ビタミンのお話

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更新日:
 2008年6月28日






◎ビタミン(1997年10月10日)
 体外から摂取する食品の成分の内、主栄養素である蛋白質、脂肪、炭水化物、無機塩類、水以外に動物の正常な発育と栄養を保つ上に、微量で良いが欠くことのできない特殊な有機物質の総称。体内で生合成できないため、植物や細菌が合成した物を直接または間接的に摂取しなければならない。Vitamin(ビタミン)はドイツ語。
 毎日摂取していないと欠乏症が起きるため、食物からの供給が必須の栄養素。現在、13種類ある。水溶性ビタミン(B複合体、C、L、P)と脂溶性ビタミン(A、D、E、K)に分けられる。

◎ビタミンのはじめ(1998年10月10日)
 1910年に、日本の鈴木梅太郎が発見した物質をオリザニンと命名して発表しました。このオリザニンと同じ物質を1911年にポーランドのフンクが発見し、ビタミンと命名しました。生命(Vita)に必要なアミン(Amine)という意味です。
 その後、1915年にアメリカの生化学者マッカラムが、ビタミンには脂に溶けるものと、水に溶けるものがあるとして、脂溶性のものをビタミンA、水溶性のものをビタミンBと分けました。この時、オリザニンは水溶性だったため、ビタミンBと命名されました。さらに、その後、ビタミンBと同じ性質を持つビタミンが発見され、B1〜B12まで順番に番号が付けられてきました。
 現在、ビタミンはA、B、C、D、E、Kがあります。実は、以前にはビタミンF、Gもありました。後に、ビタミンではないと分かって、除かれてしまいました。ビタミンFは、必須脂肪酸であるリノール酸と同じであることが分かったのです。また、ビタミンGやHは、ビタミンB群のうちのひとつであることが判明して、除かれたのです。

◎潜在的ビタミン欠乏疲れ、肩凝りの原因に
 日本人はビタミンの必要量を十分に取っており、かっけなどビタミン欠乏による病気は過去のものになった、とされている。ところが最近、ビタミン不足のため、疲れ、めまい、頭痛といった症状に悩まされている人が意外に多いことが分かってきた。
 潜在性ビタミン欠乏症と呼ばれ、血液中のビタミン濃度が正常なレベルより低い状態を指す。かっけなどの病気になる前の段階だ。ビタミンは、脂肪などの栄養素が体内でエネルギーに変わるといった代謝に必要な物質だ。不足すると代謝がうまくいかず、いろいろな症状が出ると考えられる。

・男性に「更年期症状」
 東邦大大橋病院の橋詰直孝教授(臨床検査医学)によると、まず肝臓などのビタミン量が低下し、次に血中濃度が低くなる。この状態が進むと疲れ、イライラなどが表れる。
 50歳以降になると、男性でも、疲れやすい、集中力がなくなる、などの「更年期症状」が表れることが、知られるようになってきた。中には45歳以前に、こうした症状を自覚する人もいる。
 国立健康・栄養研究所の杉山みち子・成人病予防研究室長らが、都内の40歳から60歳までの男性百人余に面接調査したところ、3/4が疲れ、肩凝りなどを訴えた。
 一方、男性たちの血中ビタミン濃度を調べると、ビタミンB1は12%の人が正常より低かったほか、A、Cもそれぞれ3%が潜在的な欠乏状態だった。更年期症状が早い年齢で出る人の方が、ビタミン濃度が低かった。これらの男性は、乳製品の摂取量が平均の半分程度で、野菜、イモ類を食べる量も少なかった。通勤時間が一時間半以上と長く、外食の回数が多い人ほどこの傾向は強く、症状も強かった。

・糖尿病悪化の恐れも
 ビタミン不足は、糖尿病を悪化させる恐れもある。橋詰教授の調査では、糖尿病が進んで末梢(まっしょう)神経に障害が出ている患者のうち、69%はビタミンB1の血中濃度が低下していた。糖尿病に伴う動脈硬化の患者でも、33%にビタミンCの不足がみられた。厚生省の国民栄養調査では、1人あたりの各種ビタミン摂取量は、所要量をかなり上回っている。だが、現実には健康な成人でも二割以上が潜在性ビタミン欠乏症、という見方もある。
 この落差の一因に、野菜に含まれるビタミン量が変化していることが挙げられる。栄養調査は、食品に含まれる栄養素の量を一覧表にした「日本食品標準成分表」(科学技術庁資源調査会編)を基に算出される。ところが、女子栄養大の吉田企世子教授が、店頭のトマト、ホウレンソウなどのビタミンC含有量を測ったところ、成分表より2〜3割も少なかった。特に冬が旬であるホウレンソウは、夏場には1/3程度の量しかなかった。野菜を冷蔵庫で保存したり、ゆでたりする間にもビタミンCは失われることから、吉田教授は「栄養調査の数値ほどには、ビタミンを取っていない」と見る。
 この点を考慮すると、1日にホウレンソウ、ニンジン、カボチャなどの黄緑色野菜を10g、白菜、キュウリ、大根など淡白色野菜を200g、イモ類を100g、計400g食べると良いと言う。100gは、野菜を千切りにして片手に山盛りの量だ。ビタミンは野菜だけでなく、肉や魚にも多い。これから、おなべの季節。これらの食品を効率的に取るため、吉田教授は、なべ料理を週2回ほどすることを勧めている。

◎ビタミンA(1997年10月10日)
 別名、アクセロフトール(C20H30O)。脂溶性ビタミン。多くの有機溶媒、油脂に解け、水には不溶。これの欠乏は夜盲症、乾燥性眼炎、角質軟化症、幼動物の成長阻害などを引き起こす。ビタミンA1とともに、吸収スペクトルの若干異なるビタミンA2(C20H28O)がある。
 上皮細胞を保護・発育させる。細菌に対する抵抗力を増進する。ガンの予防に効くと言われる。また視力を調節する働きがある。1日に100IUが必要。
 動物の肝臓、うなぎ、卵黄、バター、マーガリン、牛乳、緑黄色野菜などに多く含まれる。植物に含まれる黄赤色の色素カロチンは動物体内でビタミンAに変えられる。

◎妊娠中にビタミンAの取りすぎは危険(1995年10月8日、朝日新聞)
 妊婦が適正量の5倍のビタミンAを摂取すると、生まれてくる赤ちゃんの先天性異常発生率が2倍以上になるという調査結果をボストン大学医学部のケネス・ロスマン博士らのグループが明らかにした。論文がアメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」11月23日号に発表されるのを待たずに結果を公表した。
 グループは1984年から1987年まで22748人の妊婦らを対象に、ビタミンAの摂取量と先天性異常の発生率の関係を調べた。1日当たりのビタミンA摂取量が10000IU以下では先天性異常の発生率が1.3〜1.5%だったのに対し、15000IUを超えると3%に倍増するという結果が得られた。ロスマン博士によると、ビタミンAの1日当たりの適正摂取量は2700IU。しかし、アメリカ国内ではビタミン剤の人気が高く、調査対象の妊婦の6割が平均5000〜10000IU、500人が15000IUを超える量を摂取していた。
 厚生省の国民栄養調査によると、日本人の1日当たりのビタミンA摂取量は2649IU(1992年)であった。

◎ビタミンB1(1997年10月10日)
 別名、チアミン、サイアミン。水溶性ビタミン。糖質をエネルギーに代えるのに必要なビタミン。米糠、胚芽、酵母、豚肉、豆類、牛乳などに多く含まれる。水、希アルコールに溶け、エーテル、ベンゼンなどに不溶。消化液の分泌促進や神経系の調整の働きがある。欠乏すると食欲不振、だるさ、めまい、肩こり、脚気様症状などが起きる。1日の必要量は1.5mg。

◎ビタミンB2(1997年10月10日)
 別名、リボラフラビン(C17H20O6N4)。ラクトフラビン、オボフラビン、ビタミンGとも呼ばれた。水溶性ビタミン。ビタミンB複合体中の耐熱性成長促進因子。脂肪をエネルギーに代えるのに必要なビタミン。熱に安定。
 不足すると、皮膚や粘膜に炎症がおきやすくなり、ニキビ、唇の荒れ、口内炎、肛門の炎症などが発生する。1日に1.5mgが必要。
 酵母や胚芽、肝臓などに含まれる黄色物質。牛、豚のレバー、卵、納豆、牛乳、ホウレンソウなどに多く含まれる。

◎ビタミンB6(1997年10月10日)
 別名、ピリドキシン(C8H11O3N)。水溶性ビタミン。水、アルコールに易溶。アセトンにはやや溶けにくく、エーテル、クロロホルムには溶けない。欠乏するとニキビ、吹き出物、皮膚炎、フケ、虫歯などが発生。1日に3〜4mgが必要。
 レバー、牛肉、卵、豆類、肉類、蜂蜜などに多く含まれる。

◎ビタミンB12(1997年10月10日)
 別名、シアノコパラミン(C63H88N14O14PCo)。水溶性ビタミン。強い抗悪性貧血作用を持つ。80倍の水に溶け、アルコールに可溶。アセトン、クロロホルム、エーテルに不溶。欠乏するとボケ、不眠症、悪性貧血などが発生。1日に2〜3mgが必要。
 貝類、チーズ、牛乳、緑黄色野菜に多く含まれる。

◎ビタミンC(2000年8月10日)
 別名、L-アスコルビン酸(C6H8O6)。水溶性ビタミン。水に可溶。ナツミカン、レモン、パプリカなどの新鮮な果汁、緑茶、大根、緑葉などに多く含まれる。
 細胞内の呼吸作用に関与。細胞内の結合組織を強くする。病原菌に対する抵抗力を増大させる。皮膚を若々しく保ち、しみ、そばかすを防ぐ。カルシウムや鉄を吸収しやすくする。
 欠乏すると歯茎からの出血、あざ、貧血、頭痛などが発生。1日に50mgが必要。

ビタミンCの話 

◎ビタミンD(1997年10月10日)
 別名、カルシフェロール。脂溶性ビタミン。抗くる病の作用がある。
 血液中のカルシウム・リンの平衡を司さどる。欠乏すると貧血などが発生する。紫外線に当たると皮膚でできる。1日に100IUが必要。
 イワシ、カツオ、ブリ、サンマ、サバ、シラス干し、卵黄などに多く含まれる。

◎ビタミンE(1997年10月10日)
 別名、トコフェロール。脂溶性ビタミン。欠乏することは、まずないと言われる。老化防止、脂肪酸の酸化防止、ガンの予防などに効く。1日に8mgが必要。
 コーン油、紅花油、ゴマ油などの植物油に多く含まれる。
 脂質の酸化を抑え、動脈硬化を防ぐ効果のあることが知られている。ビタミンEの錠剤タイプの栄養補助食品も人気を呼んでいるが、大量に取ることが効果的かどうかは分かっていない。大量に摂取しても害はないと言われる反面、血圧上昇、糖尿病悪化などの報告もあり、やはり食物から取るのが良さそうだ。
 ビタミンEが豊富な食品としては、大豆のほかにウナギなど魚類、卵黄、ホウレンソウがある。
 脂質の酸化を抑え、動脈硬化を防ぐ効果のあることが知られている。ビタミンEの錠剤タイプの栄養補助食品も人気を呼んでいるが、大量に取ることが効果的かどうかは分かっていない。大量に摂取しても害はないと言われる反面、血圧上昇、糖尿病悪化などの報告もあり、やはり食物から取るのが良さそうだ。
 ビタミンEが豊富な食品としては、大豆のほかにウナギなど魚類、卵黄、ホウレンソウがある。

◎ビタミンF(1997年10月10日)
 別名、リノール酸、リノレン酸。べにばな油などと同様に、大豆油に多く含まれるリノール酸は、取り過ぎると心筋梗塞(こうそく)などを増やす恐れがあることが分かってきた。リノール酸は体に必要な脂質だが、通常の食事に含まれる量で十分とされ、注意が必要だ。

◎ビタミンH(1997年10月10日)
 別名、ビオチン。水溶性ビタミン。欠乏すると筋肉痛、脱毛、疲労感などが発生する。体内で作られる。
 レバー、酵母、胚芽、えんどうなどに多く含まれる。

◎ビタミンK(1997年10月10日)
 別名、フィロキノン。脂溶性ビタミン。欠乏は血液凝固遅延を呈する。水に不溶。哺乳動物では腸内の細菌類がこの作用のあるものを合成するため、摂取しなくても欠乏症にならないと言われている。
 納豆、チーズ、トマト、レバーなどに多く含まれる。腸内の細菌によって作られる。

◎ビタミンL(1997年10月10日)
 乳汁の分泌に必要なビタミン。

◎ビタミンM(1997年10月10日)
 別名、葉酸。水溶性ビタミン。欠乏すると貧血、下痢、舌炎などが発生。これの欠乏症は巨大赤芽球性貧血。1日に0.4mgが必要。
 豆類、レバー、卵、肉類、ホウレンソウなどに多く含まれる。

◎ビタミンP(1997年10月10日)
 別名、ヘスペリジン。毛細血管の浸透性の増大を抑制する作用を持つ。

◎ビタミンQ(1997年10月10日)
 別名、ユビキノン。


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