農薬のお話
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更新日:
 2009年2月1日






◎農薬:agricultural chemicals(2008年9月18日)
 農薬とは、病害虫や雑草から農作物を保護し生産性を向上させる薬剤で、農薬取締法で規定される薬剤を指す。農薬取締法では、「農薬」とは「農作物を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルスの防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。」と規定されている。また、「前項の防除のために利用される天敵は、この法律の適用については、これを農薬とみなす。」としている。
 農薬取締法では、第1条で「この法律は、農薬について登録の制度を設け、販売及び使用の規制等を行なうことにより、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用の確保を図り、もつて農業生産の安定と国民の健康の保護に資するとともに、国民の生活環境の保全に寄与することを目的とする。」としており、農薬の適正な使用を定めた法律である。また農作物とは、人間が栽培している植物を指し、稲、麦などの穀物、野菜や果樹などの一般作物に加えて、鑑賞を目的として栽培される花、樹木、ゴルフ場の芝、街路樹、山林樹木なども含まれる。
 農薬取締法が規定する薬剤には、菌、線虫、ダニ、昆虫、ネズミ、雑草、ウィルスなどを防除するための薬剤に加えて、農作物の生理機能を増進あるいは抑制する薬剤などを含んでいる。
 農薬の英語名には、「病害虫」を指す「pest」と「殺す」を指す「cide」を合成した用語「Pesticide」が用いられており、個別には「殺虫剤:Insecticide」、「カビなどの殺菌剤:Fungicide」、「除草剤:herbicide」を記載するのに対して、日本語では「農業における薬」を示す「農薬」が使用されている。
 この農薬という用語が、危険性の認識を希薄にする原因ともなっており、農薬絶対主義が広がる原因ともなっている。一方で、農薬の使用が農業生産性の向上に大きく貢献したことは事実であり、1991年に日本植物防疫協会が実施した農薬使用による農業生産性と無農薬による農業生産性を比較した試験では、生産性の低下が著しいことが実証されている。また、農業作業性の向上に対する寄与も大きく、除草剤の使用によって水稲の除草作業時間は40年前の20分の1に低下している。

・農薬の分類
 農薬は、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺ダニ剤、植物生育調節剤に大別される。また、その製剤性状によって粉剤、水和剤、乳剤、液剤などに大別される。

1)水和剤:水に溶けにくい有効成分を微粒子に増量剤を加え、さらに物理性を有効にするために界面活性剤を加えたもの。

2)液剤:水溶性の有効成分を液体の製剤としたもの。

3)水溶剤:水溶性の有効成分を粉末、粒状などにした固形剤で、水に溶かすと容易に水溶液となる製剤。

4)水溶性包装製剤(WSB):主として水和剤を水溶性の袋で包んだ製剤で、そのまま水に投下できる。

5)顆粒水和剤・ドライフロアブル:有効成分を界面活性剤、結合剤とともに粒剤状にしたもの。これを水に希釈すると水和剤調整液と同様の微粒子として均一に分散する。

6)乳剤:水に溶けにくい有効成分を溶媒に溶かし、これに水中で攪拌した時に均一な微粒子で分散するよう界面活性剤などの乳化剤を加えて安定にしたもの。

7)EW:乳剤に分類される製剤である。一般に乳剤は農薬原体を有機溶剤に溶解させ、乳化剤などを加えた透明な液体なのに対し、本剤は有機溶剤の大部分を水にかえたもので、粘ちょうな乳濁液体製剤である。(バイスロイドEW、トレボンEW)

8)粒剤:農薬原体を増量剤と混合造粒または空粒に吸着あるいはコーティングして製造される粒剤の固形剤。

9)微粒剤:粉剤の代替としてドリフトを少なくする目的で開発された製剤。

10)くん煙剤:加熱により有効成分をガス化して使用するための製剤。



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