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 2013年3月7日








◎ロンドンでタクシーがデモ、五輪「専用レーン」に抗議(2012年7月24日、朝日新聞)
 五輪開幕間近のロンドンで23日、関係車両のみが通行できる「専用レーン」の設置に抗議するタクシーが、観光名所のタワーブリッジに集まりデモ行進した。運転手たちは橋の上をのろのろと走りながら大音量でクラクションを鳴らして、レーンからの締め出しに抗議、観光客は耳をふさぐなど驚いた様子を見せていた。交通渋滞が頻繁に起きるロンドンでは、専用レーンでさらに車線が減少されれば、市民の移動に支障が出ないかと心配する声が出ている。

◎マック、コーラ閉めだし? 肥満憂慮でロンドン市議会、五輪スポンサーに厳格基準(2012年7月12日、産経新聞)
 ジャンクフードの巨人、マクドナルドとコカ・コーラをオリンピックのスポンサーから閉め出そうとの動きが高まっている。すでに、肥満問題を憂慮する英国の医師グループが「誤ったメッセージを送る」と警告を発していることは、この【ロンドン余話】でも書いた通りだが、ロンドン市議会もこのほど、五輪スポンサーの厳格な基準を求める動議を可決した。
 動議を提出したグリーン党のジョニー・ジョーンズ議員は「ロンドンは世界中の子供たちにより健康的な遺産を提供することを約束して大会を主催する権利を勝ち取った。それなのに、IOC(国際オリンピック委員会)は肥満の流行の脅威に寄与する高カロリーのジャンク御用達のスポンサーを維持している」と指摘する。
 こうした動きに呼応するかのように、IOCのジャック・ロゲ会長も、高カロリー商品を取り扱う消費者ブランドが五輪のスポンサーを続けるのが適切かどうか、一部幹部の間で問題視されていることを明らかにした。ロゲ会長は、英紙「フィナンシャル・タイムズ」(FT)のインタビューに対して、世界的な肥満問題への懸念を背景に、マクドナルドとコカ・コーラとの五輪スポンサー契約には「疑問符」も出ているとし、「こうした企業に対しては、肥満増加傾向の問題にどう対処していくか説明を求めている」と述べている。
 かといって、両者を五輪から追放できるかといえば、そう単純な問題ではない。
 ひとつは、契約の問題だ。コカ・コーラは1928年から、マクドナルドは1976年から五輪のスポンサーになっており、莫大な利益をもたらしてきた。両者を含む主要スポンサーからの協賛金は、五輪収入の40%以上にも及ぶ。しかも、マクドナルドは今年1月に、IOCと新たに8年間の契約延長に合意したばかりだ。これをほごにして五輪から閉め出すとなれば、莫大な違約金が発生するほか、IOCは別の巨大スポンサーを探さなければならない。
 もうひとつは、医師グループやロンドン市議会が問題視している「不健康」や「肥満」というイメージの問題だ。コカ・コーラは水やカロリーゼロの商品も出しており、一概に肥満と結びつけるわけにはいかない。また、マクドナルドもベーグルやサラダなどのメニューを出しており、同社のスポークスマンは「食べ物や飲み物の選択は個人に任されている」としている。
 医師グループや議会、さらにはIOC幹部までが“反ジャンクフード”に動き出したのはいいが、長年に渡って五輪を支配してきた巨人を倒すのは、並大抵のことではないようだ。

◎マックは不健康? 英医師グループが警告、広告規制求める(2012年7月2日、産経新聞)
 まさに“スーパーサイズ”! ロンドンのオリンピック・パークに6月25日、世界最大のマクドナルドが完成した。オリンピック・スタジアムから300メートルのところにあり、2階建てで座席数は1500席。ピーク時には1時間あたり1200人が利用すると見積もられており、オリンピック開幕からパラリンピックの閉幕まで、およそ5万食のビッグマック、18万食のフライドポテトが提供されるという。
 もっとも、このギネス級の支店はオリンピックとパラリンピックが開催されている6週間限定。ゲームが終われば解体され、その4分の3は、他のマクドナルドの支店などにリサイクルされる。
 マクドナルドはロンドン五輪の主要スポンサーのひとつで、LOCOG(ロンドン五輪組織委)が唯一認めている“公式レストラン”。ところが、このファストフード界の巨人に対して、英国の医師グループが真っ向から異議を唱えている。「肥満問題に直面している英国に誤ったメッセージを送る可能性がある」というのだ。
 マクドナルドのほか、LOCOGが認めた唯一のノン・アルコール飲料はコカ・コーラで、公式ビールはハイネケンとなっている。
 だが、王立医科大学のスポークスマン、テレンス・スティーブンソン氏は「最高の運動競技が競われるイベントが、肥満問題と不健康な習慣にくみする企業によってスポンサードされるのは非常に悲しいことだ」と話す。医師グループは英政府に対して、五輪期間中、マクドナルド、コカ・コーラ、およびハイネケンの広告を規制するように求めている。しかし、英政府がこうした要求を受け入れるとは考えにくい。主催者側はマクドナルドなどのスポンサーを純粋なビジネスととらえており、膨大な資金をもたらす存在として歓迎しているからだ。マクドナルドなどの巨大スポンサーがなければ、ロンドン五輪自体が成り立たないことは、すでに組織委も明言している。
 一方で、専門家は英国人の4人に1人が肥満であるとし、2030年までには半分にまで増大すると予測している。肥満とそれに関する疾患の医療費は年間、4億ポンド(約500億円)にも達する。
 「これらのブランドは、選手の健康さやしなやかさと関連づけるためにオリンピックを利用しているんです。その製品について考えるとき、彼らは私たちに、肥満や不健康な人々を連想されたくないのでしょう」とスティーブンソン氏は話す。
 また、英国は増加するアルコール問題を抱えており、専門家は五輪期間中にそれが悪化する恐れがあると警告している。王立医科大の特別顧問、イアン・ギルモア卿は「大きなスポーツイベントがアルコール会社のスポンサーを持つ場合、『アルコールなしではイベントが成り立たないのだ』という誤ったメッセージを若い人々に与えることになりかねない。ロンドン五輪が公式ビールを任命したことはとても遺憾なことだ」と話す。
 さらに、一部の専門家は五輪期間中の広告により、普段はファストフードを食べないような人々にも消費を引き起こさせることになると指摘する。ロンドン大学の心理学、脳科学のニリー・ラヴィー教授は「われわれに広告の製作を禁じることはできないが、それらは潜在的な意識に働きかけて将来の行動に影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。
 スティーブンソン氏をはじめとする医師グループは、実際に選手たちが会場のどこでも手に入るチーズバーガーやフライドポテト、チキン・ナゲットなどに食欲を持つかは大いに疑問とし、「メダルを競う前に、一体どれくらいの選手がこれらの食べ物を口にするのか?」と疑問を投げかけている。
 こうした批判に対して英マクドナルドの最高責任者(CEO)ジル・マクドナルド氏は「われわれはチキンのグリルからサラダまで幅広い選択肢を提供しているし、メニューにはカロリー情報も載せている」と反論。既存店にはなかった「フルーツ・スムージー」という新メニューも提供する。1976年以来、オリンピックの公式スポンサーとなっているマクドナルドは、オリンピック・パークを訪れる10人に1人がマクドナルドを利用すると見積もっており、五輪期間中、“高品質の英国料理”を提供するための専門知識を駆使することになるとしているが…。

◎英女王、元IRA指導者と「歴史的和解」(2012年6月27日、産経新聞)
 北アイルランドを訪問したエリザベス英女王は27日、中心都市ベルファストで、英王室を敵視してきたカトリック過激派、アイルランド共和軍(IRA)の元指導者で、北アイルランド自治政府のマクギネス副首相と会談し、初めて握手を交わした。英メディアは「歴史的な和解」と報じた。
 北アイルランドでは、英統治を望むプロテスタント系と、アイルランドへの帰属を求めるカトリック系の流血の対立が続き、女王のいとこも殺害された。今回の会談で、血塗られた歴史を持つ双方の和解進展に期待が高まっている。
 訪問は女王即位60周年記念行事の一環で、夫のフィリップ殿下も同行した。

◎英政府サイトを攻撃、アノニマス、一時閲覧不能(2012年4月9日、産経新聞)
 英内務省は8日、同省のウェブサイトが何者かから攻撃を受け、数時間にわたって閲覧不能になったことを明らかにした。ロイター通信などが伝えた。
 国際的ハッカー集団「アノニマス」は短文投稿サイト「ツイッター」に、英政府が計画している電子メールの監視強化などが攻撃の理由だとする犯行声明を掲載。今後も毎週土曜日に英政府機関のサイトに攻撃を仕掛けると宣言した。
 障害は7日夜から8日にかけて発生。内務省報道官は「情報の流出はない」とした上で、不正侵入を防ぐために閲覧を制限したことを明らかにした。

◎英大衆紙「サン」幹部らまた逮捕、贈収賄容疑(2012年2月12日、読売新聞)
 ロンドン警視庁は11日、英大衆紙「サン」の副編集長、写真部長ら幹部社員5人と、国防省職員、警察官など公務員3人を贈収賄の容疑でそれぞれ逮捕した。
 サンは、複合メディア大手ニューズ・コーポレーション社傘下で、盗聴疑惑で昨年7月に廃刊となった英大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドの姉妹紙。
 容疑事実などは、明らかになっていない。サンを巡っては、1月下旬、ニューズ・オブ・ザ・ワールドの盗聴疑惑に関連し、編集長らが贈賄容疑でロンドン警視庁に逮捕されている。
 地元紙などの報道によると、ニューズ・コーポレーション社会長で、米国在住のルパート・マードック氏は今週後半にもロンドンを訪れ、サンの記者らに発行を続ける方針を伝えるという。サンは、約270万部発行されている日刊紙で、英国で最も発行部数が多い。

◎英大衆紙サン、また幹部逮捕、マードック氏、近く訪英へ(2012年2月12日、朝日新聞)
 ロンドン警視庁は11日、ルパート・マードック氏率いるニューズ社傘下で英国最大の大衆紙サンの副編集長や幹部記者ら5人と、警視庁の警察官、英国防省職員、英軍人の3人を贈収賄などの容疑で逮捕した。BBCなどが伝えた。
 サンは、盗聴事件で昨年廃刊した日曜大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドの姉妹紙。容疑の詳細は不明だが、記者が警官らに現金を渡して違法に情報を得た疑いがもたれている。ニューズ社側が情報を提供し、逮捕につながった。
 サンは1月末にも贈賄などの容疑で記者ら4人が逮捕された。新聞発行は続ける方針だが、信頼低下は必至だ。マードック氏は近くロンドンに入り、ニューズ社英子会社の社員と面会する。
 サンは二百数十万部を発行。芸能スキャンダルに強く、政界にも影響力をもつ。

◎フォークランドに英艦艇、アルゼンチンが非難(2012年2月9日、読売新聞)
 アルゼンチンのフェルナンデス大統領は7日のテレビ演説で、同国が領有権を主張している南大西洋の英領フォークランド諸島(アルゼンチン名・マルビナス諸島)に関し、英国が同諸島海域に最新鋭の海軍艦艇を派遣するなどして「国際的な安全を重大な危機に陥れている」と非難した。
 大統領はまた、英国の行動について、「国連安全保障理事会に提訴する」と表明した。AP通信などが伝えた。

◎英紙サンの編集者と元編集幹部を逮捕、贈収賄などの容疑(2012年1月29日、朝日新聞)
 ロンドン警視庁は28日、英国最大の大衆紙サンの編集者と元編集幹部ら4人と、警視庁の警察官1人を贈収賄などの疑いで逮捕し、サンの社屋を捜索した。ロイター通信などが伝えた。
 サンは、ルパート・マードック氏が率いるニューズ社の傘下で、盗聴事件で昨年廃刊した日曜大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールドの姉妹紙。容疑の詳細は明らかになっていないが、ニューズ紙を含む多くの英メディアで、警官に現金を渡して情報をとる行為が横行していると指摘されていた。サンは二百数十万部を発行し、政界にも強い影響力を持つ。

◎紙盗聴、ロウさんらに賠償金支払いへ、ニューズ社側(2012年1月20日、朝日新聞)
 ルパート・マードック氏率いるニューズ社傘下の英大衆紙ニューズ・オブ・ザ・ワールド(廃刊)による盗聴事件で、同社側が英俳優ジュード・ロウさん、プレスコット元英副首相ら被害者19人に賠償金を支払うことで合意した。ロウさんには13万ポンド(約1500万円)が支払われるという。英メディアが19日、一斉に伝えた。
 タイムズ紙電子版によると、賠償金支払いで合意に達したのはこれで計37人となった。ほかにも賠償を請求されており、総額は2千万ポンド(約23億8千万円)を超す可能性があるという。

◎深刻な結果認識を、英首相がイラン政府に警告(2011年11月30日、読売新聞)
 キャメロン英首相は29日夜、在イラン英国大使館への襲撃事件について、「国際法上、容認できない失態」「言語道断であり、弁解の余地はない」とイラン政府を強く非難。
 さらに、「イラン政府は、我が国の職員の保護に失敗したことによって、深刻な結果が生じると認識すべきだ。数日内に対応を検討する」と警告した。事件を受けた緊急閣議の後、記者団に語った。
 ヘイグ外相も同日夜、記者会見し、イラン側が暴徒を一時放置したのは、外交官や在外公館の保護を定めた「外交関係に関するウィーン条約」などの国際法違反に該当すると指摘。大使館から略奪された物品の返還などを求めた。
 また、イランのサレヒ外相に電話をかけ、厳重抗議したことも明らかにした。ヘイグ外相は、「先方は謝罪したとはいえ、イラン政府による非常に深刻な失態だ」と述べた。

◎英国全土で公務員200万人ストへ、空港も混乱の恐れ(2011年11月30日、朝日新聞)
 英国全土で30日、公務員労組が年金制度改革に抗議した200万人規模のストライキをする。空港などでの出入国管理の担当者らも参加する見込みで、ロンドンのヒースロー空港では入国審査が最大12時間待ちになるとの懸念が出ている。
 ヒースロー空港の管理会社は入管で勤務にあたる職員が半減するとみて、航空会社に30日の到着便の旅客を減らすよう要請した。政府は入管業務の支援に軍を投入する方針を打ち出したが、混乱は避けられそうにない。
 ストは学校、病院、裁判所、ゴミ収集など幅広い市民サービスに影響を与える見通しだ。政府は5億ポンド(約605億円)の経済損失が出るとしてストの中止を求めたものの、労組との交渉は平行線のままだった。

◎在イラン英国大使館に数百人侵入、追加制裁に怒り(2011年11月30日、朝日新聞)
 イランの首都テヘランの英国大使館に29日、英国による対イラン追加制裁に怒ったデモの参加者数百人が侵入し、投石で大使館のガラスを割ったり、文書を建物から捨てたりした。イラン治安当局が催涙剤を発射していったん追い払ったが、デモ参加者の一部は再び侵入したといい、混乱が続いている模様だ。
 AFP通信がイラン国営テレビの映像などとして伝えた。同通信によると、デモ隊は大使館の外壁を乗り越えて敷地内に侵入。国営テレビは、現場で英国旗やエリザベス女王の肖像画が焼かれる映像を流した。
 騒動の背景には、イランの核開発を疑う英国が今月、自国の金融機関とイランの銀行との取引を停止する方針を明らかにするなど、追加制裁を決めたことがある。イランの国会は27日、英国との外交関係を弱める法案を可決していた。

◎デモ学生、イランの英大使館に乱入・国旗焼く(2011年11月29日、読売新聞)
 英国による対イラン追加制裁への抗議を示すためテヘランの英国大使館を取り囲んでいたデモ隊の一部が29日、塀を乗り越えて敷地に乱入した。
 英国国旗を引きずり下ろしたほか、本館に侵入し、窓から書類を投げ捨てるなどした。火炎瓶も使われ、敷地内の建物が放火された。イラン政府が対立を深める相手国の大使館への襲撃を防げなかったことで、国際的な非難が高まるのは確実だ。
 大使館を取り囲んだデモ隊は数百人に上り、「英国に死を!」などと叫んでいた。ロイター通信によると、このうち約50人が敷地内に侵入した。
 引きずり下ろされた英国旗には火が放たれ、代わりにイラン国旗が掲げられた。

◎マードック氏側、少女遺族に2億4千万円、英紙盗聴事件(2011年10月23日、朝日新聞)
 ルパート・マードック氏が率いる国際メディア企業ニューズ社傘下の英日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」による盗聴事件を巡り、ニューズ社の英国子会社は21日、盗聴された誘拐殺害事件の被害少女の遺族に200万ポンド(2億4200万円)を支払うことで合意した。
 ロイター通信によると、この日の株主総会に先立ち発表された。マードック氏はさらに、遺族の指定する慈善団体に100万ポンドを個人的に寄付する。ニューズ紙は今年7月、少女への盗聴疑惑を契機に厳しい批判にさらされ、廃刊した。

◎英閣僚、政府文書を公園のゴミ箱にポイ、大衆紙が撮影(2011年10月15日、朝日新聞)
 英国の閣僚が政府の文書を首相官邸近くの公園のゴミ箱に捨てている写真が14日付の英大衆紙デーリーミラーに掲載された。テロ情報や支持者の個人情報が書かれた文書も含まれ、「情報管理が甘い」と非難を浴びている。
 同紙が掲載したのは、レトウィン国務相が9〜10月、首相官邸に隣接するセントジェームズ公園で複数回にわたり文書を捨てる場面。隠し撮りした写真だ。
 国際テロ組織アルカイダのパキスタンでの動静や英情報機関の活動に関する報告のほか、自身の選挙区民からの手紙もあった。文書をゴミ回収の係員に直接手渡す場面もあったという。

◎21世紀の英国、奴隷がいた、24人、最長15年監禁(2011年9月14日、産経新聞)
 ロンドン北方ベッドフォードシャー州レイトンバザードのオートキャンプ場で、監禁されて働かされていた集団が見つかり、英警察が男性24人を保護、男4人と女1人を逮捕した。24人は髪を切られて犬小屋や納屋などに閉じ込められ、汚物にまみれた人もいた。専門家は「現代にも、そして先進国にも奴隷はいる」と話す。
 現場はトレーラーハウスなどが集まるキャンプ場。英メディアによると、保護されたのは英国人やポーランド、ラトビア、リトアニア出身者で、最年少は17歳。元ホームレスやアルコール依存症患者で、福祉施設などから「食事と部屋付きで日給80ポンド(約9800円)」などと誘われて連れてこられたという。
 監禁期間は数週間から15年に及び、逃げようとすれば暴行を受けたが、脱出に成功した数人が警察に通報。警察が11日早朝に約200人で急襲した。

・昨年ようやく法律
 今回の摘発は昨年施行された反奴隷法の初適用となった。最高で禁錮14年が科せられる。容疑者のうち男3人は兄弟。もう1人も親類という。女は出産間近のため、いったん釈放した。
 英紙タイムズは13日付1面トップで、これまでに100人以上が奴隷状態に置かれたと報じた。警察は余罪を追及するとともに、共犯2人の行方を追っている。
 ところが、保護された24人のうち9人が「オートキャンプ場での生活に満足していた」と警察への協力を拒否し、収容先の病院を出てしまった。
 国際非政府組織(NGO)、国際反奴隷協会(本部・ロンドン)のスポークスマン、ポール・ドナホー氏は英紙インディペンデントに対し「閉鎖された空間で長い間、一緒にいることで犯人に好意を抱くことはあり得る」と、被害者がストックホルム症候群に陥った可能性を指摘した。

・過去2年で1481件
 英国で奴隷制度が廃止されたのは約180年前の1833年だが、専門家は形を変えた奴隷が存在すると指摘している。今回の捜査に協力した英人身売買センター(本部・ロンドン)によると、英国では過去2年間に強制労働や人身売買が1481件報告されたとしている。
 国際反奴隷協会はこうした「現代の奴隷」が世界で数百万人いるとして啓発活動を行っている。アジアでは、脱北して中国に潜む女性がブローカーに中国人との結婚や売春を強要されているという。北朝鮮は国全体が「奴隷国家」になっている上、逃げ出しても過酷な運命に遭っているのだ。
 「何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する」と定めた世界人権宣言が守られる日はいつだろうか。

◎イスラム過激団体と右翼衝突、約40人逮捕、ロンドン(2011年9月13日、朝日新聞)
 米同時多発テロの追悼式典が開かれたロンドンの米国大使館近くで11日、反米を掲げるイスラム過激団体と反イスラムを主張する右翼団体が衝突。ロンドン警視庁によると双方の約40人が逮捕された。
 イスラム過激団体の約100人が集まり、米国旗を燃やして抗議。その後、2人が右翼団体メンバーに刺されて負傷したという。イスラム過激団体の主張に反対するイスラム教徒による行進もあった。

◎英暴動、フェイスブックであおり禁錮4年、男2人に厳罰(2011年8月18日、朝日新聞)
 英中部チェスターの裁判所は16日、暴動が広がるさなかに交流サイトのフェイスブックで暴動をあおったとして、チェシャー州在住の20歳と22歳の男に禁錮4年の実刑判決を言い渡した。暴動は起きなかったが、同様の行為に対する「抑止力になる」とした。
 英メディアによると、20歳の男は、マクドナルドを待ち合わせ場所にして9日に英中部の町ノースウィッチで暴動を行うよう呼びかけた。しかし、ネット上で警戒していた警察官しか現れず、逮捕されたという。
 暴動を巡っては、すでに約1300人が裁判所に出廷。裁判官は量刑ガイドラインにこだわらずに判決を下すよう助言を受けているとされ、ボトル入りの水をスーパーから盗んだ学生には禁錮6カ月が下された。弁護側や人権団体は「犯した罪に対する量刑が重すぎる」と批判している。

◎英国民、暴動再発防止に徴兵制復活論も(2011年8月15日、産経新聞)
 死者5人、2億ポンド(約250億円)の被害を出した英国の暴動は沈静化したものの、15日までに2300人以上が逮捕される事態となった。略奪には来年夏に開かれるロンドン五輪のボランティアやバレリーナも加わっており、規範意識を失う英社会の実像をさらけ出した。キャメロン首相はロンドン警視庁トップに米警察の助っ人を迎える考えを示し、暴徒の社会保障を取り消す厳罰主義を打ち出す。若者を鍛え直すため、「徴兵制を復活させよ」との声も上がる。
 英国で4夜続いた暴動を鎮めたのは、息子を亡くした父親の言葉だった。
 イングランド中部バーミンガムで10日、自衛のため商店を巡回していたパキスタン系移民の若者3人が暴徒の車にひき殺された。父親の1人が「誰も責めはしない。もう落ち着いて家に戻れ」と呼びかけたところ、警察が態勢を強化したこともあって暴動は潮が引くように収まった。
 暴動には仕事もせず学校にも行かない「ニート」の若者が参加していたが、教師や大富豪の令嬢、11歳の少女まで含まれていた。防犯カメラは、略奪したとみられるブランド品を笑みを浮かべて抱える白人女性を映し出し、ロンドン西部イーリングでは火炎ビンを踏み消そうとした68歳の老人が暴徒に殴り殺された。
 英紙フィナンシャル・タイムズは「笑いながら無法の限りを尽くす米映画『時計じかけのオレンジ』を思いだした」と論評した。
 罪に問われた子供の裁判を欠席する親も多く、英紙の多くは「貧困、失業、消費主義の問題を越えている。英社会は善悪の規範、倫理観、責任感を失った」と解説する。英世論調査会社のアンケートで回答者は(1)子育てのまずさ52%(2)ギャング団の横行47%(3)犯罪行為の蔓延(まんえん)46%(4)刑罰の軽さ45%−を暴動発生の理由に挙げる。
 世論は、前労働党政権時代に助長された子供や貧困層を甘やかす風潮にうんざりしており、警察力の強化、厳罰主義を求めている。
 1年後にロンドン五輪を控える英国の国際的評価は地に落ちた。保守党のキャメロン首相は、大衆紙盗聴事件で辞任したロンドン警視庁警視総監ポストに、米ニューヨーク市警、ロサンゼルス市警を本部長として立て直したブラットン氏を迎え入れる考えを示した。警察予算の2割削減は堅持する方針だ。
 ただし、警察職員組合の幹部は、警察の予算・人員の削減が今回の事態を招いたとして反対している。
 英BBC放送の日曜討論では、1960年まで続いた徴兵制を復活させ、英社会に対する若者の帰属意識を醸成した方がよいとの意見が多く寄せられた。

◎英国:暴動に強硬姿勢か、ソフトな対応か(2011年8月14日、毎日新聞)
 警官による黒人男性射殺に端を発した英国の暴動。ロンドン市内全域に暴動が急拡大した8日夜の事態を伝える英各紙の見出しは衝撃的だった。「警察が街を明け渡し、暴徒が支配」(タイムズ紙)「無秩序のまん延」(デーリー・メール紙)など、その批判は「警察の失敗」に向けられた。
 各地で「警官の数が十分でなく、彼らは何もしなかった」などの不満が噴出。英警察は通常、暴徒を直接攻撃せず「封じ込める」作戦をとっており、これが住民には「傍観」と映ったようだ。プラスチック弾などの使用も検討されたが、警察は9日になっても「いかなる戦術も十分に検討されねばならない」(ロンドン警視庁幹部)と慎重な姿勢を崩さなかった。拳銃を携行しないことで知られる英警察には「地域社会の協力に基づく警察活動」という伝統的にソフトな姿勢があり、「行き過ぎた対応」に常に厳しい批判がつきまとうことが背景にある。
 例えば80〜90年代に起きた黒人らの反警察暴動では、警察の「組織的な人種差別体質」が批判された。警官には不審者を呼びとめ、所持品検査をする権限が認められているが、黒人は白人に比べてその対象になる可能性が6倍とされる。警察と黒人コミュニティーには常に緊張があり、警官の対応が人種問題をあおりやすい土壌がある。また、09年のロンドンでの主要20カ国・地域(G20)サミットのデモ隊対応で、警官が男性1人を死なせたとして故殺(計画性のない殺人)罪に問われ、警備が強硬過ぎると批判された。
 キャメロン首相は、不審者らに覆面を外させる命令など、より強い権限を警察に与える方針を示したが、こうした対応には人種差別問題をあおり、逆に暴動の土壌を醸成しかねない危うさがある。
 英・ロンドン研究所のロジャーズ所長は「1年後のロンドン五輪に向け、政府と警察は治安を掌握していることを国際社会に証明しなければならない」と話すが、英当局はジレンマを抱えながらの対応を迫られそうだ。

◎英国:若者たち、大義なき暴動(2011年8月14日、毎日新聞)
 警官による黒人男性射殺に端を発した英国の暴動は13日、発生から1週間が経過し、ひとまず沈静化した。ロンドンを中心に約1600人の若者らが逮捕され、過去数十年間で最悪の事態となった暴動は、英社会に深い傷痕を残した。若者らはなぜ略奪、放火に走り、警察はなぜ有効に対処できなかったのか。背景を探った。

・人種、階層バラバラ 共通項は閉塞感
 「異なる(背景の)若者らが同じ行動を取るという新たな難題に直面している」。キャメロン英首相は11日の臨時議会で、事態を「新たなタイプの暴動」と位置づけた。今回の暴動は、英国が過去に経験した政治的不満や人種差別などを背景にした暴動とは異なり、動機や目的が不明瞭な「大義なき暴動」とも呼ばれている。
 暴動が沈静化し、英メディアは「どんな若者が暴徒だったのか」と自問している。逮捕されて裁判所に出廷した容疑者らは、裕福な女子大生やグラフィックデザイナー、小学校の補助教員、11歳の少年など人種も含めて一般化が難しいからだ。
 暴動の中身は大別して、略奪▽放火などの破壊行為▽警察への攻撃−−に3分類される。発端は、黒人男性射殺に対するロンドン北部での6日の抗議デモの暴徒化だったが、事態への警察のソフトな対応を見た若者らが簡易ブログ「ツイッター」などのソーシャルメディアでつながり、暴動が模倣犯的に拡大していった。その大半は略奪で、象徴的なのはスーパーからワイン1本を盗んで逃げる少年や、盗んだ衣類の「サイズを間違えた」と店に戻った若者らの姿だ。盗品は日用品が中心で、途上国型の略奪に近い。暴動に火をつけたロンドン北部トットナム地区や東部ハックニー地区などは失業者や貧困層の多い地域だけに、先進国・英国の中の「途上国」の反乱とも言える。
 英・社会正義研究所のプール所長は「彼らは希望を持てず、失うものは何もないと感じている」と指摘する。キャメロン首相らは暴徒を犯罪者と断罪するが、暴動を生んだ全体状況として、社会階層の上昇の機会から取り残された若者らの閉塞感、失業、経済格差の拡大などの問題があるのは間違いない。
 問題の根深さを示すのは、一般社会から断絶した若者らの不満を背景に広がるギャング(暴力的犯罪集団)文化だ。ロンドン警視庁の07年調査では、市内に250を超えるギャング組織が存在するといい、今回の暴動拡大でもギャング組織が中核的な役割を果たしたとの指摘もある。
 また「新たなタイプの暴動」で目を引くのは、事態の展開の速さだ。暴動は中部バーミンガムなど各地に野火のように広がったが、ほぼ4日間で収束。ネットを介した「非政治的な暴動」は熱しやすく、さめやすいようだ。

・英国での主な暴動
80年 4月 ブリストルで警察の家宅捜索をきっかけに暴動
81年 4月 ロンドンで警官による黒人迫害を機に暴動
81年 7月 リバプールで収監中の青年が虐待されたとして暴動
85年10月 ロンドン・トットナム地区で若者たちと警官が衝突
90年 3月 ロンドンで人頭税反対を訴えるデモが暴徒化
99年 6月 ロンドンで反資本主義デモが機動隊と衝突
01年 5月 メーデーに反資本主義者たちが暴徒化
09年 4月 ロンドンでG20サミットに抗議する若者らが機動隊と衝突
10年11月 ロンドンで大学学費値上げに反対するデモの一部が暴徒化
11年 8月 ロンドンの大規模暴動がバーミンガムなどに拡大

◎英暴動、逮捕者急増で刑務所「満杯の危機」(2011年8月13日、産経新聞)
 英司法省は12日、イングランドとウェールズ地方の刑務所の収容者数が12日、過去最多を記録したと発表した。英国各地で6日夜から発生した暴動で多数の若者が禁錮刑を受けたことが一因とみられる。
 警察の捜査に伴い、逮捕者はうなぎ上りに増えており、これまでに1600人以上に上る。刑務所が満杯になる懸念も出ており、キャメロン首相は10日「必要になれば、政府には収容場所を用意する義務がある」と述べ、対策の必要性に言及した。
 司法省によると、12日時点の収容者数は8万5931人で、暴動が起きる前の今月5日と比べ約400人増えた。
 空いているのは約2千人分。英メディアによると、司法省は「今後、暴動で禁錮刑を受ける者が増えても十分足りる」としているが、2人部屋に3人収容するなどの案も検討されている。

◎英暴動が沈静化、首相の警官削減方針に反対の声(2011年8月12日、読売新聞)
 首都ロンドンから中部の主要都市に拡大した英国の暴動は、10日夜から11日は大きな混乱は伝えられず、6日夜の発生から4日を経て沈静化しつつある。
 警官を最大限に動員したことが決め手となったが、キャメロン政権は警官の人員削減計画を進めており、与党内からも計画に反対の声が上がり始めた。首相は11日の下院審議で、軍が暴動鎮圧で警察に協力する可能性まで提起するなど対応に追われている。
 首相は11日、暴動への対応協議のため、夏休み休会中に緊急招集された英下院で「治安回復に向け、大きく前進中だ」と宣言。引き続き秩序回復に向け、全力を尽くすと決意表明した。最大限の警官配置により、11日午前までの逮捕者は1200人を超えた。
 こうした現実を受け、議会では警官の数を2015年までに1万1000人以上削減する政府方針に反対する声が相次いだ。最大野党・労働党のミリバンド党首は「警官削減を再考すべきだ」と首相に迫った。
 野党だけではない。キャメロン首相に近い与党・保守党のボリス・ジョンソン・ロンドン市長も9日、市内で略奪があった地域を視察後、「削減はやめるべきだ」と首相に反旗を翻した。連立相手の第2与党・自由民主党もこれに同調する姿勢を見せている。

◎英国暴動の背景に「不良グループ文化」? 略奪や破壊に便乗、警官も傍観(2011年8月12日、産経新聞)
 英国の暴動の原因が政府の緊縮財政政策にあると考えている英国民はわずか8%。8月11日発表された英国民への世論調査結果で、国内の不良グループ文化が騒動に便乗したことが背景にあることが明らかになった。フランス通信(AFP)が伝えた。
 調査は英大衆紙サンと世論調査会社ユーガブが8〜9日に2534人を対象に実施。失業問題が主な原因との回答や、人種間の対立が背景にあるとの回答もそれぞれ5%程度にとどまった。
 一方、42%が犯罪行為の蔓延(まんえん)、26%が不良グループの台頭を理由に挙げた。
 デービッド・キャメロン首相の対応については、57%が不満を示した。ロンドン市のボリス・ジョンソン市長の対応についても54%が不満だと答えた。暴動が始まったとき時、2人は休暇中で、ロンドンに戻ったのは3日後だった。

◎放火容疑で少年3人逮捕、ソニー倉庫火災で英警察(2011年8月12日、産経新聞)
 英ロンドンでの暴動を捜査しているロンドン警視庁は11日、暴動に伴い、ソニーの現地法人倉庫で8日夜から9日未明にかけて起きた火災に関し、放火などの容疑で、17歳〜18歳の少年3人を逮捕したことを明らかにした。
 うち1人の17歳の少年は保釈されたが、残る2人は拘束されている。
 ロンドン北部エンフィールドにある同倉庫で発生した火災について、ロンドン警視庁は目撃証言などから放火の疑いがあるとして捜査していた。BBC放送は9日未明に火災の発生を伝えていたが、警視庁は8日夜に出火したとしている。
 ソニーによると、倉庫は製品の保管や荷造り作業をする拠点で、出荷前のDVDやCD、ブルーレイディスク(BD)などの製品が保管されていたが、大部分が焼失した。けが人などの人的被害はなかった。

◎損害250億円超、英保険業協会が試算(2011年8月12日、産経新聞)
 英国保険業協会は11日、英国各地で起きた暴動で、保険会社に「2億ポンド(約250億円)超の損害」が生じるとの試算を発表した。
 同協会は9日の時点で、暴動によって保険会社に少なくとも数千万ポンドの損害が生じる見込みだと発表していたが、大幅に上方修正した。同協会は11日時点でも、正確な損害額を出すのは時期尚早との考えを示した。

◎略奪野放し、到着遅れた警察に市民らヤジ、襲撃SNS、暗号化で追跡困難(2011年8月11日、産経新聞)
 英国各地で起きている暴動を受け、英国のインターネットショップで野球のバットや警棒を購入する人が急増している。住民が略奪などから自衛策のため買い求めているとみられ、4夜連続の無法行為に市民の怒りはピークに達している。ロイター通信が伝えた。

・到着遅れた警察にヤジ
 ジョンソン・ロンドン市長が暴動の被害を受けたロンドン南西部クラパムジャンクションを訪れると、市民から「何をやっていたんだ!」とやじが飛んだ。警察の到着が遅れ、若者の略奪を野放しにしたことに市民は憤っている。
 ロンドンの商店主はショーウインドーをベニヤ板で覆ったり、ガソリンスタンドを閉鎖するなど防犯対策を強化しているが、商店主らはこうした対策では不十分と判断しているようだ。
 インターネット小売り大手アマゾンの英国向けサイトでは、暴動が拡大した8日以降、伸縮する特殊警棒や野球バットの売り上げがランキングで急上昇している。
 暴動をめぐっては、ロンドンだけでなく、警察の現場到着が遅れるなど、当局の対応が後手に回ったことに各地の住民の不満が募っている。全国的にこうした不信感が商品購入につながっているわけだ。
ネット情報で連鎖反応
 略奪目的の若者は携帯電話ブラックベリーの伝言サービスを利用して量販店や商店を襲撃。インターネットの交流サイト「フェイスブック」なども駆使し、連鎖反応を起こして暴動が急速に拡大するという、アラブ諸国の民主化運動との類似性が見られた。
 英政府は、中東の独裁的な政権を批判し、「アラブの春」と呼ばれた民衆のデモを支持していたが、事態の展開の速さに追いつけず、中東の独裁政権と同じ苦汁をなめる皮肉な結果となった。ただ、中東でのデモが政治変革を求めた運動だったのに対し、ロンドンでの暴動は略奪や破壊行為自体が目的化した点が異なるといえそうだ。

・暗号化で追跡困難
 ブラックベリーでは、メールなどのデータが暗号化されるため、当局の追跡が難しいとされる。英メディアによると、下院の議員からは、運営会社に対し、メールサービスの一時停止を求める声も上がった。
 運営会社側は警察への協力姿勢は示したが、サービス停止は拒否。一方、運営会社のシステムが9日、ハッカー集団に不正侵入され、警察に協力しないよう脅迫を受けるトラブルもあった。
 フェイスブックを使ったやりとりでは、警察が9日、暴動をあおった疑いで少年(16)を拘束。その一方で、ロンドン市内では9日、短文投稿サイト「ツイッター」での呼び掛けに応じて数百人のボランティアが、破壊された町を清掃する一幕もあった。

◎ロンドンの暴動で日本人女性負傷、十数人に囲まれ転倒(2011年8月11日、朝日新聞)
 英国・ロンドンで起きた暴動で日本人が負傷していたことが10日わかった。日本大使館によると、ロンドン東部シルバータウンで8日夜、30代の日本人女性が暴動に加わっていた若者十数人に囲まれてもみ合いになり、転倒して頭を負傷した。所持品を奪われたが、軽傷だという。
 6日にロンドンで始まった暴動は9日夜に英中部の各都市に広がったが、10日夜は大きな暴動は報告されていない。

◎英暴動、略奪防止ボランティアひき逃げされる(2011年8月10日、読売新聞)
 キャメロン英首相は10日、記者会見し、ロンドンから英中部に拡大した暴動で、6日以来の逮捕者が1000人を超えたことを明らかにした。
 内訳はロンドン約750人、バーミンガム約160人、マンチェスター約100人、ノッティンガム約80人など。現在、路上監視ビデオの映像から暴徒の特定を進めており、今後、逮捕者はさらに増える見通し。
 首相はこの日、2日連続となる緊急閣議を開き、暴徒鎮圧のために警察が高圧放水銃を利用することを認めるなど、全土で治安回復に全力を挙げる姿勢を改めて示した。休会中の英下院も11日に緊急招集され、暴動への対応を討議する。
 英第2の都市バーミンガムでは10日未明、イスラム系の男性3人が車にひき逃げされ死亡した。3人は商店街を略奪から守ろうと集まった有志だった。BBC放送によると、地元警察は殺人容疑で32歳の男を逮捕した。

◎ソーシャルメディアで英の暴動あおった疑い、若者ら逮捕(2011年8月10日、朝日新聞)
 英国で9日、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル(交流)メディアを通じて暴動をあおったとされる若者の摘発が始まった。一方、フェイスブックでの呼びかけで、割れたガラスの片づけに集まった市民の姿もあった。
 警察当局によると、南部ケント州の18歳の男女を暴動を扇動した容疑で逮捕したほか、北部スコットランドや南西部ドーセット州でも若者を逮捕した。短期間で暴動が飛び火した背景にソーシャルメディアを用いた暴動参加の呼びかけがあったとして、各地の警察が監視を強めていた。
 一方、英メディアによると中部リバプールでは9日朝、フェイスブックでの呼びかけで市民約100人がほうきを手に集まり、前夜の略奪で割れたガラスを片づけたという。

◎英暴動拡大、ロンドン勤務全警官の休暇取り消し(2011年8月10日、読売新聞)
 英国の首都ロンドン周辺で始まった暴動は、9日未明にはリバプールなど他の主要4都市にも飛び火し、英社会を揺るがしている。
 暴徒の大半は低所得層の10代の少年だ。略奪の横行と放火が4日目に入る中、対応が後手に回る政府と警察に国民の批判が集まっている。
 夏休みを切り上げてイタリアから帰国したキャメロン首相は9日午前、緊急閣議を開いた。閣議後、首相は記者団に「秩序回復のため、あらゆる手段を講じる。犯罪に関与した者を捜し出し、厳罰に処す」と述べ、ロンドンで勤務する全警官の休暇を取り消し、警備にあたる要員を6000人から一気に1万6000人に増やす方針を示した。
 暴動の発端はロンドン北部トッテナム地区で4日夜、無職の黒人男性マーク・ダガン氏(29)が警官に射殺された事件だ。遺族が6日夜、死亡時の状況説明を求めて同地区の警察署を訪れたところ、群衆が集まり略奪と放火に発展した。警察は同氏がジャマイカ系ギャング集団に所属し、麻薬や銃取引に関与していたとみているが、家族は全面否定し、「人種差別だ」と猛反発している。

◎英暴動、破壊と略奪目的、政治性うかがえず(2011年8月10日、読売新聞)
 英国で野火のように広がった暴動は、英国を揺るがした1980年代の一連の暴動と類似点もあるが、本質は異なる。
 80年代の暴動が警察による人種差別に対する地域社会の反抗という政治性を帯びていたのに対し、今回の暴動には政治性がうかがえず、破壊と略奪を目的としているようだ。
 今回の暴動の発端となったトッテナムなど暴動が起きた地域の多くは、80年代にも暴動が起きた地域だ。黒人を含む移民やその子孫が多く住む貧困地域で、失業率は全英平均(7.9%)や22%近い若者失業率をさらに上回るとみられる。
 だが、80年代は暴動の起きた地域ごとに警官による住民虐待事件が発生するなど、それぞれに具体的な直接の原因があった。また、暴動は数千人規模に拡大し、人種差別を対立軸とした「警察対地域社会」という敵対構図が鮮明だった。
 今回、トッテナム暴動の遠因は警官による黒人男性射殺事件だが、大半の地域住民は、一部の黒人らが加担する銃の密売を警察が取り締まることに協力している。ザ・タイムズ紙(9日付)は「警察と地域社会の戦いは起きていない」と指摘する。しかも、暴動が瞬く間に飛び火した地域では引き金となる具体的な事件は起きていない。暴動の規模は数百人と小規模で、貧困層に属するとみられる白人も加担している。

◎英の暴動、マンチェスターにも、ロンドンは鎮静(2011年8月10日、読売新聞)
 英主要都市で発生した暴動は9日夜(日本時間10日未明)、中部の工業都市マンチェスターや西郊のサルフォードなどに拡大した。低所得層の若者らが商店を襲撃、放火するなどし、警察は両都市で少なくとも47人を逮捕した。
 BBC放送によると、中部バーミンガムなどでも略奪や放火、警官隊との乱闘が続いた。
 一方、ロンドンには通常の3倍近い1万6000人の警官が投入され、おおむね平静を取り戻している。

◎ロンドン暴動、全国に飛び火、若者たちが放火や略奪(2011年8月10日、朝日新聞)
 英国・ロンドンの暴動が全国に飛び火している。9日、主要都市で若者たちによる放火や略奪が相次ぎ、ロンドン南部クロイドンでは建物が炎に包まれた。失業や歳出削減に対する若年層の不満が、暴動に拍車をかけている。

◎マンチェスターなどでも略奪、ロンドンは厳戒態勢(2011年8月10日、朝日新聞)
 ロンドンで始まった英国の暴動は9日、マンチェスターやバーミンガムなど中部の複数の都市に拡大した。ロンドンでは厳戒態勢が敷かれ、大きな騒乱はなかった。
 マンチェスターの中心部では9日午後、数百人の若者が店舗に押し入って商品を略奪したり放火したりした。BBCによると、ノッティンガムなどでも暴動があった。
 ロンドンでは9日、警察官1万6千人が出動し、各地の商店街でものものしく警戒。多くの商店やショッピングセンターは通常より早く閉店。一部の店は終日休んだ。

◎ロンドン各地で暴動発生、商店の放火、略奪相次ぐ、200人超逮捕(2011年8月9日、産経新聞)
 ロンドン北部トットナムで4日、黒人男性が警官に射殺された事件を発端に6日夜起きた暴動が8日、ロンドン各地や英中部バーミンガム、リバプールに拡大した。黒人の若者を中心に警察車両を破壊し、商店を略奪、放火するなど暴徒化している。英警察当局は215人を逮捕した。キャメロン英首相はイタリアでの夏休みを切り上げ、治安回復に全力を挙げる。
 暴動の背景には黒人社会と白人中心の警察の対立がある。トットナムでは1985年に警察の家宅捜索中に黒人女性が突然死した事故を引き金に暴動が発生、警官が群衆に40カ所刺されて死亡する事件が起きたことがある。
 今月4日、トットナムで薬物密売を捜査中の警官がタクシー運転手の黒人男性マーク・ダガン氏(29)を射殺。警察側はダガン氏が短銃で先に発砲したと説明したが、納得できない家族や友人ら200人が6日、抗議デモを行った。
 同日夜から7日未明にかけて一部の若者が火炎ビンや花火を投げ始め、パトカーとロンドン名物の2階建てバス、商店が炎上し、パソコンショップが略奪された。警官26人が負傷した。
 ソーシャル・ネットワーキング・サービスを通じた呼びかけで若者らが8日、クロイドン、クラパムジャンクション、ルイシャム、ペッカムなどロンドン各地やバーミンガム、リバプールに集まって暴徒化、放火や略奪を繰り返している。
 英国では金融・経済危機の後遺症で失業者は245万人を数える。しかし、失業給付など財政支出が切り詰められ、低所得者層に不満がたまっている。その上薬物密売など黒人居住区の治安が悪化し、警察の取り締まりが強化されたことも「黒人を犯罪者扱いしている」として黒人社会と警察の緊張を高めていた。
 メイ内相やボリス・ジョンソン・ロンドン市長も夏休みを打ち切り、対策に追われている。キャメロン首相は「コブラ」と呼ばれる緊急閣議を開き、事態収拾策を検討する。ロンドンでは来年7月開幕の五輪を控え、施設整備やボランティア募集が進められており、治安の改善が迫られる。

◎経済低迷、希望失った若者、80年代以来の暴動に英国衝撃(2011年8月9日、産経新聞)
 英国の若者らの暴動は8日、低所得者層が多く住むロンドンの数カ所の地域だけにとどまらず、第2の都市バーミンガムなどに拡大。「1980年代以来の暴動」(BBC放送)に英社会は大きな衝撃を受けている。
 若者が暴徒化した背景には、2008年の金融危機から続く経済低迷により「多くの若者が将来への希望を失っている」(リビングストン前ロンドン市長)現実がある。
 金融危機への対応で急速に悪化した国家財政を立て直すため、キャメロン政権は社会保障費を含めた大胆な歳出削減を断行。失業率が高止まりを続ける一方で、失業手当の受給資格の厳格化なども進む。前市長は「就職などで希望を持てない若者は、後先どうなっても構わないと考えている」と指摘している。

◎ソニーの倉庫で火災、DVDなど製品焼失(2011年8月9日、産経新聞)
 ソニーは9日、同日未明(現地時間)にロンドン北部エンフィールドで発生した暴動に伴う火災で現地法人の倉庫に保管していたDVDなどの製品の大部分が焼失したとみられると明らかにした。人的被害は確認されていないという。
 保管していたのは出荷前のDVDやCD、ブルーレイディスク(BD)など。倉庫は製品の保管や荷造り作業をする拠点だという。倉庫も被災しており、被害の状況や損失額を確認中だという。

◎ロンドンで若者が暴動、ソニー関連施設で大火災(2011年8月9日、読売新聞)
 英国のロンドンで8日夜から9日未明にかけ若者らの暴動が拡大し、商店の略奪や警察車両の放火が相次いだ。
 BBC放送は9日、暴動に伴い、ロンドン北部エンフィールドのソニー系列の流通センターで大規模な火災が発生したと報じた。暴動は中部バーミンガムやリバプールにも飛び火している。キャメロン首相は9日に政府の緊急対策会議を開くことを決め、イタリアでの休暇を切り上げてロンドンに向かった。
 暴動は、ロンドンのトッテナム地区で6日、黒人男性が警官に射殺されたことに抗議する群衆デモが暴徒化したことに端を発し、主に低所得層が多く住む地区に広がっている。3日連続となるロンドンでは8日、五輪の主会場に近いハックニー地区のスポーツ店や酒屋が略奪され、南郊のクロイドンやクラッパムでも、百貨店が略奪されたりビルが放火されたりした。ロンドン名物の2階建てバスを含む多数の車両に火が付けられた。

◎ロンドン暴動、各地に拡大、五輪競技場近くでも略奪(2011年8月9日、朝日新聞)
 警察官による黒人射殺事件に端を発した若者による暴動が8日、ロンドン市内各地に拡大。ロンドン五輪のメーン競技場に近い東部ハックニーなどで店舗の略奪や車への放火が起きたほか、英中部のバーミンガムやリバプールでも店が壊された。五輪開催まで1年を切っており、治安への懸念が高まるのは必至だ。
 五輪メーン競技場から2.5キロのハックニーでは8日夕、フードで顔を隠した数百人が集結。店やトラックを壊して商品を略奪したり、バスや警察車両などに放火したりした。南部ブリクストンやペッカムなどでも放火や略奪があり、路上の車への放火はロンドン市内全域で起きている模様だ。BBCによると、9日未明には市北部のソニーの倉庫から出火した。
 ロンドン北部トットナムで警察官に29歳の黒人男性が射殺され、警察への抗議活動が6日に暴徒化。これを発端に暴動は近隣地区に波及し、7日夜には百貨店やブランド店が集まる都心の商店街でも約50人が店舗などに投石した。

◎ロンドン北部で暴動、警官8人負傷、略奪も(2011年8月7日、産経新聞)
 ロンドン北部トットナムで6日夜から7日未明にかけ、警官による地元男性の射殺に抗議する群衆の一部が暴徒化。英BBC放送などによると、警官8人が負傷、商店などが略奪されたほか、BBCの車両も襲撃された。
 群衆は約300人で、警察署前に集まり、射殺事件の調査や関係者の処分などを求めていた。一部が火炎瓶や花火などを投げ始め、パトカー2台とロンドン名物の2階建てバス1台、商店の一部が炎上した。
 射殺されたのは黒人男性マーク・ダガンさん(29)。4日、ロンドン北部の路上で、警察がダガンさんを追跡中に銃撃戦が発生、死亡した。ダガンさんの容疑は明らかにされておらず、ダガンさん自身が発砲したかどうかは調査中。
 英メディアによれば、トットナムは低所得の多様な人種が集まる地区で、反警察意識が強い。AP通信によると、1985年にも暴動があり、約60人が負傷した。

◎黒人射殺で暴徒化、警官26人負傷、ロンドン(2011年8月7日、読売新聞)
 英ロンドン北部の、低所得者層が多く住むトッテナム地区で、6日夜から7日未明にかけ、警官による黒人男性射殺に抗議していた群衆の一部が暴徒化し、商店や銀行を略奪したり、警察車両やバスに放火したりする騒ぎとなった。
 警官26人が負傷した。
 ロイター通信によると、群衆約200人が警察署前に集まり、4日に起きた射殺事件についての説明などを求めていたが、そのうち一部が火炎瓶を投げ始めて暴動になった。

◎英大衆紙盗聴:問われる癒着関係、「自主規制」転換も(2011年7月30日、毎日新聞)
 英日曜紙として最大発行部数を誇った大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」が10日、盗聴事件の責任を取って廃刊し、創刊168年の歴史に幕を閉じた。メディア王ルパート・マードック氏傘下の同紙の盗聴事件は、「マードック帝国」と政界、警察の癒着をあぶり出して一大スキャンダルに発展。その余波で、英国伝統のメディアの「自主規制」は歴史的な転換を迫られている。
 キャメロン首相は13日の議会答弁で過去4年近くも盗聴の全容解明がないがしろにされてきた原因として、「警察官の汚職」と「政治の失敗」に言及した。政治、警察という国家システム中枢とメディアの癒着がもたらした犯罪の放置だと認めた形で、英社会に強い衝撃を与えた。
 政府は、事件の真相究明と報道規制改革を課題に二つの調査委員会を設置し、再発防止策を探り始めた。報道規制では1年をめどに改革案の勧告を受ける予定で、現行のメディアの自主運営機関「報道苦情委員会」は廃止され、独立した組織による規制、管理強化が避けられない見通しだ。
 「報道の自由」を尊重する英国では、メディアの自主規制は戦後、何度か危機に直面しながらも堅持されてきた。現在の苦情委員会は、記者が有名人の病室に侵入するなど80年代の大衆紙の行き過ぎた取材への批判と反省から、91年に前身の「報道評議会」に取って代わったものだ。その際、メディア側はそれまで拒否してきた報道の「倫理規約」を設けるという譲歩を強いられている。
 「苦情委員会はメディアに与えられた自主規制の最後のチャンスだった」(業界紙プレス・ガゼットのドミニク・ポンスフォード編集長=別稿参照)。その苦情委員会は09年にワールド紙の盗聴疑惑を調査していたが、捜査が終了(07年)した盗聴事件以外に「新たな盗聴を疑う証拠はない」と報告していた。このため、メディアの自主規制は「失敗した。独立した全く新しいシステムが必要だ」(キャメロン首相)と結論づけられた。
 苦情委員会は市民からの苦情を調査し、問題の解決を仲介する役割を担う。しかし、その権限は弱く、調査ではメディア側の「説明」を聞いているのが実態のようだ。
 新たな監視体制では、調査に強制力を持たせ、記者を業界から追放するなどの権限も与える必要性が説かれており、メディア側は報道の自由や調査報道への悪影響を警戒している。
 一方、警察が当初十分な捜査をせず、政治家が盗聴疑惑に「目をつぶった」(キャメロン首相)背景では、マードック氏にメディアの集中を許したことが批判されている。盗聴問題を追及してきたクリス・ブライアント議員は「事件の根底にあるのは、マードック氏が主要な新聞とテレビを保有し、その力を乱用しようとしてきたことだ。彼らは、自分たちを批判する者を脅してきた」と主張する。
 マードック氏は英国で大衆紙サンや高級紙タイムズなどを傘下に置き、新聞市場の35%以上を占有。大手衛星放送BスカイBの最大株主でもあり、今後の改革では「メディア保有」にも規制が設けられる見通しだ。英シティ大学のジョージ・ブロック教授は「英国にはメディアの寡占を規制する適切な制度がないことが問題だ。今回の事件で政府はようやくそのことに気付いた」と指摘する。
 当然ながら、批判の矛先は主にメディアに向かっている。しかし一方で、ワールド紙元編集長を官邸報道局長として重用していたキャメロン首相ら、マードック帝国にすり寄っていった政治家の倫理問題こそ問われるべきだとの声も強い。

・はびこる探偵利用
 「我々は大方の新聞と同じように私立探偵を雇っていた」。レベッカ・ブルックス元ワールド紙編集長=逮捕・保釈中=は19日の議会証言でこう述べ、探偵の利用は他紙でも一般的だったと主張した。あるメディア関係者は「探偵には好ましくない仕事をやってもらえるし、情報源を厳しく問わなくても済む」と探偵を使う“効用”を説明する。
 英メディアでは、住所や電話番号などの“調査”にたけた私立探偵が重宝されてきた。また、違法に取得された運転免許証や犯罪歴、銀行口座などの個人情報の「闇市場」も存在するという。
 政府から個人情報保護の監督を委任されている独立機関「情報コミッショナー」の06年調査報告書は、32紙誌の記者305人が02〜03年に闇市場で情報を買っていたと明かしている。その大半は大衆紙だが、高級紙タイムズやデーリー・メール、高級日曜紙オブザーバーなども含まれている。
 違法性のある情報の取得が広く行われていた背景の一部には、読者の新聞離れが進む中でスクープ合戦が激化している事情もあるようだ。日本のように宅配制度が根付いていない英国では、売店に並んだ1面の大見出しが売れ行きを左右する。02年の少女誘拐殺人事件の盗聴に関わったワールド紙の私立探偵は「常に結果を求められる圧力があった」と釈明している。
 発行部数第3位の大衆紙デーリー・ミラーも、盗聴疑惑を指摘されて内部調査を始めた。ワールド紙の事件発覚前はより広く盗聴が行われていたとの指摘は多く、事件が他紙に拡大する可能性も十分にありそうだ。

・ニューズ・オブ・ザ・ワールド盗聴事件
 携帯電話の留守電メッセージを盗聴する手法で、有名人を中心に被害者は最大4000人に上る可能性がある。ワールド紙が05年にウィリアム王子のひざのけがを報じたことが盗聴発覚の端緒。その事実を知る関係者は限られていたため盗聴が疑われ、記者と実際に盗聴した私立探偵の2人が07年に実刑判決を受けた。事件はいったんは収束したが、警察が今年1月、新証拠の浮上を受けて再捜査を開始。7月初め、誘拐殺人事件(02年)の被害少女や戦争・テロの遺族らの携帯電話も盗聴されていた疑惑が表面化。盗聴の全体像が隠されてきた背景として、「マードック帝国」と政界、警察の癒着が批判されている。

◎ロンドンで反「緊縮財政」デモ、一部暴徒化、66人けが(2011年3月27日、朝日新聞)
 英政府の緊縮財政と公費支出削減に抗議するデモが26日、ロンドンであり、25万人以上が参加した。夜にかけて一部の参加者が暴徒化してホテルや銀行を襲い、警官隊と衝突。66人がけがをし、214人が逮捕された。
 ロンドンでのデモとしては2003年のイラク反戦デモ以来の規模。労組の全国組織が呼びかけた。

◎ロンドンで25万人デモ、一部暴徒化、投石や放火、200人以上逮捕(2011年3月27日、産経新聞)
 ロンドンで26日、英政府の緊縮財政策に反対する労働組合員らによる大規模抗議デモがあり、一部が暴徒化、放火や投石などで市中心部が一時大混乱に陥った。
 デモには約25万人が参加。暴徒化した集団は銀行やホテルなどの窓ガラスを割ったり、バスにも投石。深夜にはトラファルガー広場周辺で放火を繰り返した。
 BBC放送によると、ロンドン警視庁は200人以上を逮捕した。
 ロンドンでのこれほどの大規模デモは、2003年のイラク戦争反対デモ以来だという。

◎マック、スタバも、消費税率上昇の英国、便乗値上げ横行(2011年1月7日、スポーツニッポン)
 財政再建に取り組むため、日本の消費税に当たる付加価値税を4日に2.5%引き上げ20%とした英国で、税率上昇分を上回る便乗値上げが横行、中には20%超の値上げを実施した例もあった。
 日本でも菅直人首相が消費税率引き上げを含めた税制改革に意欲を示しているが、引き上げが実施されれば便乗値上げ対策が課題となりそうだ。
 デーリー・テレグラフ紙によると、税率上昇が適正に価格に転嫁された場合、小売価格の上昇は2.1%。だが、マクドナルドのハンバーガー「ビッグマック」は4.2%上がって2.49ポンド(約320円)に。増税分だけの上乗せなら2.44ポンドにとどまった計算だ。
 スターバックスを含むコーヒーチェーン各社は、多くの商品を4〜5%値上げ。あるスポーツバーでは、ビール1杯(約570ミリリットル)が3.80ポンドと22.6%上昇。携帯電話会社は通信料の一部を10〜20%引き上げた。
 専門家は、多くの小売業が景気低迷などでコストの上昇を価格に転嫁できずにいたと指摘。「増税はコストを回収するための格好な口実になる」と話している。
 英財務省は増税で、年間約130億ポンド(約1兆6700億円)の税収増を見込んでいる。

◎英刑務所で暴動、放火、飲酒検査が発端か(2011年1月3日、産経新聞)
 英ウエストサセックス州のフォード刑務所で大みそかの夜、一部服役囚が飲酒検査を拒否したことが発端とみられる暴動が起き、服役囚が居住する建物などが放火され一部が焼け落ちた。重傷者はいないもよう。英メディアが2日までに伝えた。
 英紙タイムズによると、同刑務所では酒の不正な持ち込みが横行。同刑務所の元服役囚は「週末の夜はみんなが酔っぱらっていた」と語った。英司法省は同日、管理体制を調査すると表明した。
 同刑務所は、服役囚が刑務所の外で働くことが認められた開放型の施設。タイムズによると、約500人の服役囚を6人で管理していた。大みそかに飲酒検査を拒否した服役囚を刑務官が追い掛けたのをきっかけに他の服役囚が暴れ始めたといい、危険を感じた刑務官らは刑務所から逃げた。
 暴動に関与したとみられる服役囚23人は、より警備体制が厳しい刑務所に移送されたという。

◎週末は“飲み放題”だった英刑務所 大みそかに大暴動(2011年1月3日、スポーツニッポン)
 英ウエストサセックス州のフォード刑務所で大みそかの夜、一部服役囚が飲酒検査を拒否したことが発端とみられる暴動が起き、服役囚が居住する建物などが放火され一部が焼け落ちた。重傷者はいないもよう。英メディアが2日までに伝えた。
 英紙タイムズによると、同刑務所では酒の不正な持ち込みが横行。同刑務所の元服役囚は「週末の夜はみんなが酔っぱらっていた」と語った。英司法省は同日、管理体制を調査すると表明した。
 同刑務所は、服役囚が刑務所の外で働くことが認められた開放型の施設。タイムズによると、約500人の服役囚を6人で管理していた。大みそかに飲酒検査を拒否した服役囚を刑務官が追い掛けたのをきっかけに他の服役囚が暴れ始めたといい、危険を感じた刑務官らは刑務所から逃げた。
 暴動に関与したとみられる服役囚23人は、より警備体制が厳しい刑務所に移送されたという。

◎ロシアの女スパイを逮捕、英下院議員の助手と報道(2010年12月6日、産経新聞)
 英司法当局が英与党の下院議員の助手を務めるロシア人女性(25)をスパイ容疑で逮捕し、近く国外退去させると、5日付の英紙サンデー・タイムズが伝えた。冷戦終結後、英議会で働く人物によるロシアへのスパイ行為が判明したのは初めてという。
 同紙などによると、英情報機関、情報局保安部(MI5)が捜査を進め、2日に逮捕した。女性は連立政権の与党、自由民主党のハンコック議員(64)の助手を2008年から務めていた。ハンコック議員は、下院国防特別委員会のメンバーで、親ロシアとして知られている。
 同紙は、女性はロシア対外情報局(SVR)の要員とみられると伝えた。

◎英国やイタリアの学生デモが暴徒化、学費値上げに反対(2010年11月25日、産経新聞)
 金融危機の後遺症で欧州各国が財政に大なたをふるう中、学費値上げに反対する学生が英国やイタリアで議会に突入を試みるなど暴徒化した。財政危機で欧州連合(EU)などの支援を仰いだアイルランドは民意を問うため来年1月に総選挙を行うが、政権交代は必至の情勢だ。「不満の冬」が欧州に暗い影を落とす。
 キャメロン英政権は財政難を背景に、イングランド地方で大学の学費を年3290ポンド(約43万円)から9千ポンドに値上げする方針で、ウェールズ、北アイルランド両地方もこれに追従する見通しだ。
 英国では学生自身がローンを組んで学費を出すのが普通で、大学卒業時の借金が激増する学生らが「大学に通えなくなる」と反発。今月10日には、抗議行動で約70人が逮捕され、24日も議会などに学生数千人が集結、警察車両や財務省の窓ガラスを破壊した。警官隊との衝突で17人が負傷している。
 オックスフォードやケンブリッジなど少なくとも12大学に抗議活動は拡大。連立を組む自由民主党が学費の段階的無料化を選挙公約に掲げていたことも学生の怒りを増幅させている。
 イタリアからの報道によると同日、教育予算削減に反対する教員、大学生らのデモ隊数十人が「(ジェルミニ教育相は)辞めろ」と連呼、発炎筒や石、卵を投げながら伊上院に突入。学生2人が拘束された。中部フィレンツェでもデモ、集会が行われ、中部ピサでは橋が占拠され、交通機関が一時マヒした。

◎英国、中国のイチャモン受け付けず、ケシの花めぐる“歴史摩擦”(2010年11月11日、産経新聞)
 訪中しているキャメロン英首相ら英政府代表団が、胸に赤いポピー(ケシ)の花を付けていることに、中国側が「その花は不適切。アヘン戦争を思わせる」とクレームを付けた。アヘンの原料となるケシが、清朝が英軍に敗れたアヘン戦争(1840〜42年)を連想させるためだ。10日付英各紙が報じた。
 ポピーは第一次世界大戦の戦死兵への敬意を示すため、英国では11日の休戦記念日を中心に身に着けるのが習わし。同じ花をめぐり、異なる記憶が摩擦を生んだ形だが、英側はクレームを受け付けず、公式行事を続けた。
 第一次大戦での英国の戦死者は90万人ともいわれる。英政府当局者は「ポピーの花はわれわれにとって大変重要な意味があり、身に着け続けると(中国側に)伝えた」と話した。

◎ホテル:☆にご注意、英では独自格付け横行(2010年9月9日、毎日新聞)
 海外旅行でせっかくたくさん「星」の付いたホテルに泊まったのにがっかり、という経験はないだろうか。ホテル選びの指標となる「格付け」とは? 秋の旅行シーズンを前に調べた。【菅沼舞】
 ホテル選びの指標となる「格付け」は一般に「星」の数で示される。世界的な統一基準はなく、ヨーロッパでは英国やフランス、アジアでは韓国などの各公的機関がホテルを格付けしている。
 英国は政府機関であるイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの各観光局と自動車協会の5者で格付けを行う。
 部屋数や広さ、朝食提供の有無などの基準により「ホテル」「バジェットホテル」(日本で言うビジネスホテル)「ゲストハウス」に分類される。調査員が査定時に宿泊、格付け後も年1回は覆面で滞在しチェック。イングランド観光局の見積もりでは少なくとも国内の85〜90%は査定を受けているが、ロンドンではその割合が低い。

・三つ星のはずが
 しかし近年、イギリスではホテルが自己採点し、勝手に星を標榜(ひょうぼう)する「セルフ・アウォード」が横行し政府観光局を悩ませる。
 例えばロンドン屈指の高級住宅地の近くにあるレンガ造りのこぢんまりとしたホテル。日本や英国の複数の旅行代理店のウェブサイトは、きれいに整えられた客室の写真とともに「三つ星」と紹介し、ホテルも玄関付近に三つ星マークを掲げる。だが、星はホテルが独自に付けたものだ。
 歩き回るのも難しいほど狭い客室やゴミ置き場の横の客室があり公的基準を大きく下回る。ホテルの口コミ情報を掲載する大手ウェブサイトには、宿泊者から「二度と利用しない」と辛らつなコメントが寄せられている。
 イングランド観光局の担当者は「こちらが星を付けているのではないため、是正指導や星のはく奪はできない」と苦しい胸の内を明かす。ホテルを紹介するウェブサイトに、公式な格付けと「セルフ・アウォード」を区別して表示するよう勧告。旅行客には政府観光局のサイトから宿を予約するよう勧める。
 フランスは政府系機関の観光開発機構が格付け。以前は星ゼロから「四つ星デラックス」まであったが、09年に最高ランクを五つ星に変更。ただ、公式ホームページで「格付けの対象は設備や規模。星の数だけでいい、悪いを決めるのは短絡的」と呼びかける。
 また、韓国観光公社によると、韓国政府が規模などに応じて5段階に分類しているが、独自に星付けし、客に紹介する旅行会社の方が多いという。

・口コミを参考に
 日本には公的な格付け機関はない。旅行代理店やガイドブックを出版する会社が顧客や添乗員から寄せられた情報などを基にホテルを格付けしているが、代理店間で評価にばらつきはないという。
 大手旅行代理店の営業担当者は「星は結構いいかげん。現地で部屋を確認してから宿泊を決めることが最も失敗がない」とした上で、「格付けには、その国の文化や習慣が影響する。日本人は古い建物に慣れない一方、外国人は日本の畳や風呂の生活を不快に思うこともある。星に抱くイメージも異なるので、実際に利用された方の『口コミ』を参考にされた方がいい」とアドバイスしている。

◎英ストリッパーの25%が大卒、高収入で辞められない人も(2010年8月31日、産経新聞)
 英国のラップダンサー(客の膝の上で踊るストリッパー)の4人に1人が大学の学位を持ち、そのうちの大部分が高収入から仕事を楽しんでいるとする学術報告を、英大学の研究者が発表した。
 この報告は、リーズ大学の研究者が300人のストリッパーから聞き取り調査をしてまとめたもの。それによると、25%が学位を取得しており、一方で14%が学士号、6%が修士号を取得するための学費稼ぎに働いているなど、現在何らかの教育を受けているダンサーの割合は3分の1に上った。
 1日の平均手取り額は232ポンド(約3万円)で、年収は2万4000ポンドから4万8000ポンドを得る人がほとんどだったという。
 ただ、比較的高い収入が得られることから、その仕事から抜け出せないダンサーもおり、研究者は英インディペンデント紙に「自分が望むより、長く仕事に就いている人もしばしばいるようだ」と話している。

◎暗号解読の英情報員が本部近くのアパートで変死、バッグに詰められ、謎深まる(2010年8月27日、産経新聞)
 映画「007」シリーズで知られる英情報局秘密情報部(MI6)の情報員がロンドン中心部にある自宅の風呂場で大型のスポーツバッグに詰められて死んでいるのが見つかった。そばに携帯電話や電話番号情報などが記録されたSIM(シム)カードが放置されていた。ロンドン警視庁の検視でも死因は特定されておらず、謎が深まっている。
 死んでいたのはガレス・ウィリアムズ氏(30)で、同氏が10日以上も姿を見せないことを不審に思った同僚らが23日、MI6本部から800メートル離れた自宅アパートを訪れ、遺体を発見した。死後2週間が経過しており、25日の検視で外傷は見つからず、死因は分からなかった。毒物や麻薬、アルコールが血液中に含まれているか調べている。
 27日の英大衆紙デーリー・メール(電子版)によると、同氏は数学の成績がずば抜けてよく、2000年にケンブリッジ大に入学。自転車部に入るなど大学生活を満喫していたが、翌年中退した。世界的な通信傍受ネットワークを英国で管轄する政府通信本部(GCHQ)に就職、昨年からMI6に出向しており、27日にはGCHQに復帰する予定だった。
 同氏は暗号解読を担当しており、再三、米国家安全保障局に出張、死亡する数週間前に米国への出張から帰国したばかりだった。家族にも仕事の内容については口を閉ざしていた。
 自宅アパートに同性愛者専門誌があり、携帯電話には同性愛者クラブの電話番号が入力されていたといわれ、同紙は「MI6での仕事と今回の不審死は関係ない」との内部関係者の見方を伝えている。

◎英の監視社会、反省ムード、人権重視の新政権が見直しへ(2010年8月3日、毎日新聞)
 「行き過ぎたテロ対策が、市民の自由を侵していた」―。そんな反省の機運が英国で高まり始めた。400万台以上といわれる監視カメラの設置や警察官による身体検査などの施策をめぐり、英政府は全面的な見直しを始めた。秋に具体策をまとめる。「治安優先」から「人権」へ、振り子がふれつつある。
 「英国の伝統である市民の自由と、治安対策とのバランスを回復する」。メイ内相(保守党)は7月中旬、異例の見直し着手を表明した。
 風向きが変わったのは今年5月、13年間続いた労働党政権が終わり、政権交代が実現したことがきっかけだ。
 なかでも、保守党と組んで第2次世界大戦後初の連立政権を発足させた自由民主党の存在が大きかった。同党はかねて、個人のプライバシーや人権問題に力を入れてきた。党首のクレッグ副首相は、前政権時代に「監視社会化」がすすんだと批判し、「市民をスパイする文化を終わらせる」とうたった。
 連立政権発足にあたっての協議で、保守党もこうした政策を見直すことに合意した。
 英国で監視カメラが増え始めたのは、都市犯罪が社会問題化した1990年代からだ。2001年に米国で起きた9・11同時多発テロや、05年のロンドン地下鉄テロも、その傾向に拍車をかけた。
 街角の至る所に監視カメラが設けられるようになった。有力な人権団体リバティーは450万台と推定する。「1人が1日に300回、姿を写される」といわれるほどだ。
 欧州議会の調査でも、ロンドンの監視区域は公的空間の40%と、18%のウィーンなど各国首都よりずば抜けて広い。顔認識技術を使ったり、個人を追跡したりするシステムも、日進月歩で採り入れられてきた。
 しかし、プライバシーとのかねあいや、巨額の費用に対する実際の効果のほどについて疑問の声があがっていた。
 6月には、英中部バーミンガムのイスラム系住民地区で、隠しカメラを含む約220台の設置が発覚。住民から「差別だ」と抗議され、警察はカメラの作動を止めた。
 内務省のブロッケンシャー政務次官(保守党)は行き過ぎを認め、「国民の信頼をつなぎとめるには(何らかの)規制が必要」との考えを示した。
 また、英国では00年に反テロ法が制定され、警官が通行人を呼びとめ所持品や身体を検査する権限が与えられた。ところが、しばしば平和的なデモの参加者が対象になり、昨年は、未成年者を含む25万人が調べられた。
 この身体検査に対して、「人権侵害だ」と批判する平和活動家が提訴し、欧州人権裁判所(フランス・ストラスブール)は今年1月、「権力乱用の歯止めがない」と違法判決を出した。メイ内相は7月、身体検査について「封印」を命じた。
 人権団体リバティー代表のチャクラバーティー弁護士は「私たちが10年間続けてきた批判がやっと実った」と話す。長年の論争相手だった内務省から、治安対策見直し作業への参加を求められ、「喜んで加わります」。テロ容疑者の行動制限命令や、団体規制も見直しの対象になるという。

◎喫煙率半減へ、パッケージは白い箱、自販機廃止、英検討(2010年2月8日、朝日新聞)
 英保健省が、大胆な禁煙政策によって現在人口の21%の喫煙率を今後10年間で10%に半減させる方針を打ち出した。年間約8万人にもなるたばこの害による死者と、医療費約27億ポンド(約3900億円)を大幅に減らすのがねらいだ。
 英国は、2006〜07年に屋内の公共空間を全面禁煙にするなど、過去10年間で喫煙者を約25%減らしてきた。
 1日発表された方針は、若者の喫煙防止に力を入れている。自動販売機の廃止や安い外国産たばこの密輸取り締まり強化のほか、たばこのパッケージを若者の目を引くブランド名のロゴのない白い箱にすることも検討され、一部地域で試験実施する案も出ている。個人宅や自家用車での禁煙も推進するという。
 また、禁煙を屋内から建物の入り口付近まで拡大することも検討。パブ(大衆酒場)などで、たばこを吸う客が店の前の通りをふさぐ状況が起きているためだ。
 たばこ業界の抵抗も予想され、具体化に難関も待ち構える。

◎あえぐ英国名物パブ、割安ビール台頭に経済危機、増税(2009年5月10日、読売新聞)
 英国名物パブの地盤沈下が進んでいる。スーパーや小売店の割安なビールに押される構造不況に経済危機が直撃、アルコール増税が追い打ちをかける「三重苦」の状態だ。1日平均6軒が閉鎖に追い込まれる事態に陥り、市民の社交場としての伝統も揺らいでいる。

・2万人失職
 ロンドン市内では週末になると、夕方からビールを手にしたサラリーマンなどがパブ近くの歩道にまであふれる光景が見られる。
 だが、国際金融街シティーに近いパブの店主マイク・ハドソンさん(54)の表情はさえない。「金融マンが減ったね。以前は月曜日も夜になれば満員だったのに最近は早めに切り上げる人が多い。今ではご覧の通りさ」。そう言って空席が目立つ店内を指さした。
 シティー周辺では大通りを1本外れると、閉鎖されて「貸店舗」の札が掛かるパブが目立つ。数万人が失業した金融危機の爪跡だ。
 1980年には英国内に約6万9000軒あったパブも2008年には約5万4800軒に減少した。この1年だけで約2200軒が廃業に追い込まれ、バーテンダーなど2万人以上が職を失った。

・消費減
 英ビール・パブ協会(BBPA)によると、08年のパブやレストランなど業務用のビール消費量は前年比9%減の1661万バレル(1バレル=約160リットル)。ピークだった79年の半分以下に落ち込み、業界では「30年代の大恐慌以来の低水準」と悲鳴が上がる。消費量はさらに減り続け、13年にはピークのほぼ3分の1になる見込みだ。97年以降、地ビールの醸造所も約40か所が閉鎖された。
 パブの業績悪化に拍車をかけているのが増税だ。英政府は景気対策などの財源捻出のため、手っ取り早く税収を増やせる酒税に目を付けた。BBPAのデビッド・ロング会長は「ダーリング財務相は必死に頑張っているパブを裏切った。増税は数千軒のパブに対する死刑執行状だ」と猛反発するが、英政府は08年から1年余りで酒税を約18%引き上げ、先月23日にはさらに2%の増税を強行した。

・地域の社交場
 英国人にとってパブは単なる酒場ではなく、地域の社交場となってきた中世以来の長い歴史がある。それだけに減少の一途をたどるパブの現状を憂う人たちも少なくない。
 「パブは人々が集う場所を提供し、地域の絆を強めてきた」。公共政策研究機構のリック・ミューア上級研究員はパブ文化の重要性を強調する。雇用効果も勘案すれば、パブ1軒当たりの地元社会への貢献額は毎年8万ポンド(約1100万円)に上るという。
 危機感を強めた英国内のパブ経営者らが4月28日、マンチェスターに集結したが、パブをどう盛り返すか妙案は見つからなかった。ビールの値引き販売やイベント開催、料理メニューの充実など、伝統にとらわれないあの手この手の集客作戦も空回りしているのが現状だ。
 野党・保守党は「英国パブを守ろう」というキャンペーンを始め、ネットで署名を集め始めた。パブ離れに歯止めがかかるか、国会を舞台に熱いパブ論議が繰り広げられそうだ。(ロンドン 是枝智)

◎G20を批判、ロンドンで数万人がデモ(2009年3月29日、朝日新聞)
 4月2日に開かれる金融サミット(G20)を批判する大規模なデモが28日、ロンドン市内であった。労働組合やNGOなど約160の団体から数万人が参加、金融危機と不況を防げなかった先進国に怒りの声をあげた。
 デモを主催したNGOの連合体「人々を第一に」の広報担当者はG20について「金融業界の利益ばかりを守ろうとしている」と批判。反資本主義を掲げ、サミット開催に反対の立場の「G20メルトダウン」なども今後、抗議活動を行う予定だ。
 金融街シティーの銀行襲撃を呼びかける動きもあり、英メディアによると、ロンドン警視庁は2500人以上の警察官を配置し警戒にあたっている。

◎イギリス:失業者203万人、97年以来最悪の規模(2009年3月19日、毎日新聞)
 英統計局が18日発表した08年11月〜09年2月期の失業者数(速報値、季節調整済み)は202万9000人と、労働党政権下の1997年以来で最悪となった。前期比で16万5000人、前年同期比で42万1000人の増加。
 世界的な景気悪化で企業が合理化を加速しているためで、英国経済の深刻な状況があらためて裏付けられた。失業率は6.5%で前期比0.5ポイント悪化。来年には300万人を突破するとの市場予測も出ており、雇用対策が緊急課題となってきた。
 2月の失業保険申請件数は13万8400件の増加で、71年の統計開始以来、最大の増加幅となった。

◎英国:“霧のロンドン”18年ぶりの大雪(2009年2月3日、毎日新聞)
 英国は2日、大雪に見舞われ、ロンドンでは同日夕までに20センチ以上の積雪を記録した。ロンドンでの大雪は91年以来18年ぶりという。
 地元メディアによると、ロンドン市内のバスは全面運休し、地下鉄も一部で運休した。国内・欧州便中心のロンドン・シティー空港が閉鎖され、郊外のヒースロー国際空港でも欠航が相次いだ。同空港ではキプロス航空の旅客機が着陸の際にスリップし、滑走路から緑地帯に出たが、けが人はなかった。
 降雪の範囲はフランス北部に及んでおり、パリでも交通渋滞やバスの運休といった影響が出ている。

◎英国景気悪化でポンド急落、73年以降最安値の125円台(2009年1月20日、読売新聞)
 20日のロンドン外国為替市場で、円が英ポンドに対して急伸し、主要国が変動相場制に移行した1973年以降の最高値となる1ポンド=125円台まで円高・ポンド安が進んだ。
 英銀ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)が過去最大の赤字に陥る見通しとなるなど、英国の金融システムに対する懸念が広がっているためだ。
 金融危機の拡大で、2008年夏からポンドは円やドル、ユーロに対し下落し続けている。1ポンド=210円台だった08年7月以降、対円では半年で約4割も値下がりした計算だ。欧州の中でも英国の景気悪化が深刻になっていることを背景に、ポンドはこの日、対ドルでも一時、約7年ぶりのドル高・ポンド安水準をつけるなど、ポンド売りが膨らんでいる。

◎大麻、英国の若者半数近くが経験、「好奇心」で(2008年11月18日、朝日新聞)
 英日曜紙オブザーバーが16歳以上の英国民約千人を対象に薬物使用の実態調査をしたところ、4分の1が違法薬物に手を出した経験があることがわかった。16日付の同紙が報じた。16〜34歳の若い層に限ってみると半数近くに達した。経験者の多くが学生時代に、「大麻」を「好奇心」から吸っていた。
 調査は今年10月に実施。「いままで違法薬物に手を出したことがある」は27%。性別は男性が33%、女性が21%だった。16〜34歳でみると46%に違法薬物経験があった。平均すると17.35歳で薬物使用を初体験し、23.78歳で使用をやめていた。
 同紙は「薬物に染まる時期は学生時代とほぼ一致する」と分析。動機は「好奇心」が8割を占めた。
 初めて使用した薬物の種類では、大麻が83%と最も多く、覚せい剤(アンフェタミン)6%、合成麻薬のエクスタシー5%などが続いた。

◎英国:1ポンド硬貨、2%は偽物(2008年9月29日、毎日新聞)
 現在流通している英国の1ポンド(約194円)硬貨の50枚に1枚は偽物であることが、英王立造幣局(ロイヤル・ミント)の調査で分かった。欧州単一通貨のユーロ硬貨(偽造は0.1%前後)よりはるかに多い割合で、英国の意外な「偽造大国」ぶりが浮き彫りになった。
 1ポンド硬貨は現在、14億5000万枚程度流通しており、このうち偽造硬貨は約3000万枚。偽物の割合は03年の1%から5年で2倍に増えた。

◎英仏トンネル火災、最大規模の事故、復旧めど立たず(2008年9月12日、朝日新聞)
 英国とフランスを結ぶ英仏海峡トンネル内で、フランス時間の11日午後4時(日本時間同11時)ごろ、通過していたトラック輸送用の列車付近から出火した。トンネルは上下線とも閉鎖され、復旧のめどは立っておらず、94年の開通以来最大規模の事故となる可能性も出てきた。
 この事故で、列車に乗っていたトラック運転手ら32人が退避用トンネルを使って避難した。6人が軽い中毒症状などを訴えて病院に運ばれ、8人がガラスの破片などで軽いけがを負った。
 火災は仏側入り口から数キロ入った地点で発生。仏ラジオによると、輸送列車の荷台に載せられていたトラックのブレーキ部分から火が出てタイヤを焦がし、周囲のトラック2台に燃え移ったという。
 当日は米同時多発テロの7周年にあたっていたが、現地に入ったアリオマリ内相は「事故と見られる」とテロの可能性を否定。ただ、複数の脱出者から「爆発音がして火が出た」との証言も出ている。
 仏国鉄によると、事故当時は他の列車はトンネル内になく、近くにいた列車もロンドンとパリに戻ったという。
 英仏海峡トンネルはドーバー海峡下を通る全長約50キロの海底トンネルで、ロンドンと欧州大陸を結ぶ高速鉄道ユーロスターなどが運行されている。96年にも火災が発生し、全面復旧に数カ月を要した。

◎英BP、ブラジルでエタノール生産参入・1000億円投じ工場(2008年4月26日、日本経済新聞)
 英石油メジャーのBPは、ブラジルでサトウキビを原料とするエタノール生産に参入する。現地企業に50%資本参加し、10億ドル(約1000億円)を投じて2カ所の精製工場を建設する。BPによると、欧米石油メジャーによるブラジルへのエタノール関連投資では最大規模。
 BPが資本参加するトロピカル・ビオエネルジアは、同国砂糖・エタノール大手のサンテリサ・ヴァーレと、綿花大手のマエダグループが折半出資している。BPは約6000万ドルで6月までに株式の50%を取得する。

◎ヒースロー空港新ターミナル混乱、手荷物システムダウン(2008年3月31日、朝日新聞)
 ロンドンのヒースロー空港に新しく開業した英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)専用の第5ターミナルが初日の27日から大混乱に陥っている。「売り物」だったはずの最新の手荷物処理システムがまひしたためで、積み込めないまま出発した便が続出したあげく便自体の欠航も相次いでいる。混乱は31日以降も数日は収まりそうにない。
 英国各紙の報道などによると、積み残された手荷物は約1万5000個に及び、空港内の保管場所で山をなしている。出発、到着を合わせ200便以上がキャンセル。31日も50便余の欠航が出る見込みだ。 混乱には、いくつもの不手際が重なった。早朝出勤した手荷物係員の駐車場が確保されておらず、従業員用のゲートも一つしか開いていなかったため作業開始が大幅に遅れた。コンピューターのトラブルが追い打ちをかけ、手荷物がコンベヤー内で飽和状態となったらしい。
 開業前の予行演習には800人の要員のうち50人しか参加していなかったという報道も。欠航で宿泊が必要となった乗客に十分なホテル代を出そうとしなかったことも報じられ、BAへの批判はさらに厳しくなった。
 新ターミナルは総工費43億ポンド(約8700億円)で建設。英国の新しい玄関での失態に、野党からは「恐るべき恥だ」として政府による調査を呼びかける声も出ている。

◎ヒースロー空港大混乱、巨額投資の新ターミナルがマヒ状態(2008年3月30日、読売新聞)
 世界最大規模の利用旅客数を誇るロンドンのヒースロー空港が大混乱に陥っている。
 混雑緩和などを目指し総工費43億ポンド(約8600億円)を投じて建設された「第5ターミナル」(T5)の運用が27日に始まったが、乗客の預け入れ荷物を運搬するシステムの不具合や空港職員の習熟不足などで初日から運用がマヒ状態だ。
 最初の3日間でT5に発着する200便以上が欠航。約1万5千個の乗客の荷物が空港内に放置されるなど混乱が続いている。30日にも30便以上が欠航した。
 T5は、英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が専用で利用し、日本便を含めて年間約3000万人の利用が見込まれている。英メディアは、BA側に乗客への誠意ある対応が見られないなどの理由で、BAや空港運営会社の経営陣の責任問題を問う声が上がっていると伝えている。

◎ブレア・前英首相、引退後の推定収入12億円(2008年1月18日、読売新聞)
 英政界を引退したブレア前首相の旺盛な“稼ぎぶり”に注目が集まっている。
 中東特使を務めるかたわら、大手銀行の非常勤顧問や講演旅行で、推定収入は600万ポンド(約12億7000万円)との報道もある。
 地味な引退生活を送ったこれまでの労働党の元首相とは異なり、英国の首相経験者で過去最高の収入を上げているとみられる。
 ブレア氏は2007年6月の首相辞任後、米、露、欧州連合(EU)、国連の4者を代表する無償の中東特使に就任。パレスチナ和平の実現に向け、関係国を飛び回っている。
 一方、国外での講演依頼が相次いでおり、報道によると、報酬の相場は1回あたり10万〜20万ポンド。中国では約20分間の講演に約24万ポンドが支払われたという。回想録執筆で、約500万ポンドの契約を交わしたとの報道もある。最近では、米大手銀行JPモルガン・チェースの非常勤顧問として、年間約50万ポンドの報酬を得ると伝えられた。
 「(報酬は)血塗られたカネだ」。英紙デイリー・メールは最近、同銀行がイラク復興計画に関与しているとして、報酬が同国の混乱を前提にしている点を痛烈に批判した。米国とともにイラク戦争を開始した前首相だけに、「前首相の倫理観を憂える」(同オブザーバー)との批判がある。
 前首相側は、収入の一部を年間約28万ポンドの複数の豪邸のローン返済や、スポーツ奨励を目的とした財団運営の経費に充てるとしているが、収入規模があまりに高額だけに、額面通りに受け止める向きは少ない。

◎英国でまた口蹄疫、ブラウン首相に打撃(2007年9月13日、産経新聞)
 英環境・食糧・農村省は12日、先月上旬、家畜伝染病「口蹄(こうてい)疫」が確認された農場から約16キロ離れた英南部サリー州エガム近郊の農場で、再び口蹄疫に感染した家畜を確認したと発表した。牛300頭、豚数頭を殺処分するとともに、半径10キロの暫定監視区域を設けるなど警戒を強めている。
 英政府は8日に、国内の口蹄疫根絶を宣言した矢先だけに、「自前の勝利」を目指して解散・総選挙の時期を探るブラウン英首相にとっては大きな打撃になりそうだ。欧州連合(EU)は英国産の肉類、家畜類に対する禁輸措置を全面解除したが、12日解除措置を撤回した。
 英政府は7日、先の口蹄疫禍に関する最終報告書を発表。感染した牛が最初に見つかった農場近くにある政府機関の家畜衛生研究所施設で排水管が老朽化し、口蹄疫ウイルスが漏れた可能性が高いと指摘していた。

◎異常気象:英国で大洪水、ルーマニア、ハンガリーは猛暑(2007年7月25日、毎日新聞)
 欧州が異常気象に襲われている。英国南部では豪雨による洪水で約35万人が水の供給を受けられない事態となっている。ルーマニアでは熱波で12人が死亡し、ハンガリーでは猛暑による死者が推定500人に達したという。
 ロイター通信によると、英国では60年ぶりとされる大洪水でペットボトルの水を配給するなど緊急対策を取り、住民に混乱しないよう呼びかけた。復旧まで2週間を要する可能性がある。ブラウン首相は「洪水対策に最善を尽くす」と表明、エリザベス女王もお見舞いの声明を出した。
 一方、ルーマニアでは、気温が過去最高の44度に達し、暑さのために1万9000人が病院に搬送された。イタリア南部のリゾート地ペスチアでは山火事が発生し、2人が死亡。マケドニア、アルバニア、ギリシアなどでは冷房多用によるとみられる電力需要の急増で停電が広がった。

◎ロシア大統領、「英国は脳入れ替える必要」、激しく批判(2007年7月25日、朝日新聞)
 「英国の連中は脳を入れ替える必要がある」。ロシアのプーチン大統領は24日、外交官の追放合戦などで関係が悪化している英国の政府幹部らを激しく批判した。
 ロシア元情報将校リトビネンコ氏の毒殺事件で英国側が求めるルゴボイ・ロシア連邦保安局元幹部の引き渡しについて「ロシア憲法が引き渡しを禁じているのなら改正せよと英国はいう。わが国、国民への侮辱だ」と強調。「これは前世紀の植民地主義的思考の名残だ。変えるべきはわが憲法でなく、彼らの脳だ」とこきおろした。
 また、ロシア政権打倒を呼びかけた元政商ベレゾフスキー氏ら、ロシアが国際手配している人物の引き渡しを英国が拒んでいることを「テロを含めて重大な犯罪者が30人もロンドンにいるのに、我々の要求は鼻もひっかけない」と非難した。
 モスクワ近郊で語った。ロシアが英外交官を退去処分にした19日には、「対英関係はミニ危機だ。克服される」と冷静だった。しかし、その後も英国側が引き渡し問題で強硬姿勢を崩さないため、不満が噴きだしたようだ。

◎ロシア:揺さぶりかけ、英は態度硬化、外交官追放で(2007年7月20日、毎日新聞)
 ロシア連邦保安庁(FSB)リトビネンコ元中佐毒殺事件を巡り、英露両国が互いの外交官の追放を発表した問題で、ロシアは、強硬姿勢を堅持すると同時に、関係修復のシグナルを送り、英国に揺さぶりをかけている。英国は他のロシア人暗殺疑惑もあり、態度を硬化させている模様で、解決の糸口は見えていない。
 プーチン露大統領は19日、露中部サランスクで、フィンランド、ハンガリーの首脳との共同会見後、記者団に、外交官追放問題は「小規模な危機」で「克服できる」と語った。さらに「英露関係の発展を望んでいる」と柔軟な姿勢を見せた。
 プーチン大統領が主要国との関係を「危機」の言葉で表現するのは極めて異例。大統領は英国批判の発言も避け、事態を深刻に受け止めている様子をうかがわせた。
 大統領は「いかなる行動も善意で解釈し、パートナーとしての利益を尊重すれば、すべては良い方向に展開する」と期待は述べたものの、「(互いの)法律の尊重」を訴え、「ロシア憲法で自国民の身柄を他国に引き渡せない」との考えを改めて示した。
 一方、ラブロフ露外相は訪問先のリスボンで「(対立の)現状がいつまで続くかは英国次第だ」とあくまで強硬姿勢を崩さなかった。
 相手国との関係を一方的に断って態度変更を迫るのは、ロシア特有の外交手法だ。ロシアは昨年9月、グルジアとの関係を悪化させた際にも、すべてのグルジア人へのビザ発給を一方的に停止した。同時にロシアに住むグルジア人を輸送機で強制送還し、航空定期便や鉄道も停止させ、事実上の断交策を取った。
 ただ、ロシアは英国に対しては商用、観光などのビザ発給停止は除外した。自国の天然資源開発などで英国からの投資拡大を望むロシアは、経済関係にまで影響を及ぼしたくないのが本音だ。
 英国への報復発表に先立ち、ロシアは19日、昨年9月以降停止していたグルジア人へのビザ発給をほぼ再開すると発表した。「いつでも関係修復の用意がある」とのメッセージを英側に送る狙いがあった可能性がある。
 英国では同日付の各紙が、英警察筋の話として、リトビネンコ氏と親しかったロシアの元政商ベレゾフスキー氏の暗殺を企てたロシア人が6月21日にロンドンで逮捕され、ロシアに強制送還されたと報じた。事実とすれば、英側が「自国領内で2度もロシア人暗殺が企てられた」と、態度を硬化させた可能性がある。

◎伝統のカツラ(2007年7月19日、産経新聞)
 英国でおなじみの裁判官の白いカツラが、高等法院や地方裁判所の民事・家事裁判に限り来年1月から一斉に廃止されると聞いて、ストランド街の王立裁判所に足を運んだ。馬の毛で作ったカツラに黒、赤、紫の法服、白の襟に帯−。裁判官や弁護士が身につける荘重な法廷衣装が展示され、生の裁判も傍聴できる。
 カツラは300年、法服は600年の歴史を誇る。その一部廃止が明らかにされたのはこの12日だった。「法廷に威厳をもたらす」「いや、古臭い」と法廷衣装をめぐる是非論は20年を超えて繰り広げられてきた。1990年代初めは、法廷衣装を約8割が支持していた。2003年の調査では、刑事裁判ではほとんどの人がカツラを着用すべきだと考えていたのに対し、民事裁判でのカツラの廃止には3分の2以上が賛成した。
 英紙タイムズによると、来年から高等法院や地方裁判所の民事・家事裁判で法廷衣装が簡素化され、約1300人の裁判官がカツラを脱ぎ捨てる。新しい法服には約20万ポンド(約5000万円)が必要だが、改革により年間約30万ポンド(約7400万円)が節約できる。
 刑事裁判では「伝統」を重んじて、カツラは存続する。王立裁判所で現職の裁判官に感想を尋ねると、「カツラ?脱ぐことができれば快適だよ」との返事だった。

◎ロシア:外交官追放の英への報復で苦慮、関係悪化望まず(2007年7月18日、毎日新聞)
 リトビネンコ元ロシア連邦保安庁(FSB)中佐毒殺事件で、英政府が容疑者引き渡しを拒んだロシアの外交官4人の追放を発表したことに対し、グルシコ露外務次官は17日、「報復措置を取り、近く英側に通告する」と警告した。同日中に報復措置を発表するとみられていたが、同次官は具体的には触れなかった。欧米との関係悪化で孤立を深めるロシアは、対応に苦慮している模様だ。
 グルシコ次官は「旅行者や文化科学、ビジネス界の交流などの一般市民の利益を考慮した対応をする」とも述べた。ロシアは天然資源開発などで英国企業との交流を深めており、経済面での英国との関係悪化を望んでいないことを示した。
 一方、同次官はロシアが求めた元政商ベレゾフスキー氏ら21人の身柄引き渡しを英国側が拒否してきた点に触れ、「(容疑者1人の引き渡し拒否に対して4人の露外交官を追放した)英国の手法を我々が取れば80人以上の(英)外交官が追放されることになるのを英国側は想定していなかったのだろう」と皮肉った。
 一方、英外務省は同日、「ロシア側が報復することに正当性はない」と強気の姿勢を示した。

◎ロシア:英の露外交官追放措置に非難声明、外務省(2007年7月17日、毎日新聞)
 ロシア外務省は16日、英政府が発表した露外交官追放措置について、「事件を政治化する目的の扇動的な行為」と非難する声明を発表、「相応の報復」で対応すると警告した。
 声明では、ロシア憲法で自国民の外国への引き渡しが禁じられていることを指摘。また、ロシアが「国際テロリスト」と指摘するチェチェン独立派指導者で、リトビネンコ氏と親しかったザカエフ氏らの身柄引き渡し要求をこれまで英国が拒否してきたことを挙げ、「英国の立場は法的にも道徳的にも擁護できない」と非難した。
 露外交官追放を発表する直前にミリバンド英外相がラブロフ露外相に電話した際、ラブロフ外相が報復措置とともに「英露関係全体に影響が出る」と警告したという。

◎ロシア:英国の外交官追放に反発「報復なしでは済まない」(2007年7月17日、毎日新聞)
 タス通信によると、ロシア下院のココーシン独立国家共同体(CIS)問題委員長は16日、英政府による露外交官追放について「英当局の決定は誤りだ。ロシア側からの報復なしでは済まない。被害はロシア側ではなく英国の方が大きい」と語った。英国の強硬姿勢に対し、ロシアでは「他国の憲法を無視した措置」との反発が広がりそうだ。

◎英国:露外交官4人を国外追放、毒殺事件容疑者拒否に報復(2007年7月17日、毎日新聞)
 ミリバンド英外相は16日、元ロシア連邦保安庁(FSB)中佐リトビネンコ氏毒殺事件で、容疑者の身柄引き渡しを拒否するロシアへの報復措置として英国駐在の露外交官4人を国外追放にする措置を発表した。欧米への対立姿勢を強めるプーチン露政権が反発するのは必至だ。
 同外相は英下院で「政府はやむを得ず、(露外交官追放)を発表するに至った」と述べ、英露間の査証(ビザ)簡素化協議を停止する上、その他の2国間協議の見直しも進めていると言明した。
 反プーチン派のリトビネンコ氏が昨年11月、亡命先の英国で急死。体内から致死性の放射性物質ポロニウム210が検出された。英検察当局は今年5月、FSBの前身・旧ソ連国家保安委員会(KGB)のルゴボイ元職員を容疑者と断定、引き渡しを求めたが、露最高検察庁は「憲法は外国への自国民引き渡しを禁じている」と拒んだ。
 プーチン大統領は14日、欧州各国の通常兵器保有や兵力移動を制限する欧州通常戦力(CFE)の履行を一時停止する大統領令に署名した。セルビア共和国コソボ自治州の独立問題でも容認派の欧米と反対派ロシアとの確執が続いている。

◎英、ロシア外交官4人を国外退去に、元情報将校毒殺事件(2007年7月17日、朝日新聞)
 英国のミリバンド外相は16日、在ロンドン・ロシア大使館の外交官4人を国外退去処分とすると発表した。ロシア元情報将校リトビネンコ氏が亡命先のロンドンで昨年毒殺された事件で、英検察当局はロシア連邦保安局(FSB)のルゴボイ元幹部を殺人罪で起訴相当としたが、ロシア政府が身柄引き渡しを拒否したことへの報復措置だ。
 英政府は外交官らの名前などを公表していないが、英BBCは16日、情報当局者と伝えた。英政府は4人の退去処分のほかに、ロシアの民間人に対するビザ発給の迅速化に向けた手続きも中断するとしており、両国関係がさらに悪化するのは必至とみられる。
 一方、英国側も、リトビネンコ氏の後見人でロンドンに亡命中のロシアの政商ベレゾフスキー氏の身柄引き渡しを拒否しており、ロシア政府が今回の措置を受け、英外交官の追放に動く可能性もある。
 リトビネンコ氏は昨年11月、体調を崩して死亡。放射性物質ポロニウム210が検出された。

◎英、厳戒態勢、グラスゴー空港に炎上車突入、2人逮捕(2007年7月1日、朝日新聞)
 英スコットランドのグラスゴー空港で30日、炎上した四輪駆動車がターミナルビルの玄関に突っ込み、乗っていた男2人が逮捕された。英捜査当局は、前日にロンドン中心部で相次いだ車爆弾を使ったテロ未遂事件と関連があると断定、イスラム過激派による犯行との見方を強めている。
 英政府は30日、国内のテロ警戒レベルを5段階で最高の「クリティカル(危機的)」に引き上げた。事件を受け、米国でも空港などでの警備を強めている。
 「政府が最優先する義務は英国民の治安対策と安全の確保だ」。ブラウン新首相は30日、内閣の治安対策緊急委員会を招集した後、テレビで演説した。政権発足早々、05年7月のロンドン同時爆破テロ事件以来最も深刻な危機への対応を迫られている。
 グラスゴーはブラウン氏の出身地。同空港で炎上した車は大きな爆発をしないまま消し止められ、空港利用者にけが人はなかった。捜査当局は、夏季休暇で旅立つ利用者の無差別大量殺人を狙った犯行とみている。
 現場で取り押さえられた容疑者2人はアジア系とされる。1日付のオブザーバー紙によると、1人は自らガソリンをかぶり、火をつけた。制止する警察官らと殴り合いになり、「アラー、アラー」と叫んだという。もう1人はやけどで重体となり、病院で治療を受けている。
 ロンドン中心部で29日に爆発物を積んだ2台の車が発見された事件について捜査当局は、ナイトクラブなどを標的にした犯行との見方を強めている。ロンドン警視庁対テロ班は両事件を連続テロとみてグラスゴーに急行した。英中部のチェシャー州の高速道路で不審な車に乗っていた別の男2人を逮捕。さらに、リバプールで男1人が逮捕された。
 ブラウン首相のテロ対策顧問となったスティーブンス元警視総監は「イスラム教徒のテロリストが勢力を拡大しているあかしだ」と警告。国際テロ組織アルカイダや英国内のイスラム組織が、ブラウン政権発足や同時テロ2周年に合わせ攻勢をかけたとの見方が広がっている。

◎英BP首脳、23日に露大統領と会談へ(2007年3月22日、日本経済新聞)
 石油メジャーの英BPは21日、ジョン・ブラウン最高経営責任者(CEO)と、次期CEOに決まっているトニー・ヘイワード開発・生産部門長がロシアを訪問し、23日にプーチン大統領と会談することを明らかにした。BPがロシアで進める石油・ガス開発などについて話し合うとみられる。
 BPはロシアに多くの権益を持っており、資源・エネルギーの国家管理を強めるプーチン政権とどう協調していくかが課題。BPがロシア企業と設立した合弁のTNK−BPはシベリアに巨大なガス資源を保有しているが、そのロシア側持ち分をロシアのエネルギー大手、ガスプロムが取得しようと動いている。ガスプロムは昨年末「サハリン2」プロジェクトの過半の株式を取得しており、ロシア政府がどう対応するかが関心を集めている。

◎観光客狙い撃ち? ロンドン地下鉄、初乗り600円に(2005年10月19日、朝日新聞)
 ロンドン市内の地下鉄の運賃が06年1月から値上げになる。大人の初乗りは2ポンドから3ポンド(約600円)に。バスも同時に、1ポンド20ペンスから1ポンド50ペンス(約300円)に上がる。一方、プリペイドカードや前売り券は値下げ。リビングストン市長は「現金払いを減らして、効率的な輸送を実現する」と説明するが、ロンドンを訪れる観光客を狙い撃ちにしているとの指摘もある。

◎英で工場爆発、7人死亡(2004年5月11日、産経新聞)
 英北部グラスゴーのプラスチック工場で11日昼、大きな爆発事故が起き、これまで7人の死亡が確認された。地元警察によると37人が負傷し、うち16人が重傷。がれきの中から7人が救出されたが、まだ数人が下敷きになっているもようで救出活動が続いている。
 工場は4階建てで、爆発でほぼ全壊した。テロに関する情報はない。英BBCテレビが目撃者の話として伝えたところによると、工業用のガス炉の爆発が事故原因とみられ、警察などが調べている。(共同)

◎ロンドンの地下鉄で化学テロ計画、情報機関が未然防止(2004年4月7日、読売新聞)
 ロンドンの地下鉄などに有毒化学物質をまき散らすテロ計画が、米英の情報機関による通信傍受で察知され、未然に防がれていたことが6日、明らかになった。英BBC放送などが伝えた。
 計画は、四酸化オスミウムと火薬を合わせた爆発物を列車内など人の集まる場所でさく裂させようというもの。国際テロ組織アル・カーイダの賛同者らによる通信を英政府通信本部(GCHQ)などが傍受し、計画の存在が判明したという。
 四酸化オスミウムは、研究目的で合法的に入手できるが、密室で拡散すると人の肺や皮膚に致命的な障害を引き起こすという。テロ計画はロンドン市内の地下鉄のほか、空港などが標的になっていたという。計画がいつ実行される予定だったかなどは明らかでない。

・四酸化オスミウム
 化学工業で反応速度を速める触媒としての用途がある。刺激臭があり、吸い込んだり皮膚に触れると危険。放射性物質と異なり、環境中にまき散らされても、除去はそれほど難しくない。

 


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