ペットボトルの話
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更新日:
 2018年5月13日






◎PETボトルの話(2018年5月13日)
 ペットボトル(PET bottle)と呼ばれていますが、ペットボトルのペット(PET)は、polyethylene terephthalate(ポリエチレンテレフタラート)というポリエステルの一種である熱可塑性樹脂(温度を上げると柔らかくなる樹脂)のことです。ポリエチレンテレフタラートはボトルのほかフィルム、磁気テープの基材、衣料用の繊維などに利用されています。
 使用済みPETボトルは資源としての価値が高く、燃やさずに新たな再利用品に生まれ変わるマテリアルリサイクルや、再びPETボトルとして活用することもできます。1997年からは「容器包装リサイクル法」がPETボトルにも適用されたため、PETボトルのリサイクル事業が進んでいます。
 PETボトルのリサイクルはボトル以外の用途としては主にシートやフィルム、繊維のほか、成形品への加工があります。シートとしては卵パックや青果の食品用トレイや日用品のブリスターパック(Blister pack:片面が厚紙など固い材料で、商品の上から片面を透明なプラスチックで覆った物。ペン、ハサミ、カッターなどの文具や薬など、多くの商品で見ることができます。)など、繊維としては自動車や鉄道などの天井材や床材などの内装材や吸音材、カーペット、カーテン、布団や衣類など、幅広く再利用されています。
 このペットボトルのリサイクルですが、通常、ボトル本体と蓋、表面のフィルムは剥がしているものと思います。これは、ボトル本体はPET樹脂ですが、蓋とフィルムは材質が異なるからです。蓋(キャップ)は密封性を得るため、主に軟らかいPP樹脂やPE樹脂を使用しています。固いPETボトルに対し、柔らかいキャップを使うことで容器の気密性を保持していますので、材質は必ずPETではないものになってしまいます。
 また表面のフィルム(ラベル)はシュリンクで張り付けられているものは熱収縮性の良い延伸PSフィルムなど、ロールラベルでは作業性と軽量化を配慮したPPフィルムなどが使用されています。一部、リサイクルしたPET樹脂が利用されているものもあるようです。
 PETボトル、キャップとラベルの分別を行ったとしても、ボトル部分には未開栓時の蓋(キャップ)の下部分がリング状に残ってしまいます。このリングは蓋(キャップ)と同じ材質ですので、PETではありません。このリングは「TEリング」や「TEバンド」などと呼ばれ、ペットボトルが未開栓であるかどうかを判断することができる、安全上、非常に重要な役割を持った部品です。「TE」とは、「tamper-evident(いたずら防止)」という意味だそうです。日本ではないと思いますが、仕事でインドに滞在した時、現地の担当者から、「ペットボトルの水を買った時、必ず、蓋が回るか、回らないか、確認してください。回るものは、飲めない水を詰め替えた場合があります。非常に危険です。」と注意されました。スーパーマーケットや飲料店で買ったものは問題ないと思いますが、特に道路脇などに車を止めて水を売っているところから買う場合は気を付けた方が良いと教えられました。
 PETボトルをリサイクルする時は、洗浄、粉砕などの様々な工程がありますので、最終的にはPET以外の部品は材質によって分離されますので、リサイクルには問題がありません。しかし、蓋やフィルムが多く混じっていると、これらの分離工程での負荷が増え、全体の処理能力が落ちることにもなり、リサイクルにとってマイナスとなります。リサイクル時には分別をしていただきたいものです。
 ちなみにPETは燃やしてもダイオキシン類を発生させることはありません。燃焼させた場合は、炭酸ガス(CO2)と水(H2O)が発生するだけです。PETを構成する元素は炭素(C)、酸素(O)、水素(H)だけで、ダイオキシン類の発生原因となる塩素を含んでいないためです。




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