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更新日:
2018年2月3日
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◎オリーブ(2018年1月27日)
オリーブ(英: olive、学名: olea europaea)はモクセイ科の常緑高木で果実は油分を多く含み、主要な食用油の一つであるオリーブ・オイルの原料です。地中海沿岸地方が原産とされ、中近東一帯に野生し、紀元前3,000~紀元前2,000年頃から栽培が始まったと考えられています。エルサレムには幹径7.5m、推定樹齢1000年をこえる大樹があるそうです。
高さは7~10m、葉は細長く、小さくて硬く、表面が暗緑色、裏面が銀色で対生します。5~7月頃、黄白色の香りのよい花を総状につける。果実は楕円体状、長さ2~3cmの液果で、紫黒色に熟します。オリーブの実は生食には適さず、一口噛んだだけでも数時間、口の中が渋みでしびれた状態が続き、味覚も低下します。未熟の果実は塩漬にすると食べることができるようになり、ピクルスやピザの材料としたり、塩漬けにしてカクテルのマティーニに必須の材料となります。
熟した果実からは油が採れ(オリーブ油)、食用のほか、化粧用の香油や石鹸原料、薬用として利用されています。種子からも油が取れますが、これはオリーブ核油といい、オリーブ油よりも品質が劣っています。
オリーブの木材は硬く(爪の先で押してもほとんど傷つかない)、重く(比重は約0.9)、緻密で、油分が多く耐久性があり木目が美しく、装飾品や道具類、特にまな板、すりばち、すりこぎ、スプーン、調理用へらなどの台所用品を作るのに用いられています。木製品としては、かなり高価です。日本では印鑑の材料にされることもあります。辺材は黄白色、心材は黄褐色で、褐色の墨流しのような不規則なしま模様があります。オリーブ材の加工はフランス、イタリアなどで盛んですが、ヨーロッパのオリーブは幹が細いものが多く、加工用のオリーブ材はチュニジアなどのアフリカ産が多いようです。
古代ギリシャは、紀元前700年頃からオリーブの栽培によって国力を蓄え、今日の産油国のように繁栄を迎えたそうです。オリーブには希少価値があり、紀元前5世紀頃、ヘロドトスは「アテナイを除き、世界のどこにもオリーブの木は存在しない」と記述しているそうです。ギリシャが地中海各地に植民市を建設するとともに、オリーブの木も移植されていき、紀元前370年頃にはイタリア半島に移植され、やがてオリーブの主要生産地の一つとなっていきました。
旧約聖書で、ノアの方舟から放たれたハトがオリーブの枝をくわえて戻り、洪水の水が引いた土地を知らせたことから、オリーブの枝葉は平和の象徴とされ、国連旗のデザインに使われています。
世界各地の暖かく乾燥した地域で栽培されており、1960年には年産400万トンでしたが、1990年に1,000万トンを超えました。2002年までの10年間に生産量が著しく増加した国はスペイン(140万トン)、シリア(80万トン)、トルコ(70万トン)、エジプト(30万トン)、ギリシャ(20万トン)、ヨルダン(15万トン)です。逆に、減少が著しい国はイタリア(50万トン)、チュニジア(20万トン)です。
FAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations:国際連合食糧農業機関)の統計資料によると、98%以上のオリーブ生産国は地中海に面し、そのうち2/3がヨーロッパに集中しています。2002年のオリーブの実の生産量は1,398万トンで、全体の30.8%がスペイン(430万トン)でした。その他はイタリア(19.5%)、ギリシャ(14.3%)、トルコ(10.7%)、シリア(7.1%)、モロッコ(3.0%)、ポルトガル、エジプト、アルジェリア、ヨルダンです。
2002年時点で地中海に面した国のうちオリーブ生産量(果実)が少ないのはアルバニア(2.7万トン)、キプロス(1.8万トン)、フランス(2万トン)、マルタです。
日本でオリーブの栽培は1908年(明治41年)に当時の農商務省がアメリカ産オリーブの試験栽培をしたのが始まりです。この時、栽培地として香川、三重、鹿児島の3県が指定されました。当時、香川県の小豆島に植えられたのは519本の苗木でした。この3県の中で香川県の小豆島のみが栽培に成功し、1911年(明治44年)に74kgの実を収穫することができました。それ以降、小豆島は「日本オリーブ栽培発祥の地」として知られており、香川県はオリーブを県木、県花とし、その栽培を支援しています。
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