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 2013年3月7日








◎首都機能は麻痺状態、被災者約200万人、フィリピン豪雨被害拡大(2012年8月9日、読売新聞)
 フィリピンのマニラ首都圏など同国各地で、豪雨と洪水による甚大な被害が出ている。9日までの被災者は200万人近くにのぼり、首都機能はほぼ麻痺(まひ)状態に陥っている。
 北部ルソン島などは先月末以降、台風や季節風の影響で豪雨と洪水に見舞われた。特に7日から8日にかけての雨量は、例年の8月の平均降雨量を大幅に上回る70ミリ以上に達した。
 フィリピン国家災害リスク削減管理委員会によると、ルソン中部、ビサヤ西部、カラバルソンなどの各地方で73人が死亡、195万3千人以上が被災し、多数の家屋が損壊した。89市が大規模な洪水に襲われ、154本の道路、4つの橋が不通となっている。被害はさらに拡大する見通し。
 マニラ首都圏では河川が氾濫しスラム街など6割が水につかり、25万人以上が避難所に身を寄せている。学校や民間企業は休みとなり、土砂崩れも発生した。
 政府は軍や警察などから約9千人を動員し、災害対策基金として1億2600万ペソ(約2億3700万円)を充て、救助・救援に全力を挙げている。昨年末には、南部ミンダナオ島を襲った台風で、1200人以上の死者が出た。

◎フィリピン水害、被災者195万人に拡大(2012年8月9日、読売新聞)
 フィリピンからの報道によると、大雨による水害が拡大しているマニラ首都圏などで、8日夜から9日朝にかけて激しい雨が続き、被災者数が約195万人に増えた。
 AFP通信などによると、首都圏や周辺には488か所の避難所が設けられている。雨は9日昼には弱まったが、河川の氾濫は続いており、政府は引き続き、警戒を呼びかけている。

◎フィリピン大雨、120万人被災、首都圏で浸水(2012年8月9日、読売新聞)
 フィリピン北部ルソン島で、季節風の影響で5日から大雨が続き、マニラ首都圏では多くの地区が浸水するなど被害が拡大している。
 AP通信によると、8日までに少なくとも23人が死亡し、被災者は120万人以上にのぼった。天候は9日以降、回復する見通しだが、比政府は土砂災害などが起きる恐れがあるとして警戒を呼びかけている。
 マニラ首都圏では5日夜から雨が強まり、6日から7日にかけての24時間雨量は300ミリを超した。首都圏や周辺では、河川が氾濫したり、ダムから水があふれ出したりして洪水が発生、水位が3メートル近くに達した場所もあるという。首都圏ケソン市では7日未明、土砂崩れで家が埋もれ、9人が死亡した。

◎中国に抗議するプラカードも中国製、フィリピン(2012年7月29日、産経新聞)
 南シナ海の領有権を中国と争うフィリピンでは、ルソン島沖のスカボロー礁(中国名・黄岩島)に、中国船が居座っていることへの抗議デモが、マニラ首都圏の中国大使館前などで繰り広げられた。
 ネット上にも「地図を見れば、スカボロー礁が誰のものかは小学生でもわかる」など、中国を非難する書き込みがあふれている。
 フィリピン政府の「弱腰」を批判する書き込みもあり、ブラックジョークも。「中国に抗議するプラカードも中国製」は、その一つだ。
 抗議デモで市民は、「中国はフィリピンの領海に侵入するな!」「スカボロー礁だけではない。中国は世界をわがものにしようとしている」と、怒りに満ちたスローガンが書かれたプラカードを掲げ、シュプレヒコールをあげた。
 そのプラカードの素材にしても、「中国製」というわけだ。
 他の東南アジア諸国と同様、フィリピンも貿易と投資の多くを中国に依存し、街には中国製品があふれている。
 冒頭のブラックジョークは、南シナ海の領有権問題で中国に怒り心頭のフィリピンが、経済を中国に依存する状況から脱却できず、「弱腰」の背景となっていることへのいらだちを、皮肉ったものだ。
 「弱腰」の一つとされているのが、スカボロー礁にフィリピンの艦船がいないこと。政府は台風の襲来を理由に、艦船を周辺海域から引き揚げたままだ。
 中国艦船はというと居座り続け、中国は南沙(英語名・スプラトリー)諸島に、新たなに30隻の漁船団を送り込みもした。
 「米国が頼り」というアキノ大統領の発言を、ブラックジョークと受け止める国民もいる。

◎中国、フィリピン製品の検疫強化、背後に領有権争い?(2012年5月10日、朝日新聞)
 中国税関総署が10日発表した4月の貿易統計によると、輸出は前年同月比4.9%増の1632億5千万ドル(約13兆円)、輸入は同0.3%増の1448億3千万ドルだった。中国を含む経済の低迷を映して、伸び率は3月の輸出8.9%増、輸入5.3%増から鈍化した。
 1〜4月の輸出は6.9%増、輸入は5.1%増で、中国政府が通年の目標とする10%程度を下回っている。
 一方、中国国家品質監督検査検疫総局は10日までに各地の検疫局に対して、フィリピンから輸入されている果物から害虫が頻繁に検出されているとして、検査を増やすなど検疫強化を求める通達を出した。南シナ海のスカボロー礁(黄岩島)の領有権をめぐって対立するフィリピンへの「嫌がらせ」との見方が広がっている。

◎中国 南シナ海で深海掘削開始、資源確保と領有権強化狙う(2012年5月9日、産経新聞)
 中国国営新華社通信などによると、国有石油大手、中国海洋石油(CNOOC)は9日、南シナ海の深海で石油や天然ガスの掘削探査を開始した。同社の王宜林会長は「わが国の海洋強国戦略を推進し、領海主権を守るために新たな貢献をするものだ」と意義を強調。資源エネルギーを確保するとともに、南シナ海の領有権を強固にする“国家事業”として深海探査を進める方針を明らかにした。
 一方、中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)で両国の艦船がにらみ合いを続けるなか、中国の傅瑩外務次官は7日、フィリピンのアレックス・チュア駐北京臨時代理大使を呼び出し、「中国は、事態を悪化させるフィリピン側の行為に対応するためのすべての準備を整えている」と伝えた。
 9日に始まった深海探査に直接関係するものではないが、同日付の中国系香港紙・文匯報は、傅次官の通告は、フィリピンに対する「最後通告」だとの見方を示した。スカボロー礁周辺では約1カ月にわたり、中国漁船の操業をめぐってフィリピンと中国の艦船が対峙している。
 今回、新型の深海用掘削リグ「海洋石油981」(長さ・高さ約110メートル)が掘削探査を始めたのは、香港の南東320キロで水深約1500メートルに位置する海底油田。
 南シナ海の石油埋蔵量は230億〜300億トン、天然ガスは16兆立方メートルと推定されている。これは中国の石油・天然ガス埋蔵量全体の3分の1にあたる。
 南シナ海に眠る石油・天然ガスの約70%は、水深300メートル以上の深海地帯に分布しているとみられている。同社は、独自に開発した水深3千メートル地点での掘削が可能な装置を導入。掘削開始の様子は、中国中央テレビが実況中継するほどの仰々しさだった。
 共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報は9日、中国の東南アジア問題専門家の話として、「南シナ海での海底資源探査や漁船団派遣は、中国の領有権を強固にするための効果的な方策だ」と述べ、フィリピンとの領有権問題が過熱するスカボロー礁の名前を挙げてその周辺開発を主張した。
 傅次官の7日の通告については、同専門家は「中国はおそらく経済制裁といった強硬措置を取る。武力行使はないだろう」と分析した。外務省の洪磊報道官も9日の定例記者会見で、「外交交渉を通じて解決するという立場に変化はない」と述べたが、今回の掘削開始とともに傅次官の通告がフィリピン側を刺激することは間違いない。

◎アロヨ前フィリピン大統領、無罪を主張(2012年2月23日、産経新聞)
 フィリピン大統領在任中の選挙法違反罪で起訴されたアロヨ前大統領(64)の罪状認否手続きが23日、マニラ首都圏のパサイ地裁であり、アロヨ氏は起訴事実を否認、無罪を主張した。逮捕後、公の場に姿を見せたのは初めて。
 アロヨ氏は出廷の際に発表した声明で「正義が実現される公平で偏りのない裁判の下で争う」と全面的に争う姿勢を示した。
 アロヨ氏は2007年の上院選で、側近議員を当選させるため地方の州知事らと共謀、開票結果を改ざんした罪に問われた。有罪になると終身刑の可能性もある。

◎フィリピン、「中国船が領海侵犯」と抗議(2012年1月9日、朝日新聞)
 フィリピン外務省は8日、同国が領有権を主張する南シナ海の砂州付近に先月、中国の軍艦などが侵入したとして、中国に抗議したことを明らかにした。デルロサリオ比外相は「(領有権問題の平和的解決を申し合わせた)南シナ海行動宣言に反することは明らかだ」と中国を非難した。
 同省によると、12月11、12両日、中国海軍の軍艦1隻と中国船2隻が、比のパラワン島から約230キロにあり比が領有権を主張するサビナ砂州の近海に現れた。抗議は今月5日、マニラの中国大使館に対して行ったという。
 南シナ海では、領有権をめぐってフィリピンやベトナムなどと中国が対立。昨年前半、比近海で中国の艦船が比船舶を妨害したり、航空機が侵入したりしたとされる事件が相次ぎ、ASEAN(東南アジア諸国連合)会議でも主要な議題となっている。比は中国との関係改善を模索する一方で、米国に中古の艦船や戦闘機の提供を打診、防衛力向上を急いでいる。

◎「住友金属鉱山に交渉要求」、比の襲撃、反政府勢力幹部(2011年10月5日、朝日新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島で3日、住友金属鉱山の子会社のニッケル精錬プラント建設現場や関連の鉱山会社が襲撃された事件で、反政府武装勢力、新人民軍(NPA)の幹部が4日、朝日新聞の取材に、NPAによる襲撃だったと認め、「環境破壊を続ける日本人への懲罰だ」と語った。住友金属鉱山の関連会社を襲撃目標としていると明言し、「住友のトップの日本人との交渉」を求めるとした。
 NPA広報担当のジョージ・マドロス幹部が電話取材に応じた。ニッケル鉱山開発が森林を伐採するなどして環境を破壊し、住民や農民の権利を侵害していると主張。「今年4月、住友の出資する関連会社に『我々と話し合わずに、プラント建設を進めるべきではない』との手紙を送ったが、ろくな返事がなかった。だから攻撃した」と述べた。
 また、今回の襲撃は「人ではなく、採掘設備の破壊が目的だ」と説明した。

◎ミンダナオ島の鉱山を数百人が襲撃、邦人は無事(2011年10月4日、読売新聞)
 ロイター通信によると、フィリピン・ミンダナオ島の北スリガオ州で3日午前、数百人の武装集団がニッケル鉱山3か所を襲撃、トラックや事務所に放火して逃走した。
 同鉱山付近では、住友金属鉱山(東京都港区)がプラントを建設中で、日本人計65人が作業していた。在フィリピンの日本大使館は同日夜までに全員の無事を確認した。
 現場一帯は、共産ゲリラ「新人民軍(NPA)」の活動が活発な地域で、比軍などが背景を調べている。

◎住金鉱山系プラント襲撃、比・ミンダナオ、日本人無事(2011年10月3日、朝日新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島の北部で3日午前、住友金属鉱山の子会社の精錬所建設現場などが次々に武装集団に襲われた。同国軍が明らかにした。フィリピン人の警備員4人が殺害されたという。同社によると、現場では同社社員ら65人の日本人が働いていたが、現地の日本大使館が全員の無事を確認した。
 フィリピン国軍と警察によると、同島北スリガオ州クラバーで3日午前9時(日本時間同10時)ごろから、住友金属鉱山の子会社のニッケル精錬会社「タガニートHPALニッケル」(THPAL)の敷地など3カ所が襲撃を受けた。
 約3時間の襲撃で4人が殺害されたほか、フィリピン人のニッケル鉱山会社従業員2人が連れ去られた。また、現場にあったトラックや重機約20台が炎上した。さらに敷地に地雷が埋められていたという。

◎「プランキング」で政治に抗議、フィリピン(2011年10月2日、産経新聞)
 フィリピンでは、政治に抗議するパフォーマンスとしての「プランキング」が、新しい潮流となり、政治、社会問題化している。
 「プランキング」(Planking)は、直訳すると「板張り」という意味。まるで板のように、人が両手と体を真っすぐに伸ばした姿勢で、うつぶせ、腹ばいになるというポーズから、そう呼ばれている。
 本来はオーストラリアなどで最近、流行している一種の遊びだ。風変わりな、危険な場所でプランキングのポーズを写真や動画に収めては、「作品」としてネットのサイトに投稿し、奇抜さを競い合っている。
 オーストラリアでは、7階のベランダで撮影中の男性が落下し、死亡する事故が起こっている。また、タイ政府は「裸のプランキング」に警告を発している。
 フィリピンでの「プランキング」はしかし、性質が異なる。政治に抗議するパフォーマンスとして、若者たちの間などで流行しているのだ。
 マニラ市の国立フィリピン大学などでは、学生たちがアキノ政権の教育予算の削減などに抗議し、「プランキング作戦」に打って出た。インフレを反映し9月には、ガソリンの値上げに反対する「プランキング」が、ただでさえ渋滞するマニラ市内の道路をふさぐ形で繰り広げられた。
 こうした抗議形態はなにやら、1980年代にみられた、核兵器に反対し死者を模して横たわる「ダイ・イン」(Die In)に似ていなくもない。だが、「プランキング」の勢いはネットで加速され、また、パフォーマンスが進化しているところが大きな違いだろう。
 例えば、ガソリンの値上げに反対する「プランキング」では、信号が赤になるや若者が道路に飛び出し、仰向けで抗議のバナーを掲げる危険なパフォーマンスも登場した。
 このため議会には、プランキング禁止法を制定する動きが出ている。ウインストン・カステロ議員が「プランキングは感染症のように広がっており、早いうちに処置すべきだ」と、罰則を伴う法案を議会に提出した。アキノ政権への批判的な世論の盛り上がりを、阻止する狙いもあるようだ。
 これに対する若者たちの反応はどうか。ネット上には「禁止法はプランキングよりも無用でばかげている」「禁止法に反対しプランキングしよう」などの書き込みがあふれている。

◎中国が南シナ海に建造物新設、フィリピンが抗議(2011年6月1日、朝日新聞)
 フィリピン外務省は1日、中国と領有権の主張が対立している南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で中国が建造物の新設を始めたとして、中国大使館員を5月31日に呼んで抗議したことを明らかにした。
 同省によると、フィリピン・パラワン島中央から西北西125カイリ(約232キロ)のイロキス礁付近で先月、中国の海軍艦艇と海洋調査会社の船が建設資材を下ろし、杭とブイの設置を始めたのが確認された。
 フィリピンは同礁を自国の排他的経済水域(EEZ)内としており、ロサリオ外相は「2002年に中国と東南アジア諸国連合が南シナ海での新たな建設行為をしないと合意したことに反する行為だ」と中国を強く非難した。

◎マニラでバス爆発、18人死傷、テロの可能性(2011年1月25日、朝日新聞)
 フィリピン・マニラ首都圏の中心部マカティ市で25日午後2時(日本時間同3時)ごろ、路線バス内で爆発が起き、警察によると乗客4人が死亡、14人がけがをした。フィリピン大統領府によるとテロの可能性があるという。
 現場は高架鉄道の駅の脇の大通りで、外国人などが住む高級住宅地の近く。バスの右側中央の座席下辺りで爆発したとみられ、車体の外側が内側から大きくめくれていた。
 フィリピンでは南部を中心にイスラム過激派による爆破テロがたびたび起きているが、マニラでは2006年以降、起きていなかった。

◎フィリピン新大統領、アキノ氏が就任(2010年6月30日、読売新聞)
 フィリピン大統領選に当選したベニグノ・アキノ氏(50)が30日、マニラ市で就任宣誓を行い、第15代大統領(任期6年)に就任した。
 演説で「民主主義のために尽くした母(コラソン元大統領)の遺産を受け継ぐ」と述べ、公約である汚職撲滅と貧困対策に取り組む姿勢を強調した。
 就任宣誓は、最高裁長官の前で行う慣例だが、アロヨ前大統領との対決を宣言する新大統領は、前大統領が任命した現長官の前での宣誓を拒否。最高裁の別の判事を立ち会い人に指名した。
 就任式には、日本から藤村修・外務副大臣、アキノ家と親交が深い石原慎太郎・東京都知事も出席した。

◎フィリピンの刑務所を武装集団襲撃、31人脱走(2009年12月15日、読売新聞)
 フィリピン南部バシラン州で13日未明、武装集団数十人が刑務所を襲撃した。国軍によると銃撃戦で刑務官と武装集団側の計2人が死亡し、少なくとも31人の収監者が脱走した。
 バシラン州はイスラム過激派組織アブ・サヤフの拠点で、警察当局は襲撃に組織の構成員が関与していたとみている。脱走した者の中には、アブ・サヤフやイスラム武装勢力「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」の構成員もいたという。

◎比大量殺人、関与の州知事一族ら身柄を拘束(2009年12月6日、読売新聞)
 フィリピン国家警察と軍は6日、戒厳令が4日に発令された南部ミンダナオ島マギンダナオ州で、知事選に絡む大量殺人事件に関与したとされるアンダル・アンパトゥアン州知事一族ら計62人の身柄を拘束したと発表した。
 警察と軍は、約4000人に上るアンパトゥアン一族の私兵団がなお、政府への反乱を企てる恐れがあるとして、厳戒態勢下で摘発に臨む方針だ。
 国軍は州内に数千人の兵力を展開。州知事本人のほか、周辺自治体の首長を務める一族とその関係者を次々に拘束。捜索で銃弾約33万発、銃器330箱分などを押収した。6日記者会見したパンギリナン陸軍少将は、私兵団が州内8か所に集結していると指摘し、「私兵団の抵抗能力を奪うまで作戦を続ける」と語った。
 一方で、州内限定とはいえ、1972年のマルコス政権以来となる戒厳令の発動に対しては、「強権的手法」としてアロヨ政権への批判も高まっている。
 国家人権委員会のレイラ・デ・リマ委員長は、「憲法上、戒厳令発令が正当化できるほどの内乱状態だったとは思えない」と指摘。有力英字紙インクワイアラーも6日付社説で、「マルコス独裁政権以来のタブーを破る暴挙」と批判している。

◎フィリピン大量殺害、地元「ボス」暴走、政権にツケ回る(2009年12月6日、朝日新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島のマギンダナオ州で女性やジャーナリストら57人が政争絡みで殺害された事件は、地元で政府機能が失われる事態に発展し、フィリピン政府は4日、戒厳令を布告した。容疑者たちは地元で絶対的な権力を握るボス政治家の一族。ここまで無法が広がった背景には、アロヨ政権が自らの権力維持やイスラム武装勢力との戦いに地元ボスを利用してきた経緯も絡んでいる。
 「現地では役所や裁判所が閉鎖され、政府機能が完全に崩壊している。戒厳令の目的はマギンダナオを正常な状態に戻すことだ」。大統領府報道官は5日午後の会見で述べた。州内には50人から100人程度の私兵組織が集まっている場所が9カ所程度確認されているという。
 殺害事件は、同州知事や同州を含むイスラム自治区知事など数多くの要職を独占するアンパトゥアン一族が、来年5月の州知事選での別の一族からの立候補を阻止するために実行したとされる。
 アンパトゥアン一族はアロヨ大統領と親密な関係を築いてきた。2004年大統領選でアロヨ氏はイスラム自治区内で不自然なほど大量に得票し、票操作が疑われた。
 見返りに政権から支援を受け、強大な権限は地元警察や裁判官にも及ぶ。殺害事件には警察官が関与したとされ、私兵は軍から横流しされたとみられる武器を持つ。
 ミンダナオ島では、キリスト教徒中心のフィリピン政府に対し、約40年前からイスラム武装勢力が独立や大幅な自治を求めて戦闘を続けてきた。政府はキリスト教徒の政治家や協力的なイスラム教徒の一族を支援して、私兵を組織させて反政府勢力との戦闘に利用してきた歴史がある。同島には有力氏族間の長期にわたる抗争も根付く。
 こうした歴史的背景に加え、アロヨ政権下では政府に批判的な活動家やジャーナリストが殺される「政治的殺害」と呼ばれる事件が頻発。国軍や警察の関与がささやかれるが、事件が解明されることはほとんどない。
 「有力者は罪を犯しても罰を受けない」という雰囲気が比社会に広がった。アンパトゥアン一族が白昼堂々と多数を殺害する事件を起こしたのは、こうした絶対権力の暴走と指摘されている。
 比政府は「アロヨ失政のつけ」という国内世論の高まりに加え、国際社会からも対応を迫られた結果、一族の摘発に乗り出した。私兵との戦闘の可能性や司法システムの崩壊の結果、治安維持のため戒厳令を布告せざるを得なくなった側面がある。また、アンパトゥアン一族は例外ではなく、こうした構図が比各地にあるとの指摘もある。

◎大量殺害事件の州に戒厳令、フィリピン(2009年12月5日、朝日新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は4日夜、州知事選への立候補を目指す政治家の家族ら57人が殺害される事件が起きた南部ミンダナオ島マギンダナオ州に戒厳令を布告した。殺害を指示、実行したとみられる知事一族への捜査が進むなか、私兵の一部が武力抵抗の動きを見せるなど同州の治安が悪化しているためとしている。
 エルミタ官房長官が5日朝、記者会見で発表した。同国での戒厳令布告は、独裁体制確立を狙ったマルコス元大統領の1972年以来。
 マギンダナオ州では11月23日、来年5月の州知事選への立候補届け出に向かう途中だった同州ブルアンの副町長の妻ら家族と、同行のジャーナリストら計57人が武装グループに襲われて殺害された。同州知事などの政治家が輩出し、私兵も抱えるアンパトゥアン一族が、ライバルの立候補を阻止するために実行したとみられている。
 比捜査当局は5日までに州知事らの身柄を拘束し、ほかの一族のメンバーの行方も追っている。だが、政府によると、大量の武器を抱えるとされる私兵が捜査に抵抗する動きがあるなど、治安が悪化している。比国軍も現地の部隊を増強し、現在は4千人規模が展開している。

◎比大量殺人で地元の州に戒厳令、知事の身柄拘束(2009年12月5日、読売新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は4日夜、南部ミンダナオ島マギンダナオ州の知事選をめぐる大量殺人事件を受け、同州に戒厳令を発令した。
 また捜査当局は5日未明、事件に関与したとして、アンダル・アンパトゥアン州知事ら2人の身柄を拘束した。
 フィリピンでの戒厳令発令は、1972年に当時のマルコス大統領が全土に発令して以来初めて。事件に関与した州知事一族と私兵団の摘発を狙いとしたもので、60日間にわたって人身保護令状の請求権が停止され、令状なしの身柄拘束が可能となる。
 アンパトゥアン知事一族はアロヨ大統領の盟友とされ、11月の事件発覚後も政府の対応が鈍いとして、批判が出ていた。
 戒厳令と知事らの拘束に踏み切ったのは、来年5月に総選挙を控え、大統領も断固とした姿勢を示す必要があると判断したためとみられる。
 大量殺人事件は11月23日に発生。マギンダナオ州知事選に出馬を予定していた州内の町の副町長の代理で立候補届け出に向かっていた副町長の家族や取材記者の一行が襲撃され、57人が殺害された。26日には、襲撃を行った武装集団を率いた疑いで、アンパトゥアン州知事の息子が拘束されている。

◎死者57人中ジャーナリスト30人、フィリピン大量殺害(2009年11月27日、朝日新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島マギンダナオ州で23日に州知事選の立候補届け出に向かっていた政治家の家族らが殺害された事件で、殺害された57人のうち30人が取材のため同行していた地元メディアのジャーナリストだったことが27日わかった。現場を通りかかった車に乗っていた人が犠牲者に含まれていることもわかり、無差別に殺害を実行した残虐性がさらに明らかになった。
 取材中に命を落としたジャーナリストの数を集計している米国のNGO「ジャーナリスト保護委員会」によると、92年に集計を始めて以降、単独の事件で殺害された人数としては最多。これまで最も多かったのはバグダッドで06年12月に11人が殺害された事件だという。
 比捜査当局は、同州内で強大な権力を握る政治家一族のアンダル・アンパトゥアン町長がライバルの立候補を阻止するために私兵や地元警察を使って殺害したとみて、殺人容疑で調べている。ほかにも一族が関与した可能性が強いと見られている。

◎フィリピン大量殺人、州知事の息子を拘束(2009年11月26日、朝日新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島マギンダナオ州で23日に州知事選の立候補届け出に向かっていた政治家の家族やジャーナリストらが武装グループに殺害された事件で、関与が疑われていた同州ダトゥウンサイのアンダル・アンパトゥアン町長が26日、比捜査当局に出頭し、拘束された。当局は同町長をマニラに移し、殺人容疑で調べる。
 これまでに計57人の殺害が確認され、無抵抗の女性らを殺害した事件の残虐さが明らかになっている。
 町長は同州のアンパトゥアン知事の息子。父の後を継いで知事選出馬を予定しており、ライバルの立候補を阻止するための犯行と見られている。しかし町長は、出頭前に地元ラジオに「法に違反していないことを示すために出頭する」と関与を否定した。
 アンパトゥアン一族からはほかにもイスラム自治区知事などの政治家が輩出し、同州などで強大な権力を握っている。事件は一族の指令で、私兵のほか、地元警察も関与した可能性が強く、比捜査当局は現職警官6人を逮捕して調べている。
 事件では、同州ブルアンの副町長の妻や姉妹、ジャーナリストらが車で移動中に武装グループに誘拐された。遺体や車は重機を使って地中に埋められていた。

◎政治家家族ら21人殺害、州知事選届け出前、フィリピン(2009年11月23日、朝日新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島マギンダナオ州で23日、地元政治家の家族やジャーナリストら約40人が武装したグループに誘拐された。フィリピン国軍によると、グループを追跡していた軍は21人が殺害されているのを発見した。家族らは来年5月に予定される州知事選への立候補届け出に向かうところだったとされ、ライバル陣営による犯行の可能性が指摘されている。
 誘拐されたのは、同州ブルアンの副町長の妻と姉妹、届け出を取材しようとしていたジャーナリストら。車5台で州都に向けて移動中に約100人のグループに襲われたという。殺害された21人のうち13人は女性だが、身元はまだ明らかになっていない。副町長は地元メディアに対し、「現職州知事がこの虐殺にかかわっている」と非難した。
 地元メディアによると、副町長の家系と知事の家系はともに同州内で政治家が輩出し、政治的なライバル関係にある。ミンダナオ島では長年、自治や独立を求めるイスラム武装勢力と政府の争いが続くが、それとは別に私兵を抱える地方政治家同士の争いも絶えないとされる。
 フィリピンでは来年5月に大統領選など各種選挙が行われる予定で、20日から立候補受け付けが始まっている。同国では選挙がらみの殺人は珍しくないが、これほどの規模の事件はきわめて異例だ。

◎死者・不明者270人超、37万人が避難、フィリピンの台風被害(2009年9月29日、産経新聞)
 台風16号によるフィリピンの豪雨被害で、国家災害対策本部は29日、死者が240人に達したことを明らかにした。行方不明者は37人。家屋倒壊などにより、37万人以上が避難しており、政府は食料などの配給を進めている。
 マニラ首都圏と周辺地域で、家屋3200戸以上が全半壊。がれきやごみが散乱している地域もあり、政府当局者は衛生状態の悪化に注意を呼び掛けた。避難する市民の増加により、配給物資の不足も懸念されている。
 同本部は、道路などインフラや農地の被害総額を約23億ペソ(約44億円)と試算。一部地域で停電が継続、上下水道の復旧も遅れている。
 アロヨ大統領は、政府の対応能力を強調しているが、市民の間では治水の不備や救援活動の遅れに対する不満が高まっている。

◎フィリピン、台風の死者・行方不明者150人超える(2009年9月28日、朝日新聞)
 AFP通信などによると、フィリピン政府は28日、ルソン島を直撃した台風16号による豪雨災害での死者が140人、行方不明者が32人に増え、被災者は43万人にのぼることを明らかにした。
 豪雨から3日目の28日、4分の1の地区が冠水したマニラ首都圏などでは徐々に水が引き始めているが、家屋の浸水や停電などの影響で今も11万人以上が避難している。浸水や土砂崩れなどによる被害は首都圏と周辺を含めて1億ペソ(約1億9千万円)以上に上るという。

◎フィリピン、台風直撃で73人死亡、被災30万人か(2009年9月27日、朝日新聞)
 フィリピンのルソン島で26日、台風16号の直撃による豪雨があり、首都マニラや周辺地域で洪水が起きている。政府によると、27日夕までに73人が死亡、23人が行方不明となった。浸水や地滑りが各地で発生し、被災者は30万人にのぼっているという。日本政府筋によると、これまでに日本人の死者・行方不明者の情報はない。
 死者の多くは首都圏近郊や周辺地域で出たが、首都圏でも全体の4分の1の地区が冠水。送電線や電話線が切断されるなど市民生活に大きな影響が出ている。マニラでは26日朝からの9時間で416ミリの降雨を記録し、1967年以来の豪雨となった。

◎マニラで記録的豪雨、5人死亡、洪水で40人犠牲の情報(2009年9月27日、産経新聞)
 フィリピンのルソン島で26日、熱帯低気圧による記録的な豪雨があり、AP通信によると、マニラ首都圏などで5人が死亡した。多くの家屋が浸水し、千人以上の住民が高台などに避難。政府は被害状況の把握を急いでいる。
 地元ラジオによると、首都圏近郊リサール州で洪水が発生、40人以上が犠牲になったとの情報もあり、死者数は増える可能性が高い。
 地元メディアによると、マニラ首都圏での1日の降水量としては1967年以降で最多を記録。ルソン島中部では、土砂崩れで行方不明者が出ているとの情報もある。首都圏では、河川に近い地区を中心に道路が冠水。市民の一部は屋根に上って救助を待った。
 マニラの空港では、国内線の一部が欠航となったほか、国際線の一部も着陸できずにほかの空港へ向かった。

◎フィリピン南部で爆発、市民2人死亡、イスラム過激派か(2009年7月7日、産経新聞)
 フィリピン南部スルー州ホロ島で7日、教会近くに仕掛けられた爆弾が爆発、少なくとも市民2人が死亡、学生ら20人以上が負傷した。国軍当局者が明らかにした。同国南部では爆発事件が相次ぎ、治安が急速に悪化している。
 国軍によると、教会付近に止めたバイクに遠隔操作の小型爆弾が隠されていた。国軍は、スルー州などで活動するイスラム原理主義過激派、アブサヤフが関与したテロとみて調べている。
 フィリピン南部では、アブサヤフのほか反政府武装勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)も活動。5日にも教会近くの爆弾テロで5人が死亡、50人以上が負傷しており、宗教対立が強まる懸念も出ている。

◎比ミンダナオの教会近くで爆弾が爆発、5人死亡(2009年7月5日、朝日新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島コタバト市内で5日朝、爆弾が爆発し、国軍によると5人が死亡し、40人が負傷した。地元の国軍報道官は、イスラム武装勢力「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」による犯行として非難した。
 爆発が起きたのは市中心部のカトリック教会の近く。教会では日曜朝のミサが開かれており、大勢の人が集まっていた。MILFと国軍は昨年8月からミンダナオ島中部で武力衝突を断続的に続けている。

◎比のエボラ、人にも感染(2009年1月23日、産経新聞)
 フィリピンで昨年、養豚場の豚がエボラウイルスの一種に感染していた問題で、養豚関係者の1人も同ウイルスに感染していたことが23日、分かった。現地で調査に当たるフィリピン保健省や国連食糧農業機関(FAO)など国際機関は、感染経路の特定に向け、さらに調べを進める。
 人と接触する機会が多い家畜への感染が世界で初めて確認されたため、専門家の合同チームが今月6日から人への感染の有無などに関する調査を実施。保健省当局者らによると、養豚場に出入りしていた関係者約50人の血液などを検査したところ、豚で見つかった「レストン」と呼ばれるタイプのエボラウイルスに1人が感染していた。発症はしておらず、感染源が豚かどうかも不明という。
 レストンタイプは人への病原性がないとされ、これまで人が感染したケースで発症例は確認されていない。保健省などは、直ちに重大な事態に発展する可能性は低いとみているが、家畜から人に感染したとすれば公衆衛生上の問題があるとして、実態解明に努める。

◎フィリピン:銃撃戦で16人死亡(2008年12月6日、毎日新聞)
 マニラ首都圏パラニャケ市で5日夜、警察と強盗団が銃撃戦になり、一般市民を含む少なくとも16人が死亡した。地元警察当局が6日明らかにした。
 当局者によると、バス会社を襲撃しようとした強盗団が、警察の追跡に気付いて車から銃を乱射。路上などで激しい銃撃戦となって強盗団10人と警官1人が死亡、近くにいた市民5人も巻き添えになった。

◎アロヨ大統領の弾劾却下へ、フィリピン下院(2008年11月26日、朝日新聞)
 フィリピン下院法務委員会は26日、野党勢力が汚職疑惑などを理由にしたアロヨ大統領に対する弾劾の申し立てを却下することを決めた。委員会報告は週明けにも下院本会議で審議されるが、与党勢力が圧倒的で、弾劾却下は確実とみられる。アロヨ大統領への弾劾申し立ては05年以降4年連続だが、過去3回は却下されている。

◎フィリピン上院議長が辞任、アロヨ政権に追い風か(2008年11月19日、朝日新聞)
 フィリピン上院で17日、次期大統領選の有力候補の一人であるビリヤール議長が辞任に追い込まれた。野党陣営が次期大統領選を巡る思惑から分裂し、後任議長にはアロヨ大統領に近い与党議員が選ばれた。上院は野党陣営が多数を占め、アロヨ政権の汚職などを厳しく追及してきており、野党の分裂はアロヨ政権に有利に働きそうだ。
 上院の半数を超える13人の与野党議員が議長交代を求める決議に署名し、これを受けてビリヤール氏が17日午後、「同僚の多数の支持を得ていないことを知らされた」として辞任を表明。新議長には与党のエンリレ議員(元国防相)が選ばれた。
 次期大統領選に意欲的と見られる複数の野党議員が、大統領選レースで優位に立つビリヤール氏を牽制(けんせい)するために議長からの追い落としを画策し、他の与野党議員がこの動きに乗ったとみられる。
 07年の上院選で野党陣営が圧勝。アロヨ政権高官の汚職疑惑の調査を進めるなど対決姿勢を鮮明にしてきた。今回の議長辞任について大統領府は「上院の独立を尊重しており、上院指導部の交代には何ら関与していない」(大統領府高官)としている。

◎比ミンダナオ島:和平交渉が決裂、6年越しの対話に幕(2008年10月26日、毎日新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島のイスラム反政府組織「モロ・イスラム解放戦線」(MILF)と政府の和平交渉で、MILFのモハゲール・イクバル和平交渉団長は24日、毎日新聞に対し、MILFの交渉団を来月にも解散する方針を明らかにした。政府側交渉団はアロヨ大統領の指示で9月、すでに解散しており、03年から続いた和平交渉の決裂は確定的となった。
 交渉では、和平合意に向け双方が7月、新たに創設する地元統治機構に外交、国防などを除く権限を移譲するとの覚書を作成。しかし一部の上院議員や地元自治体の首長が「国の中にもう一つ国を作るようなものだ」などと反発。8月5日の正式署名前日に最高裁が「違憲の恐れがある」と署名差し止めを命じた。
 これにMILFの一部部隊が反発し、国軍との戦闘が激化。8月以降、政府発表で一般住民を中心に91人が死亡、約40万人の避難民が出ている。
 イクバル団長は「政府は和平を望んでいない。住民の犠牲者の多くは国軍によるものだ」と非難。MILF内部に政府への不信感が強まっているとしたうえで、「MILF指導部は今のところ、こうした動きを抑えているが、大きな問題になっている」と指摘。MILF内部で強硬派勢力が力をつけてきていることを明らかにした。
 政府、MILF側ともに、交渉の進展を望んでいるとされる。しかし最高裁は今月14日、最終的に、覚書はミンダナオの独立を事実上認めており憲法違反との判決を下し、和平合意に至るにはMILFがさらに譲歩する必要が生じた。
 またアロヨ大統領は交渉再開の条件として、MILFの武装解除を求めている。しかしMILFの一部部隊は国軍との戦闘状態にあり、MILF側が応じるのは困難だ。
 アロヨ大統領は、カトリック教徒や地域代表など利害関係者からなる交渉団を新たに結成する意向を示しているが、関係者の意見集約は難しい情勢だ。大統領の任期は残り1年半ほどしかなく、和平を進展させる求心力を失っていることから、単なる和平へのポーズとみられている。
 一方、イクバル団長は「我々は和平の窓口を完全には閉ざしていない」と説明し、新たな交渉の枠組みとして、国際社会に交渉への参加を呼び掛ける意向を示した。

【ことば】モロ・イスラム解放戦線
 イスラム教徒が多数派のミンダナオ島で70年代、イスラム勢力が「モロ民族解放戦線」(MNLF)を結成し、島の独立を求めて武装闘争を開始。MNLFは96年に政府と和平協定を締結したが、78年にMNLFから分派した急進派「モロ・イスラム解放戦線」(MILF)は戦闘を継続した。MILFも03年7月、マレーシアの仲介で比政府との停戦に合意。要求を独立から自治権確立に譲歩して政府と和平交渉を進めていた。

◎船員大国フィリピン、海賊直撃、3カ月で人質120人(2008年10月24日、朝日新聞)
 「船員大国」のフィリピンがアフリカ東部のソマリア沖で多発する海賊被害に悲鳴を上げている。襲われる船の所有者は世界中に広がるが、実際人質になる船員の多くがフィリピン人だからだ。経済を出稼ぎ者に依存するフィリピンだが、有効な対策を打ち出せず、頭を抱えている。
 15日、ソマリア沖のアデン湾で韓国貨物船が海賊に襲われた。フィリピン外務省によると、乗組員21人全員がフィリピン人。先月17日に襲われたギリシャのタンカーも26人全員がフィリピン人だった。
 同省の調べでは、3カ月余りに乗っ取られた10隻の乗組員約230人のうち127人がフィリピン人で、うち1人が襲撃時に死亡。その後、6隻が解放されたが、4隻の66人が人質になったままだ。
 フィリピンは毎年100万人以上が海外に働きに出かけ、その送金が国内総生産(GDP)の1割に上るとされる「出稼ぎ大国」。とりわけ船員は陸上の建設労働者などに比べ、給料が高いため人気がある。海外雇用庁などによると、海外で働く船舶労働者は約26万6500人(07年)。世界の船員の約3分の1を占めるとされる。
 フィリピン船員連合のラミレス委員長は「フィリピン人は英語ができて柔軟性がある。我々が供給しなければ世界経済はマヒする」と話す。
 だが海賊被害が相次ぎ、船員からは「危険な海域を通る際は船団を組み、米軍などの艦艇に護衛してもらいたい」(ラミレス委員長)と訴えの声が上がる。
 しかし他国の船に船員を供給するだけのフィリピンに効果的な対策はない。海賊が要求する身代金を支払うのは船主で、フィリピン政府も「身代金は支払わない」という姿勢を貫く。外務省は「ソマリア沖を通る船への乗船を禁止する」と提案したが、海外雇用庁は「契約に明記するのは無理」との立場だ。
 船主側に「危険手当」の増額を求める案も上がっているが、手当が増えれば危険を承知で行く人がさらに増える可能性もあり、効果は疑問視されている。

・身代金8億円、21日後に解放
 フィリピン人船員のマーク・アントニー・アバロスさん(31)とアルトロ・ニコラスさん(43)は8月、米国からオマーンに材木や機械を運ぶドイツ船に乗り、アデン湾を航行中に海賊に襲われた。
 海賊が乗った小さなボートから最大速度で逃げようとしたが、簡単に追いつかれた。海賊たちはロープを投げ込み、乗り込んできた。銃声が聞こえ、自動小銃やピストル、ロケット砲を持った3人がロシア人船長に銃を突きつけ、船を止めさせた。
 海賊は全員黒人。裸足でTシャツ姿だった。1人は英語を話したが、あとは何を言っているのか分からなかった。
 所持金や携帯電話、デジタルカメラなどを奪われ、ソマリア東部の海岸に移動させられた。同様に捕まった船を少なくとも7隻見た。
 身代金800万ドル(約8億円)を要求された。英語を話す海賊が「支払わなければ殺す」と脅し、眠れない夜を過ごした。21日後、「解放される」と船長が言った。「グッバイ」「アイラブユー」。海賊たちは覚えたての英語を口にして船を離れていった。

〈ソマリアの海賊〉
 長引くソマリア内戦の影響で、ソマリア沖などで海賊事件が多発。23日の国際海事局の発表では、今年1月から9月までに全世界で報告された199件の被害のうち、約3分の1にあたる63件がアデン湾とソマリア東岸に集中する。日本船籍のタンカーも銃撃を受けた。日本政府が海上自衛隊の派遣を検討しているほか、国連安保理が取り締まりを求める決議を採択するなど、国際的な問題になっている。

◎比警察、元下院議員ら4人を逮捕、クーデター計画容疑(2008年7月3日、朝日新聞)
 フィリピン国家警察は3日、アロヨ政権を転覆するクーデターを計画していたなどの疑いでホモボノ・アダーザ元下院議員と元軍人ら4人を逮捕したと発表した。クーデター計画の詳細は明らかになっておらず、元議員らは容疑を否認している。
 警察によると、フィリピンの弁護士が計画の存在を2日に通報した。弁護士の供述によると、フィリピンのリゾート会社の日本人コンサルタントが会社の経営権を巡る争いで元議員らがかかわる警備会社に相談したところ、クーデター資金として400万ドルを支払うよう要求された。断ると、経営者を殺害して容疑をでっち上げるなどと脅されたという。

◎フィリピン南部でバス連続爆発、5人死亡・7人負傷(2007年6月15日、読売新聞)
 フィリピンの警察当局によると、比南部ミンダナオ島南ダバオ州で15日夕、バス車内に仕掛けられた爆弾が爆発し、5人が死亡、7人が負傷した。
 この直前にも同島中部コタバト市で、停車中のバス車内で爆発があった。コタバト市の爆発では死傷者はなかった。
 2台は同じバス会社の所有で、数日前に現金200万ペソ(約520万円)を要求する脅迫状が届いていたという。同島では先月以降、同社のバスを狙った爆発が相次いでいる。

◎20年までに狂犬病撲滅へ、比上院議員が法案提出(2006年11月26日、読売新聞)
 フィリピンから帰国した日本人男性2人が狂犬病を発症、うち1人が死亡した問題を受け、フィリピンのカエタノ上院議員は24日、2020年までの国内の狂犬病撲滅を目指し、飼い主にペット犬の登録・予防接種などを義務づける法案を上院に提出した。
 同法案は、ペット犬の自治体への登録や予防接種を怠った飼い主に、罰金2000ペソ(約4600円)の支払いを命じるほか、野良犬や予防接種を受けていない犬の収容場所を主な市町に設置するという内容。また、関連機関が連携し、犬の集団予防接種の実施や狂犬病に関する情報提供・予防教育を徹底する。
 保健省によると、フィリピンで発症した狂犬病は、9割近くがペット犬に起因する。屋外で放し飼いにされているペット犬が多いためで、飼い主の責任を明確にすることが、狂犬病対策のカギを握るとみられる。

◎中部ミンダナオで爆弾テロ、6人死亡、JIが関与か(2006年10月11日、朝日新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島中部で、10日から11日にかけ、3件の爆弾テロ事件が起き、6人が死亡、30人以上が負傷した。ミンダナオ地方では、政府とイスラム武装勢力の和平交渉が難航。10月下旬には、日本の開発専門家が国際監視団の一員として中部ミンダナオに派遣されるが、治安悪化が活動に影響する恐れもある。
 北コタバト州マキララ町では10日夜、爆発があり、6人が死亡、29人が負傷した。祭りでにぎわう集会所近くに爆弾が仕掛けられたとみられ、11日には現場近くで別の爆弾1個が見つかった。
 スルタンクダラット州では10日、市場で爆発が起き、4人が負傷。日本人開発専門家が拠点とするコタバト市でも11日昼ごろ、爆発があったが、死傷者はなかった。
 当局によると、いずれも携帯電話で爆破させる仕組みの爆弾。ミンダナオ島に近いスールー諸島で1週間前、潜伏していたテロ組織ジェマー・イスラミア(JI)幹部のインドネシア人の妻子が拘束されており、爆破事件は当局への報復の可能性があるという。

◎フィリピン、NPAと軍衝突、4人死亡(2006年9月13日、毎日新聞)
 フィリピン軍は12日、中部レイテ島で11日にフィリピン共産党の軍事組織・新人民軍(NPA)と軍部隊が衝突し、NPA側の4人が死亡したと明らかにした。軍報道官は、死亡者の中にフィリピン共産党のレイテ島地域幹部が含まれていると述べた。

◎比で死刑廃止法成立、大統領、バチカン訪問を前に署名(2006年6月24日、朝日新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は24日、死刑廃止法に署名し、同法が成立した。同国の死刑は87年に一度廃止されたがその後復活していた。
 アロヨ大統領は腹痛を訴え入院していたが、24日午前に退院。上下院議員や外交団らを前に署名式を開いた。
 死刑廃止はフィリピンの政治・社会に絶大な影響力を持つカトリック教会が求めていた。大統領は25日からの欧州訪問ではバチカンを訪れ、ローマ法王と面会する予定で、訪欧前の廃止実現にこだわっていた。
 アムネスティ・インターナショナルによると、世界で死刑制度を「全廃」した国はフィリピンを含め87カ国。東南アジアではカンボジア、東ティモールに続き3番目。

◎フィリピンが死刑廃止、復活、廃止の繰り返し(2006年6月8日、朝日新聞)
 フィリピン上下院は7日夜、死刑廃止法案を可決した。アロヨ政権が最重要法案として審議を急がせたもので、大統領は今月中にも署名する見込み。同国の死刑制度は87年のアキノ政権下で廃止されたが、93年末にラモス政権下で復活。再廃止には「一貫性がない」との批判も出ている。
 同法の成立で、国内の1000人余の死刑囚が減刑されるという。大統領は7日、「死刑廃止は犯罪者の勝利ではない」との声明を出し、凶悪犯への対応は「厳しい法執行でのぞむ」とした。
 01年に就任したアロヨ大統領は熱心なカトリック教徒で、任期中に死刑は執行していない。法案の成立を急いだのも、今月下旬に控えたバチカン訪問に間に合わせる意向があったとみられる。
 これに対し、死刑廃止に反対する犯罪被害者の団体、「犯罪と腐敗に反対するボランティア」のヒメネス会長は「大統領は、政治力のあるカトリック教会を味方にするために司法制度を犠牲にした。被害者は法による処罰に頼れず、『闇の殺し屋』に処罰を依頼することになる」と批判した。
 93年の死刑制度復活は、誘拐や殺人など凶悪事件の抑止が主な目的だった。特に90年代の誘拐や殺人の被害者には資産家の中華系フィリピン人が多く、今後反発が強まるとみられる。
 世界で死刑制度を全廃した国は86カ国にのぼる。アジアではこれまでカンボジア、東ティモール、ブータンなどが廃止したが、日本や中国、インドを含め多くの国が存続させている。

◎メーデー、「反アロヨ」の声相次ぐ、フィリピン(2006年5月1日、朝日新聞)
 メーデーの1日、フィリピン各地で労働団体などによる集会が開かれ、高い失業率を改善できないアロヨ政権への批判が相次いだ。1万人以上が参加したマニラ首都圏での集会では、参加者がアロヨ大統領のいるマラカニアン宮殿に向かってデモ行進を始め、治安部隊ともみあう場面もあった。
 「大学を卒業しても10人のうち4人しか仕事がない」。マラカニアン宮殿に近い広場で、今年の新卒者を含む若者の団体が訴えた。「外国へ出稼ぎに行くしかない。大統領の責任は大きい」
 フィリピンの05年の失業率は11.4%。ベトナム(5.1%)やインドネシア(10.3%)より高く、国内の雇用創出が急務となっている。
 アロヨ大統領は昨年来の政治危機を乗り切ろうと、「憲法改正」による議院内閣制の導入を打ち出しているが、集まった人々は「改憲よりも辞任を」と訴えた。
 クーデター計画発覚による2月24日の非常事態宣言後、同国で大規模な集会が開かれるのは初めて。集会の多くが「反アロヨ」を掲げたことから、政権側は首都圏を中心に治安部隊約6000人を配備して警戒した。

◎メーデーのフィリピン、マニラで反政府デモ(2006年5月1日、読売新聞)
 メーデーの1日、フィリピンでは、憲法改正で延命を図ろうとするアロヨ政権打倒を目指し、左派系や労働団体などの市民数千人がマニラ各地でデモを展開した。
 3月に非常事態宣言が解除されて以来の最大の危機として、警官隊約5000人を市内に配備する「最高レベルの警戒体制」(国家警察)を敷いたが、大きな混乱はなかった。
 左派系市民団体が集会を開いたマニラ中心部のボニファシオ広場には、「大統領は辞任せよ」など反政府スローガンが書かれた横断幕などを手に、約千人の市民が集まった。

◎フィリピン南部で爆発、少なくとも4人が死亡(2006年3月27日、日本経済新聞)
 フィリピン南部ホロ島で27日午後、爆弾テロとみられる爆発があり、少なくとも4人が死亡、14人が負傷した。警察当局は何者かがカトリック系学校の売店に爆弾を置いたとみて調べている。同島周辺にはアブサヤフなどイスラム系テロ組織の活動拠点があり、政府との衝突が頻発していた。

◎フィリピン政府、大統領批判の新聞編集長らを告訴(2006年3月4日、朝日新聞)
 フィリピン政府は3日、アロヨ大統領に批判的な論調の新聞デーリー・トリビューンのニネス・オリバレス編集長ら3人を「反政府運動を扇動した」として検察庁に告訴した。告訴は非常事態の解除後で、アロヨ政権が今後も反対勢力に厳しい姿勢を貫くことを見せつけた。
 地元紙などの報道によると、告訴されたのは編集長と2人のコラムニスト。編集長は「自身への批判を止められないことにいら立った大統領の嫌がらせ」と非難した。
 国家警察は非常事態宣言発令後、トリビューン紙の編集部などを捜索。同社は新聞を発行し続けたが、3日午前まで社屋に警察官が常駐するなど圧力をかけられていた。
 また同日、米誌「タイム」の記事で「クーデターの密議に加わった」と報じられたアキノ元大統領の弟、ホセ・コファンコ元下院議員が、国家捜査局(NBI)に出頭、改めて容疑を否認した。NBIは記事を書いた記者も任意で事情聴取したい、としている。

◎フィリピン、非常事態宣言を解除(2006年3月3日、日本経済新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は3日午前(日本時間同午後)、クーデター計画の発覚を受けて先月24日に発令した非常事態宣言を解除した。反政府勢力の動きが沈静化したと判断した。ただ、解除直前に同時爆発事件が発生するなど治安面の不安が残るほか、大統領選での不正疑惑を発端とした現政権への不信感も高まっており、今後の情勢はなお不透明だ。
 大統領は緊急のテレビ演説で「フィリピンには正常と秩序が戻ったと確信している」としたうえで「反政府勢力による政府転覆の動きは阻止され、政府が本来の職務に戻る時期が来た」と明言。政権を転覆させようとする動きについては「国家と経済を破壊しようとする敵を打ち砕く」と決意を示した。
 同時爆発は午前10時前後にマニラの商業地区の路上で発生した。事件に関する声明などはなく背後関係は不明だが、非常事態宣言解除の阻止を狙う反政府勢力によるものとの見方が強い。

◎非常事態宣言、比大統領は当面続行、デモ封じ狙う(2006年2月27日、読売新聞)
 フィリピンで発令中の非常事態宣言について、比大統領府のブニエ報道官は27日午前、地元ラジオのインタビューに答え、アロヨ大統領が宣言を当面続行する見通しを明らかにした。
 海兵隊員が26日に司令部に一時立てこもるなど、政情が不安定なためとしている。
 ブニエ報道官は、「海兵隊の事件で、国民は非常事態宣言が多少長引くことを理解してくれると思う」などと話した。解除の時期については言及を避けたが、「宣言は一時的」であることを強調した。
 これに対し、大学教授や弁護士計5人が27日、非常事態宣言の違法性認定と一時差し止めを求める訴えを最高裁に申し立てた。
 一方、大統領府は、マニラ日本人学校を含む首都圏のすべての公立・私立学校に27日を臨時休校とするよう命じた。一部学生による同宣言による抗議行動が予定されており、デモ封じが狙いとの見方が強い。宣言が発令された24日も全学校が休校とされたが、大統領府は27日に授業再開の方針を示していた。
 これに先立ち、大統領府は26日夜、宣言を出す根拠となった一連のクーデター計画に関する情報を一部公開した。この中で、アキノ元大統領の弟で、元下院議員のホセ・コファンコ氏や、実業家のパストル・サイコン氏らの関与が指摘された。23日夜、コファンコ氏は自宅に、実業家や官僚らを集め、アロヨ政権打倒を話し合ったとしている。

◎比、アロヨ大統領に反発強まる、非常事態宣言継続か(2006年2月26日、読売新聞)
 非常事態宣言から2日目を迎えたフィリピンでは25日、ラモス、アキノ両元大統領が、マルコス独裁体制を倒したピープル・パワー革命から同日で20周年となるのを記念したカトリック教会のミサに出席、アキノ氏が非常事態宣言を「(マルコス時代の)戒厳令が名前を変えただけ」と批判するなど、アロヨ大統領に対する反発が強まっている。
 デフェンサー大統領首席補佐官は同日、記者団に対し「アロヨ政権への脅威は消えていない」として、非常事態宣言を継続する可能性を示唆した。逮捕者は、左派政党の下院議員のほか、元警官ら少なくとも3人にのぼった。
 アロヨ氏を支持してきたラモス元大統領は同日の記者会見で、非常事態宣言を「落胆した」と批判、アロヨ氏への支持も弱まっていると不満を示した。
 一方、アロヨ大統領は同日午後、マニラ首都圏タギック市で開かれた経済関係の会合に出席。クーデター計画発覚後、初めて公衆の面前に姿を見せた後、マラカニアン宮殿に戻った。例年、この日に大統領は声明を出しているが、何の発表もなかった。
 国内では集会は禁止され、政府主催行事なども中止されたが、左派政党バヤン・ムナは同日夜、同首都圏オルティガス市で非常事態宣言に反対する祈りの集会を開いた。

◎反大統領派の議員ら拘束、非常事態宣言のフィリピン(2006年2月25日、産経新聞)
 非常事態宣言が出されているフィリピンで25日、治安当局は反アロヨ大統領派のベルトラン下院議員やモンターニョ元警察長官ら退職した警察幹部2人を拘束、事情聴取を行った。当局は同日未明、アロヨ氏に批判的なデーリー・トリビューン紙の社屋を捜索、編集用の機材を押収するなど、強権を発動し、反アロヨ派への締め付けを強めている。
 同国の治安筋は25日、先に発覚した軍高官らのクーデター計画に関与した疑いで、現職や元職の政治家ら200人以上から事情聴取する方針だと語った。
 一方、アロヨ政権の後見役的な存在とされるラモス元大統領は同日の記者会見で、大統領による24日の非常事態宣言を「途方もない間違い」と批判した。
 25日はマルコス独裁政権を追放した1986年2月の「ピープルパワー革命」から20年の記念日に当たるが、非常事態宣言を受け、開催が予定されていた政府主催の行事はすべて中止された。大規模な抗議行動なども行われていない。
 ベルトラン氏は左派政党所属。民放テレビのABS−CBNは、20年以上前の反乱扇動の容疑に問われたと報じた。治安当局によると、24日に発覚した軍高官らのクーデター計画に関与した疑いがあるという。
 2人の元警察幹部も反アロヨ派。アキノ政権時代に警察長官を務めたモンターニョ氏は、アロヨ大統領の辞任を求めていた。アキノ元大統領は、かつては支持したアロヨ大統領に対する批判を強めている。
 非常事態宣言により、治安当局は令状なしでの逮捕や拘束、捜索が可能。相次ぐ強権発動は反アロヨ派の反発をさらにあおる可能性もある。(共同)

◎フィリピン非常事態宣言、当局が野党議員を逮捕(2006年2月25日、読売新聞)
 非常事態が宣言されてから一夜明けた25日のフィリピンで、野党の下院議員少なくとも1人が逮捕されたほか、反体制で知られる地元新聞社が捜索された。
 マルコス独裁体制を倒したピープル・パワーから同日で20周年の記念日を迎えたフィリピンの緊張が高まっている。
 地元ラジオによると、逮捕されたのはクリスピン・ベルトラン下院議員で、反アロヨ派として知られる。同議員は、兵士に逮捕され、マニラ首都圏の軍施設へと連行されたという。野党議員の間からは、「弾圧だ」と怒りの声が上がっている。
 一方、警察官15人が同日未明、地元紙「トリビューン」のマニラ市内の編集局を急襲、同紙数部と写真を押収した。発行人のオリバレス氏は、地元テレビに対し、捜索は令状なしで行われたと述べ、「言論の自由に反する」と強く非難している。同氏によると、同日付の紙面には、反アロヨ派政治家寄りの記事はない。
 マニラ首都圏は25日午前の段階では、マラカニアン宮殿周辺や、ビジネス街のマカティ市中心部に、街頭デモを行う人の姿はなく表面上は平静を保っている。マラカニアン宮殿の入り口にコンテナや有刺鉄線で幾重にもバリケードが築かれるなど厳重な警備が目立つだけだ。
 一方、同日午後には、アロヨ政権を支えてきたラモス元大統領の記者会見が予定されており、同元大統領が、アロヨ政権に対し支持継続を表明するか否かが注目されている。

◎フィリピン、国軍幹部クーデター計画で非常事態宣言(2006年2月25日、日本経済新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は24日午前(日本時間午後)、国家非常事態宣言を発令した。国軍幹部が政権を打倒するクーデターを計画していることが判明、国内各地の国軍基地で兵士が同調する動きが出たためだ。国軍内の造反を受けて反政府陣営の勢いが増すのは必至。同国の政局は一気に流動化してきた。
 非常事態宣言の発令に先立ち、同日早朝にマニラ北部ブラカン州のテクソン基地で精鋭部隊を指揮するリム陸軍准将がクーデターを計画した容疑で拘束された。国軍関係者、政治家、資金提供者など8―10人の関与も判明している。
 計画の発覚を受け、政府は陸軍本部があるマニラのアギナルド基地の装甲車部隊に出動待機を命じたほか、兵士の動きを監視するなど造反の抑え込みを急いでいる。
 フィリピンでは2004年の大統領選での不正疑惑をきっかけに昨年半ばからアロヨ大統領の辞任を求める声が高まっている。22日には14人の将校をクーデター計画に関与したとして拘束したが、今回の計画との関連は明らかになっていない。

◎比レイテ島地滑り:爆発のような音、一瞬に村押しつぶす(2006年2月17日、毎日新聞)
 水を吸って重くなった泥が、一瞬にして村を跡形もなく押しつぶした。
 フィリピン中部レイテ島で17日起きた大規模な地すべり。「山が爆発したような音がしたと思ったら、すべてが破壊されてしまった」−−救出された村人の一人は、地元ラジオに恐怖の瞬間の様子を語った。現場となったギンサウゴン村では生き残った人々が、スコップなどのわずかな道具を手に、土砂に埋まった村人の救助活動にあたっている。
 「木々がひっくり返って泥と一緒に滑り落ちてきた」。現地テレビ局が現場から送ってきた中継映像によると、広さ10ヘクタールのギンサウゴン村はほぼ全体が土砂に埋まった。
 地元当局者がAP通信に語ったところによると、村は2週間も続いた長雨で地盤が緩んでいたという。この雨で村に隣接する山の半分が崩壊。人々の暮らしを瞬く間にのみ込んだ。かろうじて、土砂に押しつぶされた家々の残がいや、屋根を残して土砂に埋まった民家の様子がうかがえる。
 ぐったりした負傷者が映し出された。命があるかどうかは定かではない。土砂の中からかろうじて救助された負傷者も、全身にひどい傷を負っているが、土砂の上に直接寝かされ、手当てを受けることができないまま救助を待っている状態だ。
 この事態を受けてフィリピンのアロヨ大統領は同日の公式日程を取りやめ、テレビの生中継を通じて政府が全力を挙げて救助隊や救助物資を現地に送っていると訴えた。
 地元当局者はテレビに向かって「犠牲者の正確な数は分からない。被害が少しでも少ないことを願うばかりだ」と祈るように語った。

◎地滑り:比レイテ島で200人死亡、不明1500人、豪雨(2006年2月17日、毎日新聞)
 フィリピン中部レイテ島の南レイテ州セントバーナード町ギンサウゴン村で17日午前11時(日本時間正午)ごろ、豪雨によるとみられる大規模な地滑りが発生、付近の民家約300軒や小学校が土砂に埋まり、村が壊滅状態となった。フィリピン赤十字社は200人が死亡、1500人が行方不明と推計している。地元当局者は同日夜までに23人の遺体を収容したが、約2000人が死亡した恐れもあると話しており、今後、死傷者が増える可能性がある。
 地元メディアによると、地滑りはギンサウゴン村(人口約3000人)付近の山で起き、村全体が土砂に覆われた。地元当局者によると、埋まった小学校には当時、児童ら200人以上がいたという。マニラの日本大使館の担当者は邦人が巻き込まれたとの情報は17日夕までに入っていないと話している。
 フィリピン中部では2週間にわたり豪雨が続き、12日にもレイテ島南部の地滑りで8人が死亡したばかり。地元選出の国会議員は、被災地域一帯での長期間に及ぶ樹木の違法伐採が災害の原因となった可能性を指摘した。レイテ島では17日午前、弱い地震も発生したが、地滑りとの関連は薄い模様。
 AP通信によると、フィリピン政府は救助用ヘリ2機と海軍船舶2隻を急派、救援のため米海軍艦船も派遣された。遠隔の村の上、付近の幹線道路も一部遮断されており、救助作業は難航している。

◎レイテ島地滑り、学校も飲み込まれる、違法伐採の指摘も(2006年2月17日、朝日新聞)
 まるごとのみ込まれた小学校。家屋の跡形すら見つけられない集落――。17日午前、大規模な地滑りに襲われたフィリピン中部レイテ島の南レイテ州では、1000人以上が生き埋めになった可能性が強まってきた。豪雨による地盤のゆるみに加え、山林の違法伐採で、大量の土砂が一気に流れ込んだとの指摘が出ている。
 「山が爆発したのかと思うような大きな音がした」。地滑りを逃れた男性は地元のラジオ放送にこう語った。現場のセントバーナード市ギンサウゴン地区は人口約3000人。島の南端にあり、約400戸の家屋のほとんどが土砂に埋もれたという。
 17日午後、発生から7時間近くを経て、ようやく地元のテレビが現場の状況を中継し始めた。山あいの街全体が、整地された運動場のように土砂で埋め尽くされている。土砂の中から、泥だらけの女性や赤ちゃんが助け出され、ブルドーザーで負傷者を運ぶ様子が映し出された。
 ロセット・レリアス南レイテ州知事によると、約200人の児童が通う小学校はちょうど授業中だった。現地に入った救助隊員は、学校は建物すら見えない状態だと報告した。
 地元ラジオは「地面が揺れるのを感じた後、突風が吹いてきた。子ども2人が学校に行ったままで帰らない。きっと埋まってしまったんだ」と話す住民の声を伝えた。学校の集会場では保健衛生関連の集会が開かれており、地域の看護師らが集まっていたとの情報もある。
 レリアス知事によると、豪雨が続き、洪水や地滑りの警告が出たためほとんどの住民が先週、いったん村を出て避難した。しかし、ここ数日で降雨が夕方だけになり、住民らが村に帰った矢先の出来事だったという。地元選出の下院議員は、過去30年にわたる違法伐採で森林が減り、土砂崩れを起こしやすくなった、と指摘しており、「人災説」が浮上しつつある。

◎比レイテ島で地滑り、23人死亡、1000人以上不明か(2006年2月17日、朝日新聞)
 フィリピン中部のレイテ島南部で17日午前10時(日本時間午前11時)ごろ、豪雨による大規模な地滑りが起きた。地元の南レイテ州などによると、17日夕方までに23人の死亡が確認され、53人が救出された。フィリピン赤十字や国防省によると1000人以上が行方不明になっている模様だ。
 マニラの日本大使館によると、日本人被害者の情報は入っていない。
 地滑りが発生したのは南レイテ州セントバーナードで、フィリピンの放送局が空撮した映像では、集落を囲む山なみが幅数キロにわたって崩れ落ち、土肌がむき出しになった。集落は10ヘクタール以上にわたり、泥の海となった。
 フィリピン政府は緊急救助隊や軍、警察を派遣。発生から約4時間後の午後2時(日本時間午後3時)に現地入りし、救助活動を始めた。
 ロセット・レリアス南レイテ州知事は地元ラジオに、人口約3000人の村がほぼ丸ごと土砂に埋もれ、泥は一部で「ココナツの木の高さ」にも達していると話した。授業中だった小学校が建物ごと土砂の下敷きになったとみられ、救助隊は100人以上の子どもが犠牲になった恐れがあると語った。
 クルス国防相によると、南レイテ州では2月1日から16日の降水量が500ミリに達し、2月の平均である127ミリを大幅に上回っていた。海面水温が平年に比べて低い「ラニーニャ現象」のために降水量が増大したと見られている。また、発生時間近くにマグニチュード2程度の地震も確認されたが、地滑りとの関係は不明という。
 レイテ島では91年11月にも、同島西部を台風が直撃、地滑りや洪水で死者・行方不明者が約6000人にのぼる被害が出た。 レイテ島は、第2次世界大戦時に日米両軍が衝突した激戦地として知られる。

◎フィリピン:テレビ番組収録で殺到、66人死亡(2006年2月4日、毎日新聞)
 マニラ首都圏パッシグ市のスポーツスタジアムで4日朝、テレビ局の人気公開番組の収録観覧のために集まった人々が出入り口に殺到して倒れ、AP通信によると、少なくとも66人が死亡した。死者のうち63人が女性という。数百人がけがをしており、犠牲者がさらに増える可能性がある。
 地元当局者などによると、収録は同日昼からの予定で、スタジアム前には約3万人が入場を待っていた。目撃者の話では、4日早朝、施設を取り巻く市民の列の中で、何者かが「爆弾だ」と叫び、パニックが起きたという。警察によると、現場から爆発物などは発見されていない。
 収録予定だったのは、視聴者がゲームで自動車や賞金を当てるフィリピンの超人気番組。今回は番組開始1周年を記念した収録で、今月1日から多数の市民が並んでいた。

◎テレビ番組の収録現場に殺到、71人死亡、フィリピン(2006年2月4日、読売新聞)
 マニラ首都圏パシグ市のスポーツスタジアムで4日朝、地元テレビのゲーム番組収録を見ようと集まっていた市民が折り重なって倒れ、当局によると、少なくとも71人が死亡、約250人が負傷した。
 地元ラジオなどの報道によると、4日昼から始まる番組の収録に合わせ、約3万人が会場入り口に並んでいたが、誰かが「爆弾だ」と叫んだ後、パニックになった。爆発物などは見つかっていないという。
 マニラ首都圏当局者によると、死者の大半が女性。

◎ゲーム番組参加待ちで次々転倒、60人死亡、フィリピン(2006年2月4日、朝日新聞)
 マニラ首都圏パシグ市の競技場で4日午前6時(日本時間午前7時)ごろ、テレビの人気ゲーム番組に参加するために並んでいた人たちが次々と転倒し、少なくとも60人が死亡、多数が負傷した。
 ラジオ報道などによると、フィリピンのテレビ局ABS−CBNのゲーム番組「ワオワオウィー」に参加するため、競技場の敷地に2万〜3万人が集まっていた。数日前から並んでいた人も多く、事故直前には開門を求める人々で混乱していたという。
 警察によると、競技場への入り口付近は下り坂で、幅4メートルほどの門に人々が一気に倒れ込んだとみられる。
 番組は、視聴者がゲームで賞金を得るもの。集まっていた人々は「仕事がないので賞金を得ようと何日も並んでいた」(42歳女性)、「路上生活者だが、1週間近くここにいる」(57歳女性)などと話した。
 貧富の格差が大きいフィリピンでは一獲千金を狙う視聴者参加のゲーム番組の人気が高く、各局が競って宣伝している。

◎フィリピン:05年のGDP、前年比5.1%増(2006年1月30日、毎日新聞)
 フィリピン政府は30日、2005年の国内総生産(GDP)が前年比5.1%増だったと発表した。04年の成長率は6.0%。
 最大の課題である財政赤字は1465億ペソ(約3300億円)と前年を22%下回り、政府が上限として設定していた1800億ペソを下回った。消費税に相当する付加価値税の課税対象拡大などが赤字縮小につながった。

◎フィリピン:移植、整形と同時に観光を、外国人向けプラン(2006年1月30日、毎日新聞)
 フィリピン政府はこのほど、腎臓などの移植や美容整形手術などを受けながら観光を楽しんでもらう日米や韓国など外国人向けの「医療観光プログラム」をまとめた。質の高い看護師や、安い医療費、人気ビーチリゾートをアピールし、来年1月から本格的に患者らを受け入れ、2010年には年間10億ドル(約1170億円)の外貨収入を見込む。
 プログラムの対象となるのは、腎臓、骨髄の移植や心臓の冠動脈バイパス手術のほか、フィリピン式マッサージ、豊胸手術、脂肪吸引手術まで幅広い。
 物価が安く、英語が通じることなどからフィリピンで腎臓移植などを受ける外国人は多く、首都圏の病院では常に全ベッドの1−2割を日米などの外国人が占める。こうした実態を踏まえ、保健省が中心となり治療、宿泊、観光などをパッケージで販売する。
 保健省によると、米国で15万ドルかかる腎臓移植がフィリピンでは3万ドル。泌尿器系の結石粉砕は米国で1万ドルなのに対し1000ドルで済むという。
 プログラムは首都圏の17病院で開始し、10年後にはビーチリゾートのボラカイ島、パラワン島などにも医療施設を整備して患者らを迎える計画。

◎反乱首謀の将校を拘束、フィリピン国軍(2006年1月29日、朝日新聞)
 フィリピン国軍は28日、昨年12月に逃走したファエルドン海兵隊大尉の身柄をマニラ首都圏で確保したと発表した。同大尉は03年にマニラ首都圏のホテルを占拠した反乱将兵グループの首謀者の1人。今月17日には同グループで軍施設に収監されていた兵士4人も逃走したが、見つかっていない。
 ファエルドン大尉は公判のために外出中に逃亡。その後、アロヨ政権批判の声明を報道機関に送りつけ、他の逃走兵が同大尉に合流し、再び反乱を起こす恐れが指摘されていた。

◎フィリピン:新年の「祝砲」禁止、銃口を封印(2005年12月29日、毎日新聞)
 フィリピン政府は29日、新年の「祝砲」を禁止するため軍人と警察官の所有する武器の銃口を封印する命令を出した。同国内では例年、年末年始に市民に流れ弾が当たる事件が相次いでいるための措置。理由なく封印を破った場合、警察は厳しく処罰するという。
 地元紙の報道によると各警察署では銃口にテープを張り、署長がそのテープの上からサインをする、厳重な封印作業が始まっている。封印を破って銃を使用するのは「公務上やむを得ない場合」に限られる。地元メディアによると、昨年末は少なくとも5人が「祝砲」の流れ弾で負傷している。

◎マニラでクーデター騒ぎ、大統領側近「市内は平穏」(2005年12月14日、朝日新聞)
 フィリピンのマニラ首都圏で13日夜からクーデター情報が広がり、東アジアサミットに参加するためクアラルンプールに滞在中のアロヨ大統領の側近は14日、「マニラでは当局が事態を掌握しており、市内は平穏だ。大統領はサミットに集中している」と話した。サミット終了後、予定通り帰国するという。マニラ首都圏では、軍が集結するなどの大きな動きは見えないという。
 マニラのラジオ局が報じたところによると、軍出身の元閣僚ら数人が同首都圏サンファン市の「クラブ・フィリピーノ」で14日早朝、新政府の樹立を宣言したという。同所は86年の政変でアキノ元大統領が新政府樹立を宣言した場所。
 ほかにも現役の軍人らの蜂起のうわさが流れ、複数の現役将校らの名前が首謀者として取りざたされている。
 フィリピンでは、昨年の大統領選をめぐる不正疑惑などが持ち上がって以降、アロヨ政権に対する批判やデモが相次ぎ、政情不安が高まっていた。クーデター情報もたびたび流れている。

◎フィリピン:軍部隊と過激派衝突、23人が死亡(2005年11月14日、毎日新聞)
 フィリピン軍当局者は13日、フィリピン南部ホロ島で軍部隊とイスラム過激派アブサヤフとみられる武装グループが衝突し、少なくとも23人が死亡、数十人が負傷したと明らかにした。
 地元メディアの報道によると、戦闘は11日、武装グループが軍の偵察部隊を襲撃して始まり、軍兵士4人と武装グループの少なくとも19人が死亡した。
 アブサヤフは90年代半ばから、フィリピン国内でキリスト教徒や外国人を対象にしたテロや誘拐事件を繰り返し、国際テロ組織アルカイダとの関係も指摘されている。

◎フィリピン、海外労働者からの外貨送金が急増(2005年8月16日、日本経済新聞)
 フィリピン中央銀行によると、海外に出た労働者が今年1〜6月に同国に送金した外貨の総額は前年同期比21%増の約49億ドル(約5300億円)に急増した。10%を超える高失業率や低賃金を背景に海外で仕事を求める労働者が増えているためで、通年で外貨送金は初めて100億ドルを超える見通しだ。
 これに伴い、6月末の外貨準備高は昨年末に比べて10%増の176億6000万ドルと、過去最高を記録した。1〜6月の国際収支の黒字も前年同期の28倍にあたる約19億8000万ドルに急拡大した。
 同国では人口の1割にあたる約800万人が海外で働いているとされ、6月までの半年間だけで50万人以上が出国した。

◎デング熱:フィリピン各地で流行、政府が対策指示(2005年8月10日、毎日新聞)
 蚊が媒介するウイルス性の熱帯病「デング熱」が今年、フィリピン各地で流行している。10日付の地元英字紙インクワイアラーは、今年の発生件数は例年を大幅に上回る2万件に達するとの専門家の見方を紹介し、国民に注意を呼びかけている。
 デング熱は高熱と全身のけん怠感などが続く病気。ほとんどの場合、後遺症なしに回復する。しかし感染者の数%は、血小板が減少して消化管出血などを起こす「デング出血熱」と呼ばれる症状を起こし、手当てが遅れた場合、死亡するケースもある。
 フィリピンでは、雨期に入った6月ごろから本格的に流行し始めた。同国保健省によると、今年1月から今月3日まで、全国で1万2308件が発生し、159人が死亡した。マニラ首都圏で1853件、国際的な観光地のセブ島周辺地域でも1198件の発生が確認されている。
 フィリピン政府はデング熱を媒介する蚊の発生防止対策を全国の自治体に指示した。また、重症患者の多くが子供に集中していることから、学校周辺で蚊の発生源となる水たまりの撤去や消毒作業が続いている。

◎フィリピンなどで連続爆弾テロ、11人死亡(2005年2月15日、産経新聞)
 フィリピン南部ミンダナオ島とマニラ首都圏マカティ市の3カ所で14日夜(日本時間同)、相次いで爆弾が爆発、計11人が死亡した。イスラム原理主義過激派アブサヤフのスポークスマンが民放ラジオに3件の犯行を認めた。
 日本人が巻き込まれたとの情報はない。
 フィリピンでは現在、南部ホロ島でアブサヤフが支援する別のイスラム武装勢力と国軍の衝突が続いており、警察・軍がテロなどの警戒を強めていた。
 ミンダナオ島ダバオ市の爆発はバスターミナル敷地内であり、民放ラジオDZBBによると、5人が死亡。同島ジェネラルサントスの爆発はショッピングモール付近で起き、3人が死亡、15人近くが負傷した。
 マカティ市では、幹線道路上で走行中の路線バスが爆発、警察によると3人が死亡、約60人が負傷した。自爆テロかどうかは不明という。

◎フィリピンで連続爆弾テロ、7人死亡151人けが(2005年2月15日、朝日新聞)
 フィリピンのマニラ首都圏マカティ市や同国南部のミンダナオ島の計3カ所で14日夜、相次いで爆発があり、7人が死亡、151人がけがをした。警察の15日までの調べによると、3カ所では同じ種類の時限装置付きのTNT爆弾が使われていた。同じグループによる犯行の可能性が強い。地元ラジオによると、イスラム過激派アブサヤフのスポークスマンを名乗る男が14日夜、犯行声明を出した。
 マカティ市では14日午後7時45分ごろ、バス停留所に停車していたバスが爆発、炎上した。警察によると3人が死亡、103人が負傷。バスの座席に爆弾が仕掛けられていたらしい。現場は大型商業施設が集中し、バレンタインデーの買い物客や帰宅途中の会社員らで混雑していた。
 この約1時間45分前、ミンダナオ島ジェネラルサントス市の商業施設前で爆発が起き、3人が死亡、43人が負傷。その30分後には同島ダバオ市のバスターミナルで爆発が起き、1人が死亡、5人がけがをした。

◎比国軍、クーデターの疑いで将校2人逮捕(2004年12月23日、朝日新聞)
 フィリピン国軍は、マニラ首都圏の証券取引所に爆弾を仕掛けたとして陸軍将校2人を逮捕した。アロヨ大統領追いおとしのためのクーデター計画に関与したとみられる。治安当局筋が23日、明らかにした。
 関係者によると、2人は22日朝、爆発物を仕掛けた後、逮捕された。
 22日は、5月の大統領選でアロヨ大統領の対抗馬として立候補し、落選した「映画王」フェルナンド・ポー・ジュニア氏の葬儀がマニラ首都圏で行われ、支持者やファンら約30万人が参加した。アロヨ政権側は、ポー氏の葬儀に乗じた政権転覆計画の情報を事前に察知し、マラカニアン宮殿周辺の警備を強化するなどの対策を講じていた。

◎比の市場で爆発、14人死亡(2004年12月13日、産経新聞)
 フィリピン南部ヘネラルサントス(ミンダナオ島)の公設市場で12日午後(日本時間同)、大きな爆発があり、現地警察によると、14人が死亡、70人が負傷した。
 市場はクリスマス準備のための買い物客でにぎわっていた。警察は、手作りの爆発物が使用されたとみて調べている。
 ロイター通信によると、市場の主導権をめぐり商人同士が争っていたという。イスラム武装勢力の活動が活発な地域でもある。

◎豪雨で死者・行方不明者1000人超す、比ルソン島(2004年12月3日、産経新聞)
 フィリピン軍スポークスマンは2日、今週同国北部ルソン島を襲った熱帯低気圧の豪雨による死者・行方不明者が1082人に達したことを明らかにした。
 最も被害のひどい同島南部ケソン州で1039人が死亡したり行方不明となった。2日、新たに上陸した台風27号による被害も懸念されている。
 森林の不法伐採が大きな土砂災害につながっており、アロヨ大統領は1日、不法伐採の取り締まり強化を訴えた。

◎フィリピンで列車転覆、140人死傷か(2004年11月12日、日本経済新聞)
 フィリピン中部ケソン州パドレブルゴスで12日未明(日本時間同日午前)、国鉄の列車が脱線、約10メートルの斜面下に転落し、国防省救難当局によると、10人が死亡、約130人が負傷した。
 日本大使館によると、死者に日本人がいるという情報はない。
 国鉄当局者によると、列車は7両編成で、4両が斜面下に落ちた。事故当時、乗客乗員約400人が乗っていた。
 パドレブルゴスの市長は、速度の出し過ぎが原因との見方を示した。ロイター通信によると、現場付近では過去にスクラップとして売るために線路などが外されることもあった。列車はアルバイ州からマニラ首都圏に向かっていた。

◎大型フェリー炎上は「アブサヤフの犯行」、アロヨ大統領(2004年10月12日、朝日新聞)
 フィリピンのマニラ湾沖で今年2月、大型フェリーが炎上し、乗客ら116人が死亡した事件で、アロヨ大統領は11日に記者会見し、国際テロ組織アルカイダとの関係が指摘されるイスラム過激派アブサヤフによる犯行だと述べた。
 大統領によると、アブサヤフのリーダー、カダフィ・ジャンジャラーニ容疑者らメンバー6人が同日、大量殺人の疑いなどで送検された。逮捕・拘置されている2容疑者の供述が送検の決め手となったという。
 事件は2月27日に起きた。乗員・乗客899人が乗ったフェリーが爆発、炎上した。死亡した116人のうち53人の遺体はまだ見つかっていない。事件直後、アブサヤフは犯行声明を出したが、政府側は「調査中」などとしていた。

◎116人死亡・不明、比豪華客船火災は爆弾テロ(2004年10月12日、読売新聞)
 フィリピン当局は11日、マニラ沖で今年2月、116人の死者・行方不明者を出した豪華客船火災をイスラム過激派アブ・サヤフによる爆弾テロと断定し、同組織のメンバー2人を拘束、さらに4人の行方を追っていることを明らかにした。
 フィリピン国家警察の調べでは、アブ・サヤフのメンバーらはテレビ受像器に約4キロのTNT火薬を隠し、手荷物として船内に持ち込んで爆発させたと見られる。メンドーサ運輸相は同日、アブ・サヤフのみかじめ料要求を拒否した船会社に対する報復が犯行目的だったと指摘した。
 火災発生直後にアブ・サヤフが犯行声明を出したが、政府は「本拠地の南部ミンダナオから遠すぎる」として、失火にアブ・サヤフが便乗したとの見方を示してきた。
 乗員乗客約900人が乗った同船は2月27日、マニラ沖の海上で爆発。63人が死亡、53人が行方不明となったほか、数百人が負傷した。

◎マニラ湾のフェリー火災、アブサヤフのテロと断定(2004年10月11日、日本経済新聞)
 フィリピンのマニラ湾で今年2月、多数の死傷者を出したフェリー火災を調べていた警察当局は11日、国際テロ組織アルカイダとの関係が指摘されるイスラム過激派アブサヤフによる爆弾テロ事件と断定した捜査結果をまとめた。
 事件ではこれまでに死者計63人が確認されたが、なお50人以上が行方不明。東南アジアでのテロでは、200人以上の犠牲者を出した2002年10月のインドネシア・バリ島爆弾テロ以降で最大となった。
 アブサヤフは事件直後に犯行声明を出していたが、フィリピン政府は当初、火災に便乗したプロパガンダと見なし、テロの可能性を否定していた。
 警察当局は別の事件で逮捕したアブサヤフのメンバーとみられる2人を今回のテロでの殺人容疑で追及する一方、幹部ら4人を指名手配した。
 捜査結果によると、事件前日の2月26日深夜、メンバーらが爆発物をフェリー内に仕掛け、フェリーは出港から約一時間後に爆発、炎上した。当時フェリーには約900人の乗客乗員がいた。

◎比の結婚式で人肉、男性刺殺後、遺体を焼いて披露宴に(2004年8月11日、朝日新聞)
 フィリピン南西部パラワンで先月17日、結婚式の最中に新婦の尻を触ったことに、父親ら4人が怒って親類の男性を殺害、その肉を焼いて食べたうえ披露宴に来ていたほかの客にも食べさせるという事件があり、地元警察が11日までに4人を逮捕した。
 CNNやAFP通信が伝えたところによると、事件は容疑者のうち2人が警察に語って明るみに出たという。それによると、被害者の男性は、新婦の尻に「誤って」手を触れたがそれに怒った父親らが、人気のないところへ車で連れて行き刺し殺したという。遺体をココナツの葉で焼くと、父親はほかの容疑者にナイフを突きつけ、食べるよう強要。さらに披露宴に戻り、まだ残っていた客に焼いた人肉を出したという。容疑者の1人は「酔っていたから、何を食べているか分からなかっただろう」と警察に話したという。

◎アロヨ比大統領就任、5万人前に演説(2004年7月1日、読売新聞)
 5月10日のフィリピン大統領選で当選したアロヨ大統領は30日、正式に就任した。大統領は同日午前、就任宣誓に先立ちマニラで演説し、雇用創出や、選挙の開票集計作業の完全電算化を公約した。
 首都中心部のリサール公園で、緑のドレスに身を包んだ大統領は支持者ら約5万人を前に「すべてのフィリピン人が一つにならなければ、我が国の繁栄はない」と述べ、選挙で敗れた対立候補の陣営に和解を呼びかけた。
 演説であえて選挙改革に言及したのは、不正確な手集計が選挙結果の信頼性を損ない、政治の不安定化を招いてきたとの認識からだ。実際、「集計に不正があった」として結果受け入れを拒む俳優フェルナンド・ポー候補の支持者約1000人は29日、「アロヨは偽りの大統領」などと叫んでデモを行った。今選挙では投票から当選確定まで45日かかったが、同時期に行われたインド総選挙では10倍以上の有権者数にもかかわらず、電算化によって1日で大勢が判明している。

◎アロヨ氏、フィリピン大統領に就任(2004年6月30日、産経新聞)
 5月の大統領選挙で当選したフィリピンのアロヨ大統領が30日(日本時間同)、中部セブ州セブ市での就任式で正式に就任した。任期は6年。2001年1月に副大統領から昇格して以来、9年半の長期政権を率いる。
 大統領はセブ入り前のこの日午前、マニラのリサール公園で、2期目の就任演説を行った。選挙戦で激しく対立した野党候補を「信念を持って戦った」と称賛。「成功と夢の達成にわれわれは団結する必要がある」と述べ、野党勢力に協力を呼び掛けた。
 また10項目の経済、教育政策などを掲げ、経済政策では「600万人以上の雇用を生む」などと約束した。日本からは川口順子外相が立ち会った。
 大統領は7月1日、貧困層が多く、イスラム武装勢力が活動する南部ミンダナオ島を訪問する。続いてレイテ島などを回って、マニラ首都圏北方パンパンガ州で初閣議を開く。

◎比大統領選、現職のアロヨ氏当確(2004年5月25日、読売新聞)
 10日投票のフィリピン大統領選は25日、現職のグロリア・アロヨ大統領(57)の当選が確実になった。
 中央選挙管理委員会の幹部が同日、読売新聞に開票率98%の仮集計で、アロヨ氏の得票が1240万9109票(得票率約40%)に達し、2位の俳優フェルナンド・ポー候補(64)の1148万6601票(同約37%)に90万票以上の差をつけたことを明らかにした。
 アロヨ氏は2001年、汚職疑惑で失脚したエストラダ前大統領の後任として副大統領から昇格した。比憲法は大統領再選を禁じているが、選挙を経ずに就任したアロヨ氏は出馬を認められ、新たな6年の任期を全うすれば、通算9年半の長期政権となる。
 選挙戦では当初、国民的映画俳優として大衆層に圧倒的な人気のポー氏が先行したが、ポー氏の資質への疑念が高まったのに乗じ、アロヨ氏が現職の強みを生かして巻き返した。
 国会での正式集計は25日午後から始まり、当選者は6月中旬にも確定、就任式は6月30日に行われる。

◎比大統領選、アロヨ氏が当選(2004年5月17日、産経新聞)
 今月10日に投票が行われた任期満了に伴うフィリピン大統領選で17日、市民監視団体ナムフレルの非公式集計により、アロヨ大統領(57)の得票率が46%に達し、同大統領の当選が決まった。任期は6年で、6月30日に就任する。
 アロヨ氏は副大統領だった2001年1月、当時のエストラダ大統領の退陣により昇格、通算9年半近い長期政権を担う。財政赤字、反政府武装勢力への対応など課題が山積している。
 開票率30%の段階で、得票率はアロヨ氏が46%に対し、野党連合のフェルナンド・ポー・ジュニア氏は32%。3位以下の3候補は大きく引き離されている。
 一方、ポー陣営は大統領選での勝利を主張、アロヨ政権による大規模な不正があったとして抗議活動を続ける構えだ。

◎比のフェリー火災、アブサヤフ名乗り犯行声明(2004年2月29日、日本経済新聞)
 フィリピンのマニラ湾で1人が死亡、約100人が行方不明になっているフェリー火災について、同国のラジオ局は29日、イスラム過激派アブサヤフを名乗る男から犯行を認める電話があったと報じた。具体的な方法には触れなかったという。
 火災原因はまだ特定できない状態。過去にも別の組織による爆弾テロの際にアブサヤフが便乗して犯行声明を出したことがある。このため、軍はアブサヤフが治安の混乱を狙った可能性もあるとみている。
 ラジオ局はラジオ・ミンダナオ・ネットワーク。同日朝、アブサヤフの幹部アブスレイマンを名乗る男から局員の携帯電話に「船の火災はアブサヤフの犯行だ」とするメッセージが入った。
 ラジオ局側が男と直接電話で話したところ「ミンダナオ島で軍がイスラム教徒の女性を殺害したことへの復しゅうだ」などと述べたという。

◎100人以上が不明、マニラ湾のフェリー火災(2004年2月27日、産経新聞)
 フィリピンのマニラ湾出口のコレヒドール島付近で27日午前1時(日本時間同2時)ごろ起きた内航航路の大型客船「スーパーフェリー14」の火災で、同国沿岸警備隊は同日夜、男性乗客1人が焼死、乗客ら14人が負傷したと発表した。大半は警備艇などに救助されたが、約100人が行方不明になっているという。
 不明者の中には漁船などに救助され連絡のつかない人がかなりいるとみられ、確認を急いでいる。沿岸警備隊によると、乗客に日本人はいない。
 フェリーは26日午後11時ごろマニラを出港、同国中部のネグロス島バコロドに向かっていた。船内の調理場付近から出火したという情報があるが、出火原因は不明。
 火災は約5時間後に小康状態になり、フェリーはバターン州沖の浅瀬にえい航されたが、海水が浸水し船体が横転している。

◎マニラ湾でフェリー火災、1人死亡、9人負傷(2004年2月27日、産経新聞)
 フィリピン沿岸警備隊によると、27日午前1時(日本時間同2時)ごろ、マニラ湾出口のコレヒドール島付近で、マニラから同国中部のネグロス島バコロドに向かっていた「スーパーフェリー14」(乗客702人、乗員159人乗り組み)から出火して炎上、1人が死亡、9人が負傷した。
 火災は約5時間後に小康状態になり、フェリーは近くの港にえい航中。
 同日午前10時現在、666人が救助されたが、約200人の所在が未確認。民間の船に救助された人などもおり、警備隊が確認を急いでいる。
 マニラの日本大使館によると、乗客名簿に日本人はいないもよう。
 船内の炊事場付近から出火したとの情報があるが、エアコンが爆発したとの証言もあり、警備隊が調べている。

◎マニラ湾でフェリー火災、1人死亡200人以上不明(2004年2月27日、朝日新聞)
 27日午前1時(日本時間同2時)ごろ、フィリピンのマニラ湾沖で、乗員乗客877人を乗せた大型フェリーで火災が発生したと沿岸警備隊に連絡が入った。同国政府によると、1人が死亡、200人以上が行方不明になった。救助された人のうち、11人がやけどなどのけがをしている。
 フェリーはマニラを出てネグロス島に向かっていた。日本人の乗客がいたかは不明。
 出航の約2時間後に出火し、機関室で爆発があったとの情報もある。乗客はパニックに陥り、夜の海に飛び込んだ人も多かった。漁船などが救助にあたった。

◎フィリピン大統領がホテル占拠事件の糾明を指示(2003年7月28日、14:00、日本経済新聞)
 フィリピンのマニラ首都圏で若手将校・兵士がアロヨ大統領の退陣などを求めてホテルを占拠した事件が27日夜、解決したのを受け、大統領は背後関係を含めて徹底糾明する意向を明らかにした。これに関連して同国捜査当局は28日、反乱事件にかかわったとしてエストラダ前大統領の側近を逮捕、この側近の邸宅を家宅捜索した。
 事件の背景を巡っては大統領の続投阻止をめざすエストラダ前大統領ら「反アロヨ派」の策動があったという観測も出ていた。ロイター通信によると、逮捕されたのはエストラダ政権で閣僚を務めたラモン・カルデナス氏。マカティ市内の同氏宅からは兵士らが事件当時着用していた赤い腕章や兵器、弾薬などが発見されたという。
 反乱を起こした296人の将校・兵士は兵舎復帰で合意、27日深夜までにろう城していたホテルから撤退を完了した。ただ、アロヨ大統領は反乱兵の処分について「特別扱いはしない」と言明。事件に関与した容疑者は民間人も含め起訴する方針を示した。

◎フィリピン反乱:前大統領側近の身柄を拘束、国家警察(2003年7月28日、13:27、毎日新聞)
 フィリピン国家警察は28日、国軍将兵によるマニラ首都圏のホテル占拠事件をめぐり、反乱グループに協力した疑いで、エストラダ前大統領の側近の身柄を拘束、関係先を捜索した。
 警察当局などによると、取り調べを受けているのは、エストラダ政権の官房長官のスタッフで、前大統領とも個人的に近い関係にあり、所有する住宅を反乱グループに使用させていた疑いが持たれている。警察当局は、この側近や前大統領関係者の住宅から武器・弾薬などが発見されたとしている。

◎反乱容疑で比前大統領の側近を逮捕、銃や爆薬も押収(2003年7月28日、12:21、毎日新聞)
 フィリピン軍若手将校らによるマニラ首都圏のホテル占拠事件で、国家犯罪捜査局は28日、反乱容疑でエストラダ前大統領の側近を逮捕したと発表した。首都圏の高級住宅地にある、この側近や前大統領の愛人所有の住宅から、多数の銃や爆薬、軍服なども発見した。
 調べでは、反乱兵士の一部は27日未明、前大統領の側近が所有するマカティ市の高級住宅地の住居から、周囲を囲む塀の門の鍵を壊してホテルに向かっていた。近所の人の目撃証言から突き止めた。住居には行動命令書や兵士たちが食事をした跡が残っていた。
 首都圏マンダルヨン市にあるエストラダ前大統領の愛人宅からも、反乱兵士が腕に巻いていた赤い腕章などが見つかったという。
 国家捜査局は、事件はアロヨ政権を揺さぶることを目的とした勢力が背後にいるとみて捜査。エストラダ前大統領は反乱直後の声明で関与を否定している。

◎フィリピン軍の一部反乱、ホテル占拠、将兵300人が撤退、政府、汚職調査を約束(2003年7月28日、8:30、毎日新聞)
 フィリピンのマニラ首都圏マカティ市で二十七日未明、武装した軍将兵約三百人がホテルを占拠、アロヨ大統領の辞任などを要求して立てこもった。アロヨ大統領は全土に「反乱状態」を宣言し、周辺に軍部隊を展開するなど国内は一時緊迫したが、同日夜、政府と反乱将兵側が事態収拾で合意に達し、反乱将兵が撤退、占拠事件は約十九時間ぶりに解決した。
 宿泊中の国際協力事業団(JICA)関係者ら邦人三十人とオーストラリア大使など約二百人が人質状態となったが、昼までに解放された。
 事件解決を受け大統領はテレビ演説し、「マカティの危機は去った」と反乱終結を宣言した。
 大統領は「指揮官七十人を含む兵士二百九十六人が兵舎に帰還、内乱容疑で軍事法廷の訴追を受けることに同意した」と述べ「民主主義の勝利だ」と強調した。政府は将兵側の要求に応じ汚職調査を進めると約束した。
 反乱将兵は同日午前三時(日本時間同四時)過ぎ、マカティ市の商業施設に完全武装で現れ、ホテル兼マンションの「オークウッド」を占拠。駐車場などに爆発物を仕掛け、マスコミを通じて大統領退陣を要求した。
 政府側は武力制圧に踏み切る投降期限として設定した午後七時の後も、反乱将兵との交渉を続け流血は回避された。大統領は前夜、これら将兵がクーデターを計画したとし逮捕を命じていた。

◎フィリピン反乱:「アロヨ続投」阻む狙い、背後に計画立案者か(2003年7月28日、1:58、毎日新聞)
 マニラ首都圏マカティ市で27日起きた反乱将兵によるホテル占拠事件の背景には、政権存続をうかがうアロヨ大統領の政治的意図をつぶそうとの、政権批判勢力の狙いがあるとみられる。政府は、国軍出身のホナサン上院議員らがグループの背後にいるとして身柄拘束も示唆。大統領施政方針演説の前日というタイミングや、人質の早期解放など統制が取れた行動から、綿密に計画された蜂起との見方が有力だ。
 行動を起こした「マグダロ・グループ」は27日未明、マカティ市の中心部にそろいの赤い腕章、迷彩服姿で現れ、若手将校指揮下で次々と爆発物を設置した。正式な声明の準備があることを明らかにしたうえ、危害を加える意図はなく、政権奪取が目的ではないことを表明。政府との対話を要求するなど、背後に綿密な計画立案者の存在をうかがわせている。
 来年6月に任期切れを迎えるアロヨ大統領は昨年12月、次期大統領選に立候補しないことを表明した。しかし、最近の支持率は上昇傾向にあり、周囲からの要請を受ける形で前言を撤回し、改めて出馬を表明するシナリオを考えているとみられていた。武装将兵は「大統領は8月に戒厳令を出して政権存続を図る計画だった」と非難し、明確にアロヨ政権存続プランを攻撃した。ホナサン議員がすでに大統領選出馬を表明していることも、政府が関与を指摘する理由の一端とみられる。
 アロヨ大統領は、エストラダ前大統領を退陣に追い込んだ2001年1月の「ピープルパワー2」で副大統領から昇格。この際、国軍のバックアップを得たことがエストラダ失脚を決定付けた。このため、アロヨ大統領は政権成立以来、軍には頭の上がらない状態が続いていた。反乱将兵が指摘するように、軍上層部が反政府武装勢力と内通し、武器弾薬横流しで利益を得ているといううわさが度々流れたが、アロヨ政権は事実上放置してきた経緯がある。
 反乱将校らは同日夕、会見し、「(イスラム反政府勢力との戦闘が続く)ミンダナオ島では、兵士たちが何の意味もなく命を落としている」と強い調子で政府と軍上層部の腐敗を非難。こうした腐敗が貧困を招いているとも指摘し、公開の場での政府当局者との討論を要求するなど、貧困、腐敗の根絶に成果を上げられないアロヨ政権の姿勢を糾弾している。

◎比の反乱兵士、ホテル占拠解除、発生から20時間(2003年7月28日、1:22、朝日新聞)
 フィリピン・マニラ首都圏のマカティ市で27日午前3時(日本時間同午前4時)ごろ、武装した国軍兵士約300人が、アロヨ大統領の退陣などを要求して大型商業施設の一角にある長期滞在型ホテル「オークウッド」を占拠し、周辺に爆発物を設置した。一時、日本人を含む外国人多数が拘束状態になった。兵士側は同日夜になり、説得に応じて占拠を解くことに同意。アロヨ大統領は記者会見で、「マカティの危機は終わった」と宣言した。兵士らは爆発物を取り除き、発生から約20時間後の同日午後11時(日本時間28日午前0時)すぎ、軍用車両で退去した。
 アロヨ大統領は記者会見で、反乱兵士の取り扱いについて「軍法会議法に基づいて捜査する」と述べた。
 反乱を主導したのは30代前半の陸海軍の若手将校のグループとみられる。占拠後にテレビを通じ、政権奪取を意図してはいない、などとする声明を発表した。
 さらに、(1)アロヨ政権や国軍は、弾薬をモロ・イスラム解放戦線(MILF)やアブサヤフなどの反政府勢力に横流ししている、(2)ミンダナオ島ダバオの爆弾事件などは、同政権側が仕組んだ、(3)同政権は大統領選のある2004年以降も政権を維持するために8月に戒厳令を出そうとしている、などと述べた。
 ホテルでは、オーストラリアのルース・ピアス大使のほか、国際協力事業団(JICA)や企業関係者など日本人30人を含む約200人が一時拘束状態となったが、同日昼ごろまでに全員が退避した。
 アロヨ大統領は事件発生後の午前10時前、テレビで緊急演説し、全軍の兵士に平静を呼びかけ、全土に「反乱状態」を宣言。反乱兵士が午後5時までに投降しなければ武力で鎮圧するとした。
 午後5時前には兵士の一部約50人が投降。政府側は投降期限を午後7時まで、その後は無期限に延長し、投降を拒む兵士らと交渉を続けた。
 フィリピン国軍ではこのところ若手将校の不満が高まっており、10日ほど前から国軍幹部やアロヨ大統領が将校らと対話するなどしていた。26日夜、将校10人余りが兵舎から行方不明になり大統領が逮捕命令を出した。
 政府の情報筋は、反乱兵士がエストラダ前大統領と、同前大統領派のホナサン上院議員から支援されている可能性を指摘しているが、同議員は関係を否定している。

◎フィリピン反乱:占拠のホテルから撤退 交渉に応じ将校ら(2003年7月28日、1:15、毎日新聞)
 マニラ首都圏のビジネスセンター、マカティ市で27日午前3時(日本時間同4時)ごろ、武装した国軍将校や兵士約300人が、ホテル兼マンション「オークウッド」(26階建て)を占拠し、周囲に軍用爆薬を仕掛けて立てこもった。兵士らはアロヨ大統領退陣などを要求していたが、政府側との交渉に応じ、約20時間後の午後11時半(堂28日午前0時半)ごろ撤退した。
 ホテルには日本人約30人を含む約200人の滞在者がいたが、27日昼までに全員が避難した。
 若手将校が率いる反乱グループは「クーデターではなく、権力奪取の意図はない」と表明したうえで政府、軍の腐敗を非難。アロヨ大統領やレイエス国防相を含む政府指導者全員の辞任を求めた。
 アロヨ大統領は同日午前、比全土に戒厳令に次ぐ「反乱状態宣言」を発令し、国軍は現場に部隊を展開。大統領は、午後5時までに投降しなければ強行手段を取る方針を示したが、説得継続のため期限を延長した。
 午後3時ごろに約50人の下級兵士が投降したのに続き、残る兵士も夜になって、政府が派遣したシマツ元国軍参謀総長の説得で、政府が国軍内の腐敗の調査をすることなどを条件に兵舎帰還に応じ、撤退した。
 若手将校らは26日朝、武装状態で軍を離脱、潜伏していた集団で、蜂起の背景には国軍内部の腐敗や兵士の処遇への不満があるとみられる。

◎アロヨ大統領が「勝利宣言」、反乱兵士の帰還合意受け(2003年7月28日、0:22、朝日新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は27日夜、反乱兵士らの兵舎帰還合意を受けてマラカニアン宮殿で記者会見し、事件の終結を宣言した。大統領は「兵士らは原隊に戻り、軍法会議法に基づく捜査を受けることになる。軍人以外で事件にかかわった疑いがある人物も捜査する」と述べた。
 また、「この事件によってフィリピンの治安や政治的安定は何も損われなかった」と強調、市民の冷静な対応に謝辞を述べ、「これは民主主義の勝利だ」と語った。

◎フィリピン:軍内部でクーデター計画 大統領が緊急会見(2003年7月28日、0:20、毎日新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は26日、緊急の記者会見を開き、国軍内部でクーデター計画が進行していることを明らかにした。国軍によると、若手将校ら数十人が武装して軍を離脱し、行方がつかめていない。比大統領府周辺では同日夜、軍、警察部隊が厳戒態勢を敷いた。2001年1月のアロヨ政権成立以降、クーデターのうわさは、たびたびあったが、武装将兵の具体的行動が公表されたのは初めて。事態収拾に手間取れば、政権の危機につながる可能性も否定出来ない。
 アロヨ大統領は26日、緊急閣議を招集して対策を協議した。また軍や国家警察上層部の忠誠を確認した。大統領は会見で「国軍、国家警察に、ならず者の若手将校たちを拘束するよう命じた」と語った。大統領を支えるカトリック勢力や市民団体も会合を開き、国民に政権を支持するよう呼びかけた。一方で、アロヨ政権に不満を持つエストラダ前大統領支持者らの間では、クーデターを計画した将校らを支持する動きも出ている。
 国軍によると、国軍士官学校を94〜96年に卒業した10人程度の若手将校に陸海軍兵士が加わった計40〜50人程度がクーデター計画に加わったとみられるが、その後、グループは百人単位に増えているとの情報もある。また国軍は「現職、元職の上院議員が背後にいる」と主張。エストラダ前政権の国家警察長官である、ラクソン上院議員、軍出身でアキノ政権時代のクーデター首謀者のホナサン元上院議員らが、現政権下での冷遇や軍内部の腐敗に不満を持つ将校に蜂起を促したとの見方が有力視されている。ラクソン、ホナサン両氏はともに来年の大統領選出馬を表明している。
 アロヨ大統領の支持率は最近回復傾向にあり、一度は不出馬を表明した次期大統領選への立候補を求める声が高まっている。これを受けて、アロヨ大統領は、10月に予定されるブッシュ米大統領のフィリピン初訪問の前後に、不出馬を撤回する可能性が指摘されている。今回の若手将校の行動は、こうした大統領側の動きに対抗して、軍を混乱に陥れて政権を一気に弱体化させようとの狙いもうかがえる。

◎フィリピン反乱:交渉に応じ撤退に合意 ホテル占拠の将兵(2003年7月27日、23:16、毎日新聞)
 マニラ首都圏のビジネスセンター、マカティ市で27日午前3時(日本時間同4時)ごろ、武装した国軍将校や兵士約300人が、ホテル兼マンション「オークウッド」(26階建て)を占拠し、周囲に軍用爆薬を仕掛けて立てこもった。兵士らはアロヨ大統領退陣などを要求していたが、午後10時(堂11時)前、政府側との交渉に応じ撤退に合意した。
 同ホテルには日本人30人を含む約200人の滞在者がいたが、同日昼までに全員が避難した。
 若手将校が率いる反乱グループは「クーデターではなく、権力奪取の意図はない」と表明したうえで、政府、軍の腐敗を非難。アロヨ大統領やレイエス国防相を含む政府指導者全員の辞任を要求した。
 アロヨ大統領は同日午前、比全土に戒厳令に次ぐ「反乱状態宣言」を発令。国軍は現場に部隊を展開しホテルを包囲した。大統領は、午後5時までに投降しなければ強行手段を取る方針を示したが、説得継続のため期限を延長した。
 午後3時ごろに約50人の下級兵士が投降したのに続き、残る兵士も夜になって、政府が派遣したシマツ元国軍参謀総長の説得に応じ、政府が汚職の調査をすることなどを条件に撤退を決めた。
 若手将校らは26日朝、武装状態で軍を離脱、潜伏していた集団で、蜂起の背景には国軍内部の腐敗や兵士の処遇への不満があるとみられる。

◎フィリピン反乱:人質を全員解放 大統領の投降要求は拒否(2003年7月27日、14:11、毎日新聞)
 フィリピンのマニラ首都圏マカティ市で27日午前3時(日本時間同4時)ごろ、武装した軍兵士数十人が大型商店街の一角にある高級ホテル兼マンション「オークウッド」を占拠し、アロヨ大統領辞任などを要求。兵士は近くの駐車場などに高性能爆薬C4とみられる爆発物を設置し、日本人を含む多数の人質を取って立てこもった。
 サンチャゴ前軍参謀総長や上院議員らが兵士側と交渉。人質約200人が同日午前9時(同10時)すぎから順次解放された。反乱兵士側は「捕虜全員を釈放した」と述べ、人質全員を解放したことを明らかにした。
 同ホテルは306室あり、国際協力事業団(JICA)は、滞在していた日本人関係者8人が無事退避したのを確認。オーストラリアのルース・ピアス駐フィリピン大使も一時人質になった。
 大統領は27日、テレビの緊急演説で、同日午後5時(日本時間同6時)までに投降するよう要求、応じなければ武力に訴えると述べた。しかし兵士らは「われわれは自分たちを守るため爆発物を設置した」と述べ、投降を拒否した。

◎反乱兵士がホテル占拠、マニラ(2003年7月27日、13:58、産経新聞)
 フィリピンのマニラ首都圏マカティ市で27日午前3時(日本時間同4時)ごろ、武装した軍兵士数十人が大型商店街の一角にある高級ホテル兼マンション「オークウッド」を占拠し、アロヨ大統領辞任などを要求。兵士は近くの駐車場などに高性能爆薬C4とみられる爆発物を設置し、日本人を含む多数の人質を取って立てこもった。
 サンチャゴ前軍参謀総長や上院議員らが兵士側と交渉。人質約200人が同日午前9時(同10時)すぎから順次解放された。反乱兵士側は「捕虜全員を釈放した」と述べ、人質全員を解放したことを明らかにした。
 同ホテルは306室あり、国際協力事業団(JICA)は、滞在していた日本人関係者8人が無事退避したのを確認。オーストラリアのルース・ピアス駐フィリピン大使も一時人質になった。
 大統領は27日、テレビの緊急演説で、同日午後5時(日本時間同6時)までに投降するよう要求、応じなければ武力に訴えると述べた。しかし兵士らは「われわれは自分たちを守るため爆発物を設置した」と述べ、投降を拒否した。
 兵士らはクーデターを計画したとして大統領が26日夜に逮捕を命じていた。地元テレビを通じた声明で大統領ら政府指導者の辞任を要求。理由として、(1)軍がイスラム勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)などに爆薬を密売、(2)ミンダナオ島ダバオの爆弾テロはMILFをテロリストにするため政府が仕組んだ、(3)大統領が政権続投のため8月の戒厳令布告を計画−の3点を挙げた。
 兵士の1人は「権力奪取の意図はない。不満を伝えたいだけだ。人々を傷つけるつもりはない」と述べた。

・マカティ市
マニラ首都圏南部の高層ビルや高級ホテルが立ち並ぶビジネスや商業の中心地で、富裕層の居住地域もある。反乱兵士が立てこもった「オークウッド」は26階建ての高級ホテル兼長期滞在者用マンション。マカティ市の中心部にあり、キッチンなどを備えたツインタワー形式で、部屋数は306。爆発物が仕掛けられたのはホテル近くにある巨大なショッピングセンター「グロリエッタ」の駐車場。市内には日本人街「リトル東京」もある。

◎フィリピン:反乱兵士がホテル占拠、大統領の辞任要求(2003年7月27日、9:02、毎日新聞)
 フィリピンのマニラ首都圏マカティ市で27日午前3時(日本時間同4時)ごろ、武装した軍兵士約30人が大型商店街の一角にあるホテル兼アパート「オークウッドホテル」などを占拠した。宿泊客や住人は人質としてホテルの中に閉じ込められたままという。
 フィリピン政府は兵士らに投降を呼び掛け、説得を続けている。
 兵士らはクーデターを計画したとしてアロヨ大統領が26日夜に逮捕命令を出した将校グループ。地元テレビを通じて放映した声明ビデオで、アロヨ大統領への支持取り下げを表明し、大統領を含む政府指導者の辞任を求めた。
 理由として、(1)軍がイスラム勢力のモロ・イスラム解放戦線(MILF)やアブサヤフなどに爆薬を密売している、(2)ミンダナオ島ダバオの爆弾テロはMILFをテロリストにするために政府が仕組んだ、(3)アロヨ大統領は政権続投のために8月に戒厳令を敷こうとしている、の3点を挙げた。
 兵士らは緑の迷彩服に左腕に赤い腕章姿。ホテル近くの駐車場などにもダイナマイトのような爆発物を設置し、占拠した。一人は「権力奪取の意図はない。不満を伝えたいだけだ。人々を傷つけるつもりはない」と述べた。
 同ホテルには各国の外交施設があり、ロイター通信によると、オーストラリア大使が人質になった。

◎クーデター計画容疑で将校や兵士の逮捕命令 比大統領(2003年7月26日、23:15、朝日新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は26日、一部の若手将校らによる軍事クーデター計画があったとして、国軍の将校や兵士ら数十人の逮捕を命じた。同国では最近、クーデターのうわさが流れていた。国軍のアバヤ参謀総長は、陸海軍の若手将校計20人の逮捕を命じたことを明らかにした。
 大統領はこの日、緊急閣議を招集。その後、声明を発表し、若手将校や兵士の一部が武装したまま任務から離れており、警察と軍当局に逮捕を命じたと述べた。大統領は当事者の名前などは明らかにしなかった。

◎比でクーデター計画 若手将校に逮捕命令(2003年7月26日、21:47、産経新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は26日、軍の一部の若手将校や兵士がクーデターを計画したとして、軍と警察当局に逮捕するよう命令を出した。
 アロヨ政権下で、クーデター計画に対する逮捕命令が出たのは初めて。
 アバヤ参謀総長によると、クーデターを計画したのはマニラの北約100キロのマグサイサイ基地などに勤務し、陸軍士官学校を1994年と95年に卒業した若手将校10−20人らと兵士約50人。このうち銃を持ち出し、持ち場を離れた海軍や陸軍の大尉ら10人に対し逮捕命令が出た。
 7月中旬からクーデター計画のうわさが広がり、軍は22日夜、マニラの軍本部で警備訓練を名目に「最高レベル」の警戒態勢を敷いた。
 アロヨ大統領は23日夜、これらの若手将校を大統領府に呼んで夕食会を開き「不満があれば率直に話すように」と懐柔に努めていた。
 大統領は26日夜、テレビで国民向けに緊急演説を行い「一部の将校は法を破ったので逮捕後、軍法会議にかける。扇動した政治家たちにも警告する」と述べた。
 国会では28日に大統領の年1回の定例施政方針演説が予定され、アロヨ大統領が来年の大統領選への出馬の動きを見せていることから、反大統領勢力からの批判が強まっていた。
 フィリピンでは89年、当時のアキノ政権下で一部の軍将兵らがクーデターを起こしたが、鎮圧された。(共同)

◎フィリピン大統領、首都圏に反乱状態宣言(2001年5月2日、日本経済新聞)
 フィリピンのアロヨ大統領は1日、マニラ首都圏は反乱状態にあると宣言、エストラダ前大統領派のエンリレ上院議員を逮捕した。今後、集会の自由は制限され、当局は逮捕状なしで反乱の容疑者逮捕が可能になる。マニラでは同日未明、マラカニアン宮殿(大統領府)など2カ所に数万の群衆が集まり軍・警察と衝突、死傷者が出た。群衆は午後までに排除された。
 「反乱状態宣言」は、反乱鎮圧という目的のために市民の権利の一部を縮小するもの。議会を停止し大統領に全権を委譲する戒厳令に比べると、影響は小さい。しかし、前大統領派は「戒厳令への序曲」(プノ前大統領報道官)と反発している。具体的な措置は明らかになっていないが、国軍に警察を補佐する役割を与え、前大統領を支持する大衆行動を「反乱」と位置づけ、軍・警察に取り締まらせる見通し。国軍筋によると、集会は許可制となり、マニラ首都圏に通じる道路には検問所を設け、前大統領派が自由に通行できないようにするという。宣言解除の時期は不明。

 


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