アレキサンドライトのお話
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2008年5月10日




◎アレキサンドライト(Alexandrite)
 9月の誕生石にされています。結晶系は斜方晶系で、化学式はBeAl2O4です。硬度は8.5、比重は3.71〜3.75(通常は3.73)です。屈折率は1.746〜1.755、複屈折率は0.008〜0.009でガラス状の光沢があります。
 アレキサンドライトは1830年、ロシア帝国ウラル山脈のエメラルド鉱山で発見されました。この鉱物は不思議なことに、昼間に見たときは緑色だったはずなのに、持ち帰り、夜ローソクの光の下で見てみると、赤色に変わっていたのです。「これは神のいたずらに違いない。」と鉱夫たちの間で大騒ぎになりました。そして、これは大変な石だという事で、当時のロシア帝国皇帝ニコライ1世に献上される事になりました。その日4月29日は、皇太子アレキサンドル二世の12歳の誕生日だったため、この非常に珍しい宝石にアレキサンドライトという名前がつけられました。また、軍服の色が赤と緑だったロシア人にとっては、お守りとして特別な価値のある石となりました。
 クリソベルという鉱物の変種で、19世紀前半に発見されました。ロシア皇帝アレクサンドル2世の誕生日に発見されたことから、この名が付けられました。産出量は極めて少なく、最も希少価値のある宝石と言えます。
 アレキサンドライトの最大の特徴は、色の変化にあります。青緑色系スペクトルの強い太陽光や蛍光灯の下では暗青緑色になり、赤色系スペクトルの強い白熱電灯の下では暗赤紫色に変化します。この変色性の原因は、エメラルドやルビーの発色成分であり、黄色系スペクトルを吸収するクロムを微量に含んでいることに起因します。アレキサンドライトは赤と緑を等量保持しており、光を吸収したときにクロムの影響を受けて、光線の種類によって暗青緑色、暗赤紫色に変色するというわけです。
 アレキサンドライトは、ブラジル、スリランカ、ロシア、タンザニア、マダガスカルなどで産出されます。ブラジルのミナスジェライス州が世界的に有名な産地で、現在、入手可能なアレキサンドライトとしては最高品質といえます。変色がはっきりしているものが多く、色合いもきれいでインクルージョン(不純物)も比較的少なく、透明度が高いといえます。ただ、5ct以上の大きい石の産出がほとんどありません。
 スリランカでは、ラトナプラ地区が有名な産地です。黄色みがかったグリーンを呈しているものが多く、赤色への変色が弱いのが特徴です。ロシア産よりも大きなものが産出されますが、アレキサンドライトの価値としては低く、色の変わらない単なるクリソベリルとしか呼べないものも多く産出します。 しかしながら、大粒のアレキサンドライトが多く産出されます。
 一般的に、スリランカ産のものよりブラジル産の方が、昼光での緑色に強い青味が入り美しく、人工光でも劇的に赤色に変わりますので、高品質だとされています。そして、アレキサンドライト発祥の地でもあるロシアのウラル産アレキサンドライトは、緑色と赤色の変色のバランスが良く、非常に上品で美しく、ブラジル産をもしのぐ最高品質と言われています。しかし、インクルージョンが多いものが大部分で、きれいな石の産出は限られています。加えて、残念なことに元々大きな宝石質原石が産出しない上に、殆ど採り尽くされてしまったという事で、今ではかなり入手が困難になってしまい非常に高価です。そのため、現在では幻のロシアン・アレキサンドライトといわれています。
 タンザニアのマニャラ湖の西岸の鉱山で、クリソベリルやその変種のアレキサンドライトとキャッツアイも産出します。アレキサンドライトは少量しか産出しないのですが、かなり良質なものも採れ、最近では手に入らなくなった上品で、最高品質のロシア産に似ているといわれています。
 最近マダガスカルでは、かなり色々な地方で色々な種類の宝石の産出がすすんでおり、一般的な宝石のほとんどが産出されています。アレキサンドライトもその1つで、良質な石も産出されています。



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