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 2013年3月7日








◎マサチューセッツ州、ソフトウェア・ライセンスが存在するクラウドは課税対象と定める
・無料提供されているものやオープンソースは非課税とのこと(2012年8月21日、ComputerWorld、Network World米国版)
 クラウド・コンピューティング・サービスに対する税の徴収はどのような場合に行い、どのような場合には行わないのか――。これは米国の多くの州が今も取り組んでいる問題だ。そうした中、マサチューセッツ州が1つの判断を下した。
 ときにタクサチューセッツ(Taxachusetts)と揶揄される同州は8月、一握りの他州にならい、彼らと同じ結論を導き出した。すなわち、クラウド・ベースのSaaS(software as a service)は、任意のプログラムを動作させ、マサチューセッツ州民が同サービスを消費するのにライセンスが必要になるような特定の条件下では、課税対象だというのである。当該のソフトウェアがオープンソースだったり、無料で使用可能だったりするときは非課税とすると、同州の歳入局は規定した。
 法律事務所Reed Smithに所属し、テクノロジー法を専門とするケリー・ミラー(Kelley Miller)氏は、州政府がクラウド税を徴収する方法に特に注目して追いかけてきた人物。同氏もまた、州にとってこれは扱いがきわめて難しい問題と指摘する。マサチューセッツ州歳入局の裁定文書には、市場は「急速なペースで」進化しているとあった。同局はさらに、ディスクもしくはハードウェアの一片など物理的なモノの取引が存在しないため、従来の税法では新たなクラウド・コンピューティングの時代に対応できないと述べている。それでもマサチューセッツ州は、ほかの州と同じ見解に達した。要するに、「人々が購入しているモノが10年から15年前には箱で買っていたモノかどうかが問題だ」という。そうだとしたら、マサチューセッツ州はそれに税金をかけるわけだ。
 ライセンスを必要とせず無料で利用できるときは非課税だと、マサチューセッツ州は定めている。ミラー氏は、同州の取り決めに従えば、「Google Docs」や「DropBox」といった広範なクラウド・サービスが非課税ということになると説明した。もっとも、一部のサービスについては課税対象とする余地があるそうだ。歳入局の声明によると、プロバイダーによって別途課金されるデータ転送料が発生する場合は、電気通信サービス法の下で課税されるという。
 マサチューセッツ州やその他の州の決断に対するクラウド・プロバイダーの反応に興味があると、ミラー氏は話した。一部の州の企業は、ライセンスを設定せずソフトウェアを無料で提供する、あるいはオープンソースとしてアクセスを許可するなどして、節税効果を得られるかもしれない。ミラー氏は今後、これらの新規定を考慮に入れて商品の提供方法を変える企業が出現するかどうか見守っていくという。

◎シリア前首相の制裁解除、米、政権離反理由に(2012年8月15日、産経新聞)
 米政府は14日、シリアのアサド政権を離反したヒジャブ前首相に科していた、米国内の資産凍結などの経済制裁を解除したと発表した。
 ヌランド国務省報道官は記者会見で「制裁は政権を締め上げ、資金を枯渇させるのが目的であり、政権から離脱した人物は対象ではなくなる」と説明した。
 米政府は反政府勢力への弾圧などを理由に、シリア政府高官30人近くに経済制裁を科している。

◎米国干魃被害が深刻化、市況下方修正で(2012年8月12日、産経新聞)
 歴史的な大干魃に見舞われた米国が一段と苦境に立たされている。世界生産量の4割を占めるトウモロコシなど農産物市況の最新予測が大幅に下方修正され、穀物相場が急騰。世界各国の食料・飼料価格の高騰に拍車がかかる恐れが強まっている。
 「政策を総動員するときだ。さもなければ、全米の国民が窮地に立たされたと感じ始めるだろう」
 オバマ大統領は週末恒例の国民向けビデオ演説で、1956年以来の大干魃がもたらす被害の拡大に強い危機感をにじませた。
 中西部の穀倉地帯で6月以降深刻な干魃が続き、農務省は10日発表した8月の農産物需給見通しで、トウモロコシの今季の収穫年度末(2013年8月)在庫が前月予測に比べ45%減の1650万トンと、17年ぶりの低水準に落ち込むと予測。大豆も12%減の313万トンと下方修正した。
 それを受け、世界の穀物価格の指標となるシカゴ商品取引所でトウモロコシ先物価格が最高値を更新。週明け以降、各国で食料や飼料価格がさらに高騰する恐れが増している。国連食糧農業機関(FAO)も「2007、08年に匹敵する食糧危機に直面する恐れがある」と警告した。
 米政府はこれまでに32州1500郡以上を被害地域に指定、農家への低金利融資や給水支援などを打ち出した。だが、後手を踏み続ける政府への農家や消費者の不満は根強く、オバマ政権のバイオ燃料奨励策への風当たりも増している。
 米国では燃料供給業者に対してガソリンに一定割合のエタノールの混合を促す規制があり、トウモロコシの約4割はエタノール原料向けだ。FAOのダシルバ事務局長は「速やかに奨励策を停止すべきだ」と訴えている。

◎新種豚インフル、米で新たに100人超確認(2012年8月10日、朝日新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は9日、新種の豚インフルエンザ(H3N2型)の感染者が今週になって新たに129人確認されたと発表した。7月下旬から先週までに12人が確認されたが急増した。大半が軽症だが、CDCは、人から人への感染が起きていないか、警戒を強める。
 患者の9割は子どもで、この季節に多い農業祭に参加、豚から直接感染したケースだという。2人の入院が確認された。ほとんどの患者は中西部インディアナ州で出ている。
 このウイルスは、現在の季節性インフルエンザのワクチンでは予防効果が期待できないといい、CDCは動物に接する前後の手洗いの徹底などを呼び掛けている。2009年に新型インフルエンザとして大流行したH1N1型の遺伝子の一部を持っている。

◎新種豚インフル、米で12人が感染(2012年8月4日、朝日新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は3日、新種の豚インフルエンザ(H3N2型)の感染者が米国内で7月下旬以降、新たに12人確認されたと発表した。患者はいずれも軽症で、豚から直接感染したとみられる。今後、感染者が増える可能性もあり、監視の強化を呼びかけている。
 このウイルスは、2009年に新型インフルエンザとして大流行したH1N1型の遺伝子の一部を持っていることが特徴。12人は中西部のオハイオ州10人とインディアナ州1人、それにハワイ州の1人で、豚がいる農業祭などの行事に参加したことが確認されたという。
 これによって米国内で確認された感染者は、昨年7月から計29人に上る。過去には人から人への感染が疑われるケースもあり、CDCは警戒を強めている。

◎化学兵器使用なら「責任追及」、シリア情勢でオバマ米大統領(2012年7月24日、産経新聞)
 オバマ米大統領は23日、ネバダ州リノで演説し、内戦状態にあるシリアでアサド政権が化学兵器を使えば「国際社会と米国は責任を追及する」と警告した。
 オバマ大統領は化学兵器を使用するのは「悲劇的な過ち」と述べ、アサド政権に対し「世界が監視していることを明確に伝え続けていく」と語った。
 また、アサド政権の退陣と政権移行を実現するため、同盟国や反体制派との連携を続けていくことを強調した。
 一方、カーニー大統領報道官は記者団に対し、シリア政府には化学兵器を管理する義務があると重ねて強調し、紛失したり、使用されるようなことがあれば政府や個人の「責任を追及する」と語った。

◎米で記録的熱波、干魃で穀物価格高騰、世界経済のリスクに(2012年7月22日、産経新聞)
 世界の台所を支える米国の穀倉地帯が、記録的な熱波で1956年以来の大干魃に見舞われている。トウモロコシ産地の農家は「先が見通せない」と天を仰ぎ、危機感を深めるオバマ政権は農家の支援策などを打ち出しているが、干魃の勢いの前に対応は後手に回っている。穀物価格は歴史的水準に高騰を続け、米国や世界経済の新たなリスクとなる恐れもある。
 「とにかく暑くて干上がっている。ひどいもんだ」
 アイオワ州南部ルーカスのトウモロコシ農家、デービッド・ミラーさん(60)は、産経新聞の電話取材にため息を漏らした。
 「コーンベルト」。中西部に広がるトウモロコシ産地はこう呼ばれ、中核をなすアイオワ、オハイオ、イリノイ、インディアナの4州で米国の生産高の半分を占める。ミラーさんは約65万平方メートルの畑を抱え、7月は収穫を左右する受粉期だが、なんとか受粉したトウモロコシは7割強。実は小さく、「すぐにでも雨が降らないと収穫は厳しい」。だが、天気予報では当面まとまった雨は望めない。
 トウモロコシ先物価格は6月以降、約46%高騰。農家にとっては収穫量の激減で相殺されてしまう。肥料や農業機械など先行投資も大きいため、ミラーさんの地区では、「ほとんど収入はなく、負債を抱え込む農家さえいる」。もっとひどいのは畜産農家で、家畜を維持する飼料代などが生計を圧迫しているという。
 米中西部は6月以降、極端な高温小雨に見舞われている。米海洋大気局によると、干魃被害は米本土の55%に及び、これは1956年以降で最悪の規模だ。
 オバマ政権は農家への低金利向け融資などの措置を講じつつある。ビルサック農務長官は18日に緊急記者会見し、「手を尽くして農家を助けたいが、政府にできることには限りがある」として、議会に支援策の立法措置を講じるよう要請したことを明らかにした。
 アイオワ州は今秋の大統領選の激戦州の一つ。干魃被害が政権批判に転嫁しかねないことへの危機感もありそうだ。だが、ミラーさんは「農家はすでに来年の作付けの構想を練る時期だ」と焦る。同州の農業団体幹部でもあり、「議会も大統領も責任を感じ、指導力を発揮してほしい」と、いらだちを隠さない。
 「毎日祈りをささげている」。もはや神頼みしかないと言いたげなビルサック長官の嘆きが、干魃の深刻さを象徴しているようだ。

◎遺体から皮膚や骨、闇取引、調査報道NPOが取材(2012年7月18日、朝日新聞)
 死体から皮膚や骨、腱などの組織を集め、歯科インプラントや美容形成、スポーツ医療用製品の原材料として国際的に取引する動きが活発だ。高まる需要の中で死体組織の不正な入手も横行し始めており、米国の国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は世界11カ国で8カ月間取材し、取引の不透明な実態に迫った。人体組織の取引を監視する法律がないため、出所のはっきりしない死体組織をめぐる感染症被害の危険性を指摘する声もある。
 人体組織そのものを売り買いすることは禁じられているが、遺族の同意に基づく「献体」などにより遺体の組織が提供され、非営利団体の組織バンクなどを通じて医療現場に届くのが本来の形だ。
 ところが、「人体組織ビジネス」は急成長を続け、規制の甘い旧ソ連・東欧が人体組織の「供給源」として狙われている。中には、公的機関が言葉巧みに遺族から同意を取り付けて死体の組織を不正に確保するケースも表面化した。
 「肋骨2本、アキレス腱2本、左右のひじと鼓膜、歯2本……。気味が悪すぎて最後まで読めなかった」。てんかん発作のため息子を35歳で亡くした母親は、ウクライナ警察に遺体から取り除かれた箇所のリストを見せられた。同警察は今年2月24日、地方法医学局からこの男性らの人体組織をクーラーボックスの中に詰め込んで白いミニバンで運びだそうとしているところを押収した。
 荷札に書かれた運搬先は、米国で昨年1億6900万ドル(約135億2千万円)を売り上げ、株式上場もしている医療企業の系列ドイツ工場。母親は、わずかな組織提供をするとしか聞かされていなかった。
 ウクライナ警察は2008年にも別の法医学施設から月に1千を超える人体組織が違法に盗まれ、第三者経由でこの工場に運ばれたとして刑事事件化した。しかし、主犯格のウクライナ人医師が判決前に死亡し、真相は闇の中だ。
 米食品医薬品局(FDA)は11年、この工場から米国に輸入されたウクライナ人の人体組織が、「ドイツ製」と記されていることを把握し、輸入元の上場医療企業に是正を求めた。
 人体組織の最大の市場である米国では、年間約200万の人体組織由来の製品が売られているとみられ、この10年で2倍となった。業界関係者によると、病気のなかった死体は、1体8万〜20万ドルで取引されるという。角膜移植は盲目の人に光を与え、腱と靱帯をリサイクルした製品は、アスリートの復活を可能にする。
 皮膚は死体から手際よく長方形に切り取られる。大きければ約5580平方センチを得られる。細菌感染を防ぐために水分を取り除いてすりつぶし、精製されてがん患者の乳房再建術に使われる。ところが、多くの米国などの整形外科医らは、再建術に使う製品が死体の組織を使っていることを患者に打ち明けない。
 ICIJが情報公開請求によって入手した資料によると、FDAは02年以降、組織移植後の感染を1352件把握し、40人は死に至っている。米疾病対策センター(CDC)によると、人体組織を使う製品には、肝炎やHIVなど感染症のリスクが避けられない。血液については規制が厳しくなっているが、死体から作られる製品にはほとんど規制法がないという。CDCのマット・キーナート博士は「感染を見つけるシステムがない」として、監視体制の必要性を訴える。
 朝日新聞社は、米国の国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)と提携することを決め、初めて記事の提供を受けた。ICIJは、1989年に創設された米国の非営利調査報道機関「センター・フォー・パブリック・インテグリティー(CPI)」の国際報道部門にあたる。CPIはこれまで、米エネルギー大手ハリバートン社などイラク復興事業参入企業と米政権との癒着を明らかにするなど数々の実績を上げている。ICIJは、米ワシントン・ポスト紙やAP通信などとも提携。世界の主要メディアでは、CPIを含む調査報道NPOから記事提供を受ける動きが進む。記事は無償で、ICIJの取材によることを明記することが掲載条件。提供記事の主要部分を翻訳し、紹介する。

◎「最初からやり直せ」中国製の米五輪ユニホーム(2012年7月15日、読売新聞)
 ロンドン五輪で着用する米国代表チームのユニホームが中国製であることが分かり、米議会の怒りを買っている。
 米国繊維産業の苦境を背景に、大物議員らは「オリンピック委員会は恥を知るべきだ」などと痛烈に批判。これを受けて、デザインを手がけた米有名デザイナーのラルフ・ローレンさんは13日、「2014年のソチ五輪は米国製になる」と発表した。
 騒ぎの発端は、米テレビの報道。AP通信などによると、民主党のハリー・リード上院院内総務は「すべてのユニホームを積み上げて燃やし、最初からやり直すべきだ」と記者会見で怒りをあらわにした。
 民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務ら他の議員からも「米国製のユニホームを着るべきだ」「我が国製造業が厳しい雇用情勢にある中で中国に外注するなんて。自滅的だ」などと激しい非難の声が上がっている。
 ユニホームはベレー帽、ブレザー、ズボンやスカートなど一式で、開会式などで着用する。ラルフ・ローレンさんは、2020年まで米五輪委と契約しているという。

◎海の監視員、命救ったのにクビ、米会社「持ち場離れた」(2012年7月10日、朝日新聞)
 米フロリダ州の海岸で溺れている海水浴客を救った監視員が、「無断で持ち場を離れた」とクビになった。会社側は「いない間に事故が起きて海水浴客から訴えられたら負ける可能性があった」と釈明しているが、米国がいくら訴訟社会だといっても「行き過ぎ」と批判が多い。
 米メディアによると、騒動の発端は2日。「溺れている男性がいる」との通報を受け、マイアミ近郊の海岸で勤務中だったトーマス・ロペスさん(21)が駆けつけて救助を手伝った。ところが、現場は海岸の監視を委託された会社が受け持つ地域から約450メートル離れており、ロペスさんが戻った後に上司に報告したところ、「規約違反だ」として解雇された。現地メディアで問題になると、会社側は「法的責任があり、管轄区域から離れるわけにいかない」と説明した。
 解雇を受け、ロペスさんの同僚は数人、抗議をして辞職。批判を受けた会社も5日になって解雇の撤回を申し出たが、ロペスさんは「公になって取り繕っているだけ」と拒んでいるという。

◎「人食いバクテリア」感染女性が退院、両手と両足の一部切除(2012年7月4日、産経新聞)
 「人食いバクテリア」に感染し、一時は危篤状態になったエイミー・コープランドさん(24)が2日、米ジョージア州の病院を退院した。AP通信が伝えた。
 コープランドさんは5月1日に川でけがをした際、エロモナス・ハイドロフィラという細菌に感染。壊死性筋膜炎となり、両手と両足の一部などを切除する手術を受けたが、一命は取り留めた。コープランドさんはリハビリ施設に移り、義肢を使った訓練を行うという。

◎東芝の液晶カルテル認定、米地裁評決「誤り」と反論(2012年7月4日、産経新聞)
 米カリフォルニア州の連邦地裁の陪審は3日、東芝が液晶パネルの価格カルテルに加わり、8700万ドル(約69億円)の損害を購入者に与えたとの評決を下した。
 東芝は「違法行為はしていないと主張してきた。評決は誤りで、あらゆる法的措置を取っていく」との声明を発表した。
 ただ、シャープや韓国のサムスン電子など他の被告企業が既に、認定された損害額を上回る4億ドル余りを原告側に支払うことで和解しているため、東芝が支払う必要はないという。
 液晶パネルを購入するメーカー側は2007年、東芝などが共謀して価格を取り決めているとして提訴していた。東芝は刑事訴追されていない。

◎中国敗訴、 米鉄鋼製品への報復関税はWTOルール違反(2012年6月16日、読売新聞)
 米国製の特殊鉄鋼製品に中国が報復関税を課したことに米国が反発していた問題で、世界貿易機関(WTO)紛争処理小委員会は15日、中国がWTOルールに違反するとする米側の主張を認める判断を下した。
 中国は2010年に、中国に輸入された米国製特殊鉄鋼製品がダンピング(不当廉売)され、中国企業に損害を与えたとして、相殺関税を導入。これに対し、米側は証拠が不十分だとしてWTOに訴えていた。
 米通商代表部(USTR)のカーク代表は、「重要な勝利だ。中国はWTOの約束事を守らねばならない」との声明を発表した。
 紛争処理小委はWTOの第一審に相当する紛争処理機関だが、中国は「精査が必要」として上訴する可能性を示唆している。

◎ロス市もレジ袋禁止へ、河川や海の環境に懸念、全米に影響も(2012年5月24日、産経新聞)
 米カリフォルニア州ロサンゼルスの市議会は23日、レジ袋が河川や海の環境に悪影響を与えているとして、スーパーや商店での使用を禁止することを賛成多数で決めた。4カ月間、環境への影響を調査した後、正式に条例で禁止する。
 カリフォルニア州は住民の環境保護への意識が強く、AP通信によると、既に州内の48都市でレジ袋が禁止されている。米第2の都市ロサンゼルスが禁止に踏み切ることで、全米でも同様の動きが広がりそうだ。
 禁止を働き掛けてきたビリャライゴサ市長は声明で「今後の何世代にもわたり、ロスの自然環境を守ることにつながる一歩だ。他の都市や州も(レジ袋禁止に向け)行動するよう期待している」と表明した。条例制定後、大手小売業者は半年間、小規模業者は1年間の猶予期間を経て使用が禁止される。

◎韓国系が数の論理でごり押し、米の慰安婦の碑、根拠乏しい「20万人拉致」(2012年5月11日、産経新聞)
 「日本軍が20万人を拉致」などとする慰安婦の碑が設置された米ニュージャージー州パリセイズパーク市は、韓国系米国人が人口の約52%に達し、副市長や市議を送り込むなど、韓国系社会が極めて大きな影響力を持っている。根拠に乏しい碑文が数の論理に後押しされ、事実関係が精査されることなく、既成事実化していった可能性が高まっている。
 地元メディアは同市のジェームズ・ロトゥンド市長が9日、碑の撤去を要求した自民党の有志議員団の訪問について、「彼らは歴史を変える使命を帯びているのかもしれない」と述べたと伝えた。
 ジェイソン・キム副市長も被害者「20万人以上」や日本軍の組織的な「拉致」を示す具体的な証拠の提示を求めた産経新聞の取材に「日本側の主張にこそ、根拠はない。まずは韓国で(元慰安婦の)被害者に面会すべきだ」と語気を強めるなど、市側は碑の文言に「間違いはない」との主張で一貫している。
 6日の記者会見では、ロトゥンド市長の左右にキム副市長と韓国系の市会議員が着席。2人はまず韓国語、その後に英語で受け答えした。「拉致」などの記載に関する具体的な資料は提示せず、韓国系とみられる大学教授らの見解を根拠に置く対応に終始した。
 自民党の有志議員団は今回の訪問で、政府としての調査内容だけでなく、慰安婦募集の新聞広告などの客観的な資料を提示し、市側が主張する「拉致」と事実は異なると強調した対応とは対照的だ。
 碑の文面決定の経緯にも疑問点が浮上している。慰安婦に関する市側の調査を主導し、碑の図柄デザインも担当したスティーブ・カバッロ氏によると、当初20万人などの数字がない「詩が記される予定だった」が、設置計画の協議参加者の意向で文面が差し替えられたという。
 碑の設置は2009年8月、カバッロ氏と「韓国系米国人有権者評議会」が市側に持ち込んだことで具体化。ロトゥンド市長とキム副市長を加えた4者で計画を協議したが、参加者が日本側の主張や両論併記の必要性について議論したことはなかったという。記載内容を客観的に精査せず、結論ありきで協議が進んだ可能性は濃厚だ。
 自民議員団の古屋圭司衆院議員は「根拠のないことが、なし崩し的に既成事実化されていきかねない」と話している。

◎「日本軍20万人拉致」慰安婦の碑建立、韓国系5割超の米自治体(2012年5月11日、産経新聞)
 米ニュージャージー州パリセイズパーク市の公立図書館に「日本帝国政府の軍によって拉致された20万人以上の女性と少女」などと記載された慰安婦の碑が建立され、波紋を広げている。自民党の有志議員団が6日に同市を訪れ、記載内容は事実無根として撤去を求めたが、市側は「歴史上の事実」などと要求を拒否した。同市は人口の約52%を韓国系米国人が占めており、韓国系団体が碑の設置を支援したことも判明。放置すれば米自治体が認定した既成事実として、独り歩きを始めかねない状況だ。
 碑の設置は同市が主導、「韓国系米国人有権者評議会」の支援で2010年10月23日に設置された。同評議会は、米下院が07年7月に採択した慰安婦に関する対日非難決議を後押しした団体の一つだ。
 碑には「1930年代〜45年まで、日本帝国政府の軍に拉致された慰安婦として知られる女性や少女のために」と記され、「彼女たちは、誰もが認識すべき人権侵害に耐えた」と強調し、「人道に対する罪を決して忘れないようにしよう」と訴えている。
 また、日本兵が膝を抱えてうずくまる女性に高圧的に命令を出しているかのような絵も描かれている。
 自民党の古屋圭司衆院議員ら衆参4議員は6日、現地視察後にジェームズ・ロトゥンド市長らと面会。日本政府の度重なる調査でも当時の政府や軍が強制的に女性を拉致し、慰安婦にした事実はないと抗議した。
 ロトゥンド市長や韓国系のジェイソン・キム副市長は面会後に記者会見し、20万人という数字が増減する可能性はあるが、日本軍による拉致は「歴史上の事実であり、変えることはできない」と撤回を拒否。その根拠として、日本人1人を含む学識者4人の見解を重視したと語った。
 市側はその後産経新聞の取材に、日本人以外の3人の実名を公表したが、いずれも韓国系とみられる女性で、サンフランシスコ州立大の教授、著述家兼映像作家、市の調査時にエール大の博士課程に在籍していた学生だった。
 この問題をめぐっては今年3月、議員団の一人の山谷えり子参院議員が予算委員会で取り上げ、野田佳彦首相が「数値や経緯を含め根拠がないのではないか」と答弁していた。
 地元メディアによると、同市には9日、韓国の国会議員3人が訪れて碑に献花した。ロトゥンド市長は韓国メディアを前に、自民党の有志議員団は市側を威圧したかったようだと指摘した上で、「そのようにはならない」と述べたという。
 10年の米国勢調査によると、同市の人口は1万9622人で、韓国系米国人が51.5%を占めている。

◎スパイ映画さながら、おとり捜査で新型爆弾テロ阻止、米CIA工作員、自爆犯装う(2012年5月9日、産経新聞)
 米中央情報局(CIA)などが、イエメンを拠点とするイスラム過激派「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」の新型手製爆弾を押収した事件は、CIAの工作員がAQAPに接近し、自爆テロ志願者と思い込ませて爆弾を手に入れた「おとり捜査」だったことが、8日明らかになった。米メディアが報じた。
 新型爆弾は米国行き航空機を狙う目的で製造され、金属を含まず下着に隠せるため、空港の保安検査では探知が難しいという。CIAは新型爆弾の性能を分析するため入手を試みたとみられる。米当局は4月、AQAPが新型爆弾による大規模テロをたくらんでいるとの情報を入手し、おとり捜査に踏み切ったという。
 ロサンゼルス・タイムズ紙などによると、サウジアラビア情報機関とCIAが協力し、工作員をイエメンでAQAPに接触させた。工作員はテロを実行するとの名目で爆弾を受け取り、他国でCIA側に手渡した。

◎アルカイダ系、自爆テロ計画、米国行き航空機、CIAが阻止(2012年5月8日、産経新聞)
 国際テロ組織アルカーイダ系組織が、米民間航空機に精巧な新型爆弾を使った自爆テロを計画、これを米中央情報局(CIA)が阻止していたことが分かった。AP通信が伝えた。
 それによると、爆弾テロ計画は、アルカーイダの指導者、ビンラーディン容疑者殺害から1年経過するのに合わせたとみられる。米国行きの航空機を狙っていた。
 爆弾は、2009年12月の米デルタ航空機爆破テロ未遂事件と同様、イエメンを拠点とする「アラビア半島のアルカイダ」が開発したもようだ。
 下着の中に隠すタイプだが、「金属探知器に反応しないよう金属は使われておらず、より精巧に作られていた」(米政府関係者)という。米連邦捜査局(FBI)が分析している。
 米国家安全保障会議(NSC)当局者は7日の声明の中で、オバマ大統領は4月に報告を受け、情報、捜査当局に適切な対応をとるよう指示を出したことを明らかにした。

◎アル・カーイダ系、新型爆弾で航空機爆破を計画(2012年5月8日、読売新聞)
 米治安・情報当局が、イエメンを拠点とする国際テロ組織「アラビア半島のアル・カーイダ」(AQAP)による、新型の爆弾を使った米国行き航空機の爆破計画を阻止したことが7日分かった。
 米連邦捜査局(FBI)は同日、問題の爆弾を国外で押収し分析を進めていると発表した。
 米メディアによると、爆弾は金属を使っておらず、下着の下に隠せる大きさで、空港の保安検査で発見できない可能性があった。
 AQAPは2009年12月、デトロイト行き国際線旅客機の機内での自爆テロを図ったが、実行犯が隠し持っていた爆弾の起爆に失敗し、未遂に終わっている。

◎中国などを「優先監視国」に指定、米報告書、「パクリ」に懸念表明(2012年5月1日、産経新聞)
 米通商代表部(USTR)は30日、知的財産権の侵害国などを特定する「包括通商法スペシャル301条」に基づく2012年版の報告書を発表し、知財保護の観点からとくに問題の多い「優先監視国」に中国など13カ国を指定した。日本は監視リストから引き続き外れた。
 報告書は中国に対する記述が圧倒的に多く、特に商標権の侵害について「深刻な懸念」を表明した。そのなかで、多くの海外企業が中国に不安を抱いており、中国市場での知財保護は、「米国の通商政策にとって優先事項」と強調した。米側は3日から北京で始まる米中戦略・経済対話でも、知的財産権の問題を取り上げ、中国側に改善を促す方針だ。
 ただ、報告書では、制裁を念頭に交渉を進める「優先交渉国」に該当した国はなかった。

◎値切って大騒ぎに、米大統領警護隊の買春スキャンダル(2012年5月1日、産経新聞)
 米大統領警護隊(シークレットサービス)の買春スキャンダルを米メディアが連日、派手に取り上げている。警備上の大問題というわけだが、おかげで、現場である南米コロンビアのカルタヘナは、売春婦のいる観光都市として、世界に知られることになり、評判を落とした。コロンビアでは売春は合法。きょうのテーマは「カルタヘナの売春婦」とした。

・値切って大騒ぎに
 北中南米、カリブ海諸国の首脳が集う米州首脳会議が、バラク・オバマ米大統領(50)らが出席して4月14、15の両日、カルタヘナで開かれた。米大統領警護隊のスキャンダルは、オバマ大統領の到着に先がけ、現地入りしていた隊員らが買春したことが発覚、会議前に本国に呼び戻されたというものだ。警備の任務に就く米兵も含まれていた。
 警備情報の漏洩はなかったのか、別な機会にも買春していたのではないか、大統領の再選戦略への影響は−。米メディアは連日、さまざまな視点から、このスキャンダルを報じている。
 コロンビアでは行政が指定した場所での売春は合法である。隊員の買春は警護隊の規則違反だった。ニューヨーク・タイムズの報道では、隊員の一人が支払いのとき値切ったため、女性が怒って騒ぎだし、集団で買春していたことが発覚した。つまり、カルタヘナでは金を払って女性と遊んでも構わない。金銭トラブルさえ起こさなければ、こんな騒ぎにはならなかったのだ。

・ナイトライフ魅力
 カルタヘナはカリブ海に面した観光都市。スペイン植民地時代の面影を残す世界遺産指定の「港、要塞跡、旧市街地の建物群」や美しい海岸、ラム酒を飲みサルサを踊るナイトライフが売り物だ。オバマ大統領に同行したヒラリー・クリントン米国務長官(64)が期間中、ナイトクラブに繰り出し、酒を飲んで踊ったことが写真付きで報じられたが、長官はカルタヘナの観光PRに一役買ったつもりだったのだろう。
 ワシントン・ポスト紙は、夜のカルタヘナは売春婦が行き交っており、「おおっぴらには言われないが、買春も観光地としての魅力の一つ」と伝えている。市内にいくつもの売春宿があるほか、インターネットで“注文”し、女性をホテルの自室に呼ぶこともできる。「30分以内の到着を保証します」の触れ込みだ。ナイトクラブではフリーランスの売春婦が誘いかけてくる。レストラン店主は「買春はいけないこと? 警護隊員だって遊びたいはず」と話した。

・警護隊型観光?
 クリスチャン・サイエンス・モニター紙によると、米格安航空会社がカルタヘナ便の宣伝で、スキャンダルを示唆して“大統領警護隊型観光”を提唱し問題になっている。買春は「前払い」が前提。金銭トラブルは未然に避けるというわけだ。仮に買春が観光地としての魅力の一つであるとしても、こうなると、カルタヘナ市としても黙っておれない。カンポ・エリアス・テラン市長は「カルタヘナの女性は尊敬すべき人たちだ。売春婦であふれているような言い方をしないでほしい」と訴えた。
 ワシントン・ポストによると、地元住民の懸念は、“素人”の売春、未成年の売春だ。2010年の調査では、カルタヘナ大生の2%が売春婦のアルバイトをしていた。月2000〜3000ドル(約16〜24万円)を稼ぎだし、洋服の購入などにあてる。タクシー運転手やレストラン、バーの従業員が個人的に売春を斡旋することもあり、このようなケースでは少女売春が疑われるという。

◎シークレットサービスの買春に波紋、大統領警護前に乱心、機密流出の危機と批判噴出(2012年4月22日、産経新聞)
 オバマ米大統領の警備を担当するシークレットサービス(警護隊)の隊員11人が事前準備に訪れたコロンビアで買春し、金銭トラブルとなった不祥事が波紋を広げている。
 一歩間違えば大統領警備の機密情報が流出しかねなかった大失態の責任を問われ、すでに6人が退職し、同じホテルに宿泊した米軍エリート特殊部隊員ら11人にも疑惑が飛び火。関与者が拡大する可能性もあり、要人警護への信頼が失墜しかねない状況だ。
 不祥事の舞台となったのは、14〜15日に米州首脳会議が開催されたコロンビア最大の観光地カルタヘナ。米メディアによると、問題の警護隊員らは、現地で大統領が乗るリムジンなどを運搬し、警護準備のため事前に現地入りしていた。
 11日夜、隊員らはホテル周辺のディスコなどで知り合った女性を連れ帰った。コロンビアでは指定地域での売春は合法という。
 18日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、金銭トラブルとなった女性を直撃取材。当初は800ドル(約6万5千円)で合意したが、隊員は翌朝、現地通貨で約30ドルまで値切ったという。
 怒った女性が廊下で騒ぎ出し、最終的に隊員は約225ドルを支払ったが、地元警察から大使館に通報され、不祥事が発覚した。
 同じホテルには米軍の兵士11人も宿泊し、同じ日に門限を破っていたことが判明。米軍が買春の疑いで調査しており、うち6人は陸軍特殊部隊グリーンベレーの隊員という。
 どの隊員も今回は大統領を直接警護する任務にはなく、宿泊先も大統領とは別で、これまでに機密情報が流出した形跡はない。
 ただ、下院国土安全保障委員会のピーター・キング委員長(共和)は、仮に女性がテロ組織などの構成員で、色仕掛けで弱みを握る「ハニートラップ」を仕掛けていれば「恐ろしい結果を招いた可能性もある」と指摘し、徹底調査する方針を示している。
 オバマ大統領も政府職員には「最大限の品位を求める」と述べ、隊員の行動が事実なら「腹立たしい」と憤慨している。

◎米オバマ大統領、昨年の年収は約6400万円(2012年4月14日、産経新聞)
 オバマ米大統領夫妻は13日、2011年の所得申告書を公表し、年収が78万9674ドル(約6400万円)だったことを明らかにした。大統領としての給与は約40万ドル。ベストセラーとなった著書の売り上げが落ち印税収入が減ったため、10年の172万8096ドルから大幅な減収となった。
 夫妻は連邦所得税として16万2074ドルを納付。実効税率は20.5%で、大統領選の共和党候補となるミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の推定税率15.4%を上回った。

◎米シークレットサービス12人解任、オバマ氏到着前に買春か(2012年4月14日、産経新聞)
 AP通信によると、南米コロンビアのカルタヘナで14日から始まる米州首脳会議で、バラク・オバマ米大統領の到着前に現地入りしていた大統領警護隊(シークレットサービス)の12人について、不適切な行為があったとして解任されていたことが13日分かった。買春行為があったとみられる。
 オバマ氏は13日午後(日本時間14日午前)に現地入り。不適切な行為はその前にあり、人員が交代したという。警護隊の広報担当者はAPに対し「交代が警護計画に影響することはない」としている。
 カルタヘナはコロンビア最大の観光地。カリブ海に面したリゾート地としても知られ、とりでに囲まれた旧市街は世界遺産に指定されている。

◎帝人、炭素繊維材の開発拠点を米デトロイト近郊に開設(2012年3月21日、産経新聞)
 帝人は21日、自動車向けを中心とする炭素繊維複合材料の開発拠点を米国に開設したと発表した。同社は量産型自動車の車体骨格などで同材料の採用を狙っており、昨年12月に米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)と合意した量産車向け部材の共同開発も手がける。
 開発拠点の名称は「帝人複合材料用途開発センター(TCAC)」で、自動車産業が集積するミシガン州デトロイト近郊に設けた。4月に活動を開始する。帝人から開発スタッフを20人程度派遣し、順次増員する方針。GMとの共同開発ではGM側のスタッフも受け入れ、安全性や信頼性をともに検証する。
 帝人は、再加熱すると軟化して成形しやすくなる「熱可塑性」の樹脂を使った炭素繊維複合材料事業の売上高を2020年前後に1500億〜2000億円に育てる目標を掲げる。研究開発では複合材料開発センター(静岡県御殿場市)を中核とし、松山事業所(愛媛県松山市)内で今夏に稼働する試験生産用設備やTCACとの連携を強化。成長が見込める自動車向けや一般産業向けの市場開拓を加速させる。

◎米企業の手元資金が100兆円超え、アップルなどIT勢がリード(2012年3月19日、産経新聞)
 好調な業績を背景に、米主要企業が自由に使える現金などの手元資金を積み増している。金融業を除く約1100社の2011年末時点の合計は前年比約3%増の1兆2443億ドル(約103兆円)と過去最高で、06年末から約5割増えた。1位のアップルが約8%の976億ドル(約8兆円)を保有するなど、IT関連だけで約3割を占めた。
 米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスがこのほど発表した。設備投資や配当などで資金活用も増えたが、コスト削減もあり資金が積み上がった。08年の金融危機で資金調達が難しくなった経験を踏まえ、手元資金を厚くして、不測の事態に備える意識も根強いとみられる。
 2−4位はマイクロソフト(517億ドル)、シスコシステムズ(467億ドル)、グーグル(446億ドル)とIT関連が並ぶ。

◎アップル、配当実施か、手元資金の活用でクックCEOが発表へ(2012年3月19日、産経新聞)
 米アップルは18日、ティム・クック最高経営責任者(CEO)らが19日朝(日本時間同日夜)に、手元資金の活用策で電話会見すると発表した。配当や自社株買いなどの株主還元策を打ち出す可能性がある。配当実施ならば1995年以来、17年ぶりとなる。
 アップルは2011年末で976億ドル(約8兆円)の手元資金を保有するが、現在配当はしていない。米IT業界では成長企業は配当せずに資金を投資などに回し、株価の上昇で株主に報いるという考え方が一般的なことが背景にある。
 ただアップルの場合、ヒット商品が相次ぎ利益が急増しており、クック氏は2月の株主総会で、手元資金が「会社経営に必要な額を上回っている」と説明し、何らかの株主還元策の実施を示唆していた。

◎ニューヨーク格差是正デモ、73人逮捕(2012年3月19日、読売新聞)
 格差是正を求める米ニューヨークの「ウォール街占拠」運動開始から半年にあたる17日夜、デモ隊約300人がかつての拠点だったズコッティ公園に結集し、一部がテントの設営など再占拠を試みたが、不法侵入罪などで計73人が警察に逮捕された。
 米メディアなどが18日伝えた。
 占拠運動は11月に同公園から強制排除された後、市内でデモや集会を行ってきたが、参加者は大幅に減少している。

◎SSを支える政治家、有名俳優たち、26日から、和歌山で法廷闘争を準備(2012年3月10日、産経新聞)
 米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)が欧米やオセアニアの政治家、俳優らの支援を受け、日本の捕鯨やイルカ漁への妨害を激化させている。今月26日から和歌山地裁で始まる活動家の暴行事件公判では、こうした支援者からの寄付を元に多額の法廷費用を用意、和歌山県太地町のイルカ漁を非難する国際的なキャンペーンの場にしようと画策している。
 今月に入り、SSは南極海調査捕鯨船団への妨害を強化した。8日にはオーストラリアの他団体とともに監視船への乗り込みを決行、21日にはゴムボートから捕鯨船に刺激臭の液体が入った瓶計40本を投げ込んだ。
 妨害活動を担うのが3隻の抗議船だ。うち1隻のボブ・バーカー号は、米国の有名テレビ司会者の名前からつけられた。バーカー氏は環境保護活動にも熱心で、日本の捕鯨産業の壊滅を狙うSSの活動目的に賛同し、2009年に500万ドルを寄付している。
 SS代表のポール・ワトソン容疑者(国際指名手配中)は、米ハリウッド業界との結びつきが深く、俳優のショーン・コネリー氏、ショーン・ペン氏、ピアース・ブロスナン氏らは外部相談役として、SSの広告塔を担っている。ワトソン容疑者は取材に対し「彼らはわれわれの攻撃的非暴力活動に賛同している」と答えた。
 各国の有力政治家もSSを支えている。豪州連立政権の与党、緑の党のボブ・ブラウン党首は、SS抗議船が豪州に帰港すれば港まで出迎える熱の入れようで、監視船に乗り込んだ豪活動家を「英雄だ」と褒めたたえた。反捕鯨国・英国の与党保守党の国会議員、ザック・ゴールドスミス氏もSSの支援者だ。昨年、ロンドンで、SSの資金集めのイベントを催している。
 SSは03年に日本の水産業を標的にして以来、寄付収入が飛躍的に増加。10年には米国内の収入が03年に比べ、26倍の990万ドルに達した。物質的支援も多く、政府関係者によれば、ゴムボートも英国の会社からの寄贈の可能性があるという。豪紙エイジによれば、アウトドアブランド大手「ザ・ノース・フェイス」の共同創設者が今回、SS抗議船の燃料代を寄付した。同社関係者はこの創設者について「当社の経営からは離れており関係ない」とコメントした。
 一方、和歌山県太地町でイルカ漁を妨害するSS幹部のスコット・ウエスト氏は、先月、同町の会社員に暴行を加え起訴されたオランダ人活動家の公判について、SSが弁護団を結成して臨むことを明らかにした。ウエスト氏は「世界中の多くの支援者が裁判のために寄付してくれた。法廷に活動家を送り、裁判を世界に報告する」と述べた。

◎「勝ち組」はジコチュー? 米研究者ら実験で確認(2012年2月28日、朝日新聞)
 お金持ちで高学歴、社会的地位も高い「勝ち組」ほど、ルールを守らず反倫理的な振る舞いをする――。米国とカナダの研究チームが、延べ約1千人を対象にした7種類の実験と調査から、こう結論づけた。28日の米科学アカデミー紀要に発表する。
 実験は心理学などの専門家らが行った。まず「ゲーム」と偽って、サイコロの目に応じて賞金を出す心理学的な実験をした。この結果、社会的な階層が高い人ほど、自分に有利になるよう実際より高い点数を申告する割合が多かった。
 ほかに、企業の採用面接官の役割を演じてもらう実験で、企業側に不利な条件を隠し通せる人の割合も、社会的階層が高い人ほど統計的に有意に多かった。別の実験では、休憩時に「子供用に用意された」キャンディーをたくさんポケットに入れる人の割合も同じ結果が出た。

◎初の抗肥満薬、米で承認へ 臨床で年10%の減量効果(2012年2月23日、朝日新聞)
 米国で4月にも、抗肥満薬「キューネクサ」が承認される見通しになった。米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が22日、承認を求める勧告を賛成多数で可決した。承認されれば、抗肥満薬は初めて。
 キューネクサは、日本でも承認されている食欲抑制薬と抗てんかん薬を混ぜ合わせたカプセル剤。申請をしていた製薬会社によると、肥満の人を対象にした臨床試験では1年間で平均10%の減量効果が認められた。
 2010年には、心臓へのリスクなど副作用に関するデータ不足から承認勧告が一度否決されていた。製薬会社では、将来は米国外での展開を視野に入れているが、今のところ日本で承認を目指す動きはないという。

◎米総領事館と接触の重慶副市長、北京に連行?(2012年2月12日、読売新聞)
 中国重慶市の前公安局長だった王立軍・副市長が四川省成都の米総領事館と接触した問題で、香港紙・明報などは11日、国家安全省幹部が王氏を成都から北京に連行したと伝えた。
 重慶市当局は米総領事館に王氏の引き渡しを要請したが、王氏が同行を拒んだ。このため、米政府の連絡を受けた中央政府が成都に国家安全省の幹部を派遣し、8日に王氏を連行した。
 王氏は、自身のいとこが不正容疑をかけられたことを巡って、重慶市トップの薄煕来(ボー・シーライ)・市党委書記との関係が悪化していたという。

◎亡命説の重慶副市長、米総領事館を訪問、目的は不明(2012年2月9日、朝日新聞)
 米国務省のヌーランド報道官は8日の会見で、亡命説などが出て波紋を呼んでいる中国重慶市の王立軍・副市長が、6日に四川省成都市にある米総領事館を訪問したことを認めた。訪問の目的などについては回答を避けた。
 報道官は、王氏から「副市長としての立場」で面会の要請を受け、領事館員が応対したと説明した。王氏はその後、警察に連行されたとの情報が出ているが、報道官は「(王氏が)自分の判断で(領事館を)歩いて出た」と強調した。
 王氏は、中国の次の最高指導部の候補に名の挙がる薄熙来・重慶市党委書記の右腕と称された人物。今月2日に兼務していた公安局長職を解かれ、8日には「休暇治療」に入ったと市政府側が発表し、中国国内で様々な臆測を呼んでいる。

◎米地上部隊9万人削減、国防費5年で20兆円圧縮方針(2012年1月27日、朝日新聞)
 パネッタ米国防長官は26日、国防費を、2013会計年度(12年10月〜13年9月)以降の5年間で、2590億ドル(約20兆円)減らす方針を示した。陸軍と海兵隊による地上戦力を計9万2千人減らし、最新鋭戦闘機F35の調達も一部を先送りする。一方で、中国の軍事力拡張を受け、アジア太平洋の戦力は維持する。
 パネッタ国防長官は26日の記者会見で「小規模でも機動的で技術的に最も進んだ軍隊」を目指すと強調。米軍の世界展開についてはアジア太平洋と中東を重視して再調整し、日本などの同盟国との連携で戦力を補う考えも示した。
 イラクとアフガニスタンの戦争で増強された地上戦力は、今後5年間で、陸軍を56万2千人から49万人に、海兵隊を20万2千人から18万2千人に減らす。また、日本も導入を決めた最新鋭のステルス戦闘機F35については調達のペースを遅くする。ロイター通信によると、今後5年間に調達が計画されていた423機のうち179機が先送りされる見通しだ。今後数年間の生産数が減れば、日本向け価格が高くなる可能性もある。

◎米軍特殊部隊、ソマリアで人質救出、武装集団9人を殺害(2012年1月26日、朝日新聞)
 米国防総省は25日、米軍が、ソマリアで武装勢力に人質にとられていた米国人女性ら2人を救出したと発表した。米メディアによると、救出をしたのは国際テロ組織アルカイダのオサマ・ビンラディン容疑者を殺害した海軍の特殊部隊SEALSだったという。
 特殊部隊は現地時間の25日早朝に、海賊とみられる武装グループの拠点を急襲。ソマリア人9人を殺害し、拘束されていたデンマークの地雷除去団体職員で米国人のジェシカ・ブキャナンさんと同僚のデンマーク人男性を助け出した。2人は昨年10月下旬、ソマリア北部で空港に向かう途中に誘拐されていた。
 オバマ大統領は24日夜の一般教書演説で、SEALSによるビンラディン容疑者殺害をたたえていた。米メディアによると、演説の前に救出の成功を知らされ、演説会場にいたパネッタ国防長官を「今夜はよくやった」とねぎらっていたという。

◎作戦担当のアルカイダ幹部、米軍無人機の爆撃で死亡(2012年1月20日、ロイター通信)
 米当局者は、国際武装勢力アルカイダ幹部のアスラム・アワーン容疑者が、10日にパキスタンで行われた米軍の爆撃で死亡したと語った。同軍の無人機による攻撃は8週間ぶり。
 米国とパキスタンの関係筋がロイターに語ったところによると、パキスタン出身の同容疑者は、米軍が先週行った2度にわたる無人機攻撃で死亡したという。アフガニスタンとの国境に近い北ワジリスタン州ミランシャー近郊の施設で攻撃を受けたとみられる。
 米当局者は「アスラム・アワーン容疑者は欧米諸国に向けた攻撃の作戦計画を担当するアルカイダの幹部だった。彼が死亡したことで、罪のない一般市民を狙ったアルカイダの攻撃は減少することになる」と述べた。
 パキスタン当局者らは同容疑者の死亡を確認していない。

◎丸紅、米側に和解金42億円、ナイジェリア贈賄疑惑で(2012年1月19日、朝日新聞)
 丸紅は18日、ナイジェリアでの液化天然ガス(LNG)プラントの建設工事をめぐって同国政府関係者への贈賄疑惑があるとして調べていた米司法省との間で、約42億円を同省側に支払うことで和解したと発表した。これを受け、丸紅はこの件での起訴を猶予される契約も結んだという。
 丸紅は、工事受注を目指していた日揮、仏テクニップ社、伊スナムプロゲッティー社、米ケロッグ社(現KBR)の4社の企業連合とコンサルティング契約を締結。手続きや法制度面でアドバイスして受注活動に協力し、同連合が受注した。米司法省はこの受注について、贈賄の疑いがあるとして企業連合と丸紅を調査。日揮は昨年春に約182億円を支払って同省側と和解したほか、連合のほかの3社も和解したという。

◎液晶カルテル訴訟、シャープなど和解金支払いへ(2011年12月28日、読売新聞)
 液晶ディスプレーの販売価格で国際カルテルを結んでいたとして、米国の消費者らが起こした集団訴訟で、シャープや韓国サムスン電子など日韓台の主要液晶メーカー7社が、総額約5億3900万ドル(約420億円)の和解金の支払いで合意した。
 米連邦地裁に23日に提出された資料によると、和解金はサムスンが2億4000万ドル、シャープは1億1550万ドル、日立製作所の子会社の日立ディスプレイズが3900万ドルなどとなっている。また、7社のうち5社が計1400万ドル以上の罰金を支払うことでも合意したという。
 この訴訟は、テレビやパソコン用の液晶ディスプレーの価格下落を防ぐため、7社が共謀して1999年から2006年にかけて、違法に価格を維持していたとされる。日本や韓国の公正取引委員会や、欧米の司法当局も独占禁止法違反の疑いで調査を進めていた。

◎米の液晶カルテル和解、シャープなど430億円支払いへ(2011年12月28日、朝日新聞)
 コンピューターやテレビなどに使われる液晶パネルを巡り、国際的な価格カルテルを結んだとして米各州に訴えられていたシャープや韓国のサムスン電子など7社が、計5億5300万ドル(約430億円)を支払うことで当局と和解した。和解金は米国の購入者らに支払われるという。
 各州の司法長官が27日明らかにした。和解に応じたのはほかに日立製作所子会社の日立ディスプレイズ、台湾の奇美電子など。各社は1990年代から2006年まで価格協定を結び、液晶パネルを組み込んだ商品を消費者に高い価格で売ったとして、日米欧韓の関係当局が06年に一斉にカルテルの調査を始めていた。
 7社は和解金として5億3800万ドルを支払うほか、1400万ドルの罰金も払う。和解金のうち、3700万ドルは各州政府や公的機関などに払われ、残りの約5億ドルは99年1月〜06年12月に対象商品を買った米国の消費者に返金される。各州は返金方法を後日通知するとしている。価格カルテルを理由に消費者に購入代金の一部が直接返金されれば、珍しい事例となりそうだ。

◎米、イランに追加制裁、核疑惑受け石油化学産業も対象(2011年11月23日、朝日新聞)
 オバマ米政権は21日、イランが核兵器の開発を続けているとして、同国の石油化学産業を対象とする新たな制裁措置を発表した。また、イラン中央銀行を含む金融機関が、資金洗浄などの不正行為にかかわっているとして、取引を控えるよう米金融機関に警告した。
 クリントン国務長官とガイトナー財務長官が、米国務省でそろって発表した。新たな制裁は、イランにとって原油輸出に次ぐ収入源とされる石油化学産業を対象とし、同産業に必要な技術や資材の提供を米企業に禁じた。また、核関連産業の資材調達などを担う11企業を特定し、これらの企業との取引も禁止した。
 一方、英国のオズボーン財務相は21日、イランの中央銀行を含む金融機関と、英金融機関との取引を即日禁止とする措置を表明。カナダも石油化学産業を対象とする制裁を発表した。
 米政府はこれまでも、イランの石油産業への投資禁止などの制裁を重ねている。今回は、イランの核開発継続を示唆した国際原子力機関(IAEA)の報告を受けて追加制裁に踏み切ったが、イランとの経済関係が深い中国やロシアの反発が予想される。

◎新種豚インフル3人感染確認、米、人から人への感染疑い(2011年11月27日、朝日新聞)
 米中西部アイオワ州で子ども3人が新種の豚インフルエンザウイルス(H3N2型)に感染していたことがわかった。いずれも豚と直接接触していないことから、米疾病対策センター(CDC)では、人から人に感染した疑いがあるとみている。
 3人はいずれも軽症で、すでに回復している。
 見つかったウイルスは、2009年に新型インフルエンザとして世界的に流行し、現在は季節性インフルエンザになったH1N1型の遺伝子の一部を含んでいた。

◎米で豚由来の新型インフル、人から人の可能性(2011年11月25日、読売新聞)
 米アイオワ州の保健当局は22日、同州内に住む子供3人が豚由来とみられる新型インフルエンザウイルスに感染したことを確認したと発表した。
 米疾病対策センター(CDC)によると、今年7月以降、豚と接触した人などの感染例が他にも3州で確認されているが、今回の3人は人からの感染の可能性が高いという。同州は「感染は限定的なもの」としながらも監視体制を強化した。
 州当局によると、重症者はおらず、全員が回復しているという。ウイルスは豚由来とみられるH3N2型だが、2009年に世界的な流行があった新型インフルエンザ(H1N1型)の遺伝子が含まれていた。異なるタイプのウイルスの遺伝子が、豚の体内で混ざって入れ替わる「再集合」が起きたとみられる。

◎ウォール街占拠のデモ隊、初の排除、70人逮捕(2011年11月15日、読売新聞)
 格差是正を求めてデモ隊が占拠する米ニューヨーク・ウォール街近くの公園で15日未明、警官隊数百人が公園周辺の安全確保などを理由にデモ隊約200人を排除した。
 9月17日のデモ開始以来、強制排除は初めてで、全米各地に拡大した同様の「占拠」運動に打撃を与える可能性がある。
 米メディアなどによると、デモ隊の約半数はバリケードを作り、約2時間立てこもったが、大きな衝突はなかった。警官隊は公園内の宿泊用テントを撤去し、約70人を逮捕した。市当局は「公園への立ち入りは認めるが、テントや寝具の持ち込みは禁じる」とし、占拠を事実上禁止する方針だ。
 公園内にはトイレがなく衛生状態の悪化も懸念され、近隣住民が市当局に強制排除を求めていた。

◎韓国国会、大統領が異例の訪問、FTA巡り要請(2011年11月15日、読売新聞)
 韓国の李明博(イミョンバク)大統領は15日、国会を訪問して与野党代表らと会談し、審議が遅れている米韓自由貿易協定(FTA)批准案の早期処理を要請した。
 首相が国会対応を受け持つ韓国で、大統領が就任式などの公式行事以外で国会を訪れるのは異例だ。
 李大統領は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)で、野田首相が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加方針を表明したことに触れ、「会議の主題が日本の表明でTPPに向かった。日本は韓国が(自由貿易で)先行し、追い越されると過剰に考えている」との危機感も語った。
 米韓FTA法案は10月、米議会が批准に向けた法案を可決。韓国側も10月中の国会通過を目指したが、農業分野での保護策などが不十分だとして、野党側が審議を拒否していた。

◎米国の悪夢は北朝鮮の核兵器「量産態勢」(2011年10月23日、産経新聞)
 北朝鮮の核問題をめぐる米朝協議が24日から2日間の日程で、スイス・ジュネーブで開かれる。7月に続く協議の焦点は、昨年11月に北朝鮮が公開したウラン濃縮プログラム(UEP)の扱いだ。北朝鮮にとってウラン型核兵器は「金正恩大将の切り札」である。すでに濃縮活動を開始している北朝鮮に時間を与えれば、いずれは核兵器の量産態勢…という悪夢が現実味を帯びてくる。事態に懸念を深める米国に対し、核取引を仕掛ける金正日総書記の駆け引きは、危険水域に入った。

・悪夢のシナリオ
 北朝鮮の別名は「鉱物標本室」。タングステンはじめレアメタル(希少金属)などの埋蔵量が多く、天然ウランは採掘可能な埋蔵量が推定400万トン(韓国統一省、日本原子力産業会議)とされ、北朝鮮は現在、世界で確認されている天然ウラン埋蔵ナンバーワンのオーストラリア(114万トン)を上回る「ウラン大国」なのだ。
 その北朝鮮が、ウラン濃縮技術と必要な資材を獲得して複数の施設で兵器用ウランのプラント生産を始めたら…。米国の描く悪夢のシナリオである。
 北朝鮮は昨年11月、訪朝した米ロスアラモス研究所元所長のシーグリード・ヘッカー氏らに寧辺核施設で約2000基の遠心分離機が稼働しているウラン濃縮施設を公開した。北朝鮮はこれを「平和利用のため」の施設とするが、信じるものはいない。
 マレン米統合参謀本部議長(当時)は「(公開は)後継者、金正恩の軍人としての実績づくりだろう」と述べた。
 米国はこれまで、日韓と政策調整を入念に行い6カ国協議再開に向け北朝鮮に5条件(メモ参照)を要求してきたが、最大の焦点はウラン濃縮活動停止だ。
 米朝の攻防はこの1点といってもいい。北朝鮮は1年7カ月ぶりだった7月末の米朝協議で米の要求を断固、拒否した。その後、金正日総書記自らが訪中や訪露の首脳会談などの席で「前提条件なき6カ国協議の再開」を高らかに宣言した。北朝鮮の主張は稼働中のウラン濃縮プログラムを背景に「核保有国」を主張、協議では核軍縮交渉と米朝平和協定交渉を要求するとみられる。
 米国が北朝鮮の核疑惑を問題視し、直接接触を始めた1980年代末から20余年。ウラン濃縮疑惑でいえば1999年、クリントン政権時に米議会で取り上げてからすでに12年が経過したが、脅威の構造は変わらず深刻さだけが増した。

・米国が警戒する核実験、北朝鮮が牽制する米韓軍事行動 
 米国側は、北朝鮮の韓国への軍事挑発と、3回目核実験を強く懸念している。「米国は昨年の韓国哨戒艦撃沈事件(3月)、延坪島砲撃事件(11月)で、北朝鮮の対南(韓国)挑発が、軍事衝突を辞さない規模であることを痛感した」(米朝関係に詳しい専門家)。北朝鮮の再度の強硬な挑発があれば、米国の軍事介入が避けられないためだ。
 また、核実験(3回目)の準備もほぼ終わっており、「あとは政治決断のレベル」(情報筋)。米国は米朝の緊張関係が北朝鮮の挑発行動を誘発しかねない−との情勢分析に立っているという。
 またオバマ政権には来年の大統領選を控え、対北政策が全く動かないことへのいらだちもあるようだ。大統領選本番の前に「対話モード」に入ることは避けられないとの見方も出ている。
 一方、10月13日の米韓首脳会談は強いメッセージを発した。
 韓国の李明博大統領は上下両院合同会議の演説で、「米韓は宿命的な同伴者」と述べ、朝鮮戦争に参戦した議員の名前をひとりひとり呼び、感謝を伝えるなどして、45分間の演説で45回の拍手を受けた。両首脳は「米韓は北朝鮮の挑発や威嚇への備えを強化する」と強調している。
 韓国は27日から11月4日まで北朝鮮の挑発と全面戦争に備えた陸海空、海兵隊による大規模軍事演習を行う。昨年2回の攻撃を受けた海上の最前線である北方限界線(NLL)は重点訓練地域となる。
 北朝鮮は米韓首脳会談(10月13日)直前、NLLの北朝鮮側で朝鮮人民軍の地対艦ミサイルや地対空ミサイルを移動させて、韓国を威嚇した。米韓首脳会談ではオバマ大統領、李明博大統領が共同記者会見で「北朝鮮の挑発は補償ではなく、より強力な制裁や孤立を招く。国際社会の要求を無視するなら待っているのは圧力と孤立だ。非核化を選択するなら新たなチャンスを得る。これは北朝鮮の選択だ」と断じた。
 心理戦は五分五分だ。そして米朝協議の見通しには悲観的な見方が多い。緊張の水位は上がりそうで、「双方のジャブは年末まで続く」とみられている。

・メモ
 米国が2008年12月の6カ国協議中断以来、北朝鮮のウラン濃縮プログラム公開を経て、日韓と協調して北朝鮮に求めてきた6カ国協議再開のための条件は以下の5つ。
(1)ウラン濃縮中断
(2)国際原子力機関(IAEA)査察団復帰
(3)2005年9月の6カ国協議共同声明確認
(4)大量破壊兵器(WMD)実験のモラトリアム
(5)朝鮮戦争休戦協定の順守

◎反格差デモ、シカゴで175人逮捕(2011年10月17日、読売新聞)
 ローマ中心部で15日、「格差是正」を求めるデモ隊の一部が暴徒化して警察官と衝突し、70人以上が負傷した。
 インターネットを通じた「一斉行動の日」の呼びかけに呼応したデモは、ポルトガルやスペインなど欧州各国に広がった。米ニューヨークの繁華街でも同日、反格差デモが行われ、AP通信によると、16日未明までに80人以上が逮捕され、警官2人が負傷した。シカゴでは175人が逮捕された。
 ローマのデモは当初、平和的に繰り広げられたが、途中から覆面姿の過激派メンバーが加わり、ハンマーなどで銀行や店舗の窓ガラスを割ったり、車に放火したりして様相が一変。警官隊が暴徒に向け催涙弾などを発射して鎮圧を図り、観光客らでにぎわうローマ中心部は騒然とした雰囲気に包まれた。
 伊メディアによると、デモには労組、若者グループなどが参加し、地方からも貸し切りバスで首都に結集、数万人が参加した。

◎ウォール街、水に流す? 清掃したい市、デモ隊と対立(2011年10月15日、朝日新聞)
 経済格差に怒った若者たちが1カ月近く占拠しているニューヨーク・ウォール街そばの公園で、清掃しようとする市当局とデモ参加者が対立している。市は14日朝にデモ参加者を強制排除して大量放水する計画だったが、「追い出す口実」との反発が高まり、予定時間の直前に延期を決めた。
 デモ参加者は清掃係を選び、ゴミ処理に努めてはいるものの、前月17日から続く占拠でさすがに一帯の汚れが目立ってきた。何日も入浴しない参加者の体臭や食べ残しの発する悪臭もひどい。住民や通勤者から苦情が相次ぎ、「デモは大事だが、いくら何でも不潔すぎる」と公園の土地所有者が市に助けを求めた。
 「デモの自由は尊重する」と確約してきたブルームバーグ市長は「清掃さえ終われば占拠に戻ってよい」と説得したが、デモ参加者たちは「清掃を口実にして我々を追い払う気だ」と猛反発。夜を徹して自力でゴミを拾い、よごれを洗い落とす作業を展開した。

◎米議会、韓国とのFTA可決、日本企業不利に?(2011年10月13日、読売新聞)
 米上下両院の本会議は12日、韓国との自由貿易協定(FTA)の実施法案を賛成多数で可決した。オバマ大統領の署名を経て成立する。韓国側も来年1月の発効を目指し、議会で批准手続きに入る。米韓FTAが発効すれば、韓国から米国への輸出がしやすくなる。日本企業は、米国市場で不利になり、日本経済にとって打撃になる恐れがある。
 オバマ大統領は、訪米中の韓国の李明博(イミョンバク)大統領と13日に会談予定で、米韓FTAの意義などを確認する見通しだ。
 コロンビア、パナマとのFTA実施法案も、賛成多数で可決した。今回のFTAは、政府間で合意しながら労働組合の反対などで、4〜5年にもわたって議会承認のめどが立たなかった。米国はこれまで17の国とFTAを結んでいるが、1994年に発効したカナダとメキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)以来、最大のFTAとなる。

◎ワシントン中心部でも「占拠」デモ始まる(2011年10月7日、読売新聞)
 米首都ワシントン中心部で6日、高失業率や経済格差などに抗議する、リベラル系団体や市民による「占拠」デモが始まった。
 ニューヨークのウォール街での抗議デモに呼応した動きで、参加者の一人は、「米国の中心地に我々の声を届かせたい」と訴えた。
 抗議デモは、ホワイトハウスから数百メートル離れたフリーダム・プラザで行われた。反戦団体や環境保護団体のメンバーや一般市民ら数百人が早朝から集まり、「ウォール街の悪質な銀行家を一掃せよ」「対テロ戦費を国内に使え」などのプラカードや横断幕を掲げ、報道陣の前などで気勢を上げた。
 抗議デモの主催団体「オクトーバー2011」幹部のリサ・シモーヌ氏は、「時代精神は変わりつつある」と語り、富裕層優遇をやめ、一般国民のために尽くすよう、政府に要求すると強調した。

◎「占拠」デモ、ホワイトハウス近くに数千人集結(2011年10月7日、読売新聞)
 米首都ワシントン中心部で6日、高失業率や経済格差などに抗議する、リベラル系の団体や市民による「占拠」デモが始まった。
 ニューヨークのウォール街での抗議デモに呼応した動き。デモはロサンゼルスやテキサス州ダラスなど各地に広がっている。オバマ大統領は同日の記者会見で、「デモは、金融システムに対する国民の不満の表れだ」と述べ、理解を示した。
 デモの舞台であるホワイトハウス近くのフリーダム・プラザには、昼過ぎまでに数千人の参加者が集結した。ホワイトハウスや商工会議所前などにもデモ行進し、「大企業や富裕層への優遇をやめろ」などと叫んで気勢を上げた。デモの主催団体「オクトーバー2011」の世話人は「この町は大企業に支配されている。ワシントンを解放し、アメリカ帝国を揺るがそう」と訴えた。

◎デモ、オバマ大統領「不満の表れ」、首都にも数百人(2011年10月7日、朝日新聞)
 オバマ米大統領は6日、ホワイトハウスでの記者会見で、ニューヨークで始まった格差社会や高失業率への抗議デモについて「米国民の不満の表れ」という見方を示した。首都ワシントンでも6日、数百人が集結するなど、抗議デモは全米に拡大している。
 オバマ氏が一連のデモに言及するのは初めて。会見では「国民は、ルールに従っていない人がいることを知っており、ウォール街がその実例と考えている」と指摘。「毎日一生懸命働き、会社に忠誠を尽くすのが、かつてのアメリカンドリームの本質だった。しかし、最近は正しい人が報われず、正しくない人が見返りを得ている」と述べた。
 ワシントンではこの日、ホワイトハウス近くのフリーダムプラザで予定されていた反戦集会に「反ウォール街」を掲げる人々が合流。「強欲が経済を悪くする」「アフガニスタンではなく、ウォール街を占拠せよ」などのプラカードを掲げ、市内をデモ行進した。

◎NYデモ、1万人規模に拡大、労組が連帯集会(2011年10月6日、読売新聞)
 米ニューヨークのウォール街付近を占拠する若者らの抗議運動は5日、地元労組が参加する初の連帯集会が開かれ、過去最大の約1万人規模に膨れ上がった。
 集会に参加したのは、教職員や小売店員、看護師らの労組。教育ローンの返済や就職難に悩む大学生らも多数が飛び入り参加した。会場となったウォール街周辺の公園では、労組代表らが壇上で米社会の格差拡大などを訴えると、「イナフ・イズ・イナフ(もうたくさんだ)!」との参加者の声がこだました。
 会場では、オバマ大統領への支持と、草の根保守派「茶会運動」への反発の声も聞かれた。小売店員労組のジェーン・トンプソンさん(41)は「次も(オバマ大統領に)投票する。我々は『茶会』への対抗勢力となる」と話していた。

◎アノニマス名乗り、NY証券取引所への攻撃予告(2011年10月6日、読売新聞)
 国際ハッカー集団「アノニマス」を名乗る組織が、「ウォール街占拠運動」への連帯を示すためとして、10日にニューヨーク証券取引所ウェブサイトへの攻撃を行うと予告している。米CNNなどが5日報じた。
 予告は、動画投稿サイト「ユーチューブ」のビデオ声明に盛り込まれ、10日午後3時30分(日本時間11日午前4時30分)に、大量のデータを送りつける「DDOS攻撃」を仕掛けるよう呼びかけている。声明の真偽は不明だが、サイト攻撃が証券取引に影響する可能性はないとみられている。

◎NYデモ、1万人超が参加、ハッカー集団も支持攻撃予告(2011年10月6日、朝日新聞)
 経済格差などをめぐって全米各地に広がっている抗議活動は5日、ニューヨークでのデモに1万人以上が参加、これまでで最大規模に発展した。労働組合や学生団体も組織参加するなど、賛同者は多彩になりつつある。
 参加者たちは、抗議活動の拠点としているウォール街近くの公園から、市庁舎前の広場に向かってデモ行進。「銀行は公的資金を受けたのに、我々は見放された」「戦争をやめろ、金持ちに課税しろ」などとシュプレヒコールをあげた。警察官も大量動員された。
 デモ行進に参加した31歳の女性は、「もし私が1セントでも盗みを働いたら、捕まるのに、企業は搾取しても何のおとがめもないのはおかしい」と訴え、米国の富を独占する上位1%に対し、「我々99%が声を上げる時だ」と続けた。
 「ウォール街を占拠せよ」を合言葉にする抗議活動は9月17日から始まり、自動車産業や看護師の組合が加わるなど徐々に参加者が増えている。
 また、抗議活動を支持する行動の一環として、政府や企業のウェブサイトへの攻撃を繰り返す国際ハッカー集団「アノニマス」は、世界最大のニューヨーク証券取引所のサイトを10日に攻撃すると予告している。

◎「中国のサイバー攻撃能力向上」警戒強める米国(2011年10月4日、読売新聞)
 米国では、サイバー攻撃に中国政府が関わっているとの見方が強まり、警戒を強めている。
 米国防総省は8月、中国の軍事力に関する年次報告書で、中国人民解放軍が核・宇宙兵器に加え、「サイバー戦争における攻撃能力を着実に向上させている」と警告した。
 報告書は、中国軍によるサイバー戦の主目的は〈1〉敵情報の盗み出し〈2〉敵の兵站(へいたん)・通信ネットワークなどを攻撃して敵の行動を妨害〈3〉戦闘時にサイバー戦を展開し、攻撃の相乗効果を高める――の3点にあると指摘。また、米政府などのコンピューター網に対する膨大な量の侵入行為の中に「中国発とみられる」ものも含まれていたと指摘した。
 ウィリアム・リン国防副長官は7月、同省関連のネットワークから開発中の兵器システムなどに関する機密情報を含む2万4000件のファイルが今年3月に盗み出されたことを明らかにした。専門家などの間では、中国政府の仕業との見方が根強いが、副長官は特定の国名に言及するのは慎重に避けた。

◎「ウォール街占拠」運動、釈放の参加者再び集結(2011年10月4日、読売新聞)
 米ニューヨークで700人以上が逮捕された「ウォール街占拠」運動は、釈放された参加者が拠点のズコッティ公園に再結集し、2日もデモ集会を続けた。
 抗議デモはボストンやシカゴ、ロサンゼルスなど全米に拡大しており、多くが企業の拝金主義や大企業優先の政治を批判している。
 ウォール街に近い同公園でパンやリンゴ、ピザなどの無料配布を担当するジャネット・エイバーさん(24)は「すべて持ち寄り。毎日1000人以上は来る」と話す。エイバーさんは「私たちに責任のない経済危機はもうたくさん」と語った。
 ギターやドラムを演奏したり、持ち込んだマットの上でごろ寝したりする若者もいて、公園は「居住空間」と化している。1日に逮捕されたフィル・エドワーズさん(44)は「大多数の声を代弁したいだけだ」と公園に舞い戻った。

◎ウォール街デモ、オノ・ヨーコさんら支持表明(2011年10月4日、読売新聞)
 米ニューヨークのウォール街近くを若者らが占拠している抗議デモについて、米投資家のジョージ・ソロス氏(81)が3日、米銀行と中小企業との格差拡大などを指摘し、「(デモ参加者の)不満には共感できる」と表明した。
 9月中旬に始まったデモへの支持は米国社会に広く浸透しつつある。
 ソロス氏は、途上国支援のための資金提供を発表した国連本部での記者会見で、「多くの中小企業が倒産する一方、銀行の不良資産を事実上軽減するような決定が銀行に巨利をもたらした」と述べ、米政府の政策を暗に批判したうえで、「率直に言って(デモ参加者の)気持ちはわかる」と語った。
 一方、芸術家のオノ・ヨーコさん(78)も、簡易投稿サイト「ツイッター」で「英雄」とデモを称賛した。オノさんは、夫の故ジョン・レノンさんの「英雄一人では事をなし得ない。我々一人ひとりが英雄にならなければ」との言葉を引いてデモ参加者を励ました。

◎格差是正求めるデモ、NYで長期化、M・ムーア氏も応援(2011年10月4日、朝日新聞)
 高失業率に苦しむ米国で、経済政策の見直しや格差是正を求めるデモが長期化している。ニューヨークで3週間目に突入した1日にはブルックリン橋を埋め尽くし、約700人が逮捕された。デモはフェイスブックなどネットを通じてボストンやロサンゼルスなど全米各地に広がっている。
 「ウォール街を占拠せよ」と名乗るグループが9月17日から、米国経済を象徴するウォール街近くの公園で居座りを続けている。大学を卒業してもうまく就職できない現状や、貧富の格差に不満を持つ若者らが入れ代わり立ち代わり参加。警察官との衝突が散発的に起きている。映画監督のマイケル・ムーア氏らが応援に駆けつけるなど注目を集めている。

◎米国:「ウォール街デモ」各地に飛び火(2011年10月3日、毎日新聞)
 世界金融の中心地、米ニューヨーク・マンハッタンのウォール街周辺で経済格差の拡大に抗議する若者らのデモは700人以上が逮捕された翌日の2日も続き、1500人以上が集会に参加した。行き過ぎた市場主義に異を唱える運動はボストンやシカゴ、西海岸ロサンゼルスなど全米各地に拡大中で、海外に飛び火する可能性も浮上している。
 抗議運動はインターネットの会員制交流サイト・フェイスブックや簡易ブログ・ツイッターなどを通じて賛同者を増やしている。デモ参加者の一人はAP通信に「私たちの活動を伝える動画を見ている視聴者は3万人以上いる」と語った。
 ボストンでは、バンク・オブ・アメリカ前で約1000人が抗議、24人が逮捕された。共同通信によると、ロサンゼルスでは数百人が市庁舎近くに集まり、経済政策の恩恵を受けているのは人口の1%にすぎないとして「我々が99%だ」と書かれたポスターを手に大通りを練り歩いた。サンフランシスコ、シアトルなどでも抗議運動が行われたという。
 デモを展開する抗議団体のウェブサイトによると、デモ計画は全米50州のうち44州の計115都市で進行中。抗議団体はフェイスブックなどを通じて、東京やロンドンなど海外でも同様の抗議行動を繰り広げるよう呼びかけている。
 抗議団体の拠点であるマンハッタン南部のズコッティ公園は2日、警官が取り囲み、通行人が様子をうかがおうとして立ち止まろうとすると「交通の邪魔になる」と立ち去るよう促した。集会の参加者は「たとえ1人が逮捕されても、2人が(運動に)参加する」などと書かれたプラカードを掲げ、警官と無言でにらみ合った。
 周辺では、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルをもじったミニ新聞「オキュパイド・ウォールストリート(占拠されたウォール街)・ジャーナル」が配られた。「革命が始まっている」との見出しの記事は、今回の運動を1960年代の平和運動や中東の民主化運動「アラブの春」になぞらえ、「米国も歴史の節目にある」と指摘。「2500万人以上が無職で、5000万人以上が健康保険に入っていない」「我々のシステムは壊れている」と訴え、大企業や富裕層による富の独占を批判した。

◎「ウォール街」敵視の若者、逮捕も熱気衰えず(2011年10月3日、読売新聞)
 米ニューヨークのウォール街の近くで連日行われているデモに参加している若者たちの熱気は、1日、市警によって大量の逮捕者が出た後も、衰える気配がない。
 「ウォール街を占拠せよ」をスローガンにしたデモは、改善の兆しが見えない暮らしに対する若者たちの不満を背景にしており、政治にも波紋を広げ始めている。
 「ウォール街、占拠」。男性の音頭で大合唱が起こる。ウォール街から約100メートルにあるズコッティ公園は、1000人を超える若者であふれている。9月16日以降、2週間以上、ここで毎日集会を開き、街に繰り出している。
 配布されるパンフレットには「私たちは99%」とあり、ごく少数の富裕層に対する敵意をむき出しにしている。参加者たちは、ウォール街を貧富の格差を作り出す米国経済の象徴とみなしている。サム・ウッドさん(21)は「大学に行く資金もなく失業中。大企業にもっと税金を払わせるべきだ。変革が訪れるまで、この場を離れない」と息巻いた。
 1日は、デモ隊が観光名所でもあるブルックリン橋に集結した。市警は、交通を妨害したとして逮捕に踏み切ったという。それでも逮捕された人々は数時間後に釈放された。

◎NYデモ、若者ら700人逮捕、格差拡大に憤り(2011年10月2日、読売新聞)
 米ニューヨーク市警は1日、交通要所のブルックリン橋を不法占拠したなどとして、デモに参加した若者ら700人以上を逮捕した。
 デモは世界の金融の中心ウォール街の周辺で9月中旬から連日、1000人以上が参加している。格差拡大に対する憤まんが動機となっており、ウォール街に象徴される大企業や富裕層への敵対姿勢を鮮明にしている。

◎米国:ウォール街デモ、参加者700人超を逮捕(2011年10月2日、毎日新聞)
 米ニューヨークのウォール街で格差是正などを求めて先月から続くデモは1日午後、ニューヨーク市内のブルックリン橋に広がり、市警は橋の車の通行を妨げたとして、デモ参加者700人以上を逮捕した。AP通信などが伝えた。
 マンハッタン南部を出発したデモ隊は、マンハッタンとブルックリン地区を結ぶブルックリン橋のたもとで、車道にも人があふれ出し、警察は歩道に戻らなかったデモ参加者を逮捕した。

◎日立と韓国LGの合弁会社、罰金16億円、米でカルテル(2011年10月2日、朝日新聞)
 米司法省は9月30日、CDーROMの読み取り機など光ディスクドライブを巡る価格カルテルで、日立製作所と韓国LG電子の合弁会社「日立LGデータストレージ」が有罪を認め、2110万ドル(約16億円)の罰金を支払うことで合意したと発表した。
 同社は2009年まで、米デルや米ヒューレット・パッカードなどに光ディスクドライブを納める際、同業他社と談合して販売価格を調整したという。
 同省によると、光ディスクドライブを巡る価格カルテルでの罰金は初めて。同省と米連邦捜査局(FBI)は今後も捜査を続けるとしている。

◎リステリア菌でメロン食中毒、米で死者15人(2011年10月2日、読売新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は9月30日、リステリア菌に汚染されたメロンによる食中毒で、コロラド、テキサス、ニューメキシコなど全米19州で死者15人、患者84人が発生したと発表した。
 リステリア菌は水や土の中に広く存在し、肉や乳製品などが原因となることが多い。今回は、初めてメロンが感染源となったほか、規模が大きいのが特徴だ。
 メロンを出荷したコロラド州の農場は同14日に自主回収を始めている。しかし、潜伏期間が1〜3週間と長く、まだ患者が増える可能性がある。
 健康な人では感染しても発病しないことも多いが、免疫の弱ったお年寄りや妊婦などでは重症化し、髄膜炎などを起こすことがある。

◎メロンで食中毒か、米で15人死亡、リステリア菌に感染(2011年10月2日、朝日新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は30日、メロンが原因とみられるリステリア菌による食中毒で7月下旬以降、中西部コロラド州を中心に84人が感染、15人が死亡したと発表した。
 米食品医薬品局(FDA)によると、感染源とみられるメロンはコロラド州の農場から17州に出荷された。9月中旬以降、農場が自主回収しているが、感染者は19州にまたがっている。また、30日にはカリフォルニア州で生産されたレタスの一部からリステリア菌が検出された。自主回収が始まったが、関連はわかっていない。
 CDCによると、リステリア菌は水や土壌などに広く存在する。人に感染すると発熱や頭痛などの症状があり、重症化すると敗血症や髄膜炎を起こす。欧米では牛乳やチーズ、野菜、食肉などを原因とした集団発生が報告されている。

◎ウォール街デモ:市場経済行き過ぎ抗議 アラブの春に触発(2011年10月1日、毎日新聞)
 米ニューヨーク・マンハッタンにある世界最大の金融街・ウォール街近くで、行き過ぎた市場経済に抗議する運動が続いている。「ウォール街を占拠しよう」を合言葉に、若者ら数百人が公園に座り込んで格差是正や貧困撲滅などを訴える運動は30日で2週間。民衆が強権政権を倒した「アラブの春」に触発された動きといえそうだ。
 きっかけは環境問題を扱うカナダの雑誌「アドバターズ」の呼びかけ。ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアで若者らに広がり、今月17日にウォール街から北に約200メートルの公園で座り込みが始まった。
 高い家賃や高学費、失業問題、年金問題など訴える内容はさまざまで、「(国民の)1%が富を独占している。残りの99%の声を集めよう」と呼びかける人は多い。
 口に1ドル札を張った姿で拝金主義に抗議していたロバート・カールソンさん(25)はミネソタ州在住の家庭教師。この運動に参加して6日になる。「この国には問題が多くあると皆に気づいてほしかった。アラブの人々も立ち上がった」と語り、「アラブの春」に触発されたことをうかがわせる。シカゴやサンフランシスコでも同様のデモや座り込みが始まっている。
 一日に2回、「ゼネラル・アッセンブリー(総会)」と呼ばれる会合を参加者全員で開き、予定を決める。病気の参加者を治療する「医療班」や食料を担当する「食料班」のほか、集会やデモの様子をインターネット上に動画で流す「メディア班」もある。
 警察との衝突も増え、24日にはデモの参加者約80人が公務執行妨害などで逮捕された。警官が参加者に催涙スプレーを吹き付けるトラブルも起き、ニューヨークのブルームバーグ市長は30日、「抗議する権利はあるが、抗議に煩わされない権利もある」と述べ、運動を抑止する姿勢を示唆した。

◎古河電工:電線カルテル認め、罰金153億円、米司法取引(2011年9月30日、毎日新聞)
 古河電気工業(東京)は29日、米司法省との間で、自動車内に配線するワイヤハーネスと呼ばれる電線の販売をめぐる価格カルテルに10年間にわたって関与したと認め、罰金2億ドル(約153億円)を支払う司法取引に合意した。司法省によると、不正に関与した日本人の幹部3人は米国での最長1年6月の禁錮刑に同意したという。
 AP通信によると、カルテルを行った外国企業幹部が米国で禁錮刑を受けるのは異例。古河電工の企業イメージ低下は必至だ。
 国際価格カルテルの捜査を進めている米連邦捜査局(FBI)が米独占禁止法(反トラスト法)違反に当たるとして摘発した。今後もカルテルに関与した他の企業への捜査を続ける方針。
 司法省はミシガン州デトロイトの連邦地裁に訴えの書類を提出しており、今後正式に司法決定が言い渡される見通し。同省は声明で「今回の価格カルテルや不正入札で、自動車メーカーが不当に高く部品を買わされ、消費者が被害を受けた」と指摘した。
 司法省が地裁に提出した書類によると、3人は、他社の担当者と日米両国で連絡を取り合い、米国の自動車メーカーに送る見積額や入札額について談合。談合破りがないか確認するため、米国で会合などを続けていた。偽名を使い、個人宅など目立たない場所で接触していたという。
 日本の公正取引委員会は昨年2月、ワイヤハーネスの販売で談合していたとして、独禁法違反で、古河電工のほか、矢崎総業(東京)、住友電気工業(大阪市)などを立ち入り検査していた。
 ワイヤハーネスはデジタルパネルやパワーウインドーなどに電気を供給するための配線。古河電工は2000年1月ごろから10年1月ごろまでの間、米国などで販売するワイヤハーネスや関連部品に関して他の企業とともに不正入札や価格操作をしていた。

・社長ら役員報酬返上
 古河電工はカルテルに関連し、吉田政雄社長と石原広司会長が役員報酬の50%を3カ月間返上すると発表。適用法令や事実関係を勘案し、司法取引を結ぶことにした、としている。

◎日本でも人気靴、リーボック不当表示で19億円支払い(2011年9月30日、スポーツニッポン)
 米連邦取引委員会(FTC)は28日、スポーツ用品大手リーボック・インターナショナルが、運動靴を「履いて歩くだけで通常以上の運動効果がある」などと宣伝していることが不当表示に当たると指摘し、リーボックが2500万ドル(約19億円)を支払うことで合意したと発表した。この運動靴は「イージートーン」や「ラントーン」の商品名で販売。靴底を膨らませて不安定感を出すことで、歩いた時に脚やお尻の筋肉が引き締まる効果があると宣伝しており、日本でも人気が高い。
 FTCによると、リーボックは「通常の運動靴に比べ、ふくらはぎの筋肉に11%多く負荷がかかる」などと数値を掲げてテレビや雑誌などで宣伝。これについて「科学的根拠の裏付けがないまま、健康や筋肉引き締めの効果を訴えている」とし、検査や研究の結果を誤って伝えていることも問題だとしている。
 米国内の消費者から苦情が出ていた。共同電によるとリーボックの支払金は、申し出を受けた消費者への返金に充てられる。

◎米大使館襲撃、パキスタン軍が関与、米統参議長(2011年9月24日、読売新聞)
 マレン米統合参謀本部議長は22日、上院軍事委員会で証言し、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンに近い武装勢力「ハッカニ・ネットワーク」が、「パキスタン軍統合情報部(ISI)の支援を受けてカブールの米大使館を襲撃した」と明言した。
 議長は、同ネットワークについてISIの「事実上の戦闘部隊だ」と述べた。一方、カーニー米大統領報道官は23日、「パキスタン政府が(同ネットワークとの)すべての縁を切ることが重要だ」と語った。

◎米、台湾に武器42億ドル、新型F16は見送り(2011年9月17日、読売新聞)
 オバマ米政権は16日、台湾に総額約42億ドル(約3224億円)の武器売却を決め、米議会に非公式に通告した。
 早ければ19日にも正式発表される。焦点となっていた新型のF16C/D型戦闘機66機の売却は見送り、代わりに台湾が保有する従来型のF16A/B型約150機の性能向上のための機器や装備などを提供する。
 武器売却で予想される中国の反発に配慮したとみられ、議会の対中強硬派などから批判が噴出するのは必至だ。
 台湾は、戦闘機の性能向上など中国の航空兵力の増強が進んでいるのに対抗するため、F16C/Dの購入を米側に要望。米議会でも、中国の脅威への対抗に加え、F16の製造工場を抱える州での雇用確保などの思惑から、超党派の議員が売却実現を要請していた。

◎日本が悩まされた、米特許法、先願主義に転換(2011年9月17日、読売新聞)
 オバマ米大統領は16日、約60年ぶりの大改正となる特許法の包括的な改正法案に署名し、同法が成立した。
 最初の発明に特許が与えられる「先発明主義」から、先に出願した人に特許を認める「先願主義」への転換を盛り込んでいる。
 国際的には先願主義が主流だが、米国は19世紀以来、先発明主義を続けてきた。2013年春に施行される。国際特許紛争は減るとみられ、日本企業などは、世界的な特許出願戦略や事業展開の立案が容易になりそうだ。
 先発明主義は、だれが先に発明したかを巡る訴訟も絶えず、審査手続きに時間がかかるという問題もあった。このため、世界的に事業展開するIT(情報技術)関連の大企業などが、米企業の競争力強化や、技術開発の促進のため、先願主義への移行を求めていた。
 これに対し、中小企業や個人発明家、大学は、先願主義になれば、多数の弁護士を抱える大企業が迅速に出願できるので不利になると反対していた。

◎米特許、先願主義に転換、2013年春から適用予定(2011年9月17日、朝日新聞)
 オバマ米大統領は16日、米特許法の改正法案に署名、同法が成立した。1952年以来の抜本的な改正で、先に発明した人に特許を与える「先発明主義」から、出願した日を優先する「先願主義」へと制度がかわる。2013年春から適用される見通しだ。
 日本を含めた先進国は先願主義を採用しているが、これまで米国だけが、個人や企業の功績を重んじる立場から、先発明主義を取ってきた。先発明主義では、後からでも、発明日が早いことを立証できれば、権利が認められる利点はあったが、一方で、特許紛争につながりやすいとされてきた。
 先に発明した時点が決め手となるため、審査に時間がかかり、訴訟リスクも伴うため、米国の企業の間でも、発明や技術革新を妨げているとして批判が高まっていた。ただ、AP通信によれば、中小企業や個人の発明家の間では、不利になるとの声も出ていた。

◎「サイバー空間は未来の戦場」、米豪、安保条約で共同対処(2011年9月15日、産経新聞)
 米国防総省は14日、米国とオーストラリアが15日に米サンフランシスコで開く外相・国防相の定例閣僚協議で、政府や軍、民間企業などのコンピューター網を狙うサイバー攻撃を、両国の相互安全保障条約(アンザス条約)に基づく共同対処の対象に含むと宣言することを明らかにした。
 ロイター通信によると、北大西洋条約機構(NATO)以外で同盟関係にある国が、サイバー攻撃に共同対処することを明確に打ち出すのは初めてとみられる。
 今年はアンザス条約締結から60周年。パネッタ国防長官とクリントン国務長官が15日にオーストラリアのスミス国防相、ラッド外相と会談し、共同声明を発表する。
 パネッタ氏は14日、記者団に「サイバー空間は未来の戦場だ」と述べ、同盟国と共同対処する重要性を訴えた。

◎米外交委員会、「中国メディアは国営機関」(2011年9月15日、産経新聞)
 米国下院外交委員会の有力メンバーのデーナ・ローラバッカー議員ら共和党議員は、中国主要メディアはみな共産党政権に運営される事実上の国営機関だとして、所属記者の米国入国を大幅に制限する法案を13日に提出した。「中国メディア相互法案」と題され、同議員のほかランディ・フォーブス、テッド・ポー両議員により提出された。
 ローラバッカー議員が記者会見で説明したところでは、米国で活動する中国主要メディアの記者は「中国政府の工作員」だといえるが、米国当局は2010年度にそうした中国人記者計650人に入国査証を発行したという。
 一方、米国側メディアは政府の直接の管理下にはなく、中国側メディアに近いのは米国議会の放送委員会傘下にある「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」と「自由アジア・ラジオ(RFA)」だけで、昨年度にはこの2社の記者2人が中国への入国査証を得た。
 法案は650対2という不均衡のほか、米国内の中国側記者たちが報道や取材の自由を全く制限されないのに対し、中国駐在の米国人記者すべてが当局の監視や圧力、検閲などを受けるという不均衡をも正すことを目的にしている。米国側官営メディアの中国駐在特派員と中国側の米国駐在特派員とが同水準の数に保たれるよう米国当局が査証発行を調整することを骨子としている。法案は中国側国営メディアとして中国中央テレビ、新華社通信、人民日報、中国青年報、光明日報など13機関を明記している。

◎年収170万円以下4人家族、米で4618万人(2011年9月14日、読売新聞)
 米国勢調査局は13日、2010年の米国の貧困者の数が全人口の15.1%にあたる4618万人となり、1959年に統計を取り始めて以来、過去最多になったと発表した。
 前年より260万人増えており、4年連続の増加となった。全人口に占める貧困者の割合も3年連続の上昇となった。経済の低迷を反映した形だ。
 米国では、政府が毎年収入の基準を定め、それを下回る収入の世帯を貧困層と定義しており、10年は、子供2人の4人家族で年収2万2113ドル(約170万円)が基準とされた。

◎米本土へのテロ「現実的なもの」、米国防長官(2011年9月8日、読売新聞)
 パネッタ米国防長官は6日、国際テロ組織「アル・カーイダ」系でイエメンやソマリアを拠点とする武装勢力による米本土へのテロ攻撃の可能性は「現実的なものだ」と述べ、警戒の必要性を強調した。
 米同時テロで崩壊したニューヨークの世界貿易センタービル跡地を訪問した際、記者団に語った。
 長官は、イエメンに拠点を置く「アラビア半島のアル・カーイダ」に強い思想的影響力を持つイスラム法学者アンワル・アウラキ師が「この国を攻撃するよう促し、脅威であり続けている」と指摘した。

◎米国で140万世帯停電、原子炉2基が自動停止(2011年9月9日、読売新聞)
 ロイター通信などによると、米カリフォルニア州南部サンディエゴなどで8日午後、大規模な停電が起き、約140万世帯への電力供給が止まったほか、サンディエゴの北約100キロ・メートルにあるサンオノフレ原発が自動停止した。
 米メディアによると、同原発は8日午後3時38分に外部からの電力供給が不安定となったため原子炉2基が自動停止した。ただ、原発には停電に備えて非常用発電機などがあるため、電力会社は「安全性に問題はない」としている。
 停電は、カリフォルニア州南部とアリゾナ州の一部、メキシコ北部の広範囲に及んでいる。
 サンディエゴの電力供給会社は、停電の原因について「電力使用量が供給量を上回った」との見方を示した。また同社によると、アリゾナ州からカリフォルニア州に電力を送る送電線に異常が起きた可能性もあるという。テロの可能性については言及していない。
 カリフォルニア州南部では猛暑が続き、冷房用の電力需要が高まっていた。

◎9・11から10年、米首都狙う「信頼できる情報」入手、トラック2台追跡中(2011年9月9日、スポーツニッポン)
 米主要メディアは8日、米中枢同時テロ10年に合わせ、ニューヨークか首都ワシントンを狙ったテロ計画に関する「信頼できる情報」を入手したと米政府当局者が語ったと報じた。
 ホワイトハウス当局者は、オバマ大統領が8日朝に報告を受け、担当機関に対し警戒を強化するよう指示したと説明した。
 ABCテレビによると、少なくとも3人のテロリストが8月に空路で米国入り。いずれかの都市で自動車爆弾によるテロを実行する計画があり、犯行に使われる可能性があるトラック2台を当局が全米で追跡している。

◎米で新型の豚インフルエンザ、乳幼児2人感染(2011年9月3日、朝日新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は2日、米国内で乳幼児2人が新種の豚インフルエンザウイルス(H3N2型)に感染したと発表した。豚インフルエンザの感染は2005年〜10年で21例報告があるが、今回のウイルスは、遺伝子の一部が09年に世界的に流行した新型インフルエンザ(H1N1型)のものに置き換わっていた。
 2人はすでに回復しており、感染の広がりはないが、CDCでは監視の強化を呼びかけている。
 1人は中西部インディアナ州の男児で、7月に発熱やせきなどで病院を訪れた。豚との接触はなかったが、世話をしていた乳母に豚との接触が確認された。もう1人は東部ペンシルベニア州の女児で、8月に発熱などの症状で病院で検査を受けた。数日前に農業祭で、豚と接触したとみられる。2人の感染に関連はないが、遺伝子の一部が置き換わっていた点では共通していた。

◎グアテマラでの性病人体実験、死者は83人、米調査委(2011年9月1日、朝日新聞)
 米科学者が1940年代に中米グアテマラの病院や刑務所で、性病に感染させる人体実験を実施していた問題で、オバマ大統領直属の委員会がこのほど、実験による死者が83人に上ることなどを盛り込んだ調査結果を公表した。
 AP通信によると、米国の公衆衛生当局の医師らが、抗生物質の効き目を調べる目的で、兵士や受刑者、精神障害者ら1300人を意図的に梅毒や淋病に感染させた。このうち治療を受けたのは約700人で、83人が死亡していたことが確認された。委員会のメンバーは「科学者は医学の進歩を優先し、人間としての良識を欠いていた」と非難した。
 この問題は昨年、文献を調べていた研究者が発見し、明るみに出た。オバマ大統領は昨年10月、グアテマラのコロン大統領に電話で謝罪している。

◎フカヒレ食べ納め? 米カリフォルニア州で売買禁止法案(2011年8月31日、朝日新聞)
 全米最大の中国系人口を擁する米カリフォルニア州で、中華料理の高級食材フカヒレの売買や所有を禁じる法案が州上院予算委員会を通過した。フカヒレ目当ての乱獲批判から中国系議員らが提出したが、他の中国系の団体や政治家らは「文化慣習への侵害」と猛反発、議論になっている。
 カリフォルニアは中国系が約125万人と、全米の約3分の1を占めており、フカヒレ消費量は全米の約85%に及ぶとされる。州下院はすでに通過しており、9月にも開かれる上院本会議でも可決されれば、2013年から州内の料理店などでの販売が禁じられ、自宅でも調理できなくなる。
 法案は、中国系で民主党の州下院議員、ポール・フォン氏らが提出した。ロサンゼルス・タイムズ紙によると、フォン氏は長年フカヒレスープを食べてきたものの、漁によるサメの絶滅危機を描いた映画を数年前に見て反対派に転じた。俳優のレオナルド・ディカプリオ氏らが法案支持の手紙を上院議員宛てに出し、中国出身の米プロバスケットボール(NBA)の元スター選手、姚明(ヤオ・ミン)氏も反フカヒレの動画を撮影して運動に加わり、支持が広がった。

◎「日本の政治プロセス尊重」、苦笑した米報道官が釈明(2011年8月31日、朝日新聞)
 米国務省のヌーランド報道官が野田佳彦新首相の選出について、29日の記者会見で「(ここ数年で)何人目の首相になるの」などと苦笑しながら答えたことについて、同氏が30日の会見で「日本の政治プロセスを完全に尊重している」と釈明する場面があった。
 ヌーランド氏は30日の会見で、記者から「米国は日本の政治的な不安定さがおかしいのか」とただされた。これに対し、同氏は、「(首相の)人数を資料に入れておいた方がいい」と記者にちゃかされたことなどに笑った、と釈明。「日本の首相とは全く関係ない。もしそう見えたのなら残念だ」と答え、「日本の新首相との協力を期待している」と強調した。

◎日本の首相交代へのコメント中、米報道官が苦笑(2011年8月30日、読売新聞)
 民主党新代表に野田佳彦財務相が選ばれ、次期首相になることについて、米国務省のヌーランド報道官は29日の記者会見で、「日米同盟はどの首相の下でも着実に進展してきた。次の首相とも緊密な協力を継続していく」と語った。
 会見では、質問に答えようとした報道官が、米メディアの記者に「また同じコメントを読み上げることになった」と混ぜ返され、コメントを読み上げながら、笑いをこらえきれなくなる場面もあった。

◎アル・カーイダナンバー2死亡、米国防総省確認(2011年8月30日、読売新聞)
 米国防総省のリトル報道官は29日、記者団に対し、国際テロ組織アル・カーイダのナンバー2、アティヤ・アブドゥルラフマン容疑者が死亡したことを確認した。
 報道官は、同容疑者が「ここ数年、アル・カーイダ内部で存在感を増していた」とし、「死亡は組織への大打撃になる」と強調した。米主要メディアは27日、米中央情報局(CIA)の無人武装偵察機による攻撃で、同容疑者が殺害されたと報じていた。

◎アイリーンの死者38人、停電なお500万世帯(2011年8月30日、読売新聞)
 ハリケーンから熱帯暴風雨となって米北東部を襲った「アイリーン」による死者が29日、計11州で38人に上った。
 AP通信が伝えた。川の洪水などで流された遺体が発見されたという。停電も同日午後現在、約500万世帯に上っている。
 一方、ニューヨーク市では地下鉄が同日午前に、近郊列車も同日午後に運行を再開し、市民生活は徐々に正常化しつつある。

◎米ハリケーン、死者21人に、NY地下鉄、運休のまま(2011年8月29日、朝日新聞)
 米東海岸で大型ハリケーンから熱帯暴風雨に変わった「アイリーン」は28日、激しい雨を降らせながらニューヨーク市を通過し、北上を続けた。AP通信によると、倒れてきた木にぶつかるなどして、これまでにバージニアなど8州で少なくとも21人が死亡したという。
 米メディアによると、沿岸各地で多くの家屋が浸水し、約400万戸が停電した。すべての公共交通機関が止まったニューヨーク市では、同日午後に避難命令が解除され、バスも運行し始めたが、地下鉄や鉄道は運休したままで、再開には時間がかかる見通し。川に近い金融街では道路が冠水した。

◎アイリーン上陸、NY市長37万人に避難命令(2011年8月28日、読売新聞)
 ハリケーン「アイリーン」は27日朝(日本時間同日夜)、米南東部ノースカロライナ州の海岸に上陸し、同州で約20万世帯が停電した。
 同日夜(同28日午前)には北東部を直撃する恐れがあり、ニューヨーク市のブルームバーグ市長は海岸線に近い地域の住民ら37万人に避難命令を出した。
 アイリーンは風速毎秒約38メートルで、勢力は5段階で一番下の「カテゴリー1」。ニューヨーク市は、地下鉄やバスなどの公共交通機関の運行停止を決めた。
 同市は100か所に避難所を設け、7万1000人を収容する態勢を整えた。市長は外出を控えるよう呼びかけ、市中心部の交通や人通りは途絶えている。
 AP通信によると、米北東部の主要空港は29日までに離着陸する予定の約6100便を欠航にした。ニューヨーク周辺の空港は27日午後までに閉鎖となる予定だ。

◎動物園の動物が察知? 67年ぶり米の地震、現地で話題(2011年8月28日、朝日新聞)
 米東部を67年ぶりに襲った23日のマグニチュード5.8の地震で、ワシントンにある国立動物園の動物が事前に異常行動を見せたとの話題が米メディアをにぎわしている。
 米紙ワシントン・ポストは「地震前の動物の本能」と題する記事を25日付の1面で報じた。飼育員の証言をもとに、地震の5〜10秒前にオランウータンやゴリラが高い所に駆け登ったり、15分前にキツネザルが叫び声を上げたりしたとしている。異常行動は、フラミンゴやゾウ、ヘビなどでも見られ、動物園のホームページでも紹介された。
 記事では、地震波のうちP波と呼ばれる最初の弱い波が、大きな揺れを起こすS波の15秒前に到達していたことを挙げ、「P波に動物が反応したとすれば説明がつく」という米地質調査所の専門家のコメントを載せた。ただ、15分前の「叫び声」は説明できず、「人間が知らない現象を察知した可能性もある」とした。

◎ハリケーン、米東部上陸、1人死亡、8州が非常事態宣言(2011年8月28日、朝日新聞)
 米国東海岸で北上を続ける大型ハリケーン「アイリーン」は27日午前、ノースカロライナ州に上陸した。東海岸沿いの8州が非常事態を宣言し、直撃の恐れがあるニューヨーク市を含め、数百万人規模の住民に避難命令が出された。
 米ハリケーンセンターは27日にハリケーンの強さを5段階で最も弱い「1」に引き下げたが、再び勢いを増す恐れも指摘されている。直径約470キロの大きさで比較的ゆっくり進んでいることから、降雨量の増大に伴う浸水が懸念されている。米メディアによると、ノースカロライナ州で20万世帯が停電し、少なくとも男性1人が死亡した。
 28日に直撃の恐れがあるニューヨークでは27日午後からすべての公共交通機関が止まる。史上初めての措置で、主要空港の閉鎖も決まった。海岸沿いの低地に住む避難対象の住民も約40万人に拡大され、ブルームバーグ市長は「いますぐに行動をしてください」と避難を促した。

◎米グーグル、違法広告で罰金5億ドル(2011年8月24日、読売新聞)
 米司法省は24日、米インターネット検索大手グーグルが5億ドル(約380億円)の巨額罰金を支払うことで和解したと発表した。
 司法省によると罰金の額としては過去最大規模という。
 グーグルは、米国の消費者がカナダのオンライン薬局から違法に輸入して購入するのを、違法広告を掲載して手助けし、広告料を受け取っていたとする容疑がかけられ、捜査当局が捜査に入っていたと報じられていた。罰金により、この広告料を没収する形になる。カナダの薬局から米国に輸出されると、薬品の安全性を確保出来ないため、米国の法律に反する。

◎アノニマス、米鉄道ウェブ攻撃、携帯規制に報復(2011年8月16日、読売新聞)
 国際ハッカー集団「アノニマス」が14日、米カリフォルニア州サンフランシスコの公営鉄道会社の関連ウェブサイトを攻撃、乗客ら約2000人分の住所や電話番号などの個人情報を流出させた。
 米メディアが伝えた。同集団はウェブ上の声明で、同社が駅構内での携帯電話使用を規制したことへの報復措置だとしている。
 同鉄道の駅構内で7月、ホームレスの男性が警官に射殺される事件があり、市民らが今月11日に抗議デモを計画した。会社側は同日、デモ阻止を目的に各駅で携帯電話の電波を止め、市民団体から「集会の自由の侵害」と批判を浴びていた。

◎アップル時価総額、終値でも米企業の首位に(2011年8月11日、朝日新聞)
 10日のニューヨーク株式市場で、米アップルの時価総額が終値でも初めて米企業首位になった。アップルの時価総額は約3370億ドル(約25兆9500億円)、これまで首位だった米石油最大手エクソンモービルは約3310億ドル(約25兆4900億円)だった。アップルは前日、取引時間中に一時エクソンを抜いていた。

◎12歳と15歳少女に性的虐待、一夫多妻教団の指導者に終身刑、米テキサス州(2011年8月10日、産経新聞)
 米テキサス州サンアンジェロの州地裁の陪審は9日、少女に対する性的虐待の罪に問われた、一夫多妻制を掲げるキリスト教系の教団FLDSの指導者ウォーレン・ジェフス被告(55)に終身刑を言い渡した。米CNNなどが伝えた。4日に有罪評決が出ていた。
 検察当局によると、ジェフス被告は信者に、一夫多妻制が神に近づく方法だと教え、12歳と15歳の少女を性的に虐待。被告は2人を含む78人の女性信者を宗教上の妻としていた。
 被告は弁護士を選任せず、公判では大声で「刑事訴追は信教の自由の侵害だ」と叫ぶなどした。
 FLDSは末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教会)から分派した教団で、信者は少なくとも1万人。テキサス州当局が少女らを保護した2008年4月には、被告は州内の教団施設で数百人の女性信者らと暮らしていた。

◎米アップルの時価総額、一時全米トップに(2011年8月10日、読売新聞)
 9日のニューヨーク株式市場で、米アップルの時価総額が一時、米石油大手エクソンモービルを抜いて、初めて米上場企業の首位に立った。
 米メディアによると、取引時間中に一時、アップルの時価総額が約3430億ドル(約26兆4000億円)と、エクソンの約3340億ドルを上回った。ただ、終値ではエクソンが約3529億ドルとアップルの約3467億ドルを上回り、首位を守った。
 アップルは、スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の販売が好調だ。一方、エクソンは、世界経済が減速してエネルギー需要が落ち込むとの見方から、株価の不振が続いている。

◎米国の「日本海」表記支持に困惑、「東海」主張の韓国(2011年8月10日、朝日新聞)
 韓国が「日本海」を「東海」と呼ぶべきだと主張している問題を巡り、米国務省のトナー副報道官が8日の記者会見で、日本海の単独表記を支持する米政府の立場を確認した。韓国側は困惑しており、国際水路機関(IHO)が来年中の発刊を目指す海図の改訂版に、東海の名称を併記するよう全力を挙げるとしている。
 韓国外交通商省副報道官は9日の記者会見で「米国と緊密に協力してきた。今後も我々の立場を反映するための努力を続ける」と主張。与党、ハンナラ党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表は同日、スティーブンス駐韓米大使との会談で、韓国の立場への支持を求めた。

◎米国人は「肥満より喫煙を軽蔑する」傾向(2011年8月8日、毎日新聞)
 米調査会社ギャロップが5日発表した調査によると、米国人は肥満の人よりも喫煙する人を軽蔑する傾向が強いことが分かった。調査は7月7─10日に実施し、無作為に選ばれた成人1016人に対する電話調査に基づいている。
 それによると、4人に1人(25%)が、喫煙者に対する敬意は薄いと回答。1991年の調査では、この数字は17%前後であり、喫煙者に対する風当たりが年々強さを増していることが示された。喫煙者の割合も1991年の27%から今回は22%に低下している。
 一方、過体重の人に対する尊敬の念は薄いと答えた人は12%で、2003年の16%と比べて少なくなった。
 喫煙比率が低く、喫煙者に対して軽蔑的な傾向が最も強かったのは、大学教育を受けた所得の高い年配者。また、過体重の人に対して厳しい目を向ける傾向が強かったのは、高所得の大卒者だった。
 ただ、今回発表の調査では、回答者の半数以上が自分は体重過多であると答えている。

◎オレンジ色の謎の物質、米アラスカ、海や雨水に(2011年8月8日、産経新聞)
 米アラスカ州北西部の海岸部で7日までに、ねばねばした明るいオレンジ色の物質が広範囲に漂着し、住民を不安がらせている。飲み水を集める雨水タンクに浮いているのも見つかり、雨にも交じっていたとみられる。AP通信が伝えた。
 地元当局は住民に対し、念のため子どもをこの物体に近づかせず、飲み水は煮沸して使用するよう指導した。
 現場は先住民が多く住む人口400人足らずの小さな村、キバリーナ。最初に見つかったのは3日ごろで、雨が降った4日には雨水タンクや建物の屋根に付着しているのも確認され、近くの川でも目撃された。光沢があり、乾くと粉末状になった。
 米沿岸警備隊は、原油関連物質や人工の物質ではなく、藻の一種の可能性があるとみている。地元当局は大学や研究施設などにサンプルを送付し、鑑定を依頼した。

◎米露「リセット」に影、グルジア紛争から3年、2地域占領に批判強く(2011年8月7日、産経新聞)
 ロシアと旧ソ連の親欧米国、グルジアが交戦した「グルジア紛争」の勃発から8日で丸3年となる。双方は自らの行動を正当化する主張を崩しておらず、両国関係は膠着状態が続いている。紛争後のロシアがグルジアの親露独立派2地域を事実上の支配下に入れている状況には米国も非難を強めており、グルジア問題が「リセット」と称される米露関係の改善にも影を落とす。
 ロシアのメドべージェフ大統領は露メディアのインタビューで「紛争の全責任はグルジアのサーカシビリ大統領にある」とし、サーカシビリ氏との対話は拒否する考えを強調。ロシアが紛争後、グルジアの南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を一方的に承認したことも、両地域を防衛する上で「完全に正しかった」と述べた。
 ロシアはこの紛争で欧州連合(EU)との和平合意に署名し、部隊を戦闘前の位置まで撤退させることを約束した。しかし、その後は「独立承認」を盾に両地域に軍事基地を構え、EU停戦監視団の立ち入りも認めていない。
 米国上院は先月末、アブハジアと南オセチアを「ロシアに占領された地域」とし、ロシアが「グルジアの領土保全」を尊重して和平合意を履行するよう求める決議を採択した。メドべージェフ大統領は和平合意と2地域の独立承認を別問題とし、米上院決議には「根拠がない」と批判する。
 ロシア以外で両地域の独立を承認しているのはニカラグア、ベネズエラ、ナウルの3カ国にとどまる。
 両国関係の「リセット」をうたう米露は2月、新戦略兵器削減条約(新START)の発効にこぎ着けたものの、米ミサイル防衛(MD)計画をめぐっては対立が和らいでいない。
 ロシア内務省幹部らの大規模不正を告発したマグニツキー弁護士が2009年に獄死した事件をめぐり、米国が先月、事件に関係する役人ら約60人の入国拒否を決めたことについてもロシアは強く反発、対抗措置の準備に入った。
 グルジア紛争から3年の節目は、米露間のこうした暗雲をさらに濃くしている形だ。露科学アカデミーのカフカス地域専門家、アレシェフ氏は最近の公開討論会で「グルジア紛争をめぐって米露には譲れない一線があり、『リセット』には明確な限界があろう」との考えを語った。
 グルジアではサーカシビリ大統領が開戦責任を回避して政権を保持している。グルジアは、米国が総論で支持するロシアの世界貿易機関(WTO)加盟に反対しており、これも米露関係を複雑化させる要因になっている。

・グルジア紛争
 2008年8月8日未明、グルジアが親ロシア独立派地域の南オセチア自治州を再統一しようと攻撃を開始し、ロシアが「自国民保護」を掲げて報復。死者は約850人、難民は3万5千人にのぼった。欧州連合(EU)の調査委員会は09年、紛争がグルジア側の攻撃で始まったと断定する一方、ロシアが南オセチア住民にパスポート(市民権)を与えるなど武力衝突の素地を作ったとする報告書をまとめた。

◎昨夏の米ユタ州バス事故、日本人運転手に禁錮1年(2011年8月6日、朝日新聞)
 米ユタ州で昨夏起きた、日本人観光客3人が死亡したバス横転事故で、過失運転致死傷罪に問われた運転手の三国泰史被告(27)に対し、同州地裁は5日、1年の禁錮刑と3年の保護観察処分を言い渡した。
 州地裁は、死傷者に賠償金を、地裁に罰金1599ドル(約12万5千円)を支払うことも命じた。保護観察処分の間、原則として州外に出られない。
 三国被告運転のバスは昨年8月9日、ネバダ州ラスベガスで日本人観光客14人を乗せ、約300キロ離れたユタ州の国立公園に向かう途中、高速道路で車線をはみ出し、中央分離帯の草地で横転。3人が亡くなり、三国被告を含む12人が重軽傷を負った。

◎「残虐行為に驚愕した」オバマ大統領、シリア政府を非難(2011年8月1日、朝日新聞)
 シリアでの反政府デモ制圧で100人を超す死者が出た事態について、オバマ米大統領は7月31日、「シリア政府による国民への暴力と残虐な行為に驚愕した」などとアサド政権を強く非難する声明を発表した。同政権への追加制裁の可能性も示唆した。
 オバマ大統領は、アサド大統領を「(民主化を求める)シリアの人々の怒りの声に応じる意欲も能力もないことを改めて示した」と、痛烈に批判。拷問や脅しで反体制派を抑え込むアサド政権は「過去に取り残されることになる」とし、反政府の市民側を支持する姿勢を強調した。
 今後の対応として「米国はシリアに対する圧力をさらに強め、世界中の国々と協力してアサド政権を孤立させる」と指摘。シリアに対する追加的な制裁措置を検討する考えを示した。

◎肥満の成人、増加の一途(2011年7月31日、産経新聞)
 日本人とは違って、食後のデザートとして、大きな塊のアイスクリームを平らげるのは当たり前−。米国50州のうち、16州で肥満の人々の割合が増え、医学関係者が警鐘を鳴らしている。
 米疾病対策センター(CDC)と、米NPO「米国健康基金」の2008〜10年の調査によれば、肥満の米成人は約34%(約7300万人)に上っている。同基金の調査担当者、ジェフ・レビ氏は「憂慮すべき状況だ」と懸念を示す。
 米紙USA TODAYは「(調査対象の)人々は正直に申告しないだろうから、肥満の人々は実際にはもっと多いに違いない」と指摘する。
 州別でもっとも悪い結果が出たのはミシシッピ州。一般的に南部州の人々の肥満度が高く、上位10州のうち、9州が南部州に集中していた。肥満度が最も低かったのはコロラド州だった。
 南部州で肥満度が高いのは、貧困率が高いことと関係があるという。家計上、栄養のあるものを容易に手に入れられず、菓子など簡単なもので空腹を満たすこともあるためだ。
 実際、国内で平均年収5万ドル(約400万円)以上で肥満だった人々の割合は24.6%だったのに対し、年収1万5千ドル(約120万円)以下で肥満だった人々は約34%に上った。
 CDCによれば、米国ではこの20年間、肥満度は高まるばかりで、08年の関連医療費は1470億ドル(約11兆7600億円)に上ったという。
 米国内では、子供たちの肥満も問題だ。
 同基金によれば、肥満度の高い10〜17歳の子供が多い州はミシシッピ、ジョージア、ケンタッキー、イリノイ各州。「子供時代に肥満だと、大人になってからの改善は難しい」。ジョージア州の栄養専門家、パメーラ・ジャクソンさんはこう語る。
 肥満の原因は、広大な米国が抱える多くの田舎町にスーパーが不足がちで、子供たちがそもそも、新鮮な食料ではなく安い加工品を食べざるを得ないなどの事情もあるという。
 ミシェル・オバマ大統領夫人はこれを受けて最近、事態改善の活動を開始。大手スーパーの協力を得て、5年間で国内に1500店舗のスーパーを増やしていく計画という。ミシェル夫人は「新鮮かつ健康的な食品を(子供たちに)届けたい」と話している。

◎熱波の米国、34人死亡、ワシントンは気温40度に(2011年7月25日、毎日新聞)
 米東海岸各地は22日、首都ワシントンなど各地で最高気温が40度前後になる記録的な猛暑に見舞われた。熱波は中西部から東に広がっており、AP通信によると全米10州で少なくとも34人が暑さのために死亡したという。

◎アマゾン、ネット売上税に猛反発、米加州で住民投票提起(2011年7月20日、朝日新聞)
 税収増をめざしてネット小売業者に売上税を課す州法を成立させた米カリフォルニア州で、同州司法当局は18日、州法を撤回させるための住民投票手続きに入ることを認めた。「狙い撃ち」に反発した米ネット通販大手アマゾンなどが請願書を出していた。
 売上税は従来、実店舗などを持つ小売店主らに課してきた。財政赤字からの脱却を図る同州は6月、州内で店舗などを運営していなくても、同州発のサイトなどを通じて商品を売っていれば売上税を課す法案を成立させた。ネットに顧客を奪われてきた小売店主らの反発を背景に他州でも同様の法制化が進んでいる。
 AP通信によると、課税拡大で同州は2億ドル(約160億円)の増収が見込める。ネット小売業者に顧客を奪われてきた米ウォルマート・ストアーズなどがかねて「不公平」と不満の声を上げており、ロビー活動を続けてきたとされる。

◎米国の東芝携帯音楽プレーヤーサイトで情報流出(2011年7月18日、読売新聞)
 東芝は16日、米国の販売子会社のサーバーがハッカーによる攻撃を受け、顧客のメールアドレスなどの個人情報が外部に流出したと発表した。
 不正アクセスを受けたのは「東芝アメリカ情報システム」(カリフォルニア州)が管理していた米国の顧客向けの携帯型音楽プレーヤーのウェブサイトで、登録されていた7520人の顧客情報のうち681人分のメールアドレスとパスワードが漏えいした。サーバーにはクレジットカードの情報は登録されていないという。東芝はハッカー向けのウェブサイトに顧客情報が掲載されていたことから情報漏えいを発見し、調査を進めていた。

◎「オバマ暗殺」ニセ情報、米FOXにハッカー(2011年7月5日、読売新聞)
 米保守系テレビ局「FOXニュース」の簡易投稿サイトが4日未明、ハッカー攻撃を受け、「オバマ大統領が暗殺された」などのニセ情報が掲載された。同テレビは、情報を削除した上で、遺憾の意を表明。大統領警護隊(シークレットサービス)に通報したことを明らかにした。
 4日は米国の独立記念日で、「オバマ大統領が死亡した。悲しい7月4日になった」「大統領がたった今死亡した。45分前、腰と首の2か所を撃たれた」などのニセ情報が次々と流れた。大統領が遊説先のアイオワ州のレストランで撃たれたとしていたが、大統領は実際にはワシントンにいた。
 米国では最近、米連邦議会上院や中央情報局(CIA)などのウェブサイトが攻撃され、懸念が高まっている。

◎暴力的なテレビゲーム規制法は違憲、米最高裁(2011年6月28日、読売新聞)
 米連邦最高裁判所は27日、暴力的な内容のテレビゲームの販売を禁じたカリフォルニア州の法律について、「州法は合衆国憲法が保障する表現の自由を侵害している」とし、違憲判決を下した。
 同州では、暴力的なゲームが子供に与える悪影響への懸念から2005年、殺人など残虐な描写を含むゲームを18歳未満の青少年に売ったり貸し出したりすることを禁ずる州法が成立。違反行為に対する罰則も定められた。これに対し、「自主規制で十分だ」とするゲーム業界団体が提訴していた。
 連邦最高裁の判決は、7対2の多数決で業界の主張を支持した。アントニン・スカリア裁判官は意見書で、グリム童話などを引きながら「親が子供に与える本でも、暴力場面には事欠かない」と指摘、微妙な内容の適否を判断する権利は親にあるとした。

◎暴力的ゲーム禁止の州法は違憲、米連邦最高裁(2011年6月28日、朝日新聞)
 米連邦最高裁は27日、暴力シーンが頻繁に登場するビデオゲームを18歳未満に販売することを禁じるカリフォルニア州の法律について、合衆国憲法が保障する表現の自由を侵害するとして違憲とする判断を下した。7対2の多数意見。
 判決は、グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」で魔女をオーブンで焼き殺すシーンが登場することを紹介しながら、「我が国では、子どもに暴力的な表現への接触をとくに制限してこなかった」と指摘。ゲームなど表現の方法が新しくなったからといって、表現の自由に新たな規制をつくるのは不適切とした。
 また、暴力的なゲームが少年に悪影響を及ぼすという州側の調査も、規制をするほど十分な結果が得られていないと述べた。
 カリフォルニア州ではシュワルツェネッガー氏が知事だった2005年、少年保護を目的に18歳未満への暴力的なゲームの販売禁止を定めた法律ができた。規制に対し、200億ドル(1兆6千億円)市場とされるゲーム業界は「言論の自由を保障した米憲法に反する」と反発し、州を相手取って提訴。一、二審とも業界側が勝訴していた。

◎CIAサイトがハッカー攻撃受ける、一時開けず(2011年6月16日、読売新聞)
 米中央情報局(CIA)のホームページが15日夕、一時開けない状態となった。
 米政府などのサイトを標的にサイバー攻撃を繰り返しているハッカー集団が、攻撃したと表明した。
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、CIAのサイトの不調は、大量の情報を送りつけてサーバーをマヒさせる攻撃を受けたためと見られるが、情報流出の恐れはないという。
 攻撃を認めたのは、「LulzSecurity(ラルズセキュリティー)」と名乗るハッカー集団で、これまで米連邦議会上院のホームページやソニーの映画子会社「ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)」へのハッカー攻撃で犯行声明を出している。ソニーのゲーム配信サービス「プレイステーションネットワーク(PSN)」が攻撃されて個人情報が漏えいした事件との関連は不明だ。

◎独裁政府介入できないネット・携帯網、米開発へ(2011年6月13日、読売新聞)
 オバマ米政権は、独裁国家や強権体質の国での民主化運動を支援するため、こうした国々の政府が介入できない独立型のインターネット網や携帯電話網作りに向けた技術開発に着手した。
 米紙ニューヨーク・タイムズが12日報じた。米国は言論の自由の擁護を掲げているが、デモ封じなどのためネットを監視している国々の反発を招きそうだ。
 同紙によると、米国務省は、持ち運びできるスーツケース型の無線ネット基地局開発に200万ドル(約1億6000万円)を計上。これを使うと、各国政府が監視するネット網を経由せず、特定のパソコンや携帯電話間での情報交換ができるという。イランやシリア、リビアなどでの使用が想定されている。

◎ソニー子会社から100万人超す情報盗難か(2011年6月3日、読売新聞)
 ソニーの子会社がハッカー攻撃を受け、100万人以上の顧客の個人情報が盗まれた恐れのあることが2日、分かった。
 ハッカー集団が、自らのウェブサイトで公表した。ソニー広報は「事実関係を確認中」としており、ソニーのインターネット配信サービスから4月下旬以降、世界で1億人分以上の個人情報が流出した問題との関連などは不明だ。
 ハッカー攻撃を受けたのは、ソニーの映画子会社「ソニー・ピクチャーズエンタテインメント」とみられる。
 「LulzSEC」と名乗るハッカー集団は声明で、「簡単に侵入できた。我々はすべてにアクセスした」と述べた。さらに、「本物であることを証明するため」として、電子メールアドレスや住所など、顧客のものとみられる一部の個人情報をサイト上に掲載した。

◎サイバー攻撃は戦争行為、米国防総省が報復示唆(2011年5月31日、読売新聞)
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は31日、米国防総省が6月に公表するサイバー戦略に関する報告書の中で、外国政府からのサイバー攻撃を「戦争行為」と見なし、米軍による武力行使も辞さないとの新方針を明らかにすると報じた。
 中国人民解放軍は、米軍などを標的としたサイバー攻撃部門を擁しているとされ、報告書の発表は中国などの「仮想敵」からの攻撃を抑止する狙いがあるとみられる。
 国防総省がサイバー戦略を公式に策定するのは初めて。報告書は約30ページから成り、機密扱いでない12ページが公表される。外国からのサイバー攻撃は、各種の紛争関連の法規に照らし、通常の戦争行為と同様に対処出来ると結論づけた。

◎ロッキード社にハッカー、即迎撃、情報流出なし(2011年5月30日、読売新聞)
 米航空宇宙大手ロッキード・マーチン社のコンピューターシステムが大規模なハッカー攻撃を受けたことがわかった。
 ロイター通信が28日伝えた。ハッカーの正体や攻撃内容は不明だが、同社は21日に攻撃を察知して即座に対策を取ったため、顧客や事業に関する情報流出はなかったとしている。米国防総省と国土安全保障省は28日、同社に、攻撃内容の特定や再発防止に向けて協力する方針を伝えた。

◎米国のスパイ30人拘束、イラン、米への対抗か(2011年5月22日、産経新聞)
 イラン情報省は21日、同国内で米国のためスパイ活動を行っていたとして、30人を拘束したとする声明を発表した。国営イラン放送などが報じた。スパイの国籍などには言及しておらず、信ぴょう性は不明。
 オバマ米大統領が19日に行った中東政策に関する演説で、イランが不正な核開発やテロ支援活動を行っていると指摘したことから、対抗姿勢を示す狙いもあるとみられる。
 声明は「米中央情報局(CIA)のスパイネットワークを成功裏に破壊した」とした上で「(スパイは)アラブ首長国連邦(UAE)、マレーシア、トルコにある米国大使館や領事館を介し、イランの核や防衛、生物工学分野の情報を流していた」とした。

◎CIA支部長名リーク、米パキスタン関係悪化か(2011年5月10日、読売新聞)
 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は9日、パキスタン軍の情報機関・統合情報部(ISI)が地元メディアに米中央情報局(CIA)のイスラマバード支部長の氏名など個人情報をリークしたと報じた。
 情報機関の要員は身分が公になると職務遂行に支障が出るため、国際テロ組織アル・カーイダとのつながりも指摘されるISIが、米軍とCIAによるウサマ・ビンラーディン殺害に反発し、報復に出たものとみられている。
 同紙によれば、CIA支部長はビンラーディン殺害作戦に深く関与。ビンラーディンが潜伏していた邸宅近くに張り込み小屋を確保し、監視活動などを監督していたという。
 一方、カーニー米大統領報道官は9日、パキスタン政府が「(米軍の)急襲作戦は主権侵害」としていることに関し、「オバマ大統領は謝罪しない」と反論した。報道官は、「大統領は選挙当時から、米国の単独行動によってのみ仕留めるのが可能と判明した場合、(作戦を)決行すると公約していた」と述べた。
 米パの応酬は、今後の両国の対テロでの連携に深刻な影響を及ぼしそうだ。

◎米議会報告書、中国、軍事高度技術を外国から違法取得(2011年4月21日、産経新聞)
 米国議会諮問機関の「米中経済安保調査委員会」は20日、中国の科学・技術近代化計画についての報告書を公表し、中国が兵器類の性能を高める軍事高度技術を外国から違法に大量取得していることへの警告を発した。
 報告書は中国が軍事、非軍事の両面で科学・技術の飛躍的な発展を目指し、とくに軍事面ではここ10年に「目をみはる進歩」があったと強調。その具体的結果として衛星破壊ミサイル、対艦弾道ミサイル、無人軍用機、次世代ステルス戦闘機「殲20」をあげ、そのいずれもが米軍を標的としていると述べた。
 また、中央軍事委員会と国務院に直結する国防科学技術工業委員会(COSTIND)の権限が近年、大幅に強化され、人民解放軍と防衛産業とを包括し、軍事技術の開発に集中するようになった、としている。その重点はとくに指揮・統制、通信、情報監視、偵察、航空、宇宙、情報技術などにおかれたという。
 報告書は米国当局が中国をこの種の軍事技術を外国からスパイや窃盗、サイバー攻撃という違法手段で取得する世界最大の脅威とみなしている点を明記。この数年間でも「中国の工作員が米側の宇宙飛行技術、ミサイル技術、レーダー、電子戦争技術、軍艦データ、無人飛行機技術、熱イメージ・システム、暗視システムなどを実際に不法に取得し、あるいは取得を試みた」として約10件の検挙例を列記した。この種の軍事関連技術の中国による違法取得は米側に年間数千億ドルの損害を与えているという。
 中国当局はここ数年、米国の政府、軍部、防衛産業から情報を盗むためコンピューター・システムに侵入するサイバー攻撃を実行しているとも指摘。実例として主要企業のノースロップ・グラマン社からの被害報告を紹介している。
 また、中国がCOSTINDの指導下で外国民間企業の軍事汎用(はんよう)技術を組織的に軍事利用しているとし、その一例として「日本の三菱重工、川崎重工、IHI、住友重工、日立造船などが大連などで中国の造船事業に加わり、その代償として中国側に移転する高度の造船技術が中国海軍の艦艇建造に重要な利益をもたらしている」と指摘した。

◎女子学生5人に1人が危険 米名門大、キャンパスでの性的暴力(2011年4月19日、産経新聞)
 米東部の名門エール大の学生の一部が自分たちの大学は性的ないたずら、性的暴力が起きやすい環境にあると訴え、連邦政府が調査することになった。教育省によると、米国では女子学生の5人に1人が性的暴力の危険にさらされており、オバマ政権は学校から性的暴力を一掃するキャンペーンを始めた。きょうのテーマは「キャンパスでの性的暴力」とした。
 エール大の卒業生、男子学生を含む16人が教育省の平等教育市民権局に訴えた。訴えの中で好ましくない環境の具体的な事例がいくつか挙げられている。
 2009年9月、男子学生らが新入生の女子53人の魅力をランク付けしたメールを交換した。尺度はどのくらいアルコールが入ったら寝たくなるかというもので、「しらふでも」から「ぐでんぐでんに酔っぱらえば」まであったという。
 2010年10月には、男子の社交クラブでの「ノーはイエス。イエスは…」などの下品なフレーズの連呼が録音され、投稿サイトに掲載された。また、女子学生会館の前に「(性的に)奔放な女性が大好き」と書かれた看板が立てられたこともあった。
・大目に見る環境
 訴えた学生たちは、こうした出来事を大学当局に通報してきたが、当局は迅速に効果的な対応をすることを怠った。女子新入生のランク付けなど、いかにも若い盛りの学生がやりそうなことだが、行為はもとより、それが見逃される環境こそが問題であり、性的いたずら、性的暴力が起きる背景ともなっているという。
 女子学生は女性が軽視されていると感じる。また、キャンパスが安全でないから学業に身が入らない。連邦法は大学など補助金の交付を受ける団体に男女平等であることを求めているが、エール大はこれに違反している疑いがある。したがって、連邦政府がきちんと調査して対処すべきだというのだ。
 16人のうちの1人、アレクサンドラ・ブロツキーさん(3年)はAP通信に、「性的いたずらや性的暴力について、当局に何度言っても動いてもらえず、私たちはみないらいらしていた」と話した。

・「ノーはノー」
 このニュースが米メディアをにぎわしたのと前後して、オバマ政権が学校から性的暴力を一掃するキャンペーンを行うと発表した。先頭に立つのはジョゼフ・バイデン副大統領(68)。4日、アーン・ダンカン教育長官(46)とともにニューハンプシャー大でキャンペーンの開始を宣言した。対象には小学〜高校も含まれる。
 ニューハンプシャー大は、性的暴力の被害者からの相談を24時間受け付けるなど、キャンパスでの性的暴力に対する先進的な取り組みで知られ、会見の場に選ばれた。
 バイデン副大統領によれば、このキャンペーンは、個人や組織による虐待と闘う気持ちで行われる。副大統領は「ノーはノー。しらふでも酔っぱらっていてもノーはノー。最初はイエスでも気が変わればノー」と強調した。
 教育省によると、米国の女子学生の20%が、性的暴力を受けそうになるか、実際に受ける。男子の場合は6%。ダンカン長官は「性的暴力はどの学校でも起こり得る。私たちはこの現実を直視しなければならない」と語った。

・名門大も反省?
 連邦政府による調査の対象になったエール大は、7月1日をめどに専門の委員会を発足させる意向を明らかにした。委員会は性的いたずら、性的暴力の被害者に対する窓口になるという。エール大当局者はAP通信に「エール大は性的暴力に寛容でないことを約束したい」と述べた。
 女子学生を保護する団体の担当者は「これはエール大だけの問題ではない。すべての大学への警鐘である」と話した。

◎オバマ夫妻の昨年の年収は1億4千万円、印税が大幅減少(2011年4月19日、産経新聞)
 米ホワイトハウスは18日、オバマ大統領夫妻の昨年の年収が172万8096ドル(約1億4300万円)だったと発表した。主な収入源である著作の印税が減ったため、2009年の550万5409ドルから大幅な減収となった。
 公表された確定申告書によると、大統領としての給与は約40万ドル。夫妻は約45万4千ドルを連邦政府に、約5万2千ドルを地元イリノイ州に納税する一方で、収入の約14%に当たる約24万5千ドルを各種の慈善団体に寄付した。最も多額の寄付先は米軍兵士や家族、退役軍人を支援するフィッシャーハウス財団で、額は約13万ドルに上った。
 一方、バイデン副大統領夫妻の昨年の年収は37万9178ドル。納税額は連邦政府分とデラウェア、バージニア両州政府分を合わせて計約10万5千ドルで、寄付額は5350ドルだった。

◎米の大規模ハッカー団を摘発、被害総額は83億円、ロシアグループ関与か(2011年4月14日、産経新聞)
 米司法省と連邦捜査局(FBI)は13日、10年近くインターネットバンキングなどを不正操作し、海外の口座に送金させて金を盗むなどしていたハッカー団を摘発、悪用していた「ボットネット」と呼ばれる大規模なネットワークを閉鎖したと発表した。
 世界中の200万台以上のパソコンをウイルスに感染させてパスワードなどを盗んでおり、ロイター通信は、被害総額は1億ドル(約83億円)を超える可能性があると報じた。
 司法省は、ハッカー団のメンバーとみられる13人について詐欺などに関与したとして民事訴訟を起こしており、刑事捜査も継続中。ロイターは、ロシアのグループが関与しているとみられるとしている。
 ボットネットは、ウイルスに感染させた複数のコンピューターのネットワーク。ハッカー団はこれを外部から操り、世界中のパソコンから個人のIDやパスワードを得て不正に金を盗み出していたという。

◎国民の勝利だ、米大統領、バグボ氏拘束を歓迎(2011年4月12日、読売新聞)
 オバマ米大統領は11日、昨年11月のコートジボワール大統領選で敗北した後も大統領の座に居座り続けていたバグボ氏が拘束されたことについて声明を出し、「国民の民主的意思の勝利だ」と歓迎した。
 オバマ大統領は権力を継承する見通しのワタラ元首相に「全国民の代表として統治する必要がある」と呼びかけ、バグボ氏支持者らとの和解を図るよう求めた。

◎急加速巡る訴訟、トヨタが初勝訴(2011年4月2日、読売新聞)
 トヨタ自動車の車が急加速を起こしたのは、電子制御系や構造上の欠陥が原因だとして、車の保有者が損害賠償を求めた訴訟で、ニューヨークの連邦地裁の陪審団は1日、原告の訴えを退ける評決を出した。
 米メディアによると、急加速を巡る訴訟でトヨタが勝訴したのは初めて。大量リコール(回収・無償修理)問題を受け、全米のトヨタ車の保有者が起こした集団訴訟に影響する可能性がある。
 原告側は、電子制御装置の欠陥については、途中で取り下げていた。急加速の原因は、運転席側のフロアマットがアクセルペダルに引っかかる構造上の問題に絞られていたが、陪審団は、この点についても原告の訴えを退けた。トヨタは評決を受けて「今回の判断は急加速に関する訴訟の重要な基準になる」との声明を出した。

◎グーグル書籍電子化和解案、承認せず、連邦地裁(2011年3月23日、読売新聞)
 インターネット検索サービス最大手の米グーグルが進める絶版書籍の電子化を巡り、米作家組合などと合意した修正和解案について、ニューヨークの連邦地裁は22日、「競合他社に比べグーグルが有利になりすぎる」として承認を拒否し、再度の修正を命じた。
 連邦地裁は、「著作権者の許可を得ずに書籍の電子化を認めた修正案は公正ではない」と判断した。その上で、著作権者から許可を得た書籍のみを対象とするよう勧告した。地裁の判断に対し、グーグルは「失望したが、オンラインで世界中の本を閲覧できる環境作りを続けていく」との声明を出した。
 グーグルは全米の大学図書館などと提携し、蔵書を電子化してインターネット上で検索・閲覧できるサービスを始めた。これに対し、米出版業界が著作権侵害にあたるとして2005年に提訴した。両者は08年10月、グーグルが収益の約6割を著作権者に支払うなどの和解案で合意していた。

◎米女性記者への性的暴行、200人以上に囲まれ、舞台裏で何が(2011年2月24日、産経新聞)
 エジプトで取材中の米テレビの女性記者が、群衆に襲撃され性的暴行を受けた。大統領が辞任したその夜の出来事で、現場となった広場には、命がけの抗議を続けてきた人たち以外にも大勢が押し寄せていた。ジャーナリストの仕事はときとして危険と背中合わせだが、性的暴行が報告されるのはまれだ。きょうのテーマは「記者に対する性的暴行」とした。
 大統領の座にいすわるホスニ・ムバラク氏(82)への民衆による抗議行動は、カイロ中心部のタハリール広場が主舞台となった。ムバラク氏は11日に大統領を辞任。この夜、米CBSのララ・ローガン記者(39)がタハリール広場で暴行を受けた。
 CBSが性的暴行を公表したのが15日。民間団体のジャーナリスト保護委員会(CPJ)によると、この時点で、エジプト騒乱を取材中に殺されたり負傷したりしたジャーナリストは140人に上った。だが、ローガン記者に対する暴行事件は、ジャーナリストが被害にあったそれまでの事件とは異質だった。

・ムバラク大統領辞任
 政権側は抗議行動の拡大を阻止するため、インターネットを遮断するなど情報を厳しく統制した。外国メディアの取材は、当局や“ムバラク派”の群衆による妨害を受けるようになった。ジャーナリストに危害を加えたのはおもに政権側だったはずなのだ。
 ローガン記者の取材チームは2日、北部アレクサンドリアでの取材中、兵士や私服の当局者に撮影を妨害された上、強い警告を受けた。ローガン記者らは翌日、カイロで拘束され、夜通しの取り調べを受けた。「政権が私たちを拘束した。手錠、目隠しをされ、銃を突きつけられた」(ブログ)という。
 だが、11日夜、ローガン記者を暴行した群衆が“ムバラク派”であるとは考えにくかった。ムバラク政権は崩壊し、タハリール広場は反ムバラク派によって埋め尽くされていたのだ。

・その夜の“群衆”
 他のアラブ諸国同様、エジプトでも女性は家にいるもので、公共の場で男性と一緒にならない。だが、AP通信によると、ムバラク政権への抗議行動では、男女が入り交じり、その点からも「新しいエジプト」の到来を確信した女性は少なくなかった。それまで外泊の経験がなかった女性がタハリール広場のテントで夜を明かした。男性は礼儀正しく、危険を感じたことは一度もなかったという。
 タハリール広場に陣取り、反ムバラクを叫べば、政権側に力で弾圧される恐れがあった。その覚悟のあるものだけが広場にいた。ところが、ムバラク氏の大統領辞任後、もはや弾圧するものはいなくなった。11日夜、タハリール広場にはカイロ市内のあちこちから喜びにわく人々がやってきた。
 男性たちが手をつなぎ、女性や子供たちを取り囲んで守るグループもあった。それでも、女性がどなられたり性的嫌がらせを受けたりするケースがあった。ローガン記者の取材チームは200人以上の群衆に取り囲まれた。ローガン記者はチームから引き離され、性的暴行を受けたという。

・少ないデータ
 CPJは世界各地で起きているジャーナリストの殺害、不当な投獄などの実態を明らかにしている。ウェブサイトには殉職者や服役記者などに関する最新のデータが掲載される。だが、性的暴行に関するデータはない。
 CPJは事件を受けて、性的暴行のデータを欠くことについての記事を掲載し、2000年にコロンビアの女性記者が誘拐され暴行された事例、06年にメキシコの女性記者が獄中で暴行された事例などに言及。パキスタンでは男性記者が性的暴行を受けたこともあると指摘した。
 ただし、性的暴行についてはCPJに報告が寄せられること自体が少ないという。アラブ諸国では、性的暴行を受けても不名誉なことだと被害者が泣き寝入りするケースが少なくない。ジャーナリストたちも目をそらせているのかもしれない。

◎外交文書:米、6億5千万ドル要求、沖縄返還の財政負担(2011年2月18日、毎日新聞)
 沖縄返還に伴う日本側の財政負担について、米側が一括処理するため、積算根拠のない6億5000万ドル(当時のレートで約2340億円)を要求していたことが18日公開の外交文書から判明した。米側が沖縄の施設や財産を個別に評価するのは煩雑で、一括の方が処理しやすいと判断したためだった。
 最終的に沖縄返還協定に明記された日本側の支払総額は3億2000万ドルだった。だが、実際にはそれ以上の負担を強いられ、米側が制約を受けずに使える金を捻出するのに密約が結ばれた可能性が濃厚となった。
 72年沖縄返還で合意した69年11月の佐藤栄作首相(当時)とニクソン米大統領(同)の日米首脳会談を約1カ月後に控えた同10月22日付の下田武三駐米大使(同)の極秘電文から明らかになった。
 それによると、バーネット米国務次官補代理(同)が吉野文六駐米公使(同)に、米政府内で一括処理の金額について合意し、直ちに日本側に申し入れるように指示があった旨を説明し、「極秘含みで6億5000万ドル」と告げた。
 吉野公使は、一括処理が沖縄に「値札」を付けることになり、額の内訳を巡り、国会で野党質問への説明に苦労することに懸念を示した。これに対し米側は「内訳をある程度出せば納得が得られる」とし、「内訳について、日本側が数字をどう処理しても米側は拒否せず、その根拠作りに協力してもいい」と申し出た。バーネット代理は「(首脳会談までに解決できなければ)日米関係を害することはなはだしく、深く憂慮する」と指摘した。

◎フロリダ州の高速鉄道計画中止、新幹線輸出に打撃(2011年2月17日、朝日新聞)
 米フロリダ州のスコット知事は16日、州内に高速鉄道を建設する計画を事実上中止する、と発表した。雇用創出を急ぐオバマ政権の目玉事業の一つだが、州は採算があわないと判断した。JR東海を中心に、同州への新幹線技術の輸出を目指していた日本連合にとっては打撃となる。
 計画はタンパ―オーランド間の約135キロを結ぶ路線で、事業費は33億ドル(約2700億円)。うち連邦政府から約20億ドルの補助金が出る予定だった。タンパ―マイアミ間約500キロを結ぶ計画の第1期との位置づけで、2015年の開業を目指していた。
 知事は会見で「計画は州民への負担が大きすぎ、利益よりもリスクが大きすぎる」と述べ、計画の甘さを指摘。ラフッド米運輸長官に建設拒否を伝えたという。
 高速鉄道の整備は、地球温暖化対策を雇用創出につなげるオバマ政権の「グリーン・ニューディール」の中核事業。全体で13路線、計1万4千キロに及ぶ計画だ。14日発表の12会計年度予算教書では総額80億ドルの補助金を盛り込んだ。今後6年で530億ドルを投入する内容だ。ただ実際に建設するかどうかは、補助金を受ける州が判断する。
 ラフッド長官は「計画はフロリダに数千の雇用を生むはずだった。大きく落胆している」との声明を発表した。
 JR東海は17日、「応札に向けた準備を進めてきたのに非常に残念」とのコメントを出した。
 JR東海は10年1月に、全米7カ所への新幹線などの輸出を狙うと発表。うちフロリダ高速鉄道はいち早く入札が行われるため、日本の新幹線輸出の試金石になると位置づけていた。日立製作所や日本車両製造、三菱商事など国内11社と協力して、新幹線の省エネ性能の高さや事故の少なさを米側にPRしていた。
 「インフラ輸出」を成長戦略に掲げる政府も側面支援。1月に訪米した前原誠司外相がスコット知事と会談し、日本の新幹線の技術や安全性をアピールしたばかりだった。
 計画には、フランスや韓国、中国などの企業連合7〜8チームが入札する見通しだった。
 米国では昨年11月の中間選挙で、財政支出を削減し「小さな政府」を目指す共和党が躍進した。スコット知事も共和党知事。ウィスコンシン、オハイオの両州でも知事選で高速鉄道計画に反対する共和党候補が当選し、計画は打ち切られている。

◎もはやアメリカ人の半分も信じていない「アメリカンドリーム」(2011年1月25日、スポーツニッポン)
 「一生懸命働けば未来を切り開ける」と考える米国人が約55%にとどまり、約44%が否定的な見方を示していることが、米ギャラップ社が24日発表した世論調査で分かった。昨年と一昨年は同じ調査が実施されなかったものの、2008年から13ポイント下落し、過去10年で最低となった。
 長引く不況と高い失業率を背景に、努力次第で成功を勝ち取れる「アメリカンドリーム」が米国民の認識から消えつつある現状が浮き彫りとなった。
 オバマ大統領は08年の大統領選で「アメリカンドリームが実現できる社会をつくる」と訴えて当選したが、雇用不安などが公約実現を阻んだ形だ。
 調査は「一生懸命働くことで未来を切り開く機会が米国民にあるか」を質問。満足度で答える形で、そうした機会があり「とても満足」とした人が約21%、「いくらか満足」が約34%だった。一方、機会がなく「とても不満」は約20%、「いくらか不満」は約24%を記録した。01年から08年までは「満足」と答えた人が66〜77%と比較的高い数値を維持していた。
 同じ調査で「全体的な生活の質」を「満足」とした人は77%に上った。過去10年で最低とはいえ、生活の現状への高い満足度が保たれていることを示した。
 調査は米紙USAトゥデーと共同で7〜9日に電話で実施され、対象は1018人。

◎鳥、魚、カニ、大量死ミステリー、米で報道過熱(2011年1月9日、朝日新聞)
 米南部アーカンソー州で大量の鳥が死んでいるのが見つかってから、世界各地で30件以上の野生動物の大量死報告が相次いでいる。大量死は珍しい現象ではないが、原因が特定できず、時期が近いことで、CNNなどが度々、謎解きの番組を放送するなど米メディアも興奮気味。何かの異変の始まりとみる「終末論」まで飛び出す始末だ。
 アーカンソー州での野鳥の大量死は12月31日の深夜に起きた。スズメの仲間5千羽以上が落下。当時、花火などの大音響が鳴っていたとの報告があり、寝ていた鳥が驚いて起き、何かにぶつかって死んだとの見方があるが、はっきりしない。ここから200キロ西の川では、魚8万匹余りが死んでいた。
 3日に見つかったルイジアナ州での500羽の大量死では、送電線にぶつかったとの説が出ている。
 その後、「スウェーデン南部で鳥50羽が落下」と報じられたのを皮切りに、「英国でカニが4万匹」「ブラジルでイワシなど100トン」「米メリーランド州で魚200万匹」などの報告が相次いだ。これまでの報道などによると、約10カ国、約30件に上る。
 だが野生生物の大量死は珍しいことではない。日本でも昨年9月末、北海道岩見沢市の住宅地でムクドリ114羽が死んでいるのが見つかった。鳥インフルエンザは陰性で原因は不明だった。米野生生物保健センターのウェブサイトには、報告があった大量死のリストが掲載されているが、数十匹程度の「大量死」なら、全米では毎週のように起きている。
 理由もそれなりに推定できる例が少なくない。「米国の魚200万匹」の原因は、州環境局が「水温低下による影響」と発表した。感染症などの病気や水位低下、水質悪化、化学物質などが死因と疑われることもある。
 同センターのクリステン・シュラー博士は「大量死の多くは人口密度が高くないところで起きており、普段気づかれにくい」と指摘する。関心の高まりが、最近の「続出」につながっているというのだ。
 とはいえ、現場では不安が広がったのも事実。インターネットのブログでは、中米マヤの伝説を「2012年に人類が滅亡する」と解釈できるとの説などを根拠に「終末が近づいている」との警告や、「政府が何かを隠している」「生物兵器の試験が行われたためだ」などの陰謀説まで飛び交う。これらを、大手メディアも取り上げ、ちょっとした騒動になっている。
 シュラー博士は「終末論などに人々が飛びつく理由はよくわからないが、最近の出来事をきっかけに、野生生物に関心を持ち、その大切さに、みんなが気づいてほしい」と話している。

◎米アーカンソー州:野鳥が大量死、花火の音でストレス?(2011年1月5日、毎日新聞)
 【ニューヨーク山科武司】米アーカンソー州で野鳥が大量に死ぬ“事件”が発生した。原因は不明だが、「新年を祝う花火の音が鳥のストレスを高めた」との見方が出ている。
 CNNなどによると、アーカンソー州中部の人口5000人の町ビーブで、先月31日の夜から今月1日未明にかけ、ハゴロモカラスやムクドリが約5000羽、1.6キロ四方の範囲で死んだ。落下してくる鳥のため車の運転は困難となり、住民は傘をさして鳥を避けたという。
 夜行性の鳥ではなく、なぜ巣から一斉に飛び立って死んだかは不明だ。研究機関で死体を解剖したが、感染性の病原はなかった。31日夜には同町で新年を迎える花火を打ち上げており、AP通信は「その音に鳥が驚いたのでは」との見方を紹介している。

◎映画のように鳥が空から、米で野鳥数千羽死ぬ(2011年1月4日、読売新聞)
 【ワシントン=山田哲朗】米南部アーカンソー州ビービで大みそか夜、野鳥数千羽が死ぬ事件があり、州狩猟漁業局は3日、鳥は花火などによる爆音に驚いて建物などに衝突して死んだとの見方を示した。
 落雷やヒョウで鳥の群れが死んだ報告はあるが、これほどの大量死は珍しく、米メディアはアルフレッド・ヒチコック監督の映画「鳥」を彷彿させる事件として報じている。
 鳥は「ブラックバード」と呼ばれるムクドリモドキで、大群が近くの森をねぐらとしていた。31日午後11時半ごろ、住民が「鳥が空から落ちてきた」と通報したが、道路や屋根などに散らばった死骸は約5000羽に上った。解剖すると、外傷や内出血があり、衝突死の可能性が高い。この鳥は夜目がきかないため、爆音で混乱したまま飛び立ち、建物や地面などにぶつかったらしい。爆音は住民にも聞こえたが、原因は不明。

◎米の鳥大量死、犯人は花火? 直前に大音響の報告(2011年1月4日、朝日新聞)
 【ワシントン=勝田敏彦】米南部アーカンソー州の町ビービで12月31日深夜、約5千羽の鳥が死んで落下した原因を調べている州漁業狩猟委員会は3日、「鳥の胸部を中心に内出血や血栓がみられた」とする初期の調査結果を発表した。同委は鳥の落下が起きる直前に大音響の報告があったことに注目しており、関連を調べている。大音響の原因として、新年を祝う花火や雷などが考えられている。
 調査結果は「鳥が病気にかかっていた兆候はなく、急激な外部要因によって内出血が起きて死んだ」とした。死んだのは米国でよく観察されるムクドリモドキ科の鳥。視力が低下する夜は飛ばず巣で寝ていることが多いが、大音響に驚いて起き、建物などにぶつかった可能性がある。
 また同委は同日、ビービ周辺を流れる川で魚8万3千匹が27キロにわたって死んでいるのが見つかり、調査中であることも発表した。魚の大量死は珍しくなく、発見が鳥の落下の2日前なので、関連性は小さいとみられている。
 人口約5300人のビービは、同州の州都リトルロックから北東に約50キロ離れている。

◎ヒッチコック映画のよう、米で千羽以上の鳥、死んで落下(2011年1月3日、朝日新聞)
 【ワシントン=勝田敏彦】米南部アーカンソー州の都市ビービーで、千羽以上の黒い鳥が死んで落下しているのが見つかった。アルフレッド・ヒッチコック監督の映画「鳥」を思わせる光景で、州当局が原因を調べている。AP通信などが伝えた。
 報道によると、住民が州鳥獣保護管理委員会に通報し始めたのは12月31日午後11時半以降。鳥の落下は、ビービーの周囲1マイル(約1.6キロ)以内に限られており、鳥には外傷が見られ、雷かひょうに打たれた可能性があるという。
 また同委員会によると、新年を迎えるにあたって花火が打ち上げられ、その光や音に驚いた鳥たちがストレスで死んだ可能性もある。
 ビービーは同州の州都リトルロックから北東に約60キロ離れている。

◎米東部に猛吹雪、交通混乱、千便以上が欠航(2010年12月27日、産経新聞)
 米東部は26日、発達した低気圧の影響から荒れ模様となり各地で猛吹雪の警報が発令され、ニューヨーク地区の空港で計1400便以上が欠航するなど交通が混乱した。AP通信が伝えた。
 ニューヨークでは午前中から雪が降り始めた。気象当局は強い風とともに積雪が30〜40センチに達し、吹雪で視界がほとんどゼロになる恐れがあると注意を呼び掛けた。
 メリーランド州など東部を中心に各地の州や市が非常事態を宣言。積雪はニュージャージー州の大西洋沿岸部で45センチ、マサチューセッツ州ボストン市では50センチと予想され、同市では交通事故を防ぐため主要道路に車を駐車しないよう指示が出た。
 25日までに雪が降った南部では観測史上初めて雪のクリスマスとなった地域もあった。

◎三菱化学、英米にLiB電解液の製販会社設立(2010年10月26日、化学工業日報)
 三菱化学は25日、リチウムイオン2次電池(LiB)用電解液を英国および米国で製造することを目的に、年内に両国で製造販売会社を設立することを決めたと発表した。電解液の海外生産を決めるのは今回が初めて。新会社はいずれも三菱レイヨンの完全子会社であるルーサイト・インターナショナル・グループ敷地内に設立し、三菱ケミカルホールディングスグループとしてのシナジーを発揮する。新会社の社名はともに未定。英国新会社はストックトンオンティーズ市ビリンガムに置き、資本金は830万ポンド(約11億円)。三菱化学が全額出資する。生産能力は年産1万トン。設備投資額は25億円の予定で、営業運転開始は2011年秋。米国新会社はテネシー州メンフィス市に置き、資本金は1310万ドル(約11億円)。三菱化学が全額出資する。生産能力は年産1万トン。設備投資額は25億円の予定で、12年夏に営業運転を開始する。

◎1割が「同性と性交渉」、NY高校生の調査 「両方」グループは「危険な行為」が高率(2010年10月26日、産経新聞)
 ニューヨーク市の高校生に対する調査で、過去に性交渉の経験がある生徒のうち、同性と性交渉を持ったことがあると答えた人が9.3%に上ることが25日、分かった。AP通信が報じた。
 2005、07年に同市の高校で実施された調査結果によると、性交渉経験がある男子のうち「相手は女性のみ」は93.1%、「男性のみ」は3.2%、「両方」が3.7%だった。女子は「男性のみ」88.1%、「女性のみ」3.2%、「両方」8.7%。全体で同性との性交渉経験があるのは9.3%だった。
 また、最近の性交渉でコンドームを使った男子のうち「相手が女性のみ」は79.8%、「男性のみ」が62.3%だったのに対し、「両方」は44.1%と一番低かった。さらに「両方」のグループは、性交渉を強いたり暴力を振るうなど「危険な行為」を経験した率が高かった。

◎米、サウジに5兆円規模の武器売却、史上最大(2010年10月21日、読売新聞)
 【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ米政権は20日、F15戦闘機や攻撃ヘリなどの兵器約600億ドル(約5兆円)相当をサウジアラビアに売却する計画を米議会に通告した。
 米国の武器売却計画としては史上最大規模。米国の友邦であるサウジの戦力強化により、核開発を進めるイランをけん制するのが狙いだ。
 計画は、新規にF15戦闘機84機を売却するほか、サウジが既に保有する70機を改良。また、攻撃ヘリAH64D「アパッチ・ロングボウ」70機、多用途ヘリUH60「ブラックホーク」72機、特殊作戦ヘリMH6「リトルバード」36機も売却する。
 米政府は、核開発を進めるイランが核兵器を製造する可能性や、イランが改良しているミサイルがイスラエルや欧州の同盟国にとって脅威となることへの懸念を強めている。

◎マリフアナ押収134トン!メキシコ史上最多(2010年10月21日、読売新聞)
 【リオデジャネイロ支局】メキシコ司法当局は19日、米国境に接する北部ティフアナで、134トンのマリフアナを押収したと発表した。
 現地の報道によると、1回の押収量としては同国史上、最多という。
 マリフアナは18日、軍と警察が3軒の民家で押収した。当局は当初、押収量は105トン、国内の末端価格で約3億4000万ドル相当と発表していたが、押収量はさらに多いことが分かり、19日、発表を修正した。
 メキシコから米国への麻薬密輸額は年間200〜400億ドルに達するとされる。メキシコ政府は4年前、密売組織撲滅を目指し「麻薬戦争」を宣言したが、摘発と報復が続き、これまでに1万人以上が死亡している。

◎米がサウジに兵器600億ドル分を売却へ、イランを牽制(2010年10月20日、朝日新聞)
 【ワシントン=望月洋嗣】AP通信によると、米政府はサウジアラビアに対し、戦闘機やヘリコプターなど総額600億ドル(約4.8兆円)にのぼる兵器を売却することを決定した。20日に米議会に通知する見通し。中東では核兵器開発を含むイランの軍事力増強への警戒感が強まっており、今回の兵器売却にはこうした動きを牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。
 売却されるのは、F15戦闘機84機やブラックホーク、アパッチといった軍用ヘリコプターなど。
 今回の売却方針については、サウジの軍備増強はイスラエルにとって脅威となるとの受け止めから、米議会内の親イスラエル議員らが売却に反対している。しかし米政府は、イランが開発しているとされるミサイルは、欧州までも射程に入っていることに懸念を強めており、ゲーツ国防長官はイスラエルのバラク国防相に対し、こうした事情からサウジへの武器売却が必要であることを説明したという。

◎ソニー、米でインターネットTV発売へ、グーグルと提携(2010年10月13日、朝日新聞)
 【ニューヨーク=山川一基】ソニーは12日、高精細なテレビ放送とパソコン並みのネットサービスを同時に楽しめるインターネットテレビを発表した。米ネット検索最大手グーグルと提携した製品の第1弾。米国で16日から発売する。日本への投入も検討しているが時期は未定だ。
 パソコンのようにキーが並ぶてのひらのサイズのリモコンで操作する。検索画面でキーワードを打ち込むと、関連するテレビ番組やウェブページが一覧できる。テレビ画面を縮小して端に表示しながらメールを打ったり関連情報を調べたりもできる。
 米国での希望小売価格は24型の599.99ドル(約4万9千円)〜46型の1399.99ドル(約11万5千円)。手持ちのテレビにつないで同様の機能を楽しめるブルーレイディスクプレーヤーが399.99ドル(約3万3千円)。
 インターネットにつながるテレビはソニーも含め、すでに販売されているが、ほとんどは使えるネットサービスが限られている。今回の製品はグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」と、米半導体大手インテルの中央演算処理装置(CPU)「アトム」を搭載し、パソコンと同じ作業ができるのが特徴だ。

◎LAで観測史上最高の45度、熱波の影響(2010年9月28日、産経新聞)
 米気象当局は27日、米西海岸のロサンゼルス市街地で同日午後に観測史上最高となる45.0度を記録したことを明らかにした。先週末からカリフォルニア州を襲っている熱波の影響という。
 気象当局によると、過去のロサンゼルスの最高気温は1990年6月26日の44.4度だった。
 米国での最高気温は、13年にカリフォルニア州デスバレーで観測された56.7度。

◎米TV局ディスカバリーCで立てこもり、警察が犯人射殺、男のトンデモ主張は(2010年9月2日、産経新聞)
 米首都ワシントン近郊のメリーランド州シルバースプリングで1日午後(日本時間2日未明)、体に爆発物らしき物を巻きつけ短銃を持った男が、ケーブルTV局ディスカバリーチャンネルの本社ビルに押し入り、3人を人質に取り立てこもった。警察は数時間にわたって説得を試みた末、男を射殺し3人を無事解放した。
 米メディアによると、男は「ジェームズ・リー」という名のアジア系で43歳。警察当局者は記者団に対し、爆発物らしき物から煙が立ち上ったため「人質の生命に危機が迫った」と判断し銃撃したと述べた。
 ニュース専門局MSNBCによると、男は2008年にディスカバリーチャンネル本社前で同局の番組内容に抗議する活動を続け、同年3月に保護観察処分の判決を受けた。男はウェブサイトで「人間は有害で不潔だ。地球環境を守るため子供を産むのをやめさせろ」などと主張していた。

◎TV局で立てこもり、爆発物を巻きつけ男を射殺(2010年9月2日、スポーツニッポン)
 米首都ワシントン近郊のメリーランド州シルバースプリングで1日午後(日本時間2日未明)、体に爆発物を巻きつけ短銃を持った男が、ケーブルTV局ディスカバリーチャンネルの本社ビルに押し入り、3人を人質に取り立てこもった。警察は数時間にわたって説得を試みた末、男を射殺し3人を無事解放した。
 米メディアによると、男は「ジェームズ・リー」という名のアジア系で43歳。警察当局者は記者団に対し、男が人質に銃を突き付けたため射殺したと説明した。
 ニュース専門局MSNBCによると、男は2008年にディスカバリーチャンネル本社前で同局の番組内容に抗議する活動を続け、同年3月に保護観察処分の判決を受けた。男はウェブサイトで「人間は有害で不潔だ。地球環境を守るため子供を産むのをやめさせろ」などと主張していた。
 現場はワシントン中心部の北約20キロ。警察がビルを包囲し、周辺の建物は閉鎖された。ディスカバリーチャンネルは世界最大のドキュメンタリー専門局で、日本でも放送されている。

◎MS共同創業者の会社、グーグルなど11社を提訴(2010年8月28日、朝日新聞)
 米マイクロソフトの共同創業者ポール・アレン氏が率いる会社は27日、米大手IT関連企業のグーグルやアップル、ヤフーなど11社を相手取り、電子商取引の特許を侵害されたなどとして、米ワシントン州の裁判所に提訴した。損害賠償などを求めている。
 担当する法律事務所によると、交流サイト運営のフェースブック、ネットオークション会社イーベイ、動画閲覧サイト運営のユーチューブも訴えられた。アレン氏側は、ネット検索などに関する特許が侵害された、と主張している。
 グーグルは朝日新聞の取材に、「革新的な企業群に対する提訴は、市場ではなく法廷で競争しようとする不幸な風潮を反映している」とコメントした。
 アレン氏はビル・ゲイツ氏らと1975年にマイクロソフトを設立した。2000年に取締役を退任し、現在は投資活動や慈善事業をしている。米フォーブス誌の今年の億万長者ランキングでは、135億ドル(約1兆1500億円)の資産をもつ世界37位の資産家だ。

◎ニワトリの餌が原因か 米国の卵汚染(2010年8月27日、産経新聞)
 米国で発生した大規模な鶏卵のサルモネラ菌汚染問題で、食品医薬品局(FDA)は26日、卵を生産していた中西部アイオワ州の会社が使っていたニワトリの餌が、サルモネラ菌に汚染されていたことを確認した。ロイター通信が伝えた。
 餌は、この会社が運営する工場でつくられ、同州で展開する別の卵生産会社にも供給されていた。FDAは、餌が原因の可能性が高いとみているが、ほかにも汚染源がないか調べている。
 米国内では5月以降、この2社の卵が原因とみられる食中毒が約2400件報告された。2社が自主回収した卵は5億5千万個に達している。

◎「北朝鮮に侮辱された」、カーター氏訪問中の金総書記訪中、米国内で波紋(2010年8月27日、産経新聞)
 カーター元米大統領の北朝鮮滞在中に、金正日総書記が中国を訪問したことに米国内で波紋が広がっている。「人道上の私的な訪問」(トナー国務省副報道官代行)とはいえ、米側は金総書記との会談を想定して元大統領に白羽の矢を立てた経緯があり、会談が確認されていない現時点では、「北朝鮮に侮辱された」(米メディア)ともいえるからだ。カーター氏は滞在を1日延長して金総書記との会談を探っているとみられるが、成り行きは不透明だ。
 国務省のクローリー報道官は26日の記者会見で、カーター氏が北朝鮮滞在中に金総書記が訪中したことについて、「金正日の旅行については私の知るところではない。北朝鮮政府に聞いてほしい」と述べた。
 また、カーター氏が26日時点で平壌に滞在中であることを認めたが、それ以上はコメントを避けた。カーター氏と北朝鮮当局に身柄拘束された米国人ゴメス氏が平壌に滞在中で、北朝鮮を刺激して問題を複雑化させたくないとの思いをにじませたものとみられる。
 オバマ政権は、カーター氏という元大統領を派遣することで、金総書記の後継問題や、朝鮮半島の緊張緩和に向けた打開の糸口を直接探る狙いがあった。捕らわれの米国人を解放するという米中間選挙を前にした外交上のパフォーマンスとの見方もくすぶっている。
 だが、26日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、韓国の北朝鮮専門家の話として、「金総書記がカーター氏と会談せずに訪中したのであれば、外交儀礼上、大変な非礼にあたる」との発言を紹介。
 また、「この非礼には、北朝鮮が米国よりも中国を重視しているとの政治的メッセージが込められているとの見方ができる」とした。
 米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」(電子版)は25日、オバマ政権はカーター氏の訪朝に向け、クリントン国務長官を中心に数カ月前から入念に準備を始めていたと報じた。
 準備開始当初は政府派遣特使として、北朝鮮にパイプのあるニューメキシコ州のリチャードソン知事やケリー上院議員の名前が挙がったという。だが、「ケリー氏は上院外交委員長とはいえ、このクラスだと金総書記に直接会えない」として、見送られたという。
 複数の米メディアによると、米政権が金総書記との会談にこだわるのは、北朝鮮が9月の朝鮮労働党代表者会から10月の党創建65周年にかけ、後継体制固めを急いでいると分析、それをトップから直接探る狙いがあるからだといわれる。
 昨夏、クリントン元大統領が米国人記者2人を解放するため訪朝したときと違い、カーター氏を民間人としたのは、北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈事件で、北朝鮮への独自制裁を検討中であるためとみられる。
 オバマ政権は「カーター氏の訪朝は、北朝鮮に対する独自制裁に何の影響も与えない」(トナー氏)との立場を崩していないが、8月上旬とされた制裁内容の発表は遅れている。

◎米卵パニック 5億個自主回収、業界統合・規制不備が背景に(2010年8月24日、産経新聞)
 米国に前代未聞の卵パニックが広がっている。サルモレラ菌汚染の疑いで、アイオワ州の業者が約5億5千万個の卵の自主回収に乗り出した。米食品医薬品局(FDA)が調査に着手し、回収はさらに拡大する見込みだ。ゆるい安全規制のもと、少数の大規模業者が独占する米食品業界の体質が汚染拡大の背景にあるとされる。皮肉なことに、今回の問題は、オバマ政権が「食の安全」の向上へ規制強化に着手しようとした矢先に生じた。
 汚染卵はアイオワ州の2業者で生産され、24の異なるブランドで22州で販売されていた。疾病対策センター(CDC)によると、5月1日以降、サルモネラ菌が原因とみられる食中毒患者は約2千人に上る。
 現行法では業者に回収を命じる権限はFDAにはなく、回収は自主的なもの。ハンブルク局長は23日、「どのように汚染が広がり、消費者を保護するためにどの程度の自主回収が必要か、はっきり分かっていない」と述べた。米国では日本と異なり、生卵を食べる習慣はないが、FDAは半熟卵も避けて完全に調理するよう消費者に呼びかけている。
 業界団体「ユナイテッド・エッグ・プロデューサーズ」によると、全米の産卵鶏の95%は192の大規模業者に集中し、1987年の2500業者から大幅に減少している。相次ぐ整理統合によるもので、食品消費者団体の幹部は米紙ワシントン・ポストに「1社が間違いを犯したら、多くの食料に影響が及ぶ」と弊害を指摘する。
 動物愛護団体からは、生産性向上のために鶏舎の狭いケージに多数の鶏をすし詰めにする「残忍な」飼育法が、「菌感染を急速かつ広範囲に広げる危険がある」とも指摘されてきた。
 しかも、FDA、農務省、州にまたがる規制監督制度のはざまに入り込み、「卵生産者の大半は野放しの状態だった」(同紙)。問題のアイオワの業者も、当局による鶏舎の検査を受けていなかったという。
 オバマ大統領は就任後から「食の安全」を唱え、7月にはFDAのルールが改定され、大規模業者に安全管理の向上やサルモネラ菌のテスト実施を義務づけた。ハンブルク局長も「ルール改定がもっと早ければ、汚染拡大は防げた」と話している。
 連邦議会では、食中毒予防のため、FDAに生産施設への検査など広範な権限を与える「食品安全近代化法案」が下院で可決され、上院通過を待つ状況にあった。

◎美人スパイ事件、モスクワの極秘指令、FBI入手が発端、「静かなる浸透」続く(2010年8月23日、産経新聞)
 「美しすぎるスパイ」として注目されたアンナ・チャップマン(28)らロシアのスパイ組織が米国で訴追された事件で、米連邦捜査局(FBI)が極秘に進めていた捜査の詳細が明らかになった。FBIニューヨーク支局スパイ対策部の訴追請求状をもとに、旧ソ連並みのスパイ大国復活を目指すロシアの諜報(ちょうほう)機関、対外情報局(SVR)と、FBIとの“暗闘”を再現する。

・政権への浸透工作
 《われわれはあなた方を長期間の任務のため、米国に派遣した。(架空の)学歴、(架空名義の)銀行口座を用意し、自家用車、そして家までも与えている。派遣された諸君全員は、重要な任務を完遂せよ》
 FBIニューヨーク支局スパイ対策部の特別捜査チームは2009年、モスクワのSVR本部(通称モスクワセンター)から米国内のスパイに暗号で送られた極秘指令を入手していた。
 「重要な任務」について極秘指令には、次のように記載されていた。
 《米国において、国家運営に関与しうる政策集団を特定し、関係を発展させ、モスクワセンターに情報を送信することである》
 10年以上の長期間にわたって米国に住み、人脈を広げて、国家の政策決定過程に関与できる人物を協力者に仕立て、情報を収集し政策を誘導する。これがチャップマンら今回摘発されたスパイ団の任務だった。
 モスクワセンターからの指令を受けたチャップマンらは動き出す。FBIの監視下に置かれていることに気づかないまま−。

・微弱電波で接触
 2010年1月20日。ニューヨークのタイムズスクエア周辺のカフェに、バッグを脇に置いた赤毛の女が1人で腰掛けていた。チャップマンである。
 約10分後、ワンボックスカーが店の前をゆっくりと通り過ぎた。FBIがひそかに設置した監視カメラが運転手の男の顔をとらえる。男は表向き在米ロシア領事館の館員だが、実際はSVRのスパイ指導官だった。
 約2カ月後の3月17日。マンハッタンの書店にチャップマンが現れた。10分後、通りの反対側に、同じ領事館員が姿を見せる。チャップマンがバッグからパソコンを取り出し、スイッチを入れた。
 直後、FBI捜査官は、チャップマンのパソコンから飛ばされたワイヤレスネットワークの微弱電波を感知。ついに情報送信の手口を確認することに成功した。
 FBIの捜査は、チャップマンの「恋人」で、やはりSVRのスパイ、ミハイル・セメンコにも及んでいた。
 おとり捜査官が6月26日、セメンコの携帯に電話を入れた。会話は事前にFBI側が把握していた符牒(ふちょう)で始まった。
 「2004年、北京でお会いしたことがありませんか」
 捜査官が聞くと、セメンコがすかさず、「はい。たぶんお会いしていると思いますが、それはハルビンでのことだったと思います」
 “身分確認”を済ませた捜査官とセメンコはその日の夜、会うことを決めた。

・現金授受
 午後7時半すぎ、ワシントン市内の公園。
 ベンチに腰掛けるセメンコの隣には、SVR側のメンバーをかたった、FBIの捜査官が座っていた。
 捜査官は現金5千ドル(約43万円)を包んだ新聞紙と、現金を埋める場所が描かれた地図を差し出した。
 「明日午前11時から11時30分までの間にアーリントン・パークに持っていけ」
 セメンコは地図をじっと見つめた後、「場所は記憶したから破棄してくれないか」と地図を返した。
 セメンコは翌27日午前11時過ぎ、指定された場所に現れ、そして立ち去った。その後、現場では5千ドル入りの封筒と、それを包んだ新聞紙が押収された。
 この一連の行為は、セメンコがSVRの指示で現金を運搬していたことを示す重要証拠の一つとなる。

・勝負に出たFBI
 6月下旬、米政権中枢への浸透工作の実態解明を進めていたFBIの捜査が重大な局面を迎えていた。
 チャップマンが7月上旬にも、ロシアに帰国するとの情報が飛び込んできたのだ。残された時間が少ないFBIは勝負に出た。
 6月26日の昼前、在米ロシア領事館の館員を装った、FBIのおとり捜査官がチャップマンに電話を入れ、2人は午後4時半、マンハッタンのカフェで落ち合った。
 「進捗(しんちょく)状況を説明してくれ。いま、何をしている」
 「順調よ。ただ、“接続”に問題があるの」
 おとり捜査官は「接続」について、これまでの監視状況などから、パソコンによる極秘データの送信報告であることに気づく。
 「送信ソフトのトラブルなら、パソコンを領事館員に渡すか、帰国時にモスクワに持ち帰るかだが…」
 チャップマンはここで、パソコンを目の前の“領事館員”に渡すことを選ぶ。FBIは、スパイの秘密接触に使用されたパソコン本体を入手したのだった。
 2人は翌27日の接触場所を決めて別れたが、彼女は結局、現れなかった。米司法省がスパイ10人を逮捕したのは、その日のことである。(呼称略)
 チャップマン元被告らは今回、米国の機密情報を入手するには至らなかったとされるが、FBIの訴追請求状から浮かび上がってくるのは、ロシア・スパイ網の多様な人材配置とロシアによる豊富な資金投入だ。
 FBI関係者は本紙に対し、ロシア側がチャップマン元被告らに投じた資金が数百万ドルに上る可能性を指摘。「ロシアによる米国家中枢への『静かなる浸透』は続いている。ロシアは冷戦期並みか、それ以上に真剣だ」と強調し、日本国内でも政権中枢をターゲットにしたロシアのスパイ活動が行われていると警鐘を鳴らした。

・チャップマン事件
 旧ソ連国家保安委員会(KGB)対外情報部門の後継機関、SVRに訓練された11人のスパイが1990年代半ばから米国に送り込まれ、FBIが10年以上にわたり捜査。米司法省は6月27日(現地時間)、司法長官に届けず米国内で政治活動を行った容疑などで10人を逮捕。ニューヨーク連邦地裁で初公判が開かれたが、米露両国がスパイ交換で合意、10人は釈放された。

◎映画の喫煙シーン規制を、米疾病対策センター提言(2010年8月23日、読売新聞)
 映画の喫煙シーンに影響されて喫煙を始める未成年者が多いことから、米疾病対策センター(CDC)は、映画への規制強化を求める報告書を発表した。
 喫煙シーンを含む映画の前に、たばこの害を説く広告を上映することや、映画制作者に対し、たばこ会社から見返りを得ていないことの証明を義務づけるなどの規制を提案。「たばこの場面がある映画は、成人向け映画に指定するべきだ」と主張している。
 カリフォルニア大のスタントン・グランツ教授らは、1991〜2009年の各年、人気映画50本について、喫煙シーンやたばこが登場する場面を数えた。その結果、回数は減少傾向にあるものの、09年でも半数近い映画に登場していた。
 未成年者の喫煙の44%は、映画がきっかけになっているとの推定もある。

◎米の卵回収、新たに1.7億個、サルモネラ菌汚染の恐れ(2010年8月21日、朝日新聞)
 米食品医薬品局(FDA)は20日、アイオワ州の養鶏業者がサルモネラ菌汚染のおそれがある殻つき生卵の自主回収を始める、と発表した。米メディアによると、回収対象の卵は1億7千万個。この業者は、やはりサルモネラ菌汚染のおそれがある卵3億8千万個を自主回収中の同州内の業者とは別だ。
 サルモネラ菌感染は、子どもや高齢者、免疫が弱っている人に重症の食中毒を引き起こすことがある。米疾病対策センター(CDC)は生卵の冷蔵や、十分加熱して調理することを呼びかけている。一方、養鶏業者の団体は「回収対象の卵は全米に出荷された卵の1%未満」として、消費者の不安打ち消しに躍起だ。

◎卵3.8億個を自主回収、米、サルモネラ汚染で食中毒(2010年8月20日、産経新聞)
 米中西部アイオワ州で生産された卵がサルモネラ菌に汚染され、少なくとも数百人の食中毒を引き起こした疑いが強まり、同州の卵生産会社は19日までに、全米に出荷した約3億8千万個の自主回収を始めた。米食品医薬品局(FDA)などは、食中毒の被害がさらに拡大する恐れが強いと警告している。
 3億8千万個は米国の卵消費量2日分に相当し、FDA当局者によると、近年では最大規模の回収。
 FDAによると、問題の卵はアイオワ州北部の5カ所の農場で生産された。カリフォルニア、コロラド、ミネソタの各州で食中毒を発症した計270人は、この卵が原因とみられている。米国内では5月から7月までに、平年よりも1300件多い約2千件の食中毒が報告されたという。
 米政府当局は同社の農場などでサルモネラ菌の有無を調査しているが、汚染源は確認されていない。

◎米の軍事報告に中国強く反発「客観的事実無視」(2010年8月18日、読売新聞)
 米国防総省が16日公表した「中国の軍事力と安全保障の進展に関する年次報告書」について、中国国防省の耿雁生・報道官は18日、「客観的事実を無視し、中国の正常な国防と軍隊の建設を非難するものだ」として断固反対する姿勢を表明した。
 同報道官はその上で、「報告は(米中)両軍関係の改善と発展に不利となる」とし、米国側に対し、関係改善に向け良好な雰囲気と条件を造り出すよう求めた。

◎米フロリダ州も液晶カルテル提訴へ、日本3社など(2010年8月12日、朝日新聞)
 米フロリダ州のマッコラム司法長官は10日、パソコンや薄型テレビなどに使われる液晶パネルを巡って国際的な価格カルテルを結んだとして、シャープや日立製作所、東芝などを同州の裁判所に訴えると発表した。
 訴えるのはほかに韓国のサムスン電子、LG電子など。長官は「価格調整によって液晶製品などの価格が不正につりあげられ、州民や州政府に負担となった」としている。
 液晶パネルを巡っては、ニューヨーク州の司法長官も今月6日、日本の3社などを相手取り同様の訴えを起こしたと発表。州政府による提訴の動きが広がってきた。

◎トヨタ車、ペダル以外欠陥見つからず、中間報告(2010年8月11日、読売新聞)
 トヨタ自動車の急加速問題の原因解明を進めている米高速道路交通安全局(NHTSA)は10日、電子制御装置に問題は見つかっていないとする中間調査結果を米議会に報告した。
 米議会の一部議員は電子制御装置の不具合を指摘してきたが、調査結果は「これまでにマットにペダルが引っかかるか、アクセルペダルが戻りにくくなる欠陥以外は見つかっていない」とし、トヨタ側の「電子系統に欠陥はない」との主張を裏付けた格好だ。NHTSAは調査を継続する方針を示し、最終結論の時期は未定だが、トヨタ車の保有者による集団訴訟などにも影響を与えそうだ。
 NHTSAは米航空宇宙局(NASA)などの協力を得て、ソフトウエアの欠陥の有無や走行試験など広範な調査を進めている。この中で、ブレーキやアクセルの動作情報を記録する「イベント・データ・レコーダー(EDR)」を解析したところ、58件のうち半数以上の35件でブレーキが踏まれておらず、9件はブレーキの遅れが見つかるなど、運転者の操作ミスが原因と疑われるケースが相次いだ。
 一方、トヨタは「NHTSAの報告内容は確認していない。社内調査でも電子系統に問題は見つかっていない」との声明を発表した。

◎携帯液晶でカルテル、NY司法長官が日韓のメーカー提訴(2010年8月7日、朝日新聞)
 ニューヨーク州のクオモ司法長官は6日、コンピューターやテレビ、携帯電話に使われる液晶パネルを巡って価格カルテルを結んだとして、シャープや日立製作所、東芝などを同州裁判所に訴えたと発表した。
 訴えられたのはほかに韓国のサムスン電子、LG電子など。長官によると、各社は1996〜2006年に価格協定を結び、液晶製品を購入したニューヨーク州政府や学校、病院などに対し損害を与えた、としている。
 長官は「ニューヨーク州の公的機関は液晶製品を購入する際、違法なカルテルで決まった価格に基づき数億ドルを費やしてきた。過剰な支払いを取り戻す」とのコメントを出した。
 液晶パネルを巡っては、06年に日米欧韓の関係当局が一斉にカルテルの調査を開始。08年には米司法省の訴えに対し、シャープやLGなどが罪を認め、計5億8500万ドル(約500億円)を支払うことに同意している。

◎米大統領の異例の出席、LG化学、イメージ向上に期待感高まる(2010年7月17日、東亜日報)
 バラク・オバマ米大統領が、LG化学が電気自動車用バッテリーの米現地工場の起工式に出席すると、LGは、「オバマ効果」への期待を隠せずにいる。米大統領が異例に、外国企業の起工式に訪れただけに、世界的にLGPR効果を収めることができるだろうと言う声も出ている。
 LG側はまず、LGグループ全体のブランドイメージや親しみが急上昇するだろうと見ている。これまでのLGのイメージは、LG電子を通して構築されたもので、親しみやすくやさしい感じがほとんどだったと言う。しかし、今回のオバマ大統領の訪問をきっかけに、先端技術力を持った企業だと言うイメージが加わるものと見ている。
 LG化学の関係者は、「電気自動車向けバッテリーを作る第2次電池分野は、先端技術力の勝負どころだ」とし、「オバマ大統領の訪問を通じ、『技術のLG』のイメージが広がることになるだろう」と語った。特に、起工式の現場でオバマ大統領と具本茂(ク・ボンム)LGグループ会長が会って、握手する写真の後ろに、LGロゴが登場したことに大変喜んでいる。
 LG化学はまた、「米大統領も認めた企業」という、金では換算できないほどのPR効果も期待している。本格的な競争に突入した電気自動車向けバッテリー市場で、先頭企業として位置づけられることができたと言う。
 LG化学は、米自動車メーカー「ビック3」のうち、ジェネラルモーターズ(GM)やフォードの2社に対し、電気自動車向けバッテリーを供給することになっている上、米大統領まで招いたことで、「世界最高」という名声を固めることができた。
 ハイブリッド車を含め、電気自動車市場の70%ほどを占めている米市場を攻略するにも、大きく役立つものと見られる。LG化学は、今年下半期に米国で電気自動車向けバッテリーの供給会社を3社程、さらに増やせるものと期待している。
 LG化学のこのような成功の背景には、具会長特有の「意地経営」がある。LGグループの主要系列会社の社長らと役員らは01年と06年の2回に渡って、赤字が続いた第2次電磁事業から撤退すべきだと言う意見を出したが、具会長は返って、「今こそスタートだ」と励ましたと言う。
 具会長は、「決して諦めず、研究開発に専念せよ」と指示し、結局、LG化学は07年から収益を上げ始めている。

◎オバマ大統領、LG化学の米工場起工式で祝辞(2010年7月17日、朝鮮日報)
 バラク・オバマ米大統領が15日(現地時間)、LG化学の電気自動車用バッテリー工場の起工式に参加した。米国の現職大統領が、米国企業ではなく外国企業のイベントに参加するのはかなり異例のことだ。
 オバマ大統領はこの日、ミシガン州ホランド市の起工式会場で具本茂(ク・ボンム)LGグループ会長と会い、韓国語で「アンニョンハセヨ(こんにちは)」とあいさつした後、英語で「電気自動車用バッテリー工場の建設をお祝いする」と話した。具会長はこれに対し、「来ていただき感謝する」と答えた。
 オバマ大統領は祝辞で、「これは新工場の建設以上を意味する。この町や州、米国の新たな未来を建設するものだ」と評価した。また、「この工場で数百人が働くことになり、これによって小規模な企業の基盤も確保される。こうした努力が米国経済の発展に寄与するだろう」と語った。
 オバマ大統領は、米国経済は困難に直面しているが、エコカーの量産を通じて未来型の雇用を創出し、外国に対する原油依存度も減らせると強調した。そして、「この工場はミシガン州と米国が進む方向を示す象徴だ」と指摘した。
 この日のイベントにはミシガン州のジェニファー・グランホルム知事、ホランド市のカート・ダイクストラ市長、具本茂LGグループ会長、金磐石(キム・バンソク)LG化学副会長などが出席した。
 金副会長は、「LG化学が他国のライバルをリードし、成長できたのは、それだけの技術力があったからだ。年内に3、4社と追加の供給契約を締結する予定だ」と語った。
 LG化学はホランド市の50万平方メートルの敷地に総額3億300万ドル(約263億円)を投じ、ゼネラルモーターズ(GM)の電気自動車「ボルト」に供給する電気自動車用バッテリー工場を建設する予定だ。工場が完全稼動すれば、2013年までに電気自動車6万台に供給できるバッテリーの生産が可能で、直接的に約500人の新規雇用が見込まれている。

◎オバマ大統領「LG工場は米国のグリーン政策の象徴」(2010年7月17日、朝鮮日報)
 15日、オバマ米大統領が参加する中、LG化学の電気自動車用バッテリー工場の起工式が開かれた米ミシガン州ホランド市。ここは、オランダ移民が主に暮らす人口約3万5000人の小都市だ。オバマ大統領がこの地を訪れたのは、LG化学の工場が自らが推進するエコエネルギー政策とグリーン産業育成政策の象徴になると判断したためだ。

・LG工場は失業率13%のホランド市に活路
 LG化学は総額3億300万ドル(約263億円)を投資し、2013年までに電気自動車6万台に供給できるバッテリー工場を建設する計画だ。この投資額のうち1億5100万ドル(131億円)は連邦政府の補助金、1億2500万ドル(108億円)はミシガン州政府の税金減免特恵でまかなわれる。資金の80%を、米国連邦政府と州政府が援助することになる。
 この日の起工式に出席したある住民は、「以前は5%にすぎなかったホランド市の失業率が、現在13%まで高まった。そのため、雇用の機会をもたらす工場が建設されるのはとても喜ばしいことだ」と話した。食品加工や家具製作と共に、同地域の主要な雇用を提供した自動車部品工場が閉鎖されたため、失業者があふれている状況だ。
 ホランド市と米ミシガン州は、雇用を創出するLG化学を誘致するため必死に取り組んだ。ホランド市のボブ・エリス商工会議所理事は、「LG化学が急きょ、当初予定していた敷地の2倍ほどが追加で必要になったと言うので、すぐに会議を招集し、わずか1日で追加の敷地を確保する決定を下した」と話した。地域市民団体「レイクショア・アドバンテージ」のジェニファー・ラインアート氏は、「この工場は若い世代に未来の職場の姿を見せてくれる」と話した。
 LG化学がバッテリー工場の運営を通じて創出する直接的な雇用は約500件。ミシガン州のジェニファー・グランホルム州知事は、「これを皮切りに、バッテリーや電気自動車産業で6万2000件の雇用が見込まれる」と話した。

・LG工場はオバマ大統領のグリーン産業育成の象徴
 オバマ大統領はLG化学のバッテリー工場を、自身が注力するエコエネルギー政策とグリーン産業育成が具体的に実を結び始めた象徴と見なしている。オバマ大統領は就任直後から燃費改善義務化などエコ規制を一層強化し、電気自動車の生産者や購入者に対して補助金を支給するなど、強力なエコエネルギー政策を推進している。
 特に、LG化学のバッテリー工場は、ゼネラル・モーターズ(GM)が野心的に準備を進めている電気自動車「ボルト」にバッテリーを供給するほか、フォードの電気自動車「フォーカス」にもLG化学のバッテリーが使用される点に注目している。没落した自動車王国「ビッグスリー」が未来の車を前面に打ち出して復活する姿を見せようとしているわけだ。この日、オバマ大統領は演説前に、イベント会場に展示されたGMのボルトとフォードのフォーカスに試乗し、直接ハンドルを握るなど上機嫌な様子だった。オバマ大統領は、「ここで生産されるバッテリーは、今後皆さんが乗る自動車と同じく、“メード・イン・アメリカ”のマークが付けられる」と語り、LG化学のバッテリー工場について、「ここはミシガン州と米国が進む方向を示す象徴だ」と発言した。

◎帰国スパイ、露が生活費確約、米と交換後(2010年7月11日、読売新聞)
 米露が9日行った、東西冷戦終結後最大規模のスパイ交換は、米国主導で描かれた綿密な筋書きに沿って進められていた内幕が明らかになった。
 米国によるスパイ団摘発が米露関係を損ねることを恐れたオバマ大統領の意向を強く反映した措置とされる。
 AP通信など米主要メディアによると、オバマ大統領が米国内で活動する露スパイ10人の存在について知らされたのは6月11日。司法省や連邦捜査局(FBI)は、一部が近く出国することを察知し、10年にわたったスパイ団への監視を急きょ切り上げ、一斉逮捕に踏み切る準備を進めていることを説明した。
 司法省やFBI高官は、米露関係への影響を最小限に抑えたい大統領の意向をくんで、スパイ団を米国に長期拘束せず、露国内で長期収監されている米国のスパイを釈放させる取引材料とする「スパイ交換」を提案した。欧米に重要な露機密情報を提供したとされるアレクサンドル・ザポロジスキー元露対外情報局(SVR)大佐らは監獄での健康悪化も伝えられ、救出を急務と見なしていた。
 大統領のゴーサインを得た司法省は6月27日に10人を逮捕。30日、中央情報局(CIA)はスパイ交換をSVRに打診し、SVRは2日後に交換に応じると回答した。パネッタCIA長官とフラトコフSVR長官との計3回の電話協議を経て、7月3日に交換の詳細が合意に至った。
 合意内容の一部は、スパイ団が8日に国外追放処分を言い渡されたニューヨーク連邦地裁の法廷でも明らかにされ、ロシア政府がスパイたちに帰国後、住宅や月額2000ドルの生活費を一生支給することを確約していたことも判明した。米国内に残されていた一部のスパイの子供も9日までにロシアに送り返された。

◎米露スパイ交換、「大物二重スパイ」も放出(2010年7月10日、読売新聞)
 米司法当局が男女10人をロシアのスパイとして逮捕した事件で、米露両政府が8日、冷戦終結後初めてとなるスパイ交換で合意し事態の幕引きを図ったのは、米露が新核軍縮条約への署名に代表される関係緊密化の機運の維持を最優先したためだ。
 しかし、米当局による10人の拘束期間は10日余り。「米露協調」のかけ声に押され、米国内の露スパイ網の全容解明がなおざりにされたのでは、との懸念が残る結末となった。
 英メディアなどによると、米国で国外退去処分を受けた10人は9日夕、露非常事態省の航空機でモスクワの空港に到着。また、ロシア側の4人を乗せた米国機も同日午後、英中部の空軍基地に到着した。
 10人が逮捕されたのは、ワシントンでオバマ大統領とメドベージェフ露大統領が会談し、「両国関係の強化」をうたった3日後の6月27日。米政府高官は、「(スパイのうち)1人が出国を図ったのを察知し、一斉逮捕に踏み切った」と説明した。
 10人が露対外情報庁(SVR)から指令されていた主要任務である「米政策担当者との関係構築および機密情報の入手」をどこまで進めていたのか全容をつかむ前に、見切り逮捕せざるを得なかった可能性もあるということだ。
 同高官はまた、「ロシア政府とは、一緒に達成すべき多くの課題がある。オバマ大統領による新たな対露姿勢は、我が国の戦略的な国益を増進させる」と強調し、今回の合意が「外交主導」の政治判断の産物であることを隠さなかった。
 一方、別の米政府高官は、10人を早々に露側に引き渡した理由について、「これ以上拘束しても新たな成果はない」と述べ、スパイ団が重要な国家機密の入手に至っていなかったことを示唆したが、せっかく捕らえたのに徹底的に尋問もせず釈放してしまったのは、諜報専門家の間から疑問の声も出ている。
 米国とは対照的に、ロシアが今回の交換合意に基づき釈放した4人は、5〜11年もの間、露国内の刑務所に収監されていた。その中には、アレクサンドル・ザポロジスキー元SVR大佐も含まれる。
 同大佐は、オルドリッチ・エイムズ元中央情報局(CIA)対ソ連防諜部長(1994年逮捕)やロバート・ハンセン元連邦捜査局(FBI)特別捜査官(2001年逮捕)など、米政府内で活動するスパイの存在を米側に通報したとされる「大物二重スパイ」だ。既に徹底的な尋問を受けて情報を搾り取られているのは確実。露側としては利用価値のなくなった人物を取引材料として放出したに過ぎない。
 米高官は今回の摘発を、「今後、米国で同様の活動を企図する他国政府への警告としたい」と述べたが、仮に逮捕されても国外追放されるだけとの印象を与えれば、防諜対策上、逆効果ともなりかねない。

◎スパイ交換、引き渡された2人が米に到着(2010年7月10日、読売新聞)
 米国とロシア間で9日行われたスパイ交換で、ロシア政府が釈放したスパイを乗せたとみられる旅客機が9日夕(日本時間10日朝)、ワシントン郊外のダレス国際空港に到着した。
 複数の米メディアによると、ウィーンで米側に引き渡された4人のうち2人は英国で降り、米国に到着したのはアレクサンドル・ザポロジスキー元露対外情報局(SVR)大佐ら2人。
 一方、AP通信はオバマ政権高官の話として、ホワイトハウスが今年2月の段階でロシアのスパイ団に関する報告を受けていたと報じた。司法省と連邦捜査局(FBI)は6月初旬にスパイの一部が出国しようとしていることを察知して摘発を決め、6月11日にオバマ大統領と協議した際にスパイ交換を提案して了承を得たという。
 司法省は27日にスパイ団を逮捕。その後、パネッタ中央情報局(CIA)長官が露SVRに対し、露側が収監中のスパイ4人との交換を持ちかけたという。

◎露スパイ10人の任務「ネットで誰でもできる」(2010年7月9日、読売新聞)
 ロシアのメドベージェフ大統領は、服役中の西側スパイ4人に特赦を与えたことが9日明らかになった。
 露側の釈放が4人にとどまったのは、米国が拘束したロシア人スパイ10人が「極秘情報に近づいてさえいなかった」(露紙)証左などと受け止められている。
 今回の交換条件について、露元情報機関幹部は9日、本紙に対し、「米連邦捜査局(FBI)が今回拘束した10人の脅威を誇張していたことが裏付けられた」と語った。ロシアでは、10人の任務は「インターネットで調べれば誰でもできるもの」(英字紙モスクワ・タイムズ)との見方も強い。
 事件が米側の策略だとの見方も根強く、9日発表された調査機関「レバダ・センター」の世論調査では、53%が「米露関係を傷つけようとする米情報機関の挑発」であると回答。拘束された10人が「本物のスパイ」だと答えたのは10%に過ぎなかった。

◎ロシア:米国とスパイ交換準備、逮捕の1人と服役囚を(2010年7月8日、毎日新聞)
 米司法当局が先月、ロシア人10人をスパイ容疑で逮捕した事件で、米露両国の間で、逮捕したスパイを交換する動きが浮上している。ロイター通信などによると、露政府は、米中央情報局(CIA)のスパイとして露国内で服役している科学者の身柄を海外へ移す代わりに、米当局に逮捕された容疑者のうち1人を引き取る準備を進めているという。
 この科学者はイーゴリ・スチャーギンというロシア人の原子力問題の専門家。99年にCIA関連企業へ機密情報を漏らした国家反逆罪で起訴され、04年に懲役15年の判決を受けた。ロシア北部アルハンゲリスク州で服役していたが、今月5日にモスクワの刑務所へ移され、近くウィーン経由でロンドンへの移送を告げられたという。
 服役囚の弁護士は、ロシア側が米国との「交換要員」を用意しているとの見解を示し、服役囚の家族も身柄交換の準備が進んでいることを認めた。
 米露はこの1年間に進めてきた関係改善の動きを重視し、スパイ交換を通して、早期の事態収拾を模索している模様だ。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)も、米司法当局が容疑者の罪状を軽減し、容疑を認めさせた上でロシア側へ引き渡すなどの解決策を検討していると報じた。

◎米露がスパイ交換? B級スパイ映画さながら(2010年7月8日、産経新聞)
 ロシアのスパイ11人が米司法当局に訴追された事件で、ロシアで米国のスパイとして収監されている受刑者らとの交換が行われるのではないかとの見方が強まっている。ロシアのスパイ摘発で、冷戦時代を彷彿させる古典的な情報収集活動が世間を驚かせたが、今度はスパイ交換という“超法規的措置”で幕引きを図る「B級スパイ映画」(米紙ワシントン・ポスト)のような展開に、米国内での関心は高まるばかりだ。
 スパイ交換説が浮上したきっかけは、バージニア州アーリントンで米連邦捜査局(FBI)に逮捕、アレクサンドリア連邦地裁に訴追された3被告の公判前審理が7日、突然中止されたことだ。
 同地裁判事は3被告を、5被告が訴追されているニューヨークの連邦地裁に移送する決定を下した。ボストンで逮捕された他の2被告も、同じニューヨークの連邦地裁に身柄を移されることになり、逃亡中のカナダ国籍のメトソス被告(55)以外の10被告が同地裁に集められ、一部被告の本格審理が始まった。
 確かに事件の性格上、同一裁判所で審理した方が公判はスムーズに進む。しかし、司法当局の措置が突然だったことから「スパイを交換するためではないか」との憶測を呼んだ。
 これに拍車をかけたのが、7日の米政府高官の言動と、スパイ罪でロシアで服役中の受刑者周辺の動きだ。
 国務省のバーンズ国務次官は7日、キスリャク駐米ロシア大使と会談した。この会談で、スパイ交換などが議題になったかどうか記者団に聞かれた国務省のトナー報道官は「スパイ事件が主な議題ではないが、当然話し合われたと思う」と含みを持たせた。
 逆にホワイトハウスのギブズ大統領報道官は7日の記者会見で「何も情報がない。司法省に聞いてくれないか」と述べるだけで、歯切れが悪い。7日の時点で米政府高官のだれも明確に否定していない点も、スパイ交換説に現実味を持たせている。
 極め付きは、ロシアで服役中の受刑者の弁護士や家族の話だ。
 報道によれば、米国のスパイとして収監されている軍備管理・核兵器の専門家、イゴール・スチャーギン受刑者(45)の弁護士は「スチャーギン受刑者は5日、服役中の地方刑務所からモスクワ市内の刑務所に身柄を移された」と証言した。
 弁護士の話では、両親から7日朝に電話があり、両親は「米国で逮捕されたロシアのスパイ10人と『10対10』で交換することを示す文書に署名させられたと息子が話していた」と語ったという。
 人による情報収集に加え、現代はコンピューターへの侵入や偵察衛星、ハイテク機器による通信傍受などの情報収集が主流だ。こうした中で、冷戦時代さながらのスパイ摘発に続き、「スパイ交換」が果たしてあるのかどうか−。

◎露「美人スパイ」大人気、米大衆紙アイドル扱い(2010年7月8日、読売新聞)
 米司法当局が先月、ロシアのスパイとして逮捕した男女10人は、ロシア対外情報局から「十分にアメリカ的になれ」との指令を受けて米国で暮らしていた。
 「普通の隣人が実はスパイ」「しかも美人」――好奇心をかき立てる舞台と配役に夢中な人々は、安全保障論議などそっちのけだ。
 ニューヨークで不動産業に携わっていた女性スパイ、アンナ・チャプマン容疑者(28)は、「赤毛のスパイ」として、もはやアイドル並みの人気ぶりだ。米タブロイド紙は連日、同容疑者の写真を満載、5日付のニューヨーク・ポスト紙はついに、ヌード写真を1面に掲載した。見出しは、映画007シリーズから拝借して、「ロシアより愛をこめて」。記事では、英国人の元夫の証言に基づく夫婦生活を報じた。
 「子連れスパイ」として有名になったリチャード・マーフィー容疑者の自宅はニューヨークの西約25キロ、ニュージャージー州モントクレアの閑静な住宅地にある。ここで妻役のスパイ、小学生の娘2人と共に暮らしていた。
 近所を訪ねると、妻と付き合いがあったというメアリー・チャレクさん(56)は、「ベルギー人だと言っていたが、ロシア人だったとは」と話した。妻は休日のたびに娘と庭いじりを楽しんでいたという。
 向かいに住むクリス・デラニーさん(38)は「父親が毎日、娘をスクールバスの停留所まで送り迎えしていた」と言う。隣人たちの話題もまた、「普通の隣人」への驚きだった。

◎米ロ、スパイ交換で手打ちか、逮捕者返還・服役者に恩赦(2010年7月8日、朝日新聞)
 米連邦捜査局(FBI)がロシアのスパイとして男女10人を逮捕した事件をめぐり、ロシアと米国が「スパイ交換」という形で手打ちをする可能性が出てきた。ロシアの通信社ロスバルトは7日、米英に情報を流したスパイ罪に問われてロシアで服役中の軍事専門家ら3人が釈放され、米で逮捕された10人と交換されるとの見通しを伝えた。米政府当局者が米ロの取引について認めたとの報道もある。
 インタファクス通信によると、米中央情報局(CIA)関係の英企業にロシアの国家機密を漏らしたとして2004年に懲役15年の実刑判決を受けた米国カナダ研究所の軍事専門家スチャーギン氏の弁護士は7日、同氏が交換要員の1人に含まれる可能性を明らかにした。
 さらに通信社ロスバルトはスチャーギン氏に加え、英情報局秘密情報部(MI6)に情報を渡していたとして06年に懲役13年の実刑判決を受けたロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のスクリパリ元大佐と、さらにもう1人のスパイ罪受刑者が、近くロシア大統領の恩赦を受けてウィーンに向かうとの見通しを報道。いずれもスチャーギン氏の親族からの情報としている。
 また、米国メディアが非公式情報として、オバマ政権が取引について検討し、今回の逮捕者が罪を認めればロシアに返すとしているほか、米国は交換人数を同数にしたい意向とも伝えられている。
 男女10人の逮捕は米司法省が先月28日に発表し、ロシア出身の女性実業家アンナ・チャップマン容疑者(28)の写真が多数出回るなど報道は過熱。1990年代からロシア連邦対外情報局(SVR)の指示で米国民を装い、核兵器開発に携わる米政府職員らに接触するなどしたとされた。
 米ロ関係の「リセット」が進む中、メドベージェフ大統領が米国公式訪問を終えた直後の逮捕発表だっただけに政治的思惑も指摘されたが、その後は米ロ両政権とも抑制的な対応を見せていたため、それがまた憶測を呼んでいた。
 一方、米ホワイトハウスのギブズ報道官は7日、「スパイ交換」について「何も言うことはない。法的な問題なので司法省に聞いてほしい」と述べた。
 米検察当局は7日、逮捕された10人と、逃亡中の1人についてスパイ罪で起訴した。うち9人についてはマネーロンダリング(資金洗浄)の共謀に問われている。

◎“美しすぎる女スパイ”ら11人起訴(2010年7月8日、スポーツニッポン)
 米ニューヨーク連邦地検は7日、ロシアのスパイとして活動していたとして逮捕した10人と、逃亡中の1人の男女計11人を起訴した。適用罪名は「米司法長官への事前告知なしに外国政府機関員として活動しようとした共謀」で、うち9人は「マネーロンダリング(資金洗浄)の共謀」にも問われている。連邦地検が発表した。
 起訴状などによると、11人は1990年代ごろからニューヨークなどでロシア政府の情報員として活動。ロシア国連代表部関係者らから活動資金を受け取り、核兵器研究関連の米政府職員と会うなどした。「美ぼうの女スパイ」としてメディアの注目を集めているアンナ・チャップマン被告(28)は、マンハッタンのカフェなどで無線LANを使いロシア政府職員にデータを送信した。
 地中海の島国キプロスで拘束後、保釈中に失踪したクリストファー・メトソス被告は、現在も逃走中。

◎「東西情報機関の冷戦は終わらない」旧ソ連軍スパイが証言(2010年7月6日、読売新聞)
 米連邦捜査局(FBI)がロシアの非合法スパイ11人を訴追した事件で、英国在住の元ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)特務担当官、ボリス・ウォロダースキー氏(55)が産経新聞の取材に対し、「旧ソ連時代も含めて米国で活動する非合法スパイは最高でも5人程度。11人というのは非常に多く、かなりの数の情報網が構築されていたとみられる」と語った。
 同氏によると、ロシアのスパイは(1)大使館・領事館の外交官、貿易代表団、特派員の身分を持つ合法スパイ(2)外交特権に守られていない非合法スパイ−に二分される。対外情報を担当した旧ソ連国家保安委員会(KGB)第一総局の後継機関ロシア対外情報庁(SVR)か、GRUの指揮下に置かれるという。
 訴追された11人はSVRが組織した非合法スパイ。合法スパイはFBIや中央情報局(CIA)に監視されているため、政府中枢や科学者らの情報源には非合法スパイが接触し、それぞれ合法スパイに連絡する仕組みになっているという。
 「美しすぎるロシアの女性スパイ」と話題をまいたアンナ・チャップマン被告(28)は2001年から5年間、ロンドンで暮らした。同氏は「米国に行く前にカナダや英国で暮らし生活習慣や英語を覚えるのは旧ソ連時代から80年以上続く非合法スパイの養成法」と解説。同被告が英国人と結婚したのは米国で活動しやすいよう英旅券を取るためだとの見方を示した。
 離婚後、いったんロシアに帰国した同被告は連絡方法やコンピューター操作の特別訓練を受け今年2月、米国に入国。ロシアの基金から支給された助成金を元手に会社を起業した。決められた数分だけ開くコンピューターネットワークを通じて、在ニューヨーク国連政府代表部の合法スパイと連絡を取り合っていた。
 同氏は「彼女ほどの美貌があれば米国の支配階級に食い込むのは容易だっただろう。冷戦は終わったかもしれないが、東西情報機関の冷戦は終わらない。他国の軍事、産業、経済の機密を入手する必要性は変わらないし、スパイの役割もなくならない」と話した。

◎「私を愛したスパイ」元夫が語る、ロシア・スパイ事件(2010年7月4日、朝日新聞)
 米連邦捜査局(FBI)がロシアのスパイだとして男女10人を逮捕した事件で、アンナ・チャップマン容疑者(28)の元夫で英国人のアレックス・チャップマン氏(30)が英紙デーリー・テレグラフの取材に応じた。同容疑者の父親は旧ソ連国家保安委員会(KGB)幹部で、結婚後の英国在住時にスパイになった可能性が高いという。
 同紙は、スパイ映画007シリーズの題名「私を愛したスパイ」の見出しで報じた。アレックス氏によると、2001年、モスクワ大学の学生だったアンナ容疑者が旅行で訪れたロンドンのダンスクラブで出会い、5カ月後に結婚した。この結婚により同容疑者は英国籍を取得。06年の離婚後もチャップマン姓を名乗り続けていた。
 02年夏、アフリカ・ジンバブエを新婚旅行で訪れた時、同容疑者の父(53)に初めて会い、「とても怖い」印象を受けたという。後に、元妻から、父親はKGBの幹部だったと打ち明けられた。同氏は「父は娘の人生のあらゆることをコントロールした」と話している。
 アンナ容疑者は05〜06年になって、ロシアの友人と頻繁に会うようになった。同氏が紹介を求めても「ロシア語で話しているから」と強く拒否された。そのころから、アンナ容疑者の生活が変わり、嫌いだった米国に移り住むなどと言い出したという。
 アレックス氏は「元妻が英国でスパイ活動をしたと思わない。しかし、離婚に近づくにつれ、秘密が増えた。ロシア政府と連絡を取っていたのだろう」と推測。「元妻がスパイ容疑で逮捕されたと聞いても、正直、あまり驚かなかった」などと語っている。
 英情報局保安部(MI5)は事件発覚後、アレックス氏に事情聴取を行い、アンナ容疑者が英国でスパイ活動をしたか捜査を始めた。

◎スパイの男失踪に「失望」、米、キプロス政府に不快感(2010年7月2日、産経新聞)
 米国務省のクローリー次官補(広報担当)は1日の定例記者会見で、米国がロシアのスパイ団の1人として訴追した男が東地中海の島国キプロスで拘束後、保釈中に失踪(しっそう)したことについて「失望した」と述べ、キプロス政府への不快感を示した。
 クローリー氏は「男は無駄に逃亡の機会を与えられ、われわれが恐れていた通りに逃亡した」と指摘。今後、キプロス政府と緊密に連絡を取り合っていくとした。

◎露スパイ、1人が容疑認める(2010年7月2日、産経新聞)
 米CNNテレビ(電子版)によると、米連邦捜査局(FBI)にロシアの工作員として訴追された男女11人のうち、男1人がスパイ行為を認めていることが1日、連邦検察が裁判所に提出した供述書で分かった。
 容疑を認めたのはフアン・ラザロ容疑者。CNNが入手した供述書によると、同容疑者は(1)ニューヨーク州にある自宅の購入費用はロシア対外情報局(SVR、旧KGB)が負担(2)ラザロは偽名(3)自分がウルグアイ生まれというのは事実と異なる(4)息子は大切だが、それ以上に情報局への忠誠が重要−と語った。
 同容疑者の妻(訴追済み)も、夫の代わりにSVR工作員に文書を手渡すなどの役割を果たしたという。
 同容疑者は1日、ニューヨークの連邦裁判所で開かれた保釈をめぐる審理に出廷した。

◎ロシアのスパイが保釈後、逃亡? キプロス(2010年7月1日、産経新聞)
 ロシアのスパイ11人が米連邦捜査局(FBI)に訴追された事件で、地中海東部の島国、キプロスで逮捕されたカナダ国籍のクリストファー・メトソス容疑者が、保釈された後、30日、所在不明となった。
 キプロス警察当局者がロイター通信に語ったところによると、メトソス容疑者は保釈に当たり、30日午後に警察に出頭することになっていたが、現れなかった。
 メトソス容疑者は、29日にキプロスから飛行機でハンガリーのブダペストに向かおうとしたところを逮捕された。

◎露スパイ事件、キプロスで逮捕の男が姿消す(2010年7月1日、読売新聞)
 キプロスからの報道によると、同国警察当局は30日、米司法省によるロシア・スパイ拘束事件の関連で逮捕したカナダ人の男(54)が保釈後に姿を消したと明らかにした。
 警察は男が逃走したとみて行方を追っている。
 スパイと資金洗浄容疑で米当局に国際手配されていた男は29日にキプロスの空港で逮捕され、警察に毎日出頭することなどを条件に保釈されたが、30日は出頭せず、宿泊先にも姿がなかった。AP通信によると、男の弁護士も男と連絡がとれないという。

◎スパイ逮捕で露「反オバマ勢力の仕掛け」、なお対米批判は抑制(2010年6月30日、産経新聞)
 メドベージェフ露大統領の訪米からの帰国直後にロシアのスパイ団逮捕が発表されたことについて、ロシアでは、オバマ米大統領の対露融和政策に反発する“タカ派”が仕掛けたスキャンダルだとする見方が強まっている。露外務省は6月29日、米国の発表に対し、「根拠がなく、よからぬ目的を追求するものだ」と激しく非難した。
 露科学アカデミー米カナダ研究所のクレメニュク副所長は30日付独立新聞に「米国は全体として、まだオバマ大統領ほど対露関係改善に前向きでない」とし、「これまでの合意事項は凍結されるだろう。両国関係はとてももろい」と事件の影響に懸念を示した。
 メドベージェフ大統領は就任以来、経済の「近代化」を最優先課題に掲げ、プーチン首相(前大統領)との差別化を図ってきた。欧米接近を進めてきた背景にも、外交を外資誘致や技術移転など自国の「近代化」につなげるべきだとの方針がある。今回の摘発劇はそうした大統領の顔に泥を塗った形であり、ロシア国内でもメドベージェフ路線に反発する守旧派が勢いづく可能性がある。
 「ちょうど良い時に来た。お宅では警察が好き放題にやり、人々を投獄している」。旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン首相は29日、モスクワを訪れたクリントン元米大統領との会談でこう述べ、クリントン氏の爆笑を買った。プーチン氏は「でも、それは仕事だ。米露関係に影響がないことを期待している」と続けた。
 KGBの後継機関、対外情報局(SVR)は各国大使館に「外交官」として多数の諜報(ちょうほう)員を送り込んでいる。今回、逮捕されたのは配下のエージェントで、外交官の追放などには至っていない。情報筋には、プーチン首相がこうした事情を踏まえて批判を抑えているとの見方がある。

◎スパイ事件、米露関係に暗い影、ナゾ残る逮捕のタイミング(2010年6月30日、産経新聞)
 ロシアのスパイ11人が米連邦捜査局(FBI)に逮捕された事件は、米露両首脳が親密ぶりを演出する裏で、冷戦時代さながらのスパイ活動がいまなお行われていることを浮き彫りにした。特に、強制捜査が訪米したメドベージェフ大統領の帰国直後だっただけに、露側は顔に泥を塗られた格好だ。「リセット」(オバマ大統領)したはずの今後の米露関係に暗い影を落としそうだ。
 「(今回の事件を)オバマ大統領には十分かつ適切に伝えた。司法省は適切に法を執行した」。ギブズ米大統領報道官は6月29日の記者会見でこう強調し、大統領に捜査を事前報告していたことを明らかにした。
 ただ、強制捜査が首脳会談3日後の27日であることをホワイトハウスが正確に把握し、大統領に伝えていたかどうかは不明だ。米当局者の一人は、「オバマ大統領はこのタイミングでの強制捜査に不快感を持っていた」と証言する。
 米紙ニューヨーク・タイムズによると、米政府当局者は強制捜査に踏み切った理由について「容疑者のうち1人が27日に第3国経由でロシアに向けて出国し、米国に戻らないことが判明したためだ」と語った。司法省のボイド報道官は逮捕時期をめぐり「さまざまな検討」があったことを認めており、政治的判断が働いた可能性を示唆した。
 29日にキプロスで逮捕された容疑者以外の10人はカップルで、うち4組が夫婦。ニュージャージー州で捕まった自称リチャード・マーフィーとシンシア両容疑者には小学生の娘がおり、近隣住民も「スパイには見えなかった」という。
 バージニア州アーリントン市内の公園で接触した容疑者の一人はFBIのおとり捜査官の前で、協力費として5000ドル(45万円)入りの封筒を包んだ新聞紙をわざと落としたという。同市内に住むミハイル・セメンコ容疑者は露英中西の言語に堪能で旅行代理店に勤務。ビッキー・ペラス容疑者はスペイン語紙記者という顔を持っていた。
 容疑者らは、旧ソ連国家保安委員会(KGB)が前身のロシア対外情報局(SVR)の指令で米政府の政策決定者に接近、小型核爆弾の開発やアフガニスタン情勢、米露新核軍縮条約への米政府の立場などを探っていたという。米連邦裁判所の訴状によると、特殊ソフトを使った携帯用パソコンでSVR関係者と暗号化した文章で交信していた。
 スパイ特有の手口を割り出しながら、FBIはなぜスパイ容疑ではなく司法長官に事前通告せずに政治活動を行った容疑を適用したのか。スパイ容疑なら協力した側の米国人の摘発が不可欠なため、立件の容易な非合法政治活動容疑を適用したものとみられる。

◎外交問題に発展せず、ロシアのスパイ訴追で米大統領報道官(2010年6月30日、産経新聞)
 ギブズ米大統領報道官は29日の定例記者会見で、連邦捜査局(FBI)がロシアのスパイとして11人を訴追した事件について「(米露2国間の)関係に影響を及ぼすとは思わない」と述べ、外交問題に発展する可能性を否定した。
 ギブズ氏は、オバマ政権発足後に両国関係は、新たな核軍縮条約「新START」に調印するなど大きく改善したと指摘し、事件は「司法機関が適正に処理した」と強調。オバマ大統領は事件の概要について事前に説明を受けていたという。
 米国務省のゴードン次官補(欧州・ユーラシア担当)は「情報機関を使った古い企ての名残があったからといって、誰も大きなショックは受けないだろう」と指摘し、米露間で依然としてスパイ活動が続いていることを暗に認めた上で「さらに信頼できる関係に向かっている」と強調した。

◎米スパイ団摘発に「根拠なし」、露外務省(2010年6月29日、産経新聞)
 【モスクワ=遠藤良介】ロシアのスパイとされる一団が米国で摘発された事件で、ロシア外務省のネステレンコ報道官は29日、「このような行為に根拠はなく、よからぬことを目的としている」「すべてが米政権によって宣言された米露関係『リセット』を背景に起きたことはたいへん遺憾だ」とする声明を発表した。

◎「ありふれた夫婦」、米国で露のスパイ団、地域に浸透(2010年6月29日、産経新聞)
 「ガーデニング好きの奥さん」「2人の息子を持つ、ありふれた夫婦」。ロシアのスパイとして米当局が28日までに訴追した11人は、10年以上かけて地域に溶け込んでいた。スパイ映画さながらの方法で、金や情報をやりとりしていたとされる。
 訴追記録や米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、27日に逮捕された10人はカップル5組で、もう1人は行方不明。米国で核弾頭開発計画などの情報を収集していたとされ、10年以上前からニューヨーク郊外やボストン、シアトルなどに身元を偽って居住。連邦捜査局(FBI)が7年以上前から監視してきた。
 ニューヨーク郊外の駅などで国連ロシア代表部関係者らから現金を受け取り、インターネット上の画像を利用するなどして情報を伝達。地面に埋めた現金を数年後に掘り返すといった方法も使われた。

◎FBI、ロシアのスパイ10人逮捕、核絡みの情報収集(2010年6月29日、朝日新聞)
 米司法省は28日、ロシア政府のために1990年代から米国内で非合法の情報収集をしていたとして、米連邦捜査局(FBI)がニューヨークやボストンなどに住む男女10人を逮捕したと発表した。米ロ首脳はともにハンバーガーをほおばり親密さをアピールしたばかり。FBIは長年の隠密捜査の結果だとしている。
 司法省によると、旧ソ連の情報機関KGB(国家保安委員会)の流れをくむ連邦対外情報局(SVR)から指示や資金援助を受けた10人は、米国市民として装い、4組は夫婦を演じていたという。国籍は明らかにされていない。
 核兵器開発に携わる米政府職員らと接触していたが、機密情報が漏れた形跡はないという。SVR側は米国の戦略兵器削減条約に対する方針やイランの核開発などに関する非公開情報を収集するよう指示していたとしている。
 情報は、ロシア国連代表部に出入りしている人間のもとに集められていた。無線でつないだコンピューターで連絡を取り合うなど、スパイ小説のような行動を繰り返していたとしている。

◎露スパイ関連、キプロスで男1人を逮捕(2010年6月29日、読売新聞)
 キプロスからの報道によると、同国警察当局は29日、米司法省がロシアのスパイ10人を拘束した事件に関連して、米国旅券を持つカナダ人の男(54)を逮捕した。
 男は、スパイと資金洗浄の容疑で米当局から国際手配されていた。
 男はキプロスのラルナカ空港からブダペスト行き旅客機に乗ろうとしたところを捕まった。
 米司法省は28日の発表で、なお1人の行方を追っているとしていた。

◎米でロシアのスパイ10人拘束、1人逃走(2010年6月29日、読売新聞)
 米司法省は28日、ロシアのスパイとして核開発計画などの情報収集を行っていたとして、男女10人を拘束し、1人の行方を追っていると発表した。
 連邦捜査局(FBI)の内偵捜査で、ロシア対外情報局(SVR、旧KGB)のスパイと判明した。
 発表などによると、10人は27日、自宅のあるニューヨークやボストンなど複数の都市で一斉拘束された。パスポートを偽造し、数年前から米国に居住。元米政府高官らに接触を図っていた。10人の中にはカップルを装い、子供をもうけている男女もいた。
 軍事・外交をめぐる情報を集め、文書や写真などに暗号を埋め込む「ステガノグラフィー」などの手法で仲介人を通じてSVRに供給。南米で報酬の受け渡しを行ったこともあったという。

◎映画みたい、ロシアスパイ団摘発「米国人脈に食い込み情報を送れ」(2010年6月29日、スポーツニッポン)
 米司法省は28日、ロシアのスパイとして米国内で核弾頭の開発計画情報などを収集していたとして、男女の容疑者10人を逮捕し、1人の行方を追っていると発表した。
 司法省は11人がロシア対外情報局(SVR)のスパイだと指摘。小型核弾頭の開発情報や、中央情報局(CIA)への就職希望者の背後関係調査などを行った疑いがあるとしている。
 ロシア側の反応は明らかになっていない。容疑が事実なら、冷戦終結から20年が経過した後も、映画さながらのスパイ活動が続いていたことになる。米ロ関係に微妙な影を落としそうだ。
 司法省によると、連邦捜査局(FBI)が2009年、ロシア側からメンバーに送られた「米国の政策決定人脈に食い込み情報を送れ」との暗号文を解読。捜査の結果、27日にニューヨークやバージニアで一斉に10人を逮捕した。
 メンバーは偽造旅券を与えられたほか、マネーロンダリングに関与した疑いももたれている。

◎押収した違法コピー商品、8割は中国から、米当局発表(2010年6月27日、朝日新聞)
 米税関・国境警備局が2009会計年度(08年10月〜09年9月)に押収した2億6070万ドル(約236億円)相当の違法コピー商品などのうち、79%(金額ベース)が中国からだった。米ホワイトハウスがこのほど発表した「知的財産権保護の新戦略」で分かった。
 押収物では靴や家電製品などが多かった。中国では米国製の映画やソフトウエアの違法コピーも多く出回っているとされる。米政府は違法コピー商品を販売するインターネット・ウェブサイトの取り締まりなどを関係各国と協力して強化する方針だ。

◎熱すぎるお茶でやけど、スタバに賠償請求(2010年5月5日、スポーツニッポン)
 熱すぎるお茶を提供されてやけどを負ったとして、米コーヒーチェーン大手スターバックスを相手に顧客が損害賠償を求める訴えをニューヨークの裁判所に起こしたことが分かった。ロイター通信が3日伝えた。
 訴えによると、原告はニューヨーク・マンハッタンのスターバックスの店舗で「過度に熱いお茶を、安全でない容器」で提供され、やけどなどで心身ともに苦痛を受けたと主張。店側に不注意があったとして損害賠償を求めている。賠償額は明らかになっていない。
 米国ではこれまでにも同様の訴訟が起こされている。コーヒーでやけどを負った例では、地裁の陪審が1994年、米ファストフード大手マクドナルドに賠償金約290万ドル(約2億7000万円)の支払いを命じる評決を出した。同訴訟は担当判事が賠償金を約64万ドルに減額する判決を言い渡した後、双方の間で和解が成立している。

◎肥満対策に“ソーダ税”NY州などで導入の動き(2010年3月25日、産経新聞)
 肥満の元凶は甘いドリンク? ニューヨーク州など全米各地で、通称「ソーダ税」と呼ばれる、砂糖を含む飲料水への新税導入の動きが強まり、議論になっている。
 実現すればコーラやソーダなど清涼飲料のほとんどが課税対象となるため、米コカ・コーラなど飲料メーカーが異議を唱えているが、財政難にあえぐ自治体は少しでも税収を増やそうと一歩も引かない構えだ。
 ソーダ税論議の背景には米国での肥満率の高さがある。経済協力開発機構(OECD)の調べでは、2007年の米国の「肥満人口」の割合は日本の約10倍に当たる34.3%。医療費も増加の一途をたどっており、一部をソーダ税で賄おうとの考えが大都市部を中心に広まりつつある。
 肥満が原因の疾病の治療に毎年76億ドル(約6900億円)を支出しているニューヨーク州では、パターソン知事が8日に「誰かが費用を負担しなければいけない」と発言し、ソーダ税の導入を示唆。ニューヨーク市のブルームバーグ市長も「1缶に12セント課税すれば、約10億ドルの歳入増」と知事を後押しする。
 米メディアによると、コロラド州ではソーダ税が5月1日から施行されるほか、フィラデルフィア市でも、3月初めに1オンス(約30グラム)につき2セントの課税が市長から提案されている。(共同)

◎NYタクシー7億円過剰請求、市長「刑事告訴も」(2010年3月13日、産経新聞)
 ニューヨーク市当局は12日、約3万6千人のタクシー運転手が過去2年余の間、市内で、より高い郊外用料金を不正に適用し、計830万ドル(約7億5千万円)を過剰に請求していたと発表した。ブルームバーグ市長は、悪質なケースについて刑事告訴する考えを示した。米メディアが報じた。
 ニューヨーク・タイムズ紙などによると、同市のタクシー営業の許認可を担当する「ニューヨーク市タクシー・リムジーン委員会」は、悪質な過請求事件をきっかけに、過去2年2カ月間を対象に、衛星利用測位システム(GPS)などのデータを使い調査。運転手約4万8千人のうち、約3万6千人が少なくとも1回、市内なのにメーターを郊外用に不正にセットしていた。過請求は1回平均で4.45ドルだった。
 調査対象の乗車3億6千万回のうち、過請求は180万回と比率は小さかったが、同委は深刻な事態と受け止め、メーター製造会社に、より高い郊外料金が適用された時は乗客にアラームで告知するシステムの開発を命じた。

◎ビザなし短期の米渡航に10ドルの手数料導入へ(2010年3月6日、朝日新聞)
 米国に査証(ビザ)を持たずに短期滞在(90日以内)する日本人を含む渡航者に対し、10ドル(約890円)の手数料が新たに課されることになった。半年以内に実施される予定。昨年1月に義務づけられた電子渡航認証システム(ESTA)による渡航の事前申請の際に、支払い手続きが求められるので注意が必要だ。
 手数料導入は、オバマ米大統領が4日署名し、成立した「旅行促進法」に盛り込まれた。米国が短期滞在者のビザを免除している日本や韓国、英国など計35カ国が対象となる。ESTAは一度認められると、パスポートの期限内であれば最長2年間有効。渡航のたびに支払い手続きをとる必要はない。
 この法律は、米国への観光客誘致や観光産業の振興が目的。手数料はキャンペーンなどの誘致活動を担うために新たに設立される非営利組織の運営費の一部に充てられる。米政府は「雇用創出や景気低迷で傷ついた観光産業の支援策」と位置づけている。だが、旅行者側の負担が増すだけに、航空業界関係者などからは、逆に観光客離れを招きかねないとの指摘も出ている。

◎米東部で大雪、NYは積雪50センチ以上(2010年2月27日、朝日新聞)
 米東部は26日、大雪に見舞われ、ニューヨーク市内でも50センチ以上の積雪があった。米メディアによると、この雪の影響でニューヨーク近郊やボストン、フィラデルフィアで航空便1千便以上が欠航。ニューヨーク市内のすべての公立学校が休校になった。ニューヨーク州ではハドソン・バレーを中心に22万世帯が停電。25日午後にはセントラルパークを歩いていた男性が雪の重みで折れた木の下敷きになって死亡したという。
 米東部では2月に入って大雪が続いている。ワシントンでは、積雪量が111年ぶりに観測史上最高を更新。この影響で首都圏の政府機関は4日連続で休業した。

◎核物質の不正転用防止へ日米協力、技術開発や人材育成(2010年2月23日、朝日新聞)
 核兵器のない世界の実現を目指し、核物質の不正な転用やテロなどを防止するため、核物質の測定・検知・鑑識の技術開発や人材育成などで日米両政府が協力する。文部科学省と米エネルギー省が22日に行った協議で決まった。6月末をめどに新しい枠組みづくりを目指す。
 会見した文部科学省の木村直人・原子力安全課保障措置室長によると、これまでは使用済み核燃料に含まれるプルトニウムの量がよくわからないため、テロリストに強奪されても盗まれた量がよくわからないのが実情。日米協力でプルトニウムの量を直接確定する技術を確立し、テロ対策に役立てる。
 この協力は、昨年11月の日米首脳会談で鳩山由紀夫首相とオバマ米大統領が出した共同声明に盛り込まれた。4月にワシントンで開かれる「核保安サミット」でも、こうした協力を含む国際枠組みが議論される見通し。

◎ワシントンで歴史的大雪、米当局が警報(2010年2月7日、読売新聞)
 米ワシントンやメリーランド、バージニア両州など首都圏は5日から6日にかけて豪雪に見舞われた。
 ロイター通信などによると、6日朝までにワシントン郊外で53センチの積雪を記録。気象当局は大雪警報を発令した。史上まれに見る大雪になる恐れがあるという。
 首都圏では19万以上の世帯が停電。バスは全面運休した。首都の玄関口であるダレス国際空港でほぼ全便が欠航し、国内線主体のロナルド・レーガン国際空港は閉鎖された。ワシントンで観測史上最高の積雪は1922年1月の70センチ。

◎米が台湾へPAC3など64億ドル兵器売却へ(2010年1月30日、読売新聞)
 米国防総省の国防安全保障協力局は29日、弾道ミサイルを撃ち落とす地対空誘導弾パトリオット改良3型(PAC3)システム114基を含む兵器総額約64億ドル(約5800億円)を台湾に売却する方針を決め、議会に正式通告したと発表した。
 議会が30日以内に異議を表明しなければ売却は実行される。
 オバマ政権下で台湾への新たな武器売却は初めてで、ネット検索大手グーグル社へのサイバー攻撃や核開発をめぐるイラン追加制裁問題などでぎくしゃくする米中関係が一層険悪化する可能性がある。
 輸出されるのは、PAC3のほか、多用途ヘリUH60「ブラックホーク」60機、対艦ミサイル「ハープーン」12発、多機能情報伝達システムなど。台湾側が強く求めたF16C/D型戦闘機66機やディーゼル潜水艦の売却は見送られ、中国に一定の配慮を示した。オバマ政権高官は、売却方針決定を中国政府にも伝達したと明らかにし、「(売却に関して)中国の許可は求めない。米中は成熟した関係にあり、こうした問題を乗り切ることが出来る」と述べた。

・中国「強烈な憤慨」
 中国外務省は30日、米国防総省が台湾向け武器売却計画を議会に正式通告したことを受け、何亜非・外務次官が米国のハンツマン駐中国大使に抗議したと発表した。
 外務省によると、何次官は、「強烈な憤慨」を表明。そのうえで、「(売却は)必ずや中米関係を損ない、両国の交流や協力に重大で消極的な影響をもたらし、双方が目にしたくない結果を招くことになる」として、強硬な報復措置を示唆した。

◎「グーグル問題」米中間で複数回“あーだ、こーだ”(2010年1月20日、スポーツニッポン)
 米インターネット検索大手グーグルが、中国からのサイバー攻撃などを理由に中国撤退を検討している問題で、キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は19日の記者会見で、米国と中国の当局者間で複数回の会談があったとして米中間のやりとりが続いていることを明らかにした。
 今回の問題は米中にとって貿易摩擦や台湾問題などに続く新たな火種として浮上。国務省は今週初めにも中国政府に文書で正式に抗議するとしていたが、国務省高官は19日、文書での抗議は「まだ」と記者団に語った。
 次官補は会見で、米国が問題を深刻に受け止めていることを強調した上で「中国はグーグルの主張を否定しているが、中国は説明する立場にいる」と述べた。自由で開放されたインターネットは「すべての人々に開かれたものであるべきだ」とも訴え、中国のネット検閲や規制を批判した。

◎米政府、中国に正式抗議へ、グーグル問題が新たな火種(2010年1月16日、産経新聞)
 米インターネット検索大手グーグルが中国からサイバー攻撃や検閲を受けたとして、中国からの撤退を検討している問題で、米国務省のクローリー次官補(広報担当)は15日、来週初めにも中国政府に文書で正式に抗議し、説明を求める考えを記者団に示した。
 米中両政府間に貿易摩擦や台湾問題などの懸案が横たわる中、今回の問題が新たな火種として浮上した。
 クローリー氏は「中国政府に公式な申し入れ書を出す」とした上で「われわれの懸念を伝え、なぜこのようなことが起きたのかや今後どう対応するのかについて中国に説明を求める」と述べた。
 中国からのサイバー攻撃をめぐっては、クリントン国務長官が12日の声明で「深刻な懸念と疑念」を表明。14日に中国担当のシーア国務副次官補が在米中国大使館の幹部に説明を求めたが、回答はなかったという。

◎米、グーグル問題で中国に公式抗議へ、検閲中止を協議(2010年1月16日、朝日新聞)
 米国務省のクローリー次官補は15日の会見で、米インターネット検索大手グーグルに対するサイバー攻撃や中国当局の検閲について、週明けにも中国政府に公式に抗議する考えを明らかにした。米政府が外交問題との位置づけを鮮明にしたことで、台湾への武器売却や通商摩擦など懸案続きの米中関係の新たな火種になるのは避けられない情勢だ。
 国務省の当局者は14日、在米中国大使館の謝鋒主席公使に懸念を伝達。納得できる説明がなかったことなどから、外交ルートを使った正式な抗議表明に踏み切る。次官補は「懸念を伝えるとともに、何が起きたのかや、中国政府の今後の対応について説明を求める」と語った。
 ギブズ大統領報道官も15日の会見で、「検閲中止へのグーグルの試みを支持する。これはインターネットの自由についての我々の信念の表れだ」と述べ、中国政府に検閲をやめるよう外交レベルで協議していく方針を強調した。
 米議会の関心も強く、下院外交委員会のバーマン委員長も同日、「委員会ではインターネットの自由の問題と理解している」との声明を発表。クリントン国務長官は21日、インターネットの自由をテーマに演説し、米政府の基本姿勢を明らかにする予定だ。

◎中国製シームレス鋼管に相殺関税、米国際貿易委(2009年12月31日、読売新聞)
 米国際貿易委員会(ITC)は30日、油田から石油や天然ガスなどを運ぶための中国製シームレス鋼管について、中国政府による不当な補助金で米国内の販売を増やし、米企業が被害を受けていると判断し、反補助金の相殺関税を課すことを認める決定を下した。
 今回の決定で、米商務省は10〜16%の相殺関税を課すことが出来る。2008年の中国製シームレス鋼管の輸入額は約28億ドルで、米国内の消費量の3割強を占めている。対中国の相殺関税として過去最大規模となる。

◎米機テロ未遂「最新装置が不発」アルカイダ系が犯行声明(2009年12月29日、朝日新聞)
 イエメンに拠点を置く国際テロ組織「アラビア半島のアルカイダ」は28日、米機爆破テロ未遂事件への関与を認める声明をウェブサイト上に出した。ナイジェリア人のウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブ容疑者(23)に与えた「最新技術の装置」が、技術的な問題のため起爆しなかったとしている。ロイター通信が報じた。
 声明は、米国の協力でイエメン政府が今月実施したアルカイダ掃討作戦でイエメン人の女性や子供が犠牲になったことへの報復が目的だったとしており、米国民へのさらなる攻撃を予告している。

◎米機内のトイレに1時間、「テロか」、客を引きずり出す(2009年12月28日、朝日新聞)
 米デトロイト上空を飛行中のノースウエスト航空便で27日午後(日本時間28日未明)、トイレにこもった乗客が乗員から引きずり出される騒ぎがあった。テロリストではないかと疑われ、着陸後に米連邦捜査局(FBI)が身柄を拘束して取り調べた。
 米航空当局の発表によると、拘束されたのはナイジェリア人のビジネスマン(36)。2日前に爆破未遂事件が起きたのと同じオランダのアムステルダム発デトロイト行きのノースウエスト航空253便で、この客がトイレから1時間以上出てこなかったため、乗員乗客ともに不審に思い、無理やりトイレから引きずり出した。
 客は、爆破未遂事件で訴追された容疑者(23)と同じナイジェリア人だった。取り調べに対し「食中毒でおなかを壊しただけ」と釈明した。

◎「アルカイダが指示書」米機爆破テロ未遂、容疑者が供述(2009年12月26日、朝日新聞)
 米航空機内で25日起きた爆破未遂事件で、米捜査当局は国際テロ組織アルカイダの関与した可能性が高いとみて、容疑者として拘束したナイジェリア国籍のアブドゥル・ファルーク・アブドゥルムタラブ容疑者(23)の供述の裏付けを急いでいる。また、米国土安全保障省は空港検査の見直しに着手した。
 米メディアによると、容疑者は調べに対し、アルカイダとの関係を認め、「イエメンで爆破装置と犯行指示書を受け取った」と供述した。米議会下院国土安全保障委員会のキング議員は、CNNに「彼の名前はアルカイダの関係者として(当局の)データベースに記載されていたと理解している」と語った。
 ただし、捜査関係者はAP通信に「触発されただけで独自行動の可能性がある」と述べ、アルカイダから実際に訓練や指示を受けていたかどうかについて、慎重に捜査を進める考えを示した。
 米政府は、イエメンがアフガニスタンに次ぐアルカイダの聖域になることを警戒。イエメン軍が24日、武装勢力の拠点を空爆して30人以上を殺害した際、米政府は情報を提供したとされる。アフガンでのアルカイダ掃討作戦のため米軍の増派を決断したオバマ政権への反発が、犯行の背景にあるとの見方もある。
 一方、ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、容疑者は粉末状の爆薬をテープで足に張り付けて機内に持ち込み、注射器を使って液状の薬品と混合した「装置」を自作。点火すると爆竹がはじけるような音が続き、機内は乗客の叫び声でパニック状態になったという。
 キング議員は、この装置について「非常に精巧で、従来とは違うタイプ」と指摘。同省当局者は「爆発物というより発火装置」としている。空港での検査をすり抜ける「新たな脅威」との指摘もあり、同省は声明で「追加的な検査」の導入に理解を求めた。

◎米機爆破テロ未遂男拘束、アル・カーイダ関係か(2009年12月26日、読売新聞)
 オランダのアムステルダムから米ミシガン州デトロイトに向かっていたノースウェスト航空エアバス330型機内で25日正午前(日本時間26日未明)、乗客のナイジェリア出身の男(23)が爆発物を爆発させようとしたとして、デトロイト空港に着陸後、拘束された。
 米政府当局者は同機爆破を試みたテロ未遂とみており、連邦捜査局(FBI)が捜査を開始した。
 AP通信などが乗客の話として伝えたところによると、着陸20分ほど前に座席付近で花火のような音が鳴り、煙が発生した。近くの乗客が男に飛びかかって取り押さえた。
 ABCテレビなどによると、男は宗教行事参加を理由に、ナイジェリアからアムステルダム経由で米国に向かっており、帰りの航空券を持っていなかった。国際テロ組織アル・カーイダから指示を受けて爆発を起こしたと話している。男は粉状の爆発物を足にテープで巻き付けて機内に持ち込み、注射器のようなものに入れた液体と混ぜ合わせて爆発させようとした。その際、男はやけどを負った。CNNは、同容疑者がイエメンで爆発物を入手し、爆発を起こすタイミングの指示も受けていたと報じた。
 旅客機には乗客278人が搭乗。コックピット内の火災警報が点灯し、パイロットは地上と交信して救助隊と消防車の手配を依頼したという。
 男はやけどの治療を受けているといい、他に乗客2人が負傷したとの情報もある。ハワイで休暇中のオバマ大統領は爆破テロ未遂事件発生の連絡を受け25日、航空機の安全強化のための措置の徹底を指示した。

◎米旅客機で爆破テロ未遂、容疑者、アルカイダと関係か(2009年12月26日、朝日新聞)
 25日正午前(日本時間26日未明)、米デトロイト上空を飛行中のオランダ・アムステルダム発デトロイト行きのノースウエスト航空253便(乗客278人)機内で、乗客の一人が爆発物に着火した。装置の故障で爆発は起きず、容疑者は取り押さえられたが、乗客数人が負傷した。同便はデトロイト空港に着陸した。
 米連邦捜査局(FBI)など司法当局は、クリスマスの日を狙った爆破テロ未遂と判断し捜査を始めた。事件は、ハワイで休養中のオバマ大統領に報告され、オバマ氏は安全対策の強化を指示した。
 米メディアなどによると、拘束された容疑者はナイジェリア国籍の男性(23)。ロンドンの大学で工学を履修している学生という。容疑者は、着陸予定時刻の20分ほど前、飛行機がデトロイト上空で降下を始めた際に自席で爆発物に火をつけた。炎と煙が上がり、周囲の乗客が容疑者に飛びかかり、乗員とともに取り押さえた。容疑者はやけどを負い、着陸後、空港近くの病院に搬送された。
 容疑者はナイジェリアのラゴスを24日にたってアムステルダムに入り、25日に253便に搭乗した。米国入りの査証は持っていたが、帰路の航空券は持っていなかった。
 取り調べに対し、容疑者は国際テロ組織アルカイダとの関係をほのめかす供述をしているという。CNNは、容疑者が、イエメンで爆発物と犯行指示書を受け取ったと伝えた。
 米政府作成の「搭乗禁止者」リストには名前が記載されていなかったものの、情報機関のデータベースには記載があるという。
 当初、容疑者が着火したのは花火と報じられたが、その後の捜査で、爆発装置だったことが判明。爆発物は粉末状で、袋に入れてテープで足に張り付けて持ち込んだとみられる。ほかに液体と混ぜる道具も所持していたという。
 ノースウエスト航空は昨年10月にデルタ航空と合併。運航主体はデルタだが、便名は路線免許の書き換えまでノースウエストのままになっている。

◎中国製の壁材で健康被害、米で不信高まる(2009年12月3日、読売新聞)
 中国製の壁材を使った米国の住宅で、水道管の腐食などのトラブルが多発した上、呼吸障害などの健康被害を訴える住民が相次ぎ、米連邦機関が本格調査に乗り出す事態となっている。
 米国では過去にも有害な鉛を含んだ中国製玩具などが問題化しており、「メイド・イン・チャイナ」に対する不信感が再び高まっている。
 問題の壁材は、石膏(こう)を固めてつくる石膏ボードと呼ばれる建材で、一戸建て住宅のほか、マンションやホテルなどに幅広く使われている。
 米国では2004〜2008年にかけて、大量の壁材が中国から輸入された。空前の住宅ブームとハリケーン「カトリーナ」などの復興で建材が不足したためだ。
 米メディアによると、中国製壁材を使った住宅で昨年あたりから、腐臭が漂い、電気配線や水道管などが腐食したり、黒く変色したりするケースが続出した。さらに、目やのどの痛み、頭痛などの健康被害を訴える人が相次いだ。

・自宅出て避難騒ぎに
 米消費者製品安全委員会には、これまでにフロリダ、ルイジアナの2州を中心に全米32州から約2100件の苦情が寄せられた。多くの住民が、自宅を出て、近くの借家などに避難する騒ぎになっている。
 同委員会の調査などの結果、中国製壁材には、清浄されていない灰などが含まれ、これが有害な硫化水素を発生させ、悪臭や腐食の原因となっていることが判明。また、硫化水素と空気中にあるホルムアルデヒドなどが結びつくことにより人体への悪影響が出ている疑いがあることも分かった。
 中国製品を巡っては、これまでも玩具のほか、練り歯磨き、ペットフード、医薬品などから有害物質が検出され、米当局は商品の撤去などで対応してきた。

・簡単に撤去できず
 しかし、今回は、住宅建材のため、簡単に撤去するわけにはいかず、住宅所有者は中国の業者などを相手取り、ルイジアナ州だけで約300件もの訴訟を起こした。ただ、壁材には、強度に関する規定はあるものの、構成物質についての規定はなく、「泣き寝入り」となる可能性も出ている。
 中国政府も担当者を米国に派遣し、事態収拾に乗り出しているが、フロリダ州の住民は近く大規模な抗議集会を開く予定だ。同州の地元紙は、「有害な中国製品の問題は次々に出てきて、消費者の不信感は募るばかりだ」と指摘した。

◎1万4千人超が課税逃れを名乗り出、米国(2009年11月18日、産経新聞)
 ロイター通信によると、米国の徴税を担う内国歳入庁のシュルマン長官は17日、米富裕層の課税逃れの取り締まりで、海外のタックスヘイブン(租税回避地)の銀行口座などに財産がありながら未申告だったなどとして、これまでに約1万4700人が名乗り出たことを明らかにした。
 独特の秘密保持制度があるスイスや欧州の銀行口座を中心に、資産隠しに使われた国は70カ国以上に及ぶという。
 同庁は、10月までに名乗り出れば追徴税額を減額するなどの方針を提示。これを受けて自己申告した米市民は当初見込みの倍近くに上り、同庁は「何十億ドルもの税収につながる」としている。

◎米国:ジョージア州など南東部で豪雨、洪水で8人死亡(2009年9月23日、毎日新聞)
 米南東部の広範囲で20日から豪雨による洪水被害が拡大、AP通信によると22日までにジョージア州で7人、アラバマ州で1人の計8人が死亡し、テネシー州で1人が行方不明になった。ジョージア州のパーデュー知事はオバマ大統領に対し、同州に非常事態宣言を発令するよう要請した。
 死者の中には、父親の腕から濁流に流された幼児や、車を運転中に洪水にのみ込まれた人もいた。ジョージア州の州都アトランタ周辺では高速道路が冠水し、数百人が避難。テネシー州東部でも住民約120人がボートなどで救出された。

◎米ファイザー、政府に2100億円支払いへ、医薬品詐欺(2009年9月3日、朝日新聞)
 米司法省は2日、医薬品大手ファイザーが、違法な販売促進と公的な医療保険制度に対する詐欺行為があったことを認め、罰金と和解金を合わせ計23億ドル(約2100億円)を政府側に支払うことで合意したと発表した。
 23億ドルの内訳は、罰金約13億ドルと和解金約10億ドル。司法省によると、罰金は米国刑事史上、最高額。また、製薬会社の詐欺行為をめぐる和解金としても最高額になるという。
 発表によると、米国で製薬会社は、米食品医薬品局(FDA)に承認された医薬品の効能以外の目的での販促活動が禁じられているが、ファイザーは処方箋(せん)薬の消炎鎮痛剤ベクストラについて、承認されていない効能をうたいながら、違法に販促していたという。
 また、ベクストラや抗菌剤ザイボックスなど四つの処方箋薬について、本来は公的医療保険が適用されないのに、不正に販促していたとされる。
 米国では医療保険制度改革が佳境を迎えており、司法省は「今回の合意は、財源が限られ、医療費が高騰する中で司法省がいかに米国社会を助けられるかを示すものだ」とコメントしている。

◎新型インフル、米の死者300人を突破(2009年7月25日、読売新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は24日、米国内の新型インフルエンザの感染者が、先週17日の集計より3154人増えて4万3771人に、死者が39人増えて302人となったと発表した。
 感染しても病院に行かなかったり、医師が検査しなかったりする例も多く、実際には全米で100万人を超える感染者がいると推定されている。
 CDCは24日の記者会見で「数字は氷山の一角にすぎない」として、毎週更新してきた集計は今回を最後にやめる方針を示した。

◎米、最低賃金11%上げ,時給690円、消費押し上げに期待(2009年7月25日、日本経済新聞)
 米国で連邦政府が定める最低賃金の引き上げが24日付で適用され、時給7ドル25セント(約690円)と、従来の6ドル55セントから約11%上昇した。労働人口の約4%にあたる約450万人が恩恵を受けるとされる。貧困層の家計に余裕が生じることで消費押し上げ効果を見込む声がある一方、サービス業をはじめとする企業にとってコスト増は必至で、雇用縮小という副作用を招く恐れもある。
 最低賃金は2007年に5ドル85セント、08年に6ドル55セントに上昇しており、引き上げは3年連続。オバマ政権下では初めてとなる。与党の民主党も低所得者層の支援策として実施を強く求めてきた。07年の法律改正で決めた段階的な引き上げがこれで完了した。
 米労働省によると今回の改定で、最低賃金で生活するフルタイム労働者の月収は約120ドル増えるという。ソリス労働長官は収入の増加によって「年間で55億ドルの消費押し上げ効果がある」と述べ、景気下支えに期待感を示した。

◎北朝鮮が仕掛け爆弾同様準備、と在韓米軍司令官(2009年7月15日、読売新聞)
 在韓米軍のウォルター・シャープ司令官は14日、米ニューヨークの米韓親善団体コリア・ソサエティーで講演し、北朝鮮が、イラクやアフガニスタンで米軍に対する攻撃に用いられる道路脇の仕掛け爆弾と同様の装備を自国で増強しているとの見方を示した。
 朝鮮半島有事の場合には、爆弾テロも念頭に「米軍は北朝鮮のどんな攻撃にも対処できる準備がある」と述べた。シャープ司令官は「北朝鮮が、イラクやアフガンで起きたことを注意深く観察してきたと確信している。テロリストが使う手段に(装備を)調整しつつあることも確信している」と述べ、北朝鮮が仕掛け爆弾などの採用に取り組んでいると強調した。
 米ブルッキングス研究所によると、イラクでの米兵の死者の40%はこうした爆弾の犠牲になったという。

◎米財政赤字、初の1兆ドル突破、巨額景気対策と税収減(2009年7月15日、朝日新聞)
 米財務省が13日発表した6月の財政収支は、財政赤字が943億1800万ドルに上った。09会計年度(08年10月〜09年9月)でのこれまでの9カ月間の財政赤字の合計は、1兆862億6300万ドル(約101兆円)となり、米国の財政赤字が初めて1兆ドルを突破した。巨額景気対策で支出が膨らむ一方で、景気後退に伴って税収が減っており、米国の財政悪化が急速に進んでいる。
 米国の財政赤字は、08年度の4585億5500万ドルが過去最高で、09年度はこれを大きく上回るペースで赤字が拡大している。経済危機への対処で、過去最大の7870億ドル(約73兆円)の景気対策を打ち出しているのに加えて、経営破綻(はたん)したゼネラル・モーターズなど自動車大手2社への支援で支出が拡大していることが背景だ。
 米政府はすでに09年度の財政赤字の総額は1兆8411億8800万ドル(約171兆円)に上ると見込む。足元の赤字拡大で、債務残高は11.5兆ドル(約1070兆円)に達している。ただ、景気後退に伴う雇用情勢の悪化で、議会から景気対策「第2弾」を求める声も出始めている。
 オバマ政権は「追加景気対策の議論は時期尚早」との立場だが、議論の展開によっては景気刺激策の拡大を通じてさらに財政赤字が膨らむ可能性もありそうだ。

◎サイバー攻撃、「威力は兵器級」、人命にも関わる危険(2009年7月11日、産経新聞)
 米韓の主要省庁や金融機関、大手メディアなどのウェブサイトを狙い多発しているサイバー攻撃は、北朝鮮による「サイバーテロ」の可能性も取りざたされている。今回はサイトがつながりにくくなったり、パソコンの画面がかたまったりするなど、比較的軽い被害でおさまっているが、「発生源を突き止めるのは極めて困難。封じ込めも容易ではない」(警察庁)という。ある日突然、社会生活を混乱に陥れ、時には人命にかかわる事態を引き起こす危険性もある“見えない攻撃”の脅威を、「兵器級」と指摘する専門家もいる。
 一連のサイバー攻撃が最初に確認されたのは米国だった。
 独立記念日にあたる現地時間4日以降、ホワイトハウスや国防総省、国務省など主要省庁のほか、ニューヨーク証券取引所などのサイトが一斉攻撃を受けた。
 韓国でも7日夕以降、青瓦台(大統領府)、国防省、外交通商省、国会など国家機能中枢や大手銀行、有力紙「朝鮮日報」などのサイトで、機能障害が発生した。
 いずれも軽微な被害にとどまっているが、世界各地ではこれまで、国家の安全保障を揺るがしかねない事態に陥ったとの報告もある。
 2007(平成19)年6月には、中国を発信源とするハッカーが米国防長官のオフィスのコンピューターに侵入した。フランスでは政府の情報システムがサイバー攻撃を受けたことがある。ドイツでも首相官邸など複数のコンピューターシステムが不正侵入され、スパイプログラムを仕込まれたという。
 公安関係者は「スパイの世界は、機密情報の入手や国家中枢の混乱を狙った高度な電子諜報(ちょうほう)戦の時代に突入して久しい」と断言する。
 サイバー攻撃は情報だけでなく、人命をも脅かす。
 2000(同12)年2月から4月にかけて、豪州のクイーンズランド州で、下水処理場の汚水が大量に河川や公園に流れ込む事件があった。
 捜査当局の調べで、犯人は下水処理システムに侵入し、水流を不正にコントロールしていたことが判明した。
 米中央情報局(CIA)の専門家は、この事件について、「ネットワーク経由でシステムに侵入しており、地理的、気象的な条件次第では河川の氾濫(はんらん)や飲料水の汚染などの人命にかかわる大規模テロにも応用できる危険な事例」と分析したうえで、「国家やテロリストは、自らサイバーテロリストを育成する必要はない。高度なハッキング能力を持つ犯罪者を雇い入れるだけで、兵器級の破壊力を持つことになる」としている。
 公安当局によれば、北朝鮮にはすでにサイバー工作を専門とする組織が存在するという。国内の養成機関で教育された要員がハッカーとして外国の軍や政府機関のコンピューターへの不正侵入を狙っているとされる。今回の米韓への攻撃も、北朝鮮のこうした組織が「挑発行為を行っている」とみる専門家も少なくない。
 韓国治安機関の関係者はは「米韓への同時多発サイバー攻撃と北朝鮮を結びつける科学的で直接的な根拠はいまのところない」としているが、「攻撃が米独立記念日に始まった点や、後継者をめぐる情勢、サイバー攻撃部隊の存在とその動静など、北朝鮮の関与を疑う余地は十分にある」と指摘。今後、各国の治安機関と協力して警戒を強化するという。

◎米の失業率9.5%、25年10か月ぶり悪い水準に(2009年7月3日、読売新聞)
 米労働省が2日発表した6月の雇用統計(季節調整済み)によると、失業率は9.5%と前月より0.1ポイント上昇し、1983年8月以来25年10か月ぶりの悪い水準となった。
 非農業部門の就業者数は前月より46万7000人減り、減少幅は5月(32万2000人)を大きく上回った。就業者数の減少は18か月連続で、第2次オイルショック後の長期停滞に陥った81〜82年を超える戦後最長となった。
 就業者は2009年1月に70万人を超える大幅減を記録した後、減少幅は縮小に転じたが、6月は再び拡大し、市場予想(35万人程度)も上回った。

◎米国たばこ規制法が成立、「健康への危険性」警告強める(2009年6月23日、読売新聞)
 オバマ米大統領は22日、たばこの販売・広告で政府に強大な監督権限を与える「たばこ規制法案」に署名し、同法が成立した。
 米食品医薬品局(FDA)は今後、「マイルド」「ライト」など、健康への影響が軽い印象を与える表現を禁止できるようになる。
 米国ではこれまで、ブッシュ前政権やたばこ産業の反対で自治体レベルによる規制しかなく、連邦政府が広範な規制に乗り出すのは初めて。包装の半分以上をたばこの危険性を警告する説明に充てるよう義務づけるほか、キャンディー、フルーツ風味などの添加や、たばこ会社がスポーツ大会、娯楽イベントなどのスポンサーになることも禁じ、若者への売り込みを防ぐ。
 オバマ大統領は同日、「喫煙者の約90%は18歳以前に喫煙を始めている。私も10代で始めた一人で、禁煙がいかに難しいかを知っている」と述べ、自らもまだ禁煙に成功していないことを示唆した。その上で、「(同法の成立で)子供たちを守ろうという長年の努力が勝利した」と語った。
 米国の喫煙率は年々下がっているものの、依然約20%にのぼる。毎年約44万人が肺がんなどたばこに由来する病気で死亡し、医療費を押し上げる要因になっている。

◎クライスラー破綻、カナダも2400億円支援(2009年5月1日、朝日新聞)
 米自動車3位クライスラーは30日、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻(はたん)した。同業大手のイタリア・フィアットとの資本・業務提携でも最終合意し、経営の立て直しを図る。米国とカナダの両政府は同日、計約100億ドル(約1兆円)の追加融資を実施し、支援を続けることを決めた。
 米政府は「つなぎ融資」として、破産法のもとでリストラなどを決める期間に約33億ドル(約3270億円)を実施し、再生完了後も最大47億ドル(約4650億円)支援を続ける。さらに、クライスラーが拠点を置くカナダ政府とカナダのオンタリオ州政府が計24億2千万ドル(約2400億円)を融資する。
 見返りとして、米政府は新生クライスラーの株式の8%を取得し、カナダとオンタリオ州政府は計2%を持つ。筆頭株主は、退職者向け医療費を管理する全米自動車労組(UAW)の基金で、持ち株比率は55%。資本提携したフィアットは当初は20%取得し、その後35%まで引き上げることができる権利を持つ。
 破綻発表後に電話会見したクライスラーのロバート・ナーデリ会長兼最高経営責任者(CEO)は、再建の完了後に辞任する意向を示した。
 クライスラーの債権者と米財務省は29日夜まで債務削減をめぐる交渉を続けたが決裂したのを受けて、クライスラーは破綻に追い込まれたという。30日に破綻を発表したオバマ米大統領は「ヘッジファンドなど一部の債権者が(債務削減などの)譲歩に応じなかった。私は、クライスラーによる破産法申請を支持する」と語った。
 クライスラーは金融危機にともなう米新車市場の不振で売り上げが急減し、資金繰り難に陥った。昨年12月に米政府から40億ドル(約3920億円)の融資を受けることが決まったが、それも足りなくなり、今年2月にはさらに50億ドル(約4900億円)の追加融資を求めていた。

◎米国の感染地域、急速に拡大、新型インフル、首都近郊に(2009年4月30日、日本経済新聞)
 新型インフルエンザによる初の死者が29日に出た米国で、感染地域が急速に拡大している。米東部メーン州でも同日午後、州内初の感染者を確認。前日はカリフォルニア、ニューヨークなど5州にとどまっていた感染地域が計11州に広がった。感染の疑いがある例も増加しており、首都ワシントンに隣接するメリーランド州は同日、6人の疑いがある例が発覚したと発表した。
 米疾病対策センター(CDC)によると、米国内で見つかった感染者91人のうち、64%が18歳未満だった。学校で感染しているとみられている。AP通信によると、既に100近くの学校が休校を決定した。米食品医薬品局(FDA)は治療薬「タミフル」を1歳以下の乳児にも使用できるよう規定を変更して乳幼児の対策にあたっている。
 米軍でも初の感染者が発生した。米国防総省は29日、カリフォルニア州南部の海兵隊基地で、海兵隊員1人が感染したと発表。

◎豚インフル、米で拡大の恐れ、感染者、3州で計11人(2009年4月26日、朝日新聞)
 豚インフルエンザの感染が米各地に広がってきた。米疾病対策センター(CDC)がカンザス州とカリフォルニア州で感染者を新たに3人確認し、感染者は3州で計11人になった。また、ニューヨーク市では感染の疑いがある生徒が8人いることが25日わかった。ニューヨークの症例も感染が確認されれば、全米の感染者は4州、計19人になる。
 AP通信によると、カンザス州の感染者は、州中央部に住む夫婦。報道によると、夫が最近、仕事でメキシコに出張して戻ってきたところ体調を崩し、その後、妻の体調も悪くなった。症状は軽いが、2人から採取した検体を調べたところ、豚インフルエンザウイルスであることが判明した。
 またメキシコ国境に近いカリフォルニア州南部でも、35歳の女性が感染していることが新たにわかった。この女性も症状は軽く、回復している。
 一方、ニューヨーク市の保健当局によると、東部クイーンズ地区の私立高校の生徒約100人が、インフルエンザに似た症状を訴え、市が生徒9人を対象に簡易検査を行ったところ、8人からA型インフルエンザウイルスが検出された。いずれもこれまでわかっているヒト型と違うタイプで、市は豚インフルエンザの可能性があるとみている。
 市や高校などによると、生徒たちは23日ごろから、発熱やのどの痛みなど始めた。いずれも症状は軽く、入院している生徒はいないが、学校側は、感染の広がりを防ぐため、週末の予定をすべて中止した。生徒らの中には、家族に感染が広がっているケースも確認されている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、生徒の一部が最近、メキシコに旅行していたという。
 市は今後、検体をCDCに送り、ウイルスのタイプを確認したうえで、市内の学校を休校にするかどうかなどを判断する。
 米国での感染者または感染の疑いがある人はいずれも、豚と接触した形跡がなく、「人から人」感染が起きた可能性が高い。

◎グーグル書籍検索、谷川俊太郎さんら174人和解案拒否(2009年4月25日、朝日新聞)
 米グーグル社が進める書籍検索サービスについて、日本ビジュアル著作権協会の会員174人が、著作権侵害に対する同社との和解案を拒否することが、25日明らかになった。拒否したのは、詩人の谷川俊太郎さん、脚本家の倉本聰さん、文芸評論家の加藤典洋さん、作家・詩人のねじめ正一さん、故寺山修司さんの著作権継承者ら。
 グーグル社は、世界中の書籍を全文検索出来るサービスを準備しているが、米の作家らが著作権侵害に当たると集団訴訟を起こし、昨年10月、収益の63%を著作権者に支払うことなどを条件に和解した。
 米の集団訴訟制度の規定により、この和解案の効力が日本にも及ぶため、日本の作家が和解案を拒否する場合、5月5日までに回答することが求められていた。日本ビジュアル著作権協会は、「今回の和解案には日本の著作権者、出版関係社の意見がまったく入っていない」として、同社の検索サービスのデータベースからの除外を求める手続きをし、この和解案とは別に、グーグル社と交渉を進めるという。

◎米とメキシコのウイルス、同一の遺伝子、豚インフル(2009年4月25日、朝日新聞)
 メキシコで発生した豚インフルエンザの問題で、世界保健機関(WHO)は24日、62人が死亡したと疑われると発表した。一部のウイルスが、米国の患者から見つかった豚インフルのウイルスと同一の遺伝子を持つ、との調査結果も公表し、現地に専門家を派遣、警戒を呼びかけている。
 また、米疾病対策センター(CDC)はカリフォルニア州とテキサス州で確認された豚インフルエンザウイルスについて、人から人に感染するウイルスであると断定した。
 通常、人に感染しにくいはずの豚インフルのウイルスが広範囲に広がったことが確認されたため、感染拡大がいっそう懸念されている。
 WHOが明らかにした発生状況によると、メキシコでインフルエンザのような病気は3月18日に最初に確認され、4月になって急増。メキシコのコルドバ保健相は24日の会見で、23日現在、首都メキシコ市でインフルエンザが疑われる例が1004件報告されたと明らかにした。肺炎が少なくとも854例報告され、そのうち59人が死亡した。WHOによると同国中部サンルイスポトシでは24例報告され、うち3人が死亡。米国国境のメヒカリでは4例が報告されたが、死者は出ていない。
 CDCは23日、全米で豚インフルエンザ患者が7人報告されたと発表していた。WHOによると、米国ではこのほか、新たに9例の疑わしい例が見つかっている。
 カナダの研究所が分析した結果、メキシコの例のうち18例は豚のA型インフルエンザウイルス(H1N1)と判明。さらに、12例のウイルスは米カリフォルニア州で見つかったウイルスと同一の遺伝子を持っていた。
 通常のインフルエンザはお年寄りや子どもが患う場合が多いが、今回の患者の多くは、普段健康な若者。地域的にも広がりが大きく、予測しがたい事態が起きているのでは、との強い懸念をWHOは抱いているという。
 WHOはメキシコに専門家を派遣するとともに、25日にも緊急会合を開き、対応を協議する。WHOのマーガレット・チャン事務局長は24日、滞在中の米国で米、メキシコ当局者と情報を交換した。
 ロイター通信によると、現時点で米、メキシコ両国への渡航を控える呼びかけは必要ないと、WHOはみているという。

◎メキシコで豚インフル?60人死亡、米で人・人感染確認(2009年4月25日、朝日新聞)
 世界保健機関(WHO)は24日、豚インフルエンザでメキシコ国内で60人が死亡した可能性があると発表した。一方、米疾病対策センター(CDC)は同日、3月以降、カリフォルニア州とテキサス州で確認された豚インフルエンザウイルスについて、人から人に感染するウイルスであると断定した。WHOはメキシコの一部の感染者のウイルスとカリフォルニア州で確認されたものが同じ遺伝子構造だったと発表した。
 WHOの発表によると、メキシコでは人への感染が疑われるケースが3月末以降数百件発生し、60人が死亡した可能性がある。メキシコ市周辺で約800件の感染の疑いが報告され、このうち57人が死亡。さらに中部サンルイスポトシ地方でも似た症状24例が報告され、3人が死亡した。
 AFP通信によると、メキシコ政府は16人は豚インフルが原因で死亡したと確認したと発表した。
 インフルエンザで死亡する場合、一般的には肺炎などを引き起こす。患者の多くは、普段病気に縁の少ない青年層だという。ロイター通信によると、24日はメキシコ市の学校の多くが休校になる。
 AFP通信によると、メキシコ政府は感染を広げないために集会を避けたり、地下鉄の使用を避けたりするよう呼びかけている。
 米国の感染について、CDCは「ウイルスは感染性で、人から人へ拡大することを確認した」としている。ただ、「現時点では、どれほど容易に感染が広がるかはわからない」という。米国内では7人の患者が確認されているが、いずれも回復している。ただ、AFP通信によるとCDCの報道官は「非常に懸念している」と述べた。
 一方、CDCによると、豚インフルエンザウイルスに人が感染する例はまれで、米国内ではこれまで1、2年に1人の割合だった。
 だが今回、米国で見つかった豚インフルエンザウイルスは、豚と鳥と人のそれぞれに感染するウイルスの遺伝子が混じった未知の構造の遺伝子を持っており、遺伝子が変化したことで、人への感染力を持つ新型ウイルスになった可能性がある。
 厚生労働省の担当者は24日、深夜まで情報収集に追われた。担当部署の新型インフルエンザ対策室の職員は、WHOやCDCの情報をホームページで確認したり、関係機関に問い合わせたりした。

◎【豚インフル】感染の疑い1000人超、メキシコ、WHO緊急委開催へ(2009年4月25日、産経新聞)
 メキシコ市を中心に豚インフルエンザの人への感染が多数判明したことについて、メキシコのコルドバ保健相は24日、国内で感染の疑いがある死者が68人、患者が1004人に達したことを明らかにした。死者のうち20人は感染が確認されたという。
 豚インフルエンザの人への感染は米カリフォルニア州などでも確認されており、世界保健機関(WHO)は、感染状況の深刻度を評価するため、世界の専門家で構成する緊急委員会を25日に開く。
 メキシコで死者が出た地域は、豚インフルエンザ感染が確認された20人のうち13人がメキシコ市。このほか北部のバハカリフォルニア州、中部サンルイスポトシ州、南部オアハカ州で発生、全国に拡散している。メキシコ政府は首都の学校の休校措置に加え、図書館や博物館、劇場などの閉鎖を決定した。

◎米豚インフルエンザ、人→人感染ウイルスと断定(2009年4月25日、産経新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は24日、米国で感染者が出た豚インフルエンザについて、人から人に感染するウイルスだと断定した。米国では23日、感染者7人が確認されていた。一方、世界保健機関(WHO、本部ジュネーブ)は24日、メキシコで豚インフルエンザの感染が疑われる症例が800件前後あり、約60人が死亡したことを明らかにした。
 豚は人と鳥の双方のインフルエンザに感染し、体内でウイルスを人から人に感染する新型に変異させる恐れが指摘されていた。CDCによると、米国では3月下旬から4月中旬、カリフォルニア州で5人、テキサス州で2人が発症した。
 メキシコでは過去数週間の間にメキシコ市周辺で57人、同国中部で3人の死者が出た。ウイルスの型は確認されていない。メキシコ政府はメキシコ市と中部のすべての学校を休校にすることを決めた。
 厚生労働省は24日、米国とメキシコで豚インフルエンザが人に感染した疑いがあると指摘されたことを受け情報収集を急いでいる。

◎米で豚インフルに7人感染、人から人の可能性(2009年4月25日、産経新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は23日、米国内で7人が豚インフルエンザに感染したことが判明したと発表した。AP通信が伝えた。
 豚との接触がないことから、人から人へ感染した可能性があるが、7人とも回復しており、抗ウイルス剤が有効であることから、拡大の危険性は低いとしている。
 患者はカリフォルニア州の5人とテキサス州の2人で、3月下旬から4月中旬に発症。分離されたウイルスには人間と鳥と豚のインフルエンザの遺伝子が混在していた。過去にもそうしたウイルスは見つかっているが、今回は北米、欧州、アジアのウイルスの遺伝子が混じっており、大陸間にわたる混在が確認されたのは初という。
 CDCによると、米国で豚インフルエンザの人間への感染は2005年12月から09年2月までに12例ある。

◎メキシコで60人死亡、WHO、豚インフルか(2009年4月24日、産経新聞)
 世界保健機関(WHO)報道官は24日、メキシコでインフルエンザのような症例の患者がこの時期としては異常な増加を示し、3月末以降これまでに60人が死亡したと発表した。米国で7人の感染が確認された豚インフルエンザの疑いがあるとして調査している。
 WHOによると症例が見つかったのはメキシコ市とその周辺で約800人のうち57人が死亡。同国中部でも24の症例と3人の死亡が確認された。患者の大半は、健康な青壮年層で乳幼児や高齢者の症例は少ないとしている。
 米疾病対策センター(CDC)は23日にカリフォルニア、テキサスの両州で七人の豚インフルエンザ感染者が出たと発表している。
 WHOによると米国で確認された豚インフルエンザのウイルスは従来、豚では見つかったことのない型。メキシコのウイルス型は確認できていない。

◎「肥満のお客様、もう1席分購入を」、米ユナイテッド航空(2009年4月17日、朝日新聞)
 米航空大手のユナイテッド航空は、隣席に体がはみ出てしまう肥満の搭乗客を対象に、隣席が空いていない場合は次の便で2席分を購入するよう、15日の便から求め始めた。同社の導入により、こうした「肥満対策」は米航空大手すべてで足並みがそろったことになるという。
 ユナイテッドによると、対象となるのは肥満で「シートベルトが締められない」「ひじ掛けの間に収まらない」ような搭乗客。搭乗を予定していた便で隣が空いている席がない、あるいは広い席にアップグレードできないなど、やむを得ない場合に2席分の購入を要請する。
 米疾病対策センター(CDC)によると、米国人の34%が肥満。ユナイテッドの広報によると、「となりの体が侵害してきて不快を被った」という苦情が、昨年1年間で700件にのぼったという。

◎米兵関与の性的被害8%増、被害届奨励を反映か、米国防総省(2009年3月18日、産経新聞)
 米国防総省は17日、2007年10月から08年9月までの1年間に米兵が関与した性的被害の届け出が計約2900件に上り、前年に比べて8%増加したとする報告書を発表した。米兵同士の被害のほか、民間人が被害者か加害者として関与したケースも含まれる。
 戦場のイラクやアフガニスタンでの被害は160件余り。強姦(ごうかん)事件は少なくとも約920件発生し、被害者のほとんどが女性。同省は件数増の原因は部隊内で積極的に被害届を出すよう奨励したためと説明している。

◎経営危機「震源」にボーナス、最大で440億円、AIG(2009年3月16日、朝日新聞)
 巨額の公的資金注入を受けて再建中の米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が、経営危機の震源となった部門に最大計4億5千万ドル(約440億円)ものボーナスを支払うと、15日付の米メディアが相次いで報じた。米政府や議会は激しく反発している。
 ボーナスの対象は、金融危機の引き金となった金融商品を扱い、巨額損失の原因をつくった金融商品部門。ニューヨーク・タイムズ紙によると、幹部ら約400人に昨年12月、まず5500万ドルが支払われ、13日には1億6500万ドルが支払われた。1人当たりの最高額は650万ドル(約6.4億円)という。10年3月までに2億3千万ドルが支払われる予定で、2年間で合計4億5千万ドルにのぼる。
 ボーナス支払いは公的資金注入前の08年初めに決まっていたという。経済紙ウォールストリート・ジャーナルによると、エドワード・リディ最高経営責任者(CEO)は政府あての手紙で「払わなければ法的問題に発展する」とした。ただ、09年のボーナスは3割削ることになったとの報道もある。
 AIGは米政府から計1700億ドル(約16.7兆円)超の支援を受け、政府管理下で再建中。サマーズ国家経済会議議長は15日のテレビ番組で「この1年半でいろいろひどいことが起こったが、今回のAIGの件が最も言語道断だ」と述べた。

◎GM、事前調整型の破産法適用申請へ傾く、米紙報道(2009年3月6日、読売新聞)
 米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は5日、経営難の米ゼネラル・モーターズ(GM)が、資金繰り支援などを事前に定めた上で米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)の適用申請を行う、「プレパッケージ(事前調整)型」と呼ばれる手法で経営破綻することについて、容認論が社内で広がってきたと報じた。
 ウォール紙によると、GMは外部の経営アドバイザーとの検討の結果、破産法11章の適用を受ければ、難航している負債の整理や、販売店網の再編が容易になり、経営再建がむしろ短期間に達成できるとの見方を強めているという。破綻後も現経営体制のままで事業を継続することができる。
 GMはウォール紙に対して「破綻は望まないという考えに変更はない」とコメントしている。
 ただ、GMが5日に米証券取引委員会(SEC)に提出した2008年の年次報告書で、「事業を継続する能力に重大な疑念がある」と経営リスクを説明したことで、GMの経営に対する疑念が改めて市場に広がっている。オバマ米政権は今月末までにGMとクライスラーに対する追加支援の是非を決める見込みで、GMが破産法11章の申請に傾けば、オバマ政権の判断にも影響を与えそうだ。

◎米ロの衛星同士が衝突、初の「宇宙交通事故」か(2009年2月12日、朝日新聞)
 米主要メディアは11日、米国の衛星携帯電話システム「イリジウム」の衛星と、機能停止したロシアの通信衛星が衝突し、宇宙ごみ(デブリ)がまき散らされたと一斉に報じた。微小なデブリと衛星の衝突は過去にあるが、衛星同士がぶつかる宇宙の「交通事故」は初めてとみられる。
 CBSテレビ(電子版)によると、衝突は米東部時間10日正午(日本時間11日午前2時)ごろ、北シベリア上空約790キロで起きた。両衛星とも破壊され、約600のデブリとなって漂っているという。ロシアの衛星は93年に打ち上げられた「コスモス2251号」で、10年ほど前から機能停止していたらしい。
 報道によると、米軍は衛星のほか10センチを超えるデブリの軌道を監視しており、国際宇宙ステーション(ISS)など有人の宇宙船に接近していないかどうか調べている。
 ISSの高度は約400キロと低いため、今回の衝突の直接の影響は考えにくい。デブリの高度が下がってくると、影響を受ける可能性もあるが、ISSや米スペースシャトルのような有人宇宙船は軌道を変える装置を備えているため、監視網でとらえたデブリなら回避できる。
 イリジウムは衛星を利用して世界中どこでも携帯電話が使えるサービスで、予備を含め約80個の衛星が高度約800キロの軌道を回っている。米イリジウム社は、今回の衝突で「携帯電話通信への影響はほぼない」としている。
 デブリ問題は近年深刻化しており、一昨年、中国が衛星破壊実験をしたときは「デブリが多数発生する」と国際的に非難された。米航空宇宙局(NASA)によると、10センチを超えるデブリは現在約1万2千個が確認されている。

◎NY市、税収2960億円減、09年見通し、金融危機で(2009年1月31日、朝日新聞)
 ニューヨーク市のブルームバーグ市長は30日、財政見通しについて会見し、金融危機により09年の税収が前年比で33億ドル(約2960億円)減少し、約340億ドル(約3兆500億円)になる見込みを明らかにした。赤字を回避するためには、超緊縮財政が必要だとしている。
 金融危機の発信源ともなったニューヨークは、不況が市民生活を直撃している。市は、10年までに市全体で29万4千もの雇用が失われ、市民の総収入も390億ドル(約3兆5千億円)減少すると予想。10年には、09年と比べて税収がさらに17億ドル(約1520億円)減る見込みという。同市長は財政危機を乗り切るため、消費税の増税や、警察及び福祉予算の削減を計画している。

◎米アマゾンの10〜12月、増収増益、割安価格で「独り勝ち」(2009年1月30日、日本経済新聞)
 ネット小売り最大手の米アマゾン・ドット・コムが29日発表した2008年10―12月期決算は、売上高が前年同期比18%増の67億400万ドル(約6000億円)、純利益が9%増の2億2500万ドルだった。景気悪化で個人消費が冷え込むなか増収増益を確保。不振の米小売業界で「独り勝ち」の様相が強まっている。
 ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は「低価格、品ぞろえ、無料配送で顧客ニーズにこたえ続ける」と述べ、割安な価格やネットの利便性が好業績の背景と分析した。09年1〜3月期も9〜19%の増収を予想。米株式市場の時間外取引で同社株は同日終値比で一時13%高と急騰した。
 部門別の売上高は、書籍やCD、DVDなどメディアが9%増の36億4000万ドル、家電や衣類などを含む部門が31%増の28億8900万ドル。電子書籍端末「キンドル」が「予想を超える強い需要」(ベゾス氏)を示すなど新規事業も伸びた。地域別の増収率は北米が18%、日本・欧州など海外が19%となった。(シリコンバレー=村山恵一)

◎米でピーナツバター食中毒、死者8人、汚染知ってて出荷(2009年1月29日、朝日新聞)
 米国でピーナツバターによる食中毒が広がっており、500人以上が被害を受け、8人が死亡する騒ぎが起きている。発生源とされる工場がサルモネラ菌の汚染を知りながら出荷を続けていたことが28日、明らかになり、全米の市民を恐れさせている。
 米食品医薬品局(FDA)の調べでは、今年初めから、全米43州とカナダで502人がピーナツバターを含む食品を食べて食中毒になり、うち8人が死亡した。多くが子どもという。汚染源として特定された米南部ジョージア州の工場をFDAが調査したところ、過去2年で12回、サルモネラ菌が検出されたにもかかわらず、そのまま出荷していたことが判明。同工場で生産されたものは小売り用ではないが、多くの食品工場で原材料として使われていた。
 FDAは、汚染された恐れのあるクッキーやキャンディー、アイスクリームなどの食品のリストを発表。コーヒーチェーン店のスターバックスが店頭からピーナツバターを使用した食品を撤去するなど、影響は広がっている。

◎米ヤフー、赤字転落(2009年1月28日、読売新聞)
 インターネット検索2位米ヤフーが27日発表した2008年10〜12月期決算は、純利益が3億342万ドル(約270億円)の赤字に転落した。
 前年同期は2億572万ドルの黒字。四半期ベースで純利益が赤字に転落するのは02年1〜3月期以来、約7年ぶりだ。売上高は1.4%減の18億638万ドルだった。主力のネット広告収入が不調だったほか、人員削減などのリストラ費用や海外事業の損失などが打撃となった。ただ、特別損失を除いた1株あたりの利益は事前の市場予想を上回った。
 08年通年では売上高は前年比3.4%増の72億850万ドル、純利益は35.7%減の4億2429万ドルだった。

◎米ヤフー、6年9カ月ぶり赤字、08年10〜12月期(2009年1月28日、朝日新聞)
 インターネットサービス大手の米ヤフーが27日発表した08年10〜12月期決算は、純損益が前年同期の2億ドル(約180億円)の黒字から3億ドル(約270億円)の赤字に転落した。四半期ベースで純損失を計上するのは02年1〜3月期以来。
 米国を中心とした人員削減などのリストラ費用を約1億ドル(約89億円)計上したのに加え、海外事業の損失が膨らんだのが響いた。売上高も前年同期比1%減の18億ドル(約1600億円)に落ち込んだ。景気後退で米IT各社の経営環境は厳しいが、グーグルは08年10〜12月期決算で増収となり、純利益も大幅減ながら黒字を確保。競合するヤフーとの差がまた開いた。

◎米グーグル、新聞向け広告仲介を中止、既存媒体への拡大修正(2009年1月21日、日本経済新聞)
 インターネット検索最大手の米グーグルは20日、新聞向け広告仲介サービスを中止すると発表した。ネット広告で培ったシステムを活用する狙いだったが、想定通りの結果を得られなかった。同社は景気低迷を背景に経営の効率化を進めており、ネットから新聞など既存媒体に事業基盤を広げる戦略の修正を迫られた。
 一部広告主向けを除き、2月末でサービスを中止する。同サービスは2006年11月にニューヨーク・タイムズなど米有力紙と組んで開始。グーグルがネットを使って広告主を募集し、新聞社に広告を仲介する事業の確立を狙った。米国の800紙以上に協力先を広げたが、「グーグルや協力先が求めた結果が出なかった」という。
 グーグルは新聞以外にテレビやラジオ向け広告事業にも進出し、収益源の多角化を目指してきた。新聞向けには「今後も新サービス開発を目指す」方針だが、すでに仮想空間サービスなど複数のネットサービスの廃止を決定。採用部門の人員削減も表明するなど、経営効率化を進めている。

◎米グーグル、新聞広告事業から撤退、利用者伸びず(2009年1月21日、産経新聞)
 米インターネット検索大手グーグルは20日、新聞広告事業から撤退すると発表した。利用者が伸びなかったためで、2月28日に事業を終了する。
 グーグルのオンライン広告主に新聞の空き広告スペースを売り込むのが事業の柱だったが、景気後退の深刻化で、事業を継続しても当分成長が見込めないとして撤退を決めた。
 グーグルは2006年11月に米有力紙ニューヨーク・タイムズなど50紙と提携し、新聞広告に参入。グーグルにとっても収益源の多様化を進めるメリットがあった。
 米国の新聞は地方紙が主体なため、特定の地域の消費者に絞って商品やサービスなどを売り込みたい広告主の取り込みを狙った。地方紙800紙以上に提携相手を拡大したが、オンライン主体の広告主を思惑通り新聞向けに誘導することができなかった。

◎米失業率09年7.7%に悪化の見通し、26年ぶり水準(2009年1月17日、朝日新聞)
 ブッシュ米大統領は16日、任期中最後の経済報告を議会に提出した。09年の失業率は前年比2.0ポイント悪化し、7.7%に達すると予測、年間の失業率としては83年(9.6%)以来、26年ぶりの水準を見込む。一方、経済成長率は08年のマイナス0.2%から回復し、09年は0.6%にとどまるものの、10年には5.0%に急回復するという楽観的な見通しを示した。
 報告は、米国経済は「09年半ばまでマイナスが続くが、後半から回復する」と指摘。実質国内総生産(GDP)は、10、11年とも5%成長を見込む。
 世界銀行は昨年12月に発表した世界経済見通しで、米国の09年の成長率はマイナス0.5%と予測。国際通貨基金(IMF)も米国はマイナス0.7%との見通しを11月に示している。
 一方で、雇用情勢のさらなる悪化は認め、09年は非農業部門の就業者数が月平均で23万5千人減ると予測。しかし、雇用も10年には回復し、失業率も6.9%に改善、11年からは5%台で推移すると見込んでいる。
 経済報告は、一般教書、予算教書と並ぶ大統領の「三大教書」の一つで、年1回まとめられている。

◎米政府、「核の闇市場」カーン博士の資産凍結(2009年1月14日、朝日新聞)
 米国務省は12日、北朝鮮やイランに核技術を流した「核の闇市場」の中心人物だったパキスタンの科学者、カーン博士らに資産凍結などの制裁を科すと発表した。同省は「カーン氏のネットワークは機能していない」とする一方、「同様の拡散活動を警戒する必要がある」と呼びかけた。
 制裁はカーン博士や関係者計13人と企業3社が対象。博士らが核開発に使う遠心分離器の設計図や完成品をイラン、リビアに提供。「北朝鮮にも設計図や技術を流したと確信している」と説明した。

◎渡米前のネット事前申請「ESTA」スタート(2009年1月12日、朝日新聞)
 米国にビザを持たずに短期滞在(90日以内)する場合、インターネットで事前申請を義務づける電子渡航認証システム(ESTA)の運用が12日、始まった。成田空港でも、渡米する旅行者らが航空各社のカウンターで申請の有無の確認を受けたが、大きな混乱はなかった。
 日本航空と全日空は、事前申請を忘れた旅行客のため、臨時の入力用パソコンを置き対応した。米国大使館も案内ブースを設置して新制度を説明した。新制度は、専用サイトで氏名や生年月日、パスポート番号など約20項目の質問の回答を入力し、問題がなければ承認される仕組み。航空各社は承認の有無を旅券で確認し、出発までに承認がない場合は搭乗させない方針だ。アトランタに向かうという川崎市の男性会社員(50)は「申請はネットで数分と簡単だったが、できればない方がいいですね」と話した。

◎ボーイング、4500人削減、09年末までに(2009年1月11日、読売新聞)
 米航空機大手ボーイングは9日、旅客機部門の従業員の7%に相当する約4500人を2009年末までに削減すると発表した。
 世界的な景気の落ち込みから、08年の受注が前年の半分以下の662機に落ち込んだほか、新型機「787」の開発コストが膨らみ、合理化が必要と判断した。

◎米ボーイングの受注53%減、08年、引き渡しも15%減(2009年1月9日、産経新聞)
 米航空機大手ボーイングは8日、2008年の航空機受注数が、前年比約53%減の662機に急減したことを明らかにした。前年は新型機を中心に受注が伸び、1413機に達したが、08年は世界的な景気悪化の影響で、航空会社の発注が減少したとみられる。
 また引き渡し機数も前年比約15%減の375機にとどまった。昨秋、約2カ月間続いた主要労働組合によるストライキが影響したという。

◎警官が黒人射殺、ネットに流れ抗議で暴徒化100人以上逮捕(2009年1月9日、読売新聞)
 米カリフォルニア州オークランドで、警官が取り押さえた黒人を背後からいきなり射殺したシーンがネットに流れ、これに抗議する黒人たちの暴動が発生し、8日までに100人以上が逮捕された。
 AP通信によると、射殺されたのはオスカー・グラントさん(22)。列車内で1日未明、若い男たちが争っているとの通報を受け、到着した複数の警官が、グラントさんを駅の床に押しつけた。グラントさんは、抵抗しなかったが、ヨハネス・メッサルリー巡査(27)が拳銃でいきなり背中を撃った。
 周囲にいた複数の乗客が携帯電話で撮影したこの場面が、動画サイト「ユーチューブ」に流れ、テレビでも放映された。これを見た黒人らが暴徒化し、7日夜から商店やレストランの窓を割ったり、路上の車に火を付けたりした。
 同巡査は7日に辞職したが、ロン・デラムズ市長は市警に対し、殺人容疑も視野に捜査するよう求めた。

◎米国:「無抵抗なのに射殺」、米の鉄道に23億円請求(2009年1月8日、毎日新聞)
 米カリフォルニア州サンフランシスコのベイエリア高速鉄道(BART)警察の警察官に射殺されたスーパーマーケット店員の男性(22)の遺族が6日「無抵抗の市民に対する違法な発砲だった」として同鉄道に2500万ドル(約23億5000万円)の損害賠償を請求した。地元メディアによると男性は1日、けんかを止めるため駆けつけた警察官に列車から降りるよう指示され、プラットホームでうつぶせになったが、背中を撃たれ死亡。複数の乗客が様子を撮影し「発砲の必要はなかった」と証言した。

◎米アルコアが1.5万人削減、景気冷え込みでアルミ需要減退(2009年1月7日、日本経済新聞)
 米アルミ最大手のアルコアは全世界で約1万5000人を削減する。世界的な景気冷え込みでアルミ需要が減退しており、減産幅を拡大し、低採算な加工事業を売却する。米USスチールなど鉄鋼大手も大規模な人員削減に乗り出しており、雇用情勢悪化を受けた個人消費の萎縮が需要の落ち込みを招く悪循環に拍車がかかってきた。
 全世界の従業員の13%にあたる1万3500人を解雇するほか、契約社員も1700人減らす。賃上げや新規採用は凍結する。すべての精錬所の稼働率を見直し、年間のアルミ生産能力の18%に相当する75万トンを減らすことにした。
 2008年11月には米国やカナダで追加的な生産調整を公表し、年15%の減産に着手したばかり。金融危機や米自動車大手の不振で需要は事前予想を上回る速さで落ち込んでおり、減産強化が急務と判断した。

◎米、ロシア・ウクライナのガス紛争解決を要求(2009年1月7日、日本経済新聞)
 米国務省のマコーマック報道官は6日、ロシアがウクライナ経由の天然ガス供給を削減した問題について「ガスの停止は容認できない」と事態を憂慮する声明を発表した。「誠意ある努力に基づき、問題を解決するよう双方に要求する」と強調し、ロシア、ウクライナ両国が解決に向けて取り組むよう求めた。
 供給側のロシアの独占天然ガス会社ガスプロムと、ウクライナの国営ガス会社ナフトガスは8日から交渉を再開する予定。報道官声明では交渉に向けた動きが出てきたことを「歓迎する」とした。
 欧州はガス消費量の25%をロシアに依存し、ウクライナ経由での輸入は8割に達する。ロシアがウクライナへのガス供給を停止したことにより、中東欧、ギリシャなどのバルカン諸国に影響が出ている。

◎08年米新車販売、史上初「ビッグ3」シェア5割切る(2009年1月6日、朝日新聞)
 米調査会社オートデータが5日発表した08年の米国での新車販売(暫定値)は、前年比約18%減の約1324万台と急減し、92年以来16年ぶりの低水準を記録した。景気後退と金融危機の影響で9月以降の落ち込みが特に響いた。
 オートデータによると、年間販売台数の前年割れは3年連続。ただ、08年の下落率(約18%)は80年以降で最大だった。販売台数のピークは00年で1740万台だった。米自動車大手「ビッグ3」の販売シェアは約48%となり、史上初めて年間で50%を割り込んだ。
 米大手証券「リーマン・ブラザーズ」が破綻(はたん)した9月以降の落ち込みが激しく、10〜12月の3カ月間は、いずれも年換算での販売台数が1千万台程度になる低水準だった。12月の月間販売は前年同月比約35.5%減だった。
 年前半は原油の高騰で、燃費の悪い大型車の比率が高いビッグ3の販売不振が目立った。だが、秋以降は自動車ローン審査の厳格化や消費者の購買意欲の低下で小型車などにも販売不振が広がり、日欧のメーカーも苦戦した。
 各社が発表した08年年間の新車販売では、トヨタ自動車とホンダ、日産自動車の日本メーカー大手3社も前年割れとなり、07年の前年比プラスから販売減に転じた。ただ、日本勢の年間下落率はビッグ3よりも小さく、トヨタは米フォード・モーターを抜いた昨年に続いて、米ゼネラル・モーターズ(GM)に次ぐ全米2位を維持した。
 もっとも、12月の月間ベースでは、トヨタの下落率(36.7%)はクライスラー(53.1%減)に次ぐ大きさで、ホンダと日産の下落率も30%台。ビッグ3並みの落ち込みとなった。米政府に金融支援を求めたビッグ3が、大幅割引などの販売てこ入れ策を図ったことも影響しているが、秋以降の日本勢の不振を反映した形だ。
 米国では、景気低迷の長期化とともに新車販売台数がさらに落ち込む、との予想もあり、自動車各社は今後も厳しい経営を強いられそうだ。
 一方、GMは08年の世界生産台数の見通しを815万2千台と発表。昨年末にトヨタが発表した見通し923万台(ダイハツ工業・日野自動車を含む)を下回り、トヨタが生産台数で2年連続世界一になることが確定した。

◎米ビッグ3、シェア50%割れ(2009年1月6日、スポーツニッポン)
 米調査会社オートデータによると、2008年の米国の新車販売台数(速報値)は前年比18.0%減の約1324万4000台と3年連続で減少し、1992年以来16年ぶりの低水準となった。減少幅は前年比300万台近くに達した。経営危機の米ビッグスリー(自動車大手三社)のシェアは47.5%と、初めて50%を割り込んだ。
 トヨタ自動車が15.4%減の221万7660台と13年ぶりの減少に転じるなど、ホンダ、日産自動車を含む日米の大手6社がそろって大幅減となった。米3社の不振の深刻化を背景に、日本車のシェアは過去最高の39.5%に達した。
 金融危機に端を発した景気後退による個人消費の低迷を反映し、販売は9月以降に一段と落ち込んだ。09年はさらに100万台以上減少するとの予想が多く、各社は一段と厳しい経営環境に陥る恐れがある。
 米3社は首位ゼネラル・モーターズ(GM)が22.6%減の293万3451台。3位フォード・モーターが20.1%減、4位クライスラーも30.0%減と大きく落ち込んだ。
 経営破たんの恐れが強まったGMとクライスラーに対し、米政府は公的資金による緊急融資を決めたが、販売が回復しないと、さらに支援が必要になる可能性も高い。
 2年連続2位のトヨタもピックアップトラックなど大型車だけでなく、小型車やハイブリッド車も売れ行きが低迷した。
 5位ホンダは7.9%減、6位の日産自動車も10.9%減。マツダは10.9%減、三菱自動車も24.6%減だった。
 12月単月も市場全体で35.5%減の約89万6000台と急減。トヨタが36.7%減、クライスラーが53.1%減など、大手6社とも30%以上の減少と大きく沈んだ。

◎米ショッピングセンター、空室率が上昇、15年ぶり水準(2008年12月26日、日本経済新聞)
 米国でショッピングセンター(SC)の空室率が一段と上昇している。2008年は平均9%強と、15年ぶりの高水準に達する見通し。客足の急減でテナントの小売店や外食店が閉店を加速させる一方、数年前までの開発ブームで店舗スペースの過剰供給が解消されていないためだ。米景気の悪化が続く中、空室率はさらに上昇する可能性が高い。
 米不動産調査大手レイスによると、全米約3万カ所のSCの空室率は7〜9月期で平均8.4%と、4〜6月期より0.3ポイント上昇。四半期ベースでは直近の底である05年4〜6月期(6.7%)から急速な上昇を続けている。08年通年では9.1%と、1993年(9.2%)以来の高水準になるとみられる。

◎安売りに客殺到、店員が圧死、クリスマス商戦「悲劇」で始まる(2008年11月29日、産経新聞)
 全米の小売業者にとって最大の書き入れ時となる年末商戦が感謝祭明けの28日から本格的に始まった。各店でバーゲンが始まり、赤字だった店も一転して黒字が見込まれることから「ブラック・フライデー」(黒字の金曜日)と呼ばれるが、ニューヨーク近郊では同日朝、バーゲンの目玉商品を目当てに買い物客が殺到し、5人が死傷する事故が起きた。景気低迷で消費者心理が冷え込み、近年にない“ブルー”な商戦になるとの予測が当たった形だ。
 全米小売業界(NRF)の推計では28日から週末にかけての3日間に買い物に出かける人は最高で1億2800万人と前年比5.2%減少する見込み。しかもこのうちの半数以上にあたる7900万人がバーゲンの状況を見極めた上で出かけると答えており、多くの消費者が買い物に慎重になっている様子がうかがえる。
 米調査会社NPDグループのアナリストは今年の年末商戦の売上高は前年比で3%減少するとの見通しを発表、この日各地で店に列をなした買い物客の数も「昨年より2割ほど少ないようだ」とし、「買い物客は目玉商品を見つけることに真剣で、予算限度をとても気にしている」と例年に比べ、財布のヒモが堅くなっていると指摘する。
 不幸にもこうした心理状況を示す結果になってしまったのがニューヨーク近郊にある米小売りチェーン最大手ウォルマート・ストアーズで起きた悲劇だ。
 同店では、早朝の開店時、値引きの目玉商品を目当てに集まった数百人が店のドアを壊して店内に押し寄せ、押し倒された男性従業員(34)が客の下敷きになって死亡、妊娠中の女性客ら少なくとも4人が負傷した。米メディアによると、ブラック・フライデーで死者が出たのは初めて。
 冷え込みは期間中の臨時雇用にも反映。家電量販大手のベストバイは臨時雇用者を昨年の2万6000人から1万人削減する方針を明らかにしている。
 ブラック・フライデーの前倒しも今年の特徴で、ニューヨーク市内の高級デパートでは今月半ばすぎから宝飾品や一流ブランドの靴の大幅割引を始めている。

◎支援要請の米ビッグスリー首脳、自家用ジェット使用に批判(2008年11月20日、読売新聞)
 経営危機に陥っている米3大自動車メーカー(ビッグスリー)の3首脳は19日、米下院金融サービス委員会で証言し、250億ドルの公的資金による3社の資金繰り支援策を柱とする追加景気対策法案の早期成立を要請した。
 しかし、共和党議員の反対が強く、法案を提出した民主党議員からは「成立する可能性は、率直に言ってわずかだ」(ドッド上院議員)との見通しが示され、民主党が当初目指した週内の採決は難しくなってきた。
 この日は、ゼネラル・モーターズ(GM)のワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)が「破産の回避に向けたあらゆる努力をする」と述べ、政府支援を強く要請した。一方、クライスラーのナルデリ会長兼CEOは、資金繰りに窮した場合に備えて外部のアドバイザーを雇ったことを明らかにし、経営危機に直面している実情を訴えた。
 しかし、共和党議員からは、首脳らが、3社の本社があるミシガン州から米議会のあるワシントンまで来るのに、経費のかかる自家用ジェット機を使ったことに対し、「政府の支援を要請する態度とは思えない」などと批判が噴出した。

◎米ビッグ3首脳、2兆円融資訴え、議会公聴会(2008年11月19日、朝日新聞)
 経営危機に直面しているゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車大手3社の経営トップが18日、米議会の公聴会で窮状を訴え、生き残りには少なくとも250億ドル(約2兆4千億円)の政府緊急融資が欠かせないとした。
 米議会は自動車業界の資金繰りを助ける政府融資250億ドルの救済法案を審議している。上院の銀行住宅都市委員会がGMのワゴナー、フォード・モーターのムラーリー、クライスラーのナーデリの各最高経営責任者(CEO)らを呼び、公聴会を開いた。
 10月の販売台数が前年同月比で37%も急落したクライスラーは、さまざまな現金支払いに「毎月約40億〜50億ドルが必要。融資支援がなければ、流動性(手元の資金)が業務継続に必要な水準を下回る可能性もある」と説明。GMのワゴナーCEOは「業界が破綻(はたん)したら最初の1年間で300万人の雇用が失われる。コスト的には政府支援をはるかに上回る規模で、打撃が経済全体に波及する」と語った。
 業績悪化を背景に3社の手元資金は、年間推計でクライスラーが約50億ドル、GMが約150億ドル、フォードが約140億〜170億ドルの減少という。
 各社とも、政府融資を求める一方で、赤字体質からの脱却をめざし、コスト削減のリストラや競争力アップの技術開発などを進める計画を示した。

◎米国債保有、中国が1位に、約57兆円で日本抜く(2008年11月19日、朝日新聞)
 米財務省が18日発表した9月の国際資本統計によると、中国の米国債保有高は9月末時点で5850億ドル(約56兆7千億円)となり、首位を続けていた日本(5732億ドル)を抜き、世界最大の米国債保有国となった。
 米国発の金融危機が世界的に広がっているが、中国は米国債への投資を続けていることが確認された。米財政赤字が拡大する中、米国債の安定的な引受先となっている。
 国・地域別の米国債保有高で、中国は前月に比べ436億ドル増え、日本は128億ドルの減少。3位は英国で3384億ドルだった。海外全体では2兆8605億ドルで、前月より1106億ドル増えた。
 中国の米国債保有高は、00年9月末時点では621億ドルだった。8年間で10倍弱も増えたことになる。中国は多くを米国債などのドル資産で持つ外貨準備高が06年1月に日本を抜いて世界一となっている。

◎米サン、最大で6000人削減、金融危機響く(2008年11月15日、日本経済新聞)
 IT(情報技術)大手の米サン・マイクロシステムズは14日、全世界の従業員の15〜18%にあたる5000〜6000人を削減すると発表した。金融危機の影響で金融機関向け高性能サーバー販売などが低迷。7〜9月期に大幅最終赤字に転落し、経営効率化を迫られていた。
 人員削減などで年間7億〜8億ドル(約680億〜780億円)のコスト削減を見込む。サンの7〜9月期決算は、最終損益が16億7700万ドルの赤字(前年同期は8900万ドルの黒字)だった。年初に10ドル台後半で推移していた株価は、先行き不透明感から約4ドルで低迷しており、さらなるテコ入れ策を株主から求められる可能性もある。
 サンは、2006年に最高経営責任者(CEO)に就任したジョナサン・シュワルツ氏のもとで経営効率化を加速。一度は業績回復を遂げたが、市況悪化で再びリストラモードに追い込まれた格好だ。

◎山火事相次ぎ3万人超避難、カリフォルニア州南部、600棟損壊(2008年11月16日、日本経済新聞)
 米ロサンゼルス郊外や周辺のオレンジ郡などカリフォルニア州南部数カ所で14日夜から15日にかけ、大規模な山火事の発生が相次ぎ、米メディアによると計約56平方キロを焼失、住民ら3万2000人以上に避難命令が出された。住宅など600棟以上が損壊、消防士11人が負傷した。
 シュワルツェネッガー州知事はロサンゼルス、オレンジ両郡などに非常事態宣言を出した。
 ロサンゼルス中心部の北約40キロのシルマーでは約500の移動式住宅(トレーラーハウス)が全焼。個人住宅や商業施設約20棟が損壊した。AP通信によると、ロス市警本部長は焼け跡から死者が見つかる可能性があると指摘した。
 ロサンゼルス市のビリャライゴサ市長は記者会見で、捜査当局が放火の可能性を含めて出火原因を調べていると語った。
 カリフォルニア州南部は30度を超す気温と乾燥した気候に加え、秋に吹く「サンタアナ」と呼ばれる強い季節風の影響で山火事が多発、1000人以上による消火活動も難航した。ロス北西のサンタバーバラ郡では14日、13人が負傷した。

◎オバマ陣営のコンピューターにハッカー侵入、外国政府機関の仕業か(2008年11月7日、産経新聞)
 米大統領に当選した民主党のオバマ上院議員の選対本部のコンピューターに今年夏、ハッカーが侵入していたことが6日、明らかになった。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は中国からのサイバー攻撃と報じた。共和党候補マケイン上院議員の陣営も、8月にFBIから同様の警告を受けたという。
 米政府当局者は同紙に対して、サイバー攻撃が中国の政府機関によるものか、政府とは関係ないハッカーによるものかは解明されていないと語った。
 米誌ニューズウィークなどによると、ボルテン大統領首席補佐官はオバマ陣営の選対責任者デービッド・プラフ氏に、「あなたたちは大きな問題に直面しており、早急に対処する必要がある」と警告した。陣営の内部資料などが大量に流出したという。
 中国からのサイバー攻撃をめぐっては、昨年6月にゲーツ国防長官の執務室で使用する電子メールシステムがハッカーの侵入で停止状態となった。フィナンシャル・タイムズは国防総省筋などの話として、この侵入を「中国軍によるもの」と報じた。

◎グーグル、米ヤフーとの提携断念、米司法省が難色(2008年11月6日、朝日新聞)
 米インターネット検索最大手のグーグルは5日、同2位の米ヤフーと6月に合意した両社の広告事業の提携を取りやめる、と発表した。独占禁止法に違反するとの疑いが強いとして、米司法省が難色を示しているためという。
 ヤフーは米マイクロソフトからの買収提案を退けるため、グーグルとの提携による増収策を打ち出し、単独での生き残り策を選んだ。その提携合意が解消に追い込まれたことで、業績が低迷するヤフーは経営再建策の再考を迫られる見通しだ。
 ヤフーとグーグルが広告事業で提携すれば、米国内でのネット広告シェアが5割近くにまでなることから、適正な広告価格を維持できなくなる恐れがあるとして当初から広告主らが反発。両社は今月3日、認可を取り付けるため、両社の提携でヤフーが手にする収入に一定の制限を設けるなどの修正案を司法省に提出した、と米メディアが報じていた。

◎投票者数1億3千万人超、米大統領選、過去40年で最高(2008年11月6日、朝日新聞)
 AP通信によると、今回の米大統領選の投票者数は、5日時点の推計で約1億3330万人にのぼり、過去40年で最高になることが明らかになった。全米の投票データを独自に集計するジョージ・メイソン大学のマクドナルド准教授が推計した。記録的な多さだった前回04年の1億2230万人を超え、投票率の推計も前回の60.7%を上回る62.5%に達している。
 別の調査によると、00年の大統領選は有権者の81%が白人だったが、今回は74%に下がっており、アフリカ系(黒人)やヒスパニックの有権者の増加を示している。

◎米国:南部で12歳少年射殺、ハロウィーンでまた悲劇(2008年11月2日、毎日新聞)
 米南部サウスカロライナ州サムターで10月31日夜(日本時間1日午前)ハロウィーン(万聖節の前夜祭)の習慣で菓子をもらいに近所の家を訪ねたT・J・ダリソー君(12)が、強盗と勘違いした男にドア越しに自動小銃で乱射され、頭部などを撃たれて搬送先の病院で死亡した。一緒にいた父親と弟(9つ)も負傷した。
 ハロウィーンをめぐっては、1992年10月、米ルイジアナ州の高校に愛知県から留学していた服部剛丈君=当時(16)=が仮装パーティーに参加しようとして訪問先を間違え、住民男性に射殺された事件など、悲劇が繰り返されている。
 AP通信によると、サムターの警察は現場の家にいたクエンティン・パトリック容疑者(22)を殺人容疑などで調べている。同容疑者は昨年、強盗に押し入られて銃で撃たれた経験があり、子供たちを強盗だと思ったと供述しているという。少なくとも29発が発射された。
 ダリソー君の母親とほかの子供は路上の車の中で待っていた。
 サムターは州都コロンビアから東に約70キロに位置し、人口約4万人。犯罪は比較的少ないという。

◎【週刊ハリウッド】大成功の代償、アカデミー賞女優ジェニファー・ハドソンを襲った惨劇の背景(2008年11月1日、産経新聞)
 飲酒、ドラッグ、家庭内暴力といった事件はハリウッドスターたちの派手な生活にはつきもの。しかし、このほどアカデミー賞女優、ジェニファー・ハドソン(27)を突然襲った悲劇は、よくあるセレブのご乱行とは次元の違う、米社会の重苦しい現実を浮き彫りにした。
 「映画も音楽も、それからファッションの仕事もやってみたい。やりたいことはいくらでもあるわ」。
 ハドソンはこの夏、AP通信のインタビューに生き生きと語っていた。
 しかしハドソンは先週末、ロサンゼルスで予定されていた新作ビデオの収録をキャンセルし、母親、兄、そして7歳のおいが殺された事件で、故郷のシカゴに戻らなければならなくなった。
 「彼女の家族がまだ、サウスサイドに住んでいたことが驚きだ」。
 事件後、米メディアやブログでは、こんな声が上がった。
 サウスサイドとは、シカゴ南部の低所得層が多く住む一角。レッテルを張るわけではないが、一般的には治安がいいとは到底みなされない地区だ。
 だが、殺された母親のダネルさんは、成功し富を手にした娘から何度も転居を勧められても、がんとして応じなかったという。「彼女は(娘が成功してからも)ちっとも変わらなかった」と近所の人はメディアに語っている。
 母親が転居を拒んだ理由は、地元への愛着だけが理由とはかぎらない。白人高所得者層地域に移ったところで、住民が温かく迎えてくれる保証はない。貧困の中に残された親族や知人から恨みを買うかもしれない。
 人種や収入による厳然たる区別が存在する米社会で、生まれ育った環境から脱出するのは簡単な話ではない。
 バス運転手の一家に生まれたハドソンは、7歳から地元教会の聖歌隊で歌い始め、頭角を現した。高校を卒業後、米国で抜群の人気を誇るスター発掘番組「アメリカン・アイドル」に応募。7位に終わるものの、「人種差別のために落とされたのではないか」と選考にクレームが付くほどの注目を集め、2006年に映画「ドリームガールズ」の準主役に抜擢された。同作品でジェイミー・フォックス、ビヨンセ、エディー・マーフィーといったスターたちを押しのけ、圧倒的な存在感でアカデミー助演女優賞に輝いたのは記憶に新しい。
 だが、ハドソンの故郷への愛着はきわめて強かった。シカゴ・トリビューン紙によると、すでに受賞への期待が大きくふくらんでいたアカデミー賞授賞式の6日前、ハドソンはサウスサイドの教会に戻り、地域の人々を前に歌ったという。ハドソンは授賞式でも、たびたび家族への感謝を口にしていた。
 母親、兄、おいの3人が殺害されたこの事件は、ハドソンの姉の疎遠になった夫の関与が取りざたされている。事件当日、車の支払いをめぐって口論が起きていたとの報道もある。ハリウッドで大成功を収めながらもハドソンが忘れなかったのが家族だとすれば、そのハドソンに悲劇をもたらしたのも家族だった。
 米プロバスケットボール(NBA)のスーパースター、マイケル・ジョーダンの父親の死(93年)、有名コメディアン、ビル・コスビーの息子の死(97年)など、いずれも黒人スターの家族を襲った銃の悲劇を、今回の事件と重ね合わせる向きもある。
 いずれも、成功の代償というにはあまりにもむごい試練である。

◎米0.5%利下げ、年率1.0%に(2008年10月30日、朝日新聞)
 米連邦準備制度理事会(FRB)は29日、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%幅引き下げ、年率1.0%に大幅緩和した。金融危機による景気の急減速を和らげる目的。政策金利は、03〜04年の歴史的超低金利と同じ水準になった。
 29日に開いた公開市場委員会(FOMC)で決めた。利下げ決定に伴う声明では、景気減速が表面化した昨年以来、最も厳しい景気認識を表明。次回12月のFOMCでもさらに利下げする可能性が指摘されている。近く金融政策を決める会合がある日本銀行や欧州中央銀行(ECB)も、追随して利下げに踏み切るとの観測が出ている。
 FOMCの29日の声明で「経済活動の足取りは消費支出の減少で著しく減速したとみられる。金融市場の混乱激化が支出を一段と抑制させる可能性がある」と指摘した。個人消費は米国内総生産(GDP)の約7割を占めるが、9月以降に深刻化した金融危機による先行き不安から、落ち込みが目立っていた。
 声明は、企業の設備投資や生産が弱まったことも指摘。さらに「多くの外国経済が減速している」ため、景気の下支え役だった輸出も、今後は勢いを失う可能性を示した。銀行の貸し渋りが広がり、個人消費や設備投資が打撃を受ける危険性もあるという。
 今後も景気がさらに「落ち込む可能性が残っている」と警告。一方、これまで利下げしにくい要因として挙げていたインフレが落ち着き、物価は安定するとの見通しを示した。景気動向次第で追加対応する姿勢をにじませている。
 FF金利は03年6月に、1958年以来45年ぶりに今回と同じ1%に引き下げられ、04年の利上げまで同水準を続けた。12月に追加利下げがあれば、これを下回る。
 米景気は30日に発表される7〜9月期の実質GDPが、年換算で前期比約0.5%減のマイナス成長に転じるとの予想が大勢を占めている。世界経済も今年は成長率が前年より1.1ポイント低い3.9%と、5年ぶりの低水準にとどまるとの見通しが出ている。
 FRBは今月8日に、ECBなど5カ国・地域の中央銀行に呼びかけて政策金利を0.5%幅緩和する協調利下げを実施している。今回の利下げで、米国の政策金利は消費者物価の上昇率を差し引いた実質ベースで約マイナス4%と、戦後屈指の低さになっている。

◎米有力紙が「紙」から事実上撤退、ウェブ中心に(2008年10月29日、朝日新聞)
 創刊百年を誇る米有力紙クリスチャン・サイエンス・モニター(本社ボストン)が来年4月から日刊紙の発行をやめ、ウェブサイトを中心にしたニュース媒体に変わる方針を28日、発表した。米国の全国紙が紙媒体から事実上撤退する初のケースとなる。
 同紙は現在、平日の日刊紙とウェブサイトの両方でニュースを発信している。4月からは日刊紙を廃止してサイトの情報を拡充。さらに有料契約者には電子メールで一日一回、コラムなどの独自記事を届けるほか、新たに毎日曜に週刊紙を発行するという。同紙の日刊部数はピークの1970年に22万部だったが、現在は5万2千部まで減った。
 報道によると、同紙の現在の年間収入は、契約購読料が900万ドル、新聞紙広告100万ドル、ウェブ広告130万ドル。来年4月までの会計年度では計1890万ドルの赤字が予想されている。来春の経営転換により、広告と購読料は一時的に減る一方、新聞発行に伴う印刷、発送などの経費が消えることで負担が軽減され、長期的にはウェブ広告の拡大とコスト削減努力で経営は改善すると見込んでいる。

◎北朝鮮・イランの13企業・団体に制裁、米政府(2008年10月26日、朝日新聞)
 米国務省は24日、イランや北朝鮮、シリアとの間で大量破壊兵器やミサイルに関する取引をしたとして、イランや北朝鮮、中国などの13の企業や団体に制裁を科したと明らかにした。8月に発動が決まり、23日の官報に記載された。制裁対象になったのは、イラン革命防衛隊や北朝鮮の朝鮮鉱業開発貿易会社(KOMID)など。米政府との取引禁止などの措置がとられる。

◎米、イラン輸出開発銀を金融制裁の対象に(2008年10月23日、日本経済新聞)
 米財務省は22日、イラン政府による大量破壊兵器の拡散活動に関与しているとして、イラン輸出開発銀行(EDBI)を米国による金融制裁の対象に加えると発表した。米大統領令に基づき、米国内の資産を凍結するほか、米企業・個人との取引を禁止する。
 米国単独の経済制裁を強化することにより、国連安全保障理事会の決議に反してウラン濃縮活動を継続するイランへの圧力を強めるのが狙い。イラン核問題を巡って米国は、国連安保理の枠組みによる制裁強化を求めてきたが、拒否権を持つ中国、ロシアとの足並みがそろわないため単独制裁の強化を決めた。

◎米、ベビーベッドで2人死亡、中国製など160万台回収(2008年10月21日、朝日新聞)
 ロイター通信によると、米国のベビー用品メーカー、デルタ・エンタープライズは21日までに、中国などで製造されたベビーベッドを使用して乳幼児2人が死亡する事故があったとして、約160万台をリコール(回収・無償修理)すると発表した。インドネシア、台湾製もあった。日本で販売されていたかどうかは不明。
 同社のホームページによると、問題のベッドは95〜07年に製造された。ベッドの留め具に不具合があるという。

◎宗教の自由侵害「特に懸念」、中国など8か国指定、米報告書(2008年9月20日、読売新聞)
 米国務省は19日、各国の宗教の自由に関する2008年版の年次報告書を発表し、宗教の自由の侵害が「特に懸念される国」として、中国や北朝鮮など8か国を昨年に続いて指定した。
 報告書は中国について、8月の北京五輪期間中、当局が政府非公認の教会を閉鎖させたり、数人の外国人活動家を「違法な宗教活動をした」などとして拘束、ビザを取り消したりしたと報じられていることを指摘。またこの1年で、チベット自治区や新疆ウイグル自治区の弾圧が強まり、3月のチベット自治区の暴動を機に、中国政府当局者がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世への批判を強めているとした。
 また北朝鮮については、「真の宗教の自由は存在しない」と厳しく批判。金正日総書記や父親の故・金日成主席の個人崇拝が政権イデオロギーの支えであり、国教のようになっていると分析している。
 特に懸念される国には、中朝のほかミャンマー、エリトリア、イラン、サウジアラビア、スーダン、ウズベキスタンが指定された。

◎傘壊された慰謝料1億円要求、逆に罰金取られた(2008年9月20日、スポーツニッポン)
 米ニューヨークのレストラン経営者が、女性モデルに貸した高価な傘を壊されたとして、慰謝料を含め100万ドル(約1億円)を求める訴えを起こしたが、退けられた。
 傘はフランスの有名デザイナーによる限定品で5000ドルの価値があると原告は主張。傘は戻ってきたときには二つに折れていたという。
 裁判所は訴えを退けた上、取るに足らない訴えで裁判所の人的資源を浪費したと指摘。原告の弁護士に500ドルの罰金支払いを命じた。

◎ミャンマーなど20か国を「麻薬密輸・密造国」に指定(2008年9月18日、読売新聞)
 ブッシュ米政権は16日、麻薬密輸と密造に関する年次報告を発表し、ミャンマーとベネズエラ、ボリビアがこの1年間、麻薬取り締まりについての国際的義務を果たしていないと断定した。
 報告はまた、3か国に加え、アフガニスタン、コロンビア、メキシコ、インド、パキスタン、ペルーなど計20か国を「主要な麻薬密輸・密造国」に指定した。

◎民間軍事会社の活動規制に初の指針、米など17か国が合意(2008年9月18日、読売新聞)
 米国、英国など17か国は17日、スイス西部モントルーで「民間軍事会社(PMC)」の活動を規制するための指針で合意した。
 指針には国際法上の拘束力はないが、イラクやアフガニスタンで民間人銃撃事件などを起こし問題になっているPMCの行動規制を目指した国際的な約束ができるのはこれが初めて。
 指針は、〈1〉PMCの設立を認可制にするなど、政府がPMCの管理を強化する〈2〉各PMCが社員に国際人道法を学習させることを義務づけ、同法違反を犯した社員を罰する社内規程を設けさせる――などを盛り込んだ。また、深刻な法律違反があった場合、関係諸国が法的な責任を追及するとした。
 指針作りは、スイス政府と赤十字国際委員会(ICRC)が音頭を取り、2006年1月に始まった。この日、合意した国の中には、米英両国のほか、イラク、アフガニスタン、中国などが含まれる。

◎米の交通死20%減、ガソリン高、節約で速度控えめ?(2008年8月31日、朝日新聞)
 米国でガソリン価格が高騰するなか、交通事故による死者が大幅に減っていることがミシガン大の研究でわかった。燃費向上のためにドライバーがスピードを落としていることなどが背景とみられ、このペースが続けば、今年の全米の交通事故死者数は1961年以来初めて、4万人を下回る可能性があるという。
 同大交通研究所のマイケル・シバク教授は、ガソリンの売上高や、全米の車の総走行距離、交通事故死者数に関する統計を2年分集め、今年4月までの1年間について前年同月比を計算した。
 その結果、昨年10月ごろから、それまで横ばい傾向だったガソリンの売上高や総走行距離が減り始め、同時に死者の減少傾向が目立ってきた。特に今年3月と4月、ガソリン売上高や総走行距離の減少が1〜4%程度だったのに、死者は約20%も減った。
 同教授は「ガソリン価格が1ガロン(約3.8リットル)当たり3.2ドルを超えたこの時期に、ドライバーの行動に大きな変化が起きたと考えられる」と指摘する。
 その変化として同教授は(1)燃料を節約するためにドライバーがスピードを落とすようになり、事故が起きても軽いものになった(2)飲酒運転や夜間運転になりがちなレジャー目的の運転が減った――などを挙げる。

◎肥満防止でファストフード出店禁止へ、米ロサンゼルス(2008年8月21日、産経新聞)
 肥満防止のためにファストフード店の新規出店を1年間禁止する条例案がロサンゼルス市議会で可決され、論議を呼んでいる。同様の措置を求める動きは他都市にも波及しつつあり、レストラン業界団体は「ファストフード店だけが肥満の原因ではない」と、条例化を阻止する構えだ。
 ロサンゼルス市議会で20日までに可決された条例案は、低所得者が多い南ロサンゼルス地区で住民の肥満が目立つことを受け、同地区へのファストフード店の新規出店を1年間禁止するというものだ。市議会では先月末に全会一致で可決され、現在市長の署名待ちとなっている。
 特定の形態の飲食店を禁止する条例は全米でも初めてとみられる。ロス市当局の調査によると、南ロサンゼルス地区の成人の肥満者率は30%、同地区の飲食店に占めるファストフード店の割合は73%と、いずれも市内の平均を大きく上回っている。
 同様のファストフード店出店禁止条例案はカリフォルニア州のサンノゼ市議会でも提案されており、他都市にも広がりつつある。これに対し、全米レストラン協会は「肥満の原因は複合的で、ファストフード店だけが標的にされるのは不公平」と反発している。
 肥満者の増加は米国で大きな社会問題となっている。米市民団体「アメリカの健康への信頼」(本部ワシントン)の調査では、成人人口の3分の2が太り気味か、肥満とみられている。1980年には、全米の肥満者率は15%に過ぎず、91年の段階でも20%を超える州はなかったが、現在では、28州で肥満者率が25%を超えているという。

◎「冷房時はドア閉めよ」NYで法案可決、違反2度で罰金(2008年8月16日、朝日新聞)
 冷房をいれたらドアをきちんと閉めましょう――。そんな当たり前の心得を定めた法案が14日、ニューヨーク市議会で可決された。この日は同市を襲った大停電から5年にあたり、夏季の電力需要ピークを下げる効果が期待されている。
 市内の商業ビルと一定規模以上の小売店が対象で、違反すると最初は警告処分で済むが、2度目は200ドル(約2万2千円)、3度目はさらに倍の罰金を科される。電力会社によると、約千平方メートルの小売店がエアコン稼働中にドアを開けっ放しにすると、1カ月当たりの電気料金が250ドル増え、ひと夏で2トンの二酸化炭素が余計に発生する計算だという。

◎国際社会、紛争の即時停止訴え、米「部隊撤収」でロシア牽制(2008年8月9日、産経新聞)
 南オセチア自治州での紛争が本格化したことで、国際社会は8日、「紛争当事者の自制を求める」(ペリーノ米大統領報道官)など、事態の沈静化をロシア、グルジア双方に訴えた。しかし、同日未明まで国連安保理で協議された停戦を求める声明案をめぐっては、グルジア政府を支持する米国が「部隊撤収」を掲げて露側を牽制(けんせい)し合意が見送られるなど、紛争解決の糸口は見いだせない状況だ。
 米ホワイトハウスによると、北京五輪の開会式に出席したブッシュ米大統領とロシアのプーチン首相は、8日の昼食会で南オセチア情勢について協議した。
 協議内容は明らかにされていないが、大統領に同行しているペリーノ報道官は、ロシア、グルジア双方と米政府が接触中だと確認。「衝突を抑え、直接対話によって問題解決を図るよう求める」と述べるなど、停戦協議の実現に向けて米側が外交努力を続けていることを示唆した。
 米外交当局者によると、7月中旬にグルジアを訪問したライス国務長官は、南オセチア情勢の緊迫を受けて、「紛争回避による政治解決」を強く要請していた。米国務省は、グルジアの領土主権は支持する構えをみせている。
 北大西洋条約機構(NATO)への早期加盟を求めるなど、親米路線を取るグルジアのサーカシビリ政権に対し、米側は同国政府軍の訓練を目的とする米軍の軍事顧問団(約1100人)を最近まで派遣していた。また、イラク派遣部隊の訓練にあたる米軍要員など約120人がなお派遣中という緊密な関係にある。
 米国防総省のホイットマン報道官は8日、グルジアの関係当局と同日接触したことを確認する一方、軍事的な支援要請については否定し、米国による軍事的な関与についての観測を退けた。
 紛争の本格化を受けた国連安保理での協議は、「武力行使の放棄」を掲げるロシアの提案に対し、領土主権の防衛をたてに「自衛の軍事行動」を主張するグルジア側がこの表現に反発。米側がグルジアの意向を受けて問題部分の削除を主張し、協議は8日未明までまとまらなかった。
 ロシア軍戦車部隊の地上侵攻に対し、グルジア側が露軍機を撃墜するなど紛争が拡大していることで、隣接する欧州では事態への懸念が急速に高まっている。
 ロイター通信によると、NATOのデホープスヘッフェル事務総長は8日、「われわれは事態の推移を注意深く見守っている。NATO事務総長として、紛争当事者に戦闘の即時停止と直接対話を呼びかける」との談話を発表した。
 欧州安保協力機構(OSCE)では、フィンランドのスタッブ外相が「南オセチアでの戦闘は、紛争地域が本格的な戦争状態に陥る危険をはらんでいる」との情勢認識を示すなど、欧州域内の懸念はさらに広がる気配をみせている。

◎米原潜:放射能漏れ、寄港地に怒り、佐世保、沖縄、横須賀(2008年8月8日、毎日新聞)
 米原子力潜水艦ヒューストンの放射能を帯びた冷却水漏れは06年6月からだった。いずれの寄港地でもデータに異常はなかったが、長崎の被爆者は「長崎をだましてきたのか」と不信感を募らせ、佐世保、沖縄、新たに明らかになった横須賀の各寄港地から怒りや不安の声が上がった。
 神奈川県の横須賀港には07年1月に寄港していた。9月末に原子力空母「ジョージ・ワシントン(GW)」の配備を控える横須賀市で、GW配備反対の市民運動を進める呉東正彦弁護士は「(横須賀寄港時から)1年半以上事故の通報がなかったのは、市民がだまされていたことになる」とコメントの中で不信感をあらわにした。5月にはGW艦内で火災も起きており、相次ぐ原子力艦の事故に「市民の不安はますます高まった」としている。
 横須賀市には7日午後2時半ごろ、外務省から連絡があった。蒲谷(かばや)亮一市長は「人体や環境には影響が全くないと聞いている」としながらも「米側にはしっかりとした対応を求めたい」とコメントした。
 松沢成文知事も記者団に「小さな事故」と繰り返したが、事故が相次いでいることには「神奈川県にとっても不安を与える。原因究明と再発防止策を米側に強く求めていきたい」と述べた。
 被爆者で長崎原爆被災者協議会の会長、谷口稜曄(すみてる)さん(79)は「米国、日本両政府は長崎をだましてきたことになる」と指摘。原子力艦の寄港に反対している市民団体「佐世保軍事問題研究会」の篠崎正人事務局長は「きちんとした説明がないままでは、市民の安全が考慮されているとは言えない」と米海軍を批判した。
 沖縄で反基地運動を進める平和市民連絡会の当山栄事務局長は、01年9月の同時多発テロ以降、米原潜の入港事前情報を日本政府と自治体が非公表としていることを例に「情報隠しの一環だ。許し難い」と非難した。

◎米原潜:放射能漏れは2年間続く、その間日本に11回寄港(2008年8月8日、毎日新聞)
 外務省は7日、米原子力潜水艦「ヒューストン」から微量の放射性物質(放射能)を含む冷却水が漏れていた問題で、放射能漏れは06年6月から08年7月までの約2年間続いていたことが確認されたと発表した。同日、在日米大使館から外務省に連絡があった。その結果、新たに同原潜が横須賀基地(神奈川県)に寄港中にも放射能漏れがあったことが判明した。
 外務省によると、米側からは7日朝に口頭で連絡があり、午後に文書で正式に報告が届いた。
 それによると、放射能漏れがあった2年1カ月間でヒューストンは佐世保基地(長崎県)へ06年7月から08年4月までに5回、計16日間寄港。放射能の推定放出量の合計は13キロベクレル未満。横須賀基地は07年1月の1回、5日間寄港して3.5キロベクレル未満。ホワイトビーチ基地(沖縄県)へは07年3月から08年3月まで5回寄港し、計9日で6.3キロベクレル未満の放射能を放出したとしている。
 漏れた放射能の総計は、22.8キロベクレル以下で、ラドン温泉2リットルが含む放射能だという。米側は「漏えい量は極めて少なく、人体、海洋生物、環境を危険にさらすものではない」と説明したという。しかし米側は、漏えいが始まった時期を06年6月と特定した理由を日本側に説明していない。外務省は「米側に説明を求めている状況」という。
 米海軍は、ハワイで先月24日に行われたヒューストンの定期点検中に、原子炉のある推進システムとつながる配水管のバルブから、冷却水がしみ出ていることを発見し、同月31日(日本時間1日午後)、日本に連絡。日本政府は2日午前、同原潜の寄港先として当初判明した長崎県と佐世保市、沖縄県に通報した。

ことば:攻撃型原子力潜水艦ヒューストン
 82年9月に就役し、グアムを母港とする。排水量約7000トン、全長約110メートル、乗員約130人。米海軍で最も多く建造されているロサンゼルス級で、動力は原子力蒸気タービンエンジン(原子炉1基と蒸気タービン2基)。トマホーク巡航ミサイルの積載能力を持つ。89年に人気映画「レッド・オクトーバーを追え」の撮影にも使われた。一方、00年に横須賀へ航行中にスクリューに故障を起こすなど、度々事故や故障に見舞われている。

◎米原潜:日本政府「人体に影響ない」と未公表、放射能漏れ(2008年8月2日、毎日新聞)
 外務省によると、米原潜ヒューストンは、燃料補給などを目的に今年3月12日、沖縄県うるま市のホワイトビーチ沖に1時間程度停泊したほか、3月27日〜4月2日と、同6日の2回、長崎県佐世保市の佐世保港に寄港した。放射能漏れに関する情報は、在日米国大使館と米海軍を通じ、1日午後、日本政府に連絡があった。しかし、日本政府は「人体に影響はない」として公表せず、2日午前になって、同原潜の寄港先の長崎県と佐世保市、そして沖縄県にそれぞれ通報したという。
 米政府から外務省にあった連絡では、ハワイで行われている「ヒューストン」の定期点検中、冷却水がしみ出していることが確認されたが、漏水がいつから始まったのかは不明という。
 町村信孝官房長官は2日の記者会見で、「報道が先行したのがよくない。放射能漏れということもあるので、外務省は米政府から連絡があればすぐに首相官邸に報告すべきだった」と述べ、外務省の対応を批判した。

◎米原潜:放射能漏れか、佐世保にも寄港、日本政府に伝達(2008年8月2日、毎日新聞)
 米CNNテレビによると、複数の米海軍当局者は1日、今年3月に長崎県・佐世保の米軍基地に寄港したロサンゼルス級攻撃型原潜ヒューストンが、微量の放射能が混じった水を漏らしていた可能性があることを明らかにした。日本政府に対しても同日、事故の概要を伝えたとしている。
 漏れた放射能は極めて微量で、検出困難なレベルという。ヒューストンは3月から佐世保のほか、ハワイやグアムに寄港。7月の検査で、放射能の混じった水が漏れていたことが発覚した。

◎米国:炭疽菌事件、自殺研究者の単独犯行、捜査終結へ(2008年8月7日、毎日新聞)
 米司法省は6日、01年秋に米国で炭疽(たんそ)菌を同封した郵便物で5人が死亡した事件で、陸軍感染症医学研究所(メリーランド州)に勤務し、先月末に自殺したブルース・アイビンス氏(62)が単独で実行したとの捜査結果を発表した。犯行に使われた特殊な炭疽菌をアイビンス氏が保管していたことが確認されたという。
 米連邦捜査局(FBI)は6日、遺族らへの説明後、捜査関連資料の一部を公開。司法省はアイビンス氏がすでに死亡していることを受け、7年近くに及んだ捜査を終結させる。アイビンス氏は推定無罪となる。
 司法省によると、犯行に使われた炭疽菌の追跡捜査の結果、アイビンス氏が開発した炭疽菌の胞子と同一だったことが昨年になって判明したという。アイビンス氏は当初、ニセのサンプルをFBIに提出していた。
 テイラー連邦検事は記者会見で「アイビンス氏は事件前の01年夏から秋にかけて精神的に不安定だった。炭疽菌のワクチン開発に失敗し、仕事に行き詰まっていた。アイビンス氏の単独犯行だったと確信している」と述べた。アイビンス氏の弁護士は改めて無実を主張している。
 事件は01年9月の同時多発テロ直後に発生。上院議員事務所やマスコミなどに送付され、死亡した5人のほか17人が発症して治療を受けた。米政府は同時多発テロと関連付けて「生物テロ」と非難、全米を震撼(しんかん)させた。

◎炭疽菌事件は米軍研究者の単独犯行と断定、米司法省(2008年8月7日、朝日新聞)
 米司法省は6日、01年の米同時多発テロ後に起きた炭疽(たんそ)菌事件を、先月自殺した米陸軍感染症医学研究所(メリーランド州)のブルース・アイバンス博士(62)の単独犯行だったと断定し、捜査終結の手続きに入ると発表した。
 発表によると、同博士は有名な炭疽菌の専門家。ワシントンにある上院議員の事務所に送りつけられた手紙から見つかった炭疽菌のDNA鑑定結果から、その菌が博士が1人で管理していたフラスコで保管されていたとわかった。
 同博士は、炭疽菌を乾燥させる特殊な機械の操作経験があるほか、炭疽菌入りの手紙が送りつけられた時期、夜間や週末に1人で研究所で仕事をしていたこともわかった。同博士は取り調べに対し、その理由を十分に説明ができなかったという。
 博士は7月29日、研究所近くの自宅で遺体で見つかった。捜査当局は自殺と断定した。
 炭疽菌事件では5人が死亡、10人以上に感染による症状が出た。同時多発テロ直後で、バイオテロとして全米を恐怖に陥れた。

◎炭疽菌事件への関与疑われる研究者が自殺と、米紙報道(2008年8月1日、CNN)
 1日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、01年秋に米国で起きた炭疽(たんそ)菌事件で近く起訴される見通しだった研究者が、自殺していたことが分かったと報じた。
 同紙によると、この研究者はメリーランド州フォート・デトリックにある生物兵器研究施設に過去18年間勤務していたブルース・E・イビンズ博士(62)。炭疽菌事件を調べている米連邦捜査局(FBI)が容疑者として特定した人物とされ、本人もそれを知らされていたという。
 イビンズ博士は7月29日、同州内の病院で死亡した。同紙は匿名の同僚や家族らの話として、同博士が大量の鎮痛剤などを服用して自殺したと伝えた。
 米司法省は、この報道についてコメントしていない。
 同博士は炭疽菌研究の第一人者として知られ、最近では、7月初めに専門誌に発表された肺炭疽の治療に関する論文でも、共同執筆者として名を連ねていた。
 米同時多発テロ直後に起きた同事件では、報道機関や政府機関に炭疽菌入りの郵便物が送り付けられ、計5人の死者が出た。

◎米での特許出願、40年ぶり日本上回る、世界特許報告(2008年8月1日、日本経済新聞)
 世界知的所有権機関(WIPO)が31日発表した2008年版世界特許報告によると、米特許商標庁に出された特許出願件数は06年時点で42万5966件となり、日本の特許庁への出願を約40年ぶりに上回った。米国が早く出願した企業や個人に特許を与える「先願主義」に転換する動きを先取りし、申請を急ぐ動きを反映している。
 企業や個人などが特許を出願した件数を出願主体が属する国別でみると、日本は51万4047件で首位を維持した。06年の世界全体の特許出願件数は前年比4.9%増の176万件。中国(32.1%増)、韓国(6.6%増)、米国(6.7%増)などの伸びが増勢を支えている。

◎ビル・ゲイツ氏とNY市長、禁煙運動に5億ドル(2008年7月24日、朝日新聞)
 屈指の大富豪として知られるマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏とブルームバーグ・ニューヨーク市長は23日、総額5億ドル(約540億円)を投じて世界各国で禁煙運動を進める計画を、同市内で発表した。
 ブルームバーグ市長は過去に寄付した資金を含めて3億7500万ドルを、ゲイツ氏は1億2500万ドルを投じ、中国、インド、ロシアや途上国での喫煙規制、メディアなどによる禁煙キャンペーンを援助する。ゲイツ氏は「喫煙が引き起こす疾患は途上国にとって最大の難問の一つ。何百万人もの命を救う方法を私たちは知っている」と語った。
 ゲイツ氏と、経済系情報会社を設立したブルームバーグ市長はともに、世界の長者番付に名を連ねる大資産家。同市長は、市内のバーやレストランを全面禁煙とする施策をとったことで知られる。

◎“肥満大国”また太った!4人に1人が…(2008年7月18日、スポーツニッポン)
 米疾病対策センター(CDC)は17日、昨年実施した調査で、米国の成人の4人に1人にあたる25.6%が「肥満」と判明したと発表した。2005年の前回調査では23.9%で、米国人の肥満傾向がより進んでいることが証明された。
 調査は、体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割った体格指数(BMI)が30以上を「肥満」と定義。地域別では南部が27%と最も高く、アラバマ、ミシシッピ、テネシー各州では30%超。一方、最も肥満率が低かった地域は西部の22.1%で、州別で最も低かったのはコロラド州の18.7%だった。
 調査は全米35万人以上を対象に、電話での聞き取りで実施された。

◎4人に1人が「肥満」 米成人、さらに悪化(2008年7月18日、産経新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は17日、昨年実施した調査で、米国の成人の4人に1人にあたる25.6%が「肥満」と判明したと発表した。2005年の前回調査では23.9%で、米国人の肥満傾向がより進んでいることが証明された。
 調査は、体重(キロ)を身長(メートル)の二乗で割った体格指数(BMI)が30以上を「肥満」と定義。地域別では南部が27%と最も高く、アラバマ、ミシシッピ、テネシー各州では30%超。一方、最も肥満率が低かった地域は西部の22.1%で、州別で最も低かったのはコロラド州の18.7%だった。
 調査は全米35万人以上を対象に、電話での聞き取りで実施された。

◎米「盗聴」法が成立、大統領署名(2008年7月11日、日本経済新聞)
 ブッシュ米大統領は10日、国際テロやスパイ活動の容疑者への通信傍受を定めた海外秘密情報監視法(FISA)改正案に署名、同法が成立した。政府の情報機関は裁判所の令状なしに、電話の盗聴や電子メールの閲覧などができるようになる。ただ、政府による通信傍受への反発は米国内で根強く、合憲性を問う議論が今後も続きそうだ。
 大統領は同日、署名にあたり「敵が誰と何を話し、何を計画しているかを知らねばならない」と記者団に語った。同時に「この法律は米国への新たな攻撃を防ぐ上で極めて重要だ」と令状なしの通信傍受の必要性を訴えた。
 改正法は米国に対するテロを未然に防止することを目的としたもの。米国外でテロが計画される状況を想定し、外国にいる人物の通信傍受を認めている。この際に海外と米国との電話や電子メールも監視対象となるため、米国民のプライバシーを侵害するとの批判につながっている。同法では情報提供に協力する通信会社の免責事項も盛り込んでいる。

◎米国:「令状なし盗聴」合法化へ(2008年7月10日、毎日新聞)
 米上院は9日、テロ対策の一環として令状なしの盗聴政策を法制化する「改正外国情報監視法案」を賛成多数で可決した。同法案は先月すでに下院を通過しており、ブッシュ大統領の署名を経て成立する。盗聴に協力した通信会社などを訴訟から守る免責条項を盛り込むなどブッシュ政権の意向を強く反映した内容になっている。
 改正法案は国家安全保障局(NSA)に対し、「緊急」と認められる場合は令状なしで盗聴できるとした。法案審議では「国家の安全」と「個人の人権」のバランスが問われ、上院は賛成69、反対28で可決した。次期大統領を目指す共和党のジョン・マケイン上院議員は投票せず棄権。民主党のバラク・オバマ上院議員は「令状なしの盗聴」を強く批判する姿勢を示していたが、賛成に回った。
 政権は01年9月の米同時多発テロ後、大統領権限で秘密裏に「令状なし盗聴」を開始。05年12月、米紙の報道で実態が明らかになり、人権団体などが「プライバシーの侵害」と批判していた。

◎格付け大手3社「不公正」、甘い評価で手数料稼ぎ、米証取委(2008年7月10日、読売新聞)
 米証券取引委員会(SEC)は8日、米欧の格付け会社3社に対する調査結果を発表した。
 格付けを依頼する企業との癒着や、格付けの公正さが疑われる慣行など「深刻な問題があった」(クリストファー・コックス委員長)と指摘した。SECは、癒着防止や投資家への情報開示の拡充などを柱とする新たな格付け会社規制案を検討している。
 調査対象は、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とフィッチ・レーティングスの業界大手3社。
 報告によると、昨年来の金融不安のきっかけとなった米低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)債権を組み込んだ証券化商品を巡り、商品の格付けを依頼した企業と格付け会社が手数料を決める交渉に、格付けを決めるアナリストが加わっていたケースが多数あった。
 格付けは、商品の信用力を客観的に評価して投資家に知らせることが本来の役割だが、実際には、手数料を多くもらうために、甘い評価をするような「利益相反」の慣行があり、「慣行を防ぐ手だても不十分だった」(コックス委員長)ことが分かった。
 サブプライム問題では、ムーディーズなどが2007年夏、一度に大量の証券化商品の格付けを引き下げたことが、金融混乱を招いた一因とされる。
 この経緯についても、調査報告は、格付け会社と依頼主企業の癒着によって、サブプライム関連商品が当初は甘い評価で「不適切に格付けされた」と指摘し、これが後に大量の格下げにつながったことを示唆した。
 さらに「02年以降は、債務担保証券(CDO)などの複雑な証券化商品の格付け依頼が増え、人手不足で正確な評価ができなかった」という、ずさんな管理体制も明らかになった。
 証券化商品の評価理由などについて、投資家への情報開示が不十分だったことも指摘された。

◎米国:イランに追加制裁、「核開発関与」の6人と5法人(2008年7月9日、毎日新聞)
 米財務省と国務省は8日、イランの核・ミサイル開発に関与しているとして、イランの6個人、5法人に対して米国内の資産を凍結し、米国企業・個人との取引を禁止する追加制裁を発動した。
 制裁の対象となったのは、イラン中部ナタンツの核施設でウラン濃縮活動などに携わるダウード・アガジャニ氏や、イラン革命防衛隊、航空宇宙産業機構などで弾道ミサイル開発にかかわった責任者ら。法人ではイラン防衛産業機構傘下の企業などが含まれている。
 ウラン濃縮活動を続けるイランに対しては、欧州連合(EU)が先月23日、イラン国営メリ銀行のEU域内の資産凍結と営業停止などの制裁実施で合意。北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の首脳宣言でも、イランの核開発について「深刻な懸念」の表明が盛り込まれた。

◎街角:ロサンゼルス、岐路に立つ日本人街(2008年7月6日、毎日新聞)
 リトルトーキョーと呼ばれるロサンゼルス市中心部の一角は、日本食レストランが集中し、観光ガイドにも紹介されるなど米国の代表的な日本人街の一つだ。最近、日系スーパーが入っているショッピングセンタービルが、韓国系投資家に買収された。
 この地区では昨年来、ロス疑惑の舞台となった旧ニューオータニホテル(現・京都グランドホテル)、やぐらの周囲に飲食店街があるジャパニーズ・ビレッジ・プラザと、代表的な施設が相次いで中東系、米系資本に買収された。いずれも日本の趣を残したままだが、韓国系の新オーナーは韓国風または米国風の商業施設に改装する案を表明している。
 ロスの日系人や日本人ビジネスマンは郊外へと拡散し、リトルトーキョーでは韓国系住民が急増している。今回買収されたビルの居酒屋も日系の客は4割足らずで、韓国、中国系の客が増えているという。日本色が次第に薄まる中、新しいニーズに合った店作りを、というわけだ。
 だが、地元でコミュニティー支援を行ってきたリトルトーキョーサービスセンターのビル・ワタナベ所長(64)は、一連の動きを「リトルトーキョーにとっての岐路」と受け止め、「新オーナーは地元の日系社会と話し合うべきだ」と訴える。日系人にとって、リトルトーキョーが100年以上前からロスの町づくりに貢献してきた歴史のシンボルと映るからだ。
 若者から敬遠されがちな街にどう活気を取り戻すか、日系社会の模索が続いている。

◎【円ドル人民元】うごめきだした対北朝鮮利権獲得(2008年7月5日、産経新聞)
 米政府の対北朝鮮テロ支援国家指定解除決定を受けて、英国のロンドンではウランを含む対北朝鮮の鉱山利権獲得を目指す投資ファンドが相次いで本格的な活動に入った。代表的なファンドは「朝鮮開発ファンド」と呼ばれ、米政府の解除の動きが表面化した昨年10月に資金規を当初予定の500万ドルから1000万ドルへと倍増させた。別の投資家グループは対韓国株式投資を目的とした「三王国韓国ヘッジファンド」の投資候補先を北朝鮮とのビジネス取引がある現代グループなど韓国企業に絞り、これら韓国企業と共同で対北朝鮮投資を目指す。国際金融筋によれば、これらのほかにも同じくロンドンや香港に本拠を置くいくつかの投資家グループが対北投資ファンドの設立を目指しているという。
 ブッシュ米大統領は6月26日にテロ支援国家リストから北朝鮮を外すと発表した際、「北朝鮮の金融および外交的孤立にほとんど影響を及ぼさない」と語った。確かに米国は核実験関連など対北経済制裁を残しているが、テロ支援国家ではないとの政治的お墨付きが出たことで、米国の投資家はロンドン経由でファンドに参加しやすくなった。さらに金融取引規制や軍事転用可能物資の対北輸出規制が緩和されるし、経済支援や世界銀行など国際金融機関の対北融資にも道が開かれる。米国企業や個人が現地で上げた収益に対する税制も一般の外国並みになる。
 今回の指定解除では、北朝鮮のウラン濃縮が「核申告」から除外され、事実上不問に付された。この動機は謎だが、金融面からみるとかなりはっきりする。朝鮮開発ファンドはもともと、米国を本拠にする計画で準備が進められていた。代表者の元英国海軍技術将校のコリン・マクアスキル氏は2001年9月、国務省東アジア・太平洋担当のケリー次官補(当時)から「米国法に合致すればファンドに反対しない」との言質を取り付けた。ところが、ファンド設立間際になっていた2002年10月、北朝鮮のウラン濃縮疑惑が表面化し、米国の投資家が手を引いたために、本拠をロンドンに移したいきさつがある。
 北朝鮮はウランや金、チタンなど鉱物資源が豊富で、米国の穀物・金属商社カーギル、鉱山開発技術を持つエンジニアリング大手のベクテル、さらにゴールドマン・サックス、シティ・グループの金融大手などがウラン濃縮疑惑が表面化するまでは対北朝鮮投資に強い関心を寄せていた。
 マクアスキル氏は冷戦の最中の1970年代末から一貫して故金日成国家主席および金正日労働党総書記直轄の「首領系企業」集団との鉱物取引にかかわってきた。ワシントンとも強力なネットワークを持ち、昨年のマカオの銀行「BDA」口座の北朝鮮資金凍結についても、米財務省に対し強く凍結解除を促した。
 朝鮮開発ファンドには米国務省北朝鮮担当元高官のリン・ターク氏もアドバイザーとして参加している。ブッシュ政権によるウラン濃縮疑惑の棚上げは、平壌・ロンドン・ワシントン・の三角コネクションを復活させ、北朝鮮のウラン資源利権獲得で米英が先行する道筋をつけたようだ。これまでは中国系資本が北朝鮮の鉱山利権をほぼ独占してきたが、ウランは含まれていない。

◎車社会アメリカでもガソリン最高値更新(2008年6月4日、読売新聞)
 米エネルギー情報局(EIA)は2日、全米のレギュラーガソリンの平均小売価格が前週比0.039ドル高の1ガロン(約3.8リットル)=3.976ドルとなり、最高値を更新したと発表した。
 原油価格の高騰で、1ガロン=4ドル台目前まで迫った。過去最高の更新は10週連続で、前年同期比では0.819ドル高となった。
 1リットル当たりに換算すると、約109円となる。日本と比較すればまだ安いものの、前年同期に比べると20円以上も値上がりした形だ。車社会の米国では、国民生活への影響も深刻さを増しつつある。

◎中国当局、米商務長官のPCデータ盗み→システム侵入図る(2008年5月30日、読売新聞)
 AP通信は29日、中国当局者が昨年12月に北京を訪問したグティエレス米商務長官のノートパソコンのデータをひそかにコピーし、同情報を基に商務省のコンピューターシステムへの侵入を図っていたことが分かった、と報じた。
 複数の関係者が同通信に語ったところでは、中国当局による「データ盗み出し」は、商務長官が中国側との貿易協議に出席した際、パソコンの前を短時間離れたすきに行われたと見られ、商務省のシステムへの侵入は少なくとも3回試みられていたことが確認された。関係者によれば、具体的な被害は出ていないという。
 商務省や国防総省、国務省などの米主要官庁は2006年以降、中国から頻繁にサイバー攻撃を受けているとされ、商務省は職員個人のパソコンから同省のコンピューターネットワークへのアクセスを禁止するなどの対策を講じている。

◎カビだらけになりコウモリ衰弱死、米北東部で奇病広がる(2008年5月10日、読売新聞)
 米北東部で、冬眠中のコウモリがカビだらけになって衰弱死する奇病が広がっている。
 今年は、5州の洞窟や坑道30か所で、計数万匹が死んだ。原因は不明。人間に感染する恐れも否定できず、米地質調査所は「死骸を見つけたら触らず、報告を」と呼びかけている。
 この奇病は昨年2月、ニューヨーク州で見つかり、鼻先がカビで真っ白になることから「白い鼻症候群」と名付けられた。今年、病気が発生した洞窟では、絶滅の危険があるインディアナコウモリを含め、何種類ものコウモリが軒並み犠牲になり、死亡率は80%以上とほぼ全滅状態。死んだコウモリはやつれて体脂肪がなくなり、カビも1種類でないことなどから、同調査所は「カビは原因というより、衰弱の結果ではないか」とみている。
 米魚類野生生物局は「夏にはコウモリ1匹がひと晩で3000匹もの虫を食べる。雌は1年に1匹しか子を産まない」と、激減による生態系への影響を心配している。

◎知的財産権侵害、中国など9か国を優先監視国に、米通商代表部(2008年4月26日、読売新聞)
 米通商代表部(USTR)は25日、米通商法スペシャル301条(知的財産権の侵害国・行為の認定と制裁条項)に基づく年次報告書を発表した。
 中国やロシア、インド、タイなど9か国を「優先監視国」に指定し、市場に出回っている映画や音楽の海賊版DVD、CDなどの摘発を強化し、著作権侵害の取り締まりを徹底するよう求めた。
 特に中国に対しては、中国国内で販売されているCDなどの約9割が海賊版で、知的財産権の違反行為が横行していると厳しく批判し、今後も2国間交渉などで改善を促していく方針を示した。
 USTRのシュワブ代表は、「海賊版などは単にアイデアを盗んでいるだけでなく、仕事を奪っている。米国は、知的財産権の保護に向けてリーダーシップを発揮していく」とのコメントを発表した。

◎黒人男性に銃弾50発浴びせ殺害、NYの3警官に無罪評決(2008年4月26日、読売新聞)
 米ニューヨーク・クイーンズで2006年11月、黒人男性(当時23歳)が警察官から50発の銃弾を浴びて殺害された事件で、ニューヨーク州の裁判所は25日、故殺(一時的な激情による殺人)の罪に問われていた警官3人に無罪の評決を下した。
 事件は、同月25日未明に起きたもので、結婚式を間近に控え独身最後の夜を友人2人とクラブで楽しんだ黒人男性らが、麻薬や買春の捜査をしていた警官の制止を聞かずに乗用車を警察車両にぶつけるなどして逃走しようとしたため、警官が一斉に発砲した。
 この日の評決で、裁判官は、「検察側証人の証言には重大な矛盾点があり、被告の行動の不当性を証明できない」などとした。
 警察側は当時、この男性らが銃を所持していると判断したため発砲したと説明していたが、男性らが銃を所持していなかったことが判明し、黒人を中心とした地元住民らは「行き過ぎだ」と強く反発していた。
 米国では1992年、白人警官による黒人男性への暴行をきっかけに人種暴動が起きた。今回の評決について、住民指導者らは連邦司法当局に捜査を要請したほか、抗議行動に出る構えを示している。

◎丸腰男性に銃弾50発、黒人射殺の警官ら無罪、米裁判所(2008年4月26日、朝日新聞)
 米ニューヨーク市で06年11月、アフリカ系(黒人)男性(当時23)が警官から計50発の銃弾を撃ち込まれて死亡した事件で、ニューヨーク州の裁判所は25日、故殺(謀略のない殺人)などの罪に問われていた警官3人に無罪を言い渡した。被害男性が武器を持たず犯罪容疑者でもなかったことから、警官が人種的偏見から発砲したとの批判が黒人社会から起こっていた。
 被害男性は自らの結婚式の前夜、覆面パトカーに衝突。男性が車の中に銃を隠していると思い込んだ警官が計50発を発砲したとされる。この日の判決は、発砲は正当だったとした。裁判所の周囲は厳罰を求める市民が集まり騒然とした雰囲気に。判決後は被害者遺族や黒人グループなどが市内でデモをした。

◎シリア核施設の写真公表、北施設に酷似、米情報当局(2008年4月25日、産経新聞)
 米政府は24日、昨年9月にイスラエル軍が空爆したシリア東部の核施設や、シリアを訪れた北朝鮮科学者の写真などを公表した。破壊された原子炉は北朝鮮の寧辺にある実験用黒鉛減速炉に似ているとし、昨年8月の段階で完成間近だったという。
 米情報当局は「北朝鮮だけが過去35年間、このタイプの原子炉を建設してきた」と指摘。2001年以降、寧辺の核施設から北朝鮮の科学者がたびたびシリアを訪れたとし、北朝鮮の支援によって建設された核施設であると強調した。
 シリア人の横に立つ北朝鮮科学者の写真も公開された。英紙フィナンシャル・タイムズによると、この科学者はチョン・チブという名前で、核問題をめぐる6カ国協議にも出席していたという。
 米情報当局は施設や北朝鮮科学者の写真がいつ、だれによって撮影されたかは明らかにしていない。
 ペリーノ大統領報道官は声明で、シリアが原子炉の建設を国際原子力機関(IAEA)に通知しなかっただけでなく、原子炉が破壊された後、直ちに隠ぺい工作を行ったとして非難。シリアに対し、核活動について説明するよう求めた。
 シリアのイマド・ムスタファ駐米大使はCNNテレビに出演し、原子炉とする米政府の説明について、「空想にすぎない。この政権は他の国の大量破壊兵器についてもでっちあげてきた」と否定した。
 米情報当局は公表に先立って、上下両院の軍事委員会や外交委員会のメンバーらに非公開で説明した。
 バイデン上院外交委員長(民主)は報告を受け、北朝鮮との交渉は継続すべきとしつつも、「北朝鮮が拡散をしていないとの確認できない限り、米国は制裁を解除すべきではない」と述べ、早期のテロ支援国家指定解除には反対する考えを示した。
 北朝鮮は核計画の申告を近く行う予定となっているが、見返りにテロ支援国家の指定解除と対敵通商法の適用終了を求めている。米政府は8日に行われたシンガポールでの北朝鮮との協議で、ウラン濃縮や拡散疑惑に関しては、プルトニウムによる核計画とは別文書にし、非公開にすることで暫定合意に達したとみられている。
 米政府が北朝鮮とシリアの核協力に関する情報を公式声明で確認したのは初めて。これまで空爆についてイスラエル、米政府ともに沈黙を守ってきた。

◎「シリア施設は北朝鮮が支援した秘密原子炉」米が声明(2008年4月25日、朝日新聞)
 米ホワイトハウスのペリーノ報道官は24日、昨年9月にイスラエルが空爆、破壊したシリア東部の施設は、北朝鮮が支援した建設中の秘密原子炉で、平和目的ではなかったと信じるに足りる情報がある、との声明を出した。北朝鮮の核開発をめぐる6者協議の行方にも大きな影響を及ぼしそうだ。
 ブッシュ政権はこの日、議会上下院の外交、軍事、情報委員会メンバーらに非公開の場で、情報の詳細について説明した後、声明を出した。
 報道官の声明によると、シリアは国際原子力機関(IAEA)にこの原子炉について何も報告していなかったが、米国はこの情報をすでにIAEA側に提供している。CNNによると、米主要メディアに対する米情報機関の記者説明では、原子炉は完成まで数週間程度だったという。
 声明は「我々は、北朝鮮の核兵器計画と拡散活動に関して長年、深刻な懸念を抱いてきた。北朝鮮が秘密裏にシリアと核計画で協力してきたことはその危険な表れだ。我々はこの問題を解決する道として6者協議を選んだ。この過程を通じて、我々はほかの諸国と共に、朝鮮半島の非核化を検証可能な形で実現するよう協力している」とした上で、6者協議の継続を通じ、北朝鮮が今後他国に核を拡散しないよう厳しく検証する体制も整備することを提唱している。

◎原油高騰、米国が寛容なワケ(2008年3月18日、日本経済新聞、商品部・竹蓋幸広)
 ニューヨーク原油相場が1バレル100ドルを突破し、騰勢を強めている。米国など消費国は増産を渋る石油輸出国機構(OPEC)を批判するが、原油高の震源地は産油国でも新興国でもなく米国だ。米連邦準備理事会(FRB)の度重なる利下げがドル安を促し、年金基金などのマネーをドル資産から原油など国際商品に呼び込んだ。
 気になるのは米国の政策が原油高の主因であるドル安に対して寛容にみえる点だ。バーナンキFRB議長はインフレ懸念が強まっているにもかかわらず追加利下げを示唆している。ブッシュ大統領も戦略石油備蓄の取り崩しなどの原油高対策に自ら動こうとしない。
 FRB議長はドル安が貿易赤字縮小につながるとの判断を示している。ガソリン高で苦戦している米自動車産業などにとって輸出面の恩恵は大きい。それ以上に見逃せないのが原油高とドル安が米国の農産業にプラス効果をもたらすことだ。
 米国では高値の続くガソリンの代替燃料として、トウモロコシ由来のバイオ燃料、エタノールの需要が急拡大している。原油相場が上がるほどエタノールの競争力が高まって穀物需要が拡大し、農家の収益が潤う。ドル安も米国にとって農産物の輸出増につながる。
 ドル安と原油高の同時進行は世界経済における米国の影響力低下を印象づけた。だが米国には原油に勝るとも劣らず重要な穀物資源がある。中国などが穀物輸出を抑制すれば、需要国は米国への依存度を一段と強める。米国がドル安・原油高に寛容にみえる背景には、こんなしたたかな読みもあるのかも知れない。

◎米軍兵士の性暴力事件、1年に2688件(2008年3月16日、朝日新聞)
 米国防総省は14日、06年10月から07年9月までの1年間で、米軍兵士による性暴力事件が2688件あったとの報告書を発表した。発生件数はほぼ前年並みで、さまざまな再発防止策にもかかわらず、米兵の性暴力がなかなか減らない実態が明らかになった。
 報告書によると、性暴力事件で被害者の身元が特定された2085件のうち、米兵が被害者だったのは1511件、米兵以外は574件だった。全体の6割の1259件がレイプ事件で、このうち米兵の被害者は868人、米兵以外は391人だった。
 また、イラク、アフガニスタンを担当する中央軍の性暴力事件は174件あり、うちイラクが105件、アフガニスタンが43件だった。報告書は連邦議会に提出が義務づけられている。

◎米、中国製有毒歯磨き輸入業者を刑事告発(2008年3月7日、産経新聞)
 ロサンゼルス市は8日、有毒化学物質ジエチレングリコールが混入した中国製練り歯磨きを輸入販売したとして、ロサンゼルス郊外の貿易会社2社を刑事告発したと発表した。
 同市によると、告発された業者は2005年12月から昨年5月にかけ、ジエチレングリコール入りの練り歯磨き約7万本を中国から輸入。一部は実際にロサンゼルス市内を含む米国内で販売された。有罪になれば、両社の代表者は1年間の禁固刑を言い渡される可能性がある。
 ジエチレングリコール入り練り歯磨きは昨年春、米国を初め中米各国などでも次々に見つかり、社会問題化。米食品医薬品局(FDA)は、問題が確認された中国製練り歯磨きの使用中止を呼びかけるなどの対応をとっている。

◎2300個超の宇宙ごみ、中国の衛星破壊実験で米司令官が指摘(2008年3月5日、産経新聞)
 米戦略軍宇宙統合機能部隊のシェルトン司令官(空軍中将)は4日の上院軍事委員会小委員会の公聴会に提出した書面証言で、中国による昨年1月の人工衛星破壊実験で発生した宇宙ごみが、これまで探知されたものだけで2300個を超えることを明らかにした。
 同実験については、中国が弾道ミサイルで破壊した気象衛星の破片が宇宙空間に飛散、他国の衛星に衝突する危険が指摘されていた。司令官は、探知できない小さな宇宙ごみは「数万個」に上ると指摘、中国の実験を「無責任」と批判している。
 実験に伴う宇宙ごみの数について、民間の専門家は「1〜10センチ大のごみ約4万個」などと推測していた。米軍高官が公に確認するのは異例。
 宇宙ごみは数十年間にわたって軌道にとどまると考えられている。司令官は中国の実験で発生した宇宙ごみのうち、軌道を外れて大気圏に再突入したものはこれまで25個だけで、多くが宇宙空間にとどまって他国の衛星の障害になっていると指摘した。
 他方、米軍が今年2月、北太平洋上空で実施した洋上ミサイルによる偵察衛星破壊では「ごみの99%以上が約3カ月以内に大気圏に再突入する」と述べ、問題は少ないと説明した。

◎中国産材料の薬で死者相次ぐ、米国で製品回収(2008年3月2日、朝日新聞)
 米国で中国産材料を使った薬を注射された人の死亡が相次ぎ、米製薬会社バクスターは製品の自主回収を始めた。米食品医薬品局(FDA)が中国の工場に調査官を派遣して原因特定を急いでいるが、米紙ニューヨーク・タイムズは原材料の豚の小腸が不衛生に扱われた可能性を指摘した。
 問題の薬は、人工透析時や手術後などに血液が固まるのを防ぐのに使う抗凝固薬ヘパリン。バクスターが製造・販売する注射薬の一部で、1月ごろから重い低血圧などの副作用報告が急増した。
 米メディアによると、1月以降の副作用報告は全米で400件以上、死者は21人に達した。バクスターは2月28日、副作用報告のないものも含めて、ほぼすべてのヘパリン製品の回収を決めた。
 問題のヘパリンは、中国の家畜加工業者が豚の小腸から粗製品を作っている。米企業が保有する上海近郊の工場で加工後、バクスターが輸入して最終製品にしている。
 FDAは、工場に不衛生な点があったことや手続きミスでFDAが工場の検査をしていなかったことを認めたが、「原因はまだわからない」としている。
 一方、ニューヨーク・タイムズは、中国で昨年、豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)と呼ばれるウイルス病が流行して豚の値段が急騰した際に、工場が不衛生な零細農家などから安く粗製品を購入したとする専門家の見方を報じた。
 日本の厚生労働省医薬食品局は、問題になっている中国産材料が使われたバクスターのヘパリン製品は、日本には輸入されていないとしている。

◎スパイ衛星破壊作戦「成功」、米国防総省発表(2008年2月26日、朝日新聞)
 米国防総省は25日、制御不能になったスパイ衛星をミサイルで破壊した今月20日の作戦について、有害な燃料ヒドラジンを積んだタンクを破壊して危険を防止する目標が完全に達成され「あらゆる面で成功だった」と発表した。
 破砕された残骸(ざんがい)は3000以上の小片に分かれており、追尾、分析の結果、大多数がこれまでに大気圏へ突入しながら燃焼し、地上まで落下したものはないという。

◎米国のはしか、感染源は日本人野球少年(2008年2月22日、朝日新聞)
 昨年8月から9月にかけ米国で流行したはしかの感染源が、米国に遠征試合に出掛けた日本の少年野球の選手(12)だったことが21日、疾病対策センター(CDC)の報告書で分かった。
 CDCは昨年ミシガン州などで流行したはしかについて、感染経路を追跡したところ、8月にペンシルベニア州ウィリアムズポートで開かれた野球大会「リトルリーグ・ワールドシリーズ」に参加した日本人少年から少なくとも6人に感染していた。(時事)

◎中国、米に情報公開求める、スパイ衛星破壊(2008年2月21日、朝日新聞)
 中国外務省の劉建超報道局長は21日の定例会見で、米国のスパイ衛星破壊に対し、情報提供など「国際的な義務」を果たすよう求めた。中国は昨年1月、事前の通報なしに衛星破壊実験を行い、国際社会の批判を浴びたが、米国には「国際社会に必要な状況や関連データの提供」を求めた。
 劉報道局長は今回の米国によるスパイ衛星の破壊が「宇宙の安全や他の国家に損害を与えかねない」と指摘した。

◎制御不能の米スパイ衛星、ミサイル命中、国防総省発表(2008年2月21日、朝日新聞)
 米国防総省は20日、制御不能になったスパイ衛星を破壊するため、太平洋上のイージス艦から迎撃ミサイルSM3を発射、命中させ、破壊に成功したと発表した。米軍は21日朝、人体に有害な燃料ヒドラジンを積む燃料タンクを「破砕できた可能性は高い。残骸(ざんがい)は大気圏突入時に次々に燃焼し、これまでのところ、地上に届いたものはない」と、作戦結果に自信を示した。
 発表によると、ミサイルは米東部時間の同日午後10時26分(日本時間21日午後0時26分)、ハワイ周辺海域付近に展開する海軍のイージス艦レーク・エリーから1発発射された。高度約250キロの太平洋上で衛星に命中したとしている。
 問題の衛星は、米国家偵察局(NRO)が06年12月に打ち上げたが、直後に制御不能になった。姿勢・軌道制御に使うヒドラジンを約450キロ積載していた。ヒドラジンは有害物質で、このまま放置して落下した場合は、万が一人口密集地に落ちると死傷者が出る恐れもあるため、国際的に反響を呼び、米政府は今年1月からミサイルによる破壊を検討してきた。
 米国が、弾道ミサイルを迎撃するために作られたミサイル防衛(MD)システムを使って衛星を破壊するのは、今回が初めて。MDをめぐり対立し、宇宙開発でしのぎを削る立場のロシアや中国は懸念を示していたが、米国は人命尊重を前面に出して踏み切った。

◎米、偵察衛星をミサイルで破壊へ、人体に有害な燃料搭載(2008年2月15日、朝日新聞)
 米国防総省は14日、制御不能で地上に落下する見通しのスパイ衛星を、大気圏再突入前にミサイルで破壊する、と発表した。衛星には人体に有害な燃料ヒドラジンが積載されており、地上への飛散を回避するのが主な目的。米国のミサイル防衛システムが人工衛星の破壊に使われるのは初めて。
 発表によると、この衛星は米国家偵察局(NRO)が06年12月に打ち上げたもので、直後に制御不能になった。小型バスほどの大きさで、重さは約1.1トン。姿勢制御用燃料ヒドラジンを約450キロ積載している。2月下旬から3月にかけて地上に落下する見通し。
 国防総省の計画では、来週にも、海上配備型迎撃ミサイルSM3を発射して衛星の燃料タンクを破壊。衛星の残骸(ざんがい)は海に落ちるようにする。国防総省は破壊に失敗した場合、2回目の発射も検討している。
 会見でジェフリー大統領次席補佐官は「衛星が人口の多い地域に落下し、ヒドラジンが広がる確率は小さい。だがこのままだと、死傷者が出る可能性は残る」と述べ、人的被害を最小限にするための選択であることを強調した。
 ヒドラジンは常温で無色の液体。触れたり、蒸気を吸い込んだりすると目や鼻、皮膚などを刺激し、やけどなどを起こす。濃度が高い場合は死亡する場合もある。
 人工衛星のミサイルによる破壊は、07年1月に中国が実験として実施。破片が他の衛星などに衝突する危険性や、宇宙での軍拡競争につながりかねないとの懸念などから、米国などは中国を強く批判した。
 今回の衛星破壊について米航空宇宙局(NASA)のグリフィン長官は「中国の衛星破壊実験は高度約850キロで行われ、破片は数十年とどまるが、今回は(破壊高度が低く)破片は数カ月以内に落下する」と話し、問題はないとの認識を示した。

◎米スパイ衛星、地上に落下へ、有毒物質積載の恐れ(2008年1月27日、朝日新聞)
 制御不能になっていた米国の大型スパイ衛星が2月下旬から3月上旬にかけ、地上に落下してくる恐れのあることがわかった。複数の米主要メディアが26日、米政府当局者の話として伝えた。有害物質が積まれているとの見方もある。
 問題の衛星について米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は「06年12月に打ち上げられ、軌道投入直後に制御不能になったもの」という専門家の見方を紹介。AP通信によると「約10トンで小型バスほど」という。
 大気圏に突入した人工衛星の多くは燃え尽きるが、地上に落下することもある。今回、どこに落下する恐れがあるのかはわかっていない。米国家安全保障会議(NSC)の広報担当者は「関係政府機関が監視している。被害を抑える方法も検討中だ」とAP通信に語った。議会や関係国にも連絡ずみだという。
 積載している有害物質として、姿勢制御用燃料ヒドラジンや、搭載機器の金属ベリリウムなどが疑われている。これらに接触すると呼吸器や皮膚がおかされる危険がある。放射性物質は積んでいないとみられている。
 過去には、旧ソ連の衛星コスモス954号が78年にカナダに落ちて放射性物質をまき散らし、カナダが賠償金を求める事態になった例がある。米宇宙ステーション・スカイラブも79年、インド洋からオーストラリア西部に破片を飛散させた。

◎米軍式体操のDVD、海賊版販売したと米法人がスギ薬局提訴(2008年2月19日、読売新聞)
 米国の軍隊式エクササイズを収録したヒット商品「ビリーズ・ブートキャンプ」の続編DVDの“海賊版”を販売したとして、著作権を保有する「ガイアム・メディア・インク」(米国)が、ドラッグストアチェーン大手「スギ薬局」(東証1部上場、本社・愛知県安城市)を相手取り、製品の廃棄と2700万円の賠償などを求める訴訟を名古屋地裁に起こしていたことが19日、分かった。
 訴状によると、スギ薬局は、愛知県内の店舗などで遅くとも昨年7月からこの製品を販売。日本語の解説書に誤植があるなど、中国で大量生産された可能性が高いといい、「模倣品かどうか十分注意を払うべきだった」と主張している。
 ガイアム社側が模倣品の可能性を指摘後の昨年9月末、スギ薬局は全製品を店頭から撤去。スギ薬局は「製品を輸入した会社からは、正規の並行輸入品との説明を受けている。裁判の結果を見守りたい」としている。

◎米シャトルめぐりスパイ逮捕、中国に機密渡す目的(2008年2月12日、産経新聞)
 米司法省は11日、スペースシャトルなど航空宇宙開発に関連する機密を中国に渡す目的で盗んだスパイ行為の疑いで、米航空機大手ボーイングの元技術者(72)を逮捕したと発表した。
 逮捕されたのはカリフォルニア州在住の中国系米国人で、1973年から防衛・宇宙関連会社に勤務。この会社が96年にボーイングに買収された後は同社で働き、2003ー06年には同社の請負業者として働いていた。
 司法省によると、元技術者はシャトルやC17輸送機、デルタ4ロケットに関する機密を中国に譲り渡すため取得したり、隠すなどしていた疑い。
 これとは別に、司法省は政府の機密書類を中国側に渡したスパイ行為の疑いで、国防総省の職員ら計3人をこの日逮捕した。

◎風邪の症状、ウイルス変異で10人死亡、米で過去1年半に(2007年11月17日、読売新聞)
 風邪の症状を引き起こすアデノウイルスが変化した変異型のウイルスによって、過去1年半の間に米国で10人が亡くなったことが、米疾病対策センター(CDC)の調査でわかった。
 CDCは、感染拡大の危険性があるとして各州の公衆衛生担当者などに注意を呼びかけた。
 CDCによると、変異型のアデノウイルスは昨年5月、ニューヨーク州で生まれた新生児で初めて見つかった。新生児は脱水症状を起こし、食欲をなくして生後12日で死亡した。
 オレゴン、ワシントン、テキサスの各州でも合わせて少なくとも約140人が感染したことが確認された。
 アデノウイルスに対しては現在、効果的な治療法はなく、安静にするなどの処置が通常行われている。どのような遺伝子変異によって、症状の悪化につながっているかはまだ分かっていないという。

◎HIV感染、69年に米国へ(2007年10月30日、産経新聞)
 1969年前後にカリブ海のハイチからエイズウイルス(HIV)感染者が米国に入り、その後にエイズが世界的に拡大したことを、米アリゾナ大などの国際チームがHIVの遺伝子解析で突き止め、米科学アカデミー紀要(電子版)に29日発表した。
 世界初のエイズ患者は81年に米国で報告されたが、その12年前から米国で感染者が増えていたことになる。アフリカを起源とするHIVの拡大経路の一端を解明した研究として注目されそうだ。
 チームによると、80年代初めに感染したハイチ人5人を含む20カ国約120人の患者から採取されたHIVの遺伝子配列を解析。時間の経過とともに変化する遺伝子の変異に基づいて、HIVの時系列での移動を推計した。
 その結果、アフリカ中部から66年ごろにハイチに入り、ハイチから69年ごろに米国に入ったとの解析結果が出た。69年以前に、アフリカやハイチ、米国以外で拡大していた形跡はないという。(共同)

◎米下院外交委:アルメニア人迫害、「大虐殺」認定決議(2007年10月11日、毎日新聞)
 米下院外交委員会は10日、第一次世界大戦期のオスマン・トルコによるアルメニア人迫害を「大虐殺(ジェノサイド)」と認定する決議案を賛成27、反対21で可決した。ブッシュ大統領は「トルコとの関係に多大な悪影響を及ぼす」と自重を求めていた。両国間ではトルコからの分離独立を目指すクルド人武装勢力への対応をめぐって摩擦が高じており、米政府はイラク戦争の遂行能力に深刻な打撃を与えかねないと危機感を強めている。
 AP通信によると、賛成議員らは「道徳的な視点が安全保障上の懸念やトルコとの友好に勝った」と指摘。議会多数派の民主党は11月中旬までに下院本会議での投票、採択を目指す意向という。
 一説で最大150万人が死亡したとされる「アルメニア人大虐殺」の認定問題は、「内戦による死者」と主張するトルコと米国の間でくすぶり続けてきた。決議採択への機運は、選挙区にアルメニア系住民を多数抱える民主党議員らの主導で盛り上がった。
 議会の動きに対し、ブッシュ大統領ら米政府首脳は10日朝、トルコの反発を予期して相次ぎ懸念を表明。ゲーツ国防長官は米国のイラク向け空輸貨物の7割はトルコ経由であることを指摘した上で、「決議が採択されればトルコ国内の飛行場や道路へのアクセスは危うくなるだろう」と語り、イラク戦争への悪影響を強く警告していた。
 トルコは米国がイラクを拠点にする反トルコ武装勢力「クルド労働者党(PKK)」の取り締まりを十分に行っていないとの不満を強め、イラクへの越境攻撃も辞さない構えを見せている。米国の中東戦略で主要な位置を占めるトルコとの関係がぎくしゃくする事態は、米国の大きな不安材料となっている。

・トルコ大統領が非難
 ロイター通信によると、トルコのアブドラ・ギュル大統領は11日、米下院外交委決議について「米国の一部政治家は理性的にとの呼びかけに耳を貸そうとせず、国内の小さな政治的駆け引きのために大きな問題を犠牲にした。受け入れがたい決定であり、トルコ人にとって全く意味のないものだ」と非難した。

◎米、ミャンマー政権高官の資産凍結(2007年9月28日、日本経済新聞)
 僧侶・市民らによる大規模な反政府デモが続き、邦人の死者を出したミャンマー軍事政権に対し、米国は27日、新たな制裁措置を発動、中国には影響力を行使するよう求めた。東南アジア諸国連合(ASEAN)は武力行使の停止などを求める議長声明を発表した。ミャンマーへの国際社会の圧力が一段と強まってきた。
 米政府は同日、ミャンマー軍政トップのタン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長を含む14人を対象に、米国内にある資産凍結などの制裁措置を発動した。ブッシュ大統領は声明で「軍政に影響力を持つすべての国」に圧力をかけるよう求めた。
 米財務省が発動した制裁の対象はタン・シュエ議長やSPDCのマウン・エイ副議長ら個人に加え、SPDCや国営3銀行を含む。資産凍結と米国の金融機関や企業との取引を禁じる内容だ。これとは別に、米政府は複数の軍政高官が米国に渡航するのを禁じる措置を講じた。

◎米、中国製玩具を追加回収・木製「トーマス」、日本でも無償交換(2007年9月27日、日本経済新聞)
 中国製の玩具の回収が相次いでいる問題で、米消費者製品安全委員会(CPSC)は26日、幼児向け人気キャラクター「機関車トーマス」関連の木製玩具20万個を米国内で追加回収すると発表した。日本でも1万5311個が販売されており、無償交換に応じる。
 塗料のなかに安全基準を超える鉛が使われている恐れがあるため。米玩具メーカー、RC2コーポレーション(イリノイ州)によると、回収対象は今年の4月末までに中国で製造された5種類の製品。
 日本での輸入販売元であるソニー・クリエイティブプロダクツ(東京)は「フィッシングドック付属のカーゴカー(黒色の荷台)」「ブレーキレバー付トード」「コンダクター付ベーシックセットの木」「コンダクター付ベーシックセットの信号機」の4種類を回収する。残り1種類は製造工場が異なるとして回収対象から外した。問い合わせは同社お客様相談室(0120・004・867)まで。

◎米シスコ、中国ハイアールと提携(2007年9月26日、日本経済新聞)
 ネットワーク機器最大手の米シスコシステムズは25日、中国の家電最大手、海爾集団(ハイアール)と提携すると発表した。家庭用ネット機器の開発などで広く協力し、成長が期待できる中国市場の開拓につなげる。ハイアールは事業のグローバル化にシスコの経営ノウハウを生かすことも狙っている。
 シスコはルーター(経路制御装置)などネット構築のための機器が主力。主要顧客は企業で、消費者向けビジネスの強化が課題となっている。今後、ネット対応家電などの市場が伸びるとみて、潜在需要が大きい中国で事業拡大の足がかりを築く。ハイアールとの協業による具体的な製品計画などは明らかにしていない。
 両社はグループ管理や財務、投資戦略など経営手法についても情報を共有する方針。主にシスコがノウハウを供与し、ハイアールが中国以外で事業を拡大するのを支援するとみられる。

◎米で中国製ベビーベッド回収へ、乳児3人の死亡報告(2007年9月22日、朝日新聞)
 米消費者製品安全委員会(CPSC)は21日、中国製のベビーベッドの側板に挟まれた乳児3人が窒息死した疑いがあるとして、発注・販売した赤ちゃん用品メーカーのシンプリシティ社(ペンシルベニア州)が約100万台を自主回収すると発表した。
 ベッドは98〜07年に全米で100〜300ドル(約1万〜3万円)で販売されたが、日本に輸入されたかどうかは不明。
 CPSCによると、シンプリシティ社の設計ミスなどにより、購入者が組み立てる際に側板を逆さに取り付けてしまい、本体と側板との間に生じたすきまに乳児が挟まってしまう恐れがあるという。窒息死のほかにも60件以上の事故や不具合が報告されているという。

◎米サンディスクを独禁法違反容疑で調査、米司法省(2007年9月15日、朝日新聞)
 米サンディスクは14日、携帯音楽プレーヤーなどに使われるNAND型フラッシュメモリー事業に関して、米司法省から独占禁止法違反の疑いで調査を受けていることを明らかにした。また、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルなどによると、同様の件で東芝と韓国サムスン電子も調査を受けているという。
 サンディスクが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料の中で明らかにしたもので、カリフォルニア州の司法当局が調査に乗り出し、召喚状を受け取ったという。
 米紙などによると、NAND型フラッシュメモリーは米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」などに使われ、価格は今春から値上がりしているという。

◎鉛含有ミニカーなど中国製玩具1860万個回収、米マテル(2007年8月15日、読売新聞)
 米玩具(がんぐ)大手マテル社(本社・カリフォルニア州)は14日、塗料に基準を上回る鉛が含まれているなど、安全性に問題のある中国製玩具約1860万個を、世界規模で自主回収(リコール)すると発表した。
 このうち、塗料に米国の基準値を上回る鉛が含まれている可能性のあるミニカーは、全世界で43万6000個が出荷されている。
 ミニカー以外の回収品は小型の磁石を組み込んだ人形など。磁石が脱落すると、子供が誤って飲み込む可能性があるとして、回収に踏み切った。

・国内にも2730個
 「マテル」の日本法人「マテル・インターナショナル」(東京都台東区)は14日、アニメ映画「カーズ」のキャラクターを使ったミニカーの塗料に基準を超える鉛が使用されている可能性があると発表した。
 今年3月以降、国内で2730個が出荷された。輸入発売元の「トミーダイレクト」(東京都葛飾区)で近く自主回収する。

◎ボツリヌス中毒感染の危険、米国製缶食品を自主回収(2007年7月25日、産経新聞)
 中国製など食品不信が広がる中、米食品医薬品局(FDA)は23日、深刻な食中毒の一種であるボツリヌス中毒に感染する危険があるとして、キャッスルベリーズ社(ジョージア州)が製造するホットドッグ用チリソースやペットフードなど缶製品の使用を直ちにやめるよう消費者に警告した。
 FDAによると、これまでにインディアナ、テキサス両州で計4人がホットドッグ用チリソースを食べてボツリヌス中毒となり入院した。ボツリヌス菌の感染によって、食後6時間から36時間後に視力や言語の障害が起き、筋力麻痺、呼吸困難などに進み、致死率も比較的高い。日本では、オウム真理教が細菌兵器として開発を試みたことで知られる。
 キャッスルベリーズ社は先週、原因のチリソースを製造したオーガスタの工場の操業を停止し、同じ工場から出荷された約90種類の缶食品の自主回収を開始。製品は全国約8500の小売店に流通し、影響は数千万缶に及ぶ可能性がある。
 リコール対象には牛肉や鶏肉のペットフードも含まれるが、FDAによると、ボツリヌス中毒は過去、犬に感染した例はあるが、猫にはないという。

◎米でスナック菓子がサルモネラ汚染、中国の原材料原因か(2007年7月4日、朝日新聞)
 全米に売られているスナック菓子がサルモネラ菌に汚染され、自主回収されていたことが3日、米食品医薬品局(FDA)などの調べでわかった。メーカーによると、中国製の原材料が使われている調味料が原因の可能性が高いという。
 回収されているのは、菓子メーカー、ロバーツ・アメリカン・グルメ社(ニューヨーク州)の「ベジー・ブーティ」と「スーパー・べジー・ティングス」。米疾病対策センター(CDC)によると、3日までに18州で57人のサルモネラ菌感染が報告され、感染者の多くが幼児という。サルモネラ菌は食中毒の原因となる細菌で、感染すると発熱や下痢、吐き気、腹痛などの症状が出る。
 同社の調査によると、菓子の味付けに使われた調味料が汚染されていた可能性が高く、これらの原料はすべて中国から輸入しているという。菓子は、全米とカナダで発売されている。

◎米、韓国とFTA調印、単独相手国では最大(2007年7月1日、朝日新聞)
 米韓両政府は6月30日、自由貿易協定(FTA)をワシントンで調印した。米国にとって韓国は単独の協定相手国では最大。通商交渉をしやすくするために米議会が大統領に与えた「貿易促進権限(TPA)」の失効に伴い、ブッシュ政権にとって最後の大型FTAとみられている。両国議会の承認を経て実施されるが、自動車業界などの反発で米国での審議は難航が予想される。
 シュワブ通商代表は調印式で「先進の経済工業国間でも最高規格のFTAに合意できた。議会承認を確実にさせなければならない」、グティエレス商務長官は「過去約15年間で商業的に最も重要な合意」と述べた。

◎NYで“悪玉油”の規制開始、コスト増に戸惑いも(2007年6月28日、産経新聞)
 揚げ物用の調理油などに含まれる「トランス脂肪酸」(TFA)の使用規制が7月1日から、全米で初めてニューヨークのレストランやファストフード店で始まる。多量に摂取し続けると動脈硬化などの危険性を高めるとされる“悪玉油”TFAの規制は、他都市や海外でも注目されている。飲食店側がコスト増に戸惑う一方で、食品業者はTFAゼロの油の売り込みに懸命だ。
 「規制開始ぎりぎりまで変更しない」。マンハッタンのピザ店の店長は油切り替えに伴う経費増に頭を痛める。大量に使う油が「10%ほど割高になる」ためだ。
 ニューヨーク市は昨年12月、調理油などに含まれるTFAの量を、7月から原則として1食当たり0.5グラム未満に制限することを決めた。市は、外食の機会が多いニューヨーカーの死亡原因について、TFAによる心疾患が交通事故を上回ると推計。大豆などを原料とする油に切り替える必要性を強調する。
 米メディアによると、課題はコスト増やチェック体制の確立。10月から違反者に罰金も科せられるが、多くの飲食店を当局が公正に調査、判断できるかが問われそうだ。
 3月にマンハッタンで開かれた外食産業の国際展示会では、TFAを含まない業務用調理油のブースが並んだ。ミズーリ州の業者は「一気に切り替えが進む。シェアを奪うチャンス」と意気込んでいた。大手商社によると、TFA問題の広がりを見越し、大豆などの生産を強化する米農家が増加。穀物価格上昇の一因になっているという。
 TFAの規制は他都市も検討中で、全米に広がる可能性がある。コーヒーチェーン大手スターバックスなどは全米規模でのTFA不使用を決めており、飲食業界の動きも加速している。

◎ズボン紛失66億円、現職判事の法外要求退ける、ワシントン地裁(2007年6月26日、産経新聞)
 スーツのズボンを紛失されたとして、現職判事がクリーニング店の韓国人店主を相手取り、5400万ドル(約66億円)の損害賠償を求めていた裁判の判決が25日、首都ワシントンの連邦地裁であった。同地裁判事は原告の訴えを退け、裁判にかかった費用数千ドルを支払うよう命じた。この裁判は、米国の訴訟乱用ぶりを象徴しているとして、米メディアなどの関心を集めていた。
 訴えを起こしていたのはワシントン特別行政区のロイ・ピアソン判事。2005年5月にクリーニング店に寸法直しのためスーツを持っていったものの、ズボンが戻ってこなかったと主張。同店の「満足保証」という看板は偽りで、ワシントンの消費者保護条例に違反するとして、当初は約6500万ドルの損害賠償を要求した。
 判決は『満足保証』の意味について、「顧客の不当な要求を満たす義務が店側にあるとは解釈しない」と指摘した。
 クリーニング店のスー・チョンさんは判決後の記者会見で、「とても困難な2年間だった」とほっとした様子だった。

◎サムスン電子、米でフラッシュメモリー生産(2007年6月17日、朝日新聞)
 韓国のサムスン電子は、ノート型パソコンや携帯機器などの記憶媒体用として需要拡大が見込まれるNAND型フラッシュメモリーを米国で生産する。35億ドル(約4300億円)を投じて新工場を建設し、下半期から量産を始める予定だ。
 フラッシュメモリーは米アップルの携帯音楽プレーヤーの機能を組み込んだ携帯電話発売など、さらなる需要の拡大が見込まれており現地生産で対応する。大型ウエハーを採用、回路線幅も最先端の51ナノメートル(ナノは10億分の1)技術を使って生産効率を高める。

◎「中国製練り歯磨きは使用回避を」米FDAが異例の警告(2007年6月2日、日本経済新聞)
 米食品医薬品局(FDA)は1日、中国製練り歯磨きの使用を避けるよう全米の消費者に警告した。使用中でもラベルなどの確認を促し、中国製の場合には廃棄するよう呼びかけた。人体に有害な物質、ジエチレングリコールの混入が懸念されるためだと説明している。ある国で生産された商品についてブランドを問わず危険性を警告するのは異例だ。
 ジエチレングリコールは不凍液や溶媒に使われる物質で、独特の甘みがある。大量に摂取すると吐き気や頭痛、下痢などの中毒症状が現れる。
 FDAは中国製の練り歯磨きによる中毒を直接確認したわけではないとしながらも、現状では子供や腎臓、肝臓の疾患を抱える人が健康を害する恐れがあると認めた。同時に中国メーカーによる11のブランドを特定し、ジエチレングリコールを含んでいたとして輸入を禁じた。これらの商品は主に安売り店で売られていたという。

◎米大統領、スーダンへの制裁発表(2007年5月29日、産経新聞)
 ブッシュ米大統領は29日、スーダン西部ダルフール地方の紛争に関し、スーダンへの制裁措置を発表した。紛争解決に向けた国連の活動に協力するようスーダン側に圧力をかけることが目的。具体的にはダルフールでのスーダン政府の軍事活動を抑えるため、同政府の武器禁輸やスーダン国営企業など31社に対する金融制裁が柱。また、スーダン政府高官2人と反体制指導者への制裁が含まれている。
 米政府はすでに、約100社に対し米国との取引禁止などの制裁を行っているが、今回の制裁も含め、スーダン経済を支える石油関連の投資を行っている企業の多くを制裁対象にすることで、スーダン側に打撃を与えるねらいがある。
 また、武器禁輸の強化に向けた国連安全保障理事会での新たな決議採択を求めていく。
 大統領は4月の演説で、スーダンに対し、ダルフール地方への国連・アフリカ連合(AU)合同平和維持部隊の展開を受け入れるよう求め、協力しない場合には、経済制裁強化に踏み切ると警告した。
 スーダンは石油輸出の約4分の3を中国に輸出している。米下院外交委員会では、虐殺阻止に向けて、中国政府に対し、スーダン政府に影響力を行使するよう求める決議が採択された。
 ラントス下院外交委員長ら108人の議員は、中国の胡錦濤国家主席あてに書簡を送り、中国側が十分な対応をしない場合には、2008年の北京五輪のボイコットにもつながると警告した。

◎米最低賃金:時給7.25ドルに、10年ぶりに引き上げへ(2007年5月25日、毎日新聞)
 米上下両院は24日、法定最低賃金を現行の時給5.15ドル(約620円)から7.25ドル(約880円)に引き上げる法案を賛成多数で可決した。最低賃金は、議会多数派だった共和党の反対で97年から据え置かれ、10年ぶりの引き上げになる。民主党は昨年11月の中間選挙で「格差是正」を訴え、最低賃金引き上げを公約に掲げ、勝利していた。
 最低賃金は2年間で段階的に引き上げられる。週40時間労働だと、年収は現行の約1万700ドル(約130万円)から約1万5000ドル(約180万円)に上がる計算。
 日本の最低賃金は地域別、産業別に定められている。厚生労働省によると、06年度の地域別の最低賃金の全国平均は時給673円。最高は東京都の719円で、最低は青森、岩手、秋田、沖縄県の610円。

◎中国、有毒物や抗生物質の管理体制を強化(2007年5月25日、日本経済新聞)
 中国外務省の姜瑜副報道局長は24日の記者会見で、米国メディアがパナマなどで中国産の歯磨き粉から有毒物質が検出されたと報じた問題について「国家品質監督検査検疫総局の合同調査チームが調査している」と述べた。中国製品の安全性に対する国際的な懸念が強まる中、安全管理体制を強化する姿勢を示した格好だ。
 米国のアラバマ州などが、使用禁止の抗生物質が検出されたとして中国産ナマズの販売を停止したことも新たに判明。姜副局長は「政府は安全管理システムの構築に尽力しており、違法行為は厳しく取り締まっていく」と強調した。

◎米が中国産練り歯磨き検査、パナマなどで有毒物質検出(2007年5月24日、産経新聞)
 パナマやドミニカ共和国で中国産の練り歯磨きから致死量の有毒物質ジエチレングリコールが検出されたとして、米食品医薬品局(FDA)は、中国から米国に輸入されるすべての練り歯磨きの積み荷を検査すると明らかにした。ロイター通信が23日報じた。
 米国では、中国産のペットフードの原料や家畜用飼料に化学物質が混入していたことが大きな問題となっている。
 FDAによると、米国向けの練り歯磨きが汚染されているという確証はなく、検査は「予防的措置」としている。パナマの検査官は、中国から2種類のブランドの練り歯磨きが自由貿易区を通じて違法に輸入されたと話しているという。ブランド名は不明。
 ジエチレングリコールは車の不凍液に使われる有毒物質で、独特の甘味がある。日本では過去にワインへの混入が問題となった。

◎中国産ペットフード禍、背景に食のグローバル化(2007年5月18日、産経新聞)
 米国で中国産ペットフードを食べた猫や犬が次々に死ぬ事態が起き、このペット王国を揺るがしている。“犯人”は、原料の小麦グルテンに混入した有機化合物と判明し、食物連鎖による人体への影響すら懸念されて、波紋が広がった。今回の騒ぎは、グローバル化の時代、1国の農産品や食品の安全管理体制がズサンだと禍(わざわい)は世界に及ぶということを改めて教えている。(ワシントン、渡辺浩生)
 発端は3月中旬、カナダのペットフード大手メニュー・フーズ社が犬猫用フードのリコール(自主回収)を発表したことだった。半生状ペットフードを食べた猫や犬が腎(じん)不全で死亡するケースが北米で相次いだためで、回収の対象は95種、6000万点に上った。
 米国は、無人島に同伴者を1人連れて行くとしたら「ペット」と半数が答えるといわれるほどのペット王国。全世帯の43%が犬を、37%が猫を飼っており、被害も当然、米国に集中した。米食品医薬品局(FDA)によると、飼い主から寄せられた苦情は1万7000件、死亡したケースは数千件に達し、リコールを公表したペットフードメーカーも12社に広がった。

・有機化合物メラミン混入
 原因は、ペットフードの原料である小麦グルテンに有機化合物メラミンが混入していたことだ。メラミンは、尿素とアンモニアを反応させて製造され、主に合成樹脂の材料に使われる。
 製品化されなかったペットフードは飼料としても養鶏場や養豚場に出荷されていて、豚6000頭、鶏2000万羽も汚染飼料を食べたとして出荷を差し止められた。汚染小麦グルテンは養殖魚の餌の原料にもなり、約200カ所の養殖場や孵化場で使われていた。人体への影響まで懸念されだしたのだ。
 FDAは「メラミンは極めて微量。危険度は極めて低い」とし、検査の結果、メラミン入りの飼料を食べた鶏、豚は食品として安全だと宣言した。小麦グルテンは一般に、食肉や魚の加工品、ベビーフードにも使用される。この点についても、「食品の原料として直接使われた証拠は得ていない」(FDA)という。

・飼料価格つり上げの手口
 だが、今回、中国の農産品、食品の安全管理体制への不信は決定的となった。
 中国当局も今月、タンパク質の含有量を多く見せかけるため、メラミンを添加した小麦グルテンを輸出していたと見て、江蘇省と山東省の食品輸出業者2社に対する捜査に着手した。家禽の一大産地である山東省では、この増量方法は、飼料価格つり上げの手口として知られていたという。
 ただ、FDAが汚染経路を特定すべく派遣した調査官が現地入りしたときには、輸出業者の施設は閉鎖され、「見るべきものは何も残っていなかった」(米紙ワシントン・ポスト)。
 米環境消費者団体「環境防衛」のレベッカ・ゴールドバーグ氏は「農業のグローバル化に伴い、ある国の不正が一見、無関係な他の多くの人々に影響するようになった」と、同紙に指摘する。実際、中国産食糧の米国向け輸出は過去26年間で20倍に膨らんでいる。
 問題の小麦グルテンは日本には入っていないとはいえ、水際でのチェック体制強化を怠ってはならない。

◎米ペットフード事件、中国当局、メラミン輸出一転認める(2007年5月10日、産経新聞)
 中国の国家質量(品質)監督検査検疫総局は8日、米国で中国産小麦を使ったペットフードで犬やネコが中毒死した事件で、中国の2企業が有機化合物メラミンを添加した小麦グルテン粉などを米国に輸出していたことを認め、今後調査に協力する方針を表明した。同総局はこれまで、これら企業が米国向けに飼料用小麦グルテンなどを輸出したことはないとしていたが、一転関与を認めた。
 問題の企業は、江蘇省の徐州安営生物技術開発公司と山東省の濱州富田生物科学技術有限公司。2社が輸出していた小麦グルテンには、食品への使用が禁止されているメラミンが添加されていたうえ、検査義務のない品名で税関に報告され、検査検疫機関の監視をくぐって輸出されていた。
 企業責任者は法に従い厳重に処罰されるという。同総局は検査結果を米食品医薬品局(FDA)に報告し、米国側に飼料安全協力メカニズムの創設を提案した。
 中国では、鴨卵の黄身を赤くするために発がん性が指摘される着色料スダンレッドを飼料に加えたり、豚肉の色を美しくするため、気管支ぜんそくの治療薬に使われる塩酸クレンブテロールを飼料に加えるなど、飼料、食品への化学物質の添加が、法で禁止されているにもかかわらず、日常茶飯事となっている。
 厚生労働省は日本の輸入業者に対し、中国の2企業のグルテンを輸入した場合は返品または廃棄し、関係機関へ知らせるよう呼びかけている。

◎世界長者番付にインド躍進、1位は13年連続ゲイツ氏(2007年3月9日、読売新聞)
 米経済誌フォーブスが8日発表した2007年版の世界長者番付によると、米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が資産560億ドル(約6兆5620億円)で13年連続で1位の資産家となった。
 資産10億ドル(約1171億円)を上回る富豪の数は946人で、このうち日本人は前年より3人少ない24人。経済成長が続くインドは前年の24人から36人に増え、日本を初めて抜いて「アジア首位」となった。また、中国(香港を除く)も前年の8人から20人に増えた。
 インド人の首位は世界最大の鉄鋼会社アルセロール・ミッタルの経営者ラクシュミ・ミッタル氏で、資産320億ドル(3兆7490億円)で世界5位に入った。日本人首位は孫正義・ソフトバンク社長で、58億ドル(約6800億円)で129位だった。
 世界2位は米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が520億ドル(約6兆930億円)。1987年に世界1位だった旧コクドの堤義明元会長は番付から外れた。

◎ストリップ?米空港検査にX線スキャナー導入で物議(2007年3月9日、産経新聞)
 テロ防止策の一環として、米アリゾナ州フェニックスの空港に旅客の全身をX線スキャナーで透視する検査機が試験導入された。従来の金属探知機では発見しにくいプラスチック爆弾などの発見に効果があるとされることから「安全が最優先」との肯定的な意見の一方、X線が衣服を通過し「事実上のストリップ検査」という非難も出るなど物議をかもしている。
 新検査機は自動販売機ほどの大きさで、旅客は機械の前の所定位置で両腕をあげて立つ。検査時間は1分足らずで、映像は離れたところにある別室のモニターに映し出される。男性の旅客の映像は男性係官が女性の映像は女性係官がチェックし、検査後は消去される。
 検査機を開発したアメリカン・サイエンス・アンド・エンジニアリング社によると、映像には旅客の体のシルエットが浮かび上がるが、細部はぼかされており、裸体が見えるようなことはないという。
 しかし、実際の映像を見た技術とプライバシーの問題を考える米NGOの代表は「細部がぼかされていても、詳細すぎるものだった」と懸念を表明。
 米自由人権協会のバリー・スタインハート氏も「1つ前の技術段階の画像を見たが、ヌード写真のようだった。画像をぼかすことで凶器もぼかされることになるのではないか」と不信感を強調する。
 空港当局は、対象になるのは金属探知機の検査でひっかかった旅客であり、空港職員による服の上からのボディーチェックか検査機による検査かを選ぶことができるため、「押し付けがましい制度」との批判に反論。
 米運輸安全局は効果や旅客の反応をしばらく観察し、有効と判断されればニューヨークやロサンゼルスなどの主要都市の空港にも配置する。

◎過剰ノルマで過労死? 全米で謎のミツバチ集団失踪(2007年3月1日、日本経済新聞)
 米国全土でミツバチが巣箱から集団で失踪(しっそう)する怪現象が広がっている。養蜂(ようほう)業者の減少で、みつの採集などの作業で過度のノルマを課せられたことによる“過労死説”も出ているが、原因は分からず、国家養蜂局(NHB)が緊急調査に乗り出した。養蜂業への打撃に加え、ハチを介した受粉に依存するアーモンドやブルーベリーといった140億ドル(約1兆6000億円)規模の農作物への深刻な影響が懸念され始めた。
 全米養蜂協会によると、元気だったハチが翌朝に巣箱に戻らないまま数匹を残して消える現象は、昨年の10月あたりから報告され始めた。27日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、この集団失踪がすでにカリフォルニア、フロリダ州など24州で確認されたと報じた。ハチの失踪数に見合うだけの死骸(しがい)は行動圏で確認されないケースが多く、失踪したのか死んだのかも完全には特定できない状態だ。
 米国でのハチの集団失踪は、19世紀末から記録されており、1980年代にも2つの大型失踪が報告されている。だが、今回ほど広範囲な集団失踪は例がなく、ニューヨーク・タイムズ紙は「どの養蜂箱も空っぽだ」という生産農家の声を報道している。
 米国の養蜂業は、価格の安い中国、アルゼンチン産はちみつの輸入に押されて衰退傾向だが、主要な農産物でハチを介した受粉への依存度はアーモンドで100%、ブルーベリーで90%などと高い。
 ペンシルベニア州立大学の専門家マリヤン・フレーザー氏は、「州内の養蜂業者はこの25年間で半数以下に減少しており、ハチの受粉を必要とする農作物にどう打撃を与えるのかまったく予測できない」と語る。
 疑われる原因については「過剰なノルマがハチに与えるストレス」「農薬の影響」「ハチの免疫系を破壊する疾病」などが挙げられているが、特定には至っていない。

◎全米でミツバチ突然消える、被害20州超える(2007年3月1日、朝日新聞)
 全米各地で、ミツバチの巣から女王バチを除く大半のハチが突然消える異常現象の報告が相次いでいる。ミツバチの「いないいない病」と命名された異常現象は昨秋以降、東海岸から西海岸へと広がり、被害地域は20州を超えた。原因は分かっておらず、ミツバチに授粉を頼るアーモンドやリンゴなどの収穫にも影響が出るのではないかと心配されている。
 調査を続けるモンタナ大のジェリー・ブロメンシェンク教授によると、巣のハチのうちの6〜8割が姿を消すケースが大半だが、まれに「全滅」することもある。
 昨秋にペンシルベニア、ジョージア、フロリダの3州で発生した後、全米に拡大した。民間調査会社ビー・アラート・テクノロジーによると、2月13日現在、確認された被害地域は22州にのぼる。その後、ワシントンなど2州からも報告が寄せられているといい、被害の拡大が続いているとみられる。
 ミツバチが巣から突然消える現象は米国では19世紀から知られ、1960年代にはテキサス州などの南部で大規模に起きた。その後は限定的な発生にとどまっており、ブロメンシェンク教授は「今回は前例のない、広域かつ深刻なものだ」と述べた。
 原因について、教授は「はっきりは分からないが、感染性の病気でハチが大量死しているのではないか」と言う。ミツバチを連れてアーモンドの授粉を請け負う業者の移動経路が、今回の「いないいない病」の拡大経路と重なることが根拠だ。
 一方で、農薬をはじめとする化学物質の影響も指摘されている。

◎米韓国防相:韓国が単独作戦統制権、実現なら62年ぶり(2007年2月24日、毎日新聞)
 韓国は朝鮮戦争中の1950年7月に自国軍の指揮権を国連軍司令官に渡した。12年に作戦統制権の単独行使が実現すれば62年ぶりとなる。青瓦台(大統領官邸)は24日、ワシントンでの合意に歓迎論評を発表した。
 しかし米韓連合軍司令部が解体されると、北朝鮮と全面戦争になれば米軍が大規模支援戦力を即時投入し圧勝するというシナリオの作戦計画も廃止される。このため北朝鮮に対する抑止力が弱まるという懸念は否定しにくい。
 それでも特に米国のラムズフェルド前国防長官が戦時作戦統制権の早期移譲に積極的だったのは(1)世界規模の米軍再編計画の一環として、鈍重な陸上戦力を紛争危険地帯に大量布陣させている現状を改め、米兵の犠牲が少ない海・空軍力での対応を主体としたい(2)反米傾向が目立つ盧武鉉(ノムヒョン)政権の意向にも沿う−−との判断によるとの見方が強い。
 ところが昨年来、韓国で歴代国防相らを含む反対世論が高まり、次期大統領選にからむ争点として浮上したため、移譲推進はかえって反米感情を招きかねないという状況になった。韓国軍当局も早期移譲には不安があった。米側の譲歩は、こうした事情への配慮の結果とみられる。

◎米韓国防相会談:戦時作戦統制権、12年移譲で決着(2007年2月24日、毎日新聞)
 ゲーツ米国防長官は23日、訪米中の韓国の金章洙(キムジャンス)国防相と国防総省で会談し、2012年4月に現在の米韓連合軍司令部を廃止し、朝鮮半島有事での戦時作戦統制権の移譲を完了することで合意した。作戦統制権の移譲時期をめぐっては米側が09年、韓国側は12年を主張して対立していたが、米側が韓国側の要求を受け入れて最終決着した。
 会談後に発表された共同声明によると、戦時作戦統制権の移譲プロセスについて(1)米韓でロードマップ(行程表)を作成し、今年7月からロードマップの実施に着手する(2)12年3月に移譲に伴う訓練を実施し、完了する−−ことで合意した。これを受け、12年4月17日に現在の米韓連合軍司令部を廃止すると同時に米韓間での新たな指揮・統制体制へと移行する。
 作戦統制権は朝鮮戦争を経て国連軍司令官が行使してきたが、1978年に米韓連合軍司令官に移管された。このうち平時の作戦統制権は94年に韓国側に移譲されたが、戦時については現在も在韓米軍司令官を兼ねる連合軍司令官が保持している。
 昨年10月の米韓国防相会談の共同声明では、移譲時期をめぐる双方の溝が埋まらず、「09年10月15日以降、遅くとも12年3月15日以前」に完了することを確認。具体的な時期を絞り込む交渉が続いていた。今回の合意は、北朝鮮の核実験など不安定な朝鮮半島情勢を受け、できるだけ長期間にわたり抑止戦力を維持したい韓国側に配慮する形となった。

・戦時作戦統制権
 特定の作戦の遂行にあたって、指揮官が持つ権限。現制度下では、韓国軍の作戦統制権は平時は韓国側にある。だが、朝鮮半島が戦時になった場合、韓国軍部隊に対する作戦統制権は自動的に在韓米軍司令官を兼ねる米韓連合軍司令官に移管される。

◎「95億円は高い!」米たばこ訴訟、連邦最高裁が破棄(2007年2月21日、読売新聞)
 米オレゴン州の男性が肺がんで死亡したのは喫煙の害を十分に知らされていなかったためだとして、遺族が米たばこ大手フィリップ・モリスに損害賠償を求めた訴訟で、米連邦最高裁は20日、同社に7950万ドル(約95億8000万円)の懲罰的賠償支払いを命じた昨年2月の同州最高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。
 同社が「賠償金額が過大だ」として連邦最高裁に上告していた。連邦最高裁は「判決は原告以外の喫煙家への被害も考慮しており、不当だ」として、5対4の多数決で破棄を決めた。
 原告によると、男性は1997年に67歳で肺がんで死亡するまで40年以上、「マールボロ」などを吸い続けた。

◎新1ドル硬貨、きょう米デビュー、ブッシュ大統領は10年後登場(2007年2月15日、FujiSankei Business i)
 米国で15日から初代大統領、ジョージ・ワシントンの肖像が刻印された新1ドル(約121円)硬貨の流通が始まる。
 新硬貨は、歴代大統領の肖像を就任順にデザインに取り入れるシリーズの第1号で、今年はワシントンのほか、ジョン・アダムズ、トーマス・ジェファソン、ジェームズ・マディスンの硬貨が登場する。1年につき4種類発行されるため、第43代のジョージ・W・ブッシュ大統領の硬貨が生まれるのは10年後の2017年になる計算だ。
 裏面のデザインは自由の女神。米国硬貨では初めて「In God We Trust」の文字が側面に入れられた。

◎06年の米貿易赤字、5年連続で過去最大を更新(2007年2月13日、読売新聞)
 米商務省が13日発表した2006年の貿易統計によると、貿易赤字(国際収支ベース)は前年比6.5%増の7635億8800万ドルとなり、5年連続で過去最大を更新した。国別では対中、対日赤字がともに過去最大を更新した。
 米産業界は、対日赤字拡大の背景には円安があるとしており、民主党主導の米議会で、円安批判が強まるのは必至だ。
 輸出は12.8%増の1兆4378億3900万ドル、輸入も自動車などを中心に10.5%増の2兆2014億2600万ドルとなり、ともに過去最高だった。
 国別で最大となる対中赤字が15.4%増の2325億4900万ドルと、5年連続で最大を更新し、貿易赤字全体の約30%を占めた。2位の対日赤字も7.2%増の884億4200万ドルと、2年連続で最大を更新した。
 対日貿易赤字の拡大について、米議会では、民主党を中心に「円安が日本車などの輸入増を後押ししている」(チャールズ・ランゲル下院歳入委員長ら)などの声が出ている。

◎「iPod禁止法」を検討、NY州、道路横断者が対象(2007年2月8日、朝日新聞)
 米ニューヨーク州議会で、道路を渡る歩行者に、アップルの「iPod」に代表されるデジタル携帯音楽プレーヤーなどの使用を禁じる法案可決に向けた動きが浮上した。注意力が散漫になり事故に遭う危険度が高まるというのが理由で、違反者には罰金100ドル(約1万2000円)を科す内容だ。地元メディアが7日伝えた。
 それによれば、ニューヨーク・ブルックリン選出のカール・クルーガー議員が、道路横断の際は音楽プレーヤーのほか、「ブラックベリー」などの携帯情報端末、携帯電話、携帯型ゲーム機の使用を禁じる州法の必要性を提唱した。

◎武器輸出のトップは米国、「ミリタリーバランス」発表(2007年2月1日、朝日新聞)
 英国際戦略研究所(IISS)は31日、世界の軍事情勢に関する年次報告書「ミリタリーバランス(07年版)」を発表した。05年の武器輸出各国の輸出総額(引き渡しベース)を見ると、トップは米国の約115億5000万ドル(約1兆4000億円)で、世界の武器市場での占有率は45.6%と他を圧している。次いで英国、ロシア、フランス、中国、ドイツ、イスラエルの順だ。
 一方、武器輸入額が最も多いのはサウジアラビアの35億ドル(約4200億円)で、イスラエル、インド、エジプト、中国が続く。中国は武器取引全体のバランスでは約5億ドル(約600億円)の輸入超過になっている。
 報告書は武器取引が盛んな中東・北アフリカに絞って、取引状況をまとめた。01年からの4年間では、米国の最大の輸出相手先は総額53億ドル(約6400億円)のエジプトで、これにサウジアラビア、イスラエルが続く。額は大きくないが、その前の4年間に比べ、ロシアや中国が新たにイエメンなどに輸出先を広げている。
 05年の国民1人あたりの国防費(防衛費)支出では、カタールがトップで2547ドル(約30万7000円)。次いでクウェート、米国、イスラエル、シンガポール、ノルウェーの順。ちなみに日本は345ドル(約4万1000円)で、台湾とほぼ同じ水準だ。

◎がん:米国の死者、2年連続減少、禁煙や治療向上などが要因(2007年1月22日、毎日新聞)
 米国のがんによる死者数が、04年には前年より約3000人少なく、2年連続で減少したことが全米がん協会の最新の統計で17日分かった。
 同協会は「一時的な減少ではなく、傾向としてはっきり表れた。喫煙者の減少と治療の向上が主な要因だ」としている。日本では、がんによる死者は増加し続けている。
 統計によると、03年は前年より369人、04年は03年より3014人減少した。米国では90年代から多くのがんで死亡率が低下しているが、人口増加や高齢者の増加をも上回って、がん死者数自体がついに減った形だ。
 部位別では、死者数の多い肺、乳房、前立腺、大腸のいずれのがんでも減っているが、特に大腸がんでの減少が著しく、女性の肺がんだけが増えているのが特徴。

◎水8リットル飲み急死、米の競技会で28歳女性(2007年1月18日、朝日新聞)
 米カリフォルニア州サクラメントのラジオ局が先週主催した「水飲み大会」で、約2ガロン(7.6リットル)の水を飲み干して2位に入賞した女性(28)が、帰宅後に急死したことが分かった。検視の結果、死因は水中毒と判明。サクラメント・ビー紙によると、地元警察は主催者側に運営上の問題がなかったか、捜査に乗り出した。
 大会が開かれたのは12日。20人の参加者が、15分ごとに手渡されるボトル(240ミリリットル)入りの水を、トイレに行かずに何本飲めるかを競った。

◎暖冬、NY22度、チベット20度(2007年1月8日、産経新聞)
 大西洋から暖気が流れ込んだ影響で6日の米東部各地の気温は最高20度前後まで上昇、ニューヨーク市のセントラルパークでは22.2度と「1月6日」の気温としては統計が残る1800年代後半からの観測史上最高を記録した。1月の気温としては1950年1月26日にも同じ気温が観測されている。
 冬の風物詩となっているロックフェラーセンターのスケートリンクではタンクトップやTシャツ姿の人が水浸しのリンク上を何とか滑る姿が見られた。近くのブライアントパークでは氷を良い状態に保てないとこの日はスケート場を閉鎖した。
 ニューヨークでは昨年11〜12月に1日も雪が降っていないが、これは1877年以来129年ぶりの現象という。通常、この時期の米東部は氷点下まで気温が下がる。
 中国国営新華社通信が7日に伝えたところによると、チベット自治区でここ数日、気温が急上昇し、ラサの元日の最高気温は20.4度と最近では2001年同期の20.5度に次ぐ高温を記録した。1〜4日の平均気温は例年より2度高く、10カ所の気象観測点で1月の過去最高気温を超えた。

◎禁煙:ハワイもほぼ全面的に、愛煙家の日本人客は困惑?(2006年11月1日、毎日新聞)
 主要産業である観光業界への配慮から喫煙に比較的寛容だった米ハワイ州が、バーなどを含め公共の場所をほぼ全面禁煙にすることを10月31日までに決めた。世界的な喫煙規制の潮流とはいえ、ハワイに多い愛煙家の日本人旅行者は困惑気味だ。
 ハワイ州のリングル知事は10月7日、大幅に喫煙規制を強化する州法に署名、施行は11月16日の予定。レストランやバー、ホテルのロビーなど旅行者が多く集まる場所も禁煙となり、違反者には50ドル(約5800円)以下の罰金が科される。ホテルの喫煙室ではたばこを吸えるが、喫煙室の割合は全客室の20%までに制限された。
 飲食店業界などからは顧客が減ることへの懸念の声が出たが、知事署名前の州議会では「非喫煙者の健康を優先すべきだ」として圧倒的多数で法案が可決された。
 一部の旅行者は、ハワイ州観光局などを通じ既に新規制を知っており、ワイキキではレストランで喫煙が可能かどうかを気にする日本人旅行者も。50代の男性は「ハワイとはいえ米国だから仕方ないが、少し(禁煙が)つらくなりそう」と話していた。

◎移民問題:メキシコ国境にフェンス建設、米大統領が署名(2006年10月27日、毎日新聞)
 ブッシュ米大統領は26日、不法移民の流入制限を目指して、メキシコとの国境に総延長1100キロ以上のフェンスの建設を認める法案に署名した。中間選挙を前に、苦戦する共和党の支持基盤である保守層の関心が高い移民問題への対応をアピールする狙いがある。
 フェンスは3200キロ以上に及ぶメキシコとの国境の約3分の1に設置される計画。しかし、民主党などからは「十分な予算措置がとられておらず、実現はおぼつかない」との指摘もある。

◎北の偽ドル札「スーパーノート」 2200万ドル流通(2006年10月26日、産経新聞)
 米財務省は25日、偽ドル札に関する報告書を議会に提出した。北朝鮮の「スーパーノート」と呼ばれる偽100ドル札について、過去16年間で約2200万ドル(約26億1800万円)が市中に流通したと明らかにした。一方で、偽札捜査を担当するシークレットサービスは約5000万ドル(59億5000万円)の「スーパーノート」を押収したとしている。
 報告書は、偽札の脅威に対応するうえで、「言及するに値する国」として、コロンビアと北朝鮮の偽札製造を挙げた。
 なかでも北朝鮮の「スーパーノート」については、米造幣当局と同じように活版印刷や特殊な用紙を使うなど、「高い品質」の紙幣と指摘した。
 ただ同時に、欠点や特徴によって、米連邦準備制度理事会(FRB)や世界各地の金融機関によって「確実に見つかっている」と強調した。
 さらに、偽札全体でみると、米国内外とも偽ドル札の比率は、1万枚に1枚ぐらいの低い割合に止まっているとしている。
 報告書は財務省とFRB、シークレットサービスの共同でまとめられた。

◎米財政赤字、2477億ドル、2年連続減少(2006年10月12日、朝日新聞)
 米財務省は11日、06会計年度(05年10月〜06年9月)の財政赤字が前年度より22.3%少ない2477億ドル(国内総生産比では1.9%)に縮小したと発表した。景気拡大による税収増によるもので、赤字額は04年度(4128億ドル)に過去最高を記録して以来2年続けて減り、06年度は02年度(1577億ドル)に次ぐ低水準。米議会は6日に約2500億ドルとの試算を出していた。
 ブッシュ政権は04年に09年度の赤字額を5210億ドルと予想し、「財政再建」の目標として同年度までに半減させる計画だった。それを3年前倒しで実現させたことになる。

◎米・アーミッシュ地域の小学校で4人射殺、犯人は自殺(2006年10月3日、読売新聞)
 米東部ペンシルベニア州ランカスター郡で2日午前(日本時間同日深夜)、電気や自動車を使わない質素な生活を続けているキリスト教の一派アーミッシュの小学校に男が押し入り、人質に取った女子児童らに次々と発砲した。
 この事件で児童3人と教員を補助する若い女性1人が死亡、児童7人が重傷を負った。男は自殺した。
 地元警察によると、犯人は近くに住む32歳のトラック運転手。家族に残した書き置きには、20年前に起きた出来事の報復をするなどと記されていたが、詳細は不明という。
 男は、この小学校に散弾銃やライフルを持って乱入。男子児童や教師を解放した後、6〜13歳の女子児童ら十数人を人質に取り、入り口を机などで封鎖して立てこもった。女子児童の足を縛って黒板の前に並ばせ、警察が駆け付けた直後に頭などを狙って発砲した。
 男自身はアーミッシュではない。
 現場はフィラデルフィアの西約90キロにある農村地帯。一帯では現代技術を否定するアーミッシュの人々約2万人が暮らしている。

◎米小学校発砲:キリスト教「アーミッシュ」の子供たち犠牲(2006年10月3日、毎日新聞)
 馬車が行きかうトウモロコシ畑に囲まれた小さな学校で少女たちが次々に銃弾に倒れた。平和を愛するキリスト教プロテスタント系一派「アーミッシュ」の子供たちが犠牲になった2日の銃撃事件。「神の教えに沿えば容疑者を許さなければならない。でも、どうやって……」。静かな村の住民たちは凶悪な犯行の衝撃に打ちのめされていた。
 午前10時ごろ、自宅前で作業をしていたジム・グレイブルさん(76)は「ウエスト・ニケル・マインズ」校から女性教師が転がり出し、近くの農場に助けを求める叫び声を聞いて「とんでもないことが起きた」と悟った。「パン、パン」という乾いた音が連続して響く。「銃声だ。人が撃たれた」と思った。
 記者会見した同州警察のスポークスマンによると、牛乳運搬のトラック運転手、チャールズ・カール・ロバーツ容疑者(32)が同校に立てこもった後、解放された教師の連絡で約40分後に警察が現場に到着。人質解放の交渉を行おうとしたが連絡が取れなかった。
 ロバーツ容疑者は警察への警告で「警官が現場から離れなければ10秒以内に生徒を撃つ」と言った直後、教室内から銃声がした。警察が窓ガラスを割って突入したところ、生徒が撃たれて倒れ、同容疑者も自殺していた。銃弾600発とナイフ、スタンガンなども所持していたという。
 グレイブルさんによると、ロバーツ容疑者は「道で行きあえば笑顔で手を振るようなごく普通の男」だった。「こんな事件を引き起こすなんて、思いもしなかった」。被害にあった女子生徒を知っていたアーミッシュのマシューさん(19)は「おとなしい静かな子たちだったのに。なぜ」と声を落とした。
 現場付近には全米や世界各国のメディアが詰めかけ騒然とした雰囲気。馬車を引く馬のヒヅメの音もかき消されがちだ。帽子に長いあごひげ、伝統的なアーミッシュ装束に身を包んだジェイク・キングさんは「我々と神の関係では(ロバーツ)容疑者も許すしかない。でも、この衝撃を我々は乗り越えられるのか、分からない」と言葉を選びながら語った。
 米国では9月27日にコロラド州で同じように男が高校に押し入り女子生徒を殺害して自殺。29日にも高校生が校長を射殺するなど、学校での事件が続発している。

◎HIV:すべての米国人対象に感染検査を、CDCが勧告(2006年9月22日、毎日新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は21日、ヒト免疫不全ウイルス(HIV、エイズウイルス)を保持しながら感染を知らない米国民が推定25万人に達しており早期発見や感染抑止が急務だとして、何らかの医学的治療を受ける13〜64歳のすべての米国人を対象に任意で感染検査を行うよう全米の医療機関に勧告した。
 同センターは、すべての医学的治療の一環でHIV検査を行うよう勧告する一方、拒否する権利もあることを説明し、患者の同意を得て検査を実施するよう求めている。これまで必要としていたHIV検査用の書面での同意は不要とした。勧告に法的拘束力はないが、多くの医療機関が指針としている。
 これまでは感染率の高い地域や感染リスクの高い人を対象に検査を行うよう求めていたが、医療現場から「感染率情報の入手が困難でリスク評価の時間もなく、同意書を得るのも難しい」などの指摘が出ていたという。
 同センターによると、米国のHIV感染者とエイズ発症者の数は103万〜118万人(03年末推計)で、毎年約4万人が新たに感染していると推定される。感染診断のタイミングは44%が発症後で完全な治療効果を期待するには遅く、性行為による新規感染例の5〜7割が、HIV保持を知らない感染者からと見られている。
 同センターは「感染がすべて判明し感染者が適切な措置を取れば、理論的には新規感染を毎年30%は減らせる」と主張している。

◎日本料理店に23億円請求、日本人接客係セクハラ訴訟(2006年9月22日、朝日新聞)
 ニューヨーク・マンハッタンの高級日本料理店「MEGU」の日本人料理長ら2人にセクハラ行為を受け、店に報告したにもかかわらず不適切な対応をされたとして、接客係だったニューヨーク在住の日本人女性(31)が、店と店を経営するフードスコープ・アメリカ社に対し、計2000万ドル(約23億円)の損害賠償を求める訴えをニューヨーク州地裁に起こした。
 訴状によると、女性は05年春ごろから店をやめた今春にかけ、店内で日本人の料理長に体を触られるなどのセクハラ行為を受けた。また、昨年12月には、別の米国人シェフ=当時=に車に連れ込まれて暴行された。このシェフは性的暴行の罪で今年4月に起訴され、すでに解雇された。
 女性はこれらの被害について会社に繰り返し報告し対応を求めたものの、適切な措置はとられず、セクハラ行為はかえって増長したと主張している。
 これに対し、店側は「(女性と)ほかの従業員との間の犯罪行為は、店の外で起きたと認識している。この人物はすでに解雇し、以降、店とは一切関係ない」とする声明を出した。MEGUは氷の仏像を店内にしつらえ、著名人らが通う店として知られる。

◎米国ホンダ、中国企業を特許侵害で提訴(2006年9月21日、朝日新聞)
 自動車大手ホンダの米販売子会社「米国ホンダ」が、携帯型発電機などに使う小型エンジンの特許が侵害されたとして、中国の発電機メーカー「ウーシー・キポー・パワー」を米国際貿易委員会(ITC)に提訴したことが20日明らかになった。関連製品の米国内での輸入や販売の差し止めを求めている。
 米国ホンダによると、この中国メーカーは、米国ホンダが米国で保有する特許を無断で使って小型エンジンを製造。この小型エンジンを使った携帯型発電機や水ポンプを、米国で輸入・販売した疑いがあるという。
 米国ホンダは今年初めに特許侵害の恐れがあると気づき、中国メーカー側と交渉したがまとまらず、提訴に踏み切ったという。

◎O157:感染拡大、ほうれん草回収、米20州、死者も(2006年9月16日、毎日新聞)
 全米各地で病原性大腸菌O157による食中毒患者が発生し、15日までに20州で計約100人が下痢や吐き気などの症状を訴え、1人が死亡した。米食品医薬品局(FDA)は、カリフォルニア州の自然食品会社などから出荷されたセロハン袋詰めのほうれん草が感染源と断定。食品会社は出荷品の回収を決めた。
 AP通信によると、これまでにウィスコンシン州で20人が症状を訴え、うち1人が死亡した。このほかニューヨーク州などでも感染が確認され、被害はさらに拡大する様相を見せている。
 FDAによると、8月25日に最初の感染例が報告され、その後各地に拡大したことから9月14日、全米に警告を出した。感染源のほうれん草を出荷した食品会社が複数の可能性もあり、全米の大手スーパーで店頭から、ほうれん草を撤去するなどの動きが広がっている。

◎7月の米貿易赤字、最高の680億ドル(2006年9月12日、日本経済新聞)
 米商務省が12日発表した7月の米貿易赤字(サービスを含む国際収支ベース、季節調整済み)は680億4400万ドルとなり、前月に比べ5.0%増えた。旺盛な国内需要を背景に輸入が伸びたことが主因。単月で過去最高を更新した。中国、欧州、産油国、日本への赤字がいずれも拡大し、米国を中心とする世界の貿易不均衡に歯止めがかかっていない。
 7月の赤字額は市場の予想の平均値(655億ドル)を大幅に上回った。前月に比べプラスとなるのは2カ月ぶり。1―7月の累計の赤字額は4530億ドルで前年同期に比べ13.7%拡大し、今年に入ってからも米国の貿易赤字は急ピッチで膨らんでいる。
 7月の輸出は前月に比べ1.1%減の1199億6600万ドル、輸入は1.0%増の1880億1000万ドルとなった。輸入は燃料油やコンピューターなどが堅調に伸び、過去最高を更新した。過去2番目の水準となった輸出は医薬品が伸びた半面、航空機は落ち込んだ。

◎シリコンバレー全域に無線LAN無料接続サービス(2006年9月8日、産経新聞)
 ハイテク産業の世界的集積地である米シリコンバレー地域の代表者団体は6日までに、IBMやシスコシステムズなどから成る企業連合「シリコンバレー・メトロ・コネクト」に委託し、全域をカバーする高速無線インターネット接続網を構築することを決めた。
 接続技術には、無線LAN(構内情報通信網)で使われる標準規格「Wi−Fi(ワイファイ)」を採用。サンフランシスコに近いデーリーシティーから、南部のサンタクルズまで40前後の自治体が参加し、240万人を抱えるシリコンバレー全域を網羅する見通しだ。
 同企業連合は各自治体と正式契約後、来年にも3万カ所を超えるアンテナの設置を始めたい意向。完成すれば、シリコンバレー全域で無料ネット接続が屋外でも可能になる。高速接続サービスも月額15ドル(約1700円)程度の有料で提供するという。
 米国では、デジタルディバイド(情報格差)解消に向けて、「ネットは不可欠な公共サービス」(サンフランシスコのニューソム市長)との考え方が浸透しつつあり、同市やフィラデルフィア、シカゴといった大都市が相次いで公共ネット網の構築を進めている。

◎米企業、電子メールで400人に「クビ」通告(2006年9月1日、産経新聞)
 「人員削減のお知らせをしています。残念ながらあなたの職はなくなりました」―。
 米家電小売りチェーンのラジオシャックは8月29日、従業員約400人に対し、電子メールでこのような解雇通告を送付した。北テキサス大の経営学教授は「電子メールでこれほど多数に解雇を通告したのは聞いたことがない。直接言い渡すほんの数分すらなかったのか」と会社側の“非人道的”な対応に驚いている。
 電子メールによる解雇通告について、ラジオシャックの広報担当者は「複数の会議を通じ事前に説明した。従業員には質問の機会も与えた」と釈明している。
 売り上げ不調に悩む同社は8月10日、「市場での長期的な競争力強化」のため、本社を中心とする人員削減を発表、これまでに約500店舗を閉鎖し、配送センターを統合するなど大規模リストラを進めている。

◎昇進のためなら友でも泣かす、米国サラリーマン(2006年8月13日、産経新聞)
 自分の昇進のためなら、親友の同僚さえクビにしたい−。米経済誌ビジネスウィークが11日までに発表した調査結果で、米国人サラリーマンの激しい競争意識が浮かび上がった。
 昇進のためには親友でもつぶすと答えたのは回答者全体の22%、高所得者の中では3割に上った。
 高収入で若い男性ほど、競争に勝つために情け容赦のない考えを持っていることが分かった。
 35歳以下の回答者の半分が、会社で能力が低い順に1割を毎年クビにすればいいと思っている。回答者の66%が、まあまあの能力があり、強い競争心を持つ人が昇進する、と考えている。
 米国では、人一倍努力して競争に勝てば「アメリカン・ドリーム」を実現し、豊かな生活が得られるという考え方が定着している。
 同誌は2500人の会社員を対象に調査を実施した。

◎ニューヨーク猛暑、カ氏100度突破は50年ぶり(2006年8月3日、産経新聞)
 記録的な猛暑に見舞われ、冷房などの電力需要がピークに達している米ニューヨークでは2日、2003年8月の大停電の教訓を生かし、観光名所のエンパイア・ステート・ビルが夜間点灯を中止するなど全市をあげた節電が行われた。
 同ビルのほか、タイムズスクエアに設置された巨大な電光掲示板の一部も休止、自由の女神の台座部分の電気も消された。
 ニューヨーク市内のラガーディア空港近くではこの日、セ氏で38.9度となるカ氏102度を記録。市内で100度を突破したのは50年ぶりという。 
 同市の電力会社、コンソリデーテッド・エジソンによると、2日午後5時時点での電力需要は1万3141メガワットで、前日に記録した過去最高記録の1万3100メガワットをあっさり更新した。
 このため、ブルームバーグ市長は、大規模停電を避けるため、冷房の設定温度を25.5度以上に設定することや無人の部屋の電源を切る、電力を消費する洗濯機などは需要の少ない朝か夜に回すーことなどの省エネ策を呼び掛けている。

◎カリフォルニア、熱波での死亡者141人に、牛も2万頭死ぬ(2006年7月29日、産経新聞)
 熱波が続く米カリフォルニア州で、暑さが原因とみられる死者が28日までに141人にも上った。ただ、同日の気温は猛暑の目安となる摂氏37.7度(華氏100度)を下回る地域も多く、約2週間続く熱波が沈静化する兆しも出ている。
 AP通信によると、今回の熱波では、ロサンゼルス郡のウッドランドヒルズで48度を記するなど、各地で過去最高気温を更新。内陸部に住む高齢者に犠牲者が目立っている。こうした熱波に伴う電力消費量の急増で停電が発生しているほか、中部ベーカーズフィールドでは家畜の牛2万5000頭が死ぬといった被害も出ている。

◎熱波続く米カリフォルニア、死者100人超すおそれ(2006年7月28日、産経新聞)
 最高気温40度を超える熱波が10日以上続く米カリフォルニア州で、高温によるとみられる死者数が27日、98人に達した。被害者の多くは老人で、熱波はやや弱まりながらも当面続くとの予報が出ており、死者が100人を超える恐れが強まっている。
 AP通信などによると、州中部のフレズノ郡では、検視局の遺体安置室に22人の遺体が運ばれた。電力不足で停電となった世帯は少なくとも数千戸残っており、老人を中心に健康被害が広がっている。
 シュワルツェネッガー同州知事は、州中部を中心に、計75カ所の冷房センターの設置を指示、州民に健康維持に注意するよう呼び掛けた。
 6カ所の郡当局が各地元を対象にした非常事態を宣言したが、州議会からは州全体の非常事態を宣言するよう、同知事に求める声も上がっている。各地では、キリスト教会や保健関係者が、老人の自宅を戸別訪問して安否を確認したり、食料や冷水などを配ったりしている。

◎熱波、米国全域で猛威、10州で22人死亡(2006年7月21日、朝日新聞)
 米ミズーリ州セントルイス周辺で熱波と嵐によって約50万人が停電状態に置かれ、ブラント州知事は20日、非常事態を宣言、冷房の止まった家屋に取り残された高齢者らを救出するために州兵を派遣した。米国のほぼ全域が約1週間前から熱波に襲われ、AP通信によると、少なくとも10州で22人が死亡した。
 各地で記録的な電力使用量となり、ニューヨーク市の一部地区も停電、国内線中心の空港でダイヤに影響が出た。一方、大西洋には台風並みに発達した熱帯性暴風雨「ベリル」が発生、接近が予想される北東部のマサチューセッツ州に注意報が発令された。

◎コカ・コーラとペプシ、捜査で連携、米で3人逮捕(2006年7月13日、朝日新聞)
 米コカ・コーラ社から新製品などの極秘情報を盗み、ライバルのペプシコ社に売ろうとした疑いで、コカ・コーラ社の従業員1人を含む3人が逮捕・起訴された。グループが接触を試みたペプシコ社がコカ・コーラ社に情報を提供して、連邦捜査局(FBI)のおとり捜査が始まった。
 起訴されたのは、コカ・コーラ社役員のアシスタントの女性(41)=6日に解雇=ら。FBIの宣誓供述書などによると、ジョージア州アトランタに本社があるコカ・コーラ社の極秘情報を提供するという手紙が5月、同社の封筒に入ってニューヨーク州パーチェスのペプシコ社に届いた。この手紙がコカ・コーラ社に提供され、FBIの捜査につながった。
 供述書によると、グループの1人はコカ・コーラ社の「極秘」印のある14ページの文書を仲介者に扮した捜査員に提示し、新飲料のサンプルを含めた極秘情報の提供を申し出た。サンプルと文書をアトランタの国際空港で捜査員に渡し、クッキー箱に入れられた手付金3万ドル(約340万円)を受け取ったという。
 一方、コカ・コーラ社の監視ビデオに6月、役員のアシスタントが極秘文書をバッグに入れるところや新製品のサンプルの瓶を手にしているところが映っていたという。成功報酬150万ドル(約1億7000万円)を銀行口座に振り込む予定日だった今月5日に3人は逮捕された。

◎たばこ被害:16兆円の懲罰賠償認めず、米フロリダ最高裁(2006年7月7日、毎日新聞)
 たばこによる健康被害をめぐり米フロリダ州住民が米たばこ大手5社に損害賠償を求めた代表訴訟で、同州最高裁は6日、1450億ドル(約16兆7000億円)の懲罰的賠償金支払いは「過度に高額」などとした2審判決を支持、請求を退けた。米裁判史上最高となる巨額賠償金の行方が注目されていた裁判は、たばこ会社側が最終的に勝訴した。
 同最高裁は「(この訴訟は)代表訴訟として認められない」とする一方、喫煙ががんなどの原因となり、たばこ会社が危険な製品を販売しているという1審判決の事実認定は支持。具体的な健康被害があったとされた原告2人への損害賠償金計約680万ドルの支払いは認めた。
 被告は米たばこ最大手アルトリア(旧フィリップ・モリス)など5社。00年の1審判決は、たばこ会社側が健康に及ぼす危険性について情報提供を怠ったなどとして懲罰的賠償金の支払いを命じ、住民側が勝訴したが、2審はこれを退けた。(共同)

◎米「知的財産室」を新設、違法コピー横行の中露が対象(2006年6月24日、読売新聞)
 米通商代表部(USTR)は23日、主に中国やロシアを対象とした知的財産権保護問題への取り組みを強化するため、「知的財産室」を新設すると発表した。
 従来の「サービス・投資・知的財産室」から独立させ、室長にビクトリア・エスピネル代表補が就任する。
 米政府は、貿易赤字削減の有力な手段として、外国でのCD・DVDやコンピューターソフトの違法コピー取り締まりに力を入れている。特に中国、ロシアでの横行を問題視しており、USTRは専門部署の新設で対応に本腰を入れる。ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟を巡る米露の二国間協議は、知的財産権の保護問題が大きな障害となって難航している。

◎米財務省:中国4社の資産凍結、イラン向け兵器拡散で(2006年6月14日、毎日新聞)
 米財務省は13日、イランの大量破壊兵器(WMD)の拡散に関与したとして、中国企業4社と米企業1社に対し、在米資産の凍結と米国との取引禁止を命じた。WMD拡散防止のため、昨年6月に施行した大統領令に基づく措置。
 財務省によると、5社はWMDの運搬が可能なミサイル開発のため、資金・技術面などでイランの関係団体を支援した。
 同省は「世界中の政府がイランの活動を手助けしないように適切な措置を取ることを求められている」との声明を発表し、金融制裁への同調を促した。

◎「イランにミサイル関連部品」、米が中国企業4社を制裁(2006年6月14日、日本経済新聞)
 米財務省は13日、イランにミサイル関連の部品を供与したことなどを理由に、中国企業4社と米企業1社に制裁を科すと発表した。商取引の禁止や在米資産の凍結などが柱で、他国にも同様の措置を取るよう求めた。アハマディネジャド・イラン大統領の中国訪問を目前に控え、イランの核開発問題などを巡り欧米と温度差を残す中国に、イランが接近するのを事前にけん制する狙いもあるとみられる。
 制裁は金融機関との取引停止などを通じて大量破壊兵器や、それを運ぶミサイルの拡散にかかわった企業や団体、個人の活動を制限するのが狙い。昨年6月、ブッシュ大統領が署名した大統領令に基づく。これまでに北朝鮮、イラン、スイスなどの企業や政府系機関への制裁を決めているが、中国企業や国内企業への適用は初めて。

◎「悪玉脂肪を使うな」ケンタッキー訴える(2006年6月14日、産経新聞)
・米消費者団体
 ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)などを展開する米外食大手ヤム・ブランズに対し、揚げ油に心臓病などのリスクを高めるとされる「悪玉脂肪」を使うのをやめるよう求める訴訟を、米消費者団体が13日、ワシントン高裁に起こした。
 問題の脂肪は、加工植物油などに含まれる「トランス脂肪酸」と呼ばれる成分で、多く摂取するとコレステロール値を上げ、動脈硬化を進める恐れがあると指摘される。
 同団体は健康に良い揚げ油に切り替えるか、認められない場合は消費者に健康上のリスクを知らせるべきだと主張している。ロイター通信によると、KFC側は「食品として安全であり、必要な情報も提供している」などと反論している。
 米国では近年、トランス脂肪酸の健康への影響に関心が高まっており、ハンバーガーチェーン3位のウェンディーズ・インターナショナルが先週、トランス脂肪酸の大幅削減を発表したばかり。

◎米財政赤字、3000億ドルに縮小見通し・議会予算局(2006年5月5日、日本経済新聞)
 米議会予算局は4日、力強い景気拡大にともなう税収の増加により、2006会計年度(05年10月〜06年9月)の財政赤字が3000億ドル(約34兆1000億円)程度にとどまるとの見通しを発表した。
 政府は2月に議会へ提出した予算教書で、イラク戦費などの負担増により、06年度の赤字を過去最大の4230億ドルと見積もっている。
 予算局によると今年4月までの税収は法人、個人ともに大幅に伸びているという。

◎BSE:米3例目感染牛、原因特定できず(2006年5月3日、毎日新聞)
 米農務省は2日、今年3月にアラバマ州で見つかった米国で3例目の牛海綿状脳症(BSE)感染牛に関する調査結果を発表した。感染原因や流通経路が特定できなかった上、直近に産んだ子牛2頭を除いては、感染牛と親子関係にあるなど血統上関連するほかの牛も見つけられなかった。
 烙印(らくいん)や耳標など牛の個体識別用の情報が不足していたためで、米国における家畜識別や追跡システムの不備があらためて浮き彫りになった。
 問題の牛は米国産の雌の乳牛で歯の状態から10歳以上と判定。BSE感染の原因とされる肉骨粉飼料の規制が始まった1997年より前の出生となるため、汚染飼料で感染した可能性があるが、同省の最終報告書は原因を明記していない。
 97年の規制以降、この牛に飼料を供給した可能性がある工場を調査した結果、すべての工場が政府の飼料規制を順守していたという。

◎移民規制法案に抗議、全米で100万人がストやデモ(2006年5月2日、読売新聞)
 米議会が審議中の不法移民規制法案に抗議する中南米系の不法移民らによるストライキやデモ行進が1日、全米各地で計約100万人が参加し行われた。
 「移民のいない日」をスローガンに、移民が米経済にとって不可欠な労働力であることをアピールするのが目的。ロサンゼルスなど特に移民の多い都市では、飲食店や商店、工場などの臨時休業が相次ぎ、経済活動にも影響が出た。
 ロサンゼルスではこの日、中心部の目抜き通りが、「我々に市民権を」と書かれたプラカードや星条旗を手にした移民らで埋まった。商店の大半は、シャッターを下ろしたまま。昼過ぎから始まったデモは、夕方には約40万人(警察発表)に膨れあがった。
 メキシコからの移民のホセ・ロドリゲスさん(28)は、「建設現場で働いているが、みんながデモに参加するので今日の作業は中止になった」と、片言の英語で話す。移民支援団体のベロニカ・ジメネズさん(25)は、「これで、移民がいないといかに困るかわかるでしょう」と誇らし気だった。
 ロサンゼルスは人口の半分が中南米系で、不法移民の労働力への依存度も高い。ストの影響で、運送業や卸売市場、中心部に集中する縫製工場などでも出勤者が少なく、休業が目立った。また、両親と一緒にデモに参加するなどして児童生徒約7万人が学校を欠席した。
 全米の不法移民は推定1100万人。この日は中西部のシカゴでは約40万人がデモに参加したほか、コロラド、フロリダ両州などでも数万人規模の行進が行われた。
 ニューヨークでもマンハッタンの公園ユニオン・スクエアに中南米系の移民を中心に数万人が集結し、「すべての移民に完全な権利を」「我々は犯罪者ではない」などと訴えた。

◎米グーグル、1〜3月期純利益60%増・売上高も過去最高(2006年4月21日、日本経済新聞)
 インターネット検索最大手の米グーグルが20日に発表した1―3月期決算は、売上高が前年同期比79%増の22億5400万ドル、純利益が同60%増の5億9200万ドルだった。サービス拡充でサイトの利用者が増え、ネット広告収入が伸びる好循環が続く。好決算が相次ぐハイテク企業のなかでも突出した成長力を示した。
 売上高、純利益とも過去最高を更新した。従業員向けストックオプション(株式購入権)の費用計上などの特殊要因を除く実質の1株利益は2.29ドルと、アナリスト予想の平均1.97ドルを上回った。米株式市場の時間外取引で同社株価は同日終値(415ドル)比で一時8%超上昇した。
 エリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は「我々の事業モデルは強く、新たな投資が可能になり成長を持続できる」と述べた。

◎全米で不法移民対策に抗議デモ、ロスでは50万人(2006年3月26日、朝日新聞)
 米国で不法移民を取り締まる動きが強まっていることにヒスパニック(中南米系)社会が危機感を強め、全米各地に抗議デモが広がっている。25日にはロサンゼルスで50万人以上、コロラド州デンバーで5万人(いずれも警察推計)が街頭に繰り出した。
 抗議の対象になっているのは、昨年12月に米下院を通過した不法移民取締法案だ。不法滞在を重罪とし、不法移民を雇った経営者にも違反1件につき2万5000ドルの罰金を科す。メキシコとの国境に約1120キロのフェンスも張り巡らせる。
 移民の国・米国では陸路や海路からビザなしで入国する移民が後を絶たず、毎年85万人の不法移民が増え、総計は約1200万人と見られている。多くが低賃金の働き手として産業に組み込まれているのが現実だが、01年9月の米同時多発テロ事件以降、保守中間層を中心に「反移民」感情が高まっている。
 ブッシュ政権は「一時労働者」として法的地位を認める方向を模索しているが、共和党には政権の姿勢を批判する声が強い。今秋の中間選挙を前に不法移民問題をテコに保守票を固めたいとの狙いもうかがえる。今週、山場を迎える上院の審議次第では、厳罰主義の法が成立する可能性が出ている。
 人口の半分をヒスパニックが占めるロサンゼルス市では25日、メキシコなどの中南米出身者やその子孫で街の中心部は埋め尽くされた。「米国は移民でできている」「我々はテロリストではない」といったプラカードが目立った。

◎コカイン:米に密輸でコロンビアの左翼ゲリラ50人を起訴(2006年3月23日、毎日新聞)
 ゴンザレス米司法長官は22日、末端価格で250億ドル(約2兆9000億円)に上るコカインを米国などに密輸した罪で、コロンビアの左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)の50人を起訴したと発表した。米国内で訴追された麻薬密輸事件としては、過去最大になるという。
 長官によると50人の中には、FARCの主要幹部3人が含まれる。3人は現在、コロンビア当局に拘束されており、米政府は身柄引き渡しを求めている。
 FARCは世界中に出回るコカインの半分以上、米国に限っては60%以上を供給しているとされ、米政府からは「テロ組織」指定を受けている。

◎米軍移転費上積み、日本に75億ドル負担要求(2006年3月15日、朝日新聞)
 在日米軍再編をめぐり、米国防総省当局者は14日、沖縄に駐留する海兵隊のグアム移転費について総額約100億ドル(約1兆1800億円)の試算を新たに示し、約75%にあたる約75億ドル(約8850億円)の負担を日本側に求めていることを明らかにした。米側はこれまで、総額80億ドルとの推計を示していたが、基地の外の道路整備なども必要として約20億ドルを上積みした。山口県岩国市の住民投票や沖縄などで再編案への反発が出ているが、あくまで月内の日米合意を目指す姿勢を強調した。
 国防総省で日本人記者団に語った。当局者によると、当初の推計ではグアムに新たにつくられる海兵隊基地内の整備の概算として80億ドルが見込まれていた。だが、海兵隊が使用する海軍の港湾施設の整備や、上下水道、電気、道路整備など基地外のインフラ整備の必要性を考えると、さらに20億ドルが必要になると説明。沖縄駐留の海兵隊の移転では当初想定していた7000人より1000人多い8000人を想定し、現段階では2012年の移転を目指すとしている。
 同当局者は、この移転案について「日本側が求めたものだ」と指摘。米軍の日本防衛や地域の安定への貢献などを強調するとともに、他国に比べて日本の防衛費の負担が少ないことなども指摘し、妥当な負担だとしている。
 また、同当局者は日米当局が3月末までに実施計画合意(AIP)をまとめる重要性に言及。月内の取りまとめについて「まだ楽観的だ」と語った。ただ、日本側が求める外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の月内開催については「現段階ではまだ調整していない」などとして基本的に必要ないとの認識を示した。
 一方、米海兵隊岩国基地への空母艦載機の移転に地元住民が反対の意思を示したことについては「地方の反対は米国にもあり、日本だけの問題ではない。我々は3月末までにまとめるよう努力している」と述べた。そのうえで岩国への移転について「我々は作業を続ける」と述べ、計画変更は考えていないことを強調した。

◎「ずさん」指摘の施設に輸出許可、BSEで米政府(2006年3月15日、朝日新聞)
 牛海綿状脳症(BSE)の原因物質がたまりやすい「特定危険部位」の処理について、米農務省監査局が監査報告でずさんだと指摘した米国内の牛肉処理施設のうち3カ所が、米政府の日本向け輸出認可を受けていたことが14日分かった。農林水産省の問い合わせへの米側の回答で判明したが、施設名は明らかになっていない。

◎中国、中南米・アフリカ進出、米安保の脅威(2006年3月9日、産経新聞)
・セミナーで専門家、資源獲得へ軍事援助も
 中国の中南米とアフリカへの資源獲得のための進出が独裁政権を支援し、軍事援助をからめるという形が多いという点で、米国の安全保障への侵害にもなるという懸念が七日、ワシントンの大手研究機関でのセミナーでブッシュ政権に近い専門家たちから表明された。
 ブッシュ政権に近い大手シンクタンクのヘリテージ財団は七日、「アフリカと中南米で拡大する中国の影響力」と題するセミナーを開いた。同財団の中南米専門研究員のスティーブ・ジョンソン氏は中国が石油や希少金属などの資源獲得のため中南米のベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、チリ、ウルグアイ、ボリビアなどに貿易、投資、経済援助という形で進出し、とくにベネズエラからの石油輸入を急増させている現状を報告した。
 同氏はこの中国の動向が一般の国々とは異なる特徴として、(1)単なる企業ではなく国家機構自体が当事者となっている(2)経済交流に軍事援助をからませる場合が多い(3)交流の相手に非民主主義の独裁国家が多い(4)交流の方式では人権尊重などの国際規約を守らない−などという諸点をあげた。
 とくに中国はベネズエラ、ボリビア、ニカラグアなどに戦闘機や空対地ミサイルを供与し始めたという。
 有力民間コンサルタント企業のブーズアレン社の中南米専門家エバン・エリス氏も、中国の中南米進出の主要動機は自然資源の獲得だとして、中国の中南米からの輸入が昨年は千三百七十億ドルと前年比26%の増加となった点を強調した。
 エリス氏はさらに、(1)反米チャベス政権のベネズエラからの石油は中国の石油輸入全体の20%にまで急増した(2)中国は最近、チリに二十億ドルを投入して、銅の独占的な調達の権利を得た(3)中国は同じ反米のモラレス大統領が政権を握るボリビアにも急接近して天然ガス開発などのために三十五億ドルの投資をした(4)キューバには新たにニッケル獲得のために四億ドルを投資した−ことをあげて、中国の中南米での動きには反米政権への協力が目立つと指摘した。
 ヘリテージ財団のアフリカ専門研究員のブレット・シェーファー氏は、アフリカでも中国は中南米と似た進出が目立つとして、スーダンでの地元石油機構の40%の株保有による大規模な石油調達、アンゴラでの二十億ドルの融資提供による石油開発権利の獲得、ナイジェリアでの原油獲得、ザンビアでの銅獲得、リベリアなどでの木材調達などの具体例をあげた。
 同氏はそのうえで中国のアフリカでの接近の相手はほとんどがスーダンやジンバブエのような独裁の無法国家だと述べ、スーダンに対してはとくに兵器供与や軍事教育などの軍事援助が顕著だと報告した。

◎収容施設:米の「不法拉致」疑惑も調査、欧州議会(2006年2月27日、毎日新聞)
 米が欧州で、対テロ戦争の拘束者の収容施設を設けた疑惑を調べている欧州議会が、欧州連合(EU)内で起きた米の「不法拉致」疑惑も重点的に調べていることが26日、分かった。毎日新聞の取材に応じた同議会・調査委員会のクエリョ委員長(ポルトガル)によると、「欧州で拉致され、拷問を受けた」と主張する数人が、すでに証人喚問に応じる意向を示した。不法拉致疑惑には、具体的な証拠も多く、調査の行方次第で米は苦境に立たされそうだ。
 委員会は、調査をすでに始めた欧州評議会(欧州の人権機関)とも協力を進めている。同評議会の中間報告書は▽マケドニアで拉致され5カ月間、アフガニスタンの米施設で拷問されたという独男性(03〜04年)▽伊で米中央情報局(CIA)に拉致され、同国の軍事基地経由でエジプトに連行・拷問されたというエジプト人男性(03年)−−などの例を指摘、特にエジプト人男性の事件を「拉致を証明できる有力なケース」としている。
 クエリョ委員長は毎日新聞の取材に「法的な手続きなしに、EU内で拉致、連行が行われた場合、重大な人権侵害となる」と指摘した。その上で、委員会が本格的な調査に着手し、「拉致被害」を訴える4〜5人が、3月下旬の委員会の喚問に応じたことを明らかにした。証人保護の見地から、一部の喚問は非公開となる見込みだ。
 また、独の航空当局は「02〜03年、CIAのチャーター機が300回近く国内の空港に着陸した」との記録を提出しているが、同委員長によると、この問題でも欧州航空管制機関(ユーロコントロール)に関連資料の提出も求めた。さらに、EU加盟国の情報機関が米に協力した可能性もあるため、責任者の喚問も検討している。
 このほか、調査委ではEUのソラナ共通外交・安保上級代表やデブリーズ・テロ対策代表の証人喚問や、米政府関係者からの聞き取り調査のための代表団派遣も検討しており、7月までに中間報告を出す予定だ。
 欧州議会はEU(25カ国)の議会。委員会の調査に法的強制権はないが、これまでも議会として米の世界的な通信傍受システム(エシュロン)の実態を調べあげるなどの成果を上げている。

◎米の輸出優遇税制が6度目の敗訴・WTOが協定違反と裁定(2006年2月14日、日本経済新聞)
 世界貿易機関(WTO)は13日、米国の輸出優遇税制がWTO協定に違反するという裁定を発表した。足かけ10年に及ぶ紛争で米国の敗訴は6回目。米国は2度にわたって部分的な法改正を実施しながら、なお不当な措置を温存しているという欧州連合(EU)の訴えを認めた。米国が是正しない場合、EUは棚上げしている報復関税を復活させる構えだ。
 WTOの上級委員会(上級審に相当)が13日発表した報告は、昨年9月末に紛争処理小委員会(パネル)がまとめた米敗訴とする報告を全面的に支持。WTOの紛争処理機関が30日以内に報告を採択すると、米国は60日以内に是正措置をとるよう求められる。
 米輸出優遇税制は、タックスヘイブン(租税回避地)の子会社を経由した輸出所得に対する課税を減免する措置。EUは1997年11月の提訴以来、この優遇税制はWTO協定が禁ずる不当な輸出補助金に当たると主張。パネルと上級委の報告でそれぞれ3回ずつ勝訴したことになる。

◎海兵隊司令部:グアム移転経費9000億円、米側が提示(2006年2月12日、毎日新聞)
 在日米軍再編に関する日米審議官級協議が11日、東京都内で行われ、3日間の日程を終えた。米側は沖縄県の第3海兵遠征軍(3MEF)司令部をグアムに移転させる経費を約9000億円(76億〜78億ドル)と提示した。ただ、米側が詳細な積算根拠を示さず、日本側の負担割合は来週以降、再協議することになった。3月にまとめる最終報告には負担額を明記する方向で調整している。

・日本負担は再協議
 中間報告では、在沖縄海兵隊約7000人の削減が盛り込まれ、米側は、その大半をグアムに移転させる方針。11日の協議では、家族住宅や司令部施設の建設費などの概算見積もりを約9000億円と説明したが、日本側は納得せず、負担割合の協議には入らなかった。政府は12日から、移転先候補地視察のため、外務省の梅本和義北米局審議官、防衛庁の金沢博範防衛局次長らをグアムに派遣する予定。
 協議ではまた、海兵隊普天間飛行場(沖縄県)の空中給油機の移駐先について、米側は中間報告で候補地とした海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)から岩国基地(山口県)に変更するよう改めて要求。岩国基地には米海軍厚木基地の空母艦載機を移駐させる計画であるため、日本側は「空中給油機まで移駐することは地元の理解が得られない」として拒否し、協議を続けることになった。
 このほか、米軍横田基地(東京都)の米軍管制空域削減のため作業部会を設置することで合意した。東京都が求める同基地の軍民共用化には米側が消極姿勢を崩さなかった。

◎米、ミャンマー圧力強化へ、中国・インドに協力要請(2006年2月8日、産経新聞)
 ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は7日、下院外交委員会のミャンマー問題に関する公聴会で証言、同国軍事政権への国際圧力を強化するため、ミャンマーに影響力を持つ中国、インドに協力を求めていく方針を示した。
 次官補はミャンマーへの制裁を効果的にするには「多国間の努力がより必要だ」と述べ、軍政に多額の援助を実施する中国や経済的つながりが強いインドへの働き掛けを強める必要性を指摘。国際社会の声に耳を貸さない軍政の姿勢に中国も「非公式に懸念を示している」と語った。
 米政府は民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんが拘束された2003年以降、ミャンマーからの輸入を禁止する制裁を続けている。

◎海兵隊移転80億ドル「日本、75%負担を」 米が要求(2006年2月8日、朝日新聞)
 米国防総省は、日米両国が在日米軍再編の一環として合意した沖縄駐留海兵隊のグアム移転の費用について、総額約80億ドル(約9400億円)と推計し、その75%を日本が負担するよう求める方針を固めて日本側との調整に入った。米側関係者が6日明らかにした。
 米政府は、第3海兵遠征軍の司令部とともに7000人から8000人の将兵の移転を検討しているが、グアムには現在、それを受け入れる施設がない。「80億ドル」は、国防総省が施設整備にかかる費用を大まかに推計した結果だという。
 同関係者によると、海兵隊の施設建設予算は年間1億ドル程度しかないため、米側に多少の支援をするだけでこの移転を進めようとすれば少なくとも20年はかかる。国防総省は「もっと早く実現するには、移転を求める日本政府にかなりの負担をしてもらわなければならない」との立場だ。米側は一応、2012年を移転完了の時期的なめどとしている。
 ただ、この推計は具体的な施設を一つひとつ検討して積み上げたものではない。このため日本側は「まだ交渉に入れる段階ではない」として、さらに詳細な計画と見積もりを求めている。これから両国間で詰めの作業が本格化する。
 両国政府は、在日米軍再編の最終報告をとりまとめる3月末までには、こうした移転に伴う費用や負担割合も最終的に確定させたい考えだ。
 海兵隊の移転をめぐっては、昨年10月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意された中間報告で「日本政府は、米国政府と協力して、グアムへの移転を実現可能とするための適切な資金的その他の措置を見いだすための検討を行う」と明記された。

◎米、将来の中国軍事力を警戒、太平洋へ空母、潜水艦増強(2006年2月4日、産経新聞)
 米国防総省は3日、安全保障政策の指針となる「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」を公表した。台頭する中国について「米国と軍事的に競い合える最も大きな潜在力を持つ国」と指摘し、将来的にライバルになる可能性があると警戒感を鮮明にした。6日に議会に提出される。
 空母は現在の太平洋5隻、大西洋7隻の計12隻態勢から計11隻に削減するが、このうち6隻以上と、約70隻ある潜水艦の6割を太平洋に配備し、大西洋からの戦力シフトを打ち出した。また、ブッシュ政権が進める「対テロ戦争」を「長い戦争」と規定し、長期化を明確にした。
 今回のQDRは米中枢同時テロ直後の2001年9月以来で、4年半ぶりの改定。今後20年間の米軍の兵力構成や国防政策の方向性を示し、3月決着を目指す在日米軍の再編問題や、東アジア情勢にも大きな影響を与えそうだ。
 QDRは米国が直面する主要な課題として(1)対テロ戦争(2)米本土防衛(3)中国など「戦略的分岐点」にある各国への対応(4)テロリストや敵対国への大量破壊兵器拡散阻止―を示したほか、同時に2つの大規模紛争対処を可能とする「二正面作戦」の維持を掲げた。
 国家の進路に不確実性を抱える「戦略的分岐点」にある大国として中国、ロシア、インドを挙げ、この3カ国の「選択が21世紀の安全保障環境を決定付ける要因」と指摘。これらの国が将来的に「敵対的な道を選択」することを米国は同盟国とともに抑止すると強調。
 特に軍事力近代化を進める中国に関し、米国が対応策を講じないと軍事的優位性を失う恐れがあるとし、「利害共有者」として平和的な発展へ促す必要性を指摘した。
 対テロ戦争ではイラクを教訓に、復興活動や安定化、現地の言語、文化理解への取り組みを強化。また、大量破壊兵器拡散阻止のため、精鋭の特殊部隊を大幅に拡充し、同兵器を無力化する能力も持たせる。
 さらに、同盟国との情報共有やミサイル防衛などで協力強化を進めるとともに、海外に駐留する米軍の規模を縮小する方向性を示している。

◎「難聴起こす」とアップル社提訴、米のiPodユーザー(2006年2月2日、日本経済新聞)
 米アップルコンピュータのデジタル携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」は聴力障害を引き起こす可能性があるとして、米ルイジアナ州に住む男性が同社に損害賠償と改善措置を求める訴訟を1日、カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁に起こした。AP通信などが報じた。
 訴えによると、iPodは115デシベル以上の音量を出すことが可能で、1日当たり28秒以上使用した場合、聴力を損なう可能性があると指摘。請求賠償額は現時点では未定で、原告側は今後、集団訴訟として手続きを進めたいとしている。原告男性がiPod使用で聴力障害となったかどうかは明らかでない。
 iPodは大容量のデータ蓄積能力があるため、米国では大音量で長時間使用した場合の問題が指摘されてきた。AP通信は「利用者がリスクを理解し、音量を適度に調整すべきだ」との別の専門家の意見を紹介している。

◎子犬の腹を開き、麻薬詰め密輸、コロンビアの組織摘発(2006年2月2日、日本経済新聞)
 米CNNテレビ(電子版)などによると、米麻薬取締局(DEA)は1日、純血のラブラドルレトリバーなどの子犬の腹に麻薬を詰めて米国に密輸していたコロンビアの組織を摘発したことを明らかにした。
 子犬の腹を開いて、液体ヘロインを詰めた小さな袋を中に縫い込み、米国に運んだ後、再び開腹して麻薬を取り出すという手口。
 DEAが昨年、コロンビアの農場を捜索した際、米国に運ばれる前の子犬10匹を発見し保護。6匹の腹には計3キロのヘロインが詰め込まれており、このうち3匹はヘロインを取り出す前に感染症で死んだという。
 DEAは事件を2年間にわたって捜査。コロンビアのメデジンなどで計22人を逮捕、ヘロイン24キロやコカイン6キロを押収した。
 DEA当局者は「子犬を運び屋として使うというひどいやり方は、密売組織が金のためには何でもやることを示している」と述べた。(共同)

◎米エルピーダメモリ:価格カルテルで、99億円罰金支払い(2006年1月31日、毎日新聞)
 米司法省は30日、半導体製品の国際的な価格カルテルをめぐる米独占禁止法違反事件で、NECと日立製作所が共同設立した半導体大手のエルピーダメモリが有罪を認め、8400万ドル(約99億円)の罰金支払いに同意したと発表した。
 同省によると、エルピーダは99年4月から02年6月までの間、他のメーカーと共謀してパソコンなどに使われるDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の販売価格を一定の水準に維持し、米デルやIBMなど7社に損害を与えたという。

◎米GDP:1.1%増、3年ぶりの低い伸び、商務省(2006年1月28日、毎日新聞)
 米商務省が27日発表した05年10〜12月期の米国内総生産(GDP)の実質成長率(季節調整済み・速報値)は、年率換算で前期比1.1%増だった。前期(05年7〜9月期)の4.1%増から大幅に鈍化し、02年10〜12月期(0.2%増)以来、3年ぶりの低い伸びにとどまった。
 減速の主因は個人消費で、1.1%増にとどまり、前期(4.1%増)から大きく落ち込んだ。米メーカーの大幅値引きが9月末で終了し、その反動で自動車販売が減少し、消費全体の足を引っ張った。
 また、貿易赤字の悪化で、外需も成長率を1.18ポイント押し下げた。設備投資は2.8%増(前期8.5%増)、住宅投資も3.5%増(同7.3%増)にとどまった。
 一方、05年の年間の成長率は3.5%増で、04年(4.2%増)を下回ったが、米経済の潜在成長率とされる3%台半ばを確保した。

・自動車販売の反動減大きく 原油高の影響も
 27日発表された05年10〜12月期の米実質成長率は年率1.1%増にとどまった。前期(05年7〜9月期)に急増した自動車販売の反動減が大きく、市場では「一時的」との見方が強い。ただ、自動車販売の不振には原油高の影響もあるとみられ、先行きに懸念を残した。
 米連邦準備制度理事会(FRB)は31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを決める見通しだが、今後の景気動向によっては、「利上げ休止」の時期の判断に影響を与えそうだ。
 販売低迷に苦しむ米自動車メーカーは05年夏に大幅値引きを展開。05年7〜9月期の自動車を含む耐久財消費は9.3%増え、全体の成長率が4.1%増と高い伸びを記録する原動力になった。
 だが、値引きが終わった10〜12月期の耐久財消費は17.5%減に急落し、成長率を1.56ポイントも押し下げた。設備投資が伸び悩んだのも、「企業が自動車購入を手控えたため」と指摘される。
 問題は、自動車の低迷が反動減のためだけか、だ。05年の年末商戦の売り上げは底堅く、雇用もハリケーン被災前の増加ペースを取り戻しており、原油高が消費全体を圧迫しているわけではないとの見方が強いが、ガソリン価格の急騰が自動車の購入意欲を冷え込ませた面もあり、今後の不安要因であるのは確かだ。
 05年10〜12月期の住宅投資が3.5%増と、04年10〜12月期以来の低い伸びに終わったのも懸念材料。住宅市場は「ピークを過ぎた」との指摘も出ている。今後、住宅ブームが失速すると、景気を冷え込ませかねない。

◎フォードなどに賠償命令評決、ファイアストンタイア事故(2006年1月29日、朝日新聞)
 ブリヂストンの米子会社ファイアストン製タイヤを使ったマツダ車の事故をめぐる損害賠償請求訴訟で、テキサス州地裁の陪審団は27日、車を製造した米フォード・モーターと販売した傘下のマツダに対し、計2500万ドル(約29億円)を原告に支払うよう命じる評決を出した。原告側代理人によると、ファイアストン製タイヤをめぐる一連の事故で和解例は多いが、評決に至ったのは初めて。
 評決額はフォードが約2200万ドル、マツダが約300万ドル。このほかファイアストンにも440万ドルの支払いを命じたが、すでに原告はファイアストンと和解しており、新たな支払い義務はないという。米メディアによると、フォード側は控訴する意向だ。
 02年の事故で体の一部が不自由になった女性が、00〜01年にかけてのタイヤリコール(無償回収)の対象を消費者に周知徹底しなかったことが原因として訴えていた。

◎FRB:金利0.25%引き上げ、01年5月以来の水準へ(2006年1月28日、毎日新聞)
 米連邦準備制度理事会(FRB)は31日、当面の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。同日退任するグリーンスパンFRB議長の最後のFOMCで、短期金利の指標であるフェデラル・ファンド金利の誘導目標を現行の年4.25%から0.25%引き上げる見通しだ。
 利上げが決まれば、04年6月から14回連続。年1%という歴史的に低い水準まで金融緩和を進めたFRBは、米景気の回復を受けて超低金利政策の修正を進めてきた。グリーンスパン議長は、金利を01年5月以来の水準となる年4.5%に戻して、18年5カ月余りに及んだ任期を締めくくることになりそうだ。
 昨年10〜12月期の米実質成長率は年率1.1%と3年ぶりの低い伸びにとどまったが、7〜9月期に急増した自動車販売の反動減の影響が大きく、市場では「減速は一時的」との見方が支配的だ。FOMCの基礎資料となる最新の地区連銀報告も、自動車販売の不振を認めたうえで、年末商戦や雇用の堅調さを指摘し、「景気拡大が続いた」との認識を示している。
 また、地区連銀報告は原油高によるインフレに警戒感をにじませ、市場でも「31日は利上げ継続」の予測が大勢だ。
 一方、昨年12月の前回FOMCの声明は「金融政策は緩和的」との表現を削除することで、超低金利政策の修正はほぼ終わったとの見方を示唆した。このため、バーナンキ次期議長が就任後、初めて臨む3月28日のFOMCで、再利上げとなるかどうか、市場の観測は分かれている。
 原油高が続く中、グリーンスパン議長は、景気や物価の動向をどう判断し、どのような政策の方向性を示して、次期議長にバトンタッチするか。FOMCの声明に込められるグリーンスパン議長最後のメッセージが注目されている。

◎米国:マツダ車事故で、フォードに34億円賠償評決(2006年1月28日、毎日新聞)
 米フォード・モーター傘下のマツダのスポーツタイプ多目的車(SUV)に同乗した際の事故で重い障害を負った女性(22)が、フォードとマツダ米国法人を相手に損害賠償を求めた訴訟で、テキサス州ニューセス郡の裁判所陪審は27日、両社に対し合わせて2900万ドル(約34億円)の支払いを命じる評決を下した。
 この車はフォードがマツダにOEM(相手先ブランドによる受託生産)供給した車種。原告側代理人によると、女性は02年4月、知人が運転していたマツダのSUV「ナバホ」に同乗。車は走行中にタイヤが損傷したため横転し、女性には右半身がまひするなどの障害が残った。損傷したタイヤは約10年前に製造されたもので、安全性に問題があるとしてリコール(回収・無償修理)の対象となっていた米ファイアストン社製だった。
 このため女性側は、フォードとマツダは消費者に対し古いタイヤには問題が生じる可能性を知らせる義務があったが怠ったと主張、陪審はこれを認めた。
 評決は事故の責任割合をフォード75%、マツダ10%、ファイアストン15%と認定した。ファイアストン側と原告間には既に和解が成立している。(ロサンゼルス共同)

◎米の対中貿易赤字、2000億ドル突破・2005年見通し(2006年1月26日、日本経済新聞)
 米通商代表部(USTR)のバティア次席代表は25日、ワシントンでの講演で、2005年の米国の対中貿易赤字が初めて2000億ドル(約23兆円)を超えた見通しだと述べた。次席代表は「これほど巨大な貿易不均衡は経済的にも政治的にも維持不可能だ」と述べ、米中経済摩擦の激化に警鐘を鳴らした。
 05年の対中貿易赤字は米商務省が2月10日に正式に公表する。昨年1―11月の赤字は1853億ドルで、金融市場でも05年対中赤字の2000億ドル超えを予想する声が多い。中国政府が最近発表した05年の対米貿易黒字は約1042億ドルだったが、米中両国の貿易統計では香港経由の取引の扱いが違うことなどから、双方の数字には大きな開きがある。
 バティア次席代表は米中間の貿易不均衡縮小のために、中国が世界の貿易ルールに基づいて公正な経済政策を進めるべきだと強調。中国の人民元制度の改革や中国国有企業への政府補助金の削減、知的財産権侵害への取り締まり強化などを強く求めた。中国側が応じない場合には、WTOへの提訴も辞さない構えも示した。

◎「危険性は交通事故より低い」、BSEで米いらだち(2006年1月25日、朝日新聞)
 米国産牛肉の再禁輸措置を巡る日米両政府の局長級会合が24日、外務省で開かれた。米国産輸入牛肉に、除去が義務づけられている脊柱(せきちゅう)(背骨)が付いていた問題について、米国側は会合後の記者会見で、牛海綿状脳症(BSE)の危険性を「車でスーパーに買い物に行って事故に遭う確率の方がよほど高い。その事実を日本の消費者に伝えたい」(ペン農務次官)と指摘。厳しい日本の輸入基準へ不満をあらわにしたが、背骨混入を見逃した原因について明確な説明はなかった。
 会合には日本の外務、農水、厚生労働3省の局長級と、米国側のペン次官、ランバート農務次官代理らが出席した。
 日本側は、BSEの原因物質が蓄積しやすい背骨が除去されていなかった原因の究明と再発防止を改めて要請。米側は、背骨が混入していたのは「孤立した事例だ」と述べ、「国際的な商業経験を持たない検査官が駐在した処理場で起きたミスであり、経験豊富な検査官がいるほかの処理場には問題は波及しない」との見方を強調した。
 ただ、米側はミスの具体的な原因については会合で示さず、再発防止策のとりまとめとともに原因の徹底調査を続けると、表明するにとどめた。調査結果の提出時期は未定で、必要に応じて日米間で意見交換していく方針を確認した。
 両政府は25日も担当者レベルの会合を開き、米国側に提示を求める情報の詳細な項目などについて協議する予定だ。

◎米国:イランのウラン濃縮、安保理付託「可能性高まる」(2006年1月12日、毎日新聞)
 マコーマック米国務省報道官は11日、イランが国際社会の警告を無視してウラン濃縮の「研究」再開に踏み切ったことを受け、同問題の国連安保理への付託の可能性は「かつてなく高まった」との認識を示した。イランは石油を武器に国際社会の分断を見込んだ「ギャンブル」に出た、との指摘も出る中で、米国は水面下の外交攻勢で対イラン包囲網の強化に自信を見せている。
 マコーマック報道官は、欧州諸国が対イラン非難を強めていることに触れながら、「安保理付託の可能性はかつてなく高まった。国際社会はまもなく次の外交的措置について判断を下すだろう」と語った。一方で、米国の目標はあくまでイランの核保有阻止だとし、「安保理付託の可能性はイランに国際条約の義務を守るよう、より強いシグナルを送るだろう」と説明した。
 米国は一貫して、イランの主張する原子力開発が「民生用」を隠れみのにした核兵器開発だと告発。昨春、英仏独3カ国の対イラン交渉を支持する姿勢に転じて以降、同問題では前面に出ることを控えながら、3カ国による交渉の流れの中で対イラン包囲網を強める戦術を取ってきた。
 イランが10日にウラン濃縮の「研究」再開に乗り出したことは、国際社会のイランへの疑念を一気に強め、米国の戦術に追い風になった。ライス米国務長官はラブロフ露外相やストロー英外相らとの電話協議を重ね、「次の外交的措置」で調整を進めている。
 欧州3カ国は12日にベルリンで今後の対応を協議する予定。安保理付託問題を協議する国際原子力機関(IAEA)の緊急理事会が招集されるか注目されるが、米国は理事会で投票が行われた場合、「票はある」(マコーマック報道官)とその採択に自信をのぞかせている。
 しかし、石油輸出国機構(OPEC)中第2位の産油国・イランが石油を武器に付託の阻止を目指して各国に働きかけを強めるのは必至だ。特に、安保理常任理事国でもあり石油輸入の約12%をイランに依存する中国と、原発開発などで強い関係を持つロシアの動向が焦点となる。

◎米国炭鉱爆発:13人の救出作業は難航(2006年1月3日、毎日新聞)
 米ウェストバージニア州北部の炭鉱で2日早朝、爆発事故が発生し作業員13人が坑内に閉じ込められた。安否は不明。坑内にガスが充満し、2次被害の恐れがあることから救出作業は難航している。メタンガスなどが何らかの火に引火し爆発した可能性が高い。落雷による引火の可能性も指摘されている。
 米メディアによると、作業員は年末年始の休み明けの同日午前6時過ぎ、坑道に入った。しばらくして爆発が起き、坑道の一部が崩れたという。作業員は坑道の入り口から約3.2キロ、地表から深さ約80メートルの地点に閉じ込められているとみられる。作業員は空気清浄装置を携行しているが酸素ボンベは装備してない。空気清浄装置も約7時間しかもたないという。通信システムも遮断され、作業員が生存しているかどうか確認できない状態が続いている。

◎「北朝鮮が円・人民元の偽札」米前アジア上級部長示唆(2005年12月30日、読売新聞)
 ブッシュ政権の国家安全保障会議(NSC)のアジア上級部長を12月に退任したマイケル・グリーン氏は28日、本紙とのインタビューに応じ、北朝鮮が偽米ドル札だけでなく、円や中国の人民元の偽札を製造している可能性を指摘した。
 グリーン氏は在任中、ブッシュ政権内有数の日本通としてアジア政策に強い影響力を持ち、退任後はワシントンの戦略国際問題研究所日本部長に就任した。
 グリーン氏は、北朝鮮問題について、「国際市場で、米ドルだけではなく、円や人民元、ユーロなどに使われているのと同じ色のインクを購入している」と明らかにしたうえで、「北朝鮮が円や人民元の偽札を製造していても驚かない」と話し、北朝鮮が円などドル以外の偽札作りにかかわっている可能性を強く示唆した。
 米政府は北朝鮮が「スーパーノート」と呼ばれる精巧な偽100ドル札作りを進めていると見ており、グリーン氏は、「北朝鮮は経済システムの破たんに伴い、過去数年間不法行為をますます拡大している」との分析を示した。
 同氏は、北朝鮮が米国との交渉を求めているマカオの銀行にかかわる米財務省の金融措置に関しても、交渉の余地がないことを強調した。

◎米国:イランに武器輸出、中国企業6社など制裁(2005年12月29日、毎日新聞)
 米政府は27日、イランにミサイル・化学兵器関連物資や技術を輸出したとして、中国航空技術輸出入総公司(CATIC)、中国北方工業公司(NORINCO)など中国国営企業6社を含む3カ国の計9社に制裁を科したと公表した。
 イランの大量破壊兵器開発阻止を目的とする「イラン不拡散法」に違反したとの認定。制裁を受けた企業は米政府と取引ができないほか、米企業からの技術移転が制限される。中国以外では、インドの化学系企業2社とオーストリアの防衛企業1社も制裁を科された。

◎「昼休み抜き」→200億円賠償、カリフォルニア州地裁、米ウォルマートに命令(2005年12月24日、産経新聞)
 AP通信によると、米カリフォルニア州の地裁は二十二日、流通最大手ウォルマート・ストアーズが従業員に昼休みを与えなかったのは州法違反として、退職者を含む計十一万六千人に対する総額一億七千二百万ドル(約二百億円)の損害賠償を命じた。
 同州では一日に六時間以上働いた従業員には三十分の昼食休憩を与えることを義務付けている。賠償の対象となるのは二〇〇一−〇五年に同州内の店舗などで勤務していた全従業員。
 元従業員数人が〇一年、損害賠償を求め提訴していた。会社側は、昼食時間を取れなかった従業員にはその分の手当を支払ったり、法律が認める範囲で無休憩とすることで合意していたケースもあるなどと反論していた。
 低賃金や従業員の待遇をめぐり、同社に対する批判は広がっており、訴訟も増加している。

◎米国務次官:米インド関係、「歴史的かつ戦略的な転換」(2005年10月19日、毎日新聞)
 バーンズ米国務次官は18日、ニューヨークでインド政策の基調講演を行い、米国が今年7月に核拡散防止条約(NPT)未加盟の核保有国インドと民生用原発の技術供与で合意したことについて、「国際社会の利益」につながると指摘した。また、安全保障や経済など各分野で急接近する米インド関係の現状を「歴史的かつ戦略的な転換」と位置づけた。
 原発技術供与は7月に両国の首脳会談で合意された。この合意には、北朝鮮やイランの「核の平和利用」に厳しい姿勢を取るブッシュ政権の二重基準だとの批判が出ている。
 バーンズ次官はこうした批判に反論。今回の合意により、▽インドが初めて国際原子力機関(IAEA)の抜き打ち査察など国際的な不拡散体制の義務を受け入れる▽人口大国インドの原発開発が促進されることでエネルギー市場の負担が軽減される−−などの利点を強調した。
 バーンズ次官は、インドが先のIAEA理事会でイラン核開発疑惑の国連安保理付託の可能性に言及する決議に賛成したことを称賛した上で、「インドは核物質や核技術の不拡散に強く関与している。(合意により)インドの孤立を終わらせることは国際社会の利益である」と訴えた。
 米国が実際に原発技術をインドに輸出するには議会での関連法改正などが必要。バーンズ次官は、06年初めに予定されるブッシュ大統領のインド訪問までに合意履行への一連の手続きを完了させたい意向を表明した。

◎米とインドが科学技術協定調印、知的財産権盛り込む(2005年10月18日、朝日新聞)
 米国のライス国務長官とインドのシバル科学技術相は17日、ワシントンで両国間の包括的な科学技術協定に調印した。知的財産権の取り扱いに関する取り決めが盛り込まれており、協定締結により共同研究など科学技術協力の進展が見込まれるという。
 シバル科学技術相は記者団に対し、「生命科学、自然災害、エネルギーなどの分野での協力を進めたいと考えている」と述べた。米印両国は93年にも同様の協定締結を目指したが、当時は知的財産権をめぐる合意ができなかった。
 米印はこのところ急速に結びつきを強めており、7月の首脳会談ではブッシュ大統領が原子力の分野も含めた協力の推進を表明。イランの核問題では、9月の国際原子力機関(IAEA)理事会で米国が後押しする対イラン非難決議案にインドが土壇場で賛成に回り、米国を喜ばせた。

◎東芝への530億円賠償命令を支持・米地裁(2005年10月15日、日本経済新聞)
 デジタルカメラなどに使われるメモリーカード技術をめぐり、米デジタル機器製造会社「レキサー・メディア」が東芝と米子会社を相手に損害賠償を求めた訴訟で、米カリフォルニア州の地裁は14日、東芝側に総額約4億6500万ドル(約530億円)の支払いを命じた今年3月の同地裁陪審の評決を支持した。
 原告側によれば、これで東芝側の同地裁での敗訴が確定した。東芝側は上訴など対抗措置をとるとみられる。
 陪審評決などによれば、東芝は1997年以降、レキサーと協力したメモリーカード技術開発で記憶機能の情報などを得た後、同分野の別のライバル企業と契約を結び、情報を流すなどレキサーに損害を与えた。

◎遺体970人、身元確認32人にとどまる、米ルイジアナ(2005年10月9日、朝日新聞)
 ハリケーン「カトリーナ」の犠牲者の捜索は打ち切られたが、収容された米ルイジアナ州の約970人の遺体のうち、公式に身元が特定されたのが32人にとどまっていると、ニューヨーク・タイムズ紙やCNNが伝えた。
 タイムズ紙によると、実際に親族に引き渡された遺体の数もまだ61にとどまっている。CNNによると、肉親の手に戻った遺体の多くは、入院していた患者ら、もともと身元確認が容易なケースだという。
 遺体の多くはバトンルージュに設けられた臨時の遺体安置所にある。約370人については、おおよその確認はできているというが、DNAなど確実な鑑定を心がけているため時間がかかっているという。
 家族は葬儀をできないだけでなく、死亡確認もできないため、保険手続きや相続手続きも進められず、いらいらを募らせていると、タイムズ紙は伝えている。より簡素な確認方法も採り入れているミシシッピ州では221人の死者のうち、すでに196人が確認されたという。

◎カトリーナ保険金支払い、過去最大の344億ドル(2005年10月5日、読売新聞)
 米調査会社ISO(ニュージャージー州)は4日、超大型ハリケーン「カトリーナ」による被害に対して保険会社が支払う保険金総額が344億ドル(約3兆9200億円)に達するとの試算を発表した。
 ISOは保険会社に申請された直近の支払い請求を基に試算した。
 この結果、同社によると、カトリーナの保険金支払額は1992年に米国に被害をもたらした「アンドルー」(約208億ドル、現在価値に換算)を大きく上回る過去最大の規模となることが確実となった。
 AP通信によると、カトリーナの被害に対する保険金額を巡っては、600億ドルから140億ドルまでの幅で試算が出ている。

◎米ハリケーン:ニューオーリンズ市職員4割を解雇(2005年10月5日、毎日新聞)
 大型ハリケーン「カトリーナ」で大きな被害を受けた米南部ルイジアナ州ニューオーリンズのネーギン市長は4日会見し、同市職員の4割にあたる3000人を解雇すると発表した。住民の避難で税収入が途絶、つなぎ融資の確保も難航するなど財政状態が極度に悪化したため。同市長は「あと2カ月は持つが、その後はさらに厳しい決断を迫られるだろう」と語り、追加解雇の可能性も示唆した。
 ニューオーリンズ市は8月末に直撃したカトリーナによる運河の堤防決壊で市域の8割が浸水、50万人近い住民の多くが市外で避難生活を送っており、被災者には市職員も少なくない。住民の一時帰還は順次行われているが、電力やガス、上下水道など社会インフラの復旧作業は続いており、住民が被災前の生活を営める状態にはない。
 市長によると、今回の解雇により、市職員の月給総額約2000万ドル(約23億円)のうち最大800万ドルの圧縮が可能になる。警官や消防士、救急医療担当者など、復興・治安維持活動に必要な職員は雇用を継続する。
 一方、連邦政府の依頼でカトリーナ被災地支援の募金活動を行ってきたクリントン前大統領は同日、ルイジアナ州バトンルージュの避難所を視察した。

◎新米10ドル紙幣:自由の女神背景にサンプルお披露目(2005年9月29日、毎日新聞)
 米財務省は28日、年明けから登場する新しい10ドル(約1130円)紙幣を公表した。偽造防止のために、従来の薄緑主体の地に、赤や黄、オレンジが加わり、カラフルな印象になった。左側には自由の女神が掲げるたいまつ、右側には米憲法冒頭の「We the People(我々人民)」が赤で描かれている。中央の初代財務長官ハミルトンの肖像は引き続き使われる。
 自由の女神を背景に、ニューヨーク・エリス島で新紙幣のサンプルをお披露目したスノー米財務長官は「紙幣は米国の自由と力強さの象徴。新紙幣は米国通貨の信頼維持に役立つ」と強調した。

◎米政府、新10ドル札のデザイン公開、来年から流通(2005年9月29日、産経新聞)
 米政府は28日、偽造防止などを目的に刷新する新10ドル紙幣のデザインを公開した。来年初めから流通するという。
 従来の緑色に加え、薄いオレンジ色や黄色などを使い、カラフルになっている。表側にはこれまで通りハミルトン初代財務長官の肖像が描かれている。
 紙幣に印刷された自由の女神のたいまつにちなんで、同日、ニューヨークのエリス島で式典が開かれ、スノー財務長官らが出席した。
 米政府は2003年に20ドル紙幣、昨年には50ドル紙幣のデザインをそれぞれ刷新した。(共同)

◎米のネット広告、06年市場規模は100億ドル突破へ(2005年9月28日、日本経済新聞)
 米国のインターネット広告の急拡大が続き、民間調査によると今年上半期(1〜6月)の市場規模が前年同期比26%増の58億1400万ドル(約6600億円)となった。通年では100億ドルを突破し、雑誌広告と肩を並べる見通しだ。上半期の米広告市場全体の伸び率は同4.5%にとどまっており、広告主がネットに予算を重点配分していることがうかがえる。
 ネット広告の市場規模は専門調査会社のインタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー(IAB)が公表した。内訳では検索結果に関連する広告が同27%増の23億1500万ドルで全体の40%を占めた。バナー広告は同22%増の11億5700万ドルだった。
 IABは将来予測を公表していないが、過去3年の通年実績は上半期の2.2倍程度。この勢いが続けば、今年の通年実績は120億〜130億ドルとなり、雑誌広告(昨年実績で124億ドル)に匹敵する。

◎「肥満の原因」汚名返上!? 米マックの体育教育に人気(2005年9月26日、産経新聞)
 米国の公立小学校の約三分の一に当たる約三万一千校が、九月の新学期から、米ファストフード最大手マクドナルドが作成した体育授業のプログラムを導入している。
 「遊びのパスポート」と名付けられたこのプログラムは、日本の「だるまさんが転んだ」や、バスケットに良く似たオランダのスポーツ「コーフボール」など世界各国の伝統的な遊びを紹介するもの。
 三年生−五年生の児童が実際に体験しながら異国の文化や歴史的背景などを学習するという趣旨だ。受け入れ先ではおおむね好評のようで、ロサンゼルス市近郊のバーバンクにあるジェファソン小の教育課程担当、アイリーン・ボウキー教諭(54)は「例えば、石けり遊びでも各国でさまざまな種類があることを学べるなど、教師の側にも新たな発見が多い」と語る。
 教材は社名こそ書かれていないものの、マクドナルドのロゴ付き。同社の“新製品”には、健康的イメージをアピールする狙いもありそうだ。
 いまや全米の六−十九歳の子供の31%が肥満か肥満予備軍といわれ、要因としてハンバーガーなどのファストフードがやり玉に挙がることが多い。マクドナルドでは「正しい食生活と運動を欠かさないことが(健康維持に)重要だということを継続して訴えたい」としている。

◎ハリケーン「カトリーナ」、死者1000人超す(2005年9月22日、朝日新聞)
 米南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の犠牲者数は21日までに計1035人が確認された、と米CNNテレビが同日伝えた。被害が集中したニューオーリンズがあるルイジアナ州で801人、ミシシッピ州219人、フロリダ州11人、アラバマとジョージア各州で2人の遺体が確認された。

◎05年上半期の米経常赤字、過去最大の3943億ドル(2005年9月16日、日本経済新聞)
 米商務省が16日発表した今年上半期の米経常収支(季節調整済み)は3943億2300万ドルの赤字となった。昨年下半期よりも11.0%増え、半期ベースの過去最大を更新した。
 原油高などによるエネルギー製品の輸入増や米景気拡大に伴う中国などからの輸入急増が主因。巨額の米財政赤字と並んで、世界経済の不安要因になっている。
 4〜6月期の経常赤字は1〜3月期に比べ1.5%減の1956億5500万ドル。六四半期ぶりの減少となったものの過去2番目の高水準で、国内総生産(GDP)に対する比率は6.3%に達した。2005年暦年の経常赤字は7000億ドルを大きく超える勢いだ。
 経常赤字の大半を占める貿易赤字(サービスを含む国際収支ベース)は、今年上半期に3463億7900万ドルとなり、前期よりも6.0%増えた。

◎米航空業界:デルタ、NWが破たん、燃料高騰で経営圧迫(2005年9月15日、毎日新聞)
 経営難に陥っていた米航空業界3位のデルタ航空と4位のノースウエスト航空は14日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をニューヨーク連邦地裁に申請し、経営破たんした。両社は、格安航空会社の参入による競争激化や原油高に伴うジェット燃料費の高騰で経営が圧迫されていたが、超大型ハリケーンの被害で燃料がさらに急騰したことで資金繰りが一気に悪化。米航空大手7社のうち2社が同時破たんに追い込まれる異例の事態となった。
 米メディアによると、負債総額はデルタが約280億ドル(約3兆円)、ノースウエストが約180億ドル。デルタ、ノースウエストはともに金融機関などからの支援を受ける予定で、運航は続ける。今後は裁判所の管理下で人員や路線の削減など大幅なリストラを進め、再建を図る方針だ。
 米航空大手の破たんは04年9月のUSエアウェイズ以来、1年ぶり。02年にはユナイテッド航空も経営破たんに追い込まれており、大手7社のうち4社が破産法の適用を受けて再建を目指す深刻な状況になっている。
 デルタ、ノースウエスト両社は、01年9月の米同時多発テロ後の旅客減を引き金に業績が悪化した。燃料費高騰や格安航空会社との競争激化に加え、高額の人件費が経営を一段と圧迫し、赤字が続いていた。
 デルタは破たん回避のため、先月から子会社の地域航空会社の売却や航空機11機の売却などのリストラ策を打ち出していた。ノースウエストも人件費など計1億7600万ドルの経費削減を提案した。
 だが、ノースウエストは労使交渉が決裂し、整備士などは8月下旬からストライキを決行。さらに、大型ハリケーン「カトリーナ」による原油急騰と欠航の続出が、両社の不振に追い打ちをかけた。

◎ニューオーリンズ市民の帰還、19日は微妙、ハリケーン(2005年9月15日、朝日新聞)
 ハリケーン「カトリーナ」による洪水で米ニューオーリンズ市内にいまも残る流入水について、米環境保護局(EPA)は14日、六価クロムやヒ素などに汚染されており、市民が自宅や職場に戻るのは危険だと警告した。同市のネーギン市長は「空気や水質の検査で問題がなければ」という前提で、19日にも一部地域で市民の帰還を認めるとしていたが、今回の検査結果によって、市民の早期帰還が実現するかどうかは微妙になってきた。
 EPAは4日と6日、同市内の計23カ所で流入水を採取し、汚染状況を調べた。その結果、六価クロム、ヒ素、鉛の3物質の濃度について、飲料水の水質基準を上回るケースが見つかった。
 汚染物質の濃度は、子どもが毎日1リットル飲んだ場合に危険な程度だという。ヒ素に関しては、こうした汚染状況に1年以上さらされるだけで、健康に悪影響が出る可能性があるとしている。
 また、6〜10日に実施した微生物汚染の調査では、基準を上回る大腸菌も検出された。このためEPAと米疾病対策センター(CDC)は、流入水に触れないよう勧告している。
 一方、大気汚染の調査では、エタノールなどが検出されたものの、健康に影響するほどではないとした。

◎ロサンゼルスで大停電、原因は市の工事ミス(2005年9月13日、朝日新聞)
 米ロサンゼルス周辺で12日午後1時(日本時間13日午前5時)ごろ、広範囲にわたって停電があり、エレベーター内に人が閉じこめられるなど約1時間にわたって混乱した。「アルカイダの次の標的はロサンゼルス」と予告するビデオが前日に米テレビ局で放映されたばかりで、人々の間には「テロか」と緊張が走ったが、原因は市電力局の工事ミスだった。
 ロサンゼルス中心部では、信号機が働かずに交通が一部で混乱。消防車やパトカーがサイレンを鳴らしながら走り回った。混乱を恐れた量販店などが店を閉めたため、大勢の人々が歩道上に繰り出し、「テロでもあったのか」などと不安げに見守っていた。近郊のバーバンクやグレンデールなどでも停電し、約200万人が影響を受けたと見られている。
 市電力局によると、工事中の職員が間違ったワイヤをつないだため、過大な電力が一方に流れて停電が起きたという。ほとんどの地域は数時間内に復旧した模様だ。
 米ABCテレビは11日、米国出身とみられるアルカイダのメンバーがロサンゼルスと豪メルボルンへの攻撃を予告したビデオを入手した、としてニュースで報じていた。

◎7月の米貿易赤字、2.6%減の579億ドル(2005年9月13日、日本経済新聞)
 米商務省が13日発表した7月の米貿易赤字(サービスを含む国際収支ベース、季節調整済み)は579億4000万ドルとなり、前月に比べて2.6%減少した。コンピューターや通信機器などの輸入が減り、2カ月ぶりに赤字が縮小した。中国は7月21日に人民元を2%切り上げたが、対中国の赤字は過去最大を更新した。
 貿易赤字は市場の平均予測(598億ドル)を下回った。輸出は0.4%増の1062億4000万ドル、輸入は0.7%減の1641億8000万ドル。原油の輸入は過去最大を記録したものの、資本財や消費財などの輸入が減り、赤字縮小の主因になった。
 1―7月の累計赤字は4043億1700万ドルとなり、前年同期に比べて18.1%増加した。8月以降は大型ハリケーン「カトリーナ」の被害で原油価格が一段と上昇しており、2005年暦年の赤字が過去最大の04年(6175億ドル)を上回る可能性が強まってきた。

◎米、石油ショック状態、ハリケーン被害、大半の製油所閉鎖、ガソリン買いに列(2005年9月4日、産経新聞)
 ハリケーン「カトリーナ」による被害で、米国は「ミニ石油危機」ともいえる状況に直面している。米政府は国内の戦略石油備蓄の取り崩しと国際エネルギー機関(IEA)加盟国による備蓄石油の放出で日量計二百万バレルを確保するほか、国内のガソリン供給を円滑にするため、外国船による米国内の港湾間輸送を可能にするなど、あの手この手の対策を講じている。だが、石油業界などは「カトリーナ」による被害をまだ正確に把握できないでおり、供給懸念がいつまで続くのか見通しが立たない状況だ。
 全米自動車協会(AAA)によると、二日のレギュラーガソリンの店頭平均価格は一ガロン(約3.8リットル)当たり2ドル86.7セントと、過去最高値を更新した。ガソリンスタンドは仕入れ値の急騰に備えて価格を上乗せし始めたため、店頭では三ドル台の表示が拡大している。
 在庫がなくなり閉店するスタンドも出てきたため、一部の不安に駆られた消費者らは、ブッシュ大統領のガソリン購入の抑制要請にもかかわらずガソリン買いに殺到。ミシシッピ州では、ガソリン購入のために三時間待ちの行列ができた。
 米エネルギー情報局は、「カトリーナ」による被害をまだ正確に把握できていない。メキシコ湾岸にある製油所は全米の石油精製の約五割をカバーしているといわれる。被災地には九つの製油所があり、このうち八カ所が閉鎖しているが、作業員らの立ち入りは当分先になるという。
 米国の東部と中西部までガソリンなどを運ぶ主要な二つのパイプラインも寸断されたままだ。全米の一日当たり消費量の10%に相当する四千二百万ガロンのガソリンが供給されていない計算だ。
 IEA加盟二十六カ国による戦略備蓄の協調放出は、米政府の要請を受けたものだ。米国自身も三千万バレルを取り崩すが、ボドマン米エネルギー庁長官はロイター通信のインタビューに「市場動向によっては追加措置を取ることが予想される」と述べ、備蓄の一段の取り崩しがあることを示唆した。
 さらに、サウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)の加盟国とも協議し、石油供給量拡大の確約を得た。
 ハバード米大統領補佐官(経済担当)は二日、テレビに出演し「欧州から二十隻のタンカーが米国に向かっている。危機は短期間で収束するだろう」と強調した。
 しかし、エネルギー専門家の間では、「IEA加盟国による備蓄放出でも米国発の石油危機を抑えるのは難しい」(米系メジャーアナリスト)との見方が根強い。エネルギー情報局も「一部は今後一−二週間で操業再開できるかもしれないが、復旧に数カ月要する施設もある」と供給不足が続くとの見方を示す。
 大手石油会社は効率重視の経営を迫られた結果、利益率の低い精製部門の設備の更新・新設を控え、この三十年間、既存施設の能力向上で対応してきた。このため、施設は老朽化しているのに、稼働率は約95%にも達する。
 こうした製油施設の脆弱性が解決されないかぎり、米国は石油危機と背中合わせだ。

◎米メルクに280億円賠償評決、副作用訴訟で州地裁(2005年8月20日、朝日新聞)
 米製薬大手メルクの関節炎治療薬「バイオックス」の副作用をめぐる訴訟で、テキサス州地裁の陪審団は19日、死亡した服用患者の遺族側の訴えを認めて、同社に2億5300万ドル(約280億円)の賠償を命じる評決を出した。この薬をめぐっては4000件以上の訴訟が起こされ、今回が最初の評決。巨額賠償評決を受けて、訴訟がさらに増えそうだ。
 今回の訴訟では、バイオックスを服用していた男性(当時59)が01年に死亡したのは、同社が副作用の適切な開示を怠ったためだとして、遺族が損害賠償を求めていた。評決の賠償額は判決では減額される見通しだが、メルクは控訴する方針。
 バイオックスはメルクの主力製品だが、同社は長期の服用が心臓発作などの心疾患につながる恐れがあるとして、昨年9月に回収を決めた。日本では発売されていない。
 19日のメルクの株価は約8%急落した。

◎バード法撤廃せよ、日本・EUなど対米報復措置発動も(2005年6月9日、読売新聞)
 米国の反ダンピング(不当廉売)関税分配法(バード法)が世界貿易機関(WTO)協定違反と認定された問題で、日本、欧州連合(EU)など8か国・地域が共同で、7月までに米国がバード法を撤廃しなければ制裁措置を発動する用意があると通告したことが、8日明らかになった。
 日本は昨年、WTOで対米報復関税の発動権利が認められたが、発動時期に言及して米国に改革を迫ったのは初めてだ。
 通告は3日付で米通商代表部(USTR)に対して行われ、日本のほか韓国、ブラジル、チリ、インド、メキシコと、報復関税を発動済みのEU、カナダが加わった。
 実際の制裁発動は、各国の自主的な判断に任されるため、日本が7月以降ただちに制裁を発動する可能性は低いと見られる。しかし、バード法撤廃に必要な米議会の法改正を、8月の米議会休会までに実現するよう強く求める狙いがある。
 バード法は、米政府が海外からの輸入品にかける反ダンピング関税で徴収した収入を米国内の関連企業に分配することを定めている。WTOで2003年に協定違反と認定され、米政府は議会に同法の撤廃を求めているが、議会審議の見通しが立っていない。

◎米国務長官「大量破壊兵器の拡散、11件阻止」(2005年6月1日、読売新聞)
 ライス米国務長官は31日、国務省内で開かれた大量破壊兵器拡散阻止構想(PSI)の2周年記念式典で演説し、過去9か月間で、PSI参加国と協力し、イランの弾道ミサイル用など大量破壊兵器関連物資の船による輸送11件を、未然に阻止したことを明らかにした。
 また、「六十数か国」が参加しているPSIに、新たにアルゼンチン、イラク、グルジアの3か国が加わったと発表した。
 これに関連し、国務省のバウチャー報道官は同日の記者会見で、11件のうち北朝鮮関連が2件、イラン関連も少なくとも2件含まれることを明らかにした。

◎トップレス禁止は差別、カリフォルニア州で法改正運動(2005年2月16日、読売新聞)
 風光明美な海岸が多い米カリフォルニア州で、「州法が女性のトップレスでの日光浴を禁じるのは、男女不平等だ」として女性弁護士らが法改正運動に乗り出した。
 同州法は、公共の場所で裸体をさらすことを禁じているが、特に女性に関しては胸部を露出することも公然わいせつに当たるとして、90日以下の禁固刑や1000ドル以下の罰金に処すと定めている。
 しかも、摘発されると、同州のミーガン法により生涯「性犯罪者」として登録される。すでに州高裁のレベルでは、「公然わいせつ罪で有罪が確定した人は、少年虐待や強姦(ごうかん)犯と同様にミーガン法の登録対象になる」との司法判断が示されている。
 実際は警官がトップレスの女性を見つけても、警告を受けてすぐに服を着れば刑事訴追しないケースがほとんどだが、性犯罪への厳しい世論が高まる中、今後の取り締まりが強化される恐れもある。
 同州では1998年、母親が子供に公共の場所で母乳を与えることも合法化されている。法改正運動を進める同州ベンチュラのリアナ・ジョンソン弁護士によると、女性のトップレス禁止は、同州の法律に残る最後の男女差別なのだという。州議会には近く禁止撤廃に向けた法案が提出されるが、議会で通ったとしても法発効には州知事の署名が必要で、論争の決着はシュワルツェネッガー知事に委ねられる可能性もある。

・ミーガン法
 ニュージャージー州で94年、性犯罪の犯歴がある男に7歳の女児ミーガンちゃんが殺されたことをきっかけに、性犯罪者情報を公開する州法成立が相次いだ。カリフォルニア州では悪質な性犯罪者については、顔写真や住所・氏名などがネット上で簡単に閲覧できる。

◎米マクドナルド:調理油訴訟で和解金9億円(2005年2月13日、毎日新聞)
 米ハンバーガー店チェーン大手マクドナルドは、フライドポテトなど揚げ物に使う油を健康に配慮した新タイプに切り替えると発表しながら実施が遅れたことを同社が適切に公表しなかったとされる訴訟で、和解金など計約850万ドル(約9億円)を支払うと12日までに発表した。
 マクドナルドは02年9月、心臓疾患の原因になると指摘された「トランス脂肪酸」を減らすため、調理油を03年2月までに新しいタイプに替えると発表。ところが、AP通信によると、実施が遅れたため03年2月に遅れの事実を公表した。米国の健康問題活動家らは03年、消費者への告知が不十分だったとして損害賠償などを求め、カリフォルニア州の地裁に提訴した。
 和解金のうち700万ドルは米心臓協会に寄贈、150万ドルはトランス脂肪酸に関する広告活動費用に充てられる。マクドナルドは声明で「当社はチキンマックナゲットなどの商品のトランス脂肪酸削減に成功している」と強調した。

◎調理油訴訟で9億円支払い、米マクドナルドが和解金(2005年2月12日、産経新聞)
 米ハンバーガー店チェーン大手マクドナルドは、フライドポテトなど揚げ物に使う油を健康に配慮した新タイプに切り替えると発表しながら実施が遅れたことを同社が適切に公表しなかったとされる訴訟で、和解金など計約850万ドル(約9億円)を支払うと12日までに発表した。
 マクドナルドは2002年9月、心臓疾患の原因になると指摘された「トランス脂肪酸」を減らすため、調理油を03年2月までに新しいタイプに替えると発表。ところが、AP通信によると、実施が遅れたため03年2月に遅れの事実を公表した。米国の健康問題活動家らは03年、消費者への告知が不十分だったとして損害賠償などを求め、カリフォルニア州の地裁に提訴した。
 和解金のうち700万ドルは米心臓協会に寄贈、150万ドルはトランス脂肪酸に関する広告活動費用に充てられる。マクドナルドは声明で「当社はチキンマックナゲットなどの商品のトランス脂肪酸削減に成功している」と強調した。

◎中国による知的財産侵害で米企業が対応要請(2005年2月10日、産経新聞)
 米企業が加盟する国際知的財産同盟は9日、海賊版の横行など中国による知的財産の侵害で被害を受けているとして、世界貿易機関(WTO)の場で中国と直ちに協議に入るよう通商代表部に申し入れた。
 同盟は、中国による知的財産侵害で2004年に25億ドルの損害を受けたと主張している。

◎兵器級ウラン「北朝鮮、生産段階に」、米前高官が論文(2005年2月9日、朝日新聞)
 ミッチェル・リース前米国務省政策企画局長は、米外交評論誌フォーリン・アフェアーズに寄稿した論文で、北朝鮮の核問題で最大の焦点となっているウラン濃縮計画について、米政府が握っている証拠の一端を明らかにした。それによると、北朝鮮は「核の闇市場」の中心にいたパキスタンのカーン博士から遠心分離器の模型と設計図を入手、00年にはウラン濃縮に使う遠心分離器を数千台規模で調達する決定を下していた。こうした動きは実験段階を超えており、核兵器に使うウランの生産段階に入っていることを示すと断じている。
 リース氏はジョージタウン大のロバート・ガルーチ外交大学院長(クリントン前政権の元北朝鮮核問題担当大使)と連名で、近く発売される同誌の3・4月号に「現場は押さえてある」と題した論文を寄稿した。
 論文によると、米政府が北朝鮮のウラン濃縮計画を疑い始めたのはクリントン前政権の時だ。その後、ブッシュ政権下の02年半ばに「年間2個以上の核兵器を製造できる兵器級ウラン」を生産できる装備を北朝鮮が獲得したとの「明確な証拠」を入手したという。
 そのひとつが、カーン博士の「自白」。パキスタンの捜査当局に「平壌に、ウラン濃縮を可能とする遠心分離器の模型と設計図を提供した」と供述したという。
 さらに「北朝鮮は00年の段階で、数千台規模の遠心分離器を調達する決定を下していた」とも指摘。詳細については触れていないが、米政府当局者らによると、その根拠は北朝鮮が「核の闇市場」の仲買人と交わした遠心分離器か、その部品の売買契約書との説が有力だ。
 リース氏は7日、朝日新聞記者の取材に対し「北朝鮮のウラン濃縮計画は現在も活発に進行中だ」と明言。同計画が実は存在していないのではないか、といった憶測を打ち消すため同誌に寄稿したと語った。

◎退社後の喫煙も禁止、米医療保険関連企業、検査拒否で解雇に(2005年2月1日、産経新聞)
 米国の医療保険関連の民間企業が、退社後の社員の喫煙を全面的に禁じる規則を1月から導入し、たばこを吸っていないことを証明する検査を拒否した社員数人を事実上の解雇処分にしたことが1月31日までに分かった。
 勤務時間外も禁煙にして社員の喫煙をゼロにすることで、企業や社会が長期的に負担する医療コストを減らす狙い。会社外での喫煙が解雇につながる例は米国でも珍しく「プライバシー侵害では」との批判もあるが、同社は「ほとんどの社員はこの規則に感謝している」と反論している。
 この企業はミシガン州にあるウェイコ社。同社発表や米メディアの報道を総合すると、同社は2003年秋、社員の喫煙率を今年1月からゼロにする方針を決定。社員約200人の約1割いた喫煙者のうち、同社の援助で12人ほどが禁煙に成功したが、今年初めの検査を拒否した社員4人が退社に追い込まれたという。
 ウェイコ社側は「ほかの会社に保険サービスを提案するわが社にとって社員の禁煙は自然な選択だ」と話している。

◎自宅での喫煙もクビ、米企業が4人解雇(2005年1月26日、朝日新聞)
 米ミシガン州の中堅企業が、州内で勤める全社員に就業時間以外でも禁煙を徹底させる規則を今月から導入し、喫煙の有無を調べる検査を拒否した社員4人を解雇していたことが25日わかった。社員が健康でいることが将来の医療費抑制を通じて経営上の負担を軽くするとの判断だ。禁煙意識が高い米国でも、自宅での習慣まで処分対象にするのは珍しい。
 規則を設けたのは、自らも健康保険サービスの受託を本業とするワイコ社。03年10月に社員に伝え、州法の違いから強制力を持たせるのが難しいイリノイ州の社員1人(非喫煙者)を除く約200人に適用した。
 その結果、当初いた喫煙者のうち約20人は社内の支援プログラムなどで禁煙に成功。残った喫煙者の1人は自ら退社し、4人が今月初めの検査を拒否して喫煙習慣が残っているとみなされた。
 ゲーリー・クライムズ最高財務責任者(CFO)は朝日新聞の取材に対し、「社内だけ禁煙にして自宅での喫煙は問わないことも検討したが、それでは社員の健康促進にはならない。他社も規則導入に興味を示しつつある」と意義を強調した。同社によると、解雇した4人も含め、規則に反対して提訴するような動きは今のところ出ていないという。

◎米、中国などの企業9社に制裁、イランへ技術移転(2005年1月19日、時事通信)
 米政府は中国企業7社、台湾企業1社、北朝鮮企業1社に対し、大量破壊兵器や先進弾道ミサイルを求めるイランを助けた可能性があるとして、新たな制裁を発動した。国務省の発表によれば、9社は輸出規制リストに載せられた設備・技術をイランに移転したとされる。
 制裁の対象となった中国企業は北京海立聯合科技有限公司、中国航空技術輸出入総公司、中国長城工業総公司、中国北方工業公司など。うち長城工業と北方工業は人民解放軍と深い関係にあり、様々な輸出規制に違反したとして既に米国の制裁を受けている。新たな制裁が両社のビジネスにどう影響するかは今のところ明らかでない。
 制裁を受けた台湾企業はエコマ・エンタープライズ、北朝鮮企業はペクサン連合企業所で、後者は政府経営の企業。
 米政府はこれら9社とその子会社に対して輸出入禁止の措置を取り、米連邦政府支援のプログラムから排除する。9社が関係する輸出ライセンスは停止され、今後新たな個別ライセンスも許可されない。
 これに先立ち、中央情報局(CIA)は議会への報告で、中国企業の支援によってイランが弾道ミサイルの自力生産という目標に向かって前進していると警告していた。

◎米国:総人口が2億9370万人に(2004年12月23日、毎日新聞)
 米国勢調査局は22日、米国の総人口は南西部を中心に1年間で約290万人増え、04年1月時点で2億9370万人に達したと発表した。最も人口が増加した州は18年連続でネバダ州。アリゾナ州、フロリダ州と続き、トップ10は南部と西部の州が独占した。
 全米の地区別人口分布は、南部36%、西部23%、中西部22%、北東部19%となり、政治・経済の中心だった北東部の衰退を印象づける結果となった。南西部の人口増の理由は、主に外国移民と他州から移住する米国民が増えたため。現在のペースで南西部が伸び続けると、約5年でフロリダ州がニューヨーク州を追い越すと見られている。
 一方、人口が減少したのは、マサチューセッツ州と、首都ワシントンのあるコロンビア特別区だけだった。

◎米大統領:スペイン首相の再選祝福電話を無視(2004年11月11日、毎日新聞)
 5月にイラクから駐留軍を撤退させたスペインのサパテロ首相が、再選を祝福するためブッシュ米大統領に電話をしたが取り次がれなかったことが10日明らかになった。同首相はマドリードの連続列車爆破テロ後の総選挙(3月)で、イラク戦争で米国を強く支持したアスナール前首相を破り撤退を決定。ブッシュ大統領は遺憾の意を表明した。
 ホワイトハウスは「意趣返し」を否定しているが、ブッシュ大統領は9日にアスナール前首相とはホワイトハウスで面会したという。
 サパテロ首相の電話についてマクレラン大統領報道官は同日の会見で「(米国に)手を差し伸べようとしているのかもしれない」と述べ、同首相が関係修復を目指したとの認識は示しつつ、「電話での会話は双方の都合で設定される」とつれない返答だった。

◎武器輸出3原則見直し「強く支持」、米ミサイル防衛局長(2004年10月27日、朝日新聞)
 米国防総省のオベリング・ミサイル防衛局長(空軍中将)は26日、日米ミサイル防衛(MD)協力に伴う日本の武器輸出3原則見直しについて「強く支持する。(日米が)開発に投資した成果を完全に活用できるからだ」と述べた。ワシントン市内での講演後、記者団に語った。
 オベリング局長は、日本の取り組みについて「同盟国の中でも先導的なパートナーだ。防衛予算の中でMD分野に多くの金額を充てている」と高く評価。日米が進めている共同技術研究に関しては「今冬か来春にもいい方向で報告の成果を得られる」との見通しを示した。
 武器輸出3原則は、外国への武器輸出を原則として認めない日本政府方針で、米国への武器技術供与だけを例外としている。MD協力が技術研究から開発・配備の段階に入ることから、日本政府は見直しを検討することを表明している。

◎原油高歯止めかからず一時55ドル台、終値も最高値(2004年10月16日、読売新聞)
 15日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は3日続伸し、指標となるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の11月渡し価格は一時、1バレル=55.00ドルと初めて55ドル台を付けて、取引中の史上最高値を更新した。
 終値は前日比0.17ドル高の54.93ドルで、終値としての最高値も2日続けて更新した。
 原油相場は、9月27日に初めて50ドルを突破した後も上昇ペースが衰えず、3週間足らずで新たな節目となる55ドル台を付けた。15日の終値は年初(33.78ドル)より、62.6%も高い。歯止めのかからない原油高騰が世界経済に悪影響を及ぼす懸念が一段と強まっている。
 15日の原油先物市場では、米エネルギー省が14日に発表した週間在庫統計で暖房用油の在庫が、前年同期比8%の大幅減だったことで「暖房用油の消費量が増える冬場に供給不足となる」との見方が広がり、投機筋などの買いを誘った。
 中国やインドなどの新興市場や米国では石油需要が旺盛な一方で、イラクをはじめ一部産油国の政情不安は解消されておらず、市場関係者の間では今後、60ドルに迫る展開を予想する声も出ている。
 アラン・グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が15日の講演で、原油高による米経済への影響は1970年代ほど深刻ではないと発言したことが「旺盛な原油需要にブレーキがかからない」(米石油アナリスト)と受け止められ、高騰に拍車をかけたとの見方もある。

◎米、「一神教聖戦団」をテロ組織指定、ケリー陣営、対応遅れ批判(2004年10月16日、産経新聞)
 米国務省のバウチャー報道官は15日の記者会見で、イラクで拉致やテロ攻撃を主導しているザルカウィ氏が率いる「一神教聖戦団」をテロ組織に指定したと発表。財務省も同様の措置を取り、米国内の関連資産凍結を命じ、締め付けを強化した。
 AP通信によると、ケリー米民主党大統領候補の陣営はテロ組織指定がこの時期にずれ込んだことについて「ブッシュ政権によるイラク政策や対テロ戦争の失敗の1例」と非難した。
 米当局は、今回のテロ組織指定で、関連団体の洗い出しや、資金提供のルート遮断などを目指すとともに、イラクに潜伏しているとみられるザルカウィ氏の捜索に全力を挙げる。
 米政府は、ザルカウィ氏と国際テロ組織アルカーイダとの関係を指摘している。一神教聖戦団は、イラク国内での一連のテロ攻撃や外国人らを標的にした拉致事件でも、犯行声明を再三にわたって出している。
 バグダッド中心部の米軍管理区域「グリーンゾーン」で14日、米国人3人を含む計5人が死亡、米国人1人が行方不明になった爆発でも犯行声明を出した。米当局は、この爆発を「テロ攻撃」と強く非難、同管理区域の警備を強化した。

◎米とスペイン、また険悪に、スペイン、祝日に米軍招かず(2004年10月16日、朝日新聞)
 「イラク撤退」で冷え込んだスペインと米国の仲が、また一つ険しくなった。スペイン政府が12日の「スペインの日」の記念パレードに、2年続けて参加している米軍を招かなかったのが発端。怒った米国大使は、パレードのほか王宮での公式祝賀会にも姿を見せず、スペイン側は不快感を示した。
 パレードには例年、外国軍が招かれる。アスナール前首相は02年から、「9・11」犠牲者への追悼の意を込めて米軍を招待していた。今年4月に発足したサパテロ社会労働党政権は、「米国にひざまずくような慣習は終わらせたい」(ボノ国防相)との理由から、米海兵隊に代わってフランス軍を招いた。「パリ解放60周年」にちなんだ招待だが、さすがに米仏の入れ替えだけでは露骨すぎると考えたか、イタリア軍も招かれた。
 米大使の行事欠席について、スペインのモラティノス外相は13日、「外交儀礼の枠を外れている」と批判。保守系紙「ABC」は政府筋の話として、同外相がパウエル米国務長官に電話で不快感を伝えたと報じた。
 米大使は14日、通信社の取材に答え、午前のパレードを欠席した理由は「昨年、まだ野党党首だったサパテロ首相が星条旗の通過した時に起立を拒んだためだ」と「報復」を認めた。ただ、午後の祝賀会については「出るつもりだったがマドリードへの飛行機を逃した」。ABC紙によると、大使は当日、スペイン南部でベーカー元国務長官らと狩猟に興じていた。
 「スペインの日」は、コロンブスによる新大陸発見(バハマ諸島到達)を記念したもの。米国でも「コロンブス・デー」(10月第2月曜)として祝日になっている。

◎米カイロン、インフルエンザワクチンの出荷を差し止め(2004年10月6日、日本経済新聞)
 米カイロンは5日、英リバプール工場でのインフルエンザワクチン生産を停止するよう英当局から命令を受けたと発表した。米国のワクチン販売の半分を握る同社の主力薬が出荷できない状況になったため、米政府は緊急事態に備え、残る半分を供給している仏サノフィ・アベンティス・グループにも増産を働きかけた。
 カイロンは生産差し止めを受けた理由を「製造工程の不備」と発表。停止は3カ月間で、年間を通じて最需要期となる今冬に向けたワクチンの出荷はほとんどできなくなった。同社はインフルエンザワクチンの9割を米国、1割を英国で販売している。
 今年は米市場にインフルエンザワクチンを4600万〜4800万本分出荷する予定だった。これは予想される需要のほぼ半分にあたる。事態を重視した米食品医薬品局(FDA)も急きょ調査に乗り出した。米国立衛生研究所(NIH)は「(インフルエンザワクチンの接種には)緊急性に応じて優先順位をつけることを真剣に検討しなければならない」としている。

◎米でインフルエンザワクチンが不足、当初予定の半分に(2004年10月6日、読売新聞)
 米厚生省は5日、今季の米国のインフルエンザワクチンの供給が当初予定の半分程度になる見通しとなったとして、米国民に対し、ワクチン接種を幼児や高齢者に優先することを勧告する緊急対策を発表した。
 米国にワクチンを供給する2大メーカーの1つ、カイロン社の英リバプール工場で、滅菌処理が基準を満たしていない問題が生じ、英政府が同工場の3か月の操業停止措置に踏み切ったため。不足分は、今季予定された1億本のワクチンのうち4600万〜4800万本に相当する。
 同省は、残るワクチンの限定接種などで対応する方針だが、疾病対策センターは今季、子供や高齢者、保健従事者ら約1億8500万人にワクチン接種が必要と勧告しており、米国は当初の見通し以上に深刻なワクチン不足に直面する。

◎「新種偽米ドル札を発見」、東南アジア、精巧さアップ(2004年10月1日、産経新聞)
 産業用精密機器メーカー「松村テクノロジー」(東京、松村喜秀社長)は1日、「自社製品の偽札鑑別機が東南アジアで精巧な新種の偽米ドル札を確認した」と発表した。「精巧さは以前、東南アジアで相次いで発見された『スーパーK』を上回る」としている。
 松村社長の説明によると、同社は7月に新型の偽札鑑別機を開発し、海外に販売した。この鑑別機がタイ、ミャンマー、カンボジアなどでこれまでに計数十枚の100ドル、50ドル札を偽札と判定したため、一部を取り寄せて鑑定。新種の偽札であることが分かったという。
 今回見つかった札は、肉眼では偽札と分からず、通常の鑑別機でも本物と区別できないが、50ドル札は約2ミリの大きさで描かれている人の手の位置などが異なり、100ドル札は金額表示の「100」のうち「1」の先端部分の形状などが微妙に違うとしている。
 松村テクノロジーは偽札鑑別機の有力メーカーとして知られ、スーパーK対策で1996年に新米ドル紙幣が発行された際には、東南アジアやロシア、中国から注文が相次いだ。
 松村社長は「古い偽札であるスーパーKの精巧さが10段階の3とすると、今回発見した新種は9に該当する。『スーパーZ』と名付けたい」と話している。

◎NY原油急騰、史上最高値を更新(2004年9月28日、産経新聞)
 週明け27日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、ナイジェリアの政情不安などによる供給不安増大で急騰、取引の中心となる米国産標準油種(WTI)11月渡しが通常取引終了後の時間外取引で一時、前週末終値比1.29ドル高の1バレル=50.17ドルをつけ、1983年の取引開始以来初めて50ドルの大台を突破、史上最高値を更新した。
 当面の心理的抵抗線とされていた50ドルを上回ったことで、日本国内でも今後ガソリン価格の一段の上昇などの影響が出そうだ。原油価格は年初から約48%上昇しており、世界経済に深刻な悪影響を与える「石油危機」の再来懸念も出ている。
 11月渡しの通常取引は同0.76ドル高の49.64ドルで引け、終値ベースでも最高値を更新。通常取引時間中は一時49.74ドルまで上伸。時間外取引に入ってさらに騰勢を強めた。
 ロンドン国際石油取引所の北海ブレント先物相場も同日、11月渡しが一時46.28ドルをつけ最高値を記録した。
 供給不安の増大は、アフリカ最大の産油国ナイジェリアで反政府勢力が石油会社に操業停止を要求するなど、情勢が緊迫化したことがきっかけ。 イラクで米軍と武装勢力の衝突が続いていることや、サウジアラビアで武装組織が治安部隊と衝突したと伝えられたことも不安要因となった。
 原油高を嫌気し、同日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が1万ドルの大台を割り込んだほか、東京株式市場も急落するなど世界の金融・資本市場への影響も広がっている。価格高止まりが長期化すれば、企業収益の圧迫や消費者心理の後退も予想される。
 米国南部への大型ハリケーンの相次ぐ襲来でメキシコ湾岸に集中する石油精製施設の生産能力が落ち込んでいることもあり、原油先物市場では欧米の投機筋を中心に買い注文が殺到している。

◎米入国に指紋と顔写真、30日から日本人観光客も(2004年9月25日、産経新聞)
 米入管当局は30日から、現在査証(ビザ)を必要としない日本など27カ国の短期の観光客らに対しても、空港や港での入国時に顔写真を撮影し指紋も採取する。ブッシュ政権が進めるテロ対策強化の一環だ。
 国土安全保障省のウェブサイトなどによると、ビザの有無にかかわらず、入国審査カウンターで指紋読み取り機に両手の人さし指をかざし、デジタルカメラで顔写真を撮影する。手続きは15秒程度とされ、入国のたびに同じ手続きが必要となる。
 また10月26日以降は、機械読み取り式の旅券(パスポート)でなければ、ビザなしでの米国渡航が認められなくなる。

◎空母戦闘群、アジアに追加配備・米太平洋軍司令官(2004年9月24日、日本経済新聞)
 米太平洋軍のファーゴ司令官は23日、上院軍事委員会の公聴会で証言し、太平洋に空母戦闘群を追加配備する考えを表明した。ハワイかグアムを母港とするとみられ、神奈川県の横須賀基地を母港とする空母キティホークに加え、アジア地域に二つの空母戦闘群を常駐させることになる。日本や韓国など基地所在国の負担を軽減する一方、海・空軍能力を大幅増強する米軍再編の一環だ。
 ラムズフェルド国防長官らとともに米軍再編に関する公聴会に出席したファーゴ司令官は、時代の変遷に合わせた米軍配備の見直しが必要と指摘。「瞬時に必要な規模だけ戦地に派遣する」態勢の構築を目指し(1)太平洋地域を母港とする空母群を追加配備(2)ハワイとアラスカに高速艇を備えた迅速機動旅団ストライカー部隊を配備(3)爆撃機をグアムに交代制で配備(4)グアムに潜水艦を常駐――などの改革案を紹介した。
 在日米軍については全体として駐留規模縮小を目指していることを明らかにした。騒音問題の解決、沖縄の基地移設などにも言及した。

◎ノドン「いつでも発射可能」、米当局が見解、実射も想定(2004年9月24日、朝日新聞)
 北朝鮮のミサイル発射基地が活発な動きを見せていることについて、米政府当局者は23日、中距離弾道ミサイル・ノドンの発射準備が完了しているとの見方を明らかにした。「いつでも発射できる状態だ」と述べ、発射に向けた最終段階の液体燃料の注入が終わっていることを示唆。北朝鮮が(1)国際社会を威嚇し、核問題をめぐる交渉を有利に運ぼうとしている(2)本当に発射しようとしている――との二つのシナリオを想定し、警戒を強めていると語った。
 米政府当局者は朝日新聞の取材に対し、偵察衛星や通信傍受などで収集した情報として「北朝鮮は今すぐにでも、いつでも発射したい時に発射できる」と明言。ミサイルの種類は「ノドン」と特定した。また、「発射までいくつかのステップを踏まなければいけないかも知れないが、長時間は要さない」「発射準備は十分にできている」と述べ、数時間が必要とされる液体燃料の注入は完了し、最終確認などの手続きが残されているだけとの見方を示した。
 そのうえで「北朝鮮は私たちが見ているのを承知のうえで、発射準備をしている」と指摘。森林などの陰で車両に搭載した移動式ミサイル発射台を立てるなどの準備をしているのではなく、偵察衛星が上空から監視しやすい場所で発射準備を進めていることを示唆した。
 こうした北朝鮮の動きに対し、米政府には「私たちが彼らに思いとどまるように請い求め、何か見返りを与えることを期待している」という見方がある一方、本当に発射を準備している可能性も排除していないと語った。
 また、核問題をめぐる6者協議で、北朝鮮が核施設を凍結する見返りを米国などに求めていることを挙げ、「これが受け入れられることを期待しているのかも知れない」と語った。しかし、「脅しに屈することはあり得ない」と述べ、こうした北朝鮮の動きに米政府の方針が影響される可能性を否定した。

◎米、リビアへの経済制裁解除、テロ支援国家指定は継続(2004年9月21日、朝日新聞)
 ブッシュ米大統領は20日、リビアの13億ドルにのぼる資産凍結などの経済制裁を解除する行政命令に署名した。ホワイトハウスは同日の声明で、リビアによる大量破壊兵器の廃棄が進んでいることを受けた措置だとし、4月の石油禁輸解除などに続くものと表明した。
 米政府によると、リビアの資産凍結が解除されるほか、米国とリビア間の直行便も可能となる。この措置を受けてリビア政府は、88年のパンナム機爆破事件の犠牲者の遺族に対し、新たに約10億ドルを支払う見通し。
 ただし、リビアに対する米政府のテロ支援国家指定については「今回の措置の範囲外」(米国務省)として解除せず、武器の禁輸措置などは続ける。
 米政府は4月、リビア産の石油禁輸を解除し、金融取引や投資を可能にする大幅な制裁緩和を始めていた。

◎店側の追加支払い要求棄却、ピザ味覚のチップ論争(2004年9月17日、CNN/REUTERS)
 ニューヨーク――ニューヨーク州レークジョージにあるレストランで、店が定める比率のチップを支払わなかったとして同州に住む男性が逮捕、起訴された騒ぎで、同州ウォーレン郡の裁判所が14日、レストラン側の訴えを棄却したことが分かった。ニューヨーク・タイムズ紙が15日に報じた。
 男性は8人の仲間と一緒にレストランを訪れ、ピザを注文。味などに満足がいかなかったため、「10%未満」のチップしか渡さなかった。しかし6人以上の団体客には、会計時に「18%」のチップを徴収していると主張するレストラン側と口論に。男性はこれに応じなかったため、「サービスの窃盗」容疑で逮捕され、法廷闘争に発展していた。
 ウォーレン郡の裁判所は「チップの支払いは任意」と判断した上で、レストラン側が18%のチップを設定していたとしても、支払いを強制することは出来ないと結論付け、主張を退けた。
 男性はチップの支払い追加を免れたものの、裁判費用として数百ドルの出費を強いられるはめとなっている。

◎北からの麻薬密輸「国家ぐるみ」と重大な懸念、米大統領(2004年9月17日、産経新聞)
 ブッシュ米大統領は16日までに、違法な麻薬生産、密輸の防止へ向けて十分な努力を行っていない指定国リストを議会に送付、北朝鮮については指定国に認定しなかったが、同国からの麻薬密輸は「国家ぐるみ」の可能性が高いとし、「重大な懸念」を表明した。
 大統領の覚書によると、北朝鮮から米国に麻薬が直接流入している証拠はないものの、東アジアに流通している覚せい剤の一種アンフェタミンの「製造、密輸を示す明確な兆候」があると指摘。日本など周辺国と協力して、取り締まりを強化していく方針を示している。
 また昨年に続きミャンマーや中国、アフガニスタン、パキスタン、コロンビアなど22カ国を指定。タイについては米国への「深刻な供給源」ではなくなったとして、指定対象から外した。
 大統領は毎年、国務省がまとめる各国の麻薬取り締まりに関する年次報告などを基に麻薬の生産・密輸国を指定。各国への対外援助の是非を決める判断材料としている。(共同)

◎ハリケーン「アイバン」が米上陸、約200万人に避難勧告(2004年9月16日、産経新聞)
 カリブ海で猛威を振るい、これまでに少なくとも68人の死者を出した過去最大級の大型ハリケーン「アイバン」は米中部時間16日未明(日本時間同日午後)、米南部アラバマ州に上陸した。メキシコ湾に面した同州とルイジアナ州、フロリダ州など4州で、約200万人に避難勧告が出ている。
 米CNNによると、アイバンは若干勢力を弱めたものの、中心部近くでは依然風速50メートルを超える暴風が吹いている。災害当局や州政府などは、1992年に40人以上の死者を出した「アンドリュー」規模の被害が予想されるとし、周辺住民に十分な警戒を呼び掛けている。
 AP通信によると、フロリダ州ではハリケーンの接近に伴う竜巻が少なくとも5つ発生し、住民2人が死亡、70戸が損壊した。
 メキシコ湾沿岸では、高さ3〜4メートルの高波による洪水被害が出ている。アラバマ州内では20万戸、ミシシッピ州で4万5000戸が停電している。

◎懐中電灯破裂で空港閉鎖、米ロス空港(2004年9月5日、産経新聞)
 米カリフォルニア州のロサンゼルス国際空港国際線ターミナルで4日朝(日本時間同深夜)、手荷物検査を受けていた日本人乗客のかばんに入っていた懐中電灯が破裂、地元メディアによると近くにいた3人が負傷した。
 前後して不審人物がいたとの情報が入り、空港当局は安全確保のため同空港からの離陸を中止、空港への道路を封鎖し少なくとも3つのターミナルを立ち入り禁止にし、空港は4時間以上にわたり閉鎖された。
 不審人物は何らかの理由でセキュリティー検査をすり抜けた乗客で、懐中電灯の破裂とは無関係。ロイター通信によると、米国土安全保障省当局者は破裂騒ぎについて「テロとは無関係」と語った。
 利用者数で全米第3位の同空港は、これまで度々テロの標的となっているとの情報がもたらされており、空港当局や地元警察は旅行シーズンに合わせ警戒を強めていた。
 米国では週末と祝日のレーバーデーが重なり4日から6日まで3連休のため、空港は多数の旅行客で込み合っていた。離陸便の遅れや、着陸便の乗客が機内で長時間足止めを食うなどの影響が出た。

◎米ロス空港:爆発はカメラの電池破裂、テロとは無関係(2004年9月5日、毎日新聞)
 米カリフォルニア州のロサンゼルス国際空港国際線ターミナルで4日朝(日本時間同深夜)、日本人男性客が持っていた水中撮影用カメラの電池が手荷物検査中に爆発音とともに破裂、検査官2人が手に軽いやけどなどを負い、3人が耳鳴りなどの症状を訴えた。
 約30分前には空港内に不審な乗客がいるとの情報があり、空港当局は安全確認のため約4時間、空港の一部を閉鎖、運航が一時まひ状態となった。米連邦捜査局(FBI)は二つの出来事に関連性はなく、いずれもテロとは無関係としている。
 空港事務所や日本総領事館によると男性は50代後半で、大韓航空機で成田に向かう途中だった。破裂は電池が古くなっていたためか、検査官が電池の向きを入れ間違えたためとみられる。
 男性はロス市警による事情聴取の後、過失はないと判断され、別の便で日本へ向かった。男性の職業や渡米目的は明らかになっていない。
 一方、不審な乗客は何らかの理由で安全検査をすり抜けた。
 閉鎖されたのは九ターミナルのうち4カ所で、空港への一般道が封鎖された上、国際線、国内線の離陸が一時中止。到着便の乗客も機内に足止めされるなど、祝日のレーバーデー(労働者の日)が重なった週末の旅行客多数が影響を受けた。

◎世界の武器輸出、米国が約6割、ロシアは横ばい(2004年9月4日、読売新聞)
 世界の武器取引に占める米国の割合が増え続け、昨年、契約額の6割近くにまで達したことが米議会調査局の報告書でわかった。
 先月末にまとめられた報告書は、1996年から昨年まで8年間の世界の取引について分析している。
 世界全体の年間契約額は2000年の377億ドル(約4兆円)をピークに減少し、昨年は256億ドル(約3兆円)にまで落ち込んだ。これは主に発展途上国での取引が減少したことと、ここ数年は米国以外の大国が目立った動きをしなかったためと見られている。
 一方で、契約額に占める米国の割合は96年の33%から伸び続け、昨年は過去最高の57%に達した。米国に次ぐ武器輸出大国のロシアは15%前後でほぼ一定。ロシアに匹敵する武器輸出国だった英仏はこの8年間で大きく後退している。

◎米が韓国ウラン濃縮調査、技術転用を懸念(2004年9月4日、産経新聞)
 3日付の米紙ワシントン・ポストは米政府当局者の話として、韓国政府傘下の原子力研究所がウラン濃縮実験を行っていた問題で、実験に関与した科学者が米国の核施設で訓練を受けたかどうかなど、米政府が独自の調査に着手したと報じた。
 米韓両国は親善交流計画で科学者の交流が進められており、米国で取得した技術が実験に使用されていないか懸念しているという。
 国際原子力機関(IAEA)は8月29日から同研究所の査察を始め、3日に終了している。
 ブッシュ政権は北朝鮮やイランの核開発計画を厳しく非難しており、韓国の実験に米国の核技術が流用されていた場合には、逆に北朝鮮やイランの激しい反発を招く恐れもある。

◎WTO、対米報復関税認める、日本は最大86億円(2004年9月1日、産経新聞)
 反ダンピング(不当廉売)課税収入を国内鉄鋼業界などに分配する「バード修正法」を撤廃しない米国への対抗措置として、日本や欧州連合(EU)などが米国製品に対する報復関税実施を求めた通商紛争で、世界貿易機関(WTO)仲裁委員会は31日、対抗措置発動を認める決定を下した。
 米政府は2002年、同修正法に基づき約3億3000万ドル(約363億円)を米企業に分配。仲裁委の決定は、最大でこの72%に相当する額を報復関税として課すことを認めた。日本の報復関税額は最大で年間約7800万ドル(約86億円)となる。
 ブッシュ米政権は米議会にバード修正法撤廃を認めるよう働き掛けを続けている。米大統領選を11月に控えた時期だけに、日欧などが実際に報復関税を発動するかどうかは微妙な情勢だ。
 再選を目指すブッシュ大統領としては、国内産業保護と自由貿易体制のルール順守との間で苦境に立たされそうだ。
 日本政府は31日、決定を「評価する」との外務報道官談話を発表した。
 バード修正法は2000年10月に成立。国内産業を2重に保護する措置だとして世界的な反発を招き、01年に日本、EU、韓国、カナダ、ブラジルなど11カ国・地域が米国を提訴、WTO史上最大規模の通商紛争となった。
 1審に相当する紛争処理小委員会(パネル)は02年9月、同修正法をWTO協定違反と認定。米国の上訴を受けて開かれた上級委員会で03年1月、米国敗訴が確定した。
 WTO仲裁委員会は日欧などの申し立てを受け、03年12月27日までの同法撤廃を求めたが米国が応じなかったため、日欧などが今年1月、対抗措置の承認を申請。米国の反対により仲裁委がその是非を審査していた。

◎米企業がミサイル部品売却(2004年8月18日、日本経済新聞)
 AP通信によると、米国の航空部品取引業者、インターエアロ社(カリフォルニア州)は17日、ワシントン市地裁で開かれた公判で、中国の取引業者に4万ドル相当のミサイル、戦闘機の部品を不法に輸出していたとして有罪を認めた。
 取引先の中国の業者は、弾道ミサイル開発を進めるイランへの転売を計画していたという。
 輸出は2000年から01年にかけて行われた。同社には50万ドルの罰金が科される。米国内法では中国、イランへの武器、関連部品の輸出は禁止されている。

◎ハリケーンで18人死亡 米フロリダ州(2004年8月15日、産経新聞)
 米フロリダ州を直撃した大型のハリケーン「チャーリー」で、AP通信は14日、同日午後までに少なくとも13人が死亡したと伝えた。米国外ではキューバなどで5人が死亡しており、死者は計18人となった。
 米FOXテレビによると、数百人の所在が未確認で、死傷者数はさらに増える可能性もある。被害総額は200億ドル(約2兆2100億円)に達すると推定され、1992年にフロリダ州で26人の死者を出した超大型ハリケーン「アンドリュー」に匹敵する大きな被害をもたらした。
 ブッシュ大統領は遊説先のアイオワ州で大規模支援を表明、15日に現地を視察する。民主党のケリー大統領候補は現地入りを予定していないが、選挙運動に参加している支援者に救援活動を呼び掛けた。
 担当者によると、14日午後時点で、民家など130万戸が停電した。(共同)

◎生体情報入りパスポート保持、米が義務化1年先送り(2004年8月11日、読売新聞)
 米国務省のエレリ副報道官は10日、短期滞在の旅行者が査証(ビザ)なしで米国に入国できる措置のある日本など27か国について、今年10月から開始予定だった生体情報の記録された旅券(パスポート)の保持の義務化を、2005年10月まで1年先送りすると発表した。
 ブッシュ米大統領が同日までに、関連法案に署名したものだ。
 顔の特徴や指紋、虹彩(こうさい)などの生体情報の入った集積回路(IC)付き旅券の導入を義務づける措置は、対テロ政策の一環として米国が求めているもので、日本、英国、豪州など査証免除措置のある国々の旅行者が、今後も査証なしでの米国短期滞在が可能となる条件となる。

◎新旅券猶予、1年延長、日本など27カ国に米(2004年8月11日、産経新聞)
 米国が短期滞在者の査証(ビザ)を免除している日本など27カ国に指紋などの生体識別(バイオメトリクス)情報を記録した新旅券発行を求めている問題で、米国務省は10日、猶予期間を来年10月26日まで1年間延長すると発表した。
 ブッシュ政権が進めるテロ対策強化の一環だが、27カ国の政府が新旅券発行の準備が間に合わないとして米政府に延期を要請。ブッシュ大統領が9日、猶予期間を延長する関連法案に署名した。
 国務省によると、猶予期間を1年間延長する代わりに、27カ国の短期滞在者に対して、今年9月から米国入国時に電子的な指紋採取などバイオメトリクス検査を導入、入国管理を強化して補完措置を取る計画という。

◎NY原油、史上初の45ドル台、日米欧で過去最高値更新(2004年8月11日、産経新聞)
 10日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場はイラク情勢に対する懸念から需給逼迫感が高まり上昇、取引の中心となる米国産標準油種(WTI)9月渡しは一時、前日終値比0.20ドル高の1バレル=45.04ドルと45ドルの大台を突破し、1983年の取引開始以来の最高値を更新した。
 原油価格が空前の45ドル台をつけたことで、上昇基調の世界経済や企業業績に打撃を与える可能性が高まってきた。
 ロンドンの原油先物相場も9日に過去最高値を更新し、東京でも10日、最高値を記録、日米欧の3市場で原油が一段高となっている。供給不安解消のめどは立っておらず、市場関係者の間では「50ドルをうかがう可能性もある」との見方が浮上している。
 ロンドン国際石油取引所の北海ブレントは9日、一時、1バレル=41.70ドルと過去最高値を記録。同41.56ドルで引け、終値ベースでの最高値も更新した。
 10日の東京工業品取引所でも2005年1月きりが一時1キロリットル当たり2万5300円と、上場来高値を更新した。
 イスラム教シーア派の対米強硬指導者サドル師がイラクの石油関連施設への攻撃を警告したと伝えられ、これに対応した同国南部の油田からの送油停止で供給不安が広がった。ロシアの石油大手ユコスの経営問題や、主要産油国ベネズエラのチャベス大統領の罷免の是非を問う国民投票を15日に控えていることも不安感を増幅させた。

◎北朝鮮の核開発、弱まらず、米の秘密報告書(2004年8月8日、産経新聞)
 8日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、ブッシュ米政権は、朝鮮半島エネルギー開発機構(KED0)による重油提供の中断などの制裁措置強化や、6カ国協議開催にもかかわらず、北朝鮮の核開発の動きがほとんど弱まっていないと結論付ける情報機関の秘密報告書をまとめ、7月、政府高官に回覧させた。
 報告書は、2003年初め以来、北朝鮮の使用済み核燃料棒8000本以上の所在が不明になっていると指摘。北朝鮮がこれらを再処理して6〜8個の新たな核兵器を製造する十分な時間があったと結論付けた。
 また、情報機関当局者や外部の核問題専門家は、北朝鮮だけでなくイランの核開発の動きも進んでいると指摘。ある政府高官は、イランの核開発の動きを「可能な限り妨害、あるいは遅らせるため」、秘密裏に何らかの行動を取ることを模索していることを明らかにしたという。
 クリントン前政権当局者を含む専門家らは、過去にも秘密裏の行動が試みられたとした上で、パキスタンの「核開発の父」カーン博士と“提携”したことで、北朝鮮、イラン両国の核計画は一層完全なものに近づいていると警告した。
 一方、報告書はイランの核開発を止めるため、イスラエル当局者が軍事行動に出る可能性をほのめかしていることも明らかにした。(共同)

◎米独禁法違反、日本人社員に初めての実刑(2004年8月6日、日本経済新聞)
 米司法省は5日、ダイセル化学工業の社員が食品防腐剤の国際カルテルに加わったとして反トラスト法(米独禁法)違反の事実を認め、禁固3カ月の実刑と罰金2万ドルの支払いに同意したと発表した。
 サンフランシスコ連邦地裁が同意案を承認すれば、刑罰が確定する。司法省は「日本人が反トラスト法違反を理由に米国の刑務所で服役すれば初めて」(反トラスト局)と説明している。違反事実を認めたのは、ダイセル化学工業の林仁志・総合企画室主席部員(42)。司法省によると、林主席部員は1992〜1996年にかけて、有機合成品事業部の部員として食品防腐剤のソルビン酸の価格や販売量を取り決める国際カルテルに加わった。米連邦大陪審は2001年、上野製薬(本社大阪市)の幹部3人と林主席部員をカルテルに関与した疑いでサンフランシスコ連邦地裁に起訴していた。米司法当局は林主席部員が罪状を認めたことで同部員への起訴を取り下げる。

◎米デザイナー衣料2社、決算で明暗(2004年8月5日、日本経済新聞)
 米デザイナー衣料品トミー・ヒルフィガーとポロ・ラルフ・ローレンが4日発表した4〜6月期決算では、明暗が分かれた。ヒルフィガーが最終赤字を計上した一方、ラルフ・ローレンは純利益が倍増した。
 トミー・ヒルフィガーは売上高が昨年同期比11%減の3億2800万ドル、純利益は昨年の黒字から最終赤字7億ドルに転落。百貨店、専門店などへの卸売り事業が前年同期比20%減少し足かせとなった。在庫の抑制を進めており、6月末での在庫額は2億3900万ドルと11%削減した。
 ポロは売上高が24%増の5億9200万ドル、純利益は1300万ドルと165%増加した。ライセンス製造から自社製造に切り替えたばかりの中価格帯の女性衣料ライン、ローレンの売り上げが好調だったほか、会社直営店での売り上げも増収増益に寄与した。

◎「自爆」の英単語メモしたら拘束、米航空機内で邦人客(2004年8月3日、朝日新聞)
 米国シカゴのオヘア空港を離陸しようとしていたユナイテッド航空機内で1日、60代の日本人男性乗客が紙に英語で「Suicide bomb(自爆)」と書いているのを、他の乗客が見つけ、乗務員に通報した。同機は離陸を中止、男性は同空港警察に拘束されたが、新聞にあった言葉の意味を調べようとメモを取っただけだったとわかり、釈放された。
 オハイオ州デイトン行きで、男性は商用で搭乗していた。空港警察は男性に手錠をかけて拘束。他の乗客約120人も機外へ出され、爆発物捜査犬による捜索が行われた。旅客機は3時間遅れて離陸した。疑いの晴れた男性も搭乗を許可されたという。
 AP通信によると、警察は「男性は新聞を読んで英語を勉強していただけ。まったくの誤解だった」と話している。交通保安当局の広報担当は「深刻なテロの脅威がある現在、機内で今回のようなまぎらわしい行動をとらないよう、乗客は十分注意すべきだ」と注意を促している。

◎迷惑メール送信者に4億円の支払いを命令・米裁判所(2004年7月25日、日本経済新聞)
 迷惑メールを送信した米カリフォルニア州在住の男性が、同州の裁判所から400万ドル(4億円強)の支払いを命じられた。この男性を訴えていた米マイクロソフトが明らかにした。米では迷惑メールが社会問題となっているが、個人がこれほど巨額の賠償を求められるのは異例だ。
 マイクロソフトによると昨年6月、男性がマイクロソフトの名前をかたったメールを不特定多数に送信した行為が商標侵害や虚偽広告に当たるとして、損害賠償を求める裁判を起こした。男性はメールで「マイクロソフトの修正ソフトを入手してください」と呼び掛け、自身が運営するホームページに受信者を誘導したという。
 マイクロソフトは迷惑メール関連で約60件の訴訟を起こしており、今回の命令は他の訴訟にも影響しそうだ。米国では迷惑メール防止法が今年1月に施行され、同種の訴訟が増える傾向にある。

◎リンゴ報復関税に異議、亀井農相、WTOのパネルで(2004年7月21日、産経新聞)
 亀井善之農相は20日の閣議後の記者会見で、米政府が日本のリンゴ検疫制度について報復関税を発動する動きを見せていることについて、「報復関税の(米側の)承認申請に異議申し立てをする」と述べ、報復関税の発動を認めないようWTOに働き掛ける姿勢を示した。
 紛争処理委員会(パネル)の再設置については「反対しない」と述べ、日本のリンゴ検疫をめぐる日米紛争は、WTOのパネルで引き続き争われる展開となる。
 日本政府は、WTOの裁定に基づいてリンゴ検疫の規制を緩和する手続きを進めているが、米国は規制緩和が不十分だと反発しており、最大で年間1億4340万ドル(約154億円)相当の報復関税を日本からの輸入品に科すことを認めるようWTOに求めている。

◎米政府、154億円の報復関税要求、日本のリンゴ検疫で(2004年7月20日、産経新聞)
 日本のリンゴ検疫制度が世界貿易機関(WTO)協定違反と認定された通商摩擦で、米通商代表部(USTR)は19日、日本政府の改善措置が不十分でWTOの裁定に従っていないとしてWTOに再提訴、最大で年間1億4340万ドル(約154億円)相当の報復関税を日本からの輸入品に科すことを認めるよう紛争処理小委員会(パネル)に求めたと発表した。
 パネルは今後、日本の順守状況を審査。米政府の主張が認められれば、報復関税が発動される恐れがある。日本は改善措置の合理性を訴える見通しで、リンゴ検疫問題は再びパネルで争われることになった。
 通商筋によると、WTOの紛争処理で、米政府が日本への報復関税発動を求めたのは初めて。
 米政府はリンゴの木がやけどのような症状を起こす「火傷病」に対する日本の検疫が厳しすぎるとしてWTOに提訴、昨年12月に日本の敗訴が確定した。
 日本は米側に義務付けていた年3回の検査を1回に減らすなど検疫基準を緩和したが、ゼーリック米通商代表は「日本が改定した基準は旧来のものとほとんど変わっていない」と批判した。
 USTRによると、報復関税の対象リストは食肉や魚介類、乳製品など農産物が中心となっている。

・リンゴ検疫紛争
 リンゴの木がやけどのような症状を起こして枯れる「火傷病」の可能性のある米国産リンゴの輸入について、日本が1994年以降課している検疫制度をめぐる日米間の通商摩擦。米国は2002年3月にWTO紛争処理機関に日本との2国間協議を要請、対日提訴に踏み切った。協議は不調に終わり、同6月に紛争処理小委員会(パネル)が設置され、審理の結果、日本敗訴の最終報告が03年6月、日米両国に提示された。日本はWTO上級委員会に上訴したが同年末に再び敗訴。検疫基準の見直しに着手したが、米側が不十分と主張。2国間協議に入ったが、物別れに終わっていた。

◎ビザ申請はまず指紋から、在日米大使館(2004年7月21日、朝日新聞)
 米国大使館は20日、テロ対策の一環としてビザ申請者からバイオメトリックス(生体認証)技術を使って電子的に指紋を読み取る新しい出入国管理システムを導入した。
 米連邦捜査局(FBI)の犯歴データベースなどと照合、面接にすすめるかどうか、7〜8分で結果が出る。対象となるのは留学生、研究者、ジャーナリストなど。90日以内の商用や観光目的の渡航者は必要ない。従来3週間ほどかかったビザ発給が2日に短縮されるという。
 エドワード・ミキューン総領事は「アメリカの安全確保が最大の目的。日本の警察など他機関への情報提供は考えていない」と話した。

◎米大統領、大量破壊兵器阻止へ3原則(2004年7月13日、産経新聞)
 ブッシュ米大統領は12日、米テネシー州オークリッジの核施設視察後の演説で、大量破壊兵器の拡散阻止を重要政策に据えて「対テロ戦争」を遂行していくための3原則を表明、「平和を守るため国内ではなく外国で敵と立ち向かう」と述べ、脅威の台頭を事前に防ぐことに引き続き重点を置く安保政策を堅持する姿勢を示した。
 大統領が表明した3原則は(1)国外で脅威の芽をつみ取ることによる「平和の守護」(2)友好国・同盟国との協力連携(3)民主主義の台頭を支持することによる「平和の普及」。
 またイラクの混迷長期化で以前よりも「米国、世界が危険になった」との野党民主党の主張に反論。「われわれがイラクへ行ったことは正しかった」「(フセイン政権の除去で)米国はより安全になった」と述べ、イラク戦争の正当性をあらためて強調した。

◎ダイヤのデビアス、米市場に60年ぶり復帰へ・英紙(2004年7月12日、日本経済新聞)
 12日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)は、ダイヤ原石最大手のデビアス(南アフリカ)が、世界最大のダイヤモンド消費国である米国市場に、ほぼ60年ぶりに復帰する見通しだ、と報じた。
 事情に詳しい人々によると、デビアスが米電機大手と共謀して一部工業用ダイヤの価格を操作したとの容疑について、米司法省との間でデビアスが有罪を認め、1000万ドル(約10億8000万円)の罰金を納めることで司法取引が成立。
 米オハイオ州の連邦地裁がこれを認めれば、ロンドンに拠点を置くデビアスのダイヤ取引会社は、世界の宝石ダイヤ市場の55%を占める米国の小売業者との直接取引が可能になるという。〔共同〕

◎米豪両国、ミサイル防衛協力の覚書に調印(2004年7月8日、読売新聞)
 米豪両国は7日、ワシントンで外相と国防相による閣僚会合を開き、ラムズフェルド米国防長官とヒル豪国防相が米国主導で進められているミサイル防衛の推進に向けて協力することをうたった了解覚書に調印した。
 米政府筋によると、ミサイル防衛には、日英のほか韓国、ドイツ、イスラエル、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペインなどが協力方針を明確にしている。
 イラク情勢については、「国際支援の増加が求められており、減少させる時期ではない」とし、民主化に向けて積極的に取り組んでいくことで一致した。

◎コンピューターウイルス感染、米で経済被害が深刻に(2004年7月7日、日本経済新聞)
 米国でコンピューターウイルスの感染に伴う経済的損失が深刻になっている。米調査会社や司法省の調査によると、企業の場合で感染1回につき平均200万ドル(約2億2000万円)の売上高減少を招いている。口座番号など個人情報を盗まれた場合の個人の損失額は1回当たり平均500ドル。ウイルス対策の重要性が高まっている。
 米調査会社のアバディーン・グループ(マサチューセッツ州)が米企業162社を対象にした最新調査によると、84%が過去3年間に、ウイルス攻撃によって企業活動に影響を受けた。年に1回程度の頻度でウイルス攻撃を受けている企業が多いが、15%は3年間で7回以上の攻撃を受けたという。

◎花王、「肥満大国」全米で食用油「健康エコナ」発売へ(2004年7月2日、朝日新聞)
 花王は来年1月から、体に脂肪がつきにくい食用油「健康エコナクッキングオイル」を全米で販売する。昨年1月から米国の2都市で試験販売し、市場調査してきたが、「肥満防止への関心が高く、反応がよかった」ためだ。4〜5年後に全米で100億円の売り上げをめざす。
 米国での商品名は「エノバオイル」。現地合弁会社「ADM花王」が生産し、価格は4.99ドル(約550円)と一般的な食用油の約4倍。日本では特定保健用食品として販売しているが、米国では「脂肪として蓄積せず、エネルギーとして燃焼され、健康的な体重の維持に役立ちます」の文句で売り出す。
 エコナは99年に日本で発売され、現在の国内シェアは健康油市場の約8割、食用油全体でも約15%。ドレッシングなどを含むエコナブランド全体の売上高は280億円(03年度)となり、花王の大きな収益源に育っている。

◎米議会:台湾へのレーダー売却承認、ミサイル防衛向け(2004年6月3日、毎日新聞)
 米議会は3日までに、弾道ミサイル防衛に使用する超高周波の早期警戒レーダー2基を台湾に売却する計画を承認した。米国防総省当局者が明らかにした。
 対外軍事売却に関する署名を台湾政府と取り交わせば、正式に売買契約が成立する。実際にレーダーが台湾側に納入されるには時間がかかりそうだが、中国側は反発を強めそうだ。
 早期警戒レーダーは弾道・巡航ミサイルの追尾に使用するのが目的。通常は航空機追跡などに使われているが、改良すれば弾道ミサイルの追尾・捕捉も可能という。
 台湾は4月、中国の弾道ミサイルに対抗するため、陸海軍の作戦指揮系統を統合した「ミサイル司令部」を発足。地対空誘導弾(PAC3)と早期警戒レーダーの導入でミサイル防衛網を整備する方針だ。

◎米ガソリン価格、初の2ドル台乗せ(2004年5月18日、日本経済新聞)
 米エネルギー省が17日発表した最新の米ガソリン平均小売価格は前週よりも3.9%上昇し、1ガロン2.017ドル(1リットル約61円)となった。3週連続で過去最高を更新し、初めて1ガロン2ドルを超えた。ディーゼル車用の軽油価格も高騰。前週より1%上昇して1ガロン1.763ドルとなり、昨年3月に付けた過去最高値(1.771ドル)にあと一歩に迫っている。
 地域別にみると、米東海岸、中西部、メキシコ湾岸、ロッキー山脈地域、西海岸のすべての地域で前週よりも上昇した。西海岸では前週比プラス2%で、2.243ドルとなった。中西部も2.003ドルと初めて2ドル台に乗せた。州別で全米で最も高いカリフォルニア州は2.269ドルを付けた。
 米エネルギー省はガソリン・軽油価格の高騰はかなりの期間続くと見込んでいる。中東などの地政学リスクの高まりや世界的なエネルギー需要の増大で原油価格が上昇しているうえ、米国内でも石油製品の供給余力が十分でないためだ。

◎米科学者団体、「ミサイル防衛に効果なし」(2004年5月16日、朝日新聞)
 米国の民間団体「憂慮する科学者同盟」(UCS)は13日、今秋にも米国内に配備されるミサイル防衛システムについて、「実戦では機能しない」という報告書をまとめた。米会計検査院も先月、懐疑的な報告書を発表しており、配備を急ぐブッシュ政権への風当たりが強まっている。
 UCSの科学者やマサチューセッツ工科大の専門家が、国防総省関係者らの議会証言や公表資料を詳細に分析。大気圏外を飛来中のミサイルを迎撃する「地上配備ミッドコース防衛」(GMD)の有効性を検証した。
 報告書は、レーダーやセンサーの性能に問題があることや、迎撃実験の条件設定が実践的でなかったことを指摘。「北朝鮮がハワイを長距離弾道ミサイルで攻撃した場合、迎撃ミサイルで破壊することはできないだろう」と批判した。
 国防総省は9月末までに、GMD用の地上配備型ミサイル計10基をアラスカ州とカリフォルニア州に配備。太平洋越しに飛来する弾道ミサイルを追跡するレーダーと連結する。05年末までに計20基に増やす予定だ。
 UCSは「いったん配備を凍結して、より実践的な迎撃実験をするべきだ」としている。

◎リビア:武器取引停止を公式表明(2004年5月14日、毎日新聞)
 ボルトン米国務次官(軍備管理・国家安全保障担当)は13日、リビアが同日、昨年12月の大量破壊兵器放棄宣言の後続措置として、同兵器拡散の懸念がある諸国との武器取引停止を公式表明したことを明らかにし、これらの諸国は「北朝鮮、シリア、イランを含む」と明言した。国務省で記者団に述べた。
 ボルトン次官は特に北朝鮮に具体的に言及し、リビアに数百基のスカッドB、Cなどのミサイルや関連技術を提供して相当な額の外貨収入を得ていたと指摘。これが核開発の資金源にもなったと述べて、リビアによる取引停止の意義を強調した。
 リビアは米英との約束を守って核兵器開発計画や化学兵器の廃棄を進めており、ボルトン次官は今回の方針決定も含めて高く評価した。

◎米、パナマが臨検協定 拡散防止構想、大幅強化(2004年5月13日、産経新聞)
 米政府は12日、北朝鮮などからの大量破壊兵器の拡散防止を狙った「拡散防止構想(PSI)」の強化策として、世界最大の船舶保有数を誇るパナマとの間で、米国がパナマ船籍を持つ船舶に対し公海上での臨検を可能とする2国間協定に調印した。
 米国は今年2月、保有船舶数で第二位のリベリアとも同様の協定を締結している。パナマ、リベリア両国の船舶を合わせると全世界の3割に達し、米国が目指す強制力を伴った拡散防止策は大幅に強化される。
 協定は米国、パナマ船籍の船が核、生物兵器などの大量破壊兵器や、ミサイルの本体および関連物資を運搬している恐れがある場合、両国間で船籍を確認した上で臨検や積み荷の押収を可能にするという内容。
 ブッシュ大統領は協定調印後に声明を発表し、合意を「自国民と平和を守るという自由主義国の決意を示す強いシグナル」と評価した。

◎米国とパナマが臨検協定、大量破壊兵器拡散防止を強化(2004年5月13日、日本経済新聞)
 米政府は12日、北朝鮮などからの大量破壊兵器の拡散防止を狙った「拡散防止構想(PSI)」の強化策として、世界最大の船舶保有数を誇るパナマとの間で、米国がパナマ船籍を持つ船舶に対し公海上での臨検を可能とする2国間協定に調印した。
 米国は今年2月、保有船舶数で第2位のリベリアとも同様の協定を締結している。パナマ、リベリア両国の船舶を合わせると全世界の3割に達し、米国が目指す強制力を伴った拡散防止策は大幅に強化される。
 協定は米国、パナマ船籍の船が核、生物兵器などの大量破壊兵器や、ミサイルの本体および関連物資を運搬している恐れがある場合、両国間で船籍を確認した上で臨検や積み荷の押収を可能にするという内容。
 ブッシュ大統領は協定調印後に声明を発表し、合意を「自国民と平和を守るという自由主義国の決意を示す強いシグナル」と評価した。

◎効果狙うなら税上げ、NYの喫煙人口11%減(2004年5月13日、読売新聞)
 昨年から飲食店での喫煙を全面的に禁止したニューヨーク市で、成人喫煙者の数が、2002年から2003年の1年間で11%も減ったことが12日発表の市の調査で明らかになった。市が住民の健康などに配慮して取り組むたばこ締め出し作戦が奏功した形だ。
 調査によると、同期間に、市の喫煙者10万人以上がたばこをやめた。この結果、喫煙者比率は成人人口の21.6%から19.3%へ低下。喫煙者の吸う本数も減り、紙巻きたばこの消費量は13%減少した。
 最大の要因は、たばこ税の大幅引き上げ。市は2002年7月、この税額を1箱8セントから同1.50ドルへ一気に引き上げた。マンハッタン地区での小売価格は、キャメル、マルボロなどの主要銘柄で1箱7〜8ドル(約900円)。また、2003年からニューヨーク州、市が禁煙規制をバーにも適用、喫煙場所が事実上、個人の住居内と屋外だけとなったことも喫煙人口の大幅減につながったようだ。

◎NYの喫煙者11%減、大幅増税と禁煙強化で(2004年5月11日、産経新聞)
 米紙ニューヨーク・タイムズは12日、ニューヨーク市の成人喫煙者が2002年から03年にかけて11%減ったとの同市の調査結果を報じた。
 同紙によると、02年の市のたばこ税大幅引き上げと、禁煙をバーにも適用し、喫煙場所を事実上、個人住居内と屋外に限定した規制強化が喫煙人口の大幅減少につながったと市当局者らは説明している。
 調査結果では、喫煙者の比率はこの間、成人の21.6%から19.3%に下がった。減少傾向はすべての市域、年齢層、人種などに共通している。
 紙巻きたばこの消費量は13%減少、喫煙者が吸う本数も減ったことを示している。市のたばこ税は02年7月、1箱8セントから1.5ドルに引き上げられた。

◎4月の米小売売上高、高額品堅調で4.4%増(2004年5月6日、日本経済新聞)
 米主要小売業72社の4月の売上高伸び率は前年と比較可能な既存店ベースで前年同月比4.4%増となった。前月(7.0%増)より伸びは鈍ったが、百貨店などで富裕層らの高額品の購入が活発で、引き続き堅調な伸びを示した。
 国際ショッピングセンター協会のまとめによると72社の4月の売上高合計は496億ドル(既存店ベースでは472億ドル)だった。
 ファッションなど高額品を扱う百貨店が昨年末からの高い伸びを持続しており、ニーマン・マーカスとノードストロームは2ケタの伸びを達成した。一方で中間的な価格帯のシアーズやコールズは前年割れとなった。

◎横田基地の軍民共用化で計画案、米国側と交渉へ(2004年4月19日、朝日新聞)
 米軍横田基地(東京都福生市など)の民間利用問題を検討する関係省庁と東京都の会合が19日開かれ、同基地を成田空港や羽田空港を補完する空港として位置づけ、当初は1日十数便程度の民間機を運航させるとする計画案をまとめた。今後、米国側と交渉を始める。
 横田基地は、福生市など6市町にまたがっており、長距離の国際線が利用できる3350メートルの滑走路がある。石原慎太郎都知事は99年の知事選で同基地の軍民共用化を公約に掲げ、将来的に増加が予測される首都圏の航空需要に対応するには、同基地の有効活用が必要として米国側に利用を要請してきた。
 昨年5月の日米首脳会談で、ブッシュ大統領が検討の意向を小泉首相に伝えたことから、内閣官房や国土交通省、外務省、都などで検討を続けてきた。

◎台湾武器売却、中台の軍事均衡損なわず・米国務省報道官(2004年4月2日、日本経済新聞)
 エレリ米国務省副報道官は1日の記者会見で、米国防総省が発表した台湾への高性能レーダー売却計画に中国側が反発していることについて「売却が地域の基本的な軍事バランスに影響を及ぼすことはない」と語り、中台の軍事均衡を崩す心配はないと強調した。
 売却の意図を巡っては「台湾の全般的な安全保障と防衛能力を向上させることにある」と、あくまでも台湾への防衛支援が目的との立場を示した。中国側からの反応に関しては「台湾へのレーダー売却については中国からまだ公式な申し入れは受けていない」と説明した。

◎米家電量販大手2社、デジタル家電貢献し業績好調(2004年4月2日、日本経済新聞)
 米家電量販店大手のベスト・バイとサーキット・シティーの業績が好調だ。両社が発表した昨年12月―今年2月期決算は純利益がそれぞれ前年同期比51%増、26%増となった。プラズマテレビなどデジタル家電のほか、DVD(デジタル多用途ディスク)や音楽ソフトの販売が収益を押し上げた。
 最大手のベスト・バイの同四半期は売上高が21%増の84億4900万ドル(約8790億円)、純利益は51%増の4億6900万ドル(488億円)だった。昨年のクリスマス商戦が好調で既存店売上高が10%伸びた。
 2位のサーキット・シティーの同四半期の売上高は2%増の32億4900万ドル(3380億円)。コスト削減が奏功し純利益が26%増の9000万ドル(約94億円)だった。
 一方、同社はカナダの同業、インタータンを2億8400万ドルで買収すると発表した。インタータンはカナダで980店を運営し、4億ドル超の年商がある。

◎エクソンモービルの製油施設で爆発、米テキサス州(2004年4月1日、産経新聞)
 米テキサス州ヒューストン東部のベイタウンにある米石油大手エクソンモービルの製油・化学施設で1日未明、爆発が起き施設が炎上した。火災は約1時間後に鎮火、負傷者などは出ていないという。
 エクソンモービルの広報担当者は「犯罪による爆発ではない」とテロの可能性を否定した。
 同州では3月30日夜にもヒューストン近郊の英石油大手BPの製油所で事故とみられる爆発が発生したばかり。
 米連邦捜査局(FBI)は3月末、テキサス州の大規模石油施設がテロ攻撃の脅威を受けていると警告、警戒を強めていた。

◎米、台湾にレーダー売却も、ミサイル防衛、中国の反発必至(2004年4月1日、産経新聞)
 米国防総省は31日、弾道ミサイル防衛にも対応可能な超高周波の早期警戒レーダー最大2基を、約18億ドル(約1900億円)で台湾に売却する計画を米議会に伝達した。議会の承認を得れば、入札などの手続きが進められる見通しだ。
 台湾を攻撃目標とした中国の短距離弾道ミサイルを意識しているのは明らかで、中国側の反発は必至。実際の売却までには曲折が予想される。
 国防総省は、台湾側は監視レーダー計画の一環として、レーダーを弾道・巡航ミサイルなどの追尾・捕捉に使用するとしている。軍事関係筋によると、高周波レーダーは主に航空機の捕捉に使われるケースが多いが、改良型では弾道ミサイルの捕捉も可能という。
 台湾総統選後、中台関係は緊張が高まっているが、同省は「地域の軍事的バランスに影響を与えない」としている。同省当局者は「6年前から台湾側はレーダー購入を要請していた」と強調した。
 米国防総省が昨年公表した中国の軍事報告書によると、中国は短距離弾道ミサイルを既に450基配備。台湾国防部(国防省)はこれに対抗するため、最新鋭の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の購入などミサイル防衛導入に積極的な方針を示している。

◎テキサスの製油所で爆発 けが人なく、火災沈静化へ(2004年3月31日、朝日新聞)
 AP通信などによると、米テキサス州ヒューストン近郊にある石油大手、英BP社の石油精製工場で30日夜、火災が発生した。3度の爆発音がして燃え広がったが、地元消防などによると、今のところけが人はないと見られている。同工場は英BP社の最も大きい精製工場の一つで、日量43万5千バレルの精製能力がある。
 火災は沈静化しつつあり、延焼の恐れはないという。ロイター通信によると、米連邦捜査局(FBI)がテキサス州内の製油所がテロの標的になる恐れがあると警告したのを受け、BPなどは警戒態勢を敷いていた。

◎製油施設が爆発、炎上、米(2004年3月31日、産経新聞)
 AP通信によると、米テキサス州ヒューストン近郊の英大手石油会社BPの製油施設で30日爆発があり、同施設が炎上した。
 地元当局は、近隣住民に対し自宅待機を要請するとともに、施設へ向かう道路を封鎖し警戒している。同当局者によると、負傷者は今のところ報告されていないという。
 爆発の原因は不明。火災は収まりつつあり、周辺に延焼する危険性はないという。
 同施設は1日当たり約45万バレルのガソリンなどを製造している。

◎PSI、支持は60カ国以上に、米(2004年3月31日、産経新聞)
 ボルトン米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は30日、下院外交委員会に提出した書面証言で、ブッシュ政権が主導する大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)にカナダ、ノルウェー、シンガポールが新たに加入したと報告するとともに、PSIへの協力を表明している国が60カ国以上に上ることを明らかにした。
 北朝鮮やイランなどを視野に入れたPSIは昨年、日本など11カ国が参加して発足。今回の新規3カ国の加入で計14カ国となった。
 次官はまた、ブッシュ大統領が昨年5月にPSIを提唱してから1年になることを記念して、ポーランドで加入国や協力国が参加した拡大会合を開催する方針を表明。来月中旬にはカナダで専門家会合を開くほか、欧州や西太平洋などで今後、大量破壊兵器拡散を阻止するための合同訓練を実施していく考えを示した。

◎米ガソリン、最高値に迫る(2004年3月23日、産経新聞)
 米エネルギー省が22日発表した前週の全米ガソリン平均小売価格は、1ガロン当たり前々週比1.9セント高の1.743ドルとなり、昨年8月25日につけた過去最高値の1.747ドルに迫った。
 原油価格の高騰に加え、石油在庫が低水準にとどまっていることや燃料油に対する需要の高さがガソリン価格を押し上げている。
 ガソリン価格の高騰は家計を圧迫し、米景気拡大に水を差す要因となりかねないことから、米議会では戦略石油備蓄の積み増し見送りによる市場への供給増や、審議が停滞しているエネルギー法案の早期成立を求める声が上がっている。

◎リビアから引き渡し、核開発関連機器を米が初公開(2004年3月16日、読売新聞)
 米エネルギー省は15日、テネシー州オークリッジのY−12国家安全保障複合施設で、リビアが米国に引き渡した核開発関連機器を報道陣に初めて公開した。
 公開されたのは、今年1月に米国へ空輸された核関連機器のうち、機密扱いを解除されたウラン濃縮用ガス遠心分離器のアルミ筒12本や台座、ガス導入管、外部冷却管などの部品一式。組み立てると、パキスタンの核技術を基にした「P1型」という高さ約2メートルの比較的古いタイプの遠心分離器になる。
 リビアはこれらのうち一部を組み立て、ウラン濃縮施設に設置したと見られるが、引き渡されたP1の部品は使用前のもので、使用した形跡は見られないという。
 公開は自動小銃を持った警備隊員が取り囲む中で行われた。エイブラハム長官は「ここに示したのは、まだ氷山の一角でしかないが、我々の戦いを続ける」と述べた。

◎遠心分離機:米がリビア所有の同型機器の部品を公開(2004年3月16日、毎日新聞)
 米国家安全保障会議(NSC)は15日、米テネシー州オークリッジにある米エネルギー省管轄の核施設「Y12」で、リビアが核兵器開発用に所有していた「P1」タイプと呼ばれる遠心分離機の主要部品一式を一部報道関係者に初公開した。
 公開されたのは、米政府がパキスタンの「原爆の父」カーン博士のネットワークがリビアに供与したとみている核兵器製造に必要な高濃縮ウランをつくるためのガス遠心分離機の部品。直径約20センチ、高さ約2メートルでアルミニウム製の円筒状の部品12個が公開された。
 同高官は「北朝鮮にもパキスタンから同種の遠心分離機が渡っているとみている」と語った。米政府高官によると、カーン博士のネットワークはリビアに1億ドルに上る大量破壊兵器関連の部品や技術を供与したという。
 米政府は昨年12月、リビアが大量破壊兵器の完全放棄を宣言したことを受け、今月に入り、同国の施設に保管されていた遠心分離機など大量破壊兵器に関する部品の米国への搬送作業を完了。一部が公開された。
 米国へ搬送された遠心分離機にはP1より高性能な「P2」タイプ約4000個以上に相当する部品も含まれている。

◎米ワイン消費、7年で65%増える(2004年1月31日、産経新聞)
 減量ブームが起きている米国で、ワインが健康にいいとして、レストランでの売り上げが過去7年間で約65%も増加、2003年は約99億ドル(約1兆460億円)に上ったことが飲料業界調査会社の調べで30日分かった。
 減量のため脂肪分や糖分を気にする客が増えるにつれて、ソーダやコカ・コーラの代わりにワインを勧めるレストランが急増。「適度な量のワインは体にいい」ことなどを従業員に学ばせた結果、ワインの売り上げが倍増したチェーン店もあるという。
 レストランでのワイン消費は、特に03年後半に急増。専門家は「米景気拡大で、ボトル単価が高いものも売れるようになったのが主因」と話している。
 調査はアダムス・ビバレージ・グループが行った。

◎米南東部、大雪で停電続く、NYでは航空便が大量欠航(2004年1月29日、産経新聞)
 米国の東部から南東部にかけて27日から降り続いた大雪のため、倒れた樹木が送電線を切断するなどの被害が続出、28日も約10万世帯で停電が続いている。
 ニューヨークでも約20センチの積雪があり、27日夜はケネディ国際空港など3空港で計850便が欠航したほか、長距離列車の2割が運休。国連本部も職員の通勤に支障が出たとして業務をほぼ停止した。
 サウスカロライナ州の州都コロンビア周辺では約3万世帯が停電となり、復旧のめどは立っていない。このほか同州とノースカロライナ州で約6万3000世帯、ジョージア州でも約5000世帯近くが停電となった。

◎遺伝子スパイ事件、岡本被告を米に引き渡しへ(2004年1月1日、読売新聞)
 アルツハイマー病の研究試料を研究所から持ち出したとして、日本人研究者が米国で経済スパイ法違反などの罪で起訴された遺伝子スパイ事件で、法務省は1月中にも、主犯とされた元理化学研究所チームリーダー・岡本卓(たかし)被告(43)(日本在住)の身柄について、米国側への引き渡し手続きを開始する方針を固めた。
 岡本被告の行為は「日本国内で行われた場合でも窃盗、器物損壊罪にあたる」と断定、日米犯罪人引き渡し条約に基づいて身柄を渡せるケースと判断した。
 この事件は、米国が同法の経済スパイ条項を初適用し、日本でも不正競争防止法が改正されて企業秘密漏えいが刑事罰の対象とされる契機となった。日米両国間で最先端研究の知的財産権保護に一石を投じた事件は、起訴から2年半余を経て、司法の場での解明に向けて本格的に動き出す。
 米国への身柄引き渡しは、日米双方の法律に違反する「双罰性」が必要。審査する東京高裁が「日本の法律でも1年を超える拘禁刑の罪にあたる」と判断すれば引き渡せる。第1段階として、法相が月内にも東京高検検事長に高裁への審査請求を命令。この段階で岡本被告は身柄を拘束される。審査の結論は2か月以内に出すことになっており、過去の審査請求はほぼ例外なく認められているため、早ければ今春にも引き渡される見通しだ。
 岡本被告は2001年5月、芹沢宏明・元カンザス大助教授(42)(米国在住)とともに、米連邦大陪審から起訴された。
 起訴状などによると、岡本被告は理研に移籍が決まっていた1999年7月、理研の利益を図ろうと、勤務していた米オハイオ州の財団研究所の研究室で、アルツハイマー病の研究に関するDNAや細胞株の試料を無断で持ち出し、残りを破壊・廃棄。試料を芹沢元助教授に一時預け、日本に持ち帰ったとされる。
 法務省は岡本被告の引き渡し請求を受け、米側の捜査資料などをもとに引き渡せるケースかどうか検討。その結果、当時は経済スパイ法にあたる法律が日本にはなかったが、岡本被告は研究所との間で研究成果を研究所に譲り渡す契約を結んでおり、試料の無断持ち出しや破壊・廃棄は、日本でも窃盗、器物損壊罪に該当すると判断した。また、国際的な司法協力の観点からも、引き渡しに応じるのが妥当と結論づけた。
 岡本被告は現在、北海道内の病院に医師として勤務。2002年以降、弁護士を通じて法相らに意見書などを提出し、試料の持ち出しや壊したことは認めているが、「自分が自由に処分できると信じていたため、犯罪の故意はない。引き渡しは違法」と主張している。
 一方、芹沢元助教授は米当局との司法取引に応じ、捜査機関への偽証罪を認める代わりに、経済スパイ法違反などでの起訴は取り下げられた。2003年5月、罰金刑などを言い渡されている。

・経済スパイ法
 「外国政府やその関連機関の利益のため、秘密を盗む」という経済スパイ条項(最高刑・禁固15年)と、「商業上の秘密を無断で州外、国外に持ち出す」という商業秘密窃取条項(同10年)がある。今回の事件では、特殊法人(現独立行政法人)だった理研が政府関係機関にあたるが、理研は独自調査で組織的関与を否定した。

◎カリフォルニアでM6.5の地震、2人死亡、数人が負傷(2003年12月23日、朝日新聞)
 米カリフォルニア州中部の太平洋岸で22日午前11時16分(日本時間23日午前4時16分)ごろ強い地震が発生し、同州の広い範囲で揺れた。米国地質調査所国立地震情報センターによるとマグニチュード(M)は6.5。2人が死亡し数人が負傷した。津波の心配はないという。
 震源地は太平洋岸の町カンブリアの北17キロ。大きな揺れの直後に5回の余震が続いた。震源の東32キロの町パソロブレスでは1892年の古い時計台の屋根が崩れ落ち、洋服店とパン屋、車16台ががれきに埋まった。店から逃れようと外に出た女性2人が死亡し、2人が店内から救出された。近くのワイン醸造所では落ちたワインの樽で従業員が負傷した。
 震源から約300キロ南東のロサンゼルスでも揺れ、中心部のビル街にある朝日新聞支局が入ったビルは30秒以上、音を立ててきしんだ。北西に約260キロのサンフランシスコでも、20階建ての連邦裁判所ビルが約30秒にわたって大揺れした。

◎サンフランシスコで大規模停電、電力会社の火事きっかけ(2003年12月22日、朝日新聞)
 米サンフランシスコ市で20日夕(日本時間21日午前)、大規模な停電があり、同市の約3分の1の地区で約12万戸が停電した。21日午後(同22日朝)になっても中心街などで2万4000戸が停電したままだ。電力会社の火事がきっかけという。
 停電が起きたのは同市内の電力会社施設で火事が発生した直後の午後6時前。クリスマス前の土曜の夕方で、街は買い物や食事、観劇などを楽しむ人々で込み合っていた。中心街やチャイナタウンなどで、いっせいに街灯や信号も消え、電車も中心部の一部で不通となった。このため大規模な交通渋滞が起きた。
 火事の消火活動とともに停電の復旧作業が行われたが4万6000戸が一晩中、停電のままだった。

◎銃殺傷事件はゲームのせい、米でソニーなど訴えられる(2003年10月23日、読売新聞)
 人気ゲームソフトの影響を受けたとされる少年が2人を銃で殺傷した事件で、被害者の遺族らが22日までに、「ゲームを真似た犯行が起きることを、業者は予見できた」として、ゲーム販売元の米ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)などを相手取り、総額2億4600万ドル(約270億円)の損害賠償を求める訴訟を地元テネシー州の郡裁判所に起こした。
 訴えられたのは、米SCEのほか、製作会社ロックスター・ゲームズ、流通業者ウォルマートなど。
 米メディアによると、事件は今年6月、14歳と16歳の兄弟が自宅近くの路上で、自動車めがけてライフル銃を次々と発射。車で通りかかった看護師(45)が死亡、女性(19)が重傷を負った。少年は警察に対して「退屈だったので、(人気ゲーム)グランド・セフト・オート3みたいに車を狙って銃を乱射することにした」と供述したという。
 同ゲームは世界で800万本以上売れた人気商品で、日本でも販売されている。車を盗んだり、通行人に暴力をふるうなど自らが「悪役」を楽しめるのが特徴とされる。
 遺族側弁護士は「このゲームは、車や人を銃撃するといった行為を触発し、訓練までしている」と主張。米SCEは「コメントできない」としている。

◎米、台湾の憲法制定をけん制(2003年9月30日、読売新聞)
 バウチャー米国務省報道官は29日、台湾の陳水扁総統が2006年に新憲法を制定する意向を示したことに関連し、台湾独立につながるような憲法改正を行わないとの従来姿勢を堅持するよう促した。
 報道官は「個々の選挙キャンペーン」にコメントする立場にはないとしながらも、陳総統が2000年8月、台湾の国名変更はじめ独立につながる国民投票や憲法改正を行わない姿勢を表明した経緯を強調し「米国はこの立場を真剣に受け止めている」と述べた。

◎米政府、中国企業に制裁発動(2003年9月20日、日本経済新聞)
 米政府は19日、中国人民解放軍系の「北方工業公司」が違法なミサイル技術拡散に関与したとして、米企業に対し、同社との輸出入の禁止に加え、中国政府系企業へのミサイル技術分野の輸出を禁じる制裁を発動したと発表した。制裁期間は2年。中国政府系企業では、ミサイルや宇宙技術、電子工学、軍用機関連が米国からの輸出禁止の対象となる。
 市場経済制度を採用していない国の政府系企業に違法行為が発覚した場合、当該企業だけでなく、他の政府系企業にも制裁の枠を広げることができる米国の「武器輸出管理法」を適用した。米政府当局者は「極めて広範囲で厳しい措置。中国への強いメッセージだ」と言明した。北方工業公司は今後、対米輸出も禁止される。武器輸出管理法を厳密に適用すれば、他の中国政府系企業による対米輸出も制裁対象となるが、米政府は「安全保障上の理由」で発動を1年間猶予した。即時発動により、中国側に大きな被害が出かねない点に考慮したとみられる。

◎米国の西ナイル熱患者数、最多の昨年を突破(2003年9月20日、朝日新聞)
 米疾病対策センター(CDC)は18日、西ナイル熱を発病した人が4325人に達したと発表した。1999年に米国で確認されて以来、最多だった昨年(4156人)を超えた。ガーバーディング所長は「感染検査の普及で人数が増えた面もあるが、脳炎は昨年より多い」と警告している。
 この1週間で約1200人も増えた。患者が出ているのは37州で、コロラド州1542人、サウスダコタ州675人、ネブラスカ州583人など、中西部で目立つ。
 今のところ死者は81人で、昨年(284人)より少ない。また、米食品医薬品局が7月から輸血用血液を検査しているため、輸血からの感染は2件で、昨年(23件)より減った。
 CDCは、軽い発熱だけですんだ人は10万人、未発症の感染者は50万人とも試算している。
 厚生労働省は、米国への旅行者向けに西ナイル熱の注意点などをまとめたチラシ2万5千枚を作り、近く空港などで配布する。症状や感染ルートの説明、関連情報のホームページを紹介している。

◎イラン、長距離ミサイル開発の可能性、米国務次官補証言(2003年9月18日、朝日新聞)
 デサッター米国務次官補(検証・順守担当)は17日、イスラエル情勢をめぐる米議会の調査委員会に出席し、「イランはより精度の高い長距離ミサイルの製造手段を獲得しつつある」と証言し、イランが米国や欧州にも届く能力がある弾道ミサイルの開発を進める可能性があるとの見方を示した。
 また、5月に北朝鮮を訪問したウェルドン下院議員(共和党)はイランの核開発疑惑に関連して「北朝鮮は核戦力についてイランと共同研究しようと考えている」とし、イランが専門家3人を北朝鮮に派遣した可能性があると指摘した。
 さらに、招待出席したイスラエル国会のスタインニッツ議員は、イランの核開発プログラムは来年には「後に引けなくなる段階」に達し、「時間切れになりつつある」と証言した。

◎シリアにミサイル開発協力、北朝鮮とイラン(2003年9月17日、産経新聞)
 ボルトン米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は16日、下院外交委員会の中東中央アジア小委員会で証言し、シリアが化学、生物兵器、弾道ミサイルの開発を進めているとの見解を表明。北朝鮮とイランの企業がシリアに「顕著な協力」をしていると言明し、化学兵器の搭載可能な長距離弾道ミサイル「スカッドD」の開発に懸念を示した。
 核開発については、兵器転用可能な原子力発電所建設を進めているとして、査察を強化するため国際原子力機関(IAEA)の追加議定書にシリアが調印すべきだと主張した。
 またイラクでの治安悪化に関連し、国境を接するシリアが「戦争中に志願兵の通過を許していたし、今でもそうだ」と指摘。米兵殺傷の要因になっていると非難した。(共同)

◎米国務次官:大量破壊兵器に積極的、イランと北朝鮮を非難(2003年9月17日、毎日新聞)
 ボルトン米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は16日、下院外交委員会の中東・中央アジア小委員会で証言し、「ならず者国家」のうちで大量破壊兵器とその運搬手段を最も積極的に調達または自力開発しようとしているのはイランと北朝鮮であり、それにリビアとシリアが続いていると指摘。シリアによる最近の弾道ミサイル開発に最大の支援をしているのは北朝鮮とイランだと非難した。
 証言のテーマはシリアの大量破壊兵器、ミサイル開発だったが、ボルトン次官はこうした脅威の拡散源の代表格として北朝鮮に言及。特にミサイル問題について、シリアは北朝鮮の助けを得て「スカッドD」を既に開発し、さらに北朝鮮の「ノドン」のような中距離弾道ミサイルの配備を狙っている可能性を指摘した。
 またボルトン次官は、シリアが民生用と兵器用の両方に使える原子力技術を獲得しようとしており、ロシアの民生用技術協力を取り付けたと説明。イランと同様、国際原子力機関(IAEA)の追加議定書への調印が必要な状況だと述べた。

◎米、シリア非難再び、義勇兵のイラク潜入黙認、北の支援でミサイル開発(2003年9月18日、産経新聞)
 ボルトン米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は十六日、米下院外交委員会の中東・中央アジア小委員会で証言、シリアが義勇兵のイラク潜入を黙認、これら勢力が米軍などを攻撃していると強く非難した。米政府部内では、対イラク戦争当時からシリアへの不満がくすぶっているが、この時期に米政府高官があらためてシリアを非難したのは、戦闘の終結宣言(五月一日)後も米軍の死者が相次いでいることなどを重視したためとみられ、米国とシリアの関係が再び緊張する可能性がある。
 ボルトン次官は「われわれはシリアが、イラク国内の米英軍などに一連の敵対行為を働いているのを知っている。シリアは、義勇兵がわれわれの兵士を殺傷することを目的に国境を越えてイラクに潜入するのを認めている。それは戦争の間だけでなく、今も続いている」と述べ、米英軍を襲撃する勢力とシリアのかかわりを指摘した。
 ボルトン次官はさらに、シリアが、生物・化学兵器や弾道ミサイルを開発していることにも言及、北朝鮮とイランの企業がこれに協力していることを指摘した。あわせて、ハマスなどテロ組織を支援していると強調した。
 ボルトン次官は、こうした問題をあくまでも外交的に解決する方針を示したものの、武力行使の可能性にも言及した。
 一方、ホワイトハウスのマクレラン報道官も同日の記者会見で、「シリアの行動は受け入れがたい。かれらはそれについて説明すべきだ」と述べ、やはり強く非難した。
 米国は対イラク戦争末期にシリアに対して、「(イラクの)サダム・フセイン政権高官をかくまっている」などと批判。その後、シリア政府が米国への協力を表明した経緯がある。しかし、ブッシュ大統領が大規模な戦闘の終結宣言を出した後も、米軍に対する攻撃が後を絶たず、米国はこうした攻撃がシリアなどから流入したテロリストや義勇軍によるものとみている。パウエル国務長官も今月十五日に、訪問先のクウェートで、「シリアは米国に協力しているとは思えない」と非難している。
 シリアのシャラ外相はこうした非難に対し、「シリアは国際的な司法枠組みの中で責任を果たしている」と強調、一方で「どこの国が米国のいいなりになるか」などと強く反発しており、イラク戦末期における両国の緊迫した関係が再現されそうな雲行きだ。

◎米国務次官:大量破壊兵器に積極的、イランと北朝鮮を非難(2003年9月17日、毎日新聞)
 ボルトン米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は16日、下院外交委員会の中東・中央アジア小委員会で証言し、「ならず者国家」のうちで大量破壊兵器とその運搬手段を最も積極的に調達または自力開発しようとしているのはイランと北朝鮮であり、それにリビアとシリアが続いていると指摘。シリアによる最近の弾道ミサイル開発に最大の支援をしているのは北朝鮮とイランだと非難した。
 証言のテーマはシリアの大量破壊兵器、ミサイル開発だったが、ボルトン次官はこうした脅威の拡散源の代表格として北朝鮮に言及。特にミサイル問題について、シリアは北朝鮮の助けを得て「スカッドD」を既に開発し、さらに北朝鮮の「ノドン」のような中距離弾道ミサイルの配備を狙っている可能性を指摘した。
 またボルトン次官は、シリアが民生用と兵器用の両方に使える原子力技術を獲得しようとしており、ロシアの民生用技術協力を取り付けたと説明。イランと同様、国際原子力機関(IAEA)の追加議定書への調印が必要な状況だと述べた。

◎脱「コーラ」NYの学校、「スナップル」を公式飲料に(2003年9月10日、朝日新聞)
 米ニューヨーク市は9日、市立の小中学校や高校、公園など市が持つ施設で売る公式飲料に清涼飲料大手の「スナップル・グループ」の製品を選んだと発表した。同グループが払う契約金は総額1億6600万ドル(約190億円)。特に、約1200ある学校では健康対策として炭酸飲料が売れなくなり、「コーラ」類は姿を消す。炭酸が入っていない「スナップル」の100%果汁ジュースやミネラル水に置き換わる。
 契約期間は5年で学校は10月から、ほかの市施設は2004年1月から。同グループが1億600万ドルを市に支払うほか、飲料とともにニューヨークを宣伝する6000万ドル分のキャンペーンをする。
 米国では学校にある自動販売機の炭酸飲料やスナック菓子が肥満の一因と指摘され、同市は撤去を決めていた。
 市中心部のセントラルパークなど学校以外の市施設では、同グループがミネラル水とアイスティー、チョコドリンクに限って独占販売する契約で、コーラや果汁ジュースなど他社製品も引き続き販売可能という。

◎2回目の訴えも却下、マクドナルド肥満訴訟(2003年9月5日、産経新聞)
 ニューヨークの米連邦地裁は4日、糖尿病や心臓病などの症状がある肥満児らが、肥満の原因となる食事をさせたとしてハンバーガー店チェーンのマクドナルドに損害賠償を求めた2回目の訴えを却下した。
 地裁は今年1月、肥満は食べ過ぎた本人の責任として同じ原告らの訴えを退けたが、内容を修正して再提訴することは認めていた。
 原告側は新たな訴訟で、マクドナルドが自社のハンバーガーなどを健康な食品と消費者に誤解させているなどと訴えた。これに対し地裁判事は、マクドナルドの食品が原告の健康被害の原因であることや、誤解を招く宣伝の事実を原告側は立証できなかったとしている。
 原告側はさらに再提訴を認めるよう求めたが、判事は却下した。

◎対イラン商取引、米、第三国企業制裁も、不正輸出、日本にも影響か(2003年8月30日、産経新聞)
 イランの核開発への懸念を強めている米政府は二十五日、国際的な圧力を強める一環として、イランと商取引した企業に制裁を科す「イラン・リビア制裁強化法」の海外企業に対する適用を、強化する方向で検討を開始した。各国企業をイランとの取引から撤退させることによって、イランへの実質的な制裁を強化、外交攻勢をいっそう活発化させる狙いがある。
 二十五日、米下院外交委員会の中東・中央アジア小委員会で証言した国務省のアンナ・ボーグ次官補代理(経済担当)は、「イラン・リビア制裁強化法」について、「米国の対イラン政策の目的を示す有力な手段であり、各国、その企業に対して、われわれの目的を理解させる効果がある」と述べ、適用強化を米政府が真剣に検討していることを強く示唆した。
 イラン・リビア制裁強化法の目的は、米国がテロ支援国家に指定しているイランとリビアへの経済締め付け強化だが、イランに関してはこれまでほとんど発動されたことがない。
 クリントン政権時代の一九九八年、フランス、ロシア、マレーシア三カ国の国際共同企業体が天然ガスの商談を進めた際に適用を検討されたが、このときは国務省が各国の反発を招くことを恐れ、見送られた経緯がある。
 ボーグ次官補代理は、当時の決定に暗に疑問を投げかけ、「その後、石油関連の取引があるたびに、その政府と企業に対して注意を喚起してきている」と指摘、適用強化が十分ありうることを強調した。
 ボーグ氏は、具体的な適用の予定などについては言及しなかったが、手始めとして、イランと取引のある企業を、新生イラクとの石油取引から締め出すことが検討されているといわれる。
 米政府は、一九七九年十一月に起きたテヘランの米国大使館占拠事件を契機に、米企業に対して、イランとの貿易をほぼ全面的に禁止する手段を講じており、これ以上、制裁を強化する手段がないため、イランの核開発への対抗手段としては、現時点では強化法の第三国企業への適用強化がもっとも効果的と判断した。
 日本では、機械メーカー「セイシン企業」が、ミサイル開発に転用可能な超微粉砕機「ジェットミル」をイランなどに不正輸出していた事件があるが、強化法の適用が強化されれば日本企業の動向にも影響を与えることになりそうだ。

・イラン・リビア制裁強化法(通称ダマト法)
 イランとリビアの石油・ガス部門に年間2000万ドル(当初は4000万ドル)以上投資する外国企業に制裁を科す米国の法律。1996年8月に成立した。米上下両院は2001年7月、同法を5年間延長する法案を可決、ブッシュ大統領が8月3日に署名して成立した。

◎米工場で乱射、2人死亡(2003年8月20日、産経新聞)
 米オハイオ州北東部アンドーバーの自動車部品工場で19日午前8時20分(日本時間午後9時20分)ごろ、男性従業員が銃を乱射し1人を死亡させた。その後、この従業員も死亡したが、自殺か捜査当局による射殺かは不明。
 AP通信によると、別の女性2人も病院で治療を受けている。地元捜査当局者は、負傷者の数は不明としている。
 犯人は勤続約5年の従業員とみられるが、事件の背後関係などは分かっていない。

◎衛星、ケーブルよりも安く、1カ月当たりの視聴料(2003年8月19日、産経新聞)
 米調査会社のJ・D・パワー・アンド・アソシエイツが19日まとめたテレビに関する調査によると、1カ月当たりの視聴料で衛星デジタルテレビの料金が有線テレビ(CATV)の料金を初めて下回った。
 調査によると、衛星デジタルテレビの料金は平均で、1998年に比べて8%増の48.93ドル。CATVは41%増の49.62ドルと約14ドルも値上がりした。
 値上げの要因は、CATVが番組数の多い衛星デジタルTVとの対抗上デジタル多チャンネル化を進めて、デジタル放送を受信する加入者には高い料金を設定し、映画などを1本ごとに買うペイ・パー・ビューなどの新サービスを増やしているため。
 衛星デジタルテレビは着実に加入者を増やしており、98年に全世帯数の7%だった市場占有率(シェア)はことし17%になった。一方、CATVは68%から60%にシェアを落とした。

◎アルカイダ名乗る男、米への新たなテロ警告(日本経済新聞アメリカ、6月23日)
テロ組織アルカイダなどを名乗る覆面姿の男が、サウジアラビア・リヤドやモロッコ・カサブランカで起きた連続自爆テロはアルカイダの犯行であり、近く米国などを狙った新たなテロも計画していると警告した。AP通信が21日に入手したビデオテープの中で語った。
男は、アフガニスタンの旧タリバン政権時代にアルカイダのスポークスマンとされたアブ・ハリス・アブドル・ハキムを名乗り、テープを見た情報当局者は「ハキム本人だ」としている。
 男はアルカイダ、タリバン、ヘクマティアル・アフガン元首相の三派を代弁していると主張。「リヤド、モロッコのテロはわれわれの殉教攻撃だ。(アルカイダの)ウサマ・ビンラディン氏はアフガンで健在だ。ごく近い将来、米国とその手先は裁きを受けるだろう」と警告した。

◎米旅客機:乗客の見積もり重量を引き上げ、米国民の肥満進行で(2003年5月13日、毎日新聞)
 米連邦航空局(FAA)は12日、民間旅客機の乗客1人当たりの見積もり重量を10ポンド(約4.5kg)増量する方針を明らかにした。米国民の肥満進行により、従来の重量では安全運航に支障が生じると判断した。
 現行基準では、旅客機の乗客1人当たりの重量(夏期)は衣服と手荷物を含めて180ポンド(約81kg)と見積もられ、この数値に基づいて定員を決めている。3カ月後に実施される新基準では、同190ポンドに増量される。また、預け入れ荷物の見積もり重量も25ポンドから30ポンドに増やされる。
 この結果、旅客機に乗ることのできる最大人数が減る。とくに小型機が影響を受けるという。
 FAAは今年1月にノースカロライナ州で墜落したコミューター航空機(乗員乗客21人)が重量制限を約45キロ超過していたことを重視し、基準の見直しを進めていた。
 米疾病対策センター(CDC)の調査では、米国の成人の60%以上が標準体重を超え、肥満化が顕著に進んでいる。

◎2回目の訴えも却下、マクドナルド肥満訴訟(2003年9月5日、産経新聞)
 ニューヨークの米連邦地裁は4日、糖尿病や心臓病などの症状がある肥満児らが、肥満の原因となる食事をさせたとしてハンバーガー店チェーンのマクドナルドに損害賠償を求めた2回目の訴えを却下した。
 地裁は今年1月、肥満は食べ過ぎた本人の責任として同じ原告らの訴えを退けたが、内容を修正して再提訴することは認めていた。
 原告側は新たな訴訟で、マクドナルドが自社のハンバーガーなどを健康な食品と消費者に誤解させているなどと訴えた。これに対し地裁判事は、マクドナルドの食品が原告の健康被害の原因であることや、誤解を招く宣伝の事実を原告側は立証できなかったとしている。
 原告側はさらに再提訴を認めるよう求めたが、判事は却下した。

◎消えた旅客機、米が必死の追跡、3週間、消息つかめず(2003年6月20日、朝日新聞)
 パイロット1人が乗ってアンゴラの空港を無許可で離陸し、そのままアフリカの空に消えた旅客機ボーイング727の行方を、米政府が必死に追っている。テロリストの手に渡った可能性が否定できないからだ。だが偵察衛星まで使っての追跡にもかかわらず、3週間たった今も消息はつかめていない。墜落の情報もなく、謎は深まるばかりだ。
 旅客機は米フロリダ州にある会社が保有し、アンゴラの首都ルアンダの空港に1年以上も駐機していた。ところが5月25日、突然、滑走路へ向かって動き始めた。管制官が無線で制止したが、応答せずに離陸し、そのまま消息を絶った。
 情報を入手した米国土安全保障省は緊張した。米中央情報局(CIA)による航跡調査の一方、偵察衛星でアフリカ中の滑走路をくまなく調べ、727型機の航続距離を半径とした円内で墜落の痕跡を捜索した。だが手掛かりはつかめず、今はアフリカ各国にある米大使館を通じて情報収集に懸命だという。
 ワシントン・ポスト紙などによれば、同機は現在の保有会社が、2年前に大手のアメリカン航空から買った。去年3月からルアンダ空港に駐機していたが、保有会社は米当局の聴取に対し、機体購入や駐機の経緯をあいまいにしている模様。操縦したとみられる米国人パイロットも、その後、家族への連絡が途絶えているという。
 米の航空専門家によれば、アフリカでは小型機の窃盗や、物損保険金を詐取するための偽装事故は珍しくない。だが727のような大型機が行方不明になるのは異例という。保有会社のオーナーに、偽造文書で投資家から金をだまし取った犯罪歴があることから、背後に何らかの詐欺事件があるのでは、との見方も浮上している。

◎ハンバーガー食べ肥満は自分の責任、米でマック勝訴(2003年1月23日、朝日新聞)
ハンバーガーを食べたために肥満になったとして外食大手のマクドナルドが訴えられていた裁判で、ニューヨークの連邦地裁は22日、自らの暴飲暴食による肥満や健康被害の救済を法廷に持ち込むのはお門違いだとして、原告らの損害賠償請求を棄却した。
 米メディアによると、原告は身長が165cm、体重が122kgの10代の女性ら。毎日のようにマクドナルドでハンバーガーなどを食べ、糖尿病など健康上の被害を受けたと訴えていた。請求額は不明。
 同地裁のロバート・スィート判事は「マクドナルドの食品で肥満になる可能性を知りつつ大量に食べたのは本人の責任。だれもハンバーガーを食べることを強制されてはいない」などと棄却の理由を述べた。
 マクドナルド側は「もともとばかげた訴訟。常識が勝った」と談話を発表したが、原告側弁護士は訴状の内容を修正して今月中にも再提訴する。この訴訟を「自己責任の転嫁という訴訟社会アメリカの恥ずべき例」などと批判する専門家やメディアもあった。

◎「太ったのはハンバーガーのせい」米でマック訴えられる(2002年12月17日、朝日新聞)
太ったのはハンバーガーのせいだ。米国でマクドナルドが訴えられた。危険域に達した米国の肥満問題が、過激な訴えを起こさせた。高カロリー食の象徴として、ハンバーガーが「第2のたばこ」になる恐れもある。
 主要メディアの報道によると、原告のアシュリーさん(14)は、身長145cmで体重は77kg。ジャズリンさん(19)は165cmで122kgもある。体重を身長の2乗で割った「体格指数」はそれぞれ37と45。30以上が肥満と判定される米国でも、かなり太った部類に入る。
 2人は11月、「マックのせいでこんな体になってしまった」とニューヨーク連邦地裁に提訴した。受理されれば、外食産業に肥満の責任を問う米国初の裁判となる。
 2人は毎日2回、マックのハンバーガーやパイを食べ続けた。1回の食事が1500キロカロリーを超えることもあった。「栄養価の適切な表示があれば食べるのを控えた」と原告側は主張している。
 これに対し、マクドナルド社のライカー広報担当は「商品情報は店舗やホームページ、無料電話で提供している。調査によると、そもそも食事には90万もの選択肢がある。消費者が何を選ぶのか、当社は責任を負えない」と反論する。
 提訴直後のテレビの世論調査では、9割が「外食産業に肥満の責任はない」と、マック側の言い分に理解を示している。
 製造物責任に詳しい弁護士も、連邦地裁が審理を始め、かつ、原告が勝つ確率は数パーセント以下と見る。「そもそもハンバーガーにはたばこのような常習性がない。その気があれば、いつでもやめられたはずですからね」という。
 だが、反たばこ闘士として有名なジョージ・ワシントン大法学部のバンザフ教授は「たばこ訴訟では700回も訴えが却下された。その後、原告が勝つまでの裁判は800回を超えた。却下されても、あきらめる必要はありません」という。
 米国では、宣伝に刺激されてつい食べ過ぎてしまう社会環境が指摘されている。特に栄養の知識に乏しい子供たちへの影響を心配する声は強い。あふれるファストフードやスナック、ソフトドリンク。近い将来、肥満問題がのっぴきならなくなって「魔女狩り」が始まり、ハンバーガーが裁判で負ける確率もゼロと言い切れない。
 ネブラスカ州で11月末、ちょっとした騒ぎがあった。同州の億万長者ソコロフ氏が、大手ハンバーガーチェーンを買収するとうわさされる地元実業家を新聞紙上で公然と批判したのだ。「忌まわしい高カロリー食品を売って人々を肥満へ導いている企業の買収なんて、まともな実業家のやることじゃない」
 81歳のソコロフ氏は「全米心臓病救助協会」を主宰している。かつて「動物油で揚げたポテトは健康に悪い」と主要紙に広告を出し、各ファストフード企業が植物油へ切り替えたこともある。
 「高カロリーな食事が米国人を殺している」というソコロフ氏の持論は、けっして大げさではない。飽食が心臓病や糖尿病などの病気につながるばかりか、逆に粗食が長生きにつながることは、動物実験では常識になりつつある。ネズミはカロリー制限で寿命が約3割のびるし、サルやハエ、線虫でも同じような報告がある。
 もちろん、これが人間に当てはまるかどうかは定かではない。ただ、国連食糧農業機関(FAO)によると、1人の米国人は1日平均約3700キロカロリーを摂取している。日本人より約1000キロカロリー多い。米国人の平均寿命は男性74歳、女性79歳と、世界一の日本人より4〜5年短い。
 ソコロフ氏は言う。「政府はいま、前方のイラクやアルカイダの脅威にばかり目を向けて車を運転している。後ろの座席を振り向けば、肥満という殺人者が座っているんだが」

◎「西ナイル熱」猛威 感染453人、21人死亡(2002年8月29日、朝日新聞)
 アフリカ北部のナイル川流域に多発する風土病の西ナイル熱が米国全土に広まり、27日までに全米50週のうち20週で453人の感染が確認された。うち21人が死亡している。ウイルスを媒介する蚊の繁殖を防ぐため、殺虫剤の散布に空軍機も出動。米疾病対策センター(CDC)は爆発的な感染拡大への警戒を呼びかけている。
 西ナイル熱患者は、米国では99年夏に初めてニューヨークで確認された。感染経路は不明だが、大量死したカラスからウイルスが検出された。西半球で初めての確認とされた。
 その後の感染は東南部に限られていたが、8月上旬に南部のルイジアナ州やテキサス州で感染者が確認され、またたく間に広がった。CDCによれば、人間以外の動物も含めると、これまでに41の州でウイルスが確認されている。感染した鳥の移動に伴って全土に拡散していると見られる。
 8人が死亡したルイジアナ州では非常事態が宣言された。他の州でも池や川など蚊の発生源に殺虫剤が散布されている。CDCは長袖や長ズボンを着用して蚊に刺されないよう注意を呼びかけている。
 死亡者が100人に達すると予測する専門家もいる。CDCの担当者は「西へ向かっている感染は近いうちに西海岸まで達し、米本土全体にウイルスが広がるだろう」と予想している。

・西ナイル熱:蚊が媒介して鳥や哺乳(ほにゅう)類から人間に感染するとされる。発症すると急激な発熱や頭痛を伴い、子どもや高齢者など免疫の弱い人は脳炎を起こして死亡することがある。ワクチンは開発されていない。

◎在韓米軍、負担増30%要求 韓国側に反発も(2001年6月25日、朝日新聞)
 韓国政府が在韓米軍の駐留費用の一部を負担している在韓米軍防衛分担金の来年分として、米政府が約30%の大幅増を要求していることがわかった。防衛分担金は日本の「思いやり予算」にあたり、日米間では今年から日本側の負担を減らす新特別協定に合意している。昨年の南北朝鮮首脳会談後、韓国内では米軍に対する風当たりが一層強くなっているだけに世論の反発も予想される。
 韓国政府筋によると、3月末にあった来年の防衛分担金をめぐる米韓協議で米側は、01年(4億4400万ドル)の約30%増にあたる5億8000万ドルとする案を提示した。韓国政府は増額には応じる方針だが、「最大でも6%台の引き上げが限界」と答えたという。
 在韓米軍防衛分担金はこれまで、年々増額されてきた。しかし、98年分は3億9900万ドルでいったん合意したものの、通貨危機で韓国経済が深刻な状態に陥ったため約20%の減額で米側が同意した。米側は韓国経済が回復基調にあるとして、98年の減額分を含めた増額を求めている模様だ。
 防衛分担金制度は91年、韓国側が強く求めた韓米地位協定改定の見返りとして始まった。

◎米への高級品輸出パッタリ(2001年4月16日、日刊工業新聞)
 「フェラーリが消えた」。宅配便や航空貨物輸送の大手、米フェデックスの関係者は、最近の貨物便の中身についてこう話す。新車販売がピークに達した昨年夏には、小荷物や半導体などに交じってフェラーリやポルシェといった高級スポーツカーが貨物機で米国に運び込まれることが月に何度かあったが、最近はなくなったという。海外から米国への荷動きは著しく鈍っている。ほかの航空貨物大手によると、日本から米国への半導体製造装置輸入は昨年の今ごろに比べて「半減した」。パソコンなどの需要減速で半導体メーカーの設備投資が冷え込んでいるためだ。
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は今年1月以降、家庭用ゲーム機の人気商品「プレイステーション2」の輸送を航空便から船便に切り替えた。需要が一巡し、輸送を急ぐ必要がなくなったためだ。米輸送各社の業績も変調気味。フェデックスは1-3月期の純利益が当初予想より3.5%少なくなると発表した。航空混載業者大手の米EGLも従業員を300人減らすリストラを実施している。

◎米大手企業の業績悪化、幅広い業種に波及 個人消費へも(2001年3月19日、朝日新聞)
 米企業の業績悪化が幅広い業種に波及し始めている。ハイテク分野に端を発した減退が、経費の切りつめや従業員の解雇などを通して個人消費にも広がっている。米主要500社平均の1―3月期決算は6%の減益に転じる見込み。今年後半まで業績低迷は続くとの見方が有力で、株価の下落が経済の見通しを暗くさせ、消費マインドを一層冷やす悪循環が続く恐れがある。
 書籍や音楽販売の大手ボーダーズグループは15日、ネットショッピング事業などの赤字が響いたため、昨年11月―1月期の純益が前年同期より48%減り、5100万ドルに落ち込むと発表した。衣料品も不振が目立っており、チェーン中堅のロスストアによると、3月になっても売上高は前年と比べて6%ほどマイナスが続いている。全米3位の大型店チェーンKマートも、昨年11月―1月期の純益は前年同期より40%少ない約2億5000万ドルに減った。
 在庫を減らすために値引き競争を激化させているが、思ったほど客足は増えていない。商務省が14日発表した1月の流通業の在庫の伸びは、予想より高い0.6%だった。2月の全米小売販売額は3ヶ月ぶりに減少に転じ、住宅需要を反映して家具類が1.9%減、飲食や娯楽が1.5%減るなど、不要不急の消費に影がでている。食料品大手ハインズは、ペットフードなどの不振で、従業員の4%にあたる約2000人を削減する。
 ほぼ1年続いている株価の下落と低迷が、個人消費に冷や水を浴びせている格好だ。米世帯が直接、株式に投資している金額は昨年末時点で、前年同期と比べて25%少ない6兆6000億ドルに縮んだ。米世帯の半数が株式を保有しているので、評価額の目減りが財布のひもを固くする「逆資産効果」が効き始め、「春先から夏にかけて消費はもっと冷え込みそうだ」(個人消費動向を調べているハイフリークエンシーエコノミクスのシェパーズソン氏)との見方もある。
 従業員の削減も後を絶たない。パソコン最大手コンパックコンピューターは、販売不振による価格競争の激化で、1―3月期の売上高が前年同期より約4%減る見通しで、コスト削減のため従業員の7%にあたる5000人を減らす、と発表。半導体が不振で携帯電話の販売が伸び悩んでいる通信機器大手モトローラは、15年ぶりの営業赤字が見込まれているが、新たに7000人を追加削減することにした。これで全従業員の1割にあたる1万5000人前後が削減される見通しだ。
 今年は5億―6億台は売れると見込まれていた全世界の携帯電話市場の予想が縮み、昨年の1割増の4億5000万台にとどまったことなどが響いている。移動体通信大手のネクステルコミュニケーションズによると、1―3月の新規契約者数が前期より4%減る見込みだ。ハイテク業界には景気がさらに落ち込む警戒感が募っており、コンピューター最大手IBMは、投資家向けの情報開示のなかで「米経済の減速が世界に広がることを懸念している」と警鐘を鳴らした。
 企業のリストラや経費削減は、交通業界も揺さぶっている。米1位のユナイテッド航空の親会社UALは15日、1―3月期の赤字額が増えている、と発表。3位のデルタ航空は同期に8500万―1億ドル程度の赤字に転じ、4位のノースウエスト航空の赤字は最大1億5000万ドルに膨らむ見通しだ。
 昨年末から本格化した企業の出張費カットや交際費の削減で、ビジネス客を中心に収入が頭打ちになり、パイロットがスト入りを準備していることがさらに客足を遠のかせている。燃料コスト増もマイナス要因だ。

◎「もっと戦いたかった」東芝,苦渋の決断の真相(1999年11月2日、ZDNN)
 フロッピーディスクコントローラ(FDC)のマイクロコードに一部不具合があるとして,米国のユーザーが起こしていた訴訟で和解を選んだ東芝(10月29日の記事参照)。「苦渋の決断だった」と語る同社だが,なぜ,米国で10年にわたって販売してきたノートPCの利益を帳消しにしてしまう1100億円もの巨額の訴訟和解金を支払ってまで,和解しなければならかなったのか?
 その理由の1つは,巨額の賠償金を支払うリスクがあったからだ。東芝は同社ノートPCユーザー2名から今年3月に訴えを起こされていたのだが,同社によれば,訴訟の舞台となったテキサス州の裁判所は,陪審員制度を採用する米国の中でも,特に企業側に不利な判決を言い渡すことで有名で,これまでにもタバコ会社などが巨額の賠償金支払いを命じられているという。
 そして東芝の場合も,原告側が請求していた損害賠償金は,和解金の10倍近い1兆円だった。「もし1兆円の支払い命令が下れば,会社存続の危機となった」(同社)。
 だが原告側の主張は,「FDCのマイクロコードにある一部不具合により,書き込みエラーが発生してデータ破壊の可能性がある」というもので,東芝が全世界で販売した1500万台ものノートPCで,そのような被害報告を受けたものはなく,修理記録もない。
 しかしながら,「米国では実際に被害がなくても,理論的に被害が起こり得ると判断されれば,裁判所が原告の主張を認める可能性があった」(東芝)ため,弁護士などの専門家と検討した結果,和解により解決することにしたという。
 では,原告側が主張する「データの破損」はどのような場合に発生するのだろうか。東芝によれば,「通常の利用では考えられないような非現実的な高負荷状態」だという。
 同社が検証したところ,書き込みエラーが発生する可能性があるのは,マルチタスク環境下で,1)システム負荷の高いアプリケーションを実行し,2)動画や音楽を再生し,3)ファイルコピーを行いつつ,4)FDへの書き込みを行った場合。確かに日常的な利用では考えられないような行為だが,理論的にはエラーが発生する可能性がある。だが,必ずではなく「極めてまれに」(同社)である。
「パソコンは,ソフトウェアとLSIのかたまりのようなもの。誰かが今回の訴訟を真似して,ある特定の環境下での問題点を探そうとすれば,全くないとは言い切れない。爆弾を抱えているのと同じだ」(東芝)。
 いずれにしても,今までの(ノートPCの)利益を失い,訴訟のリスクがあるとしても,その巨大なマーケット規模を考えると米国市場を捨てることはできない。
 さらに,今回の東芝の一件は早くも業界他社に飛び火し,Hewlett-Packard,Compaq,NEC Packard-Bell,emachinesなど4社が,東芝と同様に米国で集団訴訟を起こされた。これについて東芝では,「まだ詳しい情報をつかんでいないのでコメントできない」としている。
 ビデオデッキのクレーム事件に続き,またもやトラブルに巻き込まれてしまった東芝だが,今回の和解については,「もっと戦いたかった」と早すぎる和解に唇を噛む。しかしながら,現実には「会社の存続以上に大切なものはない」と諦めるしかなかったようだ。

◎東芝,米国集団訴訟和解で1100億円の特別損失(1999年10月29日、ZDNN)
 東芝は10月29日,米国子会社が係争中の集団訴訟について,原告側と和解が成立,この和解に伴う費用として,1999年度決算の特別損失に1100億円を計上すると発表した。
 この訴訟は,東芝アメリカ情報システム,東芝アメリカ電子部品,ならびに東芝アメリカの3社が,同社ノートPCが内蔵するFDDを制御するIC(FDC)のマイクロコードに一部不具合があり,データが破壊されてしまう可能性があるとして,米国のユーザーから保証違反などで訴えられていたもの。
 東芝側は,全世界で1件も被害報告がないことなどを理由に争っていたが,集団訴訟では巨額の賠償金の支払いを命じられる可能性があり,リスク回避のために和解により解決することにした。東芝側は和解について,「この和解は,当社の法的責任やパソコンに問題があることを認めたものではない」とコメントしている。
 和解内容の要約は,1)今年11月8日以降に出荷する米国向けPCに新しいFDCを搭載する,2)米国のユーザーに対し,修正ソフトの無償配布,またはハードウェアの改修を行う,3)今後同社のPCを購入する際に使用できるクーポン券を配布する,4)昨年3月以降に同社PCを購入したユーザーに和解金を支払う,となっている。
 この和解に伴う費用として,東芝は1100億円の特別損失を1999年度決算に計上するが,有価証券など売却益500億円を特別利益に計上することにしたため,新たに発生する特別損失は600億円となる。この結果同社は2000年3月期の特別損益を,10月26日発表の500億円から1100億円に,当期純損失を300億円から650億円に下方修正した。
 なお東芝では, 国内においても修正ソフトウェアを無償で提供することを決定,11月1日に主要新聞と同社ホームページ上で詳細を告知するという。

 


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