花火のお話

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更新日:
 2008年6月28日


 花火は火薬に金属の粉を混ぜて燃焼させるもので、科学的にみると炎色反応です。高校の化学の時間に、リーアカナキケイムラ、ドウセイカルトウスルモクレナイバリョク(リアカーなきけい村、どうせ借るとするもくれない馬力)という呪文みたいな言葉を覚えさせられた憶えはないですか?
 白金線に金属の塩化物をつけ、ガスバーナーの中に入れると、金属特有の色が出ます。先ほどの呪文は、その憶え方で、リチウムは赤、ナトリウムは黄色、ケイ(カリウム)は紫、銅は青、カル(カルシウム)は橙色、スル(ストロンチウム)は紅(くれない)、バリウムは緑です。これらを利用して、花火は様々な色を出しています。
 最近では、赤、緑、青、黄色以外に、紫やレモン色などの中間色を見ることができますが、これらは色が出る金属塩(色火剤)を混ぜ、配合比を変えることで実現しています。
 
・花火のルーツ
 花火としてのルーツを探すのは難しいと思われますが、狼煙や火薬を使った兵器から発展していったものと推測されます。「日本書紀」には、「のろし」が記載されており、兵器としての火薬は鎌倉時代の元寇や種子島に伝来した鉄砲などが日本国内での火薬の使用の歴史につながっていくと考えられます。
 花火を鑑賞した最初の日本人として徳川家康(1613年)とする説や、伊達政宗(1589年)とする説などがあるようです。ただ、この時代の花火は、筒に詰めた火薬に点火して火の粉を噴出させる手筒花火であったろうと考えられています。
 江戸初期には、江戸の町で鍵屋弥兵衛が売り出した玩具の花火が大流行し、鍵屋は日本橋に店を構えるようになりました。あまりの人気に、火事を恐れた幕府が何度も花火禁止令を出すほどだったそうです。
 打上花火は、江戸時代に始まったようです。花火屋で有名な鍵屋(現在の株式会社宗家花火鍵屋)が1711年(正徳元年)に第6代将軍、徳川家宣の命で隅田川で初めての花火を打ち揚げたとの記録が残されているそうです。
 その後、第8代将軍、徳川吉宗が催した水神祭で花火大会が初めて行われたようです。享保17年(1732年)の大飢餓で多くの餓死者が出た上、更に疫病が流行し、国勢に多大な被害と影響を与えました。吉宗は、翌享保18年(1733年)5月28日(旧暦)に犠牲となった人々の慰霊と悪病退散を祈り、隅田川河畔(当時は「大川」と呼ばれていた)で水神祭(川施餓鬼)を行いました。この時に、両国橋周辺の料理屋が公許(許可)によって花火を上げたことが打上花火大会の最初といわれているようです。ただ、当時の半日は20発程度だったようです。
 この花火大会は「両国の川開き」という花火大会の由来とされています。「両国の川開き」という名称の花火大会は1961年(昭和36年)まで両国橋上流で行われていましたが、交通事情の悪化等に伴って翌1962年以降は開催ができなくなりました。その後、1978年(昭和53年)に「隅田川花火大会」と名を改め、ビルで囲まれた隅田川で復活しました。現在では打上場所もさらに上流へ移動し、打上会場も2ヶ所となっています。

・鍵屋と玉屋
 鍵屋の創業は1659年(萬治2年)で、玩具花火の大流行で隆盛を極めました。7代目鍵屋の番頭(玉屋清吉、のちの玉屋市兵衛)が暖簾分けを許されて独立し、1808年に玉屋を創業しました。これ以降、30年ほど、この2業者での花火の競演が両国花火の華となりました。
 鍵屋と玉屋は異なる打ち揚げ場所から交互に花火を揚げたため、観客は双方の花火が上がったところで、良いと感じた業者の名を呼んだ。これが、花火見物でおなじみの「たまやー」「かぎやー」の掛け声の由来といわています。当時、評判がよかったのは玉屋のほうで、「玉やだと又またぬかすわと鍵や云ひ」と川柳にあるように、玉屋の掛け声ばかりで鍵屋の名を呼ぶものがいない、といわれた時代もあったようです。
 しかし、玉屋は1843年(天保14年)、第12代将軍、徳川家慶の日光参拝の前夜に失火を起こし、半丁ほどの町並みを焼失させた罪で、江戸処払い(追放)を命じられ、1代限りで廃業となりました。
 一方の鍵屋は、日本最古の花火会社「株式会社宗家花火鍵屋」として現存しています。因みに、それまで難しい技術とされていた、同心円状に飛散する花火を明治期に普及させたのが鍵屋です。

・花火の種類
 花火がドカンと破裂した際、球状に星が飛散するのが「割物」と呼ばれています。大きな号数の玉の場合は、内側にもう一つ(あるいは複数)の小さめの星の玉ができるものもあります。これは「芯(芯物)」と呼ばれています。割物で、玉が開くときに火花が尾を引きつつ広がるものを「菊」、尾を引かないものを「牡丹」と呼ばれます。
 また「ドン」と破裂して玉が開いた後、小さな玉(小割)がいくつも一斉に開く花火は「半割物」と呼ばれます。
 菊、八重芯菊(やえしんぎく)、冠菊(かむろぎく)、牡丹、菊花残光などは割物花火です。菊は、星が「引(ひき)」という弱い炭火の尾を引きながら飛散し、最後に発光します。八重芯菊(やえしんぎく)は、大きな菊の花の中に複数の花芯が現れるものです。冠菊(かむろぎく)は、途中で光が消えないで、地上近くまで落ちてくるものです。牡丹(ぼたん)は、尾を引かないで、最初から色火がでるものです。

・花火の仕組み
 花火玉の中には、親星(開いた時に花びらのように見せる薬剤)、芯星(開いた時に花の芯のように見せる薬剤)が入っており、これらの中にいろいろな金属塩を混ぜ合わせて発火させると、花火の様々な色が見られます。
 この他に、割薬(皮を爆破して、星を四方八方に飛ばすための火薬)や、点火薬と、それに連なる導火線から成っています。花火玉は、打ち上げ筒のなかに入れられ、筒の上から火の付いた点火用具をいれるか、コンピューター制御された発火装置で打ち上げ用火薬に火がつけられて、打ち上げられます。この時、同時に花火玉の導火線にも火がつき、上空で爆発します。この爆発は、酸化剤として過塩素酸カリウムとか、硝石を混ぜておくことで達成されます。
 
・花火の音
 打ち上げ花火の音は、雷薬という火薬の爆発音です。これには昔から赤爆(あかばく)と呼ばれる火薬が使われてきました。
 「笛」という花火は、笛の音を出しますが、これは玉に口を開け、そこから発生したガスを噴出させて音を出す仕組みです。音を出す花火として、ブンブンとうなり声を上げる「蜂」というのもあるそうです。



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