ダイヤモンドのお話
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2008年5月10日





◎ダイヤモンド(Diamond)
 4月の誕生石にされています。和名は、金剛石(こんごうせき)です。結晶系は等軸晶系で、化学式はCです。硬度は10で、比重は3.52です。屈折率は2.417で、金剛光沢があります。
 ごく稀に、赤色、ピンク色、オレンジ、青色、緑色等のダイヤモンドが産出されます。これは、ファンシーカラーダイヤモンドと呼ばれています。
 天然石の中で、最も屈折率が高い物質です。天然のダイヤモンドは、熱伝導性が非常に高いという性質があります。つまり、息をフーと吹きかけると、瞬く間にその曇りが消えてしまうのです。この性質を利用して、ニセモノを判別することもできます。
 天然のダイヤモンドの98%以上は黄色を帯びており、宝石に利用される透明なものは1〜2%程度しか存在しません。ダイヤモンドが形成されるには、非常に高い圧力が必要です。このため、ダイヤモンドは地下100kmよりも深いところ、つまりマントル内で形成されたことになります。結晶は通常、正8面体か、12面体、あるいは両者が混合した形になります。
 外形がサイコロのような正六面体の形をしているものは、キュービック・ダイヤモンドと呼ばれています。このダイヤモンドの内部には正八面体のダイヤモンドが存在しています。そして、その外部をコートする(包む)ようにダイヤモンドの結晶が成長して、正六面体の形になるのです。そのため、コーティッド・ダイヤモンドとも呼ばれています。コート部分には、マントル物質が不純物として含まれており、地球深部の研究において、貴重なサンプルとなっています。
 語源はラテン語の「征服し難い」あるいは「磨き得ない」を意味するアマダス(Adamas)に由来すると言われでいます。古代人にとって、ダイヤモンドを持つことは、何よりも硬く、征服し難い強いものを手に入れるのと同じであったようです。このため、ダイヤモンドを護符として身につけることによって、自らを守り得ると信じていたようです。「金剛心」「金剛経」などと書くのも同じ意味で、東西で同じイメージを保持してきたようです。
 15世紀には、オーストリアの皇太子が婚約者にダイヤモンドの婚約指輪を贈ったという記録があり、これが最初のダイヤモンドの婚約指輪のようです。
 科学的な話をすると、ダイヤモンドは、炭素の同素体の一つです。立方晶系に属し、普通は八面体をなす鉱物です。純粋なものは無色透明です。どの炭素原子も、それを中心とする正四面体の頂点に位置する四個の炭素原子と共有結合しており、全体として一個の巨大分子を形成しています。きわめて安定で、硬度も天然に存在する物質中で最大です。ただし、この硬さは、「引っかき」に対する強さです。その他については意外にももろい面がたくさんあります。
 ダイヤモンドは劈開(へきかい)性を持っています。これは、ある特定の方向に対して、簡単に割れる(剥がれる)性質です。原石を分割する際には、この性質が使われています。さらに、粘り強さや割れ難さを表す靭性は低く、ハンマーの衝撃で粉々になります。
 また、ダイヤモンドは燃えます。炭素の結晶ですので、900〜1000℃以上で二酸化炭素になって、消えてしまいます。一般的な火災では、酸素が十分に供給されないため表面が白く曇る程度で済むことが多いようです。しかし、金庫に入れていた場合、内部温度が下がらないうちに開けると、急激に酸素が送り込まれて、二酸化炭素になることがあるようです。
 ダイヤモンドは南アフリカ共和国のキンバリーが主産地です。人工的には、黒鉛から高温、高圧(約2,000度、10万気圧)の下で合成されます。研磨材、ガラス・カッター、各種切削工具などのほか、レコード針としても用いられています。
 研磨済みダイヤの生産量は、イスラエルが世界一で、50%の市場占有率があります。原石も含めた輸出額は、1997年で51億5000万ドルです。イスラエルの全輸出額の1/3にのぼっています。
 ダイヤモンドの取引所は、世界中に23カ所あります。会員2500人を抱えるイスラエルのダイヤモンド取引所が最も大きいです。

・価値を決める4つのC
 宝飾用にしても財産用にしても、ダイヤは一定の基準によって等級づけられ、値づけられます。その等級の基準となるのが4つのCです。すなわち、cut(カット:研磨)、carat(カラット:重量)、color(カラー:色)、clarity(クラリティ:透明度)の4つです。

@cut
 カットは、58面体のブリリアントカットが、ダイヤモンドを最も美しく光り輝かせます。ブリリアントカットの理想形は、前面から入射した光が全部、底部で屈折し、表面から放出される仕組みになっています。そのためダイヤモンドは、まるで内部から光を発しているかのように見え、目を射るような輝きが出るのです。
 この理想形から外れて、あまりにも底を深くカットすると側方から光が洩れてしまうし、逆にあまりにも平たく底が浅いと底部から光が洩れることになり、どちらも輝きを落とすことになります。このため、理想形に近いプロポーションのものが、品質の良いダイヤと言えます。
 ダイヤの磨き方は、ブリリアントカット(正確には、ラウンド・ブリリアントカット)ばかりではなく、その他にブリリアントカットの変形であるオーバルカットや、ぺアシェープカット、マーキーズカット、その他、四角いステップカットなどがあります。

Acarat
 カラットは、ギリシャ時代からの宝石の重さの単位です。元は豆科の植物、カラスノエンドウの実の重さが基準だったらしいのですが、現在では、1カラットが0.2グラムと科学的に決められています。
 ダイヤの価格は、カラット数が増えるにしたがって加算的に増えるのではなく、カラット数の自乗に比例して高くなると言われています。例えば、1カラット400万円のダイヤモンドが、2カラットになれば、1,600万円に跳ね上がるのです。

Bcolor
 カラーは白、または無色にわずかに青味のかかった「ホワイト・ブルー」が最良と言われています。黄色、褐色、黒などを帯びたものは評価が下がります。
 しかし、ピンクダイヤ、カナリヤイエローのダイヤモンドなど、特に珍しい色を有するダイヤモンドは、その希少性から高値になります。ワシントンのスミソニアン博物館には、青ダイヤとして有名な「ホープ」と呼ばれる石があります。この石は澄んだ空の青さと、虹のような七色の輝きを合わせ持っています。カナリヤ色の名石としては、ティファニーダイヤが有名です。

Cclarity
 クラリティは、透明度とキズの程度を示します。キズの程度には@顕微鏡で鑑定士が見ても、キズのないもの、A10倍のルーぺで見ても、キズのないもの、Bルーぺでは目立っても、肉眼では気にならないもの、C肉眼ではっきり見えるもの、などがあります。



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