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更新日:
2008年6月28日
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◎プラスチック(1996年4月19日)
熱や圧力を加えて、自由に形を変えられる物質のこと。特に合成樹脂。
・合成樹脂:化学合成によって作った可塑性物質。
・可塑性物質:可塑性を持つ工業用の物質。セルロイド、合成樹脂など。
・可塑性:固体に圧力を加えたとき、形が変わってしまう性質。
・セルロイド(celluloid):硝酸セルローズを原料とする半透明の加工材料。フィルム、おもちゃ用。燃えやすい。
・セルローズ:繊維素。
・繊維素:植物の細胞膜や繊維の主要成分。
プラスチックとは一言で云えば「自然界に存在しない高分子の物質(合成高分子化合物)」と定義できます。もう少し定義を言い換えれば「可塑性(かそと読みます、こねたり、つぶしたりして、形が自由になる物で、手を離しても元に戻らない)のある高分子(おおむね分子量1万以上)の物質」となります。
現在使われているプラスチックは約20種類と言われており、原料のほとんどは石油から作ったナフサです。人類が昔から使っていた木とか、鉄、紙、綿、ゴム、等に代わって今ではいろんな所で使われていますし、今では私たちの生活にはなくてはならない物になってきました。しかしその歴史は新しくアメリカのハイヤット兄弟による1869年のセルロイドの発明が始まりでした。その後次々と新しい種類のプラスチックが発明され現在に至っています。日本では大正3年(1914年)に三共合資会社(現在の住友ベークライト(株))によるフェーノール樹脂の製品の製造が始まりと言われております。
その後次第に生産量、又生産品種も増え、現在ではアメリカ、ドイツに並ぶ生産国となっています。また、最近では東南アジア各国でのプラスチック材料の生産も増え、ABS樹脂では台湾のメーカーが世界一の生産を誇るなどプラスチックを取り巻く環境は大きく変化しています。
プラスチックの材料は大きく分けて非結晶性樹脂と結晶性樹脂が有ります。簡単にいうと前者は透明な樹脂、後者は不透明な樹脂です。また製品の製造工程の違いで言えば一つは熱硬化性樹脂、もう一つは熱可塑性樹脂です。
前者は熱をかけると固まる性質の樹脂で、代表的な樹脂はフェノール樹脂です。灰皿などに使われるメラミン樹脂もこの仲間です。
また意外なところではICやLSIの外側の黒いパッケージも熱硬化性樹脂です。もう一方は熱をかけると柔らかくなる樹脂、みなさんにはこちらの方が馴染みがあると思います。
工業的に大量生産をされて約一世紀が過ぎたプラスチックですが、今日では身近な問題としては環境問題、リサイクル、そして産業的にはより高付加価値、高機能なプラスチックを求めるなど、いくつもの問題があります。
・付加重合によって作られる合成樹脂
・縮合重合によって作られる合成樹脂
◎環境問題
今日私たちの生活から出てくるゴミは生活ゴミ、産業廃棄物などその量は増加の一途で大きな社会問題になっています。そしてそのゴミのかなりの部分をプラスチック系のゴミが占めています。
土壌に埋めても腐ることがなく、また燃やせば大気汚染、悪臭の発生、塩素系の塩化ビニールなどはダイオキシンの発生が生ずる危険があるなど、環境的には様々な問題を抱えているのが今のプラスチック製品です。
その解決のために地球規模のプラスチックの再利用(リサイクル)の促進と生分解性プラスチック(バイオプラスチック)等の自然に還元する材料の利用の拡大が急務だと思われます。
熱可塑性樹脂のほとんどは再利用が出来ます、そのためには企業も個人も少々手間のかかることではありますがプラスチックゴミの種類を分ける(分別)必要があります。
最近のプラスチック製品に >PP< とか >ABS+PC< 等の表示を見たことがあると思いますが、それがその製品に使っているプラスチックの材料の種類を表しています。製品が廃棄されるとき同じ表示の材料を集めたり分別できるようにと表示されているのです。
そして同じ種類プラスチックを集め粉砕してペレット化(粒状)にすれば、種類によっては多少の劣化はあるものの普通の材料として使えます。
このことは、石油を原料としているプラスチックの節約,すなわち石油資源の延命、確保としても有効の手段だと思います。
また、製造メーカの側にも強度要求部品や外観部品でない部品については出来るだけ再生プラスチックの使用を積極的に心がける必要があります。
再生材の使用率の検討や再生材にガラスフィラーを添加して物性を上げるなど工夫をすればまだまだ再生材の利用率は上げることが出来ます。将来は”この製品は◯◯%再生プラスチックを使用しています”という表示がトレンドになるぐらいにメーカーの意識を変えていく必要があるのでは ないかと思います。また私たち消費者は再生材を使用した製品を出来るだけ買うように心がけなければならないと思います。
◎生分解性プラスチック
最近注目されているプラスチックで、水中または、地中の中に放置すると分解してしまう性質のプラスチックです。簡単な話が、腐ってしまうプラスチックです。
大きく分けると、セルロースなどを使った微生物系、脂肪族、ポリ乳酸などを使った合成高分子系、また澱粉を使った天然物利用系などの各種の製品が開発されています。
この分野の製品は、農業用フィルム、スーパーのレジ袋、漁網、シャンプーの容器、ゴルフのティー、使い捨てトレーなど、様々な業種で様々な製品に使われだしてきています。
糖を発酵させた乳酸から作られる「生分解性プラスチック」は、様々な作物を原料に合成することができます。ドイツではサトウキビの糖廃液から、アメリカではコーンスターチから、雪印乳業は牛乳からチーズととった後の「ホエー」と呼ばれる乳糖からプラスチックを作る研究をしています。
スイートコーンの実を取り去ったあとの軸からもプラスチックを作ることができます。1トンのトウモロコシの軸から5%の糖液が採取でき、これを乳酸発酵させれば、ラクチドなどのプラスチックが生産できます。
◎高機能樹脂
一般的にエンジニアリング プラスチックと言われる物です代表的な物はポリアミド(ナイロン:PA)、ポリアセタール(POM)、飽和ポリエステル(PET)などです。
これらは従来のプラスチックにない強靱性や、潤滑性、耐熱性、などの高機能を目的として開発されたプラスチックです。
最近のOA用機器、ビデオ、などメカニカルな動きの機構を持った物などはこれらの樹脂なくしては製品が出来ないほど、たくさん使われています。これらの機械のふたを取りメカの中に見える白いギヤやカムはほとんどポリアセタール樹脂です。
また、プラスチック製の電動工具のハウジングはポリアミド(ナイロン)にガラス繊維を添加した材料が使われていますし、清涼飲料水などのペットボトルは材料がPET(ペット)なのでペットボトルと言われています。また、一般的に熱に弱い熱可塑性プラスチックを改良して200度またはそれ以上の温度に耐える熱可塑性プラスチックも数種類は市場にでています。
◎高付加価値樹脂
これらは現在ある樹脂に例えば酸化チタンを加えて光る(蓄光性)プラスチックを作るとか、温度によって色が変化するプラスチックとか、最近話題の抗菌、防かびの性質を持たせたプラスチックなどが登場しています。
特に最近のO-157の発生を契機に以前からの清潔ブームに相まって抗菌材料を使った製品の開発がハイペースですすんでいます。
また、複数の異なる樹脂を混ぜ合わせ、それぞれの長所を取り出すように考えられたアロイといわれる樹脂も最近では多く使われています。
その中には、冬になるとパチパチを私たちを不快にさせる静電気をほぼ永久に帯電させないよう、アロイ技術で開発されたプラスチックも市場に出ています。
◎合成ゴム
ポリブタジエン(BR)、ポリクロロプレン(CR)、スチレン?ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル?ブタジエンゴム(NBR)、ポリイソプレン(IR)など、ジエン系のゴムは、自動車のタイヤ、電線の被覆、接着剤などの用途がある。
非ジエン系ゴムには、耐油性、耐摩耗性に優れたウレタンゴム(ポリウレタン)、耐熱性、耐寒性に優れたシリコーンゴム(ジメチルポリシロキサン)、耐薬品性、耐熱性に優れたフッ素ゴム(フッ化ビニリデン)などがあり、耐油性・耐薬品性パッキン、耐油ホース、コンベアーのベルト、チューブ、ケーブルなどに利用されている。
・シリコーンゴム
ケイ素ゴムとも呼ばれる。耐薬品性、耐熱性に優れている
◎感光性樹脂
光の照射によって感光性基または、感光剤が反応し、橋かけによって不溶化する高分子物質。印刷の版材、印刷インキ(紫外線硬化インキ)、接着剤(紫外線硬化接着剤)、塗料(紫外線硬化塗料)、包装材(紫外線硬化フィルム)、精密エッチング(ネームプレート)などの用途がある。
◎電導性樹脂
一般に高分子化合物は絶縁性であるため、絶縁体として利用される。しかし、逆に電気的性質を付与して、半導体から金属に近い性質を持つ高分子物質が開発されている。これらは、電導ゴム、電導塗料、回路用電導路、圧電素子、温度スイッチ、磁気テープ用塗料などに利用されている。
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