竹のお話
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更新日:
 2009年2月1日


◎竹(2002年3月10日)
 明治期にイギリスからやってきた日本学者チェンバレンは、日本で竹で作れないものは無いと言って感嘆したといいます。しかし、近年、竹の需要は大幅に落ち込んでいます。結果として竹林が放置され、生命力の強い竹が繁殖し、雑木林を次々と侵食しています。
 「竹」と言う文字は、竹を二本ならべた象形文字です。「タケ」という言葉の語源は、「タ」は「高い」こと、「ケ」は古語で「木」のことで、「高くなる木」の意味だったそうです。
 また「筍」の字は、「旬(10日)」で竹の子ができ、10日過ぎると竹になることから、このような文字が作られたそうです。
 竹は、単子葉類のイネ科に分類される植物です。竹の仲間は、世界中で約45属、670種あり、熱帯から暖帯に多く、一部温帯や亜寒帯にも分布しています。南方ほど種類も多く、大型の品種が多くなっています。日本でなじみ深いのは真竹(マダケ)、孟宗竹(モウソウチク、竹の子用)、淡竹(ハチク、茶器、菓子器)などです。
 地上に出ている竹は、地中を横に走る地下茎から次々と出てくる竿の部分です。多くの竹林は、1本の竹が次々に地下茎を伸ばして大きな林になっています。したがって、何百本の竹があっても、生物としては1つの個体だったりします。
 竹は地下茎で増えていきますが、その土地の必要な栄養(微量元素)を消費し尽くすと、そこではそれ以上、生きていけなくなってしまいます。そこで、非常手段として花を咲かせ、種子を作ります。種子を風に運ばせて、別の場所に根をおろすのです。ですから、花はめったに咲かず、一度開花すると、その竹林の竹は、枯れてしまうのです。開花は十数年から数十年に一度、マダケでは120年と言う記録もあるそうです。また、花は風媒花なので、美しい花弁や匂いも、また蜜もありません。
 竹の芽にあたるのがタケノコです。食べられるのは、タケノコがまだ地中にあるもの(孟宗竹)か、 地表に出たばかりのもの(淡竹)で、土壌が柔らかいほど、タケノコも柔らかい物ができます。 タケノコの成長は猛烈に早く、1日で1m以上も伸びることがあります。タケノコが多く出るのは、3〜5年目の竹です。
 筍は、日本では古くから食糧として利用されてきたようです。古事記には、イザナギが黄泉の国から逃げ帰る時、黄泉醜女(よもつしこめ)に追われた際、髪に刺してあった櫛(くし)を投げつけたところ、その櫛が筍になり、 黄泉醜女がそれを引き抜いて食べている間に逃げた、との話が載っています。
 パンダの好物は笹、と聞きますが、笹と竹は同じものなのでしょうか?植物学的には、竹は「成長した後、稈鞘(たけのこの皮)が落ちるもの」を言い、「成長した後も稈鞘が残って、稈(タケ、ササ類における「茎」)を包んでいるもの」が笹なのだそうです。一般的には、笹の方が小型です。
 このパンダですが、笹しか食べないのでしょうか?実際には笹、サトウキビなどが主食のようですが、川魚や野ねずみなども食べた記録があるそうです。上野動物園ではサトウキビ、果物、おかゆなどの他、北京動物園から伝授された“とうもろこしダンゴ”も与えていたそうです。

<竹に関する言葉>

・竹箆返し(しっぺがえし)
 竹箆(しっぺい)とは、座禅のときにお坊さんが後ろから背中を叩く杖のことです。修行時代は、座禅を組んでいる時に、しっぺいで背中を打たれた者も、修行を積んで、逆に人の背中を打つ立場になることから出来た言葉です。仕返しをするという意味に使います。人差し指と、中指でする「しっぺ」も、竹箆からきた言葉です。

・竹光
 削った竹を刀身に見せかけて作った刀です。また、切れ味の鈍い刀をあざけって言う時にも使いました。この名前の「光」は、古来より刀工の名前に、吉光、国光、兼光など光の字がつくのが多い所からきた擬人化した表現だと言います。

・籠(かご)と笊(ざる)の違い
 編み込む竹の表皮を外側に使ったのが籠、逆に内に使うのが笊だそうです。

・竹の秋、竹の春
 筍を育てるために葉が黄ばむ時期(陰暦3月)を竹の秋と言い、逆に新葉をつけ最も生き生きとする秋(陰暦8月)を竹の春といいます。

・竹輪
 蒲鉾(かまぼこ)の起源は室町時代です。塩味をつけた魚のすり身を竹や棒切れに筒状に、まぶしつけこれを狐色に焼いたものがルーツです。ガマの花穂に似ていた細長い武器の蒲鉾と同じような形態だったので、その名前をもらって蒲鉾と呼ばれたようです。安土桃山時代に蒲鉾は板がつきます。今の形ですね。
 そこで、今まで蒲鉾と呼んでいたものが竹輪と呼ばれるようになりました。




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