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このページは、私が気になった台湾に関するニュースを個人的にまとめたものです。

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 2012年4月22日





◎台湾海峡に浮かぶ平潭島、「実験区」めぐり中台が応酬(2012年4月22日、産経新聞)
 台湾海峡に浮かぶ中国福建省の平(へい)潭(たん)島は、台湾北西部の新竹まで約125キロと台湾本島に最も近い中国側の島だ。福建省は2月、同島を台湾と連携して開発する「平潭総合実験区」計画を発表し、台湾の官民に一石を投じた。行政組織幹部も台湾から高額報酬で採用する方針で、台湾では希望者が続出。3月には蘇樹林・福建省長が新竹を訪れ、説明会も開かれた。一方、台湾当局は香港・マカオ同様の「一国二制度の実験区」とみて警戒感を強めている。
 台中-平潭島を週3回往復する中台共同運営の高速フェリー「海峡号」が就航したのは昨年11月30日。4月上旬、台中港から乗船し、海峡の荒波に約2時間半揺られ、約140キロ北西の平潭島を訪れた。
 伝統的な住居の前でてんびん棒をかつぐ物売り。そのすぐ横を、土砂満載のダンプカーがクラクションを鳴らして走り過ぎる。
 無数のショベルカーとブルドーザーが郊外の丘陵を削り、海浜を埋め立て、映画のセットのような中心部のホテルや商業エリアも砂煙をあげて普請中。島中が工事現場という印象だ。
 南西の金井湾沿岸の埋め立て地には「両岸合作」(中台協力)、「共同建設」と大書された看板などが並び、ターゲットが台湾であることを明確に示している。
 見渡す限りの更地だが、福州などから来たという現場作業員らは「2年前までここは海だった。3年後には深圳のように高層ビルが並ぶさ」と言い放つ。
 一方、地元の運送業の男性(48)は「台湾の投資に期待している。今は月3千~4千人民元(4万~5万円)の暮らしだが、いずれは倍増してほしい」と胸算用を明かした。
 中国との関係改善を進める馬英九総統が再選した台湾総統選から1カ月後の2月14日、蘇省長ら福建省幹部が北京で、同省の掲げる開発計画「平潭総合実験区総体発展規画」に従い、平潭島を対台湾特区とする構想を発表した。
 中台共同で計画、開発、経営、管理、受益する「5つの共同」を掲げ、同時に島の一部区域では台湾の自主管理も認めるという。
 人材募集では、まず台湾から20人の幹部を採用し、行政組織である平潭総合実験区管理委員会の副主任委員をはじめ、経済発展局など各局の副局長職にすえると説明。5年以内に台湾の人材を約千人募り、年収は20万~60万人民元(260万円~770万円)を基本に、最高1千万台湾元(約2700万円)という。税制面や住宅取得でも優遇されるとの特典も掲げた。
 また実験区内では人民元、台湾元ともに使用可能。車のナンバーや医師免許のほか、新聞発行、テレビ放映も台湾同様に認める、としている。
 破格の条件を台湾メディアは大きく報じ、実験区管理委はその後、3月上旬までに台湾から200人の問い合わせと35人の幹部応募があった、と明かした。
 色めきたつ台湾社会に困惑しているのが台湾当局だ。対中政策を担当する行政院大陸委員会の頼幸媛主任委員(閣僚に相当)らは、「台湾住民が、大陸(中国)の軍や行政府などで就業することは法で禁じられており、罰則の対象」と警告した。
 3月16日の立法院(国会)では、陳冲行政院長(首相)が、実験区の都市基盤整備の遅れや、投資環境の不備などを指摘。福建と台湾による「共同」では、「地方と地方の提携と受け取られる」ことを危惧し、中国主導の「一国二制度」への警戒感を示した。
 同21日には馬総統も与党・中国国民党(国民党)の中央常務委員会で、問題に言及。投資は、中台間の自由貿易協定(FTA)に相当する「ECFA(経済協力枠組み協定)の規範の中で行うべきだ」とし、福建省側と、台湾社会の双方にクギを刺している。
 この反応に、中国国務院台湾事務弁公室の王毅主任は、「あくまで経済案件であり、『一国二制度』などの政治的意図はない」と強調してみせた。
 一方、北京を訪れた台湾の呉伯雄・国民党名誉主席は同22日、中国の胡錦濤国家主席と会談し、「一つの中国」の中に「台湾地区」と「大陸地区」が共存する「一国二地区」という考えを、初めて直接伝えた。
 「一つの中国」を軸に対中関係を改善してきた馬政権は、従来同様、台湾側において「その中国とは中華民国のこと」としており、事実、「中華民国憲法」の修正条文には「自由地区」(台湾)「大陸地区」(中国)の規定がある。
 ただ、この時期にあえて呉名誉主席が胡主席に「一国二地区」を示したのは、中台の敵対状態に正式に終止符を打つ「平和協定」への下地づくり、との見方が浮上する一方、「『平潭』という変化球で『一国二制度』を問う中国への、台湾側の返球」(台湾紙記者)ともみられている。
 「台湾のシリコンバレー」と呼ばれる新竹市は3月25日、訪台した福建省の蘇省長を市内のホテルに迎え、「座談会」と称して実験区の説明会を主催した。
 財界人ら約300人が出席する中、蘇省長は福建省を「有数の新興市場」とアピール。台湾側が実験区で警戒する「5つの共同」に関し、「両岸共同のふるさと」と表現をやわらげ、「台湾の望まないことはしない」と配慮をにじませた。
 これを受け許明財・新竹市長は、「海峡号の新竹への就航を実現させ、両岸の玄関にしたい」とラブコール。当局の心配をよそに、自治体や企業が寄せる視線の熱さをうかがわせた。
 中台間の直接投資を促す投資保護協定が6月に締結される見通しで、“平潭島の実験”が今後の中台関係にどんな影響を与えるのか注目されている。

・平潭(へいたん)島
 中国福建省福州市に属し、126の島嶼(とうしょ)からなる福建省最大の島。面積約325平方キロ、人口40万人。2010年11月、大陸と島を結ぶ全長約5キロの平潭海峡大橋が開通し、福州市中心まで車で約2時間で結ばれた。実験区計画が中国の国務院で認可されたのは、台湾との高速フェリー就航直前の昨年11月18日。概要については10年5月、当時の黄小晶・福建省長が台湾で「両岸協力は福建と台湾が試験的に先行する」と、台湾の自主管理や税制優遇などを公表した。

◎韓台タイヤメーカー、新興市場へ進出加速(2012年4月17日、化学工業日報)
 韓国や台湾の自動車用タイヤメーカーが、新興国市場への進出を加速している。韓国のハンコックタイヤがインドネシアや中国で新工場建設を進めるのに続き、錦湖タイヤもインドネシアへの生産進出に向け検討に入った。台湾の正新は中国やタイに続き、インドへの進出を検討している。新興国市場でのモータリゼーション加速を背景に、自動車用タイヤは需要増加が確実。自動車タイヤメーカーとして新興勢力である韓国や台湾のメーカーは、こうした新興国市場で増加する需要を取り込みシェア拡大を図る方針で、競争は一段と激しくなりそうだ。

◎男性18人が17歳少女と集団痴漢プレー!!“痴漢電車”主催者らを起訴、台湾(2012年3月24日、産経新聞)
 親日感情が強く、日本の人気アイドルの音楽やテレビドラマなどでも現代日本文化に親しむ台湾社会。その台湾で今年2月、日本製アダルトビデオ(AV)を模倣し、貸し切り電車内で成人男性18人が、17歳の少女1人と合意の上の集団痴漢プレーを展開するという前代未聞の事件が発生した。この“痴漢電車”主催者ら男女6人は3月20日、台湾当局に起訴されたが、男性18人と少女に関してはおとがめなしという司法判断に社会は唖然。一体どんな経緯があったのか。

・少女もネットで応募
 台北郊外・新北市の板橋地検が20日、公序良俗法違反罪(妨害風化罪)のわいせつ斡旋(あっせん)で起訴したのは、「痴漢電車」を主催した主犯の男(37)=求刑懲役6月=と、アシスタント役の女性2人、見張り役の男3人=いずれも同2月=の計6人。
 司法当局の調べや、台湾の主要メディアなどによると、事件が起きたのは2月19日午後のこと。主犯の男が、日本のAVを参考に思いついた「集団痴漢プレー会」への参加者を、事前にインターネットの掲示板で募集し、当日、参加希望の男性18人と、少女(17)1人を午後1時半、台北駅に集合させた。
 まずは同行の助手らとともに、全員の身分証の確認や、隠しカメラの携行の有無など、セキュリティーチェック。その後、台北駅に到着した、下り急行・●(=くさかんむりに呂)光521号(基隆・七堵発、高雄行き)の最後尾(9両編成)の貸し切り車両に、参加者を案内した。
 午後3時25分の出発から、同5時15分に苗栗県の竹南駅に到着するまで2時間弱の間、鉄道法で規定された最初の改札と次の改札の間の実質約80分間で、18対1の“痴漢電車”プレーが展開された。

・記憶は5人目まで
 車内では、乗車直後の車掌の改札後、すぐに見張りの男らが連結部のドアを閉め、女性アシスタントが参加男性全員に、ウエットティッシュやコンドーム、うがい薬などを配布した。
 主犯の男が、OL風の白いワイシャツに黒の上着とスカートをまとった少女に対し、わいせつな動作するよう指示した。それを開始の合図として、スーツ姿の参加男性らが次々に少女に手をのばし、わずか5分後には少女の衣服ははぎ取られ、AVさながらの光景が展開されたという。
 当局の調べに対し、プレーで「小雨」と名乗った少女は「変わった趣向に興味を持ち、年齢をごまかして申し込んだ。報酬はもらっていない」「当日は多数の男性と関係を持ったが、5人目以降は覚えていない」などと説明したという。
 一方、「車内では約半数が少女と関係を持った」などと証言した参加男性らの多くは、ハイテク企業勤務などの社会人らだった。
 また女性アシスタントの1人は有名大学院生で、「現代の性に関する論文を書くために申し込んだ」などと供述した。

・売買春にあたらず
 白昼堂々のこのご乱行は、2月24日、野党の立法委員(国会議員に相当)が密告者の名を伏せて指摘したことで発覚した。
 主要4紙やテレビ各局が大きく報じる中、鉄道警察局も捜査に着手し、主催者らが公序良俗法違反罪、参加男性らが青少年保護育成条例違反や公然わいせつ罪に問われる騒ぎとなった。
 何より世間を震撼(しんかん)させたのは、年齢を偽って「主役」を買って出た少女が未成年(台湾では18歳未満)だったことだが、この手の事件では未成年は「被害者」として扱われるため、結局、少女は罪に問われなかった。
 また男性らは、当日不参加だった2人を含め、事前に1人800台湾元(約2200円)を主催男性らに支払ったが、貸し切り車両代7580元(約2万円)をはじめ、うがい薬やコンドーム代など実費が主で、残金の1万元(約2万7000円)のみが主催者の懐に入った。
 台湾では昨年、従来、売春者側のみが処罰された社会秩序維持保護法が改正され、行政機関の指定区域外での売買春は、買春側も処罰の対象となったが、少女が「報酬をもらわなかった」ため、売買春にあたらないと判断された。
 青少年保護育成条例違反に関しては「年齢を偽る17歳6カ月の少女が、未成年だと見分けるのは困難」との理由で不問に付された。
 また公然わいせつ罪については、貸し切り車両は密室空間にあたり、自由意思で参加した関係者以外の目に触れる状態ではなかった、と判断された。

・6割が「おかしい」
 結局、残金などがなければ、主催者6人も罪には問われなかった“事件”なのだが、破天荒なパーティーの中身が明らかになると、ネット上では「最近の少女は何を考えているのか」という教育関係者の嘆きから、「AV制作で、もうけるのが目的だったのではないか」という疑念、果ては「なぜオレのところに招待状が回ってこなかったのか」との独身男性のつぶやきまで異見が百出している。
 一方、異変を見過ごした台湾鉄路管理局では、再発防止のため、車両貸し出しの規則を見直すことも検討するとしている。
 また、男性18人が、本当に少女が17歳であることを知らなかった証拠がない中での地検の不起訴判断に対し、有力紙、蘋果日報が21日付紙面で報じた自社世論調査では、58.75%が「おかしい」とし、「正しい」の23.35%、「わからない」の17.90%を大きく上回った。

・日本文化と認識?
 「日本のAVを参考にした」というこの事件が台湾社会を騒がせていた3月3日、台湾の知的財産保護に関わる捜査機関、保護智慧財産権警察大隊は、昨年11月から3月にかけ、台北市内の夜市(露店街)などで、日本のテレビドラマなどの海賊版DVDを販売していた4業者を摘発した、と発表した。
 NHKやフジテレビなど、日本の5テレビ局が、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)を通じて行った台湾当局への取り締まり要請に基づく摘発で、日本のコンテンツの海賊版DVDを対象にした一斉摘発は、台湾では初めて。
 現場では「家政婦のミタ」や「坂の上の雲」など、最新の人気テレビドラマの海賊版DVDが1セット180元(約500円)前後で販売されており、結局、海賊版約1万点が押収されたという。
 だが、台湾では人気ドラマ同様に日本のAVの海賊版DVDも、夜市などで1枚100元(約270円)程度で販売されているケースが後を絶たず、「日本製AVは内容が多様で質が高い」として、全土にファンが多いのが実情だ。
 中には「日本ではAVのような行為が普通に行われている」と勘違いする人もいる。台湾在住の邦人女性が深夜にタクシーに1人で乗ると「運転手からそういう話題を振られて不愉快な思いをした」というケースも少なくないという。

◎関東化学、電子工業用薬品、台湾で能力3倍超に(2012年3月23日、化学工業日報)
 関東化学は、台湾で電子工業用薬品を大幅に増強した。台湾中央部に位置する雲林省に新工場が完成、試運転を経て5月をめどに半導体・液晶製造プロセス向け高純度薬品などの生産を開始する。生産能力は当初計画を大幅に上回る年12万トンで、台湾北部の桃園県にある既存工場と合わせた能力は3倍以上の同17万トンに拡大する。投資額は土地代を含めて35億〜40億円。既存工場は新竹を中心とした北部地域の需要をカバー、新工場は増大する台中・台南また中国向け需要に対応する体制を構築する。

◎台湾高速鉄道、追突事故の中国企業と提携、日本、技術流出を懸念(2012年1月6日、産経新聞)
 日本の新幹線技術が基礎となった「台湾新幹線」を運営する台湾高速鉄道株式会社(台湾高鉄)が、昨年7月に中国・浙江省で追突事故が起きた路線に列車制御関連設備を納入した中国企業と技術提携し、事故後に新幹線中枢施設を公開していたことが関係者の証言で分かった。施設は信号システムなど日本が提供した新幹線技術が集積しており、台湾への技術輸出に携わった日本企業には中国への技術流出を懸念する声もある。

・昨年9月視察団派遣
 台湾高鉄と高速鉄道技術の協力で提携したのは中国鉄道通信信号グループ(中国通号)。天津市にある支社で昨年4月、台湾高鉄側と「高速鉄路系統技術合作備忘録(覚書)」に署名した。
 台湾の鉄道関係者によると、中国通号は、浙江省温州で200人以上の死傷者を出した高速鉄道追突事故後の昨年9月、技術幹部ら約10人を台湾に派遣。台湾高鉄側は台北郊外・桃園駅付近の新幹線コントロールセンターなどを公開した。
 温州の事故では、列車制御装置が作動していなかったことが判明。中国当局は昨年12月、信号系統などの設計上の欠陥があったとの報告書を公表している。事故後、同路線に関連装置を納入していた中国通号が視察団を台湾に派遣したことについて、台湾の鉄道関係者は「日本の信号システム技術の視察が目的だった可能性もある」と指摘する。

・新幹線中枢部を公開
 同センターは、日本などから提供を受けた列車制御装置など信号システムが集積した新幹線技術の心臓部で、外部技術陣への公開は異例のことだという。
 10月には台湾高鉄側も中国遼寧省瀋陽を訪れ、中国通号に独シーメンスの電力機器に関する技術協力を仰いだ。中国高鉄の一部車両は同社が技術供与した。
 産経新聞社の取材に台湾高鉄は「(覚書)署名は事実だが詳細は公表できない」(広報担当者)と説明。中国通号側もホームページ上で署名式の写真などを公表しているが「取材には応じない」としている。
 台湾に新幹線技術を輸出した日本企業連合で信号システムを担当した京三製作所(横浜市)は「容易に中枢技術の模倣はできないはず」と話すが、当時の連合の主要社だった三菱重工は「契約には転売や公開を禁じる項目もあり、信号システムなどの技術資料まで公開されたなら、何らかの対応を迫られる」(広報担当者)としている。

◎台湾UPC、遼寧省、盤錦市で大型投資(2012年2月8日、化学工業日報)
 台湾聯成化学科技股有限公司(台湾UPCグループ)は、総額6億米ドル(約460億円)を投じ遼寧省・盤錦市の遼濱沿海経済区内にイソフタル酸無水物、塩化ビニル樹脂(PVC)向け可塑剤、不飽和ポリエステル樹脂などの化学品製造コンプレックスを建設する。このほど同市との間で投資について調印、7月からプラントの建設に入る。第1期分として年産14万トンのPVC向け可塑剤をはじめ、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルポリオールなど10万トン以上の設備の建設を計画しているとみられる。第2期計画ではフェノール、アセトン、イソブチレン誘導体の大型設備を建設する方向で調整している。盤錦市では大連化学が大型投資を推進しており、今回の計画で台湾の化学企業の集積が一段と進むことになる。

◎中国、台湾で「猫肉鍋」をめぐり死者、逮捕者(2012年1月21日、産経新聞)
 日本で「ねこ鍋」と言えば、空の土鍋に猫が入り込んで丸まって眠る“癒し系”の動画や写真のことだが、中華圏の一部では、実際に猫を鍋料理にして食べる文化があるようだ。広東省で昨年末、料理店で猫肉鍋を食べた地元有力者が急死し、逮捕者を出す事件が起きた。一方、猫肉を食べる風習のない台湾では、体に良いと思い込んだ男が他人の飼い猫を食べて逮捕されたことが今年に入って報じられ、「残酷だ」と批判された。

・新鮮な猫肉
 中国華南地方の有力紙、羊城晩報(電子版)が事件発生直後から数回にわたって報じたところによると、広東省人民代表大会(省議会)の代表(議員)で、林業関係の会社を経営する龍利源氏(49)が昨年12月23日昼、陽春市内の鍋料理店で、猫肉と鳩肉入りの鍋を食べた直後に中毒症状を訴え、病院に運ばれたが死亡した。同席した知人2人も症状を訴えたが、市警察当局は後日、うち1人の同市八甲鎮(村)の共産党委員会委員、黄光容疑者を毒草を使って龍氏を殺害したとして逮捕した。
 龍氏はその日、2人を誘ってなじみの夫婦が経営する同店に来店。店内にいた生きた猫2匹のうち、小さめの1匹を選んで鍋料理を作らせた。龍氏は鍋のスープを椀1杯分飲み干した上、白米も注文して2人より多く食べた。警察が、店の冷蔵庫に残っていた猫の半身を調べたところ中毒を起こす原因が見つからなかったため、毒殺の疑いが浮上した
 調べによると、黄容疑者は、龍氏から預かっていた経営資金を競馬に使い込んで返却できなくなり殺害を計画。嘘をついて知人に民間療法で使う毒草を採取させて車に隠し、店の夫婦の目を盗んで鍋に入れた。龍氏はスープを飲んだ際に味の異変に気づいたが、黄容疑者に「苦いのは体によい証拠だ」という趣旨のことを言われて納得してしまったという。
 羊城晩報の記事からは、店が食用に生きた猫を常備していたことや、この地域で猫肉が「体によい食べ物」とされていることが伺える。ただ、中国の他の地域ではペットブームが起きつつあることもあり、2010年には、猫や犬を食べた者に罰金5000元(約6万円)または拘留15日の罰則を科す反虐待動物法案を識者が提案して話題になった。議論は現在も続いているようだ。

・飼い猫を
 1月4日付の台湾の有力紙、中国時報(電子版)などによると、中南部、嘉義県在住の日雇い労働者の男(55)が昨年6月、3回にわたって借りた車で隣県まで出向き、他人の飼い猫計6匹を盗んだ。この男は、自分が肝臓病を患っていると疑っていたが、病院に行く金がなく、「『猫肉を食べれば治る』と聞いていた」という。
 猫を盗む瞬間を通行人に見つかり逃走したが、車のナンバーを覚えられており、6日後に警察に逮捕された。すでに4匹を「煮て食べた」後だった。男は窃盗罪で懲役100日の判決を受けた。
 記事は、漢方医の話として「猫肉は治療上、なんの効果もない」との注釈も付けている。

◎JX日鉱日石金属、電材加工の生産体制再構築(2012年1月20日、化学工業日報)
 JX日鉱日石金属は、電材加工事業の生産体制を再構築する。中国・東莞の工場を閉鎖して液晶のバックライト用材料の製造から完全撤退するとともに、キャパシター材料の生産を蘇州の拠点に集約した。一方、台湾では半導体や液晶関連の工場が集積している新竹に、現有拠点の2倍規模の面積がある用地を確保した。需要の動向をみたうえで、スパッタリングターゲット材の生産の一部を磯原工場(茨城県北茨城市)からシフトする模様。

◎台湾総統選:現職の馬英九氏が再選、蔡英文氏を振り切る(2012年1月15日、毎日新聞)
 台湾総統選は14日投開票され、与党・国民党候補で現職の馬英九総統(61)が最大野党・民進党候補の蔡英文主席(55)を振り切り、再選を果たした。08年5月の総統就任以来、最重要課題と位置づけてきた対中関係改善が有権者に評価された。馬氏は14日午後8時(日本時間午後9時)過ぎから台北市内で勝利宣言し、「私個人の勝利ではなく、台湾人民の勝利、台湾の平和路線の勝利だ。台湾の人々の私に対する信任だ。向こう4年で台湾に必要な改革を進めていきたい」と述べた。
 中央選管の最終確定結果によると、馬氏の得票率は51.60%、蔡氏は45.63%、もう一人の候補者だった野党・親民党の宋楚瑜主席(69)が2.77%。
 中国の胡錦濤指導部は台湾との安定した関係の継続に期待しており、馬氏の再選を歓迎しているとみられる。
 中台関係は今後、経済中心の交流に加え、主権問題を含む政治対話への移行が注目されるが、住民の多くが慎重姿勢の中、進展は難しい情勢だ。
 馬氏も当選後の記者会見で2期目に訪中するか問われる中で、中国は認めていないが台湾が使用する「中華民国」に触れて「私の正式な身分は『中華民国総統』であり、未来4年間に変わることはない。この身分以外で中国大陸の指導者と会うことはできない」と述べ、中国側が「中華民国」を認めない限り、訪中はないとの考えを示した。
 選挙戦は馬氏と蔡氏が激しく競り合ってきた。馬氏が「活力ある経済」「両岸(中台)関係の平和」などの実績をアピールし、中台それぞれが「一つの中国」の原則堅持を口頭で表明する「92年合意」を中台関係改善の基礎と位置づけてきた。
 蔡氏は独立志向の強い民進党の候補だったが、中台関係を悪化させた同じ民進党の陳水扁前政権(00~08年)とは一線を画し、民主的な方法で新たな対中交渉の枠組み「台湾の総意」を形成すると呼び掛けてきた。
 馬氏陣営は蔡氏陣営の対中政策を「台湾を高い危険に引き込もうとしている」と批判する一方、中国も「民進党はいまだに台湾独立の立場を変えていない。両岸関係は再び不安定になる」と指摘してきた。当選後の記者会見でも馬氏は「両岸政策で両岸の平和と国際社会の安心を得ることができた。だから選ばれた」と勝因を自己分析した。
 馬氏は2期目も、対中政策では「統一せず、独立せず、武力行使せず」の原則に従って現状を維持する。また、これまで「先易後難(先に容易、後から難しい課題へ)」の方針によって経済分野中心に施策を進めてきたが、今後は政治分野にも関心を払うことになる。
 ただ、政治対話については、その第一歩となる「中台間の戦争状態を終結させる平和協定」の締結交渉に関連して、馬氏が昨年10月、「交渉するか慎重に考慮する」と前向きな発言をしたところ、住民の多くが不安を表明。結局、交渉する場合には事前に住民投票で問う、などと慎重姿勢に転じた経緯がある。
 一方の蔡氏は「当選後は党派にかかわらず、各界の優秀な人材を集めて組閣する」として「大連合政府」を打ち出すなど、馬政権との違いを訴えてきたが、政権交代につながるような支持は集められなかった。
 馬氏の2期目の就任式は5月20日で、任期は4年。馬氏とペアを組んだ行政院長(首相)の呉敦義氏(63)が副総統に選出される。総統選は96年の直接選挙制度導入から5回目。

・馬英九(ば・えいきゅう)氏
 1950年7月、香港生まれ。台湾大学卒業後、米ハーバード大で法学博士号を取得。蒋経国総統(当時)の英語通訳をきっかけに政界入り。93年に法務部長(法相)に就任。98年の台北市長選で当時、現職だった陳水扁前総統を破り、初当選した。09年10月から2回目の国民党主席。

・台湾総統選
 台湾の総統と副総統のペアを候補とし、有権者の直接投票で選出する。1996年に最初の総統直接選挙が実施され、国民党の李登輝氏が圧勝。2000年は民主進歩党(民進党)の陳水扁氏が国民党候補の連戦氏らを破り、台湾史上初の政権交代を実現し、50年余りに及ぶ国民党の一党支配は幕を閉じた。陳総統は04年に再選したものの、陳総統一家の腐敗疑惑が浮上。08年は民進党が大打撃を受け、清廉なイメージと対中国融和路線の国民党の馬英九氏が、民進党の謝長廷氏を大差で破り、政権を奪還した。今回初めて総統と立法院(国会)の選挙が同日開催された。総統の任期は4年。3選はできない。

◎台湾総統選、馬英九氏が再選、対中融和継続へ(2012年1月15日、読売新聞)
 台湾総統選挙は14日、投開票され、国民党の馬英九(マーインジウ)総統(61)が野党・民進党の蔡英文(ツァイインウェン)主席(55)や親民党の宋楚瑜(ソンチューユー)主席(69)を抑え、再選を決めた。
 2008年の初当選以来、中台関係を大幅に改善させた馬氏の対中融和政策が信任を得た形となり、馬氏は経済を中心に中台の一層の緊密化を図るとみられる。馬氏は14日夜、台北市内で「我々が勝った。台湾人民の勝利だ」と述べた。〈「トップ会談」模索か3面、民意は格差縮小6面〉
 この日は、総統選とともに立法委員選(国会議員選、一院制、定数113)の投票も行われた。両選挙の同日実施は台湾史上初めて。立法委員選でも、国民党が過半数の64議席を確保した。台湾の中央選挙委員会によると、総統選の得票は、馬氏が689万1139票、蔡氏が609万3578票、宋氏は36万9588票となった。
 馬氏は勝利宣言で「中台の危機をビジネスチャンスに転換したことを(住民が)認めてくれた」と語った。「一つの中国」を「中台双方が独自解釈する」という条件付きで認める馬氏は、民進党政権時代に悪化した中台関係を改善し、中台経済協力枠組み協定(ECFA)など計16の合意を実現した実績をアピールしてきた。中台関係の安定を求める台湾のビジネス界、現状維持を望む幅広い層が馬氏に投票したとみられる。
 蔡氏は、低中所得層の支持獲得を目指した。また、対中経済交流を重視する姿勢を強調した。しかし、「台湾は主権独立国家」と主張する民進党が勝った場合の中台関係悪化への不安感を払拭できなかった。馬氏の当選により、副総統は、同氏とペアで立候補した呉敦義行政院長(63)に決まった。

◎台湾総統選、馬英九氏が再選、対中改善に支持集まる(2012年1月14日、朝日新聞)
 台湾総統選は14日投開票され、国民党の現職、馬英九(マー・インチウ)総統(61)が最大野党・民進党の蔡英文(ツァイ・インウェン)主席(55)、親民党の宋楚瑜(ソン・チューユイ)主席(69)を退け、再選を果たした。経済を中心に中国との関係改善を進めた馬氏の実績が認められた形で、2期目もこの方針を継続する見通しだ。
 馬氏は同日夜、台北市内の国民党本部前で「これは私個人の勝利でなく台湾の人々の勝利だ」と宣言した。蔡氏は選挙結果を受け、党主席辞任を表明した。中央選挙委員会によると投票率は74.4%。馬氏の得票率は51.6%、蔡氏が45.6%。
 中国は、国務院(政府)台湾事務弁公室が新華社通信を通じ「両岸(中台)関係の平和的な発展は正しい道であり、多くの台湾同胞の支持を得た」と再選を歓迎する談話を発表。今後、台湾統一をにらんで、経済面だけでなく政治面での対話を求め、2期目の馬政権に圧力をかける可能性がある。

◎台湾:服役中の陳前総統、義母の初七日法要に参列(2012年1月6日、毎日新聞)
 汚職事件で服役中の台湾の陳水扁前総統が6日、一昨年12月から収監されている台北刑務所から台湾南部・台南に特別措置で一時移り、先月31日に亡くなった義母の初七日の法要に出席した。霊前で読み上げた弔文で陳前総統は8年間の在任中の功績を挙げ、「司法の判断は不公平だ」と無実を訴えた。
 カリスマ的な人気を誇った陳前総統だが、政治的な影響力は限られている。しかし、14日に台湾総統選が迫る敏感な時期でもあり、陳前総統の処遇次第で馬英九政権への批判が出る可能性もある。
 このため、台湾法務部(法務省)は陳前総統の法要参列を許可し、「前総統という地位と人道的な見地」から、規定である手錠をかけないなど配慮を見せた。
 葬儀場の周囲は陳前総統の支持者が駆け付け、「頑張れ」などと声が上がった。混乱防止のため厳重な警備が敷かれ、警官600人が警備に当たった。
 台湾の法律では、服役中でも、親の葬儀・法要には参列が認められるケースがある。

◎台湾総統選の両候補、対中国政策巡り批判合戦(2011年12月31日、読売新聞)
 14日に投開票される台湾総統選候補者によるテレビ討論が30日夜行われた。
 接戦を繰り広げる国民党候補の馬英九(マーインジウ)総統(61)と野党・民進党候補の蔡英文(ツァイインウェン)主席(55)が対中国政策で議論を戦わせた。
 馬氏は中国との関係安定化を自身がもたらしたと強調、蔡氏は馬氏の政策では台湾が中国に統一されると批判した。
 討論会では、馬政権が対中交流の基礎としている、「1992年合意」が最大のテーマとなった。同合意は、中台双方が「一つの中国」を認めるものの解釈はそれぞれ独自に行うことを確認したとされる中台間の合意。
 蔡氏は、中国側が台湾側の独自解釈を認めていないことを指摘した上で、同合意を基礎とした対中交流は中国の言う「一つの中国」原則に寄りそうもので「将来、統一の代価を払うことになる」と批判した。
 これに対し馬氏は、蔡氏の指摘を否定し、「(同合意という)基礎がなくなれば、この3年余りで私が築いた台湾海峡の平和と安定は崩壊する」と警告した。

◎日本人女子大生レイプ犯に懲役8年6月、台湾社会の怒りが法を改正(2011年12月17日、産経新聞)
 今年7月、交換留学生として台湾に滞在していた日本人女子大生を山中に連れ去って暴行したとして強姦罪(強制性交罪)に問われていたタクシー運転手に対し、台北郊外の板橋地方法院(裁判所)は13日、懲役8年6月の判決を下した。公判で運転手は「女子大生の方から身体を提供してきた」と暴行を否認し続けたが、女子大生は涙を流し「そんなことをするはずがない」と証言。法廷は運転手の言い分を退けた。この事件では、運転手が当初、少額の保釈金で釈放されたことに市民の怒りが爆発。その後、立法院(国会に相当)で性犯罪者に対する強制治療の法制を強化するなど、社会的に性犯罪を考え直す契機にもなったが…。

・「合意の上だった」
 台湾の有力紙、自由時報や、中央通信社によると、運転手は逮捕時から公判中も一貫して「タクシー代が払えないという彼女の方から体を提供してきた」「合意の上の一夜の情事だった」などと容疑を否認。
 また、首をしめられ「殺す」と脅迫されたと証言する女子大生の首に残るアザについても「彼女が自分で自分の首を絞めてつけた」と反論。出廷証言した女子大生は、これらに涙を流して憤慨し、中国語で「ありえない」と抗議した。
 結局、法廷は事件の調書や資料写真、女子大生の負傷に関する診断書などから、運転手の言い分には合理性がなく、信用できないとして、運転手の否認を完全に退け、女子大生の心身のダメージなどを考慮。求刑10年11月に対し、懲役8年6月の判決を下した
 運転手の身柄は現在、台北の拘置所にあるが、最後まで否認を通しただけに今後の上訴も注目されている。女子大生の友人男性は判決に対し「特にいうことはない」としつつも、女子大生がすでに日本に帰国し、日常生活を取り戻していることを台湾メディアに明かしている。

・台湾社会の怒り
 事件は7月11日夜9時ごろ発生。女子大生が台北郊外の新北市に住む友人男性宅を訪ねようとして、道に迷っていたところ、通りかかった同市内に住む、40代のタクシー運転手が「送ってあげる」と近づき、自らのタクシーに乗せて新北市土城区の山中に連れ去り、女子大生の首をしめるなどして脅迫。車内で性的暴行を加えた。
 その後タクシーを降ろされた女子大生は付近のコンビニエンスストア店員に保護され、警察に通報。防犯カメラの映像がきっかけとなって翌12日、タクシー運転手は地元警察に逮捕、送検された。
 しかしこの時、地裁担当判事は「単独犯で、逃亡の恐れもない」と判断し、保釈金5万台湾元(当時約14万円)で釈放。その後、運転手が一時逃亡したことなどが報じられ、ネット上では「信じられない措置」「女性の人権軽視で、世界の信を失う」「東日本大震災に巨額の義援金を贈った台湾の姿が一朝で瓦解した」などと批判が続出した。

・法改正にも拡大
 折しも台湾では昨年8月、児童への性的虐待に対し、軽い判決が続いたことから市民の怒りが爆発。「司法の欠陥をただそう」という「白バラ」運動が起きていたところ。
 この事件でも運動の関係者らが政府を批判。フェイスブック上では、保釈を許した裁判官の罷免運動が広がり、立法院(国会に相当)前で抗議集会が開かれるなど、社会的に大きな反響を呼んだ。
 こうした中で、他の性犯罪事件ともリンクし、特に年少者への性犯罪を見直す機運が高まり、今秋、立法院では、再犯の可能性の高い性犯罪者への強制治療を法で定めた「性侵害犯罪防治法」の強化に乗り出すことになった。
 現行法では比較的緩やかな保護観察措置の対象などを見直し、再犯の可能性の高い性犯罪者だと裁判所が認めた場合は、2006年6月以前の古い事案にもさかのぼって、必要に応じて3~4年間の強制治療を受けさせることや、電子的な24時間の位置確認監視などを盛り込んだ。
 また今月14日には、学校内で教師による性犯罪が発生した場合、その犯行を知っていて通報を怠った同僚も教員免許の剥奪処分を受けるなど、組織的な隠蔽を防ぐ条文なども付加されている。改正法は来年1月1日から施行される。

・「それでも軽すぎる」
 ただし、法改正にともなう社会的な受け皿については問題点も多い。
 有力紙、蘋果日報によると、法務部(法務省)などの統計から、今年10月下旬の段階では、強制治療の対象となりそうな再犯の可能性の高い性犯罪者は約250人にのぼる(うち約100人が服役中)。
 しかし、専門の治療が行える台中刑務所(監獄)の付属病院の病床数は15~30床と、十分ではない状態で、今後の整備が待たれている。
 内政部の統計では性犯罪全体の中でも若年者が被害者となる事件はここ5年間増加の一途で、9月には全体の62.8%に達しており、その平均被害年齢は13.5歳だったという。14日に台湾台湾児童・家庭扶助基金会が示した今年1年の児童保護事案305件のうち、49.18%にあたる150件が性犯罪だった。
 女子大生が訪ねてゆくはずだった友人男性の父親は、懲役8年6月の地裁判決を受け、台湾メディアの取材に対し、「それでも軽すぎる」と話し、怒りを隠せないでいる。

◎台湾、化学プラントの新安全ガイドライン策定へ(2011年10月31日、化学工業日報)
 台湾最大の化学企業である台湾プラスチックスグループ(FPG)で相次ぐ火災事故に対応して、台湾政府は工場運営に関する安全ガイドラインに日本や欧米の化学企業のノウハウを導入に踏み切る。事故調査委員会が三井化学、三菱化学両社の工場運営に関するガイドラインの精査に着手したのをはじめ、政府主催の事故調査会議にダウ・ケミカル、BASF、バイエルなどを招請、プラントの安全操業に関する管理システムなどのヒアリングを実施している。既存の基準に加え、国際的な工場運営で独自の安全基準を有するグローバルプレーヤーの実績を重視した新たな工場運営でのレギュレーションを取り入れるものとみられる。

◎「仕事をよこせ」台北でも若者100人デモ(2011年10月15日、読売新聞)
 台北でも15日、約100人の若者が超高層ビル「台北101」の周りでデモを行った。
 参加者は、「反階級社会」「仕事をよこせ」などと書かれたプラカードを手に同ビル周辺を行進、途中からビルの中にも入った。ビル内で営業する高級ブランド店のなかには、シャッターを下ろして臨時休業するところもあった。

◎台北の故宮博物院、展示面積5倍に、10年かけ(2011年10月15日、読売新聞)
 中国の歴代皇帝の文物を収蔵する台北の故宮博物院はこのほど、今後10年かけて展示面積を5倍に拡張する計画を発表した。
 同博物院によると、現在の展示面積は約9600平方メートルで、拡張工事後は約4万8000平方メートルとなる。同博物院が所蔵する文物数は約68万2000点に上るが、現状では一度に3000点程度しか展示できないため、数か月に1度、展示品の入れ替えを行っていた。工事が完了すれば、展示可能点数は、約1万5000点に拡大されるという。
 また、2008年に台湾当局が中国人の台湾観光を解禁したこともあり、故宮博物院を訪れる人の数は08年の約224万人から、10年には約344万人に急増しており、混雑解消にもつながりそうだ。同博物院は1965年に開館。95年まで拡張工事が4度行われているが、今回の拡張計画が最大という。

◎台湾、4年ぶりの大規模軍事パレード(2011年10月11日、読売新聞)
 孫文が清朝を倒した辛亥革命から100年となった10日、台湾当局は台北の総統府周辺で「中華民国建国100年」を祝う式典を開催した。
 4年ぶりに大規模軍事パレードが行われたほか、馬英九総統が演説し、中国に対して「(孫文が理想とした)自由で民主的で国民が等しく富める国家建設を目指すべきだ」と呼びかけた。
 軍事パレードは、独立志向が強かった陳前政権時代の2007年10月10日に実施された時と同規模。主力戦闘機、装甲車が動員されたほか、独自開発した対艦ミサイルを搭載した発射装置などが公開された。

◎台湾で大軍事パレード、中国と距離置く姿勢強調(2011年10月10日、読売新聞)
 台湾当局は、兵員約1800人と戦闘機、戦車、ミサイルを動員した過去最大規模の軍事パレードを中心に「中華民国建国100年」を祝う盛大なイベントを台北の総統府周辺で10日に予定しており、中国と距離を置く姿勢を強調している。
 2008年に発足した台湾の馬英九政権は、1992年に中台が共通認識に達したとされる「『一つの中国』を中台それぞれが独自に解釈する」ことを認めた。「一つの中国」では中国との認識は一致しているが、台湾は、自らの「中華民国」を正統政権と解釈する立場をとっている。
 このため、台湾側が祝うのは、中華人民共和国を生んだ革命史の中での「100年」ではなく、「辛亥革命が清朝を倒し、中華民国が樹立された」(馬総統)という歴史を踏まえた「建国100年」だ。
 統一に向けた動きの進展を望む中国は、祝賀行事の共同開催を台湾に呼びかけてきた。しかし、対中政策で「統一せず」を掲げる馬総統は「別々にやればいい」と、拒否してきた。来年1月の総統選で再選を目指す馬総統は、大多数が統一を嫌う世論を重視し、慎重な対中姿勢をとっている。

◎ユニクロ:旗艦店が台北市内の繁華街にオープン(2011年9月23日、毎日新聞)
 ファーストリテイリングが展開するカジュアル衣料「ユニクロ」ブランドの「グローバル旗艦店」が23日、台北市内の繁華街にオープンした。旗艦店はニューヨーク、ロンドン、パリ、上海、大阪に続く世界6カ所目。
 台湾では昨年10月に台北1号店がオープンしたのに続く2店目。台北では年末までに更に5店、台湾全域では来年までに約30店を開業する予定。好調な売り上げを記録していることが背景で、出店を一段と加速させる。
 23日オープンした台北の旗艦店は繁華街の老舗デパート「明曜百貨」(地下1階~地上12階)の1~3階(売り場面積計約1000坪)で展開。同デパートは立地が良いにもかかわらず、客足が伸び悩んでおり、デパート全体のリニューアルに合わせて出店したユニクロの集客効果が注目される。

◎米、台湾に武器42億ドル、新型F16は見送り(2011年9月17日、読売新聞)
 オバマ米政権は16日、台湾に総額約42億ドル(約3224億円)の武器売却を決め、米議会に非公式に通告した。
 早ければ19日にも正式発表される。焦点となっていた新型のF16C/D型戦闘機66機の売却は見送り、代わりに台湾が保有する従来型のF16A/B型約150機の性能向上のための機器や装備などを提供する。
 武器売却で予想される中国の反発に配慮したとみられ、議会の対中強硬派などから批判が噴出するのは必至だ。
 台湾は、戦闘機の性能向上など中国の航空兵力の増強が進んでいるのに対抗するため、F16C/Dの購入を米側に要望。米議会でも、中国の脅威への対抗に加え、F16の製造工場を抱える州での雇用確保などの思惑から、超党派の議員が売却実現を要請していた。

◎台プラ、中国展開を大幅見直し(2011年8月26日、化学工業日報)
 台湾プラスチックスグループ(FPG)による中国展開の大幅見直しに迫られている。昨年、FPGは中国・寧波で第2期ダウンストリーム増強計画を策定。原料確保のため、中国石化(SINOPEC)とナフサクラッカーの合弁を模索してきた。ただ、台湾企業による中国でのナフサクラッカーへの投資が禁じられていることに加えて、SINOPECがダウンストリームへの参加も条件として提示していることに難色を示したFPGとの間で交渉が決裂したもよう。一連の火災事故などで供給能力が低下する台湾・麦寮拠点から寧波への原料供給も厳しい状況のため、寧波における第2期ダウンストリーム増強計画が白紙撤回される可能性が高まっている。一方で、SINOPECと台湾石化4社が大型石化コンプレックスを計画する福建省古雷で独自の石化コンプレックス計画の可能性も浮上しているが、先行きは不透明な情勢だ。

◎独立ではなく「現状維持」、台湾野党党首、対中政策で(2011年8月23日、産経新聞)
 来年1月に実施される台湾総統選の野党、民主進歩党(民進党)候補、蔡英文主席は23日、台北の党本部で記者会見し、対中国政策に関して、統一でも独立でもない「現状維持」を基本として、新たな中台間の交流枠組みをつくる方針を示した。
 中国は、民進党が政権を奪還すれば、台湾が独立の方向に向かうと警戒しており、台湾住民の一部にも中台関係が不安定化するとの懸念があることから、蔡主席は、現実路線への転換をあらためて強調した形だ。
 民進党は今後10年の台湾発展戦略を示す政策綱領「十年政綱」をまとめ、その中の対中政策の概要を会見で発表した。
 蔡主席は、台湾住民の最大のコンセンサスは「台湾の現状維持」と指摘。これを基本に中台間の平和的で安定した交流の枠組みを新たにつくる方針を説明した。

◎台湾中油、マレーシアの「RAPID」プロに参画視野(2011年7月28日、化学工業日報)
 ペトロナスがマレーシア・ジョホール州で進める大型石化コンプレックス計画「RAPID」プロジェクトに、台湾中油(CPC)が参画する可能性が浮上している。CPCはかねてから公害問題などにより、2015年に廃棄もしくは移設の対象となっている台湾・高雄の製油所およびナフサクラッカーをマレーシアおよびインドネシアを候補に移設を検討してきたが、現在はマレーシアを最有力候補としてジョホール州政府と移設に関する交渉を進めている。交渉は順調に進んでいるとみられ、製油所・ナフサクラッカーの移設が実現した場合、ペトロナスがRAPIDプロジェクトで計画するオレフィン合計で年産300万トンの一部を担う公算だ。また、CPCが移設を決めた場合には、台湾から複数の川下メーカーも進出するものとみられ、新たに台湾勢による東南アジアの石化市場への進出が加速する。

◎交換留学の日本人女子大生を車内レイプした台湾タクシー運転手の素顔(2011年7月24日、産経新聞)
 東日本大震災の義援金が約170億円に達するなど、親日感情で知られる台湾だが、留学中の日本人女子大学生がタクシー運転手にだまされ、山中で暴行されるという事件が発生し、台湾社会を揺るがしている。運転手はすぐに逮捕されたものの、地裁は「逃亡のおそれがない」として少額の保釈金でいったん釈放。検察側の抗告で高裁は一転、勾留を命じたが、運転手の逃亡が発覚したことから、35万人以上の市民がフェイスブックを通じて、保釈を許した地裁判事の免職運動を起こす騒ぎに発展している。日台のきずなをゆるがした暴行犯とはいったいどんな男だったのか。
 婦女暴行の容疑で台湾の警察当局に逮捕されたのは台北郊外、新北市内に住むタクシー運転手、謝東憲容疑者(41)。
 捜査関係者らによると、事件が起きたのは7月11日深夜。謝容疑者は、交換留学生として台湾の大学で学ぶ日本人女子大生(21)を、台北市郊外、新北市土城区の山中で暴行した。
 女子大生は同日午後7時ごろ、台北南郊のMRT(地下鉄)永寧駅から友人の男性の家へ向かう途中、道に迷っていたが、姿を見かけた謝容疑者が「送ってあげる」などと呼び止め、女子大生がタクシーに乗ったところ、山間部へ連れ去り、女子大生の首をしめるなどして脅迫。車内で性的暴行を加えたという。
 女子学生は置き去りにされ、近くのコンビニエンスストア前で泣いていたところを店員が発見、保護し、事情を聴いて警察に通報した。同店の防犯カメラの映像が手がかりとなって謝容疑者の車が浮上し、12日、警察当局が謝容疑者を逮捕、送検した。
 しかし、謝容疑者は「タクシー代が払えないという彼女の方から体を提供してきた」「合意の上の情事」などと容疑を否認した。板橋地検が謝容疑者の勾留を申請したものの、地裁の担当判事(34)は同日深夜「単独犯であり、逃亡の恐れもない」として、保釈金5万台湾元(約14万円)で謝容疑者を釈放した。
 これに対し、地検は「最低でも有期刑5年以上の重罪の容疑者」として抗告した。高裁は一転して、勾留命令を下したが、警察が謝容疑者宅に身柄拘束に向かったところ、謝容疑者の妻が「夫は14日の夜に家を出て以来、連絡がつかない」と話し、逃亡が発覚した。
 結局、謝容疑者は17日、携帯電話で友人に連絡をとり、地元の墓地で友人と待ち合わせをしたところ、友人の通報で駆けつけた警察によって身柄を拘束された。
 事件をめぐっては、被害女子大生の友人男性やその家族らが憤慨し、台湾のメディアに連絡。テレビ各局をはじめ、蘋果日報や聯合報、自由時報、中国時報などの有力紙が13、14日から一斉に報道した。
 女子大生自身、帽子やサングラス、マスクなどを着けてカメラの前に立ち、「抵抗すれば殺すと脅された」などと証言、しめられた際のアザが残る首の映像などをまじえて大きく報道した。
 そうした中、永寧駅付近では今年3月から5月にかけて、帰宅途中の1人歩きの女性に近づき、窓を半分開けて「送ってあげる」と声をかけてくるタクシーが何度も目撃されており、たびたび警察に通報が寄せられていたことも判明した。
 また当局の調べに対し、謝容疑者が「別の2人の女性乗客とも車内で性行為をしたことがある」と話していることから、謝容疑者がタクシーを使った同様の手口によるレイプ常習犯だった可能性も浮上し、通報を生かせなかった警察にも批判の声はあがった。
 さらに炎上したのは、当初、少額の保釈金で釈放を許した地裁の担当判事で、その判断を疑問視する報道が各紙で続出した。担当判事の同僚法官からも「釈放は問題がある」との声が飛び出し、司法院の林錦芳秘書長も司法院が「近く法官会議を開き、判事の保釈釈放裁定の処理不当を検討する」と応じる一幕も。
 司法関係者が揺れる中、「たった5万元で保釈とは、信じられない判断」「東日本大震災の際に見せた台湾の姿は一朝にして崩壊した」「信用を世界的に落とした」などと憤慨する市民らが14日、フェイスブックを通じ、この担当判事を感覚の鈍い「恐竜法官」と決めつけ、免職を嘆願する署名運動の輪が一気に広がり、20日までに36万以上もの署名を集めた。
 台湾では昨年8月、児童への性的虐待に対し、軽い判決が続いたことから市民の怒りが爆発し、司法の欠陥をただそうという「白バラ運動」が起きており、今回も関係者らが政府を批判した。フェイスブック上では31日には立法院(国会に相当)付近などで抗議集会を呼びかけるなど、騒ぎはさらに広がっている。
 台湾では、1990年、1人旅をしていた日本人女子大生が行方不明になり、翌年、遺体が発見され、タクシー運転手による暴行、殺害が発覚する事件が起きている。当時は日本で台湾の治安に対する不安が広がったため、台湾を訪れる日本人観光客が激減し、旅行業界が打撃を被っている。
 近年、日本と台湾の良好な関係をアピールしてきた台湾の外交部(外務省に相当)では、今回の事態を憂慮し、16日には台湾の対日交流窓口機関、亜東関係協会を通じて「日本側に慰問の意を表明した」と表明した。
 また「被害者に適切な援助も申し入れた」とし、日本側から、特別な援助の要請はなく、「台湾の司法態度を尊重し、最善の処理を希望する」との回答を得たとして、「事件による対日関係への影響はない」と説明に追われた。
 一方、日本側の対台湾交流窓口機関、財団法人交流協会台北事務所でも、台湾在住の邦人向けに、台湾のタクシーに乗る際は不審な車両を避けたり、交番でタクシーを呼んでもらうよう、注意を促す文書をメールなどで流し、対応に追われた。

◎台湾総統府前、農民ら1千人座り込み、馬政権に抗議(2011年7月18日、朝日新聞)
 台北の中心部にある台湾総統府前に16日夜から17日朝にかけ1千人を超える農民らが集まり、馬英九(マー・インチウ)政権の農業政策に抗議する徹夜の座り込みをした。農業分野は半年後の総統選に向けて、政権側の失点になりかねない状況にある。
 中部の彰化県渓州から来た農民団体が「馬政権は農業を滅ぼす」との横断幕を掲げ、近くの工業用地に水を供給するため農業用水を減らされたとして、抗議の声を上げた。集会には支援の若者も多数加わり、台湾大の大学院生、鄧筑媛さん(25)は「政府は農村を都市化することしか考えていない」と批判した。
 農政への不満をさらに高めているのが果物価格の下落だ。高めの気温が手伝って果物の収穫が増加。5月に1キロ当たり21台湾ドル(1台湾ドル=2.8円)だったバナナの価格が10台湾ドルを割り込み、パパイアも半額以下になった。

◎中国人の台湾個人観光解禁、富裕層による商機拡大期待(2011年6月28日、産経新聞)
 台湾への中国人観光客の個人旅行が解禁され、第1陣が28日午前、台北中心部の松山空港に到着した。
 中台関係改善で2008年7月に台湾への中国人団体旅行が解禁されて以降、台湾への中国人旅行者数は急増。昨年は、約40年間トップだった日本人客数を抜いた。富裕層が多い個人旅行の解禁で、台湾の観光産業は商機拡大に期待している。
 個人旅行解禁は当面、中国の北京、上海、福建省アモイの住民に限られ、1日500人まで許可。不法滞在を防ぐため、20万台湾元(約56万円)以上の預貯金の残高証明などが必要とされる。
 解禁初日の28日は、中国の3都市から200人以上が台湾入り。

◎公的サイトは中国の簡体字排除せよ、台湾が通達(2011年6月16日、読売新聞)
 台湾の馬英九総統は15日、中国人の台湾個人観光が今月中に解禁されるのを前に、公的機関のウェブサイトや配布文書から中国式の簡体字版を排除し、台湾で使われる伝統的な繁体字版で統一するよう異例の通達を出した。
 中国からの人の流れの活発化で簡体字が台湾で通用するようになれば、伝統的漢字が失われかねないとの危機感がある。
 中国では元来、台湾と同じく繁体字が使われていたが、1964年までに簡体字が確立したため、中台相互で漢字が理解しづらい状況が生まれた。このため、相手への便宜を図るため、ウェブサイトや文書は官民を問わず、両方の字体で編集するのが中台で一般化している。
 馬総統は、2008年の就任前から「繁体字は中華文化の象徴だ」と強調。繁体字を世界遺産に登録すべきだと主張するなど、愛着心が強い。
 台湾当局は15日、交通部観光局のサイトから簡体字のページを削除。また、14日には、レストランや商店向けに「中国人観光客用のメニューや商品説明に簡体字を使う必要はない」とする声明を出した。

◎可塑剤混入食品、「粉ミルク事件の台湾版」? 国内食品問題の目をそらす中国当局(2011年6月14日、産経新聞)
 台湾で人体に有害とされる可塑剤が食品から検出された事件が、中国にまで波紋を広げている。中台両岸が経済を軸に急接近する中、台湾は来年1月に総統選を控えており、台湾を震源とする食の安全問題が今後、両岸関係に影響を及ぼす可能性も排除できない。

・薬品や化粧品も
 事件が明らかとなったのは、5月下旬。台湾メディアなどによると、台湾で販売されるダイエット食品から、可塑剤「フタル酸エステル」の一種「フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)」が検出された。
 可塑剤は本来、合成樹脂の弾性を高めるためなどに使用される薬品。発がん性の恐れがあるとされるほか、体内に吸収された場合に生殖機能に悪影響を及ぼす可能性も指摘され、食品への添加は禁じられている。
 悪徳業者が目を付けたのは、DEHPのコスト削減効果だ。中国語で「起雲剤」と称される乳化剤の一種を製造する際、本来使用されるパーム油の代わりにDEHPを添加すると「コストが5分の1になる」(台湾紙・聯合報)という。このためDEHP入りの乳化剤は大量に市中に出回り、スポーツ飲料や茶系飲料、果汁、ジャムといった幅広い食品に使用された。
 台湾メディア、鉅亨網によると、混入事件に伴う損失額は、台湾の飲料業界だけで150億台湾ドル(約419億円)。被害は食品にとどまらず、薬品や化粧品にも波及している。

・大陸にも飛び火
 可塑剤騒動は、中国にも飛び火した。中国メディアによると、中国衛生当局が公表した可塑剤汚染の問題があるとされた企業は6月7日時点で279社。関連製品は飲料やジャムなど948品種に上る。これらの製品はすべて輸入を一時停止。中国で現地生産されている台湾の関連製品も、検査結果が出るまで販売停止となった。
 事件を機に、中国の飲料市場では、「統一」や「康師傅」といった台湾の人気ブランドが商店から忽然と姿を消した。「厦門(福建省)や東莞(広東省)などでは(問題の)アロエ果汁約500~600箱が回収」(新京報)となり、「上海では(台湾製)スポーツ飲料約5000本がスーパーから撤去」(騰訊網)された。香港でも台湾系飲料店から客足が途絶えた。
 つい最近まで国内の食品問題を詳報していた中国メディアの矛先は、台湾の可塑剤問題へと向かった。2008年に有毒物質メラミンの混入で騒がれた「中国粉ミルク事件の台湾版」などと称し、報道は過熱している。
 もっとも、ネット上では「最近の可塑剤の過熱報道は(中国国民の)視線をそらし、国内の食品安全に対する糾弾をかわすためとしか思えない」といった一般消費者の書き込みも散見される。“熱心”なメディア報道の裏には、中国当局の“思惑”が見え隠れする。中国側の過剰な対応に台湾の食品メーカーの不満が爆発すれば、経済を軸に改善に動く中台関係に水を差しかねない。

◎中台が協力、振り込め詐欺グループ600人逮捕(2011年6月11日、読売新聞)
 台湾の中央通信などが11日、伝えたところによると、台湾の警察当局は9日、中国公安省と連携し、中台とカンボジアなど東南アジア4か国で振り込め詐欺グループ598人を一斉逮捕した。
 逮捕されたのは、台湾人410人と中国人181人などからなるグループ。中台と東南アジア4か国にコールセンターを置き、中台で振り込め詐欺を重ねていた。台湾の警察当局は昨年8月から、中国側と連絡を取りながら内偵捜査を進めていたという。2009年4月に締結された中台犯罪捜査協力協定が機能した形だ。

◎中国人の台湾個人旅行解禁へ、6月末(2011年6月9日、読売新聞)
 中国と台湾の交流窓口機関の実務レベル協議が8日、台北で開催され、これまで団体旅行だけが認められていた中国人の台湾観光を、今月末までに個人にも解禁することで合意した。
 旺盛な購買力を持つ中国人観光客は日本同様、景気浮揚のけん引役として台湾でも受け入れへの期待は大きい。人の往来を活発化させ、台湾を経済的に取り込みたい中国側の思惑とも一致した形だ。
 台湾当局筋によると、中国人の個人観光は、当面、北京や上海など大都市住民に限り、1日500人を上限に、滞在期間を15日間とする方向で調整している。

◎可塑剤の毒性はメラミンの20倍、男性の生殖能力に深刻な影響(2011年6月7日、人民網日本語版)
 台湾の可塑剤による食品や健康食品の安全の問題が拡大を続けている。可塑剤問題の影響を受けた企業は200社以上、汚染された可能性のある製品は500種類以上に達し、台湾のほとんど全ての大手食品企業が巻き込まれている。最新の情報によると、台湾統一グループの可塑剤を含むアスパラガスジュースが中国大陸部向けに販売されたといい、関係方面の注目を集めている。
 可塑剤とは何か。可塑剤は人体にどんな悪影響があるのか。可塑剤DEHP、フタル酸ジエチルヘキシルは人工合成の化学物質で、プラスチックに添加して弾力性を増やし、農業用ポリ塩化ビニルフィルムやプラスチックバッグ、玩具、ビニールホースなどに広く使われている。可塑剤自身は食品原料ではない。起雲剤とは一種の乳化剤で、合法的な食品添加剤で、飲料やゼリーに常用され、製品の油と水分が分離するのを防ぐ。起雲剤の一般的な原料はアラビアガム、乳化剤、パーム油、ヒマワリ油などだが、不法なメーカーは起雲剤製造の際にコスト削減のために、コストが5倍するパーム油の代わりに可塑剤を使って暴利をむさぼることがある。
 資料によると、可塑剤は一種の環境ホルモンで、その毒性はメラミンの20倍にのぼり、体内に一定期間蓄積されて初めて排出されるという。可塑剤は人体の生殖システムや免疫システム、消化システムに被害を与える可能性があり、男性の生殖能力を損なったり、女性の性成熟を早めたり、児童の性別をかく乱する可能性がある。長期間にわたり大量に摂取すると肝臓ガンになる可能性がある。

◎「可塑剤騒動」(2011年6月3日、台湾通信)
 「起雲剤」への可塑剤混入騒動が台湾社会を震撼させている。どこまで影響が及ぶのか、これまでのところ、全貌はまだ見えてこない。食品用の起雲剤、つまり乳化剤に有毒なDEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)を使用した工業用の可塑剤が混入されていたことが発覚し、大騒ぎが続いている。問題商品の種類があまりに多く、次々に問題商品が出てきて情報が混乱している。どれが良くて、どれが悪いのか、全体像がつかみにくい。また、台湾当局の対応も混乱していて、批判を受けている。
 この問題は5月23日に明るみに出たものである。今年4月、中部のある衛生部門が定例のサンプル検査を行った際、康富公司が生産した「浄元益生菌」を行政院衛生署食品薬物管理局に検査に送った。ところが、この商品から食品への使用が禁止されているDEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)が600ppmの濃度で検出された。同局は検察当局と協力して出どころを調査したところ、昱伸香料公司が供給した「起雲剤」と呼ばれる乳化剤が原因だったことが分かった。DEHPは、性機能障害を起こすとともに、発がん性があるとされ、台湾では食品への使用が禁止されている。
 食品が固まらないようにする「起雲剤」は合法的に使用が認められているが、この会社は「起雲剤」の製造コストを抑えるため、プラスチック製造などの工業用に使われる可塑剤のDEHPを原料に使っていたのである。DEHPは食品容器への使用は認められているが、食品への使用は禁止されている。この会社から「起雲剤」の供給を受けた飲料を中心とする製品にDEHPが混入していたことで、大きな騒ぎとなったのである。その中には著名メーカーの製品も多く含まれていた。可塑剤の使用がいつから始まったのか分からないから、台湾の消費者がいったいどれほどの可塑剤を飲んだり食べたりしたのか分からない。
 これだけ問題が拡大したのは、この会社の「起雲剤」のシェアが高かったためである。DEHPを原料に使って価格を通常の半額ほどに抑え、このためシェアを拡大できたのである。また、可塑剤を使えばコストを抑えるだけでなく、賞味期限を長くできるという「メリット」もあった。問題の「起雲剤」を使っていた食品や飲料の会社は、製品が販売できなくなって被害者ともいえるが、コスト削減のため安い「起雲剤」を使っていたのだから、被害者というよりむしろ共犯なのだろう。ある台湾の消費者は、「値段が半分なのに、おかしいと思わない方がおかしい」と指摘する。かわいそうなのは、問題の「起雲剤」とまったく関係のないメーカーである。
 行政院衛生署は、「スポーツドリンク、果汁、茶飲料、ジャム・シロップ、錠剤・粉末」について5月31日から製造、流通、販売業者などが検査機関による安全証明を提示するよう義務付けた。違反した場合には多額の罰金を科されることになる。つまり、安全証明がなければ可塑剤と関係のない商品まで販売ができないことになったのだ。罰金を科されてはたまらないと、商店では対象の商品を商品棚から撤去しているし、ネットショップでも商品リストから外している。
 安全証明は2つの方式が認められていて、1つは政府の認可を受けている検査機関による検査証明、もう1つはメーカーによる安全声明である。実はこの措置は穴だらけである。まず、メーカーによる安全声明は、企業が自分で言っているだけで信用できるとは限らない。検査機関による検査証明は、検査対象になったサンプルについては良いが、それ以外が問題ないとはいえない。ロットが違えばその都度検査しなければならないということになるが、そういうわけではない。
 しかも、この安全証明の義務付けは台湾製品に限らない。日本など海外から輸入される商品についても、安全証明がなければ販売できない。台湾で生産された「起雲剤」なのに輸入品にまで同じことを義務付けるのはおかしな話だが、政府が決めたことなので従うしかない。ということで、日本から栄養補助食品を輸入している私の知り合いの貿易会社も大慌てなのである。
 輸入品の場合、「海外メーカーの安全声明書+輸入代理店の誓約書(切結書)」、または「検査証明(海外、台湾のいずれも可)」を提示する必要がある。海外の証明でも良いが、行政院衛生署は台湾の検査機関で検査を受けるよう勧めている。この際に輸入品についても調べておこうというのは良いことかもしれないが、一種のとばっちりであるのは間違いない。検査を受けると当然コストがかかる。問題なのは検査機関に可塑剤の検査依頼が殺到していることだ。検査待ちの商品が今もたくさんあるそうで、いつまで待たなければならないのか分からない状態となっている。ちなみに日本では同種の検査は2.5週間必要だとのことである。そんなに待たされたら、企業としては大変なことになる。
 近くのコンビニに行くと、レジの横に分厚いコピーの束が置いてある。店員さんに聞くと、本社から送ってきたもので、すべての店舗に用意されているのだという。見せてもらうと、いずれもそれぞれの製品に対する検査証明、安全声明である。あまり気づく人はいないようだが、「起雲剤」問題について質問された時にいつでも対応できるようになっている。コンビの棚はどこも以前と同じように満杯になっているから、安全証明のない商品は別のものに入れ替えたという自信があるのだろう。しかし対応の早いコンビニと違って、デパートのスーパーをのぞくと、飲料の冷蔵庫の一部がガラガラになっていた。
 ところがこの安全証明、必ずしも徹底しているわけではない。別の店である粉末状の商品を買った時、ふと思いついて可塑剤について聞いてみた。すると店員は、やはりコピーの束を取り出して、その商品の安全証明がないか探している。粉末なのだから必要なはずだが、結局のところその商品についての安全証明は見つからなかった。この店員によると、可塑剤問題は「影響が大きいですよ」とのこと。業者は対応に追われるし、売り上げも大きな影響を受けているようだ。
 先ほどの知り合いの貿易会社のスタッフは、「最近はいろいろありますね。この間は放射線汚染、今度は可塑剤」と、ため息をついた。安全証明を提供してそれで販売できたとしても、今度は消費者側の意識の問題がある。今回の事件は日本の福島第1原発の放射線問題と似て、風評被害的なところもある。つまり、どれが良くてどれが悪いのかよく分からないため、いっそのこと問題となっている種類の食品はすべて口にしないという風潮が広まっている。あるミーティングで、参加した人の多くがペットボトルのミネラルウオーターを用意していた。いつものような味のついた飲料は避けている。うちのスタッフも、それまで毎日、何本もペッボトルの飲料を飲んでいたが、騒ぎが始まってから一切買わなくなった。
 先ほどの知り合いの貿易会社のあるスタッフは、「今はチャンスだ」という。今回の騒ぎのあと、営業で回っていて台湾の人々の食品の安全に対する意識が変わっているのを感じるという。自然のものを重視するようになっているというのだ。今後、台湾の加工食品市場は変わる可能性がある。その意味では、将来的に見て経済面でも影響が大きいのではないかと思われる。そこにチャンスが生まれることもあろう。
 一方、「30年食べ続けてきたのだから、怖がることはない。もともと飲み物などあまり買わない」という人もいる。この騒ぎによって台湾で加工食品に対する恐怖感が広がっていることに対しては、「因噎廢食」、つまりのどに詰まるのを怖がって物を食べない、と皮肉っている。こんな消費者も少なくはない。
 それにしてもこの事件、台湾にとっては大きな恥となった。メラミンが混入されていた中国の毒粉ミルク事件に似ている。あの時、さんざんに中国の食品の危険性をあげつらっていた台湾の人たちだが、今度は問題が自分たちのところに降りかかってきた。逆に中国から輸入を禁止されるような事態になっている。これからは中国のことばかりを悪く言えなくなる。
 今のところ、この問題で馬英九政権に批判が集まるといった政治性は帯びていないようだ。あくまでも、不肖の「黒心」業者が引き起こした事件としてとらえられている。今のところ黒心業者は2社とされている。ちなみに、合法、非合法はともかくとして乳化剤は界面活性剤と同じ意味らしい。
 蒸し暑い。東京から帰ってきたスタッフが、台湾に着いたとたんに暑さと湿気で気分が悪くなったと騒いでいる。現在、台北市は気温摂氏28.2度、湿度79%。不快な天気だ。

◎可塑剤の毒性はメラミンの20倍、男性の生殖能力に深刻な影響(2011年6月3日、人民網日本語版)
 台湾の可塑剤による食品や健康食品の安全の問題が拡大を続けている。可塑剤問題の影響を受けた企業は200社以上、汚染された可能性のある製品は500種類以上に達し、台湾のほとんど全ての大手食品企業が巻き込まれている。最新の情報によると、台湾統一グループの可塑剤を含むアスパラガスジュースが中国大陸部向けに販売されたといい、関係方面の注目を集めている。
 可塑剤とは何か。可塑剤は人体にどんな悪影響があるのか。可塑剤DEHP、フタル酸ジエチルヘキシルは人工合成の化学物質で、プラスチックに添加して弾力性を増やし、農業用ポリ塩化ビニルフィルムやプラスチックバッグ、玩具、ビニールホースなどに広く使われている。可塑剤自身は食品原料ではない。起雲剤とは一種の乳化剤で、合法的な食品添加剤で、飲料やゼリーに常用され、製品の油と水分が分離するのを防ぐ。起雲剤の一般的な原料はアラビアガム、乳化剤、パーム油、ヒマワリ油などだが、不法なメーカーは起雲剤製造の際にコスト削減のために、コストが5倍するパーム油の代わりに可塑剤を使って暴利をむさぼることがある。
 資料によると、可塑剤は一種の環境ホルモンで、その毒性はメラミンの20倍にのぼり、体内に一定期間蓄積されて初めて排出されるという。可塑剤は人体の生殖システムや免疫システム、消化システムに被害を与える可能性があり、男性の生殖能力を損なったり、女性の性成熟を早めたり、児童の性別をかく乱する可能性がある。長期間にわたり大量に摂取すると肝臓ガンになる可能性がある。(編集YH)

◎スポーツドリンクや果汁の輸出、安全証明義務付け(2011年6月3日、台湾通信)
 行政院は2日、経済部に対してスポーツドリンク、茶飲料、果汁、ジャム・シロップ・ゼリー、錠剤・粉末・カプセルの健康食品などについて、合格証明がない場合には輸出を禁止するように要求した。
 台湾では最近、食品添加物「起雲剤」に食品への使用が禁止されている可塑剤が混入していることが判明した。台湾で起雲剤を生産しているのは21社で、そのうち問題の起雲剤を生産しているのは昱伸公司と賓漢公司の2社であることがすでに確定している。
 2社の供給先は合わせて244社で、供給先も刑事責任を問われる可能性がある。法務部の陳守煌・次長(次官)は、合法の起雲剤に比べて問題の起雲剤は価格が60~70%低いため、企業の調達担当は常識的に考えて安い原料には問題があると判断し、購入するべきではなかったと指摘している。

◎「起雲剤」使用の製品に安全証明義務付け、31日から(2011年5月30日、台湾通信)
 行政院衛生署の邱文達・署長は28日、スポーツドリンク、果汁、茶飲料、ジャム・シロップ、錠剤・粉末などに食品添加物「起雲剤」が含まれている場合、製造、流通、販売業者などに対して31日から検査機関による安全証明の提示を義務付け、違反した場合には罰金を科すと発表した。
 台湾では最近、起雲剤に可塑剤「DEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)」「DINP(フタル酸ジイソノニル)」が混入していることが判明し、大きな問題となっている。このため、同署は6種類の可塑剤「DEHP」「DINP」「DNOP(フタル酸ジノルマルオクチル)」「DBP(フタル酸ジブチル)」「BBP(フタル酸ビスブチルベンジル)」「DIDP(フタル酸ジイソデシル)」が製品に含まれていないことを示す証明を要求している。罰金は3万~15万台湾元。

◎食品への使用禁止の可塑剤、20年以上前から乳化香料「起雲剤」に混入(2011年5月27日、台湾通信)
 台湾では最近、乳化香料「起雲剤」メーカーが食品への使用が禁止されている可塑剤「DEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)」を混入していたことが判明し、大きな問題となっている。
 これに対して、ある起雲剤メーカーはDEHPが混入した起雲剤が20年以上前から存在したと指摘している。同社によると、DEHP入りの起雲剤は色が白く、売れ行きが好調だった。また、DEHP入りの起雲剤は、パーム油を使用したものに比べて保存期限が6~7カ月長い上、希釈できる。
 行政院衛生署食品薬物管理局によると、台湾では1999年以前は、DEHPは毒性物質に指定されていなかった。同局は、DEHPが毒性物質と指定してされて以降、食品向け容器におけるDEHPの溶出状況を検査していたが、起雲剤に混入しているとは考えたことがなかったと指摘している。

◎台プラのナフサクラッカー火災事故、復旧に長期化懸念(2011年5月24日、化学工業日報)
 台湾プラスチックグループ(FPG)の麦寮コンプレックス内の第1ナフサクラッカーで先週、発生した火災により稼働を停止している同クラッカーの復旧に時間がかかりそうだ。一旦は鎮火したものの、再度ボヤ騒ぎがあった模様。昨年からFPG関連の火災は今回で4件目となる。FPGは今週から原因調査を開始しており、早期の復旧にこぎつけたいところだが、周辺住民の反対感情が高まっていることから、政府の再稼働承認には時間がかかりそうだ。火災の影響に関して市場は静観しており足元の市況に混乱はないが、復旧が長期化する場合は、もともと需給バランスがタイトなプロピレン、ブタジエン市況への影響が懸念される。

◎台塑長園能源科技、正極材の生産能力を3倍に、銅箔・負極材にも参入(2011年5月17日、産経新聞)
 リチウムイオン2次電池(LiB)材料専業の台塑長園能源科技が、正極材の生産能力を今年内をめどに従来比約3倍に増強する。産業用に加えて電気自動車(EV)などのエコカー向け需要の急増に応える。負極材用銅箔および負極材、それにセパレーターといったLiB基幹材料を今後、次々と事業化する計画である。

◎パナ、台湾に100億円スマホ向け工場、回路基盤生産(2011年5月16日、産経新聞)
 パナソニックは台湾にスマートフォン(高機能携帯電話)や携帯電話などに使われる回路基盤の新工場を建設する、と発表した。生産能力は月300万台(携帯電話ベース)で、今年10月に稼働を開始する。投資金額は約100億円。世界的にスマートフォン向けの需要が拡大していることに対応する。
 台湾の既存工場についても、7月までに月300万台に倍増する。この結果、国内工場と合わせたパナソニックの携帯電話向け回路基盤の生産能力は、10月までに45%増の月1450万台になる。

◎陳・台湾前総統、一部無罪確定、外交機密費の横領事件(2011年4月28日、朝日新聞)
 陳水扁・台湾前総統の在任時の不正疑惑をめぐる裁判の一つで外交機密費横領罪に問われた事件の上告審判決が28日にあり、台湾最高裁は一、二審の無罪判決を支持、無罪が確定した。検察は、支出された機密費の一部を陳前総統が着服、息子の米国留学費用に充てたと主張したが、最高裁は証拠が不十分と判断した。
 陳前総統は昨年11月11日の最高裁判決で収賄などの罪が確定、17年6カ月の懲役刑で収監されているが、28日の判決で一部の収賄が無罪となったほか、金融業界再編をめぐる収賄事件でも一審で無罪判決が出ている。

◎シャープ、台湾AUOと液晶特許で契約(2011年4月18日、朝日新聞)
 シャープは台湾の液晶パネルメーカーである友達光電(AUO)と液晶特許のクロスライセンス契約を締結した。両社は2006年からライセンス契約を結んでいたが、10年末に失効。その後、同特許を巡り互いに訴訟を起こしていた。
 対象は液晶のパネルやモジュールに関する特許。シャープは1月に視野角改善技術などの特許侵害でAUOを提訴し、3月にAUOが逆提訴した。今回の契約でこれらの訴訟は取り下げる。シャープは韓国サムスン電子などとも同様の契約を結んでいる。

◎シャープ、台湾液晶パネル大手と特許クロスライセンス契約を締結(2011年4月15日、朝日新聞)
 シャープは15日、台湾の液晶パネル大手の友達光電(AUオプトロニクス)と、液晶特許クロスライセンス契約を締結したと発表した。
 両社がそれぞれ所有する液晶関連特許を相互に利用することで、TFT液晶技術の進展が見込めるという。この契約締結に伴い、両社は相互に提起していた液晶関連特許に関するすべての係属中の法的措置を取り下げる。

◎台プラ、シンガポール・ジュロン島で大型投資(2011年3月7日、化学工業日報)
 台湾プラスチックグループが、シンガポールで石油精製からナフサクラッカーを中心とする石油化学コンプレックスまで建設する検討に入った。ジュロン島に約7000億円を投じて建設する事業化調査(FS)を進めるもので、今週に王総裁をはじめとする幹部がジュロン島を視察する見込み。これまでジュロン島では中国SINOPECが製油所・石化コンプレックスのFSを進めていたが、白紙に戻るなかで、シンガポール経済開発庁(EDB)では中国や台湾での投資が行き詰まっている台プラを引き込んだものとみられ、具体化に注目が集まる。

◎台湾立法院補選、野党が圧勝、馬政権、次期選挙に黄信号(2011年3月5日、朝日新聞)
 台湾立法院(国会)の補欠選挙が5日、台南、高雄の2選挙区であり、いずれも野党・民進党が議席を確保した。馬英九(マー・インチウ)政権下の与党・国民党は2009年3月以降の補選13議席中、3議席しか押さえられず、来年初めにも実施される次の立法院選と総統選に向け黄信号がともっている。
 対象区はもともと二つとも民進党の議席で同党優位だったため、国民党は人選にもたつき、「今回の結果だけのための選挙ではない」(幹部)と敗北を前提にしていたところがある。とはいえ、得票率は前回1~3ポイント差だったのが、今回は台南で23ポイント、高雄では39ポイントの大差をつけられた。国民党は次回選挙に向け、民進党の強固な地盤である中南部の選挙戦略を見いだしかねている。
 立法院の議席数は国民党73、民進党33、その他5で、なお国民党が圧倒的多数だが、民進党は勢力回復への手応えをつかみ始めた。同党の蔡英文(ツァイ・インウェン)主席は党本部で「次の我々の目標は政権を取り戻し、立法院で最大政党となること」と決意を語った。

◎美人局の誘惑に負けた台湾軍高官、中国に機密漏洩(2011年2月20日、産経新聞)
 米台の軍事協力関係を揺るがす事態が発覚した台湾国防部の将官による中国側への軍事機密漏えい事件。陸軍司令部で電子情報通信部門を統括する現役の軍高官が中国側にまんまと抱き込まれ、長年、中国のためのスパイ活動を続けてきた背景には、中国側が差し向けたとみられる30代の美女との交際があったことがわかった。また事件の端緒は、疑惑をキャッチした米国連邦捜査局(FBI)が撮影した旅行中の2人の写真だったことも明らかになり、スパイ映画さながらのストーリーに、台湾各紙の報道は過熱。社会的関心は一層たかまりつつある。(吉村剛史)

・過去50年で最高位
 台湾の検察当局に逮捕されたのは、台湾陸軍司令部の情報システム担当トップである電子情報通信処の処長、羅賢哲陸軍少将(51)。
 台湾国防部が8日夜、羅少将を「中国に軍事機密情報を長期間にわたり漏洩(ろうえい)した重大な疑いで1月25日、逮捕した」と発表したことで事件は明るみにでた。
 羅少将は2002年から05年にかけて、タイで駐在武官として勤務し、この間に、中国の情報機関の接触を受けてスパイとなっていた。
 国防部は、中国側に買収された台湾の軍人としては「過去50年間で最高位」とし、受け取った報酬の総額も数十万ドル(数千万円)に達するとみている。
 また、その被害規模の全容は、現段階では明らかになっていないものの「過去最大」(台湾各紙)とみられている。
 台湾の有力紙、中国時報によると、羅少将が漏洩したのは、1999年に、当時のクリントン米政権が台湾への売却を決めたハイテク通信システムに関する機密情報。
 陸海空3軍合同作戦の際にレーダーや戦闘機、ミサイルなどの間の通信を行うシステムで、米軍との連携も可能になるという。
 この指揮通信システム「博勝案」の構築には「10年の歳月と約500億台湾元(約1400億円)の巨費を投じた」とされている。
 国防部では、羅少将が中国側に台湾の軍事情報を漏らしていたのは04年以降で、昨年10月に発覚するまでの6~9年間、単独で中国のためのスパイ活動を行ったとみている。

・背後に“美人スパイ”
 検察当局は、羅少将がスパイ行為をした動機や詳しい経緯など、事件の全容解明を進めているが、長年、少将と不倫関係にあった1人の女性の存在がクローズアップされている。
 台湾各紙によると、羅少将は台東出身で母は本省人、父親は外省人の元軍人で、兄も軍人。タバコは吸わず、酒はたしなむ程度。もちろん既婚者で、夫婦仲は良く、駐在武官としてタイに赴任した際も妻子を帯同していたが、そこで中国から送り込まれたとみられる女性との交際が始まった。
 女性についての詳細は不明な点が多いが、中国時報などによると、洗練された雰囲気を漂わせる当時30歳くらいの美貌の持ち主で、モデルのように背も高く、豪州のパスポートを所持し、貿易業者を装っていた。
 羅少将はこの女性を通じて、駐バンコク中国大使館一等書記官に偽装した人民解放軍総政治部連絡部所属の林義舜少将と知り合い、水面下で林少将と接触を繰り返し、金銭と引き換えに情報を流していた。
 羅少将はタイ駐在の任務を終えた05年以降も、この女性と一緒に米国に旅行するなど、交際を続け、台湾の軍の機密情報を漏らし続けた。通信機器などは利用せず、出国した際に直接、情報を手渡していた。
 羅少将の疑わしい行動を察知した米国のFBIは、少将が密会を続けるこの女性を中国側のスパイと判断して、旅行先の米国で羅少将と女性が会う場面を撮影し、台湾当局に伝え、台湾当局はこの情報をもとに捜査に着手したという。
 古典的な“ハニートラップ”(美人局)に国家の中枢にある現役の軍高官が絡め取られたかっこうで、事実確認を求めた報道陣に対し、台湾国防部の王明我・総政治作戦局長代行は10日、「セックスの誘惑と金銭的誘惑の問題は、私たちが重点捜査する対象」とコメントしている。

・米台で広がる動揺
 台湾ではここ数年、中国へのスパイ容疑で逮捕される軍人が相次いでおり、昨年11月にも、情報担当将校が中国に買収され「二重スパイ」となった事件が発覚したばかり。
 台湾では「これでは、中国と開戦した場合、ひとたまりもない」と、馬英九総統が展開してきた親中国的な両岸政策に対する非難材料とする動きも見られている。
 また今回漏洩した機密については、米軍との関係が密接で、一時は台湾経由で米軍の機密情報も中国に流れた可能性が懸念されただけに、米メディアも強い関心を寄せている。
 11日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は、「馬英九総統の就任以来、中台関係は改善の傾向にあったが、今回のスパイ事件によって、実際には薄氷を踏む危険な状況にある」と評した。
 いずれにせよ、米国が台湾へのハイテク兵器売却に慎重な一因として、かねてこうした事態への懸念が指摘されていただけに、いたずらにセンセーショナリズムに走る台湾メディアの報道に「国の根幹に関わる問題。軽々に過ぎる」と疑問を持つ市民も。
 台湾の識者の一人は米メディアの取材に対し「スパイ事件は羅少将の問題にとどまるものではなく、全体的な解決ができなければ米国からの兵器購入が難しくなる」との見解を示している。

◎台湾陸軍、現役少将を中国スパイ容疑で逮捕(2011年2月9日、産経新聞)
 台湾国防部は8日夜、陸軍司令部の羅賢哲少将を「中国に軍事機密情報を長期間にわたり漏洩した重大な疑いで1月25日、逮捕した」と発表した。この数年来、中国へのスパイ容疑で逮捕される台湾軍人が相次いでいるが、陸軍中枢の現役少将逮捕は初めて。被害規模も「過去最大」(台湾各紙)とみられている。
 9日の台湾各紙などによると、漏洩機密の中には陸海空3軍の合同作戦を遂行するために米国から導入した高度な指揮通信システムに関する極秘文書や、陸軍が台湾全土に配備した地下光ファイバー網の見取り図などが含まれるという。事実とすれば台湾の対中防衛に及ぼす損害は深刻なうえ、米台軍事協力の今後にも悪影響を及ぼしそうだ。
 国防部発表によると、羅賢哲少将は「2002年から05年までのタイ駐在期間中に中国の諜報機関に買収され、昨年10月に容疑が発覚するまでの6~9年にわたり軍の機密情報を流し続けた疑い」がもたれている。
 中でも米国から導入した「博勝案」と称される3軍合同ハイテク作戦を実施するための指揮通信システムの構築には、「10年の歳月と約500億台湾元(約1400億円)の巨費を投じた」(中国時報紙)とされている。
 米台合同作戦も想定したシステムとされるだけに、台湾経由で米軍の機密情報が中国に流れた可能性も大きい。米国が台湾へのハイテク兵器売却に慎重な一因として、かねてこうした事態への懸念が指摘されていた。

◎奇美実業、台湾・中国でPMMA各8万トン増設(2011年1月13日、化学工業日報)
 台湾・奇美実業は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を台湾と中国で増産する。発光ダイオード(LED)を搭載した液晶テレビ向け導光板用途への供給がひっ迫していることから、台湾・中国でそれぞれ年8万トン設備を今年第2四半期までに増設し、グループ全体の生産能力を世界最大の43万トンに引き上げる。LED搭載液晶テレビの導光板用途は、住友化学などの日系企業やエボニック・インダストリーズといった欧米企業が高いシェアを持ち、各社とも増産に動いている。ただ、それでも供給が追い付かないとみて、同社などアジア勢も同用途において攻勢をかける構えだ。韓国サムスン電子が2009年、液晶テレビのバックライト方式を直下型からLED搭載のエッジライト方式に変更した新液晶テレビを投入し、その後、他社も追随したことによって一気に需要が拡大した。エッジライト方式により液晶テレビの薄型・軽量化を実現したもの。液晶ディスプレイの生産基地である中国、台湾向けではPMMA・同シートの需要が拡大の一途をたどっている。

◎台湾「民国100年」、花火で幕開け、政権にはリスクも(2011年1月3日、朝日新聞)
 【台北=村上太輝夫】1912年の中華民国建国を元年とする暦を使う台湾は今年が「民国100年」。年をまたぐ夜に大がかりな花火が打ち上げられたのを皮切りに、建国の契機となった辛亥革命の記念日10月10日などに様々な行事が予定されている。
 1日午前0時、超高層ビル「台北101」では、壁面に仕掛けられた花火が5分間にわたって繰り広げられた。6千万台湾ドル(約1億7千万円)をかけ、北京五輪開会式の花火を担当した蔡国強氏が手がけた。ビルを回りながら昇っていく竜、「100」の数字など、12万発分を使って壮大な規模で表現、記念の年の幕開けを飾った。
 ただ、100年の歴史は単純ではない。中華民国の建国は中国大陸の出来事で、当時の台湾は日本の植民地だった。1949年、大陸に共産党による中華人民共和国が成立。大陸の政権党だった国民党は内戦に敗れて台湾に逃れ、現在に至っている。
 このため「中華民国」と「台湾」のいずれを強調するかで100年の意味は変わり、台湾独立か中国との統一かという最大の政治争点と結び付きやすい。立法院(国会)選、総統選が近づいている時期でもあり、政権にとってはリスクを抱えながらの1年となる。

◎元台湾総督、明石元二郎の墓の鳥居戻る、台北(2011年1月3日、朝日新聞)
 【台北=村上太輝夫】日本の植民地だった時代の台湾で第7代総督を務めた陸軍大将、明石元二郎(1864~1919)の墓の鳥居が、当時日本人墓地だった台北市中心部の公園に戻された。現地の日本人や台北市民の間で話題になっている。
 明石は日露戦争開戦前、ロシア駐在武官を務め、反ロシア帝政組織への秘密資金援助などを通じた情報工作で活躍した軍人。司馬遼太郎の「坂の上の雲」にも登場する。
 だが、台湾では近代化に尽くした総督として知られる。1918年に就任、翌年には故郷の福岡で病没する。短い在任ながら、台湾人が高等教育を受けられるよう制度を改めるなど実績を残した。遺言に従い、台北の日本人墓地に墓が造られ、鳥居が建てられた。
 戦後、日本人が去り、中国大陸から渡ってきた人々がこの墓地に住みつくと、明石の墓の上も粗末な住宅が建ち、鳥居は物干し場と化した。1997年、公園として再整備した際、鳥居は市内の別の公園に移され、明石の墓は台北郊外の三芝に改めて造られた。
 鳥居を戻そうと言い出したのは地元の里長(町内会長)の王金富さん(62)だ。40年前から近くに住み、墓地が変わり果てても日本人が訪れるのを見ていた。明石については「福岡で死んでも台湾に戻ってきたと知って、感動した」という。「この公園は日本人客が使うホテルや免税店の近くだから、見てもらうのにいいと思う」
 王さんの提案を受け陳玉梅・市議が市政府に掛け合った。植民地支配の責任者を顕彰することに異論もあった模様だが、陳さんは「明石さんは台湾を愛した。その心を大事にしたい」と話す。

◎日立、台湾・鴻海と液晶合弁会社設立へ(2010年12月27日、読売新聞)
 日立製作所は27日、液晶パネル生産で、台湾の電子機器製造大手・鴻海(ホンハイ)精密工業と提携する方向で調整に入ったことを明らかにした。
 日立の液晶子会社「日立ディスプレイズ」(日立DP)に鴻海が約1000億円を出資し、合弁会社に再編成する。両社の提携で、中小型液晶パネルではシャープを抜き、世界シェア(占有率)が最大の企業連合が誕生する。
 具体的には、日立DPが行う第三者割当増資を鴻海が引き受けることを検討している。これに伴い、鴻海が日立DPの出資比率を50%超に引き上げ、経営権を握る方針だ。近く日本国内に新しい工場を建設する方向で、鴻海が生産する高機能携帯電話(スマートフォン)向けにパネルを供給する。
 日立DPの中小型液晶パネルは視野が広く、動画を見るのに適している。指で触れて動かす際の感応度も高く、画面を操作するタッチパネルにも向いている。
 鴻海は、世界のメーカーから委託を受けてパソコンやゲーム機などの製造を引き受ける企業の大手。米アップルの「i PHONE(アイフォーン)」もその一つだ。

◎日立、小型液晶パネル子会社の経営権譲渡検討、台湾社に(2010年12月27日、朝日新聞)
 日立製作所が中小型液晶パネル事業で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と資本提携交渉を進めていることが27日、明らかになった。生産子会社の日立ディスプレイズ(日立DP)に対し、1千億円規模の出資を受け、経営権を鴻海側に譲渡する案が有力。交渉がまとまれば、鴻海の出資を元手に千葉県茂原市の工場を増設。スマートフォン向け液晶パネルなどの需要増に対応する。
 鴻海はEMS(電子機器の受託生産サービス)の世界最大手で、米アップルのスマートフォン「iPHONE」の多くを中国で生産している。傘下の奇美(チーメイ)電子が中小型液晶パネルを手がけており、日立DPを傘下に収めれば、中小型液晶パネル分野で、現在、世界生産シェア首位のシャープと肩を並べる規模になる。
 日立DPは、どの角度から見ても画面の色がほとんど変わらない技術を持つが、ここ数年、海外メーカーとの競合で業績が低迷。2007年12月に日立が経営権をキヤノンに譲渡する方針を発表したが今年9月、市場動向の変化を理由に撤回していた。
 日立はキヤノンに代わる提携先を探す中で、アップル向けの供給力を引き上げたい鴻海を交渉相手に選んだとみられる。
 現在の日立DPの出資比率は、日立が75.1%、キヤノンが24.9%。鴻海が1千億円程度を出資すれば、鴻海の持ち株比率が過半を占めることになる。

◎台湾最大の司法汚職摘発、馬英九政権への影響は?(2010年7月15日、産経新聞)
 【台北=山本勲】収賄で有罪判決を受けた政治家からわいろを受け取り無罪にした容疑で4人の現役判事・検察官が一斉逮捕されるという司法界の汚職事件で台湾が揺れている。「清潔な政治」を掲げる馬英九政権の決意を示した形だが、贈賄犯が与党、中国国民党の立法委員(国会議員)を5期務めた著名政治家だけに、今後の大型選挙戦で与党にマイナスとの見方も出ている。
 台湾最高検察総署(最高検)の特捜チームは13日、3人の高等裁判所判事と検察官1人を贈収賄容疑で逮捕した。別の高裁判事も収賄容疑で捜査中だ。
 台湾の司法汚職は初めてではないが、現役判事・検察官多数が一斉摘発されたのは前代未聞だ。
 容疑は10年前の収賄事件で懲役19年の有罪判決を受けた何智輝・前立法委員からわいろを受け、今年5月の最終審で無罪判決を出したというものだ。
 収賄額は現在のところ800万元(約2200万円)だが、さらに拡大する可能性もある。
 贈賄の主犯容疑者である何・前立法委員は逮捕を事前に察知して逃亡、現在も行方不明の状態だ。
 これまでにも贈収賄容疑などで摘発された国民党政治家の多くが中国に逃亡するケースが相次いでいた。台湾メディアは捜査当局内に内通者が存在する可能性も指摘している。何・前立法委員の夫人も2004年に起訴され、現在は中国に滞在中とされる。
 支持率の低下に苦しむ馬英九政権は腐敗摘発で浮揚を図りたいところだが、逆に過去の国民党と官界の癒着ぶりを選挙民に想起させる結果も招いている。

◎台北支局長・山本勲、中国の「逆戻り」を憂う(2010年11月23日、産経新聞)
 このところ中国が冷戦時代に逆戻りしたかのような現象が目につく。軍人がわが物顔に対外政策に口出しし、次期指導者に内定した習近平国家副主席は朝鮮戦争を「侵略に立ち向かった正義の戦争」と断じてはばからない。温家宝首相が政治改革の必要性を力説すれば、党機関紙がこれに真っ向から反対する論文を連載する。胡錦濤政権の「平和発展」は掛け声倒れに終わり、次期政権はよりハードな内外政策を展開しそうだ。日本もよほどの覚悟が必要だ。
 習近平国家副主席は先月中旬の共産党第17期中央委員会第5回総会で党中央軍事委副主席に選ばれ、胡錦濤総書記(国家主席)の後継者となることが内定した。
 慣例なら来春の全国人民代表大会(全人代)で国家軍事委副主席を兼任するところだが、わずか10日後の全人代常務委員会で選ばれている。まるで軍権継承に向け、満を持していたかのような素早い動きだ。
 習副主席は同月末北京で開いた朝鮮戦争参戦60周年行事で、老兵を前に「帝国主義侵略者が中国人民に強いた反侵略戦争の勝利」と「中朝両国軍の団結」を謳歌(おうか)、称賛した。米国は興ざめしただろうし、これでは中国を介した北朝鮮の核廃棄も望み難かろう。
 故習仲勲副首相を父とする太子党(高級幹部の子弟閥)の習副主席は大学卒業後、北京の中央軍事委本部に勤め、その後の地方党・政府勤務でも各地で軍の分区書記を兼務してきた。太子党が幅をきかす軍部にとり二重の意味で“内輪の人間”だ。
 胡錦濤主席が共産主義青年団(共産党の青年組織)出身で軍との関係が浅いため、いまだに軍権掌握に苦労しているのとは対照的だ。
 胡主席は江沢民前政権の反日民族主義政策を改めようとしたが、軍部は東シナ海の油田開発や尖閣諸島問題などで強硬策をとるよう圧力をかけ続けてきた。江前主席が推挙した習副主席の後継で、対日政策も逆戻りする懸念がある。
 胡主席を中心とする現政権は2002年の発足以来、内では格差縮小による「和諧(わかい)(調和のとれた)社会構築」、外では「平和発展」の平和協調路線をめざしてきた。しかしこの間の歩みは期待を大きく裏切った。貧富格差のさらなる拡大と社会紛争の激増で和諧社会はさらに遠のいた。
 太子党が牛耳る資源・エネルギー、金融などの国有企業が巨大化する一方、民営企業のシェアが縮小する「国進民退」現象が問題になっている。過去30年の経済成長の主力は民営企業と外国企業だったが、これでは改革・開放前への後退だ。
 太子党をはじめとした既得権益層が政府や国有企業に深く根を張り、役人の介入や腐敗の蔓延(まんえん)で市場経済の活力が損なわれている。
 政府は来年からの第12次5カ年計画で民間活力を生かした内需主導の省エネ、技術・知識集約型経済への転換をめざしている。温家宝首相はこうした経済の抜本改革を進めるためにも政治改革の断行を求めてきたが、軍や党内保守派・既得権益層の強力な反対で立ち往生している。
 反対勢力は習近平副主席の勢力基盤と重なるだけに、次期5カ年計画も看板倒れとなる可能性がある。中国が資源多消費、輸出と投資主導の旧来型発展を続けるなら、海洋覇権拡大の動きに一段と拍車がかかる。日本は政・経・軍のあらゆる面から安全保障体制の整備を急ぐ必要がある。

◎台湾有情、5大都市選の混沌(2010年11月23日、産経新聞)
 次期総統選(2012年)の前哨戦とされる5大都市選が27日に迫り、情勢が混沌(こんとん)としてきた。優勢の民主進歩党(民進党)を与党・中国国民党が追い上げ、互角の状態だ。勝敗はともあれ選挙戦での激しい個人攻撃や乱闘騒ぎが減り、台湾政治の成熟を感じさせる。
 今選挙では台中、台南、高雄の県市を合併、台北市と、新北市(現在の台北県を改称)とともに市長・市議会選を実施する。
 市長選の世論調査では民進党が台南、高雄で大差をつけ、新北、台中は国民党優勢で、勢力伯仲の台北が勝敗の分かれ目となる。
 そこで21日、与党の●龍斌(かくりゅうひん)台北市長と野党候補、蘇貞昌(そていしょう)元行政院長の大規模イベントをのぞいたが、一長一短でなんとも言えない。●陣営は午後に市庁舎前から総統府まで7万人参加(警察推計)のデモ行進を行った。しかしかなりが与党の動員のようで、何を訴えたいのか分からない。
 対照的に蘇陣営が夜間に中学校の校庭で催した集会は参加者1万人弱だが、蘇候補の演説に歓声や拍手が絶えなかった。数の与党か熱気の野党か。
 ともあれ台北市に限らず選挙運動は昔のような騒乱もなく、平穏に行われている。これを政治の進化とみるか、活力の後退とみるかは意見が分かれるかもしれないが。(山本勲)
 ●=赤におおざと

◎馬総統会見 対中経済優先、安保は一線、中国の統一工作懸念(2010年8月18日、産経新聞)
 【台北=山本勲】馬英九総統は台湾内で野党の民主進歩党(民進党)など独立派陣営から親中姿勢を批判されている。だが、18日の産経新聞・片山編集局長との会見では、中国の急軍拡や台湾統一(併呑)に向けた政治工作への警戒心を隠さず、日米との関係重視の姿勢を明確にした。
 これは、11月の5大都市首長選を控えた選挙対策という側面も考えられるが、このところの中国の東アジアにおける拡張路線や、政治、経済両面での台湾取り込み工作活発化への懸念もうかがえた。
 馬総統は中国とはあくまで経済実利を優先し、政治・安全保障面では一線を画すことで、台湾の現状維持と2012年の次期総統選での再選をめざす考えとみられる。
 中国との経済協力枠組み協定(ECFA)の調印(6月末)と相前後して、中台関係と東アジアの安保情勢にかなりの変化がみられる。中台関係では馬総統も認めるように、中国の学者やマスメディアを中心に将来の中台統一に向けた政治交渉を求める声が高まり始めた。
 馬総統はかねて、易しい経済面での交流・協力拡大から先に始め、難しい政治・安全保障面での交渉は先送りする方針を繰り返し表明してきた。しかしECFAで「台湾に利益を譲った」(温家宝首相)という中国側では、こうした馬総統の政策を無視するかのような言動が相次ぎだした。
 こうした中で日米両国などでは、馬英九政権の「統一せず、独立せず、戦争せず」の現状維持政策を受け入れつつも、台湾の将来への不安感が強まり始めている。
 台湾内でも民進党や李登輝元総統をはじめとする独立派・本土派陣営を中心に、「棄馬保台(馬英九政権を棄てて台湾を護ろう)」との動きが活発化している。馬総統は対中政策をめぐるこうした内外の批判や不満を多分に意識して、「日米同盟支持」や対米関係重視の姿勢を鮮明に打ち出したとみられる。
 今月上旬に訪米した頼幸媛・行政院大陸委員会主任委員が講演で、台湾への武力攻撃を合法化した中国の反国家分裂法の廃棄を暗に求めたことに対して、中国は強く反発している。一昨年5月の馬英九政権発足以降、急速に進んだ中台の関係改善が、一つの“踊り場”にさしかかりつつあるとの観を禁じえない。

◎台湾、中台経済協定を承認、9月発効へ(2010年8月18日、読売新聞)
 【台北=源一秀】台湾の立法院(国会)は17日夜、6月下旬に中国と締結した中台経済協力枠組み協定(ECFA)を賛成多数で承認した。
 中台双方は9月にも協定を同時発効させる見通し。来年1月以降、双方の計806品目が段階的にゼロ関税となる。
 発効後、中台はそれぞれ「中台経済協力委員会」を設置、同委員会を通じて、半年以内に投資保障、サービス貿易など4項目についての協議を開始する。

◎「一つの中国」警戒、台湾で大規模デモ、中台経済協定(2010年6月27日、朝日新聞)
 【台北=村上太輝夫】近く締結される中台経済協力枠組み協定(ECFA)に反対する民進党など、台湾の野党勢力による大規模なデモが26日、台北市内であった。
 台湾の自主性を強調する民進党は、ほかの野党とともに「ECFAは『一つの中国』につながる」と批判し、その是非は住民投票によって決めるべきだと主張している。
 デモには各地から野党支持者が数万人規模で参加。行進の沿道にも市民が集まった。蔡英文(ツァイ・インウェン)主席ら民進党幹部とともに李登輝・元総統も列に加わり、「このままでは台湾がだめになる」と声を上げた。
 ECFAを推進する馬英九(マー・インチウ)政権側も、26日から台湾各地で住民向けの説明会を始めた。ECFAは7月に開かれる立法院(国会)の臨時会で承認手続きを進める予定で、与野党の対立が今後、先鋭化するとみられる。

◎米アップルを特許侵害と逆提訴、台湾スマートフォン大手(2010年5月13日、朝日新聞)
 【ニューヨーク=山川一基】台湾のスマートフォン(多機能携帯電話)大手HTCは12日、米アップルがHTCの特許を侵害したとして、携帯電話「i PHONE(アイフォーン)」の米国での販売差し止めなどを求める訴えを、米国際貿易委員会(ITC)に起こしたと発表した。アップルも3月にHTCが特許侵害したと訴えており、スマートフォン大手2社による訴訟合戦に発展した。
 HTCはアップルが5件の特許を侵害したと主張。アップルの新型端末「i PaD(アイパッド)」や携帯デジタルプレーヤー「i POD(アイポッド)」の販売差し止めも求めている。
 一方アップルは、HTCがアップルの20件の特許を侵害したとしてITCなどに訴えている。
 HTCは米グーグルの携帯電話用基本ソフトを搭載するスマートフォン大手で、日本でもこの市場でアップルに次ぐ販売台数をもっている。

◎台湾の4補選で与党3敗、馬政権の退潮止まらず(2010年2月27日、読売新聞)
 【台北=源一秀】台湾の立法委員(国会議員に相当)4議席の補欠選挙が27日行われ、野党・民進党が3議席を獲得、1議席に終わった与党・国民党を抑えて勝利した。
 国民党は昨年12月以降の補選・地方選で連敗しており、馬英九総統が率いる国民党の退潮傾向が一層鮮明となった。
 補選があったのは、桃園県、新竹県、嘉義県、花蓮県の4選挙区。民進党の改選前議席は嘉義だけだったが、今回、国民党の地盤である桃園、新竹の2選挙区を切り崩した。
 今回の補選は、「馬政権に対する事実上の信任投票」(民進党関係者)となった。馬政権は昨年8月の台風被害への対応の不手際や、米国産牛肉の輸入解禁で、支持離れを招いた。国民党主席を兼ねる馬総統の指導力不足も敗因だった。国民党は桃園で候補を一本化できず3候補に分裂、新竹では昨年12月の県長選が分裂選挙となったことが尾を引いて敗北した。
 民進党は、陳水扁・前総統の逮捕などで一時は劣勢に立たされたが、「敵失」に乗る形で勢力を回復。さらなる巻き返しを狙い、今後は馬政権の対中融和策などへの攻勢を強める構えだ。
 今回の補選の結果、立法院(定数113)の議席配分は、国民党75、民進党33、その他5となった。

◎台湾南部で日本人技師の記念公園着工、植民地時代にダム建設(2010年2月10日、産経新聞)
 台湾で日本統治時代の1930年、当時としてはアジア最大級の烏山頭ダムを建設し、不毛の土地を台湾最大の米作地帯に変えた石川県出身の日本人技師、八田與一氏(1886~1942年)の業績をたたえる記念公園の着工式が10日、台湾南部・台南県官田郷の同ダム近くで行われた。
 記念公園は、約5ヘクタールの敷地に資料陳列館や日本風の宿泊施設などを建設。八田氏の生涯などに関する資料や、当時の家具などを展示する。来年の八田氏の命日である5月8日の開園を目指す。
 現在も使われている烏山頭ダムを、歴史的に特別な背景を持つ日台関係の「象徴」と位置付ける馬英九総統は、昨年5月8日の命日に同ダムで行われた「しのぶ会」に出席。「台湾農業の現代化に大きな貢献をした」と八田氏を評価して、記念公園建設計画を発表した。

◎米が台湾へPAC3など64億ドル兵器売却へ(2010年1月30日、読売新聞)
 【ワシントン=黒瀬悦成】米国防総省の国防安全保障協力局は29日、弾道ミサイルを撃ち落とす地対空誘導弾パトリオット改良3型(PAC3)システム114基を含む兵器総額約64億ドル(約5800億円)を台湾に売却する方針を決め、議会に正式通告したと発表した。
 議会が30日以内に異議を表明しなければ売却は実行される。
 オバマ政権下で台湾への新たな武器売却は初めてで、ネット検索大手グーグル社へのサイバー攻撃や核開発をめぐるイラン追加制裁問題などでぎくしゃくする米中関係が一層険悪化する可能性がある。
 輸出されるのは、PAC3のほか、多用途ヘリUH60「ブラックホーク」60機、対艦ミサイル「ハープーン」12発、多機能情報伝達システムなど。台湾側が強く求めたF16C/D型戦闘機66機やディーゼル潜水艦の売却は見送られ、中国に一定の配慮を示した。オバマ政権高官は、売却方針決定を中国政府にも伝達したと明らかにし、「(売却に関して)中国の許可は求めない。米中は成熟した関係にあり、こうした問題を乗り切ることが出来る」と述べた。

・中国「強烈な憤慨」
 【北京=佐伯聡士】中国外務省は30日、米国防総省が台湾向け武器売却計画を議会に正式通告したことを受け、何亜非・外務次官が米国のハンツマン駐中国大使に抗議したと発表した。
 外務省によると、何次官は、「強烈な憤慨」を表明。そのうえで、「(売却は)必ずや中米関係を損ない、両国の交流や協力に重大で消極的な影響をもたらし、双方が目にしたくない結果を招くことになる」として、強硬な報復措置を示唆した。

◎台湾のカモ・アヒル肉輸入停止、弱毒性鳥インフル発生で(2010年1月23日、朝日新聞)
 農林水産省は22日、台湾中部の養鶏場で弱毒性の鳥インフルエンザが発生し、台湾からの家禽(かきん)肉などの輸入を停止したと発表した。
 台湾から2008年度に輸入されたカモやアヒルの肉は約4千トンで、輸入量全体の8割を占める。だが、国内に在庫があることや業者が輸入先を欧米に変更することが可能なため、影響は少ないという。

◎民進党、台中で10万人デモ中台交流機関トップ会談に抗議(2009年12月20日、産経新聞)
 【台中=山本勲】21日から台中市で始まる中台の第4回交流機関トップ会談を翌日に控えた20日、台湾の最大野党、民主進歩(民進)党を中心とした独立派が当地で10万人規模の大型抗議デモを繰り広げた。蔡英文主席をはじめとする党首脳をはじめ台湾全土から参加者が集まり、「台湾と中国はそれぞれ別の国」「馬英九(総統)は辞任せよ」などと連呼しながら市内を練り歩いた。
 デモは20日午後3時半(日本時間同4時半)から二手に分かれて始まった。出発に先立ち蔡英文主席が「馬英九政権が台湾を守れないからわれわれは抗議デモをしなければならない!」などと演説。蔡英文主席ら第1団は市西部の安和路から、第2団は同民権路から出発した。
 それぞれ台湾各地から集まった参加者が数百メートルの隊列を形成、合わせて「10万人は下らない」(民進党)規模の抗議行動となった。「馬英九の(中台)終極統一(路線)反対」「(中台)統一は永久にできない」「(中台は)それぞれ別の国として国交を結べ」などと書かれたプラカードが林立。馬英九政権の進める対中関係改善政策に強い不満と抗議を示した。しかし、負傷者を多数出した昨年11月の台北での第2回トップ会談とは異なり、抗議行動は現在のところ整然と行われている。
 21日からのトップ会談では、中台経済関係をさらに緊密化させるための4つの協力取り決めに調印の予定。具体的には(1)農産品の検査・検疫(2)税の二重課税防止(3)(共通の工業基準作りを視野に入れた)工業品の計量・検査・認証など(4)漁船」乗務員の労務-の4分野の協力推進策から成る。
 さらに、中台間の自由貿易協定(FTA)に相当する経済協力枠組み協議(ECFA)の来年上半期締結を目指した「初歩的な話し合い」(台湾当局)も始める。民進党など台湾独立派は、こうした経済の各種取り決めが経済統一を経て政治統一につながることを強く警戒、抗議行動を強めている。

◎中台経済接近に「反対」、台湾で10万人デモ(2009年12月20日、読売新聞)
 【台中市(台湾中部)=源一秀】中国と台湾の交流窓口機関のトップ会談が22日に台中市で行われるのを前に、台湾の野党・民進党などが20日、同市内で「性急な中台経済接近」に反対するデモを行い、約10万人(民進党発表)が参加した。
 参加者は、「ECFA(中台経済協力枠組み協定)反対」「台湾人の雇用機会を奪う経済接近を許すな」などと叫びながら、街頭を行進した。
 中国の窓口機関、海峡両岸関係協会の陳雲林会長は21日に訪台し、22日のトップ会談に臨む。

◎台湾パネルメーカー再編、奇美電子を吸収合併(2009年11月15日、産経新聞)
 【台北=山本勲】台湾第2の液晶パネルメーカー、奇美電子が中小型パネルの有力メーカー、群創に吸収合併されることになった。株式交換方式によるもので、交換比率は奇美2.05に対し群創1。合併後の社名は奇美電子となる。群創は台湾最大の総合電子メーカー、鴻海精密(郭台銘董事長)グループの子会社で、郭台銘董事長と奇美グループの許文龍董事長が14日発表した。
 開発競争の激しい液晶パネルをめぐっては韓国のサムスン電子、LG電子と台湾の友達光電、奇美電子、日本のシャープの5大メーカーを中心に競争を繰り広げている。しかし、世界的な不況の影響などで資金調達で後れをとった奇美電子の経営は、悪化の一途をたどっていた。
 鴻海グループ傘下の群創は、液晶モニターをはじめとする中小型パネルを製造している。奇美電子を吸収合併することで、鴻海は液晶パネルの国際競争に本格参入する方針だ。
 14日付の聯合晩報紙によると、合併後の奇美電子の時価総額は3000億台湾元(約8400億円)。友達光電の2500億台湾元(約7000億円)を上回ることになる。

◎台湾・澎湖島カジノ計画に住民「NO!」(2009年9月27日、読売新聞)
 【澎湖県(台湾西部)=源一秀】台湾海峡に浮かぶ澎湖島へのカジノ建設の是非を問う住民投票が26日実施され、賛成44%、反対56%で否決された。
 カジノ構想は、就業機会が少なく過疎化が進む同島の振興策として、1990年代に提起された。だが、「カジノで風紀が乱れ、台湾全体にも悪影響が出る」として台湾本島からも反対派が乗り込み、大論争になっていた。
 構想を推進してきた澎湖県の王乾発・県長は「住民の意思を尊重する」と話した。

◎台湾の死者・不明600人超、台風8号被害、日本の援助物資到着(2009年8月21日、産経新聞)
 台湾の消防当局は21日、台風8号による大雨被害の死者が計153人、行方不明は計464人に上ったと発表した。南部・高雄県ではなおも行方不明者数が増えており、最終的な人的被害はさらに増えそうだ。
 高雄県には日本の緊急援助物資が同日到着、当局者に引き渡された。同日夜には感染症予防の専門家らでつくる日本の援助チームも台湾入りした。
 援助物資はスリーピングマットやポリタンク、浄水器など計約4千万円相当。日本の対台湾窓口機関、交流協会高雄事務所の神戸浩道所長は「一日も早い復興を願う」と述べ目録を手渡すと、高雄県の楊秋興県長は「日本は台湾にとって一番近い隣人。支援に感謝している」と応えた。

◎台湾閣僚が次々辞表、台風8号対応遅れで非難集中(2009年8月19日、産経新聞)
 【台北=山本勲】台風8号(台湾名、莫拉克)への対応の不手際をめぐり台湾行政院(内閣)閣僚の辞意表明が相次いでいる。劉兆玄・行政院長(首相)は19日の記者会見で同日、薛香川秘書長(官房長官)と陳肇敏国防部長から口頭で辞任要請を受けたことを明らかにし、来月初めに実施する行政院の自らの去就を含む大幅改造で対応する考えを示した。
 台風8号はこれまでに死者136人、行方不明者386人と過去最大級の被害を及ぼし、馬英九政権の救援の遅れに住民の批判、非難が集中している。
 薛秘書長は台風被害が拡大している8日夜、「ホテルで家族と食事していた」ことをテレビのトーク番組で暴露され、抗議の電話を入れたことが反感を増幅した。陳国防部長は軍の救援活動の遅れを批判されている。
 劉兆玄行政院長も救援活動ヤマ場の11日、「理髪店で頭髪を染めていた」と暴露され、馬総統に辞意を伝えたとの情報も流れている。劉院長は19日の会見でその真偽についての質問には答えず、当面は台風災害の救援・復興活動に全力を上げると繰り返した。
 しかし台風災害の当局対応の責任を最も厳しく問われているのは馬総統と劉院長の二人だ。地元テレビ局、TVBSが19日発表した世論調査では馬総統の支持率が16%、劉院長は13%と、いずれも過去最低を記録した。劉院長は18日の馬総統による内外記者会見にも同席せず、両首脳の微妙な関係が取りざたされている。

◎台湾閣僚が次々辞表、台風8号対応遅れで非難集中(2009年8月19日、産経新聞)
 【台北=山本勲】台風8号(台湾名、莫拉克)への対応の不手際をめぐり台湾行政院(内閣)閣僚の辞意表明が相次いでいる。劉兆玄・行政院長(首相)は19日の記者会見で同日、薛香川秘書長(官房長官)と陳肇敏国防部長から口頭で辞任要請を受けたことを明らかにし、来月初めに実施する行政院の自らの去就を含む大幅改造で対応する考えを示した。
 台風8号はこれまでに死者136人、行方不明者386人と過去最大級の被害を及ぼし、馬英九政権の救援の遅れに住民の批判、非難が集中している。
 薛秘書長は台風被害が拡大している8日夜、「ホテルで家族と食事していた」ことをテレビのトーク番組で暴露され、抗議の電話を入れたことが反感を増幅した。陳国防部長は軍の救援活動の遅れを批判されている。
 劉兆玄行政院長も救援活動ヤマ場の11日、「理髪店で頭髪を染めていた」と暴露され、馬総統に辞意を伝えたとの情報も流れている。劉院長は19日の会見でその真偽についての質問には答えず、当面は台風災害の救援・復興活動に全力を上げると繰り返した。
 しかし台風災害の当局対応の責任を最も厳しく問われているのは馬総統と劉院長の二人だ。地元テレビ局、TVBSが19日発表した世論調査では馬総統の支持率が16%、劉院長は13%と、いずれも過去最低を記録した。劉院長は18日の馬総統による内外記者会見にも同席せず、両首脳の微妙な関係が取りざたされている。

◎台湾の馬英九総統が台風8号被害への対応遅れで謝罪(2009年8月18日、産経新聞)
 馬英九台湾総統は18日の記者会見で、台風8号(台湾名、莫拉克)の救援の遅れにより被害が拡大したことを謝罪し、今年の双十節(10月10日)祝典や10月下旬の外遊を中止すると語った。
 台風の人的被害は現在、死者128人、行方不明者307人に上り、政権に対する批判が強まっている。馬総統は9月初めまでに政府の対応に不手際がなかったか調査、問題があれば責任を追及する考えを示した。災害対策強化のための政府専門機関の設立や、3億ドルで救援ヘリなどの救難装備を米国から購入する計画も明らかにした。(台北 山本勲)

◎400人生き埋めの村で追悼、台湾・台風災害から一週間(2009年8月16日、朝日新聞)
 【小林村(高雄県甲仙郷)=野嶋剛】台風8号による台湾の水害発生から1週間が過ぎた。土石流で村が壊滅し、400人近くが生き埋めになった小林村には15日、初七日の追悼に遺族らが訪れ、足元に眠る人々の冥福を祈った。一方、馬英九(マー・インチウ)政権が海外援助を拒む公電を在外機関に発令した事実が発覚するなど、災害対応のまずさに民衆の不満が高まっている。
 小林村と約15キロ離れた甲仙郷の町を結ぶ道は、あちこちで陥没や樹木倒壊が起きている。車と徒歩で2時間以上かかるが、朝から多くの遺族が訪れた。
 7日からの豪雨で8日早朝、土石流は小林村の背後の山が崩壊して起きた。土砂は村全体を覆い、600~700人が暮らした村は石と倒木だけが残った。8日は台湾の「父親の日」にあたるため、普段は外地にいる人も村に戻り、被害を拡大させた。
 息子や孫、親族計15人を一瞬に失った林宝芬さん(40)は「なぜこんなことが起きるのか誰か教えて。私も一緒に死なせて」と大声で叫んだ。妹夫婦を亡くした劉麗霞さん(50)は「7日に妹から『雨がひどくて怖い』と電話がかかってきた。8日に避難すると言っていたのに」と村のあった場所に泣き崩れた。
 「静かに眠ってほしい」という遺族の強い希望で土砂は掘り起こさず、祈念碑を建てる。
 15日時点で死者は123人、行方不明は54人。農業損害額も120億台湾ドル(約350億円)を超えた。15日の地元紙朝刊には「指導者を選び損ねた代価」「無能政府」など政権批判が並び、不満の矛先は馬政権に向く。
 海外の支援を歓迎するとしてきた馬総統の発言と食い違う形で、外交部(外務省)が各地の在外機関に「救援物資や救助隊の派遣は遠回しに断るように」と指示した公電の存在が判明。馬総統は15日に被災地で「我々はもっと良く、もっと素早くできた。申し訳ない」と謝罪したが、各地で民衆の怒声を浴びた。
 馬政権は同日までに、災害対応の総責任を負う「中央災害対応センター」のトップを更迭し、毛治国・交通部長(交通相)を充てるなど態勢立て直しに躍起だ。

◎台湾、台風の犠牲者500人超へ、各地で生き埋め(2009年8月14日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾の馬英九(マー・インチウ)総統は14日、台風8号の被害をめぐる対策会議で、死者が500人を超えるとの見通しを明らかにした。土石流などで住民らが生き埋めになったとみられる村は各地にあり、最終的な犠牲者の数はさらに増える恐れがある。
 14日夕の時点で確認された死者は118人だが、土石流で大勢が生き埋めになったとされる南部・高雄県甲仙郷小林村の死者について馬総統は「約380人」との見方を示した。さらに行方不明者が57人いるほか、同県やその他の県でも各地に数十人単位で生き埋めになったとされる村が複数あるという。
 台湾では半世紀前の59年に台風で667人が死亡しており、今回と比較する議論が出ているが、馬総統は「被災の深刻度ではすでに50年前を上回った。我々は救援や再建の任務を貫徹し、被災民の生活の回復を支援する」との決意を示した。
 一方、日本の台湾窓口である交流協会台北事務所によると、高雄県の山間部に取り残されていた子ども2人を含む日本人6人が、14日までにヘリコプターで救出された。6人は温泉地を観光で訪れていたという。

◎台湾:台風死者103人、不明61人、土石流、各地で発生(2009年8月13日、毎日新聞)
 【台北・大谷麻由美】台湾の防災当局は12日、台湾中南部での台風8号による大雨被害が、死者103人、行方不明者61人になったと発表した。いくつもの場所で土石流が発生。高雄県甲仙郷小林村や、その南約20キロの新発村が埋まったが、避難民の救出を優先しているため、死者・行方不明者の確認が遅れている。屏東県など他の山間部で救助を待つ被災者も多数おり、家を失った被災者は1万500人に上るとされる。台風上陸から13日で1週間。被害は更に拡大しそうだ。
 12日、高雄県は約4000人、嘉義県は阿里山に約6500人が救助を待っているとの見方を示した。また、地元メディアは、なお1000人近くの人と連絡が取れないと伝えている。
 小林村が埋まった土石流は、8~9日に那瑪夏郷から甲仙郷までの約10キロで断続的に発生した。山間部にある同村は9日午前6時すぎ、山の斜面が約100ヘクタールにわたって崩れ落ち、一面が土砂で平らになってしまった。
 被災した村民は、台湾メディアに対し「地面が揺れたと思ったら大きな地響きがした。山の上の方で上がった砂煙が下りてきたと思ったら、一瞬のうちに家が見えなくなった」と模様を語った。
 同村は、約200世帯、人口約1300人。山間部の村落では町に出稼ぎに行く労働者が多く、人口の把握が難しい。日曜日で一時帰郷していた離村者もいるとされ、事故当時は約600人がいたとみられているが、当局は人数や安否を確認できていない状況だ。無事を待つ家族はいら立ちを募らせている。
 防災当局は当初「100人が生き埋めになった可能性もある」と発表。現地入りした台湾軍は11日、小林村など計5村の被災状況を調べた結果、「被災者からの報告では、多数が生き埋めとなっている状況は今のところない」としたが、台湾紙「自由時報」は12日、「約300人の安否確認ができていない」と報じるなど情報は混乱している。
 これまで確認された死者は、水死などが中心だった。今後は、今も被害状況が明確になっていない土石流による生き埋めの被害者が徐々に確認されるとみられる。道路や橋が寸断され、ヘリコプターが救助の中心となっているが、台数に限りがあり、情勢把握にも手間取っている。馬英九総統は12日、高雄県旗山の災害対策本部を訪れ被災者を待つ家族らの話に耳を傾けた。

◎生き埋め600人?降水量1年間の平均を上回った(2009年8月11日、スポーツニッポン)
 聯合報など台湾メディアは11日、台風8号による大雨で土砂崩れが起きた台湾南部の高雄県小林村で、住民ら約600人が生き埋めになっている恐れがあると報じた。
 地元テレビによると、軍は同日朝からヘリコプターで救助活動を本格化させ、二十数人を救出した。
 台湾では南部を中心に、河川の氾濫などで被害が拡大。消防当局によると、これまでに全土で計38人が死亡、62人が行方不明となり、35人が負傷した。
 地元メディアによると、台風8号が上陸した7日からの降水量は既に1年間の平均を上回った。

◎台湾が売買春合法化へ、性犯罪防止狙い、賛否真っ二つ(2009年7月7日、読売新聞)
 【台北=源一秀】台湾の劉兆玄・行政院長(首相)が売春を合法化する方針を打ち出し、年内にも法案をまとめるよう関係部署に指示した。
 地下に潜行する性産業を政府が管理することで、性病の流行や犯罪を防ぐのが狙いだが、反対論も噴出している。
 台湾で売春は「社会秩序維護法」により禁じられ、違反者は3日以内の拘留か3万台湾ドル(約9万円)以下の罰金が科せられる。ただ、暴力団組織が関与する売春業は全土に広がっているとされる。
 劉院長が発表した方針は、同法を改正して売買春を合法化、さらに「成人性工作管理法」制定で売春を免許制にし、定期健診を義務づけ営業地域も限定する内容だ。
 台湾大学の王雲東・准教授は、「合法化は世界の潮流。成人女性が自分の判断で選ぶのなら、問題はない」と理解を示す。これに対し、女性人権団体「婦女救援基金会」は「女性が体を売るのを奨励するもの。社会の価値観がゆがめられる」と大反対だ。
 地元紙・蘋果日報の調査によると、世論も売春合法化に「賛成」が34%、「反対」45%と真っ二つに割れている。

◎台湾の友達光電、太陽電池市場に本格参入へ、日本企業を買収(2009年6月22日、日本経済新聞)
 【台北=新居耕治】台湾の液晶パネル最大手、友達光電(AUO)は22日、太陽電池用シリコンウエハーが主力のエム・セテック(東京・台東)を子会社化すると発表した。第三者割当増資を引き受ける形で、1億2500万ドル(約120億円)を投じ、発行済み株式の51%程度を取得する。子会社化を機に太陽電池市場に本格参入する。
 エム・セテックは1978年の設立で、太陽電池セルの材料となるシリコンウエハーが主力。三洋電機のほか、中国、台湾の大手太陽電池セルメーカーなどに納入している。2008年9月期の売上高は約420億円。

◎台湾独立派、馬英九政権の中国傾斜に抗議の大規模デモ(2009年5月17日、産経新聞)
 【台北=山本勲】台湾の馬英九・国民党政権発足1周年を20日に控え、野党第一党の民進党をはじめとする独立派が17日、台北と高雄で馬政権の中国傾斜に抗議する大規模デモを行った。両市を合わせれば数十万人規模に達するとみられ、馬政権の急速な対中交流拡大策に独立派を中心に反発が強まっている現実を浮き彫りにした。
 台北のデモは民進党が主催、第二野党の台湾団結連盟などその他の独立派政党、団体が合同参加した。
 デモ隊は「(馬英九政権の)中国傾斜に反対し、台湾を守ろう」などのスローガンを掲げ午後3時から4派に分かれて市内をデモ行進した。その後、総統府前で合流し、18日夜まで抗議の座り込みを続ける予定。
 高雄では独立派諸団体共催のデモに民進党籍の陳菊市長も参加、一部は夜からの総統府前での座り込みに参加した。
 主催者発表の参加者は台北が60万人、高雄が20万人。これに対し政府当局側はそれぞれ「4~5万人」(●=赤におおざと=龍斌・台北市長=国民党)「3~5万人」(高雄警察)と大きな開きがある。
 馬英九政権発足1周年を前に行われた各種世論調査では、一時は20%台まで落ち込んだ支持率が40~50%台まで回復していた。一方で「馬政権が中国に傾斜しすぎ」との回答が47%とほぼ半数にのぼる(テレビ局TVBS調査)など、対中政策への警戒も高まりつつあった。

◎台湾の半導体新会社、エルピーダと提携、資本関係に発展も(2009年4月1日、日本経済新聞)
 【台北=新居耕治】台湾当局が公的資金などを投入して設立する半導体の新会社「台湾メモリー(TMC)」の準備委員会は1日、海外メーカーとの提携先に日本のエルピーダメモリを選んだと発表した。TMCはエルピーダの技術支援を受け、台湾メーカーの経営再建につなげる。TMCとエルピーダの資本提携に発展する可能性もあり、半導体の日台連合が動き出す。
 TMCの準備委員会は米半導体大手のマイクロン・テクノロジーとも提携協議を続けており、エルピーダとマイクロンの両社とそれぞれ提携する可能性が残っている。
 台湾では長引く半導体価格の低迷から半導体メーカーの経営不振が深刻化。半導体を産業の柱に据える台湾当局は昨年末から公的資金の注入を視野に再建策の検討を始めた。半導体メモリーDRAMで世界3位のエルピーダと同4位のマイクロンを提携先の候補に絞り、両メーカーと交渉を続けてきた。

◎太陽電池、台湾大手が日本企業にOEM供給(2009年2月26日、日本経済新聞)
 台湾の太陽電池製造大手、ジンテックは日本企業に太陽電池のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を始める。年間5万~7万5000キロワットの販売を目指す。補助金制度や余剰電力買い取り制度により日本で太陽光発電の需要拡大が見込めると判断、生産コストの割安さを武器に市場を開拓する。
 供給先は太陽電池を外部調達し太陽光発電装置を組み立てて販売する企業で、すでに日本企業と交渉を始めた。今年から販売を始める。国内の太陽電池メーカー向けにも、その会社の仕様に合わせた太陽電池のOEM供給を目指す。

◎台湾・陳前総統汚職、夫人「すべて私がしたこと」証言(2009年2月11日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾の陳水扁前総統が海外への不正送金によるマネーロンダリング(資金洗浄)や収賄で逮捕・起訴された事件の公判で、共犯として起訴された夫人の呉淑珍被告が10日、台北地裁に初めて出廷した。罪状認否では不正送金について「総統(夫)に黙って送金すべきでなかった。すべて私がしたこと」と述べた。
 呉被告は「事件で社会コストを費やし、心からわびたい」との声明も発表。責任を全面的に負うことで無実を主張する夫を守ることを優先したとみられる。
 呉被告は不正送金や総統府機密費の流用などの事件で主導的役割を果たしたと見られている。陳総統在任中の06年に始まった機密費事件の裁判では17回にわたって健康状態を理由に欠席していたが、この日は機密費事件で領収書の偽造を認めた。ただ、土地取引と入札をめぐる収賄事件については、資金の受け取りを認めたものの、「わいろではなく政治献金だと思っていた」として否認した。

◎台湾:春節を前にパンダお披露目 台北市立動物園(2009年1月26日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】中台融和の証しとして、中国から台湾に贈呈されたジャイアントパンダのつがいが、春節(旧正月、26日)の一般公開を前に24日夜、台北市立動物園でお披露目された。パンダ人気で見物客が殺到することを見越し、同動物園では、入場者を1日当たり2万2000人に制限して公開する。
 恵まれない家庭の子供たちを招いたお披露目の記念式典には、馬英九総統も出席。馬総統は「かわいいパンダを政治的にではなく、人間的に見るべきだ」と話し、「中国の一地方として受け入れた」などと批判する野党・民進党などの批判に反論した。
 2頭のパンダはオスの「団団(トアントアン)」とメスの「円円(ユエンユエン)」。05年4月に台湾の国民党の連戦主席(当時)が中国を訪問し、60年ぶりに国共トップ会談が実現したことから中国側が贈呈を表明。だが、「国内移動で問題ない」とする中国当局に対し、「国際取引」を主張した陳水扁前政権は受け入れを拒否。中台融和を掲げる馬政権が受け入れを決め、昨年12月に台北に到着した。

◎台湾前総統の長男夫婦ら、資金洗浄の容疑認める(2009年1月21日、日本経済新聞)
 【台北=新居耕治】台湾の中央通信は21日、マネーロンダリング(資金洗浄)の容疑で起訴されていた陳水扁・前総統の長男夫婦、前総統夫人の実兄が公判で犯罪事実を認めたと報じた。前総統は19日の公判で無罪を主張しており、今後は前総統自身が犯罪にかかわっていたかどうかが焦点になる。
 長男の陳致中容疑者は出廷後、記者団に対し「夫婦で捜査に協力するとともに、海外送金した資金を台湾に戻す」などとしたうえで、「社会大衆におわびする」と語り頭を下げた。体調不良を理由にこれまで出廷を拒否してきた前総統夫人が次回の公判に出廷することを決めたことも明らかにした。

◎太陽光パネル、台湾企業と海外開拓、サンドリーム(2009年1月21日、日本経済新聞)
 小型の太陽光発電パネルを製造するサンドリーム(大阪市、近藤彰社長)は海外市場開拓に乗り出す。まず台湾のメーカーと組み、需要拡大が見込めるアフリカや中国の農村部などの市場を開拓する。
 中国アモイ市を拠点とする台湾太陽光発電パネル製造会社のジュマオ・フォトニクスに、サンドリームが小型パネルの部品を供給。ジュマオの関連会社のブランド名で販売する。出力を安定させるために必要な組み立てノウハウも提供する。

◎エルピーダメモリ、台湾の同業3社と経営統合へ(2009年1月21日、読売新聞)
 半導体メモリーのDRAMを生産する国内唯一のメーカーで、世界シェア(市場占有率)3位のエルピーダメモリ(本社・東京)が、台湾の同業3社と経営統合する方向で最終調整していることが21日、明らかになった。
 半導体の需要は、世界的な景気悪化で急速に落ち込んでおり、日台のDRAMメーカーが連携して、経営基盤を強化する狙いだ。台湾当局は、公的資金による地場半導体メーカーの支援策を検討しており、エルピーダなどは統合に合意すれば、活用を申請する。
 エルピーダが最終調整しているのは、世界6位の「力晶半導体(パワーチップ)」、同8位の「茂徳科技(プロモス)」、エルピーダと力晶が合弁で設立した「瑞晶電子(レックスチップ)」の3社。エルピーダが持つデジタル家電向けなどの高付加価値技術と、台湾メーカーのコスト競争力を結びつける狙いがある。
 持ち株会社方式による統合などを検討しており、統合会社の研究拠点は台湾内に置く可能性もある。4社連合が実現すれば、世界シェアは約23%に拡大し、約30%で首位の韓国・サムスン電子を追撃する態勢が整う。
 エルピーダは、1999年に日立製作所とNECが折半出資して設立したDRAM専業メーカー。2003年には、三菱電機から同事業の譲渡を受けた。08年9月中間連結決算の税引き後利益は456億円の赤字を計上するなど、厳しい経営が続いている。

◎エルピーダメモリ:台湾3社と統合へ、公的資金申請方針(2009年1月21日、毎日新聞)
 大手半導体メーカーのエルピーダメモリが、台湾の大手メーカー3社と経営統合する方向で最終調整していることが21日、分かった。統合が実現すれば、半導体のDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)では韓国サムスン電子に次ぎ、世界シェア2位になる。
 エルピーダは国内唯一のDRAM専業メーカー。日立製作所とNEC、三菱電機3社のDRAM事業を統合したメーカーで、DRAMの売上高シェアは現在、世界3位。
 統合交渉しているのは、提携先のパワーチップセミコンダクターのほか、エルピーダとパワーチップの合弁会社レックスチップエレクトロニクス、プロモス・テクノロジーの3社。
 世界的な景気悪化で半導体の需要は急減しており、半導体メーカーも打撃を受けている。台湾当局は基幹産業の半導体メーカーを支援するため公的資金を投入する方針で、エルピーダと台湾3社は統合交渉がまとまり次第、支援を要請する。
 エルピーダは2月中旬までに交渉をまとめたい考えだが、プロモスは他のDRAM大手とも提携交渉をしている可能性もある。【宇都宮裕一】

◎台湾:横領事件、陳前総統が無罪主張、「非常に遺憾」裁判批判、初公判(2009年1月19日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾の陳水扁前総統が在任中に総統府の公費を私的に流用したりわいろを受け取ったとして横領や収賄など五つの罪に問われた事件の初公判が19日、台北地裁で開かれた。陳前総統は起訴事実の認否で全面否認した。
 紺のスーツに身を包んだ陳前総統は、裁判長と向かい合うように被告人席に立ち、「非常に遺憾に思います」と裁判を批判した。
 起訴状によると、陳前総統は在任中に呉淑珍夫人とともに、総統府機密費約1億415万台湾ドル(約2億8000万円)を横領したほか、政府機関による企業からの土地購入や展覧館建設の入札に絡み、それぞれ1億台湾ドル(約2億7000万円)と600万米ドル(約5億4000万円)を受け取り、資金洗浄のため海外に送金したとされる。
 公判では、企業から陳前総統に渡ったとされる金について、弁護側が主張する政治献金か、わいろかが争点となる。台北地裁では21日まで3日間、一連の事件について集中審理が行われる。

◎陳前総統が初公判、起訴事実否認「死んでも死にきれない」(2009年1月19日、読売新聞)
 【台北=源一秀】台湾の総統府機密費の不正流用やマネーロンダリング(資金洗浄)など四つの事件で起訴された陳水扁・前総統の初公判が19日開かれた。
 この日は、台北市内のコンベンションセンター建設工事などをめぐる二つの収賄事件に対する罪状認否が行われたが、陳氏は起訴事実を否認した。
 地元メディアによると、陳氏は「犯意もなければ、客観的犯罪事実もない。こんな屈辱を受けては、死んでも死にきれない」と検察を批判した。
 起訴状によると、陳氏は夫人の呉淑珍氏らとともに、コンベンションセンター建設の入札で業者に便宜を図ったり、桃園県にある企業の所有地を政府機関に買収させたりして、見返りに1億台湾ドル(約2億7000万円)と約874万米ドル(約7億9000万円)を受け取った。
 総統府機密費の横領をめぐる初公判は20日に開かれる。マネーロンダリングに関する初公判は21日から2月24日に延期された。

◎台湾:総統府を捜索、職員ら拘束、中国への機密漏えい容疑(2009年1月15日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾総統府の職員らが、中国の情報機関に総統府の機密を漏えいしていたとして、台湾の検察当局が14日、総統府を家宅捜索した。総統府が捜索を受けるのは初めてで、緊張緩和が進む中台関係にも影響を与えそうだ。
 15日付の台湾紙「中国時報」によると、総統府の男性職員が、与党・国民党の立法委員(国会議員)の男性秘書に総統府の機密を漏らし、この秘書が中国の情報機関で、対台湾の情報工作などを主管する中国国家安全省に機密を伝えていたという。検察当局は総統府職員と議員秘書の2人を機密漏えい容疑などで身柄拘束した。
 漏えいした機密は、陳水扁前政権から、馬英九現政権への引き継ぎ文書、馬総統の就任準備の内部会議の資料や就任演説の大綱など。総統府は「問題の職員の職務上、機密に接触する機会は非常に少ない」と強調した。

◎台湾:「中正紀念堂」の名称に戻す、蒋介石元総統の本名(2009年1月15日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾立法院(国会)は13日、台北市中心部にある「台湾民主紀念館」を、元の名称の「中正紀念堂」に戻すことを賛成多数で可決した。「中正」は、蒋介石元総統の本名で、陳水扁前政権が進めた蒋元総統の威光を排除する政策で07年5月に現在の名称に変更された。しかし、馬英九政権の誕生で、蒋元総統が率いた国民党が政権奪還を果たし、名称が戻されることになった。
 同施設は蒋元総統の死去後の80年に完成。内部には蒋元総統の巨大な銅像が鎮座している。観光スポットにもなっており、日本からのツアーにも必ず組み入れられている。07年の変更の際には当時、野党だった国民党が激しく反発し、政治問題化していた。

◎台湾総統府職員をスパイ容疑で逮捕(2009年1月15日、日本経済新聞)
 【台北=新居耕治】台湾の中央通信によると、台北地方法院検察署(地検)は15日未明、中国に機密情報を流した疑いで総統府職員らを逮捕した。同職員は馬英九総統の就任直前に当たる昨年3月から4月にかけ、政権交代や就任式典などに関する機密資料を立法委員(国会議員)の秘書経由で中国に漏洩(ろうえい)したとみられている。
 同地検は14日、同職員が勤務する総統府内の事務所や自宅を捜索して資料を押収、同日夜に同職員と立法委員秘書の拘束を台北地方法院(地裁)に請求していた。検察当局が総統府内を捜索したのは初めてという。

◎台湾総統府に中国スパイか、地検が家宅捜索、職員逮捕(2009年1月15日、産経新聞)
 台北地検は15日、台湾総統府の内部情報を中国側に漏らし、金銭などの見返りを受け取っていたとして国家安全法違反の容疑などで、総統府職員ら2人を逮捕した。14日には総統府を家宅捜索した。総統府が当局の捜索を受けたのは初めてで、台湾社会で衝撃が広がっている。
 総統府や報道によると、逮捕されたのは総統府参事室の王仁炳専門委員と、国民党所属の立法委員(国会議員)助手。王委員は昨年四月まで総統府副秘書長の事務所で勤務しており、昨年3月の総統選後に行われた政権交代に伴う引き継ぎ資料や、馬英九総統の就任式の情報などを助手経由で中国の国家安全省関係者に渡していた疑い。
 漏えい資料には陳水扁前政権の内部資料や馬総統の就任演説などが含まれていたとされるほか、「最高機密」指定の文書もあったとみられ、当局が捜査を進めている。

◎台湾がカジノ解禁、野党は反発(2009年1月12日、産経新聞)
 【台北=長谷川周人】台湾の馬英九政権は離島・澎湖諸島でカジノ経営を解禁する。観光の目玉として中国人旅行客の誘致を図り、景気低迷を打開する“起爆剤”とする狙いだ。澎湖のカジノ化構想は陳水扁前政権時代からあったが、馬政権は300億元(約810億円)の民間投資を呼び込み、リゾート開発を進めて消費の活性化を目指すという。
 将来的に台湾本島でもカジノを解禁する計画もあり、政権は「1000億元(約2700億円)規模の商機が生まれる」と強調。中国人客の大量流入により世界最大のカジノ都市となったマカオを追う考えだ。
 しかし、大小90の島々からなる澎湖は、サンゴ礁が広がる自然の宝庫で、台湾海峡の有事の際には本島防衛の拠点にもなる。構想にはホテルやゴルフ場の建設計画も含まれ、環境破壊とともに安全保障上の懸念も残る。
 与党・中国国民党は12日、3分の2以上の議席を占める立法院(国会)で、澎湖を含む離島でカジノ経営を認める法案を可決させたが、野党・民主進歩党は「経済効果は限定的だ」と与党の強硬姿勢を批判。国民党内からも「治安の悪化が危ぐされる」(費鴻泰立法委員)と反対の声も上がっている。

◎台湾でカジノ合法化、ただし離島に限定(2009年1月12日、朝日新聞)
 賭博を禁じていた台湾で12日、離島に限ってカジノでの賭博を合法化する「離島建設条例」の改正を、立法院(国会)が賛成多数で可決した。カジノ誘致を目指す離島の自治体は住民投票を行い、投票者数の過半数の賛成を得る必要がある。台湾では台湾海峡に浮かぶ離島でリゾート地の澎湖島が中国大陸から観光客を呼び込むためにカジノ誘致を強く希望している。同島は条例改正を受けて近く公聴会を開き、年内にも住民投票を実施する可能性がある。

◎輸入禁止なのに?台湾で松阪牛人気、便乗「松阪豚」も(2009年1月12日、朝日新聞)
 「牛肉の王様」と呼ばれる和牛「松阪牛」が台湾でも人気を集めている。BSE(牛海綿状脳症)騒動で、日本産牛肉は輸入禁止だが、高級料理店では松阪牛が堂々と登場。名声に便乗した「松阪豚肉」も出回っているが、中には偽装表示もあり、農林水産省は実態調査に動き出した。(伊沢健司、信原一貴)
 台湾最大の都市・台北市の台北駅から約4キロ離れた繁華街。複合ビルの地下1階にある高級鉄板焼き店でステーキを注文した。
 「松阪牛排(松阪牛のステーキ) 4380台湾ドル」。日本円で約1万2千円。180グラムのサーロイン肉だ。
 店の社長夫人は「政府要人や一流企業の幹部も松阪牛目当てに来ます」と誇らしげだが、台湾では01年9月から、日本産牛肉の輸入は全面禁止のはずだ。夫人は急に「需要があれば当然、マーケットはある」と言葉を濁した。
 店は、日本人向けの台湾の観光情報サイトにも「松阪牛ステーキがある」と掲載している有名店。衛生署食品衛生処の担当者は「本物の松阪牛が販売されていることは絶対にありえない。仮に松阪牛というメニューがあれば偽の表示だ」と断言する。
 だが、台湾の玄関口となっている桃園国際空港では01年以降、松阪牛の密輸が毎年2件ほど見つかっている。動植物防疫検疫局によると、昨年4月、台湾人3人が牛肉108キロをスーツケースに詰め込んで持ち込もうとして摘発された。3人は「松阪牛」と証言した。
 密輸には最高1万5千台湾ドル(約4万2千円)の罰金が科せられるが、施泰華副分局長は「密輸が後を絶たないのは、台湾で松阪牛を売れれば大きな見返りがあるからでしょう」とため息をつく。
 台北市で日本産食材の輸入コンサルタント会社を経営する日本人男性は「メニューには載せず、お得意様だけに松阪牛を出している飲食店も多い」と明かす。密輸は、台湾北東部にある港町の基隆と沖縄とを結ぶ定期船で運んだりするケースも多いという。
 一方、台北市中心部の日系百貨店「新光三越 台北駅前店」では昨年末まで、地下2階の精肉店で「オーストラリア産松阪和牛」という奇妙な名前の牛肉を売っていた。
 100グラム1500台湾ドル(約4200円)と高値で売られ、日本人観光客のブログで話題になった。新光三越は「輸入禁止されている肉の名前をつけるのはまぎらわしい」として、台湾内全13店舗に牛肉の商品名に「松阪」の文字を使わないよう指示した。
 「松阪豚」も人気だ。
 日本の農協にあたる台北県板橋市の台北県農会は「台湾松阪猪肉」をネット販売している。生産する養豚業者「嘉一香食品股フン(フンはイへんに分)有限公司」の陳国訓社長は「台湾では『松阪(ソンパン)肉』と言えば、豚のほお肉を指す。1頭から約400グラムしかとれず貴重なうえ、霜降りの見た目が松阪牛とよく似ているんだ」と解説する。
 約10年前から販売を始め、今や贈答品などにもてはやされ、品切れになることも多いという。
 公営の大手食品企業「台湾糖業公司」(台南県)でも自社開発した肉質が良い豚のほお肉を「赤身に脂が美しく入った様子が松阪牛を連想させる」という表現でPRしている。06年からは、中華航空の日本―台北間の機内食に採用された。
 輸入品の豚のほお肉も「松阪」を名乗る。台湾内で24店舗を展開するスーパー「大潤発」(本社・台北市)では昨年夏まで「美国冷蔵自然猪松阪肉」を販売していた。こちらは米国産。担当者は「松阪といえば赤身と脂が美しい肉だとお客さんにすぐわかってもらえますから」と話す。

〈メモ〉
 松阪牛は、雲出川と宮川流域の三重県松阪市を中心とした地域で育った黒毛和牛。さらに雄と比べて肉質が良いとされる、出産未経験の雌の牛だけに限られる。兵庫県北部の但馬地域で生まれた子牛を仕入れ、約3年間かけて育てるのが伝統的な肥育方法だ。牛肉食が一般化した明治初期から、県内農家が東京へ徒歩で牛を運び、全国ブランドの先駆けとなった。

◎「松阪豚」???台湾で「日本産」偽装の農水産物が横行(2009年1月7日、読売新聞)
 日本産を偽装した野菜や魚などの農水産品が台湾で出回っていることが、農林水産省の調査でわかった。
 包装などに日本の有名な産地を表示したものを使ったり、高級食材の有名ブランドにあやかったりしている。日本の産品を勝手に商標登録する「商標乗っ取り」が問題になっているが、悪質な産地偽装に対し、農水省は現地の監視機関に告発するなどの対策を検討している。
 調査は、農水省の委託を受けた民間調査会社「トムソンコーポレーション」(東京都千代田区)が昨年11月、台北市の市場やスーパーなど17か所で行った。
 青果市場で、韓国産とみられるナシが「大分県日田産」の包装紙で、中国産のニンジンとタマネギが北海道の「ホクレン」「JAきたみらい」のマークの段ボール箱に入れられ、それぞれ日本産として売られていた。
 販売担当者は、調査員に「メラミン問題以降、中国産という表示では売れない」と話した。
 また、大分県の業者が販売している「関の鮮さば」の商標を無断で使ったサバも百貨店で売られていた。「北海道オホーツク海産」とパッケージに書かれた冷凍ホタテもあった。いずれも、日本の生産者が偽物と確認した。
 消費者を誤認させる「ブランドただ乗り」も見つかった。プラスチック瓶に「北海道」と表示しながら裏に小さく台湾産と書かれた牛乳や、高級牛肉として知られる「松阪牛」にあやかったとみられる「松阪豚」と銘打った豚肉もあった。
 農水省知的財産課の話「偽装が広がっており、継続的に調査する。あまりにも悪質なケースは、産地の自治体に知らせ、台湾の公正取引委員会にあたる公平交易委員会に告発するなどの措置を取ってもらう」

◎台湾・陳前総統を再び収監、裁判所「口裏合わせの恐れ」(2008年12月30日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】不正送金によるマネーロンダリング(資金洗浄)や収賄の疑いで今月12日に起訴され、保釈された台湾の陳水扁前総統に対し、台北地方裁 判所は30日未明、検察からの再収監の請求を認める決定をした。陳前総統は再び身柄を拘束され、台北拘置所に収監された。
 検察側は、「逃亡の恐れがない」とした地裁の保釈決定を不服として抗告。地裁は退けたが、検察は高裁に再抗告し、高裁は「逃亡や口裏合わせの恐れがあり、収監しない理由は見あたらない」として地裁に審理のやり直しを求めていた。
 地裁で29日午後から12時間以上にわたり検察と陳前総統自身が弁論をした結果、地裁は(1)巨額の資金が海外で不明のままで、逃亡の動機が存在 する(2)事件の証人や容疑者には陳前総統の親族や部下が多く、口裏を合わせて証拠を隠滅する恐れがある――として収監を命じた。
 陳前総統は法廷闘争に向けて、集会などで事件が馬英九(マー・インチウ)政権による「政治的迫害」と訴える戦略だったが、保釈から20日間足らず で「口」を封じられた形だ。保釈を決めた地裁の裁判官は今回の審理前に交代させられ、陳前総統の弁護士は「明らかに政権による司法への干渉があった」と批 判している。

◎台湾:陳水扁前総統の保釈取り消し再び拘置、台北地裁(2008年12月30日、毎日新聞)
 台湾総統府機密費の不正流用事件をめぐり、マネーロンダリング(資金洗浄)防止法違反などの罪で起訴された陳水扁前総統について、台北地裁は30日未明、保釈の決定を取り消し、再び拘置する決定を下した。これに伴い、起訴後に保釈が認められていた陳前総統は出廷していた地裁から再度、台北郊外の拘置所に収容された。接見は認められるという。
 陳前総統の身柄をめぐる公判はこれで3回目。審理は29日午後から始まり、約12時間に及んだ。地裁前などには数十人の支持者らが集まり、「阿扁(前総統の愛称)は無罪、司法は不公平」などと抗議の声を上げた。
 地元メディアによると、検察側は公判で、陳前総統らによる不法所得は約7億4千万台湾元(約20億3千万円)に上るが、大半は今も海外の銀行口座にあると指摘し、海外逃亡や証拠隠滅などの恐れがあると主張。陳前総統は徹底抗戦の構えを崩さず、双方の激しい弁論が行われたという。
 最高検は陳前総統らが関与しているとされる汚職事件などの捜査を継続中で、16日に拘置延長を求めて準抗告。しかし地裁は18日、原判断の保釈を維持すると決定。最高検は25日に再び準抗告し、高裁が地裁に再審理を命じていた。

◎陳前総統を再び拘置、台湾地裁、保釈取り消し(2008年12月30日、産経新聞)
 台湾総統府機密費の不正流用事件をめぐり、マネーロンダリング(資金洗浄)防止法違反などの罪で起訴された陳水扁前総統について、台北地裁は30日未明、保釈の決定を取り消し、再び拘置する決定を下した。これに伴い、起訴後に保釈が認められていた陳前総統は出廷していた地裁から再度、台北郊外の拘置所に収容された。接見は認められるという。
 陳前総統の身柄をめぐる公判はこれで3回目。審理は29日午後から始まり、約12時間に及んだ。地元メディアによると、検察側は公判で、陳前総統らによる不法所得は約7億4000万台湾元(約20億3000万円)に上るが、大半は今も海外の銀行口座にあると指摘し、海外逃亡や証拠隠滅などの恐れがあると主張。陳前総統は徹底抗戦の構えを崩さず、双方の激しい弁論が行われたという。

◎台湾・陳前総統を再び拘置、地裁が保釈決定取り消し(2008年12月30日、読売新聞)
 【台北=源一秀】公金横領などの罪で起訴後、保釈されていた台湾の陳水扁・前総統が30日未明、再び台北郊外の拘置所に収容された。
 台北地裁が29日から30日にかけて行われた差し戻し審で、保釈決定を取り消した。
 検察は、陳氏が海外の銀行口座にまだ多額の預金を保有していることなどを指摘、「海外逃亡の恐れ、証拠隠滅の恐れがある」として、再拘置を求めた。陳氏は法廷で約50分にわたり、改めて身の潔白を主張したが、認められなかった。
 陳氏が13日に保釈されて以降、陳氏の再拘置をめぐり最高検は台湾高裁に2回抗告。同高裁は2回とも地裁に再審理を求めた。1回目の差し戻し審で地裁は、保釈決定を堅持していた。

◎台湾:プロ野球賭博と八百長で33人起訴、球団は除名(2008年12月25日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾のプロ野球チームが球団ぐるみで野球賭博と八百長を行っていたとして検察当局は25日までに、選手12人を含む関係者33人を起訴した。問題の球団「米迪亜(メディア)ティー・レックス」がリーグから除名されたほか、他の球団も経営不振から解散を決めた。来季の球団数は今季の6から4に減少し、台湾プロ野球は危機的な状況に陥っている。
 台湾紙「中国時報」などによると、米迪亜は暴力団の資金で球団が運営され、野球賭博で利益を上げるため、選手やコーチに故意に失策するなどの八百長を指示していた。米迪亜は今年2月に前オーナー企業から買収したものだが、この買収自体が野球賭博で利益を得る目的だった。
 台湾球界を揺るがした事件の捜査は現在も続いており、別球団の選手も関与していた疑いも浮上している。
 また、米迪亜の賭博事件の発覚直後、リーグを構成していた中信ホエールズが経営不振のため解散を発表した。
 台湾プロ野球は90年に発足後、一躍人気スポーツとなったが、96年に大規模な野球賭博が発覚し、ファン離れが進んだ。4球団体制となる来季は、台湾プロ野球にとって存続への正念場となりそうだ。

◎パンダ:中国から台湾に贈呈、つがいが台北に到着(2008年12月24日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】中国が台湾への贈呈を決めていたつがいのジャイアントパンダが23日、四川省から台北に到着した。台湾にパンダが来るのは初めて。「大陸からのクリスマスプレゼント」と歓迎ムードが広がっているが、中国側の思惑に警戒する声も出ている。受け入れ先の台北市立動物園は来月下旬の春節(旧正月)休暇に合わせ、一般公開を予定している。
 2頭は中国四川省臥竜のパンダ保護研究センターで飼育されていた雄の「団団(トアントアン)」と雌の「円円(ユエンユエン)」で、ともに4歳。2頭の名前を並べると「団円」になり、中国語で「(長く離れた)家族の再会」を意味し、中国側の将来の中台統一の意図も見え隠れする。
 馬英九政権の急速な対中接近に反対する野党・民進党の関係者からは「政治色が強過ぎる」として、改名を求める声も上がる。だが、動物園側は「ペアで一つの名前になり、親しまれる」として改名は予定していない。
 パンダのレンタル料は、希少動物を中台間で交換する方式のためにかからないが、台北市は飼育費用として来年度予算に3800万台湾ドル(約1億円)を計上している。

【ことば】パンダ贈呈
 パンダの贈呈は05年春に台湾の連戦・国民党主席(当時)が中国を訪問し、国共トップ会談が60年ぶりに実現した際に中国側が表明。パンダの移動は希少生物の国際取引を禁じるワシントン条約で規制され、「国際取引」か「国内移動」かの政治的な問題が生じたが、馬英九政権は台湾の希少動物を中国側へ贈り、交換という方法で問題をかわし、受け入れが実現した。

◎台湾の陳水扁・前総統保釈、1か月ぶりに自宅に戻る(2008年12月13日、読売新聞)
 【台北=源一秀】公金横領などの罪で起訴された台湾の陳水扁・前総統は13日未明に保釈された。
 陳氏は12日に起訴され、最高検は拘置の継続を求めたが、台北地方裁判所は逃亡の恐れはないと判断、保釈を決定した。陳氏は、11月12日の逮捕から約1か月ぶりに台北市内の自宅に戻った。
 陳氏は逮捕後、一時的に抗議のハンガーストライキを行ったためか、保釈後に記者団の前にスーツ姿で現れた時は、やせた印象。「最もつらく、最も孤独な日々だった」と拘置生活を振り返り、支援者らに対する感謝の言葉を口にした。

◎台湾・陳前総統、1カ月ぶりに保釈、収賄罪などで起訴(2008年12月13日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】12日に不正送金によるマネーロンダリング(資金洗浄)や収賄の罪で起訴された台湾の陳水扁前総統が13日未明に保釈され、逮捕からおよそ1カ月ぶりに台北市の自宅に戻った。
 台北地裁は陳前総統に逃亡の恐れがないとの理由で、検察側の勾留(こうりゅう)の継続請求を却下した。台湾中央通信によると、陳前総統は「皆さんの支援のおかげで最もつらく最も孤独な32日間を終えられたことに感謝したい」と述べた。

◎台湾検察、陳水扁前総統を起訴、夫人や長男夫妻も(2008年12月12日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾最高検は12日、海外への不正送金によるマネーロンダリング(資金洗浄)や収賄などの罪で陳水扁前総統を起訴した。総統経験者の起訴は台湾で初めて。夫人や長男夫妻らも起訴され、「家族ぐるみの犯罪」だった可能性が高まった。裁判で有罪判決が下れば長期刑は不可避な情勢だ。
 検察総長が発表した起訴内容によると、(1)家族名義での海外口座を使った資金洗浄(2)総統府機密費の不正流用(3)土地売買を巡る収賄(4)建設工事入札情報での収賄、の4事件で陳前総統、呉淑珍夫人、長男の陳致中夫妻、呉氏の兄の呉景茂夫妻、陳氏の元側近ら計14人を起訴した。
 検察は起訴状で、陳前総統の「犯罪の情状は重大」と指摘、「最も厳しい(法的)裁き」を裁判に求めた。台湾メディアは、起訴された罪の刑としては最も重い懲役30年を検察が求刑する可能性があるとみている。収賄や機密費流用で陳一家が得た不法な所得は8億台湾ドル(約21億円)近くに達し、「(台湾の)歴史上最大の不法所得」だという。
 先月逮捕された陳前総統は「資金は政治献金で、収賄ではなく、海外の送金も退任後の政治活動のためだった」と主張。拘置所でハンガーストライキを行うなど逮捕の不当性を訴えてきた。来年早々に始まる裁判でも全面的に無罪を主張する方針だ。
 だが、在任中の陳前総統に不正送金の関連情報を漏洩(ろうえい)した罪で今月、陳前総統の部下だった葉盛茂・前調査局長が有罪判決を受け、そのなかで不正送金の事実がほぼ認定されるなど、陳前総統に不利な状況になっている。
 台湾では民主化の進展の一方で、対中関係強化を求める国民党と台湾独立を志向する民進党との間の政治対立は激化した。選挙に多額の費用が必要となり、政党や政治家が企業から資金支援を受ける代わりに利益を供与する癒着の構造ができたと言われる。
 貧困家庭出身の陳前総統は清廉を売り物に「金権政治」を批判して00年に劇的な初当選を果たしたが、2期8年の任期中に金権の泥沼にはまった形になったようだ。
 逮捕後、陳前総統を応援する民衆行動は盛り上がりを欠いている。捜査で明るみに出た陳一家の並はずれた「腐敗ぶり」が、低所得層を中心とする支持者に強い衝撃を与えていると見られる。

◎「台湾の松下幸之助」遺産で一族風雲、隠し子まで登場(2008年12月7日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾最大級の台湾プラスチック・グループを築いて「台湾の松下幸之助」と呼ばれ、10月に死去した王永慶氏(91)の巨額の遺産をめぐり、早くも家族の間で不協和音が広がっている。王氏には正妻を含め3人の「妻」と9人の子どもがいたうえ、「4人目の妻の隠し子」まで名乗り出るなど、お家騒動がメディアをにぎわしている。
 王氏は米雑誌フォーブスの世界長者番付(08年)で保有資産が55億米ドル(約5千億円)とされ、台湾で一、二を争う資産家だった。米国出張中に急死し、遺産相続の遺言を残していなかった。
 王氏には正妻の郭月蘭氏以外に「第2夫人」の楊嬌氏と「第3夫人」の李宝珠氏がいた。郭氏は子どもをもうけなかったが、楊氏は5人、李氏は4人の子どもを生んだ。カリスマ的な王氏の強い権威の下、それぞれが主要グループ企業の社長や役員を任されて企業経営を続けてきた。
 台湾では重婚は禁止されており法的な妻は1人だが、裕福な企業家などは複数の女性と家庭を持つことが許容された時代があり、「王家王朝」形成の背景となったようだ。
 しかし、台湾メディアによると、正妻の郭氏がほかの家族に対し、「王氏の実際の遺産がいくらなのか公表してほしい」と手紙で要請し、一族の不協和音が表面化。もともと「妻」同士の関係は冷淡とされ、子ども同士も陰で悪口を言い合うなど決して仲は良くないという。
 加えて「4人目」の妻と3人の子どもがいたとの週刊誌の報道が出たあと、その長男が会見して「一族の仲間に入りたい」と遺産相続に期待を表明。裸一貫で巨大グループを作り上げた王氏の名声に影を落とす事態となっている。

◎陳水扁前総統を逮捕、台湾で報道、機密費流用などの疑い(2008年11月12日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾のテレビ各社は12日朝、陳水扁前総統(58)が海外への不正送金や総統府の機密費流用などの疑いで逮捕された、と一斉に報じた。最高検特捜チームは11日に前総統逮捕を裁判所に請求。前総統は逮捕手続きの途中で検察から裁判所に移送される際に警官に殴られたと主張し、11日深夜から台湾大医学部で診察を受けていた。
 12日未明に裁判所で逮捕に関する審議が始まっており、同日午前7時ごろ逮捕が認められた模様だ。同日中に拘置所に移送される。
 前総統は今年5月に総統を退いたばかりで、台湾の総統経験者では初の逮捕。11日の事情聴取で黙秘権を行使し、聴取前に「私は逮捕される」と予告していた。
 前総統には、過去2度の総統選などで余った資金をスイスやシンガポールなど世界各地に開設した口座に移した疑いがかけられている。すでにスイス当局が、家族名義の2100万米ドル(約21億円)を凍結。また、呉淑珍夫人が宝石などを機密費で購入したとして起訴され、前総統も文書偽造などでかかわった疑いが持たれている。

◎台湾:陳水扁前総統、身柄拘束、在任中の資金洗浄疑惑で(2008年11月11日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾の陳水扁前総統は11日、総統在任中のマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑などを捜査している最高検に拘束された。身柄は台北地方裁判所へ送られ、拘置手続きに入った。総統経験者の身柄拘束は初めて。前総統は拘束前、捜査は政治的なものだと主張していた。前総統は8月に野党・民進党を離党しているが、3月の総統選で敗北、下野した同党にとっても大きな打撃となりそうだ。
 陳前総統は00年の総統選で当選。台湾初の政権交代を実現させたことで台湾民主化の象徴的存在とされ、04年に再選された。
 陳前総統は今年8月、94年台北市長選や00年総統選など過去4回の選挙費用を不正に申告し、余った巨額の資金を海外の口座に入金していることが発覚。検察当局はマネーロンダリングの疑いもあるとみて、これまでも前総統から4回にわたり事情を聴いていた。
 陳前総統はこのほかにも、総統在任中の金銭を巡る複数の疑惑が浮上しており、側近や親族、友人ら計9人が相次いで身柄を拘束されていた。
 最高検に出頭する前に記者会見した陳前総統は、潔白を主張するとともに「私は(与党)国民党と中国共産党の最大の戦犯である。両党が目指す中台統一の最大の障害だからだ」と述べ、政治的な捜査であることを強調。最高検から地裁へ移送される際には、報道陣を前に自ら手錠をかけられた両手を掲げ、抗議の意思を示した。
▽陳 水扁(ちん・すいへん)前総統
 1951年2月18日、南部・台南県の貧農一家の長男に生まれる。台湾大3年の時、最年少(当時)で弁護士試験に合格。国民党独裁下の79年、警察が民主化デモを弾圧した「美麗島事件」の弁護団に参加、政界に転じる。86年、主宰雑誌の名誉棄損事件で8カ月間入獄。台北市議、立法委員(国会議員)を経て94~98年に台北市長。改革派として知られた。00年3月に民進党候補として総統に選出され、04年3月に再選。今年3月の総統選では、民進党候補が国民党の馬英九氏に敗れた。

◎台湾検察当局が陳前総統を拘束、逮捕も請求、機密費流用問題で(2008年11月11日、日本経済新聞)
 【台北=新居耕治】台湾の検察当局は11日、総統府の機密費流用などの疑いで陳水扁前総統の身柄を拘束するとともに逮捕状を請求し、身柄を台北地方法院(地裁)に移送した。法院が逮捕を認めれば台湾の総統経験者としては初の事態となる。野党民進党には大きな打撃になり、今後与党・国民党との間で対立が深まりそうだ。
 台湾の中央通信などによると、検察当局は陳氏が総統府の機密費を不正に横領したうえ、資金洗浄を狙って海外に送金したとみている。検察当局は9月下旬以降、同事件に絡み、陳政権時代の内政部長や行政院(内閣)副院長らを次々と逮捕していた。
 陳前総統は、総統退任後5回目となる検察当局による事情聴取を11日朝から受け、同日午後4時半(日本時間同5時半)ごろ手錠をかけられた姿で検察当局の車で法院に移送された。車に乗り込む際、陳氏は地元テレビなどの報道陣に向かって「政治的な迫害だ」などと叫んだ。

◎台湾検察、陳前総統の逮捕手続き、不正送金容疑など(2008年11月11日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾の最高検特捜チームは11日夜、海外への不正送金や総統府の機密費流用などの疑いで、陳水扁前総統(58)の逮捕手続きに入った。陳氏は捜査が対中関係改善を掲げる馬英九(マー・インチウ)政権による「政治的迫害」だと訴えており、逮捕されれば野党・民進党や陳氏の支持者らが反発を強めるのは必至だ。
 陳氏は今年5月に総統を退いたばかりで、台湾で総統経験者の逮捕は初めてとなる。
 陳氏は11日朝から事情聴取を受けていた。それに先だって10日夜に開いた会見で黙秘権を行使すると表明し、「私は逮捕される」と予告。11日朝にも記者団に対し、「陳水扁は(中国)共産党と国民党にとっての戦犯第1号で、両党による台湾統一のための最大の障害物だ」と語った。
 また、容疑については「私的な流用や腐敗に関与したことは一切ない」と述べ、裁判になれば検察と徹底して無罪を争う姿勢を示している。
 不正送金事件は、過去2度の総統選などで余った資金をスイスやシンガポールなど世界各地に開設した口座に移した疑い。すでにスイス当局が、陳氏の家族名義の2100万米ドル(約21億円)を凍結した。また、呉淑珍夫人が宝石などを機密費で購入したとして起訴され、陳氏は文書偽造などでかかわった疑いが持たれている。
 陳氏は台湾南部の農村の貧しい家庭から苦学して弁護士となり、民主化運動で頭角を現した。94年に台北市長に当選。00年の総統選で民進党初の総統に当選し、04年に再選を果たした。在任中は中国と台湾は別々の国とする「一辺一国論」を打ち出して独立路線を進めたが、機密費問題などで批判され、今年の総統選で馬氏が圧勝した一因となった。

◎台湾・民進党が60万人デモ、対中傾斜強める馬政権に抗議(2008年10月26日、読売新聞)
 【台北=源一秀】有害物質メラミンに汚染された中国食品の流入により、住民の反中感情が高まる台湾で、独立志向が強い野党・民進党が25日、対中傾斜を強める馬英九・国民党政権に抗議して台北市内をデモ行進した。
 陳水・前総統や蔡英文・民進党主席ら約60万人(同党発表)が参加した。
 民進党は3月の総統選で政権の座を国民党に奪われ、陳前総統の総統府機密費の不正流用疑惑にも見舞われたことから、劣勢を挽回(ばんかい)する契機にしようと、市内5か所から総統府へ向けて行進。
 中国製の汚染食品流入、経済や教育面での中台関係強化に反対する横断幕とプラカードを掲げ、「中国は賠償しろ」「馬英九は辞職しろ」などと気勢を上げた。
 民進党は28~31日にも台北と高雄で抗議集会を予定している。

◎台湾民進党が「60万人」大規模デモ、対中傾斜政権を批判(2008年10月25日、産経新聞)
 【台北=長谷川周人】台湾の野党・民主進歩党は25日、中国に急傾斜する馬英九政権を批判し、台北市内で大規模な反政権集会を実施した。中国製の有害物質入り食品の問題で「反中ムード」が高まる中、デモ行進には一般市民も加わって参加者は主催者発表で「60万人」に膨らんだ。これに連動して李登輝元総統もこの日、政権批判を行い「台湾派」の大同団結を呼びかけるなど、馬政権への風当たりが強まっている。
 今年5月の政権交代と同時に民進党初の女性主席に就任した蔡英文氏は、演説で「対中譲歩が多すぎる。馬英九(総統)は謝罪し、内閣は辞職せよ」と連呼。中国と台湾の関係を「地区と地区」と表現する馬総統を批判し、対中接近を急ぐ馬政権の政策は台湾の主権を損なうと危機感を示した。民進党は下野後、党勢の立て直しに追われてきたが、この日の集会は、新政権下で行われた抗議集会としては最大規模となり、新指導部の始動を台湾社会に印象づけた。
 「(中国製)毒入り食品に反対し、台湾を守ろう」をテーマに開かれた集会で民進党は、(1)有害物質混入への中国政府による謝罪と賠償(2)対中接近が招く台湾の主権損失に対する馬総統の謝罪(3)内閣の総辞職-の3つを要求。対中融和による経済振興策を掲げながら、平均株価が政権発足時に比べてほぼ半分という事態を招いた馬政権の責任を追及した。
 台湾経済の失速は、世界的な金融危機や原油高などが背景にあるが、馬総統の支持率は就任時をピークに急落している。時事週刊誌「遠見」が10月に行った世論調査では、「満足」と答えた人が23.6%と過去最低を記録。「不満」を訴えた人も67.6%に増え、具体的な成果を生み出せない政権への住民のいらだちが透けてみえる。
 一方、李登輝元総統はこの日、「台湾の前途は台湾人民が決めることで、胡錦濤(中国国家主席)や馬英九(総統)が決めることではない。台湾を売り渡すな」と強い調子で政権の対中傾斜を批判。李氏はこれまで、陳水扁前総統の体制下にあった民進党と一定の距離を保ってきたが、「台湾の国家主権と安全を守るために行動せよ」と、一転して同党主催の反政権デモへの参加を呼びかけた。

◎台湾で50万人反中デモ、有害食品や中国要人訪台に抗議(2008年10月25日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】中国産食品のメラミン混入問題を非難する台湾の市民が25日、台北で抗議デモをした。主催者の野党民進党によると参加者は60万人に達し、馬英九(マー・インチウ)政権が今年5月に発足して以来、最大規模の抗議行動となった。
 台湾ではメラミン問題をきっかけに反中感情が高まり、21日に中国の対台湾窓口、海峡両岸関係協会(海協会)の張銘清副会長が群衆に突き倒される事件が起きた。来月上旬には海協会の陳雲林会長が訪台する見通しで、デモ参加者は「陳雲林訪台反対」「陳雲林はメラミン混入を謝罪しろ」と叫び、陳氏を迎える馬政権に圧力をかけた。
 馬総統は24日、「陳雲林氏とは総統の身分で面会する」と表明。中台関係改善を進める姿勢を強調した。これに対し、中立姿勢をとってきた李登輝元総統は25日、「台湾の主権を弱める馬政権の対中政策は台湾を重大な危機に陥れた」と厳しく批判した。

◎台湾の群衆、中国側幹部囲み暴行、反中感情高まり(2008年10月21日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾を訪れている中国の対台湾窓口機関、海峡両岸関係協会(海協会)の張銘清副会長が21日、中国を批判する群衆に囲まれ、地面に突き倒される騒ぎがあった。台湾では有害物質メラミンの食品混入問題などで反中感情の高まりが目立っており、異例の暴力事件は中台関係の改善にも影を落としそうだ。
 海協会は台湾側の窓口機関、海峡交流基金会と共に、当局同士の交流ができない中台間で実質的に最高レベルの対話や交渉を担う。学術団体の招きで私人として訪台した張副会長は、台南市の観光地で「台湾は中国の一部ではない」などと叫ぶ民衆や野党民進党の同市議員らに突き倒された。起きあがった張氏をこづいたり、張氏の車の屋根に乗ったりする人も。
 大きなけがはなかった模様だが、馬英九(マー・インチウ)・国民党政権は「いかなる暴力も許されない」との声明を出し、警察が捜査に乗り出した。
 問題は、今月末にも初めて訪台し馬総統と会談する予定だった海協会トップ、陳雲林会長が日程通り訪台できるか否かだ。馬政権は陳氏の訪台を関係改善の総仕上げと位置づけていた。暴行の一部始終がテレビ中継され、今後、中国のネットなどで反発が広がる可能性が高い。

・中国側「厳しく非難」
 【北京=坂尻顕吾】台湾で起きた暴力事件について、中国国務院台湾事務弁公室は21日、「野蛮な暴力行為に強烈な憤慨を表明し、厳しく非難する。暴徒を厳罰に処し、両岸人民が正常に交流する権利を擁護するよう求める」との報道官談話を公表した。

◎台プラ創始者、王永慶氏が死去(2008年10月16日、産経新聞)
 【台北=長谷川周人】台湾のテレビ各局によると、台湾の「経営の神様」といわれた台塑集団(台湾プラスチックグループ)の創始者、王永慶氏が15日朝(米東部時間)、米ニュージャージー州の病院で、心筋梗塞(こうそく)ため死去した。92歳だった。
 遺体は16日に台湾に運ばれる予定という。
 「台湾の松下幸之助」とも評される王氏は、16歳で起業して1954年に台プラを創設。早くから巨大市場を抱える中国への進出を決め、中国要人とも交流関係を持つ台湾経済界の重鎮的な存在だった。

◎台プラ創始者の王永慶氏が死去(2008年10月16日、NNA)
 台湾プラスチックグループの創始者で、台湾では「経営の神様」と呼ばれる王永慶氏が、米国時間の15日早朝、米ニュージャージー州で心筋梗塞(こうそく)のため死去した。92歳だった。複数の台湾メディアが伝えた。
 王氏は1954年に台湾プラスチックを創設、その後台湾最大級の民間企業グループに育て上げた。

◎台湾前総統、世界中でマネー洗浄か、家族名義で大量口座(2008年9月24日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)前総統が在任中に選挙資金などを海外に不正送金した事件で、世界各地のタックスヘイブン(租税回避地)にペーパーカンパニーや銀行口座を設け、資金洗浄(マネーロンダリング)を行っていた疑惑が次々に明るみに出ている。清潔さを売り物にした陳氏と家族による地球規模の計画的なマネロン工作に驚きが広がっている。
 発覚したのは今年8月。陳前総統と呉淑珍夫人がシンガポールやスイスの口座を通じて資金移動したところ、スイス当局が資金洗浄の疑いがあるとして2100万米ドル(約23億円)を凍結した。これまでの検察発表や報道によると、このほか04年ごろから中南米の英領ケイマン諸島や英領バージン諸島、欧州の英領ジャージー島など世界の名だたる税金天国に、陳氏の長男夫妻や呉夫人、呉夫人の実兄らの名義で口座やペーパーカンパニーを大量に設けていた。
 陳氏の長男夫妻は記者団に「自分は名義貸しに過ぎない」「母の言いつけには逆らえない」と述べ、主導役は呉夫人との見方が強い。
 台湾当局はシンガポールに検察官を派遣し、米国やスイスにも捜査協力を要請。シンガポール側が提供した資料から今週、新たにシンガポールからの送金先としてバージン諸島でのペーパーカンパニーの存在が明るみに出た。
 陳氏は当初「今年初めに妻から送金の事実を告げられるまで自分は知らなかった。私自身には一切の不正はない」と説明したが、06年末から資金洗浄を監視する国際組織が台湾の担当部局に情報提供しており、陳氏も後に報告を受けたことは認めた。
 陳氏はこれまでスイスで凍結された2100万米ドルは「過去の選挙資金の余り」と主張している。だが金額の大きさから機密費を流用した疑惑も浮上
しており、事実なら公金を私的な口座に移した汚職の罪に問われる可能性もある。検察側は資金の出所や用途の解明を進め、年内に立件のメドをつける構えだ。
 窮地に立つ陳氏だが、活発に会見を開き、「李登輝元総統も海外で巨額の秘密資金を使った」「馬英九(マー・インチウ)総統の選挙資金処理にも疑惑がある」などと主張。歴代総統を巻き込んだ「混乱」に持ち込み、長期化させて問題をうやむやにする戦略と見られている。

◎台湾:野党・民進党系が馬英九政権批判の大規模デモ(2008年8月31日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾野党・民進党系の団体が30日、台北市内で馬英九政権を批判する大規模デモを行った。5月の馬政権発足後、大規模デモが行われるのはこれが初めて。
 馬政権が今月27日に発足から100日を迎えたことから企画し、主催者発表で30万人が参加。馬総統は3月の台湾総統選で台湾経済の再生を公約し、政権を獲得したが、日本と同様に石油や食品価格の高騰が市民生活を圧迫し、政権への失望感が広がっている。
 台湾のビジネス雑誌「遠見(グローバルビュー)」が8月中旬に行った世論調査によると、今月15日に馬政権への評価は不満との回答が40.4%で、満足の37.4%を上回った。さらに同19日には満足度が36.5%と低下したのに対し、不満は47.7%に上昇した。
 馬政権は中台間の経済交流の拡大を経済政策の中心に据え、中国傾斜を強めるが、経済状況の好転に結びついていない。デモでは独立志向の民進党支持者が、インフレ抑制など馬政権の経済政策とともに、急速な中国傾斜を批判した。

◎台北市士林区社子島地区に於けるデング熱の発生について(2008年8月21日、財団法人交流協会)
 台北市内で10年振りに士林区社子島でデング熱が発生しました。8月16日に3人が発熱し、台北市衛生局が17日、社子島の住民の血液検査を行ったところ、8人がデング熱の陽性反応を示しておりますが、その後の新たな感染の報告はされておりません。
 今回の原因は、ミヤンマーに行った観光客がデング熱にかかり、その人間から蚊を媒体として感染したものです。
 台北市衛生局によれば、感染地域に対して、消毒を施し、島の住民に対して外出する時は蚊にさされない様注意を呼びかける等、9月3日までの期間は警戒体制をとる予定です。皆様におかれましては、士林区社子島に行かれる際にはご注意下さい。

【参考】:デング熱について
(1)デング熱は蚊を媒介とするウイルスによって引き起こされる感染症ですので、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防策です。防虫スプレーや蚊取り線香の使用、蚊帳の利用、厚手の服の着用により、蚊に刺されることはある程度予防できます。
(2)デング熱の症状は、ウイルス感染後、1週間程度の潜伏期を経て、突然の発熱で確認されます。発症すると高熱とともに、頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹等の症状が見られます。
(3)治療方法について、一般的には対症療法のみで、特効薬はありませんが、特別な治療を行わなくても軽症で済む場合が多く、死亡率は1%以下と言われています。

◎台湾液晶・半導体大手の4~6月、パネル減産へ、DRAM赤字続く(2008年7月31日、日本経済新聞)
 台湾の液晶・半導体大手の2008年4~6月期決算が31日出そろった。液晶パネル大手は好業績を維持したものの、年末に向け需要が伸び悩むとの見方から相次いで減産を打ち出した。半導体ではDRAM大手の赤字が続く一方、ファウンドリー(半導体受託生産会社)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は高収益を持続した。
 液晶パネル台湾2位の奇美電子が同日発表した4~6月期連結決算は、売上高が前年同期比56.3%増の954億台湾ドル、営業利益が約3.4倍の152億台湾ドル。大幅増益になったが、何昭陽総経理は「原油高や中国の地震などで消費意欲が減退している」として、7~9月に15%の減産を実施することを明らかにした。
 台湾最大手の友達光電(AUO)や、中華映管も7~9月の10%減産を決めており、大手が足並みをそろえた。(台北=新居耕治)

◎台湾産ウナギ:品質負けないヨ、日本向け出荷ピーク(2008年7月22日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】24日の「土用の丑(うし)」を前に、日本向けの台湾産ウナギが出荷の最盛期を迎えている。国産ウナギを装った産地偽装の発覚で台湾産ウナギは逆風にさらされているが、養鰻(ようまん)業界は「台湾産の質の良さを知ってもらう好機だ」と意気込んでいる。
 台北国際空港近くにある大手養鰻業者の出荷場では、24日に向け徹夜で出荷作業が続いている。ウナギは二重の品質検査にかけられたうえで、氷入りの水の中で仮死状態にされ、鮮度を保ったまま輸出される。日本で台湾産ウナギは小売店よりも専門料理屋などで使われている。
 日本では幼魚を台湾などへ輸出し、現地で育てて逆輸入する「里帰りウナギ」が問題になった。日本で育ちの悪い幼魚でも自然に近い台湾の露地池でうまく育つためだが、逆輸入の際に日本側の業者によって国産と偽装されたことでイメージに傷が付いた。
 台湾の養鰻業界は「日本産ウナギには人気や価格で及ばないが、品質では負けない」と宣伝活動に力を入れている。

◎馬総統の支持率急落、台湾(2008年7月20日、産経新聞)
 台湾の馬英九総統が20日、就任2カ月を迎えた。20日付の与党国民党系紙、中国時報の世論調査によると、馬総統の支持率は3月の総統選当選直後の79%から36%に急落。政権が掲げる経済を軸とした対中開放策への期待はなお高いものの、長引く株価下落や、ガソリン代の高騰に不満が広がっており、内閣改造を求める声も出ている。
 逆に不支持は7%から42%に急増。中台週末直行チャーター便が4日から就航し、中国人観光客の台湾観光が解禁されたが、こうした対中政策で実際に経済効果が出なければ、さらに批判が強まりそうだ。
 国民党寄りのTVBSテレビの調査でも、馬総統への支持率は30%に下落。野党民主進歩党の蔡英文主席の支持率が49%と上回った。蔡主席は同党初の女性党首として清廉なイメージを打ち出すのに成功しているとされる。(共同)

◎中国-台湾に直行チャーター便、金~月に36往復(2008年7月4日、読売新聞)
 【桃園(台湾北部)=石井利尚】中国と台湾を結ぶ直行チャーター便の週末運航が4日、始まった。
 中台間の往来は通常、香港やマカオで乗り継ぐ必要があるが、毎週金曜日から月曜日までの4日間は直行便が運航し、飛行時間が大幅に短縮される。外国人の利用も可能で、中台間の人的往来が今後、さらに活発化しそうだ。
 台北近郊の桃園空港を出発した第一便は同日午前、上海・浦東空港に到着した。
 一方、中国人の台湾観光も4日に解禁され、第1陣753人が広東省広州などから直行便に分乗して台湾入り。これまで中国人の訪台は、学術交流や第三国経由の旅行などに限定されていたが、今後は、1日約3000人を上限に台湾訪問が可能になった。
 台湾と中国双方の航空会社によるチャーター便は、北京~台北や上海~台北などの間を、週4日間に計36往復する。
 中台間では2003年、春節(旧正月)休暇に限定した直行チャーター便が運航、06年に中秋節などの祝祭日にも拡大した。直行便と中国人の台湾観光解禁は、6月の中台対話で合意された。

◎中台直行便が離陸、中国人の台湾観光解禁(2008年7月4日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】中台を直行で結ぶ週末チャーター便が4日朝、台湾の桃園国際空港や中国の北京、上海などから相次いで飛び立った。厳しく制限されてきた中国人観光客の台湾観光もこの日、全面解禁され、数百人の観光客第1陣が台湾を訪れる。台湾の馬英九(マー・インチウ)政権誕生後に始まった中台の雪解けムードを一層、高めると期待されている。
 これまでは春節(旧正月)など大きな祝日以外は飛べなかった中台間直行のチャーター便だが、中国と台湾は6月に週末運航と中国人の台湾観光解禁を合意した。年内に平日運航に拡大される。観光客は1日3千人が上限。滞在は10日以内で、団体旅行に限定されている。

◎ニセ札「逆流」対策、台湾大わらわ、人民元解禁(2008年7月1日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾で30日、中国人民元と台湾ドルの両替が全面解禁された。4日から中国人観光客の台湾渡航が解禁されるのに合わせた措置だが、懸念されるのが人民元のニセ札問題。中国で出回るニセ札の多くが台湾製といわれ、台湾の金融・観光業界はニセ札の「逆流」対策に大わらわだ。
 台湾は30日、中国・福建省沿岸の金門、馬祖両島に限っていた人民元の両替を1人2万人民元(約31万円)を上限に全土に拡大、金融機関、ホテル、百貨店など約1300カ所で可能になった。
 台湾の法務部(法務省)調査局によると、台湾は印刷技術が高く、中国では死刑にも処されるニセ札製造が台湾では最高懲役10年と軽い。台湾と中国の犯罪組織は90年代からニセ札を台湾で製造し、中国に運んで協力を深めた。「中国に運ばれていた台湾製のニセ札が今後台湾で使用される事態が心配だ」。調査局の胡興勇科長は話す。
 同局や台湾の中央銀行が主催した識別講習会が大盛況。小規模店舗では小型の紫外線装置などで対応するが、大量の紙幣を扱う銀行やホテルはそうはいかない。ニセ札検査機を製造する宙皇企業(台北市)には大量の契約が舞い込んでいる。台湾銀行は約千人の行員を対象に両替業務の訓練を実施。楊豊彦・同行副総経理は「人民元の特徴を行内の外貨業務の人員に徹底させればニセ札への対応は十分可能」と話している。

◎中台直行便、浮気文化に引導? 往来増え台湾男性ら恐々(2008年6月30日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】中国・台湾関係の雪解けで7月4日から週末の中台間直行チャーター便の運航が始まることから、中国駐在の台湾ビジネスマンたちが愛人との関係を終わらせることを迫られている、と話題になっている。往来が不便な今は中国への単身長期滞在・出張が主流だが、今後はそうもいかなくなる。「身辺整理」を急ぐ動きが出ているという。
 台湾紙の聯合報などによると、中国に進出した台湾企業などの長期滞在者は現在、家族を含め100万人。多くが単身赴任の男性だ。往来には香港など第三地経由で片道で丸1日かかり、台湾に戻るのは月に1、2回という生活のビジネスマンが多い。このため、中台間の物価差もあって気軽に愛人をつくる男性が続出。「在大陸包二●(中国大陸で愛人を囲う、●は女へんに乃)」という言葉が流行語にもなった。
 直行便ができれば、台湾人駐在者が多い上海や広州、アモイなどには2時間前後で行けるようになる。妻ら家族が簡単に往来でき、自身も台湾に戻らない「言い訳」がなくなる。男性たちは愛人問題の対処に必死で「手切れ金はいくら払えばいいか」「相手が別れないと言い張ったらどうすればいいか」といった相談が弁護士事務所に寄せられているという。
 台湾の女性団体、晩晴婦女協会の林蒔萓・副総幹事は「台湾の男性たちは今までは寂しさもあったかも知れないが7月4日は心を改めるチャンスです」と話している。

◎台湾ドル:人民元との両替業務、本島でもスタート(2008年6月30日、毎日新聞)
 台湾の台湾ドルと中国の人民元の両替が台湾本島でも解禁され、各金融機関の窓口での両替業務が30日から一斉に始まった。
 台湾当局は、7月4日からの中台直行の週末チャーター便運航▽中国人の台湾観光解禁--を前に、1949年の中台分断後、流入を認めていなかった人民元の両替解禁を6月26日に決定した。1回当たりの両替の上限は2万人民元(約31万円)としている。
 中国からの週末チャーター便が乗り入れる予定の台北市の松山空港内の銀行窓口では、両替に備えて用意した故毛沢東主席の肖像がデザインされた100人民元紙幣を行員が手に取って数えていた。
 台湾での人民元の両替は、中国との間で小3通(通商、通航、通信の直接交流)が実施されている離島の金門、馬祖両島だけで05年から試験的に実施されていた。
 中台交流拡大による台湾の経済浮揚を掲げる馬英九政権の発足後、対中経済規制の緩和が広がっており、台湾当局は中国からの株投資についても一部解禁を決めている。【台北・庄司哲也】

◎中国と台湾、直行チャーター便や旅行解禁で合意(2008年6月13日、CNN.co.jp)
 北京-中国と台湾の交流窓口機関の代表者は13日、中台間の直行チャーター便の運航拡大や、中国からの台湾旅行解禁を柱とする合意文書に署名した。中台間の対話が再開されたのは約9年ぶり。
中国・海峡両岸関係協会の陳雲林会長と台湾・海峡交流基金会の江丙坤理事長が、当地の釣魚台国賓館で会談した。
 双方はまた、査証(ビザ)発給などの手続きを担当する「交流事務所」を相互に常設することでも合意。さらに、年内には陳氏が台湾を訪問することも決まった。
 中台間のチャーター便運航はこれまで、年数回の祝日などに限られ、台湾へ帰省する家族連れが乗客の大半を占めていた。合意を受けて、7月4日にはチャーター便の週末運航が開始されるとともに、初の中国人団体客が台湾を訪れる予定だ。

◎台湾:石油化学大手が北朝鮮から酸化マグネシウム輸入(2008年5月14日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾の石油化学大手「台湾プラスチック」は、発電所で使用される脱硫剤の原料となる酸化マグネシウムを新たに北朝鮮から輸入する。同社は年7万2000トンの需要量をすべて中国に依存してきたが、中国が輸出規制を始め価格も急騰しているため、新たな調達先を開拓した。6月末までに1500トンを北朝鮮から買い取るという。

◎台湾の副首相と外相辞任、秘密資金不明問題で引責(2008年5月6日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】パプアニューニギアと外交関係を結ぶために台湾の民進党政権が秘密工作資金として仲介者に渡した31億円が行方不明になったスキャンダルで、資金提供を進めた邱義仁(チウ・イーレン)・行政院副院長(副首相)と黄志芳・外交部長(外相)が6日、責任を取って辞任を表明した。
 陳水扁総統の民進党政権は5月20日に政権交代し、国民党の馬英九政権が誕生するが、政権末期のスキャンダルに対して陳総統は6日、「すべての人々に謝罪したい」との声明を発表した。
 資金提供は06年に当時国家安全会議(NSC)秘書長の邱氏が黄氏に対し、パプアニューギニアとパイプを持つと称する政府系財団法人の元副理事長とシンガポールの企業家を紹介。外交部はシンガポールの銀行口座に約3千万米ドル(約31億円)を送金したが、パ国との交渉は失敗に終わり、副理事長は資金と共に行方をくらましている。
 31億円の一部が邱氏や黄氏に流れたとするリストが出回り、検察は邱氏らの事情聴衆や自宅の家宅捜索を行ったが、2人は不正への関与は全面的に否定している。

◎「パプアと外交工作」台湾政権だまし31億円持ち逃げ(2008年5月3日、朝日新聞)
 【香港=野嶋剛】「パプアニューギニアと外交関係を結べます」と持ちかけられ、台湾の民進党政権が秘密工作資金31億円を振り込んだが、その後仲介者は行方をくらました。前代未聞のスキャンダルが明らかになり、だまされた責任者の邱義仁・行政院副院長(副首相)と黄志芳・外交部長(外相)は2日、事実を認めて陳謝した。
 台湾紙などの報道と外交部によると、06年に当時国家安全会議秘書長だった邱氏が黄氏に対し、同国とパイプを持つと称する財団法人副理事長(当時)と企業家を紹介。「先に資金を渡す必要がある」と言われた外交部はシンガポールの銀行口座に約3千万米ドル(約31億円)を送金した。
 交渉はしたが最後は「外交関係は結べない」。仲介の2人は資金返還に応じず、企業家を拘束。副理事長は姿を消した。台湾側はシンガポール司法当局に口座凍結を要請したものの、資金の有無は把握していない。
 台湾は99年にパプアニューギニアとの間で経済援助と引き換えに外交関係を樹立したが、中国の圧力などで撤回された。00年に誕生した民進党政権は中国の攻勢で外交関係を持つ友邦が減り続けて23カ国のみ。苦しい中、甘い言葉にうっかり乗ったようだ。

◎蒋介石の「臨時総統府」、産経新聞が海外メディアで戦後初取材(2008年4月17日、産経新聞)
 台湾から「反攻大陸」を目指した故蒋介石総統が、精鋭部隊を率いて「最後の砦(とりで)」とした台湾北西部の慈湖。その中枢で「臨時総統府」とも呼ばれた「戦備弁公室区」は軍の管理下で秘密のベールに包まれてきたが、産経新聞は海外メディアとして戦後初めて立ち入りを許可され、内部を取材した。山中にある管制区内には地下トンネルが掘られ、一帯はまさに自然に守られた要塞(ようさい)。だが軍事行動は米国の反対で断念し、蒋氏が「全中国統一」の夢を託した“司令部”は使われることなく、朽ち果てていた。(台湾桃園県慈湖、長谷川周人)
 台北から車で1時間ほど。慈湖一帯の山林は、日本統治時代、弾丸製造に使う木材の切り出し場として利用された。戦後は蒋氏が故郷の中国浙江省の風景に似ていると気に入り、湖は母親への思いを託して「慈湖」と命名。宋美齢夫人と年間に4カ月ほどを過ごした地として知られ、現在は蒋氏の棺が仮安置される「慈湖御陵」がある。
 平時は蒋氏の別荘と執務機能を兼ね備えたこの通称「前慈湖」に対し、裏山に位置する「後慈湖」は有事に「臨時総統府」として機能する軍事基地。両施設は地下トンネルでつながり、敷地内にある5棟の施設が軍司令部として機能する計画だった。
 管制区内には蒋氏が最も信頼したという機甲師団が駐留し、地元の人の説明によれば、周囲の山頂にある防塁には高射砲が設置され、100カ所以上の監視所を設けて外部からの侵入を防いだという。全長150メートルのトンネル内には指揮所のほか、空調システムや調理場もあり、篭城(ろうじよう)する際の地下シェルターとして機能したほか、台北や宜蘭、新竹への逃避ルートも用意されていた。
 1949年、国共内戦に敗れて台湾に逃れた蒋氏は、台湾から中国大陸に攻め返す「反攻大陸」の機会を狙っていた。そして中国大陸で故毛沢東主席が進めた農工業の増産計画「大躍進」政策の失敗を見て、蒋氏は64年、後慈湖で司令部建設に着手。「国光計画」と呼ばれた軍事行動の準備に入ったが、米国は全面戦争への発展を恐れて反対を表明、蒋氏は計画の断念を余儀なくされ、施設は使われることなく今日に至った。
 これに対して「脱蒋介石化」政策で台湾人意識の高揚を図ってきた現民主進歩党政権は昨年12月、蒋氏の遺体が安置される御陵の一般開放を中止。蒋氏の存在を封印する政策を進めたが、3月の総統選挙では蒋氏がかつて率いた中国国民党が圧勝、5月の政権交代を控え、蒋氏ゆかりの慈湖の扱いが、再び変わろうとしている。
 後慈湖の管轄権を軍から移行された桃園県の県長(知事)は国民党出身で、このほど、慈湖を「自然生態観察区」として一般の人々に開放することを決定。「台湾に根ざす国民党」をアピールし、馬英九次期政権のイメージアップを図る考えとみられる。朽ち果てた施設の整備も進める計画で、地元観光当局者は「自然が豊かな慈湖を歴史的な観光スポットとし、中国人観光客も呼び込んでいきたい」と話している。

◎台湾:総統府を移転?馬英九・次期総統が将来構想(2008年4月17日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾の馬英九・次期総統は17日、台北市中心部の総統府を将来的に移転させる構想を明らかにした。総統府庁舎は日本統治時代に台湾総督府だった建物で、民主化が進んだ今の台湾にふさわしくないとの考えがあるようだ。
 台湾の中央通信によると、馬氏は台湾の学者と対談した際、「日本統治時代の歴史問題を処理すべきだ」という指摘を受けて明らかにした。総統府をほかの行政機関とともに、台北県との境界付近の台北市関渡地区に移す構想という。ただ、具体的な日程などは決まっていない。
 総統府庁舎は1919年に総督府として建築され、庁舎を上空から見ると漢字の「日」の形をしている。
 台北市内の行政機関の建物は、日本統治時代から使用されているものも多く、行政院(内閣)は日本統治時代の台北市役所、迎賓館に当たる台北賓館は台湾総督官邸だった。

◎商標登録:日本の県名や特産品、中台企業が出願しトラブル(2008年4月13日、毎日新聞)
 中国や台湾で、日本の都道府県名や地域名、特産品の商標登録出願が相次いでいる。高品質で人気が高い日本の農産物などのブランド力を、将来的に商売などに利用する意図があるとの見方があるが、詳しい実態は不明。日本から進出した企業などが名称を使用できないトラブルも発生、「コシヒカリ」を「新潟産」としてしか販売できない事態も起き、今後も広がる懸念がある。事態を重く見た農林水産省は農産物の知的財産を担当する専門課設置を決定、特許庁も調査を始めた。
 毎日新聞やジェトロ(日本貿易振興機構)が確認しただけでも47都道府県中38都道府県(中国=36都道府県、台湾=29都道府県)の名前が、現地の企業や個人などによって出願されたり既に登録済みだった。政令市名や、「松阪牛」「鳴門金時」など特産品名の出願も確認された。「松阪牛」については、本来の産地である三重県松阪市が現地企業に登録を依頼したという。
 中国や台湾の商標法では本来、広く知られた地名は「公共財」として商標登録できず、「東京」などは却下されている。しかし、台湾では昨年12月、現地企業が「さぬき」を商標登録していたため、日本の讃岐うどん店が「さぬき」の看板を下ろす事態に。「鹿児島」は中国で「広告、事業の管理」分類で登録出願されており、県が進める上海でのアンテナショップ計画で「鹿児島」を店名に使用できない恐れがあるとして、異議を申し立てた。
 「防御」に乗り出した自治体もある。山形県は名前ではないが、山をかたどった輸出用シンボルマークを韓国、台湾、香港で登録し、中国にも出願中。中国にリンゴを輸出している青森県も、シンボルマークの商標登録を目指し、今年度当初予算に約750万円を計上した。【町田徳丈、北京・大塚卓也、台北・庄司哲也】

▽知的財産に詳しい東京理科大大学院の生越由美教授(知財政策)の話
 日本産品は、美味しく、丁寧で、きれい、安全と評価され、中国や台湾で人気が高い。高価格でも富裕層は買い求める。半面、日本の生産者や関係者には日本産品が付加価値が高いという認識が低い。本格的に特産品の輸出を考えるなら、早急に海外で商標登録をする必要がある。

【ことば】商標登録
 商標は、商品を販売する際などに、商品の名称に付ける文字や、図形、絵のマークなど。中国の商標法では、商標出願後、公告期間が3カ月設けられ、期間中に異議申し立てがない場合は登録される。登録すると商標を独占して使用することができる。商標は一度取得すると10年間有効で、更新が可能。

◎商標登録:「下関」「筑後」「長崎カステラ」、台湾に禁止リスト提出、現地日系組織(2008年3月29日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾で「さぬき」「讃岐」など地名が商標登録され、日系企業が使用の制約を受けている問題で、台北市の日系企業などで組織する台北市日本工商会は28日、知的財産を管轄する台湾経済部(経済省)の知的財産局に、日本の地名の商標登録を取り消すよう要望書を提出。同時に再発防止のため、登録が予想される地名などのリストを手渡した。
 台湾の商標法では日本と同様に地名は公共財と見なされ、本来は商標登録はできない。だが、実際には「讃岐」のほか「佐賀」「熊本」などの地名が登録されていた。また、「松阪牛」は、霜降り肉の代名詞のように使われている。同会は、地名などが登録されると今後、台湾に進出する日系企業に不利益を生じる恐れもあるとみて改善に乗り出した。
 提出したリストは「鹿児島」「下関」などの地名のほか、「肥前」「筑後」などの旧国名や「関さば」「長崎カステラ」などの地域団体商標を含んでいる。
 一方、問題の発端となった台北市の日系うどん店「土三寒六(どさんかんろく)讃岐うどん」の経営者、樺島泰貴さん(35)=佐賀県出身=は同日、知的財産局に対し近く、登録の無効審判を求める意向を明らかにした。

◎台湾総統に国民党・馬英九氏、8年ぶり政権交代(2008年3月23日、読売新聞)
 【台北=吉田健一】「台湾独立」志向の与党・民進党から、対中融和を目指す最大野党・国民党への政権交代が実現するかどうかが焦点となった台湾総統選は22日、投開票が行われ、国民党の馬英九・前主席(57)が民進党の謝長廷・元行政院長(首相)(61)に220万票以上の大差をつけ圧勝した。
 国民党の政権奪還は8年ぶり。対中強硬路線の陳水ヘン政権下で膠着(こうちゃく)状態となっていた中台関係は馬次期政権の下で、経済交流を中心に進展するとみられる。馬氏は5月20日、新総統に就任する。(「ヘン」は、「編」のつくり)
 中央選挙委員会の開票結果によると、得票数は馬氏が765万8724票、謝氏は544万5239票だった。投票率は76.33%で前回2004年の80.28%を下回った。副総統には、経済通として知られる蕭万長・元行政院長(69)が当選した。馬氏は22日夜、「経済を最優先し、人々の生活を改善する」と勝利宣言した。
 対中関係改善による景気浮揚と台湾人意識の強調を選挙戦の柱に据えた馬氏は、根強い人気に加え、2期8年にわたる陳政権の「経済失政」と対中政策の「無策」に対する有権者の失望を追い風に、終始優勢に戦いを進めた。
 選挙戦中盤以降、巻き返しを図る謝氏が、対中経済交流拡大による台湾経済への打撃など中国脅威論を強調する方針に転換。中国のチベット暴動の武力鎮圧もあり、終盤は対中接近か台湾の主体性重視かを問う争いとなった。
 馬氏は経済振興策として、対中経済開放で内需拡大を図る「両岸(中台)共同市場」構想や中台直行チャーター便の定期便化などを訴える一方、対中経済交流に賛成しながらも中国との統一には拒否感が強い世論にも配慮。「三つのノー」(統一せず、独立せず、武力を用いず)を軸に中台関係の現状維持を強調し、台湾語を演説で多用するなど、「中国寄り」とのイメージ払しょくに努めたことも奏功した。
 対する謝氏は、立法院(国会)で3分の2以上を占める国民党への権力集中や馬氏の「両岸共同市場」構想への批判などで、国民党政権下での対中傾斜を懸念する無党派層の取り込みを図ったが、及ばなかった。
 総統選とあわせ、「台湾名での国連加盟」と「中華民国名での国連復帰」のそれぞれの賛否を問う住民投票も行われたが、ともに投票率が50%を超えず、成立しなかった。

◎台湾半導体3社、大型投資・5工場で総額1兆5000億円(2008年3月12日、日本経済新聞)
 【台北=新居耕治】台湾の半導体大手3社が大型投資に乗り出す。3社は生産効率の高い直径300ミリの大口径シリコンウエハーに対応した工場を5棟建設する予定で、投資額は合計1兆5000億円程度になる見通し。半導体の主要生産地である日本や韓国でも増産投資が相次いでおり、台湾勢も将来の需要増をにらんで生産体制の整備を急ぐ。
 台湾北部のハイテクパーク「新竹科学工業園区」が11日、デジタル家電向け演算用LSI(大規模集積回路)などを受託生産する「ファウンドリー」の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)など3社に同パークの土地を新たに提供すると発表した。3社が賃借する土地は合計約21万平方メートル。TSMCが2工場、ファウンドリー大手の世界先進積体電路が1工場、DRAM大手の力晶半導体が2工場を建設する。

◎スパイ罪服役11年「中台対立の犠牲」、台湾人元教授(2008年2月15日、朝日新聞)
 中国政府からスパイの罪に問われ、11年間の服役を経て仮釈放された台湾の林正成・元教授(58)がこのほど朝日新聞の取材に応じた。林氏は日本留学時代、中国人技術者の留学生からミサイル情報を入手し、当時の国民党政権に渡したとされるが、林氏は「逮捕は不当」と主張し、獄中の扱いや取り調べが「人権無視のひどいものだった」と話している。
 林氏は85年に筑波大で博士号を取り、92年に台湾の東海大学日本語科で教え始めた。97年、学術会議で訪れた北京で拘束された。容疑は「80年代前半、日本留学時代に知り合った中国のミサイル開発技術者の留学生に対し、帰国後、中国にいる台湾側の人物に弾道ミサイルのデータを渡すよう依頼した」だった。
 林氏は言う。「確かに『高』という留学生から数回、中国のミサイル開発事情を聞き、国民党の駐日関係者に情報を渡したが、帰国後に関する依頼はしていない」
 92年と94年に訪中して再会したときもミサイルなどの話題には触れないようにしたという。
 取り調べでは台湾人が10年以上前の日本での行為で逮捕されるのはおかしいと訴えたが、「否認すると『お前は中国人だから関係ない』と殴られ続け、独房に2カ月間、一切の接触も情報もなく閉じこめられたこともあった」。過酷な取り調べが2年近く続いた後、1日だけの裁判で懲役15年が言い渡された。
 北京市の刑務所に一般受刑者とともに入った。面会を制限され、模範囚だったがなかなか減刑されなかった。釈放時には「取り調べや獄中の様子を口外するな」と口止めされた。台湾では教職は失い、体重は逮捕前より10キロ以上落ちた。
 林氏の服役中、台湾側が救出に動いた形跡はない。国民党は李登輝政権の90年代に対中スパイ工作を終結。林氏は忘れられた存在となった。
 林氏は「自分を使い捨てにした国民党と私のような政治犯を不当に拘束する中国の両方が許せない。自分は中台対立の犠牲になった」と話し、損害賠償請求訴訟を起こしたいとしている。

◎台湾、日本人観光客のノービザ滞在を90日に延長(2008年1月28日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾の外交部(外務省)は28日、日本人が観光目的で台湾入境した際にビザ(査証)免除で滞在できる日数を、2月1日付で30日から90日に延長すると発表した。日本が2005年に同様の措置をとったのに対応した。日本からは年間延べ約120万人が台湾を訪れている。

◎台湾立法院選挙:野党・国民党が圧勝、陳総統が党主席辞任(2008年1月12日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾総統選(3月22日)の前哨戦となる立法院(国会、定数113)選挙が12日、投開票された。中央選管の最終確定結果によると、最大野党・中国国民党が81議席を獲得し圧勝した。総統罷免案採択に必要な3分の2以上の議席を握った。一方、陳水扁総統(56)率いる与党・民主進歩党は27議席と大幅に議席を減らし惨敗した。
 総統選候補の馬英九・前主席(57)を擁して8年ぶりに政権奪還を目指す国民党は、総統選に向け大きく弾みをつけそうだ。一方、陳総統は敗北宣言し、党主席の引責辞任を表明。総統選候補に謝長廷・元行政院長(61)を立てる民進党は態勢立て直しを迫られる。
 国民党は陳水扁政権下の「経済不振」に対する責任を追及。国民党政権時代に築いた固い地方組織を生かし、地盤の北部以外にも支持を広げ、戦いを優位に進めた。12日夜、勝利宣言した馬氏は「改革の時が来た。総統選でも勝利したい」と意欲を見せた。
 陳総統は対中協調路線の国民党を批判し「台湾か中国かの選択」と危機感をあおって有権者の「台湾人意識」を刺激したが、浸透しなかった。45議席を勝敗ラインとしたが、これを大きく割り込んだ。陳総統は「全党の力を結集し有権者の支持を獲得しなければならない」と総統選での巻き返しを呼び掛けた。
 一方、親民党は1議席と大幅に減らし、李登輝前総統(84)が主導する「台湾団結連盟」(台連)は前回12議席から議席を失った。
 今回の選挙は、中選挙区比例代表並立制から小選挙区比例代表並立制に変更された。定数は225からほぼ半減され、任期も3年から4年に延長された。
 同時実施の「国民党の不当資産返還」(民進党提案)と「政権腐敗追及」(国民党提案)を求める住民投票は、ともに投票率が規定の50%に満たず、成立しなかった。

◎台湾新幹線が開業1年、南北を結ぶ交通の動脈として定着(2008年1月7日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】日本の新幹線技術を海外で初めて採用した台湾高速鉄道(台湾新幹線)は昨年1月5日の開業から1年が過ぎた。
 昨年末には、累計乗客数が1555万人を突破し、台北-高雄間(345キロ・メートル)の南北2大都市を結ぶ動脈として定着した。
 1日の運行本数は開業当初は19往復だったが、現在は55往復まで増加し、年内に88往復へ増便する予定だ。利用者数も当初の1日平均4~5万人台から6万人台に増加。月別の利用者数は昨年12月に初めて200万人の大台を突破した。
 運行システムに欧州式が混在したことで、開業前は安全面での不安が大きかったが、この1年、人身事故など安全面での大きなトラブルはなく、日本企業関係者は「定時発着など運行状況は予想以上」と評価する。消費者団体が12月に実施したアンケート調査によると、52・6%の利用者が「満足」と回答、不満は7・6%だった。遅れていた台湾人運転士の養成も進み、当初はフランス人など外国人が中心だったが、今年中には全員が台湾人になる見通しだ。
 ただ、採算ラインの乗客数は1日11~12万人で、現行の乗客数では当面、厳しい経営状況が続きそうだ。「駅が市中心部から遠い」「運賃が高い」などの一部利用者の不満をどう解消していくかが課題となる。

◎蒋介石像の威厳消し再公開、近くに弾圧犠牲者の名簿など(2008年1月5日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾当局は、台湾民主記念館(旧称・中正記念堂、台北市所在)に展示されている蒋介石元総統(1975年死去)の巨大な銅像について、周囲に「芸術作品」を飾り、威厳を消し去った上で再公開した。
 陳水扁政権は「独裁者をたたえるのはおかしい」として、2007年5月に台湾民主記念館へと名称を変更し、国民党を率いた蒋介石元総統の偉大さを誇示した銅像の設置場所を閉鎖していた。今月1日から再公開された銅像の近くには、弾圧で犠牲となった知識人らの名簿や民主化運動に関する展示物も並べられた。

◎台湾:北朝鮮にウラン濃縮部品、商社輸出、捜査当局が摘発(2007年12月8日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾の捜査機関である法務部(法務省)調査局は26日、ウランを濃縮する機器などに用いられる部品を北朝鮮に輸出していたとして、台北市内の商社を貿易法違反などの容疑で台北地検に書類送検した。台湾では、輸出が規制されている機器などを北朝鮮やイランなどに輸出していた企業が相次いで摘発されている。
 同局によると、書類送検されたのは台北市内の商社「怡台実業公司」。ウラン濃縮や化学兵器の製造に使われる「ろ過器」と呼ばれる部品を北朝鮮の軍関連企業に輸出していた疑い。
 台湾は国連未加盟だが、北朝鮮に対する国連の制裁決議を受け、昨年6月から、兵器製造が可能な機器や部品の北朝鮮やイランへの輸出を規制している。
 同局は北朝鮮、イラン、中国に部品などを輸出していたとして今年すでに7件の事件を摘発している。

◎台湾:蒋介石の座右の銘が撤去(2007年12月8日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台北中心にある観光名所で「中正紀念堂」から改名された「台湾民主記念館」で7日、正門に掲げられていた「大中至正」の文字が当局によって撤去された。「大中至正」は蒋介石元総統の座右の銘。総統選を来年3月に控え、陳水扁政権は蒋介石の威光を否定することで有権者の台湾人意識を高揚させ、民進党政権維持を図る狙いがある。
 撤去反対を訴える野党・国民党支持者と与党支持者の小競り合いが一時あった。
 「大中至正」は「何事も中庸が正しい」との意味で、蒋介石の本名「中正」の文字が刻まれていることから、中国大陸で共産党との内戦に敗れ、台湾で国民党独裁政権を築いた蒋介石時代を象徴する。撤去は陳水扁政権の「脱蒋介石」「脱中国」政策の流れに沿う。
 陳総統は6日、自身のメールマガジンで「蒋介石の威光を維持し続けることは反民主、反人権であり、反台湾でもある」と説明した。
 一方、国民党の総統候補、馬英九・前主席は「狙いは対立を作り、選挙で優位に立つことにある」と批判。民進党の戦略に乗らず、冷静に対処すべきだと呼びかけた。

◎台湾:ウナギ稚魚、対日禁輸へ(2007年10月30日、毎日新聞)
 台湾の経済部(日本の経済産業省に相当)当局者は29日、養殖に使われ世界的に激減するウナギの稚魚、シラスウナギの資源保護のため毎年11月1日から3月31日までの5カ月間、日本などへの輸出を禁止する措置を今年から実施するとの決定を明らかにした。近く正式に発表する。5カ月間は台湾でのシラスウナギの漁獲シーズンに当たり、事実上の全面禁輸。稚魚の1~2割を台湾産に頼ってきた日本の養殖業への打撃は必至で、ウナギの価格が高騰する恐れもある。
 台湾は01年にシラスウナギ輸出を解禁し、05年に8.5トン、06年には2.5トンを日本に輸出。しかし、シラスウナギ不足が続く中での輸出に台湾の養殖業者の反発が強く、禁輸に踏み切る。日本政府も資源保護のためシラスウナギの輸出は認めておらず、日本の対台湾窓口、交流協会台北事務所は「台湾だけに輸出を求めることはできず、禁輸もやむを得ない」と話した。
 日本の市場関係者によると、ウナギの年間消費量は約10万トン。うち養殖、天然など国産は約20%で、約80%は活ウナギやかば焼きなど中国、台湾などからの輸入。日本の大量消費が世界的なシラスウナギ不足の一因とされている。(共同)

◎台湾「双十節」で16年ぶり復活、中国牽制、軍事パレード(2007年10月11日、産経新聞)
 【台北=長谷川周人】台湾の「双十節」(「中華民国」の実質的な「建国記念日」)にあたる10日、台北市内の総統府前で記念式典が行われ、1991年以来16年ぶりに軍事パレードが復活した。予定された巡航ミサイルの公開は、中国への刺激を避ける政治判断から先送りされたが、自主開発の超音速対艦ミサイルを披露するなど、急速な軍備拡張を進める中国を牽制(けんせい)した。
 台湾の軍事パレードは、李登輝政権下で中台関係の緊張緩和が進む中では行われなかったが、今回の復活は「自主防衛の意思と決意を引き上げる」(陳水扁総統)とともに、約半年後の総統選に向け「国威」を発揚し、域内団結を図る政権の思惑がある。国防部(国防省)によると、参加したのは兵員2300人、作戦機71機、車両213両などで、パレードは全島に生中継された。
 最も注目されたのは、自力開発した巡航ミサイル「雄風2E型」の公開だったが、上海や香港を射程に入れる攻撃兵器だけに、中国は開発を中止するよう繰り返し警告。これに連動する形で米国も、対中関係の安定を目指す立場から、攻撃兵器の公開に反発していた。
 国防関係者によると、米国は(1)週明けに党大会を控えた中国を追いつめるべきでない(2)攻撃力の誇示は中国に重大な政治決断を迫る危険な賭だ(3)公開は米国製兵器の売却問題に影響しかねない-などとして、公開を見送るよう圧力をかけたという。
 陳総統は難色を示したが、週明けまでに「2E型」の公開中止を決めた。ただ、同時公開を計画していた超音速対艦ミサイル「雄風3型」や弾道ミサイルを迎撃可能な対空ミサイル「天弓3型」などは、予定通り公開された。
 雄風3型は、中国が調達したロシア製モスキート対艦ミサイルと酷似し、射程は100キロ以上。「空母殺手(キラー)」といわれ、中国が準備を進める空母機動部隊への抑止力となる。
 天弓3型は、改良型パトリオット(PAC2)に近い性能を持ち、同時に9つの目標物が捕捉可能で射程は200キロ以上。中国が台湾に向ける「1000発近いミサイル」(国防部)を迎撃する防衛網の役割を果たす。

◎台湾、日本人の短期滞在者に自動車運転許可(2007年9月15日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾の外交部(外務省)は15日までに、日本の自動車運転免許証を持つ人が台湾で運転することを許可すると発表した。日本が同様の許可を決めたことに対応する措置で、21日から実施する。台湾に入境して1年以内の人が、日本の免許証と日台交流の日本側窓口団体である交流協会の台北事務所などが発行する公的な中国語訳を携帯していれば、台湾域内での自動車運転が可能になる。

◎台湾の半導体、液晶パネル企業の業績急回復(2007年8月3日、日本経済新聞)
 IT(情報技術)機器の基幹部品、半導体と液晶パネルを手がける台湾企業の業績が急回復している。液晶パネル2位の奇美電子が2日発表した4~6月期決算は純利益が33億9000万台湾ドル(約122億円)と5.四半期ぶりに黒字転換し、半導体メーカーも1~3月期比で業績が改善した。いずれも昨年来の供給過剰が解消し、市況が上向いてきたためだ。
 液晶パネルでは、最大手の友達光電(AUO)の4~6月期の純利益が前年同期の32.9倍に急増。4位の中華映管は6.四半期ぶり、5位の瀚宇彩晶は2.四半期ぶりに黒字転換した。(台北=山田周平)

◎エルピーダ・台湾力晶が第2棟を来夏稼働・合弁で運営(2007年6月27日、日本経済新聞)
 【台北=榎本敦】エルピーダメモリと台湾・力晶半導体が合弁で運営する瑞晶電子(レックスチップエレクトロニクス)は、パソコンやサーバーに使う半導体工場の第二棟を来年夏に稼働させる方針を固めた。第2棟の稼働で、近く量産を始める第1棟とあわせた生産能力は月産12万枚(フル生産時)と倍増する。価格下落で能力増強を先送りするメーカーも出ているが、日台2社連合は先端技術導入で製造コストを削減。第1棟に続き第2棟の稼働で能力増強を急ぐ。
 エルピーダと力晶は昨年12月、台湾中部の台中県でDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)を合弁生産することで合意。4月から第1棟に製造装置搬入を始めた。7月には月間数千枚(300ミリウエハー)規模で量産を始め、年内に同3万枚、来年夏までに6万枚のフル生産に移行する。

◎台湾で「農民党」結成、国民党への打撃か(2007年6月17日、朝日新聞)
 農民の声を代弁する政党として「台湾農民党」が15日、台湾南部の高雄で結成大会を開いた。来年1月の立法院(国会)選挙への参加を目指す。この日は委員のみを決め、代表などは後日選出する。大会には日本の農協にあたる「農会」など農業団体関係者が多数参加した。台湾の選挙で農会は野党国民党の伝統的支持基盤。農民党が農民票を集めれば国民党への打撃になる可能性がある。

◎蒋介石元総統の功績たたえる建築物、名称を変更・脱中国化(2007年5月20日、日本経済新聞)
 蒋介石元総統の功績をたたえる建築物で、台湾の観光名所として知られる台北市の「中正紀念堂」が19日、「国立台湾民主紀念館」に改称された。かつての国民党トップで、現代中国を代表する指導者だった蒋氏の威光を否定する動きで、台湾独立を志向する陳水扁政権による「脱中国化」政策の一環だ。
 中正紀念堂は1980年に完成。新名称は台湾の80年代後半からの民主化運動で、重要な集会が開かれた場所であることにちなむ。陳総統は同日の式典で「世界でまだ個人を崇拝する紀念堂があるのは独裁国家だけ。中国の天安門広場前の『毛沢東紀念堂』が好例だ」とあいさつした。
 建築物は旧名称の部分が覆われ、新名称が書かれた大きな布が側面に掛けられた。最大野党・国民党は改称を批判しており、同党籍の台北市長は「古跡である中正紀念堂を布で覆うのは違法であり、(陳政権に)撤去を求める」と語った。

◎陳政権、蒋介石「中正記念堂」を「台湾民主記念館」に改名(2007年5月19日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾の陳水扁政権は19日、蒋介石・元総統を記念する「中正記念堂」を「台湾民主記念館」に改名し、一帯を「台湾民主公園」と命名した。
 陳総統は改名式典で、「蒋介石は(国民党政権が台湾住民を武力弾圧した)2・28事件の元凶で、人権を侵害した独裁者をしのぶのは明らかに不適当だ」などと、蒋介石を指す「中正」の文字を削除した理由を説明した。
 「中国」「中華」の呼称を「台湾」に改名する陳政権の「正名(名を正す)政策」の一環で、国民党(現・最大野党)を率いた蒋介石の威光を否定する「脱蒋介石」キャンペーンの仕上げといえる。
 国民党は強く反発。同党が市長ポストを握る台北市は、歴史的建造物に、台湾民主記念館と記された垂れ幕を掛けたことを「違法行為」(台北市長)と非難した。
 中正記念堂には、蒋介石ゆかりの品や文書、車などが展示されている。蒋介石の歴史的功績が強調され、日本人観光客も多く訪れてきた台湾有数の観光スポット。独立派が撤去を求めている建物内の巨大な蒋介石像の処置も、今後議論されそうだ。

◎台湾、ウナギ稚魚の対日禁輸検討、資源保護を理由に(2007年5月19日、産経新聞)
 養殖に使うウナギの稚魚、シラスウナギを日本に輸出している台湾が、資源保護などを理由に対日輸出の禁止や規制を検討していることが分かった。日本の水産庁に当たる台湾農業委員会漁業署の当局者が明らかにした。
 日本のシラスウナギは漁獲量が減り、近年、多くを台湾からの輸入に頼っている。早ければこの冬の漁獲分から規制が実施される可能性があるといい、ウナギの品薄や値上がりなどにつながって、日本の養殖業や食卓に大きな影響が出ることになる。
 台湾の漁業署によると、シラスウナギ不足に悩む日本の業者側からの要望もあって、2001年に日本向けの輸出を解禁。これまで年間5トン前後を輸出してきた。
 だが、同署の担当者は「シラスウナギ資源の保護のため、日本政府と同様、輸出の禁止や期間の制限などを行おうと考えている」と述べた。現在、業界関係者や研究者から意見を聴取し、具体的な規制内容を検討中だという。
 台湾側は、台湾で養殖業者向けのシラスウナギが品薄になる3月以降に、逆に日本側にシラスウナギを輸出するよう求めているが、日本は輸出を禁じている。減少傾向にあるシラスウナギを一方的に輸出することには台湾の養殖業者の反発が強く、これが、台湾側の強硬姿勢の一因になっているとみられる。
 これに対し水産庁は「ただでも資源が少なくなっている中で輸出を認めたら、資源にとってもマイナスだし、国内の養殖業者も困ることになる。台湾の輸出規制で国内の業者に影響が出ることは考えられるが、だからといって日本からのシラスウナギの輸出は決して認められない」と話している。

◎台湾空軍、高速道路で戦闘機離着陸訓練(2007年5月15日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾空軍は15日朝、中部・彰化県の高速道路を使って戦闘機6機の離着陸訓練を実施した。中国が台湾対岸に約1000基配備する弾道ミサイルによる攻撃で空軍基地が破壊された事態を想定した演習だ。道路を使う訓練は2機が離着陸した2004年7月以来となる。
 主力戦闘機である米国製のF16、フランス製のミラージュ2000、自主生産した「経国」の2機ずつが現地時間午前6時20分ごろ、交通規制した高速道路に相次ぎ着陸。給油などの訓練を終え、同7時25分ごろから順次、基地に向け離陸した。「漢光23号」と呼ぶ大規模演習の一環として実施した。

◎イチロー肖像権侵害、業者に1800万円賠償命令、台湾(2007年5月1日、朝日新聞)
 米大リーグ、マリナーズのイチロー選手が写真を無断で使用され、肖像権が侵害されたとして、台湾のスポーツ用品会社を相手に損害賠償などを求めていた訴訟で、台北地方法院(地裁)は30日、この会社に500万台湾ドル(約1800万円)の支払いを命じた。
 地元メディアによると、会社はイチロー選手の許可を得ず、プレー写真をバスの車体や野球雑誌などの広告に使っていたという。同法院はイチロー選手の写真を使用した商品や広告の撤去も命じた。

◎台湾新幹線が全線開業、台北駅から乗車可能に(2007年3月2日、朝日新聞)
 日本の新幹線システムを採用した台湾高速鉄道(台湾新幹線)が2日、台北~板橋間(約7キロ)の営業運転を正式に始めた。これにより、台北~高雄間(約345キロ)の全線が開業した。
 台湾新幹線は1月5日に開業したが、工事の遅れが影響して台北郊外にある板橋から高雄までの部分開業となっていた。ただ、台北駅では帰省客などで込み合う2月の春節(旧正月)前から下車のみ認めていた。

◎国民党の馬主席、汚職罪で起訴されるも総統選出馬表明(2007年2月13日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾の検察当局は13日、来春の総統選の最有力候補とされてきた最大野党・国民党の馬英九主席(56)が、台北市長在職時に市長経費の一部を私的に流用したとして、横領罪で起訴した。
 馬氏は同日、責任を取り党主席辞任の意向を表明した。その一方で、「潔白」を主張して総統選出馬を表明した。陳水扁総統周辺の汚職を追及しながら馬氏のもとで政権奪回を目指していた国民党は一転、守勢に回り、総統選の行方は混沌(こんとん)としてきた。
 起訴状によると、馬氏は、市長在任中の1998年から2006年まで、市長経費の一部で、接待や見舞金など公務に充てる毎月34万台湾ドル(1台湾ドルは約3・7円)の「特別支出費」のうち、約1117万台湾ドルを公務以外に流用した。検察当局は「毎月の手取り給与14~15万台湾ドルに対して、20万台湾ドルが妻の口座に振り込まれていた」ことなどを証拠に挙げた。
 これに対して、馬氏は「身の潔白を証明したい」と述べ、裁判で徹底的に争う姿勢を示した。党の現行規則では、公判中は党公認候補としての出馬が困難になるが、同党は13日、「馬氏に汚職の意図はない」との独自調査結果を発表、馬氏を擁護する方針を示した。
 次期総統選の候補のうち、馬氏は「清廉さ」を売りに世論の高い支持を集めてきた。それだけに打撃が大きく、党の総統候補に選出されるかは流動的で、05年の党主席選で馬氏に敗れた台湾本土派の王金平・立法院長(国会議長)(65)の出馬を促す声が浮上しそうだ。党内で、馬氏と王氏の両派閥間の対立が激しくなると見られている。
 台湾では昨年11月、陳総統の呉淑珍夫人が総統府機密費の不正使用などの罪で起訴され、民進党は窮地に立たされていた。民進党側は、対抗策として馬氏の「疑惑」を検察に告発していたもので、司法を巻き込んだ与野党間の政争の様相も見せている。

◎台湾:国民党の馬英九主席を横領罪で起訴(2007年2月13日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾の検察当局は13日、台北市長時代に市長経費を流用したとして、最大野党・国民党の馬英九主席を横領罪で起訴した。民衆の間で高い人気を誇る馬氏は来年の総統選の最有力候補とみられていた。同党の規定では、総統選への同党候補としての出馬は不可能だった。しかし、起訴後に会見した馬氏は「来年の総統選に参戦する」と出馬を表明。これを受けて馬氏が同党から立候補できるよう規定を改正することを決めた。
 会見で馬氏は同党主席の辞任を発表。「司法は尊重するが、受け入れられない」と潔白も主張し、総統選への出馬を宣言した。馬氏は総統選出馬をにらんで05年8月、同党主席に就任し、昨年12月まで台北市長も兼任していた。
 起訴状によると、馬氏は台北市長在任中の98年12月から事件が表面化した昨年7月までの間、「市長特別費」と呼ばれる市長経費を個人口座に入れ、計1110万台湾ドル(約3900万円)を私的に流用した。馬氏は、映画スター並みの容姿と清廉な印象から圧倒的な人気を得ていた。
 馬氏を政権奪還の切り札としてきた国民党にも、今回の起訴は大きなダメージだが、馬氏に主席の地位にとどまるよう求めている。

◎台湾新幹線、3月2日に全線開業(2007年2月7日、読売新聞)
 台湾高速鉄道(台湾新幹線)の事業会社は6日、台北-板橋間(約7キロ)の営業運転を3月2日に始めると発表した。
 これにより、台北-高雄間の全線(345キロ)が開業する。板橋-高雄間は1月5日に開業していた。最高時速は300キロで、台北-高雄間を最短1時間半で結ぶ。台湾新幹線は、日本の新幹線技術が海外で初めて採用された。(台北支局)

◎旭硝子、台湾に液晶ガラス生産設備新設・150億円投資(2007年2月5日、日本経済新聞)
 旭硝子は5日、台湾に液晶ガラス基板を成形するための溶融窯を新設する方針を明らかにした。投資額は150億円で、2007年中にも稼働させる。液晶ガラス基板の生産能力は現行の能力(計画含む)に比べ13%増となる見通し。拡大する液晶テレビ需要に対応して積極投資に踏み切る。
 5日に開いた06年度決算説明会で門松正宏社長が明らかにした。原料を溶かしガラスを成形する溶融窯を台湾・斗六市に新設する。生産能力は年産500万平方メートルと同社の液晶ガラス基板の溶融窯では最大級だ。
 新設備が稼働すると同社の液晶ガラス基板の生産能力は年4200万平方メートルと05年末に比べほぼ2倍になる見通しだ。同社は半年に一窯のペースに相当する規模で、液晶ガラス基板事業への投資を続けている。
 一方で、不振が続いている北米板ガラス事業を立て直すため、米ニュージャージー州のシナミンソン工場を閉鎖する方針も5日、明らかにした。同社は07年度に売上高営業利益率10%達成の目標を掲げており、不採算事業の再構築も急いでいる。

◎台湾地震で損傷の海底ケーブル「来週初め回復」、香港紙(2007年1月26日、朝日新聞)
 昨年末に台湾南部で起きた地震でデータ通信用海底ケーブルが損傷した問題で、台湾の通信会社、中華電信幹部は「来週初めに修復作業が終わり、通信状況は全面的に回復する」との見通しを示した。26日付の香港紙「明報」が伝えた。
 昨年12月26日に起きた地震で、香港、東南アジア方面と日本、米国方面を結ぶ海底ケーブル6本が損傷。通信各社はケーブルの修復作業を急ぐ一方、迂回(うかい)経路を使う応急措置を講じたが、周辺地域ではインターネットで海外のサイトにつながりにくい状態が続き、国際通信に障害が出ていた。

◎台湾、ミサイル基地増設へ、中国の軍事力脅威で(2007年1月23日、産経新聞)
 【台北=長谷川周人】台湾の国防部(国防省)は23日、米国からの地対空誘導弾パトリオット(PAC3)調達後、中南部で6つのミサイル発射基地を新設する方針を発表した。国防部によると、中国は台湾に向けて現在、戦術弾道ミサイル880基と最新鋭の国産巡航ミサイル「東海10」100基以上を配備。PAC3など軍備強化が実現しなければ、2020年から15年で中台の戦力比は2.8対1に広がるとし、ミサイル防衛力の強化を図る必要性を強調した。

◎台湾で新幹線が開業、台湾の南北を最短90分で結ぶ(2007年1月5日、日本経済新聞)
 【板橋(台北県)=長谷川周人】台湾の南北を最短90分で結び、西部全域を「1日生活圏」とする台湾高速鉄道(台湾高速)が5日、営業運転を開始した。当面の起点となる板橋駅(台北県)では午前7時(日本時間同8時)、関係者が見守る中、1番列車が南端の左営駅(高雄市)に向けて滑るように発車した。
 日本人として“乗客第1号”となった愛知県知立市から来た中学校教員、竹口史恭さん(43)はこの日、高雄への日帰り旅行を楽しむため、家族3人と高速鉄道に乗り込んだ。詰めかけた日台の報道陣に感想を聞かれると、「偶然にも一番列車に乗れた」と嬉しそう。一番列車の運転を担当したフランス人運転士も、台湾に貢献ができたと胸を張った。
 台北-高雄間(345キロ)の大動脈を結ぶ高速鉄道は、日本の新幹線技術が海外で初めて採用され、三井物産など7社の日本企業連合が基幹部分を請け負った。車両は東海道・山陽新幹線の「700系」のぞみをベースにした12両編成(定員989人)で、最高時速300キロが生み出す距離感覚は域内移動の常識を一変し、地域にもたらす経済効果が期待される。
 日欧の技術が混在する高速鉄道の安全性を危ぶむ声もあるが、陳水扁総統は元旦の初試乗で事実上の開業を宣言。この中で「日本初の新幹線輸出は成功です」と述べ、安全性を強調するとともに、プロジェクトを日台経済の絆と位置付け、今後の関係強化に期待感を示していた。

◎【台湾有情】チャーハンの値上げ(2007年1月12日、日本経済新聞)
 台北を訪れる日本人なら一度は足を運ぶ鼎泰豊という小龍包の有名店がある。ここが昨夏、「材料の高騰」を理由に10年ぶりの値上げに踏み切った。看板の小龍包の値段こそ据え置かれたが、人気メニューの「蝦仁炒飯」(エビチャーハン)は150元から170元へ。日本円にすれば、価格差は70円ほどだが、庶民には大きな痛手だ。
 一人当たり域内総生産(GDP)が1万6000ドルを突破した台湾は、外貨準備高も中国、日本に次ぐ世界第3位。だが、経済指標とは裏腹に庶民は失業におびえ、つめに火をともすような生活に耐える人も少なくない。
 当局発表では、労働に従事する既婚女性は約48%と過去最高となり、生活コストの増加に庶民のいらだちが募っている。例えば、カード破産の急増が銀行の貸し渋りを助長し、個人消費が低迷して生産も低下するという悪循環に陥っている。
 12月末、庶民がささやかな夢を託すロトの賞金総額が29億元(約104億円)に達した。最終抽選が行われた28日は、最後の一瞬に賭けようと、どのロト販売店も人、人、人。1等に当選した3人は過去最高の賞金6億元(約21億6000万円)余を手にしたが、多くの庶民はまたひとつ、ため息をついたに違いない。(長谷川周人)

◎台湾新幹線:システム混在でトラブル、開業後も不安の声(2007年1月5日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】日本の新幹線技術の初の海外輸出となった台湾高速鉄道(台湾新幹線)は5日、開業にこぎつけたが、建設中から日本と欧州のシステムの「混在」によるトラブルが相次いだことから、開業後も安全面での不安を指摘する声がくすぶっている。
 台湾新幹線を巡っては三井物産、三菱重工業、東芝などの日本企業連合と独シーメンス社、仏アールストン社など欧州企業連合が受注競争を展開。97年に欧州側が契約を結んだが、99年に日本企業連合が逆転受注に成功。この経緯が「車両は日本、ポイントはドイツ、通信はフランス」と各国の運行・制御システムが混在する原因となった。
 「日台経済協力の象徴」とされ、総工費約4800億台湾ドル(約1兆7000万円)の大型事業だが、台湾では「開業の遅れは日本側の非協力的な態度が原因」との批判が出た。一方、日本側関係者には「新幹線とは別の乗り物。『新幹線』と呼んでほしくない」という声もある。
 台湾北部の桃園駅にある管制センターでは日本、ドイツ、米国などのスタッフが運行を管理している。台湾人運転士の養成不足から、日本の新幹線やフランスの高速鉄道(TGV)の運行経験がある外国人運転士に頼っているのが現状。
 台湾のTVBSテレビの世論調査によると、74%が運行や安全性に「不安が残る」と答え、「不安はない」はわずか21%だった。消費者団体は安全性が確保されるまで乗車を控えるよう市民に呼びかけている。

◎台湾新幹線が開業、日本の技術初輸出、欧式と混合(2007年1月5日、朝日新聞)
 日本の新幹線システムが初めて海外に輸出された台湾高速鉄道(台湾新幹線)が5日、開業した。台湾の南北の2大都市、台北と高雄間(345キロ)を最短90分で結ぶ高速列車の誕生を台湾メディアは「交通新紀元」と位置づけて、一番列車に乗り込む人たちを大きく取りあげている。だが、日本の新幹線が誇る「開業以来、鉄道事故による乗客の死傷者ゼロ」(JR東海)という実績も引き継ぐことができるか、台湾内には一抹の不安もあるようだ。
 12両編成(定員約980人)の一番列車は5日午前7時(日本時間同8時)、台北郊外の板橋駅を出発した。白とオレンジのツートンカラーに黒い1本線が走る車両は「のぞみ」700系を改良した700T型。だが運転士の大半はフランスの高速鉄道TGVを運転していたフランス人だ。台湾人運転士の養成が開業時点では間に合わず、事業主体の台湾高速鉄道(台湾高鉄)が昨年5月に急きょ雇用した。一番列車の運転台に立ったパトリック・プルナーさんもフランスから。「少し戸惑ったけど、いまはすっかり慣れました。TGVより新幹線の運転席の方がずっと静かです」と語った。
 台湾で90年代初めから計画された高速鉄道計画は、当初はフランス、ドイツの欧州連合が受注するとみられていた。99年に大地震に遭った台湾側が「地震にも強い日本の新幹線」を採用。逆転受注での初輸出となったが、通信や信号、ポイントなど随所に欧州式のシステムが残る。
 このため台湾メディアは「日欧混合システム」の安全性に疑問を投げかける。開業が3回延期されたこともあって、大手テレビ局TVBSの調査によれば74%が「安全運転が心配」と答えている。
 台湾高鉄はこうした不安や疑念をはらすためにも、5日から19日までは通常の半額料金でサービスする。1日に88往復の運行を目標としているが、運転士不足もあって開業当初は19往復。およそ1時間に1本の発車となる。最終駅の台北駅からの発着は早くて2月半ばの旧正月からになる見込み。

◎台湾新幹線:静かに開業、台北・高雄間最短90分で(2007年1月5日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】日本の新幹線技術が海外で初めて導入された台湾高速鉄道(台湾新幹線)が5日、正式開業した。日本の「のぞみ700系」をベースにした「700T型」車両(12両編成、定員989人)が、台湾西部を縦断し、2大都市の台北-高雄間(345キロ)を最短90分で結ぶ。当初は昨年10月末の開業予定だったが、建設工事の遅れなどで3度にわたって開業が延期されていた。
 開業初日は高雄、北部の板橋、中部の台中の各駅から午前7時(日本時間午前8時)、始発列車がそれぞれ発車した。開業日程の正式決定が先月29日と、あわただしいスケジュールとなったため、特別なセレモニーは行われず静かなスタートとなった。開業から15日間は半額の割引運賃で運行される。
 台北-高雄間に8駅が設けられ、運賃は台北-高雄間の普通席で1490台湾ドル(約5500円)。ただ全線開通はずれ込み、当初は台北の7キロ南にある板橋駅からの発着となった。計画では1日88往復だが、開業当初は上下線それぞれ19本に限定されている。建設にあたった民間会社の「台湾高鉄」が35年間運営し、資金を回収した後に政府に譲渡する。
 正月休みを利用して妻の故郷の台湾に家族で来た愛知県知立市の公務員、竹口史恭さん(43)は「これが開業初の列車とは知らなかった。これから台湾内の交通が便利になりそう。高雄までどんな乗り心地か楽しみです」と話し、始発列車に乗り込んだ。

◎台湾地震:中国に「余震」、ケーブル損傷、海外通信に大被害(2006年12月30日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾で26日夜に発生した地震による海底ケーブルの損傷は、中国にも大きな影響を与え、一時は中国の97%のインターネットユーザーが海外サイトに接続できないなどの問題が発生した。地震は中国の国際通信網が、台湾南部を通る海底ケーブルに依存している状況を明らかにした。中国のユーザーからは「台湾人は、ついに中国に対処する最も良い方法を発見した」という皮肉交じりの声も上がっているという。
 台湾の大手通信会社「中華電信」によると、今回の地震で、台湾近海にある4本の海底ケーブルが損傷し、上海や中国南部に通じるケーブルも影響を受けた。この結果、中国では27日早朝から台湾、米国、欧州などへの通信回線が影響を受け、被害は北京、上海、重慶など広範囲に及んだ。今回の台湾の地震は、中国の思わぬ「弱点」を浮かび上がらせた格好となった。
 28日付の台湾紙「聯合報」は「中国のインターネットの安全は台湾が握っている」などと伝えた。

◎海底ケーブル復旧には「2~3週間」、台湾南部地震(2006年12月28日、朝日新聞)
 台湾最大手の通信会社、中華電信は27日、地震のために主要な国際海底ケーブル4本のうち2本が損傷を受け、使用不能になったことを明らかにした。同日正午時点で台湾から電話がつながる率は日本向けと中国大陸向けが約1割、米国向けが約4割という。完全修復には2~3週間必要とみている。損傷した海底ケーブルは、日本と東南アジアとを結ぶ通信回線の大動脈の役割も果たしているという。

◎台湾南部地震、死者は2人に、40人けが(2006年12月27日、朝日新聞)
 台湾最南部の屏東県恒春付近で26日夜に発生したマグニチュード(M)6.7の地震で、台湾警察当局は27日朝までに死者2人が確認されたと発表した。恒春市街地の家屋倒壊によるもので、1人が重体のほか、約40人が負傷している。
 台湾中央気象局によると、最初の地震以降に最大M6.4の地震が2回発生。その後も余震が約50回観測され、気象局は今後もM5以上の余震が起きる可能性があるとして注意を求めている。

◎台北は国民党、高雄は民進党が死守、台湾で2市長選(2006年12月9日、朝日新聞)
 台湾の2大都市、台北、高雄両市長選が9日投開票され、台北市は国民党、高雄市は民進党がそれぞれ現有ポストを守った。中央の政権党・民進党は陳水扁(チェン・ショイピエン)総統のスキャンダルによる逆風をかろうじてしのいだが、08年春の総統選に向けた党内の駆け引きが活発になりそうだ。追い風を生かし切れなかった最大野党・国民党内には馬英九(マー・インチウ)主席(現台北市長)の指導力を疑問視する声が出ており、台湾政治は一挙に波乱含みとなる。
 馬氏の後継市長を選ぶ台北では、国民党の●龍斌(ハオ・ロンピン)・元環境保護署長が、行政院長(首相)を務めたこともある民進党の謝長廷(シエ・チャンティン)氏らを破った。●氏は当選後、「クリーンな国民党を証明できた」と語った。陳総統夫人が11月初めに公費流用で起訴されたことを受け「反腐敗」キャンペーンを活発に展開、民進党批判票をまとめた。第2野党・親民党主席を務める宋楚瑜(ソン・チューユイ)氏はこの日の敗北声明で政界引退を表明した。
 高雄では女性候補の陳菊・元労工委員会主任委員(労相)が国民党の黄俊英・元副市長を得票率でわずか0.1ポイント差という大接戦で下し、98年以来の民進党の市長ポストを死守した。
 最終盤では陳総統ら党幹部が高雄に入り「台湾出身の民進党政権を守ろう」と訴えた。こうした訴えが「台湾は台湾人のもの」という台湾意識の強い高雄で功を奏したとみられる。黄氏にとっては、台北市長に与えられた特別費の処理で馬主席が検察に事情聴取されたことも響いた。
 「痛み分け」に終わった両党だが、党内事情は共に混迷しそうだ。民進党では次期総統選に向けた候補者選びが来年初めから本格化する。今回、国民党が強い台北で出馬して前回市長選の民進党票(約49万票)を上回った謝氏は有利な位置を占めた。9日夜の敗北声明でも「今後は台湾全体のために頑張る」と総統選への意欲を語った。
 謝氏のライバルである蘇貞昌(スー・チェンチャン)行政院長らがどう応じるかが当面の焦点だ。民進党内では、「台湾は中国の一部」とする国民党とは一線を画しながらも、「中台直航の推進」など対中政策を積極化させるべきだという「党改革」論議を求める声が増えている。政策論議や総統候補選定が党分裂の引き金となりかねないとみる党幹部もいる。
 一方、高雄での敗北について国民党の馬主席は同日夜、「深く検討する」と硬い表情で述べた。同党内には親中色の強い馬氏と距離を置く勢力もあるだけに、党内基盤を盤石にできなかったことは痛手だ。
 今回の投票率は台北で約64%(前回比7ポイント減)、高雄は約67%(同4ポイント減)。投票率減少は「民進党にも国民党にも不満な有権者」の棄権の結果とみられ、こうした層狙いの新政党を党派を超えて結成する動きが進む可能性もある。
●は「赤」に「おおざと」

◎台湾新幹線、時速300キロお披露目、試運転を公開(2006年11月30日、読売新聞)
 【台北=佐藤俊和】日本の新幹線システムを海外で初めて採用した台湾高速鉄道(台湾新幹線=台北―高雄間、345キロ・メートル)の工事が完成し、営業最高速度300キロでの試運転が30日、報道陣に公開された。
 車両は、東海道・山陽新幹線「のぞみ」の700系をベースに台湾用に改造された「700T型」。板橋―高雄間を1時間半で走行した。
 ただ、7日に予定していた開業式典は、作業車の脱線トラブルなどで延期された。

◎トラブル続出の台湾新幹線、3度目の開業式典延期(2006年11月30日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾高速鉄道(台湾新幹線)の事業会社「台湾高速鉄路」は29日、12月7日に予定していた開業式典を延期すると発表した。
 開業延期はこれで3度目。最近になり、作業車が脱線するなど人為ミスによるトラブルが続いたことから、「安全重視のため」(関係者)としている。式典は来年1月になる見込み。
 台湾側は、小泉前首相ら日本の国会議員や企業幹部、欧州の関係者に、陳水扁総統が出席予定の式典招待状を既に送っている。野党からは、7日の式典設定は、9日の台北、高雄2大市長選に向けた政治利用との指摘があり、海外を巻き込んだ迷走ぶりに批判が出そうだ。

◎台湾新幹線:開業式典の延期を発表、理由明かされず(2006年11月30日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】12月7日に予定されていた台湾高速鉄道(台湾新幹線)の開業式典について、台湾新幹線の運営会社の台湾高鉄は29日、式典を延期すると発表した。新たな式典の日程は未定だが、台湾の中央通信は来年1月以降になるとの見方を伝えた。
 台湾新幹線は開業に向けて試運転を実施中だが、10月と今月24日に相次いで脱線事故を起こした。このため主管官庁の台湾交通部(交通省)は28日、営業許可は早くても12月下旬との決定を下した。式典延期の理由は明らかにされていないが、この決定も影響しているとみられる。
 日本の新幹線技術が初めて海外で導入された台湾新幹線は「日本と台湾の協力の証し」と位置づけられている。このため、台湾側は開業式典に小泉純一郎前首相ら日本の政財界関係者を多数招待していた。

◎台湾新幹線:また脱線事故、来月7日開業に不安の声(2006年11月24日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】来月7日に開業式典が予定される台湾高速鉄道(台湾新幹線)で24日、作業用車両の脱線事故が発生した。10月末にも運行訓練中に脱線事故を起こしており、開業を間近に控えながら、安全面を不安視する声も出ている。
 運営会社の台湾高鉄によると、事故を起こしたのは軌道の安全を確認する専用車両で、同日午前に台湾中部の嘉義駅近くで発生。管制センターの係員が車両の通過を確認しないままポイントを切り替え、通りかかった作業用車両が軌道をはずれた。けが人はなかった。
 台湾新幹線は10月31日にも人為的なミスから、訓練中の新幹線車両が脱線事故を起こしている。24日付の台湾夕刊紙「聯合晩報」は「機械電気システムや係員の訓練に大きな問題がある」という専門家の見方を報じた。

◎台湾新幹線:運行訓練中に脱線事故、けが人なし(2006年11月1日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】12月に開業予定の台湾高速鉄道(台湾新幹線)で10月31日、運行訓練中に脱線事故が発生した。
 事故は、台湾南部・高雄駅の車両基地でバック走行の訓練中に発生。車掌が、列車を脱線させて事故を防ぐ脱線ポイントと呼ばれる装置の解除を管制センターに確認しないまま、運転士に発車を告げたため、1両が50センチほど脱線した。時速30キロの低速だったため、けが人はなかった。
 台湾新幹線は、運転士養成の遅れで、フランスの高速鉄道(TGV)の経験者ら外国人運転士を採用。事故を起こした列車の運転士はフランス人で、車掌は台湾人、管制センターの担当者は日本人だったため、係員同士の意思疎通の問題も浮上している。
 台湾新幹線は12月7日に開業式典を行う予定となっており、日本からも多数の政財界の関係者が招かれている。

◎陳総統夫人を機密費流用で起訴、辞任要求は拡大必至(2006年11月3日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾の検察当局は3日、陳水扁総統の呉淑珍夫人が、外交活動などに使う総統府機密費を私的に流用しダイヤの指輪などを購入していたとして、汚職(公金不正使用)や文書偽造などの罪で起訴した。
 陳総統についても、文書偽造など不正に関与したと認定しており、腐敗を理由に野党などから辞任を迫られてきた陳総統は極めて厳しい立場に立たされることになった。
 起訴状によると、呉夫人は2002年7月から今年3月にかけて、知人や家族らの領収証を使って、機密費1480万台湾ドル(約5300万円)を横領した。
 陳総統については、憲法の刑事訴追免責特権があるため、退任後に「再度捜査する」としている。検察は呉夫人のほかに、陳総統の長年の側近だった馬永成・前総統府副秘書長(官房副長官)や総統府弁公室主任、総統府会計担当官の3人も、文書偽造罪などで起訴した。
 検察によると、陳総統は事情聴取の際、機密費を使った「秘密外交工作」6件の証拠を提出したものの、検察が事実と認定したのは2件で、1件は全くの「でっち上げ」だった。
 総統周辺の不正については、今年7月、陳哲男・元総統府副秘書長が、証券取引法違反(インサイダー取引)などで起訴されているほか、娘婿の趙建銘被告も同法違反の罪で起訴されている。
 検察の発表を受けて、陳総統の与党・民進党は3日夜、緊急幹部会議を開き、起訴された党員を中央評議委員会で審査し、処分を検討することを決めた。

◎台湾:検察当局、陳総統夫人を起訴、政権いっそう窮地に(2006年11月3日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾の検察当局は3日、総統府の公費の不正流用があったとして、陳水扁総統の呉淑珍夫人ら4人を横領と文書偽造などの罪で起訴した。検察当局は、陳総統が事件で主導的な役割を果たしたと指摘したが、憲法の規定で現職総統には不起訴特権があるため免責とした。自身の積極的な関与が指摘されたことで、陳総統の辞任要求が高まることは必至で、陳総統はいっそう窮地に立たされた。
 12月に投開票される台北、高雄両市長選で党勢回復をかけた与党・民進党にとっても大打撃で台湾政局の混迷は深まりそうだ。同党は3日夜、事件について謝罪するとともに、台湾住民に説明するよう陳総統に求めた。
 起訴状によると、呉夫人は02年7月から今年3月にかけて知人の領収書を利用するなどして、総統府の公費約1480万台湾ドル(約5180万円)をだまし取った。呉夫人は職務上の権限を利用した陳総統の共犯に問われた。
 台湾の憲法では、現職総統は内乱罪などに問われない限り、免責となるため、陳総統自身は起訴を免れた。陳総統の側近の馬永成・前総統府副秘書長(官房副長官に相当)ら3人も起訴された。陳総統は2度、検察当局から事情聴取を受けたが「私的な流用は絶対にない」と主張してきた。
 陳総統の周辺では、今年7月に娘婿が証券取引法違反(インサイダー取引)で起訴された。この事件をきっかけに立法院(国会に相当)で野党から2度にわたって陳総統の罷免案が提出されたが、可決に至らなかった。民進党元主席の施明徳氏(すでに離党)が大規模な辞任要求運動を展開した。
 今回の起訴を受け野党陣営は、陳総統に辞任を求めるとともに、罷免案の再提出を予定している。これまで罷免案に反対してきた与党陣営の台湾団結連盟(台連)は、賛成に回ると表明した。
 だが辞任すれば特権を失って起訴される可能性があり、陳総統がただちに辞任を表明するかどうかは不透明だ。

◎暴落バナナ買い取りで世論懐柔、中国の攻勢に台湾警戒(2006年10月29日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾の陳水扁政権が、名産のバナナの防衛に躍起になっている。
 中国が統一攻勢の一環として、バナナ価格暴落に苦しむ台湾農家の支援に乗り出しているためで、中国と同価格で関係機関に買い取らせたり、住民にバナナの消費拡大を訴える措置に出た。
 かつて台湾バナナの大市場だった日本への輸出拡大策も検討中という。
 昨年来、中国は台湾世論の懐柔を目指し、台湾産農水産物の輸入優遇策を掲げてきた。
 特に、バナナは今秋、生産過剰で価格が前年の3分の1近くに暴落したため、中国との経済交流を推進する最大野党・国民党と中国共産党が、農家支援を目的に1キロ・グラム10台湾ドル(約36円)などで中国が買い取ることで合意。緊急輸入分のバナナ2000トンの第1便約74トンが25日、中国の大消費地・上海に向かった。
 バナナは「独立」志向が強い陳総統の与党・民進党の支持基盤の南部が主産地。独立派は「中国の統一工作の一環」(李登輝前総統)と強く警戒している。

◎陳総統の辞任求め9万人、台湾で一部は座り込み開始(2006年9月10日、朝日新聞)
 台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)総統の退陣を求め、約9万人(警察発表)が9日、台北市の総統府前に集まり、一部は座り込みを始めた。「腐敗反対」のスローガンを掲げており、「陳水扁は辞めろ」と叫ぶデモ行進も行われた。
 与党・民進党での陳総統の先輩にあたり、「台湾民主化の闘士」とされる施明徳・元同党主席が運動を主導。座り込み開始にあたって施氏は、陳総統側近や親族で金銭絡みの不祥事が続出していることについて「腐った総統を辞めさせるのは人民の権利。これは新たな大衆運動だ」と訴えた。
 24時間態勢での座り込みを当局は15日まで許可している。「非暴力を貫く」としているが、警官隊との衝突など不測の事態の発生を、与野党関係者とも懸念している。
 陳総統周辺では、娘婿が株のインサイダー取引で起訴され、懲役8年を求刑された。また総統府機密費の私的流用の疑いで、総統本人や夫人が8月、検察当局の事情聴取を受けた。野党支持層のほか中間層にも「総統は説明責任を果たしていない」という批判がくすぶっている。

◎女性専用車両、台湾では男女に不評、3か月で存続危機(2006年9月4日、読売新聞)
 台湾の鉄道会社が6月から通勤電車に導入した女性専用車両が、早くも存続の危機を迎えている。
 日本の女性車両を参考にして導入されたが、鉄道会社側の周知不徹底やホームでの誘導人員不足などで、女性車両に乗り込む男性客が後を絶たず、男女双方の乗客に不評のためだ。
 台湾は、働く女性の割合が高く、台北など都市部の通勤電車の利用客の6割近くが女性。痴漢被害もあり、「仕事で疲れた女性が車内で安心して、くつろげるように」(鉄道会社)と、女性政治家らが後押しして実現した。
 ところが、導入後、男性側から「同じ運賃を払う男性の権益侵害」とネットで廃止を呼びかける運動が起きた。「男を排除するような、車内の女性の視線が不快」=会社員(38)=など、“抗議”する声も公然とわき上がった。さらに、列車の編成ごとに女性専用車両の停車位置が異なり、ホームでの十分な説明がないことなども「不便だ」として、男性乗客の不満に拍車をかけた。
 一方、利用する女性客は存続を求める声が強い。だが、女性車両に乗り込む男性客が後を絶たないため、車内で男女間の口論まで発生するなど弊害が目立っている。また、一部の女性団体は「男女同権」の立場から“女性隔離”を強く批判している。
 鉄道会社は、導入半年後の11月末で廃止する方向で検討に入ったが、利用客からの聞き取り調査を行い、10月に最終決定する予定という。(台北 石井利尚)

◎台湾:アフリカ・チャドと断交、産油国失い打撃、中国との国交樹立受け(2006年8月7日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾外交部(外務省)は5日、外交関係を持っていたアフリカのチャドが、中国との国交を樹立したため、チャドとの断交を発表した。外交空間が縮小する台湾にとって産油国チャドとの外交関係喪失は大きなダメージとなる。一方、中国は活発化させているアフリカ諸国との資源外交が着実に実を結んでいることを印象付けている。台湾が外交関係を持つ国はこれで24カ国となった。
 台湾の蘇貞昌行政院長(首相)は6日、陳水扁総統の特使として再選を果たしたチャドのデビ大統領の就任式に参列する予定だった。しかし、断交を受け、台湾は蘇行政院長の出発を取りやめるとともに、これまで実施してきた農業分野などでの支援停止を発表した。
 中国は最近、国内のエネルギー消費増大とともに資源戦略を基軸としたアフリカ諸国との関係を重視している。特に今年に入ってからは、胡錦濤国家主席、温家宝首相ら要人が相次いでアフリカ諸国を歴訪しており、産油国チャドと台湾の外交関係を切り崩した意味は大きい。

◎台湾23年ぶり電力値上げ、燃料高で(2006年5月29日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾の経済部(経済省)は29日、公営(国営に相当)電力会社の台湾電力が7月1日付で電力料金の値上げを認可した。台湾域内で独占的に電力供給してきた同社の値上げは23年ぶりで、原油など発電用燃料の価格高騰が理由。毎月330キロワット時以上の電力を消費する大口顧客を対象に、平均約5.8%の値上げを実施する。同社は台湾全体の経済成長率を0.081%押し下げる要因になると予測している。

◎台湾でIT関連が復調、1~3月の純利益ランク(2006年5月7日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾証券交易所の上場企業の1~3月期の純利益ランキングがまとまった。デジタル景気の堅調さを反映し、台湾積体電路製造(TSMC)を筆頭に、IT(情報技術)関連が上位10社のうち8社を占めた。前年同期は素材高を背景に5社ランク入りしていた鉄鋼・化学メーカーが2社に減り、利益水準も低下した。
 友達光電(AUO)など液晶パネル2社が薄型テレビ普及によるパネル市況回復でランクに復帰。宏達国際電子は携帯電話機のOEM(相手先ブランドによる生産)で急成長している新興企業で、初めてランク入りした。
 2005年12月通期の純利益の上位10社ランクでもTSMCがトップだった。

◎台湾の奇美電子、「第8世代」液晶パネル工場を着工(2006年4月25日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾の奇美電子は25日、「第8世代」の大型ガラス基板を液晶パネルに加工する新工場を着工したと発表した。2008年をめどに「50型」以上の大型液晶テレビ用のパネル生産を始める。第8世代工場の建設を正式表明したのはシャープ、ソニーと韓国サムスン電子の合弁会社に次ぎ世界で3社目で、パネル大型化で日韓に対抗する。
 新工場は台湾南部・高雄県で着工。「50型以上のテレビの需要が伸びる08年に間に合わせるには、現時点で着工する必要がある」(何昭陽総経理)と判断した。第8世代のガラス基板は1辺2メートルを超えるが、細かいサイズは今後詰める。
 建設費は公表しなかったが、07年も1000億台湾ドル(約3600億円)前後と06年計画と同水準の設備投資額を維持してまかなう見通し。生産能力は需要動向をさらに見極めて決める。
 奇美が同日発表した1~3月期の最終損益は54億6300万台湾ドル(約196億円)の黒字(前年同期は19億7100万台湾ドルの赤字)。売上高は同77%増の472億6400万台湾ドルだった。

◎台湾新幹線、全線開通来年はじめに再延期(2006年4月23日、朝日新聞)
 当初予定より1年遅れの今年10月末開業を目標に工事が進む台湾高速鉄道(台湾新幹線)は、台北~高雄間345キロの全線開通が来年初めにずれ込み、当初は台北駅から約7キロ南にある板橋駅(台北県)からの発着となる見通しとなった。台北~板橋の地下区間の電気工事が遅れているためだ。運転士も養成が遅れ気味で当初はフランス人の経験者らに頼るなど、再度の開業延期を避けるために駆け込み開業になりそうだ。
 全線開通は最も早くて07年1月末になる見込みだ。それまでは、日本の東北新幹線が、開業当初は東京駅に乗り入れず、大宮や上野駅発着だったのと同様の運行になる。
 台湾新幹線は車両などは日本の技術が初めて輸出されたが、当初は欧州の高速鉄道システムをもとに建設された。開業が1年延びたのは、機械電気システムの設計・施工に関する欧州と日本の意見の食い違いから、工事が大幅に遅れたためだ。
 台湾人運転士の養成も遅れており、今年半ばから本格化する。事業主体の台湾高速鉄路(台湾高鉄)はフランスの高速鉄道TGVの運転経験者ら約40人を開業までに雇う。「日本企業がつくった新幹線車両をフランス人が台湾で運転する」ことになりそうだ。
 開業当初の運行本数は1日当たり35~40本の予定で、収益計画の前提になっている本数の半分程度にとどまる見通し。運転士不足に加え、板橋駅折り返しとなったことで車両のやりくりが難しくなったこともある。
 民間鉄道事業である台湾新幹線は、約1兆円という巨額の借入金を運賃収入で返す計画。運行本数の減少は返済計画にも影響しかねない。
 台湾高鉄は年内に約350億台湾ドル(約1260億円)の資金を必要としており、駅前開発権を担保にするなどの形で銀行に融資を求めている。銀行としては、台湾当局が全面支援の姿勢を続けるかどうかを確認しながら、融資に応じるかどうかを決めるとみられる。

◎台湾の工作機械、中国が軍事転用(2006年4月12日、産経新聞)
 【台北=長谷川周人】台湾製の超高精度な工作機械が中国で大量に軍事転用され、武装ヘリコプターの攻撃能力を高めるなど、中国軍による兵器近代化に利用されていることが11日分かった。中国が800基を超える短距離弾道ミサイルを台湾に向けて配備するなか、台湾企業の技術がその下支えをするという皮肉な実態が浮き彫りになった。
 台湾の国防当局関係者らによると、中国での軍事転用が確認されたのは、NC(数値制御)旋盤加工と呼ばれる1000分の1ミリ単位の超高精度で金属を加工する台湾製の特種工作機械。昨年の後半段階では、ミサイルの発射装置に使うステンレス部品の加工のため、少なくとも数十台がフル稼働していた。
 部品の形状などから攻撃ヘリに搭載する発射装置とみられるが、中国海軍主力の「直昇9C(Z-9C)」は対潜ヘリで、対戦車、対空ミサイルは搭載していない。
 このため台湾の国防当局では「問題の部品は軽量化が施された多連装式で、陸軍が中国初の本格的な攻撃ヘリとして、台湾上陸作戦も視野に入れて開発した『武直10(WZ10)』に搭載されると考えられる。超高精度加工は精度向上などが目的とみられる」と分析する。

◎台湾の奇美電子、米トムソンと技術契約(2006年3月6日、日本経済新聞)
 台湾の液晶パネル大手、奇美電子は米トムソン・ライセンシング社から、パネルや液晶モニターに関する技術供与を受ける契約を結んだ。米トムソンは技術使用権の供与を手がける仏トムソン傘下の会社で、奇美は液晶パネル関連の特許訴訟を未然に防ぐ狙い。奇美は2月上旬に、シャープとのクロスライセンス契約締結を発表するなど、海外メーカーとの技術契約を積極化している。(台北支局)

◎台湾のタオル業者、中国産の輸入規制求めデモ(2006年3月3日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾のタオル業界関係者が2日、台北市内で中国産タオル製品のセーフガード(緊急輸入制限)の早期発動を求める1000人規模のデモを行った。経済部(経済省)も同日、セーフガードに関する調査の一環として中国商務省の担当者を招いた公聴会を開くなど、タオル問題が中台貿易摩擦の火種となりつつある。
 デモにはタオル産地である台湾中部・雲林県の業界関係者らが参加。官庁街を巡り「陳水扁政権は(中国との経済交流を)積極管理しろ」などと訴えた。台湾では世界貿易機関(WTO)加盟前の2001年にゼロだった中国産タオルの域内シェアが、05年には7割に達したとみられる。
 セーフガード問題で中国当局者を呼んで事情を聞いたのは台湾のWTO加盟後、初めて。3月25日までに発動するか否かの結論を出す。財政部(財務省)も1日、中国産タオルのダンピング(不当廉売)調査に入ると発表したばかりだ。

◎「最大の責任者は蒋介石」 台湾「2・28事件」で研究書(2006年2月27日、産経新聞)
 1947年2月に国民党軍が台湾住民を武力弾圧した2・28事件から59年に当たって「事件の最大の責任者は蒋介石」と結論付けた研究書がこのほど台湾で出版された。
 総統府国史館(国史研究所)の張炎憲館長が中心になってまとめ、国民党政権下でタブーとされた「蒋介石責任論」が民主進歩党(民進党)政権下で初めて認定された。
 事件は、大陸から渡ってきた国民党政権の圧政や腐敗に対する不満から抗議行動を起こした本省人(台湾出身者)が武力弾圧され、推計1万8000~2万8000人が殺害、処刑された。
 遺族らから「加害者があいまいなのはおかしい」との声が上がり、張館長らが3年前に研究に着手。事件当時、南京にいた国民党政府の蒋介石主席について(1)電報などで台湾の情勢を掌握(2)武力弾圧のため軍を大陸から派遣(3)弾圧を指揮した陳儀・台湾省行政長官を事件後、浙江省主席に昇進させるなど重用―などの根拠を挙げ「最大の責任者」と結論付けた。
 陳水扁総統は出版発表会で「独裁体制下で覆い隠されてきた歴史の真相を明らかにしていくことは、成熟した民主化への道だ」とあいさつした。(共同)

◎台湾:民進党が国旗や国名など議論、中国を刺激も(2006年2月17日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾与党の民進党は17日、陳水扁総統が08年の任期内までに制定を目指す新憲法党草案を巡り、議論の中で「『国旗』や『国号(国名)』、領土問題に触れることができる」との見解を発表した。陳総統は00年5月の就任時、中国が独立に向けた動きととらえる「国号」変更は任期中には実施しないと公約しており、与党内の議論は中国側を刺激しそうだ。
 陳総統は1月の春節(旧正月)に中台統一の道筋を定めた「国家統一綱領」の廃止や、「中華民国」ではなく「台湾」名での国連加盟の検討を表明した。「国家統一綱領」を廃止しないことも就任時の公約だった。陳総統の周辺から相次いで独立志向をうかがわせる政策が打ち出されている。
 民進党は、昨年末の統一地方選での大敗を受け、政権基盤の立て直しが急務となっている。民進党は「高い理想の原則の下、新憲法を推し進める。6月には台湾の身の丈にあった新憲法草案を提出したい」としており、新憲法論議を通じて支持回復を図る狙いがあるとみられる。中国は新憲法の制定自体を「法的な台湾独立」と反発している。

◎台湾の友達光電、「第7.5世代」液晶工場の生産拡大へ(2006年2月8日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾の友達光電(AUO)は8日「第7.5世代」の大型ガラス基板を液晶パネルに加工する新工場の生産能力を大幅に引き上げると発表した。台湾中部の台中で2006年10~12月に量産に入り、基板ベースで月産能力3万枚を予定していたが、07年6月までに同6万枚に高める。液晶テレビ向けのパネル需要が旺盛なためだ。
 同社は大型の液晶パネルで世界3位。第6世代以下の既存工場での増産も進めるため、06年の設備投資額は前年実績比で1割以上多い900億~950億台湾ドル(約3200億~3400億円)に増額する。サムスン電子など韓国2社や日本のシャープとの投資競争で互角に渡り合う形だ。
 AUOの第7.5世代ガラス基板は1.95×2.25メートルで42型テレビ用のパネルなら8枚製造できる。05年にはテレビ用パネルの世界シェアは15%前後だったもようだが、増産をテコに「20%を最低目標とする」(陳・総経理)としている。

◎台湾新幹線、電線泥棒が横行、高圧電流で対抗へ(2006年2月3日、朝日新聞)
 日本の新幹線技術が初輸出された台湾高速鉄道(台湾新幹線)の建設工事で、電線を切断して持ち去る電線泥棒が横行している。開業予定は当初より1年遅い今年10月に延びているだけに工事の進捗(しんちょく)に支障をきたすとして、2月中旬から全線に6600ボルトの高圧電流を流し、「泥棒よけ」に使う。
 事業を運営する台湾高速鉄路(台湾高鉄)や日本企業の連合体の台湾新幹線株式会社によると、高架線路横の側溝に張られた電線が昨年秋から高性能カッターで切断され始めた。照明など沿線機器に給電するための電線で、約350キロの沿線のあちこちで被害が出ている。現時点の被害額は約10億台湾ドル(約36億円)にのぼるという。
 切断後は周りの化学樹脂がはがされ、中の銅線が持ち去られている。警察当局は銅不足の中国大陸に売りさばくことを目的とした集団的な犯行とみている。
 これまでは試験走行区間(60キロ)だけに電気を通していた。台湾新幹線などは警察側に取り締まりの強化を求めるとともに、今春の予定だった全線通電を前倒しすることにした。

◎台湾方針11周年:胡主席、独自色を発揮(2006年1月30日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】中国の江沢民前国家主席が在任中の95年、8項目の対台湾方針(江八点)を発表してから30日で、11年になった。ただ、今年の記念行事は低調で、代わりに胡錦涛主席が昨年3月に示した4項目意見(胡四点)がクローズアップされてきた。中国は台湾政策の主軸を江沢民時代の「早期統一」から「独立阻止」に修正、胡主席が台湾問題でも指導力を高め始めたことを反映している。
 中台筋によると、共産党はこれまで毎年、行ってきた党中央主催の江八点記念座談会を開かず、関係諸団体がそれぞれ行う決定を下した。
 江八点は、「中台統一への具体策を盛り込んだガイドライン」とされたが、「台湾政策の新思考」(李家泉・北京連合大教授)と評される胡四点の特徴は「台湾人民に希望を託する」との表現どおり台湾の陳水扁政権ではなく、主に市民へ呼びかけたことだ。
 胡主席は1月14日、台湾対岸の福建省アモイにある台湾企業区を訪れ、台湾人企業家らに「台湾同胞に有益なことなら、必ずやる」と約束した。パンダの贈呈計画や中国での台湾市民の活動に便宜を図る政策を次々と打ち出していることも、胡四点に基づく。
 背景には中台情勢の変化がある。年平均10%の経済成長を続け、国際地位を高める中国に対し、台湾では貿易・投資の対中依存度が増している。中国側は独立志向を持つ陳水扁政権の対中国政策が手詰まり状態にあると判断。台湾の民心を引きつけて中台関係の主導権を握ることが「平和統一」への近道になるとの計算がある。
 中国メディアは「胡四点は江八点を継承・発展させたもの」と評するが、胡錦涛体制の基盤強化とともに、胡四点が中心になっていくとの見方が、中国の台湾問題研究者の間では有力だ。
 胡主席は地方政府の指導部人事などで独自色を出しつつある。中国が対米、対日外交で「最も重要で最も敏感」と位置づける台湾問題でも、独自性を発揮することは自身の権威向上に役立つとともに、日米両国へのけん制にもなりそうだ。

◎台湾:タラバガニ密輸船を摘発、総額7000万円(2006年1月24日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾でタラバガニを密輸しようとした漁船が24日までに、台湾の海上保安庁に当たる行政院海巡署に摘発され、1万匹以上のタラバガニが押収された。漁船の船長は「公海上で日本漁船から受け取った」と供述しているが、実際の産地は不明。このまま産地が分からなければ、押収された大量のタラバガニは廃棄処分となる可能性が高い。
 同署によると、密輸しようとしていたのは台湾南部の高雄に船籍を持つ漁船。22日夜に高雄港沖の海上でパトロール艇が不審船を発見し調べたところ、2074個もの発泡スチロールの箱に入ったゆでたタラバガニが見つかった。1箱に6~7匹入っており、重量は計1万6000キロ。市場価格は1匹当たり約2000台湾ドル(約7000円)にもなる。
 同署は「ロシアから中国を経由して密輸し、産地をごまかしている可能性も排除できない」としており、このまま産地が分からなければ、押収したタラバガニの安全性の確認を行うことができないため、競売などにはかけられないという。
 台湾では、タラバガニは「帝王蟹」と呼ばれ、ゆでカニや鍋料理の食材となる。日本への旅行で人気の高い北海道の代表的な味覚のイメージがある。

◎台湾の空港専用鉄道、丸紅などが910億円で受注(2006年1月13日、朝日新聞)
 丸紅は12日、川崎重工業や日立製作所と共同で、台湾交通部(交通省)の高鉄局から台北郊外の中正国際空港と台北市内を結ぶ空港専用直通鉄道の建設を受注したと発表した。受注額は約910億円。国際入札による空港専用鉄道プロジェクトでは世界最大級という。
 香港やマレーシア、ソウルなどアジアの空港専用鉄道はこれまで欧州勢が独占しており、日本企業が手がけるのは初めて。今回も独シーメンスや仏アルストムの各グループが応札したが、競り勝った。
 専用鉄道は台北駅から空港を経由し、桃園県中●市までの全長51.2キロ。21駅あり、車両123両、軌道、信号、車両基地などを一括して請け負う。全線開通は13年9月の予定。今秋の開業を予定する台湾新幹線の桃園駅にも乗り入れる。
(●は「土(つちへん)」に「歴」)

◎台湾民進党が地方選大敗、党主席が辞意表明(2005年12月4日、朝日新聞)
 台湾の23県市の首長(任期4年)を選ぶ地方首長選挙は3日、投票が行われ、即日開票の結果、陳水扁(チェン・ショイピエン)政権を「無策」と批判し、中国との和解促進を主張した最大野党・国民党が14県市を押さえ、現有ポストを大幅に上回った。全有権者の約2割を抱える最大選挙区の台北県でも勝利した。陳総統らが支援した与党・民進党候補の当選は6県市にとどまった。民進党の蘇貞昌(スー・チェンチャン)主席は同日夜、記者会見で「大敗」と認め、辞意を表明した。
 直轄市の台北、高雄市を除く地域で、台湾の全有権者の8割近くを対象として実施された。地方選とはいえ、最終盤では「対中政策」が大きな争点になった。
 中央選管によると、政党別の獲得首長ポストは、民進党6(現有10)、国民党14(同8)、親民党1(同1)、新党1(同1)、無所属1(同3)。全土を通じた投票率は前回と同じ66%。
 民進党は、過去16年間、県長ポストを守ってきた台北県で敗退したうえ、伝統的に同党支持層が多く「民主の聖地」と呼ばれた北東部の宜蘭県、中部の嘉義市も失った。台南県・市、高雄県などの南部の地盤をかろうじて守った。
 一方、国民党候補は選挙結果が08年総統選挙のカギを握るとされた台北県でも差をつけた。総統選有力候補の馬英九(マー・インチウ)主席を擁する同党支持者の間で、政権奪還に向けた動きに弾みがつきそうだ。
 今春に連戦(リエン・チャン)国民党主席(当時)ら野党首脳が中国大陸を訪問し、胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席と会談して以降初めての大型選挙で、同党側は選挙戦でも「対中和解の促進」を訴えた。一方、対中政策などで手詰まりが続く民進党側は陳総統に近い要人の汚職疑惑も不利に働いた。「国民党による対中交流は統一への道」とも呼びかけたが、劣勢を挽回(ばんかい)できなかった。
 中国国営の新華社通信は3日夜、台湾の地方首長選の結果を速報し、「特級の大型県」である台北県を失ったと伝えた。

◎台湾新幹線が試乗式・行政院長ら、時速300キロを体験(2005年11月6日、日本経済新聞)
 日本の新幹線システムで台北―高雄間を結ぶ「台湾新幹線」の事業会社、台湾高速鉄路は6日、南部の台南駅を起点に試乗式を開いた。謝長廷行政院長(首相)ら高官や報道陣が時速300キロの高速走行を台湾で初めて体験した。台湾高鉄は工事の遅れで9月、2006年10月末まで1年間遅らせた開業に支障がないことをアピールした。
 試乗車両は同日午前、実際の営業路線となる台南駅付近の約57キロの線路を往復し、このうち約6分間を時速300キロで走行した。京都大学に留学していた30数年前に初めて新幹線に乗ったという謝院長は「台湾でこんなに快適で速い列車に乗ることができ、かなり興奮している」と感想を語った。
 JRの東海道・山陽新幹線の「のぞみ」で使われる700系をベースに製造した車両の内装や走行時の揺れ、騒音などは日本とほぼ同様だった。台湾新幹線は主に島の西側の平野部を走るため、時速300キロで運転できる区間の比率は東海道・山陽新幹線よりも高いという。

◎台湾新幹線:試乗走行で時速300キロ達成(2005年11月6日、毎日新聞)
 【台南県(台湾南部)庄司哲也】日本の新幹線システムが初めて採用された台湾高速鉄道(台湾新幹線)の試乗走行が6日、台湾や日本の関係者、内外の報道陣を招いて行われた。乗客を乗せて初めて営業最高速度の時速300キロを達成した。
 試乗走行は南部の台南県六甲郷-高雄県大社郷間の58キロの区間で実施された。山陽新幹線「のぞみ」型車両を改良した700T型車両(12両編成)は発車後、徐々に速度を上げ、6分ほどで時速300キロに到達。車両は大きな揺れも騒音もなく、安定した走行を続けた。
 日本留学経験のある台湾の謝長廷行政院長(首相)は「30年前に日本で初めて新幹線に乗った時のことを思い出した。小学生のころの遠足のようにわくわくした」と感想を語った。
 台湾新幹線は当初、今年10月末の開業を目指していたが、主に日本企業が受注している機械電気システムの工事の遅れなどのために開業予定が1年延期されている。

◎台湾の奇美電子、06年のTV用液晶パネル出荷1000万枚に(2005年11月3日、日本経済新聞)
 【台北支局】台湾の液晶パネル大手、奇美電子は3日、2006年の自社のテレビ用パネルの出荷量を1000万枚とする方針を明らかにした。05年の出荷量見通し(550万枚)を約8割上回る積極的な計画だ。何昭陽総経理が投資家向け決算説明会で語った。
 何総経理は06年の業界全体のテレビ用パネル需要も4200万枚と、05年見通し比で約8割増える好況が続くと予測。奇美も増産で出荷を増やし、「2割以上の世界シェア確保を続ける」と述べた。

◎台湾:セネガルと断交(2005年10月26日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾外交部(外務省)は25日、中国政府が西アフリカ・セネガルとの国交を樹立したのに伴い、同国と断交したことを発表した。これで台湾と外交関係を持つ国は25カ国となった。台湾はセネガルと一度、断交した外交関係を96年1月に回復していた。
 台湾外交部は同日夜、緊急の記者会見を開き、「中国が金銭的な誘惑と圧力によりセネガルとの国交を回復した。台湾の主権と尊厳において、セネガルとの外交関係を中止するとともに一切の援助計画を停止する」と声明を発表した。

◎台湾:「光復節」、陳総統が中国側を批判(2005年10月25日、毎日新聞)
 中国政府が行った「光復節」の式典に対し、台湾の陳水扁総統は25日、台湾から式典に出席した者を批判するとともに「それは喜ばしい光復ではない。統一工作による『返還』だ」と、中国側の統一攻勢をけん制した。
 台湾では00年の政権交代後、「光復節」の見解が割れており、独立志向とされる与党・民進党政権は、単に日本の植民地支配を離れたという見方なのに対し、最大野党の国民党などは、当時の国民党政権下の中国に返還されたとの立場を取っている。このため、中国側とは対照的に台湾政府は60年目の節目となる「光復節」を祝う大きな活動は実施しなかった。
 陳総統はこの日、台湾で開かれる安全保障フォーラムに参加する日米の参加者と会見し、光復節について「光復の最も重要な意義は、台湾の人々が自らが台湾の主となったことだ。台湾の歴史観では絶対に返還ではない」と述べ、中国側が主張する台湾の祖国復帰を明確に否定した。
 一方、中国との協調を重視する国民党の馬英九主席は、台湾紙「中国時報」に寄せた文章の中で、「台湾の抗日運動は中国大陸の抗日運動と切り離すことが出来ず、双方は互いに支援し合い、肩を並べあった」と中国とのつながりを強調した。

◎台湾:台湾ドルと人民元の交換業務、台湾本島に拡大(2005年10月25日、毎日新聞)
 台湾行政院(内閣)は24日までに、中国大陸に近い離島の金門、馬祖両島で10月から始まった台湾ドルと人民元の交換業務を、台湾本島に拡大する方針を固めた。国際空港や港湾などで試験的に実施し、台北市や南部の高雄市など大都市に広げ、早ければ来年初めにも実施する。
 台湾紙「聯合報」によると、両島と同様に1回2万元(約28万円)の上限が設けられる見通し。両島では現在、1日当たり平均で約100万元の取引が行われているという。【台北支局】

◎イチロー選手、台湾で提訴、肖像権侵害で(2005年9月29日、産経新聞)
 米大リーグ、マリナーズのイチロー選手が28日、広告で肖像権を侵害されたとして台湾のスポーツ用品メーカーに損害賠償などを求める訴訟を台北地方法院(地裁)に起こした。地元メディアによると、請求額は1億台湾元(約3億4000万円)。
 イチロー選手は同日、代理人を通じて訴状を提出。代理人によると、このメーカーは過去2年間、バスの車体や雑誌広告に無断でイチロー選手の写真などを使用。これまで中止を求めてきたが、受け入れられなかった。(共同)

◎台湾:与党連合支持者ら、米国製武器の早期購入求めデモ(2005年9月25日、毎日新聞)
 台湾で民進党など与党連合の支持者らが25日、米台間の懸案となっている米国製武器の早期購入を求める大規模デモを台北市内で実施した。主催者集計で5万人が参加。中国の軍事力増強が伝えられる中、デモ参加者は「防衛の強化が、台湾を守る」などと訴えた。【台北支局】

◎台湾の海外からの製品受注高、8月は22.7%増(2005年9月23日、日本経済新聞)
 台湾の経済部(経済省)が23日発表した8月の海外からの製品受注高は、221億5100万ドルと前年同月比で22.7%増加した。8月の工業生産指数(2001年=100)は135.78と同5.92%上昇した。世界的なハイテク景気の回復で半導体、ノート型パソコンなど電子・電機関連の需要が旺盛で、製品受注高、工業生産指数とも単月としての過去最高を記録した。(台北支局)

◎台湾:軍民共用空港内を撮影しようとした日本人観光客聴取(2005年9月22日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾で旅客機の窓から軍民共用の空港内をデジタルカメラで撮影しようとした日本人観光客の男性が21日、台湾の法律に違反した疑いがあるとして警察当局に事情聴取された。
 台湾紙「自由時報」によると、男性は21日午後、台湾東部の花蓮空港から松山空港(台北市)に向かう途中、機内の窓から花蓮空港に駐機していた戦闘機を撮影しようとした。これに気付いた隣の座席の台湾軍中佐が制止した。中佐は台北到着後に警察に届け出た。男性は実際には撮影していなかったため、事なきを得たという。男性は団体旅行で初めて台湾を訪れていた。

◎8月の台湾失業率、4.36%(2005年9月22日、日本経済新聞)
 台湾の行政院主計処(統計局などに相当)が22日発表した8月の失業率は4.36%で、前月に比べ0.04ポイント上昇した。大学などを卒業したばかりの求職者の増加のため4カ月連続で雇用情勢が悪化したが、主計処は「新卒者の職探しが一段落する9月には失業率は下落に転じる」としている。(台北支局)

◎台湾新幹線:開業を1年間延期、来年10月末に(2005年9月8日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】日本の新幹線システムが初めて採用された台湾高速鉄道(台湾新幹線)について、同鉄道の殷キ会長は8日、今年10月の開業予定を1年間延期し、来年10月末とすることを発表した。
 台湾新幹線は台北と台湾南部の高雄間の約345キロを最高時速300キロ、最速1時間半で結ぶ計画。車両は東海道・山陽新幹線「のぞみ」型車両を改良した700T型が導入されている。総事業費は日本円で約1兆6000億円に上り、三井物産、三菱重工などが出資する日本の企業連合が機械電気システムを請け負い、2000年に建設がスタートしていた。
 しかし、新幹線技術や車両など機械電気システムに日本だけでなく欧州のシステムも取り入れたため混乱し、設計や仕様の修正が相次ぎ、工事が遅れていた。
 会見した殷会長は「工事の進行状況、システム試験や営業運転準備などの状況を分析し、延期を決めた。延期による違約は発生しない」と話した。

◎台湾新幹線、開業1年延期 工事遅れで来年10月に(2005年9月8日、産経新聞)
 日本が初めて新幹線システムを輸出した台湾高速鉄道(新幹線)の事業主体である台湾高速鉄道の殷琪会長は8日、記者会見し、工事の遅れのため、今年10月末に予定していた開業を1年間延期し、来年10月末の開業を目指すと発表した。
 日本の企業連合が請け負った機械電気システムの工事遅れが主因。営業開始の延期で同社の資金繰りなどに問題が生じる恐れもあり、日台間にしこりが残る可能性も出てきた。
 高速鉄道は台北―高雄間(約345キロ)を約1時間半で結ぶ。川崎重工業や三井物産など日本連合7社が新幹線の心臓部分に当たる機械電気システムを受注した。
 しかし、台湾高速鉄道で設計や検査・監督をするスタッフは欧州勢が多く、日欧の技術陣の意見がかみ合わないことから工事が遅れ、今年7月末現在、進ちょく率は60%にとどまっている。(共同)

◎1日は全土で休みの措置、台風13号が横断(2005年9月1日、NNA BUSINESS)
 台風13号(タリム=泰利)が上陸した影響で、1日は金門県を除く全土の各自治体で公共機関、企業、学校の休みの措置が取られている。株式市場も休場となり、経済活動はまひ状態だ。
 交通にも大きな影響が出ている。空の便は、中華航空(チャイナエアライン)が午前中の出発便をすべて取り消し、到着便も午後以降とした。各社とも同様の措置を取っており、最初のフライトは早くても午後3時以降になりそうだ。域内線は遠東航空(ファーイースタン・エアー・トランスポート)がきょう全便の欠航を決定したほか、復興航空(トランスアジア・エアウエイズ)、華信航空(マンダリン・エアラインズ)、立栄航空(ユニ・エアー)が午後6時までの全便を欠航する。台湾鉄路(台鉄)も終日運転を見合わせる。
 中央気象局によると、台風13号は1日未明に宜蘭と花蓮の中間付近に上陸し、勢力を弱めながら台湾島を横断し、台中付近から台湾海峡に抜けた。午前10時時点で北緯24.5度、東経120.2度の台中の西北約60キロの海上にある。

◎シャープ、台湾液晶メーカーと特許相互利用(2005年7月8日、日本経済新聞)
 シャープは7日、台湾液晶大手の友達光電(AUO)とパソコン用液晶パネル技術で、保有特許を互いに使えるクロスライセンス契約を結んだことを明らかにした。期間は今年7月から2010年6月末までの5年間。シャープは戦略製品である液晶テレビ向けパネルの特許では防衛姿勢を強めているが、パソコン向けは他社に供与しても国際競争力は低下しないと判断、製品特性を踏まえた柔軟な戦略を採る。
 パソコン用液晶パネルに使うTFT(薄膜トランジスタ)形成などの特許が中心になるもよう。シャープは現在、65型テレビを筆頭に大画面テレビ用液晶パネルの開発や生産に液晶事業を集中している。今年6月にはAUOが20%出資していた富士通の液晶子会社を買収。富士通が所有する「VA方式」と呼ぶテレビ用液晶表示技術を確保した。

◎台北の料理店、台湾人十数人に殴られ日本人5人けが(2005年6月25日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾の台北市の繁華街・万華地区の海鮮料理店で23日夜、日本人団体観光客7人が、台湾人客十数人にビール瓶や鉄パイプなどで殴られ、5人がけがをした。うち1人は左腕を骨折した。
 日本の対台湾窓口、交流協会台北事務所によると、日本人観光客が食事を終えて談笑していたところ、近くにいた台湾人客が、「日本人にののしられた」と誤解して、殴ったという。
 地元警察は、「台湾人客の代表が示談金を支払って決着した」と説明。一部台湾紙は、尖閣諸島の領有権問題がけんかの原因と見られると伝えたが、同警察は「事実ではない。お互い言葉が通じなかったのだから」と否定した。

◎台湾、尖閣諸島近くへフリゲート艦派遣(2005年6月21日、朝日新聞)
 台湾海軍のフリゲート艦1隻が21日午前9時ごろ(日本時間同10時)、宜蘭県蘇澳(スー・アオ)の軍港を出港し、日本が最近台湾漁船の操業取り締まりを強化している尖閣諸島(中国名・釣魚島)近くの海域に向かった。「視察のため」としており、李傑・国防部長(国防相)や王金平立法院長(国会議長)らが乗船している。
 伝統的な漁場を日本に閉め出されたと不満を強める台湾漁民に配慮した措置。「当局の日本への弱腰」を非難する声が台湾内に高まっているため、強硬姿勢を示す狙いもある。
 フリゲート艦は宜蘭から北東約110キロの海域を視察する予定。現場海域では、今月上旬、台湾漁船約50隻が日本に対する抗議活動を行った。
 大野防衛庁長官は21日の記者会見で、台湾国防部がフリゲート艦を日本の排他的経済水域(EEZ)近くに派遣すると発表した問題で、日本政府が台湾側に「無用の緊張を高めるので冷静に対処してもらいたい」と申し入れたことを明らかにした。大野長官によると、台湾側からは「挑発する意図は全くない」と説明があったという。
 今月はじめには、日本政府が台湾漁船への操業取り締まりを強化していることに抗議するため、台湾漁船が尖閣諸島近海に集結、日本の巡視船を取り囲む騒動があった。
 一連の動きについて大野長官は「日本側で決めたEEZと台湾の暫定水域とが一致していないことが背景だ」と述べた。

◎台湾で「100万人」デモ、反国家分裂法に抗議(2005年3月27日、朝日新聞)
 台湾独立を阻止しようとする中国の「反国家分裂法」の成立に抗議する大規模デモが26日、台北市であった。陳水扁総統が「100万人参加」を呼びかけ、主催した与党民進党は「目標に近い人数が集まった」としている。
 同市内では史上最大の規模となったデモは、「台湾の将来は台湾人が決める」を示す狙い。陳総統や李登輝前総統も参加した。中国を刺激して中台関係が一層悪くなるのを避けるため、政治家の演説は自制。代わりに「台湾は赤ちゃん。大切に守り育てよう」という歌を最後に大合唱して気勢を上げた。
 参加した台北の医師孫艶芳さん(50)は「中国に公然と侵略を予告され、黙っているわけにはいかないので参加した」と話した。

◎台湾新幹線が試運転開始、数カ月遅れで初公開(2005年1月27日、産経新聞)
 今年10月の開業を目指す台湾高速鉄道(新幹線)の試運転が始まり、日本の東海道新幹線「700系」をベースにした流線形の「700T」が走行する様子が27日、南部の台南駅で公開された。試運転開始は当初、昨年秋の予定だったが、送電工事の遅れで延期された。
 試運転はJRのベテラン運転士が担当し、日本から昨年5月に搬入された車両のうちの1編成(12両)が、高雄-台南間約60キロの試験区間を時速約30キロでゆっくりと走行。今後は徐々に速度を上げ、最高時速300キロでの走行も試す。
 台南駅のホームで行われた記念式典で、台湾高速鉄道の殷琪会長は「(試運転開始は)台湾の高速鉄道だけでなく、日本の新幹線システムにとっても重要な節目だ」とあいさつした。
 台北-高雄間(約350キロ)を約1時間半で結ぶ新幹線は、川崎重工業や三井物産など日本連合7社が1999年、車両を含め運行全般にかかわる主要部分を受注。
 しかし軌道の一部などにドイツなど欧州の技術を導入するため、新幹線システムとの違いから新たな技術が必要となり、予算増や人材不足が指摘されている。10月の開業予定も来年以降にずれ込むとの見方が出ているが、殷会長は「(予定通りの開業に向け)全力を尽くしたい」と語った。

◎住友化学、液晶関連事業に100億円投資・台湾に新工場(2005年1月20日、日本経済新聞)
 住友化学は液晶パネル関連部材を中心とする情報電子化学部門に約100億円を投資する。中核部材である液晶カラーフィルターの新工場を台湾に設けるほか、韓国では同部材を3割増産。日韓の生産拠点に研究開発センターも新設する。液晶パネルは昨夏から需給調整が続いているが、同社は中長期的には大幅な需要増を見込み、経営資源を積極的に投入する。
 台湾で生産するのは携帯電話向けに需要が伸びている「第二世代」と呼ばれる小型液晶パネル用のカラーフィルター。約50億円を投じて、台北郊外の新竹科学工業園内に月産5万枚の工場を9月に完成させる。需要家である台湾の大手液晶パネルメーカーの既設クリーンルームを利用するため、建設費を40億円程度節減できるという。

◎中国と台湾、春節直行便で合意、中国機が初めて台湾へ(2005年1月15日、朝日新聞)
 中国と台湾の航空当局者は15日、マカオで協議し、2月9日の春節(旧正月)に合わせて双方の航空会社がチャーター便を乗り入れることで合意した。台湾海峡の安定をアピールしたい両者の思惑が一致したもので、中国機が台湾に乗り入れるのは、49年の中台分断以来、実質的に初めてとなる。これを機に途絶えていた中台間の対話が復活するかどうかが、注目される。
 今回の協議は、中台双方の交通当局の航空担当幹部が民間団体職員の身分で出席、異例の当局者同士の直接交渉となった。2時間にわたった協議の後に開かれた共同記者会見で、浦照洲・中国民航協会常務理事は「友情のこもった雰囲気のなか、我々は短時間で合意に至った」と述べた。
 中台間を結ぶ航空便は、03年の春節に台湾機がチャーター便として旅客を乗せずに香港、マカオを経由して上海に乗り入れ、帰省客を乗せて戻ったのが、49年の中台分断以来最初となった。04年は中台関係の緊張から見送られた。
 今回合意されたのは、今月29日から2月20日にかけて、中国の中国国際航空や台湾の中華航空など、中台双方のそれぞれ6社が合計48便を運航するという内容。主に大陸で暮らす台湾人ビジネスマンらの里帰りに利用されるとみられる。発着地点は、中国側が北京、上海と広州、台湾側が台北と高雄。上海-台北だけだった前回より拡大した。「軍用機との識別が困難」とする台湾側に配慮し、着陸はしないが香港の空域を経由する。

◎台湾の宿泊施設がコンドーム常備へ、エイズまん延防止(2005年1月15日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾の中央通信によると、ホテルや旅館などの宿泊施設に対して、コンドーム常備を義務づける「エイズ予防法案」が14日、立法院(国会に相当)で可決され、成立した。
 施行時期は未定。エイズのまん延を防止するためで、違反した施設は、最高15万台湾ドル(約50万円)の罰金が科せられる。
 宿泊客にコンドームを無料で配布するか、販売するかはそれぞれの宿泊施設が決める。
 陳建仁・行政院(内閣)衛生署署長は、「エイズ予防のためには、性行為すべての過程でコンドームを使用することが大変重要だ。宿泊施設を頻繁に利用する者にとってコンドームの必要性は高い」と、法律の趣旨を説明した。

◎台湾・陳総統、民進党主席を辞任、柯氏が暫定代理主席(2004年12月15日、朝日新聞)
 台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)総統は14日に開かれた民進党中央常務委員会で、同党主席を辞任した。国会にあたる立法院選挙で、目標としていた与党連合としての過半数獲得を達成できず、野党に敗北したことに対する責任を取った。
 選挙中に「台湾新憲法」の日程に言及し、「公営企業の名に付いている『中国』を改める」と主張したことなどが、中台関係の悪化を嫌う中間層の離反を招いたとみられている。さらに、与党連合を組む台湾団結連盟(台連)との調整不足が、陣営内に亀裂を生んだとも指摘されている。陳氏は「あらゆる批判や非難を引き受ける」「急ぎすぎたのではないかと反省している」と述べた。
 陳氏は、02年7月から総統と党主席を兼務し求心力を強めた。党主席辞任に伴って来年2月の党員による党主席選挙まで、立法院同党議員団リーダーの柯建銘(コー・チエンミン)氏が暫定代理主席を務める。
 陳氏は今後、総統職に専念する考えを示すとともに、「台湾内の団結や両岸(中台)関係の安定のために尽くす」と語った。

◎台湾:陳総統が党主席を辞任へ、選挙敗北で引責(2004年12月14日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾の陳水扁総統は13日夜、与党連合が敗北した11日の立法院選の責任を取り、兼務する民進党主席を辞任する意向を同党幹部に明らかにした。14日の党常務委員会で正式表明し、了承される見通し。党主席辞任は、支持者に敗北のけじめを示すためとみられる。
 後任はすぐには決めず、党規約に従って暫定的に呂秀蓮副総統を代理主席に起用する案が浮上している。来年前半にも、党内選挙を実施し、後任主席を正式に選出する。
 民進党と台湾団結連盟(台連)で構成する与党連合は立法院選で過半数(113議席)獲得を目指したが、合計で101議席に終わった。

◎台湾総統が党主席辞任へ(2004年12月14日、産経新聞)
 中央通信によると、台湾の陳水扁総統は13日、11日の立法委員(国会議員、定数225)選挙で敗北した責任を取り、兼務していた与党、民主進歩党(民進党)の主席を辞任する意向を明らかにした。
 14日に開かれる同党中央常務執行委員会で正式に表明する予定。党幹部らは慰留したが、陳氏は「1人で全責任を負う」と語り、辞意は固いという。
 同委員会は陳氏に代わる主席代行の選出方法について協議する。陳氏は2002年7月、党主席に就任。党主席ポストは党と政府の調整役であることなどから、辞任しても総統として政権を運営する上で大きな影響はない。
 民進党は陳氏が再選された今年3月の総統選の勢いに乗り、立法院(国会)での過半数獲得を目指し、候補者を多く立てたが、一部選挙区では票を食い合い、共倒れに終わった。
 陳氏が選挙戦終盤で打ち出した在外代表部や公営企業名に「台湾」を付ける「正名(名前を正す)」計画などについても、党内からは国の将来戦略が問われる総統選と異なり、「地方の利益が重視される立法委選と直接関係のないテーマを強調しすぎた」との批判が出ていた。(共同)

◎台湾立法院選、与党が敗北、野党、過半数制す(2004年12月12日、朝日新聞)
 台湾の一院制国会にあたる立法院選挙(定数225)が11日、投開票された。中央選挙管理委員会によると、民進党など与党連合が計101議席と伸び悩んだ一方、国民党など野党連合は計114議席に達し、過半数を制した。3月の総統選挙で再選された陳水扁(チェン・ショイピエン)総統は過半数獲得による政権基盤の強化を目指していたが、失敗した。
 陳氏は選挙期間中、中国が反発している「台湾新憲法」づくりの日程にも言及し、「自立路線の推進」を訴えたが、今後は政局運営の見直しを迫られそうだ。陳氏の動きを警戒していた中国との関係も注目される。
 確定投票率は59.2%で過去最低だった。民進党は89議席(改選前80議席)を獲得して引き続き第1党になったが、与党連合を組む台湾団結連盟(台連)が12議席(同12)にとどまった。
 陳総統は選挙期間中、「06年12月に台湾新憲法の草案を住民投票で決め、08年5月に施行する」「公営企業の名についている『中華』『中国』を改める」と急進的な訴えを続けたが、中国とのトラブルを嫌う中道層の離反を招いたとみられる。
 また、3月の総統選勝利の勢いに乗じて候補者を積極的に擁立したことが、同じ選挙区で与党同士がつぶし合う結果も招いた。陳氏は同夜、「敗北の責任は私にある」と述べた。
 一方、前回選挙で大敗し、党勢が長期低落傾向にあった国民党は79議席(同66)に躍進。候補者調整や「票割り」も功を奏したとみられる。第2野党の親民党は34議席(同44)だった。
 国民党の連戦(リエン・チャン)主席は同夜、「台湾の有権者は発展と同時に安定を希望している。我々は両岸(中台)関係で正しい道を歩む」と勝利宣言した。
 政党別得票率は民進党35.7%、国民党32.8%、親民党13.9%、台連7.8%だった。有権者数は1650万人だった。

◎台湾、新幹線で欧州勢に6500万ドル支払いで和解(2004年11月26日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾版新幹線「台湾高速鉄道」(台北~高雄)の事業会社「台湾高速鉄路公司」は26日、「日本企業連合が車両システムを受注したのは合意違反」と主張していた独仏企業の「欧州高速鉄路連盟」(ユーロトレイン)に対し、6500万ドル(約67億円)を支払うことで和解した。
 車両システム受注をめぐっては、1997年に欧州側が優先交渉権を得ていたが、三菱重工など日本企業連合が巻き返し、2000年12月に台湾側と正式調印した。欧州側は合意違反として賠償を求め、国際ビジネス紛争の仲裁機関・国際商業会議所(ICC)に仲裁を申請していた。

◎バヌアツが台湾との外交関係樹立を承認(2004年11月15日、産経新聞)
 ニュージーランド放送などによると、南太平洋の島国バヌアツの首相報道官は15日、内閣が台湾との外交関係樹立を承認したと明らかにした。
 バヌアツはこれまで中国と国交を持ち「一つの中国」の原則を支持してきたが、報道官は「バヌアツは台湾、中国と関係を維持する最初の国になりたい」と表明した。
 中国は国交のある国には「一つの中国」の原則を求めており、バヌアツと台湾との外交関係が確認されれば、バヌアツと断交するとみられる。
 バヌアツのボール首相は今月3日、台湾で外交関係樹立文書に調印した。しかし、事前に内閣の承認を得ていなかったためほかの閣僚らが反発、説得工作を続けていた。(共同)

◎台湾でM6の地震(2004年11月11日、産経新聞)
 台湾の中央気象局によると、11日午前10時16分(日本時間同11時16分)ごろ、台湾の宜蘭県蘇澳の東南46.8キロの海底を震源とするマグニチュード(M)6の地震が起きた。震源の深さは13.9キロ。
 宜蘭県、花蓮県で震度4、台北市などで震度2を記録したが、被害の情報は入っていない。(共同)

◎台湾総統選:当選無効訴訟判決、野党の請求棄却(2004年11月4日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】3月の台湾総統選で小差で敗れた連戦・国民党主席らが陳水扁総統、呂秀蓮副総統の当選無効を求めて起こした訴訟の判決言い渡しが4日、台湾高等法院(高裁)であった。同高裁は「陳総統らが不正行為をした証拠はない」として連氏らの請求を棄却した。連氏側は判決を不服とし最高法院(最高裁)に控訴する方針。
 高裁は閉廷後、(1)再集計の結果、陳氏の得票が連氏を約2万5600票上回っていた(2)連氏側は投票前日の陳総統銃撃事件を「自作自演」と主張するが、証拠がない(3)総統選と住民投票の同時実施は当選無効の理由にならない、などと説明した。
 連氏は当選無効訴訟のほかに、中央選管を相手取り総統選そのものの無効を求める訴訟も起こしている。

◎台湾:バヌアツと外交関係を樹立(2004年11月3日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾外交部(外務省)は3日、南太平洋の島国バヌアツと同日付で外交関係を樹立したと発表した。台湾が外交関係を持つ国はこれで27カ国になった。
 バヌアツは人口約20万人。陳水扁総統は同日、「双方は共に海洋国家であり、民主や自由、平和への価値観を共有している」と述べるとともに、バヌアツの漁業分野の発展を支援する意向を明らかにした。

◎台湾新幹線、試運転を2カ月延期、開業時期に影響も(2004年11月3日、朝日新聞)
 日本の新幹線システムが海外で初採用された台湾高速鉄道(台湾新幹線)の試運転が2カ月程度延期されることになった。事業主体の台湾高速鉄路公司(台湾高鉄)が2日、明らかにした。日本の企業グループが請け負っている電気や信号など中心システムの整備の遅れが影響しており、来年10月に予定されている開業時期がずれ込む懸念も出てきた。
 試運転は、10月末までに、高雄の燕巣・総合車両工場付近から台南付近までの約60キロ区間で始める計画だった。延期の理由について台湾高鉄は「機械電気システムの請負メーカー(日本企業)の作業が遅れているため」(スポークスマン)と説明。12月末を新たな試運転時期としている。
 関係者によれば、試運転に向けた、電力システムなどの認証を得ることに手間取っている。認証は台湾高鉄に加え、高速鉄道プロジェクト全体を監視する独立検査機構からも受けなければならない。
 これらには欧州の認証基準が適用され、実際に高鉄の欧州人スタッフや欧州のコンサルタントが担当している。このため「日本の新幹線を輸出したといっても、その安全性や性能を、欧州の基準で欧州人に向けて極めて厳密に証明しなければならない」(関係者)という。
 台湾新幹線は80年代後半の計画立案後、フランスなど欧州の高速鉄道システムの採用が一貫して有力視され、98年には実際に欧州連合が台湾当局に事業権を認められた。翌99年、日本の新幹線システムが逆転する形で採用されたが、事業全体の枠組みは依然として欧州基準で組み立てられている。今回の試運転の延期によって、こうした枠組みでの「新幹線輸出」の難しさが顕在化した。

〈台湾新幹線〉
 台北と高雄間の約350キロを最短90分で結ぶ(在来線は約4時間半)計画。車両を川崎重工業が、信号・通信などを三菱重工業が、変電・運行管理システムなどを東芝が、それぞれ受注。3社に三井物産、三菱商事、丸紅、住友商事を加えた7社の日本連合が中心システムを請け負う。

◎台湾でもM7の地震(2004年10月15日、日本経済新聞)
 【台北15日共同】台湾の中央気象局によると、15日午後零時8分(日本時間同1時8分)ごろ、台湾北東部・宜蘭の東方109.8キロの海底を震源とするマグニチュード(M)7の地震が発生した。震源の深さは59キロ。震源は沖縄県与那国町などの地震と同じとみられる。
 宜蘭、花蓮で震度5、台北、台中などで震度4を記録した。負傷者がいたかどうかなどは不明。台北市内の地下鉄とモノレールが運行を停止した。〔共同〕

◎中国との対話に譲歩姿勢示す、台湾・陳総統(2004年10月11日、朝日新聞)
 台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)総統は10日、中断したままの中国との直接対話について、中国側が求めている対話再開の条件を受け入れる姿勢を示した。対話再開の流れを作るために譲歩したとの受け止め方が台湾で広がっている。
 辛亥革命記念日の「双十節(建国記念日に相当)」祝賀式での演説で、陳総統は「両岸(中台)は92年の香港会談を基礎として対話に向けた準備を進めることができる」と述べた。双方の交流機関が中台対話の前提を話し合った「香港会談」では、中国側によれば「お互いが一つの中国の原則を守る」ことが合意された。
 「一つの中国は認めない」との立場だった陳総統が、今は野党の国民党政権時代に行われた同会談を評価するのは初めて。約5年間中断している対話再開の条件として中国側は「香港会談を認める」ことをあげていたが、初めてこれに応える形ともなった。

◎台湾企業、中国投資で明暗・建材や素材は好調(2004年9月12日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾の上場企業による中国事業の収益が明暗を分けている。2004年1~6月期の対中投資の収益状況によると、固定資産投資の伸びを背景に建材・素材メーカーなどが大幅増益となる一方、供給過剰が懸念される自動車関連は軒並み減益となった。中国が金融引き締めに動く中で、進出企業の対応は難しさを増している。
 好調が目立つのは不動産、社会インフラなどの固定資産関連。電線・ケーブルの華新麗華は7億4400万台湾ドル(約24億円)と前年同期比で375.3%の増益だった。浴槽の和成欣業、厨房(ちゅうぼう)機器の台湾桜花などの建設資材メーカーも大幅な増益となった。亜洲水泥を筆頭にセメント大手3社もそろって増益。素材ではプラスチック製パイプなどを手掛ける南亜塑膠工業が9倍以上の増益を達成し、鉄鋼中堅の春源鋼鉄工業も増益だった。

◎台湾乱獲でマグロ危機、日米など異例の減船要求(2004年8月23日、産経新聞)
 台湾の漁業会社が主要漁業国間の申し合わせに反して大型漁船を次々と建造し、マグロの主要漁場の一つである太平洋中西部で大量のマグロを乱獲、この影響で日本沿岸の漁獲量が急減していることが、水産庁などの23日までの調査で分かった。
 台湾の新造船はすべて、規制逃れのためにバヌアツなどの小国に船籍を置いた便宜置籍船。同海域でマグロを漁獲する日米や韓国などの関係国は、台湾に減船と操業停止を求める異例の措置を取った。
 台湾の漁業会社が日本向けのマグロ缶詰の輸出拡大を目指す動きも乱獲の一因だとして、水産庁は、関係者に出資している日本の大手商社にも減船への協力を求める。
 太平洋中西部ではマグロ類の国際的な漁業管理機関が長く存在しなかったため、メバチマグロなどが乱獲され、資源が急減。日本や米国、韓国、台湾などの主要漁業国が1999年2月、この海域で操業する漁船の新造を自粛することで合意した。
 だが、台湾の漁業者はその後も、2000トン以上の大型漁船を25隻建造。巻き網漁で大量のカツオやマグロの漁獲を続け、昨年の漁獲量は99年の倍近い45万トンに達したとみられる。この結果、三陸沖など日本沿岸の漁場に回遊するメバチマグロなどが急減。倒産する漁業者も出た。
 こうした問題を受け、「中西部太平洋まぐろ類条約」(今年6月発効)がつくられ、加盟国と加盟予定を合わせた23カ国・地域が7月半ばに札幌市で会合を開き、合意に違反した新造船を2007年7月末までに廃船する行動計画を採択した。水産庁によると、会議には台湾も参加し採択に反対しておらず、同庁は「問題解決に向け前進」としている。

◎中国の「民族感情」批判、アジア杯サッカーで台湾紙(2004年8月9日、産経新聞)
 8日付の台湾紙、中国時報は、サッカーのアジア・カップ決勝で中国が日本に敗れたことに腹を立てた中国のサポーターが「日の丸」を焼くなどして騒いだことについて「(反日の)民族感情を好き放題発散させていると、(2008年の)北京五輪のイメージを損なうことになる」と批判した。
 同紙は「試合に勝ち負けはつきもので『民族の恨み』のように見なすなら、北京五輪の際、(中国と戦争をしたことがある)日本やベトナムなどの選手は気をもむことになる」と「民族主義の高揚」に警鐘を鳴らした。(共同)

◎台湾が戦闘機発着訓練、中国攻撃想定、高速道路で(2004年7月21日、産経新聞)
 台湾の国防部(国防省)は21日早朝、中国の攻撃で空軍基地が破壊された場合を想定し、高速道路を滑走路代わりにミラージュ戦闘機2機を緊急発着させる訓練を実施した。高速道路を滑走路として使った訓練は1978年10月以来。
 中国人民解放軍が台湾の制空権確保を想定し、台湾に近い福建省南東部の東山島で始めたとされる軍事演習に対抗する意図があるとみられる。
 訓練は、台湾の南北を結ぶ高速道路のうち、南部の台南県仁徳-高雄県路竹間の2・7キロの区間を使って実施。ミラージュ戦闘機2機が午前6時20分(日本時間同7時20分)ごろ着陸、給油やミサイル装着を終えて約50分後に離陸し、訓練は成功した。
 20日付台湾夕刊紙、聯合晩報によると、21日には台湾近海で潜水艦や哨戒機を動員して、中国の潜水艦に対抗するための演習も行われる。
 国防部は今回の訓練について中国の軍事演習とは無関係と強調、中国側を刺激しないよう配慮を示している。
 ただ、台湾は今後15年間で米国から最新鋭地対空誘導弾パトリオット(PAC3)発射装置6台、ディーゼル潜水艦8隻、P3C対潜哨戒機12機を購入する予定で、6108億台湾元(約2兆円)の特別予算を組む方針を決めており、中台の軍事的緊張の高まりを懸念する声もある。
 国防部は8月末にも実弾を使った毎年恒例の演習を予定している。(共同)

◎台湾の特務機関、清掃員雇い周氏暗殺計画(2004年7月21日、産経新聞)
 20日付の台湾紙、聯合報は、台湾の特務機関が1955年4月、インドネシア・バンドンでのアジア・アフリカ(AA)会議に向かう中国の周恩来首相(故人)暗殺を狙い、香港の空港の清掃員を使って周氏が搭乗すると予測した航空機に時限爆弾を仕掛けた、と報じた。
 このほど機密解除された中国の外交文書に記載されていたという。
 周氏が別の航空機に乗ったため周氏暗殺は失敗に終わった。この計画が台湾の特務機関の手によるものだったということは、中国側関係者の回想文などで判明しているが、中国当局が詳細な内容を公表したのは初めてとみられる。
 同紙によると、台湾の特務機関は清掃員を60万香港ドル(現在のレートで約840万円)で買収し訓練した後、中国がチャーターした航空機内に米国製時限爆弾を仕掛けさせた。
 この航空機は4月11日、インドネシアに向け香港を飛び立ったが、海上で空中爆発し中国代表団メンバーら11人が死亡。周氏はミャンマーでの準備会議に出るため、別のチャーター便を使用し難を逃れた。清掃員は5月に台北に逃亡した。
 中国の情報当局は事前に、台湾の特務機関が香港で爆弾を仕掛けるという情報を得ていたという。(共同)

◎台湾にらんで中国軍が演習へ、部隊集結、緊迫増す(2004年7月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国軍が台湾の陳水扁政権をにらんで陸海空3軍の合同軍事演習を実施する福建省の東山島では、部隊の移動が地元住民に目撃されるなど準備が最終段階に入っている模様だ。
 中国紙「チャイナ・デーリー」も軍事筋の話として、「演習実施は今月後半で、最終的な日程は天候次第」と報じており、緊迫感が強まっている。
 東山島にある元豊ホテルの女性従業員(21)は本紙の電話取材に対し、「12日午前、東部の第2職業中学校で軍隊が駐屯しているのを目撃した」と興奮した様子で語った。また、秀東ホテルの20歳代の女性従業員は「通行証がない一般庶民は演習を直接見ることができない。ここ数日は、部隊が移動するのを見た」という。
 電力関係の会社に勤める男性(23)も「海岸沿いに大規模な部隊が展開している」と証言した。地元住民の話を総合すると、演習は東山島の市街地から約8キロ離れた東部湾岸一帯で行われるものと見られる。
 15日付の中国紙「中国青年報」は、今回の演習期間は1週間で、参加人数は1万8000人以上に上ると伝えた。同紙によると、1996年以来続けてきた同演習の主要目的は、〈1〉部隊の合同作戦能力向上と訓練成果の検証〈2〉中国軍に台湾問題を武力解決する能力と自信があることを「台湾独立」勢力に示す〈3〉台湾問題の解決が中国の内政で、外国勢力が決して介入してはいけないことを世界に知らせる、の3点にあるという。
 今回は、台湾海峡の制空権獲得が最大目的で、空軍が主要な役割を果たすほか、陸軍ミサイル旅団や第2砲兵(戦略ミサイル部隊)なども参加するという。
 具体的な演習内容は、上陸作戦や封鎖、対地攻撃、パラシュート降下、空母や巡航ミサイルに対する反撃など幅広い項目にわたっている。

◎中国の空爆想定し軍事演習、台湾で25年ぶり発着訓練へ(2004年7月14日、産経新聞)
 中国が今月、台湾の制空権確保を想定した大規模演習を計画しているのを受け、台湾国防部(国防省)は14日までに、中国の空爆を想定した演習を21日に行うことを決めた。
 演習では、中国の攻撃で空軍基地が破壊された場合を想定して高速道路を滑走路代わりに戦闘機を発着させる訓練が1978年10月以来、25年ぶりに行われるなど、軍事圧力を強めている中国人民解放軍に対抗する姿勢をみせている。
 国防部は2006年以降、中国が限定的な軍事行動を起こす可能性があると分析しており、台湾海峡を挟んで双方が今後、軍事色を前面に出した対抗姿勢を強める恐れがある。
 中国は台湾の制空権確保を念頭に今月、人民解放軍の陸海空三軍合同の大規模軍事演習を計画。具体的な日程は不明だが、福建省南東部の東山島での演習を予定している。同島は台湾・澎湖諸島に近く、地形的にも台湾西岸と似て上陸作戦訓練に適しているとされる。
 米国防総省は5月末、中国の台湾向けミサイルが昨年より50基増え、500基になったとの報告書を発表、中国の軍事的脅威を強調した。
 一方、台湾は今後15年間で米国製最新鋭地対空誘導弾パトリオット(PAC3)発射装置6台、ディーゼル潜水艦8隻、P3C対潜哨戒機12機を購入する予定で、計6108億台湾元(約2兆円)の特別予算を組む方針を決めた。
 蔡明憲・国防副部長(副大臣)は、陳水扁総統の「独立志向」を警戒する中国が06年以降、軍事威嚇行動に踏み切る恐れがあるとする一方、米国が台湾に巡航ミサイルなど攻撃用武器を供与する可能性もあると指摘した。(共同)

・中国3軍合同演習
 中国人民解放軍の陸、海、空軍合同の大規模軍事演習で、毎年実施される。今回は7月中に福建省南東部の東山島での演習を予定。同島は台湾・澎湖諸島に近く、台湾西岸と似た地形で上陸作戦に適しているといわれ、中国軍は1996年から8回の大規模演習を行った。今回は台湾の制空権確保という「積極的な攻撃」を想定した内容とされる。(共同)

◎台湾空軍、高速道路上で戦闘機発着訓練へ、26年ぶり(2004年7月14日、朝日新聞)
 台湾空軍は、台湾南部の高速道路上で戦闘機の発着訓練を21日に実施することを決めた。中国軍の攻撃で空軍基地の滑走路が破壊された事態を想定するもので、道路を使った戦闘機の軍事演習は78年以来約26年ぶり。中国が今月、台湾の制空権確保をめざす大規模演習を計画していることに対抗する形となる。
 空軍の発表によると、同日午前4時から8時にかけて約8キロ区間で道路を完全封鎖し、ミラージュ戦闘機を着陸させ、給油や弾薬補給を短時間ですませて離陸させる。14日朝には、近くの台南空軍基地などからの試験飛行が始まった。
 台湾空軍当局者は、14日の記者会見で「高速道路での演習は、昨年から計画されており、中国軍が今月中に行う演習とは無関係」と述べた。もともと今月下旬に台湾でも中国軍の攻撃を想定する「漢光20号演習」が計画されており、高速道路を使っての演習もその一部だとしている。
 だが、陳水扁(チェン・ショイピエン)総統再選後、中国が台湾への圧力を緩めない中で実施される民間地域での演習には、中国への警戒感を強める狙いもあるとみられる。

◎台湾の液晶パネル大手5社、6月の売上高は好調(2004年7月12日、日本経済新聞)
 【台北支局】台湾の液晶パネル大手5社が発表した6月の売上高は5社とも前年同月を大幅に上回った。最大手の友達(AUO)の連結売上高は前年同月比94.3%増の158億7100万台湾ドル(約507億円)で、2位の奇美電子は同89.2%増の113億400万台湾ドル(約361億円)だった。
 中華映管は同87.7%増の115億5700万台湾ドル(約370億円)で、単月としては奇美電子を上回った。単独売上高だけを公表した広輝電子は同226.28%増の61億1800万台湾ドル(約195億円)、瀚宇彩晶は同75.18%増の47億7800万台湾ドル(約152億円)だった。
 しかし、AUOは5月に比べると売上高が4.7%減った。同社では「パソコン用液晶モニターやノート型パソコンの在庫調節の影響があった」としている。奇美電子も5月に比べると売上高が4.6%減少し、出荷量も3.2%減った。

◎蒋介石父子の遺体埋葬へ、「統一」待てず、台湾に(2004年7月8日、産経新聞)
 中央通信によると、台湾の国防部(国防省)当局者は8日、台北市郊外の桃園県に仮安置されている台湾の元総統、蒋介石、蒋経国父子の遺体を、来年3月~4月に台北県にある軍管理の墓地に埋葬すると発表した。蒋経国氏の遺族が今年1月、国防部に埋葬を申請した。
 共産党との内戦に敗れ、台湾に渡った後「大陸反攻」のスローガンを掲げた蒋介石氏は1975年に、経国氏は88年に死去。「反攻に成功し、統一を成し遂げた後に中国大陸に埋葬する」との考えに基づき、遺体は薬物処理した上で桃園県に仮安置された。
 しかし「独立志向」の強い民主進歩党(民進党)の陳水扁政権下で統一のめどは全く立っていない上、いつまでも仮安置では「蒋家」の家運によくないとの見方もあり、遺族側はこれ以上の埋葬引き延ばしは得策でないと判断したとみられる。
 国防部は陳総統の指示を受け国葬を営む予定。遺族側には両元総統を台湾に埋葬することで「台湾への愛着」を示し、宋美齢・蒋介石夫人の死去(昨年10月)などで薄れる一方の「蒋家」の威光を取り戻したいとの思惑もありそうだ。
 中国と一線を画し「台湾人意識」を刺激する政策を推進している民進党の関係者は「台湾という土地で永眠することは(台湾人としての)アイデンティティーの表明で意義深い」と評価、国葬で愛国意識を鼓舞したいようだ。(共同)

◎蒋介石父子の遺体、ようやく埋葬へ(2004年7月8日、朝日新聞)
 台湾の元総統である蒋介石、蒋経国父子の遺体が正式に埋葬されることが8日決まった。2人の遺体は「国民党がやがて中国大陸に攻め戻った後、大陸に正式に埋葬する」という考えに立って、台湾では安置されたままになっていた。
 蒋介石氏は共産党との内戦に敗れて台湾に逃れ、75年に死去。長男の経国氏は88年に死去した。蒋介石氏の遺体は、故郷の中国浙江省奉化県の風景に似た台湾桃園県大渓鎮の建物の一室にひつぎに入れられて安置されており、経国氏の遺体も近くに安置されている。
 台湾当局の8日の発表によれば、経国氏の夫人が「死者の霊を慰めるため」、台北県にある国軍墓地への2人の埋葬を「蒋家の意思」として国防部に要請した。総統府は同日、「遺族の意思を尊重する」とするコメントを発表。埋葬は来春の見通しだ。
 国民党も同意したほか、「蒋家」とは敵対していた民進党幹部も「彼らも台湾の土に眠ることで、人々の台湾人意識は一層固まる」と評価した。

◎台湾、蒋介石父子の遺体を埋葬へ(2004年7月8日、日本経済新聞)
 【台北8日共同】中央通信によると、台湾の国防部(国防省)当局者は8日、台北市郊外の桃園県に仮安置されている台湾の元総統、蒋介石、蒋経国父子の遺体を、来年3月―4月に台北県にある軍管理の墓地に埋葬すると発表した。蒋経国氏の遺族が今年1月、国防部に埋葬を申請した。
 共産党との内戦に敗れ、台湾に渡った後「大陸反攻」のスローガンを掲げた蒋介石氏は1975年に、経国氏は88年に死去。「反攻に成功し、統一を成し遂げた後に中国大陸に埋葬する」との考えに基づき、遺体は薬物処理した上で桃園県に仮安置された。
 しかし「独立志向」の強い民主進歩党(民進党)の陳水扁政権下で統一のめどは全く立っていない上、いつまでも仮安置では「蒋家」の家運によくないとの見方もあり、遺族側はこれ以上の埋葬引き延ばしは得策でないと判断したとみられる。

◎台湾大地震被災地に豪雨、土石流発生で5500人避難(2004年7月7日、毎日新聞)
 台湾中部では今月初めの台風7号に伴う集中豪雨で大規模な土石流や土砂崩れが発生し、7日段階で約5500人が避難所暮らしを余儀なくされている。被害は、2000人を超える死者が出た台湾大地震(99年)の被災地だった中央山脈沿いの山間部に集中。村ごと土砂に埋まったため移転を余儀なくされる地区まで出ている。
 台湾当局によれば7日現在の死者は25人、把握できている限りで行方不明者11人。台中県と、台湾大地震の震源地だった南投県にほぼ集中している。住む家を鉄砲水や土石流で押し流され、35度近くにまで気温が上がった中で避難所で暮らす人々の苦労を台湾のメディアは伝えている。
 道路が水没したり土砂で埋まったりしたため「陸の孤島」となった状態で救助を待つ人も同日段階で1000人以上にのぼるという。約200戸の台中県和平郷松鶴村、約100戸の南投県仁愛郷合作村はまるごと土砂に埋まったため、当局はそれぞれの住民に移転を勧告した。
 土石流は、大地震で地盤がもろくなったままのところに豪雨が襲ったため規模が拡大した。また茶の栽培などで標高の高い場所まで開発が進んできたことも被害を深刻化させているとみられる。

◎台湾でビル火災、5人死亡、放火の疑いも(2004年6月17日、産経新聞)
 17日付の台湾各紙によると、台湾北部の基隆市にある5階建て雑居ビルで16日夜、火災が発生し、5人が死亡、8人が負傷した。
 ビル内に手製の爆発物のようなものが投げ込まれたとの目撃者情報があることから、警察当局は放火の疑いがあるとみて調べている。(共同)

◎台湾の液晶パネル大手5社、5月売上高も過去最高更新(2004年6月10日、日本経済新聞)
 【台北支局】台湾の液晶パネル大手5社が発表した5月の売上高は、全社が単月としての過去最高を更新した。最大手の友達光電(AUO)の連結売上高は前年同月比106.7%増の166億5600万台湾ドル(約549億円)となり、過去最高を13カ月連続で更新した。
 2位の奇美電子は同62.1%増の118億4900万台湾ドルで、中華映管が同95.8%増の114億1300万台湾ドルで続いた。単独売上高だけを公表する広輝電子は同197.1%増の57億900万台湾ドル、瀚宇彩晶は同58.1%増の44億5100万台湾ドルだった。
 5社とも2003年半ばから、台湾域内で大型の液晶パネルを生産する新工場を相次ぎ稼働させたばかり。パソコン用液晶モニターや液晶テレビ向けに売り上げの大幅増が続いた。
 「2004年上半期は大型パネルの世界シェアで台湾は韓国に次ぐ2位だが、各社の新工場の稼働率向上で下半期には1位に立つ」(台湾の工業技術研究院)との予想もある。

◎爆竹工場で爆発、10人死傷、台湾中西部の嘉義県(2004年6月8日、産経新聞)
 中央通信などによると、台湾中西部の嘉義県で7日午後5時(日本時間同6時)ごろ、養豚場を改造した非合法の爆竹工場で爆発が起き、6人が死亡、4人が負傷した。死亡したのは従業員とみられる。
 警察当局によると、爆発の衝撃で、工場近くにある小学校や家屋の窓ガラスが割れたという。(共同)

◎米議会:台湾へのレーダー売却承認、ミサイル防衛向け(2004年6月3日、毎日新聞)
 米議会は3日までに、弾道ミサイル防衛に使用する超高周波の早期警戒レーダー2基を台湾に売却する計画を承認した。米国防総省当局者が明らかにした。
 対外軍事売却に関する署名を台湾政府と取り交わせば、正式に売買契約が成立する。実際にレーダーが台湾側に納入されるには時間がかかりそうだが、中国側は反発を強めそうだ。
 早期警戒レーダーは弾道・巡航ミサイルの追尾に使用するのが目的。通常は航空機追跡などに使われているが、改良すれば弾道ミサイルの追尾・捕捉も可能という。
 台湾は4月、中国の弾道ミサイルに対抗するため、陸海軍の作戦指揮系統を統合した「ミサイル司令部」を発足。地対空誘導弾(PAC3)と早期警戒レーダーの導入でミサイル防衛網を整備する方針だ。(ワシントン共同)

◎台湾副総統に米入国許可(2004年5月26日、産経新聞)
 バウチャー米国務省報道官は25日、近く中米諸国を訪問する台湾の呂秀蓮副総統に対し、米政府が一時入国を認めたことを明らかにした。
 呂副総統は28日にラスベガスに立ち寄り、30日まで米国に滞在。さらに中米歴訪からの帰途、来月6日から9日までサンフランシスコに滞在する予定。
 報道官は「副総統の訪米は個人的かつ非公式なもの」とした上で、入国許可は渡航上の便宜にすぎないと強調した。(共同)

◎台湾新幹線車両、台湾・高雄に到着(2004年5月25日、日本経済新聞)
 【高雄(台湾南部)25日共同】台湾で2005年10月に開業予定の台湾高速鉄道(新幹線)向けに、川崎重工業などが製造した車両を貨物船から降ろす作業が25日、台湾南部の高雄港で始まった。
 日本の新幹線型車両が海外に輸出されたのは初めて。新幹線は台北―高雄間(345キロ)を最高時速300キロ、約一時間半で結ぶ計画で、9月に高雄―台南間で試運転が行われる見通し。
 貨物船は19日に神戸港を出港、24日に高雄港に到着した。一編成12両の車両は、白の側面に黒とオレンジの線が入った流線形で定員は989人。
 輸出された車両は東海道・山陽新幹線「のぞみ」の「700系」をベースに川崎重工業と日立製作所、日本車両製造が製造。3社は台湾向けに計30編成、360両を手掛けるという。

◎台湾「新憲法制定」陳総統が表明、2期目の任期中に(2004年5月20日、読売新聞)
 【台北=若山樹一郎】3月の台湾総統選で再選された陳水扁氏(民進党主席)(53)の就任式が20日、台北市の総統府で行われ、陳政権の2期目がスタートした。陳総統は、施政方針を打ち出す就任演説で、今後4年間の任期中に、自立した台湾の現状に合致した新憲法を制定する考えを公式に表明した。中国が求める「一つの中国」原則の受け入れは拒否した。
 陳総統は、国民党が大陸を統治していた時代から続く現行憲法について、「効率的な政治を阻害している」と述べた上で、「任期中の新憲法制定は、私の歴史的責任であり、台湾住民への約束だ」と強調した。
 ただ、中国側にも一定の配慮を示し、主権問題、「統一か独立か」などについては、新憲法の枠内から外すとした。
 「一つの中国」原則では、中国の要求は理解できるとしたものの、中国の台湾に対する武力威嚇が台湾住民の意識を遠ざけていると述べた。一方で、「平和と発展、自由な選択」を基礎に中台間で将来のいかなる関係を築くか話し合えるとした。
 陳総統は「一辺一国」(中台はそれぞれ別の国)とする考えにはいっさい触れず、台湾海峡の平和という現状を維持すると強調。平和と安定の相互信頼メカニズム構築を呼びかけた。
 就任式には、台湾と外交関係のある15か国から元首クラスが出席。日本からは、石原慎太郎東京都知事、平沼赳夫前経済産業相らが出席した。

◎台湾総統就任式:民意の亀裂どう修復(2004年5月20日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾の第2期陳水扁政権が20日、スタートした。中台関係や景気対策など課題は多いが、陳総統が真っ先に着手しなくてはならないのは、総統選を通じ亀裂が拡大した民意の修復にほかならない。
 「失われた2カ月」。台湾マスコミは総統選投開票日から、今日までをやゆする。本来なら次の政権に、さまざまな期待や評価が寄せられるはずだが、関心は陳総統銃撃事件の真相や、票再集計に奪われたからだ。
 野党側が敗北を認めず、「闘争」を継続していることが最大要因だが、そこに至る背景には陳総統の責任もある。
 陳総統は4年前、党派を超えた「全民政府」を約束した。だが、再選への形勢が不利とみるや、中国とは異なる「台湾人意識」を強調する選挙戦術を打ち出した。選挙後も野党の抗議行動を「流産したクーデター」と挑発的な発言をするなど野党支持者の「反陳水扁」感情を増幅させた。
 本人や父母らの出身地が台湾内か、中国大陸かという族群(エスニックグループ)問題は今も台湾社会に影を落とす。
 有力紙・中国時報の4月の世論調査では「総統選で候補者は族群問題を刺激したか」との質問に「非常に深刻」「深刻」との回答が56%に達した。「どの政党が族群問題をあおったか」との問いには、陳総統側との答えが38%で、野党側の2倍近くに及んだ。
 20日の就任演説で、陳総統は選挙後の民意の対立にも言及し、「族群問題解決への努力」を約束するとともに、当選無効・選挙無効訴訟の裁判のいかなる結果も受け入れると約束した。陳総統に対する不信感の蓄積も起因する一連の混乱の解決、対立の解消を目指す決意を示したわけだ。
 陳総統は自身を「全民総統」と称する。2期目は「野党に投票した半数の有権者」からも信頼を得る努力が求められる。対立がもたらした台湾社会の傷を癒やすことこそ、全民総統の役割となる。

◎台湾総統:新憲法では独立盛らず、陳氏就任演説(2004年5月20日、毎日新聞)
 【台北・成沢健一】台湾総統選(3月20日)で再選を果たした民進党の陳水扁総統(53)は20日午前9時(日本時間同10時)から、台北市内の総統府で宣誓式を行い、第11代総統に正式に就任した。引き続き行われた就任式典で、陳総統は2期目の施政方針表明に当たる就任演説を行い、「一つの平和」原則による中台間の新たな関係構築を中国側に呼びかけた。公約である任期中の新憲法制定は「憲政秩序の再建」を目的として現状は変更しないと強調し、独立を警戒する中国への刺激を抑えた内容となった。
 就任演説で陳総統は、「(台湾海峡)対岸が『一つの中国』の原則を放棄できないことは理解できる」としたうえで、「『一つの平和』の原則の下、台湾海峡の現状維持確保と往来の活発化を協議したい」と語った。新憲法制定を目指した06年の住民投票実施には触れず、08年までの任期中に制定するとした新憲法では独立は盛り込まない考えを明らかにした。独立色を抑えた背景には、中国側が17日、「独立に向けた動きは粉砕する」と強い調子でけん制したうえ、米国側もいたずらに緊張関係を高めないように自制を求めたことを考慮したとみられる。
 また、住民に高まる本土化意識に配慮し、在任中に独立を宣言しないなどと4年前に表明した「五つのノー」に直接的に言及はしなかったが、「原則は変わっていない」と述べた。ただ、中国側の要求とはなお隔たりがあり、関係改善が急速に進展する可能性は低そうだ。
 総統府前広場で開かれた就任式典には、朝からの雨にもかかわらず約20万人が参加した。総統府によると、外交関係のある26カ国の元首や特使をはじめ、51カ国から400人以上の来賓が訪れており、日本からは石原慎太郎・東京都知事や平沼赳夫前経済産業相らが出席した。
 式典に先立って行われた宣誓式では、総統府の大ホールに掲げられた国父・孫文の肖像画を前に、陳総統と呂秀蓮・副総統(59)が「国家に忠誠を尽くす」と相次いで宣誓した。
 陳水扁総統の就任演説の骨子は次の通り。
一、08年に任期を終える前に、新憲法を完成させる。
一、国家の主権、領土の変更、統一・独立問題は憲法改正作業には加えない。
一、中台の指導者はそれぞれの人民の福祉のため、新たな世紀に似合う新思考を持つべきだ。
一、中台間の平和で安定した相互システムの構築を目指す。

◎台湾・陳水扁総統が就任演説、「憲政改革推進」を表明(2004年5月20日、朝日新聞)
 台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)総統(53)は20日午前、台北市内の総統府で2期目の就任式を行った。陳氏は就任演説で、選挙戦で掲げた「住民投票による新憲法制定」について「憲政改造を進め、08年に台湾の現状に合った新憲法を出す」と表明し、現行の中華民国憲法を本格的に見直すことを明確にした。中国との関係では対話の再開を呼びかけ、「両岸平和発展綱領」をともに作ろうと語った。
 台湾の民主化の実績を強調した陳総統は「憲政改造」について、現行の中華民国憲法の多くの規定は、「5権分立」制度、選挙制度や政府組織、基本的人権の問題などについて、台湾社会の現状から見て見直すべき点が増えたと強調。今後、各分野の人材を集めた委員会を結成、任期が終わる08年までに「新憲法」を作ると語った。
 「新憲法制定」という言葉は明確にしなかった。総統選で表明していた「06年に住民投票を実施し、新憲法を制定する」という表現も使わず、「新憲法のための住民投票は台湾独立をめざす動き」と強硬に反発していた中国への配慮を示した。「国家の主権、領土、独立の議題は憲法にとり入れない」と述べた。
 さらに、冷却化したままの中台の政治関係を打開するため、「両岸の指導者は将来何らかの形で話し合う必要がある」とし、対話再開や平和交流を呼びかけた。
 00年の就任演説で表明した「台湾独立を宣言しない」などの原則はそのままの表現では繰り返さず、陳氏の再選に寄与した台湾内の急進独立派の意向もくんだが、「その精神は変わらない」とも述べた。
 陳総統は今後4年間の施政方針として「中台関係の安定、社会の安定、経済の繁栄、台湾の団結」を掲げた。3月の総統選で二分化した台湾社会の和解も呼びかけた。
 陳総統と呂秀蓮(リュイ・シウリエン)副総統が総統選投票日前日に銃撃されたため、就任式は厳戒態勢の中で行われた。陳総統が演説する演台の周囲は大きな防弾ガラスが設置され、総統、副総統とも防弾着を着て参列者の前に姿を現した。
 15カ国の元首や総統与党の民進党支持者らを中心に約10万人が参列。日本からは平沼赳夫・前経済産業相ら自民、民主党の国会議員10人や石原慎太郎・東京都知事らが出席した。

◎台湾:陳総統の就任演説、独立色を抑えた内容に(2004年5月20日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾の陳水扁総統が20日に行う就任演説は、対話による中台間の新たな関係構築を目指す「一つの平和」原則を打ち出すなど独立色を抑えた内容になることが19日、分かった。陳総統が06年制定を公約した新憲法の目的は「憲政秩序の再建」であり、現状を変えないと強調する。中国側が満足できる内容ではないが、中台関係が緊張する事態は避けられる見通しとなった。
 就任演説は二期目(任期4年)に入る陳水扁政権の施政方針を内外に示すものといえる。
 陳総統は選挙戦の過程で、1946年に中国で生まれた現行憲法に代わる新憲法を住民投票を経て制定すると宣言。「中国の脅威」を強調するとともに、自分たちこそが主役という有権者の「台湾人意識」を刺激して再選された。それだけに、就任演説で中国との関係にどのように言及するかが注目を集めてきた。
 陳総統は4年前の就任式で「中国が武力を発動する意図がない限り、独立を宣言しない」など「五つのノー」を発表したが、総統府や与党・民進党筋によると、今回は「五つのノー」をより具体化できる方策を示す。
 演説では中台が共有できる「平和」をキーワードに名付けた「一つの平和」原則の下、話し合いによる両岸関係修復を促す。これは、中国が台湾に突きつける「『一つの中国』原則に代わる存在」(総統府筋)と位置付けている。
 中国が受け入れることは難しいが、陳政権はその原則によって「平和で安定した相互メカニズム」を設け、中台間の軍事監視機構の開設や3通(交通・通商・通信の直接交流)解禁などの協議を求める。
 一方、新憲法の目的は台湾独立のためではなく、現状維持を前提にした憲政改革との立場を説明。「台湾海峡対岸にある中華民国(台湾)の存在」を強調し、新憲法制定後も現在の「国号(国名)」である「中華民国」を維持する方針を示す。
 演説内容はすでに米政府に伝えられ、了解を得ている。独立色を抑えるなど中国を刺激する表現を避けることで、新憲法制定を「独立に向けた動き」とする中国の非難をかわす一方、高揚する「台湾人意識」にも応える“折衷型”に落ち着くようだ。

◎総統選の票再集計作業終了、台湾(2004年5月19日、産経新聞)
 中央通信によると、3月の台湾総統選で陳水扁総統に約3万票差で敗れた野党統一候補、連戦・国民党主席による当選無効訴訟を受けた票の再集計作業が18日、終了した。
 今後、訴訟を指揮している台湾高等法院(高裁)で有効か無効か争いがある疑問票の判定を実施。判定は7月以降、判決は9月末までに言い渡される見通しで、再集計結果は判決の際に公表される。
 裁判官や陳、連両陣営の弁護士らが10日から台湾各地で、有効、無効票を含めた計約1325万票の投票用紙などを点検した結果、3万票以上の疑問票が出た。
 陳氏側は、再集計で選挙結果が覆ることはないとしている。(共同)

◎台湾オブザーバー参加巡りWHO紛糾、参加は見送り(2004年5月18日、読売新聞)
 【ジュネーブ=長谷川由紀】世界保健機関(WHO、加盟192か国)の年次総会が17日、ジュネーブの国連欧州本部で始まり、台湾のオブザーバー参加の是非を巡って紛糾した。1997年以来、7年ぶり2度目となった投票の結果、今総会での台湾の参加は見送られた。
 台湾参加問題は、総会直前に開かれた総務委員会で議題としないことが決まったが、総会では投票による決着を求める声が相次いだ。中国は「政治問題化しようとしている」と反発、初日に予定されていたWHOの李鍾郁事務局長と金大中・前韓国大統領の演説が18日に延期される異例の事態となった。
 投票では、日本や米国など25か国が議題化に賛成したが、133か国が反対にまわった。
 台湾は、中国が国連に加盟した72年にWHOを脱退、97年から毎年オブザーバー参加を求めている。初めて投票が行われた97年の総会では、議題化賛成は19で、日本を含め128か国が反対した。

◎台湾の「独立」活動停止を要求・中国が声明(2004年5月17日、日本経済新聞)
 【北京17日共同】中国共産党中央台湾工作弁公室と国務院(政府)台湾事務弁公室は17日、「誰が政権担当者になろうと『台湾独立』の主張と活動をやめた場合にのみ、両岸(中台)の平和と安定が可能になる」との声明を国営通信社、新華社を通じて発表した。
 声明は独立志向の陳水扁総統を名指しで「就任時の約束を破り独立分裂活動を繰り返してきた」と激しく批判。「一つの中国」の原則を強調し、20日の総統就任式を前に陳総統をけん制した。
 一方で、台湾の「独立放棄」を前提に(1)対等の協議と敵対状態の終結(2)平和的発展を協議する枠組みの創設(3)「三通」(通商、通航、通信の直接開放)の実現と経済関係の緊密化―を提案した。
 声明は「一つの中国」を認めて両岸関係を発展させるか、「分裂活動」を続けて自滅するか、「台湾当局は岐路に立っている」と主張。あくまで独立を目指す場合は「断固独立のたくらみを粉砕する」と武力行使も辞さない決意を強調した。

◎台湾でM6の地震(2004年5月16日、産経新聞)
 中央通信によると、16日午後2時4分(日本時間同3時4分)、台湾東部・台東県成功の東方64.3キロの海底を震源地とするマグニチュード(M)6.0の地震が発生した。震源の深さは12.5キロ。
 被害の報告はない。成功で震度4、花蓮県で震度3、宜蘭県、台中市などで震度2を記録した。(共同)

◎台湾総統選の票再集計開始、結果判明は就任式後に(2004年5月10日、産経新聞)
 3月20日の台湾総統選で陳水扁総統に約3万票差で敗れた野党統一候補、連戦・国民党主席による当選無効訴訟を受けた票再集計作業が10日午前、台北市選挙委員会庁舎など台湾全域で始まった。
 有効か無効か争いがある疑問票を洗い出し、訴訟を指揮している台湾高等法院(高裁)であらためて判定する。疑問票選別を含む投票用紙の検査作業は、総統就任式前日の今月19日までに終わる見通しだが再集計結果は直ちには出ず、高等法院が判決の際に公表する見通しだという。
 裁判官や陳、連両陣営の弁護士らが有効、無効票を含めた計約1325万票の投票用紙などを検査。疑問票は高等法院に送られ、今後の審理の中で判定を行う。
 連氏は、無効票が前回総統選の3倍弱に当たる約33万票も出たのは「開票に不正操作があったため」として再集計を要求。当時の判定作業の問題点を探し出し、選挙結果を覆すことを狙っているが、陳総統側は結果は変わらないとみており、20日に予定通り就任式を行う。(共同)

◎台湾総統選、きょうから票再集計、「当選無効」検証、19日にも結論(2004年5月10日、産経新聞)
 【台北=河崎真澄】三月に行われた台湾総統選挙の票の再集計が十日、台湾高等法院(高裁に相当)と二十一カ所の地裁の監督で始まる。陳水扁総統(民主進歩党)に小差で敗れた連戦・中国国民党主席など野党陣営が訴える「当選無効」の主張を検証するもので、陳総統の二期目の就任式前日の十九日までに再集計を終える見通し。
 警備当局では九日、再集計をめぐる混乱を防ぐため「治安維持指揮所」を開設。再集計が行われる裁判所の周囲にはバリケードが張り巡らされるなど、厳重な警戒態勢が整った。
 再集計は、今回の総統選で三十三万票にのぼった無効票の存在などを背景に、野党陣営が「票の集計に不正があった」と高等法院に訴えた「当選無効」裁判の審査が目的だ。
 ただ、0.23%の得票率差で敗れた連氏の票が仮に、陳総統を上回ったとしても、当選者が直ちに入れ替わるわけではなく、総統選後六カ月以内が期限と規定される判決を待つ必要がある。
 台湾の総統選で、票の再集計はこれが初めてだ。千三百万票を超える記入済みの票のすべてと集計に使った資料、未使用の投票用紙などを裁判官ら司法当局者が再点検する。中央選挙委員会関係者や与野党双方の弁護団も立ち会う。有効票と無効票の認定基準に変更はない。再集計にかかる費用は、原告の野党陣営が六千万台湾元(約一億九千二百万円)を負担した。
 野党陣営はさらに、総統選と住民投票を同時実施したことなどを違法とする「選挙無効」の訴えも高等法院に起こしており、与党追及の手を緩める気配を見せない。国民党関係者は、「総統選の結果が覆せるとは考えていないが、十二月の立法委員選挙まで与党攻撃を続ける必要がある」と話しており、訴訟など与党へのゆさぶりが、立法委員選で過半数の議席を維持したい野党陣営の“選挙戦術”であるとの見方も明らかにしている。
 国民党内でくすぶる辞任要求に対して、連主席は、「今は(陳総統銃撃事件と票集計の)真相究明が先決だ」と辞任を否定。立法委員選の結果次第で主席職の続投を狙うものとみられている。

◎台湾総統選再集計で合意(2004年4月12日、産経新聞)
 台湾高等法院(高裁)は12日、総統選で陳水扁総統に敗れた野党統一候補、連戦・国民党主席による当選無効訴訟を受けた準備協議を行い、陳、連両陣営の弁護団は、無効票を含むすべての票の再集計と選挙人名簿などの検査を裁判官主導で行うことで合意した。
 今後、裁判官や書記官を対象に有効、無効票の認定などの講習を実施後、再集計日程が決まる予定。
 陳陣営の弁護士は、5月中旬までに再集計が行われる見通しだが、作業に3、4日かかるため総統就任式の同月20日までに終わるかどうか楽観できないとの見方を示した。(共同)

◎台湾:民進党が総統選後初の党大会、陳総統は2期目に意欲(2004年4月10日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾総統選で再選された陳水扁総統の与党・民進党は10日、総統選後初の党大会を台北市内で開いた。陳総統(党主席)は「12月の立法院(国会)選挙で勝利し国会の主導権を握り、真の政権交代を実現させたい。党内改革を進め、長期政権につなげたい」と述べ、5月からの2期目に意欲を示した。立法院では現在、野党の国民、親民両党が過半数を占める。

◎台湾武器売却、中台の軍事均衡損なわず・米国務省報道官(2004年4月2日、日本経済新聞)
 【ワシントン=秋田浩之】エレリ米国務省副報道官は1日の記者会見で、米国防総省が発表した台湾への高性能レーダー売却計画に中国側が反発していることについて「売却が地域の基本的な軍事バランスに影響を及ぼすことはない」と語り、中台の軍事均衡を崩す心配はないと強調した。
 売却の意図を巡っては「台湾の全般的な安全保障と防衛能力を向上させることにある」と、あくまでも台湾への防衛支援が目的との立場を示した。中国側からの反応に関しては「台湾へのレーダー売却については中国からまだ公式な申し入れは受けていない」と説明した。

◎中国、米国の台湾へのレーダー売却を批判(2004年4月1日、日本経済新聞)
 【北京=吉田忠則】中国外務省の孔泉報道局長は1日、米国による台湾への高性能レーダー売却計画について「特に台湾情勢が錯そうし複雑な状況のもとで台湾の独立派に誤った信号を送ってはならない」と述べ、米国の対応を批判した。
 孔泉局長は「台湾問題は中米関係の中で最も敏感で重要な問題で、中国は米国が台湾に高性能の武器を売ることに強く反対している」と強調。そのうえで「米国が承認してきた『一つの中国を堅持し、台湾の独立に反対する』という立場に違反する」と抗議した。

◎米、台湾に最新鋭の早期警戒レーダー売却(2004年4月1日、読売新聞)
 【ワシントン=伊藤俊行】米国防総省は31日、台湾に対し、弾道ミサイルの軌跡を広範囲にとらえられる最新鋭の早期警戒レーダーを売却すると発表した。
 30日付で米議会に報告したもので、売却額は17億7600万ドルとなる見通しだ。
 国防総省は発表の中で、「極東における経済発展の重要な源泉となってきた台湾の安全と防衛能力の強化を支援することで、米国の外交・安全保障政策にも資することになる」との立場を強調した。

◎米、台湾にレーダー売却も、ミサイル防衛、中国の反発必至(2004年4月1日、産経新聞)
 米国防総省は31日、弾道ミサイル防衛にも対応可能な超高周波の早期警戒レーダー最大2基を、約18億ドル(約1900億円)で台湾に売却する計画を米議会に伝達した。議会の承認を得れば、入札などの手続きが進められる見通しだ。
 台湾を攻撃目標とした中国の短距離弾道ミサイルを意識しているのは明らかで、中国側の反発は必至。実際の売却までには曲折が予想される。
 国防総省は、台湾側は監視レーダー計画の一環として、レーダーを弾道・巡航ミサイルなどの追尾・捕捉に使用するとしている。軍事関係筋によると、高周波レーダーは主に航空機の捕捉に使われるケースが多いが、改良型では弾道ミサイルの捕捉も可能という。
 台湾総統選後、中台関係は緊張が高まっているが、同省は「地域の軍事的バランスに影響を与えない」としている。同省当局者は「6年前から台湾側はレーダー購入を要請していた」と強調した。
 米国防総省が昨年公表した中国の軍事報告書によると、中国は短距離弾道ミサイルを既に450基配備。台湾国防部(国防省)はこれに対抗するため、最新鋭の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の購入などミサイル防衛導入に積極的な方針を示している。(共同)

◎「中台は別の国、台湾の民意」陳総統と単独会談(2004年4月1日、読売新聞)
 【台北=若山樹一郎、関泰晴】台湾の陳水扁総統(53)は1日、台北市の総統府で読売新聞と単独会見し、「中台はそれぞれ別の国(一辺一国)」とする自身の主張について、「すでに台湾社会の絶対多数の意見で、民意となった。台湾住民は『一つの中国』を受け入れることはできない」と述べ、中国への対決姿勢を鮮明にした。
 中台関係は、今後さらに悪化すると予想される。陳氏が再選後、日本のメディアと会見したのは初めて。
 陳氏はまた、2006年に住民投票を行い、2008年に新憲法を施行する方針を改めて表明。新憲法制定は、「自立化」路線の重要なステップであり、中国は「独立に向けた動き」として警戒している。
 陳氏は一方で、「5月20日の就任演説で、(中国に)新たな主張を行う用意がある」とも述べ、対中関係打開に意欲も見せた。
 総統選で小差で敗れた連戦・国民党主席らが当選無効を訴え、混乱が続いていることについては、「1票差でも勝ちは勝ち」と述べ、野党側の対応を批判した。

◎「台湾は独立した主権国家」・陳総統が米紙に(2004年3月31日、日本経済新聞)
 【ワシントン=秋田浩之】先の総統選で再選を果たした陳水扁・台湾総統は米ワシントン・ポスト紙のインタビューで、緊張が続いている中国との関係について「自分は台湾ないし『中華民国』は独立した主権国家だと信じている」と言明した。中国が対話再開の条件として受け入れるよう求めている「一つの中国」の原則についても、拒否する方針を強調した。
 インタビューは29日に行われ、30日付に掲載された。
 陳氏は「台湾が独立した主権国家である事実に変わりはない。我々はもう一つの国家の地方政府ではない」と指摘。「我々は現状を維持したい」と語り、中国との統一に反対する姿勢を鮮明に示した。中国が反発している陳氏による憲法改正の動きを巡っては、あくまでも民主化の一環であり、独立とは無関係と説明。実行に移していく意向を明らかにした。
 これに関連して、米国務省のバウチャー報道官は30日の記者会見で「陳総統が2000年の就任式で、独立を宣言したり、台湾の名称を変更したりしないと約束したことに留意している」と、陳総統に自制を促した。

◎台湾与野党、選挙法改正へ審議開始、票再集計問題(2004年3月26日、産経新聞)
 台湾の与野党は26日午前、台北市内の立法院(国会)で、先の総統選の票再集計に向けた選挙関連法改正案の審議を始めた。
 26日中に改正法案が可決されれば、4月3日までに再集計が行われ、得票率の差がわずか0・2ポイントの大接戦となった選挙結果をめぐる混乱が収束に向かう可能性もある。
 選挙関連法改正案は総統選候補者の得票率差が1ポイント以内の小差の場合、再集計を行うとする内容。与党、民主進歩党(民進党)が提出した改正案は中央選挙委員会が再集計を行うとしているが、国民党など野党側の対案は公正を期すため法院(裁判所)主導での再集計を主張している。
 中央選挙委員会は26日、陳水扁総統の総統選当選を公告する予定だが、小差で敗れた野党統一候補の連戦・国民党主席陣営は「選挙結果に争いがある中で、公告を出すべきではない」と反対している。
 「選挙無効」を訴える連氏の支持者による台北市内の総統府前での抗議行動は選挙から7日目の26日午前も続いた。27日には同市内で50万人以上の大規模デモが計画されている。(共同)

◎台湾総統選:陳総統が再集計法案、立法院に提出(2004年3月23日、毎日新聞)
 【台北・成沢健一】台湾の与党・民進党は23日、総統と副総統の選挙罷免法について、得票率の差が1ポイント以内の場合に票の再集計を行えるようにする改正案を立法院(国会)に提出した。今回の総統選にも遡及(そきゅう)させる方針で、野党側が受け入れれば今週中にも無効票を含む全面的な再集計が行われる。この日午前、陳水扁総統は王金平・立法院長(国会議長)らと会談し、こうした方針を伝えた模様で、事態の早期打開に向けて行政権限による再集計が必要と判断したとみられる。
 総統選で連戦・国民党主席を擁立した国民党と親民党の野党連合も票の早期再集計を要求しており、改正案を拒否する可能性は低いとみられる。陳総統は23日に改正案を通過させ、今週中の再集計実施に向けて24日にも公告したい考えだ。
 陳氏と連氏の得票差は3万票足らずで、得票率の差は0.22ポイントだった。海外では得票率が小差の場合に再集計を行う規定を設けているケースがあるが、台湾ではこうした規定がなかった。
 野党連合は無効票が前回の3倍近い約33万7000票に達したことなどから、21日に台湾高等法院(高裁)に選挙無効訴訟を起こすとともに早期の再集計を要求。しかし、高裁側は再集計をすべきかについて判断を保留しており、野党連合の支持者らが台北市の総統府前で座り込みを続け、再集計を要求している。

◎台湾総統選、再集計、早期実現の見通し(2004年3月23日、産経新聞)
 中央通信によると、台湾の与党議員団は23日、選挙関連法の改正を提案、野党側が求める総統選の票の再集計に応じる姿勢を示した。これにより、再集計が早期に実現する見通しが強まった。
 中央通信によると、与党、民主進歩党の立法委員(国会議員)は、総統選候補者の得票率差が1ポイント以内だった場合、票の再集計を申請できるよう関連法の修正を提案。今回の総統選にも適用させる意向で、野党側の再集計要求に応え、混乱を収拾するのが狙いとみられる。
 陳氏は同日午前、游錫●(=「方」を横にふたつ並べ、下に「土」)・行政院長(首相)や国民党幹部の王金平・立法院長(国会議長)らと総統府で協議。台湾のテレビは、陳氏が野党側の要求を受け、行政権限で票の全面再集計をできるよう、同日午後に法改正作業を進めるよう指示したと伝えた。
 一方、総統選で陳水扁総統に敗れた野党統一候補の連戦・国民党主席の支持者が選挙無効と票の即時再集計を訴えて台北市内の総統府前で始めた抗議デモは同日午前も続いた。約1000人が座り込みを続けている。
 23日の台湾株式市場は続落し、指標の加重平均指数は午前10時(日本時間同11時)現在、前日終値比328・12ポイント安の6031・80。
 連陣営が台湾高等法院(高裁)に起こした選挙と陳氏当選の無効訴訟は審理開始に向けた準備が始まったが、審理開始日は未定。(共同)

◎陳総統、票の再集計受け入れへ、混乱収集狙い、地元TV(2004年3月23日、朝日新聞)
 台湾のTVBSテレビは23日、陳水扁(チェン・ショイピエン)総統が総統選挙の混乱の収拾のために、対立候補が求めている票の再集計を受け入れる意向を固めたと報じた。与党・民主進歩党の立法委員(国会議員)団も同日、選挙法を改正して、得票差が1%以内の場合は票の再集計をできるようにして、今回の総統選にも適用する方針を表明した。この譲歩を野党側が受け入れれば、早ければ今週中に票の再集計が行われることになる。
 陳総統と民進党側は仮に票を数え直したとしても、勝敗結果に変更はないとみており、政治的な混乱が長引くのを避けるために妥協策を採るようだ。野党側は、支持者のデモや集会で圧力をかけているが、選挙無効訴訟の司法手続きは時間がかかるため、5月20日の総統就任式まで混乱を持ち越すのは得策ではないという判断に傾いている。
 陳総統は23日午前、游錫クン(ユー・シークン)行政院長(首相)や国民党副主席の王金平(ワン・チンピン)立法院長(国会議長)らを総統府に招き、事態への対応を協議した。
 陳総統に小差で敗れた野党統一候補の連戦(リエン・チャン)国民党主席らは票の即時再集計と陳総統の銃撃事件の真相解明を訴え、総統との面会を求めている。台北市内の総統府前を占拠した連氏支持者の集会は選挙から3日たった23日昼過ぎも続いている。

◎台湾総統選で敗北の連氏支持者、抗議の座り込み(2004年3月21日、日本経済新聞)
 【台北21日共同】20日投開票が行われた台湾総統選で、陳水扁総統に敗れた野党統一候補の連戦・国民党主席や支持者数百人が21日未明(日本時間同)から、台北市の中心部にある総統府前で選挙結果を不服として座り込みを始めた。抗議行動は台中市や高雄市など全土に拡大、一部では警備当局との間で小競り合いも起きている。
 抗議行動の参加者は、総統府前で国民党の応援旗を振りながら「選挙は無効だ」「陳水扁は政権を降りろ」などと口々に叫び、機動隊と対峙(たいじ)した。
 台北市内の選対本部で座り込みを始めた連氏も総統府前に移動した。抗議行動に参加した50歳代の男性は「われわれの要求が認められなければ、国民党政権下で台北市が“独立”してもいい」と怒りをあらわにした。
 連陣営は総統選をめぐって生じた33万票の無効票について「不正操作が行われた可能性がある」とし、直ちにすべての投票用紙を調べるよう求めている。また、選挙と陳総統の当選無効を求めた訴えを台北市の高等裁判所に起こした。

◎台湾、選挙抗議デモ3日目に(2004年3月23日、日本経済新聞)
 【台北23日共同】台湾総統選で陳水扁総統に約3万票のわずかな差で敗れた野党統一候補の連戦・国民党主席の支持者が選挙無効と票の即時再集計を訴えて台北市内の総統府前で始めた抗議デモは選挙から3日目の23日未明(日本時間同)も続いた。
 20日夜の勝利宣言後、公の場に姿を見せていなかった陳氏は同日午前、游・行政院長(首相)や国民党幹部の王金平・立法院長(国会議長)らを総統府に招き、混乱収拾策を協議する見通し。連氏が提起した陳氏との会談が実現するかどうかも今後の焦点となる。連陣営が台湾高等法院(高裁)に起こした選挙と陳氏当選の無効訴訟は審理開始に向けた準備が始まったが、審理開始日は未定。連氏の支持者は「投票用紙の即時、全面再検査」を求めており、審理が長引いた場合、対決姿勢を強める恐れもある。行政院(内閣)関係者は22日、選挙無効訴訟は5月20日の陳氏の総統就任に影響しないとの見方を示した。

◎台湾総統選:陳水扁氏が再選(2004年3月21日、毎日新聞)
 【台北・成沢健一】銃撃事件が影を落とす中で台湾総統選は20日、投開票が行われ、中央選管の発表によると、民進党の陳水扁総統(53)が約3万票の小差で野党連合の連戦・国民党主席(67)を破って呂秀蓮副総統(59)とともに再選を果たした。一方、敗れた野党連合は、銃撃事件に対する説明不足や無効票の多さを理由に、選挙無効と票の数え直しを裁判所に求める考えを示した。
 中央選管によると、両候補の得票率の差はわずかに0.22ポイントで、無効票は投票総数の2%余だった。投票率は80.28%で、三つどもえの激戦だった前回の82.69%を2.41ポイント下回った。台湾を二分した激戦は、銃撃事件でさらに複雑化し、社会的な混乱に発展する要素もはらんでいる。陳総統は20日午後10時過ぎに台北市の選挙対策本部に現れ、「人民の勝利で、民主の新時代を迎えた」と勝利宣言した。また、(台湾海峡)両岸の平和の新時代のために中台対話の再開を呼びかけた。さらに、住民投票が無効となったことについて「民主の大きな一歩であったが、改善の余地がある」と率直に認めた。
 選挙戦では最大の争点である中台関係をめぐり、連氏が融和促進を訴えたのに対し、陳氏は台湾の主権を強調した。陳氏は政治献金疑惑や呉淑珍夫人の株式購入疑惑で最終盤に劣勢が伝えられたが、19日の銃撃で負傷したことが陳氏への同情票につながり、有利に働いた模様だ。
 陳氏は再選後、06年12月に新憲法制定の是非を問う住民投票を実施し、08年5月に新憲法を施行する方針を示している。「国名の変更など独立につながるものではない」と主張するが、実施すれば、中国が反発することは確実だ。

◆選挙の無効 連氏要求へ「銃撃の説明ない」
 連氏は20日夜、副総統候補だった宋楚瑜・親民党主席を伴って選挙対策本部であいさつし、支持者に感謝の言葉を述べた後、冷静な対応を呼びかけた。その上で、「銃撃事件の真相は全く明らかにされず、選挙結果に影響が及んだ。これは不公平な選挙だ」と語った。
 さらに、無効票が両候補の得票差を大きく上回っていることなどから、再確認のための投票箱の差し押さえと選挙結果の無効を裁判所に求める決定を野党連合として下したことを明らかにした。宋氏も同調する考えを示した。
 これに対し、中央選管は「投票箱の差し押さえは法律の規定に沿って進めなければならない」と説明。無効票が多かった理由として、市民団体が無効票で意思表示することを呼びかけたことが関連しているとの見方を示した。
 台湾で初の政権交代が実現した前回00年の総統選では、国民党が候補者を一本化できず、陳氏が漁夫の利を得た。この時に陳氏と競り合った宋氏は今回、副総統候補として連氏と組み、民進党との一騎打ちとなった。

・台湾総統選の開票状況
 陳水扁氏(民進党)6471970(50.11%)
 連 戦氏(国民党)6442452(49.89%)
 無効票       337297
  ※ 台湾中央選管最終発表。カッコ内の数字は得票率

◇陳水扁氏
 1951年2月、台南県生まれ。台湾大在学中に弁護士試験に合格。民主化デモが弾圧された79年の美麗島事件で弁護を担当したのを機に政界入り。86年に8カ月間、投獄された経験も。立法委員(国会議員)を経て、94年に台北市長選に当選。98年に同市長選で落選した後、00年の総統選で当選し、台湾初の政権交代を実現した。02年7月に民進党主席に就任した。

◎中国にミサイル撤去要求、陳総統(2004年3月21日、産経新聞)
 台湾の陳水扁総統は20日の総統選で再選された後の演説で、中国政府に対し、選挙結果を受け入れて台湾向けミサイルを撤去するよう求め、「両岸の平和と安定、対話と協議の大きな扉をともに開けよう」と呼び掛けた。
 陳総統は、中台関係の平和と安定は「米国や日本を含む国際社会も期待している」と強調した。
 台湾初の住民投票については「一部の民衆はまだ理解していない」と指摘した上で、住民投票を実施するしないにかかわらず「人民が国家の主人であるのは永遠に変わらない」と述べた。(共同)

◎台湾司法当局、全土の投票箱差し押さえ・総統選(2004年3月21日、日本経済新聞)
 【台北21日共同】台湾総統選で陳水扁総統に小差で敗れた国民党の連戦主席らが、結果を不服として選挙の無効を求めている問題で、台湾の最高法院は21日未明(日本時間同)、全土の裁判所に対し、各選挙管理委員会が保管している投票箱や選挙人名簿の差し押さえを命じた。
 連氏側は近く、選挙無効を求め全土規模の訴訟を起こす方針で、差し押さえはこれに向けた措置。各選管では同日午前、裁判所による差し押さえ作業が始まった。
 連氏側は、無効票が前回選挙より多いことなどから「開票作業に不正があった可能性がある」と主張。無効票の集計で混乱した2000年の米大統領選のように、選挙結果の最終的な「確定」までかなり時間がかかる可能性も出てきた。
 連氏側は今回の選挙について(1)無効票が前回より約20万票多い約33万票あった(2)前日に起きた陳氏銃撃事件についての政府の説明が不足したまま投票日を迎えた(3)同事件を理由に(国民党支持者が多いとされる)約20万人の機動隊員らの投票権を奪った―などから、選挙は不当だったと訴えている。

◎台湾初の住民投票、成立せず(2004年3月20日、産経新聞)
 台湾の中央選挙委員会は20日、総統選と同時に行われた台湾初の住民投票について、2項目いずれも投票率が50%を超えず、成立しなかったことを明らかにした。
 同委員会によると、第1項目の「中国のミサイルに対する防衛力強化の是非」への投票率は45・17%、「中国との協議の是非」を問う第2項目では45・12%だった。(共同)

◎台湾総統選、陳総統はきん差のリード・連戦氏は選挙無効訴え(2004年3月20日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】20日に投開票された台湾総統選挙で、台湾の中央選挙委員会は同日夜、与党・民進党の陳水扁総統の得票数が647万1970票に達したと発表した。野党候補の連戦国民党主席は644万2452票で、陳水扁総統がきん差ながら上回った。
 これに先立ち、連氏は同日夜、台北市内の選挙対策本部で「今回の選挙は不公平だった」と述べ、開票のやり直しを求める考えを示した。連氏は前日の陳水扁総統の銃撃事件で当局が真相を明らかにしていないと指摘。連戦陣営によると、民進党の地盤である台湾南部の高雄県で数カ所の投票所の結果が疑わしいと主張している。

◎台湾総統選:陳水扁氏が再選(2004年3月20日、毎日新聞)
 【台北・成沢健一】銃撃事件が影を落とす中で台湾総統選は20日、投開票が行われ、民進党の陳水扁総統(53)が大接戦の末、野党連合の連戦・国民党主席(67)を破って再選を果たした。陳氏が「台湾化(自立化)路線」を強めることは必至で、中国の反発により、東アジア情勢が緊迫する局面も予想される。
 陳氏の新たな任期は5月20日から4年間。銃撃事件は今後も与野党の対立にしこりを残すとみられ、社会的な混乱に発展する可能性もある。総統選と同時に安全保障など中国との関係のあり方を問う初の住民投票も実施されたが、野党がボイコットを呼びかけたことから、投票成立の条件となる投票率50%に達するかは微妙な情勢だ。
 選挙戦では最大の争点である中台関係をめぐり、連氏が融和促進を訴えたのに対し、陳氏は台湾の主権を強調した。陳氏は政治献金疑惑や呉淑珍夫人の株式購入疑惑で最終盤に劣勢が伝えられたが、19日の銃撃で負傷したことが有利に働いた模様だ。
 陳氏は再選後、06年12月に新憲法制定の是非を問う住民投票を経て08年5月に新憲法を施行する方針を示している。「国名の変更など独立につながるものではない」と主張しているが、実施すれば、中国が反発することは確実だ。
 台湾で初の政権交代が実現した00年の総統選では、国民党が候補者を一本化できず、陳氏が漁夫の利を得た面があった。この時に陳氏と競り合った宋楚瑜・親民党主席(62)は今回、副総統候補として連氏と組み、陳氏と呂秀蓮副総統(59)を擁する民進党と野党連合の一騎打ちとなった。
 選挙戦を通じて陳氏は金権政治の一掃を実績として強調するとともに、中国への防衛力強化などを問う住民投票への支持を呼びかけた。住民投票は、台湾人意識を刺激する効果で陳氏への求心力を高めたとみられる。また、陣営では銃撃事件を受け、陳氏への投票を暴力への抵抗と位置づけた。
 連氏は当選後の中国訪問を表明し、中台対話の早期再開を訴えた。13日に台湾各地で計300万人(主催者発表)を集めた選挙集会では、地面に口づけをするパフォーマンスを見せ、「親中国」のイメージ払しょくに努めた。しかし、中国との急激な関係緊密化に有権者は警戒感を示したうえ、銃撃事件が国民党独裁時代の暴力団の影響力を想起させたことも不利な要素となった。

◇陳水扁氏
 1951年2月、台南県生まれ。台湾大在学中に弁護士試験に合格。民主化デモが弾圧された79年の美麗島事件で弁護を担当したのを機に政界入り。86年に8カ月間、投獄された経験も。立法委員(国会議員)を経て、94年に台北市長選に当選。98年に同市長選で落選した後、00年の総統選で当選し、台湾初の政権交代を実現した。02年7月に民進党主席に就任した。

◎台湾:ノーベル賞受賞者が陳総統支持を表明(2004年3月18日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】20日投票の台湾総統選挙で、台湾市民から広く尊敬されるノーベル化学賞受賞者、李遠哲・中央研究院院長が17日夜、声明を発表し、陳水扁総統を支持することを表明した。李氏は00年の前回総統選の1週間前に「陳氏支持」を明らかにし、これで陳氏が混戦状態から抜け出し、初の政権交代を実現させる最大の要因になった。
 陳総統と野党連合の連戦・国民党主席との一騎打ちによる接戦が続く今総統選で、李氏はこれまで態度を明確にしていなかったが、浮動票の投票動向に影響を与える可能性がある。

◎ICC、新幹線契約で台湾側に81億円賠償命令・台湾紙(2004年3月16日、日本経済新聞)
 【台北16日共同】国際ビジネス紛争の仲裁機関の役割を果たす国際商業会議所(ICC)は16日までに、来年10月開通予定の台湾高速鉄道(台湾新幹線)の事業主体、台湾高速鉄道公司に対し、車両システム受注で日本側に敗れたドイツ、フランスの欧州高速鉄道連盟(ユーロトレイン)に約7300万ドル(約81億2400万円)の賠償金を支払うよう命じた。同日付の台湾各紙が報じた。
 車両システム受注では1997年に欧州側が優先交渉権を得ていたが、その後、日本勢が巻き返し2000年12月に台湾側と正式契約に調印。欧州側は01年、「合意違反」として8億ドルの損害賠償を求め、ICC側に仲裁を申請していた。ICCは欧州側の一部主張を認めたが、賠償額は大幅減額した。利息を含めた支払総額は約8500万ドルになるという。

◎台湾「2・28事件」57年目デモ、民進党、陳総統再選へ決起(2004年2月29日、産経新聞)
人間の鎖200万人、国民党は民族和解を主張
 【台北=河崎真澄】台湾北部の基隆から南部の屏東まで約四百九十キロの道を、「二百万人」(主催者発表)に達する住民が手をつないで結ぶ「二・二八人間の鎖行動」が二十八日、行われた。台湾の示威活動で過去最大の規模。中国の弾道ミサイルから台湾を守るとのスローガンだが、三月二十日の総統選で民主進歩党(民進党)の陳水扁総統の再選をめざす決起イベントとなった。政権奪回をめざす中国国民党の総統候補、連戦主席も同日、高雄や台北で民族和解を訴えるなど、選挙戦は本格化し始めた。
 この日の午後二時二十八分(日本時間同日午後三時二十八分)、各地でカウントダウンとともに約十分間、年配者から子供まで人の列が、「台湾を守れ!」「阿扁(陳総統の愛称)当選!」と叫んだ。呼びかけ人である前総統の李登輝氏は、中部の苗栗で演説し、「民主や人権、尊厳は努力なしに空から降ってはこない。人々が勝ち取って擁護していかねばならない」と意義を強調。さらに総統選と同時実施の「ミサイル防衛力強化」の是非を問う住民投票にも参加するよう訴えた。
 国民党政権が台湾住民を弾圧するきっかけとなった「二・二八事件」から五十七年目の日に合わせたデモ活動で、台湾住民の団結と、「中国の台湾支配にノーという」(主催者の黄昭堂・台湾独立建国連盟主席)意思を表明した。台北市内の立法院(国会に相当)前では、日本から駆けつけた参加者数十人も列に加わって、台湾海峡の安全に日本人も強い関心をもっていることを示した。
 有力ケーブルテレビ局の「TVBS」が同日午前に発表した支持率調査では、陳総統の与党陣営支持38%に対し、連主席の野党陣営が41%と3ポイントリードしている。態度未定は21%だった。しかし、約二百万人に達する予想外の大規模行動になったことに、夕刊紙「聯合晩報」の蔡詩萍主筆は、「全土という空間を舞台にした視覚的な効果があり、中間層が陳総統支持に傾く可能性もある」と話している。
 この日、「千万人心連心(多くの人々の心を結ぶ)」と題した支援者の集会を各地で行った連主席は、「総統を選択する基準は気勢によるものであってはならず、(候補者同士が)尊重しあうべきだ」と述べ、「人間の鎖」を牽制(けんせい)した。また野党陣営は、聖火をつなぐマラソンリレーや献血活動によって「民族の和解」を訴え、「二・二八事件」を強調し、本省人(台湾籍)と外省人(中国籍)の“民族対立”を悪化させかねない活動とは異なる動きをみせた。

・2・28事件
 1947年2月27日、中国大陸から渡ってきた外省人(中国大陸籍)官吏が台北市内でたばこ売りの女性を殴打したことをきっかけに、中国国民党政権に対する本省人(台湾籍)の不満が爆発し、翌28日、民衆暴動が台湾全土に広がった事件。国民党軍の武力鎮圧と続く政治弾圧によって1万8000人から2万8000人という本省人が殺害された。台湾人口の13%の外省人が85%の本省人を長期支配したことで、「省籍矛盾」と呼ばれる内部対立を生んだ。

◎中国のミサイル配備に抗議、台湾で「人間の鎖」(2004年2月29日、読売新聞)
 【台北=若山樹一郎】台湾の西海岸沿いに南北を結ぶ約500キロの間で28日、中国の対台湾向けミサイル配備に抗議するため、住民ら約150万人が手をつないで結ぶ「人間の鎖」デモが行われた。
 呼びかけ人は李登輝前総統。3月20日の総統選で再選を目指す陳水扁総統の総決起大会を兼ねるもので、陳総統ら、与党・民進党の幹部らもそろって参加、「平和を愛し、ミサイルに反対」と気勢を上げた。
 陳総統は、苗栗県の野球場に設けられた特設ステージで李前総統と手をつなぎ、「台湾人民は自らの手で『民主と平和の長城』を築いた」と強調。さらに、総統選と同時に行われる「対中ミサイル防衛能力強化」への賛否を問う住民投票について、「マル(賛成)と書いて、台湾を守ろう」と呼びかけた。李前総統は「台湾人の国家アイデンティティーと中国拒否の姿勢が改めて示された」と述べた。
 この日は、台湾に渡った国民党政権が1947年2月、2万人以上の台湾住民を殺害した「2・28事件」の日。
 デモは、1989年にバルト3国の住民約200万人が、ソ連との併合無効を訴えて行った「人間の鎖」にならったもので、総統選挙に向けて「反国民党」「反中国」を強く訴える狙いで行われた。

◆李登輝前総統
 1971年、国民党入党。88年、蒋経国氏の死去に伴い副総統から昇格し、本省人(台湾出身者)として初の台湾総統に就任した。「静かなる革命」と称された、平和的民主化路線を推進し、台湾の国際的地位の向上に大きく貢献。その総仕上げとして取り組んだ初の総統選直接選挙(96年3月)で当選し、2000年5月まで在任した。
 中台関係については、双方を特殊な国と国と位置づける「2国論」を提唱。今回の総統選では、同様に「台湾独立派」と目される陳水扁総統を支援している。
 京都帝大で学んだ経験のある知日派。近著に「『武士道』解題」がある。

◎台湾のバレンタイン「情人節」は、男性から花束(2004年2月12日、朝日新聞)
 14日はバレンタインデー。台湾では「西洋情人節」と呼ばれている。「情人」とは恋人のことで、「恋人たちの日」というわけだ。
 西洋の恋人たちの日があるなら、東洋の恋人たちの日は織姫とひこ星が会う7月7日の七夕になる。つまり、台湾では年に2回の「情人節」があることになる。
 ただ、同じ東洋でもバレンタインデーの過ごし方は日本とはだいぶ違う。
 贈り物は女性からではなく、もっぱら男性から女性へとなる。もちろん、チョコレートもあるが、まず男性が用意するのは一抱えもある真っ赤なバラの花束。アクセサリーやペアルック、ともかく何か気の利いた贈り物も用意しないといけない。そして、ホテルやレストランでの2人だけの特別ディナーである。ここまででも、男性の出費はかなりのものだ。
 さらに今年は10年ぶりの寒波で赤いバラが品薄になり、例年より8割高。そのうえ鳥インフルエンザで、ケーキに使う卵も5割高。男性の出費はますますかさむ。
 というわけで、台湾では義理チョコだの、本命だのと悩む女性はいない。悩むのは男性ばかりだ。バレンタインデーが終わると、次の「情人節」、七夕のディナーが待っている。

◎アジアの摩天楼、鉄骨で支える、日本の鉄鋼大手活躍(2004年2月6日、朝日新聞)
 日本の鉄鋼大手が、アジアを代表する超高層ビルの鉄骨組み立てなどで活躍している。各社は80年ごろからアジアで事業を本格化させており、高品質の素材や正確な技術が評価されている。
 台湾で建設中の「台北101(台北国際金融センター)」は、地上101階で高さ508メートル。今秋完成すれば、マレーシアのペトロナスツインタワーを抜いて世界一ののっぽビルになる予定だ。新日本製鉄は、このビルの鉄骨工事を担当、昨年11月に工事を終えた。
 一方、JFEグループのJFEエンジニアリングは、昨年秋にオープンした香港一の超高層ビル「国際金融センター2」の設計や建設を担当した。地上88階で高さは420メートル。観光地として知られるビクトリアピーク展望台より高い。
 それぞれ、ハイテンと呼ばれる硬い鋼板を使用。硬く厚い分、溶接は難しいが、日本の鉄鋼会社の溶接技術はレベルが高く、無事工事を終えた。JFEエンジニアリングの殿谷和敬・鋼構造営業室長は「香港の新しい観光スポットになればうれしい。今後もアジアで超高層ビルを造っていきたい」としている。

◎台湾、昨年の輸出10.4%増(2004年1月7日、日本経済新聞)
 【台北=村山宏】台湾の財政部(財政省)が7日発表した昨年の輸出は前年比10.4%増の1442億ドル、輸入は13.1%増の1272億ドルだった。米国の景気回復に伴い、台湾企業の中国生産拠点からの対米輸出が急増し、部品・原材料の対中輸出が急増した。中国(香港を含む)への輸出は22.1%増の497億ドルだった。
 12月の輸出は前年同月比20.6%増の140億ドル、輸入は33.4%増の131億ドルだった。生産活動の活発化に伴い、日本からの資本財の輸入が大幅に増えた。

◎台湾でM5.9の地震(2004年1月2日、産経新聞)
 中央通信によると、1日午前11時15分(日本時間同日午後零時15分)ごろ、台湾東部・花蓮県玉里の東方33.5キロの海底を震源とするマグニチュード(M)5.9の地震が発生、同県で震度5、台東県で震度4を記録した。
 負傷者などの報告はない。(共同)

◎台湾新幹線の工事着々、日本の技術フル活用(2003年11月24日、朝日新聞)
 日本が誇る新幹線の技術を採用した台湾の高速鉄道は、05年秋の開業を目指して工事が着々と進んでいる。土木関係は9割方出来上がり、運転士の卵たちも日本で研修中で、日本製の車両は来春には台湾に渡る。中国大陸では北京-上海間の高速鉄道の入札を前に、歴史問題を背景にした複雑な対日感情が微妙な影を投げかけているが、「台湾新幹線」の日台協力は順調な歩みを見せている。
 台北-高雄間345キロを最速1時間半で結ぶ台湾の高速鉄道で、路盤工事が先行しているのは南端の区間だ。サトウキビ畑を縫って走る高架橋の上では、日本製の軌道敷設機がフル稼働する。地元と日本の技術者が混成で、亜熱帯の強い日差しの下、仕上げに汗を流す。同時に、電柱や架線の設置も佳境だ。
 来春には、この区間で走行試験を始める日本製の新型車両も届く予定だ。700系「のぞみ」の鼻を少し短くした車体で、白地にオレンジや黒の配色を生かしたデザインだ。
 着工から3年半が過ぎ、工事全体ではほぼ半分の進み具合となっている。トンネルも48本のうち46本が貫通した。「国鉄でなく民間出資が中心の会社だから、開業が大きく遅れると採算に響く」(台湾高速鉄路公司の林天送スポークスマン)と事業の管理も厳しい。
 約1兆6000億円の総事業費のうち、日本企業グループは中核となる車両、信号、運行システム(約3320億円)、軌道(約2000億円)を受注した。このほか、駅舎、土木工事にも地元企業と組んで参画している。
 曲折もあった。事業計画には当初から欧州勢がかかわり、97年の入札ではいったん、欧州勢が優先交渉権を得た。日本連合は提示価格を下げ、99年に逆転受注した。ドイツの高速鉄道で起こった事故の影響や、当時の李登輝総統の意向も働いたとされる。
 日本の関連業界は、台湾での実績をもとに、北京-上海間(約1300キロ)の高速鉄道の受注につなげたい考えだ。だが、台湾交通部(交通省)の何煖軒・高速鉄路工程局長は「自前の鉄道関連産業育成を急ぐ中国は、日本の将来の競争相手。台湾と同じようにはいかないのではないか」と見る。
 工事が順調な台湾でさえ、日本企業の儲けすぎ批判が出たり、現場での事故死が新聞で大きく取り上げられたりする。それだけに、「現在の日中関係を考えると、北京―上海の新幹線受注はそう簡単でない」(日本の外交筋)といえそうだ。

◎台湾西部の爆竹工場で爆発、3人死亡(2003年11月17日、産経新聞)
 中央通信などによると、16日午後7時(日本時間同8時)ごろ、台湾西部の苗栗県通霄鎮にある爆竹工場で爆発が起き、3人が死亡したほか、テレビ局のカメラマンら十数人が負傷した。
 工場内の爆竹や花火に引火し、ごう音とともに次々に爆発、夜空に火花を散らしながら炎上した。火は近くの山に燃え移り、消火作業は手間取っている。
 中央通信によると、工場内に二十数人の従業員が一時閉じ込められたが、無事脱出したという。この工場ではここ数年間に2回、爆発事故が起きている。(共同)

◎宋美齢さん死去:中国・台湾史を体現(2003年10月25日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾の故蒋介石・元総統夫人、宋美齢さんが23日、104年の生涯を閉じた。米国での教育の影響を受け、奔放に生きた彼女は第二次大戦中、対米工作でも夫をしのぐ活躍を見せ、日本の敗戦に大きな影響を与えた。中国・台湾史をそのまま体現した生涯は、総統選を来春に控え、熱を帯びる台湾のアイデンティティー(地位)論争にも一石を投じるだろう。
 「永遠のファーストレディ」と呼ばれた美齢さんの死を知った台北市民は24日、次々と蒋元総統を記念する中正紀念堂を訪れた。涙を落とす老婦人もいる。その多くは国民党とともに、中国大陸から渡ってきた外省人やその子弟だった。
 一方、本省人(台湾出身者)は冷ややかに死を受け止めた。38年間という世界最長の戒厳令(1949~87年)を敷き、独裁政権を維持した蒋介石氏と、それを支えた美齢さんへの複雑な感情は消えない。民主化されるまでの台湾近代史の中心に蒋夫妻がいたととらえる市民も少なくない。
 この二つの異なる現象こそが、台湾の今の姿を映し出している。
 再選を目指す民進党の陳水扁総統は、中国と台湾の関係を「1辺1国」(それぞれ別の国)と表現し、現行の中華民国憲法に代わる台湾新憲法制定の意向を示す。陳総統と連携する李登輝前総統も「中華民国」に代わる「国名を正す(正名)運動」を推進、台湾独立色を強める。
 一方、野党陣営は「中華民国と台湾共和国との戦い」と位置づける。政権奪還を目指し総統選に出馬する連戦・国民党主席が主張する「一つの中国」とは中華民国であり、それは蒋夫妻が台湾にもたらした「国家」だ。
 「外来政権」を象徴する美齢さんだけに、その死は与野党陣営に少なからぬ波紋を与えるかもしれない。
 だが、政治の表舞台を離れて久しい美齢さんの死が台湾政界に直接的な影響を与えることはない。むしろ、台湾の若い世代は彼女の波乱に富んだ生涯を歴史上の出来事としてとらえる。
 米国で受けた教育は、女性が男性に隷属した時代を打ち破った。生涯のクライマックスは43年2月、米議会での演説だろう。身振りを交えた英語の演説終了後、5分間も鳴りやまなかかった拍手は、米国の戦争への関与を深め、日本の敗戦を決定づけたともいえる。
 「一人は金を愛し、一人は権力を愛し、一人は国を愛した」。「宋家の3姉妹」はこう評される。仲のよかった姉妹は、時代の流れとともに、歩む道が分かれていった。長姉靄(あい)齢さん(73年死去)は富豪と結婚。革命家・孫文の夫人として新中国という「国を愛した」二姉慶齢さん(81年死去)と、夫とともに「権力を愛した」美齢さんの生き方はあまりに対照的であった。
 最後に残った美齢さんの死は、20世紀の中国・台湾史をにぎわした「宋・蒋王朝」の終えんを意味する。

・宋美齢さんの生涯
1894年 日清戦争
  99年 宋家の三女美齢さん誕生
1911年 辛亥革命
  12年 清朝が滅亡し中華民国成立。孫文が臨時総統に就任
  14年 第一次世界大戦開戦
  19年 「五・四」運動。国民党結成
  25年 孫文死去
  27年 美齢さん(30歳)が蒋介石氏と結婚
  31年 満州事変勃発
  37年 日中戦争始まる
  39年 第二次世界大戦開戦
  42年 美齢さんが米議会で演説、「抗日」を訴える
  45年 終戦
  49年 中華人民共和国成立。内戦に敗れた国民党が台湾に渡る
  50年 蒋介石氏が台湾の総統に
  75年 蒋介石氏死去、87歳。美齢さんがニューヨークへ。
2003年 美齢さん死去、104歳。

◎故蒋介石夫人の宋美齢さんが死去、最後の「宋3姉妹」(2003年10月25日、朝日新聞)
 故蒋介石・台湾総統の夫人の宋美齢さんが、23日午後11時17分(日本時間24日午後0時17分)、米ニューヨークで死去した。106歳だった。中国現代史に名をとどめた「宋三姉妹」のうち生存していた最後の一人だった。
 戦前の中国経済を支配した浙江財閥・宋家の三女として上海で生まれ、米国で大学教育を受けた。1927年に中国国民党指導者の蒋氏と結婚。蒋氏が内戦停止と抗日を求める張学良氏に捕らえられた36年の西安事件では、自ら西安に飛び、夫の釈放に奔走した。
 米議会での抗日戦争への支援を呼びかけた演説など、戦前、戦後を通じて対米関係で強い影響力を発揮した。49年、国民党が国共内戦に敗れて台湾に移ってからも、「中華民国」のファーストレディーとして華やかに活動した。75年に蒋氏が死去すると、台湾を離れ、米国に移った。
 義子の蒋経国総統が死去した88年、台湾出身の李登輝総統が国民党の実権を握るのを阻止しようとしたこともあった。2000年の総統選挙では国民党の連戦氏の支持を呼びかける手紙を発表した。だが、李政権下で進んだ民主化で「蒋王朝」時代は過去のものとなり、影響力は失われた。
 宋三姉妹の長姉、宋靄齢さんは中華民国財政部長を務めた孔祥熙氏と結婚。次姉の宋慶齢さんは「国父」孫文氏と結婚、中国共産党寄りの立場を貫き、後に中華人民共和国の副主席になった。それに対して宋美齢さんは「大陸反攻」を掲げた蒋氏に従い、台湾海峡を挟んで姉妹が敵対した。
 年齢の「106歳」は国民党中央党史委員会によるものだが、これ以外にも諸説がある。

◎米、台湾の憲法制定をけん制(2003年9月30日、読売新聞)
 バウチャー米国務省報道官は29日、台湾の陳水扁総統が2006年に新憲法を制定する意向を示したことに関連し、台湾独立につながるような憲法改正を行わないとの従来姿勢を堅持するよう促した。
 報道官は「個々の選挙キャンペーン」にコメントする立場にはないとしながらも、陳総統が2000年8月、台湾の国名変更はじめ独立につながる国民投票や憲法改正を行わない姿勢を表明した経緯を強調し「米国はこの立場を真剣に受け止めている」と述べた。(共同)

◎台プラ、桃園観塘に火力発電所建設構想[基盤](2003年8月21日、NNA)
王永慶・台湾プラスチックグループ董事長は19日、「総額20億米ドルを投資し、桃園県の観塘・観音浜海地区に400万キロワット規模の火力発電所を設置してもよい」という考えを明らかにした。20日付経済日報が報じた。
王董事長は、同日、游錫コン行政院長(首相・コンは方2つに土)に陳情書を提出。台湾電力が進めている、台湾最大の液化天然ガス(LNG)発電プラント、大潭発電所(桃園県観音郷)のプロジェクトについて、「火力発電所の方がLNG発電所よりもメリットが大きい」として、政府に現行の電力整備計画の再検討を求めた。

・コスト高を警告
王董事長によると、LNG発電所はコストが高く、発電量が400万キロワットの場合、年間の燃料コストは300億台湾元にも達し、長期的に莫大な費用になるという。火力発電所は多くの二酸化炭素を排出するが、「米ブッシュ政権も、先進国が二酸化炭素の削減目標を定めた京都議定書を履行しないことを表明した。台湾は国連に加盟していないため京都議定書に調印できず、同議定書の付帯条件にある、各国による自己責任での二酸化炭素排出削減への取り組みも行う必要はない」とした。さらに、「全面的にLNG発電に移行することは、技術が成熟していないため、豊富な天然ガス埋蔵量を有する米国でさえ実施していない」と強調した。
王董事長はそのうえで、
1. 発電事業者の海外からの電力調達を可能にすること
2. 発電事業者による電力販売の上限規定の撤廃
などを求めるとともに、「観塘・観音浜海区は台北の国際商港として開発が可能だ。第1、第2原子力発電所の稼働停止後に電力不足になるようであれば、同地に火力発電所を建設したい」とした。

・東鼎、中石は歓迎
王董事長の構想について、観塘工業区を開発した東鼎液化ガス興業の黄耀智総経理は、台プラの同工業区への進出に歓迎の意を示した。同社は、大潭発電所へのLNG供給を目指して観塘工業区にLNGステーションを設けたが、7月に行われた同発電所へのLNG納入の入札で中国石油に敗れ、現在LNGステーションと埠頭の利用方法をめぐって中国石油と協議を行っている。
中国石油の潘文炎総経理は、「王董事長の開発計画の内容は知らないが、中国石油と国家にとって有利であれば、台プラと協力する可能性もある」とコメントした。

◎台北で38.8度、観測史上最高を2日連続で更新(2003年8月10日、朝日新聞)
 台湾の中央気象局によると、9日の台北市の最高気温は38.8度で、前日の38.7度を更新し、1897年の観測開始以来最高を記録した。台風10号の北上に伴い南西の風が吹き込み、各地で気温が上がった。
 この暑さもあって、胃の痛みを訴えた李登輝前総統(80)は週末の講演などの予定を取り消し、医師の勧めで静養している。

◎台北で38.7度、観測史上最高を記録(2003年8月9日、朝日新聞)
 台湾の中央気象局によると、8日の台北市の最高気温は38.7度で、1897年の観測開始以来最高を記録した。これまでの記録は1921年7月31日の38.6度。台湾全島では1988年5月7日の台東県の39.6度が最高。台風10号の北上に伴い南西の風が吹き込み、各地で気温が上がった。台湾北部では1カ月半ほど少雨が続き、水不足の恐れが出ている。

◎「台南」の地名は新しい(2003年8月7日、台北週報2107号)
 台南といえば、日本でなら京都か奈良に相当し、古い歴史の町として観光客も多い。台湾本島の開発はここから始まったのだから、当然と言えようか。だが「台南」という地名は意外に新しい。
 唐の中葉にはすでに大陸から移住民が澎湖島に入っていたことは文献からも確認されており、そこへオランダ人が入ったのは17世紀になってからであった。ヨーロッパの大航海時代のことで、ジャワ島に東インド会社を設立(1602年)したオランダは、さらに勢力を伸ばそうと艦隊をマカオに向けた。ところがそこはすでにポルトガル人が要塞を築いており、オランダ艦隊は海上をさまよった。このとき、同乗していた漢人通訳で、澎湖島の存在を教える者がいた。オランダ人は喜び、さっそく針路を澎湖島に向けた。上陸してみると、一応開発もされており、けっこう住みよい。ここを拠点にと軍営や住居を築きはじめた。
 驚いたのは明朝である。大陸沿岸住民が澎湖島に拠ったオランダ人と交易することを禁じるとともに、大軍を派遣して撤退を要請した。オランダは戦いを避け、交渉に応じた。このとき結ばれた協定が、オランダ人は澎湖島から撤退する代わりに、台湾を占拠しても明朝は異議を唱えず、大陸沿岸との交易も認めるというものであった。このことから、明朝の台湾に対する認識がどの程度のものであったか伺い知れる。
 この時オランダ人が入植したのが鹿耳門(現在の曽文渓)で、1624年10月のことである。やがてここから台南市街が形成されるが、先住民は当時この地を「セッカム」と呼称し、漢人移住民は「赤嵌」の漢字を当てていた。だからオランダ人が構築したプロビデンジャ城も「赤嵌楼」と呼んでいた。「台南」の地名が出てくるのは、まだ先のことである。

◎台湾のSARS死者、独自集計で倍増180人に(2003年7月19日、朝日新聞)
 台湾衛生署(厚生省)は18日、新型肺炎SARSの死者が17日正午までに180人になったと発表した。台湾の死者は6月18日から84人のままだったが、一挙に倍以上に増えた。同署の担当者は「直接の死因以外にもSARS感染者すべての死を合計した」。台湾独自の集計だとした。台湾の累積感染者は670人で、死者が180人になると致死率は26.9%に跳ね上がり、世界で最もSARSの致死率が高い地域になる。
 台湾は今月5日に世界保健機関(WHO)のSARS感染地域の指定を解除された。その時点での死者は台北市など北部が58人、高雄市など南部が22人だった。新たな統計では北部が121人、南部が54人になった。
 衛生署疾病対策センターの施文儀・副センター長は「WHOの規定によれば死者は84人だが、感染者で心臓病や高血圧、自殺などで死んだ人も含めた。WHOからは要求されておらず出過ぎたことだが、台湾だけがこうした数字を報告することで誠実さを示した」と、独自集計公表の理由を語った。別の担当者は、隠蔽(いんぺい)していたわけではない、と話した。
 施氏はWHOには1ヶ月前に独自集計とWHO基準の2種類の死者の数字を報告したと話した。WHOの14日までの集計では、世界のSARSの死者と致死率は、中国348人(6.5%)、香港298人(17.0%)、カナダ38人(15.2%)、シンガポール32人(15.5%)など。

◎台湾の力晶半導体、300ミリウエハー工場建設に20億ドル(2003年7月7日、日本経済新聞)
【台北=村山宏】台湾の中堅半導体メーカー、力晶半導体は2カ所目となる直径300ミリウエハー対応の半導体メモリー工場を建設する。年末に着工し、20億ドル(約2400億円)を投じて2005年の稼働を目指す。情報技術(IT)景気の回復を見込み、以前から持っていた建設構想を具体化する。
力晶は昨年、最初の300ミリ対応工場を稼働させ、ウエハー換算で月間1万2000枚を生産している。第二工場の稼働により、2005年末には月産能力を7万枚に引き上げる。一方で微細加工能力も強化し、今年中に線幅0.13マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの製品の生産を始める。

◎台北で世界最高層ビルの棟上げ式(2003年7月2日、産経新聞)
 2004年後半に台北市内に完成予定の世界最高層のオフィスビル「TAIPEI 101」の棟上げ式が1日、陳水扁総統や馬英九・台北市長らが参加して行われた。
 101階建ての同ビルは高さ508メートル。1998年1月に着工、1日に最後の鉄製の梁(はり)が取り付けられ、ビル本体の枠組み工事が完了した。2カ月以内に予定されるアンテナの取り付け工事を終えると508メートルの高さになる。総工費は580億台湾元(約1970億円)。
 完成時には現在、世界で最高層のマレーシアのペトロナス・ツインタワー(452メートル)を抜くが、森ビルが2007年の完成を目指し上海で建設中のビルは492メートルで、アンテナを除く建物自体の高さで世界一になるという。(共同)

◎中国からの不法流入に歯止め 台湾、「移民署」設置へ(2003年6月30日、産経新聞)
【台北=河崎真澄】台湾の行政院(内閣に相当)が中国大陸などからの不法入境の抑制を目的とした「移民署」の設置を検討していることが、産経新聞が入手した法案で二十九日、明らかになった。偽装結婚による中国側からの不法流入に対処するためで、入出境管理局や警政署など五つの行政機関に分散している入管業務を新設の「移民署」に機能、権限とも集中させ、管理を厳格化する。
 この法案は内政部(内務省に相当)が行政院に提出した「入出境および移民署組織条例草案」。管理強化の背景には、中国大陸を含む国際結婚で、配偶者が中国大陸籍の場合は、面接を経ない書類審査だけで“素通り”できる現行の制度が、就労目的など偽装結婚の温床になっている現状があった。
 新設される「移民署」では、中国大陸籍の配偶者に、面談を行うほか入境後の査察訪問のための専門組織を置き、偽装結婚や売春犯罪、不法就労の防止をねらう。
 同時に(1)難民認定制度の確立(2)難民などの収容施設や制度の拡充(3)有能な人材を受け入れる移民政策-なども実施。千六百四十人のスタッフによる行政機構が想定されている。
 台湾紙「自由時報」によると、入境した後に連絡が取れなくなった中国大陸籍の「行方不明者」は判明しているだけで、昨年は過去最高の二千二百六十八人にのぼった。今年は四月中旬までに千百人を超えて、前年より速いペースで増えている。
 一方、売春により昨年摘発された中国大陸籍の女性は、千九百六十七人と過去最高。偽装結婚で中国から組織的に送り込まれた女性が、売春を強要されたケースもある。
 政治工作や犯罪を目的とした不法入境者も少なくなく、中国からの不法入境者は過去十年間で約二万五千人にのぼった、との報告もある。
 同紙は「中国人大量移入による台湾危機を軽視するな」との社説で、中国からの不法入境者増大が台湾社会の治安に脅威を与えていると警告。権限の強い「移民署」の早期設置を求めていた。

◎台湾新幹線、日本連合7社が2工区を新たに受注(2003年1月23日、朝日新聞)
日本の新幹線を初めて輸出する台湾新幹線(台北-高雄、345km)プロジェクトで、三菱重工業や三井物産など日本の7社連合は23日、軌道敷設工事で2工区分(計153km分)を新たに受注したと発表した。受注額は1千億円。これで5工区すべての受注が決まり、日本連合は計4工区を受注した。車両や信号など運行システムも合わせ、台湾新幹線システムの大部分の受注に成功。受注総額は計5370億円に達した。7社はほかに東芝、川崎重工業、三菱商事、丸紅、住友商事。
 台湾新幹線は最高時速300kmで台北-高雄を1時間半で結ぶ。2005年10月に開業予定。

◎台湾の仁宝と東方通信が合弁、杭州に携帯工場(2002年12月11日、NNA)
10日付経済日報によると、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)は中国の通信設備大手の東方通信(イースタン・コミュニケーションズ=イーストコム)と合弁で、浙江省杭州に携帯電話の製造工場を設立する。設立時期や投資金額については明らかになっていない。
この計画は東方通信の施継興総裁が経済日報に対して語ったもの。コンパルは現在、台湾のメーカーとして唯一東方通信のOEM(相手先ブランドによる生産)を行っており、同社が製造したEG860型機は2002年8月に中国で発売された。
施総裁によれば、東方通信もメンバーである普天グループが杭州に3平方キロメートル規模の工業団地を準備しており、同地に合弁工場を立ち上げる予定だ。
中国の携帯電話メーカーは最近、台湾および韓国メーカーに対し前工程の設計と製造を委託し、中国メーカー自身は後工程のモジュールを担当する傾向がある。このため台湾、韓国メーカーはOEMによって、市場を急速に拡大させており、東方通信は台湾はコンパルと提携、韓国にも提携メーカーを持つ。
中国の携帯電話市場の現況について施総裁は、「台湾企業がOEMのビジネスチャンスをつかみたいのであれば、タイムラグなしにビジネスができるよう設計センターを大陸に移すべきだ。また、設計と製造がそれぞれよいモデルを得られるよう、両部門の分離を図るべき」と話している。
同日付経済日報によると、コンパルは来年、松下通信工業から超小型のGD55型の携帯電話機のOEMを新たに受注する。これは松下資訊科技の厳偉誠会長兼CEO(最高経営責任者)が9日、「松下は来年、ハイエンド機種は自社で生産を続けるものの、ミッドエンド、ローエンド機種はOEMに出す方針で、新たにコンパルに新規の発注を行う」と明らかにしたもの。
松下は現在、GD55型機を広達電脳(クォンタ・コンピューター)に1カ月当たり10万~15万台発注している。厳会長兼CEOによると、GD55型機は中台双方で人気を呼んでおり、台湾では芸能人の周杰倫を使った広告の効果もあって、10月と11月の2カ月間の販売台数は4万台に達した。今後、半年間の販売量は20万台に達する見込み。また中国市場での販売も拡大する。
コンパルは現在このほかに、モトローラ向けにCDMA(符号分割多重接続)機のOEMを行っており、来年の同機の生産台数は1,000万台に達する見込み。

◎政府の景気振興策、公共投資に3千億元(2002年12月5日、NNA)
行政院(内閣)は景気振興策の一環として、今後3年間で公共建設向けに3,000億台湾元を、国債の発行枠を拡大して起債する計画だ。主に政府の国家建設計画である「チャレンジ2008―6カ年重点発展計画」で指定されている重要な公共建設に投入する。3日付工商時報が伝えた。
期間は2003年1月~2005年12月末で、同計画には住宅施設、廃棄物処理設備、電気・下水道など生活関連インフラ、道路など交通インフラ、観光・都市開発関連などの建設プロジェクトが対象として含まれる。割り当てられる3,000億元のうち、土地コストが占める割合は全体の20%までと決められている。行政院はまた、特別法を制定し、同計画の資金源となる国債の発行枠の上限を撤廃するほか、環境アセスメントや土地登記変更など関連する諸手続を簡略化し、公共投資における行政効率を高める考え。特別法は、予算の編成計画などを行政院経済建設委員会で検討後、策定されるもようだ。
経済建設委は公共投資の拡大によって、2003~2005年の経済成長率が年ごとに0.38ポイント、0.74ポイント、0.71ポイント伸長すると見込んでいる。2003年については、主計処(予算会計統計庁)の予測(3.52%)を上回り4.25%に達する見通しだ。
経済建設委はまた、投資の実施によって、2003年下半期には378億2,000万元の付加価値が発生し、2005年末までに1,100億元に達すると予想している。同期間中、毎年8万3,830人の新規雇用が創出される見込みだ。
同委員会はこのほか、台湾東部の蘇澳~花蓮(吉安)を結ぶ「蘇花高速道路」を2003年末に着工する建設計画案をまとめた。計画では、吉安~崇徳までの平地部分の工事を交通部(運輸通信省)国道新建工程局が行い、蘇澳~崇徳の山地部分の工事はBOT(建設・運営後に政府に施設を譲渡する)方式で民間の建設会社に委託する。建設費は962億元で、このうち政府が400億元あまりを拠出し、残り500億元をBOTの請負業者に負担させる考えだ。ただし最終的にBOT方式で建設計画を進めるかどうかは、2005年に先に完工する北宜高速道路(北部第2高速道路~宜蘭県頭城)の運営状況を見てから決定するとしている。

◎台湾・大連化学、フェノール・BPA投資を高雄に決定(2002年5月15日、化学工業日報)
 台湾の大手化学メーカー、長春石油化学グループの大連化学はかねて検討を進めてきたフェノール、ビスフェノールA(BPA)への投資を決めた。立地は予定していた麦寮から高雄に変更、中国石油(CPC)から原料プロピレンの供給を受ける。フェノールはUOP、BPAはレゾリューション(旧シェル法)を導入する。投資総額は8000万米ドルで、来年末から2004年初頭にかけての完成・稼働を目指す。製品は国内のポリカーボネート(PC)樹脂向けのほか、中国などへも輸出する計画。

◎旭硝子、台湾にLCD用ガラス基板クロム成膜ライン(2002年2月19日、化学工業日報)
 旭硝子は台湾で液晶ディスプレー(LCD)用ガラス基板事業を強化する。今年に入って後加工拠点が本格稼働に入っているが、6月にはカラーフィルター(CF)基板向けのクロム成膜ラインを新設する。凸版印刷など大手カラーフィルターメーカーが現地生産を拡大していることから、ガラス基板の付加価値を高めるとともに需要家のニーズに対応する。LCD生産が拡大している台湾での事業活動を拡充することによって、同社が得意とする大型基板分野を中心に需要を取り込む。

◎東芝、台湾の独立系発電事業3社に火力発電プラント(2002年2月13日、日本経済新聞)
東芝は台湾の独立系発電事業者(IPP)3社に火力発電プラント4基を納入する。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル(複合発電)用の設備で、いずれも2004年3月の運転開始を目指す。受注額は合計約1000億円と、同社の重電部門の売上高の2割近くを占める規模。出力49万キロワットのプラントを星能電力(彰浜発電所)に1基、森覇電力(豊徳発電所)に2基納入。さらに嘉恵電力(嘉恵発電所)へ住友商事を通じて出力67万キロワットのプラント1基を納める。
 コンバインドサイクルは天然ガスを高温で燃やすガスタービンと、その排熱を利用する蒸気タービンを組み合わせて発電効率を高める仕組み。東芝は蒸気タービン発電設備を生産し、ガスタービン発電設備は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と三菱重工業に製造を委託する。排熱回収ボイラーなどその他の設備は日本や韓国のメーカーに委託する計画だ。

◎台湾証券市場の売買代金、東京に迫る(2002年2月13日、日本経済新聞)
 今年に入り東京株式市場の低迷が続き、売買代金が台湾市場を下回る日が増えている。日経平均株価が1983年以来の水準に逆戻りし、年明け後の1日平均売買代金が6000億円台にとどまっているのに対し、台湾では景気回復期待を追い風に資金が株式市場に流入、5500億円台(円換算)と東京に迫る勢い。アジアの中での日本の地盤沈下が鮮明になってきた。
 東京市場は企業業績の回復が不透明なうえ、銀行の不良債権問題の重しを抱え、機関投資家は様子見姿勢を強めている。売買が目立つのは証券会社の自己売買部門とインターネット証券経由で短期売買を繰り返す一部の個人投資家という状況が続いている。昨年の東京市場(東証1,2部合計)の1日平均売買代金は、台湾市場の3倍近くあったが、今年に入って接近する日が目立ち始め、うち5営業日で売買代金が逆転した。台湾では昨年12月以降の48営業日中、43営業日で1000億台湾ドル(約3800億円)を上回った。一般に1000億台湾ドルを超えると活況とみなされる。

◎荏原、台湾でごみ焼却炉を受注(2002年2月5日、日本経済新聞)
 荏原はごみ焼却炉の海外販売を拡大する。東洋エンジニアリングや千代田化工建設などと昨年4月に共同設立した海外向け環境プラント事業子会社などグループ会社と協力。国内で培った技術や実績を武器に海外売上高の倍増を目指す。
 台湾で同社の海外案件としては最大規模の案件を、地元の環境メーカーと共同で台湾行政院環境保護署から受注した。基隆市に建設予定の1日処理量が600トン(同300トン×2基)の焼却炉で、受注総額は約80億円。2004年5月に完成する予定。
 台北市にある荏原の子会社が炉を設置。設計やプロジェクトマネジメントを荏原が担当する。東洋エンジなどと設立したエンバイロメンタルエンジニアリング(東京・港)も調達などで協力する。
 中国でも1号機が4月に稼働する。ハルビン市に建設中の1日処理量200トンの施設だ。この施設で性能を実証して中国での受注活動につなげる。

◎台湾FPCがPDP事業に進出、FHPなどと合弁(2002年2月4日、化学工業日報)
 台湾プラスチック(FPC)はPDP(プラズマディスプレーパネル)事業に進出する。富士通日立プラズマディスプレイパネル(FHP)、台湾の液晶ディスプレー(LCD)大手のAUオプトロニクス(AU)の3社で合弁を設立することで合意した。FPCは生産設備、技術をFHPから導入し、今後の成長が見込めるFPD(フラットパネルディスプレー)分野で事業拡大を狙う。

◎荏原、台湾からゴミ処理用ストーカー炉を受注(2002年1月18日、日刊工業新聞)
 荏原は台湾行政院環境保護署から、基隆(キールン)市に建設する1日600トン規模のゴミ処理のストーカー炉を受注した。地元の環境装置メーカーである信誼(シンギ)とのコンソーシアムで、受注金額は80億円。1トン当たりの受注額では1330万円と日本での一般ゴミ処理向けストーカー炉の3分の1程度の安さになる。このため荏原は昨年スタートした海外環境エンジニアリング業務を行うエンバイロメンタルエンジニアリング(東京)と台湾の子会社荏原開立(カイレイ)をフルに活用し、機材はすべて海外調達で対応、アジアでのゴミ処理設備の新たな受注への先駆けとしていく。
 同案件はドイツ企業と台湾企業のコンソーシアムが受注していたが、台湾企業の経営が行き詰まりプロジェクトがやり直しとなった。ストーカー炉(300トン2基)としては同社の海外受注案件で最大規模。完成は2004年5月。80億円のうち荏原が28億円分を引き受ける。

◎エチレン設備で火災事故-台湾FPC(2002年1月16日、化学工業日報)
 台湾プラスチック(フォルモサ・プラスチック・カンパニー)グループ傘下のフォルモサ石油化学が麦寮石化コンビナートに有するエチレン第2系列で11日、火災事故が発生した。現在、ナフサクラッカーを含め停止しているが、同社では2週間以内に復旧するとしており、供給および製品市況への影響は軽微とみられる。

◎ホンダ、台湾に現法設立―3月から営業開始(2002年1月14日、日刊工業新聞)
 ホンダは台湾に全額出資の現地法人「台湾本田股分有限公司」を設立、3月から営業を始める。これまでは現地資本の三陽工業がホンダと技術援助契約を結び「アコード」など年間2万台(2001年見込み)を生産・販売していた。ホンダでは同社との関係を清算して経営の自由度を高め、地域内での部品・完成車の相互供給などでアジア市場の拡大に対応する。
 新会社は資本金1億7000万間(約6億円)、まず輸入販売から始めるが将来は自社工場の新設も検討する。三陽工業とは2輪車事業でも特許使用許諾契約を結んでいたが、この関係も解消する。

◎日本人の買春は許さない 台北市長、取り締まり強化指示(2002年1月12日、朝日新聞)
 台湾の性風俗を体験ルポも交えて紹介した日本の本が波紋を巻き起こしている。この本は女性の写真や風俗店の地図を付けた買春ガイド風の「極楽台湾」。昨年末から台北の日系書店に並び、これを台北市議が取り上げたため、馬英九・台北市長が激怒。「日本の観光客は歓迎するが、買春は別だ。一人でも来たら必ず捕まえる」と息巻く市長は12日、警察に取り締まりの強化を命じた。
 馬市長は昨秋に台北の風俗営業の取り締まり運動を展開したが、思ったほどの成果が上がらず、日本の性風俗本が市長の怒りに火を付けた形だ。台湾メディアもこの騒ぎを大きく取り上げ、「日本では30年前の買春観光のイメージがいまだに残っている」と嘆く新聞への投書もあった。
 一方で、台北と並んで紹介された南部の高雄市の謝長廷市長は「騒げば本の宣伝になるだけ。『極楽日本』で新宿の様子を紹介すればいい」と、冷めた対応だった。

◎台湾で初の大型ショッピングモール(2001年10月29日、産経新聞)
 台湾で初の大型ショッピングモール「微風広場(Breeze Center)」が10月26日、台北市内にお目見えした。国際ブランド品、高級ファッション、日曜雑貨などのほか、日本の紀伊国屋書店や東急ハンズとの提携店、日本食品も豊富なスーパーマーケットなども入っており、地元台北っ子だけでなく、日本からの観光客にも新しいショッピング名所となりそうだ。
 場所は、市内地図の中心点からやや東南部。復興南路と市民大道の交差点の東北部一帯にひろがる場所で、台湾製糖や清涼飲料の黒松企業の工場があったところだ。地下鉄(MRT)の復興忠孝駅から北へ歩いて数分のところにある。
 同ショッピングモールはA区、B区に分かれ、それぞれ地下3回、地上9回。地下5回、地上2階。総面積は7590平方メートル。数十にのぼるテナントのほか、最新設備を導入した映画館6館やイベント広場もある。 紀伊国屋書店(B区地下1回)はことし夏まで、近くの太平洋そごう百貨店に入っていたものが移転したもので、売り場面積はこれまでより数割ほど大きく、日本書の数も大幅に増えた。
11月には、この微風広場から東へしばらく行ったところに「金華城」と呼ばれる別の新しい巨大ショッピングモール(微風広場の3倍)も開店する予定で、このあたりは近くの太平洋そごう百貨店、中興百貨店を含め一大ショッピングセンターとなりそうだ。

◎新交通法規が9月より施行(2001年9月2日、民生報)
 台湾では9月1日より、新しい交通法規が施行され、シートベルトの着用が義務づけられたほか、運転中の携帯電話の使用が禁止となった。運転席および助手席でシートベルト未着用の場合、一般道路で1,500元(約五千円)、高速道路で3,000元から6,000元(約1万~2万円)の罰金、携帯電話使用は、自動車が3,000元(約1万円)、バイクが1,000元(約3,500円)の罰金が課せられる。
 台北市警察局は同日零時より、136人の警官を動員し、市内の各主要道路で特別取り締まりを開始した。この日1日で、シートベルト未着用で摘発された件数は3,851件に達した。携帯電話使用については、発見が難しいこともあり、90件に止まった。
 シートベルトは、八五年から高速道路での着用が義務づけられていたが、交通部の統計によると、施行以降、交通事故による死亡者は三分の一以上減少した。今回の法改正では、公共バスでも最前列など前に座席のない場所に座る乗客にはシートベルト着用が義務づけられている。違反すれば乗客に罰金が課せられる場合があり、旅行者も注意が必要だ。

◎おばけの月(2001年8月27日、産経新聞)
 台湾はいま、「おばけの月」(あるいは「鬼月」ともいう)に入っている。旧暦の7月1日(ことしは8月19日)から1ヶ月間を、台湾ではこう呼び、さまざまな宗教行事やしきたりが行われる。
 この月(とくに中元とよばれる旧暦7月15日)に霊界から霊が出てくるという道教の教えや、同じく旧暦7月15日に死者の霊をとむらう仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)から来ている風習といわれる。 ともかく、この月は霊界や地下から恐ろしい鬼や悪霊、おばけが出てくる。だから、その鬼やおばけ(台湾では改まって「好兄弟」という)をなだめるため、食べ物などを備えて供養をする。また、鬼やおばけにつかまらないように、この月はできるだけ外出などの活動を避け、じっとしているようにといわれている。とくに結婚、新築、旅行、入院、手術などはタブー(禁忌)とされ、きちんと守るひとたちがいまも多い。
 台湾にはこのように旧暦にそって行われる風習が数多くあるが、それらが日常生活と密接につながっており、台湾人の優しく豊かな精神性をつくっている。

◎バレンタインデー(2001年8月27日、産経新聞)
 台湾にはバレンタインデーが年に2度ある。ひとつは2月14日の世界的なバレンタインデーで、台湾では「西洋情人節」と呼ぶ。「情人」とは恋人の意味だ。「情人節」とはどこか心ときめく響きがある。 もうひとつは、旧暦7月7日(ことしは8月25日)の七夕(たなばた)の日。台湾では「七夕情人節」と呼ぶ。第2のバレンタインデーだ。
 なぜ、七夕が「情人節」かといえば、ご想像の通り、この日は天の川で、恋人どうしの牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)が年に一度のランデブーをする日―というところから来ている。また、台湾では、七夕の日は雨というジンクスがあるが、それは天で牽牛と織女が再会のうれし涙を流すからだという。
 日本と台湾ではバレンタインデーの祝いかたの習慣がちがう。日本では女の子が男の子にチョコレートを贈るのが習いだが、台湾では西洋情人節も七夕情人節も、どちらも男女の区別なく、それぞれがたがいに贈り物をし、内容もチョコレートに限っていない。恋人たちはこの日、いっしょに食事をしたり、映画をみたり、夜空を見上げたり、なかには結婚式を挙げたりして、特別な日として過ごす。
 もちろん、「情人節」セールもしっかり行われる。全体的には「西洋情人節」の方が世界的ということもあってか、「七夕情人節」より盛り上がって売り上げも伸びるそうである。

◎台北市、一年間で24%ゴミ減量(2001年8月23日、民生報)
 台北市は昨年の七月からゴミ収集の有料化(専用のゴミ袋(有料)を市民に購入してもらう)を実施しているが、この一年間に収集されたゴミの量は前年より約24%も減少したことが明らかになった。
 同市環境保護局によると、一昨年に収集したゴミの量は約135万トンで、昨年は103万トンにまで減少したという。有料化がゴミの減量に有効であることが証明されたわけだが、台北市民1人当たりのゴミの量(1日分)に換算すると1.07%となり、この数値はその他のアジアの都市、たとえばソウルの0.61%と比べると高いことがわかる。台北とソウルの違いは、後者が台所の生ゴミを全面的回収している点にある。このため、台北市では第二段として今後台所の生ゴミ回収を実施することにしている。
 現在台北市のゴミ処理コストは30億元(約百億円)で、ゴミ袋の販売収入はそのうちの三分の一をまかなうだけという。ちなみに、各家庭のゴミ袋の平均支出額(年間)は77~104元(約260~360円)。

◎貧富の格差5.55倍に(2001年8月18日、民生報)
 行政院主計処が発表した昨年の家庭収支調査によると一世帯当たりの平均所得額は約891,000元(約311万円)で、一昨年の889,000元(約307万円)より0.3%増加した。また、最高所得者層の所得額と最低所得者層のそれとを比較したいわゆる貧富の差は5.55倍に拡大し、一九六四年以来の最大幅となった。貧富の格差の拡大について主計処では「高齢者と核家族の比率が増加し、一世帯当たりの就業者が相対的に減少していることと、第四・四半期以降の失業率の上昇が主な原因」と見ている。
 ちなみにこの数値は日本の4.7倍や韓国の5.3倍より高いが、フランスの7.5倍、シンガポールや香港の9倍より低く、世界的には平均レベルにある。

◎台湾・奇美実業、PC樹脂拡大競争に参戦(2001年7月24日、化学工業日報)
 奇美実業は、旭化成との合弁会社「旭美化成」(奇美実業51%、旭化成49%出資)が台南で建設中のポリカーボネート(PC)樹脂について、数年後をめどに年産25万トン規模まで生産能力を拡大する方針だ。関係筋が明らかにした。おう盛な需要の伸びに対応するとともに、先行メーカーの拡大競争に参戦、アジア市場で確固たるポジションの確立を目指す。

◎台湾でこんどは20元の新コイン発行(2001年7月23日、産経新聞)
 新100元紙幣に続いて新たに20元硬貨が9日発行された。注目はデザインで、表裏に先住民文化が始めて採用された。新紙幣からはこれまでの蒋介石肖像が姿を消しており、台湾の民主化時代を反映しているようだ。

◎中国で塩ビ樹脂生産計画-台湾FPCグループ(2001年7月19日、化学工業日報)
 台湾プラスチックス(FPC)グループが3億ドルを投じて中国本土に石油化学プラントを建設する計画が浮上している。建設するのは塩化ビニル樹脂(PVC)プラントで、実現すれば同グループにとって中国で初のPVC生産拠点になる。台湾政府は5000万ドルを超える対中投資を原則禁じているが、中国への進出ブームが高まるなかで産業界からの規制緩和圧力も増している。FPCグループは中国での投資プロジェクトを管理する事務所も上海に開設する予定で、今後、中国での投資を積極化する。

◎北京五輪に経済界は熱い視線(2001年7月16日、産経新聞)
 2008年の夏期オリンピックが中国・北京で開催されることが決まったが、台湾では、「直接中国の武力の脅威にさらされる機会が減り、中台関係の融和と改善が期待できる」とおおむね肯定的に受け止められている。特に経済界からは「中国でのビジネスチャンスが拡大する」と、歓迎の声が高い。
 北京は13日にモスクワで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2008年の夏期オリンピックの開催都市に決まった。北京にとっては2000年の開催をめぐってシドニーに惜敗した8年前の雪辱を果たした形となった。
 政府は北京開催の決定直後に、武力不行使の呼びかけを含む祝福の声明を発表。中華台北オリンピック委員会(CTOC)も、中国オリンピック委員会(COC)に祝電を打った。

■中台関係の改善に期待
 決定から一夜明けた翌14日の台湾各紙も、一部を除いて北京五輪開催におおむね肯定的な評価を下した。これは中国が五輪開催へ向けて、国際社会と協調していく必要に迫られると見られるためだ。国内で厳しい人権弾圧を行い、周辺地域で武力衝突を引き起こすなどした場合、北京五輪は米国を始めとした先進諸国のボイコットを受ける可能性が高く、成功が難しくなるからだ。このため台湾への武力行使の可能性が減り、中台関係が改善するという期待が高い。『聯合報』『中国時報』が行った電話アンケートでも、「北京五輪は中台関係の改善に有益」という回答が、『聯合報』で55%、『中国時報』で47%とそれぞれ最も高くなった。
 しかし、中国が五輪を対台統一工作にフルに利用する懸念もまた高い。中国は早速聖火リレーのコースに台湾を含めたいという意向を示しているが、台湾政府は「平等互恵と国家の尊厳が守られること」が前提条件として、「中華人民共和国の一地域」として聖火リレーが通過することには拒否する姿勢だ。また呂秀蓮副総統も「中国は台湾にとって脅威であることを忘れてはならない」と釘をさした。

■「700億米ドルの商機」に熱い視線
 一方、経済界は北京五輪を「久々の明るいニュース」と歓迎している。台湾経済は現在、地場企業と外資の中国移転や製造業のリストラが相次ぎ、株価指数も6年ぶりの安値を記録するなど、1950年代以降では最悪とも言われる不況に苦しんでいる。
 こうした中で、台湾企業には「急成長を続ける中国市場こそ活路」というムードが広がっており、「北京五輪景気」で中国の成長がさらに加速する期待もあって、北京五輪は絶好のビジネスチャンスと受け止められている。五輪の恩恵を受ける業界は、最も直接的なスポーツ用品業界をはじめ、通信設備やコンピューター、土木、建設、不動産、食品、商業など幅広い。また協賛の形を取れば、自社ブランドの宣伝に大きなプラスだ。
 台湾パソコンの最大手・エイサー(宏碁電脳)は台湾企業の中で唯一、五輪協賛企業として既に名を列ねている。北京五輪では中国のパソコン最大手の聯想(レジェンド)グループと共同で通信システムのサービスを提供する構想で、北京五輪を契機にブランド力をさらに高めたい考えだ。また自転車最大手の巨大機械工業(ジャイアントMFG)も、「北京五輪で、中国での売上げは2008年に昨年の3.6倍になる」と期待は高い。
 ただ、企業にとってはビジネスの拡大は死活問題だが、一方では「台湾の空洞化がさらに進行する」「中国経済に組み込まれ台湾の地位が低下する」との懸念の声も出ている。

■中国は変化、影響は台湾に
 中国は五輪を開催することによって、今後7年間でさらに改革開放政策が進み、経済、社会制度、ひいては対外姿勢など変化を遂げて行く可能性は高い。そして中国の変化に応じて、台湾の社会と経済も大きく影響を受けることになりそうだ。

◎台湾で新しい100元札が発行(2001年7月2日、産経新聞)
 台湾では7月2日から新しい100元札が発行された。昨年7月の1000元札、その後の500元札の刷新に続くもので、陳水扁政権発足後に始まった一連の紙幣刷新がこれで完了した。新時代に合わせたデザインにするのと、偽造防止が主な目的。また、発行元も従来の台湾銀行から、台湾(中華民国)の中央銀行に代わった。
 新100元札は、従来の100元札と幅(70ミリ)は同じだが、長さが150ミリと約10ミリ短くなった。ちなみに新札は幅はどれも70ミリで同じだが、長さは1000元札が160ミリ、500元札が155ミリと5ミリずつ小さくなっている。
 新1000元札は青、新500元札は茶が基調だったが、新100元札は、これまでと同じく赤が基調となっている。これには訳がある。台湾では100元札は旧正月のときなどのお年玉(紅包=ほんぱお)用に欠かせない。紅包は赤が好まれる。だから、100元札は赤でなけれならないのだという。
 新100元札の図柄は、従来のものとあまり変わらず、表面には従来と同じく国父・孫文の肖像を使っている。新1000元札、500元札のときは、従来の蒋介石の肖像が消え、子供たちや少年野球の図柄になって話題を呼んだが、新100元札は孫文そのままで落ち着いた。1000元、500元札から蒋介石の肖像が消えたのは、戦後、台湾を独裁支配した蒋介石に対する台湾人の複雑な思いがそうさせたといわれる。
 偽造防止策は、新100元札にも14種類が導入されているが、もっとも簡単に確かめられるのは、1000元札、500元札と同様、表面の額面を示す数字。たとえば100と言う数字を角度を変えてみると、色が茶、緑、赤、紫などに変化する仕掛けだ。
 ちなみに、台湾元の正式の単位は「円」の旧字(正字?)の「圓(ユエン)」。中国語では読みが同じなので一般には「元(ユエン)」が用いられるが、紙幣には「圓」と印刷されている。

◎台湾の大王電子、中国工場拡大・半導体増産(2001年7月6日、日本経済新聞)
 台湾の半導体メーカー、大王電子は約4億ドルを投じて中国に半導体工場を新設する。直径8インチ(200ミリ)のシリコンウエハー換算で年間2万枚の生産能力を持つ工場を2003年初めに稼働させる計画だ。新工場は大王電子の中国関連会社、南科集積電子が広東省珠海市に設ける。昨年末に稼働した同社の直径6インチ(150ミリ)ウエハー工場に隣接する8800平方メートルの敷地を珠海市政府から無償で譲り受ける。
 各種デジタル機器向けの半導体製品を中国の家電メーカーなどに供給する予定。ウエハーに電子回路を描く線幅が0.20マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルという微細加工技術を持つ中古の製造装置を「米国や日本のメーカーから購入することで投資額を低く抑える」(南科集積電子の呉緯国董事長)という。米政府は0.25マイクロメートル以下の製造装置の対中輸出を認めていないが、呉董事長は「中国の世界貿易機関(WTO)加盟を受け規制は緩和される」と期待している。

◎ターゲット事業でバルザースと提携―三菱マテリアル(1999年4月13日、産業新聞)
 三菱マテリアルは12日、光磁気用スパッタリングターゲット材事業でリヒテンシュタイン国のバルザース社と業務提携を結んだと発表した。MD(ミニ・ディスク)向けなど同ターゲット材の需要が欧州で増加していることに対応するもので、すでに今月から提携業務を開始している。三菱マテリアルでは今回の提携により欧州地区での売上高を99年度で4億円、2001年で5倍の20億円を予想している。
 三菱マテリアルは半導体や液晶、光記録用などを手掛けるターゲット材メーカーで、同事業の売上高は年間100億円規模に達している。中でも、光磁気用については世界シェア60―70%を持ち、ターゲット材1枚によるディスクの処理枚数を増やした超低透磁率型の製品などはディスクメーカーからの評価も高いという。一方のバルザース社はスパッタ装置などを手掛けるメーカーで、光・光磁気用スパッタ装置では業界での販売シェアはトップ。
 今回、両社が提携した業務内容はターゲット材本体を三菱マテリアルの三田工場(兵庫県三田市)から供給、ボンディングおよび仕上げ加工を現地で行うというもの。また、販売と顧客サポートについてもバルザース社が担当することになっている。
 三菱マテリアルでは昨年10月から台湾において光・光磁気用スパッタリングターゲット材の後工程を開始するなど、同分野におけるグローバル戦略を加速している。同社ではバルザース社との提携により、今後は欧州地区での納期短縮や品質・技術面でのサポート体制を一層強化していく方針だ。

◎三菱マテリアル(1998年7月22日、産業新聞)
 三菱マテリアルは21日、スパッタリングターゲット材事業で台湾へ進出すると発表した。CD-RW(書き換え型CD)やMD(ミニディスク)など光ディスク用ターゲット材の需要が台湾で増加していることに対応、現地子会社でボンディング加工に取り組んでいく。操業開始は今年10月の予定で、生産規模は月1000枚程度でスタート、将来的には月2000枚規模への拡張も検討している。
 ボンディング加工を行うのは、同社の全額出資子会社で円板コンデンサーを生産するMMCエレクトロニクス台湾社(台中市)。既存の工場建屋内にクリーンルームとボンディング装置を設置して、リサイクル使用される冷却用銅板(バッキングプレート)にターゲット材を全面はんだ付けする最終工程を手掛ける。ターゲット材本体は国内の三田工場(兵庫県三田市)から供給する。
 台湾進出の背景はCD-RWやMD、DVD-RAM(書き換え型DVD)など光ディスク用ターゲット材の輸出がここ最近増加しているため。台湾では96年に光ディスク専業メーカーが数社誕生しており、今後はパソコン外部記憶装置用にとどまらず、AV用デジタル記憶分野でも需要増加が見込めるという。
 三菱マテリアルのスパッタリングターゲット材事業の年間売上高は約100億円。特に書き換え用光ディスクの分野では世界シェアの50%以上を占める最大手。
 台湾進出を決めたことで同社では現地でのサービス・管理体制を一層強化するとともに、将来的にはLCD(液晶ディスプレー)や半導体用ターゲット材など含めて同事業の規模拡大に努めていく考えだ。

◎台湾・AUオプト、PDPなど相次ぎ製品化(2001年7月4日、化学工業日報)
 台湾の大手半導体受託生産会社とパソコンメーカーが9月に設立する表示装置合弁会社、AUオプトロニクスは、2002年をめどプラズマディスプレーパネル(PDP)とLCOS(リキッド・クリスタル・オン・シリコン)、低温ポリシリコンLCD(液晶表示装置)、それに有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を製品化する。同社は中・小型LCDを主力にしているが、最先端ディスプレー市場を狙ってパートナーと提携し、新工場を建設する計画。これによってフラットパネルディスプレー(FPD)の品揃えを強化し、2004年には1000億台湾ドルの売り上げを目指す。

◎台湾・中国鋼鉄、日本勢に出資要請へ(2001年7月4日、日本経済新聞)
 台湾鉄鋼最大手の中国鋼鉄は3日、約7000億円を投じ、世界最大級の製鉄所を台湾南部の台南県に建設する計画を明らかにした。アジアで大型製鉄所を建設するのは、1987年に稼働した韓国・浦項総合製鉄の光陽製鉄所(光陽市)以来約20年ぶり。中国鋼鉄の郭炎土会長が7月下旬に来日、新日本製鉄とNKK・川崎製鉄グループに出資や技術協力を要請する。
 鉄鋼国内首位の新日鉄は韓国の浦項と包括提携、中国の上海宝山鋼鉄からも出資要請を受けている。一方、2002年にNKKと経営統合する川鉄は韓国の現代ハイスコと包括提携し、「新日鉄―浦項連合」に対抗する。国内で激しく競い合う両陣営はいずれも中国鋼鉄との提携に意欲を示しており、中国鋼鉄がどちらの陣営に加わるかで、アジアの鉄鋼メーカーの勢力図が大きく変わる。台南県の新製鉄所は台湾当局の正式認可を受けたうえで、来年をめどに着工。2010年には粗鋼生産能力で1400万トンの製鉄所にする。鉄鉱石やコークスを投入して銑鉄を作る高炉を4機設置する計画だ。

◎テクノファイン、台湾社に薄膜形成用材料の技術供与(2001年7月3日、日本経済新聞)
 電子材料加工のテクノファイン(川崎市、上野順社長、044・986・7041)は台湾の鉄鋼大手、中国鋼鉄に技術供与し、9月から台湾で薄膜形成用材料の生産を始める。液晶表示装置(LCD)や半導体の薄膜形成に使うターゲットと呼ぶ材料を生産、台湾と中国を中心に共同販売する。台湾だけでなく、中国も液晶、半導体などの世界の生産基地となるのをにらみ、有力企業と組んでアジア展開を進める。
 薄膜形成手法のスパッタリング(真空放電ガス薄膜形成)では、ターゲットにアルゴンイオンをぶつけて、飛び出る原子を基板に蓄積する。テクノファインは薄膜の用途、機能に合わせ、金属、セラミックス、樹脂など様々な素材から成るターゲットを生産するノウハウを持つ。
 テクノファインは近く中国鋼鉄と提携契約し、生産技術を提供する。中国鋼鉄は高雄市の本社工場を中心にターゲットを生産し、最終加工まで手掛けて出荷する。生産規模など詳細は今後詰める。台湾と中国市場は中国鋼鉄、日本と韓国市場はテクノファインがそれぞれ販売する。

◎深江パウテック、台湾社から流動層造粒乾燥機輸入販売(2001年6月22日、化学工業日報)
 粉体機械メーカーの深江パウテック(本社・神戸市北区、不動雅一社長)は、台湾の元成機械と輸入販売代理店契約を締結、今月から流動層造粒乾燥機の販売を開始した。同製品は低コストで造粒、乾燥性能に優れており、すでに欧米アジア諸国で300台以上の販売実績を有している。深江パウテックはこのほかにも海外メーカー数社と代理店契約を結んでおり、今年度から相次いで新製品を市場投入している。これら海外製品の拡販により、5年後には全体の売上高を倍増する。

◎台湾に新ビール登場(2001年6月18日、産経新聞)
 台湾産ビールといえば、これまでは一種類の「台湾ビール」だけだった(びんビールには「生」もあるが)。そこへ、このほど「Yankee(ヤンキー)」という名の新しい台湾産ビールが登場した。
 台湾では酒、タバコは公売局(専売局)の独占事業で、民営化されていないが、公売局がこのほど、シェアを拡大する外国産ビールに対抗して、輸入ビール市場でのシェア獲得を目指して製造、発売に乗りだしたものだ。
  米国バドワイザー社の技術を導入して製造したラガー・ビールで、「切れがよくマイルド」な味だそうだ。缶のデザインは米国をイメージしてか、赤と青の色を基調にしたアメリカっぽい感じになっている。
  台湾の輸入ビールは日本、米国、ドイツが主流で、台湾全体のビール市場の12%を占めているが、公売局では、新ビール「ヤンキー」をこの市場に投入して、1年以内にその半分程度のシェアを獲得したいと意気込んでいる。
  販売の最大の武器は、味もさることながら価格。ヤンキーの市販価格は従来の台湾ビールと同じで1缶25台湾元(約90円)。他の輸入ビール(30元~40元)に比べ、割安になっている。台湾旅行の際にはぜひ試していただきたい。

◎中台、緊張高まる(2001年6月17日、産経新聞)
 中国と台湾の間で緊張が高まっている。中国人民解放軍が10万名の大規模な兵力を動員し、台湾海峡一帯で史上最大規模の軍事演習を繰り広げているなか、台湾は今週中にパトリオットミサイルの発射訓練を行うと見られている。
 華僑を対象にした中国紙、僑報は17日、台湾の軍消息筋の話として「台湾軍が19~22日中にパトリオットミサイル発射訓練を実施する」とし、ミサイル発射訓練の場所は台湾南部の屏東県九鵬基地だと伝えた。この台湾筋は「これ以上詳しい発射時間と日程は訓練保安のため、事前に公開されない」としながら、「今回の訓練は、定期訓練の一環であり、不必要な憶測はしないでほしい」と述べた。
 これに先立ち、台湾の伍世文国防相も、6月中にパトリオットミサイル発射訓練を行うことを確認した。伍国防相は、特に「これは米国本土以外では初めて行われる発射訓練だという点で意味深い」と述べ、中国の威嚇に備え、台湾と米国が足並みを揃えていることを示唆した。
 今回のパトリオットミサイル発射訓練には米軍関係者も参加し、台湾の陸海空軍の観測チームと共に試験結果を分析する予定だと、台湾の軍関係者が明らかにした。台湾はこの観測のため、MPQ-53レーダーとMSO-104接戦統制センターの装備などを重要観測地点にあらかじめ配置したとされる。
 中国は、台湾に隣接した福建省東山島で10万名の大兵力と先端装備を動員し、史上最大規模の軍事演習を繰り広げている。中国人民解放軍は、今回の演習で台湾本島上陸を想定した総合上陸作戦に重点を置いているものとされ、台湾を刺激している。

◎台湾人は大陸目指す、64%が就職希望(2001年6月13日、産経新聞)
 台湾の大陸進出熱がますます高まっている。企業1,610社を対象とした調査では、7割が両岸の「三通(通商、通航、通信の直接往来)」に賛成と回答。また、一般市民に対する求職サイトの調査では、64%が「大陸で就職してもよい」と答え、企業のみならず、市民の間でも大陸でチャンスをつかもうという意識が強いことがうかがえた。
 台湾経済部の委託で企業1,610社を対象に行われた調査によると、両岸の「三通」について、70%近くが「賛成」と回答。「どちらでもよい」は26.21%、「賛成しない」はわずか4.84%で、経済交流強化を望む企業が多いことが分かる。
 業種別では、家電、がん具、基本金属製品、通信機器、精密機器、化学、機械で「賛成」の比率が高かった。
 両岸が世界貿易機関(WTO)に加盟した場合、25%が「大陸での投資を増やす」と回答、「台湾での投資を増やす」の13%を上回った。業種別では、プラスチック、繊維製品、靴・傘・帽子、電子製品、機械、電機、化学、通信機器、家電、がん具、輸送設備、家具で「大陸での投資を増やす」の比率が20%を超えた。
 一方、「台湾での投資を増やす」が20%を超えたのは電子製品のみ。また、「台湾での投資を減らす」は11.2%に上ったが、「大陸での投資を減らす」はわずか1.61%だった。

■勤務希望先1位は上海
 大陸進出熱は企業のみならず、一般市民の間でも高まっている。台湾の有力求職サイト「104人力銀行」が昨年末に行った「求職者西進調査」(中国大陸での就職に関する意向調査、有効回答1万5,000件)では、64%が大陸での就職を希望。うち「就職を強く望む」は25.1%、「就職したい」とした人は39%だった。
 理由としては、「大陸市場に将来性を感じる」30%、「自分の力を発揮するチャンスがある」とした人が24.5%で、かつての大部分が「給与が高いから」としていた状況から様変わりしている。
 「就職してもよい」と回答した人のうち、希望の就職先は、企業別では1位が「現地の台湾企業」、次いで「現地の米国企業」。地域別では上海がトップだった。別の統計によると、上海を中心とする長江デルタ地域で就職する台湾人が年々増え、既に30万人が居住しているという。
 大陸就職の不安な点としては、治安や不透明な法律、政治的要素を挙げる声が多かった。<全国>

◎台塑、大胆な環境保護計画を発表 全家庭の生ゴミと豚の排泄物を無料回収(2000年6月1日、中華週報、1956号)
 台塑(台湾プラスチック)グループの王永慶会長は四月二十九日、環境問題について行政院農業委員会メンバーや国内の養豚業者の代表、環境保護団体代表、台湾大学の学者らと共同でおこなった討論の席上、「遅くとも年末までに台湾全家庭の台所で出る生ゴミと、全国の養豚場の豚の排泄物を無料で回収する」と発表した。台所の生ゴミの一部は熱処理などを加え特殊加工したのち豚の飼料として活用し、残りは豚の排泄物と一緒に独自のシステムで有機肥料として再生するという。 
 家庭の生ゴミ回収についてはすでに専用のプラスチック製バケツを設計済みで、全国の約四百万戸の各家庭に二個ずつ配布し、週に三回、指定の場所で決まった時間に回収をおこなう計画だ。回収した生ゴミを集めて醗酵させ肥料を作るための堆肥槽を建設する土地もすでに決定しており、桃園県(四十ha)、彰化県(十三ha)、屏東県(五十ha)を予定しているという。 
 王会長は二年ほど前、家庭の生ゴミと養豚場の豚の排泄物がもたらす環境汚染について、当時台北市長だった陳水扁氏や環境保護局長らと話し合ったことがあるが、結論には至らなかった。「現在台湾では生ゴミや豚の排泄物は河川に流れ込み、大地を汚染している。ゴミの分別がきちんとなされず、生ゴミは多く水分を含んだまま一般のゴミといっしょに焼却炉に入れられ、有害なダイオキシンの発生につながっている。生ゴミで豚を飼い、豚の排泄物で肥料を作り緑化をはかるこの方法は有効なリサイクルだ。政府まかせでなく、みずから解決することにした」と、計画の動機を語っている。 
 台湾プラスチックは現在、六カ所のナフサ工場を持ち、一万六千人の職員を抱える台湾でもトップクラスの大企業だ。そこで出される生ゴミの量は一日あたり四・五トンにのぼる。「倹約経営の神様」と称され尊敬されている王会長は、第六ナフサ工場の開設と同時に有機肥料工場を建設し、二十四時間無人稼働の最新生ゴミ飯処理システムを導入した。これにより、四・五トンの生ゴミは一日で三百キロの有機肥料に変えることができるようになった。 
 こうして作られた有機肥料と一般の肥料を芝生の生育を通して実験したところ、結果は一般の肥料より三・五倍もの効果が認められたという。この有機肥料を使えば、野菜や果物、植物の増産が可能になるという。 
 第六ナフサ工場では敷地内におよそ二百ヘクタールの緑地があるが、この有機肥料を使うことにより毎月、三~四百万元(約千五百万円~千七百万円)を節約できるという。今後、リサイクルしてできた有機肥料は同社のブランド入りで市場に販売することも検討している。 
 王会長はもともと、有機肥料の製造と販売以外に、生ゴミで作った飼料を与えて「環境保護豚」を飼育する構想をもっていた。だが討論の席上、養豚業者から「自分たちの生計が脅かされる」との強い反発に遭い、養豚の計画は中止することになった。今後の計画の具体的推進について王会長は、「各市町村に新たな負担を求めるようなことはないが、実施には協力して欲しい」と語っている。

◎パソコンが製造業売上首位 目立つハイテク産業の躍進(2000年1月14日、工商時報)
 昨年(1999年)の台湾の製造業において、パソコンメーカーの宏碁電脳(エイサー)が売上1,278億元(約4,500億円)を記録し、売上高第1位となった。このほか製造業売上高上位10位以内に情報技術産業が7社も入り、前年1位であった中国鋼鉄は8.7%の減収となって3位に落ちた。2位の南亜プラスチックは前年比14%の増収となり、今年は売上1,100億元(約3,500億円)を目指している。
 昨年マイナス成長となった中国鋼鉄は、今年は1,000億元突破を目指しているが、昨年の順位の変動は、台湾では情報通信産業がますます優位になりつつあることを示している。この波のなかで昨年4位の宏達電脳は今年25~30%の増収を目標とし、5位の台積電路は目標を公表していないものの、宏電と同じく1,000億元突破を目指しているものと思われる。台湾ハイテク業界の勢いから見れば、情報通信関連で売上1,000億元を突破する企業が数社出るのは確実と見られる。
 1999年の製造業売上上位10社の順位と主な製品、売上高(単位、1億台湾元。1元=3.5円)は以下のとおりである。(カッコ内は1998年の順位)
1位(2) 宏碁電脳(エイサー):デスク型、ノート型パソコン 1,278
2位(3) 南亜プラスチック(台湾プラスチック・グループ):化学素材 946
3位(1) 中国鋼鉄:鉄鋼素材 898
4位(8) 広達電脳:ノート型パソコン 753
5位(9) 台湾積体電路製造:半導体 731
6位(10) 英業達:ノート型パソコン 631
7位(11) 大同:デスク型パソコン 615
8位(4) 和泰自動車(トヨタ系):自動車 529
9位(14) 鴻海精密:デスク型パソコン 519
10位(6) 中華自動車(三菱自動車系):自動車 507

◎コマツ電子金属、台湾のシリコンウエハー工場竣工/高品質、高効率な生産ライン構築(1999年3月24日、半導体産業新聞)
 コマツ電子金属(株)(神奈川県平塚市)は、台湾雲林県に建設を進めていたシリコンウエハー工場が完成し、1999年3月3日に工場開所式を行った。
 この工場は、コマツ電子金属と台湾プラスチックとの合弁で95年11月に設立した台湾小松電子材料の新工場。単結晶シリコンの引き上げから鏡面ウエハーの加工に至る一貫生産工場として竣工。

◎最新インターネット普及状況(1998年4月1日、聯合報)
 世界中で予想以上の早さで普及しているインターネット。台湾でも、政府が音頭をとって普及を大きく広げようとしているが、実態はどうなのだろうか。
 台北『聯合報』は、2月23日から3月23日の1カ月間、台湾地区の電話帳から無作為に抽出した15歳以上の住民3,830人を対象に電話による大規模な調査をおこなった。実際にインターネットを利用したことのある「インターネット族」は、サンプル全体の約20%にあたる771人で、以下は、この771人に対しておこなわれた調査結果の一部である。

・典型的な利用者像
 さて、台湾の典型的な「インターネット族」はどんな人なのだろうか。調査結果からは「勤め人、若者、高学歴、男性、北部の都市部に居住」という像が浮かび上がった。
 職業を見ると、「勤め人」65%、「学生」27%で、専業主婦や定年退職者は全体の4%にすぎなかった。
 年齢の分布は、やはり若者の天下で、30歳未満が53%を占め、50歳以上はわずか3%だった。
 学歴は、96%が高卒以上で、そのうち約四割が大卒または大学院卒だった。このほか、性別では、男性55%、女性45%となった。

・地域格差解消が課題に
 また今回の調査では、「インターネット族」には地域的な偏りがあることも明らかになった。北部在住が五割以上を占め、東部在住者に至っては2%という極端な結果が出た。
 「都市化レベル」を指標とすると、「インターネット族」は、都市化レベルが比較的高い地域に集中しており、台北、高雄の両直轄市と五つの省直轄市(台中、台南、基隆、新竹、嘉義)在住者が65%を占めている。
 こうした「地域格差」は、大学生を対象とした別の調査でも出ており、「行政の全面的コンピュータ化」を目指す台湾としては、全国的な普及が差し迫った課題となるだろう。

◎台湾テレホンカード事情、発行も収集熱も「第三期」に突入(1997年11月6日、中国時報)
 使用済テレホンカードの寄付を受け付けるボランティア団体がある。これは、海外のコレクターの間で、デザインの美しい日本のテレホンカードの人気が高く、使用済であっても一枚いくらかで売れるため。このように、テレホンカードには、切手と同様、世界中にたくさんのコレクターがおり、ときには投機の対象にもなりうる。
 台湾でもテレホンカードのコレクターは多く、日本のカードのファンも少なくない。台湾におけるテレホンカード事情を探ってみよう。

・台湾のテレホンカード「史」
 台湾では1984年にテレホンカードの発行が開始された。ぺらぺらの日本のテレホンカードとは異なり、ちょうどクレジットカードくらいの厚さがある。中華電信(日本のNTTにあたる電話会社)や関係業者の概算によると、台湾のテレホンカード・コレクターは五万人から十万人の規模。最近、テレホンカード市場の低迷によって、取引価格も下がってきており、一般のコレクターにとっては、手頃な価格でお好みのカードを集めるチャンスだという。
 台湾のテレホンカードは、発行時期によって次の三期に分けられる。①発行開始の八四年から八八年三月末までの旧電信総局の一色刷のもの、②八八年四月から九六年六月末までに発行された旧電信総局のカラー刷のもの、③電信総局が中華電信に民営化された九六年七月以降のバラエティに富んだデザインのもの。
 第一期のカードは、紫色、青色、オレンジ色の単色で、図案といえるようなものもなく、コレクター自体少なかった。しかし、これら最も初期に発行されたカードには希少価値があり、現在何万元(一元=約4円)にも値上がりしているそうだ。
 第二期には、カラーのものが出回り出し、毎月一、二回定期的に発行されたため、コレクターもしだいに増え、台湾のテレホンカード収集は「黄金時代」に突入した。しかし、発行枚数も種類も限られていたので、発売日にはコレクターが殺到し、一週間ですべて売り切れという状態が続き、電信総局が急遽単色のカードを臨時発行する騒ぎになったこともあった。この時期のテレホンカードで最も有名なのは、最初に発行された十三種と故宮文物シリーズの十三種で、それぞれ高値がついている。
 第三期には、電信総局が民営化されて中華電信となって、一般のテレホンカード以外に広告用、政府広報用のカードの発行も始まり、発行枚数が激増、デザインも格段に豊富になった。現在では、毎月約五百万枚のカードが発行されている。しかし、皮肉なことに、これがテレホンカード市場の低迷につながっているという指摘もある。種類が多すぎて、収集自体をあきらめてしまうコレクターが続出しているというのだが…。

・中華電信の新たな試み
 中華電信では、昨九七年三月に台北市忠孝西路に「公用テレホンカード・センター」を開設した。各種のカードを展示する以外に、発行情報の提供および以前発行されたカードの再販売をおこなっている。 たとえば、最近では、八六年から九三年までに発行された百枚あまりのカードをセットにし、額面一万九千八百元のところをホルダー代金を合わせた二万元(約八万円)で販売して、大きな話題を呼んだ。また九四年以降のカードについても、数枚一セットで定価販売している。
 一部の業者の間には、中華電信がコレクター市場の状況を無視して定価で古いカードを売ることに不満の声も上がっているが、同センターでは、今後「友の会」を組織し、コレクターとの意見交換やアフターサービスに努めたいとのこと。

・日本のテレホンカード
 日本のテレホンカードは、台湾にも一定のファンがいる。図案が美しく、一日で七、八十種類も発行されることから、コレクターにとってはたまらない魅力があるらしい。
 台北テレホンカード協会の池永媛代表によると、台湾で人気のある日本のカードの図案は、「ちびまる子ちゃん」などのアニメ・キャラクター、木村拓哉などのアイドル、富士山などの風景などで、デザインによっては使用済みのものも取引されている。

・欧米のテレホンカード
 台湾で欧米のテレホンカードを集めている人はそれほど多くはないが、イギリスの故ダイアナ元皇太子妃のような著名人のものやディズニー・アニメなどには人気がある。

・大陸のテレホンカード
 中国大陸では九三年にテレホンカードの発行が始まったが、発行種類が少なく希少価値があるため、コレクターの新たな標的となっている。
 大陸のテレホンカードは、九六年から値上がりを始め、昨九七年には香港返還ムードが追い風となって、両岸および香港で価格が急騰した。最高潮は四月で、例えば額面六ドル相当の大陸の地図をデザインしたものが、一時千五百ドルにまで値上がりしたが、夏には四百五十ドルにまで値を下げた。このように価格の変動が大きいことから、台湾の関係者は、単に投機目的で大陸のテレホンカードを買わないようコレクターに注意を呼びかけている。







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