日本脳炎のお話

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更新日:
 2008年6月28日







◎日本脳炎ウィルス
 トガウィルス科のフラビウィルスに属する。ウィルスは各種の動物に感染するが、ブタの感染率が流行状況を反映するといわれる。主にイエカ類(Culex)によって媒介される。

・日本脳炎:Japanese encephalitis
 潜伏期は7〜20日。感染者の1/25〜1/500が発病するといわれ、多くは不顕性感染におわる。典型的な症状は、突然の発熱で発症、2〜3日で40℃以上に達し、7〜10日間持続する。髄膜刺激症状、脳症状(意識障害、ケイレン、異常運動)が現れる。治療は対症療法のみ。1/3が死亡、1/3が後遺症を残して治癒、1/3が完全治癒するといわれる。高熱患者ほど予後が悪いとされる。

・流行状況
 南アジア〜東アジアで発生している。流行地でも都市部なら患者発生は少ない。
 日本では、小児期に日本脳炎の不活化ワクチンを接種します。

・基礎接種
 小児期に3回注射をします。1〜2週間の間隔で2回接種を行った後、翌年に再度接種します。

・追加接種
 通常はこの後、小学高学年で1回、中学時に1回の追加を行います。ただし予防接種の有効期間は4年です。成人に達するころには、効果は切れています。
 日本脳炎ウィルスはわが国にも分布します(関東以西)。しかし、日本脳炎の患者発生はわずかで、もっぱら予防接種を受けていない小児と老人です。

Q. 海外赴任する成人の場合、予防接種は必要ですか?
A. 日本人の多くは小児期に予防接種を受けているはずですが、有効期間は4年で、成人なら効果が切れています。ウィルスをもった蚊に刺された場合、感染する可能性があります。リスクが高ければ、予防接種を受けておく必要があります。
 まず、地域情報のページを参照して、推奨予防接種をご確認下さい。日本脳炎が推奨となっていなければ、不要です。ここに推奨と書かれている場合にのみ、検討の対象となります。

・都市か農村部か
 日本脳炎が流行する国でも、もっぱら農村部で患者が出ます。アジアの途上国でも都市部なら、日本脳炎に罹患する可能性はきわめて低いと思われます。しかし、農村部に居住する場合には、接種をうけておいた方がよいかもしれません。

・予防接種を受けた経験
 例えば、北海道で育った方は日本脳炎の予防接種を受けていない場合があります。この場合、全く免疫がないわけですから、予防接種を受けておいた方が良いと思われます。また国内でも老人は日本脳炎を発病する例があります。年配の方も予防接種を受けた方が良いかもしれません。
 優先度は必ずしも高くないでしょう。日程が限られているなら、通常はA型肝炎や破傷風の接種を優先させるのが賢明でしょう。

Q. 成人が予防接種を受ける場合のスケジュールは?
A. 日本では1954年以来、全国的に予防接種が行われています。予防接種の経験がない人と小児期にすませた人では日程が異なります。

・基礎接種を受けていない場合
 3回の接種が必要です。1回目と2回目の間隔は1〜2週で、多くの場合、この後に出国することになります。3回目は1年後に接種します。多くの場合、これは一時帰国時あるいは現地にて接種することになります。

・基礎接種を完了している場合
 3回接種した方が確実ですが、1回の追加接種でも効果が望めます。


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