フロンの分解技術の話

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更新日:
 2008年6月28日







◎フロンの分解技術(1996年2月19日)
 冷蔵庫やエアコンから回収したオゾン破壊物質のフロンを分解、破壊する技術が続々と登場してきた。フロンは壊れにくいといわれていたが、ごみ焼却炉やセメント製造炉で混ぜ、ごみ処理などのついでに熱分解する方法が有力とみられるほか、超高温でフロンの分子をバラバラにするなど、100%近く分解できる方法がいくつもあることが分かってきた。だが、普及には簡単にできて有害物質が出ず、長期間の運転に耐えることが必要であり、決定的な方法はない。
 フロンを破壊するには、熱やプラズマ、金属などの触媒を使う方法などがある。通産省の物質工学工業技術研究所と荏原総合研究所は、流動床型というごみ焼却炉がフロン破壊に有効であることを確かめた。全国に約200台あるこの炉は、600〜800℃の砂の上にゴミを落とし、下から空気を吹き込んでかき回しながら燃やす。ゴミ1トンに、分解しにくいフロン12を20kgの割合で空気と混合させると、ほぼ完全に分解した。
 フロンを炉で焼くと、酸性で有害なフッ化水素ができて炉を傷めることがあるが、中和剤として炭酸カルシウムを混ぜると発生を抑えられた。砂が炉内の温度を一様にする役割を果たすため、効率よく分解できるという。
 物質工学工業技術研究所の近藤重雄、反応化学研究室長は、「炉の壁に付いたカルシウム化合物をかき落とす手間がかかる程度で、コストは限りなくゼロに近い」と話す。
 産業廃棄物用の回転式焼却炉やセメント製造炉でフロンを混ぜて焼く方法もある。秩父小野田と東京都は、セメントを製造する工程で1450℃の炉にフロンを注入、分解する実験をしている。フッ化水素や塩化水素などもセメント原料に吸収されるという。
 また、通産省は1万℃の高温でフロン分子をバラバラにするプラズマ方式を開発している。しかし、どの方法も不純物の入ったフロンをゴミと混ぜても安定して壊れるか、有害物質が発生しないか、炉が痛まないか、などは今後の課題。

◎フロン分解に新技術(1995年8月15日、朝日新聞)
 オゾン層を破壊するフロンを分解する触媒で分解する技術を日立製作所が開発した。触媒を詰めた管にフロンを流すだけの簡単な方法で、実用化も可能であると期待されている。
 フロンの分解技術としては、燃焼法やプラズマ法、紫外線照射法などが先行しているが、大型で複雑な装置が必要だったり、処理経費がかさんだりすることが難点で、まだ本格的な実用化はされていない。これに対し触媒法は、装置を作動させる電力が少なくてすむうえ、電源が電池でも良いため、自動車に積載可能なほど小型化できるメリットがある。これまでの試みは、どれも実験室レベルで、今回のように実用化に結びつく技術は初めて。触媒として使うのは酸化チタンと酸化タングステンの混合物。500℃で焼き固めた後、0.5〜1mmの微粒子にする。これを直径2cm、長さ40cmの腐食に強い合金で作った反応管の中ほどに詰め込む。触媒部分は電気炉で包んで430℃に加熱。反応管を通したフロンは分解して塩化水素、フッ化水素、二酸化炭素などの酸性ガスが発生するので、アルカリ性の吸収層を通して中和する。触媒は900時間余り連続使用したが、分解率は99.8%以上を維持できた。これで少なくとも半年以上は触媒を交換する必要がないことが実証できたという。フロン1kg当たりの処理経費は150円ほどで、他の分解法に比べて割安。現在では約200g(大型冷蔵庫1台分くらい)を分解するのに5時間かかった。


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