飛行機内の環境に関するお話
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更新日:
 2012年1月18日






◎飛行機の客室内の環境
 飛行機の客室内の空気の半分は、エンジンを通じて外気を取り入れたもので、残りの半分は客室内を循環させています。循環している空気はエアフィルター(HEPA Filter)を通して浄化させ、再び機内に戻されます。
 通常、2〜3分で機内の空気は完全に入れ換えられます。つまり1時間に20回〜30回、空気の入れ換えが行われていることになります。これは、一般家庭やオフィスビルよりも、はるかに換気回数が多く、飛行機内の空気の汚れは極めて低いレベルに抑えられています。
 通常、人間は1分間に6〜8Lの空気を必要とするそうです。ジャンボ機に500人が乗っていれば、その合計は4kLになります。通常、機内に送り込まれる空気量は1分間に200kL程度のため、空気量も問題ないようです。
 過去10〜15年間に行われた調査では、機内の空気中に含まれる揮発性有機化合物(溶剤)や微粒子、一酸化炭素、二酸化炭素、オゾン、微生物などは管理機関の定める基準量を大幅に下回っています。
 HEPA Filterとは、「High Efficiency Particulate Air Filters(HEPA)」の略で、「高効率微粒子エアフィルター」のことです。HEPAフィルターは病院の手術室でも使われており、空気中の微粒子や微生物(バクテリア、カビ、ウイルスなど)を除去することができます。
 過去に航空機内で病気が感染したケースがありますが、いずれも、隣り合う座席の旅客の呼吸や咳によって直接感染しており、客室内の換気システムが原因ではないことが証明されているそうです。人から人への直接感染は機内に限らず、エレベーターや待合室などの空港内施設でも起こりえます。

・温度
 飛行機の機内温度は、エアコンによって、通常は摂氏22度から26度前後程度に調整されています。

・湿度
 通常、客室内の相対湿度は20%以下に抑えられているそうです。これは飛行機内部での結露防止が目的だそうです。水分を多く含んだ空気を客室内に循環させると、例えばエアコン内部の部品や、配管などで結露が発生する可能性があります。その結果、錆が発生したり、故障するなど、トラブルが発生することになります。結露が発生してから対策をとることは手間がかかり、難しいため、あらかじめ湿度を下げた空気を循環させているのだそうです。
 人が快適と感じる湿度は40〜60%だそうですので、日本の住環境を考えると、かなり乾燥した状態に感じると思います。そのため、多少の不快感(肌や目の乾きなど)を覚えることがありますが、健康上の影響は、ほとんどありません。乾燥による不快感を軽減するためには、適度に水やジュースを飲むことが良いでしょう。また、マスクをする、保湿クリームを準備するなどの対策も有効でしょう。

・気圧
 飛行中の客室内の気圧は地上より低く、0.7〜0.8気圧程度に調整されています。この気圧は、標高約2,000〜2,400mの山に登っている状態と同じくらいです(富士山の5合目程度)。また、この気圧の変化は、飛行機の離陸時、着陸時の各々15〜30分間くらいの間に起こります。
 気圧は地上よりも低いことが及ぼす影響は2つあります。1つは空気中の酸素の圧力(酸素分圧)が下がることによって、機内の酸素濃度が低下することです。機内では、酸素の量が、地上の約70〜80%くらいになっています。
 もう1つは、体内のガスが膨張することです。通常、どちらの現象も、健康な人であれば十分に耐えられる程度のものです。
 これらの影響で、飛行機内では地上よりもアルコールに酔い易いと言われているそうです。気圧の低下によって、単位体積あたりの酸素濃度が下がります。また、血液中の酸素分圧も低下するため、頭痛、吐き気、めまいなどの症状が起こることがあるそうです。いわゆる高山病です。
 人体は、この酸素不足を補うために、呼吸や脈拍を多少、早めるそうです。これは健康な人にとってはほとんど問題にならない程度ですが、飛行中にお酒をたくさん飲むと、血管拡張と心拍数の増加とが相まって、アルコールの脳への回りも早くなり、地上にいる時より酔いやすくなるのだそうです。
 また、肝臓は酵素によってアルコールを分解しますが、酵素反応は一定の温度や気圧、酸素濃度の条件下で効率的に進むので、気圧や酸素濃度が地上より低い機内では、アルコールの分解速度が遅くなり、アルコールが代謝されにくくなるそうです。



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