ケレンのお話
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更新日:
 2009年1月21日






◎ケレン(2009年1月20日)
 ケレンとは、鉄製の部分に塗装作業を行う際、事前に塗装をする部分(下地)の付着物を削り取ったり、サビを落としたり、ゴミを取ったりする、「掃除の作業」を意味します。この作業を適切にしておかないと、仕上がりの美しさに大きな差が出るだけでなく、塗膜の寿命にも大きな影響を及ぼします。塗装作業の準備作業(前段階)ですが、非常に重要な作業であると言えます。
 このような作業は、一般に「素地調整」と呼ばれています。素地調整とは、被塗装物表面の錆や、以前に塗装された塗料などの異物を取り除き、新しく塗料を塗るために整えることです。ケレン作業だけを言うのではなく、高圧洗浄機による水洗い、付着物の除去、脱脂、塗面を平滑にする、ひび割れの補修、表面の穴埋めなど、多くの作業をまとめた言い方です。素地調整を正しく行うことで、塗料と被塗装物表面の密着が高まり、塗装の寿命を大幅に伸ばします。したがって、これらの作業は、基材の材質や状態を見極め、適切な方法を選択しなければなりません。
 例えば、錆が浮いているような場合は、錆落としをしなければなりません。また、古い塗膜がある場合、これらもきちんと除去しておかないと、せっかく新たに塗った塗料もすぐに剥がれてしまいます。さらに、油分や汚れが付着した状態で塗装をしても塗料の密着力が悪くなり、耐久性、寿命に問題が生じます。
 また、プラスチックのように表面がツルツルしたものの表面に塗料を塗ると簡単に剥がれてしまうことがあります。このような表面に対しては、サンドペーパーでこすって表面に凹凸をつけることによって、塗料と塗面の接触面積を大きくする方法があります。これは、「目荒し(足付け)」と呼ばれる素地調整法の一つです。素地調整には、以下のような方法があります。

・錆落とし
 錆には除去しやすいものと、非常に除去しにくいものがあります。鉄以外の金属の錆は、大気中では比較的進行が緩慢であり、除去し易いです。しかし、鉄錆には常温の大気中や水中などで生じる赤錆(酸化第二鉄)と、加熱加工などの製造過程でできる黒皮(四酸化三鉄)とがあり、赤錆は比較的除去しやすいのですが、黒皮は硬くて除去しにくいです。
 黒皮は、均一な膜を形成している間は鉄鋼素地を保護する働きを持っていますが、傷がつくと、鉄鋼素地が腐食しやすくなります。
 赤錆は、粗雑で付着性が乏しく、それが生じることによって、さらにその付近に錆を発生させるため、完全に除去しなければなりません。

・脱脂
 素地表面に付着している油脂分を取り除く作業です。手脂やホコリなどを溶剤(塗料用シンナーなど)で拭き取ります。

・ブラストクリーニング
 圧縮空気などを用いて砂のような小さな粒を高速で噴射し、金属表面を清浄化するもので、錆びの除去、汚れ落としに適しています。薬品を用いない無公害な手法です。

・つや消し、梨地
 ブラストで素地表面に極微細な無数の凹凸を作り、梨地と呼ばれる半光沢の美しい地肌を作ります。テカリを消して高級感を持たせるほか、すべり止めやキズ隠しなどに利用します

 ケレンには、素地調整の程度により1種ケレン、2種ケレンなどがあります。アメリカなどの規格と比べると下記のようになります。

 ちなみに、「ケレン」の言葉の由来は、英語の「クリーニング(Cleaning)」がなまったのだそうです。アメリカン=メリケン、ホワイトシャツ=ワイシャツ、みたいな感じでしょうか。


ケレンの種類と各国の規格との比較



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