原油の話
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更新日:
 2018年8月20日






◎原油(crude oil、crude petroleum)
 地下数百~数千メートルの岩石の隙間にしみ込んでいる、炭化水素を主成分とした液体です。原油は化石燃料のひとつで、主な成分は炭素と水素が結合した炭化水素です。化石燃料は数億年前の生物の死骸が化学変化を起こしてできたといわれており、他に石炭や天然ガスも化石燃料の中に含まれます。
 原油は古代からその存在を知られており、旧約聖書にノアの箱舟の防水に使われたとの一節があったり、日本書紀にも「燃ゆる土、燃ゆる水」という記述があります。
 原油は地下数百~数千メートルのところに存在しています。この地層は中生代と呼ばれる1億~2億年前の地質層で、とくに恐竜が栄えていた白亜紀を中心とした時代の地層にある油田が、世界的に広く分布しています。原油が集まっている部分を「油層」とも言いますが、地下プールのように原油が溜まっているわけではなく、砂岩や石灰石などの岩石の隙間にしみ込んで存在しています。
 原油は天然のものなので、取れる場所によって成分や品質に違いがあります。炭化水素のタイプ、硫黄分、比重を基準として分類されます。比重による分類は全米石油協会(API = American Petroleum Institute)が定めたAPI度を使い、このAPI度が大きければ大きいほど、その原油がより軽質であることを表します。原油は軽質であるほうがガソリン、灯油などの高価な製品留分が多く取れ、価格も高くなる傾向にあります。

・原油の単位
 原油の量を量る単位はバレルです。これは19世紀半ばに米国ペンシルバニア州で油井の機械掘りが始まった頃、原油を運ぶのに木の樽(バレル)を使ったことが由来となっています。
 当初は1バレル=50ガロンだったのですが、現在は1バレル=42ガロンです。これは50ガロンの原油を詰めた木の樽を目的地に運ぶ間に、原油が蒸発したり洩れたりして目減りし、到着時には平均42ガロンになってしまったため、といわれています。
 1ガロン=約3.8リットルですから、「1バレル=42ガロン=約159リットル(ドラム缶2/3程度)=137kg」となります。「バレル」は「bbl」と表示します。

・ガソリン、灯油の作り方
 原油を蒸留して留分を得る過程は同じです。その後、ガソリンは様々な留分を再処理し、それらをブレンドして作ります。灯油は「灯油留分」から硫黄分を除いて作ります。
 原油を約350℃に加熱し、常圧蒸留装置に送り込みます。この常圧蒸留装置は上に行くほど温度が低くなっているため、上の方には沸点が低く軽い成分が、下の方には沸点が高く重い成分が集まります。この分離の過程を「蒸留」といい、こうして分けられた成分を「留分」といいます。
 灯油は、蒸留して得られた「灯油留分」から、硫黄分を取り除くとできあがりです。
 ガソリンはもっと複雑です。ガソリンは石油製品の中で最も採算が良いため、石油精製会社は原油からできるだけ多くのガソリンを搾り取ろうとし、「ガソリン(ナフサ)留分」だけではなく、「軽油留分」や「残油」も再処理を施してガソリンとして使えるようにします。そのために、たくさんの装置と過程を必要とするのです。


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