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更新日:
2008年2月28日
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DLVO理論:DLVO theory(1996年1月19日)
DLVO理論とは、簡単に言うと、「粒子間に働く相互作用は、粒子間の電気的反発力とvan der Waals 引力の和によって表される」という理論です。
コロイドが安定であるということは粒子が凝集しないということです。凝集が起こるのは、van der Waals 引力が電気的な反発力に打ち勝って粒子同士をくっつけてしまうからです。van der Waals 引力は物質固有のものですから、電気的な反発力をどの程度強くしたら、すなわち粒子の表面電荷をどの程度大きくしたらコロイドが安定になるかを判断する時に、基本になる理論です。
この理論によって、コロイド粒子の凝集現象を定量的に評価することが可能になりました。また同一粒子間の相互作用以外にも、異種粒子間、粒子−平板間などのヘテロ相互作用についての定量的評価も可能です。
コロイドに無機塩を加えると、コロイド粒子が凝集するということは、かなり昔から実験により知られていました。1886〜1900年にシュルツェ(ドイツ)や、ハーディ(イギリス)らによって、この経験的事実が整理され、法則化されました。
コロイド粒子を凝集させるのに必要な塩の最小濃度を「凝析価(または、凝集濃度、臨界凝集濃度)」と言います。コロイド粒子を凝集させるには、塩の中のイオン電荷が、コロイド粒子の電荷と反対符号のイオンが有効であり、またそのイオンの原子価が1、2、3と増すにつれて凝集濃度は大きく下がります。これを「シュルツェ・ハーディの原子価法則」と言います。この法則は、コロイド化学の中で最も重要なものの1つで、多くの研究者がその理論的証明を試みていました。
1945〜1948年、ソ連のデルヤーギン(Derjaguin)とランダウ(Landau)、オランダのフェルウェイ(Verwey)とオーベルビーク(Overbeek)の2つのチームは、全く別々に、電荷を持つ粒子(電荷粒子)の水中での反発についての理論を提出しました。これらの理論は、4人の名前のイニシャルをとって、「DLVO理論」と呼ばれています。DLVOとは、Derjaguin - Landau - Verwey - Overbeekの頭文字です。
DLVO理論は、次のように説明されています。コロイドに無機塩を加えると、粒子の周りに集まっていた対イオンは、粒子表面の近くへと押しやられ、電気二重層の厚さが減ります。この対イオンを押しやる効果は、加えた塩のうち、対イオンと同じ符号のイオンが特に働きます。そして、このイオンの価数が多くなると、その働きは極めて大きくなります。こうして二重層の厚さの減った2つの粒子は、対イオンの反発なしに、粒子同士がずっと近づくことができるようになります。すると、粒子間の引力の働く圏内に入り込んでしまい、対イオン間の反発が起こる前に凝集してしまうのです。したがって、この場合は、粒子の電荷は中和されずにそのままで、二重層の厚さが減るだけなのです。
ファンデル・ワールス引力は量子効果に由来する原子間の相互作用であるため、力の及ぶ範囲は0.1μm程度です。これに対し、静電的な引力は1〜2μm離れた粒子間にも作用します。
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