昆布
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更新日:
 2020年4月26日







◎昆布(2020年4月26日)
 コンブ(昆布)は、不等毛植物門褐藻綱コンブ目コンブ科(学名:Laminariaceae)に属する数種の海藻の一般的な名称です。生物学が生まれる以前から用いられていた名称であるため、厳密な定義は難しいが、葉の長細い食用のものが「コンブ」と呼ばれる傾向があるようです。コンブ科に属する海藻であっても「オオウキモ(ジャイアントケルプ)」は通常、コンブとは呼ばれません。
 生物学ではカタカナ書きの「コンブ」が使用されますが、単なる「コンブ」という種は存在せず、マコンブやリシリコンブ、ミツイシコンブなどのように、コンブ科植物の種の標準和名が用いられています。一方、食品など日常的には「昆布」や「こんぶ」、「こぶ」などの表記も使われています。
 コンブ科には多くの属があり、マコンブなどが属するコンブ属をはじめ、ガゴメなどが属するトロロコンブ属などがあります。さらに、同じコンブ目に属する近縁なものとしては、ワカメなどが属するアイヌワカメ科や、コンブの原始的な形といわれるツルモ科などがあります。
 コンブは、日本では北海道沿岸を中心に、三陸海岸などにも分布しています。一般的にコンブ科の植物は寒流の親潮海域を代表する海藻ですが、アラメやカジメのように暖かい海に生育するものもあります。食用海藻であるだけでなく、大きな藻場を形成し、多様な生態系を保つ働きもあります。
 コンブは胞子によって増殖します。コンブの胞子は5µm程度で、2本の鞭毛を持ち、海中を泳ぐことができるので「遊走子(ゆうそうし)」と呼ばれます。遊走子はコンブの表面から放出され、海中の岩などに着生し、発芽して「配偶体」という微小な植物体になります。1個の遊走子から1個体の配偶体ができます。配偶体には雄と雌があり、それぞれに卵と精子が作られます。卵と精子が受精し、受精卵が生長すると巨視的な「胞子体」、つまりコンブになります。
 日本のコンブ生産量は約12万トン(2005年度)で、そのうち約35%が養殖です。また、天然物の生産量の95%以上が北海道産です。中国では80万トン前後が養殖されています。
 北海道の函館市沿岸ではマコンブの養殖が盛んです。マコンブは2年生のため、養殖は2年間の手間が必要であり、2年栽培に近い質を目指した1年の促成栽培もあります。すでにミツイシコンブ、リシリコンブ、オニコンブの養殖法が確立されていますが、その他の種は天然での生産が多いか、利用価値が低いことから養殖法が確立していないそうです。
 コンブは、小舟から昆布の根元に竿を差し入れ、ねじり取って収穫します。海岸に押し寄せてきたコンブを拾ったり、鈎でたぐり寄せる方法もあります。収穫したコンブは、小石を敷き詰めた干場に運び、並べて干します。1~2回、裏返し、万遍なく乾燥させますが、乾燥させすぎると折れやすくなるため加減が必要だそうです。乾燥時間は半日程度だそうですが、この間に雨に当たると商品価値がなくなるため、天気予報で雨が確実な日は出漁を見合わせるそうです。現在では天日ではなく乾燥機で干す方法もありますが、品質が落ちるそうです。
 昆布は、日本料理では出汁をとる目的で幅広く使われています。ロシアでは「海のゴミ」として扱われているそうで、コンブを食べる日本人は不思議がられていたそうです。細長く刻んで刻み昆布(そうめん昆布)に加工されほか、表面を薄く削っておぼろ昆布やとろろ昆布にしたり、酢こんぶやおしゃぶり昆布としてお茶請け、おやつになるなど、様々な食べ方で食用にされています。北海道では、湯通しした若い昆布を刺身昆布として食べる習慣があるそうです。
 日本の文献にコンブが初めて登場するのは続日本紀(797年)だそうです。当時、東北では昆布を献上品として納めていたそうです。平安時代の延喜式(927年)では、昆布が租税として扱われている記載があるそうです。
 昆布は食物繊維、鉄分、カルシウムなどが多く含まれており、これ以外にもタンパク質、よう素、ビタミンA、B2なども含み、栄養価が高い食材だそうです。




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