食中毒
  メニュー 

 TOPページ 

 日本情報 

 海外事情 

 辞典 

 粉体用語辞典 

 医学の話 

 科学の話 

 食品の話 

 知識の宝箱 

 メモ帳 

  



更新日:
 2013年10月7日






◎食中毒とは(食あたりとは、食中り、食当たりとは)
 食中毒とは、有害、有毒な微生物や化学物質等毒素を含む飲食物、水を人が口から摂取した結果として起こる下痢、嘔吐や発熱などの病気(中毒症状)の総称です。

・食中毒の分類、種類

1. 細菌性食中毒
 1.1 感染型
  感染により体内増殖した細菌が病原性をもつことにより発症する。

  ・カンピロバクター、カンピロバクター症(Campylobacter jejuni)
   牛、豚、鶏肉、鶏卵、生乳、牛刺し、レバ刺し。
   家畜、家禽の常在菌であるため、その生食にリスクがある。
   潜伏期間は2〜7日。(多くは3〜4日)
   頭痛、腹痛、発熱、下痢、嘔吐など他の感染型食中毒と同様の症状を示す。
   下痢は1週間ほど続く。発熱(38〜40℃)を起こすこともある。

  ・サルモネラ属菌(Salmonella typhimulium)
   鶏卵、鳥肉(特に夏期の自家製マヨネーズ、アイスクリーム)
   家畜類に広く分布している。
   ネズミ、ハエ、ゴキブリなどによる媒介を防ぐ為、侵入防止や駆除を行うことが重要。
   潜伏期間は12〜24時間。
   悪心、嘔吐、頭痛、腹痛.下痢(水様性のものが多い、時には粘血便や膿血便)。
   発熱は38〜40℃に達する。1週間で回復することが多い。重症例では脱水症状を呈する。
   60℃30分の加熱処理で死滅する。

  ・腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)
   夏期の未加熱魚介類、刺身、シラスなど。
   海水の常在菌、発生ピークは6〜10月。
   菌は主に魚体表面に付着しているので、肉質部を汚染しないように取り出す。
   潜伏期間は10〜24時間。
   悪心、嘔吐、胃痛、腹痛、1日10回位の下痢(普通水様性、重症で粘血便、2〜3日で回復)。
   2℃で1〜2日、また60℃で10分で死滅する。

  ・病原大腸菌(Escherichia coli)
   大腸菌は腸内に常在する菌です。これらと形態学的、生化学的に区別できないが、下痢、胃腸炎を起こす一群があり、これを病原大腸菌という。一般の大腸菌とは血清学的に区別されています。
   原因食品の傾向をつかみにくい。病原性を示す大腸菌群全体を示す。
   接触感染するため、二次感染症との識別が極めて難しい。
   潜伏期間は10〜30時間。菌が腸管内に定着増殖し、腸管粘膜に作用する。
   下痢(水様便、粘液便、血便など)が主症状。食欲不振、嘔吐、腹痛を伴う場合が多い。
   食品の加熱調理は有効。
   臨床症状からの診断は困難で、患者の便中の大腸菌を血清学的に調べて確認します。

  ・リステリア属菌
   食肉加工食品、生乳製品。潜伏期間は数時間〜数週間。
   主に胃腸炎症状。まれにインフルエンザ様症状。
   重症な場合、脳脊髄膜炎などの神経系統症状。母子垂直感染による流産。

  ・エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)
   動物、河川などに広く分布し、飲料水や食品汚染の機会は多い。
   潜伏期間は1〜4日。
   下痢、腹痛、発熱(39℃以上)、また虫垂炎様の症状を呈することもある。

 1.2 毒素型
細菌産生毒素の生理活性による食中毒。
  食品摂取時点で細菌類が不活化していても発症するため、抗生物質は不効。
  毒素が熱分解に弱い場合には加熱により不活化する。

  ・黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
   おにぎり、おつくり、すし。
   広く自然界に分布し、食品が汚染される機会は多い。
   皮膚常在菌が食品へ移行し食品表面で増殖、毒素を産生する。
   潜伏期間は3〜6時間。(平均2.5時間)
   耐熱性毒素のため調理加熱程度で不活化できない。100℃、1時間の加熱にも失活しない。
   耐熱性毒素STによる。
   唾液分泌亢進、悪心、嘔吐、腹痛、水溶性下痢。嘔吐を主徴とする。
   発熱は殆どなく、あっても微熱。
   経過日数速やかで、1〜3日で回復する。

  ・ボツリヌス菌(Clostridium botulicum)
   いずし類、キャビアの瓶詰め、真空パック食品、ソーセージ、発酵食品。
   土壌、動物の糞便、魚介類など、広く分布している。
   野菜についている泥、魚調理時の腸内容など十分に洗浄することが大切。
   毒性は極めて強く、ラットに対するLD50はテトロドトキシン(フグ毒)の約1000倍。
   潜伏期間は12〜36時間。
   初期症状は悪心、嘔吐、下痢などの胃腸症状。
   次いで弱視、複視などの眼症状、言語障害、嚥下困難、運動麻痺などの神経症状が起こる。
   致命率は30〜40%と非常に高く、ほとんどは呼吸麻痺による。
   熱に弱く、80℃15分、90℃ 5分、100℃2〜3分の加熱で失活する。

 1.3 中間型
  ・ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)
   土壌、人や動物の腸管内に広く分布しており、食品を汚染する機会が多い。
   原因食品は鳥獣類の肉、植物性蛋白食品に多く、特に加熱処理後、室温に5時間以上放置された食品に多い。
   学校給食、料理作り置きなど保冷(解凍サイクル)に乗じて増殖する。加熱調理、煮込み課程において不活化を免れた芽胞が保冷サイクルにおいても生存し、解凍時の加熱によって食品内で増殖する。経口時までに活性量の芽胞、菌体量が確保されることにより体内に侵入後、消化刺激から芽胞を形成する時にエンテロトキシンを生成し、発症する。
   潜伏期間は8〜20時間。
   主要症状は腹痛と水様性下痢。発熱はほとんどない。

  ・セレウス菌(Bacillus cereus)
   土壌をはじめ自然界に広く分布し、食品を汚染する機会は多い。
   原因食品はデンプン質のものが多い。
   芽胞形成時に産生するエンテロトキシンが原因と考えられている。
   エンテロトキシンには下痢原性毒素と嘔吐原性毒素がある。
   潜伏期間は8〜14時間。
   潜伏期の後に腹痛、下痢を起こす下痢型と、1〜5時間の潜伏期の後に悪心、嘔吐を起こす嘔吐型がある。発熱は殆どなく、1〜2日で回復する。嘔吐型の食中毒が多い。
   芽胞は100℃ 10分の条件でも不活化されない。
   加熱後においても芽胞を形成し体内に侵入し、下痢、嘔吐などを発症する。

  ・毒素原性大腸菌
   大腸菌の中で、病原性大腸菌とは異なり、コレラ様の下痢を発症する病原菌。
   潜伏期は24〜72時間。
   下痢が主症状で、水様便の排出が顕著となる。発熱はない。
   経過は通常良好。いわゆる旅行者下痢症の重要な起因菌の一つ。海外旅行帰国者の下痢患者より本菌が検出されることが多い。

 1.4 分類不明
   エルシニア菌

2. ウイルス食中毒
 ・ノロウイルス
 ・ロタウイルス
 ・A型肝炎ウイルス
 ・E型肝炎ウィルス

3. 化学性食中毒
3.1 アレルギー様食中毒
・ヒスタミン

4. 自然毒食中毒
4.1 植物性自然毒
  ・毒キノコ
  ・ジャガイモのソラニン
  ・有毒植物の誤食

4.2 動物性自然毒
  ・貝毒
  ・フグのテトロドトキシン

4.3 マイコトキシン(カビ毒)食中毒
  ・アフラトキシン

4.4 寄生虫
  ・アニサキス

・細菌性食中毒(細菌性食あたり)の予防法、対策法(対処法)
@付けない
 魚介類、肉類用の調理器具と、野菜など用の調理器具を分ける。
 特にまな板は、魚介類、肉用とその他用で分ける。複数のまな板を準備するのが困難な場合、まな板の両面で使い分ける。
 できるだけ生食の食材の加工を先に行い、肉類は最後に切り刻むように心がける。
 食材の加工ごとにこまめに調理器具を洗浄する。
 調理中にトイレに行った場合には、必ず石鹸で手を洗う。
 生肉を焼くときに用いる箸と、焼いた肉を食べる際に用いる箸は別々にする。

A増やさない
 食材を冷蔵、冷凍する。
 冷蔵庫には最大容量の7割以上の食材を入れない。
 食材を乾燥させる。
 調理器具を洗浄した後はすみやかに水分を拭き取り、湿気の少ない場所に置く。
 特に木製の器具は水分が浸透して乾燥しにくいので、風通しの良い場所に吊るす。
 ふきんは食器を拭いた後、風通しの良い場所に吊るす。

B不活化(殺す)
 食材を加熱する。
 食材の切り方を工夫したり、低火力で長時間加熱したりして、中心まで十分に加熱する。
 電子レンジによる加熱は、表面を焦がさず中心まで均等に加熱することができる。
 酸(酢など)で殺菌を行う。
 胡椒、唐辛子、ワサビなどの香辛料を使用する。



inserted by FC2 system