エネルギーのお話
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更新日:
 2009年8月23日






◎エネルギーの話(1996年1月19日)
 エネルギーは一次エネルギーと二次エネルギーに分類される。一次エネルギーとは、自然界から得られたままのエネルギーで、その大半は利用しやすい形に加工または変換される。石油、石炭、天然ガス、原子力、水力などが一次エネルギー。二次エネルギーは、加工または変換されたエネルギー。

◎一次エネルギーの平均発熱量(1996年1月19日)
 原油:10,180 kcal/kg
 石炭:7,000 kcal/kg
 天然ガス:13,300 kcal/kg
 水力・原子力:2,450 kcal/kWhr

 ※ 1 kcal = 4.184 kJ
   1 kWhr = 1 J

 現在、世界で消費される一次エネルギーは、石油に換算すると約80億トン(1990年)。
 日本で消費される一次エネルギーは、石油に換算すると4億3400万トン(1990年)。

◎エネルギー源の分類(1996年1月19日)
 化石エネルギー:石油、石炭、天然ガス、オイルサンド、オイルシェールなど
 原子核エネルギー:原子力
 自然エネルギー:水力、太陽エネルギー、地熱、風力、波力など
 生物エネルギー:パイオマスエネルギーと呼ばれるもので、薪も含まれ、植物など有機物の発酵、分解などによるもの。

◎化石燃料は、いずれも主成分は炭素と水素で、炭化水素からなっている。石油と石炭は硫黄を不純物として含んでおり、石炭は酸素、窒素などの不純物もやや多い。燃料としては主成分の炭素と水素の燃焼熱が利用されるので、酸素との燃焼反応により、炭素は酸素と結合して二酸化炭素(炭酸ガス)に、水素は酸素と結合して水蒸気(水)になる。

◎化石燃料(1996年7月9日)
 石炭、石油、天然ガスは、化石燃料といって、私たちの生活になくてはならないものです。では、化石燃料はどのようにしてつくられたのでしょうか。今からおよそ35億年前、海の中から小さな生命が誕生し、だんだん複雑な植物、動物へと進化してゆきました。長い生物の歴史の中で、たくさんの動物や植物が生まれましたが、死に絶えてしまった生物もたくさんあります。それが、化石燃料のもとになっているんですよ。石炭は大昔の木が土の中に埋もれたものが、石油と天然ガスは海に住んでいたプランクトンの遺体などが変化したものです。化石燃料は、科学がどんなに進歩しても人間の力ではつくり出すことはできません。ところが、今見つかっているのは、石炭が303年分、石油が46年分、天然ガスが65年分です。限りある資源ですから、大切に使いましょうね。

◎天然ガスとはメタンである。常温では気体で、密度が小さく、かさばるため、運搬が困難。通常、−82.5℃(臨界温度)以下に冷却し、加圧液化したLNG(液化天然ガス)として運搬する。LNGは、天然ガスに比べて容積がほぼ1/420になる。化石燃料の中ではクリーンなエネルギーとして知られている。(同じ熱量を発生させる時に生じる二酸化炭素の量が最も少ない。石油0.81、石炭1.0、天然ガス0.55)

◎石油は、ほとんどが液状である炭素数が3〜50程度までの非常に多種類の炭化水素の混合物。蒸気圧(沸点に逆比例)の順にガソリン、ジェット燃料、灯油、軽油、重油に分けて精製される。石油には気体状のもの(炭素が3と4のプロパン、ブタンなど)もあり、ガスとして用いられる。このガスを運搬用に加圧液化されたものがLPG(液化石油ガス)である。

◎石炭は、ほとんどが固体状の炭素数が数10〜100以上にわたる多種類の高分子の炭化水素の混合物。炭素の含有量により無煙炭(炭素90%以上)、瀝青炭(れきせいたん:炭素78〜90%)、褐炭(かったん:炭素70〜78%)、亜炭(炭素70%以下)に分類される。瀝青炭がもっとも広く利用され、用途は、そのまま燃料にされる一般炭と、乾留してコークスなどの加工される原料炭(瀝青炭の中で炭素量の多いもの)とに分けられる。
 また、石炭は熱分解によりガス化され都市ガスなどに使われる。石炭を液化して液体燃料をつくる方法もあるが、石油に比べてコストが高くなる。

◎原子力エネルギーはウランなどの原子の原子核が中性子の照射を受けて、2つの原子に核分裂する際に発生する巨大なエネルギーを利用するもの。化石燃料に対して、ウランなどは核燃料と呼ばれる。
 核分裂反応は1938年に発見された。一般の化学反応は原子核のまわりの電子のやりとりであるのに対して、原子核を構成している陽子と中性子の結合が解き放されるため、大きなエネルギーが発生する。
 核分裂反応を起こす原子には、天然のものではウランとトリウムがあり、一般にウランが利用される。ウランに中性子を照射すると(人工的に中性子を発生させる)、ウランの原子核は2つの原子に分裂し(様々な分裂のしかたがある)、同時に2つまたは3つの中性子を放出する。
例:(ウラン)+(中性子)→(クリプトン)+(バリウム)+(3個の中性子)
この際、放出されるエネルギーの大半は分裂して生成した原子や中性子の運動エネルギーとして放出されるが、それらの原子や中性子は周りのウランに衝突して熱エネルギーに変わり、熱エネルギーとして取り出される。また、放出された中性子が周りのウランに衝突することにより、核分裂が次々に発生する(連鎖反応)。この連鎖反応を適当な速度で進行させるために、次々と放出される中性子の速度と数の制御を行い、かつ発生する熱を吸収して取り出す。このため減速材(中性子の速度を減速させる)として軽水(普通の水)、重水(重水素からなる水)、黒鉛などを用い、制御材(中性子を吸収して熱を減少させる)としてカドミウム、ホウ素などを棒状(制御棒)にして用い、冷却材として軽水、重水、二酸化炭素やヘリウムのガスなどを用いる。
 中性子は原子番号の小さい水素などと衝突するとエネルギーが低下し、減速される。減速された低速の中性子を熱中性子という。

◎バイオマスエネルギーとは、生物体を構成する有機物を利用するエネルギーであり、薪や木炭も含まれる。バイオマスエネルギーは大気中の二酸化炭素が太陽エネルギーにより、植物体に光合成されて蓄えられたもの。バイオマスのエネルギー利用法にはガス化、液化、発酵によるエタノールやメタン、直接燃料にする、などの方法がある。

◎オイルサンド、オイルシェール(oil shale)はアスファルト状の超重質油分からなるが、成分は石炭よりも石油に近い。採掘しにくく、利用しにくいため、開発が遅れている。資源量は石油に匹敵すると言われるが、現状では採掘コストが高く、経済的に採掘できる量は少ないと見られている。

◎オイルサンドはビチューメンと呼んでいる重質油を含む砂で、オイルサンド中のビチューメンの含有量10〜14%程度のものが利用される。

◎オイルシェールは多孔質な堆積岩中にケロジェンという有機堆積物(重質油)を含んでいるもので、オイルシェール1トン当たり40〜200kgのケロジェンを含んでいるものが利用される。ビチューメンは溶剤の二硫化炭素に溶けるが、ケロジェンは溶けない。ケロジェンの方が、ビチューメンより重質である。
 オイルサンドはカナダ、ベネズエラ、旧ソ連に多く存在し、三ヶ国で世界の80%を超える。オイルシェールはアメリカに最大の鉱床があり、ブラジル、旧ソ連などにも多く存在している。地表に近い採掘しやすいものは、以前から小規模に利用されてきた。砂あるいは岩石から分離、分解されて、石油と同様の液体燃料が生産される。

◎水素エネルギー(1996年1月19日)
 水素は水の電気分解により無尽蔵に得ることができ、燃焼すれば水蒸気になる。水から作られ、再び水に戻るため、クリーンで発熱量の高い燃料である。しかし現在は、電気が主に化石燃料による火力発電で得られているので意味がない。水素を大規模に利用するには、化石燃料と関係なく水から安価な水素が大・供給されること、水素の利用方法が確立されることが前提になる。

◎燃料電池(1996年1月19日)
 燃料電池は電池というよりは発電装置で、天然ガスなどの燃料を供給しながら電力を発生させる。燃料電池は水の電気分解の逆反応で、電解質に接した燃料極(マイナス極)と空気極(プラス極)からなる。燃料極に水素(燃料)を供給すると水素は水素イオン(プラスイオン)になり、空気極に空気(酸素)を供給すると酸素は酸素イオン(マイナスイオン)になり、電解質中を水素イオンまたは酸素イオンが移動し、空気極または燃料極に水が生成し、空気極と燃料極の間に起電力が発生する。
 このように化学エネルギー(燃料)が直接電気エネルギーに変換されるのが、燃料電池と呼ばれるものである。燃料には天然ガスなどの化石燃料を用い、これを改質器において、ニッケル触媒を用いて高温で水蒸気と反応させると、水素の多い燃料ガスに変わるので、このガスを燃料極へ供給する。発電装置としては、燃料電池の単電池を数百枚重ねたもの(スタックと呼ぶ)をたくさん並べて大きな出力を得る。
 電解質の種類により、リン酸型(電解質はリン酸水溶液、温度は200℃、加圧)、溶融炭酸塩型(電解質はリチウム・カリウムの混合炭酸塩を約650℃で溶融させたもの、加圧)、固体電解質型(電解質はジルコニア、またはフッ素樹脂系高分子などの固体、温度は約1000℃)の三種類がある。発電効率は固体電解質型が高く、次に溶融炭酸塩型、リン酸型の順だが、開発はこの逆に進んでいる。リン酸型は50〜1万キロワットまでの小型から大型まで、多くのプラントが実証運転されている。

◎発電効率(1996年1月19日)
 電力には、先進国では一次エネルギーの30〜40%程度が投入されているが、発電効率が低く、かつては20%程度であった。火力発電では蒸気タービンやガスタービンは高温のガス(蒸気タービンは水蒸気、ガスタービンは燃料の燃焼ガス)を作って、それによりタービンを回すが、ガスの温度は高いほど効率が高い。材料の進歩によって、蒸気タービンでは566℃まで高められ、発電効率が向上してきた。ガスタービンでのガス温度は、タービン翼の耐熱材料の進歩によりタービン入口温度が1300℃近くまで高められ、発電効率が高められてきた。
 さらに、蒸気タービンとガスタービンを組み合わせた蒸気・ガスタービン複合発電の出現により、発電効率は45%前後が達成された。
 原子力発電では、原子炉で発生したエネルギーから電力への変換効率は30%程度と低い。原子力発電は蒸気タービンと同じであるが、冷却剤温度を高くすると核燃料棒が傷むので、水蒸気温度をあまり高められないためである。
 燃料電池は発電効率が40〜60%と高く、発生する熱(蒸気、温水)の利用を図れれば、総合効率として70〜80%が得られる。
 日本では1951年の発電効率は20%であったが、1955〜1965年に発電効率の大幅な改善が進み、1991年には約40%にまで達している。

◎コージェネレーション(1996年1月19日)
 コージェネレーションとは、一次エネルギーから同一システムを用いて、電力と熱、または動力と熱のように、二種類以上の二次エネルギーを供給することをいう。つまり、電力と熱、または動力と熱を組み合わせることによって、供給するとエネルギーの利用効率を高めるシステムのこと。
 代表的なものは、ガスタービンやディーゼルエンジンを灯油、軽油、都市ガスなどを燃料として運転し、それにより動力を得るか、発電器を作動させて電力(自家発電)を得るかしながら、同時に、その廃熱を利用して蒸気や温水を得るものである。
 ガスタービンは発電効率が20〜30%であり、廃熱回収率が高く、熱需要の多いところに適している。ディーゼルエンジンは発電効率が30〜40%であるが廃熱回収率が低く、電力需要が多いところに適している。このようにして60〜70%のエネルギー効率が得られる。(恵比寿ガーデンプレイスではコージェネレーションシステムが稼働している。)

◎化石燃料資源の成因(1996年1月19日)
 石油(原油)は何からできたのかという疑問に対する有力な説が「ケロジェン根源説」で、要約すると、次のようになる。
 数億年から数千万年前の大昔の生物、水中のプランクトンなどの遺骸が水中、地中に堆積し、生体を構成していたタンパク質、脂質などが微生物によって分解される。その後、分解生成物が重合を繰り返し、有機溶剤に不溶の重質堆積生成物(ケロジェン)が形成された。地中深く埋没したケロジェンは地下の高温でゆるやかな熱分解を続け、液状炭化水素である石油を生成した。この熱分解の際にメタンを発生するが、そのメタンが天然ガスである。また熱分解が進まずにケロジェンに近い状態で残ったものが、オイルシェールやオイルサンドであると考えられている。このように生成された石油は地下の水の流れなどにより移動し、集積されやすい地質構造を持つところの多孔質な岩石(貯留岩)中に集まり、油田を形成した。油田の深度は1000〜3000m・が多い。油田は貯留岩中では密度の順に上からガス層、石油層、水層の順に存在している。貯留岩から石油が採取できる率(回収率)は、世界の平均で28%、大型油田では30〜33%と報告されている。



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