ペリドットのお話
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2008年5月10日






◎ペリドット(Peridot)
 8月の誕生石にされています。和名は橄欖石(かんらんせき)です。結晶系は斜方晶系で、化学式は(Mg,Fe)2SiO4です。硬度は6.5〜7で、比重は3.4です。屈折率は1.65〜1.69です。マグネシウムや鉄に富んだケイ酸塩鉱物です。一般に黒味がかった色をしています。塩基性、超塩基性の火成岩の主要な構成鉱物です。
 オリーブグリーンの艶やかなこの石は、これを持つものから恐怖心を取り去り、平和や喜びを授ける力を持つ石と信じられ、十字軍の守り札にもされました。ペリドットは、オリビン、クリソライトの名でも呼ばれてきた。さらに古くは、この石をトパーズといった時代もあった。紅海に浮んだトパゾス島から採れた黄色い石を、島名にちなんでトパーズと呼んだが、二十世紀に入って、この鉱山が再発見されてみると、黄色い石はトパーズではなくペリドットであった。そのことから聖書に出てくるトパーズは恐らくペリドットを指していたというものだ。また、オリビン、クリソライトの呼び名が国によって、また色によって使い分けられていましたが、近年、ペリドットに統一されました。
 比較的軟らかい石なので、産出する際に完全な結晶形をとどめているのは少ないが、100〜200カラットという大きな石も産出しており、ワシントンのスミソニアン博物館には319カラット、モスクワのダイヤモンド博物館には192カラット、ロンドンの地球科学博物館には136カラットの石が陳列されています。
 ペリドットの美しいオリーブグリーンは、主成分である第一鉄によるもので、自色です。宝石の色には、不純物として含まれる成分で着色されて色を出す「他色」と、このペリドットのように、宝石の主成分そのもので着色されている「自色」の二つのタイプがあります。
 他色の石では、混合される着色成分の違いによって色は変化するので、いろいろな色が見られるが、自色の石では色は限られる。ペリドットの色は、オリーブグリーンを中心として帯緑黄色から緑色にわたりますが、他の色のペリドットは存在しません。ペリドットのこのオリーブグリーンを作り出している鉄分は、普通、あまり美しい緑色を示すことがないため、極微量に含まれているニッケルが関与しているのではないかとも言われています。ペリドットの多くは、黒雲母の薄片を多量に内包しており、これが緑色に、やや褐色味を加え、あのオリーブグリーンを作り出しています。この内包物が多くなると褐色味は強くなります。
 また、ペリドット独特のインクルージョンに、扁平な空洞の中の液体が睡蓮の葉の形に再結晶したものがあります。ハワイ産の丸い小石状のペリドットには、気泡のように見えるガラス小滴が多量に含まれていて、これが特徴にもなっています。
 褐色のペリドットをブラウンペリドットと呼びますが、1951年に、それまでブラウンペリドットと思われていた石の多くが、新種の鉱物であったことが判明しました。その成分はマグネシウムとアルミニウムの珊酸塩で、スリランカで発見されたため、「セイロン石」の意味のシンハライトと名付けられました。本来のブラウンペリドットは、きわめて稀にしか発見されていません。
 ペリドットの主な産地は、エジプトのセント・ジョン島、ビルマ、スリランカ、アメリカ、ブラジル、オーストラリアですが、ハワイ諸島の海岸でも火山岩の中から発見されていて、ハワイアン・ペリドットとして知られています。しかし現在ではハワイ産のものは少なく、ハワイで売られているものの多くは、アメリカ産やオーストラリア産のようです。アメリカのニューメキシコ州やアリゾナ州では、浸食されて母岩から離れてしまった小石状のペリドットが、砂丘や蟻塚の中から発見されています。
 ペリドットは比較的軟らかい石なので、キズつきやすく光沢を失いやすいです。また、結晶の上下軸に対して平行に劈開性があるため、この方向に割れることがあります。強い衝撃を加えると割れる可能性があるので、注意が必要です。また、酸に対しても弱いので、加工の際などに表面が荒れたり曇ったりすることもあるようです。



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