水晶のお話
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2008年5月10日




◎水晶(Rock Crystal)
 水晶とは、肉眼で確認できるほど大きく成長した無色透明の石英(石英の完全な結晶)の結晶です。結晶系は六方晶系で、化学式はSiO2です。硬度は7、比重は2.65で、屈折率は1.54〜1.55です。
 一般に水晶とは、無色透明の結晶を指し、透明度が劣るものは石英と呼ばれます。特に透明なものはクリスタルとも呼ばれます。鉱物の中では、最もありふれたもので、地球(地殻)の約60%は、このSiO2で形成されています。それが不純物なく結晶化したものが水晶なのです。
 不純物が混入すると黒、紫、銀入、泡入、綿入、雲入、草入水晶などになります。例えば、結晶の母岩に鉄が含有されていた場合は、紫色の水晶(アメシスト)になります。それが、地熱によって影響を受けると、変色し、黄色の水晶(シトリン)になります。また、不純物の影響が模様となって現れる場合もあり、トルマリンの針状インクルージョンが含まれた水晶は、トルマリンレイテッドクォーツと呼ばれています。
 丸い水晶で、安く売られているものは、“練り水晶”の場合が多いです。“練り水晶”とは、かけらや粉末を溶かして固めたものです。異様にインクルージョンが少なく綺麗で、あまりに安いものは、練り水晶と疑った方が良いかもしれません。
 水晶の産地は世界中にありますが、産出量の多く、品質が良い点で、ブラジルが有名です。マダガスカルでは、大形の結晶が産出します。このほかにもスイス、フランス、アメリカのアーカンソー州などで産出します。
 語源は、ギリシア語で“氷”を意味しています。古代ギリシア人が最初にこれを発見したのは、オリンポス山の山奥の人目につかない洞窟の中だそうです。彼らは、水を永久に閉じ込めるために、神々の手で凍結させられたものと信じて、この名前をつけたと言われています。日本でも、奈良時代には「水精」と書かれていたそうです。それは、山奥深くに湧き出る氷のような水が凝結してできた水の精と思われていたためのようです。
 かなり大きな結晶で産出されるものもあり、彫刻などの材料に適しています。このため、ギリシアやミケーネ時代、中世において、多くの精巧な彫刻が作成されています。日本でも仏像や五重塔などに彫刻されています。特に水晶球は評価が高く、明治初期には見事な水晶球が、外国に流出しています。ヨーロッパでは、これを「水晶占い」の球として用いていました。
 かつては山梨県で、かなりの量の水晶が産出されていたのですが、現在では、ほとんど産出していません。最近は、ブラジルから輸入していますが、研磨産業は甲府市で続けられています。甲府の水晶研磨技術は非常に高度で、これは1834年に京都からやって来た玉屋弥助という研磨師によって伝えられたと言われています。
 宝石用としては、ファセットカットやビーズに研磨され、ネックレスや、ぺンダントに用いられることが多いです。1880年に、水晶による圧電気効果が発見され、1922年に実用化されると、宝石としてよりも産業面で重要視されるようになってきました。放送用の波長の制御に使われている水晶発振子、精密時計、海底通信器を始め、紫外線に対して透明であるためスぺクトル分析用の分光器のプリズムやレンズ用としても使われています。



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