蛍光灯のお話

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更新日:
 2011年1月23日


◎蛍光灯(2012年1月19日)

 蛍光灯(けいこうとう)、蛍光ランプ(fluorescent lamp)、蛍光管(けいこうかん)は、放電で発生する紫外線を蛍光体に当てて可視光線に変換する光源(ランプ)です。一般的に「蛍光灯」と呼ぶ場合は、蛍光管を用いた光源や照明器具を指すことが多いようです。
 蛍光灯は、管内に蛍光物質が塗布されたガラス管と、ガラス管両端に取り付けられた電極とで構成されています。ガラス管が白く見えるのは、塗られた蛍光物質によるものです。
 電極はコイル状のフィラメントにエミッター(電子放射性物質)を塗装したもので、これが両端に2本ずつ出ている4本の端子に繋がっています。
 ガラス管内は、放電しやすくするために2〜 4hPa(1気圧は約1013hPa)の封入ガス(アルゴン・ガス、あるいは混合希ガス)と少量の水銀の気体が封じ込められています。発光時の内部温度は1万℃に達しますが、気圧が非常に低いため、ガラス管が溶けるようなことはありません。
 蛍光灯を点灯すると、まず、両端の電極(陰極)に電流が流れ、発熱します。ある温度まで高温になると、エミッター(電子放射性物質)から電子が放出されます(放電)。放出された電子は、反対側の電極(陽極)に引かれて移動し、放電が始まります。放電によって流れる電子は、ガラス管内に封入された水銀原子と衝突します。この衝突によって、水銀原子は電子のエネルギーを受け、紫外線を発生します。すると、ガラス管内壁に塗布された蛍光物質が紫外線を受けて、可視光線を発生します。家庭の電源を初め、通常は交流電流を使用するため、陰極、陽極は同じ形状になっています。
 蛍光ランプの光色は、蛍光物質を選択、調合することによって白色、昼白色、青色、緑色など、様々な色の光を得ることができます。
 このように蛍光灯を点灯させるにはフィラメントの予熱が必要なため、始動専用回路(安定器)が必要です。このため、蛍光灯に直接、電圧を掛けても点灯させることはできません。(電球形蛍光灯は、白熱灯用のソケットに取り付けて使用できるように内部に安定器が入っています。)この専用回路の方式(点灯方式)によって、蛍光灯には、@スターター型(点灯管方式、FL型)、Aラピッドスタート型(FLR型)、B高周波点灯型(Hf型、FHF型)の3種類があります。

@スターター型点灯回路
 点灯回路が簡単なため、最も広く普及しています。始動するとき、電極を予熱し、高圧パルスを発生するスターター(始動装置)を用いる方式です。スターターとしては、点灯管が多く使用されています。点灯管はバイメタルの機械的な動作を利用しているため、ランプ点灯までに2〜3秒、かかります。一般の家庭で使用している蛍光灯が、このタイプだと思います。
 最近では、点灯管にかわる電子点灯管や、電子点灯回路を内蔵した器具もあります。電子点灯管や電子点灯回路を内蔵した器具は、即時点灯(0.6〜1.2秒)するように設計されています。

Aラピッドスタート型点灯回路
 スターター型では点灯に少し時間がかかるため、安定器とランプの組合せによって、この点を改良したタイプがラピッドスタート型です。安定器に電極予熱回路と昇圧回路が付加されているため、スターターは不要です。通常、約1秒でランプが点灯します。ランプ自身にも始動補助装置を施し、低い電圧で放電を開始するように工夫されています。

B高周波点灯型点灯回路(インバータ式点灯回路)
 インバータ(Inverter)とは、直流電力から交流電力を電気的に生成する(逆変換する)電源回路、またはその回路を持つ電力変換装置のことです。
 この方式では、まず、交流電流を整流回路を用いて直流(多少、ムラがある)に変換し、さらに平滑回路を用いムラのない直流に変換し、インバーターで44,000Hzの高周波電圧に変えます。この高周波の電気を蛍光灯に通して蛍光灯を点灯させます。
 高周波数になっているため、電子の数が増え、他の方式よりも明るくなります。この他にも省電力、高効率、低騒音、50Hzと60Hz共用、などの特徴があります。
 また、家庭で使われている電気は交流であるため、電気の流れる量は増減しており、蛍光灯の管内を流れる電子の量も増減しています。つまり蛍光灯は、細かい点滅を繰り返しています。点滅の回数は、50Hz地域では1秒間に100回、60Hz地域では120回で、このちらつきが気になる人もいるようです。しかし、インバータ式は、点滅が1秒間に88,000回になるため、チラツキを感じなくなります。

◎蛍光灯の特長
・省電力
 白熱灯と比べると、同じ明るさでも、消費電力を低く抑えられます。消費したエネルギーの変換比率は、可視放射25%、赤外放射30%、紫外放射0.5%で、残りは熱損失となります。

・電圧変動と明るさ、寿命の関係
 電源電圧が高い場合、ランプ電流が増えるため。明るくなりますが、効率は悪くなり、ランプや安定器の負荷が増えるため、寿命が短くなります。
 逆に、電源電圧が低い場合は、ランプ電流が減少するため暗くなります。あまりに低いとスムーズに点灯しなくなり、ランプの寿命を短くします。
 蛍光灯は、点灯時間の経過とともに、黒化や蛍光物質の劣化などによって次第に光束が減少します。この現象を光束減退と言います。しかし、ランプの消費電力はほとんど変わりません。光束減退は、ランプの種類ごとに大きな差があり、管壁負荷(単位面積当たり電力)が大きいランプほど光束減退が大きくなります。

・蛍光灯の寿命
 蛍光灯の最大の特徴は、長寿命です。蛍光灯の種類、使用環境、使用方法にもよりますが、一般的に点灯可能時間は6,000〜10,000時間と言われています。蛍光灯の寿命が決まる主な原因は、蛍光灯の電極に塗布された電子放出物質の蒸発、飛散だと言われています。
 蛍光灯は、点灯する際に最も負担がかかり、1回の点滅で約1時間、寿命が短くなると言われています。1日に数回程度の点滅であれば、ほとんど影響はありませんが、20〜30回も点滅すると、寿命は極端に短くなるそうです。したがって、頻繁に点滅を繰り返すようなトイレなどは、蛍光灯よりも白熱灯の方が向いているでしょう。
 なお、カタログに記載されている蛍光灯の寿命は、「定格寿命」と呼ばれている寿命です。上述したように、寿命は電圧、点滅の頻度、製造条件、使用環境などによって異なるため、「2.5時間点灯し、0.5時間消灯する」という連続繰り返し試験での残存率が50%となった時間を定格寿命として表示しています。

・周囲温度によって明るさが変化する
 蛍光灯は、設置されている周囲温度によって明るさが変化します。これは、ガラス管内の水銀蒸気圧が、周囲温度によって変わることが原因です。通常の使用では問題ありませんが、極端な低温や、高温環境下での使用には不向きであるといえます。
 一般的に蛍光灯は、20℃〜25℃の周囲温度で使用した時に最高の特性を発揮するように設計されています。このため、夏は点灯直後でも、ただちに支障がない明るさになりますが、冬は安定した明るさになるまでに5〜6分かかります。冬の時期、寒い朝の室内では、夏に比べて点灯直後は非常に暗く感じたり、ちらつくことがありますが、仕方がないことです。室温が上がれば、明るくなります。



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