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更新日:
2008年6月28日
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HDL−C(High density lipoprotein cholesterol:高比重リポタンパク・コレステロール)
元来、脂質成分は水に溶けにくいため、血液中のコレステロールや中性脂肪のような脂質成分は、蛋白質と結びついて粒子の形で存在しています。これらは、リポ蛋白質と呼ばれ、体内での脂質の運搬体の役割を果たしています。リポ蛋白質は、比重の違いにより、種類が分別されます。
HDLは、比重の高いリポ蛋白質です。これは、粒子内に含まれる蛋白質の割合が半分近くを占め、粒子径が小さいためです。各リポ蛋白質に含有する主な蛋白質(アポ蛋白質)は、それぞれ決まっていて、HDLに含まれる主なアポ蛋白質はアポ−A1,A2です。
・臨床的意義
HDLの主な働きは、末梢組織から肝臓へのコレステロールの運搬です。逆にLDLは、肝臓から末梢組織への輸送を行っています。したがって、HDLが減少すると、末梢組織から肝臓への逆転送力が弱まり、コレステロールが末梢血管などに蓄積され、動脈硬化を起こす可能性が高くなります。この動脈硬化は、脳血管障害、虚血性心疾患の原因になると考えられています。
HDL中のコレステロールを特異的に測定することによって、相対的にHDLの量を推測して診断治療に役立てています。
・基準値
測定法によって、多少の差がある。
40〜69mg/dl(沈殿法)
・測定法
現在よく用いられている方法は、沈殿法と呼ばれる方法です。これは、金属イオン(Mg2+、Ca2+など)存在下でヘパリン、デキストラン硫酸などのポリアニオンにより、HDL以外のリポ蛋白を沈殿させて、上清中のHDLのコレステロールを通常のコレステロール測定法で測定する方法です。
最近、こうした沈殿操作の不要な直接測定する方法が開発されて、この方法を使用する医療検査施設も増えてきています。
・異常値
1)高値を示す病気
a) 家族性(遺伝性のもの)
家族性高リポ蛋白血症
コレステロールエステル転送蛋白欠損症
肝性トリグリセライドリパーゼ活性低下
b) 続発性(2次性のもの)
閉塞性肺疾患
原発性胆汁性肝硬変
2)低値を示す病気>
a) 家族性
アポA-1欠損症
α−リポ蛋白欠損症(Tangier病)、LCAT欠損症
b) 続発性
糖尿病
肥満
動脈硬化症
慢性腎不全
肝硬変
・変動の要因
a) 年齢
年令とともに、低下します。女性に比べると男性の方が、低下傾向が大きい。また女性の場合、閉経後、急速に高値になります。
b) 性差
女性の方が、男性より高い。
c) 妊娠
高くなる。
d) 飲酒
高くなる。
e) 喫煙
低下する。
f) 食事性因子
低カロリー栄養食の場合、低くなる。
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