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 2013年3月7日








◎スペイン国王、年収カット、公務員に上乗せで(2012年7月19日、読売新聞)
 スペイン王室は17日、政府の追加緊縮策で公務員給与が7%削減されたのを受け、フアン・カルロス国王が年収の7・1%を自主的に削減すると発表した。
 国王の年収は、国からの「給与」相当分と公務に必要な経費などを含めて約30万ユーロ(約2910万円)で、このうち約2万ユーロが減額される。フェリペ皇太子らへの支給も同じ割合で削減される。王室関連予算は年間約800万ユーロ(約7億7580万円)で、国王らへの支給削減により約10万ユーロが節約できるという。
 債務危機が深刻化するスペインでは、国民の王室に対する目も厳しくなり、国王は昨年、自身の年収を初めて公表した。

◎スペイン首相「極めて困難な状況」、EUに支援への結束訴え(2012年6月6日、産経新聞)
 金融・財政不安を抱えるスペインのラホイ首相は5日、上院で演説し、「スペインは極めて困難な状況にある」と述べ、欧州連合(EU)諸国に対して結束を強化し、ユーロ圏が国債の代わりに債券を共同で発行するユーロ共同債や共通の預金保護制度を導入することで、市場の標的となっている同国やギリシャを支えるように強く訴えた。
 スペインでは、大手銀行が国に支援要請するなど金融機関の経営悪化に伴い、支援のために同国の財政負担が増えるとの不安が市場で広がり、国債利回りが急伸(価格は急落)。市場からの資金調達が難しくなっている。
 ラホイ首相は演説で「欧州はどこに向かおうとしているのかはっきり示し、ユーロが後戻りできない事業であると明言すべきだ」と強調。加盟国の一部主権譲渡につながる財政や銀行政策の統合を進展させ、共同債や共通の預金保護制度の導入、金融監督の一元化などによる金融不安への対策強化を求めた。
 スペインは追加緊縮策を要求される恐れのあるギリシャのようなEUへの支援要請は避けたい考えで、こうした統合進展による対策を求めているとみられる。同時に国を支援対象とする安全網、欧州安定メカニズム(ESM)の金融機関への直接融資や欧州中央銀行(ECB)による国債購入も訴えている。
 EUでは、バローゾ欧州委員長がESMの金融機関への直接融資や金融監督の一元化、預金保護制度の共通化を含む「銀行同盟」を提唱しているが、ドイツなどが難色を示している。

◎スペイン:ゼネストで一部暴徒化、176人逮捕(2012年3月30日、毎日新聞)
 深刻な財政赤字に陥っているスペインの各地で29日、政府の財政緊縮策や労働市場改革に抗議するゼネストがあり、第2の都市バルセロナではデモ参加者の一部が暴徒化して商店を破壊する騒ぎとなった。AP通信によると、全国で176人が逮捕され、警官58人を含む104人が負傷した。
 スペインは、債務危機に陥ったギリシャの約4.6倍の経済規模があり、危機が波及した場合、ユーロ圏に与える影響が大きい。このため、ラホイ首相は30日にも支出削減や増税など300億ユーロ(約3兆2700億円)規模の財政赤字削減策の発表を予定。さらに失業率が23%に上る中で労働市場を柔軟化する改革も目指しているが、賃下げや解雇が容易になるため労働組合が反発している。
 29日はスペイン各地で交通機関や自動車工場、鉱山などが休業状態となった。首都マドリードでデモがあったほか、バレンシアでもデモ参加者が警官隊と衝突した。

◎スペインでゼネスト、緊縮財政に抗議、衝突も(2012年3月30日、読売新聞)
 債務危機が深刻化するスペインで29日、ラホイ政権の緊縮財政や労働市場改革に抗議し、24時間のゼネストが行われた。
 エル・パイス紙によると、公共交通の運行は通常の30%に縮小。一部の地方テレビ局は放送を停止した。バルセロナではデモ隊がごみ箱に放火。警察との衝突などにより、全国で170人以上が拘束された。主要労組は、労働者の77%がストの呼びかけに応じたと発表した。スペインの失業率は現在、欧州連合(EU)最悪の23%に上る。
 政府は30日、財政赤字削減に向け、2012年度の緊縮予算案を発表する予定。また、解雇に伴う企業の負担を緩和することで労働市場の活性化を目指している。

◎スペイン全土でゼネスト、数十万人デモ、負傷者も(2012年3月30日、朝日新聞)
 スペインの主要労組は29日、ラホイ政権が進める財政緊縮策や労働市場改革に反対し、全土でゼネストに踏み切った。現地の報道によると、首都マドリードをはじめ大都市部で計数十万人がデモを展開。一部が警官隊と衝突し、少なくとも数十人が負傷したという。
 エルパイス紙などによると、バルセロナではデモ隊の一部が投石したり、銀行を襲ったりするなど暴徒化したため、警官隊がゴム弾を発砲し、多数の負傷者が出た。一方、大都市部の鉄道や地下鉄は大幅に減便され、国際線の空の便にも混乱が広がった。
 ゼネストは、昨年11月総選挙で中道右派・国民党のラホイ政権が圧勝して以来初めて。スペインでは、12年度予算案が30日に提出される予定で、国内総生産(GDP)比で8.5%まで悪化している財政赤字を今年末までに5.3%に減らすため、大幅な歳出カットが見込まれる。

◎宇部興産、スペインでナイロン増強(2012年3月22日、化学工業日報)
 宇部興産は、スペインでナイロンの生産能力を増強する。2014年秋をめどに行い、年1万トン程度の上乗せを見込む。投資額は非公表。これにより、同社スペイン拠点のナイロン生産能力は年3万トンに拡大する。原料カプロラクタム(CPL)の自消率を高めるとともに特殊グレード向けへの対応を深めていく方針で、成熟化が進む欧州市場で高付加価値製品に比重を移していく。

◎欧州危機:スペイン、16〜24歳の失業率45%(2011年11月27日、毎日新聞)
 欧州財政危機でイタリア同様、国債の利回りが上昇しているスペイン。信用不安の高まりから国民は総選挙(20日)で政権交代の道を選んだが、「次期政権が国際支援を要請する」との観測が流れるなど、来月発足する新政権の船出は多難だ。週明けのユーロ圏財務相会合でもスペインへの対応は焦点の一つだが、若者の失業率が45%になる状況下、市民には社会への不満や不安、やり場のない怒りが渦巻いている。
 首都マドリードのマンション。フェルナンドさん(20)は地下の小さな部屋で住み込みの管理人の父(50)と2人の弟と暮らす。16歳で義務教育を終え、短期契約で洋服店に5カ月勤めたが契約更新されなかった。以後、約4年間、会社やインターネットの就職あっせんサイトに履歴書を送り続けているが、ほとんど返事はない。
 スペインの失業率(21.5%)は96年以降最悪で、欧州で最も悪い。中でも16〜24歳の失業率は45%。90年代後半からの不動産・建設バブルがはじけた途端、巨額の財政赤字を生んだ。政府の緊縮財政策のしわ寄せは学歴が低く、職務経験の浅い若者を直撃する。
 フェルナンドさんは、中学の先輩たちが工場などに就職し、楽しそうに暮らすのを見て、就職の道を選んだ。しかし、米国発のリーマン・ショック(08年)で状況は一変。07年まで3%を超えていた経済成長率は、その後2年間でマイナス3.7%、失業率は8.3%から18%に跳ね上がった。「大学卒業者や仕事の経験がある人でも職を探しているので就職はますます難しくなった」とフェルナンドさんは語る。
 マドリード中心部のプエルタ・デル・ソル広場。総選挙前日の未明、警察車両が囲む中、約1000人の若者たちが集会を開いた。「名ばかりの民主主義」の横断幕が揺れる下で若者たちは座り込んだ。5月15日に緊縮財政の見直しや政治改革などを求める若者1万人が大型集会を開いて以降、「15M運動」(5月15日運動)は全国に広がり、広場は今、政治、経済の改革を求める若者たちの聖地だ。
 一方、政府の経済政策に不満を抱くのは若者だけではない。スペインでは伝統的に労働組合が強く、正社員を解雇しにくいことが、企業が新たな正規雇用を控える背景になってきた。政府は昨年7月、雇用主が解雇時に労働者に支払う解雇補償金の負担を軽減する「労働市場改革」を実施した。しかし、市内の流通会社に非正規雇用で勤めるブレインさん(41)は「政府も企業も経費削減しか頭にない。雇用対策は、企業に解雇の良い口実を与えただけだ」と手厳しい。

◎欧州の国債続落、イタリア7.1%、スペイン6.8%(2011年11月24日、朝日新聞)
 24日の欧州債券市場では国債が売られ、価格下落(金利上昇)が止まらない。財政不安を抱える国ではイタリアの金利が年7.1%台になり、スペインも年6.8%近くに上がって「危険水準」の7%に近づいた。財政が安定しているドイツ国債まで売られた。
 最も多く発行されている10年物国債の流通利回り(満期10年の国債金利)は、イタリアが一時、前日より0.1%幅、スペインが同0.1%幅上がった。ベルギーも同0.2%幅高い年5.7%をつけ、記録が確認できる2008年以降の最高値になった。
 前日、新たに発行する国債の入札が「札割れ」となったドイツ国債は同0.1%幅高い年2.2%前後をつけ、約20日ぶりの高値水準になった。フランス国債は年3.7%だった。

◎スペインのデモ80カ国へ、失業不安、怒り、ネット連携(2011年10月16日、朝日新聞)
 失業への不安を抱え、貧富の差の広がりに怒る人々が15日、世界各地でデモをした。80カ国・地域以上、1千超の都市にのぼる予定という。主要20カ国・地域の財務相らはパリに集って経済危機の封じ込めに動くが、「救われるのは大企業や金融機関ばかり」との思いがネットでつながり、街頭を埋めた。
 危機の震源、欧州。スペイン北部、マツに恵まれた木材加工の町サンレオナルドで、ドアメーカー「ノルマ」が存亡の縁にある。
 半世紀以上にわたり、住民約2千人の半数を支えてきた会社だが、不況で需要が激減した。
 「ノルマは町の誇りだ。地元サッカーチームの名前でもある。絶対につぶすわけにはいかない」。夫婦で30年以上も工員として働いてきたヘスース・エルビーラ町長(54)は言う。
 まず「有期契約」だった地元の若者ら約130人が雇い止めになった。会社はさらに6月、残る正社員570人の半減か、150人の解雇と賃下げの組み合わせを提案し、労組とぶつかっている。
 祖母、父と3代にわたって働いてきたトマス・ガルシアさん(45)は「我が家にとって今回の危機は、1970年代の石油ショック以上の衝撃だ。クビを切られたら教育費と住宅ローンを払うため町を出る」と話す。ただし、どこに行っても、手取りで約1200ユーロ(約13万円)ある月給は維持できそうにない。
 スペインの失業率は21%、若者に限れば45%にのぼる。だが、政府に景気対策を打つ余地は乏しい。重ねた債務(借金)の多さが金融市場で問題視され、緊縮財政に動かざるを得ないからだ。
 行き詰まる世界経済、救われない暮らし。いっせいのデモは、スペインが発火点だった。政党や労組に属さない20〜30代の若者がフェイスブックやツイッターで仲間を広げた。1%の金持ちでない「われわれ99%」のための社会を。こんな言葉が世界中で掲げられた。

◎スペイン野菜を店から撤去、大腸菌被害でオーストリア(2011年5月30日、産経新聞)
 ドイツで腸管出血性大腸菌「O104」の感染が拡大し計10人が死亡した問題で、隣国のオーストリアとチェコの食品衛生当局者は29日、自国の一部小売店でキュウリなど感染源とみられるスペイン産野菜の撤去作業が始まったと述べた。AP通信が伝えた。
 オーストリアではキュウリのほか、スペイン産のトマトとナスも撤去された。オーストリアでは、同国を訪れたドイツ人旅行者が感染していたことが既に確認されている。チェコ国内での感染例の有無は不明。
 腸管出血性大腸菌の感染は今月、ドイツで急拡大。欧州メディアなどによると、スウェーデンやデンマーク、英国、フランスでも感染の報告があり、欧州連合(EU)は被害拡大を警戒している。
 日本の焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件でも、腸管出血性大腸菌が原因となっている。

◎スペイン南部で地震、下敷きなどで8人死亡(2011年5月12日、読売新聞)
 スペイン南東部ロルカで11日夕(日本時間12日未明)、強い地震があり、地元自治体によると、少なくとも8人ががれきの下敷きになるなどして死亡した。
 米地質調査所によると、マグニチュード(M)は5.1。震源はロルカ近郊で、震源の深さは約1キロ・メートル。現地ではこの地震の約2時間前にもM4.5の地震が起きていた。
 スペインでは1956年、南部グラナダで起きた地震で12人が死亡して以降、地震による大きな被害はなかった。

◎スペイン国債440億円分、中国が購入(2010年7月13日、読売新聞)
 世界最大の外貨準備を持つ中国が先週、スペインの10年物国債を最大4億ユーロ(約440億円)購入したと、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が12日伝えた。
 スペインは財政悪化が懸念されているが、中国がスペイン国債を大量取得したことで、市場に買い安心感が広がりそうだ。
 同紙によると、先週行われたスペインの新発国債(発行額60億ユーロ)の入札で、約3分の2を外国人投資家が購入した。特に、アジア勢は約14%を取得しており、そのほぼ半分を中国の国家外貨管理局が買い取ったとしている。
 スペイン国債(10年物)の流通利回りは、4月中旬までは年3.8%前後だった。しかし、ギリシャ危機の深刻化とともに上昇を続け、6月半ばには4.9%台をつけた。現在は4.5%台で取引されている。

◎ブルカ禁止動議を可決、スペイン上院(2010年6月24日、産経新聞)
 スペイン上院は23日、ブルカなどイスラム教徒女性の全身を覆う衣装を公共の場所で着用することを禁止する動議を賛成多数で可決した。「人間の尊厳にも配慮すべきだ」として効力を限定したブルカ規制に関する法案を検討している政府への圧力になるとみられる。
 欧州各国では、イスラム急進派対策の一環としてブルカ規制を進める動きが広まっており、フランスやベルギーでは罰則を伴う禁止法が議会に上程されている。
 スペイン上院での投票は野党国民党を中心とする賛成131、反対129とわずかな差だった。

◎スペインのユーロ紙幣、9割超がコカイン汚染?(2007年1月18日、産経新聞)
 スペイン国内で流通しているユーロ紙幣の94%が、コカインに“汚染”されている可能性が出てきた。紙幣が即席の吸引器具として使われていることが汚染の根源。スペインの全国紙「エル・ムンド」などが報じた。
 同国の化学分析機関が、マドリード、バルセロナ、バレンシア、セビリア、ビルバオの主要5都市のスーパーや飲食店、薬局、タクシーなどから計100枚の10〜50ユーロ紙幣を集め、コカインの痕跡を調べた。昨年12月末に発表された調査結果によると、陰性はわずか6枚だった。
 多くの常用者がストロー状に丸めた紙幣でコカインを吸引するため痕跡が残る。汚染紙幣から伝染したケースも想定されるが、同紙によると、スペインは47万4000人のコカイン常習者を抱える。過去1度でも使った経験のある人は2200万人に上るという。
 ある常用者は1日4枚の紙幣を使うと同紙に告白。単純計算で年間1460枚となる。週末だけの常用者を含めると1人平均年間300枚で、総数は約1億4200万枚まで膨らむ。
 昨年12月のスペイン政府の報告によると、同国内では1グラム60ユーロ(約9200円)、1服5ユーロ(約770円)の安値でコカインが売買されている。世界最大の生産国コロンビアの反乱軍などが武器購入資金調達のために増産しているためで、欧州での価格は下落傾向にあるという。(川越一)

◎米大統領:スペイン首相の再選祝福電話を無視(2004年11月11日、毎日新聞)
 5月にイラクから駐留軍を撤退させたスペインのサパテロ首相が、再選を祝福するためブッシュ米大統領に電話をしたが取り次がれなかったことが10日明らかになった。同首相はマドリードの連続列車爆破テロ後の総選挙(3月)で、イラク戦争で米国を強く支持したアスナール前首相を破り撤退を決定。ブッシュ大統領は遺憾の意を表明した。
 ホワイトハウスは「意趣返し」を否定しているが、ブッシュ大統領は9日にアスナール前首相とはホワイトハウスで面会したという。
 サパテロ首相の電話についてマクレラン大統領報道官は同日の会見で「(米国に)手を差し伸べようとしているのかもしれない」と述べ、同首相が関係修復を目指したとの認識は示しつつ、「電話での会話は双方の都合で設定される」とつれない返答だった。

◎米とスペイン、また険悪に、スペイン、祝日に米軍招かず(2004年10月16日、朝日新聞)
 「イラク撤退」で冷え込んだスペインと米国の仲が、また一つ険しくなった。スペイン政府が12日の「スペインの日」の記念パレードに、2年続けて参加している米軍を招かなかったのが発端。怒った米国大使は、パレードのほか王宮での公式祝賀会にも姿を見せず、スペイン側は不快感を示した。
 パレードには例年、外国軍が招かれる。アスナール前首相は02年から、「9・11」犠牲者への追悼の意を込めて米軍を招待していた。今年4月に発足したサパテロ社会労働党政権は、「米国にひざまずくような慣習は終わらせたい」(ボノ国防相)との理由から、米海兵隊に代わってフランス軍を招いた。「パリ解放60周年」にちなんだ招待だが、さすがに米仏の入れ替えだけでは露骨すぎると考えたか、イタリア軍も招かれた。
 米大使の行事欠席について、スペインのモラティノス外相は13日、「外交儀礼の枠を外れている」と批判。保守系紙「ABC」は政府筋の話として、同外相がパウエル米国務長官に電話で不快感を伝えたと報じた。
 米大使は14日、通信社の取材に答え、午前のパレードを欠席した理由は「昨年、まだ野党党首だったサパテロ首相が星条旗の通過した時に起立を拒んだためだ」と「報復」を認めた。ただ、午後の祝賀会については「出るつもりだったがマドリードへの飛行機を逃した」。ABC紙によると、大使は当日、スペイン南部でベーカー元国務長官らと狩猟に興じていた。
 「スペインの日」は、コロンブスによる新大陸発見(バハマ諸島到達)を記念したもの。米国でも「コロンブス・デー」(10月第2月曜)として祝日になっている。

◎群衆が中国靴店を襲撃、スペインで摩擦激化(2004年9月25日、産経新聞)
 スペインで今月半ばに、地元の製靴業者らが安い靴を売る中国人経営の商店を襲撃する事件があり、中国政府が抗議するなど波紋が広がっている。中国と欧州連合(EU)間の貿易は急速に伸びているが、一部で摩擦が激化していることを示した。
 中国各紙によると、現地時間の16日夜、スペイン南東部の町エルチェで製靴業者や従業員ら数100人が中国人経営の靴店に押し掛け店を破壊したり、奪った靴箱を山積みにして放火した。
 スペインで中国人を対象にした集団暴力事件が起きたのは初めて。損害は100万ユーロ(約1億4000万円)以上とされ、中国外務省の沈国放次官補は23日、北京駐在のスペイン大使を呼び、事件の早急な解明と再発防止を要求した。
 エルチェは欧州有数の靴の産地だが、ここ数年日本円で500、600円程度とスペイン製の半額以下の中国製スポーツシューズなどを売る中国人経営の靴店が増え、地元企業の倒産が急増、失業率も上がっているという。
 各紙によると、地元警察はこれまでに容疑者15人を逮捕。23日も現地で群衆がデモをしようとして、解散させられたもようだ。

◎モロッコ人を9・11テロ関与で本格捜査、スペイン判事(2004年4月29日、朝日新聞)
 スペインでテロ捜査を指揮するガルソン予審判事は28日、01年9月11日の米同時多発テロに関与した容疑で、モロッコ国籍のアメル・アジジ容疑者の本格捜査に着手したと発表した。同容疑者は01年7月、テロ実行犯がスペイン東部タラゴナで会合を開くのを手伝った疑いがもたれている。当地のメディアは、同容疑者が今年3月のマドリードでの列車同時爆破テロの首謀者とかねて指摘しており、二つの大規模テロを結ぶ人物と報じている。
 スペインに住んでいたアジジ容疑者は01年11月以来逃亡中。ガルソン予審判事によると、01年7月の会合には同時多発テロの実行犯リーダー格で、ニューヨークの世界貿易センタービルにのっとった旅客機を激突させたエジプト人のモハメド・アタ容疑者も参加。テロの決行日と具体的な方法が話し合われたという。
 スペイン捜査当局はロイター通信などに、同容疑者が列車爆破テロに関与した明確な証拠はないとコメントした。

◎アルカーイダへの資金提供を認定、スペイン(2004年4月21日、産経新聞)
 スペインからの報道によると、犯罪捜査と予審裁判を指揮するガルソン予審判事は19日、昨年9月に国際テロ組織アルカーイダのスペイン国内組織のメンバーとして逮捕したモロッコ人ら5人が、アルカーイダへ資金を提供していた事実を認定、5人をテロ関連罪で起訴した。
 ガルソン予審判事は昨年9月、アルカーイダ指導者、ウサマ・ビンラーディン氏をはじめ、アルカーイダのスペイン国内組織のメンバー35人を起訴しており、これで同国でアルカーイダ関連で起訴されたのは40人になった。(共同)

◎テレビ局などに手紙爆弾、スペイン、列車テロと関連か(2004年4月2日、産経新聞)
 スペインからの報道によると、同国内務省は1日、マドリードの民間テレビ、アンテナ3など保守系3メディアの社長にあてられた手紙爆弾とみられる郵便物3通を同日、東部サラゴサの3郵便局で発見、警察が処理したと発表した。
 郵便物にはそれぞれ約60グラムの火薬と電池、発火装置が仕掛けられていたという。差出人は3通とも同一だが実在しなかった。
 マドリードでは3月11日、列車同時爆破テロが起き、191人が死亡した。警察は郵便物が同テロや、バスク地方の分離独立を求める「バスク祖国と自由(ETA)」と関連があるかどうか調べている。

◎さらに4人を逮捕、マドリード列車爆破テロ(2004年3月23日、産経新聞)
 スペインからの報道によると、同国捜査当局者は22日、マドリードの列車同時爆破テロに関連し、新たに4人を逮捕したことを明らかにした。
 3人はマドリード市内、1人は同市近郊で、20日夜から21日にかけて逮捕された。当局者は国籍や身元を明らかにしていないが、国営ラジオは4人ともアラブ系としている。
 列車爆破テロに関連した逮捕者は計14人になった。

◎マドリード列車テロの死者202人に、9・11後で最悪の惨事(2004年3月19日、産経新聞)
 マドリードの列車同時爆破テロで入院中だったペルー人女性が18日死亡し、同テロでの死者は計202人に上った。2002年10月にインドネシア・バリ島で起きたディスコ爆破テロと並び、01年9月11日の米中枢同時テロ後では最悪の死者数となった。
 列車テロの負傷者は、18日までに1700人以上と判明した。
 捜査当局は同日、さらに1人を逮捕し、この日の逮捕者は計5人となった。うち1人はスペイン人で4人はモロッコなどの北アフリカ出身。スペイン人の逮捕は初めて。
 当局は13日にジャマル・ゾガム容疑者(30)らモロッコ人3人とインド人2人を逮捕しており、列車テロでの逮捕者は計10人となった。
 バリ島事件ではイスラム過激派メンバーが多数逮捕され、主犯格が死刑判決を受けた。マドリードの列車テロでも、イスラム過激派が関与した疑いで捜査が進んでいる。

◎マドリードの列車爆破テロ、実行犯6人を特定か・地元紙(2004年3月16日、日本経済新聞)
 16日付のスペイン紙パイスは、マドリードの列車同時爆破テロで、捜査当局が実行犯としてモロッコ人6人を特定したと報じた。1人は既に逮捕した5人のうちイスラム過激派との関係が濃厚となってきたジャマル・ゾガム容疑者(30)で、ほかの5人の名前は新たに判明した。
 捜査当局はまた、昨年5月にモロッコ・カサブランカで起きた連続爆弾テロとの関連に注目。モロッコに係官を派遣して本格捜査に乗り出した。このテロではスペイン社交クラブなどが狙われており、モロッコのイスラム原理主義組織の犯行とみられている。
 パイス紙によると、特定された6人はいずれもイスラム過激派との関係が疑われている。ゾガム容疑者については、テロ発生直前に列車に乗っていたとの目撃証言が2人から得られた。内務省は報道を確認していない。

◎爆破で逮捕のモロッコ人、アル・カーイダと接点の報道(2004年3月16日、読売新聞)
 マドリードの列車同時爆破テロに関与した疑いでスペイン警察当局に逮捕されたモロッコ人のジャマル・ゾウガム容疑者(30)について、15日付のスペイン紙エル・ムンドは、国際テロ組織アル・カーイダとのつながりが明らかになったと伝えた。
 同紙によると、米同時テロ直後の2001年11月、フランス政府がスペイン警察当局に対し、同容疑者に関する捜査を要請。警察が家宅捜索したところ、自宅から、アル・カーイダと接点のある電話番号と、イスラム過激派の動きを記録したビデオ数本が発見されたという。この中には、ウサマ・ビンラーディンのテレビインタビューの録画も含まれていた。スペイン警察当局は15日、ゾウガム容疑者らの足取りを調べるため、モロッコに捜査担当者を派遣した。

◎死者の中に犯人も?マドリード列車テロ(2004年3月16日、産経新聞)
 スペイン紙パイスと地元ラジオは15日、マドリードの列車爆破テロ事件で複数の検視担当者が、テロによる死者の中に犯人グループの1人が含まれているとみていると報じた。自爆か誤って死亡したのかは不明。
 自爆攻撃は、殉教に価値を見いだす国際テロ組織アルカーイダなどのイスラム過激派に特徴的な手口。自爆と判明すればイスラム過激派による犯行だったことが確定的となるが、内務省当局者は報道への論評を避けた。アセベス内相は検視終了の段階で、自爆とみられる遺体はなかったと語っている。
 一方、捜査当局者によると、逮捕された5人のうちインド人2人は、複数の携帯電話と一時使用の通信カードをモロッコ人容疑者の1人に売ったが、何に使うかは知らなかったと供述した。5人は携帯電話の売却と改造に関与した疑いで逮捕されたが、役割分担などは発表されていない。

◎米高官がアルカーイダ犯行と断定、マドリード列車テロ(2004年3月16日、産経新聞)
 米国土安全保障省のハッチンソン副長官は15日、ABCテレビなどの番組で、マドリードの列車爆破テロは国際テロ組織アルカーイダの犯行と事実上断定した。米政府高官が、同テロへのアルカーイダの関与を明言したのは初めて。アルカーイダの犯行とすれば、米国の主要同盟国を狙ったテロとして日本などにも影響を与えそうだ。
 副長官は、詳細については言及しなかったが「アルカーイダの関与は間違いない」と述べた。
 一方、スペイン捜査当局の15日までの調べで、容疑者として逮捕されたモロッコ人が、2001年9月の米中枢同時テロの容疑者と関係がある可能性が判明した。
 アセベス内相は同日までに背後関係追及のため捜査員をモロッコに派遣すると表明した。
 AP通信と米紙ニューヨーク・タイムズによると、モロッコ人のジャマル・ゾガム容疑者(30)は、アルカーイダ指導者ウサマ・ビンラーディン氏らを訴追した03年9月のスペインの裁判記録で、スペインのアルカーイダ組織幹部で米中枢同時テロにかかわったとされるアブ・ダダ容疑者=01年11月逮捕=の「信奉者」として名前が挙がっていた。ゾガム容疑者は遅くとも01年にはアブ・ダダ容疑者の仲間と接触していたという。
 このため捜査当局は、ゾガム容疑者を監視下に置き、同年、マドリードのアパートを捜索。アブ・ダダ容疑者が率いる組織のメンバー数人の携帯電話番号を発見した。
 AP通信によると、昨年5月、モロッコ・カサブランカでスペイン社交クラブなどを狙って起きた連続爆弾テロ後、モロッコ当局もゾガム容疑者の監視を続けていた。スペイン紙パイスによると、スペイン捜査当局は今回のテロとカサブランカのテロは同一グループによる犯行の疑いがあるとみている。
 スペインのムンド紙によると、アブ・ダダ容疑者の電話を当局が盗聴した際、別のモロッコ人容疑者の名前が出てきたという。
 一方、ビデオは、警察がマドリード郊外のモスク(イスラム教礼拝所)のごみ箱で発見。男はモロッコなまりのアラビア語で「犯罪者ブッシュ(米大統領)との協力への返答だ」と述べた。スペインは米英主導のイラク戦争を支持している。

◎爆弾テロ:マドリードの事件にアルカイダの関与濃厚(2004年3月16日、毎日新聞)
 マドリードで11日に起きた列車同時爆破テロ事件は、捜査当局の15日までの調べで、国際テロ組織アルカイダに関連する組織・人物がかかわっている可能性が濃厚になった。アルカイダの犯行とすれば、欧州で初の大規模テロになり、イラク戦争や戦後統治に協力する日本など米国の主要同盟国に新たな衝撃を与えそうだ。
 スペイン内務省の発表やAP通信によると、13日に逮捕された5人のうち、モロッコ人のジャマル・ゾウガム容疑者(30)は、米国での同時多発テロに関与した疑いで服役中のイマド・ヤルカス服役囚の支持者だった。
 スペイン捜査当局は、ヤルカス服役囚の逮捕時にゾウガム容疑者の自宅も捜索。ロシア国内のイスラム聖戦士のビデオやマドリードに潜伏するアルカイダメンバーの連絡先などを押収したが、ゾウガム容疑者自身は起訴を免れた。地元・エルパイス紙は他の2人のモロッコ人容疑者もヤルカス服役囚と関係があったと報じている。
 一方、米国土安全保障省のハッチンソン副長官は15日、ABCテレビの番組で今回のテロについて「アルカイダとの関連があると確信している」と語った。ワシントン・ポストも、欧州、アラブ諸国の当局者が、5人の尋問などに基づき、アルカイダ関連組織による犯行とみていると報じた。
 捜査当局の調べなどによると、アルカイダはスペイン国内に訓練や教育、資金調達の基地を構えていた。米同時テロ以降、捜査当局は取り締まりを強化、03年9月に高裁判事がアルカイダの指導者、ウサマ・ビンラディン氏ら35人を起訴相当と判断した。ヤルカス服役囚はその35人の1人だった。
 アルカイダ関連組織の国内活動を封じ込めたと考えていたスペイン政府にとって今回の事件は大きな誤算で、社会労働党のサパテロ次期政権は、テロ対策の根本的な見直しを迫られる。

◎スペイン総選挙、野党・社会労働党が勝利 (2004年3月15日、日本経済新聞)
 14日に投開票されたスペイン上下両院選挙は選挙前に優勢を伝えられていた与党・国民党に代わって改選前の野党、社会労働党が第一党に躍進し勝利した。同党のホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ書記長(43)が次期首相に就任、8年ぶりに左派政権が誕生する。列車爆破テロでイスラム過激派が関与した疑いが強まり、イラク派兵を進めた現政権への批判票が集まった。
 政権交代により、イラク戦争などで一貫してブッシュ米大統領を支持したアスナール首相の政策は修正を迫られる。社会労働党は下院(改選議席数350)で前回選挙より39議席増の164議席を獲得した。改選前の与党・国民党は同35議席減の148議席に大きく後退、第二党に転落した。
 スペイン全土で1100万人強が参加した12日のテロ反対デモの余韻で投票率(下院)が前回より8.52ポイント高い77.23%に向上したことも野党に追い風となった。

◎スペイン列車爆破テロ、モロッコ人ら5人を逮捕(2004年3月14日、読売新聞)
 スペインのアセベス内相は13日夜、緊急記者会見し、マドリードで起きた列車同時爆破テロに関与したとみられるモロッコ人3人とインド人2人をマドリード市内で逮捕したと発表した。
 5人は、不発弾の時限装置に使われていた携帯電話の入手などに関係しているという。
 内相は「一人はモロッコの過激派グループと関係がある可能性があるが、断定できていない」と述べた。
 一方、モロッコ政府は13日、同国人3人がスペイン当局に逮捕されたことを受け、治安当局者をマドリードに派遣することを明らかにした。

◎アル・カーイダがビデオテープで犯行声明(2004年3月14日、読売新聞)
 スペインのアセベス内相は14日未明(日本時間同日午前)、緊急記者会見を開き、マドリードで起きた無差別の列車同時爆破テロについて、国際テロ組織アル・カーイダが犯行を認めたビデオテープが13日、匿名の電話で見つかったと発表した。
 内相によると、ビデオには「アル・カーイダの欧州の軍事スポークスマン」を名乗るアラブ人風の服装の男が映り、モロッコなまりのアラビア語で、「ニューヨークとワシントンでの攻撃(2001年9月11日の米同時テロ)からちょうど2年半後に起きたマドリードの事件は、我々の犯行だと宣言する」と語っている。
 男は、今回のテロについて「犯罪者ブッシュ(米大統領)とその同盟国に、スペインが協力したことに対する返答だ。特に、イラクとアフガニスタンで犯した罪に対するもので、神が望めばさらに(テロは)起きる」とし、スペインがイラク戦争などで米国に協力したことが理由だとしている。
 ビデオテープは、マドリード市内のモスク近くにあるゴミ箱から見つかった。アラブなまりの男から13日、市内のテレビ局に電話があり、テープのありかを具体的に語ったため、同局が警察に通報した。
 内相は、ビデオが本当にアル・カーイダのものかどうか、「現在、慎重に確認中だ」と強調した。記者会見では、男が語った内容が文書で配られ、映像そのものは公開されなかった。
 同事件の実行犯について、スペイン政府と同捜査当局は発生直後から、同国固有のテロ組織「バスク祖国と自由」(ETA)が有力との見方を強めていたが、今回のビデオの発見が、捜査に大きな影響を与えるのは確実だ。

◎マドリード列車同時爆破テロ、死者200人に、真相まだ闇(2004年3月14日、産経新聞)
・バスク独立派説、爆発物に共通点/アルカーイダ説、テロ情報と符合
 スペインでの列車同時爆破テロは十三日、負傷者の新たな死亡で犠牲者が二百人に達した。スペイン当局は爆発物の種類などから北部バスク地方の分離・独立を叫ぶ武装組織「バスク祖国と自由」(ETA)の犯行説に傾く一方、国外では国際テロ組織アルカーイダ傘下の「アブハフス・アルマスリ旅団」の犯行として新たなテロが示唆されるなど、真相は依然見えない状況だ。
 当初からETAの犯行との見方を強めるスペイン当局では、爆破された列車内から、手荷物として残されていた爆発物とタイマーとして使用された携帯電話の入ったバックパックを回収した。この爆発物は、過去にETAがテロ事件で使用したものとほぼ共通しているという。
 アセベス内相は十二日夜、記者団に対し、この携帯電話と内蔵された通信カードが事件の有力な手がかりになるとの見方を示した。また内相は十三日、犯人像についてETAが最有力だがイスラム過激派との関連も排除できないとして「両面で捜査している」と述べた。今回、自爆によるとみられる遺体は見つかっていないという。
 国営ラジオ放送によると、列車内で回収されたバックパックには爆発物約十キロが詰められ、殺傷力を高めるために重量一キロのクギやネジも混入されていた。携帯電話は時計機能を利用して起爆時間を指定するもので、「午前七時二十九分」に設定されていたという。
 スペイン紙パイスによれば、スペイン政府は在外公館に対する訓令で、今回のテロについてETAの犯行であることを対外的に確認するよう指示した。ただ、主要各紙のなかで政府の指摘するETA犯行説を明確に支持しているのは保守系のABC神だけであり、アルカーイダ説に注目する論調が強まっている。野党系ラジオは十三日、同国の情報機関はイスラム過激派の犯行だと99%確信している、と伝えた。
 一方、アルカーイダ系組織の犯行説では、英国に本拠を置くイスラム過激派「アルムハジルーン」の指導者、オマル・バクリ・モハメド氏は、フランス通信(AFP)に対して「イラクにおけるスペインの残虐行為」に対するアルカーイダの報復だと指摘。すでに発表された傘下組織の犯行声明から、次の標的はイタリアだと名指しした。
 同氏は犯行声明が「スペインの死の列車」に続き「イタリア死の黒煙」「米国の死の嵐」という三つのテロ作戦に言及していると指摘した。これまで公表された範囲では、声明はこれら作戦には触れていない。
 このほかAFPは、対スペイン・テロ攻撃を取り上げた昨年のアラビア語インターネット情報を挙げて、アルカーイダの犯行とみるノルウェーの治安専門家の見解を報道。この情報は「三つ以上のテロ攻撃」に触れており、爆破された列車の数と符合している。

◎アルカーイダ名乗り犯行声明、モロッコ人ら5人逮捕(2004年3月14日、産経新聞)
 スペインのアセベス内相は14日未明、緊急記者会見し、国際テロ組織アルカーイダの欧州の報道官を名乗る男が、200人の死者を出した11日のマドリードの列車同時爆破テロについて犯行を認めたビデオテープを入手したと発表した。
 捜査当局はこれに先立ち、同事件の容疑者として初めて、モロッコの過激派組織と関係があるとみられる1人を含むモロッコ人3人とインド人2人の計5人をマドリード周辺で逮捕した。
 内相は、ビデオの信用性は不明とし、慎重に捜査する方針を示した。
 政府はこれまで北部バスク地方の分離独立を求める非合法組織「バスク祖国と自由」(ETA)の嫌疑が濃厚としてきたが、犯行声明と5人の逮捕で、イスラム過激派が関与した可能性も強まってきた。
 ビデオの男はモロッコなまりのアラビア語で「(米中枢同時テロの)ちょうど2年半後にマドリードで起きたこと」について責任を認め、「犯罪者ブッシュ(米大統領)との協力への返答だ」と述べた。スペイン政府は米国のイラク攻撃を支持し、イラクに部隊を派遣している。
 ビデオはテレビ局に匿名電話があり、警察がマドリード郊外のモスクのごみ箱で見つけた。
 逮捕された5人は、爆破された列車で回収されたスポーツバッグの中から不発弾と一緒に見つかった携帯電話の売却、改造に関与した疑い。
 捜査当局は、犯人グループがリュックサックに入れて4列車に置いた計10個の爆弾を携帯電話のタイマーでほぼ同時に爆発させたとみている。
 同事件ではアルカーイダ系とされる組織がアラブ紙に犯行声明を送っているが、米政府当局者らは内容を疑問視していた。

≪ビデオの内容要旨≫
 スペインのアセベス内相が14日発表した犯行声明とされるビデオの内容の要旨は次の通り。
 一、(米中枢同時テロでの)ニューヨークとワシントンへの攻撃からちょうど2年半後にマドリードで起きたことについて責任を表明する。
 一、犯罪者ブッシュ(米大統領)やその同盟者との協力への返答だ。おまえたちが世界で、具体的にはイラクとアフガニスタンで起こした犯罪への返答だ。神が望めばもっと起きるだろう。
 一、もし、不正義をやめないならもっと血が流れるだろう。これは欧州におけるアルカーイダの軍事報道官の通告だ。アブ・ドゥジャン・アフガニ。

◎スペインテロ:モロッコ人ら5人逮捕、アルカイダ名乗る声明も(2004年3月14日、毎日新聞)
 スペインのアセベス内相は13日、マドリードの列車同時爆破テロに関連してモロッコ人3人とインド人2人の計5人を逮捕したと発表した。内相は、5人のうち1人がモロッコの過激派組織と関係があるとの見方を示した。
 11日に発生した爆破テロで、逮捕者は初めて。内相によると、スペインの警察当局は逮捕した5人のほか、インド系スペイン人2人を事情聴取している。
 内相はまた14日、国際テロ組織アルカイダの欧州における「軍事報道官」と名乗る男が同テロの実行を認めるビデオを警察当局が見つけたことを明らかにした。ロイター通信などが伝えた。スペイン政府はビデオの信用性について慎重に調べている。
 内相によると、男はモロッコなまりのアラビア語で話しており、スペイン政府の翻訳によると「米中枢同時テロのちょうど2年半後に実行した。犯罪者ブッシュ(米大統領)の協力者への返答だ」と言明。不正義が続くならもっと血が流れると警告している。(共同)

◎モロッコ人ら5人逮捕、スペイン列車テロ(2004年3月14日、朝日新聞)
 ロイター通信などによると、スペイン政府は13日夜(日本時間14日未明)、200人の死者と1500人の負傷者を出したマドリード市内の爆破テロにかかわった可能性があるとして、モロッコ人ら5人を同市周辺で逮捕した、と発表した。
 アセベス内相が記者会見で明らかにしたところによると、逮捕したのはモロッコ人3人とインド人2人。このうち1人はモロッコ人の過激派組織との関与の可能性があるとみて、今後、捜査を進めるとしている。

◎アルカイダ名乗る男が犯行声明「9.11の2年半後」(2004年3月14日、朝日新聞)
 マドリードの列車同時爆破テロ事件で、スペインのアセベス内相は14日、国際テロ組織アルカイダの欧州の軍事報道官を名乗る男が犯行を認めるビデオが、匿名の電話で見つかったことを明らかにした。
 スペインのエルパイス紙(電子版)によると、地元テレビ局にアラブなまりの男から電話があり、捜査当局がその指示通り、ゴミ箱の中からビデオを見つけた。
 ビデオの中で、軍事報道官を名乗る男は「ニューヨークとワシントンへの攻撃から、ちょうど2年半後にマドリードで起きた事件は、我々の手によるものだ。犯罪者ブッシュ(米大統領)やその同盟者に協力してきた、おまえたちへの回答である」と主張。男はアラブ風の服装で登場し、モロッコなまりのアラビア語で話しているという。真偽については不明で、捜査当局は慎重に調べを進めている。
 マドリードの事件が起きたのは3月11日で、ニューヨークの世界貿易センタービルなどが攻撃を受けた01年9月11日から、ちょうど2年半後だった。

◎スペインの列車爆破テロ、死者200人に(2004年3月13日、朝日新聞)
 マドリードの列車同時爆破テロ事件で、マドリード市当局は死者の数が13日午前(日本時間同日夜)現在、計200人に達したと発表した。また、スペイン政府の呼びかけで、12日夜(同13日未明)に各地で開かれたテロへの抗議集会やデモへの参加者は、首都で230万人、国内全体では1100万人(警察発表)に達した。

◎終着駅全体の崩壊狙う?マドリード同時爆破テロ(2004年3月12日、産経新聞)
 マドリードで11日起きた同時爆破テロで、スペインの有力インターネット情報サイト「エウロパ・プレス」は、犯人グループが列車などに分散して仕掛けた複数の爆弾を同時に終着のアトーチャ駅で爆発、同駅全体を崩壊させることを狙ったテロだった可能性があると報じた。
 しかし、実際は列車が遅れ同駅手前で爆発。すべてアトーチャ駅で同時に爆発し一層の惨事となることを免れたもようだという。
 スペイン捜査当局の情報を基にした記事によると、爆発は11日早朝(日本時間同日午後)、アトーチャ駅構内で発生。同じ路線でマドリード郊外のエルポソ駅などにいた列車でもほぼ同時に起きた。
 爆破された列車の1つは運行が2分遅れており、もしダイヤ通りにアトーチャ駅に着いていたら、同時爆発で被害がさらに拡大していた恐れがあったという。

◎マドリード同時爆破テロ、死者192人、アルカーイダ系?が犯行声明(2004年3月12日、産経新聞)
 スペインのアセベス内相は11日夜(日本時間12日未明)、マドリードで起きた同時爆破テロの死者が192人、負傷者は1400人に達したことを明らかにした。
 一方、AP通信によると、ロンドン発行のアラブ紙アルクドス・アルアラビは同日、国際テロ組織アルカーイダ系のアブハフス・アルマスリ旅団を名乗る組織から同紙に犯行声明が届いたと伝えた。この組織は世界各国のテロで頻繁に犯行声明を出しており、声明の信ぴょう性は不明。
 内相はまた、マドリード郊外で、盗難車の中からイスラム教の聖典コーランのカセットテープや起爆装置を発見したと述べた。
 内相は「(捜査を)混乱させるための戦術の可能性もある」と指摘。北部バスク地方の分離独立を求める非合法組織「バスク祖国と自由」(ETA)を依然「最優先で追跡している」としながらも「他の手掛かりも慎重に調べなければいけない」と述べ、イスラム過激派などによる犯行の可能性も排除しない考えを示した。
 マドリードやバスク地方では11日夕、犠牲者を悼んで数千人が追悼デモを行った。12日夜にはアスナール首相の呼び掛けで、全国でテロに抗議するデモや集会が行われる予定。

◎爆弾は計13発、通勤時狙い3駅で、マドリード同時爆破テロ(2004年3月11日、産経新聞)
 マドリード中心部の国鉄主要駅アトーチャ駅など3つの駅で11日朝(日本時間同日夕)、通勤客で込み合う列車を標的にした同時爆破テロがあり、ロイター通信によると173人が死亡、約600人が負傷した。スペイン政府は北部バスク地方の分離独立を求める非合法組織「バスク祖国と自由」(ETA)が、14日投票の上下両院選挙直前の社会不安を狙ったテロと断定した。
 スペインでは過去最大級のテロ。ETAの犯行であれば、これまでETAが引き起こしたテロで最悪の惨事となる。日本人犠牲者の情報はない。
 爆弾はアトーチャ駅に到着した列車と、同駅に通じるマドリード郊外のエルポソ、サンタエウヘニア両駅のホームか列車に仕掛けられ、ほぼ同時刻に爆発、車両は大破した。同国のアセベス内相は「13発の爆弾が使用された」と明らかにし、「3発はアトーチャ駅で(列車に仕掛けられた爆弾が)爆発し、4発は駅の近くで爆発した」と述べた。さらに、マドリード郊外の2つの駅で列車に仕掛けられた爆弾計3発が爆発したという。
 治安当局はこのほか3発の爆弾を発見、ロボットが爆破させて処理した。
 テロを受け、スペイン政府は11日から3日間を服喪期間とし、与野党は選挙運動の中止を表明。アスナール首相は12日午前に全国でテロへの抗議行動を取るよう国民に呼び掛けた。
 アスナール首相は「スペイン国民はこれまでも大量殺人を経験してきた」と述べ、名指しを避けながらもETAの犯行であることを示唆した。
 しかしETAの政治部門バタスナは関与を否定、イラク戦争を支持したアスナール政権に対する「アラブ抵抗勢力」の犯行の可能性を指摘した。
 アトーチャ駅は長距離路線や首都近郊路線が乗り入れるマドリードの2大ターミナル駅の1つ。
 治安当局は昨年12月、列車爆破を狙ったETAの計画を未然に摘発し、メンバー1人を逮捕。今年2月29日にはマドリード東部で約500キロの爆弾などを積んだトラックを摘発、ETAのメンバー2人を逮捕した。
 ETAはスペインやフランスでテロを繰り返し、これまでの犠牲者は800人以上とされる。

◎マドリード同時テロ犯行声明、日本も名指し(2004年3月12日、日本経済新聞)
 フランス公共ラジオによると、アラブ紙に11日届いたマドリードの列車同時爆破テロの犯行声明は、米国やスペインの協力者として日本を名指ししていた。

◎テロ:EU委員長、強く批判 マドリード爆発事件(2004年3月11日、毎日新聞)
 マドリードの国鉄での爆発事件に関して、欧州連合(EU)のプロディ欧州委員長は11日、異例の記者会見を開き、「断じて許せない犯罪行為だ」と強く批判。EU諸国が真相解明に全力を挙げるよう要請した。委員長は会見の席で犠牲者に1分間の黙とうをささげ、同日午後、ブリュッセルで行われたテロ行為への抗議デモにも参加した。

◎テロ:追い詰められた組織を象徴か、ETAも困難な立場に(2004年3月12日、毎日新聞)
 渡部哲郎・横浜商科大教授(バスク地域研究)の話
 マドリードでのテロが「バスク祖国と自由」(ETA)の犯行なら、アスナール政権の壊滅作戦により追い詰められ、弱体化した組織の実態を象徴する事件といえる。
 独自の言語と文化を持つバスク地方は、歴史的にスペイン王国の中で独自の法制や経済的な特権を与えられてきた。しかし、スペインにおける産業革命の中心地となったことで、外部からの人口流入などに伴い伝統的な社会・文化が侵食され、政治的な力も奪われていき、19世紀末から民族主義運動が高まった。
 分離独立を求めるETAは1959年に、バスク民族主義が穏健化する中、急進派が集まり結成された。その政治組織「バタスナ」など独立派は地元の選挙で10〜15%の支持を集めてきたが、近年は支持が低下している。
 アスナール政権は02年6月に新政党法を成立させ、バタスナを非合法化するなど、力で組織を抑え込んできた。今回の選挙キャンペーンで、与党・国民党は「ETAは壊滅した」とアピールしていた。
 今回の犯行の手口を見ると、過去のETAのテロとはかなり異質な面がある。過去のテロでは事前通告を行うなど威嚇が主体だった。今回は爆弾の取り扱いが拙劣だ。組織が追い詰められる中で、経験の乏しいメンバーが増え、犯行が稚拙化した感じを受ける。
 14日に予定された総選挙の直前を狙ったのは、強硬なテロ組織壊滅作戦を続ける国民党に有利な事前予測がなされる中、危機意識から、組織の延命をかけ行動に踏み切ったのかもしれない。
 現在、バスク国民党(PNV)を中心としたバスク自治政府は、より独立性の高い自治を求め、マドリードの中央政府と対決姿勢を強めている。ETAの犯行であれば、国民のバスク問題への共感がさらに薄れることは避けられないだろう。

◎スペインテロ:イスラム過激派の関与説も浮上(2004年3月12日、毎日新聞)
 マドリード爆弾テロ事件は、スペイン政府が武装組織「バスク祖国と自由」(ETA)首謀説を取る一方で、国際テロ組織「アルカイダ」系列を名乗るグループが犯行声明を出したことなどからイスラム過激派の関与説も浮上している。犯行声明の真偽などは不明だが、スペインがイスラム過激派の標的となり得る理由は三つある。
 中世欧州におけるキリスト教とイスラム教の対立線に位置したスペインの歴史的な過去。01年の米同時多発テロ以降のスペイン治安当局による徹底したアルカイダ狩り。そして、アスナール右派政権がイラク戦争を支持、米英両国への協力姿勢を貫いた点だ。
 現在のスペインを含むイベリア半島の大半は8世紀以降、数世紀にわたりイスラム勢力圏に入っていた。これに対し、追い詰められた形のキリスト教勢力は半島をイスラム教徒の手から取り戻すレコンキスタ(国土回復運動)を展開、15世紀末に完了した。今回の犯行声明が「スペインとの過去の清算」に言及しているのは、こうした歴史的経緯を踏まえている可能性がある。
 近年では「9・11」の同時多発テロの実行犯とされるモハメド・アタ容疑者がテロ前の2001年7月に約2週間、スペインに滞在。スペインのバルタサール・ガルソン予審判事は「スペインはアルカイダにとり作戦準備、支援、資金調達の基地だった」と指摘、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」記者を含む関係者を相次いで逮捕・起訴するなど、アルカイダ摘発を強化している。
 また、イラク戦争をめぐり「アルジャジーラ」は昨年10月、ウサマ・ビンラディン氏の声明とされる録音テープを放送した。テープは親米国を非難し、「我々はこの不正義の戦争に参加した国すべてに対して適切な時と場所を選び、対応する権利を持っている」とスペインなどを攻撃の標的として名指しした。
 ETAとアルカイダの具体的な接点は見つかっていない。ただし、アルカイダは「2年前ごろからビンラディン氏の指令を待たずに動いている節がある」(外交筋)とされ、活動には不明点も多い。さらにアルカイダ以外でも各地のテロ組織は攻撃対象に応じて連携・同調する傾向を強めており、関係国当局にとって実態の把握が困難になっている。

◎スペインテロ:米大統領が異例のコメント表明(2004年3月12日、毎日新聞)
 ブッシュ米大統領は11日、スペインのカルロス国王とアスナール首相に電話し、列車爆破テロによる犠牲者への哀悼と連帯の意を伝えたことを、ホワイトハウス記者団に対して自ら明らかにした。単一のテロ事件に関し、こうしたコメントの機会をわざわざ設けるのは異例。イラク戦争を積極的に支持するなどブッシュ政権の盟友であるスペインが大規模テロの標的になったことへの懸念の深刻さを示すものだ。
 ブッシュ大統領は記者団に「我々は遺族とともに涙を流し、スペイン国民と強く団結する」と国王に伝えたと述べた。また、スペイン政府の「テロとの戦い」に感謝し、その戦いの対象としてETA(バスク祖国と自由)を名指しした。
 大統領がETAの名を挙げたのは、スペイン政府の当初の判断を根拠としている。国務省のバウチャー報道官も同日の定例記者会見で、この判断を尊重する姿勢を示した。しかしその後、アルカイダ系とされる「アブハフス・アルマスリ旅団」が電子メールで犯行声明を出したことが分かり、米情報機関や捜査当局も「あらゆる可能性を排除しない」と断定を避けている。
 米メディアによると政府当局者は、(1)アルカイダは通常、犯行声明を出さない、(2)同時多発型の爆弾テロはアルカイダが常用する手口だが、ETAでも不可能とは言えない、などと指摘して即断を戒めている。

◎車にコーラン、アルカイダ名乗る犯行声明、スペインテロ(2004年3月12日、朝日新聞)
 スペインの首都マドリードで起きた列車同時爆破テロで、ロイター通信によると11日深夜現在で犠牲者は192人、けが人は約1400人に達した。また、スペインの捜査当局は同日夜、マドリード郊外で見つかった盗難車の中から起爆装置やコーランのカセットが見つかったと発表。英国のアラビア語紙「アルクドゥス・アルアラビ」も同夜、アルカイダを名乗る犯行声明が届いたことを明らかにした。
 一連の事実は犯行がイスラム過激派である可能性を示唆しているが、政府はなお、バスク地方独立を求める「バスク祖国と自由」(ETA)による犯行との見方を捨てていない。
 アセベス内相によると、車は2月28日にマドリード市内で盗まれた小型トラックで、同市の西方アルカラデエナレスで見つかった。テロの対象となった列車の一つの始発駅という。内部にはコーランをアラビア語で朗読したカセットと、起爆装置7基があった。
 同内相は「ETAの犯行の可能性が最も高いことに変わりはないが、他の可能性も慎重に探る必要がある」と話した。
 一方、AFP通信によると、アルクドゥス・アルアラビ紙に届いた声明文は「決死中隊/アルカイダ」を名乗り「我々は欧州十字軍の中枢に入り込むことに成功し、十字軍同盟の一翼であるスペインにきつい一発を与えた」と主張した。声明の真偽については触れていない。
 スペインのフアン・カルロス国王は11日夜、テレビに出演し「テロに対して団結を」と国民に呼びかけた。

◎車両は大破、線路に犠牲者、バスでも搬送、スペインテロ(2004年3月12日、朝日新聞)
 マドリードの同時爆破テロは11日朝、仕事に向かう通勤客を無差別に襲い、死者は180人を超えた。居合わせた市民が被害者を抱きかかえ、病院に急いだ。発生から6時間、サイレンの音が途切れることはなかった。
 アトーチャ駅、午前7時半。地元の報道やスペイン当局によると、郊外の住宅地からの通勤客でほぼ満員の電車が、到着直前に爆発した。車両は大破し、折れ曲がって脱線した。車内から放り出されたと見られる犠牲者が、線路上に転がった。
 爆破された車両の隣の車両にいた若い女性は「瞬間、みんな床に倒れた。それからは、出口を求めて必死だった。地獄のようだった」と地元メディアに話した。
 救急隊のレオポルド・エライスさん(47)は発生直後に駆けつけた。一面に焦げ臭いにおいが漂った。「こんな悲惨な現場は初めてだ」と話した。救急車が不足し、近くにいた路線バスも負傷者を搬送した。
 国鉄と地下鉄が乗り入れる同駅はすぐに封鎖され、列車の運行もすべて止まった。
 駅から約200メートル。キオスク販売員のラモン・アロヨさん(55)は店番をしていて、大きな爆発音を2度耳にした。「最初は工事の音かと思ったが、2度目の音を聞いてすぐに何かあったと思って店を飛び出した。すでに人だかりで近づけなかった」
 14日の総選挙を控え、マドリードではテロへの警戒が強まっていた。アトーチャ駅近くの大通りには各政党の選挙ポスターが並び、その脇にはスペイン国旗の半旗が次々、掲げられた。
 「度肝を抜かれた。ショックです」と、市内にある旅行会社「クリエーティブ・ツアー」に勤める高木哲さん(53)。同社のツアーに参加している日本人数十人の無事は確認したが、「個人旅行で巻き込まれている人がいなければいいが」と心配した。

◎スペイン首都3駅で爆破テロ、186人死亡、多数が負傷(2004年3月11日、朝日新聞)
 11日午前7時半(日本時間同午後3時半)すぎ、マドリード中心部の三つの駅でほぼ同時に多数の爆発があり、AFP通信などによると、186人が死亡、1000人以上が負傷した。内戦を除いたスペイン国内でのテロ事件としては、過去最大規模の被害となった。スペイン政府は、北部バスク地方の独立を求める武装組織「バスク祖国と自由(ETA)」の犯行と断定した。同組織関係者は否定している。
 スペインでは14日に総選挙の投票を控えているが、主要政党は選挙運動の中断を表明した。政府は11日から3日間を服喪期間とすると発表し、全国民にテロ組織との闘いを呼びかけた。
 アセベス内相によると、三つの駅の計4本の車両内や駅近くの路上などで計13の爆弾が仕掛けられていた。そのうち10発が爆発し、不発だった3発は治安当局が処理したという。爆発はすべて午前7時半すぎから約10分間に集中して起きた。
 最初の爆発はマドリード中心部にあるアトーチャ駅構内の無人の列車で起きた。さらに、構内に到着しつつあった別の列車内の3カ所で爆発。この列車には多くの通勤客が乗っていたという。
 同駅はマドリードとセビリアを結ぶ新幹線の発着駅としても知られ、一般市民のほか観光客でもにぎわう主要駅。同駅構内や周辺で計7回の爆発があり、続いてマドリード郊外のエルポソ駅で2回、サンタエウヘニア駅で1回爆発し、それぞれ死者が出た。各駅周辺は大混乱となった。
 事件後、ETAの政治的窓口となっている非合法政党バタスナの幹部は「アラブ系組織の行為だ」と潔白を主張した。しかし、記者会見したアセベス内相は、現時点の見方として「疑いなくETAの仕業だ」と明言。アラブ系の犯行とする主張については「注意をそらすための方便」と非難した。内務省によると、発見された爆弾は、ETAが普段使う型の物だったという。
 ETAの過去の爆弾テロでは、犯行直前に予告電話があることが多かったが、今回はなかったようだ。ETA側は、スペイン政府がイラク戦争で一貫して米国を支持し、同国軍の派遣も続けていることから、「アラブの犯行」を主張しているものと見られる。
 同国治安当局は昨年12月、バスク地方からマドリードに向かう急行列車に20キロの爆発物が仕掛けられた事件を摘発、ETAメンバー2人を逮捕した。今年2月末にも、マドリード東方の都市カニャベラスで、500キロの爆薬と30キロのダイナマイトを積んだトラックが摘発され、ETAメンバーと見られる2人が逮捕された。このため、当局はETAによる大規模なテロを警戒していた。

<「バスク祖国と自由」(ETA)>
 バスクはスペイン、フランス両国の大西洋岸に位置する地方。住民の一部は両国語ではなく非印欧語のバスク語を母語とする。スペインのバスク地方ではフランコ独裁時代にバスク語の禁止など弾圧を受けた。59年に急進派学生らがETAを結成。68年からテロ活動を始めた。過去30年間で約800人の政治家、軍人、警官、市民らが犠牲になった。
 ETAは98年9月に無期限停戦を宣言。政府との対話を始めたが、99年12月に停戦を破棄した。米同時多発テロ後の01年10月、米国務省がETAを海外テロ指定組織に追加。同年12月には欧州連合(EU)もテロ集団に認定した。
 アスナール首相は「テロとの闘い」を正面に掲げ、特に00年からはETAに対する徹底摘発を続けた。昨年12月にETA最高幹部を拘束し、政府は「組織をほぼ壊滅した」と表明していた。

◎「欧州民主主義の根幹への忌むべき攻撃」英外相らが声明(2004年3月11日、朝日新聞)
 マドリードで起きた連続爆破テロについて、ストロー英外相は「欧州民主主義の根幹に対する忌むべき攻撃だ。この種のテロに対する戦いで、われわれはスペインと連帯する」と述べた。
 欧州連合(EU)議長国アイルランドのアハーン首相は「最大限の混乱と虐殺を起こすようタイミングを見計らった犯行だ。民主主義のプロセスに対する攻撃であり決して正当化できない」と語った。
 また、EUの外交安保政策を担当するソラナ上級代表は「すべての欧州人、民主的な人々は、選挙戦を妨げ、多くの人々を傷つけようとした犯人を非難すべきだ」という声明を発表した。


 


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