磁性体のお話

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更新日:
 2012年11月9日





◎磁性体の話

 磁界中に物質を置くと、その物質が磁化される現象があります。これは、物質を構成する原子の構造に要因があります。原子は核と電子で構成され、核の周りを回転する電子による電流や電子の自転(スピン)による電流が磁界をつくります。このようにして作られている分子磁石は、外部から磁界の影響を受けると方向を変える特徴があります。
 この現象を「磁化」といい、このように磁化される物質を「磁性体」と呼びます。もともと磁界の影響を受ける前に磁気的に中性であった磁性体は磁化によって、ちょうど磁界中にソレノイドを置き、そのソレノイドがつくる磁界が外部の磁界に影響を与えているのと同様な分布をつくります。
 磁性体には、大きく分けて、常磁性体、反磁性体、反強磁性体、フェリ磁性体、強磁性体などの種類があり、このうち、常磁性体(例えばルビー、クロムミョウバンなど)、反磁性体(アルミニウムなど)、反強磁性体(黄銅鉱など)は「自発磁化」をもたず、従って、通常の磁界では磁石に吸い付きません。
 実用的に使われる磁性体は、強磁性体(鉄、コバルト、ニッケルなど)とフェリ磁性体(フェライト、磁性ガーネットなど)の2種類で、自発磁化を持ちます。そこで、以下では、磁性体といえば「強磁性体、フェリ磁性体」を指すものとして話します。自発磁化というのは、外部から磁界を加えなくても、原子磁石がそろってある方向を向くようなものです。
 自発磁化を持つからといって永久磁石になるわけではありません。ハードディスクやウォークマンの磁気ヘッドに使われるパーマロイとよばれる磁性体は鉄とニッケルの合金ですが、この磁性体は、磁界を加えないときは、磁気を帯びていません。この種の磁性体を軟らかい磁性体(軟質磁性体)と呼びます。これは、磁性体の内部がいくつかの「磁区」とよばれる領域に分かれていて、それぞれの磁区の中では、原子磁石が揃えあっているのですが、磁区同士は様々な方位を向いていて、全体として磁化をうち消し合っているのです。外部から磁界が加わるとそれに比例した磁化が発生しますが、外部磁界を切ると元に戻ってしまいます。
 一方、ハードディスク媒体やカセットテープに塗布されている磁性体(ハードディスクではコバルトとクロムの合金が、カセットテープでは酸化鉄や酸化クロムやコバルト燐などが使われます)は、電気信号に応じた磁界が加わると、その方向に磁化され、磁気を切っても記憶しています。これを、残留磁化といいます。また、逆の磁界をかけて、磁化状態を反転することが出来ます。反転するには、一定以上の強さの磁界が必要で、これを保磁力といいます。記録媒体に使う磁性体のような記憶が残る磁性体を、やや硬い磁性体(半硬質磁性体)と呼びます。永久磁石は、この保磁力が恐ろしく大きな磁性体で、硬質磁性体といいます。



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