台風の話
  メニュー 

 TOPページ 

 日本情報 

 海外事情 

 辞典 

 粉体用語辞典 

 医学の話 

 科学の話 

 食品の話 

 知識の宝箱 

 メモ帳 

  



更新日:
 2018年8月20日






◎台風の話(2018年8月16日)

・台風とは
 台風とは、日付変更線(東経180度)より西、東経100度より東の太平洋、南シナ海で生まれた熱帯低気圧のうち、低気圧域内の最大風速(10分間平均)が34ノット(17.2m/s)以上のもので、日本の気象庁が定義しているものです。
 台風の仲間である大型の熱帯低気圧は世界各地で生まれています。これらはどこに存在するかによって名前が変わり、発生した地域によって、その呼ばれ方が違います。太平洋西部ではタイフーン(typhoon)、カリブ海周辺ではハリケーン(hurricane)、インド洋や南太平洋西部ではサイクロン(cyclone)と呼ばれます。これらの最大風速は国際的な取り決めにより64ノット(32.7m/s)以上とされています。台風とタイフーンは似ていますが、基準となる最大風速(17.2m/sと32.7m/s)が違います。日本ではタイフーンのことも、一般的に「台風」と呼んでいます。
 台風は最大風速が64ノット(32.7m/s)以上になると国際的にタイフーン(typhoon)と呼ばれるようになりますが、34ノット(17.2m/s)以上48ノット(24.7m/s)未満はTS(Tropical Storm)、48ノット(21.6m/s)以上64ノット(32.7m/s)未満はSTS(Severe Tropical Storm)と呼ばれます。64ノット(32.7m/s)以上はTまたはTY(Typhoon)と表記されます。
 ちなみに台風は最大風速が64ノット(32.7m/s)以上85ノット(43.7m/s)未満は「強い台風」、85ノット(43.7m/s)以上105ノット(54.0m/s)未満は「非常に強い台風」、105ノット(54.0m/s)以上は「猛烈な台風」と表現されます。
 台風は上空の風に流されて動き、また地球の自転の影響で北へ向かう性質を持っています。そのため、通常東風が吹いている低緯度では台風は西へ流されながら次第に北上し、上空で強い西風(偏西風)が吹いている中・高緯度に来ると台風は速い速度で北東へ進みます。
 台風は暖かい海面から供給された水蒸気が凝結して雲粒になる時に放出される熱をエネルギーとして発達します。しかし、移動する際に海面や地上との摩擦により絶えずエネルギーを失っており、仮にエネルギーの供給がなくなれば2~3日で消滅してしまいます。また、日本付近に接近すると上空に寒気が流れ込むようになり、次第に台風本来の性質を失って「温帯低気圧」に変わります。あるいは、熱エネルギーの供給が少なくなり衰えて「熱帯低気圧」に変わることもあります。上陸した台風が急速に衰えるのは水蒸気の供給が絶たれ、さらに陸地の摩擦によりエネルギーが失われるからです。
 台風の移動速度は平均で10~30km/hですが、洞爺丸台風(1954年)のように時速110km/hの猛スピードで駆け抜けた台風もあります。特に台風の進行方向右側(東側)の風雨が強くなり、台風が通り過ぎた後も吹き返しの強い風に見舞われることがあります。

・台風という名前の由来
 日本で「台風」という呼称、表記が定まったのは1956年(昭和31年)です。日本では、古くは野の草を吹いて分けるところから「野分(のわき、のわけ)」と呼ばれていました。11世紀初頭の「枕草子」、「源氏物語」などにも、その表現があります。ただし、「野分」とは暴風そのものを指す言葉であり、気象学上の台風のことだけを指す訳ではありません。
 江戸時代には熱帯低気圧のことを、中国にならって「颶風(ぐふう)」と訳した文献(伊藤慎蔵によってオランダ語から翻訳された日本初の気象学書「颶風新話」)があるそうです。また、明治の初めにはタイフーンまたは大風(おおかぜ)などと表していたようです。
 明治末頃、中央気象台(現・気象庁)の岡田武松によって颱風(たいふう)という言葉が生まれたと言う説があります。1956年、同音の漢字による書きかえによって「台風」と書かれるようになったようです。ただ、何故「たいふう」なのか、という理由については諸説あり、はっきりと分かっていないようです。

・台風の番号
 日本では、気象庁が毎年1月1日以降、台風が発生した順に台風番号を付けていて、最も早く発生した台風を、その年の第1号としています。なお、一度発生した台風の勢力が衰えて「熱帯低気圧」になった後、再び発達して台風になった場合は、同じ番号を付けます。

・台風の発生個数と上陸個数
 気象庁のデータによると、1951年~2017年の67年間で年平均26.2個の台風が発生しています。最多発生は1967年(昭和42年)の39個で、最少は2010年(平成22年)の14個です。
 年間で約11個の台風が日本から300km以内に接近しており、1951年~2017年の67年間で年平均2.9個の台風が日本に上陸しています。上陸しなかった年(1984年、1986年、2000年、2008年)もありますが、最も多く上陸した2004年は10個の台風が日本を襲っています。(2004年の台風発生数は29個でした。)発生、接近、上陸ともに7月から10月にかけての期間が最も多くなります。
 気象庁の定義では「台風の中心が北海道、本州、四国、九州の海岸線に達した」場合を「日本に上陸した台風」としています。ただし、小さい島や半島を横切って短時間で再び海に出る場合は「通過」としています。

・風速(秒速)と被害の目安

10m/s 樹木全体が揺れ、電線が鳴る。雨傘をさしていると、壊されることがある。
15m/s 取り付けの悪い看板が飛ぶことがある。
20m/s 身体を30度くらいに傾けないと立っていられない。風に向かっては歩きにくい。子供は飛ばされそうになる。
25m/s 屋根瓦が飛ばされる。樹木が折れる。煙突が倒れる。
30m/s 雨戸がたわんで、敷居から外れ吹き抜かれる。屋根が飛ばされることがある。しっかりしていない家が倒れる。電柱が倒れることがある。
35m/s 列車の客車が倒れることがある。
40m/s 身体を45度に傾けないと倒れる。小石が飛ぶ。
50m/s たいていの木造家屋が倒れる。樹木は根こそぎになる。
60m/s 鉄塔が曲がることがある。

・降水量の目安(時間あたりの降雨量と実際の状況)

5mm~10mm/h すぐに水溜りができ、雨音がよく聞こえる
10mm~20mm/h 雨音で話が聞こえないことがある、長雨の場合災害の警戒が必要
20mm~30mm/h 下水があふれ、小河川が氾濫することがある。がけ崩れの危険性
30mm/h以上 バケツをひっくり返したような豪雨、危険か所は避難準備危険と思ったら自主避難

・最悪の被害
 日本で最悪の被害をもたらせた台風は1959年(昭和34年)の伊勢湾台風(台風15号)で、死者、行方不明者5,098人、負傷者38,921人、家屋の損壊833,965戸、浸水家屋363,611戸などの被害をもたらせました。

・名前のついた台風
 特に災害の大きかったものについては上陸地点などの名前を付けて呼ぶこともあります。戦後、気象庁によって命名された台風は以下の8つです。



inserted by FC2 system