粉体用語辞典

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更新日:
 2013年2月21日






◎CFミル(Centrifugal fluid mill、CF mill)(商品名)
 ボールミルの一種。日本語名を遠心流動化ミルという。ボールと砕料を投入するドーナッツ状の環状粉砕部が、回転部(ローター)と固定部(ステーター)に分割されており、その分割部よりガスが吹き込める機構となっている粉砕装置である。水平面を高速回転するローターによりボールにゆるやかな三次元ら旋運動が与えられ、ボールはステーターに沿って上昇し、ある高さで次のボールに押し出されるように下降する運動を繰り返す(いわゆる縄ない運動)と同時に、吹き込まれたガスにより砕料は流動化してボールに巻き込まれながら微粉砕が進行する乾式微粉砕機である。

◎EAA(electrical aerosol analyzer)
 電場内でのイオンや帯電エアロゾル粒子の電気移動度を計測し、帯電量または粒子径分布を求める装置。帯電粒子の電気移動度の粒子径依存性を利用して、エアロゾル粒子の粒子径分布を測定する。電気移動度解析装置とも呼ばれる。

◎ESP(electrostatic precipitator)
 帯電粒子の直流電界中での運動を利用して、ガス中に含まれる粒子状物質を除去する装置。対向する接地電極間にワイヤーあるいは棒状の放電電極を配置し、電極間にコロナ放電を発生させて粒子を荷電するとともに、直流電界を形成する。ガス中の粒子はクーロン力により接地電極に捕集される。

◎HEPAフィルター(HEPA filter, High Efficiency Particulate Air Filter)
 空気中の微細な粉じんをほとんど100%捕集する高性能フィルター。エアーフィルター性能試験法により、定格流量で粒径0.3μmの粒子に対して99.97%以上の捕集効率を持ち、かつ、初期圧力損失が一般に300Pa(30mmH2O)以下の性能を持つエアーフィルターと定義される。
 通常のHEPAフィルターは繊維径1μm以下、充てん率5%前後の微細繊維層ろ紙でできており、これをジグザグ状に折り、枠組みにしたユニットとして、クリーンルームなどに使われることが多い。

◎Nm3(エヌリューベ)
 その気体の標準状態(0 ℃、760 mm Hg)における体積を表す。集塵装置の能力を評価したり、効果を測定する時、集塵率を測定する。実際には装置入口と、装置出口の粉塵濃度を測定し、次の式から集塵率を求める。
 集塵率 η=(1-Co/Ci)×100
 ここで η : 集塵率(%)、Ci : 集塵装置入口の粉塵濃度 (g/Nm3)、Co : 集塵装置出口の粉塵濃度 (g/Nm3

◎ULPAフィルター(ULPA filter, Ultra Low penetration Particulate Air Filter)
 エアーフィルター性能試験法により、定格流量で粒径0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の捕集効率を持ち、かつ、初期圧力損失が一般に300Pa(30mmH2O)以下の性能を持つエアーフィルターと定義される。
 HEPAフィルターと比較して、ろ材の繊維径は細く、フィルターの折り込み密度は高い。スーパークリーンルームで用いられる。

◎アインシュタインの式(Einstein’s equation)
 固体の微粒子が液体中に分散している系をサスペンションというが、このサスペンションの粘度について、アインシュタインによって理論的に導出された式をいう。粒子濃度が高くなると合わなくなるが、現在では濃度を補正した式が提案されている。

◎上がり粉(flour stream)
 小麦製粉工程は、ロール式粉砕機とシフターによって段階的に皮部の分離が行われるため、多くのロール式粉砕機で構成されているが、各ロール式粉砕機下のシフターの最下段からは、製品に使うことのできる小麦粉が得られる。これを上がり粉という。

◎アグリゲイト(aggregate)
 粉体粒子は、ファンデアワールス力や静電気力、液架橋力などにより、複数粒子が集合し凝集体をつくることがある。この凝集を示す用語であり、アグロメレイトとともに用いられ、アグリゲイトの方が凝集力の強い場合とされているが、明確な差異は示されていない。

◎アグロメレイト(agglomerate)
 アグリゲイトと同様、凝集の意味で用いられる。アグリゲイトに比べ、凝集力の弱い場合に用いるとされているが、明確な差異は示されていない。

◎アスペクト比(aspect ratio)
 長軸径と単軸径の比。単軸径と長軸径の比(<1)を用いることもある。非球形粒子、特に近年では、カーボンナノチューブのように、極端にアスペクト比が異なる粒子が多く実用されているため、アスペクト比を示すことが重要になっている。

◎アーチ(arch)
 ビン、ホッパーなどの排出口付近の流路が狭まる部位において、上に凸なアーチ状の面が形成され、その上方の粉体層の重量を支えるような現象が起こる。このような閉塞現象は、架橋現象、ブリッジング、棚吊りなどと呼ばれ、形成した面をアーチという。

◎アーチベンド型(arch-bend type)
 噴出流乾燥機(ノズルジェット乾燥機)においては、シート状材料をロールに巻き取りながら乾燥するが、その時の乾燥機の構造としてアーチ型のものがある。この乾燥機の構造をアーチベンド型と呼ぶ。

◎圧搾(expression)
 スラリーや半固体状の固液混合物を、液体は通過するが固体を通過させない搾布などの隔壁内に収容し、これを機械的に圧縮脱水して圧縮ケーキと液体とに分離する単位操作。濾過と圧搾の違いは、濾過では通常容積が一定の濾室内へスラリーを注入して分離を行うのに対し、圧搾では固液混合物原料を圧縮して固液分離を行う。

◎圧縮強度(Compressive Strength)
 円柱や角柱の形に成形した試験片の軸方向に荷重を掛けていく強度試験を圧縮試験という。圧縮試験によって、試験片が破壊したときの荷重を試験片の断面積で割った値を圧縮強度と呼ぶ。圧縮強度は物質の性質だけではなく、内部応力状態にも関係する量である。
 岩石の硬軟の度合いを示す尺度の一つ。他には、引掻硬度を表すモース硬度、砕石資源としての岩石の硬さの測定として最も適当と考えられる反発硬度(shore hardness)、靭性などがある。
 圧縮試験機を使って、試験片に荷重を加え、試験片が破壊を起こした時の全荷重(P)と試験片の断面積(A)から 圧縮強度 = P/A (kgf/cm2) で求める。
 花崗岩で800~3,050、玄武岩で1,400~3,600、石灰岩で500~1,200程度。

◎圧縮曲線(compression curve)
 粉体を型に充塡後、圧縮応力を負荷すると、型内の粉体層は圧密され粉体層の空隙率は減少し、見掛け密度は増大する。圧縮応力と空隙率、見掛け密度との関係を示す曲線を圧縮曲線という。粉体の圧縮流動性の評価や造粒体の圧縮応力に対する強度の評価など、粉体の圧縮成形性の評価に用いられる。

◎圧縮試験(compression test)
 圧縮試験は、角柱・円柱・円筒型の試験片を、2 枚の平行板面で挟み、荷重を加えて破壊するまでの応力とひずみの関係を求める試験。座屈しないように注意する必要がある。応力-ひずみ線図を作成することで、弾性限度、比例限度、降伏点および、いくつかの材料については圧縮強度などが求められる。

◎圧縮性(compression property)
 加圧力による圧縮されやすさを示す特性であり、たとえば円筒型に詰められ成形された層をつくる粉体は、圧縮によって粒子間に付着力(引張力)が生じ、そのもの自体が強度をもつことになる。このような成形層をつくりやすい粉体は、一般的に圧縮性粉体と呼ばれる。

◎圧縮性ケーキ(compressible cake)
 濾過圧力が増加すると、平均濾過比抵抗が増加するケーキ。圧縮性濾滓ともいう。このようなケーキの平均空隙率は、濾過圧力の増加とともに減少する。平均濾過比抵抗αと濾過圧力p については、次のような関係が実験的に成り立つ:α∝pn。ここで、n は圧縮性指数と呼ばれる。

◎圧縮性指数(compressible index)
 濾過におけるケーキの圧縮性を表す指数。圧縮性ケーキの、平均濾過比抵抗αと濾過圧力p との間に成り立つ実験式 α∝pn における指数n。n が大きいほど高い圧縮性を示す。

◎圧縮性粉体(compressible powder)
 緩く充塡した状態と密に充塡した状態の嵩密度の差が大きな粉体を圧縮性粉体と呼ぶ。この圧縮性は付着力が大きいことに起因しており、自重や衝撃により容易に密充塡状態になるため流動性が低く、粉体操作において種々のトラブルを引き起こす。

◎圧縮造粒(compression granulation)
 粉体を型に充塡することにより造粒体や錠剤などをつくる方法。ロール間に粉体を供給して板状、またはブリケット状の成形体をつくり、これに破砕と篩分けを利用し、整粒された造粒物を得る方法などがある。

◎圧縮脱水(compression dewatering)
 回分沈降曲線の形状は、沈降開始初期と長時間経過した後では明瞭に異なった特徴を示す。両者の区間を分ける時点を圧縮点と呼ぶ。圧縮点以降の沈降濃縮過程を圧縮脱水区間という。この区間では、スラリーは上部の清澄層と圧縮脱水層に二分され、圧縮脱水層では沈積した粒子が圧密され、粒子間液の排出が起こる。

◎圧縮度(compression property、compressibility、compression degree、compression rate)
 ゆるみの見掛け比重と固めの見かけ比重を計り、この2つの数値の比から圧縮度を求めます。流動性判断の最適法とも言われ、圧縮度が大きいと流動性が低いと評価され、圧縮度が20%以上だと流動性は低いが粉体の粒子がアーチ構造を形成してホッパーやサイロを閉塞してしまう「ホッパーの架橋(ブリッジ)現象」が大きくなると評価されます。

◎圧縮透過試験装置(compression permeability cell)
 空隙が液体で飽和している粉体試料の圧密を実験室で行って、圧密に関する有用な数値を求める装置。コンソリッドメーターまたは圧密試験機ともいう。もともと土質力学の分野で粘土の圧密試験に用いられてきたが、濾過、圧搾などの圧密現象が関与する諸操作の解析にも利用されている。

◎圧縮粉砕(compressive grinding)
 砕料に圧縮力をかけ粉砕すること。

◎圧密(compaction)
 加圧による粉体層の嵩体積減少挙動で、圧縮と同じ意味で用いられるが、圧縮の中で特に粒子の破壊を伴わない圧縮挙動をさす。通常、タッピングや振動による体積減少が圧密に当たる。流動性の悪い粉体の場合は、圧密による体積減少を流動性の尺度にすることがある。

◎圧密挙動指数(consolidation behavior index)
 半固体状原料の圧搾において、平均圧密比U は、圧密時間係数をTとすると半理論的に次式で表される。
 U= √(4T/π)/{1+(4T/π)^v}^(1/v)
式中のνを圧密挙動指数という。圧密挙動指数は原料の特性によって決まり、クリープ効果が無視できる場合には、ν=2.85である。

◎圧密性(compaction property)
 粉体をタッピング装置などによって圧密した場合、どの程度圧縮されたかを示す度合いである。圧密と圧縮と同じ意味に用いられることもあるが、厳密な意味ではcompaction(圧密)とcompression(圧縮)は異なり、粒子破壊が伴わない加圧を圧密という。

◎圧密崩壊線(consolidation yield locus)
 粉体層の崩壊特性は破壊包絡線で示されるが、この包絡線と限界状態線との交点より垂直応力の大きい領域での包絡線を圧密崩壊線という。したがって、圧密崩壊線は粉体層の崩壊によって空間率が小さくなるような、垂直応力の大きい領域における破壊包絡線をさす。

◎圧力損失(Pressure Drop, Pressure Loss)
 一般に使用されている集塵装置には、遠心力を利用したサイクロンと濾過形式を取るバグフィルターの2種類がある。集塵装置内を流れる気体は、装置内の摩擦、流れの曲折、拡大などによって圧力損失が起こる。通常50~200mmAqであり、この値が小さいほど動力は少なくて済む。

◎圧密崩壊線(consolidation yield locus)
 粉体層の崩壊特性は破壊包絡線で示されるが、この包絡線と限界状態線との交点より垂直応力の大きい領域での包絡線を圧密崩壊線という。したがって、圧密崩壊線は粉体層の崩壊によって空間率が小さくなるような、垂直応力の大きい領域における破壊包絡線をさす。

◎圧力伝達率(pressure transmission)
 型に充塡した粉体を型の上部から一軸加圧した場合において、型の上面に負荷した圧力と型の底面で測定した圧力の比をいう。通常は、加圧に伴う型内壁の摩擦力などにより、圧力伝達率は100 %にはならない。圧力伝達率が高いほど、粉体には圧力が効果的に作用する。

◎圧力放散弁(relief vent)
 ガス爆発や粉塵爆発の被害を防ぐために、装置システムにおいて爆発の予測される場所の近くに設けるベント。金属やプラスチックのダイヤフラムでカバーされており、爆発が起こるとダイヤフラムが破壊されて爆発圧力が放散される。

◎圧裂破断法(diametral compression test)
 粉体層の引張強さを求める試験法の一つで、錠剤の評価などに用いられている。圧縮成形された粉体試料を加圧し、圧裂時の応力から引張強さを求める方法。粉体試料は一般に円板状に成形され、円板の円を挟むように2 平面で加圧されることが多い。

◎アトマイザー(atomizer)
 加圧空気による液噴霧装置をいう場合と、衝撃式粉砕機の一機種をいう場合の二つがある。後者の一機種は、高速で回転するハンマーの大きな衝撃力によって粉砕する微粉砕機(ハンマーミル)のことである。

◎アトライター(Attritor)(商品名)
 円筒形の固定容器に装入されている3~10mm程度の比較的大きな粉砕媒体を棒状のアームで攪拌し、粉砕と分散を同時に行う装置である。サンドグラインダーとの大きな違いは、攪拌アームの回転数が低く、大きな粉砕媒体を使用する点である。

◎アトリッション(attrition)
 粒子の装置壁への衝突などによる摩耗・破壊をアトリッションと呼ぶ。造粒体などの強度を評価する上で行われるアトリッション試験なども提案されている。

◎アトリッションミル(attrition mill)
 媒体攪拌ミル。

◎アボガドロ定数(Avogadro constant)
 アボガドロ定数は、物質1 mol に含まれる構成要素(分子、原子またはイオン)の個数を示す数値であり、約6.02×10^23 mol^(-1)である。

◎アルキメデス数(Archimedes number)
 無次元数の一つで、粘性力に対する重力の比を表し、次式で定義される。
 Ar=x3ρf(ρpρf)g/μf^2
ここでxは粒子径、ρfは流体の密度、ρpは粒子の密度、μfは流体の粘度、gは重力加速度である。

◎アレンの式(Allen’s equation)
 粒子が流体から抵抗を受けるとき、 粒子基準レイノルズ数Repで2~500 までの領域をアレン域といい、 層流抵抗のストークス域と乱流抵抗のニュートン域の中間に位置する。アレン域での抵抗係数CD=10/ Repをアレンの式と呼ぶ。

◎安息角(angle of repose)
 息角、休息角、休止角とも言う。粉体堆積層の自由表面が、静的平衡状態で水平面に対してなす最大角度。理想的なクーロン粉体の安息角は内部摩擦角と一致すると考えられる。実際の粉体では安息角の方が大きくなることが多い。
 測定法としては、①注入法、②排出法、③傾斜法などがあるが、注入法で測定した安息角は、排出法、傾斜法で測定した場合より小さくなる傾向がある。
 安息角が小さければ流動性が高いと評価され、安息角が大きければ流動性は低いが凝集性が強いと評価されます。
 凝集性、噴流性、ホッパー角度、ホッパー架橋現象、フィルター詰まりの把握などが判断できます。

◎アンダーサイズ(undersize)
 粒子径分布において、任意の粒子径より小さな粒子の集合体を区別する際に用いる。日本語では篩下と呼ぶ。アンダーサイズ(篩下)分布という場合には、任意の粒子径より小さな粒子の粒子全体に対する割合をいう。個数基準および質量基準がよく用いられる。

◎アンダーセンサンプラー(Andersen sampler)
 気体中に浮遊する粒子状物質を、慣性力を利用して粒子径別に分級・採取し、粒子径分布を測定するカスケードインパクターの一種であり、最も幅広く用いられている。多孔板を複数段重ね、上流部の板ほど孔径が大きく大きな粒子径の粒子を捕集し、下流部ほど孔径が小さく微細な粒子を捕集する構造となっている。

◎安定度指数(stability index)
 リズナーによって提案された水の腐食性、スケール性の指標。実際のpHと炭酸カルシウム飽和pH(pHs)により与えられる指数(=2pHs-pH)。安定度指数が7以上は腐食性、6以下はスケール性を示す。

◎安定度定数(stability constant)
 溶液中の錯体の形成に対する平衡定数であり、錯体を形成するための試薬間の相互作用の強さの尺度。錯体には、金属イオンと配位子の間の相互作用によって形成される化合物とホスト-ゲスト錯体といった
超分子錯体の2 種類ある。安定度定数は溶液中のこれら錯体の濃度を計算する際に必要な情報を提供する。

◎安定度比(stability ratio)
 凝集速度を尺度としたコロイド分散系の安定性の指標。粒子間に反発力のない急速ブラウン凝集と、反発力によるエネルギー障壁の存在する緩速ブラウン凝集の速度定数の比で定義され、大きいほど分散系が安定であることを意味する。安定度比は、コロイド分散系の吸光度を測定することで実験的に求められる。

◎井伊谷式分級機(Iinoya type classifier)
 乾式遠心分級機の原型の一つ。平らな円筒型の分級室をもち,外周部に接線式に流入した気流の遠心力で上部から供給された粉体を分級する。粗粉は外周部下部から排出され,微粉は分級室中央から下方へ気流とともに排出される。分級室は,どの半径位置でもカット径が一定になるように下面が微粉排出口に向かって盛り上がった構造となっている。

◎イオン強度(ionic strength)
 電解質溶液におけるイオンの活性度を表す数値。電解質にn 種のイオンがあり,i 番目のイオンのモル濃度をci,電荷数をzi としたとき,イオン強度は1/2Σci・zi^2で表される。

◎石臼(stone mill)
 石製の臼の総称で、搗(つ)き臼、サドルカーン、ロータリーカーンがあるが、一般にはロータリーカーンを指すことが多い。これは、丸い円ばん形をした石を二ツ重ねあわせたもので、重ね合わせた面には細かく溝が刻まれている。上側の石(上臼)を反時計方向に回転させながら、上臼にある穴から砕料を挿入すると、重ね合わせ面へ砕料が送られ、剪断力により粉砕される。古くから用いられてきており、現在でも植物質の粉砕に用いられている。

◎一次粒子(primary particle)
 粉体やエアロゾルが生成した時、それらを構成する原子あるいは分子間の結合が連続で界面を有する最小単位。その後の過程で、凝集などにより二次粒子やさらに高次の状態になることがある。

◎異物混入(コンタミネーション:contamination)
 粉砕中に粉砕部材からの磨耗粉が砕製物に混入すること。例えばボールミルでの粉砕では、ミルポットならびにボールの摩耗粉が混入する。摩耗する粉砕部材を砕料と同じ材質(組成)のものにし、摩耗粉が混入しても問題がないように工夫された粉砕プロセスもある。

◎インパクトクラッシャー(Impact Crusher)
 代表的な二次破砕機。破砕機構の一例を示すと、供給口から入口シュートを滑って落下した砕料は、チェーンカーテンを押し上げてシュートの端に達し、高速で回転しているロータの打撃板の一つで強力な衝撃を受けて接戦方向に投げつけられ、衝突板に衝突して破砕され、同時に再び跳ね返ってきて次に跳ね上げられた砕料と空中で衝突して破砕される。 一般的には、固体の大きな固まりを、回転するハンマー、鋼板、棒などによる鋭い打撃により粉砕する機械の事を言う。

◎インパクトミル(impact mill)
 衝撃力を利用して砕料を粉砕する装置。ハンマーミル、ジェットミルなどがこれに相当する。衝撃式粉砕機を参照。

◎ウルトラビスコミル(Ultra visco mill)(商品名)
 媒体攪拌ミルの一種。特にφ0.3mmの小径ビーズが使用できるようにセパレーションスリットに工夫がされた粉砕機であり、粉砕速度が大きく、サブミクロン以下の微粉砕が容易であるという特徴を持つ。

◎雲母(mica)
 工業用として、白雲母、黒雲母が利用されているが、日本にはほとんど生産がなく、インド、米国、ロシア、カナダ、ブラジルなどが主要生産国。主として、ペグマタイト鉱床中の大きな雲母結晶を手選別して商品とする。

◎エアーコンプレッサー(Air Compressor)
 空気を圧縮し、圧力を高くする機械。圧縮によって、空気密度は増し、高圧空気を吐出する。空気圧縮の機構としては、回転運動により昇圧する回転方式で、可動翼形とスクリュー形の2種類がある。いずれも圧縮過程において圧縮機内部に油を注入し、圧縮機の冷却、内部潤滑、及びシール作用を行い、圧縮機で圧縮された空気は油分離器に導かれたうえ、油を分離して清浄な空気となってサービス弁から供給される。

◎エアー・スエプトミル(air-swept mill)
 空気分級機内蔵の乾式微粉砕機。粉砕されて生じた微粉は、空気によって搬送され、系外に排出される。微粉が効率よく排出されるため、凝集が起こりにくく、粉砕効率が高いという特徴を持つ。

◎エアー・セパレーター(air separator)
 内部に回転羽根を有する代表的な乾式遠心分級機。容量がとくに大きく、セメント工業では古くから閉回路粉砕用として使用され、種々の改良型がある。

◎エアロゾル(Aerosol)
 地球上の大気中には、至るところに微小粒子が存在しています。気体中に微小粒子が浮遊している雰囲気(微小粒子も含めた気体)を一般的にエアロゾルと呼びます。すなわち、分散媒が気体で分散相が固体、または液体の微粒子である分散系のことです。煙霧体または、煙霧質とも言います。煙、スモッグ、煙霧、霧などは、これに含まれます。
 このエアロゾル粒子は、生成過程の違いから粉じん(dust)、フューム(fume)、ミスト(mist)、ばい塵(smoke dust)などとも呼ばれます。また、大気環境、住宅、事務所、病院などの建築物内環境において、浮遊粒子状物質(SPM:Suspended Particulate Matter)と称されます。エアロゾル粒子の発生過程は様々で、その粒子径範囲も0.001~100μmと広範囲になっています。
 分散相である粒子(エアロゾル粒子)の大きさは、おおよそ数nmから数十μmであり、このうち大きい粒子では重力および慣性力が、0.1μm程度よりも小さい粒子ではブラウン運動による拡散が、エアロゾル粒子の挙動を支配します。
 粒子濃度が1m3あたり1014個程度以上になると凝集して濃度が急激に低下するので、通常、観察できるエアロゾルは、これ以下の濃度になっています。
 エアロゾル粒子(粉じん)は、呼吸気道系から人体に侵入し、様々な健康被害を与えます。代表的なものとして刺激性炎症性障害、感染症、塵肺、アレルギー鼻・気道炎(花粉症、家ダニ)、粉じん吸入による中毒、発癌あるいは放射性エアロゾルによる肺の放射線汚染などがあり、現代の社会での生活衛生に大きな作用と影響を与えています。
 この人体への侵入度合いは、粒子径が大きな要因となっています。10μm以上の大きな粒子と比べると微小なタバコの粒子(0.2~0.3μm)等は、多くが肺胞まで到達しますので、危険性が高いと言えます。

◎液体サイクロン(hydrocyclone, hydraulic cyclone, wet cyclone)
 液体中に分散、浮遊している固体または、液体粒子を遠心力で分級、または分離、捕集する遠心分級機。

◎エッジランナー(edge runner)
 水平円盤状で二つの重いローラーを転動させる粉砕機。砕料は上方中央部から供給され、ローラーの圧力と転動による剪断力で、粉砕と混合が行われる。円盤を固定し、ローラーを中心軸の周りに回転させながら転動する形式と、ローラー軸を固定し円盤を回転させる形式がある。スクレーパーを動かして、砕料をローラー下部に供給できるようになっている。

◎エプロン・フィーダー(Apron Feeder)
 砕料、中間製品、製品などを輸送するコンベヤ。フィーダーを装置の形式から分類するとエプロン・フィーダー、ロス・チェーン・フィーダー、ベルト・フィーダーに分かれる。
エプロン・フィーダーは、幅480~2400mmの鋼板両側に立上がり板(エプロン)を付け、下のチェーンによりローラの上を走行し、鋼板上の材料を送出す仕組になっている。

◎円形度(Circulality)
 輪郭比。Wadellにより導入された粒子の投影像に関する形状指数で、
  (円形度)=(投影面積の等しい円の周長)/(粒子の周長)
によって、表される。
 円で1、円以外の形状で1未満の値をとる。また、表面に凹凸がある周長の大きな粒子では、小さな値となることから、表面状態を表す指数とも考えられている。

◎遠心沈降法(centrifugal sedimentation method)
 沈降法を参照。

◎円振動型ミル(circular vibrating-type mill)
 振動ミルを参照。

◎遠心流動化ミル(centrifugal fluid mill = CFミル)(商品名)
 オートフォールミル(Autofall mill(商品名))
 CFミルを参照。

◎円相当径(Equivalent Circle Diameter)
 不規則形状の粒子の投影像を円に相当させて定義した粒子径。次の3つがある。
(1)投影面積円相当径(projected area diameter)
  粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径。この定義は、Heywood(ヘイウッド)が初めて提案したため、Heywood Diameter(ヘイウッド径)とも呼ばれる。
(2)投影周長円相当径(diameter of the circle of equal perimeter)
  粒子の投影像の周長と同じ円周を持つ円の直径。
(3)外接および内接円相当径
  粒子の投影像に外接および、内接する円の直径。
 (2)、(3)は、主に粒子の形状評価に用いられる。

◎オーガー(Auger Machine)
 押し出し成形に使用される機械で、正しくはオーガーマシンと言う。真空混合機(Pug Mill)と一体化され、脱気による気泡除去、水分の均質化、圧着による坏土(陶磁器の素地を作る土。練土。)の締まり向上など、抗議の可塑性向上を目的とした真空オーガーマシンとして利用されている。
 投入された坏土は、スクリュウ状のオーガー羽根の回転によって混合と同時に前方に押し出され、真空下で樽上容器内で圧縮された後、口金から押し出されて成形される。口金の取り換えにより棒状、管状、板状、ハニカム状のような種々の形状で押し出しが可能。
 簡単に言えば、オーガー式とは「ホッパーに粉末を入れ、先端部でスクリューを回転させて押し出す仕組み」のこと。

◎音響法(acoustic technique)
 粉粒体を扱う種々の操作において、粉粒体の流れや粒子の衝突など、それぞれ特有の音が発生する。この音を計測に利用する方法のこと。この試みは古くから行われており、粉砕機から放射される音を外部に設置したマイクロホンによって検出してホールドアップ粉体量を予測し、間接的に粒子径を制御するもの、個々の粒子を、キャピラリーを通して吸引したとき発生する音響放射を利用する粒子カウンターなどがある。粒子群の衝突音から粒子径を計測する方法なども検討されており、鳴き砂の発音機構に関する詳細な研究もある。なお、超音波を利用してスラリーの粒子径分布を測定する方法は音響放射ではなく、減衰法(attenuation technique)に基づいている。

◎開回路粉砕(open-circuit grinding)
 開回路粉砕は分級機をもたない連続式粉砕方式である。砕製物の中の大きい粒子を粉砕機に戻すことなく、砕製物全部を出口から排出させる粉砕方式をいう。

◎解砕(disintegration)
 固体粒子の微細化を図るという広義の粉砕操作の中で、粒子凝集体や造粒物のような比較的弱い力で凝集した材料を分散したり、粉化したり、あるいは繊維質の材料を解きほぐしたりする処理操作を、狭義の粉砕と区別して解砕と呼ぶ。
 一般に解砕処理には、スクリーンなどの分級機構を内蔵した回転式衝撃粉砕機やカッターミルなどが用いられ、連続で処理されることが多い。処理量が大きい割には、消費動力は比較的小さい。近年、媒体攪拌ミルを用いた数十nmの一次粒子への解砕が注目されている。

◎解砕機(disintegrator)
 主として粒子凝集体や繊維質の材料を分散したり、解きほぐしたりする目的で用いる装置。インパクトミルや媒体攪拌ミルがこれに相当する。解砕生成物の粒子径は、砕料の構造、組織や凝集の強さ、ならびに解砕条件などにより大きく異なる。

◎回転ミル(tumbling mill =転動ミル)
 水平軸を中心として回転する容器(シェル)にその容積の1/3~1/2の粉砕媒体を充填し、これを回転させることによって砕料を粉砕する装置。回転速度は臨界回転数の55~80%が一般的である。シェルの内壁には多くの場合、内張り(ライナー)が張られており、ライナーはシェルの磨耗を防止するとともに、その形状の選択によって、ミルの粉砕効果を助長する重要な役割をもっている。ライナーとしては鋼鉄、けい石、アルミナ磁器、ゴムなどの材料が使用される。
 シェルの形状としては円筒形が最も一般的であり、円筒形の回転ミルはシリンドリカルミル(cylindrical mill)と呼ばれる。シリンドリカルミルのうち、長さに対する直径の比が2以上のものはチューブミル(tube mill)とも呼ばれる。
 また、短い円筒部の両端に円錐形の部分を付属した形状のミルはシリンドロコニカルミル(cylindro-conical mill)、略してコニカルミルと呼ばれる。

◎攪拌槽ミル(media agitating mill)
 媒体攪拌ミルを参照。

◎確率フルイ(probability screen)
 振動フルイの一種で、多段型振動フルイともいわれる。傾斜の異なる数枚の網が、上段が粗く、下に向かうほど小さい網目になって取り付けられており、上部の振動モーターが網に対して直線振動を与える。
 粒子サイズが網目寸法に近いほど粒子は網目を通過しがたくなり、粒子サイズが小さくなるほど粒子は網目を通過しやすくなるという原理に基づくフルイ。ある定まった網目を通過する粒子の通過確率は粒子の大きさにより一定で、算定は可能である。

◎カサべり度、かさべり度、嵩べり度(Degree of Volume Reduction)
 タッピングあるいは、加圧などによって粉体の見掛け体積が減少する度合。粉体の初期体積をV0、圧密下の体積をVとすると、カサべり度Cは、
 C=(V0-V)/V0 
で求められる。
 一般にカサべり度が大きな粉体は、流動性が悪くなる傾向がある。カサべり度は、内容的には圧縮度と同じ意味を持つ。

◎かさ密度、カサ密度、嵩密度(Bulk Density)
 粉体の質量をその占めるカサ体積(空間体積)で割った値。単位カサ(空間)体積当たりの粉体質量。粉体を体積既知の容器に充填し、その質量を求める。測定法、特に充填のしかたが、ゆるめか、固めかで、値が異なるので注意を要する。通常は、ゆるく充填した時の値を示すことが多い。
 かさ密度のことをかさ比重と呼ぶこともあるが、密度の定義によるとこの言葉は適当でない。かさ密度を言う場合には、空間は粒子間の空間、粒子内の空間すべてを含んでいる。粉体のかさ密度はその充填状態によって大きく異なるため測定条件の明記が必要である。なお、空間として粒子空間を含めない場合は見掛け密度(apparent density)となる。

・ゆるめかさ密度
 容器に粉体を落下させて、オーバーフローさせるまで充填し、擦り切った後の体積当たりの質量です。

・固めかさ密度
 粉体を充填した容器を所定の高さだけ、単位時間当たり所定回数分、所定時間だけタッピングて固めた後、擦り切った体積当たりの質量です。タッピングにより体積が減りますので、粉体を追加します。

◎仮焼(Calcination)
 固体の熱分解や固相反応のための加熱操作。原料あるいは原料混合物を加熱して、結晶水の離脱、炭酸塩の分解、有機物の燃焼などを行う幅広い加熱操作を言う。具体的には、石灰石の加熱分解による生石灰の生成、マグネサイトの加熱分解によるマグネシアの生成、二水石膏の加熱による焼石膏の生成、水酸化アルミニウムの加熱によるアルミナの生成などの操作が挙げられる。
 仮焼工程においては、焼結や粒成長によって生成粉体の特性が変化するため、仮焼は、その後の粉体の成形性や焼結性にも大きな影響を与えることになる。

◎ガス吸着法、BET法(BET Adsorption Method)
 粉体粒子の表面に占有面積の分かった分子(通常、N2ガス)を吸着させ、その量から試料粉体の比表面積を求める方法。代表的なものは、BET法(べっとほう)と呼ばれ、圧力pと吸着量vの関係からBET式(Brunauer, Emmet and Teller's equation)によって、単分子吸着量 Vmを測定し、比表面積を求める。測定手段には、いろいろなものが開発されている。この方法では、粒子表面の凹凸、亀裂による表面積、更に活性炭のような多細孔性の粉体を試料とすれば、細孔内の面積を含めた比表面積が求められる。また、この方法で求めた比表面積をBETの比表面積と呼ぶことがある。

◎カスケードミル(cascade mill)
 自生粉砕機の一種。オートフォールミルなどに比べるとやや円筒部分が長く、コーン状部分をもち、また排出側にグリッドなどを設けるが、機能は基本的には変わりない。

◎カッターミル(cutter mill)
 鋭いカッターを取り付けたローターが高速で回転する構造になっており、剪断力あるいは切断力によって破砕、粉砕を行う粉砕機。一般に微細な砕製品を得るには適していないが、比較的破砕されやすい材料の過粉砕を抑える場合や、繊維状の材料や比較的熱に弱い材料などの粉砕に適している。

◎乾式粉砕(dry grinding)
 空気その他のガス中で行う粉砕操作をいう。これに対して水などの液体中で行う粉砕を湿式粉砕という。ほとんどの粗砕機、衝撃粉砕機、ジェットミルなどの微粉砕は乾式粉砕である。粉砕効率は湿式粉砕に劣るが、摩耗が少なく、取り扱いが簡単である。メカノケミカル現象は乾式粉砕の方が見られやすい。

◎緩衝粉砕(hindered grinding)
 粉砕操作を継続しているにもかかわらず、粒子の粉砕が進行しない状態をいう。これは、外力が粉体層に作用しても、粒子群の相互移動・クッショニング作用によって吸収されるためである。大粒子と小粒子が混合している砕料においては、大粒子に小粒子が保護される場合や、粒子がこれ以上小さくならない粉砕限界に達しこれ以上粉砕が進行しない場合などがある。

◎含水率(moisture content, water content)
 固体中の水分の量を表すのに、通常、次の2通りの表現が用いられている。
  湿量基準含水率:Ww:kg・H2O/kg・湿り材料
  乾量基準含水率:Wd:kg・H2O/kg・乾き材料
 この両者の間には次の関係があり、乾燥の計算には乾量基準が便利である。これは全量が変化するためであり、Wdを単に含水率と呼ぶことが多い。
 Ww = Wd /(1+Wd)
 Wd = Ww /(1-Ww)

◎幾何平均径(代表径の一種)(geometric mean diameter)
 二軸幾何平均径と三軸幾何平均径がある。一個の粒子が安定に静止する平面上に、垂直な方向からの粒子の輪郭(投影像)を考える。この粒子の投影像に対して、これに接する二本の平行線ではさんだときの最も小さい間隔を短軸径bと定義する。短軸に直角な方向に測った間隔を長軸径lという。この二つの軸が二軸であり、二軸幾何平均径は両軸の積の平方根lbであり、粒子の投影像の外接矩形と等面積の正方形の一辺に相当する幾何学的意味をもつ。さらに粒子が静止している平面と、これに平行で粒子の上端に接している平面との距離を厚みtとしたときの、短軸径、長軸径と厚みの三つの長さの積の立方根3lbtが三軸幾何平均径である。これは粒子を含む外接直方体の体積と等しい立方体の一辺に相当する。なお、対数正規分布における中位径も幾何平均径というが、これは平均粒子径の一種であり、混乱をさけるために単に中位径と呼ぶことが多い。

◎危険性評価(hazard assessment)
 粉砕に供する材料の危険性を試験する方法および試験結果を危険性評価と言う。広義には毒性などの薬学的な評価や、けい肺などの病理学的な評価も含まれるが、一般的には粉砕操作の際に加えられる衝撃、摩擦などの外力や発生熱によって反応や爆発が起き、大きな事故に至る可能性を定量する粉体物性試験をさす。代表的な試験の種類としては、金敷と円筒ころの間に試料を挿入し、高さを変えながら鉄ついを落下させる試験を6回試行し、1度でも爆発が起きれば爆発とみなして、爆発が起きたときの高さに応じて1級から8級までの感度を評価する落つい感度試験(1級が最も感度が高い)と、磁器製の摩擦棒および摩擦板の間に試料を挿入し、摩擦棒に荷重をかけながら摩擦板を往復運動させて爆発の有無を判定し、てこ式荷重用おもりの重量と位置に応じた感度を評価する摩擦感度試験(1級が最も感度が高い)とがある。これらの試験法は[JIS K 4810:火薬類性能試験方法]に記載されている。

◎キックの法則(Kick's law)
 単粒子の粉砕に要する仕事量Wは砕料の体積に比例し、一定量の砕料の粉砕に要する仕事量は粉砕比で決まるとした粉砕仕事法則の一つ。

◎凝集(agglomeration)
 粒子同士が衝突し付着する現象のことを凝集といい、気相および液相中の高濃度微粒子分散系の動力学的挙動を支配する重要な因子であり、凝集により全粒子の総体積は保たれるが、粒子数が減少し、粒子の大きさが増大する。
 この凝集現象を粒子が衝突する力で分類すると、粒子のブラウン運動によるブラウン凝集が代表的で、そのほかには流体の速度差による凝集、乱流凝集、静電凝集、音波凝集などがあげられる。気相中での微粒子の凝集を抑制することは、非常に困難であり、静電気力の利用も容易ではない。液相中での微粒子の制御は、ゼータ電位の制御による静電気的反発力により抑制できるが、原料がイオン性の場合にはその濃度を十分下げる必要がある。粒子表面に界面活性剤や保護コロイドを吸着させて、粒子を安定化させる方法が有効である。

◎凝集体(agglomerate)
 一次粒子が何らかの相互作用力により集合したものであり、構成する一次粒子が識別できなければならない。したがって、融着などによって一次粒子が識別できなくなった場合には凝集体とは呼べない。
 凝集体には、アグリゲイト、アグロメレイト、フロックなどが含まれる。

◎凝集度
 標準篩(ふるい)を振動させ、一定時間、一定の強さで振動させ、篩上の残量から粉体の凝縮程度を評価します。凝集度が大きいほど、流動性が低くなります。

◎均一度
 粒子径分布の累積60%に当たる大きさと、10%に当たる大きさの比(D60÷D10)です。均一度の値が1に近いと粒度分布の幅が狭い=粒子分径が揃っていると判断され、凝集性が弱く、流動性が高いと評価されます。

◎空間率(void fraction)
 粉粒体層内のカサ体積V内の空間の割合を空間率εと呼び、
 ε=1-M / ( V ×ρP )
で求める。ここで、Mは粉粒体層に充填された粒子の総質量、ρP は、粒子の真密度である。
 空間率は最も簡単な充填状態の表現指標であり、空間率の大きな場合が疎充填、空間率の少ない場合が密充填となる。
 多孔性粒子などの粒子内部の空隙は粒子内空間率と呼び、粒子内空間まで考慮した層内の空間割合を区別して空隙率と呼ぶ場合もある。また、1-εは粉粒体層内の粒子の占める体積割合を表し、充填率と呼ぶ。空間率、充填率ともに、0~1の範囲の値をとる。

◎空気透過法(Air-permeability Method)
 粉体層に対する流体(空気)の透過性から粉体の比表面積を測定する方法。この方法の基礎となるのは粉体層を構成する全粒子の濡れ表面積と、そこを透過する流体(空気)の流速および圧力降下の関係を示すコゼニー・カーマン(Kozeny-Carmann)の式であり、装置によって定められた条件で充填された粉体層に対する流速と圧力降下を測定して、試料の比表面積を求める。この方法は充填された粉体粒子の間隙を細孔とみたてて、空気の流れに抵抗となる粒子群の濡れ表面積を求めるもので、 通常はガス吸着法で求めた比表面積よりも小さな値を示す。

◎空隙基準含水率(void basis moisture content)
 体積を基準とした含水率表記。空隙基準含水率は、(m3-水分/m3-空隙)で表され、飽和度とも呼ばれる。

◎空隙体積(volume of void)
 粉体内の空間の体積。

◎空隙比(void ratio)
 粉体粒子の体積に対する空隙体積の比eを空隙比と呼び、空間率εとの間にはe=ε/ ( 1-ε)の関係がある。空隙比は空間率が0の時は0だが、空間率が1の時は∞になるので、特に高空間率側でのわずかな充填状態の違いを明確に表すことができる。

◎空隙率(porosity)
 空間率に同じ。

◎グラインダビリティー(grindability)
 砕料の粉砕のしやすさを表わす尺度で、粉砕性、粉砕能、粉砕性指数と表現されることもある。粉砕のしにくさを表わす尺度として粉砕抵抗があり、グラインダビリティーの逆数である。
 実操業の粉砕機で処理される砕料は膨大になるため粉砕プロセスの設計、粉砕機の選定、所用動力の予測があらかじめ必要になる。中でも原料(砕料)から製品(砕製品)になるまでに要する仕事量の予測が重要である。測定方法はJISで規定され、広く用いられている指標がボンドの粉砕仕事指数である。これは、一定の大きさの砕料を一定の細かさに粉砕するのに要する仕事量を測定して算出する。
 他に、ハードグローブ粉砕性指数があり、これは砕料に一定の仕事量を加えて粉砕量を測定し、算出する指数である。両方法とも規定された粉砕機での測定が必要である。砕料の力学的物性値あるいは単一粒子の破砕実験結果とグラインダビリティーとの相関も研究されている。

◎クラッシャー(crusher)
 数十cmないし十数cmの砕料を数cm以下に破砕する装置の総称。圧縮、衝撃力を主体とした処理量の大きな大型連続式粉砕機で、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャーなど様々な形式がある。

◎形状指数(shape index)
 幾何量に基づいた粒子形状の定量的表現で、形状の数量化、特徴の表現に用いられる。以下のパラメーターがある。異方性の指標である均斉度(アスペクト比、長短度、扁平度など)。かさ(嵩)ばりを示す指標である空間充足度(かさ指数など)。円や球など規則形状の幾何量との比較や表面の凹凸、荒さの指標。輪郭をフーリエ変換して得られるフーリエ係数群やその合成値、その統計量であるフーリエ記述子。フーリエ変換では、投影像重心からの動径(極座標法)や輪郭の接線の方向変化である偏角関数(接線法)、など種々の輪郭関数が対象となる。表面形状が複雑な粒子では動径が一価関数とならない場合があるが、接線法はどのような形状でも適用可能な手法である。また、動径が一価関数とならない場合を考慮した手法も提案されている(動径ベクトル法)。フーリエ記述子の最大の特徴は粒子像の再生可能性にある。形状は三次元情報であるが、測定の都合上、二次元的な指数が多く用いられている。互いに直交する二次元像の形状指数から三次元的形状指数を構成する方法もある。

◎ケージミル(cage mill)
 衝撃式粉砕機の一種で、円筒側壁に十数本ないし数十本の衝撃棒を取り付けた左右数対がかみ合うように設置されたかご形ローター(ケージ)を回転させて、それからの衝撃力、あるいは砕料同士の衝突により砕料の微細化を図る装置である。凝集体の解砕や繊維状原料の解砕に使用されることもある。

◎限界粒径(cut size)
 分離限界粒径ともいい、粒子の分離(集塵)装置において、ある操作条件下で分離捕集できる限界の粒径をいう。一般に、部分分離効率が50%の値を50%限界粒径といい、広く用いられている。一方、原料のふるい上分布Rと捕集効率ηが等しくなる粒径を平衡粒径といい、これを限界粒径とするのが合理的である。このほかに、目的によっては部分分離効率が100%あるいは、0%になる最大分離径あるいは、最小分離径を限界とする場合もまれにある。

◎コニカルミル(conical mill)
 広義のボールミルの一種。ボールミルの円筒の一部を円錐状にしたもので、これによって径の大きい部分に大きいボールが、径の小さい部分に小さいボールがくるようになって、ボール径の軸方向分布を生じさせるものである。そのため連続粉砕で入口側には大ボールが、出口側には小ボールがきて、砕料の粒子径の減少に応じてボール径が小さくなり、常に最適ボール径に近い状態で粉砕を進められるようにしている点に特徴がある。このため製品の粒子径分布も比較的せまくできるが、あまり大型化できない欠点がある。

◎個別要素法(distinct element method)
 解析の対象を自由に運動できる多角形や円形・球の要素の集合体としてモデル化し、要素間の接触・滑動を考慮して、各時刻におけるそれぞれの要素の運動を逐次追跡して解析する手法である。1971年にPeter A. Cundallが発表した論文に端を発しており、液状化や土石流など地盤の挙動解析やコンクリート構造物の挙動解析などに用いられている。

◎コボールミル(Co-ball mill)(商品名)
 アニュラー型の媒体攪拌ミルの微粉砕機。縦断面が逆三角形をした環状の容器内部で、回転軸に取り付けられた同じ断面形状のローターが回転する。容器とローターとのギャップが粉砕室で、ここに粉砕媒体が充Aされる。スラリーはミルの下部の入口ギャップから送液され、W型の粉砕室で粒子が粉砕・分散される。処理されたスラリーはギャップセパレータでビーズと分離され、ミルから排出される。ビーズは循環用の穴からミル内の粉砕室入口に返還され、再び循環する。

◎コロイドミル(colloid mill)
 液中にある固体(あるいは異相の液体)を粉砕・分散し、コロイド状の液体を得るための装置。最も代表的なものは、高速回転する二枚の円板間に液体を流し、強い剪断力を加えて分散を行う形式で、円盤の部分が攪拌棒になっている形式もある。また広い意味のコロイドミルには媒体攪拌ミルのような異なった粉砕機構の湿式粉砕・分散機を含める場合もある。一般に小型の機種で、食品などに用いられる物が多い。

◎コーンクラッシャー(cone crusher)
 ジャイレトリークラッシャーの一種で、その粉砕帯のギャップの形状が特異な粉砕機である。内部の円錐体の頂点がきわめて大きく、外側のケーシングもそれに併せて上部は上に開いた倒立円錐内壁であるが、下部は内部円錐にあわせて末広がりに下に開いた曲面からなっている。出口面積を広くとることができ、粉砕が進んで粒子個数が増加するに従って圧縮面が増加するようになり、砕製物を細かくかつ均一にすることができるので、鉱石などの粗砕機または中砕機として使用される。油圧によってこのギャップの広さを自由に変えられるようにしたものはハイドロコーンクラッシャーと呼ばれる。

◎混合粉砕(mixing grinding)
 複数種類の粉体の混合と粉砕の同時操作をいう。柔らかい砕料と硬い砕料を混合粉砕すると、はじめは柔らかい砕料が選択的に粉砕され、それが限界値に達すると硬い砕料の粉砕が支配的になる。砕料の組み合わせによって、それぞれの砕料の微粒化パターンは異なる。混合粉砕を継続させると、複数種類の砕料のミクロなスケールでの均一混合が達成され、また、メカノケミカル固相反応も起こりやすい。

◎コンパウンドミル(compound mill)
 連続式微粉砕機のチューブミルの一種で、コンパートメントミルともいう。セメントクリンカーや高炉スラグの粉砕に用いられる。スリット板で二室以上に仕切られた回転円筒中に粉砕媒体が充填されており、その中を砕料が一端から多端に粉砕されながら流れていく。砕料の大きさに見合った粉砕媒体径が存在するため、粉砕の進行にともなって媒体を小径化することが望ましく、上流側には大径の媒体が、下流側には小径の媒体が充填される。

◎コンパートメントミル(compartment mill)
 コンパウンドミル。

◎サイクロン(Cyclone)
 流体とともに旋回運動する粒子に与えられる遠心力によって流体中から粒子を分離する装置のこと。液体中の粒子分離に対しては液体サイクロン(ハイドロサイクロン)と言い、気体中の粒子の分離用は乾式サイクロン(ガスサイクロン)と呼ぶ。
 代表的な遠心式集塵機であり、通常、サイクロンと言えば、乾式サイクロンのことを言う。サイクロンは自由渦流により、粒子に遠心力を与えるもので、可動部分がなく、構造も簡単であり、比較的分離性能も良いため、幅広い分野で利用されている。
 サイクロンの入口形状には接線流入式、半円周渦巻式、全円周渦巻式があり、捕集性能は全円周渦巻式が良い。
 乾式サイクロンの入口速度は通常、10~20m/s、圧損は1~2kPa(100~200mmAq)で、分離径は1μm以上である。
 また、湿式サイクロンの入口速度は通常、1~5m/s、圧力は10~20kPa(1,000~2,000mmAq)で、分離径は10μm以上である。
 ただし、分離径はサイクロン直径の平方根に比例するため、小型の場合は、より分離径を小さくできる。高性能化するには、ブローダウン方式の採用や、捕集箱入口部への逆円錐の設置が良い。

◎砕製物(ground product)
 破壊あるいは粉砕された物質の総称。

◎最適媒体径(optimum media diameter)
 媒体型粉砕機に装填する粉砕媒体の最適径をいう。

◎砕料(raw feed for grinding)
 粉砕される原料固体(粉体)をいう。これに対して、粉砕されたものを砕製物という。

◎砕料充填率(powder filling rate)
 ミル容積に対し投入する砕料の容積率をいう。

◎サイロ(silo)
 サイロと言えば、牧場などで牧草などを詰め込んで発酵、貯蔵する容器を連想するかもしれない。しかし、粉体業界では、粒体や粉体をバラ状態で貯蔵するための、たて型の貯蔵建築物のことを「サイロ」と呼んでいる。
 産業や用途によって、「ビン(bin)」、「タンク(tank)」、「ホッパー(hopper)」、「バンカー(bunker)」など、様々な呼ばれ方をしており、その区別に明確な定義はない。一般的には、比較的大型の容器をサイロと呼ぶことが多い。

◎差角
 安息角と崩潰角の差。差角が大きいと、フラッシング現象が起きやすい。

◎サンドグラインダー(Sand grinder)(商品名)
 媒体攪拌ミルの一種で、粉砕媒体としては径が数mmのガラスビーズ、球形に近い表面が平滑な砂(オタワサンドなど)、部分安定化ジルコニア(PSZ)などのセラミックビーズを用い、その媒体を直立円筒状のミルの中に充填し、その中に直立シャフトで串刺し状にした数枚の円板を入れ、それによって攪拌を行い、粉砕媒体に運動を起こさせて粉砕を行う装置。円板間でビーズなどが循環運動を起こし、剪断・摩擦力によって粉砕・分散が進むものと考えられている。一般にペンキ製造など一次粒子は細かいが凝集体を形成しているようなものを連続式で均一に分散、混合するのに適している。

◎サンドミル(sand mill)
 媒体攪拌ミルの一種。媒体攪拌ミル開発の歴史をみると、1920年代に米国のUnion Process社によって硬化剤、着色剤などを含む塗料原料を2μm程度に粉砕、分散することを目的に開発され、1940 年代にアトライターの商品名で発表されている。
 1950年代には同じくDupont社がサンド(ミル、グラインダー)を開発し、塗料、インク業界で注目を集めた。開発当時、粉砕媒体としてオタワサンドが使われていたことからサンドミルと呼ばれてきたが、現在では媒体攪拌ミルとして分類されることが多い。電子材料、化粧品、セラミック工業などの分野で、その粉砕速度の速さと砕製物の細かさから広く用いられている粉砕機である。
 粉砕機構は、攪拌翼で粉砕媒体に遠心力、回転力、上下の運動など複雑な動きを与え、砕料粒子を粉砕媒体間あるいは粉砕媒体と攪拌槽壁、翼間で粉砕、分散させるもので、剪断、圧縮、摩擦などの力が複雑に作用していると考えられている。粉砕性には粉砕媒体の流動、分散挙動が大きく影響するので、これまで、多種多様な幾何学形状の装置が開発され、最も小さい粉砕媒体には0.1mmのビーズが使用されている。

◎ジェットミル、ジェット粉砕機(jet mill)
 数気圧以上の圧搾空気、高圧蒸気あるいは高圧ガスを噴射ノズルから噴出させ、このジェット気流によって砕料粒子を加速し、粒子同士の衝突によって粉砕を行う装置。乾式粉砕で数μmから1μmくらいまでの微粉が得られ、温度上昇が小さく、感熱性物質の粉砕にも適する。ただし、一般的にエネルギー効率が低く、処理量が少ないという欠点がある。ジェットミルの形式には、水平旋回流をつくるジェット噴流を用いるマイクロナイザー型、垂直型の旋回流を使用するジェットオーマイザー型、固気混合流の対抗衝突によるBlaw-KnoxあるいはTrostジェットミル型、衝突板に固気混合噴流を衝突させる方法、超音波ノズル近傍での固気混合流による方法、粉体層中に対向したノズルからジェット噴流を吹き込む流動層型などがある。多くのジェットミルでは乾式で微粉砕を遂行するのみならず、気流を有効に利用して分級操作を行っている。

◎自生粉砕(autogeneous grinding)
 鉱石やセメント原料などに対し、原料粒子塊自体が粉砕媒体の役割を果たす粉砕。粉砕機としては回転ミルが一般的であるが、自生粉砕のために設計された特殊な回転ミルを用いることが多い。オートフォールミル、カスケードミルなどがよく知られており、これらはいずれも円筒の長さに比し、直径がかなり大きい(2から3倍)のが特徴である。

◎自生粉砕機(autogeneous mill)
 砕料粒子塊自体が粉砕媒体の役割を果たす粉砕装置。

◎シックナー(thickener)
 液体-固体スリラー(液体に微細な固体を分散した懸濁液)から液体を除いて濃縮(脱水)、固体物を得る非濾過分離装置。重力沈降、遠心分離または凝集剤使用によって行うことができる。
 砕石場の場合、汚水浄化装置は微砂を除去する自然沈降槽(沈砂池)と薬液使用の凝集沈降槽(シックナー)と凝集剤供給設備で構成される。

◎湿式粉砕(wet grinding)
 水などの液体中で行う粉砕操作をいう。コロイドミルなどの湿式粉砕専用の粉砕機もあるが、ボールミルのように乾式、湿式両用が多い。粉砕効率は乾式に比較して高いが、粉砕媒体やミル本体の摩耗が起こりやすく、また、粉砕後の液体処理が面倒になる欠点がある。また、湿式粉砕過程での砕料からの特定成分の溶出が、粉砕速度に影響する場合がある。複数種類の砕料の湿式粉砕では、選択粉砕が顕著になる場合が多く、また、固液比によってはメカノケミカル反応が起こり、水和物が生成することもある。

◎充填率(packing fraction)
 粉粒体層内のカサ体積V内の粒子の割合を充填率pと呼び、
 p =W / (V×ρP )
で求める。ここでMは粉粒体層に充填された粒子の総質量、ρP は粒子の真密度である。また、充填率pと空間率εの間にはp=1-εの関係があり、充填率が高いほど、密充填されていることを表す。

◎自由粉砕(free comminution)
 粉砕の過程で微粉が増加するとそれが緩衝作用を示して力の伝達を妨げ、粉砕速度または粉砕のエネルギー効率が低下する。微粉を除去して砕料に十分力の伝達が可能な状態で粉砕する操作を自由粉砕という。微粉を除去するために、気流や水流を用いる、あるいは分級機を併設した閉回路粉砕が適用される。

◎シュレッダー(shredder)
 カッター状のブレードやハンマーなどの回転あるいは往復運動などによる剪断力によって砕料を破砕する装置。ギロチン型、ハンマーミル型、ローラー型など種々の形式があり、大型廃棄物破砕用の大きなものから、紙を細かく裁断する小さなものまで種類が多い。一般にはカッターミルに比べて大型で衝撃作用も大きな機種をさす場合が多い。

◎循環比(circulating load)
 閉回路粉砕において、粉砕機のあとに接続される分級機で分級された粗粒は粉砕機に戻され、新しい砕料と混合して粉砕機に再び供給される。このとき粉砕機に新しく供給された砕料の量をWf、分級機で分級された粗粒量(戻り粉)をWpとして、Cl[%]=Wp/Wf×100で表わされる値を循環比という。閉回路粉砕系での循環比は100~1000%の範囲に調節される。粉砕機が閉塞しない限り、循環比を増すほど粉砕能力は高くなり、砕製物の粒子径分布は均一化するが、これは分級機の性能によって大きく支配される。

◎衝撃式粉砕機(impact mill = インパクトミル)
 衝撃力によって砕料を微細化する装置。ハンマーミルに代表的される粉砕機の一形式で、その構造により、ハンマーミル型、ピンミル型、軸流型、アニュラー型などに分けられる。実際の粉砕機においては、衝撃力だけではなく、剪断力や摩砕力などが作用するが、粉砕は主に衝撃速度に支配され、これが大きいほど、微粉砕される傾向がある。
 衝撃子の速度は通常50~100m/s程度であるが、最近は150m/sを超えるものもみられる。また相対するローターを逆方向に回転させて相対速度を高めた形式のものもある。通常これらの粉砕機は、砕製物の粒子径をコントロールするためにスクリーン式や気流式の分級機構を有する物が多い。

◎ジョークラッシャー(jaw crusher)
 V字型に向かい合った2 枚の板に砕料をかみ込んで圧縮粉砕を行う代表的な粗砕機の一つ。1枚の垂直固定板に対して、もう1 枚の可動板の上端または下端を水平方向に動かし、顎で砕料をかみ込むように圧縮し、破砕片を下方に排出する構造となっている。一般に大きな砕料を粗く砕くのに適しているが、砕製物の粒子径分布は広い。構造によりシングルトグルクラッシャーとダブルトグルクラッシャーの2種類がある。

・シングルトグルクラッシャー(single toggle jaw crusher)
 一次破砕に使われるジョークラッシャーの一種。他にダブルトグルクラッシャーがある。ダブルトグルクラッシャーのピットマン軸とスイングジョー軸を1つにした形でありトグルプレートは1つである。構造が簡単で重量が少なく、価格は安い。一次クラッシャーの主流を占める。

・ダブルトグルクラッシャー(double toggle jaw crusher)
 一次破砕に使われるジョークラッシャーの一種。ブレーキジョークラッシャーに代表される。他にシングルトグルクラッシャーがある。固定顎(fixed jaw)および振動顎(swing jaw)の間に砕料を投入し、振動顎の前進、後退によって砕料を砕くものである。

◎振動フィーダー(vibrating feeder)
 水平または傾斜したトラフ(とい状の構造物)に、機械的に上下運動の加わった振動を与え、砕料を斜め前方に投げ出すようにして粉粒体を移動、供給するもの。

◎振動ボールミル(vibration ball mill)
 振動ミルを参照。

◎振動ミル(vibration mill = 振動ボールミル)
 ボールミルの一種。円筒状あるいはトラフ状のミル内に粉砕媒体を入れ、ミルに振動を加え(回転はしない)、粉砕媒体を運動させて粉砕を行う装置。ミル本体をスプリング上におき、モーターよりのシャフトに偏心振動源を取り付け、その回転によって加振する。振動モーターあるいは電磁的方法によって加振する場合もある。
 一般に振動数は50~60Hz、振幅は数mm~3cmである。振動の形式によって円形振動と旋動振動の二つに分けられる。円形振動は、垂直面上で真円を描く運動し、振動安定化させるために振動源とミルの重心が一致するように配置する。これに対し旋動振動は、粉砕媒体に複雑な循環・混合作用を与えるように三次元的に運動する形式である。
 振動ミルは比較的小型でも粉砕効率がかなり高く、特にボール充填率を高く(~75%)することができるので容積効率に優れており、乾式、湿式を問わず、また回分・連続を問わず広く用いられている。ミルを密閉したり、ミル中の雰囲気をコントロールしたりすることが容易であるので、化学変化をともなう粉砕など特殊粉砕にも用いられている。

◎塵肺(pneumoconiosis)
 粉塵吸入に起因する各種の肺の疾患。浮遊粉塵(大体10μm以下の微粉)の有害性としていわれるもので(特に、遊離けい酸(-SiO2-)のような鉱物を含むもの)、肺組織に沈着した粉塵粒子(1μm以下のものが肺胞にまで達し沈着する)が周囲の組織に病的変化を生じさせ、繊維増殖を生じさせる。肺組織が繊維化すると、肺は次第に硬化し、呼吸困難、血液の循環不良を生じる。

◎真比重、真密度(True Density)
 粉体の場合、粒子中に空孔やクラックなどを含まない状態で測定した粒子単位体積当たりの質量。または、完全に充実した固体粒子の密度。
 粒子内部に空孔やクラックを有する場合には、粉砕などの手段によって完全に空孔を除き、ピクノメーターなどで固体の実容積を測定し、その値で固体の質量を割った値。

◎深冷粉砕(deep cooling grinding, cryogenic grinding)
 低温粉砕を参照。

◎スクラバー(Scrubber)
 排気ガス中に含まれる有害物質除去装置の1つ。水などの液体を洗浄液として、排ガス中の粒子を洗浄液の液滴や液膜中に捕集して分離をする装置で、洗浄集じん装置ともいう。
 この種の装置には、液滴によるダストの分離を有効にするため、液滴、液膜等の形成と洗浄方法に種々の工夫がされている。溜水中に排ガスをくぐらせることにより集じんする方法(溜水式)、排ガスの流れに加圧水を噴射する方法(加圧水式)、プラスチック・磁器などの充てん物に噴霧した洗浄液の水膜に排ガスを接触させて集じんする方法(充てん層式)、洗浄液を回転体で分散させて排ガスを接触させる方法(回転式)などがある。

◎スタンプミル(stamp mill)
 臼上に棒を落下させ、その衝撃で砕料を粉砕する装置。構造が簡単で、比較的衝撃力が強く、回分式にも連続式にもできる特徴がある。また砕料は臼内で自動的に循環するように設計されている。人類史上石臼と並んで最も古くから使われている粉砕機である。有名な16世紀の技術書であるデ・レ・メタリカの中にスタンプミルの図版があるが、それとほぼ同じ構造のままで19世紀まで使われてきた。最近では、砕料と空気が接触しないように粉砕ができる特徴などを生かし、食品分野などのごく一部で用いられている。

◎スパチュラ角
 スパチュラと呼ばれる金属の板を利用して測定します。粉体層中に置かれたスパチュラを持ち上げ、スパチュラの上に残り、堆積した粉体が作る山の稜線の角度を測定し、凝集性を調べます。スパチュラ角が小さいと流動性は高いと評価され、スパチュラ角が大きいと流動性が低いと評価されます。

◎スーパーミクロンミル(Super Micron Mill)(商品名)
 横型軸流タイプの高速回転式ミルに分類され、衝撃のみでなく摩砕作用をもつため、数μm程度まで微粉砕が可能である。粉砕室は前後二室に分かれており、それぞれの部屋に衝撃用と摩砕用の二列のローターがあり、砕製物の粒子径はPSAリングで調節される。また、スクリューノズルによる異物の排出機構を有している。

◎スラッジ(sludge)
 固体粒子と液体(水など)の混合物のこと。砕石場の場合は、シックナーの底部に沈降した濃縮廃泥のことを言う(水分60~75%)。 水分が多く、このままの状態では廃棄できないため、底部より排出させ、高圧 ポンプによりフィルタープレスに圧送、脱水、水分25~30%程度の取扱性の良い廃泥(ケーキ)にするのが一般的である。

◎積算分布(cumulative size distribution)
 粒子径がxより小さい(または大きい)粒子の総量が粒子全体に占める量的割合。xより小さい割合をふるい下分布という。

◎選択関数(selection function)
 粒子径分布が時間的に変化する粉砕プロセスにおいて、時間tにおける粒子径Dp 粒子が粉砕される確率P の時間偏微分をいう。
 選択関数は、主に粉砕機の種類や操作条件によって決まり、同じ粉砕条件の下では砕料の粒子径に依存する。一般に、粒子径の増大とともに増加するが、やがて一定となり、その後低下する。したがって、選択関数が極大となるように粉砕条件を見つけることが重要となる。粉砕速度の解析において、破壊関数とともに重要な位置を示す。

◎選択粉砕(selective or preferential grinding)
 粉砕中に特定の物質が選択的に粉砕されることをいう。例えば、粒子径の違いや物性の違いによって、特定の物質が優先的に粉砕される場合や、物性の違う二つの物質を混合粉砕した際に、一方の物質が選択的に粉砕されて細かくなる場合など。別の物質(粉砕助材)を添加し、特定の物質に吸着させて、その物質を選択的に粉砕させる場合などもある。

◎相当径(equivalent diameter)
 粒子の投影面積と等価の円(球)や正方形の直径や一辺、あるいは体積と等価の球や立方体の直径や一辺を用いて定義される。そのうち、円ないし球に相当させた粒子径が一般的に用いられる。特に、投影面積円相当径はヘイウッド径と呼ばれ、粒子の表面積に関係する幾何学的意味をもっているので、よく用いられている。また、体積球相当径は直接粒子の質量に対応するので便利である。

◎粗砕機(primary crusher =破砕機)
 数十cmのオーダーの砕料を数cmから数mmのオーダーまで破砕する粉砕機。鉱石処理、砕石生産などの一連の破砕、粉砕処理において、一番はじめの段階で用いる装置である。粗砕機は、大きく三つに分類(衝撃式破砕機、圧縮式粗砕機、切断・剪断式粗砕機)されるが、いずれも一個ずつの砕料に直接力を加えて粉砕を行う機構となっている。
 衝撃によって砕料を破壊する衝撃式破砕機は、高速回転するローターの周辺に衝撃板、ハンマーを取り付け、砕料を上方から円周方向に落下させて打撃するのが普通である。壁側に反発板を取り付け、いったん衝撃作用を受けた粒子をもう一度衝撃体へはね返し、繰返し衝撃を与えるようにした構造のものもある。ハンマーには衝撃式粉砕機の場合と同様にスイングハンマータイプのものもあるが、一般には固定型が多い。また二つのローターをもつダブル式で相対的なハンマー速度を上げる試みなどもある。
 スタンプ状の杵を落下させその衝撃で粉砕を行うスタンプミルは鉱石の粗砕にも用いられるが、スタンプの形状は粗砕用に工夫されることもある。
 圧縮によって砕料を破壊する圧縮式粉砕機は、いずれも二つの面の間に砕料をかみ込んで圧縮力を加えて砕くものである。この面として2平面を用いるもの(ジョー)、2円錐体の内外壁面を用いるもの(ジャイレトリー、コーン)、2ロール面を用いるもの(ロール)などがある。ジョークラッシャーはちょうど顎のようにV型に向かい合った2平板の片方を固定し、片方の上端ないし下端を水平に運動させて圧縮作用を行うものである。ジャイレトリークラッシャーおよびコーンクラッシャーは、頂点を上にした円錐体の外壁と、その外側にかぶせた倒立円錐の内側の間でつくる、断面がV型のギャップ中に砕料をかみ込んで圧縮破砕を行うものであるが、この場合内側の円錐体を旋動状に動かして圧縮を行う。ロールクラッシャーは2本のロール間に砕料をかみ込んで粉砕を行うものであるが、この場合、二つの回転数を変えて剪断力を加えることもある。また特に農産物などの破砕・解砕においては、ロールの平面に溝を切ってかみ込んでせん断の作用を強くするものもある。
 切断・剪断式の粗砕機は、鉱物質のものよりもむしろ金属、木材、プラスチックス、紙などの粗砕(チップ化)、細断を行うもので、最近廃棄物処理と関連して特に注目されているものである。大型の一枚刃を落下させて切断するギロチン型シュレッダーから、切断用の刃をロール上にもつシュレッダーや何枚かの刃を高速回転させるタイプのシュレッダーまで種類はきわめて多い。これらの粗砕機はほとんどの場合、乾式で連続操業される。

◎対数正規分布(log-normal distribution)
 もし粒子径xの対数ln xが正規分布に従う場合、粒子径xは対数正規分布に従うと言う。

◎体積粉砕(volume grinding)
 粒子の破壊が、表面からではなく、粒子を貫通する形で進行する破壊形式。ジョークラッシャーなどの粗砕機など、主に圧縮型の粉砕機ではこの形式の粉砕が起こる。また、転動ボールミルや、砕料に対してボールが直接衝突して圧縮する場合などにも起こる。

◎代表粒子径(characteristic diameter)
 粒子の大きさを代表するのに用いられる、粒子径の定義。球の大きさは直径、立方体の大きさは辺長で代表できる。不規則な形をした粒子の大きさを代表する場合は、たとえば体積が同じ球の直径、沈降速度が同じ球の直径など、様々な定義が可能である。

◎打錠機(tablet machine)
 だじょうき。タブレットマシンの訳語。錠剤を作る機械。

◎タブレットマシン(tablet machine)
 錠剤(タブレット)を作る機械。打錠機とも。医薬、食品、触媒などの製造に広く用いられているのは、ロータリー打錠機。臼と下杵との間に原料粉体を充填し、上杵を下降させて粉体層に強い圧縮力を与えて成形する。造粒の方法としては、最も均一な形状、大きさの製品が得られるが、造粒コストは高い。例えば、化成肥料などのように大量生産を必要とする場合には適さない。
 粉体を直接、打錠機に充填する方法を直接打錠、予備造粒し、顆粒状とした後、充填する方法を間接打錠という。間接打錠の方が均一な充填ができ製品の重量のバラツキが減るため、医薬などでは間接打錠が多く用いられている。
 打錠のように粉体層を圧縮して造粒する方法を圧縮造粒という。圧縮造粒には打錠のほか、ブリケッティングという鉱石、燃料などの比較的、径の大きい粒を作る方法がある。

◎タワーミル(Tower mill)(商品名)
 塔式粉砕機を参照。

◎単粒子粉砕(single particle crushing)
 粒子一個の破砕、粉砕。実操業の粉砕では砕料にあらゆる破壊力が作用する。単粒子粉砕もその要素の一つである。球、円柱、円板、立方体などに整形した試験片、場合によっては不規則形状粒子を静的荷重下、動的荷重下、衝撃荷重下で破砕し、砕料のヤング率、ポアソン比、各種強度の測定とその関係、荷重―変位曲線の測定を行い破砕エネルギーの計算値と実測値の比較、破砕エネルギーに占める塑性変形エネルギーの割合、試験片の温度上昇率の測定、破砕片の飛散運動エネルギーの測定、砕製物の粒子径分布、表面積の測定などを行い、単粒子粉砕機構の解明に関する研究が行われた。

◎中位径(median diameter)
 積算分布の50%を与える粒子径。通常、メディアン径あるいは50%径といわれる。粒子径分布の基準によって異なるので、個数中位径や質量中位径などと区別が必要である。

◎中砕機(secondary crusher)
 粗砕機と粉砕機の中間の領域の粒子径を得るための粉砕機の総称。数cmの砕料を数mmから数百μmに粉砕するものであるが、その境界はあまり明確でなく、また中砕機という概念を用いない分類も多い。したがってはっきりした機種も定めにくい。

◎チューブミル(tube mill)
 円筒状のミルにボール、ペブルなどの粉砕媒体を10~20%充填し、それを回転させて粉砕を行う装置であり、径に対して長さが長い粉砕機をいう。基本的な構造と粉砕機構はボールミルと同じであるが、特徴とするところは軸方向への砕料の移動にあり、この移動は砕製物の排出機構に大きく依存する。
 溢流型の排出機構の場合、砕料は一定の層高で流れるが、多孔板型(グレートタイプ)あるいは周辺排出型の場合は出口に向かって砕料の層高は低下する。またチューブミルは軸方向で二つないし三つの部屋に区切り、多重ミルとすることが多い。

◎超微粉砕機(ultrafine grinder, ultrafine pulverizer, ultrafine grinding machine)
 サブミクロンの砕製物を得ることを目的とする粉砕機。ジェット粉砕、コロイドミル、高速回転式衝撃粉砕機、媒体攪拌ミルなどがこれに相当する。

◎沈降速度(settling velocity)
 一つの粒子が器壁や他の粒子の干渉を受けずに等速沈降する時の速度。

◎沈降法(sedimentation method)
 重力や遠心力によって、媒体中を落下する粒子の速度からストークスの式などの沈降速度式に基づいて粒子の大きさを求める方法をいう。特に自然沈降速度の遅い微粒子に対して遠心力を用いる場合を遠心沈降法、媒体に液体を用いる場合を液相沈降法と呼ぶ。液相沈降法に比べて気体を媒体とする沈降法の種類は少ない。JIS Z 8820(1990)には「液相沈降法による粉体の粒子径分布測定法通則」が制定されている。
 容器内に粉体を分散させると、粉体はいろいろな大きさの粒子から構成されているため、個々の粒子はその大きさ(厳密には大きさ、密度、形状の関数)に応じた速度で沈降する。したがって、ある沈降距離Hにおける粒子濃度の時間的変化を観測するか、ある時間における沈降方向の粒子濃度分布を観測することで、試料粉体を構成する粒子径分布を求めることができる。
 一部の測定手法を除いて、ほとんどは粒子濃度の時間変化から粒子径を求める方法であり、その方法はさらに、ある沈降距離Hにおける濃度変化を測定する増分形、H以上あるいは以下の全粒子量変化を測定する積算形、粉体を媒体全体に分散させて行う均一分散沈降法と、媒体の一部に加える一斉沈降法に分類できる。濃度は重量、圧力、光透過量、エックス線透過量などの測定から求める沈降法には、沈降天秤法、比重計法、圧力法、アンバランス法、光透過法、エックス線透過法、比重天秤法、ピペット法、差圧法などがある。
 なお沈降法で得られる粒子径分布は光透過法を除いて質量基準である。沈降法では分散媒中で試料粒子が完全に単一粒子に分散し、相互に干渉することなく沈降することが必要である。そのためには試料粒子濃度のほか、試料粉体の分散方法や分散剤の選定がきわめて重要となる。

◎低温粉砕(low temperature grinding, cryogenic grinding)
 砕料が熱可塑性を有する、あるいは強靱で粉砕しにくい場合、冷却して脆化し粉砕する方式。プラスチックスや薬品、食品などの、いわゆる低融点物質、酸化または揮発しやすい物資が含まれる場合の粉砕に適用される。
 予冷したあと、衝撃粉砕機などの滞留時間の短い粉砕機で粉砕したり、ジャケット付きのボールミルを冷却したり、ドライアイスや液体空気を砕料と混ぜて粉砕したりする。また、ジェットミルのようなジュール・トムソン効果や多量の空気の存在による冷却効果を利用するなどの方法がある。なお、冷却により露点以下にならないように留意する必要がある。

◎ディスクタイプミル(disk type mill)
 媒体撹拌型粉砕機の1種。

◎ディスクミル(disk mill)
 湿式媒体攪拌ミルの一種で、1mm前後の径を持つ粉砕媒体を用い、穴の開いたディスク(平盤)を回転させ、粉砕媒体間に強力な剪断力を与えて、粉砕する装置。連続式と回分式がある。

◎転動ボールミル(tumbling ball mill)
 ボールミルの1種。

◎転動ミル(tumbling mill)
 回転ミル。

◎砥石(Whetstone)
 といし。金属や岩石などを切削、研磨するための道具。原料の種類、粒度(原料の粗さ)、結合度(原料を結びつける強さ)、組織(原料の密集度)、結合材(粉末の原料を固める材料)などを選定する事により、様々な金属、および非金属を研削することができる。

◎凍結粉砕(freezing grinding)
 低温粉砕の1種。

◎凍結粉砕造粒(freeze grinding granulation, cryo crushing granulation)
 寒冷剤(液体窒素、ドライアイス)あるいは冷凍機により対象物質を脆化点(物質の粘弾性を消失させ、外力で破壊されやすくする温度)まで凍結させ、これを粉砕すること。形式はいわゆる凍結粉砕と同様であるが、この方法による造粒操作は、食品の分野などで行われる。

◎塔式粉砕機(tower mill =タワーミル)
 媒体攪拌ミルの一種。直立円筒上のミル本体に、垂直軸をもつスクリュー状の攪拌装置を入れ、ミルの中のボール、ペブルなどの粉砕媒体を攪拌することによって粉砕を行う装置。本来湿式用として開発されたものであるが、その後、乾式用も開発されている。砕料はミル本体の上部より供給され、粉砕媒体から衝撃あるいは摩擦作用を受けて粉砕されるが、砕製物はミル下部より送入される液体または空気によって運び出され分級機(湿式では液体サイクロン、沈降分離槽、乾式ではサイクロン)に送られ、閉回路を形成するようになっている。粉砕と同時に抽出、溶解などの目的で用いられることもある。

◎同体摩擦法(grinding by friction among same material)
 同一種類の砕料同士を摩擦させる微粉砕の試験法の一種。同体摩擦法には回転運動摩擦と往復運動摩擦の二つの方法があり、サブミクロン粒子が容易に得られる。微粉の生成速度は摩擦圧力の増加とともに速くなり、また最適な摩擦速度が存在する。微粉体の生成機構には凝着摩耗説、凹凸摩耗説などがある。

◎とび粉(isolated coarse particle)
 粉砕により生成された微粉末を評価するときに、現場では頻繁に、“とび粉(とびこ)”という単語を使用することがある。この“とび粉”とは、「大多数の微粉の中にごく少量存在し、その粉末を加工して最終製品にしたときに悪影響を及ぼす粗大粒子」のことをいう。かなり昔から粉砕作業の現場で広範囲に使われてきた用語ではあるが、粉体工学用語辞典(粉体工学会編、日刊工業新聞社刊、初版)にも採録されていないし、工業規格などにも該当する語句は見当たらない。
 その理由の一つは、とび粉の概念は、その粉砕材料やその粉砕操作において極めて重要なものであっても、業界などが異なると全く共通性がないので、粉体物性の一部を表現する用語として使おうというコンセンサスが得られるに至らないからであろうと思われる。
 とび粉の“とび”とは、大多数を占める微粒子の群に対し、粒子径分布的に飛び抜けてかけ離れた粗大粒子であることから“飛び”が連想されたのだと思われる。
 粉末材料中のとび粉の存在は、たとえば、成形や焼成をともなう電子材料分野では異常粒成長の原因や電気特性不良の原因になったりするし、塗料業界では光沢や反射の均一性を損なうものとして嫌われる。研磨材などでは加工対象物を傷つけてしまうことになるし、射出成型するノズルやスプレーを粉末が通る場合は閉塞の原因になったりする。
 いずれの場合も、加工後の品質や生産性に重大な影響を及ぼすので、各粉末材料に管理粒子径を定め、許容されるとび粉の質量分率や個数分率を定め、生産管理がなされている。とび粉評価の多くは、微量であるが故の評価の難しさを伴う。
 管理する粒子径は業界ごとに異なるが、45μmはほぼ共通した管理粒子径の1つである。ついで38μm、20μmなどが多い。一般に許容されるふるい上質量は数10~数100ppmであることが多いので、一つの測定検体に数10~数100グラムを採取し、湿式でふるいわけして、乾燥後、残分の重量を評価する方法が大多数である。塗料や顔料の業界では、このような湿式ふるい分け残滓評価法と併行して、グラインドメーター(grind meter、粉体工学用語辞典、p92(1981))による評価を行っていることころが多い。(粉体工学会誌、Vol.35、p58(1998))

◎トリコンミル(tricone mill)
 連続式ボールミルの一種。ミル入口から出口にかけて砕料の粒子径が変化するためそれに応じた最適な大きさのボールが配置される。これは、多室ミル、コニカルミルなどでも行われているが、このトリコンミルもその一種であり、出口側へかけて次第に大きな角度で三つの円錐状になるように絞っていく構造になっている。径の小さいところほど小さいボールが集まる原理を利用したもので、コニカルボールミルよりスムーズにミル断面を小さくし、より合理的なボール径配置を図ったものである。

◎砥粒(Abrasive)
 とりゅう。相手を削り研ぎ磨くのに使う硬い粒、または粉。研磨剤または、研削材ともいう。

◎ナノマイザー(Nanomizer)(商品名)
 ジェットミルの湿式版ともいうべき微粉砕機。高圧ポンプにより加圧(7~180MPa)されたスラリーは、二流路に分岐され衝突区域へ送られる。二流路は、急激に細くなると共に対向した形状となり、高速で粉体同士が衝突する。この衝撃力と流体が通過する際のキャビテーションの作用により微粉砕が引き起こされる。この微粒化の方式は、粉砕媒体が不要で微粉砕が容易である。乳化、均一分散の機能をもち、異物混入が少ない微粉砕機である。

◎乳鉢(mortar)
 すりつぶしたり、二種以上の粉体を均一に混合したりするために使用する鉢の形をした器具で乳棒とともに使用する。古代の石製槝臼(とううす)の形態がそのまま残されている小規模実験用槝臼で磁性、金属製、メノウ製、ガラス製などがある。現在は実験室における極少量の分析試料の粉砕や薬局などで混合をかね使われている。

◎媒体攪拌ミル(media agitating mill = 攪拌槽ミル)
 固定された円筒容器に充填されたボール、ペブル、ビーズなどの粉砕媒体を攪拌棒あるいは回転ディスクで攪拌し、粉砕媒体を運動させ、そのときの粉砕媒体の衝突により粉砕を行う装置。乾式にも湿式にも用いられる。

◎破壊エネルギー(fracture energy)
 破壊までに材料内に蓄えられたエネルギーあるいは破壊までに要したエネルギー。一般的にはひずみエネルギーをさすことが多い。したがって、荷重と変位の関係を理論的に表わすことができれば解析的に求めることができ、応力状態によって決まるそれぞれの強度の関数として表わされる。強度は、測定する試験片の体積が小さくなると大きくなるため、単位質量当たりの破壊エネルギーは大きくなる。塑性的挙動を示す材料では、測定した荷重-変位曲線から求める。この場合破壊エネルギーは弾性ひずみエネルギーと塑性変形エネルギーの和となる。破壊エネルギーの一部は、塑性変形にともなう微視的破壊、熱エネルギー、破壊後の音エネルギー、破壊後の破砕片の飛散運動エネルギーなどに転換される。各種エネルギーへの転換割合は材料の物性の影響を受ける。

◎破壊関数(breakage function = 破砕関数)
 粒径rの粒子が、破壊されて粒径Dより小さくなる重量割合をB(r, D)と書く時、これを粉砕速度における破壊関数と言う。破砕関数と呼ばれることもある。
 破壊関数は、例えば、ゴーダン・シューマン分布B=(D/r)mや、ロジン・ラムラー分布B=1-exp(-D/r)nなどが近似的に使える。ただし、m、nは定数、∂B/∂Dは、分布関数と言う。

◎破壊強度(fracture strength)
 物体を破壊するときの応力。すなわち破壊応力の絶対値のことを、一般にその物体の破壊強度あるいは単に強度という。強度には圧縮強度、引張強度、せん(剪)断強度などいくつかの種類があるが、これらは物体の性質だけでなく、その物体内の応力状態にも関係する。通常、圧縮強度、引張強度はそれぞれ一軸圧縮強度、一軸引張強度をさす。
 また、強度は物体内のごくわずかな欠陥によっても左右される。いわゆる組織敏感性であり、同一の条件で求めた場合でも個々の試験片の強度の測定値はばらつく。すなわち強度は決して一定の値をとるものではなく、本質的に確率的な量であり、値の大小だけでなく、そのばらつきの大きさも物体に固有の性質の一つであると考えられる。また、強度は試験片の大きさ、試験片を囲む雰囲気中の水分、温度あるいは荷重条件にも影響される。強度には実測強度と理想強度があり、一般的には実測強度をさす。
 完全に均一で全く欠陥を含まない物体の強度を理想(理論)強度といい、この値は実測強度の100~1000倍になるといわれている。

◎破砕(crushing)
 粗砕とほぼ同意。砕料粒子一個ずつを対象にして力を加え、数十cm~十数cmの砕料を数cm以下にする粉砕をいう。

◎破砕エネルギー(fracture energy)
 固体を粉砕するときに要したエネルギーをいう。

◎破砕関数(breakage function = 破壊関数)
 破壊関数を参照。

◎破砕機(crusher)
 破砕を目的とした装置の総称。破砕は一般に粗砕とほぼ同じ程度の粒子径(数十cm~十数cmのオーダーの砕料を数cm以下にする)を扱い、破砕機は粗砕機と同義に扱われることもあるが、粉砕機構が衝撃を主体とした粗砕機についていうこともある。

◎破砕表面エネルギー(fracture surface energy)
 単位新生表面積あたりの破砕エネルギーをいう。破砕エネルギーは投入エネルギーの大部分を熱に変化するため、真の表面積増大に必要な表面エネルギーに比較してかなり大きい値となる。粉砕のされにくさを表わす粉砕抵抗と同一である。

◎バスケットミル(Basket mill)(商品名)
 攪拌軸部分に粉砕媒体を充填したバスケットを有し、そのバスケットを直接タンク内に沈め、液中で下羽根および内部ピンディスクを回転することにより、スラリーを対流させながらバスケット内の粉砕媒体運動により粉砕・分散を行う微粉砕機。混合、分散、粉砕が同一タンクで同時に行える特徴があるため、多品種少量生産の原料処理に適している。

◎バッグフィルター(bag filter)
 円筒状ないし袋状のろ布を吊り下げて含塵気流をろ過するフィルター集塵機の一種。粉塵負荷が大きくなると圧力損失が過大になり、処理ガス流・が低下するので粉塵の払い落としを行う。
 ろ布には綿、ナイロン、テトロンなどが用いられるが、高温にはガラスろ布か、テフロンろ布が250℃付近まで用いられている。

◎ハードグローブ試験機(Hardgrove machine)
 ハードグローブ粉砕性指数(HGI)を測定する試験用粉砕機で、JIS(M8801, 1993年)に規定されている。ロールミルの一種であるボールベアリングミル。JIS B 1501に規定する直径25.4mmの鋼球8 個を鋼球と同程度の硬さの材料でできた粉砕室にJISに従って調製した供試試料50gを入れ、同じく同程度の材料でできたトップリングを介して8個の鋼球に284.2±2.0Nの荷重を加え、毎分15~20回転の回転速度で60回転(許容回転数は1/4回転)し、粉砕する。

◎ハードグローブ粉砕性指数(Hardgrove grindability index)
 砕料の粉砕のしやすさを表わす代表的な指標の一つで、ハードグローブ粉砕能とも呼ばれる。砕料に一定の仕事量を加え粉砕量を測定して算出する指数。この測定方法はJIS(M8801, 1993年)に規定されているように、4.75mm以下に予備粉砕し、再度粉砕、ふるい分けして1.18mm~600μmの試料に調整する。この試料50gをハードグローブ粉砕性試験機で60回転粉砕し、砕製物を目開き75μmのフルイでふるい分ける。ふるい上質量を0.01gの桁まで測定し、50gからこの値を差し引いてふるい下質量W[g]とすると、次式より算出される。
 HGI = 13+6.93 W
HGIは、リッティンガーの法則が適用できることに基礎をおき、石炭の粉砕性試験法として1951年にASTM(アメリカ材料試験学会)の規格になった試験法で、上述したJISとは供試試料の粒子径範囲、砕製物のふるい分けに使うふるいの目開きがごくわずか異なっている。砕料の粉砕のしにくさを表わすボンドの仕事指数との相関式が報告されている。

◎ハンマークラッシャー(hammer crusher)
 高速回転型の衝撃式粗砕機。上方投入口より供給される砕料に、ハンマー状の回転衝撃体で衝撃力を与え、クラッシャー内の衝撃板に衝突させたりすることによって破砕を行う。主に鉱山の鉱石処理や砕石製造に用いられ、通常数十cmから数cmの砕料を数cmから数mmまで破砕することを目的としている。

◎ハンマーミル(hammer mill)
 高速回転するハンマーによって供給粒子に衝撃を加え、粉砕から微粉砕までを行うミル。粗砕機であるハンマークラッシャーと異なり、ハンマーはスウィングハンマータイプである。また出口側に多孔板、スクリーン、グリッドなどをおいて、いわゆるスクリーンミルとして砕製物の粒子径のコントロールを行うようになっている。この種のミル、特にスクリーンミルでは摩耗が問題になるので、あまり硬度の高いものには用いない。

◎比表面積(Specific Surface Area)
 一般には、単位質量の粉体中に含まれる全粒子の表面積の総和のことであり、Sw(cm2/g)で表される。粉体の表面積には、粒子の外郭の面積のみのもの、粒子の表面の凹凸や亀裂の面積を含むもの、粒子内部まで侵入している細孔の面積を含むもの等があり、それぞれ、測定方法により異なる意義の比表面積が求められる。

◎微粉砕(fine grinding)
 砕製物の粒子径が147μm(100メッシュ)以下44μm(325メッシュ)以上になるような粉砕。44μm以下0.5μm以上の砕製物を得る粉砕操作を超微粉砕ということもある。ただし、微粉砕と超微粉砕との区別は明確ではない。

◎微粉砕機(fine grinding mill)
 147μm(100メッシュ)以下の砕製物を得ることを目標とした粉砕機。数μm以下の粉砕を目標とした超微粉砕機を含めて、一般に微粉砕機という。微粉砕機の代表的な機種はボールミルであり、特に大量の処理には最も多く使用される。超微粉を要求しない場合にはエアースエプト型衝撃粉砕機が、微粉砕のうちでも微小粒側の粉砕や超微粉砕を要求する場合にはジェットミル、各種の摩砕機が、特に原料の湿式処理が可能な場合には湿式ボールミル、各種の湿式摩砕機が使用される。

◎表面粉砕(surface grinding)
 粒子の破壊が、その表面から進行する破壊形式。粒子に対して剪断力が作用する場合などは、この破壊形式になる。微粉砕領域では、この破壊形式によって粉砕が進行する。

◎ピンミル(pin mill)
 ピンの回転によって粉砕する装置。向かいあった2枚の円板の表面に、数十本もしくは、それ以上のピンを互いにかみ合うように植え、片方の円板あるいは両方の円板を高速回転させて砕料を円板中心に供給し、砕料が遠心力で円周方向に移動する間にピンによる衝撃、剪断力により粉砕する。
 回転数は大きいもので数千から数万rpm以上に達し、ピンの大きさも様々である。縦型と横型がある。比較的強度の低い、顔料、医薬品、食料品、飼料などに適用される。

◎V型混合機(V-type mixer)
 双子円筒型混合機とも呼ばれるようです。2つの円筒型容器をV字型に接合して1つの混合容器としたものを回転軸で支持し、容器全体を回転して混合する「回転容器型混合機」と呼ばれる混合器のタイプの1種です。
 混合は、容器回転による粉体の合一、分散を交互に繰り返す三次元的な交差混合作用により進行します。混合速度は速く、回転速度を適正にすれば良好な最終混合度が得られる。
 しかし、処理量当たりの据え付け面積および、容器重量が他の回転容器型混合機に比べて、若干、大きい。

◎フィルタープレス(Filter Press)
 水分を60~70%含むシックナーの底部に沈降した濃縮廃泥(スラッジ)を脱水する装置。脱水の方法は真空脱水、加圧脱水、遠心脱水などあるが、フィルタープレスは加圧脱水装置の代表的なもの。高圧ポンプによりフィルタープレス内の各濾過室に廃泥を送り込み、脱水する仕組である。水分25~30%にまで脱水される。

◎風簸(pneumatic elutriation)
 粒径の異なる微粒子群を、空気中における沈降速度の差を利用して数群に分ける操作。

◎風力分級(pneumatic classification)
 風力を利用する固体粒子群の分級。乾式分級、風簸、風篩ともいう。

◎浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter, SPM)(2000年1月31日、朝日新聞)
 SPM。大気中に浮遊する直径10μm以下の粒子状物質を大気汚染防止法では「浮遊粒子状物質」と呼ぶ。大気中に長時間滞留して肺や気管に付着し、呼吸器に悪影響を与える。発生源から出る一次生成粒子と、大気中でガス状物質から変化する二次生成粒子とがある。
 環境庁は、健康影響の観点から環境基準を1m3中に0.1mg以下としている。中でもディーゼル排ガスから出される粒径0.5μm以下のディーゼル排気微粒子(DEP)は、最近の研究で喘息を起こし、生殖器に障害を与えることが知られている。
 アメリカでは、有害性の高い2.5μm以下の「PM2.5」を基準とし、日本の環境庁も同種の基準設定を検討している。

◎ブラウン運動(Brownian movement, Brownian motion)
 微小粒子または微小物体の熱運動。

◎フラッシング:Flushing
 粉体中に気体が含まれることによって、急激に流動性が増加し、わずかな差圧あるいは推進力で、粘性の低い液体のように流れる現象をいう。粉体容器や貯槽内にアーチが生じ、それが衝撃などによって崩壊する時にも生じる。
 一度、フラッシングが生じると、通常では通過しない偏狭な部分でも流れるため、ロータリーバルブやスクリューフィーダーでは流れを止めることができない。

◎ふるい、篩(screen, sieve)
 目開き一定の網を枠に張った器具(ふるい)。また、ふるい分けを行う機械、または、装置のこと。正方形、長方形、円形、円筒形など様々な形状のものがあり、粒子状物質の粒子径分級や粒子の分散用に使用される。工業用のふるいをscreen、試験用のふるいをsieveという。
 工業用のふるいを大別すると、次の諸形式がある。

・固定篩
 篩面が固定され、粒子の移動は重力、流体の流れなどによって行われる篩。代表的な機種として、棒篩があげられる。篩面の傾斜は原料の安息角以上に設定する必要がある。処理能力が大きく、動力消費が小さい利点があるが、ふるい分け効率は小さい。鉱業に多く用いられている。

・回転篩
 傾斜円筒の側面を篩面とするもので、数mmから十数mmのふるい分けに多く用いられている。

・振動篩
 篩面に振動運動を与えてふるい分けを行う機械で、振動の方式によって多くの形式がある。

◎ふるい分け(screening)
 一定の目開きを持った金網、多孔板などに固体粒子を接触させ、目を通過する粒子群と目を通過しない粒子群とに分別する操作。
 ふるい分けの難易は、目開きの大きさ(大きい方がふるい分けやすい)のほか、目開きに近い粒子(目開きの0.7~1.5倍の範囲の粒子をdifficult grainという)の含有率、水分の含有率、粒子の形状などにも影響される。

◎フレットミル(fret mill)
 エッジランナーとも呼ばれている粉砕機の一種。粉粒体混合および混練機としても使用されている。一般的なものは上回り式で、鉄製の粉砕皿の上を大理石などでできたホイールが回転し、圧縮、剪断および摩砕力によって、粉砕と混合および混練を行う装置。

◎分級(classification)
 粉粒体をその特性の差によって分離すること。粒子径または密度によって分離する場合が多い。粉砕後には、粒子径の差異による分級が重要である。液中で操作する湿式法と、気中で行う乾式法がある。使用する原理としてはふるい分け、重力(浮力)、慣性力、遠心力、静電気力、磁気力、化学親和力、および物理的付着力がある。粒子径の分級に関しては遠心力を利用した回転羽根形式が広く利用されている。最近の研究では通常のサイクロンでも入口部に移動式の案内羽根を設置することで、サブミクロン領域(下限約0.5μm程度)での分級が可能である。


◎粉砕(grinding, crushing, size reduction, comminution, pulverizing)
 物質を砕いて粉にする操作。粉砕する原料を砕料、製品を砕製物という。砕製物の大きさが数cm以上の場合には粗砕、数mm程度の場合は中砕、数十μmの場合は微粉砕、数μm以下の場合は超微粉砕と呼ぶ。
 粉砕を表わす英語には様々あるが、微細化を意味するときはcomminution, size reduction, 破砕、粗砕のときはcrushing, 微粉砕、摩砕のときはgrinding, 微粉砕、微粒化、微粉化のときはpulverizingが用いられる。
 粉砕の目的は主に、①比表面積の増大、②単体分離度の向上、③多成分固体の均一混合、④メカノケミカル効果の発現などである。

◎粉砕エネルギー則(law of comminution energy =粉砕仕事法則)
 粉砕仕事法則を参照。

◎粉砕機(grinding machine and crusher)
 破砕、粉砕に用いる装置。粉砕はきわめて広範囲の対象、機能、機構を含むので粉砕機も多種、多様である。粉砕対象の粒子径範囲に応じて粗砕機、中砕機、粉砕機、微粉砕機、超微粉砕機に分類され、それぞれ機構、構造が異なっている。
 粉砕する力には、圧縮、剪断、切断、衝撃、摩擦などがあり、その種類によって機械の構造は異なる。これらの力を作用させるため粉砕媒体の運動様式として、媒体の高速回転、中速の圧縮(往復動)運動、媒体の低速転動運動、媒体に対する容器全体の回転または振動運動、容器内の媒体の攪拌、二つの回転平面間での摩擦あるいは高圧空気、蒸気による砕料の加速など様々な方式がある。
 粉砕機は小型のものから、数千馬力の大型のものまであるが、大型化するほど効率がよくなる。その操作が回分式か連続式か、湿式か乾式かなどによって分類される。また分級機内蔵のもの、乾燥機と結合したものなど一つのシステムとして機能を果たすものも多い。

◎粉砕機のスケールアップ(mill scaling up)
 粉砕機の大型化をいう。粉砕機の幾何学的な大型化のみならず、単位時間あたりの処理量の大容量化をも含む。各種粉砕機の大型化については、これまで経験的に行われてきた。最近、コンピュータシミュレーションによるスケールアップ法が提案され、経験的な大型化との比較が試みられている。粉砕機のスケールアップにおけるミル動力(モーター動力)の推算についてはBondのWork Indexなどが基準として用いられることがある。

◎粉砕効率(efficiency of comminution)
 粉砕操作に投入された仕事量に対して、有効に利用された仕事量の割合。

◎粉砕仕事(comminution energy)
 目的とする大きさの粒子(粉体)を得るために粉砕に使われた仕事量。粉砕の目的を大別すると、固体原料を小さくし粉体を製造することと、表面積を大きくすることになる。このため古くから粉砕仕事量と粉砕前後の粒子径(代表粒子径)変化を結びつけたリッティンガー、キックの法則があり、この二つの考え方の中間にボンドの粉砕理論がある。また、砕料全体で粉砕の進行を評価する場合、増加比表面積と粉砕仕事量との関係が検討、提案されている。

◎粉砕仕事指数(work index)

◎粉砕仕事法則(law of comminution energy)
 粉砕による砕料粒子径の変化と使われた仕事量との関係を表わす法則。粉砕エネルギー則も同じ内容である。
 一般的には、使われたエネルギーEあるいは粉砕時間(エネルギーが粉砕時間に比例するとして)による砕料粒子径xの変化を次式で表わすことが多い。
 dE = -cx-n・dx
この式をn=1で積分するとキックの法則、n=2で積分するとリッティンガーの法則になり、n=1.5で積分するとボンドの粉砕理論になる。さらにnの値は砕料の種類によって変化するとしたのがホルメスの粉砕理論である。仕事量と砕製物の比表面積の関係、粒子径分布の変化、粒子一個あるいは単位質量の破砕、粉砕に要するエネルギーの粒子径による変化なども含む。

◎粉砕助剤(grinding aid)
 微粉砕域になると粉砕速度や粉砕効率が低下するが、この時、微量の特定物質を加えて粉砕を続けると粉砕が効果的に進行することがある。この添加物質を“粉砕助剤”という。
 物質の表面エネルギーを低下させ、微粉化したときに再凝集を防止する。例えば、セメント原料に対してアリルアルキルスルホン酸、セメントクリンカーに対してトリエタノールアミンとリグニンスルホン酸のカルシウム塩の混合物、ステアリン酸塩、カーボンブラックなどが知られている。
 そのメカニズムについての定説はないが、助剤分子の固体への吸着により表面エネルギーが減少し、固体表面にある亀裂の進行を促進させるため、あるいは微粉末の付着を防止し、分散が向上するため粉砕が進みやすくなるなどが考えられる。
 添加量を誤ると逆に粉砕効果を悪くすることもある。気体、液体並びに固体助剤があるが、液体、固体助剤でも粉砕過程で蒸発し、気体として作用する場合もある。

◎粉砕性指標(grindability index)
 砕料の粉砕のしやすさを表わす指標。粉砕性指標を分類すると以下の三つに大別できる。
 ①一定の仕事量を与えて粉砕量を測定するもの。
 ②一定の試料を一定の細かさまで粉砕するのに要する仕事量を測定するもの。
 ③粉砕仕事量と比表面積増加量を測定するもの。
①の代表的な指標がハードグローブ粉砕性指数である。②の代表的な指標がボンドの粉砕仕事指数で用いられる。③には、破砕表面エネルギー、リッティンガー数が相当する。

◎粉砕速度式(rate equation in grinding)
 単位時間あたりの砕料の粒子径変化を粉砕速度といい、それを表わす式を粉砕速度式という。

◎粉砕速度定数(grinding rate constant)
 粉砕の速度を表わす定数で、粒子径分布の時間変化から定義される場合と、一定粒子径区間の粉体重量の時間変化から求める場合の二通りがある。

◎粉砕速度論(theory of grinding rate)
 砕料の粒子径分布の時間変化を議論すること。粉砕速度は、選択関数と破壊関数の二つの関数から構成されている。粉砕速度論は、この二つの関数が砕料、粉砕機、粉砕条件によっていかに定まるかを追求することに帰する。このほか、粉砕速度を化学反応速度に模擬する速度論も展開されている。

◎粉砕抵抗(comminution resistance)
 砕料の粉砕のしにくさのこと。粉砕しやすさを表わす尺度としてグラインダビリティーがあり、その逆数である。

◎粉砕動力(grinding power)
 粉砕機の運転に要する動力。砕料を粉砕処理する場合の全動力をいう場合が多いが、これから砕料を処理しない空運転時の空転動力を指し引いた動力をいう場合もある。実際の粉砕機を用いた粉砕における粉砕動力は、材料を粉砕するのに必要な粉砕正味仕事のほかに、材料を供給しない空運転時に必要な仕事、材料を運搬するに必要な仕事、砕製物を分級するのに必要な仕事、粉砕機や材料・空気などの温度上昇に使用される仕事、音や光に変わる仕事など種々の付加的な仕事を含んでいる。
 粉砕動力[kW]と粉砕処理量[kg/h]との比は、ボンドの粉砕仕事指数に比例する因子として表わされ、砕料単位質量当たりの粉砕に実際に必要な粉砕仕事量として、砕料の被粉砕性の評価、ならびに粉砕機の特性評価やスケールアップにとって重要な意味を持つ。粉砕動力の測定は、積算電力計やクランプメーターと呼ばれる電力計を用いて行われることが多い。

◎粉砕能(grindability)
 グラインダビリティーを参照。

◎粉砕媒体(grinding media, tumbling mill, tumbling body)
 回転ミル、振動ミル、媒体攪拌ミルなどに充填され、その運動により粉砕を引き起こす物体で、その寸法はミルの本体(シェル)よりはるかに小さく、砕料および砕製物よりはるかに大きい。粉砕媒体としては、鋼鉄製のボール、ロッド、アルミナや部分安定化ジルコニアなどのセラミック製のボール、岩石塊などがある。

◎粉砕比(ratio of size reduction)
 粉砕前後の粒子径の比。粉砕前後の粒子径をそれぞれxf、xpとすると、xf/ xpで表わされる。この粒子径には80%通過粒子径やメディアン径のような代表粒子径が使われることが多い。また比表面積径が使われることもある。

◎粉砕法則(law of comminution)

◎粉砕容量(grinding capacity)
 粉砕あるいは粉砕機の処理量で、一般には単位時間当たりの処理量をいう。

◎粉砕理論(theory of comminution)
 粉砕に関する理論。物質に関する理論、粉砕操作に関する理論、プロセスに関する理論の三種に分類される。物質に関する理論には、一個の粒子の破壊のメカニズムに関する材料学的研究がある。物質の強度、一個の粒子の破壊エネルギーの材料物性からの評価、粉砕に投入したエネルギー収支を物理化学的な解析と結びつけていくメカノケミストリーの理論や最近のメカニカルアロイングに代表される粒子の複合化や表面改質などの研究が相当する。粉砕操作に関する理論は多岐にわたるが、その主要なものは粉砕のエネルギー消費に関する理論としての粉砕仕事法則がある。
 これらの関係式は破壊のメカニズムを使い種々な形で理論的導出が試みられている。もう一つの主要な理論が粒子径分布に関するもので、これまでの経験式に対し破壊機構や確率論的考察から粒子径分布の理論的導出がある。粉砕プロセスに関する理論としては、粉砕機内の砕料、粉砕媒体の動きに関するもの、粉砕と分級、乾燥などの他の単位操作と組み合わせたプロセスに関するもの、プロセスのシミュレーションに関するものがある。

◎分散度
 一定量の粉粒体を一定の高さから落下させ、下に置いたウォッチグラスに残る量から分散性、飛散性等を評価する。50%以上では、フラッシング現象が強くなる。

◎粉体(powder)
 固体粒子の集合体。「粉体」とは主に固体を細かくしたもので食品、医薬品、プラスチック、金属などの工業製品の分野で、あらゆる原材料となって用いられています。その集合体は液体、気体、固体とは異なる性質を持っており、生産過程で取り扱う際には付着、飛散、閉塞などを起こすトラブルの元にもなりかねない厄介な物質です。
 粉体を取り扱う分野では粉体の機能性や操作性を向上させるための製造方法や、操作方法が研究課題となっています。

◎粉体シミュレーション法(simulation method for powder system)
 粉体シミュレーション法には、粒子の設計に用いられる化学シミュレーション(分子軌道法、分子力学法、分子動力学法、モンテカルロ法など)と、粉体挙動のシミュレーションに用いられるシミュレーション(差分法、有限要素法、粒子要素法など)がある。粉体系の力学シミュレーションは、分子動力学法と同じく1950年代にすでにその試みがあるが、コンピュータの演算速度、メモリーの不足から大きな進展がなかった。1980~1990年代におけるコンピュータの飛躍的な発達に支えられて粒子要素法が登場してから、粉体系の力学シミュレーションが非常に盛んになり、粉体材料とその生産システムの設計に期待されている。

◎分粒(size separation)
 粉粒体を粒径の差によって分離する操作の総称。工業的な分粒操作には、ふるいによる方法(ふるい分け:screening)と、流体中における粒子の沈降速度の差を利用する方法(分級:classification)とがある。100μm以上の粉体の分離は主としてふるい分けにより、それ以下の粒子は主として分級によって行われている。

◎閉回路粉砕(closed-circuit grinding)
 閉回路粉砕は、粉砕機と分級機が組み合わされた連続式粉砕方式である。砕料が粉砕機に供給され、一定時間粉砕機に滞留した後、出口から排出された砕製物が分級機に送られ、ある粒子径以下と以上に分けられ、微粉(製品)は回収され、粗粉は粉砕機に戻され、再び原料砕料と混合させて粉砕される方式をいう。
 分級機前置き型や後置き型など、粉砕機との組み合わせにより種々の形式がある。閉回路粉砕は開回路粉砕(分級機なしの粉砕方式)に比べて種々の利点がある。たとえば、砕製物の粒子径が均一化する、過粉砕が抑えられる、粉砕効率が向上する、粉砕能力が向上する、砕製物単位重量当たりの動力が減少する、などがある。

◎平均粒子径(mean particle diameter)
 種々の粒子径をもつ多数の粒子から構成される粒子群に対して、ある物理的特性に着目したとき、実際の粒子群と同等の特性を有する均一径粒子からなる仮想的な粒子群が存在する。この仮想粒子の大きさを平均粒子径という。物理特性として、個数、長さ、面積、体積がある。これらに対応して、個数平均、長さ平均、面積平均(体面積平均、ザウテル径)、体積平均がある。またすべての粒子の表面積の平均値、あるいは体積の平均値をもつ球形の仮想粒子の直径を定義することができ、それぞれ平均面積径、平均体積径と呼ぶ。粒子を数え上げるとき、粒子径Dp なる粒子がni 個存在するというように、粒子の数え方(測定量)が粒子個数である場合、個数基準平均径という。これに対して粒子径Dp なる粒子がWig存在するという測定量から平均径を求める場合は、質量(重量)基準平均径と呼ぶ。同様に測定量が長さli 、面積si の場合は、それぞれ長さ基準平均径と面積基準平均径が定義される。

◎ペブルミル(pebble mill)
 粉砕媒体としてペブル(丸い小石)を用いる粉砕機をいう。ペブルの形は、直径と長さの比を変化させた円柱状の粒子や、多角形粒子などがあり、その大きさは十数cmから数mmである。

◎崩壊角(Angle of Rupture)
 安息角を測定した後に、その測定用ベースを載せた矩形バットに、おもりの落下や電磁式インパクターなどにより一定の衝撃力を与え、粉体堆積層を崩壊させて形成された崩壊面の傾斜角を言う。崩壊角は、ある外力により流動を開始した粉体が再度、安定な状態になる傾向の強さと関係し、崩壊角が大きいほど粉体の噴流性が小さくなる傾向がある。

◎捕集効率、集塵率、通過率(Collection Efficiency)
 集塵装置の最も重要な性能指標。集塵率、集塵効率あるいは、除塵効率などの表現もあるが、JIS B 9909で規定されている集塵率が最も一般的(次式)。

 集塵率(η)=(単位時間に装置内で分離されたダストの質量[kg/h])/(単位時間に装置内に流入したダストの質量[kg/h])

 しかし、実際には、装置内で分離されたダストの質量の計測は困難で、誤差が大きいため、装置の入口、出口で同時に測定した粉じん流量wi、w0[kg/h]から集塵率を求めることが多い。

 集塵率(η)=(wi - w0 )/ wi 

 さらに基準状態(0℃、1気圧)に換算した出入口での乾きガス基準の粉じん濃度[g/mN3]を用いると、次式のように計算できる。

 集塵率(η)=(Ci-C0)/ Ci = 1- C0 / Ci 

 ただし、この場合、出入口間で水分の蒸発や凝縮によるガス流量の増減がないことが前提であり、洗浄集塵装置などでは、乾きガス流量当たりの濃度に換算しなければならない。
 JISで定義されている集塵率は、捕集されたダストの質量で与えられており、また、大気汚染の防止に対する各種粉じんの規制値も質量濃度によっている。このため、集塵率は大粒子がどれだけ分離されたかで決まり、微細粉じんの分離は、ほとんど影響しない。この欠点を改善するには、粒子径別の集塵率、すなわち部分集塵率、あるいは部分分離効率で表示しなければならない。

◎ポットミル(pot mill)
 ボールミルの一種。通常陶磁器製の壺状円筒容器内にセラミックボールを入れた小型ミルのことをいう。粉砕の原理や特徴についてはボールミルと全く同じである。

◎ホールドアップ(hold-up)
 粉砕機内に存在している砕料の滞留量であり、砕料充填量ともいう。粉砕機内容積に対する砕料充填容積の比で表わされ、粉砕機容積を基準としてホールドアップ率、滞留率、砕料充填率などと分率ないしは百分率で表示する。

◎ボールミル(ball mill)
 粉砕媒体としてボールを使用する回転ミル。ボールとしては、鍛造鋼、鋳造鋼あるいはアルミナなどが用いられる。鉱石、石炭、セメント原料、セメントクリンカー、セラミックなどの粉砕に使用されている。砕料の粒子径は10mm以下、砕製物の粒子径は100μm以下が一般的である。

◎ホルメスの仕事指数(work index proposed by Holmes)
 ホルメスが提案した工業的粉砕仕事量を求める式中に定義されている仕事指数[kWh/t]で、砕料の粉砕のしにくさを表わす。砕料の代表粒子径を80%通過粒子径[μm]で表わし、砕料を目的とする大きさまで細かく粉砕するのに必要な工業的粉砕仕事量を式中の比例係数であり、砕料によって決まる。

◎ボンドの(粉砕)仕事指数(work index proposed by Bond)
 ボンドが提案した工業的粉砕仕事量を求める式中に定義されている仕事指数WiH[kWh/t]。砕料の粉砕のしにくさを表わす。ボンドの粉砕理論式において、WiH は大きさが無限大の砕料1 tを80%通過粒子径が100μmになるまで粉砕するのに要する仕事量となる。
 仕事指数は粉砕機の選定、設計および粉砕工程の管理に広く用いられている。Wiの測定法はJIS(M4402、1976年)で規定されている。Wiの計算の基礎になっているのは内径2.44mの湿式オーバーフロー型ボールミルでの粉砕で、乾式閉回路に対する補正、ミル内径の補正、フィード径の補正、砕製物の大きさが70μm以下のときの補正、粉砕比が4より小さいときの補正を行い使われている。

◎ボンドの粉砕理論(Bond's law)
 ボンドが提案した粉砕仕事法則。ボンドはすべての粉砕は無限に大きい粒子(固体)を粒子径がゼロの無限個数に粉砕する途中過程と定義し、粉砕仕事量W[kWh/t]を求める式を提案した。
 ボンドの考えは、キックの法則とリッティンガーの法則の中間に位置している。ボンド自らは、これを粉砕の第三法則と名づけている。実操業においてボンドの法則が広く受け入れられているのは、その理論的根拠よりも、むしろ仕事指数Wiを提案し、実際の粉砕機設計に適用できるように整備し、かつ、そのうえ膨大な実験データから多くの物質について具体的に仕事指数を示したことにある。Wiの測定法はJIS(M4402, 1976年)に規定されている。

◎摩砕(frictional crushing)
 粒子に剪断力を加えて粉砕すること。

◎摩砕機(grinding mill)
 剪断力によって粉砕を行う装置。古くから用いられてきている石臼、擂解機(らいかいき)、エッジランナーなどがこれに相当する。これ以外にもローラーミル形式のミル、遊星型粉砕機、一部の攪拌槽型ミルも摩砕機の一種と考えることもできるが、その範囲は必ずしも明確ではなく、かなり慣用的あるいは便宜的に用いられている。

◎マスフロー(mass flow)
 貯槽内において壁面付近の粉粒体が滑りやすい場合には、液体貯槽のように粉粒体面が均等に、ほとんど水平に降下し、ほぼ完全に排出されます。このような粉粒体の流れを「マスフロー」という。

◎摩耗(wear, abrasion)
 材料表面に摩擦力が作用することにより材料表面が消耗していく現象を摩耗という。摩耗には単なる二個の物体表面の相対的滑りによって起こる“滑り摩耗”あるいは転動する二個の物体の接触による“ころがり摩耗”(いずれもwear)に対して、摩耗粉や砥粒などの種々の粉粒体が二物体の間に介在する状態で進行する摩耗を“ざらつき摩耗”(abrasion)の二種に大別されるが、粉粒体による摩耗は後者に属する場合が多い。高流速による固体の摩耗現象をエロージョンというが、流体中に存在する固体粒子も激しいアブレージョンを引き起こす。

◎摩耗粉(debris, wear particles)
 材料の平面に摩擦力が作用することによって平面が損傷を受けて材料が消耗していく現象を摩耗といい、この摩耗の際に生成する粒子を摩耗粉と呼ぶ。

◎見掛け密度(apparent particle density)
 粉粒体の質量を、粒子間の空隙を含めた粉粒体が占める体積で除した値。すなわち、開孔やクラックなどを含む体積をもとにして求めた粒子密度。例えば、ピクノメーターで粒子の体積を求める際、対象粒子の濡れがあまりよくない液体を浸液として用いて体積を導出し、その体積で密度を算出した場合に当たる。
 JIS Z 8901(試験用粉体及び試験用粒子)の用語の定義では、見掛け密度は、カサ密度と同義語として定義されている。見掛け密度は他に、粒子密度の意味でもよく使われるので注意が必要である。

◎メカニカルアロイング(mechanical alloying)
 金属粉を混合摩砕することによって合金が生成する現象あるいはその操作のこと。ただし、その定義は金属系にとどまらず、酸化物やその他の化合物系にも援用されている。例えば、酸化アルミニウムとニッケルとから、分散強化型の合金を得るプロセスは、最も早く実用化されたメカニカルアロイングの一例である。メカノケミカル反応による複合化との区別は明確でない。

◎メカニカル活性化(mechanical activation)
 固体を機械的エネルギーで励起することによって起こる反応性や触媒能の増大の総称。衝撃力などによってエキソエレクトロンの放射が起こるほど高い、極めて短寿命の活性化から、緩和後に長期にわたって凍結・保存される不可逆な格子ひずみをともなう活性化まで、その源泉や程度は広範にわたる。狭義のメカニカル活性化は、摩砕などによって粉体の溶解や焼結の速度が増大する現象をさす。

◎メカノケミカル効果(mechanochemical effect)
 力学的エネルギーと化学的エネルギーとの相互作用にまつわる現象の総称。動物が植物から得たエネルギーを筋肉の弛緩と収縮に転化するような現象も含む。ただし、粉体工学においては、固体に加えられた剪断力によって、その化学的な活性を増大させる現象、およびその際に周囲に存在する物質との間で起こるメカノケミカル反応などに限定される。
 メカノケミカル効果は、固体の活性化、改質や複合化などに積極的に用いられるかたわら、粉砕によって必然的に起こる現象でもある。

◎メカノケミカル固相反応(mechanochemical solid state reaction)
 固相で起こるメカノケミカル反応。例えば、水酸化カルシウムと酸化ケイ素の粉体を混合して摩砕すると、ケイ酸カルシウムまたはその前駆体が生成する。金属粉末を混合して合金が生成するメカニカルアロイングも、メカノケミカル固相反応の一種である。

◎メカノケミカル脱水(mechanochemical dehydration)
 水酸化物や水和ゲルなど脱水可能な化合物が、摩砕などにともなう剪断力の作用によって脱水する現象。水酸化物と酸化物を混合摩砕する際にも観察される。この時、メカノケミカルな複合化反応と同時に起きる。

◎メカノケミカル反応(mechanochemical reaction)
 メカノケミカル効果によって起こる反応。この反応はきわめて広義に解釈されており、粉体を微粉砕することによって起こる溶解速度の増大、気体の吸着や吸蔵能の増大などもメカノケミカル反応に含まれる。
 しかし、より狭義には、機械的な応力下でのみ起こる脱水や分解反応、周囲の気体や溶液との間で起こる酸化や溶解反応、もしくは共存固体間の複合反応のことである。後者の狭義は、特にメカノケミカルその場反応などと表現されることもある。粒子界面における固相メカノケミカル反応は、粉体表面に水酸基などの官能基が存在する場合、特に顕著に観察される。

◎メカノケミカル平衡(mechanochemical equilibrium)
 メカノケミカル反応が進行し、ある時点で見かけ上停止する現象をさして用いられる表現。典型的には、炭酸カルシウムを粉砕するときに起こる結晶多形の転移が、カルサイト、アラゴナイトのいずれから出発しても、ある同一の割合で見かけ上停止するときなどに用いられる。
 ただし、熱力学で定義される平衡とは異なり、摩砕などの操作条件によって“平衡状態”は変化する。したがって、正しくは平衡ではなくメカノケミカルな定常状態と考えるべきである。

◎メカノケミストリー(mechanochemistry)
 力学的エネルギーと化学的エネルギーとの相互作用を扱う化学の一分野。電気化学、光化学や放射線化学などと同列に属するが、発達の遅れから、これらに比較して、はるかにわずかしか知られていない。固体に関しては、粉砕などの操作に伴って起こる、サイズの微細化や比表面積の増大など幾何学的因子以外の変化をまとめてメカノケミストリーの対象とすることが多い。メカノケミストリーは、固体化学の重要な一部でもある。

◎メッシュ(mesh)
 網や織物で、線材の方向と同一方向の1インチ(25.4mm)の間にある目の数。すなわち、メッシュ=25.4mm/(線の径+目開き寸法)であり、同じメッシュでも線の径が変わると目開きが変わることになる。
 粉粒体の細かさがメッシュで表示されている場合、表示されたメッシュのふるいで分級したことを意味することが多いが、適切な表示とはいえない。

◎メディア(media)
 粉砕メディア。ボールミルや媒体撹拌ミルなどに利用される。

◎薬研(やげん)(Yagen)
 主として漢方の薬種を細かくすりつぶすのに使用する金属製の器具。形は舟形で中が深くくぼんでいる。これに薬種をいれ、軸がついた扁平な金属製円板をきしらせて薬種をすりつぶす。
 古く中国から由来したものとされており、中国では碾(てん)あるいは碾子と呼ばれて農業用の大型のものが普及していた。金属製のほか、木製、石製、陶製のものもある。

◎遊星ミル(satellite mill, planetary mill)
 砕料とともに粉砕媒体を装填した容器が自転しながら公転する機構によって、媒体同士ならびに媒体―容器内壁の衝突により砕料に機械的エネルギーが加えられて砕料粒子が微細化する原理の粉砕機。
 容器回転型の媒体ミルでは最も大きな、重力加速度の150倍以上の遠心加速度が作用するものもあり、粉砕速度がきわめて大きい。遊星粉砕機は20世紀半ばより使用されており、粉砕速度がきわめて大きい。回分式のものだけでなく、連続式のものもみられるが、ほとんどが小型機で、回転軸が水平と垂直の両タイプがある。容器内の雰囲気を真空にしたり、窒素ガスなどに置換したりして、粉砕することもある。また単なる粉砕のみでなく、固体材料のメカノケミカル反応を目的として利用される場合もある。

◎離散要素法(distinct element method)
 個別要素法、粒子要素法、DEM(Distinct Element Method)、PEM(Particle Element Method)。粒子集合体の力学的挙動を解析する方法として、個々の粒子にかかる力から個々の粒子の運動方程式を誘導し、その運動方程式を数値積分することによって個々の粒子の運動を求め、個々の粒子の運動から粒子集合体全体の挙動を求めるものである。これが離散要素法であり、従来の連続体モデルに対比される粉粒体の数値解析法である。基礎的現象を考察する場合には連続体モデルにはない長所を有する。

◎リッティンガー数(Rittinger's number)
 粉砕に消費された仕事量は生成した表面積に比例するとした粉砕仕事法則の一つである。リッティンガーの法則の比例係数の逆数である。[m2/J]の次元となり、粉砕仕事量当たりの生成表面積であるので粉砕抵抗を表わす指標の一つである。

◎リッティンガーの法則(Rittinger's law)
 粉砕に要する仕事量Wは新しく粉砕によって生成した表面積に比例するとした粉砕仕事法則の一つ。粉砕前後で変化しているものは新しい表面が生成したことでわかりやすく、粉砕プロセスのエネルギー収支を表面積と関連づけるのはきわめて有効である。

◎粒界破壊(intergranular fracture)
 多結晶材料において結晶粒界に沿って起こる破壊。これに対するのが粒内破壊。

◎粒径、粒子径、粒径分布、粒度分布(Particle Diameter, Particle Size Distribution)
 粒子の大きさを一次元の数値、すなわち粒子の寸法(長さ)で示す場合、これを粒子径と言い、短縮して粒径と言う。粒子が球形であれば、その直径を粒子径として問題ない。しかし、通常、粉体の粒子は複雑な形状をもつので、粒径をどう定義するかで異なった数値となる。また、粒径の測定方法も各種があり、測定原理が異なると粒径の定義も異なるので数値が異なることが多い。
 JIS Z 8901(試験用粉体及び試験用粒子)の用語の定義の項には、粒径と粒径分布について、以下の記述がある。

・粒径
 ふるい分け法によって測定した試験用ふるいの目開きで表したもの、沈降法によるストークス相当径で表したもの、顕微鏡法による円相当径で表したもの、および光散乱法による球相当、並びに電気抵抗試験方法による抵抗値の変化より求めた体積相当径で表したもの。粒子径ともいう。

・粒径分布
 粒子群を構成する粒子の粒径に対応する分布。

・備考
 試験用粉体を含めて、一般に粉体はすべての粒子が均一な大きさであることはなく、ある最小粒径から最大粒径の範囲内に、いろいろな大きさの粒子がいろいろな割合で存在する。

・中位径
 粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数又は質量が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径、即ち、 オーバサイズ(後述)50%の粒径で通常、D50で表わされる。

・ふるい分け法
 標準ふるいなどを用いて行う粒径、粒径分布を測定する方法のこと。粒径、粒径分布の表現は、使用したふるいの目開き(μm)とふるい上残量(オーバサイズ)、または、ふるい下通過量(アンダーサイズ)の全体に対する比率で表される。

・ふるいの目開き、メッシュ
 ふるいの目開きとは、ふるい網の目の寸法のことで、以前はメッシュ(1インチ当たりの網目の数)で粒度を表すことが多かったが、同じメッシュの金網でも、使用される針金の太さにより目開きが異なるので不正確な表現であり、最近ではふるいの目開き(μm)で表現されるようになった。

・沈降法、ストークス相当径
 沈降法は粒径分布測定法の一つで、媒質中を落下する粒子の速度がストークスの沈降速度式に従うとして、粉体試料を媒液中に分散させ、その沈降速度を計測 して粒径分布を測定する方法である。したがって、沈降法で測定される粒径は、媒質中を沈降する速度が同じである同じ密度の球の直径で表される。これをストークス相当径またはストークス径という。
  u =  H/t  = 1/18・(ρp-ρ0)g/μ・Dp2
     u:沈降速度、H:沈降距離、t:沈降時間
     ρP、ρ0 :粒子および媒質の密度 μ:媒質の粘度 Dp:粒子径
     g :重力の加速度
 沈降速度を計測する方法、装置には各種のものがあるが、アンドレアーゼンピペット法、沈降天秤法、光透過法などがよく知られている。 沈降法では分散媒質中で試料粒子が完全に単位一粒子に分散し、相互に干渉することなく沈降することが必要である。そのために試料粉体の分散方法、分散剤の選定などがきわめて重要である。

・顕微鏡法、円相当径、統計的径
 粒径分布の測定でいう顕微鏡法とは、顕微鏡の画像上で粒子の大きさと個数を計測して粒径分布を測定する方法である。 通常の粉体粒子の形状は、球状と異なり不規則形であるため、どう粒径を定義するか、何処の大きさを計測するかにより、多くの粒径の表し方がある。 円相当径とは、粒子の投影像について粒径を定義する用語の一つで、次の三つがあるが、単に円相当径といった場合は(i)を指す場合が多い。
(i)投影面積円相当径:粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径であり、 Heywood径とも呼ぶ。
(ii)投影周長円相当径:粒子の投影図形の周長に等しい円周をもつ円の直径で、おもに粒子の形状評価に用いる。
(iii)外接および内接円相当径:粒子の投影像に外接および内接する円の直径で、おもに粒子の形状評価に用いる。
 上記の円相当径の他に、顕微鏡法による粒径の計測、表示の仕方として、統計的径として、次の三種がある。
 ①マーチン(Martin)径:一定方向で粒子の投影面積を二等分する線分の長さ。
 ②フェレー(Feret)径:粒子をはさむ一定方向の二本の平行線の間隔。
 ③定方向最大径:一定方向での各粒子の最大幅。

・光散乱/回折法
 粒径、粒径分布の測定法の一つで、流体中に浮遊する微小な粒子に光が当たって生じる散乱現象は、粒子の大きさ、屈折率、入射光の波長などで変化するが、 粒子の大きさと散乱光量との関係が既知である条件下で散乱の光量とその発生数を計測すれば粒径分布が求められる。また、レーザ光の微小な粒子による回折の パターンは粒子の大きさにより変化するので、これ等を計測して粒径分布を求めることができる。

・電気抵抗試験方法
  粒径、粒径分布の測定法の一つで、電解溶液中に1個の小孔のある隔壁を設け、その両側に電極をおいて電圧を加えると電流が流れるが、その抵抗は隔壁の小孔 部の体積で決まる。この電解質溶液中に粉体粒子を分散させて希薄な懸濁液とし、隔壁の一方から吸引すると粒子が小孔中を通過するときその体積分だけ電解質が 減るので電気抵抗が増大する。したがって、この抵抗の変化量が粒子体積を、抵抗変化の発生数が粒子数を示すから粒径分布が得られる。

・オーバサイズ、ふるい上分布
 JIS Z 8901(試験用粉体及び試験用粒子)の本文及び解説の用語の定義の項には、次のように記述されている。「オーバサイズ粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい粒子群の全粉体に対する百分率。」

・個数基準分布、質量基準分布、体積基準分布
 粒径分布を表示する場合、個数割合または個数百分率で示すのを個数基準という、同様に質量割合または質量百分率で示すのを質量基準という、 体積基準も同様であるが、通常は、粒子の大きさにより粒子密度に変化がないとして、体積基準は質量基準と同じ数値となる。

◎粒子径(particle diameter)
 粒子の大きさ(粒度:particle size)を一次元の数値、すなわち長さで示したものを粒子径といい、縮めて粒径という。粒子が球形であれば、その直径を粒子径としてさしつかえない。
 しかし、通常、粒子の形状は複雑かつ不規則である。また、粒子の大きさを測定する原理、方法はいくつもあり、必ずしも粒子径そのものが測られているわけではない。粒子径の定義の仕方は種々あるので、論文や報告書に粒子径を記載するときは、その測定方法や換算法を付記する必要がある。

◎粒子径分布(particle size distribution)
 粉体は多数の粒子の集合体であり、その粒子の大きさ(粒子径)には分布がある。粒子径分布を表現する方法には積算分布(cumulative size distribution)と頻度分布(frequency distribution)がある。
 ・個数基準分布(number base distribution)
 ・質量基準分布(mass base distribution;質量基準分布、体積基準分布ともいう)
 ・ふるい下(積算)分布(under size distribution)
 ・ふるい上(積算)分布(over size distribution)
 ・積算ふるい上分布(cumulative oversize distribution)
 ・積算ふるい下分布(cumulative undersize distribution)

◎粒子密度(Particle Density)
 粒子の内部に含まれた閉じた空孔を含む粒子の体積で、粒子の質量を割った値。しかし、実際には測定法に依存する。すなわち、粒子の外表面へ開いた粒子表面の割れ目や空孔を完全に濡らして、閉じた空孔のみしか残さないような測定法をとれない場合、かなり測定法に依存した数値になる。普通は高真空にして浸液を開いた空孔に満たすことにより、粒子の体積を測定する。

◎粒子要素法(particle element method)

◎流動性
 粉体は外から力が作用した時にある一定の力までは静止していて、力の限界を超えると急に流れ出すという特徴を持っています。これを粉体の流動性といいます。粉体には「機械的流動」、「振動流動」、「重力流動」、「圧縮流動」、「重力流動」、「流動化流動」の5つの様式があります。
 様式からも分かるように外の力に応じて粒子の相互作用が変化する事や湿度や温度、振動などのあらゆる因子により複雑に変化してしまうため、液体や気体のような流動特性の定量的な記述は困難と言われています。
 流動性が高い粉体は砂時計の砂のような顆粒状のものが多く、円錐状に積み上げようとしても底辺が広がって崩れてしまいます。逆に流動性の低い粉体は円錐状にすれば形状を比較的維持し、底辺の広がりも大きくなりません。この水平面と斜面がなす角の事を「安息角」といい、粉体の流動性を評価するために必要な指標となります。

◎粒度分布(particle size distribution =粒子径分布)
 粒子径分布を参照。

◎臨界応力拡大係数(critical stress intensity factor)
 材料のもろさの指標の一つ。

◎臨界回転数(critical speed)
 粉体や粒体、あるいはボールのような媒体を入れた円筒形回転容器で、壁面における粒子が遠心力によって円筒内壁に圧着したまま回転する時の最小回転数をいう。
 円筒回転容器の内径をD[m]とすると、この臨界回転数に相当する回転数Nc [rpm]は次式で表わされる。
 Nc=42.3/D1/2
この臨界回転数は、回転円筒を用いる粉砕、混合などの諸操作において、最適回転数を決める上の基準として用いられる。
 例えばボールミル粉砕では、臨界回転数の55 ~80%で操業するのが一般的である。また、ボールミルの回転数が臨界回転数に近くなれば、磨砕メディア同士の衝突による衝撃力が大きくなり、磨砕メディアの寿命が短くなり、連続使用が困難となる傾向がある。その原因は、直径が1mm以下の鋼球は、一般的に当該表面に硬化処理皮膜が形成されていないためである。ボールミルの回転数を臨界回転数の95%以下に保つことにより、磨砕メディアの寿命を延ばすことができる。

◎臨界速度(critical velocity)
 → 臨界回転数

◎リングボールミル(ring ball mill)
 ローラーミルの一種。ローラーの代わりに大きいボールを粉砕媒体として用いるもの。ボールは数個から十数個を用いる。石炭粉砕に用いることが多く、粉砕能測定法の一つであるハードグローブ粉砕能測定試験機はこの形式の小型ミルである。

◎リングロールミル(ring roll mill)
 ローラーミルの一種。通常、三個の小型ロールを水平回転テーブル(パン)上で転動させて、ロールとパンとの間で砕料をかみこみ粉砕を行う。ローラーには平面ローラーと曲面ローラーがあり、また、パンを回転させる方式以外にローラーの方を回転させるものもある。
 粉砕方式はエアースウェプト式であり、砕製物はパンの縁よりオーバーフローして気流に巻き上げられ、ミル上部の分級機に運ばれ、粗粒はまたパン上へ循環する内部閉回路系をとっている。

◎ルイスの式(Lewis's equation)
 化学工学の最初の教科書といわれているW.H. Walker, W.K. Lewis, W.H MacAdamsらによって1923年に初版が発行された「Principles of Chemical Engineering」の中で、著書の一人のW.K. Lewisが粉砕仕事法則に関する1867年に発表されたリッティンガーの法則、1883 年に発表されたキックの法則をまとめて粉砕仕事量Eと粒子径xの変化を次式の微分式で表わした。
 dE = -cx-n・dx
この式をn=1で積分するとキックの法則、n=2で積分するとリッティンガーの法則になり、n=1.5で積分するとボンドの粉砕理論になる。さらにnの値は砕料の種類によって変化するとしたのがホルメスの粉砕理論である。仕事量と砕製物の比表面積の関係、粒子径分布の変化、粒子一個あるいは単位質量の破砕、粉砕に要するエネルギーの粒子径による変化なども含む。
 粉砕に要する仕事量に関する研究の出発点になり検討され続けられている式である。

◎冷凍粉砕(凍結粉砕)(freezing grinding, cryogenic grinding)
 低温粉砕を参照。

◎ロジン・ラムラー分布(Rosin-Rammler Distribution)
 RosinとRammler が1933年、石炭など種々の粉砕物のふるい上積算質量分布を表わすのに提案した粒度分布式。積算ふるい上質量%(オーバサイズ質量%)をR (x)として、次式で示す。
  R(x) = exp(-bxn )
 ここでbとnは定数である。nは、分布の広がりを示す定数で、nが大きいほど分布が狭く、粒子径が揃っていることになるため、「均等数」と呼ばれる。
 横軸にlog x、縦軸に ln{ln(1/R(x))}をとって、図表としたものを ロジン・ラムラー線図(R.R.S線図 Rosin-Rammler-Sperling )という。粒径分布がロジン・ラムラー分布に従うときは、ロジン・ラムラー線図上に表示すると直線となる。この時、勾配からnの値をR(x)=0.368に対応するxの値からxeを求めることができる。
 このxeは、分布の位置(ふるい上積算分布の36.8%)を表す一種の代表径で、「粒度特性数」と呼ばれる。

◎ロス・イン・ウエイト(loss in weight)
 粉流体の質量流量計測法の1つであり、ホッパー内の粉体質量を常時検出し、その減量から排出流量を算出する。固体容積流量計やインパクトフローメーターを用いて質量流量を求める方法に比べて精度が高いが、自動制御用検出端としては、インパクトフローメーターより劣る。

◎ロス・チェーン・フィーダー(Ross Chain Feeder)
 原石、中間製品、製品などを次の工程の破砕機、フルイ機その他機械設備に給石する給石機。取扱量、粒形の大きさ、粒塊の混合比、粘着性などの条件により機種、仕様が決定される。給石の場合、ロス・チェーン・フィーダーのほか、エプロン・フィーダー(Apron Feeder)、振動フィーダー(Vibrating Feeder)、電磁フィーダー(Electromagnetic Feeder)などが利用されている。
 ロス・チェーン・フィーダーは粗砕機用フィーダーとして最も古くから使用されているフィーダーであり、シュート上に数本のチェーンを吊下げ、チェーンのエンドレス回転によって、逐次、原石を送り出す仕組である。米国のロス社が開発したことから、この名がつけられた。

◎ロータリーバルブ(rotary valve)
 ロータリーバルブは、数枚の羽根を放射状に取り付けたローターを水平円筒内で回転させる粉粒体の供給、排出装置です。上方の開口部から、ローターに取り付けられた羽根によって区切られた部屋に粉粒体を充填し、下方の排出口から排出させます。粉粒体を下部へと移動させる原理は重力です。
 ローターの回転を停止することによって粉粒体の供給を停止させ、ローターの回転を開始することによって供給を開始します。可変速のモーターと組合わせることによって、粉粒体の供給速度を制御することが可能です。
 粉粒体を扱う設備において、ホッパーやタンクから粉粒体を排出する際や、定量供給や空気輸送のエアロックとして利用されています。
 用途に応じて、ロータリーフィーダ、ロータリーディスチャージャ、エアロックバルブなどとも呼ばれています。

◎ロータリー分級機(rotary classifier)
 細粒に混入してきた粘土や有機物などの有害物を除去するための水洗機。細粒を回転するドラム内に片側から供給する。微粒子は反対側から水流と共に溢流し、素粒子はドラム内周に取り付けられたすくい網によってかき上げられ、ドラム中心部を貫通しているベルトコンベア上に落下、機外に搬出される。

◎ロッドミル(rod mill)
 ドラムの中に粉砕媒体としてスチールロッドを入れ、ドラムの回転によってロッドは互いに平行に転動して線接触する。ロッドの衝撃は、その間に介在する原料の主として粗砕だけに作用し、細粉への作用は小さいので、粒形の揃った粉砕品が得られる。

◎ローラーミル(roller mill)
 磨砕作用によって粉砕を行う装置で、乾式粉砕に用いられる。径が数十cmから2m程度の複数のローラーないしボールをパン(皿)上で転動させることによって粉砕する装置。ローラーと粉砕機底面との間に砕料をかみ込ませするタイプ(ロッシェミル、レイモンドミル)と、遠心力により壁面に押し付けられたローラーと壁面の間に砕料をかみ込ませるタイプ(遠心ローラーミル)の二つのタイプがある。
 粉砕帯はローラーないし、ボールとパンが接触している部分で、ここに加えられる力には、スプリングによるものと、回転にともなう遠心力によるものの二種類ある。後者は特に遠心(力)ローラーミルといって区別することがある。またローラーを転動させるためには、ローラーを支えるカンティレバーを軸の周辺に回転させる形式と、下のパンを回転させる形式のものがある。

◎ロールクラッシャー(roll crusher)
 二つのロール間に砕料をかみ込み、主に圧縮力、一部は剪断力によって砕料を粉砕する粗砕機。一般にロール表面は平滑面であるが、特殊な場合、凹凸ないし、ピンが植えられているものである。
 また二つのロールの回転数が等しいものと、せん断力を増すため異なった回転数にする場合がある。摩耗性が低い物質の粗砕から中砕にかけて適用されるが、現在はどちらかというと植物性物質の解砕、廃棄物の処理などに用いられる例が多く、比較的適用範囲は限られている。

◎ワークインデックス(work index)
 粉砕仕事指数。


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