メラニンのお話

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更新日:
 2009年1月30日








◎メラニン(melanin)(2002年1月19日)
 メラニン(melanin)は、人体において形成される色素です。メラニン色素とも言われます。メラニン色素は、シミ、ソバカスの原因となるため、悪役というイメージが強いようですが、肌の色を決める重要な物質である上、肌に備わった自然の日焼け止めとして必要不可欠な存在です。
 その構造は、高分子状の色素で、インドールという骨格を持っています。このインドールという化合物は、希薄にするといい匂いで、香水にも使われています。ベンゼン環に窒素を含む五員環がくっついた構造です。
 メラニンは、アミノ酸の一つであるチロシンから作られます。チロシンというアミノ酸は皮膚の中にあり、これが紫外線と酵素の働きで環状になるとともに化学反応(チロシン→ドーパ→ドーパノキン→ドーパキノンの重合→メラニン色素)を起こして、メラニンという色素が作られるのです。(ただし、この間の反応は非常に複雑だそうです。)メラニンは、水や全ての有機溶媒に不溶で、きわめて安定な物質です。
 つまり、「日焼け」という現象は、紫外線から皮膚を護るため、皮膚の中で高分子化反応が起こり、メラニンを生成し、強い紫外線から生体組織を守るための防衛反応だと言えます。また、不要になったら垢として剥がれていくため、必要な時に必要なだけ作用する存在だと言えます。
 メラニンの働きとしては、
1)皮膚の色を決定する。(当然、色白の人は少なく、色黒の人は多い。)
2)紫外線から肌を守る。(メラニンには紫外線を吸収、散乱する機能があり、強い紫外線にあたった時
の皮膚の炎症を防御したり、正常な細胞を紫外線から防御する働きを持っている。)
の2つが考えられます。
 メラニンは普通、皮膚の新陳代謝とともに、体外に垢となって排出されます。夏に小麦色の肌になっても、冬には白く戻るのはこのためです。しかし、中には新陳代謝によって外へ排出されず、表皮ではなく、真皮にメラニンが残ってしまう場合があります。これを「色素沈着」と呼びます。いわゆる「シミ」です。
 なお、遺伝的にメラニンが合成されない個体をアルビノといい、こうした個体は皮膚ガンになりやすいと言われています。メラニン色素がないと紫外線を吸収できないので、太陽光線による細胞のダメージを防ぐ事ができないからです。

・シミ、ソバカス
 紫外線が皮膚に強く当たると、表皮のメラノサイト(メラニンを作る色素細胞)やケラチノサイト(表皮を構成する主な細胞)の遺伝子に傷がつきます。若い時には、肌の回復力が優れているため、日焼けしてもシミにならずに潜んでいた紫外線による遺伝子の傷が、加齢による回復力の衰えとともに、メラニンの異常生成を起こし、メラニン色素が過剰につくられ続ける事で、色素沈着をおこした状態を「シミ」と呼びます。
 新しい表皮に入れ替わるのには、約28日かかるようですが、大体、2回入れ替わるころには、ほぼ肌の色はもとに戻るようです。だから新陳代謝が活発な時期は、シミにならずにすむ潜伏期間であるといえます。紫外線による肌細胞の回復力の低下は、実は子供のときから徐々に蓄積されているのです。
 ソバカスも、しみの場合と同じように部分的にメラニン色素が作りだされてできるものですが、これは遺伝的要素が強いようです。
 カフェインは、シミの原因であるメラニンを移動、拡散させる作用があり、肌の色素沈着を増大させる一因とも言われています。カフェイン含有物を飲む時には、ビタミンCもいっしょに摂取するようにした方がよいと言われています。



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