売新聞)
 スリランカの反政府組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」が20日夜、最大都市コロンボを空爆したことについて、同国政府報道官は21日、「LTTEが劣勢から関心をそらすため自暴自棄の攻撃に出たもの」と述べ、国軍によるLTTEの残存支配地域制圧は順調に進んでいることを強調した。
 地元報道によると、陸軍司令部近くに爆弾が投下され、1機は空軍司令部に近い国税庁の建物に墜落して死傷者も出たが、政府や軍中枢の被害は回避された。
 LTTE系ニュースサイト「タミルネット」は、最高指導者プラバカラン議長が出撃前のパイロット2人と写る写真を掲載、「攻撃成功」と報じた。LTTE支配地域は北東部の一部地域に縮小したが、空爆を行った2機の軽飛行機は、この地域内の舗装道路を滑走路代わりにして出撃。パイロットは夜間、懐中電灯を頼りに操縦していたという。
 LTTEがなお数機の航空戦力を保持し、奇襲攻撃をかける可能性もあり、国軍が「時間の問題」とする制圧には曲折も予想される。

◎スリランカ「解放のトラ」コロンボ空爆、軽飛行機2機で侵入(2009年2月22日、読売新聞)
 スリランカ最大都市コロンボ上空に20日夜、反政府組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の軽飛行機2機が侵入し、市内に爆弾を投下するなどの攻撃を行った。
 AFP通信は、地元病院の話として、少なくとも2人が死亡、58人が負傷したと報じている。
 報道によると、1機は国軍の対空砲によりコロンボ北方の国際空港近くで撃墜された。もう1機も砲撃で墜落し、市内にある国税庁の建物に突っ込んだという。国際空港は一時閉鎖となり、コロンボ市内はほぼ全域にわたり停電した。
 LTTEによる空爆は昨年10月以来。政府報道官は21日、「LTTEが劣勢から関心をそらすため自暴自棄の攻撃に出たもの」と述べ、LTTEの残存支配地域制圧は順調に進んでいると強調した。
 しかし、LTTE系ニュースサイトは、最高指導者プラバカラン議長が出撃前のパイロット2人と写っている写真を掲載し、「攻撃成功」と報じた。LTTEがなお数機の航空戦力を保持し、奇襲攻撃をかける可能性もある。

◎スリランカ反政府武装組織、コロンボを空襲(2009年2月21日、日本経済新聞)
 スリランカ最大都市コロンボの上空に20日夜、反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の軽飛行機2機が侵入し、いずれも政府軍の対空砲で撃墜された。1機は国際空港の近くで墜落、もう1機は政府ビルを直撃した。ロイター通信によると市民2人が死亡、40人以上が負傷した。LTTEは政府軍の攻勢で都市拠点をすべて失い同国北東部に追い詰められているが、コロンボを奇襲する戦力を維持していることが明らかになった。

◎スリランカ国軍、反政府勢力指導者の地下壕発見(2009年2月3日、読売新聞)
 スリランカ国軍は3日、反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の指導者、プラバカラン議長が潜伏していたと見られる地下壕を発見、制圧したと発表した。地下壕に議長本人はおらず、行方はわかっていない。
 国軍によると、隠れ家は2日、北東部ムライティブ付近にあるココナツの木立の中で発見された。
 空調完備の地下2階建てで、防音の施された自家発電機が設置されていた。内部からは大量の医薬品が見つかったほか、議長の私物と見られる虎のはく製や、コニャックのボトルも残されていたという。
 隠れ家を制圧した際の戦闘で、LTTE要員の少なくとも20人が射殺されたとしている。
 プラバカラン議長の行方について、国軍幹部はすでに国外逃亡した可能性もあると語っているが、LTTEはこれを否定している。

◎スリランカ軍がLTTE最後の拠点制圧、「任務の95%完了」(2009年1月26日、毎日新聞)
 スリランカ国軍は25日、反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」の最後の軍事拠点である同国北部のムライティブを制圧したと発表した。LTTE勢力は奥地の密林へと撤退しており、国軍は26日も掃討作戦を続けている。ただ、最大25万人のタミル人住民が同地域に残り、多数が連行されているとみられ、LTTEが今後、住民を盾にゲリラ戦を展開することが懸念されている。
 フランス通信(AFP)によると、フォンセカ国軍司令官は25日夜、「(LTTE掃討の)任務の95%を完了した」と述べ、1983年から続いてきたLTTEとの戦闘がほぼ終結したと宣言した。
 スリランカ国軍は今月初め、LTTE勢力が98年以降、事実上の首都と位置づけていたキリノッチを制圧。その後、LTTEが支配していたジャフナ半島の奪回に乗りだし、10日に要衝のエレファントパスを抑え、14日には半島全体を掌握したと発表した。
 LTTE側からムライティブ陥落についてのコメントは出されていないが、LTTEはすでに、「必要ならば、ゲリラ戦を行う意志がある」と表明している。
 ただ、LTTEを率いてきた最高指導者プラバカラン議長(54)の消息が不明で、17日にはフォンセカ司令官が、同議長はすでに国外に脱出した可能性があると述べていた。このため追い込まれたLTTE側が今後、戦闘地域から逃れられないでいる15万人から25万人のタミル人住民を「盾」に密林地帯でのゲリラ戦を展開し、さらに都市部でのテロを激化させる可能性が指摘されている。
 スリランカでは仏教徒のシンハラ人が多数を占めるが、少数派でヒンズー教徒のタミル人勢力が1970年代から、北東部を中心とした地域の分離・独立を求める運動を展開してきた。80年代に入り、LTTEと政府軍との戦闘が本格化し、これまでに7万人以上が死亡したとされる。
 ラジャパクサ大統領は今年年頭の演説で、タミル問題の政治的解決が必要としつつ、あくまでLTTEの降伏が前提と述べていた。

◎スリランカ軍、「解放のトラ」最後の拠点を制圧(2009年1月26日、朝日新聞)
 スリランカ陸軍のフォンセカ司令官は25日、テレビ演説で、反政府組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」が最後の軍事的拠点としていた北東部ムライティブを制圧したと発表した。
 司令官は、「我々の仕事は95%片づいた」と述べ、LTTE掃討作戦が大詰めを迎えたとの認識を示した。
 国軍は26日も北部のジャングルに残存するLTTE兵力への攻撃を続けた。注目されるLTTE指導者プラバカラン議長の所在は不明で、すでに国外に逃亡したとの情報もある。
 少数派タミル人国家の分離独立を掲げて25年間を超す内戦を戦うLTTEは、過去に一度失った拠点都市を国軍から奪還した実績を持つ。
 ただ、ここ数年は幹部の寝返りや、米国とインドによるスリランカ政府支援強化もあって後退の一方。兵力は、国軍の5万人強に対して、2000人程度まで減少しているとされる。
 LTTEは、北部に住む一般のタミル系住民20万人前後を強制的に支配下のジャングルに移動させているとされる。政府は、LTTEがこれら住民を、国軍の攻撃を避けるための「人間の盾」に使っていると非難している。

◎スリランカ軍、LTTE最後の拠点制圧(2009年1月26日、朝日新聞)
 スリランカ陸軍のフォンセカ司令官は25日、同国北部にある少数派タミル人の反政府武装組織タミル・イーラム解放の虎(LTTE)の最後の拠点ムライティブを制圧した、と発表した。AP通信などが伝えた。LTTEはすべての都市拠点を失い、極めて厳しい状況に追い込まれた。
 政府軍は今月2日にLTTEの本拠地キリノッチを制圧、攻勢を強めていた。
 LTTEは最後に残された北部支配地域のジャングルに、住民約20万人を強制的に移動させている模様だ。政府軍の進撃を食い止めるため、住民を「人間の盾」として使う懸念が高まっている。
 スリランカでは70年代、多数派シンハラ人に対するタミル人の分離独立運動が始まり、83年ごろから政府軍とLTTEの内戦に発展。これまでに7万人以上が死亡した。

◎スリランカ政府軍、拠点制圧後も空爆、LTTE報復テロも(2009年1月4日、産経新聞)
 スリランカ空軍当局者は3日、反政府武装組織タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)の最大拠点の北部キリノッチ制圧後も、LTTE掃討のため北部ムライティブ周辺などで空爆を継続していることを明らかにした。AP通信などが報じた。
 一方、最大都市コロンボでは3日、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、少なくとも3人が負傷。2日の制圧後にも空軍本部近くで自爆テロがあり、LTTEによる連日の報復テロの可能性が高い。
 キリノッチはLTTEが1998年から掌握していた最大の拠点都市だったが、同国北部や北東部の一部地域を依然支配下に置いており、LTTEは今後もゲリラ戦やテロ活動を継続するとみられる。

◎本拠陥落の武装勢力、ゲリラ戦で抵抗か、スリランカ内戦(2009年1月4日、朝日新聞)
 スリランカ内戦で、政府軍に本拠地の北部キリノッチを奪われた少数派タミル人の武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」は今後、密林でのゲリラ戦で抵抗を続けるとの見方が強まっている。都市部でテロも引き続き仕掛けるとみられ、25年にわたる内戦がすんなり終結するとの見方は少ない。
 LTTE寄りのウェブサイトのタミルネットは2日夜、政府軍のキリノッチ制圧について「LTTEは人的被害を可能な限り抑えた」とし、今後も徹底抗戦する方針を示唆した。コロンボでは3日、車の下に置かれた爆弾が爆発し3人が負傷。国防省報道官は「LTTEのテロの疑いがある」と話した。
 一方、政府軍は3日、LTTE支配地域の要衝ムライティブの攻略を開始。AP通信によると、フォンセカ陸軍司令官は「LTTEの終わりに1年もかからないだろう」と述べ、北部全域の早期掌握に自信を示した。
 だが、インドの安全保障専門家ハリハラン氏は「LTTEのプラバカラン議長の降伏は考えられない。小規模集団に再編成してゲリラ戦を展開するだろう」とみる。
 スリランカのNGO国民平和評議会のペレラ理事も「LTTEは通常戦力での戦いでは敗北したが、ゲリラ戦やテロを仕掛ける力は維持している。ゲリラ集団の根絶は困難だ」と指摘する。

◎スリランカ:反政府組織拠点のキリノチ、軍掌握(2009年1月3日、産経新聞)
 スリランカ政府は2日、反政府闘争を続ける少数派タミル人武装組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)の本拠地である北部キリノチを「ほぼ掌握した」と発表した。ラジャパクサ大統領は国民向け演説で「前代未聞の国家的勝利だ」とLTTEの「首都」陥落を宣言した。LTTEは現段階でコメントを出していない。
 一方、AFP通信によると、大統領演説の数時間後、主要都市コロンボの空軍本部で自爆とみられる爆発が起き、少なくとも兵士2人が死亡、30人以上が負傷した。LTTEの攻撃とみられる。LTTEは自爆を多用した闘争を一層先鋭化するとみられ、治安が悪化する恐れもある。

◎スリランカ政府、「解放のトラ」軍事拠点制圧を発表(2009年1月2日、読売新聞)
 スリランカのラジャパクサ大統領は2日、テレビ演説を行い、反政府組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の拠点である北部の都市キリノチを同日制圧したと発表した。
 大統領は「国民にとって比類なき勝利だ」と述べ、北部のLTTE支配地域一帯の「首都」だったキリノチ制圧の意義を強調。LTTEが武装闘争を直ちに放棄し、25年を超す内戦に終止符を打つよう、呼びかけた。
 しかし、大統領演説の直後には同国最大都市コロンボの空軍司令部前で自爆テロが発生、少なくとも兵士2人が死亡した。LTTEがあくまで抵抗を続ける姿勢を誇示したものと見られ、国内各地で厳戒態勢が続いている。
 2日は、政府がLTTEとの停戦合意破棄を発表して1周年に当たる。1日には国軍がキリノチ北方の二つの町を陥落させ、市内に突入する態勢を固めていた。
 LTTE指導者プラバカラン議長の動静は不明だが、同議長は昨年11月末の演説で、キリノチ陥落も視野に、兵力をジャングルに分散させたゲリラ戦や、都市部でのテロによる抵抗を激化させる姿勢を示していた。
 内戦の背景にある少数派タミル系と、多数派シンハラ系住民の対立はもとより根深く、政府の目指す北部の平定と和平実現には、なお曲折が予想される。

◎駅で爆発、7人死亡、スリランカ・コロンボ郊外(2008年5月27日、朝日新聞)
 スリランカの中心都市コロンボ郊外の鉄道駅で26日夕、爆発があり、AFP通信によると少なくとも7人が死亡、62人がけがをした。治安当局は少数派タミル人の武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」によるテロとみている。爆発は夕方のラッシュ時に起きた。スリランカでは1月に政府がLTTEとの停戦を破棄。各地で市民を狙ったテロが続いている。

◎スリランカ内戦、今年の死者3千人超、市民にテロ被害(2008年4月27日、朝日新聞)
 政府軍と少数派タミル人の武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」の内戦が続くスリランカで、今年の戦闘での死者数が25日までに3千人を超え、市民の犠牲も139人に達した。政府は停戦を破棄した1月、「年内にLTTE壊滅」の楽観論を示したが、内戦が長引く可能性が出ている。
 コロンボ近郊で25日夕、路線バスを狙った爆破テロの死者は最終的に26人に上った。要人や市民を狙ったテロは、兵力で劣るLTTEが政府への打撃や社会不安をあおるために起こす常套(じょうとう)手段だ。
 国防省報道官によると、LTTE2794人、政府軍337人が25日までの戦闘で死亡。このほか同時期に市民139人が戦闘やテロの巻き添えになって死亡した。ラジャパクサ大統領は26日、「戦場で後退を余儀なくされているテロリストが、罪のない市民の殺害に再び訴えた」と非難した。
 政府軍はLTTE支配地域の北部キリノッチ、ムライティブ両県へ4方向から攻撃を続ける。だが、抗戦や地雷などの影響で大きく進軍できていない。政府軍筋は1月、LTTEの兵力を「4千人」と推計していた。推計と死者数が正確ならば、LTTEは兵力の大半を失ったはずだが抗戦はやまない。27日未明にはLTTEの軽飛行機2機が政府軍前線を狙って爆弾3発を投下。被害はなかったが、なりを潜めていた「LTTE空軍」の健在ぶりを示した。政府内から「内戦終結まで1年半」との見方も出始めた。
 NGO「国民平和評議会」のペレラ理事は「政府はLTTEを過小評価していた」と指摘。LTTEの支配地域には約30万人が住み、1世帯から1人ずつ強制的に徴用すれば、数万人が動員可能だ。LTTEが精鋭部隊を温存しているとの見方もある。
 内戦が長期化の様相を見せ始めたうえに、一般市民の被害も続く事態に、国際社会からは政府に対話を促す圧力が高まる。国際赤十字は「市民の被害はあきれるほどのレベルに達している」と非難。欧州連合(EU)からは、年末が期限となっているスリランカからの輸出衣料品への特恵関税を「延長すべきではない」との声も聞かれる。
 3月の消費者物価指数は世界的なインフレと内戦の影響で前年同月比で28.1%増。内外の圧力で、政府の強硬姿勢が変更を余儀なくされる可能性もある。

・スリランカ内戦
 仏教徒が多い多数派シンハラ人を中心とする政府が50年代以降、シンハラ語の公用語化や仏教保護政策を推進。少数派でヒンドゥー教徒が多いタミル人は反発し、70年代から分離独立運動を開始。83年ごろからタミル人が多い北部・東部で、政府軍と分離独立を目指す反政府武装勢力のLTTEとの間で内戦になった。これまで双方で7万人が死亡した。

◎戦闘で140人死亡、スリランカ北部(2008年4月25日、朝日新聞)
 スリランカ北部で23日、政府軍と少数派タミル人の武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の間で激しい戦闘があった。国防省は24日、LTTEの100人以上が死亡し、政府軍の43人が死亡、33人が行方不明と発表。1月の停戦破棄後、最大規模の戦闘になった。
 同省によると、戦闘はジャフナ、キリノッチ両県の境界付近の双方の防衛線付近で起き、11時間続いた。
 LTTE寄りのウェブサイト「タミル・ネット」は、「政府軍の少なくとも150人、LTTEの16人が死亡。LTTEが政府軍を撃退した」としている。

◎スリランカ、戦闘で89人死亡(2008年4月14日、朝日新聞)
 スリランカ国防省は13日、北部マンナール県で12日から13日にかけて政府軍と反政府武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との間で激しい戦闘があり、LTTEの77人、政府軍の12人が死亡した、と発表した。一方、LTTE寄りのウェブサイト「タミル・ネット」は「少なくとも政府軍の30人、LTTEの3人が死亡」としている。

◎スリランカで爆弾テロ続発、死傷者多数、動物園でも(2008年2月4日、読売新聞)
 スリランカからの報道によると、同国最大の都市コロンボ郊外の駅構内で3日午後、反政府組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の要員によると見られる自爆テロがあり、少なくとも10人が死亡、100人近くが負傷した。
 AFP通信によると、警察当局者は現場から自爆テロ犯と見られる女性の死体が見つかったと述べ、LTTEの犯行との見方を示した。
 また、2日には中部ダムブラでバスを狙った爆弾テロが起き、20人が死亡。3日午前にもコロンボ近郊の動物園で手投げ弾が破裂、入場者ら少なくとも7人が負傷した。
 1月に停戦が失効して内戦状態に戻ったスリランカでは、4日の独立60周年記念日を前に、国軍との戦闘で劣勢のLTTEが、テロ攻勢で反撃に出るとの懸念が強まっており、コロンボなど各都市では厳戒態勢が敷かれている。

◎コロンボの中心駅で自爆テロ、11人死亡、100人けが(2008年2月4日、朝日新聞)
 スリランカの中心都市コロンボのフォート駅で3日、爆発があり、AFP通信によると、11人が死亡、100人以上がけがをした。治安当局は、少数派タミル人の武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」による自爆テロとみている。
 同駅は、1日に25万人が利用するコロンボ最大の駅。4日に独立60周年の記念日を控え、治安当局がLTTEによるテロに警戒態勢を敷いていたところだった。

◎1週間で死者219人、スリランカの軍事衝突(2007年12月8日、朝日新聞)
 スリランカで、政府軍と少数派タミル人の武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との間の軍事衝突が12月に入って頻発している。北部で連日、戦闘が続き、国防省によると、7日までの1週間で計219人が死亡。政府は軍事攻勢をかけてLTTEを対話に引き出す方針だが、反対に市民を狙ったLTTEによるとみられるテロが発生。状況改善の見通しはない。
 国防省によると、7日には北部マンナール県などでの戦闘で23人が死亡。戦闘は、タミル人の多い北部のLTTEと政府軍の支配地域の境界付近に集中している。
 戦闘は政府軍が優勢で今年7月、LTTEの東部の拠点を制圧した。昨年1月からのLTTEの死者は国防省の集計で約3900人、LTTEの発表でも約1800人に上る。LTTEは推計兵力1万人の少なくとも2割近くを失った計算だ。
 02年の両者の停戦合意は事実上崩壊。だが、LTTEのプラバカラン議長は11月27日、「政府は軍事的な過信から和平のドアを閉めた」と演説。対話に応じる気配はない。
 一方で、11月28日にコロンボ郊外で、12月5日には中北部アヌラダプラでそれぞれ爆破テロが起き、市民計30人以上が死亡。「追い込まれたLTTEが事態打開のために市民を標的にし始めた」との懸念も出ている。

◎4日間で67人死亡、3千人が避難、スリランカで戦闘(2006年12月12日、朝日新聞)
 スリランカ北東部のトリンコマリー県と東部のバティカロア県を挟んだ地域で7日から11日にかけて、政府軍と反政府組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との間で激しい戦闘があった。国防省の発表によると、地元住民を含む少なくとも計67人が死亡。住民3000人近くが避難した。
 国防省によると、戦闘で兵士12人と、LTTEの少なくとも50人が死亡。さらに、LTTEの砲撃がトリンコマリー県内の学校を直撃して、住民5人が死亡した。
 一方、PTI通信は10日、LTTE側の主張として、9、10の両日、バティカロア県バカライで住民が避難していた学校に政府軍の砲撃が当たり、住民計41人が死亡したと伝えた。
 両者の02年の停戦合意は、今年に入って有名無実化。事実上の内戦状態の中で計3000人以上が死亡したとみられている。

◎スリランカ:タミル人武装勢力の拠点を空爆(2006年11月2日、毎日新聞)
 スリランカ空軍は1日と2日、少数派タミル人武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)の拠点を空爆した。10月28、29日にジュネーブで開かれた和平交渉は次回交渉日程も決められずに決裂。その直後から双方の戦闘が激しさを増している。
 ロイター通信によると2日の空爆は同国北部のLTTEの本拠地キリノチに対して行われた。LTTEは「爆撃で民家が破壊され子供2人を含む家族5人が死亡した」と政府軍を非難した。

◎スリランカ:和平交渉、日程決められず、内戦逆戻りの恐れ(2006年10月30日、毎日新聞)
 ジュネーブで開かれたスリランカ政府とタミル人反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」による和平交渉は29日、次回交渉の日程を含めて何も合意がないまま終了した。交渉の継続すら明確に決められなかったことで、スリランカ情勢は停戦の糸口すらつかめない状況が続く。
 スリランカ政府とLTTEは今回、02年に発効した停戦の順守を改めて確認し、先制攻撃を仕掛けないと約束した。今年2月に開かれた3年ぶりの和平交渉でも停戦の順守を確認したが、激しい武力衝突が続いている。今回も約束が履行される可能性は低そうだ。
 AP通信によると、交渉の仲介役であるノルウェーのソールハイム国際開発相は、スリランカの和平プロセスに参与している日米や欧州連合(EU)と、11月に打開策を協議する方針を明らかにした。
 今月に入ってからは、LTTEによるとみられる自爆テロで100人以上が死亡したほか、政府軍とLTTEの戦闘で合計300人以上が死亡するなど、戦闘の激化が目立っている。
 スリランカでは北・東部地域の分離独立を訴える少数派タミル人が組織するLTTEと、多数派シンハラ人主導の政府が対立して83年に内戦がぼっ発した。ノルウェーの仲介で02年に停戦が成立したが、昨年末以降の衝突激化で3000人近くが死亡している。

◎政府軍と反政府組織戦闘、22人死亡、スリランカ(2006年10月12日、朝日新聞)
 スリランカ北部のジャフナ半島で11日、政府軍と反政府武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との間で激しい戦闘があり、軍兵士22人が死亡し、113人が負傷した。
 軍の発表によると、戦闘は5時間ほど続いた。LTTE側にも死傷者が出た模様だ。政府は今月28日からスイス・ジュネーブで、LTTEとの対話を再開すると発表しているが、情勢が好転する気配は見えない。

◎スリランカ海軍とLTTEが戦闘、70人死亡(2006年9月26日、読売新聞)
 スリランカ北東部沖合の海域で25日、同国海軍とタミル人武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の戦闘が発生、LTTE側の船舶11隻が撃沈され、戦闘員約70人が死亡した。
 同国国防省が明らかにした。政府とLTTEは、10月に直接対話を行うことで合意しているが、双方の激しい衝突が続く中、政府は議会内強硬派への配慮から直接対話への出席に条件を付けており、開催が危ぶまれている。
 国防省によると、25日未明の戦闘は、北東部の要衝である港湾都市トリンコマリー方面に向かうLTTEの船団約25隻と海軍艦艇の間で5時間にわたり砲撃が交わされたもので、海軍側も5人が負傷したという。
 スリランカでは24日にも、東部バティカロア県の陸軍基地にLTTEが砲撃を仕掛けるなど、北部から東部の各地で戦闘が連日のように続いている。
 日米と欧州連合(EU)、ノルウェーで構成する支援国会議が援助停止もちらつかせて停戦復帰を迫ったこともあり、スリランカ政府はさる13日、オスロで10月初旬にLTTEと対話すると発表。だが、政府側がその後、LTTEの最高指導者プラバカラン議長自身が対話に応じると発表することなどを条件に挙げたため、仲介にあたるノルウェーは対話の日程を設定できずにいる。
 コロンボの外交筋や地元記者によると、戦闘で劣勢に立つLTTE側は直接対話で局面打開を探りたい意向。ラジャパクサ大統領率いる政府はこれに対し、議会での安定勢力確保のため、LTTEへの一切の妥協を拒む左翼過激派政党「人民解放戦線」(JVP)の協力が必要な状況だ。こうした事情から、10月の対話実現を疑問視する声が強まっている。

◎スリランカ戦闘47人死亡、政府軍とLTTE(2006年8月3日、朝日新聞)
 スリランカ北東部のトリンコマリー県で2日、政府軍と反政府武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との間で戦闘が起き、計47人が死亡した。同県では、ダムの水門開放を巡って両者の交戦が先月末から続いている。両者の02年の停戦合意は事実上、効力を失っている。
 PTI通信などによると、2日未明からLTTEが陸軍キャンプ4カ所を攻撃し、激しい戦闘になった。国防省は軍兵士5人と市民2人、LTTE側の40人が死亡したとし、LTTE側の「軍キャンプを陥れた」との主張を否定した。
 同県では、7月下旬にLTTEが潅水(かんすい)用ダムの水門を閉鎖したことをきっかけに、政府軍が水門開放を目指して空爆を継続。地上部隊も投入し、戦闘が激化している。
 一方、停戦監視団をつくる北欧5カ国の一つ、スウェーデンは1日、治安上の理由で、監視団要員の撤退を決めた。
 LTTEは、欧州連合(EU)による5月末のテロ組織指定に反発。監視団のうちEU加盟国のスウェーデンなど3カ国の9月1日までの要員撤収を求めていた。デンマーク、フィンランドは先月末、撤退を表明している。

◎LTTEと海軍で大規模戦闘、51人死亡、スリランカ(2006年6月18日、朝日新聞)
 スリランカ北西部のマナールで17日、少数民族タミル人の反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」とみられる小型船団が政府海軍施設を攻撃し、AFP通信によると、同軍兵士15人とLTTE側の30人、巻き添えの民間人6人の計51人が死亡した。64人が死亡したバスの爆破テロと政府軍の報復空爆の後、初めてのLTTE側の攻撃。内戦再開への懸念が強まっている。
 国防省の報道官によると、同日午前7時前、LTTEとみられる小型船11隻が海軍施設に発砲して、攻撃をしかけた。海軍側は反撃し、小型船8隻を沈没させたという。報道官は「船にはそれぞれ2、3人が乗っていたとみられる」と話した

◎「解放のトラ」か、自転車地雷で5人死亡、スリランカ(2006年5月1日、読売新聞)
 スリランカ東部の港湾都市トリンコマリーで1日、自転車に仕掛けられた地雷が爆発し、市民ら5人が死亡、8人が負傷した。
 スリランカ海軍の巡回警備兵を狙った少数派タミル人武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の犯行とみられる。また、同日、トリンコマリー沖の海上で、スリランカ海軍の艦船がLTTEの船から発砲を受け、乗務員5人がけがをした。
 同国では、4月25日に最大都市コロンボで発生したLTTEによるとみられる自爆テロ事件の報復として、国軍が東部のLTTE拠点に空爆を実施。その後、両者の間でテロと軍事攻撃の応酬が続いている。
 トリンコマリーはタミル人が住民の多数を占め、死者17人を出した4月12日の爆弾事件発生後、夜間外出禁止令が出されている。

◎ミサの最中に議員暗殺、スリランカ東部の教会で銃撃戦(2005年12月25日、産経新聞)
 スリランカ警察当局によると、同国東部バティカロアで25日未明、教会でのクリスマス・ミサの最中にタミル国民連合(TNA)の国会議員パラジャシンハム氏が至近距離から射殺された。
 直後に混雑した教会内で銃撃戦が起き、同議員の妻ら少なくとも8人が負傷。犯人は複数とみられ全員が逃走した。
 TNAは少数派タミル人の反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」に近いとされる。
 LTTEから離反し東部で勢力を維持するカルナ司令官の武装勢力の犯行との見方がある一方、同司令官を裏切り者として敵視するLTTEが、同司令官への非難を強めるため暗殺を仕組んだとの声もある。

◎スリランカ反政府勢力「現政権との問題解決は不可能」(2004年11月12日、日本経済新聞)
 スリランカの少数派タミル人武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」のバラシンハム政治顧問は11日、同国政府との和平交渉を仲介するペターセン・ノルウェー外相との会談後、LTTE支配地域の北部キリノッチで記者会見し「現政権との間では恒久的な問題解決は不可能だ」と語った。
 一方で同顧問は、LTTE指導部が和平に関するクマラトゥンガ大統領あてのメッセージを同外相に託したことを明らかにした。
 ペターセン外相は、LTTEの最高指導者プラバカラン議長らとの会談で「今が和平交渉再開の好機」などとした大統領からのメッセージをLTTE側に伝えた。だがバラシンハム顧問は会見で「メッセージには何ら新しい提案がなかった」と指摘した。スリランカ政府とLTTEは2002年2月以降停戦を守っているが、LTTEは昨年4月に一方的に和平交渉を中断した。徴税権や警察権などを含む広範囲な自治を要求するLTTE側に対し、連立与党に参加する左翼政党の強い反対などから政府がこれに難色を示しており、交渉再開のめどは立っていない。

◎スリランカ:タミル人武装勢力、政府軍との戦闘再開か(2004年7月12日、毎日新聞)
 スリランカの少数派タミル人武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)は11日、LTTEに反旗をひるがえしたカルナ元司令官派を政府軍が支援しているとして、政府軍との戦闘を再開する用意があるとの声明を発表した。
 LTTEは02年2月以来継続している停戦の破棄までは言明していない。しかし今月7日には停戦合意後初めて、コロンボでLTTEがカルナ派に近い政府閣僚を狙ったとみられる自爆テロ事件が発生。昨年4月以降中断したままのスリランカ和平交渉再開の見通しは、LTTE側の内紛で不透明感を増している。
 カルナ元司令官は今年3月、同国東部バティカロアを拠点にLTTE本部に反旗をひるがえし、4月上旬にはLTTEとの交戦に発展した。
 元司令官は11日、英BBC放送のインタビューに応じ「(LTTEの)プラバカラン議長は交渉による和平を信用しておらず、新たな戦闘を準備している。我々は住民の支持を得ており、今後政党を設立し政治参加する」などと語った。

◎スリランカ・コロンボで停戦後初の自爆テロ、5人死亡(2004年7月7日、日本経済新聞)
 スリランカからの報道によると同国最大の都市コロンボ中心部の警察署内で7日、自爆テロとみられる爆発が起き、爆発物を身につけていた女性と警察官の計5人が死亡、十数人が重軽傷を負った。
 警察は分離・独立を要求する少数派タミル人武装組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)の犯行との見方を強めているが、犯行声明は出ていない。スリランカでの自爆テロは2002年2月に政府とLTTEが停戦に合意してからは初めて。
 現場は中央官庁や米英などの大使館があるコロンボの中心地。地元テレビは、実行犯がLTTEと対立するタミル人政党所属の現職閣僚を狙っていたと伝えた。

◎自爆テロで7人死亡、スリランカ、停戦後で初(2004年7月7日、産経新聞)
 スリランカの最大都市コロンボの中心部で7日、警官の尋問を受けていた女性が自爆、女性と警官6人が死亡、12人が負傷した。
 自爆テロは、少数派タミル人の武装組織、タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)が多用した闘争手段で、2002年2月の政府とLTTEの停戦発効以来初めて。
 政府とLTTEは停滞中の和平交渉の再開を模索しているが、自爆テロがLTTEの犯行と確認されれば、対立が深刻化する可能性がある。
 自爆テロがあったのは首相公邸や大使館などがある区域。女性はLTTEに批判的な閣僚の事務所に行こうとしたが、警官が制止、隣接する警察署に連行した際、隠していた爆発物を爆発させた。ラジャパクセ首相は公邸にいたが、けがなどはなかった。
 LTTEは最近、政府がLTTEの分派、カルナ司令官勢力を保護していると批判。同国東部バティカロアなどで、LTTEと同司令官側が関係するとみられる襲撃事件が散発的に起きていた。
 政府とLTTEは和平交渉再開で原則合意しているが、自治拡大協議などの位置付けをめぐり対立、交渉再開の日程などは決まっていない。

◎スリランカの新首相が就任(2004年4月7日、読売新聞)
 2日に総選挙の行われたスリランカで6日、新首相に第一党・統一人民自由連合(UPFA)のマヒンダ・ラジャパクセ氏(58)が就任した。
 新首相は、南部出身の弁護士で、自由連合内では、多数派スリランカ自由党(SLFP)に所属。ラジャパクセ氏は大統領官邸で行われた宣誓式に先立ち記者団に、同国北・東部を実効支配する少数派タミル人の過激派「タミル・イーラム解放のトラ」との和平プロセス進展を優先課題に挙げた。



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